(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-01
(54)【発明の名称】断路器及び関連する消滅/消イオン化チャンバを含むサージアレスタ
(51)【国際特許分類】
H02H 7/00 20060101AFI20241025BHJP
【FI】
H02H7/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527139
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-06-27
(86)【国際出願番号】 IB2022060225
(87)【国際公開番号】W WO2023084346
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】102021000028448
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518022329
【氏名又は名称】ゾットアップ エセ.エレ.エレ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディッポリート ジャンフランコ
【テーマコード(参考)】
5G053
【Fターム(参考)】
5G053AA10
5G053BA01
5G053CA01
5G053DA01
(57)【要約】
サージアレスタが記載され、サージアレスタは、電気システムの活導体及び保護導体/中性導体に接続するための第1及び第2の電気端子(1,2)であって、第1の電気端子と第2の電気端子との間に保護部材(3)が接続されており、電圧電極が提供され、かつ、前述の電気端子(1,2)に電気的に接続されたそれぞれの電気コネクタ(1a,3a)を備えた保護電極が設けられた、第1及び第2の電気端子(1,2)と、保護部材(3)と第2の電気端子(2)との間に電気的に配置された断路器であって、予め設定された閾値を超える短絡電流の存在下で欠損する金属薄板(4)であって、欠損がプラズマを発生させる、金属薄板(4)を備えた断路器と、薄板(4)が交差するスライド案内チャンバ内で弾性的に付勢されるとともにスライドするように取り付けられた遮断スライダ(6)であって、遮断スライダ(6)の変位が薄板(4)によって防止され、薄板(4)の欠損によって許容される、遮断スライダ(6)と、を備え、分岐ダクト(10)と、一対の分岐導体(11a,11b)の端部によって画定されるそれぞれの入口部分(10a)とが設けられたアーク消滅チャンバ(CI)をさらに備え、入口部分(10a)が、スライド案内チャンバと流体連通して配置され、プランジャとして作用する遮断スライダ(6)の変位によって生成される圧力波面に面する開口を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サージアレスタであって、
電気システムの活導体及び保護導体/中性導体に接続するための第1及び第2の電気端子(1,2)であって、前記第1の電気端子と前記第2の電気端子との間に保護部材(3)が接続されており、電圧電極が提供され、かつ、前記電気端子(1,2)に電気的に接続されたそれぞれの電気コネクタ(1a,3a)を備えた保護電極が設けられた、第1及び第2の電気端子(1,2)と、
前記保護部材(3)と前記第2の電気端子(2)との間に電気的に配置された断路器であって、予め設定された閾値を超える短絡電流の存在下で欠損する金属薄板(4)であって、前記欠損がプラズマを発生させる、金属薄板(4)を備えた断路器と、
前記薄板(4)が交差するスライド案内チャンバ内で弾性的に付勢されるとともにスライドするように取り付けられた遮断スライダ(6)であって、前記遮断スライダ(6)の変位が前記薄板(4)によって防止され、前記薄板(4)の欠損によって許容される、遮断スライダ(6)と、を備え、
分岐ダクト(10)と、一対の分岐導体(11a,11b)の端部によって画定されるそれぞれの入口部分(10a)とが設けられたアーク消滅チャンバ(CI)をさらに備え、
前記入口部分(10a)が、前記スライド案内チャンバと流体連通して配置され、プランジャとして作用する前記遮断スライダ(6)の前記変位によって生成される圧力波面に面する開口を有することを特徴とする、前記サージアレスタ。
【請求項2】
