(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】E-燃料製造システム及び方法
(51)【国際特許分類】
C10G 2/00 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
C10G2/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519866
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 EP2022077219
(87)【国際公開番号】W WO2023052564
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】524121111
【氏名又は名称】カタゲン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ウッズ,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】エリオット,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス,ロバート
【テーマコード(参考)】
4H129
【Fターム(参考)】
4H129AA01
4H129BA12
4H129BB07
4H129KA15
4H129KB03
4H129KC03Y
4H129KC04Y
4H129KD19Y
4H129KD22Y
4H129NA43
4H129NA46
(57)【要約】
合成燃料を製造するシステムは、二酸化炭素と水素が反応して一酸化炭素と水を生成する第1の反応を実施するための第1の反応ゾーンと、一酸化炭素と水素が反応して燃料前駆体を生成する第2の反応、及び、前記燃料前駆体から燃料を合成することを伴う第3の反応を実施するための少なくとも1つの他の反応ゾーンとを有する反応器を備える。反応ゾーンは、流体回路によって直列に相互接続されており、反応器の周囲に流体を循環及び再循環させて、反応物質と熱エネルギーのリサイクルを容易にするように構成されている。このシステムは、液体e-燃料の、低エネルギー、コスト効率の高い製造を容易にする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成燃料を製造するシステムであって、前記システムは、反応器を備え、前記反応器は、
流体回路と、
前記流体回路を回るように流体を駆動する手段と、
二酸化炭素と水素が反応して一酸化炭素と水を生成する第1の反応を実施するための第1の反応ゾーンと、
一酸化炭素と水素が反応して燃料前駆体を生成する第2の反応、及び、前記燃料前駆体から燃料を合成することを伴う第3の反応を実施するための少なくとも1つの他の反応ゾーンと、
前記流体回路に水素を導入するための手段と、
前記流体回路に二酸化炭素を導入するための手段と、
前記流体回路内の流体を加熱する手段と、を備え、
前記反応ゾーンは、前記流体回路によって直列に相互接続されており、前記流体回路は、前記流体回路に流体を再循環させるよう構成されている、前記システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの他の反応ゾーンが、前記第2の反応を実施するための第2の反応ゾーンと、前記第3の反応を実施するための第3の反応ゾーンとを含むか、または、前記少なくとも1つの他の反応ゾーンが、前記第2の反応と前記第3の反応の両方を実施するための複合反応ゾーンを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
ガスを貯蔵するための少なくとも1つのリザーバーを備え、前記少なくとも1つのリザーバーが、前記流体回路にガスを送り込むために前記流体回路に接続され、好ましくは、前記流体回路からガスを受け取るためにも接続され、前記流体回路が、好ましくは、前記少なくとも1つのリザーバーからの流体を、前記反応ゾーンを通して再循環させ、前記少なくとも1つのリザーバーに戻すように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記流体回路に水素を導入する前記手段が、前記第1反応ゾーンの上流の位置で前記流体回路に水素を導入する手段、及び/または前記第1反応ゾーンと前記少なくとも1つの他の反応ゾーンとの間の位置で前記流体回路に水素を導入する手段を備える、先行請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記流体回路に二酸化炭素を導入するための前記手段が、前記第1反応ゾーンの上流の位置で前記流体回路に二酸化炭素を導入するための手段を備える、先行請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記反応器が、1つ以上の前記反応ゾーンを出る流体から、前記流体回路によって前記反応ゾーンの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも前記第1の反応ゾーン、または前記第1の反応ゾーンのみに送られる流体に熱を伝達するように配置された少なくとも1つの熱交換器をさらに備える、先行請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの熱交換器が、前記第1の反応ゾーン及び/または前記少なくとも1つの他の反応ゾーンを出る流体から、前記流体回路によって前記第1の反応ゾーンに送られる流体に熱を伝達するように配置される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの熱交換器が、前記第1の反応ゾーンから前記流体回路によって前記第1の反応ゾーンに送られる流体に熱を伝達するように配置された第1の熱交換器、及び/または前記第3反応ゾーンまたは前記複合反応ゾーンから前記流体回路によって前記第1の反応ゾーンに送られる流体に熱を伝達するように配置された第2の熱交換器を備える、請求項2の従属項である場合の請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの熱交換器が、前記第1の熱交換器及び前記第2の熱交換器を備え、前記流体回路が、前記第1及び第2の熱交換器を介して前記第1の反応ゾーンに流体を送るように構成される、請求項6~8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記加熱手段が、前記第1の反応ゾーンの上流に配置され、前記流体回路によって前記第1の反応ゾーンに送られる流体を加熱するように作動可能な第1の加熱装置を備える、先行請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記加熱手段が、前記第1の反応ゾーンと前記少なくとも1つの他の反応ゾーンとの間に配置され、前記流体回路によって前記少なくとも1つの他の反応ゾーンに送られる流体を加熱するように作動可能な第2の加熱装置を備える、先行請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記加熱装置または各加熱装置が、炉、好ましくは電気炉、より好ましくは高熱慣性電気炉、または他の電気式加熱装置を備える、請求項10または11に記載のシステム。
【請求項13】
好ましくは、前記燃料前駆体から合成される燃料の種類を決定するために、前記第3の反応の実施中にそれぞれの反応ゾーンに存在する水素の量及び/または炭素対水素の比率を制御する手段をさらに備える、先行請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
複数の制御ゾーンが、それぞれの異なる位置で前記流体回路に含まれ、各制御ゾーンが、制御情報に従って前記流体の少なくとも1つのパラメータを制御するための少なくとも1つのデバイス、及び/または少なくとも1つのパラメータ測定装置を備え、前記システムが、前記反応器の動作を制御するための制御システムをさらに備え、前記制御システムが、前記制御ゾーンと通信して、各制御ゾーンに前記制御情報を提供し、及び/または前記制御ゾーンからパラメータ測定情報を受信し、典型的には、前記少なくとも1つのパラメータが、流体の組成、流体の温度、流体の流量、流体の圧力、流体のレベルのうちのいずれか1つ以上を示すそれぞれのパラメータを備える、先行請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記制御システムが、モデル予測制御(MPC)を使用して前記反応器を数学的にモデル化することによって前記制御情報を計算するように構成され、及び/または、前記制御システムが、前記反応器の数学的モデルを使用して前記制御情報を決定するように構成され、前記数学的モデルは、好ましくはニューラルネットワークモデルを備え、それにより、前記制御システムが、人工ニューラルネットワークを使用して前記制御情報を計算するように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記複数の制御ゾーンが、前記第1の反応を実行するために、前記第1の反応ゾーン内の流体の前記少なくとも1つのパラメータを制御するように構成された第1の制御ゾーンを含む、請求項14または15に記載のシステム。
【請求項17】
前記複数の制御ゾーンが、前記第2の反応及び前記第3の反応を実行するために、前記複合反応ゾーン内の流体の前記少なくとも1つのパラメータを制御するように構成された制御ゾーンを含む、請求項2の従属項である場合の、請求項14~16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記複数の制御ゾーンが、前記第2の反応を実行するために、前記第2の反応ゾーン内の流体の前記少なくとも1つのパラメータを制御するように構成された第2の制御ゾーンを含む、請求項2の従属項である場合の、請求項14~17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
