(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】グルコースレベル偏差検出
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1473 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
A61B5/1473
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519392
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 US2022047874
(87)【国際公開番号】W WO2023076377
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】504016422
【氏名又は名称】デックスコム・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ジェイ・ダウド
(72)【発明者】
【氏名】マーガレット・エー・クロフォード
(72)【発明者】
【氏名】マーク・デルジンスキー
(72)【発明者】
【氏名】ローレン・エイチ・ジェプソン
(72)【発明者】
【氏名】ジャーダ・アッチャロリ
(72)【発明者】
【氏名】サラ・ケイト・ピッカス
(72)【発明者】
【氏名】アプルヴ・ユー・カマス
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK10
4C038KL01
4C038KL09
4C038KX01
(57)【要約】
ユーザのグルコースレベル測定値は、ユーザが装着する装着型グルコースモニタリングデバイスなどから経時的に取得される。これらのグルコースレベル測定値は、実質的に連続的に生成され得、したがって、デバイスは、異なるデバイスとの通信結合の確立などに応答して、規則的又は不規則な間隔でグルコースレベル測定値を生成するように構成され得る。これらのグルコースレベル測定値が分析されて、過去のグルコース測定値(例えば、その日のより早い時間に受信したグルコース測定値、又は過去1日以上の対応する時間に受信したグルコース測定値)からの偏差が検出される。検出された偏差のインジケーションは、ユーザに提供されるか、又は医療専門家などの他の場所に伝達される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続グルコースレベルモニタリングシステムにおいて実施される方法であって、前記方法は、
前記連続グルコースレベルモニタリングシステムのグルコースセンサから、複数期間のそれぞれについて、前記期間にユーザについて測定されたグルコース測定値を取得する(602)ことであって、前記グルコースセンサは前記ユーザの挿入部位において挿入されている、ことと、
前記複数期間のそれぞれについての前記グルコース測定値に基づいて、前記期間中の前記ユーザの第1の集約メトリックを生成する(604)ことと、
前記複数の期間のうちの第1の期間について、前記第1の集約メトリックが、前記第1の期間に先行する一連の複数の期間中に測定されたグルコース測定値からの、前記第1の期間について測定された前記第1のグルコース測定値による偏差を示すか否かを判定する(606)ことと、
前記第1の集約メトリックが前記偏差を示すと判定したことに応答して、前記偏差を識別するユーザインタフェースを生成する(608)ことと、
前記偏差を識別する前記ユーザインタフェースを表示させる(610)ことと、を含む、方法。
【請求項2】
前記判定することは、
前記第1の期間に先行する前記一連の複数の期間の前記集約メトリックに基づいて、前記第1の期間の集約メトリックを予測することと、
前記第1の期間の前記予測集約メトリックと前記第1の集約メトリックとの間の差を決定することと、
前記差が閾値量を超えることに応答して、前記第1の集約メトリックが偏差を示すと判定することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数期間のそれぞれについての前記グルコース測定値に基づいて、前記期間中の前記ユーザの集約メトリックを生成することと、
前記複数の期間のうちの前記第1の期間について、前記第1の期間の前記集約メトリックが、前記第1の期間に先行する一連の複数の期間中に測定されたグルコース測定値からの、前記第1の期間について測定された前記第1のグルコース測定値による更なる偏差を示すか否かを判定することと、
前記第1の期間の前記集約メトリックが前記更なる偏差を示すと判定したことに応答して、前記更なる偏差を識別するユーザインタフェースを生成することと、
前記更なる偏差を識別する前記ユーザインタフェースを表示させることと、を更に含む、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記集約メトリックは、高血糖指数値を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記集約メトリックは、低血糖指数値を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記判定することは、訓練データとして複数の集約メトリックのセットを用いて訓練され、予測集約メトリックと実際の集約メトリックとの間の損失を最小化するように訓練された機械学習システムを使用して、前記第1の期間の前記集約メトリックが偏差を示すか否かを判定することを含む、請求項1又は3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記偏差は、複数の偏差のうちの1つであり、前記方法は、
前記ユーザがその一部である母集団を識別することと、
前記母集団に基づいて前記複数の偏差のうちの1つを選択することであって、前記母集団はユーザの複数の異なる母集団のうちの1つである、ことと、を更に含み、前記生成することは、選択した前記偏差を識別する前記ユーザインタフェースを生成することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
連続グルコースレベルモニタリングシステムを含むデバイス(106)であって、前記デバイスは、
ディスプレイデバイスと、
少なくとも部分的にハードウェアに実装され、当日の期間についてグルコースセンサから、前記期間のユーザについて測定されたグルコース測定値を取得するためのデータ収集モジュール(302)であって、前記グルコースセンサは前記ユーザの挿入部位において挿入されている、データ収集モジュール(302)と、
少なくとも部分的にハードウェアに実装され、前記期間の前記グルコース測定値に基づいて、前記当日の前記期間中の前記ユーザの集約メトリックを生成するため、及び過去の複数日のそれぞれの対応する期間についてのグルコース測定値に基づいて、前記過去の複数日の前記対応する期間中の前記ユーザの集約メトリックを生成するための偏差検出モジュール(308)と、
少なくとも部分的にハードウェアに実装され、前記当日の前記期間の前記集約メトリックが、前記過去の複数日の前記対応する期間中に測定されたグルコース測定値からの、前記当日の前記期間について測定された前記グルコース測定値による偏差を示すか否かを判定するため、前記当日の前記期間の前記集約メトリックが前記偏差を示すと判定したことに応答して、前記偏差を識別するユーザインタフェースを生成するため、及び前記偏差を識別する前記ユーザインタフェースを表示させるための偏差選択モジュール(310)と、を備える、デバイス。
【請求項9】
少なくとも部分的にハードウェアに実装されており、前記過去の複数日の前記対応する期間中の前記ユーザの前記集約メトリックを表す値を生成するためのメトリック決定モジュールを更に備え、前記偏差選択モジュールは更に、前記過去の複数日の前記対応する期間中の前記ユーザの前記集約メトリックを表す前記値と、閾値量を超える、前記当日の前記期間中の前記ユーザの前記集約メトリックとの差に応答して、前記当日の前記期間の前記集約メトリックが、前記過去の複数日の前記対応する期間中に測定されたグルコース測定値からの、前記当日の前記期間について測定された前記グルコース測定値による偏差を示すと判定するためのものである、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記過去の複数日の前記対応する期間中の前記ユーザの前記集約メトリックを表す前記値は、前記過去の複数日の前記対応する期間中の前記ユーザの前記集約メトリックの平均を含む、請求項9に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2021年12月22日に出願された「Glucose Level Deviation Detection」と題する米国特許仮出願第63/292,942号の利益を主張するものであり、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれ、また、2021年10月28日に出願された「Ranking Feedback For Improving Diabetes Management」と題する米国特許仮出願第63/263,188号の利益を主張するものであり、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、数億人の人々に悪影響を及ぼす代謝状態であり、世界的に突出する死因のうちの1つである。I型糖尿病を患って生活する人々の場合、治療へのアクセスは、人々の生存にとって必要不可欠であり、それは、II型糖尿病を患う人々の間の有害転帰を減少させることができる。適切な治療を行えば、糖尿病に起因する心臓、血管、眼、腎臓、及び神経への重大な損傷を回避することができる。糖尿病の型(例えば、I型又はII型)のいかんにかかわらず、糖尿病をうまく管理することには、食物及び活動をモニタリングし、何度も調整して、人の血糖を制御すること、例えば、人のグルコースの深刻な変動を低減すること、及び/又は人のグルコースを総体的に低下させることが含まれる。
【0003】
しかしながら、多くの従来のグルコースモニタリングアプリケーションは、ユーザ、特に自身のグルコースのモニタリングを最近開始したばかりのユーザにとっては解釈しづらい方式で未処理のグルコース情報を表示するユーザインタフェースを用いる。結果として、ユーザは、ユーザのグルコースを改善するために、有意な方法でユーザの行動を変更することができない。更に、時間が経つにつれ、これらのユーザは、これらの従来のグルコースモニタリングアプリケーションによる情報の提示方法に圧倒され、苛立つことが多く、したがって、グルコース及び健康全般の改善が実現できる前に、これらのアプリケーションの使用を中断してしまう。更に、ユーザが、モバイルデバイス(例えば、スマートウォッチ及びスマートフォン)を利用してグルコースモニタリング情報にアクセスすることが多くなるにつれて、これらのモバイルデバイスの小型画面によって課される制約によって、従来のシステムでは、ユーザが理解し、それに従って行動することができる方法で有意なグルコース情報を提供できないことが、更に深刻化する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
これらの問題を克服するために、グルコースレベル偏差検出のための技法が議論される。1つ以上の実装形態では、連続グルコースレベルモニタリングシステムにおいて、グルコース測定値は、連続グルコースレベルモニタリングシステムのグルコースセンサから取得され、グルコースセンサは、ユーザの挿入部位において挿入されている。グルコース測定値は、複数の期間ごとにユーザについて測定される。ユーザの第1の集約メトリックは、この期間中に生成される。複数の期間のうちの第1の期間について、第1の集約メトリックが、第1の期間に先行する一連の複数の期間中に測定されたグルコース測定値からの、第1の期間について測定された第1のグルコース測定値による偏差を示すか否かが判定される。第1の集約メトリックが偏差を示すと判定したことに応答して、偏差を識別するユーザインタフェースが生成され(任意選択的に、表示するために偏差が選択されている場合のみ)、偏差を識別するユーザインタフェースが表示される。
【0005】
1つ以上の実装形態では、連続グルコースレベルモニタリングシステムにおいて、グルコース測定値は、連続グルコースレベルモニタリングシステムのグルコースセンサから取得され、グルコースセンサは、ユーザの挿入部位において挿入されている。当日の期間についてユーザのグルコース測定値が測定される。当日の期間中のユーザの集約メトリックは、当該期間のグルコース測定値に基づいて生成される。更に、過去の複数日のそれぞれの対応する期間についてのグルコース測定値に基づいて、過去の複数日における対応する期間中のユーザの集約メトリックが生成される。当日の期間の集約メトリックが、過去の複数日の対応する期間中に測定されたグルコース測定値からの、当日の期間について測定されたグルコース測定値による偏差を示すか否かが判定される。当日の期間の集約メトリックが偏差を示すと判定したことに応答して、偏差を識別するユーザインタフェースが生成され(任意選択的に、表示するために偏差が選択されている場合のみ)、偏差を識別するユーザインタフェースが表示される。
【0006】
この発明の概要は、以下の発明を実施するための形態で更に記載される概念の選択を簡略化された形態で紹介している。したがって、この発明の概要は、特許請求される主題の本質的な特徴を識別することを意図しておらず、特許請求される主題の範囲を決定する際の補助として使用されることも意図していない。
【0007】
