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特表2024-540865寛容化ナノ粒子による原発性胆汁性胆管炎(PBC)の治療
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】寛容化ナノ粒子による原発性胆汁性胆管炎(PBC)の治療
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/43 20060101AFI20241029BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20241029BHJP
   C12N 15/53 20060101ALI20241029BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20241029BHJP
   C07K 14/47 20060101ALN20241029BHJP
【FI】
A61K38/43
A61P1/16 ZNA
C12N15/53
G01N33/53 K
C07K14/47
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522113
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(85)【翻訳文提出日】2024-04-11
(86)【国際出願番号】 US2022078545
(87)【国際公開番号】W WO2023070104
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】63/270,447
(32)【優先日】2021-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/369,574
(32)【優先日】2022-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】515245424
【氏名又は名称】クール ファーマシューティカルズ ディベロップメント カンパニー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】プイシス,ジョン,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ボイン,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ウォダルチク,グレタ
(72)【発明者】
【氏名】エルホフィ,アダム
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA44
4C084DC01
4C084MA17
4C084MA52
4C084MA56
4C084MA59
4C084MA65
4C084MA66
4C084NA14
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA18
4H045CA40
4H045DA86
4H045DA89
4H045EA22
(57)【要約】
【課題】
原発性胆汁性胆管炎(PBC)を治療する方法。
【解決手段】
本開示は、原発性胆汁性胆管炎(PBC)を、PBC関連抗原を封入する寛容化免疫修飾ナノ粒子を使用して治療する方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における原発性胆汁性胆管炎(PBC)を治療する方法であって、1つ以上のPBC抗原を封入する寛容化免疫修飾粒子(TIMP-PBC)を前記対象に投与することを含み、TIMP-PBCが、約0.01mg/kg~12mg/kgの用量レベルで投与される、方法。
【請求項2】
前記PBC抗原が、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体E-2(PDC-E2)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記PBC抗原が、PDC-E2アミノ酸残基155~185(PBC155~185)(配列番号1)を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記PBC抗原が、PBC155~185ペプチド(配列番号1)である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記TIMP-PBC粒子が、100nm~1500nmの平均直径を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記TIMP-PBC粒子が、負のゼータ電位を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記粒子が、-30mV~-100mVの負のゼータ電位を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
TIMP-PBCが、約0.005mg/mL~約50mg/mL、任意選択的に、約0.05mg/mL、0.1mg/mL、0.5mg/mL、1mg/mL、2mg/mL、3mg/mL、3.25mg/mL、3.5mg/mL、4mg/mL、5mg/mL、6mg/mL、7mg/mL、8mg/mL、9mg/mL、10mg/mL、11mg/mL、12.5mg/mL、15mg/mL、17.5mg/mL、20mg/mL、25mg/mL、30mg/mL、40mg/mL、又は50mg/mLの濃度で投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
TIMP-PBCが、約0.01mg/kg、0.05mg/kg、0.1mg/kg、0.25mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、6mg/kg、8.0mg/kg、10mg/kg、又は12mg/kgの用量レベルで投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
TIMP-PBCが、約1mg~800mgの用量レベルで投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
TIMP-PBCが、約1mg、2mg、5mg、10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、又は800mgの用量で投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
TIMP-PBCが、単回用量又は複数回用量で投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
TIMP-PBCが、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、6ヶ月に1回、又は1年に1回投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
TIMP-PBCが、1週間間隔の2用量で投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
TIMP-PBCが、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、又は経口投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
TIMP-PBCを対象に投与することが、PBCの1つ以上の症状を軽減又は改善する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記PBCの1つ以上の症状が、肝臓炎、肝硬変、胆汁鬱滞、肝機能障害、肝不全、肝線維症、肝臓免疫浸潤の増加、胆汁酸レベルの上昇、肝臓酵素レベルの上昇、(ALT、ALP、AST、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ)、ビリルビンレベルの上昇、循環抗ミトコンドリア抗体(AMA)、循環抗核抗体(ANA)、疲労、皮膚の痒み、掻痒、目及び口の乾燥、腹痛、脾腫、筋骨格痛、浮腫、体液の蓄積、皮膚黄色腫、黄疸、色素沈着過度、骨粗鬆症、高コレステロール、下痢、脂肪便、甲状腺機能低下症、及び体重減少からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
TIMP-PBCを対象に投与することが、PBC抗原に対する炎症性免疫応答の持続時間及び/又は重症度を低下させる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記炎症性免疫応答が、T細胞、B細胞、又は骨髄性細胞応答である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記炎症性免疫応答が、前記対象から得られた1つ以上の生体試料からアッセイされる、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記生体試料が、全血、末梢血、末梢血単核細胞(PBMC)、血清、血漿、尿、脳脊髄液(CSF)、便、組織生検、及び/又は骨髄生検からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記組織生検が、肝生検である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記肝生検が、コア肝生検である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
TIMP-PBCを対象に投与することが、活性化抗原特異的T細胞のレベルを低下させる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
TIMP-PBCを対象に投与することが、活性化抗原特異的CD4+及び/又はCD8+T細胞のレベルを低下させる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
TIMP-PBCを対象に投与することが、肝臓におけるT細胞浸潤のレベルを低下させる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
TIMP-PBCによる治療が、肝臓免疫浸潤を約5%~100%又は約2~100分の1に減少させる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
TIMP-PBCを対象に投与することが、血液中の抗ミトコンドリア抗体のレベルを低下させる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
TIMP-PBCによる治療が、前記対象のベースライン測定値に対して、及び/又は健康な対象に対して、前記抗ミトコンドリア抗体のレベルを約5%~100%又は約2~100分の1に減少させる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
TIMP-PBCを対象に投与することが、血液中の抗核抗体のレベルを低下させる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
TIMP-PBCによる治療が、前記対象のベースライン測定値に対して、及び/又は健康な対象に対して、前記抗核抗体のレベルを約5%~100%又は約2~100分の1に減少させる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
TIMP-PBCを対象に投与することが、血液中のIgMのレベルを低下させる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
TIMP-PBCによる治療が、前記対象のベースライン測定値に対して、及び/又は健康な対象に対して、前記IgMのレベルを約5%~100%又は約2~100分の1に減少させる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
TIMP-PBCを対象に投与することが、血液中の抗Gp210抗体のレベルを低下させる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
TIMP-PBCを対象に投与することが、血液中の抗Sp100抗体のレベルを低下させる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
TIMP-PBCを対象に投与することが、血液中のキヌレニンのレベルを低下させる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
TIMP-PBCを対象に投与することが、血液中の可溶性CD14のレベルを低下させる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
TIMP-PBCによる治療が、前記対象のベースライン測定値に対して、及び/又は健康な対象に対して、前記抗Gp210抗体、抗Sp100抗体、キヌレニン、及び/又はCD14のレベルを、約5%~100%又は約2~100分の1に減少させる、請求項34~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
PBCの1つ以上の症状の改善が、PBC-40スケール、改良肝線維症(ELF)スコア、PBC-27スケール、GLOBEスケール、UK-PBCスケール、1日平均最悪痒みスケール、5-D痒みスケール、視覚的アナログスケール(VAS)、Scheuer病期分類、中沼病期分類、線維症スコア、胆管損失スコア、FIB-4指数、又はAPRIを使用して決定される、請求項16に記載の方法。
【請求項40】
TIMP-PBCを対象に投与することが、肝線維症を軽減する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
肝線維症が、肝生検から評価される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
肝線維症が、イメージングによって評価される、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
肝線維症が、FibroScan、超音波検査、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴画像法(MRI)、磁気共鳴エラストグラフィー(MRA)、超音波エラストグラフィー、トランジェントエラストグラフィー、点せん断波エラストグラフィー、又は二次元せん断波エラストグラフィーによって評価される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
TIMP-PBCによる治療が、前記肝線維症を約5%~100%又は約2~100分の1に減少させる、請求項40~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
TIMP-PBCを対象に投与することが、凝固プロファイルを変化させる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記凝固プロファイルが、活性化部分トロンボプラスチン時間[aPTT]、プロトロンビン時間[PT]、国際正規化比[INR]からなる、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
TIMP-PBCを投与することが、代替療法の使用を低下させる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記療法が、ステロイド、コルチコステロイド、非ステロイド性免疫抑制剤、免疫調節剤、モノクローナル抗体、サイトカイン及びケモカイン標的療法、JAK阻害剤、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法、調節性T細胞(Treg)療法、B細胞標的療法、抗ウイルス薬、合成胆汁酸、並びに外科的治療からなる群から選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記療法が、ウルソデオキシコール酸(UDCA)、オベチコール酸(OCA)、フィブラート、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δ(pparδ)アゴニスト、回腸胆汁酸トランスポーター(IBAT)阻害剤、タウロウルソデオキシコール酸、6α-エチルケノデオキシコール酸、セタナキシブ、モエキシプリル、アバタセプト、線維芽細胞増殖因子、スタチン、コルチコーン、ウステキヌマブ、CD20標的療法、CD19標的療法、CD40/CD40L標的療法、CD80/CD86標的療法、B細胞標的因子(BAFF)標的療法、B細胞成熟抗原(BCMA)標的療法、抗IL6療法、抗IFN療法、アミファンプリジン、シクロスポリン、シクロホスファミド、バトクリマブ、イネビリズマブ、ニポカリマブ、ポゼリマブ、リツキシマブ、サトラリズマブ、セラデルパール、ペントキシフィリン、トシリズマブ、トファシチニブ、トレブルチニブ、アボルスタチン、フェノフィブラート、ベザフィブラート、リネリキシバット、メトトレキサート、酪酸塩、パルミチン酸塩、肝臓移植、ベクロメタゾン、シクルソニド、フルチカゾンフロアトル、モメタゾン、ブデノシド、フルチカゾン、トリアムシノロン、ロテプレドノール、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、又はヒドロコルチゾンである、請求項47又は48に記載の方法。
【請求項50】
TIMP-PBCの投与が、前記対象における代替PBC療法の使用を1%~100%減少させる、請求項47~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
TIMP-PBCが、単独で、又はPBC治療薬と組み合わせて投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記治療薬が、ステロイド、コルチコステロイド、非ステロイド性免疫抑制剤、免疫調節剤、モノクローナル抗体、サイトカイン及びケモカイン標的療法、JAK阻害剤、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法、調節性T細胞(Treg)療法、B細胞標的療法、抗ウイルス薬、合成胆汁酸、並びに外科的治療からなる群から選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記治療薬が、ウルソデオキシコール酸(UDCA)、オベチコール酸(OCA)、フィブラート、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δ(pparδ)アゴニスト、回腸胆汁酸トランスポーター(IBAT)阻害剤、ウステキヌマブ、タウロウルソデオキシコール酸、6α-エチルケノデオキシコール酸、セタナキシブ、モエキシプリル、アバタセプト、線維芽細胞増殖因子、スタチン、コルチコーン、CD20標的療法、CD19標的療法、CD40/CD40L標的療法、CD80/CD86標的療法、B細胞標的因子(BAFF)標的療法、B細胞成熟抗原(BCMA)標的療法、抗IL6療法、抗IFN療法、アミファンプリジン、シクロスポリン、シクロホスファミド、バトクリマブ、イネビリズマブ、ニポカリマブ、ポゼリマブ、リツキシマブ、サトラリズマブ、セラデルパール、ペントキシフィリン、トシリズマブ、トファシチニブ、トレブルチニブ、アボルスタチン、フェノフィブラート、ベザフィブラート、リネリキシバット、メトトレキサート、酪酸塩、パルミチン酸塩、肝臓移植、ベクロメタゾン、シクルソニド、フルチカゾンフロアトル、モメタゾン、ブデノシド、フルチカゾン、トリアムシノロン、ロテプレドノール、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、及びヒドロコルチゾンからなる群から選択される、請求項51又は52に記載の方法。
【請求項54】
前記治療薬が、TIMP-PBCの投与の前に、それに随伴して、又はそれに続いて投与される、請求項51~53のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月21日に出願された米国仮特許出願第63/270,447号及び2022年7月27日に出願された米国仮特許出願第63/369,574号の優先権を主張し、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、原発性胆汁性胆管炎(PBC)を、PBC関連抗原を封入する寛容化免疫修飾ナノ粒子を使用して治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
原発性胆汁性胆管炎(PBC)は、原発性胆汁性肝硬変とも称され、まれな肝臓自己免疫疾患である。PBCは女性により頻繁に影響を及ぼし、推定罹患率は、米国内で女性100万人当たり約580人である。PBCは、自己反応性T細胞及びB細胞を介した肝内胆管の免疫媒介性破壊によって特徴付けられ、胆汁鬱滞(胆汁流の減少又は停止)をもたらし、進行性の経過をたどり、最終的に末期肝疾患をもたらす2、3
【0004】
PBCにおける自己免疫活性は、主に細胞内タンパク質(例えば、ミトコンドリアタンパク質及び核タンパク質)を標的とし、約95%の患者が循環抗ミトコンドリア抗体を示す4、5。PBCの症状には、肝臓内の有毒な胆汁酸の蓄積、肝臓の酵素レベルの異常、肝機能障害、肝線維症、肝硬変、骨の痛み、疲労、痒み、並びに目及び口の乾燥が含まれる。
