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特表2024-540897レバウジオシドD及びレバウジオシドMを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】レバウジオシドD及びレバウジオシドMを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C12P 19/56 20060101AFI20241029BHJP
   C12N 15/54 20060101ALI20241029BHJP
   C12N 9/10 20060101ALI20241029BHJP
   C12P 19/30 20060101ALN20241029BHJP
【FI】
C12P19/56 ZNA
C12N15/54
C12N9/10
C12P19/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523245
(86)(22)【出願日】2022-10-18
(85)【翻訳文提出日】2024-04-17
(86)【国際出願番号】 KR2022015809
(87)【国際公開番号】W WO2023068722
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0139473
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513178894
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダン コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョンウン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ソンヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム、テ ギョン
(72)【発明者】
【氏名】オ、キョンミ
【テーマコード(参考)】
4B064
【Fターム(参考)】
4B064AF23
4B064AF48
4B064CB01
4B064CC01
4B064CC24
4B064CD12
4B064DA10
(57)【要約】
本出願は、糖転移酵素の反応によりレバウジオシドD及びレバウジオシドMを製造する方法、並びに糖転移酵素を含むレバウジオシドD及びレバウジオシドM製造用組成物に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルコースが結合したヌクレオチド二リン酸を糖転移酵素B(UGT-B)の存在下でレバウジオシドAと反応させてレバウジオシドDを作製するステップを含み、
前記糖転移酵素Bは、配列番号1~3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質からなる群から選択される少なくとも1種のタンパク質である、レバウジオシドDの製造方法。
【請求項2】
前記グルコースが結合したヌクレオチド二リン酸は、スクロースとヌクレオチド二リン酸をスクロースシンターゼの存在下で反応させて作製したものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記レバウジオシドAは、グルコースが結合したヌクレオチド二リン酸を糖転移酵素A(UGT-A)の存在下でステビオシドと反応させて作製したものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記スクロースシンターゼは、配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質である、請求項2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記糖転移酵素A(UGT-A)は、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質である、請求項3に記載の製造方法。
【請求項6】
前記糖転移酵素Bは、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質であり、レバウジオシドDの異性体(isomer)をさらに作製するものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記製造方法は、同一反応系で連続的に行われるものである、請求項1~6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
グルコースが結合したヌクレオチド二リン酸を糖転移酵素B(UGT-B)の存在下でレバウジオシドAと反応させてレバウジオシドDを作製するステップと、
前記レバウジオシドDを糖転移酵素A(UGT-A)の存在下でグルコースが結合したヌクレオチド二リン酸と反応させてレバウジオシドMを作製するステップとを含み、
前記糖転移酵素Bは、配列番号1~3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質からなる群から選択される少なくとも1種のタンパク質である、レバウジオシドMの製造方法。
【請求項9】
前記糖転移酵素A(UGT-A)は、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質である、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記グルコースが結合したヌクレオチド二リン酸は、スクロースとヌクレオチド二リン酸をスクロースシンターゼの存在下で反応させて作製したものである、請求項8に記載の製造方法。
【請求項11】
前記レバウジオシドAは、グルコースが結合したヌクレオチド二リン酸を糖転移酵素A(UGT-A)の存在下でステビオシドと反応させて作製したものである、請求項8に記載の製造方法。
【請求項12】
前記スクロースシンターゼは、配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質である、請求項10に記載の製造方法。
【請求項13】
前記糖転移酵素A(UGT-A)は、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質である、請求項11に記載の製造方法。
【請求項14】
前記糖転移酵素Bは、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質であり、レバウジオシドMの異性体(isomer)をさらに作製するものである、請求項8に記載の製造方法。
【請求項15】
前記製造方法は、同一反応系で連続的に行われるものである、請求項8~14のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項16】
スクロース、ヌクレオチド二リン酸、レバウジオシドA、スクロースシンターゼ及び糖転移酵素B(UGT-B)を同一反応系で反応させてレバウジオシドDを作製するステップを含み、
前記糖転移酵素Bは、配列番号1~3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質からなる群から選択される少なくとも1種のタンパク質である、レバウジオシドAからレバウジオシドDを製造する方法。
【請求項17】
前記糖転移酵素Bは、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質であり、レバウジオシドDの異性体(isomer)をさらに作製するものである、請求項16に記載のレバウジオシドAからレバウジオシドDを製造する方法。
【請求項18】
スクロース、ヌクレオチド二リン酸、レバウジオシドA、レバウジオシドD、スクロースシンターゼ、糖転移酵素A(UGT-A)及び糖転移酵素B(UGT-B)を同一反応系で反応させてレバウジオシドMを作製するステップを含み、
前記糖転移酵素Bは、配列番号1~3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質からなる群から選択される少なくとも1種のタンパク質である、レバウジオシドAからレバウジオシドMを製造する方法。
【請求項19】