前記保護電極が、保護デバイス(3)のそれぞれのホスティングチャンバ内に配置された第1の電気接点(3a)及び第2の電気接点(3b)を有し、前記薄板(4)が、前記第1の電気接点(3a)に接合され、前記保護デバイス(3)のホスティングチャンバと前記スライド案内チャンバとの間の開口(7)を通って延びることを特徴とする、請求項1に記載のサージアレスタ。
【請求項3】
前記消滅チャンバ(CI)が、前記第1の電気接点(3a)と同じ電位で前記第2の電気接点(3b)に電気的に接続される分岐導体(11b)を備えることを特徴とする請求項2に記載のサージアレスタ。
【請求項4】
前記第1の電気接点(3a)と前記第2の電気接点(3b)とが別個であり、隣接して配置され、前記入口部分(10a)の前記開口が、前記第1の電気接点(3a)の近傍に配置されることを特徴とする、請求項3に記載のサージアレスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サージプロテクタ又はより簡潔にはSPD(Surge Protective Device)とも呼ばれるサージアレスタに関する。特に、本発明は、アレスタの寿命の終わりに回路を開くための断路器を備えたサージアレスタに関する
【背景技術】
【0002】
サージアレスタという用語は、電気設備の活性導体と接地保護導体との間に介在し、そうでなければ電気設備及びその機器に重大な損傷を引き起こす可能性がある、大気落雷及びスイッチング動作によって生成されるものなどの過電流/過電圧ピークのアースへの放電を提供するそれら電気/電子デバイスを示す。
【0003】
直接雷現象は、実際には、電気設備及びそれらのユーザ機器に対する破壊的影響の主な原因である。間接放電及びスイッチングサージもまた、広範な損傷の原因であり、その原因を特定することは容易ではないが、その影響は、動作の継続性が不可欠である繊細な設備にとっても同様に厄介である。
【0004】
これらの現象の持続時間は、数マイクロ秒から数百マイクロ秒まで様々であるが、この非常に短い時間では、これらは非常に高いエネルギー含有量を含む。これらの現象は、電気ネットワークに接続された機器を保護し、したがって前述のネットワークの完全性及び機能性を保証するために、適切に阻み、接地に導かれなければならない。
【0005】
これに関連して、電圧/電流比における可変(非線形)抵抗器の挙動と同等の挙動を有するバリスタの形態の保護要素を備える最新の既知の技術のアレスタが参照される。例えば短期の過電圧/過電流ピークが発生する場合など、基準電圧を超えると、アレスタのバリスタはその抵抗を急激に低下させ、その結果、電流ピークはそれを通って接地に容易に放電され得、より高い抵抗を有する電気設備の他の部分には進まない。バリスタ電極に電気的に接続されるのは、アレスタ接続端子のリード線であり、アレスタ接続端子は、位相導体及び保護導体及び/又は中性導体にそれぞれ接続される。
【0006】
アレスタの内部回路には、バリスタの形態の保護要素と直列に、典型的には、保護要素の欠損及び/又は劣化の場合の保護機能を有する既知の断路デバイスを構成する「断路器」も存在する。
【0007】
熱断路器は、バリスタ電極に直列に接続された様々な形状の導電体から実質的になる。この断路器は、典型的には、低融点溶接スポットでの溶接によってバリスタ電極に取り付けられた、すなわち比較的低温(120~180℃)で溶融することができる弾性金属薄板を含む複合ユニットからなる。弾性薄板は、所定の位置に溶接され、弾性的に付勢されるか又はばね荷重され、すなわちバリスタ電極から離れる傾向がある弾性的にチャージした状態に置かれる。この配置のおかげで、バリスタが、劣化の結果として、接地への大きな電流をもはや一時的ではなく連続的に放電し始めると、導電体(すなわち、金属薄板)は、ジュール効果によって加熱される傾向があり、温度上昇を溶接スポットにも伝達する:低融点合金の温度に達すると、溶接スポットの保持能力が停止し、バリスタ電極による拘束から金属薄板を解放し、したがって電気回路を開き、安全な状態を回復する。
【0008】
典型的には数十アンペアである特定の短絡電流値内で、アレスタ内部の断路システムは、この断路を効果的に実行することができる。しかしながら、断路器によって達成される断路は、必ずしも十分に速いとは限らないことに留意されたい。実際、高い強度の電流が流れる電気回路が開放されると、回路自体の連続性を大気中で維持しようとして電気アークが発生しやすくなることが考えられる。電気アークそれ自体が消えないか、又は断路器が短時間で断路しない場合、アレスタ(火災及び/又は爆発の可能性を伴う過熱)と、関連する電気設備との両方において危険な状況が生じる。
