(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-01
(54)【発明の名称】低インピーダンスのドレイン組立体を有する送出導管システムを備えるガラス製造装置
(51)【国際特許分類】
C03B 5/26 20060101AFI20241025BHJP
C03B 5/167 20060101ALI20241025BHJP
【FI】
C03B5/26
C03B5/167
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531130
(86)(22)【出願日】2022-11-09
(85)【翻訳文提出日】2024-07-18
(86)【国際出願番号】 US2022049342
(87)【国際公開番号】W WO2023096746
(87)【国際公開日】2023-06-01
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】デ アンジェリス ギルバート
(72)【発明者】
【氏名】イサザ ジュアン カミロ
(57)【要約】
ガラス製造装置のための送出導管システムであって、送出導管システムは、送出導管システムから溶融ガラスを排出できるように構成されたドレイン組立体を含む。ドレイン組立体は、加熱手段及び冷却手段を含み、加熱手段及び冷却手段は、ドレイン組立体によって溶融ガラスに与えられる流体インピーダンスを選択的に変更することによって、送出導管システムの構成要素からの溶融ガラスのドレイン流を開放し、成形体への流れを遮断することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融ガラスの流れを送出容器から成形体に運ぶように構成された送出導管システムを備えるガラス製造装置であって、前記送出導管システムは、
前記送出容器から延びる出口導管と、
前記成形体から延びる入口導管と、
前記出口導管と前記入口導管との間に結合されたドレイン組立体であって、前記ドレイン組立体は、入口端及び出口端を有する下向きに延びるドレイン管を含むドレイン組立体と、
前記ドレイン管と前記成形体との間で前記送出導管システムに隣接して配置された第1の冷却装置と、
前記ドレイン管の前記出口端を加熱するように構成された加熱装置と、
を備える、ガラス製造装置。
【請求項2】
前記加熱装置は、前記ドレイン管に取り付けられた一対の電気フランジを備える、請求項1に記載のガラス製造装置。
【請求項3】
前記ドレイン組立体は、前記溶融ガラスの流れを第1の方向から前記第1の方向とは異なる第2の方向へ向けるように構成された第1の湾曲導管セクションを備える、請求項1又は2に記載のガラス製造装置。
【請求項4】
前記第1の湾曲導管セクションは、第1の湾曲導管部分及び第2の湾曲導管部分を備え、前記第1の湾曲導管部分及び前記第2の湾曲導管部分の各々は、90度の方向転換によって前記溶融ガラスの流れを導くように構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項5】
前記第1の湾曲導管セクションは、前記第1の湾曲導管部分と前記第2の湾曲導管部分との間に結合された第1の直線導管部分を備える、請求項4に記載のガラス製造装置。
【請求項6】
前記ドレイン管は、前記第1の直線導管部分に結合されている、請求項5に記載のガラス製造装置。
【請求項7】
前記第1の湾曲導管セクションに結合された第2の湾曲導管セクションをさらに備える、請求項5に記載のガラス製造装置。
【請求項8】
前記第2の湾曲導管部分と前記第2の湾曲導管セクションとの間に第2の直線導管部分が結合されている、請求項7に記載のガラス製造装置。
【請求項9】
前記冷却装置は、前記第2の直線導管部分に近接して配置されている、請求項8に記載のガラス製造装置。
【請求項10】
前記送出導管システムは、白金を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項11】
前記出口導管の内径は、前記第1の湾曲導管セクションの内径よりも小さい、請求項3に記載のガラス製造装置。
【請求項12】
前記出口導管と前記第1の湾曲導管セクションとの間に第1の移行管が結合され、前記第1の移行管の内径は、前記出口導管の前記内径と前記第1の湾曲導管セクションの前記内径との間で変化する、請求項11に記載のガラス製造装置。
【請求項13】
前記入口導管の内径は、前記第1の湾曲導管セクションの内径よりも小さい、請求項3に記載のガラス製造装置。
【請求項14】
前記入口導管と前記第1の湾曲導管セクションとの間に第1の移行管が結合され、前記第1の移行管の内径は、前記入口導管の前記内径と前記第1の湾曲導管セクションの前記内径との間で変化する、請求項11に記載のガラス製造装置。
【請求項15】
前記第2の湾曲導管セクションは、前記入口導管に結合され、前記入口導管の内径は、前記第2の湾曲導管セクションの内径よりも小さい、請求項7に記載のガラス製造装置。
【請求項16】
前記入口導管と前記第2の湾曲導管セクションとの間に第2の移行管が結合され、前記第2の移行管の内径は、前記入口導管の前記内径と前記第2の湾曲導管セクションの前記内径との間で変化する、請求項11に記載のガラス製造装置。
【請求項17】
前記出口導管に近接して配置された第2の冷却装置をさらに備える、請求項1から16のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項18】
送出容器と、成形体と、溶融ガラスの流れを前記送出容器から前記成形体に向かって運ぶように構成された送出導管システムとを備えるガラス製造装置であって、前記送出導管システムは、
前記送出容器から下向きに延びる出口導管と、
前記成形体から延びる入口導管と、
前記出口導管と前記入口導管との間に結合されたドレイン組立体であって、前記ドレイン組立体は、第1の湾曲導管セクションと、前記溶融ガラスの流れ方向に対して前記第1の湾曲導管セクションの下流に配置された第2の湾曲導管セクションとを含むドレイン組立体と、
前記ドレイン組立体から下向きに延びるドレイン管であって、前記ドレイン管は、前記ドレイン組立体に取り付けられた近位端と、前記近位端とは反対側の遠位端とを含むドレイン管と、
前記第1の湾曲導管セクションから下流に配置され、前記第1の湾曲導管セクションから下流の前記送出導管システムの少なくとも一部を冷却するように構成された第1の冷却装置と、
前記ドレイン管の前記遠位端を加熱するように構成された加熱装置と、
を備える、ガラス製造装置。
【請求項19】
前記出口導管の内径は、前記第1の湾曲導管セクションの内径よりも小さい、請求項18に記載のガラス製造装置。
【請求項20】
前記入口導管の内径は、前記第2の湾曲導管セクションの内径よりも小さい、請求項18又は19に記載のガラス製造装置。
【請求項21】
前記第1の湾曲導管セクションは、溶融ガラスの流れを第1の方向から前記第1の方向とは反対の第2の方向に向けるように構成されている、請求項18から20のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項22】
前記第2の湾曲導管セクションは、前記溶融ガラスの流れを、前記第2の方向から、前記第1の方向と前記第2の方向との中間の第3の方向に向けるように構成されている、請求項21に記載のガラス製造装置。
【請求項23】
前記第3の方向は、前記第1の方向と直交している、請求項22に記載のガラス製造装置。
【請求項24】
前記第1の湾曲導管セクションは、第1の湾曲導管部分及び第2の湾曲導管部分を備え、前記第1の湾曲導管部分及び前記第2の湾曲導管部分の各々は、90度の角度に広がる、請求項21に記載のガラス製造装置。
【請求項25】
前記第1の湾曲導管セクションは、第1の湾曲導管部分、第2の湾曲導管部分、及び前記第1の湾曲導管部分と前記第2の湾曲導管部分との間に配置された第1の直線導管部分を備える、請求項18から24のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項26】
前記ドレイン管の前記近位端は、前記直線セクションに取り付けられ、前記直線セクションと流体連通している、請求項25に記載のガラス製造装置。
【請求項27】
前記出口導管に近接して配置され、前記出口導管を冷却するように構成された第2の冷却装置をさらに備える、請求項18から26のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項28】
