(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-01
(54)【発明の名称】改善された流体工学制御を備えた感知システム
(51)【国際特許分類】
A61M 1/16 20060101AFI20241025BHJP
【FI】
A61M1/16 111
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529647
(86)(22)【出願日】2022-11-16
(85)【翻訳文提出日】2024-05-17
(86)【国際出願番号】 EP2022082114
(87)【国際公開番号】W WO2023088954
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519383544
【氏名又は名称】アナログ・ディヴァイシス・インターナショナル・アンリミテッド・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ユーリ・ヴィクトロヴィッチ・ポノマレフ
(72)【発明者】
【氏名】エリン・エダ・エヴケ
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077HH02
4C077HH12
(57)【要約】
流体感知システムのための方法及び装置が開示される。方法は、感知チャネル内にサンプル流体の第1の部分を提供することと、第1の拡散期間の間、感知チャネル内にサンプル流体の第1の部分を保持することと、第1の拡散期間の後に、感知チャネル内にサンプル流体の第2の部分を提供することと、第2の拡散期間の間、感知チャネル内にサンプル流体の第2の部分を保持することと、第2の拡散期間の後に、感知要素によって感知チャネル内のサンプル流体の第2の部分を感知することと、を含むことができる。介在する拡散期間を伴うサンプルのパルスを提供することは、サンプル流体のより少ない全体的な体積を伴って、センサにわたってより均一な分析物濃度を生成することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体感知システムを動作させる方法であって、前記方法が、
感知チャネル内にサンプル流体の第1の部分を提供することと、
第1の拡散期間の間、前記感知チャネル内に前記サンプル流体の前記第1の部分を保持することと、
前記第1の拡散期間の後に、前記感知チャネル内に前記サンプル流体の第2の部分を提供することと、
第2の拡散期間の間、前記感知チャネル内に前記サンプル流体の前記第2の部分を保持することと、
前記第2の拡散期間の後に、感知要素によって、前記感知チャネル内の前記サンプル流体の前記第2の部分を感知することと、を含む、方法。
【請求項2】
較正流体を使用して、前記感知チャネル内の前記感知要素を較正することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記較正流体が、複数のパルスにおいて、前記感知チャネル内に提供される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記感知要素を較正することが、拡散が生じるように、前記較正流体の少なくとも一部分を保持することを更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記感知要素を較正することが、前記較正流体を2個~6個の部分に提供することと、前記部分にそれらの間の拡散期間を順番に提供することと、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の拡散期間の後で、かつ前記サンプル流体の前記第2の部分を提供する前に、前記感知チャネル内に前記サンプル流体の第3の部分を提供することと、第3の拡散期間の間、前記感知チャネル内に前記サンプル流体の前記第3の部分を保持することと、を更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第3の拡散期間の後で、かつ前記サンプル流体の前記第2の部分を提供する前に、前記感知チャネル内に前記サンプル流体の第4の部分を提供することと、第4の拡散期間の間、前記感知チャネル内に前記サンプル流体の前記第4の部分を保持することと、を更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
先行部分の拡散期間の後に、前記サンプル流体の各後続部分が、前記先行部分を直接置換する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記感知要素が、光学的感知要素又は電気化学的感知要素を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記サンプル流体の前記第1の部分を提供する前に、空気セグメントを提供することを更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の拡散期間が、5秒~20秒の範囲内である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の部分の体積が、前記感知チャネルの体積の25%~200%である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記感知要素が、3個~15個の電極を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記感知要素の第1の電極が、前記サンプル流体の前記第2の部分内の第1の構成成分を検出し、前記感知要素の第2の電極が、前記第1の構成成分とは異なる前記サンプル流体の前記第2の部分内の第2の構成成分を検出する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
流体感知システムを動作させる方法であって、前記方法が、
感知チャネル内の第1の流体の少なくとも一部分を、第2の流体で洗い流すことであって、前記第1の流体及び前記第2の流体が、異なる流体である、洗い流すことと、
拡散期間の間、前記感知チャネル内に前記第2の流体を保持することと、
前記拡散期間の後、前記感知チャネル内の前記第2の流体の少なくとも一部分を第3の流体で洗い流すことであって、前記第2の流体及び前記第3の流体が、同じ流体サンプル又は較正流体からのものである、洗い流すことと、
感知要素によって、前記感知チャネル内の前記第3の流体を感知することと、を含む、方法。
【請求項16】
前記拡散期間が、5秒~20秒の範囲内である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第3の流体を第4の流体によって洗い流すことと、第2の拡散期間の間、前記感知チャネル内に前記第4の流体を保持することと、を更に含む、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
請求項15~17のいずれか一項に記載の方法を実施するための制御モジュールを備える装置。
【請求項19】
前記制御モジュールが、前記感知チャネル及び送信要素を備える、センサモジュールに電気的にかつ機械的に結合される、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
感知システムであって、前記システムが、
入口バルブと出口バルブとの間に位置付けられた感知要素を有する、感知モジュールと、
コントローラを含むリーダであって、前記コントローラが、
前記入口及び出口バルブを開いて、感知チャネル内にサンプル流体の第1の部分を提供し、
前記入口及び出口バルブを閉じて、第1の拡散期間の間、前記感知チャネル内に前記サンプル流体の前記第1の部分を保持し、
前記第1の拡散期間の後に、前記入口及び出口バルブを開いて、前記感知チャネル内に前記サンプル流体の第2の部分を提供し、
前記入口及び出口バルブを閉じて、第2の拡散期間の間、前記感知チャネル内に前記サンプル流体の前記第2の部分を保持し、