詳細な説明は、添付の図を参照して記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本明細書で説明されるようにグルコースレベル偏差検出を実施するように動作可能である実装形態の例における環境の図である。
【
図2】装着型グルコースモニタリングデバイスの実装形態の例をより詳細に示す。
【
図3】グルコースレベル偏差検出システムの例示的なアーキテクチャの図である。
【
図4】コンテンツベース偏差検出モジュールの例示的な実装形態の図である。
【
図6】グルコースレベル偏差検出を実施する例における手順を示す。
【
図7】グルコースレベル偏差検出を実施する別の例における手順を示す。
【
図8】本明細書で説明される様々な技法を実施し得る1つ以上のコンピューティングシステム及び/又はデバイスを表現するコンピューティングデバイスの例を含む、システムの例の概要を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
概要
本明細書では、グルコースレベル偏差検出のための技法が議論される。概して、ユーザの血糖値測定値は経時的に取得される。これらのグルコースレベル測定値は、ユーザが装着する装着型グルコースモニタリングデバイスによって取得され得る。これらのグルコースレベル測定値は、デバイスが、異なるデバイスとの通信結合の確立(例えば、コンピューティングデバイスが、測定値のうちの1つ以上を取り出すために装着型グルコースレベルモニタリングデバイスとの無線接続を確立するとき)などに応答して、規則的又は不規則な時間間隔(例えば、約1時間ごと、約30分ごと、約5分ごとなど)でグルコースレベル測定値を生成するように構成され得るように、実質的に連続的に生成され得る。これらのグルコースレベル測定値が分析されて、過去のグルコース測定値(例えば、その日のより早い時間に受信したグルコース測定値、又は過去1日以上の対応する時間に受信したグルコース測定値)からの偏差が検出される。検出された偏差のインジケーションは、ユーザに提供されるか、又は医療専門家などの他の場所に伝達される。
【0010】
1つ以上の実装形態では、グルコース測定値のデータストリームが受信される。集約メトリック(例えば、高血糖リスク値、低血糖リスク値、平均グルコース、平均変動係数など)は、ローリング時間窓(例えば、5分ごと、グルコース測定値の集合は、過去30分間又は60分間のグルコース測定値を含む)、固定された30分間隔(例えば、1日の1時間ごと及び1/2時間ごと)、過去60分などにわたるグルコース測定値の集合に対して生成される。これらの集約メトリックは、他の期間に生成された集約メトリックと比較されて、期間の間のグルコース測定値の偏差を識別する。
【0011】
例えば、リスク値は、特定の固定時間(例えば、1日のほぼ半時間ごと)の間に受信されたグルコース測定値を含む期間について生成され得る。所与の期間の集約メトリックは、同日の直前の期間のうちのいくつか(例えば、24)にわたる集約メトリックと比較されて、所与の期間の集約メトリックが、過去の期間の集約メトリックから逸脱するか否かが判定される。偏差が検出された場合、所与の期間中に測定されたグルコース測定値と過去の期間中に測定されたグルコース測定値との間に偏差が存在するというインジケーションが表示されるか、又は別様に通信される。例えば、「グルコースが、今朝からの最高レベルに増加しています」というユーザインタフェースが、ユーザに表示され得る。
【0012】
別の例として、集約メトリックは、過去のある時間にわたって受信されたグルコース測定値を含む期間に対して生成され得る(例えば、集約メトリックは、過去60分にわたって受信されたグルコース測定値に基づいて5分ごとに生成される)。当日の所与の期間の集約メトリックは、過去複数日のそれぞれの対応する期間に対して生成された集約メトリックと比較されて、所与の期間の集約メトリックが過去数日の対応する期間の集約メトリックから逸脱しているか否かを判定する。偏差が検出された場合(及び任意選択的に、表示するために偏差が選択される場合)、当日の所与の期間中に測定されたグルコース測定値と過去の期間中に測定されたグルコース測定値との間に偏差が存在するというインジケーションが表示されるか、又は別様に通信される。例えば、「直近1時間のグルコースは、過去数日の各日のこの時間よりも高いです」というユーザインタフェースがユーザに表示され得る。
【0013】
本明細書で議論される技法は、ユーザのグルコースレベルの偏差を自動的に検出し、そうである旨の通知をユーザに提供する。これにより、ユーザは、偏差が生じたときにリアルタイムで偏差を認識するようになり、ユーザは、自身のグルコースレベルに著しい影響を及ぼす、何か異なることを行っている可能性があることを警告される。これは、ユーザに教示可能な瞬間を提供し、ユーザがリアルタイムの事象又はアクションとグルコースレベルの変化とを結び付け、したがって、グルコースレベルのそのような変化を回避するように(例えば、変化が不良な場合)、又はグルコースレベルのそのような変化を維持するように(例えば、変化が良い場合)、現在及び将来の自身の行動を変更することを支援する。更に、これにより、警告又は更新が医療提供者に通信されることが可能になり、その結果、これらの提供者は、ユーザが修正アクションを行うこと、変化の重大度について警告を受けることなどを支援し得る。
【0014】
以下の説明では、最初に、本明細書で説明される技法を使用することができる例示的な環境が説明される。次いで、例示的な環境及び他の環境で実行され得る実装形態の例の詳細及び手順が説明される。例示的な手順の実行は、例示的な環境に限定されず、例示的な環境は、例示的な手順の実行に限定されない。
【0015】
環境の例
図1は、本明細書で説明されるようにグルコースレベル偏差検出を実施するように動作可能である実装形態の例における環境100の図である。この例示された環境100は、装着型グルコースモニタリングデバイス104を装着して描かれている人102を含む。図示された環境100はまた、コンピューティングデバイス106、グルコースモニタリングデバイス104を装着するユーザ母集団108内の他のユーザ、及びグルコースモニタリングプラットフォーム110を含む。装着型グルコースモニタリングデバイス104、コンピューティングデバイス106、ユーザ母集団108、及びグルコースモニタリングプラットフォーム110は、ネットワーク112を介してなど通信可能に結合される。
【0016】
代替的に又は追加的に、装着型グルコースモニタリングデバイス104及び計算デバイス106は、1つ以上の無線通信プロトコル又は技法を使用するなど、他の方法で通信可能に接続することができる。例として、装着型グルコースモニタリングデバイス104及びコンピューティングデバイス106は、Bluetooth(例えば、Bluetooth Low Energyリンク)、近距離無線通信(near-field communication、NFC)、5Gなどのうちの1つ以上を使用して、互いに通信することができる。
【0017】
記載される技法によれば、装着型グルコースモニタリングデバイス104は、人102のグルコースの測定値を提供するように構成されている。本明細書では、装着型グルコースモニタリングデバイスを議論するが、グルコースモニタリングのためのユーザインタフェースは、グルコース測定値を提供することが可能な他のデバイス、例えば、フィンガースティック、パッチなどを必要とする血糖測定器などの非装着型グルコースデバイスと関連して生成及び提示できることを理解されたい。しかしながら、装着型グルコースモニタリングデバイス104を含む実装形態では、例えば、人102のグルコースを示す分析物を連続的に検出し、かつグルコース測定値の生成を可能にするグルコースセンサで構成することができる。例示された環境100において、また詳細な説明全体にわたって、これらの測定値は、グルコース測定値114として表される。
【0018】
1つ以上の実装形態では、装着型グルコースモニタリングデバイス104は、連続グルコースモニタリング(continuous glucose monitoring、CGM)システムである。本明細書で使用される場合、グルコースモニタリングに関連して使用される「連続的」という用語は、デバイスが、規則的又は不規則な時間間隔(例えば、1時間ごと、30分ごと、5分ごとなど)で、異なるデバイスと通信結合を確立すること(例えば、コンピューティングデバイスが、測定値のうちの1つ以上を取り出すために装着型グルコースモニタリングデバイス104との無線接続を確立するとき)などに応答して、グルコース測定値114を生成するように構成され得るように、実質的に連続して測定値を生成するデバイスの能力を指し得る。この機能は、装着型グルコースモニタリングデバイス104の構成の更なる態様とともに、
図2に関連してより詳細に説明される。
【0019】
更に、装着型グルコースモニタリングデバイス104は、無線接続などを介して、グルコース測定値114をコンピューティングデバイス106に送信する。装着型グルコースモニタリングデバイス104は、例えば、これらの測定値がグルコースセンサを使用して生成されたときに、それらの測定値をリアルタイムで通信することができる。代替的に又は追加的に、装着型グルコースモニタリングデバイス104は、設定された時間間隔でグルコース測定値114をコンピューティングデバイス106に伝達することができる。例えば、装着型グルコースモニタリングデバイス104は、グルコース測定値114をコンピューティングデバイス106に(それらの測定値が生成されているときに)5分ごとに伝達するように構成することができる。
【0020】
確実に、グルコース測定値114が伝達される時間間隔は、本記載の技法の趣旨又は範囲から逸脱することなく、上記の例とは異なってもよい。それらの測定値は、コンピューティングデバイス106からの要求に基づくなど、本記載の技法による他の基礎に従って、装着型グルコースモニタリングデバイス104によってコンピューティングデバイス106に通信することができる。いずれにしても、コンピューティングデバイス106は、人102のグルコース測定値114を少なくとも一時的に、例えば、コンピューティングデバイス106のコンピュータ可読記憶媒体内に維持することができる。
【0021】
コンピューティングデバイス106は、モバイルデバイス(例えば、携帯電話)として例示されているが、本記載の技法の趣旨又は範囲から逸脱することなく、様々な方法で構成され得る。限定ではなく例として、コンピューティングデバイス106は、モバイルデバイス(例えば、装着型デバイス、タブレットデバイス、又はラップトップコンピュータ)、固定デバイス(例えば、デスクトップコンピュータ)、自動車用コンピュータなど、異なるタイプのデバイスとして構成され得る。1つ以上の実装形態では、コンピューティングデバイス106は、グルコースモニタリングプラットフォーム110に関連付けられた専用デバイスとして構成され得、その専用デバイスは、例えば、装着型グルコースモニタリングデバイス104からグルコース測定値114を取得し、グルコース測定値114に関連する様々な計算を実行し、グルコース測定値114及びグルコースモニタリングプラットフォーム110に関連する情報を表示し、グルコース測定値114をグルコースモニタリングプラットフォーム110に伝達するなどのための機能を有する。
【0022】
更に、コンピューティングデバイス106は、本記載の技法による2つ以上のデバイスを表すことができる。1つ以上のシナリオでは、例えば、コンピューティングデバイス106は、装着型デバイス(例えば、スマートウォッチ)と携帯電話との両方に対応することができる。そのようなシナリオでは、これらのデバイスの両方は、装着型グルコースモニタリングデバイス104からグルコース測定値114を取り出し、ネットワーク112を介してそれらの測定値をグルコースモニタリングプラットフォーム110に伝達し、グルコース測定値114に関連する情報を表示するなどのために、同じ動作のうちの少なくともいくつかを実行することが可能であり得る。代替的に又は追加的に、異なるデバイスは、他のデバイスが有さない、又は計算命令を通して指定されたデバイスに制限される、異なる能力を有していてもよい。
【0023】
コンピューティングデバイス106が別個のスマートウォッチ及び携帯電話に対応するシナリオでは、例えば、スマートウォッチは、人102の様々な生理学的マーカ(例えば、心拍数、心拍数変動性、呼吸、血流速度など)及び活動(例えば、歩行又は他の運動)を測定するための様々なセンサ及び機能を備えて構成され得る。このシナリオでは、携帯電話は、これらのセンサ及び機能を備えて構成されなくてもよいか、又はその機能の限定された量を含むことができる-ただし、他のシナリオでは、携帯電話は、同じ機能を提供することが可能である場合がある。この特定のシナリオを用いて続けると、携帯電話は、グルコースモニタリングに関連付けられた画像を取り込むためのカメラ、及びその携帯電話がグルコース測定値114に関連する計算をより効率的に実行することを可能にするコンピューティングリソース(例えば、バッテリ及び処理速度)の量など、スマートウォッチが有しない能力を有することができる。スマートウォッチがそのような計算を実行することができるシナリオにおいても、コンピューティング命令は、それらの計算の実行を携帯電話に限定して、両方のデバイスに負担をかけず、利用可能なリソースを効率的に利用することができる。この程度まで、コンピューティングデバイス106は、本記載の技術の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書で説明されたものとは異なる方法で構成され、かつ異なる数のデバイスを表すことができる。
【0024】
