IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダースト・グループ・アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

特表2024-540803印刷データを合成してプリンターに提供するための方法および製品
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】印刷データを合成してプリンターに提供するための方法および製品
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20241029BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
G06F3/12 344
B41J2/01 201
G06F3/12 347
G06F3/12 303
G06F3/12 340
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516774
(86)(22)【出願日】2022-09-09
(85)【翻訳文提出日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 EP2022025420
(87)【国際公開番号】W WO2023066512
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】102021000026552
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524097872
【氏名又は名称】ダースト・グループ・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】DURST GROUP AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュトール,トーマス
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA01
2C056EA24
2C056EC69
2C056FA13
(57)【要約】
本発明は、mビット印刷データを合成し、そのデータをプリンターに提供するための方法、好ましくはコンピュータ実装方法に関し、本方法は、a)複数のプロセッサを備える少なくとも1つのシステムオンチップを有するラスタ画像プロセッサに、ページ記述言語の形式の少なくとも1つの画像のオブジェクトベースのデータを入力することと、b)オブジェクトベースのデータを複数のプロセッサの一部または全部に提供し、プロセッサによって並列にデータを処理することによって、オブジェクトベースのデータを所定の画像解像度を有する第1のターゲット色空間の各色チャネルのnビットピクセルデータに変換することと、c)各色チャネルのnビットピクセルデータを少なくとも1つのディザリングアルゴリズムによって第2のターゲット色空間の各色チャネルのmビット印刷データに変換し、mビット印刷データを出力メモリに記憶またはバッファすることと、d)mビット印刷データをプリンターに供給し、プリンターによって少なくとも1つの印刷媒体に印刷することと、を含む。システムオンチップは、プログラマブルシステムオンチップとして提供され、プロセッサは、各々が少なくとも1つのベクトルベースの算術論理演算ユニットを有する単一命令複数データ対応または複数命令複数データ対応のプロセッサとして提供され、ベクトルベースの算術論理演算ユニットは各々、工程b)による並列処理中に、各々がxビットのビット幅を有する、関連する算術論理演算ユニットに並列に入る複数のオブジェクトベースのデータが、所定の算術演算セットを使用して、xビットのビット幅よりも大きいyビットのビット幅を有するピクセルデータに変換され、その後、整数個のnビットピクセルデータからなるピクセル行列の形式のyビットピクセルデータがピクセルメモリに記憶またはバッファされるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Mビット印刷データを合成し、それを少なくとも1つのプリンターに提供するための方法、好ましくはコンピュータ実装方法であって、
a)複数のプロセッサを備える少なくとも1つのシステムオンチップを有するラスタグラフィックスプロセッサに、ページ記述言語の形式の少なくとも1つの画像のオブジェクトベースのデータを入力することと、
b)前記複数のプロセッサの一部または全部に前記オブジェクトベースのデータを提供し、前記プロセッサで並列にそれらを処理することによって、前記オブジェクトベースのデータを指定された画像解像度を有する第1のターゲット色空間の各色チャネルのNビットピクセルデータに変換することと、
c)各色チャネルの前記Nビットピクセルデータを少なくとも1つのディザリングアルゴリズムを用いて第2のターゲット色空間の各色チャネルのMビット印刷データに変換し、前記Mビット印刷データを出力メモリにバッファまたは記憶することと、
d)前記Mビット印刷データを前記少なくとも1つのプリンターに供給し、前記プリンターを用いて少なくとも1つの印刷媒体に印刷することと、を含み、
前記システムオンチップは、プログラマブルシステムオンチップとして提供され、前記プロセッサは、各々が少なくとも1つのベクトルベースの算術論理演算ユニットを有する、単一命令複数データ対応または複数命令複数データ対応のプロセッサとして提供され、
ベクトルベースの算術論理演算ユニットは各々、
工程b)による並列処理の間、所定の計算演算セットを使用してそれぞれの前記算術論理演算ユニットに並列に入る、各々がXビットのビット幅を有するいくつかのオブジェクトベースのデータが、Xビットの前記ビット幅よりも大きいYビットのビット幅を有するピクセルデータに変換され、
次いで、前記Yビットピクセルデータが、整数個のNビットピクセルデータからなるピクセル行列の形式でピクセルメモリにバッファまたは記憶されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記単一命令複数データ対応または複数命令複数データ対応のプロセッサは、提供される単一命令複数データ対応または複数命令複数データ対応のベクトルプロセッサであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記オブジェクトベースのデータは、各々がベクトルベースのページ記述言語の形式のオブジェクトベースのPDFデータおよび/またはオブジェクトベースのPostScriptデータを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
減法色空間が、好ましくは少なくともシアン(C)、マゼンタレッド(M)、イエロー(Y)、およびブラック(K)の前記色チャネルを含む前記第1のターゲット色空間として指定され、好ましくは少なくともシアン(C)、マゼンタレッド(M)、イエロー(Y)、およびブラック(K)の前記色チャネルを含み、特に所定の緑および/または紫および/またはオレンジの前記色チャネルのうちの少なくとも1つを含む減法色空間が前記第2のターゲット空間として指定されることを特徴とする、先行する請求項の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項5】
前記Nビットピクセルデータが、8ビット/9ビット/10ビット/11ビット/12ビット/13ビット/14ビット/15ビットまたは16ビットのビット幅、好ましくは8ビット/16ビット/32ビットまたは64ビットのビット幅、特に8ビットのビット幅を有し、前記Mビット印刷データが、1ビット/2ビット/3ビットまたは4ビットのビット幅を有することを特徴とする、先行する請求項の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項6】
前記Xビットピクセルデータが、8ビット/16ビット/32ビットまたは64ビット、好ましくは8ビットのビット幅を有し、前記Yビット印刷データが、16ビット/32ビット/64ビット/128ビット/256ビット/512ビット/1024ビット/2048ビットまたは4096ビット、好ましくは128ビット/256ビット/512ビット/1024ビット/2048ビットまたは4096ビットのビット幅を有することを特徴とする、先行する請求項の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ラスタグラフィックスプロセッサが、変換モードR1およびR2を備えており、工程b)による前記変換は、1つまたは複数の変換サイクルで行われ、変換サイクルは、以下の工程:
