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特表2024-540849ウラン系蛍光体並びにディスプレイ及び照明用途のための組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】ウラン系蛍光体並びにディスプレイ及び照明用途のための組成物
(51)【国際特許分類】
   C09K 11/71 20060101AFI20241029BHJP
   C09K 11/69 20060101ALI20241029BHJP
   C09K 11/61 20060101ALI20241029BHJP
   C09K 11/08 20060101ALI20241029BHJP
   C09K 11/59 20060101ALI20241029BHJP
   C09K 11/80 20060101ALI20241029BHJP
   C09K 11/64 20060101ALI20241029BHJP
   C09K 11/62 20060101ALI20241029BHJP
   C09K 11/56 20060101ALI20241029BHJP
   C09K 11/67 20060101ALI20241029BHJP
   C09K 11/85 20060101ALI20241029BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20241029BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20241029BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20241029BHJP
   F21V 3/08 20180101ALI20241029BHJP
   F21V 3/12 20180101ALI20241029BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241029BHJP
【FI】
C09K11/71
C09K11/69
C09K11/61
C09K11/08 J
C09K11/08 G
C09K11/59
C09K11/80
C09K11/64
C09K11/62
C09K11/56
C09K11/67
C09K11/85
G02B5/20
G02B5/20 101
H01L33/50
F21V3/00 510
F21V3/08
F21V3/12
F21Y115:10 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024521064
(86)(22)【出願日】2022-10-10
(85)【翻訳文提出日】2024-06-05
(86)【国際出願番号】 US2022077858
(87)【国際公開番号】W WO2023060281
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】63/254,021
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2022/024577
(32)【優先日】2022-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】カマルデロ, サミュエル ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】セトラー, アナン エー.
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー, ジェイムス イー.
【テーマコード(参考)】
2H148
4H001
5F142
【Fターム(参考)】
2H148AA07
2H148AA19
2H148BA03
2H148BE13
2H148BE17
4H001CA02
4H001CA07
4H001CC05
4H001CC08
4H001XA03
4H001XA08
4H001XA09
4H001XA11
4H001XA12
4H001XA13
4H001XA14
4H001XA15
4H001XA16
4H001XA19
4H001XA20
4H001XA21
4H001XA22
4H001XA23
4H001XA30
4H001XA31
4H001XA32
4H001XA37
4H001XA38
4H001XA39
4H001XA40
4H001XA41
4H001XA49
4H001XA50
4H001XA55
4H001XA56
4H001XA57
4H001XA64
4H001XA65
4H001XA71
4H001XA72
4H001XA73
4H001XA83
4H001XA89
4H001YA25
4H001YA58
4H001YA59
4H001YA62
4H001YA63
5F142BA03
5F142BA23
5F142CC03
5F142CC26
5F142CC27
5F142CG43
5F142DA12
5F142DA13
5F142DA15
5F142DA22
5F142DA43
5F142DA44
5F142DA45
5F142DA48
5F142DA52
5F142DA53
5F142DA55
5F142DA64
5F142DA72
5F142DA73
5F142FA24
5F142FA26
5F142GA01
5F142GA11
5F142GA21
5F142HA01
(57)【要約】
(i)式I又はIIを有する蛍光体であって、[Ba1-a-bSrCa[Mg,Zn](UO([P,V]O2(x+y+z)/3(I) [Ba1-a-bSrCa(UO[P,V](2p+2q+5r)/2(II)、式I又はIIを有する蛍光体が、Pr3+、Sm3+、又はそれらの混合物を含む活性化剤イオンがドープされており、式中、0≦a≦1、0≦b≦1、0.75≦x≦1.25、0.75≦y≦1.25、0.75≦z≦1.25、2.5≦p≦3.5、1.75≦q≦2.25、及び3.5≦r≦4.5である蛍光体、(ii)式I又はIIを有する蛍光体であって、式I又はIIを有する蛍光体が、Eu3+、Pr3+、Sm3+、及びそれらの混合物から選択される活性化剤イオン、並びに1つ又は複数のアルカリ金属イオンを含む対イオンがドープされている蛍光体、並びに(iii)式IIIを有する蛍光体であって、AUO[P,V](III) 式IIIを有する蛍光体が、Eu3+、Pr3+、Sm3+、及びそれらの混合物から選択される活性化剤イオンがドープされており、式中、Aは、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せである蛍光体から選択される、ウラン系蛍光体。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)式I又はIIを有する蛍光体であって、
[Ba1-a-bSrCa[Mg,Zn](UO([P,V]O2(x+y+z)/3(I)
[Ba1-a-bSrCa(UO[P,V](2p+2q+5r)/2(II)、
前記式I又はIIを有する蛍光体が、Pr3+、Sm3+、又はそれらの混合物を含む活性化剤イオンがドープされており、式中、0≦a≦1、0≦b≦1、0.75≦x≦1.25、0.75≦y≦1.25、0.75≦z≦1.25、2.5≦p≦3.5、1.75≦q≦2.25、及び3.5≦r≦4.5である蛍光体、
(ii)式I又はIIを有する蛍光体であって、前記式I又はIIを有する蛍光体が、Eu3+、Pr3+、Sm3+、及びそれらの混合物からなる群から選択される活性化剤イオン、並びに1つ又は複数のアルカリ金属イオンを含む対イオンがドープされている蛍光体、
(iii)式IIIを有する蛍光体であって、
UO[P,V](III)
前記式IIIを有する蛍光体が、Eu3+、Pr3+、Sm3+、及びそれらの混合物からなる群から選択される活性化剤イオンがドープされており、式中、Aが、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せである蛍光体
からなる群から選択されるウラン系蛍光体。
【請求項2】
前記ウラン系蛍光体が、(i)式I又はIIを有する蛍光体であって、前記式I又はIIを有する蛍光体が、Pr3+、Sm3+、又はそれらの混合物を含む活性化剤イオンがドープされている蛍光体である、請求項1に記載のウラン系蛍光体。
【請求項3】
前記式I又はIIを有する蛍光体が、Ba(PO(UO、BaZnUO(PO、BaMgUO(PO、及び
からなる群から選択され、前記式IIIを有する蛍光体が、NaUO、KUO、RbUO、及びCsUOから選択される、請求項1に記載のウラン系蛍光体。
【請求項4】
前記ウラン系蛍光体が、(ii)式I又はIIを有する蛍光体であって、前記式I又はIIを有する蛍光体が、Eu3+、Pr3+、Sm3+、及びそれらの混合物からなる群から選択される活性化剤イオン、並びに1つ又は複数のアルカリ金属イオンを含む対イオンがドープされている蛍光体である、請求項1に記載のウラン系蛍光体。
【請求項5】
前記1つ又は複数のアルカリ金属イオンが、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群から選択される、請求項4に記載のウラン系蛍光体。
【請求項6】
前記ウラン系蛍光体が、(iii)式IIIを有する蛍光体であって、前記蛍光体が、Eu3+、Pr3+、Sm3+、及びそれらの混合物からなる群から選択される活性化剤イオンがドープされている蛍光体である、請求項1に記載のウラン系蛍光体。
【請求項7】
前記対イオンが、約0.1モル%~約10モル%の量で存在する、請求項1に記載のウラン系蛍光体。
【請求項8】
式(III)、(IV)又は(V)を有するウラン系蛍光体であって、
UO[P,V](III)、
UO([P,V]O(IV)、又は
AUO([P,V]O(V)、
式中、Aが、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せである、ウラン系蛍光体。
【請求項9】
前記ウラン系蛍光体が、KUO、NaUO、RbUO、CsUO、KUO(PO又はNaUOである、請求項8に記載のウラン系蛍光体。
【請求項10】
前記ウラン系蛍光体が、約0.1μm~約15μmのD50粒径を有する、請求項1又は請求項8に記載の前記ウラン系蛍光体。
【請求項11】
請求項1又は請求項8に記載の前記ウラン系蛍光体と、式VIを有する赤色発光蛍光体であって、
MF:Mn4+(VI)、
式中、Aが、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せであり、Mが、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Al、Ga、In、Sc、Hf、Y、La、Nb、Ta、Bi、Gd、又はそれらの組合せであり、xが、MFイオンの電荷の絶対値であり、yが、5、6又は7である、赤色発光蛍光体とを含む、蛍光体組成物。
【請求項12】
前記赤色発光蛍光体が、
(TiF):Mn4+、K(SnF):Mn4+、Cs(TiF):Mn4+、Rb(TiF):Mn4+、Cs(SiF):Mn4+、Rb(SiF):Mn4+、Na(SiF):Mn4+、Na(TiF):Mn4+、Na(ZrF):Mn4+、K(ZrF):Mn4+、K(BiF):Mn4+、K(YF):Mn4+、K(LaF):Mn4+、K(GdF):Mn4+、K(NbF):Mn4+又はK(TaF):Mn4+を含む、請求項11に記載の蛍光体組成物。
【請求項13】
前記赤色発光蛍光体が、KSiF:Mn4+である、請求項11に記載の蛍光体組成物。
【請求項14】
前記赤色発光蛍光体が、金属フッ化物又はシリカを含む表面コーティングで少なくとも部分的にコーティングされている、請求項11に記載の蛍光体組成物。
【請求項15】
前記金属フッ化物が、MgF、CaF、SrF、BaF、AgF、ZnF、AlF、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項14に記載の蛍光体組成物。
【請求項16】
前記ウラン系蛍光体及び前記赤色発光蛍光体が、約0.1μm~約15μmのD50粒径を有する、請求項11に記載の蛍光体組成物。
【請求項17】
請求項1又は請求項8に記載の前記ウラン系蛍光体と、少なくとも1つの他の発光材料とを含む蛍光体組成物。
【請求項18】
前記少なくとも1つの他の発光性蛍光体材料が、[Ba,Sr,Ca]SiO:Eu2+、[Y,Gd,Lu,Tb][Al,Ga]12:Ce3+、β-SiAlON:Eu2+、[Sr,Ca,Ba][Ga,Al]:Eu2+、[Li,Ca]α-SiAlON:Eu2+、[Ba,Sr,Ca]Si:Eu2+、[Ca,Sr]AlSiN:Eu2+、[Ba,Sr,Ca]LiAl:Eu2+、[Sr,Ca,Mg]S:Eu2+、KSiF:Mn4+、燐光性染料、カラーフィルタ顔料、散乱粒子、ポリフルオレン、又は量子ドット材料を含む、請求項17に記載の蛍光体組成物。
【請求項19】
前記量子ドット材料がペロブスカイト量子ドットを含む、請求項18に記載の蛍光体組成物。
【請求項20】
請求項1又は請求項8に記載の前記ウラン系蛍光体に放射的及び/又は光学的に結合されたLED光源を含む、デバイス。
【請求項21】
式VIを有する赤色発光蛍光体であって、
MF:Mn4+(VI)
式中、Aが、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せであり、Mが、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Al、Ga、In、Sc、Hf、Y、La、Nb、Ta、Bi、Gd、又はそれらの組合せであり、xが、MFイオンの電荷の絶対値であり、yが、5、6又は7である、赤色発光蛍光体を更に含む、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
[Ba,Sr,Ca]SiO:Eu2+、[Y,Gd,Lu,Tb][Al,Ga]12:Ce3+、β-SiAlON:Eu2+、[Sr,Ca,Ba][Ga,Al]:Eu2+、[Li,Ca]α-SiAlON:Eu2+、[Ba,Sr,Ca]Si:Eu2+、[Ca,Sr]AlSiN:Eu2+、[Ba,Sr,Ca]LiAl:Eu2+、[Sr,Ca,Mg]S:Eu2+、KSiF:Mn4+、ポリフルオレン、又は量子ドット材料を含む少なくとも1つの他の発光材料を更に含む、請求項20に記載のデバイス。
【請求項23】
前記ウラン系蛍光体及び前記少なくとも1つの他の発光材料が、フィルムの形態であり、前記LED光源から離れて配置されている、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記少なくとも1つの他の発光材料が量子ドット材料を更に含み、前記フィルムが多層構造であり、前記多層構造の各層が少なくとも1つの蛍光体又は量子ドット材料を含む、請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
請求項20に記載のデバイスを備える、照明装置。
【請求項26】
請求項20に記載のデバイスを備える、バックライト装置。
【請求項27】
請求項20に記載のデバイスを備える、ディスプレイ装置。
【請求項28】
前記LED光源が、ミニLED又はマイクロLEDである、請求項20に記載のデバイス。
【請求項29】
請求項26に記載のバックライト装置を備える、テレビ。
【請求項30】
請求項26に記載のバックライト装置を備える、携帯電話。
【請求項31】
請求項26に記載のバックライト装置を備える、コンピュータモニタ。
【請求項32】
請求項26に記載のバックライト装置を備える、ラップトップ。
【請求項33】
請求項26に記載のバックライト装置を備える、タブレットコンピュータ。
【請求項34】
請求項26に記載のバックライト装置を備える、自動車用ディスプレイ。
【請求項35】
請求項20に記載のデバイスを備える、園芸照明装置。
【請求項36】
式VIの赤色発光蛍光体であって、
MF:Mn4+(VI)
式中、Aが、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せであり、Mが、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Al、Ga、In、Sc、Hf、Y、La、Nb、Ta、Bi、Gd、又はそれらの組合せであり、xが、MFイオンの電荷の絶対値であり、yが、5、6又は7である、赤色発光蛍光体を更に含む、請求項35に記載の園芸照明装置。
【請求項37】
園芸照明用の蛍光体パッケージであって、前記蛍光体パッケージが、請求項1又は請求項8に記載のウラン系蛍光体を含む蛍光体材料を含む、園芸照明用の蛍光体パッケージ。
【請求項38】
式VIを有する赤色蛍光体であって、
MF:Mn4+(VI)
式中、Aが、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せであり、Mが、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Al、Ga、In、Sc、Hf、Y、La、Nb、Ta、Bi、Gd、又はそれらの組合せであり、xが、MFイオンの電荷の絶対値であり、yが、5、6又は7である、赤色蛍光体を更に含む、請求項37に記載の園芸照明用の蛍光体パッケージ。
【請求項39】
前記ウラン系蛍光体及び前記赤色蛍光体が、約0.1ミクロン~約5ミクロンの粒径を有し、フィルム又はシートに分散されている、請求項38に記載の蛍光体パッケージ。
【請求項40】
前記活性化剤イオンがSm3+又はPr3+である、請求項37に記載の蛍光体パッケージ。
【請求項41】
前記ウラン系蛍光体が、約0.1ミクロン~約5ミクロンの粒径を有し、フィルム又はシートに分散されている、請求項37に記載の蛍光体パッケージ。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年10月8日に出願された米国仮特許出願第63/254,021号及び2022年4月13日に出願された国際出願第PCT/US2022/024577号の優先権利益を主張し、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明の分野は、一般に、蛍光体材料及びデバイスに関し、より詳細には、ディスプレイ用途及び照明用途に有用なウラン系蛍光体材料に関する。
【0003】
一般的な照明は、可視放射に対するヒトの眼の感度及び太陽スペクトルに基づく。眼の感度の影響は、総ルーメン出力に関連し、一方、日射の全スペクトルとの一致は、演色評価数(CRI)をもたらす。従来の一般照明としては、白熱照明及び蛍光照明が挙げられる。LED照明は、従来の一般照明と比較して、効率が向上し、電気使用を40%削減し、平均寿命が延びている。LED照明は、約380nm~約750nmの可視波長にわたってほぼ連続的な範囲をカバーすることができ、一般的な照明用途及びディスプレイ用途に使用することができる。LED照明の同調性を使用して、使用される所望の特性及び蛍光体の組合せに基づいて、全スペクトル(高CRI)及び高効率(ルーメン/ワット)照明の両方を作り出すことができる。LED照明はまた、1日を通して微妙に色を変化させる人間中心の照明、及び植物生長などの用途のための特殊照明を有する能力を生み出す。
【0004】
白色光は、近紫外(UV)又は青色発光LEDを、無機蛍光体、又は赤色発光蛍光体と緑色又は黄緑色発光蛍光体などの無機蛍光体のブレンドと組み合わせて使用することによって生成することができる。蛍光体及びLEDチップからの総発光は、対応する色座標(1931 CIE色度図のx及びy)及び相関色温度(CCT)を有する色点を提供し、そのスペクトル分布は、100のスケールに基づく演色評価数(CRI)によって測定される演色能力を提供する。有効性は、より高い量が好ましい使用電力あたりの発光量(ルーメン/ワット)の測定である。Mn4+によって活性化された錯フッ化物材料に基づく狭帯域赤色発光蛍光体は、米国特許第7,358,542号、米国特許第7,497,973号、米国特許第7,648,649号に記載されている。これらの錯フッ化物は、セリウムをドープしたイットリウムアルミニウムガーネットYAl12:Ce3+(YAG)又は他のガーネット組成物などの黄緑色発光蛍光体と組み合わせて利用して、青色LEDから高い効果で温白色光(黒体軌跡でのCCT<5000K、演色評価数(CRI>80)を達成することができる。蛍光体材料からの様々な発光による高効率も望ましい。
【0005】
現在のディスプレイデバイス技術は、産業及び住宅用途に最も広く使用されているフラットパネルディスプレイの1つである液晶ディスプレイ(LCD)に依存している。次世代デバイスは、低エネルギー消費、小型サイズ、及び高輝度を有し、より広い色域カバレッジを必要とする。次世代デバイスには、ミニLED又はマイクロLEDなどのより小型のLEDが必要とされる。ミニLEDのサイズは100μm~0.7mm程度である。マイクロLEDの場合、ディスプレイは自発光性であってもよく、又は100μm未満の個々のLEDで配列された小型バックライトを含んでもよい。これらの次世代マイクロLEDディスプレイが自発光性であり、色変換層を必要とする場合、高い吸収係数を有する蛍光体材料の非常に薄い層又はフィルムが必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7,358,542号
【特許文献2】米国特許第7,497,973号
【特許文献3】米国特許第7,648,649号
【発明の概要】
【0007】
一実施形態では、ウラン系蛍光体材料は、ウラニル(UO)基を含み、式I、II、III、IV又はVを有する蛍光体であって、
[Ba1-a-bSrCa[Mg,Zn](UO([P,V]O2(x+y+z)/3(I)、
[Ba1-a-bSrCa(UO[P,V](2p+2q+5r)/2(II)、
UO[P,V](III)、
UO([P,V]O(IV)、又は
AUO([P,V]O(V)
