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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】光電子素子用有機分子
(51)【国際特許分類】
   C07F 5/02 20060101AFI20241029BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20241029BHJP
   H10K 77/10 20230101ALI20241029BHJP
   H10K 71/16 20230101ALI20241029BHJP
   H10K 50/12 20230101ALI20241029BHJP
   H10K 85/10 20230101ALI20241029BHJP
   H10K 85/60 20230101ALI20241029BHJP
   H10K 71/12 20230101ALI20241029BHJP
【FI】
C07F5/02 F CSP
C09K11/06 660
H10K77/10
H10K71/16 164
H10K50/12
H10K85/10
H10K85/60
H10K71/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522579
(86)(22)【出願日】2022-10-13
(85)【翻訳文提出日】2024-04-15
(86)【国際出願番号】 KR2022015533
(87)【国際公開番号】W WO2023063757
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】21203031.6
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】デュック,セバスチアン
【テーマコード(参考)】
3K107
4H048
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107AA03
3K107CC04
3K107CC07
3K107DD53
3K107DD59
3K107DD68
3K107DD69
3K107EE68
3K107GG28
4H048AA01
4H048AA03
4H048AB92
4H048VA22
4H048VA32
4H048VA42
4H048VA77
4H048VB10
4H048VB20
(57)【要約】
下記化学式Iの構造を含み、Zは、独立して、直接結合、NR、O及びSからなる群から選択され、R及びRは、独立して、水素、重水素、N(R、OR、Si(R、B(OR、B(R、OSO、CF、CN、F、Br、I、C-C40アルキル、C-C40アルコキシ、C-C40チオアルコキシ、C-C40アルケニル、C-C40アルキニル、C-C60アリール及びC-C57ヘテロアリールからなる群から選択される、有機分子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式Iの構造を含む、有機分子:
【化1】
Zは、それぞれの場合に、互いに独立して、直接結合、NR、O及びSからなる群から選択され、
及びRは、それぞれの場合に、独立して、下記からなる群から選択され、
水素、重水素、N(R、OR、Si(R、B(OR、B(R、OSO、CF、CN、F、Br、I、
-C40アルキル、
これは、選択的に1以上の置換基Rで置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH基は、選択的にRC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRで置換され、
-C40アルコキシ、
これは、選択的に1以上の置換基Rで置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH基は、選択的にRC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRで置換され、
-C40チオアルコキシ、
これは、選択的に1以上の置換基Rで置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH基は、選択的にRC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRで置換され、
-C40アルケニル、
これは、選択的に1以上の置換基Rで置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH基は、選択的にRC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRで置換され、
-C40アルキニル、
これは、選択的に1以上の置換基Rで置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH基は、選択的にRC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRで置換され、
選択的に1以上の置換基Rで置換されたC-C60アリール、及び
選択的に1以上の置換基Rで置換されたC-C57ヘテロアリール、
は、それぞれの場合に、互いに独立して、下記からなる群から選択され、
水素、重水素、N(R、OR、Si(R、B(OR、B(R、OSO、CF、CN、F、Br、I、
-C40アルキル、
これは、選択的に1以上の置換基Rで置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH基は、選択的にRC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRで置換され、
-C40アルコキシ、
これは、選択的に1以上の置換基Rで置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH基は、選択的にRC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRで置換され、
-C40チオアルコキシ、
これは、選択的に1以上の置換基Rで置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH基は、選択的にRC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRで置換され、
-C40アルケニル、
これは、選択的に1以上の置換基Rで置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH基は、選択的にRC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRで置換され、
-C40アルキニル、
これは、選択的に1以上の置換基Rで置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH基は、選択的にRC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRで置換され、
選択的に1以上の置換基Rで置換されたC-C60アリール、及び
選択的に1以上の置換基Rで置換されたC-C57ヘテロアリール、
は、それぞれの場合に、互いに独立して、下記からなる群から選択され、
水素、重水素、OPh、CF、CN、F、
-Cアルキル、
ここで、選択的に1以上の水素原子は、独立して、重水素、CN、CFまたはFで置換され、
-Cアルコキシ、
ここで、選択的に1以上の水素原子は、独立して、重水素、CN、CFまたはFで置換され、
-Cチオアルコキシ、
ここで、選択的に1以上の水素原子は、独立して、重水素、CN、CFまたはFで置換され、
-Cアルケニル、
ここで、選択的に1以上の水素原子は、独立して、重水素、CN、CFまたはFで置換され、
-Cアルキニル、
ここで、選択的に1以上の水素原子は、独立して、重水素、CN、CFまたはFで置換され、
選択的に1以上のC-Cアルキル置換基で置換されたC-C18アリール、
選択的に1以上のC-Cアルキル置換基で置換されたC-C17ヘテロアリール、
N(C-C18アリール)
N(C-C17ヘテロアリール)、及び
N(C-C17ヘテロアリール)(C-C18アリール)、
ここで、任意の置換基R、R、R及びRは、独立して、1以上の置換基R、R、R及び/またはRと共に、単環または多環、脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族及び/またはベンゾ縮合環系を選択的に形成する。
【請求項2】
前記有機分子は、下記化学式II-1または化学式II-2の構造を含む、請求項1に記載の有機分子:
【化2】
【請求項3】
は、それぞれの場合に、互いに独立して、下記からなる群から選択される、請求項1または2に記載の有機分子:
水素、
Me、
Pr、
Bu、
CN、
CF
Me、Pr、Bu、CN、CF及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたPh、
Me、Pr、Bu、CN、CF及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたピリジニル、
Me、Pr、Bu、CN、CF及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたピリミジニル、
Me、Pr、Bu、CN、CF及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたカルバゾリル、
Me、Pr、Bu、CN、CF及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたトリアジニル、及び
N(Ph)
【請求項4】
は、それぞれの場合に、互いに独立して、下記からなる群から選択される、請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の有機分子:
水素、
Me、
Pr、
Bu、
CN、
CF
Me、Pr、Bu、CN、CF及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたPh、
Me、Pr、Bu、CN、CF及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたピリジニル、
Me、Pr、Bu、CN、CF及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたピリミジニル、
Me、Pr、Bu、CN、CF及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたカルバゾリル、
Me、Pr、Bu、CN、CF及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたトリアジニル、及び
N(Ph)
【請求項5】
前記有機分子は、下記化学式IIa-1の構造を含む、請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載の有機分子:
【化3】
ここで、隣接したR置換基は、独立して、単環または多環、脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族及び/またはベンゾ縮合環系を形成する。
【請求項6】
前記有機分子は、下記化学式V-1、化学式V-2または化学式V-3の構造を含む、請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載の有機分子:
【化4】
【請求項7】
は、それぞれの場合に、互いに独立して、下記からなる群から選択される、請求項1ないし6のうちいずれか1項に記載の有機分子:
水素、
Me、
Pr、
Bu、
CN、
CF
Me、Pr、Bu、CN、CF及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたPh、
Me、Pr、Bu、CN、CF及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたピリジニル、
Me、Pr、Bu、CN、CF及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたピリミジニル、
Me、Pr、Bu、CN、CF及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたカルバゾリル、
Me、Pr、Bu、CN、CF及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたトリアジニル、及び
