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特表2024-540778粒子化デンプンを含むヘアコンディショニング組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-05
(54)【発明の名称】粒子化デンプンを含むヘアコンディショニング組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20241028BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20241028BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20241028BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20241028BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20241028BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/31
A61K8/92
A61K8/37
A61K8/41
A61Q5/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024525044
(86)(22)【出願日】2022-10-05
(85)【翻訳文提出日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 EP2022077657
(87)【国際公開番号】W WO2023072537
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】21205129.6
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100228980
【弁理士】
【氏名又は名称】副島 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】エイヴリー,アンドリュー・リチャード
(72)【発明者】
【氏名】オルトゥオステ・エルコロ,ネレア
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB332
4C083AC011
4C083AC021
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC302
4C083AC351
4C083AC532
4C083AC691
4C083AC692
4C083AD022
4C083AD241
4C083AD242
4C083BB06
4C083BB11
4C083CC33
4C083EE28
(57)【要約】
優れたドライコンディショニング利益及びレオロジー特性が、A)デンプン:オイルの重量比5:1~1:0.5でi)1~12ミクロンのDv(50)粒径を有するデンプン粒子;及びii)疎水性非シリコーンオイルを含む0.01~5重量%(全組成物の重量基準)のブレンド;B)0.01~5重量%の乳化非シリコーンオイル;[A)及びB)は内部で分散している。]C)カチオン性界面活性剤及び脂肪物質を含むコンディショニングゲル相を含むヘアコンディショナー組成物であって、当該コンディショナーがシリコーンを含まないヘアコンディショナー組成物によって提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)デンプン:オイルの重量比0.5:1から1:0.5で
i)1~12ミクロンのDv(50)粒径を有するデンプン粒子;及び
ii)疎水性非シリコーンオイル
を含む0.01~5重量%(全組成物の重量基準)のブレンド;
B)0.01~5重量%の乳化非シリコーンオイル;
[A)及びB)は内部で分散している。]
C)カチオン性界面活性剤及び脂肪物質を含むコンディショニングゲル相
を含むヘアコンディショナー組成物であって、
当該コンディショナーがシリコーンを含まないヘアコンディショナー組成物。
【請求項2】
前記デンプンが、コメデンプン、キヌアデンプン、アマランスデンプン及びその混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記デンプンが3~9ミクロンのDv(50)粒径を有する、請求項1又は請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記疎水性非シリコーンオイルが、炭化水素オイル、脂肪エステルオイル及びその混合物から選択される、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記疎水性非シリコーンオイルが、パラフィンオイル、鉱油、ポリアルファオレフィン、スクアラン、脂肪酸又はアルコールに由来するヒドロカルビル鎖を有するエステル、及びその混合物から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記乳化非シリコーンオイルが、パラフィンオイル、鉱油、ポリアルファオレフィン、スクアラン、脂肪酸又はアルコールに由来するヒドロカルビル鎖を有するエステル、及びその混合物から選択される、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記カチオン性コンディショニング界面活性剤が四級アンモニウムカチオン性界面活性剤である、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記四級アンモニウムカチオン性界面活性剤がセチルトリメチルアンモニウム及びベヘニルトリメチルアンモニウムから選択されるカチオンを有する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記脂肪族アルコールが、C8~C22の炭素-炭素鎖長を有する、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
