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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】多層基板における複数のアンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 23/00 20060101AFI20241029BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
H01Q23/00
H01Q1/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523402
(86)(22)【出願日】2022-10-18
(85)【翻訳文提出日】2024-06-18
(86)【国際出願番号】 US2022046958
(87)【国際公開番号】W WO2023069390
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】63/257,057
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/876,449
(32)【優先日】2022-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】ハッサン アリ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ウォレス
(72)【発明者】
【氏名】スワミナサン サンカラン
【テーマコード(参考)】
5J021
5J046
【Fターム(参考)】
5J021AB06
5J021JA08
5J046AB06
5J046AB11
(57)【要約】
一例において、装置が、集積回路(140)と、第1の金属層(408)と、第2の金属層(410)とを含む。第1の金属層は、集積回路に接続される第1のアンテナ(434)を含み、第1のアンテナは第1の領域にあり、第1の領域は集積回路の外部にある。第2の金属層は、集積回路の外部の第2の領域において第2のアンテナ(444)を含む。この装置は更に、第1の金属層と第2の金属層との間に基板(418)を含み、基板並びに、第1及び第2の金属層は、積層体を形成する。この装置は更に、第1のアンテナと第2のアンテナとの間を結合する基板内の貫通ビア(428)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
集積回路と、
前記集積回路に接続される第1のアンテナを含む第1の金属層であって、前記第1のアンテナが第1の領域にあり、前記第1の領域が前記集積回路の外部にある、前記第1の金属層と、
前記集積回路の外部の第2の領域において第2のアンテナを含む第2の金属層と、
前記第1及び第2の金属層の間の基板であって、前記基板と前記第1及び第2の金属層とが積層体を形成する、前記基板と、
前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとの間を結合する前記基板内の貫通ビアと、
を含む、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記第1の金属層が、第1のエリアによって前記集積回路から離間されている第1の金属セグメントを含み、
前記第2の金属層が、第2のエリアによって前記集積回路から離間されている第2の金属セグメントを含み、
前記第1の金属セグメントが前記第1のアンテナを形成し、
前記第2の金属セグメントが前記第2のアンテナを形成し、
前記貫通ビアが前記第1及び第2の金属セグメントを介して延在する、
装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、前記第1の金属層が第1の接地平面を含み、前記第2の金属層が第2の接地平面を含む、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、
前記第1の金属セグメントが、第1の金属サブセグメントと第2の金属サブセグメントとを含み、
前記第1の金属サブセグメントが前記第1の接地平面から延在し、
前記第2の金属サブセグメントが、前記第1の金属サブセグメントの端部から延在し、前記第1の金属サブセグメントに対して角度が付けられており、
前記第2の金属サブセグメントが、前記第1の接地平面から離れている端部を有し、
前記貫通ビアが、前記第2の金属サブセグメントを介して延在し、前記第1の金属サブセグメントよりも前記第2の金属サブセグメントの前記端部に一層近接している、
装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、
前記第2の金属セグメントが、第3の金属サブセグメントと第4の金属サブセグメントとを含み、
前記第3の金属サブセグメントが前記第2の接地平面から延在し、
前記第4の金属サブセグメントが、前記第3の金属サブセグメントの端部から延在し、前記第3の金属サブセグメントに対して角度が付けられており、
前記第4の金属サブセグメントが、前記第2の接地平面から離れている端部を有し、
前記貫通ビアが、前記第4の金属サブセグメントを介して延在し、前記第3の金属サブセグメントよりも前記第4の金属サブセグメントの前記端部に一層近接している、