e)変換進捗に基づいて変換対象の前記画像のオブジェクトのオブジェクトグループを決定することと、
f)対応する必要計算労力Rが所定の値Sを超えるかまたは前記値Sを下回るかを予測するために、前記オブジェクトグループから各オブジェクトの計算労力Rを決定し、前記計算労力が前記値Sを下回る場合にはそれぞれの前記オブジェクトをタイプAに分類し、前記計算労力が前記値Sを超える場合にはタイプBに分類することと、
g)
i.前記オブジェクトがタイプAとして分類された場合、モードR1が選択され、前記オブジェクトがモードR1に従っていくつかの独立した再ベクトル化されたオブジェクトに分解され、前記再ベクトル化されたオブジェクトが、所定数のプロセッサに提供され、工程b)に従って前記プロセッサによって変換され、再ベクトル化されたオブジェクトが前記オブジェクトの部分オブジェクトであり、全体として前記オブジェクトを形成する、
ii.前記オブジェクトがタイプBとして分類された場合、モードR2が選択され、前記オブジェクトが、工程b)に従っていくつかの独立した再ベクトル化されたオブジェクトに分解されることなくモードR2に従って変換される、ことによって前記変換を開始することと、
を含む、先行する請求項の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項8】
前記オブジェクトがタイプAとして分類された場合、工程b)における前記オブジェクトベースのピクセルデータは、前記プログラマブルシステムオンチップの内部ピクセルメモリにバッファまたは記憶され、前記オブジェクトがタイプBとして分類された場合、前記オブジェクトベースのピクセルデータは、前記プログラマブルシステムオンチップの外部のピクセルメモリ、好ましくはキャッシュメモリにバッファまたは記憶されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記所定の値Sは、一定の値を有するか、または各変換サイクルにおける工程e)の後および工程f)の前に、前記複数のプロセッサ内で自由に決定された利用可能な計算能力に基づいて、好ましくは架空のオブジェクトのサイズおよび/または向きに基づいて、好ましくは指定の変換モード表から得られる、変数値が指定されるかのいずれかであることを特徴とする、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
工程(g[i])による前記オブジェクトの再ベクトル化されたオブジェクトへの前記分解、および前記再ベクトル化されたオブジェクトの所定数のプロセッサへの提供が、前記プログラマブルシステムオンチップのシングルまたはマルチコアメインプロセッサを用いて行われることを特徴とする、請求項7~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記オブジェクトグループから変換される各オブジェクトについて、工程f)による前記計算労力Rが、前記画像内の変換されるそれぞれの前記オブジェクトの前記サイズおよび/または前記向きに基づいて予測され、前記計算労力が、好ましくは計算労力予測表に記憶されたことを特徴とする、請求項7~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
グラフィックプリミティブのグループからの前記グラフィックプリミティブの各々について、長方形、円形、三角形、または線のうちの少なくとも1つ、好ましくはいくつかの単一命令複数データ対応または複数命令複数データ対応のプロセッサが提供され、その各々が、その少なくとも1つのベクトルベースの算術論理演算ユニットを制御するためにそれぞれの前記グラフィックプリミティブに合わせて調整された所定の算術演算セットを排他的に含み、それによって、前記グループからの各算術演算セットが、前記グループからの他のすべての算術演算セットとは異なり、工程b)によれば、前記オブジェクトベースのデータが、それらのグラフィックプリミティブに応じて、それらプロセッサまたは前記グラフィックプリミティブと調整された前記所定の算術演算セットを含むプロセッサのみに提供されることを特徴とする、先行する請求項の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項13】
前記単一命令複数データ対応または複数命令複数データ対応のプロセッサに、少なくとも1つの第1および第2のベクトルベースの算術論理演算ユニットが提供され、これらは、必要に応じて直列に接続されるように構成され、工程b)による並列処理中に、最初に、所定の第1の算術演算セットを使用することにより、前記第1の算術論理演算ユニットに並列に入力される、各々がXビットのビット幅を有するいくつかのオブジェクトベースのデータが、Xビットの前記ビット幅よりも大きいYビットのビット幅を有するいくつかのピクセルデータに変換され、その複数のYビットのピクセルデータは、次に、所定の第2の計算演算セットを使用することにより、Zビットのビット幅を有する複数のピクセルデータに変換され、そのような幅は、Xビットの前記ビット幅よりも大きく、好ましくは、Yビットの前記ビット幅よりも大きく、前記Zビットのピクセルデータは、整数個のNビットピクセルデータからなるピクセル行列の前記形式でバッファされ、記憶される工程を特徴とする、先行する請求項の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項14】
色マップおよび色プロファイルが、前記第2のターゲット色空間のそれぞれの前記色チャネルの較正フィールドを、特に前記印刷媒体の廃棄領域または少なくともいくつかの印刷媒体に所定の時間間隔で印刷することによって完全に自動的に作成され、前記較正フィールドは、前記プリンターの画像測定システムによって読み取られ、それにより、読み取り後、前記プロセスにおいて前記プリンターによって使用される前記第1のターゲット色空間の前記色プロファイルと比較して前記第1のターゲット色空間の新しい色プロファイルを作成するために、好ましくは専用のプログラマブルシステムオンチップによって比色計算が実行され、それに基づいて工程b)による前記変換が続き、前記新しい色プロファイルが作成された後、それに基づいて直ちに印刷が継続される工程をさらに特徴とする、先行する請求項の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項15】
前記プログラマブルシステムオンチップには、重み付き加算演算を実行するために使用される少なくとも1つのプログラマブル論理回路が設けられ、前記オブジェクトベースのデータのいくつかのオブジェクトが前記画像内に重ね合わされると、各色チャネルのNビットピクセルデータに変換された前記複数のオブジェクトの各色チャネルの前記重なり合うピクセルの前記Nビット色値が、前記ピクセルメモリ内にバッファまたは記憶する前に、ハードウェアレベルで前記プログラムされた論理回路を使用して、工程b)において重み付き方式で加算されるように構成されていることを特徴とする、先行する請求項の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項16】
工程a)によれば、排他的にオブジェクトベースのデータが前記ラスタグラフィックスプロセッサに入力され、前記基礎となる画像全体は、好ましくは自動的に、特に好ましくは人工知能によって、前記プロセッサの前記利用可能な計算能力に基づいて、すべての後続の工程において時間決定論的に処理することができ、それにより、工程b)と、工程d)を除く後続のすべての工程とを完全に実行するのに必要な時間は、合計で、前記少なくとも1つの印刷媒体上に前記画像を完全に印刷するのに必要な時間よりも短いことを特徴とする、請求項7または請求項7に基づく先行する請求項8~15の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項17】