【0009】
典型的には、従来、kArms程度の著しい短絡電流を遮断することができるデバイスは、アレスタ自体と直列に配置された過電流保護、例えばヒューズ又は回路ブレーカからなっていた。
【0010】
より最近では、同じ出願人の名義で欧州特許第2790192号明細書に記載されているように、非常に効果的な解決策が提案されており、これは、バリスタのゆっくりとした劣化から生じるが、発生する可能性のある大きな短絡電流に対する自己消滅能力を有する瞬間的な劣化、例えばインパルス過負荷からも生じる断路能力を単一のデバイスに含む。
【0011】
このシステムは、(
図1に示すような)欧州特許第3326180号明細書で提案された解決策でさらに改良されている。
【0012】
簡潔には、これらの文献に開示されたアレスタは、通常の動作条件下で弾性的に付勢された遮断スライダを保持するような幾何学的形状を有する可撓性金属薄板の形態の交差コネクタを含む断路器を備える。遮断スライダは、回路が開かれたときに発生するはずの電気アークを妨げ、かつ遮断するのに適した幾何学的形状を有する移動台車又は移動要素を表す。前もって負荷が加えられたばねが、スライダの長手方向溝に挿入され、その作動中にスライダに推力エネルギーを供給するのに適しており、スライダに対する拘束として作用する交差コネクタの存在によって圧縮状態に維持される。
【0013】
短絡電流が確立されると、断路器の金属薄板が(温度上昇に起因して)昇華し、ばねの弾性力の下で通るスライダを解放し、発生する可能性のある電気アークを妨げ、かつ遮断するという事実に起因して、電気回路の開放が発生する。
【0014】
導電性薄板の昇華が、温度及び圧力の危険な増加を引き起こす導電性ガス塊(プラズマ)を形成する望ましくない効果を生成するという事実を考慮するために、スライダの幾何学的形状が改良されている。
【0015】
スライダの改善された幾何学的形状は、圧力及び温度が爆発的な影響を及ぼすのを防止するように、十分に迅速な方法での動作を可能にする。しかしながら、典型的には数kAを超える特定の短絡電流閾値を超えると、電気アーク及び結果として生じるプラズマに関連するエネルギーが非常に高くなり、アレスタに破壊的な影響を引き起こす可能性があることに留意されたい。
【0016】
電気アークの発生の影響を低減するために、アレスタの内部に脱イオン化/消滅チャンバを使用することが既に提案されている。しかしながら、脱イオン化/消滅チャンバの存在は、大きな設置スペースと、一旦形成されると脱イオン化/消滅チャンバの入口の捕捉位置でアークに付随し得る相対運動学との可動接点とを必要とするため、アレスタの構造はかなり複雑である。前述のデバイスのいくつかの例は、欧州特許第1953787号明細書、欧州特許第2827355号明細書、及び米国特許出願公開第2008/0186643号明細書に開示されている。
【発明の概要】
【0017】
したがって、本発明の根底にある問題は、従来技術の限界を克服する断路器をサージアレスタに供給することである。特に、欧州特許第2790192号明細書又は欧州特許第3326180号明細書で提案されているような、破壊的影響なしに、数十の有効なkAをさらに超える短絡電流にも耐えることができる断路器を有するアレスタを提供することが望ましい。
【0018】
この目的は、添付の特許請求の範囲に本質的用語で説明された特徴を通して達成される。
【0019】
具体的には、本発明の第1の態様によれば、サージアレスタであって、
電気システムの活導体及び保護導体/中性導体に接続するための第1及び第2の電気端子であって、第1の電気端子と第2の電気端子との間に保護部材が接続されており、電圧電極が提供され、かつ、前述の電気端子に電気的に接続されたそれぞれの電気コネクタを備えた保護電極が設けられた、第1及び第2の電気端子と、
保護部材と第2の電気端子との間に電気的に配置された断路器であって、予め設定された閾値を超える短絡電流の存在下で欠損する金属薄板であって、欠損がプラズマを発生させる、金属薄板を備えた断路器と、
薄板が交差するスライド案内チャンバ内で弾性的に付勢されるとともにスライドするように取り付けられた遮断スライダであって、遮断スライダの変位が薄板によって防止され、薄板の欠損によって許容される、遮断スライダと、を備え、
分岐ダクトと、一対の分岐導体の端部によって画定されるそれぞれの入口部分とが設けられたアーク消滅チャンバをさらに備え、
入口部分が、スライド案内チャンバと流体連通して配置され、プランジャとして作用する遮断スライダの変位によって生成される圧力波面に面する開口を有することを特徴とするサージアレスタが提供される。