装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、前記第2の金属セグメントが、前記第3の金属サブセグメントよりも前記貫通ビアに一層近接している前記第4の金属サブセグメントの端部から延在する第5の金属サブセグメントを有し、前記第5の金属サブセグメントが、前記第2の接地平面から離れている端部を有する、装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、
前記集積回路が、前記第1の金属セグメントに結合されるトランシーバ回路を有し、
前記第5の金属サブセグメントの長さが、前記トランシーバ回路のインピーダンスに基づく、装置。
【請求項8】
請求項5に記載の装置であって、前記第1及び第2の金属サブセグメントが、前記第1のアンテナとして第1のループアンテナを形成し、前記第3及び第4の金属サブセグメントが、前記第2のアンテナとして第2のループアンテナを形成する、装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、前記第1のループアンテナが、第1の共振周波数及び第1の帯域幅を有するように構成され、前記2のループアンテナが、第2の共振周波数及び第2の帯域幅を有するように構成され、その結果、前記第1のループアンテナ及び前記第2のループアンテナが、前記第1の帯域幅及び前記第2の帯域幅の各々よりも広い組み合わせ帯域幅を有する、装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置であって、前記第1のループアンテナ及び前記第2のループアンテナが異なるループ寸法を有する、装置。
【請求項11】
請求項9に記載の装置であって、前記第1の金属セグメント及び前記第2の金属セグメントが異なる幅を有する、装置。
【請求項12】
請求項3に記載の装置であって、前記第1の金属セグメントが、対向する第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の端部及び前記第2の端部が、前記第1の接地平面から離れている、装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置であって、前記第1の金属セグメントが蛇行金属セグメントを含む、装置。
【請求項14】
請求項3に記載の装置であって、
前記第1の金属セグメントが、第1の金属サブセグメントと第2の金属サブセグメントとを含み、
前記第1の金属サブセグメントが、前記第1の接地平面から延在し、前記第1の接地平面から離れている端部を有し、
前記第2の金属サブセグメントが、前記第1の金属サブセグメントから延在し、前記第1の金属サブセグメントに対して角度が付けられており、
前記第2の金属サブセグメントが、前記第1の金属サブセグメントの前記端部よりも前記第1の接地平面に近接しており、
前記貫通ビアが、前記第2の金属サブセグメントを介して延在し、前記第1の金属サブセグメントよりも前記第2の金属サブセグメントの端部に一層近接している、
装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置であって、前記第1の金属セグメントが逆Fアンテナの一部である、装置。
【請求項16】
請求項2に記載の装置であって、前記集積回路と前記第1の金属セグメントとの間に結合されるインピーダンス整合回路を更に含む、装置。
【請求項17】
請求項16に記載の装置であって、前記インピーダンス整合回路が、前記集積回路と前記第1の金属セグメントとの間に結合されるコンデンサを含む、装置。
【請求項18】
請求項1に記載の装置であって、前記集積回路が、金属層で被覆されたパッケージを含む、装置。
【請求項19】
請求項1に記載の装置であって、前記基板が、印刷回路基板(PCB)の一部である、装置。
【請求項20】
請求項1に記載の装置であって、前記第1の金属層が第1の印刷回路基板(PCB)の一部であり、前記第2の金属層が第2のPCBの一部である、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ラップトップコンピュータ、携帯電話、又はスマートウォッチなどのポータブルワイヤレスデバイスは、機械的支持を提供する印刷回路基板(PCB)など、基板上に搭載される複数の電子部品を含み、電子部品間の電気的接続を提供するための金属トレースを含む。ワイヤレスデバイスはまた、他のデバイスとのワイヤレス通信を支援するために、無線周波数(RF)信号を送信/受信するためにトランシーバと共に動作するアンテナを含む。ワイヤレスデバイスの電子部品のフットプリント及び数を低減するために、アンテナは、PCBの金属トレースを用いて実装することができる。種々の要因が、アンテナトポロジー、アンテナの寸法、アンテナの位置、及びアンテナとトランシーバとの間の接続などの、アンテナの性能特性に影響を及ぼす可能性がある。
【発明の概要】
【0002】
或る装置が、集積回路と、第1の金属層と、第2の金属層とを含む。第1の金属層は、集積回路に接続される第1のアンテナを含み、第1のアンテナは第1の領域にあり、第1の領域は集積回路の外部にある。第2の金属層は、集積回路の外部の第2の領域において第2のアンテナを含む。装置は更に、第1の金属層と第2の金属層との間の基板を含み、基板、並びに、第1及び第2の金属層は、積層体(laminate)を形成する。装置は更に、第1のアンテナと第2のアンテナとの間を結合する基板内の貫通ビアを含む。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】例示のワイヤレスシステムの概略図である。