前記複数の制御ゾーンが、前記第3の反応を実行するために、前記第3反応ゾーン内の流体の前記少なくとも1つのパラメータを制御するように、または、前記第2及び第3の反応を実行するために、前記複合反応ゾーン内の流体の前記少なくとも1つのパラメータを制御するように構成された第3の制御ゾーンを含む、請求項2の従属項である場合の、請求項14~18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
合成された燃料を前記流体回路内の他の流体から分離する手段をさらに備える、先行請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
前記流体回路にキャリアガスを導入するための手段を備える、先行請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
流体回路を備えた反応器内で合成燃料を製造する方法であって、前記方法は、
前記流体回路に水素を導入することと、
前記流体回路に二酸化炭素を導入することと、
前記反応器の前記第1の反応ゾーンにおいて、二酸化炭素と水素が反応して一酸化炭素と水を生成する第1の反応を実施することと、
前記反応器の少なくとも1つの他の反応ゾーンにおいて、一酸化炭素と水素が反応して燃料前駆体を生成する第2の反応、及び、前記燃料前駆体から燃料を合成することを伴う第3の反応を実施することと、を含み、
前記反応ゾーンは、前記流体回路によって直列に接続されており、前記方法はさらに、前記流体回路内に流体を再循環させることを含む、前記方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つの他の反応ゾーンで実施することは、前記反応器の第2の反応ゾーンで前記第2の反応を実施すること、及び前記反応器の第3の反応ゾーンで前記第3の反応を実施すること、または前記反応器の複合反応ゾーンで前記第2の反応及び前記第3の反応を実施することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
好ましくは、前記燃料前駆体から合成される燃料の種類を決定するために、前記第3の反応の実施中にそれぞれの反応ゾーンに存在する水素の量及び/または炭素対水素の比率を制御することをさらに含む、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
水を水素と酸素に分解する熱化学サイクルを実施することによって前記水素を得ること、及び/または大気から前記二酸化炭素を隔離することをさらに含む、請求項22~24のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成燃料、特に電気燃料(e-燃料)を製造するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気燃料、すなわちe-燃料は、再生可能な電気エネルギーを使用して製造される合成燃料である。E-燃料は、液体または気体の炭化水素燃料であり、環境から隔離された合成水素(H2)及び二酸化炭素(CO2)から製造され得る。通常、水素は、風力、波力、太陽光などの再生可能エネルギー源からのエネルギーを使用して、例えば、電気分解または硫黄ヨウ素サイクルなどの熱化学サイクルによって、水をその構成成分に分解することによって製造される。e-燃料の例としては、e-水素、e-メタン、e-メタノール、e-灯油、e-ガソリン、及びe-ディーゼルが挙げられる。E-燃料は、余分なCO2が生成されないため、カーボンニュートラルに燃焼することができる。
【0003】
環境上の利点以外にも、車両の排出量削減を義務付ける世界的な法律や、政府機関による関連ソリューションへの資金提供により、低炭素燃料の導入への動きが高まっている。
【0004】
したがって、合成燃料、特に電子燃料を製造するための改良されたシステム及び方法を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
第1の態様において、本発明は、合成燃料を製造するためのシステムを提供し、このシステムは反応器を備え、この反応器は、
流体回路と、
前記流体回路を回るように流体を駆動する手段と、
二酸化炭素と水素が反応して一酸化炭素と水を生成する第1の反応を実施するための第1の反応ゾーンと、
一酸化炭素と水素が反応して燃料前駆体を生成する第2の反応、及び、前記燃料前駆体から燃料を合成することを伴う第3の反応を実施するための少なくとも1つの他の反応ゾーンと、
前記流体回路に水素を導入するための手段と、
前記流体回路に二酸化炭素を導入するための手段と、
前記流体回路内の流体を加熱する手段と、を備え、
前記反応ゾーンは、前記流体回路によって直列に相互接続されており、前記流体回路は、前記流体回路に流体を再循環させるよう構成されている。
【0006】
好ましい実施形態では、流体回路を備える反応器は、反応器の周囲での流体の循環及び/または再循環をサポートして、未使用の反応物、好ましくは熱エネルギーもリサイクルすることを容易にするように構成される。したがって、好ましいシステムは、合成燃料、または合成された、すなわち製造された燃料、特に液体e-燃料の、低エネルギー、コスト効率の高い製造を容易にする。この文脈では、合成燃料は、天然燃料ではなく、任意の製造燃料であり得る。本発明の実施形態は、製造プロセスで使用されるエネルギー及び/または反応物質の供給方法に応じて、必ずしもe-燃料であるとはみなされない燃料を製造する場合があることを理解されたい。
【0007】
好ましい実施形態では、前記少なくとも1つの他の反応ゾーンは、前記第2の反応を実施するための第2の反応ゾーンと、前記第3の反応を実施するための第3の反応ゾーンとを含み得るか、または前記第2の反応及び前記第3の反応の両方を実施するための複合反応ゾーンを含み得る。
【0008】
好ましい実施形態では、システムは、ガスを貯蔵するための少なくとも1つのリザーバーを備え、前記少なくとも1つのリザーバーは、前記流体回路にガスを送り込むために前記流体回路に接続され、好ましくは、前記流体回路からガスを受け取るためにも接続され、前記流体回路は、好ましくは、前記少なくとも1つのリザーバーからの流体を、前記反応ゾーンを通して再循環させ、前記少なくとも1つのリザーバーに戻すように構成される。
【0009】
前記流体回路に水素を導入する前記手段は、典型的には、前記第1反応ゾーンの上流の位置で前記流体回路に水素を導入する手段、及び/または前記第1反応ゾーンと前記少なくとも1つの他の反応ゾーンとの間の位置で前記流体回路に水素を導入する手段を備える。
【0010】
前記流体回路に二酸化炭素を導入するための前記手段は、典型的には、前記第1反応ゾーンの上流の位置で前記流体回路に二酸化炭素を導入するための手段を備える。
【0011】
好ましい実施形態では、前記反応器は、1つ以上の前記反応ゾーンを出る流体から、前記流体回路によって前記反応ゾーンの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも前記第1の反応ゾーン、または前記第1の反応ゾーンのみに送られる流体に熱を伝達するように配置された少なくとも1つの熱交換器をさらに備える。前記少なくとも1つの熱交換器は、前記第1の反応ゾーン及び/または前記少なくとも1つの他の反応ゾーンを出る流体から、前記流体回路によって前記第1の反応ゾーンに送られる流体に熱を伝達するように有利に配置される。
【0012】
前記少なくとも1つの熱交換器は、前記第1の反応ゾーンから前記流体回路によって前記第1の反応ゾーンに送られる流体に熱を伝達するように配置された第1の熱交換器、及び/または前記第3反応ゾーンまたは前記複合反応ゾーンから前記流体回路によって前記第1の反応ゾーンに送られる流体に熱を伝達するように配置された第2の熱交換器を備え得る。
【0013】
好ましい実施形態では、前記少なくとも1つの熱交換器は、前記第1の熱交換器及び前記第2の熱交換器を備え、前記流体回路は、前記第1及び第2の熱交換器を介して前記第1の反応ゾーンに流体を送るように構成される。
【0014】
好ましくは、前記加熱手段は、前記第1の反応ゾーンの上流に配置され、前記流体回路によって前記第1の反応ゾーンに送られる流体を加熱するように作動可能な第1の加熱装置を備える。前記加熱手段は、前記第1の反応ゾーンと前記少なくとも1つの他の反応ゾーンとの間に配置され、前記流体回路によって前記少なくとも1つの他の反応ゾーンに送られる流体を加熱するように作動可能な第2の加熱装置を備え得る。
【0015】
前記加熱装置または各加熱装置は、好ましくは、炉、好ましくは電気炉、より好ましくは高熱慣性電気炉、または他の電気式加熱装置を備える。
【0016】
好ましい実施形態では、システムは、好ましくは、前記燃料前駆体から合成される燃料の種類を決定するために、前記第3の反応の実施中にそれぞれの反応ゾーンに存在する水素の量及び/または炭素対水素の比率を制御する手段を備える。
【0017】
好ましい実施形態では、前記システムは、それぞれの異なる位置で前記流体回路に含まれる、少なくとも1つであるが、典型的には複数の制御ゾーンを含み、各制御ゾーンは、制御情報に従って前記流体の少なくとも1つのパラメータを制御するための少なくとも1つのデバイス、及び/または少なくとも1つのパラメータ測定装置を備え、前記システムは、前記反応器の動作を制御するための制御システムをさらに備え、前記制御システムは前記制御ゾーンと通信して、各制御ゾーンに前記制御情報を提供し、及び/または前記制御ゾーンからパラメータ測定情報を受信する。前記少なくとも1つのパラメータは、流体組成物、流体温度、流体流量、流体圧力、流体レベルのいずれか1つ以上を示すそれぞれのパラメータを備え得る。
