(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】生体外臓器支持システム
(51)【国際特許分類】
A61M 1/34 20060101AFI20241029BHJP
A61M 1/36 20060101ALI20241029BHJP
C12M 1/00 20060101ALN20241029BHJP
【FI】
A61M1/34 100
A61M1/36 100
C12M1/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523150
(86)(22)【出願日】2022-10-18
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 US2022078272
(87)【国際公開番号】W WO2023069930
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517335857
【氏名又は名称】ミロマトリックス メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】カタネ アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】ポクヒル ドミトリー
(72)【発明者】
【氏名】リースグラフ ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ストゥムブラス アーロン
【テーマコード(参考)】
4B029
4C077
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029AA27
4B029BB01
4B029BB11
4B029DG10
4B029FA15
4C077AA23
4C077AA25
4C077AA30
4C077DD16
4C077EE01
4C077HH03
4C077HH13
4C077HH14
4C077HH15
(57)【要約】
患者臓器を支持するためのシステム(200)は、一次回路(212b)、二次回路(212a)、およびコントローラー(214)を含んでいてもよい。一次回路は、患者(54)に接続するように構成されたインレット、患者に接続するように構成されたアウトレット、および一次ポンプ(206a)を含んでいてもよい。二次回路は一次血液回路に接続されてもよく、かつ、その中の臓器(50)を血液フロー中で支持するように構成されたエンクロージャー(202)、二次ポンプ、気体移送ユニット(208)、および二次センサー(238a)を含んでいてもよい。コントローラーは、二次センサー信号に基づいて気体移送ユニットを作動させるように構成されてもよい。臓器はバイオ工学的臓器であってもよい。一実施例において臓器は肝臓であり、患者の肝臓の代わりに、またはこれを支持して、肝臓の機能を行うようにはたらく。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を具備する、患者臓器を支持するためのシステム:
該患者に接続するように構成されたインレットと、該患者に接続するように構成されたアウトレットとを含む、一次回路であって、一次回路を通りかつ該患者体内に血液を循環させるように構成された一次ポンプを具備する、一次回路;
該一次血液回路に接続された二次回路であって、
その中の臓器を血液フロー中で支持するように構成されたエンクロージャーであって、該エンクロージャーを通りかつ該臓器を通る該血液フローを受けるための血液インレットと血液アウトレットとを含む、エンクロージャーと、
血液を二次回路に通して循環させるように構成された二次ポンプと、
該血液に、および該血液から、気体を移送するように構成された気体移送ユニットと、
該エンクロージャーの上流に接続され、かつ該血液のコンディションに基づく二次センサー信号を生じるように構成された、二次センサーと
を具備する、二次回路;ならびに
該二次センサー信号に基づき該気体移送ユニットを作動させるように構成された、コントローラー。
【請求項2】
一次回路および二次回路に接続されたバイパス回路、該バイパス回路;ならびに
前記患者の下流に位置する第二の一次ポンプであって、該一次回路を通りかつ該患者から血液を循環させるように構成された、第二の一次ポンプ
をさらに具備する、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
二次回路が、
血液をサンプリングするための、エンクロージャーの上流にあるポート
を具備する、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
気体移送ユニットに接続され、かつ該気体移送ユニットに気体を送達するように構成された、気体混合ユニット
をさらに具備する、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
二次センサーが、
血液の圧力に基づきコントローラーに圧力信号を送信するように構成された圧力変換器、および
該血液の温度に基づき該コントローラーに温度信号を送信するように構成された温度センサー
を含み、該コントローラーが、該圧力信号および該温度信号に基づいて、気体移送ユニット、一次ポンプ、および二次ポンプを作動させる、
請求項4記載のシステム。
【請求項6】
二次回路が、
エンクロージャーの上流にあり、かつ血液のインレット溶存酸素レベルに基づきコントローラーにインレット酸素信号を送信するように構成された、インレット溶存酸素センサー;および
エンクロージャーの下流にあり、かつ該血液のアウトレット溶存酸素レベルに基づき該コントローラーにアウトレット酸素信号を送信するように構成された、アウトレット溶存酸素センサー
を具備する、請求項5記載のシステム。
【請求項7】
コントローラーが、インレット酸素信号およびアウトレット酸素信号に基づいて臓器の酸素使用速度を決定するように構成されており、かつ、該コントローラーが、該臓器の該酸素使用速度に基づいて気体移送ユニット、一次ポンプ、および二次ポンプを作動させるように構成されている、請求項6記載のシステム。
【請求項8】
コントローラーが、インレット酸素信号およびアウトレット酸素信号に基づいて患者臓器の酸素使用速度を決定するように構成されており、かつ、該コントローラーが、該患者臓器の該酸素使用速度に基づいて気体移送ユニット、一次ポンプ、および二次ポンプを作動させるように構成されている、請求項7記載のシステム。
【請求項9】
二次回路が、
気体移送ユニットの上流にある気泡トラップおよび気泡センサー
を具備する、請求項2記載のシステム。
【請求項10】
気体移送ユニットが酸素付加器である、請求項1記載のシステム。
【請求項11】
気体移送ユニットがエアセパレーターを含む、請求項10記載のシステム。
【請求項12】
気体移送ユニットを通じて血液と熱交換するために該気体移送ユニットに接続された、加温システム
をさらに具備する、請求項2記載のシステム。
【請求項13】
エンクロージャーの上流で二次回路に接続され、かつコントローラーと通信している、注入システムであって、該コントローラーが、血液に栄養補助剤を送達するためにセンサー信号に基づいて注入システムを作動させるように構成された、注入システム
をさらに具備する、請求項1記載のシステム。
【請求項14】
注入システムが、血液に栄養補助剤を送達するようにそれぞれ構成された複数の注入ポンプを含み;コントローラーが、該血液に栄養補助剤を送達するために二次センサー信号に基づいて該注入ポンプの各々を作動させるように構成されている、請求項13記載のシステム。
【請求項15】
複数の注入ポンプが、細胞培養培地、細胞、グルタミン、グルコース、緩衝剤、塩化ナトリウム、必須アミノ酸、非必須アミノ酸、薬剤、アンモニア(塩化アンモニウム)、HEPES(C
8H
18N
2O
4S)、重炭酸ナトリウム、インスリン、エピネフリン、アルブミン、リノール酸、デキサメタゾン、およびグルカゴンのうち1種または複数種を、血液および臓器に送達するようにそれぞれ構成されている、請求項14記載のシステム。
【請求項16】
注入システムが、複数の注入ポンプと栄養補助剤とを支持するエンクロージャーを含む、請求項15記載のシステム。
【請求項17】
注入システムが、該注入システムの環境を冷却するように構成された冷却システムを含み;該冷却システムはコントローラーと通信しており;該コントローラーは、該注入システムの環境の望ましい温度を維持するために該冷却システムを作動させるように構成されている、請求項16記載のシステム。
【請求項18】
エンクロージャーの流出部に接続され、かつ臓器の脈管の流出部に接続可能である貯蔵コンテナであって、二次ポンプおよび一次ポンプの上流に位置する、貯蔵コンテナ
をさらに具備する、請求項1記載のシステム。
【請求項19】
貯蔵コンテナ内に少なくとも部分的に位置し、かつ該貯蔵コンテナを通過する灌流液を濾過するように構成された、フィルター
をさらに具備する、請求項18記載のシステム。
【請求項20】
気体移送ユニットに接続されかつ貯蔵コンテナに接続された、パージライン
をさらに具備する、請求項18記載のシステム。
【請求項21】
以下の段階を包含する、システムを使用して臓器を生育または支持するための方法:
該システムの二次ループに接続された血液インレットと血液アウトレットとを含むエンクロージャー内に、臓器を収容する段階;
該システムの一次ループを患者に接続する段階であって、該一次ループが該二次ループに接続されている、段階;
血液を患者に通して送るために、一次ポンプを使用して血液を該一次ループに通してポンプ送りする段階;
二次ポンプを使用して、血液を該二次ループに通してポンプ送りする段階であって、該二次ポンプが、血液を該臓器および該二次ループに通して送るために、該血液インレットおよび該血液アウトレットに接続されている、段階;
該一次ループおよび該二次ループを含む血液回路に接続された気体移送ユニットを使用して、該血液に、または該血液から、気体を移送する段階;
該血液のコンディションの指標となるセンサー信号を受ける段階;ならびに
該センサー信号に基づいて該ポンプシステムを作動させる段階。
【請求項22】
二次回路に接続された注入システムを使用して、システム内に栄養素を注入する段階
をさらに包含する、請求項21記載の方法。
【請求項23】
センサー信号に基づいて栄養素が注入される、請求項22記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本特許出願は、2021年10月18日に提出されたAleksandr Kataneの米国特許出願第63/257,004号「EXTRACORPOREAL ORGAN SUPPORT SYSTEM」の優先権の恩典を35 U.S.C. Section 119(e) のもとに主張する;同出願は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
背景
臓器移植は米国全域および世界中で一般に行われている。レシピエントを延命するために肝臓、腎臓、膵臓、肺、および心臓などの臓器が一般に移植されている。しかし、臓器が不足することも多く、臓器に対する需要および待機リストを作り出している。この不足に対する1つの解決法は生物工学的臓器および代替組織を使用することである;その際に、拒絶を防ぐことを助けるために、臓器からその細胞を取り除き、レシピエントの細胞を生物工学的臓器内に灌流することができる。
【発明の概要】
【0003】
【図面の簡単な説明】
【0004】