論じられる技法によると、コンピューティングデバイス106は、グルコースレベル偏差検出を実施するように構成されている。環境100において、計算デバイス106は、グルコースモニタリングアプリケーション116及び記憶デバイス118を含む。ここで、グルコースモニタリングアプリケーション116は、グルコースレベル偏差検出システム120を含む。コンピューティングデバイス106に含まれるものとして示されているが、追加的に又は代替的に、グルコースレベル偏差検出システム120の少なくとも一部の機能は、グルコースモニタリングプラットフォーム110など他の場所に位置する。更に、グルコース測定値114及び偏差識別情報ライブラリ122は、記憶デバイス118に記憶されて示されている。記憶デバイス118は、1つ以上のデータベース、並びにグルコース測定値114及び偏差識別情報ライブラリ122を記憶することが可能な他のタイプの記憶装置も表し得る。偏差識別情報ライブラリ122は、ユーザ102に提供することができる複数の偏差識別情報項目(例えば、メッセージ又はメッセージテンプレート)を記憶して、例えば、その日のより早い時間の、又は過去数日の対応する時間におけるユーザのグルコースレベルに対するユーザのグルコースレベルの現在の偏差をリアルタイムでユーザ102に通知する。
【0025】
1つ以上の実装態様では、グルコース測定値114及び/又は偏差識別情報ライブラリ122は、少なくとも部分的にコンピューティングデバイス106から離れて、例えば、グルコースモニタリングプラットフォーム110の記憶装置に記憶されて、偏差識別情報を提示するためのユーザインタフェースを構成し、出力する(例えば、表示する)ことに関連して取り出されるか、又は別様にアクセスされ得る。例として、グルコース測定値114及び/又は偏差識別情報ライブラリ122は、概して、ユーザ母集団のグルコース測定値108及び/又は偏差識別情報ライブラリ122とともにグルコースモニタリングプラットフォーム110の記憶装置に記憶され得、当該データの一部は、グルコースレベル偏差識別情報を提示するためのユーザインタフェースを表示するために、必要に応じて取り出され得るか、又は別様にアクセスされ得る。
【0026】
大まかに言えば、グルコースモニタリングアプリケーション116は、ユーザ102のグルコースレベルの偏差を識別し、ユーザに提示できるようにする、ユーザとの対話をサポートするように構成されている。これは、例えば、処理するために(例えば、偏差を検出するために)グルコース測定値114を取得すること、(例えば、オンボーディング処理及び/又はユーザフィードバックを通して)ユーザに関する情報を受信すること、情報を医療提供者に通信させること、情報をグルコースモニタリングプラットフォーム110に通信させることなどを含み得る。
【0027】
1つ以上の実装形態では、グルコースモニタリングアプリケーション116はまた、グルコースレベル偏差検出に関連してグルコースモニタリングプラットフォーム110のリソースを活用する。上述したように、例として、グルコースモニタリングプラットフォーム110は、ユーザ(例えば、人102)及び/又はユーザ母集団108のユーザに関連付けられたグルコース測定値114などのデータ、並びに偏差識別情報ライブラリ122を記憶するように構成され得る。グルコースモニタリングプラットフォーム110はまた、グルコースモニタリングアプリケーション116に対する更新及び/又は追加を提供することができる。更に、グルコースモニタリングプラットフォーム110は、アルゴリズム(例えば、機械学習アルゴリズム)を訓練、維持、及び/又は展開して、偏差を検出し、複数の偏差のうちのどれをユーザ102に提示するかを選択し得る。1つ以上のそのようなアルゴリズムは、典型的なパーソナル計算デバイス、例えば、ほんの数例を挙げると、携帯電話、ラップトップ、タブレットデバイス、及び装着型のリソースを超える計算リソースの量を必要とする場合がある。それでもなお、グルコースモニタリングプラットフォーム110は、そのようなアルゴリズムを動作させるために必要とされるリソース、例えば、クラウドストレージ、サーバデバイス、仮想化リソースなどを含むか、又は別様にそれらへアクセスすることができる。グルコースモニタリングプラットフォーム110は、ユーザインタフェースを介した偏差の識別及び提示を可能にすることに関連してグルコースモニタリングアプリケーション116が活用する様々なリソースを提供し得る。
【0028】
説明される技法によると、グルコースレベル偏差検出システム120は、グルコース測定値114を使用して、ユーザのグルコースレベルの偏差を識別し、偏差識別情報ライブラリ122内の1つ以上の偏差識別情報項目を取得し、偏差識別情報項目を提示する1つ以上のユーザインタフェースを出力させるように構成されている。グルコースモニタリングアプリケーション116は、コンピューティングデバイス106のディスプレイデバイス又は他のディスプレイデバイスを介して、構成されたユーザインタフェース124を表示させ得る。
【0029】
上記及び下記で論じられるように、記載の技法に従って、ユーザのグルコース測定値114に基づいて、様々なグルコースレベル偏差識別情報(例えば、メッセージ)が選択され得るか、又は生成され得る。グルコースを、例えば、連続して測定して、そのような測定値を記述するデータを取得するという文脈において、
図2の以下の説明を検討する。
【0030】
図2は、
図1の装着型グルコースモニタリングデバイス104の実装形態のより詳細な例200を示している。特に、図示された例200は、装着型グルコースモニタリングデバイス104の上面図及び対応する側面図を含む。装着型グルコースモニタリングデバイス104は、本記載の技法の趣旨又は範囲から逸脱することなく、以下の説明から、実装形態において、様々な方法で変更を行うことができることを理解されたい。上述したように、例として、検出された、グルコースレベルの偏差を識別するユーザインタフェースは、非装着型デバイス(例えば、フィンガースティックを必要とする血糖測定器)、パッチなどグルコースモニタリングのための他のタイプのデバイスに関連して構成及び表示(又は別様に出力)され得る。
【0031】
この例200では、装着型グルコースモニタリングデバイス104は、センサ202及びセンサモジュール204を含むように図示されている。ここでは、センサ202は、例えば、人102の皮膚206中の皮下に挿入されている側面図に示してある。センサモジュール204は、上面図に破線長方形として図示してある。装着型グルコースモニタリングデバイス104はまた、図示された例200において送信機208も含む。センサモジュール204について破線長方形を使用することにより、そのセンサモジュールが送信機208のハウジング内に収容されるか、又はそうでなければ実装され得ることが示されている。この例200では、装着型グルコースモニタリングデバイス104は、接着パッド210及び取り付け機構212を更に含む。
【0032】
動作中、センサ202、接着パッド210、及び取り付け機構212は、アプリケーションアセンブリを形成するように組み立てられ得、アプリケーションアセンブリは、描写されているようにセンサ202が皮下挿入されるように皮膚206に適用されるように構成されている。そのようなシナリオでは、送信機208は、取り付け機構212を介して皮膚206に貼り付けた後、アセンブリに取り付けられ得る。あるいは、送信機208は、貼り付けアセンブリの一部として組み込まれ得、その結果、センサ202、接着パッド210、取り付け機構212、及び送信機208(センサモジュール204を有する)は、皮膚206に一度に全て貼り付けることができる。1つ以上の実装形態では、この貼り付けアセンブリは、別個のセンサ貼り付け具(図示せず)を使用して皮膚206に貼り付けられる。従来の血糖測定器によって必要とされる指穿刺とは異なり、装着型グルコースモニタリングデバイス104の、ユーザが開始する貼り付けは、ほぼ無痛であり、血液の回収を必要としない。更に、自動センサ貼り付け具により、一般に、臨床医又は医療サービス提供者の支援なしに、人102がセンサ202を皮膚206中の皮下に埋め込むことが可能になる。
【0033】
この貼り付けアセンブリはまた、接着パッド210を皮膚206から剥離することによって取り外すこともできる。図示されているように、装着型グルコースモニタリングデバイス104及びその様々な構成要素は、単純に、1つの例示的なフォームファクタであり、装着型グルコースモニタリングデバイス104及びその構成要素は、本記載の技法の趣旨又は範囲から逸脱することなく、異なるフォームファクタを有することができることを理解されたい。
【0034】
動作中、センサ202は、無線接続又は有線接続であり得る少なくとも1つの通信チャネルを介してセンサモジュール204に通信可能に結合される。センサ202からセンサモジュール204への通信、又はセンサモジュール204からセンサ202への通信は、能動的又は受動的に実施され得、これらの通信は、連続的(例えば、アナログ式)又は離散的(例えば、デジタル式)であり得る。
【0035】
センサ202は、デバイス、分子、及び/又は化学物質であってもよく、それらは、センサ202とは少なくとも部分的に独立している事象に応答して変化するか又は変化を引き起こす。センサモジュール204は、センサ202に対する変化のインジケーション、又はセンサ202によって引き起こされた変化のインジケーションを受信するように実装されている。例えば、センサ202は、グルコース及び酸素と反応して、電極を含み得るセンサモジュール204によって電気化学的に検出可能である過酸化水素を形成するグルコースオキシダーゼを含むことができる。この例では、センサ202は、1つ以上の測定技法を使用してグルコースレベルを示す、血液又は間質液中の分析物を検出するように構成されたグルコースセンサとして構成され得るか、又はグルコースセンサを含み得る。1つ以上の実装形態では、センサ202はまた、乳酸レベルなど他のマーカを示す血液又は間質液中の分析物も検出するように構成され得、これは、様々なグルコースレベル偏差を検出する際の精度を向上することができる。追加的に又は代替的に、装着型グルコースモニタリングデバイス104は、他のマーカを示すそれらの分析物を検出するための、センサ202への追加のセンサを含むことができる。
【0036】
別の例では、センサ202(又は装着型グルコースモニタリングデバイス104の追加の図示されていないセンサ)は、第1及び第2の導体を含むことができ、センサモジュール204は、センサ202のその第1及び第2の導体の両端の電位の変化を電気的に検出することができる。この例では、センサモジュール204及びセンサ202は、電位変化が温度変化に対応するように、熱電対として構成されている。いくつかの例では、センサモジュール204及びセンサ202は、単一の分析物、例えば、グルコースを検出するように構成されている。他の例では、センサモジュール204及びセンサ202は、複数の分析物、例えば、ナトリウム、カリウム、二酸化炭素、及びグルコースを検出するように構成されている。代替的に又は追加的に、装着型グルコースモニタリングデバイス104は、1つ以上の分析物(例えば、ナトリウム、カリウム、二酸化炭素、グルコース、及びインスリン)だけでなく、1つ以上の環境条件(例えば、温度)も検出するための複数のセンサを含む。したがって、センサモジュール204及びセンサ202(及び任意の追加のセンサ)は、1つ以上の分析物の存在、1つ以上の分析物の不在、及び/又は1つ以上の環境条件の変化を検出し得る。
【0037】
1つ以上の実装形態では、センサモジュール204は、プロセッサ及びメモリ(図示せず)を含むことができる。このセンサモジュール204は、プロセッサを活用することによって、上述した変化を示すセンサ202との通信に基づいて、グルコース測定値114を生成することができる。センサ202からのこれらの通信に基づいて、センサモジュール204は、少なくとも1つのグルコース測定値114を含む通信可能なデータパッケージを生成するように更に構成されている。1つ以上の実装形態では、センサモジュール204は、限定ではなく例として、センサ識別子、センサの状態、グルコース測定値114に対応する温度、グルコース測定値114に対応する他の分析物の測定値などを含む追加のデータを含むようにこれらのパッケージを構成することができる。このようなパケットは、記載される技法の趣旨又は範囲から逸脱することなく、少なくとも1つのグルコース測定値114に加えて、様々なデータを含むことができることを理解されたい。
【0038】
装着型グルコースモニタリングデバイス104が無線送信用に構成される実装形態では、送信機208は、グルコース測定値114をデータストリームとして計算デバイスに無線で送信することができる。代替的に又は追加的に、センサモジュール204は、グルコース測定値114を(例えば、センサモジュール204のメモリ及び/又は装着型グルコースモニタリングデバイス104の他の物理的コンピュータ可読記憶媒体に)バッファリングし、後ほど様々な間隔、例えば、時間間隔(1秒ごと、30秒ごと、1分ごと、5分ごと、1時間ごとなど)、記憶間隔(バッファリングされたグルコース測定値114がデータの閾値量又は測定値の数に達するとき)などにおいて、バッファリングされたグルコース測定値114を送信機208に送信させてもよい。
【0039】
環境の例、及び装着型グルコースモニタリングデバイスの例を検討してきたが、ここで、グルコースレベル偏差検出のための技法の詳細のいくつかの例に関する説明について検討する。
【0040】
システムアーキテクチャ