前記第1の湾曲導管セクションと前記第2の湾曲導管セクションとの間に結合された第2の直線導管部分をさらに備える、請求項18から27のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項29】
送出導管システムを排出する方法であって、
送出導管システムを通して溶融ガラスを送出容器から成形体に流すステップであって、前記送出導管システムは、前記送出容器に接続された出口導管と、前記成形体に接続された入口導管と、前記出口導管と前記入口導管との間に接続されたドレイン組立体とを備え、前記ドレイン組立体は、前記ドレイン組立体に接続されたドレイン管を備え、前記ドレイン管は、前記ドレイン組立体に取り付けられた近位端と、前記近位端の反対側の遠位端とを備え、前記ドレイン管は、前記遠位端からの前記溶融ガラスの流れを阻止する、内部に配置された第1の材料栓を備える、ステップと、
前記ドレイン管の前記遠位端を加熱して、前記材料栓を除去し、前記溶融ガラスが前記遠位端から流れるようにするステップと、
前記溶融ガラスを前記ドレイン管より下流の前記送出導管システムの一部で冷却して、前記送出導管システムに第2の材料栓を形成し、前記成形体への前記溶融ガラスの流れを減少させるステップと、
を含む方法。
【請求項30】
前記出口導管の少なくとも一部の前記溶融ガラスを第2の冷却装置で冷却するステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2021年11月23日出願の米国仮出願番号63/282,478号の米国特許法第119条に基づく優先権の利益を主張するものであり、その内容は、その開示内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本開示は、ガラス製造装置に関し、詳細には、排出中に成形装置への溶融材料の流れを停止することができるドレインを含むガラス製造装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ガラス製造プロセスは、溶融、調整(conditioning)、及び成形の3つの段階に分けることができる。前駆材料が加熱されて溶融材料が形成され、気泡形成ガスが溶融材料から除去され、溶融材料が例えば攪拌によって均質化される。その後、溶融材料は、溶融材料を有用な製品に成形する成形装置に供給される。通常、調整後かつ成形装置の前に、ガラス製造装置内のドレインは、成形装置又は成形プロセスに問題が生じた場合、溶融材料自体に問題が生じた場合、又はシステム内の溶融材料の組成を変更する場合に、システムから溶融材料を排出するために使用される場合がある。
【0004】
しかしながら、ドレイン自体では、システム、特に成形装置からの溶融材料の流れの全ての方向を変えることはできない。溶融材料がシステムから空になる際に、溶融材料は成形装置及びドレインの両方に流れる場合がある。これは、排出プロセス中に成形装置を通る溶融材料の意図しない流れによって成形システムが損傷する可能性があるため、問題となる可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様では、溶融ガラスの流れを送出容器から成形体に運ぶように構成された送出導管システムを備えるガラス製造装置が開示され、送出導管システムは、送出容器から延びる出口導管と、成形体から延びる入口導管と、出口導管と入口導管との間に結合されたドレイン組立体であって、ドレイン組立体は、入口端及び出口端を有する下向きに延びるドレイン管を含むドレイン組立体と、ドレイン管と成形体との間で送出導管システムに隣接して配置された第1の冷却装置と、ドレイン管の出口端を加熱するように構成された加熱装置と、を備える。
【0006】
第2の態様では、第1の態様の加熱装置は、ドレイン管に取り付けられた一対の電気フランジを備えることができる。
【0007】
第3の態様では、第1又は第2の態様のドレイン組立体は、溶融ガラスの流れを第1の方向から第1の方向とは異なる第2の方向へ向けるように構成された第1の湾曲導管セクションを備えることができる。
【0008】
第4の態様では、第1から3のいずれかの態様の第1の湾曲導管セクションは、第1の湾曲導管部分及び第2の湾曲導管部分を備えることができ、第1の湾曲導管部分及び第2の湾曲導管部分の各々は、90度の方向転換によって溶融ガラスの流れを導くように構成されている。
【0009】
第5の態様では、第4の態様の第1の湾曲導管セクションは、第1の湾曲導管部分と第2の湾曲導管部分との間に結合された第1の直線導管部分を備える。
【0010】
第6の態様では、第5の態様のドレイン管は、第1の直線導管部分に結合することができる。
【0011】
第7の態様では、第5の態様のガラス製造装置は、第1の湾曲導管セクションに結合された第2の湾曲導管セクションをさらに備えることができる。
【0012】
第8の態様では、第7の態様のガラス製造装置は、第2の湾曲導管部分と第2の湾曲導管セクションとの間に結合されている第2の直線導管部分を備えることができる。
【0013】
第9の態様では、第8の態様の冷却装置は、第2の直線導管部分に近接して位置することができる。
【0014】
第10の態様では、第1から9のいずれかの態様の送出導管システムは、白金を含むことができる。
【0015】
第11の態様では、第3の態様の出口導管の内径は、第1の湾曲導管セクションの内径よりも小さくすることができる。
【0016】
第12の態様では、第11の態様の出口導管と第1の湾曲導管セクションとの間に第1の移行管が結合することができ、第1の移行管の内径は、出口導管の内径と第1の湾曲導管セクションの内径との間で変化することができる。
【0017】
第13の態様では、第3の態様の入口導管の内径は、第1の湾曲導管セクションの内径よりも小さくすることができる。
【0018】
第14の態様では、第11の態様の入口導管と第1の湾曲導管セクションとの間に第1の移行管が結合することができ、第1の移行管の内径は、入口導管の内径と第1の湾曲導管セクションの内径との間で変化することができる。
【0019】
第15の態様では、第7の態様の第2の湾曲導管セクションは、入口導管に結合することができ、入口導管の内径は、第2の湾曲導管セクションの内径よりも小さくすることができる。
【0020】
第16の態様では、第11の態様の入口導管と第2の湾曲導管セクションとの間に第2の移行管を結合することができ、第2の移行管の内径は、入口導管の内径と第2の湾曲導管セクションの内径との間で変化することができる。
【0021】
第17の態様では、第1から16のいずれかの態様のガラス製造装置は、出口導管に近接して配置された第2の冷却装置をさらに備えることができる。
【0022】
第18の態様では、送出容器と、成形体と、溶融ガラスの流れを送出容器から成形体に向かって運ぶように構成された送出導管システムとを備えるガラス製造装置が記載され、送出導管システムは、送出容器から下向きに延びる出口導管と;成形体から延びる入口導管と;出口導管と入口導管との間に結合されたドレイン組立体であって、ドレイン組立体は、第1の湾曲導管セクションと、溶融ガラスの流れ方向に対して第1の湾曲導管セクションの下流に配置された第2の湾曲導管セクションとを含むドレイン組立体と;ドレイン組立体から下向きに延びるドレイン管であって、ドレイン管は、ドレイン組立体に取り付けられた近位端と、近位端とは反対側の遠位端とを含むドレイン管と:第1の湾曲導管セクションから下流に配置され、第1の湾曲導管セクションから下流の送出導管システムの少なくとも一部を冷却するように構成された第1の冷却装置と;ドレイン管の遠位端を加熱するように構成された加熱装置と、を備える。
【0023】
第19の態様では、出口導管の内径は、第1の湾曲導管セクションの内径よりも小さくすることができる。
【0024】
第20の態様では、入口導管の内径は、第2の湾曲導管セクションの内径よりも小さくすることができる。
【0025】
第21の態様では、第18から20のいずれかの態様の第1の湾曲導管セクションは、溶融ガラスの流れを第1の方向から第1の方向とは反対の第2の方向に向けるように構成することができる。
【0026】
第22の態様では、第21の態様の第2の湾曲導管セクションは、溶融ガラスの流れを、第2の方向から、第1の方向と第2の方向との中間の第3の方向に向けるように構成することができる。
【0027】
第23の態様では、第3の方向は、第1の方向と直交することができる。
【0028】