前記第2の拡散期間の後に、感知要素を動作させて、前記感知チャネル内の前記サンプル流体の前記第2の部分を感知するように構成されている、リーダと、を備える、感知システム。
【請求項21】
前記感知要素が、複数の電極を含む、請求項20に記載の感知システム。
【請求項22】
前記感知要素が、前記サンプル流体の前記第2の部分のそれぞれの構成成分を示す信号を送信するように構成されている、請求項20又は21に記載の感知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年11月17日に出願された「SENSING SYSTEM WITH IMPROVED FLUIDICS CONTROL」と題する米国仮特許出願第63/280,496号の利益を主張し、その開示全体が、あらゆる目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、2022年3月9日に出願された米国特許出願第17/654,177号(米国特許出願公開第2022/0291165号)にも関し、その開示全体が、あらゆる目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本技術分野は、流体センサシステムを制御する方法、及び流体工学制御を備えたシステムに関する。
【背景技術】
【0004】
関連技術の説明
多くの医療処置手技は、病院又は外来患者施設で実施されるので、患者は、典型的には、処置を受けるために施設に収容されなければならない。腎臓透析手技などの処置手技は、しばしば定期的に実施され、これは、患者及び臨床医にとって不便であり、時間がかかり、かつ経済的に費用がかかる可能性がある。そのような処置手技が1つの場所(例えば、患者の自宅)で実施されることを可能にすることは、手技の利便性、効率、及び費用の手ごろさを有利に改善することができる。
【発明の概要】
【0005】
本開示を要約する目的のために、本発明の特定の態様、利点、及び新しい特徴が、ここに説明されている。そのような利点の全てが、任意の特定の実施形態に従って、必ずしも達成することができるわけではないことは、理解されたい。したがって、本明細書に説明される発明は、本明細書で教示されるような1つの利点又は一団の利点を達成又は最適化する方法で具現化又は実行することができるが、その場合、本明細書で教示又は示唆され得る他の利点を必ずしも達成するとは限らない。
【0006】
一態様において、流体感知システムを動作させる方法が開示される。方法は、感知チャネル内にサンプル流体の第1の部分を提供することと、第1の拡散期間の間、感知チャネル内にサンプル流体の第1の部分を保持することと、第1の拡散期間の後に、感知チャネル内にサンプル流体の第2の部分を提供することと、第2の拡散期間の間、感知チャネル内にサンプル流体の第2の部分を保持することと、第2の拡散期間の後に、感知要素によって感知チャネル内のサンプル流体の第2の部分を感知することと、を含むことができる。
【0007】
一実施形態において、方法は、較正流体を使用して、感知チャネル内の感知要素を較正することを更に含む。較正流体は、複数のパルスにおいて、感知チャネルに提供することができる。感知要素を較正することは、拡散が生じるように、較正流体の少なくとも一部分を保持することを更に含むことができる。感知要素を較正することは、較正流体を2個~6個の部分に提供することと、それらの部分にそれらの間の拡散期間を順番に提供することと、を含むことができる。
【0008】
一実施形態において、方法は、第1の拡散期間の後で、かつサンプル流体の第2の部分を提供する前に、感知チャネル内にサンプル流体の第3の部分を提供することと、第3の拡散期間の間、感知チャネル内にサンプル流体の第3の部分を保持することと、を更に含む。方法は、第3の拡散期間の後で、かつサンプル流体の第2の部分を提供する前に、感知チャネル内にサンプル流体の第4の部分を提供することと、第4の拡散期間の間、感知チャネル内にサンプル流体の第4の部分を保持することと、を更に含むことができる。
【0009】
一実施形態において、サンプル流体の後続の各部分は、前の部分の拡散期間の後に、前の部分を直接置換する。
【0010】
一実施形態において、感知要素は、光学的感知要素又は電気化学的感知要素を含む。
【0011】
一実施形態において、方法は、サンプル流体の第1の部分を提供する前に、空気セグメントを提供することを更に含む。
【0012】
一実施形態において、第1の拡散期間は、5秒~20秒の範囲内である。
【0013】
一実施形態において、第1の部分の体積は、感知チャネルの体積の25%~200%である。
【0014】
一実施形態において、感知要素は、3~15個の電極を含む。感知要素の第1の電極は、サンプル流体の第2の部分内の第1の構成成分を検出することができ、感知要素の第2の電極は、第1の構成成分とは異なるサンプル流体の第2の部分内の第2の構成成分を検出することができる。
【0015】
一態様において、流体感知システムを動作させる方法が開示される。方法は、感知チャネル内の第1の流体の少なくとも一部分を、第2の流体で洗い流すことと、拡散期間の間、感知チャネル内に第2の流体を保持することと、拡散期間の後に、感知チャネル内の第2の流体の少なくとも一部を、第3の流体で洗い流すことと、感知要素によって感知チャネル内の第3の流体を感知することと、を含むことができる。第1の流体と第2の流体は、異なる流体である。第2の流体と第3の流体は、同じ流体サンプル又は較正流体からのものである。
【0016】
一実施形態において、拡散期間は、5秒~20秒の範囲内である。
【0017】
一実施形態において、方法は、第3の流体を第4の流体によって洗い流すことと、第2の拡散期間の間、感知チャネル内に第4の液体を保持することと、を更に含む。
【0018】
一実施形態において、装置は、方法を実施するための制御モジュールを含む。制御モジュールは、感知チャネル及び送信要素を備える、センサモジュールに電気的にかつ機械的に結合することができる。
【0019】
一態様において、感知システムが開示される。感知システムは、入口バルブと出口バルブとの間に位置付けられた感知要素を有する感知モジュールと、コントローラを含むリーダと、を含むことができる。コントローラは、入口及び出口バルブを開いて、感知チャネル内にサンプル流体の第1の部分を提供し、入口及び出口バルブを閉じて、第1の拡散期間の間、感知チャネル内にサンプル流体の第1の部分を保持し、第1の拡散期間の後に、入口及び出口バルブを開いて、感知チャネル内にサンプル流体の第2の部分を提供し、入口及び出口バルブを閉じて、第2の拡散期間の間、感知チャネル内にサンプル流体の第2の部分を保持し、第2の拡散期間の後に、感知要素を動作させて感知チャネル内のサンプル流体の第2の部分を感知するように構成されている。
【0020】
一実施形態において、感知要素は、複数の電極を含む。
【0021】
一実施形態において、感知要素は、サンプル流体の第2の部分のそれぞれの構成成分を示す信号を送信するように構成されている。
【0022】
次に、具体的な実施例が以下の図面を参照して説明されるが、図面は例として提供され、限定を目的とするものではない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】
図1の流体感知システムのシステム略図である。
【
図4A】センサシステムのセンサモジュールを動作させるタイミング図である。
【
図4B】
図4Aのセンサモジュールの動作における様々な状態の例示的なタイミングを示す図表である。
【
図5A】一実施形態による、センサシステムのセンサモジュールを動作させるタイミング図である。
【
図5B】
図5Aのセンサモジュールの動作における様々な状態の例示的なタイミングを示す図表である。
【
図6A】シミュレーションにおいて、既存の流体を置換するための特定の流体の5個のパルス(洗い流し)のタイミングを示すグラフである。
【
図6B】様々な時点における感知要素上のサンプル流体の濃度分布を示す。
【
図6C】様々な時点における感知要素上のサンプル流体の濃度分布を示す。
【
