(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-01
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20241025BHJP
H01M 50/293 20210101ALI20241025BHJP
H01M 50/505 20210101ALI20241025BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20241025BHJP
【FI】
H01M50/204 401F
H01M50/293
H01M50/505
H01M50/204 401H
H01M50/211
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526709
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 KR2022016734
(87)【国際公開番号】W WO2023080566
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】10-2021-0150268
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ソンヨン・ウォン
(72)【発明者】
【氏名】テキョン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョンスク・イ
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA37
5H040AT04
5H040DD03
5H040LL04
5H040LL06
5H043AA04
5H043CA08
5H043FA04
(57)【要約】
本発明は、個別電池セルの間には断熱パッド状の第1断熱部を配置し、個別電極リードの間には熱膨張素材で構成される第2断熱部を配置し、個別電池セルとバスバープレートとの間へ熱と高温のパーティクルが移動することを遮断して、火災及び爆発のリスクを効果的に減らす、電池モジュールに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに隣接して配置される第1電池セル及び第2電池セルが積層して形成される電池セル積層体;
前記第1電池セル及び前記第2電池セルに、それぞれ電気的に連結される複数の電極リード;
前記第1電池セルと前記第2電池セルとの間に配置される第1断熱部;及び
前記複数の電極リードの間に配置される第2断熱部;
を含み、
前記第2断熱部は、前記第1断熱部よりもさらに大きい熱膨張率を有する素材で構成されることを特徴とする、
電池モジュール。
【請求項2】
前記第2断熱部は、所定の臨界温度に到達すると、体積が増える熱膨張素材で構成される、
請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記第2断熱部を構成する前記熱膨張素材は、膨張紙を含む、
請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記第1断熱部は、シリコン系素材で構成される、
請求項1又は3に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記複数の電極リードを電気的に連結するバスバープレートをさらに含み、
前記第2断熱部は、一側面が、前記バスバープレートに固定されるパッド状に構成される、
請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記第2断熱部は、膨張が開始する前は、前記第1断熱部と分離された状態で配置される、
請求項5に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記所定の臨界温度に到逹して、膨張が開始すると、前記第2断熱部の他側面は、前記第1断熱部と接触するようになる、
請求項6に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記第2断熱部は、膨張が開始する前は、前記複数の電極リードからそれぞれ分離された状態で配置される、
請求項5~7のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項9】
前記所定の臨界温度に到逹して、膨張が開始すると、前記第2断熱部の両側面は、それぞれ前記複数の電極リードと接触するようになる、
請求項8に記載の電池モジュール。
【請求項10】
前記第2断熱部の膨張が完了すると、前記複数の電極リードの間に形成される空間は、閉塞する、
請求項6に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年11月4日付韓国特許出願第10-2021-0150268号に基づく優先権を主張し、同韓国特許出願の文献で開示の全ての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、電池モジュールに関し、より詳細は、個別電池セルの間には断熱パッド状の第1断熱部を配置し、複数の個別電極リードの間には熱膨張素材で構成される第2断熱部を配置し、個別電池セルとバスバープレートとの間へ熱と高温のパーティクルが移動することを遮断して、火災及び爆発のリスクを効果的に減らす、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