【0005】
PBCの治療法は存在しない。PBCの現在の治療標準は、胆汁酸合成の調節因子(例えば、ウルソデオキシコール酸(UDCA))に依存する6、7。現在の標準治療は、応答率の低い疾患病理につながる根本的な免疫不均衡に対処できない重大な副作用に関連している。これらの治療的アプローチは、疾患の進行及び肝臓移植までの時間を遅らせることしかできない。
【発明の概要】
【0006】
1つ以上の抗原を含む寛容化免疫修飾粒子(TIMP)は、抗原特異的免疫寛容の誘導を介した免疫媒介性障害(例えば、自己免疫疾患及びアレルギー)の治療のために以前に記載されている(参照により本明細書に組み込まれるWO2013/192532及びWO2015/023796)。自己免疫疾患及びアレルギーのいくつかの前臨床モデルにおいて、TIMPは、T細胞耐性を誘導する有効性を実証している。PBC特異的抗原(TIMP-PBC)を封入するTIMPを使用したPBC自己抗原に対する抗原特異的耐性の誘導は、PBCを改善、又は可能性として治癒し得る。
【0007】
対象におけるPBCを治療する方法であって、TIMP-PBCを対象に投与することを含み、TIMP-PBCは、対象の体重に基づいて決定された用量で投与される、方法が本明細書に提供される。種々の実施形態において、TIMP-PBCは、0.01~12mg/kgの用量で投与される。種々の実施形態において、TIMP-PBCは、1mg~800mgの固定用量で投与される。種々の実施形態では、TIMP-PBCは、約0.01~12mg/kg、約0.05~10mg/kg、約0.01~5mg/kg、約0.1~10mg/kg、約1~8mg/kg、約1.5~10mg/kg、約2~12mg/kg、約2~10mg/kg、約3~10mg/kg、約4~10mg/kg、約4~12mg/kg、又は約5~12mg/kgの用量で投与される。種々の実施形態において、TIMP-PBCは、約0.01mg/kg、0.05mg/kg、0.1mg/kg、0.25mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg、2.0mg/kg、3.0mg/kg、4.0mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、8.0mg/kg、10mg/kg、又は12mg/kgの用量で投与される。種々の実施形態において、TIMP-PBCは、約1mg、2mg、5mg、10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、又は800mgの固定用量で投与される。
【0008】
種々の実施形態において、TIMP-PBCは、1つ以上のPBC抗原又は抗原エピトープを封入する。種々の実施形態において、PBC抗原は、ミトコンドリアタンパク質である。種々の実施形態において、PBC抗原は核タンパク質である。種々の実施形態において、PBC抗原は、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体E2サブユニット(PDC-E2)、gp210、ヌクレオポリン62、Sp100、PML、CENP A、CENP B、CENP C、dsDNA、ヒストン、分岐鎖2オキソ酸デヒドロゲナーゼ複合体(BCOADC)、平滑筋タンパク質、可溶性肝抗原、肝臓/腎臓ミクロソーム、セントロメアタンパク質、チューブリン、アクチン、ビメンチン、デスミン、サイトケラチン、Fアクチン、UDPグルクロン酸転移酵素ファミリー1メンバーA複合体(UGTA1)、ホルムイミノトランスフェラーゼシクロデアミナーゼ、アシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)、カルジオリピン、h-Lamp-2、プロテイナーゼ3、CYP 2C9、CYP 2A6、及びCYP 450 2D6からなる群から選択される。
【0009】
種々の実施形態において、TIMP-PBCは、抗原エピトープを含むPDC-E2ペプチドを封入する。種々の実施形態において、TIMP-PBCは、アミノ酸配列KVGEKLSEGDLLAEIETDKATIGFEVQEEGY)(配列番号1)を有するPDC-E2アミノ酸155-185(PDC-E2155~185)を封入する。
【0010】
種々の実施形態において、TIMP-PBCは、単回用量又は複数回用量で投与される。種々の実施形態において、TIMP-PBCは、1週間間隔の2用量で投与される。種々の実施形態において、TIMP-PBCは、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、6ヶ月に1回、又は1年に1回投与される。
【0011】
種々の実施形態において、TIMP-PBCは、1つ以上のPBC抗原及び好適な緩衝剤又は賦形剤を封入するポリ(乳酸コ-グリコール酸)(PLGA)粒子からなる。種々の実施形態において、TIMP-PBC粒子は、表面官能化される。種々の実施形態において、TIMP-PBC粒子は、カルボキシル化によって表面官能化される。種々の実施形態において、TIMP-PBC粒子は、負のゼータ電位を有する。種々の実施形態において、TIMP-PBC粒子の負のゼータ電位は、約-100mV~約0mVである。種々の実施形態において、粒子のゼータ電位は、約-100mV~約-25mV、約-100~約-30mV、約-80mV~約-30mV、約-75mV~約-30mV、約-70mV~約-30mV、約-75~約-35mV、約-70~約-25mV、約-60mV~約-30mV、約-60mV~約-35mV、又は約-50mV~約-30mVである。種々の実施形態において、ゼータ電位は、約-25mV、-30mV、-35mV、-40mV、-45mV、-50mV、-55mV、-60mV、-65mV、-70mV、-75mV、-80mV、-85mV、-90mV、-95mV又は-100mVである。
【0012】
種々の実施形態において、TIMP-PBC粒子のサイズ又は直径は、0.05μm~約10μmである。種々の実施形態において、TIMP-PBC粒子の直径は、0.1μm~約10μmである。種々の実施形態において、TIMP-PBC粒子の直径は、0.1μm~約5μmである。種々の実施形態において、TIMP-PBC粒子の直径は、0.1μm~約3μmである。種々の実施形態において、TIMP-PBC粒子の直径は、0.3μm~約5μmである。種々の実施形態において、TIMP-PBC粒子の直径は、約0.3μm~約3μmである。種々の実施形態において、TIMP-PBC粒子の直径は、約0.3μm~約1μmである。種々の実施形態において、TIMP-PBC粒子の直径は、約0.4μm~約1μmである。種々の実施形態において、TIMP-PBC粒子は、約100~10000nm、約100~5000nm、約100~3000nm、約100~2000nm、約300~5000nm、約300~3000nm、約300~1000nm、約300~800nm、約400~800nm、又は約200~700nmの直径を有する。種々の実施形態において、TIMP-PBC粒子は、約50nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1000nm、1100nm、1200nm、1300nm、1400nm、1500nm、又は2000nmの直径を有する。種々の実施形態において、負に荷電した粒子の直径は、400nm~800nmである。
【0013】
種々の実施形態において、TIMP-PBCは、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、又は経口で投与される。
【0014】
種々の実施形態において、TIMP-PBCは、約0.005mg/mL~約50mg/mLの濃度で投与される。種々の実施形態において、TIMP-PBCは、約0.05mg/mL、0.1mg/mL、0.5mg/mL、1mg/mL、2mg/mL、3mg/mL、3.25mg/mL、3.5mg/mL、4mg/mL、5mg/mL、6mg/mL、7mg/mL、8mg/mL、9mg/mL、10mg/mL、11mg/mL、12.5mg/mL、15mg/mL、17.5mg/mL、20mg/mL、25mg/mL、30mg/mL、40mg/mL、又は50mg/mLの濃度で投与される。種々の実施形態において、TIMP-PBCは、約1、2、3、4、5、6、7、又は8時間持続する静脈内注入を介して投与される。
【0015】
種々の実施形態において、TIMP-PBCを、それを必要とする対象に投与することは、PBCの1つ以上の症状を緩和する。種々の実施形態において、PBCの症状は、肝臓炎、肝硬変、胆汁鬱滞、肝機能障害、肝不全、肝線維症、肝臓免疫浸潤の増加、胆汁酸レベルの上昇、肝臓酵素レベルの上昇、(ALT、ALP、AST、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ)、ビリルビンレベルの上昇、循環抗ミトコンドリア抗体(AMA)、循環抗核抗体(ANA)、疲労、皮膚の痒み、掻痒、目及び口の乾燥、腹痛、脾腫、筋骨格痛、浮腫、体液の蓄積、皮膚黄色腫、黄疸、色素沈着過度、骨粗鬆症、高コレステロール、下痢、脂肪便、甲状腺機能低下症、及び体重減少からなる群から選択される。
【0016】
種々の実施形態において、TIMP-PBCを、それを必要とする対象に投与することは、1つ以上のPBC抗原に対する炎症性免疫応答の持続期間及び重症度を低減する。種々の実施形態において、炎症性免疫応答は、T細胞応答、B細胞応答、Th1応答、骨髄性細胞応答、及び/又は抗体応答である。種々の実施形態において、PBCの1つ以上の症状を緩和する、及び/又は1つ以上のPBC抗原に対する炎症性免疫応答の持続期間及び重症度を低減するTIMP-PBCの有効性は、対象からの1つ以上の生体試料のアッセイから決定される。種々の実施形態において、生体試料は、全血、末梢血、末梢血単核細胞(PBMC)、血清、血漿、尿、脳脊髄液(CSF)、便、組織生検、及び/又は骨髄生検からなる群から選択される。
【0017】
種々の実施形態において、TIMP-PBCを対象に投与することは、活性化抗原特異的T細胞のレベルを低下させる。種々の実施形態において、TIMP-PBCを対象に投与することは、活性化された抗原特異的CD4+及び/又はCD8+T細胞のレベルを低下させる。
【0018】
種々の実施形態において、TIMP-PBCを対象に投与することは、肝臓におけるT細胞浸潤のレベルを低下させる。種々の実施形態において、TIMP-PBCによる治療は、肝臓免疫浸潤を約5%~100%又は約2~100分の1(これを含む)に減少させる。
【0019】
種々の実施形態において、TIMP-PBCを対象に投与することは、血液中の抗ミトコンドリア抗体のレベルを低下させる。種々の実施形態において、TIMP-PBCによる治療は、対象のベースライン測定値と比較して、及び/又は健康な対象と比較して、抗ミトコンドリア抗体のレベルを約5%~100%又は約2~100分の1(これを含む)に減少させる。
【0020】
種々の実施形態において、TIMP-PBCを対象に投与することは、血液中の抗核抗体のレベルを低下させる。種々の実施形態において、TIMP-PBCによる治療は、対象のベースライン測定値に対して及び/又は健康な対象に対して、抗核抗体のレベルを約5%~100%又は約2~100分の1(これを含む)に減少させる。
【0021】
種々の実施形態において、TIMP-PBCを対象に投与することは、血液中のIgMのレベルを低下させる。種々の実施形態において、TIMP-PBCによる治療は、対象のベースライン測定値に対して及び/又は健康な対象に対して、IgMのレベルを約5%~100%又は約2~100分の1に減少させる。
【0022】
種々の実施形態において、TIMP-PBCを対象に投与することは、血液中の抗Gp210抗体、抗Sp100抗体、キヌレニン及び/又は可溶性CD14のレベルを低下させる。種々の実施形態において、TIMP-PBCによる治療は、対象のベースライン測定値に対して、及び/又は健康な対象に対して、抗Gp210抗体、抗Sp100抗体、キヌレニン、及び/又はCD14のレベルを、約5%~100%又は約2~100分の1に減少させる。
【0023】
種々の実施形態において、本開示は、PBC又はPBC関連症状の治療を必要とする対象において、PBC又はPBC関連症状を治療する方法であって、TIMP-PBCを単独で、又はPBCの治療に有用な治療薬と組み合わせて含む組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。種々の実施形態において、PBCを治療するのに有用な治療薬は、ステロイド、コルチコステロイド、非ステロイド性免疫抑制剤、免疫調節剤、モノクローナル抗体、サイトカイン及びケモカイン標的療法、JAK阻害剤、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法、調節性T細胞(Treg)療法、B細胞標的療法、抗ウイルス薬、合成胆汁酸、又は外科的治療である。種々の実施形態において、治療剤は、ウルソデオキシコール酸(UDCA)であり、オベチコール酸(OCA)、フィブラート、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δ(pparδ)アゴニスト、回腸胆汁酸トランスポーター(IBAT)阻害剤、ウステキヌマブ、タウロウルソデオキシコール酸、6α-エチルケノデオキシコール酸、セタナキシブ、モエキシプリル、アバタセプト、線維芽細胞増殖因子、スタチン、コルチコーン(colchicone)、CD20標的療法、CD19標的療法、CD40/CD40L標的療法、CD80/CD86標的療法、B細胞標的因子(BAFF)標的療法、B細胞成熟抗原(BCMA)標的療法、抗IL6療法、抗IFN療法、アミファンプリジン、シクロスポリン、シクロホスファミド、バトクリマブ、イネビリズマブ、ニポカリマブ、ポゼリマブ、リツキシマブ、サトラリズマブ、セラデルパール、ペントキシフィリン、トシリズマブ、トファシチニブ、トレブルチニブ、アボルスタチン、フェノフィブラート、ベザフィブラート、リネリキシバット、メトトレキサート、酪酸塩、パルミチン酸塩、又は肝臓移植である。種々の実施形態において、ステロイド又はコルチコステロイドは、ベクロメタゾン、シクルソニド、フルチカゾンフロアトル、モメタゾン、ブデノシド、フルチカゾン、トリアムシノロン、ロテプレドノール、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、又はヒドロコルチゾンを含む群から選択される。
【0024】
種々の実施形態において、治療剤は、TIMP-PBCの投与の前に、それに随伴して、又はそれに続いて投与される。種々の実施形態において、治療剤は、TIMP-PBCの投与の1、2、3、4、5、6、又は7日前に投与される。種々の実施形態において、治療剤は、TIMP-PBCの投与の1、2、3、又は4週間前に投与される。種々の実施形態において、治療剤は、TIMP-PBCの投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12ヶ月前に投与される。種々の実施形態において、治療剤は、TIMP-PBCの投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12年前に投与される。種々の実施形態において、治療剤は、TIMP-PBCの投与の1、2、3、4、5、6、又は7日後に投与される。種々の実施形態において、治療剤は、TIMP-PBCの投与の1、2、3、又は4週間後に投与される。種々の実施形態において、治療剤は、TIMP-PBCの投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12ヶ月後に投与される。種々の実施形態において、治療剤は、TIMP-PBCの投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12年後に投与される。
【0025】
原発性胆汁性胆管炎の治療に使用するための、本明細書に記載のTIMP-PBCを含む組成物も企図される。種々の実施形態において、本開示は、原発性胆汁性胆管炎を治療するための薬剤の調製における、本明細書に記載のTIMP-PBCを含む組成物の使用を提供する。
【0026】
本明細書で説明される各特徴又は実施形態、又は組み合わせは、本発明の態様のいずれかの非限定的な例示的な例であり、したがって、本明細書で説明される任意の他の特徴又は実施形態、又は組み合わせと組み合わせることができることを意味することが理解される。例えば、特徴が「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「ある特定の実施形態」、「更なる実施形態」、「特定の例示的な実施形態」、及び/又は「別の実施形態」などの言語で説明される場合、これらのタイプの実施形態のそれぞれは、可能な全ての組み合わせをリストすることなく、本明細書で説明される任意の他の特徴、又は特徴の組み合わせと組み合わされることが意図される特徴の非限定的な例である。そのような特徴又は特徴の組み合わせは、本発明の態様のいずれかに適用される。範囲内に入る値の例が開示される場合、これらの例のいずれかは、範囲の可能なエンドポイントとして企図され、そのようなエンドポイント間の任意及び全ての数値が企図され、上限及び下限の任意及び全ての組み合わせが想定される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】CNP-104は、PBCマウスモデルにおける抗原特異的T細胞増殖を阻害する。CNP-104ロット2107GM07で治療したマウスのPDC-E2特異的T細胞増殖。CNP-104処理群のPDC-E2特異的T細胞増殖を、PBCマウスモデルにおける対照非装填CNP群と比較した。****は、p<0.0001を表す。
図2】CNP-104は、PBCマウスモデルにおける抗ミトコンドリアIgG抗体を阻害する。PDC-E2特異的IgG抗ミトコンドリア抗体(AMA)力価を、PDC-E2155-185でプライミングし、ELISAによってCNP-104又は対照非装填ナノ粒子(CNP)で治療したマウスから決定した。
図3A】CNP-104は、DTHモデルにおける抗原特異的T細胞応答を阻害する。C57BL/6マウスを、0日目にCFA中で乳化させたPDC-E2-ペプチドでプライミングした。プライミング後0日目及び7日目に、マウスを、2.5mg用量/マウス(10mg/kg HED)の用量でCNP104により治療した。プライミング後14日目に、マウスに、PDC-E2-ペプチド(単一ロット、図3A)又はオバルブミン(陰性対照)を皮内にチャレンジ投与した。PDC-E2-ペプチド及びOVAを用いて、誘発直後、並びに誘発24時間後に、各耳の耳介の厚さを測定した。各マウスの両耳の耳介の厚さ(ΔT)の変化を計算して、DTH応答を評価した。
図3B】CNP-104は、DTHモデルにおける抗原特異的T細胞応答を阻害する。C57BL/6マウスを、0日目にCFA中で乳化させたPDC-E2-ペプチドでプライミングした。プライミング後0日目及び7日目に、マウスを、2.5mg用量/マウス(10mg/kg HED)の用量でCNP104により治療した。プライミング後14日目に、マウスに、PDC-E2-ペプチド(複数ロット、図3B)又はオバルブミン(陰性対照)を皮内にチャレンジ投与した。PDC-E2-ペプチド及びOVAを用いて、誘発直後、並びに誘発24時間後に、各耳の耳介の厚さを測定した。各マウスの両耳の耳介の厚さ(ΔT)の変化を計算して、DTH応答を評価した。
図4】CNP-104は、PBCマウスモデルにおける肝臓における白血球浸潤を阻害する。肝臓における白血球(CD45+)浸潤のレベルを、PDC-E2155-185でプライミングしたマウスからフローサイトメトリーによって決定した。
図5】CNP-104は、肝臓における調節性T細胞を増加させる。実験開始当日(0日目)に、腹腔内注射(i.p.)によってウシ血清アルブミン(2OA-BSA)/CFAにコンジュゲートされた2-オクチノイン酸でマウスをプライミングした。2OA-BSA i.p.プライミングをIFAで14日目に繰り返した。0日目及び2日目に、マウスに、100ngの百日咳毒素をi.p.注射した。0日目及び14日目に、マウスに5mg/kgのポリ(I:C)を皮下注射した。7日目に、マウスをPDC-E2-ペプチド/CFAエマルションでプライミングした。マウスを、7日目及び14日目にCNP104で静脈内治療した。肝臓を、55日目にTregについて分析した。CNP104治療は、未処理の未治療対照と比較して、肝臓内のTregの頻度を増加させた。
図6A】CNP-104の安全性及び有効性を評価する臨床試験の事象のスケジュールである。
図6B】CNP-104の安全性及び有効性を評価する臨床試験の事象のスケジュールである。
図7】PBC患者のHLAハプロタイプ、抗ミトコンドリア抗体(AMA)の存在、及びPBC患者の70%の血液中のアルカリホスファターゼのレベルが、PDC-E2に対するHLAハプロタイプ制限を発現することを示す。PBC患者の70%及び76%は、それぞれ、AMAが陽性であり、ALPレベルが上昇している。
図8】多重免疫蛍光パネルを使用して肝生検から評価したCD4+T細胞、CD8+T細胞、及び胆道上皮細胞の細胞数を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
PBCにおける免疫の不均衡に対処するための治療法の必要性があり、毒性副作用のリスクなしに疾患症状の改善及び転帰の改善につながる。本開示は、免疫療法を受けた後のPBCを有する対象における免疫寛容の誘導及び維持をモニタリングするための方法論を提供する。
【0029】
本明細書の見出しは、読者の便宜のためであり、限定することを意図するものではない。本発明の更なる態様、実施形態、及び変形は、詳細な説明及び/又は図面及び/又は特許請求の範囲から明らかであろう。
