(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-01
(54)【発明の名称】レーザ加工システム用の混合ノズル
(51)【国際特許分類】
B23K 26/142 20140101AFI20241025BHJP
【FI】
B23K26/142
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527141
(86)(22)【出願日】2022-11-08
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 US2022049312
(87)【国際公開番号】W WO2023081525
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500036037
【氏名又は名称】ハイパーサーム インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】524170496
【氏名又は名称】エムシー マシナリー システムズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MC MACHINERY SYSTEMS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ウッズ、ケネス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】メリウス、ブレンダ
(72)【発明者】
【氏名】ヒラノ、タカユキ
(72)【発明者】
【氏名】コンロイ、ライアン
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト、ヘンリー
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AD07
4E168FA01
4E168FA05
4E168FB02
4E168FB03
4E168FB05
(57)【要約】
レーザ加工ヘッド用のノズルが提供される。ノズルは、ノズルの本体内に配置された一次通路を含む。一次通路は、レーザビームおよび一次流体を本体の近位端から本体の遠位端に導くように構成される。また、ノズルは、ノズルの本体内に配置されるとともに、一次通路の長手方向軸から半径方向にオフセットされた少なくとも1つの補助通路の組を含む。補助通路の遠位部分は、(i)補助流体の第1の部分をノズルの本体の遠位端に向かって軸方向に順方向に導くように構成された第1の流体通路と、(ii)補助流体の第2の部分を半径方向内側に導いて、一次通路内の一次流体と混合するように構成された第2の流体通路とを含む2つの流体通路に分岐している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピースを加工するためのレーザ加工ヘッド用のノズルであって、
前記ノズルの本体内に配置された一次通路であって、前記ワークピースを加工するために前記本体の近位端から前記本体の遠位端にレーザビームおよび一次流体を導くように構成された前記一次通路と、
前記ノズルの前記本体内に配置されるとともに、前記一次通路の長手方向軸から半径方向にオフセットされた少なくとも1つの補助通路の組と、を備え、前記少なくとも1つの補助通路の遠位部分は2つの流体通路に分岐しており、前記2つの流体通路は、
前記ノズルの前記本体の前記遠位端に向かって軸方向に順方向に補助流体の第1の部分を導いて、前記一次通路から出る前記レーザビームを実質的に覆うように構成された第1の流体通路と、
前記補助流体の第2の部分を半径方向内側に導いて、前記一次通路内の前記一次流体と混合するように構成された第2の流体通路と、を含む、ノズル。
【請求項2】
(i)前記第1の流体通路は、前記補助流体の前記第1の部分を前記本体の前記遠位端に向かって順方向に導き、(ii)前記第2の流体通路は、前記補助流体の前記第2の部分を前記本体の前記近位端に向かって実質的に逆方向に導く、請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
前記第2の流体通路は、前記第1の流体通路に対して約15度から約75度の間で角度が付けられている、請求項1に記載のノズル。
【請求項4】
前記少なくとも1つの補助通路の組は、前記ノズルの前記本体内の前記一次通路の周りに円周方向に配置された少なくとも3つの別個の補助通路を含む、請求項1に記載のノズル。
【請求項5】
前記少なくとも1つの補助通路は、矩形の断面を有する、請求項1に記載のノズル。
【請求項6】
前記一次通路から外側に延在して、前記一次通路を大気に流体接続する少なくとも1つのベント通路の組をさらに備える、請求項1に記載のノズル。
【請求項7】
前記少なくとも1つのベント通路は、前記一次通路または前記少なくとも1つの補助通路の前記第1の流体通路のうちの少なくとも1つに対して実質的に垂直に配向されている、請求項6に記載のノズル。
【請求項8】
前記少なくとも1つのベント通路は、前記第2の流体通路に対して軸方向に遠位の位置にある、請求項6に記載のノズル。
【請求項9】
前記少なくとも1つのベント通路は、前記第1の流体通路から流体的に隔離されている、請求項6に記載のノズル。
【請求項10】
前記ノズルは、内側本体および外側本体を含むダブルノズルであり、(i)前記内側本体は、前記第2の流体通路を含んでおり、(ii)前記外側本体は、前記内側本体と協働して前記第1の流体通路を形成している、請求項1に記載のノズル。
【請求項11】
前記ノズルは、前記内側本体内に配置されたインサートを更に含むトリプルノズルである、請求項10に記載のノズル。
【請求項12】
前記一次流体および前記補助流体は、ガスである、請求項1に記載のノズル。
【請求項13】
前記一次通路は、0.78mm
2~19.6mm
2の断面積を有しており、前記補助通路は、5.5mm
2~40mm
2の断面積を有している、請求項1に記載のノズル。
【請求項14】
前記一次通路の断面積の前記補助通路の断面積に対する比は、約8未満である、請求項1に記載のノズル。
【請求項15】
前記ノズルの前記本体の前記近位端に近接して前記一次通路内に配置されたインサートをさらに備える、請求項1に記載のノズル。
【請求項16】
前記インサートは、少なくとも1つの脚部と、内側オリフィスと、前記内側オリフィスの周りに配置された1組のシャワー孔とを含む、請求項15に記載のノズル。
【請求項17】
前記インサートの前記内側オリフィスと前記ノズルの出口オリフィスとの間の前記一次通路内に配置された混合チャンバをさらに備え、前記混合チャンバは、前記補助通路の前記第1の流体通路と流体連通している、請求項16に記載のノズル。
【請求項18】
前記混合チャンバと前記出口オリフィスとの間に配置されたベントチャンバをさらに備え、前記ベントチャンバは、前記混合チャンバの容積よりも小さい容積を有している、請求項18に記載のノズル。
【請求項19】
レーザ加工システムのレーザ加工ヘッド用のノズル内で少なくとも2つの流体を混合する方法であって、
一次流体を、前記ノズルの本体内に配置された一次通路を通して前記本体の近位端から遠位端まで軸方向に順方向に導くステップと、
前記ノズルの前記本体に配置された少なくとも1つの補助通路に補助流体を供給するステップであって、前記補助通路の遠位部分は、第1の流体通路と第2の流体通路とに分岐するように構成されている、前記補助流体を供給するステップと、
前記補助流体の第1の部分を、前記補助通路の前記第1の流体通路を通って前記ノズルの前記本体の前記遠位端に向かって軸方向に順方向に導くステップと、
前記補助流体の第2の部分を、前記補助通路の前記第2の流体通路を通って前記一次通路内の前記一次流体に向かって内側に導くステップと、
前記補助流体の前記第2の部分を前記一次通路内の前記一次流体と混合して、混合加工流体を生成するステップと、を含む方法。
【請求項20】
前記一次通路を通してレーザビームを軸方向に順方向に導くステップと、
