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特表2024-540798高グレード圧縮熱貯蔵システム及びその利用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】高グレード圧縮熱貯蔵システム及びその利用方法
(51)【国際特許分類】
   F25J 1/00 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
F25J1/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513003
(86)(22)【出願日】2022-08-25
(85)【翻訳文提出日】2024-04-22
(86)【国際出願番号】 GB2022052190
(87)【国際公開番号】W WO2023026052
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】2112303.9
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503214346
【氏名又は名称】ハイビュー・エンタープライジーズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】オワレ,ファハミー オスマン
(72)【発明者】
【氏名】コクラン,コルム ジョン
(72)【発明者】
【氏名】クイン,シアン
(72)【発明者】
【氏名】マカードル,オリバー ジェームス
【テーマコード(参考)】
4D047
【Fターム(参考)】
4D047AA08
4D047BA03
4D047BB03
4D047CA19
4D047CA20
4D047DA01
4D047DB03
(57)【要約】
本発明は、高グレード圧縮熱を利用して蓄えるための極低温エネルギ貯蔵システムに関する。このシステムは、液化サブシステム(100)及び熱エネルギ貯蔵装置(300)を含む。液化サブシステム(100)は、第1の圧縮機(102)、第1、第2、及び第3の熱交換器(104、116、112)、及び第2の圧縮機(114)を含む。第1及び第2の熱交換器(104、116)は、第1及び第2の圧縮機(102、114)それぞれからの高グレード圧縮熱を熱エネルギ貯蔵装置(300)に伝達するように構成される。第3の熱交換器(112)は、第2の圧縮機(114)からの低グレード圧縮熱を第2の圧縮機(114)に戻して回収し、第2の圧縮機(114)が高グレード圧縮熱を生成できるように構成される。更なるシステムは、圧縮機(124)及び膨張機(122)を使用する。更なるシステムには、動力回収サブシステム(400)が含まれる。本開示は、極低温エネルギ貯蔵システムにおける圧縮熱の貯蔵方法にも関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極低温エネルギ貯蔵システムであって、当該極低温エネルギ貯蔵システムは、
液化サブシステム(100)であって、
第1の圧縮機(102)、
第1の熱交換器(104)、
第2の圧縮機(114)、
第2の熱交換器(116)、
第3の熱交換器(112)、及び
上流端(A)及び下流端(B)を有しており、前記第1の圧縮機(102)からのプロセス流を前記第1の熱交換器(104)、前記第2の圧縮機(114)、前記第2の熱交換器(116)、及び前記第3の熱交換器(112)を通過させるように構成された第1構成の導管(AB)を含む、液化サブシステム(100)と、
高グレード熱を蓄えるように構成された熱エネルギ貯蔵装置(300)と、
閉回路を形成し、前記熱エネルギ貯蔵装置(300)、前記第1の熱交換器(104)、及び前記第2の熱交換器(116)の間で熱伝達流体を送るように構成された第2構成の導管(C)と、を含み、
前記第1の熱交換器(104)は、前記第1の圧縮機(102)の下流側で前記第1構成の導管(AB)に沿って位置付けされ、且つ前記第1の圧縮機からの前記プロセス流の高グレード圧縮熱の少なくとも一部を、前記熱伝達流体を介して前記熱エネルギ貯蔵装置(300)に伝達するように構成され、
前記第2の熱交換器(116)は、前記第2の圧縮機(114)の下流側で前記第1構成の導管(AB)に沿って位置付けされ、且つ前記第2の圧縮機からの前記プロセス流の高グレード圧縮熱の少なくとも一部を、前記熱伝達流体を介して前記熱エネルギ貯蔵装置(300)に伝達するように構成され、
前記第3の熱交換器(112)は、前記第2の熱交換器(116)の下流側で前記第1構成の導管(AB)に沿って位置付けされ、且つ前記第2の熱交換器からの前記プロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記第2の圧縮機(114)に伝達するように構成され、それにより前記低グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記第2の圧縮機(114)に戻す、
極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項2】
前記液化サブシステム(100)は、前記第1の熱交換器(104)の下流側で前記第1構成の導管(AB)に沿って位置付けされた空気浄化ユニットをさらに含み、該空気浄化ユニットは前記プロセス流を浄化するように構成される、請求項1に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項3】
前記液化サブシステム(100)は、前記空気浄化ユニットと前記第1の熱交換器(104)との間で前記第1構成の導管(AB)に沿って位置付けされた第1の空調ユニットをさらに含み、該第1の空調ユニットは、前記プロセス流の圧縮熱を前記第1の圧縮機(102)から実質的に又は完全に除去するように構成される、請求項2に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項4】
前記液化サブシステム(100)は、前記第1の熱交換器(104)と空気浄化ユニットとの間で前記第1構成の導管(AB)に沿って位置付けされ、且つ前記第1の熱交換器からの前記プロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記空気浄化ユニットの下流側で前記プロセス流に伝達するように構成された第4の熱交換器をさらに含む、請求項2に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項5】
前記第2の熱交換器からの前記プロセス流の前記低グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記第2の圧縮機(114)に伝達するように構成された前記第3の熱交換器(112)は、前記第2の熱交換器からの前記プロセス流の前記低グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記第2の圧縮機(114)の上流側の前記プロセス流に伝達することを含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項6】
前記液化サブシステム(100)はさらに、低温ボックスに結合されるように構成された上流端と、下流端とを有する第3構成の導管をさらに含み、該第3構成の導管は、前記低温ボックスからの戻り流を通過させて前記第2の圧縮機(114)の上流側の前記プロセス流を補充するように構成される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項7】
前記第2の熱交換器からの前記プロセス流の前記低グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記第2の圧縮機(114)に伝達するように構成された前記第3の熱交換器(112)は、前記プロセス流を補充する前に、前記第2の熱交換器からの前記プロセス流の前記低グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記戻り流に伝達することを含む、請求項6に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項8】
前記第2の熱交換器からの前記プロセス流の前記低グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記第2の圧縮機(114)に伝達するように構成された前記第3の熱交換器(112)は、そのプロセス流が前記戻り流によって補充された後に、前記第2の熱交換器からの前記プロセス流の前記低グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記プロセス流に伝達することを含む、請求項6に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項9】
極低温エネルギ貯蔵システムであって、当該極低温エネルギ貯蔵システムは、
液化サブシステム(100)であって、
第1の圧縮機(102)、
第1の熱交換器(104)、
第2の圧縮機(114)、
第2の熱交換器(117)、及び
上流端(A)及び下流端(B)を有しており、プロセス流を前記第1の圧縮機(102)、前記第1の熱交換器(104)、第2の圧縮機(114)、及び前記第2の熱交換器(117)に通過させる通すように構成された第1構成の導管(AB)を含む、液化サブシステム(100)と、
高グレード熱を蓄えるように構成された熱エネルギ貯蔵装置(300)と、
第1の膨張機(122)と、
第3の圧縮機と、
閉回路を形成し、前記熱エネルギ貯蔵装置(300)、前記第1の熱交換器(104)、前記第1の膨張機(122)、前記第2の熱交換器(117)、及び前記第3の圧縮機の間で熱伝達流体を送るように構成された第2構成の導管(C)と、を含み、
前記第1の熱交換器(104)は、前記第1の圧縮機(102)の下流側で前記第1構成の導管(AB)に沿って位置付けされ、且つ前記第1の圧縮機からの前記プロセス流の高グレード圧縮熱の少なくとも一部を、前記熱伝達流体を介して前記熱エネルギ貯蔵装置(300)に伝達するように構成され、
前記第2の熱交換器(117)は、前記第2の圧縮機(114)の下流側で前記第1構成の導管(AB)に沿って位置付けされ、且つ前記第2の圧縮機からの前記プロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を、前記熱伝達流体を介して前記第3の圧縮機に伝達するように構成され、
前記第3の圧縮機は、前記第2の熱交換器(117)の下流側で前記第2構成の導管(C)に沿って位置付けされ、且つ熱伝達流体を圧縮し、前記第3の圧縮機からの前記熱伝達流体の高グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記熱エネルギ貯蔵装置(300)に伝達するように構成され、
前記第1の膨張機(122)は、前記熱エネルギ貯蔵装置(300)の下流側で前記第2構成の導管(C)に沿って位置付けされ、且つ前記熱伝達流体を膨張させ、そこから仕事を抽出するように構成される、
極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項10】
前記液化サブシステム(100)は、前記第1の熱交換器(104)の下流側で前記第1構成の導管(AB)に沿って位置付けされた第3の熱交換器(105)をさらに含み、
該第3の熱交換器(105)は、前記第1の熱交換器からの前記プロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を、前記熱伝達流体を介して前記第3の圧縮機(124)に伝達するように構成される、請求項9に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項11】
前記液化サブシステム(100)は、前記第2の圧縮機(114)の上流側で前記第1構成の導管(AB)に沿って位置付けされた空気浄化ユニットをさらに含み、該空気浄化ユニットは前記プロセス流を浄化するように構成される、請求項9に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項12】
前記液化サブシステム(100)は、前記空気浄化ユニットの上流側で前記第1構成の導管(AB)に沿って位置付けされた第1の空調ユニットをさらに含み、該第1の空調ユニットは、前記プロセス流の圧縮熱を前記第1の圧縮機(102)から実質的に又は完全に除去するように構成される、請求項11に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項13】
前記液化サブシステム(100)は、低温ボックスに結合されるように構成された上流端と、下流端とを有する第3構成の導管をさらに含み、該第3構成の導管は、前記低温ボックスからの戻り流を通過させて前記第2の圧縮機(114)の上流側の前記プロセス流を補充するように構成される、請求項9乃至12のいずれか一項に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項14】
前記液化サブシステム(100)は、前記第1構成の導管(AB)の下流端に位置付けされ、且つ前記プロセス流を少なくとも部分的に液化して液化生成物を形成するように構成された低温ボックスをさらに含む、請求項9乃至13のいずれか一項に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項15】
前記液化サブシステム(100)は、前記低温ボックスの上流側で前記第1構成の導管(AB)に沿って位置付けされた第2の空調ユニットをさらに含み、該第2の空調ユニットは、前記プロセス流の圧縮熱を前記第2の圧縮機(114)から実質的に又は完全に除去するように構成される、請求項14に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項16】
前記低温ボックスは、任意の非液化プロセス流の少なくとも一部を含む前記戻り流を前記第3構成の導管に送るように構成される、請求項6又は13に従属する場合の、請求項14に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項17】
前記低温ボックスは、前記液化生成物の少なくとも一部を極低温貯蔵タンクに送るように構成される、請求項14に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項18】
前記熱伝達流体が第1の熱伝達流体であり、前記極低温エネルギ貯蔵システムは動力回収サブシステムをさらに含み、
該動力回収サブシステムは、
ポンプ、
蒸発器、
少なくとも1つのヒータ、
該少なくとも1つのヒータのそれぞれに対応する膨張段、
上流端及び下流端を有しており、前記ポンプからの作動流体を前記蒸発器、前記少なくとも1つのヒータのそれぞれ及び対応する膨張段に通過させるように構成された第4構成の導管であって、各ヒータはその対応する膨張段の上流側に位置付けされる、前記第4構成の導管、及び
閉回路を形成し、前記熱エネルギ貯蔵装置(300)と前記少なくとも1つのヒータの各ヒータとの間に第2の熱伝達流体を送るように構成された第5構成の導管を含み、
各ヒータは、前記熱エネルギ貯蔵装置(300)からの高グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記第2の熱伝達流体を介して前記作動流体に伝達するように構成され、
各膨張段は、前記作動流体を膨張させ、そこから仕事を抽出するように構成される、
請求項9乃至17のいずれか一項に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項19】
前記動力回収サブシステムは、第1のヒータの上流側で前記第4構成の導管に沿って位置付けされた予熱器をさらに含み、
該予熱器は、最終膨張段からの排気の少なくとも一部を受け取り、前記最終膨張段の前記排気からの熱の少なくとも一部を前記第1のヒータの上流側の前記作動流体に伝達するように構成される、請求項18に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項20】
前記ポンプは、液化生成物を極低温貯蔵タンクからポンプで送り出し、それを加圧して前記作動流体を形成するように構成される、請求項18に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項21】
前記第1及び第2の熱伝達流体は同じ流体であり、前記第2構成の導管(C)及び前記第5構成の導管は、流体的に接続され、同じ熱伝達流体を共有する、請求項18に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項22】
前記第1及び第2の熱伝達流体は、空気、圧縮空気、水、グリコール、水とグリコールの混合物、サーマルオイル、サーマルオイルの混合物、又は溶融塩を含む、請求項18乃至21のいずれか一項に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項23】
極低温エネルギ貯蔵システムにおける圧縮熱を蓄えるための方法であって、当該方法は、
第1の圧縮機(102)及び第2の圧縮機(114)を含む液化サブシステム(100)を提供するステップと、
高グレード熱を蓄えるように構成された熱エネルギ貯蔵装置(300)を提供するステップと、
前記第1の圧縮機(102)においてプロセス流を圧縮するステップと、
前記第1の圧縮機からの前記プロセス流の高グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉し、それを熱伝達流体を介して前記熱エネルギ貯蔵装置(300)に貯蔵するステップと、
前記第2の圧縮機(114)において前記プロセス流を圧縮するステップと、
前記第2の圧縮機からの前記プロセス流の高グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉し、それを前記熱伝達流体を介して前記熱エネルギ貯蔵装置(300)に貯蔵するステップと、
前記第2の圧縮機からの前記プロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉し、それを前記第2の圧縮機(114)に戻すステップと、を含む、
方法。
【請求項24】
当該方法は、前記第1の圧縮機からの前記プロセス流の前記高グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉した後に、前記プロセス流を浄化するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
当該方法は、前記プロセス流を浄化する前に、前記プロセス流の圧縮熱を前記第1の圧縮機(102)から実質的に又は完全に除去するように前記プロセス流を調整するステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
当該方法は、前記第1の圧縮機からの前記プロセス流の前記高グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉した後に、前記第1の圧縮機からの前記プロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉し、前記プロセス流を浄化した後にその圧縮熱を前記プロセス流に伝達するステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記第2の圧縮機からの前記プロセス流の前記低グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記第2の圧縮機(114)に戻すステップは、前記プロセス流を前記第2の圧縮機(114)において圧縮する前に、前記第2の圧縮機からの前記プロセス流の前記低グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記プロセス流に伝達するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
