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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】肺癌の予測及びその利用
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/68 20060101AFI20241029BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20241029BHJP
   C07K 14/47 20060101ALI20241029BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
G01N33/68
G01N33/53 D
C07K14/47
C07K16/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520616
(86)(22)【出願日】2022-10-07
(85)【翻訳文提出日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 US2022045989
(87)【国際公開番号】W WO2023059854
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】63/253,509
(32)【優先日】2021-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.UNIX
2.Linux
(71)【出願人】
【識別番号】505373306
【氏名又は名称】ソマロジック オペレーティング カンパニー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アレキサンダー リー
(72)【発明者】
【氏名】パターソン クレア
(72)【発明者】
【氏名】オストロフ レイチェル エム.
(72)【発明者】
【氏名】ハガー ヨランダ
(72)【発明者】
【氏名】クレシ ナターシャ
【テーマコード(参考)】
2G045
4H045
【Fターム(参考)】
2G045AA26
2G045CA25
2G045CA26
2G045DA36
2G045FA40
2G045FB03
2G045FB12
2G045GC15
4H045AA10
4H045AA11
4H045BA09
4H045CA42
4H045CA44
4H045DA75
4H045DA86
4H045EA51
(57)【要約】
本開示は、肺癌リスクを評価及び予測するためのバイオマーカー、方法、デバイス、試薬、システム、及びキットを含む。一態様では、本開示は、単独で、または様々な組み合わせで使用して、肺癌リスクを推定または判定することができるバイオマーカーを提供する。別の態様では、個体における肺癌リスクを評価及び予測するための方法を提供し、この方法は、個体由来の生体試料中で、表6に示すバイオマーカーの群から選択される少なくとも1つのバイオマーカーに対応する少なくとも1つのバイオマーカー値を検出することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ヒト対象由来の試料中のPSP-94タンパク質のレベル、ならびにMMP-12、SP-D、HE4、PH、FUT5、及びCRLF1からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質のレベルを測定し、
b)前記PSP-94のレベル、及び前記少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別すること
を含む方法。
【請求項2】
a)ヒト対象由来の試料中のPHタンパク質のレベル、ならびにMMP-12、SP-D、HE4、PSP-94、FUT5、及びCRLF1からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質のレベルを測定し、
b)前記PHのレベル、及び前記少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別することを含む方法。
【請求項3】
a)ヒト対象由来の試料中のFUT5タンパク質のレベル、ならびにMMP-12、SP-D、HE4、PSP-94、PH、及びCRLF1からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質のレベルを測定し、
b)前記FUT5のレベル、及び前記少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別すること
を含む方法。
【請求項4】
a)ヒト対象由来の試料中のCRLF1タンパク質のレベル、ならびにMMP-12、SP-D、HE4、PSP-94、PH、及びFUT5からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質のレベルを測定し、
b)前記CRLF1のレベル、及び前記少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別すること
を含む方法。
【請求項5】
a)ヒト対象由来の試料を、捕捉試薬のセットであって、各捕捉試薬が、PSP-94タンパク質、ならびにMMP-12、SP-D、HE4、PH、FUT5、及びCRLF1からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質を含むタンパク質セットの異なるタンパク質に対して親和性を有する、前記捕捉試薬のセットと接触させ、
b)前記捕捉試薬のセットを用いて、前記タンパク質セットの各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【請求項6】
a)ヒト対象由来の試料を、捕捉試薬のセットであって、各捕捉試薬が、PHタンパク質、ならびにMMP-12、SP-D、HE4、PSP-94、FUT5、及びCRLF1からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質を含むタンパク質セットの異なるタンパク質に対して親和性を有する、前記捕捉試薬のセットと接触させ、
b)前記捕捉試薬のセットを用いて、前記タンパク質セットの各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【請求項7】
a)ヒト対象由来の試料を、捕捉試薬のセットであって、各捕捉試薬が、FUT5タンパク質、ならびにMMP-12、SP-D、HE4、PSP-94、PH、及びCRLF1からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質を含むタンパク質セットの異なるタンパク質に対して親和性を有する、前記捕捉試薬のセットと接触させ、
b)前記捕捉試薬のセットを用いて、前記タンパク質セットの各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【請求項8】
a)ヒト対象由来の試料を、捕捉試薬のセットであって、各捕捉試薬が、CRLF1タンパク質、ならびにMMP-12、SP-D、HE4、PSP-94、PH、及びFUT5からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質を含むタンパク質セットの異なるタンパク質に対して親和性を有する、前記捕捉試薬のセットと接触させ、
b)前記捕捉試薬のセットを用いて、前記タンパク質セットの各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【請求項9】
前記方法が、PSP-94及びMMP-12;PSP-94及びSP-D;PSP-94及びHE4;PSP-94及びPH;PSP-94及びFUT5;またはPSP-94及びCRLF1を測定することを含む、請求項1または請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、PSP-94、MMP-12、及びSP-D;PSP-94、MMP-12、及びHE4;PSP-94、MMP-12、及びPH;PSP-94、MMP-12、及びFUT5;PSP-94、MMP-12、及びCRLF1;PSP-94、SP-D、及びHE4;PSP-94、SP-D、及びPH;PSP-94、SP-D、及びFUT5;PSP-94、SP-D、及びCRLF1;PSP-94、HE4、及びPH;PSP-94、HE4、及びFUT5;PSP-94、HE4、及びCRLF1;PSP-94、PH、及びFUT5;PSP-94、PH、及びCRLF1;またはPSP-94、FUT5、及びCRLF1を測定することを含む、請求項1または請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、PH及びMMP-12;PH及びSP-D;PH及びHE4;PH及びPSP-94;PH及びFUT5;またはPH及びCRLF1を測定することを含む、請求項2または請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、PH、MMP-12、及びSP-D;PH、MMP-12、HE4;PH、MMP-12、及びPSP-94;PH、MMP-12、及びFUT5;PH、MMP-12、及びCRLF1;PH、SP-D、及びHE4;PH、SP-D、及びPSP-94;PH、SP-D、及びFUT5;PH、SP-D、及びCRLF1;PH、HE4、及びPSP-94;PH、HE4、及びFUT5;PH、HE4、及びCRLF1;PH、PSP-94、及びFUT5;PH、PSP-94、及びCRLF1;またはPH、FUT5、及びCRLF1を測定することを含む、請求項2または請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記方法が、FUT5及びMMP-12;FUT5及びSP-D;FUT5及びHE4;FUT5及びPSP-94;FUT5及びPH;またはFUT5及びCRLF1を測定することを含む、請求項3または請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、FUT5、MMP-12、及びSP-D;FUT5、MMP-12、及びHE4;FUT5、MMP-12、及びPSP-94;FUT5、MMP-12、及びPH;FUT5、MMP-12、及びCRLF1;FUT5、SP-D、及びHE4;FUT5、SP-D、及びPSP-94;FUT5、SP-D、及びPH;FUT5、SP-D、及びCRLF1;FUT5、HE4、及びPSP-94;FUT5、HE4、及びPH;FUT5、HE4、及びCRLF1;FUT5、PSP-94、及びPH;FUT5、PSP-94、及びCRLF1;またはFUT5、PH、及びCRLF1を測定することを含む、請求項3または請求項7に記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、CRLF1及びMMP-12;CRLF1及びSP-D;CRLF1及びHE4;CRLF1及びPSP-94;CRLF1及びPH;またはCRLF1及びFUT5を測定することを含む、請求項4または請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記方法が、CRLF1、MMP-12、及びSP-D;CRLF1、MMP-12、及びHE4;CRLF1、MMP-12、及びPSP-94;CRLF1、MMP-12、及びPH;CRLF1、MMP-12、及びFUT5;CRLF1、SP-D、及びHE4;CRLF1、SP-D、及びPSP-94;CRLF1、SP-D、及びPH;CRLF1、SP-D、及びFUT5;CRLF1、HE4、及びPSP-94;CRLF1、HE4、及びPH;CRLF1、HE4、及びFUT5;CRLF1、PSP-94、及びPH;CRLF1、PSP-94、及びFUT5;またはCRLF1、PH、及びFUT5を測定することを含む、請求項4または請求項8に記載の方法。
【請求項17】
前記方法が、PSP-94及びPH、ならびに以下のMMP-12、SP-D、HE4、FUT5、及びCRLF1から選択されるタンパク質の少なくとも1つを測定することを含む、請求項1または請求項5に記載の方法。
【請求項18】
前記方法が、PSP-94及びFUT5、ならびに以下のMMP-12、SP-D、HE4、PH、及びCRLF1から選択されるタンパク質の少なくとも1つを測定することを含む、請求項1または請求項5に記載の方法。
【請求項19】
前記方法が、PSP-94及びCRLF1、ならびに以下のMMP-12、SP-D、HE4、PH、及びFUT5から選択されるタンパク質の少なくとも1つを測定することを含む、請求項1または請求項5に記載の方法。
【請求項20】
前記方法が、PH及びFUT5、ならびに以下のMMP-12、SP-D、HE4、PSP-94、及びCRLF1から選択されるタンパク質の少なくとも1つを測定することを含む、請求項2または請求項6に記載の方法。
【請求項21】
前記方法が、PH及びCRLF1、ならびに以下のMMP-12、SP-D、HE4、PSP-94、及びFUT5から選択されるタンパク質の少なくとも1つを測定することを含む、請求項2または請求項6に記載の方法。
【請求項22】
前記方法が、FUT5及びCRLF1、ならびに以下のMMP-12、SP-D、HE4、PSP-94、及びPHから選択されるタンパク質の少なくとも1つを測定することを含む、請求項3または請求項7に記載の方法。
【請求項23】
a)ヒト対象由来の試料を、2つの捕捉試薬であって、一方の捕捉試薬が、PSP-94タンパク質に対する親和性を有し、第2の捕捉試薬が、PHタンパク質に対する親和性を有する、前記2つの捕捉試薬と接触させ、
b)前記2つの捕捉試薬を使用して、各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【請求項24】
a)ヒト対象由来の試料を、2つの捕捉試薬であって、一方の捕捉試薬が、PSP-94タンパク質に対する親和性を有し、第2の捕捉試薬が、FUT5タンパク質に対する親和性を有する、前記2つの捕捉試薬と接触させ、
b)前記2つの捕捉試薬を使用して、各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【請求項25】
a)ヒト対象由来の試料を、2つの捕捉試薬であって、一方の捕捉試薬が、PSP-94タンパク質に対する親和性を有し、第2の捕捉試薬が、CRLF1タンパク質に対する親和性を有する、前記2つの捕捉試薬と接触させ、
b)前記2つの捕捉試薬を使用して、各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【請求項26】
a)ヒト対象由来の試料を、2つの捕捉試薬であって、一方の捕捉試薬が、PHタンパク質に対する親和性を有し、第2の捕捉試薬が、FUT5タンパク質に対する親和性を有する、前記2つの捕捉試薬と接触させ、
b)前記2つの捕捉試薬を使用して、各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【請求項27】
a)ヒト対象由来の試料を、2つの捕捉試薬であって、一方の捕捉試薬が、PHタンパク質に対する親和性を有し、第2の捕捉試薬が、CRLF1タンパク質に対する親和性を有する、前記2つの捕捉試薬と接触させ、
b)前記2つの捕捉試薬を使用して、各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【請求項28】
a)ヒト対象由来の試料を、2つの捕捉試薬であって、一方の捕捉試薬が、FUT5タンパク質に対する親和性を有し、第2の捕捉試薬が、CRLF1タンパク質に対する親和性を有する、前記2つの捕捉試薬と接触させ、
b)前記2つの捕捉試薬を使用して、各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【請求項29】
a)ヒト対象由来の試料中のPSP-94及びPHのレベルを測定し、
b)前記PSP-94及びPHのレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別すること
を含む方法。
【請求項30】
a)ヒト対象由来の試料中のPSP-94及びFUT5のレベルを測定し、
b)前記PSP-94及びFUT5のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別すること
を含む方法。
【請求項31】
a)ヒト対象由来の試料中のPSP-94及びCRLF1のレベルを測定し、
b)前記PSP-94及びCRLF1のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別すること
を含む方法。
【請求項32】
a)ヒト対象由来の試料中のPH及びFUT5のレベルを測定し、
b)前記PH及びFUT5のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別することを含む方法。
【請求項33】
a)ヒト対象由来の試料中のPH及びCRLF1のレベルを測定し、
b)前記PH及びCRLF1のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別すること
を含む方法。
【請求項34】
a)ヒト対象由来の試料中のFUT5及びCRLF1のレベルを測定し、
b)前記FUT5及びCRLF1のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別する
ことを含む方法。
【請求項35】
a)ヒト対象由来の試料を、3つの捕捉試薬であって、前記3つの捕捉試薬のそれぞれが、PSP-94、PH、及びFUT5から選択されるタンパク質に対する親和性を有する、前記3つの捕捉試薬と接触させ、
b)前記3つの捕捉試薬を使用して、各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【請求項36】
a)ヒト対象由来の試料を、3つの捕捉試薬であって、前記3つの捕捉試薬のそれぞれが、PSP-94、PH、及びCRLF1から選択されるタンパク質に対する親和性を有する、前記3つの捕捉試薬と接触させ、
b)前記3つの捕捉試薬を使用して、各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【請求項37】
a)ヒト対象由来の試料を、3つの捕捉試薬であって、前記3つの捕捉試薬のそれぞれが、PH、FUT5、及びCRLF1から選択されるタンパク質に対する親和性を有する、前記3つの捕捉試薬と接触させ、
b)前記3つの捕捉試薬を使用して、各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【請求項38】
a)ヒト対象由来の試料を3つの捕捉試薬であって、前記3つの捕捉試薬のそれぞれが、FUT5、CRLF1、及びPSP-94から選択されるタンパク質に対する親和性を有する、前記3つの捕捉試薬と接触させ、
b)前記3つの捕捉試薬を使用して、各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【請求項39】
a)ヒト対象由来の試料中のPSP-94、PH、及びFUT5のレベルを測定し、
b)前記PSP-94、PH、及びFUT5のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別すること
を含む方法。
【請求項40】
a)ヒト対象由来の試料中のPSP-94、PH、及びCRLF1のレベルを測定し、
b)前記PSP-94、PH、及びCRLF1のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別すること
を含む方法。
【請求項41】
a)ヒト対象由来の試料中のPH、FUT5、及びCRLF1のレベルを測定し、
b)前記PH、FUT5、及びCRLF1のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別すること
を含む方法。
【請求項42】
a)ヒト対象由来の試料中のFUT5、CRLF1、及びPSP-94のレベルを測定し、
b)前記FUT5、CRLF1、及びPSP-94のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別すること
を含む方法。
【請求項43】
MMP-12タンパク質のレベルを測定することをさらに含む、請求項23~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
SP-Dタンパク質のレベルを測定することをさらに含む、請求項23~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
HE4タンパク質のレベルを測定することをさらに含む、請求項23~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
a)ヒト対象由来の試料中のMMP-12、SP-D、HE4、PSP-94、PH、FUT5、及びCRLF1からなる群から選択される少なくとも3、4、5、6、または7つのタンパク質のレベルを測定し、
b)前記少なくとも3、4、5、6、または7つのタンパク質のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別すること
を含む方法。
【請求項47】
前記方法が、MMP-12、SP-D、及びHE4;MMP-12、SP-D、及びPSP-94;MMP-12、SP-D、及びPH;MMP-12、SP-D、及びFUT5;MMP-12、SP-D、及びCRLF1;MMP-12、HE4、及びPSP-94;MMP-12、HE4、及びPH;MMP-12、HE4、及びFUT5;MP-12、HE4、及びCRLF1;MMP-12、PSP-94、及びPH;MMP-12、PSP-94、及びFUT5;MMP-12、PSP-94、及びCRLF1;MMP-12、PH、及びFUT5;MMP-12、PH、及びCRLF1;MMP-12、FUT5、及びCRLF1;SP-D、HE4、及びPSP-94;SP-D、HE4、及びPH;SP-D、HE4、及びFUT5;SP-D、HE4、及びCRLF1;SP-D、PSP-94、及びPH;SP-D、PSP-94、及びFUT5;SP-D、PSP-94、及びCRLF1;SP-D、PH、及びFUT5;SP-D、PH、及びCRLF1;SP-D、FUT5、及びCRLF1;HE4、PSP-94、及びPH;HE4、PSP-94、及びFUT5;HE4、PSP-94、及びCRLF1;HE4、PH、及びFUT5;HE4、PH、及びCRLF1;HE4、FUT5、及びCRLF1;PSP-94、PH、及びFUT5;PSP-94、PH、及びCRLF1;PSP-94、FUT5、及びCRLF1;またはPH、FUT5、及びCRLF1を測定することを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
PSP-94、PH、FUT5、及びCRLF1のうちの1つ以上を測定することをさらに含む、請求項46または請求項47に記載の方法。
【請求項49】
a)ヒト対象由来の試料を捕捉試薬のセットであって、各捕捉試薬が、ヒト対象由来の試料中のMMP-12、SP-D、HE4、PSP-94、FUT5、及びCRLF1からなる群から選択される少なくとも3、4、5、6、または7つのタンパク質を含むタンパク質セットの異なるタンパク質に対して親和性を有する、前記捕捉試薬のセットと接触させ、
b)前記捕捉試薬のセットを用いて、前記タンパク質セットの各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【請求項50】
前記方法が、MMP-12、SP-D、及びHE4;MMP-12、SP-D、及びPSP-94;MMP-12、SP-D、及びPH;MMP-12、SP-D、及びFUT5;MMP-12、SP-D、及びCRLF1;MMP-12、HE4、及びPSP-94;MMP-12、HE4、及びPH;MMP-12、HE4、及びFUT5;MP-12、HE4、及びCRLF1;MMP-12、PSP-94、及びPH;MMP-12、PSP-94、及びFUT5;MMP-12、PSP-94、及びCRLF1;MMP-12、PH、及びFUT5;MMP-12、PH、及びCRLF1;MMP-12、FUT5、及びCRLF1;SP-D、HE4、及びPSP-94;SP-D、HE4、及びPH;SP-D、HE4、及びFUT5;SP-D、HE4、及びCRLF1;SP-D、PSP-94、及びPH;SP-D、PSP-94、及びFUT5;SP-D、PSP-94、及びCRLF1;SP-D、PH、及びFUT5;SP-D、PH、及びCRLF1;SP-D、FUT5、及びCRLF1;HE4、PSP-94、及びPH;HE4、PSP-94、及びFUT5;HE4、PSP-94、及びCRLF1;HE4、PH、及びFUT5;HE4、PH、及びCRLF1;HE4、FUT5、及びCRLF1;PSP-94、PH、及びFUT5;PSP-94、PH、及びCRLF1;PSP-94、FUT5、及びCRLF1;またはPH、FUT5、及びCRLF1を測定することを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
PSP-94、PH、FUT5、及びCRLF1のうちの1つ以上を測定することをさらに含む、請求項49または請求項50に記載の方法。
【請求項52】
a)ヒト対象由来の試料中のMMP-12タンパク質のレベル、ならびにSP-D、HE4、PSP-94、PH、FUT5、及びCRLF1からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質のレベルを測定し、
b)前記MMP-12のレベル、及び前記少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別すること
を含む方法。
【請求項53】
a)ヒト対象由来の試料中のSP-Dタンパク質のレベル、ならびにMMP-12、HE4、PSP-94、PH、FUT5、及びCRLF1からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質のレベルを測定し、
b)前記SP-Dのレベル、及び前記少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、または9つのタンパク質のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別すること
を含む方法。
【請求項54】
a)ヒト対象由来の試料中のHE4タンパク質のレベル、ならびにMMP-12、SP-D、PSP-94、PH、FUT5、及びCRLF1からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質のレベルを測定し、
b)前記HE4のレベル、及び前記少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、または9つのタンパク質のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別すること
を含む方法。
【請求項55】
a)ヒト対象由来の試料を、捕捉試薬のセットであって、各捕捉試薬が、MMP-12タンパク質、ならびにSP-D、HE4、PSP-94、PH、FUT5、及びCRLF1からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質を
含むタンパク質セットの異なるタンパク質に対して親和性を有する、前記捕捉試薬のセットと接触させ、
b)前記捕捉試薬のセットを用いて、前記タンパク質セットの各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【請求項56】
a)ヒト対象由来の試料を、捕捉試薬のセットであって、各捕捉試薬が、SP-Dタンパク質、ならびにMMP-12、HE4、PSP-94、PH、FUT5、及びCRLF1からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質を含むタンパク質セットの異なるタンパク質に対して親和性を有する、前記捕捉試薬のセットと接触させ、
b)前記捕捉試薬のセットを用いて、前記タンパク質セットの各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【請求項57】
a)ヒト対象由来の試料を、捕捉試薬のセットであって、各捕捉試薬が、HE4タンパク質、ならびにMMP-12、SP-D、PSP-94、PH、FUT5、及びCRLF1からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質を含むタンパク質セットの異なるタンパク質に対して親和性を有する、前記捕捉試薬のセットと接触させ、
b)前記捕捉試薬のセットを用いて、前記タンパク質セットの各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【請求項58】
前記捕捉試薬のセットが、アプタマー、抗体、及びアプタマーと抗体の組み合わせから選択される、請求項5~28、36~38、49~51、及び55~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記測定を、質量分析法、アプタマーベースのアッセイ、及び/または抗体ベースのアッセイを使用して実施する、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
測定される各バイオマーカータンパク質のレベルが、相対蛍光単位(RFU)またはタンパク質濃度から決定される、請求項58または請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記試料が、血液、血漿、血清、または尿から選択される、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記タンパク質レベルを使用して、ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別する、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
肺癌を発症するリスクが5年以内である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
肺癌を発症するリスクが、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、または10年以内の期間である、請求項62または請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記ヒト対象が、現喫煙者または元喫煙者である、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記対象が、肺癌を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記方法が、0.62、0.67、0.68、0.68、0.70、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、またはそれを上回る曲線下面積(AUC)を提供する、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記方法が、約0.6~約0.8、約0.61~約0.78、約0.62~約0.76、約0.62~約0.68、約0.67~約0.72、約0.69~約0.74、約0.71~約0.74、約0.73~約0.76、または約0.74~約0.76の曲線下面積(AUC)を提供する、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
肺癌を発症するリスクの予測が、統計モデルにおける、前記測定されたタンパク質のレベルの入力に基づく、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記予測が、加速故障時間(AFT)ワイブル生存モデルを使用して、前記測定されたタンパク質のレベルを分析することを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
診断検診を実施することをさらに含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記診断検診が、低線量コンピュータ断層撮影法(LDCT)、胸部X線撮影、及び喀痰細胞診から選択される、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
医療保険料または生命保険料を決定する目的で肺癌を発症するリスクを予測することを含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記方法が、医療保険または生命保険の補償範囲または保険料を決定することをさらに含む、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記方法が、医療資源の利用を予測及び/または管理するために、前記方法により得られた情報を使用することをさらに含む、請求項1~72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記方法が、医療事業、病院、または企業を取得または購入するという決定を可能にするために、前記方法により得られた情報を使用することをさらに含む、請求項1~72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
N個のタンパク質捕捉試薬を含むキットであって、Nが、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、または少なくとも7であり、前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの少なくとも1つが、PSP-94、MMP-12、SP-D、HE4、PH、FUT5、及びCRLF1から選択されるタンパク質に特異的に結合する、前記キット。
【請求項78】
Nが少なくとも2であり、前記2つのNタンパク質捕捉試薬のうち少なくとも1つが、PSP-94、MMP-12、SP-D、HE4、PH、FUT5、及びCRLF1から選択される前記タンパク質に特異的に結合する、請求項77に記載のキット。
【請求項79】
Nが2~7であるか、またはNが3~7であるか、またはNが4~7であるか、またはNが5~7であるか、またはNが6~7である、請求項77または78に記載のキット。
【請求項80】
Nが2、Nが3、Nが4、Nが5、Nが6、またはNが7である、請求項77~79のいずれか1項に記載のキット。
【請求項81】
前記N個のタンパク質捕捉試薬のそれぞれが、異なるバイオマーカータンパク質に特異
的に結合する、請求項77~80のいずれか1項に記載のキット。
【請求項82】
前記N個のタンパク質捕捉試薬のそれぞれが、PSP-94、MMP-12、SP-D、HE4、PH、FUT5、及びCRLF1から選択されるタンパク質に特異的に結合する、請求項77~81のいずれか1項に記載のキット。
【請求項83】
前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、PSP-94及びMMP-12に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、PSP-94及びSP-Dに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、PSP-94及びHE4に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、PSP-94及びPHに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、PSP-94及びFUT5に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、PSP-94及びCRLF1に特異的に結合する、請求項77~81のいずれか1項に記載のキット。
【請求項84】