式中、0≦a≦1、0≦b≦1、0.75≦x≦1.25、0.75≦y≦1.25、0.75≦z≦1.25、2.5≦p≦3.5、1.75≦q≦2.25、3.5≦r≦4.5であり、AはLi、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せである、蛍光体を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、ウラン系蛍光体は、活性化剤イオンがドープされている。いくつかの実施形態では、活性化剤イオンは、Pr3+、Sm3+、又はそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態では、活性化剤イオンは、Eu3+、Pr3+、Sm3+、及びそれらの混合物から選択される。いくつかの実施形態では、ウラン系蛍光体は、対イオンがドープされている。いくつかの実施形態では、対イオンは1つ又は複数のアルカリ金属イオンである。他の実施形態では、対イオンは、Li、K、Na、Rb、Cs、及びそれらの混合物から選択される。
【0009】
一態様では、ウラン系蛍光体が提供される。ウラン系蛍光体は、
(i)式I又はIIを有する蛍光体であって、
[Ba1-a-bSrCa[Mg,Zn](UO([P,V]O2(x+y+z)/3(I)
[Ba1-a-bSrCa(UO[P,V](2p+2q+5r)/2(II)、
式I又はIIを有する蛍光体が、Pr3+、Sm3+、又はそれらの混合物を含む活性化剤イオンがドープされており、式中、0≦a≦1、0≦b≦1、0.75≦x≦1.25、0.75≦y≦1.25、0.75≦z≦1.25、2.5≦p≦3.5、1.75≦q≦2.25、及び3.5≦r≦4.5である蛍光体、
(ii)式I又はIIを有する蛍光体であって、式I又はIIを有する蛍光体が、Eu3+、Pr3+、Sm3+、及びそれらの混合物から選択される活性化剤イオン、並びに1つ又は複数のアルカリ金属イオンを含む対イオンがドープされている蛍光体、並びに
(iii)式IIIを有する蛍光体であって、
UO[P,V](III)
式IIIを有する蛍光体が、Eu3+、Pr3+、Sm3+、及びそれらの混合物から選択される活性化剤イオンがドープされており、式中、Aは、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せである蛍光体から選択される。
【0010】
別の態様では、ウラン系蛍光体が提供される。式(III)、(IV)又は(V)を有するウラン系蛍光体であって、
UO[P,V](III)、
UO([P,V]O(IV)又は
AUO([P,V]O(V)、
式中、Aは、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せである、ウラン系蛍光体。
【0011】
別の態様では、蛍光体組成物が提供される。組成物は、ウラン系蛍光体と、少なくとも1つの他の発光材料とを含む。ウラン系蛍光体は、
(i)式I又はIIを有する蛍光体であって、
[Ba1-a-bSrCa[Mg,Zn](UO([P,V]O2(x+y+z)/3(I)
[Ba1-a-bSrCa(UO[P,V](2p+2q+5r)/2(II)、
式I又はIIを有する蛍光体が、Pr3+、Sm3+、又はそれらの混合物を含む活性化剤イオンがドープされており、式中、0≦a≦1、0≦b≦1、0.75≦x≦1.25、0.75≦y≦1.25、0.75≦z≦1.25、2.5≦p≦3.5、1.75≦q≦2.25、及び3.5≦r≦4.5である蛍光体、
(ii)式I又はIIを有する蛍光体であって、式I又はIIを有する蛍光体が、Eu3+、Pr3+、Sm3+、及びそれらの混合物から選択される活性化剤イオン、並びに1つ又は複数のアルカリ金属イオンを含む対イオンがドープされている蛍光体、並びに
(iii)式IIIを有する蛍光体であって、
UO[P,V](III)
式IIIを有する蛍光体が、Eu3+、Pr3+、Sm3+、及びそれらの混合物から選択される活性化剤がドープされ、式中、Aは、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せである蛍光体から選択される。
【0012】
別の態様では、蛍光体組成物が提供される。組成物は、ウラン系蛍光体と、少なくとも1つの他の発光材料とを含む。式(III)、(IV)又は(V)を有するウラン系蛍光体であって、
UO[P,V](III)、
UO([P,V]O(IV)、又は
AUO([P,V]O(V)、
式中、Aは、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せである、ウラン系蛍光体。
【0013】
別の態様では、蛍光体組成物が提供される。組成物は、ウラン系蛍光体及び赤色発光蛍光体を含む。ウラン系蛍光体は、
(i)式I又はIIを有する蛍光体であって、
[Ba1-a-bSrCa[Mg,Zn](UO([P,V]O2(x+y+z)/3(I)
[Ba1-a-bSrCa(UO[P,V](2p+2q+5r)/2(II)、
式I又はIIを有する蛍光体が、Pr3+、Sm3+、又はそれらの混合物を含む活性化剤イオンがドープされており、式中、0≦a≦1、0≦b≦1、0.75≦x≦1.25、0.75≦y≦1.25、0.75≦z≦1.25、2.5≦p≦3.5、1.75≦q≦2.25、及び3.5≦r≦4.5である蛍光体、
(ii)式I又はIIを有する蛍光体であって、式I又はIIを有する蛍光体が、Eu3+、Pr3+、Sm3+、及びそれらの混合物から選択される活性化剤イオン、並びに1つ又は複数のアルカリ金属イオンを含む対イオンがドープされている蛍光体、並びに
(iii)式IIIを有する蛍光体であって、
UO[P,V](III)
式IIIを有する蛍光体が、Eu3+、Pr3+、Sm3+、及びそれらの混合物から選択される活性化剤がドープされ、式中、Aは、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せである蛍光体から選択される。赤色発光蛍光体は、式VIを有し、
MF:Mn4+(VI)
式中、Aは、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せであり、Mは、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Al、Ga、In、Sc、Hf、Y、La、Nb、Ta、Bi、Gd、又はそれらの組合せであり、xは、MFイオンの電荷の絶対値であり、yは、5、6又は7である。
【0014】
別の態様では、蛍光体組成物が提供される。組成物は、ウラン系蛍光体及び赤色発光蛍光体を含む。式(III)、(IV)又は(V)を有するウラン系蛍光体であって、
UO[P,V](III)、
UO([P,V]O(IV)、又は
AUO([P,V]O(V)、
式中、Aは、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せである、ウラン系蛍光体。赤色発光蛍光体は、式VIを有し、
MF:Mn4+(VI)
式中、Aは、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せであり、Mは、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Al、Ga、In、Sc、Hf、Y、La、Nb、Ta、Bi、Gd、又はそれらの組合せであり、xは、MFイオンの電荷の絶対値であり、yは、5、6又は7である。
【0015】
更に別の態様では、ウラン系蛍光体に放射結合及び/又は光学的に結合されたLED光源を含むデバイスが提供される。ウラン系蛍光体は、
(i)式I又はIIを有する蛍光体であって、
[Ba1-a-bSrCa[Mg,Zn](UO([P,V]O2(x+y+z)/3(I)
[Ba1-a-bSrCa(UO[P,V](2p+2q+5r)/2(II)、
式I又はIIを有する蛍光体が、Pr3+、Sm3+、又はそれらの混合物を含む活性化剤イオンがドープされており、式中、0≦a≦1、0≦b≦1、0.75≦x≦1.25、0.75≦y≦1.25、0.75≦z≦1.25、2.5≦p≦3.5、1.75≦q≦2.25、及び3.5≦r≦4.5である蛍光体、
(ii)式I又はIIを有する蛍光体であって、式I又はIIを有する蛍光体が、Eu3+、Pr3+、Sm3+、及びそれらの混合物から選択される活性化剤イオン、並びに1つ又は複数のアルカリ金属イオンを含む対イオンがドープされている蛍光体、並びに
(iii)式IIIを有する蛍光体であって、
UO[P,V](III)
式IIIを有する蛍光体が、Eu3+、Pr3+、Sm3+、及びそれらの混合物から選択される活性化剤イオンがドープされており、式中、Aは、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せである蛍光体から選択される。
【0016】
更に別の態様では、ウラン系蛍光体に放射結合及び/又は光学的に結合されたLED光源を含むデバイスが提供される。式(III)、(IV)又は(V)を有するウラン系蛍光体であって、
UO[P,V](III)、
UO([P,V]O(IV)、又は
AUO([P,V]O(V)、
式中、Aは、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せである、ウラン系蛍光体。
【0017】
別の態様は、上記デバイスを備える照明装置である。更に別の態様は、上記デバイスを備えるバックライト装置である。別の態様は、園芸照明のためのデバイス及び照明装置である。別の態様は、園芸照明用の蛍光体パッケージである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の一実施形態による、デバイスの模式化した断面図である。
図2】本開示の一実施形態による、照明装置の模式化した断面図である。
図3】本開示の別の実施形態による、照明装置の模式化した断面図である。
図4】本開示の一実施形態による、照明装置の一部が切り取られた側面斜視図である。
図5】本開示の一実施形態による、表面実装型デバイス(SMD)の模式化した斜視図である。
図6A】NaUOの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図6B】Eu3+をドープしたNaUOの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図6C】Pr3+をドープしたNaUOの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図6D】Sm3+をドープしたNaUOの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図6E】Tb3+をドープしたNaUOの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図6F】Dy3+をドープしたNaUOの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図6G】Eu3+及びPr3+をドープしたNaUOの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図6H】Eu3+及びSm3+をドープしたNaUOの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図7A】KUOの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図7B】Eu3+をドープしたKUOの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図7C】Sm3+をドープしたKUOの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図7D】Pr3+をドープしたKUOの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図8A】NaUOの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図8B】Eu3+をドープしたNaUOの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図9A】KUO(POの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図9B】Eu3+をドープしたKUO(POの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図10A】Ba(PO(UOの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図10B】Eu3+をドープしたBa(PO(UOの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図10C】Eu3+及びKをドープしたBa(PO(UOの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図10D】Sm3+及びKをドープしたBa(PO(UOの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図10E】Pr3+及びKをドープしたBa(PO(UOの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図10F】Sm3+及びKをドープしたBa(PO(UOの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図10G】Pr3+及びKをドープしたBa(PO(UOの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図10H】Eu3+及びKをドープしたBa(PO(UOの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図11A】BaZnUO(POの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図11B】Eu3+をドープしたBaZnUO(POの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図11C】Eu3+及びKをドープしたBaZnUO(POの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図11D】Eu3+及びLiをドープしたBaZnUO(POの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図11E】Eu3+及びNaをドープしたBaZnUO(POの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図11F】Pr3+をドープしたBaZnUO(POの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図11G】Pr3+及びKをドープしたBaZnUO(POの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図11H】Sm3+をドープしたBaZnUO(POの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図11I】Sm3+及びKをドープしたBaZnUO(POの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図11J】Eu3+及びLiをドープしたBaZnUO(POの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図12】Eu3+をドープしたBaZnUO(POの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図13A】γ-BaUO(POの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図13B】Eu3+をドープしたγ-BaUO(POの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図13C】Eu3+及びKをドープしたγ-BaUO(POの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図13D】Sm3+及びKをドープしたγ-BaUO(POの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図13E】Pr3+及びKをドープしたγ-BaUO(POの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図13F】Dy3+及びKをドープしたγ-BaUO(POの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図13G】Tb3+及びKをドープしたγ-BaUO(POの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図13H】γ-BaUO(POの粉末XRDパターンを示す図である。
図14】実施例11のNaUO:Eu3+(U-Eu赤色)及びPFS蛍光体の発光波長対発光強度のスペクトルグラフである。
図15】Eu3+をドープしたNaUOの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図16】Eu3+をドープしたNaUOの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図17A】RbUOの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図17B】Sm3+をドープしたRbUOの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図17C】Eu3+をドープしたRbUOの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図17D】Pr3+をドープしたRbUOの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図18A】CsUOの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図18B】Eu3+をドープしたCsUOの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図18C】Pr3+をドープしたCsUOの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
図18D】Sm3+をドープしたCsUOの発光波長(nm)対発光強度のスペクトルグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の明細書及び特許請求の範囲において、以下の意味を有すると定義されるいくつかの用語が参照される。
【0020】
単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「この(the)」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の言及を含む。
【0021】
本明細書及び特許請求の範囲を通して本明細書で使用される近似を表す文言は、関連する基本的な機能に変化をもたらすことなく許容範囲で変化し得る任意の定量的表現を修飾するために適用され得る。したがって、「約(about)」、「実質的に(substantially)」、及び「およそ(approximately)」などの用語で修飾された値は、明記された厳密な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例では、近似を表す文言は、値を測定するための機器の精度に対応することができる。ここで、並びに明細書及び特許請求の範囲を通して、範囲の限定は組合せ及び/又は置き換えが可能であり、文脈又は文言が特に指示しない限り、そのような範囲は識別され、それに含まれる全ての部分範囲を含む。全ての参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0022】
式中の角括弧は、括弧内の元素の少なくとも1つが蛍光体材料中に存在することを示し、組成物の化学量論によって制限されるように、それらの2つ以上の任意の組合せが存在してもよい。例えば、式[Ca,Sr,Ba]MgSi:Eu2+,Mn2+は、Ca、Sr若しくはBaのうちの少なくとも1つ、又はCa、Sr若しくはBaのうちの2つ以上の任意の組合せを包含する。例としては、CaMgSi:Eu2+,Mn2+、SrMgSi:Eu2+,Mn2+、又はBaMgSi:Eu2+,Mn2+が挙げられる。コロン「:」の後に活性化剤を含む式は、蛍光体組成物が活性化剤をドープしていることを示す。コロン「:」の後に「,」によって分離された2つ以上の活性化剤を示す式は、蛍光体組成物が活性化剤又は両方の活性化剤をドープしていることを示す。例えば、式[Ca,Sr,Ba]MgSi:Eu2+,Mn2+は、[Ca,Sr,Ba]MgSi:Eu2+、[Ca,Sr,Ba]MgSi:Mn2+又は[Ca,Sr,Ba]MgSi:Eu2+及びMn2+を包含する。
【0023】
本開示のウラン系蛍光体材料は、狭帯域緑色発光を提供し、場合によっては、良好な量子効率で良好なエネルギー移動を提供する。これらの蛍光体は、様々なLEDベースの照明及びディスプレイ用途に使用することができる。純粋な緑色発光自体をディスプレイで使用して、広い色域を提供し、人間中心の照明の暗青緑色のギャップを埋めることができる。Eu3+Pr3+及びSm3+のようなイオンへのこれらの材料の効率的なエネルギー移動により、スペクトル的に優れた効果照明(ルーメン/ワット)を提供するのに適しており、蛍光体ブレンドに使用することで、高い有効性及びCRI値を有する照明装置を製造することができる。ウラン系蛍光体は、他の市販の蛍光体と比較して、スペクトル的にブルーシフトしている。このカラーシフトは、ヒトの眼の感度とのより大きな重複及びより高いルーメン/ワット測定を提供する。
【0024】
Eu3+Pr3+及びSm3+の活性化剤はまた、植物生長のための特殊な高CRI照明及び照明のための発光スペクトルを提供する。いくつかの実施形態では、ユーロピウム、プラセオジム及びサマリウム活性化剤イオンで増感されたウラン系蛍光体は、園芸照明に望ましい赤色/遠赤色領域(約600nm~800nm)に狭い発光スペクトルを提供する。いくつかの実施形態では、園芸照明は、植物生長のための屋内照明及び屋外照明に使用することができる、ウラン系蛍光体を含む組成を有するLED系白色照明を含む。他の実施形態では、園芸照明は、ウラン系蛍光体を含む蛍光体パッケージを含む。いくつかの実施形態では、園芸照明はソーラーベースであってもよい。