第24の態様では、第21の態様の第1の湾曲導管セクションは、第1の湾曲導管部分及び第2の湾曲導管部分を備えることができ、第1の湾曲導管部分及び第2の湾曲導管部分の各々は、90度の角度に広がる。
【0029】
第25の態様では、第18から24のいずれかの態様の第1の湾曲導管セクションは、第1の湾曲導管部分、第2の湾曲導管部分、及び第1の湾曲導管部分と第2の湾曲導管部分との間に配置された第1の直線導管部分を備えることができる。
【0030】
第26の態様では、ドレイン管の近位端は、直線セクションに取り付けることができ、直線セクションと流体連通することができる。
【0031】
第27の態様では、第18から26のいずれかの態様のガラス製造装置は、出口導管に近接して配置され、出口導管を冷却するように構成された第2の冷却装置をさらに備えることができる。
【0032】
第28の態様では、第18から27のいずれかの態様のガラス製造装置は、第1の湾曲導管セクションと第2の湾曲導管セクションとの間に結合された第2の直線導管部分をさらに備えることができる。
【0033】
第29の態様では、送出導管システムを排出する方法が開示され、本方法は、送出導管システムを通して溶融ガラスを送出容器から成形体に流すステップであって、送出導管システムは、送出容器に接続された出口導管と、成形体に接続された入口導管と、出口導管と入口導管との間に接続されたドレイン組立体とを備え、ドレイン組立体は、ドレイン組立体に接続されたドレイン管を備え、ドレイン管は、ドレイン組立体に取り付けられた近位端と、近位端の反対側の遠位端とを備え、ドレイン管は、遠位端からの溶融ガラスの流れを阻止する、内部に配置された第1の材料栓を備える、ステップと;ドレイン管の遠位端を加熱して、材料栓を除去し、溶融ガラスが遠位端から流れるようにするステップと;溶融ガラスをドレイン管より下流の送出導管システムの一部で冷却して、送出導管システムに第2の材料栓を形成し、成形体への溶融ガラスの流れを減少させるステップと;を含む。
【0034】
第30の態様では、出口導管の少なくとも一部の溶融ガラスを第2の冷却装置で冷却するステップをさらに含むことができる。
【0035】
上述の概要及び以下の詳細な説明との両方は、本明細書に開示される実施形態の性質及び特性を理解するための概要又は枠組みを提供することを意図した実施形態を示す。添付図面は、さらなる理解を可能にするために含まれており、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成する。図面は、本開示の様々な実施形態を示し、説明と共にその原理及び動作を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図2】成形装置及び隣接する構成要素から溶融ガラスを排出するように構成されたドレイン組立体を有する送出導管システム備える
図1のガラス製造装置の一部の断面図であり、ドレイン組立体は、その中の溶融ガラスを加熱するために放射加熱器を使用する。
【
図3】成形装置及び隣接する構成要素から溶融ガラスを排出するように構成されたドレイン組立体を有する別の送出導管システムを備える
図1のガラス製造装置の一部の断面図であり、送出導管システムは、その中の溶融ガラスを加熱するために電気フランジ及び直接加熱を使用する。
【
図4】成形装置及び隣接する構成要素から溶融ガラスを排出するように構成されたドレイン組立体を有するさらに別の例示的な送出導管システムを備える
図1のガラス製造装置の一部の断面図であり、ドレイン組立体は、その中の溶融ガラスを加熱するために放射ヒーターを使用する。
【
図5】ドレイン組立体の組み立てのための様々な自由度(例えば、回転及び長さ)を示す、
図4のドレイン組立体の断面図である。
【
図6】成形装置及び隣接する構成要素から溶融ガラスを排出するように構成されたドレイン組立体を有するさらに別の例示的な送出導管システムを備える
図1のガラス製造装置の一部の断面図であり、ドレイン組立体は、その中の溶融ガラスを加熱するために電気フランジ及び直接加熱を使用する。
【
図7】
図1のガラス製造装置の一部の断面図であり、
図6の送出導管システムを備え、送出導管システムの周りに配置された耐火性断熱材を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
次に、その実施例が添付図面に例示されている本開示の実施形態を詳細に説明する。可能な限り、図面全体を通して、同じ参照数字は、同じ又は同様の要素を指すために使用される。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。
【0038】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、量、サイズ、配合物、パラメータ、及び他の量及び特性が、正確ではなく、正確である必要はないが、所望に応じて、公差、換算係数、四捨五入、測定誤差など、及び当業者に周知の他の要因を反映して、近似値である、及び/又はより大きい又はより小さい場合があることを意味する。
【0039】
本明細書において、範囲は、「約」ある特定の値のから、及び/又は「約」別の特定の値までとして表すことができる。このような範囲で表される場合、別の実施形態は、ある特定の値から他の特定の値までを含む。同様に、先行詞「約」の使用により値が近似値として表現される場合、特定の値が別の実施形態を形成することを理解されたい。さらに、各範囲の端点は、他の端点と関連して、及び他の端点とは独立して有意であることを理解されたい。
【0040】
本明細書で使用される方向性の用語、例えば、上方、下方、右、左、前、後、上、下は、図示の図を参照してのみ示され、絶対的な方向を意味することを意図するものではない。
【0041】
別途指示されていない限り、本明細書に記載される方法は、そのステップを特定の順序で実行することを要求するものと解釈されること、又は、いかなる装置においても特定の向きを要求することは意図されていない。従って、方法のクレームが、そのステップに従うべき順序を実際には記載していない場合、又はいずれかの装置クレームが、個々の構成要素に対する順序又は向きを実際には記載していない場合、又はステップが特定の順序に限定されることが請求項又は明細書において他の方法で具体的に記載されていない場合、又は装置の構成要素に対する特定の順序又は向きが記載されていない場合には、いかなる点においても順序又は向きが推測されることは意図されていない。このことは、ステップの配置、動作フロー、構成要素の順序、又は構成要素の向きに関する論理的事項、文法的構成又は句読点から導かれる一般的意味、及び明細書に記載された実施形態の数又は種類を含む、解釈のためのあらゆる可能性のある非表現的根拠(non-express basis)について当てはまる。
【0042】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈から明らかに指示がない限り、複数の照応を含む。従って、例えば、「a」構成要素への言及は、文脈から明らかにそうでないことが指示されない限り、2又は3以上のそのような構成要素を有する態様を含む。
【0043】
本明細書では、用語「例示的」、「実施例」、又はそれらの様々な形態は、実施例、実例、又は例証として役立つことを意味するために使用される。本明細書において「例示的」又は「実施例」として記載される何らかの態様又は設計は、他の態様又は設計よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。さらに、実施例は、明瞭性及び理解の目的のためにのみ提供されるものであり、開示された主題又は本開示の関連部分をいかなる方法によっても限定又は制限することを意図するものではない。様々な範囲の多数の追加又は代替の実施例を提示することができるが、簡潔にする目的で省略されていることを理解されたい。
【0044】
本明細書で使用される場合、用語「備える(comprising)」及び「含む(including)」、並びにそれらの変形形態は、別途指示されていない限り、同義であり、オープエンドと解釈されるものとする。移行句comprising又はincludingに続く要素のリストは、リストに具体的に記載された要素に加えられる要素も存在し得るような、非排他的なリストである。
【0045】
本明細書で使用される用語「実質的な」、「実質的に」、及びその変形形態は、記載された特徴が値又は記載に等しい又はほぼ等しいことに注記することを意図している。例えば、「実質的に平面状」の表面は、平面状又はほぼ平面状である表面を示すことを意図している。さらに、「実質的に」は、2つの値が等しい又はほぼ等しいことを示すことを意図している。いくつかの実施形態では、「実質的に」は、互いの約10%以内、例えば互いの約5%以内、又は互いの約2%以内の値を示すことができる。
