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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-01
(54)【発明の名称】ポリマーの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 212/00 20060101AFI20241025BHJP
   C08F 2/20 20060101ALI20241025BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20241025BHJP
【FI】
C08F212/00
C08F2/20
C08F2/44 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529642
(86)(22)【出願日】2022-11-15
(85)【翻訳文提出日】2024-05-17
(86)【国際出願番号】 EP2022081892
(87)【国際公開番号】W WO2023088864
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】21208890.0
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505422707
【氏名又は名称】ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ユリアン・クリシェル
【テーマコード(参考)】
4J011
4J100
【Fターム(参考)】
4J011AA05
4J011AA08
4J011DA03
4J011JA08
4J011JA12
4J011JB08
4J011JB26
4J011PA23
4J011PA25
4J011PA27
4J011PB40
4J011PC02
4J011PC07
4J100AB00Q
4J100AB02P
4J100AB03P
4J100AB04P
4J100AB08P
4J100AB15Q
4J100AB16Q
4J100AC03P
4J100AC04P
4J100AE70Q
4J100AJ02P
4J100AL03P
4J100AL04P
4J100AL62Q
4J100AL63Q
4J100AM02P
4J100AM15P
4J100AM24Q
4J100AQ20Q
4J100AS01Q
4J100CA03
4J100EA13
4J100FA02
4J100FA03
4J100FA28
4J100FA30
4J100JA16
(57)【要約】
本発明は、分散剤混合物の存在下でのポリマーの調製、及びポリマーからイオン交換体を製造するためにポリマーを調製するための分散剤混合物の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーの製造方法であって、少なくとも1種のモノエチレン性不飽和化合物及び少なくとも1種の多エチレン性不飽和化合物を、少なくとも1種の開始剤の存在下、水の存在下、ポロゲンの存在下、及び
a)80000g/モル~110000g/モルの数平均分子量を有する少なくとも1種のヒドロキシアルキルメチルセルロース及びこれらの化合物の混合物、及び
b)25000g/モル~42000g/モルの数平均分子量を有する少なくとも1種のヒドロキシアルキルメチルセルロース及びこれらの化合物の混合物
を含む分散剤混合物の存在下で反応させることを特徴とする方法。
【請求項2】
a)及びb)の前記ヒドロキシアルキルメチルセルロースが、2-ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はヒドロキシエチルメチルセルロース及びこれらの化合物の混合物の群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のポリマーの製造方法。
【請求項3】
使用する前記開始剤が、ジベンゾイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ビス(p-クロロベンゾイル)ペルオキシド、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、tert-ブチルペルオクトエート、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン若しくはtert-アミルペルオキシ-2-エチルヘキサン、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)若しくは2,2’-アゾビス(2-メチルイソブチロニトリル)、又はこれらの開始剤の混合物であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリマーの製造方法。
【請求項4】
使用される前記モノエチレン性不飽和化合物が、スチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン、若しくはクロロメチルスチレン、又はこれらの化合物の混合物であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリマーの製造方法。
【請求項5】
使用される前記多エチレン性不飽和化合物が、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、若しくはトリビニルナフタレン、又はこれらの化合物の混合物であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリマーの製造方法。
【請求項6】
