(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】サーマルインターフェース用ステップ付きガスケットならびにその作製および使用方法
(51)【国際特許分類】
F16J 15/12 20060101AFI20241029BHJP
B32B 5/00 20060101ALI20241029BHJP
B64G 1/50 20060101ALI20241029BHJP
F16J 15/08 20060101ALI20241029BHJP
B82Y 30/00 20110101ALI20241029BHJP
【FI】
F16J15/12 F
B32B5/00 Z
B64G1/50 Z
F16J15/08 N
F16J15/08 Q
B82Y30/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519599
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 US2022077361
(87)【国際公開番号】W WO2023056428
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515008542
【氏名又は名称】カーバイス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】コーラ, バラトゥンド
(72)【発明者】
【氏名】グリーン, クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】プリンジ, レオナルド
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン, エリック
【テーマコード(参考)】
3J040
4F100
【Fターム(参考)】
3J040EA15
3J040EA17
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4F100YY00C
(57)【要約】
ステップ付きガスケットなどのガスケット材料を含み、および/またはその内部にシムをさらに含む、サーマルインターフェースまたはジョイントと、それらの作製方法が、本明細書に記述される。上述のサーマルインターフェースまたはジョイントは、デバイスの部分を形成することができ、低い接触圧力および/または低圧の適用において有用であり得る。ステップ付きガスケットの少なくとも第2の層は、ステップ付きではない単層ガスケットと比較して、第1および/または第2のプレートの、プレートの変形、反り、または湾曲を示す少なくとも1つとの、少なくとも1つまたは複数の接触領域を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2のプレート、
前記第1および第2のプレートの間にあるステップ付きガスケット、ならびに
前記第1および第2のプレートを接合する1つまたは複数の締結具
を含み、
前記第1および/または前記第2のプレートの少なくとも1つが、プレートの変形、反り、または湾曲を示し、
前記ステップ付きガスケットが複数の層を含み、少なくとも第1のベース層と、前記第1のベース層の上部に前記第1のベース層と接触して、前記第1のベース層の表面積よりも小さい表面積を有する少なくとも第2の層とがあり、
前記ステップ付きガスケットの前記少なくとも第2の層が、ステップ付きではない単層ガスケットと比較して、プレートの変形、反り、または湾曲を示す前記第1および/または前記第2のプレートの前記少なくとも1つとの、少なくとも1つまたは複数の接触領域を提供する、
サーマルインターフェース。
【請求項2】
前記1つまたは複数の締結具が、前記第1および前記第2のプレートに存在する1つまたは複数の穴を通して前記第1および前記第2のプレートを接合する、請求項1に記載のサーマルインターフェース。
【請求項3】
前記第1および第2のプレートが独立して、アルミニウム、銅、鋼、チタン、亜鉛、金属マトリックス複合体(AlSiCまたはアルミニウム-黒鉛など)、および金属ラミネート構造体(ハニカムパネルまたは繊維金属ラミネートなど)からなる群から選択される材料で作製されるか;または前記第1および第2のプレートが独立して、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、ナイロン、エポキシ、ガラス強化エポキシラミネート材料(FR4など)、高圧繊維ガラスラミネート(G10など)、繊維ガラス複合体、PEEK、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートグリコール、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ乳酸、PEDOT:PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート)、PARA、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド-イミド、およびポリエーテルイミドからなる群から選択されるプラスチックで作製されるか;または前記第1および第2のプレートが独立して、アルミナ、窒化アルミニウム、ジルコニア、ジルコニアアルミナ、酸化ベリリウム、炭素繊維、黒鉛、炭化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、Y
2O
3、TiC、SrAl
2O
3、ZrC、HfC、TaC、ZrB
2、HfB
2、Mo
2B
5、MoSi
2 TiN、YrN、同時焼成セラミック(リン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、モリブデン酸塩、バナジン酸塩、テルル酸塩、およびタングステン酸塩からなるものを含む高温同時焼成セラミック(HTCC)、低温同時焼成セラミック(LTCC)、超低温同時焼成セラミック(ULTCC)を含む)からなる群から選択されるセラミックで作製される、請求項1に記載のサーマルインターフェース。
【請求項4】
前記第1および第2のプレートが、正方形、長方形、円形、楕円形、または環形状を有し、
前記ステップ付きガスケットが、前記第1および第2のプレートと同じ形状を有する、
請求項1に記載のサーマルインターフェース。
【請求項5】
前記第1および第2のプレートがそれぞれ独立して、約0.5mm~約30mmの間の範囲の厚さを有する、請求項1に記載のサーマルインターフェース。
【請求項6】
前記1つまたは複数の締結具が、ネジ式締結具、クランプ、クリップ、プッシュピン、リベット、空気プレス、液圧プレス、またはこれらの組合せである、請求項1に記載のサーマルインターフェース。
【請求項7】
前記ネジ式締結具がボルトおよびナットであるか、または前記ネジ式締結具がボルトおよびポット式インサートである、請求項6に記載のサーマルインターフェース。
【請求項8】
前記1つまたは複数の締結具が、鋼、チタン、アルミニウム、ナイロン、黄銅、青銅、および亜鉛からなる群から選択される材料で作製される、請求項1に記載のサーマルインターフェース。
【請求項9】
前記ステップ付きガスケットが、前記第2の層の上部に前記第2の層と接触して少なくとも第3の層を含み、前記第3の層は、プレートの変形、反り、または湾曲を示す前記第1および/または前記第2のプレートの前記少なくとも1つとの、少なくとも1つまたは複数の追加の接触領域を提供し;前記第3の層が、前記第2の層の表面積よりも小さい表面積を有する、請求項1に記載のサーマルインターフェース。
【請求項10】
前記ステップ付きガスケットが、前記第3の層の上部に前記第3の層と接触して少なくとも第4の層を含み、前記第4の層は、プレートの変形、反り、または湾曲を示す前記第1および/または前記第2のプレートの前記少なくとも1つとの、少なくとも1つまたは複数の追加の接触領域を提供し;前記第4の層が、前記第3の層の表面積よりも小さい表面積を有する、請求項9に記載のサーマルインターフェース。
【請求項11】
前記ステップ付きガスケットの少なくとも前記第2の層が、プレートの変形、反り、または湾曲を示す前記第1および/または前記第2のプレートの前記少なくとも1つとの、少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つの独立した接触領域を形成する、請求項1に記載のサーマルインターフェース。
【請求項12】
前記ステップ付きガスケットの少なくとも前記第2の層および/または前記第3の層のそれぞれが独立して、プレートの変形、反り、または湾曲を示す前記第1および/または前記第2のプレートの前記少なくとも1つとの、少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つの独立した接触領域を形成する、請求項9に記載のサーマルインターフェース。
【請求項13】
前記ステップ付きガスケットの少なくとも前記第2の層、前記第3の層、および/または前記第4の層のそれぞれが独立して、プレートの変形、反り、または湾曲を示す前記第1および/または前記第2のプレートの前記少なくとも1つとの、少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つの独立した接触領域を形成する、請求項10に記載のサーマルインターフェース。
【請求項14】
前記ステップ付きガスケットの前記第2の層から、プレートの変形、反り、または湾曲を示す前記第1および/または前記第2のプレートの前記少なくとも1つまでの、前記少なくとも1つまたは複数の追加の接触領域が、前記第1および/または第2のプレートの温度の均一性の増大をもたらして、内部がステップ付きではない単層ガスケットを有する同じサーマルインターフェースの場合よりも少なくとも25%高い、前記サーマルインターフェースにわたる平均熱伝導度を提供する、請求項1に記載のサーマルインターフェース。
【請求項15】
前記ステップ付きガスケットの前記第2の層および/または前記第3の層から、プレートの変形、反り、または湾曲を示す前記第1および/または前記第2のプレートの前記少なくとも1つまでの、前記少なくとも1つまたは複数の追加の接触領域が、前記第1および/または第2のプレートの温度の均一性の増大をもたらして、内部がステップ付きではない単層ガスケットを有する同じサーマルインターフェースの場合よりも少なくとも25%高い、前記サーマルインターフェースにわたる平均熱伝導度を提供する、請求項9に記載のサーマルインターフェース。
【請求項16】
前記ステップ付きガスケットの前記第2の層、第3の層、および/または前記第4の層から、プレートの変形、反り、または湾曲を示す前記第1および/または前記第2のプレートの前記少なくとも1つまでの、少なくとも1つまたは複数の追加の接触領域が、前記第1および/または第2のプレートの温度の均一性の増大をもたらして、内部がステップ付きではない単層ガスケットを有する同じサーマルインターフェースの場合よりも少なくとも25%高い、前記サーマルインターフェースにわたる平均熱伝導度を提供する、請求項10に記載のサーマルインターフェース。
【請求項17】
前記ステップ付きガスケットの層のそれぞれが独立して、約0.1MPa~約200MPaの間の範囲の弾性率を示し、および/または
前記ステップ付きガスケットの層のそれぞれが独立して、約0.05cm
2・℃/W~約5cm
2・℃/Wの間の範囲のサーマルインターフェース抵抗を有する、
請求項1に記載のサーマルインターフェース。
【請求項18】
前記ステップ付きガスケットの層のそれぞれが独立して、約50μm~約500μmの間の範囲の厚さを有する、請求項1に記載のサーマルインターフェース。
【請求項19】
前記ステップ付きガスケットの層間の高さの増大が、約500μm未満、約250μm未満、約150μm未満、または約75μm未満である、請求項1に記載のサーマルインターフェース。
【請求項20】
前記ステップ付きガスケットの複数の層のそれぞれが独立して、黒鉛、炭素繊維、シリコーン、熱可塑性エラストマー、ゴム、およびアクリルから選択される材料で作製され、前記材料が必要に応じてさらに、熱伝導性および/または導電性充填剤を含む、請求項1に記載のサーマルインターフェース。
【請求項21】
前記ステップ付きガスケットが、
第1の平面基材の両面から成長させた、垂直に整列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブアレイを含む、少なくとも第1の層または段層と、
第2の平面基材の両面から成長させた、垂直に整列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブアレイを含む、少なくとも第2の層または段層と
を含む、多層または多段層状構造体で作製され、
前記少なくとも第1の層または段層と前記少なくとも第2の層または段層が積層され、前記少なくとも第1の層または段層の前記垂直に整列したカーボンナノチューブが、互いに界面形成する前記少なくとも第2の層または段層の前記垂直に整列したカーボンナノチューブと少なくとも部分的に相互嵌合する、
請求項1に記載のサーマルインターフェース。
【請求項22】
1つまたは複数のシムをさらに含む、請求項1に記載のサーマルインターフェース。
【請求項23】
前記1つまたは複数のシムが、存在する前記1つまたは複数の締結具の周りに、近くに、および/または後ろに位置付けられ;必要に応じて、前記1つまたは複数の締結具がポット式インサートであり、前記1つまたは複数のシムが、前記1つまたは複数のシムが存在しない同等のサーマルインターフェースと比較して、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、または90%、前記ポット式インサートに対する応力を低減させる、請求項22に記載のサーマルインターフェース。
【請求項24】
前記1つまたは複数のシムが、円形、正方形、または長方形であってもよい環帯または半環帯形状を有する、請求項22に記載のサーマルインターフェース。
【請求項25】
前記1つまたは複数のシムが金属箔で作製されるか、あるいは前記1つまたは複数のシムが、黒鉛、炭素繊維、シリコーン、熱可塑性エラストマー、ゴム、およびアクリルから選択される材料で作製される、請求項22から24のいずれか一項に記載のサーマルインターフェース。
【請求項26】
前記1つまたは複数のシムが、
第1の平面基材の両面から成長させた、垂直に整列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブアレイを含む、少なくとも第1の層または段層と、
第2の平面基材の両面から成長させた、垂直に整列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブアレイを含む、少なくとも第2の層または段層と
を含む、多層または多段層状構造体で作製され、
前記少なくとも第1の層または段層と前記少なくとも第2の層または段層が積層され、前記少なくとも第1の層または段層の前記垂直に整列したカーボンナノチューブが、互いに界面形成する前記少なくとも第2の層または段層の前記垂直に整列したカーボンナノチューブと少なくとも部分的に相互嵌合する、
請求項22に記載のサーマルインターフェース。
【請求項27】
前記1つまたは複数のシムが独立して、約25μm~約500μmの間の範囲の厚さを有する、請求項22に記載のサーマルインターフェース。
【請求項28】
請求項1に記載のサーマルインターフェースを製作する方法であって、
(1)第1および第2のプレートを用意するステップ、
(2)ステップ付きガスケットを用意するステップ、
(3)前記第1および前記第2のプレート間に前記ステップ付きガスケットを配置するステップ、
(4)前記第1および前記第2のプレートを、1つまたは複数の締結具で接合するステップ
を含み、
前記第1および/または前記第2のプレートの少なくとも1つが、前記1つまたは複数の締結具により接合されたときに、プレートの変形、反り、または湾曲を示し、
前記ステップ付きガスケットが複数の層を含み、少なくとも第1のベース層と、前記第1のベース層の上部に前記第1のベース層と接触して、前記第1のベース層の表面積よりも小さい表面積を有する少なくとも第2の層とがあり、
前記ステップ付きガスケットの前記少なくとも第2の層が、ステップ付きではない単層ガスケットと比較して、プレートの変形、反り、または湾曲を示す前記第1および/または前記第2のプレートの前記少なくとも1つとの、少なくとも1つまたは複数の接触領域を提供する、
方法。
【請求項29】
前記1つまたは複数の締結具が、前記第1および前記第2のプレートに存在する1つまたは複数の穴を通して前記第1および前記第2のプレートを接合する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第1および第2のプレートが独立して、アルミニウム、銅、鋼、チタン、亜鉛、金属マトリックス複合体(AlSiCまたはアルミニウム-黒鉛など)、および金属ラミネート構造体(ハニカムパネルまたは繊維金属ラミネートなど)からなる群から選択される材料で作製されるか、または前記第1および第2のプレートが独立して、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、ナイロン、エポキシ、ガラス強化エポキシラミネート材料(FR4など)、高圧繊維ガラスラミネート(G10など)、繊維ガラス複合体、PEEK、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートグリコール、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ乳酸、PEDOT:PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート)、PARA、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド-イミド、およびポリエーテルイミドからなる群から選択されるプラスチックで作製されるか、または前記第1および第2のプレートが独立して、アルミナ、窒化アルミニウム、ジルコニア、ジルコニアアルミナ、酸化ベリリウム、炭素繊維、黒鉛、炭化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、Y
2O
3、TiC、SrAl
2O
3、ZrC、HfC、TaC、ZrB
2、HfB
2、Mo
2B
5、MoSi
2 TiN、YrN、同時焼成セラミック(リン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、モリブデン酸塩、バナジン酸塩、テルル酸塩、およびタングステン酸塩からなるものを含む高温同時焼成セラミック(HTCC)、低温同時焼成セラミック(LTCC)、超低温同時焼成セラミック(ULTCC)を含む)からなる群から選択されるセラミックで作製される、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記第1および第2のプレートが、正方形、長方形、円形、楕円形、または環形状を有し、
前記ステップ付きガスケットが、前記第1および第2のプレートと同じ形状を有する、
いずれか1つの請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記第1および第2のプレートがそれぞれ独立して、約0.5mm~約30mmの間の範囲の厚さを有する、いずれか1つの請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記1つまたは複数の締結具が、ネジ式締結具、クランプ、クリップ、プッシュピン、リベット、空気プレス、液圧プレス、またはこれらの組合せである、いずれか1つの請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記ネジ式締結具がボルトおよびナットであるか、または前記ネジ式締結具がボルトおよびポット式インサートである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記1つまたは複数の締結具が、鋼、チタン、アルミニウム、ナイロン、黄銅、青銅、および亜鉛からなる群から選択される材料で作製される、いずれか請求項28に記載の方法。
【請求項36】
前記ステップ付きガスケットの前記複数の層のそれぞれが独立して、約50μm~約500μmの間の範囲の厚さを有する、請求項28に記載の方法。
【請求項37】
前記ステップ付きガスケットの前記複数の層のそれぞれが独立して、黒鉛、炭素繊維、シリコーン、熱可塑性エラストマー、ゴム、およびアクリルから選択される材料で作製される、請求項28に記載の方法。
【請求項38】
前記ステップ付きガスケットが、
第1の平面基材の両面から成長させた、垂直に整列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブアレイを含む、少なくとも第1の層または段層、および
第2の平面基材の両面から成長させた、垂直に整列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブアレイを含む、少なくとも第2の層または段層
を含む、多層または多段層状構造体で作製され、
前記少なくとも第1の層または段層と前記少なくとも第2の層または段層が積層され、前記少なくとも第1の層または段層の前記垂直に整列したカーボンナノチューブが、互いに界面形成する前記少なくとも第2の層または段層の前記垂直に整列したカーボンナノチューブと少なくとも部分的に相互嵌合する、
請求項28に記載の方法。
【請求項39】
前記方法が、ステップ(4)の前に、前記第1および前記第2のプレート間に1つまたは複数のシムを配置するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項40】
前記1つまたは複数のシムが、金属箔、好ましくはアルミニウム箔または銅箔で作製される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記1つまたは複数のシムが、黒鉛、炭素繊維、シリコーン、熱可塑性エラストマー、ゴム、およびアクリルから選択される材料で作製される、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記1つまたは複数のシムが、
第1の平面基材の両面から成長させた、垂直に整列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブアレイを含む、少なくとも第1の層または段層、および
第2の平面基材の両面から成長させた、垂直に整列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブアレイを含む、少なくとも第2の層または段層
を含む、多層または多段層状構造体で作製され、
前記少なくとも第1の層または段層と前記少なくとも第2の層または段層が積層され、前記少なくとも第1の層または段層の前記垂直に整列したカーボンナノチューブが、互いに界面形成する前記少なくとも第2の層または段層の前記垂直に整列したカーボンナノチューブと少なくとも部分的に相互嵌合する、
請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記1つまたは複数のシムが独立して、約25μm~約500μmの間の範囲の厚さを有する、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
請求項1に記載のサーマルインターフェースを含むデバイス。
【請求項45】
前記デバイスが、パーソナルコンピューター、サーバーコンピューター、メモリーモジュール、グラフィックチップ、レーダーおよび高周波(RF)デバイス、ディスクドライブ、発光ダイオード(LED)ディスプレイを含むディスプレイ、照明システム、自動車制御ユニット、パワーエレクトロニクス、太陽電池、バッテリー、携帯電話などの通信設備、熱電発電機、ならびに撮像設備からなる群から選択される、請求項44に記載のデバイス。
【請求項46】
前記デバイスが、衛星、宇宙船、または真空下で動作する宇宙システムから選択される航空宇宙デバイスである、請求項44に記載のデバイス。
【請求項47】
少なくとも第1のベース層、
前記第1のベース層の上部に前記第1のベース層と接触して、前記第1のベース層の表面積よりも小さい表面積を有する、少なくとも第2の層
を含む、ステップ付きガスケットであって、
前記ステップ付きガスケットの前記少なくとも第2の層が、前記ステップ付きガスケットがサーマルインターフェースの第1および第2のプレートの間に配置されたときに、少なくとも1つまたは複数の接触領域を提供する、
ステップ付きガスケット。
【請求項48】
前記第1および/または第2のプレートが、プレートの変形、反り、または湾曲を示す、請求項47に記載のステップ付きガスケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2021年10月1日に出願された米国特許出願第17/492,349号の、優先権および利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、サーマルインターフェースおよびガスケット材料の分野、ならびにそれらの作製および使用方法にある。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
サーマルインターフェースまたはジョイントは、ボルトなどにより締結された少なくとも2つのプレートとプレート間にあるガスケットなどの圧縮性材料で、形成されることが公知である。プレートの少なくとも1つは、望ましくないプレートの変形または湾曲を受ける。2つのボルト締めされたプレート間にガスケット材料が含まれることにより、さらに大きな変形または湾曲に至る可能性があり、より薄いガスケットは、プレートの変形または湾曲の程度を制限することができるが排除することはできない。プレートの変形または湾曲は隙間(複数可)の形成を引き起こし、プレートとガスケットとの間の接触面積を減少および/または制限し、サーマルインターフェースが熱を効率的に伝導する能力に悪影響を及ぼす。ガスケットの厚さを均一に増大させることで接触面積を増大させることができるが、より厚いガスケットは、より大きいプレートの変形または湾曲をもたらす可能性がある。プレートの変形または湾曲は、(締結(ボルト)場所付近で)最大限の反りと共に増大するので、ガスケットの厚さを増大させると湾曲が増大し、それによって、極めて厚いガスケットに頼ることなく中心接触を一貫したものにすることが難しくなる。
【0004】
したがって重要な難題は、プレート変形により引き起こされた制限に起因する、公知のサーマルインターフェースまたはジョイントの欠点に対処することである。
【0005】
このように、締結されたサーマルインターフェースまたはジョイントにおけるプレート変形によって引き起こされる隙間(複数可)の形成に対処することが求められている。
【0006】
したがって本発明の目的は、プレート変形により引き起こされる負の効果を少なくとも最小限に抑える、増大した接触領域/面積を有するサーマルインターフェースまたはジョイントを提供することである。
【0007】
本発明の目的は、そのようなサーマルインターフェースまたはジョイントを作製および使用する手段を提供することでもある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
サーマルインターフェースまたはジョイント、およびその作製方法について、本明細書に記述する。そのようなサーマルインターフェースまたはジョイントは:
第1および第2のプレート;
第1および第2のプレートの間にあるステップ付きガスケット;ならびに
第1および第2のプレートを接合する、1つまたは複数の締結具
を含むことができ;
第1および/または第2のプレートの少なくとも1つは、プレートの変形、反り、または湾曲を示し;
ステップ付きガスケットは複数の層を含み、少なくとも第1のベース層と、第1のベース層の上部に第1のベース層と接触して、第1のベース層の表面積よりも小さい表面積を有する少なくとも第2の層とがあり;