図3は、グルコースレベル偏差検出システム120の例示的なアーキテクチャの図である。グルコースレベル偏差検出システム120は、データ収集モジュール302と、メトリック決定モジュール304と、コンテンツベース偏差検出モジュール306と、コンテキスト偏差検出モジュール308と、偏差選択モジュール310と、UIモジュール312と、を含む。概して、グルコースレベル偏差検出システム120は、ユーザ102のグルコース測定値114を分析し、ユーザの標準からの偏差を探す。標準からのこれらの偏差は、当該日の以前のユーザのグルコースレベルから生成されたメトリックに対するユーザの現在又は最近のグルコースレベルから生成されたメトリック、過去数日の対応する時間におけるユーザのグルコースレベルから生成されたメトリックに対するユーザの現在又は最近のグルコースレベルから生成されたメトリックなど、様々な要因に基づき得る。1つ以上の偏差が検出されると、グルコースレベル偏差検出システム120は、ユーザに偏差の識別情報を提示すること、医療専門家に偏差の識別情報を通信することなどの応答動作を行う。
【0041】
より具体的には、データ収集モジュール302は、ユーザ102のグルコース測定値114を受信する。グルコース測定値114は、約1分ごと又は約5分ごとなど特定間隔で受信される。グルコース測定値114は、測定値の集合にグループ化される。1つ以上の実装形態では、測定値の集合は、半時間ごとの期間(例えば、午後1:00~午後1:30、午後1:30~午後2:00、午後2:00~午後2:30など)中に受信されたグルコース測定値114など、24時間以内の設定期間である。追加的に又は代替的に、測定値の集合は、過去30分又は60分にわたって受信したグルコース測定値114などのローリング時間窓である。例えば、新しいグルコース測定値114を受信すると(約5分ごとなど)、データ収集モジュール302は、過去30分又は1時間にわたって受信したグルコース測定値114を測定値の集合にグループ化する。データ収集モジュール302は、測定値の集合を収集された測定値320として出力する。
【0042】
メトリック決定モジュール304は、収集された測定値320を受信し、収集された測定値320から1つ以上の集約メトリック322(又は単一値メトリック)を生成する。集約メトリック(単にメトリックとも呼ばれる)は、収集された測定値320内のデータの表現又は要約である。メトリック決定モジュール304は、収集された測定値320に基づいて、様々な異なるメトリックのいずれかを生成することができる。1つ以上の実装形態では、メトリック決定モジュール304は、グルコースレベルに起因した、ユーザ102に対する潜在的な健康リスクを示す血糖リスク値であるリスク値を生成する。
【0043】
追加的に又は代替的に、メトリック決定モジュール304は、集約メトリック322として、収集された測定値320での平均グルコース測定値、収集された測定値320でのグルコース測定値の平均変動係数(収集された測定値320でのグルコース測定値の標準偏差対平均の比率)、収集された測定値320でのグルコース測定値の平均血糖変動幅(mean amplitude of glycemic excursion、MAGE)、収集された測定値320でのグルコース測定値のグルコース曲線下面積、収集された測定値320でのグルコース測定値のグルコース曲線上面積、収集された測定値320でのグルコース測定値の平均絶対変化率、収集された測定値320でのグルコース測定値の標準偏差、収集された測定値320の収集中に、グルコース測定値が特定グルコースレベル(例えば、250mg/dL又は70mg/dL)を下回った平均時間、収集された測定値320の収集中に、グルコース測定値が特定グルコースレベル(例えば、250mg/dL)を超えた平均時間、収集された測定値320での最大グルコース測定値など様々な統計値のいずれかを、収集された測定値320から生成する。
【0044】
追加的に又は代替的に、メトリック決定モジュール304は、中央値、四分位範囲(IQR)、XX位数、標準偏差など、収集された測定値320内のグルコース測定値を組み合わせるために異なる技法を使用して集約メトリック322を生成する。
【0045】
追加的に又は代替的に、メトリック決定モジュール304は、集約メトリックではない単一値メトリックを生成する。例えば、メトリック決定モジュール304は、収集された測定値320での最大グルコース測定値、収集された測定値320でのグルコース測定値の絶対変化率などであるメトリックを生成することができる。メトリック決定モジュール304は、集約メトリック322と同様に、コンテンツベース偏差検出モジュール306及びコンテキスト偏差検出モジュール308によって使用される、これらの単一値メトリックを出力する。
【0046】
1つ以上の実装形態では、集約メトリック322は、グルコースレベルに起因する、ユーザ102に対する潜在的な健康リスクを示す血糖リスク値である。1つ以上の実施形態では、これらのリスク値は、高血糖リスク値及び低血糖リスク値の一方又は両方を含む。高血糖リスク値及び低血糖リスク値は、様々な異なる方法のいずれかで決定することができる。
【0047】
1つ以上の実施形態では、高血糖リスク値は、血糖自己測定(self-monitoring blood glucose、SMBG)測定値用に生成された高血糖指数(HBGI)値に基づいている。HBGI値(HBGI)は、以下のようにリスクr(BG)を発生させることによって生成される。 r(BG)=10・(1.509・([log(BG)]1.084-5.381))2
式中、BGは、収集された測定値320を指す。リスクr(BG)は、低血糖範囲及び高血糖範囲の振幅のバランスを取り(低血糖範囲の振幅を拡大し、高血糖範囲の振幅を縮小する)、変換されたデータを0付近で対称にさせ、正規分布に適合させる。
【0048】
HBGI値(HBGI)は、以下のように生成される。
【0049】
【数1】
式中、N
hは、閾値レベル(例えば、112.5mg/dL)よりも大きいグルコース測定値の数を指し、rh(BG
i)は、閾値レベル(例えば、112.5mg/dL)よりも大きい測定値のそれぞれのリスクr(BG)値を指す。
【0050】
1つ以上の実施形態では、低血糖リスク値は、SMBG測定値用に生成された低血糖指数(LBGI)値に基づいている。LBGI値(LBGI)は、以下のように生成される。
【0051】
【数2】
式中、N
lは、閾値レベル(例えば、112.5mg/dL)よりも小さいグルコース測定値の数を指し、rl(BG
i)は、閾値レベル(例えば、112.5mg/dL)よりも小さい測定値のそれぞれのリスクr(BG)値を指す。
【0052】
コンテンツベース偏差検出モジュール306は、集約メトリック322をモニタリングすることによって、最近の履歴におけるユーザの典型的なグルコースレベル傾向からの偏差を検出する。検出が最近のグルコース測定値に基づいて実行されるので、これは、コンテンツベース偏差検出とも呼ばれる。コンテンツベース偏差検出モジュール306は、集約メトリック322を受信し、集約メトリック322に基づいて、直近に収集された測定値320が、過去に(例えば、過去12時間にわたって)収集された測定値320に対するユーザ102のグルコースレベルの偏差を示すか否かを判定する。
【0053】
コンテンツベース偏差検出モジュール306は、過去の期間に基づいて、規則的又は不規則な間隔で、ユーザ102のグルコースレベルに偏差が存在するか否かを判定する。1つ以上の実装形態では、メトリック決定モジュール304は、約30分ごとに集約メトリック322を生成し、コンテンツベース偏差検出モジュール306は、メトリック決定モジュール304から新しい集約メトリック322を受信したことに応答して、直近に受信した集約メトリック322を以前に受信した24の集約メトリック322(例えば、過去12時間にわたって受信した集約メトリック322)と比較することによって、約30分ごとにユーザ102のグルコースレベルに偏差が存在するか否かを判定する。集約メトリック322は、例えば、集約メトリックストア324に格納され、したがって、以前受信した集約メトリック322は、コンテンツベース偏差検出モジュール306にとって容易に利用可能である。集約メトリックストア324は、様々な種類の記憶デバイス(例えば、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ、磁気ディスクなど)のいずれかであり得る。
【0054】
追加的に又は代替的に、他の間隔又は期間を使用することができる。例えば、メトリック決定モジュール304は、約15分ごとに1つ以上の集約メトリック322を生成し得、コンテンツベース偏差検出モジュール306は、メトリック決定モジュール304から新しい集約メトリック322を受信したことに応答して、直近に受信した集約メトリック322を過去10時間にわたって受信した集約メトリック322と比較することによって、約15分ごとにユーザ102のグルコースレベルに偏差が存在するか否かを判定する。別の例として、メトリック決定モジュール304は、(過去30分のローリング時間窓を使用して)約5分ごとに1つ以上の集約メトリック322を生成し得、コンテンツベース偏差検出モジュール306は、メトリック決定モジュール304から新しい集約メトリック322を受信したことに応答して、直近に受信した集約メトリック322を、過去12時間にわたって受信した集約メトリック322と比較することによって、約5分ごとにユーザ102のグルコースレベルに偏差が存在するか否かを判定する。
【0055】
1つ以上の実施形態では、コンテンツベース偏差検出モジュール306は、直近に生成された集約メトリック322(例えば、メトリック決定モジュール304によって直近に生成された低血糖リスク値及び高血糖リスク値)を受信し、以前に受信した集約メトリック322に基づいて予測集約メトリック(例えば、予測低血糖リスク値及び予測高血糖リスク値)を生成する。コンテンツベース偏差検出モジュール306は、予測集約メトリックを受信した集約メトリックと比較し、予測集約メトリックと受信した集約メトリックとが特定量よりも大きく異なる(例えば、5.5などの閾値量よりも大きい)場合、過去に収集された測定値320に対してユーザ102のグルコースレベルに偏差が存在すると判定する。コンテンツベース偏差検出モジュール306は、集約メトリック322に基づいて検出された偏差のインジケーションを出力する。
【0056】
図4は、コンテンツベース偏差検出モジュール306の例示的な実装形態の図である。
図4の例では、集約メトリック322は、低血糖リスク値及び高血糖リスク値を含む。低血糖リスク値及び高血糖リスク値を参照して説明したが、コンテンツベース偏差検出モジュール306は、低血糖リスク値及び高血糖リスク値に加えて、又はその代わりに、任意の他の集約メトリックを同様に使用することができることに留意されたい。
【0057】
図4の例では、コンテンツベース偏差検出モジュール306は、低血糖リスク値予測モジュール402と、高血糖リスク値予測モジュール404と、偏差識別モジュール406と、を含む。低血糖リスク値408及び410並びに高血糖リスク値412及び414は、上述のように、収集された測定値320からメトリック決定モジュール304によって生成される。図示されるように、低血糖リスク値及び高血糖リスク値は、測定値320の集合ごとに生成される。低血糖リスク値408は、低血糖リスク値予測モジュール402に提供される。低血糖リスク値予測モジュール402は、過去の低血糖リスク値408に基づいて、直近に受信した低血糖リスク値(
図4の例では実際の低血糖リスク値410)の予測リスク値416を生成する。同様に、高血糖リスク値412は、高血糖リスク値予測モジュール404に提供される。高血糖リスク値予測モジュール404は、過去の高血糖リスク値412に基づいて、直近に受信した高血糖リスク値(
図4の例では実際の高血糖リスク値414)の予測リスク値418を生成する。
【0058】
1つ以上の実装形態では、低血糖リスク予測モジュール402は、機械学習システムを使用して予測リスク値416を生成し、高血糖リスク値予測モジュール404は、機械学習システムを使用して予測リスク値418を生成する。機械学習システムは、未知の関数を近似するために、入力に基づいて調整(例えば、トレーニング)され得るコンピュータ表現を指す。特に、機械学習システムは、既知のデータのパターン及び属性を反映する出力を生成するように学習するために、既知のデータを分析することによって、既知のデータから学習し、既知のデータに対して予測を行うアルゴリズムを利用するシステムを含むことができる。例えば、機械学習システムは、決定木、サポートベクトルマシン、線形回帰、ロジスティック回帰、ベイジアンネットワーク、ランダムフォレスト学習、次元削減アルゴリズム、ブースティングアルゴリズム、人工ニューラルネットワーク、深層学習などを含むことができる。
【0059】
低血糖リスク値予測モジュール402の機械学習システムは、例えば、複数のリスク値のセットである訓練データを使用することによって訓練される。複数(X個)のリスク値の各セットは、測定値の複数の集合ごとに低血糖リスク値(値1、...、X-1)を含む。機械学習システムは、訓練データ値(1、...、X-1)に基づいて予測低血糖リスク値を生成し、機械学習システムは、予測低血糖リスク値416と実際の低血糖リスク値(値X)との間の損失を最小化するように機械学習システム内で層の重み又は値を更新することによって訓練される。機械学習システムをトレーニングする際に、クロスエントロピー損失、平均二乗誤差損失などの様々な異なる損失関数を使用することができる。
【0060】
同様に、高血糖リスク値予測モジュール404の機械学習システムは、例えば、複数のリスク値のセットである訓練データを使用することによって訓練される。この訓練データは、低血糖リスク値予測モジュール402の機械学習システムを訓練するために使用されるものと同じ訓練データであり得る。複数(X個)のリスク値の各セットは、測定値の複数の集合ごとに高血糖リスク値(値1、...、X-1)を含む。機械学習システムは、訓練データ値(1、...、X-1)に基づいて予測高血糖リスク値を生成し、機械学習システムは、予測高血糖リスク値418と実際の高血糖リスク値(値X)との間の損失を最小化するように機械学習システム内で層の重み又は値を更新することによって訓練される。機械学習システムをトレーニングする際に、クロスエントロピー損失、平均二乗誤差損失などの様々な異なる損失関数を使用することができる。