工程a)の前に、人間の目に光学的に関連しないオブジェクトベースのデータを前記画像から除去するために、前記画像の洗浄が必要に応じて実行され、それにより、前記オブジェクトベースのデータは、後続のすべての工程において時間決定論的に処理することができ、前記洗浄が、好ましくは、少なくとも透明フィルタでフィルタリングすることによって実行されることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記オブジェクトベースのデータの前記洗浄が、人工知能によって自動的に実行され、好ましくは連続学習人工知能によって自動化され、特に好ましくは、前記人工知能は前記洗浄を行う基となる少なくとも1つの適応決定アルゴリズムを備え、この決定アルゴリズムは、処理データに基づいており、人工知能によって随時調整されることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記プリンターが、インクジェットプリンターとして、好ましくは、シングルパスインクジェットプリンターまたはマルチパスインクジェットプリンターとして提供されることを特徴とする、先行する請求項の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項20】
工程d)が、搬送方向に移動する印刷媒体または搬送方向に移動するいくつかの印刷媒体に印刷することによって実行されることを特徴とする、先行する請求項の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項21】
前記プリンターがインクジェットプリンターとして提供されたことを特徴とする、先行する請求項の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項22】
前記ベクトルベースの算術論理演算ユニットが各々、工程b)による並列処理中に、所定の算術演算セットを適用することによって、それぞれの前記算術論理演算ユニットに並列に入力される、各々がXビットのビット幅を有するいくつかのオブジェクトベースのデータが、前記プロセッサの単一クロックサイクルで、Xビットの前記ビット幅よりも大きいYビットのビット幅を有するピクセルデータに変換され、次いで、前記Yビットピクセルデータが、整数個のNビットピクセルデータからなるピクセル行列の形式でピクセルメモリにバッファされ、記憶されるように構成されたことを特徴とする、先行する請求項の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項23】
Mビット印刷データから印刷媒体上に印刷された画像の所定の印刷パターンが、好ましくは人工知能によって、前記プリンターの画像測定システムを使用して所定の時間間隔で完全に自動的に読み取られる工程であって、読み取り後、前記プロセスにおいて前記プリンターによって使用される前記第1のターゲット色空間の前記色プロファイルと比較して前記第1のターゲット色空間の新しい色プロファイルを作成するために、好ましくはこの目的のために設けられたプログラマブルシステムオンチップによって比色計算が実行され、それに基づいて工程b)による前記変換が行われ、前記新しい色プロファイルが作成された後、それに基づいて直ちに印刷が継続される工程をさらに特徴とする、先行する請求項の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項24】
請求項14に記載の方法工程および請求項23に記載の方法工程が、所定の時間間隔で交互に実行されることを特徴とする、請求項14に基づく請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記プログラマブルシステムオンチップが、工程c)によるすべての工程がさらなるプログラマブル論理回路上で行われるように、工程c)による前記方法工程、特に工程c)による前記コンピュータ実装方法工程を実行するように構成された前記さらなるプログラマブル論理回路を備えていることを特徴とする、先行する請求項の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも1つの故障したまたは欠陥のあるノズルを補償するための方法、特にコンピュータ実装方法を実行するための前記さらなるプログラマブル論理回路が、工程d)による印刷媒体への印刷後に、好ましくは人工知能によって、前記プリンターの前記画像測定システムを用いて、前記故障したまたは欠陥のあるノズルが検出される場合に、前記故障したまたは欠陥のあるノズルを補償するための前記方法、特に前記コンピュータ実装方法のすべての工程が前記プログラマブル論理回路上で行われるように構成されていることを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
Mビット印刷データを合成し、それを少なくとも1つのプリンターに提供するための製品、特にコンピュータプログラム製品であって、
A.複数のプロセッサを備える少なくとも1つのシステムオンチップを有するラスタグラフィックスプロセッサであって、ページ記述言語の形式の少なくとも1つの画像の前記ラスタグラフィックスプロセッサに入力されたオブジェクトベースのデータが、前記複数のプロセッサの一部または全部に前記オブジェクトベースのデータを提供し、それらを前記プロセッサと並列に処理することによって、所定の画像解像度を有する第1のターゲット色空間の各色チャネルのNビットピクセルデータに変換されるように設計された、ラスタグラフィックスプロセッサと、
B.少なくとも1つのディザリングアルゴリズムを使用して各色チャネルの前記Nビットピクセルデータを第2のターゲット色空間の各色チャネルのMビット印刷データに変換し、それを出力メモリに記憶するように設計されたディザリング計算ユニットと、
C.前記Mビット印刷データをプリンターに提供するように設計された出力ユニットと、
D.少なくとも1つの印刷媒体を印刷するための少なくとも1つの前記プリンターと、を備え
E.各システムオンチップは、所定のタスクを、好ましくは前記オブジェクトベースのデータをNピクセルデータに変換することを、前記プロセッサに委譲するためのシングルコアまたはマルチコアメインプロセッサを備え、
前記システムオンチップがプログラマブルシステムオンチップとして設計され、前記プロセッサが、各々が少なくとも1つのベクトルベースの算術論理演算ユニットを有する単一命令複数データ対応または複数命令複数データ対応のプロセッサとして設計され、ベクトルベースの算術論理演算ユニットは各々が、前記オブジェクトベースのデータが並列に処理されるときに、前記プロセッサの算術演算セットの所定のものを使用して、それぞれの前記算術論理演算ユニットに並列に入力される、各々がXビットのビット幅を有するいくつかのオブジェクトベースのデータが、Xビットの前記ビット幅よりも大きいYビットのビット幅を有するピクセルデータに変換されるように構成され、前記Yビットピクセルデータが、整数個のNビットピクセルデータからなるピクセル行列の形式でピクセルメモリに記憶されることを特徴とする、製品。
【請求項28】
前記単一命令複数データ対応または複数命令複数データ対応のプロセッサが、単一命令複数データ対応または複数命令複数データ対応のベクトルプロセッサとして設計されていることを特徴とする、請求項27に記載の製品。
【請求項29】
前記プログラマブルシステムオンチップが、重み付き加算演算を実行するように構成された少なくとも1つのプログラマブル論理回路を備え、前記オブジェクトベースのデータの複数のオブジェクトが前記画像内に重ね合わされると、各色チャネルのNビットピクセルデータに変換された前記複数のオブジェクトの各色チャネルの前記重なり合うピクセルの前記Nビット色値が、前記ピクセルメモリにバッファまたは記憶される前に、前記プログラムされた論理回路を使用して、工程b)においてハードウェアレベルで重み付き方式で加算されることを特徴とする、請求項27または28に記載の製品。
【請求項30】
前記プリンターが、インクジェットプリンターとして、好ましくは、シングルパスインクジェットプリンターまたはマルチパスインクジェットプリンターとして設計されていることを特徴とする、請求項27~29の少なくとも1項に記載の製品。
【請求項31】
前記ラスタグラフィックスプロセッサが、請求項3~26の少なくとも1項に記載の方法を実行できるように設計されていることを特徴とする、請求項27~30の少なくとも1項に記載の製品。
【請求項32】
前記ベクトルベースの算術論理演算ユニットが各々、前記オブジェクトベースのデータが並列に処理されるときに、前記プロセッサの算術演算セットの所定のものを使用して、それぞれの前記算術論理演算ユニットに並列に入力される、各々がXビットのビット幅を有するいくつかのオブジェクトベースのデータが、前記プロセッサの単一クロックサイクルにおいて、Xビットの前記ビット幅よりも大きいYビットのビット幅を有するピクセルデータに変換され、前記Yビットピクセルデータが、整数個のNビットピクセルデータからなるピクセル行列の前記形式でピクセルメモリに記憶されるように構成されることを特徴とする、請求項27~31の少なくとも1項に記載の製品。
【請求項33】
