(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】横方向電流注入を有する光学装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/14 20100101AFI20241029BHJP
H01L 33/32 20100101ALI20241029BHJP
H01L 33/16 20100101ALI20241029BHJP
【FI】
H01L33/14
H01L33/32
H01L33/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522148
(86)(22)【出願日】2022-10-12
(85)【翻訳文提出日】2024-05-30
(86)【国際出願番号】 US2022077952
(87)【国際公開番号】W WO2023064799
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド,オーレリエン
(72)【発明者】
【氏名】マクローリン,メルビン・バーカー
【テーマコード(参考)】
5F241
【Fターム(参考)】
5F241AA03
5F241CA05
5F241CA10
5F241CA40
5F241CB11
5F241FF01
(57)【要約】
一般的な態様において、マイクロLEDは、マイクロLEDの水平方向に沿って5μm未満の横方向寸法を有する半導体メサと、半導体メサの非水平面に形成されたコンタクトと、を含む。半導体メサは、複数の量子井戸(QW)と、コンタクトと複数のQWとの間に形成されたp型半導体層とを含む。コンタクト、p型半導体層および複数のQWは、マイクロLEDが50A/cm2未満の有効電流密度で駆動されたときに、p型半導体層を通じてコンタクトから複数のQWへ正孔が注入されるように構成されている。注入された正孔は、1マイクロメートル(μm)よりも大きな距離にわたって複数のQWにおいて横方向に拡散する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロLEDの電気的動作のための方法であって、
前記方法は、
前記マイクロLEDの水平面、または
前記マイクロLEDの非水平面のうちの少なくとも1つに配置されたp型コンタクトを介して電力により前記マイクロLEDを駆動することを含み、前記p型コンタクトがp型層と接触しており、
前記電力により前記マイクロLEDを駆動することによって、前記p型コンタクトから前記p型層内へ正孔を注入することを含み、
前記マイクロLEDの前記非水平面に沿って、前記p型層から、前記マイクロLEDの水平方向に沿って配置されたそれぞれの水平領域を有する複数の量子井戸(QW)へ前記正孔を横方向に注入することを含み、前記正孔が前記p型半導体層を介して前記複数のQWへ注入される、方法。
【請求項2】
前記マイクロLEDは、前記水平方向に沿って0.5マイクロメートル(μm)~5μmの横方向寸法を有し、
注入された前記正孔は、0.5μmよりも大きい距離にわたって前記複数のQWにおいて横方向に拡散する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記非水平面は、前記マイクロLEDの半極性面に沿って配置されている、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のQWのうちの少なくとも1つのQWは、前記電力による前記マイクロLEDの駆動に対応する5ナノ秒(ns)を超える再結合寿命を有する、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記電力によって前記マイクロLEDを駆動することは、1アンペア/平方センチメートル(A/cm
2)~100A/cm
2の電流密度で前記マイクロLEDを駆動することを含む、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
マイクロLEDであって、
前記マイクロLEDの水平方向に沿って5μm未満の横方向寸法を有する半導体メサと、
前記半導体メサの水平面、または
前記半導体メサの非水平面のうちの少なくとも1つに形成されたコンタクトとを備え、
前記半導体メサは、
複数の量子井戸(QW)と、
前記コンタクトと前記複数のQWとの間に形成されたp型半導体層とを含み、
前記コンタクト、前記p型半導体層および前記複数のQWは、
前記マイクロLEDが50A/cm
2未満の有効電流密度で駆動されたとき、正孔が、
前記コンタクトからp型層へ注入され、
前記p型層から前記複数のQWへ横方向に注入されるように構成されており、
注入された前記正孔は、1マイクロメートル(μm)よりも大きい距離にわたって前記複数のQWにおいて横方向に拡散する、マイクロLED。
【請求項7】
前記非水平面は、前記半導体メサの傾斜した側壁であり、前記傾斜した側壁は、前記水平方向に沿った線に対して10度~80度の角度で配置されている、請求項6に記載のマイクロLED。
【請求項8】
前記非水平面は、前記半導体メサの半極性面に沿って配置されている、請求項6または請求項7に記載のマイクロLED。
【請求項9】
前記複数のQWは、少なくとも3つのQWを含み、
前記少なくとも3つのQWにおいて拡散される注入された前記正孔のそれぞれのパーセンテージが、50パーセント未満でかつ25パーセントよりも高い、請求項6~請求項8のいずれか1項に記載のマイクロLED。
【請求項10】
マイクロLEDメサであって、
5マイクロメートル(μm)以下の前記マイクロLEDメサの水平方向に沿った横方向寸法を有する半導体メサを備え、
前記半導体メサは、
少なくとも1つの傾斜した側壁と、
平坦な上面と、
前記平坦な上面に沿って配置された平坦領域および前記少なくとも1つの傾斜した側壁に沿って配置された傾斜領域を有する多重量子井戸(MQW)部分とを含み、
前記マイクロLEDメサは、
前記MQW部分の前記平坦領域に配置された第1のp型材料と、
前記MQW部分の前記傾斜領域に配置された第2のp型材料と、
前記第2のp型材料に配置されたp型コンタクトと、
を備える、マイクロLEDメサ。
【請求項11】
前記第1のp型材料の少なくとも一部に配置された絶縁層と、
前記絶縁層に配置された反射層と、
をさらに備える、請求項10に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項12】
前記マイクロLEDメサの電気的動作中に、
前記第1のp型材料を通して第1のキャリア密度で正孔注入が生じ、
前記第2のp型材料を通して第2のキャリア密度で正孔注入が生じ、前記第2のキャリア密度は、前記第1のキャリア密度に対して無視できる、請求項10または請求項11に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項13】
前記MQW部分の量子井戸(QW)が、20アンペア毎平方センチメートル(A/cm
2)未満の電流密度において1平方センチメートル毎秒以上のそれぞれの拡散係数を有する、請求項10~請求項12のいずれか1項に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項14】
前記p型コンタクトからの正孔の注入に応答して、前記p型コンタクトから1マイクロメートル(μm)以上の前記水平方向に沿った横方向距離において前記MQW部分から光が放出される、請求項10~請求項13のいずれか1項に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項15】
前記マイクロLEDメサは、複数のGaNベース材料を含む、請求項10~請求項14のいずれか1項に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項16】
前記平坦な上面は、前記複数のGaNベース材料のうちの少なくとも1つのc面に沿って配置されており、
前記少なくとも1つの傾斜した側壁は、前記複数のGaNベース材料のうちの少なくとも1つの半極性面に沿って配置されている、請求項15に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項17】
マイクロLEDメサであって、
前記マイクロLEDメサの水平方向に沿って配置された水平上面と、
少なくとも3つの非垂直側壁と、
複数のエピタキシャル層とを有する、半導体メサと、
前記少なくとも3つの非垂直側壁のうちの少なくとも1つの非垂直側壁に配置された電気コンタクトとを備え、
前記複数のエピタキシャル層は、
前記水平方向に沿って配置された第1の部分と、
前記少なくとも3つの非垂直側壁に沿って配置された第2の部分とを含み、
前記複数のエピタキシャル層の前記第1の部分は、第1の厚さの第1の複数の量子井戸(QW)および第1のバンドギャップを規定し、
前記複数のエピタキシャル層の前記第2の部分は、第2の厚さの第2の複数のQWおよび第2のバンドギャップを規定する、マイクロLEDメサ。
【請求項18】
前記マイクロLEDメサは、前記マイクロLEDメサの電気的動作中に注入された正孔が前記電気コンタクトから前記第2の複数のQWへ、次いで、前記第1の複数のQWへ移動するように構成されている、請求項17に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項19】
前記マイクロLEDメサは、前記マイクロLEDメサの電気的動作中に、前記第1の複数のQWのうちの少なくとも2つのQWから光が放出されるように構成されている、請求項17または請求項18に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項20】
前記複数のエピタキシャル層の前記第1の部分は、前記マイクロLEDメサの中央部分に含まれており、
前記マイクロLEDメサの前記中央部分は、500ナノメートル(nm)以上の前記水平方向に沿った横方向幅を有する、請求項17~請求項19のいずれか1項に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項21】
前記マイクロLEDメサは、20マイクロメートル(μm)以下の幅を有し、
前記マイクロLEDメサは、100ナノメートル(nm)以上の高さを有し、
前記高さは、10μm以下である、請求項17~請求項20のいずれか1項に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項22】
前記複数のエピタキシャル層の前記第2の部分は、前記マイクロLEDメサの外周部分に設置されている、請求項17~請求項21のいずれか1項に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項23】
前記水平方向は、前記マイクロLEDメサの結晶構造のc面に沿って配置されており、
前記少なくとも3つの非垂直側壁は、前記結晶構造のそれぞれの半極性面に沿って配置されている、請求項17~請求項22のいずれか1項に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項24】
前記少なくとも3つの非垂直側壁は、10度~80度の、前記マイクロLEDメサの垂直方向からのそれぞれの角度を有する、請求項17~請求項23のいずれか1項に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項25】
前記第1の複数のQWおよび前記第2の複数のQWは、一対一の関係で接続されている、請求項17~請求項24のいずれか1項に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項26】
前記第2のバンドギャップは、前記第1のバンドギャップよりも大きい、請求項17~請求項25のいずれか1項に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項27】
前記第2の厚さは、前記第1の厚さよりも小さい、請求項17~請求項26のいずれか1項に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項28】
前記電気コンタクトは、第1の電気コンタクトであり、前記マイクロLEDメサは、
前記水平上面に配置された第2の電気コンタクトをさらに備える、請求項17~請求項27のいずれか1項に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項29】
マイクロLEDメサの電気的動作のための方法であって、前記マイクロLEDメサは、
第1のバンドギャップおよび第1の厚さを有するp型材料と、
第2のバンドギャップおよび第2の厚さを有するエピタキシャル層とを含む少なくとも1つの非垂直側壁と、
前記マイクロLEDメサの水平方向に沿った平面配向、第3のバンドギャップおよび第3の厚さを有する複数の量子井戸(QW)と、
前記p型材料上に配置された電気コンタクトとを備え、
前記p型材料が前記エピタキシャル層上に配置され、
前記エピタキシャル層が前記p型材料と前記複数のQWとの間に配置され、
前記第1のバンドギャップは前記第2のバンドギャップよりも大きく、前記第2のバンドギャップは前記第3のバンドギャップよりも大きく、前記第2の厚さは前記第3の厚さよりも小さく、
前記方法は、
前記電気コンタクトから前記p型材料へ複数の正孔を注入することと、
前記複数の正孔を前記p型材料から前記エピタキシャル層へ注入することと、
前記複数の正孔を前記エピタキシャル層から前記複数のQWのうちの少なくとも2つのQWへ注入することとを含む、方法。
【請求項30】
前記p型材料は、p型窒化ガリウム(GaN)を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記エピタキシャル層は、前記マイクロLEDメサの半極性面に沿って配置された非平坦かつ非垂直のQWであり、少なくとも1パーセントのインジウムを含み、
前記平面配向を有する前記複数のQWは、少なくとも15パーセントのインジウムを含む、請求項29または請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記複数のQWへ前記複数の正孔を注入することは、前記複数のQWのうちの1つのQWに前記複数の正孔のうちの30パーセント以下を注入することを含む、請求項29~請求項31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
注入された前記複数の正孔は、500ナノメートル(nm)以上の距離にわたって前記複数のQWにおいて前記水平方向に沿って横方向に拡散する、請求項29~請求項32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記p型材料から前記エピタキシャル層へ前記複数の正孔を注入することは、電子ブロッキング層(EBL)を通じて前記複数の正孔を注入することを含む、請求項29~請求項33のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年10月11日に出願された、「OPTICAL DEVICES WITH LATERAL CURRENT INJECTION」という名称の米国非仮出願第18/045,683号、2021年10月12日に出願された、「SMALL DEVICES WITH LATERAL CURRENT INJECTION」という名称の米国仮出願第63/254,840号、および2022年3月31日に出願された、「SMALL DEVICES WITH LATERAL CURRENT INJECTION」という名称の米国仮出願第63/347,066号の継続出願でありかつそれらの優先権の利益を主張する。これらの全ての出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本記述は、光学装置に関する。より具体的には、本開示は、マイクロLEDなどの発光ダイオード(LED:light-emitting diode)の設計、開発、製造および動作に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
発光ダイオード(LED)は、様々な家庭用電子機器など、多くの用途において使用される。例えば、LEDは、例えば、スマートフォン、コンピュータ、テレビなどのディスプレイ装置において広く使用されている。このようなディスプレイの解像度(例えば、1インチ当たりのディスプレイ画素の数)が増大するにつれて、ディスプレイを実施するために使用されるLEDのサイズは、ディスプレイ解像度のこのような増大を達成するために減じられてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、LEDの寸法が減少するにつれて、所望の性能(例えば、効率、輝度など)を達成することが課題になってきた。実施されてきた1つのアプローチは、このようなLEDの発光層、または領域、即ち積層された量子井戸(QW:quantum well)の数を増大することである。しかしながら、このようなアプローチの利点は、積層体のQWの一部のみ(1つまたは2つ)が光(例えば、見る人によって認識することができる光)を放出し得るため、限定されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
1つの一般的な態様において、本明細書に記載された技術は、マイクロLEDの電気的動作のための方法に関する。方法は、マイクロLEDの水平面、またはマイクロLEDの非水平面のうちの少なくとも1つに配置されたp型コンタクトを介して電力によってマイクロLEDを駆動することを含み、p型コンタクトは、p型層と接触している。方法は、駆動の結果、p型コンタクトからp型層内へ正孔を注入することと、マイクロLEDの非水平面に沿って、p型層から複数の量子井戸(QW)へ正孔を横方向に注入することとをさらに含む。複数のQWは、マイクロLEDの水平方向に沿って配置されたそれぞれの水平領域を有し、正孔は、p型半導体層を介して複数のQWへ注入される。
【0006】
実装態様は、様々な組合せにおける以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。いくつかの態様において、マイクロLEDは、水平方向に沿って0.5マイクロメートル(μm)~5μmの横方向寸法を有することができる。注入された正孔は、0.5μmよりも大きい距離にわたって複数のQWにおいて横方向に拡散することができる。
【0007】
いくつかの態様において、非水平面は、マイクロLEDの半極性面に沿って配置することができる。
【0008】
いくつかの態様において、複数のQWのうちの少なくとも1つのQWは、電力によるマイクロLEDの駆動に対応する5ナノ秒(ns)を超える再結合寿命を有することができる。
【0009】
いくつかの態様において、電力によってマイクロLEDを駆動することは、1アンペア/平方センチメートル(A/cm2)~100A/cm2の電流密度でマイクロLEDを駆動することを含むことができる。