図6D】様々な時点における感知要素上のサンプル流体の濃度分布を示す。
【
図6E】様々な時点における感知要素上のサンプル流体の濃度分布を示す。
【
図6F】様々な時点における感知要素上のサンプル流体の濃度分布を示す。
【
図7A】様々な時点における1つの電極の表面上のナトリウム濃度を示す。
【
図7B】様々な時点における別の電極の表面上のナトリウム濃度を示す。
【
図8A】経時的に測定された1つの電極の表面上の較正流体の平均濃度を示す。
【
図8B】経時的に測定された別の電極の表面上の較正流体の平均濃度を示す。
【
図8C】y軸のより小さい濃度目盛りにわたる、
図8Aの拡大図である。
【
図8D】y軸のより小さい濃度目盛りにわたる、
図8Aの拡大図である。
【
図9A】単一ピュールを使用して、既存の流体で特定の流体を交換する間の3つのシミュレーション時点を示すグラフである。
【
図9B】様々な時点における感知要素上の特定の流体の濃度分布を示す。
【
図9C】様々な時点における感知要素上の特定の流体の濃度分布を示す。
【
図9D】様々な時点における感知要素上の特定の流体の濃度分布を示す。
【
図10A】
図9A~9Dのシミュレーションにおいて、1秒、5秒、及び62.5秒の時点で測定された第1の電極の表面上のナトリウム濃度を示す。
【
図10B】
図9A~9Dのシミュレーションにおいて、1秒、5秒、及び62.5秒の時点で測定された第12の電極の表面上のナトリウム濃度を示す。
【
図11A】経時的に測定された一連の電極の第1の電極の表面上の較正流体の平均濃度を示す。
【
図11B】経時的に測定された一連の電極の第12の電極の表面上の較正流体の平均濃度を示す。
【
図12A】
図8A及び11Aのシミュレーション結果を組み合わせたものである。
【
図12B】
図8B及び11Bのシミュレーション結果を組み合わせたものである。
【
図13】感知要素の近くの感知チャネルの一部分の断面側面図における流体のメッシュ例解図を示す。
【
図14A】第1の流体を置換するために第2の流体の連続的な流れを使用する流体交換プロセスにおける、第2の流体の経時的な感知電圧のシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図14B】第1の流体を置換するために第2の流体の連続的な流れを使用する流体交換プロセスにおける、第2の流体の経時的な感知電圧のシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図14C】第1の流体を置換するために第2の流体の連続的な流れを使用する流体交換プロセスにおける、第2の流体の経時的な感知電圧のシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図14D】第1の流体を置換するために第2の流体の連続的な流れを使用する流体交換プロセスにおける、第2の流体の経時的な感知電圧のシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図15A】測定用の定常状態が後続する第1の流体を置換するために、一部の時間に対する第2の流体の連続的な流れを使用する流体交換プロセスにおける、第2の流体の経時的な感知電圧を含むシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図15B】測定用の定常状態が後続する第1の流体を置換するために、一部の時間に対する第2の流体の連続的な流れを使用する流体交換プロセスにおける、第2の流体の経時的な感知電圧を含むシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図15C】測定用の定常状態が後続する第1の流体を置換するために、一部の時間に対する第2の流体の連続的な流れを使用する流体交換プロセスにおける、第2の流体の経時的な感知電圧を含むシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図15D】測定用の定常状態が後続する第1の流体を置換するために、一部の時間に対する第2の流体の連続的な流れを使用する流体交換プロセスにおける、第2の流体の経時的な感知電圧を含むシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図16A】第1の流体を置換するために第2の流体のパルス化した流れを使用する流体交換プロセスにおける、第2の流体の経時的な感知電圧を含むシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図16B】第1の流体を置換するために第2の流体のパルス化した流れを使用する流体交換プロセスにおける、第2の流体の経時的な感知電圧を含むシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図16C】第1の流体を置換するために第2の流体のパルス化した流れを使用する流体交換プロセスにおける、第2の流体の経時的な感知電圧を含むシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図16D】第1の流体を置換するために第2の流体のパルス化した流れを使用する流体交換プロセスにおける、第2の流体の経時的な感知電圧を含むシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図17A】感知チャネル内の第1及び第2の流体の濃度分布及び流れ方向を例解する。
【
図17B】感知チャネル内の第1及び第2の流体の濃度分布及び流れ方向を例解する。
【
図17C】感知チャネル内の第1及び第2の流体の濃度分布及び流れ方向を例解する。
【
図17D】感知チャネル内の第1及び第2の流体の濃度分布及び流れ方向を例解する。
【
図18A】第1及び第2の流体の間の空気セグメントを使用して、第2の流体で第1の流体を置換するプロセスを概略的に例解する。
【
図18B】第1及び第2の流体の間の空気セグメントを使用して、第2の流体で第1の流体を置換するプロセスを概略的に例解する。
【
図18C】第1及び第2の流体の間の空気セグメントを使用して、第2の流体で第1の流体を置換するプロセスを概略的に例解する。
【
図18D】第1の流体と第2の流体の間の空気セグメントを使用して、第2の流体で第1の流体を置換する別のプロセスを概略的に例解する。
【
図18E】第1の流体と第2の流体の間の空気セグメントを使用して、第2の流体で第1の流体を置換する別のプロセスを概略的に例解する。
【
図18F】第1の流体と第2の流体の間の空気セグメントを使用して、第2の流体で第1の流体を置換する別のプロセスを概略的に例解する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
医療処置手技では、透析液又は血液の電解質含有量などの流体の含有量を監視することが望ましい。生物学的流体含有量センサは、光学的又は電気化学的感知の原理で動作するセンサデバイス又はチップを含むことができる。いずれの場合も、流体のサンプル間でセンサを較正することが望ましい。
【0025】
センサモジュールの感知チャネル内の第1の流体(例えば、較正流体又は分析物)を第2の流体(例えば、分析物又は較正流体)で置換する場合、第1の流体の残渣がチャネル内に残っていることがあるため、第2の流体を十分に測定するのに、相対的に大量の第2の流体が提供される必要があり得る。しかしながら、効果的に(例えば、完全に)第1の流体を置き換えるために、相対的に大量の第2の流体を用いることは、望ましくない場合がある。例えば、第2の流体が限られた量しか存在しない場合、第2の流体で第1の流体を効率的に置換することが重要であり得る。いくつかの実施形態では、流体の1つは、不活性流体(例えば、空気又は蒸留水)とすることができる。しかしながら、本明細書で説明される実施形態は、1つの活性流体を別の活性流体で(例えば、分析物を較正流体で、又はその逆)置換するのが有利である場合があり、それによって、分析物と較正流体との間に不活性流体(例えば、空気又は蒸留水)を提供するのに要する時間及び流体量を回避する。