N(Ph)
【請求項8】
単位として、請求項1ないし7のうちいずれか1項に記載の有機分子を複数個含み、
ここで、それぞれの単位は、下記化学式VIで表される構造を含むか、あるいはそれからなる、オリゴマー:
【化5】
ここで、mは2ないし6の整数である。
【請求項9】
請求項1ないし8のうちいずれか1項に記載の有機分子の、光電子素子における発光エミッタとしての用途。
【請求項10】
前記光電子素子は、下記からなる群から選択される、請求項9に記載の用途:
・有機発光ダイオード(OLED)
・発光電気化学電池
・OLEDセンサ
・有機ダイオード
・有機太陽電池
・有機トランジスタ
・有機電界効果トランジスタ
・有機レーザ、及び
・ダウンコンバージョン素子。
【請求項11】
以下を含む、組成物:
(a)特に、エミッタ形態及び/またはホスト形態の、請求項1ないし8のうちいずれか1項に記載の有機分子、
(b)前記有機分子と異なるエミッタ物質及び/またはホスト物質、及び
(c)選択的に、染料及び/または溶媒。
【請求項12】
請求項1ないし8のうちいずれか1項に記載の有機分子、または請求項11に記載の組成物を含み、特に、有機発光ダイオード(OLED)、発光電気化学電池、OLEDセンサ、有機ダイオード、有機太陽電池、有機トランジスタ、有機電界効果トランジスタ、有機レーザ及びダウンコンバージョン素子からなる群から選択された素子の形態を有する、光電子素子。
【請求項13】
-基板、
-アノード、
-カソード、及び
-発光層を含み、
前記アノードまたは前記カソードは、前記基板上に配置され、
前記発光層は、前記アノードと前記カソードとの間に配置され、前記有機分子または前記組成物を含む、請求項12に記載の光電子素子。
【請求項14】
請求項1ないし8のうちいずれか1項に記載の有機分子、または請求項11に記載の組成物が使用される、光電子素子の製造方法。
【請求項15】
真空蒸発方法によるか、あるいは溶液から前記有機分子を処理する段階を含む、請求項14に記載の光電子素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光有機分子及びオリゴマー単位として複数のそのような有機分子を含むオリゴマー、並びに有機発光ダイオード(OLED)及びその他光電子素子におけるその用途に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明が解決しようとする課題は、光電子素子における使用に適した分子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0003】
そのような目的は、新規の有機分子を提供する本発明によって達成される。
【0004】
本発明によれば、前記有機分子は、純粋な有機分子であり、すなわち、光電子素子に使用されると知られている金属錯体とは異なり、いかなる金属イオンも含まない。しかしながら、本発明の有機分子は、半金属、特に、B、Si、Sn、Se及び/またはGeを含む。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、前記有機分子は、黄色、オレンジ色または赤色のスペクトル範囲において、最大発光を示す。前記有機分子は、特に570nmないし800nm、好ましくは、580nmないし700nm、より好ましくは、590nmないし690nm、より一層好ましくは、610nmないし665nmにおいて最大発光を示す。本発明による有機分子のフォトルミネッセンス量子収率は、特に30%以上である。光電子素子、例えば、有機発光ダイオード(OLED)における本発明による有機分子の使用は、素子のより高い効率、または発光の半値幅(FWHM)で表されるより高い色純度をもたらす。相応するOLEDは、公知のエミッタ物質及び類似の色相を有するOLEDよりさらに高い安定性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明による有機分子
本発明は、第1側面において、下記化学式Iの構造を含むか、あるいはそれからなる有機分子に関する:
【0007】
【化1】
【0008】
Zは、それぞれの場合に、互いに独立して、直接結合、NR、O及びSからなる群から選択され、
及びRは、それぞれの場合に、独立して、下記からなる群から選択され、
水素、重水素、N(R、OR、Si(R、B(OR、B(R、OSO、CF、CN、F、Br、I、
-C40アルキル、
これは、選択的に1以上の置換基Rで置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH基は、選択的にRC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRで置換され、
-C40アルコキシ、
これは、選択的に1以上の置換基Rで置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH基は、選択的にRC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRで置換され、
-C40チオアルコキシ、
これは、選択的に1以上の置換基Rで置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH基は、選択的にRC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRで置換され、
-C40アルケニル、
これは、選択的に1以上の置換基Rで置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH基は、選択的にRC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRで置換され、
-C40アルキニル、
これは、選択的に1以上の置換基Rで置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH基は、選択的にRC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRで置換され、
選択的に1以上の置換基Rで置換されたC-C60アリール、及び
選択的に1以上の置換基Rで置換されたC-C57ヘテロアリール、
は、それぞれの場合に、互いに独立して、下記からなる群から選択され、
水素、重水素、N(R、OR、Si(R、B(OR、B(R、OSO、CF、CN、F、Br、I、
-C40アルキル、
これは、選択的に1以上の置換基Rで置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH基は、選択的にRC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRで置換され、
-C40アルコキシ、
これは、選択的に1以上の置換基Rで置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH基は、選択的にRC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRで置換され、
-C40チオアルコキシ、
これは、選択的に1以上の置換基Rで置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH基は、選択的にRC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRで置換され、
-C40アルケニル、
これは、選択的に1以上の置換基Rで置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH基は、選択的にRC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRで置換され、
-C40アルキニル、
これは、選択的に1以上の置換基Rで置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH基は、選択的にRC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRで置換され、
選択的に1以上の置換基Rで置換されたC-C60アリール、及び
選択的に1以上の置換基Rで置換されたC-C57ヘテロアリール、
は、それぞれの場合に、互いに独立して、下記からなる群から選択され、
水素、重水素、OPh(Ph=フェニル)、CF、CN、F、
-Cアルキル、
ここで、選択的に1以上の水素原子は、独立して、重水素、CN、CFまたはFで置換され、
-Cアルコキシ、
ここで、選択的に1以上の水素原子は、独立して、重水素、CN、CFまたはFで置換され、
-Cチオアルコキシ、
ここで、選択的に1以上の水素原子は、独立して、重水素、CN、CFまたはFで置換され、
-Cアルケニル、
ここで、選択的に1以上の水素原子は、独立して、重水素、CN、CFまたはFで置換され、
-Cアルキニル、
ここで、選択的に1以上の水素原子は、独立して、重水素、CN、CFまたはFで置換され、
選択的に1以上のC-Cアルキル置換基で置換されたC-C18アリール、
選択的に1以上のC-Cアルキル置換基で置換されたC-C17ヘテロアリール、
N(C-C18アリール)
N(C-C17ヘテロアリール)、及び
N(C-C17ヘテロアリール)(C-C18アリール)、
ここで、任意の置換基R、R、R及びRは、独立して、1以上の置換基R、R、R及び/またはRと共に、単環または多環、脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族及び/またはベンゾ縮合環系を形成することができる。
【0009】
一実施形態において、前記有機分子は、下記化学式Ia、化学式Ibまたは化学式Icの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【0010】
【化2】
【0011】
一実施形態において、前記有機分子は、下記化学式Id、化学式Ieまたは化学式Ifの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【0012】
【化3】
【0013】
好ましい実施形態において、Zは、それぞれの場合に、互いに独立して、NR及びOからなる群から選択される。
【0014】
好ましい実施形態において、前記有機分子は、下記化学式II-1及び化学式II-2の構造を含むか、あるいはそれからなる:
【0015】
【化4】
【0016】
一実施形態において、前記有機分子は、化学式IIaの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【0017】
【化5】
【0018】
本発明の一実施形態において、Rは、それぞれの場合に、互いに独立して、下記からなる群から選択される:
水素、
Me、
Pr、
Bu、
CN、
CF
Me、Pr、Bu、CN、CF及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたPh、
Me、Pr、Bu、CN、CF及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたピリジニル、
Me、Pr、Bu、CN、CF及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたピリミジニル、
Me、Pr、Bu、CN、CF及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたカルバゾリル、
Me、Pr、Bu、CN、CF及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたトリアジニル、及び
N(Ph)
【0019】
本発明の一実施形態において、Rは、それぞれの場合に、互いに独立して、下記からなる群から選択される:
水素、
Me、
Pr、
Bu、
CN、
CF
Me、Pr、Bu、CN、CF及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたPh、
Me、Pr、Bu、CN、CF及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたピリジニル、
Me、Pr、Bu、CN、CF及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたピリミジニル、
Me、Pr、Bu、CN、CF及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたカルバゾリル、