環境に関する関心が高まり、全世界に炭素排出を減らすための努力が拡散している。炭素排出を減らすため、従来に化石燃料を燃焼して動力を得る燃焼エンジンを備える自動車の生産量は、減りつつある反面、電気を用いて動力を得る電気自動車の生産量は、増えつつある。
【0004】
これら電気自動車に装着されて電気を貯蔵する手段である二次電池に対する需要は、増えつつある。一方、スマートフォン、タブレットPCなど、個人モバイル機器の使用が日常化した状況で、モバイル機器に電気を供給する二次電池の需要も増えつつある。
【0005】
これら二次電池の需要の増加により、二次電池に対する研究と開発が活発に行われている。
【0006】
このとき、二次電池の容量及び効率を向上させるために、複数の二次電池が直列/並列に連絡されている電池モジュールを集合させた、マルチモジュール構造の電池パックに対する需要が増えている。
【0007】
複数本の電池セルを直列/並列に連結して電池パックを構成する場合、少なくとも1つの電池セルからなる電池モジュールを構成し、これら少なくとも1つの電池モジュールを用いて、その他構成要素を追加して電池パックを構成する方法が通常に適用されている。
【0008】
これら1つの電池モジュールの内部を保護するフレームを構成するにあたり、部品の品質が向上して、空間活用が増大し得るU-フレーム構造で形成された電池モジュールが開発された。
【0009】
これらU-フレーム構造を有する電池モジュールは、複数の電池セルが積層されている電池セル積層体と、底面及び両側面で形成されて、電池セル積層体の下部面及び両側面をカバーするU字状構造の下部フレームと、電池セル積層体の上部面をカバーする上部フレームと、を含めて構成することができる。
【0010】
一方、電池セル積層体は、電力供給時、発熱が必ず発生し、発熱を効果的に調節することができなくなると、電池セル積層体の効率が急激に低下する現象が発生し得、場合によって、火災及び爆発が発生するリスクがある。
【0011】
これら火災及び爆発は、電池セルのいずれかから発生して、隣接した電池セルへ熱と高温のパーティクルが拡散しながら起きるのが一般的である。
【0012】
これら火災及び爆発を防止するために、特許文献1では、
図1に示したように、隣接した電池セル11の間に形成される隙間に断熱パッド60を配置して、熱又はパーティクルが、隣接した電池セル11に移動することを阻止する、電池モジュールが開示されている。
【0013】
図示のように、最も左側に配列する第1電池セル11に過熱が発生したと仮定すれば、第1電池セル11で生成された熱と高温のパーティクルは、第4電池セル11と第5電池セル11との間に配置されている断熱パッド60によって、第4電池セル11の右側に配置される他の電池セル11への移動を防止することができる。
【0014】
但し、特許文献1に記載の構成によれば、個別電池セル11の前方端部又は後方端部とバスバープレート50との間の空間は、第1電池セル11と第24電池セル11に渡って塞いでいない開放空間となるように形成される。
【0015】
したがって、第1電池セル11で生成された熱と高温のパーティクルは、これら開放空間を介して全体的に拡散することができるため、断熱パッド60を用いた火災及び爆発を防止する効果は、半減するしかないという限界を有するようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】韓国特許公開公報第10-2020-0106378号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、前述した従来技術の問題点を解決するために案出したものであって、個別電池セルの間には断熱パッド状の第1断熱部を配置し、複数の個別電極リードの間には熱膨張素材で構成される第2断熱部を配置し、個別電池セルとバスバープレートとの間へ熱と高温のパーティクルが移動することを遮断して、火災及び爆発のリスクを効果的に減らす、電池モジュールを提供することを第一目的とする。
【0018】
また、本発明は、第2断熱部が膨張していない状態では、個別電池セルとバスバープレートとの間に形成される空間よりもさらに小さい体積を有するように形成して、個別電池セルとバスバープレートとの間に形成される空間が、空気通路として機能するように構成することで、正常温度範囲で作動する際は、冷却性能が効果的に維持できる電池モジュールを提供することを第二目的とする。
【0019】