使用される前記モノエチレン性不飽和化合物がスチレンであり、かつ、使用される前記多エチレン性不飽和化合物がジビニルベンゼンであることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリマーの製造方法。
【請求項7】
重合前の水相のpHを12~8の値に調節することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリマーの製造方法。
【請求項8】
使用する前記成分a)が、3~15モル%の2-ヒドロキシプロピル置換度及び26~31モル%のメトキシ置換度を有する2-ヒドロキシプロピルメチルセルロースであることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリマーの製造方法。
【請求項9】
使用する前記成分b)が、3~15モル%のヒドロキシプロピル置換度及び18~25モル%のメトキシ置換度を有する2-ヒドロキシプロピルメチルセルロースであることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のポリマーの製造方法。
【請求項10】
前記ヒドロキシアルキルメチルセルロースa)及びb)の重量比が、3:1~1:1であることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のポリマーの製造方法。
【請求項11】
前記ヒドロキシアルキルメチルセルロースa)及びb)の総合計濃度が、水性相を基準にして0.15~0.3重量%であることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載のポリマーの製造方法。
【請求項12】
禁止剤を使用し、禁止剤が、亜ジチオン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウム、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、レゾルシノール、カテコール、tert-ブチルカテコール、又はピロガロールの群から特に選択されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載のポリマーの製造方法。
【請求項13】
ポロゲンを使用し、ポロゲンが、ヘキサン、オクタン、イソオクタン、イソドデカン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソブチルカルビノール、又はオクタノールの群から特に選択されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載のポリマーの製造方法。
【請求項14】
重合を55~130℃の温度で実施することを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載のポリマーの製造方法。
【請求項15】
マクロ多孔性ポリマーを製造するための、
a)80000g/モル~110000g/モルの数平均分子量を有する少なくとも1種のヒドロキシアルキルメチルセルロース、及び
b)25000g/モル~42000g/モルの数平均分子量を有する少なくとも1種のヒドロキシアルキルメチルセルロース
を含む分散剤混合物の使用。
【請求項16】
前記のマクロ多孔性ポリマーの製造が、ポリスチレン-ジビニルベンゼンコポリマーに関する、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記ポリマーが、イオン交換体を製造するための基礎材料として使用される、請求項15又は16に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散剤混合物の存在下でのポリマーの製造、及びポリマーからイオン交換体を作成するために、ポリマーを製造するための分散剤混合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
懸濁重合によって、架橋剤、例えばジビニルベンゼンと組み合わせて、例えばビニル芳香族化合物、例えばスチレンからポリマーを調製(製造)できることが知られている。
【0003】
懸濁重合では、モノマーに可溶性の開始剤を含有するモノマー相を、モノマーと実質的に非混和性である相中において液滴として分割し、温度を上昇させることによって硬化させる。その非混和性の相は、通常、水性相であり、それは、添加剤、例えば塩類、分散剤、若しくは保護コロイド、又は他の水溶性の有機化合物を含んでいてもよく、連続相ともいわれる。選択された水不溶性のモノマー並びにその中に溶解された添加剤及び開始剤の混合物が分散相を形成する。
【0004】
ゲル形態のポリマーに加えて、ポロゲン、例えば高沸点の脂肪族炭化水素、アルコール類、エーテル類、ニトロ化合物、又はエステル類を使用することにより、懸濁重合でマクロ多孔性(マクロポーラス)ポリマーを製造することもできる。
【0005】
(非特許文献1)により、メタクリル酸メチルの懸濁重合中、同時に、ある程度の乳化重合も起こり、そのため、望ましくないポリマー微粒子画分が形成されることが知られている。乳化重合によって形成されるポリマー微粒子画分は、水相に可溶性のフリーラジカル禁止剤を添加することによって低減され得る。
【0006】
(特許文献1)は、可溶性ポリマーの低下した含量を有するゲル形態のビーズポリマーを調製するプロセスを開示している。このプロセスでは、可溶性画分を低減するために、開始剤としてペルオキシエステルが使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第A-0964002号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】F.Jahanzad,S.Sajjadi,B.Brooks,Polymer,2013,54,16-23
