(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-01
(54)【発明の名称】溶接装置、バッテリー製造装置及び自動車製造装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/142 20140101AFI20241025BHJP
【FI】
B23K26/142
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526708
(86)(22)【出願日】2023-07-07
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 KR2023009706
(87)【国際公開番号】W WO2024010426
(87)【国際公開日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】10-2022-0084678
(32)【優先日】2022-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0145485
(32)【優先日】2022-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】チャン-ジェ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ミン-ジェ・カン
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168BA00
4E168EA24
4E168FC04
(57)【要約】
溶接不良を最小化できる溶接装置と、このような溶接装置を含むバッテリー製造装置及び自動車製造装置を提供する。本発明の一態様による溶接装置は、レーザーを照射するように構成されたレーザー照射モジュールと、前記レーザー照射モジュールの外側に配置され、溶接部から飛散する飛散物を遮断するように構成された保護モジュールと、前記保護モジュールの外側に配置され、内部に気体が流入して前記保護モジュール側に前記飛散物が流入することを遮断するように構成された遮断モジュールと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザーを照射するように構成されたレーザー照射モジュールと、
前記レーザー照射モジュールの外側に配置された保護モジュールであって、溶接部から飛散する飛散物を遮断するように構成された保護モジュールと、
前記保護モジュールの外側に配置された遮断モジュールであって、内部に気体が流入して前記保護モジュール側に前記飛散物が流入することを遮断するように構成された遮断モジュールと、
を含む、溶接装置。
【請求項2】
前記遮断モジュールは、
内部に流入した前記気体によって渦流が形成されるように構成される、請求項1に記載の溶接装置。
【請求項3】
前記遮断モジュールは、
前記遮断モジュールの内部の周方向に沿って前記渦流が形成されるように構成される、請求項2に記載の溶接装置。
【請求項4】
前記遮断モジュールは、
前記保護モジュールの下面に接触した状態で前記渦流が形成されるように構成される、請求項2に記載の溶接装置。
【請求項5】
前記遮断モジュールは、
ボディーを含み、
前記ボディーは、
前記ボディーの内部への気体の流入をガイドするように構成されたガイド部を含む、請求項1に記載の溶接装置。
【請求項6】
前記ガイド部は、
前記ボディーの外周面上で前記保護モジュールの方向において上方に傾斜して形成された傾斜部と、
前記傾斜部で前記保護モジュールと隣接する端部に接続された切開部であって、前記ボディーの外周面から前記ボディーの内周面側に気体の流れをガイドするように構成された切開部と、
を含む、請求項5に記載の溶接装置。
【請求項7】
前記切開部は、
前記ボディーの内周面側に向かうように構成された第1部分と、
前記ボディーの外周面側に向かうように構成された第2部分と、
を含む、請求項6に記載の溶接装置。
【請求項8】
前記第1部分と前記第2部分との間の間隔は、
前記ボディーの内周面側に行くほど小くなるように構成される、請求項7に記載の溶接装置。
【請求項9】
前記遮断モジュールは、
前記ボディーを内部に収容したチャンバであって、前記傾斜部に気体を流入させるように構成された気体流入孔を備えたチャンバをさらに含む、請求項6に記載の溶接装置。
【請求項10】
前記ボディーは、
前記ボディーの外周面の周方向に沿って形成され、前記傾斜部の端部に接続される気体流入チャネルをさらに含み、