前記糖転移酵素A(UGT-A)は、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質である、請求項18に記載のレバウジオシドAからレバウジオシドMを製造する方法。
【請求項20】
前記糖転移酵素Bは、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質であり、レバウジオシドMの異性体(isomer)をさらに作製するものである、請求項18に記載のレバウジオシドAからレバウジオシドMを製造する方法。
【請求項21】
配列番号1~3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質からなる群から選択される少なくとも1種の糖転移酵素B(UGT-B)を含むレバウジオシドD製造用組成物。
【請求項22】
前記糖転移酵素Bは、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質であり、前記レバウジオシドDは、レバウジオシドD、レバウジオシドDの異性体(isomer)からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項21に記載のレバウジオシドD製造用組成物。
【請求項23】
配列番号1~3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質からなる群から選択される少なくとも1種の糖転移酵素B(UGT-B)と、
配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質である糖転移酵素A(UGT-A)とを含むレバウジオシドM製造用組成物。
【請求項24】
前記糖転移酵素Bは、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質であり、前記レバウジオシドMは、レバウジオシドM、レバウジオシドMの異性体(isomer)からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項23に記載のレバウジオシドM製造用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、糖転移酵素の反応によりレバウジオシドD及びレバウジオシドMを製造する方法、並びに糖転移酵素を含むレバウジオシドD及びレバウジオシドM製造用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
糖摂取による疾病(肥満)の恐れから1日の糖摂取量を低減することを世界保健機関(WHO)が勧告しており、先進国を中心に政府主導の下で様々な糖類摂取量を低減するための政策が盛んに議論されている。また、市場においては砂糖及び高果糖を代替する様々な代替甘味料素材に対するニーズが増加しており、代替甘味料素材の開発、製品化が続けられている。
【0003】
代替甘味料は、合成甘味料(Saccharin、Aspartame、Sucraloseなど)、合成糖アルコール類(Maltitol, Xylitol)、高甘味料(レバウジオシドA,Liquorice)と変化を続けている。しかし、持続的な合成甘味料の安定性についての懸念から天然甘味料に対する消費者のニーズが大きくなってきているものの、天然甘味料特有の異味・異臭を有する味質の限界により、従来の合成甘味料中心の低カロリー・ゼロカロリー製品を本格的に代替することができていない現状である。
【0004】
これに関して、近年、多くの注目を集めている天然の高甘味料は、ステビアの葉から抽出したステビア甘味料である。ステビア甘味料は、カロリーがなく、血中グルコース及びインスリンレベルに有益な効果をもたらし、人体に副作用がないことが報告されており、代替甘味料としての潜在力を有しているが、苦味が非常に強いという欠点があるので、砂糖低減用途に限界がある。
【0005】
ステビアは、南米のパラグアイを原産地とするキク科の多年生植物であり、学名はステビアレバウディアナベルトニー(Stevia rebaudiana Bertoni)である。ステビアの葉には砂糖の200~300倍以上の甘味を有する成分が存在するので、その甘味成分を抽出して天然甘味料として用いる。ステビア抽出物の甘味成分には、ステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドM、レバウジオシドI、レバウジオシドEなどの様々なステビオール配糖体が含まれる。
【0006】
ステビア抽出物の甘味成分のうち、ステビオシド(STV)、レバウジオシドA(Reb A)、レバウジオシドC(Reb C)は、ステビアの葉に含有量が比較的多く、高純度で抽出、精製して産業化、製品化されているが、苦味が非常に強いという欠点があるので、砂糖低減用途に限界がある。
【0007】
一方、レバウジオシドD(Reb D)、レバウジオシドM(Reb M)は、STV、レバウジオシドA、レバウジオシドCに比べて、苦味が少なく、甘味質に優れ、代替甘味料としての価値が高い。しかし、レバウジオシドD及びレバウジオシドMは、ステビアの葉に極めて微量しか存在せず、葉から抽出、精製して製造する方法に高コストを要するという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国登録特許第1404728号公報
【特許文献2】国際公開第2014/133248号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Pearson et al (1988) [Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85]: 2444
【非特許文献2】Rice et al., 2000, Trends Genet. 16: 276-277
【非特許文献3】Needleman and Wunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48: 443-453
【非特許文献4】Devereux, J., et al, Nucleic Acids Research 12: 387(1984)
【非特許文献5】Atschul, [S.] [F.,] [ET AL, J MOLEC BIOL 215]: 403 (1990)
【非特許文献6】Guide to Huge Computers, Martin J. Bishop, [ED.,] Academic Press, San Diego,1994
【非特許文献7】[CARILLO ETA/.](1988) SIAM J Applied Math 48: 1073
【非特許文献8】Smith and Waterman, Adv. Appl. Math(1981) 2:482
【非特許文献9】Schwartz and Dayhoff, eds., Atlas Of Protein Sequence And Structure, National Biomedical Research Foundation, pp. 353-358(1979)
【非特許文献10】Gribskov et al(1986) Nucl. Acids Res. 14: 6745
【非特許文献11】J. Sambrook et al.,Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory press, Cold Spring Harbor, New York, 1989
【非特許文献12】F.M. Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc., New York, 9.50-9.51, 11.7-11.8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本出願人は、レバウジオシドAをレバウジオシドDに変換する活性を有する酵素を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、従来は糖転移酵素活性が開示されていなかったポリペプチド配列が糖転移酵素活性を有することを見出し、前記ポリペプチドがレバウジオシドAをレバウジオシドDに変換する糖転移酵素活性を有することを確認し、本出願を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本出願は、グルコースが結合したヌクレオチド二リン酸を、配列番号1~3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質からなる群から選択される少なくとも1種のタンパク質である糖転移酵素B(UGT-B)の存在下で、レバウジオシドAと反応させてレバウジオシドDを作製するステップを含む、レバウジオシドDの製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
