(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】高炭素変換効率を有する炭化水素燃料を製造するためのプロセス及びシステム
(51)【国際特許分類】
C10G 3/00 20060101AFI20241029BHJP
C10G 47/00 20060101ALI20241029BHJP
C10J 3/00 20060101ALI20241029BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20241029BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20241029BHJP
C25B 1/23 20210101ALI20241029BHJP
【FI】
C10G3/00 Z
C10G47/00
C10J3/00 Z
C25B1/04
C25B9/00 A
C25B1/23
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522703
(86)(22)【出願日】2022-09-26
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 US2022044719
(87)【国際公開番号】W WO2023064089
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524142079
【氏名又は名称】ディージー・フューエルズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】DG Fuels, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】ダーシー,マイケル シー
(72)【発明者】
【氏名】ホーナー,マイケル ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】フリークス,ロバート エル
(72)【発明者】
【氏名】フロスト,ライマン ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】サリナス,フアン フランシスコ パーシー
(72)【発明者】
【氏名】モントート,ダニエル ベンジャミン
【テーマコード(参考)】
4H129
4K021
【Fターム(参考)】
4H129AA03
4H129BA12
4H129BB07
4H129CA20
4H129DA21
4H129NA23
4K021AA01
4K021AB25
4K021BA02
4K021DC11
4K021DC13
(57)【要約】
本開示は、高い炭素変換効率でバイオマスから燃料を製造するためのプロセス及びシステムに関する。本明細書に記載のプロセス及びシステムは、構成要素、プロセスフロー、及び再循環流の特定の組み合わせを使用して、非常に低い温室効果ガス(GHG)排出量でバイオマスから炭化水素を製造するための高効率プロセスを提供する。本明細書に記載のプロセスとシステムは、構成要素の斬新な配置により、煙道ガス中にGHGが全くかほとんどない状態で、95%超の炭素変換効率を提供し、再生可能エネルギーを利用して一部の構成要素にエネルギーを供給する。本システムは、プロセスフローで生成された水及び二酸化炭素を再利用し、ナフサ及びテールガス流をシステム内の他のユニットに再循環して、炭化水素ベースの燃料を製造する合成ガスに追加変換する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素ベースの燃料を製造するためのシステムであって、
供給原料から廃棄物を除去して処理済み供給原料を製造するように構成されるバイオマス供給原料処理ユニット;
バイオマス供給原料処理ユニットと連通するガス化ユニットであって、処理された供給原料を二酸化炭素、一酸化炭素、及び水素を含む合成ガスに変換するように構成される前記ガス化ユニット;
前記ガス化ユニットの下流にある反応器であって、前記合成ガスの一部の変換を促進し、COに対する水素の適切な比率を生成するために適切な条件で運転される前記反応器;
前記反応器と連通するスクラバーであって、前記合成ガスから二酸化炭素を除去し、少なくとも1.5:1の水素/一酸化炭素比を有する精製合成ガスを生成する前記スクラバー;
前記精製合成ガスを受け入れるためのフィッシャー・トロプシュ反応器であって、前記精製合成ガスをフィッシャー・トロプシュ液、水、及びテールガスに変換する前記フィッシャー・トロプシュ反応器;及び
前記フィッシャー・トロプシュ反応器から水を受け取るように構成される電気分解ユニットであって、前記水を酸素流及び水素流に変換する前記電気分解ユニット;
を含み、
前記酸素流の一部が、ガス化ユニット、反応器、またはそれらの組み合わせに再循環され、
少なくとも90%の供給原料の炭素変換を達成する、前記システム。
【請求項2】
逆水性ガスシフト反応器をさらに含み、前記スクラバーで前記合成ガスから除去された二酸化炭素の一部が前記逆水性ガスシフト反応器に再循環される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電気分解ユニットにより生成された前記水素流の一部が、前記逆水性ガスシフト反応器に供給され、前記逆水性ガスシフト反応器が、前記フィッシャー・トロプシュ反応器に供給される一酸化炭素を生成するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記合成ガス流及び前記水素流が、前記フィッシャー・トロプシュ反応器に供給される前に加圧される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記フィッシャー・トロプシュ反応器からの前記テールガスが前記反応器に再循環される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記フィッシャー・トロプシュ液を燃料に改良するように構成される水素化分解ユニット、分別ユニット、異性化ユニット、またはそれらの組み合わせをさらに含み、前記水素化分解ユニットの副生成物はテールガスを含み、前記分別ユニットの副生成物はナフサを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記テールガス、ナフサ、またはその両方が前記反応器に再循環される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記システムによって生成される任意の煙道ガスを洗浄するように構成される煙道ガススクラバーをさらに含み、前記反応器が乾式改質器である、請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
二酸化炭素処理・圧縮システムをさらに含み、前記スクラバー及び前記煙道ガススクラバーから生成された二酸化炭素が、前記二酸化炭素処理・圧縮システムで処理されて精製二酸化炭素流を生成し、前記精製二酸化炭素流が、前記乾式改質器、前記逆水性ガスシフト反応器、CO
2電気分解ユニット、またはそれらの組み合わせに再循環される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記供給原料が、鉄道の枕木、グリースウッド、トウモロコシの茎葉、果樹園の剪定枝、森林の間伐材、スラッシュ、スイッチグラス、木材チップ、リグニン、及びセルロース系材料のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記供給原料が木質バイオマスを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
天然ガス供給原料を合成ガスに変換するように構成される予備改質器及び自己熱改質器をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記システムから除去された二酸化炭素及び水の一部を、一酸化炭素及び水素に変換するように構成されるCO
2電気分解ユニットをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
炭化水素ベースの燃料を製造するためのプロセスであって、
バイオマス供給原料をガス化し、二酸化炭素、水素、一酸化炭素を含む合成ガス流を生成するステップ;
前記合成ガス流を改質して水素富化合成ガス流を生成するステップ;
分離ユニットで前記水素富化合成ガス流から二酸化炭素を分離し、二酸化炭素流及び少なくとも1.5:1の水素/一酸化炭素比を有する精製合成ガス流を生成するステップ;
前記精製合成ガスを追加の水素で濃縮するステップ;
前記精製合成ガス流及び前記水素富化合成ガス流をフィッシャー・トロプシュ反応器で反応させ、フィッシャー・トロプシュ液、水、及びテールガスを生成するステップ;
前記フィッシャー・トロプシュ反応器からの前記水の一部を電気分解ユニットに再循環するステップ;及び
前記電気分解ユニットで前記水を電気分解し、酸素流と水素流とを生成するステップ;
を含む、前記プロセス。
【請求項15】
前記分離ユニットから生成された前記二酸化炭素流を精製して精製二酸化炭素流を生成し、前記精製二酸化炭素流を前記改質ステップに再循環することをさらに含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記酸素流の一部及び前記水素流の一部を、前記ガス化ステップ、前記改質ステップ、またはそれらの組み合わせに再循環することをさらに含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項17】
前記水素流の一部と前記精製二酸化炭素流の一部を逆水性ガスシフト反応器に再循環して一酸化炭素を製造することをさらに含む、請求項15に記載のプロセス。
【請求項18】
改質ユニットで天然ガスを処理して、前記フィッシャー・トロプシュ反応器に供給される第2の合成ガス流を生成することをさらに含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項19】
前記電気分解ユニットが、太陽エネルギー、風力エネルギー、水力エネルギー、原子力エネルギー、または潮力エネルギーによって駆動される、請求項14に記載のプロセス。
【請求項20】
前記フィッシャー・トロプシュ反応器からの前記水を処理して精製水を製造することをさらに含み、前記精製水が前記電気分解ユニットで電気分解される、請求項14に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月15日に出願された米国仮出願第63/256,264号の利益と優先権を主張するものであり、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、再生可能な供給原料を処理して炭化水素ベースの燃料を製造するためのプロセス及びシステムに関する。より具体的には、本開示は、構成要素及びプロセスフローの特定の組み合わせを使用して、温室効果ガス(GHG)排出量が非常に少ない状態で、バイオマスから炭化水素ベースの燃料を製造するための高効率プロセスを提供する。
【背景技術】
【0003】
