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特表2024-540807ドローン用表面コーティング層及びその製造方法、並びにドローン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】ドローン用表面コーティング層及びその製造方法、並びにドローン
(51)【国際特許分類】
   C23C 4/11 20160101AFI20241029BHJP
   C23C 8/10 20060101ALI20241029BHJP
   B32B 5/10 20060101ALI20241029BHJP
   B32B 7/027 20190101ALI20241029BHJP
   B64U 10/13 20230101ALI20241029BHJP
   B64U 20/60 20230101ALI20241029BHJP
   B64U 20/65 20230101ALI20241029BHJP
   B64U 30/21 20230101ALI20241029BHJP
   A62C 99/00 20100101ALI20241029BHJP
   C23C 4/134 20160101ALI20241029BHJP
   C23C 4/123 20160101ALI20241029BHJP
   C23C 4/18 20060101ALI20241029BHJP
   B64U 101/47 20230101ALN20241029BHJP
【FI】
C23C4/11
C23C8/10
B32B5/10
B32B7/027
B64U10/13
B64U20/60
B64U20/65
B64U30/21
A62C99/00
C23C4/134
C23C4/123
C23C4/18
B64U101:47
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518262
(86)(22)【出願日】2022-10-08
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 CN2022123842
(87)【国際公開番号】W WO2023066030
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】202111277394.1
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111218199.1
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111218198.7
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111401595.8
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521285805
【氏名又は名称】昆明理工大学
(74)【代理人】
【識別番号】100230086
【弁理士】
【氏名又は名称】譚 粟元
(72)【発明者】
【氏名】馮 晶
(72)【発明者】
【氏名】陳 琳
(72)【発明者】
【氏名】種 暁宇
(72)【発明者】
【氏名】利 建雨
(72)【発明者】
【氏名】宋 建博
(72)【発明者】
【氏名】張 陸洋
(72)【発明者】
【氏名】王 建坤
【テーマコード(参考)】
2E189
4F100
4K031
【Fターム(参考)】
2E189AB01
2E189FA01
4F100AA17B
4F100AA17E
4F100AA19B
4F100AA20B
4F100AA27B
4F100AB02A
4F100AB09A
4F100AB10A
4F100AB11A
4F100AC06E
4F100AD00E
4F100AD03C
4F100AD11E
4F100AG00E
4F100AK01E
4F100AK47E
4F100AT00E
4F100BA05
4F100BA07
4F100CB00A
4F100DG11E
4F100DH02E
4F100EH56A
4F100EH56C
4F100EH56D
4F100EH66A
4F100EJ12B
4F100EJ42B
4F100GB31
4F100JA02A
4F100JA02C
4F100JA02E
4F100JD03C
4F100JJ03D
4F100JJ07
4F100JL03
4F100YY00A
4F100YY00C
4F100YY00D
4K031AA08
4K031AB03
4K031AB04
4K031AB07
4K031AB09
4K031CB42
4K031DA04
(57)【要約】
本願は、ドローン用表面コーティング層及びその製造方法、並びにドローンを提出し、前記コーティング層は、少なくとも接着層、酸化防止層、酸素伝達遮断層及び断熱降温層を含み、前記コーティング層は、前記ドローン機体の表面に製造され、又は複合材料基材によって前記ドローン機体の表面に覆われ、前記ドローン機体は、軽量材料で製造され、前記複合材料基材は、樹脂系複合材料基材及びセラミック系複合材料基材を含み、前記接着層の厚さは20~200μmであり、前記酸素伝達遮断層の厚さは20~100μmであり、前記断熱降温層の厚さは80~1000μmである。本願において、コーティング層における各層の材料の極めて低い熱伝導率、高い反射率及び極めて強い酸素伝達遮断性を組み合わせることにより、ドローン機体に耐酸化性を持たせ、ドローンの動作温度を向上させ、火災救援に使用でき、長期間使用できることを保証する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも接着層、酸化防止層、酸素伝達遮断層及び断熱降温層を含み、
ドローン機体の表面に製造され、又は複合材料基材によって前記ドローン機体の表面に覆われるドローン用表面コーティング層であって、
前記ドローン機体は、軽量材料で製造され、
前記複合材料基材は、樹脂系複合材料基材及びセラミック系複合材料基材を含み、前記接着層の厚さは20~200μmであり、前記酸素伝達遮断層の厚さは20~100μmであり、前記断熱降温層の厚さは80~1000μmである、ことを特徴とする
ドローン用表面コーティング層。
【請求項2】
前記樹脂系複合材料基材は、有機ポリマーを基材とする繊維強化材料であり、前記繊維強化材料は、ガラス繊維、炭素繊維、玄武岩繊維及びアラミドのうちの1種である、
ことを特徴とする請求項1に記載のドローン用表面コーティング層。
【請求項3】
前記セラミック系複合材料基材は、炭化ケイ素繊維強化炭化ケイ素、炭素繊維強化炭素、炭素繊維強化炭化ケイ素及び炭化ケイ素繊維強化炭素のうちの1種である、
ことを特徴とする請求項1に記載のドローン用表面コーティング層。
【請求項4】
前記軽量材料は、炭素繊維編組体、チタン合金及びアルミニウム合金から選ばれる少なくとも1種であり、ドローンの内部部品と前記軽量材料は、エチレンプロピレンゴムによって結合される、
ことを特徴とする請求項1に記載のドローン用表面コーティング層。
【請求項5】
前記接着層の原材料は、前記軽量材料に近い熱膨張係数を有する材料であり、アルミニウム、鉄、マグネシウム、カルシウム、ケイ素、タンタル、バナジウム、イットリウム、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、モリブデン及びタングステンから選ばれる少なくとも1種である、
ことを特徴とする請求項1に記載のドローン用表面コーティング層。
【請求項6】
前記セラミック系複合材料基材の前記酸素伝達遮断層と前記断熱降温層との間には、厚さが30~50μmである熱膨張係数緩衝層がさらに設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載のドローン用表面コーティング層。
【請求項7】
前記酸素伝達遮断層の熱膨張係数は3×10-6-1~6×10-6-1の間であり、前記熱膨張係数緩衝層の熱膨張係数は6×10-6-1~9×10-6-1の間であり、前記断熱降温層の熱膨張係数は9×10-6-1~11×10-6-1の間である、
ことを特徴とする請求項6に記載のドローン用表面コーティング層。
【請求項8】
前記熱膨張係数緩衝層はRETaセラミックであり、REは希土類元素のうちの1種又は複数種からなる、
ことを特徴とする請求項6に記載のドローン用表面コーティング層。
【請求項9】
前記酸化防止層は、Al、SiO、Ta、Nb、ZrO、Mo及びWOのうちの1種又は複数種の混合物である、
ことを特徴とする請求項1に記載のドローン用表面コーティング層。
【請求項10】
前記酸素伝達遮断層は、希土類タンタル酸塩セラミック材料又は希土類タンタル/ニオブ酸塩セラミック材料である、
ことを特徴とする請求項1に記載のドローン用表面コーティング層。
【請求項11】
前記希土類タンタル酸塩セラミック材料は、ATaO球状粉体であり、AはAl、Fe又は希土類元素であり、
前記希土類タンタル/ニオブ酸塩セラミック材料は、RETa1-xNbセラミック材料であり、REは、希土類元素のうちの1種又は複数種であり、0<x<1である、
ことを特徴とする請求項10に記載のドローン用表面コーティング層。
【請求項12】
前記断熱降温層は、希土類ニオブ酸塩セラミック材料、希土類タンタル酸塩セラミック材料又は希土類タンタル/ニオブ酸塩セラミック材料である、
ことを特徴とする請求項1に記載のドローン用表面コーティング層。
【請求項13】
前記希土類ニオブ酸塩セラミック材料は、RENbO球状粉体であり、
前記希土類タンタル酸塩セラミック材料は、RETaOセラミックであり、
前記希土類タンタル/ニオブ酸塩セラミック材料は、RETa1-yNbであり、REは、希土類元素のうちの1種又は複数種であり、0<y<1である、
ことを特徴とする請求項12に記載のドローン用表面コーティング層。
【請求項14】
低温溶射法でセラミック系複合材料基材の上面に接着層を製造して形成し、又は電子ビーム物理的気相成長法で樹脂系複合材料基材又はドローン機体の上面に接着層を製造して形成するステップと、
前記接着層を空気中に置いて酸化させ、酸化防止層を形成するステップと、
大気プラズマ溶射法で前記酸化防止層の表面に酸素伝達遮断層を製造して形成するステップと、
大気プラズマ溶射法で前記酸素伝達遮断層の表面に断熱降温層を製造して形成するステップとを含む、
ことを特徴とするドローン用表面コーティング層の製造方法。
【請求項15】
前記セラミック系複合材料基材に大気プラズマ溶射法で前記酸素伝達遮断層の表面に断熱降温層を形成するステップは、
大気プラズマ溶射法で前記酸素伝達遮断層の表面に熱膨張係数緩衝層を製造して形成するステップと、
大気プラズマ溶射法で前記熱膨張係数緩衝層の表面に前記断熱降温層を製造して形成するステップとを含む、
ことを特徴とする請求項14に記載のドローン用表面コーティング層の製造方法。
【請求項16】
前記低温溶射法のプロセスパラメータは、圧縮窒素ガスを作動ガスとし、溶射圧力を0.66MPaとし、溶射距離を30mmとし、溶射温度を800℃とし、粉体送り速度を40g/minとすることを含み、
前記大気プラズマ溶射法のプロセスパラメータは、溶射ガンのパワーがを30~50kWとし、溶射ガンの距離を80~160mmとし、アルゴンガスのガス流量を3~10slpmとし、水素ガスのガス流量を3~10slpmとし、供給速度を30~50g/minとし、溶射ガンの速度を80~300mm/sとし、溶射時間を1~20minとすることを含む、
ことを特徴とする請求項14に記載のドローン用表面コーティング層の製造方法。
【請求項17】
前記電子ビーム物理的気相成長法のプロセスパラメータは、堆積過程において、基体の温度を300~500℃とし、ターゲット-基材距離を200~400mmとし、入射角度を30°~50°とし、電子の加速電圧を20~30kVとし、真空度を5×10-3Pa未満とし、堆積速度を50~150nm/minとすることを含み、基体は、セラミック系複合材料基材、樹脂系複合材料基材又はドローン機体を含む、
ことを特徴とする請求項14に記載のドローン用表面コーティング層の製造方法。
【請求項18】
前記接着層を空気中に置いて酸化させ、酸化防止層を形成するステップは、
前記接着層を空気中に置いて加熱して酸化させ、酸化防止層を形成するステップを含み、加熱温度を30~300℃とし、前記酸化防止層の厚さを20μm以下とする、
ことを特徴とする請求項14に記載のドローン用表面コーティング層の製造方法。
【請求項19】
ドローン機体と、中央制御モジュールと、前記中央制御モジュールにそれぞれ接続された情報取得モジュール、温度検出モジュール、圧力制御モジュール、ドローンモジュール及び高効率消防モジュールとを含むドローンであって、
前記情報取得モジュールは、目標消火点の関連情報を取得して第1データ集合を形成し、前記第1データ集合を前記中央制御モジュールに送信し、
前記温度検出モジュールは、火災現場の温度分布状況を収集して第2データ集合を形成し、前記第2データ集合を前記中央制御モジュールに送信し、
前記圧力制御モジュールは、高効率消火装置の圧力状態を監視し、前記高効率消火装置をリアルタイムに制御し、
前記ドローンモジュールは、リモートコントローラ、航空機電力制御装置及び消火ドローンを含み、前記リモートコントローラは、前記消火ドローンが前記中央制御モジュールから出された消火任務を遂行するように制御し、前記航空機電力制御装置は、前記消火ドローンに飛行動力を提供し、前記消火ドローンは、前記消火任務を遂行して目標火災場所を消火し、
前記高効率消防モジュールは、前記高効率消火装置及びヘルメットを含み、前記高効率消火装置は、消火材を積載して火災現場を消火し、前記ヘルメットは、高効率消火装置を保護し、
前記中央制御モジュールは、データ記憶ユニット、任務発表ユニット及び分析処理ユニットを含み、前記データ記憶ユニットは、前記第1データ集合及び前記第2データ集合を記憶し、前記任務発表ユニットは、前記第1データ集合に基づいて前記ドローンモジュールに消火任務を出し、前記分析処理ユニットは、第2データ集合を分析処理して火源及び火災が延び広がる前の点の位置情報に関する分析結果を得て、その後に所定の消火戦略に従って消火し、