【0046】
図1には、例示的なガラス製造装置10が示されている。ガラス製造装置10は、溶融容器14を含むガラス溶融炉12を備える。溶融容器14に加えて、ガラス溶融炉12は、随意的に、原料を加熱し、原料を溶融材料に変換するように構成された加熱要素(例えば、燃焼バーナー及び/又は電極)などの1又は2以上の追加の構成要素を含むことができ、この溶融材料は、冷却されると、ガラス物品を形成することができる。例えば、溶融容器14は電気ブースト溶融容器とすることができ、この場合、エネルギーは燃焼バーナー及び直接加熱の両方で原料に加えられ、電流が原料を通過し、ジュール加熱によってエネルギーが原料に追加される。以下、溶融材料を溶融ガラスと呼ぶ。ガラス物品は、例えば、ケイ酸塩ガラス物品とすることができ、ホウケイ酸塩ガラス、アルミノホウケイ酸塩ガラス、無アルカリアルミノホウケイ酸塩ガラス、又はソーダ石灰ガラスを含む。
【0047】
ガラス溶融炉12は、溶融容器からの熱損失を低減する他の熱管理装置(例えば、断熱構成要素)を含むことができる。ガラス溶融炉12は、原料のガラス融液への溶融を促進する機械的、電子的、及び/又は電気機械的装置を含むことができる。ガラス溶融炉12は、支持構造体(例えば、支持シャーシ、支持部材等)又は他の構成要素を含むことができる。
【0048】
溶融容器14は、耐火性材料、例えばアルミナ又はジルコニアを含む耐火性セラミック材料から形成することができるが、耐火性セラミック材料は、イットリウム(例えば、イットリア、イットリア安定化ジルコニア、リン酸イットリウム)、ジルコン(ZrSiO4)又はアルミナ・ジルコニア・シリカ、あるいは酸化クロムなどの他の耐火性材料を含むことができ、代替的に又は任意の組み合わせで使用される。いくつかの実施例では、溶融容器14は耐火性セラミックレンガで構成することができる。
【0049】
本明細書で使用される場合、耐火性材料は、多結晶、多相性、無機質、多孔質、不均一であり、538℃を超える温度に曝される装置又はシステムの構成要素として適する非金属無機材料である。例えば、耐火性材料は、限定されるものではないが、アルミニウム、ケイ素、マグネシウム、カルシウム、イットリウム、及びジルコニウムの酸化物を単独で又は組み合わせて含むことができる。耐火性材料は、バインダー材料を含むことができる。
【0050】
ガラス溶融炉12は、ガラス物品、例えばガラスリボンを製造するように構成されたガラス製造装置の構成要素として組み込むことができるが、ガラス製造装置は、非限定的に、他のガラス物品、例えばガラスロッド、ガラスチューブ、ガラスエンベロープ(例えば、照明装置、例えば電球用のガラスエンベロープ)、及びガラスレンズ等を形成するように構成することができる。いくつかの実施例では、ガラス溶融炉12は、スロットドロー装置、フロートバス装置、ダウンドロー装置(例えば、フュージョンダウンドロー装置)、アップドロー装置、プレス装置、圧延装置、チューブドロー装置、又は本開示の利益を受けであろう他の何らかのガラス製造装置からなるガラス製造装置に含むことができる。例示的に、
図1は、スロットドローガラス製造装置10の構成要素としてのガラス溶融炉12を概略的に示す。スロットドロープロセスは、底部にスロットを備える成形体に溶融ガラスを供給することによって動作する。溶融ガラスは、スロットから流れ、重力及びスロットの下に配置された反対方向に回転する引き抜きロールによってそこから下方に引き出すことができる。このようにして形成されたガラスリボンは、その後、個別のガラスシートに加工すること、又はガラスリボンとしてスプールに巻き取ることができる。
【0051】
ガラス製造装置10は、随意的に、溶融容器14の上流に配置された上流ガラス製造装置16を含むことができる。いくつかの実施例では、上流ガラス製造装置16の一部又は全体は、ガラス溶融炉12の一部として組み込むことができる。
【0052】
図1に示すように、上流ガラス製造装置16は、原料貯蔵ビン18、原料送出装置20、及び原料送出装置20に接続されたモータ22を含むことができる。原料貯蔵ビン18は、矢印26で示すように、1又は2以上の供給口を介してガラス溶融炉12の溶融容器14に供給することができる原料24を貯蔵するように構成することができる。原料24は、典型的には、1又は2以上のガラス形成金属酸化物及び1又は2以上の改質剤を含む。いくつかの実施例では、原料送出装置20には、原料貯蔵ビン18から溶融容器14へ所定量の原料24を送出するために、モータ22によって動力を供給することができる。さらなる実施例では、モータ22は、溶融ガラスの流れ方向に対して溶融容器14の下流で感知された溶融ガラスのレベルに基づいて制御された速度で原料24を導入するように、原料送出装置20に動力を供給することができる。溶融容器14内の原料24は、その後、加熱して溶融ガラス28を形成することができる。典型的には、原料は微粒子として、例えば様々な「砂」として溶融容器に加えられる。また、原料24は、前の溶融及び/又は成形作業からの屑ガラス(すなわち、カレット)を含むこともできる。燃焼バーナーは、溶融プロセスを開始するために使用することができる。電気ブースト溶融プロセスでは、原料の電気抵抗が燃焼バーナーによって十分に低下すると、原料に接触して配置された電極間に電位を発生させ、それによって原料を通る電流を確立することによって、電気ブーストを開始することができ、原料は、典型的には溶融状態に入るか又は溶融状態である。
【0053】
また、ガラス製造装置10は、溶融ガラス28の流れ方向に対してガラス溶融炉12の下流に配置された下流ガラス製造装置30を含むことができる。いくつかの実施例では、下流ガラス製造装置30の一部は、ガラス溶融炉12の一部として組み込むことができる。例えば、後述する第1の接続導管32、又は下流ガラス製造装置30の他の部分は、ガラス溶融炉12の一部として組み込むことができる。
【0054】
下流ガラス製造装置30は、溶融容器14の下流に配置され、上述の第1の接続導管32によって溶融容器14に接続された、清澄容器34などの第1の調整チャンバを含むことができる。溶融ガラス28は、第1の接続導管32によって溶融容器14から清澄容器34に重力送りすることができる。従って、第1の接続導管32は、溶融容器14から清澄容器34への溶融ガラス28の流路を提供する。しかしながら、他の調整チャンバは、例えば溶融容器14と清澄容器34との間で、溶融容器14の下流に配置することができる。いくつかの実施形態では、調整チャンバは、溶融容器と清澄チャンバとの間に用いることができる。例えば、最初の溶融容器からの熔融ガラスは、第2の溶融(調整)容器内でさらに加熱すること、又は第2の溶融容器内で、清澄チャンバに入る前に最初の溶融容器内の熔融ガラスの温度よりも低い温度まで冷却することができる。
【0055】
気泡は、様々な技術によって溶融ガラス28から除去することができる。例えば、原料24は、加熱されると化学的還元反応を起こして酸素を放出する酸化スズなどの多価化合物(すなわち、清澄剤)を含むことができる。他の適切な清澄剤としては、限定されるものではないが、ヒ素、アンチモン、鉄、及び/又はセリウムを挙げることができるが、ヒ素及びアンチモンの使用は、その毒性のために、用途によっては環境上の理由から推奨されない場合がある。清澄容器34は、例えば溶融容器の内部温度よりも高い温度まで加熱され、それにより清澄剤は、1又は2以上の清澄剤の化学的還元を誘導するのに十分な反応温度まで加熱される。溶融ガラスに含まれる1又は2以上の清澄剤の化学還元によって生成された酸素は、溶融プロセス中に生成されたガス気泡中に拡散する。拡大して浮力が増した気泡は、清澄容器内の溶融ガラスの自由表面まで上昇し、その後、例えば自由表面の上方の大気と流体連通するベントチューブを通して清澄容器から放出される。
【0056】