石油エネルギー源への依存を低減し、温室効果ガスの排出を削減するため、液体燃料を生産する石油を使用しない代替プロセスを探求する研究がいくつか行われてきた。これらの代替研究には、バイオマス、石炭、及び合成ガス(synthesis gas)(「合成ガス(syngas)」)中間体を使用した天然ガスからの、合成液体炭化水素の生産が含まれる。これらのエネルギープロセスは、国内で入手可能な炭素ベースのエネルギー源から液体燃料を生産する能力を持つため、実行可能な選択肢として浮上してきた。しかし、これらの合成プロセスに共通する特徴は、システムから排出される大量のCO2である。
【0004】
天然ガス供給材料を合成ガスに変換する従来のプロセスには、通常、自己熱改質または水蒸気メタン改質が含まれる。天然ガスまたはバイオマス供給材料を液体燃料に変換することは、それぞれ天然ガス液化(GTL)及びバイオマス液化(BTL)と呼ばれる。一般的なプロセスには、供給材料、例えばバイオマス及び/または天然ガスを、フィッシャー・トロプシュプロセスによって液体炭化水素に変換するための合成ガス(synthesis gas)(「合成ガス(syngas)」、H2及びCOを含む)の混合物に変換することが含まれる。液体炭化水素は、続いて、例えば蒸留、水素化分解及び/または異性化を経て改良され、最終製品(例えばディーゼル、または合成石油灯油(SPK))を形成する。両方の供給材料の合成ガスへの変換ステップにおいて、中間処理ステップは、最終燃料製品を製造するためのFT触媒プロセスにとって有害となり得る不純物及び過剰CO2を除去する。特に懸念されるのは、H2S、COS、SO2、またはメルカプタンなどの硫黄含有化合物で、それは硫黄がFT触媒を不可逆的に失活させるからである。H2O及びCO2などの他の望まれない汚染物質も、一次合成反応物(例えば、H2及びCO)の希釈、及び/または活性金属の酸化による一時的な不活性化を介して、FT触媒の性能に影響を及ぼし得る。H2OはFT反応の生成物の一つであるため、水の存在は所望の炭化水素生成物の形成のための化学平衡に影響を与える。炭素効率(供給炭素に対する生成炭素の比率)を最適化するために、いくつかの再循環ループがプロセス構成に追加される。
【0005】
炭化水素合成における主要な関心事は、供給原料からの投入炭素を最大限に利用すること、すなわち、環境排出、主にCO2排出及び微量汚染物質の処理に必要とされる生成水を許容可能にしたまま、許容可能な量のエネルギー(供給源は問わない)を使用しつつ、できるだけ多くの原料炭素を製品炭素に変換することにある。現在、CO2の回収及び隔離は、隔離されることになるCO2の捕捉及び圧縮のための追加エネルギーと、CO2排出量の削減との間のトレードオフに基づいている。しかし、CO2排出量を削減するためのこれらの追加処理ステップは、追加のエネルギー及び資源を必要とするため、実質的にエネルギー消費量が増加し、追加のCO2が捕捉・隔離されるにつれて、炭化水素合成プロセスに非効率性をもたらす。前述の捕捉、加圧及び隔離はエネルギーを利用するため、これらのステップも温室効果ガスの排出を増加させることができ、それによって、隔離から得られる利益の一部を相殺することになる。
【0006】
以上のことから、炭化水素ベースの燃料を製造するプロセスから排出される炭素の変換を最適化し、CO2を削減及び/または除去する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0007】
本開示の対象となる実施形態は、この発明の概要ではなく、特許請求の範囲によって定義される。この発明の概要は、本発明の様々な態様の高レベルの概要であり、以下の「発明を実施するための形態」の節でさらに説明される概念の一部を紹介するものである。この発明の概要は、特許請求される主題の重要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を決定するために単独で使用することを意図したものでもない。本主題は、本明細書全体、任意のまたはすべての図面、及び各請求項の適切な部分を参照することにより理解されるべきである。
【0008】
いくつかの実施形態では、本開示は、炭化水素ベースの燃料を製造するためのシステムを提供する。本システムは、供給原料から廃棄物を除去して処理済み供給原料を生成するように構成されたバイオマス供給原料処理ユニット;バイオマス供給原料処理ユニットと連通するガス化ユニットであって、処理済み供給原料を、二酸化炭素、一酸化炭素、及び水素を含む合成ガスに変換するように構成されたガス化ユニット;ガス化ユニットの下流にある反応器であって、合成ガスの一部の変換を促進し、COに対する水素の適切な比率を生成するための適切な条件で運転される反応器;改質器と連通するスクラバーであって、合成ガスから二酸化炭素を除去し、少なくとも1.5:1の水素:一酸化炭素比を有する精製合成ガスを生成するスクラバー;精製合成ガスを受け入れるためのフィッシャー・トロプシュ反応器であって、精製合成ガスをフィッシャー・トロプシュ液、生成水、及びテールガス(または排ガス、tail gas)に変換するフィッシャー・トロプシュ反応器;生成水を電気分解のために精製する水精製システム;及びフィッシャー・トロプシュ反応器から精製生成水を受け入れるように構成された電気分解ユニットであって、精製生成水を酸素流及び水素流に変換する電気分解ユニットを備える。電気分解ユニットから生成された酸素流の一部は、ガス化ユニット、メタン改質器、またはそれらの組み合わせに再循環される。本システムは、少なくとも90%の供給原料の炭素変換を達成する。いくつかの実施形態では、本システムは逆水性ガスシフト反応器を含む。スクラバーで合成ガスから除去された二酸化炭素の一部が、逆水性ガスシフト反応器に再循環される。いくつかの実施形態では、電気分解ユニットによって生成された水素流の一部が、逆水性ガスシフト反応器に供給される。逆水性ガスシフト反応器は、フィッシャー・トロプシュ反応器に供給される一酸化炭素を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、合成ガス流と水素流は、フィッシャー・トロプシュ反応器に供給される前に加圧される。いくつかの実施形態では、フィッシャー・トロプシュ反応器からのテールガスは、改質器に再循環される。いくつかの実施形態では、本システムは、フィッシャー・トロプシュ液を様々な燃料に改良するように構成される、水素化分解ユニット、分別ユニット、またはその組み合わせを含み、水素化分解ユニットの副生成物はテールガスを含み、分別ユニットの副生成物はナフサを含む。いくつかの実施形態では、テールガス、ナフサ、またはその両方が、改質器に再循環される。いくつかの実施形態では、本システムは、システムによって生成された任意の煙道ガスを洗浄する(scrub)ように構成された煙道ガススクラバーを含む。いくつかの実施形態では、本システムは、二酸化炭素処理圧縮システムを含み、スクラバー及び煙道ガススクラバーから生成された二酸化炭素が二酸化炭素処理圧縮システムで処理されて、精製二酸化炭素流を生成し、精製二酸化炭素流は、改質器、逆水性ガスシフト反応器、CO2電気分解ユニット、またはそれらの組み合わせに再循環される。いくつかの実施形態では、供給原料は、鉄道の枕木、グリースウッド(greasewood)、トウモロコシの茎葉(corn stover)、果樹園の剪定枝(orchard prunings)、森林の間伐材(forest thinnings)、スラッシュ(slash)、スイッチグラス(switch grass)、木材チップ、リグニン(lignin)、及びセルロース系材料のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、供給原料は木質バイオマスを含む。いくつかの実施形態では、本システムは、天然ガス供給原料を合成ガスに変換するように構成された、予備改質器、及び、自己熱改質ユニットまたは水蒸気メタン改質器を含む。いくつかの実施形態では、本システムは、システムから回収されたCO2を一酸化炭素及びO2に変換するように構成された、CO2電気分解ユニットを含む。いくつかの実施形態では、CO2電気分解からのO2は、ガス化炉、反応器(例えば改質器)、またはそのプロセスでO2を使用するシステム内の他のユニットに送られてよい。一酸化炭素が、フィッシャー・トロプシュ反応器に送られてよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、本開示は、炭化水素ベースの燃料を製造するためのプロセスを提供する。本プロセスは、バイオマス供給原料をガス化して、二酸化炭素、水素、及び一酸化炭素を含む第1の粗合成ガス流を生成すること;第1の粗合成ガス流を改質して、水素富化合成ガス流を生成すること;分離ユニットにおいて水素富化合成ガス流から二酸化炭素を分離して、二酸化炭素流及び少なくとも1.5:1の水素対一酸化炭素比を有する精製合成ガス流を生成すること;精製合成ガス流を、水の電気分解を介して得られる追加の水素で濃縮すること;精製合成ガス流と水素濃縮合成ガス流を、フィッシャー・トロプシュ反応器中で反応させ、フィッシャー・トロプシュ液、水、及びテールガスを生成すること;フィッシャー・トロプシュ反応器から生成された水の一部を、水精製ステップに、そしてその次に電気分解ユニットに再循環すること;及び電気分解ユニットにおいて精製水を電気分解して、酸素流及び水素流を生成することを含む。いくつかの実施形態では、本プロセスは、分離ユニットから生成された二酸化炭素流を精製して、精製二酸化炭素流を生成することを含む。いくつかの実施形態では、本プロセスは、精製された二酸化炭素流を「乾式」改質ユニット、逆水性ガスシフト反応器、またはそれらの組み合わせに再循環することを含む。いくつかの実施形態では、本プロセスは、酸素流の一部及び水素流の一部を、ガス化ステップ、乾式改質ステップ、フィッシャー・トロプシュ反応器、またはそれらの組み合わせに再循環することを含む。いくつかの実施形態では、本プロセスは、水素流の一部及び精製された二酸化炭素流の一部を逆水性ガスシフト反応器に再循環して一酸化炭素を生成し、フィッシャー・トロプシュ反応器中の合成ガスを増強し、炭素利用率を増加させ、追加のフィッシャー・トロプシュ液を生成することを含む。いくつかの実施形態では、本プロセスは、逆水性ガスシフト反応器から生成された一酸化炭素をフィッシャー・トロプシュ反応器に供給して、フィッシャー・トロプシュ反応器への合成ガスを増強し、追加のフィッシャー・トロプシュ液を生成することを含む。いくつかの実施形態では、本プロセスは、改質器で天然ガスを処理し、フィッシャー・トロプシュ反応器に供給される第2の合成ガス流を生成することを含む。いくつかの実施形態では、電気分解ユニットは、太陽エネルギー、風力エネルギー、水力エネルギー、オフピークグリッド電力、原子力、または潮力エネルギーによって電力を供給される。いくつかの実施形態では、バイオマス供給原料は、鉄道の枕木、グリースウッド、トウモロコシの茎葉、果樹園の剪定枝、森林の間伐材、スラッシュ、スイッチグラス、木材チップ、リグニン、及びセルロース系材料のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、本プロセスは、フィッシャー・トロプシュ反応器から生成された水を処理してボイラー品質の供給水を生成することを含み、ボイラー品質の供給水は電気分解ユニットで電気分解される。
【0010】