また、本出願は、グルコースが結合したヌクレオチド二リン酸を糖転移酵素B(UGT-B)の存在下でレバウジオシドAと反応させてレバウジオシドDを作製するステップと、前記レバウジオシドDを糖転移酵素A(UGT-A)の存在下でグルコースが結合したヌクレオチド二リン酸と反応させてレバウジオシドMを作製するステップとを含み、前記糖転移酵素Bは、配列番号1~3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質からなる群から選択される少なくとも1種のタンパク質である、レバウジオシドMの製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
さらに、本出願は、スクロース、ヌクレオチド二リン酸、レバウジオシドA、スクロースシンターゼ及び前記糖転移酵素B(UGT-B)を同一反応系で反応させてレバウジオシドDを作製するステップを含む、レバウジオシドAからレバウジオシドDを製造する方法を提供することを目的とする。
【0014】
さらに、本出願は、スクロース、ヌクレオチド二リン酸、レバウジオシドA、レバウジオシドD、スクロースシンターゼ、糖転移酵素A(UGT-A)及び前記糖転移酵素B(UGT-B)を同一反応系で反応させてレバウジオシドMを作製するステップを含む、レバウジオシドAからレバウジオシドMを製造する方法を提供することを目的とする。
【0015】
さらに、本出願は、前記糖転移酵素B(UGT-B)を含むレバウジオシドD製造用組成物を提供することを目的とする。
【0016】
さらに、本出願は、糖転移酵素A(UGT-A)と、前記糖転移酵素B(UGT-B)とを含むレバウジオシドM製造用組成物を提供することを目的とする。
【0017】
さらに、本出願は、配列番号1~3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質からなる群から選択される少なくとも1種のタンパク質である糖転移酵素B(UGT-B)における、レバウジオシドAをレバウジオシドDに変換する糖転移酵素としての用途を提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0018】
本出願による糖転移酵素B(UGT-B)を用いたレバウジオシドD及びレバウジオシドMの製造方法は、副産物をほとんど伴うことなく、高純度及び高収率でレバウジオシドD及びレバウジオシドMを提供することができ、安価な原料を用いるので経済的であり、手順が簡単で時間の消耗が少なく、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの大量生産に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】糖転移酵素B(UGT-B_6)によりレバウジオシドAがレバウジオシドDに変換されることを示すHPLC分析結果である。
図2】糖転移酵素B(UGT-B_7)によりレバウジオシドAがレバウジオシドD、レバウジオシドDの異性体(isomer)及びレバウジオシドMの異性体(isomer)に変換されることを示すHPLC分析結果である。
図3】糖転移酵素B(UGT-B_8)によりレバウジオシドAがレバウジオシドDに変換されることを示すHPLC分析結果である。
図4】糖転移酵素B(UGT-B_6)、糖転移酵素A(UGT-A)及びスクロースシンターゼによりステビオシドからレバウジオシドD、レバウジオシドM、レバウジオシドI及びレバウジオシドAが生成されることを示すHPLC分析結果である。
図5】糖転移酵素B(UGT-B_7)、糖転移酵素A(UGT-A)及びスクロースシンターゼによりステビオシドからレバウジオシドMの異性体(isomer)、レバウジオシドD、レバウジオシドM、レバウジオシドI及びレバウジオシドAが生成されることを示すHPLC分析結果である。
図6】糖転移酵素B(UGT-B_8)、糖転移酵素A(UGT-A)及びスクロースシンターゼによりステビオシドからレバウジオシドD、レバウジオシドM、レバウジオシドI及びレバウジオシドAが生成されることを示すHPLC分析結果である。
図7】糖転移酵素A(UGT-A)によりレバウジオシドDがレバウジオシドMに変換されることを示すHPLC分析結果である。
図8】レバウジオシドDの異性体(isomer)のLC-MS/MS分析結果である。
図9】レバウジオシドDのLC-MS/MS分析結果である。
図10】レバウジオシドMの異性体(isomer)のLC-MS/MS分析結果である。
図11】レバウジオシドMのLC-MS/MS分析結果である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、これらを具体的に説明する。なお、本出願で開示される各説明及び実施形態はそれぞれ他の説明及び実施形態にも適用される。すなわち、本出願で開示される様々な要素のあらゆる組み合わせが本出願に含まれる。また、以下の具体的な記述に本出願が限定されるものではない。さらに、本明細書全体にわたって多くの論文及び特許文献が参照されており、その引用が示されている。引用された論文及び特許文献の開示内容はその全体が本明細書に参照として組み込まれており、それにより本出願の属する技術分野の水準及び本出願の内容がより明確に説明される。
【0021】
本出願の一態様は、グルコースが結合したヌクレオチド二リン酸を、配列番号1~3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質からなる群から選択される少なくとも1種のタンパク質である糖転移酵素B(UGT-B)の存在下で、レバウジオシドAと反応させてレバウジオシドDを作製するステップを含む、レバウジオシドDの製造方法を提供する。
【0022】
本出願における「糖転移酵素(UDP(Uridine diphosphate)-glycosyltransferase, UGT)」とは、グリコシル供与体(glycosyl donor)からグリコシル受容体分子(glycosyl acceptor molecule)に単糖類部分を転移(transfer)する活性を有する酵素であって、具体的にはUDP-糖をグリコシル供与体として用いる酵素を意味する。本出願において、前記糖転移酵素は、「UDP-糖転移酵素」及び「UGT」と混用される。
【0023】
前記糖転移酵素は、糖転移酵素遺伝子を有するベクターで形質転換された組換え大腸菌、バチルス、酵母、コリネバクテリウム又はアグロバクテリウムから生産されたものであるか、前記大腸菌などから生産されてさらに精製されたものであるか、市販されている商品を購入して用いるが、これらに限定されるものではない。また、前記糖転移酵素は当該技術分野において公知であり、前記糖転移酵素のタンパク質及び遺伝子配列は公知のデータベースから得られ、例えばNCBIのGenBankなどから得られるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
本出願においては、配列番号1~3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質からなる群から選択される少なくとも1種のタンパク質である糖転移酵素B(UGT-B)がレバウジオシドAをレバウジオシドDに変換する酵素活性を有することを見出し、UGT-Bの新たな用途を提供する。
【0025】
具体的には、本出願の糖転移酵素B(UGT-B)は、配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、又は配列番号3で表されるアミノ酸配列を有するものであってもよく、前記アミノ酸配列を含むものであってもよく、前記アミノ酸配列から実質的に構成される(essentially consisting of)ものであってもよく、前記アミノ酸配列からなるものであってもよい。
【0026】