【0010】
別の一般的な態様において、本明細書に記載された技術は、マイクロLEDの水平方向に沿って5μm未満の横方向寸法を有する半導体メサを含むマイクロLEDに関する。マイクロLEDは、半導体メサの水平面、または半導体メサの非水平面のうちの少なくとも1つに形成されたコンタクトも含む。半導体メサは、複数の量子井戸(QW)と、コンタクトと複数のQWとの間に形成されたp型半導体層とを含む。コンタクト、p型半導体層および複数のQWは、マイクロLEDが50A/cm2未満の有効電流密度で駆動されたとき、正孔が、コンタクトからp型層へ注入され、かつp型層から複数のQWへ横方向に注入される、ように構成されており、注入された正孔は、1マイクロメートル(μm)よりも大きい距離にわたって複数のQWにおいて横方向に拡散する。
【0011】
実装態様は、様々な組合せにおける以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。いくつかの態様において、非水平面は、半導体メサの傾斜した側壁であることができる。傾斜した側壁は、水平方向に沿った線に対して10度~80度の角度で配置することができる。
【0012】
いくつかの態様において、非水平面は、半導体メサの半極性面に沿って配置することができる。
【0013】
いくつかの態様において、複数のQWは、少なくとも3つのQWを含むことができる。少なくとも3つのQWにおいて拡散される注入された正孔のそれぞれのパーセンテージは、50パーセント未満で、25パーセントよりも高い。
【0014】
別の一般的な態様において、本明細書に記載された技術は、5マイクロメートル(μm)以下のマイクロLEDメサの水平方向に沿った横方向寸法を有する半導体メサを含む、マイクロLEDメサに関する。半導体メサは、少なくとも1つの傾斜した側壁と、平坦な上面と、平坦な上面に沿って配置された平坦領域および少なくとも1つの傾斜した側壁に沿って配置された傾斜領域を有する多重量子井戸(MQW:multiple quantum well)部分とを含む。第1のp型材料がMQW部分の平坦領域に配置されており、第2のp型材料がMQW部分の傾斜領域に配置されている。p型コンタクトが第2のp型材料に配置されている。
【0015】
実装態様は、様々な組合せにおける以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。いくつかの態様において、マイクロLEDメサは、第1のp型材料の少なくとも一部に配置された絶縁層と、絶縁層に配置された反射層とをさらに含むことができる。
【0016】
いくつかの態様において、マイクロLEDメサの電気的動作中に、第1のp型材料を通して第1のキャリア密度で正孔注入が生じ得、第2のp型材料を通して第2のキャリア密度で正孔注入が生じ得る。第2のキャリア密度は、第1のキャリア密度に対して無視できる。
【0017】
いくつかの態様において、MQW部分の量子井戸(QW)が、20アンペア毎平方センチメートル(A/cm2)未満の電流密度において1平方センチメートル毎秒(cm2/s)以上のそれぞれの拡散係数を有する。
【0018】
いくつかの態様において、p型コンタクトからの正孔の注入に応答して、p型コンタクトから1マイクロメートル(μm)以上の水平方向に沿った横方向距離においてMQW部分から光が放出され得る。
【0019】
いくつかの態様において、マイクロLEDメサは、複数のGaNベース材料を含むことができる。
【0020】
いくつかの態様において、平坦な上面は、複数のGaNベース材料のうちの少なくとも1つのc面に沿って配置することができ、少なくとも1つの傾斜した側壁は、複数のGaNベース材料のうちの少なくとも1つの半極性面に沿って配置することができる。
【0021】
別の一般的な態様において、本明細書に記載された技術は、マイクロLEDメサの水平方向に沿って配置された水平上面と、少なくとも3つの非垂直側壁と、複数のエピタキシャル層と、を有する半導体メサを含むマイクロLEDメサに関する。複数のエピタキシャル層は、水平方向に沿って配置された第1の部分を含む。複数のエピタキシャル層の第1の部分は、第1の厚さの第1の複数の量子井戸(QW)および第1のバンドギャップを規定している。複数のエピタキシャル層は、少なくとも3つの非垂直側壁に沿って配置された第2の部分も含む。複数のエピタキシャル層の第2の部分は、第2の厚さの第2の複数のQWおよび第2のバンドギャップを規定している。マイクロLEDは、少なくとも3つの非垂直側壁のうちの少なくとも1つの非垂直側壁に配置された電気コンタクトをさらに含む。
【0022】
実装態様は、様々な組合せにおける以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。いくつかの態様において、マイクロLEDメサは、マイクロLEDメサの電気的動作中に注入された正孔が電気コンタクトから第2の複数のQWへ、次いで、第1の複数のQWへ移動するように構成することができる。
【0023】
いくつかの態様において、マイクロLEDメサは、マイクロLEDメサの電気的動作中に、第1の複数のQWのうちの少なくとも2つのQWから光が放出されるように構成することができる。
【0024】
いくつかの態様において、複数のエピタキシャル層の第1の部分は、マイクロLEDメサの中央部分に含まれ得る。マイクロLEDメサの中央部分は、500ナノメートル(nm)以上の水平方向に沿った横方向幅を有することができる。
【0025】
いくつかの態様において、マイクロLEDメサは、20マイクロメートル(μm)以下の幅と、100ナノメートル(nm)以上の高さと、を有することができる。高さは、10μm以下とすることができる。
【0026】
いくつかの態様において、複数のエピタキシャル層の第2の部分は、マイクロLEDメサの外周部分に設置することができる。
【0027】
いくつかの態様において、水平方向は、マイクロLEDメサの結晶構造のc面に沿って配置することができる。少なくとも3つの非垂直側壁は、結晶構造のそれぞれの半極性面に沿って配置することができる。
【0028】
いくつかの態様において、少なくとも3つの非垂直側壁は、10度~80度の、マイクロLEDメサの垂直方向からのそれぞれの角度を有することができる。
【0029】
いくつかの態様において、第1の複数のQWおよび第2の複数のQWは、一対一の関係で接続することができる。
【0030】
いくつかの態様において、第2のバンドギャップは、第1のバンドギャップよりも大きくすることができる。
【0031】
いくつかの態様において、第2の厚さは、第1の厚さよりも小さくすることができる。
いくつかの態様において、電気コンタクトは、第1の電気コンタクトとすることができる。マイクロLEDメサは、水平上面に配置された第2の電気コンタクトを含むことができる。
【0032】
別の一般的な態様において、本明細書に記載された技術は、マイクロLEDメサの電気的動作のための方法に関する。マイクロLEDメサは、第1のバンドギャップおよび第1の厚さを有するp型材料を含む少なくとも1つの非垂直側壁を含む。マイクロLEDメサは、第2のバンドギャップおよび第2の厚さを有するエピタキシャル層も含む。p型材料はエピタキシャル層上に配置されている。マイクロLEDメサは、マイクロLEDメサの水平方向に沿った平面配向、第3のバンドギャップおよび第3の厚さを有する複数の量子井戸(QW)をさらに含む。エピタキシャル層は、p型材料と複数のQWとの間に配置されている。マイクロLEDメサは、p型材料上に配置された電気コンタクトも含む。第1のバンドギャップは第2のバンドギャップよりも大きく、第2のバンドギャップは第3のバンドギャップよりも大きく、第2の厚さは第3の厚さよりも小さい。方法は、電気コンタクトからp型材料へ複数の正孔を注入することと、複数の正孔をp型材料からエピタキシャル層へ注入することと、複数の正孔をエピタキシャル層から複数のQWのうちの少なくとも2つのQWへ注入することと、を含む。
【0033】
実装態様は、様々な組合せにおける以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。いくつかの態様において、p型材料は、p型窒化ガリウム(GaN)を含むことができる。
【0034】
いくつかの態様において、エピタキシャル層は、マイクロLEDメサの半極性面に沿って配置された非平坦かつ非垂直のQWとすることができる。エピタキシャル層は、少なくとも1パーセントのインジウムを含むことができる。平面配向を有する複数のQWは、少なくとも15パーセントのインジウムを含むことができる。
【0035】
いくつかの態様において、複数のQWへ複数の正孔を注入することは、複数のQWのうちの1つのQWに複数の正孔のうちの30パーセント以下を注入することを含むことができる。
【0036】
いくつかの態様において、注入された複数の正孔は、500ナノメートル(nm)以上の距離にわたって複数のQWにおいて水平方向に沿って横方向に拡散する。
【0037】
いくつかの態様において、p型材料からエピタキシャル層へ複数の正孔を注入することは、電子ブロッキング層(EBL:electron blocking layer)を通じて複数の正孔を注入することを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】例示的なマイクロLED(マイクロLEDメサ)を示す図である。
【
図2】別の例示的なマイクロLEDを示す図である。
【
図3】別の例示的なマイクロLEDを示す図である。
【
図4】別の例示的なマイクロLEDを示す図である。
【
図5】別の例示的なマイクロLEDを示す図である。
【
図6】別の例示的なマイクロLEDを示す図である。
【
図7】別の例示的なマイクロLEDを示す図である。
【
図8】別の例示的なマイクロLEDを示す図である。
【
図9】別の例示的なマイクロLEDを示す図である。
【
図10】
図1~
図9のマイクロLEDのようなマイクロLEDに含むことができる例示的なエピタキシャル層積層体を概略的に示す図である。
【
図11】例示的なエピタキシャル層積層体および関連する傾斜した側壁を示す図である。
【
図12】マイクロLEDに含むことができるQWのモデルを示すグラフである。
【
図13A】LEDの動作に対する量子井戸厚さの影響を示すグラフである。
【
図13B】LEDの動作に対する量子井戸厚さの影響を示すグラフである。
【
図13C】LEDの動作に対する量子井戸厚さの影響を示すグラフである。
【
図13D】LEDの動作に対する量子井戸厚さの影響を示すグラフである。
【
図14A】LEDの動作に対するQWにおけるインジウム含有量の影響を示すグラフである。
【
図14B】LEDの動作に対するQWにおけるインジウム含有量の影響を示すグラフである。
【
図14C】LEDの動作に対するQWにおけるインジウム含有量の影響を示すグラフである。
【
図14D】LEDの動作に対するQWにおけるインジウム含有量の影響を示すグラフである。
【
図15A】
図1~
図9のマイクロLEDの例示的な実装態様などのLEDにおけるキャリア密度および発光を概略的に示す図である。
【
図15B】
図1~
図9のマイクロLEDの例示的な実装態様などのLEDにおけるキャリア密度および発光を概略的に示す図である。
【
図16】例示的なマイクロLEDの電流密度と内部量子効率との関係を示すグラフである。
【
図17】例示的なマイクロLEDの電流密度と発光波長との関係を示すグラフである。
【
図18A】少なくとも
図2および
図3のマイクロLEDなどのマイクロLEDを製造するためのプロセスを示す図である。
【
図18B】少なくとも
図2および
図3のマイクロLEDなどのマイクロLEDを製造するためのプロセスを示す図である。
【
図18C】少なくとも
図2および
図3のマイクロLEDなどのマイクロLEDを製造するためのプロセスを示す図である。
【
図18D】少なくとも
図2および
図3のマイクロLEDなどのマイクロLEDを製造するためのプロセスを示す図である。
【
図19A】少なくとも
図6のマイクロLEDなどのマイクロLEDを製造するためのプロセスを示す図である。
【
図19B】少なくとも
図6のマイクロLEDなどのマイクロLEDを製造するためのプロセスを示す図である。
【
図19C】少なくとも
図6のマイクロLEDなどのマイクロLEDを製造するためのプロセスを示す図である。
【
図19D】少なくとも
図6のマイクロLEDなどのマイクロLEDを製造するためのプロセスを示す図である。
【
図20A】少なくとも
図7のマイクロLEDなどのマイクロLEDを製造するためのプロセスを示す図である。
【
図20B】少なくとも
図7のマイクロLEDなどのマイクロLEDを製造するためのプロセスを示す図である。
【
図20C】少なくとも
図7のマイクロLEDなどのマイクロLEDを製造するためのプロセスを示す図である。
【
図20D】少なくとも
図7のマイクロLEDなどのマイクロLEDを製造するためのプロセスを示す図である。
【
図21A】少なくとも
図8のマイクロLEDなどのマイクロLEDを製造するためのプロセスを示す図である。
【
図21B】少なくとも
図8のマイクロLEDなどのマイクロLEDを製造するためのプロセスを示す図である。
【
図21C】少なくとも
図8のマイクロLEDなどのマイクロLEDを製造するためのプロセスを示す図である。
【
図21D】少なくとも
図8のマイクロLEDなどのマイクロLEDを製造するためのプロセスを示す図である。
【
図22】横方向キャリア拡散がQW層以外のドープ層において生じるLEDを示す図である。
【
図23】横方向キャリア拡散がQW以外のドープ層において生じる別のLEDを示す図である。
【
図24】横方向キャリア拡散がQW以外のドープ層において生じる別のLEDを示す図である。
【
図26】
図22~
図24のLEDなどの複数のLEDのレイアウトを概略的に示すブロック図である。
【
図27A】
図23のLEDなどの例示的なLEDの回路均等物を示す回路概略図である。
【
図27B】
図24のLEDなどの例示的なLEDの回路均等物を示す回路概略図である。
【
図28A】異なる外周形状を有する傾斜した側壁を有するLED(マイクロLED)の例を示す図である。
【
図28B】異なる外周形状を有する傾斜した側壁を有するLED(マイクロLED)の例を示す図である。
【
図28C】異なる外周形状を有する傾斜した側壁を有するLED(マイクロLED)の例を示す図である。
【0039】
必ずしも縮尺どおりに描かれているわけではない図面において、同様の参照符号が、異なる図面における同様および/または類似の構成要素(要素、構造など)を示す場合がある。図面は、概して、本開示において論じられている様々な実装態様を限定としてではなく例として示している。1つの図面に示された参照符号は、同じ図または関連する図における同じおよび/または類似の要素に対して繰り返されない場合がある。複数の図面において繰り返される参照符号は、これらの図面の各々に関して具体的に論じられない場合があるが、関連する図の間の文脈のために提供されている。また、ある要素の複数の例が所与の図に示されている場合、図面における全ての同様の要素が、ある参照符号を用いて具体的に言及されるわけではない。
【発明を実施するための形態】
【0040】
詳細な説明
ディスプレイ装置において使用されるLEDなどの従来の発光ダイオード(LED)は、垂直電気キャリア注入を介して動作する。即ち、注入された電気キャリア、特に正孔は、例えば、LEDに含まれるエピタキシャル層の成長方向に対して平行な方向に移動し、量子井戸(QW)などの発光領域に到達する。垂直キャリア注入により動作するLEDの性能を向上させることが課題となり得る。
【0041】
本開示は、電気キャリア注入が、少なくとも部分的に、横方向、または水平方向、例えば、エピタキシャル層成長方向に対して垂直の方向において生じる、マイクロLED(またはLED)と本明細書では呼ばれる光電子装置に関する。開示される実施形態は、概して、例えば、10マイクロメートル(μm)以下程度の横方向寸法を有する小型装置に関して説明されるが、いくつかの実装態様において、本明細書に説明されるアプローチは、より大型の装置、例えば、100μm以上、500μm以上、または1ミリメートル(mm)以上の横方向寸法を有するLEDを実施するために使用することができる。本開示において使用される場合、水平方向、横方向および垂直方向という用語は、本明細書で説明される例示的なLED(例えば、マイクロLED)の対応する構造に関して言及される。即ち、水平方向および/または横方向は、LEDを実施するために使用されるエピタキシャル層の成長方向に対して垂直な方向を指すが、垂直方向は、エピタキシャル成長方向に対して平行またはエピタキシャル成長方向と同じ方向を指す。また、本開示において、LEDおよびマイクロLED(μLED)という用語は互換的に使用される場合がある。さらに、LEDおよびマイクロLEDは、装置、光学装置などとも呼ばれ得る。キャリアおよび電気キャリアという用語は、互換的に使用することができ、正孔および/または電子を指すことができる。
【0042】
本明細書で説明される例示的な装置などのいくつかの実装態様において、横方向キャリア注入は、従来のアプローチと比較してこのようなマイクロLEDの性能を向上させることができ、これは、横方向キャリア注入が、従来の装置実装態様よりも多くのQWから発光を可能にすることができ、発光分布を向上させることができるため、などによる。例示的な実装態様において、このような横方向キャリア注入は、ドープ層(例えば、ドープされた半導体層)において、発光層(例えば、QW)において、またはそれらの組合せにおいて生じ得る。例えば、本開示は、横方向キャリア拡散が、活性、もしくはQW領域において生じるLED、および/または横方向キャリア拡散がドープ層(例えば、n型半導体層および/またはp型半導体層)において生じるLEDを対象とする。
【0043】
図1~
図9の例などのいくつかの例において、横方向キャリア注入および拡散は、少なくとも部分的に、発光QW層において生じる。本明細書において説明されるように、このような横方向キャリア注入および拡散は、関連する装置、例えば、マイクロLEDまたはLEDの性能向上を提供することができる。例えば、本明細書で説明されるアプローチを使用して、改善されたキャリア密度分布、改善された発光分布、および/または改善された量子効率を達成するためにキャリアが十分な距離にわたって横方向に拡散することができるように、LEDを構成することができる。いくつかの実装態様において、本明細書で説明されるアプローチは、LEDのQW積層体のn側に向かって設置されたQWにおける実質的なキャリア注入および拡散を可能にすることができ、これは、3つ以上のQWがQW積層体に含まれている実装態様において達成することが困難であるか、または不可能でさえあり得る。
【0044】
