(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-05
(54)【発明の名称】ミルクティー製造用組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23F 3/30 20060101AFI20241028BHJP
【FI】
A23F3/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531619
(86)(22)【出願日】2022-11-30
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 KR2022019174
(87)【国際公開番号】W WO2023101398
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】10-2021-0168975
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514199250
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソニ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ミンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ジウ
(72)【発明者】
【氏名】コン、ムン ヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム、チョル ジン
【テーマコード(参考)】
4B027
【Fターム(参考)】
4B027FB11
4B027FB13
4B027FC02
4B027FE02
4B027FK02
4B027FK03
4B027FK04
4B027FK09
4B027FK18
4B027FK20
4B027FP85
(57)【要約】
本出願は、ミルクティー製造用組成物、前記組成物を含むミルクティー、前記ミルクティー製造用組成物の製造方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紅茶抽出粉末、キシロース糖、糖アルコール及び天然高甘味料を含むミルクティー製造用組成物であって、
前記キシロース糖及び前記天然高甘味料は、前記キシロース糖が前記天然高甘味料でコーティングされたコアシェル(core-shell)構造で含まれる、組成物。
【請求項2】
前記紅茶抽出粉末は、組成物全体の100重量部を基準として1~10重量部で含まれるものであり、
前記キシロース糖は、組成物全体の100重量部を基準として30~90重量部で含まれるものであり、
前記糖アルコールは、組成物全体の100重量部を基準として0.1~50重量部で含まれるものであり、
前記天然高甘味料は、組成物全体の100重量部を基準として0.01~0.1重量部で含まれるものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記糖アルコールは、エリスリトール、タガトース、キシロース、アラビノース、リボース、キシリトール、ラクチトール、マルチトール及びソルビトールからなる群から選択される1種以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記天然高甘味料は、酵素処理ステビア、ステビオール配糖体、スクラロース、アスパルテーム、羅漢果抽出物、甘草抽出物及びソーマチンからなる群から選択される1種以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物は、マルトデキストリン、着香料またはビタミンCをさらに含むものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物は、パウダー形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物を含むミルクティー。
【請求項8】
前記ミルクティーは、キシロース糖、糖アルコール及び天然高甘味料を含まないものに比べて苦み及び渋味が減少したものである、請求項7に記載のミルクティー。
【請求項9】
前記ミルクティーは、前記コアシェル(core-shell)構造を含まないものに比べて溶解分散性及び食感が向上したものである、請求項7に記載のミルクティー。
【請求項10】
マルトデキストリン及び天然高甘味料を水に溶解して希釈液を製造する段階;
前記希釈液をキシロース糖に噴霧してコーティングし、中心部はキシロース糖が存在し、前記中心部が前記天然高甘味料でコーティングされたコアシェル(core-shell)構造を製造する段階;
前記コアシェルを70℃~80℃の温度範囲で、10分~30分間熱風乾燥させる段階;
1℃~50℃の冷却空気を10分~30分間処理して冷却させる段階;及び