前記気体流入チャネルは、
前記気体流入孔と連通するように構成される、請求項9に記載の溶接装置。
【請求項11】
前記ガイド部は、
前記ボディーの外周面に沿って複数形成されるように構成される、請求項5に記載の溶接装置。
【請求項12】
前記ガイド部は、
前記ボディーの外周面に沿って一側方向に傾斜するように構成される、請求項5に記載の溶接装置。
【請求項13】
前記遮断モジュールの下部に設けられた気体噴出モジュールであって、前記レーザーの照射方向と垂直な方向に気体を噴出するように構成された気体噴出モジュールをさらに含む、請求項1に記載の溶接装置。
【請求項14】
前記遮断モジュールの外側に設けられた飛散物遮断部材であって、前記飛散物の前記遮断モジュール側への流入を遮断するように構成された飛散物遮断部材をさらに含む、請求項1に記載の溶接装置。
【請求項15】
前記飛散物遮断部材は、
前記溶接部側に行くほど内径が細くなるように構成される、請求項14に記載の溶接装置。
【請求項16】
前記飛散物遮断部材は、
側面に前記飛散物をフィルタリングするように構成されたフィルタを含む、請求項14に記載の溶接装置。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の溶接装置を含む、バッテリー製造装置。
【請求項18】
請求項1から16のいずれか一項に記載の溶接装置を含む、自動車製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接装置、バッテリー製造装置及び自動車製造装置に関し、より詳しくは、溶接不良を最小化できる溶接装置と、このような溶接装置を含むバッテリー製造装置及び自動車製造装置に関する。
【0002】
本出願は、2022年7月8日付け出願の韓国特許出願第10-2022-0084678号、及び2022年11月3日付け出願の韓国特許出願第10-2022-0145485号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
一般に、溶接装置は、レーザー光源と、レーザー光源から照射されたレーザーのエネルギー密度を高めるための焦点レンズなどの光学部品とを含む。また、前記溶接装置の場合、溶接時に発生する副産物であるスパッタ(Spatter)やヒューム(Fume)によって前記光学部品が損傷及び汚染することを防止するように構成された保護ガラスを含む。
【0004】
このような溶接装置は、例えば、バッテリーモジュールを構成する部品間の結合のために用いることができる。一例として、バッテリーモジュールは、高電圧及び高電流を提供できるように複数のバッテリーセル(例:二次電池)をそのもの又はカートリッジなどに装着した状態で重畳又は積層して密集構造にした後、これを電気的に接続して構成することができる。
【0005】
このようなバッテリーモジュールにおいて、安定した構造のバッテリーモジュールを構成するためには、バッテリーセルが収容されたモジュールケースと、バッテリーセルを電気的に接続するバスバーをカバーするように構成されたエンドプレートとの間の溶接が良好に行われることが重要である。一例として、モジュールケースとエンドプレートとの間のキーホールを溶接するための溶接装置を構成することができる。
【0006】
一方、従来の溶接装置の場合、溶接時に発生するスパッタやヒュームの保護ガラス方向への流入を効果的に遮断することが難しいという欠点があった。これによって、前記保護ガラスの表面にスパッタやヒュームが付着して保護ガラスが汚染するおそれがある。この場合、光学部品から溶接部に照射されるレーザーの保護ガラスでの透過率が減少し、溶接不良が発生するという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、溶接不良を最小化できる溶接装置と、このような溶接装置を含むバッテリー製造装置及び自動車製造装置を提供することをその目的とする。
【0008】
ただし、本発明が解決しようとする技術的課題は上述した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は、以下に記載された発明の説明から当業者であれば明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様による溶接装置は、レーザーを照射するように構成されたレーザー照射モジュールと、前記レーザー照射モジュールの外側に配置された保護モジュールであって、溶接部から飛散する飛散物を遮断するように構成された保護モジュールと、前記保護モジュールの外側に配置された遮断モジュールであって、内部に気体が流入して前記保護モジュール側に前記飛散物が流入することを遮断するように構成された遮断モジュールと、を含む。