【0030】
定義
特に明記しない限り、本明細書及び特許請求の範囲を含む、本出願で使用される以下の用語は、以下に与えられる定義を有する。
【0031】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、不定冠詞「a」及び「an」並びに定冠詞「the」は、文脈により明らかにそうではないと指示されない限り、複数及び単数の指示対象を含む。
【0032】
「約」又は「およそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値に対する許容誤差を意味し、それは、その値がどのように測定又は決定されるかに一部依存する。ある特定の実施形態において、「約」又は「およそ」という用語は、1、2、3、又は4標準偏差以内を意味する。ある特定の実施形態において、「約」又は「およそ」という用語は、所与の値又は範囲の30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、又は0.05%以内を意味する。2つ以上の数値の一連の第1の数値の前に「約」又は「およそ」という用語があるときはいつでも、「約」又は「およそ」という用語は、その一連の数値のそれぞれに適用されることが理解される。
【0033】
本明細書で使用される「粒子」は、物質の任意の非組織由来の組成物を指し、球体又は球状類似の実体、ビーズ、又はリポソームであってもよい。「粒子」という用語、「免疫修飾粒子」という用語、「担体粒子」という用語、及び「ビーズ」という用語は、文脈に応じて互換的に使用され得る。加えて、「粒子」という用語を使用して、ビーズ及び球体を包含し得る。
【0034】
本明細書で使用される「負に荷電した粒子」は、ゼロ未満である正味の表面電荷を有するように修飾された粒子を指す。
【0035】
「カルボキシル化粒子」又は「カルボキシル化ビーズ」又は「カルボキシル化球体」は、その表面にカルボキシル基を含有するように修飾された任意の粒子を含む。いくつかの実施形態において、カルボキシル基の添加は、例えば、MARCOなどのスカベンジャー受容体との相互作用を通じて、循環からの粒子の貪食細胞/単球取り込みを改良する。粒子のカルボキシル化は、カルボキシル基を添加する任意の化合物を使用して達成することができる。
【0036】
本明細書で使用される場合、「Th細胞」又は「ヘルパーT細胞」という用語は、CD4細胞を指す。CD4T細胞は、B細胞の形質細胞及びメモリーB細胞への成熟、並びに細胞傷害性T細胞及びマクロファージの活性化を含む、免疫学的プロセスで他の白血球を支援する。T細胞は、抗原提示細胞(APC)の表面上で発現されるMHCクラスII分子によってペプチド抗原を提示されると活性化される。
【0037】
本明細書で使用される場合、「Th1細胞」という用語は、炎症誘発性メディエーターを産生するTh細胞のサブセットを指す。Th1細胞は、サイトカインを分泌して免疫応答を促進し、部分的には好中球及びマクロファージの感染組織への動員を媒介することによって、病原体に対する宿主防御において役割を果たす。Th1細胞は、IFN-ガンマ、IL2、IL-10、及びTNFアルファ/ベータを含むサイトカインを分泌して、ウイルス及びいくつかの細菌などの細胞内病原体に対する防御を調整する。
【0038】
「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、ペプチド結合又はペプチド結合アイソステアを介して連結された、アミノ酸残基、関連する天然に存在する構造変異体、及びその合成非天然に存在する類似体から構成されるポリマーを指す。合成ポリペプチドは、例えば、自動ポリペプチド合成器を使用して合成することができる。「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、生成物の最小長に限定されない。「タンパク質」という用語は、典型的には、大きなポリペプチドを指す。「ペプチド」という用語は、典型的には、短いポリペプチドを指す。したがって、ペプチド、オリゴペプチド、二量体、多量体などが定義に含まれる。全長タンパク質及びその断片の両方が定義に包含される。「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語はまた、ポリペプチド又はタンパク質の発現後修飾、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化などを含む。更に、本開示の目的のために、「ポリペプチド」は、ネイティブ配列への「修飾」、例えば、欠失、付加、置換(本質的に保存的であり得るか、又はヒトタンパク質に一般的に存在する20個のアミノ酸のいずれか、又は任意の他の天然若しくは非天然若しくは非定型アミノ酸との置換を含み得る)、及び化学修飾(例えば、ペプチド模倣物の添加又はペプチド模倣物との置換)を含み得る。これらの修飾は、部位特異的変異導入によって、又は化学部分を除去若しくは付着させるためのアミノ酸の化学修飾によって、意図的であってもよく、又はタンパク質を産生する宿主細胞を介して生じる変異によって、又は宿主細胞トランスフェクション前のPCR増幅に起因するエラーによって、偶発的であってもよい。
【0039】
本明細書で使用される「抗原性部分」又は「抗原」は、宿主の免疫系によって認識される任意の部分、例えば、ペプチドを指す。抗原性部分の例としては、限定されないが、自己抗原、アレルゲン、酵素、及び/又は細菌又はウイルスタンパク質、ペプチド、薬物又は成分が挙げられる。
【0040】
「薬学的に許容される担体」は、標準的な薬学的担体、緩衝液などのうちの任意のもの、例えば、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロースの5%水性溶液、及びエマルション(例えば、油/水又は水/油エマルション)を指す。賦形剤の非限定的な例としては、アジュバント、結合剤、充填剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、湿潤剤、潤滑剤、流動促進剤、甘味剤、香味剤、及び着色剤が挙げられる。好適な医薬担体、賦形剤及び希釈剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,19th Ed.(Mack Publishing Co.,Easton,1995)に記載されている。好ましい薬学的担体は、活性剤の意図される投与様式に依存する。典型的な投与様式には、経腸(例えば、経口)又は非経口(例えば、皮下、筋肉内、静脈内又は腹腔内注射;又は局所、経皮、又は経粘膜投与)が含まれる。
【0041】
「薬学的に許容される」又は「薬理学的に許容される」とは、生物学的に又は他の方法で望ましくない材料ではない材料を意味する。すなわち、材料は、望ましくない生物学的作用を引き起こすことなく、又はそれが含まれる組成物の構成要素のいずれか、又は個体の体外若しくは体内に存在する任意の構成要素と、有害な様式で相互作用することなく、個体に投与することができる。
【0042】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、哺乳類及び非哺乳類を包含する。哺乳動物の例としては、哺乳動物クラスの任意のメンバー、ヒト、チンパンジーなどの非ヒト霊長類、並びに他の類人猿及びサル種、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの家畜、ウサギ、イヌ、及びネコなどの家畜、ラット、マウス、並びにモルモットなどのげっ歯類を含む実験動物が挙げられるが、これらに限定されない。非哺乳動物の例としては、鳥類、魚類などが挙げられるが、これらに限定されない。この用語は、特定の年齢又は性別を示すものではない。
【0043】
「エピトープ」という用語は、抗原結合領域のうちの1つ以上で選択的結合剤によって認識され、結合することができる任意の分子の部分を指す。エピトープは、通常、アミノ酸又は炭水化物側鎖などの分子の化学的に活性な表面分類からなり、特異的三次元構造特性、並びに特異的電荷特性を有する。本明細書で使用されるエピトープは、隣接していても非隣接していてもよい。更に、エピトープは、抗体を生成するために使用されるエピトープと同一又は類似する三次元構造及び/又はアミノ酸配列を含むが、抗体免疫応答を刺激するために使用された標的中に見出されるアミノ酸残基のいずれも含まない、又はいくつかのみを含むという点で、模倣(ミモトープ)であり得る。本明細書で使用される場合、ミモトープは、選択的結合剤によって結合されるエピトープとは異なる抗原とはみなされず、選択的結合剤は、同じ三次元構造及び/又はエピトープ及びミモトープのアミノ酸配列を認識する。
【0044】
「症状」という用語は、障害がその障害の一般的な特徴であるかどうかにかかわらず、障害の任意の身体的又は観察可能な兆候を意味するために本明細書で使用される。「症状」という用語は、そのような全ての兆候又はその任意のサブセットを意味し得る。
【0045】
「治療上有効な量」という用語は、本明細書において、治療すべき疾患の症状又は徴候を改善又は軽減するのに有効な、本開示の抗原特異的組成物の量を示すために使用される。
【0046】
本明細書の方法に関して使用される「治療する」、「治療される」、及び「治療」という用語は、事象、疾患、又は状態の1つ以上の臨床症状、症状、又は進行を、一時的又は永続的に、部分的又は完全に、排除すること、低減すること、抑制すること、又は改善することを指す。そのような治療が有用であるために絶対的である必要はない。本開示の目的のために、有益又は所望の臨床結果は、限定されないが、症状の緩和、疾患の範囲の減少、疾患の安定化された(すなわち、悪化しない)状態、疾患進行の遅延又は減速、疾患状態の改善又は緩和、並びに検出可能であるか検出不可能であるかにかかわらず、寛解(部分的又は完全であるかにかかわらず)を含むが、これらに限定されない。「治療」はまた、治療を受けない場合、予想される生存と比較して生存を延長することを意味し得る。治療を必要としている者には、既に状態又は障害を有する者、及び状態又は障害を有する傾向がある者、又は状態又は障害が防止されるべき者が含まれる。
【0047】
粒子
粒子のサイズ及び電荷は、許容誘導のために重要である。粒子は、粒子内に封入された抗原に基づいてサイズ及び電荷が異なるが、概して、本明細書に記載の粒子は、それらが約100ナノメートル~約1500ナノメートルの間にあり、0~約-100mVの負電荷を有する場合、耐性を誘導するのに有効である。種々の実施形態において、粒子は、直径が400~800ナノメートルであり、約-25mV~-70mVの電荷を有する。粒子の平均粒径及び電荷は、凍結乾燥プロセスにおいてわずかに変化させることができるため、合成後平均及び凍結乾燥後平均の両方が記載される。本明細書で使用される場合、「合成後のサイズ」及び「合成後電荷」という用語は、凍結乾燥前の粒子のサイズ及び電荷を指す。「凍結乾燥後のサイズ」及び「凍結乾燥後の電荷」という用語は、凍結乾燥後の粒子のサイズ及び電荷を指す。
【0048】
いくつかの実施形態において、粒子は非金属である。これらの実施形態において、粒子は、ポリマーから形成されてもよい。好ましい実施形態において、粒子は、個体において生分解性である。この実施形態において、粒子は、個体に粒子が蓄積することなく、複数の用量にわたって個体に提供することができる。好適な粒子の例としては、ポリスチレン粒子、PGA粒子、PLA粒子、PLGA粒子、PLURIONICS安定化ポリプロピレンスルフィド粒子、及びダイヤモンド粒子が挙げられる。
【0049】
好ましくは、粒子表面は、非特異的又は望ましくない生物学的相互作用を最小限に抑える材料からなる。粒子表面と間質との間の相互作用は、リンパ取り込みに役割を果たす因子であり得る。粒子表面は、非特異的相互作用を防止又は減少させるために材料でコーティングされてもよい。PLURONICS(登録商標)(ポリ(エチレングリコール)-bl-ポリ(プロピレングリコール)-bl-ポリ(エチレングリコール)のコポリマーを含む)などのポリ(エチレングリコール)(PEG)及びそのコポリマーなどの親水性層で粒子をコーティングすることによる立体安定化は、皮下注射後の改善されたリンパ取り込みによって実証されるように、間質のタンパク質との非特異的相互作用を低減し得る。これらの事実は全て、リンパ取り込みの観点から、粒子の物理的特性の関連性を示唆している。生分解性ポリマーを使用して、ポリマー及び/又は粒子及び/又は層の全部又は一部を作製してもよい。生分解性ポリマーは、例えば、溶液中の水と反応する官能基の結果によって分解され得る。本明細書で使用される「分解」という用語は、分子量の減少又は疎水性基の親水性基への変換のいずれかによって、可溶性になることを指す。エステル基を有するポリマー、例えば、ポリラクチド及びポリグリコリドは、概して、自然加水分解を受ける。
【0050】
本明細書に開示の粒子はまた、追加の成分を含有してもよい。例えば、担体は、担体に組み込まれるか、又はコンジュゲートされた撮像剤を有し得る。現在市販されている撮像剤を有するキャリアナノスフィアの例は、コダックX-サイトナノスフィアである。量子ドット(QD)として知られる無機量子閉じ込め発光ナノ結晶は、FRET用途において理想的なドナーとして浮上してきた:それらの高い量子収率及び調節可能なサイズ依存性のストークスシフトは、単一の紫外線波長で励起されたときに、青から赤外線に異なるサイズを放出することを可能にする。(Bruchez,et al.,Science,1998,281,2013;Niemeyer,C.M Angew.Chem.Int.Ed.2003,42,5796;Waggoner,A.Methods Enzymol.1995,246,362;Brus,L.E.J.Chem.Phys.1993,79,5566)。デンドリマーとして知られるポリマーのクラスに基づくハイブリッド有機/無機量子ドットなどの量子ドットは、生物学的標識、画像法、及び光学バイオセンシングシステムで使用することができる。(Lemon,et al.,J.Am.Chem.Soc.2000,122,12886)。無機量子ドットの従来の合成とは異なり、これらのハイブリッド量子ドットナノ粒子の合成は、高温又は高毒性で不安定な試薬を必要としない。(Etienne,et al.,Appl.Phys.Lett.87,181913,2005)。
【0051】
粒子は、幅広い材料から形成することができる。粒子は、好ましくは、生物学的使用に好適な材料で構成される。例えば、粒子は、ガラス、シリカ、ヒドロキシカルボン酸のポリエステル、ジカルボン酸のポリ無水物、又はヒドロキシカルボン酸とジカルボン酸とのコポリマーから構成され得る。より一般的には、担体粒子は、直鎖若しくは分枝状、置換若しくは非置換、飽和若しくは不飽和、直鎖若しくは架橋、アルカニル、ハロアルキル、チオアルキル、アミノアルキル、アリール、アラルキル、アルケニル、アラルケニル、ヘテロアリール、若しくはアルコキシヒドロキシ酸のポリエステル、又は直鎖若しくは分枝状、置換若しくは非置換、飽和若しくは不飽和、直鎖若しくは架橋、アルカニル、ハロアルキル、チオアルキル、アミノアルキル、アリール、アラルキル、アルケニル、アルケニル、ヘテロアリール、若しくはアルコキシジカルボン酸のポリ無水物から構成され得る。更に、担体粒子は、量子ドットであってもよく、又は量子ドットポリスチレン粒子などの量子ドットで構成されてもよい(Joumaa et al.(2006)Langmuir 22:1810-6)。エステル結合及び無水物結合の混合物(例えば、グリコール酸及びセバシン酸のコポリマー)を含む担体粒子を用いてもよい。例えば、担体粒子は、ポリグリコール酸ポリマー(PGA)、ポリ乳酸ポリマー(PLA)、ポリセバシン酸ポリマー(PSA)、ポリ(乳酸-コ-グリコール)酸コポリマー(PLGA又はPLG、用語は互換性がある)、ポリ(乳酸-コ-セバシン)酸コポリマー(PLSA)、ポリ(グリコール-コ-セバシン)酸コポリマー(PGSA)、ポリプロピレンサルファイドポリマー、ポリ(カプロラクトン)、キトサンなどを含む材料を含み得る。本発明で有用な他の生体適合性、生分解性ポリマーとしては、カプロラクトン、炭酸塩、アミド、アミノ酸、オルトエステル、アセタール、シアノアクリレート、及び分解性ウレタンのポリマー又はコポリマー、並びにこれらの直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換、アルカニル、ハロアルキル、チオアルキル、アミノアルキル、アルケニル、又は芳香族ヒドロキシ若しくはジカルボン酸とのコポリマーが挙げられる。加えて、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、チロシン、及びシステイン、又はそれらのエナンチオマーなどの反応性側鎖基を有する生物学的に重要なアミノ酸は、抗原ペプチド及びタンパク質若しくはコンジュゲート部位にコンジュゲートするための反応性基を提供するために、前述の材料のいずれかとのコポリマーに含まれ得る。本発明に好適な生分解性材料には、ダイヤモンド、PLA、PGA、ポリプロピレンサルファイド、及びPLGAポリマーが含まれる。生体適合性であるが生分解性でない材料も、本発明の担体粒子に使用され得る。例えば、アクリレート、エチレン-ビニルアセテート、アシル置換セルロースアセテート、非分解性ウレタン、スチレン、塩化ビニル、フッ化ビニル、ビニルイミダゾール、クロロスルホン化オレフィン、エチレンオキシド、ビニルアルコール、TEFLON(登録商標)(DuPont,Wilmington,Del.)、及びナイロンの非生分解性ポリマーが用いられ得る。
【0052】
ある特定の実施形態において、粒子は、約80:20~約100:0、又は約20:80~100:0のモル比を有する共重合体である。現在の寛容化免疫修飾粒子の好適なコポリマー比は、25:75、30:70、35:65、40:60、45:55、50:50、55:45、60:40、65:35、70:30、75:25、80:20、81:19、82:18、83:17、84:16、85:15、86:14、87:13、88:12、89:11、90:10、91:9、92:8、93:7、94:6、95:5、96:4、97:3、98:2、99:1、又は100:0であり得る。ある特定の実施形態において、粒子は、PLURONICS安定化ポリプロピレンスルフィド粒子、ポリグリコール酸粒子(PGA)、ポリ乳酸粒子(PLA)、若しくはポリ(乳酸-コ-グリコール酸)粒子、又はカルボキシル化ポリグリコール酸粒子(PGA)、カルボキシル化ポリ乳酸粒子(PLA)、若しくはカルボキシル化ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)粒子である。ある特定の実施形態において、粒子は、ポリ乳酸/ポリグリコール酸80:20、ポリ乳酸/ポリグリコール酸90:10、ポリ乳酸/ポリグリコール酸50:50のコポリマー比を有する。種々の実施形態において、粒子は、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)粒子であり、約50:50のポリ乳酸:ポリグリコール酸のコポリマー比を有する。
【0053】
粒子は、界面活性剤を更に含み得ることが企図される。界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、又は非イオン性であり得る。ポロキサマー及びポロキサミンファミリーの界面活性剤が、粒子合成に概して使用されている。使用され得る界面活性剤には、PEG、Tween-80、ゼラチン、デキストラン、プルロニックL-63、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸(PAA)、メチルセルロース、レシチン、ジメチルアミノベンズアルデヒド(DMAB)、及びポリ(メタクリル酸エチル)(PEMA)が含まれるが、これらに限定されない。更に、ビタミンE TPGS(D-a-トコフェリルポリエチレングリコール1000コハク酸塩)、ポリアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、チロシン及びシステインのポリマー、又はそれらのエナンチオマー)、並びに硫酸塩ポリマーを含むがこれらに限定されない生分解性及び生体適合性の界面活性剤を含む。ある特定の実施形態において、2つの界面活性剤が使用される。例えば、粒子が二重エマルション法によって製造される場合、2つの界面活性剤は、第1のエマルションのための疎水性界面活性剤、及び第2のエマルションのための疎水性界面活性剤を含むことができる。ある特定の実施形態において、ポリペプチド抗原は、単一エマルションプロセスによって粒子内に封入される。更なる実施形態において、ポリペプチド抗原は、より疎水性である。ときには、二重エマルションプロセスは、親水性活性成分の漏れ及び低い捕捉効率をもたらし得る大きな粒子の形成をもたらす。結合及びOstwald熟成は、二重エマルション液滴を不安定化する可能性のある2つのメカニズムであり、親水性活性成分の有機相を通る拡散は、低レベルの捕捉された活性成分の主なメカニズムである。いくつかの実施形態において、ナノ粒子サイズを低減することが有益であり得る。これを達成するための1つの戦略は、2番目の強力なせん断速度を適用することである。漏れ効果は、高分子濃度及び高分子分子量を使用することによって低減することができ、内側の水相の粘度の増加及び界面活性剤分子量の増加を伴う。ある特定の実施形態において、抗原を封入する粒子は、ナノ沈殿、共沈殿、不活性ガス縮合、スパッタリング、マイクロエマルション、ソルゲル法、層単位技術、又はイオンゲル化法によって製造される。ナノ粒子を製造するためのいくつかの方法は、文献に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0054】