前記冷却されたコアシェル、糖アルコール及び紅茶抽出粉末を撹拌して組成物を製造する段階;を含むミルクティー製造用組成物の製造方法。
【請求項11】
前記紅茶抽出粉末は、組成物全体の100重量部を基準として1~10重量部で含まれるものであり、
前記キシロース糖は、組成物全体の100重量部を基準として30~90重量部で含まれるものであり、
前記糖アルコールは、組成物全体の100重量部を基準として0.1~50重量部で含まれるものであり、
前記天然高甘味料は、組成物全体の100重量部を基準として0.01~0.1重量部で含まれる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記冷却されたコアシェル、及び紅茶抽出粉末を撹拌して組成物を製造する段階は、マルトデキストリン、着香料またはビタミンCを添加する段階をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法で製造した、ミルクティー製造用組成物。
【請求項14】
請求項13に記載の組成物を含むミルクティー。
【請求項15】
前記ミルクティーは、キシロース糖、糖アルコール及び天然高甘味料を含まないものに比べて苦み及び渋味が減少したものである、請求項14に記載のミルクティー。
【請求項16】
前記ミルクティーは、噴霧コーティング工程を含まない方法で製造された組成物を含むミルクティーに比べて溶解分散性及び食感が向上したものである、請求項14に記載のミルクティー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ミルクティー製造用組成物、前記組成物を含むミルクティー、前記ミルクティー製造用組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ミルクティーは、牛乳を入れた紅茶または茶と牛乳が混合された様々な形態の飲料を称する。インスタントミルクティー組成物は、紅茶を淹れる製造方法(brew)の代わりにインスタント紅茶粉末を用いて砂糖と混合して提供する。
【0003】
ミルクティーは、紅茶特有の香味と味を楽しむためのものであり、紅茶粉末、砂糖などを混合して温かい牛乳あるいは冷たい牛乳に溶かして作る。しかし、紅茶抽出粉末は、不溶性成分で飲料を製造する時に溶解性が低くて飲料内粉末が残存し、味と香りを阻害するだけでなく、均一に分散していない粉末粒子によりさっぱりせず不快な食感を発生させる問題がある。また、インスタント紅茶抽出粉末で飲料を製造する場合、抽出によるタンニン成分の増加により苦渋味が発生し、消費者の嗜好度に否定的な影響を与える。
【0004】
上述の問題点を解決するために、一般に、インスタントミルクティー組成物に砂糖などの甘味料、添加物または香料などを添加する方法が使用されるが、添加される甘味料により飲料内における糖類含量及び熱量が高くなり、多量の糖類によりべたついて重い食感が増加して嗜好度が低下し、溶解度が低くなり、添加物の過剰使用により紅茶固有の風味が低下する問題が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国登録特許第10-2148188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、紅茶抽出粉末の特有の苦みと渋味を低減させ、溶解分散性及び食感が改善されたミルクティー製造用組成物、前記組成物を含むミルクティー、前記ミルクティー製造用組成物の製造方法を開発して本出願を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願の一つの目的は、紅茶抽出粉末、キシロース糖、糖アルコール及び天然高甘味料を含むミルクティー製造用組成物を提供することにある。
【0008】
本出願のもう一つの目的は、前記組成物を含むミルクティーを提供することにある。
【0009】
本出願の他の一つの目的は、前記ミルクティー製造用組成物の製造方法を提供することにある。
【0010】
本出願の他の一つの目的は、前記方法で製造したミルクティー製造用組成物を提供することにある。
【0011】
本出願の他の一つの目的は、前記組成物を含むミルクティーを提供することにある。
【発明の効果】
【0012】
本出願のミルクティー製造用組成物は、砂糖を糖アルコール及び天然高甘味料で一定比率代替することにより、紅茶抽出粉末の特有の苦みと渋味を低減させ、溶解分散性及び食感が改善されたミルクティーを製造して消費者の嗜好度を高める優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】ミルクティー製造用パウダーの溶解度測定結果を示した図である。
【
図2】ミルクティー製造用パウダーの官能評価結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