前記ノズルの前記遠位端において前記一次通路から前記混合加工流体と共に前記レーザビームを放射するステップと、をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ノズルの前記遠位端で前記補助通路の前記第1の流体通路から前記補助流体の前記第1の部分を噴射して、前記レーザビームが前記一次通路から出るときに前記レーザビームを実質的に覆うステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記補助流体の前記第2の部分を内側に導くステップは、前記第2の部分を、前記一次通路内の前記一次流体の方向とは実質的に軸方向に反対側の方向に沿って導くことを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記第2の流体通路は、前記第1の流体通路に対して約15度から約75度の間で角度が付けられている、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記一次流体は、前記ノズルの前記近位端から前記一次通路に進入するときに、約60ポンド/平方インチ(psi)(413.69kPa)~約300psi(2068.43kPa)の圧力を有している、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記補助流体は、前記ノズルの前記近位端から前記補助通路に進入するときに、約30psi(413.69kPa)~約300psi(2068.43kPa)の圧力を有している、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記混合加工流体の一部を、前記ノズルの前記本体内に配置された少なくとも1つの半径方向ベント通路を介して大気に排出するステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
排出された前記混合加工流体の一部は、前記第1の流体通路内の前記補助流体の前記第1の部分から流体的に隔離されている、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記一次流体を前記補助流体の前記第2の部分と混合する前に、前記一次流体を狭窄するステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
前記混合加工流体を前記一次通路から排出する前に、前記混合加工流体を狭窄するステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項30】
前記一次流体および前記補助流体は、ガスである、請求項19に記載の方法。
【請求項31】
ワークピースを加工するためのレーザ加工ヘッド用のノズルであって、
前記ノズルの本体内に配置された一次通路であって、前記ワークピースを加工するために前記本体の近位端から前記本体の遠位端にレーザビームおよび一次流体を導くように構成された前記一次通路と、
前記ノズルの前記本体内に配置された少なくとも1つの補助通路の組であって、前記少なくとも1つの補助通路の遠位部分は、2つの流体通路に分岐するように構成され、前記2つの流体通路は、
前記ノズルの前記本体の前記遠位端に向かって軸方向に順方向に補助流体の第1の部分を導いて、前記一次通路から出る前記レーザビームを実質的に覆うように構成された第1の流体通路と、
前記補助流体の第2の部分を前記一次通路に向かって導いて、前記一次通路内の前記一次流体と混合するように構成された第2の流体通路と、を含む、前記少なくとも1つの補助通路の組と、
前記一次通路から外側に延在して、前記一次通路を大気に流体接続する少なくとも1つのベント通路の組と、を備えるノズル。
【請求項32】
前記第2の流体通路は、前記補助流体の前記第2の部分を前記一次通路に向かって内側に、かつ前記第1の流体通路の前記順方向とは軸方向に反対側の方向に導くよう構成されている、請求項31に記載のノズル。
【請求項33】
前記第2の流体通路は、前記第1の流体通路に対して約15度から約75度の間で角度が付けられている、請求項31に記載のノズル。
【請求項34】
前記少なくとも1つのベント通路は、前記一次通路に対して実質的に垂直に配向されている、請求項31に記載のノズル。
【請求項35】
前記少なくとも1つのベント通路は、前記第1の流体通路から流体的に隔離されている、請求項31に記載のノズル。
【請求項36】
レーザ加工システムのレーザ加工ヘッド用のノズル内で少なくとも2つの流体を混合する方法であって、
一次流体を、前記ノズルの本体内に配置された一次通路を通して前記本体の近位端から遠位端まで軸方向に順方向に導くステップと、
補助流体を、前記ノズルの前記本体内に配置された少なくとも1つの補助通路内に供給するステップと、
前記補助流体の少なくとも一部を、前記補助通路によって前記一次通路内の前記一次流体に向かって内側に導くステップと、
前記補助流体の前記少なくとも一部を、前記一次通路内の前記一次流体と混合して混合加工流体を生成するステップと、を含む方法。
【請求項37】
前記補助通路の遠位部分は、第1の流体通路および第2の流体通路に分岐するように構成されている、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記補助流体の第2の部分を、前記補助通路の前記第1の流体通路を通って前記ノズルの前記本体の前記遠位端に向かって軸方向に順方向に導くステップをさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記補助流体の前記少なくとも一部は、前記補助通路の前記第2の流体通路によって前記一次流体に向かって内側に導かれる、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記補助流体の前記少なくとも一部を内側に導くことは、前記少なくとも一部を、前記一次通路内の前記一次流体の方向とは実質的に軸方向に反対側の方向に沿って導くことを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記第2の流体通路は、前記第1の流体通路に対して約15度から約75度の間で角度が付けられている、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
ワークピースを加工するためのレーザ加工ヘッド用のノズルであって、
本体と、
前記本体内に配置された一次通路であって、レーザビームおよび一次流体を前記本体の近位端から前記本体の遠位端に導くように構成された前記一次通路と、
前記本体内に配置された少なくとも1つの補助通路であって、前記少なくとも1つの補助通路は、補助流体の少なくとも一部を前記一次流体の経路に導いて、前記補助流体の一部を前記ノズルの本体内で前記一次流体と混合するように構成されている、前記少なくとも1つの補助通路と、を備えるノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、レーザ加工システム用の1つまたは複数のノズルの設計に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ加工システム、液体ジェット加工システムおよびプラズマアークトーチシステムを含む材料加工システムは、金属板などの材料の加工(例えば、加熱、切断、ガウジングおよびマーキング)に広く使用されている。レーザ加工システムは、一般的に、高出力レーザ、ガス流、光学系、およびコンピュータ制御数値システム(CNC)を含む。動作中、レーザ加工システムは、レーザビームをワークピースに制御可能に照射してワークピースを加工する際に、ガス流を使用して溶融材料をワークピースから吹き飛ばす。レーザ加工システムは、レーザビーム、ガス流、およびレーザノズルの幾何学的形状によって提供される制御の容易さに起因して、精密切断処理において頻繁に使用されている。
【0003】