抗原
抗原は、ポリペプチド又はペプチド配列、ポリペプチド又はペプチドの三次元構造形成、宿主免疫細胞によって認識され得る多糖又はポリヌクレオチドなどの分子の控えめな部分を指す。抗原特異的とは、対象の宿主細胞が、エピトープ又はミモトープと同様に、抗原単独、又は抗原に非常に類似した分子に対して免疫応答を認識し、生成する能力を指す。
【0055】
「アネルギー」、「寛容」、又は「抗原特異的寛容」は、T細胞受容体媒介刺激に対するT細胞の不感受性又は再プログラミングを指す。このような再プログラミングは、概して抗原特異的であり、抗原ペプチドへの曝露が停止した後も持続する。この再プログラミングは、調節性T細胞、Tr1細胞、及びT細胞アネルギーの誘導をもたらす。例えば、T細胞における不感受性は、エフェクターサイトカイン産生の欠如、増殖の欠如、又は活性化の欠如を特徴とする。再プログラミングは、T細胞が抗原に曝露され、第2のシグナル(共刺激シグナル)の不在下、又は阻害シグナル(陰性共刺激又は調節サイトカイン)の存在下で第1のシグナル(T細胞受容体又はCD3媒介シグナル)を受け取るときに生じる。これらの条件下では、細胞の同じ抗原への再曝露(共刺激分子の存在下で再曝露が発生した場合でも)は、サイトカインの産生に失敗し、その後増殖に失敗する。したがって、サイトカインの産生の失敗は、増殖を防止する。しかしながら、アネルギーT細胞は、(例えば、IL-2)で培養した場合に増殖することができる。
【0056】
本明細書に記載の寛容化療法は、抗原特異的であることが企図される。例えば、寛容化療法として投与されるTIMPは、当該寛容化療法及び治療される関連疾患又は状態に関連する1つ以上の抗原を封入する。寛容化療法に使用されるTIMPは、1つ以上のPBC抗原を含むことが企図される。1つ以上のPBC抗原は、PBC抗原エピトープを含む全タンパク質、ポリペプチド、又はペプチドであり得る。
【0057】
ある特定の実施形態において、1つ、2つ、3つ、又はより多くの数の抗原又は抗原ペプチドがTIMPにおいて使用される。ある特定の実施形態において、1つ以上のPBC抗原は、粒子の内面への共有結合によってTIMPに封入される(例えば、米国特許公開第20190282707号(参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。ある特定の実施形態において、2つ以上のPBC抗原の配列が融合タンパク質内で連結され、本明細書に記載されるTIMP内に封入されることが企図される。ある特定のPBCエピトープは、Shimoda et al.(Gastroenterology 124:1915-1925,2003)に記載されている。連結されたエピトープを有するTIMPを作製するための方法は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許公開第20190365656号に記載されている。
【0058】
使用方法
原発性胆汁性胆管炎(PBC、以前は原発性胆汁性肝硬変と呼ばれていた)は、主にミトコンドリアピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体(PDC-E2)のE2成分を標的とした破壊的リンパ球性胆管炎及び特異的抗ミトコンドリア自己抗体(AMA)を特徴とする原型的な自己免疫性肝疾患である。米国におけるPBCの有病率は、女性100万人当たり約580人と推定されている。このまれな疾患には大きなアンメット・メディカル・ニーズがあり、TIMP-PBCがこの疾患に罹患している対象に肯定的な影響を与える機会がある。
【0059】
PBC患者の最も一般的な死亡原因は肝不全である。PBC(ウルソデオキシコール酸)の現在の標準治療は、肝臓移植を必要とする可能性を低下させ、患者の寿命を延ばした。しかしながら、PBCを有する患者の最大40%は、バイナリ応答基準及び/又は予後モデルのいずれかによって決定されるように、治療に対する生化学的応答が最適未満である
【0060】
現在、PBCの臨床試験中の治療は、複数のカテゴリーに分類される:合成胆汁酸、胆汁酸阻害剤、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)γアゴニスト、及びリツキシマブ及びアベタセプトなどの免疫抑制剤である。しかしながら、これらのクラスの療法は、CD8T細胞によって直接的に、及び抗体によって間接的に、肝臓に対する抗原特異的自己免疫攻撃によって駆動される肝臓病理の根本的な原因に対処しない。
【0061】
対象におけるPBCを治療する方法であって、TIMP-PBCを対象に投与することを含み、TIMP-PBCは、対象の体重に基づいて決定された用量レベルで投与される、方法が本明細書に提供される。また、TIMP-PBCは、対象の体重に関係なく、固定用量で投与され得ることが企図される。種々の実施形態において、対象におけるPBCを治療する方法であって、TIMP-PBCを対象に投与することを含み、TIMP-PBCは、対象の体重に基づいて0.01~12mg/kgの用量で、又は1mg~800mgの固定用量で投与される、方法が企図される。本明細書では、PBCに罹患している対象におけるPBC抗原に対する炎症性免疫応答を低減する方法であって、TIMP-PBCを対象に投与することを含み、TIMP-PBCは、対象の体重に基づいて0.01~12mg/kgの用量で、又は1mg~800mgの固定用量で投与される、方法も提供される。
【0062】
また企図される、TIMP-PBCは、約0.01~12mg/kg、約0.05~10mg/kg、約0.01~約5mg/kg、約0.1~約10mg/kg、約1~8mg/kg、約1.5~10mg/kg、約2~12mg/kg、約2~10mg/kg、約3~10mg/kg、約4~10mg/kg、約4~12mg/kg、又は約5~12mg/kgの用量で投与される。任意選択的に、TIMP-PBCは、約0.01mg/kg、0.02mg/kg、0.05mg/kg、0.1mg/kg、0.25mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、6mg/kg、8.0mg/kg、10mg/kg、又は12mg/kgの用量で投与される。あるいは、TIMP-PBCは、約1mg、2mg、5mg、10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、又は800mgの用量で投与される。別の実施形態では、TIMP-PBCは、約0.005mg/mL~約50mg/mL、任意選択的に、約0.05mg/mL、0.1mg/mL、0.5mg/mL、1mg/mL、2mg/mL、3mg/mL、3.25mg/mL、3.5mg/mL、4mg/mL、5mg/mL、6mg/mL、7mg/mL、8mg/mL、9mg/mL、10mg/mL、11mg/mL、12.5mg/mL、15mg/mL、17.5mg/mL、20mg/mL、25mg/mL、30mg/mL、40mg/mL、又は50mg/mLの濃度で投与される。
【0063】
TIMP-PBCは、単回用量又は複数回用量で投与されることが企図される。種々の実施形態において、TIMP-PBCは、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、6ヶ月に1回、1年に1回、2年に1回、3年に1回、4年に1回、5年に1回、6年に1回、7年に1回、8年に1回、9年に1回、又は10年に1回投与される。ある特定の実施形態において、TIMP-PBCは、1週間間隔で2用量投与される。
【0064】
種々の実施形態において、TIMP-PBCは、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、又は経口で投与される。TIMP-PBCを静脈内に注入する場合、それは、約1、2、3、4、5、6、7、又は8時間持続する静脈内注入を介してあり得ることが企図される。
【0065】
TIMP-PBC療法は、PBCの1つ以上の症状を緩和、軽減又は改善することが企図される。PBCの症状には、肝臓炎、肝硬変、胆汁鬱滞、肝機能障害、肝不全、肝線維症、肝臓免疫浸潤の増加、胆汁酸レベルの上昇、肝臓酵素レベルの上昇、(ALT、ALP、AST、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ)、ビリルビンレベルの上昇、循環抗ミトコンドリア抗体(AMA)、循環抗核抗体(ANA)、疲労、皮膚の痒み、掻痒、目及び口の乾燥、腹痛、脾腫、筋骨格痛、浮腫、体液の蓄積、皮膚黄色腫、黄疸、色素沈着過度、骨粗鬆症、高コレステロール、下痢、脂肪便、甲状腺機能低下症、及び体重減少が含まれるが、それらに限定されない。
【0066】
TIMP-PBC療法はまた、対象における1つ以上のPBC抗原に対する炎症性免疫応答の持続時間及び重症度を低減、短縮又は改善することも企図される。炎症性免疫応答としては、T細胞応答、B細胞応答、Th1応答、骨髄性細胞応答、及び/又は抗体応答が挙げられる。種々の実施形態において、PBCの1つ以上の症状を緩和する、及び/又は1つ以上のPBC抗原に対する炎症性免疫応答の持続期間及び重症度を低減するTIMP-PBCの有効性は、本明細書に記載の対象由来の1つ以上の生体試料のアッセイから決定される。
【0067】
スクリーニング方法
免疫寛容の誘導及び維持は、PBCに罹患している対象において監視され、対象は、本明細書に記載のPBC抗原を封入するTIMPを含む抗原特異的寛容化療法で治療されるか、又は治療を受けようとしていることが企図される。
【0068】
本明細書に記載される寛容化療法を受ける対象からの細胞型、サイトカイン又は他の寛容尺度のスクリーニング方法は、当該技術分野で既知である。寛容性を評価する方法は、フローサイトメトリー、質量サイトメトリー(CyTOF)、ELISA、ELISPOT、インビトロ又はエクスビボ細胞刺激アッセイ(細胞増殖アッセイ、マクロファージ刺激アッセイを含むがそれらに限定されない)、自己抗体の測定、又は免疫ブロブリン(Ig)血清型の測定などの技法を使用して、例えば、ImmunoCapアッセイによって行われる。
【0069】
種々の実施形態において、対象の免疫寛容状態は、対象からの1つ以上の生体試料のアッセイから決定される。生体試料としては、全血、末梢血、末梢血単核細胞(PBMC)、血清、血漿、尿、脳脊髄液(CSF)、便、組織生検、及び/又は骨髄生検が挙げられる。種々の実施形態において、生体試料のアッセイは、疾患又は障害に関連する細胞表面タンパク質、細胞外タンパク質、細胞内タンパク質、核酸、代謝産物、酵素、及び/又はそれらの組み合わせのレベル、並びに/又は存在若しくは不在を分析することを含む。
【0070】
生体試料からアッセイされる細胞としては、免疫細胞、非免疫細胞、及び/又はそれらの組み合わせが挙げられる。免疫細胞としては、自然免疫細胞、適応免疫細胞、及び/又はそれらの組み合わせが挙げられる。生体試料からアッセイされる先天性免疫細胞は、抗原提示細胞(APC)である。生体試料からアッセイした例示的な自然免疫細胞としては、単球、マクロファージ、好中球、顆粒球、樹状細胞、肥満細胞、好酸球、好塩基球、及び/又はそれらの組み合わせが挙げられる。生体試料からアッセイした適応免疫細胞には、CD4+T細胞、CD8+T細胞、B細胞、NK細胞、NK-T細胞、及び/又はそれらの組み合わせなどのエフェクター免疫細胞が挙げられる。種々の実施形態において、T細胞は、Th1細胞、Th2a細胞、Treg細胞、及びTr1細胞である。
【0071】
ある特定の実施形態において、生体試料からアッセイされる細胞は、上皮細胞、間質細胞、内皮細胞、線維芽細胞、周皮細胞、脂肪細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、造血前駆細胞、肝細胞、肝類洞内皮細胞(LSEC)、及び/又はクッパー細胞である。
【0072】
対象の免疫寛容状態及び免疫シグネチャの一態様は、対象由来の1つ以上の生体試料から1つ以上のタンパク質を分析することによって決定される。種々の実施形態において、タンパク質は、サイトカイン及び/又はケモカインである。種々の実施形態において、タンパク質は、細胞シグナル伝達タンパク質である。種々の実施形態では、サイトカイン及びケモカインは、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-12p70、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-17、IL-18、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-24、IL-25、IL-26、IL-27、IL-27b、IL-28、IL-29、IL-30、IL-31、IL-32、IL-33、IL-35、IL-36、CCL1、CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CCL6、CCL7、CCL8、CCL9、CCL10、CCL11、CCL12、CCL14、CCL15、CCL16、CCL17、CCL18、CCL19、CCL20、CCL21、CCL22、CCL23、CCL24、CCL25、CCL26、CCL27、CCL28、CXCL1、CXCL2(MCP-1)、CXCL3(MIP-1α、CXCL4(MIP-1β、CXCL5(RANTES)、CXCL6、CXCL7、CXCL8、CXCL9、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL14、CXCL15、CXCL16、CXCL17、GM-CSF、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、TNF-α、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、可溶性CD14、及び/又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。種々の実施形態において、タンパク質はプロテアーゼである。種々の実施形態において、プロテアーゼは、アスパラギン酸プロテアーゼ、システインプロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、及び/又はトレオニンプロテアーゼである。種々の実施形態において、プロテアーゼは、ADAM1、ADAM2、ADAM7、ADAM8、ADAM9、ADAM10、ADAM11、ADAM12、ADAM15、ADAM17、ADAM18、ADAM19、ADAAM20、ADAM21、ADAM22、ADAM23、ADAM28、ADAM29、ADAM30、ADAM33、MMP1、MMP2、MMP3、MMP7、MMP8、MMP9、MMP10、MMP11、MMP12、MMP13、MMP14、MMP15、MMP16、MMP17、MMP18、MMP19、MMP20、MMP21、MMP23A、MMP23B、MMP24、MMP25、MMP26、MMP27、及びMMP28からなる群から選択される。種々の実施形態において、アポトーシスに関連するタンパク質は、P53、カスパーゼ1、カスパーゼ2、カスパーゼ3、カスパーゼ4、カスパーゼ5、カスパーゼ6、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9、カスパーゼ10、カスパーゼ11、カスパーゼ12、カスパーゼ13、カスパーゼ14、BCL-2、BCL-XL、MCL-1、CED-9、A1、BFL1、BAX、BAK、DIVA、BCL-XS、BIK、BIM、BAD、BID、及びEGL-1からなる群から選択される。生体試料からタンパク質をアッセイするためのいくつかの方法は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウエスタンブロット、及び質量分析を含む文献に記載されている。種々の実施形態において、タンパク質は、1つ以上の免疫グロブリン(Ig)である。種々の実施形態において、Igは、IgA、IgD、IgE、IgM、及び/又はそれらの変異体からなる群から選択される。種々の実施形態において、免疫グロブリンは、抗原特異的である。生体試料から免疫グロブリンを検出するためのいくつかの方法は、ELISA及びImmunoCapを含む文献に記載されている。
【0073】
対象の免疫寛容状態及び免疫シグネチャの一態様は、生体試料から1つ以上の細胞表面タンパク質を分析することによって決定される。種々の実施形態において、細胞表面タンパク質としては、CD1c、CD2、CD3、CD4、CD5、CD8、CD9、CD10、CD11b、CD11c、CD14、CD15、CD16、CD18、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、TACI、CD25、CD27、CD28、CD30、CD30L、CD31、CD32、CD32b、CD34、CD33、CD38、CD39、CD40、CD40-L、CD41b、CD42a、CD42b、CD43、CD44、CD45、CD45RA、CD47、CD45RA、CD45RO、CD48、CD52、CD55、CD56、CD58、CD61、CD66b、CD69、CD70、CD72、CD79、CD68、CD84、CD86、CD93、CD94、CD95、CRACC、BLAME、BCMA、CD103、CD107、CD112、CD120a、CD120b、CD123、CD125、CD127、CD134、CD135、CD140a、CD141、CD154、CD155、CD160、CD161、CD163、CD172a、XCR1、CD203c、CD204、CD206、CD207CD226、CD244、CD267、CD268、CD269、CD355、CD358、CRTH2、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2D、NKG2E、NKG2F、NKG2H、KIR2DL1、KIR2DL2、KIR2DL3、KIR2DL5A、KIR2DL5B、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR3DL3、KIR3DL4、KIR2DS1、KIR2DS2、KIR2DS3、KIR2DS4、KIR2DS5、DAP12、KIR3DS、NKp44、NKp46、TCR、BCR、インテグリン、FcβεRI、MHC-I、MHC-II、IL-1R、IL-2Rα、IL-2Rβ、IL-2Rγ、IL-3Rα、CSF2RB、IL-4R、IL-5Rα、CSF2RB、IL-6Rα、gp130、IL-7Rα、IL-9R、IL-10R、IL-12Rβ1、IL-12Rβ2、IL-13Rα1、IL-13Rα2、IL-15Rα、IL-21R、IL23R、IL-27Rα、IL-31Rα、OSMR、CSF-1R、細胞表面IL-15、IL-10Rα、IL-10Rβ、IL-20Rα、IL-20Rβ、IL-22Rα1、IL-22Rα2、IL-22Rβ、IL-28RA、PD-1、PD-1H、BTLA、CTLA-4、PD-L1、PD-L2、2B4、B7-1、B7-2、B7-H1、B7-H4、B7-DC、DR3、LIGHT、LAIR、LTα1β2、LTβR、TIM-1、TIM-3、TIM-4、TIGIT、LAG-3、ICOS、ICOS-L、SLAM、SLAMF2、OX-40、OX-40L、GITR、GITRL、TL1A、HVEM、41-BB、41BB-L、TL-1A、TRAF1、TRAF2、TRAF3、TRAF5、BAFF、BAFF-R、APRIL、TRAIL、RANK、AITR、TRAMP、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、CCR11、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、CXCR6、CXCR7、CLECL9a、DC-SIGN、IGSF4A、SIGLEC、EGFR、PDGFR、VEGFR、FAP、α-SMA、FAS、FAS-L、FC、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、ICAM-4、ICAM-5、PECAM-1、MICA、MICB、UL16、ULBP1、ULBP2、ILBP3、ULBP4、ULBP5、ULBP6、MULT1、RAE1α、β、γ、δ、及びε、H60a、H60b、H60c、GPR15、ST2、並びに/又はそれらの組み合わせが挙げられる。インテグリンとしては、α1、α2、αIIb、α3、α4、α5、α6、α7、α8、α9、α10、α11、αD、αE、αL、αM、αV、αX、β1、β2、β3、β4、β5、β6、β7、β8、及び/又はそれらの組み合わせが挙げられる。TCRには、α、β、γ、δ、ε、ζ鎖及び/又はそれらの組み合わせが含まれる。フローサイトメトリー及び質量サイトメトリー(CyTOF)を含む、細胞表面タンパク質発現をアッセイするためのいくつかの方法が文献に記載されている。
【0074】
種々の実施形態において、対象の肝機能を分析することによって、対象の免疫寛容状態及び免疫署名が決定される。種々の実施形態において、対象の肝機能は、総コレステロール、トリグリセリド、LDLコレステロール、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、ガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、アルカリホスファターゼ(ALP)、アルブミン、総タンパク質、総ビリルビン、グロブリン、クレアチンキナーゼ(CK)、及び乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)のアッセイによって決定される。
【0075】
