(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-01
(54)【発明の名称】ロボットフレンドリービル、ロボット、及びビルを走行するマルチロボットの制御システム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/225 20240101AFI20241025BHJP
G05D 1/435 20240101ALI20241025BHJP
G05D 1/226 20240101ALI20241025BHJP
G05D 1/633 20240101ALN20241025BHJP
【FI】
G05D1/225
G05D1/435
G05D1/226
G05D1/633
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526748
(86)(22)【出願日】2022-10-18
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 KR2022015867
(87)【国際公開番号】W WO2023080490
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】10-2021-0149127
(32)【優先日】2021-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505205812
【氏名又は名称】ネイバー コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NAVER Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ヨンファン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ケイ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョンウン
(72)【発明者】
【氏名】チャ,スンイン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ウヨン
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA02
5H301AA10
5H301BB03
5H301BB05
5H301BB10
5H301BB11
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD07
5H301DD17
5H301GG08
5H301GG09
5H301KK03
5H301KK08
5H301KK09
5H301KK14
5H301KK20
5H301LL03
5H301LL12
5H301QQ02
(57)【要約】
本発明は、ロボットフレンドリービル、ビルを走行するロボットの制御方法及びシステムに関する。より具体的には、本発明は、同一空間の中でロボットが人間と共存して人間に有用なサービスを提供できるようにするロボット制御方法及びシステムに関する。本発明は、ビルに含まれる複数の領域にそれぞれ対応するように割り当てられた複数のサブサーバと通信を行うメインサーバと、前記複数の領域のうち第1領域を走行するロボットを制御する第1サブサーバと、前記複数の領域のうち前記第1領域とは異なる第2領域を走行するロボットを制御する第2サブサーバとを含んでもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインサーバと、
前記メインサーバと通信を行うように構成され、空間に含まれる複数の領域にそれぞれ対応するように割り当てられた複数のサブサーバとを含み、
前記メインサーバは、
前記複数の領域のうち特定のロボットが任務遂行のために経由しなければならない特定の領域に関する情報を含むグローバル経路を生成し、
前記グローバル経路に含まれる前記特定の領域に関する情報に基づいて、前記複数のサブサーバのうち前記特定のロボットに対して制御権限を有する第1サブサーバ及び第2サブサーバを特定し、
前記第1サブサーバ及び前記第2サブサーバには、
前記ロボットが、前記特定の領域のうち、前記第1サブサーバが割り当てられた第1領域及び前記第2サブサーバが割り当てられた第2領域のいずれに位置するかによって、前記特定のロボットに対する制御権限が与えられるか、又は与えられた前記制御権限が終了し、
前記第1サブサーバは、前記特定のロボットが前記第1領域に位置する間、前記特定のロボットが前記任務遂行のために前記第1領域を走行するように、前記特定のロボットに対する詳細制御を行い、
前記第2サブサーバは、前記特定のロボットが前記第2領域に位置する間、前記特定のロボットが前記任務遂行のために前記第2領域を走行するように、前記特定のロボットに対する詳細制御を行うことを特徴とするロボット制御システム。
【請求項2】
前記第1サブサーバと通信を行う前記特定のロボットに前記第1領域から前記第2領域に移動するハンドオーバーイベントが発生した場合、
前記メインサーバは、
前記特定のロボットに対する制御権限が前記第1サブサーバから前記第2サブサーバに引き継がれるように、前記ハンドオーバーイベントに関する情報を前記第1サブサーバ及び前記第2サブサーバの少なくとも1つに送信することを特徴とする請求項1に記載のロボット制御システム。
【請求項3】
前記メインサーバは、
前記特定のロボットの位置に基づいて、前記ハンドオーバーイベントの発生の有無を判断し、
前記ハンドオーバーイベントの発生に基づいて、前記特定のロボットに対する制御権限が引き継がれるサブサーバを特定することを特徴とする請求項2に記載のロボット制御システム。
【請求項4】
前記空間に含まれる前記複数のサブサーバがそれぞれ割り当てられた前記複数の領域は、いずれかの領域と他の少なくとも1つの領域とが重なるハンドオーバー領域を形成し、
前記メインサーバは、
前記特定のロボットが、
前記第1領域及び前記第2領域の重なりにより形成される特定のハンドオーバー領域から予め設定された距離以内に位置するか、又は前記特定のハンドオーバー領域に位置する場合、前記ハンドオーバーイベントが発生したと判断することを特徴とする請求項3に記載のロボット制御システム。
【請求項5】
前記メインサーバは、
前記ハンドオーバーイベントが発生したことに基づいて、
前記特定のロボットに対する制御権限が前記第2サブサーバに引き継がれることを通知する第1情報を、前記第1サブサーバに送信し、
前記特定のロボットに対する制御を行うことを要求する第2情報を、前記第2サブサーバに送信することを特徴とする請求項4に記載のロボット制御システム。
【請求項6】
前記特定のロボットに対する制御権限は、
前記第2サブサーバにおいて前記特定のロボットに関する予め設定された引き継ぎ条件を満たすまで、前記第1サブサーバ及び前記第2サブサーバが両方とも有することを特徴とする請求項5に記載のロボット制御システム。
【請求項7】
前記予め設定された引き継ぎ条件は、
前記特定のロボットに対する前記第1サブサーバの第1制御命令と前記特定のロボットに対する前記第2サブサーバの第2制御命令との類似度に関するものであることを特徴とする請求項6に記載のロボット制御システム。
【請求項8】
前記グローバル経路に沿って前記特定の領域を走行する前記特定のロボットが前記第1領域から前記第2領域に移動することによってハンドオーバーイベントが発生した場合、前記特定のロボットに対する制御権限が前記第1サブサーバから前記第2サブサーバに引き継がれ、
前記特定のロボットは、
前記第1領域及び前記第2領域により形成されるハンドオーバー領域のうちの少なくとも一部で、前記第1サブサーバ及び前記第2サブサーバのそれぞれから制御命令を受信することを特徴とする請求項1に記載のロボット制御システム。
【請求項9】
前記特定のロボットは、
前記複数の領域にそれぞれ対応するように割り当てられた複数のサブサーバの少なくとも1つに接続され、
前記特定のロボットに接続されるサブサーバの特定は、前記特定のロボットでセンシングされる無線信号の強度に基づいて行われ、
前記第1サブサーバは、
前記第1領域で、前記特定のロボットでセンシングされた無線信号の強度のうち最も強い無線信号の強度を有する第1ネットワークに接続され、
前記第2サブサーバは、
前記第2領域で、前記特定のロボットでセンシングされた無線信号の強度のうち最も強い無線信号の強度を有する第2ネットワークに接続されることを特徴とする請求項1に記載のロボット制御システム。
【請求項10】
メインサーバ及び複数のサブサーバの少なくとも1つにより制御されるロボットが走行するビルにおいて、
前記ビルは、
前記ロボットが走行可能な複数の領域を含み、
前記メインサーバは、
前記複数の領域のうち特定のロボットが任務遂行のために経由しなければならない特定の領域に関する情報を含むグローバル経路を生成し、
前記グローバル経路に含まれる前記特定の領域に関する情報に基づいて、前記複数のサブサーバのうち前記特定のロボットに対して制御権限を有する第1サブサーバ及び第2サブサーバを特定し、
前記第1サブサーバ及び前記第2サブサーバには、
前記ロボットが、前記特定の領域のうち、前記第1サブサーバが割り当てられた第1領域及び前記第2サブサーバが割り当てられた第2領域のいずれに位置するかによって、前記特定のロボットに対する制御権限が与えられるか、又は与えられた前記制御権限が終了し、
前記第1サブサーバは、前記特定のロボットが前記第1領域に位置する間、前記特定のロボットが前記任務遂行のために前記第1領域を走行するように、前記特定のロボットに対する詳細制御を行い、
前記第2サブサーバは、前記特定のロボットが前記第2領域に位置する間、前記特定のロボットが前記任務遂行のために前記第2領域を走行するように、前記特定のロボットに対する詳細制御を行うことを特徴とするビル。
【請求項11】
メインサーバと通信を行うように構成され、空間に含まれる複数の領域にそれぞれ対応するように割り当てられた複数のサブサーバを含むビルにおけるロボット制御方法において、
前記メインサーバにおいて、前記複数の領域のうち特定のロボットが任務遂行のために経由しなければならない特定の領域に関する情報を含むグローバル経路を生成するステップと、
前記メインサーバにおいて、前記グローバル経路に含まれる前記特定の領域に関する情報に基づいて、前記複数のサブサーバのうち前記特定のロボットに対して制御権限を有する第1サブサーバ及び第2サブサーバを特定するステップと、
前記複数のサブサーバのうち、前記第1サブサーバにおいて、前記特定のロボットが第1領域に位置する間、前記特定のロボットが前記任務遂行のために前記第1領域を走行するように、前記特定のロボットに対する詳細制御を行うステップと、
前記複数のサブサーバのうち、前記第2サブサーバにおいて、前記特定のロボットが第2領域に位置する間、前記特定のロボットが前記任務遂行のために前記第2領域を走行するように、前記特定のロボットに対する詳細制御を行うステップとを含み、
前記第1サブサーバ及び前記第2サブサーバには、
