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  • 特表-燃料ガスの加熱システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】燃料ガスの加熱システム
(51)【国際特許分類】
   F02M 21/02 20060101AFI20241029BHJP
   B63H 21/38 20060101ALI20241029BHJP
   F02M 31/125 20060101ALI20241029BHJP
   F02D 19/02 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
F02M21/02 U
B63H21/38 C
F02M21/02 301
F02M21/02 V
F02M31/125 G
F02M31/125 L
F02M21/02 L
F02D19/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576039
(86)(22)【出願日】2023-08-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-11
(86)【国際出願番号】 KR2023012778
(87)【国際公開番号】W WO2024063363
(87)【国際公開日】2024-03-28
(31)【優先権主張番号】10-2022-0120732
(32)【優先日】2022-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517430897
【氏名又は名称】ハンファ オーシャン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジョン ス
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ヨン ジン
【テーマコード(参考)】
3G092
【Fターム(参考)】
3G092AB06
3G092AB08
3G092AB20
3G092FA03
3G092GA01
(57)【要約】
本発明は、燃料ガスの加熱システムに関する。
本発明に係る燃料ガス加熱システムは、エンジン部、前記エンジン部に前記燃料ガスを供給する燃料供給部、前記エンジン部に供給される燃料ガスを加熱する燃料加熱部、ガスバルブユニットルーム内に備えられて前記エンジン部に供給される燃料ガスの圧力及び流量を制御するガスバルブユニット部、前記ガスバルブユニットルーム内に空気循環のために吸引された外部空気を排出する外気排出部、窒素発生器から窒素を生成及び加圧して供給する窒素ガス供給部と、前記燃料ガス加熱システムを制御する制御部とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガス加熱システムにおいて、
エンジン部;
前記エンジンユニットに燃料ガスを供給する燃料供給部;
前記エンジン部に供給される燃料ガスを加熱する燃料加熱部;
ガスバルブユニットルーム内で設けられて前記エンジン部に供給される燃料ガスの圧力および流量を制御するガスバルブユニット部;
前記ガスバルブユニットルーム内に空気循環のため吸引された外部空気を排出する外気排出部;
窒素発生器から窒素を生成及び加圧して供給する窒素ガス供給部;
前記燃料ガス加熱システムを制御する制御部;を備えることを特徴とする、
燃料ガス加熱システム。
【請求項2】
前記燃料加熱部は、二重管で形成された電気ガスヒータを備え、ガスバルブユニットルーム内で設けられることを特徴とする、
請求項1に記載の燃料ガス加熱システム。
【請求項3】
前記電気ガスヒータは、前記二重管の内管に設けられる電気コイルを含み、
前記内管の電気コイルの熱を伝達するため、前記電気コイルを備えた内管及び、内管と外管との間に保温充填材が充填されることを特徴とする、
請求項2に記載の燃料ガス加熱システム。
【請求項4】
前記電気ガスヒータは窒素ガスを供給するための窒素ガス供給バルブ;
窒素ガスの圧力を検知する漏洩検知圧力センサ;
燃料ガスの圧力を検知するガス圧力センサ;をさらに備え、
前記窒素ガス供給バルブを開放して前記二重管の内管に窒素ガスを供給することを特徴とする、
請求項3に記載の燃料ガス加熱システム。
【請求項5】
前記窒素ガスの供給圧力は燃料ガスの供給圧力より高くなり、前記窒素ガスの供給圧力が燃料ガスの供給圧力より低い時には燃料ガスの供給を中止することを特徴とする、