例えば、いくつかの実装態様において、電気キャリアは、非垂直コンタクト、例えば、傾斜した(非垂直かつ非水平の側壁)に含まれるか、または配置されたコンタクトおよび/またはp型領域からQW積層体の複数のQWへ横方向に注入される。本明細書で説明されるアプローチを使用して、注入されたキャリアが、再結合しかつ発光する前に所望の距離(例えば、拡散長さ)、例えば、0.5マイクロメートル(μm)以上にわたってQWにおいて横方向に拡散するように、関連するLEDを構成することができる。
【0045】
本明細書で説明される例示的な実装態様において、性能向上は、少なくとも部分的に、QWにおけるキャリア拡散長さが、一定値である代わりに、エピタキシャル構成(例えば、QWの組成、厚さおよび微小構造)および関連するLEDの電気的動作中のQWにおけるキャリア密度の両方に依存するという決定に基づいて達成される。例えば、QWにおける拡散長さは、以下ように式1によって表すことができる。
【0046】
L=sqrt(D*tau(n)) (1)
ここで、Dは拡散係数、tau(n)は、キャリア密度nの関数である再結合寿命(またはキャリア寿命)であり、したがって、注入される電流密度Jに依存する。したがって、拡散長さLの所望の値は、所与のLEDの拡散係数Dおよび電流密度nを所定の値に共同で構成(調整、変更、修正など)することによって達成することができる。このアプローチは、正孔および電子の両方に適用することができ、拡散係数Dは、両極性拡散係数とすることができる。
【0047】
いくつかの実装態様において、正孔拡散係数Dhおよび電子拡散係数Deの平均であり得る両極性拡散係数D(例えば、LEDのQWのための)は、多数のアプローチを使用して増大させることができる。例えば、Dの増大した値は、鋭い界面、例えば、QWと関連する障壁材料との間の0.5ナノメートル(nm)未満、0.3nm未満、または0.1nm未満の遷移領域を有するQW活性領域を実施することによって達成することができる。Dの増大した値は、QWにおける原子の乱れを低減することによって、例えば、ランダム合金分布のものよりも低くなるように原子の乱れを低減する成長条件を用いてInGaNのQWを作製することによって、達成することもできる。このようなアプローチを用いて、少なくとも6平方センチメートル毎秒(cm2/s)、少なくとも8cm2/s、または少なくとも10cm2/sの拡散係数Dを達成することができる。
【0048】
例えば、QWにおけるキャリア寿命は、複数の要因によって左右される。1つのモデルにおいて、キャリア再結合率R(n)は、以下のように式2によって与えられる。
【0049】
R(n)=An+Bn2+Cn3 (2)
ここで、Aは、ショックレー-リード-ホール(SRH:Shockley-Read-Hall)係数、Bは、放射係数、Cは、オージェ係数、nは、前述のようにキャリア密度である。次に、差の寿命は、以下のように式3によって与えられる。
【0050】
1/tau=A+2Bn+3Cn2 (3)
このモデルに基づき、所望のキャリー寿命(tau)および対応する所望の拡散長さLを達成するために多数のアプローチまたは技術を用いることができる。例えば、LEDは、キャリア寿命およびキャリア拡散長さに影響するように特定の電流密度Jにおいて駆動されてよい。いくつかの実装態様において、駆動する(LEDを電気的に動作させる)ために用いられる電流密度Jは、1A/cm2未満、2A/cm2未満、3A/cm2未満、5A/cm2未満、10A/cm2未満、20A/cm2未満、30A/cm2未満、50A/cm2未満、または100A/cm2未満とすることができる。いくつかの実装態様において、電流密度Jは、1E17/cm3未満、2E17/cm3未満、3E17/cm3未満、5E17/cm3未満、1E18/cm3未満、2E18/cm3未満、3E18/cm3未満、5E18/cm3未満、または1E19/cm3未満の対応するQWにおけるキャリア密度nを達成するように選択することができる。
【0051】
いくつかの実装態様において、LEDのQWは、SRH係数Aを減じるエピタキシャル層成長プロセスを実施することなどによって、所望の(例えば、増大した)SRH寿命を有するように構成(作製)することができる。例えば、所与のQWのSRH係数Aのこのような低減は、QWにおける欠陥密度を減じることによって達成することができる。例えば、窒化ガリウム(GaN)ベースのLEDでは、関連するQWの欠陥密度は、窒化インジウムガリウム(InGaN)を含有する下地層の使用によって、ならびに/または電子および正孔波動関数におけるオーバーラップが減少するように、QWの厚さを増大することによって、減じることができる。いくつかの例において、1E17/cm3未満、1E16/cm3未満、1E15/cm3未満、または1E14/cm3未満のSRH原因欠陥の密度を達成することができる。いくつかの例において、LEDのQWは、少なくとも2.5nm、少なくとも3nm、少なくとも3.5nm、または少なくとも4nmの厚さを有することができ、これは、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、または少なくとも35%のQWにおけるInパーセンテージ組成と組み合わせて実施することができる。このような実装態様において、少なくとも10ナノ秒(ns)、少なくとも20ns、少なくとも50ns、少なくとも100ns、少なくとも200ns、少なくとも500ns、少なくとも1000ns、少なくとも2000ns、少なくとも5000ns、または少なくとも10000nsの対応するSRH寿命t_SRHを達成することができる。分かりやすくするために、t_SRHおよびSRH係数Aは、以下のように式4によって関連付けられる。
【0052】
t_SRH=1/A (4)
いくつかの実装態様において、LEDのQWは、上記のモデルにおいてなど、所望の(例えば、減じられた)放射係数Bおよび/または所望の(例えば、減じられた)オージェ係数Cを有するように構成(作製)することができる。例えば、いくつかの実装態様において、BおよびC係数は、QWにおける分極場を増大させるために、電子-正孔オーバーラップが減少するようにQW厚さを増大させることによって、および/または適切な組成の障壁、例えば、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)障壁を追加することによって、減じることができる。いくつかの実装態様において、Bは、1E-10cm3/s未満、1E-11cm3/s未満、1E-12cm3/s未満、1E-13cm3/s未満、または1E-14cm3/s未満とすることができる。いくつかの実装態様において、Cは、1E-30cm6/s未満、1E-31cm6/s未満、1E-32cm6/未満、1E-33cm6/s未満、または1E-34cm6/s未満とすることができる。
【0053】
電流密度nは体積、三次元(n3D)キャリア密度であることに留意されたい。表面電流密度は、面積当たり、二次元(n2D)電流密度である。表面電流密度および体積キャリア密度は、以下のように式5によって関連付けられる。
【0054】
n2D=n3D/t (5)
ここで、tは、活性QW層の厚さである。いくつかの例示的な実装態様において、tは、2nm、3nm、または4nmであってよく、tは、正確な(物理的な)値ではなく公称(有効)値であってよい。
【0055】
本明細書で説明される例示的なマイクロLED(LED)の場合、電流密度の定義は、あいまいであり、面積に依存し、または考慮もしくは評価されるLEDの部分であり得ることに留意されたい。したがって、明確にするために、電流密度は、本明細書では有効電流密度と呼ぶことができ、ここで、有効電流密度は、電流(例えば、全電流)を平坦部分のLEDの活性(QW)領域の対応する面積で除算したものとして定義され、ここで、その面積は、対応するマイクロLEDを実装するために使用されるメサの上面の面積と同様であり得る。
【0056】
いくつかの実装態様において、LEDの活性領域(QW)における正孔の拡散係数は、少なくとも2cm2/sとすることができ、例えば、LEDは、50A/cm2未満の有効電流密度Jで動作され、30nsよりも長い再結合寿命をもたらす。したがって、この例では、対応する正孔拡散長さは少なくとも2.5μmである。1つの例示的な実装態様において、LEDはマイクロLED(μLED)であり、メサは、5μm未満の横方向(水平方向)寸法を有し、コンタクト(例えば、p型コンタクト)がメサの側壁に形成(配置)されている。この例では、2.5μmの拡散長さにわたる横方向拡散は、μLED装置のメサ(例えば、μLEDメサ)の中心近くでさえも実質的な正孔個体数につながり得る。
【0057】
図1~
図9は、本明細書に説明されているアプローチを使用して製造されかつ電気的に動作することができるμLED(μLEDメサ)の例示的な実装態様を示す図である。
図1~
図9の例は、
図28A~
図28Cの例示的なμLEDメサの断面線などに沿った、μLEDの断面図を示す。
図1~
図9の例のμLEDメサは、
図28A~
図28Cの例のように、六角形、円形、または正方形などの多数のメサ形状を用いて実装することができる。他の実装態様では、μLEDメサは、例えば、三角形、または矩形などの他の形状を有することができる。即ち、μLEDメサの外周(例えば、その基部および上面)は、特定の実装態様に基づいて形作ることができる。
【0058】
図1~
図9の各々において、本明細書におけるそれらの用語の使用に従って、線Hは、水平(横)方向を示すのに対し、線Vは、垂直方向を示す。上述のように、垂直方向は、それぞれのμLEDを形成するために使用されるエピタキシャル層のためのエピタキシャル層成長の方向に平行であるのに対し、水平(横)方向は、エピタキシャル成長方向に対して垂直である。簡略にするため、
図1~
図9の例の多数の類似の構造的および動作的態様が存在するため、1つの例示的な実装態様に関して論じられた詳細は、他の実装態様の類似の態様に関して論じられない場合がある。
【0059】
図1は、本明細書で説明されるアプローチおよび技術に従って製造されかつ電気的に動作することができるμLED100の例示的な実装態様を示す。
図1に示されているように、μLEDメサ105は、例えば、エピタキシャル層再成長プロセスを用いて、成長界面110上に製造することができる。成長界面110は、シリコン、GaN、サファイアなどの基板の表面とすることができる。μLEDメサ105を形成した後、
図1の例において、μLEDメサ105を製造するための成長テンプレート115(成長マスク)を成長界面110上に形成することができる。いくつかの実装態様において、成長テンプレート115は、二酸化ケイ素(SiO
2)成長マスクとすることができ、ここに、成長界面110を露出させるようにフォトリソグラフィ工程を用いて開口が画定される。
【0060】
成長テンプレート115を形成した後、μLEDメサ105は、エピタキシャル再成長プロセス工程を用いて開口内に選択的に成長させることができ、エピタキシャル層の組成は、μLEDメサ105の異なる部分(層)を作製するためにμLEDメサ105の成長中に修正される。例えば、n型領域120を形成することができ、その後、活性領域130(多重QW領域、またはMQW領域と呼ぶこともできる)を形成することができ、次いで、p型層125を形成することができる。
図1に示されているように、μLEDメサ105は、傾斜した側壁105bを有することができ、傾斜した側壁105bは、非水平かつ非垂直である。即ち、傾斜した側壁105bは、μLEDメサ105の結晶構造(例えば、GaN)のそれぞれの半極性面に沿って配置することができる。傾斜した側壁は、平面的なファセットよりも複雑な形状を有してもよく、例えば、一定でない角度を有する。
【0061】
μLEDメサ105の活性領域130は、QW130a、QW130b、QW130cおよびQW130dを含む。μLED100は、4つのQWを含むものとして示されているが、他の実装態様では、3、5、7、10などの異なる数のQWを含むことができる。この例では、QW130a~130dおよびp型層125は、μLEDメサ105の上側部分105aおよびμLEDメサ105の傾斜した側壁105bの両方に沿って成長する。QW130a~130dは、水平方向に配置された平面的な部分、および非水平かつ非垂直平面に沿って配置された傾斜した部分などの、部分と考えることができる。
図1に示されているように、QWの平面的な部分は、それぞれ、一対一の関係でQWの傾斜した部分に接続されている。
【0062】
μLED100において、p型コンタクトなどの電気コンタクト135は、p型層125上に形成(配置)することができる。例示的な実装態様において、電気コンタクト135は、いくつかの例として、銀、プラチナ、チタン、ニッケルおよび/またはタングステンなどの金属層を使用して形成することができる。μLED100の電気的動作時、
図1に矢印140によって示されているように、正孔が、電気コンタクト135からμLEDメサ105の上側部分105aおよび傾斜した側壁105bの両方において注入され、次いで、QW130a~130dへ注入される。この例では、例えば、傾斜した側壁105bへ注入された正孔からの、横方向正孔注入は、全てのQW130a~130bにおいて(ただしQW130aおよびQW130dについてのみ具体的に示されている)生じることができる。次いで、側壁から注入された正孔は、QW130a~130d内で横方向に(例えば、対応する拡散長さLにわたって)拡散することができ、これは、QW130a~130dの各々において、例えば、少なくとも5e17/cm
3の実質的な正孔密度につながり得る。即ち、側壁注入された正孔は、QW130a~130dにわたって、例えば、パーセンテージによって、ほぼ均一に注入されるか、またはほぼ等しく分散され得る。
【0063】
いくつかの例では、活性領域130(MQW領域)のQW130a~130dは、ドープされていない(例えば、ドープされていないGaN)、n型ドープされている(例えば、n型ドープされたGaN)、またはp型層125のドーピング濃度と比較してわずかにp型ドープされている(p型ドープされたGaN)とすることができる。正孔の横方向注入が生じるμLEDメサ105の領域は、μLEDメサ105の横方向p-n接合と対応する場合があり、QW130a~130bの傾斜した部分は、その横方向p-n接合の空乏領域に位置決めされる場合がある。
【0064】
図2は、μLED200の別の実装態様の例を示す図である。μLED200は、
図1のμLED100の変形態様である。この例では、μLEDメサ205は、成長テンプレート215(例えば、SiO
2マスク)を使用して成長界面210に再成長する。
図1のμLEDメサ105と比較して、μLEDメサ205の傾斜した領域205b(傾斜した側壁)の成長は、成長テンプレート215の上面において横方向に生じる。μLEDメサ105を製造するために使用された再成長プロセス条件と比較して、μLEDメサ205を製造するために異なるエピタキシャル再成長プロセス条件を使用することができる。
【0065】
図3は、μLED300の別の実装態様の例を示す図である。μLED300は、
図2のμLED200の変形態様である。この例において、電気コンタクト335は、μLEDメサ305の傾斜した側壁305bのみに形成されており、例えば、μLEDメサ305の上面には形成されていない。
図3に示されているように、絶縁材料345、例えば、透明絶縁材料が、μLEDメサ305のp型層325の上面に配置され、ミラー350が、絶縁材料345上に配置されている。この例では、ミラー350は、
図3に示されているように、例えば、μLEDメサ305の底側からの発光を改善することができる。例示的な実装態様において、電気コンタクト335(p型コンタクト)に含まれる材料は、導電性および反射率の両方のために選択することができるのに対し、ミラー350に含まれる材料は反射率だけのために選択することができる。いくつかの実装態様において、ミラー350は、銀(Ag)を含むことができる。
【0066】
図3の例において、電気コンタクト335は、ミラー350から分離したものとして示されている。しかしながら、いくつかの実装態様において、電気コンタクト335およびミラー350は、電気コンタクト335およびミラー350の両方として機能することができる1つの金属層を用いて実装することができる。
【0067】
図4は、μLED400の別の実装態様の例を示す図である。μLED400は、
図1のμLED100の変形態様である。
図4の例において、μLED400は、成長テンプレート415を使用して成長界面410上に再成長させることができるμLEDメサ405を含む。この例では、μLEDメサ105と比較して、μLEDメサ405は、MQW領域430を含み、MQW領域430のQWは、μLEDメサ405の横方向ファセットに沿って成長しない(存在しない)。MQW領域430は、平面的MQW領域と呼ぶことができる。即ち、MQW領域430のQWは、傾斜した側壁405bに沿って延びる傾斜した部分を有さず、例えば、QWは、水平方向にのみ延びている。
【0068】
したがって、傾斜した側壁405bは、この例では、横方向p-n接合、またはコンタクト435から受け取ったキャリア(例えば、正孔)をMQW領域430のQWへ注入する横方向p-i-n接合のいずれかを含む。例えば、p型層425およびn型領域420は、横方向p-nまたはp-i-n接合を画定することができ、
図4における破線は、p型層425の大まかな境界を示しており、これは、μLEDメサ405の再成長中のエピタキシャル組成の変化に依存する。
【0069】
p型層425は、μLEDメサ405において、μLEDメサ405の上面に沿っても存在し、μLEDメサ405の上側ファセットに沿って平面的p-n接合または平面的p-i-n接合を形成することができる。例示的な実装態様において、p型層425からMQW領域430のQWへ注入された(例えば、横方向に注入された)キャリアは、次いで、μLED400における正孔の流れを示す
図4における矢印440によって示されているように、MQW領域430のQWにおいて対応する拡散長さLにわたって横方向に拡散することができる。いくつかの実装態様において、p型層425から注入されたキャリア(例えば、正孔)は、μLEDメサ405の他の層においても横方向に拡散してよい。
【0070】
図5は、μLED500の別の実装態様の例を示す図である。μLED500は、
図4のμLED400の変形態様である。
図5の例において、μLED500は、成長テンプレートを使用することなく、例えば、再成長および異方性エッチングなどのその他の加工技術を用いることなく、成長界面510上に製造することができるμLEDメサ505を含む。μLED400のように、μLEDメサ505は、n型領域520、MQW領域530、p型層525、およびμLED400の対応する要素と同様に動作することができるコンタクト535を含む。
【0071】
図6は、μLED600の別の実装態様の例を示す図である。μLED600も、
図1のμLED400の変形態様である。この例では、μLEDメサ605は、成長テンプレート615(例えば、SiO
2マスク)を使用して成長界面610上に再成長する。