添付の図面において、縮尺は必ずしも一律でなく、同様の数字は異なる図面における類似のコンポーネントを説明している可能性がある。異なる添え字を有する同様の数字は、類似のコンポーネントの異なる事例を表す可能性がある。図面は概して、本文書において論じるさまざまな態様を、限定としてではなく例として図示する。
【0005】
【
図1】生物工学的臓器の移植の諸ステージにかかわるデバイスおよびシステムの概要を図示する。
【
図2】バイオ工学的臓器の生育および支持のためのシステムの模式図を図示する。
【
図3】バイオ工学的臓器の生育および支持のためのシステムの模式図を図示する。
【
図4】バイオ工学的臓器の生育および支持のためのシステムを作動させる方法の模式図を図示する。
【
図5】使用される例示的コンピューティングシステムのためのアーキテクチャーのブロック図を図示する。
【
図6】バイオ工学的臓器の生育および支持のためのシステムの模式図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
詳細な説明
生物工学的臓器(BEO)および高度バイオ工学的組織(AT)は、拒絶の低減を助け、臓器待機期間の短縮を助ける可能性がある。BEOはまた、異なる生物種の臓器を活用することによっても待機期間の短縮を助ける可能性がある。いくつかの実施例において、植え込み前にATもしくはBEOを試験するために、または、臓器不全もしくは臓器機能低下をきたしている可能性もある患者に追加的な機能的支持を提供するために、BEOまたはATが体外的に患者に接続されてもよい。そうした実施例において、臓器は、患者およびATまたはBEOのコンディションをモニターするための支持システムを使用して、患者に接続されてもよい。
【0007】
例えば、ATまたはBEOが患者に接続されている間に、それが仕様を満たしていることを植え込み前に確実にするために、そして一方で患者の健康状態の改善を任意で植え込み前に助けるために、本システムが、格納されたATまたはBEOの機能について能動的にモニターしてもよい。本システムはまた、臓器の適合性を確実にすることを助けるために、ATまたはBEOが患者に接続されている間に、ATまたはBEOの健康状態、ならびに患者および患者臓器の健康状態もモニターしてもよい。そしてまた、これらの機能が本システムによって自動的に行われてもよい。システムの作動を自動的に調整することによって、または、患者もしくは臓器の健康状態を自動的にモニターすることによって、本システムは、BEOまたはATを使用している患者を支持するために必要な労働要件の低減を助ける可能性がある。
【0008】
以上の記述は本特許出願の内容の概要を提供することを意図しており、本発明の排他的または網羅的な説明を提供することを意図しているわけではない。本特許出願についてさらに情報を提供するために以下の記述を含める。
【0009】
図1に、本開示の少なくとも1つの実施例に基づく、BEOの移植の諸ステージにかかわるデバイスおよびシステムの概要を図示する。
【0010】
例示的手技100は、移植手技に含まれうるさまざまなステージを示す。ステージ102において、ヒト、またはブタ、ヒツジ、もしくはウシなど他の生物種のドナーから臓器が受け取られる。臓器は、研究室内において注意深く制御された条件下で脱細胞化され、すべての(または実質的にすべての)細胞性物質が臓器から除去される。脱細胞化に続いて、ステージ104において臓器が再細胞化され、それによってドナー(または他の由来源)からの細胞が臓器に添加される;そして臓器は機能的に検査されるか、または植え込みのためにその他準備されてもよい。BEOが移植の準備ができたと決定されたら、BEOは、ステージ106における輸送のために準備されてもよい。段階108にて、患者支持を提供するため、または臓器適合性を試験するなどのために、BEOまたはATが患者に接続されてもよい。次に、段階110にて、移植手術においてBEOがレシピエント体内に植え込まれてもよい。これら段階のいくつかのさらなる詳細を、
図2~6に関してさらに詳しく後述する。
【0011】
図2に、バイオ工学的臓器(BEO)を使用して患者を支持および維持するためのシステム200の模式図を図示する。システム200は、エンクロージャー202、血液回路204、ポンプ206(ポンプ206a、ポンプ206b、およびポンプ206cを含む)、気体移送システム208、加温/冷却システム210を含んでいてもよい。回路204は、二次回路212a、一次回路212b、およびバイパス212cを含んでいてもよい。システム200はまた、コントローラー214および注入システム216も含んでいてもよい。
図2には、例えば肝臓であってもよい臓器50、流体であってもよい血液52、および患者54も示されている。
【0012】
エンクロージャー202は、その中の臓器50を血液または培地のフロー中で支持するように構成されたエンクロージャーであってもよい。エンクロージャー202は、エンクロージャーを通りかつ臓器50を通る血液フローを受けるための血液インレット202aおよび血液アウトレット202bを含んでいてもよい。エンクロージャー202は、ポリカーボネートなど、金属、プラスチック、発泡体、エラストマー、セラミック、複合体、またはそれらの組み合わせなどのうち1つまたは複数などの材料で作られた、剛性または半剛性の、コンテナ、エンクロージャー、またはハウジングであってもよい。エンクロージャー202は、オペレーターまたは技師のためにその中の臓器50の可視性を提供するために、透明または半透明であってもよい。任意で、エンクロージャー202は、臓器50の光への曝露を制限するように構成されていてもよい。エンクロージャー202は、蓋を再シール可能式に閉じるために、1つまたは複数のラッチまたはファスナーなどを含んでいてもよい。いくつかの実施例において、エンクロージャー202は1つまたは複数のヒンジを含んでいてもよい。エンクロージャー202は、エンクロージャー202の内容物を周囲条件から温度的に隔離することを助けるために、1つまたは複数の断熱層を含んでいてもよい。エンクロージャー202は、エンクロージャー202の蓋とコンテナとの間にシールを含んでいてもよい。
【0013】
エンクロージャー202は、その中の生物工学的臓器を血液フロー中および/または液槽中で受けかつ支持するように構成されていてもよい。すなわち、エンクロージャー202はその中で臓器を支持するように形状決定されてもよい。いくつかの実施例において、エンクロージャー202が腎臓(または他の実施例において他の臓器)を支持するために形状決定されるよう、エンクロージャー202が臓器特異的(例えば腎臓特異的)であってもよい。いくつかの実施例において、臓器特異的なエンクロージャー202は、臓器を輸送するための必要に応じて取り外し可能および取り替え可能であってもよい。血液インレット202aおよび血液アウトレット202bは、エンクロージャー202を血液回路204から断路するための無菌迅速接続部(sterile-quick connect)を含んでいてもよい。
【0014】
システム200はまた、エンクロージャー202に接続された重量センサー213も含んでいてもよい。重量センサー213は、重量信号をそれに送信するなどのためにコントローラー214と通信していてもよい。コントローラー214は、エンクロージャー202内の流体の重量または体積を決定してもよく、かつ任意で、その重量または体積に基づいて、ポンプ206などシステムのさまざまなコンポーネントを制御してもよい。
【0015】
血液回路204の二次回路212aは、血液インレット202aおよび血液アウトレット202bに接続されてもよく、かつ、血液をシステム200およびそのコンポーネントに通して送るように構成されてもよい。バイパス212cは、二次回路212aおよび一次回路212bを通る流量が変動することまたは異なることを可能にするなどのために、二次回路212aを一次回路212bに接続してもよい。
【0016】
回路204は、さまざまな材料(例えば銅、鋼、アルミニウム、プラスチック、またはシリコーンなど)上の剛性、半剛性、および可撓性チュービングを含む、1つまたは複数のタイプのチュービングで作られてもよい。任意で、回路204のチュービングは、低シェッド(low-shed)チュービングまたは薬局等級のチュービングであってもよい。加えて、血液回路204は、血液回路204を通る圧力降下を減らすことを助けるために、血液回路204全体を通じて比較的少ない制限ポイントを有するように構成されてもよく、それは、臓器50の外側かつ圧力センサーにて測定される圧力と、臓器50またはその中における圧力との間の、正確さの増大を助ける可能性がある。
【0017】
二次回路212aのチュービングまたは回路204は、任意で、臓器50の灌流脈管に直接接続してもよく、それは独立した脈管インターフェースを可能にしうる。概して
図2に関して血液が論じられるが、血液回路は、培地または灌流液など、1つまたは複数の他の流体を扱うように構成されてもよい。いくつかの実施例において、患者の血液が回路204内で使用されてもよい。
【0018】
ポンプ206a、206b、および206cは回路204にそれぞれ接続されてもよく、かつ血液を血液回路204に通して循環させるように構成されてもよい。ポンプ206は容積式ポンプ、遠心ポンプ、または軸流ポンプであってもよい。ポンプ206は、流体のダメージを制限することを助けるために低剪断ポンプであってもよく、任意で可逆式であってもよい。いくつかの実施例において、ポンプ206は、持続タイプのポンプ、または(ダンピングを伴うかもしくは伴わない)蠕動タイプのポンプであってもよい。
【0019】
ポンプ206aは、エンクロージャー202の下流かつ患者54の上流などで一次回路212bに接続されてもよい。ポンプ206bは患者54の下流で一次回路212bに接続されてもよい。ポンプ206cはバイパス212cに接続されてもよい。他の実施例において、ポンプ206a~206cが血液回路204の他の部分に接続されてもよい。任意で、システムが、より多いポンプまたはより少ないポンプを含んでいてもよい。
【0020】
気体移送ユニット208は血液回路204の二次回路212aに接続されてもよく、かつ、酸素、窒素、アルゴン、および二酸化炭素(CO2)などの気体を、血液に、および血液から、移送するように構成されてもよい。気体移送ユニット208は、血液中で例えば酸素およびCO2を望ましい濃度範囲に維持するように構成された、能動的な気体移送ユニットまたは受動的な気体移送ユニットのいずれかであってもよい。いくつかの実施例において、気体移送ユニット208が、臓器支持に資する他の気体を管理してもよい。気体移送ユニット208は、血液が臓器50に入る前にその気体を交換するなどのために、エンクロージャー202の上流に位置してもよい。気体移送ユニット208は、血液が臓器50に入る前にその温度を維持するなどのために、血液回路204の血液と加温冷却システム210との間で熱交換するように構成された熱交換器を任意で含んでいてもよい。任意で、別個の熱交換器がシステム200内で使用されてもよい。任意で、気体移送ユニット208が酸素付加器であってもよい。
【0021】
加温/冷却システム210は、血液が目標の温度範囲内でエンクロージャー202に送達されるように血液と熱交換するために血液回路204に接続されてもよい。加温/冷却システム210は、気体移送ユニット208の熱交換器が二次回路212aなどの血液回路204内の血液と熱交換することを可能にするなどのために、気体移送ユニット208に接続されてもよい。例えば、供給ライン218および戻りライン220が、加温/冷却システム210を気体移送ユニット208に接続してもよく、例えば気体移送ユニット208の熱交換器などに接続してもよい。