請求項4に記載の燃料ガス加熱システム。
【請求項6】
前記電気ガスヒータは、
前記二重管と電気コイルとの間の空気を循環させる空気循環ファン;
前記電気ガスヒータの一端から他端に空気を循環させる空気循環ライン;
前記燃料ガスの漏洩を検知するガスセンサ;をさらに備えることを特徴とする、
請求項3に記載の燃料ガス加熱システム。
【請求項7】
前記ガスセンサは前記空気循環ラインに配置され、前記ガスセンサで燃料ガスを検知した時には燃料ガスの供給を中止することを特徴とする、
請求項6に記載の燃料ガス加熱システム。
【請求項8】
前記エンジン部はガス温度センサ;を備え、
前記ガス温度センサは前記エンジン部に供給される燃料ガスの温度を検知し、
前記燃料ガスの温度に応じて前記燃料加熱部を制御することを特徴とする、
請求項1に記載の燃料ガス加熱システム。
【請求項9】
燃料ガス加熱システムの運転方法において、
燃料供給部から燃料加熱部に燃料ガスを供給する第1燃料供給ステップ;
前記供給された燃料ガスを加熱する燃料ガス加熱ステップ;
前記燃料加熱部で加熱された燃料ガスをエンジン部に供給する第2燃料供給ステップ;を備えることを特徴とする、
燃料ガス加熱システムの運転方法。
【請求項10】
前記燃料ガス加熱ステップは、二重管で形成された電気ガスヒータに燃料ガスを供給し、前記二重管の外管に燃料ガスを供給し、前記二重管の内管に設けられた電気コイルを加熱して燃料ガスを加熱することを特徴とする、
請求項9に記載の燃料ガス加熱システムの運転方法。
【請求項11】
前記燃料ガス加熱ステップは、燃料ガスの加熱中に燃料ガスの漏洩または逆流を検知する漏洩検知ステップ;をさらに備えることを特徴とする、
請求項10に記載の燃料ガス加熱システムの運転方法。
【請求項12】
前記漏洩検知ステップは、窒素ガスを供給する窒素ガス供給ステップ;
内管内の空気を循環させる空気循環段階;をさらに備え、
前記窒素ガス供給ステップと空気循環ステップのいずれか一つを選択して実施することを特徴とする、
請求項11に記載の燃料ガス加熱システムの運転方法。
【請求項13】
前記空気循環ステップで周期的に空気循環の方向を変更することを特徴とする、
請求項12に記載の燃料ガス加熱システムの運転方法。
【請求項14】
前記漏洩検知段階で漏洩を検知したら、燃料ガスの供給を中止し、エンジンのガスモード運転を停止することを特徴とする、
請求項11に記載の方燃料ガス加熱システムの運転方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料ガスの加熱システムに関する。具体的に、エンジンへ燃料ガスを供給する前に、電気加熱装置によりエンジンで要求される温度まで上昇させて円滑に供給する、燃料ガスの加熱システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、各種の船舶で設置されるエンジンなどの燃焼装置は、MDO(Marine Diesel Oil)、HFO(Heavy Fuel Oil、重質燃料油)などのオイルを燃料として使用する。ところが、このような燃料油は燃焼時に発生する温室効果ガスや様々な有害物質により環境汚染を招く主犯となってきた。また、化石燃料の枯渇や国際情勢不安などの理由で油価が上昇する場合には燃料費が急騰するなど、船舶運用上の問題も発生する。
【0003】
近年、大気汚染に対する規制が段々に強化し、燃料油を代替するエネルギー源として、硫黄酸化物(Sox)と窒素酸化物(NOx)の含有量が低い液化天然ガス(Liquefied Natural Gas、以下「LNG」)などのクリーン燃料が注目され、LNGを大量に輸送するLNGC(LNG Carrier)では、すでに貯蔵タンク内で貯蔵されたLNGをエンジンの燃料として使用する技術が適用されている。
【0004】
液化ガスを燃料として使用するエンジンは、液化ガスをそのままエンジン内に入れて燃焼させるのではなく、エンジンで要求される圧力および温度で液化ガスを前処理した後にエンジンへ供給しなければならない。
【0005】
現在、LNG船の燃料ガスパイプが露天甲板(weather deck)に設置される場合、外気温度の影響を受けて燃料ガスの温度が下がることになる。このような温度降下を防ぐため、燃料ガスパイプに電気ヒートトレーシング(Electric Heat Tracing)および保温材(Insulation)を適用している。