前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PSP-94、MMP-12、及びSP-Dに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PSP-94、MMP-12、及びHE4に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PSP-94、MMP-12、及びPHに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PSP-94、MMP-12、及びFUT5に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PSP-94、MMP-12、及びCRLF1に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PSP-94、SP-D、及びHE4に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PSP-94、SP-D、及びPHに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PSP-94、SP-D、及びFUT5に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PSP-94、SP-D、及びCRLF1に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PSP-94、HE4、及びPH;PSP-94、HE4、及びFUT5に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PSP-94、HE4、及びCRLF1に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PSP-94、PH、及びFUT5に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PSP-94、PH、及びCRLF1に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PSP-94、FUT5、及びCRLF1に特異的に結合する、請求項77~81のいずれか1項に記載のキット。
【請求項85】
前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、PH及びMMP-12に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、PH及びSP-Dに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、PH及びHE4に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、PH及びPSP-94;PH及びFUT5に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、PH及びCRLF1に特異的に結合する、請求項77~81のいずれか1項に記載のキット。
【請求項86】
前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PH、MMP-12、及びSP-Dに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PH、MMP-12、及びHE4に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PH、MMP-12、及びPSP-94に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PH、MMP-12、及びFUT5に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PH、MMP-1
2、及びCRLF1に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PH、SP-D、及びHE4に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PH、SP-D、及びPSP-94に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PH、SP-D、及びFUT5に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PH、SP-D、及びCRLF1に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PH、HE4、及びPSP-94に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PH、HE4、及びFUT5に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PH、HE4、及びCRLF1に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PH、PSP-94、及びFUT5;PH、PSP-94、及びCRLF1に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PH、FUT5、及びCRLF1に特異的に結合する、請求項77~81のいずれか1項に記載のキット。
【請求項87】
前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、FUT5及びMMP-12に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、FUT5及びSP-Dに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、FUT5及びHE4に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、FUT5及びPSP-94に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、FUT5及びPHに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、FUT5及びCRLF1に特異的に結合する、請求項77~81のいずれか1項に記載のキット。
【請求項88】
前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、FUT5、MMP-12、及びSP-Dに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、FUT5、MMP-12、及びHE4に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、FUT5、MMP-12、及びPSP-94に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、FUT5、MMP-12、及びFUT5に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、FUT5、MMP-12、及びCRLF1に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、FUT5、SP-D、及びHE4に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、FUT5、SP-D、及びPSP-94に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、FUT5、SP-D、及びPHに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、FUT5、SP-D、及びCRLF1に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、FUT5、HE4、及びPSP-94に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、FUT5、HE4、及びPHに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、FUT5、HE4、及びCRLF1に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、FUT5、PSP-94、及びPHに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、FUT5、PSP-94、及びCRLF1に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、FUT5、PH、及びCRLF1に特異的に結合する、請求項77~81のいずれか1項に記載のキット。
【請求項89】
前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、CRLF1及びMMP-12に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、CRLF1及びSP-Dに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、CRLF1及びHE4;もしくはCRLF1及びPSP-94に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、CRLF1及びPHに特異的に結合す
るか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、CRLF1及びFUT5に特異的に結合する、請求項77~81のいずれか1項に記載のキット。
【請求項90】
前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、CRLF1、MMP-12、及びSP-Dに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、CRLF1、MMP-12、及びHE4に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、CRLF1、MMP-12、及びPSP-94に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、CRLF1、MMP-12、及びPHに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、CRLF1、MMP-12、及びFUT5に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、CRLF1、SP-D、及びHE4に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、CRLF1、SP-D、及びPSP-94に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、CRLF1、SP-D、及びPHに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、CRLF1、SP-D、及びFUT5に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、CRLF1、HE4、及びPSP-94に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、CRLF1、HE4、及びPHに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、CRLF1、HE4、及びFUT5に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、CRLF1、PSP-94、及びPHに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、CRLF1、PSP-94、及びFUT5に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、CRLF1、PH、及びFUT5に特異的に結合する、請求項77~81のいずれか1項に記載のキット。
【請求項91】
N個のタンパク質捕捉試薬を含むキットであって、前記キットが、請求項1~76のいずれか1項に記載の方法を実施するためのタンパク質捕捉試薬を含む、前記キット。
【請求項92】
前記N個のバイオマーカータンパク質捕捉試薬のそれぞれが、抗体またはアプタマーである、請求項77~91のいずれか1項に記載のキット。
【請求項93】
各バイオマーカータンパク質捕捉試薬がアプタマーである、請求項92に記載のキット。
【請求項94】
対象由来の試料中の前記N個のバイオマーカータンパク質を検出する際に使用するための、請求項77~93のいずれか1項に記載のキット。
【請求項95】
対象の肺癌発症リスクの予測に使用するための、請求項94に記載のキット。
【請求項96】
前記対象が、肺癌に罹患している、請求項95に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月7日に出願された米国仮出願第63/253,509号の優先権の利益を主張するものであり、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【0002】
本出願は、一般に、バイオマーカーの検出、及び個体における肺癌のリスクの評価方法に関し、より具体的には、指定された時間枠内での肺癌発症リスクの予測について、個体を評価するために使用される1つ以上のバイオマーカー、方法、デバイス、試薬、システム、及びキットに関する。
【背景技術】
【0003】
以下の説明は、本出願に関連する情報の概要を提供するものであり、本明細書で提供される情報または参照される刊行物のいずれかが本出願の先行技術であることを認めるものではない。
【0004】
肺癌は2番目に多いがんの種類であり、米国では男女ともにがんによる死亡の主要な原因となっている(Siegel et al.“Cancer Statistics,2021.” CA Cancer J Clin 2021;71:7-33)。
【0005】
肺癌には、細胞型、免疫組織化学的特徴、及び分子的特徴に従って分類される2つの主要なカテゴリ、1)非小細胞肺癌(これには、扁平上皮癌、大細胞癌、及び腺癌が含まれ、これらで肺癌の約85%を占める)、ならびに2)小細胞肺癌(これには、小細胞癌及び複合型小細胞癌が含まれる)がある。小細胞肺癌は増殖が速く、この種類のがん患者の約70%は、診断時にはすでにがんが広がっている。(“About Lung Cancer”,American Cancer Society. https://www.cancer.org/cancer/lung-cancer/about/からオンラインで入手可能、及び“Cancer Stat Facts: Lung and Bronchus Cancer” National Cancer Institute.Surveillance,Epidemiology,and End Results Program. https://seer.cancer.gov/statfacts/html/lungb.htmlからオンラインで入手可能)。
【0006】
肺癌患者は様々な段階の疾患を呈する可能性があり、初期症状は、一般に持続的な咳、息切れ、及び血痰として観察される。肺癌の診断は、胸部画像検査(低線量コンピュータ断層撮影が最も標準的な検査であるが、一部の臨床現場では代替手段として胸部X線検査またはMRIも含まれる場合がある)によって発見される肺結節の最初の存在に基づいて行われ、その後、生検が行われる。肺癌の病期は、腫瘍の大きさ、浸潤性、リンパ節への広がりによって決定される。肺癌の予後は悪く、病期が進行するにつれて悪化する。限局性肺癌期の患者の5年生存率は59%であるが、局所的広がりを伴う肺癌期の患者の5年生存率は32%に低下し、遠隔転移を伴う肺癌期の患者の5年生存率は6%に低下する(https://seer.cancer.gov/statfacts/html/lungb.html)。
【0007】
肺癌患者には、手術、放射線療法、化学療法、標的療法、及び免疫療法など、がんの進行度や全体的な健康状態に応じて様々な種類の治療法がある。(“Non-Small Cell Lung Cancer Treatment(PDQ(登録商標))-Pa
tient Version”(August 2021)National Cancer Institute. https://www.cancer.gov/types/lung/patient/non-small-cell-lung-treatment-pdq#_118からオンライン入手可能)。
【0008】
男性の約15人に1人、女性の約17人に1人が生涯のうちに肺癌を発症する(https://seer.cancer.gov/statfacts/html/lungb.html)。しかしながら、そのリスクは喫煙者では劇的に増加し、米国では80%以上の肺癌症例が喫煙者において発生している。(“Lung Cancer Among People Who Never Smoked”(November 2020)Center for Disease Control and Prevention. https://www.cdc.gov/cancer/lung/nonsmokers/index.htmからオンライン入手可能)。男性と女性の喫煙者の両方における肺癌リスクは、累積喫煙量と喫煙期間(「パックイヤー」で定義)とともに増加し、元喫煙者では禁煙からの時間が増加するにつれて減少する(Bruder et al.“Estimating lifetime and 10-year risk
of lung cancer.” Prev Med Rep 2018;11:125-30 and Samet J.M.“Health benefits of smoking cessation.” Clin Chest Med 1991;12:669-79及び(図1)。
【0009】
喫煙は肺癌の最も浸透しやすいリスク因子であることが十分に示されているが、加齢も肺癌の重大なリスクとなり、肺癌と診断される年齢の中央値は71歳であり、最も頻繁に肺癌と診断されるのは65~74歳である。https://seer.cancer.gov/statfacts/html/lungb.html。
【0010】
さらに、煙、職場の化学物質(例えば、アスベスト)、及び放射線への曝露などの他のリスク因子、ならびに肺癌の家族歴などの臨床因子も、個体の肺癌または肺疾患のリスク上昇と関連しているとされている。https://www.cancer.gov/types/lung/patient/non-small-cell-lung-treatment-pdq#_118。
【0011】
米国予防医学専門委員会(USPSTF)は、低線量コンピュータ断層撮影(LDCT)による年に一度のスクリーニングが、肺癌のリスクが高いと考えられる個体に対して中程度の正味のベネフィットがあることを、中程度の確実性(グレードB評価)で推奨している。高リスクの個体は、50歳~80歳であり、少なくとも20箱/年の喫煙歴があり、現在喫煙しているか、または過去15年以内に禁煙した人として定義される。(Force USPST,et al.“Screening for Lung Cancer: US Preventive Services Task Force Recommendation Statement.” JAMA 2021;325:962-70)。
【0012】
これらの検診ガイドラインは、年に一度のLDCT検診が高リスク個体の肺癌死亡率を低下させるという十分なエビデンスが蓄積されているため、(年齢と喫煙状況に基づく)高リスク個体に限定されている。例えば、National Lung Cancer Screening Trial(NLST)は、以前のUSPSTFガイドラインに基づいて肺癌のリスクが高い個体(55~80歳で、少なくとも30パック/年の喫煙歴があり、現在喫煙しているか、過去15年以内に禁煙している個体)を対象に、LDCTスキャンの有効性を胸部X線撮影と比較した。この試験では、LDCT検診による肺癌死亡率の20%の減少が報告されたが、これは、胸部X線撮影よりも有意に優れていた。(N
ational Lung Screening Trial Research Team. “Reduced lung-cancer mortality with low-dose computed tomographic screening.” N Engl J Med 2011;365:395-409)。LDCTで異常所見が見つかった場合、その後の肺癌検診は、Lung-RADS評価カテゴリに従って、より頻繁なLDCTに変更されることがよくある。(“Lung CT Screening Reporting & Data System(Lung-RADS)”American College of Radiology,https://www.acr.org/Clinical-Resources/Reporting-and-Data-Systems/Lung-Radsからオンラインで入手可能)。
【0013】
USPSTFは、リスクの低い個体(非喫煙者)に対して肺癌検診を推奨していないが、これは、この集団における正味のベネフィットに関する十分なエビデンスがなく、検診による害(不必要な検査につながる偽陽性結果を含む)のリスクがあるためであり、侵襲的処置、過剰診断、放射線誘発性癌、偶発的所見、苦痛または不安の増加など)は、低リスク集団におけるベネフィットを上回る。しかしながら、一部の医療制度では、医師の指導のもと、肺癌生存者、肺癌の強い家族歴があるか、または職業性アスベスト曝露の非適格個体に定期的な肺癌検診を推奨する場合がある。(“Lung Cancer Screening”(March 2021)Mayo Clinic. https://www.mayoclinic.org/tests-procedures/lung-cancer-screening/about/pac-20385024からオンライン入手可能)。これらの個体に対する検診について、払い戻しが保証されてるわけではない。
【0014】
肺癌検診は、LDCTに加えて、胸部X線撮影、喀痰細胞診、及びバイオマーカー測定によって行うこともできるが、これらの検診方法が死亡率にベネフィットをもたらすというエビデンスは不十分であり、これらの技術の感度はLDCTよりも低くなる。(Force USPST,et al.“Screening for Lung Cancer:US Preventive Services Task Force Recommendation Statement.” JAMA 2021;325:962-70)。さらに、肺癌検診のこれらの代替手段のいずれかで異常所見が見つかった場合は、死亡率のベネフィットを達成するためにフォローアップのLDCT検診が推奨されることになる。
【0015】
肺癌検診は、患者と医療提供者との間で共同で意思決定を行うプロセスであり、禁煙カウンセリング(現在喫煙している場合)に加えて実施する必要がある。各検診方法のリスク、ベネフィット、エビデンスレベルについて議論するとともに、検診をどこで実施すべきかについてのアドバイスも行う必要がある(質の高い肺癌及びLung-RADSの標準分類を採用した治療センター)。肺癌のリスクが特に高い場合(例えば、検診適格な現在もヘビースモーカーであり、COPDの既往歴があり、肺癌の強い家族歴がある場合)、医師はガイダンスを変更して、検診方法としてLDCTを(至適基準であるため)、検診をScreening Center of Excellenceで実施する(最高レベルの感度と特異度が確実に達成されるようにするため)ことを強く推奨してもよい。
【0016】
LDCTによる肺癌検診のベネフィットが肺癌死亡率を低下させる点にあることは十分に確立されているが、利用可能なデータからは肺癌検診の受診率が低いことが示されており、研究では肺癌検診の対象となる個体のうちわずか14%しか過去年に肺癌検診を受けていなかったことが示されている。(Zahnd et al.“Lung Cancer Screening Utilization:A Behavioral Risk Factor Surveillance System Analysis.”
Am J Prev Med 2019;57:250-5)。米国では2021年に推定13万人以上が肺癌で死亡すると予測されており、(https://seer.cancer.gov/statfacts/html/lungb.html)肺がんのリスクを患者にアドバイスするための追加の臨床治療コースが必要である。将来の肺癌診断に対する患者のリスクを評価するための、現在臨床的に受け入れられている標準治療は存在しない。
【0017】
上記で説明したように、医師は個々の患者のリスクレベルに基づいて、異なる肺癌検診法を推奨したり、肺癌検診センターへの紹介を推奨したりしてもよいが、ただし、検診ツールは現在の肺癌を検出することに限定されており、将来のリスクは検出できない。将来の肺リスクに関する様々な臨床リスク計算ツールが開発されており、人口動態、個体及び家族の健康歴、ライフスタイル、発がん性物質への曝露レベルの組み合わせから個体の肺癌リスクを予測できるが、ただし、これらの計算ツールは独立したコホートで日常的に検証/複製されておらず、患者の自己申告情報が含まれており、多くは非標準の臨床結果を必要としている。現在、臨床現場で標準治療として広く使用されている臨床リスク計算ツールは存在しない。したがって、個体の肺癌リスクを評価するためのバイオマーカー、方法、デバイス、試薬、システム、及びキットの必要性が存在する。
【発明の概要】
【0018】
本出願は、特定の時間枠内で個体の肺癌診断のリスクを評価するためのバイオマーカー、方法、デバイス、試薬、システム、及びキットを開示する。一態様では、本明細書で開示される肺癌リスク検査の目的は、採血後5年以内の肺癌診断に対する現在または元喫煙者のリスクを予測するモデルを作成することである。
【0019】
本明細書で開示される肺癌リスク検査のベネフィットには、自己申告された人口統計学または遺伝的バックグラウンドに依存することなく、将来の肺癌診断のためのリスクの程度について個人化された知識を得る便利な方法が含まれ、検査結果は、肺癌の早期発見の可能性を可能にする肺癌検診ガイドラインの遵守に影響を与え、肺癌の生存率を向上させる可能性があり、この検査は、修正可能なリスク関連行動(例えば、禁煙、食事の変更、減量)における前向きな行動の変化に影響を与える可能性があり、また、この検査は、医療提供者による肺癌検診の決定/推奨、または検査結果に基づく患者の肺検診の希望を支援する可能性がある(例えば、高リスクカテゴリの患者が、胸部X線撮影などの感度の低い別の方法ではなく、至適基準と考えられているLDCT検診法を最初に実施する場合)。肺癌リスク検査には、サンプリング時に肺癌を患っている対象を特定することが含まれ得る。
【0020】
以下の番号付き段落[0021]~[0116]は、本明細書に開示されている発明の技術的特徴の広範な組み合わせの記述を含む:
【0021】
1.
a)ヒト対象由来の試料中のPSP-94タンパク質のレベル、ならびにMMP-12、SP-D、HE4、PH、FUT5、及びCRLF1からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質のレベルを測定し、
b)前記PSP-94のレベル、及び前記少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別すること
を含む方法。
【0022】
2.
a)ヒト対象由来の試料中のPHタンパク質のレベル、ならびにMMP-12、SP-
D、HE4、PSP-94、FUT5、及びCRLF1からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質のレベルを測定し、
b)前記PHのレベル、及び前記少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別することを含む方法。
【0023】
3.
a)ヒト対象由来の試料中のFUT5タンパク質のレベル、ならびにMMP-12、SP-D、HE4、PSP-94、PH、及びCRLF1からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質のレベルを測定し、
b)前記FUT5のレベル、及び前記少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別すること
を含む方法。
【0024】
4.
a)ヒト対象由来の試料中のCRLF1タンパク質のレベル、ならびにMMP-12、SP-D、HE4、PSP-94、PH、及びFUT5からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質のレベルを測定し、
b)前記CRLF1のレベル、及び前記少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別すること
を含む方法。
【0025】
5.
a)ヒト対象由来の試料を、捕捉試薬のセットであって、各捕捉試薬が、PSP-94タンパク質、ならびにMMP-12、SP-D、HE4、PH、FUT5、及びCRLF1からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質を含むタンパク質セットの異なるタンパク質に対して親和性を有する、前記捕捉試薬のセットと接触させ、
b)前記捕捉試薬のセットを用いて、前記タンパク質セットの各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【0026】
6.
a)ヒト対象由来の試料を、捕捉試薬のセットであって、各捕捉試薬が、PHタンパク質、ならびにMMP-12、SP-D、HE4、PSP-94、FUT5、及びCRLF1からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質を含むタンパク質セットの異なるタンパク質に対して親和性を有する、前記捕捉試薬のセットと接触させ、
b)前記捕捉試薬のセットを用いて、前記タンパク質セットの各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【0027】
7.
a)ヒト対象由来の試料を、捕捉試薬のセットであって、各捕捉試薬が、FUT5タンパク質、ならびにMMP-12、SP-D、HE4、PSP-94、PH、及びCRLF1からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質を含むタンパク質セットの異なるタンパク質に対して親和性を有する、前記捕捉試薬のセットと接触させ、
b)前記捕捉試薬のセットを用いて、前記タンパク質セットの各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【0028】
8.
a)ヒト対象由来の試料を、捕捉試薬のセットであって、各捕捉試薬が、CRLF1タンパク質、ならびにMMP-12、SP-D、HE4、PSP-94、PH、及びFUT5からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質を含むタンパク質セットの異なるタンパク質に対して親和性を有する、前記捕捉試薬のセットと接触させ、
b)前記捕捉試薬のセットを用いて、前記タンパク質セットの各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【0029】
9.前記方法が、PSP-94及びMMP-12;PSP-94及びSP-D;PSP-94及びHE4;PSP-94及びPH;PSP-94及びFUT5;またはPSP-94及びCRLF1を測定することを含む、態様1または態様5に記載の方法。
【0030】
10.前記方法が、PSP-94、MMP-12、及びSP-D;PSP-94、MMP-12、及びHE4;PSP-94、MMP-12、及びPH;PSP-94、MMP-12、及びFUT5;PSP-94、MMP-12、及びCRLF1;PSP-94、SP-D、及びHE4;PSP-94、SP-D、及びPH;PSP-94、SP-D、及びFUT5;PSP-94、SP-D、及びCRLF1;PSP-94、HE4、及びPH;PSP-94、HE4、及びFUT5;PSP-94、HE4、及びCRLF1;PSP-94、PH、及びFUT5;PSP-94、PH、及びCRLF1;またはPSP-94、FUT5、及びCRLF1を測定することを含む、態様1または態様5に記載の方法。
【0031】
11.前記方法が、PH及びMMP-12;PH及びSP-D;PH及びHE4;PH及びPSP-94;PH及びFUT5;またはPH及びCRLF1を測定することを含む、態様2または態様6に記載の方法。
【0032】
12.前記方法が、PH、MMP-12、及びSP-D;PH、MMP-12、HE4;PH、MMP-12、及びPSP-94;PH、MMP-12、及びFUT5;PH、MMP-12、及びCRLF1;PH、SP-D、及びHE4;PH、SP-D、及びPSP-94;PH、SP-D、及びFUT5;PH、SP-D、及びCRLF1;PH、HE4、及びPSP-94;PH、HE4、及びFUT5;PH、HE4、及びCRLF1;PH、PSP-94、及びFUT5;PH、PSP-94、及びCRLF1;またはPH、FUT5、及びCRLF1を測定することを含む、態様2または態様6に記載の方法。
【0033】
13.前記方法が、FUT5及びMMP-12;FUT5及びSP-D;FUT5及びHE4;FUT5及びPSP-94;FUT5及びPH;またはFUT5及びCRLF1を測定することを含む、態様3または態様7に記載の方法。
【0034】
14.前記方法が、FUT5、MMP-12、及びSP-D;FUT5、MMP-12、及びHE4;FUT5、MMP-12、及びPSP-94;FUT5、MMP-12、及びPH;FUT5、MMP-12、及びCRLF1;FUT5、SP-D、及びHE4;FUT5、SP-D、及びPSP-94;FUT5、SP-D、及びPH;FUT5、SP-D、及びCRLF1;FUT5、HE4、及びPSP-94;FUT5、HE4、
及びPH;FUT5、HE4、及びCRLF1;FUT5、PSP-94、及びPH;FUT5、PSP-94、及びCRLF1;またはFUT5、PH、及びCRLF1を測定することを含む、態様3または態様7に記載の方法。
【0035】
15.前記方法が、CRLF1及びMMP-12;CRLF1及びSP-D;CRLF1及びHE4;CRLF1及びPSP-94;CRLF1及びPH;またはCRLF1及びFUT5を測定することを含む、態様4または態様8に記載の方法。
【0036】
16.前記方法が、CRLF1、MMP-12、及びSP-D;CRLF1、MMP-12、及びHE4;CRLF1、MMP-12、及びPSP-94;CRLF1、MMP-12、及びPH;CRLF1、MMP-12、及びFUT5;CRLF1、SP-D、及びHE4;CRLF1、SP-D、及びPSP-94;CRLF1、SP-D、及びPH;CRLF1、SP-D、及びFUT5;CRLF1、HE4、及びPSP-94;CRLF1、HE4、及びPH;CRLF1、HE4、及びFUT5;CRLF1、PSP-94、及びPH;CRLF1、PSP-94、及びFUT5;またはCRLF1、PH、及びFUT5を測定することを含む、態様4または態様8に記載の方法。
【0037】
17.前記方法が、PSP-94及びPH、ならびに以下のMMP-12、SP-D、HE4、FUT5、及びCRLF1から選択されるタンパク質の少なくとも1つを測定することを含む、態様1または態様5に記載の方法。
【0038】
18.PSP-94及びFUT5、ならびに以下のMMP-12、SP-D、HE4、PH、及びCRLF1から選択されるタンパク質の少なくとも1つを測定することを含む、態様1または態様5に記載の方法。
【0039】
19.PSP-94及びCRLF1、ならびに以下のMMP-12、SP-D、HE4、PH、及びFUT5から選択されるタンパク質の少なくとも1つを測定することを含む、態様1または態様5に記載の方法。
【0040】
20.PH及びFUT5、ならびに以下のMMP-12、SP-D、HE4、PSP-94、及びCRLF1から選択されるタンパク質の少なくとも1つを測定することを含む、態様2または態様6に記載の方法。
【0041】
21.PH及びCRLF1、ならびに以下のMMP-12、SP-D、HE4、PSP-94、及びFUT5から選択されるタンパク質の少なくとも1つを測定することを含む、態様2または態様6に記載の方法。
【0042】
22.FUT5及びCRLF1、ならびに以下のMMP-12、SP-D、HE4、PSP-94、及びPHから選択されるタンパク質の少なくとも1つを測定することを含む、態様3または態様7に記載の方法。
【0043】
23.