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
公知の従来技術を考慮すると、マクロ多孔性ポリマーを調製するときに、ポリマー微粒子画分を低減し得るプロセスが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ここで、驚くべきことに、重合中に特定の分散剤混合物が使用される場合、ポリマー微粒子画分が減少し得ることが発見された。
【0011】
したがって、本発明は、ポリマーを調製するプロセス(方法)であって、少なくとも1種のモノエチレン性不飽和化合物及び少なくとも1種の多エチレン性(multiethylenically)不飽和化合物を、少なくとも1種の開始剤の存在下、水の存在下、ポロゲンの存在下、及び
a)80000g/モル~110000g/モルの数平均分子量を有する少なくとも1種のヒドロキシアルキルメチルセルロースと、
b)25000g/モル~42000g/モルの数平均分子量を有する少なくとも1種のヒドロキシアルキルメチルセルロースと
を含む分散剤混合物の存在下で反応するプロセス(方法)を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
「分子量」という用語は、明確に記述されるか又は別段の規定がない限り、本明細書では数平均分子量を指す。
【0013】
a)のヒドロキシアルキルメチルセルロースとして、80000g/モル~110000g/モルの分子量を有するヒドロキシプロピルメチルセルロース及び/又はヒドロキシエチルメチルセルロースを使用することが好ましい。
【0014】
b)のヒドロキシアルキルメチルセルロースとして、25000g/モル~42000g/モルの分子量を有するヒドロキシプロピルメチルセルロース及び/又はヒドロキシエチルメチルセルロースを使用することが好ましい。
【0015】
a)において、3~15モル%の2-ヒドロキシプロピル置換度と、26~31モル%のメトキシ置換度と、80000g/モル~110000g/モルの分子量とを有する2-ヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用することが好ましい。
【0016】
a)において、26~31モル%のメトキシ置換度と、5~15モル%のヒドロキシエトキシ置換度と、80000g/モル~110000g/モルの分子量とを有するヒドロキシエチルメチルセルロースを使用することが好ましい。
【0017】
b)において、3~15モル%の2-ヒドロキシプロピル置換度を有し、且つ18~25モル%のメトキシ置換度と、25000g/モル~42000g/モルの分子量とを有する2-ヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用することが好ましい。
【0018】
b)において、18~25モル%のメトキシ置換度と、5~15モル%のヒドロキシエトキシ置換度と、25000g/モル~42000g/モルの分子量とを有するヒドロキシエチルメチルセルロースを使用することが好ましい。
【0019】
a)3~15モル%の2-ヒドロキシプロピル置換度と、26~31モル%のメトキシ置換度と、80000g/モル~110000g/モルの分子量とを有する2-ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びb)3~15モル%の2-ヒドロキシプロピル置換度を有し、且つ18~25モル%メトキシ置換度と、25000g/モル~42000g/モルの分子量とを有する2-ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む混合物を使用することが特に好ましい。
【0020】
a)3~8モル%の2-ヒドロキシプロピル置換度と、26~31モル%のメトキシ置換度と、80000g/モル~110000g/モルの分子量とを有する2-ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びb)6~13モル%の2-ヒドロキシプロピル置換度を有し、且つ18~25モル%メトキシ置換度と、25000g/モル~42000g/モルの分子量とを有する2-ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む混合物を使用することが極めて特に好ましい。
【0021】
a)及びb)のヒドロキシアルキルメチルセルロースは、公知であり、一般的に公知のプロセスにより、例えばセルロースをアルカリ金属水酸化物と反応させ、次いでアルキルハライドと反応させることによって調製することができる。
【0022】
ヒドロキシアルキルメチルセルロースは、さらには市販されている。a)のヒドロキシアルキルメチルセルロースとして使用するのに特に好ましいのは、Methocel(商標)F4M(95000g/モルの分子量を有する2-ヒドロキシプロピルメチルセルロース)(DOW Chemical Company)(CAS番号9004-65-3)、Walocel(商標)VPM4937(CAS番号9032-42-2)(100000g/モルの分子量を有するヒドロキシエチルメチルセルロース)及びTylose(登録商標)E707002(CAS番号9004-65-3)(95000g/モルの分子量を有する2-ヒドロキシプロピルメチルセルロース)又はそれらの化合物の混合物である。
【0023】
b)のヒドロキシアルキルメチルセルロースとして使用するのに特に好ましいのは、Methocel(商標)K100(33500g/モルの分子量を有する2-ヒドロキシプロピルメチルセルロース)(CAS番号9004-65-3)及びMetolose(商標)90SH-100(CAS番号9004-65-3)(33000g/モルの分子量を有する2-ヒドロキシプロピルメチルセルロース)又はそれらの化合物の混合物である。