図4のμLEDメサ405と比較して、μLEDメサ605の傾斜した領域605b(傾斜した側壁)の成長は、横方向に、かつ成長テンプレート615の上面に生じる。
図1および
図2の例のように、μLEDメサ405を製造するために使用される再成長プロセス条件と比較して、μLEDメサ605を製造するために異なるエピタキシャル再成長プロセス条件を使用することができる。
【0072】
図7は、μLED700の別の実装態様の例を示す図である。
図7に示されているように、μLED700のμLEDメサ705は、成長テンプレート715を使用して成長界面710上に成長させることができる。μLEDメサ705は、μLEDメサ705の中心に設置された(例えば、水平方向で中心に位置する)傾斜した領域732を含むMQW領域730を含む。いくつかの例では、傾斜した領域732は、エピタキシャル再成長中にμLEDメサ705にV字形ピットを画定することによって形成することができる。次いで、p型層725(例えば、p型GaN)を形成することができ、p型層725は、μLEDメサ705の水平方向ファセットを画定するように平坦化させることができる。
【0073】
この例では、コンタクト735(p型コンタクト)が、μLEDメサ705の水平方向ファセットに配置されている。絶縁材料745(透明絶縁材料)が、μLEDメサ705の傾斜した側壁705bに配置されており、ミラー750が絶縁材料745上に配置されている。したがって、この例では、
図7に矢印740によって示されているように、正孔が、p型層725へ垂直に注入され、次いで、傾斜した領域732におけるMQW領域730のQWへ横方向に注入され得る。したがって、p型材料からQWへの横方向注入は、メサの外周部分からおよび/またはメサの内側部分から生じ得る。
【0074】
図8は、μLED800の別の実装態様の例を示す図である。
図8に示されているように、μLED800のμLEDメサ805は、第1のマスクされた領域815aと、成長界面810の中心に設置された第2のマスクされた領域815bとを含む成長テンプレートを使用して成長界面810上に成長させることができる。この例では、再成長中、第2のマスクされた領域815b上に成長するエピタキシャル層は、傾斜した横方向側壁を有することができ、その上にMQW領域830の傾斜した部分832が画定される。μLED700のように、次いで、p型層825(例えば、p型GaN)を(例えば、MQW領域830上に)形成することができ、p型層825は、μLEDメサ805の水平方向ファセットを画定するように平坦化させることができる。
【0075】
この例では、μLED700と同様に、コンタクト835(p型コンタクト)が、μLEDメサ805の水平方向ファセット上に配置されている。絶縁材料845(透明絶縁材料)が、μLEDメサ805の傾斜した側壁805b上に配置されており、ミラー850が絶縁材料845上に配置されている。したがって、この例では、
図8に矢印840によって示されているように、正孔を、p型層825へ垂直に注入し、次いで、傾斜した部分832におけるMQW領域830のQWへ横方向に注入させることができる。
【0076】
図9は、μLED900の別の実装態様の例を示す図である。μLED900は、μLED500と類似のものである。例えば、μLED900は、成長界面910上に形成されたμLEDメサ905を含む。μLEDメサ905は、n型領域920、MQW領域930、p型層925、およびμLEDメサ905の上側(水平方向)ファセット上に配置されたコンタクト935(p型コンタクト)を含むことができる。
図9にも示されているように、コンタクト937(n型コンタクト)は、n型領域920をコンタクト937に電気的に結合するn型ドープされたバッファ912(テンプレートと呼ぶこともできる)上に配置することができる。
【0077】
例示的な実装態様において、成長界面910は、n型ドープされたバッファ912の表面とすることができる。n型ドープされたバッファ912は、基板950上に形成されている。基板950は、例えば、III族窒化物LEDの場合、いくつかの例として、サファイア、シリコン、炭化ケイ素(SiC)、バルクGaN、またはバルク窒化アルミニウム(AlN)を含むことができる。n型ドープされたバッファ912は、n型GaNなどのn型ドープされた半導体材料とすることができる。いくつかの実装態様において、n型領域920への電気接続(例えば、コンタクト)は、
図9に示されたもの以外の方法で形成することができる。
【0078】
いくつかの実装態様において、μLED900を形成した後、基板950は、研削、エッチング、および/またはリフトオフ工程などの1つまたは複数のプロセス工程を用いて除去されてよい。n型ドープされたバッファ912またはその一部も、除去されるかまたは薄くされてよい。場合によっては、コンタクト935は反射性とすることができ、μLED900は、n型領域920に向かって(n型領域920から)(例えば、透明基板を通って、または基板除去後に)光を放出することができる。例えば、μLED900は、フリップチップ装置に実装することができる。
【0079】
図9は、μLED900において、および本明細書で説明される他の例示的な実装態様のμLEDにおいて、キャリア注入がどのように生じ得るかの例を示す。
図9において、矢印940は、μLED900における正孔の流れを示すのに対し、矢印942は、μLED900における電子の流れを示す。矢印940によって示されているように、正孔はコンタクト935からp型層925へ注入される。いくつかの実装態様において、p型層925は、p型GaNベース層およびその他の層を含むことができる。例えば、いくつかの実装態様において、p型層925は、p型AlGaN層を含むことができ、これは、電子ブロッキング層として機能することができる。
【0080】
図9に矢印940によって示されているように、注入された正孔は、次いで、半導体p型層を通って伝導され、横方向注入領域907に到達し、例えば、そこではp型層925は横(水平)方向に沿ってMQW領域930のQWに隣接して設置されている。正孔は、横方向注入領域907に到達した後、p型層925からMQW領域930のQWへ横方向に注入される。横方向注入領域907およびMQW領域930は、本明細書で説明されるアプローチを用いて、実質的な正孔注入がMQW領域930の各QWへ生じるように構成することができる。例えば、
図9に示されているように、3つのQWが注入され、この例では、各QWは、類似の正孔電流を受け取る。他の実装態様では、5、7、10などの異なる数のQWに注入することができる。
図9の例では、MQW領域930のQWへ注入された正孔は、次いで、QWにおいて(対応する拡散長さLにわたって)横方向に拡散し、その結果、QWにわたって実質的な正孔密度をもたらすことができる。例えば、このような実装態様において、正孔密度は、μLED900の動作中、QWの各々にわたって実質的に一定になり得る。
【0081】
図9に矢印942によって示されているように、電子は、コンタクト937からn型ドープされたバッファ912へ注入され、次いで、横方向に(例えば、水平方向に)拡散する。矢印942によって示された電子は、次いで、n型ドープされたバッファ912から、n型領域920を通ってMQW領域930のQWへ垂直方向に注入され得る。
図9に示されているように、電子は、正孔が注入されるMQW領域930の各QWへ注入され得る。電子は、MQW領域930のQWへ注入された後、次いで、QWにおいて横方向に拡散することができる。注入された正孔および注入された電子は、次いで、MQW領域930のQWにおいてぶつかり、再結合して、発光することができる。
【0082】
いくつかの実装態様において、MQW領域930を包囲する領域(例えば、
図9におけるn型領域920)は、n型ドープされるか、または(μLED900の他の領域に対して)公称でドープされない場合がある。他の実装態様では、MQW領域930を包囲する領域は、例えば、動作中のMQW領域930のQWにおける典型的なキャリア密度よりも少なくとも一桁小さいドーピング濃度で、わずかにn型ドープまたはp型ドープされ得る。例えば、いくつかの実装態様において、MQW領域930のQWは、少なくとも1E18/cm
3のキャリア密度で動作することができ、MQW領域930を包囲する領域のドーピング濃度は、1E17/cm
3以下とすることができる。
【0083】
図1~
図9の例示的な実装態様によって示されているように、エピタキシャル層および電気コンタクトを含むμLED(LED)の構成に応じて、p型コンタクトからp型層(例えば、p型GaN層)への正孔の注入は、実質的に装置の特定の領域において、または装置の特定の領域のみにおいて生じ得る。例えば、正孔注入は、μLEDの傾斜した側壁のみにおいて、または上側部分(水平方向ファセット)のみにおいて生じ得る。p型層からQWへの正孔の注入は、上側ファセットおよび傾斜した側壁の両方から、ほとんどは傾斜した側壁から、または傾斜した側壁のみから生じ得る。
【0084】
例えば、いくつかの実装態様において、コンタクトを傾斜した側壁の少なくとも一部に形成(配置)することができ、正孔は、μLEDの上側ファセット上で正孔注入が生じることなく、側壁コンタクトから側壁p型GaNへ注入され得る。次いで、正孔はQWへ横方向に注入され得る。他の実装態様では、コンタクトをμLEDの上側または水平方向ファセットの少なくとも一部に形成(配置)することができ、正孔は、コンタクトから上側p型GaNへ注入され、上側p型GaNから側壁p型GaNへ伝導され、次いで、側壁p型GaNから横方向にQW(例えば、QWの傾斜した部分または平面的なMQWのQWのいずれか)へ注入され得る。他の例示的な実装態様は、コンタクトジオメトリにおける変形態様を有することができる。例えば、横方向コンタクトを横方向の傾斜した側壁の一部のみに配置(形成)することができる一方、横方向の傾斜した側壁の他の部分は絶縁層によって被覆することができ、電気コンタクトはコンタクトを防止する。
【0085】
図10は、
図1~
図9のμLEDなどのμLEDに含むことができる例示的なエピタキシャル層積層体1000を概略的に示す図である。エピタキシャル層積層体1000は、例として、説明のために示されており、μLEDに含まれる具体的なエピタキシャル層、ならびにそれらの厚さおよび組成は、特定の実装態様に依存する。
【0086】
また、説明のために、エピタキシャル層積層体1000は、垂直方向に積層された配置で示されている。
図1~
図9の例などのいくつかの実装態様において、エピタキシャル層積層体1000の1つまたは複数の部分は、例えば、画定した、傾斜した、または斜めの側壁への、μLEDメサ(例えば、QWおよび/またはp型層)の傾斜した部分にも含むことができる。
【0087】
図10に示されているように、エピタキシャル層積層体1000は、成長界面を提供する基板1050上に形成することができる。エピタキシャル層積層体1000は、この例では、基板1050上に配置されたn型領域1020を含む。この例では、n型領域1020は、基板1050上に配置された5μmの厚さのn型GaN層1020a(GaNバッファまたはテンプレートと呼ぶこともできる)を含む。n型領域1020は、n型GaN層1020a上に配置された100nmの厚さおよび3パーセントのIn組成を有するn型InGaN下地層1020bをさらに含む。n型領域1020は、n型InGaN下地層1020b上に配置された50nmの厚さを有するn型GaN層1020cも含む。
【0088】
図10の例では、エピタキシャル層積層体1000は、n型領域1020上に配置されたMQW領域1030(活性領域)をさらに含む。エピタキシャル層積層体1000のMQW領域1030は、QW1030a、QW1030bおよびQW1030cを含む。QW1030a~1030cの各々は、この例では、3nmの厚さおよび20パーセントのIn組成を有する。MQW領域1030は、QW1030aとQW1030bとの間に配置された5nmの厚さを有するGaN障壁層1030d(例えば、ドープされていないGaN)、およびQW1030bとQW1030cとの間に配置された5nmの厚さを有するGaN障壁層1030e(例えば、ドープされていないGaN)も含む。この例では、MQW領域1030は、各々が10nmの厚さを有する、GaN層1030fおよびGaN層1030g(例えば、ドープされていないGaN)をさらに含む。GaN層1030fは、Qw1030aとp型領域1025との間に配置されている。GaN層1030gは、QW1030cとn型領域1020との間に配置されている。
【0089】
図10にさらに示されているように、エピタキシャル層積層体1000のp型領域1025は、GaN層1030f上に配置された20nmの厚さを有するp型AlGaN層1025a(例えば、EBL層)を含む。p型領域1025は、p型AlGaN層1025a上に配置された100nmの厚さを有するp型GaN層1025b、およびp型GaN層1025b上に配置された10nmの厚さを有する高濃度にドープされたp型GaN層1025c(例えば、p++GaN層)も含む。例示的な実装態様において、高濃度にドープされたp型GaN層1025cは、p型領域1025への低抵抗コンタクト(オーミックコンタクト)の形成を容易にすることができる。
【0090】
本明細書に説明されているように、上記のように、いくつかの実装態様において、MQW領域1030および/またはp型領域1025は、対応するμLEDの傾斜した部分(例えば、傾斜した側壁)内へ延長させることもできる。いくつかの実装態様において、MQW領域1030およびp型領域1025の層は、例えば、対応するμLEDの平面的な部分と比較して、傾斜した部分において異なる厚さおよび/または組成を有してよい。
【0091】
図11は、μLED1100の一部を概略的に示す図である。この例では、LED1100は、
図10のエピタキシャル層積層体1000を含むものとして示されている。
図11に示されているように、p型GaN材料1105(例えば、p型GaN層1025bと同様の組成のものであり得る)が、エピタキシャル層積層体1000に水平方向(横方向)に隣接して配置されている。p型GaN材料1105は、LED1100の傾斜した側壁1105bを画定している。また、
図11に示されているように、コンタクト1135(p型コンタクト)が、高濃度にドープされたp型GaN層1025cの上面に配置されており、この上面は、LED1100の上側の水平方向ファセットに対応することができる。
図11に矢印1140によって示されているように、正孔は、コンタクト1135から高濃度にドープされたp型GaN層1025cおよびp型GaN層1025bへ注入され得る。注入された正孔は、次いで、高濃度にドープされたp型GaN層1025cおよびp型GaN層1025bからp型GaN材料1105内へ流れることができ、正孔は、次いで、p型GaN材料1105からQW1030a~1030cへ横方向に注入され得る。
【0092】
図12、
図13A~
図13D、および
図14A~
図14Dは、所望のキャリア寿命、およびQWにおける所望のキャリア拡散長さを達成するために、(例えば、QW層の)μLEDに含まれるエピタキシャル層における変化する厚さおよび/またはIn組成パーセンテージをどのように利用することができるかを実証するモデリング結果を示すグラフである。
図12を参照すると、
図12、
図13A~
図13D、および
図14A~
図14Dに対応するモデルの一般的構造が示されている。
図12に示されているように、例示的なモデルにおいて、QW1230bは、第1の障壁層1230dと第2の障壁層1230eとの間に配置されている。この例では、QW1230b、第1の障壁層1230dおよび第2の障壁層1230eはそれぞれ、
図10および
図11のエピタキシャル層積層体1000のQW1030b、GaN障壁層1030d、GaN障壁層1030eに対応することができる。
図12は、第1の障壁層1230d、QW1230b、および第2の障壁層1230eにおける位置(x軸に示されているようにオングストロームで示す)に対する、伝導帯エネルギ1210、電子波動関数1220、価電子帯エネルギ1230、および正孔波動関数1240の例示的なプロットも示す。示された例のエネルギは、電子ボルト(eV)において
図12にy軸に示されている。
【0093】
モデル化された各QW構成について、対応する電子波動関数(例えば、電子波動関数1220)および正孔波動関数(例えば、波動関数1240)が、シュレーディンガー方程式を解くことによって計算される。次いで、対応する振動子強度O(例えば、電子波動関数と正孔波動関数との間の二乗された重なり積分と等しい)が、計算される。次いで、それぞれの再結合係数が、例えば、Oの間の経験的関係に基づいて計算され、対応する再結合係数(例えば、上述の係数など)が、例えば、B=O*B0、A=O^0.8*A0、C=O^1.2*C0として決定され、ここで、A0、B0およびC0は、SRH、放射およびオージェ速度のためのバルク状係数(量子閉じ込め効果なし)である。次いで、それぞれのキャリア寿命は、1/tau=A+2Bn+3Cn2によって与えることができ、拡散長さLは、L=sqrt(D*tau)によって与えることができ、D=2cm2/sであり、これは、InGaN QWのための公称拡散係数値とすることができる。物理的装置の動作はこのモデルから逸脱する可能性があるが、モデルは、QW構成(例えば、厚さおよび/またはInパーセンテージ組成)と拡散長さとの間の関係についてのガイダンスを提供する。
【0094】
図13A~
図13Dは、一定の15パーセントIn組成における(例えば、
図12に示されたモデルの)QW1230bの厚さの変化が、QW1230bの振動子強度O、内部量子効率(IQE:internal quantum efficiency)、キャリア寿命(tau)、キャリア拡散長さ(L)にどのように影響するかを示すグラフである。例えば、
図13Aは、QW厚さ(nmで示す)に対するlog
10スケールにおける振動子強度を示すグラフである。
図13Aに見られるように、QW厚さが増大するにつれて、Oは減少する。
【0095】
図13Bは、異なるQW厚さについて、log
10スケールにおける電流密度に対するIQE(パーセントIQEがデシマル値として示されている)を示すグラフである。具体的には、
図13Bは、2nm(曲線1310b)、3nm(曲線1320b)および4nm(曲線1330c)のQW厚さについてモデリング結果を示す。
図13Bに見られるように、QW厚さが増大するにつれて、ピークIQEは、より低い電流密度へシフトする(各厚さにおけるピークはほぼ等しい)。
【0096】
図13Cは、
図13Bと同じQW厚さについて、log
10スケールにおける電流密度に対するlog
10スケールにおけるキャリア寿命tauを示すグラフである。即ち、
図13Cは、2nm(曲線1310c)、3nm(曲線1320c)および4nm(曲線1330c)のQW厚さについてモデリング結果を示す。
図13Cに見られるように、QW厚さが増大するにつれて、同じ電流密度の場合、キャリア寿命が増大する。
【0097】
図13Dは、
図13Bおよび
図13Cと同じQW厚さについて、log