a)ヒト対象由来の試料を、2つの捕捉試薬であって、一方の捕捉試薬が、PSP-94タンパク質に対する親和性を有し、第2の捕捉試薬が、PHタンパク質に対する親和性を有する、前記2つの捕捉試薬と接触させ、
b)前記2つの捕捉試薬を使用して、各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【0044】
24.
a)ヒト対象由来の試料を、2つの捕捉試薬であって、一方の捕捉試薬が、PSP-9
4タンパク質に対する親和性を有し、第2の捕捉試薬が、FUT5タンパク質に対する親和性を有する、前記2つの捕捉試薬と接触させ、
b)前記2つの捕捉試薬を使用して、各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【0045】
25.
a)ヒト対象由来の試料を、2つの捕捉試薬であって、一方の捕捉試薬が、PSP-94タンパク質に対する親和性を有し、第2の捕捉試薬が、CRLF1タンパク質に対する親和性を有する、前記2つの捕捉試薬と接触させ、
b)前記2つの捕捉試薬を使用して、各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【0046】
26.
a)ヒト対象由来の試料を、2つの捕捉試薬であって、一方の捕捉試薬が、PHタンパク質に対する親和性を有し、第2の捕捉試薬が、FUT5タンパク質に対する親和性を有する、前記2つの捕捉試薬と接触させ、
b)前記2つの捕捉試薬を使用して、各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【0047】
27.
a)ヒト対象由来の試料を、2つの捕捉試薬であって、一方の捕捉試薬が、PHタンパク質に対する親和性を有し、第2の捕捉試薬が、CRLF1タンパク質に対する親和性を有する、前記2つの捕捉試薬と接触させ、
b)前記2つの捕捉試薬を使用して、各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【0048】
28.
a)ヒト対象由来の試料を、2つの捕捉試薬であって、一方の捕捉試薬が、FUT5タンパク質に対する親和性を有し、第2の捕捉試薬が、CRLF1タンパク質に対する親和性を有する、前記2つの捕捉試薬と接触させ、
b)前記2つの捕捉試薬を使用して、各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【0049】
29.
a)ヒト対象由来の試料中のPSP-94及びPHのレベルを測定し、
b)前記PSP-94及びPHのレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別すること
を含む方法。
【0050】
30.
a)ヒト対象由来の試料中のPSP-94及びFUT5のレベルを測定し、
b)前記PSP-94及びFUT5のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別すること
を含む方法。
【0051】
31.
a)ヒト対象由来の試料中のPSP-94及びCRLF1のレベルを測定し、
b)前記PSP-94及びCRLF1のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別すること
を含む方法。
【0052】
32.
a)ヒト対象由来の試料中のPH及びFUT5のレベルを測定し、
b)前記PH及びFUT5のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別すること
を含む方法。
【0053】
33.
a)ヒト対象由来の試料中のPH及びCRLF1のレベルを測定し、
b)前記PH及びCRLF1のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別すること
を含む方法。
【0054】
34.
a)ヒト対象由来の試料中のFUT5及びCRLF1のレベルを測定し、
b)前記FUT5及びCRLF1のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別すること
を含む方法。
【0055】
35.
a)ヒト対象由来の試料を、3つの捕捉試薬であって、前記3つの捕捉試薬のそれぞれが、PSP-94、PH、及びFUT5から選択されるタンパク質に対する親和性を有する、前記3つの捕捉試薬と接触させ、
b)前記3つの捕捉試薬を使用して、各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【0056】
36.
a)ヒト対象由来の試料を、3つの捕捉試薬であって、前記3つの捕捉試薬のそれぞれが、PSP-94、PH、及びCRLF1から選択されるタンパク質に対する親和性を有する、前記3つの捕捉試薬と接触させ、
b)前記3つの捕捉試薬を使用して、各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【0057】
37.
a)ヒト対象由来の試料を、3つの捕捉試薬であって、前記3つの捕捉試薬のそれぞれが、PH、FUT5、及びCRLF1から選択されるタンパク質に対する親和性を有する、前記3つの捕捉試薬と接触させ、
b)前記3つの捕捉試薬を使用して、各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【0058】
38.
a)ヒト対象由来の試料を3つの捕捉試薬であって、前記3つの捕捉試薬のそれぞれが、FUT5、CRLF1、及びPSP-94から選択されるタンパク質に対する親和性を有する、前記3つの捕捉試薬と接触させ、
b)前記3つの捕捉試薬を使用して、各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【0059】
39.
a)ヒト対象由来の試料中のPSP-94、PH、及びFUT5のレベルを測定し、
b)前記PSP-94、PH、及びFUT5のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺
癌を発症するリスクがあると識別すること
を含む方法。
【0060】
40.
a)ヒト対象由来の試料中のPSP-94、PH、及びCRLF1のレベルを測定し、
b)前記PSP-94、PH、及びCRLF1のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別すること
を含む方法。
【0061】
41.
a)ヒト対象由来の試料中のPH、FUT5、及びCRLF1のレベルを測定し、
b)前記PH、FUT5、及びCRLF1のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別すること
を含む方法。
【0062】
42.
a)ヒト対象由来の試料中のFUT5、CRLF1、及びPSP-94のレベルを測定し、
b)前記FUT5、CRLF1、及びPSP-94のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別すること
を含む方法。
【0063】
43.MMP-12タンパク質のレベルを測定することをさらに含む、態様23~42のいずれか1項に記載の方法。
【0064】
44.SP-Dタンパク質のレベルを測定することをさらに含む、態様23~43のいずれか1項に記載の方法。
【0065】
45.HE4タンパク質のレベルを測定することをさらに含む、態様23~44のいずれか1項に記載の方法。
【0066】
46.
a)ヒト対象由来の試料中のMMP-12、SP-D、HE4、PSP-94、PH、FUT5、及びCRLF1からなる群から選択される少なくとも3、4、5、6、または7つのタンパク質のレベルを測定し、
b)前記少なくとも3、4、5、6、または7つのタンパク質のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別すること
を含む方法。
【0067】
47.前記方法が、MMP-12、SP-D、及びHE4;MMP-12、SP-D、及びPSP-94;MMP-12、SP-D、及びPH;MMP-12、SP-D、及びFUT5;MMP-12、SP-D、及びCRLF1;MMP-12、HE4、及びPSP-94;MMP-12、HE4、及びPH;MMP-12、HE4、及びFUT5;MP-12、HE4、及びCRLF1;MMP-12、PSP-94、及びPH;MMP-12、PSP-94、及びFUT5;MMP-12、PSP-94、及びCRLF1;MMP-12、PH、及びFUT5;MMP-12、PH、及びCRLF1;MMP-12、FUT5、及びCRLF1;SP-D、HE4、及びPSP-94;SP-D、HE4、及びPH;SP-D、HE4、及びFUT5;SP-D、HE4、及びCRLF1;SP-D、PSP-94、及びPH;SP-D、PSP-94、及びFUT5;SP-D、PSP-94、及びCRLF1;SP-D、PH、及びFUT5;SP-D、PH、及び
CRLF1;SP-D、FUT5、及びCRLF1;HE4、PSP-94、及びPH;HE4、PSP-94、及びFUT5;HE4、PSP-94、及びCRLF1;HE4、PH、及びFUT5;HE4、PH、及びCRLF1;HE4、FUT5、及びCRLF1;PSP-94、PH、及びFUT5;PSP-94、PH、及びCRLF1;PSP-94、FUT5、及びCRLF1;またはPH、FUT5、及びCRLF1を測定することを含む、態様46に記載の方法。
【0068】
48.PSP-94、PH、FUT5、及びCRLF1のうちの1つ以上を測定することをさらに含む、態様46または47に記載の方法。
【0069】
49.
a)ヒト対象由来の試料を捕捉試薬のセットであって、各捕捉試薬が、ヒト対象由来の試料中のMMP-12、SP-D、HE4、PSP-94、FUT5、及びCRLF1からなる群から選択される少なくとも3、4、5、6、または7つのタンパク質を含むタンパク質セットの異なるタンパク質に対して親和性を有する、前記捕捉試薬のセットと接触させ、
b)前記捕捉試薬のセットを用いて、前記タンパク質セットの各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【0070】
50.前記方法が、MMP-12、SP-D、及びHE4;MMP-12、SP-D、及びPSP-94;MMP-12、SP-D、及びPH;MMP-12、SP-D、及びFUT5;MMP-12、SP-D、及びCRLF1;MMP-12、HE4、及びPSP-94;MMP-12、HE4、及びPH;MMP-12、HE4、及びFUT5;MP-12、HE4、及びCRLF1;MMP-12、PSP-94、及びPH;MMP-12、PSP-94、及びFUT5;MMP-12、PSP-94、及びCRLF1;MMP-12、PH、及びFUT5;MMP-12、PH、及びCRLF1;MMP-12、FUT5、及びCRLF1;SP-D、HE4、及びPSP-94;SP-D、HE4、及びPH;SP-D、HE4、及びFUT5;SP-D、HE4、及びCRLF1;SP-D、PSP-94、及びPH;SP-D、PSP-94、及びFUT5;SP-D、PSP-94、及びCRLF1;SP-D、PH、及びFUT5;SP-D、PH、及びCRLF1;SP-D、FUT5、及びCRLF1;HE4、PSP-94、及びPH;HE4、PSP-94、及びFUT5;HE4、PSP-94、及びCRLF1;HE4、PH、及びFUT5;HE4、PH、及びCRLF1;HE4、FUT5、及びCRLF1;PSP-94、PH、及びFUT5;PSP-94、PH、及びCRLF1;PSP-94、FUT5、及びCRLF1;またはPH、FUT5、及びCRLF1を測定することを含む、態様49に記載の方法。
【0071】
51.PSP-94、PH、FUT5、及びCRLF1のうちの1つ以上を測定することをさらに含む、態様49または50に記載の方法。
【0072】
52.
a)ヒト対象由来の試料中のMMP-12タンパク質のレベル、ならびにSP-D、HE4、PSP-94、PH、FUT5、及びCRLF1からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質のレベルを測定し、
b)前記MMP-12のレベル、及び前記少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別すること
を含む方法。
【0073】
53.
a)ヒト対象由来の試料中のSP-Dタンパク質のレベル、ならびにMMP-12、HE4、PSP-94、PH、FUT5、及びCRLF1からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質のレベルを測定し、
b)前記SP-Dのレベル、及び前記少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、または9つのタンパク質のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別すること
を含む方法。
【0074】
54.
a)ヒト対象由来の試料中のHE4タンパク質のレベル、ならびにMMP-12、SP-D、PSP-94、PH、FUT5、及びCRLF1からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質のレベルを測定し、
b)前記HE4のレベル、及び前記少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、または9つのタンパク質のレベルに基づいて、前記ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別すること
を含む方法。
【0075】
55.
a)ヒト対象由来の試料を、捕捉試薬のセットであって、各捕捉試薬が、MMP-12タンパク質、ならびにSP-D、HE4、PSP-94、PH、FUT5、及びCRLF1からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質を含むタンパク質セットの異なるタンパク質に対して親和性を有する、前記捕捉試薬のセットと接触させ、
b)前記捕捉試薬のセットを用いて、前記タンパク質セットの各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【0076】
56.
a)ヒト対象由来の試料を、捕捉試薬のセットであって、各捕捉試薬が、SP-Dタンパク質、ならびにMMP-12、HE4、PSP-94、PH、FUT5、及びCRLF1からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質を含むタンパク質セットの異なるタンパク質に対して親和性を有する、前記捕捉試薬のセットと接触させ、
b)前記捕捉試薬のセットを用いて、前記タンパク質セットの各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【0077】
57.
a)ヒト対象由来の試料を、捕捉試薬のセットであって、各捕捉試薬が、HE4タンパク質、ならびにMMP-12、SP-D、PSP-94、PH、FUT5、及びCRLF1からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのタンパク質を含むタンパク質セットの異なるタンパク質に対して親和性を有する、前記捕捉試薬のセットと接触させ、
b)前記捕捉試薬のセットを用いて、前記タンパク質セットの各タンパク質のレベルを測定すること
を含む方法。
【0078】
58.前記捕捉試薬のセットが、アプタマー、抗体、及びアプタマーと抗体の組み合わせから選択される、態様5~28、36~38、49~51、及び55~57のいずれか
1項に記載の方法。
【0079】
59.前記測定を、質量分析法、アプタマーベースのアッセイ、及び/または抗体ベースのアッセイを使用して実施する、先行態様のいずれか1項に記載の方法。
【0080】
60.測定される各バイオマーカータンパク質のレベルが、相対蛍光単位(RFU)またはタンパク質濃度から決定される、態様58または請求項59に記載の方法。
【0081】
61.前記試料が、血液、血漿、血清、または尿から選択される、先行態様のいずれか1項に記載の方法。
【0082】
62.前記タンパク質レベルを使用して、ヒト対象を、肺癌を発症するリスクがあると識別する、先行態様のいずれか1項に記載の方法。
【0083】
63.肺癌を発症するリスクが5年以内である、態様62に記載の方法。
【0084】
64.肺癌を発症するリスクが、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、または10年以内の期間である、態様62または態様63に記載の方法。
【0085】
65.前記ヒト対象が、現喫煙者または元喫煙者である、先行態様のいずれか1項に記載の方法。
【0086】
66.前記対象が、肺癌を有する、先行態様のいずれか1項に記載の方法。
【0087】
67.前記方法が、0.62、0.67、0.68、0.68、0.70、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、またはそれを上回る曲線下面積(AUC)を提供する、先行態様のいずれか1項に記載の方法。
【0088】
68.前記方法が、約0.6~約0.8、約0.61~約0.78、約0.62~約0.76、約0.62~約0.68、約0.67~約0.72、約0.69~約0.74、約0.71~約0.74、約0.73~約0.76、または約0.74~約0.76の曲線下面積(AUC)を提供する、先行態様のいずれか1項に記載の方法。
【0089】
69.肺癌を発症するリスクの予測が、統計モデルにおける、前記測定されたタンパク質のレベルの入力に基づく、先行態様のいずれか1項に記載の方法。
【0090】
70.前記予測が、加速故障時間(AFT)ワイブル生存モデルを使用して、前記測定されたタンパク質のレベルを分析することを含む、態様69に記載の方法。
【0091】
71.診断検診を実施することをさらに含む、先行態様のいずれか1項に記載の方法。
【0092】
72.前記診断検診が、低線量コンピュータ断層撮影法(LDCT)、胸部X線撮影、及び喀痰細胞診から選択される、態様71に記載の方法。
【0093】
73.医療保険料または生命保険料を決定する目的で肺癌を発症するリスクを予測することを含む、先行態様のいずれか1項に記載の方法。
【0094】
74.前記方法が、医療保険または生命保険の補償範囲または保険料を決定することをさらに含む、態様73に記載の方法。
【0095】
75.前記方法が、医療資源の利用を予測及び/または管理するために、前記方法により得られた情報を使用することをさらに含む、態様1~72のいずれか1項に記載の方法。
【0096】
76.前記方法が、医療事業、病院、または企業を取得または購入するという決定を可能にするために、前記方法により得られた情報を使用することをさらに含む、態様1~72のいずれか1項に記載の方法。
【0097】
77.N個のタンパク質捕捉試薬を含むキットであって、Nが、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、または少なくとも7であり、前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの少なくとも1つが、PSP-94、MMP-12、SP-D、HE4、PH、FUT5、及びCRLF1から選択されるタンパク質に特異的に結合する、前記キット。
【0098】
78.Nが少なくとも2であり、前記2つのNタンパク質捕捉試薬のうち少なくとも1つが、PSP-94、MMP-12、SP-D、HE4、PH、FUT5、及びCRLF1から選択される前記タンパク質に特異的に結合する、態様77に記載のキット。
【0099】
79.Nが2~7であるか、またはNが3~7であるか、またはNが4~7であるか、またはNが5~7であるか、またはNが6~7である、態様77または78に記載のキット。
【0100】
80.Nが2、Nが3、Nが4、Nが5、Nが6、またはNが7である、態様77~79のいずれか1項に記載のキット。
【0101】
81.前記N個のタンパク質捕捉試薬のそれぞれが、異なるバイオマーカータンパク質に特異的に結合する、態様77~80のいずれか1項に記載のキット。
【0102】
82.前記N個のタンパク質捕捉試薬のそれぞれが、PSP-94、MMP-12、SP-D、HE4、PH、FUT5、及びCRLF1から選択されるタンパク質に特異的に結合する、態様77~81のいずれか1項に記載のキット。
【0103】
83.前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、PSP-94及びMMP-12に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、PSP-94及びSP-Dに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、PSP-94及びHE4に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、PSP-94及びPHに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、PSP-94及びFUT5に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、PSP-94及びCRLF1に特異的に結合する、態様77~81のいずれか1項に記載のキット。
【0104】
84.前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PSP-94、MMP-12、及びSP-Dに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PSP-94、MMP-12、及びHE4に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PSP-94、MMP-12、及びPHに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PSP-94、MMP-12、及びFUT5に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PSP-94、MMP-12、及びCRLF1に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PSP-94、SP-D、及びHE4に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PSP
-94、SP-D、及びPHに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PSP-94、SP-D、及びFUT5に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PSP-94、SP-D、及びCRLF1に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PSP-94、HE4、及びPH;PSP-94、HE4、及びFUT5に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PSP-94、HE4、及びCRLF1に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PSP-94、PH、及びFUT5に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PSP-94、PH、及びCRLF1に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PSP-94、FUT5、及びCRLF1に特異的に結合する、態様77~81のいずれか1項に記載のキット。
【0105】
85.前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、PH及びMMP-12に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、PH及びSP-Dに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、PH及びHE4に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、PH及びPSP-94;PH及びFUT5に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、PH及びCRLF1に特異的に結合する、態様77~81のいずれか1項に記載のキット。
【0106】
86.前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PH、MMP-12、及びSP-Dに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PH、MMP-12、及びHE4に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PH、MMP-12、及びPSP-94に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PH、MMP-12、及びFUT5に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PH、MMP-12、及びCRLF1に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PH、SP-D、及びHE4に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PH、SP-D、及びPSP-94に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PH、SP-D、及びFUT5に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PH、SP-D、及びCRLF1に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PH、HE4、及びPSP-94に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PH、HE4、及びFUT5に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PH、HE4、及びCRLF1に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PH、PSP-94、及びFUT5;PH、PSP-94、及びCRLF1に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、PH、FUT5、及びCRLF1に特異的に結合する、態様77~81のいずれか1項に記載のキット。
【0107】
87.前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、FUT5及びMMP-12に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、FUT5及びSP-Dに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、FUT5及びHE4に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、FUT5及びPSP-94に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、FUT5及びPHに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、FUT5及びCRLF1に特異的に結合する、態様77~81のいずれか1項に記載のキット。
【0108】
88.前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、FUT5、MMP-12、及び