さらなる態様、目的、利点は、後に続く詳細な説明と図を考慮すれば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による炭化水素燃料を製造するシステムの概略図を示す。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態による、CO
2電気分解ユニットと統合された炭化水素合成プロセスの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
緒言
本開示は、バイオマス(例えば、林業廃棄物、鉄道の枕木、グリースウッド、藻類、農業廃棄物、都市廃棄物など)及び再生可能水素供給原料から、燃料(例えば、液体ジェット燃料及び/またはディーゼル燃料)を製造するためのプロセス及びシステムに関する。いくつかの実施形態では、バイオマスは、鉄道の枕木、グリースウッド、トウモロコシの茎葉、果樹園の剪定枝、森林の間伐材、スラッシュ、スイッチグラス、木材チップ、リグニン、及び/またはセルロース系材料のうちの1つ以上を含む。例えば、森林廃棄物及び残渣を燃料生産に使用することができ、これらは通常、二酸化炭素排出量が最も少ない廃棄物原料として扱われる。具体的には、本明細書に記載のプロセス及びシステムは、本明細書に記載の構成要素とプロセスフローの特定の組み合わせを使用して、バイオマス及び再生可能な水素及び/または天然ガスから炭化水素を、温室効果ガス(GHG)排出量が非常に少ない状態で製造するための、炭素利用率の高い高効率プロセスを提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセス及びシステムは、再生可能水素の添加、ならびに構成要素及びプロセスフローの新規な配置により、煙道ガス中にGHGが全くかほとんどない状態で、95%を超える炭素変換効率を提供する。例えば、本システムは、プロセスフローで生成された水及び二酸化炭素を有益に再利用し、ナフサ及びテールガスの流れを、炭化水素ベースの燃料を製造するための合成ガスへの追加変換のために、システム内の他のユニット(例えば、部分酸化改質器及び/またはバイオマスガス化器)に再循環する。
【0013】
液体炭化水素に変換するための合成ガス(例えば、H2及びCO)を製造する従来のプロセスは、大量のエネルギーを消費するCO2及び水(例えば、廃水)の除去プロセスを伴うため、本質的に非効率的である。実際、これらのプロセスは、CO2を変換または除去するために、さらなるエネルギー及び資源を必要とするため、プロセスに非効率性及びGHG排出を追加することになる。このような従来のプロセスでは、供給原料を炭化水素ベースの燃料に効果的に変換しない。なぜなら、CO2を変換または除去するために、また炭化水素合成プロセスで生成される水を再循環するために、大量のエネルギーが必要となり、その結果、大量の追加排出が発生するからである。
【0014】
本明細書に記載のように、本明細書に記載のプロセス及びシステムは、構成要素及びプロセスフローの新規な配置、ならびに任意選択で再生可能な水素の添加により、GHGが非常に少ないままで、予想外に高い炭素変換効率を達成する。いくつかの実施形態では、記載されるプロセス及びシステムは、供給原料を一酸化炭素、二酸化炭素、及び水素を含む合成ガス(synthesis gas)(「合成ガス(syngas)」)に変換し、そして、合成ガスがフィッシャー・トロプシュ工程を使用して炭化水素燃料に変換される、ガス化プロセスを提供する。本プロセスは、バイオマスをガス化ユニットで処理して第1の粗合成ガス流を形成すること、合成ガス流を反応器(例えば、改質器、水性ガスシフト反応器、または逆水性ガスシフト反応器)で処理して、水素、一酸化炭素、及び二酸化炭素を含む第2の合成ガス流を生成すること、分離ユニットにおいて、第1及び第2の粗合成ガス流のいずれか一方または両方から二酸化炭素を分離して、二酸化炭素流、及びCO2を実質的に含まない合成ガス流を形成すること、二酸化炭素流を精製すること、並びに精製された二酸化炭素を乾式改質器に再循環することを含んでよい。本プロセスは、合成ガス流をフィッシャー・トロプシュ反応器で反応させて炭化水素生成物と水を生成することを含んでよい。いくつかの実施形態では、本プロセスは、生成水を精製すること、並びに精製された水及び/または二酸化炭素を電気分解ユニットで電気分解して、水素及び/または一酸化炭素を生成することを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、本プロセスは、電気分解ユニットからの水素及びCO2を逆水性ガスシフト反応器に供給することによって、二酸化炭素を変換して合成ガスを形成することを含む場合がある。いくつかの実施形態では、フィッシャー・トロプシュ反応器において生成された炭化水素ベースの燃料は、水素化分解ユニット及び/または分別ユニットで改良される。フィッシャー・トロプシュ反応器は、一次生成物として合成パラフィン系灯油及び/またはディーゼル燃料を生成することができ、副生成物として生成されるテールガス及び/またはナフサなどの軽留分は、ガス化ユニットまたは反応器(例えば、改質器)に再循環される。これらの具体的なプロセスステップの組み合わせは、再生可能な水素の添加と相まって、通常排出されるはずの出力流が、追加の合成ガスを生成するために再循環されるため、高い炭素変換効率を有するプロセスを提供する。
【0016】
さらに、本開示は、電気分解ユニットを用いて二酸化炭素及び生成水を合成ガスに変換するためのプロセス及びシステムを提供する。いくつかの実施形態では、本システムは、高温共電気分解ユニット(HTCE)を含む。HTCEユニットは、CO2及びH2Oを電気分解して、追加の合成ガスに変換するように構成され得る。HTCEユニットは、CO2及び水(例えば、フィッシャー・トロプシュ反応器からの生成水)を、追加の炭化水素を生産するために使用できる追加の合成ガスに変換することができる。例えば、本システムは、HTCEユニットを利用して、炭化水素合成プロセスから排出されるCO2を、同じプロセスから発生する水と組み合わせて、合成ガスに変換する。HTCEユニットから生産される合成ガスは、フィッシャー・トロプシュ合成を経て、より多くの炭化水素ベースの燃料を生産することもできる。さらに、追加の合成ガスへの変換(共電気分解経由)のための追加エネルギーは、非炭素ベースの電源(例えば、グリーンエネルギー源)から供給することができ、それは、CO2の変換に伴う全体的なGHG排出量の削減をもたらす。
【0017】
本明細書に記載のシステム及びプロセスは、バイオマス由来の合成ガスを濃縮するために再生可能な水素を組み込むことによって、ならびに廃棄物流及び副産物を再利用して、変換されたバイオマス単位当たり、より多くの炭化水素ベースの燃料を生産することにより、CO2排出量を大幅に削減することができる。いくつかの実施形態では、本システムは、生成水及びCO2を水素、一酸化炭素、及び酸素に変換するHTCEユニット、水素、酸素、及びCO2を合成ガスに変換する(逆)水性ガスシフト反応器、またはそれらの組み合わせを含む場合がある。本明細書に記載のシステム及びプロセスは、最終液体燃料製品に関連する有用な製品炭素への、供給原料の高い変換率を提供することにより、プロセスの全体的な炭素効率に有益に寄与する。有利なことに、プロセスに供給される生物起源炭素の単位当たりより多くの液体燃料が生成されるため、CO2及び生成水を合成ガスに変換するための追加エネルギーは、プロセスの炭素効率の改善によって相殺される。いくつかの実施形態では、CO2及び生成水を合成ガスにHTCE変換するための追加エネルギーは、グリーンエネルギー源、例えば太陽エネルギー、風力発電、水力発電などから供給される。グリーンエネルギー源を利用することで、直接電気分解によってCO2及び水を変換する際に、CO2の排出が追加されることはない。いくつかの実施形態では、本プロセスは、好ましくは高効率のHTCE電気分解(電力効率95%超)を通じてグリーンエネルギーを使用するが、システムの残りの部分から利用可能な熱に応じて、より高い効率が得られる可能性がある。CO2及び生成水は、両方とも炭化水素合成プロセスからの不要な副生成物であるが、合成ガスに変換され、その後、追加の炭化水素燃料に処理される。
【0018】
さらに、本明細書に記載のプロセス及びシステムは、再生可能エネルギーを利用し、また、副産物(例えば、生成水及び炭酸ガス)を変換して、生物起源炭素変換効率を最大化し、かつ、生成水を利用して排出される生成物を低減することにより、環境へのGHGの影響を低減する持続可能な経路を提供する。さらに、本明細書に記載のプロセス及びシステムは、従来の合成燃料プラントの運転に選択された主要な天然ガス原料の代わりに、他の非食品バイオマス供給原料を導入する。本プロセスの炭素及び生成水の使用に関する利点に加えて、低コストの生物起源炭素のこれらの代替供給源の使用の潜在力は、長期的な天然ガスの不確実な価格設定、及び場所特有の代替非食品バイオマス原料の利用可能性を考慮すると、価値がある可能性がある。
【0019】
いくつかの実施形態では、本開示は、炭化水素ベースの燃料を製造するためのシステムを提供する。本システムは、バイオマス供給原料処理ユニットを含む。バイオマス供給原料処理ユニットは、供給原料から廃棄物を除去し、制御された物理的特性を伴うが故に燃焼またはガス化に適した調整された供給原料を生成するように構成される。本システムは、バイオマス供給原料処理ユニットと連通するガス化ユニットを含む。ガス化ユニットは、処理された供給原料を粗合成ガスに変換するように構成される。粗合成ガスは、タール及び揮発分とともに、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、及び窒素を含む。純粋な酸素が利用されるいくつかの実施形態では、粗合成ガスは窒素を含まない場合がある。本システムは、ガス化ユニットの下流に反応器を含む。反応器は、逆水性ガスシフト反応のための熱力学的に有利な運転条件を考慮して、限られたCO2濃度で、水素のCOに対する適切な比率を生成するために、一部の合成ガスの変換を促進する適切な条件で運転される。いくつかの実施形態では、本システムは、水素富化合成ガスを冷却するための熱回収蒸気発生(HRSG)システムを含む場合がある。本システムは、合成ガスから二酸化炭素を除去して、少なくとも1.5:1の水素対一酸化炭素比を有する精製合成ガスを生成するように構成される、酸性ガススクラバーを含む場合がある。いくつかの実施形態では、精製合成ガスは、水素富化流、好ましくは再生可能エネルギーを動力源とする水電気分解によって得られるグリーン水素と組み合わせることによってさらに濃縮され、H2/COの比を少なくとも2:1に増加させる。こうして得られた水素富化合成ガスは、フィッシャー・トロプシュ反応器に送られ、そこで、フィッシャー・トロプシュ反応器は、精製合成ガスをフィッシャー・トロプシュ液、水、及びテールガスに変換する。フィッシャー・トロプシュ反応器からの生成水は、システムからの他の水パージと合わせて、ゼロ排出と最小限の取水量補填要求量を実現する水処理ユニット、次いで精製水の一部を酸素流と水素流に変換する電気分解ユニットで処理され得る。電気分解ユニットから生成された酸素流の一部または全部は、ガス化ユニット、自己熱改質器、またはそれらの組み合わせに再循環される。