【0009】
ステップ付きガスケットの少なくとも第2の層は、ステップ付きではない単層ガスケットと比較して、第1および/または第2のプレートの、プレートの変形、反り、または湾曲を示す少なくとも1つとの、少なくとも1つまたは複数の接触領域を提供する。
【0010】
サーマルインターフェースまたはジョイントは、2つのプレート、ベースプレート(底部プレート)および上部プレートを含み、これらは典型的には、2つのプレートが締結(例えば、ボルト締め)されたときまたはプレートの製造中に、変形、反り、または湾曲を示す。上部および底部プレートは、サーマルインターフェースとして使用される任意の適切な形状および寸法、ならびに厚さを有する、任意の適切な材料で作製することができる。2つのプレートは通常、同じ材料で作製され、同じ形状および寸法、ならびに必要に応じて同じ厚さを有する。
【0011】
サーマルインターフェースまたはジョイントの上部および底部プレートは、1つまたは複数の締結具によって締結され、1つまたは複数の締結具は、上部および底部プレートに存在する1つまたは複数の穴を通して第1および第2のプレートを接合する。締結具で2つのプレートを接合させるのに必要とされ得るので、各プレートの同じ位置で両方のプレートに任意の数の1つまたは複数の締結具穴が存在してもよい。1つまたは複数の締結具は、存在し得る締結具穴のそれぞれを通して第1の(ベースまたは底部)プレートおよび第2の(上部)プレートを締結するのに使用することができる。1つまたは複数の締結具は、ネジ式締結具、クランプ、クリップ、プッシュピン、リベット、空気プレス、液圧プレス、またはこれらの組合せから選択することができる。
【0012】
一部の例では、記述されるサーマルインターフェースおよびジョイントに関し、ステップ付きガスケットの使用によって提供される少なくとも1つまたは複数の追加の接触領域は、プレートの変形、反り、または湾曲を示す第1および/または第2のプレートの温度の均一性の増大をもたらし、それによって、内部がステップ付きではない単層ガスケットを有する同じサーマルインターフェースの場合よりも少なくとも25%高い、30%高い、40%高い、または50%高い、サーマルインターフェースにわたる平均熱伝導度を提供する。熱伝導度は、サーマルインターフェース表面間の単位温度差により誘発される、サーマルインターフェースまたはジョイントの単位面積を通る定常状態熱流の時間速度と定義される。
【0013】
ある特定の例では、記述されるサーマルインターフェースおよびジョイントに関し、ステップ付きガスケットの使用によって提供される少なくとも1つまたは複数の追加の接触領域は、ステップ付きガスケットと、プレートの変形、反り、または湾曲を示す第1および/または第2のプレートの少なくとも1つとの間の接触面積の増大をもたらし、それによって、内部がステップ付きではない単層ガスケットを有する同じサーマルインターフェースの場合よりも少なくとも25%高い、30%高い、40%高い、または50%高い、サーマルインターフェースにわたる平均熱伝導度を提供する。熱伝導度は、サーマルインターフェース表面間の単位温度差により誘発される、サーマルインターフェースまたはジョイントの単位面積を通る定常状態熱流の時間速度と定義される。
【0014】
ステップ付きガスケットの使用は、単層ガスケットの使用と比較して、ステップ付きガスケットと、変形または湾曲を示すプレートとの間に、1つまたは複数の接触領域または面積を導入する。ステップ付きガスケットは、プレートの熱プロファイルを一致または修正(改善)するように設計することができる。ステップ付きガスケットは、より良好な全体的な均一性のため、より均等に接触負荷を分配することができる。ステップ付きガスケットの層の数およびステップ付きガスケットに存在する層の相対的な場所は、サーマルインターフェースまたはジョイントの熱的性能を改善する所望の数の接触点または領域を適正に位置決めまたは生成するため、界面曲率モデリングに基づいて位置決めすることができる。
【0015】
ステップ付きガスケットの使用は、ステップが付けられていない単層ガスケットの使用と比較して、プレートの変形、反り、または湾曲を示す第1および/または第2のプレートの少なくとも1つとの、少なくとも1つまたは複数の接触領域を提供する。所与のステップ付きガスケットに関し、含まれる各層は、その層を有さないガスケットと比較して、少なくとも1、2、3、または4つの独立した接触領域を、プレートの変形、反り、または湾曲を示す第1および/または第2のプレートの少なくとも1つに提供し得る。一部の例では、ステップ付きガスケットの使用から得られる1つまたは複数の接触領域は、プレートの変形、反り、または湾曲を示す第1および/または第2のプレートの少なくとも1つの表面の少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%と接触すると言うことができる。一部の例では、ステップ付きガスケットの使用から得られる1つまたは複数の接触領域は、プレートの変形、反り、または湾曲を示す第1および/または第2のプレートの少なくとも1つの表面の少なくとも約5%~25%、約5%~50%、約5%~75%、または約5%~90%、およびその範囲内の部分範囲に接触すると言うことができる。ガスケットとプレートとの間での、1つまたは複数の接触領域の形成および得られる接触面積の増大は、サーマルインターフェースまたはジョイントの全体的な熱伝導度の増大をもたらす。
【0016】
一部の例では、ステップ付きガスケットの複数の層のそれぞれは、独立して、黒鉛、炭素繊維、シリコーン、熱可塑性エラストマー、ゴム、およびアクリルから選択される材料で作製される。
【0017】
一部の例では、ステップ付きガスケットは、カーボンナノチューブアレイまたはシートを備える多層または多段層状構造体で作製することができる。例えば、ステップ付きガスケットは、多層または多段層状構造体とすることができる。そのようなステップ付きガスケットについて、以下に詳細に記述する。
【0018】
上述のサーマルインターフェースおよびジョイントはまた、その上に1つまたは複数のシムを含んでいてもよい。1つまたは複数のシムは、1つまたは複数の締結具またはプレート(複数可)に存在する締結具穴の周りに、近くに、および/または後ろに、配置または位置付けることができる。一部の例では、1つまたは複数の締結具がポット式インサートである場合、1つまたは複数のシムは、ポット式インサートに対する応力を、1つまたは複数のシムが存在しない同等のサーマルインターフェースと比較して、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、または90%低減させることができる。一部の例では、1つまたは複数のシムは、ステップ付きガスケットの第1の層の高さに等しくなるように選択された高さを有する。一部の例では、1つまたは複数のシムは、プレートの最縁部など、可能な限り締結具穴および締結具のはるか後ろに位置決めされる。一部の例では、シムは、金属箔、好ましくはアルミニウム箔または銅箔で作製される。一部の他の例では、シムは、黒鉛、炭素繊維、シリコーン、熱可塑性エラストマー、ゴム、およびアクリルから選択される材料で作製される。さらに他の例では、シムは多層または多段層状構造体で作製される。
【0019】
内部にステップ付きガスケットを有するサーマルインターフェースまたはジョイントは:
(1)第1および第2のプレートを用意するステップ;
(2)ステップ付きガスケットを用意するステップ;
(3)ステップ付きガスケットを、第1および第2のプレートの間に配置するステップ;
(4)第1および第2のプレートを、1つまたは複数の締結具で接合するステップ
を含む方法であって、
第1および/または第2のプレートの少なくとも1つが、1つまたは複数の締結具により接合されたときに、プレートの変形、反り、または湾曲を示し;
ステップ付きガスケットが複数の層を含み、少なくとも第1のベース層と、第1のベース層の上部に第1のベース層と接触して、第1のベース層の表面積よりも小さい表面積を有する少なくとも第2の層とがあり;
ステップ付きガスケットの少なくとも第2の層が、ステップ付きではない単層ガスケットと比較してプレートの変形、反り、または湾曲を示す第1および/または第2のプレートの少なくとも1つとの、少なくとも1つまたは複数の接触領域を提供する、
方法に従い調製することができる。
【0020】
一部の他の例では、内部に単層ガスケットを有するサーマルインターフェースまたはジョイントに1つまたは複数のシムを含むことによって、プレートの変形、反り、または湾曲の効果を弱めることが可能である。例えば、サーマルインターフェースまたはジョイントは:
第1および第2のプレート;
第1および第2のプレートの間にある単層ガスケット;ならびに
第1および第2のプレートを接合する1つまたは複数の締結具
を含むことができ、
第1および/または第2のプレートの少なくとも1つは、プレートの変形、反り、または湾曲を示し;
1つまたは複数のシムは、1つまたは複数の締結具の周りに、近くに、および/または後ろに存在して、第1および/または第2のプレートの変形、反り、または湾曲を低減および/または軽減する。
【0021】
単層ガスケットが内部にあるシムを有する、そのようなサーマルインターフェースまたはジョイントは:
(1)第1および第2のプレートを用意するステップ;
(2)単層ガスケットを用意するステップ;
(3)第1および第2のプレートの間に単層ガスケットを配置するステップ;
(4)第1および第2のプレートの間に、1つまたは複数のシムを配置するステップ;
(5)第1および第2のプレートを、1つまたは複数の締結具で接合するステップを含む方法であって、
第1および/または第2のプレートの少なくとも1つが、1つまたは複数の締結具により接合されたときに、プレートの変形、反り、または湾曲を示し;
1つまたは複数のシムが、1つまたは複数の締結具の周りに、近くに、および/または後ろに存在して、第1および/または第2のプレートの変形、反り、または湾曲を低減および/または軽減する、
方法に従い調製することができる。
【0022】
上述のサーマルインターフェースまたはジョイントは、デバイスの部分を形成することができる。そのようなデバイスには、限定するものではないが、パーソナルコンピューター、サーバーコンピューター、メモリーモジュール、グラフィックチップ、レーダーおよび高周波(RF)デバイス、ディスクドライブ、発光ダイオード(LED)ディスプレイを含むディスプレイ、照明システム、自動車制御ユニット、パワーエレクトロニクス、太陽電池、バッテリー、携帯電話などの通信設備、熱電発電機、ならびにMRIを含む撮像設備が含まれる。
【0023】
ある特定の例では、本明細書全体を通して記述されるサーマルインターフェースまたはジョイントは、低い接触圧力および/または低圧の適用において有用である。低圧は、周囲圧力または1atmよりも下の圧力、例えば約0.01~約1atm未満の範囲を指してもよい。一部の例では、低圧は、そのようなサーマルインターフェースまたはジョイントを衛星または宇宙船/システムで使用することができる、航空宇宙の適用におけるなどの真空を指してもよい。真空条件下、サーマルインターフェースまたはジョイントは、プレート間の分離隙間における空気が熱伝達に寄与し得る大気圧での適用とは異なって、ステップ付きガスケットにより有効になった追加の接触点が、ジョイントにわたる熱伝達に関与する面積を実質的に高めることができるので、特に有用である。さらに、宇宙での適用において接触を構成するための厚いガスケットの使用は、厚いガスケットに追随するプレートの変形がポット式インサートに応力をもたらす可能性があり、それが宇宙船の寿命中のインサートの抜けをもたらす可能性があるので、問題がある可能性がある。ある特定の例では、記述されるサーマルインターフェースまたはジョイントは、周囲温度よりも下、凍結よりも下の温度、または極低温(宇宙で経験されるなど)で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1A】
図1Aは、2つのプレート110(上部プレートがプレートの変形、反り、または湾曲を示す)、2つの締結具120(即ち、ボルト)、およびプレート間にある薄い単層ガスケット130を有するサーマルインターフェース100の、非限定的な断面表示図である。
【0025】
【
図1B】
図1Bは、2つのプレート210(上部プレートがプレートの変形、反り、または湾曲を示す)、2つの締結具220(即ち、ボルト)、およびプレート間にある厚い単層ガスケット230を有するサーマルインターフェース200の、非限定的な断面表示図である。
【0026】
【
図2】
図2は、2つのプレート310(上部プレートがプレートの変形、反り、または湾曲を示す)、2つの締結具320(即ち、ボルト)、プレート間にあるステップ付きガスケット330(3つのステップを有する)を有し、プレートの変形、反り、または湾曲を示す上部プレートとステップ付きガスケットの間に複数の接触領域340を提供する、サーマルインターフェース300の、非限定的な断面表示図である。
【0027】
【
図3A】
図3Aは、第1のベース層410と第1のベース層上の第2の層420を有するステップ付きガスケットの、非限定的な断面表示図である。
【0028】
【
図3B】
図3Bは、第1のベース層510と第1のベース層上の第2の層520と第2の層上の第3の層530を有するステップ付きガスケットの、非限定的な断面表示図である。
【0029】
【
図4】
図4は、複数の締結具穴620を有する底部プレート610、および第1のベース層630と、第1のベース層上の第2の層640と、第2の層上の第3の層650を有するステップ付きガスケットを有する、プレートとガスケット600の非限定的な上面表示図である。
【0030】
【
図5A】
図5Aは、2つのプレート710(上部プレートがプレートの変形、反り、または湾曲を示す)、2つの締結具720(即ち、ボルト)、その上に2つのシム740を有する単層ガスケット730を有する、サーマルインターフェース700の非限定的な断面表示図である。
【0031】
【
図5B】
図5Bは、2つのプレート810(上部プレートがプレートの変形、反り、または湾曲を示す)、2つの締結具820(即ち、ボルト)、単層ガスケット830、および底部プレートの縁部に配置された2つのシム840を有する、サーマルインターフェース800の、非限定的な断面表示図である。
【0032】
【
図6A】
図6Aは、複数の締結具穴940を有する底部プレート910と、締結具穴の周りに、近くに、および/または後ろに1/4半環帯シム920および1/2半環帯シム930を有する、プレートとシム900の非限定的な上面表示図である。
【0033】
【
図6B】
図6Bは、複数の締結具穴1030を有する底部プレート1010と、締結具穴の後ろに2つの長方形シム1020を有する、プレートとシム1000の非限定的な上面表示図である。
【0034】
【
図7】
図7は、様々な数(1、2、3、および4)の層のガスケットに関する、加えられた接触圧力の関数としての実験の熱伝導データのグラフである。ベストフィットべき乗則関数を、各データ集合に重ねた。
【0035】
【
図8】
図8は、22ボルト穴構成を実証する、50cm×36cm、18mmの厚さのプレートの、非限定的表示である。
【0036】
【
図9A】
図9Aは、ベース層(グレー)およびその上に第2の層(黒)を有するステップ付きガスケットの、非限定的な上面図を示す。
【0037】
【
図9B】
図9Bは、ベース層(グレー)およびその上に第2の層(黒)を有するステップ付きガスケットの、非限定的な上面図を示す。
【0038】
【
図9C】
図9Cは、ベース層(グレー)およびその上にストリップ形状を形成する第2の層(黒)を有するステップ付きガスゲットの、非限定的な上面図を示す。
【0039】
【
図10】
図10は、実施例2で試験された試料1~4に関するプレートの中心の温度差の、棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
発明の詳細な説明
I.定義
本明細書で使用される「順応する(Compliant)」または「順応性(Compliance)」は、隣接する表面の凹凸に対する効率的な適合性が、表面と材料との間の界面で十分なまたは高い接触面積をもたらすように、1つまたは複数の表面に接触したときに材料が適合する能力を指す。
【0041】
本明細書で使用される「相互嵌合(Interdigitation)」または「相互嵌合する(Interdigitating)」は、2つの異なるアレイまたはシートが接触または積層されたときに、アレイまたはシートの1つまたは複数の個々のナノ構造要素が別のアレイまたはシートの隣接するナノ構造要素に侵入または貫入する能力およびまたは程度を指す。
【0042】
本明細書で使用される「カーボンナノチューブアレイ」または「CNTアレイ」または「CNTフォレスト」は、材料の表面に垂直に整列した複数のカーボンナノチューブを指す。カーボンナノチューブは、それらが支持されるかまたは取付けられる表面に実質的に垂直であるときに、「垂直に整列している」と言われる。ナノチューブは、面法線から平均して30、25、20、15、10、または5度以内に配向したときに、実質的に垂直であると言われる。
【0043】
本明細書で使用される「カーボンナノチューブシート」または「CNTシート」は、自立型シートを創出するように平面に整列した複数のカーボンナノチューブを指す。カーボンナノチューブは、それらが形成するシートの表面に実質的に平行であるときに、「平面に整列している」と言われる。ナノチューブは、シートの面法線から平均して40、50、60、70、80、または85度よりも大きく配向したときに、実質的に平行であると言われる。
【0044】
本明細書で使用される「コーティング材料」は、一般に、ファンデルワールス結合、π-πスタッキング、機械的ラッピング、および/または共有結合によりCNTに結合する、ならびにファンデルワールス結合、π-πスタッキング、および/または共有結合により金属、金属酸化物、または半導体材料表面に結合することができるポリマーおよび/または分子を指す。
【0045】
本明細書で使用される「弾性回復」は、材料が、圧縮、膨張、延伸、または他の変形の後にその当初の形状に戻る能力を指す。
【0046】
本明細書で使用される「圧縮永久ひずみ」は、圧縮などの力が材料に加えられ、その力がその後除去されたときに残される、材料の永続的変形を指す。
【0047】
本明細書で使用される「プレートの変形、反り、または湾曲」は、2つのプレートが締結(即ちボルト締め)されて締結具の力の周りで上向きの曲げを引き起こすとき、サーマルインターフェースまたはジョイントのベースプレートおよびガスケットなどの圧縮性材料が上部プレートにレバー効果をもたらすときに、反動的「法線」力から得られる、その平面状態と比較したときのプレートの任意の変形、反り、または湾曲を指す。一部の場合には、プレートの変形、反り、または湾曲はまた、ミリング、キャスティング、圧延、または結合などのプロセスからのプレート(複数可)の製作中に生じてもよい。
【0048】
本明細書で使用される「締結具間隔」または「ボルト間隔」は、互いに直ぐ隣にあるまたは互いに直接向かい合う(プレートの対向する縁部)締結具を含むことができる、ボルトなどの締結具間の距離を指す。
【0049】
本明細書で使用される「シム」は、シムと、界面の周囲エリアとの間で高さまたは厚さの不整合を創出するように、例えばプレート上の複数の締結具穴の周りに、近くに(即ち、縁部に)、および/または後ろに配置することができる、材料の小片を指す。シムは、締結され(即ち、ボルト締めされ)たとき、締結具(即ち、ボルト)の後ろに、初期変形を引き起こすガスケットおよびプレートの反動力を相殺する反動力を、生成することができる。シムは、接触面積を増大させ、それをプレート内にかつ締結具の位置から離れてさらに押すことができる。
【0050】
本出願で開示される数値範囲には、限定するものではないが、温度の範囲、圧力の範囲、整数の範囲、伝導度および抵抗値の範囲、時間の範囲、ならびに厚さの範囲が含まれる。任意のタイプの開示される範囲は、そのような範囲が合理的に包含することのできる可能性のある数値のそれぞれを個々に、ならびにそこに包含される任意の下位範囲および下位範囲の組合せを開示する。例えば圧力範囲の開示は、本明細書の開示と矛盾することのない、そのような範囲が包含することのできる全ての可能性ある温度値を個々に開示することが意図される。
II.ステップ付きガスケットを有するサーマルインターフェースまたはジョイント
【0051】
例えばナットおよびボルトによって締結された少なくとも2つのプレート、ならびにプレート間のガスケットなどの圧縮性材料で形成された、サーマルインターフェースまたはジョイント。プレートの少なくとも1つは、望ましくないプレートの変形、反り、または湾曲を受けることが公知である。
【0052】
2つのボルト締めされたプレート間のガスケット材料の包含は、一部の例では、さらに大きなプレートの変形、反り、または湾曲をもたらす可能性がある。より薄いガスケットは、プレートの変形、反り、または湾曲の程度を制限することができるが排除することができない。例として、
図1Aは、2つのプレート110、2つの締結具120(即ち、ボルト)、およびプレート間の薄い単層ガスケット130を有し、最上プレートがプレートの変形、反り、または湾曲を示す、サーマルインターフェース100の断面表示図を示す。しかしながら、プレートの変形、反り、または湾曲は、プレートをガスケットから分離させるので、サーマルインターフェースの接触依存熱伝導能力を低下させおよび/または悪影響を及ぼす。したがって、プレートの変形、反り、または湾曲の負のサーマルペナルティを相殺するために、ガスケットの厚さを均一に増大させて、プレートの変形、反り、または湾曲により良好に適合させ、それによって接触面積の増大をもたらすことができる。しかしながら、より厚いガスケットは、より大きいプレートの変形、反り、または湾曲をもたらす可能性がある。例えば
図1Bは、2つのプレート210、2つの締結具220(即ち、ボルト)、およびプレート間の厚い単層ガスケット230を有し、最上プレートがプレートの変形、反り、または湾曲を示す、サーマルインターフェース200の断面表示図を示す。
【0053】
プレートの変形、反り、または湾曲は、締結具(即ち、ボルト)の場所でまたはその近くで、最大限の反りを増大させ、示す。プレートの変形、反り、または湾曲は、対向するボルト間の中間点でまたはその付近で最大であると言うこともできる。したがって単にガスケットの厚さを増大させることは、曲率を増大させ、極めて厚いガスケットを頼りにせずに一貫して中心接触を作製するのを難しくすることになり、解決策として望ましくも実用的でもない。
【0054】
サーマルインターフェースまたはジョイントでは、ガスケットとのプレート接触面積が、プレートの厚さ、プレートの弾性率、および締結具(即ち、ボルト)のトルクに比例する。プレート接触面積は、締結具(即ち、ボルト)間の距離に反比例する。サーマルインターフェースまたはジョイントでは、プレートの変形、反り、または湾曲は、プレートの厚さおよびプレートの弾性率に反比例する。プレートの変形、反り、または湾曲は、締結具(即ち、ボルト)のトルクに比例し、締結具(即ち、ボルト)間の距離と共に単調に増大する。一部の例では、理論上のサーマルインターフェースの反り、接触面積、圧力、および熱伝導度などのパラメーターをモデル化することが可能である。これはステップ付きガスケットとプレートとの間の接触領域/面積および熱伝導度を全体として増大させることなどにより、サーマルインターフェースまたはジョイントの特性を最大限にするように、以下に論じるステップ付きガスケットの特性の選択を可能にする。
【0055】
上で論じたプレートの変形、反り、または湾曲からもたらされる課題に対処するため、サーマルインターフェースまたはジョイントは:
第1および第2のプレート;
第1および第2のプレートの間にあるステップ付きガスケット;ならびに
第1および第2のプレートを接合する1つまたは複数の締結具
を含み;
第1および/または第2のプレートの少なくとも1つは、プレートの変形、反り、または湾曲を示し;
ステップ付きガスケットは複数の層を含み、少なくとも第1のベース層と、第1のベース層の上部に第1のベース層と接触して、第1のベース層の表面積よりも小さい表面積を有する少なくとも第2の層とがあり;
ステップ付きガスケットの少なくとも第2の層は、ステップ付きではない単層ガスケットと比較して、プレートの変形、反り、または湾曲を示す第1および/または第2のプレートの少なくとも1つとの、少なくとも1つまたは複数の接触領域を提供する。
【0056】
図2に示されるように、2つのプレート310(上部プレートがプレートの変形、反り、または湾曲を示す)、2つの締結具320(即ち、ボルト)、プレート間にあるステップ付きガスケット330(3つのステップを有する)を有するサーマルインターフェース300の断面表示図は、複数の接触領域340を、ステップ付きガスケットと、プレートの変形、反り、または湾曲を示す最上プレートとの間に提供する。ステップ付きガスケットの使用による(単層ガスケットに対して)、接触領域の導入は、プレートの変形、反り、または湾曲によって形成された隙間の有害な効果を相殺する。
【0057】
ステップ付きガスケットは、第1のベース層410と、第1のベース層上の第2の層420とを有するステップ付きガスケットの断面表示図を示す
図3Aに示されるように、少なくとも2つの層を有する。一部の他の例では、ステップ付きガスケットは、第1のベース層510、第1のベース層上の第2の層520、および第2の層上の第3の層530を有するステップ付きガスケットの断面表示図を示す
図3Bに示されるように、少なくとも3つの層を有する。
図4は、例示的な、ベースプレート上の3層ガスケットを示す。合計で最大4または5層の追加の層を有するステップ付きガスケットも、考えられる。
【0058】
追加の層のそれぞれは、プレートの変形、反り、または湾曲を示す第1および/または第2のプレートの少なくとも1つとの、追加の接触領域を提供することが考えられる。さらに各層は、下にある層よりも小さく、下にある層の表面積よりも小さい表面積を有する。
【0059】
サーマルインターフェースまたはジョイントは、2つのプレートと、ベースプレート(底部プレート)とを含み、この上部プレートは、2つのプレートが締結(例えば、ボルト締め)されたときまたはプレートの製造中に変形、反り、または湾曲を典型的には示す。上部またはベース(底部)プレートのいずれかは、平面または実質的に平面である(ここで「実質的に平面」は、プレート長のmm当たりの平坦度からのずれが0.25μm未満であることを意味する)。
図2に示されるものなどの上部および底部プレートは、サーマルインターフェースとして使用される任意の適切な形状および寸法、ならびに厚さを有する任意の適切な材料で作製することができる。2つのプレートは通常、同じ材料で作製され、同じ形状および寸法ならびに必要に応じて同じ厚さを有する。一部の例では、第1(底部またはベース)および第2(上部)のプレートは、正方形、長方形、円形、楕円形、または環形状を有する。典型的には、ステップ付きガスケットは、少なくとも第1のベース層に関して、第1および第2のプレートと同じ全体形状を有する。一部の例では、約>4mmの厚さを有するプレートは、高度に堅牢なプレートとみなすことができ、それに対して約<4mmの厚さを有するプレートは、中程度にまたは低度に堅牢なプレートとみなすことができる。一部の例では、プレートは独立して、約0.5~約30mm、約0.5~約20mm、または約0.5~約10mmの範囲、およびその範囲内の下位範囲の厚さを有する。ある特定の例では、両方のプレートは1/4インチの厚さのプレートである。
【0060】