Me、Pr、Bu、CN、CF及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたトリアジニル、及び
N(Ph)
【0020】
一実施形態において、前記有機分子は、下記化学式IIa-1の構造を含むか、あるいはそれからなる:
【0021】
【化6】
【0022】
一実施形態において、前記有機分子は、下記化学式IIa-2、化学式IIa-3、化学式IIa-4または化学式IIa-5の構造を含むか、あるいはそれからなる:
【0023】
【化7】
【0024】
一実施形態において、前記有機分子は、化学式IIa-1の構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、隣接したR置換基は、独立して、単環または多環、脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族及び/またはベンゾ縮合環系を形成する。
【0025】
一実施形態において、前記有機分子は、化学式IIb-1、化学式IIb-2、化学式IIb-3または化学式IIb-4の構造を含むか、あるいはそれからなる:
【0026】
【化8】
【0027】
一実施形態において、前記有機分子は、化学式IIIの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【0028】
【化9】
【0029】
一実施形態において、前記有機分子は、下記化学式IVa、化学式IVb、化学式IVc、化学式IVd、化学式IVe及び化学式IVfの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【0030】
【化10】
【0031】
一実施形態において、前記有機分子は、下記化学式Vの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【0032】
【化11】
【0033】
一実施形態において、前記有機分子は、下記化学式V-1、化学式V-2または化学式V-3の構造を含むか、あるいはそれからなる:
【0034】
【化12】
【0035】
一実施形態において、前記有機分子は、下記化学式IVa、化学式IVb、化学式IVc、化学式IVd、化学式IVeまたは化学式IVfの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【0036】
【化13】
【0037】
一実施形態において、前記有機分子は、下記化学式V-3の構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、隣接したR置換基は、独立して、単環または多環、脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族及び/またはベンゾ縮合環系を形成する。
【0038】
一実施形態において、前記有機分子は、下記化学式V-3aの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【0039】
【化14】
【0040】
本発明の一実施形態において、Rは、それぞれの場合に、互いに独立して、下記からなる群から選択される:
水素、
Me、
Pr、
Bu、
CN、
CF
Me、Pr、Bu、CN、CF及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたPh、
Me、Pr、Bu、CN、CF及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたピリジニル、
Me、Pr、Bu、CN、CF及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたピリミジニル、
Me、Pr、Bu、CN、CF及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたカルバゾリル、
Me、Pr、Bu、CN、CF及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたトリアジニル、及び
N(Ph)
【0041】
本発明は、また、光電子素子においてエミッタとして使用するためのオリゴマーを提供する。前記オリゴマーは、化学式VIで表される複数(すなわち、2、3、4、5または6)の単位を含むか、あるいはそれからなる:
【0042】
【化15】
【0043】
前記オリゴマーは、二量体ないし六量体(m=2ないし6)、特に二量体ないし三量体(m=2または3)、または好ましくは、二量体(m=2)である。前記オリゴマーは、
-化学式VIで表される複数の単位を有する形態であるか、
-化学式VIで表される複数の単位が、単結合、1ないし3個の炭素原子を有するアルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基、アントラセン基、ピレン基、ピリジン基、ピリミジン基またはトリアジン基からなる群から選択された連結基を介して連結された形態であるか、
-化学式VI-ABによる単位に含まれた環a及び/または環bが、前記オリゴマーの少なくとも1つの他の隣接した単位と共有されるように、複数の単位が連結された形態であるか、
【0044】
【化16】
-任意の単位の環a及び/または環bが、前記オリゴマーの隣接した単位の環a及び/または環bと縮合されるように、前記オリゴマーの単位が連結された形態である。
【0045】
一実施形態において、前記有機分子は、下記化学式VIIIaまたは化学式VIIIbの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【0046】
【化17】
【0047】
定義
本明細書の全体にわたって使用されているように、用語「環状基」は、最も広い意味において、任意の単環式モイエティ、二環式モイエティまたは多環式モイエティとしても理解される。
【0048】
本明細書の全体にわたって使用されているように、用語「環」及び「環系」は、最も広い意味において、任意の単環式モイエティ、二環式モイエティまたは多環式モイエティとしても理解される。
【0049】
本明細書の全体にわたって使用されているように、用語「炭素環」は、最も広い意味において、環状コア構造が水素はいうまでもなく、または本発明の特定実施形態において定義された任意の他の置換基で置換可能な炭素原子のみを含む任意の環状基としても理解される。用語「炭素環の」は、形容詞であり、環状コア構造が水素はいうまでもなく、または本発明の特定実施形態において定義された任意の他の置換基で置換可能な炭素原子のみを含む環状基を称するものとも理解される。
【0050】
本明細書の全体にわたって使用されているように、用語「ヘテロ環」は、最も広い意味において、環状コア構造が炭素原子だけでなく、少なくとも1つのヘテロ原子を含む任意の環状基としても理解される。用語「ヘテロ環の」は、形容詞であり、環状コア構造が炭素原子だけでなく、少なくとも1つのヘテロ原子を含む環状基を称するものとも理解される。該ヘテロ原子は、特定実施形態において特に言及されない限り、それぞれの場合、同一でもあり、あるいは異なってもおり、N、O、S及びSeからなる群から個別的に選択されうる。本発明の文脈においてヘテロ環に含まれた全ての炭素原子またはヘテロ原子はいうまでもなく、水素または本発明の特定実施形態において定義された任意の他の置換基で置換可能である。
【0051】
本明細書の全体にわたって使用されているように、用語「芳香族環系」は、最も広い意味において、任意の二環式芳香族モイエティまたは多環式芳香族モイエティとしても理解される。
【0052】
本明細書の全体にわたって使用されているように、用語「ヘテロ芳香族環系」は、最も広い意味において、任意の二環式ヘテロ芳香族モイエティまたは多環式ヘテロ芳香族モイエティとしても理解される。
【0053】
本明細書の全体にわたって使用されているように、芳香族環系またはヘテロ芳香族環系を言及するとき、用語「縮合された」は、「縮合された」芳香族環またはヘテロ芳香族環が両方の環系の一部である少なくとも1つの結合を共有することを意味する。例えば、ナフタレン(または、置換基として言及されるとき、ナフチル)またはベンゾチオフェン(または、置換基として言及されるとき、ベンゾチオフェニル)は、本発明の文脈において縮合芳香族環系と見なされ、ここで、2つのベンゼン環(ナフタレンの場合)またはチオフェン及びベンゼン(ベンゾチオフェンの場合)は、1つの結合を共有する。また、そのような文脈において結合を共有することは、それぞれの結合を構成する2つの原子を共有することを含むものとも理解され、縮合芳香族環系またはヘテロ芳香族環系は、1つの芳香族系またはヘテロ芳香族系とも理解される。また、縮合芳香族環系またはヘテロ芳香族環系(例えば、ピレンで)を構成する芳香族環またはヘテロ芳香族環によって1以上の結合が共有されるものとも理解される。また、脂肪族環系も縮合され、これは、縮合脂肪族環系が芳香族ではないという点を除いては、芳香族環系またはヘテロ芳香族環系と同一の意味を有するものとも理解されるであろう。
【0054】
本明細書の全体にわたって使用されているように、用語「アリール」及び「芳香族」は、最も広い意味において、任意の単環式芳香族モイエティ、二環式芳香族モイエティまたは多環式芳香族モイエティとしても理解される。したがって、アリール基は、6ないし60個の芳香族環原子を含み、ヘテロアリール基は、5ないし60個の芳香族環原子を含み、そのうち少なくとも1つはヘテロ原子である。それにもかかわらず、本明細書の全体にわたり、芳香族環原子数は、特定置換基の定義において、下付き数字で与えられうる。特に、ヘテロ芳香族環は、1ないし3個のヘテロ原子を含む。さらに、用語「ヘテロアリール」及び「ヘテロ芳香族」は、最も広い意味において、少なくとも1つのヘテロ原子を含む任意の単環式ヘテロ芳香族モイエティ、二環式ヘテロ芳香族モイエティまたは多環式ヘテロ芳香族モイエティとしても理解される。該ヘテロ原子は、特定実施形態において特に言及されない限り、それぞれの場合、同一でもあり、あるいは異なってもおり、N、O、S及びSeからなる群から個別的に選択されうる。したがって、用語「アリーレン」は、他の分子構造に対し、2つの結合部位を保有し、リンカー構造の役割を行う二価置換基を意味する。例示的な実施形態において、基が、ここで与えられた定義と異なるように定義される場合、例えば、芳香族環原子数またはヘテロ原子数が与えられた定義と異なる場合、例示的な実施形態における定義が適用される。本発明によれば、縮合(環状)された、芳香族多環またはヘテロ芳香族多環は、縮合反応を介して多環を形成する、2つ以上の単一芳香族環またはヘテロ芳香族環から構成される。
【0055】
特に、本明細書の全体にわたって使用されているように、用語「アリール基」または「ヘテロアリール基」は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ベンズアントラセン、ベンズフェナントレン、テトラセン、ペンタセン、ベンツピレン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、セレノフェン、ベンゾセレノフェン、イソベンゾセレノフェン、ジベンゾセレノフェン;ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジノイミダゾール、キノキサリノイミダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、1,3,5-トリアジン、キノキサリン、ピラジン、フェナジン、ナフチリジン、カルボリン、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,2,3,4-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジン及びベンゾチアジアゾール、あるいは前述の基の組み合わせから誘導された、芳香族基またはヘテロ芳香族基の任意の位置を介して結合可能な基を含む。
【0056】
本明細書の全体にわたって使用されているように、用語「脂肪族」は、環系を言及するとき、最も広い意味としても理解され、環系を構成する環のうち何も芳香族環またはヘテロ芳香族環ではないことを意味する。そのような脂肪族環系は、1以上の芳香族環に縮合され、脂肪族環系のコア構造に含まれた一部(全部ではない)の炭素原子またはヘテロ原子が結合された芳香族環の一部にするものとも理解される。
【0057】