レーザ加工システムでは、ガス流の流量プロファイルは、作動圧力およびノズルの幾何学的形状の物理的特性によって決定される。従来、ガス流は、空気、酸素、窒素、アルゴンなど、またはこれらのガスの2つ以上の混合物を含む。酸素および圧縮空気は、ガス流で使用するのに最も安価であるが、切断中にワークピースを酸化させる可能性があるため、化学的仕上げまたは研削などの切断後処理が必要となる。切断材料が酸化しやすい場合、ガス流に窒素またはアルゴンを使用することが有効であり得る。その理由は、窒素およびアルゴンは一般的に不活性であり、ワークピースが切断されているときにワークピースと反応しないからである。しかしながら、窒素およびアルゴンは、通常、非常に高い圧力および流量で取り扱われるため、酸素よりも使用するのに高価であり、従って、レーザ加工システムを運転するためのコストが増加する。
【0004】
レーザ加工システムのガス流の流量プロファイルを変更する1つの方法は、レーザ切断ノズルの周辺領域の速度プロファイルおよび圧力プロファイルを中央領域に比べて増加させることである。しかしながら、周辺領域と中央領域の両方が通常同じプレナムによって供給されるため、これは困難である。2つの領域に異なる圧力またはガスが供給される場合、ノズルとワークピースとの間の間隙は、特に間隙が小さい場合に、均一な静圧領域を形成することができるため、異なる供給パラメータの影響は最小限となる。さらに、ノズルの周辺領域と中央領域の圧力が異なる場合、ノズル内の低圧領域へのガスの逆流が生じることがあり、これはノズルに損傷を与えるスパッタが発生する可能性がある。これは、スパッタがノズルの中央領域を通って導かれる場合、光学レンズが損傷し、ノズルが閉塞することで、切断品質およびレーザ消耗品の全体的な寿命が低下する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、レーザ加工システムのガス流の圧力プロファイルおよび流速プロファイルの制御を改善して、所望の切断を実現することができるレーザ加工システムのノズルが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、いくつかの実施形態では、ノズル内で一次流体(例えば、ガス)を第2の流体(例えば、ガス)の一部と受動的に混合するように構成されたレーザ切断用途のためのノズルを提供する。結果として得られるノズル設計は、ノズル端面とワークピースとの間の領域におけるガス流の圧力プロファイルおよび流速プロファイルに対する制御を改善して、ワークピースにおける所望の切断を実現する。いくつかの実施形態では、本発明のノズルは、互いに独立した複数の流体通路(fluid flow passages)を形成し、その際、ガスの混合、圧力の変化、または両方を可能にする通気によって、これらの通路のうちの1つまたは複数が周囲環境に導入されるように構成される。これらの複数の通路により、切断変数のより優れた制御が可能になり、より低い作動コストで向上した切断品質を有する制御された切断が可能となる。
【0007】
一態様では、ワークピースを加工するためのレーザ加工ヘッド用のノズルが提供される。ノズルは、ノズルの本体内に配置された一次通路を含む。一次通路は、ワークピースを加工するために、レーザビームおよび一次流体を本体の近位端から本体の遠位端に導くように構成される。また、ノズルは、ノズルの本体内に配置されるとともに、一次通路の長手方向軸から半径方向にオフセットされた少なくとも1つの補助通路の組を含む。少なくとも1つの補助通路の遠位部分は、補助流体の第1の部分をノズルの本体の遠位端に向かって軸方向に順方向に導いて、一次通路から出るレーザビームを実質的に覆うように構成された第1の流体通路と、補助流体の第2の部分を半径方向内側に導いて、一次通路内の一次流体と混合するように構成された第2の流体通路とを含む2つの流体通路に分岐している。
【0008】
別の態様では、レーザ加工システムのレーザ加工ヘッド用のノズル内で少なくとも2つの流体を混合するための方法が提供される。方法は、一次流体を、ノズルの本体内に配置された一次通路を通して本体の近位端から遠位端まで軸方向に順方向に導くステップと、補助流体を、ノズルの本体内に配置された少なくとも1つの補助通路内に供給するステップとを含む。補助通路の遠位部分は、第1の流体通路および第2の流体通路に分岐するように構成されている。方法はまた、補助流体の第1の部分を、補助通路の第1の流体通路を通ってノズルの本体の遠位端に向かって軸方向に順方向に導くステップと、補助流体の第2の部分を、補助通路の第2の流体通路を通って一次通路内の一次流体に向かって内側に導くステップと、補助流体の第2の部分を一次通路内の一次流体と混合して混合加工流体を生成するステップとを含む。
【0009】
さらに別の態様では、ワークピースを加工するためのレーザ加工ヘッド用のノズルが提供される。ノズルは、ノズルの本体内に配置された一次通路を含む。一次通路は、ワークピースを加工するために、レーザビームおよび一次流体を本体の近位端から本体の遠位端に導くように構成される。また、ノズルは、ノズルの本体内に配置された少なくとも1つの補助通路の組を含む。少なくとも1つの補助通路の遠位部分は、(i)補助流体の第1の部分をノズルの本体の遠位端に向かって軸方向に順方向に導いて、一次通路から出るレーザビームを実質的に覆うように構成された第1の流体通路と、(ii)補助流体の第1の部分をノズルの本体の遠位端に向かって軸方向に順方向に導いて、一次通路から出るレーザビームを実質的に覆うように構成された第1の流体通路とを含む2つの流体通路に分岐するように構成される。また、ノズルは、一次通路から外側に延在して、一次通路を大気に流体接続する少なくとも1つのベント通路の組を含む。
【0010】
上記の態様のいずれも、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の流体通路は、補助流体の第1の部分を本体の遠位端に向かって順方向に導き、第2の流体通路は、補助流体の第2の部分を本体の近位端に向かって部分的にまたは実質的に逆方向に(例えば、一次通路内の一次流体の方向とは実質的に軸方向に反対側に)導く。いくつかの実施形態では、第2の流体通路は、第1の流体通路に対して約15度~約75度の間で角度が付けられている。いくつかの実施形態では、一次流体および補助流体は、ガスである。
【0011】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの補助通路の組は、ノズルの本体内の一次通路の周りに円周方向に配置された少なくとも3つの別個の補助通路を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの補助通路は、矩形の断面を有する。いくつかの実施形態では、一次通路は、0.78mm2~19.6mm2の断面積を有しており、補助通路は、5.5mm2~40mm2の断面積を有している。いくつかの実施形態では、一次通路の断面積の補助通路の断面積に対する比は、約8未満である。
【0012】
いくつかの実施形態では、一次通路から外側に延在して、一次通路を大気に流体接続する少なくとも1つのベント通路の組が設けられている。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのベント通路は、一次通路または少なくとも1つの補助通路の第1の流体通路のうちの少なくとも1つに対して実質的に垂直に配向されている。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのベント通路は、第2の流体通路に対して軸方向に遠位の位置にある。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのベント通路は、第1の流体通路から流体的に隔離されている。
【0013】