【0025】
Eu3+、Sm3+、及びPr3+をドープした蛍光体はまた、ホスト組成物に添加された活性化剤イオンの量に基づいて調整可能な発光スペクトルを有する。このスペクトル調整により、緑色発光ピークと赤色発光ピークの両方を有するディスプレイ用途向けの蛍光体を作製する能力をもたらし、広い色域のディスプレイを作製することができ、これは、フィルムのムラが最終用途において重要であるフィルムベースのディスプレイに特に有用である。複数の蛍光体がフィルム内に確実に均一に分散する必要がある代わりに、緑色発光及び赤色発光の両方を供給するので、1つの蛍光体を均一に分散させるだけでよい。
【0026】
本発明者らは、本開示のウラン系蛍光体材料が、ウラニルイオンが活性化剤イオンであるユーロピウム、プラセオジム又はサマリウムに対する増感剤として使用される場合に、良好な量子効率でエネルギー移動を生成できることを発見した。これは驚くべきことであり、他の者はLEDで使用するためにユーロピウム発光を増感しようと何年も試みてきたが、これまでの試みは全て、最終用途に有用であるにはエネルギー移動が非常に低かったり、吸収率が低かったり、及び/又は量子効率が低すぎたりして成功しなかった。
【0027】
本発明者らは、特定の発光材料が、効率的なエネルギー移動をもたらすために、ウラン系蛍光体によって活性化され得ることを発見した。他の実施形態では、本発明者らは、予想外にも、Eu3+、Pr3+及びSm3+などの特定の活性化剤イオンをアルカリ対イオンと共ドープすることにより、ウラン系蛍光体材料の効率的なエネルギー移動を増加させることができることを発見した。
【0028】
ユーロピウム、プラセオジム又はサマリウムの発光は、発光を照明用途に使用して、市販の蛍光体溶液では得られない高い有効性(Lms/W)を有する一般的な照明を得ることができることを示している。蛍光体材料の純粋なウラン発光スペクトルは、450nmで吸収し、暗青緑色のギャップを埋めることができ、一般照明における完全なスペクトル及びより高いCRI値をもたらす。純粋なウランスペクトルは、広い色域を提供するためにディスプレイのバックライト用途に使用することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、本発明者らは、驚くべきことに、蛍光体材料がユーロピウム、プラセオジム及びサマリウム活性化剤イオンへの完全なエネルギー移動を示すことを発見した。蛍光体材料は非常に高い吸収を有し、いくつかの実施形態では、完全変換赤色発光蛍光体材料を使用して、マイクロLED及びミニLEDなどのより小型のLEDに必要な薄い蛍光体フィルムを調製することができる。蛍光体材料は、高い色域を生成し、より小さいLED用のフィルムを作製するために容易に処理することができ、又は完全な赤色変換を達成するためにマイクロLED上に堆積することができる。
【0030】
一実施形態では、ウラン系蛍光体材料は、ウラニル(UO)基を含み、式I、II、III、IV又はVを有する蛍光体であって、
[Ba1-a-bSrCa[Mg,Zn](UO([P,V]O2(x+y+z)/3(I)、
[Ba1-a-bSrCa(UO[P,V](2p+2q+5r)/2(II)、
UO[P,V](III)、
UO([P,V]O(IV)、又は
AUO([P,V]O(V)
式中、0≦a≦1、0≦b≦1、0.75≦x≦1.25、0.75≦y≦1.25、0.75≦z≦1.25、2.5≦p≦3.5、1.75≦q≦2.25、3.5≦r≦4.5であり、AはLi、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せである。
【0031】
いくつかの実施形態では、ウラン系蛍光体は、活性化剤イオンがドープされている。いくつかの実施形態では、活性化剤イオンは、Pr3+、Sm3+、又はそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態では、活性化剤イオンは、Eu3+、Pr3+、Sm3+、及びそれらの混合物から選択される。いくつかの実施形態では、ウラン系蛍光体は、対イオンがドープされている。いくつかの実施形態では、対イオンは1つ又は複数のアルカリ金属イオンである。他の実施形態では、対イオンは、Li、K、Na、Rb、又はCs、及びそれらの混合物から選択される。
【0032】
一態様では、活性化ウラン系蛍光体が提供される。ウラン系蛍光体材料は、
(i)式I又はIIを有する蛍光体であって、
[Ba1-a-bSrCa[Mg,Zn](UO([P,V]O2(x+y+z)/3(I)
[Ba1-a-bSrCa(UO[P,V](2p+2q+5r)/2(II)、
式I又はIIを有する蛍光体が、Pr3+、Sm3+、又はそれらの混合物を含む活性化剤イオンがドープされており、式中、0≦a≦1、0≦b≦1、0.75≦x≦1.25、0.75≦y≦1.25、0.75≦z≦1.25、2.5≦p≦3.5、1.75≦q≦2.25、及び3.5≦r≦4.5である蛍光体、
(ii)式I又はIIを有する蛍光体であって、式I又はIIを有する蛍光体が、Eu3+、Pr3+、Sm3+、及びそれらの混合物から選択される活性化剤イオン、並びに1つ又は複数のアルカリ金属イオンを含む対イオンがドープされている蛍光体、並びに
(iii)式IIIを有する蛍光体であって、
UO[P,V](III)
式IIIを有する蛍光体が、Eu3+、Pr3+、Sm3+、及びそれらの混合物から選択される活性化剤イオンがドープされており、式中、Aは、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せである蛍光体から選択される。
【0033】
ウラン系蛍光体材料は、ウランイオン及び活性化剤イオンと共ドープされてもよい。ランタニド活性化剤イオン、特にEu3+、Pr3+又はSm3+は発光特性を有する。Mn2+、Mn4+、Ce3+、Sn2+、Bi3+、Sb3+、Cr3+、Tb3+、Ti4+、In、Tl、Dy3+及びPb2+などの追加のイオンが存在してもよい。本発明者らは、Eu3+、Pr3+又はSm3+などのランタニド活性化剤イオンと共ドープしたウラン系蛍光体材料が、緑色純粋ウラン発光スペクトルからの効率的なエネルギー移動を示すことを発見した。ランタニド系列の他のイオンはエネルギー移動又は良好な量子効率を示さなかったので、これは驚くべきことであった。
【0034】
本発明者らは、Eu3+、Pr3+又はSm3+などの活性化剤イオンと共ドープしたウラン系蛍光体材料が色調整可能であること、すなわち、ウランからの緑色発光と活性化剤イオンの発光色との比を、活性化剤イオンの比に応じて調整できることを見出した。蛍光体のカラーシフトは、必要に応じて、色座標値(ccx及びccy値)の大きな変化又は色座標値の非常に小さな変化であってもよい。いくつかの実施形態では、蛍光体の発光は、555nmを中心とする眼の感度範囲にスペクトル的に近くなるようにシフトされてもよい。これらの活性化剤イオンは、現在市販されている蛍光体溶液では利用できない、人間中心の照明及び高効率(Lms/W)の照明において、より高い強度を提供する照明用途に使用することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、ウラン発光を完全に消光する活性化剤イオンへの完全なエネルギー移動が存在する。例えば、ユーロピウム発光は赤色であり、本発明者らは、ユーロピウム活性化剤イオンと共ドープされたウラン系蛍光体材料が、ユーロピウム活性化剤イオンのドープ量に応じて純粋な緑色発光から純粋な赤色発光に調整できることを発見した。他の実施形態では、ウラン発光の部分消光がある。例えば、Pr3+又はSm3+活性化剤イオンが共ドープされたウラン系蛍光体材料は、活性化剤イオンのドープ量に応じて、純粋な緑色発光をオレンジ色又は橙赤色発光に調整することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、ウラン系蛍光体材料は、高効率の一般照明に使用することができる。他の実施形態では、ウラン系蛍光体材料は、眼に安全なディスプレイで使用するための有害な青色発光を低減するように色調整することができる。他の実施形態では、ウラン系蛍光体材料は、植物生長に適した発光を生成するように色調整することができる。他の実施形態では、ウラン系蛍光体は、単一の蛍光体から生成された緑色及び赤色発光を有する広い色域ディスプレイを生成するように色調整することができる。
【0037】
本発明者らは、驚くべきことに、活性化剤イオン及び対イオンを用いてウラン系蛍光体を共ドープすることによって、ウラン系蛍光体におけるエネルギー移動を増加させることができ、活性化剤イオン及び対イオンを用いてウラン系蛍光体を共ドープすることによって、蛍光体の量子効率を改善することができることを発見した。対イオンは、Li、K、Na、Rb又はCs及びそれらの混合物などのアルカリ金属であってもよい。アルカリ金属イオンは、実施例に示すように、全てのランタニド活性化剤イオン及びウラン系蛍光体を増強しないため、これは予想外であった。
【0038】
ウランイオンから活性化剤イオンへのエネルギー移動は、色座標値ccx及びccy(1931 CIE色度図上のx及びy)の変化によって測定することができる。蛍光体は色調整可能であるため、色座標値の変化は非常に小さくてもよく、必要に応じて非常に大きな差に及ぶ可能性がある。いくつかの実施形態では、色座標値(ccx及びccy値)の変化は、10%未満であってもよい。他の実施形態では、色座標値の変化は5%未満であってもよい。他の実施形態では、色座標の変化は少なくとも10%である。いくつかの実施形態では、活性化蛍光体は、少なくとも15%のccx値変化及び少なくとも10%のccy値変化を示す。いくつかの実施形態では、活性化蛍光体は、少なくとも25%のccx値変化を示す。別の実施形態では、活性化蛍光体は、少なくとも50%のccx値変化を示す。いくつかの実施形態では、活性化蛍光体は、約15%~約200%のccx値変化を示す。別の実施形態では、ccx値変化は、約25%~約200%であり、別の実施形態では、ccx値変化は、約50%~約200%である。いくつかの実施形態では、活性化蛍光体は、少なくとも10%のccy値変化を示す。別の実施形態では、活性化蛍光体は、約10%~約50%のccy値変化を示す。
【0039】
理論に束縛されることを望むものではないが、アルカリ金属は、ユーロピウム、プラセオジム及びサマリウム活性化剤イオンと相互作用し、電荷補償欠陥の必要性を低減することによって活性化剤イオンをホスト格子内に分配するのを助けると考えられる。
【0040】
いくつかの実施形態では、ウラン系蛍光体は、式I:[Ba1-a-bSrCa[Mg,Zn](UO([P,V)]O2(x+y+z)/3を有し、式中、0≦a≦1、0≦b≦1、0.75≦x≦1.25、0.75≦y≦1.25、0.75≦z≦1.25である。いくつかの実施形態では、Eu3+、Pr3+又はSm3+などの1つ又は複数の活性化剤イオンが存在してもよい。別の実施形態では、1つ又は複数の対イオンが存在してもよい。対イオンはアルカリ金属であってもよい。いくつかの実施形態では、対イオンは、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの混合物であってもよい。具体的には、Ba[Mg,Zn]UO(PO、より具体的には、BaMgUO(PO及びBaZnUO(POが挙げられる。
【0041】
いくつかの実施形態では、ウラン系蛍光体は、式II:[Ba1-a-bSrCa(UO[P,V](2p+2q+5r)/2を有し、式中、0≦a≦1、0≦b≦1、2.5≦p≦3.5、1.75≦q≦2.25、及び3.5≦r≦4.5である。いくつかの実施形態では、ウラン系蛍光体は、式IIA:[Ba,Sr,Ca,](UO[P,V](2p+2q+5r)/2を有する。いくつかの実施形態では、Eu3+、Pr3+又はSm3+及びそれらの混合物などの式II又はIIAについて1つ又は複数の活性化剤イオンが存在してもよい。別の実施形態では、式II又はIIAに対して1つ又は複数の対イオンが存在してもよい。対イオンはアルカリ金属であってもよい。いくつかの実施形態では、対イオンは、Li、Na、K、Rb又はCsのうちの1つ又は複数であってもよい。具体的には、Ba(PO(UO、Ba(PO(UO及び
が挙げられる。一実施形態では、式が[Ba]であり、pが3.5であり、qが1.75であり、[P]であり、rが3.5である場合、化合物はBaUO(POであり、ガンマ相にある。別の実施形態では、式がBaUO(POである場合、蛍光体はガンマ相にあり、γ-BaUO(POである。参照により本明細書に組み込まれるPCT公開番号WO2021/211600に記載されている蛍光体ガンマ相BaUO(PO図13Hに示すような粉末XRDパターンを有するγ相BaUO(PO又はγ-BaUO(PO
【0042】
他の実施形態では、ウラン系蛍光体は、式III:AUO[P,V]を有し、式中、Aは、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せである。いくつかの実施形態では、Eu3+、Pr3+又はSm3+などの1つ又は複数の活性化剤イオンが存在してもよい。いくつかの実施形態では、Aは、Li、Na、K、Rb又はCsである。具体的には、AUOが挙げられ、より具体的にはNaUO及びKUOが挙げられる。
【0043】
一実施形態では、ウラン系蛍光体としては、Ba(PO(UO、BaZnUO(PO、NaUO、KUO、BaMgUO(PO、又は
を挙げることができる。
【0044】
本開示の蛍光体は、U6+イオンが発光種の一部であるため、ウランをドープした又はUをドープしたとして特徴付けることができる。「Uをドープした」という用語は、典型的には、比較的少数のウラン原子がホスト格子内で置換されていることを示す。多くの化合物において、ウランはウラニルイオン(UO2+としてホスト格子中に存在する。ウラニルイオンは線形のO-U-O結合を特徴とするため、典型的には、置換される部位に対して数モル%程度の、達成され得る置換の上限が存在する。M2+イオンで置換する場合、M2+と(UO2+中心との間にサイズ制約があり、ホスト格子に歪みを生じさせ、及び/又はホスト格子内に補償欠陥が生じる可能性がある。結果として、U6+発光の濃度消光は通常、完全な置換が達成される前に起こる。対照的に、本開示の蛍光体は、ホスト格子の一部としてUO種を含み、存在するM2+カチオンの総モル数に対して約40モル%もの高濃度のウラニルイオンを含む。
【0045】
蛍光体材料は、Eu3+、Pr3+又はSm3+などの活性化剤イオンがドープされてもよい。少数の活性化剤イオンが化合物のホスト格子に組み込まれる。別の実施形態では、蛍光体材料は、活性化剤イオンと対イオンの両方がドープされてもよい。Eu3+、Pr3+又はSm3+などの少数の活性化剤イオン及びアルカリイオンなどの対イオンが、化合物のホスト格子に組み込まれる。アルカリイオンとしては、Li、Na、K、Rb又はCsを挙げることができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、蛍光体材料は、約0.001~約10モル%の量の活性化剤イオンを含んでもよい。別の実施形態では、活性化剤イオンは、約0.01モル%~約10モル%の量で存在してもよい。別の実施形態では、活性化剤イオンは、約0.1モル%~約10モル%の量で存在してもよい。別の実施形態では、活性化剤イオンは、約0.5~約5モル%の量で存在してもよい。別の実施形態では、活性化剤は、約1~約3モル%存在してもよい。別の実施形態では、活性化剤イオンは、約0.01モル%~約1モル%存在してもよい。別の実施形態では、活性化剤イオンは、約0.05モル%~約1モル%存在してもよい。別の実施形態では、活性化剤イオンは、約0.1モル%~約1モル%存在してもよい。別の実施形態では、活性化剤イオンは、約0.5モル%~約1モル%存在してもよい。
【0047】
ウラン系蛍光体材料は、1つ又は複数の対イオンが共ドープされてもよい。一実施形態では、対イオンは、約0.01モル%~約10モル%の量で存在してもよい。一実施形態では、対イオンは、約0.1~約10モル%の量で存在してもよい。別の実施形態では、対イオンは、約0.5~約5モル%の量で存在してもよい。別の実施形態では、対イオンは、約1~約3モル%存在してもよい。別の実施形態では、対イオンは、約0.01モル%~約1モル%存在してもよい。別の実施形態では、対イオンは、約0.05モル%~約1モル%存在してもよい。別の実施形態では、対イオンは、約0.1モル%~約1モル%存在してもよい。別の実施形態では、対イオンは、約0.5モル%~約1モル%存在してもよい。
【0048】
別の態様では、ウラン系蛍光体が提供される。式(III)、(IV)又は(V)を有するウラン系蛍光体であって、
UO[P,V](III)、
UO([P,V]O(IV)又は
AUO([P,V]O(V)、
式中、Aは、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せである、ウラン系蛍光体。
【0049】
ウラン系蛍光体は、450nmで吸収し、緑色範囲で発光することができる。式III、IV及びVを有する蛍光体は明るい緑色を発光し、これによりディスプレイに高い色域を提供することができる。一般的な照明の場合、蛍光体は暗青緑色のギャップを埋めて、より高いCRI値を有する人間中心の照明の完全なスペクトルを提供する。
【0050】
いくつかの実施形態では、ウラン系蛍光体は、式III:AUO[P,V]を有し、式中、Aは、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せである。蛍光体としては、KUO、NaUO、RbUO及びCsUOが挙げられる。
【0051】
いくつかの実施形態では、ウラン系蛍光体は、式IV:AUO([P,V]Oを有し、式中、Aは、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せである。蛍光体の例としては、KUO(PO又はKUO(VOが挙げられる。
【0052】
いくつかの実施形態では、ウラン系蛍光体は、式V:AUO([P,V]Oを有し、式中、Aは、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せである。一実施形態では、蛍光体はNaUOあってもよい。
【0053】
一実施形態では、ウラン系蛍光体としては、KUO、NaUO、RbUO、CsUO、KUO(PO又はNaUOを挙げることができる。蛍光体は明るい緑色を発光し、ディスプレイ用途に広い色域を提供することができる。
【0054】
本開示のウラン系蛍光体材料は、前駆体の混合物を酸化雰囲気下で焼成することによって製造することができる。適切な前駆体の非限定的な例としては、適切な金属酸化物、水酸化物、アルコキシド、炭酸塩、硝酸塩、アルミン酸塩、ケイ酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、カルボン酸塩、酒石酸塩、ステアリン酸塩、亜硝酸塩、過酸化物、リン酸塩、ピロリン酸塩、アルカリ塩及びそれらの組合せが挙げられる。前駆体として使用するのに適した材料としては、BaCO、BaHPO、Ba(PO、Ba、BaZn(PO、BaZnP、Ba(OH)、Ba(C)、Ba(C、Ba(C、Ba(NO、CaCO、CsCO、HUOPO-4HO、KHPO、KHPO、KCO、LiCO、LiHPO、LiHPO、Mg(C)、Mg(C、Mg(C)、MgCO、MgO、Mg(OH)、Mg(PO、Mg、MgBa(PO、MgHPO、Mg(NO、NaHPO、NaHPO、NaCO、NHMgPO、(NHHPO、NHVO、RbCO、SrCO、Zn(C)、Zn(C、Zn(C、ZnCO、ZnO、Zn(OH)、Zn(PO、Zn、ZnBa(PO、ZnHPO、Zn(NO、NHZnPO、UO、UO(NO、(UO、(UO(PO、NH(UO)PO、UOCO、UO(C、UO(C)、H(UO)PO、UO(OH)、及びZnUO(C、並びに様々な水和物が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、適切な量のBaCO、ZnO、及びUOを適切な量の(NHHPOと混合し、次いで混合物を空気雰囲気下で焼成することによって、例示的な蛍光体BaZnUO(POを生成することができる。前駆体は、固体形態又は溶液であってもよい。溶媒の非限定的な例としては、水、エタノール、アセトン、及びイソプロパノールが挙げられ、適合性は、溶媒中の前駆体の溶解度に主に依存する。焼成後、蛍光体を粉砕して、焼成手順中に形成された可能性のある凝集体を破壊することができる。
【0055】
蛍光体を製造するための出発材料の混合物は、Eu、Sm、又はPr11などの活性化剤前駆体酸化物化合物、及びEuPO、SmPO、又はPrPOなどの前駆体リン酸化合物を含むが、これらに限定されない。
【0056】
蛍光体を製造するための出発材料の混合物はまた、ホウ酸、四ホウ酸リチウムなどのホウ酸化合物、アルカリリン酸塩、及びそれらの組合せなどの1つ又は複数の低融点フラックス材料を含むことができる。非限定的な例としては、(NHHPO(DAP)、LiPO、NaPO、NaBO-HO、Li、K、Na、HBO、及びBが挙げられる。フラックスは、蛍光体の焼成温度及び/又は焼成時間を低下させることができる。フラックスを使用する場合、フラックスに由来し得る残留可溶性不純物を除去するために、最終蛍光体生成物を適切な溶媒で洗浄することが望ましい場合がある。
【0057】
試料の焼成は一般に空気中で行われるが、ウランはその最高酸化状態(U6+)にあるので、1気圧を超える酸素分圧を含むO又は他の湿式若しくは乾式酸化雰囲気中で、約300℃~約1300℃、特に約500℃~約1200℃の温度で、混合物を蛍光体に変換するのに十分な時間にわたって焼成することもできる。必要とされる焼成時間は、焼成される混合物の量、固体と雰囲気ガスとの間の接触の程度、及び混合物が焼成又は加熱される間の混合の程度に応じて、約1~20時間の範囲であってもよい。混合物を最終温度に迅速に到達させて保持してもよく、又は混合物を約2℃/分~約200℃/分などのより低い速度で最終温度まで加熱してもよい。
【0058】
蛍光体は、必要に応じて、従来の方法で粉砕又は製粉してより小さい粒径にすることができる。いくつかの実施形態では、蛍光体のメジアン粒径は、約1~約50ミクロンの範囲であってもよい。別の実施形態では、メジアン粒径は、約15~約35ミクロンの範囲であってもよい。別の実施形態では、メジアン粒径は、約30ミクロン以下であってもよい。