一部の例では、第1(底部またはベース)および第2(上部)のプレートは独立して、アルミニウム、銅、鋼、チタン、亜鉛、金属マトリックス複合体(AlSiCまたはアルミニウム-黒鉛など)、および金属ラミネート構造体(ハニカムパネルまたは繊維金属ラミネートなど)から選択される材料で作製することができる。一部の例では、第1(底部またはベース)および第2(上部)のプレートは独立して、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、ナイロン、エポキシ、ガラス強化エポキシラミネート材料(FR4など)、高圧繊維ガラスラミネート(G10など)、繊維ガラス複合体、PEEK、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートグリコール、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ乳酸、PEDOT:PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート)、PARA、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド-イミド、およびポリエーテルイミドから選択されるプラスチックで作製することができる。さらに他の例では、第1(底部またはベース)および第2(上部)のプレートは独立して、アルミナ、窒化アルミニウム、ジルコニア、ジルコニアアルミナ、酸化ベリリウム、炭素繊維、黒鉛、炭化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、Y2O3、TiC、SrAl2O3、ZrC、HfC、TaC、ZrB2、HfB2、Mo2B5、MoSi2 TiN、YrN、同時焼成セラミック(リン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、モリブデン酸塩、バナジン酸塩、テルル酸塩、およびタングステン酸塩からなるものを含む高温同時焼成セラミック(HTCC)、低温同時焼成セラミック(LTCC)、超低温同時焼成セラミック(ULTCC)を含む)から選択されるセラミックで作製することができる。
【0061】
サーマルインターフェースまたはジョイントの上部および底部プレートは、1つまたは複数の締結具によって締結され、1つまたは複数の締結具は、上部および底部プレートに存在する1つまたは複数の穴を通して第1および第2のプレートを接合する。締結具で2つのプレートを接合させるのに必要とされ得るので、各プレート上の同じ位置で両方のプレート上に任意の数の1つまたは複数の締結具穴が存在してもよい。一部の例では、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、または32個の締結具穴が、各プレートにある。存在する締結具穴は、必要に応じて任意の形状またはサイズを有することができる。一部の例では、締結具穴は円形であり、ボルトなどの締結具に適した直径を有することができる。一部の例では、締結具穴には、ネジ式締結具を受容するようにネジが付けられていてもよい。締結具穴は、適切な任意の相対的配置構成で間隔を空けていてもよい。しかしながら、ある特定の例では、締結具穴はプレートの1つまたは複数の縁部に存在することが好ましい。典型的には、締結具穴は、プレート上で均等に間隔を空けられている。プレート上の締結具穴およびそれらの互いに対する相対的位置の非限定的な例を、
図4に示す。一部の例では、締結具穴の間の間隔は、互いの直ぐ隣にある2つの穴の間とすることができ、距離は、約5~600mmの範囲であり得る。一部の例では、締結具穴の間の間隔は、プレートの対向する縁部上の2つの穴の間とすることができ、距離は約5~600mmの範囲であり得る。さらに他の例では、締結具穴の間の間隔は、プレート上で互いに対して斜めに位置付けられた2つの穴の間とすることができ、距離は約5~600mmの範囲であり得る。
【0062】
1つまたは複数の締結具は、存在し得る締結具穴のそれぞれを通して第1(ベースまたは底部)のプレートと第2(上部)のプレートとを締結するのに使用することができる。1つまたは複数の締結具は、ネジ式締結具、クランプ、クリップ、プッシュピン、リベット、空気プレス、液圧プレス、またはこれらの組合せから選択することができる。そのような締結具は、当技術分野で公知である。ネジ式締結具は、当技術分野で公知のものなどのボルトおよびナットとすることができる。一部の他のインサートでは、ネジ式締結具は当技術分野で公知のものなどのボルトおよびポット式インサートである。使用される任意の種類の1つまたは複数の締結具は、鋼、チタン、アルミニウム、ナイロン、黄銅、青銅、および亜鉛から選択される材料など、任意の適切な材料で作製することができる。締結具がボルトを含む場合、ボルトは、適切な量のボルトトルクを使用して適用されてもよく、ボルトは、2つのプレート間の均一な締付けを確実にするように任意の適切な締付けパターンで締め付けてもよい。適切なボルト(およびナット)、ボルト締めトルク、およびボルト締めパターンの選択は、当技術分野で公知である。
【0063】
一部の例では、記述されるサーマルインターフェースおよびジョイントに関し、ステップ付きガスケットの使用によって提供される少なくとも1つまたは複数の追加の接触領域は、プレートの変形、反り、または湾曲を示す第1および/または第2のプレートの温度の均一性の増大をもたらし、それによって、内部がステップ付きではない単層ガスケットを有する同じサーマルインターフェースの場合よりも少なくとも25%高い、30%高い、40%高い、または50%高い、サーマルインターフェースにわたる平均熱伝導度を提供する。熱伝導度は、サーマルインターフェースの表面間の単位温度差により誘発される、サーマルインターフェースまたはジョイントの単位面積を通る定常状態での熱流の時間速度と定義される。
【0064】
ある特定の例では、記述されるサーマルインターフェースおよびジョイントに関し、ステップ付きガスケットの使用によって提供される少なくとも1つまたは複数の追加の接触領域は、ステップ付きガスケットと、プレートの変形、反り、または湾曲を示す第1および/または第2のプレートの少なくとも1つとの間の接触面積の増大をもたらし、それによって、内部がステップ付きではない単層ガスケットを有する同じサーマルインターフェースの場合よりも少なくとも25%高い、30%高い、40%高い、または50%高い、サーマルインターフェースにわたる平均熱伝導度を提供する。熱伝導度は、サーマルインターフェースの表面間の単位温度差により誘発される、サーマルインターフェースまたはジョイントの単位面積を通る定常状態での熱流の時間速度と定義される。
【0065】
記述されるサーマルインターフェースおよびジョイントに関し、ステップ付きガスケットの各層は、存在し得る場合、少なくとも1つまたは複数の接触領域で、プレートの変形、反り、または湾曲を示す第1および/または第2のプレートの少なくとも1つの表面に適合する。
A.ステップ付きガスケット
【0066】
ステップ付きガスケットの使用は、単層ガスケットの使用と比較して、ステップ付きガスケットと変形または湾曲を示すプレートとの間に(
図2参照)1つまたは複数の接触領域または面積を導入する。ステップ付きガスケットは、プレートの熱プロファイルを一致または修正(改善)するように設計することができる。ステップ付きガスケットは、より良好な全体的な均一性のため、より均等に接触負荷を分配することができる。ステップ付きガスケットの層の数(
図3および4参照)およびステップ付きガスケットに存在する層の相対的な場所は、サーマルインターフェースまたはジョイントの熱的性能を改善する所望の数の接触点または領域を適正に位置決めまたは生成するように、界面曲率モデリングに基づいて位置決めすることができる。
【0067】
ステップ付きガスケットは、第1のベース層とその上にある少なくとも第2の層とを含む。第3、第4、または第5の層などの追加の層が含まれてもよい。第1のベース層および他の層は、必要に応じて任意の適切な形状または厚さを有することができる。より典型的には、第1のベース層および他の層は、同じ形状を有する(即ち、正方形、長方形、円形、規則的なまたは不規則な形状など)。一部の例では、ステップ付きガスケットは、その間に配置されているプレートの全面積を覆う寸法を有する第1のベース層を有する。一部の他の例では、ステップ付きガスケットは、プレートの面積の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%を覆うなど、その間に配置されているプレートの全面積よりも小さい寸法を有する第1のベース層を有する。ステップ付きガスケットの第1のベース層は、プレートに存在する締付け穴に適応するように切り抜かれた穴を含んでいてもよい。後続の各層は、その下にある層よりもサイズ(面積)が小さい。一部の例では、上にある層は、その下の層の面積のサイズの約1%~50%の間の面積を有する。例えば、第2の層は、第1のベース層の面積の約1%~75%または約1%~50%の面積を有していてもよく、第3の層は、存在する場合、第2の層よりも面積サイズが約1%~75%または約1%~50%小さくてもよい。同じことが、それらが存在している層に対する追加の層にも当てはまる。
【0068】
ステップ付きガスケットの使用は、ステップが付けられていない単層ガスケットの使用と比較して、プレートの変形、反り、または湾曲を示す第1および/または第2のプレートの少なくとも1つとの、少なくとも1つまたは複数の接触領域を提供する。所与のステップ付きガスケットでは、含まれる各層が、その層を有さないガスケットと比較して、少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つの独立した接触領域を、プレートの変形、反り、または湾曲を示す第1および/または第2のプレートの少なくとも1つに提供してもよい。一部の例では、ステップ付きガスケットの使用から得られる1つまたは複数の接触領域は、プレートの変形、反り、または湾曲を示す第1および/または第2のプレートの少なくとも1つの表面の少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%と接触すると言うことができる。一部の例では、ステップ付きガスケットの使用から得られる1つまたは複数の接触領域は、プレートの変形、反り、または湾曲を示す第1および/または第2のプレートの少なくとも1つの表面の、少なくとも約5%~25%、約5%~50%、約5%~75%、または約5%~90%、およびその範囲内の部分範囲に接触すると言うことができる。ガスケットとプレートとの間での、1つまたは複数の接触領域の形成および得られる接触面積の増大は、サーマルインターフェースまたはジョイントの全体的な熱伝導度の増大をもたらす。
【0069】
一部の例では、締結されたプレートの最大の反り/変形の高さは、好ましくは締結されたプレートの最大の反り/変形の高さに一致したまたはそれを超える、組み合わされた高さ(即ち、存在し得る全ての層の合計)を有するステップ付きガスケットの形成を可能にするものを、決定またはシミュレートすることができる。一部の場合には、ステップ付きガスケットの層のそれぞれは、存在し得る場合、それぞれ独立して、約50μm~約500μmの間の範囲の厚さを有することができる。さらに、一部の場合には、ステップ付きガスケットの層間の高さの増大は、約500μm未満、約250μm未満、約150μm未満、または約75μm未満であるように選択される。一部の例では、ステップ付きガスケットの層間の高さの増大は、ガスケット層を圧縮性および弾性の基礎とみなしつつ、Euler-Bernoulli梁理論、Timoshenko梁理論、またはKirchhoff-Loveプレート理論を使用することによって予測されるように、締結具負荷の下で接触表面からの理論上の反りに基づいて決定することができる。
【0070】
ある特定の場合には、ステップ付きガスケットの第2の層の周縁の場所は、ガスケットを圧縮性および弾性の基礎とみなし、締結具付近のステップ付きガスケットの第1の層の変形を考慮しつつ、Euler-Bernoulli梁理論、Timoshenko梁理論、またはKirchhoff-Loveプレート理論によって予測されるように、締結具負荷の下で接触表面の理論上の反りと交差するために、選択されサイズ決めされる。一部の例では、ステップ付きガスケットの第3の層の周縁の場所は、存在する場合、締結具付近のステップ付きガスケットの第1の層の変形ならびに第2の層が第2の表面に接触する面積内の第1および第2の層の変形を考慮して、Euler-Bernoulli梁理論、Timoshenko梁理論、またはKirchhoff-Loveプレート理論によって予測されるように、締結具の負荷の下で接触表面の理論上の反りと交差するようにサイズ決めされる。さらに他の例では、ステップ付きガスケットの第4の層の周縁の場所は、存在する場合、締結具付近のステップ付きガスケットの第1の層の変形、第2の層が第2の表面に接触する面積内の第1および第2の層の変形、ならびに第3の層が第2の表面に接触する面積内の第1、第2、および第3の層の変形を考慮して、Euler-Bernoulli梁理論、Timoshenko梁理論、またはKirchhoff-Loveプレート理論によって予測されるように、締結具の負荷の下で接触表面の理論上の反りと交差するようにサイズ決めされる。
【0071】
一部の例では、追加の層は、先の層のそれぞれの上部にあってもよい(即ち、第2の層が第1のベース層の上、第3の層が第2の層の上など)。さらに、また代替として、追加の層が、先の層上に互いに隣り合っていてもよく、例えば第1のベース層は、ベース層上に互いに隣り合って第2および第3の層を有するが、第3の層は第2の層に接触しても第2の層上にもない。
【0072】
一部の例では、ステップ付きガスケットの層のそれぞれは、存在し得る場合、それぞれ独立して、約0.1MPa~約50MPa、約0.1MPa~約100MPa、約0.1MPa~約150MPa、または約0.1MPa~約200MPaの間の範囲の弾性率を示すことができる。一部の例では、ステップ付きガスケットの層のそれぞれは、存在し得る場合、それぞれ独立して、約0.05cm2・℃/W~約1cm2・℃/W、0.05cm2・℃/W~約5cm2・℃/W、0.05cm2・℃/W~約2cm2・℃/W、0.05cm2・℃/W~約3cm2・℃/W、0.05cm2・℃/W~約4cm2・℃/W、または0.05cm2・℃/W~約5cm2・℃/Wの間の範囲のサーマルインターフェース抵抗を有することができる。
【0073】
一部の例では、ステップ付きガスケットの複数の層のそれぞれは独立して、黒鉛、炭素繊維、シリコーン、熱可塑性エラストマー、ゴム、およびアクリルから選択される材料で作製される。典型的には、少なくとも2つの層を有する各ステップ付きガスケットは、適切な場合には層の数およびそれぞれの厚さが様々であってもよい同一の材料で作製される層で、作製される。一部の例では、種々の材料タイプの層を使用することができる。さらに一部の例では、ステップ付きガスケットの各層を構成する材料はさらに、当技術分野で公知の熱伝導性および/または導電性充填剤を含むことができる。
【0074】
一部の場合には、ステップ付きガスケットの第1のベース層は、好ましくは1つまたは複数の締結具付近に、ステップ付きガスケットを通した接地経路を提供する。さらに他の場合には、第1のベース層は、接着剤(即ち、感圧接着剤または感熱接着剤)を、好ましくはその上にいかなる追加の層も有さない側に含むことができる。例えば接着剤は、底部(ベース)プレートに接着させるよう、
図2、3A、または3Bに示される第1のベース層の底部に存在していてもよい。
【0075】
一部の例では、ステップ付きガスケットは、カーボンナノチューブアレイまたはシートを備える多層または多段層状構造体で作製することができる。例えば、ステップ付きガスケットは:
第1の平面基材の両面から成長させた、垂直に整列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブアレイを含む、少なくとも第1の層または段層と、
第2の平面基材の両面から成長させた、垂直に整列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブアレイを含む、少なくとも第2の層または段層と
を備える多層または多段層状構造体とすることができ、
少なくとも第1の層または段層と少なくとも第2の層または段層は積層され、少なくとも第1の層または段層の垂直に整列したカーボンナノチューブは、少なくとも部分的に、互いに界面形成する少なくとも第2の層または段層の垂直に整列したカーボンナノチューブと相互嵌合する。そのようなステップ付きガスケットについて、以下に詳細に記述する。
i.多層または多段層状構造を有するステップ付きガスケット
【0076】
カーボンナノチューブアレイまたはシートを備える多層または多段層状構造体を使用して、以下に記述されるようにステップ付きガスケットを形成することができる。
a.カーボンナノチューブアレイおよびカーボンナノチューブシート
【0077】
カーボンナノチューブ(CNT)アレイについて、本明細書に記述する。アレイは、金属(例えば、AlまたはAu)箔でまたは金属合金(即ち、鋼)で作製されたものなどの不活性基材/支持体の表面上に支持されるまたは表面に取付けられる複数のカーボンナノチューブを備える。一部の実施形態では、基材/支持体は、黒鉛または他の炭素系材料などの柔軟な電気および熱伝導性の基材とすることができる。さらに他の実施形態では、基材/支持体は、柔軟なセラミックなどの電気絶縁性基材とすることができる。CNTアレイは、以下に記述される方法を使用して形成することができる。CNTは、基材/支持体上に垂直に整列している。CNTは、それらが支持されるかまたは取付けられている表面と実質的に垂直であるときに、「垂直に整列している」と言われる。ナノチューブは、面法線から平均して30、25、20、15、10、または5度以内で配向したときに、実質的に垂直であると言われる。
【0078】
一般に、カーボンナノチューブは、ナノチューブが自立しかつ多層基材の表面に対して実質的に垂直な配向を採用するように、十分な密度で存在する。好ましくはナノチューブは、互いに最適な距離で間隔を空けて配置され、熱伝達損失を最小限に抑えるように均一な高さのものであり、それによって集合的な熱拡散性が最大限になる。一部の実施形態では、基材表面上のカーボンナノチューブ密度は、mm2当たり約1×107~1×1011ナノチューブ、mm2当たり約1×108~1×1010ナノチューブ、またはmm2当たり約1×109~1×1010ナノチューブの範囲である。
【0079】
CNTアレイは、アレイの上部(即ち、多層基材上に垂直に整列したときにカーボンナノチューブの遠位端により形成された表面)からアレイの底部(即ち、多層基材の表面)まで連続するナノチューブを備える。CNTアレイは、約4~約10の間の壁を有するナノチューブを一般に指す、多層カーボンナノチューブ(MWNT)から形成されてもよい。アレイはまた、約1~3の壁を備えるナノチューブを一般に指す寡層ナノチューブ(FWNT)から形成されてもよい。FWNTは、単層カーボンナノチューブ(SWNT)、二層カーボンナノチューブ(DWNT)、および三層カーボンナノチューブ(TWNT)を含む。ある特定の実施形態では、ナノチューブはMWNTである。一部の実施形態では、アレイ内のMWNTの直径は、10~40nm、より好ましくは15~30nmの範囲であり、最も好ましくは約20nmである。アレイ内のCNTの長さは、1~5,000マイクロメートル、好ましくは5~5000マイクロメートル、好ましくは5~2500マイクロメートル、より好ましくは5~2000マイクロメートル、より好ましくは5~1000マイクロメートルの範囲であり得る。一部の実施形態では、アレイ内のCNTの長さは、1~500マイクロメートル、さらにより好ましくは1~100マイクロメートルの範囲であり得る。
【0080】
CNTは、多層基材に対して強力な接着を示す。ある特定の実施形態では、CNTアレイまたはシートは、エタノールなどの溶媒に浸漬され、少なくとも5分間にわたり超音波処理された後、実質的に無傷のままである。特定の実施形態では、CNTの少なくとも約90%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.9%が、エタノール中での超音波処理後に表面に残る。
【0081】
カーボンナノチューブシートについても本明細書に記述する。シートは、自立型材料を形成するように、強力なファンデルワールス力相互作用および機械的もつれを通して互いに支持する複数のカーボンナノチューブを備える。CNTシートは、以下に記述される方法を使用して形成することができる。CNTは、自立型シートを形成し、このシートの表面と同一面内に整列している。CNTは、それらが形成するシートの表面に実質的に平行であるときに、「平面に整列している」と言われる。ナノチューブは、平均してシートの面法線から40、50、60、70、80、または85度よりも大きく配向したときに、実質的に平行であると言われる。
【0082】
一般にナノチューブは、ナノチューブが自立しかつシートの表面に対して実質的に平行な配向を採用するように、十分な密度で存在する。好ましくはナノチューブは、互いに最適な距離で間隔を空けて配置され、熱伝達損失を最小限に抑えるように均一な長さのものであり、それによって集合的な熱拡散性が最大限になる。
【0083】
CNTシートは、約4~約10の間の壁を有するナノチューブを一般に指す、多層カーボンナノチューブ(MWNT)から形成されてもよい。シートはまた、約1~3の壁を備えるナノチューブを一般に指す寡層ナノチューブ(FWNT)から形成されてもよい。FWNTは、単層カーボンナノチューブ(SWNT)、二層カーボンナノチューブ(DWNT)、および三層カーボンナノチューブ(TWNT)を含む。ある特定の実施形態では、ナノチューブはMWNTである。一部の実施形態では、アレイ内のMWNTの直径は、10~40nm、より好ましくは15~30nmの範囲であり、最も好ましくは約20nmである。シート内のCNTの長さは、1~5,000マイクロメートル、好ましくは100~5000マイクロメートル、好ましくは500~5000マイクロメートル、より好ましくは1000~5000マイクロメートルの範囲であり得る。一部の実施形態では、シート内のCNTの長さは1~500マイクロメートル、さらにより好ましくは1~100マイクロメートルの範囲であり得る。
【0084】
上述のCNTアレイまたはシートは、内部のCNTに接着または結合するコーティングまたはコーティング材料(用語は同義で使用することができる)を含むことができる。コーティング/コーティング材料は、以下に記述されるように付着させることができる。一部の実施形態では、コーティングは、1つまたは複数のオリゴマー材料、ポリマー材料、ワックス、またはこれらの組合せを含有する。他の実施形態では、コーティングは、1つまたは複数の非ポリマー材料を含有する。一部の実施形態では、コーティングは、オリゴマー、ワックス、および/またはポリマー材料、ならびに非ポリマー材料の混合物を含有することができる。
【0085】
ある特定の実施形態では、コーティング材料(複数可)は、積層アレイまたはシートのカーボンナノチューブを、例えば化学的に、結合することができる結合剤(複数可)として作用する。限定するものではないが、結合剤(複数可)として作用することができるコーティング材料は、接着剤(即ち、アクリレート接着剤)および相変化材料(即ち、ワックス(複数可))から選択することができる。
【0086】
一部の実施形態では、アレイのCNTに接着または結合するコーティングは、2つまたはそれよりも多くのCNTアレイまたはシートが積層される前に付着され、一方、他の実施形態では、アレイのCNTに接着または結合するコーティングは、2つまたはそれよりも多くのCNTアレイまたはシートの積層後に付着される。さらに他の実施形態では、コーティングは、CNTアレイまたはシートを積層することによって形成された多層または多段層状構造体内に浸潤または埋め戻され、構造体を形成するアレイのCNTに接着または結合される。本明細書で使用される「浸潤」または「浸潤した」は、多層または多段層状構造体を形成するように積層されたアレイまたはシートのカーボンナノチューブの少なくとも一部を通して浸透したコーティング材料(複数可)を指す。一部の実施形態では、浸潤の程度は、アレイまたはシートのカーボンナノチューブ間の体積空間の0.1~99.9%の範囲にある。一部の実施形態では、浸潤したコーティング材料は、カーボンナノチューブ間の格子間空間を少なくとも部分的に満たす一方、一部の他の実施形態では、浸潤したコーティングは、カーボンナノチューブの表面(複数可)の少なくとも一部をコーティングするか、またはその両方である。一部の実施形態では、浸潤したコーティング材料は、CNTアレイまたはシートの積層によって形成された構造体の段層または層内に存在するカーボンナノチューブ間の格子間空間の全てまたは実質的に全て(即ち、少なくとも約95%、96%、97%、98%、または99%)を満たす。
【0087】
様々な材料は、積層前、積層中、または積層後に、CNTアレイまたはシート上にコーティングすることができる。特定の実施形態では、コーティングは、本明細書に定義される複数の層または段層を有する構造体のアレイまたはシートのCNTの熱抵抗の減少を引き起こし得る。コーティングは、CNTの先端および/または側壁をコーティングするように共形的に付着させることができる。コーティングは、界面が例えば溶媒、熱、または付着させるのが容易な何らかの他の源を使用して組み立てられるので、リフロー可能であることも望ましい。コーティングとして使用されるポリマーは、少なくとも130℃まで熱的に安定でなければならない。一部の実施形態では、コーティングは、界面の「再加工」を可能にするために、熱または溶媒への溶解などによって容易に除去可能である。本明細書で使用される「再加工」は、溶媒または熱を加えることによる界面の破壊(即ち、コーティングの除去)を指す。
【0088】
一部の実施形態では、コーティングは、1種または複数種のポリマー材料であるかまたはそれを含有する。ポリマーまたはポリマーコーティングは、芳香族、複素芳香族、もしくは非芳香族ポリマーなどの共役ポリマー、または非共役ポリマーを含有することができる。
【0089】
共役ポリマーの適切なクラスには、ポリチオフェン(アルキル置換ポリチオフェンを含む)、ポリスチレン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリフルオレン、ポリフェニレン、ポリピレン、ポリアズレン、ポリナフタレン、ポリカルバゾール、ポリインドール、ポリアゼピン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(p-フェニルスルフィド)、およびポリ(p-フェニレンビニレン)を含むがこれらに限定されないポリ芳香族およびポリ複素芳香族が含まれる。適切な非芳香族共役ポリマーには、限定するものではないがポリアセチレンおよびポリジアセチレンが含まれる。上に列挙されたポリマーのクラスには置換ポリマーが含まれ、この場合、ポリマー主鎖は、アルキル基などの1個または複数の官能基で置換されている。一部の実施形態では、ポリマーはポリスチレン(PS)である。他の実施形態では、ポリマーはポリ(3-ヘキシチオフェン)(P3HT)である。他の実施形態では、ポリマーは、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン(3,4-3thylenedioxythiophene))(PEDOT)またはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホネート)(PEDOT:PSS)である。
【0090】
他の実施形態では、ポリマーは非共役ポリマーである。適切な非共役には、限定するものではないが、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリウレタン、シリコーン、アクリル、およびこれらの組合せ(ブレンド)が含まれる。
【0091】
他の実施形態では、ポリマーはパラフィンワックスである。他の実施形態では、ポリマーは、Fischer-Tropschワックスまたはポリエチレンワックスなどの合成ワックスである。他の実施形態では、ポリマーは、80、90、100、110、または120℃よりも上の、好ましくは130℃よりも上の融解温度を有するワックスである。