これを具体的に説明すると、次の通りである。一方、本出願で開示されたそれぞれの説明及び実施形態は、それぞれの他の説明及び実施形態にも適用することができる。即ち、本出願で開示された多様な要素の全ての組み合わせが、本出願の範囲に属する。また、以下に記載される具体的な記述により本出願のカテゴリが制限されるとは見られない。また、本明細書の全体にわたって多数の論文及び特許文献が参照され、その引用が表示されている。引用された論文及び特許文献の開示内容は、その全体として本明細書に参照として組み込まれ、本出願が属する技術分野の水準及び本出願の内容がより明確に説明される。
【0015】
本出願の一態様は、紅茶抽出粉末、キシロース糖、糖アルコール及び天然高甘味料を含むミルクティー製造用組成物を提供する。
【0016】
具体的には、前記キシロース糖及び前記天然高甘味料は、前記キシロース糖が前記天然高甘味料でコーティングされたコアシェル(core-shell)構造で含まれるものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0017】
本出願の一つの具現例として、微量の難消化性マルトデキストリン、酵素処理ステビア、ステビオール配糖体をコアシェルで噴霧コーティングすることにより製品全体の甘味を均一に分散して製品の品質を維持することができる。また、溶解性の向上が容易な粒度表面積を生成することができる。
【0018】
本出願のミルクティー製造用組成物は、砂糖を糖アルコール及び天然高甘味料で一定比率代替し、前記キシロース糖が前記天然高甘味料でコーティングされたコアシェル構造を含むことにより紅茶抽出粉末の特有の苦みと渋味を低減させ、溶解分散性及び食感が改善されたミルクティーを製造して消費者の嗜好度を高める優れた効果がある。
【0019】
具体的には、前記紅茶抽出粉末は、組成物全体の100重量部を基準として1~10重量部、具体的には5~10重量部、さらに具体的には9~10重量部で含まれるものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0020】
紅茶粉末は、紅茶を抽出し、乾燥させて粉末化した製品であり、不溶性の赤黒い粉末状で、タンニン(Tannin)を含有して苦渋味があることが特徴である。紅茶粉末は、飲料及びベーカリーなどに多く使用される。
【0021】
具体的には、前記キシロース糖は、組成物全体の100重量部を基準として30~90重量部、具体的には35~70重量部、さらに具体的には40~65重量部で含まれるものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0022】
本発明の用語、「キシロース糖(xylose sugar)」とは、砂糖、水飴、果糖などに比べて、甘味特性を同等水準に維持し、砂糖の分解が抑制されて体内における糖の吸収を遅らせるキシロース含有糖を意味する。具体的には、前記キシロース糖は、スクロース及びキシロース(Xylose)の混合物であってもよく、例えば、スクロース対キシロースが1:0.05~1:0.5の重量比で混合されたものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0023】
キシロース(Xylose)は、シラカバ、とうもろこしなどに存在する天然甘味料であり、砂糖の約40%程度の甘味度を有し、砂糖を補助して砂糖の有害性を補完できる種々の甘味素材の一つとして知られている。キシロースは、これを砂糖と同時に摂取する場合、砂糖分解酵素であるスクラーゼ(sucrase)の活性を阻害して砂糖の分解を妨げる結果、砂糖の体内吸収を抑制し、これを体外に排出させる効果があり、急激な血糖上昇の防止及び糖尿、肥満などの成人病予防に良い効果があることが認められる。また、アラビノースとキシロースで構成された複合多糖体であるアラビノキシランは、抗アレルギー性、免疫活性及び抗癌に関連した生理活性物質として近年多様な研究結果が発表されている。
【0024】
具体的には、前記糖アルコールは、組成物全体の100重量部を基準として0.1~50重量部、具体的には0.5~40重量部、さらに具体的には1~30重量部で含まれるものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0025】
前記糖アルコールを含むことにより、糖類含量を低減することができる。
【0026】
また、前記糖アルコールは、エリスリトール、タガトース、キシロース、アラビノース、リボース、キシリトール、ラクチトール、マルチトール及びソルビトールからなる群から選択される1種以上であるもの、具体的には、エリスリトールであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0027】
前記エリスリトールは、白砂糖と最も類似の甘味プロファイルを示すことが知られた糖アルコールであり、0~0.2kcal/gの非常に微々たるカロリーを有している物質である。これにより、前記エリスリトールを含む場合、低熱量製品の製造に有用に活用することができる。
【0028】