いくつかの実施形態では、ノズルは、内側本体および外側本体を含むダブルノズルであり、(i)内側本体は、第2の流体通路を含んでおり、(ii)外側本体は、内側本体と協働して第1の流体通路を形成している。いくつかの実施形態では、ノズルは、内側本体内に配置されたインサートをさらに備えるトリプルノズルである。いくつかの実施形態では、インサートは、ノズルの本体の近位端に近接して一次通路内に配置されている。いくつかの実施形態では、インサートは、少なくとも1つの脚部と、内側オリフィスと、内側オリフィスの周りに配置されたシャワー孔の組とを備える。いくつかの実施形態では、混合チャンバは、インサートの内側オリフィスとノズルの出口オリフィスとの間の一次通路内に配置されている。混合チャンバは、補助通路の第1の流体通路と流体連通している。いくつかの実施形態では、ベントチャンバが、混合チャンバと出口オリフィスとの間に配置されており、ベントチャンバは、混合チャンバの容積よりも小さい容積を有している。
【0014】
いくつかの実施形態では、レーザビームは、一次通路を通って軸方向に順方向に導かれ、レーザビームは、ノズルの遠位端で一次通路から混合加工流体とともに放射される。いくつかの実施形態では、補助流体の第1の部分は、ノズルの遠位端で補助通路の第1の流路から噴射されて、レーザビームが一次通路から出るときにレーザビームを実質的に覆う。
【0015】
いくつかの実施形態では、一次流体は、ノズルの近位端から一次通路に進入するときに、約60ポンド/平方インチ(psi)(413.69kPa)~約300psi(2068.43kPa)の圧力を有する。いくつかの実施形態では、補助流体は、ノズルの近位端から補助通路に進入するときに、約30psi(413.69kPa)~約300psi(2068.43kPa)の圧力を有している。
【0016】
いくつかの実施形態では、一次流体は、一次流体を補助流体の第2の部分と混合する前に狭窄される(constricted)。いくつかの実施形態では、混合加工流体は、一次通路から混合加工流体を排出する前に狭窄される。
【0017】
さらに別の態様では、レーザ加工システムのレーザ加工ヘッド用のノズル内で少なくとも2つの流体を混合するための方法が提供される。方法は、一次流体を、ノズルの本体内に配置された一次通路を通して本体の近位端から遠位端まで軸方向に順方向に導くステップと、補助流体をノズルの本体内に配置された少なくとも1つの補助通路内に供給するステップと、補助流体の少なくとも一部を、補助通路によって一次通路内の一次流体に向かって内側に導くステップと、補助流体の少なくとも一部を一次通路内の一次流体と混合して混合加工流体を生成するステップとを含む。
【0018】
さらに別の態様では、ワークピースを加工するためのレーザ加工ヘッド用のノズルが提供される。ノズルは、本体と、本体内に配置された一次通路と、本体内に配置された少なくとも1つの補助通路とを含む。一次通路は、レーザビームおよび一次流体を本体の近位端から本体の遠位端に導くように構成される。少なくとも1つの補助通路は、補助流体の少なくとも一部を一次流体の経路に向かって導いて、補助流体の一部をノズルの本体内で一次流体と混合するように構成される。
【0019】
いくつかの実施形態では、補助通路の遠位部分は、第1の流体通路および第2の流体通路に分岐するように構成されている。いくつかの実施形態では、補助流体の第2の部分は、補助通路の第1の流体通路を通ってノズル本体の遠位端に向かって軸方向に順方向に導かれる。いくつかの実施形態では、補助流体の少なくとも一部は、補助通路の第2の流体通路によって一次流体に向かって内側に導かれる。
【0020】
いくつかの実施形態では、補助流体の少なくとも一部を内側に導くことは、少なくとも一部を、一次通路内の一次流体の方向とは実質的に軸方向に反対側の方向に沿って導くことを含む。いくつかの実施形態では、第2の流体通路は、第1の流体通路に対して約15度~約75度の間で角度が付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
上述した本発明の利点は、さらなる利点とともに、添付の図面と併せて以下の説明を参照することによって、よりよく理解され得る。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、その代わりに、全体的に本発明の原理を説明することに重点が置かれている。
【
図1】本発明のいくつかの実施形態による、レーザ加工システム用の例示的なノズルの側断面図である。
【
図2】本発明のいくつかの実施形態による、
図1のノズルの別角度から見た側断面図である。
【
図3a-3b】本発明のいくつかの実施形態による、ノズルの長手方向軸Aに垂直な様々な平面で切り取った
図1および
図2のノズルの平面断面図である。
【
図3c-3d】本発明のいくつかの実施形態による、ノズルの長手方向軸Aに垂直な様々な平面で切り取った
図1および
図2のノズルの平面断面図である。
【
図4】本発明のいくつかの実施形態による、
図1および
図2のノズルを通る一次流体および二次流体/補助流体の例示的な流れパターンを示す図である。
【
図5】本発明のいくつかの実施形態による、
図1および
図2のノズル内で一次流体および補助流体を混合するための例示的な方法を示す図である。
【
図6a】本発明のいくつかの実施形態による、レーザ切断処理中の
図1および
図2のノズル100内の例示的な圧力プロファイル600を示す図である。
【
図6b】本発明のいくつかの実施形態による、レーザ切断処理中の
図1および
図2のノズル100内の例示的な圧力プロファイル600の調整されたバージョンを示す図である。
【
図7】本発明のいくつかの実施形態による、レーザ切断処理中の
図1および
図2のノズルの例示的な数値流体力学(CFD)圧力プロファイルを示す図である。
【
図8】本発明のいくつかの実施形態による、レーザ加工システム用の別の例示的なノズルの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明のいくつかの実施形態による、レーザ加工システム用の例示的なノズル100の側断面図を示す。図示されているように、ノズル100は、本体の中心長手方向軸Aに沿って近位端102および遠位端104を有する本体を備え、遠位端104は、レーザ加工システムの作動中にワークピース126に最も近い端部として定義され、近位端102は、長手方向軸Aに沿って遠位端104とは反対側にある。
【0023】
一次通路106は、ノズル100の本体内に配置されるとともに、ノズル本体の近位端102における近位開口部107とノズル本体の遠位端104における遠位開口部109との間で中心長手方向軸Aに沿って実質的に延在する。一次通路106は、その近位開口部107を介して一次流体(例えば、ガス、液体、または両方の混合物)を受け取り、その遠位開口部109を介して、一次流体と少なくとも1つの補助流体との混合物と共にレーザビームを、ワークピース126を加工するためにワークピース126(例えば、金属)に送出するように構成されている。いくつかの実施形態では、内部混合チャンバ112は、一次通路106の近位開口部107と遠位開口部109との間の一次通路106に沿って配置されている。
【0024】
図示されているように、少なくとも1つの補助通路108の組がノズル100の本体内に配置され、各補助通路108は、一次通路106の長手方向軸から半径方向にオフセットされた近位開口部110を有する。各補助通路108は、ワークピース126を加工するための補助流体(例えば、ガス、液体、または両方の混合物)をノズル100を通るように導くように構成される。いくつかの実施形態では、各補助通路108は、一次通路106を実質的に取り囲むようにノズル本体内に配置された円周方向補助流体チャンバ150と流体連通している。円周方向補助流体チャンバ150は、1つまたは複数の補助通路108の組から補助流体を受け取り、1つまたは複数の順方向補助通路108aの組と1つまたは複数の逆方向補助通路108bの組との間で補助流体を分流する(split)ように構成される。従って、各補助通路108の遠位部分は、一組の順方向流体通路108aのうちの少なくとも1つおよび一組の逆方向流体通路108bのうちの少なくとも1つに分岐する。