下流ガラス製造装置30は、清澄容器34から下流に流れる溶融ガラスを混合するための混合装置36、例えば攪拌容器などの別の調整チャンバをさらに含むことができる。混合装置36は、均質なガラス溶融組成を提供するために使用することができ、それにより、そうでなければ清澄容器から出る溶融ガラス内に存在する可能性のある化学的及び/又は熱的な非均一性を低減する。図示のように、清澄容器34は、第2の接続導管38によって混合装置36に接続することができる。従って、溶融ガラス28は、第2の接続導管38によって清澄容器34から混合装置36に重力送りすることができる。典型的には、混合装置36内の溶融ガラスは自由表面を含み、自由表面と混合装置の頂部との間に自由(例えば、気体)体積が広がっている。混合装置36は、溶融ガラス28の流れ方向に対して清澄容器34の下流に示されているが、他の実施形態では、混合装置36は、清澄容器34の上流に配置することができる。いくつかの実施形態では、下流ガラス製造装置30は、複数の混合装置、例えば、清澄容器34の上流の混合装置と、清澄容器34の下流の混合装置とを含むことができる。使用される場合、複数の混合装置は、同じ設計とすること又は互いに異なる設計とすることができる。容器及び/又は導管の1又は2以上は、その中に配置された溶融材料の混合及びその後の均質化をさらに促進するための静止状態の混合羽根を含むことができる。
【0057】
下流ガラス製造装置30は、混合装置36の下流に位置する送出容器40のような別の調整チャンバをさらに含むことができる。送出容器40は、出口導管44を通って溶融ガラス28の安定した流れを成形体42に供給するためのアキュムレータ及び/又は流量制御器として機能することができる。いくつかの実施形態では、送出容器40内の溶融ガラスは、自由表面を含むことができ、自由体積は、自由表面から送出容器の頂部まで上方へ広がる。図示のように、混合装置36は、第3の接続導管46によって送出容器40に接続することができ、溶融ガラス28は、第3の接続導管46によって混合装置36から送出容器40へ重力送りすることができる。
【0058】
下流ガラス製造装置30は、ガラス物品、例えばガラスリボンを形成するように構成された成形装置48をさらに含むことができる。従って、成形装置48は、成形体42、例えば成形容器を備えることができ、出口導管44は、送出容器40から成形容器の入口導管50に溶融ガラス28を送出するように配置されている。成形容器は、その底部にスロットを備えることができ、成形容器42の開放容積に送出された溶融ガラスがスロットを通って流れ、重力及び/又は反対方向に回転する引き抜きロールによってガラスリボンに下向きの張力を加えることにより、底縁から引き出し方向56に引き出される溶融ガラスのリボン60を生成する。あるいは、成形体42は、例えば、フュージョンダウンドローガラス製造装置で構成することができ、溶融ガラスは、送出容器40を通って出口導管44及び入口導管50から出て成形体42内のトラフに送られる。溶融ガラスは、トラフの壁から溢れ、溶融ガラスの別々の流れとして収束成形面に沿って下降する。溶融ガラスの別々の流れは、成形体の下方で底縁に沿って合流して溶融ガラスのリボン60を生成し、これは、再び、重力及び/又は反対方向に回転する引き抜きロールによってガラスリボンに下向きの張力を加えることによって、底縁から引き出し方向56に引き出される。いずれの場合も、ガラスリボン60は、粘性状態から粘弾性状態、弾性状態への粘性遷移を経て、ガラスリボン60に安定した寸法特性を与える機械的特性を得る。ガラスリボン60は、ガラス分離装置64によって、ガラスシート62などの短い長さに分離することができる。あるいは、ガラスリボンは、リールに巻き取ることができる。
【0059】
接続導管32、38、46、清澄容器34、混合装置36、送出容器40、出口導管44、又は入口導管50のうちの何らかの1又は2以上を含む下流ガラス製造装置30の構成要素は、高温金属から形成することができる。好適な金属としては、白金、イリジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム及びパラジウムからなる群から選択される白金族金属、又はそれらの合金が挙げられる。例えば、ガラス製造装置の下流構成要素は、約70重量%から約90重量%の白金と約10重量%から約30重量%のロジウムとを含む白金-ロジウム合金から形成することができる。
【0060】
図2は、下流ガラス製造装置30の一部、すなわち、出口導管44、入口導管50、及びドレイン組立体100を備える送出導管システム90の断面図であり、送出導管システム90は、送出容器40から成形体42に溶融ガラスを送出するように構成されている。出口導管44は、送出容器40から延び、送出容器40からの溶融ガラスの排出経路を提供する。入口導管50は成形体42に接続し、溶融ガラス28が成形体42に入るための経路を提供する。ドレイン組立体100は、出口導管44の遠位端102を入口導管50の遠位端104に結合し、出口導管44から入口導管50及び成形体42に横断する溶融ガラス28のための第1の流路106と、送出容器40、出口導管44、入口導管50、ドレイン組立体100、又は成形体42のうちの何らかの1又は2以上から溶融ガラスを排出することを可能にする、第1の流路106とは異なる第2の流路108とを提供する。
【0061】
ドレイン組立体100は、溶融ガラス28の流れを第1の下向きの流れ方向112から第1の流れ方向112とは異なる第2の流れ方向114に向けるように構成された湾曲導管セクション110を備える。例えば、第2の流れ方向114は、第1の流れ方向112と直交することができる。ドレイン組立体100は、出口導管44の遠位端102を湾曲導管セクション110の第1の端部116に結合する第1の移行管115をさらに含むことができる。ドレイン組立体100は、湾曲導管セクション110の第2の端部120を入口導管50の遠位端104に結合する第2の移行管118をさらに備えることができる。例えば、湾曲導管セクション110の第1の端部116の内径(ID)130は、出口導管44の遠位端102の内径ID132よりも大きくすることができる。同様に、湾曲導管セクション110の第2の端部120は、入口導管50の遠位端104の内径IDよりも大きい内径IDを有することができる。従って、第1及び第2の移行管115、118の内径IDは、それぞれの移行管の長さに沿って変化することができ、取り付けられる導管、例えば、出口導管44及び入口導管50が結合される湾曲導管セクション110の内径とは異なる内径を有する場合に、これらの導管の湾曲導管セクション110へ結合を容易にするようになっている。湾曲導管セクション110の内径は、第1の端部116から第2の端部120まで均一とすることができる。湾曲導管セクション110の内径IDは、出口導管44及び入口導管50の内径IDの一方又は両方よりも大きくすることができる。
【0062】
ドレイン組立体100は、その近位(入口)端142と遠位(出口)端144との間で延在するドレイン管140をさらに備え、近位端142は、湾曲導管セクション110に位置してそれに接続されており、ドレイン管140の内側通路146は、湾曲導管セクション110の内側通路148と流体連通するようになっている。例えば、近位端142は、湾曲導管セクション110の最下点に接続することができ、それにより、接続された導管の効率的な排出を助長する。ドレイン管140は、湾曲導管セクション110から下向き方向、例えば垂直方向に延びるが、垂直に対して0度より大きく45度までの範囲、例えば、垂直から0度より大きく垂直から約5度までの範囲、垂直から0度より大きく垂直から約10度までの範囲、垂直から0度より大きく垂直から約15度までの範囲、垂直から0度より大きく垂直から約20度までの範囲、垂直から0度より大きく垂直から約25度までの範囲、垂直から0度より大きく垂直から約30度までの範囲、垂直から0度より大きく垂直から約35度までの範囲、垂直から0度より大きく垂直から約40度までの範囲(全ての範囲及びその間の部分範囲を含む)の傾斜した方向も企図されている。直管として図示されているが、ドレイン管140は、1又は2以上の曲線部分、又は直線部分と曲線部分の組み合わせを含むことができる。ドレイン管140は、ドレイン管が使用可能で、溶融ガラスがそこから排出される際に、流体流れに対する不必要なインピーダンスを避けるために、可能な限り短くする必要がある。
【0063】
ドレイン組立体100は、湾曲導管セクション110の下流に配置された第1の冷却装置150aをさらに備える。例えば、第1の冷却装置150aは、入口導管50に隣接して配置することができる。第1の冷却装置150aは、例えば、溶融ガラスの流れ方向に対して湾曲導管セクション110の下流で入口導管50を取り囲む螺旋管を備えることができる。第1の冷却装置150aは、冷却剤がこの冷却装置を通って流れることができ、それによって入口導管50の隣接部分を冷却するように構成することができる。例えば、螺旋管は、冷却剤が通過するための流路を提供する中空内部を含むことができる。好適な冷却剤は、1又は2以上の非酸化性ガス、例えば、窒素、VIIIA族ガスのうちの何らかの1又は2以上(例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン)、又はそれらの組み合わせとすることができる。しかしながら、第1の冷却装置150aは、そこを通して冷却剤を運ぶように構成された冷却管に代えて又はそれに加えて、入口導管50の外周の周りで入口導管50の一部を冷却することができる他の形態の冷却を利用することができる。例えば、第1の冷却装置150aは、冷却管ではなく冷却ジャケット、又は熱電冷却装置を備えることができる。