前記ロボットが、前記特定の領域のうち、前記第1サブサーバが割り当てられた第1領域及び前記第2サブサーバが割り当てられた第2領域のいずれに位置するかによって、前記特定のロボットに対する制御権限が与えられるか、又は与えられた前記制御権限が終了することを特徴とするロボット制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットフレンドリービル、ロボット、及びビルを走行するロボットの制御システムに関する。より具体的には、本発明は、同一空間の中でロボットが人間と共存して人間に有用なサービスを提供できるようにするロボット制御方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
技術が発展するにつれて、様々なサービスデバイスが出現しており、特に最近は、様々な作業又はサービスを行うロボットに関する技術開発が盛んに行われている。
【0003】
また、最近は、人工知能技術、クラウド技術などが発展するにつれて、ロボットをより精密かつ安全に制御できるようになってきており、それによりロボットの活用度が次第に高くなってきている。特に、技術の発展により、ロボットは、室内空間で人間と安全に共存できる程度のレベルに至った。
【0004】
よって、最近は、ロボットが人間の業務又は作業を代替しており、特に室内空間で人間を対象としてロボットが直接サービスを提供する様々な方法が盛んに研究されている。
【0005】
例えば、空港、駅舎、デパートなどの公共の場所では、ロボットが道案内サービスを提供しており、飲食店では、ロボットがサービングサービスを提供している。また、オフィス空間、共同住居空間などでは、ロボットが郵便物、宅配物などを配送する配送サービスを提供している。その他にも、ロボットは、掃除サービス、防犯サービス、物流処理サービスなど、様々なサービスを提供しており、ロボットが提供するサービスの種類及び範囲は、これからも幾何級数的に増えるはずであり、サービス提供レベルも発展し続けることが期待される。
【0006】
このようなロボットは、室外空間だけでなく、オフィス、マンション、デパート、学校、病院、遊戯施設などのビル(又は建物)の室内空間内で様々なサービスを提供しており、その場合、ロボットは、ビルの室内空間を移動しながら様々なサービスを提供するように制御されている。
【0007】
一方、広い空間で複数のロボットが走行する場合、単一のクラウドサーバでロボットを運用するには限界が存在する。その場合、複数のサーバを利用して空間内を走行するロボットを適切に分散して制御する方法を用いることができる。複数のサーバを利用して複数のロボットを制御する場合、複数のサーバのうちいずれかにロボットを適切に割り当て、サーバ間で切り替えが柔軟に行われるようにする方法が必要である。
【0008】
よって、ビル内でロボットを用いたよりレベルの高いサービスを提供するためには、サービス単位(例えば、道案内サービス、配送サービス、サービングサービスなど)のロボット制御技術に関する研究だけでなく、ロボットがサービスを提供するビル自体でロボットに必要な様々なインフラをサポートできるようにする本質的な研究が必要である。
【0009】
一方、ロボットが室内空間で様々なサービスを提供するか、生活するために、ロボットは、ビルの室内空間を自由に移動するか、通過しなければならず、場合によっては、ビルに備えられた様々な設備インフラ(例えば、エレベータ、エスカレータ、出入り統制ゲートなど)を利用しなければならないニーズが存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、ロボットフレンドリービル、ビル内で走行するロボット、及びロボット制御システムを提供するものである。
【0011】
また、本発明は、複数のロボットが運用される空間でロボットを効率的に運用することのできるロボットフレンドリービル、ロボット制御システム及び方法を提供するためのものである。具体的には、本発明は、複数のロボットが運用される空間で複数のサーバにより複数のロボットを効率的に運用できるようにするマルチロボット制御システム及び制御方法を提供するためのものである。
【0012】
さらに、本発明によるロボットフレンドリービルは、ロボットが利用できるロボットにやさしい様々な設備インフラを提供することにより、ロボットが提供できるサービスの種類及び範囲を確張することができる。
【0013】
さらに、本発明によるロボットフレンドリービルは、複数のロボットと連動するクラウドシステムを利用して、複数のロボット及び設備インフラを有機的に制御することによって、より体系的にサービスを提供するロボットの走行を管理することができる。よって、本発明によるロボットフレンドリービルは、より安全に、迅速に、かつ正確に人間に様々なサービスを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した目的を達成するために、本発明は、空間に含まれる複数の領域にそれぞれ対応するように割り当てられた複数のサブサーバと通信を行うメインサーバと、前記複数の領域のうち第1領域を走行するロボットを制御する第1サブサーバと、前記複数の領域のうち前記第1領域とは異なる第2領域を走行するロボットを制御する第2サブサーバとを含み、前記メインサーバは、前記ロボットの位置によって、前記ロボットが前記第1サブサーバ及び前記第2サブサーバの少なくとも1つと通信を行うように、前記第1サブサーバ及び前記第2サブサーバに関する制御を行うことを特徴とするロボット制御システムを提供することができる。
【0015】
また、本発明は、空間内を走行する特定のロボットの走行経路を設定するメインサーバと、前記メインサーバと通信を行い、前記空間に含まれる複数の領域のうち第1領域に位置するロボットを制御する第1サブサーバと、前記メインサーバと通信を行い、前記複数の領域のうち第2領域に位置するロボットを制御する第2サブサーバとを含み、前記メインサーバは、前記第1及び第2サブサーバのそれぞれに、前記第1及び第2サブサーバのそれぞれに接続されたロボットのそれぞれに関する情報を送信し、前記第1及び第2サブサーバのそれぞれは、前記メインサーバから受信した前記ロボットのそれぞれに関する情報に基づいて、前記ロボットのうちの少なくとも1つに関する制御を行うことを特徴とするロボット制御システムを提供することができる。
【0016】
さらに、本発明は、複数の階を備えた空間を走行するロボットに関する制御を行うメインサーバと、前記メインサーバと通信を行い、前記複数の階のうち第1階を走行するロボットを制御する第1サブサーバと、前記メインサーバと通信を行い、前記複数の階のうち前記第1階とは異なる第2階を走行するロボットを制御する第2サブサーバとを含み、前記メインサーバは、前記第1階に位置する特定のロボットが前記第2階に移動するハンドオーバー(handover)イベントが発生することに基づいて前記特定のロボットに対する制御権限が前記第1サブサーバから前記第2サブサーバに引き継がれるように、前記ハンドオーバーイベントに関する情報を前記第1サブサーバ及び前記第2サブサーバの少なくとも1つに送信することを特徴とするロボット制御システムを提供することができる。
【0017】
さらに、本発明は、メインサーバ及び前記メインサーバと通信を行う複数のサブサーバの少なくとも1つと通信を行い、空間を走行するロボットを提供することができる。前記ロボットは、前記メインサーバから任務が割り当てられることに基づいて、前記ロボットの位置情報を前記メインサーバに送信し、前記メインサーバから前記位置情報に対応する第1領域に割り当てられた第1サブサーバの識別情報を受信することに基づいて、前記第1サブサーバに接続されて前記第1サブサーバにより制御されている状態で、前記第1領域から前記第2領域に向かって移動することによって発生するハンドオーバーイベントに基づいて、前記メインサーバから前記第2領域に割り当てられた第2サブサーバの識別情報を受信し、前記第1領域及び前記第2領域の少なくとも一部が重なるハンドオーバー領域で、前記第1サブサーバ及び前記第2サブサーバの両方に接続されることを特徴とするものであってもよい。
【0018】
さらに、本発明は、メインサーバ及び複数のサブサーバの少なくとも1つにより制御されるロボットが走行するビルを提供することができる。前記ビルは、前記ロボットが走行可能な複数の領域を含み、前記複数のサブサーバのうち、第1サブサーバは、前記複数の領域のうち第1領域を走行するロボットを制御し、前記複数のサブサーバのうち、第2サブサーバは、前記複数の領域のうち前記第1領域とは異なる第2領域を走行するロボットを制御し、前記メインサーバは、前記複数の領域にそれぞれ対応するように割り当てられた前記複数のサブサーバと通信を行い、前記第1サブサーバと通信を行う特定のロボットに前記第1領域から前記第2領域に移動するハンドオーバー(handover)イベントが発生した場合、前記特定のロボットに対する制御権限が前記第1サブサーバから前記第2サブサーバに引き継がれるように、前記ハンドオーバーイベントに関する情報を前記第1サブサーバ及び前記第2サブサーバの少なくとも1つに送信することを特徴とするものであってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によるロボットフレンドリービル、ロボット制御システム及び方法によれば、複数のサーバを利用してロボットに対する分散制御を行うことにより、空間内を走行する複数のロボットを複数のサーバにより適切に分配して制御することにより、ロボットに対する制御をより迅速かつ効率的に行うことができる。
【0020】
より具体的には、本発明によるロボットフレンドリービル、ロボット制御システム及び方法においては、ビルの水平空間又は垂直空間によって複数のサーバをそれぞれ対応するように割り当てることにより、同一又は類似の領域を走行するロボットが同一のサーバにより制御されるようにすることができる。このように、本発明は、ビル内のロボットの位置によって、サーバ間でロボットに対する制御権限の切り替えが柔軟に行われるようにする。
【0021】
このように、本発明によれば、互いに隣接して位置するロボットが同一のサーバにより制御されるようにすることにより、すなわち、隣接するロボットが1つの制御主体により制御されるようにすることにより、隣接するロボット間の衝突を効率的に防止し、隣接するロボット間の環境情報の共有が行われるようにし、隣接するロボットの移動経路が重なることを最小限に抑えることができる。
【0022】
一方、本発明によれば、グローバルネットワーク(全域ネットワーク)方式において、メインサーバは、ロボットの位置及び複数のサブサーバのそれぞれに接続されたロボットの台数のうちの少なくとも1つを考慮して、ロボットの制御権限を複数のサブサーバに適切に分配することができる。よって、1つのサブサーバにより適切な数のロボットが制御されるようにすることにより、複数のロボットに対する分散制御を効率的に行うことができる。
【0023】
また、本発明によれば、ローカルネットワーク方式において、ハンドオーバーイベントが発生した場合、ロボットは、無線信号の強度に基づいて、制御権限が引き継がれなければならないサブサーバを特定することができる。それに加えて、メインサーバは、ロボットが接続しようとするサブサーバがロボットに対して制御権限を有するか否かを判断することにより、ロボットとサブサーバ間のハンドオーバーの信頼度を向上させることができる。それにより、本発明は、ロボットで測定される無線信号の強度及び信頼度に基づいて、ロボットに対する制御権限の切り替えが柔軟に行われるようにする。