【0020】
好ましい態様によれば、前述の保護電極は、保護デバイスのそれぞれのホスティングチャンバ内に配置された第1の電気接点及び第2の電気接点を有し、薄板は、第1の電気接点に接合され、保護デバイスのホスティングチャンバとスライド案内チャンバとの間の開口を通って延びる。
【0021】
好ましくは、前述の消滅チャンバは、第1の電気接点と同じ電位で第2の電気接点に電気的に接続される分岐導体を備える。
【0022】
別の態様によれば、第1の電気接点と第2の電気接点とは別個であり、隣接して配置され、入口部分の開口は、第1の電気接点の近傍に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
しかしながら、本発明のさらなる特徴及び利点は、純粋に非限定的な例として与えられ、添付の図面に示される、好ましい実施形態の以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【
図1】前述のように、従来技術のアレスタ構造の、部品を取り除いた概略側立面図である。
【
図2A】本発明に係るアレスタの部品を取り除いた斜視図である。
【
図3A】
図2のアレスタの別の斜視図に係る図である。
【
図4】
図1のアレスタのバリスタ及び消滅チャンバの斜視図である。
【
図5】
図4のバリスタのみを反対側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
好ましい実施形態の詳細な説明
図1は、欧州特許第3326180号明細書からそれ自体知られているアレスタの構成を示しており、本明細書では参照として含まれると考えることができる。
【0025】
アレスタは、単一の標準モジュールに設置され、電気設置キャビネット内に配線され得るようなサイズで、箱形の本体又はハウジングCに収容される。
【0026】
このハウジングCでは、2つの対向する端子が、それ自体既知の方法で収容され、本明細書ではプレート3によって概略化されている保護要素(典型的にはバリスタ)が間に配置された、相導体を接続するための第1の端子1と、保護導体又は中性導体を接続するための第2の端子2とが、それぞれのホスティングチャンバ内に収容され、相電極及び保護導体電極(図では見えない)を含む。
【0027】
第1の相電極は、延長導体1a(図には導電性ストリップの形態で示されているが、導体ケーブルの形態で具体化することもできる)によって相端子1に電気的に接続され、反対側の保護電極は、同じく断路器の一部を構成する放電導体によって接地又は中性端子2に接続された電気接点3aによってバリスタから突出している。
【0028】
本明細書では基準として含まれる欧州特許第2790192号明細書によって提供される教示によれば、放電導体は、予め設定された閾値を超える短絡電流の存在下で欠損するように構成され、その欠損(特に昇華によって生じる)は、一方ではアレスタ回路の切断又は開放を引き起こし、他方では、形成され得る電気アークを遮断するように働く弾性的に付勢された部材の動きを解放する。
【0029】
具体的には、断路器のこの放電導体は、4aと記された点で適切な低融点溶接スポットによって保護電極の電気接点3aに接合された可撓性薄板4の形態である。溶接スポット4aとは反対側の端部において、可撓性薄板4はまた、容器C内の適切な位置を通って接地端子2に接合される延長導体5と電気的に接続される。
【0030】
低融点溶接を行うために使用される材料及び可撓性薄板4の正確な構成は、この文脈に関連せず、ここではさらに詳細に説明しない。さらなる情報については、本明細書では欧州特許第2790192号明細書を参照する。
【0031】
可撓性薄板4は、銅と同等以下の導電性を有する金属材料で、厚みを薄く(十分の一ミリメートルいくらか分のオーダー、例えば0.2~0.3mm)、断面を小さくすることが好ましい。したがって、薄板4は、例えば3kAから数kArmsのオーダーで、予め設定された電流量を超える短絡電流が流れると、急速に昇華するように、すなわち固体状態から気体状態に切り替わるように構成される。本質的に、薄板4は、短絡電流の存在下で(典型的にはバリスタが欠損したときに)ヒューズ及び機械的トリガの機能を有する。さらに、薄板4の剛性保持壁と、バリスタ3及びその電気接点3aをホストするための内側ホスティングチャンバとの間には、スライダ6を妨げて圧縮するための案内スライドチャンバが画定される。特に、スライダ6は、2つの平行な収容壁によって長手方向に案内され、そのためのチャンバの反対の成形壁6’と係合するように適合された成形前面を有する。