また、本出願の糖転移酵素B(UGT-B)は、配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、又は配列番号3で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.7%又は99.9%以上の相同性又は同一性を有するアミノ酸配列を含むものであってもよい。さらに、そのような相同性又は同一性を有して本出願の糖転移酵素B(UGT-B)に相当する効能を示すアミノ酸配列であれば、一部の配列が欠失、改変、置換、保存的置換又は付加されたアミノ酸配列を有する糖転移酵素B(UGT-B)も本出願に含まれることは言うまでもない。
【0027】
本出願に「特定配列番号で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチドもしくはタンパク質」、「特定配列番号で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドもしくはタンパク質」又は「特定配列番号で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドもしくはタンパク質」と記載されていても、当該配列番号のアミノ酸配列からなるポリペプチドと同一又は相当する活性を有するものであれば、一部の配列が欠失、改変、置換、保存的置換又は付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質であっても本出願に用いられることは言うまでもない。例えば、アミノ酸配列のN末端及び/又はC末端におけるタンパク質の機能を変更しない配列の付加、自然に発生する突然変異、その非表現突然変異(silent mutation)又は保存的置換を有するものが挙げられる。
【0028】
例えば、アミノ酸配列のN末端、C末端及び/又は内部に、本出願の糖転移酵素B(UGT-B)の機能を変更しない配列の付加もしくは欠失、自然に発生する突然変異、非表現突然変異(silent mutation)又は保存的置換を有するものが挙げられる。
【0029】
本出願における「保存的置換(conservative substitution)」とは、あるアミノ酸が類似した構造的及び/又は化学的性質を有する他のアミノ酸に置換されることを意味する。このようなアミノ酸置換は、一般に残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性及び/又は両親媒性(amphipathic nature)における類似性に基づいて発生し得る。例えば、正に荷電した(塩基性)アミノ酸としては、アルギニン、リシン及びヒスチジンが挙げられ、負に荷電した(酸性)アミノ酸としては、グルタミン酸及びアスパラギン酸が挙げられ、芳香族アミノ酸としては、フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシンが挙げられ、疎水性アミノ酸としては、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファンが挙げられる。また、アミノ酸は、電荷を帯びた(electrically charged)側鎖を有するアミノ酸と、電荷を帯びていない(uncharged)側鎖を有するアミノ酸に分類され、電荷を帯びた側鎖を有するアミノ酸としては、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、ヒスチジンが挙げられ、電荷を帯びていない側鎖を有するアミノ酸は、さらに非極性(nonpolar)アミノ酸と極性アミノ酸(polar)に分類され、非極性アミノ酸としては、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリンが挙げられ、極性アミノ酸としては、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミンが挙げられる。通常、保存的置換は、生成されるポリペプチドの活性にほとんど又は全く影響を及ぼさない。通常、保存的置換は、タンパク質又はポリペプチドの活性にほとんど又は全く影響を及ぼさない。
【0030】
また、糖転移酵素B(UGT-B)は、ポリペプチドの特性と二次構造に最小限の影響を及ぼすアミノ酸の欠失又は付加を含むものであってもよい。例えば、ポリペプチドは、翻訳と同時に(co-translationally)又は翻訳後に(post-translationally)タンパク質の移動(transfer)に関与するタンパク質のN末端のシグナル(又はリーダー)配列に結合されてもよい。また、前記ポリペプチドは、ポリペプチドを確認、精製又は合成できるように、他の配列又はリンカーに結合されてもよい。
【0031】
本出願における「相同性(homology)」又は「同一性(identity)」とは、2つの与えられたアミノ酸配列又は塩基配列が類似する程度を意味し、百分率で表される。相同性及び同一性は、しばしば互換的に用いられる。
【0032】
保存されている(conserved)ポリヌクレオチド又はポリペプチドの配列相同性又は同一性は標準的な配列アルゴリズムにより決定され、用いられるプログラムにより確立されたデフォルトギャップペナルティが共に用いられてもよい。実質的には、相同性を有するか(homologous)又は同じ(identical)配列は、中程度又は高いストリンジェントな条件(stringent conditions)下において、一般に配列全体又は一部分とハイブリダイズする。ハイブリダイゼーションには、ポリヌクレオチドにおいて一般のコドン又はコドンの縮退を考慮したコドンを有するポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションも含まれることは言うまでもない。
【0033】
任意の2つのポリヌクレオチド又はポリペプチド配列が相同性、類似性又は同一性を有するか否かは、例えば非特許文献1のようなデフォルトパラメーターと「FASTA」プログラムなどの公知のコンピュータアルゴリズムを用いて決定することができる。あるいは、EMBOSSパッケージのニードルプログラム(EMBOSS: The European Molecular Biology Open Software Suite, 非特許文献2)(バージョン5.0.0又はそれ以降のバージョン)で行われるように、ニードルマン=ウンシュ(Needleman-Wunsch)アルゴリズム(非特許文献3)を用いて決定することができる(GCGプログラムパッケージ(非特許文献4)、BLASTP、BLASTN、FASTA(非特許文献5、6及び7)を含む)。例えば、国立生物工学情報センターのBLAST又はClustal Wを用いて相同性、類似性又は同一性を決定することができる。
【0034】
ポリヌクレオチド又はポリペプチドの相同性、類似性又は同一性は、例えば非特許文献8に開示されているように、非特許文献3などのGAPコンピュータプログラムを用いて、配列情報を比較することにより決定することができる。要約すると、GAPプログラムは、2つの配列のうち短いものにおける記号の総数で、類似する配列記号(すなわち、ヌクレオチド又はアミノ酸)の数を割った値と定義している。GAPプログラムのためのデフォルトパラメーターは、(1)二進法比較マトリックス(同一性は1、非同一性は0の値をとる)及び非特許文献9に開示されているように、非特許文献10の加重比較マトリックス(又はEDNAFULL(NCBI NUC4.4のEMBOSSバージョン)置換マトリックス)と、(2)各ギャップに3.0のペナルティ、及び各ギャップの各記号に追加の0.10ペナルティ(又はギャップオープンペナルティ10、ギャップ延長ペナルティ0.5)と、(3)末端ギャップに無ペナルティとを含む。
【0035】
本出願の一例として、本出願の糖転移酵素B(UGT-B)は、レバウジオシドAをレバウジオシドDに変換する活性を有するものであってもよい。
【0036】
本出願における「相当する(corresponding to)」とは、ポリペプチドにおいて列挙される位置のアミノ酸残基であるか、又はポリペプチドにおいて列挙される残基に類似、同一もしくは相同するアミノ酸残基であることを意味する。相当する位置のアミノ酸を確認することは、特定配列を参照する配列の特定アミノ酸を決定することになる。本出願における「相当領域」とは、一般に関連タンパク質又は参照(reference)タンパク質における類似又は対応する位置を意味する。
【0037】