毛髪に前記請求項のいずれか1項に記載の組成物を適用する段階を含む毛髪の処理方法。
【請求項11】
毛髪にコンディショニング利益を提供するための、請求項1~9のいずれか1項で定義のシリコーン非含有組成物での粒子状デンプン及び非シリコーンオイルのブレンドの使用。
【請求項12】
前記コンディショニング利益が、非粒子状デンプンを含む同じ組成物によって処理された毛髪と比較して低減した摩擦係数である、請求項11に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーンを含まない毛髪にコンディショニング利益をもたらすヘアコンディショナー組成物の分野にある。
【背景技術】
【0002】
消費者は、髪に滑らかさ、梳かしやすさ及び柔らかさなどのコンディショニング利益をもたらすシャンプーやコンディショナーなどのヘアトリートメントを望んでいる。
【0003】
コンディショニング利益は、洗浄プロセス時及び洗浄プロセス後の両方で消費者によって望まれ、認識されている。したがって、コンディショニングは、髪が濡れているときと乾いているときの両方で評価される。したがって、コンディショナーなどのリンスオフヘアケア製品は、使用のさまざまな段階で複数の効果を提供することが望ましい。ウェットコンディショニングとドライコンディショニングは効果が異なり、代表的には異なる方法で送達される。
【0004】
コンディショニング製品のゲル相成分の影響は、濡れた髪又は湿った髪を評価するとき、並びに髪への適用時及び分配時に最も明らかである。
【0005】
製品のレオロジーが消費者にとって重要な特性である。厚さや降伏応力などの優れたレオロジーを備えたコンディショナーは、改善されたコンディショニング利益を提供することができ、消費者に好まれている。
【0006】
シリコーンは主に、乾燥後の段階でコンディショニング利益を提供するのに使用される。シリコーンを含まないコンディショナー製剤では、そのような効果を提供するには代替アプローチが必要とされる。
【0007】
デンプンはヘアコンディショニング組成物で使用されてきた。
【0008】
WO2017/172117(L’Oreal)は、コンディショニング及びスタイリングの効果を提供するための、ケラチン基質を処理するための組成物であって、(a)規定の第1の四級アンモニウム化合物、規定の第2のイミダゾリンの四級化合物を含むカチオン性剤、(b)加工デンプン;(c)規定の第1のシラン化合物、(d)第2のシラン化合物、(e)少なくとも一つのカチオン性ビニルピロリドンポリマー、及び(f)水を含む組成物を開示している。ヒドロキシプロピルデンプンホスフェートが好ましく、例示されている。
【0009】
US2006/0182702(L’Oreal)は、カチオン性界面活性剤、好ましくは変性されているデンプン、5meq/g以上のカチオン電荷密度を有する非シリコーンカチオン性ポリマー、及び融点が35℃以上であり及び/又は温度40℃及びせん断速度1s-1での粘度が1Pa・s以上である非イオン性非ポリマー性固体化合物を含む組成物を使用して、髪に改善されたコンディショニング効果を提供、特には毛先を滑らかにしている。
【0010】
FR2976488(L’Oreal)は、表面で損傷を受けたケラチン繊維の耐久性のある処理を提供するための、軽石粒子(i);1以上のデンプン(ii);1以上の固体脂肪アルコール(iii);及び1以上の脂肪酸エステル(iv)の組み合わせを含む化粧品組成物を開示している。髪を滑らかにするための使用が開示されている。アルファ化ヒドロキシプロピルトウモロコシのリン酸二デンプンが例示されている。
【0011】
US2005069511(L’Oreal)は、少なくとも一つのデンプン、少なくとも一つのカルボン酸エステル、水、及び組成物の総重量に対して最大20重量%の脂肪相を含む化粧品組成物を開示している。特定のエステルとデンプンをベースとしたこれらの組成物の使用により、もつれが容易に解け、根元から毛先まで滑らかになり、スタイルの保持力が向上した髪が提供されることが謳われている。実施例において、水酸化ナトリウムで中和した2-クロロ-エチルアミドジプロピオン酸で修飾したアルファ化コーンジスターチホスフェート又はジャガイモデンプンを濡れた髪に使用して、重くない濡れ髪を提供し、髪の整形が容易である。
【0012】
US2016038397(Penford Corp)は、パーソナルケア組成物に改善されたコンディショニング特性を提供するための、水;洗剤及び非洗浄性コンディショニング剤から選択される成分;a)アミロペクチン/アミロースの重量比が60/40以上であり;b)見かけのカチオン性分子量が1200万ダルトン以上であり;及びc)カチオン置換度が0.5meq/g~2.5meq/gであることを特徴とするカチオン性デンプンを含む化粧品組成物を開示している。そのパーソナルケア製剤は、シリコーンの有無にかかわらず使用できる。カチオン性置換デンプンを含むシャンプーは、湿段階でのコンディショニング利益を与えることが謳われている。
【0013】