前記ドローン機体は、軽量材料で製造され、前記軽量材料にコーティング層が覆われ、
前記コーティング層は、少なくとも接着層、酸化防止層、酸素伝達遮断層及び断熱降温層を含み、
前記コーティング層は、前記ドローン機体の表面に製造され、又は複合材料基材によって前記ドローン機体の表面に覆われ、
前記複合材料基材は、樹脂系複合材料基材及びセラミック系複合材料基材を含み、前記接着層の厚さは20~200μmであり、前記酸素伝達遮断層の厚さは20~100μmであり、前記断熱降温層の厚さは80~1000μmである、
ことを特徴とするドローン。
【請求項20】
前記所定の消火戦略は、
前記温度検出モジュールを用いて目標消火点の温度分布状況を収集し、火源及び火災が延び広がる前の点の具体的な位置情報を分析し、
前記圧力制御モジュールを用いて前記高効率消防モジュールが指向性消火を行うように制御し、まず火災が延び広がる前の点を消火し、次に火源を消火することを含む、
ことを特徴とする請求項19に記載のドローン。
【請求項21】
前記第2データ集合を分析処理して火源及び火災が延び広がる前の点に関する分析結果を得ることは、温度検出状況に基づいて温度変化グラフを得て、北斗測位システムと組み合わせて詳細な現場温度分布状況を得て、火源及び火災が延び広がる前の点の具体的な位置を見つけることである、
ことを特徴とする請求項19に記載のドローン。
【請求項22】
前記ドローン機体は、ドローン航空機を載置する耐力パネルと、消火器の安全性を保護する安定ホルダーと、ドローン航空機をバランス安定状態に維持するバランススタビライザーと、ドローン航空機に飛行上昇力を提供する航空機プロペラとを含む、
ことを特徴とする請求項19に記載のドローン。
【請求項23】
前記航空機プロペラは、炭素繊維で編まれてなる、
ことを特徴とする請求項22に記載のドローン。
【請求項24】
前記関連情報は、火災発生時間、火災場所、火災タイプ及び火災予測等級を含む、
ことを特徴とする請求項19に記載のドローン。
【請求項25】
前記消火材は、高効率圧縮性泡消火剤である、
ことを特徴とする請求項19に記載のドローン。
【請求項26】
前記高効率圧縮性泡消火剤は、無毒、無害であり、かつ燃焼物と反応して得られる反応物も無毒、無害物質である、
ことを特徴とする請求項25に記載のドローン。
【請求項27】
前記ヘルメットは、耐火性、防爆性の高分子材料で製造される内層と、耐エロージョン性の材料で製造される外層とを含む、
ことを特徴とする請求項19に記載のドローン。
【請求項28】
消火現場画面及び消火ドローンの残電力量をリアルタイムに表示する表示モジュールをさらに含む、
ことを特徴とする請求項19に記載のドローン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料応用の技術分野に関し、特にドローン用表面コーティング層及びその製造方法、並びにドローンに関する。
【背景技術】
【0002】
無人航空機の掘り下げた研究及び応用に伴い、現在、その最大離陸重量が既に十トン以上に達しており、火災救援現場で低空無人航空機を用いて消火行動、人員救援、通信接続及び物質輸送などの任務を行うことによって、従来の飛行士が任務を遂行する際の危険を効果的に低減することができ、また、低空無人航空機は都市内で火災救援を行う場合に体積が小さく、操作しやすく、離陸場所に対する制限が小さく、現代の発展傾向により適する。しかしながら、航空機自体の重量を効果的に減少させるとともに、それが携帯できる物質を増加させるために、従来の技術において、通常、異なる種類の樹脂系複合材料又はセラミック系複合材料を用いて低空航空機の機体を製造し、樹脂系複合材料は、融点が低く、耐高温性能が不足し、火災現場の煙による腐食で故障が発生しやすいという問題を有するため、大規模火災及び高温火災の現場での応用が制限され、セラミック系複合材料は、炭化ケイ素繊維強化炭化ケイ素、炭素繊維強化炭素、炭素繊維強化炭化ケイ素及び炭化ケイ素繊維強化炭素のセラミック系複合材料などで融点が2000℃を超えるとともに、樹脂系複合材料と類似する低密度、高可塑性及び高比強度などの利点を有するが、高温で空気に接触すると酸化させて故障が発生するという欠点を有する。
【0003】
また、近年、中国の南西地域等において、森林及び草地区域で火災がしばしば発生し、火災の勢いがすさまじく、発展も迅速であり、火災が大面積に発生した地域に対して損失が深刻である。従来使用されている消火器は、近距離又は火源の小さい火災に対して消火作用が顕著であるが、遠距離で火勢が強い火災に対して一般的に力を出すことができない。そして、従来の消火ドローンは、火災現場に対する指向性消火能力が強くなく、火災現場に対して遠距離で効率よく消火することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上の従来の技術に存在する問題に鑑み、本発明は、ドローン用表面コーティング層及びその製造方法、並びにドローンを提供し、主に従来のドローンの耐高温性能及び遠距離で正確に消火する能力が低いという問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的及びその他の目的を達成するために、本発明は以下の技術手段を用いる。
【0006】
ドローン用表面コーティング層は、少なくとも接着層、酸化防止層、酸素伝達遮断層及び断熱降温層を含み、
ドローン機体の表面に製造され、又は複合材料基材によって前記ドローン機体の表面に覆われ、
前記ドローン機体は、軽量材料で製造され、
前記複合材料基材は、樹脂系複合材料基材及びセラミック系複合材料基材を含み、前記接着層の厚さは20~200μmであり、前記酸素伝達遮断層の厚さは20~100μmであり、前記断熱降温層の厚さは80~1000μmである。
【0007】
好ましくは、前記樹脂系複合材料基材は、有機ポリマーを基材とする繊維強化材料であり、前記繊維強化材料は、ガラス繊維、炭素繊維、玄武岩繊維及びアラミドのうちの1種である。
【0008】
好ましくは、前記セラミック系複合材料基材は、炭化ケイ素繊維強化炭化ケイ素、炭素繊維強化炭素、炭素繊維強化炭化ケイ素及び炭化ケイ素繊維強化炭素のうちの1種である。
【0009】
好ましくは、前記軽量材料は、炭素繊維編組体、チタン合金及びアルミニウム合金から選ばれる少なくとも1種であり、ドローンの内部部品と前記軽量材料は、エチレンプロピレンゴムによって結合される。
【0010】
好ましくは、前記接着層の原材料は、前記軽量材料に近い熱膨張係数を有する材料であり、アルミニウム、鉄、マグネシウム、カルシウム、ケイ素、タンタル、バナジウム、イットリウム、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、モリブデン及びタングステンから選ばれる少なくとも1種である。
【0011】
好ましくは、前記セラミック系複合材料基材の酸素伝達遮断層と断熱降温層との間には、厚さが30~50μmである熱膨張係数緩衝層がさらに設けられる。
【0012】
好ましくは、前記酸素伝達遮断層の熱膨張係数は3×10-6-1~6×10-6-1の間であり、前記熱膨張係数緩衝層の熱膨張係数は6×10-6-1~9×10-6-1の間であり、前記断熱降温層の熱膨張係数は9×10-6-1~11×10-6-1の間である。
【0013】
好ましくは、前記熱膨張係数緩衝層はRETaセラミックであり、REは希土類元素のうちの1種又は複数種からなる。
【0014】
好ましくは、前記酸化防止層は、Al、SiO、Ta、Nb、ZrO、Mo及びWOのうちの1種又は複数種の混合物である。
【0015】
好ましくは、前記酸素伝達遮断層は、希土類タンタル酸塩セラミック材料又は希土類タンタル/ニオブ酸塩セラミック材料である。
【0016】
好ましくは、前記希土類タンタル酸塩セラミック材料は、ATaO球状粉体であり、AはAl、Fe又は希土類元素であり、
前記希土類タンタル/ニオブ酸塩セラミック材料は、RETa1-xNbセラミック材料であり、REは、希土類元素のうちの1種又は複数種であり、0<x<1である。
【0017】
好ましくは、前記断熱降温層は、希土類ニオブ酸塩セラミック材料、希土類タンタル酸塩セラミック材料又は希土類タンタル/ニオブ酸塩セラミック材料である。
【0018】
好ましくは、前記希土類ニオブ酸塩セラミック材料は、RENbO球状粉体であり、
前記希土類タンタル酸塩セラミック材料は、RETaOセラミックであり、
前記希土類タンタル/ニオブ酸塩セラミック材料は、RETa1-yNbであり、REは、希土類元素のうちの1種又は複数種であり、0<y<1である。
【0019】
本願によれば、
低温溶射法でセラミック系複合材料基材の上面に接着層を製造して形成し、又は電子ビーム物理的気相成長法で樹脂系複合材料基材又はドローン機体の上面に接着層を製造して形成するステップと、
前記接着層を空気中に置いて酸化させ、酸化防止層を形成するステップと、
大気プラズマ溶射法で前記酸化防止層の表面に酸素伝達遮断層を製造して形成するステップと、
大気プラズマ溶射法で前記酸素伝達遮断層の表面に断熱降温層を製造して形成するステップとを含むドローン用表面コーティング層の製造方法がさらに提供される。
【0020】
好ましくは、前記セラミック系複合材料基材に大気プラズマ溶射法で前記酸素伝達遮断層の表面に断熱降温層を形成するステップは、
大気プラズマ溶射法で前記酸素伝達遮断層の表面に熱膨張係数緩衝層を製造して形成するステップと、
大気プラズマ溶射法で前記熱膨張係数緩衝層の表面に前記断熱降温層を製造して形成するステップとを含む。
【0021】
好ましくは、前記低温溶射法のプロセスパラメータは、圧縮窒素ガスを作動ガスとし、溶射圧力を0.66MPaとし、溶射距離を30mmとし、溶射温度を800℃とし、粉体送り速度を40g/minとすることを含み、
前記大気プラズマ溶射法のプロセスパラメータは、溶射ガンのパワーがを30~50kWとし、溶射ガンの距離を80~160mmとし、アルゴンガスのガス流量を3~10slpmとし、水素ガスのガス流量を3~10slpmとし、供給速度を30~50g/minとし、溶射ガンの速度を80~300mm/sとし、溶射時間を1~20minとすることを含む。
【0022】
好ましくは、前記電子ビーム物理的気相成長法のプロセスパラメータは、堆積過程において、基体の温度を300~500℃とし、ターゲット-基材距離を200~400mmとし、入射角度を30°~50°とし、電子の加速電圧を20~30kVとし、真空度を5×10-3Pa未満とし、堆積速度を50~150nm/minとすることを含み、基体は、セラミック系複合材料基材、樹脂系複合材料基材又はドローン機体を含む。
【0023】
好ましくは、前記接着層を空気中に置いて酸化させ、酸化防止層を形成するステップは、
前記接着層を空気中に置いて加熱して酸化させ、酸化防止層を形成するステップを含み、加熱温度を30~300℃とし、前記酸化防止層の厚さを20μm以下とする。
【0024】
本願によれば、ドローン機体と、中央制御モジュールと、前記中央制御モジュールにそれぞれ接続された情報取得モジュール、温度検出モジュール、圧力制御モジュール、ドローンモジュール及び高効率消防モジュールとを含むドローンであって、
前記情報取得モジュールは、目標消火点の関連情報を取得して第1データ集合を形成し、前記第1データ集合を前記中央制御モジュールに送信し、
前記温度検出モジュールは、火災現場の温度分布状況を収集して第2データ集合を形成し、前記第2データ集合を前記中央制御モジュールに送信し、
前記圧力制御モジュールは、高効率消火装置の圧力状態を監視し、前記高効率消火装置をリアルタイムに制御し、
前記ドローンモジュールは、リモートコントローラ、航空機電力制御装置及び消火ドローンを含み、前記リモートコントローラは、前記消火ドローンが前記中央制御モジュールから送信された消火任務を遂行するように制御し、前記航空機電力制御装置は、前記消火ドローンに飛行動力を提供し、前記消火ドローンは、前記消火任務を遂行して目標火災場所を消火し、
前記高効率消防モジュールは、前記高効率消火装置及びヘルメットを含み、前記高効率消火装置は、消火材を積載して火災現場を消火し、前記ヘルメットは、高効率消火装置を保護し、
前記中央制御モジュールは、データ記憶ユニット、任務発表ユニット及び分析処理ユニットを含み、前記データ記憶ユニットは、前記第1データ集合及び前記第2データ集合を記憶し、前記任務発表ユニットは、前記第1データ集合に基づいて前記ドローンモジュールに消火任務を出し、前記分析処理ユニットは、第2データ集合を分析処理して火源及び火災が延び広がる前の点の位置情報に関する分析結果を得て、その後に所定の消火戦略に従って消火し、
前記ドローン機体は、軽量材料で製造され、前記軽量材料にコーティング層が覆われ、
前記コーティング層は、少なくとも接着層、酸化防止層、酸素伝達遮断層及び断熱降温層を含み、
前記コーティング層は、前記ドローン機体の表面に製造され、又は複合材料基材によって前記ドローン機体の表面に覆われ、
前記複合材料基材は、樹脂系複合材料基材及びセラミック系複合材料基材を含み、前記接着層の厚さは20~200μmであり、前記酸素伝達遮断層の厚さは20~100μmであり、前記断熱降温層の厚さは80~1000μmであるドローンがさらに提供される。
【0025】
好ましくは、前記所定の消火戦略は、
前記温度検出モジュールを用いて目標消火点の温度分布状況を収集し、火源及び火災が延び広がる前の点の具体的な位置情報を分析し、
前記圧力制御モジュールを用いて前記高効率消防モジュールが指向性消火を行うように制御し、まず火災が延び広がる前の点を消火し、次に火源を消火することを含む。
【0026】
好ましくは、前記第2のデータ集合を分析処理して火源及び火災が延び広がる前の点に関する分析結果を得ることは、温度検出状況に基づいて温度変化グラフを得て、北斗測位システムと組み合わせて詳細な現場温度分布状況を得て、火源及び火災が延び広がる前の点の具体的な位置を見つけることである。