【0059】
別の実施形態では、蛍光体は、約0.1μm~約15μmの範囲の粒径を有する粒子形態である。別の実施形態では、粒径は、約0.1μm~約10μmの範囲である。別の実施形態では、粒径分布は、15μm未満のD50、特に10μm未満のD50、特に5μm未満のD50、又は3μm未満のD50、又は2μm未満のD50、又は1μm未満のD50である。別の実施形態では、粒径分布D50は、約0.1μm~約5μmの範囲内であってもよい。別の実施形態では、D50粒径は、約0.1μm~約3μmの範囲である。別の実施形態では、D50粒径は、約0.1μm~約1μmの範囲である。別の実施形態では、D50粒径は、約1μm~約5μmの範囲である。D50(D50としても表される)は、体積分布のメジアン粒径として定義される。D90又はD90は、分布の粒子の90%の粒径より大きい体積分布の粒径である。D10又はD10は、分布の粒子の10%の粒径より大きい体積分布の粒径である。蛍光体の粒径は、レーザ回折法又は光学顕微鏡法によって簡便に測定することができ、市販のソフトウェアが粒径分布及びスパンを生成することができる。スパンは、粒状材料又は粉末の粒径分布曲線の幅の尺度であり、以下の式に従って定義され、
【数1】
式中、D90、D10及びD50は上で定義される。蛍光体粒子の場合、粒径分布のスパンは必ずしも限定されず、いくつかの実施形態では≦1.0であってもよい。
【0060】
別の態様では、組成物が提供される。組成物は、活性化ウラン系蛍光体及び赤色発光蛍光体を含む。ウラン系蛍光体は、
(i)式I又はIIを有する蛍光体であって、
[Ba1-a-bSrCa[Mg,Zn](UO([P,V]O2(x+y+z)/3(I)
[Ba1-a-bSrCa(UO[P,V](2p+2q+5r)/2(II)、
式I又はIIを有する蛍光体が、Pr3+、Sm3+、又はそれらの混合物を含む活性化剤イオンがドープされており、式中、0≦a≦1、0≦b≦1、0.75≦x≦1.25、0.75≦y≦1.25、0.75≦z≦1.25、2.5≦p≦3.5、1.75≦q≦2.25、及び3.5≦r≦4.5である蛍光体、
(ii)式I又はIIを有する蛍光体であって、式I又はIIを有する蛍光体が、Eu3+、Pr3+、Sm3+、及びそれらの混合物から選択される活性化剤イオン、並びに1つ又は複数のアルカリ金属イオンを含む対イオンがドープされている蛍光体、並びに
(iii)式IIIを有する蛍光体であって、
UO[P,V](III)
式IIIを有する蛍光体が、Eu3+、Pr3+、Sm3+、及びそれらの混合物から選択される活性化剤がドープされ、式中、Aは、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せである蛍光体から選択される。
【0061】
別の態様では、組成物が提供される。組成物は、ウラン系蛍光体及び赤色発光蛍光体を含む。式(III)、(IV)又は(V)を有するウラン系蛍光体であって、
UO[P,V](III)、
UO([P,V]O(IV)、又は
AUO([P,V]O(V)、
式中、Aは、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せである、ウラン系蛍光体。
【0062】
一実施形態では、赤色発光蛍光体は、式VIを有し、
MF:Mn4+(VI)
式中、Aは、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せであり、Mは、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Al、Ga、In、Sc、Hf、Y、La、Nb、Ta、Bi、Gd、又はそれらの組合せであり、xは、MFイオンの電荷の絶対値であり、yは、5、6又は7である。
【0063】
式VIの赤色発光蛍光体は、LED光源に放射的及び/又は光学的に結合される。式Iの蛍光体は、米国特許第7,497,973号及び米国特許第8,906,724号、並びにゼネラルエレクトリック社に譲渡された関連特許に記載されている。式VIの赤色発光蛍光体の例としては、K(TiF):Mn4+、K(SnF):Mn4+、Cs(TiF):Mn4+、Rb(TiF):Mn4+、Cs(SiF):Mn4+、Rb(SiF):Mn4+、Na(SiF):Mn4+、Na(TiF):Mn4+、Na(ZrF):Mn4+、K(ZrF):Mn4+、K(BiF):Mn4+、K(YF):Mn4+、K(LaF):Mn4+、K(GdF):Mn4+、K(NbF):Mn4+又はK(TaF):Mn4+が挙げられる。特定の実施形態では、式VIの蛍光体は、KSiF:Mn4+(PFS)である。
【0064】
一実施形態では、赤色発光蛍光体は、少なくとも1重量%のMn含有量又はMn%を有する。別の実施形態では、赤色発光蛍光体は、少なくとも1.5重量%のMn含有量を有する。別の実施形態では、赤色発光蛍光体は、少なくとも2重量%のMn含有量を有する。別の実施形態では、赤色発光蛍光体は、少なくとも3重量%のMn%を有する。別の実施形態では、Mn%は3.0重量%を超える。別の実施形態では、赤色発光蛍光体中のMnの含有量は、約1重量%~約4重量%である。
【0065】
一実施形態では、Mn4+蛍光体によって活性化された錯フッ化物材料に基づく赤色発光蛍光体は、表面コーティングで少なくとも部分的にコーティングして蛍光体粒子の安定性を高め、粒子の表面を改質することによって凝集に抵抗し、粒子のゼータ電位を高めることができる。一実施形態では、表面コーティングは、金属フッ化物、シリカ又は有機コーティングであってもよい。一実施形態では、Mn4+蛍光体によって活性化された錯フッ化物材料に基づく赤色発光蛍光体は、金属フッ化物で少なくとも部分的にコーティングして、正のゼータ電位を増加させ、凝集を減少させる。一実施形態では、金属フッ化物コーティングは、MgF、CaF、SrF、BaF、AgF、ZnF、AlF、又はそれらの組合せを含む。別の実施形態では、金属フッ化物コーティングは、約0.1重量%~約10重量%の量である。別の実施形態では、金属フッ化物コーティングは、約0.1重量%~約5重量%の量で存在する。別の実施形態では、金属フッ化物コーティングは、約0.3重量%~約3重量%存在する。Mn4+によって活性化された錯フッ化物材料に基づく金属フッ化物コーティング赤色発光蛍光体は、国際公開第2018/093832号、米国特許出願公開第2018/0163126号及び米国特許出願公開第2020/0369956号に記載されているように調製される。その各々の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0066】
式VIを有する赤色発光蛍光体は、所望の任意の粒径で使用することができる。いくつかの実施形態では、蛍光体のメジアン粒径は、約1~約50ミクロンの範囲であってもよい。別の実施形態では、メジアン粒径は、約15~約35ミクロンの範囲であってもよい。別の実施形態では、メジアン粒径は、約30ミクロン以下であってもよい。
【0067】
一実施形態では、赤色発光蛍光体は、約0.1μm~約15μmの範囲の粒径を有する粒子形態である。別の実施形態では、粒径は、約0.1μm~約10μmの範囲である。別の実施形態では、粒径分布は、15μm未満のD50、特に10μm未満のD50、特に5μm未満のD50、又は3μm未満のD50、又は2μm未満のD50、又は1μm未満のD50である。別の実施形態では、粒径分布D50は、約0.1μm~約5μmの範囲内であってもよい。別の実施形態では、D50粒径は、約0.1μm~約3μmの範囲である。別の実施形態では、D50粒径は、約0.1μm~約1μmの範囲である。別の実施形態では、D50粒径は、約1μm~約5μmの範囲である。D50(D50としても表される)は、体積分布のメジアン粒径として定義される。D90又はD90は、分布の粒子の90%の粒径より大きい体積分布の粒径である。D10又はD10は、分布の粒子の10%の粒径より大きい体積分布の粒径である。蛍光体の粒径は、レーザ回折法又は光学顕微鏡法によって簡便に測定することができ、市販のソフトウェアが粒径分布及びスパンを生成することができる。スパンは、粒状材料又は粉末の粒径分布曲線の幅の尺度であり、以下の式に従って定義され、
【数2】
式中、D90、D10及びD50は上で定義される。蛍光体粒子の場合、粒径分布のスパンは必ずしも限定されず、いくつかの実施形態では≦1.0であってもよい。
【0068】
別の態様では、組成物が提供される。組成物は、活性化ウラン系蛍光体と、少なくとも1つの他の発光材料とを含む。ウラン系蛍光体は、
(i)式I又はIIを有する蛍光体であって、
[Ba1-a-bSrCa[Mg,Zn](UO([P,V]O2(x+y+z)/3(I)
[Ba1-a-bSrCa(UO[P,V](2p+2q+5r)/2(II)、
式I又はIIを有する蛍光体が、Pr3+、Sm3+、又はそれらの混合物を含む活性化剤イオンがドープされており、式中、0≦a≦1、0≦b≦1、0.75≦x≦1.25、0.75≦y≦1.25、0.75≦z≦1.25、2.5≦p≦3.5、1.75≦q≦2.25、及び3.5≦r≦4.5である蛍光体、
(ii)式I又はIIを有する蛍光体であって、式I又はIIを有する蛍光体が、Eu3+、Pr3+、Sm3+、及びそれらの混合物から選択される活性化剤イオン、並びに1つ又は複数のアルカリ金属イオンを含む対イオンがドープされている蛍光体、並びに
(iii)式IIIを有する蛍光体であって、
UO[P,V](III)
式IIIを有する蛍光体が、Eu3+、Pr3+、Sm3+、及びそれらの混合物から選択される活性化剤イオンがドープされており、式中、Aは、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せである蛍光体から選択される。
【0069】
別の態様では、組成物が提供される。組成物は、ウラン系蛍光体と、少なくとも1つの他の発光材料とを含む。式(III)、(IV)又は(V)を有するウラン系蛍光体:
【0070】
式(III)、(IV)又は(V)を有するウラン系蛍光体であって、
UO[P,V](III)、
UO([P,V]O(IV)、又は
AUO([P,V]O(V)、
式中、Aは、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せである、ウラン系蛍光体。
【0071】
本開示による蛍光体組成物は、ウラン系蛍光体材料に加えて、1つ又は複数の他の発光材料を含んでもよい。青色、黄色、赤色、橙色、又は他の色の蛍光体などの追加の発光材料を蛍光体組成物に使用して、得られる光の白色をカスタマイズし、特定のスペクトル出力分布を生成することができる。
【0072】
蛍光体組成物に使用するのに適した蛍光体としては、((Sr1-z[Ca,Ba,Mg,Zn]1-(x+w)[Li,Na,K,Rb]Cex)(Al1-ySi)O4+y+3(x-w)1-y-3(x-w)、0<x≦0.10、0≦y≦0.5、0≦z≦0.5、0≦w≦x;[Ca,Ce]ScSi12(CaSiG);[Sr,Ca,Ba]Al1-xSi4+x1-x:Ce3+(SASOF));[Ba,Sr,Ca](PO[Cl,F,Br,OH]:Eu2+,Mn2+;[Ba,Sr,Ca]BPO:Eu2+,Mn2+;[Sr,Ca]10(PO vB:Eu2+(式中0<v≦1);SrSi 2SrCl:Eu2+;[Ca,Sr,Ba]MgSi:Eu2+,Mn2+;BaAl13:Eu2+;2SrO0.84P*0.16B:Eu2+;[Ba,Sr,Ca]MgAl1017:Eu2+,Mn2+;[Ba,Sr,Ca]Al:Eu2+;[Y,Gd,Lu,Sc,La]BO:Ce3+,Tb3+;ZnS:Cu,Cl;ZnS:Cu,Al3+;ZnS:Ag,Cl;ZnS:Ag,Al3+;[Ba,Sr,Ca]Si1-n4-2n:Eu2+(式中、0≦n≦0.2);[Ba,Sr,Ca][Mg,Zn]Si:Eu2+;[Sr,Ca,Ba][Al,Ga,In]:Eu2+;[Y,Gd,Tb,La,Sm,Pr,Lu][Al,Ga]5-a12-3/2a:Ce3+(式中、0≦a≦0.5);[Ca,Sr][Mg,Zn](SiOCl:Eu2+,Mn2+;NaGd:Ce3+,Tb3+;[Sr,Ca,Ba,Mg,Zn]:Eu2+,Mn2+;[Gd,Y,Lu,La]:Eu3+,Bi3+;[Gd,Y,Lu,La]S:Eu3+,Bi3+;[Gd,Y,Lu,La]VO:Eu3+,Bi3+;[Ca,Sr,Mg]S:Eu2+,Ce3+;SrY:Eu2+;CaLa:Ce3+;[Ba,Sr,Ca]MgP:Eu2+,Mn2+;[Y,Lu]WO:Eu3+,Mo6+;[Ba,Sr,Ca]Si:Eu2+(式中、2b+4g=3m);Ca(SiO)Cl:Eu2+;[Lu,Sc,Y,Tb]2-u-vCeCa1+uLiMg2-w[Si,Ge]3-w12-u/2(式中、0.5≦u≦1、0<v≦0.1、及び0≦w≦0.2);[Y,Lu,Gd]2-m[Y,Lu,Gd]CaSi6+m1-m:Ce3+(式中、0≦m≦0.5);[Lu,Ca,Li,Mg,Y],Eu2+及び/又はCe3+をドープしたα-SiAlON;Sr(LiAl):Eu2+,[Ca,Sr,Ba]SiO:Eu2+,Ce3+;β-SiAlON:Eu2+;3.5MgO0.5MgF GeO:Mn4+;Ca1-c-fCeEuAl1+cSi1-c(式中、0≦c≦0.2、0≦f≦0.2);Ca1-h-rCeEuAl1-h(Mg,Zn)SiN、(式中、0≦h≦0.2、0≦r≦0.2);Ca1-2s-tCe[Li,Na]EuAlSiN、(式中、0≦s≦0.2、0≦t≦0.2、s+t>0);[Sr,Ca]AlSiN:及びEu2+,Ce3+,LiCaSiO:Eu2+が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
一実施形態では、追加の発光材料は、前述の式VIの赤色発光蛍光体であってもよく、
MF:Mn4+(VI)
式中、Aは、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せであり、Mは、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Al、Ga、In、Sc、Hf、Y、La、Nb、Ta、Bi、Gd、又はそれらの組合せであり、xは、MFイオンの電荷の絶対値であり、yは、5、6又は7である。
【0074】
特定の実施形態では、追加の蛍光体としては、[Y,Gd,Lu,Tb][Al,Ga]12:Ce3+、β-SiAlON:Eu2+、[Sr,Ca,Ba][Ga,Al]:Eu2+、[Li,Ca]α-SiAlON:Eu2+、[Ba,Sr,Ca]Si:Eu2+、[Ca,Sr]AlSiN:Eu2+、[Ba,Sr,Ca]LiAl:Eu2+、[Sr,Ca,Mg]S:Eu2+、[Ba,Sr,Ca]Si:Eu2+及びKSiF:Mn4+が挙げられる。
【0075】
蛍光体組成物に使用するのに適した他の追加の発光材料としては、ポリフルオレン、好ましくはポリ(9,9-ジオクチルフルオレン)及びそのコポリマー、例えばポリ(9,9’-ジオクチルフルオレン-co-ビス-N,N’-(4-ブチルフェニル)ジフェニルアミン)(F8-TFB)などのエレクトロルミネセンスポリマー;ポリ(ビニルカルバゾール)及びポリフェニレンビニレン並びにそれらの誘導体を挙げることができる。更に、発光層は、青色、黄色、橙色、緑色若しくは赤色の燐光性染料若しくは金属錯体、量子ドット材料、又はそれらの組合せを含んでもよい。燐光性染料としての使用に適した材料としては、トリス(1-フェニルイソキノリン)イリジウム(III)(赤色染料)、トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム(緑色染料)及びイリジウム(III)ビス(2-(4,6-ジフルオレフェニル)ピリジナト-N,C2)(青色染料)が挙げられるが、これらに限定されない。ADS(American Dyes Source社)から市販されている蛍光及び燐光性金属錯体も使用することができる。ADS緑色染料としては、ADS060GE、ADS061GE、ADS063GE、及びADS066GE、ADS078GE、及びADS090GEが挙げられる。ADS青色染料としては、ADS064BE、ADS065BE、及びADS070BEが挙げられる。ADS赤色染料としては、ADS067RE、ADS068RE、ADS069RE、ADS075RE、ADS076RE、ADS067RE、及びADS077REが挙げられる。
【0076】
例示的なQD材料は、CdS、CdSe、CdS/ZnS、CdSe/ZnS若しくはCdSe/CdS/ZnSなどのII~IV族化合物の半導体、CdTe、ZnSe、ZnTe、ZnS、HgTe、HgS、HgSe、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTeなどのII~VI族化合物、GaN、GaP、GaNP、GaNAs、GaPAs、GaAs、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlPAs、GaInNP、GaInNAs、GaInPAs、AlN、AlNP、AlNAs、AlP、AlPAs、AlAs、InN、InNP、InP、InNAs、InPAs、InAS、InAlNP、InAlNAs、InAlPAs、PbS/ZnS若しくはPbSe/ZnSなどのIII~V族若しくはIV~VI族化合物の半導体、Si、Ge、SiC、及びSiGeなどのIV族、CuInS、CuInSe、CuGaS、CuGaSe、AgInS、AgInSe、AgGaS、AgGaSeが挙げられるがこれらに限定されないカルコパイライト型化合物、又はABXの式を有するペロブスカイトQDであって、式中、Aがセシウム、メチルアンモニウム若しくはホルムアミジニウムであり、Bが鉛若しくはスズであり、Cが塩化物、臭化物若しくはヨウ化物であるペロブスカイトQDが挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
一実施形態では、ペロブスカイト量子ドットはCsPbX3であってもよく、式中、XはCl、Br、I、又はそれらの組合せである。QD材料の平均サイズは、約2nm~約20nmの範囲であってもよい。QD粒子の表面は、アミン配位子、ホスフィン配位子、ホスファチド及びポリビニルピリジンなどの配位子で更に修飾されてもよい。一態様では、赤色蛍光体は量子ドット材料であってもよい。
【0078】
半導体量子ドットは全て、不動態化及び/又は環境保護のための適切なシェル又はコーティングを有してもよい。QD材料は、コア、コア上にコーティングされた少なくとも1つのシェル、及び1つ又は複数の配位子、好ましくは有機ポリマー性配位子を含む外側コーティングを含むコア/シェルQDであってもよい。コア-シェルQDを作製するための例示的な材料としては、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイヤモンドを含む)、P、Co、Au、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdSeZn、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、MnS、MnSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、Si、Ge、Al、[Al、Ga、In][S、Se、Te]、及び2つ以上のそのような材料の適切な組合せが挙げられるがこれらに限定されない。例示的なコア-シェル発光ナノ結晶としては、CdSe/ZnS、CdSe/CdS、CdSe/CdS/ZnS、CdSeZn/CdS/ZnS、CdSeZn/ZnS、InP/ZnS、PbSe/PbS、PbSe/PbS、CdTe/CdS及びCdTe/ZnSが挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
一実施形態では、蛍光体組成物は散乱粒子を含んでもよい。一実施形態では、散乱粒子は、少なくとも1μmの粒径を有する。別の実施形態では、散乱粒子は、約1μm~約10μmの粒径を有する。別の実施形態では、散乱粒子は、二酸化チタン、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム、酸化インジウムスズ、酸化セリウム、酸化タンタル、酸化亜鉛、フッ化マグネシウム(MgF)、フッ化カルシウム(CaF)、フッ化ストロンチウム(SrF)、フッ化バリウム(BaF)、フッ化銀(AgF)、フッ化アルミニウム(AlF)、又はそれらの組合せを挙げることができる。
【0080】
蛍光体組成物中の個々の蛍光体及び他の発光材料の各々の比は、所望の光出力の特性に応じて変化し得る。様々な蛍光体組成物中の個々の蛍光体及び他の発光材料の相対的な割合は、それらの発光が混合されてデバイス、例えば照明装置に使用されると、CIE色度図上の所定のx及びy値の可視光が生成されるように調整することができる。
【0081】
一実施形態では、蛍光体組成物は、式III、IV又はVを有するウラン系蛍光体と、式VIを有する赤色蛍光体とを含んでもよい。別の実施形態では、組成物は、KUO(PO、KUO(PO又はNaUOなどのウラン系蛍光体と、KSiF:Mnとを含む。
【0082】
蛍光体組成物は、LED光源などの基板に塗布することができるか、又はフィルムに形成することができるインク又はスラリー組成物の形態であってもよい。インク組成物は、結合剤又は溶媒とブレンドされてもよい。
【0083】
結合剤の例としては、シリコーンポリマー、ポリシロキサン、エチルセルロース、ポリスチレン、ポリアクリラート、ポリメチルアクリラート(PMA)、ポリメチルメタクリラート(PMMA)、ポリカルボナート、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリ(1-ナフチルメタクリラート)、ポリ(ビニルフェニルスルフィド)(PVPS)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリ(N-ビニルフタルイミド)、ポリフッ化ビニリデン(PDVF)、ポリ(フッ化ビニリデン-co-ヘキサフルオロプロピレン)(PVDF-HFP)、シリコーン材料及びUV硬化性材料、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、アクリラート樹脂及びウレタン系材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