【0018】
好ましくは、前記制御システムは、モデル予測制御(MPC)を使用して前記反応器を数学的にモデル化することによって前記制御情報を計算するように構成される。任意選択で、前記制御システムは、前記反応器の数学的モデルを使用して前記制御情報を決定するように構成され、前記数学的モデルは、好ましくはニューラルネットワークモデルを備え、それにより、前記制御システムは、人工ニューラルネットワークを使用して前記制御情報を計算するように構成される。
【0019】
好ましい実施形態では、前記複数の制御ゾーンは、前記第1の反応を実行するために、前記第1の反応ゾーン内の流体の前記少なくとも1つのパラメータを制御するように構成された第1の制御ゾーンを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記複数の制御ゾーンは、前記第2の反応及び前記第3の反応を実行するために、前記複合反応ゾーン内の流体の前記少なくとも1つのパラメータを制御するように構成された制御ゾーンを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、前記複数の制御ゾーンは、前記第2の反応を実行するために、前記第2の反応ゾーン内の流体の前記少なくとも1つのパラメータを制御するように構成された第2の制御ゾーンを含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記複数の制御ゾーンは、前記第3の反応を実行するために、前記第3反応ゾーン内の流体の前記少なくとも1つのパラメータを制御するように、または、前記第2及び第3の反応を実行するために、前記複合反応ゾーン内の流体の前記少なくとも1つのパラメータを制御するように構成された第3の制御ゾーンを含む。
【0023】
典型的には、システムは、合成された燃料を前記流体回路内の他の流体から分離する手段を備える。典型的には、システムは、反応器から燃料を収集して出力する手段、及び/または燃料を貯蔵する手段を備える。
【0024】
典型的には、システムは、前記流体回路にキャリアガスを導入するための手段を備える。
【0025】
第2の態様において、本発明は、流体回路を備える反応器内で合成燃料を製造する方法を提供し、この方法は、
前記流体回路に水素を導入することと、
前記流体回路に二酸化炭素を導入することと、
前記反応器の前記第1の反応ゾーンにおいて、二酸化炭素と水素が反応して一酸化炭素と水を生成する第1の反応を実施することと、
前記反応器の少なくとも1つの他の反応ゾーンにおいて、一酸化炭素と水素が反応して燃料前駆体を生成する第2の反応、及び、前記燃料前駆体から燃料を合成することを伴う第3の反応を実施することと、を含み、
前記反応ゾーンは、前記流体回路によって直列に接続されており、前記方法はさらに、
前記流体回路内に流体を再循環させることを含む。
【0026】
好ましくは、少なくとも1つの他の反応ゾーンで実施することは、反応器の第2の反応ゾーンで前記第2の反応を実施すること、及び反応器の第3の反応ゾーンで前記第3の反応を実施すること、または反応器の複合反応ゾーンで前記第2の反応及び前記第3の反応を実施することを含む。
【0027】
好ましい実施形態では、方法は、好ましくは、前記燃料前駆体から合成される燃料の種類を決定するために、前記第3の反応の実施中にそれぞれの反応ゾーンに存在する水素の量及び/または炭素対水素の比率を制御することを含む。
【0028】
好ましい実施形態では、方法は、水を水素と酸素に分解する熱化学サイクルを実施することによって前記水素を得ることを含む。好ましい実施形態では、方法は、大気から前記二酸化炭素を隔離することを含む。
【0029】
本発明の好ましい実施形態は、逆水性ガスシフト(RWGS)反応及びフィッシャー・トロプシュ(FT)プロセスの手段によって、再循環ガス反応器内で合成燃料を商業的に生成することを容易にする(
図1)。有利には、再循環反応器を使用すると、RWGS反応における変換の非効率性を相殺するのに役立ち、再循環反応器では、変換されなかったCO2は排出されず、2回目、3回目、またはN回目のパス中のRWGS反応ゾーンで変換のために再循環される。有利には、このシステムは、高温(>700°C)で動作することができ、低温での動作と比較して、RWGS反応速度が速くなり、RWGS製造物の収率が向上する。有利には、このシステムは、高度なフロー制御、特に触媒を通過する二酸化炭素と水素の高速でのフローをサポートし、プロセス全体の電力要件を最小限に抑える。
【0030】
一態様において、本発明は、熱循環式e-燃料製造反応器を提供する。有利には、e-燃料は、再循環反応器で多段階触媒反応プロセスを利用することで、従来のソリューションよりも少ないエネルギーで、よりコスト効率よく生成される。好ましい反応器は、主要な反応物であるCO2及びH2が再循環されるRWGS反応及びFTプロセスを実行するように構成されており、これにより廃棄物が削減され、プロセス効率が向上する。好ましくは、CO2は大気から直接隔離され、e-燃料製造のためのさらに低炭素、理想的にはゼロ炭素のソリューションを確実にする。大気または環境内の他の場所からCO2を隔離するための任意の方法またはシステムを使用することができる。
【0031】
有利には、再循環ガス反応器は、従来の燃焼プロセスに好適な液体e-fuelを低エネルギー、コスト効率の高い製造をすることを可能にする。好ましい実施形態では、製造システムは、e-燃料製造プロセスの個々の熱化学反応を容易にするために、反応器内に制御ゾーンを作成できる制御システムを備える。
【0032】
本発明の好ましい実施形態は、再生可能エネルギー施設、例えば、ウインドファームへの設置に好適なe-燃料製造システムを提供する。再生可能エネルギー源の近くでe-燃料を製造すること、特にグリーン水素製造と組み合わせたものが、エネルギー及びH2を現場でe-燃料に変換でき、気体H2の輸送に関連する問題を克服することから、非常に望ましい。液体e-燃料は、その高い質量密度と高い比エネルギー密度により、非常により容易に輸送される。例えば、一定量のe-燃料には通常、350バールの圧力で同等量の水素の7~8倍のエネルギー量を有する。
【0033】
好ましい実施形態では、水素及び二酸化炭素が反応器に供給されて合成ガス(CO及びH2)が形成され、これが合成されて燃料前駆体が製造され、これが合成されてe-燃料、例えば、e-ディーゼルまたはe-灯油が製造される。
【0034】
好ましい実施形態に従ったe-燃料製造は、化石燃料または低炭素代替燃料と比較して、大気中に放出される二酸化炭素が比較的少ない。好ましいプロセスは、大気から以前に隔離されたCO2のみを放出するカーボンニュートラルまたはネットゼロである。エネルギーは完全に再生可能であるため、燃料製造はゼロカーボンとみなすことができる。
【0035】
システムの好ましい実施形態は、エネルギー効率が高く、前記反応物質が化学反応によって製造物に変換される1つ以上の反応ゾーンにおける化学組成、流れ及び温度の正確な制御を可能にする再循環流体反応器を備える。有利には、数学的モデルベースの制御は、1つ以上の制御ゾーンで実施される。典型的には、前記反応器の動作は、1つ以上のガス及び/または液体を、一定の既知の容積のクローズドシステムまたはクローズドゾーン内に送ることを伴う。複数の測定源の三角形分割、予測モデル、及び較正されたガス/液体配送システムにより、動的環境における精度を確実にし得る。
【0036】
好ましい実施形態では、前記再循環ガスまたは液体(流体)生成反応器は、統合型炉(複数可)、貯蔵リザーバー(複数可)、及び送風機(複数可)または他の流体駆動手段を備えた少なくとも1つ、任意に、2つ以上の再循環ガスシステム/回路を備える。熱は、統合型熱交換器(複数可)を通じて再生され、前記システムの前記熱慣性全体にわたって貯蔵され得る。
【0037】
本発明の好ましい実施形態は、既知の濃度及び既知の温度で、流体回路内の既知の時間と場所において、既知の量(複数可)のガス(複数可)の正確に制御された送達を提供する。
【0038】
有利には、構成要素(特に炉)の熱慣性により、前記反応器は不安定なエネルギー供給(例えば、再生可能エネルギー供給)に対して高い寛容性を有することができる。有利には、本発明を具体化するシステムは比較的小型であり、再生可能エネルギー源、例えば、風力タービン(複数可)との統合に適している。本発明の実施形態は、例えば、50~500kWの範囲、またはそれを超える、例えば、最大10MWの電力を消費する場合がある。本発明の好ましい実施形態は、再生可能エネルギーサイト(例えば、再生可能エネルギーサイトで利用可能な未使用電力を利用するための風力発電地帯)に設置するのに好適であるが、より大容量の使用に拡張可能であり得る。電気炉(複数可)(及び/または他の電気式加熱装置)を使用することで、再生可能エネルギー供給との統合も促進される。
【0039】
本発明の好ましい実施形態は、カスケードシステム(そのいずれもが本発明の実施形態を含んでもよい)のそれぞれの構成要素にカスケード様式でエネルギーが供給されるカスケードエネルギーシステムへの組み込みに好適であり、例えば、第1の構成要素は一次エネルギー源(例えば、風力または太陽エネルギー源(複数可))からエネルギーを受け入れてもよく、第2の構成要素は最高等級の廃熱エネルギーを受け入れてもよく、第3の構成要素はより低い等級の二次的または余剰の廃熱エネルギーなどを受け入れてもよい。カスケード型エネルギーシステムを、一次エネルギー及び廃熱利用の観点でのエネルギー使用を任意の好適な様式でカスケードするように構成してもよい(例えば、プロセス/構成要素Aは最高等級の廃熱を使用し、次いで前記廃熱を使用してプロセス/構成要素Bを支援し、その後、最後にプロセス/構成要素Cを支援する)。