【0032】
スライダ6の側部ガイド壁は通路開口7を有しており、この通路開口7を通して、電気接点3aと接合するために薄板4が通過する。したがって、通路開口7は、アレスタ(すなわち、バリスタ3)の電気接点3aのホスティングチャンバからスライダ6の案内スライドチャンバへの流体連通を形成する。
【0033】
スライダ6は、一方の側では案内スライドチャンバの底壁に対して、かつ、他方の側では可撓性薄板4の一部の上で、(
図2A及び
図2Bに示すように)静止状態で拘束されながら、長手方向にスライドするように取り付けられている。スライダ6は、後壁とスライダ本体6との間の予め応力が加えられたばね8などの弾性要素によって薄板4の方向に付勢されて取り付けられている。
【0034】
この構造により、スライダ6は、薄板4によって休止位置に保持される。代わりに、薄板4が欠損すると(昇華するため、又は低融点溶接スポット4aを溶融するため)、薄板4の保持作用が停止し、スライダ6が解放され、ばね8によって押されて、成形壁6’の方向に移動する。欧州特許第2790192号明細書でよく説明されているように、スライダ6は、薄板4の昇華時に作り出される効率的な電気アーク消滅機能を実行する。その移動において、スライダ6はまた、薄板4が収容される容積を圧縮し、薄板4の短絡及び昇華中に生成されたガス状導電性材料によってプラズマが形成された場合、回路のこの分岐部内のプラズマを消滅させる。
【0035】
短絡電流が特に高い場合、スライダ6の介入だけでは、装置内に発生したプラズマの迅速な消滅をもたらすには不十分であり得る。
【0036】
本発明によれば、この問題は、ハウジングCの内部に脱イオン化又は消滅チャンバCIを設けることによって解決される。特に、脱イオン化又は消滅チャンバCIは、溶接スポット4aの近くに配置された、すなわちバリスタ保護電極3の電気接点3aのホスティングチャンバと連通する入口10aを有するそれぞれの分岐導管10を有する。
【0037】
本明細書で提供される教示に最も関連するのは、入口セクション10aが、スライダ6の移動によって判定される圧力波面に面する開口を有することである。言い換えれば、スライダ6の変位は、スライド案内チャンバ内に移動し、開口7を通過し、ホスティングチャンバに入り、次いで入口10aに向かって継続する傾向がある圧力波面を生成する。これは、以下に説明する動作の有効性にとって重要である。
【0038】
残りの部分について、消滅チャンバCIは、それ自体既知の構成を有し、電気アークが搬送される平行な薄板の積み重ねが、分岐導管10によって捕捉される。分岐導管10は、入口10aからラメラスタックに向かって分岐される一対の導体11a及び11bによって画定される。
【0039】
図に示す好ましい設計では、第1の分岐導体11aは、入口10aからラメラスタックの側部付近まで延在し、そこでアース端子2に接続された延長導体5と電気的に接触して配置される。第2の分岐導体11bは、一方の端部において、バリスタ保護電極(
図5参照)の第2の電気接点3bに電気的に固定され、他方の端部において、消滅チャンバCIのラメラスタックの他方の側の近くで終端する。
【0040】
バリスタ保護電極3の第1の電気接点3a及び第2の電気接点3bは、好ましい実施形態では別個のものとして示されているが、技術的には同じ要素内で一致することもできる。
【0041】
バリスタ保護電極3の第1の電気接点3a及び第2の電気接点3bは、同じ電位にある。しかしながら、以下でさらに説明するように、アレスタの通常動作では、入口10aに設けられた電気的分離が電流回路を遮断するため、第1の電気接点3aはアクティブであり、一方、第2の電気接点3bは絶縁されている。
【0042】
図に明確に示されているように、2つの分岐導体11a及び11bは、ラメラスタックに隣接する漏斗状表面を画定する導電性ラメラの形態である。この構成は、消滅チャンバの入口10aに形成される電気アークを、アークが脱イオン化されて消滅されるラメラのスタックに向かって自然に搬送するのに適している。2つの分岐導体11a及び11bは、リブ及び当接要素に適切に係合することによって、ハウジングCの本体に独立して取り付けられる。2つの分岐導体11aと11bとの間には、磁性板が設けられている場合に効果的な電気絶縁を確実にするために、絶縁材料の薄いシートの設置を設けることができる。