10スケールにおける電流密度に対するlog
10スケールにおける拡散長さLを示すグラフである。即ち、
図13Dは、2nm(曲線1310d)、3nm(曲線1320d)および4nm(曲線1330d)のQW厚さについてモデリング結果を示す。
図13Dに見られるように、QW厚さが増大するにつれて、同じ電流密度の場合、拡散長さが増大する。
図13A~
図13Dのモデリング結果によって示されるように、一定のパーセンテージIn組成でQWの厚さを変化させることにより、所望の拡散長さを達成することができる。例えば、
図13A~
図13Dのモデリング結果によって示されるように、電流密度J=10A/cm
2において、4nmの厚さおよび15パーセントIn組成のQWの場合、拡散長さL=5μmを達成することができる。
【0098】
図14A~
図14Dは、3nmの一定のQW厚さにおける(例えば、
図12に示されたモデルの)QW1230bのIn組成パーセンテージの変化が、QW1230bの振動子強度、内部量子効率(IQE)、キャリア寿命(tau)、キャリア拡散長さ(L)にどのように影響するかを示すグラフである。
図14Aは、QWのIn組成パーセンテージに対するlog
10スケールにおける振動子強度を示すグラフである。
図14Aに見られるように、In組成パーセンテージが増大するにつれて、Oが減少する。
【0099】
図14Bは、異なるIn組成パーセンテージについて、log
10スケールにおける電流密度に対するIQE(パーセント効率がデシマル値で示されている)を示すグラフである。具体的には、
図14Bは、10%(曲線1410b)、20%(曲線1420b)および30%(曲線1430b)のQWのIn組成パーセンテージについてモデリング結果を示す。
図14Bに見られるように、In組成パーセンテージが増大するにつれて、ピークIQEは、より低い電流密度へシフトする(各In組成パーセンテージにおけるピークはほぼ等しい)。
【0100】
図14Cは、
図14Bと同じIn組成パーセンテージについて、log
10スケールにおける電流密度に対するlog
10スケールにおけるキャリア寿命tauを示すグラフである。即ち、
図14Cは、10%(曲線1410c)、20%(曲線1420c)、および30%(曲線1430c)のIn組成パーセンテージについてモデリング結果を示す。
図14Cに見られるように、In組成パーセンテージが増大するにつれて、同じ電流密度の場合、キャリア寿命が増大する。
【0101】
図14Dは、
図14Bおよび
図14Cと同じIn組成パーセンテージについて、log
10スケールにおける電流密度に対するlog
10スケールにおける拡散長さLを示すグラフである。即ち、
図14Dは、10%(曲線1410d)、20%(曲線1420d)、および30%(曲線1430d)のIn組成パーセンテージについてモデリング結果を示す。
図14Dに見られるように、In組成パーセンテージが増大するにつれて、同じ電流密度の場合、拡散長さが増大する。
図14A~
図14Dのモデリング結果によって示されるように、一定の厚さのIn組成パーセンテージのQWを変化させることにより、所望の拡散長さを達成することができる。例えば、
図14A~
図14Dのモデリング結果によって示されるように、電流密度J=10A/cm
2において、3nmの厚さおよび30%のIn組成を有するQWの場合、拡散長さL=3.5nmを達成することができる。
【0102】
一般的な態様において、活性領域におけるμLEDのエピタキシャル層は、例えば、QW層および障壁層の組成、厚さ、ドーピング、無秩序のレベルを含み、活性領域における状態の静電構造および密度を達成することができるように構成することができ、その結果、μLEDのための所望の(例えば、所定の)動作電流密度において所望のキャリア寿命および所望の拡散長さが得られる。いくつかの実装態様において、放出される光の所望の波長、所望のIQE、およびμLEDのQWのその他の性能特性を達成することができる。即ち、いくつかの実装態様では、μLED活性領域のエピタキシャル構造は、動作電流密度Jにおいて、放出される光の所望の波長、μLEDの活性領域のQWへ注入されるキャリアのための所望の拡散長さ、および所望のIQEを達成するように製造することができる。いくつかの実装態様では、少なくとも1μm、少なくとも2μm、または少なくとも3μmの拡散長さを達成することができ、1A/cm2、5A/cm2、10A/cm2、50A/cm2、または100A/cm2の動作電流密度Jにおいて、少なくとも20%、少なくとも30%、または少なくとも40%の対応するIQEを達成することができる。
【0103】
上述のように、本明細書に説明されているアプローチを用いると、LED(μLED)は、従来のLED実装態様と比較して改善された性能で製造されかつ動作させることができる。例えば、本明細書に説明されている例示的なμLED実装態様は、改善されたキャリー分布、その結果、改善された光出力および分布で動作することができる。
図15Aおよび
図15Bは、
図1~
図9に関して説明されたものなどの、μLED実装態様のためのキャリア分布および発光(出力)分布をそれぞれ概略的に示す図である。
【0104】
図15Aは、例えば、電流注入(および発光)中の、μLEDメサのQW1530内のキャリア密度の横方向(水平方向)分布を概略的に示す。QW1530は、MQW領域に含まれるQWの平面的部分などの、いくつかのQWのうちの1つであってよい。
図15Aに示されているように、キャリア密度n(y軸に示されている)は、QW1530が含まれるμLEDのエッジ(例えば、左右の傾斜した側壁)(例えば、そこで正孔注入が生じる)において値n1を有する。QW1530における横方向キャリア拡散のための所望の拡散長さを達成するために本明細書に説明されているアプローチを用いて、
図15Aのキャリア密度分布は、QW1530の中央においてキャリア密度値n2を有し、n1に対するn2の比は、少なくとも30%、少なくとも50%、または少なくとも70%になり得る。本明細書に説明されているものなどのいくつかの実装態様では、このキャリア密度比は、対応するMQW領域におけるQWの各々に適用することができる。例えば、このような電流密度比は、MQW領域における少なくとも2つのQW、少なくとも3つのQW、または少なくとも5つのQW(または3、4、5)に適用することができる。
【0105】
このようなキャリア密度分布は、次に、例えば、対応するμLED装置に含まれるQW1530およびその他のQWから、関連するμLEDまたはLEDにわたって改善された光出力の分布をもたらすことができる。例えば、
図15Bは、QW1530における電流注入および横方向拡散中の、この例におけるQW1530の上面から放出される光出力の横方向(水平方向)分布を概略的に示す。
図15Bに示されているように、光出力L(y軸に示されている)は、QW1530が含まれているμLEDのエッジ(例えば、左右の傾斜した側壁)(例えば、そこで正孔注入が生じる)において値L1を有する。QW1530における横方向キャリア拡散のための所望の拡散長さおよび
図15Aのキャリア密度分布を達成するために本明細書に説明されているアプローチを用いると、光出力Lは、QW1530の中央において値L2を有し、L1に対するL2の比は、少なくとも30%、少なくとも50%、または少なくとも70%になり得る。本明細書に説明されているものなどのいくつかの実装態様では、光出力比は、対応するMQW領域におけるQWに適用することができる。例えば、このような光出力比は、MQW領域における少なくとも2つのQW、少なくとも3つのQW、または少なくとも5つのQW(または3、4、5)に適用することができる。即ち、いくつかの実装態様では、多重量子井戸へキャリアを注入することにより、改善されたIQEおよび/または所定の動作電流において放出される光のための好ましい波長を含む、より良いLED性能を促進することができる。
【0106】
図16は、
図1~
図9に関して本明細書に説明されているものなどのμLED実装態様について、異なる数NのQWが注入されている状態での、log
10スケールにおける電流密度とIQE(デシマル値で示されるパーセンテージ)との関係(例えば、モデリングから予測される)を示すグラフ1600である。グラフ1600において、曲線1610は、N=1である(1つのQWのみが注入される)実装態様に対応する。この例では、μLEDは、1A cm
2未満の電流密度において60%のピークIQEに達し、IQEは、より高い電流密度において減じられる。例えば、J=10A/cm
2において、曲線1610によって示されるIQEは、約40%である。本明細書に説明されているアプローチおよび技術を用いて実装されかつ動作するμLEDにおいて、横方向注入は、増加するNを許容することができ、これは、対応するIQE曲線をより高い電流密度へシフトさせる。例えば、グラフ1600において、曲線1620はN=3に対応し、曲線1630はN=10に対応する。全てのQWにおいてほぼ等しいキャリア注入が生じる(曲線1620の場合は3、曲線1630の場合は10)と仮定すると、IQEは、
図16に示されているように、一定の電流密度Jにおいて増大するNとともに増大する。例えば、電流密度J=10A/cm
2において、IQEは、N=3の場合に約50%、N=10の場合に約55%である。このような実装態様において、異なる数のQWが注入されている状態のμLEDの場合の外部量子効率(EQE:external quantum efficiency)および/またはウォールプラグ効率(WPE:wall plug efficiency)の測定は、
図16におけるIQEに示されたものと類似の傾向に従う場合がある。
【0107】
図17は、
図1~
図9に関して本明細書に説明されているものなどのμLED実装態様について、異なる数NのQWが注入されている状態での、log
10スケールにおける電流密度と放出された光の波長との関係(例えば、モデリングから予測される)を示すグラフ1700である。グラフ1700において、正規化された波長または相対波長が示されている。例えば、グラフ1700によって示される正規化された波長は、ラムダ/ラムダ0(グラフ1700のx軸に示されている)として決定される。この例では、ラムダは、所望の動作電流密度Jにおけるセントロイド波長であるのに対し、ラムダ0は、比較的低い電流密度(例えば、波長プラトーが観察される電流密度)におけるセントロイド波長である。グラフ1700では、曲線1710は、注入されるQWの数N=1に対応する相対(正規化された)波長を示し、曲線1720は、注入されるQWの数N=3に対応する相対(正規化された)波長を示し、曲線1730は、注入されるQWの数N=10に対応する相対(正規化された)波長を示す。
【0108】
図17に見られるように、放出された光の波長は、低い電流密度(例えば、約0.1A/cm
2)においてプラトーに達し、より高い電流密度において減じられる。N=1(1つのQWが注入される)の場合、曲線1710によって示されるように、波長の青方遷移の開始が、比較的低い電流密度において生じる。例えば、電流密度J=10A/cm
2において、相対波長は95%未満である。即ち、ラムダ0が530nmであるならば、ラムダは505nm未満となる。このような青方遷移は、場合によっては、例えば、放出された光のより長い波長が望まれる場合、望ましくない場合がある。
【0109】
本明細書で説明されるアプローチおよび技術を用いて実装されかつ動作するμLEDでは、横方向注入が、増大するNを許容することができ、これは、対応する相対波長曲線をより高い電流密度へシフトさせる。曲線1720(N=3)および曲線1730(N=10)によって示されるように、全ての注入されるQWにおいてほぼ等しいキャリア注入を仮定すると、それぞれの相対波長は、約97%(N=3の場合)および97.5%超(N=10の場合)である。
【0110】
いくつかの実装態様では、μLEDは、電流密度Jでの電気動作中に実質的に注入される多数NのQW(例えば、Nは、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、または少なくとも10である)を有することができ、例えば、Jは、少なくとも1A/cm2、少なくとも5A/cm2、少なくとも10A/cm2、または少なくとも20A/cm2である。いくつかの実装態様では、μLEDは、所与の電流密度Jで動作するとき、少なくとも430nm、少なくとも440nm、少なくとも450nm、少なくとも510nm、少なくとも520nm、少なくとも530nm、少なくとも540nm、少なくとも600nm、少なくとも610nm、または少なくとも620nmの放出された光のピーク波長を有してよい。即ち、μLEDは、430~480nm、または510~550nm、600~650nmの範囲の放出された光のピーク波長を有してよい。いくつかの実装態様では、μLEDは、20%よりも高い、30%よりも高い、40%よりも高い、50%よりも高い、または60%よりも高い動作IQEを有してよい。いくつかの実装態様では、μLEDは、5%よりも高い、10%よりも高い、15%よりも高い、20%よりも高い、25%よりも高い、30%よりも高い、35%よりも高い、40%よりも高い動作EQEを有してよい。いくつかの実装態様では、μLEDは、5%よりも高い、10%よりも高い、15%よりも高い、20%よりも高い、25%よりも高い、30%よりも高い、35%よりも高い、または40%よりも高い動作WPEを有してよい。
【0111】
いくつかの実装態様では、μLEDは、より高い電流密度Jにおいて低電流セントロイド波長ラムダ0(例えば、低電流密度における波長のプラトーによって規定される)および動作セントロイド波長ラムダを有してよく、相対波長ラムダ/ラムダ0は、0.9よりも大きい、0.92よりも大きい、0.94よりも大きい、0.96よりも大きい、または0.98よりも大きい。いくつかの実装態様では、μLEDは、50nm未満、30nm未満、20nm未満、15nm未満、10nm未満、または5nm未満の波長シフト(ラムダ0-ラムダ)を有することができる。いくつかの実装態様では、ラムダ0は、少なくとも450nm、少なくとも470nm、少なくとも490nm、少なくとも550nm、少なくとも570nm、少なくとも620nm、少なくとも630nm、少なくとも640nm、少なくとも650nm、または少なくとも660nmであってよい。
【0112】
いくつかの実装態様では、μLEDは、従来のLED実装態様と比較して、減じられた効率ドループまたはIQEドループを有することができる。このようなIQE(効率)ドループの低減は、注入されたキャリアを所望の数のQWにわたってほぼ等しく広げる横方向注入の結果として達成することができる。IQEドループは、相対値(パーセンテージ)として、例えば、所与の電流密度JにおけるIQEを所与のμLEDのピークIQEで除算したものとして、定義することができる。いくつかの実装態様では、μLEDは、50%よりも大きい、60%よりも大きい、70%よりも大きい、80%よりも大きい、または90%よりも大きいIQEドループを有することができる。いくつかの実装態様では、μLEDは、50%よりも大きい、60%よりも大きい、70%よりも大きい、80%よりも大きい、または90%よりも大きいEQEドループを有することができる。いくつかの実装態様では、μLEDは、50%よりも大きい、60%よりも大きい、70%よりも大きい、80%よりも大きい、または90%よりも大きいWPEドループを有することができる。
【0113】
図18A~
図18Dは、例えば、エピタキシャル再成長プロセスを用いて、少なくとも、
図2のμLED200および/または
図3のμLED300などの、μLEDおよび/またはμLEDメサを製造するための例示的なプロセスを示す図である。
図18Aに示されているように、成長マスク1815が基板1812上に形成される。
図18Bに示されているように、成長マスク1815を形成した後、傾斜した側壁領域を有するn型領域1820(メサ)が、基板1812の成長界面1810上に成長させられる。
図18Cに示されているように、n型領域1820を成長させた後、μLEDのMQW領域1830が、n型領域1820上に成長させられる。いくつかの実装態様では、MQW領域1830は、複数のQWを含むことができる。
図18Cにも示されているように、p型領域1825も(例えば、MQW領域1830上に)成長させられる。この例では、MQW領域1830およびp型領域1825は、n型領域1820と共形であり、例えば、傾斜した部分を含む。
図18Dに示されているように、MQW領域1830およびp型領域1825を成長させた後、コンタクト層1835および/または誘電体層1845が形成される。いくつかの実装態様では、コンタクト層1835は、MQW領域1830のQWによって放出された光を、例えば、μLEDの発光面へ反射するためのミラーとして機能することもできる。
【0114】
図19A~
図19Dは、例えば、エピタキシャル再成長プロセスを用いて、少なくとも、
図6のμLED600などの、μLEDおよび/またはμLEDメサを製造するための例示的なプロセスを示す図である。
図19Aに示されているように、成長マスク1915が基板1912上に形成される。
図19Bに示されているように、成長マスク1915を形成した後、傾斜した側壁領域を有するLEDメサ1905が、基板1912の成長界面1910上に成長させられる。
図19Bにさらに示されているように、LEDメサ1905は、n型領域1920およびMQW領域1930(複数のQWを含む)を含む。この例では、MQW領域1930のQWは、平面的であり、例えば、傾斜した部分を含まない。
図19Cに示されているように、LEDメサ1905を成長させた後、p型領域1925がLEDメサ1905上に成長させられ、p型領域1925は、LEDメサ1905と共形であり、例えば、傾斜した部分を含む。
図19Dに示されているように、p型領域1925を成長させた後、コンタクト層1935が形成される。いくつかの実装態様では、コンタクト層1935は、MQW領域1930のQWによって放出された光を、例えば、μLEDの発光面へ反射するためのミラーとしても機能することができる。いくつかの実装態様では、本明細書に説明された例示的なμLEDなどにおいて、誘電体層を形成することもできる。
【0115】
図20A~
図20Dは、例えば、エピタキシャル再成長プロセスを用いて、少なくとも、
図7のμLED700などの、μLEDおよび/またはμLEDメサを製造するための例示的なプロセスを示す図である。
図20Aに示されているように、成長マスク2015を基板2012上に形成することができる。
図20Bに示されているように、成長マスク2015を形成した後、傾斜した側壁領域を有するn型領域2020(メサ)および中央のV字形ピット領域2022を基板2012の成長界面2010上に成長させることができる。