【0024】
a)において好ましく使用される、3~15モル%の2-ヒドロキシプロピル置換度と、26~31モル%のメトキシ置換度と、80000g/モル~110000g/モルの分子量とを有する2-ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、好ましくは、3000~9000mPasの粘度を有する。
【0025】
a)において好ましく使用される、26~31モル%のメトキシ置換度と、5~15モル%のヒドロキシエトキシ置換度と、80000~110000g/モルの分子量とを有するヒドロキシエチルメチルセルロースは、好ましくは、3000~9000mPasの粘度を有する。
【0026】
b)において好ましく使用される、3~15モル%の2-ヒドロキシプロピル置換度を有し、且つ18~25モル%のメトキシ置換度と、25000g/モル~42000g/モルの分子量とを有する2-ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、好ましくは、80~500mPasの粘度を有する。
【0027】
好ましくは、b)において、18~25モル%のメトキシ置換度と、7~10モル%のヒドロキシエトキシ置換度と、25000~42000g/モルの分子量とを有するヒドロキシエチルメチルセルロースは、好ましくは、80~500mPasの粘度を有する。
【0028】
a)及びb)において使用される2-ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシエチルメチルセルロースは、好ましくは、60℃より高い加熱ゲル化温度を有する。
【0029】
a)及びb)のヒドロキシアルキルメチルセルロースは、任意の比率で相互に混合され得る。ヒドロキシアルキルメチルセルロースa)及びb)の重量比は、好ましくは、3:1~1:1である。
【0030】
a)及びb)のヒドロキシアルキルメチルセルロースの総合計濃度は、水性相を基準にして0.15~0.3重量%であることが好ましい。
【0031】
2-ヒドロキシプロピルメチルセルロースのヒドロキシプロピル基及びメトキシ基のモル置換度は、ASTM D-2363-72/USAに従って求められる。
【0032】
ヒドロキシエチルメチルセルロースのメトキシ基のモル置換度は、ASTM D-1347-72/USAに従って求められる。
【0033】
ヒドロキシエチルメチルセルロースのヒドロキシエトキシ基のモル置換度は、ASTM D-2364-75/USAに従って求められる。
【0034】
モル置換度は、H NMR及び13C NMR分光法によってさらに求めることができる。
【0035】
ヒドロキシアルキルメチルセルロースの分子量は、Journal of Polymer Science and Technology,39(4),293-298(1982)に記載の方法によって求めることができる。
【0036】
加熱ゲル化温度は、欧州特許第B1-1983004号明細書のパラグラフ[0028]に従って求めることができる。
【0037】
ヒドロキシアルキルメチルセルロースの粘度は、当業者に公知である一般的な方法、好ましくは25℃において回転粘度計を使用する一般的な方法で求めることができる。
【0038】
2-ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、好ましくは、ポリ(O-2-ヒドロキシプロピル,O-メチル)セルロース(CAS番号9004-65-3)である。ヒドロキシエチルメチルセルロースは、好ましくは、2-ヒドロキシエチルメチルセルロース(CAS番号9032-42-2)である。
【0039】
本発明によるプロセス(方法)では、ヒドロキシアルキルメチルセルロースa)及びb)は、別個に反応に添加され得る。しかしながら、ヒドロキシアルキルセルロースを最初に混合し、その後、反応混合物に添加し得るか、又はヒドロキシアルキルメチルセルロースを最初に混合物として仕込み、緩衝物質、モノマー、架橋剤、ポロゲン及び開始剤を添加し得る。これは、連続して実施するか又は混合物として実施することができる。ヒドロキシアルキルメチルセルロースa)及びb)を最初に混合し、最初に仕込むことが好ましい。次いで、緩衝物質を添加することが好ましい。次いで、モノエチレン性及び多エチレン性化合物、ポロゲン並びに開始剤を混合物としてヒドロキシアルキルメチルセルロースに添加することが好ましい。
【0040】
本発明によるプロセスでは、少なくとも1種のモノエチレン性不飽和化合物及び少なくとも1種の多エチレン性不飽和化合物が使用される。
【0041】
しかしながら、2種以上のモノエチレン性不飽和化合物の混合物及び2種以上の多エチレン性不飽和化合物の混合物を使用することも可能である。
【0042】
本発明の目的のためのモノエチレン性不飽和化合物(モノマー)は、1分子あたり1つのフリーラジカル重合性C=C二重結合を有する化合物である。このタイプの好ましい化合物としては、以下が挙げられる:芳香族のモノエチレン性不飽和化合物、例えばベンゼン及びナフタレンのビニル及びビニリデン誘導体、例えば好ましくはビニルナフタレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン、好ましくはスチレン並びに非芳香族のビニル及びビニリデン化合物、例えば好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸C~C-アルキル、メタクリル酸C~C-アルキル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、塩化ビニル、塩化ビニリデン及び酢酸ビニル。非芳香族モノエチレン性不飽和化合物は、少ないほうの量であって、芳香族モノエチレン性不飽和化合物を基準にして好ましくは0.1重量%~50重量%、特に好ましくは0.5重量%~20重量%の量で使用されることが好ましい。芳香族モノエチレン性不飽和化合物のみが使用されることが好ましい。