いくつかの実施形態では、本システムは逆水性ガスシフト反応器を含む。スクラバーで合成ガスから除去された二酸化炭素の一部が、逆水性ガスシフト反応器に再循環される。いくつかの実施形態では、水素流の一部が逆水性ガスシフト反応器に供給される。逆水性ガスシフト反応器は、フィッシャー・トロプシュ反応器に供給される一酸化炭素を生成するように構成される。あるいは、水蒸気と組み合わされた前記の除去された二酸化炭素の一部は、CO2電気分解ユニットで、追加のH2:CO比の合成ガスに変換され得る。構成にもよるが、本システムは、少なくとも65%、最大で95%までの供給原料の液体燃料製品への炭素変換率を達成することができる。いくつかの実施形態では、合成ガス流及び水素流は、フィッシャー・トロプシュ反応器に供給される前に加圧される。いくつかの実施形態では、フィッシャー・トロプシュ反応器からのテールガスは、改質器に再循環される。いくつかの実施形態では、本システムは、フィッシャー・トロプシュ液体を燃料に改良するように構成される水素化分解ユニット、分別ユニット、異性化ユニット、及びその他の炭化水素プロセス、またはそれらの組み合わせを含み、水素化分解ユニットの副生成物はテールガスを含み、分別ユニットの副生成物はナフサを含む。いくつかの実施形態では、テールガス、ナフサ、またはその両方が、改質器に再循環される。いくつかの実施形態では、本システムは、システムによって生成された任意の煙道ガスを洗浄するように構成される煙道ガススクラバーを含む。いくつかの実施形態では、本システムは、二酸化炭素の処理及び圧縮システムを含み、スクラバー及び煙道ガススクラバーから生成される二酸化炭素が、二酸化炭素処理及び圧縮システムで処理されて、精製された二酸化炭素流を生成し、精製された二酸化炭素流は、改質器、逆水性ガスシフト反応器、高温共電気分解ユニット、またはそれらの組み合わせに再循環される。いくつかの実施形態では、供給原料は、鉄道の枕木、グリースウッド、トウモロコシの茎葉、果樹園の剪定枝、森林の間伐材、スラッシュ、スイッチグラス、木材チップ、リグニン、及びセルロース系材料のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、供給原料は木質バイオマスを含む。いくつかの実施形態では、本システムは、天然ガス供給原料を合成ガスに変換するように構成される予備改質器及び自己熱改質ユニットを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、本開示は、炭化水素ベースの燃料を製造するためのプロセスであって、バイオマス供給原料をガス化して、タール及び揮発分と一緒に、二酸化炭素、一酸化炭素、及び水素を含む粗合成ガス流を生成すること、粗合成ガス流を改質して、水素富化合成ガス流を生成すること、分離ユニットで水素富化合成ガス流から二酸化炭素を分離して、二酸化炭素流及び少なくとも1.5:1の水素対一酸化炭素比を有する精製合成ガス流を生成すること、一酸化炭素に対する水素の比が少なくとも2.1になるまで精製合成ガス流を濃縮するように、精製合成ガス流を再生可能な供給源由来の水素と混ぜ合わせること、フィッシャー・トロプシュ反応器中で精製合成ガス流と水素富化合成ガス流を反応させて、フィッシャー・トロプシュ液、水、及びテールガスを生成すること、フィッシャー・トロプシュ反応器から生成される水を、ゼロ排出水処理ユニットに再循環すること、並びに電気分解ユニットで精製水を電気分解して、酸素流及び水素流を生成することを含むプロセスを提供する。いくつかの実施形態では、本プロセスは、分離ユニットから生成される二酸化炭素流を精製して、精製二酸化炭素流を生成することを含む。いくつかの実施形態では、本プロセスは、精製された二酸化炭素流を、ガス化ステップ、改質ステップ、またはそれらの組み合わせに再利用することを含む。いくつかの実施形態では、本プロセスは、酸素流の一部及び水素流の一部を、ガス化ステップ、改質ステップ、またはそれらの組み合わせに再循環することを含む。いくつかの実施形態では、本プロセスは、水素流の一部及び精製された二酸化炭素流の一部を、逆水性ガスシフト反応器及び/またはCO2電気分解ユニットに再循環することを含む。いくつかの実施形態では、逆水性ガスシフト反応器及び/またはCO2電気分解ユニットからの生成物(例えば、一酸化炭素)を、合成ガスをフィッシャー・トロプシュ液体に変換するために、フィッシャー・トロプシュ反応器に供給する場合がある。いくつかの実施形態では、本プロセスは、改質器で天然ガスを処理して、フィッシャー・トロプシュ反応器に供給される第2の粗合成ガス流を生成することを含む。いくつかの実施形態では、電気分解ユニットは、太陽エネルギー、風力エネルギー、水力エネルギー、原子力エネルギー、または潮力エネルギーによって駆動される。いくつかの実施形態では、バイオマス供給原料は、鉄道の枕木、グリースウッド、トウモロコシの茎葉、果樹園の剪定枝、森林の間伐材、スラッシュ、収穫残渣、スイッチグラス、木材チップ、リグニン、及びセルロース系材料のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、本プロセスは、フィッシャー・トロプシュ反応器から生成される水を処理して、ボイラー品質の供給水を生成することを含み、そこにおいて、ボイラー品質の供給水は、電気分解ユニットで電気分解される。いくつかの実施形態では、フィッシャー・トロプシュ反応器からの水は、炭化水素及びアルコール酸塩を除去するために処理される。
【0021】
定義及び説明
本明細書において使用される場合、「発明」、「本発明(the invention)」、「本発明(this invention)」及び「本発明(the present invention)」という用語は、本特許出願の主題及び以下の特許請求の範囲のすべてを広く指すことを意図している。これらの用語を含む記述は、本明細書に記載の主題を限定するものではなく、また以下の特許請求の範囲の意味または範囲を限定するものでもないと理解すべきである。
【0022】
本明細書において使用される場合、「a」、「an」、または「the」の意味は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、単数形及び複数形を含む。
【0023】
本明細書において使用される場合、「炭素変換効率」は、炭化水素燃料に変換される供給原料中の炭素含有量を指す。
【0024】
本明細書において使用される場合、「ユニット」は、システムの一部を指し、例えば、ユニット操作、システム、またはユニット操作群を含み得る。
【0025】
本明細書において使用される場合、「流」は、ある場所から別の場所に、直接的または間接的に移動する任意の流体または固体を指す。
【0026】
本明細書において使用される場合、「合成ガス」は、一酸化炭素、水素、二酸化炭素、及び場合によっては他の成分(限定はしないが、水蒸気、硫黄含有化合物または窒素含有化合物、メタン及び他のアルカン、炭化水素、酸性ガス、ハロゲン、微粒子など)の組み合わせを含み得る。
【0027】
本明細書において使用される場合、「室温」の意味は、約15℃~約30℃、例えば約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、または約30℃の温度を含むことができる。
【0028】
本明細書で開示されるすべての範囲は、両端点及びそこに包含されるあらゆる小範囲を包含するものと理解されたい。例えば、「1~10」の表明された範囲は、最小値1と最大値10との間(及びそれを包含する)あらゆる部分範囲、すなわち、最小値1以上、例えば1~6.1で始まり、最大値10以下、例えば5.5~10で終わるすべての部分範囲を含むと考えられるべきである。
【0029】
プロセス構成
図1は、本開示のいくつかの実施形態による、炭化水素燃料を製造するためのシステムの概略図を示す。システム100は、高い炭素変換効率で炭化水素ベースの燃料を製造するための、全体的なシステムを提供する。システム100は、バイオマス及び任意選択で天然ガスを、合成ガス(synthesis gas)(「合成ガス(syngas)」)に変換するための連続プロセスを提供する。合成ガスは、最終的に、フィッシャー・トロプシュプロセスを利用した炭化水素合成、及び任意選択で燃料改良を経て、炭化水素ベースの燃料、例えばジェット燃料に変換される。上述したように、バイオマスの液体への変換はしばしば「BTL」と呼ばれ、天然ガスの液体への変換はしばしば「GTL」と呼ばれる。いくつかの態様では、本システムはBTLとGTLプロセスの両方を組み込んで合成ガスを製造する。
【0030】
いくつかの実施形態では、システム100は、供給原料105(例えば、バイオマス)を炭化水素ベースの燃料に変換するように構成され得る。システム100は、供給原料処理ユニット110を含む場合がある。供給原料105は、供給原料処理ユニット110に供給される場合がある。いくつかの実施形態では、供給原料処理ユニット110は、バイオマス原料処理ユニットであり得る。供給原料処理ユニット110は、追加処理のために原料から材料を分離するように構成される。いくつかの実施形態では、供給原料処理ユニット110は、供給原料の物理的特性、すなわちその含水率及び最大粒径を調整するように構成されるとともに、追加処理のために供給原料から不要な材料を分離するように構成される。例えば、非生物由来の炭素材料及び非炭素質材料(例えば、廃棄物)は、供給原料から除去され得る。供給原料処理ユニット110において、廃棄物は、プロセスに有用でない材料、またはプロセスの効率を低下させる可能性のある材料を除去するために、寸法を測られ、分離され、処理される場合がある。例えば、供給原料処理ユニット110は、金属、無機材料、及びその他の材料を除去し、処理済み供給原料115を製造する。
【0031】
いくつかの実施形態では、供給原料の大部分は、バイオマス(例えば、鉄道の枕木または別のセルロース系材料)、及び任意で少量の天然ガスを含む。いくつかの実施形態では、バイオマス供給原料は、トウモロコシ茎葉、バガス(bagasse)、スイッチグラス、森林間伐材、スラッシュ、木材チップ、リグニン、または他の炭水化物、セルロース系材料、またはそれらの組み合わせを含む場合がある。いくつかの実施形態では、バイオマスは、鉄道の枕木、グリースウッド、トウモロコシ茎葉、森林間伐材、スラッシュ、または果樹園の剪定枝のうちの1つ以上を含む場合がある。
【0032】
システム100は、処理された供給原料115を受け取るガス化ユニット120を含む場合がある。ガス化ユニット120は、バイオマスガス化ユニットであり得る。ガス化ユニット120は、処理された供給原料115を粗合成ガス流125に変換する。例えば、ガス化ユニット120は、水蒸気改質、炭素酸化、またはガス化、及び炭化水素改質の1つまたは複数のステップによって、処理されたバイオマスを粗合成ガス流125に変換する。ガス化ユニット120から生成される粗合成ガス流125は、一酸化炭素、水素、二酸化炭素、アルゴン、窒素、タール、及び揮発分を含み得る。
【0033】