EP1927346は、オイル及び/又はワックス、天然デンプン、乳化剤、及びフィルム形成ポリマーを含むケラチン繊維用の水性組成物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】WO2017/172117
【特許文献2】US2006/0182702
【特許文献3】FR2976488
【特許文献4】US2005069511
【特許文献5】US2016038397
【特許文献6】EP1927346
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そのような従来技術があるにも関わらず、洗浄プロセス時に、消費者の所望の粘度特性を損なうことなく、乾燥段階で明らかなコンディショニング利益を提供する必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らはこのたび、優れた降伏応力に反映される驚くべきレオロジー上の利点とともに、オイルとブレンドした粒子状デンプンを使用することにより、コンディショナーからドライコンディショニングの向上を提供できることを見出した。
【0017】
発明の定義
第一の態様において、本発明は、
A)デンプン:オイルの重量比0.5:1~1:0.5で
i)1~12ミクロンのDv(50)粒径を有するデンプン粒子;及び
ii)疎水性非シリコーンオイル
を含む0.01~5重量%(全組成物の重量基準)のブレンド;
B)0.01~5重量%の乳化非シリコーンオイル;
[A)及びB)は内部で分散している。]
C)カチオン性界面活性剤及び脂肪アルコールを含むコンディショニングゲル相
を含むヘアコンディショナー組成物であって、
当該コンディショナーがシリコーンを含まないヘアコンディショナー組成物を提供する。
【0018】
第2の態様において、第1の態様の組成物を毛髪に適用する段階を含む、毛髪の処理方法が提供される。
【0019】
毛髪にコンディショニング利益を与えるために、第1の態様のシリコーンを含まない組成物中の粒子状デンプン粒子及び非シリコーンオイルのブレンドの使用も提供される。
【0020】
本発明の使用において、前記コンディショニング利益は、好ましくは、非粒子状デンプンを含む同じ組成物で処理された毛髪と比較して低下した摩擦係数である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のヘアコンディショナー組成物は、
A):デンプン:オイルの重量比0.5:1~1:0.5で、i)1~12ミクロンの粒径を有する粒子状デンプンであるデンプン;及びii)疎水性非シリコーンオイルを含む、0.01~5重量%(組成物全体の重量基準)のブレンドを含む。
【0022】
デンプンとオイルの混合物は、0.01~5重量%、好ましくは0.1~4重量%、より好ましくは0.5~4重量%、最も好ましくは0.5~3重量%の量で存在する。
【0023】
ブレンド中のデンプン:オイル重量比は、0.5:1~1:0.5、好ましくは1:1である。
【0024】
デンプン
本発明の組成物は、粒子状デンプンであるデンプンを含む。デンプンは組成物中で粒子状のままである。
【0025】
本発明で使用されるデンプンは、1~12ミクロン、好ましくは2~10ミクロン、最も好ましくは3~9ミクロンのDv(50)粒径を有する。
【0026】
Malvern Mastersizer 3000などの好適な粒径分析装置を使用して、デンプン粒子の特性を決定することができる。デンプンの好適な屈折率(RI)は1.530である(Holes in Starch Granules: Confocal, SEM and Light Microscopy Studies of Starch Granule Structure, Baldwin, P.M., Adler, J., Davies, M.C., Melia, C.D., Starch/Starke 46 (1994) Nr.9, S. 341-346で提供のもの)。
【0027】
レーザー回折技術を使用してもよい。サンプルを水(屈折率1.330を有する)に分散させ、再循環セルを使用してサンプルウィンドウに送り、そこで存在する粒子が光を散乱させる。粒子と懸濁媒体の両方の屈折率を粒径の測定に用いる。次の方法を好適に用いることができる。
【0028】
デンプン粉末(0.1g)を脱イオン水10mLに懸濁させ、5%掩蔽限界に達するまでMastersizer 3000 Hydro Medium Volumeセルにピペットで移す。このプロセスを、好ましくは、2400rpmの攪拌機速度で各デンプンサンプルについて3回繰り返す。
【0029】
ここでは、結果を、粒子のそれぞれ10%、50%、及び90%が引用のサイズより小さいことを示すDv(10)、Dv(50)及びDv(90)についての「体積(%)に対する粒径(μm)」として報告している。
【0030】
本発明の組成物に使用されるデンプンは、個別の粒子の形態である。本発明で使用されるデンプンは、本発明の組成物中で粒子状のままである。
【0031】
デンプンはゼラチン化又は「膨潤」デンプンではない。ゼラチン化された又はゼラチン化可能なデンプンは、ヘアトリートメント組成物などの製剤に組み込まれた場合、粒子として残らない。
【0032】
ゼラチン化はデンプンの親水性に依存する。ある研究、Senanayake et al (International Journal of Food Science; Volume 2014, Article ID 148982; Suraji Senanayake, Anil Gunaratne, K.K.D.S. Ranaweera and Arthur Bamunuarachchi)では、ヒドロキシプロピル基で置換されたデンプンが、未修飾の天然デンプンと比較して、著しく高いレベルの膨潤力及び水溶性指数を示した。その著者らによれば、親水性であるヒドロキシプロピル基の存在により、顆粒構造への水分子の求引が強化され、それによって顆粒での早期膨潤が引き起こされる。