溶媒の例としては、水、エタノール、アセトン及びイソプロパノールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
別の態様では、活性化ウラン系蛍光体に放射結合及び/又は光学的に結合されたLED光源を含むデバイスが提供される。ウラン系蛍光体材料は、
(i)式I又はIIを有する蛍光体であって、
[Ba1-a-bSrCa[Mg,Zn](UO([P,V]O2(x+y+z)/3(I)
[Ba1-a-bSrCa(UO[P,V](2p+2q+5r)/2(II)、
式I又はIIを有する蛍光体が、Pr3+、Sm3+、又はそれらの混合物を含む活性化剤イオンがドープされており、式中、0≦a≦1、0≦b≦1、0.75≦x≦1.25、0.75≦y≦1.25、0.75≦z≦1.25、2.5≦p≦3.5、1.75≦q≦2.25、及び3.5≦r≦4.5である蛍光体、
(ii)式I又はIIを有する蛍光体であって、式I又はIIを有する蛍光体が、Eu3+、Pr3+、Sm3+、及びそれらの混合物から選択される活性化剤イオン、並びに1つ又は複数のアルカリ金属イオンを含む対イオンがドープされている蛍光体、並びに
(iii)式IIIを有する蛍光体であって、
UO[P,V](III)
式IIIを有する蛍光体が、Eu3+、Pr3+、Sm3+、及びそれらの混合物から選択される活性化剤イオンがドープされており、式中、Aは、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せである蛍光体から選択される。
【0086】
更に別の態様では、ウラン系蛍光体に放射結合及び/又は光学的に結合されたLED光源を含むデバイスが提供される。式(III)、(IV)又は(V)を有するウラン系蛍光体であって、
UO[P,V](III)、
UO([P,V]O(IV)又は
AUO([P,V]O(V)、
式中、Aは、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せである、ウラン系蛍光体。
【0087】
一実施形態では、照明装置はデバイスを含む。別の実施形態では、バックライト装置は、デバイスを含む。一実施形態では、デバイス及び照明装置は園芸照明用である。一実施形態では、蛍光体パッケージは園芸照明用である。
【0088】
本開示によるデバイスは、式I、II、III、IV又はVを有するウラン系蛍光体などのウラン系蛍光体材料の1つ又は複数に放射的に接続及び/又は光学的に結合されたLED光源を含む。いくつかの実施形態では、ウラン系蛍光体は、式I、II又はIIIを有する活性化ウラン系蛍光体であってもよい。図1は、本開示の一実施形態によるデバイス10を示す。デバイス10は、LED光源12と、本開示のウラン系蛍光体材料を含む蛍光体組成物14とを含む。LED光源12は、UV又は青色発光LEDであってもよい。いくつかの実施形態では、LED光源12は、約380nm~約460nmの波長範囲の青色光を生成する。デバイス10では、本明細書に記載のウラン系蛍光体材料を含む蛍光体組成物14は、LED光源12に放射的に結合及び/又は光学的に結合される。放射的に接続若しくは結合又は光学的に結合とは、LED光源12からの放射が蛍光体組成物14を励起することができ、蛍光体組成物14が放射による励起に応答して光を放出することができることを意味する。蛍光体組成物14は、LED光源12の一部若しくは部分に配置されてもよく、又はLED光源12から離れた場所に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、デバイスは、ディスプレイ用途のバックライトユニットであってもよい。
【0089】
本明細書で説明する例示的なLED光源の一般的な説明は、無機LEDベースの光源を対象としている。最も一般的な白色LEDは、青色又はUV発光GaInNチップに基づいている。無機LED光源に加えて、LED光源という用語は、半導体レーザダイオード(LD)、有機発光ダイオード(OLED)、又はLEDとLDとのハイブリッドなどの全てのLED光源を包含することを意味する。LED光源は、自発光性ディスプレイに使用することができるミニLED又はマイクロLEDであってもよい。更に、LED光源は、特に明記しない限り、別の放射源によって置き換えられ、補足され、又は増強されてもよく、半導体、半導体LED、又はLEDチップへの言及は、LD及びOLEDを含むがこれらに限定されない任意の適切な放射源を表すにすぎないことを理解されたい。
【0090】
蛍光体組成物14は、粉末、ガラス、又は複合体、例えば蛍光体ポリマー複合体又は蛍光体ガラス複合体などの任意の形態で存在してもよい。更に、蛍光体組成物14は、層、シート、フィルム、ストリップ、分散微粒子、又はそれらの組合せとして使用することができる。いくつかの実施形態では、蛍光体組成物14は、ガラス形態のウラン系蛍光体材料を含む。これらの実施形態のいくつかでは、デバイス10は、蛍光体ホイールの形態の蛍光体組成物14を含んでもよい(図示せず)。蛍光体ホイールは、ガラスに埋め込まれたウラン系蛍光体材料を含んでもよい。蛍光体ホイール及び関連するデバイスは、国際公開第2017/196779号に記載されている。
【0091】
ウラン系蛍光体材料は、LED光源に光学的に結合又は放射的に接続される。一実施形態では、白色光ブレンドは、ウラン系蛍光体材料と、青色又はUV LEDなどのLED光源を有する追加の発光材料とをブレンドすることによって得ることができる。蛍光体材料の純粋なウラン発光スペクトルは、眼の感度範囲の中心に近い緑色範囲で狭帯域発光を有する。蛍光体材料は、450nmで吸収することができ、人間中心の照明の暗青緑色のギャップの範囲を満たすことができ、これにより一般的な照明の完全なスペクトルがもたらされ、高いCRI値が提供される。純粋なウランスペクトルは、広い色域のディスプレイを提供するためにディスプレイのバックライト用途に使用することができる。
【0092】
一実施形態では、ウラン系蛍光体材料は、オレンジ色又は赤色の発光を提供する活性化剤イオンがドープされる。一実施形態では、ウラン系蛍光体は、眼の感度範囲にスペクトル的に近い赤色発光を有するユーロピウム活性化剤イオンがドープされ、これは人間の視覚により明るく見える。一実施形態では、ユーロピウムをドープしたウラン系蛍光体を、イットリウム-アルミニウムガーネット(YAG)蛍光体などの黄緑色又は緑色発光蛍光体、及び青色発光若しくはUV発光LEDと組み合わせて、高い有効性(ルーメン/ワット)値を有する白色ブレンドを調製する。別の実施形態では、組成物は、活性化ウラン系蛍光体と、式VIを有する赤色蛍光体とを含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、ウラン系蛍光体は、植物用照明に使用されてもよい。一実施形態では、植物用照明ブレンド又は組成物は、Sm3+がドープされ、約650nmのピーク発光を有するウラン系蛍光体を含む。別の実施形態では、植物用照明組成物は、Pr3+がドープされたウラン系蛍光体を含む。
【0094】
図2は、いくつかの実施形態による、照明装置又はランプ20を示す。一実施形態では、照明装置20は、バックライト装置であってもよい。照明装置20は、LEDチップ22と、LEDチップ22に電気的に取り付けられたリード24とを含む。リード24は、より厚いリードフレーム26によって支持された細いワイヤを含むことができ、又はリード24は自己支持電極を含むことができ、リードフレームは省略することができる。リード24は、LEDチップ22に電流を供給し、したがって放射させる。
【0095】
LEDチップ22の表面には、ウラン系蛍光体材料を含む蛍光体組成物の層30が配置される。蛍光体層30は、例えば、蛍光体組成物と結合剤材料又は溶媒(上述)とを混合して調製されたスラリー又はインク組成物を使用して、任意の適切な方法によって配置することができる。そのような方法の一例では、蛍光体組成物粒子がランダムに懸濁された又は均一に分散されたシリコーンスラリーをLEDチップ22の周りに配置する。この方法は、蛍光体層30及びLEDチップ22の可能な位置の単なる例示である。蛍光体層30は、LEDチップ22上にスラリーをコーティング及び乾燥させることによって、LEDチップ22の発光面上に又は直接コーティングすることができる。LEDチップ22によって放射された光は、蛍光体組成物によって放射された光と混合して、所望の発光を生成する。
【0096】
引き続き図2を参照すると、LEDチップ22は、エンベロープ28内に封入されてもよい。エンベロープ28は、例えばガラス又はプラスチックで形成することができる。LEDチップ22は、封入材料32によって囲まれてもよい。封入材料32は、低温ガラス、又は当技術分野で公知のポリマー若しくは樹脂、例えば、エポキシ、シリコーン、エポキシ-シリコーン、アクリラート、又はそれらの組合せであってもよい。代替的な実施形態では、照明装置20は、エンベロープ28なしで封入材料32のみを含むことができる。エンベロープ28及び封入材料32の両方は、光がそれらの要素を透過できるように透明でなければならない。
【0097】
図3に示すいくつかの実施形態では、蛍光体組成物33のウラン系蛍光体材料は、図2に示すように、LEDチップ22上に直接形成される代わりに、封入材料32内に散在する。蛍光体組成物33は、封入材料32の一部の中に、又は封入材料32の全体積にわたって散在させることができる。LEDチップ22によって放射された青色光又はUV光は、蛍光体組成物33によって放射された光と混ざり合い、混合光は照明装置20から透過する。
【0098】
更に別の実施形態では、ウラン系蛍光体材料を含む蛍光体組成物の層34は、図4に示すように、LEDチップ22の上に形成される代わりに、エンベロープ28の表面上にコーティングされる。示されるように、蛍光体層34は、エンベロープ28の内側表面29上にコーティングされるが、蛍光体層34は、必要に応じてエンベロープ28の外側表面上にコーティングされてもよい。蛍光体層34は、エンベロープ28の表面全体にコーティングされてもよく、又はエンベロープ28の内側表面29の上部のみにコーティングされてもよい。LEDチップ22によって放射されたUV/青色光は、蛍光体層34によって放射された光と混ざり合い、混合光は外に透過する。当然のことながら、蛍光体組成物は、任意の2箇所又は3箇所全て(図2~4に示すように)に配置されてもよく、又はエンベロープ28とは別に、LEDチップ22から離れた若しくはLEDチップ22に組み込まれた位置などの任意の他の適切な位置に配置されてもよい。一実施形態では、蛍光体層34はフィルムであってもよく、LEDチップ22から離れて配置されてもよい。別の実施形態では、蛍光体層34はフィルムであり、LEDチップ22上に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、蛍光体層34は、インク組成物としてLEDチップ22に塗布されてもよい。いくつかの実施形態では、蛍光体層34は、インク組成物としてLEDチップ22に塗布され、乾燥してLEDチップ22上にフィルムを形成することができる。いくつかの実施形態では、蛍光体組成物は、単層又は多層であってもよい。いくつかの実施形態では、フィルムは多層構造であり、多層構造の各層は少なくとも1つの蛍光体又は量子ドット材料を含む。別の実施形態では、デバイス構造は、LEDチップ上の蛍光体組成物の層と、量子ドット材料を含むリモート層とを含む。別の実施形態では、デバイス構造は、LEDチップ上の蛍光体組成物の層と、量子ドット材料及び蛍光体材料を含むリモート層とを含む。別の実施形態では、デバイス構造は、LEDチップ上の蛍光体組成物の層と、LEDチップから離れて配置された量子ドット材料を含むフィルムとを含む。別の実施形態では、デバイス構造は、LEDチップ上の蛍光体組成物の層と、LEDチップから離れて配置された量子ドット材料及び蛍光体材料を含むフィルムとを含む。
【0099】
上記の構造のいずれにおいても、照明装置20(図2~4)はまた、封入材料32に埋め込まれた複数の散乱粒子(図示せず)を含むことができる。散乱粒子は、例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア、又はチタニアを含むことができる。散乱粒子は、LEDチップ22から放射されたディレクショナルライトを、好ましくは無視できる量の吸収で効果的に散乱させる。
【0100】
一実施形態では、図3又は図4に示す照明装置20は、バックライト装置であってもよい。別の実施形態では、バックライト装置は、バックライトユニット10を備える。いくつかの実施形態は、例えば図5に示すような、バックライト用途のための表面実装型デバイス(SMD)タイプの発光ダイオード50を含む。このSMDは、「側面発光型」であり、導光部材54の突出部に発光窓52を有する。SMDパッケージは、上で定義したLEDチップと、本明細書に記載の緑色発光蛍光体を含む蛍光体組成物とを含むことができる。別の実施形態では、デバイスは、直接点灯ディスプレイであってもよい。
【0101】
本明細書に記載の蛍光体組成物を使用することにより、広い色域及び高輝度を有する、ディスプレイ用途のための白色光を生成するデバイス、例えばLCDバックライトユニットを提供することができる。あるいは、対象とする広範囲の色温度(2000K~10,000K)に対して高輝度及び高いCRI値を有する一般照明用の白色光を生成するデバイスを提供することができる。
【0102】
本開示のデバイスは、一般照明及びディスプレイ用途のための照明及びディスプレイ装置を含む。ディスプレイ装置の例としては、液晶ディスプレイ(LCD)バックライトユニット、テレビ、コンピュータモニタ、車両用ディスプレイ、ラップトップ、コンピュータノートブック、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータ、及び他の携帯用デバイスが挙げられる。ディスプレイがバックライトユニットである場合、米国特許出願公開第2017/0254943号に記載されているように、ウラン系蛍光体材料は、LED光源に放射的に結合及び/又は光学的に結合されたフィルム、シート又はストリップに組み込まれてもよい。他のデバイスの例としては、クロマチックランプ、プラズマスクリーン、キセノン励起ランプ、UV励起マーキングシステム、自動車用ヘッドランプ、ホーム及びシアタープロジェクタ、レーザポンプデバイス、並びにポイントセンサが挙げられる。これらの用途のリストは、単に例示的なものであり、網羅的なものではないことを意味している。いくつかの実施形態では、ディスプレイは、有害な青色発光が低減された眼に安全なディスプレイであってもよい。
【0103】
いくつかの実施形態では、本開示のデバイスは、園芸照明を含む。一実施形態では、園芸照明は、式(I)、(II)、(III)、(IV)又は(V)を有するウラン系蛍光体に放射的及び/又は光学的に結合されたLED光源を含むデバイスを含むことができる。別の実施形態では、デバイスは、式(VI)を有する赤色蛍光体を含んでもよい。別の実施形態では、デバイスは、式(I)、(II)、(III)、(IV)又は(V)を有するウラン系蛍光体と、式(VI)を有する赤色蛍光体とを含む。別の実施形態では、園芸照明は、式(I)、(II)又は(III)を有する活性化ウラン系蛍光体と、式(VI)を有する赤色蛍光体とを含むデバイスを含み、ウラン系蛍光体は、Eu3+、Sm3+及び/又はPr3+からなる群から選択される活性化剤イオンがドープされる。別の実施形態では、園芸照明は、(i)、(ii)又は(iii)の活性化ウラン系蛍光体を含むデバイスを含む。別の実施形態では、園芸照明は、式(I)、(II)又は(III)を有するデバイスと、式(VI)を有する赤色蛍光体とを含み、ウラン系蛍光体は、Sm3+及び/又はPr3+がドープされている。
【0104】
別の実施形態では、園芸照明は、セクション(i)、(ii)又は(iii)の活性化ウラン系蛍光体を含む蛍光体パッケージを含むことができる。別の実施形態では、園芸照明は、セクション(i)、(ii)又は(iii)のウラン系蛍光体と、式(VI)を有する赤色蛍光体とを含む組成物を含む。いくつかの実施形態では、蛍光体パッケージは、分散した活性化ウラン系蛍光体を含むフィルム又はシートである。他の実施形態では、蛍光体パッケージは、媒体又は基板内に分散された活性化ウラン系蛍光体を含む。いくつかの実施形態では、媒体又は基板は透明であり、ソーラープラント照明に使用することができる。
【0105】
いくつかの実施形態では、単一の蛍光体材料を含むフィルムを、マイクロLED又はミニLEDなどの小型LED上に配置することができる。いくつかの実施形態では、フィルムは、ユーロピウム活性化剤イオンを含む赤色発光ウラン系蛍光体材料を含む。ウラン系蛍光体材料は、UV/青色発光LED光を強く吸収し、減衰時間が短い。ウラン系蛍光体材料は水中で安定であり、フィルムに加工するために小さな粒径に容易に粉砕又は製粉することができ、良好な量子効率を維持することができる。蛍光体材料は高い吸収を有するので、フルコンバージョンのマイクロLEDディスプレイを作製するために、又はフィルムの厚さの層が重要である用途に使用するために、蛍光体材料の最小限の装填をフィルムに使用することができる。いくつかの実施形態では、ウラン系蛍光体は、緑色及び赤色の両方で発光することができ、これは、良好なムラ測定を有する非常に薄い単一の蛍光体フィルムを調製するのに有益である。いくつかの実施形態では、ウラン系蛍光体材料は、インクジェット印刷、スピンコーティング又はスロットダイコーティングによってフィルムに調製され得る。
【0106】
他の実施形態では、フィルムは、約0.1~約15ミクロンの蛍光体粒径を含む。他の実施形態では、5ミクロン以下である。別の実施形態では、フィルムは、約0.1ミクロン~約5ミクロンの蛍光体粒径を含む。別の実施形態では、フィルムは、約0.5ミクロン~約5ミクロンの粒径を含む。別の実施形態では、フィルムは、約0.1ミクロン~約1ミクロンの粒径を含む。別の実施形態では、フィルムは、約0.5ミクロン~約1ミクロンの粒径を含む。別の実施形態では、フィルムは、約1ミクロン~約3ミクロンの粒径を含む。
【0107】
いくつかの実施形態では、フィルムは散乱剤を含み得る。別の実施形態では、園芸照明に使用される場合、観察者又は植物に対する輝度を高めるために、二重輝度向上フィルム(DBEF)などの輝度向上フィルムが照明装置に使用することができる。
【0108】
本開示の様々な実施形態の特定の特徴は、いくつかの図面に示され、他の図面には示されない場合があるが、これは便宜上のものにすぎない。本開示の原理によれば、図面の任意の特徴は、任意の他の図面の任意の特徴と組み合わせて参照及び/又は特許請求することができる。
【実施例
【0109】
実施例の蛍光体の量子効率測定を硬化シリコーンテープで行った。蛍光体粒子を、ポリアクリレート結合剤材料又は2液型熱硬化性ポリジメチルシロキサンエラストマー(例えば、Dow CorningからSylgard(登録商標)184として販売されている)中に混合によって分散させた。分散した蛍光体粒子は、シリコーン1.8gに対して蛍光体0.12gから、シリコーン1.5gあたり蛍光体0.5gの濃度で調製した。混合物をシリコーンテープに塗布し、硬化させた。これらのフィルムについて、蛍光体粒子の量子効率(QE)を測定した。QE測定は、フッ化カリウム硫化物蛍光体(PFS)又はβ-SiAlONのQEに関して報告した。
【0110】
実施例1:NaUO蛍光体及び1%活性化剤イオン(Eu3+、Pr3+、Sm3+、Tb3+及びDy3+)をドープしたNaUOの調製
NaCO、HUOPO-4HO及びNaHPOを0.5:1:1のモル比で秤量し、次いで、ジルコニア媒体を含むナルゲン製ボトルに入れ、2時間ボールミル粉砕した。混合物を十分にブレンドした後、粉末をアルミナるつぼに移し、500℃で5時間焼成し、次いで、混合物を40メッシュのふるいに通してふるい分けし、同じナルゲン製ボトルで更に2時間再びブレンドした。粉末をアルミナるつぼに戻し、900℃で5時間焼成した。最終焼成後、黄色体着色粉末を得た。NaUOの発光スペクトルを図6Aに示す。
【0111】
1%モル量のEu3+をドープしたNaUOを調製するために、0.005のEuを添加し、ブレンド中のNaCOの量を0.495に調整したことを除いて、上記と同じ手順を使用した。Eu3+をドープしたNaUOの発光スペクトルを図6Bに示す。
【0112】
1%モル量のPr3+をドープしたNaUOは、Euの代わりにPr11を用いた以外は、1%モル量のEu3+をドープしたNaUOと同様に調製した。Pr3+をドープしたNaUOの発光スペクトルを図6Cに示す。
【0113】
1%モル量のSm3+をドープしたNaUOは、Euの代わりにSmを用いた以外は、1%モル量のEu3+をドープしたNaUOと同様に調製した。Sm3+をドープしたNaUOの発光スペクトルを図6Dに示す。
【0114】
1%モル量のTb3+をドープしたNaUOは、Euの代わりにTbを用いた以外は、1%モル量のEu3+をドープしたNaUOと同様に調製した。Tb3+をドープしたNaUOの発光スペクトルを図6Eに示す。
【0115】
1%モル量のDy3+をドープしたNaUOは、Euの代わりにDyを用いた以外は、1%モル量のEu3+をドープしたNaUOと同様に調製した。Dy3+をドープしたNaUOの発光スペクトルを図6Fに示す。
【0116】
1%Eu3+及び1%Pr3+をドープしたNaUOを調製するために、NaHPO、HUOPO-4HO、Eu、(NHHPO及びPr11を0.99:1:0.005:0.025:0.00167のモル比で秤量し、次いで、ジルコニア媒体を含むナルゲン製ボトルに入れ、2時間ボールミル粉砕した。混合物を十分にブレンドした後、粉末をアルミナるつぼに移し、500℃で5時間焼成し、次いで、混合物を40メッシュのふるいに通してふるい分けし、同じナルゲン製ボトルで更に2時間再びブレンドした。粉末をアルミナるつぼに戻し、900℃で5時間焼成した。最終焼成後、黄色体着色粉末を得た。NaUO:Eu3+:Pr3+の発光スペクトルを図6Gに示し、結果を表1に示す。
【0117】
1%モル量のEu3+及びSm3+をドープしたNaUOを調製するために、0.00167のPr11を0.005のSmに置き換えたことを除いて、上記と同じ手順を使用した。NaUO:Eu3+,Sm3+の発光スペクトルを図6Hに示し、結果を表1に示す。
【0118】
結果を表1に示す。
【表1】
【0119】