図20Cに示されているように、n型領域2020を成長させた後、MQW領域2030およびp型領域2025をn型領域2020上に成長させることができ、MQW領域2030は、中央のV字形ピット領域2022と共形な傾斜した部分2032を有する。p型領域は、MQW領域2030の傾斜した部分2032を満たすことができ、μLEDメサの水平方向上側ファセットを画定するように平坦化させることができる。
図20Dに示されているように、p型領域2025を成長させて、平坦化した後、コンタクト層2035が形成される。いくつかの実装態様では、コンタクト層2035は、MQW領域2030のQWによって放出された光を、例えば、μLEDの発光面へ反射するためのミラーとして機能することもできる。いくつかの実装態様では、本明細書で説明される例示的なμLEDなどにおいて、誘電体層を形成することもできる。
【0116】
図21A~
図21Dは、例えば、エピタキシャル再成長プロセスを用いて、少なくとも、
図8のμLED800などの、μLEDおよび/またはμLEDメサを製造するための例示的なプロセスを示す図である。
図21Aに示されているように、成長マスク2115aおよび成長マスク2115bを基板2112上に形成することができる。
図21Bに示されているように、成長マスク2115を形成した後、傾斜した側壁領域を有するn型領域2120(メサ)および中央のV字形ピット領域2122を基板2112の成長界面2110上に成長させることができる。
図21Cに示されているように、n型領域2120を成長させた後、MQW領域2130およびp型領域2125をn型領域2120上に成長させることができ、MQW領域2130は、中央のV字形ピット領域2122と共形でありかつn型領域2120の傾斜した側壁とも共形な傾斜した部分2132を有する。p型領域2125は、MQW領域2130の傾斜した部分2132を満たすことができ、μLEDメサの水平方向の上側ファセットを画定するように平坦化させることができる。この例では、p型領域2125は、n型領域2120およびMQW領域2130の傾斜した側壁とも共形である。
図21Dに示されているように、p型領域2125を成長させて、平坦化した後、p型領域2125によって画定されたμLEDの水平方向上側ファセット上にコンタクト層2135が形成される。いくつかの実装態様では、コンタクト層2135は、MQW領域2130のQWによって放出された光を、例えば、μLEDの発光面へ反射するためのミラーとして機能することもできる。いくつかの実装態様では、本明細書に説明された例示的なμLEDなどにおいて、誘電体層を形成することもできる。
【0117】
上記で説明されたプロセスフローの工程に加えて、またはその代わりに、他の加工工程を用いることができる。例えば、μLEDメサは、エッチング(例えば、ドライエッチング、ウェットエッチング)して、MQWおよび/または傾斜した領域を形成するように再成長させられ、p型ドープされた領域を形成するように再成長(例えば、さらに再成長)させられることによって、画定されてよい。いくつかの実装態様では、1つの方法実装態様の加工工程は、例えば、本明細書に説明された例示的なμLEDなどの、異なる構成を有するμLEDを製造するために、別の方法実装態様において実行することができる。
【0118】
例えば、いくつかの実装態様では、μLEDは、μLEDメサとコンフォーマルでありかつμLEDメサの傾斜した側壁に存在する傾斜した部分を有するQWとともに製造することができる。いくつかの実装態様では、側壁に沿ったQWは、対応するμLEDの平面的な領域に沿ったQWよりも薄くなり得る。いくつかの実装態様では、側壁に沿ったQWは、μLEDによって放出される光の実質的な部分を放出せず、光のほとんど(または全て)は、平面的な部分のQWから放出される。
【0119】
いくつかの実装態様では、μLEDは、ガリウムおよび窒素、例えば、GaNおよび/またはIII族窒化物化合物を含むメサを有することができる。このような化合物は、Ga、In、Al、Nおよび/またはその他の元素を含んでよい。いくつかの実装態様では、μLEDのメサは、メサの結晶構造のc面(または小さなオフカット、例えば、5度未満のオフカットを有するc面)に対応する平面的な上面を有することができる。
【0120】
いくつかの実装態様では、μLEDのメサは、傾斜した側壁を有することができる。傾斜した側壁は、メサのそれぞれの結晶構造に対応する、半極性方向に沿うことができる。メサは、それぞれ
図28Aおよび
図28Bに示されているような、六角形または円形の基部形状を有することができる。いくつかの実装態様では、μLEDのメサは、等価な結晶面に沿った6つの傾斜した側壁を有してよい。例えば、側壁は、m面特性を有する半極性面に沿って配置することができるか(m面とc面との間で傾斜している)、またはa面特性を有する半極性面に沿って配置することができる(a面とc面との間で傾斜している)。
【0121】
いくつかの実装態様では、μLEDまたはμLEDメサは、(例えば、本明細書に定義されているように、水平方向に沿った)横方向寸法LDと、少なくともLD/5、少なくともLD/2、または少なくともLDである、対応するQWを横切る拡散長さLとできる。いくつかの実装態様では、この関係は、正孔が横方向に注入される場合、正孔のための拡散長さに当てはまる場合があり、電子および正孔の両方が横方向に注入される場合、電子および正孔の両方の拡散長さにも当てはまる場合がある。いくつかの実装態様では、拡散長さと等しい横方向寸法を有することにより、複数のQWにわたって実質的に均一な横方向キャリア注入を容易にすることができる。いくつかの実装態様では、LED(例えば、μLED、μLEDメサ)は、5μm未満の横方向寸法LDを有することができ、LEDは、正孔をQWへ注入するように構成することができ、QWSは、少なくとも1μmの横方向拡散長さLを有する。
【0122】
いくつかの実装態様では、μLEDは、横方向注入領域(例えば、1つまたは複数のp型層からQWへ)を含むことができ、QWは、横方向注入領域から距離LQWにわたって延び得る。このような例では、μLEDのエピタキシャル構造は、少なくともLQW/5、少なくともLQW/2、少なくともLQWまたは少なくとも2*LQWである(電子および/または正孔のための)横方向拡散長さLを達成するために、本明細書に説明されているアプローチを用いて、製造されかつ電気的に動作することができる。
【0123】
いくつかの実装態様では、本明細書で説明される例などの、LED(例えば、μLED)の性能を向上させることは、以下のうちの1つまたは複数を含むことができる。性能測定基準のための所望のターゲットを選択することができ(例えば、IQE、EQE、WPE、動作電流密度における波長など)、選択された性能測定基準は、3つ未満の量子井戸が実質的にキャリアを注入されるLEDにおいては達成されない。横方向注入のための量子井戸の所望の数Nを選択することができ、Nは、3以上である。少なくともN個の量子井戸、および様々な構造(例えば、エピタキシャル積層体、装置アーキテクチャ、コンタクト構成など)を有するLEDのシリーズ(例えば、異なるウェハ)を製造することができ、N個の量子井戸への均一な注入はシリーズにわたって増大する。少なくともN個の量子井戸、および様々な構造(例えば、エピタキシャル積層体、装置アーキテクチャ、コンタクト構成)を有するLEDのシリーズ(例えば、異なるウェハ)を製造することができ、選択された性能測定基準はシリーズにわたって増大している(例えば、IQE/EQE/WPEが増大している、または波長が所望の値に近づいている)。前述のうちの1つまたは複数の結果として、所望の性能測定基準を達成する、N個の量子井戸への実質的な横方向注入を有するLEDを得ることができる。
【0124】
例えば、例示的な実装態様では、10A/cm2の電流密度において少なくとも10%のEQEを、所望の性能測定基準として選択することができる。10個のQWを有するμLED構造のシリーズを成長させることができ、エピタキシャル層は、シリーズにわたって異なる(いくつかのエピタキシャル層の組成、厚さおよび/またはドーピングレベルを含む)。これは、シリーズにわたって注入される量子井戸の数を増大させることを容易にすることができ、次に、EQEが10%よりも高い値に増大したLEDを得ることにつながる。
【0125】
いくつかの実装態様では、μLEDまたはμLEDメサは、以下の特徴のうちの1つまたは複数を有することができる。
1)10μm未満、8μm未満、6μm未満、4μm未満、3μm未満、2μm未満、または1.5μm未満の横方向寸法。
2)MQW活性領域
a)MQWのQWは横方向キャリア輸送を提供する。
【0126】
b)QWは少なくとも1cm2/sの拡散係数を有する。
c)拡散係数は、電子のため、正孔のため、または両極性拡散係数である。
【0127】
d)QWは、所定の動作電流(電流密度)の場合、少なくとも0.5μm、少なくとも1μm、少なくとも2μm、少なくとも3μm、少なくとも4μm、少なくとも6μm、少なくとも8μm、または少なくとも10μmの拡散長さを有する。
【0128】
e)各QWにおけるキャリア密度は50%よりも大きい横方向均一性を有する。
f)少なくとも2つのQW、少なくとも3つのQW、少なくとも4つのQW、または少なくとも5つのQWが存在する。
3)LEDは、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、または少なくとも50%のIQEを有する。
【0129】
a)IQEはピークIQEである。
b)IQEは10A/cm2の動作電流密度において決定される。
4)LEDは、少なくとも2%、少なくとも4%、少なくとも6%、少なくとも8%、少なくとも10%、少なくとも15%、または少なくとも20%のEQEを有する。
【0130】
a)EQEはピークIQEである。
b)EQEは10A/cm2の動作電流密度において決定される。
5)LEDは、少なくとも600nm、少なくとも550nm、少なくとも520nm、または少なくとも430nmの発光のための発光波長を有する。
6)動作の電流密度は、1~100A/cm2、1~50A/cm2、1~20A/cm2、0.1~50A/cm2、0.1~20A/cm2、または0.1~10A/cm2の範囲である。
7)横方向注入は効率ドループの低減を促進する。
【0131】
a)10A/cm2の動作電流密度における相対的IQE(ピークIQEに対する)は、少なくとも30%、少なくとも50%、または少なくとも70%である。
【0132】
b)ピークIQEは、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、または少なくとも70%である。
8)横方向注入は、多重QWにおける注入を促進し、n側におけるいくつかのQWは実質的な正孔注入を受ける。
9)注入される正孔の50%未満が、上の2つのQW(例えば、p側におけるQW)へ注入される。
10)光の50%未満が、上の2つのQWによって放出される。
11)正孔の50%未満が、上のQW(例えば、p側に隣接する第1のQW)に閉じ込められる。
12)発光の50%未満が、上のQWによって放出される。
13)QWにおける正孔の拡散長さは、μLEDの横方向寸法よりも大きい。
14)QWにおける正孔の拡散長さは、LEDの横方向寸法よりも0.25倍、0.5倍、1倍、2倍、または5倍大きい。
15)正孔の少なくとも30%、少なくとも50%、または少なくとも70%が、水平方向界面以外(例えば、c面に沿って配置された界面以外)の界面を通じて注入される。
【0133】
a)他の界面は、半極性面に沿って配置されている。
16)コンタクトが非水平面上に形成される。
【0134】
a)コンタクトはp型コンタクトである。
b)他の面のうちの少なくとも1つは傾斜した側壁である。
【0135】
c)他の面のうちの少なくとも1つは、ウルツ鉱結晶構造の半極性面に対応する。
d)水平面は、ウルツ鉱結晶構造のc面に沿って配置されている(ウルツ鉱結晶構造のc面に対応する)。
【0136】
e)コンタクトはオーミックである。
17)コンタクトは水平面上に形成される。
18)p型コンタクトは水平面上に形成されない。
19)μLEDはマイクロメサを含む。
【0137】
a)マイクロメサは非垂直な側壁を有する。
b)マイクロメサはc面水平面を有する。
【0138】
c)マイクロメサは半極性側壁を有する。
20)上の(水平)面に形成された第1のp型GaN層および横方向に(例えば、メサ側壁、非垂直な側壁に)形成された第2のp型GaN層が存在する。
【0139】
a)第1および第2のp型GaN層は異なるドーピング濃度を有する。
b)第1のp型GaN層のドーピング濃度は第2のp型GaN層のドーピング濃度よりも低い。
21)上面に形成された第1のEBLおよび横方向に形成された第2のEBLが存在する。
【0140】
a)第1のEBLおよび第2のEBLは異なる特性(例えば、異なる組成、および/または厚さ)を有する。
【0141】
b)第1のEBLおよび第2のEBLはAlGaNを含む。
22)上面から注入される正孔に対する第1の抵抗は、横方向に注入される正孔に対する第2の抵抗とは異なる。
【0142】
a)第1の抵抗は第2の抵抗よりも高い。
b)第1および第2の抵抗は接触抵抗である。
【0143】
c)第1および第2の抵抗は広がり抵抗である。
d)第1および第2の抵抗は全抵抗である。
23)金属コンタクトが、非垂直な側壁のうちの1つまたは水平面上に形成される。
【0144】
a)金属コンタクトは、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%の反射率を有する。
【0145】
b)反射率は、μLEDの発光のピーク波長において、垂直(直交)入射におけるものである。
【0146】
いくつかの実装態様では、μLEDは、以下のようなジオメトリを有することができる。
1)μLEDはメサ形状であり、水平方向の上面および少なくとも3つの非垂直な側壁を有する。
2)μLEDの第1の部分は、水平方向に沿って配向された第1のエピタキシャル層を有し、第1のエピタキシャル層は、第1の厚さおよび第1のバンドギャップを有する第1の複数の量子井戸を含む。
3)μLEDの第2の部分は、非垂直な側壁に沿って配向された第2のエピタキシャル層を有し、第2のエピタキシャル層は、第2の厚さおよび第2のバンドギャップを有する第2の複数の量子井戸を含む。
4)コンタクトが、水平方向の上面の少なくとも1つ、または非垂直な側壁上に形成される。
5)以下の態様のうちの1つまたは複数が存在し得る。
【0147】
a)LEDの第1の部分はメサの中心の近くに設置されている。
b)LEDの第1の部分は、少なくとも500nm、少なくとも1μm、または少なくとも2μmの横方向幅を有する。
【0148】
c)メサは、20μm未満、10μm未満、5μm未満、または2μm未満の幅を有する。
【0149】
d)メサは、少なくとも100nm、少なくとも200nm、少なくとも500nm、少なくとも1μm、または少なくとも2μmの高さを有する。
【0150】
e)メサは、10μm未満、5μm未満、2μm未満、または1μm未満の高さを有する
f)μLEDの第2の部分は、メサの側壁の近くに設置されている。
【0151】
g)水平方向はc面に沿っており、非垂直な側壁は半極性面に沿っている。
h)非垂直な側壁は、少なくとも10度または少なくとも20度の垂直方向からの角度を有する。
【0152】
i)非垂直な側壁は、80度未満または少なくとも70度の垂直方向からの角度を有する。
【0153】
j)第1の複数のQWのQWおよび第2の複数のQWのQWはそれぞれ一対一の関係で互いに接続されている。
【0154】
k)第2のバンドギャップは第1のバンドギャップよりも大きい。
l)第2の厚さは第1の厚さよりも小さい。
【0155】
m)コンタクトは水平方向の上面に形成されている。
いくつかの実装態様では、可能な電気コンタクトは、銀、アルミニウム、金、チタン、ニッケル、プラチナ、および/またはタングステンを含むコンタクト、ならびに多層コンタクトおよび合金などの、金属コンタクトを含む。いくつかの実装態様では、酸化インジウムスズ、酸化亜鉛、および/または酸化インジウム亜鉛、および透明金属コンタクト材料の積層体などの、透明金属コンタクトを使用することができる。
【0156】
いくつかの実装態様では、μLEDは、垂直方向注入と比較して横方向注入を増大させるように構成され、動作させることができる。このようなアプローチは望ましい場合がある。なぜならば、垂直方向注入は、キャリアがより少ないQWへ広がることにつながる可能性があるのに対し、横方向注入は、同じ全電流の場合により多くのQWが注入されることにつながる可能性があるからである。したがって、いくつかの実装態様では、横方向注入に対する抵抗は、垂直方向注入に対する抵抗よりも低い可能性があり、これは、それぞれのコンタクト抵抗の構成(またはさらにはショットキー障壁高さ)によって、広がり抵抗の使用によって(例えば、ドーピングおよび厚さ制御を介して達成される)、および/またはその他のアプローチによって容易にすることができる。いくつかの実装態様では、動作電流密度を選択することができ(例えば、10A/cm2、または少なくとも10A/cm2)、対応するLEDを、選択された電流密度において電流広がりを提供するように構成(製造)することができる。
【0157】
いくつかの例では、複数のLEDメサが、ディスプレイのための光源を提供するために、および/または照明のための光源を提供するために、接続され、電気的に動作することができる。
【0158】
いくつかの実装態様では、μLEDを製造することは、
1)1よりも高いQWの最小数を選択すること
2)動作電流密度を選択すること
3)非垂直側壁および対応する側壁コンタクトを有するμLEDのシリーズを準備すること
4)シリーズにわたって、キャリアの横方向注入を容易にしかつ選択された電流密度におけるIQEを増大させるようにエピタキシャル層および側壁コンタクトを構成すること
5)少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%であるIQEを有するμLEDを得ること
を含むことができる。
【0159】
いくつかの実装態様では、μLEDの性能を向上させるための方法は、以下を含むことができる。
1)キャリア注入の均一性が増大したLEDのシリーズを準備することであり、シリーズの各LEDは、所定の電流密度において、少なくとも20%のIQEを有する。
2)シリーズのうちの少なくとも2つのLEDの間の、所定の電流密度における、IQEのそれぞれの増大を決定することであり、IQEの増大は、横方向注入の増大によって促進される。
3)前に得られた最も高い横方向注入に対して横方向注入を向上させることによってシリーズの少なくとも追加的なLEDを準備すること。
4)シリーズのうちの2つのLEDの間で少なくとも5%のIQEの増大が得られるまでステップ2および3を繰り返すこと。
【0160】
方法のいくつかの実装態様では、所定の電流密度は、少なくとも10A/cm2、少なくとも2A/cm2、少なくとも5A/cm2、少なくとも20A/cm2、または少なくとも50A/cm2とすることができる。
【0161】