具体的には、前記天然高甘味料は、組成物全体の100重量部を基準として0.01~0.1重量部で含まれるものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0029】
前記天然高甘味料は、組成物全体の100重量部を基準として0.01~0.1重量部、具体的には0.020~0.095重量部、さらに具体的には0.025~0.090重量部で含まれるようにして同量の砂糖使用時と類似の甘味度を有するようにした。添加量が少な過ぎると、砂糖より甘味度が落ちるようになるため、高甘味料を混合して甘味度を高める効果を得ることができず、反対に、これら甘味材は、苦みと後味を改善した製品であるが、完ぺきに砂糖と同一の甘味を提供することができないため、使用量が多ければ、高甘味料特有の苦みが出るため、適切でないことを考慮し、前記のような数値に限定したものである。
【0030】
前記天然高甘味料が前記のような含量で含まれる場合、組成物の異味、異臭のマスキングが可能であり、コアシェルの形態で噴霧コーティング時に溶解分散性が向上する。
【0031】
また、前記天然高甘味料は、酵素処理ステビア、ステビオール配糖体、スクラロース、アスパルテーム、羅漢果抽出物、甘草抽出物及びソーマチンからなる群から選択される1種以上であるもの、具体的には、酵素処理ステビア及び/又はステビオール配糖体であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0032】
前記酵素処理ステビア(Glucosyl-Stevia)は、ステビオール配糖体(Stevioside)に糖転移酵素を用いてグルコースを付加したものであり、ステビオール配糖体固有の苦みと後味を除去した味質改善品である。
【0033】
ステビオール配糖体は、天然添加物に分類される高甘味料の一つであり、ステビア(キク科植物、Stevia rebaudiana Bertoni)の葉から抽出、精製して製造される天然甘味料として熱及びpHに安定した甘味物質で、甘味度は砂糖の約200倍である。ただし、ステビオール配糖体は、砂糖に比べて甘味度が優れるが、後味が長く残り、甘味以外に苦み、不快感などがある短所がある。前記ステビオール配糖体は、ステビオール配糖体(stevioside)、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、ルブソシド、ズルコシドA、ステビオシドまたはこれらの混合物であってもよいが、これらに限定されるものではなく、当業者が甘味を付与するために使用できる高甘味料であれば、いずれも使用可能である。
【0034】
前記天然高甘味料の場合、独自の苦みがあることが知られている。これにより、前記糖アルコール、具体的には、エリスリトールを配合して天然高甘味料自体の苦みを減らし、嗜好度を高めることができる。
【0035】
前記砂糖、糖アルコール及び天然高甘味料を前記のような含量で紅茶抽出粉末と混合する場合、紅茶の苦みを示すタンニン成分を効果的にマスキングすることができる。これにより、カロリーを顕著に低めながらも従来組成物製品の味品質、食感及び溶解分散性を改善できる砂糖なし天然組成物を提供することができる。
【0036】
本出願のミルクティー製造用組成物は、多糖類をさらに含むことができる。
【0037】
具体的には、前記多糖類は、デキストリン、マルトデキストリン、シクロデキストリン、フラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、マルトオリゴ糖またはガラクトオリゴ糖などの多糖類、より具体的には、マルトデキストリンであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0038】
前記マルトデキストリン(maltodextrin)は多糖類の一種であり、賦形剤として使用されるものとして、前記ミルクティー製造用組成物の利用形態、例えば、粉末状などによりその含量を調節して使用できるもので、その含量がこれに制限されるものではないが、組成物全体の100重量部を基準として5~30重量部で含まれ得る。
【0039】
本出願のミルクティー製造用組成物は、着香料、具体的には、紅茶フレーバーの着香料をさらに含むことができる。前記紅茶フレーバーの着香料の含量がこれに制限されるものではないが、組成物全体の100重量部を基準として0.1~1.5重量部で含まれてもよい。
【0040】
本出願のミルクティー製造用組成物に前記着香料をさらに添加すると、ミルクティーの紅茶香味を豊富にすることができ、前記0.1~1.5重量部で添加することによりミルクティーの製造時に固有の香りが提供されるようにした。ミルクティー製造用組成物は、その特性上、水または牛乳などと混合される時に香りが希釈される結果をもたらすため、香りの強度が弱い場合、紅茶固有の香りが感じられなくなる。したがって、添加比率は不快感を与えない程度内で適切な香りの強度を提供するために前記範囲で選定した。着香料が前記範囲を超過して添加される場合、固有の化学的異臭が発揮され、製品の品質が低下する。前記着香料は、当業者が一般に使用できる市販用着香料を購入して使用したり、目的に合うように製造して使用することができる。