【0022】
加温/冷却システム210は、いくつかの実施例において加温システムであってもよく、いくつかの実施例において冷却システムであってもよい。いくつかの実施例において、システム210が別々の加温冷却システムを含んでいてもよい。例えば、システム210が抵抗加熱器、ファン、および熱交換器を含んでいてもよい。他の実施例において、システム210は例えば、圧縮器と、凝縮器と、蒸発器と、1つまたは複数の膨張弁と、逆転弁とを含む冷媒ヒートポンプであってもよい。いくつかの実施例において、システム210が熱電式の加温冷却デバイス(ペルチェデバイス)であってもよい。いくつかの実施例において、システムが冷凍冷却システムおよび抵抗性電気加温デバイスを含んでいてもよい。これらの例のいずれにおいても、システム210が、血液と間接的に熱交換するように構成された熱交換器を含んでいてもよい。任意で、システム210が緊急冷却システムを含んでいてもよい。任意で、気体移送ユニット208が、1つまたは複数の気体タンク222を含んでいてもよく、またはこれに接続されていてもよい。気体タンク222は、二酸化炭素、二酸素、窒素、またはアルゴンのうち、1種または複数種を気体移送ユニット208に送達するように構成されていてもよい。気体タンク222はフィルター225によって気体移送ユニット208に接続されてもよい。
【0023】
システム200は、任意で、ポンプ206、加温/冷却システム210、気体移送ユニット208、システム200のさまざまなセンサー、コントローラー、ユーザーインターフェース254、および/またはシステム200の他のコンポーネントに電力供給するように構成されてもよい電源を含んでいてもよく、またはこれに接続されていてもよい。任意で、電源は、入力電力の喪失中であってもシステム200のコンスタントな作動を提供することを助けるために、無停電電源であってもよい。
【0024】
コントローラー214は、シングルボードもしくはマルチボードのコンピューター、ダイレクトデジタルコントローラー(DDC)、またはプログラマブルロジックコントローラー(PLC)などの、プログラマブルコントローラーであってもよい。他の実施例において、コントローラー214は、ハンドヘルドコンピューターなど任意のコンピューティングデバイス、例えばスマートフォン、タブレット、ラップトップ、デスクトップコンピューターなどであってもよく、または、プロセッサー、メモリ、および通信能力を含む、他の任意のコンピューティングデバイスであってもよい。コントローラー214は、ポンプ206、気体移送ユニット208、加温/冷却システム210、電源、任意のセンサー(後述するものなど)、または注入システム216の作動を制御するなどによって、概してシステム200の作動を制御するように構成されてもよい。臓器50を支持または生育するためにシステム200の1つまたは複数のコンポーネントをコントローラー214がどのように制御しうるかについてのさまざまな例を、
図3を参照して後述する。
【0025】
二次回路212aは、任意で、インレット制御弁224aおよびアウトレット制御弁224bを含んでいてもよい。インレット制御弁224aおよびアウトレット制御弁224bは、それぞれが、コントローラーと通信している変調弁または隔離弁であってもよく、かつ、エンクロージャー202および臓器50をシステム200から取り外すなどのためにエンクロージャー202および臓器50を隔離するなどのため、コントローラーによって作動されてもよい。任意で、インレット制御弁224aおよびアウトレット制御弁224bは、コントローラー214と通信していてもよく、かつ、エンクロージャー202および臓器50を通るフローを調節するためにコントローラー214がインレット制御弁224aまたはアウトレット制御弁224bを作動させてもよい。一次回路212bおよびバイパス212cもまた、1つまたは複数の制御弁を含んでいてもよい。
【0026】
注入システム216は、ハウジング226、加温/冷却システム228、ポンプ230a~230c、およびタンク232a~232cを含んでいてもよい。注入システム216は、1種または複数種の栄養素または流体を、二次回路212aなどの血液回路204中に注入するように構成されてもよい。各ポンプ230の吐出部は、一緒に接続またはマニホールドされてもよく、かつ、血液インレット202aの上流などで血液回路204に接続されてもよい。任意で、注入システム216は、別の位置において血液回路204に接続してもよい。任意で、各ポンプ230は、その中にまたはそれと関連して、逆止弁を含んでいてもよい。任意で、ポンプは、一緒にマニホールドまたは接続された時に互いを超えてポンプ送りすることができないように、固有の逆止弁能力を含んでいてもよい。
【0027】
エンクロージャー226は、温度制御された環境をエンクロージャー226内に提供するなどのために、1つまたは複数の壁および断熱材を含んでいてもよい。エンクロージャー226は、金属、プラスチック、発泡体、エラストマー、セラミック、複合体、またはそれらの組み合わせなどのうち1つもしくは複数などの材料で作られてもよい。エンクロージャー226は、ポンプ230およびタンク232の可視性を提供するために透明もしくは半透明であってもよい(または、例えば窓など、透明もしくは半透明の部分を含んでいてもよい)。任意で、エンクロージャー226は、タンク232の光への曝露を制限するように構成されてもよい。エンクロージャー226は、ドアまたは蓋を再シール可能式に閉じるために、1つもしくは複数のラッチまたはファスナーなどを含んでいてもよい。いくつかの実施例において、エンクロージャー226は、ドアを接続するために1つまたは複数のヒンジを含んでいてもよい。エンクロージャー226は、エンクロージャー226のドアとコンテナとの間にシールを含んでいてもよい。
【0028】
ポンプ230は、それぞれ、それを通して流体をポンプ送りしかつ流体を血液回路204に吐出するように構成されてもよい。ポンプ230の各々は、ポンプ206に関して上述したポンプタイプのいずれかであってもよい。タンク232は、それぞれ、金属、プラスチック、発泡体、エラストマー、セラミック、複合体、またはそれらの組み合わせなどのうち1つもしくは複数で作られた貯蔵コンテナであってもよい。タンク232は、それぞれ、必要に応じてまたはコントローラー214のオペレーターによる決定に応じて血液回路204内に注入される流体を、貯蔵するように構成されてもよい。図には3つのタンクおよびポンプが示されているが、注入システム216は1つ、2つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、または10個などの、タンクまたはポンプを含んでいてもよい。
【0029】
タンク232は、細胞培養培地、細胞、グルタミン、グルコース、緩衝剤、塩化ナトリウム、必須アミノ酸、非必須アミノ酸、薬剤、アンモニア(塩化アンモニウム)、HEPES(C8H18N2O4S)、重炭酸ナトリウム、インスリン、エピネフリン、アルブミン、リノール酸、デキサメタゾン、またはグルカゴンのうち、1種または複数種を貯蔵するように構成されてもよく、かつポンプ230はこれをポンプ送りするために送達されてもよい。薬剤は、(R)-ワルファリン、(S)-メフェニトイン、アセトアミノフェン、アプレピタント、アゾール、ベンゾジアゼピン、ベータ(Beta)、カフェイン、カルシウム、カルバマゼピン、セレコキシブ、クラリスロマイシン、コデイン、シクロスポリン、デラビルジン、デキストロメトルファン、ジアゼパム、ジクロフェナク、エナラプリル、エリスロマイシン、エストラジオール、エストロゲン、フェンタニル、フィナステリド、フレカイニド、フルオキセチン、グリピジド、グリブリド、ハロペリドール、インジナビル、インドメタシン、リドカイン、ロピナビル、ロラチジン(Loratidine)、メタドン、メキシレチン、モルヒネ、ネルフィナビル、ニフェジピン、オランザピン、オメプラゾール、オピオイド、ペンタミジン、フェノチアジン、フェニトイン、ピロキシカム、プレドニゾン、プロゲステロン、プロプラノロール、キニジン、リスペリドン、リトナビル、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、サキナビル、シルデナフィル、シロリムス、スタチン、タクリン、タクロリムス、タモキシフェン、テストステロン、テオフィリン、トラマドール、トラゾドン、三環系(Tricyclic)、バルプロ酸塩、ベンラファキシン、ベラパミル、またはボリコナゾールのうち、1種または複数種であってもよい。
【0030】
注入システム216は、エンクロージャー202内で臓器50を処置、生育、または支持するなどのため、1つまたは複数の流体を血液回路204中に注入するために、コントローラー214などによって制御されてもよい。システム200および注入システム216の作動のさらなる詳細を、
図3に関して後述する。
【0031】
二次回路212aは、二次回路212aにかつバイパス212cの下流に接続されしたがってすべてのポンプ206の下流に接続された気泡センサー234を任意で含んでいてもよく、それは臓器50の上流で気泡を検出することを可能にする。気泡センサー234はコントローラー214と通信していてもよい。気泡トラップ236が、二次回路212aの下流かつバイパス212cの下流、したがってすべてのポンプ206の下流などで、二次回路212a内に位置していてもよく、それは、ポンプ送り中の撹拌によって作り出された気泡を臓器50の上流で集めることを可能にする。
【0032】
二次回路212aは、圧力センサー、温度センサー、流量計、グルコースセンサー、乳酸センサー、O2センサー、CO2センサー、pHセンサー、または他のセンサーのうち、1つまたは複数を任意で含んでいてもよいインレットセンサー群238aを、任意で含んでいてもよい。各センサーは、エンクロージャー202の上流で二次回路212aに接続されていてもよい(かつ任意でエンクロージャー202内にあってもよい)。同様に、アウトレットセンサー群238bが、圧力センサー、温度センサー、流量計、グルコースセンサー、乳酸センサー、O2センサー、CO2センサー、臓器健康状態センサー、または他のセンサーのうち、1つまたは複数を任意で含んでいてもよい。各センサーは、エンクロージャー202の下流で二次回路212aに接続されていてもよい(かつ任意でエンクロージャー202内にあってもよい)。
図2においてセンサーは特定の位置を有するものとして示されているが、他の実施例においてセンサーがさまざまな位置にポジショニングされていてもよい。
【0033】
例えば、温度センサーがエンクロージャー202の上流またはエンクロージャー202の下流に位置していてもよい。インレット温度センサーは、エンクロージャー202に入る血液のインレット温度に基づいてインレット温度信号を生じるように構成されてもよい。アウトレット温度センサーは、エンクロージャー202から出る血液のアウトレット温度に基づいてアウトレット温度信号を生じるように構成されてもよい。温度センサーは、回路204のパイプに連結されたサーモウェル内にあるか、または処理流体と直接接触しているかのいずれかである、サーミスタ、熱電対、または抵抗温度検出器など、任意のタイプの流体温度センサーである。インレットセンサー群238aまたはアウトレットセンサー群238bが他のセンサー選択肢を含んでいてもよく、そのいくつかの例を後述する。
【0034】