いくつかの実装態様では、μLEDの活性領域は、障壁層によって分離されたQWを有することができ、障壁層は、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、または少なくとも5%のIn(パーセント組成)の濃度を有することができる。例えば、障壁層は、少なくとも1%、最大で5%のInパーセント組成を有するInGaN層とすることができる。このようなアプローチは、障壁層にわたる注入を容易にすることができ、対応するμLEDの動作電圧を低下させることができる。いくつかの実装態様では、前述の例示的なInパーセント組成は、μLEDの傾斜した領域における(例えば、半極性面に沿った)、またはμLEDの横方向領域(例えば、平面的な領域に対して横方向に設置された領域)における、障壁層のためのものであり得る。
【0162】
いくつかの実装態様では、異なる色(例えば、赤、緑および/または青)のμLEDを同じウェハ上に形成することができる。電気コンタクトスキームの組合せを用いることができる。いくつかの実装態様では、各色のμLEDは、横方向コンタクト(および/または横方向キャリア注入)を有することができ、その結果、横方向キャリア注入および拡散から利益を得ることができる。いくつかの実装態様では、色のサブセットのμLEDは、横方向コンタクト(および/または横方向キャリヤ注入)を有することができる。例えば、その性能が、青および緑のLEDに対して、効率ドループおよび/または不均一なキャリア注入から最も損なわれ得る赤色LEDは、横方向コンタクトおよび/または横方向キャリア注入を有することからより多くの利益を達成することができる。
【0163】
いくつかの実装態様では、μLEDにおける横方向キャリア輸送は、以下のイベントのシリーズの結果として生じ得る。
1)正孔が、コンタクト層から傾斜した配向を有するp型材料へ注入され、p型材料は、第1のバンドギャップおよび第1の厚さを有する。
2)正孔は、次いで、p型材料から、傾斜した配向、第2のバンドギャップおよび第2の厚さを有する中間層へ注入される。
3)正孔は、中間層から、平面配向、第3のバンドギャップおよび第3の厚さを有する複数のQWへ注入される。
【0164】
いくつかの実装態様では、前述のイベントのシリーズに従う横方向キャリア輸送の促進は、μLEDの以下の態様のうちの1つまたは複数が存在する場合に達成することができる。
1)μLEDは、傾斜した配向によって結合された外周を有する。
2)μLEDは、p型材料によって結合された外周を有する。
【0165】
a)p型材料は、MQWに対して横方向に設置されている。
3)μLEDは、傾斜した配向に沿って傾斜した側壁を有するメサである。
4)μLEDは、p型材料側壁を有するメサである。
5)μLEDは、p型材料を有する、外周から離れて設置された、1つまたはいくつかの内側横方向注入領域を有する。
【0166】
a)内側横方向領域は、MQW領域において垂直方向に延びており、MQW領域において横方向注入を提供する。
6)p型材料は、p型GaNである。
7)第2のバンドギャップは、第1のバンドギャップよりも小さく、第3のバンドギャップよりも大きい。
8)中間層は、少なくとも1%のIn、少なくとも2%のIn、少なくとも3%のIn、少なくとも5%のIn、または少なくとも10%のInを含む。
9)QWは、少なくとも15%のIn、少なくとも20%のIn、少なくとも30%のIn、少なくとも40%のIn、または少なくとも50%のInを含む。
10)中間層は、傾斜したQWである。
11)第2の厚さは、第3の厚さよりも小さい。
12)傾斜した配向は、半極性面に沿っている。
13)30%以下、50%以下、または70%以下の正孔が、複数のQWのうちの1つのQWに注入される。
14)正孔は、QWにおいて平面(水平)方向に少なくとも500nm、少なくとも1μm、または少なくとも2μmにわたって横方向に拡散する。
15)正孔は、p型材料から中間層へ注入されるとき、非平面EBL層(例えば、傾斜したEBL層、垂直EBL層)などの他の層を介してさらに注入される。
【0167】
前述の考察は、概してμLEDを対象としているが、いくつかの実装態様では、本明細書に説明されたアプローチは、大型LED(例えば、100μm以上、500μm以上、1mm以上の横方向寸法を有する)などの、他の光電子装置を実装しかつ動作させるために用いることができる。大型LEDの場合、横方向正孔注入を促進するために、複数の横方向注入領域がLEDを横断して形成されてよい。例えば、
図7および
図8のものと類似の複数のp型ドープされた注入領域を、例えば、エッチングおよび再成長を含む加工工程によって形成することができる。これらの注入領域は、LEDの活性領域内へ突出してよい。これらの注入領域の密度および間隔は、特定の実装態様に基づいて選択されてよい。例えば、注入領域の間の間隔は、LEDのQWに関連する横方向拡散長さに対応してよい。いくつかの実装態様では、このような注入領域は、周期的なレイアウト(例えば、正方格子、三角格子など)と、本明細書に説明されているような、関連する拡散長さに対応するまたは関連する拡散長さと等しい周期性とを有するように形成されてよい。いくつかの実装態様では、MQW領域は、横方向拡散長さLと、5Lよりも大きいサイズとを有することができ、その周期がL程度である三角格子レイアウトで製作された横方向注入領域を有することができる。
【0168】
垂直キャリア輸送に関する前述の考察において、本明細書において使用される場合、傾斜とは、(
図1~
図9の例示的なμLED注入に関して説明されているように)水平方向に沿っておらずかつ垂直方向にも沿っていない配向を指す。さらに、傾斜面は、平面的である必要はない。例えば、傾斜面は、湾曲させることができ、および/または変化する傾きを有することができる。ウルツ鉱III族窒化物c面LEDの場合、水平方向は、c面であり、垂直方向は、m面およびa面を含むことができる。したがって、傾斜した配向は、半極性面に沿って配置されている。同様に、非垂直側壁は、本明細書において使用される場合、水平でも垂直でもない側壁を指す。例えば、このような非垂直(傾斜した)側壁は、水平方向に対して少なくとも10度、または少なくとも20度、最大で80度、または最大で70度の角度で配置することができる。
【0169】
いくつかの例では、LED(例えば、μLED)は、活性発光層でない場合がある1つまたは複数のドープされた半導体層において生じる横方向キャリア拡散(横方向キャリア輸送)とともに動作することができる。例えば、いくつかの実装態様では、μLEDは、1つまたは複数のトンネル接合(TJ)を含むことができ、TJは、n型ドープされた層と、p型ドープされた層とを含み、n型ドープされた層とp型ドープされた層との間の1つまたは複数の接合層を含むことができる。TJは、(TJの第1の側の)n型ドープされた層における電子がTJをトンネルし、(TJの第2の反対の側の)p型ドープされた層において正孔となるように動作することができる。このような実装態様では、対応するLEDは、(例えば、電子のための)横方向キャリア拡散がn型ドープされた層において生じるように構成することができ、これは、電流広がりのためにp型層のみが使用された場合よりも良好な電流広がりにつながり得る。
【0170】
図22は、横方向キャリア拡散がQW層以外のドープされた層において生じる、TJを含むLED2200を示す図である。
図22に示されているように、LED2200は、n型ドープされた層2220aを含むエピタキシャル層積層体(n型バッファ層、QW活性領域2230、p型ドープされた層2225、TJ2260、およびn型ドープされた層2220bを含むことができる)を含む。コンタクト2235aは、n型ドープされた層2220a(例えば、n型バッファ層)に形成されている。コンタクト2235bは、n型ドープされた層2220bに形成されている。この例では、電子は、矢印2242aおよび2242bによってそれぞれ示されるように、n型ドープされた層2220aおよびn型ドープされた層2220bの両方において横方向に拡散する。この例では、n型ドープされた層2220bにおける電子はTJ2260をトンネルし、正孔となり、正孔は、p型ドープされた層2225を通過して、複数のQWを含むことができるQW活性領域2230へ垂直方向に輸送される。n型ドープされた層2220bにおける電子(TJ2260によって正孔に変換される)のこの横方向拡散と、n型ドープ層2220における電子(QW2230に提供される)の横方向拡散とが、正孔および電子の両方のためのQW2230における均一な横方向キャリア分布を促進する。
【0171】
この例では、コンタクト2235bは、n型ドープされた層2220bの一部のみに接触している(n型ドープされた層2220bの一部のみに配置されている)。
図22に示されているように、n型ドープされた層2220bの上面の別の部分にはミラー2250が配置されており、ミラー2250は、QW活性領域2230によって放出された光の反射を促進することができる。この例では、ミラーは、電気コンタクトとして機能しない。半導体n型面は、n型コンタクトの形成前に(例えば、ドライエッチング、ウェットエッチング、化学処理によって)準備されてよく、これは、コンタクト抵抗を低減し得る。
【0172】
図23は、横方向キャリア拡散がQW層以外のドープされた層において生じる、TJを含む別のLED2300を示す図である。LED2300は、LED2200と類似の多数の態様を含む。例えば、LED2300は、n型ドープされた層2320a(n型バッファ層を含むことができる)、QW活性領域2330a、p型ドープされた層2325a、TJ2360、およびn型ドープされた層2320bを含む、エピタキシャル層積層体を含む。コンタクト2335aがn型ドープされた層2320a(例えば、n型バッファ層)に形成されており、コンタクト2235bがn型ドープされた層2220bに形成されている。LED2300のこれらの要素は、LED2200の構造に対応し、コンタクト2335aとコンタクト2235bとの間に適切な電圧が印加されると、同様に動作することができる(例えば、TJ2360によって電子から変換された正孔によってQW活性領域2330aから発光する)。したがって、その動作の詳細は、
図23に関してここでは再び説明しない。
【0173】
LED2300は、QW活性領域2330bが2320b上に配置されており、p型ドープされた層2325bがQW活性領域2330b上に配置されている点において、LED2200とは異なる。コンタクト2335cがp型ドープされた層2325bに形成されており、p型ドープされた層2325bへ正孔を均一に注入することができる。コンタクト2335cと2335bとの間に適切な電圧を印加することにより、QW活性領域2330bは、発光するように制御することができる。例えば、電子は、n型ドープされた層2320bにおいて横方向に広がり、これは、QW活性領域2330b(またはQW活性領域2330aを動作させる場合はTJ2360)への均一な電子注入を促進する。
【0174】
いくつかの実装態様では、LEDは、3つ以上のQW活性領域を有することができる。このような実装態様では、TJを、QW活性領域の各々の間に形成することができる(3つのQW活性領域を有するLEDは2つのTJを有することができる)。例えば、いくつかの実装態様では、ダイオードは、青色QW活性領域、緑色QW活性領域、および赤色QW活性領域を有することができる。QW領域を横断して適切な電圧を駆動することによって、均一な電流注入および発光を得ることができ、TJは、横方向の電流広がりおよび正孔への電子の変換を促進する。
【0175】
一例として、
図24は、3つのQW活性領域および2つのTJを含むダイオード2400を示す。例えば、
図24に示されるようなダイオード2400は、赤色QW活性領域2430a、緑色QW活性領域2430b、および青色QW活性領域2430cを含む。TJ2460aは、赤色QW活性領域2430aと緑色QW活性領域2430bとの間に配置(形成)されている。TJ2460bは、緑色QW活性領域2430bと青色QW活性領域2430cとの間に配置(形成)されている。ダイオード2400は、
図24に示されているように、n型ドープされた層2420a、2420bおよび2420c、n型バッファ層2420d、基板2450、およびp型ドープされた層2425a、2425bおよび2425cも含む。n型バッファ層2420dおよび/またはn型ドープされた層2420cにさらなるコンタクト(図示せず)を形成することができる。ダイオード2400は、ダイオード2400のQW活性領域2430a~2430cを動作させるために適切な電圧を印加するためのコンタクト2435a、2435bおよび2435cも含む。ダイオード2400において、n型ドープされた層2420aにおいて横方向に拡散した電子は、TJ2460aによって正孔に変換させることができ、この正孔は、p型ドープされた層2425bから緑色QW活性領域2430bへ提供(注入)される。同様に、n型ドープされた層2420bにおいて横方向に拡散した電子は、TJ2460bによって正孔に変換させることができ、この正孔は、p型ドープされた層2425cから青色QW活性領域2430cへ提供(注入)される。
【0176】
図25A~
図25Hは、ダイオード2400などの、多数のTJを有するLEDを製造するための例示的なプロセスを示す図である。簡略にするために、
図24において言及されたダイオード2400の全ての要素が
図25A~
図25Hにおいて再び言及されるわけではなく、加工工程は概略的に説明される。
【0177】
図25Aに示されているように、異なる色のQW領域(例えば、赤、緑および青のQW領域)および多数のTJを含む、n型バッファ層2520および活性領域2530を画定するエピタキシャル層が、成長基板2550上に形成される。また
図25Aに示されているように、p型コンタクト2535aが活性領域2530(例えば、p型ドープされた層)に形成される。
図25Bに示されているように、(例えば、LEDのそれぞれのQWおよびTJへの電子の横方向拡散のために)活性領域2530のn型ドープされた層へのビアの形成のためのコンタクト面2560を画定するためにエッチングを行うことができる。
図25に示されているように、平坦化誘電体層2562が形成される。
図25Dに示されているように、ビアおよび関連するコンタクト金属を画定するための開口を有するマスク層2564(例えば、厚いフォトレジストマスク)が形成される。
図25Dに示されているように、蒸発プロセスなどを用いることによって、コンタクト金属2566(例えば、n型コンタクト金属)が形成される。
図25Fに示されているように、電気めっきプロセスなどを用いることによって金属ビア2568が形成される。
図25Gによって示されているように、
図25Fと比較して、マスク層2564(ならびに不要なコンタクト金属2566および/または不要なビア金属2568)を除去するためにリフトオフプロセスが行われる。
図25Hに示されているように、次いで、(例えば、レーザリフトオフおよび/または化学エッチングを用いて)成長基板2550を除去することができ、n型バッファ層2520にバックサイドコンタクト2435d(例えば、透明コンタクト)を形成することができる。
【0178】
図26は、本明細書に説明されている例示的なダイオード、例えば、ダイオード2400などの、複数のダイオードの金属ビア2635の上部の例示的なレイアウトを示す図である。
図26において、例えば、対応するディスプレイ装置の各画素2600の境界が、破線によって示されている。
図26に示されているように、ビア2635の間の間隔Sと、ビア2635の幅とは実質的に等しい。このようなアプローチは、CMOSバックプレーン側のビアが類似のレイアウトを有すると仮定すると、例えば、CMOSバックプレーンなどのバックプレーンにLEDウェハを結合するとき、ボンディングプロセスのための整列公差を改善することができる。したがって、不整列がS(またはW)よりも小さい限り、全てのビアが接続される。
【0179】
【0180】
図27A、さらに
図23を参照すると、コンタクト2335cは、QW活性領域2330bを示す(実装する)ダイオードのアノードと結合されるものとして示されている。コンタクト2335bは、QW活性領域2330bを実装するダイオードと、QW活性領域2330aを実装するダイオードとの間に結合されている。TJ2360も回路2700aのダイオードの間に配置されている。コンタクト2335aは、QW活性領域2330aを示す(実装する)ダイオードのカソードと結合されている。
図27に示されているように、QW活性領域2330aおよび/またはQW活性領域2330bの動作を容易にするために必要に応じて、それぞれコンタクト2335c、2235bおよび2335aを介して回路に電圧v0、v1およびv2を印加することができる。
【0181】
図27B、さらに
図24を参照すると、コンタクト2435aは、赤色QW活性領域2430aを示す(実装する)ダイオードのアノードと結合されるものとして示されている。コンタクト2435bは、赤色QW活性領域2430aを実装するダイオードと、緑色QW活性領域2430bを実装するダイオードとの間に結合されている。回路2700bでは、TJ2460aも、赤色QW活性領域2430aおよび緑色QW活性領域2430bに対応するダイオードの間に配置されている。また回路2700bでは、コンタクト2435cが、緑色QW活性領域2430bを実装するダイオードと青色QW活性領域2430cを実装するダイオードとの間に結合されている。さらに回路2700bでは、TJ2460bが、緑色QW活性領域2430bおよび青色QW活性領域2430cに対応するダイオードの間に配置されている。コンタクト2335dは、青色QW活性領域2430cを実装するダイオードのカソードと結合されている(n型バッファ層2420dおよび/またはn型ドープされた層2420cへのコンタクトとすることができる)。
図27に示されているように、赤色QW活性領域2430a、緑色QW活性領域2430b、および/または青色QW活性領域2430cの動作を容易にするために必要に応じて、それぞれコンタクト2435a、2435b、2435cおよび2435cを介して回路2700bに電圧v0、v1、v2およびv3を印加することができる。
【0182】
図28A~28Cは、
図1~
図9の例示的なμLEDの実装において使用することができるような、例示的なμLEDメサ構成を概略的に示す図である。
図28A~
図28Cの例において、本明細書に説明されているように、垂直方向は、紙面に入り、紙面から出る方向である。
【0183】
図28Aは、六角形形状(例えば、六角形の基部)を有するメサ2800aを示す。
図28Aに示されているように、上面または水平方向ファセット2805a1が、メサ2800aの中央部分に設置されているのに対し、傾斜した側壁2805b1は、メサ2800aの外周に沿って設置されている。
図28Aに示されているように、水平方向ファセット2805a1は、L
D1の横方向寸法を有することができるのに対し、メサ2800aの基部は、横方向寸法L
D2を有することができる。横方向寸法L
D1およびL