【0040】
本発明のさらなる有利な態様は、特定の実施形態についての以下の説明を検討し、添付図面を参照することにより、当業者には明らかとなるであろう。
【0041】
ここで、本発明の実施形態を、例として、添付図面を参照して説明する。図中、同様の符号は同様の部分を示すために使用されている。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図2】本発明の一態様を具体化したe-燃料製造システムの概略図である。
【
図3】
図2のシステムの代替概略図であり、再循環反応器の周りのガスの流れを示している。
【
図4】
図3のシステムの代替概略図であり、制御システムを示している。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、燃料、特にeー燃料を合成するプロセスを示している。プロセスは、一酸化炭素と水を生成するために、逆水性ガスシフト(RWGS)反応によって二酸化炭素と水素を化学的に反応させることを伴い、以下の第1の反応(反応1)として示されている。
CO
2+H
2→CO+H
2O (反応1)
典型的には、反応1は、活性化エネルギーを減らし、処理効率を向上させるために触媒の使用が伴う。一例として、好適な触媒としては、アルミナ/セリア支持体上の白金などのセラミック(またはその他の)支持体(またはウォッシュコート)上の白金族(PGM)触媒が挙げられる。
【0044】
反応1は、典型的には600℃を超える温度、好ましくは約700℃で起こる。反応における特別な圧力要件はないが、全体的な動作圧力は反応2及び3によって決定される。反応1の段階は、圧力と温度によって決定され、この場合、反応は気相であり、好適な触媒の表面での触媒反応によって加速されるのが望ましいと決定される。
【0045】
水素及び二酸化炭素反応物は、従来の手段によって得ることができる。しかしながら、好ましい実施形態では、熱と化学反応によって水をその水素と酸素の成分に分解する熱化学サイクルによって水素が得られる。硫黄-ヨウ素サイクルは、水から水素(H2)を生成するのに好適な熱化学サイクルの例である。好ましくは、二酸化炭素は大気から隔離され、これは、例えば、化学的直接空気回収などの任意の便利な従来の手段によって実行され得る。
【0046】
生成された一酸化炭素は水素と混合され、一般に合成ガス(CO+H2)と称されるガス混合物を形成し、その混合物から、一般にフィッシャー・トロプシュ反応として知られる第2の化学反応(反応2)によってメチル前駆体(例:CH2)が合成される:
CO+H2→CH2 (反応2)
【0047】
典型的には、反応2は、活性化エネルギーを減らし、処理効率を向上させるために触媒の使用が伴う。一例として、好適な触媒としては、アルミナまたはシリカ基質上の鉄またはコバルトベースの触媒が挙げられる。反応2では水も生成され得る。
【0048】
反応2は、典型的には、約150~300℃で起こる。温度が高いほど反応は速くなるが、炭素鎖の長さも短くなる。反応温度と反応物濃度を調整することで、必要な炭素鎖(例えば、e-ガソリンの場合はC8、e-ディーゼルの場合はC12)を実現できる。反応2の段階は、圧力と温度によって決定され、この場合、反応は気相であり、好適な触媒の表面での触媒反応によって加速されるのが望ましいと決定される。
【0049】
第3の化学反応(反応3)は、メチル前駆体からの燃料(好ましくはe-燃料)の触媒的合成を伴う。
CH2→CxHy (反応3)
【0050】
好適な触媒には、鉄またはコバルトなどの金属が挙げられ、アルミナまたはシリカ支持体上の混合金属触媒を含み得る。
【0051】
反応3は、反応2と同じ条件、例えば、約150~300℃で起こり得る。圧力を増加させることで反応が促進され得る。反応2及び反応3は、同時に起こり得る。反応3の段階は、圧力と温度によって決定され、この場合、反応は気相であり、好適な触媒の表面での触媒反応によって加速されるのが望ましいと決定される。
【0052】
反応3の反応生成物は、典型的には気体であるが、これは動作条件及び炭素鎖の長さに依存し得る。例えば、C8e-ガソリン(沸点125℃)は気体になるが、C12e-ディーゼル(沸点216℃)は、動作温度によっては液体になり得る。
【0053】
いずれの反応3の副産物も、必要に応じてe-燃料から分離される。
【0054】
ここで
図2~
図4を参照すると、概して10と示される、本発明の一態様を具体化した合成燃料製造システム、または燃料合成システムが示されている。システム10は、好ましくは、e-燃料製造システムである。システム10は、反応器12と、反応器12の動作を制御するための制御システム14とを備える。反応器12は、使用中に化学反応を引き起こすとともに制御することを意図としており、化学反応器として説明され得る。反応器12は、流体(典型的には、ガス)を反応器12内で再循環させることができる1つ以上の流体回路を備えており、したがって、反応器12は、再循環流体反応器として説明され得る。好ましい実施形態では、システム10、特に反応器12は、以下にさらに詳細に説明するように、上記で概説した反応1~3を再循環流体反応器12内で実施するように構成される。
【0055】
反応器12は、流体回路16を備え、そこを使用中に流体が循環し、有利に再循環される。流体回路16は、通常は、パイプ(複数可)、チューブ(複数可)、ホース、ダクト(複数可)及び/または他の流体導管のうちのいずれか1つ以上を備える任意の好都合な構成であり得る。これらを、任意の好都合な材料、例えば、金属またはプラスチックから形成してもよく、任意選択で、断熱であり得る。
【0056】
流体回路16は、燃料生成プロセスの一部である各反応を実施するためのそれぞれの反応ゾーン18を備え得る。図示の実施形態では、流体回路16は、上記の反応1を実施するための第1の反応ゾーン(
図2~4では反応ゾーン#1と表示)、反応2を実施するための第2の反応ゾーン(
図2~4では反応ゾーン#2と表示)、及び反応3を実施するための第3の反応ゾーン(
図2~4では反応ゾーン#3と表示)を備える。ただし、反応2及び反応3は、同じ反応ゾーン18内で好都合に一緒に実行され得る。例えば、マクロスケールでは、反応2及び3は、同じ反応ゾーンで発生する可能性が高く、システム10は、これを支援するように構成され得る。しかし、ミクロな速度論的スケールでは、反応2及び3は別々に起こり、前駆体が形成されて別の活性部位に移動し、長鎖炭化水素への重合反応が完了する。システム10は、必要に応じて、反応2及び3の実行を個別にまたは一緒に支援するように構成され得る。
図2を参照すると、反応2及び3は両方とも反応ゾーン#3で実行されており、制御ゾーン#2及び反応ゾーン#2は省略される場合がある。
図3及び4を参照すると、反応2及び3は両方とも処理セクションS3で実行されており、処理セクションS2は省略される場合がある。好ましい実施形態では、反応ゾーン18は、流体回路16内に直列に配置される。図示の実施形態では、反応ゾーン18は、反応ゾーン#1を出る流体が(典型的には間接的に)反応ゾーン#2に送られ、反応ゾーン#2を出る流体が(典型的には間接的に)反応ゾーン#3に送られるように、直列かつ順番に配置されている。反応ゾーン#2が省略される実施形態では、反応ゾーン18は、反応ゾーン#1を出る流体が(典型的には間接的に)反応ゾーン#3に送られるように、直列かつ順番に配置されている。
【0057】
各反応ゾーン18は、任意の従来の形態をとることができ、例えば、流体回路16に組み込まれたチャンバまたは容器を備えるか、または流体回路を形成する導管の一部である。各反応ゾーン18は、流体回路16と流体連通しており、それにより使用中に流体が反応ゾーン18に送られ得る、及び反応ゾーン18から送られ得る。
【0058】
反応器12は、典型的には、多量の流体、典型的にはガスを貯蔵するための少なくとも1つの流体リザーバー24を備えるか、またはそれに接続されており、それはエネルギーも貯蔵し得る(すなわち、回路内の流体よりも高い温度で流体を保存することにより)。好ましい実施形態では、反応器12は、キャリアガス(典型的には窒素及び/またはその他の好適なガス(複数可)(例えば、不活性ガス(複数可))、典型的には流体回路16の戻り部16Rによってリザーバー24に送られるリサイクルガス(複数可)(未使用の反応物及び/または反応の副産物を含み得る)と混合される)を貯蔵するためのリザーバー24を備える。リザーバー24は、流体回路16に好都合に含まれるか、またはそれに接続され、反応ゾーン#1の上流、または回路16内の任意の他の都合の良い場所に配置され得る。代替的実施形態では、キャリアガスは使用されず、反応物及び反応生成物は、キャリアガスなしで適宜反応器の周囲を循環し得る。任意選択で、リザーバー24は省略され得る。
【0059】
反応器12は、典型的には、流体(典型的にはガス)が流体回路16を回って流れるようにさせる流体駆動手段20を備える。流体駆動手段20は、例えば、ファンまたは送風機(例えば、軸流ファン、プロペラファン、遠心(ラジアル)ファン、斜流ファン及び横流ファンを含む)、ポンプ(例えば、遠心ポンプまたは容積式ポンプ)、圧縮機及び/またはタービン、またはその他の流体駆動装置の1つ以上を備える、任意の従来の形態をとることができる。流体駆動手段20は、流体回路16を回る流体の流れ、特に流量を制御するように制御可能であることが好ましい。有利には、流体駆動手段20は、流体回路内の流体の圧力を制御するように動作可能である。システムは、燃料製造の調整パラメータとして流体圧力を制御する場合があり、温度、圧力、反応物質の混合が典型的な制御パラメータである。有利には、システム10は、個々の反応1、2、及び/または3を最適化するために、典型的には、それらの場所、またはそれらの場所に関連付けられている1つ以上の流体駆動装置(図示せず)を使用して、反応器12内の複数の場所で圧力を制御し得る。回路16の周りの流体の流れも、1つ以上のバルブ15を使用して制御可能であり得る。