【0043】
モノエチレン性不飽和化合物は、好ましくは、モノエチレン性不飽和化合物と多エチレン性不飽和化合物との混合物を基準にして50重量%より多い量、特に好ましくはモノエチレン性不飽和化合物と多エチレン性不飽和化合物との混合物を基準にして80重量%~98重量%の量で使用される。
【0044】
本発明の目的のためには、本発明によるプロセスにおいて好適に使用される芳香族モノエチレン性不飽和化合物は、スチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン、又はクロロメチルスチレンである。
【0045】
スチレン又はスチレンと上述のモノマー、好ましくはエチルスチレンとの混合物を使用することが特に好ましい。
【0046】
多エチレン性不飽和化合物は、1分子あたり2つ以上、好ましくは2~4つのフリーラジカル重合性C=C二重結合を含む化合物である。好ましい芳香族多エチレン性不飽和化合物は、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、及びトリビニルナフタレンである。好ましい非芳香族多エチレン性不飽和化合物は、ジエチレングリコールビニルエーテル、オクタ-1,7-ジエン、ヘキサ-1,5-ジエン、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、メタクリル酸アリル、及びN,N’-メチレンビスアクリルアミドである。使用される多エチレン性不飽和化合物は、ジビニルベンゼンであることが特に好ましい。ほとんどの用途では、ジビニルベンゼンの異性体に加えて、エチルビニルベンゼンも含有する、市販されているジビニルベンゼンのグレードで十分である。
【0047】
本発明の目的のための、本発明によるプロセスで好ましい多エチレン性不飽和化合物は、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、又はトリビニルナフタレンである。ジビニルベンゼンを使用することが特に好ましい。
【0048】
多エチレン性不飽和化合物は、モノエチレン性不飽和化合物の量を基準にして好ましくは1重量%~20重量%、特に好ましくは2重量%~12重量%、特に好ましくは4重量%~10重量%の量で使用される。多エチレン性不飽和化合物(架橋剤)のタイプは、ポリマーのその後の使用に関連して選択される。
【0049】
マクロ多孔性(マクロポーラス)ポリマーは、ポリマー中にマクロ多孔構造を作り出すための重合において、モノエチレン性不飽和化合物及び多エチレン性不飽和化合物に少なくとも1種のポロゲンを添加することによって形成される。特に好ましいポロゲンは、ヘキサン、オクタン、イソオクタン、イソドデカン、ペンタメチルヘプタン、メチルエチルケトン、ブタノール、又はオクタノール、及びそれらの異性体である。イソドデカンは、ポロゲンとして使用するのに極めて特に好ましい。特に好適であるのは、モノエチレン性不飽和化合物中に溶解するが、ポリマーに対して貧溶媒又は貧膨潤剤(ポリマーに対する沈殿剤)である有機物質、例を挙げれば脂肪族炭化水素である。マクロ多孔性ポリマーは、好ましくは、20~100m/gのBET表面積を有するポリマーを含む。
【0050】
ポロゲンは、有機相の量を基準にして25重量%~45重量%の量で使用することが好ましい。
【0051】
本発明によるプロセスによって調製されるポリマーは、ヘテロ分散性又は単分散性の形態で調製することができる。
【0052】
本プロセスの基礎となる懸濁重合は、ヘテロ分散性ポリマーを与えることが好ましい。
【0053】
ヘテロ分散性ポリマーは、好ましくは、本発明によるプロセスで調製される。
【0054】
マクロ多孔性のポリスチレン-ジビニルベンゼンコポリマーは、特に好ましくは、上記の調製プロセスで調製される。
【0055】
本発明の範囲は、上記及び下記で詳細に説明され、一般的な用語において又は好ましい範囲内として言及される、相互に、すなわちそれぞれの範囲と好ましい範囲との間の任意の組み合わせを含む、基、パラメーター及び説明のすべての定義を包含する。
【0056】
本発明の好ましい実施形態では、本発明によるプロセスにおいて、マイクロカプセル化されたモノマー液滴を単分散性ポリマーの調製に使用することが好ましい。
【0057】
モノマーの微小液滴のマイクロカプセル化に有用な物質は、複合コアセルベートとしての使用が公知のもの、特に、ポリエステル、天然及び合成のポリアミド、ポリウレタン、又はポリウレアである。
【0058】
天然のポリアミドとしてのゼラチンを使用することが好ましい。これは、特にコアセルベート及び複合コアセルベートとして用いられる。本発明の目的のためには、ゼラチン含有複合コアセルベートは、ゼラチンと合成高分子電解質との組合せを意味すると特に理解されたい。好適な合成高分子電解質は、例えば、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、及びメタクリルアミドの単位を組み込んだコポリマーである。アクリル酸及びアクリルアミドを使用することが特に好ましい。ゼラチン含有カプセルは、慣用される硬化剤、例えば、ホルムアルデヒド又はグルタルジアルデヒドを使用して硬化され得る。ゼラチン、ゼラチン含有コアセルベート及びゼラチン含有複合コアセルベートを用いたモノマーの微小液滴のカプセル化については、欧州特許出願公開第A0 046 535号明細書に詳細な記述がある。合成ポリマーを使用してカプセル化する方法は公知である。界面縮合が好ましく、モノマー微小液滴中に溶解させた反応性成分(特にイソシアネート又は酸塩化物)が、水相中に溶解させた第二の反応性成分(特にアミン)と反応させられる。