本発明の目的は、以上に言及した目的に制限されず、言及していない本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解することができ、本発明の実施形態によってより明らかに理解することができる。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示した手段及びその組み合わせによって実現できることが分かりやすい。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の一実施形態による電池モジュールは、互いに隣接して配置される第1電池セル及び第2電池セルが積層して形成される電池セル積層体;前記第1電池セル及び前記第2電池セルにそれぞれ電気的に連結される複数の電極リード;前記第1電池セル及び前記第2電池セルの間に配置される第1断熱部;及び前記複数の電極リードの間に配置される第2断熱部;を含み、前記第2断熱部は、前記第1断熱部よりもさらに大きい熱膨張率を有する素材で構成されることを特徴とする。
【0021】
前記第2断熱部は、所定の臨界温度に到達すると、体積が増える熱膨張素材で構成することができる。
【0022】
前記熱膨張素材は、膨張紙を含むことができる。
【0023】
前記第1断熱部は、シリコン系素材で構成することができる。
【0024】
前記電池モジュールは、前記複数の電極リードを電気的に連結するバスバープレートをさらに含むことができる。
【0025】
前記第2断熱部は、一側面が、前記バスバープレートに固定されるパッド状に構成されていてもよい。
【0026】
前記第2断熱部は、膨張が開始する前は、前記第1断熱部と分離された状態で配置されていてもよい。
【0027】
前記第2断熱部が前記所定の臨界温度に到逹して、膨張が開始すると、前記第2断熱部の他側面は、前記第1断熱部と接触し得る。
【0028】
前記第2断熱部は、膨張が開始する前は、前記複数の電極リードからそれぞれ分離された状態で配置されていてもよい。
【0029】
前記第2断熱部が、前記所定の臨界温度に到逹して、膨張が開始すると、前記第2断熱部の両側面は、それぞれ前記複数の電極リードと接触し得る。
【0030】
前記第2断熱部の膨張が完了すると、前記複数の電極リードの間に形成される空間は、閉塞し得る。
【発明の効果】
【0031】
本発明による電池モジュールは、個別電池セルの間には断熱パッド状の第1断熱部を配置し、複数の個別電極リードの間には熱膨張素材で構成される第2断熱部を配置し、個別電池セルとバスバープレートとの間へ熱と高温のパーティクルが移動することを遮断して、火災及び爆発のリスクを効果的に減らす効果を有する。
【0032】
また、本発明による電池モジュールは、第2断熱部が膨張していない状態では、個別電池セルとバスバープレートとの間に形成される空間よりもさらに小さい体積を有するように形成して、個別電池セルとバスバープレートとの間に形成される空間が、空気通路として機能するように構成することで、正常温度範囲で作動する際には、冷却性能が効果的に維持できる効果を有する。
【0033】
上述した効果並びに本発明の具体的な効果は、以下の発明を実施するための形態を説明するとともに記述する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】従来技術による電池セルの概略断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態による電池モジュールの分解斜視図である。
【
図3】
図2に示した電池モジュールの概略断面図である。
【
図4】
図2に示した第1バスバープレートに第2断熱部が配置された状態を示した後方斜視図である。
【
図5】
図3の部分拡大図であって、第2断熱部が膨張していない状態を示した図である。
【
図6】
図3の部分拡大図であって、臨界温度に到逹して、第2断熱部が膨張する過程を示した図である。
【
図7】
図3の部分拡大図であって、臨界温度に到逹して、第2断熱部が膨張する過程を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
前述した目的、特徴及び長所は、添付の図面を参照して詳細に後述され、これによって、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術思想を容易に実施することができる。本発明を説明するにあたり、本発明に係る公知の技術に関する具体的な説明が、本発明の要旨を曖昧にすると判断される場合には、詳細な説明を省略する。以下では、添付の図面を参照して、本発明による好ましい実施形態を詳説することとする。図面における同じ参照符号は、同一又は類似の構成要素を示すために使われる。
【0036】
たとえ、第1、第2などは、様々な構成要素を示すために使われるものの、これら構成要素は、これらの用語によって制限されないことは勿論である。これらの用語は、単に一構成要素を他の構成要素と区別するために使うものであり、特に逆の記載がない限り、第1構成要素は、第2構成要素であってもよいことは勿論である。
【0037】
全明細書において、特に逆の記載がない限り、各構成要素は、単数であってもよく、複数であってもよい。
【0038】
以下では、構成要素の「上部(又は下部)」又は構成要素の「上(又は下)」に任意の構成が配されるということは、任意の構成が、上記構成要素の上面(又は下面)に接して配されるだけでなく、上記構成要素と、上記構成要素上に(又は下に)配された任意の構成との間に他の構成が介在し得ることを意味する。
【0039】