【0006】
前記のような場合、配管長が200mまで達することとなり、そのため、電気ヒートトレーシング(Electric Heat Tracing)及び保温材(Insulation)を適用する場合には、多量の材料が必要となって高価で設置されている状況である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記の問題を解決するため、本発明は燃料ガスの加熱システムの提供を目的とする。
【0008】
より具体的に、エンジンに要求される温度をエンジンの前端で電気ガスヒータにより上昇させて円滑に供給することができる、燃料ガス加熱システムの提供を目的とする。
【0009】
また、爆発危険性を低減した電気ガスヒータを備えた燃料ガスの加熱システムの提供を目的とする。
【0010】
本発明の技術的課題は前述した技術的課題に限定されなく、他に言及されていない技術的課題は、以下の記載から当業者に明確に理解され得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため本発明の一態様は、燃料ガス加熱システムにおいて、エンジン部、前記エンジン部に前記燃料ガスを供給する燃料供給部、前記エンジン部に供給される燃料ガスを加熱する燃料加熱部、ガスバルブユニットルーム内に設けられて前記エンジン部に供給される燃料ガスの圧力及び流量を制御するガスバルブユニット部、前記ガスバルブユニットルーム内に空気循環のため吸引された外部空気を排出する外気排出部、窒素発生器で窒素を生成及び加圧して供給する窒素ガス供給部と、前記燃料ガス加熱システムを制御する制御部を備える、燃料ガス加熱システムを提供する。
【0012】
好ましくは、前記燃料加熱部は、二重管で形成された電気ガスヒータを備え、前記ガスバルブユニットルーム内で設けられる。
【0013】
好ましくは、前記電気ガスヒータは、前記二重管の内管に電気コイルが設けられ、前記内管の電気コイルの熱を伝達するため前記電気コイルが設けられた内管および、内管と外管との間に保温充填材が充填される。
【0014】
好ましくは、前記電気ガスヒータは、窒素ガスを供給するための窒素ガス供給バルブ、窒素ガスの圧力を検知する漏洩検知圧力センサと、燃料ガスの圧力を検知するガス圧力センサをさらに備え、前記窒素ガス供給バルブを開放して前記二重管の内管に窒素ガスを供給する。
【0015】
好ましくは、前記窒素ガスの供給圧力は燃料ガスの供給圧力より高く、前記窒素ガスの供給圧力が燃料ガスの供給圧力より低い時には燃料ガスの供給を中止する。
【0016】
好ましくは、前記電気ガスヒータは、前記二重管と電気コイルとの間の空気を循環させる空気循環ファン、前記電気ガスヒータの一端から他端に空気を循環させる空気循環ラインと、前記燃料ガスの漏洩を検知するガスセンサをさらに備え得る。
【0017】
好ましくは、ガスセンサは前記空気循環ライン上に配置され、前記ガスセンサで燃料ガスを検知したときには燃料ガスの供給を中止する。
【0018】
好ましくは、前記エンジン部はガス温度センサを備え、前記ガス温度センサは前記エンジン部に供給される燃料ガスの温度を検知し、前記燃料ガスの温度に応じて前記燃料加熱部を制御する。
【0019】
前記の目的を達成するため本発明の他の一態様は、燃料ガス加熱システムの運転方法において、燃料供給部から燃料加熱部に燃料ガスを供給する第1燃料供給ステップ、前記供給された燃料ガスを加熱する燃料ガス加熱ステップ、前記燃料加熱部で加熱された燃料ガスをエンジン部に供給する第2燃料供給ステップを備えた、燃料ガス加熱システムの運転方法を提供する。
【0020】
好ましくは、前記燃料ガス加熱ステップは、二重管で形成された電気ガスヒータに燃料ガスを供給し、前記二重管の外管に燃料ガスを供給し、前記二重管の内管に設けられた電気コイルを加熱して燃料ガスを加熱する。
【0021】
好ましくは、前記燃料ガス加熱ステップは、燃料ガスの加熱中に燃料ガスの漏洩または逆流を検知する漏洩検知ステップをさらに備える。
【0022】
好ましくは、前記漏洩検知ステップは、窒素ガスを供給する窒素ガス供給ステップと、内管内の空気を循環させる空気循環ステップとを備え、前記窒素ガス供給ステップと空気循環ステップのいずれか一つを選択して実施する。
【0023】
好ましくは、前記空気循環ステップで周期的に空気循環方向を変更する。
【0024】
好ましくは、前記漏洩検知ステップで漏洩を検知したら、燃料ガスの供給を中止し、エンジンのガスモード運転を停止する。