システム100は、粗合成ガス流125に含まれるメタン及び他の炭化水素を酸素含有ガスで部分酸化するための、高温無触媒改質ユニット130を含む場合がある。生成される粗合成ガス流125は、高生物起源含有合成ガスである。いくつかの実施形態では、改質ユニット130は、部分酸化改質器、水蒸気改質器、自己熱改質器、またはそれらの組み合わせを含む(ただし、他の種類の改質器も使用可能である)。いくつかの実施形態では、改質ユニット130は、低温分離、圧力スイング吸収、膜分離(例えば、イオン輸送膜、ITM)、及びそれらの組み合わせを使用して空気から分離された酸素を利用する。場合によっては、部分酸化改質器は、空気、酸素富化空気、純酸素、及びそれらの組み合わせを含む群から選択される酸化性ガスを利用する。改質ユニット130に供給される酸素は、不要成分(例えば、空気からの窒素)を濾過するのに必要なエネルギー量を低減するために、純酸素とすることができる。いくつかの実施形態では、改質ユニット130に供給される酸素は、さらに後述するように、水電気分解ユニット155から供給される。いくつかの実施形態では、改質ユニット130からの廃熱は、廃熱回収ユニットで回収され、改質ユニット130またはシステム100内の他のユニットで再利用することができる。いくつかの実施形態では、改質ユニット130からの処理された合成ガス流135は、グリーン水素または再生可能水素と組み合わされてフィッシャー・トロプシュ反応器に供給される前に、合成ガスをさらに精製するために合成ガス調整ユニットで処理され得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、処理された合成ガス流135は、1つ以上の圧縮機(複数可)140で加圧され得る。圧縮機(複数可)140は、処理された合成ガス流135を所定のレベルまで加圧し、圧縮合成ガス流145を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、圧縮合成ガス流145の最終圧力は、フィッシャー・トロプシュ合成プロセスに許容される範囲内であり得る。
【0035】
圧縮合成ガス流145は、フィッシャー・トロプシュ反応器180に供給される前に、汚染物質(例えば、二酸化炭素及び他の酸性ガス)を除去するためにスクラバー150に送られ得る。いくつかの実施形態では、スクラバー150は二酸化炭素スクラバーである。スクラバー150は、圧縮合成ガス流145から汚染物質を除去して、精製合成ガス流151を生成するように構成される。例えば、スクラバー150は、フィッシャー・トロプシュ反応器の性能を低下させ得る二酸化炭素及び他の汚染物質を除去することができる。スクラバー150は、圧縮合成ガス流145、及び溶媒または溶液(例えば、アルカリ溶液、アンミン、冷メタノールなど)を受け取り、可逆的化学吸収プロセスによって圧縮合成ガス流145から汚染物質を吸収することができる。吸収器からの負荷溶媒は、ストリッピングユニットで再生することができ、そこでは二酸化炭素が放出され、貧溶媒が回収され、吸収器に閉回路で循環される。
【0036】
圧縮合成ガス流145から分離された二酸化炭素流152は、二酸化炭素処理・圧縮システム160に供給することができる。二酸化炭素処理・圧縮システム160は、二酸化炭素流152から汚染物質を除去して、精製二酸化炭素165を生成することができる。二酸化炭素処理・圧縮システム160から生成された精製二酸化炭素165は、追加の合成ガスを生成するためにシステム100内の他のユニットに再利用されるか、またはCO2分離ウェル(CO2隔離井戸、CO2 sequestration well)に送られ得る。質量及びエネルギーのバランスによって与えられる範囲内で、二酸化炭素処理・圧縮システム160からの精製された二酸化炭素165は、乾式改質ユニット130、RWGS反応器、HTCEユニット、またはそれらの組み合わせに再循環され得る。この再循環流は、通常煙道ガスとして排出される二酸化炭素を利用し、追加の合成ガスを生成するために二酸化炭素を再利用する。
【0037】
いくつかの実施形態では、二酸化炭素処理・圧縮システム160からの精製二酸化炭素166の一部は、(逆)水性ガスシフト反応器170で処理され得る。このCO2は、水電気分解ユニット155からのH2157と組み合わされ、FT反応器システム180でさらに処理するための合成ガス流171をもたらす。いくつかの実施形態では、逆水性ガスシフト反応器170は、Johnson Matthey製のHyCOgenユニットである。逆水性ガスシフト反応器170は、回収されたCO2及びH2を変換して、システム100で使用可能なCO及びH2Oに戻す。二酸化炭素処理・圧縮システム160からの精製・圧縮された合成ガス流151も、FT反応器システム180に供給され、そこで他の合成ガス入力流及び水電気分解ユニット155によって生成されたH2157と組み合わされる。いくつかの実施形態では、目標とするH2/CO比は、0.5から10.0の範囲であり得る。
【0038】
精製された合成ガス流151は、フィッシャー・トロプシュ反応器180に、主な炭素含有供給原料または唯一の炭素含有供給原料として供給される場合がある。いくつかの実施形態では、二次合成ガス流171もフィッシャー・トロプシュ反応器180の供給原料である。さらに、水電気分解水素生成の一部も、炭化水素合成のために合成ガス流全体と組み合わされる。フィッシャー・トロプシュ反応器180は、強い発熱プロセスで合成ガスを触媒的に変換することにより、高級炭化水素液体を合成的に製造する。したがって、FT反応器は、かなりの熱除去を必要とする場合があり、この熱除去は、通常、ボイラー供給水の気化による中圧蒸気生成によって達成される。フィッシャー・トロプシュ反応器180は、炭素数がC1及びC30以上の間で変化する直鎖状パラフィン系炭化水素分子の混合物を主生成物として生成し、生成水を副生成物として生成する。FT反応は不均一触媒反応であり、気相反応物ならびに、中質F-T液(MFTL)及び重質F-T液(HFTL)、水、ならびにF-Tテールガス(またはF-T排ガス、F-T tail gas)として別々に回収される、液体生成物及び気体生成物の組み合わせによって特徴付けられる。F-Tテールガス185は、通常、未反応の水素及び一酸化炭素の混合物、ならびに反応の副生成物であるメタン及びCO2を含み、システム内の他のユニットに再循環されることがあり得、そこで改質されて追加の合成ガスに戻され得る。例えば、F-Tテールガス185は、改質ユニット130に再循環され得る。いくつかの実施形態では、本システムは、F-T液を改良するための水素化分解ユニット190及び/または分別ユニット195を含み得る。例えば、水素化分解ユニット190は、HFTL及びMFTL炭化水素流181を化学的及び物理的特性を満たす輸送燃料または混合成分に改良する、高温高圧触媒プロセスを採用する。水素化分解ユニット190から生成されたテールガス191及び分別ユニット195から生成されたナフサ196は、システム(例えば、改質器130)に再循環され得る。
【0039】
システム100は、水電気分解ユニット155を含む。システム100内の前述のユニット(例えば、ガス化炉、フィッシャー・トロプシュ反応器など)から生成された水は、水処理ユニットで処理された後、水電気分解ユニット155に供給され得る。水処理ユニットは、水電気分解ユニット155、ならびに蒸気が生成されるいくつかの冷却または熱回収システムに供給される、ボイラー品質の水を生成することができる。例えば、フィッシャー・トロプシュ反応器180からの精製水流182は、水電気分解ユニット155に供給され得る。水電気分解ユニット155は、精製水を酸素流156及び水素流157に変換することができ、これらはシステム100内の他のユニットに供給され得る。例えば、水電気分解ユニット155から生成された酸素流156は、ガス化ユニット120、改質ユニット130、逆水性ガスシフト反応器170、またはそれらの組み合わせに供給され得る。いくつかの実施形態では、酸素流156は、逆水性ガスシフト反応器170に供給される前に。水電気分解ユニット155から生成された水素流157は、逆水性ガスシフト反応器170に供給され得る。いくつかの実施形態では、水素流157は、逆水性ガスシフト反応器170に供給される前に圧縮される。逆水性ガスシフト反応器170は、水素及びCO2を一酸化炭素(CO)に変換する触媒プロセスを提供するように構成されることができ、この一酸化炭素は、追加の水素と組み合わされて合成ガスを形成する。逆水性ガスシフト反応器170から生成された合成ガス171は、その後、追加の炭化水素燃料を生成するために、フィッシャー・トロプシュ反応器180に供給され得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、電気分解ユニットは、太陽エネルギー、風力エネルギー、水力エネルギー、原子力エネルギー、または潮力エネルギーによって駆動される。いくつかの実施形態では、本プロセスは、二酸化炭素スクラバーで二酸化炭素流を洗浄して精製二酸化炭素を生成することを含み、精製二酸化炭素は電気分解ユニットで電気分解される。いくつかの実施形態では、本プロセスは、フィッシャー・トロプシュ反応器から生成された水を沸騰させてボイラー品質の供給水を生成することを含み、ボイラー品質の供給水は電気分解ユニットで電気分解される。いくつかの実施形態では、本プロセスは、フィッシャー・トロプシュ反応器において追加の合成ガスを反応させて追加の炭化水素を生成することを含む。いくつかの実施形態では、本プロセスは、本プロセスで生成された追加のCO2を隔離することを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、本システム内で生成される水の電気分解のためのおおよその追加電力は、逆燃料電池または電気分解ユニットから生成される水素1トン当たり30MWから80MWの範囲である。電気分解のためのエネルギーが従来のエネルギー源、例えば天然ガスから供給される場合、「効率的な」複合サイクルモードでは、約450グラムCO2/kWhが発生する。しかし、グリーンエネルギー(例えば太陽光発電)を採用した場合、発電に伴うCO2排出量は、100グラムCO2/kWh未満、90グラムCO2/kWh未満、50グラムCO2/kWh未満、または20グラムCO2/kWh未満であり、高効率の供給源では17.5グラムCO2/kWhと低い。CO2の電気分解に関しては、必要電力は0.05~0.80MWh/トン、例えば0.05~0.70MWh/トン、0.10~0.70MWh/トン、0.15~0.60MWh/トン、0.20~0.50MWh/トン、0.20~0.40MWh/トン、または約0.232MWh/トンであり得、電力が従来の天然ガス源ではなくグリーンエネルギー源から供給される場合、CO2排出量全体がまた削減される。
【0042】
敷地内で発電された電力(蒸気タービン発電機に電力を供給するために敷地内で発電された蒸気を使用するか、太陽光発電または風力タービン発電を設置することにより発電される)は、工場のプロセス運転に必要な水素及び酸素の一部を製造するために水の電気分解を駆動するための電力源として使用される場合がある。バイオマスのガス化、液体への変換、及び関連する浄化プロセスでは、バイオマス供給原料中にある量を超える追加の水素が必要となる。電気分解プロセスは、水を水素及び酸素の成分に分解するので、プラント全体の運転に必要な酸素の一部を供給する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセス及びシステムは、再生可能エネルギー資源(例えば、太陽、風力など)を使用して、システム内の個々のユニットに電力を供給する。さらに、経済的に可能な場合には、廃熱を回収し、システム内で再利用するための電力を生成する。