【0033】
好ましくは、デンプンは、コメデンプン、キヌアデンプン、アマランスデンプン及びその混合物から選択される。より好ましくは、デンプンは、コメデンプン、キヌアデンプン及びその混合物から選択され、最も好ましくは、デンプンはコメデンプンである。
【0034】
非常に好ましいコメデンプンは、カチオン変性されたもの、又は塩化セトリモニウムと組み合わせたもの(例えば、Argana Starchから入手可能なDSA 7コメデンプン)、架橋二リン酸デンプン(例えば、Agrana StarchからのRice PO4 Natural)、又は天然コメデンプン(例えば、Agrana Starchから入手可能なReisita Natural)、及びその混合物から選択することができる。
【0035】
そのデンプンは疎水性の非シリコーンオイルとブレンドされている。したがって、デンプン粒子は連続油相内にある。
【0036】
疎水性非シリコーンオイル
本発明の組成物で使用されるオイルは、疎水性の非シリコーンオイルである。
【0037】
好適な疎水性非シリコーンオイルは、炭化水素オイル、脂肪エステルオイル、及びその混合物から選択される。
【0038】
炭化水素オイルは天然オイルであっても合成オイルであってもよい。
【0039】
直鎖炭化水素オイルは、好ましくは約12~約30個の炭素原子を含む。また、好ましくは約12~約42個の炭素原子を含む分岐鎖炭化水素オイルも適している。また、C2~C6アルケニルモノマーなどのアルケニルモノマーのポリマー炭化水素も適している。
【0040】
好適な炭化水素オイルの具体例としては、パラフィンオイル、鉱油、ポリアルファオレフィン、スクアラン、飽和及び不飽和ドデカン、飽和及び不飽和トリデカン、飽和及び不飽和テトラデカン、飽和及び不飽和ペンタデカン、飽和及び不飽和ヘキサデカン、並びにその混合物などがある。これらの化合物の分枝異性体、並びにより鎖長の長い炭化水素も使用できる。別の好適な材料はポリイソブチレンである。
【0041】
好ましいポリアルファオレフィンが、IneosからSilkflo366(商標名)(デカ-1-エン)として市販されている。
【0042】
好適な脂肪酸エステルは、少なくとも6個の炭素原子を有することを特徴とし、脂肪酸又はアルコールに由来するヒドロカルビル鎖を有するエステルなどがある。モノカルボン酸エステルには、式R′COORのアルコール及び/又は酸のエステルなどがあり、式中、R′及びRは独立に、アルキル基又はアルケニル基を示し、R′及びRにおける炭素原子の合計は少なくとも10、好ましくは少なくとも20である。カルボン酸のジ及びトリアルキル及びアルケニルエステルも使用することができる。
【0043】
特に好ましい脂肪酸エステルは、モノ、ジ、及びトリグリセリド、より具体的には、グリセロールとC1~C22カルボン酸などの長鎖カルボン酸とのモノ、ジ、及びトリエステルである。好ましい材料としては、ココアバター、パームステアリン、ヒマワリオイル、大豆オイル、及びココナッツオイルなどがある。
【0044】
疎水性非シリコーンオイルは、好ましくは、パラフィンオイル、鉱油、ポリアルファオレフィンオイル、脂肪酸又はアルコールに由来するヒドロカルビル鎖を有するエステル、及びその混合物から選択される炭化水素オイルから選択される。
【0045】
乳化非シリコーンオイル
本発明の組成物は、乳化された非シリコーンオイルを含む。そのオイルは、好ましくは、デンプンとのブレンドに使用される疎水性非シリコーンオイルに関して上記のように説明される。
【0046】
デンプンとのブレンドに使用されるオイル及び乳化オイルは、同一であっても異なっていてもよい。
【0047】
乳化非シリコーンは、任意の好適なプロセスによって製造することができ、当業者であれば、そのような乳化オイルを調製する方法は知っている。好ましいプロセスでは、乳化非シリコーンオイルは、高剪断ホモジナイザー(例えば、ドイツのIKA製、S25N-10G分散ツールを搭載したUltra Turrax T25Basic S2)を使用する強反転プロセスによって生成することができる。その乳濁液は、オイルと界面活性剤の混合物に、反転ポイントの前に、剪断下で、例えば毎分0.5mLの速度で水を滴下することによって形成することができる。
【0048】
乳化界面活性剤は、非イオン性、カチオン性、又は非イオン性とカチオン性の混合物であることができ、界面活性剤の総量の含有レベルは、代表的には乳濁液の0.1重量%~2重量%の範囲であり得る。適切な非イオン性界面活性剤は当業者に知られており、例えば、Lutensol XP-79(BASF製)などが挙げられる。好適なカチオン性界面活性剤は当業者に知られており、例えば塩化セトリモニウムが挙げられる。
【0049】
シリコーンフリー
本発明の組成物はシリコーンを含まない。本発明の文脈において、「含まない(free from)」とは、シリコーンは全組成物の0.4重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満、さらにより好ましくは0.05重量%未満、さらにより好ましくは0.001重量%未満、さらに好ましくは0.0001重量%未満、最も好ましくは0重量%を有することを意味する。
【0050】
好ましくは、本発明の組成物はシランも含まない。
【0051】