前記ディザリング計算ユニットBが、さらなるプログラマブル論理回路として構成されていることを特徴とする、請求項27~32の少なくとも1項に記載の製品。
【請求項34】
前記さらなるプログラマブル論理回路が、少なくとも1つの故障したまたは欠陥のあるノズルを補償するための方法、特にコンピュータ実装方法を実行するように構成され、それにより、工程d)による印刷媒体への印刷後に、好ましくは人工知能によって、前記プリンターの前記画像測定システムを用いて、前記故障したまたは欠陥のあるノズルが検出される場合に、前記故障したまたは欠陥のあるノズルを補償するための前記方法、特に前記コンピュータ実装方法のすべての工程が、前記プログラマブル論理回路で行うことができることを特徴とする、請求項33に記載の製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ページ記述言語の形式のオブジェクトベースのデータから印刷データを合成し、それをプリンターに提供するための方法および製品に関する。
【背景技術】
【0002】
ここで、本明細書で使用するいくつかの用語について、あらかじめ定義しておくものとする。
【0003】
この説明がページ記述言語の形式のオブジェクトベースのデータを指す場合、これは、画像を構築するオブジェクトおよびそれらのプロパティを指す。オブジェクトという用語は、グラフィックプリミティブ、ピクセルフィールド、シェーディング、透明度、またはフォントを意味すると理解される。本出願では、基本的な1次元または2次元の幾何学的形状は、グラフィックプリミティブと呼ばれる。グラフィックプリミティブは、とりわけ、1つまたは複数のベクトルによって記述される。2次元の幾何学的形状は、例えば、円形、楕円形、または長方形、正方形、三角形などの多角形である。一方、1次元の幾何学的形状は、例えば点、すなわちピクセル、線、または多項式の描画である。本明細書の文脈でオブジェクトのプロパティについて説明する場合、これは、画像内のオブジェクトの位置、および適用可能であれば、その色、線幅、塗りつぶしパターン、およびその外観を決定する他のデータを指す。
【0004】
以下でPSoCとも呼ばれるプログラマブルシステムオンチップ(programmable system-on-chip)という用語は、この説明では、ハードウェアレベルおよびソフトウェアレベルの両方で、システムオンチップ、特にその機能モジュールをプログラムおよび再プログラム、すなわち設計および再設計することが可能であることを意味する。
【0005】
ベクトルグラフィックスのオブジェクトベースのデータをラスタグラフィックスのピクセルデータに変換する方法は、通常、どのプリンターが印刷媒体に印刷することができるかということに基づいた印刷データの合成に向けた第1の工程を表す。今日のこれらの方法のほとんどは、所定のアルゴリズムを使用して得られたピクセルグラフィックをディザリングし、その結果ディザリングされた印刷グラフィックとしてプリンターに渡すことができる前に、ベクトルグラフィックのラスタグラフィックへの完全な変換が通常必要とされるように設計されたラスタグラフィックスプロセッサを利用する。これは、複雑なベクトルグラフィックスに関しては確かに当てはまる。
【0006】
そのようなラスタグラフィックスプロセッサは、購入するのに安価であるが、入力データを非効率的に、したがって面倒にしか処理することができないため、別のベクトルグラフィックをラスタライズするのに十分な時間があるような大きな印刷実行において単一の画像をプリンターで印刷することができ、印刷すべき場合にのみ適している。
【0007】
遅い変換速度、すなわちラスタライズ速度を引き起こす問題は、そのような方法が、複雑なラスタライズを連続的にしか実行できないプロセッサを備えたラスタグラフィックスプロセッサを使用するという事実である。
【0008】
印刷ジョブを準備する際の短期的変化に関して十分に高いレベルの柔軟性を可能にするために、ベクトルグラフィックからピクセルグラフィックへのオブジェクトベースのデータの変換を可能な限り迅速に実行できることが非常に重要である。
【0009】
今日、比較的高い印刷解像度を有するシングルパスプリンターにおいて、印刷する画像のほとんどを十分に事前にラスタライズしなければならない理由は、典型的なラスタグラフィックスプロセッサがこの印刷画像データの基礎となるベクトルグラフィックスを処理することができるよりも速く、プリンターがこの印刷画像データを消費するからである。これは、印刷ジョブの準備における短期的変化に関して柔軟性がないことを意味する。これは、どの画像も他の画像と同一ではない、画像の多様性の割合が高い印刷ジョブを変換しなければならない場合に特に当てはまる。
【0010】
典型的な高性能印刷機、すなわちシングルパスインクジェットプリンターは、今日では少なくとも100Gbit/sの速度で印刷データを消費するが、多くの場合300Gbit/s超または400Gbit/s超の速度で印刷データを消費し、その傾向は強まっている。生成を停止することなく1200×1200DPIの解像度で毎秒5メートルの速度で2メートルの幅で印刷媒体に印刷することができるように意図されているシングルパスインクジェットプリンターの場合、印刷ジョブに含まれる画像の多様性が高く、変換が印刷プロセスと本質的に同時に行われる場合、ベクトルグラフィックをラスタグラフィックに変換する際に約1600Gbit/秒のデータ出力速度が必要とされる。
【0011】
ほとんどの一般的なラスタグラフィックスプロセッサのさらなる課題は、十分な記憶空間を提供することである。
【0012】
幅が2.6mであり、2400DPI解像度で印刷するシングルパスプリンターの場合、約16GByte/mのストレージ容量が必要である。例えば、プリンターを24時間稼働させるために印刷データを事前に提供する場合、1日あたり約8ペタバイトの印刷データ量に対応するストレージ容量を確保しなければならない。今日、これにはいくつかのストレージキャビネットが必要である。現在市場で入手可能なほとんどのシリアルラスタグラフィックスプロセッサでは、そのような大量のデータをラスタライズするためには数日見積もるべきである。
【0013】
この説明の文脈では、シングルパスプリンターは、少なくとも1つの印刷媒体を印刷するための印刷モジュールを有する印刷機を意味すると理解され、印刷機の動作モードでは、印刷媒体またはそれぞれの印刷媒体は、連続的に移動され、印刷モジュールは、それが見る印刷媒体またはそれぞれの印刷媒体の各領域に対して1度だけ見て、印刷モジュールは静止して配置される。
【0014】
印刷データを合成し、それをシングルパスプリンターに供給する方法は、最近ではほとんど使用されていないが、800Gbit/秒を超える出力速度でラスタライズされたピクセルデータを出力する新規の高性能ラスタグラフィックスプロセッサを使用して、オブジェクトベースのデータを8ビットピクセルデータに迅速に変換することを含み、これは、オブジェクトベースのデータを多数のプロセッサに供給し、それらを並列に、すなわち同時に、複数の画像のグループからの各単一画像を変換のためにラスタグラフィックスプロセッサのそれぞれ異なるプロセッサに委譲することによって達成され、その結果、複数のプロセッサは、異なる画像を並列であるが連続的に処理する。
【0015】
この従来技術の方法は、以下の工程、すなわち(A)ページ記述言語の形式の複数の画像からのオブジェクトベースのデータを、複数のプロセッサを備える少なくとも1つのシステムオンチップを有するラスタグラフィックスプロセッサに入力することと、(B)オブジェクトベースのデータをプロセッサに提供し、それらをプロセッサによって並列に処理することによって、オブジェクトベースのデータを指定された画像解像度を有する第1のターゲット色空間の各色チャネルの8ビットピクセルデータに変換することと、(C)各色チャネルの8ビットピクセルデータを少なくとも1つのディザリングアルゴリズムを用いて第2のターゲット色空間の各色チャネルの1ビット印刷データに変換し、1ビット印刷データを出力メモリに記憶することと、(D)印刷データをプリンターに提供し、プリンターで少なくとも1つの印刷媒体を印刷することと、を含む。
【0016】
このような方法を可能にする多数のプロセッサを有するラスタグラフィックスプロセッサは、上述した遅いラスタ速度の欠点を解決するのに適している。しかしながら、これは不釣り合いな量の空間を必要とする。これは、数台のサーバラックが数台のサーバキャビネットに必要とされ、その重量が大きいために、典型的にはフォークリフトである積載装置を用いてしか移動することができないからである。また、故障しやすく、信頼性が低く、コストが高いため、特に市場性がない。これらの高性能ラスタグラフィックスプロセッサは、現在、バージョンに応じて、購入するのに通常40万ユーロ~100万ユーロのコストがかかる。