【0060】
反応器12は、回路16内、特に反応ゾーン18内の流体の温度を制御するための加熱手段22を備える。典型的な実施形態では、加熱手段は、1つ以上の炉、ボイラー及び/または他の加熱装置を備える。図示の実施形態では、第1の炉(
図2~4では炉#1と表示)は、反応ゾーン#1に含まれるか、または反応ゾーン#1と関連付けられており、第2の炉(
図2~4では炉#2と表示)は、反応ゾーン#3に含まれるか、または反応ゾーン#3と関連付けられている。代替的実施形態では、炉の代わりに他の加熱装置が使用され得る。加熱手段22は、例えば、以下の加熱装置のうちのいずれか1つ以上の1つ以上の例を含み得る:化学炉もしくはガス炉(例えば、プロパン炉もしくは天然ガス炉)、または電気炉(例えば、赤外線炉、電気管状炉もしくは平床炉)、または、電気ヒータ(複数可)、赤外線ヒータ(複数可)、ガスヒータ(複数可)、及び/もしくは加熱ランプ(複数可)(例えば、石英またはタングステン加熱ランプ)を含む任意の他の便利な加熱装置。再生可能エネルギー供給との統合を容易にするため、電気炉及び/または他の電機加熱装置の使用が好ましい。加熱手段22は、回路16のそれぞれの部分における流体の温度を制御及び/もしくは調整し、したがってそれぞれの反応ゾーン18における基準温度を制御及び/もしくは調整し、ならびに/または必要に応じて反応物質の温度を制御するように制御可能であることが好ましい。加熱手段は、任意の適切な方法で、流体回路に接続または結合され得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、反応器、またはより具体的には流体回路16は、例えば、流体回路16内の流体の温度を制御するために、反応器に熱エネルギーを供給するように構成された外部の加熱手段(図示せず)に結合され得る。ここで、熱エネルギーは廃熱エネルギーであることが有利である。外部の加熱手段は、例えば、セメント生産、ガラス生産、鉄鋼生産、及び/または任意の他の廃熱を生成する産業プロセスといった産業プロセスを実行するように構成された外部装置またはシステムを備え得る。外部の加熱手段は、熱エネルギー、好ましくは廃熱エネルギーが反応器/流体回路に移送され得るように、任意の適切な従来の結合手段(例えば、1つ以上の熱交換器)によって、及び/または任意の好都合な熱交換媒体(例えば、水蒸気)を介して、反応器、より具体的には流体回路16に結合され得る。例えば、図示の実施形態では、1つ以上の外部の加熱手段は、炉#1及び/または炉#2の位置で(炉と同様に、または炉の代わりに)流体回路16に結合され得る。
【0062】
反応器12は、特に反応器12内の所望の流体温度をエネルギー効率よく維持することに関して、反応器12の効率を改善するための1つ以上の熱交換器26を有利に備える。熱交換器26は、必要に応じて、ガスからガス型、ガスから液体型、または液体から液体型であり得る。図示の実施形態では、第1の熱交換器(
図2~4では熱交換器#1と表記)が流体回路16に含まれており、反応ゾーン#1からの熱を再生するように構成されている。有利には、第1の熱交換器は、反応ゾーン#1からの出口流体からの熱を使用して、反応ゾーン#1に(間接的に)送られる流体を加熱するように構成されており、熱交換プロセスは、同時に反応ゾーン#1の出口流体を冷却する。図示の実施形態では、第2の熱交換器(
図2~4では熱交換器#2と表記)が流体回路に含まれており、反応ゾーン#3からの熱を再生するように構成されている。有利には、第2の熱交換器は、反応ゾーン#3からの出口流体からの熱を使用して、反応ゾーン#1に(間接的に)送られる流体を加熱するように構成されており、熱交換プロセスは、同時に反応ゾーン#3からの出口流体を冷却する。
【0063】
好ましい実施形態では、反応器12は、複数の制御ゾーン28を備える。各制御ゾーン28は、それぞれの位置で流体回路16に組み込まれる。反応器の動作の少なくとも1つの態様を測定するように、制御ゾーン28のうちの任意の1つ以上に装備を施してもよい。各制御ゾーン28を、それが組み込まれるそれぞれの流体回路16内のそれぞれの位置で流体の1つ以上の特性またはパラメータを測定するように構成してもよい。以下に、より詳細に説明するように、各制御ゾーン28を、例えば、以下の流体特性、すなわち、流量、温度、化学組成、圧力のうちの任意の1つ以上を測定するように構成してもよく、この目的のために任意の適切な従来の測定装置(複数可)を備えてもよい。制御ゾーン28のうちの任意の1つ以上を、流体回路16内の流体の特性、例えば、流体の流量、温度、圧力及び/もしくは化学組成のうちの1つもしくは複数を制御するように、ならびに/または流体の(例えば、ベントへの、もしくは反応器12の別の構成要素へ排出する)流れを方向転換、誘導、もしくはそうでなければ制御するように構成してもよい。この目的を達成するために、各制御ゾーン28は、1つ以上の制御デバイス、例えば、1つ以上のバルブ15、流体注入器または流体混合デバイスを備えてもよい。それぞれの制御デバイス(複数可)の任意の1つ以上をそれぞれの制御ゾーン28に配置してもよく、この場合、制御ゾーン28は、それ自体の場所で関連する流体特性を直接制御する。代替的に、それぞれの制御デバイス(複数可)の任意の1つ以上を、それぞれの制御ゾーン28から遠く離れて配置してもよく、この場合、制御ゾーン28は、制御ゾーン28自体から遠く離れた流体回路(複数可)内の1つ以上の位置で関連する流体特性を制御する。このような場合、制御ゾーン28は、制御デバイスの動作を制御するという点で制御デバイスを備えると言える。
【0064】
好ましい実施形態では、制御ゾーン28のうちの任意の1つ以上を、流体回路16への1つ以上の流体、典型的にはガス(複数可)の導入を監視及び制御するように(例えば、反応物質のレベル及び/または濃度を制御するため)構成してもよい。この目的を達成するために、そのような各制御ゾーン28は、1つ以上の流体注入器及び/またはバルブ15を備えてもよい。各流体注入器は、任意の従来の形態をとることができ、典型的には1つ以上の流体源、例えば、キャニスター、圧縮機及び/または1つ以上の容器またはリザーバー(通常は加圧流体源である)に接続された1つ以上のバルブ及び導管(複数可)を備える。各流体源は、用途、及びそれぞれの制御ゾーンによって実行されるタスクに応じて、単一の流体または2つ以上の流体の混合物を含み得る。各流体注入器は、1つ以上の流体入口(図示せず)を介してそれぞれの流体回路(複数可)に1つ以上の流体を選択可能に注入するように動作可能である。好都合には、流体入口(複数可)はそれぞれの制御ゾーン28に配置されるが、代替的または追加的に流体回路(複数可)内の他の場所に配置されてもよい。好都合には、各流体注入器はそれぞれの制御ゾーン28に配置されるが、代替的または追加的に流体回路(複数可)内の他の場所に配置されてもよい。任意選択で、流体(複数可)をリザーバー(複数可)に注入するために、1つ以上の流体注入器(図示せず)を設けてもよい。
【0065】
例えば、遠隔分析装置(複数可)及び/または制御システムを含む、システム10の他の構成要素と通信するために、各制御ゾーン28は、必要に応じて1つ以上の有線及び/または無線の通信デバイスを備える通信システムを備えてもよい。
【0066】
制御ゾーン28は、典型的には、その構成要素の少なくとも一部が好都合に収容される筐体を備える。筐体は、例えば、回路16に組み込まれたチャンバ、または回路16が接続されるかまたは通過するチャンバを備え得るか、または回路16を形成する1つ以上の導管の一部を備え得る。
【0067】
反応器12は、反応ゾーン18内で実施される反応によって生成される生成物を分離するための、少なくとも1つの分離装置を備える。好ましい実施形態では、反応器12は、合成された燃料を反応3の他の生成物及び/またはキャリアガスから分離するように構成及び配置された分離器34を備える。分離器34は、任意の従来の形態をとることができ、かつ、関連する生成物を分離することができる方法(複数可)、例えば、凝縮、蒸留、または液体/液体の重力分離または重量分離に適合する、任意の好適な従来の分離手段の種類(複数可)を備え得る。好ましい実施形態では、燃料は、液体の形態で製造される(便利に第2の熱交換器Heat Ex#2によって凝縮されている)。Heat Ex#2では完全な凝縮が促進されない可能性があるため、分離器34で凝縮を実行する必要がある場合がある。分離器34は、反応ゾーン3からの所望の燃料製造物、すなわち長鎖炭化水素を、水及び未変換の反応物などの他の生成物から分離するように構成されている。
【0068】
好ましい実施形態では、流体回路16は、流体が再循環できるループを形成するように構成され、反応ゾーン1、2、及び3は、ループ内に直列かつ順番に設けられている。有利には、流体回路16のそれぞれの部分は、各回路部分間の熱交換を容易にするために、ループ内の少なくとも1つの位置で一緒にされる(つまり、熱交換を可能にするのに十分に近い)。それぞれの回路部分は、このような熱交換位置(図示されているように)で互いに交差して得るが、必ずしもそうである必要はない。好ましい実施形態では、それぞれの回路部分は、反応ゾーン#1の下流、好ましくは反応ゾーン#1のすぐ下流、例えば、反応ゾーン#1の流体出口に位置するHeat Ex#1で一緒にされる。Heat Ex#1で一緒にされる回路部分は、反応ゾーン#1の生成物を運ぶ回路部分、及び、典型的には、流体を炉#1に運ぶ回路部分であり得る。好ましい実施形態では、それぞれの回路部分は、反応ゾーン#3の下流、好ましくは反応ゾーン#3のすぐ下流、例えば、反応ゾーン#3の流体出口に位置するHeat Ex#2で一緒にされる。Heat Ex#3で一緒にされる回路部分は、反応ゾーン#3の生成物を運ぶ回路部分、及び、好ましくは、流体を炉#1に運ぶ回路部分、より好ましくは、流体を炉#1に送るためにHeat Ex#1に運ぶ回路部分であり得る。