【発明の効果】
【0025】
以上のように構成された本発明は、燃料ガス加熱システムの提供を目的とする。
【0026】
具体的には、エンジンに要求される温度をエンジン前端で電気ガスヒータにより上昇させて円滑に供給する、燃料ガス加熱システムを提供する効果がある。
【0027】
また、爆発危険性を低減した電気ガスヒータを含む燃料ガス加熱システムを提供する効果がある。
【0028】
本発明の技術的課題は、前記の技術的課題に限定されなく、他に言及されていない技術的課題は、以下の記載から当業者に明確に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態による燃料ガス加熱システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の目的、技術的構成、及びその作用と効果に関する詳細は、本発明の明細書の添付図面に基づいた詳細な説明によってもっと明確に理解できる。
【0031】
本明細書の用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用され、本発明を限定する意図ではない。例えば、本明細書においてある構成要素を「含む」、「備える」とは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得る又は備え得ることを意味する。さらに、ある構成要素が他の構成要素に「連結」または「接続」するという記載がある場合は、他の構成要素と直接に連結または接続することも可能であるが、他の構成要素が中間に存在し得ると理解しなければならない。
【0032】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を詳細に説明する。以下で説明する実施形態は、本発明の技術思想を当業者が容易に理解できるように提供されるものであり、これによって本発明が限定されると解釈されるべきではなく、本発明の実施形態が該当分野における通常の技術者において様々な応用ができるのは当然である。
【0033】
図1は、本発明の一実施形態による燃料ガス加熱システムの構成図である。
【0034】
図1を参照すると、本発明に係る燃料ガス加熱システムは、エンジン部、燃料供給部、燃料加熱部、ガスバルブユニット部、外気排出部、窒素ガス供給部と制御部を含むことができる。
【0035】
前記エンジン部は、LNG(Liquefied Natural Gas)を燃料で駆動できるエンジンを含むものであり、エンジンルーム(Engine Room、E/R)に配置され、1つ以上のエンジンが設けられ得る。例えば、前記エンジン部は、第1エンジン100aおよび第2エンジン100bを含むことができ、必要に応じてエンジンの数を調整することができる。
【0036】
また、第1エンジン100aおよび第2エンジン100bは、第1ガス温度センサ110aおよび第2ガス温度センサ110bを備えて、前記エンジンに要求される燃料ガスの温度で制御するために、前記エンジンに供給される燃料ガスの温度を測定する。
【0037】
前記燃料供給部は、前記エンジン部に燃料ガスを供給し、燃料ガス(LNG)を貯蔵する燃料貯蔵タンク(図示せず)を備え得る。
【0038】
具体的には、前記燃料供給部は、メイン燃料供給ライン400を介して前記第1エンジン100aおよび第2エンジン100bに燃料ガスを供給し、前記メイン燃料供給ライン400には前記燃料ガスの供給を調整するマスターガスバルブ410が設けられ得る。
【0039】
前記燃料加熱部は、前記エンジン部に供給される燃料ガスをエンジン部で要求される温度に合わせて加熱し、前記燃料加熱部はガスバルブユニットルーム(GVUルーム:Gas Valve Unit Room)内に設けられ得る。
【0040】
このとき、ガスバルブユニットルームは、ガス危険区域で分類される空間であり、エンジンルーム(E/R)とは別に隔離された区域に配置しなければならない。また、安全のため周期的な換気(Ventilation)が必要であって、通常乾燥空気を1時間当たり30回交換してガス漏洩に備える必要がある。そのため、前記ガスバルブユニットルームは漏洩ガス又は外部空気を吸引して循環させた循環空気を外部に排出する外気排出部500を含めて構成することが好ましい。
【0041】
また、前記外気排出部500は排気ファンを備え、ガス漏洩の発生時に検知できるように排気ファンの前端でガス検知センサを設けることができる。