【0010】
望ましくは、前記遮断モジュールは、内部に流入した前記気体によって渦流が形成されるように構成され得る。
【0011】
望ましくは、前記遮断モジュールは、前記遮断モジュールの内部の周方向に沿って前記渦流が形成されるように構成され得る。
【0012】
望ましくは、前記遮断モジュールは、前記保護モジュールの下面に接触した状態で前記渦流が形成されるように構成され得る。
【0013】
望ましくは、前記遮断モジュールはボディーを含み、前記ボディーは、前記ボディー内部への気体の流入をガイドするように構成されたガイド部を含むことができる。
【0014】
望ましくは、前記ガイド部は、前記ボディーの外周面上で前記保護モジュールの方向において上方に傾斜して形成された傾斜部と、前記傾斜部で前記保護モジュールと隣接する端部に接続された切開部であって、前記ボディーの外周面から前記ボディーの内周面側に気体の流れをガイドするように構成された切開部と、を含むことができる。
【0015】
望ましくは、前記切開部は、前記ボディーの内周面側に向かうように構成された第1部分と、前記ボディーの外周面側に向かうように構成された第2部分と、を含むことができる。
【0016】
望ましくは、前記第1部分と前記第2部分との間の間隔は、前記ボディーの内周面側に行くほど小くなるように構成され得る。
【0017】
望ましくは、前記遮断モジュールは、前記ボディーを内部に収容したチャンバであって、前記傾斜部に気体を流入させるように構成された気体流入孔を備えたチャンバをさらに含むことができる。
【0018】
望ましくは、前記ボディーは、前記ボディーの外周面の周方向に沿って形成され、前記傾斜部の端部に接続される気体流入チャネルをさらに含み、前記気体流入チャネルは、前記気体流入孔と連通するように構成され得る。
【0019】
望ましくは、前記ガイド部は、前記ボディーの外周面に沿って複数形成されるように構成され得る。
【0020】
望ましくは、前記ガイド部は、前記ボディーの外周面に沿って一側方向に傾斜するように構成され得る。
【0021】
望ましくは、前記溶接装置は、前記遮断モジュールの下部に設けられた気体噴出モジュールであって、前記レーザーの照射方向と垂直な方向に気体を噴出するように構成された気体噴出モジュールをさらに含むことができる。
【0022】
望ましくは、前記溶接装置は、前記遮断モジュールの外側に設けられた飛散物遮断部材であって、前記飛散物の前記遮断モジュール側への流入を遮断するように構成された飛散物遮断部材をさらに含むことができる。
【0023】
望ましくは、前記飛散物遮断部材は、前記溶接部側に行くほど内径が細くなるように構成され得る。
【0024】
望ましくは、前記飛散物遮断部材は、側面に前記飛散物をフィルタリングするように構成されたフィルタを含むことができる。
【0025】
本発明の一態様によるバッテリー製造装置は、上述のような本発明の一態様による溶接装置を含むことができる。
【0026】
本発明の一態様による自動車製造装置は、上述のような本発明の一態様による溶接装置を含むことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の実施形態によれば、内部への気体流入が可能な遮断モジュールにより保護モジュールに飛散物が流入することを抑制することで、保護モジュールの保護部が飛散物によって汚染することを防止することができる。これによって、溶接部に照射されるレーザーの保護モジュールにおける透過率低下を防止することで、溶接部で溶接不良が発生することを最小化することができる。
【0028】
さらに、本発明の種々の実施形態によって、他の様々な追加の効果を達成することができる。このような本発明の様々な効果については各実施形態で詳しく説明するか、当業者が容易に理解できる効果についてはその説明を省略する。
【0029】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一実施形態に係る溶接装置を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る溶接装置を示す図である。
【
図4】
図1の溶接装置の詳細な構造を示す図である。
【
図5】
図1の溶接装置に設けられた遮断モジュールの詳細な構造を示す図である。
【
図6】
図1の溶接装置に設けられた遮断モジュールの詳細な構造を示す図である。
【
図7】
図1の溶接装置に設けられた遮断モジュールによって飛散物が遮断される状態を示す図である。