【0027】
好ましくは、前記ドローン機体は、ドローン航空機を載置する耐力パネルと、消火器の安全性を保護する安定ホルダーと、ドローン航空機をバランス安定状態に維持するバランススタビライザーと、ドローン航空機に飛行上昇力を提供する航空機プロペラとを含む。
【0028】
好ましくは、前記航空機プロペラは、炭素繊維で編まれてなる。
【0029】
好ましくは、前記関連情報は、火災発生時間、火災場所、火災タイプ及び火災予測等級を含む。
【0030】
好ましくは、前記消火材は、高効率圧縮性泡消火剤である。
【0031】
好ましくは、前記高効率圧縮性泡消火剤は、無毒、無害であり、かつ燃焼物と反応して得られる反応物も無毒、無害物質である。
【0032】
好ましくは、前記ヘルメットは、耐火性、防爆性の高分子材料で製造される内層と、耐エロージョン性の材料で製造される外層とを含む。
【0033】
好ましくは、前記ドローンは、消火現場画面及び消火ドローンの残電力量をリアルタイムに表示する表示モジュールをさらに含む。
【発明の効果】
【0034】
上述したように、本願のドローン用表面コーティング層及びその製造方法、並びにドローンは、以下の有益な効果を有する。
【0035】
本願において、軽量材料でドローンの機体を製造し、機体にコーティング層を覆い、コーティング層が少なくとも接着層、酸化防止層、酸素伝達遮断層及び断熱降温層を含むため、ドローンに断熱降温、酸素伝達遮断、酸化防止の作用を提供し、軽量材料の限界動作温度及び耐酸化性を効果的に向上させることにより、ドローンを火災救援などの高温、高腐食環境下で使用することができ、低空飛行を実現し、その耐用年数を延長することができ、上記コーティング層を火災救援ドローンの機体の材料として使用する場合、この低熱伝導率、多層構造が断熱降温の効果を向上させるという利点により、火災現場の使用環境下で機体の内部部品がその限界使用温度下にあることを保証することができることにより、長期間にわたって有効に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本願の一実施例におけるドローン用表面コーティング層の概略構成図である。
図2】本願の一実施例におけるドローン用表面コーティング層が800℃で保温された後のミクロ組織図である。
図3】本願の他の実施例におけるドローン用表面コーティング層の概略構成図である。
図4】本願の他の実施例におけるドローン用表面コーティング層の概略構成図である。
図5】本願の一実施例におけるドローンのシステム概略図である。
図6】本願の一実施例におけるドローンモジュールの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、特定な具体的な実施例により本発明の実施形態を説明するが、当業者であれば、本発明の他の利点と効果を本明細書に開示された内容から容易に理解することができる。本発明は、さらに他の異なる具体的な実施形態により実施されるか又は応用されてもよく、本明細書における各詳細に対して、異なる観点及び応用に基づいて、本発明の精神から逸脱することなく様々な修飾又は変更を行ってもよい。なお、以下の実施例及び実施例における特徴は、矛盾しない限り、互いに組み合わせてもよい。
【0038】
なお、以下の実施例において提供される図面は、本発明の基本的な構想を例示的に説明するためのものに過ぎず、図面には、実際に実施する際の部材の数、形状及び寸法に従って描かれるものではなく、本発明に関連する部材のみが示され、実際に実施する際の各部材の形態、数及び比率は、任意に変更でき、かつその部材のレイアウト形態もより複雑になる可能性がある。
【0039】
(実施例1)
本願において、ドローン用表面コーティング層及びその製造方法が提出される。図1に示すように、本願の実施例では、ドローン用表面コーティング層は、樹脂系複合材料基材によってドローン機体の表面に覆われ、樹脂系複合材料基材は、有機ポリマーを基材とする繊維強化材料であり、強化繊維としてガラス繊維を用いた。樹脂系複合材料基材には、厚さが30μmの接着層、厚さが50μmの酸素伝達遮断層及び厚さが1000μmの断熱降温層が順次に製造され、接着層としてケイ素(Si)を用い、酸素伝達遮断層としてLuTa0.5Nb0.5を用い、断熱降温層としてLuTa0.3Nb0.7セラミックコーティング層を用いた。
【0040】
具体的には、(1)電子ビーム物理的気相成長法でガラス繊維基材の表面に厚さが30μmのケイ素(Si)接着層を製造し、電子ビーム物理的気相成長過程において、接着層のケイ素(Si)をターゲットとして、ガラス繊維基材の上面に接着層を堆積し、ガラス繊維基材の温度を350℃とし、ターゲット-基材距離を300mmとし、入射角度を30°とし、電子の加速電圧を20kVとし、真空度を2×10-3Pa未満とし、堆積速度を100nm/minとした。
【0041】
(2)ケイ素(Si)接着層を空気中に置いて酸化させて、厚さが1μm未満のSiO酸化防止層を得て、大気プラズマ溶射により酸化防止層の表面に厚さが50マイクロメートルの酸素伝達遮断層LuTa0.5Nb0.5セラミック層を製造し、まず原料としてLu、Nb及びTaを用いて、高温固相法で球状のLuTa0.5Nb0.5球状粉体を製造し、溶射ガンを用いて大気プラズマ溶射法によりLuTa0.5Nb0.5球状粉体を溶射する過程において、保護ガスとしてアルゴンガスを用い、燃焼ガスとして水素ガスを用い、上記溶射ガンのパワーを45kWとし、溶射ガンの距離を130mmとし、上記アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ45/12slpm及び40/10slpmとし、供給速度を60g/minとし、溶射ガンの速度を200mm/sとし、溶射時間を2minとした。
【0042】
(3)大気プラズマ溶射法でLuTa0.5Nb0.5セラミック酸素伝達遮断層の表面に厚さが1000マイクロメートルの反射断熱層であるLuTa0.3Nb0.7セラミックコーティング層を製造し、原料としてLu、Nb及びTaを用いて、高温固相法で球状のLuTa0.3Nb0.7球状粉体を製造し、溶射ガンを用いて大気プラズマ溶射法によりLuTa0.3Nb0.7球状粉体を溶射する過程において、保護ガスとしてアルゴンガスを用い、燃焼ガスとして水素ガスを用い、上記溶射ガンのパワーを43kWとし、溶射ガンの距離を140mmとし、上記アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ42/12slpm及び45/15slpmとし、供給速度を50g/minとし、溶射ガンの速度を100mm/sとし、溶射時間を20minとした。
【0043】
(実施例2)
本願において、ドローン用表面コーティング層及びその製造方法が提出される。図1に示すように、本願の実施例では、ドローン用表面コーティング層は、樹脂系複合材料基材によってドローン機体の表面に覆われ、樹脂系複合材料基材は、有機ポリマーを基材とする繊維強化材料であり、強化繊維として炭素繊維を用いた。樹脂系複合材料基材には、厚さが100μmの接着層、厚さが75μmの酸素伝達遮断層及び厚さが100μmの断熱降温層が順次に製造され、接着層としてアルミニウムを用い、酸素伝達遮断層としてTm1/4Yb1/4Lu1/4Sc1/4Ta0.8Nb0.2を用い、断熱降温層としてYTa0.5Nb0.5セラミックコーティング層を用いた。
【0044】
具体的には、(1)電子ビーム物理的気相成長法でガラス繊維基材の表面に厚さが100μmのアルミニウム接着層を製造し、電子ビーム物理的気相成長過程において、接着層のアルミニウムをターゲットとして、基材の上面に接着層を堆積し、基材の温度を350℃とし、ターゲット-基材距離を300mmとし、入射角度を30°とし、電子の加速電圧を20kVとし、真空度を2×10-3Pa未満とし、堆積速度を100nm/minとした。
【0045】
(2)アルミニウム接着層を空気中に置いて酸化させて、厚さが1μm未満のAl酸化防止層を得て、大気プラズマ溶射により酸化防止層の表面に厚さが75マイクロメートルの酸素伝達遮断層Tm1/4Yb1/4Lu1/4Sc1/4Ta0.8Nb0.2セラミック層を製造し、まず原料としてSc、Tm、Yb、Lu、Nb及びTaを用いて、高温固相法で球状のTm1/4Yb1/4Lu1/4Sc1/4Ta0.8Nb0.2球状粉体を製造し、溶射ガンを用いて大気プラズマ溶射法によりTm1/4Yb1/4Lu1/4Sc1/4Ta0.8Nb0.2球状粉体を溶射する過程において、保護ガスとしてアルゴンガスを用い、燃焼ガスとして水素ガスを用い、上記溶射ガンのパワーを45kWとし、溶射ガンの距離を130mmとし、上記アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ45/12slpm及び40/10slpmとし、供給速度を60g/minとし、溶射ガンの速度を200mm/sとし、溶射時間を20minとした。
【0046】
(3)大気プラズマ溶射法でTm1/4Yb1/4Lu1/4Sc1/4Ta0.8Nb0.2セラミック酸素伝達遮断層の表面に厚さが100マイクロメートルの反射断熱層であるYTa0.5Nb0.5セラミックコーティング層を製造し、原料としてY、Nb及びTaを用いて、高温固相法で球状のYTa0.5Nb0.5球状粉体を製造し、溶射ガンを用いて大気プラズマ溶射法によりLuTa0.3Nb0.7球状粉体を溶射する過程において、保護ガスとしてアルゴンガスを用い、燃焼ガスとして水素ガスを用い、上記溶射ガンのパワーを43kWとし、溶射ガンの距離を140mmとし、上記アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ42/12slpm及び45/15slpmとし、供給速度を50g/minとし、溶射ガンの速度を100mm/sとし、溶射時間を2minとした。
【0047】
(実施例3)
本願において、ドローン用表面コーティング層及びその製造方法が提出される。図1に示すように、本願の実施例では、ドローン用表面コーティング層は、樹脂系複合材料基材によってドローン機体の表面に覆われ、樹脂系複合材料基材は、有機ポリマーを基材とする繊維強化材料であり、強化繊維として玄武岩繊維を用いた。樹脂系複合材料基材には、厚さが50μmの接着層、厚さが80μmの酸素伝達遮断層及び厚さが600μmの断熱降温層が順次に製造され、接着層としてタンタル-ニオブ-モリブデン合金を用い、酸素伝達遮断層としてYTa0.5Nb0.5を用い、断熱降温層としてYGdDyTa0.5Nb0.5セラミックコーティング層を用いた。
【0048】
具体的には、(1)電子ビーム物理的気相成長法でガラス繊維基材の表面に厚さが50μmのタンタル-ニオブ-モリブデン合金接着層を製造し、電子ビーム物理的気相成長過程において、接着層のタンタル-ニオブ-モリブデン合金をターゲットとして、基材の上面に接着層を堆積し、基材の温度を350℃とし、ターゲット-基材距離を300mmとし、入射角度を30°とし、電子の加速電圧を20kVとし、真空度を2×10-3Pa未満とし、堆積速度を100nm/minとした。
【0049】
(2)タンタル-ニオブ-モリブデン合金接着層を空気中に置いて酸化させて、厚さが1μm未満の対応する酸化物酸化防止層を得て、大気プラズマ溶射により酸化防止層の表面に厚さが75マイクロメートルの酸素伝達遮断層YTa0.5Nb0.5セラミック層を製造し、まず原料としてY、Nb及びTaを用いて、高温固相法で球状のYTa0.5Nb0.5球状粉体を製造し、溶射ガンを用いて大気プラズマ溶射法によりYTa0.5Nb0.5球状粉体を溶射する過程において、保護ガスとしてアルゴンガスを用い、燃焼ガスとして水素ガスを用い、上記溶射ガンのパワーを45kWとし、溶射ガンの距離を130mmとし、上記アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ45/12slpm及び40/10slpmとし、供給速度を60g/minとし、溶射ガンの速度を200mm/sとし、溶射時間を2minとした。
【0050】
(3)大気プラズマ溶射法でYTa0.5Nb0.5セラミック酸素伝達遮断層の表面に厚さが600マイクロメートルの反射断熱層であるYGdDyTa0.5Nb0.5セラミックコーティング層を製造し、原料としてDy、Gd、Y、Nb及びTaを用いて、高温固相法で球状のYGdDyTa0.5Nb0.5球状粉体を製造し、溶射ガンを用いて大気プラズマ溶射法によりYGdDyTa0.5Nb0.5球状粉体を溶射する過程において、保護ガスとしてアルゴンガスを用い、燃焼ガスとして水素ガスを用い、上記溶射ガンのパワーを43kWとし、溶射ガンの距離を140mmとし、上記アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ42/12slpm及び45/15slpmとし、供給速度を50g/minとし、溶射ガンの速度を100mm/sとし、溶射時間を12minとした。
【0051】
(実施例4)
本願において、ドローン用表面コーティング層及びその製造方法が提出される。図1に示すように、本願の実施例では、ドローン用表面コーティング層は、樹脂系複合材料基材によってドローン機体の表面に覆われ、樹脂系複合材料基材は、有機ポリマーを基材とする繊維強化材料であり、強化繊維としてアラミドを用いた。樹脂系複合材料基材には、厚さが60μmの接着層、厚さが60μmの酸素伝達遮断層及び厚さが720μmの断熱降温層が順次に製造され、接着層としてジルコニウム-ケイ素合金を用い、酸素伝達遮断層としてSmTa0.2Nb0.8を用い、断熱降温層としてSmEuGdTa0.2Nb0.8セラミックコーティング層を用いた。
【0052】