【0025】
各順方向補助通路108aは、(補助通路(単数または複数)108から受け取った)補助流体の一部をノズル100の本体の遠位端104に向かって軸方向に順方向に導くように構成されている。順方向補助通路(単数または複数)108aは、ノズル本体の遠位端104にある個々の遠位開口部111を介してノズル100から補助流体を噴射して、一次通路106の遠位開口部109を介して一次通路106から出るレーザビームおよび混合流体を実質的に覆う(shroud)ことができる。
【0026】
各逆方向補助通路108bは、(逆方向補助通路108bを一組の主補助通路108および一組の順方向補助通路108aと流体接続する)円周方向補助流体チャンバ150と流体連通する入口120と、一次通路106の混合チャンバ112と流体連通する出口122とを有する。各逆方向補助通路108bは、(補助通路(単数または複数)108から受け取った)補助流体の別の部分を半径方向内側に導いて、一次通路106の混合チャンバ112内で一次流体と混合するように構成される。
【0027】
いくつかの実施形態では、一次通路106の混合チャンバ112は、円周方向補助流体チャンバ150に対して軸方向に近位に位置し、その位置で、主補助通路108は、順方向補助通路108aおよび逆方向補助通路108bに分かれる。従って、各逆方向補助通路108bは、補助流体を一次通路106に向かって内側に導きながら、一次通路106内の流体の流れに対して実質的に逆方向/反対方向に補助流体を混合チャンバ112に導くように構成され得る。いくつかの実施形態では、各逆方向補助通路108bは、順方向補助通路108aに対して約0度から約90度の間、例えば、約15度から約75度の間の角度113(
図1の挿入図として示されている)を維持する。逆方向補助通路108bのこのような逆流形状は、ノズル100内に存在する限られた空間を考慮すると、混合チャンバ112内の一次流体と補助流体との混合特性を向上させることができるので有利である。いくつかの実施形態では、各逆方向補助通路108bを通る逆流は、一次通路106の近位開口部107および/または各補助通路108の近位開口部110における相対的な流体圧力を操作することによって実現される。いくつかの実施形態では、ノズル100内の全ての補助通路108における近位開口部110の合計面積は、逆方向補助通路108bの入口120の合計面積よりも大きくすることができ、それにより、主補助通路108の流体流が順方向補助通路108aおよび逆方向補助通路108bの両方に補助流体を十分に供給することが可能になる。
【0028】
いくつかの実施形態では、混合チャンバ112は、一次通路106の近位開口部107から受け取った一次流体と、逆方向補助通路(単数または複数)108bの組から受け取った補助流体とを実質的に混合して、混合流体を生成するように構成される。混合流体は、続いて、一次通路106を通って遠位に流れる際に狭窄され、一次通路106の遠位開口部109を介してノズル100から(レーザビームとともに)噴射されて、ワークピース126に接触し加工する。いくつかの実施形態では、混合チャンバ112内での一次流体と補助流体との混合は、レーザ加工システムの切断ヘッドの内部で、ワークピース126に近接するノズルボア145から2フィート(60.96センチメートル)以内で行われる。
【0029】
いくつかの実施形態では、2つの別個の流体供給ライン114、116は、一次通路106の近位開口部107および1つまたは複数の補助通路108の組の近位開口部110の個々と流体連通して、2つの別個の流体(例えば、ガス)をノズル100内の各タイプの通路に送達する。より具体的には、流体供給ライン114は、近位開口部107を介して一次流体を一次通路106に供給することができる。流体供給ライン116は、個々の近位開口部110を介して1つまたは複数の補助通路108の組に補助流体を供給することができる。いくつかの実施形態では、一次流体および補助流体の一方または両方は、ガスである。例示的な一次流体には、窒素、酸素、空気、アルゴン、メタン、水素などが含まれる。一次流体および補助流体は、同じであっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、流体供給ライン114、116は、圧力、流速および/または流量などの独立したフローパラメータを有する流体流を提供するように独立して制御される。一例として、供給ライン114は、近位開口部107を介して一次通路106に進入するときに、約60ポンド/平方インチ(psi)(413.69kPa)~約300psi(2068.43kPa)の圧力で一次流体を供給することができる。供給ライン116は、個々の近位開口部110を介して1つまたは複数の補助通路108の組に進入するときに、約30ポンド/平方インチ(psi)(206.84kPa)~約300psi(2068.43kPa)の圧力で補助流体を供給することができる。上述したように、ノズル100は、レーザ加工システムによる所望の切断処理を実現するために、(例えば、一次通路106の混合チャンバ112において)これらの流体を適切な濃度で混合するように構成することができる。いくつかの実施形態では、補助通路108a、108bおよび一次通路106のうちの1つまたは複数は、ノズル100の近位端102と遠位端104との間など、ノズル100を通る流体の流れの圧力降下を誘発し、かつ/または流体の流れの特性(例えば、圧力値、流量など)を調整するように成形されている。
【0030】
いくつかの実施形態では、補助通路108a、108bおよび一次通路106のうちの1つまたは複数は、一次通路106の遠位開口部109から上流に位置する1つまたは複数のベント通路124を介して周囲環境と連通している(例えば、ノズルアセンブリ100の外側の空気と接触している)。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のベント通路124の組は、順方向補助通路(単数または複数)108aとの直接的な相互作用から隔離されている。さらに、ベント通路124は、一次通路106および補助通路108a、108bに同じかまたは異なる流体が同じかまたは異なる作動パラメータ(例えば、作動圧力)で供給されるときに、一次通路106および補助通路108a、108bの静圧、流量、および/または混合物濃度などの1つまたは複数の特性を制御することができる。
【0031】
図1は、一次通路106をノズル100の外部の環境(例えば、大気)に流体接続するために一次通路106から外側に延在する少なくとも1つのベント通路124の組を含むノズル100の例示的な構成を示す。これにより、以下により詳細に説明するように、ノズル100とワークピース126との間の圧力がゼロになる傾向があっても、一次通路106内の流体流の圧力を正に維持することが可能となる。図示されるように、各ベント通路124は、一次通路106のベントチャンバ128に接続されるとともに、ベントチャンバ128から外側に延在することができ、ベントチャンバ128は、混合チャンバ112(および逆方向補助通路108bの組)に対して遠位に位置しているが、一次通路106の遠位開口部109の近位に位置している。また、各ベント通路124は、混合チャンバ112および/または逆方向補助通路108bに対して軸方向に遠位に(即ち、下流に)配置することができる。いくつかの実施形態では、ベントチャンバ128は、混合チャンバ112の容積よりも小さい容積を有する。各ベント通路124は、一次通路106または順方向補助通路108a(両方とも長手方向軸Aに対して実質的に平行に延在し得る)のうちの少なくとも1つに対して実質的に垂直に配向され得る。
図1のベント通路124は、長手方向軸Aに対して垂直に突出して示されているが、これらのベント通路124はまた、長手方向軸Aに対して傾斜するか、または角度を付けることができる。いくつかの実施形態では、これらのベント通路124は、図示されているように逆方向補助通路(単数または複数)108bに対して軸方向に遠位にではなく、逆方向補助通路108bに対して軸方向に近位に配置される。