【0026】
本明細書に開示されている様々な実施形態は、処置システムと直列に接続するように構成されている流体センサモジュールに関する。処置システムは、透析処置システムなどの医療デバイスを備えることができる。本明細書で開示される様々な実施形態は、感知チャネル内の第1の流体を感知チャネル内の第2の流体で効率的に置換することができる流体感知システムに関する。いくつかの実施形態では、第2の流体の総量は複数の部分に分割することができ、各部分は、順番に別々にチャネルに提供することができる。第2の流体の部分を別々に提供するこのプロセスは、感知チャネル内に先に存在する流体(例えば、第1の流体、又は第2の流体の一部分)を洗い流すか、又は直接置換することができる。各洗い流しで、拡散が生じて感知要素の活性流体工学部分における濃度を平衡させるために、第2の流体が感知チャンバ内に留まることを可能にするように、流れは一時停止される。各部分は、感知チャネルの体積に等しいか、又はそれに近い体積を有することができる。例えば、感知チャネルの体積は、チャネルに沿った12個の異なるセンサを利用する例では、25μL~100μLとすることができる(すなわち、各センサに対し平均して約2μL~8μL)。
【0027】
図1は、一実施形態による流体感知システム1のブロック図を示す。
図2は、一実施形態による流体感知システム1のシステム略図である。流体感知システム1は、センサモジュール10及びリーダ12を含むことができる。センサモジュール10は、使い捨てとすることができる。センサモジュール10はまた、センサカートリッジと称され得る。いくつかの実施形態では、センサモジュール10は、取り外し可能にリーダ12に結合させることができる。センサモジュール10は、1つ以上の光学的センサ若しくは電気化学的センサ、又は光学的及び電気化学的センサの組み合わせを含むことができる。例えば、センサモジュール10は、感知要素14を備える感知アセンブリを含むことができる。センサシステム1は、インターフェースユニット16を含むことができる。インターフェースユニット16は、センサモジュール10とリーダ12の間のインターフェースとして機能することができ、センサモジュール10及び/又はリーダ12の一部とすることができる(
図1ではリーダ12の一部として示される)。リーダ12は、コントローラ18を含むことができる。いくつかの実施形態では、リーダ12及びセンサモジュール10は、インターフェースユニット16を介して通信することができる。
【0028】
感知要素14は、サンプル流体に触れたときに、サンプル流体の特定の構成成分を示す信号を送信する複数の機能化電極20(例えば、
図3に示すような12個の電極)を含むことができる。いくつかの実施形態では、感知要素14は、任意の好適な数の変換器又は電極20(
図2)を含むことができる。例えば、感知要素14は、3個以上、4個以上、6個以上、11個以上、又は更に多くの変換器又は電極20を含むことができる。例えば、感知要素14は、3~15個の電極、6~15個の電極、又は10~15個の電極を含むことができる。いくつかの実施形態では、電極20の全て又はいくつかは、(リーダ12の電子回路と共に)同じ構成成分を感知するように構成することができる。いくつかの他の実施形態では、各電極20は、(リーダ12の電子回路と共に異なる構成成分を感知するように構成することができる。センサの例は、イオンセンサ(Na+、K+、Ca++、pH、Mag++、Cl-、NH3-などの陰イオン及び陽イオンの両方)、代謝産物センサ(例えば、クレアチニン、ブドウ糖、尿素)、溶存ガスセンサ(例えば、pO2、pCO2)、遺伝標識センサ(例えば、IL-6、MMP、及び概してサイトカイン)であり得、また、(正確な電位差及び電流センサ測定を可能にするように)基準電位及び対向電極として機能するように構成し得る。感知要素14は、較正流体及び/又はサンプル流体を受容するように構成されている感知チャネル22内に位置付けられることができる。入口バルブ24aは、感知チャネル22の上流端に位置付けられることができ、出口バルブ24bは、感知チャネル22の下流端に位置付けられることができる。
【0029】
流体感知システム1の動作中に、入口バルブ24a及び出口バルブ24bを制御して、感知チャネル22に流体を出入りさせることができる。いくつかの実施形態では、リーダ12に配設されたバルブモータ26は、動作可能にバルブモータ26のモータシャフトに接続するように構成されているバルブコネクタ(例えば、バルブ開口部)を経由してバルブ24a、24bに接続することができる。リーダ12内の処理用電子回路28は、入口バルブ24a及び出口バルブ24bを開閉するために、バルブモータ26に命令を送信するように構成され得る。いくつかの実施形態では、出口バルブ24bは、感知要素14と廃棄物区画34の間に位置付けられ得る。出口バルブ24bは、感知チャネル22及び廃棄物チャネル36を分離することができる。いくつかの実施形態では、ユーザ(例えば、患者又は臨床医)は、リーダ12のユーザインターフェース(UI)38を動かすことによって、入口及び出口バルブ24a、24bを手動で動作させることができる。リーダ12のUI38は、ユーザ及び/又は臨床医がリーダ12と情報交換することを可能にするタッチスクリーン及び/又はボタンを備えることができる。いくつかの実施形態では、UI38は、流体中の構成成分のレベルを示すディスプレイを含むことができる。
【0030】
センサモジュール10の流体経路42は、透析処置システムなどの処置システムの配管セット44に結合されることができる。例えば、流体経路42は、処置システムの配管セット44と直列に接続することができる。入口バルブ24aは、感知チャネル22及び流体経路42を分離することができる。いくつかの実施形態では、入口バルブ24aは、感知チャネル22に入る流体を遮断する閉鎖状態と、感知チャネル22と較正流体を格納する較正容器32との間の流体連通を提供する第1の開放状態と、感知チャネル22と流体経路42との間の流体連通を提供する第2の開放状態と、を有する、多方(例えば、3方)バルブとすることができる。
【0031】
図3は、感知要素14の上平面概略図である。例解される実施形態において、感知要素14は、第1から第12の電極20a~20lを含む。本明細書で説明されるように、感知要素14は、任意の好適な数の変換器又は電極を含むことができる。サンプル流体は、第1から第12の電極20a~20lと相互作用することができ、それに応じて、センサモジュール10は、サンプル流体のそれぞれの構成成分を示すリーダ12への信号を送信することができる。いくつかの実施形態では、電極20a~20lの全て又はいくつかは、(リーダ12の電子回路と共に)同じ構成成分を感知するように構成することができる。いくつかの他の実施形態では、各電極20a~20lは、(リーダ12の電子回路と共に)異なる構成成分を感知するように構成することができる。
【0032】
例解される実施形態では、感知要素14の長さは、約17mmとすることができる。感知要素14の長さは、感知要素14に含まれる電極の数に少なくとも部分的に依存し得る。いくつかの実施形態では、感知要素14の長さは、10mm~30mm、15mm~30mm、10mm~25mm、又は15mm~20mmの範囲であり得る。例えば、各電極は、約0.75mmの直径、及び約0.5mmの隣接電極に対する電極間の間隔を有することができる。本明細書に開示される様々な測定結果は、
図3の感知要素14を使用して得られる。しかしながら、サンプル流体のそれぞれの構成成分を測定するための任意の好適な感知要素が、本明細書に開示されるセンサモジュールに実装されることができる。
【0033】
図4Aは、センサシステムのセンサモジュールを動作させるタイミング図を示す。
図4Bは、センサモジュールの動作における様々な状態の例示的なタイミングを示す図表である。いくつかの実施形態では、センサモジュール(例えば、センサモジュール10)の動作は、リーダ12によって少なくとも部分的に制御することができる。第1の状態(開始状態60)では、感知要素又は感知要素14の電極は、乾燥し、かつ液体がない状態とすることができる。開始状態60では、センサモジュール10は、サンプル流体がセンサチャネル22に入らないバイパスモードにあることができる。開始状態60の持続時間t1は、約30秒とすることができる。