【0061】
1つ以上の実施形態では、ユーザは、1つ以上の類似特性を有する異なる母集団に分けられる。ユーザ102は、これらの異なる母集団のうちの1つの一部であり、低血糖リスク値予測モジュール402及び高血糖リスク値予測モジュール404の機械学習システムは、ユーザ102と同じ母集団に属する他ユーザから取得された訓練データを使用して(例えば、ユーザ102と同じ母集団に属さないユーザから取得された全てのデータを除外して)訓練される。母集団は、様々な異なる方法のいずれかで定義され得る。1つ以上の実施形態では、母集団は、糖尿病診断によって定義される(例えば、ユーザは糖尿病ではない、ユーザは1型糖尿病である、又はユーザは2型インスリン非依存性糖尿病である)。追加的に又は代替的に、母集団は、例えば年齢ベースの母集団など異なる方法で定義される。例えば、母集団は、ユーザが成人であるか、又は子供であるか(例えば、18歳超又は18歳未満)、ユーザが属する年齢層(例えば、0~5歳、5~10歳、10~20歳、20~30歳など)などに基づいている。別の例として、母集団は、高血圧、肥満、心血管疾患、神経障害、腎症、網膜症、アルツハイマー病、うつ病など、ユーザが有し得る追加の医学的状態に基づいて定義され得る。別の例として、母集団は、運動又は他の身体活動、睡眠パターン、労働時間対余暇時間など、ユーザの習慣又は活動に基づいて定義され得る。別の例として、母集団は、グルコース測定値114が取得される方法又はグルコース測定値114を取得するために使用される機器、例えば、グルコース測定値114がCGMを介して取得されるか否か、装着型グルコースモニタリングデバイス104のブランド、グルコース測定値114の取得頻度など、に基づいて定義され得る。
【0062】
別の例として、母集団は、ユーザの過去のグルコース測定値114に基づいて、例えば、過去のグルコース測定値114に基づいてクラスタリングすることによってユーザをグループ化することなどによって定義され得る。そのようなクラスタの例としては、高血糖変動性を有するユーザ、頻繁に低血糖になるユーザ、頻繁に高血糖になるユーザなどが挙げられる。別の例として、ユーザは、ユーザの過去の活動データ(例えば、ユーザが装着する活動トラッカから取得した歩数、エネルギー消費量、運動分数、睡眠時間など)を使用することによるクラスタリングによってグループ化され得る。そのようなクラスタの例としては、1日当たりの平均歩数が高いユーザ、1日当たりの平均エネルギー消費量が低いユーザ、平均睡眠時間数が低いユーザなどが挙げられる。
【0063】
ユーザを異なる母集団に分けることにより、グルコースレベル偏差検出システム120が、同様の特性を有する他ユーザからのデータに基づいて機械学習システムを訓練することなどによって、特定のユーザ102に合わせてカスタマイズされることが可能になる。これは、特定のユーザ102とは異なるユーザからのデータを考慮する必要がないので、低血糖リスク値予測モジュール402及び高血糖リスク値予測モジュール404の機械学習システムの精度を改善する。
【0064】
別個の低血糖リスク値予測モジュール402及び高血糖リスク値予測モジュール404が論じられているが、追加的に又は代替的に、コンテンツベース偏差検出モジュール306は、予測リスク値416及び予測リスク値418(及び任意選択で追加の集約メトリック)の両方を生成する単一のリスク値予測モジュールを含む。例えば、単一の機械学習システムを訓練して、予測リスク値416及び予測リスク値418(及び任意選択で他の予測集約メトリック)の両方を生成することができる。追加的に又は代替的に、コンテンツベース偏差検出モジュール306は、他の集約メトリック(例えば、平均グルコース、平均変動係数、平均範囲内時間など)の予測集約メトリックを生成する予測モジュールを含み得る。
【0065】
偏差識別モジュール406は、予測リスク値416及び実際のリスク値410に基づいて、ユーザ102のグルコースレベルに低血糖偏差が存在するか否かを判定する。偏差識別モジュール406は、様々な異なる方法のいずれかでこの決定を行うことができる。1つ以上の実施形態では、偏差識別モジュール406は、予測リスク値416及び実際のリスク値410が少なくとも閾値量だけ異なることに応答して、ユーザ102のグルコースレベルに偏差が存在すると判定する。この閾値量は、固定値(例えば、5.5)又は可変値(例えば、予測リスク値416又は実際のリスク値410の10%)であり得る。
【0066】
同様に、偏差識別モジュール406は、予測リスク値418及び実際のリスク値414に基づいて、ユーザ102のグルコースレベルに高血糖偏差が存在するか否かを判定する。偏差識別モジュール406は、様々な異なる方法のいずれかでこの決定を行うことができる。1つ以上の実施形態では、偏差識別モジュール406は、予測リスク値418及び実際のリスク値414が少なくとも閾値量だけ異なることに応答して、ユーザ102のグルコースレベルに偏差が存在すると判定する。この閾値量は、固定値(例えば、5.5)又は可変値(例えば、予測リスク値418又は実際のリスク値414の10%)であり得る。
【0067】
偏差識別モジュール406は、ユーザ102についてグルコースレベルの偏差(高血糖又は低血糖)が存在するか否かを示す偏差インジケーション326を出力する。
【0068】
したがって、偏差識別モジュール406は、低血糖リスク値予測モジュール402及び高血糖リスク値予測モジュール404による予測における誤差に焦点を当てていることが分かる。大きな予測誤差は、収集された測定値320内のグルコース測定値が予測不能な様式で変化しており、したがって予測測定値から潜在的に逸脱していることを示す。
【0069】
図3に戻ると、コンテキスト偏差検出モジュール308は、ユーザのグルコースレベルの拡張履歴において見出される、繰り返される、典型的なグルコースレベル傾向からリアルタイム偏差を検出する。検出が、ユーザのグルコースレベルの拡張履歴(例えば、過去3日間、過去2週間など)のコンテキストで現在のグルコースレベルに基づいて検出が行われるので、これは、コンテキストベースの外れ値検出とも呼ばれる。コンテキスト偏差検出モジュール308は、集約メトリック322を受信し、集約メトリック322に基づいて、直近に収集された(例えば、過去1時間にわたって受信した)測定値320が、以前に(例えば、過去3~14日のそれぞれの対応する期間にわたって)収集された測定値320に対するユーザ102のグルコースレベルの偏差を示すか否かを判定する。
【0070】
コンテキスト偏差検出モジュール308は、最近の期間及び過去複数日のそれぞれにおける対応する期間に基づいて、ユーザ102のグルコースレベルの偏差が存在するか否かを判定する。コンテキスト偏差検出モジュール308は、メトリック決定モジュール304から1つ以上の集約メトリック322を受信する。同一の集約メトリックとして示されているが、コンテンツベース偏差検出モジュール306及びコンテキスト偏差検出モジュール308は、任意選択的に、異なる集約メトリックを受信する。例えば、コンテンツベース偏差検出モジュール306及びコンテキスト偏差検出モジュール308は、異なる期間又は過去数分間にわたって収集された測定値320に基づいて、異なる時間間隔で集約メトリック322を受信し得、異なるメトリックについて集約メトリックを受信し得る(例えば、コンテンツベース偏差検出モジュール306は低血糖リスク値及び高血糖リスク値を受信し得、コンテキスト偏差検出モジュール308は血糖変動メトリックの平均グルコース及び平均振幅を受信し得る)などである。
【0071】
1つ以上の実装形態では、メトリック決定モジュール304は、(過去60分間など特定期間のローリング窓を使用して)約5分ごとに集約メトリック322を生成し、コンテキスト偏差検出モジュール308は、メトリック決定モジュール304から新しい集約メトリック322を受信したことに応答して、特定の期間について受信された集約メトリック322と、過去の複数日のそれぞれの対応する期間について受信された集約メトリック322と、を比較することによって、約5分ごとにユーザ102のグルコースレベルに偏差が存在するか否かを判定する。データ収集モジュール302は、測定値320の集合を生成することができ、メトリック決定モジュール304は、グルコース測定値114の受信に応答して、1つ以上の集約メトリック322を生成することができる。
【0072】
コンテキスト偏差検出モジュール308は、直近に生成された集約メトリック322(例えば、メトリック決定モジュール304によって直近に生成された低血糖リスク値及び高血糖リスク値)を、過去の複数日のそれぞれの対応期間における集約メトリックと、様々な異なる方法のいずれかで比較して、ユーザ102のグルコースレベルに偏差が存在するか否かを判定することができる。
【0073】
1つ以上の実施形態では、コンテキスト偏差検出モジュール308は、過去の複数日のそれぞれの対応期間について集約メトリックを表す又は組み合わせる値を生成する。例えば、この値は、過去の複数日のそれぞれにおける(又は過去の複数日のサブグループにおける)リスク値の平均、過去の複数日のそれぞれにおける(又は過去の複数日のサブグループにおける)リスク値の平均など、様々な統計値のいずれかであり得る。コンテキスト偏差検出モジュール308は、過去の複数日のそれぞれの対応する期間の集約メトリックを表す値と、直近に生成された集約メトリック322との差が少なくとも閾値量であることに応答して、ユーザ102のグルコースレベルの偏差が存在すると判定する。この閾値量は、固定値(例えば、7)又は可変値(例えば、直近に受信した集約メトリック322の10%、又は過去の複数日のそれぞれの対応する期間の集約メトリックを表す値の10%)であり得る。
【0074】
コンテキスト偏差検出モジュール308は、直近に生成された集約メトリックと比較するための過去の日数(又は過去の日)を決定するために、様々な規則又は基準のいずれかを使用し得る。例えば、コンテキスト偏差検出モジュール308は、直近に生成された集約メトリックを、14日など事前定義の日数にわたって過去の日のそれぞれの集約メトリックと比較することができる。日数は、コンテキスト偏差検出モジュール308の開発者又は設計者によって、ユーザ102からのユーザ入力によって、医療提供者からの入力によってなど、様々な方法で事前定義され得る。別の例として、コンテキスト偏差検出モジュール308は、直近に生成された集約メトリックを少なくとも特定の日数の集約メトリックと比較することができ、次いでその数を増加させる(例えば、過去3日間の集約メトリック、次いで過去4日間の集約メトリック、次いで過去5日間の集約メトリックなど)。
【0075】
コンテキスト偏差検出モジュール308は、メトリック決定モジュール304によって生成された集約メトリックに基づいて、ユーザ102のグルコースレベルに偏差が存在するか否かを判定する。コンテキスト偏差検出モジュール308は、ユーザ102のグルコースレベルに偏差が存在するか否かを示す偏差インジケーション328(例えば、及びグルコースレベルの偏差の識別をもたらす集約メトリックのインジケーション)を出力する。
【0076】
図5は、偏差インジケーション328を生成する例500を示す。
図5の例では、集約メトリック322は低血糖リスク値を含む。低血糖リスク値を参照して説明したが、コンテキスト偏差検出モジュール308は、低血糖リスク値に加えて、又はその代わりに、任意の他の集約メトリックを同様に使用することができることに留意されたい。
【0077】
図5の例では、例500は、複数日(12月27日~1月1日)にわたるグルコース測定値及びリスク値のグラフ502を示す。グラフ502は、右側に0~300の範囲のグルコース測定値、左側に0~30の範囲の高血糖リスク値を示す。実線504はグルコース測定値をプロットし、破線506は高血糖リスク値の前兆をプロットする。複数のリスク値508は、1時間の期間にわたって生成される。
【0078】
図示の例では、メトリック決定モジュール304は、(60分の期間のローリング窓を使用して)約5分ごとに高血糖リスク値508を生成する。コンテキスト偏差検出モジュール308は、メトリック決定モジュール304から新しい高血糖リスク値510を受信したことに応答して、当日の前60分間についてのユーザ102のグルコースレベルと、過去の複数日のそれぞれにおける対応する期間の高血糖リスク値512とに偏差が存在するか否かを判定する。図示の例では、コンテキスト偏差検出モジュール308は、2022年1月1日の午後3:40頃にリスク値510を受信し、リスク値510を、2021年12月27日~2021年12月31日の各日からの同じ前60分(午後2:40~午後3:40)に対応するリスク値512と比較する。
【0079】
図示の例では、コンテキスト偏差検出モジュール308は、直近に生成された高血糖リスク値と直前3日間の高血糖リスク値を表す値との差が少なくとも閾値量であることに応答して、ユーザ102のグルコースレベルに偏差が存在すると判定する。各日の高血糖リスク値は、グラフ502において円で示されており、直前3日間の高血糖リスク値は、クロスハッチングされた塗りつぶしの円によって示されている。
【0080】
図3に戻ると、コンテンツベース偏差検出モジュール306及びコンテキスト偏差検出モジュール308はそれぞれ、他のモジュールが検出することができないグルコースレベル偏差の検出を可能にする。例えば、ある期間にわたるグルコースレベルが、前12時間については小さな範囲内で比較的一貫しているが、過去数日の対応する期間とは大きく異なる場合がある。したがって、コンテンツベース偏差検出モジュール306は偏差を検出しないが、コンテキスト偏差検出モジュール308は偏差を検出する。別の例として、ある期間にわたるグルコースレベルは、過去数日の対応する期間と比較的一貫しているが、前12時間とは大きく異なる場合がある。したがって、コンテキスト偏差検出モジュール308は偏差を検出しないが、コンテンツベース偏差検出モジュール306は偏差を検出する。