SP-Dに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、FUT5、MMP-12、及びHE4に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、FUT5、MMP-12、及びPSP-94に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、FUT5、MMP-12、及びFUT5に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、FUT5、MMP-12、及びCRLF1に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、FUT5、SP-D、及びHE4に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、FUT5、SP-D、及びPSP-94に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、FUT5、SP-D、及びPHに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、FUT5、SP-D、及びCRLF1に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、FUT5、HE4、及びPSP-94に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、FUT5、HE4、及びPHに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、FUT5、HE4、及びCRLF1に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、FUT5、PSP-94、及びPHに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、FUT5、PSP-94、及びCRLF1に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、FUT5、PH、及びCRLF1に特異的に結合する、態様77~81のいずれか1項に記載のキット。
【0109】
89.前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、CRLF1及びMMP-12に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、CRLF1及びSP-Dに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、CRLF1及びHE4;もしくはCRLF1及びPSP-94に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、CRLF1及びPHに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの2つが、CRLF1及びFUT5に特異的に結合する、態様77~81のいずれか1項に記載のキット。
【0110】
90.前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、CRLF1、MMP-12、及びSP-Dに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、CRLF1、MMP-12、及びHE4に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、CRLF1、MMP-12、及びPSP-94に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、CRLF1、MMP-12、及びPHに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、CRLF1、MMP-12、及びFUT5に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、CRLF1、SP-D、及びHE4に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、CRLF1、SP-D、及びPSP-94に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、CRLF1、SP-D、及びPHに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、CRLF1、SP-D、及びFUT5に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、CRLF1、HE4、及びPSP-94に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、CRLF1、HE4、及びPHに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、CRLF1、HE4、及びFUT5に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、CRLF1、PSP-94、及びPHに特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、CRLF1、PSP-94、及びFUT5に特異的に結合するか、または前記N個のタンパク質捕捉試薬のうちの3つが、CRLF1、PH、及びFUT5に特異的に結合する、態様77~81のいずれか1項に記載のキット。
【0111】
91.N個のタンパク質捕捉試薬を含むキットであって、前記キットが、請求項1~76のいずれか1項に記載の方法を実施するためのタンパク質捕捉試薬を含む、前記キット。
【0112】
92.前記N個のバイオマーカータンパク質捕捉試薬のそれぞれが、抗体またはアプタマーである、態様77~91のいずれか1項に記載のキット。
【0113】
93.各バイオマーカータンパク質捕捉試薬がアプタマーである、態様92に記載のキット。
【0114】
94.対象由来の試料中の前記N個のバイオマーカータンパク質を検出する際に使用するための、態様77~93のいずれか1項に記載のキット。
【0115】
95.対象の肺癌発症リスクの予測に使用するための、態様94に記載のキット。
【0116】
96.前記対象が、肺癌に罹患している、態様95に記載のキット。
【図面の簡単な説明】
【0117】
図1】1995年以降の男性と女性の肺癌の生涯リスクに対する喫煙と禁煙の影響を示す。画像は、Bruder et al.“Estimating lifetime and 10-year risk of lung cancer.” Prev Med Rep 2018;11:125-30のものである。
図2】相対リスクビンを使用したトレーニングデータと検証データのカプランマイヤープロットを示す。
図3】本明細書に記載される様々なコンピュータ実施方法と共に使用するための例示的コンピュータシステムを示す。
図4】一実施形態による、肺癌のリスクを評価する方法のフローチャートである。
図5】個体の喫煙行動の経時的変化によって階層化された、来診2回目から来診3回目までの肺癌リスク予測の折れ線グラフを示す。
図6】ARIC来診3回目における、肺癌が蔓延している個体(Y)とそうでない個体(N)における肺癌予測の箱ひげ図を示す。
図7】ARIC来診5回目における、肺癌が蔓延している個体(Y)とそうでない個体(N)における肺癌予測の箱ひげ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0118】
本発明の代表的な実施形態についてこれから詳細に言及する。本発明が列挙される実施形態とともに説明されているが、本発明がそれらの実施形態に限定されるようには意図されていないことが理解されよう。それとは逆に、本発明は、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に包含され得るすべての代替案、修正、及び均等物を網羅するよう意図されている。
【0119】
当業者であれば、本発明の実施に使用することができ、かつその範囲内である本明細書に記載のものと同様または同等の多くの方法及び材料を認識するであろう。本発明は、記載された方法及び材料に決して限定されない。
【0120】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様または同等のいずれの方法、デバイス、及び材料も、本発明の実施または試験に使用することができるが、好ましい方法、装置、及び材料についてこれから説
明する。
【0121】
本出願で引用されるすべての刊行物、公開特許文献、及び特許出願は、本出願が関係する技術分野(複数可)の技術レベルを示す。本明細書において引用される全ての刊行物、公開特許文献、及び特許出願は、各個別の刊行物、公開特許文献、または特許出願が参照により本明細書に援用されると具体的かつ個々に示されているかのような程度まで、参照により本明細書に援用される。
【0122】
添付の特許請求の範囲を含む本出願で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、別途文脈が明確に指示しない限り、複数参照を含み、「少なくとも1つ」及び「1つ以上」と同義に使用される。したがって、「SOMAmer」への言及にはSOMAmerの混合物が含まれ、「プローブ」への言及にはプローブの混合物が含まれる、などのようになる。
【0123】
本明細書で使用される場合、用語「約」とは、数値が関連する品目の基本的な機能が変化しないような数値のわずかな変更または変動を表す。
【0124】
本明細書で使用される場合、「後方選択法」とは、特徴の選択及び削減のための方法を指す。特定の態様では、後方選択は、モデルに含まれるすべての特徴から始まるステップワイズ回帰の一形式である。例えば、反復プロセスにおいて、AUCを選択基準として使用して、特徴を削減の対象として考慮する。
【0125】
本明細書で使用される場合、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「含有する(contains)」、「含有する(containing)」、及びそれらの任意の変形は、ある要素または要素の一覧を備える、含む、または含有するプロセス、方法、プロセスによる産物、または組成物が、それらの要素のみならず、明確に列記されていないか、またはそのようなプロセス、方法、プロセスによる産物、もしくは組成物に内在する他の要素も含み得るように、非排他的な包含を網羅するよう意図されている。
【0126】
用語「生体試料」、「試料」、及び「検査試料」は、本明細書では同じ意味で使用され、個体から得られた、またはそうでなければ個体に由来する任意の材料、生体体液、組織、または細胞を指す。これには、血液(全血、白血球、末梢血単核細胞、バフィーコート、血漿、及び血清を含む)、乾燥した血斑(例えば、乳児から得たもの)、痰、涙、粘液、鼻洗浄液、鼻吸引液、呼気、尿、精液、唾液、腹腔洗浄液、腹水、嚢胞液、髄膜液、羊水、腺液、膵液、リンパ液、胸水、乳頭吸引液、気管支吸引液、気管支擦過液、滑液、関節吸引液、臓器分泌物、細胞、細胞抽出物、ならびに脳脊髄液が含まれる。これには、上記の全ての実験用に分離した画分も含まれる。例えば、血液試料は、血清、血漿、または特定の種類の血液細胞、例えば、赤血球または白赤球(白血球)を含有する画分に分画され得る。所望により、試料は、個体由来の試料の組み合わせ、例えば、組織及び液体試料の組み合わせであり得る。用語「生体試料」には、例えば、便試料、組織試料、または組織生検などに由来する均質化された固体物質を含有する物質も含まれる。用語「生体試料」は、組織培養物または細胞培養物由来の物質も含む。生体試料を得るための任意の好適な方法が用いられ得、例示的な方法としては、例えば、静脈切開、綿棒(例えば、口腔スワブ)、及び微細針吸引生検法が挙げられる。穿刺吸引が可能な例示的な組織としては、リンパ節、肺、肺洗浄液、BAL(気管支肺胞洗浄液)、甲状腺、乳房、膵臓、及び肝臓が挙げられる。試料は、例えば、顕微解剖(例えば、レーザーキャプチャーマイクロダイセクション(LCM)またはレーザーマイクロダイセクション(LMD))、膀胱洗浄、塗抹標本(例えばPAP塗抹標本)、または乳管洗浄によっても収集され得る。個体から得られる、または個体に由来する「生体試料」としては、個体から得られた後に任意の好
適な方法で処理されている任意のそのような試料が挙げられる。
【0127】
さらに、生体試料は、多数の個体から生体試料を採取してプールすることによって、または各個体の生体試料のアリコートをプールすることによって得られることを理解すべきである。
【0128】
上述のように、生体試料は尿であり得る。尿試料には、血液や血清試料に比べて特定の利点がある。静脈穿刺による血液または血漿試料の採取は、望ましい以上に複雑であり、送達できる量が変動する可能性があり、患者にとっては心配になる可能性があり、ある程度の(わずかな)感染リスクが伴う。また、瀉血には熟練した人材が必要である。尿試料の回収が簡単であるため、本方法は、より広範に適用される可能性がある。
【0129】
本明細書で使用される「計算」とは、算術ステップ及び非算術ステップを含む、あらゆる種類の数学的計算を指す。
【0130】
本明細書の目的上、語句「個体からの生体試料に起因するデータ」とは、個体の生体試料に由来するか、またはそれを使用して生成された何らかの形式のデータを意味することを意図している。データは、生成された後に、再フォーマットされていてもよく、修正されていてもよく、またはある測定系での単位から別の測定系での単位への変換などにより、ある程度まで数値が変更されていてもよいが、データは、生体試料から得られたか、またはそれを使用して生成されたものと理解される。
【0131】
「標的」、「標的分子」、及び「分析物」は、本明細書では同じ意味で使用され、生体試料中に存在し得る任意の関心対象の分子を指す。「関心対象の分子」は、特定の分子の任意の軽微な変化、例えば、タンパク質の場合、例えば、アミノ酸配列、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化における軽微な変化、または他の任意の操作もしくは改変、例えば、標識成分とのコンジュゲーションを含み、これらは分子の同一性を実質的に変化させない。「標的分子」、「標的」、または「分析物」は、1種類または1種の分子または多分子構造の1組の複製物である。「標的分子」、「標的」、及び「分析物」とは、そのような分子の複数のセットを指す。例示的な標的分子としては、タンパク質、ポリペプチド、核酸、炭水化物、脂質、多糖類、糖タンパク質、ホルモン、受容体、抗原、抗体、アフィボディ、抗体ミメティック、ウイルス、病原体、毒性物質、基質、代謝産物、遷移状態類似体、補因子、阻害剤、薬物、色素、栄養素、増殖因子、細胞、組織、及び前述のうちのいずれかの任意のフラグメントまたは部分が挙げられる。特定の態様では、「分析物」は、捕捉試薬のタンパク質標的、例えばアプタマーである。特定のさらなる態様では、捕捉試薬はSOMAmerである。
【0132】
本明細書で使用する場合、用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」は、本明細書では同じ意味で使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指す。ポリマーは、直鎖状であっても分岐状であってもよく、修飾アミノ酸を含んでもよく、非アミノ酸によって中断されていてもよい。これらの用語は、自然に、あるいは介入、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または任意の他の操作もしくは修飾、例えば、標識成分とのコンジュゲーションにより修飾されたアミノ酸ポリマーも包含する。例えば、アミノ酸(例えば、非天然アミノ酸等を含む)の1つ以上の類似体を含有するポリペプチド、及び当技術分野で公知の他の修飾もこの定義に含まれる。ポリペプチドは、一本鎖であっても、会合した鎖であってもよい。この定義には、プレタンパク質及びインタクトな成熟タンパク質、成熟タンパク質に由来するペプチドまたはポリペプチド、タンパク質のフラグメント、スプライスバリアント、タンパク質の組換え型、アミノ酸の修飾、欠失、または置換を伴うタンパク質のバリアント、消化物、ならびにグリコシル化、アセチル化、リン酸化などの翻訳後修飾も含まれる。
【0133】
本明細書で使用される場合、「マーカー」及び「バイオマーカー」及び「特徴」は、同じ意味で使用され、個体における正常もしくは異常なプロセス、または個体における疾患もしくは他の状態を示すか、またはその兆候である標的分子を指す。より具体的には、「マーカー」または「バイオマーカー」または「特徴」は、正常か異常か、異常である場合は慢性か急性かにかかわらず、特定の生理学的状態またはプロセスの存在に関連する解剖学的、生理学的、生化学的、または分子的パラメータである。バイオマーカーは、実験室のアッセイ及び医学画像などの様々な方法により検出し、測定することができる。バイオマーカーがタンパク質である場合、対応する遺伝子の発現を、生体試料中の対応するタンパク質バイオマーカーの量もしくは有無、またはバイオマーカーもしくはバイオマーカーの発現を制御するタンパク質をコードする遺伝子のメチル化状態の代替尺度として使用することも可能である。特定の態様では、特徴は、統計モデルにおける他の予測因子の分析物/SOMAmer試薬である。
【0134】
本明細書で使用する場合、「バイオマーカー値」、「値」、「バイオマーカーレベル」、「特徴レベル」、及び「レベル」は、同じ意味で使用され、生体試料中のバイオマーカーを検出するための任意の分析法を使用して得られ、生体試料中のバイオマーカーの、生体試料中のバイオマーカーに関する、または生体試料中のバイオマーカーに対応する、存在、非存在、絶対量または濃度、相対量または濃度、力価、レベル、発現レベル、測定レベルの比率などを示す測定値を指す。「値」または「レベル」の正確な性質は、バイオマーカーを検出するために用いられる具体的な設計及び特定の分析法の構成要素に依存する。
【0135】
バイオマーカーが個体における異常なプロセス、疾患、または他の病態を示すか、またはその兆候である場合、そのバイオマーカーは一般に、個体における正常なプロセスまたは疾患もしくは他の病態の欠如を示すか、またはその兆候であるバイオマーカーの発現レベルまたは値と比較して、過剰発現または過小発現のいずれかであると説明される。「上方制御」、「上方制御された」、「過剰発現」、「過剰発現された」、及びそれらの任意の変化形は、同じ意味で使用され、健常または正常な個体由来の同様の生体試料中で通常検出されるバイオマーカーの値またはレベル(または値もしくはレベルの範囲)よりも高い、生体試料中のバイオマーカーの値またはレベルを指す。この用語はまた、特定の疾患の異なる段階で検出され得るバイオマーカーの値またはレベル(または値もしくはレベルの範囲)を上回る、生体試料中のバイオマーカーの値またはレベルも指し得る。
【0136】
「下方制御」、「下方制御された」、「過小発現」、「過小発現された」、及びそれらの任意の変化形は、同じ意味で使用され、健常または正常な個体由来の同様の生体試料で通常検出されるバイオマーカーの値またはレベル(または値もしくはレベルの範囲)を下回る、生体試料中のバイオマーカーの値またはレベルを指す。この用語はまた、特定の疾患の異なる段階で検出され得るバイオマーカーの値またはレベル(または値もしくはレベルの範囲)を下回る、生体試料中のバイオマーカーの値またはレベルも指し得る。
【0137】
さらに、過剰発現しているか、または過小発現しているかのいずれかであるバイオマーカーは、個体における正常なプロセスまたは疾患もしくは他の状態の非存在を示すか、またはその兆候であるバイオマーカーの「正常な」発現レベルまたは値と比較して、「差次的に発現している」または「差次的なレベル」もしくは「差次的な値」を有するとも称され得る。したがって、バイオマーカーの「差次的発現」は、バイオマーカーの「正常な」発現レベルからの変動とも呼ばれる。
【0138】
用語「差次的遺伝子発現」及び「差次的発現」は、同じ意味で使用され、正常または対照の対象におけるその発現と比べて、特定の疾患または症状に罹患している対象において
発現がより高いか、またはより低いレベルまで活性化される遺伝子(またはその対応するタンパク質発現産物)を指す。この用語には、同じ疾患または病態の異なる段階で発現がより高いか、またはより低いレベルまで活性化される遺伝子(または対応するタンパク質発現産物)も含まれる。差次的に発現する遺伝子は、核酸レベルまたはタンパク質レベルで活性化または阻害され得るか、または選択的スプライシングを受けて異なるポリペプチド産物を生じ得ることも理解される。そのような差異は、mRNAレベル、ポリペプチドの表面発現、分泌、または他の分配を含む様々な変化によって証明され得る。差次的な遺伝子発現には、2つ以上の遺伝子もしくはその遺伝子産物間の発現の比較、または2つ以上の遺伝子もしくはその遺伝子産物間の発現比の比較、または正常な対象と疾患に罹患している対象の間で異なる、同じ遺伝子の異なるプロセシングを受けた2つの産物の比較、または同じ疾患の様々な段階の間の比較が含まれ得る。差次的発現には、例えば、正常細胞と疾患細胞間、または異なる疾患事象もしくは疾患段階を経た細胞間における、遺伝子もしくはその発現産物における一時的もしくは細胞発現パターンの定量的及び定性的な差異が含まれる。
【0139】
本明細書で使用される場合、「個体」とは、被験対象または患者を指す。個体は、哺乳類であっても非哺乳類であってもよい。様々な実施形態において、個体は哺乳動物である。哺乳動物個体は、ヒトであっても非ヒトであってもよい。様々な実施形態において、個体はヒトである。健常または正常な個体は、関心対象の疾患または病態(例えば、肺癌を含む)が従来の診断方法によって検出されない個体である。
【0140】
「診断する」、「診断すること」、「診断」、及びこれらのバリエーションは、個体に関連する1つ以上の兆候、症状、データ、または他の情報に基づいてその個体の健康状態または状態を検出、定量、または認識することを指す。個体の健康状態は、健常/正常(すなわち、疾患もしくは病態の非存在の診断)または病気/異常(すなわち、疾患もしくは病態の存在の診断もしくは特徴の評価)として診断され得る。用語「診断する」、「診断すること」、「診断」などは、特定の疾患または病態に関して、その疾患の初期検出、その疾患の特徴決定または分類、その疾患の進行、寛解、または再発の検出、及び個体に処置または治療を施した後の疾患応答の検出を包含する。
【0141】
本明細書で使用される場合、「エラスティックネットロジスティック回帰」とは、ペナルティ付き回帰手法を利用して、相関関係のある特徴をグループ化できるようにする一方で、エンドポイントを最もよく予測する特徴を選択する機械学習方法を指す。
【0142】
本明細書で使用される場合、「特徴」とは、統計モデルにおける分析物または他の予測因子を指す。
【0143】
本明細書で使用される場合、「前方選択法」とは、特徴の選択及び削減のための方法を指す。特定の態様では、これはモデルに含まれる特徴がゼロの状態から始まるステップワイズ回帰の一形式である。例えば、反復プロセスにおいて、AUCを選択基準として使用して、特徴を追加の対象として考慮する。
【0144】
本明細書で使用される場合、「平均絶対誤差」または「MAE」とは、データセットのすべてのインスタンスにおける予測誤差の絶対値の平均を指す。
【0145】
本明細書で使用される場合、「正規化二乗平均平方根誤差」または「NRMSE」とは、予測誤差(残差)の標準偏差をアウトカムの平均で割ったものを指す。
【0146】
本明細書で使用される場合、「親研究」とは、試験研究のための外部研究ソースを指す。
【0147】
本明細書で使用される場合、「予測誤差曲線」または「ブライアースコア」とは、各個体の予測生存時間と観測生存時間の差を指し、したがって、より高い値はより悪いモデルを表す。
【0148】
本明細書で使用される場合、「集団適応中央値正規化」とは、部位の偏り及び試料の取り扱いの問題を軽減するために分析物を正規化するプロセスを指す。
【0149】
本明細書で使用される場合、「主成分分析」とは、データの変動の大きな原因を評価及び特定するための方法を指す。
【0150】
本明細書で使用される場合、「二乗平均平方根誤差」または「RMSE」とは、予測誤差(残差)の標準偏差を指す。
【0151】
本明細書で使用される場合、用語「予測する」とは、現在または将来の状態または条件に関する推定を指す。一態様では、予測する、または予測を行うとは、指定された期間内の肺癌のリスクに関する推定を指す。一態様では、期間は5年である。一態様では、対象は肺癌に罹患している。
【0152】
「予後予測する(prognose)」、「予後予測すること(prognosing)」、「予後予測(prognosis)」、及びそれらの変化形は、疾患または病態を有する個体における疾患または病態の将来の経過の予測(例えば、患者生存を予測すること)を指し、そのような用語は、個体に処置または治療を施した後の疾患または病態の応答を評価することを包含する。
【0153】
本明細書で使用される用語「R」とは、モデルによって説明可能なアウトカムの分散の割合を指す。
【0154】
「評価する」、「評価すること」、「評価」、及びそれらの変化形は、「診断」及び「予後予測」の両方を包含し、疾患を有し得るか有し得ない個体における疾患または病態の現在または将来の経過についての決定または推定、及び明らかに疾患が治癒したか、または病態が消退した個体において疾患もしくは病態が再発するリスクに関する決定または推定も包含する。用語「評価する」は、治療に対する個体の応答を評価すること、例えば、個体が、治療薬に良好に応答しそうか、もしくは治療薬に応答しそうにないのか(または例えば、毒性作用または他の好ましくない副作用を経験するのか)を判定すること、個体に投与する治療薬を選択すること、または個体に施された治療に対する個体の応答をモニタリングもしくは測定することも包含する。
【0155】
本明細書で使用する場合、「追加の生物医学的情報」とは、肺の健康の現在の状態に関連する、本明細書に記載のバイオマーカーのいずれかを使用すること以外の、個体の1つ以上の評価を指す。「追加の生物医学的情報」には、個体の身長及び/または体重を含む個体の物理的記述子、個体の年齢、個体の性別、体重の変化、個体の民族性、職業歴、肺癌の家族歴、個体における肺癌の高いリスクと相関する遺伝子マーカー(複数可)の存在、胸痛などの臨床症状、体重増加または減少遺伝子発現値、放射線画像によって観察された物理的記述子を含む個体の物理的記述子、喫煙状況、アルコール使用歴、職業歴、食習慣-塩分、飽和脂肪、及びコレステロールの摂取量、カフェイン消費、及び画像情報のいずれかが含まれる。他の臨床検査を含む追加の生物医学的情報の評価と組み合わせたバイオマーカーレベルの検査は、例えば、バイオマーカー検査単独、または追加の生物医学的情報の特定の項目の単独評価と比較して、現在の肺の健康状態の推定または判定における感度、特異度、及び/またはAUCを向上させ得る。追加の生物医学的情報は、当技術分
野で公知の定型的な技術を使用して個体から、例えば、定型的な患者質問表または健康歴質問表などを使用して個体自身から取得され得るか、または医療従事者などから取得され得る。バイオマーカーレベルの検査と任意の追加の生物医学的情報の評価との組み合わせにより、例えば、バイオマーカー検査のみまたは追加の生物医学的情報のうちの任意の特定項目の評価のみ(例えば、CTイメージングのみ)と比較して、現在の肺の健康状態の推定または判定について感度、特異度、及び/または閾値が向上し得る。
【0156】
本明細書で使用する場合、バイオマーカー値に関して「検出する」または「決定する」は、バイオマーカー値に対応するシグナルを観測及び記録するために必要とされる機器、ならびにそのシグナルを生成するために必要とされる物質/物質(複数)の両方の使用を含む。様々な実施形態では、バイオマーカー値は、蛍光、化学発光、表面プラズモン共鳴、表面弾性波、質量分析、赤外分光法、ラマン分光法、原子間力顕微鏡、走査型トンネル顕微鏡、電気化学的な検出方法、核磁気共鳴、量子ドットなどが含まれる任意の好適な方法を使用して検出される。