【0024】
さらに、本発明によるロボットフレンドリービルは、ロボット、自律走行、AI、クラウド技術が融合して連結される技術的収束(Technological Convergence)を利用し、このような技術と、ロボット及びビル内に備えられた設備インフラが有機的に結合する新たな空間を提供することができる。
【0025】
さらに、本発明によるロボットフレンドリービルは、複数のロボットと連動するクラウドサーバを利用して、複数のロボット及び設備インフラを有機的に制御することによって、より体系的にサービスを提供するロボットの走行を管理することができる。よって、本発明によるロボットフレンドリービルは、より安全に、迅速に、かつ正確に人間に様々なサービスを提供することができる。
【0026】
さらに、本発明によるビルにおいては、ビルに配置された複数のロボットに割り当てられた任務と移動状況を考慮することはもとより、人間を配慮するように走行が制御されることにより、同一空間の中で自然にロボットと人間が共存することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明によるロボットフレンドリービルを説明するための概念図である。
【
図2】本発明によるロボットフレンドリービルを説明するための概念図である。
【
図3】本発明によるロボットフレンドリービルを説明するための概念図である。
【
図4】本発明によるロボットフレンドリービルを走行するロボット及びロボットフレンドリービルに備えられた様々な設備を制御するシステムを説明するための概念図である。
【
図5】本発明によるロボットフレンドリービルを走行するロボット及びロボットフレンドリービルに備えられた様々な設備を制御するシステムを説明するための概念図である。
【
図6】本発明によるロボットフレンドリービルを走行するロボット及びロボットフレンドリービルに備えられた様々な設備を制御するシステムを説明するための概念図である。
【
図7】本発明によるロボットフレンドリービルに備えられた設備インフラを説明するための概念図である。
【
図8】本発明によるロボットフレンドリービルに備えられた設備インフラを説明するための概念図である。
【
図9】本発明によるロボットフレンドリービルを走行するロボットの位置を推定する方法を説明するための概念図である。
【
図10】本発明によるロボットフレンドリービルを走行するロボットの位置を推定する方法を説明するための概念図である。
【
図11】本発明によるロボットフレンドリービルを走行するロボットの位置を推定する方法を説明するための概念図である。
【
図12】本発明によるロボットシステムにより制御されるロボットを説明するための概念図である。
【
図13】ローカルネットワーク方式のロボット制御システムを示す概念図である。
【
図14】本発明によるロボット制御方法を説明するためのフローチャートである。
【
図15】本発明によるロボット制御方法を示す概念図である。
【
図16】ビルの階別に領域を分けてロボットを制御するロボットシステムを示す概念図である。
【
図17】ロボットの階間移動に応じて行われるハンドオーバーを示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照して本明細書に開示される実施形態について詳細に説明するが、図面番号に関係なく同一又は類似の構成要素には同一又は類似の符号を付し、その説明は省略する。以下の説明で用いる構成要素の接尾辞である「モジュール」及び「部」は、明細書の作成を容易にするために付与又は混用されるものであり、それ自体が有意性や有用性を有するものではない。また、本明細書に開示される実施形態について説明するにあたって、関連する公知技術についての具体的な説明が本明細書に開示される実施形態の要旨を不明にする恐れがあると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。なお、添付図面は本明細書に開示される実施形態を容易に理解できるようにするためのものにすぎず、添付図面により本明細書に開示される技術的思想が限定されるものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物又は代替物が本発明に含まれるものと解されるべきである。
【0029】
第1、第2などのように序数を含む用語は様々な構成要素を説明するために用いられるが、上記構成要素は上記用語により限定されるものではない。上記用語は1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的でのみ用いられる。
【0030】
ある構成要素が他の構成要素に「連結」又は「接続」されていると言及された場合は、他の構成要素に直接連結又は接続されていてもよく、中間にさらに他の構成要素が存在してもよいものと解すべきである。それに対して、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結」又は「直接接続」されていると言及された場合は、中間にさらに他の構成要素が存在しないものと解されるべきである。
【0031】
単数の表現には、特に断らない限り複数の表現が含まれる。
【0032】
本明細書において、「含む」や「有する」などの用語は、明細書に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はそれらの組み合わせが存在することを指定しようとするもので、1つ又はそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はそれらの組み合わせの存在や付加可能性を予め排除するものではないと解されるべきである。
【0033】
本発明は、ロボットフレンドリービルに関し、人間とロボットが安全に共存し、ひいてはビル内でロボットが有益なサービスを提供することができるロボットフレンドリービルを提案する。
【0034】
より具体的には、本発明は、ロボット、ロボットにやさしいインフラ、及びそれを制御する様々なシステムを用いて、人間に有用なサービスを提供する方法を提供する。本発明によるビルにおいては、人間と複数のロボットが共存することができ、複数のロボットがビル内で自由に移動することができる様々なインフラ(又は設備インフラ)を提供することができる。
【0035】
本発明において、ビルは、持続的な居住、生活、業務などのために建てられた構造物であって、商業用ビル、産業用ビル、機関用ビル、居住用ビルなどのように様々な形態がある。また、前記ビルは、複数の層を有する多層ビルであってもよく、その反対である単層ビルであってもよい。ただし、本発明においては、説明の便宜上、多層ビルに適用されるインフラ又は設備インフラを例示として説明する。
【0036】
本発明において、インフラ又は設備インフラは、サービスの提供、ロボットの移動、機能維持、清潔維持などのためにビルに備えられる施設であって、その種類及び形態は非常に様々である。例えば、ビルに備えられるインフラは、移動設備(例えば、ロボットの移動通路、エレベータ、エスカレータなど)、充電設備、通信設備、洗浄設備、構造物(例えば、階段など)などのように様々である。本明細書においては、このような設備を施設、インフラ、施設インフラ又は設備インフラといい、場合によっては用語を混用する。
【0037】
さらに、本発明によるビルにおいては、ビル、ビルに備えられた様々な設備インフラ、及びロボットの少なくとも1つが互いに連動して制御されることにより、ロボットが安全かつ正確にビル内で様々なサービスを提供することができる。
【0038】
本発明は、複数のロボットがビル内で走行し、任務(又は業務)によるサービスを提供し、必要に応じて待機又は充電機能、さらにはロボットの修理及び洗浄機能をサポートできる様々な設備インフラが備えられたビルを提案する。このようなビルは、ロボットへの統合ソリューション(又はシステム)を提供し、本発明によるビルは、様々な修飾語で呼ばれる。例えば、本発明によるビルは、i)ロボットが利用するインフラを備えるビル、ii)ロボットにやさしいインフラを備えるビル、iii)ロボットフレンドリービル、iv)ロボットと人間が共に生活するビル、v)ロボットを用いた様々なサービスを提供するビルなどのように、様々に表現される。
【0039】
一方、本発明における「ロボットフレンドリー」とは、ロボットが共存するビルに関するものであって、より具体的には、ロボットの走行を許容するか、ロボットがサービスを提供するか、ロボットが利用できる設備インフラが構築されているか、ロボットに必要な機能(ex:充電、修理、洗浄など)を提供する設備インフラが構築されていることを意味する。その場合、本発明における「ロボットフレンドリー」は、ロボットと人間の共存のための統合ソリューションを有するという意味で用いられる。
【0040】
以下、添付図面を参照して、本発明についてより具体的に説明する。
【0041】
図1、
図2及び
図3は本発明によるロボットフレンドリービルを説明するための概念図であり、
図4、
図5及び
図6は本発明によるロボットフレンドリービルを走行するロボット及びロボットフレンドリービルに備えられた様々な設備を制御するシステムを説明するための概念図である。また、
図7及び
図8は本発明によるロボットフレンドリービルに備えられた設備インフラを説明するための概念図である。
【0042】
まず、説明の便宜上、代表的な符号を定義する。
【0043】
本発明において、ビルには符号「1000」を付し、ビル1000の空間(室内空間又は室内領域)には符号「10」を付す(
図8参照)。また、ビル1000の室内空間を構成する複数の層(floors)にそれぞれ該当する室内空間には符号10a、10b、10cなどを付す(
図8参照)。本発明において、室内空間又は室内領域は、ビルの外部と反対の概念として、外壁により保護されるビルの内部を意味するものであり、空間を意味するものに限定されるものではない。
【0044】
また、本発明において、ロボットには符号「R」を付し、図面又は明細書ではロボットに符号が記入されていなくても全てロボットRと理解できる。
【0045】
さらに、本発明において、人間又は人には符号「U」を付し、人間又は人は動的オブジェクトともいえる。ここで、動的オブジェクトは、必ずしも人のみを意味するわけではなく、犬や猫などの動物又は他の少なくとも1つのロボット(例えば、ユーザの個人ロボット、他のサービスを提供するロボットなど)、ドローン、掃除機(例えば、ロボット掃除機)のように動く物事を含む意味で受け入れられる。
【0046】
一方、本発明で説明されるビル(建物、building、structure、edifice)1000とは、人が入って暮らすか、仕事をするか、動物を飼育するか、又は物品を保管するために建てられた構造物を意味し、その種類が特に限定されるものではない。
【0047】
例えば、ビル1000は、事務所、オフィス、オフィステル、マンション、住商複合マンション、住宅、学校、病院、飲食店、官公署などであり、本発明は、このような各種ビルに適用することができる。
【0048】
図1に示すように、本発明によるビル1000においては、ロボットが走行しながら様々なサービスを提供することができる。
【0049】