【
図8】
図1の溶接装置に設けられた遮断モジュールによって飛散物が遮断される状態を示す図である。
【
図9】本発明の他の実施形態に係る溶接装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲において使用される用語や単語は通常的及び辞書的な意味に限定して解釈されるものではなく、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応じた意味及び概念で解釈されるものである。
【0032】
図1及び
図2は、本発明の一実施形態に係る溶接装置10を示す図であり、
図3は、
図1の溶接装置10の分解斜視図であり、
図4は、
図1の溶接装置10の詳細な構造を示す図である。このとき、
図3及び
図4で後述する溶接部Wの図示は省略する。
【0033】
本発明の実施形態において、図面に示されたX軸方向は、溶接装置10の左右方向、Y軸方向は、X軸方向と水平面(XY平面)上で垂直な溶接装置10の前後方向、Z軸方向は、X軸方向及びY軸方向の両方に垂直な上下方向を意味し得る。このとき、Z軸方向は、後述するレーザー照射モジュール100によるレーザーの照射方向を意味し得る。
【0034】
図1から
図4を参照すると、本発明の一実施形態に係る溶接装置10は、レーザーを照射して溶接部Wでの溶接を行わせるための構成であり得る。
【0035】
前記溶接部Wは、一例として、バッテリーモジュール(図示せず)の構成部品間の結合部を意味し得る。このとき、バッテリーモジュールは、内部に少なくとも1つの二次電池を備えることができる。
【0036】
例示として、バッテリーモジュールの構成部品間の溶接は、公知のキーホール(key hole)溶接方式で行うことができる。より具体的に、溶接装置10は、二次電池を内部に収納するためのバッテリーモジュールのモジュールケース(図示せず)及びエンドプレート(図示せず)の間の溶接を行うことができるが、これに限定されない。
【0037】
前記溶接装置10は、レーザー照射モジュール100、保護モジュール200及び遮断モジュール300を含むことができる。
【0038】
前記レーザー照射モジュール100は、レーザーを照射するように光学系の形態で構成され得る。詳しくは図示されていないが、前記レーザーは溶接部Wにビームの形で照射され得る。
【0039】
一実施形態において、前記レーザー照射モジュール100は、レーザー光源(図示せず)及び焦点レンズ(図示せず)を含むことができる。
【0040】
前記レーザー光源は、前記レーザーを発生し得る。
【0041】
前記焦点レンズは、レーザー光源で発生したレーザーのエネルギー密度を向上させることができる。このとき、レーザーは、焦点レンズを透過して溶接部Wに照射され得る。
【0042】
前記保護モジュール200は、レーザー照射モジュール100の外側に配置され、溶接部Wから飛散する飛散物を遮断するように構成され得る。ここで、外側とは、溶接部Wに近づく側を意味し得る。一実施形態において、保護モジュール200は、レーザー照射モジュール100の下部に配置され得る。また、前記飛散物は、溶接時に溶接部Wから発生し得る加工副産物であるスパッタ(spatter)又はヒューム(fume)であり得る。
【0043】
特に、保護モジュール200は、保護部210及び保護フレーム220を含むことができる。
【0044】
前記保護部210は、レーザー照射モジュール100から照射されたレーザーを溶接部W側に透過させることができる。また、保護部210は、溶接部Wから飛散する飛散物を遮断するように構成され得る。一例として、保護部210は、ガラス、透明プラスチックなどで構成され得る。
【0045】
前記保護フレーム220は、保護部210を支持するように構成され得る。具体的に、保護部210は、保護フレーム220の略中央に形成された溝に取り付けられ得る。一例として、保護フレーム220は、耐磨耗性に優れたプラスチック素材を含むことができるが、これに限定されない。
【0046】
一方、レーザー照射モジュール100及び保護モジュール200は、別途の支持部材Hにより上下方向(Z軸方向)に並んで配置され得る。
【0047】
具体的に、前記支持部材Hの上部には、レーザー照射モジュール100が結合することができる。また、保護フレーム220は、交換が容易なようにカートリッジの形態で支持部材Hに形成された挿入口Iに溶接装置10の前後方向(Y軸方向)に挿入され得る。このとき、挿入口Iは、レーザー照射モジュール100と支持部材Hとの結合部よりも下部に位置し得る。
【0048】