別の実施例において、インレットグルコースセンサーが、エンクロージャー202の上流などで二次回路212aに接続されてもよい。同様に、アウトレットグルコースセンサーが、エンクロージャー202の下流などで二次回路212aに接続されてもよい。グルコースセンサーは、血液のグルコースレベルに基づいてグルコースセンサー信号を生じるように構成されてもよい。同様に、臓器健康状態センサーが、エンクロージャー202の上流または下流などで二次回路212aに接続されてもよい。臓器健康状態センサーは、回路204内の血液の代謝産物レベルに基づいて臓器健康状態センサー信号を生じるように構成されてもよい。インレットCO2センサーがエンクロージャー202の上流で二次回路212aに接続されてもよい。アウトレットCO2センサーがエンクロージャー202の下流で二次回路212aに接続されてもよい。インレットCO2センサーおよびアウトレットCO2センサーの各々が、血液の血液のそれぞれのCO2レベルに基づいて二酸化炭素信号を生じるように構成された、二酸化炭素センサーであってもよい。インレットO2センサーがエンクロージャー202の上流で二次回路212aに接続されてもよい。アウトレットO2センサーがエンクロージャー202の下流で二次回路212aに接続されてもよい。インレットO2センサーおよびO2センサーの各々が、血液のそれぞれのO2レベルに基づいて酸素信号を生じるように構成された、酸素センサーであってもよい。インレット圧力センサーがエンクロージャー202の上流で二次回路212aに接続されてもよく、かつ、エンクロージャー202内に至る血液の圧力に基づいてインレット圧力信号を生じるように構成されてもよい。アウトレット圧力センサーがエンクロージャー202の上流で二次回路212aに接続されてもよく、かつ、エンクロージャー202内に至る血液の圧力に基づいてインレット圧力信号を生じるように構成されてもよい。センサー信号のいずれかまたはすべてがコントローラー214に送信されてもよい。
【0035】
サンプリングポート240aが二次回路212a(例えばポンプ206aの上流)に接続されていてもよく、かつ、二次回路212a内の血液の無菌性を損なうことなく血液のサンプルを引くためにシリンジを受けるように構成されていてもよい。サンプリングポート240bが二次回路212a(例えばポンプ206aの下流)に接続されていてもよく、かつ、二次回路212a内の血液の無菌性を損なうことなく血液のサンプルを引くためにシリンジを受けるように構成されていてもよい。そしてまた、血液回路204が1つまたは複数の投与ポートを含んでいてもよい;投与ポートは、回路204内の血液の無菌性を損なうことなく血液および最終的に臓器まで送達するために栄養補助剤を受けるように構成されてもよい。
【0036】
一次回路212bは、バイパス212cの下流、したがってポンプ206aの下流かつ患者54の上流で一次回路212bに接続された気泡センサー242を任意で含んでいてもよく、それは患者54の上流で気泡を検出することを可能にする。気泡センサー234はコントローラー214と通信していてもよい。気泡トラップ244が、二次回路212aの下流かつバイパス212cの下流、したがってポンプ206aの下流などで、一次回路212b内に位置していてもよく、それは、ポンプ送り中の撹拌によって作り出された気泡を患者54の上流で集めまたはトラップすることを可能にする。
【0037】
一次回路212bはまた、圧力センサー、温度センサー、流量計、グルコースセンサー、乳酸センサー、O2センサー、CO2センサー、pHセンサー、または他のセンサーのうち、1つまたは複数を含んでいてもよい、二次インレットセンサー群246aも含んでいてもよい。各センサーは患者54の上流で一次回路212bに接続されていてもよい。同様に、一次回路212bは、圧力センサー、温度センサー、pHセンサー、流量計、グルコースセンサー、O2センサー、CO2センサー、臓器健康状態センサー、または他のセンサーのうち、1つまたは複数を任意で含んでいてもよい、二次アウトレットセンサー群246bを含んでいてもよい。各センサーは患者54の下流で一次回路212bに接続されていてもよい。
図2においてセンサーは特定の位置を有するものとして示されているが、他の実施例においてセンサーがさまざまな位置にポジショニングされていてもよい。
【0038】
一次回路212bはまた、一次回路212b(例えば患者54の上流)に接続されていてもよく、かつ一次回路212b内の血液の無菌性を損なうことなく血液のサンプルを引くためにシリンジを受けるように構成されていてもよい、サンプルポート248aも含んでいてもよい。サンプリングポート248bが一次回路212b(例えば患者54の下流)に接続されていてもよく、かつ一次回路212b内の血液の無菌性を損なうことなく血液のサンプルを引くためにシリンジを受けるように構成されていてもよい。そしてまた、一次回路212bが投与ポート250を含んでいてもよい;投与ポート250は、回路204内の血液の無菌性を損なうことなく血液および最終的に患者54および臓器50まで送達するために栄養補助剤を受けるように構成されてもよい。
【0039】
一次回路212bはまた、患者54の上流に位置していてもよくかつコントローラー214と通信していてもよい気泡センサー252も含んでいてもよい。コントローラー214は、患者54の健康および安全を保護することを助けるために、気泡センサー252が気泡を検出したならばシステム200をシャットダウンするように構成されてもよい。
【0040】
図3に、バイオ工学的臓器を使用して患者54を支持するためのシステム200の模式図を図示する。システム200は、
図2に関して上述したシステム200と同じまたは同様であってもよい;
図3は、さまざまなコンポーネントがコントローラー214にどのように接続されうるかを示す。
【0041】
ポンプ206、気体移送ユニット208、冷却システム210、一次センサー群246、二次センサー群238、注入システム216、および制御弁224がコントローラーに接続されてもよい。冷却システム228およびポンプ230は、コントローラー214に直接接続されてもよく、または、注入システム216のコントローラーもしくは他のデバイスを通じてコントローラー214に接続されてもよい。
【0042】
ユーザーインターフェース254は任意のディスプレイおよび/または入力デバイスであってもよい。例えば、ユーザーインターフェース254は、タッチスクリーンディスプレイ、コンピューター、タブレット、または電話などであってもよい。別の実施例において、ユーザーインターフェース254がライト、ボタン、および/またはスイッチを提供してもよい。ユーザーインターフェース254はコントローラー214と通信していてもよく、かつ、コントローラー214およびそれに接続されたデバイスを作動させるように構成されてもよい。
【0043】
臓器50の支持に必要とされる時間および労力の低減を助けるなどのため、システム200内の臓器50を、したがって患者54を、自動もしくは半自動の様式で支持するために、システム200のさまざまなセンサーおよび信号のうち1つまたは複数がコントローラー214によって使用されてもよい。コントローラー214は、臓器のそうした生育または維持を行うために、1つまたは複数のセンサーからのデータを組み込むさまざまなアルゴリズム(例えばPIDループ)を使用してもよい。さまざまな実施例をさらに詳しく後述する。
【0044】
一実施例において、コントローラー214は、インレットセンサー群238aからインレット温度信号を、またはアウトレットセンサー群238bからアウトレット温度信号を受けるように構成されてもよい。コントローラー214は、温度信号に基づいて、ポンプ206、気体移送ユニット208、または加温冷却システム210を作動させるようにさらに構成されてもよい。例えば、コントローラー214は、回路204内の血液の温度が例えば摂氏37、38、または39度などの閾値を上回っていることをアウトレット温度信号が示している時に、システム210の冷却を起動してもよい。同様に、コントローラー214は、回路204内の血液の温度が例えば摂氏37、36、または35度などの閾値を下回っていることをアウトレット温度信号が示している時に、システム210の加温を起動してもよい。この制御は、患者54に入る流体が許容可能レベルであり、臓器50にとってもそうであることを、確実にすることを助ける可能性がある。いくつかの実施例において、コントローラー214は、周囲温度センサーからの周囲温度信号に基づいてそうしたコンポーネントの作動を修正してもよい。コントローラー214はまた、温度センサー信号のいずれかに基づいてアラートを生じるように構成されてもよい。
【0045】
別の実施例において、コントローラー214は、(インレットセンサー群238aまたはアウトレットセンサー群238bなどの)グルコースセンサーからグルコースセンサー信号を受けるように構成されてもよく、かつコントローラー214は、グルコースセンサー信号に基づいて、ポンプ206、気体移送ユニット208、または注入システム216を作動させるように構成されてもよい。例えば、回路204内の血液のグルコース濃度が閾値(例えば1リットルあたり0.5グラム)を下回るまで降下したならば、コントローラー214は、血液回路204内にグルコースを注入するためにグルコース注入ポンプ230を起動してもよい。コントローラー214は、臓器50または患者54のグルコース消費速度を決定するために、1つまたは複数のグルコースセンサー信号を使用してもよい。コントローラー214はまた、臓器50または患者54のグルコース消費速度が閾値(例えば1時間あたり100ミリグラム)を下回るまで降下したなどであれば、消費に基づいてグルコース注入を調整するように構成されてもよく、またはグルコース消費に基づいてアラートを生じてもよい。
【0046】
別の実施例において、コントローラー214は、(センサー群238または240などの)圧力センサーから圧力信号を受けるように構成されてもよく、かつコントローラー214は、圧力信号に基づいてポンプ206a、206b、206c、または冷却システム210を作動させるように構成されてもよい。コントローラー214はまた、圧力が閾値圧力を下回るまで降下しかつポンプが作動しており、ポンプが破損しているまたは破損したことを示しているなどであれば、圧力信号に基づいてアラートを生じるように構成されてもよい。ポンプ206は、0~2300ミリリットル毎分(ml/分)などで、血液回路204を通る血液の流量を変動させるために制御されてもよい。任意で、二次回路212aにおいてより高い流量を提供するなどのために、ポンプ206aおよび206bが0~150 ml/分で作動し、かつポンプ206cがおよそ1000 ml/分で作動してもよい。ポンプ206はまた、0~200水銀柱ミリメートル(mm/Hg)などで作動圧力を変動させるために制御されてもよい。ポンプ206のフローは、二次回路212aまたは一次回路212bのモニターされた圧力に基づいて制御されてもよい。
【0047】
例えば、コントローラー214は、インレットセンサー群238aまたはアウトレットセンサー群238bのうち、1つまたは複数を使用して、二次回路212aを通る流量および圧力をモニターしてもよく、かつ、臓器50を通る望ましい圧力または流量を維持するなどのために、圧力信号またはフロー信号に基づいて、ポンプ206のうち1つまたは複数のフローを調整してもよい。同様に、コントローラー214は、二次インレットセンサー群246aおよび二次アウトレットセンサー群246bのうち、1つまたは複数を使用して、一次回路212bを通る流量および圧力をモニターしてもよく、かつ、患者54を通る望ましい圧力もしくは流量を維持するため、または、患者の流量もしくは流体圧力をマッチさせるなどのために、圧力信号またはフロー信号に基づいて、ポンプ206のうち1つまたは複数のフローを調整してもよい。