【0032】
いくつかの実施形態では、各ベント通路124は、順方向補助通路108aから流体的に隔離され/分離され、一次通路106および/または逆方向補助通路108bのみが周囲環境と連通することを可能にすることができる。
図2は、本発明のいくつかの実施形態による、
図1のノズル100の別の側断面図を示す。
図1および
図2は、共に、同じベント式ノズル100の2つの透視断面図を示し、
図2は、長手方向軸Aを中心にベント通路124がない位置まで回転している。回転角は、
図1から
図2まで約22.5度である。
図2は、順方向補助通路108aがベント通路124と流体連通していないことを明確に示している。しかしながら、代替的な実施形態では、ベント通路124は、一次通路106に加えて、または一次通路106の代わりに、順方向補助流路108aから延在するか、または突出することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、
図1および
図2のノズル100は、インサート130と、内側本体132と、外側本体134とからなるトリプルノズルである。3つの層は、インサート130が実質的に内側本体132の内側に配置され、それらの組み合わせが実質的に外側本体134の内側に配置された状態で、同心円状に入れ子にすることができる。いくつかの実施形態では、インサート130は、角度137で内側に配向された少なくとも1つの脚部136と、内側オリフィス138とを備える。いくつかの実施形態では、インサート130は、内側オリフィス138の周りに配置された1組のシャワー孔(図示せず)をさらに含む。インサート130は、ノズル100の近位端102に近接して一次通路106内に配置することができる。また、混合チャンバ112は、インサート130の内側オリフィス138と一次通路106の遠位開口部109との間の一次通路106内に配置されている。いくつかの実施形態では、内側本体132は、一次通路106の少なくとも一部を形成する。いくつかの実施形態では、逆方向補助通路108bは、各逆方向補助通路108bが内側本体132の内面から外面まで延在するように、内側本体132に配置される。いくつかの実施形態では、内側本体132および外側本体134は、それらの間に順方向補助通路108aを協働して形成している。いくつかの実施形態では、ノズル100は、インサート130が除去されたダブルノズルとして構成されており、従って、内側本体132および外側本体134のみを備える。いくつかの実施形態では、3Dプリンティングなどの高度な製造方法が、同様の幾何学的形状および幾何学的特徴を単一ピース構造で実現するために利用される。いくつかの実施形態では、
図2に示すように、ノズル100は、ノズルボア145に対する最適化された位置合わせを可能にするために、ノズル100の本体上に設置位置合わせ基準を示すための位置合わせ特徴部155を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、ベント通路124は、ノズル100の二重設計または三重設計に適合している。ベント通路124は、ノズル100とワークピース126との間の距離が変化する際に、内側ノズル本体132および外側ノズル本体134の大きさ、圧力、およびより均一な流れに対する設計に実質的により大きな設計領域を与えることを可能にする。いくつかの実施形態では、ベント通路124は、ノズルからワークピースまでの距離がゼロに近づいても、ノズル100内で流体流の速度が正であることを可能にする。圧力を正圧に保つためには、ノズル100に供給される流体の全体量(例えば、一次流体と二次流体の組み合わせ)をより多くする必要があり、流体供給の増加は、より安価な流体を使用して補助通路108に供給される補助流体によって提供することができる。加えて、ベント通路124は、ノズル100の遠位端104とワークピース126との間の間隙距離が減少するにつれて、流路内の負の軸方向圧力勾配を防止することに役立つ。負の軸方向圧力勾配は、一般に、流体を1つまたは複数の流路に逆流させ、材料スパッタをノズル100に付着させ、または流路を詰まらせ、さらに悪いことに、レーザ光学部品を汚染し、レーザ光学部品の寿命および加工の安定性を大幅に減少させ得るため、望ましくない。
【0035】
図3a~
図3dは、本発明のいくつかの実施形態による、ノズル100の長手方向軸Aに垂直な様々な平面で切り取った
図1および
図2のノズル100の平面断面図を示す。
図1に示す半径方向平面D-D’で切り取ったノズル100の断面図である
図3aに示すように、ノズル100は、中央一次通路106の周りに円周方向に配置された16個の補助通路108を含むことができる。いくつかの実施形態では、一次通路106は、約0.78mm
2~約19.6mm
2の断面積を有する。いくつかの実施形態では、補助通路108の各々は、約0.55mm
2~約40mm
2の断面積を有する。いくつかの実施形態では、一次通路106の断面積の単一の補助通路108の断面積に対する比は、約8未満である。一例として、16個の補助通路108の各々の直径は、約1.5mmとすることができ、16個の補助通路の全ての合計面積は、約28.3mm
2(16*π*0.85mm*0.85mm)である。代替的な実施形態では、ノズル100は、3個、6個、または24個の補助通路108のような、より少ないか、またはより多い補助通路108を含むことができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、
図1に示される半径方向平面C-C’で切り取られたノズル100の断面図である
図3bに示されるように、ノズル100は、16個の主補助通路108にも接続される円周方向補助チャンバ150と流体連通する8個の逆方向補助通路108bを含むことができる。いくつかの実施形態では、各逆方向補助通路108bは、約1.2mmの直径を有しており、8個の逆方向補助通路108bの全ての合計面積は、約9mm
2(8*π*0.6mm*0.6mm)である。従って、
図3a~
図3dに示すノズル100の構成では、主補助通路108の合計面積は、逆方向補助通路108bの合計面積よりもはるかに大きい。代替的な実施形態では、ノズル100は、4個または16個の逆方向補助通路108bなど、より少ないか、またはより多い逆方向補助通路108bを含むことができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、
図1に示される半径方向平面B-B’で切り取られたノズル100の断面図である
図3cに示されるように、ノズル100は、一次通路106を大気に流体接続するために、一次通路106のベントチャンバ128から外側に延在する8個のベント通路124の組を含むことができる。一般に、一次流体および二次流体における所望の作動流速プロファイルおよび圧力プロファイルを達成するために必要な、異なる形状、異なる大きさ、または異なる間隔のより多くのベント通路124、またはより少ないベント通路124が存在し得る。図示されているように、ベント通路124は、順方向補助通路108aから流体的に隔離されている。
【0038】
いくつかの実施形態では、
図1に示す半径方向平面A-A’で切り取られたノズル100の断面図である
図3dに示されるように、ノズル100は、一次通路106の周りに分散された8個の順方向補助通路108aの組を含むことができる。代替的な実施形態では、ノズル100は、4個または16個の順方向補助通路108bなど、より少ないか、またはより多い順方向補助通路108aを含むことができる。
図3a~
図3dは、一次通路106、補助通路108、順方向補助通路108a、逆方向補助通路108b、およびベント通路124が円形の断面を有するものとして示されているが、代替実施形態では、これらの通路は、矩形の断面などの異なる断面形状を有することができる。
【0039】
図4は、本発明のいくつかの実施形態による、
図1および
図2のノズル100を通る一次流体および二次流体/補助流体の例示的なフローパターンを示す。