【0092】
他の実施形態では、ポリマーは、改善された接着特性を1つまたは複数の表面に提供するように、ワックス、粘着剤、およびポリマー基剤を組み合わせたホットグルーまたはホットメルト接着剤などであるがこれらに限定されない接着剤である。一部の実施形態では、接着剤は、感圧接着剤である。ある特定の他の実施形態では、接着剤は、シアノアクリレートなど、空気または水との接触により重合するモノマーである。さらに他の実施形態では、接着剤は、感圧接着剤と熱活性化(または活性化可能な)接着剤ポリマーとの組合せであり、これは、感圧接着剤、ならびに感熱接着剤による追加のおよびより永続的なまたは半永続的な接着によって、コーティングのそのような組合せを含む本明細書に記述される多層または多段層状構造体の表面(複数可)への接着の容易さを高める。
【0093】
CNTアレイまたはシートは、1種または複数種の金属ナノ粒子でさらにコーティングすることができる。1種または複数種の金属ナノ粒子は、CNTの遠位端および/または側壁を表面に結合する、CNTアレイまたはシートと表面との間の熱抵抗を低減する、あるいはこれらの組合せになるように、CNTの遠位端および/または側壁に吸着されてもよい。金属ナノ粒子は、当技術分野で公知の様々な方法を使用して、CNTアレイまたはシートに付着させることができる。適切な金属ナノ粒子の例には、パラジウム、金、銀、チタン、鉄、ニッケル、銅、およびこれらの組合せが含まれる。
a1.流動性または相変化材料
【0094】
ある特定の実施形態では、流動性または相変化材料は、積層前、積層中、または積層後に、上述のCNTアレイまたはシートに付着される。流動性または相変化材料は、CNT間の空気にとって代わってCNTの遠位端および/または側壁と表面との間の接触を改善するように、CNTアレイまたはシートに添加されてもよく、その結果、アレイもしくはシートの熱抵抗、およびアレイもしくはシートと表面との間の接触、またはこれらの組合せが低減する。流動性または相変化材料は、当技術分野で公知の様々な方法を使用してCNTアレイに付着させることができる。
【0095】
適切な流動性または相変化材料の例には、一般にパラフィンワックス、ポリエチレンワックス、炭化水素系ワックス、およびこれらのブレンドが含まれる。ワックスでもポリマーでもない適切な流動性または相変化材料の他の例には、液体金属、油、有機-無機および無機-無機共晶、ならびにこれらのブレンドが含まれる。一部の実施形態では、非ポリマーコーティング材料および流動性または相変化材料などのコーティング材料は、同じ材料(単数または複数)である。
b.積層されたCNTアレイまたはシート
【0096】
上述のCNTアレイまたはシートは、多層または多段層状構造体であるステップ付きガスケットを提供するため、以下に記述される方法に従い積層される。一部の例では、ステップ付きガスケットは、少なくとも部分的に相互嵌合するおよび本明細書に記述される適切なコーティング材料で必要に応じてコーティングされてもよい2つのCNTアレイまたはシートのカーボンナノチューブを接触/積層することによって形成される。一部の他の例では、ステップ付きガスケットの各層は、積層される多数のCNTアレイまたはシートから形成されてもよい。例えばベース層は、積層される少なくとも2つのCNTアレイまたはシートから形成された多層または多段層状構造体を含んでいてもよく、第1のベース層の上にある第2のより小さい層も、少なくとも2つまたはCNTアレイまたはシートで形成された多層または多段層状構造体であってもよく、第2の層の上にある必要に応じた第3のさらにより小さい層も、少なくとも2つまたはCNTアレイまたはシートで形成された多層または多段層状構造体であってもよい。より多くのCNTアレイまたはシートを含むことにより、多層または多段層状構造体で形成された層のそれぞれの厚さは、必要に応じて修正することができる。さらに他の例では、ステップ付きガスケットの層は、積層された多数のCNTアレイまたはシートから形成されてもよく、最上部の層は、単独で層を形成する単一のCNTアレイまたはシートで形成されてもよい。そのような組合せの層タイプが考えられる。
【0097】
一部の実施形態では、多層または多段層状構造体は、コーティング、金属のナノ粒子のコーティング、および/または流動性もしくは相変化材料のコーティングを、アレイのCNTなどのナノ構造要素上にさらに含むことができる。そのようなコーティング、金属のナノ粒子のコーティング、および/または流動性もしくは相変化材料のコーティングは、上述の通りである。
【0098】
一部の例では、ステップ付きガスケットは、積層されかつ多層または多段層状構造体を形成する少なくとも2つのCNTアレイまたはシートを備える。より多くのCNTアレイまたはシートを含むことにより、多層または多段層状ステップ付きガスケットの厚さは、必要に応じて増大させることができる。一部の実施形態では、最大3、4、5、10、15、20、25、30、またはそれよりも多くのCNTアレイまたはシートを、以下に記述される方法に従い積層することができる。例えば、少なくとも2つの層を有するステップ付きガスケットは、2つのCNTアレイまたはシートを積層することによって形成することができる。少なくとも3つの層を有するステップ付きガスケットは、3つのCNTアレイまたはシートを積層することによって形成することができる。1つのCNTアレイまたはシートは、第1のベース層として作用することがさらに理解される。第2のCNTアレイまたはシートは、
図3Aにあるように、第1のベース層上に積層され、ベース層よりもサイズが小さくかつ小さい表面積を有する。一部の例では、第3のCNTアレイまたはシートは、
図3Bにあるように、第2の層上に積層することができ、第2の層よりもサイズが小さくかつ小さい表面積を有する。一部の例では、上にある層は、その下の層の面積のサイズの約1%~50%の間の面積を有する。例えば第2の層は、第1のベース層の面積の約1%~75%または約1%~50%の面積を有していてもよく、第3の層は、存在する場合、第2の層の場合よりも約1%~75%または約1%~50%、面積サイズが小さくてもよい。同じことが、それらが存在している層に対する追加の層にも当てはまる。
【0099】
CNTアレイまたはシートで作製された第1のベース層および他の層は、同じ形状を有することができる(即ち、正方形、長方形、円形、規則的なまたは不規則な形状など)。ステップ付きガスケットの第1のベース層は、プレートに存在する締付け穴に適応するように切り抜かれた穴を含んでいてもよい。
【0100】
非限定的な実施形態では、支持体/基材上に形成された少なくとも2つの垂直に整列したアレイまたはシートは、アレイのCNTなどのナノ構造要素が接触により少なくとも部分的に相互嵌合するように積層され/接触する。一実施形態では、アレイのナノ構造要素の完全な相互嵌合は、積層されたときに互いに生じる。他の実施形態では、アレイは、CNTなどのナノ構造要素の先端でのみ相互嵌合し得る。さらに他の実施形態では、個々のナノ構造は、相互嵌合プロセス中に隣接するアレイのナノ構造を通して進行することができ、CNTまたはその一部などの個々のアレイのナノ構造要素は、完全にまたは実質的に互いに相互嵌合し;本明細書で使用される「実質的に」は、個々のアレイのナノ構造要素間の少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%の相互嵌合を指す。一部の実施形態では、相互嵌合の程度は、約0.1%~99%の範囲にあるか、または少なくとも約1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくは95%である。
【0101】
一部の実施形態では、少なくとも部分的に相互嵌合する、積層されたCNTアレイまたはシートのナノ構造はまた、管束、クランプ、または列などであるがこれらに限定されない、より大きい超構造に形成されてもよい。これらの超構造は、毛管クランピングなどのメカニズムを通して、または積層プロセスの前、間、もしくは後のポリマーコーティングの付着によって、形成されてもよい。
【0102】
一部の実施形態では、上述のポリマーコーティングおよび/もしくは接着剤、または他のコーティングが、後で積層されるCNTアレイ(複数可)に付着される。そのような実施形態では、上述のコーティングおよび/もしくは接着剤、または他のコーティングの厚さは、約1~1000nm、より好ましくは1~500nm、最も好ましくは1~100nmである。
【0103】
上記に加え、多層または多段層状構造体に存在するCNTの好ましい変形力学は、隣接する表面の凹凸に効率的に適応させ、その結果、高い接触面積を界面にもたらす。
b1.熱抵抗の低減
【0104】
本明細書に記述されるCNTアレイまたはシートの積層によって形成されたステップ付きガスケットは、低減した界面熱抵抗を示す。熱抵抗は、保護熱板法などの当技術分野で公知の様々な技法を使用して測定することができる。
【0105】
一実施形態では、そのようなCNTアレイまたはシートを積層することによって形成された多層または多段層状構造体の熱抵抗は、例えば、ジョイントの高温側および低温側に熱電対を装備したボルト式ジョイントを使用して測定したときに、単一段層構造体と比較して少なくとも約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、またはそれよりも大きく低減する。ある特定の実施形態では、CNTアレイまたはシート、およびそのようなCNTアレイまたはシートを積層することによって形成された多層または多段層状構造体は、約1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1cm2K/W未満の熱抵抗を示す。そのような実施形態では、熱抵抗は約0.4、好ましくは約0.3cm2K/Wである。これらの熱抵抗は、ASTM D-5470に記述されるものなどの方法を使用して、局所的に測定される。実際のサーマルインターフェースまたはその部分の複合熱抵抗は、実際の部分幾何形状および材料に依存し、この範囲に入らない可能性がある。ある特定の実施形態では、CNTアレイまたはシート、およびそのようなCNTアレイまたはシートを積層することによって形成された多層または多段層状構造体は、約2.0~0.1cm2K/Wの間の熱抵抗を示す。そのような実施形態では、熱抵抗は約2、1.5、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1cm2K/Wである。一部の実施形態では、CNTアレイまたはシートを積層することによって形成された多層または多段層状構造体の熱抵抗値は、積層体を形成するのに使用される単層アレイの値(複数可)と比較して、同じまたは実質的に変化せず;本明細書で使用される「実質的に」は、10%、5%、4%、3%、2%、または1%未満の変化を指す。
【0106】
一例では、CNTアレイまたはシートを積層することによって形成され、ステップ付きガスケットを形成する、多層または多段層状構造体の見掛けの熱伝導度は、単一段層構造体と比較して少なくとも約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、またはそれよりも大きく増大する。一部の実施形態では、多層または多段層状ガスケット構造体は、約1~2500W/m・K、1~2000W/m・K、1~1500W/m・K、1~1000W/m・K、1~500W/m・K、5~500W/m・K、5~400W/m・K、5~300W/m・K、5~200W/m・K、5~150W/m・K、5~100W/m・K、または3~30W/m・Kの範囲にある伝導度の値を示す。
【0107】
一部の場合には、コーティングは、CNTアレイまたはシートを積層することによって形成された多層または多段層状構造体を形成するため、積層の前、間、または後にそのようなCNTアレイまたはシートに必要に応じて付着され得る。コーティング(複数可)は、CNTフォレストサーマルインターフェースの接触面積を増大させるのにおよび熱抵抗を低減させるのに、有効な手段であることが示された。個々のCNT接点の周りにナノスケールコーティングを含むことによって追加された結合プロセスは、例えば、接触面積を増大させるように、界面付近に追加のCNTを毛管作用を通して引き込むことを含む。
【0108】
一部の例では、多層または多段層状構造体は、最大約30、50、100、200、300、400、500psi、またはそれよりも大きい様々な圧力での1回または複数の反復変形、典型的には圧縮後、優れた弾性回復特性を示すことができる。1回または複数の圧縮後のパーセンテージ値として表される多層または多段層状構造体の弾性回復は、約50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%よりも大きくあり得る。一部の例では、記述される多層または多段層状構造体は、最大約30、50、100、200、300、400、500psi、またはそれよりも大きい様々な圧力での1回または複数の反復変形、典型的には圧縮後の圧縮永久ひずみ特性も示す。1回または複数の圧縮後のパーセンテージ値として表される、多層または多段層状構造体の圧縮永久ひずみは、約20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、または0.1%未満であり得る。
ii.シム
【0109】
上述のサーマルインターフェースおよびジョイントはまた、
図5A、5B、6A、および6Bに示されるように、その上に1つまたは複数のシムを含んでいてもよい。
図5Aに示されるように、シムは、ステップ付きガスケットの上部に配置されてもよい。あるいはシムは、
図5Bに示されるように、ステップ付きガスケットに接触しないように配置されてもよい。
【0110】
1つまたは複数のシムは、
図6Aおよび6Bに示されるように、1つまたは複数の締結具、またはプレートに存在する締結具穴の周りに、近くに、および/または後ろに配置または位置付けることができる。一部の例では、1つまたは複数のシムは、ステップ付きガスケットの第1の層の高さに等しくなるように選択される高さを有する。一部の例では、1つまたは複数のシムは、プレートの最縁部など、可能な限り締結具穴および締結具のはるか後ろに位置決めされる。
【0111】
シムは、任意の適切な形状を有することができる。一部の例では、1つまたは複数のシムは、好ましくは環帯または半環帯形状を有し、これは円形、正方形、または長方形であってもよい。そのような半環帯形状シムは、1/4、1/2、1/3、または3/4半環帯形状シムとすることができる。さらに、または代替として、正方形または長方形の形状を有するシムは、
図6Bに示されるように、第1および/または第2のプレートの少なくとも1つの隅、縁、および/または中心の周りに、近くに、および/または後ろに配置または位置付けられたものを使用することができる。
【0112】
一部の例では、シムは、金属箔、好ましくはアルミニウム箔または銅箔で作製される。一部の他の例では、シムは、黒鉛、炭素繊維、シリコーン、熱可塑性エラストマー、ゴム、およびアクリルから選択される材料で作製される。
【0113】
さらに他の例では、シムは:
第1の平面基材の両面から成長させた、垂直に整列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブアレイを含む、少なくとも第1の層または段層と、
第2の平面基材の両面から成長させた、垂直に整列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブアレイを含む、少なくとも第2の層または段層と
を含む、多層または多段層状構造体で作製され、
少なくとも第1の層または段層と少なくとも第2の層または段層は積層され、少なくとも第1の層または段層の垂直に整列したカーボンナノチューブは、互いに界面形成する少なくとも第2の層または段層の垂直に整列したカーボンナノチューブと少なくとも部分的に相互嵌合する。そのような多層または多段層状構造体、およびそれらの作製方法は、上および以下のセクションVIに記述される通りである。
【0114】
1つまたは複数のシムは独立して、任意の適切な範囲を有することができる。一部の例では、シムは、約25μm~約500μmの間の範囲の厚さを有する。一部の例では、シムはそれぞれ独立して、約5MPa~約130GPaの間の範囲の弾性率を示す。
III.シムを含むサーマルインターフェースまたはジョイント
【0115】
説明されたように、ナットおよびボルトなどによって締結された少なくとも2つのプレートで形成されかつプレート間にガスケットなどの圧縮性材料を有する、サーマルインターフェースまたはジョイントは、望ましくないプレートの変形、反り、または湾曲を受ける少なくとも1つのプレートを有する。そのようなプレートの変形、反り、または湾曲は、プレートとガスケットとの間の接触面積を減少させるおよび/または制限する隙間(複数可)の形成を引き起こす可能性があるので、サーマルインターフェースが熱を効率的に伝導させる能力に悪影響をもたらす。
【0116】
一部の例では、内部に単層ガスケットを有するサーマルインターフェースまたはジョイントに1つまたは複数のシムを含むことによって、プレートの変形、反り、または湾曲の効果を相殺することが可能である。
【0117】
プレートの変形、反り、または湾曲から生じる課題に対処するために、サーマルインターフェースまたはジョイントは:
第1および第2のプレート;
第1および第2のプレートの間にある単層ガスケット;ならびに
第1および第2のプレートを接合する1つまたは複数の締結具
を含むことができ、
第1および/または第2のプレートの少なくとも1つは、プレートの変形、反り、または湾曲を示し;
1つまたは複数のシムは、1つまたは複数の締結具の周りに、近くに、および/または後ろに存在して、第1および/または第2のプレートの変形、反り、または湾曲を低減および/または軽減する。
【0118】
サーマルインターフェースまたはジョイントは、2つのプレート、ベースプレート(底部プレート)と上部プレートとを含み、その一方または両方は、2つのプレートが締結された(即ち、ボルト締めされた)ときに、典型的には変形、反り、または湾曲を示す。プレートの少なくとも1つは、平面または実質的に平面である(「実質的に平面」は、プレート長のmm当たりの平坦度からのずれが0.25μm未満であることを意味する)。
図2に示されるような上部プレートおよび底部プレートは、サーマルインターフェースとして使用される任意の適切な形状および寸法ならびに厚さを有する任意の適切な材料で作製することができる。2つのプレートは、通常、同じ材料で作製され、同じ形状および寸法、ならびに必要に応じて同じ厚さを有する。一部の例では、第1(底部またはベース)および第2(上部)のプレートは、正方形、長方形、円形、楕円形、または環形状を有する。典型的には、単層ガスケットは、少なくとも第1のベース層に関して、第1および第2のプレートと同じ全体形状を有する。一部の例では、約>4mmの厚さを有するプレートは、高度に堅牢なプレートとみなすことができ、それに対して約<4mmの厚さを有するプレートは、中程度または低度に堅牢なプレートとみなすことができる。一部の例では、プレートは独立して、約0.5~約30mm、約0.5~約20mm、または約0.5~約10mmの範囲、およびその範囲内の下位範囲の厚さを有する。ある特定の例では、両方のプレートは1/4インチの厚さのプレートである。
【0119】
一部の例では、第1(底部またはベース)および第2(上部)のプレートは独立して、アルミニウム、銅、鋼、チタン、亜鉛、金属マトリックス複合体(AlSiCまたはアルミニウム-黒鉛など)、および金属ラミネート構造体(ハニカムパネルまたは繊維金属ラミネートなど)から選択される材料で作製することができる。一部の例では、第1(底部またはベース)および第2(上部)のプレートは独立して、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、ナイロン、エポキシ、ガラス強化エポキシラミネート材料(FR4など)、高圧繊維ガラスラミネート(G10など)、繊維ガラス複合体、PEEK、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートグリコール、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ乳酸、PEDOT:PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート)、PARA、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド-イミド、およびポリエーテルイミドから選択されるプラスチックで作製することができる。さらに他の例では、第1(底部またはベース)および第2(上部)のプレートは独立して、アルミナ、窒化アルミニウム、ジルコニア、ジルコニアアルミナ、酸化ベリリウム、炭素繊維、黒鉛、炭化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、Y2O3、TiC、SrAl2O3、ZrC、HfC、TaC、ZrB2、HfB2、Mo2B5、MoSi2 TiN、YrN、同時焼成セラミック(リン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、モリブデン酸塩、バナジン酸塩、テルル酸塩、およびタングステン酸塩からなるものを含む高温同時焼成セラミック(HTCC)、低温同時焼成セラミック(LTCC)、超低温同時焼成セラミック(ULTCC)を含む)から選択されるセラミックで作製することができる。
【0120】
サーマルインターフェースまたはジョイントの上部および底部プレートは、1つまたは複数の締結具によって締結され、1つまたは複数の締結具は、上部および底部プレートに存在する1つまたは複数の穴を通して第1および第2のプレートを接合する。締結具で2つのプレートを接合させるのに必要とされ得るので、各プレート上の同じ位置で両方のプレートに任意の数の1つまたは複数の締結具穴が存在してもよい。一部の例では、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、または32個の締結具穴が、各プレートにある。存在する締結具穴は、必要に応じて任意の形状またはサイズを有することができる。一部の例では、締結具穴は円形であり、ボルトなどの締結具に適した直径を有することができる。一部の例では、締結具穴には、ネジ式締結具を受容するようにネジが付けられていてもよい。締結具穴は、適切な任意の相対的配置構成で間隔を空けていてもよい。しかしながら、ある特定の例では、締結具穴は、プレートの1つまたは複数の縁部に存在することが好ましい。典型的には、締結具穴は、プレート上で均等に間隔を空けている。プレート上の締結具穴およびそれらの互いに対する相対的位置の非限定的な例を、
図4に示す。一部の例では、締結具穴の間の間隔は、互いに直ぐ隣にある2つの穴の間とすることができ、距離は、約5~600mmの範囲であり得る。一部の例では、締結具穴の間の間隔は、プレートの対向する縁上の2つの穴の間とすることができ、距離は、約5~600mmの範囲であり得る。さらに他の例では、締結具穴の間の間隔は、プレート上で互いに斜めに位置付けられた2つの穴の間とすることができ、距離は、約5~600mmの範囲であり得る。
【0121】
1つまたは複数の締結具は、存在し得る締結具穴のそれぞれを通して、第1(ベースまたは底部)のプレートおよび第2(上部)のプレートを締結するのに使用することができる。1つまたは複数の締結具は、ネジ式締結具、クランプ、クリップ、プッシュピン、リベット、空気プレス、液圧プレス、またはこれらの組合せから選択することができる。そのような締結具は、当技術分野で公知である。ネジ式締結具は、当技術分野で公知のものなどのボルトおよびナットとすることができる。一部の他の例では、ネジ式締結具は、当技術分野で公知のものなどの、ボルトおよびポット式インサートである。一部の例では、1つまたは複数のシムは、締結前にサーマルインターフェースのプレートの1つが湾曲または歪んでいるときなど、組み立て中にポット式インサートへの応力(複数可)を低減させることができ:1つまたは複数のシムが存在することを除いて同等であるサーマルインターフェースと比較して、ポット式インサートへの応力(複数可)の低減は、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、または90%である。使用される任意の種類の1つまたは複数の締結具は、鋼、チタン、アルミニウム、ナイロン、黄銅、青銅、および亜鉛から選択される材料など、任意の適切な材料で作製することができる。締結具がボルトを含む場合、ボルトは、適切な量のボルトトルクを使用して適用されてもよく、ボルトは、2つのプレート間の均一な締結が確実になるように、任意の適切な締付けパターンで締めてもよい。適切なボルト(およびナット)、ボルト締めトルク、およびボルト締めパターンの選択は、当技術分野で公知である。
【0122】
一部の例では、単層ガスケットは、黒鉛、炭素繊維、シリコーン、熱可塑性エラストマー、ゴム、およびアクリルから選択される材料で作製される。さらに一部の例では、単層ガスケットを構成する材料はさらに、当技術分野で公知の熱伝導性および/または導電性充填剤を含むことができる。単層ガスケットは、任意の適切な厚さを有することができる。一部の例では、厚さは約50μm~約500μmの間の範囲である。
【0123】
単層ガスケットは、約0.1MPa~約50MPa、約0.1MPa~約100MPa、約0.1MPa~約150MPa、または約0.1MPa~約200MPaの間の範囲の弾性率を有することができる。一部の例では、ステップ付きガスケットの層のそれぞれは、存在し得る場合、それぞれ独立して、約0.05cm2・℃/W~約1cm2・℃/W、0.05cm2・℃/W~約5cm2・℃/W、0.05cm2・℃/W~約2cm2・℃/W、0.05cm2・℃/W~約3cm2・℃/W、0.05cm2・℃/W~約4cm2・℃/W、または0.05cm2・℃/W~約5cm2・℃/Wの間の範囲のサーマルインターフェース抵抗を有することができる。
【0124】
一部の場合には、単層ガスケットは、底部(ベース)プレートに接着するために、接着剤(即ち、感圧接着剤または感熱接着剤)を、好ましくは底部(ベース)プレートに接触する側に含むことができる。
【0125】
1つまたは複数の締結具の周り、近く、および/または後ろでの1つまたは複数のシムの使用は、第1および/または第2のプレートの変形、反り、または湾曲を低減および/または軽減することができる。シムは、単層ガスケットと、プレートの変形、反り、または湾曲を示す第1および/または第2のプレートの少なくとも1つとの間の接触面積の増大をもたらす。例えば
図5Aおよび5Bは、シムの存在が、単層ガスケットと、屈曲を示す上部プレートとの間の接触面積の増大を誘発させることを示す。一部の例では、接触面積の増大は、シムが存在しない同じサーマルインターフェースの場合よりも少なくとも25%高い、30%高い、40%高い、または50%高い、サーマルインターフェースにわたる平均熱伝導度を提供する。熱伝導度は、サーマルインターフェースの表面間の単位温度差により誘発される、サーマルインターフェースまたはジョイントの単位面積を通る定常状態での熱流の時間速度と定義される。一部の他の例では、シムは、サーマルインターフェースまたはジョイントの第1および/または第2のプレートの温度の均一性の増大をもたらすこともできる。
【0126】
シムは、単層ガスケットの上部に配置されてもよい。あるいはシムは、単層ガスケットに接触しないような手法で配置されてもよい。1つまたは複数のシムは、1つもしくは複数の締結具またはプレート(複数可)に存在する締結具穴の周りに、近くに、および/または後ろに配置または位置付けることができる。一部の例では、1つまたは複数のシムは、単層ガスケットの高さに等しくなるように選択される高さを有する。一部の例では、1つまたは複数のシムは、プレートの最縁部など、可能な限り締結具穴および締結具からはるか後ろに位置決めされる。