【0042】
前記燃料加熱部は、ガスバルブユニットルーム(GVUルーム)に設けられているので、爆発の危険性を備えて構成することが良い。そのため、前記燃料加熱部は防爆タイプの電気ガスヒータ200で構成されることを特徴とする。
【0043】
前記電気ガスヒータ200は電気コイル220を備え、前記電気コイル220に電力を印加して燃料ガスを加熱する。このとき、前記電気コイル220と前記燃料ガスとが直接に接触したら爆発の危険性があるため、直接に接触しないように構成する必要がある。
【0044】
したがって、前記電気ガスヒータ200は、二重管210の内管に電気コイル220を含むように構成することが好ましい。また、電気コイル220の熱伝達効率を向上させるために、前記二重管210に保温充填材230で充填して構成することができる。
【0045】
具体的には、前記保温充填材230は前記電気コイル220を含む内管及び、前記内管と外管との間に充填されるように構成する。前記保温充填材230を内管及び、内管と外管との間に充填することで、前記電気コイル220の移動を防止することができ、熱伝達効率を向上させることができる。
【0046】
さらに、前記電気ガスヒータ200の一端および他端にフィルタ(図示せず)を設けることができる。前記電気ガスヒータ200の一端および他端にフィルタを配置することで、前記保温充填材230が前記電気ガスヒータ200の外部へ流出することを防止する。
【0047】
また、燃料加熱部は、爆発の危険性を低減するため、燃料ガスの漏洩を検知する手段をさらに備える。具体的には、前記電気ガスヒータ200は窒素ガスを供給するための窒素供給ライン300及び窒素ガス供給バルブ310、前記窒素ガスの圧力を検知する漏洩検知圧力センサ250をさらに備える。
【0048】
また、電気ガスヒータ200で加熱された燃料ガスを前記エンジン部に供給するための燃料供給ライン420を備え、前記燃料ガス供給ライン420上に燃料ガスの圧力を検知するガス圧力センサ(図面符号未表示)が配置される。
【0049】
このとき、電気ガスヒータ200は、前記燃料ガスが逆流(漏洩)することを防止するために、前記二重管210の内管に窒素ガスを供給することができる。
【0050】
具体的には、船舶内の窒素発生器で窒素を生成及び加圧して供給する窒素ガス供給部(図示せず)から供給し、前記窒素ガス供給バルブ310を開放して前記二重管210の内管を窒素ガスで充満させるために供給する。
【0051】
すなわち、前記二重管210の内管に供給される窒素ガスの供給圧力は、燃料ガスの供給圧力よりも高くした方が好ましい。
【0052】
このとき、前記窒素ガスが前記燃料ガスの供給圧力より高く供給されると前記窒素ガス供給バルブ310を閉じて窒素の供給を中止することになるが、所定時間以上に窒素ガス供給バルブ310が閉鎖されなく開放されていたら、二重管210の内管が破損して前記窒素ガスが燃料ガス配管に漏洩したと判断する。
【0053】
また、前記ガス圧力センサ(図面符号未表示)と漏洩検知圧力センサ250の圧力とを比較して、前記窒素ガスの供給圧力が燃料ガスの供給圧力より低い場合には、前記燃料ガスが二重管210の内部管に漏洩(逆流)したと判断することになる。
【0054】
前述のように燃料ガスが漏洩(逆流)し、窒素ガスが燃料ガス配管に漏洩したと判断したら、前記メイン燃料供給ライン400のマスターガスバルブ410を閉じて燃料供給を中止し、前記エンジン部の第1エンジン100a及び第2エンジン100bのガスモード運転を停止して、前記燃料ガスを外部へ排出して危険を防止することになる。
【0055】
さらに、前記電気ガスヒータ200は、前記二重管210の内管と電気コイル220との間の空気を循環させる空気循環ファン240、前記電気ガスヒータ200の一端から他端へ空気を循環させる空気循環ライン(図面符号未表示)及び燃料ガスの漏洩を検知するガスセンサ260とをさらに備えることができ、前記ガスセンサ260は前記空気循環ライン上に配置される。
【0056】
具体的に、前記二重管210の内管に窒素ガスを注入せず、空気循環ラインを介して二重管210の内管の中の空気を循環させることで、循環中に前記ガスセンサ260で燃料ガスが検出されたら漏洩したと判断する。
【0057】
このとき、保温充填材230が一方向に偏る現象を防止するため、周期的に空気循環の流れを変更することが好ましい。
【0058】