対象の免疫寛容状態及び免疫シグネチャの一態様は、生体試料から1つ以上の代謝産物を分析することによって決定される。種々の実施形態において、代謝産物は、炎症性代謝産物である。種々の実施形態において、代謝産物は、抗炎症性代謝産物である。種々の実施形態において、炎症性代謝産物の例としては、酸、脂質、糖、アミノ酸、乳酸塩、トリメチルアミンN-オキシド、O-アセチルクレアチン、L-カルニチン、コリン、コハク酸塩、グルタミン、脂肪酸、コレステロール、3-ヒドロキシ酪酸塩、3’-シアリルラクトース、アラキドン酸、プロスタグランジン(G2及びH2)、PGD2、PGE2、PGF2a、PGI2、TXA2、ロイコトリエン(A4、B4、C4、D4、E4)、キヌレニン、3-ヒドロキシキヌレニン、リポキシンA4、及びリポキシンB4が挙げられる。種々の実施形態において、抗炎症性代謝産物の例としては、2-アミノ-3-カルボキシムコン6-セミアルデヒド、ピコリン酸、アントラニル酸、3-ヒドロキシラントラニル酸、グルタリルco-A、NAD+、キノリン酸、アルギニン、酪酸塩、及びアデノシンが挙げられる。
【0076】
生体試料からアッセイすることができるヒト代謝産物のリストは、(Psychogios et al.,2011),(Wishart et al.,HMDB:the Human Metabolome Database.Nucleic Acids Res.2007 Jan;35(Database issue):D521-6,2007)、及びHuman Metabalome Database(HMDB)を含む文献に見つけることができ、参照により本明細書に組み込まれる。
【0077】
ある特定の実施形態において、対象の寛容状態は、生体試料からの核酸を分析することによって決定される。種々の実施形態において、核酸は、一本鎖DNA、二本鎖DNA、mRNA、rRNA、tRNA、siRNA、miRNA、長い非コードRNA(長いncRNA、lncRNA)、非コードRNA(ncRNA)、及びミトコンドリアRNAを含むがそれらに限定されないDNA及び/又はRNAである。種々の実施形態において、対象の免疫寛容状態は、生体試料からの遺伝子発現をアッセイすることによって決定される。種々の実施形態において、免疫寛容状態は、免疫機能、抗体、異物応答、代謝、アポトーシス、細胞死、壊死、フェロプトーシス、オートファジー、細胞遊走、エンドサイトーシス、食作用、ピノサイトーシス、タイトジャンクション調節、細胞接着、分化、及び/又はそれらの組み合わせに関連する遺伝子発現をアッセイすることによって決定される。種々の実施形態において、免疫寛容状態は、免疫抑制に関連する遺伝子発現をアッセイすることによって決定される。種々の実施形態において、免疫寛容状態は、免疫活性化に関連する遺伝子発現をアッセイすることによって決定される。種々の実施形態において、免疫寛容状態は、免疫調節機能に関連する遺伝子発現をアッセイすることによって決定される。種々の実施形態において、核酸分析は、免疫寛容シグネチャを生成するために使用される。RNAシーケンシング(RNA-seq)、単一細胞RNAシーケンシング(scRNA-seq)、エクソームシーケンシング、及びマイクロアレイベースの解析を含む、高スループット遺伝子発現解析のためのいくつかの方法論が文献に記載されている。
【0078】
生体試料は、任意選択的に、抗原及び1つ以上の活性化剤などの1つ以上の刺激を用いたインビボ及び/又はエクスビボ刺激後にアッセイする。アッセイに使用されるT細胞、B細胞、及び免疫グロブリンは、抗原特異的であることが企図される。例示的なT細胞としては、エフェクターメモリーT細胞、抗原特異的T細胞、活性化抗原特異的T細胞、Th1細胞、Th17細胞、T濾胞ヘルパー(TFH)細胞、TH0細胞、又は他の抗原特異的T細胞が挙げられる。B細胞には、エフェクターB細胞、メモリーB細胞、形質細胞、及びBreg細胞が挙げられる。ある特定の実施形態において、T細胞は、表1に記載されるタンパク質の発現に基づいて同定される。
【表1】
【0079】
種々の実施形態において、対象の免疫寛容状態は、第1のTIMP-PBC投与の日(1日目)、第2の用量の投与の14日後、次いで第2の用量の90日後(例えば、第2の用量の90日目、180日目、270日目、及び360日後)に、対象の用量前から1つ以上の試料、例えば、全血を得ることによって決定される。次いで、全血を処理して、下流分析のために末梢血単核細胞(PBMC)、好塩基球、好中球、血漿、及び血清を単離することができる。対象から採取した1つ以上の試料から単離された細胞をアッセイし、以下に記載のような方法を使用して分析する。
【0080】
種々の実施形態において、TIMP-PBCの投与前に決定された対象の免疫寛容状態は、ベースラインとして機能する。種々の実施形態において、対象のベースラインは、TIMP-PBCの投与の1、2、3、4、5、6、又は7日前の1つ以上の生体試料のアッセイから決定される。種々の実施形態において、対象のベースラインは、TIMP-PBCの投与の1、2、3、又は4週間前の1つ以上の生体試料のアッセイから決定される。種々の実施形態では、対象のベースラインは、TIMP-PBCの投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12ヶ月前の1つ以上の生体試料のアッセイから決定される。
【0081】
種々の実施形態では、対象の免疫寛容状態は、TIMP-PBCの投与後に決定される。種々の実施形態では、対象の免疫寛容状態は、TIMP-PBCの投与から1、2、3、4、5、6、又は7日後の1つ以上の生体試料のアッセイから決定される。種々の実施形態では、対象のベースラインは、TIMP-PBCの投与から1、2、3、又は4週間後の1つ以上の生体試料のアッセイから決定される。種々の実施形態では、対象のベースラインは、TIMP-PBCの投与から1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12ヶ月後の1つ以上の生体試料のアッセイから決定される。種々の実施形態では、TIMP-PBCの投与後に決定される対象の免疫寛容状態をベースラインと比較する。種々の実施形態では、TIMP-PBCの投与後に決定される対象の免疫寛容状態は、健康な対象と比較される。
【0082】
種々の実施形態において、対象の免疫寛容状態は、肝線維症の評価に基づいて決定される。種々の実施形態において、肝線維症は、画像法によって評価される。種々の実施形態において、肝線維症は、FibroScan、超音波検査、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴画像法(MRI)、磁気共鳴エラストグラフィー(MRA)、超音波エラストグラフィー、一過性エラストグラフィー、点せん断波エラストグラフィー、又は二次元せん断波エラストグラフィーによって評価される。種々の実施形態において、肝線維症は、1つ以上の生化学マーカーに基づいて評価される。種々の実施形態において、生化学マーカーは、全血、末梢血、末梢血単核細胞(PBMC)、血清、血漿、尿、脳脊髄液(CSF)、便、組織生検、及び/又は骨髄生検由来である。種々の実施形態において、生化学マーカーは、細胞、タンパク質、ペプチド、酵素、代謝産物、細胞、及び/又は1つ以上の生化学物質のアッセイから同定される。種々の実施形態において、タンパク質は、サイトカイン、ケモカイン、プロテアーゼ、細胞表面タンパク質、可溶性タンパク質、及び/又は抗体である。種々の実施形態において、細胞は、免疫細胞又は非免疫細胞である。種々の実施形態において、免疫細胞は、T細胞、B細胞、NK細胞、NKT細胞、単球、マクロファージ、樹状細胞、好酸球、又は好塩基球である。種々の実施形態において、細胞は、上皮細胞、間質細胞、内皮細胞、線維芽細胞、周皮細胞、脂肪細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、造血前駆細胞、肝細胞、肝類洞内皮細胞(LSEC)、赤血球、血小板、及び/又はクッパー細胞である。種々の実施形態において、生化学マーカーは、総コレステロール、トリグリセリド、LDLコレステロール、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、ガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、アルカリホスファターゼ(ALP)、アルブミン、総タンパク質、総ビリルビン、グロブリン、クレアチンキナーゼ(CK)、及び乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、ヒアルロン酸、PIINP、TIMP-1、4型コラーゲン7S、ProC3、又はM2BPGiである。種々の実施形態において、代謝産物は、酸、脂質、糖、アミノ酸、乳酸塩、トリメチルアミンN-オキシド、O-アセチルクレアチン、L-カルニチン、コリン、コハク酸塩、グルタミン、脂肪酸、コレステロール、3-ヒドロキシ酪酸塩、3’-シアリルラクトース、アラキドン酸、プロスタグランジン(G2及びH2)、PGD2、PGE2、PGF2a、PGI2、TXA2、ロイコトリエン(A4、B4、C4、D4、E4)、キヌレニン、3-ヒドロキシキヌレニン、リポキシンA4、リポキシンB4、2-アミノ-3-カルボキシムコン6-セミアルデヒド、ピコリン酸、アントラニル酸、3-ヒドロキシアントラニル酸、グルタリルco-A、NAD+、キノリン酸、アルギニン、酪酸塩、及びアデノシンである。
【0083】
対象の免疫寛容シグネチャは、対象から得られ、インビボ及び/又はエクスビボで刺激される1つ以上の生体試料からアッセイされる以下のパラメーターのうちの1つ以上を使用して生成される:
A.全T細胞集団におけるエフェクターT細胞の割合、
B.全T細胞集団におけるTreg細胞の割合、
C.全B細胞集団におけるエフェクターB細胞の割合、
D.特異的IgG、及び/又はIgMのレベル、
E.炎症性サイトカイン及びケモカインのレベル、
F.抗炎症性サイトカイン及びケモカインのレベル、
G.肝臓酵素のレベル
H.炎症性代謝産物のレベル、及び
I.抗炎症性代謝産物のレベル。
【0084】
免疫寛容シグネチャは、上記(a)~(i)に列挙される1、2、3、4、5、6、7、8、又は9個のパラメーターが免疫寛容の維持を示す場合、免疫寛容の維持を示す。種々の実施形態において、(a)~(i)に列挙される少なくとも2/9のパラメーターが免疫寛容の維持を示す場合、免疫寛容シグネチャは、免疫寛容の維持を示す。種々の実施形態において、上記(a)~(i)に列挙される1、2、3、4、5、6、7、8、又は9個のパラメーターが免疫寛容の維持を示す場合、対象は、TIMPによる治療を必要としないと決定される。種々の実施形態において、上記(a)~(i)に列挙される少なくとも3/9のパラメーターが免疫寛容の維持を示す場合、対象は、TIMPによる治療を必要としないと決定される。
【0085】
本明細書に記載の1つ以上のパラメーターを使用して生成された対象の免疫寛容シグネチャは、以下の場合、TIMP-PBCによる治療の前又は後に免疫寛容が弱まること及び/又は欠如することを示す:
a.全T細胞集団におけるエフェクターT細胞の割合は、対象のベースライン測定値に対して、及び/又は健康な対象に対して、0.01%~100%(例えば、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.5%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%(それらの値の間の全ての値及び範囲を含む)であり、並びに/又は、
b.全T細胞集団におけるT細胞の割合は、対象のベースライン測定値に対して、及び/又は健康な対象に対して、0.01~100%(例えば、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.5%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%(それらの値の間の全ての値及び範囲を含む)であり、並びに/又は、
c.全B細胞集団におけるエフェクターB細胞の割合は、対象のベースライン測定値に対して、及び/又は健康な対象に対して、0.01%~100%(例えば、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.5%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%(それらの値の間の全ての値及び範囲を含む)であり、並びに/又は、
d.IgG及び/又はIgMのレベルは、対象のベースライン測定値に対して、及び/又は健康な対象に対して、約0.01%~100%(例えば、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.5%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%(それらの値の間の全ての値及び範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、又は50%又は約2~100分の1(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100分の1(それらの値の間の全ての値及び範囲を含む)に増加し、並びに/又は、
e.炎症性サイトカイン/ケモカインのレベルは、対象のベースライン測定値に対して、及び/又は健康な対象に対して、約0.01%~100%(例えば、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.5%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%(それらの値の間の全ての値及び範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、又は50%又は約2~100分の1(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100分の1(それらの値の間の全ての値及び範囲を含む)に増加し、並びに/又は、
f.抗炎症性サイトカイン及びケモカインのレベルは、対象のベースライン測定値に対して、及び/又は健康な対象に対して、約0.01%~100%(例えば、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.5%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%(それらの値の間の全ての値及び範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、又は50%又は約2~100分の1(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100分の1(それらの値の間の全ての値及び範囲を含む)に減少し、並びに/又は、
g.肝臓酵素のレベルは、対象のベースライン測定値に対して、及び/又は健康な対象に対して、約0.01%~100%(例えば、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.5%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%(それらの値の間の全ての値及び範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、又は50%又は約2~100分の1(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100分の1(それらの値の間の全ての値及び範囲を含む)に増加し、並びに/又は、
h.炎症性代謝産物のレベルは、対象のベースライン測定値に対して、及び/又は健康な対象に対して、約0.01%~100%(例えば、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.5%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%(それらの値の間の全ての値及び範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、又は50%又は約2~100分の1(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100分の1(それらの値の間の全ての値及び範囲を含む)に増加し、並びに/又は、
i.抗炎症性代謝産物のレベルは、対象のベースライン測定値に対して、及び/又は健康な対象に対して、約0.01%~100%(例えば、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.5%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%(それらの値の間の全ての値及び範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、又は50%又は約2~100分の1(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100分の1(それらの値の間の全ての値及び範囲を含む)に減少する。
【0086】
PBCの1つ以上の症状を緩和する、及び/又はPBC抗原に対する炎症性免疫応答の持続期間及び重症度を低減するTIMP-PBCの有効性は、対象由来の1つ以上の生体試料のアッセイから決定される。生体試料としては、全血、末梢血、末梢血単核細胞(PBMC)、血清、血漿、尿、脳脊髄液(CSF)、便、組織生検、及び/又は骨髄生検が挙げられる。種々の実施形態では、生体試料のアッセイには、細胞表面タンパク質、細胞外タンパク質、細胞内タンパク質、核酸、代謝産物、酵素、及び/又はそれらの組み合わせのレベル、並びに/又は存在若しくは不在を分析することが挙げられる。
【0087】
種々の実施形態において、PBCの1つ以上の症状を緩和する、及び/又はPBC抗原に対する炎症性免疫応答の持続期間及び重症度を低減するTIMP-PBCの有効性は、TIMP-PBCによる治療前後の対象由来の1つ以上の生体試料由来の細胞のアッセイに基づいて決定される。種々の実施形態においては、細胞は、免疫細胞、非免疫細胞、及び/又はそれらの組み合わせである。種々の実施形態において、免疫細胞としては、自然免疫細胞、適応免疫細胞、及び/又はそれらの組み合わせが挙げられる。生体試料からアッセイされる自然免疫細胞は、抗原提示細胞(APC)である。生体試料からアッセイした例示的な自然免疫細胞としては、単球、マクロファージ、好中球、顆粒球、樹状細胞、肥満細胞、好酸球、好塩基球、及び/又はそれらの組み合わせが挙げられる。生体試料からアッセイした適応免疫細胞としては、CD4+T細胞、CD8+T細胞、B細胞、NK細胞、NK-T細胞、及び/又はそれらの組み合わせなどのエフェクター免疫細胞が挙げられる。種々の実施形態において、T細胞は、Th1細胞、Th2a細胞、Treg細胞、及びTr1細胞である。
【0088】
ある特定の実施形態において、生体試料からアッセイされる細胞は、上皮細胞、間質細胞、内皮細胞、線維芽細胞、周皮細胞、脂肪細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、造血前駆細胞、肝細胞、肝類洞内皮細胞(LSEC)、及び/又はクッパー細胞である。
【0089】