当該方法は、前記プロセス流を前記第2の圧縮機(114)において圧縮する前に、前記プロセス流に戻り流を補充するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記第2の圧縮機からの前記プロセス流の前記低グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記第2の圧縮機(114)に戻すステップは、そのプロセス流が前記戻り流によって補充された後に、前記第2の圧縮機からの前記プロセス流の前記低グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記プロセス流に伝達するステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の圧縮機からの前記プロセス流の前記低グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記第2の圧縮機(114)に戻すステップは、前記プロセス流を補充する前に、前記第2の圧縮機からの前記プロセス流の前記低グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記戻り流に伝達するステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
当該方法は、前記第2の圧縮機からの前記プロセス流の前記低グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉した後に、前記プロセス流の圧縮熱を前記第2の圧縮機から実質的に又は完全に除去するように前記プロセス流を調整するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
極低温エネルギ貯蔵システムにおける圧縮熱を蓄えるための方法であって、当該方法は、
第1の圧縮機(102)、第2の圧縮機(114)、第3の圧縮機(124)、及び膨張機(122)を含む液化サブシステム(100)を提供するステップと、
高グレード熱エネルギを貯蔵するように構成された熱エネルギ貯蔵装置(300)を提供するステップと、
前記第1の圧縮機(102)においてプロセス流を圧縮するステップと、
前記第1の圧縮機からの前記プロセス流の高グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉し、それを前記熱エネルギ貯蔵装置(300)に蓄えるステップと、
前記第2の圧縮機(114)において前記プロセス流を圧縮するステップと、
前記第2の圧縮機からの前記プロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉し、それを熱伝達流体を介して前記第3の圧縮機(124)に伝達するステップと、
前記第3の圧縮機(124)において前記熱伝達流体を圧縮するステップと、
前記第3の圧縮機からの前記熱伝達流体の高グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉し、それを前記熱エネルギ貯蔵装置(300)に蓄えるステップと、
前記熱伝達流体を前記膨張機(122)内で膨張させ、そこから仕事を抽出するステップと、を含む、
方法。
【請求項33】
当該方法は、前記第1の圧縮機からの前記プロセス流の前記高グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉した後に、前記第1の圧縮機からの前記プロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉し、それを前記熱伝達流体を介して前記第3の圧縮機(124)に伝達するステップを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
当該方法は、前記プロセス流を前記第2の圧縮機(114)において圧縮する前に、前記プロセス流を浄化するステップを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
当該方法は、前記プロセス流を浄化する前に、前記プロセス流の圧縮熱を前記第1の圧縮機(102)から実質的に又は完全に除去するように前記プロセス流を調整するステップを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
当該方法は、前記第2の圧縮機からの前記プロセス流の前記低グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉した後に、前記プロセス流の圧縮熱を前記第2の圧縮機(114)から実質的に又は完全に除去するように前記プロセス流を調整するステップを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
当該方法は、前記プロセス流を前記第2の圧縮機(114)において圧縮する前に、前記プロセス流に戻り流を補充するステップを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
当該方法は、前記プロセス流を少なくとも部分的に液化し、液化生成物を形成するステップを含む、請求項23乃至37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
当該方法は、前記液化生成物の少なくとも一部を極低温貯蔵タンクに送るステップを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
当該方法は、任意の非液化プロセス流の少なくとも一部を前記戻り流として通過させ、前記プロセス流を補充するステップを含む、請求項27又は37に従属する場合の、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
当該方法は、
前記熱エネルギ貯蔵装置(300)に蓄えた高グレード圧縮熱の少なくとも一部を用いて作動流体を加熱するステップと、
前記作動流体を膨張段で膨張させ、そこから仕事を抽出するステップとをさらに含む、請求項23又は32に記載の方法。
【請求項42】
当該方法は、前記作動流体を加熱する前に、前記膨張段からの排気流を用いて前記作動流体を予熱するステップを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
液化生成物を極低温貯蔵タンクからポンプで送り出し、それを加圧して前記作動流体を形成するステップをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
実質的に添付図面を参照して本明細書に記載され、添付図面に示される極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項45】
添付の図面を参照して実質的に本明細書に記載している圧縮熱貯蔵方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極低温エネルギ貯蔵システム及びその作動方法に関し、特にそのサブシステムにおける圧縮熱(heat-of-compression)貯蔵に関する。
【背景技術】
【0002】
送配電ネットワーク(又は送電網)は、電力の生成と消費者からの需要とのバランスをとらなければならない。これは通常、発電所のオン/オフを切り替え、負荷を軽減して一部を運転することで発電側(供給側)を調整することで実現される。既存の殆どの火力発電所及び原子力発電所は、全負荷で継続的に運転する場合に最も効率が高くなるが、このように供給側のバランスをとる際に効率が低下する。風力タービン及び太陽光集熱器等、大規模な断続的な再生可能発電容量のネットワークへの導入が予想されるため、発電源の一部の利用可能性に不確実性が生じ、送電網のバランスがさらに複雑になる。需要が低い期間にエネルギを貯蔵し、その後の需要が高い期間、又は発電機からの断続的な出力が低いときに使用する手段は、送電網のバランスをとり、供給の安全を確保する上で大きな利点となる。
【0003】
市場には、とりわけ極低温エネルギ貯蔵、揚水水力発電、圧縮空気、化学電池等、多くの新たなエネルギ貯蔵方法が登場している。このような蓄電装置には、充電、蓄電、放電という3つの動作フェーズがある。需要が低い期間には、送電網からの余剰エネルギが蓄電装置の充電に使用される。エネルギは、蓄電装置によって、極低温流体、水力発電ダムの貯水池、又はバッテリの内部化学ポテンシャル等、それぞれの媒体に蓄えられる。需要が高い期間には、このエネルギは送電網に再び放出され、需要を確実に満たす。
【0004】
蓄電装置が商業的に実行可能であるためには、次の要素を考慮する必要がある:MW(電力容量)及びMWh(エネルギ容量)あたりの資本コスト、往復サイクル効率(RTE)、及び初期投資とその環境への影響(二酸化炭素排出量及び有害化学物質の使用又は生産の可能性に対する国毎の規制)から予想され得る充放電サイクル数に関する寿命である。広範囲に亘る実用規模の用途では、蓄電装置は電気ネットワーク内の必要な場所に展開可能である必要がある。換言すれば、それは設置面積が小さくなければならず、その動作原理は、水力発電システム(例えば、貯水池スペース)又は圧縮空気エネルギ貯蔵装置(例えば、地下洞窟)に適用されるような特定の地理的制約を必要とすべきではない。
【0005】
液体空気等の冷媒(cryogen:寒剤)を使用する極低温エネルギ貯蔵(CES)技術には、他の利用可能な電力貯蔵技術に比べて多くの利点がある。CESシステムは、典型的に、液体空気の物理的特性によりエネルギ密度が高く、(地理的に制約のない比較的小型の貯蔵タンクを使用するため)設置性が高く、(動作原理に、殆どの電池に見受けられるような有害物質の使用又は生産、或いは炭素排出の生成が含まれないため)環境に優しく、(液体天然ガス産業で長年使用されている機器を利用できるため)比較的安価である。
【0006】
CES技術は、外部環境からの空気を液化して低圧で貯蔵し、その後気化してこれを使用し、タービンを駆動して発電することができる。CESシステムの充填(charge:充電)又は液化フェーズでは、需要が低い期間(オフピーク期間)又は再生可能発電機からの断続的な供給が過剰な期間の低コストの電力を使用して、液化ユニット又はサブシステムで空気を液化する。液化プロセスでは、通常2台の圧縮機が使用される。空気の流れはまずメイン空気圧縮機(MAC)で約15~20barAまで圧縮され、次に空気は、空気浄化ユニット(APU)で浄化され、第2のリサイクル空気圧縮機(RAC)で約55~65barAまで圧縮される。次に、その流れは一般に低温(cold)ボックスと呼ばれる冷却及び液化システムに入ることができる。低温ボックスは一般に、パーライト等の高性能断熱材で充填された断熱(通常は金属)ボックスとして実現され得る。低温熱交換プロセスは、マルチパス熱交換器、相分離器、温タービン及び冷タービンの膨張タービン段等の構成要素を介して低温ボックス内で生じる。ガスは、実質的に液体に凝縮するまで低温ボックス内で冷却される。液化生成物は蒸気相から分離され、低温ボックスから極低温貯蔵タンクに送られ、そこで後で使用するために貯蔵される。蒸気相は、マルチパス熱交換器を通って戻され、次にリサイクル空気圧縮機に送られこの圧縮機の上流側の空気流を補うためさらに液化され得る。液化空気又は冷媒等の液化生成物は、貯蔵フェーズで貯蔵タンクに蓄えられる。放出(discharge:放電)フェーズでは、液体生成物は動力回収ユニット又はサブシステムに放出され、そこで加圧、蒸発、加熱されて膨張タービンを駆動して発電する。放出又は動力回収フェーズは、電気コストが高くなるピーク期間中に実行されることがよくある。CES技術は、極低温の液体空気と周囲温度以上の気体空気との間の熱力学エネルギポテンシャルに依存している。CESシステムは、充電フェーズ及び放電フェーズから様々な動作を同時に実行でき、この場合に、CESシステムは、空気からの液化、貯蔵、及び発電も同時に行う。
【0007】
液化ユニット内に存在する液化対象の加圧ガス流及び動力回収ユニット内に存在する加圧冷媒は、典型的に、それぞれ「液化ユニットのプロセス流」及び「動力回収ユニットの作動流体」と呼ばれる。
【0008】
CESシステムの往復効率は、動力回収ユニットの正味の電気エネルギ出力と液化ユニットの正味の電気エネルギ入力の比として規定される。CESシステムでは、高い往復効率を維持するために、電気エネルギ入力の結果として生成される熱を捕捉して再利用する必要があり、捕捉及び使用しなかった熱は最終的に環境に放散され、往復効率に悪影響を与える可能性がある。
【0009】
例えば、液化プロセスでは、プロセス流は、圧縮され、冷却されてから再び膨張する。このプロセスは繰り返され、各圧縮ステップでプロセス流の温度が上昇し、プロセス流が完全に液化するまで、各冷却及び膨張ステップで温度が大幅に低下する。「圧縮熱」という用語は、圧縮した流体に含まれる(embedded:埋め込まれる)高い熱エネルギを指す。換言すれば、「圧縮熱」とは、圧縮の結果として流体が受ける顕熱(sensible)エネルギの増加を指す。本明細書において、熱が、ある場所、流体、又は構成要素から別の場所、流体、又は構成要素に「伝達される」と説明する場合に、これは、高い熱エネルギが2つの場所、流体、又は構成要素の間で伝達されるプロセスである。伝達方法は、伝導、対流又は放射等の典型的な方法のいずれかを含むことができ、当業者には明らかであろう。
【0010】
圧縮熱は動力回収プロセスで使用するためにリサイクルできる。動力回収プロセス中に、液体空気が、極低温貯蔵タンクから作動流体としてポンプで送り出され、次に、一連の熱交換器及び膨張タービンを介して蒸発、加熱され、及び膨張する。作動流体は、膨張タービンを介して加熱され膨張するため、タービンに逆らってタービンの回転を生じさせる。タービンは発電機に結合され、発電機は次に送電網に送出できる電気エネルギを生成する。
【0011】
液化フェーズ中に捕捉した圧縮熱を利用して、動力回収ユニット内の作動流体の温度を膨張前に上昇させることができる。作動流体の温度が上昇すると、動力回収フェーズ中に動力回収ユニットによって供給される電力出力が向上し、これはCESシステムの往復効率の向上につながる。これは、膨張ガスが高温であるほど、膨張タービンが失い得る運動エネルギが多くなり、これは、タービンがより速く回転する、又はより多くのトルクで回転することで、タービンによって多くの機械エネルギが生成されるためである。
【0012】
CESシステムは、液化フェーズ中に液化ユニットで生成されるプロセス流の圧縮熱を捕捉し、次に熱エネルギ貯蔵装置(TESD)に蓄え、それから動力回収フェーズ中の動力回収ユニットの作動流体に放出するように設計されたサブシステムを使用することができる。このようなサブシステムは、圧縮熱リサイクルシステムとして知られている。
【0013】
既知の圧縮熱リサイクルシステムは、典型的には、圧縮機からの圧縮熱をリサイクルし、それをTESDを介して膨張タービンに伝達することに関係している。圧縮機、膨張タービン、及びTESDは、熱交換器及び熱伝達流体を介して熱的に結合される。例えば、圧縮機によって圧縮されたプロセス流が熱交換器を通過し、熱伝達流体が別の流れとして熱交換器を通って反対方向に流れることがある(このタイプの熱交換器は向流熱交換器として知られている)。熱交換器では、圧縮熱は、プロセス流から熱伝達流体に伝達され、次にTESDに伝わる。その後、熱は、熱伝達流体からTESDの貯蔵媒体に伝達され、長期間蓄えられる。熱伝達流体が貯蔵媒体として使用される場合に、熱伝達流体はTESDに直接貯蔵される。熱を動力回収ユニットの作動流体に分配するために、熱はTESDの貯蔵媒体から抽出され、熱伝達流体に伝達され、熱伝達流体は膨張タービンの上流側にある動力回収ユニットの熱交換器に送られる。熱伝達流体が貯蔵媒体として使用される場合に、熱伝達流体はTESDから膨張タービンの上流側にある動力回収ユニットの熱交換器に直接送られる。動力回収ユニットの熱交換器では、熱は膨張タービンに伝わる前に作動流体に伝達される。熱エネルギ貯蔵装置(TESD)の目的は、制御した方法で熱エネルギを捕捉、貯蔵、放出することである。
【0014】
流体の圧縮中に発生する圧縮熱は、そのグレード(grade)だけでなく量によっても特徴付けられる。圧縮機によって処理される所与の流体に含まれる熱のグレード及び量は、圧縮機によって処理される質量流量、圧縮機の入口温度又は圧力、圧縮機全体の圧力比、及び圧縮機の効率の関数であると言える。周囲温度を超えると、温度の上昇とともに高温の熱エネルギのグレードも増加する。逆に、周囲温度より低い場合に、温度の低下とともに冷温の熱エネルギのグレードは増加する。典型的に、周囲温度と、高グレード(high-grade)TESDの貯蔵媒体の凝固温度又は下限温度との間の流体に含まれる熱エネルギは、低グレード(low-grade)高温熱エネルギとみなされ、本明細書では低グレード熱エネルギとも呼ばれ、例えば高グレードTESDの貯蔵媒体としての溶融塩の場合であり、これらの温度はそれぞれ140~150℃と190℃になることがある。これに対して、この温度を超える流体に含まれるエネルギは高グレードの高温熱エネルギとみなされ、本明細書では高グレード圧縮熱とも呼ばれる。これらの値は、この圧縮熱を使用するシステムの設計によって異なり得る。流体の温度が高/低グレードの温度閾値を下回るように、高グレード圧縮熱が含まれる流体から熱を抽出する場合に、その流体は低グレード熱が含まれると見なされる。流体を加熱する場合はその逆が当てはまる。下限温度には、CESシステムの動作中に貯蔵媒体の結晶化が起こらないことを保証するために必要な貯蔵媒体の凝固温度間の安全マージンが含まれる。貯蔵媒体の凝固又は結晶化は、CESシステム内の熱交換器及び他の構成要素に損傷を与える可能性があり、熱交換媒体が凝固すると、熱交換器を交換又は復旧するためにCESシステムを長期間オフラインにする必要がある。このダウンタイムは、溶融塩の凝固の重症度に応じて、数週間から数か月かかる場合がある。
【0015】
CESシステムのメイン空気圧縮機は、通常、リサイクル空気圧縮機よりも高い圧力比を有する。相分離器からの蒸気相がリサイクル空気圧縮機への入口流を補うため、メイン空気圧縮機全体の圧力上昇は、典型的に、リサイクル空気圧縮機よりも高くなる。これにより、リサイクル空気圧縮機の上流側での質量流量が増加する。この大きな質量流量でメイン空気圧縮機と同様の圧力比(従って出口温度)を達成するには、リサイクル空気圧縮機は法外に高価になる。例えば、典型的なメイン空気圧縮機では、空気は、15~20℃での約1barAから350~450℃での15~20barAまで圧縮される。一方、典型的なリサイクル空気圧縮機では、空気は、20~25℃での約15~20barAから150~200℃での50~60barAまで圧縮される。メイン空気圧縮機から放出されるプロセス流の温度は350~450℃の範囲であるため、そこから高グレード圧縮熱と低グレード熱との両方を抽出できる。ただし、リサイクル空気圧縮機から放出されるプロセス流の温度はメイン空気圧縮機から排出されるプロセス流の温度よりも大幅に低く、<200℃であるため、そこから抽出できるのは低グレード熱のみである。
【0016】
メイン空気圧縮機で圧縮した流体からは高グレード圧縮熱と低グレード圧縮熱との両方を抽出できるのに対し、リサイクル空気圧縮機で圧縮した流体からは低グレード熱しか抽出できないことを考えると、既知の圧縮熱リサイクルシステムは、典型的に、圧縮熱が環境に失われ、その結果生じる往復効率への悪影響を避けるために、高グレード圧縮熱及び低グレード熱を蓄えるために2種類のTESDを採用している。各グレードで熱エネルギを貯蔵するための最適な媒体が異なり、貯蔵の要件も異なるため、2つのTESDが主に使用される。
【0017】
TESDにはいくつかの異なるタイプがあり、典型的に、内部アーキテクチャと、高グレード又は低グレードの熱エネルギを貯蔵する際の効率とが異なる。一般に「充填層(packed beds)」として知られる一部のTESDは固定固相で満たされており、その中を熱エネルギ伝達流体が循環して、TESDに熱エネルギを充填する、又は必要な場所に熱エネルギを供給するために熱エネルギを放出する。固定固相は、熱エネルギを保持できる多孔質固体媒体又は固体粒子の充填層で作製することができる。充填層マトリックスは、顕熱物質(例えば、水晶)で作製される、潜熱相変化物質で作製される、又はそれらの組合せで作製される、互いにランダムに積み重ねられた粒子を含んでもよい。充填層マトリックスは、顕熱物質(例えば、金属酸化物ビーズ)で作製される、又は潜熱相変化物質で作製される、又はそれらの組合せで作製される、互いに非ランダムに積み重ねられた粒子を含んでもよい。充填層マトリックスは、溶融粒子(例えば、セラミック)を含んでもよい。国際公開第2012020233A2号に開示されるより精巧な充填層TESDは、圧力降下を許容可能なレベルに維持し、TESDの充填及び放出の末端に向けて熱エネルギ伝達流体の流量を増加させることによって最終効果を最小限に抑えながら、非対称の充放電に対応できる柔軟なシステムを提供することを目的としている。他のTESDは固定液相で満たされており、固定液相を介して少なくとも1つの熱交換コイルが通過し、熱エネルギ伝達流体の通過を可能にする。一般に温度躍層として知られる他のTESDは、異なる温度にある単一の熱エネルギ伝達流体の2つの密度依存領域を含む容器で構成され、その領域は(密度の違いにより)互いに積み重ねられている。温度躍層の1つのバージョンは2つの別個の容器で構成され、それぞれの容器に2つの異なる温度で同じ熱エネルギ伝達流体が収容される(つまり、暖かいタンク及び冷たいタンクがある)。