ビル1000内には、1つ又はそれ以上の異なる種類の複数のロボットが位置することができ、このようなロボットは、サーバ20の制御の下で、ビル1000内を走行し、サービスを提供し、ビル1000に備えられた様々な設備インフラを利用することができる。
【0050】
本発明において、サーバ20は、様々な位置に存在することができる。例えば、サーバ20は、ビル1000の内部及びビル1000の外部の少なくとも一方に位置することができる。すなわち、サーバ20は、少なくとも一部がビル1000の内部に位置し、他の一部がビル1000の外部に位置してもよい。あるいは、サーバ20は、ビル1000の内部に全て位置してもよく、ビル1000の外部にのみ位置してもよい。よって、本発明においては、サーバ20の具体的な位置については特に限定しない。
【0051】
さらに、本発明において、サーバ20は、クラウドコンピューティング(Cloud Computing)方式(クラウドサーバ21)及びエッジコンピューティング(Edge Computing)方式(エッジサーバ22)の少なくとも1つの方式を用いるように構成されてもよい。また、サーバ20は、クラウドコンピューティング又はエッジコンピューティング方式以外にも、ロボットを制御できる方式であれば、本発明に適用することができる。
【0052】
一方、本発明によるサーバ20は、場合によっては、クラウドコンピューティング(Cloud Computing)方式及びエッジコンピューティング(Edge Computing)方式を混合し、ロボット及びビル1000内に備えられた設備インフラの少なくとも1つに対する制御を行うことができる。
【0053】
一方、ロボットRは、制御命令に従って駆動される。例えば、ロボットRは、動きを変更することにより位置を移動するか又は姿勢を変更することができ、ソフトウェアアップデートを行うことができる。
【0054】
本発明においては、説明の便宜上、サーバ20を「クラウドサーバ」に統一して命名し、符号「20」を付す。一方、このようなクラウドサーバ20は、エッジコンピューティングのエッジサーバ22という用語で代替できることは言うまでもない。
【0055】
また、「クラウドサーバ」という用語は、クラウドロボットシステム、クラウドシステム、クラウドロボット制御システム、クラウド制御システムなどの様々な用語に変更することができる。
【0056】
一方、本発明によるクラウドサーバ20は、ビル1000を走行する複数のロボットに対する統合制御を行うことができる。すなわち、クラウドサーバ20は、ビル1000内に位置するi)複数のロボットRのモニタを行い、ii)複数のロボットに任務(又は業務)を割り当て、iii)複数のロボットRが任務に成功するようにビル1000内に備えられた設備インフラを直接制御するか、又はiv)設備インフラを制御する制御システムとの通信により設備インフラが制御されるようにすることができる。
【0057】
また、クラウドサーバ20は、ビルに位置するロボットの状態情報を確認し、ロボットに必要な様々な機能を提供(又はサポート)することができる。ここで、様々な機能には、ロボットに対する充電機能、汚染したロボットに対する洗浄機能、任務が完了したロボットに対する待機機能などがある。
【0058】
クラウドサーバ20は、ロボットに対して様々な機能を提供するために、ロボットがビル1000に備えられた様々な設備インフラを利用するように、ロボットを制御することができる。また、クラウドサーバは、ロボットに対して様々な機能を提供するために、ビル1000内に備えられた設備インフラを直接制御するか、又は設備インフラを制御する制御システムとの通信により設備インフラが制御されるようにすることができる。
【0059】
このように、クラウドサーバ20により制御されるロボットは、ビル1000を走行しながら、様々なサービスを提供することができる。
【0060】
一方、クラウドサーバ20は、データベースに保存された情報に基づいて、様々な制御を行うことができ、本発明においては、データベースの種類及び位置については特に限定しない。このようなデータベースという用語は、メモリ、保存部、ストレージ、クラウドストレージ、外部ストレージ、外部サーバなど、情報が保存される手段を意味する用語であれば、自由に変形して使用することができる。以下、「データベース」という用語に統一して説明する。
【0061】
一方、本発明によるクラウドサーバ20は、ロボットが提供するサービスの種類、ロボットに対する制御の種類など、様々な基準に基づいて、ロボットに対する分散制御を行うことができ、その場合、クラウドサーバ20には下位概念の従属的なサブサーバが存在してもよい。
【0062】
また、本発明によるクラウドサーバ20は、様々な人工知能アルゴリズムに基づいて、ビル1000を走行するロボットを制御することができる。
【0063】
さらに、クラウドサーバ20は、ロボットを制御する過程で収集されるデータを学習データとして活用する人工知能ベースの学習を行い、それをロボットの制御に活用することにより、ロボットに対する制御が行われるほど、ロボットをより正確かつ効率的に運用することができる。すなわち、クラウドサーバ20は、ディープラーニング又はマシンラーニングを行うように構成されてもよい。また、クラウドサーバ20は、シミュレーションなどによりディープラーニング又はマシンラーニングを行い、その結果として構築された人工知能モデルを用いてロボットに対する制御を行うことができる。
【0064】
一方、ビル1000には、ロボットの走行、ロボットの機能提供、ロボットの機能維持、ロボットの任務遂行、又はロボットと人間の共存のために、様々な設備インフラが備えられる。
【0065】
例えば、
図1の(a)に示すように、ビル1000内には、ロボットRの走行(又は移動)をサポートする様々な設備インフラ1、2が備えられる。このような設備インフラ1、2は、ビル1000の層内でロボットRの水平方向の移動をサポートするか、又はビル1000の異なる層間をロボットRが移動するように垂直方向の移動をサポートすることができる。このように、設備インフラ1、2は、ロボットの移動をサポートする運送体系を備えることができる。クラウドサーバ20は、このような様々な設備インフラ1、2を利用するようにロボットRを制御することにより、
図1の(b)に示すように、ロボットRがサービスを提供するためにビル1000内を移動するようにすることができる。
【0066】
一方、本発明によるロボットは、クラウドサーバ20及びロボット自体に備えられた制御部の少なくとも1つに基づいて制御され、ビル1000内を走行するか、与えられた任務に該当するサービスを提供するように構成されてもよい。
【0067】
また、
図1の(c)に示すように、本発明によるビルは、ロボットと人間が共存する建物であり、ロボットは、人間U、人間が使用する物(例えば、ベビーカー、カートなど)、動物などの障害物を避けて走行するように構成され、場合によっては、ロボットの走行に関する通知情報3を出力するように構成されてもよい。このようなロボットの走行は、クラウドサーバ20及びロボットに備えられた制御部の少なくとも1つに基づいて障害物を避けるように行われてもよい。クラウドサーバ20は、ロボットに備えられた様々なセンサ(例えば、カメラ(イメージセンサ)、近接センサ、赤外線センサなど)により受信する情報に基づいて、ロボットが障害物を避けてビル1000内を移動するようにロボットに対する制御を行うことができる。
【0068】
さらに、
図1の(a)~(c)の過程を経てビル内を走行するロボットは、
図1の(d)に示すように、ビル内に存在する人間又はターゲットオブジェクトにサービスを提供するように構成されてもよい。
【0069】
ロボットが提供するサービスの種類は、ロボット毎に異なる。すなわち、ロボットは用途に応じて様々な種類が存在し、ロボットは用途毎に異なる構造を有し、ロボットには用途に適したプログラムが搭載される。
【0070】
例えば、ビル1000には、配送、物流作業、案内、通訳、駐車支援、セキュリティ、防犯、警備、治安、掃除、防疫、消毒、洗濯、飲料製造、飲食製造、サービング、消火、医療支援及びエンターテイメントサービスの少なくとも1つのサービスを提供するロボットが配置される。ロボットが提供するサービスは、上記に挙げられた例以外にも様々である。
【0071】
一方、クラウドサーバ20は、ロボットのそれぞれの用途を考慮して、ロボットに適切な任務を割り当て、割り当てられた任務が行われるようにロボットに対する制御を行うことができる。
【0072】
本発明で説明されるロボットの少なくとも一部は、クラウドサーバ20の制御の下で、走行又は任務を行うことができ、その場合、ロボット自体で走行又は任務を行うために処理されるデータの量は最小限に抑えられる。本発明においては、このようなロボットをブレインレス(brainless)ロボットともいう。このようなブレインレスロボットは、ビル1000内で走行、任務遂行、充電実行、待機、洗浄などの行為を行う上で、少なくとも一部の制御をクラウドサーバ20の制御に依存する。
【0073】
ただし、本明細書においては、ブレインレスロボットを区分して命名せず、全て「ロボット」に統一して命名する。
【0074】
図9~
図11は本発明によるロボットフレンドリービルを走行するロボットの位置を推定する方法を説明するための概念図である。
【0075】
前述したように、本発明によるビルにおいては、ビルに備えられた様々なインフラを利用して、ロボットの位置を抽出し、モニタすることができる。また、クラウドサーバ20は、このようなロボットの位置をモニタすることにより、ビル内でロボットを効率的かつ正確に制御することができる。
【0076】
一方、本発明で説明されるクラウドサーバ20は、少なくとも1つのメインサーバと、少なくとも1つのサブサーバとを含んでもよい。
【0077】
本発明においては、ビルを走行するロボットを効率的に管理するために、ビルの空間観点から異なる空間(又は領域)にサブサーバをそれぞれ割り当て、当該サブサーバが、当該サブサーバがそれぞれ管理する領域に位置するロボットを制御するようにしてもよい。
【0078】
本発明において、領域は、ビルの同じ階に該当する水平空間上で分けられる領域であってもよく、ビルの異なる階に該当する垂直空間上で分けられる領域であってもよい。
【0079】
一方、本発明が適用される空間は、必ずしもビル内の空間又は室内である必要はなく、本発明を室外空間でも適用できることは通常の技術者にとって自明である。以下、説明の便宜上、本発明がビル内に適用される実施形態についてのみ説明するが、後述する全ての実施形態は室外空間でも適用することができる。
【0080】
また、メインサーバは、サブサーバとの通信により、サブサーバに対する直接/間接的な制御を行うことができる。さらに、メインサーバは、ロボットに対する制御を行うことができ、サブサーバがロボットを制御できない状況で、ロボットに対する制御を行うことができる。
【0081】
さらに、メインサーバは、ロボットが適切なサブサーバに接続されてサブサーバにより制御されるように、サブサーバとロボットとの接続を補助することができる。
【0082】
本発明によるロボット制御方法について説明する前に、本発明によるロボット制御システムにより制御されるロボットについて説明する。
【0083】
図12は本発明によるロボットシステムにより制御されるロボットを説明するための概念図である。
【0084】