【0157】
本明細書において、「固体支持体」は、分子が共有結合または非共有結合のいずれかにより直接または間接的に結合され得る表面を有する任意の基質を指す。「固体支持体」は、様々な物理的形態を有し得、これには、例えば、メンブレン、チップ(例えば、タンパク質チップ)、スライド(例えば、スライドガラスまたはカバーガラス)、カラム、中空の、固体の、半固体の、孔または空洞を有する粒子、例えば、ビーズ、ゲル、光ファイバー材料を含むファイバー、マトリックス、及び試料容器が含まれ得る。例示的な試料容器としては、試料ウェル、チューブ、キャピラリー、バイアル、及び試料を保持することができる他の任意の容器、溝、またはくぼみが挙げられる。試料容器を、多試料プラットフォーム、例えば、マイクロタイタープレート、スライドガラス、マイクロ流体デバイスなどに搭載することができる。支持体は、天然または合成材料、有機または無機材料から構成され得る。捕捉試薬を結合する固体支持体の組成は、一般的に、結合の方法(例えば、共有結合)に依存する。他の例示的な容器としては、アッセイ及び関連する操作がその中で行われ得る、微小液滴、マイクロ流体制御された、またはバルクの水中油型エマルジョンが挙げられる。好適な固体支持体としては、例えば、プラスチック、樹脂、多糖類、シリカまたはシリカベースの材料、官能化ガラス、変性ケイ素、炭素、金属、無機ガラス、メンブレン、ナイロン、天然繊維(例えば、絹、羊毛、及び綿)、ポリマーなどが挙げられる。固体支持体を構成する材料は、例えば、カルボキシ、アミノ、またはヒドロキシル基などの反応性基を含み得、これらは捕捉試薬の結合に使用される。ポリマー固体支持体としては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレングリコールテトラフタレート、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリテトラフルオロエチレン、ブチルゴム、スチレン・ブタジエンゴム、天然ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、(ポリ)テトラフルオロエチレン、(ポリ)ビニリデンフルオリド、ポリカーボネート、及びポリメチルペンテンが挙げられる。使用され得る好適な固体支持体粒子としては、例えば、コード化粒子、例えば、Luminex(登録商標)タイプのコード化粒子、磁気粒子、及びガラス粒子が挙げられる。
【0158】
本明細書で使用される場合「安定性選択」とは、特徴選択プロセス全体を通じてタイプIエラー率が制御されるように、正則化技術及びサブサンプリングアプローチを使用する特徴の選択及び削減のための方法を指す。
【0159】
本明細書で使用される場合、「最大尤度による適応的正規化」は、部位の偏りを軽減するために検体を正規化するプロセスを意味する。
【0160】
本明細書で使用される場合、「Lin一致相関係数」または「LinのCCC」とは、新規試験と、至適基準と考えられる既存の試験との間の一致性を測定する一致相関係数を
意味する。
【0161】
本明細書で使用される場合、「研究」とは、試験を導き出すために分析する一連の試料及び臨床データを意味する。
【0162】
本明細書で使用される場合、「試験データセット」とは、検証データセットで開発された最終モデルのパフォーマンスを評価するために使用するデータの最終サブセットを意味する。
【0163】
本明細書で使用される場合、「トレーニングデータセット」とは、モデルを適合させるために使用される研究のデータのサブセットを意味する。
【0164】
本明細書で使用される場合、「妥当性確認データセット」とは、検証データセットで開発された最終モデルのパフォーマンスを評価するために使用するデータの最終サブセットを意味する。
【0165】
本明細書で使用される場合、「検証データセット」とは、モデルパラメータを調整しながらトレーニングデータセットに適合するモデルの不偏評価を提供するために使用されるデータの別個のサブセットを意味する。
【0166】
本明細書で使用される場合、用語「必要な」または「必要とされる」とは、患者の健康状態にとって有益であると医療提供者が考える、患者の治療に関して医療提供者が行う判断を指す。
【0167】
一態様では、肺癌リスク検査が開示されており、特定の期間内、例えば、採血後5年以内の肺癌診断に対する現在または元喫煙者のリスクを予測するモデルを提供する。
【0168】
特定の態様では、モデル開発に使用するエンドポイントは、電子健康記録及びがん登録レビューによって判定される肺癌診断である。
【0169】
一態様では、肺癌リスク検査は、トレーニング(70%)、検証(15%)、及び妥当性確認(15%)データセットに分割された地域社会のアテローム性動脈硬化リスク(ARIC)来診3回目のコホートを使用して開発された。ARIC研究は当初、アテローム性動脈硬化症及び関連する心血管疾患に対する遺伝的、環境的、人口動態のリスク因子の寄与を長期調査することを目的としていたが、研究の目的はがん関連のアウトカムも調査するように拡大された。(Joshu et al.“Enhancing the Infrastructure of the Atherosclerosis Risk in Communities(ARIC)Study for Cancer Epidemiology Research:ARIC Cancer.” Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 2018;27:295-305)。
【0170】
特定の態様では、この試験の使用対象集団は、現喫煙者、または元喫煙者であり、現在のガイドラインに基づいて肺癌検診の対象となる50歳以上の成人である。最終モデルは、7特徴、タンパク質のみの加速故障時間(AFT)ワイブルモデルである。モデルの出力は、モデル開発に使用された「喫煙歴のある」コホートの平均リスクと比較した、5年以内の肺癌診断の絶対リスク確率、または5年以内の肺癌診断の相対リスク確率として報告され得る。相対リスクの範囲は0.010~25である。
【0171】
一態様では、この試験の最小性能要件は、現喫煙者及び元喫煙者の将来の肺癌リスクを
予測するための全国的な肺癌検診試験(NLST)の公表された性能と少なくとも同等の曲線下面積(AUC)であった(AUC=0.689)(Tammemagi,et al.“Selection criteria for lung-cancer screening.” N Engl J Med 2013;368:728-36)。トレーニング及び検証の結果は、AUC≧0.689のパフォーマンス指標を上回っている(表1)。非喫煙者における肺癌リスクモデルのパフォーマンスを評価するために、追加の探索的分析も実施した。
【0172】
【表1】
【0173】
特定の態様では、本明細書に開示される肺癌リスク検査の意図された使用は、血液試料から5年以内に肺癌と診断される個体のリスク確率を予測することである。さらなる態様では、この検査は、現喫煙者または元喫煙者であり、現在のガイドラインに基づいて肺癌検診の対象となる、がんに罹患していない50歳以上の成人を対象とする。特定の態様では、この検査は、現在既知のがんに罹患している個体での使用を意図したものではない。RUOの使用の利点とリスクは、参加者のモニタリング、層別化、及び強化のための調査研究における意思決定に関係する。臨床LDT使用の利点/リスクの分析について、以下で説明する。
【0174】
本明細書で開示される肺癌リスク検査のベネフィットには、自己申告された人口統計学または遺伝的バックグラウンドに依存することなく、将来の肺癌診断のためのリスクの程度について個人化された知識を得る便利な方法が含まれ、検査結果は、肺癌の早期発見の可能性を可能にする肺癌検診ガイドラインの遵守に影響を与え、肺癌の生存率を向上させる可能性があり、この検査は、修正可能なリスク関連行動(例えば、禁煙、食事の変更、減量)における前向きな行動の変化に影響を与える可能性があり、また、この検査は、医療提供者による肺癌検診の決定/推奨、または検査結果に基づく患者の肺検診の希望を支援する可能性がある(例えば、高リスクカテゴリの患者が、胸部X線撮影などの感度の低い別の方法ではなく、至適基準と考えられているLDCT検診法を最初に実施する場合)。
【0175】
本明細書で開示する検査は、糖尿病などの併存状態の評価を含むがこれらに限定されない健康状態の評価、血清クレアチニン、尿アルブミン、臨床病理、肺画像診断、及び組織学の測定を含むがこれらに限定されない追加の臨床検査を含む追加の評価と組み合わせて
使用することができる。
【0176】
一態様では、肺癌リスクを予測するために、単独でまたは様々な組み合わせで使用するための1つ以上のバイオマーカーを提供する。以下で詳細に説明するように、例示的な実施形態には、多重SOMAmerベースのアッセイを使用して同定された、表6に提供されるバイオマーカーが含まれる。
【0177】
好ましい実施形態では、モデルは、肺癌リスクを予測するための7つの特徴(表6)を有する。
【0178】
一実施形態では、バイオマーカーサブセットまたはパネルに有用なバイオマーカーの数は、肺癌リスクの予測力の尺度として非ゼロ係数を有するバイオマーカーの選択に基づく。
【0179】
リスク分析を表2に示す。
【表2】
【0180】
本開示の検査は、医療提供者が肺癌のリスクを評価及びモニタリングするための新規かつ簡便な方法を提供する。
【0181】
この検査による偽陰性の結果がもたらす影響は、潜在的な危険のリスクに基づくと中程度であるが、これらの結果は標準治療と同等である。この検査による低リスクまたは中程
度のリスクは、標準治療(例えば、現在のガイドラインに従って推奨される肺癌検診の方法及び頻度)を妨げたり排除したりするべきではなく、また、標準治療を中止または減らす理由として解釈すべきではない。
【0182】
この試験の偽陽性の結果がもたらす影響は低い。偽陽性により、医療提供者は、より侵襲的な検診法(例えば、LDCT対喀痰細胞診)、または肺癌の既知のリスク因子を減らすためのライフスタイルの変更を推奨する可能性がある。LDCT検診に伴う放射線被曝のリスクは若干あるが(とはいえ、被曝量は胸部X線撮影法よりも数倍低い)、リスク-ベネフィット分析研究では、検診によって得られる死亡率の大幅な減少により、リスクは許容できるものであると結論付けている。この検査が検診の意思決定の唯一の情報源である必要はない。
【0183】
一態様では、モデルのパフォーマンスを、肺癌の将来のリスクを正確に予測するための肺癌検診適格性を考慮するリスク因子の能力と比較した。検診基準を決定するこれらのリスク因子は、臨床現場で使用されるものであるため、最良の比較器を反映するためにNLST臨床モデルを選択した。NLSTは、これまでに完了した肺癌検診の臨床試験としては最大規模であり、USPSTF肺癌検診適格性ガイドラインの基礎となっている。NLST試験では、既存のUSPSTFガイドラインに沿った年齢及び喫煙リスク因子を有する個体(55歳以上、累計30パック年以上の現喫煙者または元喫煙者(元喫煙者が禁煙してから15年以内の場合))。(National Lung Screening Trial Research Team. “Reduced lung-cancer mortality with low-dose computed tomographic screening.” N Engl J Med 2011;365:395-409)。NLSTリスク因子ベースの基準モデルは、2つの試験群で0.689及び0.670のAUCパフォーマンスを示した。(Tammemagi,et al.“Selection criteria for lung-cancer screening.” N Engl J Med 2013;368:728-36)。したがって、肺癌リスク検査のモデル開発では、AUC≧0.689をパフォーマンスの閾値として使用した。
【0184】
したがって、本明細書に開示される肺癌リスク検査は、表3に記載される最小パフォーマンス要件を満たした。
【表3】
【0185】
一実施形態では、バイオマーカーのサブセットまたはパネルに有用なバイオマーカーの数は、バイオマーカー値の特定の組み合わせについての感度及び特異度の値に基づく。用語「感度」及び「特異度」は、本明細書では、生体試料中で検出された1つ以上のバイオマーカー値に基づいて、5年以内に肺癌のリスクが増加しているか、または同じ期間内に肺癌の相対リスクが増加していないものとして、個体を正確に分類する能力に関して使用される。「感度」は、肺癌のリスクが増加している個体を正確に分類することに関するバイオマーカー(複数可)のパフォーマンスを示す。「特異度」は、肺癌の相対リスクが増加していない個体を正確に分類することに関するバイオマーカー(複数可)のパフォーマンスを示す。
【0186】
別の方法では、肺癌の高リスク、中リスク、または低リスクの閾値を伴う連続範囲でスコアを報告してもよく、閾値は、臨床所見に基づいて決定される。
【0187】
いくつかの実施形態では、1つ以上のバイオマーカーのパネルの全体的なパフォーマンスは、曲線下面積(AUC)値によって表される。AUC値は、受信者動作特性(ROC)曲線から導出される。ROC曲線は、検査の真陽性率(感度)と検査の偽陽性率(特異度)をプロットしたものである。用語「曲線下面積」または「AUC」は、受信者動作特性(ROC)曲線の曲線下面積を指し、両方とも当技術分野で周知である。AUC測定は、データ範囲全体にわたって分類子の精度を比較するのに有用である。より大きいAUCを有する分類子は、2つの関心対象の群間で未知の個体を正確に分類する能力が高くなる(例えば、正常な個体と肺癌のリスクのある個体)。ROC曲線は、2つの集団を区別する際の特定の特徴(例えば、本明細書に記載のバイオマーカーのいずれか及び/または追加の生物医学的情報のいずれかの項目)のパフォーマンスをプロットするのに有用である。通常、母集団全体の特徴データを、単一の特徴の値に基づいて昇順で並べ替える。次いで、その特徴の値ごとに、データの真陽性率と偽陽性率を計算する。真陽性率は、その特徴の値を上回る事例の数を数え、事例の総数で割ることによって決定される。偽陽性率は、その特徴の値を上回る対照の数を数え、対照の総数で割ることによって決定される。この定義は、対照と比較して特徴が高い場合のシナリオを指すが、この定義は、特徴が対照と比較して低い場合のシナリオにも適用される(そのようなシナリオでは、その特徴について対照の値を下回る試料をカウントするであろう)。ROC曲線は、単一の特徴だけでなく他の単一の出力に対しても生成することができ、例えば、2つ以上の特徴の組み合わせを数学的に組み合わせて(例えば、加算、減算、乗算など)、単一の合計値を提供することができ、この単一の合計値をROC曲線にプロットすることができる。さらに、単一の出力値を導き出す複数の特徴の任意の組み合わせをROC曲線にプロットすることができる。
【0188】
バイオマーカーのサブセットまたはパネルで使用するバイオマーカーの数に影響を与え得る別の要因は、肺癌のリスクを評価されている個体から生体試料を採取するために使用する手順である。慎重に管理された試料調達環境では、所望の感度と特異度、及び/または閾値を満たすために必要なバイオマーカーの数は、試料の回収、取り扱い、及び保管に大きなばらつきがあり得る状況よりも少なくなる。
【0189】
バイオマーカーの例示的な使用
様々な例示的な実施形態において、血清または血漿などの個体の循環中に存在する1つ以上のバイオマーカーに対応する1つ以上のバイオマーカー値を、本明細書に記載の分析方法のいずれかを含む任意の数の分析方法によって検出することによって、肺癌リスクを推定または判定するための方法を提供する。
【0190】
独立した診断試験としてのバイオマーカーレベルの試験に加えて、バイオマーカーレベルを、疾患または病態の感受性のリスクの増加を示すSNPまたは他の遺伝子損傷もしくは遺伝的変異性の決定と共に試験してもよい。(例えば、Amos et al.,Nature Genetics 40,616-622(2009)を参照のこと)。
【0191】
独立した診断検査としてバイオマーカーレベルを検査することに加えて、バイオマーカーレベルを肺画像技術、より具体的には放射線検診などの検診方法と組み合わせて使用することもできる。バイオマーカーレベルを、関連する症状または遺伝子検査と共に使用してもよい。本明細書に記載するバイオマーカーのいずれかの検出は、個体が健康な肺機能を有するか不健康な肺機能を有するかにかかわらず、個体の適切な臨床ケアを評価及び/または導くのに有用であり得る。関連する症状またはリスク因子と共にバイオマーカーレ
ベルを検査することに加えて、バイオマーカーに関する情報は、他の種類のデータ、特に、個体の現在の肺の健康状態を示すデータ(例えば、患者の病歴、症状、家族歴、喫煙歴もしくは飲酒歴、リスク因子、例えば、遺伝子マーカー(複数可)の存在、及び/または他のバイオマーカーの状態など)と共に評価されてもよい。これらの様々なデータは、コンピュータまたは他の装置/デバイスで具体化され得るコンピュータプログラム/ソフトウェアなどの自動化された方法により評価され得る。
【0192】
高リスク個体において放射線学的スクリーニングと共にバイオマーカーレベルを試験すること(例えば、異常な肺機能の検出と共にバイオマーカーレベルを評価すること)に加えて、バイオマーカーに関する情報を、他の種類のデータ、特に、個体の肺の健康を示すデータ(例えば、患者の病歴、症状、肺疾患の家族歴、リスク因子、例えば、個体が喫煙者、アルコール多飲者であるかどうか、及び/または他のバイオマーカーの状態など)と共に評価してもよい。これらの様々なデータは、コンピュータまたは他の装置/デバイスで具体化され得るコンピュータプログラム/ソフトウェアなどの自動化された方法により評価され得る。
【0193】
記載されるバイオマーカーのいずれかは、画像検査においても使用され得る。例えば、画像化剤を、記載されるバイオマーカーのいずれかと結合させることができ、これを、他の用途もあるが特に、肺の健康状態及び異常な肺機能の有無の判定を支援し、治療的介入に対する反応をモニタリングし、臨床試験における標的集団を選択するために使用することができる。
【0194】
バイオマーカー及びバイオマーカー値の検出及び決定
本明細書に記載されるバイオマーカーのバイオマーカー値は、様々な既知の分析方法のいずれかを使用して検出することができる。一実施形態では、バイオマーカー値を、捕捉試薬を使用して検出する。本明細書で使用される場合、「捕捉剤」または「捕捉試薬」とは、バイオマーカーに特異的に結合することができる分子を指す。様々な実施形態において、捕捉試薬は、溶液中でバイオマーカーに曝露され得るか、または捕捉試薬が固体支持体に固定された状態でバイオマーカーに曝露され得る。他の実施形態では、捕捉試薬は、固体支持体上の二次的特徴に反応性である特徴を含む。これらの実施形態では、捕捉試薬を溶液中のバイオマーカーに曝露することができ、次いで、捕捉試薬上の特徴を固体支持体上の二次特徴と組み合わせて使用して、固体支持体上にバイオマーカーを固定化することができる。捕捉試薬は、実施する分析の種類に基づいて選択される。捕捉試薬としては、限定されるものではないが、SOMAmer、抗体、アドネクチン、アンキリン、他の抗体ミメティック、及び他のタンパク質スキャフォールド、自己抗体、キメラ、低分子、F(ab’)フラグメント、一本鎖抗体フラグメント、Fvフラグメント、一本鎖Fvフラグメント、核酸、レクチン、リガンド結合受容体、アフィボディ、ナノボディ、インプリントポリマー、アビマー、ペプチドミメティック、ホルモン受容体、サイトカイン受容体、及び合成受容体、ならびにこれらの改変型及びフラグメントが挙げられる。
【0195】
いくつかの実施形態では、バイオマーカー値を、バイオマーカー/捕捉試薬複合体を使用して検出する。
【0196】
他の実施形態では、バイオマーカー値は、バイオマーカー/捕捉試薬複合体から得られ、例えば、バイオマーカー/捕捉試薬の相互作用に続く反応の結果として間接的に検出されるが、バイオマーカー/捕捉試薬複合体の形成に依存する。
【0197】
いくつかの実施形態では、バイオマーカー値を、生体試料中のバイオマーカーから直接検出する。
【0198】
一実施形態では、バイオマーカーを、生体試料中の2種以上のバイオマーカーの同時検出を可能にする多重化フォーマットを使用して検出する。多重化フォーマットの一実施形態では、捕捉試薬を、固体支持体上の別個の位置に、共有結合または非共有結合により、直接的または間接的に固定化する。別の実施形態では、多重化フォーマットは、別個の固体支持体を使用し、その場合、各固体支持体は、その固体支持体、例えば、量子ドットと結合した固有の捕捉試薬を有する。別の実施形態では、生体試料中の検出されるべき複数のバイオマーカーのそれぞれを検出するために、別個のデバイスを使用する。別個のデバイスは、生体試料中の各バイオマーカーを同時に処理することを可能にするように構成され得る。例えば、マイクロタイタープレートを使用することができ、それにより、プレート中の各ウェルを、生体試料中の検出されるべき複数のバイオマーカーのうちの1つを固有に解析するために使用する。
【0199】
前述の実施形態のうちの1つ以上では、蛍光タグを使用して、バイオマーカー/捕捉複合体の構成要素を標識して、バイオマーカー値を検出することができる。様々な実施形態において、蛍光標識を、既知の技術を使用して、本明細書に記載されるバイオマーカーのいずれかに特異的な捕捉試薬にコンジュゲートすることができ、次いで、この蛍光標識を使用して、対応するバイオマーカー値を検出することができる。好適な蛍光標識としては、希土類キレート、フルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、アロフィコシアニン、PBXL-3、Qdot 605、Lissamine、フィコエリトリン、Texas Red、ならびに他の類似の化合物が挙げられる。
【0200】
一実施形態では、蛍光標識は蛍光色素分子である。いくつかの実施形態では、蛍光色素分子は、インドリウム環の3位の炭素の置換基が化学反応性基またはコンジュゲートされた物質を含有する、少なくとも1つの置換インドリウム環系を含む。いくつかの実施形態では、色素分子には、例えば、AlexaFluor488、AlexaFluor532、AlexaFluor647、AlexaFluor680、またはAlexaFluor700などのAlexaFluor分子が含まれる。他の実施形態では、色素分子は、第1の種類の色素分子及び第2の種類の色素分子、例えば、2種の異なるAlexafluor分子を含む。他の実施形態では、色素分子は、第1の種類の色素分子及び第2の種類の色素分子を含み、この2種の色素分子は、異なる放出スペクトルを有する。
【0201】
蛍光は、広範囲のアッセイフォーマットに適合可能な様々な計測手段で測定され得る。例えば、分光蛍光計は、マイクロタイタープレート、顕微鏡スライド、プリントされたアレイ、キュベットなどを解析するように設計されている。J.R.LakowiczによるPrinciples of Fluorescence Spectroscopy,Springer Science + Business Media,Inc.,2004を参照のこと。Bioluminescence & Chemiluminescence:Progress & Current Applications;Philip E.Stanley Larry J.Kricka editors, World Scientific Publishing Company,January 2002を参照のこと。
【0202】
前述の実施形態の1つ以上において、化学発光タグを任意選択で使用して、バイオマーカー/捕捉複合体の構成要素を標識して、バイオマーカー値を検出することができる。好適な化学発光物質としては、塩化オキサリル、ローダミン6G、Ru(bipy)32+、TMAE(テトラキス(ジメチルアミノ)エチレン)、ピロガロール(1,2,3-トリヒドロキシベンゼン)、ルシゲニン、ペルオキシオキサレート、アリールオキサレート、アクリジニウムエステル、ジオキセタンなどのいずれかが挙げられる。
【0203】
さらに他の実施形態では、検出方法は、バイオマーカー値に対応する検出可能なシグナ
ルを生成する酵素/基質の組み合わせを含む。一般的に、酵素は、発色基質の化学的変化を触媒し、この化学的変化は、分光光度法、蛍光、及び化学発光が含まれる、様々な技術を使用して測定され得る。好適な酵素としては、例えば、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、ワサビペルオキシダーゼ(HRPO)、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、ウリカーゼ、キサンチンオキシダーゼ、ラクトペルオキシダーゼ、ミクロペルオキシダーゼなどが挙げられる。
【0204】
さらに他の実施形態では、検出方法は、測定可能なシグナルを生成する、蛍光、化学発光、放射性核種、または酵素/基質の組み合わせの組み合わせであり得る。多様式のシグナルの生成が、バイオマーカーアッセイフォーマットにおいて固有かつ有利な特徴を有し得る。
【0205】
より具体的には、本明細書に記載されるバイオマーカーのバイオマーカー値は、以下で詳述するように、シングルプレックスSOMAmerアッセイ、マルチプレックスSOMAmerアッセイ、シングルプレックスまたはマルチプレックスイムノアッセイ、mRNA発現プロファイリング、miRNA発現プロファイリング、質量分光分析、組織学的/細胞学的方法などが含まれる、既知の分析方法を使用して検出され得る。
【0206】
SOMAmerベースのアッセイを使用したバイオマーカー値の測定
生体試料及び他の試料中の生理学的に重要な分子の検出及び定量化を目的としたアッセイは、科学研究及びヘルスケア分野における重要なツールである。そのようなアッセイの1つのクラスには、固体支持体上に固定化された1つ以上のアプタマーを含むマイクロアレイの使用が伴う。アプタマーはそれぞれ、高度に特異的な様式で、かつ極めて高親和性で標的分子に結合することができる。例えば、「Nucleic Acid Ligands」という表題の米国特許第5,475,096号を参照のこと。例えば、各々が「Nucleic Acid Ligand Diagnostic Biochip」という表題の米国特許第6,242,246号、米国特許第6,458,543号、及び米国特許第6,503,715号も参照のこと。マイクロアレイが試料と接触すると、アプタマーは試料中に存在するそれぞれの標的分子に結合し、これにより、バイオマーカーに対応するバイオマーカー値を測定することができる。
【0207】
本明細書で使用される場合、「アプタマー」は、標的分子に対して特異的な結合親和性を有する核酸を指す。親和性相互作用は程度の問題であることが認識されているが、しかしながら、この文脈において、アプタマーのその標的に対する「特異的な結合親和性」は、一般的に、アプタマーが、試験試料中の他の成分に結合するよりも非常に高い程度の結合親和性でその標的に結合することを意味する。「アプタマー」は、特定のヌクレオチド配列を有する1つの種類または1種の核酸分子の1組のコピーである。アプタマーは、任意の数の化学修飾されたヌクレオチドが含まれる、任意の好適な数のヌクレオチドを含み得る。「アプタマー」は、そのような分子の2つ以上のセットを指す。異なるアプタマーは、同じ数または異なる数のいずれかのヌクレオチドを有し得る。アプタマーは、DNAもしくはRNAまたは化学修飾された核酸であり得、一本鎖、二本鎖であり得るか、または二本鎖領域を含有し得、より高次の構造を含み得る。アプタマーはフォトアプタマーであってもよく、その場合、アプタマーがその対応する標的に共有結合で連結できるように、光反応性官能基または化学反応性官能基がアプタマーに含まれている。本明細書において開示されるアプタマーの方法のいずれかは、同じ標的分子に特異的に結合する2種以上のアプタマーの使用を含み得る。以下にさらに説明するように、アプタマーはタグを含み得る。アプタマーがタグを含む場合、アプタマーの全てのコピーが同じタグを有している必要はない。さらに、異なるアプタマーがそれぞれタグを含む場合、これらの異なるアプ