【0043】
図2Bに明確に示されているように、分岐導管10の入口10aは、2つの分岐導体11a及び11bの端部によって短い距離だけ延在する。これらの2つの端部は、十分な絶縁を確立するが、その後に消滅チャンバ内に搬送される電気アークをそれらの間に捕捉するように、約2mmの距離で平行に配置される。
【0044】
図示の好ましい実施形態によれば、分岐導体11bは、第1の電気接点3aの隣に位置する保護電極の第2の電気接点3bに接合される。
【0045】
この構成では、図で明確に強調されているように、収束導管10の入口セクション10aは、バリスタ保護電極の電気接点3aの近くで、バリスタ3とスライダ6の案内スライドチャンバとの間に配置され、したがって、電気接点3aの存在のために使用されない空間を利用する。この位置決めは、断路器の構成要素における消滅チャンバCIの特定の統合を判定し、ハウジングCの全長を短縮するのに役立つ。
【0046】
本発明によれば、入口10aの開口が、電気接点3aのホスティングチャンバをスライダ6の案内スライドチャンバと流体連通させる開口7と流体連通し、好ましくは開口7に近接して配置されることに留意されたい。本発明のこの特徴的な特徴は、薄板4の欠損時にトリガされるスライダ6の移動を発生させて、回路の開放時に発生するプラズマ及び電気アークを消滅チャンバCIの入口10aの内部に能動的に押し込むようにする。
【0047】
すなわち、本発明によるアレスタでは、断路器スライダ6は、先行技術のいくつかの解決策で提供されるような他の可動接点を使用する必要なしに、消滅チャンバCI内にアークを迅速に押し込むために有利に使用され、消滅による介入を非常に迅速かつ効果的にする。
【0048】
アレスタの例示的な動作は、実際には以下の通りである。
【0049】
通常の状態では、バリスタは、端子1で受領された電圧ピークを接地に向けて放電し、極端な電流過渡を電気接点3a、薄板4、延長導体5、及び端子2に通過させる。第2の電気接点3bは非アクティブであり、いかなる機能も実行しない。
【0050】
重要な電流が第1の電気接点3aを通過するように導く関連する短絡が発生すると、発生した熱は、薄板4の昇華、したがって一次回路の開放をもたらす。したがって、第1の電気接点3aと薄板4の残りのベース部分との間に電気アークが生成される。スライダ6は、ばね8によって解放されるとともに押され、移動して電気アークを妨げる働きをする。同時に、スライダ6はプランジャとして作用し、プラズマを案内スライドチャンバから開口7を通って消滅チャンバCIの入口10aに向かって押す圧力波面を生成する。そして、電気アークは、入口10aの2つの導体上を容易に搬送され、その後、分岐導管10内に搬送され、消滅チャンバの薄板のスタック内で消滅される。
【0051】
この種の介入は、電流強度が数十kAを超える場合であっても、電気アークを迅速に消滅させるのに極めて効果的であることが証明されており、したがって、高温及び高圧がハウジングCの内部に発生するのを防止する。
【0052】
上記の説明からよく理解されるように、本発明の構成は、次いで、導電性薄板の昇華に起因するある量の導電性プラズマを発生させる高い短絡電流の存在下であっても、断路装置による電気アークの安全な消滅に極めて効果的である。
【0053】
分岐導管10の入口セクション10aがスライダ案内スライドチャンバと電気接点3aのハウジングチャンバとの間に配置されるという事実は、構成要素間の特定の統合を達成し、装置の全体サイズに対する消滅チャンバの影響を低減する。
【0054】
さらに、可動スライダ6の存在は、可動接点に頼る必要なしに消滅チャンバ内の電気アークを効果的に押す圧力波面を判定することを可能にする。
【0055】
しかしながら、本発明は、その純粋に例示的な実施形態を表す上記の特定の構成によって限定されると見なされるべきではなく、アレスタの内部又は外部にかかわらず、ある範囲の変形形態が可能であり、これらのすべてが、添付の特許請求の範囲によって規定されるように、本発明自体の保護の範囲から逸脱することなく、当業者の知識の内にあることが理解される。
【0056】
例えば、上述した装置は、配電システムの予想される短絡電流(Isc)がアレスタの切断装置の自己消滅追従電流(Ifi)よりも大きい場合に必要な任意の過電流リミッタに準拠するサイズであるが、これは強制的ではない。
【0057】
また、上述のような断線装置(断路器)は、専用の筐体内に配置し、独立した短絡ブレーキング装置として使用することもできる。
【国際調査報告】