【0017】
したがって、簡単で安価な設計のラスタグラフィックスプロセッサを用いてオブジェクトベースのデータを効果的に処理することを可能にする、オブジェクトベースのデータをピクセルデータに変換するための方法および製品が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、本発明は、オブジェクトベースのデータをピクセルデータに変換するための方法および製品を指定する目的に基づいており、これにより、単純で費用効果の高い設計のラスタグラフィックスプロセッサを用いてオブジェクトベースのデータを効果的に処理することが可能になり、それにより、全体的なプロセスの有効性、ならびに可用性、性能、および価格に関して全体的なシステムの有効性が改善される。機器の全体的な有効性は、生産性および技術システムの損失を測定するために使用できるビジネス指標である。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明によれば、この目的は、請求項1の特徴を含む方法および請求項22の特徴を含む製品によって達成される。それぞれの従属請求項は、さらなる有利な、および必要に応じて追加の本発明の実施形態に関する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、各々が少なくとも1つのベクトルベースの算術論理演算ユニットを有するいくつかの単一命令複数データ対応または複数命令複数データ対応のプロセッサを備える少なくとも1つのプログラマブルシステムオンチップを有するラスタグラフィックスプロセッサを提供するという着想に基づいており、これらのベクトルベースの算術論理演算ユニットの各々は、プロセッサを用いて並列にオブジェクトベースのデータを処理するために、各々がXビットのビット幅を有するそれぞれの算術論理演算ユニットへのいくつかの並列入力オブジェクトベースのデータが、所定の計算演算セットに基づいて、Xビットのビット幅よりも大きいYビットのビット幅を有するピクセルデータに変換され、それにより、以下では、Yビットピクセルデータが、整数個のNビットピクセルデータからなるピクセル行列の形式でバッファされ、ピクセルメモリに格納されるように構成された。
【0021】
明確にするために、「プロセッサ」という用語、特に「ベクトルプロセッサ」という用語が本発明またはその好ましい実施形態の1つでそのように使用される場合、ラスタグラフィックスプロセッサのプログラマブルシステムオンチップの単一命令複数データ対応または複数命令可能複数データ対応プロセッサ、特にベクトルプロセッサを意味することに留意されたい。
【0022】
Mビット印刷データを合成し、それを少なくとも1つのプリンターに提供するための方法、好ましくはコンピュータ実装方法は、以下の工程、すなわち、(a)ページ記述言語の形式の少なくとも1つの画像のオブジェクトベースのデータを、複数のプロセッサを備える少なくとも1つのシステムオンチップを有するラスタグラフィックスプロセッサに入力することと、(b)オブジェクトベースのデータを複数のプロセッサの一部または全部に提供し、プロセッサを用いて並列に処理することによって、オブジェクトベースのデータを所与の画像解像度を有する第1のターゲット色空間の各色チャネルのNビットピクセルデータに変換することと、(c)各色チャネルのNビットピクセルデータを少なくとも1つのディザリングアルゴリズムを用いて第2のターゲット色空間の各色チャネルのMビット印刷データに変換し、Mビット印刷データを出力メモリにバッファまたは記憶することと、(d)Mビット印刷データをプリンターに提供し、プリンターで少なくとも1つの印刷媒体を印刷することと、を含むことが知られている。
【0023】
したがって、本発明による方法は、Mビット印刷データを合成し、それを少なくとも1つのプリンターに提供するための方法、好ましくはコンピュータ実装方法であって、方法は、
a)複数のプロセッサを備える少なくとも1つのシステムオンチップを有するラスタグラフィックスプロセッサにおいて、ページ記述言語の形式の、少なくとも1つの画像、好ましくは複数の画像のオブジェクトベースのデータを入力することと、
b)オブジェクトベースのデータを複数のプロセッサの一部または全部に提供し、それらをプロセッサを用いて並列に処理することによって、オブジェクトベースのデータを指定された画像解像度を有する第1のターゲット色空間の各色チャネルのNビットピクセルデータに変換することと、
c)各色チャネルのNビットピクセルデータを少なくとも1つのディザリングアルゴリズムを用いて第2のターゲット色空間の各色チャネルのMビット印刷データに変換し、Mビット印刷データを出力メモリにバッファまたは記憶することと、
d)Mビット印刷データを少なくとも1つのプリンターに提供し、プリンターで少なくとも1つの印刷媒体を印刷することと、を含む。
【0024】
本発明によれば、システムオンチップは、プログラマブルシステムオンチップとして提供され、プロセッサは、各々が少なくとも1つのベクトルベースの算術論理演算ユニットを有する単一命令複数データ対応または複数命令複数データ対応のプロセッサとして提供され、ベクトルベースの算術論理演算ユニットは各々、工程b)による並列処理中に、所定の計算演算セットを使用して、それぞれの算術論理演算ユニットに並列に、すなわち同時に入力される、各々がXビットのビット幅を有するいくつかのオブジェクトベースのデータが、Xビットのビット幅よりも大きいYビットのビット幅を有するピクセルデータに変換され、それにより、それにより、以下では、Yビットピクセルデータは、整数個のNビットピクセルデータからなるピクセル行列の形式でバッファされ、ピクセルメモリに記憶されるように構成された。
【0025】
結果として、PSoCは、そのプロセッサがPSoCのピクセルメモリへの並列アクセスを有するように設計され、これにより、高いデータアクセス速度が可能になる。上記の利点に加えて、本発明による方法はまた、少なくとも変換中に、高いデータ処理速度にもかかわらず、本方法を低エネルギー消費で動作させることができるという利点を提供する。
【0026】
結果として、ラスタグラフィックスプロセッサは、好ましくは、工程b)によって、各々が十分な数の単一命令複数データ対応または複数命令複数データ対応のプロセッサ、好ましくはベクトルプロセッサを備える十分に多数のプログラマブルシステムオンチップをラスタグラフィックスプロセッサに提供することによって、少なくとも800ギガビット/秒、好ましくは少なくとも2500ギガビット/秒の速度でNビットピクセルデータを生成するように設計されている場合でも、可搬型とすることができるか可搬型に設計することもできる。これは、PSoCが本質的に非常にコンパクトであるために可能になる。例えば、そのような可搬型ラスタグラフィックスプロセッサは、Xilinx社からのPSoCとして「プレミアムシリーズ」タイプの少なくとも8つの「適応型コンピュータ加速プラットフォーム」を提供することによって実現することができる。本明細書で使用される場合、「可搬型」という用語は、ラスタグラフィックスプロセッサがユーザの片手または両手で容易に保持および搬送され得ることを意味する。したがって、これらのさらなる発展は、本発明によるラスタグラフィックスプロセッサのより容易な取り扱いおよび移動が可能になるという利点を提供する。
【0027】
単一命令複数データ対応または複数命令複数データ対応のプロセッサは各々、複数のベクトルベースの算術論理演算ユニットを備えることができる。
【0028】
単一命令複数データ対応または複数命令複数データ対応のプロセッサは、単一命令複数データ対応または複数命令複数データ対応のベクトルプロセッサとして提供されてもよい。
【0029】
オブジェクトベースのデータは、各々がベクトルベースのページ記述言語の形式のオブジェクトベースのPDFデータおよび/またはオブジェクトベースのPostScriptデータを含むことができる。
【0030】
好ましい実施形態によれば、好ましくは少なくともシアンブルー(C)、マゼンタレッド(M)、イエロー(Y)およびブラック(K)の色チャネルを含む減法色空間が第1のターゲット色空間として指定され、好ましくは少なくともシアンブルー(C)、マゼンタレッド(M)、イエロー(Y)およびブラック(K)の色チャネル、特に所定の緑および/または紫および/またはオレンジの色チャネルのうちの少なくとも1つを含む減法色空間が第2のターゲット空間として指定される。
【0031】