【0034】
第2の状態(較正洗い流し状態62)は、開始状態60に後続することができる。較正洗い流し状態62では、感知要素14の電極は、感知チャネル22を介して較正流体で洗い流すことができる。較正洗い流し状態62の持続時間t2は、約1秒とすることができる。較正液は、感知要素14を較正するために、例えば、既知の濃度の種(例えば、ナトリウム、カリウム、pH、カルシウムなど)を有する水を含むことができる。
【0035】
第3の状態(スタンバイ状態64)は、較正洗い流し状態62に後続することができる。スタンバイ状態64では、較正流体は、測定要求が受信されるまで、感知チャネル22内に留まることができる。スタンバイ状態64では、センサモジュール10は、バイパスモードにあり得る。スタンバイ状態64の持続時間t3は、約1分~120分とすることができる。
【0036】
第4の状態(サンプル洗い流し状態66)は、スタンバイ状態64に後続することができる。サンプル洗い流し状態66では、サンプル流体又は分析物を提供することができる。センサモジュール10は、入口バルブ24a及び出口バルブ24bを開いて、サンプル流体が感知チャネル22内に流れることを可能にするサンプル洗い流しモードにあることができる。入口バルブ24aは、感知チャネル22に入る流体を遮断する閉鎖状態と、感知チャネル22と較正容器32との間の流体連通を提供する第1の開放状態と、感知チャネル22と流体経路42との間の流体連通を提供する第2の開放状態と、を有する、3方バルブとすることができる。例えば、感知チャネル22内の較正流体は洗い流され、サンプル流体で置換されることができる。いくつかの実施形態では、過剰な流体は、廃棄物区画34に向けることができる。サンプル洗い流し状態66の持続時間t4は、約1秒とすることができる。
【0037】
第5の状態(測定状態68)は、サンプル洗い流し状態66に後続することができる。測定状態68では、サンプル流体は感知チャネル22内に留まり、測定のために変換器チップ14の電極と相互作用することができる。測定状態68では、センサモジュール10は、入口バルブ24a及び出口バルブ24bが閉じられているバイパスモードにあることができる。第5の状態68の持続時間t5は、約30秒とすることができる。
【0038】
測定状態68の後、感知チャネル22及び感知要素14の電極20の表面をクリーニングするために、クリーニングプロセス(較正洗い流し及びスタンバイ状態62、64)が後続することができる。感知チャネル22及び電極20の表面をクリーニングした後、要求に応じて別の測定が行われ、測定プロセス(サンプル洗い流し及び測定状態66、68)を繰り返すことができる。クリーニング及び測定サイクル70は、何度も繰り返すことができる。クリーニング及び測定サイクル70の総回数(N回)は、較正容器32のサイズ及び/又は廃棄物区画34のサイズに少なくとも部分的に基づいて決定することができる。全動作寿命t6は、約72時間とすることができる。
【0039】
図4A及び4Bに関して説明される動作では、サンプル流体は、1回の用量で提供される。同様に、較正流体も1回の用量で提供される。サンプル流体の十分に高い濃度を達成するために、又はそのような1回の用量のプロセスの較正流体によって電極20を十分にクリーニングするために、かなりの量のサンプル流体又は較正流体が必要とされ得る。また、限られた量のサンプル流体が利用可能である場合、感知チャネル22内でサンプル流体の十分に高い濃度が得られず、測定の精度が理想的でない場合がある。また、センサモジュール10によって、その寿命にわたって実施され得る測定の総回数は、較正流体の総量に依存し得る。したがって、各クリーニングプロセスで、より多くの較正流体を使用することは、センサモジュール10によって実施することができる測定の総回数を低減する可能性がある。
【0040】
図5A及び5Bでは、
図4A及び4Bの動作の欠点を克服する、センサモジュール10の改善された動作が、説明される。
図5Aは、一実施形態による、センサシステムのセンサモジュールを動作させるタイミング図を示す。
図5Bは、センサモジュールの動作における様々な状態の例示的なタイミングを示す図表である。第1の状態(開始状態60)では、チャネルは乾燥状態とすることができる。いくつかの応用において、開始状態60の持続時間t1は、約30秒とすることができる。例えば、開始状態60の持続時間t1は、5秒~10分、10秒~5分、又は20秒~1分とすることができる。
【0041】
第2の(較正洗い流し)状態62では、入口バルブ24a及び出口バルブ24bを開いて、感知チャネル22内に較正流体の第1の部分を洗い流すことができる。較正液又は流体(品質管理流体、又はQC流体、例えば、水、生理食塩水などの生体適合性流体とも称される)は、センサモジュール10の較正容器32に提供することができる。いくつかの実施形態では、較正容器32を含む複数の較正容器が存在し得る。複数の較正容器は異なる較正流体を格納し得る。例えば、複数の較正容器の各容器は、感知要素14によって実装された特定のセンサ(イオンセンサ、代謝産物センサ、溶存ガスセンサ、又は遺伝標識センサなど)に好適である、感知されるべき1つ以上の構成成分の既知の量を有する異なる較正流体をそれぞれ格納するように構成することができる。較正液又は流体は、センサを較正するために、例えば既知の濃度の種(例えば、ナトリウム、カリウム、pH、カルシウムなど)を有する水を含むことができる。いくつかの実施形態では、較正流体は、感知要素14からより古いサンプル流体及び/又は他の残骸を洗い流すことによって、センサモジュール10をリセットするのに役立つことができる。このように、較正流体はパージ流体ともみなされ得る。処理用電子回路28は、サンプル流体が裸又は機能化電極20のそれぞれと流体連通していることを認識するように構成され得る。いくつかの応用において、第2の状態62の持続時間t2は、約1秒とすることができる。例えば、第2の状態62の持続時間t2は、0.5秒~5秒、0.5秒~3秒、又は0.75秒~3秒とすることができる。
【0042】
第3の(較正拡散)状態72では、入口バルブ24a及び出口バルブ24bは閉じることができ、較正流体は感知チャネル22内に留まることができる。いくつかの実施形態では、較正洗い流し状態62及び較正拡散状態72は、繰り返すことができる。較正洗い流し状態62及び較正拡散状態72が繰り返されるとき、それは必ずしもまったく同じプロセスを繰り返すわけではない。例えば、較正洗い流し状態62及び/若しくは較正拡散状態72にあるサンプル流体の量並びに/又はそれらの状態の持続時間は、一連の繰り返しプロセスで変化し得る。例えば、1つの較正プロセスのための較正流体の総量は、第1の部分から第xの部分を含むx個の部分に分割することができ、第2の状態及び第3の状態は、第1のサイクル(又はサブサイクル)の中でx回順番に実施し得る。いくつかの実施形態では、xは2~10とすることができる。いくつかの実施形態では、xは3~6とすることができる。いくつかの応用において、較正拡散状態72の持続時間t7は、約10秒とすることができる。例えば、較正拡散状態72の持続時間t7は、5秒~20秒、又は5秒~15秒とすることができる。いくつかの実施形態では、複数の較正洗い流し状態62は、較正拡散状態72が介在することなく、行うことができる。いくつかの実施形態では、較正流体のx個の部分の1個の部分の体積は、感知チャネル22の体積の25%~200%、50%~150%、又は75%~125%とすることができる。いくつかの実施形態では、較正流体のx個の部分の1個の部分の体積は、感知チャネル22の体積とほぼ同じ、感知チャネル22の体積の約2倍、感知チャネルの体積の約3倍とすることができる。
【0043】