本明細書において使用されているように、用語「アルキル基」は、最も広い意味において、任意の直鎖状、分枝状または環状のアルキル置換基としても理解される。特に、用語「アルキル」は、置換基である、メチル(Me)、エチル(Et)、n-プロピル(Pr)、i-プロピル(Pr)、シクロプロピル、n-ブチル(Bu)、i-ブチル(Bu)、s-ブチル(Bu)、t-ブチル(Bu)、シクロブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、t-ペンチル、2-ペンチル、ネオ-ペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、s-ヘキシル、t-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、ネオ-ヘキシル、シクロヘキシル、1-メチルシクロペンチル、2-メチルペンチル、n-へプチル、2-へプチル、3-へプチル、4-へプチル、シクロへプチル、1-メチルシクロヘキシル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、シクロオクチル、1-ビシクロ[2,2,2]オクチル、2-ビシクロ[2,2,2]オクチル、2-(2,6-ジメチル)オクチル、3-(3,7-ジメチル)オクチル、アダマンチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1,1-ジメチル-n-ヘキス-1-イル、1,1-ジメチル-n-ヘプト-1-イル、1,1-ジメチル-n-オクト-1-イル、1,1-ジメチル-n-デス-1-イル、1,1-ジメチル-n-ドデス-1-イル、1,1-ジメチル-n-テトラデス-1-イル、1,1-ジメチル-n-ヘキサデス-1-イル、1,1-ジメチル-n-オクタデス-1-イル、1,1-ジエチル-n-ヘキス-1-イル、1,1-ジエチル-n-ヘプト-1-イル、1,1-ジエチル-n-オクト-1-イル、1,1-ジエチル-n-デス-1-イル、1,1-ジエチル-n-ドデス-1-イル、1,1-ジエチル-n-テトラデス-1-イル、1,1-ジエチル-n-ヘキサデス-1-イル、1,1-ジエチル-n-オクタデス-1-イル、1-(n-プロピル)-シクロヘキス-1-イル、1-(n-ブチル)-シクロヘキス-1-イル、1-(n-ヘキシル)-シクロヘキス-1-イル、1-(n-オクチル)-シクロヘキス-1-イル及び1-(n-デシル)-シクロヘキス-1-イルを含む。
【0058】
本明細書において使用されているように、用語「アルケニル」は、直鎖状、分枝状及び環状のアルケニル置換基を含む。用語「アルケニル基」は、例えば、置換基である、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニルまたはシクロオクタジエニルを含む。
【0059】
本明細書において使用されているように、用語「アルキニル」は、直鎖状、分枝状及び環状のアルキニル置換基を含む。用語「アルキニル基」は、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニルまたはオクチニルを含む。
【0060】
本明細書において使用されているように、用語「アルコキシ」は、直鎖状、分枝状及び環状のアルコキシ置換基を含む。用語「アルコキシ基」は、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ及び2-メチルブトキシを含む。
【0061】
本明細書において使用されているように、用語「チオアルコキシ」は、直鎖状、分枝状及び環状のチオアルコキシ置換基を含み、ここで、例示的なアルコキシ基のOは、Sに代替される。
【0062】
本明細書において使用されているように、用語「ハロゲン」及び「ハロ」は、最も広い意味において、好ましくは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であるとも理解される。
【0063】
分子フラグメントが、置換基であるか、あるいは他のモイエティに付着していると記述されるとき、その名称は、まさしくそれがフラグメント(例えば、ナフチル、ジベンゾフリル)であるように、あるいは全体分子(例えば、ナフタレン、ジベンゾフラン)であるようにも記述される。本明細書において使用されているように、置換基、または付着されたフラグメントを記述する前記方式は、同等であると見なされる。
【0064】
本願に言及された任意の構造に含まれた全ての水素原子(H)は、それぞれの場合に互いに独立して、具体的に述べられない限り、重水素(D)にも置換される。水素を重水素に置換することは、一般慣行であり、当業者には明白である。したがって、それを達成することができる多くの周知の方法及びそれを説明する多くのレビュー論文がある(例えば、A.Michelotti, M.Roche, Synthesis 2019, 51(06), 1319-1328, DOI:10.1055/s-0037-1610405; J.Atzrodt, V.Derdau, T.Fey, J.Zimmermann, Angew.Chem.Int.Ed. 2007, 46(15), 7744-7765, DOI:10.1002/anie.200700039; Y.Sawama, Y.Monguchi, H.Sajiki, Synlett 2012, 23(7), 959-972, DOI:10.1055/s-0031-1289696)。
【0065】
分子フラグメントが、置換基であるか、あるいは他のモイエティに付着していると記述されるとき、その名称は、まさしくそれがフラグメント(例えば、ナフチル、ジベンゾフリル)であるように、あるいは全体分子(例えば、ナフタレン、ジベンゾフラン)であるようにも記述される。本明細書において使用されているように、置換基、または付着されたフラグメントを記述する前記方式は、同等であると見なされる。
【0066】
本発明の一実施形態において、本発明による有機分子は、有機溶媒の溶液、特に、ジクロロメタン(DCM)、トルエンまたはクロロホルム溶液において、あるいは室温で1~5重量%、特に2重量%の有機分子を有するポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)フィルムにおいて、半値幅が0.35eV未満、好ましくは、0.30eV未満、より好ましくは、0.26eV未満、より一層好ましくは、0.22eV未満、または0.18eV未満である、可視光線または近紫外線の範囲、すなわち、380ないし800nmの波長範囲の発光ピークを有する。
【0067】
第一励起三重項状態T1のエネルギーは、低温、一般的に、77Kにおいて、発光スペクトルの開始から決定される。燐光は、一般的に、2%のエミッタ及び98%のPMMAのフィルム、または有機溶媒、特に、DCM、トルエンまたはクロロホルム内において正常状態スペクトルで見ることができる。したがって、三重項エネルギーは、燐光スペクトルの開始としても決定される。蛍光エミッタ分子の場合、第一励起三重項状態T1のエネルギーは、77Kにおいて、遅延発光スペクトルの開始から決定される。
【0068】
本発明による有機分子のフォトルミネッセンス量子収率は、室温で、本発明による有機分子0.001mg/mLの有機溶媒、特に、ジクロロメタン(DCM)、トルエンまたはクロロホルムの溶液において、特に、30%以上、好ましくは、50%超過、より好ましくは、70%超過、より一層好ましくは、80%超過、またははなはだしくは、90%超過である。
【0069】
発光スペクトルの開始は、発光スペクトルに対する接線と、x軸との交差点とを計算して決定される。該発光スペクトルに対する接線は、発光バンドの高エネルギー側と、発光スペクトルの最大強度の最大半分地点とにおいて設定される。
【0070】
一実施形態において、本発明による有機分子は、室温で、トルエンまたはDCM内の本発明による有機分子0.001mg/mLにおいて、エネルギー的に最大発光に近い発光スペクトルの開始を有し、すなわち、発光スペクトルの開始と最大発光のエネルギーとのエネルギー差は、0.14eV未満、好ましくは、0.13eV未満、またははなはだしくは、0.12eV未満であり、かつ前記有機分子の半値幅(FWHM)は、0.35eV未満、好ましくは、0.30eV未満、より好ましくは、0.26eV未満、より一層好ましくは、0.22eV未満、またははなはだしくは、0.18eV未満である。
【0071】
本発明の更なる側面及び実施形態
本発明の更なる側面は、光電子素子において、発光エミッタまたは吸収体及び/またはホスト物質及び/または電子輸送物質及び/または正孔注入物質及び/または正孔阻止物質としての本発明による有機分子の用途に係わるものである。
【0072】
好ましい実施形態は、光電子素子において、発光エミッタとしての本発明による有機分子の用途に係わるものである。
【0073】
前記光電子素子は、最も広い意味において、可視光線または近紫外線(UV)の範囲、すなわち、380nmないし800nmの波長範囲において、光を放出するのに適している有機物質を基盤とする任意の素子としても理解される。さらに好ましくは、前記光電子素子は、可視光線範囲、すなわち、400nmないし800nmの光を放出することができる。
【0074】
そのような用途と係わり、光電子素子は、さらに具体的には、下記からなる群から選択される:
・有機発光ダイオード(OLED)
・発光電気化学電池
・OLEDセンサ、特に、外部と完全に遮断されていないガスセンサ及び蒸気センサ
・有機ダイオード
・有機太陽電池
・有機トランジスタ
・有機電界効果トランジスタ
・有機レーザ、及び
・ダウンコンバージョン素子。
【0075】
そのような用途と係わり、好ましい実施形態において、光電子素子は、有機発光ダイオード(OLED)、発光電気化学電池(LEC)及び発光トランジスタからなる群から選択された素子である。
【0076】
前記用途の場合、光電子素子、特にOLED内の発光層において、本発明による有機分子の分率は、0.1重量%ないし99重量%、より特に1重量%ないし80重量%である。代案的な実施形態において、発光層において、有機分子の割合は100重量%である。
【0077】
一実施形態において、発光層は、本発明による有機分子だけでなく、三重項(T1)及び一重項(S1)エネルギー準位が、前記有機分子の三重項(T1)及び一重項(S1)エネルギー準位よりエネルギー的にさらに高いホスト物質を含む。
【0078】
ホスト物質H
本発明によれば、少なくとも1層の発光層Bのうち任意のものに含まれた1以上のホスト物質Hのうち任意のものは、高い正孔移動度を示すp-ホストH、高い電子移動度を示すn-ホストH、または高い正孔移動度及び高い電子移動度の両方を示す両極性ホスト物質HBPでもある。
【0079】
本発明によれば、本発明による光電子素子の少なくとも1層の発光層Bのうち任意のものに選択的に含まれるp-ホストHは、エネルギーEHOMO(H)を有する最高被占軌道HOMO(H)を有し、ここで、好ましくは、-6.1eV≦EHOMO(H)≦-5.6eVである。
【0080】
本発明によれば、本発明による光電子素子の少なくとも1層の発光層Bのうち任意のものに選択的に含まれるp-ホストHは、エネルギーELUMO(H)を有する最低空軌道LUMO(H)を有し、ここで、好ましくは、-2.6eV≦ELUMO(H)である。
【0081】
本発明によれば、本発明による光電子素子の少なくとも1層の発光層Bのうち任意のものに選択的に含まれるp-ホストHは、最低励起一重項状態エネルギー準位E(S1p-H)を有し、ここで、好ましくは、E(S1p-H)≧3.0eVである。
【0082】
本発明によれば、本発明による光電子素子の少なくとも1層の発光層Bのうち任意のものに選択的に含まれるp-ホストHは、最低励起三重項状態エネルギー準位E(T1p-H)を有し、ここで、好ましくは、E(T1p-H)≧2.7eVである。
【0083】
本発明による光電子素子の少なくとも1層の発光層Bのうち任意のものに含まれるホスト物質Hについて以前に定義された任意の要件または好ましい特徴は、好ましくは、本発明によるp-ホストHに対しても有効であるものと理解される。したがって、好ましい実施形態において、下記式(6)ないし(9)で表される関係が適用される:
E(S1p-H)>E(S1) (6)
E(S1p-H)>E(S1) (7)
E(T1p-H)>E(T1) (8)
E(T1p-H)>E(T1) (9)。
【0084】
したがって、p-ホストHの最低励起一重項状態S1p-Hは、TADF物質Eの最低励起一重項状態S1よりエネルギーがさらに高いことが好ましい。p-ホストHの最低励起一重項状態S1p-Hは、任意の小さいFWHMエミッタSの最低励起一重項状態S1よりエネルギーがさらに高いことが好ましい。p-ホストHの最低励起三重項状態T1p-Hは、任意の小さいFWHMエミッタSの最低励起三重項状態T1よりエネルギーがさらに高いことが好ましい。p-ホストHの最低励起三重項状態T1p-Hは、TADF物質Eの最低励起三重項状態T1よりエネルギーがさらに高いことが好ましい。