図12を参照すると、ロボットは、通信部1201、保存部1202、走行部1203、制御部1204及びセンサ部を含んでもよい。通信部1201及び保存部1202については前述したので、具体的な説明は省略する。
【0085】
走行部1203は、ロボットを空間内で移動させるように構成される。走行部1203は、ロボットの移動方向及び移動速度の少なくとも1つを制御できるように構成され、制御部1204は、走行部1203を制御してロボットが設定された移動経路通りに走行できるようにする。
【0086】
走行部1203は、ロボットに含まれる制御部1204及びクラウドサーバ20により制御されるようにすることができる。本明細書で別に限定しない限り、ロボットに含まれる制御部1204及びクラウドサーバ20のいずれか1つによるロボットの制御は、他の1つによっても可能である。ここで、クラウドサーバ20は、前述したように、メインサーバ及びサブサーバの少なくとも1つを含んでもよい。
【0087】
次に、制御部1204は、本発明に関するロボットの全般的な動作を制御するように構成されてもよい。制御部1204は、前述した構成要素により入力又は出力される信号、データ、情報などを処理することもでき、ユーザに適切な情報又は機能を提供又は処理することもできる。本明細書で別に限定しない限り、制御部1204とは、ロボットに備えられた制御部を意味する。
【0088】
一方、本発明においては、メインサーバ及び複数のサブサーバを利用して、ビルを走行するロボットに対する分散制御を行うことができる。
【0089】
メインサーバは、ビルを走行するロボットに対する任務を割り当て、ロボットに対する経路計画を生成することができる。経路計画とは、ロボットが任務を行うためにビルを走行するためのグローバル経路(全域経路)に関する計画を意味する。このようなグローバル経路は、ロボットが通過又は走行するビル内に備えられた複数の領域に関する情報を含んでもよい。
【0090】
サブサーバは、ビル内に備えられた複数の領域に対応するようにそれぞれ割り当てられてもよい。そのような複数の領域は複数の区域ともいえる。複数の領域は、ビルの同じ階に該当する水平空間内で区画されてもよく、ビルの異なる階に該当する垂直空間を基準として区画されてもよい。
【0091】
同じ階に該当する水平空間は、予め設定された基準に従って複数の領域に区画され、区画された複数の領域毎に異なるサブサーバがそれぞれ割り当てられてもよい。ロボットが水平空間を移動することによって、いずれかの領域から他の領域に移動すると、ロボットに対する制御権限は、いずれかのサブサーバから他のサブサーバに引き継がれ、本発明においては、それを「ハンドオーバー(handover)」という。
【0092】
また、異なる階に該当する垂直空間毎に異なるサブサーバがそれぞれ割り当てられてもよい。例えば、複数の階を備えたビルは、それぞれの階毎に異なるサブサーバが割り当てられ、ロボットがどの階に位置するかによって、異なるサーバがロボットに対する制御権限を有してもよい。
【0093】
よって、ロボットがいずれかの階から他の階に移動すると、ロボットに対する制御権限は、いずれかの階に割り当てられたサブサーバから、他の階に割り当てられたサブサーバに引き継がれる。
【0094】
それぞれのサブサーバは、それぞれのサブサーバが割り当てられた(又は管理する)領域に位置するロボットを制御するようにしてもよい。サブサーバは、それぞれのサブサーバが管理する領域内でロボットのローカル経路計画を立てることができる。ローカル経路計画とは、それぞれの領域の状況(例えば、混雑度、障害物の位置、他のロボットの経路など)に応じたロボットの経路に関する計画を意味する。ロボットは、メインサーバにより立てられたグローバル経路に基づいてビル内を走行し、それぞれのサブサーバにより立てられたローカル経路に基づいてディテールに走行するように構成されてもよい。グローバル経路は、ロボットが任務を行うために経由又は通過しなければならない領域を基準とする巨視的な観点の経路であるのに対して、ローカル経路は、グローバル経路内に含まれるそれぞれの領域内での微視的な観点のディテールな経路である。
【0095】
本明細書において、ロボットに対する「制御権限」とは、ロボットとの通信によりロボットを制御する権限を意味し、ロボットに対する制御権限は、複数のサブサーバの少なくとも1つに与えられてもよい。前記制御権限は、予め設定されたイベントの発生などによりいずれかのサブサーバから他のサブサーバに引き継がれてもよい。
【0096】
一方、メインサーバは、常にロボットに対して制御権限を有することができる。すなわち、サブサーバによりロボットが制御される場合でも、メインサーバもロボットに対する制御権限を有することができることは言うまでもない。
【0097】
ロボットに対する制御権限の引き継ぎは、メインサーバにより行われてもよく、制御権限を引き継ぐサブサーバと制御権限が引き継がれるサブサーバとの通信により行われてもよい。また、ロボットに対する制御権限の引き継ぎは、ロボットにより、いずれかのサブサーバから他のサブサーバに引き継がれてもよい。
【0098】
一方、本明細書において、「ハンドオーバー(handover)」とは、ロボットの制御権限がいずれかのサブサーバから他のサブサーバに引き継がれることを意味する。前述したように、本発明においては、異なる複数の領域にそれぞれ対応するようにサブサーバを割り当て、よって、本発明におけるハンドオーバーは、ビル内の第1領域に対応するサーバから前記第1領域とは異なる第2領域に対応するサーバに引き継がれることを意味する。より具体的には、ビル内には複数の領域が存在し、複数の領域のそれぞれにはサブサーバが割り当てられ(又はマッチングされ)てもよい。ロボットがビル内に存在する複数の領域のうち第1領域に位置する場合、ロボットに対する制御権限は第1サブサーバにあり、ロボットに対する制御は第1サブサーバにより行われる。
【0099】
一方、ビルにおいては、前記ロボットが第1領域から第2領域に移動することによって、前記特定のロボットと前記第1サブサーバとの通信が困難になるか、前記第1サブサーバの管理領域から外れることがある。よって、本発明においては、ロボットの制御権限が前記第2領域に対応する第2サブサーバに引き継がれるが、本明細書においては、それをハンドオーバーという。
【0100】
また、ロボットの領域の移動によりハンドオーバーが必要な状況の場合、それを「ハンドオーバーイベント」という。
【0101】
一方、本明細書において、「ハンドオーバー領域」は、ハンドオーバーイベントの発生の有無を判断する基準となる領域であってもよい。
【0102】
一例として、ビル内の水平空間でのハンドオーバー領域は、第1領域と第2領域とが重なる領域、又は第1領域と第2領域との間に位置する予め設定された領域であってもよい。すなわち、水平空間でのハンドオーバー領域は、異なる領域が重なる領域、又は異なる領域間に位置する領域であってもよい。
【0103】
他の例として、複数の階を備えたビルにおいて、ハンドオーバー領域は、ロボットのビルの階間移動のための設備が位置する領域(例えば、エレベータ又はエスカレータ)であってもよい。すなわち、垂直空間でのハンドオーバー領域は、異なる階間の領域、又は異なる階をつなぐ領域(又は設備の内部)であってもよい。
【0104】
一方、本明細書においては、複数のサブサーバによりロボットに対する分散制御を行う上で、大きく2つの方式でサブサーバを運用することができる。
【0105】
1番目の方式として、ロボットに対する分散制御は、メインサーバの制御下で行われてもよい。その場合、メインサーバは、複数のサブサーバに対する直接的な制御を行うことにより、ロボットが移動することによって、ロボットに対する制御権限を有するサブサーバを特定し、サブサーバ間で制御権限の引き継ぎが行われるようにする制御を行うことができる。
【0106】
ここで、メインサーバ及び複数のサブサーバ、並びにロボットは、1つのネットワークに接続されてもよく、本発明においては、それを「グローバルネットワーク方式」という。
【0107】
グローバルネットワーク方式において、ロボット制御システムは、メインサーバ及び複数のサブサーバを含んでもよく、複数のサブサーバは、メインサーバの制御下にある。
【0108】
前記メインサーバは、前記ロボットの位置によって、前記ロボットが前記複数のサブサーバの少なくとも1つと通信を行うように、前記複数のサブサーバに関する制御を行うことができる。
【0109】
より具体的には、グローバルネットワーク方式において、ビル内に位置する複数のロボットは、1つのネットワークに接続され、メインサーバは、特定のロボットの制御権限を複数のサブサーバのうち特定のサブサーバに与えることができる。
【0110】
グローバルネットワーク方式において、メインサーバは、複数のロボットのそれぞれに対する任務を割り当てるか、又はロボットが任務を行うように、ビル内に含まれる複数の領域のうち、前記ロボットが任務遂行のために経由しなければならない少なくとも1つの領域に関する情報を含む走行経路(又はグローバル走行経路)を生成してロボットに送信することができる。また、メインサーバは、前記走行経路に含まれる前記少なくとも1つの領域に関する情報に基づいて、前記特定のロボットに対して制御権限を有する少なくとも1つのサブサーバを特定することができる。
【0111】
一方、サブサーバは、ロボットが任務を行うために必要な制御を行うか、又はロボットが予め設定された走行経路に沿って走行するための詳細制御を行うことができる。すなわち、メインサーバは、ビル内に位置する複数のロボット全体を運用するための制御を行い、サブサーバは、制御権限が割り当てられたロボットに対する詳細制御を行うことができる。ただし、それに限定されるものではない。
【0112】
2番目の方式として、ロボットに対する分散制御は、複数のサブサーバのそれぞれが独立したネットワークを司る方式(以下、ローカルネットワーク方式という)で行われてもよい。ローカルネットワーク方式において、ロボット制御システムは、メインサーバ及び複数のサブサーバを含んでもよい。ローカルネットワーク方式において、メインサーバ及び複数のサブサーバは、それぞれのネットワークを形成してもよい。その場合、メインサーバは、複数のサブサーバを制御下に置くのではなく、複数のサブサーバを仲介する役割を果たす。より具体的には、ビル内に位置するロボットは、複数のサブサーバのいずれかが司るネットワークに接続され、接続されたネットワークを司るサブサーバにより制御されてもよい。さらに具体的には、
図13を参照すると、ローカルネットワーク方式において、メインサーバ1310は、グローバルネットワーク1311に接続され、第1サブサーバ1320及び第2サブサーバ1330のそれぞれは、メインサーバ1310に接続される。第1サブサーバ1320は、第1ネットワーク1321に接続され、第2サブサーバ1330は、第1ネットワーク1321とは異なる第2ネットワーク1331に接続される。第1ネットワーク1321は、第1領域1322に設けられたAP(Access Point)を介して接続可能なネットワークであり、第2ネットワーク1331は、第2領域1332に設けられたAPを介して接続可能なネットワークである。
【0113】