具体的には、(1)電子ビーム物理的気相成長法でガラス繊維基材の表面に厚さが50μmのジルコニウム-ケイ素合金接着層を製造し、電子ビーム物理的気相成長過程において、ジルコニウム-ケイ素合金をターゲットとして、基材の上面に接着層を堆積し、基材の温度を350℃とし、ターゲット-基材距離を300mmとし、入射角度を30°とし、電子の加速電圧を20kVとし、真空度を2×10-3Pa未満とし、堆積速度を100nm/minとした。
【0053】
(2)ジルコニウム-ケイ素合金接着層を空気中に置いて酸化させて、厚さが1μm未満の対応する酸化物酸化防止層を得て、大気プラズマ溶射により酸化防止層の表面に厚さが60マイクロメートルの酸素伝達遮断層SmTa0.2Nb0.8セラミック層を製造し、まず原料としてSm、Nb及びTaを用いて、高温固相法で球状のSmTa0.2Nb0.8球状粉体を製造し、溶射ガンを用いて大気プラズマ溶射法によりSmTa0.2Nb0.8球状粉体を溶射する過程において、保護ガスとしてアルゴンガスを用い、燃焼ガスとして水素ガスを用い、上記溶射ガンのパワーを45kWとし、溶射ガンの距離を130mmとし、上記アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ45/12slpm及び40/10slpmとし、供給速度を60g/minとし、溶射ガンの速度を200mm/sとし、溶射時間を2minとした。
【0054】
(3)大気プラズマ溶射法でSmEuGdTa0.2Nb0.8セラミック酸素伝達遮断層の表面に厚さが720マイクロメートルの反射断熱層であるSmEuGdTa0.2Nb0.8セラミックコーティング層を製造し、原料としてSm、Gd、Eu、Nb及びTaを用いて、高温固相法で球状のSmEuGdTa0.2Nb0.8球状粉体を製造し、溶射ガンを用いて大気プラズマ溶射法によりSmEuGdTa0.2Nb0.8球状粉体を溶射する過程において、保護ガスとしてアルゴンガスを用い、燃焼ガスとして水素ガスを用い、上記溶射ガンのパワーを43kWとし、溶射ガンの距離を140mmとし、上記アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ42/12slpm及び45/15slpmとし、供給速度を50g/minとし、溶射ガンの速度を100mm/sとし、溶射時間を15minとした。
【0055】
(実施例5)
本願において、ドローン用表面コーティング層及びその製造方法が提出される。図1に示すように、本願の実施例では、ドローン用表面コーティング層は、樹脂系複合材料基材によってドローン機体の表面に覆われ、樹脂系複合材料基材は、有機ポリマーを基材とする繊維強化材料であり、強化繊維としてガラス繊維を用いた。樹脂系複合材料基材には、厚さが30μmの接着層、厚さが50μmの酸素伝達遮断層及び厚さが500μmの断熱降温層が順次に製造され、接着層としてケイ素(Si)を用い、酸素伝達遮断層としてLuTa0.5Nb0.5を用い、断熱降温層としてLuTa0.3Nb0.7セラミックコーティング層を用いた。
【0056】
具体的には、(1)電子ビーム物理的気相成長法でガラス繊維基材の表面に厚さが30μmのケイ素(Si)接着層を製造し、電子ビーム物理的気相成長過程において、接着層のケイ素(Si)をターゲットとして、ガラス繊維基材の上面に接着層を堆積し、ガラス繊維基材の温度を350℃とし、ターゲット-基材距離を300mmとし、入射角度を30°とし、電子の加速電圧を20kVとし、真空度を2×10-3Pa未満とし、堆積速度を100nm/minとした。
【0057】
(2)ケイ素(Si)接着層を空気中に置いて酸化させて、厚さが1μm未満のSiO酸化防止層を得て、大気プラズマ溶射により酸化防止層の表面に厚さが50マイクロメートルの酸素伝達遮断層LuTa0.5Nb0.5セラミック層を製造し、まず原料としてLu、Nb及びTaを用いて、高温固相法で球状のLuTa0.5Nb0.5球状粉体を製造し、溶射ガンを用いて大気プラズマ溶射法によりLuTa0.5Nb0.5球状粉体を溶射する過程において、保護ガスとしてアルゴンガスを用い、燃焼ガスとして水素ガスを用い、上記溶射ガンのパワーを45kWとし、溶射ガンの距離を130mmとし、上記アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ45/12slpm及び40/10slpmとし、供給速度を60g/minとし、溶射ガンの速度を200mm/sとし、溶射時間を2minとした。
【0058】
(3)大気プラズマ溶射法でLuTa0.5Nb0.5セラミック酸素伝達遮断層の表面に厚さが500マイクロメートルの反射断熱層であるLuTa0.3Nb0.7セラミックコーティング層を製造し、原料としてLu、Nb及びTaを用いて、高温固相法で球状のLuTa0.3Nb0.7球状粉体を製造し、溶射ガンを用いて大気プラズマ溶射法によりLuTa0.3Nb0.7球状粉体を溶射する過程において、保護ガスとしてアルゴンガスを用い、燃焼ガスとして水素ガスを用い、上記溶射ガンのパワーを43kWとし、溶射ガンの距離を140mmとし、上記アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ42/12slpm及び45/15slpmとし、供給速度を50g/minとし、溶射ガンの速度を100mm/sとし、溶射時間を10minとした。
【0059】
(実施例6)
本願において、ドローン用表面コーティング層及びその製造方法が提出される。図1に示すように、本願の実施例では、ドローン用表面コーティング層は、樹脂系複合材料基材によってドローン機体の表面に覆われ、樹脂系複合材料基材は、有機ポリマーを基材とする繊維強化材料であり、強化繊維として炭素繊維を用いた。樹脂系複合材料基材には、厚さが100μmの接着層、厚さが75μmの酸素伝達遮断層及び厚さが500μmの断熱降温層が順次に製造され、接着層としてアルミニウムを用い、酸素伝達遮断層としてTm1/4Yb1/4Lu1/4Sc1/4Ta0.8Nb0.2を用い、断熱降温層としてYTa0.5Nb0.5セラミックコーティング層を用いた。
【0060】
具体的には、(1)電子ビーム物理的気相成長法でガラス繊維基材の表面に厚さが100μmのアルミニウム接着層を製造し、電子ビーム物理的気相成長過程において、接着層のアルミニウムをターゲットとして、基材の上面に接着層を堆積し、基材の温度を350℃とし、ターゲット-基材距離を300mmとし、入射角度を30°とし、電子の加速電圧を20kVとし、真空度を2×10-3Pa未満とし、堆積速度を100nm/minとした。
【0061】
(2)アルミニウム接着層を空気中に置いて酸化させて、厚さが1μm未満のAl酸化防止層を得て、大気プラズマ溶射により酸化防止層の表面に厚さが75マイクロメートルの酸素伝達遮断層Tm1/4Yb1/4Lu1/4Sc1/4Ta0.8Nb0.2セラミック層を製造し、まず原料としてSc、Tm、Yb、Lu、Nb及びTaを用いて、高温固相法で球状のTm1/4Yb1/4Lu1/4Sc1/4Ta0.8Nb0.2球状粉体を製造し、溶射ガンを用いて大気プラズマ溶射法によりTm1/4Yb1/4Lu1/4Sc1/4Ta0.8Nb0.2球状粉体を溶射する過程において、保護ガスとしてアルゴンガスを用い、燃焼ガスとして水素ガスを用い、上記溶射ガンのパワーを45kWとし、溶射ガンの距離を130mmとし、上記アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ45/12slpm及び40/10slpmとし、供給速度を60g/minとし、溶射ガンの速度を200mm/sとし、溶射時間を20minとした。
【0062】
(3)大気プラズマ溶射法でTm1/4Yb1/4Lu1/4Sc1/4Ta0.8Nb0.2セラミック酸素伝達遮断層の表面に厚さが500マイクロメートルの反射断熱層であるYTa0.5Nb0.5セラミックコーティング層を製造し、原料としてY、Nb及びTaを用いて、高温固相法で球状のYTa0.5Nb0.5球状粉体を製造し、溶射ガンを用いて大気プラズマ溶射法によりLuTa0.3Nb0.7球状粉体を溶射する過程において、保護ガスとしてアルゴンガスを用い、燃焼ガスとして水素ガスを用い、上記溶射ガンのパワーを43kWとし、溶射ガンの距離を140mmとし、上記アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ42/12slpm及び45/15slpmとし、供給速度を50g/minとし、溶射ガンの速度を100mm/sとし、溶射時間を10minとした。
【0063】
(比較例1)
本願において、ドローン用表面コーティング層及びその製造方法が提出される。図1に示すように、本願の実施例では、ドローン用表面コーティング層は、樹脂系複合材料基材によってドローン機体の表面に覆われ、樹脂系複合材料基材は、有機ポリマーを基材とする繊維強化材料であり、強化繊維としてガラス繊維を用いた。樹脂系複合材料基材には、厚さが30μmの接着層及び厚さが50μmの酸素伝達遮断層が順次に製造され、接着層としてケイ素(Si)を用い、酸素伝達遮断層としてLuTa0.5Nb0.5を用いた。
【0064】
具体的には、(1)電子ビーム物理的気相成長法でガラス繊維基材の表面に厚さが30μmのケイ素(Si)接着層を製造し、電子ビーム物理的気相成長過程において、接着層のケイ素(Si)をターゲットとして、ガラス繊維基材の上面に接着層を堆積し、ガラス繊維基材の温度を350℃とし、ターゲット-基材距離を300mmとし、入射角度を30°とし、電子の加速電圧を20kVとし、真空度を2×10-3Pa未満とし、堆積速度を100nm/minとした。
【0065】
(2)ケイ素(Si)接着層を空気中に置いて酸化させて、厚さが1μm未満のSiO酸化防止層を得て、大気プラズマ溶射により酸化防止層の表面に厚さが50マイクロメートルの酸素伝達遮断層LuTa0.5Nb0.5セラミック層を製造し、まず原料としてLu、Nb及びTaを用いて、高温固相法で球状のLuTa0.5Nb0.5球状粉体を製造し、溶射ガンを用いて大気プラズマ溶射法によりLuTa0.5Nb0.5球状粉体を溶射する過程において、保護ガスとしてアルゴンガスを用い、燃焼ガスとして水素ガスを用い、上記溶射ガンのパワーを45kWとし、溶射ガンの距離を130mmとし、上記アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ45/12slpm及び40/10slpmとし、供給速度を60g/minとし、溶射ガンの速度を200mm/sとし、溶射時間を2minとした。
【0066】
(比較例2)
本願において、ドローン用表面コーティング層及びその製造方法が提出される。図1に示すように、本願の実施例では、ドローン用表面コーティング層は、樹脂系複合材料基材によってドローン機体の表面に覆われ、樹脂系複合材料基材は、有機ポリマーを基材とする繊維強化材料であり、強化繊維として炭素繊維を用いた。樹脂系複合材料基材には、厚さが75μmの酸素伝達遮断層及び厚さが500μmの断熱降温層が順次に製造され、接着層としてアルミニウムを用い、酸素伝達遮断層としてTm1/4Yb1/4Lu1/4Sc1/4Ta0.8Nb0.2を用い、断熱降温層としてYTa0.5Nb0.5セラミックコーティング層を用いた。
【0067】
具体的には、(1)大気プラズマ溶射により基材の表面に厚さが75マイクロメートルの酸素伝達遮断層であるTm1/4Yb1/4Lu1/4Sc1/4Ta0.8Nb0.2セラミック層を製造し、まず原料としてSc、Tm、Yb、Lu、Nb及びTaを用いて、高温固相法で球状のTm1/4Yb1/4Lu1/4Sc1/4Ta0.8Nb0.2球状粉体を製造し、溶射ガンを用いて大気プラズマ溶射法によりTm1/4Yb1/4Lu1/4Sc1/4Ta0.8Nb0.2球状粉体を溶射する過程において、保護ガスとしてアルゴンガスを用い、燃焼ガスとして水素ガスを用い、上記溶射ガンのパワーを45kWとし、溶射ガンの距離を130mmとし、上記アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ45/12slpm及び40/10slpmとし、供給速度を60g/minとし、溶射ガンの速度を200mm/sとし、溶射時間を20minとした。
【0068】
(2)大気プラズマ溶射法でTm1/4Yb1/4Lu1/4Sc1/4Ta0.8Nb0.2セラミック酸素伝達遮断層の表面に厚さが500マイクロメートルの反射断熱層であるYTa0.5Nb0.5セラミックコーティング層を製造し、原料としてY、Nb及びTaを用いて、高温固相法で球状のYTa0.5Nb0.5球状粉体を製造し、溶射ガンを用いて大気プラズマ溶射法によりLuTa0.3Nb0.7球状粉体を溶射する過程において、保護ガスとしてアルゴンガスを用い、燃焼ガスとして水素ガスを用い、上記溶射ガンのパワーを43kWとし、溶射ガンの距離を140mmとし、上記アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ42/12slpm及び45/15slpmとし、供給速度を50g/minとし、溶射ガンの速度を100mm/sとし、溶射時間を10minとした。
【0069】
上記実施例1~6及び比較例1~2で製造された材料系の構成は表1に示されており、材料の軟化温度及び断熱降温勾配について試験を行い、試験過程は、材料コーティング層の表面を加熱し、表面及び基材とコーティング層の界面の温度について試験を行うことであり、樹脂系複合材料が軟化してコーティング層と分離する時の温度を軟化温度とし、軟化時のコーティング層の表面と界面の温度差を断熱降温勾配とした。本願において使用されるガラス繊維、炭素繊維、玄武岩繊維及びアラミドで強化された樹脂系材料は、その本来の軟化温度がそれぞれ140℃、145℃、120℃及び94℃である。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