【0069】
システム10は、システム構成要素の動作を制御及び/または監視するための制御システム14を備え、必要に応じて、反応ゾーン18、制御ゾーン28、バルブ、流体駆動装置20、炉22及び分離器34、ならびに任意の他の制御可能なデバイス(例えば、流体注入器、センサなど)を備える。制御システム14は、典型的には、マスターコントローラ52を備え、これは典型的には、1つ以上の好適にプログラムまたは構成されたハードウェア、ファームウェア、及び/またはソフトウェアコントローラによって実施され、例えば、1つ以上の好適にプログラムまたは構成されたマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または他のプロセッサ、例えば、ASIC、DSP、またはFPGAなどのICプロセッサ(図示せず)を備える。
【0070】
好ましい実施形態では、制御システム14は、反応1、2、及び3を実施するために、システム10の他の構成要素、例えば、制御ゾーン28、バルブ、流体駆動装置20及び/または炉22に制御情報を伝達する。処理設定は、処理設定インターフェースユニット51を介して受信され得る。処理設定は、例えば、反応ゾーン18の温度(複数可)、流量(複数可)、及び/または圧力(複数可)、及び/または反応物質のレベル(及び/または濃度)に関連して、環境条件を指定し得る。制御システム14はまた、システム10の他の構成要素、例えば、制御ゾーン28、センサ、測定装置、バルブ、流体駆動装置20及び/または炉22からフィードバック情報を受信してもよく、それに応答して、制御システム14は、1つ以上の関連するシステム構成要素に制御情報を発行し得る。この目的を達成するために、制御システム14は、制御ゾーン28によって提供される測定値または他の情報の分析を実行し得る。この分析を、制御システム14によってリアルタイムで自動的に実行してもよい。代替的に、または追加して、システムの測定値及び性能の分析を、オペレータによってリアルタイムまたはオフラインで行ってもよい。オペレータは、インターフェースユニット51を介して制御命令を提供することによって、システム10の動作の調整を行い得る。
【0071】
好ましい実施形態では、反応器12は、反応ゾーン内または反応器ベッド内の均一性、特に温度均一性を提供するように制御され、これはゾーン制御された冷却及び/または加熱によって達成され得る。
【0072】
安全コントローラ56を設けてもよく、これは、1つ以上の警報センサ(図示せず)、例えば、システム10に含まれ得るガスセンサもしくは漏れ検出器または緊急停止から警報信号を受信し、警報センサから受信した警報信号に基づいて警報情報をマスターコントローラ52に提供し得る。
【0073】
好ましい実施形態では、処理設定に応じて、及び/またはシステム10の動作中に1つ以上のシステム構成要素から受信したフィードバック信号に応じて、制御システム14が、システム10、特に反応器12の挙動を数学的にモデル化することを可能にするため、制御システム14、より具体的にはマスターコントローラ52は、例えば、数学的モデルソフトウェアまたはファームウェア60をサポートすることにより、システムモデルロジックを実施するように構成される。
【0074】
任意選択で、制御システム14を、モデル予測制御(MPC)を実施するように構成する。MPCを使用して、制御システム14は、関連する処理設定点からの対応する偏差が実際に生じる前に、制御ゾーン28の制御作用を調整させる。この予測能力は、従来のフィードバック動作と組み合わせると、制御システム14が他の方法で得られるものよりも滑らかで、最適な制御作用値に近い調整を行うことを可能にする。システム10の制御モデルは、例として、Matlab、Simulink、またはLabviewで記述され、マスターコントローラ52によって実行され得る。有利には、MPCはMIMO(複数入力、複数出力)システムを扱うことができる。
【0075】
制御システム14は、利用可能なエネルギー、反応物質レベルなどを最大限に使用するためにシステム10の動作をリアルタイムで最適化するように構成された人工知能(AI)ベースのモデルコントローラを備えてもよい。
【0076】
有利には、反応器12の1つ以上の部分をモジュール式の様式に構成して、反応器12(またはその任意の部分)のモジュールの構築及び輸送を促進し、及び/または反応器12またはその任意の部分のモジュールの拡大縮小を促進してもよい。例えば、各反応ゾーン18をそれぞれの反応器モジュール内に設けてもよく、これはサブ反応器と称され得る。有利には、各反応器モジュールは、それぞれの反応ゾーン18のモジュール式拡大縮小をサポートするように構成される。任意の所与の反応ゾーン18について、それぞれの反応(複数可)を実行するために、それぞれの種類の反応器モジュールの1つ以上のインスタンスが提供(及び必要に応じてモジュール式に相互接続)され得る。使用される反応器モジュールのインスタンスの選択された数は、関連する用途の1つ以上の所望の動作パラメータ(例えば、エネルギー使用量、利用可能なエネルギー、反応物質の使用量、反応物質の利用可能性、反応生成物の生成速度などのいずれか1つ以上)に依存し得る。結果として、反応器12、またはその任意のモジュール部分が、用途に適合させて拡大縮小され得る。したがって、好ましい実施形態では、反応器12は、製作/製造及び輸送を容易にするためにモジュールに組み込まれた1つ以上の化学サブ反応器を備える。さらに、反応器の出力は、個々の反応器のサイズによるのみではなく、各反応に提供されるモジュールの数に基づいてサイズ設定または拡大縮小され得る。これにより、反応器のターンダウン比が拡張されるという利点が追加される。追加的に、必要に応じて、補助設備(例えば、バルブ(複数可)、ポンプ(複数可)、及び/またはヒータ(複数可))及び/または前処理及び後処理工程(例えば、分別蒸留)をモジュールに含めることができる。
【0077】
反応器12のサイズ、特にその電力消費の観点からのサイズは、用途に適合させて変更してもよい。有利には、反応器12のサイズ設定または拡大縮小は、反応器12または少なくともその部分(複数可)の好ましいモジュール性によってサポートされる。例えば、本発明を具体化する反応器は、必要に応じて、最大200kW、最大500kW、最大1MW、最大2MW、最大5MW、または最大10MWの電力消費範囲で設計され得る。
【0078】
次に、好ましい実施形態についてさらに詳細に説明する。リザーバー24は、キャリアガス及び流体回路16の戻り部16Rによってリザーバー24にリサイクルされる可能性のあるその他のガスを貯蔵するための好適な容器、例えば、圧力容器を備える。リザーバー24は、回路16の再循環部分または戻り部分16Rからの関連するガス(複数可)を受け取るため、典型的には、キャリアガスの外部ソースからも受け取るため(例えば、最初にキャリアガスをリザーバー24に充填するため、及び必要に応じてキャリアガスを補充するため)の少なくとも1つの入口を備える。リザーバー24は、リザーバー24から流体回路16へのキャリアガスの流れを制御する手段、例えば、バルブ15、流体注入器、または他の流体制御デバイスを含み得る、またはそれらに関連し得る。流体がリザーバーに戻るのを制御するために、逆止弁などのバルブが設けられ得る。
【0079】
リザーバー24は、必要に応じて、適用可能な以下の構成要素のうちのいずれか1つ以上を備え得る:加熱装置、冷却装置、圧力測定装置(複数可)、温度測定装置(複数可)、遮断バルブ(複数可)、圧力逃がしバルブ(複数可)、レベル測定装置(複数可)。これらのそれぞれは制御システム14によって制御され、及び/または制御システム14に情報を提供し、例えば、キャリアガスを所望の条件で確実に貯蔵する、及び/またはリザーバー24への、及び/またはリザーバー24からのキャリアガスの流れを制御し得る。典型的には、流体レベル、圧力及び/または温度の表示は、リザーバー24によって制御システム14に提供される。リザーバーは、使用時に流体回路16を循環するキャリアガスを貯蔵し、反応1、2、及び3の反応物及び反応生成物を必要に応じて流体回路16に、特にそれぞれの反応ゾーン18との間で運搬する。有利には、リザーバー24は、反応ゾーン及び/または反応器内の他の場所での可変プロセス速度に対応できるようにバッファを提供することができる。
【0080】
キャリアガス(及び、それとともに運ばれる他のガス、例えば、反応物及び/または該当する場合は反応生成物)は、ポンプ(複数可)、コンプレッサ(複数可)及び/または送風機(複数可)(例えば、高速遠心送風機)の好ましい形態の流体駆動手段20によって流体回路内を駆動する。好ましくは、流体駆動手段20は、制御システム14によって制御可能な可変速駆動装置を備える。流体駆動手段20は、制御システム14に流量情報を提供するための1つ以上の流量測定装置も備え得る。
【0081】
図示の実施形態では、反応器12は、反応器12のそれぞれの処理セクション(
図3及び4ではS1、S2、S3と表示)で反応1、2、及び3を実行するように構成されている。代替実施形態では、処理セクションS2を省略し、反応2及び3を処理セクションS3で一緒に実行し得る。各処理セクションS1、S2、S3は、それぞれの制御ゾーン28(
図2~4では制御ゾーン#1、制御ゾーン#2、及び制御ゾーン#3と表示)と、それぞれの反応ゾーン18のうちの1つ(