【0043】
図2は、本発明のいくつかの実施形態による、CO
2電気分解ユニットと統合された炭化水素合成プロセスの概略図である。
図2に示すように、本プロセスは、合成ガスを製造するためのBTLプロセス及びGTLプロセスの両方を包含する。本明細書で論じるように、多種多様な炭化水素供給原料を燃焼させて、熱エネルギー、液体燃料、及び他の価値ある製品を、排出物がほとんどまたは全くないままで製造するためのシステム及びプロセスが開示される。天然ガス及びバイオマスなどの炭化水素及び固体炭素含有原料は、改質、及びガス化、及び酸化をそれぞれ経て、合成ガスを生成するために処理される。合成ガスは、炭化水素に変換するためにフィッシャー・トロプシュ合成プロセスに供給され、任意で燃料、例えばディーゼル燃料及び他の液体炭化水素を形成するために改良される。本システム/プロセスは、電気分解ユニットを採用してCO
2排出を削減すると同時に、全体的な炭素効率を改善し、追加の炭化水素を形成することにより、環境排出を最小限に抑える。電気分解プロセスは、好ましくは、少なくとも部分的にグリーンエネルギーを動力源とする。
【0044】
いくつかの実施形態では、供給原料の大部分は、バイオマス(例えば、鉄道の枕木または別のセルロース系材料)、及び任意で少量の天然ガスを含む。いくつかの態様では、バイオマス供給原料は、スイッチグラス、森林間伐材、スラッシュ、木材チップ、リグニン、または他の炭水化物及び/またはセルロース系材料を含む場合がある。バイオマスは、鉄道の枕木、グリースウッド、トウモロコシの茎葉、森林間伐材、スラッシュ、または果樹園の剪定枝のうちの1つ以上を含む場合がある。例えば、ユニット220(バイオマス供給原料)は、ガス化されて合成ガスを形成するバイオマス供給原料を提供する。
【0045】
図2に示すように、天然ガスは、ユニット200(ガス分配ネットワーク)を介してシステムに供給される。ユニット200からの天然ガスは、炭化水素ベースの燃料に変換するための部分(ユニット210に送られる「供給天然ガス」)、及びタービンをベースとする電力用の部分(ユニット500に送られる「電力天然ガス」)に分割され得る。天然ガス予熱器及びユニット210(例えば、硫黄除去ユニット)は、天然ガスを加熱し、含硫黄化合物を除去して、合成ガスを製造するために利用される天然ガス供給原料を提供する。タービンをベースとする電力用の天然ガスの量は、プロセスに利用可能なグリーンエネルギー、例えば太陽エネルギーの量に応じて変化する。いくつかの実施形態では、少なくとも20MW、例えば少なくとも40MW、または少なくとも60MWの太陽光発電が、総電力要件を補完するために8時間利用可能であり、その範囲は50~200MW、例えば50~200MW、60~180MW、75~160MW、80~150MW、90~140MW、100~130MW、または約128.15MWであり得る。地理的な考慮が補足的なグリーンエネルギー要件に影響を与える可能性がある。いくつかの実施形態では、グリーンエネルギー源は、風力エネルギー、水力エネルギー、原子力エネルギー、潮力エネルギー、または別のグリーンエネルギー源のうちの1つ以上である場合がある。いくつかの実施形態では、直接的なグリーンエネルギー、例えば太陽エネルギーが利用できない場合に、生産プロセスの間、例えば16時間の間中電力を供給するために、追加の天然ガスが本プロセスで利用される。
【0046】
上述したように、ユニット200は、天然ガスをユニット210及び/またはユニット500に分配する天然ガス分配ネットワークを提供する。この構成により、本プロセスにおける太陽エネルギー貯蔵のための資本が有利に最小化される。いくつかの態様では、本プロセスは、従来の原油の精製に関連する排出量よりも少なくとも20%少ない、例えば少なくとも40%少ない、または少なくとも60%少ない全体的CO2排出量で、合成ジェット燃料を製造する。理解されるように、天然ガスの量、太陽光発電の量、及び供給物中の天然ガスとバイオマスの割合の選択に基づいて、この構成には多数のバリエーションがある。
【0047】
ユニット210に戻ると、天然ガス供給原料は、この特定の構成において、気相生成物(例えば、未変換H2及びCO)及びH2(ユニット320で電気分解により生成される)と組み合わされる。いくつかの実施形態では、天然ガス供給原料は、ユニット260A(自己熱改質ユニット)で気相生成物及びH2と組み合わされて合成ガスを生成し、続いてユニット205B(合成ガス処理ユニット)に供給される。図に示すように、CO2豊化流は、任意に、合成ガス処理ユニット205Bから、以下でさらに詳細に説明されるユニット363(CO2吸収器ユニット)に導かれる。ユニット310(フィッシャー・トロプシュユニット)で炭化水素に変換される合成ガスは、フィッシャー・トロプシュ合成を介して製造された軽質炭化水素を含み、ユニット240で改良(例えば、水素化分解及び/または異性化ステップ)を受けて、最終製品、例えば合成ジェット燃料を製造する。他の構成は、ユニット360(CO2電気分解ユニット)でのCO2の電気分解から、または改質ユニット260Aまたはガス化ユニット230のいずれかからの流出合成ガスからのH2分離に基づくより従来の方法から得られるH2を使用することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、ユニット210(天然ガス供給原料)は、改質器、ユニット260Aに導かれる流出液を生成する。いくつかの態様では、ユニット260Aは、自己熱改質ユニット(ATR)である。ATRは、ユニット210からの流出物を、水蒸気及び酸素で変換し、合成ガスを生成する。この合成ガスは、望ましくない成分、例えば反応性窒素、及び望ましくないほど高レベルのCO2などを含む場合がある。通常、合成ガス処理には、これらの望ましくない成分を除去または変換するための除去装置が含まれる。いくつかの実施形態では、H2/CO比は0.5~10.0の範囲である。
【0049】
いくつかの実施形態では、バイオマスは、ユニット220(バイオマス供給原料)に供給され、ユニット225(バイオマス供給原料処理)において寸法縮小及び水分除去のために処理される。処理されたバイオマスは、次いで、エネルギー効率が高く、CO2を最少化し、H2/CO比に関して適切な、例えば典型的には、0.5~1.0、例えば、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、または1.0の合成ガスを生成する、任意の適切な変換技術を用いてガス化される。いくつかの実施形態では、H2/CO比は0.8~1.0の範囲である。供給物の酸素含有量が高いため、バイオマスのガス化は大量のCO2を生成する。その結果、バイオマス由来の合成ガスは、ユニット205A(CO2除去ユニット)を通過する。その後、CO2はユニット363(CO2吸収ユニット)を通過し、洗浄されたCO2に含まれる微量の炭化水素及びCOを除去し、精製されたCO2を生成する。
【0050】
CO2含有量が大幅に減少した得られた合成ガスは、ユニット205Bからの合成ガス、及びユニット320(水電気分解ユニット)からの水素と組み合わされ、組み合わされた合成ガスはフィッシャー・トロプシュ合成のためにユニット310に送られる。フィッシャー・トロプシュ合成後、生成物はメタンから重質ワックスまでの様々な炭化水素を含み、最も重質なアルカンは、800°F(427℃)を超える沸点を有する。いくつかの実施形態では、軽質炭化水素(典型的にはC1~C8)及び未反応合成ガスは、ユニット425(タービン/ヒーター)に送られ、そこで生成物の一部が、例えばタービン及びプロセス燃焼ヒーター(すなわち、ユニット110、250、260A及び240)の燃料として使用される。いくつかの実施形態では、燃料として使用されない残りの生成物は、追加の合成ガスに変換するためにユニット250及び260Aに再循環される。
【0051】
いくつかの実施形態では、より重いフィッシャー・トロプシュ生成物(C9+)は、ユニット240(燃料改良ユニット)に送られ、水素処理を介して、最終炭化水素生成物、例えばジェット燃料またはディーゼル生成物に処理するために、H2と組み合わされる。ユニット240では、一部の材料が燃料改良ユニットのパージガスに含まれる軽質炭化水素に変換される場合があり、このガスはフィッシャー・トロプシュのパージガスと組み合わされ、さらなる合成ガスを生成するために再利用される。
【0052】
CO
2発生
図2は、炭化水素合成プロセスにおける様々なユニットの例示的なCO
2排出を示す。いくつかの実施形態では、上記プロセス/システムにおける主なCO
2発生源は以下の通りである:
・天然ガスタービンの煙道ガス(ユニット500);
・プロセスヒーターの煙道ガス(ユニット425);
・バイオマス由来の合成ガスから除去されたCO
2(ユニット205A);及び
・ATR由来の合成ガス(ユニット205B)。
【0053】
上記のプロセス/システムの構成では、天然ガスタービン(ユニット500)を通じて発生し、煙道ガスとして直接排出されるCO
2が、CO
2排出の最大の発生源である。ユニット500は、
図2の中央の強調表示された枠に示されているように、大気放出物質の大部分を担っている。CO
2排出量の二番目に大きい排出源は、バイオマス由来の合成ガスから除去されたCO
2(ユニット205A)である。ユニット205AからのCO
2排出が、隔離されたCO
2の大部分を占める。煙道ガスCO
2(内部で発生した燃料ガスから)は、処理システム(ユニット235)を通過し、隔離のために追加のCO
2を捕捉する。ユニット235から排出される未捕捉のCO
2は、大気放出物質にわずかながら加算される。いくつかの実施形態では、生成された総CO
2の一部は、CO
2電気分解ユニット360に送られ、その後、電力消費により合成ガスに変換される。
【0054】
CO2と水電気分解の統合
本明細書で議論されるように、いくつかの実施形態では、本発明は、二酸化炭素及び生成水を、炭化水素製造プロセスで合成ガスに変換するためのプロセスを提供する。本プロセスは、天然ガスを自己熱改質ユニットで処理して第1の合成ガス流を形成すること、バイオマス供給原料をガス化ユニットで処理して第2の合成ガス流を形成すること、第1及び第2の合成ガス流を合成ガス処理ユニットで処理して供給合成ガス流を生成すること(ここで、合成ガス処理ユニットは、第1及び第2の合成ガス流のいずれか一方または両方から二酸化炭素を除去する)、供給合成ガス流をフィッシャー・トロプシュ反応器中で反応させて、炭化水素及び水を生成すること、ならびに二酸化炭素及び水(例えば、精製後)を電気分解ユニット中で電気分解して、FT反応器に送られ得る一酸化炭素及び水素を生成することを含む場合がある。いくつかの態様では、電気分解ユニットは、グリーンエネルギー源によって電力を供給される。グリーンエネルギー源は、太陽エネルギー、風力エネルギー、水力エネルギー、原子力エネルギー、または潮力エネルギーのうちの1つ以上を含み得る。いくつかの実施形態では、少なくとも40MWの太陽光発電が8時間にわたって電気分解ユニットに供給される。
【0055】