前記遮断モジュール300は、保護モジュール200の外側に配置され得る。また、遮断モジュール300の内部には気体(例:空気)が流入し、保護モジュール200側に飛散物が流入することを遮断することができる。一例として、遮断モジュール300の全体的な形状は、内部に中空が形成された円筒状に構成され得る。また、遮断モジュール300は支持部材Hの下部に配置され、溶接部Wは遮断モジュール300の下部に配置され得る。
【0049】
一実施形態において、遮断モジュール300は、耐磨耗性に優れたプラスチック素材を含むことができるが、これに限定されない。
【0050】
すなわち、本発明による溶接装置10は、保護モジュール200の外側(例:下部)に位置する遮断モジュール300の内部に気体を流入させることができる。これによって、本発明による溶接装置10は、遮断モジュール300の内部における気体に流動によって、遮断モジュール300の内部が大気圧よりも大きな圧力を有するように構成することができる。
【0051】
この場合、溶接部Wから飛散した飛散物が遮断モジュール300によって保護モジュール200側に流入することを抑制することができる。
【0052】
本発明のこのような実施形態によれば、内部への気体流入が可能な遮断モジュール300により、保護モジュール200に飛散物が流入することを抑制することで、保護モジュール200の保護部210が飛散物によって汚染することを防止することができる。これによって、溶接部Wに照射されるレーザーの保護モジュール200における透過率低下を防止することで、溶接部Wで溶接不良が発生することを最小化することができる。
【0053】
図5及び
図6は、
図1の溶接装置10に設けられた遮断モジュール300の詳細な構造を示す図であり、
図7及び
図8は、
図1の溶接装置10に設けられた遮断モジュール300によって飛散物が遮断される状態を示す図である。このとき、
図7及び
図8で上述した飛散物は参照符号「S」と表記する。
【0054】
図5から
図8を参照すると、前記遮断モジュール300は、内部に流入した気体によって渦流が形成されるように構成され得る。
【0055】
すなわち、遮断モジュール300の内部に流入した気体は、円筒状の遮断モジュール300の内部で渦流を形成し得る。これによって、遮断モジュール300の内部がより確実に大気圧よりも大きな圧力を有することができる。
【0056】
このような実施形態によれば、保護モジュール200に飛散物が流入することを確実に抑制することができる。
【0057】
特に、
図7に示すように、遮断モジュール300は、遮断モジュール300の内部の周方向に沿って渦流が形成されるように構成され得る。例えば、遮断モジュール300を上側から見た場合、遮断モジュール300の内部では反時計回りの渦流が形成され得る。
【0058】
すなわち、遮断モジュール300の内部に流入した気体は、円筒状の遮断モジュール300の内部の周方向に沿って渦流を形成し得る。これによって、遮断モジュール300の内部には、形成された前記渦流によって略円形の面積を有する気体膜が遮断層として形成され得る。
【0059】
このような実施形態によって、遮断モジュール300の内部全体にわたって飛散物が保護モジュール200方向に通過することを抑制することができる。
【0060】
一実施形態において、
図8に示すように、遮断モジュール300は、保護モジュール200の下面に接触した状態で渦流が形成されるように構成することもできる。より具体的に、前記渦流は、保護部210の下面に接触した状態に形成され得る。すなわち、円筒状の遮断モジュール300の内部の周方向に沿って渦流を形成する気体の一部は、保護モジュール200方向に流入して保護モジュール200の下面に接触した状態で渦流を形成することもできる。
【0061】
このような実施形態によれば、遮断モジュール300の内部に流入した気体によって形成された渦流が保護モジュール200に隣接及び/又は接触した状態で飛散物の流入を遮断するため、より確実に保護モジュール200に飛散物が流入することを抑制することができる。
【0062】
図3から
図8を再び参照すると、遮断モジュール300は、ボディー310を含むことができる。
【0063】
前記ボディー310は、略円筒状に構成され得る。このようなボディー310は、ガイド部312を含むことができる。
【0064】
前記ガイド部312は、ボディー310の内部への気体の流入をガイドするように構成され得る。このようなガイド部312は、ボディー310の外周面に設けられ得る。
【0065】