【0081】
偏差選択モジュール310は、コンテンツベース偏差検出モジュール306及びコンテキスト偏差検出モジュール308から、それぞれ偏差インジケーション326及び偏差インジケーション328を受信する。偏差選択モジュール310は、偏差インジケーション326及び偏差インジケーション328のうちの1つ以上を選択し、偏差識別情報ライブラリ122から対応する偏差識別情報330を取得する。取得した偏差識別情報330は、対応する偏差インジケーション326又は偏差インジケーション328を識別するか、又は説明する、別のデバイス、ユーザ、医療専門家などに表示され得るか、又は通信され得るメッセージ又は通信である。偏差選択モジュール310は、取得した対応する偏差識別情報330をUIモジュール312に提供する。
【0082】
偏差選択モジュール310は、様々な異なる方法のいずれかで、偏差インジケーション326又は偏差指示328に対応する偏差識別情報330を決定する。1つ以上の実装形態では、偏差選択モジュール310は、偏差識別情報330の偏差インジケーションへのマッピングを維持する。追加的に又は代替的に、偏差選択モジュール310は、様々な他の規則又は基準のいずれかを使用して、偏差インジケーション326又は偏差インジケーション328に対応する偏差識別情報330を決定することができる。
【0083】
1つ以上の実施形態では、偏差選択モジュール310は、偏差インジケーション326及び偏差インジケーション328において識別された各偏差について偏差識別情報330を選択する。これにより、偏差選択モジュール310が、UIモジュール312によって表示されるか、又は別様に提示される複数の偏差識別情報330を選択するようになる。
【0084】
追加的に又は代替的に、複数の偏差識別情報が受信される状況では、偏差選択モジュール310は、偏差のサブセット(例えば、1つ)を選択する。偏差選択モジュール310は、複数の偏差のうちの1つをランダムに又は擬似ランダムに選択するなど、様々な方法で複数の偏差のうちの1つを選択することができる。追加的に又は代替的に、偏差選択モジュール310は、複数の偏差に優先度を付け、最も高い優先度を有する、複数の偏差のうちの1つを選択することができる。例えば、最も高い優先度を有する偏差が選択される。
【0085】
偏差選択モジュール310は、任意選択的に、様々な基準を使用して、複数の偏差のうちの選択する偏差を決定する。これらの基準は、偏差がどの程度前に発生したか、偏差又はメトリックのランク又は優先度、偏差又はメトリックのカテゴリ、偏差又はメトリックが発生した連続日数など様々な要因に基づき得る。例えば、それほど最近ではない、以前に発生した偏差は、より最近に発生した偏差よりも優先して選択される。例えば、これにより、別の偏差が選択されることが可能になり、同じ偏差があまりに頻繁に繰り返し表示されないようにする。
【0086】
別の例として、偏差選択モジュール310は、コンテンツベース偏差検出モジュール306及びコンテキスト偏差検出モジュール308のうちの一方から、他方よりも優先して偏差を選択することができる。例えば、偏差選択モジュール310は、コンテキスト偏差検出モジュール308によって識別された偏差よりも優先して、コンテンツベース偏差検出モジュール306によって識別された偏差を選択し得る。又は、偏差選択モジュール310は、コンテンツベース偏差検出モジュール306及びコンテキスト偏差検出モジュール308のうちの一方から、最も長期間識別されていない偏差を選択し得る。
【0087】
別の例として、(例えば、偏差選択モジュール310の開発者又は設計者によって)緊急性又は安全性への関連が高いと指定された偏差は、緊急性又は安全性への関連が低い偏差よりも優先して選択される。例えば、これにより、緊急性又は安全性関連の特徴(例えば、範囲内に留まらない、又は閾値グルコースレベルを超えない)に対応する偏差が、他の非緊急性又は非安全性関連の特徴よりも優先して選択され、より重要な糖尿病管理情報をユーザに表示するか、又は別様に提示することが可能になる。
【0088】
別の例として、(例えば、ユーザ102によって)より高い優先度であると指定された偏差は、(例えば、ユーザ102によって)より低い優先度であると指定された偏差よりも優先して選択され得る。例えば、これにより、ユーザにとって関心の低い偏差ではなく、ユーザにとって関心の高い偏差を表示するか、又は別様に提示することが可能になる。
【0089】
別の例として、偏差選択モジュール310は、偏差が少なくとも閾値時間中に選択されていない場合にのみ偏差を選択し得る。例えば、偏差選択モジュール310は、偏差が少なくとも30分間又は2日間選択されなかった場合にのみ偏差を選択し得、偏差選択モジュール310は、特定の偏差が最後に選択されてから少なくとも閾値数(例えば、3又は5)の他の偏差が選択された場合にのみ、その特定の偏差を選択し得るなどである。
【0090】
別の例として、偏差選択モジュール310は、ユーザ102がその一部である母集団に基づいて偏差を選択し得る。母集団は、上述したように様々な方法で定義され得るか、又は記述され得る。例として、特定の偏差は、ユーザが1型糖尿病であるか2型糖尿病であるかに基づいて、ユーザの年齢に基づいて、ユーザが有する他の医学的状態に基づいて、他の偏差よりも優先して選択され得る。
【0091】
別の例として、偏差選択モジュール310は、他の要因又は様々な医学的ソースからの入力に基づいて偏差を選択し得る。例として、特定の偏差は、主題の専門家(例えば、糖尿病管理分野の専門家)、臨床ガイドライン、専門文献などからの入力に基づいて、他の偏差よりも優先して選択され得る。
【0092】
UIモジュール312は、1つ以上の偏差識別情報330を受信し、(例えば、コンピューティングデバイス106において)偏差識別情報330を表示させるか、又は別様に提示させる。この表示又は他の提示は、静的テキスト表示、グラフィック又はビデオ表示、オーディオ提示、それらの組合せなど、様々な形態を取り得る。追加的に又は代替的に、1つ以上の偏差識別情報330は、臨床医、薬剤師、他の医療提供者などに通信され得るか、又は別様に提示され得る。
【0093】
UIモジュール312によって提示される、偏差識別情報330の特定のコンテンツ又はメッセージは、様々であり得る。偏差識別情報330内のコンテンツ又はメッセージは、選択された偏差に基づいた、任意の適切なテキスト又は他のコンテンツであり得る。そのようなコンテンツ又はメッセージの例としては、「グルコースは、通常よりも少し高いです」、「グルコースは、通常よりも少し低いです」、「グルコースは、過去数日の午後よりも少し高いです」、「グルコースは、今朝からかなり上昇しています」、「グルコースは、今朝以降の最高レベルに増加しています」、「グルコースは、過去数日の各日のこの時間よりも高いです」などが挙げられる。
【0094】
したがって、偏差識別情報330内のコンテンツ又はメッセージは、正常な行動から離れる傾向にある偏差を肯定的に、又は自己の利益になるように褒める応答など肯定的な応答であり得る。追加的に又は代替的に、偏差識別情報330内のコンテンツ又はメッセージは、悪化パターンを未然に食い止めるために、否定的な傾向にある偏差を認めるなどの先制的警告であり得る。
【0095】
UIモジュール312は、様々な異なるタイミングのいずれかにおいて、偏差識別情報330を通信するか、表示するか、又は別様に提示することができる。1つ以上の実施形態では、UIモジュール312は、偏差選択モジュール310から偏差識別情報330を受信したことに応答して(例えば、コンテンツベース偏差検出モジュール306又はコンテキスト偏差検出モジュール308によって偏差が検出されるのとほぼ同時に)、偏差識別情報330を通信するか、表示するか、又は別様に提示する。追加的に又は代替的に、UIモジュール312は、食事の完了時に、規則的又は不規則な間隔で(例えば、約5分ごとに、偏差選択モジュール310が5分ごとに複数の偏差識別情報330のうちの異なる1つを任意選択的に選択すると)、最新の偏差識別情報330を要求するユーザ入力に応答してなど他の時間に、偏差識別情報330を通信するか、表示するか、又は別様に提示する。
【0096】
グルコースレベル偏差検出システム120は、任意選択的に、検出された偏差(又はその欠如)に基づいて追加のアクションを行う。1つ以上の実装形態では、これらのアクションは、グルコース測定値114の生成頻度が増減し得ることをグルコースモニタリングアプリケーション116又は装着型グルコースモニタリングデバイス104に通知することを含む。例えば、グルコースレベル偏差検出システム120が、偏差が検出されない(例えば、複数日の)期間を識別する場合、グルコースレベル偏差検出システム120は、当該期間中にグルコース測定値114の生成頻度を(例えば、5分ごとから10分ごとに)低減して、グルコース測定値114の生成に消費される電力を低減し得ることをグルコースモニタリングアプリケーション116又は装着型グルコースモニタリングデバイス104に通知する。別の例として、グルコースレベル偏差検出システム120がある期間の偏差を識別した場合、グルコースレベル偏差検出システム120は、グルコース測定値114の生成頻度を、以降数日の当該期間中又は当日の以降の期間中に(例えば、5分ごとから2分ごとに)増加させて、グルコース測定値114の数の増加に起因して生成されるリスク値の精度を増加させ得ることをグルコースモニタリングアプリケーション116又は装着型グルコースモニタリングデバイス104に通知する。
【0097】
集約メトリック322を使用するものとして説明されたが、追加的に又は代替的に、収集された測定値320は、コンテンツベース偏差検出モジュール306及びコンテキスト偏差検出モジュール308の一方又は両方に提供される。そのような状況では、コンテンツベース偏差検出モジュール306又はコンテキスト偏差検出モジュール308は、上記の説明に類似するが、集約メトリック322ではなく収集された測定値320を使用して偏差を識別する。
【0098】
更に、グルコースレベル偏差検出システム120は、コンテンツベース偏差検出モジュール306及びコンテキスト偏差検出モジュール308の両方を含むものとして説明されており、これらは同時に動作して、偏差インジケーションを生成することができる。追加的に又は代替的に、グルコースレベル偏差検出システム120は、コンテンツベース偏差検出モジュール306及びコンテキスト偏差検出モジュール308のうちの1つのみを含む。
【0099】
グルコースの洞察を提示するユーザインタフェースに関する技法の例示的な詳細を論じてきたが、次に、手順のいくつかの例を考察してこれらの技法の追加の態様を示す。
【0100】
例示的な手順
この節では、グルコースレベル偏差検出を実施するための手順の例を説明する。手順の態様は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの組合せにおいて実装され得る。手順は、1つ以上のデバイスによって実行される動作を指定するブロックのセットとして示され、必ずしもそれぞれのブロックによって動作を実行するために示される順序に限定されない。
【0101】
図6は、グルコースレベル偏差検出を実施する例における手順600を示す。手順600は、例えば、グルコースレベル偏差検出システム120などグルコースレベル偏差検出システムによって実行される。
【0102】
複数の期間ごとにユーザのグルコース測定値を取得する(ブロック602)。これらのグルコース測定値は、例えば、グルコースセンサがユーザの挿入部位において挿入されている、連続グルコースレベルモニタリングシステムのグルコースセンサから取得する。これらの期間は、例えば30分間である。
【0103】
複数の各期間中に、1つ以上の集約メトリックをユーザに対して生成する(ブロック604)。これらの1つ以上の集約メトリックとしては、例えば、高血糖リスク値及び低血糖リスク値(例えば、高血糖指数及び低血糖指数)、平均グルコース、平均変動係数、平均範囲内時間などが挙げられ得る。
【0104】
集約メトリックは、一連の過去の複数期間中に測定されたグルコース測定値からの偏差を示す(ブロック606)。例えば、直近に生成された集約メトリックが、前12時間中に測定されたグルコース測定値からの偏差を示すか否かに関する判定を行う。
【0105】
偏差を識別するユーザインタフェースを生成する(ブロック608)。いくつかの状況では、ブロック606において複数の偏差が示され得、そのような状況では、ブロック608のユーザインタフェースに含めるために、識別した偏差のうちの1つ以上を選択する。
【0106】
識別した偏差を含むユーザインタフェースを表示させる(ブロック610)か、又は別様に提示させる。追加的に又は代替的に、識別した、又は選択した偏差を、臨床医、薬剤師、又は他の医療提供者に通信し得る、又は別様に提示し得る。
【0107】
図7は、グルコースレベル偏差検出を実施する別の例における手順700を示す。手順700は、例えば、グルコースレベル偏差検出システム120などグルコースレベル偏差検出システムによって実行される。
【0108】
当日のある期間についてのユーザのグルコース測定値を取得する(ブロック702)。これらのグルコース測定値は、例えば、グルコースセンサがユーザの挿入部位において挿入されている、連続グルコースレベルモニタリングシステムのグルコースセンサから取得する。この期間は、例えば30分間である。
【0109】