第4の(スタンバイ)状態64では、較正流体の測定は、較正のために行われ得る。較正は、感知要素14の適切な機能を確実にすることができる。いくつかの実施形態では、感知要素14は、光電子信号変換器を含むことができる。入口バルブ24a及び出口バルブ24bは閉じたままにすることができ、較正流体は、サンプル流体(分析物)の測定が開始されるまで、感知チャネル22内に留まることができる。第2の状態から第4の状態までは、較正プロセスを構成することができる。いくつかの応用において、スタンバイ状態64の持続時間t3は、約1分~90分とすることができる。例えば、スタンバイ状態64の持続時間t3は、1分~60分、30分~90分、又は10分~60分とすることができる。
【0044】
第5の(サンプル洗い流し)状態66では、入口バルブ24a及び出口バルブ24bを開いて、サンプル流体の第1の部分を感知チャネル22内に洗い流すことができる。いくつかの実施形態では、較正流体の一部分は、廃棄物チャネル36を介して廃棄物区画34に向けることができる。いくつかの応用において、サンプル洗い流し状態66の持続時間t4は、約1秒とすることができる。例えば、サンプル洗い流し状態66の持続時間t4は、0.5秒~5秒、0.5秒~3秒、又は0.75秒~3秒とすることができる。
【0045】
第6の(サンプル拡散)状態74では、入口バルブ24a及び出口バルブ24bは、拡散が生じて感知要素14の活性流体工学部分における濃度を平衡させることを可能にする時間(例えば、第1の拡散期間)、閉じることができる。いくつかの実施形態では、サンプル洗い流し状態66及びサンプル拡散状態74は、感知要素14の活性流体工学部分における濃度を平衡させるために、第1の部分を置換する第2の部分及び後続の拡散期間(例えば、第2の拡散期間)を伴って、繰り返すことができる。サンプル洗い流し状態66及びサンプル拡散状態74が繰り返されるとき、それは必ずしもまったく同じプロセスを繰り返すわけではない。例えば、サンプル洗い流し状態66及び/若しくはサンプル拡散状態74にあるサンプル流体の量並びに/又はそれらの状態の持続時間は、一連の繰り返しプロセスで変化し得る。例えば、特定の測定のためのサンプル流体の総量は、第1の部分から第yの部分を含むy個の部分に分割することができ、サンプル洗い流し状態66及びサンプル拡散状態74は、第2のサイクル(又はサブサイクル)の中でy回順番に実施し得る。いくつかの実施形態では、yは2~10とすることができる。いくつかの実施形態では、yは3~6とすることができる。いくつかの応用において、サンプル拡散状態74の持続時間t8は、約10秒とすることができる。例えば、サンプル拡散状態74の持続時間t8は、5秒~20秒、又は5秒~15秒とすることができる。いくつかの実施形態では、複数のサンプル洗い流し状態66は、介在するサンプル拡散状態74を伴うことなく、行うことができる。いくつかの実施形態では、サンプル流体の部分の一部分の体積は、感知チャネル22の体積の25%~200%、50%~150%、又は75%~125%とすることができる。
【0046】
第7の(最後のサンプル洗い流し)状態66yでは、入口バルブ24a及び出口バルブ24bを開いて、サンプル流体の第yの部分を感知チャネル22内に洗い流すことができる。サンプル流体の1個の部分が洗い流される回数が増加するにつれて、感知チャネル22内のサンプル流体の濃度が増加し得る。例えば、洗い流し後、サンプル流体の濃度は、80%超、85%超、90%超、95%超、又は97.5%超とすることができる。
【0047】
第8の(測定)状態68では、入口バルブ24a及び出口バルブ24bは、サンプル拡散状態74のようにしばらく閉じることができ、サンプル流体の測定を行うことができる。センサモジュール10は、リーダ12にサンプル流体の特定の構成成分を示す信号を送信することができる。リーダ12の処理用電子回路28は、センサモジュール10の動作を制御することができる。
【0048】
較正洗い流し状態62、較正拡散状態72、スタンバイ状態64、サンプル洗い流し状態66、サンプル拡散状態74、最後のサンプル洗い流し状態66y、及び測定状態68)を含む上記の動作(サイクル又はスーパーサイクル)76は、異なるサンプル流体に対してN回繰り返すことができる。総回数(N回)は、例えば、較正容器32のサイズ及び/又は廃棄物区画34のサイズに少なくとも部分的に依存し得る。Nは、適用要件に少なくとも部分的に依存し、10~2000に及ぶことができる。一例では、透析システムに取り入れるための感知システムは、約3日間にわたってN=95個のサンプルに対して構成され得る。したがって、サンプルモジュール10のN個のサンプルにわたる全動作寿命t6は、約72時間とすることができる。例えば、サンプルモジュール10のN個のサンプルにわたる全動作寿命t6は、24時間~240時間、36時間~168時間、48時間~144時間の範囲とすることができる。
【0049】
上で説明されるように、較正洗い流し状態62及び較正拡散状態72(較正プロセス)、並びにサンプル洗い流し状態66及びサンプル拡散状態74(測定プロセス)の両方が、それぞれ第1及び第2のサブサイクルの中で繰り返されることが可能である。しかしながら、いくつかの実施形態では、較正洗い流し状態62及び較正拡散状態72(較正プロセス)のみを繰り返すことができるか、又はサンプル洗い流し状態66及びサンプル拡散状態74(測定プロセス)のみを繰り返すことができる。
【0050】
図6Aは、シミュレーションにおいて、既存の流体(例えば、較正流体)を置換するための特定の流体(例えば、サンプル流体)の5個のパルス(洗い流し)のタイミングを示すグラフである。
図5Aを参照すると、
図6Aでは、サンプル流体は、第1の部分から第5の部分を含むy=5個の部分に分割され、プロセスは、それぞれにサンプル拡散状態74が後続する4つのサンプル洗い流し状態66と、最後のサンプル洗い流し状態66yと、を含む。
図6Bは、1秒の時点(第1のパルスの直前)における12個の電極20a~20lを有する感知要素14上のサンプル流体の濃度分布を示す。
図6Cは、20秒の時点(第2のパルスの直前)における感知要素14上のサンプル流体の濃度分布を示す。
図6Dは、45秒の時点(第3のパルスの直後)における感知要素14上のサンプル流体の濃度分布を示す。
図6Eは、90秒の時点(第5のパルスの直後)における感知要素14上のサンプル流体の濃度分布を示す。
図6Fは、145秒の時点(第5のパルスのかなり後)における感知要素14上のサンプル流体の濃度分布を示す。シミュレーションでは、サンプル流体を使用する際に、既知のナトリウム含有量を有する水を使用することができる。サンプル流体中のナトリウム濃度は、約250mol/m
3とすることができる。シミュレーションに使用される較正流体のナトリウム濃度は、約40mol/m
3とすることができる。実際の測定の場合、サンプル流体中の特定の構成成分の濃度は、不明であり得、較正流体中の特定の構成成分の濃度は、既知である。シミュレーションに使用されるサンプル流体の総量は、感知チャネル22の体積の2倍である。
【0051】
図6A及び6Bは、1秒の時点(第1のパルスの直後)で、較正流体が、相対的に高い濃度を伴って、最初の3つの電極20a~20cの上で、部分的にサンプル流体で置換されることを示す。
図6A及び6Cは、20秒の時点(第2のパルスの直前)で、較正流体が、
図6Bの濃度よりも低いサンプル濃度(この例ではナトリウム)を伴って、最初の7つの電極20a~20gの上で、部分的にサンプル流体で置換されることを示す。
図6Cは、サンプル流体が経時的に較正流体内に拡散することを示す。
図6A及び6Dは、45秒の時点(第3のパルスの直後)で、較正流体が、相対的に高い濃度を伴って、8つの電極20a~20hの上で、部分的にサンプル流体で置換されることを示す。
図6A及び6Eは、90秒の時点(第5のパルスの直後)で、サンプル流体の濃度が、12個の電極20a~20lの上で相対的に高いことを示す。
図6A及び6Fは、145秒の時点(第5のパルスの約60秒後)で、サンプル流体の濃度が、
図6Eの濃度よりも更に高いことを示す。
【0052】
図7Aは、