すなわち、本発明のガイド部312は、ボディー310の内部に気体を流入させることで、円筒状のボディー310の内部で渦流が形成されるように誘導することができる。これによって、ボディー310の内部がより確実に大気圧よりも大きな圧力を有することができる。
【0066】
このような実施形態によれば、保護モジュール200に飛散物が流入することを確実に抑制することができる。
【0067】
具体的に、ガイド部312は、傾斜部312a及び切開部312bを含むことができる。
【0068】
前記傾斜部312aは、ボディー310の外周面上で保護モジュール200方向に上方に傾斜して形成され得る。具体的に、傾斜部312aは、ボディー310の外周面上で下部から上部側に行くほど左側及び/又は右側で傾斜するように構成され得る。
【0069】
前記切開部312bは、傾斜部312aで保護モジュール200と隣接する端部に接続され得る。また、切開部312bは、ボディー310の外周面からボディー310の内周面側に気体の流れをガイドするように構成され得る。特に、切開部312bは、ボディー310の少なくとも一部分が切開された部分を意味し得る。すなわち、切開部312bは、ボディー310に対して少なくとも一部分が内外側の方向に貫通するように構成され得る。
【0070】
すなわち、傾斜部312aは、気体の流れをボディー310の外周面上で保護モジュール200側にガイドすることができる。また、切開部312bは、傾斜部312aによって保護モジュール200側にガイドされた気体をボディー310の内側にガイドすることができる。
【0071】
このとき、遮断モジュール300の内部に流入した気体は、保護モジュール200に隣接及び/又は接触した状態で渦流を形成し得る。
【0072】
このような実施形態によれば、ボディー310の内部に容易に気体の流れをガイドできるだけでなく、より確実に保護モジュール200に飛散物が流入することを抑制することができる。
【0073】
より具体的に、切開部312bは、第1部分312b1及び第2部分312b2を含むことができる。
【0074】
前記第1部分312b1は、ボディー310の内周面側に向かうように構成され得る。また、前記第2部分312b2は、ボディー310の外周面側に向かうように構成され得る。
【0075】
すなわち、本発明によると、切開部312bの一部である第1部分312b1と、切開部312bの他の一部である第2部分312b2は、互いに反対側に向かうように構成され得る。このような構成によって、第1部分312b1及び第2部分312b2の間には、周方向に沿って気体が流動し得る所定の空間を形成することができる。
【0076】
このような実施形態によれば、傾斜部312aによりボディー310の外周面上でガイドされた気体は、第1部分312b1及び第2部分312b2の間の空間を介して、ボディー310の他の部分に流出することなく確実にボディー310の内部に流入することができる。
【0077】
図7を再び参照すると、第1部分312b1及び第2部分312b2の間の間隔は、ボディー310の内周面側に行くほど小くなるように構成することができる。このとき、第1部分312b1及び第2部分312b2の間の前記間隔は、ボディー310の半径方向に対する間隔を意味し得る。
【0078】
これによって、ボディー310の内部に流入した気体の流速は、傾斜部312aでの気体の流速よりも速くなり得る。
【0079】
このような実施形態によれば、ボディー310の内部に流入した気体によってより強い渦流がボディー310の内部に形成され得る。これによって、より確実に保護モジュール200に飛散物が流入することを抑制することができる。
【0080】
図3から
図8を再び参照すると、ガイド部312は、ボディー310の外周面に沿って複数形成されるように構成され得る。このとき、ガイド部312は、ボディー310の周方向に沿って6つ構成され得るが、これに限定されない。
【0081】
すなわち、ガイド部312は、周方向にボディー310の外周面に沿って複数形成されることで、気体が円筒状のボディー310の内部で周方向に沿って渦流を形成するようにガイドすることができる。これによって、ボディー310の内部には、形成された前記渦流によって略円形の面積を有する気体膜が形成され得る。
【0082】
このような実施形態によれば、ボディー310の内部全体にわたって飛散物が保護モジュール200方向に通過することを抑制することができる。さらに、この場合、ボディー310の内部での渦流の流れをより強く形成することができる。これによって、渦流による飛散物遮断効果をさらに向上させることができる。
【0083】
特に、ガイド部312は、ボディー310の外周面に沿って一側方向に傾斜するように構成され得る。