図5は、本発明のいくつかの実施形態による、
図1および
図2のノズル100内で一次流体および補助流体を混合するための例示的な方法500を示す。
図5の方法500は、
図4に示す流体フローパターンの状況で説明する。方法500のステップ502において、一次流体は、ノズル本体の近位端102に位置するノズル100の一次通路106の近位開口部107に導かれる。一次流体は、入力ライン114から供給することができる。一次流体は、一次通路106を通って一次通路106の混合チャンバ112に向かって軸方向に順方向に(
図4の経路402に沿って)流れるようになっている。ステップ504において、補助流体は、一次通路106の周りでノズル本体内に配置された1つまたは複数の補助通路108の組内の各補助通路108の近位開口部110に導かれる。補助流体は、一次入力ライン114から独立して制御可能かつ作動可能な入力ライン116から供給することができる。補助流体は、1つまたは複数の補助通路108の各々を通って円周方向補助流体チャンバ150に向かって軸方向に順方向に(
図4の経路404に沿って)流れるようになっている。円周方向補助流体チャンバ150に到達すると、1つまたは複数の補助通路108の組によって供給される補助流体は、順方向流体通路108aの組および1つまたは複数の逆方向流体通路108bの組に分岐/分流するようになっている。
【0040】
ステップ506において、補助通路108の組によって供給される補助流体の一部は、一次通路106の混合チャンバ112内の一次流体に向かって半径方向内側に(
図4の経路408に沿って)流れるように、逆方向流体通路108bの各々によって導かれる。例えば、逆方向補助通路108bは、一次通路106内の一次流体の流れの方向とは実質的に軸方向に反対側の方向に沿って(即ち、軸方向に逆に)、一次流体の経路内に半径方向内側に補助流体を導くことができる。ステップ508において、混合チャンバ112は、1つまたは複数の逆方向流体通路108bから受け取った補助流体の一部を一次通路106内の一次流体と混合して混合加工流体(
図4の混合物410)を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、一次通路106内の一次流体は、補助流体と混合される前に狭窄される。例えば、インサート130の内側オリフィス138は、一次流体が一次通路106に進入するときに、一次流体に対して狭窄を与えることができる。いくつかの実施形態では、混合加工流体は、レーザ加工システムのレーザビーム(図示せず)と共に、一次通路106を通って軸方向に順方向に(
図4の経路412に沿って)導かれる。混合加工流体とレーザビームとの組み合わせは、一次通路106の遠位開口部109を介して一次通路106から放出されて、ワークピース126を加工するためにワークピース126に到達することができる。いくつかの実施形態では、混合加工流体は、一次通路106から噴射される前に狭窄される。例えば、一次通路106の遠位開口部109に隣接する一次通路106内のノズルボア145を狭窄することにより、そのような狭窄を与えることができる。
【0041】
ステップ510において、補助通路108の組によって提供される補助流体の別の部分は、ノズル本体の遠位端104に向かって軸方向に順方向に(
図4の経路406に沿って)流れるように、順方向流体通路108aの各々によって導かれる。補助流体のこの部分は、順方向流体通路108aからそれらの個々の遠位開口部111を介して噴射されて、レーザビームおよび混合加工流体が一次通路106の遠位開口部109から出るときに、レーザビームおよび混合加工流体を実質的に覆うことができる(例えば、シュラウドまたはシールドガスとして)。
図4に示すように、順方向補助通路108a内の補助流体流の経路406は、一次通路106内の混合流体およびレーザビーム流の経路412に対して実質的に平行であり得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、一次通路106内の混合加工流体の一部は、混合流体が遠位開口部109を介してノズル100から噴射される前に、(
図4の経路414に沿って)1つまたは複数の半径方向ベント通路124の組を介して大気に排出される。各ベント通路124は、混合チャンバ112に対して遠位に位置する一次通路106のベントチャンバ128に接続されるとともに、ベントチャンバ128から外側に延在することができる。いくつかの実施形態では、排出される混合加工流体の一部は、順方向流体通路(単数または複数)108a内の補助流体から流体的に隔離されている。従って、経路406および414は、互いに流体的に隔離されている。
【0043】
一般に、ノズル100を通る(例えば、ベント通路124、順方向通路108a、および逆方向通路108bを通る)流体の流れ方向は、それらの個々の近位開口部107、111に提供される一次流体および補助流体の相対圧力、並びに相対的な幾何学的特徴(例えば、通路開口部の大きさ、数、位置、角度、誘導圧力低下など)に依存する。これらの作動パラメータおよび幾何学的特徴は、所望の切断結果を達成するように適宜制御および調整することができる。いくつかの実施形態では、ノズル100は、2つの流体(即ち、一次流体および補助流体)に関連して説明されているが、当業者は、ノズル100が、三次流体および/または四次流体、ならびにそれを超える流体等の付加的な流体の流れおよび混合に適応するように容易に設計することができることを理解し得る。種々の実施形態では、ノズル100によって混合される流体は、液体、ガス、または1つまたは複数のガスと1つまたは複数の液体との組み合わせ(例えば、霧状)とすることができる。いくつかの実施形態では、ノズル100は、同じ材料から構成される。代替的に、ノズル100は、所望の結果を達成するために複数の材料または部品を利用することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、上述のようなノズル100内の加工流体のそのような混合は、ノズルホルダ内またはその周辺等のレーザ加工システムの異なる場所で行われ得る。例えば、補助流体の一部は、ノズルボア145から約2フィート(60.96センチメートル)以内(例えば、ワークピースの近傍、切断ヘッドの内側等)で一次流体流に導入され、かつ/または混合され得る。これらの実施形態では、補助流体の一部は、切断ヘッド、ノズルホルダ、および/またはノズル100自体の特徴を介して、一次流体流に導入されるか、または注入され得る。いくつかの実施形態では、補助流体流の第1の部分は、切断ヘッド内の一次流体流に導入され、補助流の第2の部分は、ノズルホルダ内の特徴(例えば、通路/穴)を介して一次流体流に導入され、補助流の第3の部分は、ノズル100内の特徴を介して一次流に導入される。この段階的導入は、流体の混合を促進する。いくつかの他の実施形態では、補助流体は、これらの段階のうちの1つのみにおいて導入される。いくつかの実施形態では、補助流体(例えば、二次、三次、四次等)は、光学表面(例えば、レーザレンズ)の近位で一次流体に導入されるか、または混合される。
【0045】
概して、本明細書で説明されるノズル100の様々な実施形態は、補助流体をワークピース126に近接した一次流体と混合する(例えば、ワークピース126から2フィート(60.96センチメートル)以内で混合する)混合領域(例えば、混合チャンバ112)の形成を含む、いくつかの利点を有する。補助流体は、外側補助通路108によって提供されるとともに、ノズル100を通って半径方向内側に流れて、内側の一次通路106の混合領域内で一次流体と混合されてから、一次通路106の遠位開口部109を介して排出されるようになっている。そのような受動的混合は、既存のレーザ加工システムにおいて採用されている高価で大型の混合システムのセットアップの必要性を低減し、かつ/または排除する。別の利点は、ノズル100の異なる通路内の圧力のより優れた制御を含む。ノズル100内の通気によって、混合領域が一次流体と二次流体とを混合することを可能にする流れ特性が作り出される。一般的に、ベント式ノズルは、非ベント式ノズルよりも全体的に多くの流体を消費するが、補助通路108および補助流体を使用する上述のノズル設計は、典型的には補助流体よりも高価である一次流体の使用をサポートするとともに、削減することができる。より具体的には、補助通路は、一般的により高価な一次流体の周囲を覆う補助流体のシースを形成することができる。この構成は、要求される加工タスクに必要な最小量の一次流体を使用しながら、ロバストな加工を増強する。