コンディショニングゲルベース
コンディショニングベースは、カチオン性コンディショニング界面活性剤及び脂肪アルコールを含む。
【0052】
本発明による組成物は、化粧品として許容され、毛髪への局所適用に適した1以上のコンディショニング界面活性剤を含む。
【0053】
好適なコンディショニング界面活性剤は、単独で又は混合して使用されるカチオン性界面活性剤から選択される。例としては、下記の一般式に相当する四級アンモニウムカチオン性界面活性剤などがある。
【化1】
式中、R、R、R及びRはそれぞれ独立に、(a)16~22個の炭素原子の脂肪族基、又は(b)最大22個の炭素原子を有する芳香族、アルコキシ、ポリオキシアルキレン、アルキルアミド、ヒドロキシアルキル、アリール又はアルキルアリール基から選択され、Xは塩形成性アニオン、例えばハライド(例えば塩化物、臭化物)、酢酸、クエン酸、乳酸、グリコール酸、リン酸硝酸、硫酸、及びアルキル硫酸、例えばメト硫酸(methosulphate)ラジカルである。
【0054】
前記脂肪族基は、炭素原子及び水素原子に加えて、エーテル連結、及びアミノ基などの他の基を含むことができる。脂肪族基、例えば約12個以上の炭素のものは、飽和又は不飽和であることができる。
【0055】
そのような上記一般式の四級アンモニウムカチオン性界面活性剤の具体例は、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム(BTAC)、塩化セチルピリジニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化オクチルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化オクチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化デシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジドデシルジメチルアンモニウム、塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、塩化牛脂トリメチルアンモニウム、塩化ココトリメチルアンモニウム、塩化ジパルミトイルエチルジメチルアンモニウム、塩化PEG-2オレイルアンモニウム及びこれらの塩であり、前記塩化物は、他のハライド(例えば、ブロミド)、酢酸、クエン酸、乳酸、グリコール酸、リン酸硝酸、硫酸若しくはアルキル硫酸によって置き換わる。
【0056】
上記一般式の好ましい種類のカチオン性界面活性剤において、RはC16~C22飽和若しくは不飽和、好ましくは飽和のアルキル鎖であり、R、R及びRはそれぞれ独立にCH及びCHCHOH、好ましくはCHから選択される。
【0057】
そのような好ましい四級アンモニウムカチオン性界面活性剤の具体例は、塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAC)、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム(BTAC)及びその混合物である。
【0058】
好ましくは、四級アンモニウムカチオン性界面活性剤は、セチルトリメチルアンモニウム及びベヘニルトリメチルアンモニウムから選択されるカチオンを有する。
【0059】
或いは、一級、二級又は三級脂肪アミンを酸と組み合わせて、本発明での使用に適したカチオン性界面活性剤を提供することができる。その酸は、ヘアケア組成物中でイン・サイツでアミンをプロトン化し、アミン塩を形成する。したがって、そのアミンは、効果的には、非永久的四級アンモニウム又はシュード四級アンモニウムカチオン性界面活性剤である。
【0060】
この種類の好適な脂肪アミンには、下記一般式のアミドアミンなどがある。
【化2】
式中、Rは12~22個の炭素原子を含む脂肪酸鎖であり、Rは1~4個の炭素原子を含むアルキレン基であり、R及びRはそれぞれ独立に1~4個の炭素原子を有するアルキル基である。
上記一般式の好適な材料の具体例は、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジエチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン、ステアラミドエチルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジエチルアミン、パルミタミドエチルジエチルアミン、パルミタミドエチルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジメチルアミン、アラキダミドプロピルジメチルアミン、アラキダミドプロピルジエチルアミン、アラキダミドエチルジエチルアミン、アラキアミドエチルジメチルアミン、及びジエチルアミノエチルステアラミドである。
【0061】
また、ジメチルステアラミン、ジメチルソイアミン、オイアミン(oyamine)、ミリスチルアミン、トリデシルアミン、エチルステアリルアミン、N-牛脂プロパンジアミン、エトキシル化(エチレンオキサイド5モルを含む)ステアリルアミン、ジヒドロキシエチルステアリルアミン及びアラキジルベヘニルアミンも有用である。
【0062】
特に好ましいものはステアラミドプロピルジメチルアミンである。
【0063】
コンディショニング界面活性剤は、組成物中に、組成物の0.1~10重量%、好ましくは少なくとも0.5重量%、より好ましくは少なくとも1重量%、さらにより好ましくは少なくとも2重量%、さらにより好ましくは少なくとも3重量%、さらには少なくとも4重量%の濃度で存在するが、代表的には9重量%以下、好ましくは8重量%以下、より好ましくは7重量%以下、さらにより好ましくは6重量%以下、さらにより好ましくは5重量%以下の濃度で存在する。