【0041】
具体的には、本出願のミルクティー製造用組成物は、機能性成分、具体的には、サポニン、抗酸化剤、食物繊維供給源、脂肪酸、ビタミン、グルコサミン、ミネラル、保存剤、水和剤、プロバイオティクス、プレバイオティクス、体重管理剤、骨粗鬆症管理剤、フィトエストロゲン、長鎖第1級脂肪族飽和アルコール、フィトステロール及びその組み合わせ、さらに具体的には、ビタミンCをさらに含むことができる。
【0042】
本出願のミルクティー製造用組成物に前記ビタミンCが含まれる場合、ラジカル除去及び抗老化のような特定の生理的機能を有するようにする。前記ビタミンCの含量がこれに制限されるものではないが、組成物全体の100重量部を基準として0.1~1.5重量部で含まれてもよい。
【0043】
前記ビタミンCが前記範囲内で含まれる場合、官能低下なしに酸化防止剤として機能をすることができる。
【0044】
本出願のミルクティー製造用組成物は、前記紅茶抽出粉末、キシロース糖、糖アルコール、天然高甘味料、多糖類、着香料及び機能性成分以外にも酸度調節剤、安定剤、カゼインナトリウム、精製塩などをさらに含むものであってもよい。また、本出願のミルクティー製造用組成物は、それ以外にもミルクティー製造用組成物を製造するのに一般に使用される公知の材料をさらに含むことができる。
【0045】
本出願のミルクティー製造用組成物は、パウダー、液状、固形粉など、ミルクティーを製造するのに適した組成物であれば、形態に制限がなく、具体的には、パウダー形態であってもよい。
【0046】
本出願の他の一態様は、前記組成物を含むミルクティーを提供する。
【0047】
前記組成物については、前記で説明した通りである。
【0048】
具体的には、前記ミルクティーは、ミルクティー製造用組成物に水、豆乳または牛乳、具体的には、牛乳をさらに含むものであってもよい。
【0049】
具体的には、前記ミルクティーは、キシロース糖、糖アルコール及び天然高甘味料を含まないものに比べて苦み及び渋味が減少したものであってもよい。
【0050】
渋味は、舌の表面にある粘性タンパク質が一時的に変性凝固して味覚神経の麻痺により起きる不快な味であり、紅茶の葉の中のタンニン成分によりミルクティーには、特有の渋くえぐい後味がある。本出願のミルクティーは、キシロース糖、糖アルコール及び天然高甘味料を添加することにより、タンニン成分を別途に除去しなくても口の中で感じる渋味を低減させるという側面で有利である。
【0051】
前記ミルクティーは、前記コアシェル(core-shell)構造を含まないものに比べて溶解分散性及び食感が向上し、紅茶抽出粉末の苦みが減少したものであってもよい。
【0052】
本出願のもう一つの態様は、前記ミルクティー製造用組成物の製造方法を提供する。
【0053】
前記ミルクティー製造用組成物については、前記で説明した通りである。
【0054】
具体的には、マルトデキストリン及び天然高甘味料を水に溶解して希釈液を製造する段階;前記希釈液をキシロース糖に噴霧してコーティングし、中心部はキシロース糖が存在し、前記中心部が前記天然高甘味料でコーティングされたコアシェル(core-shell)構造を製造する段階;前記コアシェルを70℃~80℃の温度範囲で、10分~30分間熱風乾燥させる段階;1℃~50℃の冷却空気を10分~30分間処理して冷却させる段階;及び前記冷却されたコアシェル、糖アルコール及び紅茶抽出粉末を撹拌して組成物を製造する段階;を含むミルクティー製造用組成物の製造方法を提供する。
【0055】
具体的には、前記紅茶抽出粉末は、組成物全体の100重量部を基準として1~10重量部で含まれるものであり、前記キシロース糖は、組成物全体の100重量部を基準として30~90重量部で含まれるものであり、前記糖アルコールは、組成物全体の100重量部を基準として0.1~50重量部で含まれるものであり、前記天然高甘味料は、組成物全体の100重量部を基準として0.01~0.1重量部で含まれるものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0056】
以下、具体的には、本出願のミルクティー製造用組成物の製造方法を詳細に説明する。
【0057】
まず、マルトデキストリン及び天然高甘味料を水に溶解して希釈液を製造する。
【0058】
次いで、前記希釈液をキシロース糖に噴霧してコーティングし、中心部はキシロース糖が存在し、前記中心部が前記天然高甘味料でコーティングされたコアシェル(core-shell)構造を製造する。前記キシロース糖は、砂糖及びキシロースを1:0.05~1:0.5の重量比で混合して製造するものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0059】