いくつかの態様では、本プロセスは、合成ガス処理ユニットから除去された二酸化炭素を二酸化炭素スクラバーで洗浄して精製二酸化炭素を生成することをさらに含み、精製二酸化炭素は電気分解ユニットで電気分解される。いくつかの態様では、本プロセスは、フィッシャー・トロプシュ反応器からの生成水を処理(例えば、沸騰)して、ボイラー品質の供給水を生成することをさらに含み、ボイラー品質の供給水は、電気分解ユニットで電気分解されて、一酸化炭素を生成する。いくつかの態様では、本プロセスは、一酸化炭素をフィッシャー・トロプシュ反応器に送り、追加の炭化水素を生成することをさらに含む。
【0056】
炭化水素合成にGTL及びBTL技術を適用する場合、総CO2排出量は多くの要因に左右される。例えば、総CO2排出量は、主に天然ガス及びバイオマスの供給速度、炭素変換効率、ならびに変換プロセスの電力に関連するCO2排出量に依存する。いくつかの態様では、炭素変換効率が比較的低く、供給原料エネルギーのかなりの部分が燃焼プロセスを通じて電力に変換されるのを可能にすることができる。しかし、このシナリオでは、このプロセスが例えばバイオマスなどの非化石燃料を利用しない限り、CO2排出総量は比較的高くなり得る。CO2排出を緩和するためにCO2隔離が採用されない限り、電力及び燃料生産に関連するCO2排出総量は、CO2排出許容総量の閾値を超える可能性がある。
【0057】
いくつかの実施形態では、本発明は、CO2を合成ガスに変換し、その後輸送用燃料に変換するためのエネルギーを供給する電力源として、グリーンエネルギー、例えば太陽エネルギーを利用する。CO2及び生成水を電気分解して合成ガスに変換し、その後輸送用燃料に変換することで、CO2排出量全体を削減できることを実証するために、多くのプロセス構成が考えられる。例えば、CO2の隔離は、CO2の削減と同時に行うことができる。しかし、パイプライン及び比較的低コストの輸送手段を必要とするため、本プロセスの多くの場所では、隔離は実行可能なオプションではないかもしれない。CO2と蒸気を合成ガスに変換することは、電力を使って不要な副生成物中の炭素と水素を輸送用燃料に変換する機会を与える(エネルギー貯蔵)。この変換のための追加電力に伴うCO2排出量は、電気分解システムがなければ排出されるであろうCO2よりもかなり少ない。
【0058】
図2は、CO
2/水電気分解のための2つの潜在的な供給源を示している。いくつかの実施形態では、ユニット360はCO
2及び水を共処理して合成ガス及び酸素を生成し、ユニット320は水のみを処理してH
2及びO
2を生成する。いくつかの実施形態では、ユニット320は、本プロセスにH
2の供給源を提供することができる。あるいは、H
2は、回収技術を使用してATR合成ガスから分離することができる。H
2の供給源間のトレードオフには、炭素バランス及びエネルギー消費に対する選好が関係する。
【0059】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のシステムは、天然ガスを水素及び一酸化炭素を含む合成ガスに変換する部分酸化改質器、様々な種類のバイオマス材料を主に水素及び一酸化炭素を含む合成ガスに変換するバイオマスガス化装置、水を変換して水素ガス及び酸素ガスを得る電気分解ユニット、精製水を電気分解ユニットに供給する自由選択の脱塩システム、二酸化炭素及び水素を一酸化炭素及び水に変換する逆水性ガスシフト反応器、合成ガスの調整及び精製を行う合成ガス処理システム、合成ガスを液体炭化水素燃料に変換するためのフィッシャー・トロプシュ反応器、及び液体炭化水素燃料から二酸化炭素をさらに除去するための燃料改良システムを含む。本システムは、太陽光を電力に変換してシステム内のユニット(例えば、電気分解ユニット)に電力を供給するためのソーラーパネル、ならびにガス化及び天然ガス液化変換システムの廃熱から電力を生産するための蒸気タービン発電機システムを含む場合がある。本システムは、天然ガス及びバイオマス液化プロセスで生成されるナフサ及び/または二酸化炭素を、液体燃料への変換のために部分酸化ガス化炉に再循環する。いくつかの実施形態では、(逆)水性ガスシフト反応器は二酸化炭素電気分解システムで置き換えられて、二酸化炭素を合成ガスに変換し、合成ガスはフィッシャー・トロプシュ反応器に送られて、追加の液体炭化水素燃料を製造する。CO2を再利用するためのこれらの選択肢は両方とも、必要な電力に影響を与える。逆水性ガスシフト選択肢は、水の電気分解によって生成される水素の消費量を増加させるが、CO2の電気分解は電力を直接消費する。したがって、システム全体の炭素効率と、生産される合成燃料単位当たりの電力投入量との間でトレードオフが生じる。利用可能な電力の炭素原単位に応じて、合成燃料の炭素原単位の観点からは、いずれか一方の選択肢を介したCO2の再循環の方が多かれ少なかれ魅力的な場合がある。
【実施例】
【0060】
CO
2排出量は、当業者に公知の方法で測定できる温室効果ガス排出係数(GHG-CO
2)を使用することで、BTL及びGTLプロセス構成のそれぞれについて比較することができる。表1に示すように、従来の製油所操業では、燃料エネルギーのメガジュール(MJ)当たりに排出されるCO
2の量は、通常、生産される燃料1MJ当たり50~500グラムCO
2、または生産される燃料1MJ当たり約89.12グラムCO
2である。これはCO
2ライフサイクルアセスメントと呼ばれることもある。表1に示す単位燃料エネルギー当たりのCO
2総排出量には、多くの要因が寄与する。例えば、生物起源取り込み、上流バイオマス、プロセス太陽光発電からの排出、天然ガスタービンからの排出などの要因が、それぞれ製品エネルギーの単位価値当たりのCO
2排出量、例えばSPKに寄与する。
図2に示すBTL/GTLプロセスでは、CO
2排出への主な寄与は、SPKの実際の燃焼及び天然ガスタービンに関連する電気エネルギーである。
【0061】
現在では、CO2/水電気分解(例えば、ユニット360)にCO2隔離を含めることで、従来の製油所と比較して、CO2排出量全体を大幅に削減できることが判明している。表1を参照のこと(ベースライン石油燃料では89.12g CO2/MJ SPK;天然ガスタービン電力及びCO2隔離と組み合わされたCO2電気分解を使用するベースライン運転では59.84g CO2/MJ SPK)。このシナリオでは、主なCO2削減は、電気分解されるCO2の量(148,900MTPY(トン/年))と比較して、隔離されるCO2の量(323,970MTPY)が多いことに起因する。燃焼プロセス(ユニット235)からのCO2を捕捉するための煙道ガススクラバーの使用も、特にCO2捕捉のためのエネルギーが700~800kcal/kg 回収CO2の範囲にある場合、CO2排出レベル全体の緩和に役立つ。
【0062】
ひとつの実施形態では、本発明は、太陽エネルギーを使用して天然ガスタービンからの総発電量を削減し、発電に関連する総CO
2排出量を削減することにより、GHG-CO
2排出量をさらに緩和する。例えば、表1は、ベースライン石油燃料と比較した、天然ガスタービン及び40MWの太陽光発電を使用した場合の運転を示している。いくつかの実施形態では、8時間/日、40MWで太陽エネルギーを供給することで、石油ベースラインと比較して、全体のCO
2排出量をさらに60%超削減する(ベースラインのケースの89.12g CO
2/MJ燃料値と比較して、33.9g CO
2/MJ燃料)。この削減は、420g CO
2/kwhにもなる天然ガスタービンのCO
2排出量と比較して、太陽光発電に関連するGHG-CO
2排出量が少ない(例えば、100g CO
2/kwh未満、50g CO
2/kwh未満、または20g CO
2/kwh未満、任意で約17.5g CO
2/kwh)ことによる。例えば、米国の送電網で発電された電力の平均CO
2排出量は、1kwh当たり500~600g CO
2の範囲である。太陽光発電、風力発電、水力発電は大幅に少なく、1kwh当たり17.5~90g CO
2の範囲である。その結果、グリーン電源から電力を供給することで、製品の追加生産が可能になる一方、全体的なGHG-CO
2排出量は、89.12g CO
2/MJ燃料の範囲にある従来の製油所より30~60%少ない。
【表1】
【0063】
本発明を詳細に説明してきたが、本発明の精神及び範囲内での変更は、当業者には容易に明らかであろう。前述の議論、当該技術分野における関連知識、ならびに「背景技術」及び「発明を実施するための形態」に関連して上述した参考文献を考慮すると、それらの開示内容はすべて参照により本明細書に組み込まれる。加えて、本発明の実施形態、ならびに以下に記載される及び/または添付の特許請求の範囲に記載される様々な実施形態及び様々な特徴の一部は、全部または一部を組み合わせることができ、または交換することができることを理解されたい。様々な実施形態に関する前述の説明において、別の実施形態に言及する実施形態は、適切に組み合わせることができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素ベースの燃料を製造するためのシステムであって、
供給原料から廃棄物を除去して処理済み供給原料を製造するように構成されるバイオマス供給原料処理ユニット;
バイオマス供給原料処理ユニットと連通するガス化ユニットであって、処理された供給原料を二酸化炭素、一酸化炭素、及び水素を含む合成ガスに変換するように構成される前記ガス化ユニット;
前記ガス化ユニットの下流にある反応器であって、前記合成ガスの一部の変換を促進し、COに対する水素の適切な比率を生成するために適切な条件で運転される前記反応器;
前記反応器と連通するスクラバーであって、前記合成ガスから二酸化炭素を除去し、少なくとも1.5:1の水素/一酸化炭素比を有する精製合成ガスを生成する前記スクラバー;
前記精製合成ガスを受け入れるためのフィッシャー・トロプシュ反応器であって、前記精製合成ガスをフィッシャー・トロプシュ液、水、及びテールガスに変換する前記フィッシャー・トロプシュ反応器;
前記フィッシャー・トロプシュ反応器から水を受け取るように構成される電気分解ユニットであって、前記水を酸素流及び水素流に変換する前記電気分解ユニット;
逆水性ガスシフト反応器であって、前記スクラバーで前記合成ガスから除去された前記二酸化炭素の一部が前記逆水性ガスシフト反応器にリサイクルされる、前記逆水性ガスシフト反応器;
を含み、
前記酸素流の一部が、ガス化ユニット、反応器、またはそれらの組み合わせに再循環され、
少なくとも90%の供給原料の炭素変換を達成する、前記システム。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