【0018】
高グレードTESDは、通常、貯蔵媒体として溶融塩又は充填層で構成されており、高グレード圧縮熱を蓄えるのに最適である。これらにより、加圧サーマルオイル又は溶融塩自体を熱伝達流体として使用することができる。溶融塩高グレードTESDは、典型的に、2つのタンク(高温溶融塩タンク及び低温溶融塩タンク)システムである。熱伝達流体として溶融塩高グレードTESD及びサーマルオイルを使用するCESシステムでは、圧縮機で生成された高グレード圧縮熱が圧縮機の下流側の熱交換器で捕捉され、サーマルオイルを介して低温の溶融塩タンクに伝達され得る。サーマルオイルは、溶融塩熱交換器を通過して圧縮熱を溶融塩に伝達し、次にさらに多くの熱を捕捉するために圧縮機の下流側で熱交換器に戻され、その間、加熱された溶融塩は高温の溶融塩タンクに貯蔵される。動力回収サイクル中に、高温の溶融塩は別の溶融塩熱交換器にポンプで送り出され、そこで高グレード熱がサーマルオイルに伝達される。次に、(比較的)低温の溶融塩は、圧縮機の下流側で熱交換器から出る高温のサーマルオイルからさらに熱を受け取る準備として、低温の溶融塩タンクに送られる。一方、サーマルオイルは、膨張タービンの上流側にある動力回収ユニットの熱交換器に送られ、動力回収ユニットの作動流体に熱を伝達する。溶融塩が熱伝達流体として使用される場合に、溶融塩は高温又は低温の溶融塩タンクに直接送られ及びこのタンクから引き出される。溶融塩は効率的な高グレード貯蔵媒体であるが、下限温度が約190℃であるため、低グレードの用途には使用できない。この理由は、典型的な溶融塩の凝固温度が約140~150℃未満であるためである。一部の種類の溶融塩は凝固温度が低くなるが、それでも低グレード用途の上限よりは依然として高い。溶融塩のこの下限温度は、典型的に、CESシステムのオペレータが溶融塩の温度低下に対応し、溶融塩の凝固を防ぐためにCESシステムの動作パラメータを調整するのに十分な時間を提供するように選択される。溶融塩の凝固は何としても避けなければならない。
【0019】
CESシステムの低グレードTESDは、通常、低グレード熱の貯蔵に最適な水、又は水とグリコールの混合物を好ましくは含む単一の層状タンクを含む温度躍層ベースのシステムで構成される。このタイプの低グレードTESD動作は、熱成層プロセスに基づいている。成層は、温度及び密度が異なる流体、この場合には水が分離する自然なプロセスであり、つまり、温水が冷水の上に浮かんで留まる。CESシステムの低グレードTESDの場合に、充填操作中に空気が圧縮され、プロセス流から低グレード熱が抽出されるため、層状タンクの水が、熱伝達流体として機能し、圧縮機に対応する熱交換器に送られ加熱される。その後、その水が、層状の低グレードTESDタンクの上部に導入される。温水はタンクの上部に留まり、冷水は下部に留まる。放出プロセス中に、動力回収ユニットの作動流体が熱を必要とする場合に、温水が抽出されて動力回収ユニット内の熱交換器にポンプで送り出され、そこでその熱が作動流体に伝達される。この過程で、水は、冷却され、層状の低グレードTESDタンクの底部に戻される。層状の低グレードTESDでは、タンクは常に満杯であるが、2つの層状流体の境界は充填/放出フェーズに応じて上下に動く。温度躍層(流体の温かい部分と冷たい部分との間の温度勾配)の厚さは1メートルにもなることがある。
【0020】
国際公開第2019158921A1号(参照により本明細書に組み込まれる)は、低グレードTESD16及び高グレードTESD12を含むいくつかのCESシステムを開示しており、これらにより、メイン空気圧縮機とリサイクル空気圧縮機との両方からの異なるグレードの熱を動力回収ユニット33の作動流体に伝達することが可能になる。図4Aは、メイン空気圧縮機10からのプロセス蒸気の高グレード圧縮熱が熱交換器11によって捕捉され、高グレードTESD12に蓄えられるシステムを示す。リサイクル空気圧縮機10からのプロセス蒸気の低グレード圧縮熱は、熱交換器11によって捕捉され、低グレードTESD12に蓄えられる。図5A図5Fは、異なるグレードの熱エネルギを動力回収ユニットの作動流体に伝達するためにTESDをどのように結合するかを示している。図7Aは、メイン空気圧縮機10からのプロセス蒸気の低グレード圧縮熱を捕捉するように構成された追加の熱交換器150を含む更なるCESシステムを示している。この圧縮熱は、その後、低グレードTESD16に伝達される。異なるグレードの熱を伝達するための動力回収ユニットの構成が図8A図8Bに示される。
【0021】
これらのシステムは、CESシステム内での圧縮熱リサイクルシステムの実際的な実装に取り組んでおり、液化フェーズ中に放出及び捕捉した様々なグレード及び量の圧縮熱が、その後動力回復フェーズ中の動力回収ユニットによって供給される電力出力を向上させるために利用される。蓄えた圧縮熱を利用して、前段加熱又は段間再加熱により膨張する前の作動流体の温度を上昇させると、動力回収ユニットの動力出力が増加し、CESシステムの往復効率の改善につながる。さらに、異なるグレードの熱を別々に蓄えることにより、それら熱をプロセス流の異なる部分に別々に加えることができる。動力回収システムの異なる位置に異なるグレードの熱を加えると、特に効率的な動力回収が得られることが見出された。さらに、異なるグレードの熱を互いに別々に蓄えることには、効率的な貯蔵、及び蓄えた熱をプロセス流に加える際の効率的な動力回収等、多くの利点があることが注目された。
【0022】
本発明者らは、圧縮熱を様々な熱エネルギ貯蔵庫に捕捉することにはいくつかの利点があるが、低グレードTESDを除去することには更なる利点がある可能性があることを認識した。これは、低グレードTESDが、最も重要なことに、成層境界での熱混合等の技術的課題を引き起こすためである。時間の経過とともに、低グレードTESD内に含まれる2つの層状流体の境界での熱拡散により、熱/密度勾配が侵食され、境界が「ぼやける(blur:曖昧になる)」可能性がある。最終的に更なる拡散により、熱平衡に向かう傾向にある層状流体が完全に混合され、この時点で低グレードTESD容器全体が単一の温度を有することになる。従って、本発明者らは、低グレードTESDを除去することでこの問題が軽減される可能性があることを認識した。
【0023】
国際公開第2013034908A2号(参照により本明細書に組み込まれる)の図14は、圧縮熱リサイクルシステムが単一のTESD1002を共有する2つの別個の閉ループで構成されるCESシステムを示している。第1の閉ループは、2台の圧縮機(メイン空気圧縮機401及びリサイクル空気圧縮機403)によって生成された圧縮熱を間接的に受け取り、この高温の熱エネルギを単一のTESD1002に貯蔵する。リサイクル空気圧縮機403は、メイン空気圧縮機401及び空気浄化ユニット402の下流側に配置される。国際公開第2013034908A2号の23ページの1段落には、圧縮機から捕捉される熱エネルギの温度が60~90℃であると記載されている。この文書では、高グレードTESDの使用、又は圧縮機からの様々なグレードの高温熱エネルギの貯蔵については言及していない。従って、このシステムは低グレードの熱エネルギのみを捕捉して貯蔵していると考えられる。前述したように、典型的な溶融塩の融点ははるかに高く、約140~150℃である。従って、例えば溶融塩のような貯蔵媒体を含む高グレードTESDは、このシステムには適用できない。この文書は、低グレードTESDに関する技術的課題に対する解決策を提供していないようである。
【0024】
さらに、空気浄化ユニット(例えば、国際公開第2015181553A2号の402)は、プロセスのために「浄化した」空気流が生成されるように、空気流から汚染物質及び望ましくない化合物を抽出するために使用される。これらは、典型的に、ガス、水分子、炭化水素粒子、又は他の望ましくない種等の汚染物質が吸着材の表面に吸着される吸着プロセスを使用して動作する。浄化プロセス中に、効率的かつ最適な浄化を保証するために圧力及び温度を特別に制御する必要があり、この制御を提供するそのようなシステムは、国際公開第2015181553A2号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示される。前述したように、CESシステムのメイン圧縮機の出力温度は非常に高くなる可能性がある。従って、国際公開第2013034908A2号では、往復効率に悪影響を与える空気浄化ユニット402のプロセスの中断を避けるために、メイン圧縮機からの空気出力に含まれる高グレード熱エネルギを大気中に放出する必要がある。さらに、メイン空気圧縮機からの空気を冷却しないと、空気中の水分を空気浄化ユニット402によって容易に除去することができない。十分な水を確実に除去するのを確保するには、空気浄化ユニット402を大幅に大型化する必要があり、これは多額の設備投資につながる。
【0025】
国際公開第2013034908A2号を参照して、国際公開第2019158921A1号(参照により本明細書に組み込まれる)は、単一のTESD内に異なるグレードの熱エネルギを貯蔵する問題について議論しており、(単一のTESDに貯蔵される)異なる量及びグレードの2つの圧縮熱に対処する方法が3つあると述べている。この文書には次のことが記載される。
1.それら圧縮熱は、熱エネルギを圧縮機からTESDに伝達する導管内で混合する可能性がある。
2.少なくとも1つの冷却器を使用することによって、一方の圧縮熱の温度を他方の圧縮熱の温度に調整することができる。或いは
3.各圧縮機に少なくとも1つの冷却器を使用することで、両方の圧縮熱の温度を調整して同じ目標温度に達することができる。
【0026】
国際公開第2019158921A1号(参照により本明細書に組み込まれる)は、これら3つの方法の全てが高温の熱エネルギグレードの望ましくない損失をもたらすことを正確に指摘している。異なるグレードの圧縮熱を冷却及び混合すると、熱エネルギ貯蔵装置の貯蔵媒体の温度が全体的に低下する。これは、動力回収ユニットの作動流体に加えられる熱が少なくなり、往復効率の低下につながる可能性があることを意味する。しかしながら、国際公開第2019158921A1が提案する解決策は、異なるグレードの2つのTESDを使用することである。
【0027】
従って、発明者らは、単一の高グレードTESDの液化フェーズ中に異なるグレードの圧縮熱を蓄えて使用し、本質的に低グレードTESDを除去し、高温の熱エネルギグレードの望ましくない損失を回避しながら、上で議論した低グレードTESDに関連する技術的課題を軽減する、改良した圧縮熱リサイクルシステムの必要性があることに気づいた。
【発明の概要】
【0028】
本発明の態様は、添付の特許請求の範囲に記載されるような極低温エネルギ貯蔵システム及び方法に関する。
【0029】
本発明者らは、単一の高グレードTESDにおける液化フェーズ中にメイン空気圧縮機とリサイクル空気圧縮機との両方によって生成される圧縮熱を蓄えて使用するシステムを開発することによって、既知の圧縮熱リサイクルシステムを改良した。このシステムは、基本的に低グレードTESDの除去を可能にし、温度の低下、ひいては圧縮熱のグレードの低下を回避する。開示するシステムは、高グレードTESDから動力回収ユニットの作動流体に熱を放出して、動力回収フェーズ中の動力出力を向上させることができる。
【0030】
従って、第1の態様では、本発明は、極低温エネルギ貯蔵システムを提供し、極低温エネルギ貯蔵システムは、
液化サブシステムであって、液化サブシステムは、
第1の圧縮機、
第1の熱交換器、
第2の圧縮機、
第2の熱交換器、
第3の熱交換器、及び
上流端及び下流端を有しており、第1の圧縮機からのプロセス流を第1の熱交換器、第2の圧縮機、第2の熱交換器、及び第3の熱交換器を通過させるように構成された第1構成の導管を含む、液化サブシステムと、
高グレード熱を蓄えるように構成された熱エネルギ貯蔵装置と、
閉回路を形成し、熱エネルギ貯蔵装置、第1の熱交換器、及び第2の熱交換器の間で熱伝達流体を送るように構成された第2構成の導管と、を含み、
第1の熱交換器は、第1の圧縮機の下流側で第1構成の導管に沿って位置付けされ、且つ第1の圧縮機からのプロセス流の高グレード圧縮熱の少なくとも一部を、熱伝達流体を介して熱エネルギ貯蔵装置に伝達するように構成され、
第2の熱交換器は、第2の圧縮機の下流側で第1構成の導管に沿って位置付けされ、且つ第2の圧縮機からのプロセス流の高グレード圧縮熱の少なくとも一部を、熱伝達流体を介して熱エネルギ貯蔵装置に伝達するように構成され、
第3の熱交換器は、第2の熱交換器の下流側で第1構成の導管に沿って位置付けされ、且つ第2の熱交換器からのプロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を第2の圧縮機に伝達するように構成され、それにより低グレード圧縮熱の少なくとも一部を第2の圧縮機に戻す。
【0031】
第2の熱交換器からの低グレード圧縮熱の少なくとも一部を第2の圧縮機に戻すことにより、第3の熱交換器によって、第2の圧縮機がプロセス流をはるかに高い温度まで圧縮できるようになり、こうして高グレード圧縮熱を生成することができる。次に、この高グレード圧縮熱は、熱伝達流体及び第2の熱交換器を介して熱エネルギ貯蔵装置に蓄えることができる。そのため、高グレード熱と低グレード熱との両方を捕捉して、単一の高グレード熱エネルギ貯蔵装置に蓄えることができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、液化サブシステムは、第1の熱交換器の下流側で第1構成の導管に沿って位置付けされた空気浄化ユニットをさらに含むことができ、空気浄化ユニットは、プロセス流を浄化するように構成され得る。
【0033】
液化サブシステムは、空気浄化ユニットと第1の熱交換器との間で第1構成の導管に沿って位置付けされた第1の空調ユニットをさらに含むことができ、第1の空調ユニットは、プロセス流の圧縮熱を第1の圧縮機から実質的に又は完全に除去するように構成され得る。
【0034】
液化サブシステムは、第1の熱交換器と空気浄化ユニットとの間で第1構成の導管に沿って位置付けされ、且つ第1の熱交換器からのプロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を空気浄化ユニットの下流側でプロセス流に伝達するように構成された第4の熱交換器をさらに含むことができる。低グレード圧縮熱の一部を空気浄化ユニットの下流側でプロセス流に伝達することで、プロセス流を第2の圧縮機でより高温に圧縮して、第2の圧縮機が、単一の高グレード熱エネルギ貯蔵装置に蓄えることができる高グレード圧縮熱を生成できるようになる。そのため、両方の圧縮機からの圧縮熱を捕捉して単一の高グレード熱エネルギ貯蔵装置に蓄えることができる。
【0035】
第2の熱交換器からのプロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を第2の圧縮機に伝達するように構成された第3の熱交換器は、第2の熱交換器からからのプロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を第2の圧縮機の上流側のプロセス流に伝達することを含むことができる。
【0036】
液化サブシステムは、低温ボックスに結合されるように構成された上流端と、下流端とを有する第3構成の導管をさらに含むことができ、第3構成の導管は、低温ボックスからの戻り流を通過させて第2の圧縮機の上流側のプロセス流を補充するように構成することができる。
【0037】
第2の熱交換器からのプロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を第2の圧縮機に伝達するように構成された第3の熱交換器は、プロセス流を補充する前に、第2の熱交換器からのプロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を戻り流に伝達することを含むことができる。低グレード圧縮熱を戻り流に伝達することにより、第3の熱交換器は戻り流を加熱してプロセス流の熱と同様にすることができる。これにより、プロセスの流れのエネルギポテンシャルが低下する可能性がある、異なる温度での流れが混合することが回避される。
【0038】
第2の熱交換器からのプロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を第2の圧縮機に伝達するように構成された第3の熱交換器は、そのプロセス流が戻り流によって補充された後に、第2の熱交換器からのプロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部をプロセス流に伝達することを含むことができる。
【0039】
第2の態様では、本発明は、極低温エネルギ貯蔵システムを提供し、極低温エネルギ貯蔵システムは、
液化サブシステムであって、
第1の圧縮機、
第1の熱交換器、
第2の圧縮機、
第2の熱交換器、及び
上流端及び下流端を有しており、プロセス流を第1の圧縮機、第1の熱交換器、第2の圧縮機、及び第2の熱交換器に通過させるように構成された第1構成の導管を含む、液化サブシステムと、
高グレード熱を蓄えるように構成された熱エネルギ貯蔵装置と、
第1の膨張機と、
第3の圧縮機と、
閉回路を形成し、熱エネルギ貯蔵装置、第1の熱交換器、第1の膨張機、第2の熱交換器、及び第3の圧縮機の間で熱伝達流体を送るように構成された第2構成の導管と、を含み、
第1の熱交換器は、第1の圧縮機の下流側で第1構成の導管に沿って位置付けされ、且つ第1の圧縮機からのプロセス流の高グレード圧縮熱の少なくとも一部を、熱伝達流体を介して熱エネルギ貯蔵装置に伝達するように構成され、
第2の熱交換器は、第2の圧縮機の下流側で第1構成の導管に沿って位置付けされ、且つ第2の圧縮機からのプロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を、熱伝達流体を介して第3の圧縮機に伝達するように構成され、
第3の圧縮機は、第2の熱交換器の下流側で第2構成の導管に沿って位置付けされ、且つ熱伝達流体を圧縮し、第3の圧縮機からの熱伝達流体の高グレード圧縮熱の少なくとも一部を熱エネルギ貯蔵装置に伝達するように構成され、
第1の膨張機は、熱エネルギ貯蔵装置の下流側で第2構成の導管に沿って位置付けされ、且つ熱伝達流体を膨張させ、そこから仕事を抽出するように構成される。
【0040】
第2の圧縮機の下流側でプロセス流からの低グレード圧縮熱を熱伝達流体に伝達し、その流体を第3の圧縮機で圧縮することにより、熱伝達流体には、高グレード熱エネルギ貯蔵装置に蓄えることができる高グレード圧縮熱を含めることができる。これにより、第2の圧縮機の圧縮温度を低く維持しながら、第2の圧縮機によって生成される熱の実質的に全てを捕捉して、単一の高グレード熱エネルギ貯蔵装置に蓄えることが可能になる。このシステムはさらに、熱伝達流体から仕事を抽出するのを可能にする。
【0041】
いくつかの実施形態では、液化サブシステムは、第1の熱交換器の下流側で第1構成の導管に沿って位置付けされた第3の熱交換器をさらに含むことができる。第3の熱交換器は、第1の熱交換器からのプロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を、熱伝達流体を介して第3の圧縮機に伝達するように構成され得る。第1の圧縮機から低グレード圧縮熱を伝達することにより、第1の圧縮機によって生成される熱の実質的に全ての捕捉が可能になる。
【0042】
液化サブシステムは、第2の圧縮機の上流側で第1構成の導管に沿って位置付けされた空気浄化ユニットをさらに含むことができ、第1の空気浄化ユニットはプロセス流を浄化するように構成される。
【0043】
液化サブシステムは、空気浄化ユニットの上流側で第1構成の導管に沿って位置付けされた第1の空調ユニットをさらに含むことができ、第1の空調ユニットは、プロセス流の圧縮熱を第1の圧縮機から実質的に又は完全に除去するように構成され得る。
【0044】
液化サブシステムは、低温ボックスに結合されるように構成された上流端と、下流端とを有する第3構成の導管をさらに含むことができ、第3構成の導管は、低温ボックスからの戻り流を通過させて第2の圧縮機の上流側のプロセス流を補充するように構成することができる。
【0045】
液化サブシステムは、第1構成の導管の下流端に位置付けされ、且つプロセス流を少なくとも部分的に液化して液化生成物を形成するように構成された低温ボックスをさらに含むことができる。
【0046】