【0059】
ヘテロ分散性又は任意選択によりマイクロカプセル化されていてもよい単分散性のモノマーの微小液滴は、好ましくは、重合を引き起こす少なくとも1種の開始剤又は開始剤の混合物(開始剤の組合せ)を含有する。本発明によるプロセスに好適な開始剤は、ペルオキシ化合物、特に好ましくは、ジベンゾイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ビス(p-クロロベンゾイル)ペルオキシド、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、tert-ブチルペルオクトエート、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、又はtert-アミルペルオキシ-2-エチルヘキサン、及びアゾ化合物、例えば、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)又は2,2’-アゾビス(2-メチルイソブチロニトリル)である。開始剤としてジベンゾイルペルオキシドを使用することが特に好ましい。重合禁止剤が使用される場合、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエートを開始剤として使用することが極めて特に好ましい。
【0060】
開始剤は、モノマー混合物を基準にして好ましくは0.05重量%~2.5重量%、特に好ましくは0.1重量%~1.5重量%の量で用いられる。
【0061】
任意選択による単分散性のマイクロカプセル化されたモノマーの微小液滴は、任意選択により、(モノマーを基準にして)最大30重量%までの架橋又は非架橋ポリマーも含有し得る。好ましいポリマーは、上述のモノマー、特に好ましくはスチレンから誘導されたものである。
【0062】
本発明によるプロセスにおける単分散性又はヘテロ分散性のポリマーの調製においては、さらに好ましい実施形態の水相は、溶解された重合禁止剤を含有し得る。この場合の有用な禁止剤としては、無機物質及び有機物質の両方が挙げられる。好ましい無機禁止剤としては、以下が挙げられる:遷移金属の塩、例えば塩化銅(II)、硫酸銅(II)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(II)、塩化マンガン(II)並びに無機窒素化合物、特に好ましくはヒドロキシルアミン、ヒドラジン、亜硝酸ナトリウム及び亜硝酸カリウム、亜リン酸の塩、例えば亜リン酸水素ナトリウム並びにさらに硫黄含有化合物、例えば亜ジチオン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム及びチオシアン酸アンモニウム。有機禁止剤の例は、フェノール系化合物、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、レゾルシノール、カテコール、tert-ブチルカテコール、ピロガロール、及びフェノールとアルデヒドとの縮合反応生成物である。さらなる好適な有機禁止剤は、有機の窒素含有化合物である。特に好ましいのは、ヒドロキシルアミン誘導体、例えばN,N-ジエチルヒドロキシルアミン、N-イソプロピルヒドロキシルアミン、及びスルホン化又はカルボキシル化N-アルキルヒドロキシルアミン若しくはN,N-ジアルキルヒドロキシルアミン誘導体、ヒドラジン誘導体、例えばN,N-ヒドラジノ二酢酸、ニトロソ化合物、例えば好ましくはN-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩又はN-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩である。禁止剤の濃度は、(水性相を基準にして)好ましくは5~1000ppm、特に好ましくは10~500ppm、極めて特に好ましくは10~250ppmである。
【0063】
好ましくは、本発明によるプロセスでは、少なくとも1種の重合禁止剤が使用される。亜硝酸ナトリウム又はレゾルシノールが禁止剤として特に好ましい。
【0064】
本発明によるプロセスで使用される分散剤混合物に加えて、さらなる分散剤を添加してもよい。好適な追加の分散剤は、天然又は合成の水溶性ポリマー、好ましくは、ゼラチン、デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、又は(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルのコポリマーである。ゼラチンが特に好ましい。追加的に使用される分散剤の使用量は、本発明で使用されるa)及びb)の分散剤混合物を基準にして一般的に0.05重量%~10重量%、好ましくは0.05重量%~5重量%である。本発明によるプロセスで使用される分散剤混合物に加えて、さらなる分散剤を加えないことが好ましい。
【0065】
代替的な好ましい実施形態では、ヘテロ分散性又は単分散性のポリマーを得るための重合を緩衝系(緩衝剤システム)の存在下で実施することができる。重合の開始前に水性相のpHを14~6、好ましくは12~8の値に調節できる緩衝系が好ましい。それらの条件下では、カルボン酸基を有する分散剤が全体的又は部分的に塩として存在する。これは、分散剤の作用に好ましい効果を有する。特に好適な緩衝系は、リン酸又はホウ酸の塩を含む。本発明の目的のために、「リン酸塩」及び「ホウ酸塩」は、対応する酸及び塩のオルト形の縮合物も包含する。水相中のリン酸塩又は濃度は、好ましくは、0.5~500mmol/L、特に好ましくは2.5~100mmol/Lである。
【0066】