当日の当該期間中に、1つ以上の集約メトリックをユーザについて生成する(ブロック704)。これらの1つ以上の集約メトリックとしては、例えば、高血糖リスク値及び低血糖リスク値(例えば、高血糖指数及び低血糖指数)、平均グルコース、平均変動係数、平均範囲内時間などが挙げられ得る。
【0110】
過去の複数日のそれぞれの対応する期間中に、ユーザについて集約メトリックを生成する(ブロック706)。例えば、これらの対応する期間は、当日の期間と同じ30分間である。この集約メトリックは、ブロック704で生成した集約メトリックのうちの少なくとも1つと同じ集約メトリックである。当日の期間の集約メトリックが、過去の複数日の対応する期間中に測定されたグルコース測定値からの偏差を示すか否かについての判定を行う(ブロック708)。
【0111】
偏差を識別するユーザインタフェースを生成する(ブロック710)。いくつかの状況では、ブロック708において複数の偏差が示され得、そのような状況では、ブロック710のユーザインタフェースに含めるために、識別した偏差のうちの1つ以上を選択する。
【0112】
識別した偏差を含むユーザインタフェースを表示させる(ブロック712)か、又は別様に提示させる。追加的に又は代替的に、識別した、又は選択した偏差を、臨床医、薬剤師、又は他の医療提供者に通信し得る、又は別様に提示し得る。
【0113】
例示的なシステム及びデバイス
図8は、800において、システムの例の概要を示しており、このシステムには、本明細書に説明される様々な技術を実施することができる1つ以上のコンピューティングシステム及び/又はデバイスを表すコンピューティングデバイス802の例が含まれる。これは、グルコースレベル偏差検出システム120を含めることを通じて図示されている。コンピューティングデバイス802は、例えば、サービスプロバイダのサーバ、クライアントに関連付けられたデバイス(例えば、クライアントデバイス)、オンチップシステム、及び/又は任意の他の好適なコンピューティングデバイス若しくはコンピューティングシステムであり得る。
【0114】
図示されているような例示的なコンピューティングデバイス802は、処理システム804、1つ以上のコンピュータ可読媒体806、及び互いに通信可能に結合されている1つ以上のI/Oインタフェース808を含む。図示されていないが、コンピューティングデバイス802は、様々な構成要素を互いに結合するシステムバス又は他のデータ及びコマンド転送システムを更に含み得る。システムバスは、メモリバス若しくはメモリコントローラ、ペリフェラルバス、ユニバーサルシリアルバス、及び/又は多様なバスアーキテクチャのいずれかを利用するプロセッサ若しくはローカルバスなどの異なるバス構造のうちの任意の1つ又は組合せを含み得る。制御ライン及びデータラインなど、多様な他の例も企図されている。
【0115】
処理システム804は、ハードウェアを使用して1つ以上の動作を実行するための機能を表す。したがって、処理システム804は、プロセッサ、機能ブロックなどとして構成され得るハードウェア要素810を含むものとして例示されている。これは、1つ以上の半導体を使用して形成された特定用途向け集積回路又は他のロジックデバイスとして、ハードウェア内の実装形態を含み得る。ハードウェア要素810は、それらが形成される材料、又はその中に採用される処理機構によって限定されない。例えば、プロセッサは、半導体及び/又はトランジスタ(例えば、電子集積回路(electronic integrated circuits、IC))で構成され得る。このような文脈では、プロセッサ実行可能な命令は、電子的に実行可能な命令であり得る。
【0116】
コンピュータ可読媒体806は、メモリ/記憶装置構成要素812を含むものとして例示されている。メモリ/記憶装置構成要素812は、1つ以上のコンピュータ可読媒体に関連付けられたメモリ/記憶容量を表す。メモリ/記憶装置構成要素812は、揮発性媒体(ランダムアクセスメモリ(RAM)など)及び/又は不揮発性媒体(読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、光ディスク、磁気ディスクなど)を含み得る。メモリ/記憶装置構成要素812は、固定媒体(例えば、RAM、ROM、固定ハードドライブなど)、並びに取り外し可能媒体(例えば、フラッシュメモリ、取り外し可能ハードドライブ、光ディスクなど)を含み得る。コンピュータ可読媒体806は、以下で更に説明されているように、様々な他の方法で構成され得る。
【0117】
入力/出力インタフェース808は、ユーザが、コマンド及び情報をコンピューティングデバイス802に入力することを可能にし、また、様々な入力/出力デバイスを使用して情報がユーザ及び/又は他の構成要素若しくはデバイスに提示されることを可能にする機能を表す。入力デバイスの例としては、キーボード、カーソル制御デバイス(例えば、マウス)、マイクロフォン、スキャナ、タッチ機能(例えば、物理的接触を検出するように構成されている容量型センサ又は他のセンサ)、カメラ(例えば、可視波長、又は赤外線周波数などの非可視波長を採用して、非接触ジェスチャとして動きを認識することができる)などが挙げられる。出力デバイスの例は、ディスプレイデバイス(例えば、モニタ又はプロジェクタ)、スピーカ、プリンタ、ネットワークカード、触覚応答デバイスなどを含む。したがって、コンピューティングデバイス802は、以下に更に説明されているように、様々な方法で構成されて、ユーザ対話をサポートすることができる。
【0118】
本明細書では、ソフトウェア、ハードウェア要素、又はプログラムモジュールの一般的なコンテキストで様々な技法が記載され得る。一般に、そのようなモジュールは、特定のタスクを実行するか、又は特定の抽象データ型を実装するルーティン、プログラム、オブジェクト、エレメント、コンポーネント、データ構造などを含む。本明細書で使用される場合、「モジュール」、「機能」、及び「構成要素」という用語は、一般に、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又はそれらの組合せを表す。本明細書に記載の技法の特徴は、プラットフォームに依存せず、つまり、この技法は、多様なプロセッサを有する多様な商用計算プラットフォームに実装され得ることを意味する。
【0119】
記載されるモジュール及び技法の実装形態は、何らかの形式のコンピュータ可読媒体に記憶されるか、又はそれを介して送信され得る。コンピュータ可読媒体は、コンピューティングデバイス802によってアクセスされ得る様々な媒体を含み得る。例として、コンピュータ可読媒体は、「コンピュータ可読記憶媒体」及び「コンピュータ可読信号媒体」を含み得る。
【0120】
「コンピュータ可読記憶媒体」とは、単なる信号送信、搬送波、又は信号それ自体とは対照的に、そこへの情報の永続的及び/又は非一時的記憶を可能にする媒体及び/又はデバイスを指し得る。したがって、コンピュータ可読記憶媒体は、非信号担持媒体を指す。コンピュータ可読記憶媒体は、揮発性及び非揮発性、リムーバブル及び非リムーバブル媒体などのハードウェア、並びに/又はコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、論理要素/回路、若しくは他のデータなどの情報の記憶に好適な方法若しくは技術で実装された記憶デバイスを含む。コンピュータ可読記憶媒体の例は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ若しくは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(digital versatile disk、DVD)若しくは他の光記憶装置、ハードディスク、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶デバイス、若しくは他の記憶デバイス、有形媒体、又は所望の情報を記憶するのに好適であり、コンピュータによってアクセスされ得る製品を含み得るが、これらに限定されない。
【0121】
「コンピュータ可読信号媒体」とは、ネットワークなどを介して、コンピューティングデバイス802のハードウェアに命令を送信するように構成されている信号担持媒体を指し得る。信号媒体は、通常、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は搬送波、データ信号、若しくは他の輸送機構などの変調されたデータ信号における他のデータを具体化し得る。信号媒体は、任意の情報送達媒体も含む。「変調されたデータ信号」という用語は、信号における情報を符号化するような様式で設定又は変更されたその特性のうちの1つ以上を有する信号を意味する。例として、通信媒体は、有線ネットワーク又は直接有線接続などの有線媒体、及び音響、RF、赤外線、及び他の無線媒体などの無線媒体を含む。
【0122】
以前に説明されているように、ハードウェア要素810及びコンピュータ可読媒体806は、いくつかの実施形態において採用されて、1つ以上の命令を実行するためなどの、本明細書で説明される技法の少なくともいくつかの態様を実施することができる、ハードウェア形態で実装されるモジュール、プログラマブルデバイスロジック、及び/又は固定デバイスロジックを表す。ハードウェアは、集積回路又はオンチップシステムの構成要素、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array、FPGA)、複雑なプログラマブルロジックデバイス(complex programmable logic device、CPLD)、及びシリコン又は他のハードウェアにおける他の実装形態を含み得る。この文脈において、ハードウェアは、ハードウェアによって具現化された命令及び/又はロジックによって定義されるプログラムタスク、並びに、実行のための命令を格納するために利用されるハードウェア、例えば、以前説明されたコンピュータ可読記憶媒体、を実行する処理デバイスとして動作することができる。
【0123】
前述の組合せを用いて、本明細書に記載の様々な技法を実装し得る。したがって、ソフトウェア、ハードウェア、又は実行可能モジュールは、何らかの形態のコンピュータ可読記憶媒体上に、かつ/又は1つ以上のハードウェア要素810によって具現化された1つ以上の命令及び/又はロジックとして実装され得る。コンピューティングデバイス802は、ソフトウェア及び/又はハードウェアモジュールに対応する特定の命令及び/又は機能を実装するように構成され得る。したがって、コンピューティングデバイス802によって、ソフトウェアとして実行可能であるモジュールの実装形態は、例えば、コンピュータ可読記憶媒体、及び/又は処理システム804のハードウェア要素810の使用を介して、少なくとも部分的にハードウェア内で達成され得る。命令及び/又は機能は、本明細書で説明される技法、モジュール、及び例を実施するための1つ以上の製造物品(例えば、1つ以上のコンピューティングデバイス802及び/又は処理システム804)によって実行可能/動作可能であり得る。
【0124】
本明細書で説明される技法は、コンピューティングデバイス802の様々な構成によってサポートされ得、本明細書で説明される技法の特定の例に限定されない。この機能はまた、以下に説明されるように、プラットフォーム816を介した「クラウド」814上などでの分散システムの使用を通じて、全て又は部分的に実装され得る。
【0125】
クラウド814は、リソース818のためのプラットフォーム816を含み、かつ/又は表す。プラットフォーム816は、クラウド814のハードウェア(例えば、サーバ)及びソフトウェアリソースの基礎となる機能を抜粋する。リソース818は、コンピューティングデバイス802から遠隔にあるサーバ上でコンピュータ処理が実行されている間に利用することができるアプリケーション及び/又はデータを含み得る。リソース818はまた、インターネットを介して、かつ/又はセルラーネットワーク若しくはWi-Fiネットワークなどの加入者ネットワークを介して提供されるサービスも含むことができる。
【0126】
プラットフォーム816は、コンピューティングデバイス802を他のコンピューティングデバイスと接続するためのリソース及び機能を抽象化することができる。プラットフォーム816はまた、リソースのスケーリングを抽象化して、プラットフォーム816を介して実装されている、リソース818が直面した需要に対応するスケールレベルを提供する役割も果たすことができる。したがって、相互接続されたデバイスの実施形態では、本明細書に説明されている機能の実装形態は、システム800全体にわたって分散することができる。例えば、この機能は、コンピューティングデバイス802上に、並びにクラウド814の機能を抜粋するプラットフォーム816を介して、部分的に実行され得る。
【0127】
いくつかの態様では、本明細書で説明される技法は、連続グルコースレベルモニタリングシステムにおいて実施される方法に関し、この方法は、連続グルコースレベルモニタリングシステムのグルコースセンサから、複数期間のそれぞれについて、その期間にユーザについて測定されたグルコース測定値を取得することであって、グルコースセンサはユーザの挿入部位において挿入されている、ことと、複数期間のそれぞれについてのグルコース測定値に基づいて、期間中のユーザの第1の集約メトリックを生成することと、複数の期間のうちの第1の期間について、第1の集約メトリックが、第1の期間に先行する一連の複数の期間中に測定されたグルコース測定値からの、第1の期間について測定された第1のグルコース測定値による偏差を示すか否かを判定することと、第1の集約メトリックが偏差を示すと判定したことに応答して、偏差を識別するユーザインタフェースを生成することと、偏差を識別するユーザインタフェースを表示させることと、を含む。
【0128】