また、ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」又は「接続」されると記載されている場合、上記構成要素は、互いに直接に連結されるか、或いは接続されていてもよいものの、各構成要素の間に他の構成要素が「介在」するか、各構成要素が他の構成要素を介して「連結」、「結合」又は「接続」されていてもよいと理解しなければならない。
【0040】
本明細書で使われる単数の表現は、文脈上白らかに他に意味しない限り、複数の表現を含む。本出願における「構成される」又は「含む」などの用語は、明細書上に記載した複数の構成要素、或いは複数のステップを必ずしも全て含むものであると解釈されてはならず、その中、一部の構成要素又は一部のステップは含まれていなくてもよく、或いはさらなる構成要素又はステップをさらに含むことができると解釈しなければならない。
【0041】
また、本明細書で使われる単数の表現は、文脈上明らかに他に意味しない限り、複数の表現を含む。本出願における「構成される」又は「含む」などの用語は、明細書上に記載した複数の構成要素、或いは複数のステップを必ずしも全て含むものであると解釈されてはならず、その中、一部の構成要素又は一部のステップは含まれていなくてもよく、或いはさらなる構成要素又はステップをさらに含むことができると解釈しなければならない。
【0042】
全明細書における「A及び/又はB」とするとき、これは特に逆の記載がない限り、A、B又はA及びBを意味し、「C~D」とするとき、これは特に逆の記載がない限り、C以上かつD以下であることを意味する。
【0043】
以下では、本発明の実施形態による電池モジュール1の構成を示す図面を参考して、本発明について説明することとする。
【0044】
[電池モジュールの全般的な構造]
以下では、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態による電池モジュール1の全般的な構造を詳説する。
【0045】
図2は、本発明の一実施形態による電池モジュール1の分解斜視図である。
【0046】
図2を参照すると、本発明の一実施形態による電池モジュール1は、下部フレーム210及び上部フレーム220で構成されるフレーム200と、フレーム200の内部に収容される電池セル積層体100と、フレーム200の開放された前面及び開放された後面に結合される一対のエンドプレート300と、エンドプレート300とフレーム200との間に配置されて、エンドプレート300とフレーム200との間を絶縁させる絶縁カバー400と、絶縁カバー400と電池セル積層体100との間に配置されるバスバープレート500と、を含めて構成することができる。
【0047】
図示のように、複数の電池セル110は、積層した状態で密着配列して、電池セル積層体100を構成することができる。
【0048】
また、後述するように、隣接する電池セル110の間には、断熱パッド状の第1断熱部600が配置されていてもよい。前記第1断熱部600は、1個~数個の電池セル110を介して配置されていてもよい。
図3に示した実施形態では、4個の電池セル110を介して第1断熱部600が配置された構造を例示する。
【0049】
電池モジュール1の筐体又はハウジングを構成するように、フレーム200は、電池セル積層体100を内部に収容するように、電池セル積層体100の下面と両方側面とを包む構造からなる下部フレーム210と、電池セル積層体100の上面側に配置される上部フレーム220と、を含むことができる。
【0050】
図示のように、下部フレーム210は、底面を構成するボトムフレーム220と、2つの側壁を構成する一対のサイドフレーム210と、を含むことができる。例示として、所定の強度を有する金属製プレートをプレス加工によって、ボトムフレーム220と一対のサイドフレーム210は、一体に形成されていてもよい。
【0051】
上部フレーム220は、電池セル積層体100の上部面をカバーする役割を果たし、下部フレーム210と同様、所定の強度を有する金属製プレートで形成されていてもよい。
【0052】
上部フレーム220は、一対のサイドフレーム210の上端部に結合される方式で下部フレームに組み立てることができる。
【0053】
上部フレーム220の両側端部底面と、サイドフレーム210の上端部とは、レーザ溶接(L)によって結合することができる。
【0054】
複数の電池セル110は、パウチ型電池セルを用いることができ、電極リード111を構成する正極リード及び負極リードが互いに逆方向に突出する両方向電池セルを用いることができる。
【0055】
複数の電池セル110は、所望の電池モジュール1の出力及び容量に応じて、直列又は並列に連結されるように、バスバープレート500を用いて電極リード111の電気的な連結が行われていてもよい。適用される製品の仕様に応じて、電池セル積層体100は、電池セル110を収容するカートリッジ、緩衝部材、又は冷却手段などをさらに含めて構成することができる。
【0056】
図示の状態を基準に、フレーム200の前面及び後面は、開放されており、開放された前面と後面を介して電池セル積層体100の電極リード111は、外部に露出していてもよい。
【0057】
フレーム200の開放された前面と後面には、電極リード111と対向するように配置される一対の絶縁カバー400と、一対のエンドプレート300と、一対のバスバープレート500と、が配置されていてもよい。
【0058】