【0048】
別の実施例において、コントローラー214は、(インレットセンサー群238aまたはアウトレットセンサー群238bなどの)気体センサーから気体信号を受けるように構成されてもよく、かつ、気体信号に基づいて臓器50の気体消費量を決定するために気体信号(例えばO2またはCO2)を使用してもよい。コントローラー214はまた、決定された臓器50の気体消費量に基づいて気体移送ユニット208もしくは気体タンク222を作動させてもよく、または、決定された消費量に基づいてアラートを生じてもよい。同様に、コントローラー214は、(二次インレットセンサー群246aまたは二次アウトレットセンサー群246bなどの)気体センサーから気体信号を受けるように構成されてもよく、かつ、気体信号に基づいて患者54の気体消費量を決定するために気体信号(例えばO2またはCO2)を使用してもよい。コントローラー214はまた、決定された患者54の気体消費量に基づいて気体移送ユニット208もしくは気体タンク222を作動させてもよく、または、決定された消費量に基づいてアラートを生じてもよい。コントローラー214はまた、気体信号に基づいて注入システム216を作動させてもよい。例えば、コントローラー214は、患者54または臓器50の消費速度に基づいて、1つまたは複数の溶液を注入してもよい。
【0049】
別の実施例において、コントローラー214は、(インレットセンサー群238aまたはアウトレットセンサー群238bなどの)pHセンサーからpH信号を受けるように構成されてもよく、かつ、二次回路212a内の血液のpH範囲を決定するためにpH信号を使用してもよい。コントローラー214は、pHを望ましいまたは作動可能な範囲内に維持するために1つまたは複数の流体を血液回路204に提供するため、注入システム216のポンプ230のうち1つまたは複数を作動させてもよい。同様に、コントローラー214は、二次インレットセンサー群246aまたは二次アウトレットセンサー群246bのpHセンサーからpH信号を受けるように構成されてもよく、かつ、一次回路212b内の血液のpH範囲を決定するためにpH信号を使用してもよい。コントローラー214は、pHを望ましいまたは作動可能な範囲内に維持するために1つまたは複数の流体を血液回路204に提供するため、注入システム216のポンプ230のうち1つまたは複数を作動させてもよい。コントローラー214はまた、血液回路204内のpHレベルが許容可能範囲外になったなどであれば、pH信号に基づいてアラートを生じるように構成されてもよい。そうした実施例において、アラートは、臓器50が汚染されもしくは損なわれたこと、または、患者54の臓器がしかるべきはたらきをしていないことを示す可能性がある。
【0050】
コントローラー214は、気泡センサー234、242、および252と通信していてもよく、かつ、血液回路204内の気泡の検出に基づいて各々から気泡センサー信号を受けるように構成されてもよい。コントローラー214は、回路内で気泡が検出された時に、ポンプのうち1つまたは複数をシャットダウンしてもよい。任意で、コントローラー214は、気泡が検出された時に、一部のポンプのみをシャットダウンしてもよい。例えば、センサー242または252にて気泡が検出された時にポンプ206aおよび206bがシャットダウンされてもよく、しかし、臓器50の支持を続けるなどのためにポンプ206cが作動を続けてもよい。
【0051】
別の実施例において、コントローラー214は、(インレットセンサー群238a、アウトレットセンサー群238b、二次インレットセンサー群246a、または二次アウトレットセンサー群246bなどの)臓器健康状態センサーから臓器健康状態センサー信号を受けるように構成されてもよく、かつコントローラー214は、臓器健康状態センサー信号に基づいてポンプ206および気体移送ユニット208を作動させるように構成されてもよい。任意で、コントローラー214は、臓器健康状態センサーからの信号に基づいてタンク232のうち1つまたは複数から血液回路204まで流体をポンプ送りするために、ポンプ230のうち1つまたは複数を作動させるため、注入システム216を作動させてもよい。コントローラー214はまた、臓器健康状態センサー信号に基づいてアラートを生じるように構成されてもよい。いくつかの実施例において、臓器健康状態センサーは、1つまたは複数の代謝産物センサーであってもよい。
【0052】
コントローラー214は、臓器50、患者54、および血液回路204の望ましい代謝産物レベルを維持するために1種または複数種の栄養素を血液回路204に注入するため、ポンプ230を作動させてもよい。臓器健康状態センサーは、血液の1つまたは複数のコンディションをモニターするように構成されたさまざまなタイプのセンサーであってもよい。例えば、臓器健康状態センサーは、血液のアンモニアの濃度またはレベルに基づいて信号を生じるように構成されたアンモニアセンサーであってもよい。臓器健康状態センサーはまた、血液のグルタミンの濃度またはレベルに基づいて信号を生じるように構成されたグルタミンセンサーであってもよい。臓器健康状態センサーはまた、血液の乳酸の濃度またはレベルに基づいて信号を生じるように構成された乳酸センサーであってもよい。臓器健康状態センサーはまた、血液の胆汁の濃度またはレベルに基づいて信号を生じるように構成された胆汁センサーであってもよい。臓器健康状態センサーはまた、血液のクレアチニンの濃度またはレベルに基づいて信号を生じるように構成されたクレアチニンセンサーであってもよい。臓器健康状態センサーはまた、血液のアルブミンの濃度またはレベルに基づいて信号を生じるように構成されたアルブミンセンサーであってもよい。臓器健康状態センサーはまた、血液の活性化凝固時間(ACT)に基づいて信号を生じるための凝固時間センサーであってもよい。(第VII因子、第VIII因子、または第X因子などの)凝固因子もまた、血液、血液、または培地中でモニターされてもよい。いくつかの実施例において、コントローラー214は、健康状態センサーから健康状態信号を受けるように構成されてもよく、かつ、ACTが閾値を下回る(100秒を下回るなど)まで降下したならば抗凝固薬(ヘパリンなど)の注入を制御するように構成されてもよい。
【0053】
いくつかの実施例において、血液回路から検体体積を取り出すためにサンプリングポート240aが使用されてもよい。検体は手動で試験されてもよく、検体は輸送中のサンプリングおよび解析用に自動的に試験されてもよい。サンプリングポート240aから収集された検体は、臓器50または患者54の臓器の機能の発達および維持に必要な生化学成分を注入システム216を通じて添加するために、コントローラー214によって使用されてもよい。さらに、サブシステムの自動サンプリングがコントローラー214によって行われてもよい。例えば、血液がシステムから自動的に引かれてもよく、かつACT、グルコース、乳酸、またはアンモニアなどを測定するコンポーネントに送達されてもよい。
【0054】
いくつかの実施例において、血液または培地の検体がサンプリングポート240aを通じて(または二次センサー群238aのグルコースセンサーを使用して)採取されてもよい。検体は、指定の期間にわたって血液のグルコース含有量について(コントローラー214などによって)アッセイされてもよい。これは、臓器50または患者54が充分なグルコース消費速度を有しているかを決定するために行われてもよい。回路204内の血液のグルコースレベルが低すぎると決定された時は、臓器50および患者54の臓器を維持することを助けるために、回路204内にグルコースを注入するためにコントローラー214が注入システム216を作動させてもよい。いくつかの実施例において、どの臓器が最適以下ではたらいているかを決定するために、複数のサンプリングポート(サンプリングポート240aおよびサンプルポート248aなど)から複数の検体が使用されてもよい。
【0055】
いくつかの実施例において、一般にその臓器でクリアランスされる指定用量の薬剤が指定の期間にわたって注入されてもよい((R)-ワルファリン、(S)-メフェニトイン、アセトアミノフェン、アプレピタント、アゾール、ベンゾジアゼピン、ベータ(Beta)、カフェイン、カルシウム、カルバマゼピン、セレコキシブ、クラリスロマイシン、コデイン、シクロスポリン、デラビルジン、デキストロメトルファン、ジアゼパム、ジクロフェナク、エナラプリル、エリスロマイシン、エストラジオール、エストロゲン、フェンタニル、フィナステリド、フレカイニド、フルオキセチン、グリピジド、グリブリド、ハロペリドール、インジナビル、インドメタシン、リドカイン、ロピナビル、ロラチジン(Loratidine)、メタドン、メキシレチン、モルヒネ、ネルフィナビル、ニフェジピン、オランザピン、オメプラゾール、オピオイド、ペンタミジン、フェノチアジン、フェニトイン、ピロキシカム、プレドニゾン、プロゲステロン、プロプラノロール、キニジン、リスペリドン、リトナビル、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、サキナビル、シルデナフィル、シロリムス、スタチン、タクリン、タクロリムス、タモキシフェン、テストステロン、テオフィリン、トラマドール、トラゾドン、三環系(Tricyclic)、バルプロ酸塩、ベンラファキシン、ベラパミル、またはボリコナゾール)。肝臓BEO(臓器50)が充分な速度で薬剤をクリアランスしているかを決定するために、血液または培地の検体がサンプリングポート240aから周期的に採取されてもよく、かつ生体分析されてもよい。いくつかの実施例において、肝臓BEOが充分なアルブミン産生を有するかを決定するために、指定の期間にわたって血液または培地の検体がサンプリングポート240aから採取されて、アルブミン含有量についてアッセイされてもよい。いくつかの実施例において、肝臓BEOが充分な胆汁産生を有するかを決定するために、指定の期間にわたって血液または培地の検体がサンプリングポート240aから採取されて、胆汁含有量についてアッセイされてもよい。いくつかの実施例において、腎臓BEO(臓器50)が、臓器の正常なはたらきまたは機能の指標となる糸球体濾過率を有するかを決定するために、指定の期間にわたって血液または培地の検体がサンプリングポート240aから採取されて、クレアチニン、BSA、および/または尿素の含有量についてアッセイされてもよい。
【0056】
図4に、本開示の少なくとも1つの実施例に基づく方法400の模式図を図示する。方法400は、BEOおよび患者を試験および支持する方法であってもよい。方法400の段階またはオペレーションは、便宜性および明瞭性のために特定の順序で図示されている;論じられるオペレーションの多くは、他のオペレーションに著しい影響を及ぼすことなく、異なるシーケンスで、または並列で、行われうる。本明細書で論じる方法400は、複数の異なる行為者、デバイス、および/またはシステムによって行われるオペレーションを含む。理解される点として、方法400において論じられるオペレーションのサブセットは、単一の行為者、デバイス、またはシステムに帰属可能であり、別個のスタンドアロンのプロセスまたは方法とみなせる可能性がある。
【0057】