【0127】
シムは、任意の適切な形状を有することができる。一部の例では、1つまたは複数のシムは、好ましくは環帯または半環帯形状を有し、円形、正方形、または長方形であってもよい。そのような半環帯形状シムは、1/4、1/2、1/3、または3/4半環帯形状シムとすることができる。さらに、または代替として、
図6Bに示されるように、第1および/または第2のプレートの少なくとも1つの隅、縁、および/または中心の周りに、近くに、および/または後ろに配置または位置付けられた正方形または長方形の形状を有するシムを使用することができる。
【0128】
一部の例では、シムは、金属箔、好ましくはアルミニウム箔または銅箔で作製される。一部の他の例では、シムは、黒鉛、炭素繊維、シリコーン、熱可塑性エラストマー、ゴム、およびアクリルから選択される材料で作製される。
【0129】
さらに他の例では、シムは:
第1の平面基材の両面から成長させた、垂直に整列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブアレイを含む、少なくとも第1の層または段層と、
第2の平面基材の両面から成長させた、垂直に整列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブアレイを含む、少なくとも第2の層または段層と
を含む、多層または多段層状構造体で作製され、
少なくとも第1の層または段層と少なくとも第2の層または段層は積層され、少なくとも第1の層または段層の垂直に整列したカーボンナノチューブは、互いに界面形成する少なくとも第2の層または段層の垂直に整列したカーボンナノチューブと少なくとも部分的に相互嵌合する。そのような多層または多段層状構造体、およびそれらの作製方法は、上および以下のセクションVIに記述される通りである。
【0130】
1つまたは複数のシムは独立して、任意の適切な範囲を有することができる。一部の例では、シムは、約25μm~約500μmの間の範囲の厚さを有する。一部の例では、シムはそれぞれ独立して、約5MPa~約130GPaの間の範囲の弾性率を示す。
IV.ステップ付きガスケットを有するサーマルインターフェースまたはジョイントを調製するための方法
【0131】
内部にステップ付きガスケットを有するサーマルインターフェースまたはジョイントは:
(1)第1および第2のプレートを用意するステップ;
(2)ステップ付きガスケットを用意するステップ;
(3)ステップ付きガスケットを、第1および第2のプレートの間に配置するステップ;
(4)第1および第2のプレートを1つまたは複数の締結具で接合するステップ
を含む方法であって;
第1および/または第2のプレートの少なくとも1つが、1つまたは複数の締結具により接合されたときに、プレートの変形、反り、または湾曲を示し;
ステップ付きガスケットが複数の層を含み、少なくとも第1のベース層と、第1のベース層の上部に第1のベース層と接触して、第1のベース層の表面積よりも小さい表面積を有する少なくとも第2の層とがあり;
ステップ付きガスケットの少なくとも第2の層が、ステップ付きではない単層ガスケットと比較したとき、プレートの変形、反り、または湾曲を示す第1および/または第2のプレートの少なくとも1つとの、少なくとも1つまたは複数の接触領域を提供する、
方法に従い、調製することができる。
【0132】
典型的には、1つまたは複数の締結具は、第1および第2のプレートに存在する1つまたは複数の締結具穴を通して第1および第2のプレートを接合する。
【0133】
方法の、一部の例では、2つのプレートは通常同じ材料で作製され、同じ形状および寸法、ならびに必要に応じて同じ厚さを有する。一部の例では、第1(底部またはベース)および第2(上部)のプレートは、正方形、長方形、円形、楕円形、または環形状を有する。典型的には、ステップ付きガスケットは、少なくとも第1のベース層に関して、第1および第2のプレートと同じ全体形状を有する。一部の例では、約>4mmの厚さを有するプレートは、高度に堅牢なプレートとみなすことができ、それに対して約<4mmの厚さを有するプレートは、中程度にまたは低度に堅牢なプレートとみなすことができる。一部の例では、プレートは独立して、約0.5~約30mm、約0.5~約20mm、または約0.5~約10mmの範囲、およびその範囲内の下位範囲の厚さを有する。ある特定の例では、両方のプレートは1/4インチの厚さのプレートである。
【0134】
一部の例では、第1(底部またはベース)および第2(上部)のプレートは独立して、アルミニウム、銅、鋼、チタン、亜鉛、金属マトリックス複合体(AlSiCまたはアルミニウム-黒鉛など)、および金属ラミネート構造体(ハニカムパネルまたは繊維金属ラミネートなど)から選択される材料で作製することができる。一部の例では、第1(底部またはベース)および第2(上部)のプレートは独立して、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、ナイロン、エポキシ、ガラス強化エポキシラミネート材料(FR4など)、高圧繊維ガラスラミネート(G10など)、繊維ガラス複合体、PEEK、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートグリコール、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ乳酸、PEDOT:PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート)、PARA、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド-イミド、およびポリエーテルイミドから選択されるプラスチックで作製することができる。さらに他の例では、第1(底部またはベース)および第2(上部)のプレートは独立して、アルミナ、窒化アルミニウム、ジルコニア、ジルコニアアルミナ、酸化ベリリウム、炭素繊維、黒鉛、炭化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、Y2O3、TiC、SrAl2O3、ZrC、HfC、TaC、ZrB2、HfB2、Mo2B5、MoSi2 TiN、YrN、同時焼成セラミック(リン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、モリブデン酸塩、バナジン酸塩、テルル酸塩、およびタングステン酸塩からなるものを含む高温同時焼成セラミック(HTCC)、低温同時焼成セラミック(LTCC)、超低温同時焼成セラミック(ULTCC)を含む)から選択されるセラミックで作製することができる。
【0135】
サーマルインターフェースまたはジョイントの上部および底部プレートは、1つまたは複数の締結具によって締結され、1つまたは複数の締結具は、上部および底部プレートに存在する1つまたは複数の穴を通して第1および第2のプレートを接合する。締結具で2つのプレートを接合させるのに必要とされ得るので、各プレート上の同じ位置で両方のプレート上に任意の数の1つまたは複数の締結具穴が存在してもよい。一部の例では、各プレート上に少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、または32個の締結具穴がある。存在する締結具穴は、必要に応じて任意の形状またはサイズを有することができる。一部の例では、締結具穴は、円形であり、ボルトなどの締結具に適した直径を有することができる。一部の例では、締結具穴は、ネジ式締結具を受容するようにネジが付けられていてもよい。締結具穴は、適切な任意の相対的配置構成で間隔を空けていてもよい。しかしながら、ある特定の例では、締結具穴は、プレートの1つまたは複数の縁部に存在することが好ましい。典型的には、締結具穴は、プレート上で均等に間隔を空けている。一部の例では、締結具穴の間の間隔は、互いに直ぐ隣にある2つの穴の間とすることができ、距離は、約5~600mmの範囲であり得る。一部の例では、締結具穴の間の間隔は、プレートの対向する縁にある2つの穴の間とすることができ、距離は、約5~600mmの範囲であり得る。さらに他の例では、締結具穴の間の間隔は、プレート上で互いに斜めに位置付けられる2つの穴の間とすることができ、距離は、約5~600mmの範囲であり得る。
【0136】
1つまたは複数の締結具は、第1(ベースまたは底部)のプレートおよび第2(上部)のプレートを、存在し得る締結具穴のそれぞれを通して締結するのに使用することができる。1つまたは複数の締結具は、ネジ式締結具、クランプ、クリップ、プッシュピン、リベット、空気プレス、液圧プレス、またはこれらの組合せから選択することができる。そのような締結具は、当技術分野で公知である。ネジ式締結具は、当技術分野で公知のものなどの、ボルトおよびナットとすることができる。一部の他の例では、ネジ式締結具は、当技術分野で公知のものなどの、ボルトおよびポット式インサートである。使用される任意の種類の1つまたは複数の締結具は、鋼、チタン、アルミニウム、ナイロン、黄銅、青銅、および亜鉛から選択される材料など、任意の適切な材料で作製することができる。締結具がボルトを含む場合、ボルトは、適切な量のボルトトルクを使用して適用されてもよく、ボルトは、2つのプレート間の均一な締結を確実にするため、任意の適切な締付けパターンで締め付けられてもよい。適切なボルト(およびナット)、ボルト締めトルク、およびボルト締めパターンの選択は、当技術分野で公知である。
【0137】
上述の方法で使用されるステップ付きガスケットは、第1のベース層と、その上に少なくとも第2の層とを含む。第3、第4、または第5の層などの追加の層が含まれてもよい。第1のベース層および他の層は、必要に応じて任意の適切な形状または厚さを有することができる。より典型的には、第1のベース層および他の層は、同じ形状を有する(即ち、正方形、長方形、円形、規則的なまたは不規則な形状など)。一部の例では、ステップ付きガスケットは、その間に配置されているプレートの全面積を覆う寸法を有する第1のベース層を有する。一部の他の例では、ステップ付きガスケットは、プレートの面積の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%を覆うなど、その間に配置されているプレートの全面積よりも小さい寸法を有する第1のベース層を有する。ステップ付きガスケットの第1のベース層は、プレートに存在する締付け穴に適応するように切り抜かれた穴を含んでいてもよい。後続の各層は、その下の層よりもサイズ(面積)が小さい。一部の例では、上にある層は、その下の層の面積のサイズよりも約1%~50%の間の面積を有する。例えば、第2の層は、第1のベース層の面積の約1%~75%または約1%~50%の面積を有していてもよく、第3の層は、存在する場合、第2の層の場合よりも面積サイズが約1%~75%または約1%~50%小さくてもよい。同じことが、それらが存在している層に対する追加の層にも当てはまる。一部の場合には、ステップ付きガスケットの層のそれぞれは、存在し得る場合、それぞれ独立して、約50μm~約500μmの間の範囲の厚さを有することができる。さらに、一部の場合には、ステップ付きガスケットの層の間の高さの増大は、約500μm未満、約250μm未満、約150μm未満、または約75μm未満であるように選択される。一部の例では、ステップ付きガスケットの層の間の高さの増大は、ガスケット層を圧縮性および弾性の基礎とみなしつつ、Euler-Bernoulli梁理論、Timoshenko梁理論、またはKirchhoff-Loveプレート理論を使用することによって予測されるように、締結具の負荷の下、接触表面からの理論上の反りに基づいて決定することができる。
【0138】
方法の、一部の例では、ステップ付きガスケットの複数の層のそれぞれは独立して、黒鉛、炭素繊維、シリコーン、熱可塑性エラストマー、ゴム、およびアクリルから選択される材料で作製することができる。典型的には、少なくとも2つの層を有する各ステップ付きガスケットは、適切な場合には層の数およびそれぞれの厚さが様々であってもよい、同一の材料で作製された層で作製される。一部の例では、種々の材料タイプの層を使用することができる。さらに一部の例では、ステップ付きガスケットの各層を構成する材料はさらに、当技術分野で公知の熱伝導性および/または導電性充填剤を含むことができる。
【0139】
さらに他の場合には、第1のベース層は、好ましくはその上にいかなる追加の層も有さない側に、接着剤(即ち、感圧接着剤または感熱接着剤)を含むことができる。
【0140】
一部の場合には、ステップ付きガスケットは、カーボンナノチューブアレイまたはシートを備える多層または多段層状構造体で作製することができる。例えばステップ付きガスケットは:
第1の平面基材の両面から成長させた、垂直に整列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブアレイを含む、少なくとも第1の層または段層と、
第2の平面基材の両面から成長させた、垂直に整列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブアレイを含む、少なくとも第2の層または段層と
を備える、多層または多段層状構造体とすることができ、
少なくとも第1の層または段層と少なくとも第2の層または段層は積層され、少なくとも第1の層または段層の垂直に整列したカーボンナノチューブは、互いに界面形成する少なくとも第2の層または段層の垂直に整列したカーボンナノチューブと少なくとも部分的に相互嵌合する。多層または多段層状構造体で作製されるそのようなステップ付きガスケット、およびそれらの作製方法は、上ならびにセクションIIおよびVIに記述される通りである。
【0141】
一部の例では、方法はさらに、ステップ(4)の前に、第1および第2のプレートの間に1つまたは複数のシムを配置するステップを含む。一部の場合には、シムは、ステップ(3)の間またはステップ(3)の前もしくは後に配置される。1つまたは複数のシムは、1つまたは複数の締結具またはプレートに存在する締結具穴の周りに、近くに、および/または後ろに配置または位置付けることができる。
【0142】
シムは、任意の適切な形状を有することができる。一部の例では、1つまたは複数のシムは、好ましくは、円形、正方形、または長方形であってもよい、環帯または半環帯形状を有する。そのような半環帯形状シムは、1/4、1/2、1/3、または3/4半環帯形状シムとすることができる。さらに、または代替として、第1および/または第2のプレートの少なくとも1つの隅、縁、および/または中心の周りに、近くに、および/または後ろに配置または位置付けられた正方形または長方形の形状を有するシムを使用することができる。一部の例では、1つまたは複数のシムは、ステップ付きガスケットの第1の層の高さに等しくなるように選択された高さを有する。一部の例では、1つまたは複数のシムは、プレートの最縁部など、可能な限り締結具穴および締結具のはるか後ろに位置決めされる。
【0143】
方法の、一部の例では、シムは、金属箔、好ましくはアルミニウム箔または銅箔で作製される。一部の他の例では、シムは、黒鉛、炭素繊維、シリコーン、熱可塑性エラストマー、ゴム、およびアクリルから選択される材料で作製される。
【0144】
さらに他の例では、シムは:
第1の平面基材の両面から成長させた、垂直に整列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブアレイを含む、少なくとも第1の層または段層と、
第2の平面基材の両面から成長させた、垂直に整列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブアレイを含む、少なくとも第2の層または段層と
を含む、多層または多段層状構造体で作製され、
少なくとも第1の層または段層と少なくとも第2の層または段層は積層され、少なくとも第1の層または段層の垂直に整列したカーボンナノチューブは、互いに界面形成する少なくとも第2の層または段層の垂直に整列したカーボンナノチューブと少なくとも部分的に相互嵌合する。そのような多層または多段層状構造体、およびそれらの作製方法は、上および以下のセクションVIに記述される通りである。
【0145】
1つまたは複数のシムは独立して、任意の適切な範囲を有することができる。一部の例では、シムは、約25μm~約500μmの間の範囲の厚さを有する。一部の例では、シムはそれぞれ独立して、約5MPa~約130GPaの間の範囲の弾性率を示す。
V.シムを有するサーマルインターフェースまたはジョイントを調製するための方法
【0146】
内部にシムを有するサーマルインターフェースまたはジョイントは:
(1)第1および第2のプレートを用意するステップ;
(2)単層ガスケットを用意するステップ;
(3)第1および第2のプレートの間に単層ガスケットを配置するステップ;
(4)第1および第2のプレートの間に1つまたは複数のシムを配置するステップ;
(5)第1および第2のプレートを1つまたは複数の締結具で接合するステップ
を含む方法であって;
第1および/または第2のプレートの少なくとも1つが、1つまたは複数の締結具により接合されたときに、プレートの変形、反り、または湾曲を示し;
1つまたは複数のシムが、1つまたは複数の締結具の周りに、近くに、および/または後ろに存在して、第1および/または第2のプレートの変形、反り、または湾曲を低減および/または軽減する、
方法に従い調製することができる。
【0147】
一部の例では、ステップ(3)および(4)は、単一ステップに組み合わされてもよい。
【0148】
記述される方法に関し、2つのプレートは通常、同じ材料で作製され、同じ形状および寸法、ならびに必要に応じて同じ厚さを有する。一部の例では、第1(底部またはベース)および第2(上部)のプレートは、正方形、長方形、円形、楕円形、または環形状を有する。典型的には、単層ガスケットは、少なくとも第1のベース層に関して、第1および第2のプレートと同じ全体形状を有する。一部の例では、約>4mmの厚さを有するプレートは高度に堅牢なプレートとみなすことができ、それに対して約<4mmの厚さを有するプレートは、中程度にまたは低度に堅牢なプレートとみなすことができる。一部の例では、プレートは独立して、約0.5~約30mm、約0.5~約20mm、または約0.5~約10mmの範囲、およびその範囲内の下位範囲の厚さを有する。ある特定の例では、両方のプレートは1/4インチの厚さのプレートである。
【0149】
一部の例では、第1(底部またはベース)および第2(上部)のプレートは独立して、アルミニウム、銅、鋼、チタン、亜鉛、金属マトリックス複合体(AlSiCまたはアルミニウム-黒鉛など)、および金属ラミネート構造体(ハニカムパネルまたは繊維金属ラミネートなど)から選択される材料で作製することができる。一部の例では、第1(底部またはベース)および第2(上部)のプレートは独立して、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、ナイロン、エポキシ、ガラス強化エポキシラミネート材料(FR4など)、高圧繊維ガラスラミネート(G10など)、繊維ガラス複合体、PEEK、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートグリコール、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ乳酸、PEDOT:PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート)、PARA、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド-イミド、およびポリエーテルイミドから選択されるプラスチックで作製することができる。さらに他の例では、第1(底部またはベース)および第2(上部)のプレートは独立して、アルミナ、窒化アルミニウム、ジルコニア、ジルコニアアルミナ、酸化ベリリウム、炭素繊維、黒鉛、炭化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、Y2O3、TiC、SrAl2O3、ZrC、HfC、TaC、ZrB2、HfB2、Mo2B5、MoSi2 TiN、YrN、同時焼成セラミック(リン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、モリブデン酸塩、バナジン酸塩、テルル酸塩、およびタングステン酸塩からなるものを含む高温同時焼成セラミック(HTCC)、低温同時焼成セラミック(LTCC)、超低温同時焼成セラミック(ULTCC)を含む)から選択されるセラミックで作製することができる。
【0150】
サーマルインターフェースまたはジョイントの上部および底部プレートは、上部および底部プレートに存在する1つまたは複数の穴を通して第1および第2のプレートを接合する、1つまたは複数の締結具によって締結される。締結具で2つのプレートを接合させるのに必要となり得るので、各プレート上の同じ位置で両方のプレート上に任意の数の1つまたは複数の締結具穴が存在してもよい。一部の例では、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、または32個の締結具穴が各プレートにある。存在する締結具穴は、必要に応じて任意の形状またはサイズを有することができる。一部の例では、締結具穴は円形であり、ボルトなどの締結具に適した直径を有することができる。一部の例では、締結具穴は、ネジ式締結具を受容するようにネジが付けられていてもよい。締結具穴は、適切な任意の相対的配置構成で間隔を空けていてもよい。しかしながら、ある特定の例では、締結具穴は、プレートの1つまたは複数の縁部に存在することが好ましい。典型的には、締結具穴は、プレート上で均等に間隔を空けている。プレート上の締結具穴およびそれらの互いに対する相対的位置の非限定的な例を、
図4に示す。一部の例では、締結具穴の間の間隔は、互いに直ぐ隣にある2つの穴の間とすることができ、距離は約5~600mmの範囲であり得る。一部の例では、締結具穴の間の間隔は、プレートの対向する縁部上の2つの穴の間とすることができ、距離は約5~600mmの範囲であり得る。さらに他の例では、締結具穴の間の間隔は、プレート上で互いに斜めに位置付けられた2つの穴の間とすることができ、距離は約5~600mmの範囲であり得る。
【0151】
1つまたは複数の締結具は、存在し得る締結具穴のそれぞれを通して、第1(ベースまたは底部)のプレートおよび第2(上部)のプレートを締結するのに使用することができる。1つまたは複数の締結具は、ネジ式締結具、クランプ、クリップ、プッシュピン、リベット、空気プレス、液圧プレス、またはこれらの組合せから選択することができる。そのような締結具は、当技術分野で公知である。ネジ式締結具は、当技術分野で公知のものなどのボルトおよびナットとすることができる。一部の他の例では、ネジ式締結具は、当技術分野で公知のものなどのボルトおよびポット式インサートである。使用される任意の種類の1つまたは複数の締結具は、鋼、チタン、アルミニウム、ナイロン、黄銅、青銅、および亜鉛から選択される材料など、任意の適切な材料で作製することができる。締結具がボルトを含む場合には、ボルトは、適切な量のボルトトルクを使用して適用されてもよく、ボルトは、2つのプレート間を均一に締結するのを確実にするために任意の適切な締付けパターンで締め付けられてもよい。適切なボルト(およびナット)、ボルト締めトルク、およびボルト締めパターンの選択は、当技術分野で公知である。
【0152】
方法の、一部の例では、単層ガスケットは、黒鉛、炭素繊維、シリコーン、熱可塑性エラストマー、ゴム、およびアクリルから選択される材料で作製される。さらに一部の例では、単層ガスケットを構成する材料はさらに、当技術分野で公知の熱伝導性および/または導電性充填剤を含むことができる。単層ガスケットは、任意の適切な厚さを有することができる。一部の例では、厚さは約50μm~約500μmの間の範囲である。
【0153】
一部の場合には、単層ガスケットは、底部(ベース)プレートに接着するために、好ましくは底部(ベース)プレートに接触する側に、接着剤(即ち、感圧接着剤または感熱接着剤)を含むことができる。
【0154】
1つまたは複数の締結具の周りに、近くに、および/または後ろにある1つまたは複数のシムの使用は、第1および/または第2のプレートの変形、反り、または湾曲を低減および/または軽減することができる。シムは、単層ガスケットと、プレートの変形、反り、または湾曲を示す第1および/または第2のプレートの少なくとも1つとの間の接触面積の増大をもたらす。例えば
図5Aおよび5Bは、シムの存在が、単層ガスケットと、屈曲を示す上部プレートとの間の接触面積の増大を誘発させることを示す。
【0155】
シムは、単層ガスケットの上部に配置されてもよい。あるいはシムは、単層ガスケットに接触しないような手法で配置されてもよい。1つまたは複数のシムは、1つまたは複数の締結具、またはプレートに存在する締結具穴の周りに、近くに、および/または後ろに配置または位置付けることもできる。一部の例では、1つまたは複数のシムは、単層ガスケットの高さに等しくなるように選択される高さを有する。一部の例では、1つまたは複数のシムは、プレートの最縁部など、可能な限り締結具穴および締結具のはるか後ろに位置決めされる。
【0156】
シムは、任意の適切な形状を有することができる。一部の例では、1つまたは複数のシムは、好ましくは、円形、正方形、または長方形であってもよい環帯または半環帯形状を有する。そのような半環帯形状シムは、1/4、1/2、1/3、または3/4半環帯形状シムとすることができる。さらに、または代替として、
図6Bに示されるように、第1および/または第2のプレートの少なくとも1つの隅、縁、および/または中心の周りに、近くに、および/または後ろに配置または位置付けられた正方形または長方形の形状を有するシムを使用することができる。
【0157】
一部の例では、シムは、金属箔、好ましくはアルミニウム箔または銅箔で作製される。一部の他の例では、シムは、黒鉛、炭素繊維、シリコーン、熱可塑性エラストマー、ゴム、およびアクリルから選択される材料で作製される。
【0158】
さらに他の例では、シムは:
第1の平面基材の両面から成長させた、垂直に整列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブアレイを含む、少なくとも第1の層または段層と、
第2の平面基材の両面から成長させた、垂直に整列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブアレイを含む、少なくとも第2の層または段層と
を含む、多層または多段層状構造体で作製され、
少なくとも第1の層または段層と少なくとも第2の層または段層は積層され、少なくとも第1の層または段層の垂直に整列したカーボンナノチューブは、互いに界面形成する少なくとも第2の層または段層の垂直に整列したカーボンナノチューブと少なくとも部分的に相互嵌合する。そのような多層または多段層状構造体、およびそれらの作製方法は、セクションIIおよび以下のVIに記述される通りである。
VI.多層または多段層状構造体を調製するための方法
【0159】
上で論じられた、積層されたカーボンナノチューブアレイまたはシートで作製される多層または多段層状構造体は、下記の通り調製することができる。これらの多層または多段層状構造体は、ステップ付きガスケットとして使用することができるか、または他の箇所に記述されるようにステップ付きガスケットの1つまたは複数の層ならびにシムを形成し得る。
A.カーボンナノチューブアレイ
【0160】
カーボンナノチューブアレイは、当技術分野で周知の技法を使用して調製することができる。一実施形態では、アレイは、参照により本明細書に組み込まれる米国公開第2014-0015158-A1号に記載されるように調製される。この方法は、稠密な垂直に整列したCNTアレイの成長を促進させ、CNTと金属表面との間に優れた接着をもたらすために、多層基材の使用を含む。
【0161】