ローカルネットワーク方式において、「メインサーバ」は、複数のロボットのそれぞれに対する任務を割り当てるか、又はロボットが任務を行うように、ビル内に含まれる複数の領域のうち、前記ロボットが任務遂行のために経由しなければならない少なくとも1つの領域に関する情報を含む走行経路を生成してロボットに送信することができる。
【0114】
一方、サブサーバは、ロボットが任務を行うために必要な制御を行うか、又はロボットが予め設定された走行経路に沿って走行するための詳細制御を行うことができる。すなわち、メインサーバは、ビル内に位置する複数のロボット全体を運用するための制御を行い、サブサーバは、制御権限が割り当てられたロボットに対する詳細制御を行うことができる。
【0115】
一方、ローカルネットワーク方式において、メインサーバは、複数のロボットのそれぞれに関する情報を複数のサブサーバに送信し、複数のサブサーバは、メインサーバから受信したロボットに関する情報に基づいて、複数のロボットのいずれかに接続されるか、既に接続されているロボットに対する制御権限を他のサブサーバに引き継ぐか、又は既に接続されているロボットに関する制御を行うことができる。
【0116】
ここで、複数のロボットのそれぞれに関する情報は、ロボットで検知された無線信号の強度、ロボットの現在位置に関する情報、ロボットに接続されたサブサーバに関する情報、及びロボットが適切なサーバに接続されているか否かに関する判断情報のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0117】
一方、ローカルネットワーク方式において、ロボットは、ビル内に設けられたAP(Access Point)のそれぞれの信号強度を測定し、信号強度が最も強いAPと無線通信を行う。ビル内に設けられたAPのそれぞれには複数のサブサーバのいずれかがマッチングされ、ロボットが接続されたAPに対応するサブサーバがロボットに対する制御権限を有する。
【0118】
各サブサーバは、前記ロボットのそれぞれで検知される無線信号の強度に関する情報を受信し、前記無線信号の強度に関する情報に基づいて、前記ロボットの中から制御を行うロボットを決定することができる。
【0119】
サブサーバは、サブサーバに接続されたロボットに関する情報(例えば、ロボットの識別情報)をメインサーバに送信し、メインサーバは、サブサーバから受信した情報に基づいてロボットが適切なサブサーバに接続されているか否かを判断することができる。
【0120】
上述したように、本発明は、グローバルネットワーク方式又はローカルネットワーク方式により、複数のロボットが運用される空間で複数のサーバにより複数のロボットを効率的に運用できるようにする。
【0121】
一方、本発明によるシステム及び方法でロボットを制御する場合、ロボットが空間内の領域間の移動を行うことによって、ロボットの制御権限が特定のサーバから他のサーバに引き継がれなければならない状況が発生することがある。本発明は、ロボットが空間内の領域間の移動を行うことによって、サーバの制御権限が円滑に移されるようにするシステム及び方法を提供する。
【0122】
本明細書においては、上述した異なる2つのロボット制御方式のいずれにも適用できるロボット制御方法及びシステムについて説明する。別に限定しない限り、以下に説明するロボット制御方法は、グローバルネットワーク方式及びローカルネットワーク方式にそれぞれ適用することができる。
【0123】
本発明においては、ロボットの走行に関する制御を行う上で、複数のサーバによりロボットに対する分散制御を行い、ロボットの位置によってサーバ間のハンドオーバーを行う方法及びシステムを提供することができる。以下、添付図面を参照して、それについてより具体的に説明する。
図14は本発明によるロボット制御方法を説明するためのフローチャートであり、
図15は本発明によるロボット制御方法を示す概念図である。
【0124】
本発明によるロボット制御システムにおいては、第1サブサーバが複数の領域のうち第1領域を走行するロボットを制御するステップ(S110)、及び第2サブサーバが複数の領域のうち第2領域を走行するロボットを制御するステップ(S120)が行われる。前記2つのステップの先後関係は別に限定されない。
【0125】
第1サブサーバは、ビル内複数の領域のうち第1領域に位置するロボットに対する制御権限を有するサーバであり、第1領域に位置するロボットとの通信によりロボットを制御する。一方、第2サブサーバは、ビル内複数の領域のうち第1領域とは異なる第2領域に位置するロボットに対する制御権限を有するサーバであり、第2領域に位置するロボットとの通信によりロボットを制御する。
【0126】
グローバルネットワーク方式において、メインサーバは、ロボットのビル内の位置をモニタし、特定のロボットが第1領域に位置すると、前記特定のロボットの制御権限を前記第1サブサーバに設定し、特定のロボットが第2領域に位置すると、前記特定のロボットの制御権限を前記第2サブサーバに設定することができる。
【0127】
一方、ローカルネットワーク方式において、ロボットは、現在位置で接続可能なサブサーバと無線通信を行うことができる。例えば、ロボットは、現在位置で信号強度が最も強いAP(Access Point)に対応するサブサーバと無線通信を行う。サブサーバは、特定のロボットが接続されると、接続されたロボットに関する識別情報をメインサーバに送信し、メインサーバは、前記接続されたロボットが適切なサブサーバに接続されているか否かを判断することができる。ロボットが適切なサブサーバに接続されていない場合、ロボット自体で現在接続されているサブサーバでない他のサブサーバとの接続のためにハンドオーバーを試みることができる。なお、それに関する具体的な実施形態については後述する。
【0128】
一方、前記第1サブサーバと通信を行う特定のロボットに前記第1領域から前記第2領域に移動(又は進入)するハンドオーバー(handover)イベントが発生した場合、前記特定のロボットに対する制御権限が前記第1サブサーバから前記第2サブサーバに引き継がれるステップ(S130)が行われる。一方、ハンドオーバーイベントは、特定のロボットがハンドオーバー領域に位置する場合に発生するか、特定のロボットで予め設定された強度以上の他の無線信号が検知された場合に発生し得る。前記特定のロボットに対する制御権限を引き継ぐ方法は、ネットワーク方式によって異なる。以下、グローバルネットワーク方式及びローカルネットワーク方式のそれぞれで特定のロボットに対する制御権限を引き継ぐ方法について説明する。
【0129】
まず、グローバルネットワーク方式でロボットに対する制御権限を引き継ぐ方法について説明する。
【0130】
グローバルネットワーク方式において、ハンドオーバーイベントが発生すると、メインサーバは、前記特定のロボットに対する制御権限が前記第1サブサーバから前記第2サブサーバに引き継がれるように、前記ハンドオーバーイベントに関する情報を前記第1サブサーバ及び前記第2サブサーバの少なくとも1つに送信することができる。
【0131】
メインサーバは、前記特定のロボットの位置に基づいて、前記ハンドオーバーイベントの発生の有無を判断することができる。具体的には、メインサーバは、特定のロボットの位置を周期的にモニタし、前記特定のロボットが前記第1領域及び前記第2領域の重なりにより形成される特定のハンドオーバー領域から予め設定された距離以内に位置するか、又は前記特定のハンドオーバー領域に位置する場合、前記ハンドオーバーイベントが発生したと判断することができる。
【0132】
一方、メインサーバは、前記ハンドオーバーイベントの発生に基づいて、前記特定のロボットに対する制御権限が引き継がれるサブサーバを特定することができる。具体的には、メインサーバは、ロボットが特定のハンドオーバー領域から予め設定された距離以内に位置するか、又は前記特定のハンドオーバー領域に位置する場合、前記ハンドオーバー領域を形成する複数の領域を特定する。メインサーバは、特定された複数の領域の中から、ロボットの走行方向、走行経路及び任務の少なくとも1つを考慮して、ロボットが移動すると予想されるいずれかの領域を特定することができる。メインサーバは、前記特定されたいずれかの領域に対応するサブサーバを、前記特定のロボットに対する制御権限が引き継がれるサブサーバとして特定することができる。
【0133】
一方、前記ハンドオーバー領域が、ハンドオーバーイベントの発生前にロボットが位置していた第1領域と前記第1領域に隣接する他の領域である第2領域とにより形成された場合、メインサーバは、前記第2領域に対応するサブサーバを、前記特定のロボットに対する制御権限が引き継がれるサブサーバとして特定することができる。
【0134】
一方、メインサーバは、ハンドオーバーイベントが発生したことに基づいて、前記ハンドオーバーイベントに関する情報を前記第1及び第2サブサーバの少なくとも1つに送信することができる。前記ハンドオーバーイベントに関する情報は、前記特定のロボットに関する識別情報、前記ハンドオーバーイベントが発生した領域、現在前記特定のロボットに対する制御権限を有するサブサーバに関する識別情報、前記ハンドオーバーイベントにより前記特定のロボットに対する制御権限が引き継がれるサブサーバに関する識別情報、前記特定のロボットに対する制御権限が引き継がれることを案内する情報、及びロボットに対して行われている制御に関する情報のうちの少なくとも1つを含んでもよい。また、前記ハンドオーバーイベントに関する情報は、前記ハンドオーバーイベントの発生前に前記特定のロボットに対する制御権限を有していたサブサーバから前記特定のロボットに送信された制御命令に関する情報を含んでもよい。
【0135】
メインサーバは、前記特定のロボットに対する制御権限が前記第2サブサーバに引き継がれることを通知する第1情報を、前記第1サブサーバに送信し、前記特定のロボットに対する制御を行うことを要求する第2情報を、前記第2サブサーバに送信することができる。
【0136】
一方、前記特定のロボットに対する制御権限は、前記第2サブサーバにおいて前記特定のロボットに関する予め設定された引き継ぎ条件を満たすまで、前記第1サブサーバ及び前記第2サブサーバが両方とも有することができる。
【0137】
前記予め設定された引き継ぎ条件は、前記特定のロボットに対する前記第1サブサーバの第1制御命令と前記特定のロボットに対する前記第2サブサーバの第2制御命令との類似度に関するものであってもよい。例えば、メインサーバは、前記第1サブサーバから前記特定のロボットに送信された制御命令と前記第2サブサーバから前記特定のロボットに送信された制御命令とが同じ場合、前記予め設定された引き継ぎ条件を満たすものと判断し、前記特定のロボットに対する制御権限を前記第2サブサーバに完全に引き継ぐことができる。それとは異なり、前記第1サブサーバから前記特定のロボットに送信された制御命令と前記第2サブサーバから前記特定のロボットに送信された制御命令とが異なる場合、前記第1及び第2サブサーバのそれぞれに前記特定のロボットに対する制御権限が与えられた状態を所定時間維持することができる。
【0138】
一方、ロボットは、独自に特定のサブサーバに接続するために、メインサーバに問い合わせを行うことができる。具体的には、ロボットは、ロボットの現在位置に基づいて、どのサブサーバに接続しなければならないかをメインサーバに問い合わせることができる。前記メインサーバは、前記特定のロボットから、接続対象サブサーバに関する識別情報要求を受信すると、前記特定のロボットの位置に基づいて、前記複数の領域のうち前記特定のロボットが位置する特定の領域に割り当てられた特定のサブサーバに関する識別情報を送信し、前記特定のロボットは、前記特定のサブサーバに関する識別情報に基づいて、前記特定のサブサーバとの通信を接続することができる。