表2に示すように、異なるタイプの樹脂系複合材料に対して製造された勾配コーティング層は、優れた断熱保護性能を提供することでその動作温度を100~600℃向上させることができるが、本願の勾配複合コーティング層が製造されない比較例の材料では、一定の断熱降温勾配を向上させることができるが、性能が明らかに不十分である。また、比較例2では、接着層を製造しなかったところ、コーティング材が熱サイクルを2回経た後にコーティング層が剥離したという状況が発生し、他の材料の熱サイクル寿命がいずれも20回を超えた。図2は、製造された複合勾配コーティング層を800℃で保温した後のミクロ組織図であり、図2に示すように、層と層が緊密に結合されていることは、コーティング層の結合力が強く、明らかなクラック及び気孔が存在しないことを証明する。
【0073】
(実施例7)
本発明において、ドローン用表面コーティング層及びその製造方法が提出される。図3に示すように、本願の実施例では、ドローン用表面コーティング層は、セラミック系複合材料基材によってドローン機体の表面に覆われ、セラミック系複合材料基材は、炭化ケイ素繊維強化炭化ケイ素であった。炭化ケイ素繊維強化炭化ケイ素基材には、厚さが100μmの接着層、厚さが1μm未満の酸化防止層、厚さが30μmの酸素伝達遮断層、厚さが30μmの熱膨張係数緩衝層及び厚さが100μmの断熱降温層が順次に製造され、接着層の材料として金属タンタルTaを用い、酸素伝達遮断層として希土類タンタル酸塩RETaOセラミック材料を用い、REはYbであり、熱膨張係数緩衝層としてRETaセラミックを用い、REはTmであった。
【0074】
具体的には、(1)低温溶射法で炭化ケイ素繊維強化炭化ケイ素基材の上面に厚さが100μmのタンタルTa接着層を製造し、低温溶射過程において、圧縮窒素ガスを作動ガスとし、溶射圧力を0.66MPaとし、溶射距離を30mmとし、溶射温度を800℃とし、粉体送り速度を40g/minとし、溶射されたタンタルTa接着層の材料を空気中に置いた後、金属タンタルを酸化させば、材料の表面に厚さが1μm未満の緻密な酸化タンタルTa酸化防止層を形成することができる。
【0075】
(2)緻密な酸化タンタルTa酸化防止層の表面に大気プラズマ溶射法で厚さが30マイクロメートルの酸素伝達遮断層であるYbTaOセラミック材料を製造した。まず、原料としてYb及びTaを用い、高温固相法で球状のYbTaO球状粉体を製造し、大気プラズマ溶射法で酸素伝達遮断層を溶射する過程において、保護ガスとしてアルゴンガスを用い、燃焼ガスとして水素ガスを用い、溶射時に溶射ガンのパワーを42kWとし、溶射ガンの距離を100mmとし、アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ40/12slpm及び45/10slpmとし、供給速度を50g/minとし、溶射ガンの速度を300mm/sとし、溶射時間を1minとした。
【0076】
(3)大気プラズマ溶射法でYbTaOセラミック酸素伝達遮断層の表面に厚さが30マイクロメートルの熱膨張係数緩衝層であるTmTaセラミックコーティング層を製造した。まず、原料としてTm及びTaを用い、高温固相法で球状のTmTa球状粉体を製造し、大気プラズマ溶射法で熱膨張係数緩衝層を溶射する過程において、保護ガスとしてアルゴンガスを用い、燃焼ガスとして水素ガスを用い、溶射ガンのパワーを46kWとし、溶射ガンの距離を150mmとし、アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ42/12slpm及び40/10slpmとし、供給速度を30g/minとし、溶射ガンの速度を300mm/sとし、溶射時間を2minとした。
【0077】
(4)大気プラズマ溶射法でTmTaセラミック熱膨張係数緩衝層の表面に厚さが200マイクロメートルの断熱降温セラミック層であるTmTaOセラミックコーティング層を製造した。まず、原料としてTm及びTaを用い、高温固相法で球状のTmTaO球状粉体を製造し、大気プラズマ溶射法で断熱降温層を溶射する過程において、保護ガスとしてアルゴンガスを用い、燃焼ガスとして水素ガスを用い、溶射ガンのパワーを46kWとし、溶射ガンの距離を150mmとし、アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ42/12slpm及び40/10slpmとし、供給速度を30g/minとし、溶射ガンの速度を300mm/sとし、溶射時間を2minとした。
【0078】
(実施例8)
本願において、ドローン用表面コーティング層及びその製造方法が提出される。図3に示すように、本願の実施例では、ドローン用表面コーティング層は、セラミック系複合材料基材によってドローン機体の表面に覆われ、セラミック系複合材料基材は、炭化ケイ素繊維強化炭化ケイ素であった。炭化ケイ素繊維強化炭素基材には、厚さが200μmの接着層、厚さが1μm未満の酸化防止層、厚さが50μmの酸素伝達遮断層、厚さが50μmの熱膨張係数緩衝層及び厚さが100μmの断熱降温層が順次に製造され、接着層の材料として金属タンタルTaを用い、酸素伝達遮断層として希土類タンタル酸塩RETaOセラミックコーティング層を用い、REはYb及びLuであり、熱膨張係数緩衝層としてRETaセラミックを用い、REはLa、Ho及びTmであった。
【0079】
具体的には、(1)低温溶射法で炭化ケイ素繊維強化炭化ケイ素基材の上面に厚さが200μmのタンタルTa接着層を製造し、低温溶射過程において、圧縮窒素ガスを作動ガスとし、溶射圧力を0.66MPaとし、溶射距離を30mmとし、溶射温度を800℃とし、粉体送り速度を40g/minとし、溶射されたタンタルTa接着層の材料を空気中に置いた後、金属タンタルを酸化させば、材料の表面に厚さが1μm未満の緻密な酸化タンタルTa酸化防止層を形成することができる。
【0080】
(2)緻密な酸化タンタルTa酸化防止層の表面に大気プラズマ溶射法で厚さが50マイクロメートルの酸素伝達遮断層であるYb1/2Lu1/2TaOセラミックコーティング層を製造した。まず、原料としてLu、Yb及びTaを用い、高温固相法で球状のYb1/2Lu1/2TaO球状粉体を製造し、大気プラズマ溶射法で酸素伝達遮断層を溶射する過程において、保護ガスとしてアルゴンガスを用い、燃焼ガスとして水素ガスを用い、溶射時に溶射ガンのパワーを42kWとし、溶射ガンの距離を100mmとし、アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ40/12slpm及び45/10slpmとし、供給速度を50g/minとし、溶射ガンの速度を300mm/sとし、溶射時間を2minとした。
【0081】
(3)大気プラズマ溶射法でYb1/2Lu1/2TaOセラミック酸素伝達遮断層の表面に厚さが50マイクロメートルの熱膨張係数緩衝層であるLa1/3Ho1/3Tm1/3Taセラミックコーティング層を製造した。まず、原料としてLa、Ho、Tm及びTaを用い、高温固相法で球状のLa1/3Ho1/3Tm1/3Ta球状粉体を製造し、大気プラズマ溶射法で熱膨張係数緩衝層を溶射する過程において、保護ガスとしてアルゴンガスを用い、燃焼ガスとして水素ガスを用い、溶射ガンのパワーを46kWとし、溶射ガンの距離を150mmとし、アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ42/12slpm及び40/10slpmとし、供給速度を30g/minとし、溶射ガンの速度を300mm/sとし、溶射時間を3minとした。
【0082】
(4)大気プラズマ溶射法でLa1/3Ho1/3Tm1/3Taセラミック熱膨張係数緩衝層の表面に厚さが100マイクロメートルの断熱降温セラミック層であるYTaOセラミックコーティング層を製造した。まず、原料としてY及びTaを用い、高温固相法で球状のYTaO球状粉体を製造し、大気プラズマ溶射法で断熱降温セラミック層を溶射する過程において、保護ガスとしてアルゴンガスを用い、燃焼ガスとして水素ガスを用い、溶射ガンのパワーを46kWとし、溶射ガンの距離を150mmとし、アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ42/12slpm及び40/10slpmとし、供給速度を30g/minとし、溶射ガンの速度を300mm/sとし、溶射時間を2minとした。
【0083】
(実施例9)
本願において、ドローン用表面コーティング層及びその製造方法が提出される。図3に示すように、本願の実施例では、ドローン用表面コーティング層は、セラミック系複合材料基材によってドローン機体の表面に覆われ、セラミック系複合材料基材は、炭素繊維強化炭化ケイ素であった。炭素繊維強化炭化ケイ素基材には、厚さが150μmの接着層、厚さが1μm未満の酸化防止層、厚さが35μmの酸素伝達遮断層、厚さが35μmの熱膨張係数緩衝層及び厚さが1000マイクロメートルの断熱降温層が順次に製造され、接着層の材料として金属タンタルTaを用い、酸素伝達遮断層として希土類タンタル酸塩RETaOセラミックコーティング層を用い、REはScであり、熱膨張係数緩衝層としてRETaセラミックを用い、REはLaであった。
【0084】
具体的には、(1)低温溶射法で炭化ケイ素繊維強化炭化ケイ素基材の上面に厚さが150μmのタンタルTa接着層を製造し、低温溶射過程において、圧縮窒素ガスを作動ガスとし、溶射圧力を0.66MPaとし、溶射距離を30mmとし、溶射温度を800℃とし、粉体送り速度を40g/minとし、溶射されたタンタルTa接着層の材料を空気中に置いた後、金属タンタルを酸化させば、材料の表面に厚さが1μm未満の緻密な酸化タンタルTa酸化防止層を形成することができる。
【0085】
(2)緻密な酸化タンタルTa酸化防止層の表面に大気プラズマ溶射法で厚さが35マイクロメートルの酸素伝達遮断層であるScTaOセラミックコーティング層を製造した。まず、原料としてSc及びTaを用い、高温固相法で球状のScTaO球状粉体を製造し、大気プラズマ溶射法で酸素伝達遮断層を溶射する過程において、保護ガスとしてアルゴンガスを用い、燃焼ガスとして水素ガスを用い、溶射時に溶射ガンのパワーを42kWとし、溶射ガンの距離を100mmとし、アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ40/12slpm及び45/10slpmとし、供給速度を50g/minとし、溶射ガンの速度を300mm/sとし、溶射時間を2minとした。
【0086】
(3)大気プラズマ溶射法でScTaOセラミック酸素伝達遮断層の表面に厚さが35マイクロメートルの熱膨張係数緩衝層であるLaTaセラミックコーティング層を製造した。まず、原料としてLa及びTaを用い、高温固相法で球状のLaTa球状粉体を製造し、大気プラズマ溶射法で熱膨張係数緩衝層を溶射する過程において、保護ガスとしてアルゴンガスを用い、燃焼ガスとして水素ガスを用い、溶射ガンのパワーを46kWとし、溶射ガンの距離を150mmとし、アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ42/12slpm及び40/10slpmとし、供給速度を30g/minとし、溶射ガンの速度を300mm/sとし、溶射時間を3minとした。
【0087】
(4)大気プラズマ溶射法でLaTaセラミック熱膨張係数緩衝層の表面に厚さが1000マイクロメートルの断熱降温セラミック層であるYLaDyTaOセラミックコーティング層を製造した。まず、原料としてY、La、Dy及びTaを用い、高温固相法で球状のYLaDyTaO球状粉体を製造し、大気プラズマ溶射法で断熱降温セラミック層を溶射する過程において、保護ガスとしてアルゴンガスを用い、燃焼ガスとして水素ガスを用い、溶射ガンのパワーを46kWとし、溶射ガンの距離を150mmとし、アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ42/12slpm及び40/10slpmとし、供給速度を30g/minとし、溶射ガンの速度を300mm/sとし、溶射時間を10minとした。
【0088】
(実施例10)
本願において、ドローン用表面コーティング層及びその製造方法が提出される。図3に示すように、本願の実施例では、ドローン用表面コーティング層は、セラミック系複合材料基材によってドローン機体の表面に覆われ、セラミック系複合材料基材は、炭素繊維強化炭素であった。炭素繊維強化炭素基材には、厚さが170μmの接着層、厚さが1μm未満の酸化防止層、厚さが35μmの酸素伝達遮断層、厚さが40μmの熱膨張係数緩衝層及び厚さが500マイクロメートルの断熱降温層が順次に製造され、接着層の材料として金属タンタルTaを用い、酸素伝達遮断層として希土類タンタル酸塩RETaOセラミックコーティング層を用い、REはSc、Yb及びLuであり、熱膨張係数緩衝層としてRETaセラミックを用い、REはLa、Ho、Er及びTmであった。
【0089】
具体的には、(1)低温溶射法で炭化ケイ素繊維強化炭化ケイ素基材の上面に厚さが170μmのタンタルTa接着層を製造し、低温溶射過程において、圧縮窒素ガスを作動ガスとし、溶射圧力を0.66MPaとし、溶射距離を30mmとし、溶射温度を800℃とし、粉体送り速度を40g/minとし、溶射されたタンタルTa接着層の材料を空気中に置いた後、金属タンタルを酸化させば、材料の表面に厚さが1μm未満の緻密な酸化タンタルTa酸化防止層を形成することができる。
【0090】
(2)緻密な酸化タンタルTa酸化防止層の表面に大気プラズマ溶射法で厚さが35マイクロメートルの酸素伝達遮断層であるSc1/3Yb1/3Lu1/3TaOセラミックコーティング層を製造した。まず、原料としてSc、Lu、Yb及びTaを用い、高温固相法で球状のSc1/3Yb1/3Lu1/3TaO球状粉体を製造し、大気プラズマ溶射法で酸素伝達遮断層を溶射する過程において、保護ガスとしてアルゴンガスを用い、燃焼ガスとして水素ガスを用い、溶射時に溶射ガンのパワーを42kWとし、溶射ガンの距離を100mmとし、アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ40/12slpm及び45/10slpmとし、供給速度を50g/minとし、溶射ガンの速度を300mm/sとし、溶射時間を2minとした。