本出願のミルクティー製造用組成物は、前記キシロース糖が前記天然高甘味料でコーティングされたコアシェル構造を含むことにより紅茶抽出粉末の特有の苦みと渋味を低減させ、溶解分散性及び食感が改善されたミルクティーを製造して消費者の嗜好度を高める優れた効果がある。
【0060】
本出願の一つの具現例として、微量の難消化性マルトデキストリン、酵素処理ステビア、ステビオール配糖体をコアシェルで噴霧コーティングすることにより製品全体の甘味を均一に分散して製品の品質を維持することができる。また、溶解性の向上が容易な粒度表面積を生成することができる。具体的には、砂糖とキシロースを一次混合した後、難消化性マルトデキストリンと天然高甘味料の希釈液を噴霧コーティングすることにより溶解速度が早く上昇できるように粒子の表面が形成される。
【0061】
次いで、前記コアシェルを70℃~80℃、具体的には75℃の温度範囲で、10分~30分間、具体的には20分間熱風乾燥させる。
【0062】
本出願のミルクティー製造用組成物がパウダー形態である場合、水分含量が高くなると、微生物生育を活性化させて品質低下が引き起こされる。したがって、前記乾燥段階を通じて製品の微生物生育を抑制できる水分条件を形成し、次の工程の段階で他の原料と適した条件で混合することができる。前記温度範囲より高い温度で乾燥する時、砂糖が溶けてコアシェルを形成することができず、前記温度範囲より低い温度で乾燥する時、微生物生育に適した水分条件になって品質の低下を惹起することがある。
【0063】
次いで、1℃~50℃、具体的には40℃以下の冷却空気を10分~30分間、具体的には10分間処理して冷却させる。
【0064】
前記熱風乾燥段階後、冷却されなければ、他の原料と共に溶けて適した製品を形成できない。本出願の製造方法は、工程においてエネルギー効率が適した最適の温度と時間で設定され、前記条件より高い温度と時間では冷却が行われず、前記条件より低い温度範囲ではコアシェル結晶の大きさが大きくなって溶解性の向上を低下させる。
【0065】
次いで、前記冷却されたコアシェル、糖アルコール及び紅茶抽出粉末を撹拌して組成物を製造する。
【0066】
具体的には、前記冷却されたコアシェル、糖アルコール及び紅茶抽出粉末を撹拌して組成物を製造する段階は、マルトデキストリン、着香料またはビタミンCを添加する段階をさらに含むものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0067】
例えば、前記冷却されたコアシェル、糖アルコール、マルトデキストリン、紅茶抽出粉末及び着香料を撹拌して組成物を製造することができる。
【0068】
本出願のもう一つの態様は、前記方法で製造したミルクティー製造用組成物を提供する。
【0069】
前記方法及びミルクティー製造用組成物については、前記で説明した通りである。
【0070】
本出願のもう一つの態様は、前記組成物を含むミルクティーを提供する。
【0071】
前記方法及びミルクティー製造用組成物については、前記で説明した通りである。
【0072】
具体的には、前記ミルクティーは、キシロース糖、糖アルコール及び天然高甘味料を含まないものに比べて苦み及び渋味が減少したものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0073】
具体的には、前記ミルクティーは、噴霧コーティング工程を含まない方法で製造された組成物を含むミルクティーに比べて溶解分散性及び食感が向上したものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0074】
以下、本出願を実験例を通じてより詳細に説明する。しかし、下記実施例は、本出願を例示するための好ましい実施様態に過ぎず、したがって、本出願の権利範囲をこれに限定されるものとは意図されない。一方、本明細書に記載されていない技術的な事項は、本出願の技術分野または類似技術分野において熟練した通常の技術者であれば、十分に理解し、容易に行うことができる。
【0075】
実施例:ミルクティー製造用パウダーの製造
下記表1のような構成で、比較例及び実施例1~5のミルクティー製造用パウダーをそれぞれ製造した。
【0076】
具体的には、実施例1~5の場合、白スクロース(CJ第一製糖)及びキシロース(DUPONT)を10:1の割合で5分間無重力ミキサーで混合し、キシロース糖を製造した。
【0077】
次いで、難消化性マルトデキストリン(サムヤン・ジェネックス)、酵素処理ステビア(テピョン)、ステビオール配糖体(テピョン、純度98%以上)を定量計測して精製水で希釈して準備した後、白スクロースとキシロース混合物に希釈液を噴霧してコーティングした。
【0078】
次いで、熱風(75℃以上)を吹き込んで20分間以上乾燥させた後、40℃以下の冷却空気を10分間吹き込んで冷却させた。
【0079】
それにより、コアには白スクロースとキシロース混合物が、コーティング液(シェル)には難消化性マルトデキストリン、酵素処理ステビア及びステビオール配糖体が含まれる。