前記電気分解ユニットにより生成された前記水素流の一部が、前記逆水性ガスシフト反応器に供給され、前記逆水性ガスシフト反応器が、前記フィッシャー・トロプシュ反応器に供給される一酸化炭素を生成するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記合成ガス流及び前記水素流が、前記フィッシャー・トロプシュ反応器に供給される前に加圧される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記フィッシャー・トロプシュ反応器からの前記テールガスが前記反応器に再循環される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記フィッシャー・トロプシュ液を燃料に改良するように構成される水素化分解ユニット、分別ユニット、異性化ユニット、またはそれらの組み合わせをさらに含み、前記水素化分解ユニットの副生成物はテールガスを含み、前記分別ユニットの副生成物はナフサを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記テールガス、ナフサ、またはその両方が前記反応器に再循環される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記システムによって生成される任意の煙道ガスを洗浄するように構成される煙道ガススクラバーをさらに含み、前記反応器が乾式改質器である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
二酸化炭素処理・圧縮システムをさらに含み、前記スクラバー及び前記煙道ガススクラバーから生成された二酸化炭素が、前記二酸化炭素処理・圧縮システムで処理されて精製二酸化炭素流を生成し、前記精製二酸化炭素流が、前記乾式改質器、前記逆水性ガスシフト反応器、CO
2電気分解ユニット、またはそれらの組み合わせに再循環される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記供給原料が、鉄道の枕木、グリースウッド、トウモロコシの茎葉、果樹園の剪定枝、森林の間伐材、スラッシュ、スイッチグラス、木材チップ、リグニン、及びセルロース系材料のうちの1つ以上を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項11】
前記供給原料が木質バイオマスを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
天然ガス供給原料を合成ガスに変換するように構成される予備改質器及び自己熱改質器をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記システムから除去された二酸化炭素及び水の一部を、一酸化炭素及び水素に変換するように構成されるCO
2電気分解ユニットをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
炭化水素ベースの燃料を製造するためのプロセスであって、
バイオマス供給原料をガス化し、二酸化炭素、水素、一酸化炭素を含む合成ガス流を生成するステップ;
前記合成ガス流を改質して水素富化合成ガス流を生成するステップ;
分離ユニットで前記水素富化合成ガス流から二酸化炭素を分離し、二酸化炭素流及び少なくとも1.5:1の水素/一酸化炭素比を有する精製合成ガス流を生成するステップ;
前記精製合成ガスを追加の水素で濃縮するステップ;
前記精製合成ガス流及び前記水素富化合成ガス流をフィッシャー・トロプシュ反応器で反応させ、フィッシャー・トロプシュ液、水、及びテールガスを生成するステップ;
前記フィッシャー・トロプシュ反応器からの前記水の一部を電気分解ユニットに再循環するステップ;及び
前記電気分解ユニットで前記水を電気分解し、酸素流と水素流とを生成するステップ;
を含む、前記プロセス。
【請求項15】
前記分離ユニットから生成された前記二酸化炭素流を精製して精製二酸化炭素流を生成し、前記精製二酸化炭素流を前記改質ステップに再循環することをさらに含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記酸素流の一部及び前記水素流の一部を、前記ガス化ステップ、前記改質ステップ、またはそれらの組み合わせに再循環することをさらに含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項17】
前記水素流の一部と前記精製二酸化炭素流の一部とを逆水性ガスシフト反応器に再循環して一酸化炭素を製造することをさらに含む、請求項15に記載のプロセス。
【請求項18】
改質ユニットで天然ガスを処理して、前記フィッシャー・トロプシュ反応器に供給される第2の合成ガス流を生成することをさらに含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項19】
前記電気分解ユニットが、太陽エネルギー、風力エネルギー、水力エネルギー、原子力エネルギー、または潮力エネルギーによって駆動される、請求項14に記載のプロセス。
【請求項20】
前記フィッシャー・トロプシュ反応器からの前記水を処理して精製水を製造することをさらに含み、前記精製水が前記電気分解ユニットで電気分解される、請求項14に記載のプロセス。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素ベースの燃料を製造するためのシステムであって、
供給原料から廃棄物を除去して処理済み供給原料を製造するように構成されるバイオマス供給原料処理ユニット;
バイオマス供給原料処理ユニットと連通するガス化ユニットであって、処理された供給原料を二酸化炭素、一酸化炭素、及び水素を含む合成ガスに変換するように構成される前記ガス化ユニット;
前記ガス化ユニットの下流にある反応器であって、前記合成ガスの一部の変換を促進し、COに対する水素の適切な比率を生成するために適切な条件で運転される前記反応器;
前記反応器と連通するスクラバーであって、前記合成ガスから二酸化炭素を除去し、少なくとも1.5:1の水素/一酸化炭素比を有する精製合成ガスを生成する前記スクラバー;
前記精製合成ガスを受け入れるためのフィッシャー・トロプシュ反応器であって、前記精製合成ガスをフィッシャー・トロプシュ液、水、及びテールガスに変換する前記フィッシャー・トロプシュ反応器;
前記フィッシャー・トロプシュ反応器から水を受け取るように構成される電気分解ユニットであって、前記水を酸素流及び水素流に変換する前記電気分解ユニット;
逆水性ガスシフト反応器であって、前記スクラバーで前記合成ガスから除去された前記二酸化炭素の一部が前記逆水性ガスシフト反応器にリサイクルされる、前記逆水性ガスシフト反応器;
を含み、
前記酸素流の一部が、ガス化ユニット、反応器、またはそれらの組み合わせに再循環され、
少なくとも90%の供給原料の炭素変換を達成する、前記システム。
【請求項2】
前記電気分解ユニットにより生成された前記水素流の一部が、前記逆水性ガスシフト反応器に供給され、前記逆水性ガスシフト反応器が、前記フィッシャー・トロプシュ反応器に供給される一酸化炭素を生成するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記合成ガス流及び前記水素流が、前記フィッシャー・トロプシュ反応器に供給される前に加圧される、請求項
2に記載のシステム。
【請求項4】
前記フィッシャー・トロプシュ反応器からの前記テールガスが前記反応器に再循環される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記フィッシャー・トロプシュ液を燃料に改良するように構成される水素化分解ユニット、分別ユニット、異性化ユニット、またはそれらの組み合わせをさらに含み、前記水素化分解ユニットの副生成物はテールガスを含み、前記分別ユニットの副生成物はナフサを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記テールガス、ナフサ、またはその両方が前記反応器に再循環される、請求項
5に記載のシステム。
【請求項7】
前記システムによって生成される任意の煙道ガスを洗浄するように構成される煙道ガススクラバーをさらに含み、前記反応器が乾式改質器である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
二酸化炭素処理・圧縮システムをさらに含み、前記スクラバー及び前記煙道ガススクラバーから生成された二酸化炭素が、前記二酸化炭素処理・圧縮システムで処理されて精製二酸化炭素流を生成し、前記精製二酸化炭素流が、前記乾式改質器、前記逆水性ガスシフト反応器、CO
2電気分解ユニット、またはそれらの組み合わせに再循環される、請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
前記供給原料が、鉄道の枕木、グリースウッド、トウモロコシの茎葉、果樹園の剪定枝、森林の間伐材、スラッシュ、スイッチグラス、木材チップ、リグニン、及びセルロース系材料のうちの1つ以上を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項10】
前記供給原料が木質バイオマスを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
天然ガス供給原料を合成ガスに変換するように構成される予備改質器及び自己熱改質器をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記システムから除去された二酸化炭素及び水の一部を、一酸化炭素及び水素に変換するように構成されるCO
2電気分解ユニットをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
炭化水素ベースの燃料を製造するためのプロセスであって、
バイオマス供給原料をガス化し、二酸化炭素、水素、一酸化炭素を含む合成ガス流を生成するステップ;
前記合成ガス流を改質して水素富化合成ガス流を生成するステップ;
分離ユニットで前記水素富化合成ガス流から二酸化炭素を分離し、二酸化炭素流及び少なくとも1.5:1の水素/一酸化炭素比を有する精製合成ガス流を生成するステップ;
前記精製合成ガスを追加の水素で濃縮するステップ;
前記精製合成ガス流及び前記水素富化合成ガス流をフィッシャー・トロプシュ反応器で反応させ、フィッシャー・トロプシュ液、水、及びテールガスを生成するステップ;
前記フィッシャー・トロプシュ反応器からの前記水の一部を電気分解ユニットに再循環するステップ;及び
前記電気分解ユニットで前記水を電気分解し、酸素流と水素流とを生成するステップ;
を含む、前記プロセス。
【請求項14】
前記分離ユニットから生成された前記二酸化炭素流を精製して精製二酸化炭素流を生成し、前記精製二酸化炭素流を前記改質ステップに再循環することをさらに含む、請求項
13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記酸素流の一部及び前記水素流の一部を、前記ガス化ステップ、前記改質ステップ、またはそれらの組み合わせに再循環することをさらに含む、請求項
13に記載のプロセス。
【請求項16】
前記水素流の一部と前記精製二酸化炭素流の一部とを逆水性ガスシフト反応器に再循環して一酸化炭素を製造することをさらに含む、請求項
14に記載のプロセス。
【請求項17】
改質ユニットで天然ガスを処理して、前記フィッシャー・トロプシュ反応器に供給される第2の合成ガス流を生成することをさらに含む、請求項
13に記載のプロセス。
【請求項18】
前記電気分解ユニットが、太陽エネルギー、風力エネルギー、水力エネルギー、原子力エネルギー、または潮力エネルギーによって駆動される、請求項
13に記載のプロセス。
【請求項19】
前記フィッシャー・トロプシュ反応器からの前記水を処理して精製水を製造することをさらに含み、前記精製水が前記電気分解ユニットで電気分解される、請求項
13に記載のプロセス。
【国際調査報告】