いくつかの態様では、本明細書で説明される技法は方法に関し、判定することは、第1の期間に先行する一連の複数の期間の集約メトリックに基づいて、第1の期間の集約メトリックを予測することと、第1の期間の予測集約メトリックと第1の集約メトリックとの間の差を決定することと、差が閾値量を超えることに応答して、第1の集約メトリックが偏差を示すと判定することと、を含む。
【0129】
いくつかの態様では、本明細書で説明される技法は、複数期間のそれぞれについてのグルコース測定値に基づいて、期間中のユーザの集約メトリックを生成することと、複数の期間のうちの第1の期間について、第1の期間の集約メトリックが、第1の期間に先行する一連の複数の期間中に測定されたグルコース測定値からの、第1の期間について測定された第1のグルコース測定値による更なる偏差を示すか否かを判定することと、第1の期間の集約メトリックが更なる偏差を示すと判定したことに応答して、更なる偏差を識別するユーザインタフェースを生成することと、更なる偏差を識別するユーザインタフェースを表示させることと、を更に含む。
【0130】
いくつかの態様では、本明細書で説明される技法は、方法に関し、集約メトリックは、高血糖指数値を含む。
【0131】
いくつかの態様では、本明細書で説明される技法は、方法に関し、集約メトリックは、低血糖指数値を含む。
【0132】
いくつかの態様では、本明細書で説明される技法は、方法に関し、判定することは、訓練データとして複数の集約メトリックのセットを用いて訓練され、予測集約メトリックと実際の集約メトリックとの間の損失を最小化するように訓練された機械学習システムを使用して、第1の期間の集約メトリックが偏差を示すか否かを判定することを含む。
【0133】
いくつかの態様では、本明細書で説明される技法は方法に関し、複数の期間のそれぞれは30分を含み、複数の期間は24の期間を含む。
【0134】
いくつかの態様では、本明細書で説明される技法は、当日の期間についてグルコースセンサから、期間のユーザについて測定されたグルコース測定値を取得することと、期間のグルコース測定値に基づいて、当日の期間中のユーザの第2の集約メトリックを生成することと、過去の複数日のそれぞれの対応する期間についてのグルコース測定値に基づいて、過去の複数日の対応する期間中のユーザの集約メトリックを生成することと、第2の集約メトリックが、過去の複数日の対応する期間中に測定されたグルコース測定値からの、当日の第1の期間について測定された第1のグルコース測定値による偏差を示すか否かを判定することと、第2の集約メトリックが偏差を示すと判定したことに応答して、偏差を識別するユーザインタフェースを生成することと、偏差を識別するユーザインタフェースを表示させることと、を更に含む。
【0135】
いくつかの態様では、本明細書で説明される技法は方法に関し、偏差は複数の偏差のうちの1つであり、この方法は、ユーザがその一部である母集団を識別することと、母集団に基づいて複数の偏差のうちの1つを選択することであって、母集団はユーザの複数の異なる母集団のうちの1つであることと、を更に含み、生成することは、選択した偏差を識別するユーザインタフェースを生成することを含む。
【0136】
いくつかの態様では、本明細書で説明される技法は、方法に関し、ユーザがその一部である母集団を識別することは、ユーザの年齢又はユーザの糖尿病診断に基づいて、ユーザがその一部である母集団を識別することを含む。
【0137】
いくつかの態様では、本明細書で説明される技法はコンピューティングデバイスに関し、このコンピューティングデバイスは、プロセッサと、ディスプレイデバイスと、プロセッサによる実行に応答して、プロセッサに、連続グルコースレベルモニタリングシステムのグルコースセンサから、複数期間のそれぞれについて、その期間にユーザについて測定されたグルコース測定値を取得することであって、グルコースセンサはユーザの挿入部位において挿入されている、こと、複数期間のそれぞれについてのグルコース測定値に基づいて、期間中のユーザの集約メトリックを生成すること、複数の期間のうちの第1の期間について、第1の期間の集約メトリックが、第1の期間に先行する一連の複数の期間中に測定されたグルコース測定値からの、第1の期間について測定された第1のグルコース測定値による偏差を示すか否かを判定すること、第1の期間の集約メトリックが偏差を示すと判定したことに応答して、偏差を識別するユーザインタフェースを生成すること、及び偏差を識別するユーザインタフェースをディスプレイデバイスに表示させること、を行わせるアプリケーションの複数の命令を記憶しているコンピュータ可読記憶媒体と、を含む。
【0138】
いくつかの態様では、本明細書で説明される技法はコンピューティングデバイスに関し、偏差は複数の偏差のうちの1つであり、複数の命令は、プロセッサに、ユーザがその一部である母集団を識別すること、及び母集団に基づいて複数の偏差のうちの1つを選択することであって、母集団はユーザの複数の異なる母集団のうちの1つである、こと、を更に行わせ、ユーザインタフェースを生成することは、選択した偏差を識別するユーザインタフェースを生成することである。
【0139】
いくつかの態様では、本明細書で説明される技法は、コンピューティングデバイスに関し、複数の命令は、プロセッサに、複数期間のそれぞれについてのグルコース測定値に基づいて、期間中のユーザの集約メトリックを生成すること、複数の期間のうちの第1の期間について、第1の期間の集約メトリックが、第1の期間に先行する一連の複数の期間中に測定されたグルコース測定値からの、第1の期間について測定された第1のグルコース測定値による更なる偏差を示すか否かを判定すること、第1の期間の集約メトリックが更なる偏差を示すと判定したことに応答して、更なる偏差を識別するユーザインタフェースを生成すること、及び更なる偏差を識別するユーザインタフェースをディスプレイデバイスに表示させること、を更に行わせる。
【0140】
いくつかの態様では、本明細書で説明される技法は、コンピューティングデバイスに関し、集約メトリックは、高血糖指数値を含む。
【0141】
いくつかの態様では、本明細書で説明される技法は、コンピューティングデバイスに関し、集約メトリックは、低血糖指数値を含む。
【0142】
いくつかの態様では、本明細書で説明される技法は、コンピューティングデバイスに関し、第1の期間の集約メトリックが偏差を示すか否かを判定することは、訓練データとして複数の集約メトリックのセットを用いて訓練され、予測リスク集約メトリックと実際の集約メトリックとの間の損失を最小化するように訓練された機械学習システムを使用して、第1の期間の集約メトリックが偏差を示すか否かを判定することである。
【0143】
いくつかの態様では、本明細書で説明される技法は、コンピューティングデバイスに関し、ユーザは、ユーザの複数の異なる母集団のうちの1つの母集団の一部であり、機械学習システムを使用することは、1つの母集団向けの訓練データを用いて訓練された機械学習システムを使用することを含む。
【0144】
いくつかの態様では、本明細書で説明される技法は、連続グルコースレベルモニタリングシステムにおいて実施される方法に関し、この方法は、連続グルコースレベルモニタリングシステムのグルコースセンサから、当日の期間について、その期間にユーザについて測定されたグルコース測定値を取得することであって、グルコースセンサはユーザの挿入部位において挿入されている、ことと、期間のグルコース測定値に基づいて、当日の期間中のユーザの集約メトリックを生成することと、過去の複数日のそれぞれの対応する期間についてのグルコース測定値に基づいて、過去の複数日の対応する期間中のユーザの集約メトリックを生成することと、当日の期間の集約メトリックが、過去の複数日の対応する期間中に測定されたグルコース測定値からの、当日の期間について測定されたグルコース測定値による偏差を示すか否かを判定することと、当日の期間の集約メトリックが偏差を示すと判定したことに応答して、偏差を識別するユーザインタフェースを生成することと、偏差を識別するユーザインタフェースをディスプレイデバイスに表示させることと、を含む。
【0145】
いくつかの態様では、本明細書で説明される技法は、方法に関し、この方法は、過去の複数日の対応する期間中のユーザの集約メトリックを表す値を生成することを更に含み、判定することは、過去の複数日の対応する期間中のユーザの集約メトリックを表す値と、閾値量を超える、当日の期間中のユーザの集約メトリックとの差に応答して、当日の期間の集約メトリックが、過去の複数日の対応する期間中に測定されたグルコース測定値からの、当日の期間について測定されたグルコース測定値による偏差を示すと判定することを含む。
【0146】
いくつかの態様では、本明細書で説明される技法は、方法に関し、過去の複数日の対応する期間中のユーザの集約メトリックを表す値は、過去の複数日の対応する期間中のユーザの集約メトリックの平均を含む。
【0147】
いくつかの態様では、本明細書で説明される技法は方法に関し、偏差は複数の偏差のうちの1つであり、この方法は、ユーザがその一部である母集団を識別することと、母集団に基づいて複数の偏差のうちの1つを選択することであって、母集団はユーザの複数の異なる母集団のうちの1つであることと、を更に含み、生成することは、選択した偏差を識別するユーザインタフェースを生成することを含む。
【0148】
いくつかの態様では、本明細書で説明される技法は、方法に関し、ユーザがその一部である母集団を識別することは、ユーザの年齢又はユーザの糖尿病診断に基づいて、ユーザがその一部である母集団を識別することを含む。
【0149】
いくつかの態様では、本明細書で説明される技法は、連続グルコースレベルモニタリングシステムを含むデバイスに関し、デバイスは、ディスプレイデバイスと、少なくとも部分的にハードウェアに実装され、当日の期間についてグルコースセンサから、その期間にユーザについて測定されたグルコース測定値を取得するためのデータ収集モジュールであって、グルコースセンサはユーザの挿入部位において挿入されている、データ収集モジュールと、少なくとも部分的にハードウェアに実装され、期間のグルコース測定値に基づいて、当日の期間中のユーザの集約メトリックを生成するため、及び過去の複数日のそれぞれの対応する期間についてのグルコース測定値に基づいて、過去の複数日の対応する期間中のユーザの集約メトリックを生成するための偏差検出モジュールと、少なくとも部分的にハードウェアに実装され、当日の期間の集約メトリックが、過去の複数日の対応する期間中に測定されたグルコース測定値からの、当日の期間について測定されたグルコース測定値による偏差を示すか否かを判定するため、当日の期間の集約メトリックが偏差を示すと判定したことに応答して、偏差を識別するユーザインタフェースを生成するため、及び偏差を識別するユーザインタフェースを表示させるための偏差選択モジュールと、を含む。
【0150】
いくつかの態様では、本明細書で説明される技法は、デバイスに関し、このデバイスは、少なくとも部分的にハードウェアに実装されており、過去の複数日の対応する期間中のユーザの集約メトリックを表す値を生成するためのメトリック決定モジュールを更に含み、偏差選択モジュールは更に、過去の複数日の対応する期間中のユーザの集約メトリックを表す値と、閾値量を超える、当日の期間中のユーザの集約メトリックとの差に応答して、当日の期間の集約メトリックが、過去の複数日の対応する期間中に測定されたグルコース測定値からの、当日の期間について測定されたグルコース測定値による偏差を示すと判定するためのものである。
【0151】
いくつかの態様では、本明細書で説明される技法は、デバイスに関し、過去の複数日の対応する期間中のユーザの集約メトリックを表す値は、過去の複数日の対応する期間中のユーザの集約メトリックの平均を含む。
【0152】
結論
システム及び技法は、構造的特徴及び/又は方法論的行為に固有の言語で記載されているが、添付の特許請求の範囲で定義されるシステム及び技法は、必ずしも記載される特定の特徴又は行為に限定されないと理解するべきである。むしろ、特定の特徴及び行為は、特許請求される主題を実装するための例示的な形態として開示されている。
【符号の説明】
【0153】
100 環境
102 ユーザ
104 装着型グルコースモニタリングデバイス
106 コンピューティングデバイス
108 ユーザ母集団
110 グルコースモニタリングプラットフォーム
112 ネットワーク
114 グルコース測定値
116 グルコースモニタリングアプリケーション
118 記憶デバイス
120 グルコースレベル偏差検出システム
122 偏差識別情報ライブラリ
124 ユーザインタフェース
202 センサ
204 センサモジュール
206 皮膚
208 送信機
210 接着パッド
212 機構
302 データ収集モジュール
304 メトリック決定モジュール
306 コンテンツベース偏差検出モジュール
308 コンテキスト偏差検出モジュール
310 偏差選択モジュール
312 UIモジュール
320 測定値
322 集約メトリック
324 集約メトリックストア
326 偏差インジケーション
328 偏差インジケーション
330 偏差識別情報
402 低血糖リスク値予測モジュール
404 高血糖リスク値予測モジュール
406 偏差識別モジュール
408 低血糖リスク値
410 低血糖リスク値
412 高血糖リスク値
414 高血糖リスク値
416 予測低血糖リスク値
418 予測高血糖リスク値
502 グラフ
504 実線
506 破線
508 高血糖リスク値
510 高血糖リスク値
512 高血糖リスク値
800 システム
802 コンピューティングデバイス
804 処理システム
806 コンピュータ可読媒体
808 I/Oインタフェース
810 ハードウェア要素
812 記憶装置構成要素
814 クラウド
816 プラットフォーム
818 リソース
【国際調査報告】