タマーは、同じタグまたは異なるタグのいずれかを有することができる。
【0208】
アプタマーは、SELEXプロセスを含む任意の既知の方法を使用して同定することができる。同定されたら、アプタマーは、化学合成法及び酵素合成法が含まれる任意の既知の方法に従って調製または合成され得る。
【0209】
本明細書で使用される場合、「SOMAmer」すなわちSlow Off-Rate
Modified Aptamerとは、解離速度特性を向上させたアプタマーを指す。SOMAmerは、「Method for Generating Aptamers with Improved Off-Rates」と題した米国公開第2009/0004667号に記載されている改良SELEX法を使用して生成され得る。
【0210】
用語「SELEX」及び「SELEXプロセス」は、本明細書では同じ意味で使用され、一般に、(1)所望の様式で標的分子と相互作用する、例えば、タンパク質と高親和性で結合するアプタマーの選択と、(2)それらの選択された核酸の増幅との組み合わせを指す。SELEXプロセスは、特異的な標的またはバイオマーカーに対して高親和性を有するアプタマーを同定するために使用され得る。
【0211】
SELEXは、一般に、候補の核酸混合物を調製すること、候補混合物を所望の標的分子に結合させて、親和性複合体を形成させること、その親和性複合体を結合していない候補核酸から分離すること、その親和性複合体から核酸を分離及び単離すること、核酸を精製すること、ならびに特異的なアプタマー配列を同定することを含む。このプロセスには、選択したアプタマーの親和性をさらに高めるために複数のラウンドが含まれ得る。このプロセスは、プロセスの1つ以上の時点での増幅ステップを含み得る。例えば、「Nucleic Acid Ligands」という表題の米国特許第5,475,096号を参照のこと。SELEXプロセスは、標的に共有結合するアプタマーだけでなく、標的に非共有結合するアプタマーを生成するためにも使用され得る。例えば、「Systematic Evolution of Nucleic Acid Ligands by
Exponential Enrichment:Chemi-SELEX」という表題の米国特許第5,705,337号を参照のこと。
【0212】
SELEXプロセスを使用して、例えば、in vivo安定性の向上または送達特性の向上などの特性の向上をアプタマーに付与する修飾ヌクレオチドを含有する高親和性アプタマーを同定することができる。そのような修飾の例としては、リボース及び/またはリン酸及び/または塩基の位置での化学的置換が挙げられる。SELEXプロセスにより同定された修飾ヌクレオチドを含有するアプタマーは、ピリミジンの5’位及び2’位で化学修飾されたヌクレオチド誘導体を含有するオリゴヌクレオチドを記載している、「High Affinity Nucleic Acid Ligands Containing Modified Nucleotides」という表題の米国特許第5,660,985号に記載されている。米国特許第5,580,737号(上記を参照のこと)は、2’-アミノ(2’-NH2)、2’-フルオロ(2’-F)、及び/または2’-O-メチル(2’-OMe)で修飾された1つ以上のヌクレオチドを含有する高度に特異的なアプタマーを記載している。物理的及び化学的特性が高められた核酸ライブラリならびにSELEX及びフォトSELEX(photoSELEX)におけるその使用を記載している、「SELEX and PHOTOSELEX」という表題の米国特許出願公開番号第20090098549号も参照のこと。
【0213】
SELEXは、所望の解離速度特性を有するアプタマーを同定するためにも使用され得る。標的分子に結合することができるアプタマーを作製するための改善されたSELEXプロセスを記載している、「Method for Generating Aptam
ers with Improved Off-Rates」という表題の米国特許出願公開第20090004667号を参照のこと。上述したように、これらの遅い解離速度アプタマーは、「SOMAmers」として知られている。それぞれの標的分子からのより遅い解離速度を有するアプタマーまたはSOMAmer及びフォトアプタマーSOMAmerを作製する方法が記載される。この方法は、候補混合物を標的分子と接触させ、核酸-標的複合体を形成させ、遅い解離速度のアプタマーを濃縮するプロセスを実行することを含み、その場合、速い解離速度を有する核酸-標的複合体は解離し、再形成しないが、遅い解離速度を有する複合体はインタクトなままである。さらに、この方法は、候補核酸混合物を生成する際に修飾ヌクレオチドを使用して、解離速度パフォーマンスが向上したアプタマーまたはSOMAmersを産生することを含む。
【0214】
本アッセイの変化形は、アプタマーがその標的分子に共有結合するか、またはそれに光架橋することを可能にする光反応性官能基を含むアプタマーを用いる。例えば「Nucleic Acid Ligand Diagnostic Biochip」という表題の米国特許第6,544,776号を参照のこと。これらの光反応性アプタマーは、フォトアプタマーとも称される。例えば、それぞれ「Systematic Evolution of Nucleic Acid Ligands by Exponential Enrichment:Photoselection of Nucleic Acid Ligands and Solution SELEX」という表題の米国特許第5,763,177号、米国特許第6,001,577号、及び米国特許第6,291,184号を参照のこと。例えば「Photoselection of Nucleic Acid Ligands」という表題の米国特許第6,458,539号も参照のこと。マイクロアレイが試料と接触し、フォトアプタマーがその標的分子に結合する機会が与えられた後、フォトアプタマーが光活性化され、固体支持体が洗浄され、任意の非特異的に結合した分子が除去される。フォトアプタマー上の光活性化された官能基(複数可)により生成された共有結合のために、フォトアプタマーに結合している標的分子は通常除去されないため、厳格な洗浄条件を使用してもよい。このようにして、アッセイにおいて、検査試料中のバイオマーカーに対応するバイオマーカー値を検出することができる。
【0215】
これらの両方のアッセイ形式において、アプタマーまたはSOMAmerを、試料と接触させる前に固体支持体に固定化する。しかしながら、特定の状況下では、試料と接触させる前にアプタマーまたはSOMAmerを固定化すると、最適なアッセイを提供しない可能性がある。例えば、アプタマーまたはSOMAmerを事前に固定化することにより、固体支持体表面上でのアプタマーまたはSOMAmerと標的分子との混合は非効率的になる可能性があり、おそらく反応時間は長期化し、したがって、アプタマーまたはSOMAmerがその標的分子と効率的に結合することを可能にするインキュベート時間は延長される。さらに、フォトアプタマーまたはフォトSOMAmerがアッセイで使用される場合、また固体支持体として利用される材料に応じて、固体支持体は、フォトアプタマーまたはフォトSOMAmerとその標的分子との間の共有結合の形成に影響を及ぼすように使用される光を散乱または吸収する傾向があり得る。さらに、用いられる方法に応じて、固体支持体の表面が使用される任意の標識薬剤にも曝露され得、それにより影響も受け得るため、アプタマーまたはフォトSOMAmerに結合したその標的分子の検出は不正確になりやすい。最後に、固体支持体上へのアプタマーまたはSOMAmerの固定化は、一般に、アプタマーまたはSOMAmerの試料への曝露前のアプタマーまたはSOMAmer調製ステップ(すなわち、固定)を含み、この調製ステップは、アプタマーまたはSOMAmerの活性または官能性に影響を及ぼし得る。
【0216】
SOMAmerが溶液中でその標的を捕捉するのを可能にし、次いで、検出前にSOMAmer-標的混合物の特定の成分を除去するように設計されている分離ステップを用い
るSOMAmerアッセイも記載されている(「Multiplexed Analyses of Test Samples」という表題の米国特許出願公開第20090042206号を参照のこと) 。記載されるSOMAmerアッセイは、核酸(すなわち、SOMAmer)を検出及び定量化することにより、検査試料中の非核酸標的(例えば、タンパク質標的)を検出及び定量化することができる。記載される方法は、非核酸標的を検出及び定量化するための核酸代替物(すなわち、SOMAmer)を作出し、よって、増幅を含む広範な様々な核酸技術が、タンパク質標的を含むより広範な所望の標的に適用されることを可能にする。
【0217】
SOMAmerは、SOMAmerバイオマーカー複合体(またはフォトSOMAmerバイオマーカーの共有結合複合体)からのアッセイ成分の分離を容易にし、検出及び/または定量化のためのSOMAmerの単離を可能にするように構築され得る。一実施形態では、これらの構築物は、SOMAmer配列内に切断可能な要素または遊離可能な要素を含み得る。他の実施形態では、さらなる機能性をSOMAmerに導入することができ、例えば、標識または検出可能成分、スペーサー成分、または特異的結合タグもしくは固定化要素を導入することができる。例えば、SOMAmerは、切断可能な部分を介してSOMAmerに連結されたタグ、標識、標識を隔てるスペーサー構成要素、及び切断可能な部分を含み得る。一実施形態では、切断可能な要素は、光切断性リンカーである。光切断性リンカーは、ビオチン部分及びスペーサー部分に結合され得、アミンの誘導体化のためのNHS基を含み得、ビオチン基をSOMAmerに導入して、これにより、アッセイ法において後にSOMAmerの放出を可能にするために使用され得る。
【0218】
溶液中の全てのアッセイ成分を用いて行われる均一アッセイは、シグナル検出前の試料及び試薬の分離を必要としない。これらの方法は迅速であり、使いやすい。これらの方法は、分子の捕捉または特異的な標的と反応する結合試薬に基づいてシグナルを生成する。肺がんのリスクを推定または判定する場合、分子捕捉試薬は、アプタマー(例えば、修飾アプタマーもしくはSOMAmer試薬)または抗体などであり得、特定の標的は、表6にあるようなバイオマーカーであろう。
【0219】
一実施形態では、シグナル生成方法は、フルオロフォア標識された捕捉試薬とその特異的なバイオマーカー標的との相互作用に起因する異方性のシグナル変化を利用する。標識された捕捉試薬がその標的と反応すると、分子量の増加により複合体に結合されたフルオロフォアの回転運動が非常に遅くなり、異方性値が変化する。異方性変化をモニタリングすることにより、結合事象を使用して、溶液中のバイオマーカーが定量的に測定され得る。他の方法としては、蛍光偏光アッセイ、分子ビーコン法、時間分解蛍光消光、化学発光、蛍光共鳴エネルギー移動などが挙げられる。
【0220】
生体試料中のバイオマーカーに対応するバイオマーカー値を検出するために使用され得る例示的な溶液ベースのSOMAmerアッセイは、(a)生体試料を、第1のタグを含み、バイオマーカーに対して特異的な親和性を有するSOMAmerと接触させることにより混合物を調製し(バイオマーカーが試料中に存在する場合、SOMAmer親和性複合体が形成される)、(b)混合物を第1の捕捉要素を含む第1の固体支持体に曝露させ、第1のタグを第1の捕捉要素と会合させ、(c)第1の固体支持体と会合していない混合物の任意の成分を除去し、(d)第2のタグをSOMAmer親和性複合体のバイオマーカー成分に結合させ、(e)第1の固体支持体からSOMAmer親和性複合体を放出させ、(f)放出されたSOMAmer親和性複合体を第2の捕捉要素を含む第2の固体支持体に曝露し、第2のタグを第2の捕捉要素と会合させ、(g)複合体化していない任意のSOMAmerをSOMAmer親和性複合体から分けることにより、任意の複合体化していないSOMAmerを混合物から除去し、(h)固体支持体からSOMAmerを溶出させ、(i)SOMAmer親和性複合体のSOMAmer成分を検出することに
よりバイオマーカーを検出することを含む。
【0221】
当技術分野で公知の任意の手段を使用して、SOMAmer親和性複合体のSOMAmer成分を検出することにより、バイオマーカー値を検出することができる。親和性複合体のSOMAmer成分を検出するための多数の異なる検出方法、例えば、ハイブリダイゼーションアッセイ、質量分析、またはQPCRなどが使用され得る。いくつかの実施形態では、核酸配列決定法を使用して、SOMAmer親和性複合体のSOMAmer成分を検出し、これにより、バイオマーカー値を検出することができる。要約すると、検査試料を任意の種類の核酸配列決定法に供して、検査試料中に存在する1種以上のSOMAmerの配列または複数の配列を同定し、定量化することができる。いくつかの実施形態では、配列は、SOMAmer分子の全体、またはこの分子を一意的に識別するために使用され得るこの分子の任意の部分を含む。他の実施形態では、識別配列は、SOMAmerに付加された特定の配列であり、そのような配列は、多くの場合、「タグ」、「バーコード」、または「ジップコード」と称される。いくつかの実施形態では、配列決定法は、SOMAmer配列を増幅するため、または任意の位置に化学修飾を含有するRNA及びDNAが含まれる任意の種類の核酸を配列決定に適した任意の他の種類の核酸に変換するための酵素ステップを含む。
【0222】
いくつかの実施形態では、配列決定法は、1つ以上のクローニングステップを含む。他の実施形態では、配列決定法は、クローニングを用いない直接配列決定法を含む。
【0223】
いくつかの実施形態では、配列決定法は、検査試料中の1種以上のSOMAmerを標的とする特異的プライマーを用いる指向性アプローチを含む。他の実施形態では、配列決定法は、検査試料中の全てのSOMAmerを標的とするショットガンアプローチを含む。
【0224】
いくつかの実施形態では、配列決定法は、配列決定の標的とされる分子を増幅するための酵素ステップを含む。他の実施形態では、配列決定法は、単一の分子を直接配列決定する。生体試料中のバイオマーカーに対応するバイオマーカー値を検出するために使用され得る例示的な核酸配列決定ベースの方法は、(a)酵素ステップを用いて化学修飾されたヌクレオチドを含むSOMAmerの混合物を、未修飾の核酸に変換し、(b)大規模並列配列決定プラットフォーム、例えば、454シーケンシングシステム(454 Life Sciences/Roche)、Illuminaシーケンシングシステム(Illumina)、ABI SOLiDシーケンシングシステム(Applied Biosystems)、HeliScope1分子シーケンサー(Helicos Biosciences)もしくはPacific BioSciencesリアルタイム1分子シーケンシングシステム(Pacific BioSciences)、またはPolonator Gシーケンシングシステムズ(Dover Systems)などを用いて得られた未修飾の核酸をショットガン配列決定し、(c)特異的な配列及び配列カウントにより混合物中に存在するSOMAmerを同定し、定量化することを含む。
【0225】
イムノアッセイを使用したバイオマーカー値の測定
イムノアッセイ法は、対応する標的または分析物に対する抗体の反応に基づいており、特定のアッセイ形式に応じて試料中の分析物を検出することができる。免疫反応性に基づくアッセイ方法の特異性及び感度を改善するために、モノクローナル抗体が、それらの特異的なエピトープ認識のために、頻繁に使用される。ポリクローナル抗体も、モノクローナル抗体と比較して標的に対する親和性が高いために、様々なイムノアッセイにおいて成功裏に使用されている。イムノアッセイは、広範囲の生物学的試料マトリックスと共に使用するように設計されている。イムノアッセイフォーマットは、定性的、半定量的、及び定量的な結果をもたらすように設計されている。
【0226】
定量的な結果は、既知の濃度の検出されるべき特異的分析物を用いて作成された検量線を使用することにより得られる。未知の試料からの反応またはシグナルを検量線にプロットし、未知の試料中の標的に対応する量または値を決定する。
【0227】
多数のイムノアッセイ形式が設計されている。ELISAまたはEIAは、分析物の検出について定量的であり得る。この方法は、分析物または抗体のいずれかへの標識の結合に基づいており、標識の構成要素は、直接的または間接的のいずれかで酵素を含む。ELISA試験は、分析物の直接的検出、間接的検出、競合的検出、またはサンドイッチ検出用の形式であり得る。他の方法は、例えば、放射性同位体(I125)または蛍光などの標識に基づく。追加の技術としては、例えば、凝集、ネフェロメトリー、比濁法、ウェスタンブロット、免疫沈降、免疫細胞染色、免疫組織染色、フローサイトメトリー、Luminexアッセイなどが挙げられる(ImmunoAssay:A Practical
Guide,edited by Brian Law,published by Taylor & Francis,Ltd.,2005 editionを参照のこと)。
【0228】
例示的なアッセイ形式としては、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、放射免疫測定法、蛍光、化学発光、及び蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)または時間分解FRET(TR-FRET)イムノアッセイが挙げられる。バイオマーカーを検出するための手法の例としては、バイオマーカー免疫沈降、それに続くサイズ及びペプチドレベルの識別を可能にする定量方法、例えば、ゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動、平面電気クロマトグラフィーなどが挙げられる。
【0229】
検出可能な標識またはシグナル生成物質を検出及び/または定量化する方法は、標識の性質に依存する。適切な酵素により触媒される反応の産物(ここで、検出可能な標識は酵素である;上記を参照のこと)は、限定されるものではないが、蛍光、発光、もしくは放射能であり得、またはそれらは、可視光もしくは紫外線を吸収し得る。そのような検出可能な標識の検出に好適な検出器の例としては、限定されるものではないが、X線フィルム、放射能カウンター、シンチレーションカウンター、分光光度計、比色計、蛍光光度計、ルミノメーター、及び濃度計が挙げられる。
【0230】
いずれの検出方法も、任意の好適な調製、処理、及び反応の解析を可能にする任意の形式で実行され得る。検出方法は、例えば、マルチウェルアッセイプレート(例えば、96ウェルまたは384ウェル)で、または任意の好適なアレイもしくはマイクロアレイを使用して実行され得る。様々な薬剤の貯蔵液が、手作業でまたはロボットにより作成され得、その後のピペット操作、希釈、混合、分配、洗浄、インキュベーション、試料読み取り、データ収集、及び解析の全てが、検出可能な標識を検出することができる市販の解析ソフトウェア、ロボット、及び検出機器を使用してロボットにより行われ得る。
【0231】
遺伝子発現プロファイリングを使用したバイオマーカー値の測定
生体試料中の対応するタンパク質のレベルを検出するために、生体試料中のmRNA測定を代用として利用してもよい。したがって、本明細書に記載のバイオマーカーまたはバイオマーカーパネルのいずれも、適切なRNAを検出することによって検出することができる。
【0232】
mRNA発現レベルを、逆転写定量的ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCRに続くqPCR)によって測定する。RT-PCRを使用して、mRNAからcDNAを作製する。cDNAをqPCRアッセイにおいて使用して、DNA増幅プロセスが進行するにつれて蛍光を発生させてもよい。qPCRでは、検量線との比較により、細胞当たりのmRNA
のコピー数などの絶対測定値を取得することができる。ノーザンブロット、マイクロアレイ、インベーダーアッセイ、及びRT-PCRと、キャピラリー電気泳動との組み合わせは、いずれも試料中のmRNA発現レベルを測定するために使用されてきた。Gene Expression Profiling:Methods and Protocols,Richard A.Shimkets,editor,Humana Press,2004を参照のこと。
【0233】
miRNA分子は、非コードであるが遺伝子発現を調節し得る低分子RNAである。mRNA発現レベルの測定に適した方法はいずれも、対応するmiRNAに対して使用することができる。最近、多くの研究室が、疾患のバイオマーカーとしてmiRNAの使用を研究している。多くの疾患には広範な転写制御が関与しており、miRNAがバイオマーカーとしての役割を果たしている可能性があることは驚くべきことではない。miRNA濃度と疾患との関係は、タンパク質レベルと疾患との関係ほど明確ではないことが多いが、それでもmiRNAバイオマーカーの価値は相当程度存在する。当然のことながら、疾患時に差次的に発現する他のRNAと同様に、in vitro診断製品の開発が直面する問題には、miRNAが疾患細胞内で生存し、分析のために容易に抽出可能であること、または測定するのに十分な期間存続する必要がある血中もしくは他のマトリックス中にmiRNAが放出されることなどの要件が含まれる。タンパク質バイオマーカーにも同様の要件があるが、多くの潜在的なタンパク質バイオマーカーは、疾患中にパラクリン様式で病理及び機能の部位で意図的に分泌される。多くの潜在的なタンパク質バイオマーカーは、それらのタンパク質が合成される細胞の外で機能するように設計されている。
【0234】
in vivo分子イメージング技術を使用したバイオマーカーの検出
記載されるバイオマーカー(表6を参照のこと)のいずれかを、画像検査においても使用してよい。例えば、造影剤は、記載されるバイオマーカーのいずれかと結合することができ、これを使用して、肺癌のリスクの推定を支援したり、治療介入に対する反応をモニタリングしたり、特に臨床試験のための集団を選択したりすることができる。
【0235】
in vivoイメージング技術は、個体の体内の特定の疾患または病態の状態を判定するための非侵襲的な方法を提供する。例えば、身体の全ての部分または身体全体が三次元画像として表示し、これにより、体の形態及び構造に関する有益な情報を提供してもよい。そのような技術を、本明細書に記載されるバイオマーカーの検出と組み合わせて、個体の肺癌リスクに関する情報を提供してもよい。
【0236】
様々な技術の進歩により、in vivo分子イメージング技術の使用が発展している。これらの進歩としては、身体内で強いシグナルを発生させ得る放射標識及び/または蛍光標識などの新規のコントラスト剤または標識の開発、ならびに身体外部からこれらのシグナルを十分な感度及び精度で検出及び解析して、有用な情報を提供することができる強力な新規のイメージング技術の開発が挙げられる。コントラスト剤は、適切なイメージングシステムで可視化され得、これにより、コントラスト剤が存在する身体の一部または複数部分の画像を提供する。コントラスト剤は、例えば、SOMAmerもしくは抗体などの捕捉試薬、及び/またはペプチドもしくはタンパク質またはオリゴヌクレオチド(例えば、遺伝子発現を検出するため)、またはこれらのいずれかを1種以上の巨大分子及び/または他の粒子形態と共に含む複合体に結合され得るか、またはそれらと会合し得る。
【0237】
コントラスト剤は、イメージングにおいて有用な放射性原子を特徴とするものであってもよい。シンチグラフィー研究に適した放射性原子としては、テクネチウム99mまたはヨウ素123が挙げられる。他の容易に検出可能な部分としては、例えば、磁気共鳴画像(MRI)用のスピン標識であり、例えば、同様にヨウ素123、ヨウ素131、インジウム111、フッ素19、炭素13、窒素15、酸素17、ガドリニウム、マンガン、ま
たは鉄などが挙げられる。そのような標識は、当技術分野で周知であり、当業者により容易に選択され得る。
【0238】
標準的なイメージング技術としては、限定されるものではないが、磁気共鳴画像、コンピュータ断層撮影(冠動脈カルシウムスコア)、陽電子放出断層撮影(PET)、単光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)、コンピュータ断層撮影血管造影法などが挙げられる。in vivo診断イメージングでは、利用可能な検出機器の種類が、所与のコントラスト剤、例えば、所与の放射性核種及びそれを使用して標的化される特定のバイオマーカー(タンパク質、mRNAなど)の選択において重要な因子となる。通常選択される放射性核種は、所与の種類の機器により検出可能なある種の減衰を示す。また、in
vivoでの診断のために放射性核種を選択する場合、その半減期は、標的組織により最大限取り込まれた時に検出を可能にするほど十分に長く、宿主への有害な放射線が最小限にされるほど十分に短いものであるべきである。
【0239】
例示的なイメージング技術としては、放射性核種を合成的にまたは局所的に個体に投与するイメージング技術であるPET及びSPECTが挙げられるが、これらに限定されない。その後の放射性トレーサーの取り込みを経時的に測定し、標的組織とバイオマーカーに関する情報を取得するために使用する。用いられる特定の同位体の高エネルギー(ガンマ線)放出、ならびにそれを検出するために使用される機器の感度及び精巧さにより、放射能の二次元分布が身体外部から推定され得る。
【0240】
PETにおいて一般的に使用される陽電子放出核種としては、例えば、炭素11、窒素13、酸素15、及びフッ素18が挙げられる。SPECTでは、電子捕獲及び/またはガンマ放射により減衰する同位体が使用され、例えば、ヨウ素123及びテクネチウム99mが挙げられる。アミノ酸をテクネチウム99mで標識するための例示的な方法は、キレート前駆体の存在下で過テクネチウム酸イオンを還元して、不安定なテクネチウム99m-前駆体複合体を形成させることであり、次に、これは、二官能性修飾された走化性ペプチドの金属結合基と反応し、テクネチウム99m-走化性ペプチドコンジュゲートを形成する。
【0241】
そのようなin vivoイメージング診断方法においては、抗体が頻繁に使用される。in vivo診断のための抗体の調製及び使用は、当技術分野で周知である。個体の疾患リスクを診断または評価することを目的として、表6のバイオマーカーのいずれかと特異的に結合する標識抗体を、使用する特定のバイオマーカーによって検出可能な肺癌リスクについて評価しようとする個体へ注射することができる。使用する標識は、前述のように、使用する画像様式に従って選択する。標識の局在化により、肺癌に関連する組織損傷または他の適応症を判断することができる。器官または組織内の標識の量によって、その器官または組織における肺癌バイオマーカーの関与を判定することもできる。
【0242】
同様に、SOMAmerを、そのようなin vivo画像診断法に使用してもよい。個体における組織損傷のレベル、炎症反応の構成要素、及び肺癌のリスクに関連する他の要因を診断または評価することを目的として、例えば、表6に記載される特定のバイオマーカーを同定するために使用した(したがって、その特定のバイオマーカーに特異的に結合する)SOMAmerを、適切に標識し、特定のバイオマーカーによって検出可能な肺癌リスクについて評価しようとする個体に注射してもよい。使用する標識は、前述のように、使用する画像様式に従って選択する。標識の局在化により、リスクの増加につながるプロセスの部位を判定することができる。器官または組織内の標識の量によって、その器官または組織における病理学的プロセスの浸潤を決定することもできる。SOMAmer指向性造影剤は、組織透過性、生体内分布、動態、除去、効力、及び選択性に関して、他の造影剤と比較して固有かつ有利な特性を有し得る。
【0243】
そのような技術は、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いたイメージングにより遺伝子発現を検出するために、任意選択で標識されたオリゴヌクレオチドを用いて実行してもよい。これらの方法は、例えば、標識として蛍光分子または放射性核種を用いるin situハイブリダイゼーションで使用される。遺伝子発現を検出するための他の方法としては、例えば、レポーター遺伝子の活性の検出が挙げられる。