種々の実施形態において、PBCの1つ以上の症状を緩和する、及び/又は1つ以上のPBC抗原に対する炎症性免疫応答の持続期間及び重症度を低下させるTIMP-PBCの有効性は、TIMP-PBCによる治療前後の対象由来の1つ以上の生体試料由来の細胞表面タンパク質のアッセイに基づいて決定される。種々の実施形態において、細胞表面タンパク質は、CD1c、CD2、CD3、CD4、CD5、CD8、CD9、CD10、CD11b、CD11c、CD14、CD15、CD16、CD18、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、TACI、CD25、CD27、CD28、CD30、CD30L、CD31、CD32、CD32b、CD34、CD33、CD38、CD39、CD40、CD40-L、CD41b、CD42a、CD42b、CD43、CD44、CD45、CD45RA、CD47、CD45RA、CD45RO、CD48、CD52、CD55、CD56、CD58、CD61、CD66b、CD69、CD70、CD72、CD79、CD68、CD84、CD86、CD93、CD94、CD95、CRACC、BLAME、BCMA、CD103、CD107、CD112、CD120a、CD120b、CD123、CD125、CD127、CD134、CD135、CD140a、CD141、CD154、CD155、CD160、CD161、CD163、CD172a、XCR1、CD203c、CD204、CD206、CD207CD226、CD244、CD267、CD268、CD269、CD355、CD358、CRTH2、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2D、NKG2E、NKG2F、NKG2H、KIR2DL1、KIR2DL2、KIR2DL3、KIR2DL5A、KIR2DL5B、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR3DL3、KIR3DL4、KIR2DS1、KIR2DS2、KIR2DS3、KIR2DS4、KIR2DS5、DAP12、KIR3DS、NKp44、NKp46、TCR、BCR、インテグリン、FcβεRI、MHC-I、MHC-II、IL-1R、IL-2Rα、IL-2Rβ、IL-2Rγ、IL-3Rα、CSF2RB、IL-4R、IL-5Rα、CSF2RB、IL-6Rα、gp130、IL-7Rα、IL-9R、IL-10R、IL-12Rβ1、IL-12Rβ2、IL-13Rα1、IL-13Rα2、IL-15Rα、IL-21R、IL23R、IL-27Rα、IL-31Rα、OSMR、CSF-1R、細胞表面IL-15、IL-10Rα、IL-10Rβ、IL-20Rα、IL-20Rβ、IL-22Rα1、IL-22Rα2、IL-22Rβ、IL-28RA、PD-1、PD-1H、BTLA、CTLA-4、PD-L1、PD-L2、2B4、B7-1、B7-2、B7-H1、B7-H4、B7-DC、DR3、LIGHT、LAIR、LTα1β2、LTβR、TIM-1、TIM-3、TIM-4、TIGIT、LAG-3、ICOS、ICOS-L、SLAM、SLAMF2、OX-40、OX-40L、GITR、GITRL、TL1A、HVEM、41-BB、41BB-L、TL-1A、TRAF1、TRAF2、TRAF3、TRAF5、BAFF、BAFF-R、APRIL、TRAIL、RANK、AITR、TRAMP、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、CCR11、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、CXCR6、CXCR7、CLECL9a、DC-SIGN、IGSF4A、SIGLEC、EGFR、PDGFR、VEGFR、FAP、α-SMA、FAS、FAS-L、FC、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、ICAM-4、ICAM-5、PECAM-1、MICA、MICB、UL16、ULBP1、ULBP2、ILBP3、ULBP4、ULBP5、ULBP6、MULT1、RAE1α、β、γ、δ、及びε、H60a、H60b、H60c、GPR15、ST2、並びに/又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。インテグリンとしては、α1、α2、αIIb、α3、α4、α5、α6、α7、α8、α9、α10、α11、αD、αE、αL、αM、αV、αX、β1、β2、β3、β4、β5、β6、β7、β8、及び/又はそれらの組み合わせが挙げられる。TCRには、α、β、γ、δ、ε、ζ鎖及び/又はそれらの組み合わせが含まれる。フローサイトメトリー及び質量サイトメトリー(CyTOF)を含む、細胞表面タンパク質発現をアッセイするためのいくつかの方法が文献に記載されている。
【0090】
種々の実施形態において、TIMP-PBCによる治療は、炎症性細胞表面タンパク質の発現を、対象のベースライン測定値に対して、及び/又は健康な対象に対して、5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%(これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、又は50%又は約2~100分の1(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100分の1(それらの値の間の全ての値及び範囲を含む)に減少させる。種々の実施形態において、細胞表面タンパク質は、CD14である。
【0091】
種々の実施形態において、TIMP-PBCによる治療は、抗炎症性細胞表面タンパク質の発現を、対象のベースライン測定値に対して、及び/又は健康な対象に対して、5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%(これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、又は50%又は約2~100分の1(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100分の1(それらの値の間の全ての値及び範囲を含む)に増加させる。
【0092】
種々の実施形態において、PBCの1つ以上の症状を緩和する、及び/又はPBC抗原に対する炎症性免疫応答の持続期間及び重症度を低減するTIMP-PBCの有効性は、TIMP-PBCによる治療前後の対象由来の1つ以上の生体試料由来のタンパク質のアッセイに基づいて決定される。種々の実施形態において、タンパク質は、サイトカイン及び/又はケモカインである。種々の実施形態において、タンパク質は、細胞シグナル伝達タンパク質である。種々の実施形態において、サイトカイン及びケモカインは、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-12p70、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-17、IL-18、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-24、IL-25、IL-26、IL-27、IL-27b、IL-28、IL-29、IL-30、IL-31、IL-32、IL-33、IL-35、IL-36、CCL1、CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CCL6、CCL7、CCL8、CCL9、CCL10、CCL11、CCL12、CCL14、CCL15、CCL16、CCL17、CCL18、CCL19、CCL20、CCL21、CCL22、CCL23、CCL24、CCL25、CCL26、CCL27、CCL28、CXCL1、CXCL2(MCP-1)、CXCL3(MIP-1α、CXCL4(MIP-1β、CXCL5(RANTES)、CXCL6、CXCL7、CXCL8、CXCL9、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL14、CXCL15、CXCL16、CXCL17、GM-CSF、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、TNF-α、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、及び/又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0093】
種々の実施形態において、タンパク質はプロテアーゼである。種々の実施形態において、プロテアーゼは、アスパラギン酸プロテアーゼ、システインプロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、及び/又はトレオニンプロテアーゼである。種々の実施形態において、プロテアーゼは、ADAM1、ADAM2、ADAM7、ADAM8、ADAM9、ADAM10、ADAM11、ADAM12、ADAM15、ADAM17、ADAM18、ADAM19、ADAAM20、ADAM21、ADAM22、ADAM23、ADAM28、ADAM29、ADAM30、ADAM33、MMP1、MMP2、MMP3、MMP7、MMP8、MMP9、MMP10、MMP11、MMP12、MMP13、MMP14、MMP15、MMP16、MMP17、MMP18、MMP19、MMP20、MMP21、MMP23A、MMP23B、MMP24、MMP25、MMP26、MMP27、及びMMP28からなる群から選択される。種々の実施形態において、アポトーシスに関連するタンパク質は、P53、カスパーゼ1、カスパーゼ2、カスパーゼ3、カスパーゼ4、カスパーゼ5、カスパーゼ6、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9、カスパーゼ10、カスパーゼ11、カスパーゼ12、カスパーゼ13、カスパーゼ14、BCL-2、BCL-XL、MCL-1、CED-9、A1、BFL1、BAX、BAK、DIVA、BCL-XS、BIK、BIM、BAD、BID、及びEGL-1からなる群から選択される。生体試料からタンパク質をアッセイするためのいくつかの方法は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウエスタンブロット、及び質量分析を含む文献に記載されている。種々の実施形態において、タンパク質は、1つ以上の免疫グロブリン(Ig)である。種々の実施形態において、Igは、IgA、IgD、IgE、IgM、及び/又はそれらの変異体からなる群から選択される。種々の実施形態において、免疫グロブリンは、抗原特異的である。生体試料から免疫グロブリンを検出するためのいくつかの方法は、ELISA及びImmunoCapを含む文献に記載されている。
【0094】
種々の実施形態において、TIMP-PBCによる治療は、炎症性タンパク質のレベルを、対象のベースライン測定値に対して、及び/又は健康な対象に対して、5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%(これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、又は50%又は約2~100分の1(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100分の1(それらの値の間の全ての値及び範囲を含む)に減少させる。TIMP-PBCによる治療は、抗炎症性タンパク質のレベルを、対象のベースライン測定値に対して、及び/又は健康な対象に対して、5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%(これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、又は50%又は約2~100分の1(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100分の1(それらの値の間の全ての値及び範囲を含む)に増加させる。
【0095】
種々の実施形態において、TIMP-PBCによる治療は、抗核抗体(ANA)、抗Gp210抗体、抗Sp100抗体、IgM、又は抗ミトコンドリア抗体のレベルを、対象のベースライン測定値に対して、及び/又は健康な対象に対して、5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%(これらの値の間の全ての値及び範囲を含む))、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、又は50%又は約2~100分の1(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100分の1(それらの値の間の全ての値及び範囲を含む))に減少させる。
【0096】
種々の実施形態において、PBCの1つ以上の症状を緩和する、及び/又はPBC抗原に対する炎症性免疫応答の持続期間及び重症度を低減するTIMP-PBCの有効性は、TIMP-PBCによる治療前後の対象由来の1つ以上の生体試料由来の代謝産物のアッセイに基づいて決定される。種々の実施形態において、代謝産物は、炎症性代謝産物である。種々の実施形態において、代謝産物は、抗炎症性代謝産物である。種々の実施形態において、炎症性代謝産物の例としては、酸、脂質、糖、アミノ酸、乳酸塩、トリメチルアミンN-オキシド、O-アセチルクレアチン、L-カルニチン、コリン、コハク酸塩、グルタミン、脂肪酸、コレステロール、3-ヒドロキシ酪酸塩、3’-シアリルラクトース、アラキドン酸、プロスタグランジン(G2及びH2)、PGD2、PGE2、PGF2a、PGI2、TXA2、ロイコトリエン(A4、B4、C4、D4、E4)、キヌレニン、3-ヒドロキシキヌレニン、リポキシンA4、及びリポキシンB4が挙げられる。種々の実施形態において、抗炎症性代謝産物の例としては、2-アミノ-3-カルボキシムコン6-セミアルデヒド、ピコリン酸、アントラニル酸、3-ヒドロキシラントラニル酸、グルタリルco-A、NAD+、キノリン酸、アルギニン、酪酸塩、及びアデノシンが挙げられる。TIMP-PBCによる治療は、炎症性代謝産物のレベルを、対象のベースライン測定値に対して、及び/又は健康な対象に対して、5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%(これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、又は50%又は約2~100分の1(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100分の1(それらの値の間の全ての値及び範囲を含む)に減少させる。種々の実施形態において、TIMP-PBCによる治療は、抗炎症性代謝産物のレベルを、対象のベースライン測定値に対して、及び/又は健康な対象に対して、5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%(これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、又は50%又は約2~100分の1(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100分の1(それらの値の間の全ての値及び範囲を含む)に増加させる。
【0097】
種々の実施形態において、PBCの1つ以上の症状を緩和する、及び/又はPBC抗原に対する炎症性免疫応答の持続期間及び重症度を低減するTIMP-PBCの有効性は、1つ以上の肝臓生検由来の肝線維症のアッセイに基づいて決定される。種々の実施形態において、PBCの1つ以上の症状を緩和する、及び/又はPBC抗原に対する炎症性免疫応答の持続期間及び重症度を低減するTIMP-PBCの有効性は、画像法による肝線維症の評価に基づいて決定される。種々の実施形態において、肝線維症は、FibroScan、超音波検査、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴画像法(MRI)、磁気共鳴エラストグラフィー(MRA)、超音波エラストグラフィー、一過性エラストグラフィー、点せん断波エラストグラフィー、又は二次元せん断波エラストグラフィーによって評価される。
【0098】
種々の実施形態において、PBCの1つ以上の症状を緩和する、及び/又はPBC抗原に対する炎症性免疫応答の持続期間及び重症度を低減するTIMP-PBCの有効性は、1つ以上の肝臓生検由来の肝臓免疫浸潤のレベルのアッセイに基づいて決定される。
【0099】
種々の実施形態において、肝生検はコア肝生検である。種々の実施形態において、TIMP-PBCによる治療は、肝線維症を、対象のベースライン測定値に対して、及び/又は健康な対象に対して、約5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%(これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、又は50%又は約2~100分の1(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100分の1(それらの値の間の全ての値及び範囲を含む)に減少させる。
【0100】
種々の実施形態において、TIMP-PBCによる治療は、肝臓免疫浸潤を、対象のベースライン測定値に対して、及び/又は健康な対象に対して、約5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%(これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、又は50%又は約2~100分の1(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100分の1(それらの値の間の全ての値及び範囲を含む)に減少させる。
【0101】
種々の実施形態において、PBCの1つ以上の症状を緩和する、及び/又はPBC抗原に対する炎症性免疫応答の持続期間及び重症度を低減するTIMP-PBCの有効性は、臨床疾患スケールにおける対象のスコアに基づいて決定される。種々の実施形態において、臨床疾患スケールは、PBC-40スケール、修正型PBC-40スケール、改良肝線維症(ELS)スコア、PBC-27スケール、GLOBEスケール、UK-PBCスケール、1日平均最悪痒みスケール、5-D痒みスケール、視覚的アナログスケール(VAS)、Scheuerスケール、中沼病期分類、線維症スコア、胆管損失スコア、FIB-4指数、又はAPRIである。いくつかの臨床疾患スコアリングシステムは、文献に記載されており、参照8~10により本明細書に組み込まれる。
【0102】
種々の実施形態において、PBCの1つ以上の症状を緩和する、及び/又はPBC抗原に対する炎症性免疫応答の持続期間及び重症度を低減するTIMP-PBCの有効性は、TIMP-PBC投与前後の以下の評価に基づいて決定される:
A.コア肝生検から浸潤するT細胞のレベル。
B.血液中の抗原特異的IFN-γ産生のレベル。
C.血清ALPのレベル。
D.血清ビリルビンのレベル。
E.血清ALTのレベル。
F.血清ASTのレベル。
G.血清GGTのレベル。
H.血液中の抗Gp210抗体のレベル。
I.血液中の抗Sp100抗体のレベル。
J.血清可溶性CD14のレベル。
K.血清キヌレニンのレベル。
L.血清IgMのレベル。
M.改良肝線維症(ELF)スコア。
N.肝臓コア生検における肝臓炎及び線維症のレベル。
O.1日平均最悪痒みスコア。
P.PBC-40スケールスコア。
【0103】
PBCの1つ以上の症状を改善するTIMP-PBCの有効性は、対象から得られた1つ以上の生体試料からアッセイされた以下のパラメーターのうちの1つ以上から決定される:
A.全T細胞集団におけるエフェクターT細胞の割合、
B.全T細胞集団におけるTreg細胞の割合、
C.全B細胞集団におけるエフェクターB細胞の割合、
D.特異的IgG、及び/又はIgMのレベル、
E.炎症性サイトカイン及びケモカインのレベル、
F.抗炎症性サイトカイン及びケモカインのレベル、
G.肝臓酵素のレベル
H.炎症性代謝産物のレベル、及び
I.抗炎症性代謝産物のレベル。
【0104】
種々の実施形態において、PBCの1つ又は複数の症状を改善するためのTIMP-PBCの有効性は、上記(a)~(i)に列挙される1、2、3、4、5、6、7、8、又は9つのパラメーターのアッセイの結果から決定される。
【0105】
種々の実施形態において、PBCの1つ以上の症状を改善するTIMP-PBCの有効性は、HLAハプロタイプ、抗ミトコンドリア抗体の存在/レベル、及び血液中のアルカリホスファターゼのレベルに基づいて同定される。
【0106】
種々の実施形態において、PBCの1つ以上の症状を改善する、及び/又はPBC抗原に対する炎症応答の持続期間及び重症度を低下させるTIMP-PBCの有効性は、代替PBC療法の使用に基づいて決定される。種々の実施形態において、TIMP-PBCの投与は、代替PBC療法の使用を減少させる。種々の実施形態において、療法は、ステロイド、コルチコステロイド、非ステロイド性免疫抑制剤、免疫調節剤、モノクローナル抗体、サイトカイン及びケモカイン標的療法、JAK阻害剤、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法、調節性T細胞(Treg)療法、B細胞標的療法、抗ウイルス薬、又は外科的治療である。
【0107】
種々の実施形態において、療法は、ウルソデオキシコール酸(UDCA)、オベチコール酸(OCA)、フィブラート、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δ(pparδ)アゴニスト、回腸胆汁酸トランスポーター(IBAT)阻害剤、タウロウルソデオキシコール酸、6α-エチルケノデオキシコール酸、セタナキシブ、モエキシプリル、アバタセプト、線維芽細胞増殖因子、スタチン、コルチコーン、ウステキヌマブ、CD20標的療法、CD19標的療法、CD40/CD40L標的療法、CD80/CD86標的療法、B細胞標的因子(BAFF)標的療法、B細胞成熟抗原(BCMA)標的療法、サイトカイン/ケモカイン阻害剤、抗IL6療法、抗IFN療法、アミファンプリジン、シクロスポリン、シクロホスファミド、バトクリマブ、イネビリズマブ、ニポカリマブ、ポゼリマブ、リツキシマブ、サトラリズマブ、セラデルパール、ペントキシフィリン、トシリズマブ、トファシチニブ、トレブルチニブ、アボルスタチン、フェノフィブラート、ベザフィブラート、リネリキシバット、メトトレキサート、又は肝臓移植である。
【0108】
種々の実施形態において、ステロイド又はコルチコステロイドは、ベクロメタゾン、シクルソニド、フルチカゾンフロアトル、モメタゾン、ブデノシド、フルチカゾン、トリアムシノロン、ロテプレドノール、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、又はヒドロコルチゾンを含む群から選択される。
【0109】
種々の実施形態において、TIMP-PBCの投与は、代替PBC療法の使用を、対象のベースライン測定値に対して、及び/又は健康な対象に対して、1%~100%(例えば、約1%、約2%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、又は50%減少させる。種々の実施形態において、代替PBC療法の使用は、TIMP-PBCの投与の1、2、3、4、5、6、又は7日後に、減少又は排除される。種々の実施形態において、代替PBC療法の使用は、TIMP-PBCの投与の1、2、3、又は4週間後に減少又は排除される。種々の実施形態において、代替PBC療法の使用は、TIMP-PBCの投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12ヶ月後に減少又は排除される。種々の実施形態において、代替PBC療法の使用は、TIMP-PBCの投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12年後に減少又は排除される。