方法400は、システムの二次ループに接続された血液インレットおよび血液アウトレットを含むエンクロージャー内に臓器が収容されてもよい段階402で始まる。例えば、二次回路212aに接続されたエンクロージャー202内に臓器50が収容されてもよい。段階404にて、システムの一次ループが、患者に接続されてもよく、一次ループは、二次ループに接続されている。例えば、システム200の一次回路212bが患者54に接続されてもよい。段階406にて、血液を患者に通して送るために、一次ポンプを使用して、血液が一次ループを通ってポンプ送りされてもよい。例えば、患者54に通して血液を送るために、ポンプ206aおよび206bを使用して、血液が一次回路212bを通ってポンプ送りされてもよい。段階406ではまた、二次ポンプを使用して、血液が二次ループを通ってポンプ送りされてもよく、ここで二次ポンプは、血液を臓器および一次ループに通して送るために、血液インレットおよび血液アウトレットに接続されていてもよい。例えば、血液を臓器および二次回路212aに通して送るために、ポンプ206cを使用して、血液が二次回路212aを通ってポンプ送りされてもよい。
【0058】
段階408にて、血液回路に接続された気体移送ユニットを使用して、血液に、または血液から、気体が移送されてもよい。例えば、気体移送ユニット208を使用して、血液回路204の血液に、または血液から、気体が移送されてもよい。段階410にて回路204の血液が加温されてもよい。段階412にて、血液のコンディションの指標となるセンサー信号が受けられてもよい。例えば、コントローラー214が、インレットセンサー群238a、アウトレットセンサー群238b、二次インレットセンサー群246a、または二次アウトレットセンサー群246bの、1つまたは複数のセンサーからの信号を受けてもよい。段階414にて、1つまたは複数のセンサー信号に基づいて、ポンプおよび注入システムが作動されてもよい。
【0059】
別の実施例において、二次回路に接続された注入システムを使用してシステム内に栄養素が注入されてもよい。例えば、二次回路212aに接続された注入システム216を使用してシステム200内に栄養素が注入されてもよい。
【0060】
図5に、本明細書に論じる技法(例えば方法論)のうちいずれか1つまたは複数が行われうる例示的機械500のブロック図を図示する。本明細書に説明するような実施例は、機械500(システム200であってもよい)内の論理もしくはいくつかのコンポーネント、または機構を含んでいてもよく、またはそれによって作動されてもよい。サーキットリー(例えば処理サーキットリー)は、ハードウェア(例えば単純な回路、ゲート、論理など)を含む、機械500の有形エンティティにおいて実施される回路の集合である。サーキットリーのメンバーシップは経時的にフレキシブルであってもよい。サーキットリーには、作動時に指定の作動を単独でまたは組み合わせで行ってもよいメンバーが含まれる。一実施例において、サーキットリーのハードウェアは、特定の作動を行うように不変的に設計されてもよい(例えば配線されるなど)。一実施例において、サーキットリーのハードウェアは、可変接続された物理的コンポーネント(例えば実行ユニット、トランジスター、単純な回路など)を含んでいてもよく、それには、特定の作動の命令をエンコードするために物理的に修正される(例えば、不変質量粒子の、磁気的、電気的に移動可能な配置など)機械可読媒体も含まれる。物理的コンポーネントの接続において、ハードウェア構成要素の基礎的な電気特性が、例えば絶縁体から導体に、またはその逆などのように変更される。命令は、作動時に特定の作動の一部分を行うために、埋込みハードウェア(例えば実行ユニットまたはローディング機構)が可変接続を介してハードウェア内のサーキットリーのメンバーを作り出すことを可能にする。したがって、一実施例において、デバイスの作動時に、機械可読媒体要素はサーキットリーの一部であるか、またはサーキットリーの他のコンポーネントに通信可能的に連結される。一実施例において、物理的コンポーネントのいずれかが、1つより多いサーキットリーの1つより多いメンバーにおいて使用されてもよい。例えば、作動下において、実行ユニットが、1つの時点で第一サーキットリーの第一回路において使用され、かつ異なる時点で第一サーキットリー内の第二回路によって、または第二サーキットリー内の第三回路によって、再使用されてもよい。機械500に関するこれらコンポーネントのさらなる例を以下に示す。
【0061】
代替的態様において、機械500は、スタンドアロンのデバイスとして作動してもよく、または他の機械に接続(例えばネットワーク)されてもよい。ネットワーク式の展開において、機械500は、サーバー - クライアント・ネットワーク環境におけるサーバーマシン、クライアントマシン、またはその両方のキャパシティ内で作動してもよい。一実施例において、機械500は、ピアツーピア(P2P)(または他の分散型)ネットワーク環境におけるピアマシンとして作用してもよい。機械500は、パーソナルコンピューター(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、ウェブアプライアンス、ネットワークルーター、スイッチもしくはブリッジ、または、その機械が取るべきアクションを指定した(逐次的またはその他の)命令を実行できる任意の機械であってもよい。さらに、単一の機械のみが図示されているが、「機械(machine)」という用語は、クラウドコンピューティング、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)、他のコンピュータークラスター構成など、本明細書において論じる方法論のいずれか1つまたは複数を行うために命令セット(または複数の命令セット)を個別にまたは合同で実行する、機械の任意の集合もまた含むものとみなされるべきである。
【0062】
機械(例えばコンピューターシステム)500は、ハードウェアプロセッサー502(例えば中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、ハードウェアプロセッサーコア、もしくはそれらの任意の組み合わせ)、主メモリ504、静的メモリ(例えば、ファームウェア、マイクロコード、基本入出力(BIOS)、ユニファイド・エクステンシブル・ファームウェア・インタフェース(UEFI)などのための、メモリもしくはストレージ)506、および大容量ストレージ508(例えばハードドライブ、テープドライブ、フラッシュストレージ、または他のブロックデバイス)を含んでいてもよく、その一部または全部がインターリンク(例えばバス)530を介して互いに通信していてもよい。機械500は、ディスプレイユニット510、英数字入力デバイス512(例えばキーボード)、およびユーザーインターフェース(UI)ナビゲーションデバイス514(例えばマウス)をさらに含んでいてもよい。一実施例において、ディスプレイユニット510、入力デバイス512、およびUIナビゲーションデバイス514が、タッチスクリーンディスプレイであってもよい。機械500は、ストレージデバイス(例えばドライブユニット)508;信号生成デバイス518(例えばスピーカー);ネットワークインターフェースデバイス520;および、汎地球測位システム(GPS)センサー、コンパス、加速度計、もしくは他のセンサーなど、1つまたは複数のセンサー516を追加的に含んでいてもよい。機械500は、1つまたは複数の周辺デバイス(例えばプリンター、カードリーダーなど)と通信しまたはこれを制御するために、直列接続(例えばユニバーサルシリアルバス(USB))、並列接続、または他の有線もしくは無線接続(例えば赤外(IR)、近距離無線通信(NFC)など)などの出力コントローラー528を含んでいてもよい。
【0063】
プロセッサー502、主メモリ504、静的メモリ506、または大容量ストレージ508のレジスターは、機械可読媒体522であるかまたはこれを含んでいてもよい;そこには、本明細書に説明する技法または機能のいずれか1つもしくは複数を、具現化するかまたはこれによって利用される、データ構造または命令524の1つもしくは複数のセット(例えばソフトウェア)が保存される。命令524もまた、機械500による実行中に、プロセッサー502、主メモリ504、静的メモリ506、または大容量ストレージ508のいずれかのレジスター内に、完全にまたは少なくとも部分的に存在してもよい。一実施例において、ハードウェアプロセッサー502、主メモリ504、静的メモリ506、もしくは大容量ストレージ508のうち1つ、またはその任意の組み合わせが、機械可読媒体522を構成してもよい。機械可読媒体522は単一の媒体として図示されているが、「機械可読媒体」という用語には、1つまたは複数の命令524を保存するように構成された、単一の媒体または複数の媒体(例えば集中型もしくは分散型のデータベース、ならびに/または、関連するキャッシュおよびサーバー)が含まれうる。
【0064】
「機械可読媒体」という用語には、機械500によって実行されかつ本開示の技法のうち1つまたは複数を機械500に行わせる命令を、保存、エンコード、もしくは搬送できる任意の媒体;または、そうした命令によって使用されもしくはそうした命令に関連するデータ構造を、保存、エンコード、もしくは搬送できる任意の媒体;が含まれうる。機械可読媒体の非限定例には、固体メモリ、光学媒体、磁気媒体、および信号(例えば無線周波信号、他の光子ベースの信号、音信号など)が含まれうる。一実施例において、非一時的な機械可読媒体は、不変(例えば静止)質量を有しゆえに物質の組成である複数の粒子を備えた、機械可読媒体を具備する。したがって、非一時的な機械可読媒体は、一時的な伝搬信号を含まない機械可読媒体である。非一時的な機械可読媒体の具体例には、半導体メモリデバイス(例えば、電気的にプログラム可能な読出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能なプログラム可能読出し専用メモリ(EEPROM))、およびフラッシュメモリデバイスなどの、不揮発性メモリ;内蔵ハードディスクおよび取り外し可能なディスクなどの、磁気ディスク;光磁気ディスク;ならびに、CD-ROMディスクおよびDVD-ROMディスクが含まれうる。
【0065】
命令524はさらに、多数の転送プロトコル(例えばフレームリレー、インターネットプロトコル(IP)、伝送制御プロトコル(TCP)、ユーザー・データグラム・プロトコル(UDP)、ハイパーテキスト・トランスファー・プロトコル(HTTP)など)のうちいずれか1つを利用するネットワークインターフェースデバイス520を介して、伝送媒体を使用した通信ネットワーク526上で送信または受信されてもよい。通信ネットワークの例には、とりわけ、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、パケットデータネットワーク(例えばインターネット)、携帯電話ネットワーク(例えばセルラーネットワーク)、在来電話(POTS)ネットワーク、ならびに、無線データネットワーク(例えば、Wi-Fi(登録商標)として公知であるInstitute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE)802.11標準ファミリー、WiMax(登録商標)として公知であるIEEE 802.16標準ファミリー)、IEEE 802.15.4標準ファミリー、ピアツーピア(P2P)ネットワークなどが含まれうる。一実施例において、ネットワークインターフェースデバイス520は、通信ネットワーク526に接続するために、1つもしくは複数の物理的ジャック(例えばイーサネットジャック、同軸ジャック、もしくは電話ジャック)、または、1つもしくは複数のアンテナを含んでいてもよい。一実施例において、ネットワークインターフェースデバイス520は、単入力多出力(SIMO)技法、多入力多出力(MIMO)技法、または多入力単出力(MISO)技法のうち、少なくとも1つを使用して無線通信するために、複数のアンテナを含んでいてもよい。「伝送媒体」という用語は、機械500によって実行されるための命令を保存、エンコード、もしくは搬送できる、任意の無形媒体を含むものとして取られるべきであり、そうしたソフトウェアの通信を容易にするためのデジタルもしくはアナログの通信信号、または他の無形媒体を含む。伝送媒体は機械可読媒体である。