液化サブシステムは、低温ボックスの上流側で第1構成の導管に沿って位置付けされた第2の空調ユニットをさらに含むことができ、第2の空調ユニットは、プロセス流の圧縮熱を第2の圧縮機からから実質的に又は完全に除去するように構成され得る。
【0047】
低温ボックスは、任意の非液化プロセス流の少なくとも一部を含む戻り流を第3構成の導管に送るように構成され得る。
【0048】
低温ボックスは、液化生成物の少なくとも一部を極低温貯蔵タンクに送るように構成され得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、熱伝達流体は第1の熱伝達流体であってもよく、極低温エネルギ貯蔵システムは動力回収サブシステムさらに含んでもよく、
動力回収サブシステムは、
ポンプ、
蒸発器、
少なくとも1つのヒータ、
少なくとも1つのヒータのそれぞれに対応する膨張段、
上流端及び下流端を有しており、ポンプからの作動流体を蒸発器、少なくとも1つのヒータのそれぞれ及び対応する膨張段に通過させるように構成された第4構成の導管であって、各ヒータはその対応するヒータの上流側に位置付けされる、第4構成の導管、及び
閉回路を形成し、熱エネルギ貯蔵装置と少なくとも1つのヒータの各ヒータとの間に第2の熱伝達流体を送るように構成された第5構成の導管を含み、
各ヒータは、熱エネルギ貯蔵装置からの高グレード圧縮熱の少なくとも一部を第2の熱伝達流体を介して作動流体に伝達するように構成され、
各膨張段は、作動流体を膨張させ、そこから仕事を抽出するように構成される。
【0050】
動力回収サブシステムは、第1のヒータの上流側で第4構成の導管に沿って位置付けされた予熱器をさらに含むことができ、予熱器は、最終膨張段からの排気の少なくとも一部を受け取り、最終膨張段の排気からの熱の少なくとも一部を第1のヒータの上流側の作動流体に伝達するように構成され得る。排気を使用して作動流体を予熱することにより、予熱器は、作動流体がヒータ内の熱伝達流体を凝固させるのを防ぎ、潜在的な詰まりを防ぐことができる。
【0051】
ポンプは、液化生成物を極低温貯蔵タンクからポンプで送り出し、それを加圧して作動流体を形成するように構成され得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、第1及び第2の熱伝達流体は同じ流体であってもよく、第2構成の導管及び第5構成の導管は、流体的に接続され、同じ熱伝達流体を共有してもよい。
【0053】
本発明の更なる態様によれば、極低温エネルギ貯蔵システムにおける圧縮熱を蓄えるのための方法が提供され、この方法は、
第1の圧縮機及び第2の圧縮機を含む液化サブシステムを提供するステップと、
高グレード熱を蓄えるように構成された熱エネルギ貯蔵装置を提供するステップと、
第1の圧縮機においてプロセス流を圧縮するステップと、
第1の圧縮機からのプロセス流の高グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉し、それを熱伝達流体を介して熱エネルギ貯蔵装置に蓄えるステップと、
第2の圧縮機においてプロセス流を圧縮するステップと、
第2の圧縮機からのプロセス流の高グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉し、それを熱伝達流体を介して熱エネルギ貯蔵装置に蓄えるステップと、
第2の圧縮機からのプロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉し、それを第2の圧縮機に戻すステップと、を含む。
【0054】
第2の圧縮機からの低グレード圧縮熱の少なくとも一部を第2の圧縮機に戻すことによって、プロセス流を圧縮してはるかに高い温度に達することができ、こうして第2の圧縮機が高グレード圧縮熱を生成できるようになる。次に、この高グレード圧縮熱は、熱伝達流体を介して熱エネルギ貯蔵装置に蓄えることができる。そのため、高グレード熱と低グレード熱との両方を捕捉して、単一の高グレード熱エネルギ貯蔵装置に蓄えることができる。
【0055】
この方法は、第1の圧縮機からのプロセス流の高グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉した後に、プロセス流を浄化するステップを含んでもよい。
【0056】
この方法は、プロセス流を浄化する前に、プロセス流の圧縮熱を第1の圧縮機から実質的に又は完全に除去するようにプロセス流を調整するステップを含んでもよい。
【0057】
この方法は、第1の圧縮機からのプロセス流の高グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉した後に、第1の圧縮機からのプロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉し、プロセス流を浄化した後にその圧縮熱をプロセス流に伝達するステップを含んでもよい。低グレード圧縮熱の一部を浄化後にプロセス流に伝達することで、プロセス流を第2の圧縮機においてより高い温度まで圧縮できるようになり、次に、第2の圧縮機が高グレード圧縮熱を生成できるようになり、その高グレード圧縮熱を単一の高グレード熱エネルギ貯蔵装置に蓄えることができる。そのため、高グレード熱と低グレード熱との両方を捕捉して、単一の高グレード熱エネルギ貯蔵装置に蓄えることができる。
【0058】
第2の圧縮機からのプロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を第2の圧縮機に戻すステップは、プロセス流を第2の圧縮機において圧縮する前に、第2の圧縮機からのプロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部をプロセス流に伝達するステップを含んでもよい。
【0059】
この方法は、プロセス流を第2の圧縮機において圧縮する前に、プロセス流に戻り流を補充するステップを含んでもよい。
【0060】
第2の圧縮機からのプロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を第2の圧縮機に戻すステップは、プロセス流が戻り流によって補充された後に、第2の圧縮機からのプロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部をプロセス流に伝達するステップを含んでもよい。
【0061】
第2の圧縮機からのプロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を第2の圧縮機に戻すステップは、プロセス流を補充する前に、第2の圧縮機からのプロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を戻り流に伝達するステップを含んでもよい。
【0062】
この方法は、第2の圧縮機からのプロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉した後に、プロセス流の圧縮熱を第2の圧縮機から実質的に又は完全に除去するようにプロセス流を調整するステップを含んでもよい。
【0063】
本発明の更なる態様によれば、極低温エネルギ貯蔵システムにおける圧縮熱を蓄えるための方法が提供され、この方法は、
第1の圧縮機、第2の圧縮機、第3の圧縮機、及び膨張機を含む液化サブシステムを提供するステップと、
高グレード熱エネルギを貯蔵するように構成された熱エネルギ貯蔵装置を提供するステップと、
第1の圧縮機においてプロセス流を圧縮するステップと、
第1の圧縮機からのプロセス流の高グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉し、それを熱エネルギ貯蔵装置に蓄えるステップと、
第2の圧縮機においてプロセス流を圧縮するステップと、
第2の圧縮機からのプロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉し、それを熱伝達流体を介して第3の圧縮機に伝達するステップと、
第3の圧縮機において熱伝達流体を圧縮するステップと、
第3の圧縮機からの熱伝達流体の高グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉し、それを熱エネルギ貯蔵装置に蓄えるステップと、
熱伝達流体を膨張機で膨張させ、そこから仕事を抽出するステップと、を含む。
【0064】
熱伝達流体の下流側でプロセス流から低グレード圧縮熱を捕捉し、その流体を第3の圧縮機において圧縮することにより、熱伝達流体に高グレード圧縮熱を含めることができ、この高グレード圧縮熱を高グレード熱エネルギ貯蔵装置に蓄えることができる。これにより、第2の圧縮機の圧縮温度を低く維持しながら、第2の圧縮機によって生成される熱の実質的に全てを捕捉して、単一の高グレード熱エネルギ貯蔵装置に蓄えることが可能になる。このシステムはさらに、熱伝達流体から仕事を抽出することを可能にする。
【0065】
この方法は、第1の圧縮機からのプロセス流の高グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉した後に、第1の圧縮機からのプロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉し、それを熱伝達流体を介して第3の圧縮機に伝達するステップを含んでもよい。
【0066】
この方法は、プロセス流を第2の圧縮機において圧縮する前に、プロセス流を浄化するステップを含んでもよい。
【0067】
この方法は、プロセス流を浄化する前に、プロセス流の圧縮熱を第1の圧縮機から実質的に又は完全に除去するようにプロセス流を調整するステップを含んでもよい。
【0068】
この方法は、第2の圧縮機からのプロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉した後に、プロセス流の圧縮熱を第2の圧縮機から実質的に又は完全に除去するようにプロセス流を調整するステップを含んでもよい。
【0069】
この方法は、プロセス流を第2の圧縮機において圧縮する前に、プロセス流に戻り流を補充するステップを含んでもよい。
【0070】
この方法は、プロセス流を少なくとも部分的に液化し、液化生成物を形成するステップを含んでもよい。
【0071】
この方法は、液化生成物の少なくとも一部を極低温貯蔵タンクに送るステップを含んでもよい。
【0072】
この方法は、任意の非液化プロセス流の少なくとも一部を戻り流として通過させ、プロセス流を補充するステップを含んでもよい。
【0073】
この方法は、
熱エネルギ貯蔵装置に蓄えられた高度圧縮熱の少なくとも一部を用いて作動流体を加熱するステップと、
膨張段で作動流体を膨張させ、そこから仕事を抽出するステップとをさらに含んでもよい。
【0074】
この方法は、作動流体を加熱する前に、膨張段からの排気流を用いて作動流体を予熱するステップをさらに含んでもよい。
【0075】
この方法は、液化生成物を極低温貯蔵タンクからポンプで送り出し、それを加圧して作動流体を形成するステップをさらに含んでもよい。
【0076】
本発明は、本明細書で説明する実施形態、態様、又は例に限定されず、本明細書に開示する概念から逸脱することなく、様々な修正及び改良が可能であることが理解される。互換性がない場合を除き、本明細書で説明する特徴のいずれも、別個に、又は他の特徴のいずれかと組み合わせて使用することができる。本開示は、本明細書で説明する1つ又は複数の特徴の全ての組合せ及びサブコンビネーションを含む。
【図面の簡単な説明】
【0077】
図1】極低温エネルギ貯蔵装置(CES)の一般的な概略図である。
図2】CESシステム、特に復熱器を利用する液化サブシステムの詳細な概略図である。
図3】CESシステム、特に代替の液化サブシステムの詳細な概略図である。
図4】CESシステム、特に更に代替の液化サブシステムの詳細な概略図である。
図5】CESシステム、特に更に代替の液化サブシステムの詳細な概略図である。
図6】CESシステム、特に膨張機及び圧縮機を利用する液化サブシステムの詳細な概略図である。
図7】CESシステム、特に動力回収サブシステムの詳細な概略図である。
図8】CESシステム、特に代替の動力回収サブシステムの詳細な概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
以下の説明で使用する圧力、温度、質量流量等の物理値は、本発明を例示することを目的としている。当業者であれば、CESシステムの特定の設計及びユーザの要件に応じて、これらの物理量の広範な可能な値が存在することを理解するだろう。
【0079】
この説明及び添付の図面では、同一又は類似の要素には同一の参照符号を付している。
【0080】
図1は、液化サブシステム100、極低温貯蔵タンク200、動力回収サブセクション400、及び高グレード熱エネルギ貯蔵装置(TESD)300を含む極低温エネルギ貯蔵(CES)システムの概略図である。
【0081】
CESシステムの充填(charging)段階では、液化サブシステム100は、一連の圧縮及び冷却階を通じて周囲空気を受け取り、液化するように構成される。液化サブシステム100を通過する空気又は液体空気の流れは、本明細書では液化サブシステム100のプロセス流と呼ぶ。液化サブシステム100によって生成される液体空気は、本明細書では冷媒とも呼ばれ、次に冷媒導管700の第1の冷媒導管710構成を通って極低温貯蔵タンク200に送ってもよい。液化サブシステム100は、図2図6に示される又は以下に説明する構成のいずれかを採用することができる。
【0082】
高グレードTESD300は、熱伝達流体を介して液化サブシステム100からプロセス流の高グレード圧縮熱を受け取り、それを貯蔵媒体に蓄えるように構成される。熱伝達流体は、高グレードTESD300から液化サブシステム100を通過し、そこで液化サブシステム100のプロセス流の圧縮の結果として生成される高グレード圧縮熱が含められる。次に、熱伝達流体は高グレードTESD300を通過し、そこで高グレード熱が高グレードTESD300の貯蔵媒体に伝達される。
【0083】
CESシステムの充填フェーズ中に、液化サブシステム100から出る冷媒は極低温貯蔵タンク200に貯蔵され、低圧下で長期間貯蔵することができる。極低温貯蔵タンク200は、液化サブシステム100及び/又は動力回収サブシステム400への共通接続と、流体連通する共通ヘッダとを備えた複数の極低温貯蔵タンクから形成され得ることが理解される。全ての極低温エネルギ貯蔵システムの安全設計において一般的に行われているように、本明細書で説明する極低温貯蔵タンク200内の圧力が、圧力リリーフ弁(図示せず)によって設計値を超えて上昇するのを防止することができる。
【0084】
CESシステムの放出フェーズでは、冷媒は、極低温貯蔵タンク200から冷媒導管700の第2の冷媒導管720構成を通って動力回収サブシステム400に送られる。動力回収サブシステム400を通過する冷媒、液体空気、又は空気は、本明細書では作動流体と呼ぶ。動力回収サブシステム400は、作動流体を加圧、蒸発、加熱、及び膨張させるように構成される。膨張する作動流体から回収した機械エネルギは、電気エネルギに変換できる。動力回収サブシステム400からの排気は、ベント500を通って大気中に排出され得るか、或いは本CESシステム又はその一部(例えば、動力回収サブシステムの任意の部分、液化サブシステム又はより広範なCESシステムの他の部分)と同じ場所に設置された別のシステムにリサイクルされ得る。動力回収サブシステム400は、図7又は図8に示される又は以下に説明する構成のいずれかを採用することができる。
【0085】
CESシステムは、図2図6に示される又は以下に説明する液化サブシステム100構成のいずれかを、図7又は図8に示される又は以下に説明する動力回収サブシステム400構成のいずれかと組み合わせて構成することができる。
【0086】
放出フェーズでは、CESシステムは、蓄えた高グレード圧縮熱を、熱伝達流体を介して高グレードTESD300から動力回収サブシステム400に伝達するように構成される。高グレード熱エネルギを含む熱伝達流体は、高グレードTESD300から動力回収サブシステム400に送られる。動力回収サブシステム400では、熱伝達流体に含まれる高グレード圧縮熱は、作動流体が膨張する前に作動流体に伝達されるため、これは放出フェーズ中の動力回収サブシステムの動力出力を向上させる。これは、CESシステムの往復効率の向上につながる。次に、冷たい熱伝達流体は、再加熱のために高グレードTESD300に戻される。
【0087】
高グレード熱を液化サブシステム100から高グレードTESD300に伝達するために使用される熱伝達流体は、液化サブシステム100と高グレードTESD300との間で熱伝達流体を送るように構成された閉回路を形成する熱伝達導管610構成を通過することができる。高グレード熱を高グレードTESD300から動力回収サブシステム400に伝達するように構成された熱伝達流体は、高グレードTESD300と動力回収サブシステム400との間で熱伝達流体を送るように構成された閉回路を形成する熱伝達導管620の更なる構成を通過することができる。あるいはまた、上述した熱伝達流体は同じ熱伝達流体であってもよく、上述した熱伝達導管の構成を流体接続して、液化サブシステム100、動力回収サブシステム400、及び高グレードTESD300を接続する熱伝達導管600の単一の組合せ構成を形成することができる。この場合に、導管600の組合せ構成は、同じ熱伝達流体を共有し、液化サブシステム100、高グレードTESD300、及び動力回収サブシステム400の間で熱伝達流体を送ることができる。液化サブシステム100、高グレードTESD300、及び動力回収サブシステム400を通って循環する熱伝達流体は、空気又は圧縮空気等の気体、或いは水又は水とグリコールの混合物等の液体、或いは好ましくはサーマルオイル又はサーマルオイル(合成油、天然油、鉱物油)の混合物、或いは溶融塩であってもよい。
【0088】
この説明全体を通じて「液体空気」、「空気」、又は「冷媒」を使用するが、本発明は液体空気又は空気のみの生成及び使用に限定されず、液体窒素、液体酸素、液体天然ガス(LNG)等の他の低温流体の生成及び使用に使用することもできる。
【0089】
図2は、液化サブシステム100及び高グレードTESD300を含むCESシステムを示す。液化サブシステム100は、周囲空気の流れを液体空気又は冷媒に変換して極低温貯蔵タンクに貯蔵するように構成される。液化サブシステム100は、メイン空気圧縮機(MAC)102、メイン空気圧縮機・高グレード熱交換器(MAC HG HX)104、メイン空気圧縮機・復熱器・熱交換器(MAC復熱器)106、メイン空気圧縮機・空調機(MAC AC)108、空気浄化ユニット(APU)110、リサイクル空気圧縮機・復熱器・熱交換器(RAC Recuperator)112、リサイクル空気圧縮機(RAC)114、リサイクル空気圧縮機・高グレード熱交換器(RAC HG HX)116、リサイクル空気圧縮機・空調機(RAC AC)118、及び低温ボックス120を含むことができる。
【0090】
液化サブシステム100は、上流端A及び下流端Bを有しており、液化サブシステム100のプロセス流をMAC102からMAC HG HX104、MAC復熱器106、MAC AC108、APU110、2度目のMAC復熱器106、RAC復熱器112、RAC114、RAC HG HX116、2度目のRAC復熱器112、RAC AC118を通過させて低温ボックス120に送るように構成された導管101の第1の液化構成をさらに含んでもよい。この第1構成の導管は、図2の線ABによって示されており、ここで上流端は点Aにあり、下流端は点Bにある。
【0091】
図2の実施形態の第1構成の導管101は、以下のように流体接続された液化導管を含む:MAC102をMAC HG HX104に接続する第1の導管131、MAC HG HX104及びMAC復熱器106を接続する第2の導管132、MAC復熱器106をMAC AC108に接続する第3の導管133、MAC AC108をAPU110に接続する第4の導管134、APU110をMAC復熱器106に接続する第5の導管135、MAC復熱器106をRAC復熱器112に接続する第6の導管136、RAC復熱器112をRAC114に接続する第7の導管137、RAC114をRAC HG HX116に接続する第8の導管138、RAC HG HX116をRAC復熱器112に接続する第9の導管139、RAC復熱器112をRAC AC118に接続する第10の導管140、及びRAC AC118を低温ボックス120に接続する第11の導管141である。
【0092】
CESシステムは、閉回路を形成し、高グレードTESD300、MAC HG HX104、及びRAC HG HX116の間で熱伝達流体を送るように構成された第2構成の熱伝達導管610、600をさらに含むことができる。熱伝達導管の構成は、図2の閉回路Cで示される。