【0064】
図2に示すように、1又は2以上の加熱要素160は、出口導管44、ドレイン組立体100、及び/又は入口導管50に隣接して配置することができる。加熱要素160は、ジュール加熱によって熱を発生し、放射加熱及び/又は伝導加熱によって関連する金属構成要素を加熱する抵抗加熱要素とすることができる。加熱要素160は、それぞれの導管の周囲に巻かれた螺旋コイルを含むことができるが、それぞれの導管の周囲に配置された複数の個別の加熱要素のような、加熱要素の他の物理的形態を用いることができる。いくつかの事例では、ドレイン管140の遠位端144は、同様の加熱要素160によって加熱することができる。しかしながら、
図2に示すように、いくつかの事例では、遠位端144は、バーナー162、例えば燃料空気バーナーによってもたらされる炎によって加熱することができる。
【0065】
随意的な第2の冷却装置150bは、出口導管44に近接して配置することができる。例えば、第2の冷却装置150bは、その内部通路を通って冷却流体の流れを受け入れるように構成された冷却コイルとすることができる。第2の冷却装置150bは、例えば、遠位端144の加熱を終えることができるような時間まで、出口導管44から成形体42への流れを減少させる又は停止させるために使用することができる。
【0066】
ドレイン管140を含むドレイン組立体100は、貴金属、例えば出口導管44及び/又は入口導管50を形成する貴金属と適合性のある貴金属から形成することができる。好適な貴金属としては、白金、イリジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム及びパラジウムからなる群から選択される白金族金属、又はそれらの合金が挙げられる。例えば、ドレイン組立体100は、約70重量%から約90重量%の白金及び約10重量%から約30重量%のロジウムを含む白金-ロジウム合金から形成することができる。
【0067】
代替的に又は加熱要素160に加えて、電気フランジ170は、加熱目的のために下流ガラス製造装置30の一部に取り付けることができる。例えば、
図1は、出口導管44、清澄容器34、及び入口導管50に取り付けられた電気フランジ170を示すが、電気フランジ170は、下流ガラス製造装置30の他の金属構成要素に取り付けることができる。電気フランジ170は、1又は2以上の電源(図示せず)に電気的に接続されており、例えば隣接する連続する電気フランジの間などの、電気フランジが取り付けられている金属構成要素のセクションに電流を確立することができるようになっている。
【0068】
従って、
図3は、電気フランジ170が1又は2以上の加熱要素160の代わりになり得ること以外は、送出導管システム90と同様の送出導管システム92を示す。より具体的には、電気フランジ170a及び170bが出口導管44に取り付けられ、電気フランジ170c及び170dが入口導管50に取り付けられ、電気フランジ170e、170f、170g、及び170hがドレイン管140に取り付けられて示されている。電気フランジ170の数及び位置は、必要に応じて規定することができる。例えば、2つの電気フランジが出口導管44に取り付けられて示されているが、2未満の電気フランジ(例えば、1つの電気フランジ)、又は3以上の電気フランジ(例えば、3つの電気フランジ、4つの電気フランジ、又は5以上の電気フランジ)は、出口導管44に取り付けることができる。電流は、1又は2以上の電源によって、隣接して連続する電気フランジの間の金属構成要素の壁に確立される。従って、例えば、第1の電流は、電気フランジ170aと電気フランジ170bとの間に確立することができる。第2の電流は、電気フランジ170bと電気フランジ170cとの間に確立することができる。第3の電流は、電気フランジ170cと電気フランジ170dとの間に確立することができる。第4の電流は、電気フランジ170bと電気フランジ170eとの間に確立することができる。第5の電流は、電気フランジ170eと170fとの間に確立することができる。第6の電流は、電気フランジ170fと170gとの間に確立することができる。様々な電流は、ジュール加熱によって、隣接して連続する電気フランジの間の金属構成要素のそれぞれの部分を加熱する(例えば、出口導管44、入口導管50、成形体42、及びドレイン組立体100)。電気フランジの物理的配置、及びその間の電流の流れは、特定のシステムの必要性に応じて構成することができる。従って、上記の物理的配置及び電流は例示的であり、可能性のある構成の非限定的な実例として提供される。電気フランジ170は、貴金属、例えば、出口導管44及び/又は入口導管50を形成する貴金属と適合性のある貴金属を含むことができる。好適な貴金属としては、白金、イリジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム及びパラジウムからなる群から選択される白金族金属、又はそれらの合金が挙げられる。例えば、電気フランジ170は、約70重量%から約90重量%の白金及び約10重量%から約30重量%のロジウムを含む白金-ロジウム合金を含むことができる。電気フランジ170の一部は、ニッケルを含むことができる。例えば、高温に曝されないフランジの外側部分は、ニッケル又はニッケル合金を含むことができる。
【0069】
送出導管システム90に関して上述したように、送出導管システム92は、第1及び第2の冷却装置150a及び150bを含むことができる。例えば、第1及び第2の冷却装置150a、150bは、その内部通路を通って冷却流体の流れを受け入れるように構成された冷却コイルを備えることができる。
【0070】
上述した様々な電流(例えば、第1から第6の電流)は、同じ大きさを有する必要はない。従って、金属構成要素の異なる部分(例えば、出口導管44、入口導管50、成形体42、及びドレイン組立体100)は、必要に応じて電気フランジのペアの間の個々の電流を制御することによって、異なる温度に加熱することができる。電気フランジ170f及び170gは、狭間隔で配置することができ、それにより、ドレイン管140の遠位端144付近のドレイン管140の短い長さを選択的に加熱することができる。
【0071】
図4は、送出導管システム90に類似するが、第1の湾曲導管セクション202と、溶融ガラスの流れに対して第1の湾曲導管セクション202の下流に配置された第2の湾曲導管セクション204とを含むドレイン組立体200を備える、別の送出導管システム94を示す。第1の湾曲導管セクション202は、第1の流路208に沿った溶融ガラス28の流れのための内部通路206を画定するU字形導管セクションとすることができる。
従って、出口導管44からの溶融ガラス28の下向きの第1の流れ方向112は、第1の湾曲導管セクション202によって、流れ方向210における溶融ガラスの上向きの第2の流れ方向114に方向を変えることができる(第1の湾曲導管セクション202の出口で)。例えば、第1の湾曲導管セクション202は、流れ方向210が第1の流れ方向112と反対になるように180度の湾曲で延びることができるが、他の湾曲も考えられ、必要に応じて提供することができる。第2の湾曲導管セクション204は、第1の湾曲導管セクション202に結合されている。第1の湾曲導管セクション202を出る溶融ガラスの流れは、第2の湾曲導管セクション204によって、第2の流れ方向114に沿った溶融ガラスの横方向の流れにさらに向けられる。第2の流れ方向114は、入口導管50における第1の流れ方向112及び/又は流れ方向210に対して直交する場合がある。
例えば、第1の湾曲導管セクション202又は第2の湾曲導管セクション204のいずれか一方又は両方は、90度の屈曲導管を含むことができる。第2の湾曲導管セクション204は、入口導管50の遠位端104に結合され、溶融ガラスの流れは、入口導管50から成形体42に供給される。
【0072】