D2は、本明細書に説明されているものなどの値を有することができる。また、
図28Aにおける切断線C1-C1は、
図1~
図9の図に対応する切断線を表すことができる。
【0184】
いくつかの実装態様では、n型層を通じた横方向伝導および量子井戸を通じた横方向注入をLEDにおいて組み合わせることができる。例えば、LEDは、トンネル接合を含んでよく、そのn型層は、QWおよびQWにおける注入のための横方向注入領域の外側の正孔の横方向広がりを促進する。
【0185】
図28Bは、円形形状(例えば、円形の基部)を有するメサ2800bを示す。
図28Bに示されているように、上面または水平方向ファセット2805a2がメサ2800bの中央部分に設置されているのに対し、傾斜した側壁2805b2は、メサ2800bの外周に沿って設置されている。メサ2800bは、
図28Aに関して説明されたものと類似の横方向寸法を有することができる。また、
図28Bにおける切断線C2-C2は、
図1~
図9の図に対応する切断線を表すことができる。
【0186】
図28Cは、正方形形状(例えば、正方形の基部)を有するメサ2800cを示す。
図28Cに示されているように、上面または水平方向ファセット2805a3がメサ2800cの中央部分に設置されているのに対し、傾斜した側壁2805b3は、メサ2800cの外周に沿って設置されている。メサ2800cも、
図28Aに関して説明されたものと類似の横方向寸法を有することができる。また、
図28Cにおける切断線C3-C3は、
図1~
図9の図に対応する切断線を表すことができる。
【0187】
本開示のために、層、領域または基板などの要素が、別の要素上にある、別の要素上に配置されている、別の要素内に配置されている、別の要素に接続されている、別の要素に電気的に接続されている、別の要素に結合されている、または別の要素に電気的に結合されていると言及されたとき、その要素は、直接、他の要素上にあってよい、他の要素に接続されていてよい、もしくは結合されていてよいか、または1つもしくは複数の介在する要素が存在してよいことを理解されよう。対照的に、ある要素が、別の要素もしくは層の上に直接ある、別の要素もしくは層の上に直接配置されている、別の要素もしくは層内に直接配置されている、別の要素もしくは層に直接接続されている、または別の要素もしくは層に直接結合されていると言及されたとき、介在する要素または層は存在しない。~上に直接ある、~内に直接ある、~に直接接続されている、または~に直接結合されているという用語は、詳細な説明全体を通じて使用されない場合があるが、~上に直接ある、直接接続されているまたは直接結合されているものとして示されている要素は、そのように言及することができる。本出願の請求項は、明細書において説明されたまたは図に示された例示的な関係を挙げるように補正されてよい。
【0188】
本明細書において使用される場合、単数形は、文脈に関して特定のケースを明確に示していない限り、複数形を含んでよい。空間的に相対的な用語(例えば、わたって(over)、上方(above)、上部(upper)、下(under)、下に(beneath)、下方(below)、下部(lower)など)は、図に示された向きに加え、使用時または動作時の装置の異なる向きを包含することが意図されている。いくつかの実装態様では、上方および下方という相対的な用語は、それぞれ、垂直方向に上方および垂直方向に下方を含むことができる。いくつかの実装態様では、隣接するという用語は、横方向で隣接する、垂直方向で隣接する、または水平方向で隣接することを含むことができる。
【0189】
いくつかの実装態様は、様々な半導体加工および/またはパッケージング技術を用いて実装されてよい。いくつかの実装態様は、例えば、シリコン(Si)、ガリウムヒ素(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、炭化ケイ素(SiC)および/またはその他を含むが、これらに限定されない半導体基板および材料に関連した、エピタキシャル成長プロセスなどの様々なタイプの半導体加工技術を用いて実装されてよい。
【0190】
様々な例示的な実装態様の特定の特徴が、本明細書に説明されたように解説されているが、ここで多くの修正、代用、変更および均等物が当業者に思い浮かぶであろう。したがって、添付の請求項は、実装態様の範囲に含まれるものとして全てのこれらの修正および変更をカバーすることが意図されていることを理解されたい。それらは、限定ではなく、例として提示されているだけであり、形態および細部において様々な変更がなされ得ることを理解されたい。本明細書に説明された装置および/または方法のあらゆる部分は、相互に排他的な組合せを除き、あらゆる組合せにおいて組み合わされてよい。本明細書に説明された実装態様は、説明された異なる実装態様の機能、構成要素および/または特徴の様々な組合せおよび/または部分的な組合せを含むことができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロLEDの電気的動作のための方法であって、
前記方法は、
前記マイクロLEDの水平面、または
前記マイクロLEDの非水平面のうちの少なくとも1つに配置されたp型コンタクトを介して電力により前記マイクロLEDを駆動することを含み、前記p型コンタクトがp型層と接触しており、
前記電力により前記マイクロLEDを駆動することによって、前記p型コンタクトから前記p型層内へ正孔を注入することを含み、
前記マイクロLEDの前記非水平面に沿って、前記p型層から、前記マイクロLEDの水平方向に沿って配置されたそれぞれの水平領域を有する複数の量子井戸(QW)へ前記正孔を横方向に注入することを含み、前記正孔が前記
p型層を介して前記複数のQWへ注入される、方法。
【請求項2】
前記マイクロLEDは、前記水平方向に沿って0.5マイクロメートル(μm)~5μmの横方向寸法を有し、
注入された前記正孔は、0.5μmよりも大きい距離にわたって前記複数のQWにおいて横方向に拡散する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記非水平面は、前記マイクロLEDの半極性面に沿って配置されている、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のQWのうちの少なくとも1つのQWは、前記電力による前記マイクロLEDの駆動に対応する5ナノ秒(ns)を超える再結合寿命を有する、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
前記電力によって前記マイクロLEDを駆動することは、1アンペア/平方センチメートル(A/cm
2)~100A/cm
2の電流密度で前記マイクロLEDを駆動することを含む、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
マイクロLEDであって、
前記マイクロLEDの水平方向に沿って5μm未満の横方向寸法を有する半導体メサと、
前記半導体メサの水平面、または
前記半導体メサの非水平面のうちの少なくとも1つに形成されたコンタクトとを備え、
前記半導体メサは、
複数の量子井戸(QW)と、
前記コンタクトと前記複数のQWとの間に形成されたp型半導体層とを含み、
前記コンタクト、前記p型半導体層および前記複数のQWは、
前記マイクロLEDが50A/cm
2未満の有効電流密度で駆動されたとき、正孔が、
前記コンタクトから
前記p型半導体層へ注入され、
前記p型
半導体層から前記複数のQWへ横方向に注入されるように構成されており、
注入された前記正孔は、1マイクロメートル(μm)よりも大きい距離にわたって前記複数のQWにおいて横方向に拡散する、マイクロLED。
【請求項7】
前記非水平面は、前記半導体メサの傾斜した側壁であり、前記傾斜した側壁は、前記水平方向に沿った線に対して10度~80度の角度で配置されている、請求項6に記載のマイクロLED。
【請求項8】
前記非水平面は、前記半導体メサの半極性面に沿って配置されている、請求項
6に記載のマイクロLED。
【請求項9】
前記複数のQWは、少なくとも3つのQWを含み、
前記少なくとも3つのQWにおいて拡散される注入された前記正孔のそれぞれのパーセンテージが、50パーセント未満でかつ25パーセントよりも高い、請求項6~請求項8のいずれか1項に記載のマイクロLED。
【請求項10】
マイクロLEDメサであって、
5マイクロメートル(μm)以下の前記マイクロLEDメサの水平方向に沿った横方向寸法を有する半導体メサを備え、
前記半導体メサは、
少なくとも1つの傾斜した側壁と、
平坦な上面と、
前記平坦な上面に沿って配置された平坦領域および前記少なくとも1つの傾斜した側壁に沿って配置された傾斜領域を有する多重量子井戸(MQW)部分とを含み、
前記マイクロLEDメサは、
前記MQW部分の前記平坦領域に配置された第1のp型材料と、
前記MQW部分の前記傾斜領域に配置された第2のp型材料と、
前記第2のp型材料に配置されたp型コンタクトと、
を備える、マイクロLEDメサ。
【請求項11】
前記第1のp型材料の少なくとも一部に配置された絶縁層と、
前記絶縁層に配置された反射層と、
をさらに備える、請求項10に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項12】
前記マイクロLEDメサの電気的動作中に、
前記第1のp型材料を通して第1のキャリア密度で正孔注入が生じ、
前記第2のp型材料を通して第2のキャリア密度で正孔注入が生じ、前記第2のキャリア密度は、前記第1のキャリア密度に対して無視できる、請求項
10に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項13】
前記MQW部分の量子井戸(QW)が、20アンペア毎平方センチメートル(A/cm
2)未満の電流密度において1平方センチメートル毎秒以上のそれぞれの拡散係数を有する、請求項
10に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項14】
前記p型コンタクトからの正孔の注入に応答して、前記p型コンタクトから1マイクロメートル(μm)以上の前記水平方向に沿った横方向距離において前記MQW部分から光が放出される、請求項
10に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項15】
前記マイクロLEDメサは、複数のGaNベース材料を含む、請求項10~請求項14のいずれか1項に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項16】
前記平坦な上面は、前記複数のGaNベース材料のうちの少なくとも1つのc面に沿って配置されており、
前記少なくとも1つの傾斜した側壁は、前記複数のGaNベース材料のうちの少なくとも1つの半極性面に沿って配置されている、請求項15に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項17】
マイクロLEDメサであって、
前記マイクロLEDメサの水平方向に沿って配置された水平上面と、
少なくとも3つの非垂直側壁と、
複数のエピタキシャル層とを有する、半導体メサと、
前記少なくとも3つの非垂直側壁のうちの少なくとも1つの非垂直側壁に配置された電気コンタクトとを備え、
前記複数のエピタキシャル層は、
前記水平方向に沿って配置された第1の部分と、
前記少なくとも3つの非垂直側壁に沿って配置された第2の部分とを含み、
前記複数のエピタキシャル層の前記第1の部分は、第1の厚さの第1の複数の量子井戸(QW)および第1のバンドギャップを規定し、
前記複数のエピタキシャル層の前記第2の部分は、第2の厚さの第2の複数のQWおよび第2のバンドギャップを規定する、マイクロLEDメサ。
【請求項18】
前記マイクロLEDメサは、前記マイクロLEDメサの電気的動作中に注入された正孔が前記電気コンタクトから前記第2の複数のQWへ、次いで、前記第1の複数のQWへ移動するように構成されている、請求項17に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項19】
前記マイクロLEDメサは、前記マイクロLEDメサの電気的動作中に、前記第1の複数のQWのうちの少なくとも2つのQWから光が放出されるように構成されている、請求項
17に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項20】
前記複数のエピタキシャル層の前記第1の部分は、前記マイクロLEDメサの中央部分に含まれており、
前記マイクロLEDメサの前記中央部分は、500ナノメートル(nm)以上の前記水平方向に沿った横方向幅を有する、請求項
17に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項21】
前記マイクロLEDメサは、20マイクロメートル(μm)以下の幅を有し、
前記マイクロLEDメサは、100ナノメートル(nm)以上の高さを有し、
前記高さは、10μm以下である、請求項
17に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項22】
前記複数のエピタキシャル層の前記第2の部分は、前記マイクロLEDメサの外周部分に設置されている、請求項
17に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項23】
前記水平方向は、前記マイクロLEDメサの結晶構造のc面に沿って配置されており、
前記少なくとも3つの非垂直側壁は、前記結晶構造のそれぞれの半極性面に沿って配置されている、請求項
17に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項24】
前記少なくとも3つの非垂直側壁は、10度~80度の、前記マイクロLEDメサの垂直方向からのそれぞれの角度を有する、請求項
17に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項25】
前記第1の複数のQWおよび前記第2の複数のQWは、一対一の関係で接続されている、請求項
17に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項26】
前記第2のバンドギャップは、前記第1のバンドギャップよりも大きい、請求項
17に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項27】
前記第2の厚さは、前記第1の厚さよりも小さい、請求項
17に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項28】
前記電気コンタクトは、第1の電気コンタクトであり、前記マイクロLEDメサは、
前記水平上面に配置された第2の電気コンタクトをさらに備える、請求項17~請求項27のいずれか1項に記載のマイクロLEDメサ。
【請求項29】
マイクロLEDメサの電気的動作のための方法であって、前記マイクロLEDメサは、
第1のバンドギャップおよび第1の厚さを有するp型材料と、
第2のバンドギャップおよび第2の厚さを有するエピタキシャル層とを含む少なくとも1つの非垂直側壁と、
前記マイクロLEDメサの水平方向に沿った平面配向、第3のバンドギャップおよび第3の厚さを有する複数の量子井戸(QW)と、
前記p型材料上に配置された電気コンタクトとを備え、
前記p型材料が前記エピタキシャル層上に配置され、
前記エピタキシャル層が前記p型材料と前記複数のQWとの間に配置され、
前記第1のバンドギャップは前記第2のバンドギャップよりも大きく、前記第2のバンドギャップは前記第3のバンドギャップよりも大きく、前記第2の厚さは前記第3の厚さよりも小さく、
前記方法は、
前記電気コンタクトから前記p型材料へ複数の正孔を注入することと、
前記複数の正孔を前記p型材料から前記エピタキシャル層へ注入することと、
前記複数の正孔を前記エピタキシャル層から前記複数のQWのうちの少なくとも2つのQWへ注入することとを含む、方法。
【請求項30】
前記p型材料は、p型窒化ガリウム(GaN)を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記エピタキシャル層は、前記マイクロLEDメサの半極性面に沿って配置された非平坦かつ非垂直のQWであり、少なくとも1パーセントのインジウムを含み、
前記平面配向を有する前記複数のQWは、少なくとも15パーセントのインジウムを含む、請求項
29に記載の方法。
【請求項32】
前記複数のQWへ前記複数の正孔を注入することは、前記複数のQWのうちの1つのQWに前記複数の正孔のうちの30パーセント以下を注入することを含む、請求項
29に記載の方法。
【請求項33】
注入された前記複数の正孔は、500ナノメートル(nm)以上の距離にわたって前記複数のQWにおいて前記水平方向に沿って横方向に拡散する、
請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記p型材料から前記エピタキシャル層へ前記複数の正孔を注入することは、電子ブロッキング層(EBL)を通じて前記複数の正孔を注入することを含む、請求項29~請求項33のいずれか1項に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
概要
1つの一般的な態様において、本明細書に記載された技術は、マイクロLEDの電気的動作のための方法に関する。方法は、マイクロLEDの水平面、またはマイクロLEDの非水平面のうちの少なくとも1つに配置されたp型コンタクトを介して電力によってマイクロLEDを駆動することを含み、p型コンタクトは、p型層と接触している。方法は、駆動の結果、p型コンタクトからp型層内へ正孔を注入することと、マイクロLEDの非水平面に沿って、p型層から複数の量子井戸(QW)へ正孔を横方向に注入することとをさらに含む。複数のQWは、マイクロLEDの水平方向に沿って配置されたそれぞれの水平領域を有し、正孔は、p型層を介して複数のQWへ注入される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
別の一般的な態様において、本明細書に記載された技術は、マイクロLEDの水平方向に沿って5μm未満の横方向寸法を有する半導体メサを含むマイクロLEDに関する。マイクロLEDは、半導体メサの水平面、または半導体メサの非水平面のうちの少なくとも1つに形成されたコンタクトも含む。半導体メサは、複数の量子井戸(QW)と、コンタクトと複数のQWとの間に形成されたp型半導体層とを含む。コンタクト、p型半導体層および複数のQWは、マイクロLEDが50A/cm2未満の有効電流密度で駆動されたとき、正孔が、コンタクトからp型半導体層へ注入され、かつp型半導体層から複数のQWへ横方向に注入される、ように構成されており、注入された正孔は、1マイクロメートル(μm)よりも大きい距離にわたって複数のQWにおいて横方向に拡散する。
【国際調査報告】