例えば、任意のアミノ酸配列を配列番号1とアラインメント(align)すると、それに基づいて、前記アミノ酸配列の各アミノ酸残基は、配列番号1のアミノ酸残基に相当するアミノ酸残基の数、位置を参照してナンバリングすることができる。例えば、本出願における配列アラインメントアルゴリズムは、クエリー配列(「参照配列」ともいう)と比較すると、アミノ酸の位置、又は置換、挿入、欠失などの改変が生じる位置を確認することができる。
【0038】
このようなアラインメントには、例えばNeedleman-Wunschアルゴリズム(非特許文献3)、EMBOSSパッケージのNeedleプログラム(EMBOSS: The European Molecular Biology Open Software Suite, 非特許文献2)などを用いることができるが、これらに限定されるものではなく、当該技術分野で公知の配列アラインメントプログラム、ペアワイズ配列(pairwise sequence)比較アルゴリズムなどを適宜用いることができる。
【0039】
本出願の糖転移酵素B(UGT-B)をコードするポリヌクレオチドは、上記各配列番号で表されるアミノ酸をコードする塩基配列だけでなく、前記配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の相同性を示す塩基配列であって、実質的に上記各タンパク質と同一又は相当する効能を示すタンパク質をコードする遺伝子配列であればいかなるものでもよい。また、そのような相同性を有する塩基配列であれば、一部の配列が欠失、改変、置換又は付加された塩基配列も本出願に含まれることは言うまでもない。
【0040】
本出願における「ポリヌクレオチド」とは、ヌクレオチド単量体(monomer)が共有結合により長く鎖状につながったヌクレオチドの重合体(polymer)であって、所定の長さより長いDNA又はRNA鎖を意味し、より具体的には前記糖転移酵素B(UGT-B)をコードするポリヌクレオチド断片を意味する。
【0041】
本出願の糖転移酵素B(UGT-B)をコードするポリヌクレオチドは、配列番号1、配列番号2又は配列番号3で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むものであってもよい。本出願の一例として、前記ポリヌクレオチドは、配列番号6、配列番号7又は配列番号8の配列を有するものであってもよく、前記配列を含むものであってもよい。また、前記ポリヌクレオチドは、配列番号6、配列番号7又は配列番号8の配列からなるものであってもよく、前記配列から実質的に構成されるものであってもよい。
【0042】
本出願のポリヌクレオチドは、コドンの縮退(degeneracy)により、又は本出願の糖転移酵素B(UGT-B)を発現させようとする生物において好まれるコドンを考慮して、本出願の糖転移酵素B(UGT-B)のアミノ酸配列が変化しない範囲でコード領域に様々な改変を行うことができる。具体的には、本出願のポリヌクレオチドは、配列番号6、配列番号7もしくは配列番号8の配列と相同性もしくは同一性が70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、及び100%未満の塩基配列を有するものであるか、前記塩基配列を含むものであるか、又は配列番号6、配列番号7もしくは配列番号8の配列と相同性もしくは同一性が70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、及び100%未満の塩基配列からなるものであるか、前記塩基配列から実質的に構成されるものであるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
また、本出願のポリヌクレオチドは、公知の遺伝子配列から調製されるプローブ、例えば本出願のポリヌクレオチド配列の全部又は一部に対する相補配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列であればいかなるものでもよい。前記「ストリンジェントな条件(stringent condition)」とは、ポリヌクレオチド間の特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件を意味する。このような条件は、文献(非特許文献11、12参照)に具体的に記載されている。例えば、相同性もしくは同一性の高いポリヌクレオチド同士、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上もしくは99%以上の相同性もしくは同一性を有するポリヌクレオチド同士をハイブリダイズし、それより相同性もしくは同一性の低いポリヌクレオチド同士をハイブリダイズしない条件、又は通常のサザンハイブリダイゼーション(southern hybridization)の洗浄条件である60℃、1×SSC、0.1%SDS、具体的には60℃、0.1×SSC、0.1%SDS、より具体的には68℃、0.1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃度及び温度において、1回、具体的には2回~3回洗浄する条件が挙げられる。
【0044】
ハイブリダイゼーションは、たとえハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに応じて塩基間のミスマッチ(mismatch)が可能であっても、2つの核酸が相補的配列を有することが求められる。「相補的」とは、互いにハイブリダイゼーションが可能なヌクレオチド塩基間の関係を表すために用いられるものである。例えば、DNAにおいて、アデニンはチミンに相補的であり、シトシンはグアニンに相補的である。よって、本出願のポリヌクレオチドには、実質的に類似する核酸配列だけでなく、全配列に相補的な単離された核酸フラグメントが含まれてもよい。
【0045】
具体的には、本出願のポリヌクレオチドと相同性又は同一性を有するポリヌクレオチドは、55℃のTm値でハイブリダイゼーションステップが行われるハイブリダイゼーション条件と前述した条件を用いて検出することができる。また、前記Tm値は、60℃、63℃又は65℃であってもよいが、これらに限定されるものではなく、その目的に応じて当業者により適宜調節される。
【0046】
前記ポリヌクレオチドをハイブリダイズする適切なストリンジェンシーはポリヌクレオチドの長さ及び相補性の程度に依存し、変数は当該技術分野で公知である(例えば、非特許文献11)。
【0047】
本出願の一実施例として、前記グルコースが結合したヌクレオチド二リン酸は、スクロースとヌクレオチド二リン酸をスクロースシンターゼの存在下で反応させて作製したものであるが、これに限定されるものではない。
【0048】
本出願における「スクロースシンターゼ」は、植物体の代謝において可逆的にフルクトースにヌクレオチド二リン酸が結合したグルコースを転移してスクロースを生産する役割を果たし、本出願においては、5~10のpH範囲でスクロースとヌクレオチド二リン酸を反応させてグルコースが結合したヌクレオチド二リン酸とフルクトースに分離する活性を示す。
【0049】
前記スクロースシンターゼは、コメ、トウモロコシ、コムギ、タケ、シロイヌナズナ、シバ、オオムギ、モロコシ又はジャガイモに由来するスクロースシンターゼであり、コメ、トウモロコシ、コムギ又はオオムギに由来するスクロースシンターゼが好ましく、コメ、特にOryza sativaに由来するスクロースシンターゼがより好ましい。前記スクロースシンターゼは、スクロースシンターゼ遺伝子を有するベクターで形質転換された組換え大腸菌、バチルス、酵母、コリネバクテリウム又はアグロバクテリウムから生産されたものであるか、前記大腸菌などから生産されてさらに精製されたものであるか、当該技術分野で公知のスクロースシンターゼであるか、市販されているものであるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
具体的には、本出願のスクロースシンターゼは、配列番号5で表されるアミノ酸配列を有するものであってもよく、前記アミノ酸配列を含むものであってもよく、前記アミノ酸配列から実質的に構成される(essentially consisting of)ものであってもよく、前記アミノ酸配列からなるものであってもよい。
【0051】
前記スクロースは、スクロースシンターゼの基質として作用してヌクレオチド二リン酸にグルコースを供給できるものであればいかなるものでもよく、例えば原糖又は砂糖が用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