図2~4では反応ゾーン#1、反応ゾーン#2、及び反応ゾーン#3と表示されている)を含む。各制御ゾーン28は、(好ましい実施形態では制御システム14によって)それぞれの反応ゾーン18内の流体(通常はガス)の1つ以上の特性を制御するように動作可能である。好ましくは、各制御ゾーン28は、それぞれの反応ゾーン18の上流に、好ましくは、それぞれの反応ゾーン18のすぐ上流に、例えば、それぞれの反応ゾーン18の流体入口に配置される。各制御ゾーン28には、1つ以上のセンサ/測定装置及び/または1つ以上の制御デバイス(例えば、バルブ及び/または流体注入器)が装備されており、それにより、それぞれの反応ゾーン18内の流体の関連する特性(複数可)を監視及び/または制御することができる。
【0082】
好ましい実施形態では、各制御ゾーン18(すなわち、制御ゾーン#1、制御ゾーン#2、及び制御ゾーン#3)は、それぞれの反応ゾーン18内の流体の温度、流体の圧力、流体の流量、及び流体の組成を監視及び/または制御するように動作可能である。この目的を達成するために、各制御ゾーン28は、以下の構成要素のいずれか1つ以上を備え得る:リモートアクチュエーター(複数可)及び/または質量流量コントローラ(複数可)または他の流体注入器(複数可)を備えた流量制御及び/または圧力調節のバルブ(複数可);フロー測定装置(複数可);圧力測定装置(複数可);温度測定装置(複数可);流体レベルならびに/または組成の測定装置(複数可)。これらのそれぞれは、制御システム14によって制御され、及び/または必要に応じて制御システム14に情報を提供し得る。例えば、各制御ゾーン28は、必要に応じて、測定された流量、流体の圧力、流体の温度及び/または流体の組成を示す情報を制御システム14に送信し得る。各制御ゾーン28は、関連するバルブ(複数可)及び/または流体注入器(複数可)を操作して、必要に応じて流体の流量、流体の圧力、及び/または流体の組成を制御するために、制御システム14から制御信号を受信し得る。流体の温度は、典型的には、それぞれの反応ゾーン18(例えば、図示の実施形態では炉#1及び炉#2)に関連付けられた加熱装置、または各加熱装置を制御することによって制御される。
【0083】
反応器12は、例えばタンク、キャニスター、またはその他の好適な貯蔵庫を含む、それぞれ好適な供給源から水素ガス(H2)及び二酸化炭素ガス(CO2)を受け取るように構成されている。好ましくは、水素は、熱と化学反応によって水をその水素と酸素の成分に分解する熱化学サイクルによって得られ、二酸化炭素は、大気から隔離される。H2及びCO2は、典型的にはそれぞれのリザーバー50、52、54(リザーバー52、54は、都合に応じて同じリザーバーでも異なるリザーバーでもよい)から流体回路16の任意の場所(複数可)に導入され得る。好ましい実施形態では、反応1の反応物を提供するために、制御ゾーン#1で流体回路16にH2及びCO2が導入されるが、代替的に、反応ゾーン#1の上流のどこかの流体回路にH2及びCO2が導入されてもよい。任意選択として、反応ゾーン#1と反応ゾーン#2の間の場所、例えば、制御ゾーン#2(図示せず、だが制御ゾーン#1及び#3の場場所と同じであり得る)で、反応2の反応物としてH2を回路16に導入してもよいが、制御ゾーン#1または反応ゾーン#1の上流で導入されたH2が、反応ゾーン#2での反応#2に十分であるように配置され得る。反応ゾーン#1からの水やその他の不要な生成物は、任意選択にて、所望の反応生成物から分離させ、反応ゾーン#2または反応ゾーン#3の前にドレインを介して除去され得る。反応3に存在するH2の量は、メチル前駆体から合成される長鎖炭化水素、つまり燃料に影響を与える可能性がある。上流反応ゾーン(複数可)18から反応ゾーン#3に送られる流体にはすでにH2が含まれている場合があるが、製造される炭化水素または燃料の種類(化学組成など)を制御するために、システム10が反応3に存在するH2の量を制御できることが好ましい。したがって、メチル前駆体からの関連する長鎖炭化水素の形成を支援するために、反応3の回路16にH2を導入する場合もあるが(例えば、制御ゾーン#3で、または反応ゾーン#3の上流であるが、反応ゾーン#1及び反応ゾーン#2(存在する場合)の下流にて)。それぞれの流体入口装置55、56、57(例えば、バルブ及び/または流体注入器を備える)は、好ましくは、制御システム14の制御下で、流体回路16へのH2またはCO2の流れを制御するために設けられる。
【0084】
各反応ゾーン18は、典型的には、反応容器または導管(例えば、格納または圧力容器またはチューブ)を備え、さらに以下の構成要素のいずれか1つ以上をさらに備え得る:リモートアクチュエーター(複数可)及び/または質量流量コントローラ(複数可)または他の流体注入器(複数可)を備えた流量制御及び/または圧力調節のバルブ(複数可);フロー測定装置(複数可);圧力測定装置(複数可);温度測定装置(複数可);流体レベルならびに/または組成の測定装置(複数可)。これらのそれぞれは、制御システム14によって制御され、及び/または必要に応じて制御システム14に情報を提供し得る。例えば、各反応ゾーン18は、必要に応じて、測定された流量、流体の圧力、流体の温度及び/または流体の組成を示す情報を制御システム14に送信し得る。各反応ゾーン28は、関連するバルブ(複数可)及び/または流体注入器(複数可)を操作して、必要に応じて流体の流量、流体の圧力、及び/または流体の組成を制御するために、制御システム14から制御信号を受信し得る。したがって、各反応ゾーン18は、制御ゾーンを備えると言える。
【0085】
処理セクションS1、S3はそれぞれ、好ましくは炉22(
図2~4では炉#1及び炉#2と表示)を含む、それぞれの加熱装置を備える。加熱装置は、典型的には、熱の貯蔵及び移送のために、格納容器または圧力流れ導管を備える。加熱装置には、例えば、電気、ガス、または液体燃料の燃焼、または熱交換型(複数可)などの、従来の加熱装置(複数可)が含まれ得る。好ましい実施形態では、各炉22は、高熱慣性電気炉を備える。より一般的には、電気炉が好ましい。代替的には、燃焼ベースのヒータまたは他の加熱装置(複数可)を使用して、必要な加熱を実行してもよい。各加熱装置は、以下の構成要素のいずれか1つ以上を備え得る。リモートアクチュエーター(複数可)及び/または質量流量コントローラ(複数可)または他の流体注入器(複数可)を備えた流量制御及び/または圧力調節のバルブ(複数可);フロー測定装置(複数可);圧力測定装置(複数可);温度測定装置(複数可);流体レベルならびに/または組成の測定装置(複数可)。これらのそれぞれは、制御システム14によって制御され、及び/または必要に応じて制御システム14に情報を提供し得る。好ましくは、炉#1及び#2は、それぞれの制御ゾーン28の上流に配置され、より好ましくは、それぞれの制御ゾーン28のすぐ上流、例えば、それぞれの制御ゾーン28の流体入口に配置される。
【0086】
好ましい実施形態では、処理セクションS1の一部であり得る熱交換器HeatEx#1は、反応ゾーン#1の流体出口の下流、好ましくは反応ゾーン#1の流体出口に配置され、それにより、反応ゾーン#1を出る流体がHeatEx#1を通過する。さらに、HeatEx#1は、処理セクションS1に送られる流体を受け取るように配置されており、それにより、処理セクションS1に送られる流体と処理セクションS1から出る流体との間で熱交換プロセスが実行される。処理セクションS3の一部であり得る熱交換器HeatEx#2は、反応ゾーン#3の流体出口の下流、好ましくは反応ゾーン#3の流体出口とセパレータ34の間に配置され、それにより、反応ゾーン#3を出る流体がHeatEx#2を通過する(好ましくは、セパレータ34に向かう途中で)。さらに、HeatEx#2は、処理セクションS1に送られる流体を受け取るように配置され、それにより、処理セクションS1に送られる流体と反応ゾーン#3(または処理セクションS3)から出る流体との間で熱交換プロセスが実行される。好ましい配置は、セクションS1に送るためにHeatEx#1によって受け取られる流体が、HeatEx#2から受け取られるというものであるが、逆の配置も代替的に実施することができる。いずれの場合も、処理セクションS1に送られる流体が、HeatEx#1とHeatEx#2の両方を通過して、反応ゾーン#1と反応ゾーン#2(または処理セクションS1と処理セクションS3)の両方からの出口流体との熱交換によって流体が加熱されることが好ましい。代替実施形態では、熱交換器HeatEx#1、HeatEx#2のどちらか一方または両方を省略することができる。代替的に、または追加的に、第3の熱交換器(図示せず)を反応ゾーン#2/処理セクションS2の流体出口に設け、反応ゾーン#2/処理セクションS2を出る流体と処理セクションS1に送られる流体との間で熱交換動作を実行するように配置され得る。熱交換器は、典型的には、ガス-ガスまたはガス-液体の熱交換デバイスである、任意の好適な型を備え得る。各熱交換器は、温度測定装置(複数可)、圧力測定装置(複数可)のいずれか1つ以上を備えてもよく、これらのそれぞれは、制御システム14によって制御され、及び/または必要に応じて制御システム14に情報を提供し得る。
【0087】
反応ゾーン#3からの反応生成物(複数可)は、燃料をキャリアガス、副産物、及び/または未使用の反応物から分離するように構成されたセパレータ34に送られる。分離器34は、燃料を凝縮するための凝縮器及び/または従来の液体-ガス分離装置を備え得る。分離器34は、異なる炭化水素生成物を分離するための重量測定型装置も備え得る。分離器34は、圧力容器を備え得る。分離器34は、温度測定装置(複数可)、圧力測定装置(複数可)のいずれか1つ以上を備えてもよく、これらのそれぞれは、制御システム14によって制御され、及び/または必要に応じて制御システム14に情報を提供し得る。
【0088】