【0085】
本発明によれば、本発明による光電子素子の少なくとも1層の発光層Bのうち任意のものに選択的に含まれるn-ホストHは、エネルギーEHOMO(H)を有する最高被占軌道HOMO(H)を有し、ここで、好ましくは、EHOMO(H)≦-5.9eVである。
【0086】
本発明によれば、本発明による光電子素子の少なくとも1層の発光層Bのうち任意のものに選択的に含まれるn-ホストHは、エネルギーELUMO(H)を有する最低空軌道LUMO(H)を有し、ここで、好ましくは、-3.5eV≦ELUMO(H)≦-2.9eVである。
【0087】
本発明によれば、本発明による光電子素子の少なくとも1層の発光層Bのうち任意のものに選択的に含まれるn-ホストHは、最低励起一重項状態エネルギー準位E(S1n-H)を有し、ここで、好ましくは、E(S1n-H)≧3.0eVである。
【0088】
本発明によれば、本発明による光電子素子の少なくとも1層の発光層Bのうち任意のものに選択的に含まれるn-ホストHは、最低励起三重項状態エネルギー準位E(T1n-H)を有し、ここで、好ましくは、E(T1n-H)≧2.7eVである。
【0089】
本発明による光電子素子の少なくとも1層の発光層Bのうち任意のものに含まれるホスト物質Hについて以前に定義された任意の要件または好ましい特徴は、好ましくは、本発明によるn-ホストHに対しても有効であるものと理解される。したがって、好ましい実施形態において、下記式(10)ないし(13)で表される関係が適用される:
E(S1n-H)>E(S1) (10)
E(S1n-H)>E(S1) (11)
E(T1n-H)>E(T1) (12)
E(T1n-H)>E(T1) (13)。
【0090】
したがって、n-ホストHの最低励起一重項状態S1n-Hは、TADF物質Eの最低励起一重項状態S1よりエネルギーがさらに高いことが好ましい。n-ホストHの最低励起一重項状態S1n-Hは、任意の小さいFWHMエミッタSの最低励起一重項状態S1よりエネルギーがさらに高いことが好ましい。n-ホストHの最低励起三重項状態T1n-Hは、任意の小さいFWHMエミッタSの最低励起三重項状態T1よりエネルギーがさらに高いことが好ましい。好ましくは、任意のn-ホストHの最低励起三重項状態T1n-Hは、任意のTADF物質Eの最低励起三重項状態T1よりエネルギーがさらに高い。
【0091】
本発明によれば、本発明による光電子素子の少なくとも1層の発光層Bのうち任意のものに選択的に含まれる両極性ホストHBPは、エネルギーELUMO(HBP)を有する最低空軌道LUMO(HBP)を有し、ここで、好ましくは、-3.5eV≦ELUMO(HBP)≦-2.9eVである。
【0092】
本発明によれば、本発明による光電子素子の少なくとも1層の発光層Bのうち任意のものに選択的に含まれる両極性ホストHBPは、最低励起一重項状態エネルギー準位E(S1bp-H)を有し、ここで、好ましくは、E(S1bp-H)≧3.0eVである。
【0093】
本発明によれば、本発明による光電子素子の少なくとも1層の発光層Bのうち任意のものに選択的に含まれる両極性ホストHBPは、最低励起三重項状態エネルギー準位E(T1bp-H)を有し、ここで、好ましくは、E(T1bp-H)≧2.7eVである。
【0094】
本発明による光電子素子の少なくとも1層の発光層Bのうち任意のものに含まれるホスト物質Hについて以前に定義された任意の要件または好ましい特徴は、好ましくは、本発明による両極性ホストHBPに対しても有効であるものと理解される。したがって、好ましい実施形態において、下記式(14)ないし(17)で表される関係が適用される:
E(S1bp-H)>E(S1) (14)
E(S1bp-H)>E(S1) (15)
E(T1bp-H)>E(T1) (16)
E(T1bp-H)>E(T1) (17)。
【0095】
したがって、両極性ホストHBPの最低励起一重項状態S1bp-Hは、TADF物質Eの最低励起一重項状態S1よりエネルギーがさらに高いことが好ましい。両極性ホストHBPの最低励起一重項状態S1bp-Hは、任意の小さいFWHMエミッタSの最低励起一重項状態S1よりエネルギーがさらに高いことが好ましい。両極性ホストHBPの最低励起三重項状態T1bp-Hは、任意の小さいFWHMエミッタSの最低励起三重項状態T1よりエネルギーがさらに高いことが好ましい。好ましくは、任意の両極性ホストHBPの最低励起三重項状態T1bp-Hは、任意のTADF物質Eの最低励起三重項状態T1よりエネルギーがさらに高い。
【0096】
TADF物質E
本発明によれば、1以上の熱活性化遅延蛍光(TADF)物質Eのうち任意のものは、好ましくは、最低励起一重項状態S1と最低励起三重項状態T1とのエネルギー差に該当するΔEST値として、0.4eV未満、好ましくは、0.3eV未満、より好ましくは、0.2eV未満、より一層好ましくは、0.1eV未満、またははなはだしくは、0.05eV未満を示すことを特徴とする。したがって、本発明によるTADF物質EのΔESTは、好ましくは、室温(RT)で最低励起三重項状態T1から最低励起一重項状態S1の熱再充填(アップ項間交差または逆項間交差ともいう)を許容するのに十分に小さい。
【0097】
また、本発明による光電子素子の少なくとも1層の発光層Bに含まれた小さいFWHMエミッタSは、選択的に0.4eV未満のΔEST値を有することができ、熱活性化遅延蛍光(TADF)を示すものと理解される。しかし、本発明の文脈において、任意の小さいFWHMエミッタSに対し、これは単に選択的な特徴だけである。さらに、TADF物質Eが少なくとも1つの小さいFWHMエミッタSにエネルギーを伝達するエネルギーポンプとして主に機能する一方、本発明による光電子素子の発光帯域に係わる主な寄与は、好ましくは、少なくとも1つの小さいFWHMエミッタSの発光に起因することができるという点において、本発明の文脈におけるTADF物質Eは、好ましくは、本発明の文脈における小さいFWHMエミッタSと異なっている。
【0098】
本発明によれば、本発明による光電子素子の少なくとも1層の発光層Bのうち任意のものに含まれたTADF物質Eは、エネルギーEHOMO(E)を有する最高被占軌道HOMO(E)を有し、ここで、好ましくは、-6.0eV≦EHOMO(E)≦-5.8eVである。
【0099】
本発明によれば、本発明による光電子素子の少なくとも1層の発光層Bのうち任意のものに含まれたTADF物質Eは、エネルギーELUMO(E)を有する最低空軌道LUMO(E)を有し、ここで、好ましくは、-3.4eV≦ELUMO(E)≦-3.0eVである。
【0100】
本発明によれば、本発明による光電子素子の少なくとも1層の発光層Bのうち任意のものに含まれたTADF物質Eは、最低励起一重項状態エネルギー準位E(S1)を有し、ここで、好ましくは、2.5eV≦E(S1)≦2.8eVである。
【0101】
本発明によれば、本発明による光電子素子の少なくとも1層の発光層Bのうち任意のものに含まれたTADF物質Eは、最低励起三重項状態エネルギー準位E(T1)を有し、その好ましい範囲は、ΔESTに係わる前述の好ましい範囲と共に、一重項状態エネルギー準位E(S1)に係わる前述の好ましい範囲によっても定義される。
【0102】
本発明の更なる側面は、下記を含むか、あるいはそれからなる組成物に係わるものである:
(a)特にエミッタ形態の少なくとも1つの本発明による有機分子、
(b)本発明による有機分子と異なる1以上の三重項・三重項消滅(TTA)ホスト物質、
(c)選択的に、1以上のTADF物質、及び
(d)選択的に、1以上の染料及び/または1以上の溶媒。
【0103】
本発明の更なる側面は、下記を含むか、あるいはそれからなる組成物に係わるものである:
(a)特にエミッタ形態の少なくとも1つの本発明による有機分子、
(b)本発明による有機分子と異なる1以上のホスト物質、及び
(c)1以上のTADF物質。
【0104】
本発明の更なる側面は、下記を含むか、あるいはそれからなる組成物に係わるものである:
(a)特にエミッタ形態の少なくとも1つの本発明による有機分子、
(b)本発明による有機分子と異なる1以上のホスト物質、及び
(c)1以上の燐光物質。
【0105】
特定実施形態において、発光層EMLは、下記を含むか、あるいはそれからなる組成物を含む(または、本質的にそれからなる):
(i)0.1~10重量%、好ましくは、0.5~5重量%、特に1~3重量%の1以上の本発明による有機分子、
(ii)5~99重量%、好ましくは、15~85重量%、特に20~75重量%の少なくとも1つのホスト化合物H、
(iii)0.9~94.9重量%、好ましくは、14.5~80重量%、特に24~77重量%の、本発明による分子の構造と異なる構造を有する少なくとも1つの追加ホスト化合物D、
(iv)選択的に、0~94重量%、好ましくは、0~65重量%、特に0~50重量%の溶媒、及び
(v)選択的に、0~30重量%、特に0~20重量%、好ましくは、0~5重量%の、本発明による分子の構造と異なる構造を有する少なくとも1つの追加エミッタ分子F。
【0106】
1以上のTTAホスト物質を含む組成物
好ましい実施形態において、本発明の光電子素子において、前記発光層Bは、下記を含む(あるいは、それからなる):
(i)10~84重量%のTTA物質、
(ii)0~30重量%のTADF物質E
(iii)0.1~10重量%の本発明によるエミッタ、及び選択的に、
(iv)0~89.9重量%の1以上の溶媒。
【0107】
好ましい実施形態において、前記(i)ないし(iv)の百分率数の和は100重量%である。
【0108】
他の好ましい実施形態において、本発明の光電子素子において、前記発光層Bは、下記を含む(あるいは、それからなる):
(i)56~90重量%のTTA物質、
(ii)0~5重量%のTADF物質E
(iii)0.5~5重量%の本発明によるエミッタ、及び選択的に、
(iv)0~43.5重量%の1以上の溶媒。
【0109】
好ましい実施形態において、前記(i)ないし(iv)の百分率数の和は100重量%である。
【0110】
1以上のTADF物質を含む組成物
好ましい実施形態において、前記発光層Bは、下記を含む:
(i)10~89.9重量%の1以上のp-ホスト化合物H
(ii)0~79.9重量%の1以上のn-ホスト化合物H
(iii)10~50重量%の1以上のTADF物質E
(iv)0.1~10重量%の1以上の本発明によるエミッタ、及び
(v)0~89.9重量%の1以上の溶媒。
【0111】
一実施形態において、前記発光層Bは、下記を含む:
(i)22~87.5重量%の1以上のp-ホスト化合物H
(ii)選択的に、0~65.5重量%の1以上のn-ホスト化合物H
(iii)12~40重量%の1以上のTADF物質E
(iv)0.5~5重量%の1以上の本発明によるエミッタ、及び
(v)0~65.5重量%の1以上の溶媒。
【0112】
1以上の燐光物質を含む組成物
好ましい実施形態において、Hが選択的である場合、本発明の光電子素子において、前記発光層Bは、下記を含む(あるいは、それからなる):
(i)10~84.9重量%のp-ホスト化合物H
(ii)0~84.9重量%のn-ホスト化合物H
(iii)5~15重量%の燐光物質E
(iv)0.1~10重量%の本発明によるエミッタ、及び選択的に、
(v)0~84.9重量%の1以上の溶媒。
【0113】
好ましい実施形態において、Hが選択的である場合、本発明の光電子素子において、前記発光層Bは、下記を含む(あるいは、それからなる):
(i)22~70.5重量%のp-ホスト化合物H
(ii)0~70.5重量%のn-ホスト化合物H
(iii)5~10重量%の燐光物質E
(iv)0.5~5重量%の本発明によるエミッタ、及び選択的に、
(v)0~72.5重量%の1以上の溶媒。
【0114】
好ましくは、エネルギーが、ホスト化合物Hから、本発明による1以上の有機分子に伝達され、特に、ホスト化合物Hの第一励起三重項状態T1(H)から、本発明による1以上の有機分子Eの第一励起三重項状態T1(E)に伝達され、及び/または、ホスト化合物Hの第一励起一重項状態S1(H)から、本発明による1以上の有機分子Eの第一励起一重項状態S1(E)に伝達される。
【0115】
一実施形態において、ホスト化合物Hは、-5ないし-6.5eV範囲のエネルギーEHOMO(H)を有する最高被占軌道HOMO(H)を有し、少なくとも1つの追加ホスト化合物Dは、エネルギーEHOMO(D)を有する最高被占軌道HOMO(D)を有し、ここで、EHOMO(H)>EHOMO(D)である。
【0116】
更なる実施形態において、ホスト化合物Hは、エネルギーELUMO(H)を有する最低空軌道LUMO(H)を有し、少なくとも1つの追加ホスト化合物Dは、エネルギーELUMO(D)を有する最低空軌道LUMO(D)を有し、ここで、ELUMO(H)>ELUMO(D)である。