多層基材は、金属表面などの不活性支持体上に堆積された3つまたはそれよりも多くの層を備える。一般に、多層基材は、不活性支持体の表面に堆積された、接着層、界面層、および触媒層を備える。一般に支持体は、少なくとも部分的には、アルミニウム、白金、金、ニッケル、鉄、スズ、鉛、銀、チタン、インジウム、銅、またはこれらの組合せなどの金属から形成される。ある特定の例では、支持体は、アルミニウム箔または銅箔などの金属箔である。支持体はまた、熱交換の適用例で使用される従来のヒートシンクまたはヒートスプレッダーなど、デバイスの表面であってもよい。
【0162】
接着層は、支持体に対する界面層の接着を改善する材料で形成される。ある特定の実施形態では、接着層は、鉄の薄膜である。一般に接着層は、CNTを形成するのに使用される高温で連続フィルムのままになるように、十分厚くなければならない。接着層は一般に、高温でのCNT合成中の酸化物および炭化物の形成に対する耐性も提供する。
【0163】
界面層は好ましくは、適切な金属酸化物を形成するために、ナノチューブ合成の条件下でまたはナノチューブ合成後の空気への曝露中に酸化される金属から形成される。適切な材料の例には、アルミニウムが含まれる。あるいは、界面層は、酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素などの金属酸化物から形成されてもよい。一般に界面層は、界面層を通して触媒層および接着層を拡散させるように十分薄い。触媒層および接着層が同じ組成を有する一部の実施形態では、これにより、界面層内への触媒の移行が低減し、ナノチューブ成長中の触媒の寿命が改善する。
【0164】
触媒層は典型的には、化学蒸着を介してカーボンナノチューブの形成を触媒することができる遷移金属から形成される薄膜である。触媒層を形成するのに使用することができる、適切な材料の例には、鉄、ニッケル、コバルト、ロジウム、パラジウム、およびこれらの組合せが含まれる。一部の実施形態では、触媒層は鉄で形成される。触媒層は、ナノチューブ形成中に使用されるアニール条件下で触媒ナノ粒子または凝集体を形成するのに適切な厚さのものである。
【0165】
他の実施形態では、多層基材は、CNTアレイの成長のための触媒表面として働く。これらの例では、化学蒸着を使用するCNT成長のプロセスは、多層基材のモルフォロジーを変化させる。具体的には、加熱すると、界面層は金属酸化物に変換され、接着層上に堆積される金属酸化物ナノ粒子または凝集体の層または部分層を形成する。触媒層は、金属酸化物ナノ粒子または凝集体上に堆積される一連の触媒ナノ粒子または凝集体を同様に形成する。CNT成長中、CNTは、触媒ナノ粒子または凝集体から生じる。得られるCNTアレイは、接着層、金属酸化物ナノ粒子もしくは凝集体、および/または触媒ナノ粒子もしくは凝集体を介して不活性支持体に固着されたCNTを備える。
【0166】
特定の実施形態では、多層基材は、金属表面上に堆積された、厚さが約30nmの鉄接着層、厚さが約10nmのアルミニウムまたはアルミナ界面層、および厚さが約3nmの鉄触媒層から形成される。この実施形態では、鉄接着層は、金属表面およびAl(成長後のアルミナナノ粒子または凝集体)またはAl2O3界面層の両方に接着する。鉄触媒層は、そこからCNTが成長する鉄ナノ粒子または凝集体を形成する。これらの鉄ナノ粒子または凝集体は、下のアルミナにも結合される。
【0167】
その結果、十分に結合された界面は、酸化物界面材料の両側に存在する。金属/金属酸化物界面の、鉄-アルミナ界面は、結合および化学相互作用に関して最強のものの1つであることが公知である。さらに金属(例えば、鉄接着層および金属表面)は、強力な電子カップリングにより、互いに十分に結合する傾向がある。その結果、CNTは、金属表面に強力に固着される。
【0168】
さらに、ナノチューブ成長中の触媒層からの鉄の表面下拡散は、同じ金属が酸化物支持体の両側にあり、それが通常は拡散を推進し得る濃度勾配のバランスをとるので、低減される。したがって触媒は、成長中に枯渇せず、アレイ中のナノチューブの成長速度、密度、および収率を改善する。
【0169】
一部の実施形態では、CNTアレイは、上述の多層基材上に複数のCNTを垂直に整列させることによって形成される。これは例えば、CNTのアレイを、多層基材上に成長させたCNTの遠位端に移すことによって、実現することができる。一部の実施形態では、高いCNTアレイが、多層基材上の非常に短いCNTの遠位端に移される。この技法は、結合のための表面積を増大させることによって、結合強度を改善する。
【0170】
CNTアレイまたはシート用の不活性支持体は、アルミニウム箔などの一片の金属箔とすることができる。これらの場合には、CNTは、接着層、金属酸化物ナノ粒子または凝集体、および触媒ナノ粒子または凝集体を介して金属箔の表面に固着される。一部の例では、金属箔の1つの表面(即ち、側)のみが、表面に固着された整列したCNTのアレイまたはシートを備える。他の場合では、金属箔の両方の表面(即ち、側)が、表面に固着された整列したCNTのアレイまたはシートを備える。他の実施形態では、CNTアレイまたはシート用の不活性支持体は、従来の金属ヒートシンクまたはヒートスプレッダーの表面である。これらの場合には、CNTは、接着層、金属酸化物ナノ粒子または凝集体、および触媒ナノ粒子または凝集体を介して、ヒートシンクまたはヒートスプレッダーの表面に固着される。次いでこの機能化ヒートシンクまたはヒートスプレッダーは、集積回路パッケージなど、熱源に隣接または接着してもよい。
B.カーボンナノチューブシート
【0171】
カーボンナノチューブシートは、当技術分野で周知の技法を使用して調製することができる。一実施形態では、シートは、米国特許第7,993,620号に記載されるように調製される。この実施形態では、CNT塊が、成長チャンバー内でin-situで金属箔基材上に収集されてシートにされる。次いでシートは、溶媒を除去することによって稠密化することができる。別の実施形態では、CNTシートは、溶媒中に分散されたCNT塊の真空濾過によって作製される。
C.コーティングされたナノチューブアレイおよびシート
1.ポリマーコーティング
【0172】
コーティングされることになるポリマーは、1種または複数種の溶媒に溶解し、上述のように基材上に成長させた垂直CNTフォレストもしくはアレイ上に、またはシート上に、噴霧もしくは浸漬コーティングするまたは化学的にもしくは電気化学的に堆積することができる。コーティング材料は、上述のように、基材上に成長させた垂直CNTフォレストもしくはアレイの上部に、またはCNTシート上に、粉末形態で噴霧コーティングすることもできる。コーティングは、ファンデルワールス結合、π-πスタッキング、機械的ラッピング、および/または共有結合によりCNTに結合する、ならびにファンデルワールス結合、π-πスタッキング、および/または共有結合により金属、金属酸化物、または半導体材料表面に結合するポリマーまたは分子を含む。
【0173】
噴霧または浸漬コーティングに関し、コーティング溶液は、適切な溶媒中で適切な長さの時間、コーティング材料を超音波処理または撹拌することによって調製することができる。溶媒は、典型的には有機溶媒または溶媒であり、例えば室温または高温での蒸発によって容易に除去される溶媒であるべきである。適切な溶媒には、限定するものではないがクロロホルム、キシレン、ヘキサン、ピリジン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、およびこれらの組合せが含まれる。ポリマーは、ミクロン規模の粒度を有する粉末、即ち約100、50、40、20、10マイクロメートル未満の直径を有する粒子を使用して、乾燥形態で噴霧コーティングすることもできる。この実施形態では、ポリマー粉末は、噴霧堆積された後に粉末粒子をさらに連続したコーティングへと拡げるために、溶媒に浸すかまたは液体溶融物へと加熱する必要があると考えられる。
【0174】
コーティングの厚さは、一般に1~1000nmの間、好ましくは1~500nmの間、より好ましくは1~100nmの間、最も好ましくは1~50nmの間である。一部の実施形態では、コーティングの厚さは、500、450、400、350、300、250、200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20、または10nm未満である。
【0175】
噴霧コーティングプロセスは、CNT先端へのコーティングの堆積を制限し、溶媒の乾燥に関連した毛管力に起因するクランピングを限定する。CNTアレイ上に見られるコーティングの量は、噴霧回数と共に増大する。商用規模でコーティングするのにより適切な技法も含めた代替技法を、CNTアレイ上にコーティング材料を噴霧コーティングするのに使用することができる。
【0176】
コーティングプロセスを実証する別の実施形態では、CNTシートがコーティング溶液中または溶融コーティング中に浸漬されて、シートの厚さ全体を通してCNTをコーティングし、シートの熱伝導度を、平面横断方向に20、30、50、または70%よりも大きく増大させる。次いでこれらのコーティングされたシートを、溶媒または熱の適用により、チップとヒートシンクまたはヒートスプレッダーとの間に配置して、ポリマーをリフローし、CNTシートをチップとヒートシンクまたはスプレッダーとの間で結合して、チップとヒートシンクまたはヒートスプレッダーとの間の熱抵抗を低減させる。
【0177】
他の実施形態では、コーティング材料は、化学的堆積(例えば、化学蒸着(CVD))、エアロゾル噴霧堆積、および電気化学的堆積など、当技術分野で公知の堆積技法を使用してCNTアレイまたはシート上に堆積することができる。
【0178】
一実施形態では、ポリマーコーティングは、電気化学的堆積によって付着させることができる。電気化学的堆積では、ポリマーのモノマーを電解質に溶解し、CNTアレイまたはシートを、対電極と反対の作用電極として使用する。電位は、第3の参照電極に対し、作用電極と対電極との間に印加される。モノマーは、印加電位の結果として電解質に面するCNTアレイの先端またはシート側壁で電気酸化される。電位が印加される合計時間を制御することにより、堆積されるポリマー層の厚さを制御する。
【0179】
一部の実施形態では、コーティング材料は、1種または複数種のオリゴマーおよび/もしくはポリマー材料であるか、またはこれらを含有する。特定の実施形態では、ポリマーは、芳香族および非芳香族共役ポリマーを含む共役ポリマーとすることができる。適切なクラスの共役ポリマーには、ポリチオフェン(アルキル置換ポリチオフェンを含む)、ポリスチレン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリフルオレン、ポリフェニレン、ポリピレン、ポリアズレン、ポリナフタレン、ポリカルバゾール、ポリインドール、ポリアセピン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(p-フェニルスルフィド)、およびポリ(p-フェニレンビニレン)を含むがこれらに限定されないポリ芳香族およびポリ複素芳香族が含まれる。適切な非芳香族ポリマーには、限定するものではないが、ポリアセチレンおよびポリジアセチレンが含まれる。上に列挙されたポリマーのクラスは、ポリマー主鎖が、アルキル基などの1個または複数の官能基で置換された、置換ポリマーを含む。一部の実施形態では、ポリマーはポリスチレン(PS)である。他の実施形態では、ポリマーはポリ(3-ヘキシチオフェン)(P3HT)である。
【0180】
他の実施形態では、ポリマーは非共役ポリマーである。適切な非共役には、限定するものではないが、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリシロキサン、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、およびこれらの組合せ(ブレンド)が含まれる。
【0181】
他の実施形態では、ポリマーはパラフィンワックスである。他の実施形態では、ポリマーは、Fischer-Tropschワックスまたはポリエチレンワックスなどの合成ワックスである。他の実施形態では、ポリマーは、80、90、100、110、および120℃よりも上の、好ましくは130℃よりも上の融解温度を有するワックスである。
【0182】
一部の他の実施形態では、ポリマーは、限定するものではないが、改善された表面接着を提供するようにワックス、粘着剤、およびポリマー基剤を組み合わせたホットグルーまたはホットメルト接着剤などの接着剤である。一部の実施形態では、接着剤は、感圧接着剤である。ある特定の他の実施形態では、接着剤は、シアノアクリレートなど、空気または水との接触により重合するモノマーである。さらに他の実施形態では、接着剤は、感圧接着剤ポリマーと熱活性化(または活性化可能な)接着剤ポリマーとの組合せであり、これは、感圧接着剤、ならびに感熱接着剤による追加のおよびより永続的なまたは半永続的な接着によって、コーティングのそのような組合せを含む本明細書に記述される多層または多段層状構造体の表面(複数可)への接着の容易さを高める。
2.金属のナノ粒子
【0183】
CNTアレイまたはシートは、1種または複数種の金属ナノ粒子でコーティングすることができる。1種または複数種の金属ナノ粒子は、CNTの遠位端を表面に結合する、CNTアレイまたはシートと表面との間の熱抵抗を低減する、あるいはこれらの組合せになるように、CNTの遠位端および/または側壁に吸着されてもよい。金属ナノ粒子は、当技術分野で公知の様々な方法を使用して、CNTアレイまたはシートに付着することができる。例えば、パラジウムヘキサデカンチオレートなどの金属チオレートの溶液は、CNTの遠位端および/または側壁に噴霧またはスピンコーティングすることができ、有機物をベークオフしてパラジウムナノ粒子を残すことができる。別の例では、電子線またはスパッタ堆積を使用して、金属ナノ粒子またはナノ粒子の接続された「フィルム様」アセンブリを、CNTの遠位端および/または側壁にコーティングすることができる。金属粒子は、コーティングと同時にまたはコーティングの前もしくは後にコーティングすることができる。
【0184】
適切な金属ナノ粒子の例には、パラジウム、金、銀、チタン、鉄、ニッケル、銅、およびこれらの組合せが含まれる。
3.流動性または相変化材料
【0185】
ある特定の実施形態では、流動性または相変化材料を、CNTアレイまたはシートに付着させることができる。流動性または相変化材料は、CNT間の空気にとって代わってCNTの遠位端と表面との間の接触を改善するように、CNTアレイまたはシートに添加されてもよく、その結果、アレイもしくはシートの熱抵抗、およびアレイもしくはシートと表面との間の接触が低減するか、またはこれらの組合せとなる。流動性または相変化材料は、当技術分野で公知の様々な方法を使用して、CNTアレイまたはシートに付着させることができる。例えば、それらの液体状態にある流動性または相変化材料は、この液体と部分的にまたは完全に接触させてCNTアレイまたはシートを配置することによってCNTアレイまたはシートに吸い込まれ得る。
【0186】
適切な流動性または相変化材料の例には、一般にパラフィンワックス、ポリエチレンワックス、炭化水素系ワックス、およびこれらのブレンドが含まれる。ワックスでもポリマーでもない適切な流動性または相変化材料の他の例には、液体金属、油、有機-無機および無機-無機共晶、ならびにこれらのブレンドが含まれる。一部の実施形態では、コーティング材料(複数可)および流動性または相変化材料は同じである。
【0187】
上述のコーティング、金属粒子、および/または流動もしくは相変化材料は、CNTアレイまたはシートに直接付着させることができ、コーティングされたCNTアレイまたはシートは、引き続き積層されて多層または多段層状構造体を形成することができる。ある特定の他の実施形態では、上述のコーティング、金属粒子、および/または流動もしくは相変化材料は、2つまたはそれよりも多くのCNTアレイまたはシートの積層中に付着される。さらに他の実施形態では、上述のコーティング、金属粒子、および/または流動もしくは相変化材料は、2つまたはそれよりも多くのCNTアレイまたはシートの積層に続いて付着される。非限定的な実施形態では、多層または多段層状構造体(複数可)は、2つまたはそれよりも多くのCNTアレイまたはシートを最初に積層し、次いで形成された構造体の少なくとも部分的に相互嵌合する段層に1つまたは複数のコーティング、金属粒子、および/または流動もしくは相変化材料、またはこれらの組合せを浸潤させることによって、形成される。積層の前、間、または後の、多層または多段層状構造体(複数可)の少なくとも部分的に相互嵌合する段層へのそのようなコーティング/材料の導入は、CNTアレイまたはシートの積層から得られる多層または多段層状構造体の熱移動または熱抵抗特性を、修正および/または高めるのに使用することができる。
D.多層または多段層状構造体
【0188】
本明細書に記述される実施形態では、ステップ付きガスケットおよびシムとして使用することができる多層または多段層状構造体は、CNTアレイまたはシートを積層することによって形成され:
(1)少なくとも2つまたはそれよりも多くのCNTアレイまたはシートを用意するステップと;
(2)少なくともCNTアレイまたはシートを積層するステップと
を含む方法であって、
積層するステップが、アレイまたはシートのナノ構造、CNTの少なくとも部分的な相互嵌合をもたらす、
方法によって形成される。一部の実施形態では、多層または多段層状構造体を作製する方法はさらに、上述のコーティング、金属のナノ粒子のコーティング、および/または流動性もしくは相変化材料のコーティングを付着させるかまたは浸潤させるステップを含む。一部の実施形態では、コーティング、金属のナノ粒子のコーティング、および/または流動性もしくは相変化材料のコーティングを付着させるかまたは浸潤させるステップは、積層の前に、あるいは積層中に、あるいは積層後に行う。さらに他の実施形態では、方法は、積層ステップ中に圧力を加えることを含む。加えられる圧力は、約1~100psi、1~50psi、1~30psi、より好ましくは約1~20psi、最も好ましくは約1~15psiの範囲にあってよい。一部の実施形態では、圧力は約15psiである。圧力は、接着剤または相変化材料などの結合剤として作用することができるコーティング材料(複数可)が使用される場合、隣接する段層が結合されるまで連続的に加えられてもよい。圧力は、任意の適切な長さの時間にわたり加えられてよい。一部の実施形態では、結合剤が使用されない場合、1分未満などのほんの短い時間が使用される。
【0189】
少なくとも2つのCNTアレイまたはシートは、多層または多段層状構造体が形成されるように積層することができる。例えば
図2は、3つのCNTアレイ(右側)の積層を示す。より多くのCNTアレイを使用することにより、多層または多段層状構造体の厚さを必要に応じて増大させることができる。一部の実施形態では、最大5、10、15、20、25、30、またはそれよりも多くのCNTアレイまたはシートを、上述の方法に従い積層することができる。積層することによって得られる形成された多層または多段層状構造体の厚さは、1~10,000ミクロンの範囲またはそれよりも大きくすることができる。
【0190】
ある特定の実施形態では、多層または多段層状構造体は、複雑な表面に適合することを可能にするために、ステップ式に、オフセット式に、および/または他の不均一様式でCNTアレイの複数の段層を積層することによって形成することができる。
【0191】
非限定的な実施形態では、支持体/基材上に形成された少なくとも2つの垂直に整列したアレイまたはシートは、アレイのCNTなどのナノ構造要素が接触により少なくとも部分的に相互嵌合するように、積層/接触する。一実施形態では、アレイのナノ構造要素の完全相互嵌合は、積層されたときに互いに生じる。他の実施形態では、アレイは、CNTなどのナノ構造要素の先端でのみ相互嵌合してもよい。さらに他の実施形態では、個々のナノ構造は、相互嵌合プロセス中に隣接するアレイのナノ構造を通して進行することができる。
【0192】
一部の実施形態では、少なくとも部分的に相互嵌合する積層アレイのナノ構造はまた、管束、クランプ、または列などであるがこれらに限定されない、より大きい超構造に形成されてもよい。これらの超構造は、毛管クランピングなどのメカニズムを通してまたは積層プロセスの前、間、もしくは後のポリマーコーティングの付着によって、形成されてもよい。
【0193】
一部の実施形態では、上述のポリマーコーティングおよび/もしくは接着剤、または他のコーティングは、CNTアレイ(複数可)に付着され、次いで積層される。そのような実施形態では、上述のコーティングおよび/もしくは接着剤、または他のコーティングの厚さは、約1~1000nm、より好ましくは1~500nm、最も好ましくは1~100nmである。
【0194】
上記方法の、ある特定の実施形態では、積層ステップに続き、方法はさらに、多層または多段層状構造体を形成する積層/段層状CNTアレイの1つまたは表面に改善された接着性能を提供するため、ワックス、粘着剤、およびポリマー基剤を組み合わせたホットグルーまたはホットメルト接着剤などであるがこれらに限定されない接着剤を、得られた積層体に付着させるステップを含む。一部の実施形態では、接着剤は感圧接着剤である。さらに他の実施形態では、接着剤は、感圧接着剤ポリマーと熱活性化(または活性化可能な)接着剤ポリマーとの組合せであり、これは、感圧接着剤、ならびに感熱接着剤による追加のおよびより永続的なまたは半永続的な接着によって、コーティングのそのような組合せを含む本明細書に記述される多層または多段層状構造体の表面(複数可)への接着の容易さを高める。
【0195】
さらに他の実施形態では、複合積層体を得るために、上述の積層アレイの1つまたは複数の段層が他の材料で置換されていてもよい。そのような材料には、限定するものではないがハンダ、グリース、接着剤、相変化材料、ゲル、ヒートスプレッダー、コンプライアントパッド、および/または(エラストマー性)ギャップパッドが含まれる。これらの材料による、記述される多層または多段層状積層体の1つまたは複数のCNTアレイ段層の置換は、得られる複合積層体の特性をさらに調整するのに使用することができる。そのような複合積層体は、サーマルインターフェース材料(TIM)などの以下に記述される様々な適用例に使用され得る。
【0196】
さらに別の選択肢は、導電体から得られた複合積層体を絶縁体に変換するために、誘電体材料を導入することまたは誘電体材料の形成を積層アレイの層/段層内に誘導することである。誘電体材料は、セラミック絶縁材料などが当技術分野で公知である。一例として、アルミニウムから形成される多段層状積層体に存在するCNTアレイの基材の1つまたは複数は、電気絶縁積層体を生成するように酸化することができる(陽極酸化などによって)。
【0197】
上記方法に従い調製されると、多層または多段層状構造体は、ステップ付きガスケットおよびシムとして使用することができる。多層または多段層状構造体は、ステップ付きガスケットおよび/またはシムとして使用するために、任意の適切な形状および寸法ならびに厚さを有することができる。当業者は、サーマルインターフェースまたはジョイントの上部プレートに存在する湾曲に対処するのに必要とされるように、ステップ付きガスケットとして機能させるため、所望の数の層(2、3、4、またはそれよりも多くの層または段層)を有する多層または多段層状構造体を形成することができる。当業者は、シムとして作用するのに必要とされる特に望ましい形状または寸法を有するように、必要に応じて多層または多段層状構造体を修正することもできる。例えば多層または多段層状構造体は、円形、正方形、または長方形であってもよい環帯または半環帯形状を有するように作製することができる。さらに、または代替として、多層または多段層状構造体で作製されかつ正方形または長方形の形状を有するシムを、調製することができる。
VII.適用例
【0198】
上述のサーマルインターフェースまたはジョイントは、デバイスの部分を形成することができる。そのようなデバイスには、限定するものではないが、パーソナルコンピューター、サーバーコンピューター、メモリーモジュール、グラフィックチップ、レーダーおよび高周波(RF)デバイス、ディスクドライブ、発光ダイオード(LED)ディスプレイを含むディスプレイ、照明システム、自動車制御ユニット、パワーエレクトロニクス、太陽電池、バッテリー、携帯電話などの通信設備、熱電発電機、ならびにMRIを含む撮像設備が含まれる。
【0199】
ある特定の例では、本明細書の全体を通して記述されるサーマルインターフェースまたはジョイントは、低い接触圧力および/または低圧の適用において有用である。低圧は、周囲圧力または1atmよりも下の圧力、例えば約0.01~約1atm未満の範囲を指してもよい。一部の例では、低圧は、そのようなサーマルインターフェースまたはジョイントを衛星または宇宙船/システムで使用することができる、航空宇宙の適用におけるなどの真空を指してもよい。真空条件下、サーマルインターフェースまたはジョイントは、プレート間の分離隙間における空気が熱伝達に寄与し得る大気圧での適用とは異なって、ステップ付きガスケットにより有効になった追加の接触点が、ジョイントにわたる熱伝達に関与する面積を実質的に高めることができるので、特に有用である。さらに、宇宙での適用において接触を構成するための厚いガスケットの使用は、厚いガスケットに追随するプレート変形がポット式インサートに応力をもたらす可能性があり、それが宇宙船の寿命中のインサートの抜けをもたらす可能性があるので、問題になる可能性がある。ある特定の例では、記述されるサーマルインターフェースまたはジョイントは、周囲温度よりも下、凍結よりも下の温度、または極低温(宇宙で経験されるなど)で有用である。
【0200】
開示されるサーマルインターフェースおよびジョイントならびにそれらの作製方法は、下記の番号が付されたパラグラフを通してさらに理解することができる。
【0201】
パラグラフ1. 第1および第2のプレート;
第1および第2のプレートの間にあるステップ付きガスケット;ならびに
第1および第2のプレートを接合する1つまたは複数の締結具
を含み、
第1および/または第2のプレートの少なくとも1つが、プレートの変形、反り、または湾曲を示し;
ステップ付きガスケットが複数の層を含み、少なくとも第1のベース層と、第1のベース層の上部に第1のベース層と接触して、第1のベース層の表面積よりも小さい表面積を有する少なくとも第2の層とがあり;
ステップ付きガスケットの少なくとも第2の層が、ステップ付きではない単層ガスケットと比較して、プレートの変形、反り、または湾曲を示す第1および/または第2のプレートの少なくとも1つとの、少なくとも1つまたは複数の接触領域を提供する、
サーマルインターフェース。
【0202】
パラグラフ2. 1つまたは複数の締結具が、第1および第2のプレートに存在する1つまたは複数の穴を通して第1および第2のプレートを接合する、パラグラフ1のサーマルインターフェース。
【0203】
パラグラフ3. 第1および第2のプレートが独立して、アルミニウム、銅、鋼、チタン、亜鉛、金属マトリックス複合体(AlSiCまたはアルミニウム-黒鉛など)、および金属ラミネート構造体(ハニカムパネルまたは繊維金属ラミネートなど)からなる群から選択される材料で作製される、パラグラフ1のサーマルインターフェース。
【0204】
パラグラフ4. 第1および第2のプレートが独立して、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、ナイロン、エポキシ、ガラス強化エポキシラミネート材料(FR4など)、高圧繊維ガラスラミネート(G10など)、繊維ガラス複合体、PEEK、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートグリコール、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ乳酸、PEDOT:PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート)、PARA、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド-イミド、およびポリエーテルイミドからなる群から選択されるプラスチックで作製される、パラグラフ1のサーマルインターフェース。