さらに好ましい実施形態によれば、Nビットピクセルデータは、8ビット/9ビット/10ビット/11ビット/12ビット/13ビット/14ビット/15ビットまたは16ビットのビット幅、好ましくは8ビット/16ビット/32ビットまたは64ビットのビット幅、特に8ビットのビット幅を有し、Mビット印刷データは、1ビット/2ビット/3ビットまたは4ビットのビット幅を有する。
【0032】
スラッシュ「/」は「または」を意味する。この説明の文脈において、第1のターゲット色空間の色チャネルの8ビットピクセルデータと言えば、これは、8ビットの1つの色チャネルの色深度、すなわち0から255の間の色階調を有するピクセルを意味する。
【0033】
この説明が第2のターゲット色空間の色チャネルの1ビット印刷データに言及する場合、これは、1ビットの1つの色チャネルの色深度、すなわち0および1の色階調を有するピクセルを意味する。対応するバイナリ印刷モードでは、印刷媒体の虚像上にあると仮定される印刷グリッドの行の各ピクセルは、滴なしまたは色の滴のいずれかで適用される。
【0034】
しかしながら、例えば、第2のターゲット色空間の色チャネルの2ビット印刷データが言及される場合、これは、2ビットの1つの色チャネルの色深度、すなわち0~3の色階調を有するピクセルを意味する。対応するグレースケールモードでは、印刷媒体上の仮想印刷グリッドの行の各ピクセルは、滴なし、または1色のk個の滴で構成される組み合わせ滴のいずれかに露出され、k=1~3であり得る。
【0035】
さらに好ましい実施形態によれば、Xビットピクセルデータは、8ビット/16ビット/32ビットまたは64ビット、好ましくは8ビットのビット幅を有し、Yビット印刷データは、16ビット/32ビット/64ビット/128ビット/256ビット/512ビット/1024ビット/2048ビットまたは4096ビット、好ましくは128ビット/256ビット/512ビット/1024ビット/2048ビットまたは4096ビットのビット幅を有する。
【0036】
したがって、この好ましい実施形態では、すべてのベクトルベースの算術論理演算ユニットのXビットピクセルデータは、8ビット/16ビット/32ビットまたは64ビットのビット幅、好ましくは8ビットのビット幅を有し、すべてのベクトルベースの算術論理演算ユニットのYビット印刷データは、16ビット/32ビット/64ビット/128ビット/256ビット/512ビット/1024ビット/2048ビットまたは4096ビット、好ましくは128ビット/256ビット/512ビット/1024ビット/2048ビットまたは4096ビットのビット幅を有し、その結果、すべてのベクトルベースの算術論理演算ユニットのそれぞれのYビット印刷データの合計は、すべてのベクトルベースの算術論理演算ユニットのそれぞれのビット幅の合計に対応し、その合計は、好ましくは1048576ビットまでのビット幅に対応する。
【0037】
本発明による方法の特に好ましい実施形態によれば、ラスタグラフィックスプロセッサは、変換モードR1およびR2を備え、工程b)による変換は、1つまたは複数の変換サイクルで行われ、変換サイクルは、以下の工程:
e)変換進捗に基づいて変換対象の画像のオブジェクトのオブジェクトグループを決定することと、
f)対応する必要計算労力Rが所定の値Sを超えるかまたは値Sを下回るかを予測するために、オブジェクトグループから各オブジェクトの計算労力Rを決定し、計算労力が値Sを下回る場合にはそれぞれのオブジェクトをタイプAに分類し、計算労力が値Sを超える場合にはタイプBに分類することと、
g)
i.オブジェクトがタイプAとして分類された場合、モードR1が選択され、オブジェクトはモードR1に従っていくつかの独立した再ベクトル化されたオブジェクトに分解され、再ベクトル化されたオブジェクトは、所定の数のプロセッサに提供され、工程b)に従ってプロセッサによって変換され、再ベクトル化されたオブジェクトは、オブジェクトの部分オブジェクトであり、全体としてオブジェクトを形成する、
ii.オブジェクトがタイプBとして分類された場合、モードR2が選択され、オブジェクトは、工程b)に従っていくつかの独立した再ベクトル化されたオブジェクトに分解されることなくモードR2に変換される、ことによって変換を開始することと、
を含む。
【0038】
これらのさらなる発展は、単一の画像のオブジェクトベースのデータの処理時間が、多種多様なオブジェクトの変換のタイプに関する数学的決定のこの段階的なシーケンスによって大幅に短縮され得るという利点を提供する。
【0039】
さらに、オブジェクトがタイプAとして分類された場合、工程b)におけるオブジェクトベースのピクセルデータは、プログラマブルシステムオンチップの内部ピクセルメモリにバッファまたは記憶され、オブジェクトがタイプBとして分類された場合、オブジェクトベースのピクセルデータは、プログラマブルシステムオンチップの外部のピクセルメモリ、好ましくはキャッシュメモリにバッファまたは記憶されることが可能である。このさらなる発展は、外部ピクセルメモリが読み出しおよび書き込みプロセスに関して節約されるという利点を有する。その結果、外部ストレージの交換が必要とされる頻度が少なくなり、時間および費用を節約することができる。PSoCの内部ピクセルメモリは、読み出しおよび書き込み動作に関して劣化しないように設計されているが、対応する外部ピクセルメモリは、読み出しおよび書き込み動作に関して劣化する可能性がある。
【0040】
さらに好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの、好ましくはいくつかの、単一命令複数データ対応または複数命令複数データ対応プロセッサが、グラフィックプリミティブのグループからのグラフィックプリミティブ長方形、円形、三角形または線の各々について提供され、その各々は、その少なくとも1つのベクトルベースの算術論理演算ユニットを制御するためにそれぞれのグラフィックプリミティブに合わせて調整された所定の算術演算セットを排他的に含み、グループからの各算術演算セットは、グループからの他のすべての算術演算セットとは異なり、工程b)によれば、オブジェクトベースのデータは、それらのグラフィックプリミティブに応じて、それらプロセッサまたはグラフィックプリミティブに合わせて調整された所定の算術演算セットを含むプロセッサのみに提供される。このさらなる発展は、画像がグラフィックプリミティブとして少なくとも1つまたは複数の長方形および/または円形および/または三角形および/または線を含む場合、画像のオブジェクトベースのデータの処理時間が非常に短縮されるという利点を提供する。
【0041】
当業者は、データ処理の分野における従来技術からの対応する算術演算セットに精通している。
【0042】
特に好ましい実施形態によれば、単一命令複数データ対応または複数命令複数データ対応のプロセッサが提供され、各々に少なくとも第1および第2のベクトルベースの算術論理演算ユニットが設けられ、これらは、必要に応じて直列に接続されるように構成され、工程b)による並列処理中に、所定の第1の計算演算セットを使用することにより、第1の算術論理演算ユニットに並列に、すなわち同時に入力される、各々がXビットのビット幅を有する第1のいくつかのオブジェクトベースのデータが、Xビットのビット幅よりも大きいYビットのビット幅を有する複数のピクセルデータに変換され、その複数のYビットのピクセルデータは、次に、所定の第2の計算演算セットを使用することにより、Zビットのビット幅を有する複数のピクセルデータに変換され、そのような幅は、Xビットのビット幅よりも大きく、好ましくは、Yビットのビット幅よりも大きく、Zビットのピクセルデータは、整数個のNビットピクセルデータからなるピクセル行列の形式でバッファされ、記憶される。このさらなる発展は、これが、特にグラフィックプリミティブ長方形および/または円形および/または三角形および/または線を含むいくつかのグラフィックプリミティブからなるオブジェクトベースのデータの処理時間を追加的な方法で知的に短縮する可能性を提供するという特定の利点を提供する。
【0043】
工程g[i])によるオブジェクトの再ベクトル化されたオブジェクトへの分解および再ベクトル化されたオブジェクトの所定数のプロセッサへの提供は、プログラマブルシステムオンチップのシングルまたはマルチコアメインプロセッサを用いて行うことができる。明確にするために、メインプロセッサは、PSoCのプロセッサ、特にベクトルプロセッサではないことに留意されたい。
【0044】
本発明の好ましい実施形態によれば、オブジェクトグループから変換される各オブジェクトについて、工程f)による計算労力Rは、画像内の変換されるオブジェクトのサイズおよび/または向きに基づいて予測され、この計算労力は、好ましくは計算労力予測表に記憶された。