本出願において、ヌクレオチド二リン酸としては、プリンヌクレオチド又はピリミジンヌクレオチドが用いられ、ウリジン二リン酸が好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0053】
前記グルコースが結合したヌクレオチド二リン酸は、本出願の糖転移酵素B(UGT-B)によりレバウジオシドAと反応してレバウジオシドDを生成するものであってもよい。
【0054】
本出願の一実施例として、前記レバウジオシドAは、グルコースが結合したヌクレオチド二リン酸を糖転移酵素A(UGT-A)の存在下でステビオシドと反応させて作製したものであるが、これに限定されるものではない。
【0055】
前記糖転移酵素A(UGT-A)は、グルコースが結合したヌクレオチド二リン酸をステビオシドと反応させてレバウジオシドAを生成するものであってもよい。
【0056】
前記糖転移酵素A(UGT-A)は、Oryza sativa、Stevia rebaudiana Bertoni、Bambusa oldhamii、Brachypodium distachyon、Hordeum vulgare、Sorghum bicolor、Zea mays、Arabidopsis thaliana由来の糖転移酵素であってもよい。前記糖転移酵素は、Oryza sativa、Stevia rebaudiana Bertoni、Bambusa oldhamii由来の糖転移酵素であることが好ましい。前記糖転移酵素は、Stevia rebaudiana Bertoni由来の糖転移酵素であることがより好ましい。前記糖転移酵素A(UGT-A)は、糖転移酵素遺伝子を有するベクターで形質転換された組換え大腸菌、バチルス、酵母、コリネバクテリウム又はアグロバクテリウムから生産されたものであるか、前記大腸菌などから生産されてさらに精製されたものであるか、当該技術分野で公知の糖転移酵素であるか、市販されているものであるが、これらに限定されるものではない。
【0057】
具体的には、本出願の糖転移酵素A(UGT-A)は、配列番号4で表されるアミノ酸配列を有するものであってもよく、前記アミノ酸配列を含むものであってもよく、前記アミノ酸配列から実質的に構成される(essentially consisting of)ものであってもよく、前記アミノ酸配列からなるものであってもよい。
【0058】
前記ステビオシドは、ステビアレバウディアナ熱水もしくはエタノール水溶液抽出物又はそれらの精製物もしくは抽出物からのレバウジオシドA生産の副産物であり、ステビオシド含有量がステビオール配糖体の総重量の10%重量以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上であるものが用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
本出願の一実施例として、前記レバウジオシドDは、反応式1のように作製したものであるが、これに限定されるものではない。
【0060】
[反応式1]
【0061】
具体的には、前記製造方法は、同一反応系で連続的に行われるものであってもよい。
【0062】
本出願における「同一反応系」とは、1つの反応系又は反応システムにおいて反応が連続的に起こることを意味する。
【0063】
本出願の製造方法は、このような反応式1により、ステビオシドの13-O-グルコースのC-3’位に特異的に1つのグルコースを結合させてレバウジオシドAを高収率で合成し、レバウジオシドAからレバウジオシドDを合成する連続反応システムを提供する。
【0064】
本出願の一実施例として、前記糖転移酵素Bは、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質であり、レバウジオシドDの異性体(isomer)をさらに作製するものであるが、これに限定されるものではない。
【0065】
例えば、前記レバウジオシドDは、次の構造式を有するものであるが、これに限定されるものではない。
【0066】
【化1】
【0067】
本出願の他の態様は、グルコースが結合したヌクレオチド二リン酸を糖転移酵素B(UGT-B)の存在下でレバウジオシドAと反応させてレバウジオシドDを作製するステップと、前記レバウジオシドDを糖転移酵素A(UGT-A)の存在下でグルコースが結合したヌクレオチド二リン酸と反応させてレバウジオシドMを作製するステップとを含み、前記糖転移酵素Bは、配列番号1~3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質からなる群から選択される少なくとも1種のタンパク質である、レバウジオシドMの製造方法を提供する。
【0068】
前記ヌクレオチド二リン酸、糖転移酵素B(UGT-B)、レバウジオシドA及びレバウジオシドDについては前述した通りである。
【0069】
本出願の一実施例として、前記グルコースが結合したヌクレオチド二リン酸は、反応式1に示すように、スクロースとヌクレオチド二リン酸をスクロースシンターゼの存在下で反応させて作製したものであるが、これに限定されるものではない。
【0070】
具体的には、本出願のスクロースシンターゼは、配列番号5で表されるアミノ酸配列を有するものであってもよく、前記アミノ酸配列を含むものであってもよく、前記アミノ酸配列から実質的に構成される(essentially consisting of)ものであってもよく、前記アミノ酸配列からなるものであってもよい。
【0071】
本出願の一実施例として、前記レバウジオシドAは、反応式1に示すように、グルコースが結合したヌクレオチド二リン酸を糖転移酵素A(UGT-A)の存在下でステビオシドと反応させて作製したものであるが、これに限定されるものではない。
【0072】
具体的には、前記糖転移酵素A(UGT-A)は、配列番号4で表されるアミノ酸配列を有するものであってもよく、前記アミノ酸配列を含むものであってもよく、前記アミノ酸配列から実質的に構成される(essentially consisting of)ものであってもよく、前記アミノ酸配列からなるものであってもよい。
【0073】
本出願の糖転移酵素A(UGT-A)は、グルコースが結合したヌクレオチド二リン酸をレバウジオシドDと反応させてレバウジオシドMを生成するものであってもよい。
【0074】
具体的には、本出願の糖転移酵素A(UGT-A)は、配列番号4で表されるアミノ酸配列を有するものであってもよく、前記アミノ酸配列を含むものであってもよく、前記アミノ酸配列から実質的に構成される(essentially consisting of)ものであってもよく、前記アミノ酸配列からなるものであってもよい。
【0075】
本出願の一実施例として、前記レバウジオシドMは、反応式2のように作製したものであるが、これに限定されるものではない。
【0076】
[反応式2]
【0077】
具体的には、前記製造方法は、同一反応系で連続的に行われるものであってもよい。
【0078】
本出願の製造方法は、このような反応式2により、ステビオシドからレバウジオシドAを高収率で合成し、レバウジオシドAからレバウジオシドDを合成し、レバウジオシドDからレバウジオシドMを合成する連続反応システムを提供する。
【0079】
よって、本出願の製造方法は、ステビオシド、レバウジオシドAなどの入手が容易で安価な原料を用いて、ステビア抽出物に含まれるステビオシド、レバウジオシドAなどの苦味成分をおいしさ成分であるレバウジオシドD及びレバウジオシドMに変換することができるので、甘味質が良好なステビア甘味料の生産に有用である。
【0080】
本出願の一実施例として、前記糖転移酵素Bは、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質であり、レバウジオシドMの異性体(isomer)をさらに作製するものであるが、これに限定されるものではない。
【0081】
例えば、前記レバウジオシドMは、次の構造式を有するものであるが、これに限定されるものではない。
【0082】
【化2】
【0083】
本出願のさらに他の態様は、スクロース、ヌクレオチド二リン酸、レバウジオシドA、スクロースシンターゼ及び糖転移酵素B(UGT-B)を同一反応系で反応させてレバウジオシドDを作製するステップを含み、前記糖転移酵素Bは、配列番号1~3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質からなる群から選択される少なくとも1種のタンパク質である、レバウジオシドAからレバウジオシドDを製造する方法を提供する。