【0093】
図2の実施形態の第2構成の熱伝達導管610、600は、以下のように流体接続された熱伝達導管を含む:高グレードTESD300をRAC HG HX116に接続する第1の導管161、第1の導管161の分岐部FをMAC HG HX104に接続する第2の導管162、RAC HG HX116及び高グレードTESD300を接続する第3の導管163、及びMAC HG HX104を第3の導管の分岐部Gに接続する第4の導管164である。第2の導管162は、高グレードTESD300及びMAC HG HX104を直接接続することができ、第4の導管164は、分岐部F及びGそれぞれの代わりに、MAC HG HX104を高グレードTESD300に直接接続することができることが理解されるだろう。
【0094】
液化サブシステム100は、低温ボックス120に結合されるように構成された上流端と、下流端とを有しており、本明細書では戻りプロセス流れ又は戻り流と呼ばれる第2のプロセス流を上流端の低温ボックス120から送って、下流端のRAC復熱器112の上流側の第1構成の導管のプロセス流を補充するように構成された第3構成の液化導管150をさらに含むことができる。第3構成の導管は、図2の線DEによって示されており、ここで上流端は点Dにあり、下流端は点Eにある。図2の実施形態における第3構成の導管は、低温ボックス120を接続し、第6の液化導管136の分岐部Eに至る導管150を含む。
【0095】
CESシステムの充填フェーズ中に、MAC102は、周囲空気(すなわち、CESシステムの周りの大気中に存在する空気)を周囲気圧から第1の圧力(およそ2バール(bar)~数十バールの間であり得る)まで圧縮する。周囲空気を圧縮するとかなり加熱され、その温度は、圧縮熱が含まれるため、周囲条件によっては周囲温度から約400℃以上に上昇することがある。このような温度では、プロセス流には高グレード圧縮熱が含まれる。
【0096】
MAC102の下流側で、第1構成の導管に沿って、MAC HG HX104は、MAC102から高温圧縮プロセス流を受け取る。また、MAC HG HX104は、第2構成の導管から熱伝達流体の流れを受け取る。MAC HG HX104は、プロセス流の高グレード圧縮熱の少なくとも一部を熱伝達流体に伝達するように構成される。その結果、プロセス流は約180~220℃に冷却される可能性があるため、プロセス流には残留低グレード圧縮熱が依然として含まれる可能性がある。
【0097】
MAC復熱器106は、プロセス流を2つの異なる位置で受け取り、第1の位置でのプロセス流の低グレード圧縮熱を第2の位置でのプロセス流に伝達するように構成される。本質的には、熱がある場所から別の場所に伝達される低グレード圧縮熱の復熱(recuperation)ループを形成する。MAC復熱器106を通過するプロセス流の2つの部分は、混合を防ぐためにMAC復熱器106内の独立した2つの流体経路を通過することができる。
【0098】
MAC HG HX104の下流側では、第1構成の導管に沿って、MAC復熱器106は、MAC HG HX104からプロセス流を受け取る。また、MAC復熱器106は、APU110の下流側でプロセス流を受け取る(後述する)。MAC復熱器106は、MAC HG HX104から出るプロセス流からの低グレード圧縮熱の少なくとも一部を、APU110から出るプロセス流に伝達するように構成される。MAC HG HX104から出るプロセス流は、APU110への出口流を使用して、約210℃から60℃に冷却され得る。MAC HG HX104から出てMAC復熱器106内で冷却されたプロセス流の一部は、次に、MAC AC108に送られる一方、APU110から出てMAC復熱器106内で加熱されたプロセス流の一部は、次に、RAC復熱器112に送られる(後述する)。
【0099】
MAC復熱器106の下流側では、第1構成の導管に沿って、MAC AC108は、MAC復熱器106からプロセス流を受け取り、プロセス流から最終圧縮熱を実質的に又は完全に除去するように構成される。MAC AC108によって提供される冷却は、プロセス流がAPU110に送られる前のプロセス流の最終温度を決定し、従って、APU110の入口温度を決定する。MAC AC108は、プロセス流をほぼ周囲温度まで冷却し得る。MAC AC108はまた、凝縮によりプロセス流から水分のかなりの部分を除去することもできる。
【0100】
MAC AC108の下流側では、第1構成の導管に沿って、APU110は、MAC AC108からプロセス流を受け取り、さもなければ動作中に凝固して液化サブシステムを詰まらせることになる水及びCOを除去することによってプロセス流を浄化するように構成される。APU110は、分子吸着、温度スイング吸着(TSA)、圧力スイング吸着(PSA)、又は両方の組合せを通じてプロセス流を浄化することができる。プロセス流からCO及び水を優先的に除去する特定の吸着剤をAPU内で使用することができる。プロセス流は、APU110内で発熱プロセスが発生する可能性があるため、ほぼ周囲温度又はわずかに高い温度でAPU110を出る可能性がある。
【0101】
上で述べたように、次に、プロセス流は再びMAC復熱器106を通過する。APU110の下流側で、第1構成の導管に沿って、MAC復熱器106は、APU110からプロセス流を受け取り、またMAC HG HX104からプロセス流を受け取る。APU110を出る冷たいプロセス流は、ほぼ周囲温度であり得、これは、MAC HG HX104から出る約190~230℃であり得る高温のプロセス流を冷却するためにMAC復熱器106で使用される。APU110から出るプロセス流は、MAC HG HX104からの出口流を使用して、MAC復熱器106内で約180~225℃に加熱され得る。APU110から出てMAC復熱器106内で加熱されるプロセス流の一部は、次に、RAC復熱器112に送られる。MAC AC108又はAPU110、又はその両方の組合せは、プロセス流から水を除去するのをさらに補助するために、冷却器又はチラーシステム等の更なる冷却システムを含み得る。
【0102】
MAC復熱器106の下流側では、第1構成の導管に沿って、RAC復熱器112は、MAC復熱器106から出るプロセス流を受け取る。また、RAC復熱器112は、RAC HG HX116から出るプロセス流も受け取る(後述する)。MAC復熱器106と同様に、RAC復熱器112は、プロセス流を2つの異なる位置で受け取り、第1の位置でプロセス流から熱を捕捉し、それを第2の位置でプロセス流の別の部分に伝達するように構成される。本質的には、熱がある場所から別の場所に伝達されるプロセス流の熱の復熱ループを形成する。RAC復熱器112を通過するプロセス流の2つの部分は、混合を防ぐために、RAC復熱器112内の独立した2つの流体経路を通過することができる。
【0103】
上記の背景技術の段落で説明したように、典型的なCESシステムでは、リサイクル空気圧縮機内のプロセス流の圧縮により圧縮熱が発生する。しかしながら、そのようなリサイクル空気圧縮機の出口温度は約190℃の温度を有する可能性があり、従って、出力流の圧縮熱は、典型的には低グレードのみである。
【0104】
RAC復熱器112は、RAC HG HX116から出るプロセス流からの低グレード圧縮熱の少なくとも一部を(後述する)、MAC復熱器106から出てRAC114へ流れるプロセス流へ伝達するように構成される。従って、MAC復熱器106から出るプロセス流は、RAC HG HX116の出口流を使用して190℃以上に加熱され得る。その結果、RAC114の入口温度は、典型的なリサイクル空気よりもはるかに高くなり、これは、RAC114の排出温度を著しく高くさせ、約400℃を超えるMAC102の排出温度と一致する可能性がある。MAC復熱器106から出てRAC復熱器112内で加熱されたプロセス流は、次に、RAC114(後述する)に送られる一方、RAC HG HX116から出てRAC復熱器112内で冷却されたプロセス流は、次に、RAC AC118に送られる(後述する)。
【0105】
RAC復熱器112の下流側で、第1構成の導管に沿って、RAC114は、RAC復熱器112から出るプロセス流を受け取る。前述の段階中に、漏れ又は他の環境要因により、プロセス流の圧力がわずかに低下する可能性がある。しかしながら、RAC114は、プロセス流を(あらゆる圧力降下を考慮して)ほぼ第1の圧力から、約数十バールであり得る第2の圧力まで圧縮することができる。プロセス流が圧縮されると、圧縮熱が流れ内で生成されるため、その温度は大幅に上昇する。RAC114の入口温度の上昇により、出口温度は約400~440℃を超える。典型的なリサイクル空気圧縮機の出口プロセス流と比較して、RAC114の出口プロセス流には高グレード圧縮熱エネルギが含まれる可能性がある。
【0106】
RAC114の下流側では、第1構成の導管に沿って、RAC HG HX116は、RAC114から出るプロセス流を受け取る。また、RAC HG HX116は、第2構成の導管から熱伝達流体の流れを受け取る。RAC HG HX116は、プロセス流からの高グレード圧縮熱の少なくとも一部を熱伝達流体に伝達するように構成される。その結果、プロセス流は約210℃まで冷却される可能性があり、そのため残留低グレード圧縮熱が依然として含まれる可能性がある。
【0107】
上述したように、第1構成の導管に沿ったRAC HG HX116の下流側で、RAC復熱器112は、RAC HG HX116から出るプロセス流と、MAC復熱器106から出るプロセス流とを受け取る。RAC復熱器112は、RAC HG HX116から出るプロセス流からの低グレード圧縮熱の少なくとも一部を、MAC復熱器106から出るプロセス流に伝達するように構成される。RAC HG HX116から出てRAC復熱器112で冷却されるプロセス流は、次に、RAC AC118に送られる。
【0108】
第1構成の導管に沿ったRAC復熱器112の下流側で、RAC AC118は、RAC復熱器112から出るプロセス流を受け取る。RAC AC118は、プロセス流を低温ボックス120に送る前に、残留圧縮熱をプロセス流から除去するように構成される。RAC AC118は、プロセス流をほぼ周囲温度まで冷却することができる。
【0109】
RAC AC118の下流側では、第1構成の導管に沿って、低温ボックス120は、RAC AC118から出るプロセス流を受け取ることができる。上記の背景技術の段落で説明したように、低温ボックス120は、プロセス流が実質的に液体に凝縮するまで、プロセス流を冷却するように構成される。液体生成物は蒸気相から分離され、少なくとも一部は貯蔵のために極低温貯蔵タンク200に送られる。蒸気相の少なくとも一部(すなわち、任意の非液化プロセス流)は、液化を補助するために、低温ボックス120に入るプロセス流を冷却するために使用され得る。これは、低温ボックス120に入るプロセス流に対して逆流方向に、蒸気相を低温ボックス120に通過させることによって行われる。戻り流は、低温ボックス120を通過した後の蒸気相から形成され、第3構成の導管を通過して、RAC復熱器112の上流側のプロセス流を補充する。
【0110】
低温ボックス120からの戻り流は、周囲温度であり得、出口からMAC復熱器106に流れるプロセス流よりもはるかに大きな質量流量を有する可能性がある。従って、戻り流は、RAC114の入口の温度に大きな影響を与える可能性がある。プロセス流を液化するために低温ボックス120内で膨張タービンを使用するため、戻り流の質量流量は、典型的に、MAC復熱器106から出るプロセス流よりも大きい。例えば、戻り流が合流する前のプロセス流に対する戻り流の質量流量の比は、約11:7~13:5の間であってもよい。MAC復熱器106から出るプロセス流は十分に加熱されているが、低温ボックス120から出る戻り流はまだ加熱されていない可能性がある。従って、RAC復熱器112は、RAC114からの低グレード圧縮熱の少なくとも一部を回収してRAC114の入口に戻し、こうしてRAC114の出口温度を上昇させ、高グレード圧縮熱をRAC114の出口から抽出することができる。これはまた、プロセス流が低温ボックス120からの戻り流によって補充された後のプロセス流の冷却を妨げる(打ち消す)。
【0111】
高グレードTESD300は、MAC102及びRAC114でのプロセス流の圧縮の結果としてプロセス流に含まれる高グレード圧縮熱を蓄えるように構成される。高グレード熱は、MAC HG HX104、RAC HG HX116、及び第2構成の導管の熱伝達流体によってプロセス流から高グレードTESD300に伝達される。高グレードTESD300は、充填層TESD、固定液相ベースのTESD、又は好ましくは、上記の背景技術の段落で説明したような2リザーバTESDであってもよい。熱伝達流体は、空気又は圧縮空気等の気体、或いは水、グリコール、水とグリコールの混合物、サーマルオイル、サーマルオイルの混合物等の液体、或いは好ましくは溶融塩であってよい。
【0112】
液化サブシステム100のプロセス流はMAC102内で圧縮されるため、そのプロセス流には高グレード圧縮熱が含められる。次に、そのプロセス流はMAC HG HX104を通過し、そこで高グレード圧縮熱の少なくとも一部が第2構成の導管の熱伝達流体に伝達される。次に、熱伝達流体は、第2構成の導管を通って高グレードTESD300にポンプで送られる。高グレードTESD300では、高グレード熱が熱伝達流体から貯蔵媒体に伝達される。次に、冷たい熱伝達流体が再循環されてMAC HG HX104又はRAC HG HX116に戻され、熱伝達プロセスが繰り返される。
【0113】
同様のプロセスにおいて、液化サブシステム100のプロセス流がRAC114内で圧縮されるときに、上述したように、RAC復熱器112によるプロセス流の熱回収により、プロセス流には高グレード圧縮熱が含められる。次に、プロセス流はRAC HG HX116を通過し、そこで高グレード圧縮熱の少なくとも一部が第2構成の導管の熱伝達流体に伝達される。次に、熱伝達流体は、第2構成の導管を通って高グレードTESD300にポンプで送られる。高グレードTESD300において、高グレード熱は貯蔵媒体に伝達される。次に、冷たい熱伝達流体がMAC HG HX104又はRAC HG HX116にポンプで戻され、熱伝達プロセスが繰り返される。高グレードTESD300の貯蔵媒体は、好ましくは溶融塩であり得る。
【0114】
上述したように、MAC復熱器106からRAC復熱器112に流れるプロセス流は、RAC復熱器112に入る前に、低温ボックス120からの戻り流によって補充される。従って、RAC復熱器112を通る質量流量は、MAC復熱器106を通る質量流量よりもはるかに大きくなる可能性がある。例えば、MAC復熱器106を通る質量流量に対するRAC復熱器112を通る質量流量の比は、約17:7~19:5の間であってもよい。一般に、熱交換器では、熱伝達率は質量流量(mass flow rate)に比例する。熱交換器を通る流体の質量流量が増加すると、より多くの分子が熱交換器の内面と相互作用できるようになり、より多くの熱がその表面を通って伝導できるようになり、熱交換器がより多くの熱エネルギを伝達できるようになる。RAC復熱器112を通る質量流量の増加は、RAC復熱器112が交換に利用できる熱をMAC復熱器106よりも大幅に多くできることを意味し、そのためプロセス流がRAC114に入る前にプロセス流を加熱する上でより大きな役割を果たすことができる。従って、RAC復熱器112のみを残すために、MAC復熱器106を取り外すこともできる。
【0115】
図3は、MAC復熱器106を欠いていることを除いて、図2のCESシステムと同一であるCESシステムを示す。この修正により、液化サブシステムの簡素化が増し、そのようなシステムを構築するための資本支出を削減することができる。
【0116】
CESシステムは、液化サブシステム100及び高グレードTESD300を含む。液化サブシステム100は、同様に、図2のCESシステムと同様の構成であるメイン空気圧縮機(MAC)102、メイン空気圧縮機・高グレード熱交換器(MAC HG HX)104、メイン空気圧縮機・空調機(MAC AC)108、空気浄化ユニット(APU)110、リサイクル空気圧縮機・復熱器・熱交換器(RAC Recuperator)112、リサイクル空気圧縮機(RAC)114、リサイクル空気圧縮機・高グレード熱交換器(RAC HG HX)116、リサイクル空気圧縮機・空調機(RAC AC)118、低温ボックス120、第1構成の導管、第2構成の導管、及び第3構成の導管を含み得る。しかしながら、本CESシステムでは、MAC復熱器106が取り外されており、MAC HG HX104から出るプロセス流はMAC AC108に送られ、APU110から出るプロセス流はRAC復熱器112に送られる。
【0117】
図3のCESシステムは、第2の導管132及び第3の導管133が、MAC HG HX104をAPU110に直接接続する第12の導管142によって置き換えられ、第5の導管135及び第6の導管136が、APU110をRAC復熱器112に直接接続する第13の導管143によって置き換えられることを除いて、図2と同じ第1構成の液化導管を含む。
【0118】
MAC HG HX104は、MAC102内での圧縮の結果としてプロセス流に含まれる高グレード圧縮熱を、第2構成の導管の熱伝達流体に伝達するように構成される。次に、プロセス流はMAC AC108に直接送られる。しかしながら、MAC AC106が受け取ったプロセス流には依然として残留低グレード圧縮熱が含まれる可能性がある。APU110は、プロセス流がほぼ周囲温度にあるときに最適に動作することが理解される。従って、MAC AC108は、過剰な熱を大気中に放出して、プロセス流をほぼ周囲温度まで冷却するように構成することができる。あるいはまた、MAC AC108は、残留低グレード圧縮熱の少なくとも一部を、本CESシステム又は本CESシステムの一部として同じ場所に配置される別のシステム(例えば、動力回収サブシステム、液化サブシステム、又はより広範なCESシステムの他の部分)に伝達するように構成してもよい。更なる代替として、MAC AC108は、残留低グレード圧縮熱の少なくとも一部を、追加の熱を必要とする外部プロセス又はシステム(例えば、暖房設備、ボイラー、空調機等)に伝達してもよい。
【0119】
APU110は、MAC AC108からプロセス流を受け取り、水及びCOを除去することによってプロセス流を浄化するように構成される。次に、プロセス流は、APU110からRAC復熱器112に送られる。APU110を出るプロセス流は、ほぼ周囲温度である可能性があり、プロセス流がMAC復熱器106を通過しないため、プロセス流にはMAC102からの残留低グレード圧縮熱が含まれない可能性がある。
【0120】
APU110の下流側で、第1構成の導管に沿って、RAC復熱器112は、APU110から出るプロセス流と、RAC HG HX116から出るプロセス流とを受け取る。RAC復熱器112は、RAC HG HX116から出るプロセス流からの低グレード圧縮熱の少なくとも一部を(後述する)、APU110から出るプロセス流に伝達するように構成される。APU110から出るプロセス流は、RAC復熱器112で加熱され、次にRAC114に送られる一方、RAC HG HX116から出るプロセス流は、RAC復熱器112で冷却され、次にRAC AC118に送られる。CESシステムの残りの構成要素は、図2に示され、上述したCESシステムの残りの構成要素と同様の動作を実行する。
【0121】
低温ボックス120から出る戻り流は、APU110の下流側でプロセス流に合流する。上で述べたように、戻り流はほぼ周囲温度であり得る。APU110から出るプロセス流も、ほぼ周囲温度であり得る。従って、RAC復熱器112は、RAC114内での圧縮後にプロセス流に高グレード熱エネルギが確実に含まれるようにするために、戻り流によって補充された後に、十分な熱エネルギをプロセス流に伝達するように構成され得る。
【0122】
上述したように、低温ボックス120からの戻り流は、図2のCESシステムのMAC復熱器106又は図3のCESシステムのAPU110から出るプロセス流よりも大幅に高い質量流量を有する可能性がある。さらに、戻り流はほぼ周囲温度になる可能性がある。ただし、特に図2のCESシステムでは、MAC復熱器から出るプロセス流はさらに高温になり、約190℃になる可能性がある。従って、プロセス流が戻り流によって補充される場合に、異なる温度で流れが大幅に熱混合される危険性がある。これにより、プロセス流のエネルギポテンシャルが低下する可能性がある。
【0123】