エネルギー移動は、CIE色度図上の色座標ccx及びccyの差によって実証される。活性化剤イオンEu3+、Pr3+及びSm3+をドープした蛍光体材料NaUOは、ウランイオンから活性化剤イオンへのエネルギー移動を示す。例えば、蛍光体NaUOは、ccx値が0.2054であり、ccy値が0.6689である。1モル%のEu3+をドープしたNaUOは、ccx値が0.6448であり、ccy値が0.3496である。これは、CIE色度図上の色変化の有意な差を示し、活性化剤イオンEu3+へのエネルギー移動があったことを示す。エネルギー移動は、図6Bにも示す。図6Bの発光スペクトルは、図6Aの発光スペクトルと比較して、発光波長の有意なシフトを示す。活性化剤イオンTb3+及びDy3+をドープした蛍光体材料NaUOは、ウランイオンから活性化剤イオンへのエネルギー移動を示さない。蛍光体NaUOと比較したccx及びccyの値の差は最小であり、図6Aの発光スペクトルと比較して図6E及び図6Fの発光スペクトルの変化はほとんどない。これは、ランタニド基中の全ての活性化剤イオンがウラン系蛍光体で機能するわけではないことを示している。
【0120】
活性化剤イオンEu3+をドープしたNaUOは、量子効率(QE)の有意な増加を示す。これは、ウランイオンからユーロピウム活性化剤イオンへの効率的なエネルギー移動を示した最初の例であると考えられている。図6Bは、Eu3+イオンへの完全なエネルギー移動があり、ウラン発光が完全にクエンチされたことを示す。
【0121】
活性化剤イオンSm3+をドープしたNaUOは、量子効率の増加を示す。活性化剤イオンEu3+及びSm3+を共ドープしたNaUOも、量子効率の増加を示す。活性化剤イオンEu3+及びPr3+を共ドープしたNaUOはNaUOと比較してカラーシフトを示すが、量子効率は低下した。以下の実施例は、蛍光体試料において量子効率をどのように高めることができるかを実証する。
【0122】
実施例2:KUO蛍光体及びCoをドープしたKUOの調製
CO、HUOPO-4HO及びKHPOを0.5:1:1のモル比で秤量し、次いで、ジルコニア媒体を含むナルゲン製ボトルに入れ、2時間ボールミル粉砕した。混合物を十分にブレンドした後、粉末をアルミナるつぼに移し、500℃で5時間焼成し、次いで、混合物を40メッシュのふるいに通してふるい分けし、同じナルゲン製ボトルで更に2時間再びブレンドした。粉末をアルミナるつぼに戻し、900℃で5時間焼成した。焼成後、黄色の実体色の粉末を得た。KUOの発光スペクトルを図7Aに示す。
【0123】
1%モル量のEu3+をドープしたKUOを調製するために、0.005のEuを添加し、ブレンド中のKCOの量を0.495に調整したことを除いて、上記と同じ手順を使用した。Eu3+をドープしたKUOの発光スペクトルを図7Bに示す。
【0124】
1%モル量のSm3+をドープしたKUOは、Euの代わりにSmを用いた以外は、1%モル量のEu3+をドープしたKUOと同様に調製した。Sm3+をドープしたKUOの発光スペクトルを図7Cに示す。
【0125】
1%モル量のPr3+をドープしたKUOは、Euの代わりにPr11を用いた以外は、1%モル量のEu3+をドープしたKUOと同様に調製した。Pr3+をドープしたKUOの発光スペクトルを図7Dに示す。
【0126】
結果を表2に示す。
【表2】
【0127】
エネルギー移動は、色座標ccx及びccyの差によって実証される。活性化剤イオンEu3+、Sm3+及びPr3+をドープした蛍光体材料KUOは、ウランイオンから活性化剤イオンへのエネルギー移動があることを示す。Eu3+をドープしたKUOの量子効率(QE)は維持されるが、Sm3+及びPr3+をドープしたKUOのQEは低下する。以下の実施例は、蛍光体試料において量子効率をどのように高めることができるかを実証する。
【0128】
実施例3:NaUO蛍光体及び1%Eu3+をドープしたNaUOの調製
(NHHPO(DAP)、HUOPO-4HO及びNaHPOを1:1:1のモル比で秤量し、次いで、ジルコニア媒体を含むナルゲン製ボトルに入れ、2時間ボールミル粉砕した。混合物を十分にブレンドした後、粉末をアルミナるつぼに移し、300℃で5時間焼成し、次いで、混合物を40メッシュのふるいに通してふるい分けし、同じナルゲン製ボトルで更に2時間再びブレンドした。粉末をアルミナるつぼに戻し、500℃で5時間焼成した。焼成後、黄色の実体色の粉末を得た。NaUOの発光スペクトルを図8Aに示す。
【0129】
1%Eu3+をドープしたNaUOを調製するために、0.005のEuを添加し、ブレンド中のNaHPOの量を0.495に調整したことを除いて、上記と同じ手順を使用した。焼成後、黄色の実体色の粉末を得た。NaUOの発光スペクトルを図8Bに示す。
【0130】
結果を表3に示す。
【表3】
【0131】
蛍光体NaUOは明るい緑色を発光し、ディスプレイ用途に広い色域を提供することができる。蛍光体NaUOは、Eu3+をドープした場合、ウランイオンから活性化剤イオンへのエネルギー移動を実証しなかった。
【0132】
実施例4:KUO(PO蛍光体及び1%Eu3+をドープしたKUO(POの調製
CO、HUOPO-4HO及びKHPOを1.5:1:1のモル比で秤量し、次いで、ジルコニア媒体を含むナルゲン製ボトルに入れ、2時間ボールミル粉砕した。混合物を十分にブレンドした後、粉末をアルミナるつぼに移し、500℃で5時間焼成し、次いで、混合物を40メッシュのふるいに通してふるい分けし、同じナルゲン製ボトルで更に2時間再びブレンドした。粉末をアルミナるつぼに戻し、900℃で5時間焼成した。焼成後、黄色の実体色の粉末を得た。KUO(POの発光スペクトルを図9Aに示す。
【0133】
1%モル量のEu3+をドープしたKUO(POを調製するために、0.005のEuを添加し、ブレンド中のKCOの量を1.495に調整したことを除いて、上記と同じ手順を使用した。焼成後、黄色の実体色の粉末を得た。KUO(POの発光スペクトルを図9Bに示す。
【0134】
結果を表4に示す。
【表4】
【0135】
蛍光体KUO(POは明るい緑色を発光し、ディスプレイ用途に広い色域を提供することができる。蛍光体KUO(POは、Eu3+をドープした場合、ウランイオンから活性化剤イオンへのエネルギー移動を実証しなかった。
【0136】
実施例5:Ba(PO(UO蛍光体及び共ドープしたBa(PO(UO蛍光体材料の調製
BaHPO、BaCO、HUOPO-4HO及びDAPを2:1:2:0.05のモル比で秤量し、次いで、ジルコニア媒体を含むナルゲン製ボトルに入れ、2時間ボールミル粉砕した。混合物を完全に混合した後、粉末をアルミナるつぼに移し、1100℃で5時間焼成した。焼成後、黄色の実体色の粉末を得た。Ba(PO(UOの発光スペクトルを図10Aに示す。Ba(PO(UOの結果を試料1として表5に示す。
【0137】
1%モル量のEu3+をドープしたBa(PO(UOを調製するために、0.005のEuを添加し、BaCOの量を0.995に調整したことを除いて、上記と同じ手順を使用した。焼成後、黄色の実体色の粉末を得た。Eu3+をドープしたBa(PO(UOの発光スペクトルを図10Bに示す。Eu3+をドープしたBa(PO(UOの結果を試料2として表5に示す。
【0138】
1%モル量のEu3+及びKをドープしたBa(PO(UOを調製するために、BaCOの代わりに0.005のEu及び0.005のKCOを使用したことを除いて、上記と同じ手順を使用した。Eu3+及びKをドープしたBa(PO(UOの発光スペクトルを図10Cに示す。Eu3+及びKをドープしたBa(PO(UOの結果を試料3として表5に示す。
【0139】
1%モル量のSm3+及びKをドープしたBa(PO(UOは、Euの代わりにSmを用いた以外は、1%モル量のEu3+及びKをドープしたBa(PO(UOと同様に調製した。1%モル量のSm3+及びKをドープしたBa(PO(UOの発光スペクトルを図10Dに示す。1%モル量のSm3+及びKをドープしたBa(PO(UOの結果を試料4として表5に示す。
【0140】
1%モル量のPr3+及びKをドープしたBa(PO(UOは、Euの代わりにPr11を用いた以外は、1%モル量のEu3+及びKをドープしたBa(PO(UOと同様に調製した。1%モル量のEu3+及びKをドープしたBa(PO(UOの発光スペクトルを図10Eに示す。1%モル量のPr3+及びKをドープしたBa(PO(UOの結果を試料5として表5に示す。
【0141】
1%モル量のSm3+及びKをドープしたBa(PO(UOは、Euの代わりにSmPOを用いて、KCOの代わりにKHPOを用いた以外は、1%モル量のEu3+及びKをドープしたBa(PO(UOと同様に調製した。1%モル量のSm3+及びKをドープしたBa(PO(UOの発光スペクトルを図10Fに示す。1%モル量のSm3+及びKをドープしたBa(PO(UOの結果を試料6として表5に示す。
【0142】
1%モル量のPr3+及びKをドープしたBa(PO(UOは、Euの代わりにPrPOを用いて、KCOの代わりにKHPOを用いた以外は、1%モル量のEu3+及びKをドープしたBa(PO(UOと同様に調製した。1%モル量のPr3+及びKをドープしたBa(PO(UOの発光スペクトルを図10Gに示す。1%モル量のPr3+及びKをドープしたBa(PO(UOの結果を試料7として表5に示す。
【0143】
1%モル量のEu3+及びKをドープしたBa(PO(UOは、Euの代わりにEuPOを用いて、KCOの代わりにKHPOを用いた以外は、1%モル量のEu3+及びKをドープしたBa(PO(UOと同様に調製した。1%モル量のEu3+及びKをドープしたBa(PO(UOの発光スペクトルを図10Hに示す。1%モル量のEu3+及びKをドープしたBa(PO(UOの結果を試料8として表5に示す。
【表5】
【0144】
エネルギー移動は、色座標ccx及びccyの差によって実証される。各試料2~8は、ウランイオンから活性化剤イオンへのエネルギー移動があることを示している。活性化剤イオンEu3+をドープした蛍光体材料Ba(PO(UOは量子効率が低下するが、対イオンKの添加により、蛍光体材料Ba(PO(UO(試料1)よりもQEが増加する。試料4~8は、量子効率が低下している。他の実施例は、蛍光体試料において量子効率をどのように高めることができるかを実証する。
【0145】
実施例6:BaZnUO(PO蛍光体及び共ドープしたBaZnUO(PO蛍光体材料の調製
BaHPO、HUOPO-4HO、ZnO及びDAPを1:1:1:0.05のモル比で秤量し、次いでジルコニア媒体を含むナルゲン製ボトルに入れ、2時間ボールミル粉砕した。混合物を完全に混合した後、粉末をアルミナるつぼに移し、湿った空気を流しながら1050℃で5時間焼成した。焼成後、黄色の実体色の粉末を得た。BaZnUO(POの発光スペクトルを図11Aに示す。BaZnUO(POの結果を試料Aとして表6に示す。
【0146】
1%モル量のEu3+をドープしたBaZnUO(POを調製するために、BaHPOの代わりに0.005のEuを使用したことを除いて、上記と同じ手順を使用した。焼成後、黄色の実体色の粉末を得た。Eu3+をドープしたBaZnUO(POの発光スペクトルを図11Bに示す。Eu3+をドープしたBaZnUO(POの結果を試料Bとして表6に示す。
【0147】
1%モル量のEu3+及びKをドープしたBaZnUO(POを調製するために、BaHPOの代わりに0.005のEu及び0.005のKCOを使用したことを除いて、上記と同じ手順を使用した。焼成後、黄色の実体色の粉末を得た。Eu3+及びKをドープしたBaZnUO(POの発光スペクトルを図11Cに示す。Eu3+及びKをドープしたBaZnUO(POの結果を試料B1として表6に示す。
【0148】
1%モル量のEu3+及びKをドープしたBaZnUO(POは、Euの代わりにEuPOを用いて、KCOの代わりにKHPOを用いた以外は、試料B1と同様に調製した。1%モル量のEu3+及びKをドープしたBa(PO(UOの結果を試料B2として表6に示す。
【0149】
1%モル量のEu3+及びLiをドープしたBaZnUO(POは、KCOの代わりにLiCOを用いた以外は、試料B1と同様に調製した。1%モル量のEu3+及びLiをドープしたBa(PO(UOの発光スペクトルを図11Dに示す。1%モル量のEu3+及びLiをドープしたBa(PO(UOの結果を試料B3として表6に示す。
【0150】
1%モル量のEu3+及びNaをドープしたBaZnUO(POは、KCOの代わりにNaCOを用いた以外は、試料B1と同様に調製した。1%モル量のEu3+及びNaをドープしたBaZnUO(POの発光スペクトルを図11Eに示す。1%モル量のEu3+及びNaをドープしたBaZnUO(POの結果を試料B4として表6に示す。
【0151】
1%モル量のEu3+、Tb3+及びKをドープしたBaZnUO(POは、Tbも含めた以外は、試料B1と同様に調製した。1%モル量のEu3+、Tb3+及びKをドープしたBaZnUO(POの結果を試料B5として表6に示す。
【0152】
1%モル量のEu3+、Dy3+及びKをドープしたBaZnUO(POは、Dyも含めた以外は、試料B1と同様に調製した。1%モル量のEu3+、Dy3+及びKをドープしたBaZnUO(POの結果を試料B6として表6に示す。
【0153】
1%モル量のEu3+、Sm3+及びKをドープしたBaZnUO(POは、Smも含めた以外は、試料B1と同様に調製した。1%モル量のEu3+、Sm3+及びKをドープしたBaZnUO(POの結果を試料B7として表6に示す。
【0154】
1%モル量のPr3+をドープしたBaZnUO(POは、Euの代わりにPr11を用いた以外は、1%モル量のEu3+をドープしたBaZnUO(POと同様に調製した。Pr3+をドープしたBaZnUO(POの発光スペクトルを図11Fに示す。Pr3+をドープしたBaZnUO(POの結果を試料Cとして表6に示す。
【0155】
1%モル量のPr3+及びKをドープしたBaZnUO(POは、Euの代わりにPr11を用いた以外は、試料B1と同様に調製した。Pr3+及びKをドープしたBaZnUO(POの発光スペクトルを図11Gに示す。Pr3+及びKをドープしたBaZnUO(POの結果を試料C1として表6に示す。
【0156】
1%モル量のPr3+及びKをドープしたBaZnUO(POは、Euの代わりにPrPOを用いて、KCOの代わりにKHPOを用いた以外は、試料B1と同様に調製した。1%モル量のPr3+及びKをドープしたBaZnUO(POの結果を試料C2として表6に示す。
【0157】
1%モル量のSm3+をドープしたBaZnUO(POは、Euの代わりにSmを用いた以外は、1%モル量のEu3+をドープしたBaZnUO(POと同様に調製した。Sm3+をドープしたBaZnUO(POの発光スペクトルを図11Hに示す。Sm3+をドープしたBaZnUO(POの結果を試料Dとして表6に示す。
【0158】
1%モル量のSm3+及びKをドープしたBaZnUO(POは、Euの代わりにSmを用いた以外は、試料B1と同様に調製した。Sm3+及びKをドープしたBaZnUO(POの発光スペクトルを図11Iに示す。Sm3+及びKをドープしたBaZnUO(POの結果を試料D1として表6に示す。
【0159】
1%モル量のSm3+及びKをドープしたBaZnUO(POは、Euの代わりにPrPOを用いて、KCOの代わりにKHPOを用いた以外は、試料B1と同様に調製した。1%モル量のSm3+及びKをドープしたBaZnUO(POの結果を試料D2として表6に示す。
【0160】
1%モル量のSm3+、Tb3+及びKをドープしたBaZnUO(POは、Tbも含めた以外は、試料D2と同様に調製した。Sm3+、Tb3+及びKをドープしたBaZnUO(POの結果を試料D3として表6に示す。
【0161】
1%モル量のSm3+、Dy3+及びKをドープしたBaZnUO(POは、Dyも含めた以外は、試料D2と同様に調製した。Sm3+、Dy3+及びKをドープしたBaZnUO(POの結果を試料D4として表6に示す。
【0162】
1%モル量のTb3+をドープしたBaZnUO(POは、Euの代わりにTbを用いた以外は、1%モル量のEu3+をドープしたBaZnUO(POと同様に調製した。Tb3+をドープしたBaZnUO(POの結果を試料Eとして表6に示す。
【0163】
1%モル量のDy3+をドープしたBaZnUO(POは、Euの代わりにDyを用いた以外は、1%モル量のEu3+をドープしたBaZnUO(POと同様に調製した。Dy3+をドープしたBaZnUO(POの結果を試料Fとして表6に示す。
【0164】
1%モル量のCe3+をドープしたBaZnUO(POは、Euの代わりにCeOを用いた以外は、1%モル量のEu3+をドープしたBaZnUO(POと同様に調製した。Ce3+をドープしたBaZnUO(POの結果を試料Gとして表6に示す。
【0165】
1%モル量のCe3+及びKをドープしたBaZnUO(POは、Euの代わりにCeOを用いた以外は、試料B1と同様に調製した。Ce3+及びKをドープしたBaZnUO(POの結果を試料G1として表6に示す。
【0166】
1%モル量のSn2+をドープしたBaZnUO(POは、Euの代わりにSnOを用いた以外は、1%モル量のEu3+をドープしたBaZnUO(POと同様に調製した。Sn2+をドープしたBaZnUO(POの結果を試料Hとして表6に示す。
【0167】
1%モル量のSb3+をドープしたBaZnUO(POは、Euの代わりにSbを用いた以外は、1%モル量のEu3+をドープしたBaZnUO(POと同様に調製した。Sb3+をドープしたBaZnUO(POの結果を試料Iとして表6に示す。
【0168】
1%モル量のMn2+をドープしたBaZnUO(POは、Euの代わりにMnCOを用いた以外は、1%モル量のEu3+をドープしたBaZnUO(POと同様に調製した。Mn2+をドープしたBaZnUO(POの結果を試料Jとして表6に示す。
【0169】
1%モル量のEr3+をドープしたBaZnUO(POは、Euの代わりにErを用いた以外は、試料Aと同様に調製した。Er3+をドープしたBaZnUO(POの結果を試料Kとして表6に示す。
【0170】
1%モル量のTm3+をドープしたBaZnUO(POは、Euの代わりにTmを用いた以外は、試料Aと同様に調製した。Tm3+をドープしたBaZnUO(POの結果を試料Lとして表6に示す。
【0171】
1%モル量のYb3+をドープしたBaZnUO(POは、Euの代わりにYbを用いた以外は、試料Aと同様に調製した。Yb3+をドープしたBaZnUO(POの結果を試料Mとして表6に示す。
【0172】
1%モル量のYb3+及びKをドープしたBaZnUO(POは、Euの代わりにYbを用いた以外は、試料B1と同様に調製した。Yb3+及びKをドープしたBaZnUO(POの結果を試料M1として表6に示す。
【0173】
1%モル量のNd3+をドープしたBaZnUO(POは、Euの代わりにNdを用いた以外は、試料Aと同様に調製した。Nd3+をドープしたBaZnUO(POの結果を試料Nとして表6に示す。
【0174】
1%モル量のGd3+をドープしたBaZnUO(POは、Euの代わりにGdを用いた以外は、試料Aと同様に調製した。Gd3+をドープしたBaZnUO(POの結果を試料Oとして表6に示す。
【0175】
1%モル量のBi3+をドープしたBaZnUO(POは、Euの代わりにBiを用いた以外は、試料Aと同様に調製した。Bi3+をドープしたBaZnUO(POの結果を試料Pとして表6に示す。
【0176】
1%モル量のHo3+をドープしたBaZnUO(POは、Euの代わりにHoを用いた以外は、試料Aと同様に調製した。Ho3+をドープしたBaZnUO(POの結果を試料Qとして表6に示す。
【0177】
1%Eu3+-1%Liを有するBaZnUO(POを調製するために、BaHPO、HUOPO-4HO、ZnO、DAP、Eu及びLiCOを0.98:1:1:0.05:0.005:0.005のモル比で秤量し、次いで、ジルコニア媒体を含むナルゲン製ボトルに入れ、2時間ボールミル粉砕した。混合物を完全に混合した後、粉末をアルミナるつぼに移し、湿った空気を流しながら1050℃で5時間焼成した。焼成後、黄色の実体色の粉末を得た。BaZnUO(PO:Eu3+,Liの発光スペクトルをAとして図11Jに示す。BaZnUO(PO:Eu3+,Liの結果を試料Rとして表6に示す。
【0178】
1%モル量のEu3+及び1%Liをドープした非化学量論組成のBaZnUO(POを調製するため。BaHPO、HUOPO-4HO、ZnO、DAP、Eu及びLiCOを0.97:0.96:1.05:0.05:0.005:0.005のモル比で秤量し、ブレンド比が上記の化学量論比から外れていることを除いて、上記と同じ手順を使用した。焼成後、黄色の実体色の粉末を得た。Eu3+及びLiをドープした非化学量論組成のBaZnUO(POの発光スペクトルを、Bとラベル付けした図11Jに示す。Eu3+をドープしたBaZnUO(PO(Ba0.99Zn1.05(UO0.96(PO)の結果を試料Sとして表6に示す。
【表6】
【0179】
エネルギー移動は、色座標ccx及びccyの差によって実証される。活性化剤イオンEu3+、Sm3+及びPr3+をドープした蛍光体材料BaZnUO(POは、ウランイオンから活性化剤イオンへのエネルギー移動があることを示す。活性化剤イオンCe3+、Sn2+、Sb3+、Mn2+、Tb3+、Er3+、Tm3+、Yb3+、Nd3+、Gd3+、Bi3+、Ho3+及びDy3+をドープした蛍光体材料BaZnUO(POは、ウランイオンから活性化剤イオンへのエネルギー移動を示さない。ランタニド基中の全ての活性化剤イオンがウラン系蛍光体で機能するわけではないので、これは予想外の結果を示している。
【0180】
アルカリ対イオンは、活性化剤イオンEu3+、Sm3+及びPr3+をドープした蛍光体が示すエネルギー移動及び量子効率特性を改善又は少なくとも維持することができる。Eu3+をドープしたBaZnUO(POは、アルカリ対イオン(K及びLi)を共ドープした場合にエネルギー移動及び量子効率が大幅に改善されるが、Ce3+及びYb3+について示されるように、活性化剤イオンへのエネルギー移動がない場合、対イオンはエネルギー移動を提供しない。
【0181】
実施例7 共ドープしたBaZnUO(PO蛍光体材料の調製
BaHPO、HUOPO-4HO、ZnO、DAP、Eu及びKCOを0.98:1:1:0.07:0.005:0.005のモル比で秤量し、次いで、ジルコニア媒体を含むナルゲン製ボトルに入れ、2時間ボールミル粉砕することにとって、1%モル量のEu3+及びKをドープしたBaZnUO(POを調製した。混合物を完全に混合した後、粉末をアルミナるつぼに移し、湿った空気を流しながら1050℃で5時間焼成した。焼成後、黄色の実体色の粉末を得た。焼成後、黄色の実体色の粉末を得た。Eu3+及びKをドープしたBaZnUO(POの結果を試料B5-1%として表7に示す。