エンドプレート300は、電池セル積層体100及びバスバープレート500と連結された状態で、電池セル積層体100とともにフレーム200に搭載されていてもよい。または、先ず、電池セル積層体100及びバスバープレート500がフレーム200に搭載されて、フレーム200に上部フレーム220が結合された状態で、エンドプレート300が結合されていてもよい。
【0059】
エンドプレート300は、所定の強度及び剛性が維持できるように、金属材質、好ましくは、鉄又は合金材質の素材を用いて鋳造方式で製造することができる。
【0060】
絶縁カバー400は、エンドプレート300とバスバープレート500との間に配置されて、少なくともエンドプレート300とバスバープレート500を物理的に分離して絶縁する役割を果たし、前方側に配置される第1絶縁カバー420と、後方側に配置される第2絶縁カバー420とを含めて構成することができる。
【0061】
したがって、絶縁カバー400は、低い電気伝導性を有するものの、所定の剛性を維持できるプラスチック材質を射出成形して製造することができる。
【0062】
[第1断熱部及び第2断熱部の詳細な構造]
以下では、
図3を参照して、本発明の一実施形態による電池モジュール1の第1断熱部600と第2断熱部700の詳細な構造を詳説する。
【0063】
図2に示したように、本発明の一実施形態による電池モジュール1は、各々の電池セル110の間に配置される断熱パッド又は断熱シート状の第1断熱部600をさらに含むことができる。
【0064】
第1断熱部600は、いずれか電池セル110で生成された熱、火炎又は高温のパーティクルが、隣接した電池セル110に伝達されることを防止する役割を果たす。
【0065】
熱、火炎又は高温のパーティクルの移動を防止することができるように、第1断熱部600は、断熱性能に優れ、且つ電気絶縁性を有するシリコン材質をパッド又はシート状に加工して、電池セル111の間に配置されていてもよい。
【0066】
また、第1断熱部600は、所定の弾性を有するように形成することができる。これにより、熱によって又はスウェリング現象によって電池セル110の体積が拡張するか冷却して収縮する場合、これに対応して、第1断熱部600が効果的に拡張するか収縮し得る。
【0067】
第1断熱部600は、電池セル110の一側面を全体的にカバーするように配置されるものの、図示のように、電池セル110の前方端部及び後方端部を越えないように配置されるのが好ましい。電池セル110の前方端部及び後方端部を越えるまで第1断熱部600が配置されると、複数の電極リード111をバスバープレート500に連結するための空間を確保することが困難であるからである。
【0068】
したがって、個別電池セル110の前方端部とバスバープレート500との間、及び後方端部とバスバープレート500との間には、塞いでおらず、連通している1つの開放空間が形成されていてもよい。これら開放空間は、空気が流動し得る冷却チャンネルとして機能する。
【0069】
第1断熱部600は、あらゆる電池セル111の間に連続して配置されるか、或いは一部の電池セル111の間に間欠的に配置されていてもよい。
【0070】
図3に示した実施形態では、計5個の第1断熱部600が間欠的に配置される構成が示されている。本発明は、これに限定されるものではないものの、例示として示したように、計5個の第1断熱部600が間欠的に配置される実施形態を基準に説明することとする。
【0071】
このように、個別電池セル110の前方端部とバスバープレート500との間、及び後方端部とバスバープレート500との間に形成される開放空間は、第1断熱部600によって塞ぐか遮断しないため、開放空間を介して熱、火炎と高温のパーティクルが拡散し得る。
【0072】
このように、開放空間を介して熱、火炎と高温のパーティクルが拡散することを防止するための手段として、本発明の一実施形態による電池モジュール1は、隣接した電極リード111の間に配置される複数の第2断熱部700をさらに含むことができる。
【0073】
第2断熱部700は、第1断熱部600と同様、パッド又はシート状に電極リード111の間に配置されていてもよいが、第1断熱部600よりはさらに大きい熱膨張率を有する素材で構成することができる。
【0074】
第2断熱部700は、所定の臨界温度に到達すると、体積が膨張する熱膨張素材で構成することができ、例示として、膨張紙(expanding paper)素材で構成することができる。
【0075】
膨張紙は、凡そ100~200℃となる臨界温度に到達すると、体積が急激に増加する特徴を有する材質である。
【0076】
したがって、電池セル110が正常な作動温度範囲で運転中であるときは、体積が初期状態(膨張していない状態)で維持するが、電池セル110に過熱が発生して、臨界温度に到達すると、膨張紙が膨張し、
図6に示したように、前述した電池セル110とバスバープレート500との間の開放空間を閉塞するようになる。
【0077】
このように、開放空間が閉塞すると、開放空間を介して熱、火炎と高温のパーティクルが、隣接した電池セル110に移動する通路(P)を効果的に遮断することができるようになる。
【0078】
一方、
図3及び
図4に示したように、第2断熱部700は、一端部がバスバープレート500に固定した状態で配置されていてもよい。