好ましい実施形態では、処理セクションS1、S2(存在する場合)、S3は、流体回路16によって直列に接続され、それによって、反応ゾーン#1からの反応生成物(複数可)が反応ゾーン#2に送られ、反応ゾーン#2からの反応生成物(複数可)が反応ゾーン#3に送られるか、または、反応ゾーン#2が省略された実施形態では、反応ゾーン#1からの反応生成物(複数可)が反応ゾーン#3に送られる。反応ゾーン#3からの反応生成物(複数可)は分離器34に送られる。キャリアガスは、第1の処理セクションS1の入口に送られ、流体回路16によって各処理セクションS1、S2(存在する場合)、S3を順に通過し、反応生成物(複数可)を一緒に運ぶ。流体回路16は、キャリアガスが処理セクションS1、S2(存在する場合)、S3を通って再循環されるようなループを形成するように構成されている。各処理セクションS1、S2(存在する場合)、S3では、流体の1つ以上の特性が制御され、それぞれの反応ゾーン18でそれぞれの反応(反応1、反応2、反応3)が実行される。特に、流体特性:流体の流量、流体の温度、流体の組成、及び/または流体の圧力のうちの1つ以上の任意の組み合わせが必要に応じて制御され得る。流体特性を制御することは、必要に応じて、それぞれの処理セクションS1、S2(存在する場合)、S3の構成要素と連携して制御システム14によって実行される。
【0089】
次に、好ましい実施形態の動作についてさらに詳細に説明する。一定量のキャリアガス混合物は、典型的には、100℃未満でリザーバー24に貯蔵される。キャリアガス混合物(典型的には、窒素(または他の不活性ガス)及び/またはリサイクルガスの混合物を含む)は、駆動手段20の作用により流体回路16内を循環する(図示の例では、リザーバー24から引き出され、リザーバー24に戻る)。キャリアガスは、熱交換器Heat Ex#1及びHeat Ex#2を介して第1の処理セクションS1に送られる。Heat Ex#2は、反応ゾーン#3の出口流体から熱を再生してキャリアガスを加熱する。典型的には、Heat Ex#2は、キャリアガスの温度を約200℃まで上げ、典型的には、反応ゾーン#3を出る流体の熱エネルギーの少なくとも60%を捕捉する。Heat Ex#1は、反応ゾーン#1の出口流体から熱を再生し、キャリアガスをさらに加熱する。典型的には、Heat Ex#1は、キャリアガスの温度を約500℃まで上げ、典型的には、反応ゾーン#1を出る流体の熱エネルギーの少なくとも50%を捕捉する。炉#1は、受け取った流体(ガス)を反応1を実行するのに適した温度まで加熱する。典型的には、炉#1は、入ってくるキャリアガスを700℃または約700℃まで加熱する。
【0090】
H2及びCO2は、制御ゾーン#1で回路16に導入される。制御ゾーン#1は、流体の特性(典型的には、ガスの温度、ガスの組成、及びガスの流量)が反応ゾーン#1で反応1を実行するのに適したものになるように、そこを流れ通る流体(ガス)を監視及び制御する。制御ゾーン#1を出るガス(CO2とH2が混合されたキャリアガス)は、反応物として反応ゾーン#1に供給される。反応1は、反応ゾーン#1で実行され、COを含むその反応生成物が生成される。任意選択にて、反応ゾーン#1は、流体の特性(典型的には、ガスの温度、ガスの組成、及びガスの流量)が反応ゾーン#1で反応1を実行するのに適したものになるように、そこを流れ通る流体(ガス)を監視及び制御する。
【0091】
キャリアガスと混合された反応ゾーン#1からの反応生成物は、Heat Ex#1を介して制御ゾーン#2(制御ゾーン#2が存在しない場合は制御ゾーン#3)に送られる。Heat Ex#1は、反応ゾーン#1からの出口ガスを(上述のようにHeat Ex#1が受け取ったキャリアガスとの熱交換によって)冷却し、好ましくは、反応ゾーン#2で反応2を実行するのに適した温度まで冷却する。典型的には、Heat Ex#1は出口ガスを300℃または約300℃まで冷却する。
【0092】
H2は、任意選択にて、制御ゾーン#2で回路16に導入される。過剰な水は、任意選択にて、制御ゾーン#2にて、またはその前に回路から除去される。制御ゾーン#2は、流体の特性(典型的には、ガスの温度、ガスの組成、及びガスの流量)が反応ゾーン#2で反応2を実行するのに適したものになるように、そこを流れる流体(ガス)を監視及び制御する。制御ゾーン#2を出るガス(COとH2が混合されたキャリアガス)は、反応物として反応ゾーン#2に供給される。反応2は、反応ゾーン#2で実行され、メチル前駆体またはその他の燃料前駆体を含むその反応生成物を生成する。任意選択にて、反応ゾーン#2は、流体特性(典型的には、ガスの温度、ガスの組成、及びガスの流量)が反応ゾーン#2で反応2を実行するのに適したものになるように、そこを流れ通る流体(ガス)を監視及び制御する。代替的な実施形態では、制御ゾーン#2は省略され、反応2は、反応ゾーン#3で反応#3とともに実行される。このような場合、制御ゾーン#2及び反応ゾーン#2に関して提供された説明は、制御ゾーン#3及び反応ゾーン#3に適用され得る。
【0093】
この反応の組み合わせでは、反応2及び反応3は、次のように表され得る:
CO+(1+a/2).H2→CHa+H2O
これは、合成燃料(例えば液体e-燃料)を製造するための全体的な反応であり、短縮形CHaで表される。パラメータaの値は、製造される炭化水素を決定し、存在するH2の量を制御することによって制御され得る(特に反応3の場合)。例えば、e-ガソリンは、ほとんどがC8H18であるが、この例ではパラメータaの値が2.25であるCHaとして表すことができる。
【0094】
反応ゾーン#2(または反応ゾーン#2が存在しない場合は反応ゾーン#1)からの出口流体は、炉#2に送られる。炉#2は、受け取った流体(ガス)を、反応3(または該当する場合は反応2及び3)を実行するのに適した温度まで加熱する。典型的には、炉#2は流入するガスを150~300℃に加熱する。加熱された流体は、制御ゾーン#3に送られる。制御ゾーン#3は、流体の特性(典型的には、ガスの温度、ガスの組成、及びガスの流量)が反応ゾーン#3で反応3(及びオプションで反応2)を実行するのに適したものになるように、そこを流れ通る流体(ガス)を監視及び制御する。制御ゾーン#3を出るガス(燃料前駆体と混合されたキャリアガス)は、反応物として反応ゾーン#3に供給される。反応3は、反応ゾーン#3で実行され、ガス形態のe-燃料を含むその反応生成物が生成される。任意選択にて、反応ゾーン#3は、流体の特性(典型的には、ガスの温度、ガスの組成、及びガスの流量)が反応ゾーン#3で反応3を実行するのに適したものになるように、そこを流れ通る流体(ガス)を監視及び制御する。
【0095】
反応3は、次のように表され得る:
X.CHa+B.H2→CxHy
式中、典型的には、X=8、a=2である。合成燃料が純粋なオクタンである場合、y=18、B=1になる。このプロセスでは必ずしもオクタンだけが生成されるわけではなく、典型的には他の炭化水素(例えば、C7及びC9)との混合物が生成されるため、これらの値は概算であり、ブレンドに依存する。炭素対水素の比率は、典型的には、圧力及び/または温度を含む他の動作条件とともに反応ゾーン#3内で制御され、所望のCxHy生成物が確実に生成されるようにする。
【0096】
反応ゾーン#3からの反応生成物は、典型的には、キャリアガスと混合され、Heat Ex#2を介して分離器34に送られる。Heat Ex#2は、反応ゾーン#3からの出口ガスを冷却し(上述のように熱排出#2が受け取ったキャリアガスとの熱交換によって)、典型的には、温度を100℃未満に下げる。分離器34は、合成された燃料を、キャリアガス、副産物、及び/または未使用の反応物から分離するように構成されている。Heat Ex#2は、反応ゾーン#3から受け取った燃料を凝縮するように構成することができ、その場合、分離器34は、任意の従来の液体-ガス分離装置を含み得る。代替的には、燃料は、ガス形態で分離器34に供給されてもよく、その場合、分離器34は、凝縮器を備え、任意選択的に、任意の適切な従来の液体-ガス分離装置も備えることができる。分離された燃料は、任意の便利な収集手段及び/または出口手段によってシステム10から収集され、及び/または、典型的にはバルブ15またはその他の流体出口制御手段の制御下で、任意の便利な貯蔵手段、例えば、タンク(図示せず)に貯蔵される。分離されたキャリアガス(反応からの気体副生成物及び/または未使用の反応物と混合され得る)は、回路16の戻り部16Rによってリザーバー24にリサイクルされる。
【0097】
任意選択にて、反応1で使用するためにリサイクルされる、すなわち、図示の実施形態では、回路16の戻り部分16Rを介してリサイクルされる生成物(複数可)またはその他の物質(複数可)は、互いに別々にリサイクルされる。この目的を達成するために、回路の戻り部分は、複数の導管、または、例えば、1つ以上の分離膜を使用して、複数の流体(特にガス)を別々に運ぶように構成された導管を含むことができる。リザーバー24は、戻りの各物質を個別に保管するように構成することも、都合に応じて複数のリザーバーを設けることもできる。例えば、好ましい実施形態では、戻りライン16Rは、ガス生成物の混合物は含まれず、むしろ膜分離によって分離された個々の種の複数のストリームが含まれる。分離器24は、必要な分離を実行するための任意の好適な従来のタイプ(複数可)の分離手段(例えば、凝縮器(複数可)、膜(複数可)、選択吸着手段等)が設けられ得る。
【0098】
上述の動作は、熱を再生またはリサイクルし、熱入力要件を削減し、プロセス効率を向上させると同時に、プロセスの開始点に戻された未使用の反応物を再循環変させ、換効率も向上させることは明らかであろう。好ましいシステムは、合成または合成された、すなわち製造された燃料、特に液体e-燃料の、低エネルギー、コスト効率の高い製造を容易にする。
【0099】
本発明は、本明細書に記載された実施形態(複数可)に限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく補正または修正され得る。
【国際調査報告】