【0139】
メインサーバは、ロボットに対して最初にサブサーバを割り当てる際に、ロボットの現在位置及びそれぞれのサブサーバに接続されたロボットの台数のうちの少なくとも1つに基づいて、複数のサブサーバのいずれかを特定し、特定されたサブサーバに関する情報をロボットに送信することにより、ロボットが特定のサブサーバとの無線通信により、特定のサブサーバにより制御されるようにすることができる。すなわち、メインサーバは、ロボットの位置及び複数のサブサーバのそれぞれの演算能力を考慮して、適切なサブサーバがロボットを制御するように制御権限を設定することができる。
【0140】
一方、ロボットは、メインサーバから任務が割り当てられることに基づいて、ロボットの位置情報をメインサーバに送信し、メインサーバから前記位置情報に対応する第1領域に割り当てられた第1サブサーバの識別情報を受信することに基づいて、前記第1サブサーバに接続することができる。また、ロボットは、前記第1サブサーバにより制御されている状態で、前記第1領域から前記第2領域に向かって移動することによって発生するハンドオーバーイベントに基づいて、前記メインサーバから前記第2領域に割り当てられた第2サブサーバの識別情報を受信し、前記第1領域及び前記第2領域の少なくとも一部が重なるハンドオーバー領域で、前記第1サブサーバ及び前記第2サブサーバの両方に接続することができる。
【0141】
一方、ロボットは、ロボット自体でのVL(Visual Localization)、ロボットに含まれるセンサから収集されるセンシング情報、ロボットで撮影された写真、ロボットの走行部の移動程度、ロボットに接続されたAPに関する情報のうちの少なくとも1つに基づいて、ロボットの位置を自ら把握するか、又はそれらの情報のうちの少なくとも1つをメインサーバに送信することにより、メインサーバがロボットの位置を把握できるように誘導することができる。
【0142】
一方、ロボットは、APベースでメインサーバに問い合わせを行うことができる。具体的には、ロボットは、移動しながら信号が最も強いAPに接続することができ、接続されたAPに関する情報に基づいて、どのサブサーバに接続しなければならないかをメインサーバに問い合わせることができる。例えば、ロボットが移動しながら信号が最も強いAPが変更されると、ロボットは、メインサーバにAPに関する情報を共有し、どのサブサーバに接続しなければならないかを問い合わせることができる。それは、それぞれのAPが属するネットワークに対応するサブサーバが異なり得るからである。
【0143】
図15を参照して、ハンドオーバー過程について具体的に説明する。メインサーバ1510は、ロボットRの位置をモニタし、ロボットRが第1サブサーバ1520に対応する第1領域1522に位置する場合、第1サブサーバ1520にロボットRに対する制御権限を与える。ロボットRが第1領域1522と第2サブサーバ1530に対応する第2領域1532とが重なるハンドオーバー領域1540に進入した場合、メインサーバ1510は、ロボットRの制御権限を第2サブサーバ1530に引き継ぎ、ロボットRが第2領域1532で第2サブサーバ1530により制御されるようにする。
【0144】
上述したように、グローバルネットワーク方式において、メインサーバは、ロボットの位置に基づいて、特定のロボットにハンドオーバーイベントが発生した場合、ロボットの制御権限を他のサブサーバに引き継ぐことにより、複数のロボットに対する分散制御を効率的に行うことができる。
【0145】
ここで、メインサーバは、複数のサブサーバのそれぞれに接続されたロボットの台数を考慮して、特定のサブサーバに予め設定された台数以上のロボットが接続された場合、当該特定のサブサーバにそれ以上ロボットが接続されないようにすることもでき、特定のサブサーバに接続された少なくとも1つのロボットを他のサブサーバに引き継ぐこともできる。
【0146】
よって、本発明は、ビル内のロボットの位置によって、ロボットに対する制御権限の切り替えが柔軟に行われるようにする。
【0147】
次に、ローカルネットワーク方式でロボットに対する制御権限を引き継ぐ方法について説明する。
【0148】
走行経路に沿って走行する特定のロボットが前記第1領域から前記第2領域に移動することによってハンドオーバーイベントが発生した場合、前記特定のロボットに対する制御権限が前記第1サブサーバから前記第2サブサーバに引き継がれる。
【0149】
ここで、特定のロボットは、前記第1領域及び前記第2領域により形成されるハンドオーバー領域のうちの少なくとも一部で、前記第1サブサーバ及び前記第2サブサーバのそれぞれから制御命令を受信することができる。
【0150】
前記特定のロボットがハンドオーバー領域に位置する間、前記特定のロボットは、前記第1サブサーバに対応するネットワーク及び前記第2サブサーバに対応するネットワークのそれぞれに接続され、前記第1及び第2サブサーバのそれぞれから制御命令を受信することができる。よって、本発明は、ハンドオーバー過程でロボットに対する通信接続の中断が起こらないようにすることができる。
【0151】
一方、前記特定のロボットは、前記第1及び第2サブサーバのそれぞれに接続されている間、前記第1及び第2サブサーバの少なくとも1つにハンドオーバーイベントに関する情報を送信することにより、前記第1及び第2サブサーバのうちいずれか一方から他方に前記特定のロボットに対する制御権限が引き継がれるようにすることができる。
【0152】
特定のロボットは、前記複数の領域にそれぞれ対応するように割り当てられた複数のサブサーバの少なくとも1つに接続され、前記特定のロボットに接続されるサブサーバの特定は、前記特定のロボットでセンシングされる無線信号の強度に基づいて行われてもよい。
【0153】
より具体的には、ビル内に位置する複数のロボットは、ビル内に設けられた複数のAPの少なくとも1つとの無線通信により、ネットワークに接続されてもよい。複数のAPのそれぞれには、複数のネットワークのうちのいずれかのネットワークが接続されてもよい。複数のネットワークのそれぞれには、複数のサブサーバのいずれかが接続され、それにより、ロボットは、特定のAPに接続された場合、複数のネットワークのうちのいずれかのネットワークに接続され、さらに、前記いずれかのネットワークに接続された特定のサブサーバのいずれかにより制御される。ここで、特定のサブサーバは、前記いずれかのネットワーク内で事前に定義されたアクセス方法、例えば固定IPや事前に定義されたドメイン名などをロボットに提供するサブサーバであってもよい。
【0154】
ロボットは、複数のAPのそれぞれの通信信号の強度に基づいて、ロボットが接続するAPを決定する。つまり、ロボットに対する制御権限は、複数のAPのそれぞれの通信信号の強度に基づいて与えられる。
【0155】
例えば、第1サブサーバは第1ネットワークに接続され、第1ネットワークは第1領域に設けられたAPに接続される。一方、第2サブサーバは第2ネットワークに接続され、第2ネットワークは第2領域に設けられたAPに接続される。
【0156】
前記第1サブサーバは、前記第1領域で、特定のロボットでセンシングされた無線信号の強度のうち最も強い無線信号の強度を有する第1ネットワークに接続され、前記第2サブサーバは、前記第2領域で、前記特定のロボットでセンシングされた無線信号の強度のうち最も強い無線信号の強度を有する第2ネットワークに接続されてもよい。
【0157】
上述したように、ロボットは、現在位置で無線信号が最も強いAPに接続することにより、ロボットが接続するネットワーク及びサブサーバを決定する。
【0158】
一方、ハンドオーバーイベントは、前記第1サブサーバに接続された前記特定のロボットで、前記2ネットワークに関する予め設定された強度以上の無線信号がセンシングされることに基づいて発生し、前記特定のロボットは、前記ハンドオーバーイベントに基づいて、前記第2サブサーバに制御要求信号を送信することができる。
【0159】
ロボットがビル内を走行することによって、既に接続されたAPと他のAPとの無線信号が予め設定された強度以上であることが検知された場合、前記特定のロボットは、ハンドオーバーイベントに関する情報を現在接続されているサブサーバ及び前記他のAPに対応するサブサーバの少なくとも1つに送信することができる。
【0160】
一方、ロボットは、ハンドオーバーイベントに基づいて、前記第2サブサーバに制御要求信号を送信することができる。前記第2サブサーバが前記ロボットから制御要求信号を受信した場合、前記第2サブサーバは、前記ロボットが現在接続されている第1サブサーバとの通信により、前記ロボットに対する制御権限の引き継ぎを受けることができる。
【0161】
ただし、それに限定されるものではなく、ロボットは、ハンドオーバーイベントに基づいて、現在接続されている第1サブサーバに制御権限引き継ぎ要求信号を送信することができる。前記第1サブサーバが前記ロボットから制御権限引き継ぎ要求信号を受信した場合、前記第1サブサーバは、前記第2サブサーバとの通信により、前記ロボットに対する制御権限を引き継ぐことができる。
【0162】
上述した方式の場合、ロボットの制御権限の引き継ぎ過程でメインサーバが介入しなくてもよい。よって、ハンドオーバーに関する信頼度の問題が生じ得る。それを防止するために、本発明は、ロボット制御権限が適切なサブサーバに引き継がれたかをメインサーバがモニタするようにすることができる。
【0163】
具体的には、前記第1サブサーバ及び前記第2サブサーバは、前記第1サブサーバ及び前記第2サブサーバのそれぞれで制御中のロボットに関する識別情報を、前記メインサーバに送信し、前記メインサーバは、前記識別情報に基づいて、前記第1サブサーバ及び前記第2サブサーバが前記第1サブサーバ及び前記第2サブサーバのそれぞれで制御中のロボットに対する制御権限を有するか否かを確認することができる。
【0164】
メインサーバは、前記第1サブサーバ及び前記第2サブサーバのそれぞれで制御中のロボットの前記ビル内での位置及び走行経路の少なくとも1つに基づいて、前記制御権限の確認を行うことができる。
【0165】
メインサーバは、ロボットが第2サブサーバに制御要求信号を送信するか、又は第1サブサーバに制御権限引き継ぎ要求信号を送信しなくても、前記制御権限の確認を行うことができる。確認の結果、制御権限のない第1サブサーバがロボットを制御中の場合、メインサーバは、ロボットの制御権限の引き継ぎを受けなければならない第2サブサーバに制御権限が引き継がれるように、制御権限の引き継ぎに関する制御命令を第1及び第2サブサーバの少なくとも1つに送信する。
【0166】