【0064】
脂肪アルコール
本発明の組成物は、C~C22の炭素-炭素鎖長を有する脂肪アルコールを含む。
【0065】
コンディショニング組成物中の脂肪アルコール及びカチオン性界面活性剤の併用が好ましく、それはカチオン性界面活性剤が分散しているラメラ相が形成されるためである。
【0066】
前記脂肪アルコールは、8~22個、好ましくは16~22個の炭素原子を含み、最も好ましくはC16~C18である。脂肪アルコールは代表的には、直鎖アルキル基を含む化合物である。好ましくは、アルキル基は飽和している。好ましい脂肪アルコールの例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びその混合物などがある。これらの材料の使用は、それらが本発明で使用される組成物の全体的なコンディショニング特性に寄与するという点でも有利である。
【0067】
本発明で使用されるコンディショナー中の脂肪アルコールのレベルは、一般に、組成物の0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~7重量%、最も好ましくは0.3~6重量%の範囲である。
【0068】
カチオン性界面活性剤:脂肪アルコールの重量比は、好適には1:1~1:10、好ましくは1:1.5~1:8、最適には1:2~1:5である。カチオン性界面活性剤:脂肪アルコールの重量比が高すぎると、組成物からの目の刺激が生じる可能性がある。低すぎると、一部の消費者にとって髪がきしむように感じる可能性がある。
【0069】
好ましいコンディショナーは、ベシクル含有量がほとんど又は全くないコンディショニングゲル相を含む。このようなコンディショナー及びその製造方法が、WO2014/016354、WO2014/016353、WO2012/016352及びWO2014/016351に記載されている。
【0070】
このようなコンディショニングゲル相は、組成物の総重量で、
i)0.4~8重量%の8~22個の炭素を有する脂肪アルコール、
ii)0.1~2重量%のカチオン性界面活性剤
を含み、
組成物は、その組成物で処理される毛髪に1~250g、好ましくは2~100g、より好ましくは2~50g、さらにより好ましくは5~40g、最も好ましくは5~25gのドローマスを与える。
【0071】
ドローマスは、櫛又はブラシによりヘアピースを引っ張るのに必要な質量である。したがって、髪のもつれが多いほど、櫛又はブラシによってヘアピースを引くのに必要な質量が大きくなり、髪の状態のレベルが高くなるほど、引張質量は低くなる。
【0072】
ドローマスは、最初にヘアピースを櫛又はブラシ上に置くことで5~20cmの毛髪がヘアピースの接着端に吊り下がった状態となり、次にヘアピースが櫛又はブラシから落ちるまで吊り下がった端部に重量を加えることで測定される、櫛又はブラシによって、例えば重さ1~20g、長さ10~30cm、幅0.5~5cmのヘアピースを引っ張るのに必要な質量である。
【0073】
好ましくは、ヘアピースの重量は1~20g、より好ましくは2~15g、最も好ましくは5~10gである。好ましくは、ヘアピースの長さは10~40cm、より好ましくは10~30cmであり、幅は0.5~5cm、より好ましくは1.5~4cmである。
【0074】
最も好ましくは、ドローマスは、最初にヘアピースを櫛又はブラシ上に置くことで20cmの毛髪がヘアピースの接着端に吊り下がった状態となり、次にヘアピースが櫛又はブラシから落ちるまで吊り下がった端部に重量を加えることで測定される、櫛又はブラシによって、例えば重さ10g、長さ20cm、幅3cmのヘアピースを引っ張るのに必要な質量である。
【0075】
別段の断りがない限り、本明細書で言及される比率、パーセント、部などは重量基準である。
【0076】
ここで、本発明の態様を以下の実施例によって説明する。
【実施例
【0077】
実施例1:以下の実施例で使用される組成物の調製
本発明による組成物1~3及び比較組成物Aの調製
以下のコンディショナー組成物を調製した。
組成物1~3:本発明によるオイルと異なる粒子状デンプンとのブレンドを含むコンディショナー
組成物A:オイルと非粒子状(ゼラチン化)デンプンとのブレンドを含む比較用コンディショナー
【0078】
次の表では、オイル及びデンプンがブレンド中に存在する。
【0079】
粒子状デンプンの粒径は、本明細書に記載の方法を使用して測定した。
【0080】
表1:本発明によるヘアコンディショナー1~3及び比較コンディショナーAの組成
【表1】
【0081】
-Agenajel 20313は、Agrana Starchからの前ゼラチン化トウモロコシヒドロキシプロピルデンプンリン酸塩である。
-Agrana StarchからのRice PO4 Natural、Dv(50)粒径7.66マイクロメートルを有する
-Agrana StarchからのReisita Naturalデンプン、Dv(50)粒径8.00マイクロメートルを有する
-Agrana StarchからのD.S.A.7デンプン粒子、Dv(50)粒径8.39マイクロメートルを有する
-Silkflo 366:ポリアルファオレフィンオイル(デカ-1-エン)(Ineos製)
-GodrejからのGinol 1618 TA
-ClariantからのGenamin BTLF
【0082】