【0091】
(3)大気プラズマ溶射法でSc1/3Yb1/3Lu1/3TaOセラミック酸素伝達遮断層の表面に厚さが40マイクロメートルの熱膨張係数緩衝層であるLa1/4Ho1/4Tm1/4Er1/4Taセラミックコーティング層を製造した。まず、原料としてEr、La、Ho、Tm及びTaを用い、高温固相法で球状のLa1/4Ho1/4Tm1/4Er1/4Ta球状粉体を製造し、大気プラズマ溶射法で熱膨張係数緩衝層を溶射する過程において、保護ガスとしてアルゴンガスを用い、燃焼ガスとして水素ガスを用い、溶射ガンのパワーを46kWとし、溶射ガンの距離を150mmとし、アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ42/12slpm及び40/10slpmとし、供給速度を30g/minとし、溶射ガンの速度を300mm/sとし、溶射時間を3minとした。
【0092】
(4)大気プラズマ溶射法でLa1/4Ho1/4Tm1/4Er1/4Taセラミック熱膨張係数緩衝層の表面に厚さが500マイクロメートルの断熱降温セラミック層であるYTaOセラミックコーティング層を製造した。まず、原料としてY及びTaを用い、高温固相法で球状のYTaO球状粉体を製造し、大気プラズマ溶射法で断熱降温セラミック層を溶射する過程において、保護ガスとしてアルゴンガスを用い、燃焼ガスとして水素ガスを用い、溶射ガンのパワーを46kWとし、溶射ガンの距離を150mmとし、アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ42/12slpm及び40/10slpmとし、供給速度を30g/minとし、溶射ガンの速度を300mm/sとし、溶射時間を10minとした。
【0093】
(比較例3)
本願において、ドローン用表面コーティング層及びその製造方法が提出される。図1に示すように、本願の実施例では、ドローン用表面コーティング層は、セラミック系複合材料基材によってドローン機体の表面に覆われ、セラミック系複合材料基材は、炭化ケイ素繊維強化炭素であった。炭化ケイ素繊維強化炭素基材には、厚さが200μmの接着層、厚さが1μm未満の酸化防止層、厚さが50μmの酸素伝達遮断層及び厚さが100マイクロメートルの断熱降温層が順次に製造され、接着層の材料として金属タンタルTaを用い、酸素伝達遮断層として希土類タンタル酸塩RETaOセラミックコーティング層を用い、REはYb及びLuであり、熱膨張係数緩衝層としてRETaセラミックを用い、REはLa、Ho及びTmであった。
【0094】
具体的には、(1)低温溶射法で炭化ケイ素繊維強化炭化ケイ素基材の上面に厚さが200μmのタンタルTa接着層を製造し、低温溶射過程において、圧縮窒素ガスを作動ガスとし、溶射圧力を0.66MPaとし、溶射距離を30mmとし、溶射温度を800℃とし、粉体送り速度を40g/minとし、溶射されたタンタルTa接着層の材料を空気中に置いた後、金属タンタルを酸化させば、材料の表面に厚さが1μm未満の緻密な酸化タンタルTa酸化防止層を形成することができる。
【0095】
(2)緻密な酸化タンタルTa酸化防止層の表面に大気プラズマ溶射法で厚さが50マイクロメートルの酸素伝達遮断層であるYb1/2Lu1/2TaOセラミックコーティング層を製造した。まず、原料としてLu、Yb及びTaを用い、高温固相法で球状のYb1/2Lu1/2TaO球状粉体を製造し、大気プラズマ溶射法で酸素伝達遮断層を溶射する過程において、保護ガスとしてアルゴンガスを用い、燃焼ガスとして水素ガスを用い、溶射時に溶射ガンのパワーを42kWとし、溶射ガンの距離を100mmとし、アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ40/12slpm及び45/10slpmとし、供給速度を50g/minとし、溶射ガンの速度を300mm/sとし、溶射時間を2minとした。
【0096】
(3)大気プラズマ溶射法で酸素伝達遮断層であるYb1/2Lu1/2TaOセラミックコーティング層の表面に厚さが100マイクロメートルの断熱降温セラミック層であるYTaOセラミックコーティング層を製造した。まず、原料としてY及びTaを用い、高温固相法で球状のYTaO球状粉体を製造し、大気プラズマ溶射法で断熱降温セラミック層を溶射する過程において、保護ガスとしてアルゴンガスを用い、燃焼ガスとして水素ガスを用い、溶射ガンのパワーを46kWとし、溶射ガンの距離を150mmとし、アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ42/12slpm及び40/10slpmとし、供給速度を30g/minとし、溶射ガンの速度を300mm/sとし、溶射時間を2minとした。
【0097】
(比較例4)
本願において、ドローン用表面コーティング層及びその製造方法が提出される。図3に示すように、本願の実施例では、ドローン用表面コーティング層は、セラミック系複合材料基材によってドローン機体の表面に覆われ、セラミック系複合材料基材は、炭素繊維強化炭化ケイ素であった。炭素繊維強化炭化ケイ素基材には、厚さが35μmの酸素伝達遮断層、厚さが35μmの熱膨張係数緩衝層及び厚さが1000マイクロメートルの断熱降温層が順次に製造され、接着層の材料として金属タンタルTaを用い、酸素伝達遮断層として希土類タンタル酸塩RETaOセラミックコーティング層を用い、REはScであり、熱膨張係数緩衝層としてRETaセラミックを用い、REはLaであった。
【0098】
具体的には、(1)大気プラズマ溶射法で基材の表面に厚さが35マイクロメートルの酸素伝達遮断層であるScTaOセラミックコーティング層を製造し、まず、原料としてSc及びTaを用い、高温固相法で球状のScTaO球状粉体を製造した。大気プラズマ溶射法で酸素伝達遮断層を溶射する過程において、保護ガスとしてアルゴンガスを用い、燃焼ガスとして水素ガスを用い、溶射時に溶射ガンのパワーを42kWとし、溶射ガンの距離を100mmとし、アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ40/12slpm及び45/10slpmとし、供給速度を50g/minとし、溶射ガンの速度を300mm/sとし、溶射時間を2minとした。
【0099】
(2)大気プラズマ溶射法でScTaOセラミック酸素伝達遮断層の表面に厚さが35マイクロメートルの熱膨張係数緩衝層であるLaTaセラミックコーティング層を製造した。まず、原料としてLa及びTaを用い、高温固相法で球状のLaTa球状粉体を製造し、大気プラズマ溶射法で熱膨張係数緩衝層を溶射する過程において、保護ガスとしてアルゴンガスを用い、燃焼ガスとして水素ガスを用い、溶射ガンのパワーを46kWとし、溶射ガンの距離を150mmとし、アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ42/12slpm及び40/10slpmとし、供給速度を30g/minとし、溶射ガンの速度を300mm/sとし、溶射時間を3minとした。
【0100】
(3)大気プラズマ溶射法でLaTaセラミック熱膨張係数緩衝層の表面に厚さが1000マイクロメートルの断熱降温セラミック層であるYLaDyTaOセラミックコーティング層を製造した。まず、原料としてY、La、Dy及びTaを用い、高温固相法で球状のYLaDyTaO球状粉体を製造し、大気プラズマ溶射法で断熱降温セラミック層を溶射する過程において、保護ガスとしてアルゴンガスを用い、燃焼ガスとして水素ガスを用い、溶射ガンのパワーを46kWとし、溶射ガンの距離を150mmとし、アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ42/12slpm及び40/10slpmとし、供給速度を30g/minとし、溶射ガンの速度を300mm/sとし、溶射時間を10minとした。
【0101】
上記実施例7~10で製造された材料系の具体的な組成は表3に示されている。上記実施例及び比較例の性能を特徴付けるために、その失効に必要な熱サイクル回数、酸化減量率及び断熱降温勾配について試験を行った。熱サイクル試験過程は、火炎を用いてコーティング層の表面を1000℃に加熱して3分間保温し、その後に2分間冷却し、コーティング層が剥離するか又は材料の酸化減量が10%を超えるまでこのように循環し、総熱サイクル回数の前(W1)と後(W2)の材料系の質量を秤量した後、(W1-W2)/W1×100%が酸化減量率であり、1回目の試験時のコーティング層の表面の温度と、基材とコーティング層との接触界面との温度差がコーティング材の断熱降温勾配であり、結果は表4に示されている。
【0102】
【表3】
【0103】
【表4】
【0104】
試験結果は、完全なコーティング系を製造した材料が優れた断熱降温効果を有するとともに、1000℃の温度環境下で長期間使用でき、上記基材材料の酸化失効を阻止する一方、完全なコーティング系を製造していない材料の場合、熱膨張係数差が大きく結合力が弱いため早期に失効し、使用ニーズを満たすことができないことを示す。
【0105】
(実施例11)
図4に示すように、本実施例では、ドローン機体を製造するための軽量材料は炭素繊維編組体から選ばれ、ドローンの内部部品と炭素繊維編組体の機体はエチレンプロピレンゴムによって結合され、具体的な製造プロセスは、エチレンプロピレンゴムをドローンの表面に覆い、その後にドローン機体の軽量材料のハウジングをドローンの表面に被せればよいことである。炭素繊維編組体材料を基材とし、基材の表面に「接着層+酸化防止層+酸素伝達遮断層+断熱降温層」からなるコーティング層を製造し、具体的なステップは以下の(1)~(4)の通りである。
【0106】
(1)電子ビーム物理的気相成長法で炭素繊維編組体の表面に厚さが50マイクロメートルのケイ素(Si)接着層を製造し、堆積過程において、基体温度を350℃とし、ターゲット-基材距離を300mmとし、入射角度を30°とし、電子の加速電圧を20kVとし、真空度を2×10-3Pa未満とし、堆積速度を100nm/minとした。
【0107】
(2)Siコーティング層を製造した後、空気中に置き、300℃で加熱して酸化させ、厚さが10マイクロメートルのSiOコーティング層、即ち酸化防止層を得た。
【0108】
(3)大気プラズマ溶射により酸化防止層の表面に厚さが50マイクロメートルの酸素伝達遮断層-YbTaOセラミックコーティング層を製造した。まず原料としてYb及びTaを用い、高温固相法で球状のYbTaO球状粉体を製造し、その後にYbTaO球状粉体を用いて大気プラズマ溶射技術によってYbTaOセラミックコーティング層を製造し、大気プラズマ溶射のプロセスパラメータは、溶射ガンのパワーを42kWとし、溶射ガンの距離を120mmとし、アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ40/12slpm及び45/10slpmとし、供給速度を45g/minとし、溶射ガンの速度を200mm/sとし、溶射時間を2minとすることであった。
【0109】
(4)大気プラズマ溶射により酸素伝達遮断層の表面に厚さが300マイクロメートルの断熱降温層-LaNbOセラミックコーティング層を製造した。まず原料としてLa及びNbを用い、高温固相法で球状のLaNbO球状粉体を製造し、その後にLaNbO球状粉体を用いて大気プラズマ溶射技術によってLaNbOセラミックコーティング層を製造し、大気プラズマ溶射のプロセスパラメータは、溶射ガンのパワーを43kWとし、溶射ガンの距離を120mmとし、アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ42/12slpm及び45/15slpmとし、供給速度を50g/minとし、溶射ガンの速度を100mm/sとし、溶射時間を10minとすることであった。
【0110】
図5は、本実施例に係る軽量材料の炭素繊維編組体の表面に製造されたコーティング系(エチレンプロピレンゴムを含まない)の熱伝導率が温度に伴って変化する状況を示し、図5に示すように、温度の上昇に伴って熱伝導率がわずかに増大するが、材料系全体の熱伝導率が極めて低く、0.32~0.48W/m/Kの間にあることは、このコーティング層が優れた高温断熱保護効果を有することを証明している。
【0111】
図6は、本実施例で製造されたコーティング系のミクロ組織図を示し、図6に示すように、酸化防止層は非常に薄く、接着層の表面の黒色部分領域のみであり、また図3から分かるように、各コーティング層の間の材料が緊密に結合され、明らかなクラックが存在せず、本願の製造プロセスを用いると、結合力が極めて強いコーティング材が得られることを証明している。
【0112】
(実施例12)
図4に示すように、本実施例では、ドローン機体を製造するための軽量材料としてTC4チタン合金材料から選ばれ、TC4チタン合金材料を基材とし、基材の表面に「接着層+酸化防止層+酸素伝達遮断層+断熱降温層」からなるコーティング層を製造し、具体的なステップは以下の(1)~(4)の通りである。
【0113】
(1)電子ビーム物理的気相成長法でTC4チタン合金材料の表面に厚さが50マイクロメートルのアルミニウム(Al)接着層を製造し、堆積過程において、基体の温度を400℃とし、ターゲット-基材距離を300mmとし、入射角度を45°とし、電子の加速電圧を22kVとし、真空度を3×10-3Pa未満とし、堆積速度を100nm/minとした。
【0114】
(2)Alコーティング層を製造した後、空気中に置き、100℃で加熱して酸化させ、厚さが10マイクロメートル未満のAlコーティング層、即ち酸化防止層を得た。
【0115】