【0244】
別の一般的なタイプのイメージング技術は光学イメージングであり、このイメージング法では、対象内の蛍光シグナルを、対象の外部にある光学デバイスによって検出する。これらのシグナルは、実際の蛍光及び/または生物発光に起因し得る。光学検出デバイスの感度の改善により、in vivoでの診断アッセイのための光学イメージングの有用性が高まっている。
【0245】
例えば、新規の疾患または病態の治療に関する治験での臨床効果をより迅速に測定するための、及び/またはこれらの疾患、例えば、多発性硬化症に対するプラセボによる長期治療を回避するための(そのような長期にわたる治療は倫理的に問題があると考えられ得る)in vivo分子バイオマーカーイメージングの使用は、臨床試験を含めて増加している。
【0246】
他の技術の総論については、N.Blow,Nature Methods,6,465-469,2009を参照のこと。
【0247】
質量分析法を使用したバイオマーカー値の測定
バイオマーカー値を検出するために、様々な構成の質量分析計を使用することができる。数種類の質量分析計が利用可能であり、または様々な構成で製造され得る。一般的に、質量分析計は、以下の主な構成要素を有する:試料インレット、イオン源、質量分析器、検出器、真空システム、及び機器制御システム、及びデータシステム。試料インレット、イオン源、及び質量分析器における相違は、概して計測器のタイプ及びその能力を規定する。例えば、インレットは、キャピラリーカラム液体クロマトグラフィー源であり得、またはマトリックス支援レーザー脱離において使用されるようなダイレクトプローブもしくはステージであり得る。一般的なイオン源は、例えば、ナノスプレー及びマイクロスプレーが含まれるエレクトロスプレー、またはマトリックス支援レーザー脱離である。一般的な質量分析器としては、四重極質量フィルター、イオントラップ質量分析器、及び飛行時間型質量分析器が挙げられる。さらなる質量分析法が当技術分野で周知である(Burlingame et al.,Anal.Chem.70:647R-716R(1998);Kinter and Sherman,New York(2000)を参照のこと)。
【0248】
タンパク質バイオマーカー及びバイオマーカー値は、以下のうちいずれかにより検出及び測定され得る:エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)、ESI-MS/MS、ESI-MS/(MS)n、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(MALDI-TOF-MS)、表面増強レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析(SELDI-TOF-MS)、シリコンを用いた脱離/イオン化(DIOS)、二次イオン質量分析(SIMS)、四重極飛行時間型(Q-TOF)、UltraFlex III TOF/TOFと呼ばれるタンデム飛行時間型(TOF/TOF)技術、大気圧化学イオン化質量分析(APCI-MS)、APCI-MS/MS、APCI-(MS)N、大気圧光イオン化質量分析(APPI-MS)、APPI-MS/MS、及びAPPI-(MS)N、四重極質量分析、フーリエ変換質量分析(FTMS)、定量的質量分析、ならびにイオントラップ質量分析。
【0249】
質量分析法によってタンパク質バイオマーカーを特徴決定し、バイオマーカー値を測定する前に、試料調製戦略を使用して、試料を標識し、濃縮する。標識方法としては、限定されるものではないが、相対または絶対定量用の等質量タグ(iTRAQ)、及び細胞培養液中のアミノ酸による安定同位体標識法(SILAC)が挙げられる。質量分光分析の前に試料中のバイオマーカータンパク質候補を選択的に濃縮するために使用される捕捉試薬としては、限定されるものではないが、SOMAmer、抗体、核酸プローブ、キメラ、低分子物質、F(ab’)2フラグメント、一本鎖抗体フラグメント、Fvフラグメント、一本鎖Fvフラグメント、核酸、レクチン、リガンド結合受容体、アフィボディ、ナノボディ、アンキリン、ドメイン抗体、代替的抗体スキャフォールド(例えば、ダイアボディなど)、インプリントポリマー、アビマー、ペプチドミメティック、ペプトイド、ペプチド核酸、トレオース核酸、ホルモン受容体、サイトカイン受容体、及び合成受容体、ならびにこれらの改変型及びフラグメントが挙げられる。
【0250】
近接ライゲーションアッセイを使用したバイオマーカー値の測定
近接ライゲーションアッセイを使用して、バイオマーカー値を測定することができる。要約すると、一対の各メンバーがオリゴヌクレオチドで延長された、一対の抗体または一対のSOMAmerであり得る一対の親和性プローブと検査試料を接触させる。一対の親和性プローブの標的は、1種のタンパク質上の2つの異なる決定基であり得、またはホモもしくはヘテロ多量体の複合体として存在し得る2種の異なるタンパク質上の各々の1種の決定基であり得る。プローブが標的の決定基に結合すると、オリゴヌクレオチド延長部の自由端が、共にハイブリダイズするほど十分に近接する。オリゴヌクレオチド延長部のハイブリダイゼーションは、オリゴヌクレオチド延長部が十分に近接して配置される場合に、それらを共に架橋するのに役立つ共通のコネクターオリゴヌクレオチドにより促進される。プローブのオリゴヌクレオチド延長部がハイブリダイズしたら、延長部の末端が、酵素によるDNAライゲーションによって共に連結される。
【0251】
各オリゴヌクレオチド伸長物には、PCR増幅のためのプライマー部位が含まれる。オリゴヌクレオチド伸長物が一緒にライゲーションされると、オリゴヌクレオチドは、連続したDNA配列を形成し、PCR増幅を通じて、標的タンパク質の同一性及び量に関する情報、ならびに標的の決定基が2つの異なるタンパク質上にある場合のタンパク質間相互作用に関する情報が明らかになる。近接ライゲーションは、リアルタイムPCRを使用することによりリアルタイムのタンパク質濃度及び相互作用情報に関する高感度かつ特異的なアッセイを提供し得る。関心対象の決定基に結合しないプローブは、対応するオリゴヌクレオチド延長部を近接させることはなく、ライゲーションまたはPCR増幅は進行できず、シグナルの生成をもたらさない。
【0252】
前述のアッセイにより、肺癌リスクを判定または推定するための方法において有用なバイオマーカー値を検出することができ、本方法は、個体由来の生体試料において、表6に示すバイオマーカーからなる群から選択されるバイオマーカーにそれぞれ対応するバイオマーカー値を検出することを含み、以下で詳述するように、バイオマーカー値を使用した評価により、個体における肺癌のリスクが示される。記載される肺癌リスクバイオマーカーの一部は、肺癌リスクの推定または判定について単独で有用であるが、本明細書では、それぞれが3つ以上のバイオマーカーのパネルとして有用である肺癌リスクバイオマーカーの複数のサブセットをグループ化するための方法も記載する。本明細書に記載される方法のいずれかによれば、バイオマーカー値は、個別に検出し、評価することができるか、または例えば、多重アッセイ形式のように、まとめて検出し、評価することができる。
【0253】
所与の診断試験または予測試験のバイオマーカー「シグネチャ」は、一連のマーカーを含み、各マーカーは、関心対象の集団において異なるレベルを有する。この点に関して、異なるレベルとは、2つ以上の群内の個体のマーカーレベルの異なる平均、2つ以上の群
内の異なる分散、または両方の組み合わせを指し得る。診断検査の最も単純な形式では、マーカーを使用して、個体由来の未知の試料を、肺癌リスクありまたはなしの2つの群のいずれか1つに割り当てることができる。試料を2つ以上の群のうちの1つに割り当てることは、分類として公知であり、この割り当てを達成するために使用される手法は分類子または分類法として公知である。分類法は、スコア化法とも称され得る。1組のバイオマーカー値から診断分類子を構築するために使用され得る多数の分類方法が存在する。一般に、分類法は、教師あり学習技術を使用して最も容易に実行され、その場合、区別したい2つ(または多重分類状態の場合はそれより多く)の別個の群内の個体から採取した試料を使用してデータセットを収集する。各試料が属するクラス(群または集団)が、予め試料毎に分かっているため、所望の分類応答が得られるように分類法をトレーニングすることができる。教師なし学習技術を使用して、診断分類子を生成することも可能である。
【0254】
診断分類子を開発するための一般的な手法としては、決定木;バギング、ブースティング、フォレスト、及びランダムフォレスト;推論規則に基づく学習;パルゼン窓;線形モデル;ロジスティック曲線;ニューラルネットワーク法;教師なしクラスタリング;K平均法;階層的昇順分類/降順分類;半教師あり学習;プロトタイプ法;最近傍法;カーネル密度推定;サポートベクトルマシン;隠れマルコフモデル;ボルツマン学習が挙げられ、分類子は、単純に組み合わせてもよく、または特定の目的関数を最小化する方法で組み合わせてもよい。総論に関して、例えば、Pattern Classification,R.O.Duda,et al.,editors,John Wiley & Sons,2nd edition,2001を参照のこと。The Elements of Statistical Learning - Data Mining,Inference,and Prediction,T.Hastie,et al.,editors,Springer Science+Business Media,LLC,2nd edition,2009も参照のこと(これらのそれぞれは、その全体が参照により援用される)。
【0255】
教師あり学習技術を使用して分類子を生成するために、トレーニングデータと呼ばれる1組の試料が取得される。診断検査に関して、トレーニングデータは、後に未知の試料が割り当てられる異なる群(クラス)由来の試料を含む。例えば、対照集団の個体から収集された試料、及び特定の疾患、病態、または事象の集団の個体から収集された試料は、未知の試料(または、より具体的には試料を採取した個体)を、疾患を有する、または疾患を有さないのいずれかに分類することができる分類子を開発するためのトレーニングデータを構成し得る。トレーニングデータからの分類子の開発は、分類子のトレーニングとして公知である。分類子トレーニングの具体的な詳細は、教師あり学習手法の性質に依存する(例えば、Pattern Classification,R.O.Duda,et
al.,editors,John Wiley & Sons,2nd edition,2001;を参照のこと;The Elements of Statistical Learning - Data Mining,Inference,and Prediction,T.Hastie,et al.,editors,Springer Science+Business Media,LLC,2nd edition,2009も参照のこと)。
【0256】
通常、トレーニングセットの試料と比べて多数のより高いバイオマーカー値が存在する可能性があるため、過剰適合を回避するように配慮する必要がある。過剰適合は、統計モデルが、基礎をなす関係の代わりにランダムエラーまたはノイズを表す場合に起こる。過剰適合は、例えば、分類子開発の際に使用されたマーカーの数を制限すること、マーカーの応答が互いに独立していると仮定すること、用いられる基礎をなす統計モデルの複雑さを制限すること、及び基礎をなす統計モデルがデータに適合することを確実にすることを含む、様々な方法で回避することができる。
【0257】
事象の発生に関連するバイオマーカーのセットを特定するために、対照試料と初期事象試料の組み合わせのセットを主成分分析(PCA)を使用して分析した。PCAは、試料を、事例または対照のアウトカムに関係なく、全ての試料間の最も強い変動によって規定される軸に対して示すため、事例と対照の区別が過剰適合するリスクが軽減される。肺癌の発症には偶然の要素が強く関与しているため、対照試料セットと事象試料セットの間に明確な分離が認められることは期待できない。観察された事例と対照の間の分離は大きくないが、この分離は第2主成分で発生しており、この試料セットの全変動のおよそ10%に相当し、これは、根底にある生物学的変動の定量化が比較的容易であることを示している。
【0258】
次の一連の分析では、対照試料と初期事象試料の間の分離に特異的な試料間の差異の成分について、バイオマーカーを分析することができる。使用し得る1つの方法は、遺伝子発現データから患者の生存率を予測するためのDSGAを使用して(Bair,E. and Tibshirani,R.(2004)Semi-supervised methods to predict patient survival from gene expression data. PLOS Biol.,2,511-522)、対照セット内の試料間の変動の最初の3つの主成分方向を削除(収縮)してもよい。次元削減は、検出する対照セットに対して実行するが、対照内の試料と初期事象試料由来の試料の両方を、PCAを通じて実行する。初期事象からの事例の分離が、横軸に沿って観察することができる。
肺癌リスクの推定または判定に関連するタンパク質の選択の相互検証
【0259】
特定の試料選択の特異な特徴に対するタンパク質の予測力の過剰適合を回避するために、交差検証及び次元削減アプローチを採用することができる。相互検証には、タンパク質によるリスクの関連性を判断するための試料セットの複数の選択と、リスクのモデルの作成に使用しなかった試料に適用する方法の能力をモニタリングするための未選択の試料の使用の組み合わせが含まれる(The Elements of Statistical Learning - Data Mining,Inference,and Prediction,T. Hastie,et al.,editors,Springer Science+Business Media,LLC,2nd edition,2009)。Tibshiraniらの教師ありPCA法を適用し(Bair,E.and Tibshirani,R.(2004)Semi-supervised methods to predict patient survival from
gene expression data. PLOS Biol.,2,511-522.)、肺癌リスクのモデリングにおける高次元データセットに適用することができる。教師ありPCA(SPCA)法には、データ内で観察されたイベントハザードと統計的に関連する一連のタンパク質の一変量選択と、これらすべてのタンパク質からの情報を組み合わせた相関成分の決定が含まれる。この相関成分の決定は、次元削減ステップであり、タンパク質全体の情報を組み合わせるだけでなく、1000を超えるタンパク質の完全なタンパク質メニューから少数の主成分まで独立変数の数を削減することによって、過剰適合の可能性を軽減する(本研究では、第1の主成分のみを調べた)。
【0260】
個々のタンパク質と事象発生までの時間との関係性の一変量解析及び多変量解析
The Cox proportional hazard model (Cox,
David R (1972). “Regression Models and Life-Tables”. Journal of the Royal Statistical Society. Series B(Methodological)34(2):187-220.))は、医療統計で広く使用されている。コックス回帰では、特定の時間関数を累積生存率に当てはめることを回避し、代わりにベースラインハザ
ード関数(時間とともに変化し得る)を参照する相対リスクモデルを採用する。ベースラインハザード関数は、すべての個体の生存時間分布の共通の形状を記述し、一方、相対リスクは、ベースラインハザードの倍数として、一連の共変量値(単一の個体または群など)に対するハザードのレベルを示す。Coxモデルでは、相対リスクは時間とともに一定である。
【0261】
加速故障時間(AFT)モデルは、生存率モデルのサブクラスである。生存率モデルは、部分的な情報に基づいて事象発生までの時間データを予測する。例えば、肺癌モデルのデータでは、事象は肺癌の診断であるが、診断までの時間事象データは、研究の対象の一部について利用可能である。残りの対象について入手可能な情報は、採血時から研究終了までに対象が肺癌と診断されなかったということである。この第2のカテゴリは部分的な情報であり、肺癌と診断されるかどうか、またはいつ診断されるかが不確実であるため、「打ち切り」と称される。
【0262】
生存率モデルは打ち切りを考慮しているため、打ち切り対象からのデータを引き続き使用できるが、事象の発生時期を予測しようとする他の長期モデルは、肺癌と診断された対象からの情報しか使用できない。また、生存率モデルは、事象発生までの時間を考慮するため、任意の時間枠内で事象が発生する予測確率を生成することができ、これは、ほとんどの分類モデル(ロジスティック回帰、ランダムフォレスト)とは異なる。
【0263】
特に、AFT生存率モデルは、モデルの共変量と対数(事象発生までの時間)の間の線形関係を指定/仮定する回帰モデルである。したがって、共変量(タンパク質RFU数)がベースラインより2倍高い対象は、肺癌の診断からベースラインより2倍長く「生存」すると予測され得る。
【0264】
最も一般的な2つの生存率モデルは、AFTモデルと比例ハザードモデルであり、AFTワイブルモデルは両方である。比例ハザードモデルの定義は、AFTモデルの定義よりも少し複雑であり、比例ハザードモデルでは、ベースラインより2倍高い共変量を有する対象は、任意の時点で2倍高いハザードを有し得、ハザードは生存曲線の経時変化の負の導関数である。
【0265】
他の一般的な比例ハザードモデルは、指数モデル及びCoxモデルである。指数モデルは、ワイブルモデルのサブタイプである。Coxモデルは、使用がより制限されている。Coxモデルからは事象発生までの時間の予測確率は得られず、相対リスクのみが得られる。AFTモデルは、絶対リスクと相対リスクの両方を与えることができる。
【0266】
キット
例えば、本明細書において開示される方法を実行するのに使用するための好適なキットを使用して、表6のバイオマーカーの任意の組み合わせを検出することができる。さらに、任意のキットが、本明細書に記載されるような1種以上の検出可能な標識、例えば、蛍光部分などを含み得る。
【0267】
一実施形態では、キットは、(a)生体試料中の1つ以上のバイオマーカーを検出するための1つ以上の捕捉試薬(例えば、少なくとも1つのSOMAmerまたは抗体など)を含み、バイオマーカーは、表6に記載されているバイオマーカーのいずれかを含み、任意選択で(b)肺癌リスクを計算するための1つ以上のソフトウェアまたはコンピュータプログラム製品を含む。あるいは、1つ以上のコンピュータプログラム製品ではなく、上記のステップを人が手作業で実行するための1つ以上の使用説明書が提供され得る。
【0268】
固体支持体とシグナル発生物質を有する対応する捕捉試薬との組み合わせは、本明細書
では「検出デバイス」または「キット」と呼ばれる。キットには、デバイスと試薬の使用、試料の取り扱い、及びデータの分析に関する説明書も含まれ得る。さらに、キットは、生体試料を解析し、その解析結果を報告するためのコンピュータシステムまたはソフトウェアと共に使用され得る。
【0269】
キットは、生体試料を処理するための1種以上の試薬(例えば、可溶化緩衝液、界面活性剤、洗浄液、または緩衝液)も含み得る。本明細書に記載されるキットのいずれかは、例えば、緩衝液、ブロッキング剤、質量分析用マトリックス物質、抗体捕捉剤、陽性対照試料、陰性対照試料、ソフトウェア、及び情報、例えば、プロトコール、指針、及び参考データも含み得る。
【0270】
一態様では、本発明は、肺癌のリスクを分析するためのキットを提供する。キットには、表6から選択されるバイオマーカーに特異的な1つ以上のSOMAmerのPCRプライマーが含まれる。キットには、使用説明書及びバイオマーカーと肺癌リスクの推定または判定との相関関係に関する説明書がさらに含まれ得る。キットは、表6から選択されるバイオマーカーに特異的な1種以上のアプタマーまたはSOMAmer試薬の相補体を含有するDNAアレイ、試薬、及び/または試料DNAを増幅または単離するための酵素も含み得る。キットは、リアルタイムPCRのための試薬、例えば、TaqManプローブ及び/またはプライマー、ならびに酵素を含み得る。
【0271】
例えば、キットは、(a)検査試料中の1つ以上のバイオマーカーを定量化するための捕捉試薬を少なくとも含む試薬(前記バイオマーカーは、表6に記載のバイオマーカー、または本明細書に記載の任意の他のバイオマーカーもしくはバイオマーカーパネルを含む)、ならびに、任意選択で、(b)検査試料中で定量化した各バイオマーカーの量を1つ以上の所定のカットオフと比較し、前記比較に基づいて、定量化した各バイオマーカーについてスコアを割り当て、定量化した各バイオマーカーに割り当てたスコアを組み合わせて合計スコアを取得し、合計スコアを所定のスコアと比較し、前記比較を使用して個体に肺癌のリスクがあるかどうかを判定するステップを実行するための1つ以上のアルゴリズムまたはコンピュータプログラムを含み得る。あるいは、1つ以上のアルゴリズムまたはコンピュータプログラムではなく、上記のステップを人が手作業で実行するための1つ以上の使用説明書が提供され得る。
【0272】
コンピュータ方法及びソフトウェア
バイオマーカーまたはバイオマーカーパネルが選択されると、個体を診断するための方法は、以下を含み得る:1)生体試料を収集または取得し、2)生体試料中のパネル内の1つ以上のバイオマーカーを検出及び測定するための分析方法を実行し、3)バイオマーカー値を収集するために使用される方法に必要なデータの正規化または標準化を実行し、4)マーカースコアを計算し、5)マーカースコアを組み合わせて、合計の診断スコアまたは予測スコアを取得し、6)個体の診断スコアまたは予測スコアを報告することを含み得る。このアプローチにおいて、診断スコアまたは予測スコアは、疾患の有無を示す事前設定された閾値と比較する全てのマーカー計算の合計から決定される単一の数値であってもよい。あるいは診断スコアまたは予測スコアは、各々がバイオマーカー値を示す一連のバーであってもよく、応答パターンを、疾患、状態、または事象の高い(または高くない)リスクの存在または非存在の判定のための事前設定されたパターンと比較してもよい。
【0273】
本明細書に記載される方法の少なくともいくつかの実施形態を、コンピュータを用いて実施することができる。図3にコンピュータシステム100の例を示す。図3を参照すると、システム100は、プロセッサ101、入力装置102、出力装置103、記憶装置104、コンピュータ可読記憶媒体リーダー105a、通信システム106、加速処理装置(例えば、DSPまたは特殊用途のプロセッサ)107、及びメモリ109を含む、バ
ス108を介して電気的に接続されたハードウェア要素から構成されることが示される。コンピュータ可読記憶媒体リーダー105aは、さらにコンピュータ可読記憶媒体105bに接続され、この組み合わせは、包括的に、コンピュータ可読情報を一時的及び/またはより持続的に収容するための、遠隔、局所、固定、及び/または取り外し可能な記憶装置を加えた記憶媒体、メモリなどに相当し、この組み合わせは、記憶装置104、メモリ109、及び/または他のかかる任意のアクセス可能なシステム100リソースを含む。システム100は、オペレーティングシステム192、及び他のコード193、例えば、プログラム、データなどが含まれるソフトウェア要素(ここでは作業メモリ191内に存在するものとして示される)も含む。
【0274】
図4を参照すると、システム100は、幅広い柔軟性及び構成可能性を有する。したがって、例えば、単一のアーキテクチャーが1つ以上のサーバーを実装するために利用され得、かかるサーバーは更に、一般に望ましいプロトコール、プロトコール変更、拡張などに従ってさらに構成され得る。しかしながら、より特定のアプリケーション要求に従って実施形態が利用されるであろうことが、当業者にとって明らかである。例えば、1つ以上のシステム要素が、システム100の構成要素内の(例えば、通信システム106内の)下位要素として実装され得る。特製のハードウェアもまた利用され得、及び/または、特定の要素がハードウェア、ソフトウェア、もしくはその両方において実装され得る。さらに、ネットワーク入力/出力装置(図示せず)などの他のコンピューティングデバイスへの接続が用いられ得るが、他のコンピューティングデバイスへの有線、無線、モデム、及び/または他の接続または複数の接続が利用されていてもよいことを理解されたい。
【0275】
一態様では、このシステムは、肺癌のリスクの推定または判定に特徴的なバイオマーカーの特徴を含むデータベースを含み得る。バイオマーカーデータ(またはバイオマーカー情報)は、コンピュータ実施方法の一部として使用するためのコンピュータへの入力として利用され得る。バイオマーカーデータは、本明細書に記載されるデータを含み得る。
【0276】
一態様では、システムはさらに、入力データを1つ以上のプロセッサに提供するための1つ以上のデバイスを備える。
【0277】
このシステムはさらに、ランク付けされたデータ要素のデータセットを記憶するためのメモリを備える。
【0278】
別の態様では、入力データを提供するための装置は、例えば、質量分析計または遺伝子チップリーダーなどのデータ要素の特徴を検出するための検出器を含む。
【0279】
システムは、追加的にデータベース管理システムを含み得る。ユーザーのリクエストまたはクエリは、クエリを処理してトレーニングセットのデータベースから関連情報を抽出するデータベース管理システムが理解できる適切な言語でフォーマットすることができる。
【0280】
システムは、ネットワークサーバーと1つ以上のクライアントが接続されているネットワークに接続可能であり得る。ネットワークは、当技術分野で公知であるように、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはワイドエリアネットワーク(WAN)であってもよい。好ましくは、サーバーは、ユーザー要求を処理するためにデータベースデータにアクセスするコンピュータプログラム製品(例えば、ソフトウェア)を実行するために必要なハードウェアを含む。
【0281】
システムは、データベース管理システムからの命令を実行するためのオペレーティングシステム(例えば、UNIXまたはLinux)を含み得る。一態様では、オペレーティ
ングシステムは、インターネットなどのグローバル通信ネットワーク上で動作し、グローバル通信ネットワークサーバーを利用してそのようなネットワークに接続することができる。
【0282】
このシステムは、当技術分野で公知のグラフィカル・ユーザー・インターフェースで日常的に認められるような、ボタン、プルダウン・メニュー、スクロール・バー、テキストを入力するためのフィールドなどのインターフェース要素を備えるグラフィカル・ディスプレイ・インターフェースを備える1つ以上のデバイスを含み得る。ユーザーインターフェースに入力された要求は、システム内のアプリケーションプログラムに送信され、1つ以上のシステムデータベース内の関連情報を検索するためにフォーマットされる。ユーザーが入力したリクエストまたはクエリは、好適なデータベース言語で構築され得る。
【0283】
グラフィカル・ユーザー・インターフェースは、オペレーティングシステムの一部としてグラフィカル・ユーザー・インターフェース・コードによって生成してもよく、データの入力及び/または入力されたデータの表示に使用することができる。処理されたデータの結果は、インターフェースに表示され得、システムと通信する印刷機で印刷され得、記憶装置に保存され得、及び/またはネットワークを介して送信され得、またはコンピュータ可読媒体の形態で提供され得る。
【0284】
システムは、データ要素に関するデータ(例えば、式の値)をシステムに提供するための入力装置と通信することができる。一態様では、入力装置は、例えば、質量分析計、遺伝子チップ、またはアレイリーダーなどが含まれる、遺伝子発現プロファイリングシステムを含み得る。
【0285】