単分散性のポリマーを得るための重合における撹拌速度は、あまり重要ではなく、慣用される重合の場合とは対照的に粒径に影響を及ぼさない。懸濁されたモノマー微小液滴を懸濁液中で保持し、重合熱の除去を促進するのに十分である低い攪拌機速度が用いられる。この作業のために、様々な攪拌機のタイプを使用することができる。特に好適な攪拌機は、軸作用性のゲート攪拌機である。
【0067】
モノマーの微小液滴の水性相に対する容積比は、好ましくは、1:0.75~1:20、特に好ましくは1:1~1:6である。調製されるのがヘテロ分散性ポリマーであるか又は単分散性ポリマーであるかは、無関係である。
【0068】
ヘテロ分散性又は単分散性のポリマーを得るための重合温度は、使用される開始剤の分解温度で決まる。それは、好ましくは、50~180℃、特に好ましくは55~130℃である。重合を0.5時間~約20時間続けることが好ましい。重合を低温、好ましくは60℃で開始し、重合の転化が進むにつれて反応温度を上げる温度プログラムを用いることが有用であることが判明した。このようにして、例えば信頼性の高い反応の進行及び高い重合転化率といった要件を極めて効果的に達成することが可能になる。重合反応後、慣用される方法、例えば濾過法又はデカンテーション法によってポリマーを単離し、任意選択によって洗浄してもよい。
【0069】
ジェット法又はシード-フィード法を用いて単分散性のポリマーを調製することは、従来技術で公知であり、例えば米国特許第A4 444 961号明細書、欧州特許出願公開第A0 046 535号明細書、米国特許第4 419 245号明細書、又は国際公開第93/12167号パンフレットに記載されている。
【0070】
単分散ポリマーを、ジェット法又はシード-フィード法を用いて調製することが好ましい。
【0071】
好ましくは、マクロ多孔性のヘテロ分散性ポリマーは、本発明によるプロセスで調製される。
【0072】
マクロ多孔性ポリマーは、好ましくは、イオン交換体を製造するために使用される。マクロ多孔性ポリマーは、例えば、公知の方法、例えばスルホン化、又はクロロメチル化、又はフタルアミド化によって官能化され、かつ、アルキルアミンとの反応により、カチオン又はアニオン交換体及びキレート樹脂を与えることができる。
【0073】
したがって、本発明は、同様に、マクロ多孔性ポリマーを調製するための、
a)80000g/モル~110000g/モルの分子量を有する少なくとも1種のヒドロキシアルキルメチルセルロースと、
b)25000g/モル~42000g/モルの分子量を有する少なくとも1種のヒドロキシアルキルメチルセルロースと
を含む分散剤混合物の使用も包含する。
【0074】
本発明は、イオン交換体を製造するための、分散剤混合物を使用して調製されたマクロ多孔性ポリマーの使用にさらに関する。
【0075】
<方法>
〔ポリマー微粒子画分の測定〕
ポリマー微粒子画分を測定するために、ポリマー及び水性相を含む反応混合物を、100μmのメッシュサイズを有する篩に通して篩別した。次いで、この篩を通した濾過物を20μmの篩に供給した。このようにして、ポリマー微粒子画分を20~100μmの画分のターゲット粒子として分画し、計量することが可能になった。任意の微粒子画分及び20μmの篩別後に残った水性相を蒸発させ、恒量になるまで乾燥させた。次いで、ポリマー微粒子画分の重量測定を行い、ポリマーの収率を基準にした百分率で計算をした。
【実施例
【0076】
〔例1〕(本発明による)
最初に、ガラス製反応器に脱イオン水(869mL)並びに96.6gの、a)2-ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、CAS:9004-65-3、平均粘度、水中2%@20℃:4550mPas、メトキシル:28.5モル%、ヒドロキシプロピル:5.75モル%)、数平均分子量:95000g/モル(タイプA)、及びb)2-ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、CAS:9004-65-3、平均粘度,水中2%@20℃:100mPas、メトキシル:21.5モル%、ヒドロキシプロピル:9.5モル%)、数平均分子量:33500g/モル(タイプB)(重量比1:1)からなる2重量%水溶液を仕込む。リン酸水素二ナトリウム十水和物(4.69g、水性相を基準にして0.48重量%)を溶液中にさらに溶解させる。次いで、NaOH(1M、8~12mL)を添加することにより、水相のpHを調節して11にする。水相にスチレン(540.3g、80.4重量%)、ジビニルベンゼン(5.5重量%、59.7g)、イソドデカン(351.5g、32重量%)、及びジベンゾイルペルオキシド(BPO)(4.69g、0.43重量%)(有機相基準)の混合物を添加する。容器内に窒素気流を20L/時間で導入する。混合物を加熱して、初めに73℃、190rpmで1時間、次いでこの温度で7時間保持し、次いで1時間かけて最高でも95℃にまで加熱し、再びこの温度で2時間保持し、次いで室温まで冷却する。この例では、559gのポリマー及び3.9gの微粒子画分が単離された。
【0077】
〔例2](本発明による)
例1を繰り返すが、開始剤ベンゾイルペルオキシド(BPO)の代わりに3.23gのtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(T21s)を使用する。この例では、582gのポリマー及び5.7gの微粒子画分が単離された。
【0078】
〔例3〕(本発明による)
例1を繰り返すが、開始剤ベンゾイルペルオキシド(BPO)の代わりに3.23gのtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(T21s)を使用する。加えて、水相にレゾルシノール(水相中、c=0.08g/L)を添加する。この例では、587gのポリマー及び3.1gの微粒子画分が単離された。