【0084】
前記スクロース、ヌクレオチド二リン酸、レバウジオシドA、スクロースシンターゼ、糖転移酵素B(UGT-B)、レバウジオシドD及び同一反応系については前述した通りである。
【0085】
本出願の一実施例として、前記糖転移酵素Bは、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質であり、レバウジオシドDの異性体(isomer)をさらに作製するものであるが、これに限定されるものではない。
【0086】
本出願のさらに他の態様は、スクロース、ヌクレオチド二リン酸、レバウジオシドA、レバウジオシドD、スクロースシンターゼ、糖転移酵素A(UGT-A)及び糖転移酵素B(UGT-B)を同一反応系で反応させてレバウジオシドMを作製するステップを含み、前記糖転移酵素Bは、配列番号1~3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質からなる群から選択される少なくとも1種のタンパク質である、レバウジオシドAからレバウジオシドMを製造する方法を提供する。
【0087】
前記スクロース、ヌクレオチド二リン酸、レバウジオシドA、レバウジオシドD、スクロースシンターゼ、糖転移酵素A(UGT-A)、糖転移酵素B(UGT-B)、同一反応系及びレバウジオシドMについては前述した通りである。
【0088】
具体的には、前記糖転移酵素A(UGT-A)は、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質であるが、これに限定されるものではない。
【0089】
本出願の一実施例として、前記糖転移酵素Bは、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質であり、レバウジオシドMの異性体(isomer)をさらに作製するものであるが、これに限定されるものではない。
【0090】
本出願のさらに他の態様は、糖転移酵素B(UGT-B)を含み、前記糖転移酵素Bは、配列番号1~3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質からなる群から選択される少なくとも1種のタンパク質であるレバウジオシドD製造用組成物を提供する。
【0091】
前記糖転移酵素B(UGT-B)及びレバウジオシドDについては前述した通りである。
【0092】
本出願の一実施例として、前記糖転移酵素Bは、配列番号1、配列番号2又は配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質であり、前記レバウジオシドDは、レバウジオシドD、レバウジオシドDの異性体(isomer)からなる群から選択される少なくとも1種であるが、これらに限定されるものではない。
【0093】
本出願のさらに他の態様は、糖転移酵素A(UGT-A)と、糖転移酵素B(UGT-B)とを含み、前記糖転移酵素A(UGT-A)は、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質であり、前記糖転移酵素B(UGT-B)は、配列番号1~3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質からなる群から選択される少なくとも1種のタンパク質であるレバウジオシドM製造用組成物を提供する。
【0094】
前記糖転移酵素A(UGT-A)、糖転移酵素B(UGT-B)及びレバウジオシドMについては前述した通りである。
【0095】
本出願の一実施例として、前記糖転移酵素Bは、配列番号1、配列番号2又は配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質であり、前記レバウジオシドMは、レバウジオシドM、レバウジオシドMの異性体(isomer)からなる群から選択される少なくとも1種であるが、これらに限定されるものではない。
【0096】
本出願の組成物は、アミノ酸生産用組成物に通常用いられる任意の好適な賦形剤をさらに含んでもよい。このような賦形剤としては、例えば保存剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0097】
本出願のさらに他の態様は、配列番号1~3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質からなる群から選択される少なくとも1種のタンパク質である糖転移酵素B(UGT-B)における、レバウジオシドAをレバウジオシドDに変換する糖転移酵素としての用途を提供する。
【0098】
前記糖転移酵素A(UGT-A)、糖転移酵素B(UGT-B)、レバウジオシドA、レバウジオシドMなどについては前述した通りである。
本出願
【実施例
【0099】
以下、実施例を挙げて本出願をより詳細に説明する。しかし、これらの実施例は本出願を例示する好ましい実施形態にすぎず、本出願がこれらに限定されるものではない。なお、本明細書に記載されていない技術的事項は、本出願の技術分野又は類似技術分野における熟練した技術者が十分に理解し、容易に実施することのできるものである。
【実施例1】
【0100】
培養条件
本出願の糖転移酵素B(UGT-B)をコードするポリヌクレオチドを導入して組換え微生物を作製し、その後糖転移酵素B(UGT-B)を発現させて反応に用いた。組換え微生物の培養条件は次の通りである。
【0101】
実施例1-1.大腸菌の培養条件
組換え大腸菌の培養は、50μg/mlの濃度のカナマイシンを含むLB培地5mlを入れた試験管に接種し、600nmにおける吸光度が2.0になるまで37℃の培養器にて種菌を培養した。50μg/mlの濃度のカナマイシンを含むLB培地500mlを入れたフラスコに、種菌を培養した培養液を添加し、本培養を行った。また、600nmにおける吸光度が0.4になったら、0.1mM IPTG(イソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド)を添加して酵素の大量発現をそれぞれ誘導した。上記過程において、攪拌速度180rpm、培養温度37℃が保持されるように調節し、IPTG添加後は、攪拌速度120rpmで培養した。
【0102】
実施例1-2.コリネバクテリウムの培養条件
10μg/mlの濃度のカナマイシンを含む培地(Bacto-Trypton 10g/L,Bacto-yeast extract 5g/L,NaCl 5g/L,Soytone 5g/L)に、組換えコリネバクテリウムを初期濃度O.D.600=0.1で接種し、30℃で24時間培養して酵素の発現を誘導した。10μg/mlの濃度のカナマイシンを含む培地(グルコース80g/L,soytone 20g/L,(NHSO 10g/L,KHPO1.2g/L,MgSO 1.4g/L)を入れた発酵槽に、前述したように得られた培養液をO.D.600=0.6で接種し、30℃で24時間培養した。
【実施例2】
【0103】
レバウジオシドA原料に対する糖転移酵素B(UGT-B)の酵素活性の測定
実施例2-1.糖転移酵素B(UGT-B)の精製
レバウジオシドAをレバウジオシドDに変換する本出願の糖転移酵素B(UGT-B;配列番号1、配列番号2又は配列番号3)は、本出願の糖転移酵素Bをコードする遺伝子(配列番号6、配列番号7又は配列番号8)を含む組換えプラスミド(ベクター-pET28a)をそれぞれ作製し、大腸菌BL21(DE3)にクローニングして各酵素を大量発現させ、その後精製して用いた。
【0104】
具体的には、組換え菌株BL21(DE3)の培養は、LB培地5mlを入れた試験管に接種し、600nmにおける吸光度が2.0になるまで37℃の培養器にて種菌を培養した。LB培地500mlを入れたフラスコに、種菌を培養した培養液を添加し、本培養を行った。また、600nmにおける吸光度が0.4になったら、0.1mM IPTG(イソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド)を添加して酵素の大量発現をそれぞれ誘導した。上記過程において、攪拌速度180rpm、培養温度37℃が保持されるように調節し、IPTG添加後は、攪拌速度120rpm、培養温度16℃で培養した。前述したように形質転換した菌株の培養液を6000×g、4℃で20分間遠心分離し、細胞上清のみ酵素液として分離した。酵素の特性を正確に把握するために、Ni-NTA superflowカラムを用いて精製した。