【0046】
さらに別の利点は、上述のノズル設計における流体の混合に関連するコストの削減を含む。レーザ加工に関して、通常、加工するための電気、ならびに圧縮機および湿気、油分、および微粒子を除去するための濾過構成要素のみが必要であるため、空気は、使用するアシストガスとしては最も安価であり得る。窒素および酸素は、次に低コストの選択肢であるが、高圧レーザ加工には高流量が必要であるため、それらに関連する作動コストは、依然として消耗品コストの主要な要因となり得る。一例として、液体窒素は、レーザ加工用のアシストガスを供給するために一般的に使用され、約50~約100標準立方フィート/分(SCFM:standard cubic feet per minute)(約1.416m3/分~2.832m3/分)の流量を必要とし得る。液体窒素の公称価格が1ドル/リットルである場合、これは、消費1時間当たりで122ドル~244ドルの作動コストに換算される。さらに、総窒素濃度が適切なレベルである場合、切断エッジの底部のバリの量は、特定の材料によっては、低減または除去され得る。しかしながら、この場合、消費されるガスの大部分は依然として窒素であり、これは、ガスを適切な比率で混合するための高価な設備と共に、高い作動コストを招く。加えて、レーザの出力が増加し続けるにつれて、光学部品およびそれらの清浄度に対する要求もまた増加し、混合ガス中で使用される空気は光学部品と接触するため、空気のためのフィルタに対する大幅な保守が必要となる。一次流体として窒素を使用し、補助流体として空気を使用するなど、本技術のノズル内でガスを混合するシステムおよび方法を導入することによって、正確な混合濃度が小さな処理ゾーン(例えば、混合チャンバ112)内でのみ必要とされ、残りのバルク流がより低コストの空気(例えば、補助流体)で構成することができるため、窒素および/または酸素の消費速度を大幅に低減することができる。さらに、高純度の窒素(例えば、一次流体)を光学部品と接触する領域にのみ導入して清浄度を維持し、より低品質の空気(例えば、補助流体)を混合に使用されるべくノズルに供給するために利用することができる。一例として、混合ノズル内に必要な窒素流量の測定値は、9~12SCFM(0.2549m3/分~0.3398m3/分)の範囲となり、従来の流量から80%以上の減少であり、最大で195ドル/時間の消費の節約となる。従って、窒素または空気のいずれかを単独で使用する場合と比較して、小さな処理ゾーン内で空気と窒素を高い窒素濃度で混合することによって、著しい利点が実現される。
【0047】
図6aおよび
図6bは、本発明のいくつかの実施形態による、レーザ切断処理中の
図1および
図2のノズル100内の例示的な圧力プロファイル600および圧力プロファイル600の調整されたバージョンをそれぞれ示す。酸素または空気等のガス(青色で表される)の形態で供給ライン116によって提供される二次流体は、窒素等のガス(赤色で表される)の形態で供給ライン114によって提供される一次流体と混合されて、一次ガスの流れをサポートし、加工領域602内の化学的プロセスを変化させることができる。追加されたサポートにより、流量プロファイルとガス組成とを巧みに組み合わせて切断パラメータを最適化し、作動コストを最小化することが可能となる。
図6aに見られるように、一次ガスおよび補助ガスは、最初に、供給ライン114、116を介して異なる供給源から供給され、その後、ノズル100の混合チャンバ112内で混合され、その後、混合物は、レーザビームと共に加工領域602に流入する。ガスの混合は、例えば、一次供給ガスがワークピース126に到達する前に一次供給ガスを酸素で処理することによって、および/または使用中の一次ガスおよび補助ガスおよび/または流体種に応じて適切な濃度のガス混合物を生成することによって、切断プロセスを支援することができる。
図6bは、
図6aの圧力プロファイル600の詳細図であり、濃度範囲を狭めて、臨界加工ゾーンにおける約80%~約90%の調整された濃度603を示している。いくつかの用途では、一次供給ガスの酸素処理は、多くの場合、酸素が切断される材料と発熱的に反応するため有益であり得、これは、溶融粘度および表面張力等の他の熱物理学的特性を有利に変化させながら、切断速度の増加につながり得る。一般的に理解されているように、異なるガスは、切断される材料に応じて異なる切断特性を有する。
【0048】
図7は、本発明のいくつかの実施形態による、レーザ切断処理中の
図1および
図2のノズル100の例示的な数値流体力学(CFD:computational flow dynamics)圧力プロファイル700を示す。図示されるように、ベント通路124の使用により、ノズル100の周辺領域の周辺では中央領域と比較して圧力がより高くなることが可能である。この制御により、ユーザは、ノズル100内の様々な通路を適切にサイズ設定することによって、および/または補助流体流および/または一次流体流の流量/圧力を調整することによって、周辺領域および中央領域の各々の圧力を個別に修正する能力が得られる。従来、ノズルの中心圧力を増加させることなく、より高い周辺圧力を提供することは困難であった。上述したベント式ノズル設計によって提供される制御の向上は、所与の加工動作のための流量プロファイルおよび圧力プロファイルの最適化を可能にする。しかしながら、ノズル内の異なる圧力領域で生じ得る1つの問題は、高圧領域から低圧領域への逆流の可能性である。この問題は、逆流が中央流領域(例えば、一次通路106)に存在する場合に、光学的汚染のリスクが増大するため、特に悪影響を与えることになる。この問題は、過剰圧力を迂回させ、中央の流れ領域から内側オリフィス138を通る正の流れを依然として可能にするベント通路124を追加することによって、ベント式ノズル100において回避される。
【0049】
図8は、本発明のいくつかの実施形態による、レーザ加工システム用の別の例示的なノズル500の側断面図を示す。図示されるように、ノズル500は、近位端502および遠位端504を有する本体を備え、遠位端504は、レーザ加工システムの作動中にワークピース526に最も近い端部として定義され、近位端502は、長手方向軸Aに沿って遠位端504とは反対側にある。
【0050】
一次通路506は、ノズル500の本体内に配置されている。一次通路506は、その近位開口部507を介して一次流体510(例えば、ガス、液体、または両方の混合物)を受容するように構成される。ノズルの本体は、その遠位開口部509を介して、ワークピース526を加工するために、一次流体と少なくとも1つの補助流体との混合物514と共にレーザビームをワークピース526(例えば、金属)に供給するように構成されている。
【0051】
図示されるように、少なくとも1つの補助通路508が、ノズル500の本体内に配置されている。各補助通路508は、補助流体512(例えば、ガス、液体、または両方の混合物)の少なくとも一部を一次流体510の経路に向かって導き、一次流体と補助流体の一部との混合物514をワークピース526に供給する前に、ノズルの本体内で補助流体512の一部を一次流体510と混合するように構成されている。
【0052】
本発明の様々な態様および実施形態は、様々な方法で組み合わせることができることを理解されたい。本明細書の教示に基づいて、当業者は、これらの様々な実施形態をどのように組み合わせればよいかを容易に判断することができる。当業者であれば、本明細書を読解して変更を加え得る。
【国際調査報告】