様々な実施形態に従って、バイオマーカー情報を用いて肺癌リスクを解析するための方法及び装置が、任意の好適な方式で、例えば、コンピュータシステムで動作するコンピュータプログラムを使用して実装され得る。リモートアクセス可能なアプリケーションサーバー、ネットワークサーバー、パーソナルコンピュータ、またはワークステーションなどの、プロセッサ及びランダムアクセスメモリを含む従来のコンピュータシステムが使用され得る。追加のコンピュータシステム要素としては、記憶装置または情報記憶システム、例えば、大容量記憶システム及びユーザーインターフェース、例えば、従来型のモニター、キーボード、及びトラッキング装置が挙げられ得る。コンピュータシステムは、独立型システム、またはサーバー及び1つ以上のデータベースを含むコンピュータのネットワークの一部であり得る。
【0286】
バイオマーカー解析システムを用いた肺癌リスク評価は、データ収集、処理、解析、報告、及び/または診断などのデータ解析を完了するための機能及び操作を提供し得る。例えば、一実施形態では、コンピュータシステムは、肺癌リスクバイオマーカーに関する情報を受信、保存、検索、解析、及び報告し得るコンピュータプログラムを実行し得る。コンピュータプログラムは、様々な機能または操作を実行する複数のモジュール、例えば、生データを処理し、補足データを生成するための処理モジュール、ならびに生データ及び補足データを解析して、肺癌リスクの評価を生成するための解析モジュールを含み得る。肺癌リスクの計算は、疾患、病態、または事象と関連する個体の状態に関する追加の生物医学的情報が含まれる、任意の他の情報を生成または回収すること、さらなる試験が望ましい可能性があるかどうかを確認すること、または個体の健康状態を評価することを任意選択で含み得る。
【0287】
図4を参照すると、開示される実施形態の原理に従ってコンピュータを利用する方法の一例が示されている。図4に、フローチャート3000を示す。ブロック3004では、個体のバイオマーカー情報を取得することができる。バイオマーカー情報は、例えば、個
体の生体試料の検査を実行した後、コンピュータデータベースから取得することができる。バイオマーカー情報は、表6のバイオマーカーの1つ以上にそれぞれ対応するバイオマーカー値を含み得る。ブロック3008では、コンピュータを利用してバイオマーカー値のそれぞれについて計算を実行することができる。そして、ブロック3012において、肺癌のリスクに関して推定または判定を行うことができる。表示を、人が視認できるように、ディスプレイまたは他の表示装置に出力することができる。したがって、例えば、コンピュータまたは他の出力装置の表示画面上に表示することができる。
【0288】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、コンピュータプログラム製品を含むように実装され得る。コンピュータプログラム製品は、データベースを備えたコンピュータ上でアプリケーションプログラムを実行させるためのコンピュータ可読プログラムコードが媒体内に組み込まれたコンピュータ可読媒体を含み得る。
【0289】
本明細書で使用される場合、「コンピュータプログラム製品」とは、あらゆる性質の物理媒体(例えば、書面、電子、磁気、光学式など)に含まれ、コンピュータまたは他の自動データ処理システムで使用され得る自然言語ステートメントまたはプログラミング言語ステートメントの形式で組織化された命令セットを指す。そのようなプログラミング言語ステートメントは、コンピュータまたはデータ処理システムによって実行されると、コンピュータまたはデータ処理システムをステートメントの特定の内容に従って動作させる。コンピュータプログラム製品には、コンピュータ可読媒体に埋め込まれたソース及びオブジェクトコード及び/またはテストライブラリまたはデータライブラリ内のプログラムが含まれるが、これらに限定されない。さらに、コンピュータシステムまたはデータ処理装置を事前に選択された方式で作動させることを可能にするコンピュータプログラム製品が、限定されるものではないが、オリジナルソースコード、アセンブリコード、オブジェクトコード、機械言語、前述の暗号化または圧縮されたバージョン、及び任意の等価物が含まれる、多数の形態で提供され得る。
【0290】
一態様では、肺癌リスクを推定するためのコンピュータプログラム製品を提供する。コンピュータプログラム製品は、コンピューティングデバイスまたはシステムのプロセッサにより実行可能なプログラムコードを具体化するコンピュータ可読媒体を含み、このプログラムコードは、個体由来の生体試料に起因するデータを取得するコード(データは、各々が表6の1つ以上のバイオマーカーに対応するバイオマーカー値を含む)、及び個体の肺癌リスクをバイオマーカー値の関数として示す計算方法を実行するコードを含む。
【0291】
さらに別の態様では、肺癌リスクを考慮したコンピュータプログラム製品を提供する。コンピュータプログラム製品は、コンピューティングデバイスまたはシステムのプロセッサにより実行可能なプログラムコードを具体化するコンピュータ可読媒体を含み、このプログラムコードは、個体由来の生体試料に起因するデータを取得するコード(データは、表6の1つ以上のバイオマーカーに対応するバイオマーカー値を含む)、及び個体の肺癌リスクをバイオマーカー値の関数として示す計算方法を実行するコードを含む。
【0292】
様々な実施形態が方法または装置として記載されたが、実施形態は、コンピュータと併用されるコード、例えば、コンピュータに内在するか、またはコンピュータによりアクセス可能なコードを介して実施され得ることを理解するべきである。例えば、ソフトウェアとデータベースを利用して、上記の方法の多くを実装することができる。したがって、ハードウェアによって実現される実施形態に加えて、これらの実施形態は、本明細書で開示されている機能を有効にするコンピュータ可読プログラムコードが組み込まれたコンピュータ使用可能媒体からなる製造品の使用を通じて実現できることにも留意されたい。したがって、実施形態は、そのプログラムコード手段においても本特許によって保護されるとみなされることが望ましい。さらに、実施形態は、RAM、ROM、磁気媒体、光学媒体
、または磁気光学媒体が含まれるが、それらに限定されない、実質的に任意の種類のコンピュータ可読メモリに保存されたコードとして具体化され得る。さらにより一般的には、実施形態は、限定されるものではないが、汎用プロセッサで作動するソフトウェア、マイクロコード、PLA、またはASICが含まれる、ソフトウェアで、またはハードウェアで、またはそれらの任意の組み合わせで実施され得る。
【0293】
さらに実施形態が、搬送波で具体化されるコンピュータシグナル、及び伝送媒体を介して伝搬されるシグナル(例えば、電気及び光学)として達成され得ることも想定される。したがって、上記の様々なタイプの情報を、データ構造などの構造でフォーマットし、伝送媒体を介して電気信号として伝送するか、コンピュータ可読媒体に記憶することができる。
【0294】
本明細書に列挙された多数の構造、材料、及び行為が、機能を実行するための手段または機能を実行するためのステップとして列挙され得ることにも留意されたい。したがって、そのような文言は、参照により援用される事項を含め、本明細書内に開示されるすべての構造、材料、または行為、及びその均等物を網羅する権利を有することを理解されたい。
【0295】
本明細書に開示されるバイオマーカー同定プロセス、バイオマーカーの利用、及びバイオマーカー値を決定するための様々な方法が、肺癌リスクの評価に関して上記で詳述されている。しかしながら、プロセスの用途、同定されたバイオマーカーの使用、及びバイオマーカー値を決定するための方法は、他の特定種類の疾患もしくは医学的状態、または補助的な医学的処置により恩恵を受ける可能性があるか、もしくはその可能性がない個体の同定に十分に適用可能である。
【0296】
他の方法
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるバイオマーカー及び方法は、医療保険料もしくは補償範囲決定及び/または生命保険料もしくは補償範囲決定を決定するために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法の結果は、医療保険料及び/または生命保険料を決定するために使用される。いくつかのそのような例では、医療保険または生命保険を提供する組織は、対象のタバコ使用状態に関する情報を要求または別様に取得し、その情報を使用して、対象の適切な医療保険または生命保険料を決定する。いくつかの実施形態では、医療保険または生命保険を提供する組織により検査が要求され、組織により代金が支払われる。いくつかの実施形態では、検査は、事業または保険制度または企業の買収候補者により、将来の債務またはコストを予測し、買収を進めるべきかを決定するために使用される。
【0297】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるバイオマーカー及び方法は、医療資源の利用を予測及び/または管理するために使用される。いくつかのそのような実施形態では、本方法は、そのような予測の目的で実施されないが、本方法により取得された情報は、そのような医療資源の利用の予測及び/または管理において使用される。例えば、検査施設または病院は、特定の施設または特定の地理的地域における医療資源の利用を予測及び/または管理するために、本方法により多数の対象に関する情報を集め得る。
【実施例
【0298】
以下の実施例は、単に例示目的で提供されるものであり、添付の特許請求の範囲により定義される本出願の範囲を限定することを意図しない。本明細書に記載されるすべての実施例は、当業者にとって周知かつ日常的な標準的な技術を使用して実施された。以下の実施例に記載される定型的な分子生物学技術は、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd.e
d.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,(2001)などの標準的な実験マニュアルに記載されるように実行され得る。
【0299】
実施例1. モデルの仕様
1.1 モデル結果の説明。特定の態様では、これらの分析のエンドポイントは、肺癌の発症までの時間のアウトカムであり、これには2つの要素がある。
1)採血から肺癌(原発癌として)診断するまで、または試験を終了/完了するまでの日数。
2)試験期間中に肺の診断が観察されたかどうかを示すバイナリ変数。
【0300】
1.2 最終モデル情報。一態様では、最終モデルは、7特徴(表6を参照のこと)、加速故障時間(AFT)ワイブル生存率モデルである。モデルを、試験期間全体にわたってトレーニングし、パフォーマンスは5年で最大になった。
【0301】
このモデルは2つの予測を提供する:
1)絶対リスク:この出力は、5年以内に肺癌と診断されない絶対確率(従来はPr(LC-free)、0~1の値)である。結果として配信し、ビジネスルールによって評価する場合、得られる予測確率を1から減算し、肺癌と診断される絶対5年確率を提供する。
2)相対リスク:これは、モデル(上記)によって生成された絶対リスク確率を使用して計算し、トレーニングコホートの「ベースライン」絶対確率(以下で定義する)で除算した連続変数である。このアプローチにより、モデルのリスク確率予測を、値が高いほど今後5年以内に肺癌と診断される可能性が高いことを示すように解釈できるようになる。
【0302】
ベースラインのリスク確率スコアは、モデルアルゴリズムに基づいたトレーニングコホート内の「平均的な」人を表す。「ベースライン」個体は、モデル特徴値がゼロに設定された個体として定義される。モデル内のすべての特徴は、全体の平均を中心に配置され、これは、任意の所与の特徴値について、0の値が平均に等しいこと(すなわち、平均値)を意味する。ベースライン値は、すべての特徴をゼロに設定し、それらの「ゼロ化された」特徴の絶対リスク確率を生成することによって計算される。したがって、1未満のスコアは、平均リスクより低いリスクを表し、1より大きいスコアは平均リスクより高いリスクを表す。「喫煙歴のある」ARICデータセットにおける肺癌診断率は、使用目的の母集団と同年齢の米国集団の肺癌診断事象率と一致している。
【0303】
トレーニングデータのベースラインリスクスコアは、0.0095または0.95%である。
【0304】
絶対リスクスコアの階層化は四分位に基づいており、最初の2つの四分位が単一のリスクビンにまとめられる。(トレーニングデータの予備解析では、最初の2つの四分位の間に強い分離は示されなかった)。したがって、以下の表(表4)に示すように、グループ分けはQ1+Q2、Q3、及びQ4を表し、ベースラインリスク(0.0095)がQ2の上限に近いことに留意されたい。
【0305】
LDTを目的として、肺癌リスクを相対リスクとして報告することをサポートするために、対象を3つの相対リスク群に層別化するカプランマイヤープロットを図2に示し、絶対確率、及び相対リスク層別化、ならびに対応する事象率の概要を表4に示す。
【表4】
【0306】
この階層化に基づいて、肺癌リスク検査の相対リスクのスコアリングルールを表5に示す
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【0307】
1.3 一態様では、モデルの出力は5年でのPr(肺癌なし)である。出力は、肺癌と診断される確率として報告され、これは(1-Pr(肺癌なし))である。5年での事象確率は連続変数として報告される。このモデルの出力は確率であるため、[0,1]の範囲外の値は誤動作であり、報告されることはない。
【0308】
実施例:プロテオミクスモデルに基づく、仮想患者の絶対予測確率は0.0100である。この患者の相対リスクは1.06であり、中間のリスクビンに分類される。
【数1】
この実施例の相対リスクは以下のように解釈される:この患者は、参照集団の平均的な個体と比較して、今後5年以内に肺癌と診断されるリスクが1.06倍または6%高い。
【0309】
実施例2. 試験開発及び妥当性確認用のデータセット
2.1 開発及び検証コホート(複数可)。地域社会のアテローム性動脈硬化リスク(ARIC)研究は、米国の4つの地域社会:Forsyth County,NC;Jackson,MS;the northwest suburbs of Minneapolis,MN;及びWashington County,MDで実施された前向き疫学研究である。ARIC試験には、45~64歳の15,792人の参加者が登録された。登録は1987年から1989年にかけて行われ、現在は2016~2017年の試験来診6回目まで30年間のフォローアップが行われている。ARIC試験はもともと、アテローム性動脈硬化症の病因と自然史、臨床的な動脈硬化性疾患の病因、心臓血管のリスク因子、医療ケアと疾患の人種、性別、場所、及び日付による変動を調査するために設計されたが、この試験は、がんの疫学研究を促進する取り組みを実施するように拡張された。がんの発症率と死亡率は、フォローアップ中に得られた自己申告情報と組み合わせて、医療記録、要約記録、及びがん登録のレビューを通じて判断された。(Joshu et al.“Enhancing the Infrastructure of the Atherosclerosis Risk in Communities(ARIC)Study for Cancer Epidemiology Research: ARIC Cancer.” Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 2018;27:295-305)。肺癌リスクモデルは、1993~1995年に実施された3回目の来診から20年間のフォローアップ期間まで、喫煙歴のある者(来診3回目の時点で現喫煙者または元喫煙者と定義される) の文書化された肺癌診断に基づいて開発されたが、このモデルは、肺癌診断を最長5年間フォローアップすることを意図している。
【0310】
近年(2014~2018)の米国集団の場合、喫煙状況に関係なく、40~74歳の男性と女性の肺癌の5年リスク率は0.715%である。(“SEERExplorer” National Cancer Institute. Surveillance,Epidemiology,and End Results Program.
https://seer.cancer.gov/explorerからオンライン入手可能)。これは、50~73歳の男女を対象とするARIC来診3回目のデータセットにおける、喫煙経験者と非喫煙者の両方を考慮した場合の肺癌の5年罹患率0.759%、及び喫煙歴のある人の増加した5年罹患率1.23%と一致している。
【0311】
2.2 データセットの層別化。この試験では、データを、独立して、トレーニング(70%)、検証(15%)、及び妥当性確認(15%)セットに分割し、肺癌診断をエンドポイントとして層別化し、過剰適合の問題を軽減しながらロバストなモデルを特定した。妥当性確認データセットは、POCまたは改良段階では使用しなかった。
【0312】
2.2.1 モデルトレーニングデータ
【表14】
【表15】
【0313】
2.2.2 モデル検証データ
【表16】
【表17】
【0314】
2.2.3 モデルの妥当性確認データ
【表18】
【表19】
【0315】
実施例3. 開発の結果
3.1 データQC及び事前分析の結果
【0316】
元の臨床データセットには11,288個のサンプルが含まれていた。様々なフラグに基づいて、以下の数のサンプルを除去した。この除去を表14に詳述する。
【表20】
【0317】
さらに、363個の分析物が標的確認特異性試験に合格しなかったため、分析開始前に除去され、4921個の分析物が分析に利用可能となった。
【0318】
データQCまたは事前分析中に他の問題は特定されなかった。
【0319】
この試験のサンプルは、2019年5月13日から2019年7月8日まで、アッセイバージョン4.0マスターミックスロット1で実行された。
【0320】
3.2 改良アプローチ及び結果。肺癌リスク検査の最終モデルは、7つの特徴を含み、このモデルは、ワイブル分布を使用したAFT生存率モデルを使用して開発された。このモデルを、がんが蔓延しておらず、現在または過去に喫煙歴がある個体を用いて、ARIC来診3回目のデータセットの70%においてトレーニングした。検証メトリクスを別の15%のデータセットで計算し、追加の15%のデータセットを妥当性確認で使用するために保持した。
【0321】
試験期間全体にわたる観察結果を使用し、5年間に対してモデルのパフォーマンスを最適化した。このモデルを、上位100個の一変量特徴の削減特徴リストを使用して構築し、事象クラスのアップサンプリングによる安定性の選択によってさらに洗練させた。高いCV(CV>10%)を有する特徴を、残りの分析物から除去した。AFTワイブルモデルを使用した逆方向特徴選択プロセスを使用して特徴をさらに絞り込み、最高のパフォーマンスを有するモデルを見出した。
【0322】
改良モデルを、モデル強化ツールを使用してさらに評価し、アッセイバージョンV4.0とV4.1間の一致を保証するために改良した。
【0323】
5年(1825日)のAUCを使用して、喫煙歴のある個体の肺癌診断を予測するために最終モデルを評価した。C指数、PEC、感度、特異度などの追加のメトリクスを報告した。トレーニングデータセット及び検証データセットの結果を表15に示す。
【表21】
【0324】
情報提供のみを目的として、最終モデルを、喫煙歴のある個体の採血後10年及び15年後の肺癌診断リスクを予測するためにさらに使用し、パフォーマンスメトリクスを計算した。パフォーマンスメトリクスを表16に詳述する。
【表22】
【0325】
調査のみを目的として、最終モデルを、採血後5年、10年、及び15年後のARIC来診3回目由来の非喫煙者における肺癌診断リスクを予測するためにさらに使用し、パフォーマンスメトリクスを計算した。非喫煙者のデータセットにおける肺癌事象率及び人口統計の要約をそれぞれ表17a及び17bに詳述する。パフォーマンスメトリクスを表18に詳述する。
【表23】
【表24】
【表25】
【0326】
実施例4. 肺癌リスク予測の長期分析
ARIC来診2回目、3回目、及び5回目由来のデータを使用して、特定のパラメータに従って肺癌リスクの経時的変化を分析した。具体的には、ARIC来診2回目及び3回目の間の喫煙状況の変化または一致に伴う肺癌リスクの変化(目的1)、来診3回目の後の近接性が異なる肺癌と診断された対象におけるARIC来診2回目及び3回目の間の肺
癌リスクの経時的変化(目的2)、及び来診3回目または来診5回目での採血時に肺癌が蔓延していると診断される個体と診断されない個体間の肺癌リスク予測の差異(目的3)を評価した。ARIC来診2回目、3回目、及び5回目の対象の人口統計を表19~22に示す。
【表26】
【表27】
【表28】
【表29】
【0327】
データ品質管理(QC)事前解析を、ARIC来診2回目、来診3回目、及び来診5回目で実行した。来診2回目からは11,779サンプル、来診3回目からは11,360サンプル、来診5回目からは5,281サンプルがあり、臨床データ及びRFUデータが解析に利用可能であった。
【0328】
データQCでは、来診2回目の28(0.238%)サンプル、来診3回目の41(0.361%)サンプル、来診5回目の27(0.511%)サンプルが外れ値サンプルとして特定され、分析物の5%以上が中央値からの絶対偏差の6倍を上回ることが示された。データQCではまた、来診2回目の17(0.144%)サンプル、来診3回目の36(0.317%)サンプル、来診5回目の0(0.0%)サンプルが行チェックに失敗したことが示され、これは、ハイブリダイゼーションまたは3つのスケール係数中央値のうちの少なくとも1つが0.4~2.5の範囲外であったことを意味する。行チェックの失敗は、その特定のサンプルに技術的な問題(例えば、詰まり)があり、サンプルを再度実行しても修正されないことを示している。表23は、データQC、及び分析前に各ARICデータセットから除去されたサンプルをまとめたものである。
【表30】
【0329】
目的1と目的2では、来診2回目と来診3回目由来のサンプルを使用した。これらの目的に利用可能な来診2回目及び来診3回目のサンプルは、10,048個存在していた。両方の時点で19件の有病肺癌症例が存在していたが、これらを分析から除外し、10,029(99.811%)のサンプルを分析用に残した。喫煙行動変数は、自己申告の喫煙曝露に基づいて作成した。表24は、喫煙行動変数をまとめたものである。
【0330】
欠落または誤分類された274のサンプル(10個体が来診2回目の喫煙状況を欠落しており、23個体が来診3回目の喫煙状況を欠落しており、241個体が来診2回目では喫煙者の一種、来診3回目では非喫煙者であると誤分類されて報告された)を分析から除外し、9,755個(97.084%)を目的1の分析のために残した。喫煙曝露変数の分析では、「新規現喫煙者」曝露群のサンプルサイズが小さかったため、「新規現喫煙者」と「新規元喫煙者」を「新規喫煙者」変数に統合した。
【0331】
分析に利用可能な10,029個のサンプルのうち、肺癌の診断情報が欠落している624名の個体が存在し、残り9,405個(93.8%)のサンプルを目的2の分析用に残した。
【表31】
【0332】
目的1の結果
【0333】
目的1では、来診2回目と来診3回目の間の喫煙状況の変化または一貫性による肺癌罹患率の変化を調べた。来診2回目及び来診3回目のサンプルで肺癌が蔓延していないすべての個体(N=9,755)をこの分析に使用した。肺癌予測の平均差(図5)を、来診3回目での平均肺癌予測(0.0111)と来診2回目での平均肺癌予測(0.0092)の差として計算した(平均差=0.0020;p<0.001)。ANOVA検定を実施して、喫煙状況群間で肺癌予測に差があるかどうかを判定した(p<0.001)。どの喫煙群が互いに統計的に異なっていたかを判断するために、事後t検定を実施し、表25にまとめた。
【表32】
【表33】
【0334】
非喫煙者の来診2回目と来診3回目の間の予測の平均変化は0.0019、喫煙継続者は0.003、新規喫煙者は0.0025、途中禁煙者は-0.0023、再喫煙者は0.0048、禁煙継続者は0.0019であった(表25に要約されている)。
【0335】
事後t検定では、禁煙継続者と喫煙継続者の間(差=-0.0011;p<0.001)、喫煙継続者と非喫煙者の間(差=0.0011;p<0.001)、禁煙継続者と途中禁煙者の間(差=0.0042;p<0.001)、喫煙継続者と途中禁煙者の間(差=0.0053;p<0.001)、非喫煙者と途中禁煙者の間(差=0.0042;p<0.001)、新規喫煙者と途中禁煙者の間(差=0.0048;p<0.001)、禁煙継続者と再喫煙者の間(差=-0.0029;p=0.0054)、非喫煙者と再喫煙者の間(差=-0.0029;p=0.0054)、及び途中禁煙者と再喫煙者の間(差=-0.0071;p<0.001)に有意な差が示された。禁煙継続者と非喫煙者との間、禁煙継続者と新規喫煙者との間、喫煙継続者と新規喫煙者との間、及び非喫煙者と新規喫煙者との間に有意差はなかった(表26に要約されている)。
【0336】
目的2の結果
【0337】
目的1の分析に使用した来診2回目及び来診3回目の個体(N=9,755)のうち、624個体(6.6%)が肺癌の診断情報を欠落しており、来診2回目と来診3回目のサンプルを用いた9,405(93.4%)個体を分析用に残した。来診3回目の後(フォローアップ終了まで)に偶発的に肺癌と診断された313個体、及び来診3回目から5年以内に偶発的に肺癌と診断された63個体が存在していた。
【0338】
来診2回目及び来診3回目の間の肺癌リスクスコアの変化を計算した。肺癌と診断されたことのない個体と比較して、がんと診断された個体の来診2回目と来診3回目の肺癌リスクスコアの変化に有意差があるかどうかを、t検定を使用して判定した(表27に要約されている)。
【表34】
【0339】
肺癌来診3回目の予測を、5年以降に肺癌を発症した個体と比較して、5年以内に肺癌を発症した個体においてより詳細に検討した(これら2群は相互に排他的である)。来診3回目において肺癌を発症していた313個体のうち、63個体が5年以内に肺癌を発症し、250個体が5年以降に肺癌を発症していた。t検定を使用してこれらの肺癌予測を比較し、表28に要約する。
【表35】
【0340】
肺癌リスク予測の変化が、がん診断までの時間を予測するものであるかどうかを判断するために、コンコーダンスを測定した。この分析では、フォローアップ期間が0日であった2名(0.02%)の個体(肺癌診断=「N」)が存在し、この分析から除外した(分析数=9,403)。表29は、コンコーダンス分析をまとめたものであり、肺癌予測の変化が、がん診断までの時間を予測できないことを示している(肺癌全コンコーダンス=0.550;肺癌5年コンコーダンス=0.556)。
【表36】
【0341】
目的3の結果
【0342】
来診5回目のサンプルを有していた個体(5,254)のうち、肺癌の診断情報が欠落していた300(5.7%)個体が存在していたが、これらをこの分析から除外した。分析用の9,454(94.3%)のサンプルが存在していた。目的2のサンプルを目的3の分析に使用した。
【0343】
t検定を実施して、肺癌が蔓延している個体とそうでない個体との間で、肺癌リスク予測に有意な差があるかどうかを判定した。表30及び表31は、それぞれ来診3回目及び来診5回目でのこの分析を要約しており、肺癌が蔓延している個体(来診3回目の平均予測値=0.24、来診5回目の平均予測値=0.33)と肺癌が蔓延していない個体(来診3回目の平均予測値=0.011;来診5回目の平均予測=0.021)の間に有意差があることを示している(それぞれp=0.003及びp=0.005)。来診3回目での1個体が、来診5回目でフォローアップデータを有していた。
【表37】
【0344】
【表38】
参考文献
以下に挙げるすべての参考文献、または本明細書全体の他の場所は、その全体が参照により本明細書に援用される。
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図1
図2
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図6
図7
【国際調査報告】