【0079】
〔例4〕(本発明によるものではなく、低分子量分散剤成分のb)を使用せず)
最初に、ガラス製反応器に脱イオン水(869mL)及び96.6gの、2-ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、CAS:9004-65-3、平均粘度,水中2%@20℃:4550mPas、メトキシル:28.5モル%、ヒドロキシプロピル:5.75モル%、数平均分子量:95000g/モル(タイプA)の2重量%水溶液を仕込む。リン酸水素二ナトリウム十水和物(4.69g、水性相を基準にして0.48重量%)を溶液中にさらに溶解させる。次いで、NaOH(1M、8~12mL)を添加することにより、水相のpHを調節して11にする。水相にスチレン(540.3g、80.4重量%)、ジビニルベンゼン(5.5重量%、59.7g)、イソドデカン(351.5g、32重量%)、及びジベンゾイルペルオキシド(BPO)(4.69g、0.43重量%)(有機相基準)の混合物を添加する。容器内に窒素気流を20L/時間で導入する。混合物を加熱して、初めに73℃、190rpmで1時間、次いでこの温度で7時間保持し、次いで1時間かけて最高でも95℃にまで加熱し、再びこの温度で2時間保持し、次いで室温に冷却する。この例では、569gのポリマー及び6.9gの微粒子画分が単離された。
【0080】
〔例5〕(本発明によるものではなく、低分子量分散剤成分のb)を使用せず、欧州特許出願公開第A-0964002号明細書の実施例2での開始剤を使用した)
例4を繰り返すが、開始剤ベンゾイルペルオキシド(BPO)の代わりに3.23gのtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(T21s)を使用する。この例では、522gのポリマー及び10.2gの微粒子画分が単離された。
【0081】
〔例6〕(本発明によるものではない、高分子量分散剤成分のa)を使用せず)
実施例4を繰り返すが、タイプAの代わりに同じ重量の以下のものを使用する:2-ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、CAS:9004-65-3、平均粘度,水中2%@20℃:100mPas、メトキシル:21.5モル%、ヒドロキシプロピル:9.5モル%)、数平均分子量:33500g/モル(タイプB)(タイプA対タイプBの重量比、1:1)。この例では、574gのポリマー及び7.8gの微粒子画分が単離された。
【0082】
〔例7〕(本発明によるものではなく、高分子量分散剤成分のa)を使用せず、欧州特許出願公開第A-0964002号明細書の実施例2での開始剤を使用した)
実施例4を繰り返すが、タイプAの代わりに同じ重量の以下のものを使用する:2-ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、CAS:9004-65-3、平均粘度,水中2%@20℃:100mPas、メトキシル:21.5モル%、ヒドロキシプロピル:9.5モル%)、数平均分子量:33500g/モル(タイプB)。加えて、開始剤BPOを3.23gのtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(T21s)と置き換える。この例では、570gのポリマー及び9.8gの微粒子画分が単離された。
【0083】
〔例8〕(本発明によるものではなく、欧州特許出願公開第A-0964002号明細書の比較例1、禁止剤として亜硝酸ナトリウムの代わりにレゾルシノールを使用した)
最初に、ガラス製反応器に脱イオン水(869mL)及び96.6gの、メチルセルロース(平均粘度4000mPas、Sigma Aldrich)の2重量%水溶液を仕込む。この溶液にリン酸水素二ナトリウム十水和物(4.69g、水性相を基準にして0.48重量%)及びレゾルシノール(水相中、c=0.08g/L)をさらに溶解させる。次いで、NaOH(1M、8~12mL)を添加することにより、水性相のpHを調節して11にする。水性相にスチレン(540.3g、80.4重量%)、ジビニルベンゼン(5.5重量%、59.7g)、イソドデカン(351.5g、32重量%)及びジベンゾイルペルオキシド(BPO)(4.69g、0.43重量%)(有機相基準)の混合物を添加する。容器内に窒素気流を20L/時間で導入する。混合物を加熱して、初めに73℃、190rpmで1時間、次いでこの温度で7時間保持し、次いで1時間かけて最高で95℃にまで加熱し、再びこの温度で2時間保持し、次いで室温へ冷却する。この例では、569gのポリマー及び7.2gの微粒子画分が単離された。
【0084】
〔例9〕(本発明による)
例1を繰り返すが、ここでは、分散剤として、タイプAとタイプBとの混合物の代わりに、同じ重量の、ヒドロキシエチルメチルセルロース(メトキシ置換度:28.5モル%、ヒドロキシエトキシ置換度:10モル%、数平均分子量:95000g/モル))と、2-ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(CAS:9004-65-3、平均粘度,水中2%@20℃:100mPas、メトキシル:21.5モル%、ヒドロキシプロピル:9.5モル%、数平均分子量:33500g/モル(タイプB))との混合物(1:1の重量比)を使用する。反応混合物に追加でレゾルシノール(0.08g/L)を添加する。この例では、582gのビーズポリマー及び5.7gの微粒子画分が単離された。
【0085】
【表1】
【0086】
本発明による例1~3及び9は、特定のヒドロキシアルキルメチルセルロースを含む分散剤混合物を使用することにより、ポリマーの調製においてポリマー微粒子画分が驚くほど低減され得ることを示している。
【国際調査報告】