【0079】
すなわち、パッド状に構成される複数の第2断熱部700は、前方に配置される第1バスバープレート510の後面511、或いは後方に配置される第2バスバープレート520の前面に、それぞれ固定されるように構成することができる。
【0080】
これによって、第1バスバープレート510及び第2バスバープレート520と複数の電極リード111の間の組み立てに要する空間が、第2断熱部700によって減ることを防止することができる。
【0081】
また、熱、火炎と高温のパーティクルの遮断効果を極大化するために、第2断熱部700は、第1断熱部600から所定の間隔で分離されて離隔した状態で、第1断熱部600に揃って配列するように配置されていてもよい。
【0082】
したがって、図示のように、第2断熱部700は、複数の電極リード111の間に第1断熱部600と同様、間欠的に配置することができ、第2断熱部700は、第1断熱部600の前後方向(F-R方向)の延長線上に整列して配置されていてもよい。
【0083】
これによって、後述するように、第2断熱部が膨張すると、第2断熱部700は、第1断熱部600の前方端部及び後方端部に直接に接触するようになり、開放空間が効果的に閉塞し得る。
【0084】
一方、膨張が開始する前は、第2断熱部700は、複数の電極リード111からそれぞれ分離された状態で配置されていてもよく、前述した所定の臨界温度に到逹して、膨張が開始すると、第2断熱部700の両側面は、複数の電極リード111に接触するように構成されていてもよい。
【0085】
これによって、複数の電極リード111の間、及び電池セル110とバスバープレート500との間に形成される開放空間は、少なくとも部分的に膨張した第2断熱部700によって閉塞し得る。
【0086】
以下では、
図5~
図7を参照して、第2断熱部700が膨張して、複数の電極リード111の間及び電池セル110とバスバープレート500との間に形成される開放空間が閉塞する過程を、第2バスバープレート520に一端部701が固定した状態で配置される第2断熱部700を基準に説明することとする。
【0087】
図5に示したように、正常温度範囲で運転中である状態で、第2断熱部700の他端部701は、前後方向(F-R方向)を基準に、第1断熱部600から分離された状態が維持される。
【0088】
このとき、第2断熱部700の他端部701と第1断熱部600との間の前後方向間隔(G1)は、第2断熱部700の前後方向幅(W2)よりはさらに小さいか同様に設定されるのが好ましい。これによって、電池セル110と第2バスバープレートとの間の開放空間に対する冷却チャンネルとして機能が適正水準に維持し得る。
【0089】
また、正常温度範囲で運転中である状態で、第2断熱部700の左右方向幅(W1)は、隣接した一対の電極リード111の間の間隔よりはさらに小さく形成されていてもよい。これによって、正常温度範囲で複数の電極リードに対する第2断熱部700の干渉が最小化し得る。
【0090】
一方、
図6に示したように、第2断熱部700の周辺温度が、所定の臨界温度まで上昇すると、第2断熱部700の膨張が開始し得る。
【0091】
このとき、膨張は、前後方向(F-R方向)及び左右方向(Le-Ri方向)に対して同時に行うことができる。
【0092】
したがって、第2断熱部700の他端部702は、徐々に第1断熱部600に向かって前進し、第2断熱部700の他端部701と第1断熱部600との間の前後方向間隔(G1)は、徐々に縮小し得る。
【0093】
また、第2断熱部700の両側面は、対向している一対の電極リード111に向かって前進し、第2断熱部と一対の電極リードとの間の間隔は、徐々に縮小し得る。
【0094】
このように、第2断熱部700の膨張が継続して行われると、第2断熱部700の他端部702は、第1断熱部600まで延在し、第2断熱部700の両側面は、一対の電極リード111まで延在する。
【0095】
これによって、第2断熱部700の膨張が完了すると、電池セル110とバスバープレート500との間及び一対の電極リード111の間に形成される開放空間は、第2断熱部700によって全体的に閉塞し得、熱、火炎、高温のパーティクルが移動可能な経路(P)を遮断することができるようになる。
【0096】
以上のように、本発明について例示の図面を参照して説明したが、本発明は、本明細書で開示の実施形態と図面によって限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で通常の技術者によって様々な変形が行われることは自らかである。なお、本発明の実施形態を前述しつつ、本発明の構成による作用効果を明示的に記載して説明しなかったとしても、当該構成によって予測可能な効果も認めるべきであることは当然である。
【符号の説明】
【0097】
1 電池モジュール
100 電池セル積層体
110 電池セル
111 電極リード
200 フレーム
210 下部フレーム
211 ボトムフレーム
212 サイドフレーム
220 上部フレーム
300 エンドプレート
310 第1エンドプレート
320 第2エンドプレート
400 絶縁カバー
410 第1絶縁カバー
420 第2絶縁カバー
500 バスバープレート
600 第1断熱部
700 第2断熱部
【国際調査報告】