【0066】
図6に、バイオ工学的臓器の生育および支持のためのシステム600の模式図を図示する。システム600は上述したシステム200と同様であってもよい;システム600は、貯蔵コンテナおよびパージラインなどの、追加的な特徴またはコンポーネントを含んでいてもよい。上述または後述するいずれかのシステムが、システム600の特徴を含むように修正されてもよい。システム600において、システム200と同様の符番を伴うコンポーネントは、上述のように接続されかつ作動してもよい同様のコンポーネントを参照する可能性がある。
【0067】
より具体的には、システム600は貯蔵コンテナ656を含んでいてもよい。貯蔵コンテナ656は、エンクロージャー602の下流側で血液回路604に接続されてもよく、かつ、臓器50の1つまたは複数の脈管に接続されるなど、臓器50の下流側に独立にまたは別々に接続されてもよい。この方式において、エンクロージャー602のドレーンから流れて臓器50を通る血液が、貯蔵コンテナ656を介して回路内に再導入されてもよい。
【0068】
エンクロージャー602のドレーンは重力送りされてもよく、したがってエンクロージャー602の底部および貯蔵コンテナ656の最上部に接続してもよい。このセットアップは、エンクロージャー602内の血液の望ましい体積を維持することを貯蔵コンテナ656が助けることを可能にする。貯蔵コンテナ656はエンクロージャー602と比較して小さくてもよい(または異なる形状であってもよい)ので、貯蔵コンテナ656は、空気と血液とが接触する表面積を、エンクロージャー602内と比較して貯蔵コンテナ656内において、より小さく作り出すことができる。したがって、貯蔵コンテナ656はエンクロージャー602内の血液の体積を小さく維持し、それは血液の空気曝露を制限することを助ける可能性がある。臓器50からの血液アウトレット602bは、貯蔵コンテナ656の底部または他の部分に接続されてもよく、かつ、一次ポンプ606aおよび二次ポンプ606cのうち1つまたは複数によって駆動されて流れてもよい。
【0069】
システム600はまた、上述したセンサー213と同様の、エンクロージャー602に接続された重量センサー613aも含んでいてもよい。システム600は、貯蔵コンテナ656に接続された重量センサー613bをさらに含んでいてもよい。重量センサー613bは、重量信号をそれに送信するなどのためにコントローラー614と通信していてもよい。コントローラー614は、貯蔵コンテナ656内の流体の重量または体積を決定してもよく、任意で、その重量または体積に基づいて、ポンプ606などシステムのさまざまなコンポーネントを制御してもよい。このことは、コントローラー614が貯蔵コンテナ656の特定の体積または重量を目標にすることを可能にし、それは、貯蔵コンテナ656内の流体(例えば血液)の過充填または枯渇を制限することを助ける。
【0070】
貯蔵コンテナ656が一次ポンプ606aまたは二次ポンプ606cに緩衝体積の血液または流体を供給できるように、貯蔵コンテナ656の流出部が一次ポンプ606aおよび二次ポンプ606cの両方の上流側またはインレットに接続されてもよい。システム600の清浄作動中に患者に出入りする血液体積が正味ゼロにならないように、(互いに直列であってもよいが患者54の反対側に位置する)一次ポンプ606aおよび第二の一次ポンプ606bをコントローラー614が作動できるよう、ポンプ606aおよび606bがそれぞれコントローラー614と通信していてもよい。
【0071】
システム600は、貯蔵コンテナ656内に少なくとも部分的に位置するフィルター658を含んでいてもよい。フィルター658は、血液が貯蔵コンテナ656を通過する際に不純物、凝血塊、または汚染物質を血液から濾過するように構成されてもよい。例えば、フィルター658は、エンクロージャー602および臓器50からのインレットと、ポンプ606aおよび606cに接続されたアウトレットとの間に位置してもよい。
【0072】
図6はまた、気体移送ユニット608ユニットに接続されかつ貯蔵コンテナ656に接続されたパージライン660をシステム600が含んでいてもよいことも示している。パージライン660は、始動シーケンスの一部分の間など、フラッシングまたはパージのシーケンス中に気体移送ユニット608から血液を送るように構成されてもよい。パージライン660は、気体をシステム600からベントすることまたは貯蔵コンテナ656内に集めることを可能にするために、気体移送ユニット608の血液体積部分内にトラップされた酸素などの気体を気体移送ユニット608から貯蔵コンテナ656内に運ぶことを助けてもよい。この処理は、気体移送ユニット608の血液体積を血液で確実にプライミングすることを助ける可能性があり、それは、気泡が回路内に入り込む機会を制限することを助ける。パージ弁662がパージライン660に接続されてもよく、コントローラー614と通信していてもよい。コントローラー614は、パージシーケンス中にパージライン660を通るフローを制御するためにパージ弁662を作動させてもよく、かつ、臓器50および患者54が支持される正常作動中はパージ弁662を閉じるなどによって、正常作動中は血液がパージライン660を通って流れないようにすることを助けてもよい。
【0073】
システム600はまた、患者54を一次回路612bと接続および断路するなどのために、一次回路612bに接続された1つまたは複数のチューブクランプ664も含んでいてもよい。
【0074】
システム600が患者に接続された時に、システム600は、エンクロージャー602内で複数タイプの臓器を支持しそれによって患者54を支持するように構成されてもよい。例えばシステム600は、臓器50が肝臓でありかつ一次回路612bが患者54の肝臓に接続されるなど、患者54の肝臓を支持するように構成されてもよい。そうした実施例において、システム600は、患者54の肝臓の代わりに、またはこれを支持するうえで、肝臓の機能を行うようにはたらく臓器50などによって、患者の肝臓を支持およびモニターするように構成されてもよい。例えば、肝臓50がアンモニア、脂質、またはグルコースを処理してもよい。
【0075】
例えば、患者54の肝臓のアンモニアクリアランスまたは除去を支持またはモニターすることを臓器50が助けている時に、コントローラー614と通信していてもよいインレットセンサー群638aを介するなどして二次回路612aおよび一次回路612bにおけるアンモニアレベルがモニターされてもよい。センサーはアンモニアセンサー信号をコントローラー614に送信してもよく、コントローラー614は回路の血液中のアンモニア量を決定するためにその信号を使用してもよい。コントローラー614は、検出または決定されたシステム600内のアンモニア量に基づいて、気体移送ユニット608、注入システム616、および1つまたは複数のポンプを作動させてもよい。
【0076】
同様に、プロトンビン時間(PT)または国際標準化比(INR)をコントローラー614が決定することを可能にするための1つまたは複数のセンサーをインレットセンサー群638aが含んでいてもよく、コントローラー614が、検出または決定された、システム600内のまたは患者54の、PTまたはINRに基づいて、気体移送ユニット608、注入システム616、および1つまたは複数のポンプを作動させてもよい。
【0077】
システム600はまた、システム600もしくは患者54の全体的な状態を決定するために、または、肝臓の健康状態もしくはパフォーマンスを示しうる特定のコンディションを検出もしくは決定するために、アルブミン、尿素、コレステロール、またはタンパク質のレベルを決定または検出するためのセンサーも含んでいてもよい。コントローラー614は、検出または決定されたシステム600内のコンディションに基づいて、気体移送ユニット608、注入システム616、および1つまたは複数のポンプを作動させてもよい。
【0078】
患者54体内の肝臓のコンディショニングまたは支持中に、コントローラー614は、第二の一次ポンプ606bをポンプ1上で0~300ミリリットル毎分(ml/分)の速度で作動させてもよく、かつ、二次ポンプ606cを200~2000 ml/分の速度に制御してもよい。
【0079】
システム600はまた、腎臓、膵臓、脾臓、または心臓など、患者の他の臓器を支持するように構成されてもよい。例えば、臓器50が生物工学的な腎臓でありかつシステム600が患者の腎臓に接続されている時に、システム600がクレアチニン、血中尿素窒素(BUN)、アルブミン、または他のタンパク質など、腎臓の指標を検出または決定してもよく、かつコントローラー614が、検出または決定されたシステム600内の腎臓コンディションに基づいて、気体移送ユニット608、注入システム616、および1つまたは複数のポンプを作動させてもよい。
【実施例】
【0080】
注記および実施例
以下の非限定例は、とりわけ、本明細書において論じる課題を解決し恩典を提供するための、本対象事項の特定の局面を詳述する。
【0081】
実施例1は、以下を具備する、患者臓器を支持するためのシステムである:
該患者に接続するように構成されたインレットと、該患者に接続するように構成されたアウトレットとを含む、一次回路であって、一次回路を通りかつ該患者体内に血液を循環させるように構成された一次ポンプを具備する、一次回路;
該一次血液回路に接続された二次回路であって、
その中の臓器を血液フロー中で支持するように構成されたエンクロージャーであって、該エンクロージャーを通りかつ該臓器を通る該血液フローを受けるための血液インレットと血液アウトレットとを含む、エンクロージャーと、
血液を二次回路に通して循環させるように構成された二次ポンプと、
該血液に、および該血液から、気体を移送するように構成された気体移送ユニットと、
該エンクロージャーの上流に接続され、かつ該血液のコンディションに基づく二次センサー信号を生じるように構成された、二次センサーと
を具備する、二次回路;ならびに
該二次センサー信号に基づき該気体移送ユニットを作動させるように構成された、コントローラー。
【0082】
実施例2において、実施例1の対象事項が任意で以下を含む:
一次回路および二次回路に接続されたバイパス回路、該バイパス回路;ならびに
該患者の下流に位置する第二の一次ポンプであって、該一次回路を通りかつ前記患者から血液を循環させるように構成された、第二の一次ポンプ。
【0083】
実施例3において、実施例1~2のいずれか1つまたは複数の対象事項が任意で以下を含む:血液をサンプリングするための、エンクロージャーの上流にあるポートを具備する、二次回路。
【0084】
実施例4において、実施例1~3のいずれか1つまたは複数の対象事項が任意で以下を含む:気体移送ユニットに接続され、かつ該気体移送ユニットに気体を送達するように構成された、気体混合ユニット。
【0085】
実施例5において、実施例4の対象事項が任意で以下を含む:
二次センサーが、
血液の圧力に基づきコントローラーに圧力信号を送信するように構成された圧力変換器、および
該血液の温度に基づき該コントローラーに温度信号を送信するように構成された温度センサー
を含み、該コントローラーが、該圧力信号および該温度信号に基づいて、気体移送ユニット、一次ポンプ、および二次ポンプを作動させること。