【0110】
生体試料からアッセイされる細胞としては、免疫細胞、非免疫細胞、及び/又はそれらの組み合わせが挙げられる。免疫細胞としては、自然免疫細胞、適応免疫細胞、及び/又はそれらの組み合わせが挙げられる。生体試料からアッセイされる自然免疫細胞は、抗原提示細胞(APC)である。生体試料からアッセイした例示的な自然免疫細胞としては、単球、マクロファージ、好中球、顆粒球、樹状細胞、肥満細胞、好酸球、好塩基球、及び/又はそれらの組み合わせが挙げられる。生体試料からアッセイした適応免疫細胞としては、CD4+T細胞、CD8+T細胞、B細胞、NK細胞、NK-T細胞、及び/又はそれらの組み合わせなどのエフェクター免疫細胞が挙げられる。種々の実施形態において、T細胞は、Th1細胞、Th2a細胞、Treg細胞、及びTr1細胞である。
【0111】
ある特定の実施形態において、生体試料からアッセイされる細胞は、上皮細胞、間質細胞、内皮細胞、線維芽細胞、周皮細胞、脂肪細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、造血前駆細胞、肝細胞、肝類洞内皮細胞(LSEC)、及び/又はクッパー細胞である。
【0112】
併用療法
2つの治療薬の同時投与は、薬剤がその治療効果を発揮している期間に重複がある限り、薬剤が同時に又は同じ経路で投与されることを必要としない。異なる日又は週の投与と同様に、事前、同時又は連続投与が企図される。
【0113】
TIMP-PBC及びPBC治療剤は、随伴して、又は同時に、同じ製剤又は別個の製剤で投与され得ることが企図される。TIMP-PBC及びPBC治療剤は、別個の製剤で投与され、随伴して投与され、随伴してとは、薬剤が互いに30分~12時間以内に投与されることを指すことが更に企図される。
【0114】
別の態様では、TIMP-PBC及びPBC治療剤は、他方の組成物の投与前に投与される。事前投与とは、TIMP-PBC及びPBC治療剤を、他方の療法による治療の1週間前から、他方の療法の投与の30分前までの範囲内で投与することを指す。
【0115】
別の態様では、TIMP-PBC及びPBC治療薬は、他方の組成物の投与に続いて投与される。後続の投与とは、他方の療法による治療後1週間、他方の療法の投与後30分までの範囲内で、TIMP-PBC及びPBC治療薬を投与することを指す。
【0116】
必要に応じて、他の補助療法又は代替療法が投与され得ることが更に企図される。
【0117】
種々の実施形態において、TIMP-PBCは、単独で、又はPBC治療薬と組み合わせて投与される。種々の実施形態において、治療剤は、TIMP-PBCの投与の前に、それに随伴して、又はそれに続いて投与される。
【0118】
種々の実施形態において、治療剤は、ステロイド、コルチコステロイド、非ステロイド性免疫抑制剤、免疫調節剤、モノクローナル抗体、サイトカイン及びケモカイン標的療法、JAK阻害剤、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法、調節性T細胞(Treg)療法、B細胞標的療法、抗ウイルス薬、並びに外科的治療からなる群から選択される。種々の実施形態において、治療剤は、ウルソデオキシコール酸(UDCA)、オベチコール酸(OCA)、フィブラート、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δ(pparδ)アゴニスト、回腸胆汁酸トランスポーター(IBAT)阻害剤、ウステキヌマブ、タウロウルソデオキシコール酸、6α-エチルケノデオキシコール酸、セタナキシブ、モエキシプリル、アバタセプト、線維芽細胞増殖因子、スタチン、コルチコーン、CD20標的療法、CD19標的療法、CD40/CD40L標的療法、CD80/CD86標的療法、B細胞標的因子(BAFF)標的療法、B細胞成熟抗原(BCMA)標的療法、抗IL6療法、抗IFN療法、アミファンプリジン、シクロスポリン、シクロホスファミド、バトクリマブ、イネビリズマブ、ニポカリマブ、ポゼリマブ、リツキシマブ、サトラリズマブ、セラデルパール、ペントキシフィリン、トシリズマブ、トファシチニブ、トレブルチニブ、アボルスタチン、フェノフィブラート、ベザフィブラート、リネリキシバット、メトトレキサート、肝臓移植、ベクロメタゾン、シクルソニド、フルチカゾンフロアトル、モメタゾン、ブデノシド、フルチカゾン、トリアムシノロン、ロテプレドノール、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、及びヒドロコルチゾンからなる群から選択される。
【0119】
種々の実施形態において、治療剤は、TIMP-PBCの投与の1、2、3、4、5、6、又は7日前に投与される。種々の実施形態において、治療剤は、TIMP-PBCの投与の1、2、3、又は4週間前に投与される。種々の実施形態において、治療剤は、TIMP-PBCの投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12ヶ月前に投与される。種々の実施形態において、治療剤は、TIMP-PBCの投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12年前に投与される。種々の実施形態において、治療剤は、TIMP-PBCの投与の1、2、3、4、5、6、又は7日後に投与される。種々の実施形態において、治療剤は、TIMP-PBCの投与の1、2、3、又は4週間後に投与される。種々の実施形態において、治療剤は、TIMP-PBCの投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12ヶ月後に投与される。種々の実施形態において、治療剤は、TIMP-PBCの投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12年後に投与される。
【0120】
薬学的製剤
本明細書に記載のTIMP-PBCを活性成分として含有する本開示の薬学的組成物は、投与経路に応じて、薬学的に許容される担体又は添加剤を含有し得る。そのような担体又は添加剤の例としては、水、薬学的に許容される有機溶媒、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシイビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリルナトリウム、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルデンプンナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、寒天、ジグリセリン、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン(HSA)、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、薬学的に許容される界面活性剤などが挙げられる。使用される添加剤は、本開示の剤形に応じて、必要に応じて、上記又はそれらの組み合わせから選択されるが、これらに限定されない。
【0121】
薬学的組成物の製剤は、選択される投与経路(例えば、溶液、エマルション)に従って変化するであろう。投与する治療剤を含む適切な組成物は、生理学的に許容されるビヒクル又は担体中で調製することができる。溶液又はエマルションに関して、好適な担体として、例えば、生理食塩水及び緩衝媒体を含む水性又はアルコール性/水性溶液、エマルション又は懸濁液が挙げられる。非経口ビヒクルとしては、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸リンゲルオイル又は固定油が挙げられる。静脈内ビヒクルとしては、種々の添加剤、保存剤、又は液体、栄養素又は電解質補充剤が挙げられる。
【0122】
種々の水性担体、例えば、無菌リン酸緩衝生理食塩水、静菌水、水、緩衝水、0.4%生理食塩水、0.3%グリシンなどを含み、軽度の化学修飾などを受けたアルブミン、リポタンパク質、グロブリンなどの安定性を高めるための他のタンパク質を含み得る。
【0123】
阻害剤の治療用製剤は、所望の純度を有する阻害剤を、凍結乾燥製剤又は水性溶液の形態で、任意の生理学的に許容可能な担体、賦形剤又は安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))と混合することによって、保管のために調製される。許容される担体、賦形剤、又は安定剤は、用いる投薬量及び濃度でレシピエントに対して無毒であり、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化物質;保存剤(オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウムなど);塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル若しくはベンジルアルコール;メチル若しくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、若しくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギン、若しくはリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、若しくはデキストリンなどの単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、若しくはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成性対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);並びに/又はTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)若しくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0124】
インビボ投与に使用されることになる製剤は無菌でなければならない。これは、無菌濾過膜を介した濾過によって容易に達成される。
【0125】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に好適な賦形剤との混合物に活性化合物を含有してもよい。そのような賦形剤は、懸濁剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム及びアカシアゴムであり;分散剤又は湿潤剤は、天然に存在するホスファチド、例えば、レシチン、又は脂肪酸を伴う酸化アルキレンの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンステアレート、又は長鎖脂肪族アルコールを伴う酸化エチレンの縮合生成物、例えば、ヘプタデカエチルエネオキシセタノール、及びポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートなどのヘキシトール、又は脂肪酸に由来する部分エステルを伴う酸化エチレンの縮合生成物、及びヘキシトール無水物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートである。水性懸濁液はまた、1つ以上の保存剤、例えば、エチル、又はn-プロピル、p-ヒドロキシ安息香酸塩を含有してもよい。
【0126】
本明細書に記載されるTIMP-PBCは、保管のために凍結乾燥させ、使用前に適切な担体中で再構成することができる。
【0127】
経口投与用の固体剤形としては、カプセル剤、錠剤、丸薬、粉末剤、及び顆粒剤が挙げられる。そのような固体剤形では、修飾粒子は、少なくとも1つの不活性の薬学的に許容される賦形剤又は担体、例えば、クエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウム、並びに/又はa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及びケイ酸などの充填剤又は伸長剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、及びアカシアなどの結合剤、c)グリセロールなどの湿潤剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ポテト又はタピオカデンプン酸、アルギン酸、ある特定のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶液遅延剤、f)四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコール及びグリセロールモノステアレートなどの湿潤剤、h)カオリン及びベントナイトクレーなどの吸収剤、並びにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなどの潤滑剤、及びこれらの混合物と混合される。カプセル剤、錠剤及び丸薬の場合、剤形はまた、緩衝剤を含んでもよい。
【0128】
キット
更なる態様として、本開示は、本開示の方法を実施するためのそれらの使用を容易にする方法で包装された1つ以上の化合物又は組成物を含むキットを含む。一実施形態では、そのようなキットは、本明細書に記載の化合物又は組成物(例えば、TIMPを単独で又は第2の薬剤と組み合わせて含む組成物)であって、密封されたボトル又は容器などの容器に包装され、ラベルが容器に貼付されているか、又は方法の実施における化合物又は組成物の使用を説明するパッケージに含まれている、化合物又は組成物を含む。好ましくは、化合物又は組成物は、単位剤形で包装される。キットは、特定の投与経路に従って組成物を投与するため、又はスクリーニングアッセイを実施するために好適なデバイスを更に含み得る。好ましくは、このキットは、阻害剤組成物の使用を説明する標識を含む。
【0129】
更なる実施形態において、本開示は、(a)本明細書に記載されるようなTIMP-PBCを含む物質の組成物と、(b)当該組成物を含む容器と、(c)本明細書に記載されるようなPBCの治療における当該TIMP-PBCの使用を参照して、当該容器に貼付されたラベル、又は当該容器に含まれる添付文書とを含む、製造物、又は単位剤形を提供する。
【0130】
本開示の追加の態様及び詳細は、限定するのではなく例示することを意図する以下の実施例から明らかであろう。
【実施例
【0131】
実施例1:TIMP-PBCは、動物モデルにおける抗原特異的T細胞応答を阻害する
PBC抗原PDC-E2155~185(KVGEKLSEGDLLAEIETDKATIGFEVQEEGY)(配列番号1)を封入するTIMP-PBC(CNP-104)のT細胞耐性誘導における有効性を、PBCの治療モデルで調べた。
【0132】
げっ歯類において、PBCモデルは、C57BL/6マウスにおいてPBC様胆管炎を誘導する化学的異物性2OA BSAで誘導され得る。PBCモデルでは、マウスは、血清中のPDC-E2特異的抗ミトコンドリア抗体(AMA)並びにヒト疾患を模倣した肝胆管中の病原性T細胞の浸潤を発症する。このモデルへのポリ(I:C)治療の添加は、CD8T細胞浸潤を増強し、ヒトPBCの特徴である肝線維症をもたらす。
【0133】
実験当日(0日目)、未処理~6週齢のC57BL/6マウスを、腹腔内(i.p)注射により2OA-BSAでプライミングした。2OA-BSA i.pプライミングを、14日目に不完全フロイントアジュバント(IFA)で繰り返した。
【0134】
0日目及び2日目に、マウスに100ngの百日咳毒素(PTX)をi.p.注射した。0日目及び14日目に、マウスに、5mg/kgのポリ(I:C)を皮下(s.c.)注射した。7日目に、マウスをPDC-E2155~185/CFAエマルションでプライミングした。7日目及び14日目に、マウスをCNP-104(2.5mg用量/マウス又は約10mg/kg HED)又は対照ナノ粒子で治療した。
【0135】
22日目に、各治療群(N=5/群)のマウスを屠殺し、それらの脾臓を採取して、抗原特異的T細胞応答及び血清抗ミトコンドリア抗体(AMA)力価を評価した。
【0136】
脾細胞からの抗原特異的T細胞応答:5×10個の全脾細胞を、抗CD3抗体(0.5μg/mL)及び抗CD28(1μg/mL)(陽性対照)、又はT細胞特異的PDC-E2155~185(1.5μg/mL、15μg/mL、75μg/mLに滴定した)を含む完全なRPMI培地を有する96ウェル平底プレート中の3連ウェルにプレートした。
【0137】
細胞を培養設定の72時間後に収集し、細胞増殖レベルを、製造業者のプロトコルに従って、WST-1細胞増殖試薬(Roche、カタログ番号11644807001)を介してアッセイした。
【0138】
図1に示すように、CNP-104治療は、対照の負荷なしのナノ粒子治療と比較して、PDC-E2155~185T細胞応答を有意に阻害した(p<0.0001)。
【0139】
血液由来の抗ミトコンドリア抗体力価:全血を後眼窩経路を介してマウスから収集し、血清収集チューブに配置した。血液を室温で2時間凝固させた。血清を遠心分離(4℃で5分間3,000g)によって収集した。AMAのレベルを、QUANTA Lite(登録商標)M2 EP(MIT3)ELISAキットを使用して、PDC-E2コーティングされたマイクロウェル/ストリップを製造業者のプロトコルに従って使用してアッセイした。マウス血清試料を重複してウェルに添加した(100μLの試料/ウェル)。プレートを室温で1時間インキュベートした後、1×PBS+0.05%Tween-20で4回洗浄した。
【0140】
抗マウスIgG HRP二次抗体(1×PBS+5%BSAで1:4000希釈)を各ウェルに添加し、続いて室温で1時間インキュベートすることによって、IgG AMAを検出した。
【0141】
プレートを1×PBS+0.05%Tween-20で4回洗浄した。100μLのTMP一成分HRPマイクロウェル基質を各ウェルに添加し、十分な発色現像が生じるまで室温で現像した。反応を停止させるために100μLの停止試薬を加え、ELISAプレートリーダーを使用してプレートを450nmで読み取った。
【0142】
試験した全ての試料の光学密度の読み取り値を記録した。図2に示すように、CNP-104による治療は、対照の負荷なしのナノ粒子と比較した場合、血清IgG AMA力価の減少をもたらした。
【0143】
遅延型過敏症:C57BL/6マウスを、0日目にCFA中で乳化したPDC-E2-ペプチド200μg(100μLの注射体積)でプライミングした。プライミング後0日目及び7日目に、マウスを、2.5mgの用量/マウス(10mg/kg HED)の用量でIV注入を介して投与されたGLP製造プロセスを代表するCNP104ロットで治療した。プライミング後14日目に、マウスに、10μgのPDC-E2-ペプチド(右耳、10μLの注射量)又はオバルブミン(左耳、10μLの注射量)を皮内にチャレンジ投与した。PDC-E2-ペプチド及びOVAを用いて、誘発直後、並びに誘発24時間後に、各耳の耳介の厚さを測定した。各マウスの両耳の耳介の厚さ(ΔT)の変化を計算して、DTH応答を評価した。CNP-104は、2.5mg/用量(10mg/kg HED)の負荷なしの対照粒子と比較して、DTH応答を有意に阻害した。
【0144】
GMP製造プロセスを代表するCNP-104を使用したフォローアップDTH実験では、CNP-104は、2.5mg/用量(10mg/kg HED)の負荷なしの対照粒子と比較して、DTH応答を有意に阻害した(図3A、3B)。
【0145】
実施例2:TIMP-PBCは、PBC動物モデルにおける肝臓における白血球浸潤を阻害する。
肝臓における白血球浸潤の阻害におけるPBC抗原PDC-E2155~185を封入するTIMP-PBC(CNP-104)の有効性を、PBCの治療モデルにおいて調べた。
【0146】
実験当日(0日目)、未処理~6週齢のC57BL/6マウスを、腹腔内注射(i.p)により2OA-BSAでプライミングした。2OA-BSA i.pプライミングを、14日目に不完全フロイントアジュバント(IFA)で繰り返した。
【0147】
0日目及び2日目に、マウスに100ngの百日咳毒素(PTX)をi.p.注射した。0日目及び14日目に、マウスに、5mg/kgのポリ(I:C)を皮下(s.c.)注射した。7日目に、マウスをPDC-E2155~185/CFAエマルションでプライミングした。7日目及び14日目に、マウスをCNP-104又は対照ナノ粒子で治療した(N=6/群)。
【0148】
別の群の動物(N=3)をプライミングせずに放置し、未処理の対照として使用した。
【0149】
55日目に、動物を屠殺し、肝臓を採取した。肝臓を処理して、勾配分離を使用して白血球を単離し、各群における白血球浸潤のレベルを、生CD45+細胞のゲーティングによるフローサイトメトリーによって評価した。図4に示すように、CNP-104による治療は、対照ナノ粒子治療と比較した場合、肝臓における白血球浸潤のレベルの低下をもたらした。図5に示すように、CNP-104による治療は、未処理の未治療のマウスと比較して、肝臓におけるTreg(CD4CD25Foxp3)の増加をもたらした。
【0150】
実施例3:PBCを有する患者におけるTIMP-PBCの第2a相試験
製品特異的反復用量範囲所見、及び極めて重要なGLP毒性試験は、最初にCNP-104を用いて実施した(試験CNP-104-2.001及び試験CNP-104-2.002)。これらの試験は、CNP-104第2a相試験のための用量レベル、投与頻度、及び投与経路を包含し、支持する。
【0151】