前記のように燃料ガスが漏洩したと判断したら、前記メイン燃料供給ライン400のマスターガスバルブ410を閉じて燃料供給を中止して、前記エンジン部の第1エンジン100aおよび第2エンジン100bのガスモード運転を停止し、前記燃料ガスを外部へ排出して危険を防止することになる。
【0059】
前記燃料加熱部で加熱した燃料ガスは、前記燃料供給ライン420を介してガスバルブユニット部に供給される。このとき、前記ガスバルブユニット部は前記エンジン部に供給される燃料ガスの圧力および流量を制御し、前記エンジン部のエンジンの数に応じてそれぞれ設けられることが好ましい。
【0060】
具体的には、前記エンジン部が第1エンジン100a及び第2エンジン100bを備えた場合、前記ガスバルブユニット部は第1ガスバルブユニット(図面符号未表示)と第2ガスバルブユニット(図面符号未表示)を備え、前記燃料供給ライン420は第1―1燃料供給ライン420a及び第2―1燃料供給ライン420bに分岐し、第1―1燃料供給ライン420aは前記第1ガスバルブユニットと接続し、前記第2―1燃料供給ライン420bは前記第2ガスバルブユニットと接続する。
【0061】
また、前記第1ガスバルブユニットは第1―2燃料供給ライン120aを介して前記第1エンジン100aと接続し、前記第2ガスバルブユニットは第2―2燃料供給ライン120bを介して第2エンジン100bに接続する。
【0062】
このとき、前記第1―2燃料供給ライン120aおよび第2―2燃料供給ライン120bは、ガスバルブユニットルーム(GUVルーム)とエンジンルーム(E/R)を通過して配置される。
【0063】
前記エンジンルーム(E/R)はガス安全区域(Gas Safe Zone)に分類され、ガス危険区域(Gas Hazardous Zone)から安全を確保しなければならない区域である。そのため、ガス危険区域からガス安全区域への直接出入りは禁止され(必要な場合にはエアロックを設置)、ガス安全区域を通過する燃料供給ライン(燃料供給管)は二重管またはダクトによって完全に閉囲しなければならない。そのため、前記第1―2燃料供給ライン120a及び前記第2―2燃料供給ライン120bは二重管で形成されることが好ましい。
【0064】
前記制御部は、本発明の燃料ガス加熱システムの運転を制御する。具体的には、システム内のセンサで測定した温度および圧力情報を用いて燃料ガスの流れとエンジンの運転モードを制御する。
【0065】
前記制御部は、ガスバルブユニットルーム内に配置しても良いが、ガスバルブユニットルーム内に配置する場合には防爆の適用が必要となるため、エンジンルームE/R内に配置することが好ましい。
【0066】
以下、前述した本発明の一実施形態に係る燃料ガス加熱システムを参照して、本発明の一実施形態に係る燃料ガス加熱システムの運転方法を説明する。
【0067】
前記燃料ガス加熱システムの運転方法は、燃料ガス加熱システムの運転方法において、燃料供給部から燃料加熱部に燃料ガスを供給する第1燃料供給ステップ、前記供給された燃料ガスを加熱する燃料ガス加熱ステップと、前記燃料加熱部で加熱された燃料ガスをエンジン部に供給する第2燃料供給ステップを備える。
【0068】
前記第1燃料供給ステップは、前記燃料ガスであるLNG燃料を前記エンジン部に供給し、前記メイン燃料供給ライン400を介して前記燃料加熱部に燃料を供給する。
【0069】
前記燃料ガス加熱ステップは、前記燃料加熱部に供給された燃料ガスを二重管210で形成された電気ガスヒータ200によって加熱する。
【0070】
具体的には、前記二重管210の内管の電気コイル220を加熱して前記燃料ガスを加熱することであり、前記二重管210の外管に燃料ガスを供給し、前記電気コイル220を加熱して前記燃料ガスをエンジンで要求される温度に合わせて加熱する。
【0071】
前記第2燃料供給ステップは、前記燃料ガス加熱ステップを経て加熱された燃料ガスを前記エンジン部に供給し、前記燃料を供給されたエンジン部をガスモードで運転することになる。
【0072】
具体的には、前記加熱された燃料ガスは第1―1燃料供給ライン420a及び第2―1燃料供給ライン420bを介して第1ガスバルブユニット及び第2ガスバルブユニットに供給され、第1―2燃料供給ライン120aおよび第2―2燃料供給ライン120bを介して第1エンジン100aおよび第2エンジン100bに供給される。また、燃料を供給された第1エンジン100aおよび第2エンジン100bは供給された燃料ガスを用いて運転する。
【0073】