【0084】
すなわち、本実施形態において、少なくとも1つのガイド部312は、周方向にボディー310の外周面に沿って傾斜するように構成され得る。このとき、複数のガイド部312がボディー310の周方向に傾斜した方向は、互いに同一であるか又は異なるように構成することができる。例えば、ガイド部312の傾斜部312aは、上部方向に行くほど右側方向に傾斜するように構成され得る。
【0085】
このような構成によると、ボディー310の内部に流入する気体の流れに方向性を付与することで、ボディー310の内部での気体の渦流がより確実に発生し得る。
【0086】
図3から
図8を再び参照すると、遮断モジュール300は、チャンバ320をさらに含むことができる。
【0087】
前記チャンバ320は、組み立て及び交換が容易なように、上述の支持部材Hにねじ結合の方式で結合することができる。
【0088】
また、チャンバ320は、ボディー310を内部に収容することができる。すなわち、チャンバ320は、ボディー310を外部の衝撃などから保護することができる。また、チャンバ320は、ボディー310を内部に収容し、ボディー310の外周面を取り囲むように構成され得る。これによって、傾斜部312aによる気体の流れのガイドをより安定して行うことができる。
【0089】
また、チャンバ320は、傾斜部312aに気体を流入させるように構成された気体流入孔322を含むことができる。このとき、気体流入孔322には、別途のノズルNが結合し、高圧の圧縮気体をチャンバ320の内部にガイドすることができる。
【0090】
このような実施形態によれば、高圧の気体をボディー310の内部により安定してガイドすることができる。
【0091】
図5から
図8を再び参照すると、ボディー310は、気体流入チャネル314をさらに含むことができる。
【0092】
前記気体流入チャネル314は、ボディー310の外周面の周方向に沿って形成され得る。また、気体流入チャネル314は、傾斜部312aの端部に接続され得る。具体的に、気体流入チャネル314は、切開部312bが接続された部分とは反対側の傾斜部312aの端部に接続され得る。例えば、気体流入チャネル314は、ボディー310の外周面のうち下部側に形成され得る。また、傾斜部312aの下端部がこのような気体流入チャネル314と接続され得る。
【0093】
特に、気体流入チャネル314は、前記気体流入孔322と連通するように構成され得る。
【0094】
すなわち、気体流入チャネル314は、気体流入孔322を介してチャンバ320の内部に流入した気体のボディー310の外周面での流れを一次的にガイドすることができる。これによって、チャンバ320内に流入した気体が無作為に流動することを防止することができる。
【0095】
具体的に、チャンバ320の内部に流入した気体は、気体流入チャネル314を介して、その流れがボディー310の外周面の周方向に沿ってガイドされ得る。例えば、チャンバ320の内部に流入した気体は、気体流入チャネル314に沿って反時計回り(上から見たときの基準)に流れ得る。また、気体流入チャネル314に沿って流動された気体は、その流れがガイド部312に沿ってボディー310の内部方向にガイドされ得る。
【0096】
このような実施形態によれば、チャンバ320内に流入した高圧の気体の流れに方向性を付与することで、ボディー310の内部方向に気体の流れを誘導することができる。したがって、より確実に高圧の気体をボディー310の内部により安定してガイドすることができる。また、この場合、気体流入チャネル314が傾斜部312aとともに予め気体の流れに方向性を付与することで、ボディー310の内部で渦流をより確実に形成することができる。
【0097】
図1から
図3を再び参照すると、前記溶接装置10は、飛散物遮断部材400をさらに含むことができる。このような飛散物遮断部材400は、内部に中空が形成された、略円筒形状を有し得る。
【0098】
前記飛散物遮断部材400は、遮断モジュール300の外側(例:下部)に設けられ、飛散物の遮断モジュール300側への流入を遮断するように構成され得る。また、飛散物遮断部材400の上部は、遮断モジュール300のチャンバ320の下部に嵌合することができる。
【0099】
これによって、遮断モジュール300と溶接部Wとの間に飛散物遮断部材400によるさらなる離隔空間を提供することができる。したがって、飛散物遮断部材400で飛散物の流れが弱化し得るため、遮断モジュール300での飛散物の遮断をより効果的に行うことができる。
【0100】