【0117】
一実施形態において、ホスト化合物Hは、エネルギーEHOMO(H)を有する最高被占軌道HOMO(H)、及びエネルギーELUMO(H)を有する最低空軌道LUMO(H)を有し、
少なくとも1つの追加ホスト化合物Dは、エネルギーEHOMO(D)を有する最高被占軌道HOMO(D)、及びエネルギーELUMO(D)を有する最低空軌道LUMO(D)を有し、
本発明による有機分子Eは、エネルギーEHOMO(E)を有する最高被占軌道HOMO(E)、及びエネルギーELUMO(E)を有する最低空軌道LUMO(E)を有し、
ここで、
HOMO(H)>EHOMO(D)であり、本発明による有機分子の最高被占軌道HOMO(E)のエネルギー準位(EHOMO(E))と、ホスト化合物Hの最高被占軌道HOMO(H)のエネルギー準位(EHOMO(H))との差は、-0.5eVないし0.5eV、より好ましくは、-0.3eVないし0.3eV、より一層好ましくは、-0.2eVないし0.2eV、または-0.1eVないし0.1eVであり、
LUMO(H)>ELUMO(D)であり、本発明による有機分子の最低空軌道LUMO(E)のエネルギー準位(ELUMO(E))と、少なくとも1つの追加ホスト化合物Dの最低空軌道LUMO(D)のエネルギー準位(ELUMO(D))との差は、-0.5eVないし0.5eV、より好ましくは、-0.3eVないし0.3eV、より一層好ましくは、-0.2eVないし0.2eV、または-0.1eVないし0.1eVである。
【0118】
本発明の一実施形態において、前記ホスト化合物D及び/または前記ホスト化合物Hは、熱活性化遅延蛍光(TADF)物質である。TADF物質は、2500cm-1未満の、第一励起一重項状態(S1)と第一励起三重項状態(T1)とのエネルギー差に該当するΔEST値を示す。好ましくは、前記TADF物質は、3000cm-1未満、より好ましくは、1500cm-1未満、より一層好ましくは、1000cm-1未満、またははなはだしくは、500cm-1未満のΔEST値を示す。
【0119】
一実施形態において、前記ホスト化合物Dは、TADF物質であり、前記ホスト化合物Hは、2500cm-1より大きいΔEST値を示す。特定実施形態において、前記ホスト化合物Dは、TADF物質であり、前記ホスト化合物Hは、CBP、mCP、mCBP、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾチオフェン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3,5-ビス(2-ジベンゾフラニル)フェニル]-9H-カルバゾール及び9-[3,5-ビス(2-ジベンゾチオフェニル)フェニル]-9H-カルバゾールからなる群から選択される。
【0120】
一実施形態において、前記ホスト化合物Hは、TADF物質であり、前記ホスト化合物Dは、2500cm-1より大きいΔEST値を示す。特定実施形態において、前記ホスト化合物Hは、TADF物質であり、前記ホスト化合物Dは、2,4,6-トリス(ビフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン(T2T)、2,4,6-トリス(トリフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン(T3T)及び/または2,4,6-トリス(9,9’-スピロビフルオレン-2-イル)-1,3,5-トリアジン(TST)からなる群から選択される。
【0121】
更なる側面において、本発明は、本明細書に記載されているような有機分子または組成物を含む光電子素子、より具体的には、有機発光ダイオード(OLED)、発光電気化学電池、OLEDセンサ、特に、外部と完全に遮断されていないガスセンサ及び蒸気センサ、有機ダイオード、有機太陽電池、有機トランジスタ、有機電界効果トランジスタ、有機レーザ及びダウンコンバージョン素子からなる群から選択された素子に係わるものである。
【0122】
好ましい実施形態において、前記光電子素子は、有機発光ダイオード(OLED)、発光電気化学電池(LEC)及び発光トランジスタからなる群から選択された素子である。
【0123】
本発明の光電子素子の一実施形態において、本発明による有機分子Eは、発光層EMLにおいてエミッタ物質として使用される。
【0124】
本発明の光電子素子の一実施形態において、発光層EMLは、本明細書に記載された本発明による組成物からなる。
【0125】
前記光電子素子がOLEDである場合、例えば、次のような層構造を有することができる:
1.基板
2.アノード層A
3.正孔注入層(HIL)
4.正孔輸送層(HTL)
5.電子阻止層(EBL)
6.発光層(EML)
7.正孔阻止層(HBL)
8.電子輸送層(ETL)
9.電子注入層(EIL)
10.カソード層
ここで、該OLEDは、HIL、HTL、EBL、HBL、ETL及びEILの群から選択された各層を選択的に含み、異なる層が併合され、該OLEDは、前述のところで定義された各層類型のうち1層以上の層を含むものでもある。
【0126】
また、一実施形態において、前記光電子素子は、例えば、水分、蒸気及び/またはガスを含む環境内の有害物質に対する損傷露出から素子を保護する1以上の保護層を含んでもよい。
【0127】
本発明の一実施形態において、前記光電子素子は、下記の逆積み層(inverted layer)構造を有するOLEDである:
1.基板
2.カソード層
3.電子注入層(EIL)
4.電子輸送層(ETL)
5.正孔阻止層(HBL)
6.発光層B
7.電子阻止層(EBL)
8.正孔輸送層(HTL)
9.正孔注入層(HIL)
10.アノード層A
ここで、該OLEDは、HIL、HTL、EBL、HBL、ETL及びEILの群から選択された各層を選択的に含み、異なる層が併合され、該OLEDは、前述のところで定義された各層類型のうち1層以上の層を含むものでもある。
【0128】
本発明の一実施形態において、前記光電子素子は、積層構造を有することができるOLEDである。前記構造においては、OLEDが並んで配される一般配置とは異なり、個別ユニットが互いの上に積層される。混合光は、積層構造を示すOLEDによって生成され、特に、白色光は、青色OLED、緑色OLED及び赤色OLEDを積層して生成される。また、積層構造を示すOLEDは、選択的に電荷生成層(CGL)を含んでもよく、それは、一般的に、2つのOLEDサブユニット間に位置し、一般的に、n-ドーピングされた層及びp-ドーピングされた層として構成される。一般的に、1つのCGLのn-ドーピングされた層がアノード層にさらに近く位置する。
【0129】
本発明の一実施形態において、前記光電子素子は、アノードとカソードとの間に、2層以上の発光層を含むOLEDである。特に、いわゆるタンデムOLEDは、3層の発光層を含み、ここで、1層の発光層は、赤色光を放出し、1層の発光層は、緑色光を放出し、1層の発光層は、青色光を放出し、選択的に、個々の発光層間に、電荷生成層、電荷阻止層または電荷輸送層のような追加層を含んでもよい。更なる実施形態において、該発光層は、隣接するように積層される。更なる実施形態において、該タンデムOLEDは、それぞれの2層の発光層間に電荷生成層を含む。また、隣接した発光層、または電荷生成層によって分離した発光層が併合されうる。
【0130】
前記基板は、任意の材料、または該材料の組成物によっても形成される。ほとんど、ガラススライドが基板として使用される。代案としては、薄い金属層(例えば、銅、金、銀またはアルミニウムフィルム)、またはプラスチックフィルムやプラスチックスライドが使用されうる。それは、さらに高レベルの柔軟性を許容することができる。アノード層Aは、ほとんど(本質的に)透明なフィルムを得ることができる材料によって構成される。OLEDからの発光を許容するために、二電極のうち少なくとも一つは(本質的に)透明ではなければならないので、アノード層Aまたはカソード層Cのうち一層は透明である。好ましくは、アノード層Aは、透明伝導性酸化物(TCOs)を多量含むか、あるいはそれからなる。そのようなアノード層Aは、例えば、インジウムスズ酸化物、アルミニウム亜鉛酸化物、フッ素ドーピングされたスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物、PbO、SnO、ジルコニウム酸化物、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、タングステン酸化物、黒鉛、ドーピングされたSi、ドーピングされたGe、ドーピングされたGaAs、ドーピングされたポリアニリン、ドーピングされたポリピロール及び/またはドーピングされたポリチオフェンを含むものでもある。
【0131】
アノード層Aは、(本質的に)インジウムスズ酸化物(ITO)(例えば、(InO0.9(SnO0.1)で構成される。透明伝導性酸化物(TCO)によるアノード層Aの粗さは、正孔注入層(HIL)を使用することによっても緩和される。また、該HILは、TCOから正孔輸送層(HTL)への類似電荷キャリア(すなわち、正孔)の輸送が促進されるという点において、類似電荷キャリアの注入を容易にする。正孔注入層(HIL)は、ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリスチレンスルホン酸(PSS)、MoO、V、CuPCまたはCuI、特に、PEDOT及びPSSの混合物を含むものでもある。正孔注入層(HIL)は、また、アノード層Aから正孔輸送層(HTL)に金属が拡散することを防止することができる。例えば、該HILは、ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン:ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)、ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、4,4’,4”-トリス[フェニル(m-トリル)アミノ]トリフェニルアミン(mMTDATA)、2,2’,7,7’-テトラキス(n,n-ジフェニルアミノ)-9,9’-スピロビフルオレン(Spiro-TAD)、N1,N1’-(ビフェニル-4,4’-ジイル)ビス(N1-フェニル-N4,N4-ジ-m-トリルベンゼン-1,4-ジアミン(DNTPD)、N,N’-ニス-(1-ナフタレニル)-N,N’-ビス-フェニル-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン(NPB)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ-[4-(N,N-ジフェニルアミノ)フェニル]ベンジジン(NPNPB)、N,N,N’,N’-テトラキス(4-メトキシフェニル)ベンジジン(MeO-TPD)、1,4,5,8,9,11-ヘキサアザトリフェニレン-ヘキサカルボニトリル(HAT-CN)及び/またはN,N’-ジフェニル-N,N’-ビス-(1-ナフチル)-9,9’-スピロビフルオレン-2,7-ジアミン(Spiro-NPD)によっても構成される。
【0132】
アノード層Aまたは正孔注入層(HIL)に隣接し、一般的に、正孔輸送層(HTL)が位置する。ここで、任意の正孔輸送化合物が使用されうる。例えば、トリアリールアミン及び/またはカルバゾールのような、電子が豊富なヘテロ芳香族化合物が、正孔輸送化合物としても使用される。該HTLは、アノード層Aと発光層(EML)との間のエネルギー障壁を低減させることができる。該正孔輸送層(HTL)は、また、電子阻止層(EBL)でもある。好ましくは、該正孔輸送化合物は、比較的高いエネルギー準位の三重項状態T1を有する。例えば、正孔輸送層(HTL)は、トリス(4-カルバゾリル-9-イルフェニル)アミン(TCTA)、ポリ(4-ブチルフェニル-ジフェニルアミン)(poly-TPD)、ポリ(4-ブチルフェニル-ジフェニルアミン)(α-NPD)、4,4’-シクロヘキシリデン-ビス[N,N-ビス(4-メチルフェニル)ベンゼンアミン](TAPC)、4,4’,4”-トリス[2-ナフチル(フェニル)-アミノ]トリフェニルアミン(2-TNATA)、Spiro-TAD、DNTPD、NPB、NPNPB、MeO-TPD、HAT-CN及び/または9,9’-ジフェニル-6-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H,9’H-3,3’-ビカルバゾール(TrisPcz)のような星状のヘテロ環を含むものでもある。また、該HTLは、有機正孔輸送マトリックス内の無機または有機ドーパントによっても構成されるp-ドーピングされた層を含むものでもある。該無機ドーパントとしては、例えば、バナジウム酸化物、モリブデン酸化物またはタングステン酸化物のような遷移金属酸化物が使用されうる。該有機ドーパントとしては、例えば、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン(F-TCNQ)、銅-ペンタフルオロ安息香酸(Cu(I)pFBz)または遷移金属錯体が使用されうる。