図6A~6Fのシミュレーションにおいて、20秒、45秒、90秒、及び145秒の時点で測定された、第1の電極20aの表面上(感知チャネル22の上流端の近く)のナトリウム濃度を示す。
図7Bは、
図6A~6Fのシミュレーションにおいて、20秒、45秒、90秒、及び145秒の時点で測定された、第12の電極20lの表面上(感知チャネル22の下流端の近く)のナトリウム濃度を示す。
図8Aは、経時的に測定された第1の電極20aの表面上の較正流体の平均濃度を示す。
図8Bは、経時的に測定された、第12の電極20lの表面上の較正流体の平均濃度を示す。
図8C及び8Dは、
図8A及び8Bの部分の拡大図である。
【0053】
図7A及び7Bは、サンプル流体の濃度(本実施例ではナトリウム濃度)が、第1の電極20aで相対的に速く100%近く(本実施例では約250mol/m
3)に達し、サンプル流体の濃度が、第12の電極20lでより遅い速度で100%近くに達することを示す。
図8A~8Dは、較正流体の平均濃度が相対的に速くゼロに近づき、サンプル流体の濃度が第12の電極20lでより遅い速度でゼロに近づくことを示す。
【0054】
図9Aは、単一のパルスを使用して、特定の流体(例えば、サンプル流体)を既存の流体(例えば、較正流体)で交換する間の3つのシミュレーション時点を示すグラフである。
図9Bは、1秒の時点(単一のパルスの直前)における、12個の電極20a~20lを有する感知要素14上のサンプル流体の濃度分布を示す。
図9Cは、5秒の時点(単一のパルスの直後)における、感知要素14上のサンプル流体の濃度分布を示す。
図9Dは、62.5秒の時点(単一のパルスのかなり後)における、感知要素14上のサンプル流体の濃度分布を示す。シミュレーションでは、サンプル流体を使用する際に、既知のナトリウム含有量を有する水を使用することができる。シミュレーションの目的のために、サンプル流体中のナトリウム濃度は約250mol/m
3とすることができ、較正流体中のナトリウム濃度は約40mol/m
3とすることができる。単一のパルスで使用されるサンプル流体の量は、感知チャネル22の体積の2倍である(
図6A~8Dの5パルスシミュレーションで使用されるサンプル流体の総量と同じ量)。
【0055】
図10Aは、
図9A~9Dのシミュレーションにおいて、1秒、5秒、及び62.5秒の時点で測定された、第1の電極20aの表面上のナトリウム濃度を示す。
図10Bは、
図9A~9Dのシミュレーションにおいて、1秒、5秒、及び62.5秒の時点で測定された、第12の電極20lの表面上のナトリウム濃度を示す。
図11Aは、経時的に測定された、第1の電極20aの表面上の較正流体の平均濃度を示す。
図11Bは、経時的に測定された、第12の電極20lの表面上の較正流体の平均濃度を示す。
【0056】
図12Aは、
図8A及び11Aのシミュレーション結果を組み合わせたものである。
図12Bは、
図8B及び11Bのシミュレーション結果を組み合わせたものである。
図12A及び12Bは、感知チャネル22の下流に位置付けられた電極に対して、チャネル内の流体を置換することがより困難になる可能性があることを示す。また、
図12A及び12Bは、単一パルス及び複数パルスの例の両方において、サンプル流体の総量が同じであるにもかかわらず、単一のパルスが約15%の測定誤差を与えることがあり、複数のパルスが約5%未満の誤差を与え得ることを示す。
【0057】
較正拡散状態72及び/又はサンプル拡散状態74は、較正流体及び/又はサンプル流体が拡散するのに十分な時間を提供することができ、それによってセンサモジュール10の性能効率を改善する。例えば、単一の洗い流しプロセスと比較して、各洗い流し間隔が15秒である5回の洗い流しプロセスは、3倍から13倍までの最終的な濃度精度の改善をもたらす可能性がある。また、同じ最終的な濃度精度を達成するために、複数パルスのプロセスは、単一パルスのプロセスと比較して、より少ない量の流体を使用し得る。
【0058】
第1から第12の電極20a~20lの各電極又はその近くで、例えば、その製造プロセスに起因して、大規模な表面の荒れ、割れ目、ポケットなどの不均一性があり得る。そのような不均一性は、感知チャネル22内の流体置換を妨げる可能性がある。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される利点は、感知チャネルの形状、輪郭、又は幾何学形状が理想的な円形パイプから逸脱するときに顕著であり得る。
【0059】
図13は、感知要素(例えば、電極)の近くの感知チャネルの一部分の断面側面図における流体80のメッシュ例解図を示す。感知チャネル22は、縦穴82を含むことができる。感知チャネル22の部分は、入口バルブと出口バルブの間に位置付けられることができる。縦穴82の表面は、感知面82aを備えることができる。いくつかの実施形態では、縦穴82の深さdは、50μm~250μmの範囲とすることができる。例えば、縦穴82の深さdは、50μm~200μm、100μm~250μm、又は100μm~200μmの範囲とすることができる。流体80は、感知面82aで感知要素と相互作用することができ、感知要素は、サンプル流体のそれぞれの構成成分を示す信号を出力することができる。いくつかの実施形態では、サンプル流体は、カルシウムを含むことができる。感知チャネル22では、サンプル流体は、概して層流で入口側(IN)から出口側(OUT)に流れ得る。
図14A~17Eに示すシミュレーションでは、カルシウム含有量1.165mMの第1の流体が、カルシウム含有量0.2mMの第2の流体で置換される。カルシウム含有量は、静的ネルンスト方程式を使用して、感知要素によって測定された電圧に基づいて計算することができる。また、
図14A~17Eに示すシミュレーションでは、縦穴82の深さdは、135μmに設定される。
【0060】
図14A~14Dは、第1の流体を置換するために第2の流体の連続的な流れを使用する流体交換プロセスにおける、第2の流体の経時的な感知電圧、流体の流れの速度、カルシウム濃度、及び交換効率を含むシミュレーション結果を示すグラフである。
図15A~15Dは、測定用の第2の流体の定常状態が後続する第1の流体を置換するために、一部の時間に対する第2の流体の連続的な流れを使用する流体交換プロセスにおける、第2の流体の経時的な感知電圧、流体の流れの速度、カルシウム濃度、及び交換効率を含むシミュレーション結果を示すグラフである。
図16A~16Dは、第1の流体を置換するために、第2の流体のパルス流れを使用する流体交換プロセスのシミュレーション結果を示すグラフである。
【0061】
図14A~14Dのシミュレーションでは、第2の流体は、約1.302mm/sの一定の流速が与えられる。
図14A~14Dのシミュレーションでは、測定のための第2の流体の定常状態はない。
図14Cは、感知面82a上で97.5%の濃度変化に達するためには、感知チャネル22の体積の22倍の体積の第2の流体が必要であることを示す。
図14A~14Dのシミュレーションでは、電位は定義されておらず、感知チャネル22の流速及び幾何学形状によって変化することが予想される。したがって、シミュレーション結果は、連続流を使用する流体交換プロセスが、正確な測定のために信頼できない場合があることを示している。
【0062】
図15A~15Dのシミュレーションでは、第2の流体は、感知面82a上の濃度変化が97.5%に達するまで、約1.302mm/sの一定の流速が与えられる。第2の流体を提供した後、測定は30秒間行われる。感知面82a上の濃度変化が97.5%に達した後に第2の流体が流れ続けている
図14A~14Dのシミュレーションとは異なり、
図15A~15Dのシミュレーションでは、第2の流体の流れは、感知面82a上の濃度変化が測定のための97.5%に達した後に、停止される。
図15Cは、感知面82a上で97.5%の濃度変化に達するためには、感知チャネル22の体積の22倍の体積の第2の流体が必要であることを示す。第2の流体の流れが終了した後、電位は、定義されることができ、感知要素が正確な測定を行うことを可能にする。
【0063】
図16A~16Dのシミュレーションでは、第2の流体は、4つのパルス又は洗い流しにおいて提供され、各パルスは、感知チャネルの体積に等しい体積を有する。