図4は、RAC復熱器112が、MAC復熱器106から出るプロセス流をRAC114に補充する前に、RAC HG HX116を出るプロセス流からの低グレード圧縮熱の少なくとも一部を、低温ボックス120からの戻り流に伝達するように構成された点を除いて、図2に図示され、上述したCESシステムと同一であるCESシステムを示す。この構成により、本システムは、低温ボックス120からの戻り流をプロセス流のおおよその温度まで加熱することができる。これにより、異なる温度での流れの熱混合、及び上述した問題を回避することができる。
【0124】
図4のCESシステムは、MAC復熱器106をRAC復熱器112に接続する第6の導管136が、MAC復熱器106をRAC114に接続する第14の導管144に置き換えられることを除いて、図2と同じ第1構成の液化導管を含む。第14の液化導管144は、第3構成の液化導管に接続される分岐部Eを含む。第3構成の液化導管150は、冷蔵ボックス120をRAC復熱器112に接続する第1の戻り導管151と、RAC復熱器112を分岐部Eに接続する第2の戻り導管152とを含む。
【0125】
CESシステムは、液化サブシステム100及び高グレードTESD300を含む。液化サブシステム100は、同様に、図2に示され、上述したCESシステムと同様のメイン空気圧縮機(MAC)102、メイン空気圧縮機・高グレード熱交換器(MAC HG HX)104、メイン空気圧縮機・復熱器・熱交換器(MAC Recuperator)106、メイン空気圧縮機・空調機(MAC AC)108、空気浄化ユニット(APU)110、リサイクル空気圧縮機・復熱器・熱交換器(RAC Recuperator)112、リサイクル空気圧縮機(RAC)114、リサイクル空気圧縮機・高グレード熱交換器(RAC HG HX)116、リサイクル空気圧縮機・空調機(RAC AC)118、低温ボックス120、第1構成の導管、第2の配置、及び第3構成の導管を含み得る。
【0126】
MAC復熱器106からのプロセス流は、低グレード圧縮熱が含まれる可能性があり、RAC114に送られる。RAC114に送られる前に、プロセス流は、低温ボックス120からの戻り流によって補充される。次に、プロセス流は、RAC114内で圧縮され、RAC HG HX116に送られ、そこで高グレード圧縮熱が第2構成の導管の熱伝達流体を介して高グレードTESD300に伝達される。次に、プロセス流はRAC復熱器112に送られる。
【0127】
RAC復熱器112は、MAC復熱器106から出るプロセス流をRAC114に補充する前に、RAC HG HX116から出るプロセス流と、低温ボックス120からの戻り流とを受け取るように構成される。RAC復熱器112は、RAC HG HX116を出るプロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を戻り流に伝達するように構成される。低温ボックス120からの戻り流は、RAC復熱器112内で、MAC復熱器106からRAC114に流れるプロセス流のおおよその温度まで加熱され得る。RAC HG HX116からRAC復熱器112に流れるプロセス流は、RAC復熱器112で冷却され、次にRAC AC118に送られ、図2に示され、上述したCESシステムに関連して説明したのと同じ以降のプロセスに従う。低温ボックス120からRAC復熱器112に流れる戻り流は、RAC復熱器112内で加熱され、次にRAC114の上流側の第1構成の導管に送られ、そこでMAC復熱器106から出るプロセス流をRAC114に補充する。
【0128】
従って、低温ボックス120からの戻り流には、RAC復熱器112内の低グレード圧縮熱の少なくとも一部が含まれる。MAC復熱器106からRAC114に流れるプロセス流にはMAC復熱器106内の低グレード圧縮熱の一部が含まれるため、これらの流れが結合するときに、それらの流れは異なる温度では顕著な混合を受けない可能性がある。さらに、両方の流れが加熱されているため、RAC114で結合及び圧縮されると、プロセス流には高グレード圧縮熱が含まれることになる。これにより、本システムは、この高グレード熱の少なくとも一部を、RAC HG HX116及び第2構成の導管のシート伝達流体を介して高グレードTESD300に伝達することができる。
【0129】
前述したように、図4のCESシステムでは、低温ボックス120からの戻り流は、MAC102から出るプロセス流よりもかなり高い質量流量を有する可能性がある。従って、RAC復熱器112は、RAC復熱器112よりもかなり多くのエネルギを伝達し、その結果、RAC114の入力温度及びRAC114内で生成される高グレード圧縮熱の量を決定する上でより大きな役割を果たす。そのため、RAC復熱器112のみを残すために、MAC復熱器106を取り外すことができる。
【0130】
図5は、MAC復熱器106を欠いている点を除いて、図4のCESシステムと同一であるCESシステムを示す。この修正により、液化サブシステムの簡素化が増し、そのようなシステムを構築するための資本支出が削減され得る。
【0131】
CESシステムは、液化サブシステム100及び高グレードTESD300を含む。液化サブシステム100は、同様に、図4のCESシステムの同様の構成であるメイン空気圧縮機(MAC)102、メイン空気圧縮機・高グレード熱交換器(MAC HG HX)104、メイン空気圧縮機・空調機(MAC AC)108、空気浄化ユニット(APU)110、リサイクル空気圧縮機・復熱器・熱交換器(RAC Recuperator)112、リサイクル空気圧縮機(RAC)114、リサイクル空気圧縮機・高グレード熱交換器(RAC HG HX)116、リサイクル空気圧縮機・空調機(RAC AC)118、低温ボックス120、第1構成の導管、第2構成の導管、及び第3構成の導管を含み得る。しかしながら、MAC復熱器106は取り外されており、MAC HG HX104から出るプロセス流はMAC AC108に直接送られ、APU110から出るプロセス流はRAC復熱器112に直接送られる。
【0132】
図5のCESシステムは、MAC HG HX104及びMAC復熱器106を接続する第2の導管132と、MAC復熱器106をMAC AC108に接続する第3の導管133とが、MAC HG HX104をAPU110に直接接続する第12の導管142によって置き換えられ、APU110をMAC復熱器106に接続する第5の導管135と、MAC復熱器106をRAC復熱器112に接続する第6の導管136とが、APU110をRAC復熱器112に直接接続する第13の導管143によって置き換えられていることを除き、図4と同じ第1構成の液化導管を含む。
【0133】
MAC HG HX104を出るプロセス流は、残留低グレード圧縮熱を含んでおり、次にMAC AC108に送られる。MAC AC108は、プロセス流をほぼ周囲温度まで冷却するために過剰な熱を大気中に放出するように構成され得る。あるいはまた、MAC AC108は、残留低グレード圧縮熱の少なくとも一部を、本CESシステム本CESシステムの一部と同じ場所に配置される別のシステム(例えば、動力回収サブシステム、液化サブシステム、又はより広範なCESシステムの他の部分)に伝達するように構成され得る。更なる代替として、MAC AC108は、残留低グレード圧縮熱の少なくとも一部を、追加の熱を必要とする外部プロセス又はシステム(例えば、暖房設備、ボイラー、空調機等)に伝達することができる。
【0134】
APU110は、MAC AC108からプロセス流を受け取り、水及びCOを除去することによってプロセス流を浄化するように構成される。次に、プロセス流は、APU110からRAC114に送られる。APU110から出るプロセス流は、MAC復熱器106を通過せず、MAC102からの低グレード熱を受け取らないため、ほぼ周囲温度であり得る。APU110から出るプロセス流は、RAC114に送られる前に、低温ボックス120からの戻り流によって補充される。このCESシステムの残りの構成要素は、上述したように図4のCESシステムのものと同様の動作を実行する。
【0135】
RAC HG HX116の下流側で、第1構成の導管に沿って、RAC復熱器112は、RAC HG HX116から出るプロセス流と、低温ボックス120から出る戻り流とを受け取る。RAC復熱器112は、RAC HG HX116の下流側でプロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を、低温ボックス120からの戻り流に伝達するように構成される。低温ボックス120を出る戻り流と、APU110から出るプロセス流とは、ほぼ周囲温度であり得る。従って、RAC復熱器112は、RAC114内での圧縮後にプロセス流に高グレード圧縮熱エネルギが確実に含まれるようにプロセス流を補充する前に、戻り流に十分な熱エネルギを伝達するように構成することができる。
【0136】
図6は、液化サブシステム100及び高グレードTESD300を含むCESシステムを示す。液化サブシステム100は、極低温貯蔵タンク200に貯蔵するために周囲空気の流れを液体空気又は冷媒に変換するように構成される。液化サブシステム100は、プロセス流からの低グレード圧縮熱を直接捕捉して高グレードTESD300に高グレード熱として蓄えることができるように、圧縮機及び膨張機を利用して熱伝達流体の温度を上昇又は下降させることができる。
【0137】
液化サブシステム100は、メイン空気圧縮機(MAC)102、メイン空気圧縮機・高グレード熱交換器(MAC HG HX)104、メイン空気圧縮機・低グレード熱交換器(MAC LG HX)105、メイン空気圧縮機・空調機(MAC AC)108、空気浄化ユニット(APU)110、リサイクル空気圧縮機(RAC)114、リサイクル空気圧縮機・低グレード熱交換器(RAC LG HX)117、リサイクル空気圧縮機・空調機(RAC AC)118、及び低温ボックス120を含むことができる。CESシステムは、熱伝達流体膨張機(HTF Expander)122及び熱伝達流体圧縮機(HTF Compressor)124をさらに含むことができる。HTF膨張機122及びHTF圧縮機124は、液化サブシステム100内に構成してもよく、又は液化サブシステム100とは別であってもよい。CESシステムは、極低温貯蔵タンク200をさらに含むことができる。
【0138】
液化サブシステム100は、上流端及び下流端を有しており、液化サブシステム100のプロセス流をMAC102からMAC HG HX104、MAC LG HX105、MAC AC108、APU110、RAC114、RAC LG HX117、RAC AC118を通過させ、低温ボックス120に送るように構成された第1構成の導管をさらに含むことができる。第1構成の導管は図6の線ABで示され、ここで上流端は点Aにあり、下流端は点Bにある。CESシステムは、閉回路を形成し、高グレードTESD300、MAC HG HX104、HTF膨張機122、MAC LG HX105、RAC LG HX117、及びHTF圧縮機124の間で熱伝達流体を送るように構成された第2構成の導管をさらに含むことができる。第2構成の導管は、図6の閉回路Cによって示される。液化サブシステム100は、上流端及び下流端を有しており、低温ボックス120から第2のプロセス流(本明細書では戻り流と呼ぶ)を送って、RAC114の上流側の第1構成の導管のプロセス流を補充するように構成された第3構成の導管をさらに含むことができる。第3構成の導管は、図2の線DEによって示されており、ここで上流端は点Dにあり、下流端は点Eにある。
【0139】
図6のCESの第1構成の導管101は、以下のように流体接続された液化導管を含む:MAC102及びMAC HG HX104に接続される第1の導管131、MAC HG HX104及びMAC LG HX105に接続される第15の導管145、MAC LG HX105及びMAC AC108に接続される第16の導管146、MAC AC108及びAPU110に接続される第4の導管、APU110からRAC114に接続され、分岐部Eを含む第17の導管、RAC114をRAC LG HX117に接続する第18の導管、RAC LG HX117及びRAC AC118に接続される第19の導管149、並びにRAC AC118及び低温ボックス120に接続される第12の導管142である。
【0140】
図6のCESの第2構成の熱伝達導管610は、以下のように流体接続された熱伝達導管を含む:分岐部Fを含み、高グレードTESD300及びHTF膨張機122に接続される第5の導管165、HTF膨張機122と第7の導管167の分岐部Hとに接続される第6の導管166、MAC LG HX105及びRAC LG HX117に接続され、分岐部Hを含む第7の導管167、MAC LG HX105と第9の導管169の分岐部Jとに接続される第8の導管168、RAC LG HX117及びHTF圧縮機124に接続され、分岐部Jを含む第9の導管169、及び分岐部Gを含み、HTF圧縮機124及び高電圧圧縮機124に接続される第10の導管170である。図2図5と同様に、第2の導管162及び第4の導管164の接続は、それぞれ分岐部F及びGの代わりに高グレードTESD300に直接接続できることが理解されるだろう。
【0141】
CESシステムの放出フェーズ中に、MAC102は、周囲空気(すなわち、CESシステムの周りの大気中に存在する空気)を周囲気圧から第1の圧力(およそ2バール~数十バールの間であり得る)まで圧縮する。周囲空気は圧縮されるとかなり加熱され、圧縮熱が含まれるため、その温度は、周囲条件によっては周囲温度から約400℃以上に上昇することがある。このような温度では、プロセス流には高グレード圧縮熱が含まれる。
【0142】
第1構成の導管に沿ったMAC102の下流側で、MAC HG HX104は、MAC102から高温圧縮プロセス流を受け取る。また、MAC HG HX104は、第2構成の導管から熱伝達流体の流れを受け取る。MAC HG HX104は、プロセス流の高グレード圧縮熱の少なくとも一部を熱伝達流体に伝達するように構成される。その結果、プロセス流は約180~220℃に冷却される可能性があるため、プロセス流には残留低グレード圧縮熱が依然として含まれる可能性がある。
【0143】
第1構成の導管に沿ったMAC HG HX104の下流側で、MAC LG HX105は、MAC HG HX104からプロセス流を受け取る。また、MAC LG HX105は、HTF膨張機122の下流側の第2構成の導管から熱伝達流体の流れを受け取る(後述する)。MAC LG HX105は、プロセス流の残留低グレード圧縮熱の少なくとも一部を、HTF圧縮機124の上流側の第2構成の導管の熱伝達流体に伝達するように構成される(後述する)。熱伝達流体は、MAC102からの低グレード圧縮熱を含んでおり、次に第2構成の導管を通ってHTF圧縮機124に送られる(後述する)。
【0144】
第1構成の導管に沿ったMAC LG HX105の下流側で、MAC AC108は、MAC LG HX105からプロセス流を受け取り、プロセス流から最終的な圧縮熱を除去するように構成される。MAC AC108によって提供される冷却は、APU110に送られる前のプロセス流の最終温度を決定し、従って、APU110の入口温度を決定する。MAC AC108は、プロセス流をほぼ周囲温度まで冷却し得る。MAC AC108はまた、凝縮によりプロセス流から水分のかなりの部分を除去することもできる。
【0145】
MAC AC108の下流側で、第1構成の導管に沿って、APU110は、MAC AC108からプロセス流を受け取り、さもなければ動作中に凝固して液化サブシステムを詰まらせることになる水及びCOを除去することによってプロセス流を浄化するように構成される。APU110は、分子吸着、温度スイング吸着(TSA)、圧力スイング吸着(PSA)、又は両方の組合せを通じてプロセス流を浄化することができる。プロセス流からCO及び水を優先的に除去する特定の吸着剤をAPU内で使用することができる。プロセス流は、APU110内で発熱プロセスが発生する可能性があるため、ほぼ周囲温度又はわずかに高い温度でAPU110を出る可能性がある。
【0146】
APU110の下流側では、プロセス流は、図2図5のCESシステムと同様に、低温ボックス120からの戻り流によって補充される。低温ボックス120からの戻り流は、周囲温度付近の適度に低い温度であってもよい。さらに、低温ボックス120からの戻り流は、典型的に、出口からAPU110へのプロセス流よりもはるかに大きな質量流量を有する。
【0147】
APU110の下流側では、第1構成の導管に沿って、RAC114は、戻り流によって補充された後に、APU110から出るプロセス流を受け取る。前述の段階中に、プロセス流の圧力はわずかに低下する可能性があるが、RAC114は、プロセス流を(圧力降下を考慮して)ほぼ第1の圧力から約数十バールであり得る第2の圧力まで圧縮することがある。プロセス流が圧縮されると、圧縮熱が発生するため、その温度が大幅に上昇する。図2図5のCESシステムと比較すると、RAC114の入口温度はほぼ周囲温度であり得、RAC114の圧力比がMAC102よりも低いため、出口温度は約190℃未満となる可能性がある。従って、RAC114から出るプロセス流には、低グレード圧縮熱しか含まれていない可能性がある。
【0148】
RAC114の下流側で、第1構成の導管に沿って、RAC LG HX117はRAC114からプロセス流を受け取る。RAC LG HX117は、HTF膨張機122の下流側で第2構成の導管から熱伝達流体の流れも受け取る(後述する)。RAC LG HX117は、プロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を、HTF圧縮機124の上流側の第2構成の導管の熱伝達流体に伝達するように構成される。RAC114からの低グレード圧縮熱を含む熱伝達流体は、次に第2構成の導管を通ってHTF圧縮機124に送られる(後述する)。
【0149】
RAC LG HX117の下流側で、第1構成の導管に沿って、RAC AC118は、RAC LG HX117から出るプロセス流を受け取る。RAC AC118は、プロセス流を低温ボックス120に送る前に残留圧縮熱をプロセス流から除去するように構成される。RAC AC118は、プロセス流をほぼ周囲温度まで冷却することができる。
【0150】
第1構成の導管に沿ったRAC AC118の下流側で、低温ボックス120は、RAC AC118から出るプロセス流を受け取る。上記の背景技術の段落で説明したように、低温ボックス120は、プロセス流が実質的に液体に凝縮するまでプロセス流を冷却するように構成される。液体生成物の少なくとも一部が、蒸気相から分離され、後の使用のために極低温貯蔵タンク200に送られる。蒸気相の少なくとも一部(すなわち、任意の非液化プロセス流)は、液化を補助するために、低温ボックス120に入るプロセス流を冷却するために使用され得る。これは、低温ボックス120に入るプロセス流に対して逆流方向に、蒸気相を低温ボックス120に通過させることによって行われる。戻り流は、低温ボックス120を通過した後の蒸気相から形成され、第3構成の導管を通過して、RAC114の上流側のプロセス流を補充する。
【0151】
上述したように、MAC HG HX104は、プロセス流からの高グレード圧縮熱の少なくとも一部を熱伝達流体に伝達するように構成される。次に、熱伝達流体は、第2構成の導管を通って高グレードTESD300にポンプで送られる。一方、MAC LG HX105及びRAC LG HX117は、プロセス流からの残留低グレード圧縮熱の少なくとも一部を熱伝達流体に伝達するように構成される。次に、熱伝達流体は、第2構成の導管を通ってHTF圧縮機124にポンプで送られる。
【0152】
HTF圧縮機124は、MAC LG HX105とRAC LG HX117との両方から熱伝達流体を受け取るように構成される。次に、HTF圧縮機124は熱伝達流体を圧縮し、これにより、その温度を高グレードTESD300の温度及び/又はMAC HG HX104から出る熱伝達流体の温度にほぼ上昇させる可能性がある。追加の圧縮熱が発生した結果、HTF圧縮機124から出る熱伝達流体には、高グレード圧縮熱が含まれる可能性がある。次に、熱伝達流体は、第2構成の導管を通って高グレードTESD300にポンプで送られる。
【0153】
高グレードTESD300は、熱伝達流体に含まれる高グレード圧縮熱を貯蔵媒体に蓄えるように構成することができる。高グレードTESD300の貯蔵媒体は、溶融塩であることが好ましい。高グレードTESD300は、充填層TESD、固定液相ベースのTESD、又は好ましくは、上記の背景技術の段落で説明したような2リザーバTESDであってもよい。熱伝達流体は、ガス又は圧縮ガスであることが好ましい。高グレードTESD300では、熱伝達流体に含まれる高グレード圧縮熱が、熱伝達流体から貯蔵媒体に伝達される。次に、冷たい熱伝達流体は、MAC HG HX104及び/又はHTF膨張機122に戻され再循環される。上述したように、MAC HG HX104は、冷却された熱伝達流体の少なくとも一部を受け取り、MAC102内でのプロセス流の圧縮から発生するプロセス流からの高グレード圧縮熱の少なくとも一部を熱伝達流体に伝達するように構成される。