ドレイン組立体200は、近位端216と遠位端218との間で下向きに延びるドレイン管214をさらに備え、近位端216は、第1の湾曲導管セクション202に接続されており、ドレイン管214の内部通路220が、第1の湾曲導管セクション202の内部通路206と流体連通するようになっている。ドレイン管214は、垂直方向に延びる管体として示されているが、例えば、垂直から0度より大きく垂直から45度まで範囲、例えば、垂直から0度より大きい範囲から垂直から45度の範囲などの傾斜した方向は、例えば、垂直から0度より大きく垂直から約5度までの範囲、垂直から0度より大きく垂直から約10度までの範囲、垂直から0度より大きく垂直から約15度までの範囲、垂直から0度より大きく垂直から約20度までの範囲、垂直から0度より大きく垂直から約25度までの範囲、垂直から0度より大きく垂直から約30度までの範囲、垂直から0度より大きく垂直から約35度までの範囲、垂直から0度より大きく垂直から約40度までの範囲(全ての範囲及びその間の部分範囲を含む)の傾斜した方向も企図されている。直管として図示されているが、ドレイン管214は、直線である必要はなく、1又は2以上の曲線部分を含むことができる。ドレイン管214は第2の流路224を画定し、この流路に沿って、溶融ガラスが、送出容器40、出口導管44、ドレイン組立体200、成形体42、及び/又は入口導管50のうちの何らかの1又は2以上から排出され得る。
【0073】
ドレイン組立体200は、出口導管44の遠位端102を第1の湾曲導管セクション202の第1の端部232に結合する第1の移行管230をさらに備えることができる。ドレイン組立体200は、第1の湾曲導管セクション202の第2の端部236を入口導管50の遠位端104に結合する第2の移行管234をさらに備えることができる。例えば、
図4に示すように、第1の湾曲導管セクション202の第1の端部232の内径(ID)240は、出口導管44の遠位端102の内径ID132よりも大きくすることができる。同様に、第2の湾曲導管セクション204の第2の端部236は、入口導管50の遠位端104の内径IDよりも大きい内径IDを有することができる。従って、第1及び第2の移行管230及び234の内径IDは、それぞれの移行管の長さに沿って変化することができ、取り付けられる導管、例えば、出口導管44及び入口導管50が第1の湾曲導管セクション202又は第2の湾曲導管セクション204の内径とは異なる内径を有する場合に、これらの導管の第1の湾曲導管セクション202又は第2の湾曲導管セクション204のそれぞれへの結合を容易にするようになっている。第1の湾曲導管セクション202の内径は、第1の湾曲導管セクションの長さに沿って均一とすることができる。同様に、第2の湾曲導管セクション204の内径は、第2の湾曲導管セクションの長さに沿って均一とすることができる。第1の湾曲導管セクション202及び/又は第2の湾曲導管セクション204の内径IDは、出口導管44の内径ID及び入口導管50の内径IDの一方又は両方よりも大きくすることができる。
【0074】
送出導管システム94は、溶融ガラスの流れ方向に対して第1の湾曲導管セクション202の下流に配置された第1の冷却装置150aを備える。上記の実施形態で説明したように、第1の冷却装置150aは、第1の湾曲導管セクション202と第2の湾曲導管セクション204との間に配置された螺旋管を備えることができ、第1の冷却装置150aは、冷却剤が螺旋管を通って流れることができるように構成され、それによって、そこを通って運ばれる溶融ガラスを冷却する。例えば、螺旋管は、冷却剤のための流路を提供する中空内部を含むことができる。好適な冷却剤は、1又は2以上の非酸化性ガス(例えば、窒素、希ガス、又はそれらの組み合わせ)又は液体(水)とすることができる。しかしながら、第1の冷却装置150aは、送出導管システム94の一部を冷却することができる他の形態をとることができる。例えば、第1の冷却装置150aは、冷却ジャケット又は熱電冷却装置を備えることができる。
【0075】
図4に示すように及び
図2の実施形態と同様に、1又は2以上の加熱要素160は、出口導管44、ドレイン組立体200、入口導管50、及び/又はドレイン管214に近接して配置することができる。上述したように、加熱要素160は、ジュール加熱によって熱を発生し、放射加熱及び/又は伝導加熱によって隣接する金属構成要素を加熱する抵抗加熱要素とすることができる。いくつかの事例では、ドレイン管214の遠位端218は、同様の加熱要素160によって加熱することができる。いくつかの事例では、遠位端218は、バーナー162、例えば燃料空気バーナーによってもたらされる炎によって加熱することができる。
【0076】
送出導管システム90に関して上述したように、送出導管システム94は、随意的に、出口導管44に近接して配置された第2の冷却装置150bを含むことができ、第2の冷却装置150bは、出口導管44からの流れを減少させるか又は排除するように構成される。例えば、第2の冷却装置150bが、例えばそこを通る冷却剤の流れを開始することで作動されると、第2の冷却装置150bに隣接する出口導管44内の溶融ガラスの粘度を高くすることができ、それによって出口導管内にガラス栓を形成することができる。
【0077】
図5を参照すると、ドレイン組立体200は、1又は2以上の直線導管部分を含むことができる。例えば、第1の湾曲導管セクション202は、第1の湾曲導管部分250及び第2の湾曲導管部分252を備えることができ、第1の直線導管部分254は、第1の湾曲導管部分250と第2の湾曲導管部分252との間に結合することができる。同様に、第2の直線導管部分256は、第2の湾曲導管部分252と第2の湾曲導管セクション204との間に結合することができる。
図5に示される湾曲長の導管及び直線長の導管の配置は、湾曲長の導管のみが使用される場合よりも、ドレイン組立体をより多用途の構成にすることを可能にする。例えば、
図5に示すように、第1の直線導管部分254の長さ258は、送出容器40(例えば、出口導管44)と成形体42(例えば、入口導管50)との間の所定の水平方向の離隔距離に対応するように必要に応じて増減することができる。同様に、第2の直線導管部分256の長さ260は、送出容器40と成形体42(例えば、入口導管50)との間の所定の垂直方向の離隔距離に対応するように必要に応じて増減することができる。さらに、ドレイン組立体導管の様々な曲線部分と直線部分との間の角度方向(
図5において曲線矢印262とそれぞれの軸によって示される)、並びにそれらの長さは、必要に応じて配置することができ、それによって、複数の動きの自由度を提供し、ドレイン組立体が、送出容器40と成形体42の互いに対する多数の機械的配置を容易にすることが可能になる。詳細には、第2の直線導管部分256は、第1の冷却装置150aを配置するのに好都合な場所として利用することができる。例えば、第1の冷却装置150aは、第2の直線導管部分256に近接して配置することができる。このような配置は、例えば、
図4に示されており、第1の冷却装置150aは、第1の湾曲導管セクション202と第2の湾曲導管セクション204との間に結合された直線導管部分256に巻かれた螺旋管として示されている。しかしながら、第1の冷却装置150aは、送出導管システム92の他の部分、又は入口導管50に近接して配置することができる。
図5の実施形態では、ドレイン管214は、第1の湾曲導管部分250と第2の湾曲導管部分252との間に配置された第1の直線導管部分254に接続され、そこから下降するように示されている。
【0078】
電気フランジ170は、下流ガラス製造装置の部分に取り付けることができ、下流ガラス製造装置のその部分に電流を確立するように構成することができる。
図3に示される様々な電気フランジは、
図4に示される実施形態に同様に適しており、隣接する電気フランジの間の金属構成要素の部分を同じ温度又は異なる温度に加熱することができる電流の分散配置を含んでいる。
【0079】
従って、
図6は、送出導管システム96が、1又は2以上の加熱要素150の代わりに電気フランジ170を備えることを除いて、送出導管システム94と同様のドレイン組立体200を備える別の送出導管システム96を示す。例えば、
図6は、出口導管44、清澄容器34、及び入口導管50に取り付けられた電気フランジ170を例示するが、電気フランジ170は、下流ガラス製造装置30の他の金属構成要素に取り付けることができる。電気フランジ170は、1又は2以上の電源(図示せず)に電気的に接続されており、電気フランジが取り付けられている金属構成要素のセクションに電流を確立することができるようになっている。より具体的には、