【0133】
EBLは、例えば、1,3-ビス(カルバゾール-9-イル)ベンゼン(mCP)、TCTA、2-TNATA、3,3-ジ(9H-カルバゾール-9-イル)ビフェニル(mCBP)、tris-Pcz、9-(4-tert-ブチルフェニル)-3,6-ビス(トリフェニルシリル)-9H-カルバゾール(CzSi)及び/または N,N’-ジカルバゾリル-1,4-ジメチルベンゼン(DCB)を含むものでもある。
【0134】
正孔輸送層(HTL)に隣接し、発光層(EML)が一般的に位置する。発光層(EML)は、少なくとも1つの発光分子を含む。特に、該EMLは、本発明による少なくとも1つの発光分子Eを含む。一実施形態において、発光層は、本発明による有機分子のみを含む。一般的に、EMLは、1以上のホスト物質Hをさらに含む。例えば、ホスト物質Hは、4,4’-ビス-(N-カルバゾリル)-ビフェニル(CBP)、mCP、mCBP、ジベンゾ[b,d]チオフェン-2-イルトリフェニルシラン(Sif87)、CzSi、ジベンゾ[b,d]チオフェン-2-イル)ジフェニルシラン(Sif88)、ビス[2-(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテルオキサイド(DPEPO)、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾチオフェン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3,5-ビス(2-ジベンゾフラニル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3,5-ビス(2-ジベンゾチオフェニル)フェニル]-9H-カルバゾール、2,4,6-トリス(ビフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン(T2T)、2,4,6-トリス(トリフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン(T3T)及び/または2,4,6-トリス(9,9’-スピロビフルオレン-2-イル)-1,3,5-トリアジン(TST)から選択される。ホスト物質Hは、一般的に、前記有機分子の第1三重項(T1)及び第1一重項(S1)エネルギー準位よりエネルギー的にさらに高い、第1三重項(T1)及び第1一重項(S1)エネルギー準位を示すように選択されなければならない。
【0135】
本発明の一実施形態において、EMLは、少なくとも1つの正孔支配ホスト及び1つの電子支配ホストを有する、いわゆる、混合ホストシステムを含む。特定実施形態において、該EMLは、正確に1つの本発明による発光有機分子、電子支配ホストとしてT2T、及び正孔支配ホストとして、CBP、mCP、mCBP、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾチオフェン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3,5-ビス(2-ジベンゾフラニル)フェニル]-9H-カルバゾール及び9-[3,5-ビス(2-ジベンゾチオフェニル)フェニル]-9H-カルバゾールから選択されたホストを含む混合ホストシステムを含む。更なる実施形態において、該EMLは、50~80重量%、好ましくは、60~75重量%のCBP、mCP、mCBP、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾチオフェン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3,5-ビス(2-ジベンゾフラニル)フェニル]-9H-カルバゾール及び9-[3,5-ビス(2-ジベンゾチオフェニル)フェニル]-9H-カルバゾールから選択されたホスト、10~45重量%、好ましくは、15~30重量%のT2T、及び5~40重量%、好ましくは、10~30重量%の本発明による発光分子を含む。
【0136】
発光層(EML)に隣接し、電子輸送層(ETL)が位置しうる。ここで、任意の電子輸送体が使用されうる。例示的には、ベンズイミダゾール、ピリジン、トリアゾール、オキサジアゾール(例えば、1,3,4-オキサジアゾール)、ホスフィンオキシド及びスルホンのような電子不足化合物が使用されうる。該電子輸送体は、また、1,3,5-トリ(1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)フェニル(TPBi)のような星状のヘテロ環でもある。該ETLは、2,9-ビス(ナフタレン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(NBphen)、アルミニウム-トリス(8-ヒドロキシキノリン)(Alq)、ジフェニル-4-トリフェニルシリルフェニル-ホスフィンオキシド(TSPO1)、2,7-ジ(2,2’-ビピリジン-5-イル)トリフェニル(BPyTP2)、ジベンゾ[b,d]チオフェン-2-イルトリフェニルシラン(Sif87)、ジベンゾ[b,d]チオフェン-2-イル)ジフェニルシラン(Sif88)、1,3-ビス[3,5-ジ(ピリジン-3-イル)フェニル]ベンゼン(BmPyPhB)及び/または4,4’-ビス-[2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジニル)]-1,1’-ビフェニル(BTB)を含むものでもある。選択的に、該ETLは、Liqのような物質によってもドーピングされる。該電子輸送層(ETL)は、また、正孔を阻止することができる。または、正孔阻止層(HBL)が導入される。
【0137】
HBLは、例えば、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン=バソクプロイン(BCP)、ビス(8-ヒドロキシ-2-メチルキノリン)-(4-フェニルフェノキシ)アルミニウム(BAlq)、2,9-ビス(ナフタレン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(NBphen)、アルミニウム-トリス(8-ヒドロキシキノリン)(Alq)、ジフェニル-4-トリフェニルシリルフェニル-ホスフィンオキサイド(TSPO1)、2,4,6-トリス(ビフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン(T2T)、2,4,6-トリス(トリフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン(T3T)、2,4,6-トリス(9,9’-スピロビフルオレン-2-イル)-1,3,5-トリアジン(TST)及び/または1,3,5-トリス(N-カルバゾリル)ベンゾール/1,3,5-トリス(カルバゾール)-9-イル)ベンゼン(TCB/TCP)を含むものでもある。
【0138】
電子輸送層(ETL)に隣接し、カソード層Cが位置しうる。該カソード層Cは、例えば、金属(例えば、Al、Au、Ag、Pt、Cu、Zn、Ni、Fe、Pb、LiF、Ca、Ba、Mg、In、WまたはPd)または金属合金を含むか、あるいはそれからなる。実用的な理由により、該カソード層Cは、Mg、CaまたはAlのような(本質的に)不透明な金属によっても構成される。代案としてまたは追加的に、該カソード層Cは、また、黒鉛及び/または炭素ナノチューブ(CNT)を含むものでもある。代案としては、カソード層Cは、また、ナノスケール銀ワイヤを含むか、あるいはそれから構成される。
【0139】
OLEDは、選択的に、電子輸送層(ETL)とカソード層Cとの間に、保護層(電子注入層(EIL)とも称される)をさらに含んでもよい。該層は、フッ化リチウム、フッ化セシウム、銀、8-ヒドロキシキノリンラトリチウム(Liq)、LiO、BaF、MgO及び/またはNaFを含むものでもある。
【0140】
選択的に、電子輸送層(ETL)及び/または正孔阻止層(HBL)は、また、1以上のホスト化合物Hを含むものでもある。
【0141】
発光層EMLの発光スペクトル及び/または吸収スペクトルを追加して修正するために、発光層EMLは、1以上の追加エミッタ分子Fをさらに含んでもよい。そのようなエミッタ分子Fは、当業界に公知された任意のエミッタ分子であってもよい。好ましくは、そのようなエミッタ分子Fは、本発明による分子Eの構造と異なる構造を有する分子である。エミッタ分子Fは、選択的に、TADFエミッタでもある。代案としては、エミッタ分子Fは、選択的に、発光層EMLの発光スペクトル及び/または吸収スペクトルをシフトさせることができる蛍光性及び/またはリン光性のエミッタ分子でもある。例えば、三重項及び/または一重項励起子が、基底状態Sに緩和される前に、本発明による有機エミッタ分子からエミッタ分子Fに伝達され、有機分子によって放出される光と比較し、典型的に、赤色偏移された光を放出することができる。選択的に、エミッタ分子Fは、また二光子効果(すなわち、最大吸収エネルギーの半分である2つの光子の吸収)を誘発することができる。
【0142】
選択的に、光電子素子(例えば、OLED)は、例えば、本質的に、白色光電子素子でもある。例えば、そのような白色光電子素子は、少なくとも1つの(深)青色エミッタ分子、及び緑色光及び/または赤色光を放出する1以上のエミッタ分子を含むものでもある。そして、選択的に、前述のように、2以上の分子間にエネルギー伝達がありうる。
【0143】
本明細書に使用されているように、特定文脈において、さらに具体的に定義されない場合、放出及び/または吸収された光の色相指定は、下記の通りである:
紫色:>380~420nmの波長範囲
深青色:>420~480nmの波長範囲
空色:>480~500nmの波長範囲
緑色:>500~560nmの波長範囲
黄色:>560~580nmの波長範囲
オレンジ色:>580~620nmの波長範囲
赤色:>620~800nmの波長範囲。
【0144】
エミッタ分子と係わり、そのような色相は最大発光を示す。したがって、例えば、深青色エミッタは、>420~480nm範囲で最大発光を有し、空色エミッタは、>480~500nm範囲で最大発光を有し、緑色エミッタは、>500~560nm範囲で最大発光を有し、赤色エミッタは、>620~800nm範囲で最大発光を有する。
【0145】
赤色エミッタは、好ましくは、800nm未満、より好ましくは、700nm未満、より一層好ましくは、665nm未満、またははなはだしくは、640nm未満の最大発光を有することができる。これは、典型的に、570nm超過、好ましくは、590nm超過、より好ましくは、610nm超過、またははなはだしくは、620nm超過でもある。
【0146】
したがって、本発明の更なる側面は、1000cd/mにおいて、8%超過、好ましくは、10%超過、より好ましくは、13%超過、より一層好ましくは、15%超過、またははなはだしくは、20%超過の外部量子効率を示し、及び/または、590nmないし690nm、好ましくは、610nmないし665nm、より好ましくは、620nmないし640nmの最大発光を示し、及び/または、500cd/mにおいて、100h超過、好ましくは、200h超過、より好ましくは、400h超過、より一層好ましくは、750h超過、またははなはだしくは、1000h超過のLT80値を示すOLEDに係わるものである。したがって、本発明の更なる側面は、発光が、0.25超過、好ましくは、0.27超過、より好ましくは、0.29超過、より一層好ましくは、0.30超過のCIEy色座標を示すOLEDに係わるものである。
【0147】
本発明の更なる実施形態は、ITU-R Recommendation BT.2020(Rec.2020)によって定義されているような原色赤色(CIEx=0.708及びCIEy=0.292)のCIEx(=0.708)及びCIEy(=0.292)の色座標に近いCIEx及びCIEyの色座標を有する光を放出するOLEDに係わるものであり、これは、UHDディスプレイ、例えば、UHD-TVに使用するのに適している。当該文脈において、「近い」という用語は、当該段落の末尾に提供されたCIEx及びCIEyの座標の範囲を示す。商業的応用において、典型的に上部発光素子(上部電極が透明である)が使用される一方、本発明の全般にわたって使用されるテスト素子は、下部発光素子(下部電極及び基板が透明である)を示す。 したがって、本発明の更なる側面は、発光が、0.60ないし0.88、好ましくは、0.61ないし0.83、より好ましくは、0.63ないし0.78、より一層好ましくは、0.66ないし0.76、またははなはだしくは、0.68ないし0.73のCIEx色座標、及び/または、0.25ないし0.70、好ましくは、0.26ないし0.55、より好ましくは、0.27ないし0.45、より一層好ましくは、0.28ないし0.40、またははなはだしくは、0.29ないし0.35のCIEy色座標を示すOLEDに係わるものである。