【0182】
2%モル量のEu3+及びKをドープしたBaZnUO(POは、2%Eu及び2%KCOを添加したこと以外は、試料B5-1%と同様に調製した。2%モル量のEu3+及びKをドープしたBa(PO(UOの結果を試料B5-2%として表7に示す。
【0183】
3%モル量のEu3+及びKをドープしたBaZnUO(POは、3%Eu及び3%KCOを添加したこと以外は、試料B5-1%と同様に調製した。3%モル量のEu3+及びKをドープしたBaZnUO(POの結果を試料B5-3%として表7に示す。
【表7】
【0184】
エネルギー移動は、色座標ccx及びccyの差によって実証される。対イオンKと共ドープした蛍光体材料BaZnUO(POは、増加したQEを示す。異なる量の活性化剤イオンEu3+を使用することにより、蛍光体をどのように色調整することができるかを示す。
【0185】
実施例8 BaZnUO(PO及び共ドープした蛍光体材料の調製
実施例6の試料Aについて、BaZnUO(POを上記のように調製した。
【0186】
1%モル量のEu3+をドープしたBaZnUO(POを調製するために、BaHPO、HUOPO-4HO、ZnO、DAP及びEuを0.99:1:1:0.06:0.005のモル比で秤量し、次いで、ジルコニア媒体を含むナルゲン製ボトルに入れ、2時間ボールミル粉砕した。混合物を完全に混合した後、粉末をアルミナるつぼに移し、湿った空気を流しながら1050℃で5時間焼成した。焼成後、黄色の実体色の粉末を得た。Eu3+をドープしたBaZnUO(POの発光スペクトルを図12に示す。
【0187】
1%モル量のEu3+及びKをドープしたBaZnUO(POを調製するために、BaHPO、HUOPO-4HO、ZnO、DAP、Eu及びKCOを0.98:1:1:0.07:0.005:0.005のモル比で秤量し、次いで、ジルコニア媒体を含むナルゲン製ボトルに入れ、2時間ボールミル粉砕した。混合物を完全に混合した後、粉末をアルミナるつぼに移し、湿った空気を流しながら1050℃で5時間焼成した。焼成後、黄色の実体色の粉末を得た。
【0188】
1%モル量のEu3+及びLiをドープしたBaZnUO(POは、KCOの代わりにLiCOを用いた以外は、1%モル量のEu3+及びKをドープしたBaZnUO(POの調製と同様に調製した。
【0189】
1%モル量のEu3+及びNaをドープしたBaZnUO(POは、KCOの代わりにNaCOを用いた以外は、1%モル量のEu3+及びKをドープしたBaZnUO(POの調製と同様に調製した。
【0190】
1%モル量のEu3+及びRbをドープしたBaZnUO(POは、KCOの代わりにRbCOを用いた以外は、1%モル量のEu3+及びKをドープしたBaZnUO(POの調製と同様に調製した。
【0191】
1%モル量のEu3+及びCsをドープしたBaZnUO(POは、KCOの代わりにCsCOを用いた以外は、1%モル量のEu3+及びKをドープしたBaZnUO(POの調製と同様に調製した。
【0192】
結果を表8に示す。
【表8】
【0193】
エネルギー移動は、色座標ccx及びccyの差によって実証される。活性化剤イオンを共ドープした蛍光体材料BaZnUO(POは、エネルギー移動を示す。活性化剤イオン及び対イオンと共ドープしたBaZnUO(POは、エネルギー移動を示し、対イオンなしで蛍光体材料のQEを増加又は維持することができる。
【0194】
実施例9 γ-BaUO(PO及び共ドープした蛍光体材料の調製
γ-BaUO(POを調製するために、BaHPO、UO、及びDAPを2:1:0.05のモル比で秤量し、次いで、ジルコニア媒体を含むナルゲン製ボトルに入れ、2時間ボールミル粉砕した。混合物を完全に混合した後、粉末をアルミナるつぼに移し、空気中1100℃で5時間焼成した。焼成後、黄色の実体色の粉末を得た。γ-BaUO(POの発光スペクトルを図13Aに示す。γ-BaUO(POの粉末XRDパターンを図13Hに示す。
【0195】
1モル%のEu3+をドープしたγ-BaUO(POを調製するために、BaHPO、UO、DAP及びEuを1.99:1:0.05:0.005のモル比で秤量し、次いで、ジルコニア媒体を含むナルゲン製ボトルに入れ、2時間ボールミル粉砕した。混合物を完全に混合した後、粉末をアルミナるつぼに移し、空気中1100℃で5時間焼成した。焼成後、黄色の実体色の粉末を得た。Eu3+をドープしたγ-BaUO(POの発光スペクトルを図13Bに示す。
【0196】
1モル%のEu3+及び1モル%のKをドープしたγ-BaUO(POを調製するために、BaHPO、UO、DAP、Eu及びKCOを1.98:1:0.05:0.005:0.005のモル比で秤量し、次いで、ジルコニア媒体を含むナルゲン製ボトルに入れ、2時間ボールミル粉砕した。混合物を完全に混合した後、粉末をアルミナるつぼに移し、空気中1100℃で5時間焼成した。焼成後、黄色の実体色の粉末を得た。Eu3+及びKをドープしたγ-BaUO(POの発光スペクトルを図13Cに示す。
【0197】
1モル%のSm3+及び1モル%のKをドープしたγ-BaUO(POを調製するために、BaHPO、UO、DAP、Sm及びKCOを1.98:1:0.05:0.005:0.005のモル比で秤量し、次いで、ジルコニア媒体を含むナルゲン製ボトルに入れ、2時間ボールミル粉砕した。混合物を完全に混合した後、粉末をアルミナるつぼに移し、空気中1100℃で5時間焼成した。焼成後、黄色の実体色の粉末を得た。Sm3+及びKをドープしたγ-BaUO(POの発光スペクトルを図13Dに示す。
【0198】
1モル%のPr3+及び1モル%のKをドープしたγ-BaUO(POを調製するために、BaHPO、UO、DAP、Pr11及びKCOを1.98:1:0.05:0.00167:0.005のモル比で秤量し、次いで、ジルコニア媒体を含むナルゲン製ボトルに入れ、2時間ボールミル粉砕した。混合物を完全に混合した後、粉末をアルミナるつぼに移し、空気中1100℃で5時間焼成した。焼成後、黄色の実体色の粉末を得た。Pr3+及びKをドープしたγ-BaUO(POの発光スペクトルを図13Eに示す。
【0199】
1モル%のDy3+及び1モル%のKをドープしたγ-BaUO(POを調製するために、BaHPO、UO、DAP、Dy及びKCOを1.98:1:0.05:0.005:0.005のモル比で秤量し、次いで、ジルコニア媒体を含むナルゲン製ボトルに入れ、2時間ボールミル粉砕した。混合物を完全に混合した後、粉末をアルミナるつぼに移し、空気中1100℃で5時間焼成した。焼成後、黄色の実体色の粉末を得た。Dy3+及びKをドープしたγ-BaUO(POの発光スペクトルを図13Fに示す。
【0200】
1モル%のTb3+及び1モル%のKをドープしたγ-BaUO(POを調製するために、BaHPO、UO、DAP、Tb及びKCOを1.98:1:0.05:0.0025:0.005のモル比で秤量し、次いで、ジルコニア媒体を含むナルゲン製ボトルに入れ、2時間ボールミル粉砕した。混合物を完全に混合した後、粉末をアルミナるつぼに移し、空気中1100℃で5時間焼成した。焼成後、黄色の実体色の粉末を得た。Dy3+及びKをドープしたγ-BaUO(POの発光スペクトルを図13Gに示す。
【0201】
結果を表9に示す
【表9】
【0202】
エネルギー移動は、色座標ccx及びccyの差によって実証される。活性化剤イオンEu3+、Pr3+及びSm3+を共ドープした蛍光体材料γ-BaUO(POは、ウランイオンから活性化剤イオンへのエネルギー移動があるが、しかしながら、ピークが非常に広いため、ccx及びccyの変化は他の組成物ほど強くない(図13A参照)。活性化剤イオンEu3+の添加は、図13Bの約610で見ることができる。活性化剤イオンと対イオンの両方の添加は、図13Cの610でより顕著なピーク形成を示す。活性化剤ピークの付加は、図13D(Sm3+)及び図13E(Pr3+)で見ることができ、一方、Dy3+及びTb3+についての図13F及び13Gには追加のピークは観察されず、ウランイオンから活性化剤イオンへのエネルギー移動を示さない。活性化剤イオン及び対イオンと共ドープしたガンマ相BaUO(POは、対イオンなしで蛍光体材料のQEを増加又は維持する。本明細書の他の実施例は、蛍光体試料において量子効率をどのように更に高めることができるかを実証する。
【0203】
実施例10 γ-BaUO(PO及び共ドープした蛍光体材料の調製
1モル%のEu3+及び1モル%のKをドープしたγ-BaUO(POを調製するために、BaHPO、UO、DAP、Eu及びKCOを1.98:1:0.05:0.005:0.005のモル比で秤量し、次いで、ジルコニア媒体を含むナルゲン製ボトルに入れ、2時間ボールミル粉砕した。混合物を完全に混合した後、粉末をアルミナるつぼに移し、空気中1100℃で5時間焼成した。焼成後、黄色の実体色の粉末を得た。
【0204】
2モル%のEu3+及び2モル%のKをドープしたγ-BaUO(POを調製するために、BaHPO、UO、DAP、Eu及びKCOを1.96:1:0.05:0.01:0.01のモル比で秤量し、次いで、ジルコニア媒体を含むナルゲン製ボトルに入れ、2時間ボールミル粉砕した。混合物を完全に混合した後、粉末をアルミナるつぼに移し、空気中1100℃で5時間焼成した。焼成後、黄色の実体色の粉末を得た。
【0205】
3モル%のEu3+及び3モル%のKをドープしたγ-BaUO(POを調製するために、BaHPO、UO、DAP、Eu及びKCOを1.94:1:0.05:0.015:0.015のモル比で秤量し、次いで、ジルコニア媒体を含むナルゲン製ボトルに入れ、2時間ボールミル粉砕した。混合物を完全に混合した後、粉末をアルミナるつぼに移し、空気中1100℃で5時間焼成した。焼成後、黄色の実体色の粉末を得た。
【0206】
結果を表10に示す
【表10】
【0207】
座標ccx及びccy。対イオンKと共ドープした蛍光体材料BaUO(POは、増加したQEを示す。異なる量の活性化剤イオンEu3+を使用することにより、蛍光体をどのように色調整することができるかを示す。
【0208】
実施例11
1%モル量のEu3+をドープしたNaUO(U-Eu赤色蛍光体)は、NaCO、HUOPO-4HO、NaHPO及びEuを、ジルコニア媒体を含むナルゲン製ボトルに0.5:1:1:0.005のモル比で秤量し、2時間ボールミル粉砕した。混合物を完全に混合した後、粉末をアルミナるつぼに移し、500℃で5時間焼成した。次いで、混合物を40メッシュのふるいに通してふるい分けし、同じナルゲン製ボトルで更に2時間再びブレンドした。粉末をアルミナるつぼに戻し、900℃で5時間焼成した。焼成後、黄色の実体色の粉末を得た。
【0209】
U-Eu赤色蛍光体を、図14のKSiF:Mn4+蛍光体(PFS)と比較した。図14はまた、昼光又は他の明るい光の状態における人間の視覚に関連する眼の感度範囲を示す。眼の感度範囲は555nmを中心とする。U-Eu赤色蛍光体は赤色を有し、PFSよりも眼感度範囲の中心にスペクトル的にシフトし、U-Eu赤色蛍光体の発光光はより明るく見える。U-Eu赤色蛍光体は317.42lms/Wradのスペクトル出力を有し、PFSは200.82Lms/Wradのスペクトル出力を有する。U-Eu赤色蛍光体は、PFSよりも58%高い吸光度を示す。
【0210】
U-Eu赤色蛍光体及びPFS蛍光体を使用した白色光ブレンドの有効性をモデル化した。各赤色蛍光体をYAG蛍光体とブレンドし、4100KのCCTを有する青色LEDでモデル化した。両方のブレンドをデバイスでモデル化して、有効性(Lms/ワット)測定値を決定した。PFSとの白色光ブレンドもデバイスで測定した。白色光ブレンドについての有効性の測定値を表11に示す。
【表11】
【0211】
U-Eu赤色蛍光体を含む白色ブレンドのモデル化された有効性は、PFSを含む白色ブレンドよりも有効性が15%増加している。U-Eu赤色蛍光体を含む白色ブレンドの高い有効性は、現在市販の蛍光体ブレンド又は白色LEDには利用できない。U-EU赤色との白色ブレンド及びPFSとの白色ブレンドの両方のCRI測定値は80超である。
【0212】
実施例12:NaUO蛍光体並びに1%活性化剤イオンEu3+及び様々な量の(NHHPO(DAP)をドープしたNaUOの調製
NaHPO、HUOPO-4HO、Eu及び(NHHPOを0.995:1:0.005:0のモル比で秤量し、次いで、ジルコニア媒体を含むナルゲン製ボトルに入れ、2時間ボールミル粉砕した。混合物を十分にブレンドした後、粉末をアルミナるつぼに移し、500℃で5時間焼成し、次いで、混合物を40メッシュのふるいに通してふるい分けし、同じナルゲン製ボトルで更に2時間再びブレンドした。粉末をアルミナるつぼに戻し、900℃で5時間焼成した。最終焼成後、黄色体着色粉末を得た。NaUO:Eu3+の発光スペクトルを図15に示し、結果を表12に示す。
【0213】
1%モル量のEu3+及び2.5%過剰のDAPをドープしたNaUOを調製するために、0.025のDAPを添加したことを除いて、上記と同じ手順を使用した。Eu3+及び2.5%過剰(xs)のDAPをドープしたNaUOのQE及び結果を表12に示す。
【0214】
1%モル量のEu3+及び5%過剰のDAPをドープしたNaUOは、0.05のDAPを添加したことを除いて、上記と同じ手順を使用した。Eu3+及び5%xsのDAPをドープしたNaUOのQEを表12に示す。
【0215】
1%モル量のEu3+及び7.5%過剰のDAPをドープしたNaUOは、0.075のDAPを添加したことを除いて、上記と同じ手順を使用した。Eu3+及び7.5%xsのDAPをドープしたNaUOのQEを表12に示す。
【表12】
【0216】
蛍光体のカラーポイントは、0~7.5%過剰(xs)のDAPで同じままであるが、QEは2.5%xsのDAPで最大を示す。一方のスペクトルのみを図15に示している。
【0217】
実施例13:様々なEu3+濃度を有するNaUO蛍光体の調製
1%Eu3+をドープしたNaUOを調製するために、NaHPO、HUOPO-4HO、Eu及び(NHHPOを0.995:1:0.005:0.25のモル比で秤量し、次いで、ジルコニア媒体を含むナルゲン製ボトルに入れ、2時間ボールミル粉砕した。混合物を十分にブレンドした後、粉末をアルミナるつぼに移し、500℃で5時間焼成し、次いで、混合物を40メッシュのふるいに通してふるい分けし、同じナルゲン製ボトルで更に2時間再びブレンドした。粉末をアルミナるつぼに戻し、900℃で5時間焼成した。最終焼成後、黄色体着色粉末を得た。NaUO:Eu3+の発光スペクトルを図15に示し、これは実施例12で使用した試料と同じであり、表13の結果では試料Aとして示されている。
【0218】
0.1%モル量のEu3+をドープしたNaUOを調製するために、0.9995のNaHPO及び0.0005のEuを添加したことを除いて、上記と同じ手順を使用した。0.1%Eu3+をドープしたNaUOの発光スペクトルを試料Bとして図16に示し、結果を表13に示す。
【0219】
0.05%モル量のEu3+をドープしたNaUOを調製するために、0.99975のNaHPO及び0.00025のEuを添加したことを除いて、上記と同じ手順を使用した。Eu3+及び0.05%のEu3+をNaUOの発光スペクトルを試料Cとして図16に示し、結果を表13に示す。
【0220】
0.03%モル量のEu3+をドープしたNaUOを調製するために、0.99985のNaHPO及び0.00015のEuを添加したことを除いて、上記と同じ手順を使用した。0.03%のEu3+をドープしたNaUOの発光スペクトルを試料Dとして図16に示し、結果を表13に示す。
【0221】
0.02%モル量のEu3+をドープしたNaUOについて、0.9999のNaHPO及び0.0001のEuを添加したことを除いて、上記と同じ手順を使用した。Eu3+及び0.02%のEu3+をNaUOの発光スペクトルを試料Eとして図16に示し、結果を表13に示す。
【表13】
【0222】
実施例16:Sm3+、Eu3+及びPr3+の1%活性化剤イオンをドープしたRbUO蛍光体の調製。
RbCO、HUOPO-4HO及び(NHHPOを1:1:1のモル比で秤量し、次いで、ジルコニア媒体を含むナルゲン製ボトルに入れ、2時間ボールミル粉砕した。混合物を完全に混合した後、粉末をアルミナるつぼに移し、500℃で5時間焼成した。次いで、混合物を40メッシュのふるいに通してふるい分けし、同じナルゲン製ボトルで更に2時間再びブレンドした。粉末をアルミナるつぼに戻し、900℃で5時間焼成した。最終焼成後、黄色体着色粉末を得た。RbUOの発光スペクトルを図17Aに示し、結果を表16に示す。
【0223】
1%モル量のSm3+をドープしたRbUOを調製するために、0.995のRbCO及び0.005のSmを添加したことを除いて、上記と同じ手順を使用した。Sm3+をドープしたRbUOの結果を図17Bに示し、結果を表16に示す。
【0224】
1%モル量のEu3+をドープしたRbUOを調製するために、0.995のRbCO及び0.005のEuを添加したことを除いて、上記と同じ手順を使用した。Eu3+をドープしたRbUOの結果を図17Cに示し、結果を表16に示す。
【0225】
1%モル量のPr3+をドープしたRbUOを調製するために、0.995のRbCO及び0.00167のPr11を添加したことを除いて、上記と同じ手順を使用した。Pr3+をドープしたRbUOの結果を図17Dに示し、結果を表16に示す。
【表16】
【0226】
カラーポイントの変化は、Sm、Eu、Prイオンへのエネルギー移動を示す。Eu3+の添加は、QEの増加を示し、一方、活性化剤イオンSm3+及びPr。本明細書の他の実施例は、蛍光体試料において量子効率をどのように高めることができるかを実証する。
【0227】
実施例17:Eu3+、Pr3+及びSm3+の1%活性化剤イオンをドープしたCsUO蛍光体の調製。
CsUOを調製するために、CsCO、HUOPO-4HO及び(NHHPOを1:1:1のモル比で秤量し、次いで、ジルコニア媒体を含むナルゲン製ボトルに入れ、2時間ボールミル粉砕した。混合物を十分にブレンドした後、粉末をアルミナるつぼに移し、500℃で5時間焼成し、次いで、混合物を40メッシュのふるいに通してふるい分けし、同じナルゲン製ボトルで更に2時間再びブレンドした。粉末をアルミナるつぼに戻し、900℃で5時間焼成した。最終焼成後、黄色体着色粉末を得た。CsUOの発光スペクトルを図18Aに示し、結果を表17に示す。
【0228】
1%モル量のEu3+をドープしたCsUOを調製するために、0.995のCsCO及び0.005のEuを添加したことを除いて、上記と同じ手順を使用した。1%Eu3+をドープしたCsUOの発光スペクトルを図18Bに示し、結果を表17に示す。
【0229】
1%モル量のEu3+をドープしたCsUOの別の試料を同様に調製し、洗浄工程を含めた。1%モル量のEu3+をドープした試料CsUOを水中で洗浄した。結果を表17に示す。
【0230】
1%モル量のPr3+をドープしたCsUOについて、0.995のCsCO及び0.00167のPr11を添加したことを除いて、上記と同じ手順を使用した。1%Pr3+をドープしたCsUOの発光スペクトルを図18Cに示し、結果を表17に示す。
【0231】
1%モル量のSm3+をドープしたCsUOを調製するために、0.995のCsCO及び0.005のSmを添加したことを除いて、上記と同じ手順を使用した。1%Sm3+をドープしたCsUOの発光スペクトルを図18Dに示し、結果を表17に示す。
【表17】
【0232】
カラーポイントの変化は、Eu、Pr及びSmのイオンへのエネルギー移動があることを示す。活性化剤イオンSmを含む蛍光体のQE測定値はわずかに低下した。Eu3+を含む蛍光体のQE測定値は改善された。QE測定値は、洗浄工程を追加することによって更に改善した。水洗浄工程は、試料のQEをわずかに増加させただけでなく、ホスト格子が吸湿性ではないことを示した。
【0233】
実施例18:様々な量のEu3+をドープしたCsUO蛍光体の調製
1%Eu3+をドープしたCsUOを調製するために、CsCO、HUOPO-4HO、(NHHPO及びEuを0.995:1:1:0.005のモル比で秤量し、次いで、ジルコニア媒体を含むナルゲン製ボトルに入れ、2時間ボールミル粉砕した。混合物を十分にブレンドした後、粉末をアルミナるつぼに移し、500℃で5時間焼成し、次いで、混合物を40メッシュのふるいに通してふるい分けし、同じナルゲン製ボトルで更に2時間再びブレンドした。粉末をアルミナるつぼに戻し、900℃で5時間焼成した。最終焼成後、黄色体着色粉末を得た。CsUO:1%Eu3+の結果を表18に示す。
【0234】
2%モル量のEu3+をドープしたCsUOを調製するために、0.99のCsCO及び0.01のEuを添加したことを除いて、上記と同じ手順を使用した。CsUO:2%Eu3+の結果を表18に示す。
【0235】
3%モル量のEu3+をドープしたCsUOを調製するために、0.985のCsCO及び0.015のEuを添加したことを除いて、上記と同じ手順を使用した。CsUO:3%Eu3+の結果を表18に示す。
【表18】
【0236】
本明細書は、最良の形態を含む本発明を開示するために、また、任意のデバイス又はシステムの製作及び使用並びに任意の組み込まれた方法の実行を含む本発明の実施を当業者にとって可能にするために、実施例を使用する。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。そのような他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有する場合、又はそれらが特許請求の範囲の文言と実質的に異ならない同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが意図される。

図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図10G
図10H
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図11G
図11H
図11I
図11J
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
図13G
図13H
図14
図15
図16
図17A
図17B
図17C
図17D
図18A
図18B
図18C
図18D
【手続補正書】