図6は、出口導管44に取り付けられた電気フランジ170a及び170b、入口導管50に取り付けられた電気フランジ170c及び170d、及びドレイン管314に取り付けられた電気フランジ170e、170f、170g、及び170hを示す。電気フランジ170の数及び位置は、必要に応じて規定することができる。例えば、2つの電気フランジが出口導管44に取り付けられて示されているが、2未満の電気フランジ(例えば、1つの電気フランジ)、又は3以上の電気フランジ(例えば、3つの電気フランジ、4つの電気フランジ、又は5以上の電気フランジ)を出口導管44に取り付けることができる。電流は、1又は2以上の電源によって、隣接する電気フランジの間の金属構成要素の壁に確立される。従って、例えば、第1の電流は、電気フランジ170aと電気フランジ170bとの間に確立することができる。第2の電流は、電気フランジ170bと電気フランジ170cとの間に確立することができる。第3の電流は、電気フランジ170cと電気フランジ170dとの間に確立することができる。第4の電流は、電気フランジ170bと電気フランジ170eとの間に確立することができる。第5の電流は、電気フランジ170eと170fとの間に確立することができる。第6の電流は、電気フランジ170fと170gとの間に確立することができる。種々の電流は、ジュール加熱によって、隣接する電気フランジの間の金属構成要素のそれぞれの部分を加熱する(例えば、出口導管44、入口導管50、成形体42、及びドレイン組立体200)。
【0080】
様々な電流(例えば、第1から第6)は、同じ大きさを有する必要はない。従って、金属構成要素の異なる部分(例えば、出口導管44、入口導管50、成形体42、及びドレイン組立体200)は、必要に応じて電気フランジのペアの間の個々の電流を制御することによって、異なる温度に加熱することができる。電気フランジ170f及び170gは、狭間隔で配置することができ、それにより、ドレイン管の遠位端318付近のドレイン管314の短い長さを選択的に加熱することができる。
【0081】
送出導管システム92に関して説明した湾曲導管セクションに加えて、送出導管システム96は、
図5に示すような直線導管部分を含むことができる。
【0082】
上述の態様に加えて、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つは、送出導管システムからの熱損失を制御するように選択された1又は2以上の耐火性断熱材の層によって取り囲むことができる。例えば、
図7は、耐火性断熱材300の層内に収容された
図6に示される送出導管システムを示す。耐火性断熱材は、ムライト、断熱耐火レンガ、Johns Manville社製のDuraboard(例えば、Duraboard 3000)、又は様々な熱伝導率を有する他の耐火性断熱材から選択することができる。耐火性断熱材の熱伝導率は、その中の溶融ガラスの所望の粘度に応じて、送出導管システムの一部を所定の温度に制御するために、必要に応じて選択することができる。加えて、送出導管システム、特にドレイン組立体を取り囲む耐火性断熱材は、システムが加熱される場合に送出導管システムの自由な動き(例えば、膨張)を許容するように構成する必要がある。耐火性断熱材300は、熱膨張中に送出導管システムが動く場合に、送出導管システムが半径方向、水平方向、及び垂直方向に膨張することを可能にする必要がある。従って、耐火性断熱材は、隙間302によって、送出導管システムの全部又は一部、例えばドレイン組立体から分離することができる。そのためには、耐火性断熱材内で送出導管システムを結合して支持することができる送出導管システムから延びるアンカーを省略することができる。
【0083】
通常の動作時、送出容器40は、送出導管システムを通して溶融ガラス28を成形体42に送出する。成形体42は、例えば、送出導管システムから溶融ガラスを受け取る容器を備えるスロットドロー装置で構成することができる。溶融ガラスは、容器の下面に配置されたスロットを通って容器からから流出し、溶融ガラスは、引き抜きロール及び重力によって下向きに引き込まれるガラスリボンを形成する。送出導管システム及びスロットは、溶融ガラスの流れに対して所定の流体インピーダンスを与える。詳細には、通常の動作時、スロットは、流体インピーダンスの最大の単一の原因に相当する場合があり、所定の溶融ガラス粘度に対して達成可能な溶融ガラス流の大きさを決定する場合がある。
【0084】
ガラス成形作業の間に、成形プロセスを停止する必要が生じることがある。例えば、成形体の下流のガラス製造装置又は成形体自体のような、特定のガラス製造装置の修理又は交換が必要になる場合がある。このような場合、ドレイン管を開放することができる。通常の動作条件下では、ドレイン管は、ドレイン管の加熱を制限し、ドレイン管を溶融ガラスの軟化温度以下の温度に到達させることにより閉鎖される。これは、加熱装置又は機器の配置に応じて、ドレイン管に隣接する外部抵抗ヒーターに供給される電力を低減すること、ドレイン管の遠位端又はその近傍に配置された電気フランジ(及びドレイン管)を通る電流を低減すること、又はバーナーから遠位端に炎を当てないことによって行うことができる。これらの動作のいずれか1つは、ドレイン管内の材料の凝固をもたらし、ドレイン管内の材料の粘度が十分に低下してドレイン管を塞ぐ栓が形成され、溶融ガラスがドレイン管の遠位端(すなわち出口)から流出しないようにすることができる。
【0085】
溶融ガラスを送出導管システムから排出させる場合には、1又は複数の加熱装置の構成に応じて、加熱素子(例えば、抵抗ヒーター)への電力を増加させ、それによって加熱素子からの熱出力を増加させること、ドレイン管の遠位端の電気フランジへの電流の大きさを増加させること、又はバーナーから火炎を印加することでドレイン管を開放することができ、それによって、先に形成されたガラス栓が溶融し、溶融ガラスがドレイン管を通ってそこから流出する。従って、ドレイン管は、ドレイン流路の全インピーダンスを低下させることによってドレイン管が開放された場合に、溶融ガラスのための優先的な流路を提供する。これは、例えば、ドレイン管を含むドレイン組立体の内径IDが、接続された管路、例えば、送出容器の出口導管及び/又は成形体の入口導管の内径IDよりも大きいことを保証することによって達成することができる。
【0086】
このような溶融ガラスの成形体への連続的な流れは、下流側の補修を妨げる場合がある、及び/又は、溶融ガラスが不十分な流れによって堰き止められ、成形プロセスを再開する前に打ち出す必要があり、成形体の損傷につながる場合がある。いずれにしても、成形体への溶融ガラスの流れを完全に停止することが必要な場合がある。従って、第1の冷却装置150aは、例えば、冷却装置(例えば、冷却管)を通る冷却剤の流れを開始させることによって作動させることができ、それによって、ドレイン管の下流側の送出導管システムの部分内で溶融ガラスを凝固させ、そこにガラス栓を形成する。結果として得られたガラス栓は、成形体へのさらなる流れを阻止する。
【0087】
場合によっては、ドレイン管を開放するために、ドレイン管140の加熱によって対応できるものよりも速く成形体42への流れを減少させる又は排除することが必要になる場合がある(ドレイン管を通る溶融ガラスの流れを開始できるように、ドレイン管を塞ぐガラス栓の粘度を増加させる)。随意的な第2の冷却装置150bが組み込まれている場合、第2の冷却装置150bを作動させて、出口導管44からの溶融ガラスの流れを減少させる又は排除することができる。ドレイン管140が開放された場合、第2の冷却装置150bは、必要であれば、例えば送出容器40から排出するために不作動にすることができる。
【0088】
本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、本開示の実施形態に様々な修正及び変形を加えることができることは、当業者には明らかであろう。従って、本開示は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内に入るのであれば、そのような修正及び変形をカバーすることが意図される。
【符号の説明】
【0089】
10 ガラス製造装置
40 送出容器
42 成形体
44 出口導管
50 入口導管
90 送出導管システム
100 ドレイン組立体
140 ドレイン管
142 入口端
144 出口端
150a 第1の冷却装置
160 加熱要素
【国際調査報告】