【0045】
さらに、所定の値Sは、一定の値を有するか、または各変換サイクルにおける工程e)の後および工程f)の前に、複数のプロセッサ内の自由に決定された利用可能な計算能力に基づいて、好ましくは1つの架空のオブジェクトのサイズおよび/または向きに基づいて、好ましくは所与の変換モード表から得られる、変数値を指定することのいずれかが可能である。このさらなる発展は、第2のケースでは、選択されたオブジェクト、例えば比較的小さいが比較的複雑なオブジェクトの処理時間をさらに短縮できるという利点を提供する。
【0046】
本方法の第1の好ましい実施形態によれば、色カードおよび色プロファイルは、第2のターゲット色空間のそれぞれの色チャネルの較正フィールドを、特に印刷媒体または少なくともいくつかの印刷媒体の廃棄領域に所定の時間間隔で印刷することによって完全に自動的に作成され、それにより、印刷された較正フィールドは、プリンターの画像測定システムによって読み取られ、それにより、読み取り後、プロセスにおいてプリンターによって使用される第1のターゲット色空間の色プロファイルと比較して第1のターゲット色空間の新しい色プロファイルを作成するために、好ましくは提供されるプログラマブルシステムオンチップによって比色計算が実行され、それに基づいて工程b)による変換が行われ、新しい色プロファイルが作成された後にそれに基づいて直ちに印刷が継続される。
【0047】
このさらなる発展は、何も操作することなく毎日いくつかの色カードを作成できるという利点を提供する。色カードは、印刷サンプルである。それらは、第2の色空間の任意の色、特に各色チャネルに対して作成され、視覚的基準として機能することができる。典型的には、同じインクブランドのインクでもバッチが異なると、それらの色あいおよび印刷特性は異なる。そのため、インクの異なるバッチを使用して印刷媒体上に着色画像が作成される場合、同じパターンであるが異なる色を有する複数の画像が最終的に得られる。この理由は、一方では、インクの製造プロセスにおいて不備が避けられないこと、他方では、インクが古くなるにつれてインクの特性が変化することであり得る。
【0048】
本方法の代替的な第2の好ましい実施形態によれば、Mビット印刷データから印刷媒体上に印刷された画像の所定の印刷パターンが、好ましくは人工知能によって、プリンターの画像測定システムを使用して所定の時間間隔で読み取られ、それにより、読み取り後、プロセスにおいてプリンターによって使用される第1のターゲット色空間の色プロファイルと比較して第1のターゲット色空間の新しい色プロファイルを作成するために、好ましくはこの目的のために設けられたプログラマブルシステムオンチップによって比色計算が実行され、それに基づいて工程b)による変換が行われ、新しい色プロファイルが作成された後にそれに基づいて直ちに印刷が継続される。
【0049】
これらのさらなる発展は、較正フィールドをもはや印刷する必要がないため、色マッチングおよび色プロファイルの新たな作成をその場でまたはオンザフライで行うことができ、印刷インクも節約することができるという利点を提供する。
【0050】
本方法の非常に好ましい実施形態によれば、第1の好ましい実施形態および第2の好ましい実施形態は、所定の時間間隔で交互に実行される。
【0051】
本発明による方法のさらに好ましい実施形態によれば、プログラマブルシステムオンチップは、オブジェクトベースのデータのいくつかのオブジェクトが画像内に重ね合わされると、ハードウェアレベルでプログラムされた論理回路を使用して、ピクセルメモリ内にバッファまたは記憶する前に、各色チャネルのNビットピクセルデータに変換された複数のオブジェクトの各色チャネルの重なり合うピクセルのNビット色値が工程b)で重み付けされるように、重み付き加算演算を実行するように構成された少なくとも1つのプログラマブル論理回路を備える。これらのさらなる発展は、いくつかの重ね合わされたオブジェクトの各色チャネルの重ね合わされたピクセルのそれぞれの色値の記憶時間を非常に短縮できるという利点を提供する。
【0052】
さらに、本発明による方法では、プログラマブルシステムオンチップは、さらなるプログラマブル論理回路上ですべての工程が工程c)によって行われるように、工程c)による方法工程、特に工程c)によるコンピュータ実装方法工程を実行するように構成されたさらなるプログラマブル論理回路を備えることができる。
【0053】
これらのさらなる発展は、これが全体的なプロセス有効性のさらなる改善を可能にし、また可用性、性能および価格に関して全体的なシステム有効性を可能にするという利点を提供する。
【0054】
さらに、この好ましい実施形態では、さらなるプログラマブル論理回路が、少なくとも1つの故障したまたは欠陥のあるノズルを補償するように構成された方法、特にコンピュータ実装方法を実行することが可能であり、それにより、工程d)によって印刷媒体に印刷した後、故障したまたは欠陥のあるノズルがプリンターの画像測定システムで、好ましくは人工知能によって検出され、故障したまたは欠陥のあるノズルを補償するための方法、特にコンピュータ実装方法のすべての工程がプログラマブル論理回路内で行われる。
【0055】
これらのさらなる発展は、ピクセルノズル調整がその場でまたはオンザフライで可能になり、その結果、高い印刷品質の連続性を保証することができるという利点を提供する。
【0056】
故障したまたは欠陥のあるノズルを補償するための方法は、従来技術から当業者に知られている。そのような方法が動作する基本原理は、故障したまたは欠陥のあるノズルを停止し、故障したまたは欠陥のあるノズルによって印刷されるべきであった画像データを、故障したまたは欠陥のあるノズルの近傍に位置する複数のノズルに再分配することである。
【0057】
オブジェクトベースのデータは、工程a)によっていくつかの画像のメインキューの形式でラスタグラフィックスプロセッサに入力することができ、印刷媒体向けのいくつかの行のいくつかの画像を有する表示リストは、メインキューからの画像に基づいて工程b)の前に指定される。これにより、プリンターの生産性を高めることができる。メインキューは、クラウドコンピューティング環境で提供される自動印刷ジョブシステムを使用して、最も好ましくは所定のアルゴリズムを使用して、各々が少なくとも1つまたは複数の画像を有する複数のサブキューから作成することができる。
【0058】
さらに好ましい実施形態によれば、排他的にオブジェクトベースのデータは、工程a)においてラスタグラフィックスプロセッサに入力され、基礎となる画像全体は、好ましくは自動的に、特に好ましくは人工知能によって、プロセッサの利用可能な計算能力に基づいて、後続のすべての工程において時間決定論的に処理することができ、それにより、工程b)と、工程d)を除く後続のすべての工程とを完全に実行するのに必要な時間は、合計で、少なくとも1つの印刷媒体上に画像を完全に印刷するのに必要な時間よりも短い。このさらなる発展は、生成停止のリスクを大幅に低減するか、または完全に排除することができるという利点を提供する。
【0059】
さらに好ましい実施形態によれば、工程a)の前に、1つまたは複数の画像は、人間の目に光学的に関連しないオブジェクトベースのデータを画像から除去するために必要に応じて洗浄され、それにより、オブジェクトベースのデータは、すべての後続の工程において時間決定論的に処理することができ、洗浄は、好ましくは、少なくとも透明フィルタでフィルタリングすることによって実行される。このさらなる発展は、より多くの顧客画像を通常は時間決定論的に処理できるという利点を提供する。
【0060】
さらに、オブジェクトベースのデータを、人工知能を使用して自動的に、好ましくは連続学習人工知能を使用して自動的に洗浄することが可能であり、特に好ましくは、人工知能は洗浄を行う基となる少なくとも1つの適応決定アルゴリズムを備え、この決定アルゴリズムは、処理データに基づいており、人工知能によって随時調整される。このさらなる発展は、可用性、性能、および価格に関してシステム全体の有効性をさらに高めることを可能にするという利点を有する。
【0061】
プリンターは、インクジェットプリンターとして提供することができる。
さらに、プリンターは、シングルパスプリンターまたはマルチパスプリンターとして提供することができる。好ましくは、プリンターは、シングルパスインクジェットプリンターまたはマルチパスインクジェットプリンターとして提供される。あるいは、プリンターは、例えば、レーザプリンターまたはオフセットプリンターとして提供することができる。プリンターがインクジェットプリンターとして提供される場合、少なくとも1つの印刷媒体は、Mビット印刷データに基づいて、第2のターゲット色空間の少なくとも1つの色チャネルの色またはすべての色チャネルの色のインク滴で印刷される。