図16A~16Dのシミュレーションで使用されるアプローチは、平流及び拡散アプローチと称され得る。シミュレーションでは、1秒の単一洗い流し時間と、各洗い流し後に30秒の浸漬時間(拡散時間)が使用される。
図16Cは、感知チャネル22の体積のわずか3倍である第2の流体の体積(すなわち、3パルス後)が、感知面82a上の濃度変化が97.5%に達することを可能にすることができることを示す。第2の流体の流れが停止するとき(すなわち、各パルスの後)、電位は、定義されることができ、感知要素が正確な測定を行うことを可能にする。例えば、正確な測定は、第2の流体の第4のパルスの後に行うことができる。第3のパルスの後に濃度変化が97.5%に達するため、第4のパルスの後に測定を行うことは、測定が正確であることを確実にすることができる。
【0064】
図14A~16Dのシミュレーション結果は、パルス流を使用する流体交換プロセスが、感知面82a上の濃度変化が十分に高い(例えば、97.5%)状態を可能にするのに必要な量を大幅に低減することができることを示す。いくつかの応用において、80%超、85%超、90%超、又は95%超の濃度変化は、正確な測定を行うのに十分に高いと考えられる。
【0065】
図17A~17Dは、感知チャネル22内の第1及び第2の流体の濃度分布及び流れ又は拡散方向を例解する。
図17Aは、
図16A~16Dのシミュレーションの第1のパルスの間における、感知チャネル22内の第1及び第2の流体の濃度分布及び流れ方向を示す。第2の流体の概して層状の流れは、
図17Aの感知チャネル22で見ることができる。また、縦穴82内に、第1の流体の相対的に高い濃度を観察することができる。
【0066】
図17Bは、第1のパルスの後の拡散期間の間における感知チャネル22内の第1及び第2の流体の濃度分布及び拡散方向を示す。拡散期間において、拡散は、第1及び第2の流体の間で、感知チャネル22内で生じ得る。拡散期間は、縦穴82内の第1の流体が縦穴82上で第2の流体に拡散することを可能にすることができる。
図17C及び17Bでは、感知チャネル22内の第2の流体のより高い濃度を達成するために、別のパルス及び拡散期間を繰り返すことができる。
【0067】
図18A~18Cは、第1及び第2の流体間の空気セグメント94を使用して、第1の流体90を第2の流体92で置換するプロセスを概略的に例解する。
図18Cに示すように、空気ポケット96は、縦穴82に形成され得る。
【0068】
図18D~18Fは、第1及び第2の流体間の空気セグメント94を使用して、第1の流体90を第2の流体92で置換する別のプロセスを概略的に例解する。
図19Cに示すように、捕捉された第1の流体部分98は、縦穴82に形成され得る。
【0069】
第1の流体を第2の流体で置換するのを助けるために空気を使用することは、空気が容易にアクセス可能であり得、それが、
図18A~18Fに関して説明された欠点(空気ポケット96若しくは捕捉された第1の流体の部分98の形成)に起因して、第2の流体を消費しないか、又は置換のための第2の流体の量を低減させるので、有益であり得るが、それは十分な信頼性を提供しない場合がある。しかしながら、空気セグメント94及び本明細書に開示される1つ以上の流体置換方法の組み合わせは、十分に信頼性の高い感知プロセスを可能にし得る。例えば、空気セグメント94の使用は、
図15A~15Dに関して説明されたプロセス及び/又は
図16A~16Dに関して説明されたプロセスと組み合わせることができる。
【0070】
サンプル流体のパルス供給が本明細書で主に考察されているが、本明細書に開示される原理及び利点は、感知チャネル内の既存の流体を置換するために、任意の好適な流体を供給するのに使用され得る。例えば、較正流体は、逆置換に関して上で説明した方法でサンプル流体を置換するために、複数のパルスにおいて、提供することができる。
【0071】
文脈上明らかに他の解釈が必要とされない限り、説明及び特許請求の範囲の全体を通して、「備える(comprise)」、「備えている(comprising)」、「含む(include)」、「含んでいる(including)」、及びそれらと同類の語は、排他的又は網羅的な意味とは対照的に、包括的な意味、すなわち「~を含むが、それに限定されない」という意味に解釈されるべきである。「coupled(結合された)」という語は、本明細書で概して使用される場合、直接接続することができる、又は1つ以上の中間要素を経由して接続することができる、2つ以上の要素を指す。同様に、「接続された(connected)」という語は、本明細書で概して使用される場合、直接接続することができる、又は1つ以上の中間要素を経由して接続することができる、2つ以上の要素を指す。更に、「ここで」、「上記で」、「下記で」という語、及び類似の意味の語は、本出願で使用されるとき、本出願の任意の特定部分ではなく、本出願全体を指すものとする。更に、本明細書で使用されるように、第1の要素が第2の要素の「上に(on)」又は「上方に(over)」あると説明されるとき、第1の要素は、第1及び第2の要素が直接接触するように、第2の要素の直接的に上に若しくは上方にあり得るか、又は第1の要素は、1つ以上の要素が第1及び第2の要素の間に介在するように、第2の要素の間接的に上に若しくは上方にあり得る。文脈が許す場合、単数又は複数を使用する、上述の発明を実施するための形態における語は、それぞれ、複数又は単数も含み得る。2つ以上の項目のリストに関する「又は(or)」という語は、その語の以下の解釈の全てを包含する。すなわち、リスト中の項目のうちのいずれか、リスト中の項目の全て、及びリスト中の項目の任意の組み合わせ。
【0072】
更に、数ある中でも、「できる(can)」、「かもしれない(could)」、「してもよい(might)」、「し得る(may)」、「例えば(e.g.,)」、「for example(例えば)」、「など(such as)」などの、本明細書で使用される条件付き用語は、別途具体的に指示されない限り、又は使用されるときに文脈内で別様に理解されない限り、概して、特定の実施形態が特定の特徴、要素、及び/又は状態を含むが、他の実施形態がそれらを含まないことを伝えることを意図する。したがって、そのような条件付き用語は、概して、特徴、要素、及び/又は状態が、いかなる形であれ、1つ以上の実施形態に必要とされることを含意するようには意図されない。
【0073】
一定の実施形態が説明されているが、これらの実施形態は、単なる例として提示されており、本開示の範囲を限定するようには意図されない。実際に、本明細書で説明される新しい装置、方法、及びシステムは、他の様々な形で具現化することができ、更に、本開示の趣旨から逸脱することなく、本明細書で説明される方法及びシステムの形において、様々な省略、代用、及び変更を行うことができる。例えば、ブロックは、所与の配列で提示されているが、代替的な実施形態は、異なる構成要素及び/又は回路トポロジを伴う同様の機能性を実施することができ、いくつかのブロックは、削除され、移動され、追加され、細分化され、組み合わされ、かつ/又は改変されることができる。これらのブロックの各々は、様々な異なる方式で実装され得る。上で説明した様々な実施形態の要素及び行為の任意の好適な組み合わせは、組み合わせて更なる実施形態を提供することができる。添付の特許請求の範囲及びそれらの同等物は、本開示の範囲及び趣旨に含まれるような形態又は改変を含むことを意図している。
【符号の説明】
【0074】
1 流体感知システム
10 センサモジュール
12 リーダ
14 感知要素
16 インターフェースユニット
18 コントローラ
20 電極
22 感知チャネル
24a 入口バルブ
24b 出口バルブ
26 バルブモータ
28 処理用電子回路
32 較正容器
34 廃棄物区画
36 廃棄物チャネル
38 ユーザインターフェース(UI)
42 流体経路
44 配管セット
80 流体
82 縦穴
82a 感知面
90 第1の流体
92 第2の流体
94 空気セグメント
96 空気ポケット
【国際調査報告】