(3)大気プラズマ溶射により酸化防止層の表面に厚さが50マイクロメートルの酸素伝達遮断層-AlTaOセラミック層を製造した。まず原料としてLu、Yb及びTaを用い、高温固相法で球状のYb0.5Lu0.5TaO球状粉体を製造し、その後にYb0.5Lu0.5TaO球状粉体を用いて大気プラズマ溶射技術によってYb0.5Lu0.5TaOセラミックコーティング層を製造し、大気プラズマ溶射のプロセスパラメータは、溶射ガンのパワーを42kWとし、溶射ガンの距離を120mmとし、アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ40/12slpm及び45/10slpmとし、供給速度を45g/minとし、溶射ガンの速度を200mm/sとし、溶射時間を2minとすることであった。
【0116】
(4)大気プラズマ溶射により酸素伝達遮断層の表面に厚さが350マイクロメートルの断熱降温層であるYNbOセラミックコーティング層を製造した。まず原料としてY及びNbを用い、高温固相法で球状のYNbO球状粉体を製造し、その後にYNbO球状粉体を用いて大気プラズマ溶射技術によってYNbOセラミックコーティング層を製造し、大気プラズマ溶射のプロセスパラメータは、溶射ガンのパワーを43kWとし、溶射ガンの距離を100mmとし、アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ42/12slpm及び45/15slpmとし、供給速度を40g/minとし、溶射ガンの速度を100mm/sとし、溶射時間を11minとすることであった。
【0117】
(実施例13)
図4に示すように、本実施例では、ドローン機体を製造するための軽量材料としてアルミニウム合金材料から選ばれ、アルミニウム合金材料を基材とし、基材の表面に「接着層+酸化防止層+酸素伝達遮断層+断熱降温層」からなるコーティング層を製造し、具体的なステップは以下の(1)~(4)の通りである。
【0118】
(1)電子ビーム物理的気相成長法でアルミニウム合金材料の表面に厚さが20マイクロメートルのアルミニウム(Al)接着層を製造し、堆積過程において、基体の温度を400℃とし、ターゲット-基材距離を300mmとし、入射角度を45°とし、電子の加速電圧を22kVとし、真空度を3×10-3Pa未満とし、堆積速度を100nm/minとした。
【0119】
(2)Alコーティング層を製造した後、空気中に置き、100℃で加熱して酸化させ、厚さが10マイクロメートル未満のAlコーティング層、即ち酸化防止層を得た。
【0120】
(3)大気プラズマ溶射により酸化防止層の表面に厚さが100マイクロメートルの酸素伝達遮断層-AlTaOセラミック層を製造した。まず原料としてAl及びTaを用い、高温固相法で球状のAlTaO球状粉体を製造し、その後にAlTaO球状粉体を用いて大気プラズマ溶射技術によってAlTaOセラミックコーティング層を製造し、大気プラズマ溶射のプロセスパラメータは、溶射ガンのパワーを42kWとし、溶射ガンの距離を120mmとし、アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ40/12slpm及び45/10slpmとし、供給速度を45g/minとし、溶射ガンの速度を200mm/sとし、溶射時間を5minとすることであった。
【0121】
(4)大気プラズマ溶射により酸素伝達遮断層の表面に厚さが600マイクロメートルの断熱降温層であるSmNbOセラミックコーティング層を製造した。まず原料としてSm及びNbを用い、高温固相法で球状のSmNbO球状粉体を製造し、その後にSmNbO球状粉体を用いて大気プラズマ溶射技術によってSmNbOセラミックコーティング層を製造し、大気プラズマ溶射のプロセスパラメータは、溶射ガンのパワーを43kWとし、溶射ガンの距離を100mmとし、アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ42/12slpm及び45/15slpmとし、供給速度を40g/minとし、溶射ガンの速度を100mm/sとし、溶射時間を20minとすることであった。
【0122】
(実施例14)
図4に示すように、本実施例では、ドローン機体を製造するための軽量材料としてアルミニウム合金材料から選ばれ、アルミニウム合金材料を基材とし、基材の表面に「接着層+酸化防止層+酸素伝達遮断層+断熱降温層」からなるコーティング層を製造し、具体的なステップは以下の(1)~(4)の通りである。
【0123】
(1)電子ビーム物理的気相成長法でアルミニウム合金材料の表面に厚さが100マイクロメートルのタンタル(Ta)接着層を製造し、堆積過程において、基体の温度を400℃とし、ターゲット-基材距離を300mmとし、入射角度を45°とし、電子の加速電圧を22kVとし、真空度を3×10-3Pa未満とし、堆積速度を100nm/minとした。
【0124】
(2)タンタルコーティング層を製造した後、空気中に置き、30℃で加熱して酸化させ、厚さが10マイクロメートル未満のTaコーティング層、即ち酸化防止層を得た。
【0125】
(3)大気プラズマ溶射により酸化防止層の表面に厚さが50マイクロメートルの酸素伝達遮断層-YTaOセラミック層を製造した。まず原料としてY及びTaを用い、高温固相法で球状のYTaO球状粉体を製造し、その後にYTaO球状粉体を用いて大気プラズマ溶射技術によってYTaOセラミックコーティング層を製造し、大気プラズマ溶射のプロセスパラメータは、溶射ガンのパワーを42kWとし、溶射ガンの距離を120mmとし、アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ40/12slpm及び45/10slpmとし、供給速度を45g/minとし、溶射ガンの速度を200mm/sとし、溶射時間を2minとすることであった。
【0126】
(4)大気プラズマ溶射により酸素伝達遮断層の表面に厚さが80マイクロメートルの断熱降温層であるYNbOセラミックコーティング層を製造した。まず原料としてY及びNbを用い、高温固相法で球状のYNbO球状粉体を製造し、その後にYNbO球状粉体を用いて大気プラズマ溶射技術によってYNbOセラミックコーティング層を製造し、大気プラズマ溶射のプロセスパラメータは、溶射ガンのパワーを43kWとし、溶射ガンの距離を100mmとし、アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ42/12slpm及び45/15slpmとし、供給速度を40g/minとし、溶射ガンの速度を100mm/sとし、溶射時間を3minとすることであった。
【0127】
(実施例15)
図4に示すように、本実施例では、ドローン機体を製造するための軽量材料としてTC4チタン合金材料から選ばれ、TC4チタン合金材料を基材とし、基材の表面に「接着層+酸化防止層+酸素伝達遮断層+断熱降温層」からなるコーティング層を製造し、具体的なステップは以下の(1)~(4)の通りである。
【0128】
(1)電子ビーム物理的気相成長法でTC4チタン合金材料の表面に厚さが60マイクロメートルのジルコニウム-ハフニウム合金(ZrHf)接着層を製造し、堆積過程において、基体の温度を400℃とし、ターゲット-基材距離を300mmとし、入射角度を45°とし、電子の加速電圧を22kVとし、真空度を3×10-3Pa未満とし、堆積速度を100nm/minとした。
【0129】
(2)ZrHfコーティング層を製造した後、空気中に置き、280℃で加熱して酸化させ、厚さが10マイクロメートル未満のZrO/HfOコーティング層、即ち酸化防止層を得た。
【0130】
(3)大気プラズマ溶射により酸化防止層の表面に厚さが50マイクロメートルの酸素伝達遮断層-(Sm1/3Yb1/3Ho1/3)TaOセラミック層を製造した。まず原料としてHo、Sm、Yb及びTaを用い、高温固相法で球状の(Sm1/3Yb1/3Ho1/3)TaO球状粉体を製造し、その後に(Sm1/3Yb1/3Ho1/3)TaO球状粉体を用いて大気プラズマ溶射技術によって(Sm1/3Yb1/3Ho1/3)TaOセラミックコーティング層を製造し、大気プラズマ溶射のプロセスパラメータは、溶射ガンのパワーを42kWとし、溶射ガンの距離を120mmとし、アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ40/12slpm及び45/10slpmとし、供給速度を45g/minとし、溶射ガンの速度を200mm/sとし、溶射時間を2minとすることであった。
【0131】
(4)大気プラズマ溶射により酸素伝達遮断層の表面に厚さが250マイクロメートルの断熱降温層である(Sm1/3Yb1/3Ho1/3NbOセラミックコーティング層を製造した。まず原料としてHo、Sm、Yb及びNbを用い、高温固相法で球状の(Sm1/3Yb1/3Ho1/3NbO球状粉体を製造し、その後に(Sm1/3Yb1/3Ho1/3NbO球状粉体を用いて大気プラズマ溶射技術によって(Sm1/3Yb1/3Ho1/3NbOセラミックコーティング層を製造し、大気プラズマ溶射のプロセスパラメータは、溶射ガンのパワーを43kWとし、溶射ガンの距離を100mmとし、アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ42/12slpm及び45/15slpmとし、供給速度を40g/minとし、溶射ガンの速度を100mm/sとし、溶射時間を9minとすることであった。
【0132】
(実施例16)
図4に示すように、本実施例では、ドローン機体を製造するための軽量材料として炭素繊維編組体材料から選ばれ、炭素繊維編組体材料を基材とし、基材の表面に「接着層+酸化防止層+酸素伝達遮断層+断熱降温層」からなるコーティング層を製造し、具体的なステップは以下の(1)~(4)の通りである。
【0133】
(1)電子ビーム物理的気相成長法で炭素繊維編組体の表面に厚さが75マイクロメートルのカルシウム-マグネシウム(CaMg)接着層を製造し、堆積過程において、基体の温度を350℃とし、ターゲット-基材距離を300mmとし、入射角度を30°とし、電子の加速電圧を20kVとし、真空度を2×10-3Pa未満とし、堆積速度を100nm/minとした。
【0134】
(2)CaMgコーティング層を製造した後、空気中に置き、120℃で加熱して酸化させ、厚さが10マイクロメートルのCaO/MgOコーティング層、即ち酸化防止層を得た。
【0135】
(3)大気プラズマ溶射により酸化防止層の表面に厚さが75マイクロメートルの酸素伝達遮断層-Yb1/4Lu1/41/4Sc1/4TaOセラミックコーティング層を製造した。まず原料としてYb、Lu、Y、Sc及びTaを用い、高温固相法で球状のYb1/4Lu1/41/4Sc1/4TaO球状粉体を製造し、その後にYb1/4Lu1/41/4Sc1/4TaO球状粉体を用いて大気プラズマ溶射技術によってYb1/4Lu1/41/4Sc1/4TaOセラミックコーティング層を製造し、大気プラズマ溶射のプロセスパラメータは、溶射ガンのパワーを42kWとし、溶射ガンの距離を120mmとし、アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ40/12slpm及び45/10slpmとし、供給速度を45g/minとし、溶射ガンの速度を200mm/sとし、溶射時間を3minとすることであった。
【0136】
(4)大気プラズマ溶射により酸素伝達遮断層の表面に厚さが420マイクロメートルの断熱降温層-(Yb1/4Lu1/41/4Sc1/4NbOセラミックコーティング層を製造した。まず原料としてYb、Lu、Y、Sc及びNbを用い、高温固相法で球状の(Yb1/4Lu1/41/4Sc1/4NbO球状粉体を製造し、その後に(Yb1/4Lu1/41/4Sc1/4NbO球状粉体を用いて大気プラズマ溶射技術によって(Yb1/4Lu1/41/4Sc1/4NbOセラミックコーティング層を製造し、大気プラズマ溶射のプロセスパラメータは、溶射ガンのパワーを43kWとし、溶射ガンの距離を120mmとし、アルゴンガス及び水素ガスのガス流量をそれぞれ42/12slpm及び45/15slpmとし、供給速度を50g/minとし、溶射ガンの速度を100mm/sとし、溶射時間を15minとすることであった。
【0137】
(比較例5)
本比較例では、炭素繊維編組体材料を基材とし、実施例11の方法に従って基材の表面に「接着層」からなるコーティング層を製造した。
【0138】
(比較例6)
本比較例では、チタン合金を基材とし、実施例11の方法に従って基材の表面に「接着層+酸化防止層」からなるコーティング層を製造した。
【0139】
(比較例7)
本比較例では、炭素繊維編組体材料を基材とし、実施例11の方法に従って基材の表面に「接着層+酸化防止層+酸素伝達遮断層」からなるコーティング層を製造した。
【0140】
上記実施例11~16及び比較例5~7のコーティング系の構造及び各コーティング層の具体的な材料組成及び厚さは表5に示され、異なる材料系からなる表面コーティング層の軽量材料に対する保護断熱効果を検出するために、表面コーティング層の限界動作温度(耐高温性能)、対応する断熱降温勾配及び抗酸化性能について試験を行った。具体的な試験過程は、異なるコーティング層が製造された材料の表面を加熱し、材料が溶融する温度を観察することにより、材料の耐高温性能(限界動作温度)を得ることであり、限界動作温度で60秒間保温し、熱電対により軽量材料とコーティング層の接触界面の温度を測定し、表面温度と界面温度との温度差が断熱降温勾配であり、試験前後の材料の質量を測定してその前後の質量をZ1とZ2とすると、材料の酸化増重率が(Z2-Z1)/Z1×100%であり、増重率が大きいほどその酸化防止性能が悪い。(本発明の実施例で使用された炭素繊維の酸化温度点は350℃であり、アルミニウム合金の限界動作温度は660℃であり、チタン合金の限界動作温度は520℃である)
【0141】
【表5】
【0142】
上記実験方法に基づいて、実施例11~16、比較例5~7の限界動作温度、降温勾配、酸化増重率などの性能をそれぞれ検出し、結果は以下の表6に示される。
【0143】
【表6】
【0144】
実験結果及び分析