【0080】
次いで、糖アルコール、マルトデキストリン(QINHUANG DAO LIHUA STARCH CO.LTD)、紅茶抽出粉末(NESTLE INDIA)、着香料(ハンビッ香料)、ビタミンC(HEBEI WELCOME PHARAMACEUTICAL CO.LTD)を定量計測して準備した後、準備された原料を順次無重力混合器(F20,セジテック)に投入した後、40RPMで持続撹拌した。
【0081】
次いで、すべての原料が投入された後、同一の速度で10分間持続撹拌することにより原料が均一に分散混合されるようにし、これを回収して実施例1~5として用いた。
【0082】
一方、比較例の場合、下記表1の含量で、白スクロース(CJ第一製糖)、マルトデキストリン(QINHUANG DAO LIHUA STARCH CO.LTD)、紅茶抽出粉末(NESTLE INDIA)、着香料(ハンビッ香料)、ビタミンC(HEBEI WELCOME PHARAMACEUTICAL CO.LTD)を定量計測して準備した後、無重力混合器(F20,セジテック)に投入した後、40RPMで撹拌した。すべての原料投入後、同一の速度で10分間撹拌した。
【0083】
一方、比較例の細粒糖(CJ第一製糖、細粒糖、純度98%以上)は、一般的なスクロースを粉砕して粒度の大きさを小さく減らしたものを意味する。
【0084】
【0085】
実験例1:溶解度の測定
前記実施例で製造した比較例及び実施例1~5のミルクティー製造用パウダーを用いた飲料製造時に溶解度を測定することにした。
【0086】
具体的には、10℃、35℃、55℃の精製水100mlを準備し、それぞれビーカーに入れて攪拌機(Thermo Scinetific,Poly15)に置いた後、前記実施例の比較例及び実施例1~5の試料各10gを入れて200RPMで撹拌して完全に溶解する時間を測定した。
【0087】
その結果、
図1に示されるように、55℃の精製水に添加された比較例及び実施例1~5は、比較的速い速度ですべて溶解したことを確認し、特に、砂糖の含量が低く、糖アルコールの添加量が高いほど溶解速度及び分散速度が速いことを確認した。また、温度が低い10℃、35℃の条件でも類似の傾向を示すことを確認した。
【0088】
これを通じて、インスタントミルクティーパウダー飲料を製造するにおいてミキサーの規格及び条件に応じて多少差はあるが、糖類が低減されたインスタントミルクティーパウダーで完全に分散溶解速度が増加し、飲料製造速度が有意に増加することを確認した。これは、飲料を製造及び販売するカフェ及びレストランで効率が増進され、消費者の便宜性が増進され得ることを示唆する。
【0089】
実験例2:官能の評価
前記実施例で製造した比較例及び実施例1~5のミルクティー製造用パウダーを用いた飲料製造時に溶解度を測定することにした。
【0090】
具体的には、前記実施例で製造した比較例及び実施例1~5のミルクティー製造用パウダーを牛乳に混合させたミルクティーを訓練された男女パネル40人を対象に項目別に評価して官能の品質を比較した。
【0091】
より具体的には、官能の評価のために、前記製造されたインスタントミルクティーパウダー20gを計量して温かい牛乳200mlに混合してミルクティーを製造し、製造された飲料をパネルに提供して官能の品質を比較するようにした。評価方法は、3桁の乱数表で番号が与えられた各試料を準備し、このうち、任意に1個を選択して各パネルに提供して摂取させた後、与えられた属性を5点尺度法で表現するようにした。これを繰り返して準備された全体試料を評価するようにし、評価された点数は、比較例と実験例の試料間T-testに準じて分析した後、統計的有意差を確認した(p<0.05)。
【0092】
【0093】
その結果、表2及び
図2に示されるように、砂糖が使用された比較例では、紅茶特有の苦みと渋味が有意に高いことが確認された。砂糖の一部を糖アルコール、酵素処理ステビア、ステビオール配糖体に代替した本出願の実施例4及び5では、比較例に比べて苦みと渋味がそれぞれ14%~約20%、約23%~約31%減少したことを確認した。
【0094】
これを通じて、糖類低減の効果により既存のインスタントミルクティーパウダーの苦渋の否定的な味をマスキングすることを確認した。
【0095】
以上の説明から、本出願が属する技術分野の当業者であれば、本出願がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施されうることが理解できるだろう。これに関連し、以上で記述した実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本出願の範囲は前記詳細な説明よりは、後述する特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導かれるあらゆる変更または変形された形態が本出願の範囲に含まれるものと解釈すべきである。
【国際調査報告】