【0154】
HTF膨張機122は、高グレードTESD300から出る冷たい熱伝達流体の少なくとも一部を受け取るように構成される。高グレードTESD300から出る熱伝達流体は、MAC HG HX104又はRAC114から出るプロセス流と比較して依然として比較的高い温度を有する可能性がある。従って、HTF膨張機122は、熱伝達流体を膨張させ、これにより熱伝達流体を冷却し、膨張する熱伝達流体から仕事を抽出することも可能にする。HTF膨張機122は、電気を生成するための発電機に機械的に結合され得る。次に、熱伝達流体は、MAC LG HX105及びRAC LG HX117に送られ、上述したようにプロセス流から低グレード圧縮熱を受け取る。
【0155】
一般に圧縮機では、流体入口温度が上昇すると、流体分子の内部運動エネルギが大きくなるため、流体の圧縮に必要な仕事量も増加する。本CESシステムでは、RAC114の入口流体温度は、図2図5のCESシステムよりもはるかに低く、約200℃ではなくほぼ周囲温度であり得る。従って、本CESシステムのRAC114は、プロセス流を圧縮するために必要な作業が少なくなり、これは、このシステムのRAC114が作業負荷の軽減により長く持続する可能性があること、及び/又はより安価な圧縮機のタイプ又はモデルをRAC114用に調達でき、資本支出を削減できることを意味する。
【0156】
図3及び図5のCESシステムと同様の方法で、MAC LG HX105を取り外すことができる(図示せず)。この場合に、MAC HG HX104は、プロセス流をMAC AC108に直接送る。MAC AC108は、過剰な熱を大気中に放出して、プロセス流をほぼ周囲温度まで冷却するように構成され得る。あるいはまた、MAC AC108は、残留低グレード圧縮熱の少なくとも一部を、本CESシステム又は本CESシステムの一部と同じ場所に配置される別のシステム(例えば、動力回収サブシステム、液化サブシステム、又はより広範なCESシステムの他の部分)に伝達するように構成してもよい。更なる代替として、MAC AC108は、残留低グレード圧縮熱の少なくとも一部を、追加の熱を必要とする外部プロセス又はシステム(例えば、暖房設備、ボイラー、空調機等)に伝達することができる。
【0157】
図7は、動力回収サブシステム400及び高グレードTESD300を含むCESシステムを示す。動力回収サブシステム400は、作動流体を蒸発させ、加熱し、膨張させてそこから仕事を抽出するように構成される。動力回収サブシステム400は、極低温ポンプ402、蒸発器404、少なくとも1つのヒータ406、及び少なくとも1つの膨張段408を含み得る。CESシステムは、ベント500及び極低温貯蔵タンク200をさらに含み得る。
【0158】
少なくとも1つのヒータは、図7ではいくつかのヒータ406a、406n、及び406jによって表され、少なくとも1つの膨張段は、いくつかの膨張段408a、408n、及び408jによって表される。図7に示される様々なヒータ及び膨張段は、考えられるヒータ及び膨張段の可能な流体接続を示している。ヒータ406aは最初のヒータを表し、ヒータ406nは中間ヒータを表し、ヒータ406jは最終のヒータを表す。膨張段408aは最初の膨張段を表し、膨張段408nは中間の膨張段を表し、膨張段408jは最終の膨張段を表す。少なくとも1つの膨張段の各膨張段は、対応するヒータの下流側に位置する。動力回収サブシステム400は、好ましくは、4つのヒータと、それぞれの下流側に膨張段とを含む。
【0159】
動力回収サブシステム400は、動力回収ユニット400の作動流体をポンプ402から蒸発器404及び少なくとも1つのヒータ406のそれぞれ及び対応する膨張段408を通過して最終膨張段408jまで送るように構成された第1構成の動力回収導管401をさらに含むことができる。第1構成の導管は、図7の線ABで示されており、ここで上流端は点Aにあり、下流端は点Bにある。
【0160】
第1構成の動力回収導管401は、以下の流体接続された動力回収導管を含むことができる:ポンプ402及び蒸発器404に接続された第1の導管431、蒸発器404及び少なくとも1つのヒータ406nの少なくとも1つに接続された第2の導管432、少なくとも1つのヒータ406nのそれぞれと対応する膨張段408nとの間に接続された1つ又は複数の第3の導管433、少なくとも1つの膨張段408nのそれぞれから、含まれる場合に次の少なくとも1つのヒータ406n+1接続された1つ又は複数の第4の導管434、最終の膨張段408j及びベント500に接続された第5の導管435である。任意の数のヒータ406nがあり得ること、膨張段408n及びjは最大ステージ数又は必要なステージ数を示すものではないことが理解されるだろう。
【0161】
CESシステムは、閉回路を形成し、高グレードTESD300と少なくとも1つのヒータ406のそれぞれとの間に熱伝達流体を送るように構成された第2構成の熱伝達導管620、600をさらに含むことができる。図2と同様に図7では、第2構成の導管は閉回路Cで示される。
【0162】
第2構成の熱伝達導管620、600は、以下のように流体接続された熱伝達導管を含む:高グレードTESD300及び少なくとも1つのヒータ406のそれぞれにそれぞれ接続された1つ又は複数の第1の導管461と、少なくとも1つのヒータ406及び高グレードTESD300にそれぞれ接続される1つ又は複数の第2の導管462とである。
【0163】
CESシステムの放出フェーズ中に、極低温ポンプ402は、貯蔵タンク200から冷媒又は液体空気等の液体生成物の流れを抽出し、この流れを加圧して作動流体を形成するように構成される。ポンプ200は、貯蔵タンク200から引き出される冷媒の流れを制御するように構成される。
【0164】
ポンプ402の下流側で、第1構成の導管に沿って、蒸発器404は、ポンプ402から作動流体を受け取り、作動流体を実質的に又は完全に蒸発させるように構成される。
【0165】
蒸発器404の下流側では、第1構成の導管に沿って、少なくとも1つのヒータ406の第1(最初)のヒータ406aが蒸発器404から作動流体を受け取る。第1のヒータ406aはまた、第2構成の導管を介して高グレードTESD300から熱伝達流体を受け取る。高グレードTESD300から出る熱伝達流体には、液化サブシステム100から生じる高グレード圧縮熱が含まれ得る。第1のヒータ406aは、熱伝達流体からの高グレード圧縮熱の少なくとも一部を作動流体に伝達するように構成される。
【0166】
第1のヒータ406aの下流側で、第1構成の導管に沿って、少なくとも1つの膨張段408の第1(最初)の膨張段408aは、第1のヒータ406aから作動流体を受け取る。第1の膨張段408aは、作動流体を膨張させ、そこから仕事を抽出するように構成される。第1の膨張段408は、機械エネルギを電気エネルギに変換する発電機(図示せず)に機械的に結合され得る。
【0167】
複数のヒータ及び膨張段がある場合に、第1の膨張段408aの下流側で、第2のヒータ406nが第1の膨張段408aから作動流体を受け取り、第2の膨張段408nが第2のヒータ406nから作動流体を受け取る。第2のヒータ406n及び膨張段408nは、上述した第1のヒータ及び第1の膨張段と同じ作動流体の加熱及び膨張プロセスを実行することができる。これは、任意の数のヒータ及び対応する膨張段にも当てはまる。すなわち、各ヒータ406は、熱伝達流体からの高グレード熱を作動流体に伝達するように構成され、各膨張段408は、作動流体を膨張させて、機械エネルギを生成するように構成され、この機械エネルギは電気エネルギを生成するために使用できる。各膨張段408は、最終的に共通の発電機に機械的に結合される共通のシャフトに結合され得、これにより、各膨張段408が発電機で生成される電気エネルギに寄与することができる。
【0168】
最終の膨張段408j(上述したように第1の膨張段であってもよい)の下流側では、第1構成の導管に沿って、最終の膨張段408jからの排気は、ベント500を通って大気中に排出されるか、或いはCESシステムの別の部分(例えば、液化サブシステム、TESD等)、又は本CESシステムと同じ場所に配置される別のシステム(例えば、冷凍システム、空調システム、空気液化装置等)に再循環され得る。
【0169】
高グレードTESD300は、図2図5のCESシステムに関連して説明したように、放出フェーズ中に液化サブシステム100のプロセス流内で生成される高グレード圧縮熱を貯蔵媒体に蓄えるように構成され得る。高グレードTESD300の貯蔵媒体は、溶融塩であることが好ましい。高グレードTESD300は、充填層TESD、固定液相ベースのTESD、又は好ましくは、上記の背景技術の段落で説明したような2リザーバTESDであってもよい。第2構成の導管の熱伝達流体は、空気又は圧縮空気等の気体、或いは水、グリコール、水とグリコールの混合物、サーマルオイル、サーマルオイルの混合物等の液体、或いは好ましくは溶融塩であってよい。高グレードTESD300では、放出フェーズ中に、貯蔵媒体に含まれる高グレード圧縮熱が第2構成の導管の熱伝達流体に伝達される。次に、熱伝達流体は各ヒータ406に分配され、各ヒータでは、作動流体が対応する各膨張段408で膨張する前に、高グレード熱が作動流体に伝達される。
【0170】
一般に、膨張タービンによって生成される電力は、タービン全体の圧力比、タービンを通過する質量流量、及び入口温度の関数である。当技術分野で知られている動力回収システム(例えば、上記の背景技術の段落で説明した国際公開第2019/158921A1号)では、動力回収サブシステムのいくつかの膨張段は、低グレード圧縮熱によって加熱された作動流体から動力を生成するように指定される一方、一部の膨張段は、高グレード圧縮熱によって加熱された作動流体から動力を生成するように指定される。これは、膨張段の少なくとも一部がより低い温度で動作し、従って比出力がより低いことを意味する。
【0171】
これに対して、本CESシステムの膨張タービン408は全て、高グレードTESD300からの高グレード圧縮熱によって加熱された作動流体から動力を生成するように構成され得る。これは、膨張タービンの入口温度がより高くなり得、タービンは、より高い温度で動作し得、より高温の作動流体からより多くの仕事を抽出することができ、その結果、より高い比出力が得られることを意味する。これは、本CESシステムがより高い平均温度で動作するため、エネルギ密度が高く、作動流体の単位あたりにより多くのエネルギを生成できることを意味する。さらに、同様の温度で動作する膨張段を備えたCESプラントを構築及び保守すると、同じ、類似、又は同等の仕様の全ての拡張タービンを調達できるため、建設がより効率的になり、メンテナンスが容易になり、資本支出が削減される。これは、システムの簡素化につながり、プラントの構成要素のコスト全体の削減につながる可能性がある。
【0172】
図8は、動力回収サブシステム400が、作動流体を第1のヒータ406aで加熱する前に、最終膨張タービン408jの排気からの熱の少なくとも一部を作動流体に戻して伝達するように構成された予熱器405をさらに含むことを除いて、図7のCESシステムと同一であるCESシステムを示す。
【0173】
従って、図8のCESは、第5の導管435が分岐部K及びLをさらに含み、図7の第2の導管432が、蒸発器404及び予熱器405に接続された第6の導管436、蒸発器404及び第1のヒータ406aに接続された第7の導管437、分岐部K及び予熱器405に接続された第8の導管438、及び予熱器406a及び分岐部Lに接続された第9の導管439によって置き換えられることを除いて、図7のCESと同じ動力回収導管401を含む。好ましくは、分岐部Lは、第5の導管435内の分岐部Kの下流側にある。分岐部Kへの任意の接続は、最終膨張段408jにも接続することができ、分岐部Lへの任意の接続もベント500に直接接続できることが理解されるだろう。
【0174】
CESシステムは、動力回収サブシステム100及び高グレードTESD300を含む。動力回収サブシステム400は、同様に、図7のCESシステムと同様の構成である極低温ポンプ402、蒸発器404、少なくとも1つのヒータ406、少なくとも1つの膨張段408、第1構成の導管、及び第2構成の導管を含むことができる。CESシステムはまた、ベント500及び極低温貯蔵タンク200をさらに含むこともできる。
【0175】
蒸発器404の下流側では、第1構成の導管に沿って、予熱器405は蒸発器404から作動流体を受け取る。予熱器はまた、最終膨張タービン408jから出る排気の少なくとも一部を受け取る。予熱器は、排気に含まれる熱の少なくとも一部を作動流体に伝達するように構成される。次に、加熱した作動流体は、第1のヒータ406aに送られ、上述した図7のCESシステムに関連して説明した第1構成の導管を通る同じ以降のプロセスに従う。排気の冷却された部分は、ベント500を通って大気中に排出されるか、或いはCESシステムの別の部分(例えば、液化サブシステム、TESD等)又は本CESシステムと同じ場所に配置される別のシステム(例えば、冷凍システム、空調システム、空気液化装置等)に再循環され得る。
【0176】
作動流体を予熱することによって、このシステムは、蒸発器404から出る作動流体によって第1のヒータ406a内で冷却される結果として熱伝達流体が凝固するのを防ぐことができる。例えば、蒸発器404での蒸発後に、作動流体はほぼ周囲温度の温度を有し得るが、高グレードTESD300から第1のヒータ406aに流れる熱伝達流体の温度は、使用される流体に応じて約350~400℃となり得る。予熱器405がないと、上述したように190℃未満の凝固温度を有するいくつかの典型的な溶融塩等、いくつかの種類の熱伝達流体が凝固する可能性がある。熱伝達流体として作用するこれらの種類の溶融塩が第1のヒータ406a内で190℃未満に低下すると、凝固する危険性があり、第2構成の導管を詰まらせる。さらに、大幅に冷却されるか、又はその凝固温度に近づくと、熱伝達流体の粘性が高くなり、第2構成の導管を通して熱伝達流体を圧送するポンプに追加の仕事が必要になる可能性がある。作動流体は、第1のヒータ406aに入る前に、ほぼ周囲温度から約50~150℃に加熱され得るが、最終膨張タービン408jから出る排気は、蒸発器404への出口によって約210℃から125℃に冷却され得る。
【0177】
上で説明したCESシステムは、「高エネルギ密度」システムとみなされる。これは、高グレード熱のみが捕捉されるため、プロセス流体の液化中に捕捉される圧縮熱が従来のCESシステムよりも高温であり、従って液化サブシステム100の比仕事がより高いためである。動力回収サブシステムでは、その捕捉した熱エネルギを作動流体に適用することができ、その結果、膨張タービンの動作温度が高くなる。従って、動力回収サブシステムは、膨張する作動流体からより多くのエネルギを抽出でき、これは、作動流体の単位あたりにより多くのエネルギを生成するため、動力回収サブシステムの比仕事も増加することを意味する。従って、これらのシステムでは、より多くのエネルギが放出及び充填される。この結果、MWhの電力を生成するために必要な冷媒が少なくなる。これは、極低温貯蔵タンク、ひいてはCESシステムが、所与のプラントのエネルギサイズ(例えば、300MWhのプラント)に対して、体積ベースで大幅に小さくなる可能性があることを意味する。さらに、冷媒の使用量が減少するため、所定量のエネルギを蓄えるのに必要な充填時間も短縮される可能性がある。
【0178】
さらに、上述したように、開示するCESシステムは、MAC102及びRAC114からの圧縮熱を単一の高グレードTESD300に効率的に蓄えることができ、これは、低グレードTESDが必要ないことを意味し、プラントの複雑さを軽減し、当該プラントの建設に必要な資本的支出を削減する。さらに、低グレードTESDの除去により、前述したような温度躍層ベースの低グレードTESDシステムの成層境界での熱混合、従って低グレードTESDに関連する損失及び非効率等の問題が回避される。また、高グレード熱を捕捉することにより、熱伝達流体又は貯蔵媒体として溶融塩を使用することが可能になり、その入手可能性、低コスト、非毒性、非可燃性、高い熱安定性、及び低い蒸気圧により有利である。蒸気圧が低いということは、その塩が大気圧で液体であることを意味し、その結果、加圧タンクを必要としない貯蔵システム設計が可能になる。
【0179】
上述したように、本発明のCESシステムは、図2図6に示し又は上述した液化サブシステム100構成のいずれかと、図7又は図8に示し又は上述した動力回収サブシステム400構成のいずれかとの組合せを含むことができる。本発明のCESシステムはさらに、充填フェーズから放出フェーズまでの任意の動作、又は充填フェーズプロセス全体から放出フェーズ全体までの任意の動作を同時に実行するように構成することができる。さらに、液化サブシステム100及び動力回収サブシステム400の熱伝達流体は、同じ流体であってもよく、液化サブシステム100、高グレードTESD300、及び動力回収サブシステム400の間で熱伝達流体を送るように構成された共通の閉二重ループを通過してもよい。この場合に、図2図6に関連して説明した第2構成の導管を、図7又は図8の第2構成の導管に流体的に結合して、閉二重ループ構造を形成することができる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-04-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極低温エネルギ貯蔵システムであって、当該極低温エネルギ貯蔵システムは、
液化サブシステム(100)であって、
第1の圧縮機(102)、
第1の熱交換器(104)、
第2の圧縮機(114)、
第2の熱交換器(116)、
第3の熱交換器(112)、及び
上流端(A)及び下流端(B)を有しており、前記第1の圧縮機(102)からのプロセス流を前記第1の熱交換器(104)、前記第2の圧縮機(114)、前記第2の熱交換器(116)、及び前記第3の熱交換器(112)を通過させるように構成された第1構成の導管(AB)を含む、液化サブシステム(100)と、
高グレード熱を蓄えるように構成された熱エネルギ貯蔵装置(300)と、
閉回路を形成し、前記熱エネルギ貯蔵装置(300)、前記第1の熱交換器(104)、及び前記第2の熱交換器(116)の間で熱伝達流体を送るように構成された第2構成の導管(C)と、を含み、
前記第1の熱交換器(104)は、前記第1の圧縮機(102)の下流側で前記第1構成の導管(AB)に沿って位置付けされ、且つ前記第1の圧縮機からの前記プロセス流の高グレード圧縮熱の少なくとも一部を、前記熱伝達流体を介して前記熱エネルギ貯蔵装置(300)に伝達するように構成され、
前記第2の熱交換器(116)は、前記第2の圧縮機(114)の下流側で前記第1構成の導管(AB)に沿って位置付けされ、且つ前記第2の圧縮機からの前記プロセス流の高グレード圧縮熱の少なくとも一部を、前記熱伝達流体を介して前記熱エネルギ貯蔵装置(300)に伝達するように構成され、
前記第3の熱交換器(112)は、前記第2の熱交換器(116)の下流側で前記第1構成の導管(AB)に沿って位置付けされ、且つ前記第2の熱交換器からの前記プロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記第2の圧縮機(114)に伝達するように構成され、それにより前記低グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記第2の圧縮機(114)に戻す、
極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項2】
前記液化サブシステム(100)は、前記第1の熱交換器(104)の下流側で前記第1構成の導管(AB)に沿って位置付けされた空気浄化ユニットをさらに含み、該空気浄化ユニットは前記プロセス流を浄化するように構成される、請求項1に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項3】
前記液化サブシステム(100)は、前記空気浄化ユニットと前記第1の熱交換器(104)との間で前記第1構成の導管(AB)に沿って位置付けされた第1の空調ユニットをさらに含み、該第1の空調ユニットは、前記プロセス流の圧縮熱を前記第1の圧縮機(102)から実質的に又は完全に除去するように構成される、請求項2に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項4】