表6から分かるように、実施例11~16では、軽量材料基材の表面に完全なコーティング系を製造した後、軽量材料の限界動作温度が大幅に向上し、その断熱降温効果が優れ、また、各コーティング層の厚さを調整することにより断熱降温勾配を効果的に制御することができ、上記軽量材料をより高い温度で長期間使用することができ、かつ材料の耐高温酸化アブレーション性能を効果的に向上させることができる。実施例11と比較例5~7とを比較すると、比較例5~7に比べて、実施例11の材料の限界動作温度がより高く、断熱降温効果がより良く、抗酸化能力がより強く、比較例5の材料の質量減少が非常に顕著であり、これは、炭素繊維の酸化昇華後の質量減少によるものであり、比較例6の材料の性能が比較例5より優れ、比較例7の材料の性能が比較例6より優れ、酸素伝達遮断層及び断熱降温層の設定は材料の耐高温性能、断熱降温能力及び抗酸化能力をさらに向上させることができることを示す。
【0145】
(実施例17)
図5に示すように、本願によれば、ドローンが提供され、当該ドローンは、ドローン機体と、中央制御モジュール3と、中央制御モジュール3にそれぞれ接続された情報取得モジュール1、温度検出モジュール2、圧力制御モジュール4、ドローンモジュール5及び高効率消防モジュール6とを含み、
情報取得モジュール1は、火災発生時間、火災場所、火災タイプ及び火災予測等級を含む目標消火点の関連情報を取得してから第1データ集合を形成し、第1データ集合を中央制御モジュールに送信し、
温度検出モジュール2は、火災現場の温度分布状況を収集して第2データ集合を形成し、第2データ集合を中央制御モジュールに送信し、
圧力制御モジュール4は、高効率消火装置の圧力状態を監視し、高効率消火装置をリアルタイムに制御する。
【0146】
ドローン機体は、軽量材料を用い、軽量材料は、炭素繊維編組体、チタン合金及びアルミニウム合金から選ばれる少なくとも1種であり、軽量材料を基材とし、前述の実施例11~16の方法で基材に接着層、酸化防止層、酸素伝達遮断層及び断熱降温層を順次に形成する。ドローンの内部部品と軽量材料の機体はエチレンプロピレンゴムによって結合され、具体的な製造プロセスは、エチレンプロピレンゴムをドローンの表面に覆い、その後にドローン機体の軽量材料のハウジングをドローンの表面に被せればよいことである。また、実施例1~10の方法で樹脂系複合材料基材又はセラミック系複合材料基材にコーティング層を形成し、さらに基材をドローン機体の表面に覆ってもよい。接着層の厚さは20~200μmであり、酸素伝達遮断層の厚さは20~100μmであり、断熱降温層の厚さは80~1000μmであり、酸化防止層の厚さは20μm未満である。
【0147】
図6に示すように、ドローンモジュール5は、リモートコントローラ、航空機電力制御装置及び消火ドローンを含み、リモートコントローラは、消火ドローンが中央制御モジュールから出された消火任務を遂行するように制御し、航空機電力制御装置は、消火ドローンに飛行動力を提供し、消火ドローンは、消火任務を遂行して目標火災場所を消火する。
【0148】
高効率消防モジュール6は、高効率消火装置及びヘルメットを含み、高効率消火装置は、消火材として高効率圧縮性泡消火剤を積載して火災現場を消火し、高効率圧縮性泡消火剤は、無毒、無害であり、かつ燃焼物と反応して得られる反応物も無毒、無害物質であり、ヘルメットは、高効率消火装置を保護し、耐火性、防爆性の高分子材料で製造される内層と、耐エロージョン性の材料で製造される外層とを含む。
【0149】
中央制御モジュール3は、データ記憶ユニット7、任務発表ユニット8及び分析処理ユニット9を含み、データ記憶ユニット7は、第1データ集合及び第2データ集合を記憶し、任務発表ユニットは、第1データ集合に基づいてドローンモジュールに消火任務を出し、分析処理ユニット9は、第2データ集合を分析処理して、温度検出状況に応じて温度変化グラフを得て、北斗測位システムと組み合わせて詳細な現場温度分布状況を得て、火源及び火災が延び広がる前の点の具体的な位置を見つけ、その後に所定の消火戦略に従って消火し、
温度検出モジュールを用いて目標消火点の温度分布状況を収集し、火源及び火災が延び広がる前の点の具体的な位置情報を分析し、
圧力制御モジュールを用いて高効率消防モジュールが指向性消火を行うように制御し、まず火災が延び広がる前の点を消火し、次に火源を消火する。
【0150】
ドローン機体は、ドローン航空機を載置する耐力パネルと、消火器の安全性を保護する安定ホルダーと、ドローン航空機をバランス安定状態に維持するバランススタビライザーと、ドローン航空機に飛行上昇力を提供する航空機プロペラとを含む。そして、航空機プロペラは、強度が高く、質量が低い炭素繊維で編まれてなり、プロペラの表面に耐高温の軽量コーティング層が塗布されている。
【0151】
本実施例の具体的な実施過程は以下のステップ1~5の通りである。
【0152】
ステップ1では、情報取得モジュール1が目標消火点の火災発生時間、火災場所、火災タイプ及び火災予測等級など情報を取得し、第1データ集合を形成し、第1データ集合を中央制御モジュールに送信し、
ステップ2では、中央制御モジュール3のデータ記憶ユニットが第1データ集合を受信して記憶し、任務発表ユニットが第1データ集合の全ての情報に基づいてドローンモジュールに消火任務を出す。
【0153】
ステップ3では、ドローンモジュール5のリモートコントローラが消火任務を受信した後、消火ドローンが消火任務を実行するように制御し、まず、航空機電力制御装置によって消火ドローンに飛行動力を提供し、その後にリモートコントローラによって消火ドローンの飛行距離及び飛行姿勢を制御し、消火ドローンが消防センターから目標消火点に飛行するように制御する。
【0154】
ステップ4では、温度検出モジュール2が動作し始め、火災現場の温度分布状況を収集して第2データ集合を形成し、その後に第2データ集合を中央制御モジュールに送信し、中央制御モジュールの分析処理ユニットが第2のデータ集合を分析処理し、温度検出状況に基づいて温度変化グラフを得て、北斗測位システムと組み合わせて詳細な現場温度分布状況を得て、火源及び火災が延び広がる前の点の具体的な位置を見つける。
【0155】
ステップ5では、圧力制御モジュール4によって高効率消防モジュールの高効率消火装置が高効率圧縮性泡消火剤を噴出して指向性消火を行うように制御し、まず火災が延び広がる前の点を消火し、次に火源を消火し、消火任務を完了した後、中央制御モジュール3から戻り制御命令を出し、リモートコントローラによって消火ドローンが消防センターに飛行し戻るように制御し、今回の消火任務が終了する。
【0156】
近年の救援ドローンの研究及び応用が深く普及しておらず、社会の様々な分野に幅広く応用され、特に消防分野において、ドローンの応用がますます多くなっている。近年、中国の南西地域等において、森林及び草地区域で火災がしばしば発生し、火災の勢いがすさまじく、発展も迅速であり、火災が大面積に発生した地域に対して損失が深刻であり、従来使用されている消火器は、近距離又は火源の小さい火災に対して消火作用が顕著であるが、遠距離で火勢が強い火災に対して一般的に力を出すことができない。従来の技術における消防ドローンは、一般的にドローンが消火器を搭載して火災場所に急速に飛行し、消火剤を噴出して先行に消火し、火災挙動をタイムリーに抑制する役割を果たし、消防隊に比べて、利点が消火応答速度が速く、火災現場に急速に到着して消火を行うことができることのみであり、火災に対する指向性消火能力が強くなく、消火効果が良くなく、消火過程全体が十分に知的で高効率ではない。
【0157】
本願の実施例では、収集された目標消火点の火災発生時間、火災場所、火災タイプ及び火災予測等級などの情報に基づいて、消火任務を知的に出すことができるだけでなく、また消火ドローンが火災現場に到着した後、消火作業を計画せずに直接的に行うのではなく、まず温度検出モジュールによって火災現場の温度分布状況を検出し、温度変化グラフを得て、北斗測位システムと組み合わせて詳細な現場温度分布状況を得て、火源及び火災が延び広がる前の点の具体的な位置を見つけ、その後に指向的で効率的に消火し、消火効果がより良く、効率がより高く、かつより知能である。消火のために使用される高効率圧縮性泡消火剤は、無毒、無害であり、かつ燃焼物と反応して得られる反応物も無毒、無害物質であり、火災現場の動物、撤去者及び消防者の生命と安全を効果的に保証することができる。ドローンの構成構造はいずれも耐高温の材質を用いるため、消火ドローンが高温環境で持続的に動作することができ、消火ドローンが変形又は焼損することがなく、消火効果をさらに保障する。
【0158】
(実施例18)
本実施例は、基本的に実施例17と同様であり、相違点は、火勢が強く、遠距離消火効果が顕著でない場合、温度検出モジュールが火源の正確な位置を検出し、リモートコントローラによってドローンモジュールが火源に向かって飛行するように制御し、圧力制御モジュールによって高効率消火装置が爆破を行うように制御し、火源に対して定時定点爆破消火を行うことにより、急速に火災挙動を制御することである。
【0159】
本実施例の具体的な実施過程は、実施例17と同様であり、相違点は以下の通りである。
【0160】
ステップ5では、圧力制御モジュール4によって高効率消防モジュールの高効率消火装置が高効率圧縮性泡消火剤を噴出して指向性消火を行うように制御し、まず火災が延び広がる前の点を消火し、次に火源を消火し、遠距離消火効果が顕著でなく、火勢が依然として強くなる場合、温度検出モジュールが火源の正確な位置を検出し、リモートコントローラによってドローンモジュールが火源に向かって飛行するように制御し、圧力制御モジュールによって高効率消火装置が爆破を行うように制御し、火源に対して定時定点爆破消火を行うことにより、急速に火災挙動を制御し、さらに残火の消火作業を継続するように候補消火ドローンを出動させ、全ての裸火が消し止められてから、今回の消火任務が終了する。
【0161】
消火ドローンによって遠距離消火を行う場合、突発的な状況が発生し、例えば、風量が急に増大するため火勢が徐々に強くなり、遠距離消火で火災挙動を制御することができない場合、直接的に爆破消火の方式を用いて火源を迅速かつ効率的に消火し、火勢が拡大し続けてより深刻な損失をもたらすことを回避し、爆破消火を行うと消火ドローンを損失するが、制御不能な火災挙動をタイムリーに制御し、火災の影響を低減することができ、撤去者と消防者の安全性を保証し、その価値が1つの消火ドローン自体の経済価値より大きい。
【0162】
(実施例19)
本実施例は、基本的に実施例17と同様であり、その相違点は、消火ドローンが消火任務を完了し、火災現場の全ての裸火を消し止めた後、温度検出モジュールによって現場の温度分布状況を再び収集し、温度が60℃より大きい点を火が再燃する可能性がある再燃点と判断し、さらに消火ドローンによってこれらの再燃点に対して、その温度が40℃以下に低下するまで1つずつ指向性消火を行うことである。
【0163】
本実施例の具体的な実施過程は、実施例17と同様であり、相違点は以下の通りである。
【0164】
ステップ5では、圧力制御モジュール4によって高効率消防モジュールの高効率消火装置が高効率圧縮性泡消火剤を噴出して指向性消火を行うように制御し、まず火災が延び広がる前の点を消火し、次に火源を消火し、消火任務を完了した後、温度検出モジュールが現場の温度分布状況を再び収集し、温度が60℃より大きい点を火が再燃する可能性がある再燃点と判断し、ドローンモジュール5のリモートコントローラによって消火ドローンがこれらの再燃点の上方2メートルの箇所を1つずつ飛行し、全ての再燃点の温度が40℃以下に低下するまで再び指向性消火を行うように制御し、最後に中央制御モジュール3によって戻り制御命令を出し、リモートコントローラによって消火ドローンが消防センターに飛行し戻るように制御し、今回の消火任務が終了する。
【0165】
実際の状況に合わせて、山火又は森林火災の多くの場合、その裸火が消し止められた直後に再燃する現象が発生するため、消火ドローンが全ての裸火を消し止めた後、温度検出モジュールによって温度が60℃より高い全ての点を検出し、二次消火を行い、再燃の現象が発生して、より深刻な損失をもたらすことを回避するとともに、消火ドローンの消火効果を効果的に向上させることができる。
【0166】
(実施例20)
本実施例は、基本的に実施例17と同様であり、その相違点は、知能消火ドローンシステムは、消火現場画面及び消火ドローンの残電力量をリアルタイムに表示する表示モジュールをさらに含むことである。
【0167】
本実施例の具体的な実施過程は、実施例17と同様であり、相違点は以下の通りである。
【0168】
ステップ5では、圧力制御モジュール4によって高効率消防モジュールの高効率消火装置が高効率圧縮性泡消火剤を噴出して指向性消火を行うように制御し、まず火災が延び広がる前の点を消火し、次に火源を消火し、消火過程において、表示モジュールが消火現場画面及び消火ドローンの残電力量をリアルタイムに表示することができる。消火任務を完了した後、中央制御モジュールから戻り制御命令を出し、リモートコントローラによって消火ドローンが消防センターに飛行し戻るように制御し、今回の消火任務が終了する。
【0169】
表示モジュールによって、消火現場の画面をリアルタイムに確認することがきるため、作業者が消火進度及び消火効果を明確に理解することができ、突発的な状況が発生すると、対応措置をタイムリーに行うことができるとともに、消火ドローンの残電力量を確認することができるため、電力量がもうすぐ切れた時に消火ドローンをタイムリーに呼び戻し、ドローンが動力を失って壊れることを回避する。
【0170】
上記実施例は、単に本願の原理及びその効果を例示的に説明するものであり、本発明を限定するものではない。当業者であれば、本願の精神及び範囲から逸脱することなく、上記実施例を修正するか又は変更することができる。したがって、当業者が本願に開示された精神及び技術的思想から逸脱することなく行った全ての等価修正又は変更は、依然として本願の特許請求の範囲に含まれるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】