非GLP反復用量試験を、0mg/kg、25mg/kg、75mg/kg、及び125mg/kgの用量レベルで1日目、8日目、及び15日目に静脈内投与(IV)によって投与されるCNP-104を用いて実施した(試験CNP-104-2.001)。体重増加、食物摂取、眼科検査、身体検査、臨床観察、機能観察バッテリー、体温、及び血清サイトカインレベルに対する薬物関連の影響は認められなかった。一過性の非有害臨床病理観察はすぐに解決した。これらの所見のいずれも有害であるとはみなされなかった。この試験で使用した125mg/kgの静脈内投与(1日目、8日目及び15日目に投与)の最高用量は、観察された有害作用を有さず、したがって、NOAELであることが決定された。
【0152】
極めて重要なGLP反復用量試験を、0mg/kg、25mg/kg、75mg/kg、及び125mg/kgの用量レベルで1日目、8日目、及び15日目に静脈内注入(IV)によって投与されるCNP-104を用いて実施した(試験CNP-104-2.002)。臨床観察又は体重、食物摂取、体温、又は肉体剖検所見の変化には、薬物関連の効果は認められなかった。数匹の雌ラットにおけるサイトカインパラメーターIL-5、IL-1β、IL-6及びIFN-γの増加が観察されたが、有害であるとは考えられなかった。この試験で使用した125mg/kgの静脈内投与(1日目、8日目及び15日目に投与)の最高用量は、観察された有害作用を有さず、したがって、NOAELであることが決定された。
【0153】
UDCA及び/又はOCAに応答しない原発性胆汁性胆管炎を有する22~72歳の対象におけるCNP-104の安全性、忍容性、薬力学、及び有効性を評価する第2a相二重盲検プラセボ対照試験を実施する。
【0154】
CNP-104は、PDC-E2155~185ペプチドを封入するPLGAナノ粒子からなる。CNP-104粒子は、約400~800nmの平均直径を有し、-30mV~-60mVの負のゼータ電位を有する。CNP-104は、凍結乾燥製剤として供給される。CNP-104を、注射用滅菌水中で再構成し、投与前に滅菌生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム、USP)中で希釈する。
【0155】
原発性胆汁性胆管炎を有する22~72歳及び18~75歳の対象は、試験への登録の14日前までにスクリーニングされる。対象が現在、標準治療療法を受けている場合、治療群(CNP-104又はプラセボ)にかかわらず、治験責任医師の裁量により、試験期間中も現在の標準治療療法を継続する。
【0156】
スクリーニングは、適格性を評価し、バイタルサインを取得し、試験室試料及び薬力学(PD)測定値を収集し、肝線維症の線維スキャンを受け取り、炎症/線維症評価のための肝臓コア生検を収集するために完了する。
【0157】
対象は、最初のPBC-40評価を完了し、治験の最初の120日間、毎朝と夕方に患者が記入するアンケートとスコアリングシステムであるItch Diaryを開始し、治験期間中は毎週記入する。PBC-40は、試験1日目から試験終了まで毎月完了する。スクリーニング来院完了後に全ての選択基準を満たし、除外基準を満たさない対象は、本臨床試験に登録される。
【0158】
1日目に治験薬を投与する前に、対象は、第2の組の肝臓試験室試料を収集する。これらの試験の結果は、スクリーニング来院時に得られたものと平均化され、患者特異的ベースラインALT、総ビリルビン及び直接ビリルビン、並びに肝臓の安全性のモニタリング及び薬物誘発性肝損傷(DILI)の検出のためのALP値を試験の全過程で提供する。
【0159】
次に、対象を、1日目に、1:1の比率でその時点で開放されている用量レベルコホートに無作為化して、1日目及び8日目に、静脈内CNP-104又はプラセボの2つの別々の投与を受ける(図6)。治験薬は、以下の段階的な注入速度を使用して、約3~4時間にわたってIV注入(3.25mg/ml)によって投与される:
最初の15分間は20mL/時間、次に
次の15分間は40mL/時間、次に
注入の残りの時間は80mL/時間である。
【0160】
対象は、1日目及び8日目の注入後4時間、急性有害事象のために診療所で医学的観察を受ける。対象者は、来院日に予定された全ての評価が完了し、注入後4時間後に測定されたバイタルサイン(座位又は仰臥位血圧、心拍数、体温)が対象者の予想される範囲内であり、治験責任医師によりその他の健康上の懸念が指摘されなければ、4時間後に退院となる。
【0161】
対象は、安全性臨床検査の収集、薬物のレビュー、及び有害事象の評価のために、各注入の2日後(3日目及び10日目)に来院のために戻り、注入の間(4~7日目及び11~14日目)の電話来院を通じて毎日追跡され、任意の有害事象及び薬物変化を評価及び文書化する。
【0162】
投与後期間に、対象は、免疫安全性臨床検査、PD測定、PBC-40評価、有害事象及び薬物変化の評価(15、60、90、120、180、270、365、450、540、630、700、及び/又は730日目)、線維スキャン(60、90、120、180、270、365、450、540、630、700、及び/又は730日目)、並びにコア肝生検(60日目)(図6)のために診療所に戻る。対象は、730日目までの試験期間中、1日2回の痒み日記を引き続き完了させる。対象は、安全性臨床検査収集、PD測定、PBC-40評価、線維スキャン、並びに有害事象及び薬物変化の最終評価のために、730日目の治験来院の終了のために診療所に戻る。
【0163】
この試験では、2つのコホートを2つの用量レベルで登録する予定である。対象は、1日目及び8日目に、200mLの静脈内注入として、CNP-104又はプラセボ(0.9%塩化ナトリウム注射、USP)のいずれかを受けるように、1:1の比率で無作為化される。計画用量レベルは以下の通りである。
1.コホート1:4mg/kg(N=6人の対象を1:1で無作為化)
2.コホート2:8mg/kg(N=最大34人の対象を1:1で無作為化)
【0164】
与えられた用量コホート内の対象の投与は、少なくとも48時間分離される。ある用量コホートの全ての対象が15日目の来院(2回目の投与から7日後)を完了した後、DMCを招集して、利用可能な全ての安全性データをレビューし、次の用量コホートに進むことが許容されるかどうか、コホートの拡大が正当であるかどうか、又は他の臨床的推奨を行うべきかどうかを判断する。
【0165】
参加基準:
●国内規制に従って、治験審査委員会(IRB)が承認した書面によるインフォームドコンセントとプライバシーの言語を提供する意思があり、提供することができる対象。
●男性及び妊娠していない、母乳を与えていない女性、22~27歳、又は18~75歳を含む。
●以下のうちの少なくとも2つに基づいて、原発性胆汁性胆管炎の診断が確定した対象:
-陽性AMA力価(例えば、>1:40)又は、AMA陰性又は低力価(<1:40)の場合、陽性PBC特異的抗体(抗GP210及び/又は抗SP100及び/又は主要M2成分に対する抗体[PDC-E2、2-オキソ-グルタル酸デヒドロゲナーゼ複合体
-アルカリホスファターゼ>1.5×ULN(正常値の上限)を少なくとも6ヶ月間
-PBCと一致する肝生検所見
●クラスA Child-Pughスコアを有する対象。
●ALP>1.5×ULNによって測定される安定した用量での治療の6ヶ月後にUDCA及び/又はOCAに応答しない、又はUDCA及び/又はOCAに不耐性である対象
●ALP>1.5×ULNの対象。
●AST及びALT≦10×ULNの対象。
●抗原特異的CD8+T細胞が陽性の対象。
●最初のスクリーニング開始から、試験全体を通して90日目まで継続して、試験中に妊娠しないことに同意し、スクリーニング来院時及び各投与前に妊娠検査が陰性であり、禁欲、同性の人との性交のみ、精管切除されたパートナーとの一夫一婦関係、精管切除、子宮摘出術、両側卵管結紮術、認可されたホルモン法、子宮内避妊器具(IUD)を含むがこれらに限定されない、非常に効果的な避妊法を実施することに同意した妊娠可能性のない男性及び女性対象又は妊娠可能性のある女性。
●最初のスクリーニング開始から、試験全体を通して120日目まで母乳育児を行わないことに同意する女性対象。
●最初のスクリーニング開始から、試験全体を通して90日目までOVAを提供しないことに同意する女性対象。
●スクリーニング開始及び試験全体を通して90日目まで精子を提供しないことに同意する男性対象。
【0166】
除外の基準:
●早期ステージ3以上の原発性胆汁性胆管炎を有する対象。
クラスB又はクラスC Child-Pughスコアを有する対象。
●ウイルス性肝炎、PSC、アルコール性肝疾患、ウィルソン病、ヘモクロマトーシス、又はギルバート症候群を含む随伴性肝疾患を有する対象。
●以前に肝臓移植を受けたことがある対象。
●以下のいずれかの存在又は病歴によって定義される非代償性肝疾患を有する対象:
○MELDスコア>15
○肝性脳症
○腹水
○肝腎症候群又は血清クレアチニン>2mg/dL
○総ビリルビン>3.0mg/dL
○INR>1.8(Coumadinなどの抗凝固薬を使用している場合を除く)
○静脈瘤出血の病歴
●過去12ヶ月以内に脳血管障害の病歴がある対象
●以下の基準のいずれかによって定義される、心筋梗塞の病歴を有する対象:
○症状の有無にかかわらず、病理学的Q波の発生
○非虚血性原因の不在下で薄くなり、収縮しない生存可能な心筋の喪失領域の画像法証拠
○治癒した又は治癒した心筋の病理所見
●CKD-EPI方程式に基づいてGFRが計算される、少なくとも3ヶ月間の糸球体濾過率(GFR)<60mL/min/1.73mによって定義される慢性腎臓病を有する対象:
○eGFR=142×min(Scr/κ,1)α×max(Scr/κ,1)-1.200×0.9938年齢×1.018[女性の場合]、又は
○GFR=141×min(Scr/κ,1)α×max(Scr/κ,1)-1.209×0.993年齢×1.018[男性の場合]×1.159[黒人の場合]ここで、
○Scrは、mg/dLの血清クレアチニンである。
○κは女性で0.7、男性で0.9である
○αは女性で-0.329、男性で-0.411である
○Minは、Scr/κ又は1の最小値を示す
○Maxは、Scr/κ又は1の最大値を示す
●HbA1c>7%によって定義される、制御されていない糖尿病を有する対象。
●0日目から12ヶ月以内又はスクリーニング前に、抗細胞及び抗サイトカイン療法を含む生物学的薬剤を使用した対象。
●結核の病歴又はPPD皮膚検査陽性の対象。
●スクリーニング1の前に28日以内に任意の生ワクチン(鼻腔内インフルエンザワクチンを除く)又は14日以内にサブユニットワクチンの投与を受けた対象、又は90日前までに任意のワクチン接種を受ける予定の対象。
●スクリーニング前14日以内にCOVID-19ワクチン(初回又は2回目の投与)を受けた対象。COVID-19ワクチンの初回の投与を受けた対象は、該当する場合、ワクチンの2回目の投与後14日経過するまで本試験のスクリーニングを受けることができない。
●スクリーニング前3ヶ月以内に全身ステロイドを使用した対象。
●スクリーニング時又は試験投与前の試験室試験結果が通常の限界外であり、治験責任医師によって臨床的に有意であると考えられている対象。この基準は肝機能試験には適用されない。更に、状態(PBC)に関連するスクリーニング時の臨床的に有意な試験室試験結果が許容される。
●スクリーニング時に決定されるように、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、C型肝炎ウイルス(HCV)抗体、又はヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗原/抗体の陽性試験結果を有する対象。
●PBC以外の免疫疾患(自己免疫疾患を含む)の病歴又は現在活動性のある対象(メディカルモニターと話し合った後、この試験への対象の参加が許容されると判断された場合を除く)
●免疫抑制薬(アザチオプリン、プレドニゾン、プレドニゾロン、ブデソニド、シクロスポリン、タクロリムス、メトトレキサート、又はミコフェノール酸モフェチルを含む)を必要とする疾患の病歴又は現在の活動性のある疾患を有する対象(メディカルモニターと話し合った後、この試験への対象の参加が許容されると判断された場合を除く)
●治験責任医師によって決定される重大な心血管疾患の臨床的病歴を有する対象。
●治験責任医師の選択により、過去5年以内に合併症又は悪性腫瘍の病歴を有する対象は、対象を試験参加に不適切にする。
●治験責任医師の見解では、試験手順に従うことができない対象。
●スクリーニング前の28日以内又は5半減期のいずれか長い方の期間内にCNP-104以外の治験治療を受けた対象。
●治験責任医師の意見では、対象を試験参加に不適切な状態にする任意の状態を有する、対象。
●CNP-104の任意の成分に対する既知の感受性。
【0167】
本試験の主な目的には、CNP-104の安全性及び忍容性を評価すること、並びにCNP-104又はプラセボで治療された患者における血清アルカリホスファターゼ(ALP)レベルの変化を評価することが含まれる。
【0168】
副次的評価項目には、プラセボと比較して、ビリルビン、アルブミン、ALT、AST、IFN-γ、GGT、Gp210、Sp100、可溶性CD14、血清IgM、血清キヌレニン、肝臓内の炎症、CNP-104を投与された患者における肝線維症のレベルの変化を評価すること、及びCNP-104又はプラセボで治療された患者間のコア生検によって肝臓内のT細胞浸潤の変化を評価することが含まれる。患者のELFスコア、1日最悪痒みスコア、及びPBC-40スケールの評価もまた評価される。
【0169】
試験産物に無作為化された対象は、4mg/kg又は8mg/kg(1日当たり650mgの最大用量まで)のCNP-104のいずれかを、200mLの静脈内注入として1日目及び8日目に投与される。
【0170】
試験の経過を通して、対象は、肝細胞及び胆汁鬱滞性薬物誘発性肝損傷(DILI)の両方の徴候の可能性について綿密にモニタリングされる。肝臓検査のモニタリングは、3つのカテゴリーに分けられる:肝細胞DILIシグナルを有する正常なベースライン(対象特異的平均ベースライン)ALT値を有する対象、肝細胞DILIシグナルを有する上昇したベースライン(対象特異的平均ベースライン)ALT値を有する対象、及び胆汁鬱滞性DILIシグナルを有する対象。全ての肝臓試験値を、疑わしい薬物への曝露前に得られた2つの試験からの対象特異的平均ベースライン値(「ベースライン」)と比較する。
【0171】
正常なベースラインALT値を有する対象については、肝細胞DILIシグナルについて以下のモニタリングが行われる:
【表2】
【0172】
ベースラインALT値が上昇した対象については、肝細胞DILIシグナルについて以下のモニタリングが行われる。
【表3】
【0173】
胆汁鬱滞性DILIシグナルについては、以下のモニタリングが行われる。
【表4】
【0174】
血液検査(ALT、総ビリルビン及び直接ビリルビン、及びALP)は、肝細胞DILIが疑われる場合は2~5日以内に、胆汁鬱滞性DILIが初期値の再現性及び初期値からの変化の方向性を確認することが疑われる場合は7~10日以内に繰り返す必要がある。
【0175】
安全性評価には以下が含まれる。
●スクリーニング及び1日目及び8日目に身体検査を完了し、3日目、10日目、15日目、60日目、90日目、120日目、180日目、270日目、365日目、450日目、540日目、630日目、700日目、及び720日目に症状主導の身体検査を完了する;
●スクリーン及び1、3、8、10、15、60、90、120、180、270、365、450、540、630、700、及び720日目のバイタルサイン;任意選択的に、15、60、90、120、180、270、365、450、540、630、700、及び720日目の症状主導の身体検査が続く;
●スクリーニング時及び1、3、8、及び10日目の12誘導心電図(ECG);
●スクリーン時、続いて1、3、4~7日目(リモート)、8、10、11~14日目(リモート)、15、60、90、120、180、270、365、450、540、630、700、及び720日目のAE;
●スクリーン時、続いて1、3、8、10、15、60、90、120、180、270、365、450、540、630、700、及び720日目の安全性試験室試験(化学、血液学、凝固、及び尿検査);
●スクリーン時、続いて1、3、8、10、及び15日目のサイトカイン(IL-1β、TNF-α、IL-6、MCP-1、MIP-1α、IFN-γ、IL-4、IL-10)プロファイリング;
●スクリーン時、続いて1、3、8、10、15、60、90、120、180、270、365、450、540、630、700、及び720日目の抗ミトコンドリア抗体。
【0176】
試験室/PD評価には以下が含まれる。
●スクリーニング時、続いて60日目のT細胞浸潤(肝臓コア生検から);
●スクリーニング時、続いて1、8、15、60、及び90日目の抗原特異的CD4+及びCD8+T細胞;
●スクリーニング時、続いて1、8、15、60、90、120、180、270、365、450、540、630、700、及び720日目の血清アルカリホスファターゼ(ALP);
●スクリーニング時、続いて1、8、15、60、90、120、180、270、365、450、540、630、700、及び720日目の肝臓化学検査(ビリルビン、アルブミン、ALT、AST);
●スクリーニング時、続いて1、8、15、60、90、120、180、270、365、450、540、630、700、及び720日目の抗核自己抗体(Gp210及びSp100);
●スクリーニング時、続いて1、8、15、60、90、120、180、270、365、450、540、630、700、及び720日目の血清IgM;
●スクリーニング時、続いて60日目における(肝臓コア生検からの)炎症/線維症;
●スクリーニング時、続いて1、8、15、60、90、120、180、270、365、450、540、630、700、及び730日目の血清可溶性CD14;
●1日目、続いて15、60日目、任意選択的に、1、8、90、120、180、270、365、450、540、630、700、及び720日目の血清キヌレニン。
【0177】
臨床有効性評価には以下が含まれる。
●スクリーニング時、続いて60、90、120、180、270、365、450、540、630、700、及び720日目の肝剛性(フィブロスキャン);
●スクリーン、続いて60、90、120、180、270、365、450、540、630、700、及び720日目のELFスコア;
●1日目、続いて8、15、60、90、120、180、270、365、450、540、630、700、及び720日目のPBC-40評価。
●1日目の痒み日記、続いて120日目までの全ての後続の試験日、次いで730日目までの毎週の試験日。
【0178】
実施例4:CNP104治療の患者選択基準
PBMCを17人のPBC患者から得て、AMA陽性、PDC-E2のHLA陽性の制限、及びALPレベルの間に相関があるかどうかを決定した。本研究の患者の70%は、PDC-E2について、HLA-A*02又はHLA-DRB4*01のいずれか、又はその両方のHLA制限を発現した。CNP104は、HLA-A*02又はHLA-DRB4*01を有するPDC-E2対象を包含するため、状態は、CNP104臨床試験に含めるための基準となり得る。75%の患者はAMAが陽性であった。17人中4人の患者はAMAが陰性であったが、4人中3人はCNP-104のHLA表現型が陽性であった。PBC患者の70%は、血液中のALPレベルが上昇していた。CNP104治療の選択基準は、HLAハプロタイプ制限、AMA陽性、ALPレベルに基づくことができる。選択基準は、CNP104で有効性を達成する可能性が高い患者を同定することができる。(図7)。PDC-E2抗原に対する自己反応性によって疾患が引き起こされるPBC患者は、CNP104での治療に適格であり、HLAハプロタイプ、抗ミトコンドリア抗体、及び血液中のアルカリホスファターゼレベルに基づいて同定することができる。
【0179】
PBC患者からの肝生検を、CNP104の臨床試験に含めるための可能な基準として浸潤T細胞の存在について評価した。肝臓損傷の重症度は、1~4のスケールでスコア化し、4つが最も重度の肝臓病理を有する。CD4+T細胞(図8A)、CD8+T細胞(図8B)、及び胆道上皮細胞PanCK+(図8C)の細胞数を、アイソタイプ対照を介して、ステージ1、3、及び4のPBC肝臓で検出した。CNP104治療の選択基準は、血液又は肝臓中のPDC-E2特異的CD4+及び/又はCD8+T細胞の存在に基づくことができる(図8)。
【0180】
本明細書に記載される本開示の各実施形態は、任意選択で、本明細書に記載される他の実施形態のうちのいずれか1つ以上と組み合わせられ得ることが理解される。本明細書で引用される全ての特許文献及び全ての非特許文献は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0181】
したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲、上記の明細書によって画定され、及び/又は添付の図面に示される本発明の趣旨及び範囲内にある全ての変更を網羅することが意図されていることを理解されたい。したがって、添付の特許請求の範囲に現れるような限定のみが、本開示に置かれるべきである。

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図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B-1】
図6B-2】
図7
図8A
図8B
図8C
【配列表】
2024540865000001.xml
【国際調査報告】