【0105】
配列番号6、配列番号7又は配列番号8を含む組換えプラスミドを用いて大量発現させた各酵素をUGT-B_6、UGT-B_7、UGT-B_8と命名した。
【0106】
一方、10μg/mlの濃度のカナマイシンを含む培地(Bacto-Trypton 10g/L,Bacto-yeast extract 5g/L,NaCl 5g/L,Soytone 5g/L)に、組換えコリネバクテリウムを初期濃度O.D.600=0.1で接種し、30℃で24時間培養して酵素の発現を誘導した。10μg/mlの濃度のカナマイシンを含む培地(グルコース80g/L,soytone 20g/L,(NH4)2SO4 10g/L,KH2PO4 1.2g/L,MgSO4 1.4g/L)を入れた発酵槽に、前述したように得られた培養液をO.D.600=0.6で接種し、30℃で24時間培養した。
【0107】
実施例2-2.レバウジオシドA原料に対する糖転移酵素B(UGT-B)の酵素活性の測定
実施例2-1で作製した各酵素を用いて、レバウジオシドA原料に対する糖転移酵素B(UGT-B)の酵素活性を測定した。
【0108】
具体的には、酵素反応に用いる原料は、レバウジオシドA(デピョン社)であり、水に2mMになるように溶解して用いた。実施例2-1で作製した、微生物において発現した各酵素を用いて、37度で16時間反応を行い、その後HPLCで分析した。前記原料の水溶液は、UDP-glucose又はUDP(Uridine-diphosphate)を2mM含むものである。
【0109】
HPLC分析条件は次の通りである。
・Detector wavelength:210nm
・Flow rate:1ml/min
・Sample injection vol.:10μl
・Column:Capcell pak C18 MG II(Shiseido, 250×4.6mm, particle size:5μm)
・Solvent:Acetonitrile 30%
【0110】
測定結果を表1及び図1~3に示す。
【0111】
【表1】
【0112】
表1及び図1~3に示すように、本出願の糖転移酵素B(UGT-B_6及びUGT-B_8)により、レバウジオシドAからレバウジオシドDに変換されることが確認され、本出願の糖転移酵素(UGT-B_7)により、レバウジオシドAからレバウジオシドMの異性体(isomer)、レバウジオシドDの異性体(isomer)及びレバウジオシドDに変換されることが確認された。
【実施例3】
【0113】
ステビオシド原料に対する糖転移酵素A(UGT-A)及び糖転移酵素B(UGT-B)の酵素活性の測定
糖転移酵素A(UGT-A)及びスクロースシンターゼは、先行技術文献(特許文献2)の方法により精製して用いた。その配列をそれぞれ配列番号4及び配列番号5に示す。
【0114】
前記糖転移酵素A(UGT-A)、前記スクロースシンターゼ、及び実施例2-1で作製した各糖転移酵素B(UGT-B)を用いて、ステビオシド原料に対する糖転移酵素A(UGT-A)及び糖転移酵素B(UGT-B)の酵素活性を測定した。
【0115】
具体的には、酵素反応に用いる原料としては、2mMステビオシド(haigen社)、50mM砂糖(CJ第一製糖)水溶液を用いた。微生物において発現した前記糖転移酵素A(UGT-A)、前記スクロースシンターゼ、及び実施例2-1で作製した各糖転移酵素B(UGT-B)を用いて、37度で24時間反応を行い、その後HPLCで分析した。前記原料の水溶液は、UDP-glucose又はUDP(Uridine-diphosphate)を2mM含むものである。
【0116】
HPLC分析条件は次の通りである。
・Detector wavelength:210nm
・Flow rate:1ml/min
・Sample injection vol.:10μl
・Column:Capcell pak C18 MG II(Shiseido, 250×4.6mm, particle size:5μm)
・Solvent:Acetonitrile 30%
【0117】
測定結果を表2及び図4~6に示す。
【0118】
【表2】
【0119】
表2及び図4~6に示すように、ステビオシドからレバウジオシドMの異性体(isomer)、レバウジオシドD、レバウジオシドM、レバウジオシドI及びレバウジオシドAにモル濃度で100%変換されることが確認された。
【実施例4】
【0120】
レバウジオシドD原料に対する糖転移酵素A(UGT-A)の酵素活性の測定
実施例3の糖転移酵素A(UGT-A)を用いて、レバウジオシドDからレバウジオシドMへの変換率を測定した。
【0121】
具体的には、酵素反応に用いる原料としては、レバウジオシドD(haigen社)を水に1mMになるように溶解して用いた。微生物において発現した前記糖転移酵素A(UGT-A)を用いて、37度で16時間反応を行い、その後HPLCで分析した。前記原料水溶液は、UDP-glucose又はUDP(Uridine-diphosphate)を2mM含むものである。
【0122】
HPLC分析条件は次の通りである。
・Detector wavelength:210nm
・Flow rate:1ml/min
・Sample injection vol.:10μl
・Column:Capcell pak C18 MG II(Shiseido, 250×4.6mm, particle size:5μm)
・Solvent:Acetonitrile 30%
【0123】
測定結果を図7に示す。
【0124】
図7に示すように、本出願の糖転移酵素Aにより、レバウジオシドDからレバウジオシドMにほとんど変換されることが確認された。
【実施例5】
【0125】
レバウジオシドDの異性体(isomer)及びレバウジオシドMの異性体(isomer)の液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS/MS)による分析
実施例2及び実施例3で変換した化合物がレバウジオシドDの異性体(isomer)又はレバウジオシドMの異性体(isomer)であるか否かを確認するために、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS/MS)による分析を用いて、実施例2及び実施例3で変換したレバウジオシドDの異性体(isomer)及びレバウジオシドMの異性体(isomer)をそれぞれレバウジオシドD及びレバウジオシドMと比較した。
【0126】
具体的には、Acquity UPLC(Waters社)及びXe-vo G2-XS Q-Tof質量分析器を用いた。LC-MS/MS分析条件を表3に示し、溶出条件を表4に示し、MS conditionsを表5に示す。
【0127】
【表3】
【0128】
【表4】
【0129】
【表5】
【0130】
その結果、図8及び図9に示すように、RebD StandardとfractionしたUnknown peak1を比較した結果、RebD standardとUnknown peak1が同一分子量であり、MSMS Fragmentが一致するが、PeakのRetention timeが異なることから、Unknown peak1はRebDのIsomerであることが確認された。
【0131】
また、図10及び図11に示すように、RebM StandardとfractionしたUnknown peak2を比較した結果、RebM standardとUnknown peak2が同一分子量であり、MSMS Fragmentが一致するが、PeakのRetention timeが異なることから、Unknown peak2はRebMのIsomerであることが確認された。
【0132】
以上の説明から、本出願の属する技術分野の当業者であれば、本出願がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施できることを理解するであろう。なお、上記実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本出願には、明細書ではなく請求の範囲の意味及び範囲とその等価概念から導かれる変更又は変形された形態が全て含まれるものと解釈すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【配列表】
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【国際調査報告】