【提出日】2023-08-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)式I又はIIを有する蛍光体であって、
[Ba1-a-bSrCa[Mg,Zn](UO([P,V]O2(x+y+z)/3(I)
[Ba1-a-bSrCa(UO[P,V](2p+2q+5r)/2(II)、
前記式I又はIIを有する蛍光体が、Pr3+、Sm3+、又はそれらの混合物を含む活性化剤イオンがドープされており、式中、0≦a≦1、0≦b≦1、0.75≦x≦1.25、0.75≦y≦1.25、0.75≦z≦1.25、2.5≦p≦3.5、1.75≦q≦2.25、及び3.5≦r≦4.5である蛍光体、
(ii)式I又はIIを有する蛍光体であって、前記式I又はIIを有する蛍光体が、Eu3+、Pr3+、Sm3+、及びそれらの混合物からなる群から選択される活性化剤イオン、並びに1つ又は複数のアルカリ金属イオンを含む対イオンがドープされている蛍光体、
(iii)式IIIを有する蛍光体であって、
UO[P,V](III)
前記式IIIを有する蛍光体が、Eu3+、Pr3+、Sm3+、及びそれらの混合物からなる群から選択される活性化剤イオンがドープされており、式中、Aが、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せである蛍光体
からなる群から選択されるウラン系蛍光体。
【請求項2】
前記ウラン系蛍光体が、(i)式I又はIIを有する蛍光体であって、前記式I又はIIを有する蛍光体が、Pr3+、Sm3+、又はそれらの混合物を含む活性化剤イオンがドープされている蛍光体である、請求項1に記載のウラン系蛍光体。
【請求項3】
前記式I又はIIを有する蛍光体が、Ba(PO(UO、BaZnUO(PO、BaMgUO(PO、及び
からなる群から選択され、前記式IIIを有する蛍光体が、NaUO、KUO、RbUO、及びCsUO からなる群から選択される、請求項1に記載のウラン系蛍光体。
【請求項4】
前記ウラン系蛍光体が、(ii)式I又はIIを有する蛍光体であって、前記式I又はIIを有する蛍光体が、Eu3+、Pr3+、Sm3+、及びそれらの混合物からなる群から選択される活性化剤イオン、並びに1つ又は複数のアルカリ金属イオンを含む対イオンがドープされている蛍光体である、請求項1に記載のウラン系蛍光体。
【請求項5】
前記1つ又は複数のアルカリ金属イオンが、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群から選択される、請求項4に記載のウラン系蛍光体。
【請求項6】
前記ウラン系蛍光体が、(iii)式IIIを有する蛍光体であって、前記蛍光体が、Eu3+、Pr3+、Sm3+、及びそれらの混合物からなる群から選択される活性化剤イオンがドープされている蛍光体である、請求項1に記載のウラン系蛍光体。
【請求項7】
前記活性化剤イオンが、約0.1モル%~約10モル%の量で存在する、請求項1に記載のウラン系蛍光体。
【請求項8】
式(III)、(IV)又は(V)を有するウラン系蛍光体であって、
UO[P,V](III)、
UO([P,V]O(IV)、又は
AUO([P,V]O(V)、
式中、Aが、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せである、ウラン系蛍光体。
【請求項9】
前記ウラン系蛍光体が、KUO、NaUO、RbUO、CsUO、KUO(PO又はNaUOである、請求項8に記載のウラン系蛍光体。
【請求項10】
前記ウラン系蛍光体が、約0.1μm~約15μmのD50粒径を有する、請求項1又は請求項8に記載の前記ウラン系蛍光体。
【請求項11】
請求項1又は請求項8に記載の前記ウラン系蛍光体と、式VIを有する赤色発光蛍光体であって、
MF:Mn4+(VI)、
式中、Aが、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せであり、Mが、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Al、Ga、In、Sc、Hf、Y、La、Nb、Ta、Bi、Gd、又はそれらの組合せであり、xが、MFイオンの電荷の絶対値であり、yが、5、6又は7である、赤色発光蛍光体とを含む、蛍光体組成物。
【請求項12】
前記赤色発光蛍光体が、
(TiF):Mn4+、K(SnF):Mn4+、Cs(TiF):Mn4+、Rb(TiF):Mn4+、Cs(SiF):Mn4+、Rb(SiF):Mn4+、Na(SiF):Mn4+、Na(TiF):Mn4+、Na(ZrF):Mn4+、K(ZrF):Mn4+、K(BiF):Mn4+、K(YF):Mn4+、K(LaF):Mn4+、K(GdF):Mn4+、K(NbF):Mn4+又はK(TaF):Mn4+を含む、請求項11に記載の蛍光体組成物。
【請求項13】
前記赤色発光蛍光体が、KSiF:Mn4+である、請求項11に記載の蛍光体組成物。
【請求項14】
前記赤色発光蛍光体が、金属フッ化物又はシリカを含む表面コーティングで少なくとも部分的にコーティングされている、請求項11に記載の蛍光体組成物。
【請求項15】
前記金属フッ化物が、MgF、CaF、SrF、BaF、AgF、ZnF、AlF、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項14に記載の蛍光体組成物。
【請求項16】
前記ウラン系蛍光体及び前記赤色発光蛍光体が、約0.1μm~約15μmのD50粒径を有する、請求項11に記載の蛍光体組成物。
【請求項17】
請求項1又は請求項8に記載の前記ウラン系蛍光体と、少なくとも1つの他の発光材料とを含む蛍光体組成物。
【請求項18】
前記少なくとも1つの他の発光材料が、[Ba,Sr,Ca]SiO:Eu2+、[Y,Gd,Lu,Tb][Al,Ga]12:Ce3+、β-SiAlON:Eu2+、[Sr,Ca,Ba][Ga,Al]:Eu2+、[Li,Ca]α-SiAlON:Eu2+、[Ba,Sr,Ca]Si:Eu2+、[Ca,Sr]AlSiN:Eu2+、[Ba,Sr,Ca]LiAl:Eu2+、[Sr,Ca,Mg]S:Eu2+、KSiF:Mn4+、燐光性染料、カラーフィルタ顔料、散乱粒子、ポリフルオレン、又は量子ドット材料を含む、請求項17に記載の蛍光体組成物。
【請求項19】
前記量子ドット材料がペロブスカイト量子ドットを含む、請求項18に記載の蛍光体組成物。
【請求項20】
請求項1又は請求項8に記載の前記ウラン系蛍光体に放射的及び/又は光学的に結合されたLED光源を含む、デバイス。
【請求項21】
式VIを有する赤色発光蛍光体であって、
MF:Mn4+(VI)
式中、Aが、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せであり、Mが、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Al、Ga、In、Sc、Hf、Y、La、Nb、Ta、Bi、Gd、又はそれらの組合せであり、xが、MFイオンの電荷の絶対値であり、yが、5、6又は7である、赤色発光蛍光体を更に含む、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
[Ba,Sr,Ca]SiO:Eu2+、[Y,Gd,Lu,Tb][Al,Ga]12:Ce3+、β-SiAlON:Eu2+、[Sr,Ca,Ba][Ga,Al]:Eu2+、[Li,Ca]α-SiAlON:Eu2+、[Ba,Sr,Ca]Si:Eu2+、[Ca,Sr]AlSiN:Eu2+、[Ba,Sr,Ca]LiAl:Eu2+、[Sr,Ca,Mg]S:Eu2+、KSiF:Mn4+、ポリフルオレン、又は量子ドット材料を含む少なくとも1つの他の発光材料を更に含む、請求項20に記載のデバイス。
【請求項23】
前記ウラン系蛍光体及び前記少なくとも1つの他の発光材料が、フィルムの形態であり、前記LED光源から離れて配置されている、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記少なくとも1つの他の発光材料が量子ドット材料を更に含み、前記フィルムが多層構造であり、前記多層構造の各層が少なくとも1つの蛍光体又は量子ドット材料を含む、請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
請求項20に記載のデバイスを備える、照明装置。
【請求項26】
請求項20に記載のデバイスを備える、バックライト装置。
【請求項27】
請求項20に記載のデバイスを備える、ディスプレイ装置。
【請求項28】
前記LED光源が、ミニLED又はマイクロLEDである、請求項20に記載のデバイス。
【請求項29】
請求項26に記載のバックライト装置を備える、テレビ。
【請求項30】
請求項26に記載のバックライト装置を備える、携帯電話。
【請求項31】
請求項26に記載のバックライト装置を備える、コンピュータモニタ。
【請求項32】
請求項26に記載のバックライト装置を備える、ラップトップ。
【請求項33】
請求項26に記載のバックライト装置を備える、タブレットコンピュータ。
【請求項34】
請求項26に記載のバックライト装置を備える、自動車用ディスプレイ。
【請求項35】
請求項20に記載のデバイスを備える、園芸照明装置。
【請求項36】
式VIの赤色発光蛍光体であって、
MF:Mn4+(VI)
式中、Aが、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せであり、Mが、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Al、Ga、In、Sc、Hf、Y、La、Nb、Ta、Bi、Gd、又はそれらの組合せであり、xが、MFイオンの電荷の絶対値であり、yが、5、6又は7である、赤色発光蛍光体を更に含む、請求項35に記載の園芸照明装置。
【請求項37】
園芸照明用の蛍光体パッケージであって、前記蛍光体パッケージが、請求項1又は請求項8に記載のウラン系蛍光体を含む蛍光体材料を含む、園芸照明用の蛍光体パッケージ。
【請求項38】
式VIを有する赤色蛍光体であって、
MF:Mn4+(VI)
式中、Aが、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せであり、Mが、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Al、Ga、In、Sc、Hf、Y、La、Nb、Ta、Bi、Gd、又はそれらの組合せであり、xが、MFイオンの電荷の絶対値であり、yが、5、6又は7である、赤色蛍光体を更に含む、請求項37に記載の園芸照明用の蛍光体パッケージ。
【請求項39】
前記ウラン系蛍光体及び前記赤色蛍光体が、約0.1ミクロン~約5ミクロンの粒径を有し、フィルム又はシートに分散されている、請求項38に記載の蛍光体パッケージ。
【請求項40】
前記活性化剤イオンがSm3+又はPr3+である、請求項37に記載の蛍光体パッケージ。
【請求項41】
前記ウラン系蛍光体が、約0.1ミクロン~約5ミクロンの粒径を有し、フィルム又はシートに分散されている、請求項37に記載の蛍光体パッケージ。
【請求項42】
前記対イオンが、前記活性化剤イオンと同程度の量で存在する、請求項7に記載のウラン系蛍光体。
【請求項43】
(i)式VIIを有する蛍光体であって、
[Ba 1-a-b Sr Ca [Mg,Zn] (UO ([P,V]O 2(x+y+z)/3 (VII)
前記式VIIを有する蛍光体が、Sn 2+ 、Sb 3+ 、Er 3+ 、Tm 3+ 、Yb 3+ 、Ho 3+ 、及びそれらの混合物からなる群から選択される活性化剤イオンがドープされており、式中、0≦a≦1、0≦b≦1、0.75≦x≦1.25、0.75≦y≦1.25、及び0.75≦z≦1.25である蛍光体、
(ii)式VIIを有する蛍光体であって、前記式VIIを有する蛍光体が、Eu 3+ 、Tb 3+ 、Dy 3+ 、Ce 3+ 、Mn 2+ 、Nd 3+ 、Gd 3+ 、Bi 3+ 、及びそれらの混合物からなる群から選択される活性化剤イオンがドープされており、式中、0≦a≦1、0≦b≦1、0.75≦x≦1.25、0.75≦y≦1.25、及び0.75≦z≦1.25である蛍光体、
(iii)式VIIを有する蛍光体であって、前記式VII又はVIIIを有する蛍光体が、Eu 3+ 、Sm 3+ 、Tb 3+ 、Dy 3+ 、Ce 3+ 、Yb 3+ 、及びそれらの混合物からなる群から選択される活性化剤イオン、並びに1つ又は複数のアルカリ金属イオンを含む対イオンがドープされている蛍光体、
(iv)式VIIIを有する蛍光体であって、
[Ba 1-a-b Sr Ca (UO [P,V] (2p+2q+5r)/2 (VIII)
前記式VIIIを有する蛍光体が、Tb 3+ 、Dy 3+ 、又はそれらの混合物を含み、式中、0≦a≦1、0≦b≦1、2.5≦p≦3.5、1.75≦q≦2.25、及び3.5≦r≦4.5である活性化剤イオン、並びに1つ又は複数のアルカリ金属イオンを含む対イオンがドープされている蛍光体、
(v)式IXを有する蛍光体であって、
UO [P,V] (IX)
前記式IXを有する蛍光体が、Tb 3+ 、Dy 3+ 、又はそれらの混合物からなる群から選択される活性化剤イオンがドープされており、式中、Aが、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せである蛍光体
からなる群から選択されるウラン系蛍光体。
【請求項44】
前記式VII又はVIIIを有する蛍光体が、Ba (PO (UO 、BaZnUO (PO 、BaMgUO (PO 、及び
からなる群から選択され、前記式IXを有する蛍光体が、Na UO 、K UO 、Rb UO 、及びCs UO からなる群から選択される、請求項43に記載のウラン系蛍光体。
【請求項45】
前記活性化剤イオンが、約0.1モル%~約10モル%の量で存在する、請求項43に記載のウラン系蛍光体。
【請求項46】
前記ウラン系蛍光体が、(i)式VIIを有する蛍光体であって、前記式VIIを有する蛍光体が、Sn 2+ 、Sb 3+ 、Er 3+ 、Tm 3+ 、Yb 3+ 、Ho 3+ 、及びそれらの混合物からなる群から選択される活性化剤イオンがドープされており、式中、0≦a≦1、0≦b≦1、0.75≦x≦1.25、0.75≦y≦1.25、及び0.75≦z≦1.25である、請求項43に記載のウラン系蛍光体。
【請求項47】
前記ウラン系蛍光体が、(iii)式VIIを有する蛍光体であって、前記式VII又はVIIIを有する蛍光体が、Eu 3+ 、Sm 3+ 、Tb 3+ 、Dy 3+ 、Ce 3+ 、Yb 3+ 、及びそれらの混合物からなる群から選択される活性化剤イオン、並びに1つ又は複数のアルカリ金属イオンを含む対イオンがドープされている蛍光体である、請求項43に記載のウラン系蛍光体。
【請求項48】
前記1つ又は複数のアルカリ金属イオンが、Li 、Na 、K 、Rb 及びCs からなる群から選択される、請求項47に記載のウラン系蛍光体。
【請求項49】
前記活性化剤イオンが約0.1モル%~約10モル%の量で存在し、前記対イオンが前記活性化剤イオンと同程度の量で存在する、請求項47に記載のウラン系蛍光体。
【請求項50】
請求項43に記載の前記ウラン系蛍光体と、式Xを有する赤色発光蛍光体であって、
MF :Mn 4+ (X)、
式中、Aが、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せであり、Mが、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Al、Ga、In、Sc、Hf、Y、La、Nb、Ta、Bi、Gd、又はそれらの組合せであり、xが、MF イオンの電荷の絶対値であり、yが、5、6又は7である、赤色発光蛍光体とを含む、蛍光体組成物。
【請求項51】
前記赤色発光蛍光体が、
(TiF ):Mn 4+ 、K (SnF ):Mn 4+ 、Cs (TiF ):Mn 4+ 、Rb (TiF ):Mn 4+ 、Cs (SiF ):Mn 4+ 、Rb (SiF ):Mn 4+ 、Na (SiF ):Mn 4+ 、Na (TiF ):Mn 4+ 、Na (ZrF ):Mn 4+ 、K (ZrF ):Mn 4+ 、K (BiF ):Mn 4+ 、K (YF ):Mn 4+ 、K (LaF ):Mn 4+ 、K (GdF ):Mn 4+ 、K (NbF ):Mn 4+ 又はK (TaF ):Mn 4+ を含む、請求項50に記載の蛍光体組成物。
【請求項52】
前記赤色発光蛍光体が、K SiF :Mn 4+ である、請求項50に記載の蛍光体組成物。
【請求項53】
前記赤色発光蛍光体が、金属フッ化物又はシリカを含む表面コーティングで少なくとも部分的にコーティングされている、請求項50に記載の蛍光体組成物。
【請求項54】
前記金属フッ化物が、MgF 、CaF 、SrF 、BaF 、AgF、ZnF 、AlF 、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項53に記載の蛍光体組成物。
【請求項55】
前記ウラン系蛍光体及び前記赤色発光蛍光体が、約0.1μm~約15μmのD50粒径を有する、請求項50に記載の蛍光体組成物。
【請求項56】
請求項43に記載の前記ウラン系蛍光体と、少なくとも1つの他の発光材料とを含む蛍光体組成物。
【請求項57】
前記少なくとも1つの他の発光材料が、[Ba,Sr,Ca] SiO :Eu 2+ 、[Y,Gd,Lu,Tb] [Al,Ga] 12 :Ce 3+ 、β-SiAlON:Eu 2+ 、[Sr,Ca,Ba][Ga,Al] :Eu 2+ 、[Li,Ca]α-SiAlON:Eu 2+ 、[Ba,Sr,Ca] Si :Eu 2+ 、[Ca,Sr]AlSiN :Eu 2+ 、[Ba,Sr,Ca]LiAl :Eu 2+ 、[Sr,Ca,Mg]S:Eu 2+ 、K SiF :Mn 4+ 、燐光性染料、カラーフィルタ顔料、散乱粒子、ポリフルオレン、又は量子ドット材料を含む、請求項56に記載の蛍光体組成物。
【請求項58】
前記量子ドット材料がペロブスカイト量子ドットを含む、請求項57に記載の蛍光体組成物。
【請求項59】
請求項43に記載の前記ウラン系蛍光体に放射的及び/又は光学的に結合されたLED光源を含む、デバイス。
【請求項60】
式Xを有する赤色発光蛍光体であって、
MF :Mn 4+ (X)
式中、Aが、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せであり、Mが、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Al、Ga、In、Sc、Hf、Y、La、Nb、Ta、Bi、Gd、又はそれらの組合せであり、xが、MF イオンの電荷の絶対値であり、yが、5、6又は7である、赤色発光蛍光体を更に含む、請求項59に記載のデバイス。
【請求項61】
[Ba,Sr,Ca] SiO :Eu 2+ 、[Y,Gd,Lu,Tb] [Al,Ga] 12 :Ce 3+ 、β-SiAlON:Eu 2+ 、[Sr,Ca,Ba][Ga,Al] :Eu 2+ 、[Li,Ca]α-SiAlON:Eu 2+ 、[Ba,Sr,Ca] Si :Eu 2+ 、[Ca,Sr]AlSiN :Eu 2+ 、[Ba,Sr,Ca]LiAl :Eu 2+ 、[Sr,Ca,Mg]S:Eu 2+ 、K SiF :Mn 4+ 、ポリフルオレン、又は量子ドット材料を含む少なくとも1つの他の発光材料を更に含む、請求項60に記載のデバイス。
【請求項62】
前記ウラン系蛍光体及び前記少なくとも1つの他の発光材料が、フィルムの形態であり、前記LED光源から離れて配置されている、請求項61に記載のデバイス。
【請求項63】
前記少なくとも1つの他の発光材料が量子ドット材料を更に含み、前記フィルムが多層構造であり、前記多層構造の各層が少なくとも1つの蛍光体又は量子ドット材料を含む、請求項62に記載のデバイス。
【請求項64】
請求項59に記載のデバイスを備える、照明装置。
【請求項65】
請求項59に記載のデバイスを備える、バックライト装置。
【請求項66】
請求項59に記載のデバイスを備える、ディスプレイ装置。
【請求項67】
前記LED光源が、ミニLED又はマイクロLEDである、請求項59に記載のデバイス。
【請求項68】
請求項65に記載のバックライト装置を備える、テレビ。
【請求項69】
請求項65に記載のバックライト装置を備える、携帯電話。
【請求項70】
請求項65に記載のバックライト装置を備える、コンピュータモニタ。
【請求項71】
請求項65に記載のバックライト装置を備える、ラップトップ。
【請求項72】
請求項65に記載のバックライト装置を備える、タブレットコンピュータ。
【請求項73】
請求項65に記載のバックライト装置を備える、自動車用ディスプレイ。
【請求項74】
請求項59に記載のデバイスを備える、園芸照明装置。
【請求項75】
式Xの赤色発光蛍光体であって、
MF :Mn 4+ (X)
式中、Aが、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せであり、Mが、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Al、Ga、In、Sc、Hf、Y、La、Nb、Ta、Bi、Gd、又はそれらの組合せであり、xが、MF イオンの電荷の絶対値であり、yが、5、6又は7である、赤色発光蛍光体を更に含む、請求項74に記載の園芸照明装置。
【請求項76】
園芸照明用の蛍光体パッケージであって、前記蛍光体パッケージが、請求項43に記載のウラン系蛍光体を含む蛍光体材料を含む、園芸照明用の蛍光体パッケージ。
【請求項77】
式Xの赤色発光蛍光体であって、
MF :Mn 4+ (X)
式中、Aが、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組合せであり、Mが、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Al、Ga、In、Sc、Hf、Y、La、Nb、Ta、Bi、Gd、又はそれらの組合せであり、xが、MF イオンの電荷の絶対値であり、yが、5、6又は7である、赤色発光蛍光体を更に含む、請求項76に記載の蛍光体パッケージ。
【請求項78】
前記ウラン系蛍光体及び前記赤色蛍光体が、約0.1ミクロン~約5ミクロンの粒径を有し、フィルム又はシートに分散されている、請求項77に記載の蛍光体パッケージ。
【国際調査報告】