【0205】
パラグラフ5. 第1および第2のプレートが独立して、アルミナ、窒化アルミニウム、ジルコニア、ジルコニアアルミナ、酸化ベリリウム、炭素繊維、黒鉛、炭化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、Y2O3、TiC、SrAl2O3、ZrC、HfC、TaC、ZrB2、HfB2、Mo2B5、MoSi2 TiN、YrN、同時焼成セラミック(リン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、モリブデン酸塩、バナジン酸塩、テルル酸塩、およびタングステン酸塩からなるものを含む高温同時焼成セラミック(HTCC)、低温同時焼成セラミック(LTCC)、超低温同時焼成セラミック(ULTCC)を含む)からなる群から選択されるセラミックで作製される、パラグラフ1のサーマルインターフェース。
【0206】
パラグラフ6. 第1および第2のプレートが、正方形、長方形、円形、楕円形、または環形状を有し;
ステップ付きガスケットが、第1および第2のプレートと同じ形状を有する、
パラグラフ1~5のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0207】
パラグラフ7. 第1および第2のプレートがそれぞれ独立して、約0.5mm~約30mmの間の範囲の厚さを有する、パラグラフ1~6のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0208】
パラグラフ8. 第1のプレートが、平面または実質的に平面であり、第2のプレートが、プレートの変形、反り、または湾曲を示す、パラグラフ1~7のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0209】
パラグラフ9. 1つまたは複数の締結具が、ネジ式締結具、クランプ、クリップ、プッシュピン、リベット、空気プレス、液圧プレス、またはこれらの組合せである、パラグラフ1~8のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0210】
パラグラフ10. ネジ式締結具がボルトおよびナットである、パラグラフ9のサーマルインターフェース。
【0211】
パラグラフ11. ネジ式締結具がボルトおよびポット式インサートである、パラグラフ9のサーマルインターフェース。
【0212】
パラグラフ12. 1つまたは複数の締結具が、鋼、チタン、アルミニウム、ナイロン、黄銅、青銅、および亜鉛からなる群から選択される材料で作製される、パラグラフ1~11のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0213】
パラグラフ13. プレートの変形、反り、または湾曲が、第1および第2のプレートを接合する1つまたは複数の締結具でまたはその付近で最大である、パラグラフ1~12のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0214】
パラグラフ14. プレートの変形、反り、または湾曲が、第1または第2のプレートの中心でまたはその付近で最大である、パラグラフ1~12のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0215】
パラグラフ15. ステップ付きガスケットが、第2の層の上部に第2の層と接触して少なくとも第3の層を含み、この第3の層は、プレートの変形、反り、または湾曲を示す第1および/または第2のプレートの少なくとも1つとの、少なくとも1つまたは複数の追加の接触領域を提供し;第3の層が、第2の層の表面積よりも小さい表面積を有する、パラグラフ1~14のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0216】
パラグラフ16. ステップ付きガスケットが、第3の層の上部に第3の層と接触して少なくとも第4の層を含み、この第4の層は、プレートの変形、反り、または湾曲を示す第1および/または第2のプレートの少なくとも1つとの、少なくとも1つまたは複数の追加の接触領域を提供し;第4の層が、第3の層の表面積よりも小さい表面積を有する、パラグラフ15のサーマルインターフェース。
【0217】
パラグラフ17. ステップ付きガスケットの少なくとも第2の層が、プレートの変形、反り、または湾曲を示す第1および/または第2のプレートの少なくとも1つとの、少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つの独立した接触領域を形成する、パラグラフ1~16のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0218】
パラグラフ18. ステップ付きガスケットの少なくとも第2の層および/または第3の層のそれぞれが独立して、プレートの変形、反り、または湾曲を示す第1および/または第2のプレートの少なくとも1つとの、少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つの独立した接触領域を形成する、パラグラフ15のサーマルインターフェース。
【0219】
パラグラフ19. ステップ付きガスケットの少なくとも第2の層、第3の層、および/または第4の層のそれぞれが独立して、プレートの変形、反り、または湾曲を示す第1および/または第2のプレートの少なくとも1つとの、少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つの独立した接触領域を形成する、パラグラフ16のサーマルインターフェース。
【0220】
パラグラフ20. ステップ付きガスケットの第2の層および/または第3の層から、プレートの変形、反り、または湾曲を示す第1および/または第2のプレートの少なくとも1つまでの、少なくとも1つまたは複数の追加の接触領域が、第1および/または第2のプレートの温度の均一性の増大をもたらして、内部がステップ付きではない単層ガスケットを有する同じサーマルインターフェースの場合よりも少なくとも25%高い、サーマルインターフェースにわたる平均熱伝導度を提供する、パラグラフ15のサーマルインターフェース。
【0221】
パラグラフ21. ステップ付きガスケットの第2の層、第3の層、および/または第4の層から、プレートの変形、反り、または湾曲を示す第1および/または第2のプレートの少なくとも1つまでの、少なくとも1つまたは複数の追加の接触領域が、第1および/または第2のプレートの温度の均一性の増大をもたらして、内部がステップ付きではない単層ガスケットを有する同じサーマルインターフェースの場合よりも少なくとも25%高い、サーマルインターフェースにわたる平均熱伝導度を提供する、パラグラフ16のサーマルインターフェース。
【0222】
パラグラフ22. ステップ付きガスケットの層のそれぞれが独立して、約0.1MPa~約200MPaの間の範囲の弾性率を示す、パラグラフ1~21のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0223】
パラグラフ23. ステップ付きガスケットの層のそれぞれが独立して、約0.05cm2・℃/W~約5cm2・℃/Wの間の範囲のサーマルインターフェース抵抗を有する、パラグラフ1~22のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0224】
パラグラフ24. ステップ付きガスケットの層のそれぞれが独立して、約50μm~約500μmの間の範囲の厚さを有する、パラグラフ1~23のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0225】
パラグラフ25. ステップ付きガスケットの層間の高さの増大が、約500μm未満、約250μm未満、約150μm未満、または約75μm未満である、パラグラフ1~23のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0226】
パラグラフ26. ステップ付きガスケットの複数の層のそれぞれが独立して、黒鉛、炭素繊維、シリコーン、熱可塑性エラストマー、ゴム、およびアクリルから選択される材料で作製される、パラグラフ1~25のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0227】
パラグラフ27. 材料がさらに、熱伝導性および/または導電性充填剤を含む、パラグラフ26のサーマルインターフェース。
【0228】
パラグラフ28. ステップ付きガスケットが、
第1の平面基材の両面から成長させた、垂直に整列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブアレイを含む、少なくとも第1の層または段層と、
第2の平面基材の両面から成長させた、垂直に整列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブアレイを含む、少なくとも第2の層または段層と
を含む、多層または多段層状構造体で作製され、
少なくとも第1の層または段層と少なくとも第2の層または段層が積層され、少なくとも第1の層または段層の垂直に整列したカーボンナノチューブが、互いに界面形成する少なくとも第2の層または段層の垂直に整列したカーボンナノチューブと少なくとも部分的に相互嵌合する、
パラグラフ1~25のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0229】
パラグラフ29. 積層された少なくとも第1の層または段層と少なくとも第2の層または段層が、接着剤、相変化材料、またはこれらの組合せであるコーティング材料によって結合される、パラグラフ28のサーマルインターフェース。
【0230】
パラグラフ30. 接着剤が、感圧接着剤である、パラグラフ29のサーマルインターフェース。
【0231】
パラグラフ31. 少なくとも第1のベース層が、ステップ付きガスケットを通して接地経路を、好ましくは1つまたは複数の締結具付近で提供する、パラグラフ1~30のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0232】
パラグラフ32. 少なくとも第1のベース層が、接着剤を、好ましくは積層されていない側にさらに含む、パラグラフ1~26のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0233】
パラグラフ33. ステップ付きガスケットの少なくとも第2の層が、少なくとも1つまたは複数の接触領域で、プレートの変形、反り、または湾曲を示す第1および/または第2のプレートの少なくとも1つの表面に適合する、パラグラフ1~32のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0234】
パラグラフ34. ステップ付きガスケットの少なくとも第3の層が、少なくとも1つまたは複数の接触領域で、プレートの変形、反り、または湾曲を示す第1および/または第2のプレートの少なくとも1つの表面に適合する、パラグラフ15のサーマルインターフェース。
【0235】
パラグラフ35. ステップ付きガスケットの少なくとも第4の層が、少なくとも1つまたは複数の接触領域で、プレートの変形、反り、または湾曲を示す第1および/または第2のプレートの少なくとも1つの表面に適合する、パラグラフ16のサーマルインターフェース。
【0236】
パラグラフ36. 1つまたは複数のシムをさらに含む、パラグラフ1~35のいずれかのサーマルインターフェース。
【0237】
パラグラフ37. 1つまたは複数のシムが、存在する1つまたは複数の締結具の周りに、近くに、および/または後ろに位置付けられ;必要に応じて、1つまたは複数の締結具がポット式インサートであり、1つまたは複数のシムが、1つまたは複数のシムが存在しない同等のサーマルインターフェースと比較して、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、または90%、ポット式インサートに対する応力を低減させる、パラグラフ36のサーマルインターフェース。
【0238】
パラグラフ38. 1つまたは複数のシムが、円形、正方形、または長方形であってもよい環帯または半環帯形状を有する、パラグラフ36~37のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0239】
パラグラフ39. 半環帯形状シムが、1/4、1/2、1/3、または3/4半環帯形状シムである、パラグラフ38のサーマルインターフェース。
【0240】
パラグラフ40. 1つまたは複数のシムが、正方形または長方形の形状を有し、第1および/または第2のプレートの少なくとも1つの隅、縁、および/または中心の周りに、近くに、および/または後ろに配置される、パラグラフ36のサーマルインターフェース。
【0241】
パラグラフ41. 1つまたは複数のシムが、金属箔、好ましくはアルミニウム箔または銅箔で作製される、パラグラフ28~40のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0242】
パラグラフ42. 1つまたは複数のシムが、黒鉛、炭素繊維、シリコーン、熱可塑性エラストマー、ゴム、およびアクリルから選択される材料で作製される、パラグラフ28~40のいずれか1つのサーマルインターフェース。
パラグラフ43. 1つまたは複数のシムが:
第1の平面基材の両面から成長させた、垂直に整列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブアレイを含む、少なくとも第1の層または段層と、
第2の平面基材の両面から成長させた、垂直に整列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブアレイを含む、少なくとも第2の層または段層と
を含む、多層または多段層状構造体で作製され、
少なくとも第1の層または段層と少なくとも第2の層または段層が積層され、少なくとも第1の層または段層の垂直に整列したカーボンナノチューブが、互いに界面形成する少なくとも第2の層または段層の垂直に整列したカーボンナノチューブと少なくとも部分的に相互嵌合する、
パラグラフ28~40のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0243】
パラグラフ44. 1つまたは複数のシムが独立して、約25μm~約500μmの間の範囲の厚さを有する、パラグラフ28~43のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0244】
パラグラフ45. 1つまたは複数のシムが独立して、約5MPa~約130GPaの間の範囲の弾性率を示す、パラグラフ28~44のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0245】
パラグラフ46. パラグラフ1~45のいずれか1つのサーマルインターフェースを製作する方法であって:
(1)第1および第2のプレートを用意するステップ;
(2)ステップ付きガスケットを用意するステップ;
(3)第1および第2のプレートの間にステップ付きガスケットを配置するステップ;
(4)第1および第2のプレートを、1つまたは複数の締結具で接合するステップ
を含み、
第1および/または第2のプレートの少なくとも1つが、1つまたは複数の締結具により接合したときに、プレートの変形、反り、または湾曲を示し;
ステップ付きガスケットが複数の層を含み、少なくとも第1のベース層と、第1のベース層の上部に第1のベース層と接触して、第1のベース層の表面積よりも小さい表面積を有する少なくとも第2の層とがあり;
ステップ付きガスケットの少なくとも第2の層が、ステップ付きではない単層ガスケットと比較して、プレートの変形、反り、または湾曲を示す第1および/または第2のプレートの少なくとも1つとの、少なくとも1つまたは複数の接触領域を提供する、
方法。
【0246】
パラグラフ47. 1つまたは複数の締結具が、第1および第2のプレートに存在する1つまたは複数の穴を通して第1および第2のプレートを接合する、パラグラフ46の方法。
【0247】
パラグラフ48. 第1および第2のプレートが独立して、アルミニウム、銅、鋼、チタン、亜鉛、金属マトリックス複合体(AlSiCまたはアルミニウム-黒鉛など)、および金属ラミネート構造体(ハニカムパネルまたは繊維金属ラミネートなど)からなる群から選択される材料で作製される、パラグラフ46の方法。
【0248】
パラグラフ49. 第1および第2のプレートが独立して、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、ナイロン、エポキシ、ガラス強化エポキシラミネート材料(FR4など)、高圧繊維ガラスラミネート(G10など)、繊維ガラス複合体、PEEK、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートグリコール、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ乳酸、PEDOT:PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート)、PARA、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド-イミド、およびポリエーテルイミドからなる群から選択されるプラスチックで作製される、パラグラフ46の方法。
【0249】
パラグラフ50. 第1および第2のプレートが独立して、アルミナ、窒化アルミニウム、ジルコニア、ジルコニアアルミナ、酸化ベリリウム、炭素繊維、黒鉛、炭化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、Y2O3、TiC、SrAl2O3、ZrC、HfC、TaC、ZrB2、HfB2、Mo2B5、MoSi2 TiN、YrN、同時焼成セラミック(リン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、モリブデン酸塩、バナジン酸塩、テルル酸塩、およびタングステン酸塩からなるものを含む高温同時焼成セラミック(HTCC)、低温同時焼成セラミック(LTCC)、超低温同時焼成セラミック(ULTCC)を含む)からなる群から選択されるセラミックで作製される、パラグラフ46の方法。
パラグラフ51. 第1および第2のプレートが、正方形、長方形、円形、楕円形、または環形状を有し;
ステップ付きガスケットが、第1および第2のプレートと同じ形状を有する、
パラグラフ46~50のいずれか1つの方法。
【0250】
パラグラフ52. 第1および第2のプレートがそれぞれ独立して、約0.5mm~約30mmの間の範囲の厚さを有する、パラグラフ46~51のいずれか1つの方法。
【0251】
パラグラフ53. 1つまたは複数の締結具が、ネジ式締結具、クランプ、クリップ、プッシュピン、リベット、空気プレス、液圧プレス、またはこれらの組合せである、パラグラフ46~52のいずれか1つの方法。
【0252】
パラグラフ54. ネジ式締結具がボルトおよびナットである、パラグラフ53の方法。
【0253】
パラグラフ55. ネジ式締結具がボルトおよびポット式インサートである、パラグラフ53の方法。
【0254】
パラグラフ56. 1つまたは複数の締結具が、鋼、チタン、アルミニウム、ナイロン、黄銅、青銅、および亜鉛からなる群から選択される材料で作製される、パラグラフ46~55のいずれか1つの方法。
【0255】
パラグラフ57. ステップ付きガスケットが、第2の層の上部に第2の層と接触して少なくとも第3の層を含み、この第3の層は、プレートの変形、反り、または湾曲を示す第1および/または第2のプレートの少なくとも1つとの、少なくとも1つまたは複数の追加の接触領域を提供し;第3の層が、第2の層の表面積よりも小さい表面積を有する、パラグラフ46~56のいずれか1つの方法。
【0256】
パラグラフ58. ステップ付きガスケットが、第3の層の上部に第3の層と接触して少なくとも第4の層を含み、この第4の層は、プレートの変形、反り、または湾曲を示す第1および/または第2のプレートの少なくとも1つとの、少なくとも1つまたは複数の追加の接触領域を提供し;第4の層が、第3の層の表面積よりも小さい表面積を有する、パラグラフ57の方法。
【0257】
パラグラフ59. ステップ付きガスケットの複数の層のそれぞれが独立して、約50μm~約500μmの間の範囲の厚さを有する、パラグラフ46~58のいずれか1つの方法。
【0258】
パラグラフ60. ステップ付きガスケットの複数の層のそれぞれが独立して、黒鉛、炭素繊維、シリコーン、熱可塑性エラストマー、ゴム、およびアクリルから選択される材料で作製される、パラグラフ46~59のいずれか1つの方法。
【0259】
パラグラフ61. ステップ付きガスケットが、
第1の平面基材の両面から成長させた、垂直に整列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブアレイを含む、少なくとも第1の層または段層、および
第2の平面基材の両面から成長させた、垂直に整列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブアレイを含む、少なくとも第2の層または段層
を含む、多層または多段層状構造体で作製され、
少なくとも第1の層または段層と少なくとも第2の層または段層が積層され、少なくとも第1の層または段層の垂直に整列したカーボンナノチューブが、互いに界面形成する少なくとも第2の層または段層の垂直に整列したカーボンナノチューブと少なくとも部分的に相互嵌合する、
パラグラフ46~59のいずれか1つの方法。
【0260】
パラグラフ62. 積層された少なくとも第1の層または段層と少なくとも第2の層または段層が、接着剤、相変化材料、またはこれらの組合せであるコーティング材料によって結合される、パラグラフ61の方法。
【0261】
パラグラフ63. 接着剤が、感圧接着剤である、パラグラフ62の方法。
【0262】
パラグラフ64. 方法が、ステップ(4)の前に、第1および第2のプレートの間に1つまたは複数のシムを配置するステップをさらに含む、パラグラフ46~63のいずれかの方法。
【0263】
パラグラフ65. 1つまたは複数のシムが、存在する1つまたは複数の締結具の周りに、近くに、および/または後ろに配置される、パラグラフ64の方法。
【0264】
パラグラフ66. 1つまたは複数のシムが、円形、正方形、または長方形であってもよい環帯または半環帯形状を有する、パラグラフ64~65のいずれか1つの方法。
【0265】
パラグラフ67. 半環帯形状シムが、1/4、1/2、1/3、または3/4半環帯形状シムである、パラグラフ66の方法。
【0266】
パラグラフ68. 1つまたは複数のシムが、正方形または長方形の形状を有し、第1および/または第2のプレートの少なくとも1つの隅、縁、および/または中心の周りに、近くに、および/または後ろに配置される、パラグラフ64の方法。
【0267】
パラグラフ69. 1つまたは複数のシムが、金属箔、好ましくはアルミニウム箔または銅箔で作製される、パラグラフ64~68のいずれか1つの方法。
【0268】
パラグラフ70. 1つまたは複数のシムが、黒鉛、炭素繊維、シリコーン、熱可塑性エラストマー、ゴム、およびアクリルから選択される材料で作製される、パラグラフ64~68のいずれか1つの方法。
【0269】
パラグラフ71. 1つまたは複数のシムが:
第1の平面基材の両面から成長させた、垂直に整列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブアレイを含む、少なくとも第1の層または段層、および
第2の平面基材の両面から成長させた、垂直に整列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブアレイを含む、少なくとも第2の層または段層
を含む、多層または多段層状構造体で作製され、
少なくとも第1の層または段層と少なくとも第2の層または段層が積層され、少なくとも第1の層または段層の垂直に整列したカーボンナノチューブが、互いに界面形成する少なくとも第2の層または段層の垂直に整列したカーボンナノチューブと少なくとも部分的に相互嵌合する、
パラグラフ64~68のいずれか1つの方法。
【0270】
パラグラフ72. 1つまたは複数のシムが独立して、約25μm~約500μmの間の範囲の厚さを有する、パラグラフ64~71のいずれか1つの方法。
【0271】
パラグラフ73. 1つまたは複数のシムが独立して、約5MPa~約130GPaの間の範囲の弾性率を示す、パラグラフ64~72のいずれか1つの方法。
【0272】
パラグラフ74. 第1および第2のプレート;
第1および第2のプレートの間にある単層ガスケット;ならびに
第1および第2のプレートを接合する1つまたは複数の締結具
を含み、
第1および/または第2のプレートの少なくとも1つが、プレートの変形、反り、または湾曲を示し;
1つまたは複数のシムが、1つまたは複数の締結具の周りに、近くに、および/または後ろに存在して、第1および/または第2のプレートの変形、反り、または湾曲を低減および/または軽減する、
サーマルインターフェース。
【0273】
パラグラフ75. 1つまたは複数の締結具が、第1および第2のプレートに存在する1つまたは複数の穴を通して第1および第2のプレートを接合する、パラグラフ74のサーマルインターフェース。
【0274】
パラグラフ76. 第1および第2のプレートが独立して、アルミニウム、銅、鋼、チタン、亜鉛、金属マトリックス複合体(AlSiCまたはアルミニウム-黒鉛など)、および金属ラミネート構造体(ハニカムパネルまたは繊維金属ラミネートなど)からなる群から選択される材料で作製される、パラグラフ74のサーマルインターフェース。
【0275】
パラグラフ77. 第1および第2のプレートが独立して、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、ナイロン、エポキシ、ガラス強化エポキシラミネート材料(FR4など)、高圧繊維ガラスラミネート(G10など)、繊維ガラス複合体、PEEK、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートグリコール、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ乳酸、PEDOT:PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート)、PARA、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド-イミド、およびポリエーテルイミドからなる群から選択されるプラスチックで作製される、パラグラフ74のサーマルインターフェース。
【0276】
パラグラフ78. 第1および第2のプレートが独立して、アルミナ、窒化アルミニウム、ジルコニア、ジルコニアアルミナ、酸化ベリリウム、炭素繊維、黒鉛、炭化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、Y2O3、TiC、SrAl2O3、ZrC、HfC、TaC、ZrB2、HfB2、Mo2B5、MoSi2 TiN、YrN、同時焼成セラミック(リン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、モリブデン酸塩、バナジン酸塩、テルル酸塩、およびタングステン酸塩からなるものを含む高温同時焼成セラミック(HTCC)、低温同時焼成セラミック(LTCC)、超低温同時焼成セラミック(ULTCC)を含む)からなる群から選択されるセラミックで作製される、パラグラフ74のサーマルインターフェース。