乳化オイルを、Ultra Turrax T25 Basic S2高剪断ホモジナイザー及び分散ツールを使用した強反転プロセスによって製造した。反転ポイントの前に、100mLステンレス鋼ビーカー中で剪断下にオイルと界面活性剤の混合物に水を0.5mL/分の速度で滴下した。得られた組成を表2に示してある。
【0083】
表2:乳化オイルの組成
【表2】
【0084】
表1の組成物は次のように調製した。
1.水を適切な容器に加え、乳酸を加え、容器を加熱して80℃とした。
2.界面活性剤及び脂肪物質を好適な容器に加え、脂肪物質の融点より高く加熱して溶融物を形成した。
3.溶融物を水相と合わせ、得られた混合物を不透明かつ粘稠になるまで混合した。
4.次いで、熱を止め、クエンチング水を加えた。
5.次いで、混合物を冷却し40℃より低くし、乳化オイル、香料を含む残りの材料を加えた。
6.デンプンとオイルを一緒に混和してブレンドを形成してから、組成物に添加した。
7.最後に、製剤をSilversonミキサー上、高剪断条件下に5000rpmで5分間混和した。
【0085】
本発明による実施例4~6及び比較例B~Eの調製
次の実施例での使用のために、異なるコンディショナーゲルベースを使用して、さらなる組成物を調製した。
組成物4~6:本発明による異なる粒子状デンプンとオイルのブレンドを含むコンディショナー
組成物B:オイルと非粒子状(ゼラチン化)デンプンのブレンドを含む比較用コンディショナー
組成物C:非ブレンドの非粒子状(ゼラチン化)デンプン及びオイルを含む比較組成物
組成物D及びE:非ブレンド粒子状デンプン及びオイルを含む比較組成物
【0086】
乳化オイル及びオイル/デンプン混合物を上で詳述したように調製した。
【0087】
非ブレンドデンプン及びオイルを含む組成物については、オイル及びデンプンを別々に添加した。
【0088】
次の表では、*で示されていない限り、オイル及びデンプンがブレンド中に存在する。
【0089】
表3:本発明によるヘアコンディショナー4~6及び比較コンディショナーB~Eの組成
【表3】
【0090】
-Agenajel 20313は、Agrana Starchからの前ゼラチン化トウモロコシヒドロキシプロピルデンプンリン酸塩である。
-Agrana StarchからのRice PO4 Natural
-Agrana StarchからのReisista Natural
-Agrana StarchからのD.S.A.7デンプン粒子
-Silkflo 366:ポリアルファオレフィンオイル(デカ-1-エン)(Ineos製)
-GodrejからのGinol 1618 TA
-ClariantからのGenamin BTLF
【0091】
表3の組成物は次のように調製した。
1.水を適切な容器に加え、加熱して80℃とした。
2.界面活性剤及び脂肪物質を好適な容器に加え、脂肪物質の融点より高く加熱して溶融物を形成した。
3.溶融物を水相と合わせ、得られた混合物を不透明かつ粘稠になるまで混合した。
4.次いで、熱を止め、クエンチング水を加えた。
5.次いで、混合物を冷却し40℃より低くし、乳化オイル及び香料を含む残りの材料を加えた。
6.デンプンとオイルを一緒に混和してブレンドを形成してから、組成物に添加した。
7.最後に、製剤をSilversonミキサー上、高剪断条件下に5000rpmで5分間混和した。
【0092】
実施例2:本発明による組成物1~3及び比較例Aにおけるデンプンの性質
組成物1~3及びAを粒子の存在について分析した。以下の方法を使用した。
偏光光学顕微鏡(Olympus BX51)を使用して、組成物の画像を得た。少量の組成物を、上にカバースリップを備えた顕微鏡スライドガラス上に置いた。透過モードで、デンプン粒子は複屈折性であるため、20倍の倍率の対物レンズを使用して偏光下で画像をキャプチャーした。組成ごとに10枚の画像を取得した。各画像内の粒子の数を数え、平均粒子数/mmを計算した。
【0093】
結果を以下の表4に示す。
【0094】
表4:本発明による組成物1~3及び比較例Aにおけるデンプン粒子の平均数
【表4】
【0095】
本発明で使用されるデンプンはコンディショナー組成物中に粒子として残ることが分かるであろう。Agenajel 20313デンプンを含む組成物Aは、ゼラチン化デンプンが溶解しているため、粒子を全く含まない。
【0096】
実施例3:オイルとデンプンの混合が処理毛髪の摩擦係数に及ぼす効果
本発明による組成物4及び5、並びに比較例B~Eを毛髪の処理に使用した。
【0097】
毛髪を次の方法で処理した。
【0098】
10インチダークブラウンのヨーロッパヘアピース5gを水道水で濡らした。1単位のエトキシル化を有する14重量%のラウレス硫酸ナトリウムの溶液をヘアピースに塗布した(毛髪1グラム当たり0.1g)。ヘアピースを30秒間マッサージし、次に水道水で30秒間洗い流した。これを繰り返した。その濡れたヘアピースを櫛を使ってほぐした。次いで、コンディショナー組成物(毛髪1グラム当たり0.2g)を毛髪に塗布し、1分間マッサージした後、制御された水流下で1分間洗い流した。ヘアピースを室温で乾燥させた。
【0099】