前記液化サブシステム(100)は、前記第1の熱交換器(104)と空気浄化ユニットとの間で前記第1構成の導管(AB)に沿って位置付けされ、且つ前記第1の熱交換器からの前記プロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記空気浄化ユニットの下流側で前記プロセス流に伝達するように構成された第4の熱交換器をさらに含む、請求項2に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項5】
前記第2の熱交換器からの前記プロセス流の前記低グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記第2の圧縮機(114)に伝達するように構成された前記第3の熱交換器(112)は、前記第2の熱交換器からの前記プロセス流の前記低グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記第2の圧縮機(114)の上流側の前記プロセス流に伝達することを含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項6】
前記液化サブシステム(100)はさらに、低温ボックスに結合されるように構成された上流端と、下流端とを有する第3構成の導管をさらに含み、該第3構成の導管は、前記低温ボックスからの戻り流を通過させて前記第2の圧縮機(114)の上流側の前記プロセス流を補充するように構成される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項7】
前記第2の熱交換器からの前記プロセス流の前記低グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記第2の圧縮機(114)に伝達するように構成された前記第3の熱交換器(112)は、前記プロセス流を補充する前に、前記第2の熱交換器からの前記プロセス流の前記低グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記戻り流に伝達することを含む、請求項6に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項8】
前記第2の熱交換器からの前記プロセス流の前記低グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記第2の圧縮機(114)に伝達するように構成された前記第3の熱交換器(112)は、そのプロセス流が前記戻り流によって補充された後に、前記第2の熱交換器からの前記プロセス流の前記低グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記プロセス流に伝達することを含む、請求項6に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項9】
極低温エネルギ貯蔵システムであって、当該極低温エネルギ貯蔵システムは、
液化サブシステム(100)であって、
第1の圧縮機(102)、
第1の熱交換器(104)、
第2の圧縮機(114)、
第2の熱交換器(117)、及び
上流端(A)及び下流端(B)を有しており、プロセス流を前記第1の圧縮機(102)、前記第1の熱交換器(104)、第2の圧縮機(114)、及び前記第2の熱交換器(117)に通過させる通すように構成された第1構成の導管(AB)を含む、液化サブシステム(100)と、
高グレード熱を蓄えるように構成された熱エネルギ貯蔵装置(300)と、
第1の膨張機(122)と、
第3の圧縮機と、
閉回路を形成し、前記熱エネルギ貯蔵装置(300)、前記第1の熱交換器(104)、前記第1の膨張機(122)、前記第2の熱交換器(117)、及び前記第3の圧縮機の間で熱伝達流体を送るように構成された第2構成の導管(C)と、を含み、
前記第1の熱交換器(104)は、前記第1の圧縮機(102)の下流側で前記第1構成の導管(AB)に沿って位置付けされ、且つ前記第1の圧縮機からの前記プロセス流の高グレード圧縮熱の少なくとも一部を、前記熱伝達流体を介して前記熱エネルギ貯蔵装置(300)に伝達するように構成され、
前記第2の熱交換器(117)は、前記第2の圧縮機(114)の下流側で前記第1構成の導管(AB)に沿って位置付けされ、且つ前記第2の圧縮機からの前記プロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を、前記熱伝達流体を介して前記第3の圧縮機に伝達するように構成され、
前記第3の圧縮機は、前記第2の熱交換器(117)の下流側で前記第2構成の導管(C)に沿って位置付けされ、且つ熱伝達流体を圧縮し、前記第3の圧縮機からの前記熱伝達流体の高グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記熱エネルギ貯蔵装置(300)に伝達するように構成され、
前記第1の膨張機(122)は、前記熱エネルギ貯蔵装置(300)の下流側で前記第2構成の導管(C)に沿って位置付けされ、且つ前記熱伝達流体を膨張させ、そこから仕事を抽出するように構成される、
極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項10】
前記液化サブシステム(100)は、前記第1の熱交換器(104)の下流側で前記第1構成の導管(AB)に沿って位置付けされた第3の熱交換器(105)をさらに含み、
該第3の熱交換器(105)は、前記第1の熱交換器からの前記プロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を、前記熱伝達流体を介して前記第3の圧縮機(124)に伝達するように構成される、請求項9に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項11】
前記液化サブシステム(100)は、前記第2の圧縮機(114)の上流側で前記第1構成の導管(AB)に沿って位置付けされた空気浄化ユニットをさらに含み、該空気浄化ユニットは前記プロセス流を浄化するように構成される、請求項9に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項12】
前記液化サブシステム(100)は、前記空気浄化ユニットの上流側で前記第1構成の導管(AB)に沿って位置付けされた第1の空調ユニットをさらに含み、該第1の空調ユニットは、前記プロセス流の圧縮熱を前記第1の圧縮機(102)から実質的に又は完全に除去するように構成される、請求項11に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項13】
前記液化サブシステム(100)は、低温ボックスに結合されるように構成された上流端と、下流端とを有する第3構成の導管をさらに含み、該第3構成の導管は、前記低温ボックスからの戻り流を通過させて前記第2の圧縮機(114)の上流側の前記プロセス流を補充するように構成される、請求項9乃至12のいずれか一項に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項14】
前記液化サブシステム(100)は、前記第1構成の導管(AB)の下流端に位置付けされ、且つ前記プロセス流を少なくとも部分的に液化して液化生成物を形成するように構成された低温ボックスをさらに含む、請求項9乃至13のいずれか一項に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項15】
前記液化サブシステム(100)は、前記低温ボックスの上流側で前記第1構成の導管(AB)に沿って位置付けされた第2の空調ユニットをさらに含み、該第2の空調ユニットは、前記プロセス流の圧縮熱を前記第2の圧縮機(114)から実質的に又は完全に除去するように構成される、請求項14に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項16】
前記低温ボックスは、任意の非液化プロセス流の少なくとも一部を含む前記戻り流を前記第3構成の導管に送るように構成される、請求項6又は13に従属する場合の、請求項14に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項17】
前記低温ボックスは、前記液化生成物の少なくとも一部を極低温貯蔵タンクに送るように構成される、請求項14に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項18】
前記熱伝達流体が第1の熱伝達流体であり、前記極低温エネルギ貯蔵システムは動力回収サブシステムをさらに含み、
該動力回収サブシステムは、
ポンプ、
蒸発器、
少なくとも1つのヒータ、
該少なくとも1つのヒータのそれぞれに対応する膨張段、
上流端及び下流端を有しており、前記ポンプからの作動流体を前記蒸発器、前記少なくとも1つのヒータのそれぞれ及び対応する膨張段に通過させるように構成された第4構成の導管であって、各ヒータはその対応する膨張段の上流側に位置付けされる、前記第4構成の導管、及び
閉回路を形成し、前記熱エネルギ貯蔵装置(300)と前記少なくとも1つのヒータの各ヒータとの間に第2の熱伝達流体を送るように構成された第5構成の導管を含み、
各ヒータは、前記熱エネルギ貯蔵装置(300)からの高グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記第2の熱伝達流体を介して前記作動流体に伝達するように構成され、
各膨張段は、前記作動流体を膨張させ、そこから仕事を抽出するように構成される、
請求項9乃至17のいずれか一項に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項19】
前記動力回収サブシステムは、第1のヒータの上流側で前記第4構成の導管に沿って位置付けされた予熱器をさらに含み、
該予熱器は、最終膨張段からの排気の少なくとも一部を受け取り、前記最終膨張段の前記排気からの熱の少なくとも一部を前記第1のヒータの上流側の前記作動流体に伝達するように構成される、請求項18に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項20】
前記ポンプは、液化生成物を極低温貯蔵タンクからポンプで送り出し、それを加圧して前記作動流体を形成するように構成される、請求項18に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項21】
前記第1及び第2の熱伝達流体は同じ流体であり、前記第2構成の導管(C)及び前記第5構成の導管は、流体的に接続され、同じ熱伝達流体を共有する、請求項18に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項22】
前記第1及び第2の熱伝達流体は、空気、圧縮空気、水、グリコール、水とグリコールの混合物、サーマルオイル、サーマルオイルの混合物、又は溶融塩を含む、請求項18乃至21のいずれか一項に記載の極低温エネルギ貯蔵システム。
【請求項23】
極低温エネルギ貯蔵システムにおける圧縮熱を蓄えるための方法であって、当該方法は、
第1の圧縮機(102)及び第2の圧縮機(114)を含む液化サブシステム(100)を提供するステップと、
高グレード熱を蓄えるように構成された熱エネルギ貯蔵装置(300)を提供するステップと、
前記第1の圧縮機(102)においてプロセス流を圧縮するステップと、
前記第1の圧縮機からの前記プロセス流の高グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉し、それを熱伝達流体を介して前記熱エネルギ貯蔵装置(300)に貯蔵するステップと、
前記第2の圧縮機(114)において前記プロセス流を圧縮するステップと、
前記第2の圧縮機からの前記プロセス流の高グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉し、それを前記熱伝達流体を介して前記熱エネルギ貯蔵装置(300)に貯蔵するステップと、
前記第2の圧縮機からの前記プロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉し、それを前記第2の圧縮機(114)に戻すステップと、を含む、
方法。
【請求項24】
当該方法は、前記第1の圧縮機からの前記プロセス流の前記高グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉した後に、前記プロセス流を浄化するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
当該方法は、前記プロセス流を浄化する前に、前記プロセス流の圧縮熱を前記第1の圧縮機(102)から実質的に又は完全に除去するように前記プロセス流を調整するステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
当該方法は、前記第1の圧縮機からの前記プロセス流の前記高グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉した後に、前記第1の圧縮機からの前記プロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉し、前記プロセス流を浄化した後にその圧縮熱を前記プロセス流に伝達するステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記第2の圧縮機からの前記プロセス流の前記低グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記第2の圧縮機(114)に戻すステップは、前記プロセス流を前記第2の圧縮機(114)において圧縮する前に、前記第2の圧縮機からの前記プロセス流の前記低グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記プロセス流に伝達するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
当該方法は、前記プロセス流を前記第2の圧縮機(114)において圧縮する前に、前記プロセス流に戻り流を補充するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記第2の圧縮機からの前記プロセス流の前記低グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記第2の圧縮機(114)に戻すステップは、そのプロセス流が前記戻り流によって補充された後に、前記第2の圧縮機からの前記プロセス流の前記低グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記プロセス流に伝達するステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の圧縮機からの前記プロセス流の前記低グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記第2の圧縮機(114)に戻すステップは、前記プロセス流を補充する前に、前記第2の圧縮機からの前記プロセス流の前記低グレード圧縮熱の少なくとも一部を前記戻り流に伝達するステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
当該方法は、前記第2の圧縮機からの前記プロセス流の前記低グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉した後に、前記プロセス流の圧縮熱を前記第2の圧縮機から実質的に又は完全に除去するように前記プロセス流を調整するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
極低温エネルギ貯蔵システムにおける圧縮熱を蓄えるための方法であって、当該方法は、
第1の圧縮機(102)、第2の圧縮機(114)、第3の圧縮機(124)、及び膨張機(122)を含む液化サブシステム(100)を提供するステップと、
高グレード熱エネルギを貯蔵するように構成された熱エネルギ貯蔵装置(300)を提供するステップと、
前記第1の圧縮機(102)においてプロセス流を圧縮するステップと、
前記第1の圧縮機からの前記プロセス流の高グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉し、それを前記熱エネルギ貯蔵装置(300)に蓄えるステップと、
前記第2の圧縮機(114)において前記プロセス流を圧縮するステップと、
前記第2の圧縮機からの前記プロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉し、それを熱伝達流体を介して前記第3の圧縮機(124)に伝達するステップと、
前記第3の圧縮機(124)において前記熱伝達流体を圧縮するステップと、
前記第3の圧縮機からの前記熱伝達流体の高グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉し、それを前記熱エネルギ貯蔵装置(300)に蓄えるステップと、
前記熱伝達流体を前記膨張機(122)内で膨張させ、そこから仕事を抽出するステップと、を含む、
方法。
【請求項33】
当該方法は、前記第1の圧縮機からの前記プロセス流の前記高グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉した後に、前記第1の圧縮機からの前記プロセス流の低グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉し、それを前記熱伝達流体を介して前記第3の圧縮機(124)に伝達するステップを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
当該方法は、前記プロセス流を前記第2の圧縮機(114)において圧縮する前に、前記プロセス流を浄化するステップを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
当該方法は、前記プロセス流を浄化する前に、前記プロセス流の圧縮熱を前記第1の圧縮機(102)から実質的に又は完全に除去するように前記プロセス流を調整するステップを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
当該方法は、前記第2の圧縮機からの前記プロセス流の前記低グレード圧縮熱の少なくとも一部を捕捉した後に、前記プロセス流の圧縮熱を前記第2の圧縮機(114)から実質的に又は完全に除去するように前記プロセス流を調整するステップを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
当該方法は、前記プロセス流を前記第2の圧縮機(114)において圧縮する前に、前記プロセス流に戻り流を補充するステップを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
当該方法は、前記プロセス流を少なくとも部分的に液化し、液化生成物を形成するステップを含む、請求項23乃至37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
当該方法は、前記液化生成物の少なくとも一部を極低温貯蔵タンクに送るステップを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
当該方法は、任意の非液化プロセス流の少なくとも一部を前記戻り流として通過させ、前記プロセス流を補充するステップを含む、請求項27又は37に従属する場合の、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
当該方法は、
前記熱エネルギ貯蔵装置(300)に蓄えた高グレード圧縮熱の少なくとも一部を用いて作動流体を加熱するステップと、
前記作動流体を膨張段で膨張させ、そこから仕事を抽出するステップとをさらに含む、請求項23又は32に記載の方法。
【請求項42】
当該方法は、前記作動流体を加熱する前に、前記膨張段からの排気流を用いて前記作動流体を予熱するステップを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
液化生成物を極低温貯蔵タンクからポンプで送り出し、それを加圧して前記作動流体を形成するステップをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【国際調査報告】