【0277】
パラグラフ79. 第1および第2のプレートが、正方形、長方形、円形、楕円形、または環形状を有する、パラグラフ74~78のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0278】
パラグラフ80. 第1および第2のプレートがそれぞれ独立して、約0.5mm~約30mmの間の範囲の厚さを有する、パラグラフ74~79のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0279】
パラグラフ81. 第1のプレートが平面または実質的に平面であり、第2のプレートが、プレートの変形、反り、または湾曲を示す、パラグラフ74~80のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0280】
パラグラフ82. 1つまたは複数の締結具が、ネジ式締結具、クランプ、クリップ、プッシュピン、リベット、空気プレス、液圧プレス、またはこれらの組合せである、パラグラフ74~81のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0281】
パラグラフ83. ネジ式締結具がボルトおよびナットである、パラグラフ82のサーマルインターフェース。
【0282】
パラグラフ84. ネジ式締結具が、ボルトおよびポット式インサートである、パラグラフ82のサーマルインターフェース。
【0283】
パラグラフ85. 1つまたは複数の締結具が、鋼、チタン、アルミニウム、ナイロン、黄銅、青銅、および亜鉛からなる群から選択される材料で作製される、パラグラフ74~84のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0284】
パラグラフ86. プレートの変形、反り、または湾曲が、第1および第2のプレートを接合する1つまたは複数の締結具でまたはその付近で最大である、パラグラフ74~85のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0285】
パラグラフ87. プレートの変形、反り、または湾曲が、第1または第2のプレートの中心でまたはその付近で最大である、パラグラフ74~86のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0286】
パラグラフ88. 1つまたは複数のシムが、サーマルインターフェースにわたる平均熱伝導度を、シムが存在しない同じサーマルインターフェースの場合よりも少なくとも約25%増大させる、パラグラフ74~87のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0287】
パラグラフ89. 1つまたは複数のシムが、存在する1つまたは複数の締結具の周りに、近くに、および/または後ろに位置付けられる、パラグラフ74~88のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0288】
パラグラフ90. 1つまたは複数のシムが、円形、正方形、または長方形であってもよい環帯または半環帯形状を有する、パラグラフ74~89のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0289】
パラグラフ91. 半環帯形状シムが、1/4、1/2、1/3、または3/4半環帯形状シムである、パラグラフ90のサーマルインターフェース。
【0290】
パラグラフ92. 1つまたは複数のシムが、正方形または長方形の形状を有し、第1および/または第2のプレートの少なくとも1つの隅、縁、および/または中心の周りに、近くに、および/または後ろに配置される、パラグラフ74~89のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0291】
パラグラフ93. 1つまたは複数のシムが、金属箔、好ましくはアルミニウム箔または銅箔で作製される、パラグラフ74~92のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0292】
パラグラフ94. 1つまたは複数のシムが、黒鉛、炭素繊維、シリコーン、熱可塑性エラストマー、ゴム、およびアクリルから選択される材料で作製される、パラグラフ74~93のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0293】
パラグラフ95. 1つまたは複数のシムが、
第1の平面基材の両面から成長させた、垂直に整列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブアレイを含む、少なくとも第1の層または段層、および
第2の平面基材の両面から成長させた、垂直に整列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブアレイを含む、少なくとも第2の層または段層
を含む、多層または多段層状構造体で作製され、
少なくとも第1の層または段層と少なくとも第2の層または段層が積層され、少なくとも第1の層または段層の垂直に整列したカーボンナノチューブが、互いに界面形成する少なくとも第2の層または段層の垂直に整列したカーボンナノチューブと少なくとも部分的に相互嵌合する、
パラグラフ74~93のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0294】
パラグラフ96. 1つまたは複数のシムが独立して、約25μm~約500μmの間の範囲の厚さを有する、パラグラフ74~95のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0295】
パラグラフ97. 1つまたは複数のシムが独立して、約5MPa~約130GPaの間の範囲の弾性率を示す、パラグラフ74~96のいずれか1つのサーマルインターフェース。
【0296】
パラグラフ98. パラグラフ74~97のいずれか1つのサーマルインターフェースを製作する方法であって、
(1)第1および第2のプレートを用意するステップ;
(2)単層ガスケットを用意するステップ;
(3)単層ガスケットを、第1および第2のプレートの間に配置するステップ;
(4)第1および第2のプレートの間に1つまたは複数のシムを配置するステップ;ならびに
(5)第1および第2のプレートを1つまたは複数の締結具で接合するステップ
を含み、
第1および/または第2のプレートの少なくとも1つが、1つまたは複数の締結具により接合したときに、プレートの変形、反り、または湾曲を示し;
1つまたは複数のシムが、1つまたは複数の締結具の周りに、近くに、および/または後ろに存在して、第1および/または第2のプレートの変形、反り、または湾曲を低減および/または軽減する、
方法。
【0297】
パラグラフ99. 1つまたは複数の締結具が、第1および第2のプレートに存在する1つまたは複数の穴を通して第1および第2のプレートを接合する、パラグラフ98の方法。
【0298】
パラグラフ100. 第1および第2のプレートが独立して、アルミニウム、銅、鋼、チタン、亜鉛、金属マトリックス複合体(AlSiCまたはアルミニウム-黒鉛など)、および金属ラミネート構造体(ハニカムパネルまたは繊維金属ラミネートなど)からなる群から選択される材料で作製される、パラグラフ98の方法。
【0299】
パラグラフ101. 第1および第2のプレートが独立して、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、ナイロン、エポキシ、ガラス強化エポキシラミネート材料(FR4など)、高圧繊維ガラスラミネート(G10など)、繊維ガラス複合体、PEEK、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートグリコール、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ乳酸、PEDOT:PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート)、PARA、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド-イミド、およびポリエーテルイミドからなる群から選択されるプラスチックで作製される、パラグラフ98の方法。
【0300】
パラグラフ102. 第1および第2のプレートが独立して、アルミナ、窒化アルミニウム、ジルコニア、ジルコニアアルミナ、酸化ベリリウム、炭素繊維、黒鉛、炭化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、Y2O3、TiC、SrAl2O3、ZrC、HfC、TaC、ZrB2、HfB2、Mo2B5、MoSi2 TiN、YrN、同時焼成セラミック(リン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、モリブデン酸塩、バナジン酸塩、テルル酸塩、およびタングステン酸塩からなるものを含む高温同時焼成セラミック(HTCC)、低温同時焼成セラミック(LTCC)、超低温同時焼成セラミック(ULTCC)を含む)からなる群から選択されるセラミックで作製される、パラグラフ98の方法。
【0301】
パラグラフ103. 第1および第2のプレートが、正方形、長方形、円形、楕円形、または環形状を有する、パラグラフ98~102のいずれか1つの方法。
【0302】
パラグラフ104. 第1および第2のプレートがそれぞれ独立して、約0.5mm~約30mmの間の範囲の厚さを有する、パラグラフ98~103のいずれか1つの方法。
【0303】
パラグラフ105. 1つまたは複数の締結具が、ネジ式締結具、クランプ、クリップ、プッシュピン、リベット、空気プレス、液圧プレス、またはこれらの組合せである、パラグラフ98~104のいずれか1つの方法。
【0304】
パラグラフ106. ネジ式締結具が、ボルトおよびナットである、パラグラフ105の方法。
【0305】
パラグラフ107. ネジ式締結具が、ボルトおよびポット式インサートである、パラグラフ105の方法。
【0306】
パラグラフ108. 1つまたは複数の締結具が、鋼、チタン、アルミニウム、ナイロン、黄銅、青銅、および亜鉛からなる群から選択される材料で作製される、パラグラフ98~107のいずれか1つの方法。
【0307】
パラグラフ109. 1つまたは複数のシムが、存在する1つまたは複数の締結具の周りに、近くに、および/または後ろに配置される、パラグラフ98~108のいずれか1つの方法。
【0308】
パラグラフ110. 1つまたは複数のシムが、円形、正方形、または長方形であってもよい環帯または半環帯形状を有する、パラグラフ98~109のいずれか1つの方法。
【0309】
パラグラフ111. 半環帯形状シムが、1/4、1/2、1/3、または3/4半環帯形状シムである、パラグラフ110の方法。
【0310】
パラグラフ112. 1つまたは複数のシムが、正方形または長方形の形状を有し、第1および/または第2のプレートの少なくとも1つの隅、縁、および/または中心の周りに、近くに、および/または後ろに配置される、パラグラフ98~109のいずれか1つの方法。
【0311】
パラグラフ113. 1つまたは複数のシムが、金属箔、好ましくはアルミニウム箔または銅箔で作製される、パラグラフ98~112のいずれか1つの方法。
【0312】
パラグラフ114. 1つまたは複数のシムが、黒鉛、炭素繊維、シリコーン、熱可塑性エラストマー、ゴム、およびアクリルから選択される材料で作製される、パラグラフ98~112のいずれか1つの方法。
【0313】
パラグラフ115. 1つまたは複数のシムが:
第1の平面基材の両面から成長させた、垂直に整列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブアレイを含む、少なくとも第1の層または段層と、
第2の平面基材の両面から成長させた、垂直に整列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブアレイを含む、少なくとも第2の層または段層と
を含む、多層または多段層状構造体で作製され、
少なくとも第1の層または段層と少なくとも第2の層または段層が積層され、少なくとも第1の層または段層の垂直に整列したカーボンナノチューブが、互いに界面形成する少なくとも第2の層または段層の垂直に整列したカーボンナノチューブと少なくとも部分的に相互嵌合する、
パラグラフ98~112のいずれか1つの方法。
【0314】
パラグラフ116. 1つまたは複数のシムが独立して、約25μm~約500μmの間の範囲の厚さを有する、パラグラフ98~115のいずれか1つの方法。
【0315】
パラグラフ117. 1つまたは複数のシムが独立して、約5MPa~約130GPaの間の範囲の弾性率を示す、パラグラフ98~116のいずれか1つの方法。
【0316】
パラグラフ118. パラグラフ1~45または74~97のいずれか1つのサーマルインターフェースを含むデバイス。
【0317】
パラグラフ119. デバイスが、パーソナルコンピューター、サーバーコンピューター、メモリーモジュール、グラフィックチップ、レーダーおよび高周波(RF)デバイス、ディスクドライブ、発光ダイオード(LED)ディスプレイを含むディスプレイ、照明システム、自動車制御ユニット、パワーエレクトロニクス、太陽電池、バッテリー、携帯電話などの通信設備、熱電発電機、ならびに撮像設備からなる群から選択される、パラグラフ118のデバイス。
【0318】
パラグラフ120. デバイスが、衛星、宇宙船、または真空下で動作する宇宙システムから選択される航空宇宙デバイスである、パラグラフ119のデバイス。
【実施例】
【0319】
(実施例1)
ステップ付きガスケットを収容するサーマルインターフェース
材料および方法:
試験試料
使用されるガスケットは、Carbice(登録商標)Corporationから取得した。ガスケットは、50μmのアルミニウム箔上で成長させ、シリコーンに包封された垂直に整列したカーボンナノチューブアレイからなる。使用されるガスケット製品の厚さは65μmおよび125μmであり、圧縮弾性率はそれぞれ約18および35MPaと推定された。弾性率は、0.2~1.4MPaの様々な負荷の下、Precision Thickness Gauge(Hanatek Instruments)を使用して収集された応力-歪みデータから計算した。
【0320】
さらに、ステップ付きガスケットを、ガスケットを積層することによって、単層65μmおよび125μmガスケットから調製した。したがって、1つ、2つ、3つ、および4つの層のガスケットについて、下記の通り研究した:
- 1つの層(単層ガスケット):500μm
- 1つの層(単層ガスケット):125μm
- 2つの層(ステップ付きガスケット):125μm(ベース層)および65μm(以下の表1の層#3)
- 3つの層(ステップ付きガスケット):125μmおよび2×(65μm-以下の表1の層#2および#3)
- 4つの層(ステップ付きガスケット):125μmおよび3×(65μm-以下の表1の層#2、#3、および#4)
【0321】
上述の、これらの層の寸法を、以下の表1に示す。
【表1】
試料の熱伝導特性
【0322】
単一およびステップ付きガスケットの熱的特性を、試料の厚さごとに、および研究される多層試料の組合せごとに記録した。1cm×1cm試料を、修正版ASTM-D5470ステップ付きバー装置で測定して、1D定常状態熱接触抵抗(伝導度の逆数)を記録した。加えられた接触圧力と伝導度との間の関係は、この研究で使用される各ガスケット試料および多層組合せに独自に当てはめた、べき乗則相関にほぼ従う(
図7参照)。これらの圧力-伝導度関係は、ボルト式接合予測における反り系ガスケット圧力分布を、熱接触伝導度の空間分布に相関させるのに使用する。
ステップ付きガスケットの選択および解の決定
【0323】
プレート表面との共形接触を実現するため、ピラミッド形/ステップ付き編成を有するステップ付きガスケットについて、上で論じたように研究した。目的のパラメーターは、段層状/積層編成におけるガスケット層の数、各段層の厚さ、および各層の正確な位置決めであった。所与のボルト式接合構成について、最良の熱的性能を与えるこれらのパラメーターの様々な組合せを、以下に概説される数値的手法で研究した。
【0324】
これらの研究は、市販の単層ガスケット材料の選択を取り入れるので、高さの選択は、65μm材料層の組合せに制約された。しかし125μmのより厚いベース層を使用することは、熱的性能に著しい影響を及ぼすことなく、より容易な取扱いおよび組み立てを提供することが見出された。
【0325】
各層の正確な位置決めは、ステップ付きガスケット全体を通して得られる接触に影響を及ぼす因子であった。このように、ステップ付きガスケットの複雑さおよび感受性に起因して、2段層状ガスケットを超えた収穫逓減の証拠があった。それにも関わらず、3つまたは4つでさえの層の使用は、状況に応じて有用であり得る。
【0326】
多重段層/層構造が、所与のボルト式接合構成に関して決定されたら、各ガスケット層を、材料の大きいシートからあるサイズにレーザカットし、層ごとに組み立てた。
ボルト式接合の反りの数値モデリング
【0327】
ステップ付きガスケットを組み込むボルト式接合(または界面)の反り特徴を、数値的にモデル化して、ガスケット層および位置の、界面接触および熱的性能に対する効果を評価した。まず、周縁をボルト締めしたプレートを検査し、Euler-Bernoulli梁として、圧縮弾性基礎として処理された対合表面間の薄いガスケット層(複数可)を近似した。次いで古典的梁理論は、下記の方程式を与える:
【数1】
式中、wは梁の反りであり、D=Et
3/12は厚さtおよび梁の弾性率Eによる梁の曲げ剛性である。p(x)は、ボルトの付近で加えられた荷重および圧縮p
g(x)下でのガスケットの反作用力の両方を組み込む分散荷重である。フックの法則に従い、圧縮されたガスケットの単層によりかけられるこの反作用圧力は、w(x)<0に関してp
g(x)=κ
gw(x)であり、その他の場合にはq
g=0である(分離して)。ここでガスケットの剛性は、κ
g=E
g/t
gによって測定された試料の特性からわかる。複数のステップ付き層を含むステップ付きガスケットの場合、多層領域での計算に使用される同等の剛性は、個々の層に関する剛性定数の、換算した合計によって計算される。
【0328】
ボルト式接合の予測される反りは、分離に対するガスケット圧縮領域を繰り返し決定しつつ、方程式(1)を数値的に解くことによって計算した。反り特徴は、圧縮されたガスケットの圧力分布の図式を提供し、これは
図7で強調される相関によれば、ボルト式界面を通してガスケットにより与えられた熱接触伝導度分布の推定を可能にする。ガスケットの圧縮は、この梁位置データから抽出することができ、次いでこれを測定されたモジュラスの値と熱伝導度と一緒に使用して、圧力を出力し、その後、ガスケットの局所熱接触伝導度を出力することができる。
ボルト式接合における接触および伝導度の実験方法
【0329】
ボルト式接合における熱伝導度を測定するための一般的装置は、低温ベースプレートと加熱された上部プレートとの間に挟まれたステップ付きまたは単層ガスケットからなった。代表的なケースを使用して、ステップ付きガスケットが接触および熱的性能を高めるのを保証するのにプレート変形が十分厳格である状態を研究した;
図8参照:50cm×36cmのプレートサイズ、18mmのプレート厚さ、26ボルト構成。上部プレートの厚さは、宇宙船建築で一般に使用されるもののようなハニカムパネルと同等である曲げ剛性を表すように選択する。
【0330】
厚いアルミニウムベースプレートを、-30~25℃で冷却器を通して循環する定常流の冷水によって冷却した。上述の種々のガスケットを、軟質ゴムローラーで適用して界面に滑らかに接着させた。上部プレートに、1つまたは複数のセラミックヒーターを備えて、約1W/cm2程度の表面熱流束を供給した。複数対の熱電対を、高温および低温プレートに沿った対応する場所で、溝に載置して、界面温度差を測定した。いくつかの対の熱電対は、界面表面にわたる温度勾配をマップするために、戦略的場所でプレート面積に沿って分布させた。近似的な温度の輪郭を、その後、これら熱電対データ点の2D内挿を介して作成した。近似的な温度の輪郭を、その後、これら熱電対データ点の2D内挿を介して作成した。これらの実験は、1×10-6torrの標的圧力の真空中で実行した。
熱接触伝導度の計算
【0331】
定常状態測定から、熱接触伝導度h
cおよび熱接触抵抗Rは、
【数2】
により、各熱電対の場所で得ることができ、式中、q”は、上部プレート表面に載置されたセラミックヒーターによる全熱生成に基づく、プレート表面上の平均熱流束である。次いで、他に注記しない限り、界面に関する平均熱接触伝導度は、各熱電対の場所で計算された局所h
cを平均することによって推定される。
感圧性フィルムを使用した接触測定
【0332】
ボルト式接合表面とガスケットとの間の接触領域を評価するため、感圧性フィルムを使用した(Extreme Low、Fujifilm Prescale Pressure Indicating Film)。
結果および考察:
単層および二重層ガスケットに関する反りモデル接触予測の検証
【0333】
分離に対する梁接触のモデル予測を、感圧性フィルム(図示せず)を使用して最初に検証した。圧力マップの着色を観察するとき、接触は、予測に一致した。予測されたように、接触は、第2の層のガスケットで実現した。
【0334】
ガスケットの第1の層は、高さが125μmであった。上部プレート/梁がガスケットと接触する場所を明らかにするのに感圧性フィルムを使用して、この単層対照試験に関する各ボルト近くの接触領域は、約33mm±2mmであることが見出された。次いで第2の層を最上部に配置して、ステップ付きガスケットを形成した。第2の層は、高さが65μmであり、梁の予測される湾曲に適合するように位置決めされた。ステップ付きガスケットに関して測定された接触は、各ボルト近く(ステップ付きガスケットの第1の層)で28mmであり、ガスケットの第2の層の各縁部に追加の10mmがあった。したがって接触の総面積は、それにより単層ガスケットとは対照的に、ステップ付きガスケットの使用を通して15%増加することが見出された。さらに、接触が、梁の長さに沿ってより多く分布したという事実(ボルト近くに局在化しているのとは対照的に)は、拡がり耐性に対して、より顕著な影響を及ぼし、これは完全界面熱伝導度に対して著しい効果を有する。
【0335】
2層のケースでは、単層のケースと比較して、平均熱伝導度に33%の増加があった(1,064対802W/m2-℃)。このようにステップ付きガスケットの使用は、接触面積を増大させると共に接触面積をより良く分布させるよう働く。界面接触のより均一な分布は、平面間の熱の拡がり耐性の効果に起因して有利であり、より良好な分布は、ステップ付きガスケットが使用されるサーマルインターフェースでのホットスポットの低減ももたらす。
【0336】
上で論じた単層ガスケット対照および2層ステップ付きガスケットを超えて、3層および4層ステップ付きガスケットの試験のケースも研究した。これらの場合に、単層ガスケット(802W/m2-℃)と比較して、19%(957W/m2-℃)および52%(1220W/m2-℃の)接触伝導度の全体的な改善に変換された、強化された接触が実現される。3層ガスケットは、おそらくはその場合の段層の接触または適正な整列の欠如に起因して、他の場合と同じように高い伝導度の増大を示さなかった。
【0337】
温度輪郭マップは、行われたANSYSシミュレーション(図示せず)と、真空チャンバー試験で試験され測定されたステップ付きガスケットとの間に、定性的一致を示した。真空試験は、排気したチャンバー内で、1μTorrよりも低い圧力で実行した。ANSYSは、伝導度が、測定された熱的性能に相関することを予測した。
結論:
【0338】
上述の研究は、ステップ付きガスケットを与える多層構造化をサーマルインターフェースで使用して、プレートが反りおよび変形を示すボルト式接合などにおいて界面熱伝導度を高めることができることを示す。プレートの反り/変形の課題に対処するため、ステップ付きガスケットは、自然に反ったプレートの湾曲に、より良好に適合することができることが示された。したがってステップ付きガスケットは、ボルト式接合などにおいて、ガスケットの接触を高め、界面での熱接触伝導度を改善することが可能である。ボルト式接合の反りの挙動は、Euler-Bernoulli梁理論を使用してモデル化され、次いでこのモデルを使用して、構造化/段層状ガスケット下での反りを予測し、幾何学的ステップ付きガスケットを最適化した。実験は、モデル予測に一致することが見出された。伝導度の研究に基づき、熱伝導度は、単層ガスケットと比較して、3つもの数の追加の層の導入に起因して(ステップ付きガスケットの形をとる)、52%まで改善することができることが示された。
(実施例2)
ステップ付きガスケットの熱的試験
材料および方法:
【0339】
界面(図示せず)の熱的性能を、16個の#8-32ボルトを使用して、サイズが238mm×279mmのアルミニウムボックスを厚いベースプレートに締結することによって試験した。ボックスは、インセット式側壁およびガセットを特色とし、ボルトは、周縁に沿って締結されている。熱的試験は、ボックス上のかつベースプレートの下の、種々の対応する場所に固着された多数の対の熱電対で、行った。4つのヒーターブロックをボックス内に配置して、>600Wの加熱を提供した。
3つのサーマルインターフェース材料(TIM)ガスケット試料を、試験した:
- 試料1:単層ガスケット-125μmの厚さ、および238mm×279mmの界面全体を覆う;
- 試料2:ステップ付きガスケット(
図9A参照)-サイズが104mm×124mmで厚さ65μmの第2の層がその上にある、238mm×279mmの界面全体的を覆う125μmの厚さのベース層;
- 試料3:ステップ付きガスケット(
図9B参照)-サイズが66mm×80mmで厚さ65μmの第2の層がその上にある、238mm×279mmの界面全体を覆う125μmの厚さのベース層;
- 試料4:ステップ付きガスケット(
図9B参照)-サイズが38mm×184mmで厚さ65μmの第2の層がその上にある、238mm×279mmの界面全体を覆う125μmの厚さのベース層;
結果および考察:
【0340】
試験ごとに、上記試料をそれぞれ、ベースプレートとボックスとの間に組み立て、ボックスは、20in-lbトルクまで締結した。次いで600Wで加熱した。各熱電対の場所で測定された温度差を使用して、界面の熱輪郭マップ(図示せず)を作成し、次いでそれに基づき平均熱接触伝導度h
avgを試験ごとに計算した。熱試験の結果を以下の表2に示す。
【表2】
【0341】
熱測定は、ステップ付きガスケットの戦略的設計を使用して全体的な性能を最大限にすることができることを示した。例えば正味の伝導度は、試料3において15%高められ、これは中央熱放散を標的とした。
【0342】
ステップ付きガスケットは、ホットスポットの場所(プレートの中心および/またはヒーターの場所の近く)を冷却する際の改善も提供することができる。試料3では、これは局所伝導度を36%増大させることによって、より低い中心温度をもたらした。
図10の棒グラフを参照されたい。
【0343】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、本開示の発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で引用される刊行物およびそれらが引用される資料は、参照により具体的に組み込まれる。
【0344】
当業者なら、慣用的な実験を使用するだけで、本明細書に記述される本発明の具体的な実施形態の多くの均等物を理解するかまたは確認することができよう。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲により包含されるものとする。
【国際調査報告】