次に、適切な信号処理とデータ取得を行いながら、複数の力変換器に取り付けられた平板に基づく装置を使用して、処理後の毛髪の摩擦係数を分析した。好適な装置の例は、Guest S. et al, Journal of Cosmetics, Dermatological Sciences and Applications, Vol.3, 2013, pp.66-78及びGuest S. et al, Journal of Texture Studies, Vol. 43, 2012,pp.77-93及びそこの参考文献に記載されている。ここで使用される具体的な装置は、ガラス-バルサ(glass-balsa)パネル(Aerospace Composite Products,USA)に取り付けられたDasylabデータ収集ソフトウェア(National Instruments, USA)及び10ニュートン容量のSMT1力変換器6台(Interface Inc., USA)とともにMicro Analog 3シグナル処理システム(Fylde Electronic LaboratoriesLtd., UK)を用いた。ここで得られたデータを、オペレータが装置上に平らに置かれた乾燥処理毛束(上記)の表面に沿って指を動かすことによって収集して、摩擦力及び負荷力の記録並びに結果的に得られる摩擦係数の計算を行うことができるようにした。
【0100】
結果を以下の表5に提供する。
【0101】
表5:組成物4及び5並びに比較組成物B~Eで処理した毛髪の摩擦係数
【表5】
【0102】
結果は、オイルとデンプンの混合物を含む本発明による組成物(実施例4及び5)では、同じオイルとデンプンを含むが非ブレンド型である本発明外の組成物より、著しく低い摩擦係数が得られることを示している。
【0103】
実施例4:本発明による実施例4及び6並びに比較例Bのレオロジー特性
本発明による組成物4及び6並びに比較組成物Cのレオロジー特性を、降伏応力を測定することによって調べた。次の方法を用い、結果を表6に示されている。
【0104】
製品の降伏応力を、TA InstrumentsからのAR-G2レオメータで測定した。降伏応力を測定する方法は、1Hzの一定周波数で振動を加え、0.1%~2000%の範囲の振幅掃引ができる好適なレオメーターに取り付けられた、直径40mmの鋸歯状平行板形状を使用する。振幅掃引範囲は、振幅あたり4サイクル以下でカバーされるひずみ範囲の10ポイント/ディケード以下で適用される。機器は、張力を制御して操作しなければならない。ジオメトリ(geometry)の温度は、例えばペルチェ制御プレートや再循環浴などを使用して25℃に設定しなければならない。ひずみ振幅に対して弾性応力をプロットすることによって降伏応力を求め、曲線のピークで、最大値を降伏応力とする。
【0105】
表6:本発明による組成物4及び6(粒子状デンプン)並びに比較組成物B(非粒子状デンプン)の降伏応力
【表6】
【0106】
結果は、驚くべきことに、本発明による実施例4及び6の降伏応力が比較組成物Bよりも高いことを示している。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)デンプン:オイルの重量比0.5:1から1:0.5で
i)1~12ミクロンのDv(50)粒径を有するデンプン粒子;及び
ii)疎水性非シリコーンオイル
を含む0.01~5重量%(全組成物の重量基準)のブレンド;
B)0.01~5重量%の乳化非シリコーンオイル;
[A)及びB)は内部で分散している。]
C)カチオン性界面活性剤及び脂肪アルコールを含むコンディショニングゲル相
を含むヘアコンディショナー組成物であって、
当該コンディショナーがシリコーンを含まないヘアコンディショナー組成物。
【請求項2】
前記デンプンが、コメデンプン、キヌアデンプン、アマランスデンプン及びその混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記デンプンが3~9ミクロンのDv(50)粒径を有する、請求項1又は請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記疎水性非シリコーンオイルが、炭化水素オイル、脂肪エステルオイル及びその混合物から選択される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
前記疎水性非シリコーンオイルが、パラフィンオイル、鉱油、ポリアルファオレフィン、スクアラン、脂肪酸又はアルコールに由来するヒドロカルビル鎖を有するエステル、及びその混合物から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記乳化非シリコーンオイルが、パラフィンオイル、鉱油、ポリアルファオレフィン、スクアラン、脂肪酸又はアルコールに由来するヒドロカルビル鎖を有するエステル、及びその混合物から選択される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項7】
前記カチオン性コンディショニング界面活性剤が四級アンモニウムカチオン性界面活性剤である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項8】
前記四級アンモニウムカチオン性界面活性剤がセチルトリメチルアンモニウム及びベヘニルトリメチルアンモニウムから選択されるカチオンを有する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記脂肪族アルコールが、C8~C22の炭素-炭素鎖長を有する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項10】
毛髪に請求項1または2に記載の組成物を適用する段階を含む毛髪の処理方法。
【請求項11】
毛髪にコンディショニング利益を提供するための、請求項1または2で定義のシリコーン非含有組成物での粒子状デンプン及び非シリコーンオイルのブレンドの使用。
【請求項12】
前記コンディショニング利益が、非粒子状デンプンを含む同じ組成物によって処理された毛髪と比較して低減した摩擦係数である、請求項11に記載の使用。
【国際調査報告】