一方、前記燃料ガス加熱ステップは、前記燃料ガスを加熱するステップが行われるときに燃料ガスの漏洩を防止するため、燃料ガスの漏洩を検知するステップが同時に行われる。前記燃料ガスは前記電気コイルが配置された二重管210の内管へ漏洩することが発生した場合、前記電気コイルと接触して爆発する危険性があるため、前記燃料ガスの供給中には常に漏洩を検知することが好ましい。
【0074】
前記漏洩を検知するステップは、窒素ガスを供給する窒素ガス供給ステップと、内管の中の空気を循環させる空気循環ステップとを含み、前記窒素ガス供給ステップと空気循環ステップのいずれかを選択して実施することが好ましい。
【0075】
前記窒素ガス供給ステップは、前記電気ガスヒータ200に窒素ガスを供給し、前記窒素ガスの供給圧力によって漏洩を検知することができる。
【0076】
具体的には、前記二重管210で形成された電気ガスヒータ200の外管へ燃料ガスが供給される間に、前記窒素ガス供給バルブ310を開放して前記二重管210の内管を窒素ガスで充満させるために供給する。
【0077】
このとき、前記窒素ガスは前記燃料ガスの供給圧力よりも高く供給され、前記窒素ガスの供給圧力が前記燃料ガスの供給圧力より高くなったら前記窒素ガス供給バルブ310を閉じて窒素ガスの供給を中止する。
【0078】
しかし、前記窒素ガスの供給圧力が前記燃料ガスの供給圧力より低い場合には、前記燃焼ガスが逆流(漏洩)したと判断する。
【0079】
また、前記窒素ガス供給バルブ310が所定時間以上閉鎖されずに開放されていたら、二重管210の内管が破損して前記窒素ガスが燃料ガス配管に漏洩したと判断する。
【0080】
前記のように燃料ガスが漏洩(逆流)し、窒素ガスが燃料ガス配管に漏洩すると判断したら、前記メイン燃料供給ライン400のマスターガスバルブ410を閉鎖して燃料供給を中止し、前記エンジン部の第1エンジン100aおよび第2エンジン100bのガスモード運転を停止するように制御する。
【0081】
また、前記空気循環ステップは、前記燃料ガスの加熱中に漏洩を検知するため、前記二重管210の内管に窒素ガスを注入せず、空気循環ラインを介して二重管210内管の中の空気を循環させ、循環中に前記ガスセンサ260で燃料ガスが検知されたら漏洩と判断することができる。
【0082】
このとき、前記保温充填材230が一方向に偏る現象を防止するため、周期的に空気循環流を変更することが好ましい。例えば、電気ガスヒータの一端から他端に空気を循環させる場合、所定時間が経過したら他端から一端へ空気が循環するように空気循環の流を変更し、空気の流れを所定周期に合わせて変更することが好ましい。
【0083】
前述したことと同様に、漏洩と判断した場合、マスターガスバルブ410を閉じて燃料供給を中止し、前記エンジン部の第1エンジン100aおよび第2エンジン100bのガスモード運転を停止するように制御する。
【0084】
また、前記燃料ガスの供給及びエンジンのガスモード運転を停止したら、前記燃料供給ライン、前記燃料加熱部及びエンジン部などで残っている残留燃料ガスを前記外気排出部500を介して外部へ排出することが好ましい。
【0085】
以上のように、本発明は、エンジンに要求される温度をエンジンの前端で電気ガスヒータにより上昇させて円滑に供給する、燃料ガス加熱システムを提供する効果がある。
【0086】
さらに、燃料ガスをエンジンへ供給する直前に温度を制御することで、燃料ガスの温度を維持するために使用される保温設備の量および費用を低減することができる。
【0087】
また、電気ガスヒーターで二重管を適用して爆発の危険性を下げ、漏洩検知手段により燃料ガスの漏洩を検知し、エンジンの運転モードを制御することで燃料ガス加熱システムの安定性が高まる効果がある。
【0088】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲内で種々の修正、変更及び置換が可能であろう。したがって、本発明に開示された実施形態および添付図面は、本発明の技術思想を限定するものではなく説明するためのものであり、そのような実施形態および添付図面によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は以下の特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にあるすべての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。

図1
【国際調査報告】