【0148】
したがって、本発明の更なる側面は、14500cd/mにおいて、10%超過、好ましくは、13%超過、より好ましくは、15%超過、より一層好ましくは、17%超過、またははなはだしくは、20%超過の外部量子効率を示し、及び/または、590nmないし690nm、好ましくは、610nmないし665nm、より好ましくは、620nmないし640nmの最大発光を示すOLEDに係わるものである。
【0149】
本発明の更なる側面は、明確な色点で光を放出するOLEDに係わるものである。本発明によれば、OLEDは、狭い発光帯域(小さい半値幅(FWHM))を有する光を放出する。一側面において、本発明によるOLEDは、0.30eV未満、好ましくは、0.25eV未満、より好ましくは、0.20eV未満、より一層好ましくは、0.19eV未満、またははなはだしくは、0.17eV未満の、主発光ピークのFWHMを有する光を放出する。
【0150】
更なる側面において、本発明は、光電子部品の製造方法に係わるものである。この場合、本発明の有機分子が使用される。
【0151】
光電子素子、特に、本発明によるOLEDは、任意の手段の気相蒸着及び/または液状工程によっても製造される。したがって、少なくとも1層は、
-昇華工程によって製造されるか、
-有機気相蒸着工程によって製造されるか、
-キャリアガス昇華工程によって製造されるか、
-溶液処理またはプリントされる。
【0152】
本発明による光電子素子、特にOLEDを製造するのに使用される方法は、当業界に公知されている。異なる層は、後続蒸着工程により、適切な基板上に、個々に連続して蒸着される。個々の層は、同一であるか、あるいは異なる蒸着方法を使用して蒸着されうる。
【0153】
例えば、該気相蒸着工程は、熱(共)蒸着、化学的気相蒸着及び物理的気相蒸着を含む。アクティブマトリックスOLEDディスプレイの場合、AMOLEDバックプレーンが基板として使用される。個々の層は、適切な溶媒を使用する溶液または分散液からも処理される。例えば、溶液蒸着工程には、スピンコーティング、ディップコーティング及びジェットプリンティングが含まれる。溶液処理は、選択的に、不活性雰囲気(例えば、窒素雰囲気)において遂行され、該溶媒は、当業界に公知の手段により、完全にまたは部分的に除去される。
【0154】
実施例
一般合成方式
【化18】
【0155】
CGの位置にE2の複素環を導入するために、カップリング基CG及びCGが反応対として選択される。好ましくは、いわゆる鈴木カップリング反応が使用される。ここで、CGがCl、BrまたはIから選択され、CGがボロン酸基またはボロン酸エステル基(特に、ボロン酸ピナコールエステル基)から選択されるか、あるいはCGがボロン酸基またはボロン酸エステル基(特に、ボロン酸ピナコールエステル基)から選択され、CGがCl、BrまたはIから選択される。
【0156】
合成のための一般手順
AAV1-1:E1(1.00当量、例えば、5-ブロモ-N1,N1,N3,N3-テトラフェニル-1,3-ベンゼンジアミン、CAS 1290039-73-4)、E2(1.20当量;例えば、(10-フェニルアントラセン-9-イル)ボロン酸、CAS:1290039-73-4)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.01当量;CAS:51364-51-3)、S-Phos(0.04当量;CAS:657408-07-6)及びリン酸カリウム(KPO;CAS:7778-53-2、2.00当量)を窒素雰囲気下、トルエン/水において95℃で72時間撹拌した。室温(rt)に冷却した後、前記反応混合物をエチルアセテートと水で抽出した。有機相を収集し、MgSOで乾燥させ、Celite(登録商標)及びチャコールで処理し、1時間撹拌し、濾過した。合わせた有機層を減圧下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィまたは再結晶化によって精製し、E3を固体として得た。
【0157】
AAV2:脱水1,2-ジクロロベンゼン(E-3 1mmol当たり35mL)内のE-3溶液(1.0当量)を三臭化ホウ素(99%、CAS-No.10294-33-4、4.0当量)に添加した。混合物を室温に加温した後、48時間190℃に加熱した。混合物を常温に冷却した。次いで、混合物を塩水/水とジクロロメタンで抽出し、合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮させた。再結晶化またはカラムクロマトグラフィを通じて精製した後、目的化合物P-1を固体として得た。
【0158】
サイクリックボルタンメトリー
サイクリックボルタモグラムは、ジクロロメタン、または適する溶媒、及び適する支持電解質(例:0.1mol/Lのテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート)において、有機分子の濃度が10-3mol/Lである溶液で測定される。該測定は、3電極アセンブリ(作用電極及び相対電極:Ptワイヤ、基準電極:Ptワイヤ)を使用し、窒素雰囲気において、室温で行い、内部標準として、FeCp/FeCp を使用して補正する。HOMOデータは、飽和カロメル電極(SCE)に係わる内部標準として、フェロセンを使用して修正された。
【0159】
密度関数理論計算
分子構造は、BP86関数及びRI(Resolution of Identity)アプローチを使用して最適化された。励起エネルギーは、(BP86)最適化された構造を使用して、TD-DFT(Time-Dependent DFT)方法でもって計算される。軌道エネルギー及び励起状態エネルギーは、B3LYP関数により計算される。数値積分のために、Def2-SVP基本セット及びm4-gridが使用される。Turbomoleプログラムパッケージは、全ての計算に使用される。
【0160】
光物理的測定
試料前処理:スピンコーティング
装置:Spin150、SPS euro
試料濃度は、トルエン/DCMに溶解された0.2mg/mlである。
【0161】
プログラム:7)2000U/分で30秒。コーティング後、フィルムを70℃で1分間乾燥させた。
【0162】
蛍光分光法及び燐光分光法
燐光及びフォトルミネッセンス分光法の分析のために、Horibaの蛍光分光計「Fluoromax 4P」が使用される。
【0163】
μs範囲及びns範囲の時間分解(Time-resolved)PL分光法(FS5)
時間分解PL測定は、Edinburgh InstrumentsのFS5蛍光分光計で行われる。HORIBA設定における測定と比べてより良好な集光は、最適化された信号対雑音比を可能にし、特に、遅延蛍光特性の過渡PL測定においてFS5システムが有利である。FS5は、広いスペクトルを提供するキセノンランプからなる。連続光源は、150Wのキセノンアークランプであり、選択された波長は、特定発光波長を設定するのにも使用されるCzerny-Turner単色計によって選択される。試料発光は、敏感なR928P光電子増倍管(PMT)に向かい、200nmないし870nmのスペクトル範囲において最大25%のピーク量子効率を有する単一光子を検出することができる。検出器は、300cps(秒当たりカウント)未満のダークカウントを提供する、温度安定化されたPMTである。最後に、遅延蛍光の過渡減衰寿命を決定するために、3つの指数関数を使用するテールフィット(tail fit)が適用される。特定寿命τをそれに相応する振幅Aによって加重することにより、遅延蛍光寿命τDFが決定される。
【0164】
【数1】

【0165】
フォトルミネッセンス量子収率測定
フォトルミネッセンス量子収率(PLQY)測定のために、Absolute PL量子収率測定C9920-03Gシステム(浜松ホトニクス)が使用されている。量子収率及びCIE座標は、ソフトウェアU6039-05バージョン3.6.0を使用して決定された。
【0166】
最大発光は、nmで示され、量子収率Φは、%で示され、CIE座標は、x,y値で示される。
【0167】
PLQYは、次のプロトコルを使用して決定される:
【0168】
1)品質保証:エタノール中におけるアントラセン(知られた濃度)を基準に使用する。
【0169】
2)励起波長:有機分子の最大吸収が決定され、該波長を使用し、分子が励起される。
【0170】
3)測定
量子収率は、窒素雰囲気において、溶液またはフィルム試料について測定される。収率は、次の方程式を使用して計算される:
【0171】
【数2】

ここで、n光子は、光子数を示し、Intは、強度を示す。
【0172】
発光スペクトルの測定
物質をクロロホルムに溶解させ、溶液を、シリンジフィルタを介して濾過した。残った溶液を使用して、PMMAにおいて2%フィルムをスピンコーティングした。試料は291nmで励起され、測定のために495nmフィルタが使用された。
【0173】
光電子素子の製造及び特性化
本発明による有機分子を含む光電子素子、特にOLED素子は、真空蒸着方法によっても製造される。層が1以上の化合物を含む場合、1以上の化合物の重量百分率は%で示される。総重量百分率値は100%であるので、値が指定されていない場合、該化合物の分率は、指定された値と、100%との差と同じである。
【0174】
完全に最適化されていないOLEDは、標準方法を使用してエレクトロルミネセンススペクトルを測定し、光ダイオードによって検出された光及び電流を使用して計算された、強度及び電流に依存する外部量子効率(%)を測定して特性化される。OLED素子の寿命は、一定電流密度で動作する間、輝度の変化から抽出される。LT50値は、測定輝度が、初期輝度の50%に低減した時間に該当し、同様に、LT80は、測定輝度が、初期輝度の80%に低減した時点に該当し、LT95は、測定輝度が、初期輝度の95%に低減した時点に該当する。
【0175】
加速寿命測定が行われる(例:増大した電流密度適用)。例えば、500cd/mにおいて、LT80値は、次の式を使用して決定される:
【0176】
【数3】

ここで、Lは、印加された電流密度における初期輝度を示す。
【0177】
値は、複数のピクセル(一般的に、2~8個)の平均に該当し、当該ピクセル間の標準偏差が提供される。
【0178】
HPLC-MS
HPLC-MS分析は、MS検出器(Thermo LTQ XL)が具備されたAgilentのHPLC(1260シリーズ)で行われる。
【0179】
例えば、典型的なHPLC方法は、次の通りである。Agilent(Poroshell 120EC-C18、3.0×100mm、2.7μm HPLCカラム)から、逆相カラム3.0mm×100mm、粒子サイズ2.7μmがHPLCに使用される。HPLC-MS測定は、次の勾配により、室温(rt)で行われる。
【0180】
【表1】
【0181】
以下の0.1%のホルム酸を含む溶媒混合物を使用した:
【0182】
【表2】
【0183】
0.5mg/mL濃度の分析物溶液から、注入体積2μLを測定のために取る。
【0184】
プローブのイオン化は、陽(APCI)イオン化モードまたは陰(APCI)イオン化モードにおいて、APCI(大気圧化学イオン化)ソースを使用して行われるか、あるいはAPPI(大気圧光イオン化)ソースを使用して行われる。
【0185】
実施例1
【化19】
【0186】
実施例1は、一般合成方式及び下記によって合成された:
AAV1(46%収率)、ここで、5-ブロモ-N1,N1,N3,N3-テトラフェニル-1,3-ベンゼンジアミン(CAS 1290039-73-4)が反応物E1として使用され、(10-フェニルアントラセン-9-イル)ボロン酸(CAS 1290039-73-4)が反応物E2として使用され、及び
AAV2(2%収率)。
MS(HPLC-MS)、m/z(滞留時間):681(6.63分)。
【0187】
実施例1(トルエン内の0.005mg/mL)の最大発光(λmax)は658nmであり、半値幅(FWHM)は82nm(0.22eV)であり、フォトルミネッセンス量子収率(PLQY)は38%である。
【0188】
本発明の有機分子の追加例
【0189】
【化20】
【国際調査報告】