図15を参照して、ハンドオーバー過程について具体的に説明する。ロボットRが第1領域1522に位置する場合、ロボットRは、無線信号の強度に基づいて、第1領域1522で無線信号の強度が最も強いAPに対応する第1サブサーバ1520に接続される。よって、ロボットRに対する制御権限は第1サブサーバ1520に与えられる。ローカルネットワーク方式において、第1及び第2領域のハンドオーバー領域1540は、第1サブサーバ1520に対応するAP及び第2サブサーバ1530に対応するAPのそれぞれに対して予め設定された無線信号の強度が検知される領域と定義される。ロボットが第1サブサーバ1520に対応するAP及び第2サブサーバ1530に対応するAPのそれぞれに対して予め設定された無線信号の強度が検知されるハンドオーバー領域1540に進入すると、第1サブサーバ1520及び第2サブサーバ1530の少なくとも1つに制御権限の引き継ぎのための情報を送信することができる。ロボットRがハンドオーバー領域1540に留まる時間のうちの一部の時間の間、ロボットRは、第1サブサーバ1520及び第2サブサーバ1530のそれぞれから制御命令を受信することができる。
【0167】
一方、ハンドオーバーイベントが発生した特定のロボットは、制御権限の引き継ぎのために、第2サブサーバにハンドオーバーイベントに関する情報を送信することができる。ハンドオーバーイベントに関する情報は、前記特定のロボットに関する識別情報、前記ハンドオーバーイベントが発生した領域、現在前記特定のロボットに対する制御権限を有するサブサーバに関する識別情報、前記ハンドオーバーイベントにより前記特定のロボットに対する制御権限が引き継がれるサブサーバに関する識別情報、前記特定のロボットに対する制御権限が引き継がれることを案内する情報、及びロボットに対して行われている制御に関する情報のうちの少なくとも1つを含んでもよい。また、前記ハンドオーバーイベントに関する情報は、前記ハンドオーバーイベントの発生前に前記特定のロボットに対する制御権限を有していたサブサーバから前記特定のロボットに送信された制御命令に関する情報を含んでもよい。
【0168】
一方、ロボットRは、第1サブサーバ1520及び第2サブサーバ1530のそれぞれから受信した制御命令が異なる場合、いずれかのサーバ(例えば、既に接続された第1サブサーバ)の制御命令を優先して処理することができる。
【0169】
他の実施形態において、ロボットRは、第1サブサーバ1520及び第2サブサーバ1530のそれぞれから受信した制御命令が異なる場合、両サブサーバの制御命令を組み合わせて処理することができる。
【0170】
一方、ロボットRは、第1サブサーバ1520及び第2サブサーバ1530のそれぞれから受信した制御命令が同じ場合、ハンドオーバーが正常に行われたものと判断し、第1サブサーバ1520との接続を中断することができる。
【0171】
一方、メインサーバ1510は、周期的に第1サブサーバ1520及び第2サブサーバ1530のそれぞれからサブサーバに接続されたロボットに関する識別情報を受信し、受信した識別情報に基づいて、サブサーバとロボットとの接続が適切に行われているか否かを判断することができる。
【0172】
上述したように、ローカルネットワーク方式において、ハンドオーバーイベントが発生した場合、ロボットは、無線信号の強度に基づいて、制御権限が引き継がれなければならないサブサーバを特定し、制御権限の引き継ぎのためのデータ送受信を行う。それに加えて、メインサーバは、適切なサブサーバがロボットに対する制御権限を有するか否かを判断することにより、ハンドオーバーの信頼度を向上させる。それにより、本発明は、ロボットで測定される無線信号の強度に基づいて、ロボットに対する制御権限の切り替えが柔軟に行われるようにする。
【0173】
一方、ハンドオーバーは、ロボットが水平空間内で移動することによって行われることもあるが、ロボットが高さが異なる空間(異なる階)に移動することによって行われることもある。例えば、本発明によるハンドオーバーは、ロボットがビルに含まれる複数の階のうちいずれかの階から他の階に移動することによって行われることもある。以下、ロボットがビル内の階間を移動することによってハンドオーバーを行う方法について具体的に説明する。
【0174】
図16はビルの階別に領域を分けてロボットを制御するロボットシステムを示す概念図であり、
図17はロボットの階間移動に応じて行われるハンドオーバーを示す概念図である。
【0175】
その場合、メインサーバは、複数の階を備えたビルを走行するロボットに関する制御を行う。第1サブサーバは、前記メインサーバと通信を行い、前記複数の階のうち第1階を走行するロボットを制御する。一方、第2サブサーバは、前記メインサーバと通信を行い、前記複数の階のうち前記第1階とは異なる第2階を走行するロボットを制御する。ここで、第1階と第2階とは、任意の異なる2つの階を命名するためのものであり、連続する階を意味するわけではない。
【0176】
前記メインサーバは、前記第1階に位置する特定のロボットが前記第2階に移動するハンドオーバーイベントが発生したことに基づいて、前記特定のロボットに対する制御権限が前記第1サブサーバから前記第2サブサーバに引き継がれるように、前記ハンドオーバーイベントに関する情報を前記第1サブサーバ及び前記第2サブサーバの少なくとも1つに送信することができる。
【0177】
図16を参照すると、ビルには、前記特定のロボットを前記第1階から前記第2階に移動させるための移動手段1650が備えられてもよい。例えば、前記移動手段は、エレベータ、エスカレータ、ロボット専用エレベータであってもよい。ただし、それらに限定されるものではない。
【0178】
一方、ビルに含まれる複数の階1622a~1622cのそれぞれには、複数のサブサーバ1620a~1620cのいずれかが対応する。例えば、第1階1622aには第1サブサーバ1620aが対応し、第1階1622aに位置するロボットの制御権限は第1サブサーバ1620aに与えられる。ロボットが階間移動を行う場合、ハンドオーバーにより制御権限が第1サブサーバ1620aから他のサブサーバに引き継がれる。
【0179】
本発明において、前記特定のロボットに対する前記第1サブサーバの制御権限は、前記特定のロボットが前記第1階で前記移動手段に乗ることに基づいて終了し、前記特定のロボットに対する前記第2サブサーバの制御権限は、前記特定のロボットが前記第2階で前記移動手段から降りることに基づいて開始される。
【0180】
前記特定のロボットが前記移動手段により前記第1階から前記第2階に移動する間、前記特定のロボットに対する制御は、前記メインサーバ及び前記移動手段に連携した設備サーバの少なくとも1つに基づいて行われてもよい。
【0181】
ロボットが異なる階間を移動する場合は、異なる階間のハンドオーバー領域で、第1サブサーバ及び第2サブサーバの両方とも特定のロボットに対する制御権限を有しないようにすることができる。すなわち、その場合は、前記メインサーバ及び前記移動手段に連携した設備サーバの少なくとも1つが特定のロボットに対する制御権限を有することができる。
【0182】
例えば、
図17を参照すると、ビルに含まれる複数の階1722a~1722gのそれぞれには、複数のサブサーバ1720a~1720gが割り当てられる(又はマッチングされる)。それぞれのサブサーバは、メインサーバ1710と通信を行うことができる。ロボットは、ロボット専用エレベータ1750により階間移動を行うことができる。ロボットRが第1階1722aに位置する場合、ロボットRの制御権限は第1サブサーバ1720aに与えられる。第1サブサーバ1720aは、第1階1722aの領域内でロボットを制御し、ロボットのエレベータへの搭乗のための制御を行う。第1サブサーバ1720aは、ロボットRがエレベータ1750に乗った場合、ロボットRがエレベータ1750に乗ったことを案内する情報をメインサーバ1710に送信することができる。メインサーバにロボットが移動しようとする階に関する情報がない場合、第1サブサーバ1720aは、ロボットが移動しようとする階に関する情報(第5階)をメインサーバ1710に送信することができる。
【0183】
メインサーバ1710は、ロボットRがエレベータ1750に乗って移動するように、エレベータ1750を制御することができる。また、ロボットRがエレベータ1750から降り、第5階1722eに移動した場合、ロボットRが第5階1722eに対応する第5サブサーバ1720eに制御権限を引き継ぐことができる。
【0184】
エレベータ1750に関する制御がメインサーバ1710により行われず、別の設備サーバにより行われる場合、メインサーバ1710は、ロボットRがエレベータ1750に乗ると、ロボットRの制御権限を設備サーバに引き継ぎ、ロボットRがエレベータ1750から降りることに基づいて、ロボットRの制御権限を設備サーバからロボットが降りた階のサブサーバ(例えば、第5サブサーバ1720e)に引き継ぐことができる。その場合、ビル内の空間を司るサブサーバ及びビル内の設備を司る設備サーバ間のハンドオーバーが行われる。以上説明したように、本発明によれば、ロボットがビルに配置された階間移動設備を用いて階間移動を行う場合、ロボットが階間移動設備に乗ると、サブサーバの制御権限を回収し、ロボットが階間移動設備から降りると、他のサブサーバに制御権限を引き継ぐことにより、ロボットの階間移動によるハンドオーバーが柔軟に行われるようにする。
【0185】
上述したように、本発明によれば、互いに隣接して位置するロボットが同一のサーバにより制御されるようにすることにより、ロボット間の協業が効率的に行われるようにする。具体的には、本発明は、隣接するロボットが1つの制御主体により制御されるようにすることにより、隣接するロボットの衝突を防止し、隣接するロボット間の環境情報の共有が迅速に行われるようにし、隣接するロボットの移動経路が重なることを最小限に抑えることができる。
【0186】
一方、前述した本発明は、コンピュータで1つ以上のプロセスにより実行され、コンピュータ可読媒体に格納可能なプログラムとして実現することができる。
【0187】
また、前述した本発明は、プログラム記録媒体にコンピュータ可読コード又はコマンドとして実現することができる。すなわち、本発明による様々な制御方法は、まとめて又は個別にプログラムの形態で提供することができる。
【0188】
一方、コンピュータ可読媒体は、コンピュータシステムにより読み取り可能なデータが記録されるあらゆる種類の記録装置を含む。コンピュータ可読媒体の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Disk)、SDD(Silicon Disk Drive)、ROM、RAM、CD-ROM、磁気テープ、フロッピーディスク、光データ記憶装置などが挙げられる。
【0189】
また、コンピュータ可読媒体は、ストレージを含み、電子機器が通信によりアクセスできるサーバ又はクラウドストレージであり得る。その場合、コンピュータは、有線又は無線通信により、サーバ又はクラウドストレージから本発明によるプログラムをダウンロードすることができる。
【0190】
さらに、本発明において、前述したコンピュータは、プロセッサ、すなわち中央処理装置(Central Processing Unit,CPU)が搭載された電子機器であり、その種類は特に限定されない。
【0191】
一方、本発明の詳細な説明は例示的なものであり、あらゆる面で制限的に解釈されてはならない。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲の合理的解釈により定められるべきであり、本発明の等価的範囲内でのあらゆる変更が本発明の範囲に含まれる。
【国際調査報告】