【0062】
工程d)は、搬送方向に移動する印刷媒体または搬送方向に移動するいくつかの印刷媒体に印刷することによって行うことができる。
【0063】
本発明による方法の非常に好ましい実施形態によれば、ベクトルベースの算術論理演算ユニットは各々、工程b)による並列処理中に、所定の計算演算セットを使用してそれぞれの算術論理演算ユニットに並列に入力される、各々がXビットのビット幅を有するいくつかのオブジェクトベースのデータが、プロセッサの単一クロックサイクル内で、Xビットのビット幅よりも大きいYビットのビット幅を有するピクセルデータに変換され、次いで、Yビットピクセルデータが、整数個のNビットピクセルデータからなるピクセル行列の形式でピクセルメモリにバッファまたは記憶されるように構成された。
【0064】
本発明によれば、この目的は、請求項22に記載の製品、好ましくはコンピュータプログラム製品によっても達成される。
【0065】
Mビット印刷データを合成し、それを少なくとも1つのプリンターに提供するための本発明による製品、好ましくはコンピュータプログラム製品は、
A.複数のプロセッサを備える少なくとも1つのシステムオンチップを有するラスタグラフィックスプロセッサであって、ページ記述言語の形式の少なくとも1つの画像のラスタグラフィックスプロセッサに入力されたオブジェクトベースのデータが、複数のプロセッサの一部または全部にオブジェクトベースのデータを提供し、それらをプロセッサで並列に処理することによって、所定の画像解像度を有する第1のターゲット色空間の各色チャネルのNビットピクセルデータに変換されるように設計された、ラスタグラフィックスプロセッサと、
B.少なくとも1つのディザリングアルゴリズムを使用して各色チャネルのNビットピクセルデータを第2のターゲット色空間の各色チャネルのMビット印刷データに変換し、それを出力メモリにバッファまたは記憶するように設計されたディザリング計算ユニットと、
C.Mビット印刷データをプリンターに提供するように設計された出力ユニットと、
D.少なくとも1つの印刷媒体を印刷するための少なくとも1つのプリンターと、を備え、
E.各システムオンチップは、所定のタスク、好ましくはオブジェクトベースのデータをNピクセルデータに変換することを、プロセッサに委譲するためのシングルコアまたはマルチコアメインプロセッサを備える。
【0066】
本発明によれば、システムオンチップは、プログラマブルシステムオンチップとして設計され、プロセッサは、各々が少なくとも1つのベクトルベースの算術論理演算ユニットを有する単一命令複数データ対応または複数命令複数データ対応のプロセッサとして設計され、ベクトルベースの算術論理演算ユニットは各々、オブジェクトベースのデータが並列に処理されるときに、それぞれの算術論理演算ユニットに並列に、すなわち同時に入る、各々がXビットのビット幅を有するいくつかのオブジェクトベースのデータが、所定の計算演算セットを使用することによって、Xビットのビット幅よりも大きいYビットのビット幅を有するピクセルデータに変換され、次いで、Yビットピクセルデータが、整数個のNビットピクセルデータからなるピクセル行列に変換され、ピクセルメモリに記憶またはバッファされるように構成される。
【0067】
好ましい実施形態によれば、単一命令複数データ対応または複数命令複数データ対応のプロセッサは、単一命令複数データ対応または複数命令複数データ対応のベクトルプロセッサとして設計される。
【0068】
例えば、適切なプログラマブルシステムオンチップは、例えば、「AIコアシリーズ」「AIエッジシリーズ」、「プライムシリーズ」、または「プレミアムシリーズ」を含む「適応型コンピュータ加速プラットフォーム」というブランドの市販品としてXilinx社によって最近市販されているプログラマブルシステムオンチップである。このようなプログラマブルシステムオンチップは、数百個の統合ベクトルプロセッサを含む。
【0069】
さらに好ましい実施形態によれば、プログラマブルシステムオンチップは、オブジェクトベースのデータの複数のオブジェクトが画像内に重ね合わされると、それに対応して各色チャネルのNビットピクセルデータに変換された複数のオブジェクトの各色チャネルの重ね合わされたピクセルのNビット色値が、ピクセルメモリにバッファまたは記憶される前に、工程b)においてハードウェアレベルでプログラムされた論理回路によって重み付け加算されるように、重み付き加算演算を実行するように構成された少なくとも1つのプログラマブル論理回路を備える。これらのさらなる発展は、いくつかの重ね合わされたオブジェクトからの各色チャネルのNビットデータの記憶時間を大幅に短縮できるという利点を提供する。
【0070】
プログラマブルシステムオンチップは、本発明による方法の工程g[i])に従ってオブジェクトを再ベクトル化されたオブジェクトに分解するように構成されたシングルコアまたはマルチコアメインプロセッサを備えることができる。プログラマブルシステムオンチップはまた、データを受信および/または送信するための高速インターフェースを含むことができる。
【0071】
プログラマブルシステムオンチップは、最大で少なくとも3Tbit/s、好ましくは最大で4Tbit/sの速度でデータを送信することができるデータ転送バスをさらに備えることができ、少なくとも複数のプロセッサ、ピクセルメモリ、出力メモリ、少なくとも1つのプログラマブル論理回路、シングルコアまたはマルチコアメインプロセッサ、および高速インターフェースが、データ転送バスに結合される。
【0072】
さらに、ラスタグラフィックスプロセッサは、特定のタスクを実行するための、好ましくは特定のタスクを少なくとも1つの、特に複数のプログラマブルSoCに委譲するためのマスタプロセッサを備えることが可能である。
【0073】
プリンターは、インクジェットプリンターとして設計することができる。プリンターは、シングルパスプリンターまたはマルチパスプリンターとして設計することもできる。プリンターは、好ましくは、シングルパスインクジェットプリンターまたはマルチパスインクジェットプリンターとして設計される。あるいは、プリンターは、例えば、レーザプリンターまたはオフセットプリンターとして設計することができる。
【0074】
好ましい実施形態では、ラスタグラフィックスプロセッサは、本発明による方法を実行することができるように設計される。
【0075】
特に好ましい実施形態によれば、ベクトルベースの算術論理演算ユニットは各々、オブジェクトベースのデータが並列に処理されるとき、それぞれの算術論理演算ユニットに並列に入力される、各々がXビットのビット幅を有するいくつかのオブジェクトベースのデータが、プロセッサの単一クロックサイクル内で所定の算術演算セットを使用してYビットのビット幅を有するピクセルデータに変換され、Yビットのビット幅はXビットのビット幅よりも大きく、Yビットのピクセルデータは、整数個のNビットピクセルデータからなるピクセル行列の形式でピクセルメモリに記憶されるように構成される。
【0076】
さらに、好ましい実施形態では、ディザリング計算ユニットBは、さらなるプログラマブル論理回路として構成することができる。
【0077】
したがって、さらなるプログラマブル論理回路は、少なくとも1つのディザリングアルゴリズムを使用して各色チャネルのNビットピクセルデータを第2のターゲット色空間の各色チャネルのMビット印刷データに変換し、それを出力メモリにバッファまたは記憶するように構成される。
【0078】
このさらなる開発は、これが全体的なプロセス有効性のさらなる改善を可能にし、また可用性、性能および価格に関して全体的なシステム有効性を可能にするという利点を提供する。
【0079】
さらに、この好ましい実施形態では、さらなるプログラマブル論理回路を使用して、少なくとも1つの故障したまたは欠陥のあるノズルを補償するための方法、特にコンピュータ実装方法を実行することが可能であり、工程d)による印刷媒体への印刷後に、好ましくは人工知能によって、プログラマブル論理回路上のプリンターの画像測定システムを用いて、故障したまたは欠陥のあるノズルが検出される場合、方法のすべての工程、特にコンピュータ実装手順は、故障したまたは欠陥のあるノズルを補償するために実行することができるように構成される。
【0080】
このさらなる発展は、これが通過中または動作中のノズル調整を可能にし、その結果、高い印刷品質の連続性を保証することができるという利点を提供する。
【国際調査報告】