特に、飛散物遮断部材400は、溶接部W側に行くほど内径が細くなるように構成され得る。すなわち、飛散物遮断部材400は、下側に行くほど内径が細くなるように構成され得る。
【0101】
したがって、飛散物遮断部材400で流動する飛散物の流速は、遮断モジュール300側に行くほど減少し得る。
【0102】
このような実施形態によれば、飛散物遮断部材400によって提供されるさらなる離隔空間において、飛散物の流れが遮断モジュール300側に行くほど減少するため、遮断モジュール300での飛散物の遮断をより効果的に行うことができる。
【0103】
また、飛散物遮断部材400は、側面に飛散物をフィルタリングするように構成されたフィルタFを含むことができる。一例として、フィルタFは、複数の微細な孔が形成されたメッシュ状に構成され得る。
【0104】
具体的に、飛散物遮断部材400の側面は、複数のリブ410が周方向に形成されるように構成され得る。また、複数のリブ410の間には開口部が形成され、このような開口部に前記フィルタFを備えることができる。或いは、飛散物遮断部材400の側面全体がフィルタFで構成されることも可能である。
【0105】
前記フィルタFは、遮断モジュール300と溶接部Wとの間に提供されたさらなる離隔空間内で飛散物をフィルタリングすることができる。
【0106】
これによって、遮断モジュール300側に流入する飛散物の量を最小化することができる。
【0107】
図9は、本発明の他の実施形態に係る溶接装置12を示す図である。このとき、
図9で上述した飛散物は参照符号「S」と表記する。
【0108】
本実施形態に係る溶接装置12は、上記実施形態の前記溶接装置10と類似するため、上記実施形態と実質的に同一又は類似の構成については重複する説明を省略し、以下では上記の実施形態との相違点を中心に検討する。
【0109】
図9を参照すると、前記溶接装置12は、気体噴出モジュールKをさらに含むことができる。
【0110】
前記気体噴出モジュールKは、遮断モジュール300の下部に設けられ得る。すなわち、気体噴出モジュールKは、遮断モジュール300と溶接部Wとの間に介在し得る。一例として、気体噴出モジュールKは、エアナイフ(air knife)であり得る。
【0111】
また、気体噴出モジュールKは、
図9のように、レーザーの照射方向と垂直な方向(例:X軸方向)に気体を噴出するように構成され得る。これによって、溶接部Wから飛散した飛散物が遮断モジュール300側に流入することを防止することができる。
【0112】
このとき、前記溶接装置12は、気体噴出モジュールKが飛散物遮断部材400と溶接部Wとの間に介在された状態で構成することもできる。
【0113】
このような実施形態によれば、一次的に気体噴出モジュールKにより飛散物を遮断し、二次的に遮断モジュール300により飛散物を遮断することができるため、飛散物の保護モジュール200への流入をより確実に遮断することができる。
【0114】
本発明によるバッテリー製造装置は、上述した溶接装置10、12を含むことができる。また、本発明によるバッテリー製造装置は、上述した溶接装置10、12以外に、バッテリーモジュールの製造のための公知の各種装置(例:バッテリーモジュール検査装置)をさらに含むことができる。
【0115】
本発明による自動車製造装置は、上述した溶接装置10、12を含むことができる。また、本発明による自動車製造装置は、上述した溶接装置10、12以外に、自動車の製造のための公知の各種装置(例:自動車検査装置)をさらに含むことができる。
【0116】
以上のように、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれによって限定されず、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的な思想と下記の特許請求の範囲の均等範囲内で様々な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【0117】
一方、本発明で上、下、左、右、前、後などの方向を示す用語が使用されたが、これらの用語は説明の便宜上のものであり、対象となる物体の位置や観察者の位置などによって変わり得ることは本発明の当業者に自明である。
【符号の説明】
【0118】
10 溶接装置
12 溶接装置
100 レーザー照射モジュール
200 保護モジュール
210 保護部
220 保護フレーム
300 遮断モジュール
310 ボディー
312 ガイド部
314 気体流入チャネル
320 チャンバ
322 気体流入孔
400 飛散物遮断部材
410 リブ
【国際調査報告】