【0086】
実施例6において、実施例5の対象事項が任意で以下を含む:
エンクロージャーの上流にあり、かつ血液のインレット溶存酸素レベルに基づきコントローラーにインレット酸素信号を送信するように構成された、インレット溶存酸素センサー;および
エンクロージャーの下流にあり、かつ該血液のアウトレット溶存酸素レベルに基づき該コントローラーにアウトレット酸素信号を送信するように構成された、アウトレット溶存酸素センサー
を具備する、二次回路。
【0087】
実施例7において、実施例6の対象事項が任意で以下を含む:コントローラーが、インレット酸素信号およびアウトレット酸素信号に基づいて臓器の酸素使用速度を決定するように構成されていること;および、該コントローラーが、該臓器の該酸素使用速度に基づいて気体移送ユニット、一次ポンプ、および二次ポンプを作動させるように構成されていること。
【0088】
実施例8において、実施例7の対象事項が任意で以下を含む:コントローラーが、インレット酸素信号およびアウトレット酸素信号に基づいて患者臓器の酸素使用速度を決定するように構成されていること;および、該コントローラーが、該患者臓器の該酸素使用速度に基づいて気体移送ユニット、一次ポンプ、および二次ポンプを作動させるように構成されていること。
【0089】
実施例9において、実施例2~8のいずれか1つまたは複数の対象事項が任意で以下を含む:気体移送ユニットの上流にある気泡トラップおよび気泡センサーを具備する、二次回路。
【0090】
実施例10において、実施例1~9のいずれか1つまたは複数の対象事項が任意で以下を含む:気体移送ユニットが酸素付加器であること。
【0091】
実施例11において、実施例10の対象事項が任意で以下を含む:気体移送ユニットがエアセパレーターを含むこと。
【0092】
実施例12において、実施例2~11のいずれか1つまたは複数の対象事項が任意で以下を含む:気体移送ユニットを通じて血液と熱交換するために該気体移送ユニットに接続された、加温システム。
【0093】
実施例13において、実施例1~12のいずれか1つまたは複数の対象事項が任意で以下を含む:エンクロージャーの上流で二次回路に接続され、かつコントローラーと通信している、注入システムであって、該コントローラーが、血液に栄養補助剤を送達するためにセンサー信号に基づいて注入システムを作動させるように構成された、注入システム。
【0094】
実施例14において、実施例13の対象事項が任意で以下を含む:注入システムが、血液に栄養補助剤を送達するようにそれぞれ構成された複数の注入ポンプを含み;コントローラーが、該血液に栄養補助剤を送達するために二次センサー信号に基づいて該注入ポンプの各々を作動させるように構成されていること。
【0095】
実施例15において、実施例14の対象事項が任意で以下を含む:S)、重炭酸ナトリウム、インスリン、エピネフリン、アルブミン、リノール酸、デキサメタゾン、およびグルカゴン。
【0096】
実施例16において、未定義実施例の対象事項が任意で以下を含む:注入システムが、複数の注入ポンプと栄養補助剤とを支持するエンクロージャーを含むこと。
【0097】
実施例17において、実施例16の対象事項が任意で以下を含む:注入システムが、該注入システムの環境を冷却するように構成された冷却システムを含み;該冷却システムはコントローラーと通信しており;該コントローラーは、該注入システムの環境の望ましい温度を維持するために該冷却システムを作動させるように構成されていること。
【0098】
実施例18において、未定義実施例の対象事項が任意で以下を含む:エンクロージャーの流出部に接続され、かつ臓器の脈管の流出部に接続可能である貯蔵コンテナであって、二次ポンプおよび一次ポンプの上流に位置する、貯蔵コンテナをさらに具備すること。
【0099】
実施例19において、実施例18の対象事項が任意で以下を含む:貯蔵コンテナ内に少なくとも部分的に位置し、かつ該貯蔵コンテナを通過する灌流液を濾過するように構成された、フィルター。
【0100】
実施例20において、実施例18~19のいずれか1つまたは複数の対象事項が任意で以下を含む:気体移送ユニットに接続されかつ貯蔵コンテナに接続された、パージライン。
【0101】
実施例21は、以下の段階を包含する、システムを使用して臓器を生育または支持するための方法である:
該システムの二次ループに接続された血液インレットと血液アウトレットとを含むエンクロージャー内に、臓器を収容する段階;
該システムの一次ループを患者に接続する段階であって、該一次ループが該二次ループに接続されている、段階;
血液を患者に通して送るために、一次ポンプを使用して血液を該一次ループに通してポンプ送りする段階;
二次ポンプを使用して、血液を該二次ループに通してポンプ送りする段階であって、該二次ポンプが、血液を該臓器および該二次ループに通して送るために、該血液インレットおよび該血液アウトレットに接続されている、段階;
該一次ループおよび該二次ループを含む血液回路に接続された気体移送ユニットを使用して、該血液に、または該血液から、気体を移送する段階;
該血液のコンディションの指標となるセンサー信号を受ける段階;ならびに
該センサー信号に基づいて該ポンプシステムを作動させる段階。
【0102】
実施例22において、実施例21の対象事項が任意で以下を含む:二次回路に接続された注入システムを使用して、システム内に栄養素を注入する段階。
【0103】
実施例23において、実施例22の対象事項が任意で以下を含む:センサー信号に基づいて栄養素が注入されること。
【0104】
実施例23において、実施例21の対象事項が任意で以下を含む:気体移送ユニットに気体を送達するために気体混合ユニットを作動させる段階。
【0105】
実施例24において、実施例23の対象事項が任意で以下を含む:気体混合ユニットが、センサー信号に基づいて、二酸化炭素、二酸素、窒素、またはアルゴンのうち1種または複数種を気体移送ユニットに送達すること。
【0106】
実施例25において、実施例18~20のいずれか1つまたは複数の対象事項が任意で以下を含む:二次回路に接続された注入システムを使用して、システム内に栄養素を注入する段階。
【0107】
実施例26は、処理サーキットリーによって実行された時に実施例1~25のいずれかを実施するためのオペレーションを該処理サーキットリーに行わせる命令を含む、少なくとも1つの機械可読媒体である。
【0108】
実施例27は、実施例1~25のいずれかを実施するための手段を具備する装置である。
【0109】
実施例28は、実施例1~25のいずれかを実施するためのシステムである。
【0110】
実施例29は、実施例1~25のいずれかを実施するための方法である。
【0111】
実施例30において、実施例1~29 のいずれか1つまたは任意の組み合わせの、装置または方法は、具陳されたすべての要素または選択肢が、これを使用しまたは選び取るために利用可能であるように、任意で構成されていてもよい。
【0112】
以上の詳細な説明は、詳細な説明の一部をなす添付の図面への参照を含む。図面は、本発明が実践されうる具体的態様を実例として示している。これらの態様はまた、本明細書において「実施例(examples)」ともいう。そうした実施例は、図示および説明された要素に加えて、さらに要素を含む可能性がある。しかし、本発明者らはまた、図示または説明された要素のみが提供された実施例もまた企図している。さらに、本発明者らはまた、本明細書に図示または説明される、特定の実施例(またはその1つもしくは複数の局面)かまたは他の実施例(またはその1つもしくは複数の局面)かのいずれかに関して、図示または説明されたそれら要素(またはその1つもしくは複数の局面)の任意の組み合わせまたは順列を使用した実施例もまた企図している。
【0113】
本文書と、参照により組み入れられるいずれかの文書との間に、語法の不一致が生じた場合は、本文書における語法が支配する。本文書において、「~を含む(including)」および「~である(in which)」という用語は、「~を具備する(comprising)」および「~である(wherein)」というそれぞれの用語の、平易な英語による相当語句として用いられる。そしてまた、添付の特許請求の範囲において、「~を含む」および「~を具備する」という用語はオープンエンドである;すなわち、請求項内でそうした用語の後に列挙された要素に加えて、さらに要素を含むシステム、デバイス、物品、組成物、調合物、またはプロセスも、やはりその請求項の範囲内に入るとみなされる。
【0114】
本文書において、「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語は、特許文書において一般的であるように、他の任意の事例、または「少なくとも1つの(at least one)」もしくは「1つまたは複数の(one or more)」の語法とは独立に、1つまたは1つより多いことを含めるために用いられる。本文書において、「または(もしくは)(or)」という用語は非排他的orを指すために用いられ、ゆえに「AまたはB(A or B)」は、別段の提示がない限り、「AであるがBでない(A but not B)」、「BであるがAでない(B but not A)」、および「AおよびB(A and B)」を含む。本文書において、「~を含む(including)」および「~である(in which)」という用語は、「~を具備する(comprising)」および「~である(wherein)」というそれぞれの用語の、平易な英語による相当語句として用いられる。そしてまた、添付の特許請求の範囲において、「~を含む」および「~を具備する」という用語はオープンエンドである;すなわち、請求項内でそうした用語の後に列挙された要素に加えて、さらに要素を含むシステム、デバイス、物品、組成物、調合物、またはプロセスも、やはりその請求項の範囲内に入るとみなされる。さらに、添付の特許請求の範囲において、「第一の(first)」、「第二の(second)」、および「第三の(third)」などの用語はラベルとして用いられるにすぎず、それらのものに数的要件を課すことは意図されていない。
【0115】
上述の説明は制限的ではなく例証的なものであると意図されている。例えば、上述の実施例(またはその1つもしくは複数の局面)は、互いと組み合わせて用いられてもよい。上述の説明を検討したうえで、当業者などによって他の態様が用いられてもよい。要約は、本技術的開示の性質を読者が速やかに確かめることができるように、37 C.F.R. §1.72(b)に準拠して提供されるのであり、特許請求の範囲または意味を解釈または限定するために用いられるわけではないとの理解で提出されている。そしてまた、上述の詳細な説明において、本開示を簡素化するためにさまざまな特徴がグループ化されている可能性がある。これは、特許請求されていない開示特徴がいずれかの請求項に不可欠であることを意図しているものとして解釈されるべきでない。むしろ、本発明の対象事項は、特定の開示態様のすべての特徴より少ない特徴で存在する可能性がある。ゆえに、添付の特許請求の範囲は、実施例または態様として本明細書の詳細な説明に組み入れられ、各請求項がそれ自体で別個の態様として成り立ち、そうした態様がさまざまな組み合わせまたは順列で互いに組み合わせられてもよいことが企図されている。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を、そうした特許請求の範囲が権利付与される等価物の全範囲とともに参照して、決定されるべきである。
【国際調査報告】