【0004】
図2A】別の例示のワイヤレスシステムの概略図である。
図2B】別の例示のワイヤレスシステムの概略図である。
【0005】
図3図2A及び図2Bの例示のワイヤレスシステムの周波数応答のグラフである。
【0006】
図4A】積層された(laminated)基板の複数の金属層において複数のアンテナを有する例示のワイヤレスシステムの概略図である。
図4B】積層された基板の複数の金属層において複数のアンテナを有する例示のワイヤレスシステムの概略図である。
図4C】積層された基板の複数の金属層において複数のアンテナを有する例示のワイヤレスシステムの概略図である。
【0007】
図4D図4Aの例示のワイヤレスシステムの周波数応答のグラフである。
【0008】
図5】積層された基板の複数の金属層において複数のアンテナを有する別の例示のワイヤレスシステムの概略図である。
【0009】
図6A】積層された基板の複数の金属層において複数のアンテナを有する別の例示のワイヤレスシステムの概略図である。
図6B】積層された基板の複数の金属層において複数のアンテナを有する別の例示のワイヤレスシステムの概略図である。
図6C】積層された基板の複数の金属層において複数のアンテナを有する別の例示のワイヤレスシステムの概略図である。
【0010】
図7図6A図6Cの例示のワイヤレスシステムの周波数応答のグラフである。
【0011】
図8】積層された基板の複数の金属層において複数のアンテナを有する例示のワイヤレスシステムの概略図である。
図9】積層された基板の複数の金属層において複数のアンテナを有する例示のワイヤレスシステムの概略図である。
図10】積層された基板の複数の金属層において複数のアンテナを有する例示のワイヤレスシステムの概略図である。
【0012】
図11図8図10の例示のワイヤレスシステムの周波数応答のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、例示のワイヤレスシステム100の概略図であり、ワイヤレスシステム100は、集積回路の一部であり得る。ワイヤレスシステム100は、基板106上に搭載される半導体ダイ102とインピーダンス整合回路104とを含み得る。基板106は、誘電体層110上の金属層108を含み得る。金属層108は、金属平面112と、金属セグメント114と、金属セグメント116とを含み得、これは、ワイヤレスシステム100のアンテナを提供することができる。金属平面112は、金属セグメント114及び116よりもはるかに幅広い電流経路を提供することができ、半導体ダイ102の金属相互接続120に結合される接地平面の一部とすることができる。また、金属セグメント114は、インピーダンス整合回路104と半導体ダイ102の別の金属相互接続122との間に結合されるセグメントであってもよい。半導体ダイ102は、アンテナを介してRF信号を送信/受信するために金属相互接続122に結合されるトランシーバ回路を含み得、金属セグメント114は、アンテナのためのフィード線とすることができる。
【0014】
インピーダンス整合回路104は、金属セグメント114に結合される第1のプレートと、金属セグメント116に結合される第2のプレートとを有する交流(AC)コンデンサを含み得る。ACコンデンサのインピーダンスは、金属セグメント116/アンテナのインピーダンスと組み合わせることができる。組み合わせインピーダンスは、金属セグメント114のインピーダンスと整合するようにACコンデンサの静電容量を選択/構成することによって調整することができる。インピーダンスの整合は、トランシーバ回路とアンテナとの間の電力伝送を改善し、ワイヤレスシステムの全体的な感度及び効率を改善することができる。例えば、金属セグメント116は、Rjのインピーダンスを提示することができ、ここで、R及びXは、金属セグメント116のインピーダンスのそれぞれの抵抗及びリアクタンス成分を表す。また、トランシーバ回路は、RSSのインピーダンスを提示することができ、ここで、RS及びXSは、トランシーバ回路のインピーダンスのそれぞれの抵抗及びリアクタンス成分を表す。トランシーバ回路とアンテナとの間の電力伝送を最大化するため(又は少なくとも増加させるため)、インピーダンス整合回路104は、金属セグメント116のインピーダンスを、RS-jSである、トランシーバ回路のインピーダンスの複素共役に変換することができる。
【0015】
アンテナの放射抵抗、帯域幅、及び効率を改善するために、金属セグメント116によって提供される電気経路を延長することができる。電気経路のフットプリントを低減するために、金属セグメント116は、共に接合された複数のサブセグメント(例えば、116a、116b、116c、及び116d)を含み得、隣接するサブセグメント(例えば、116aと116b、116bと116c)同士は、互いから角度を付けられて(例えば、90度)蛇行金属セグメントを形成し、アンテナは蛇行アンテナであり得る。金属セグメント116の第1の端部130が、インピーダンス整合回路104に結合され得、金属セグメント116の第2の端部132が、開放/未接続端部であり得る。いくつかの例において、金属セグメント116の第2の端部132が金属平面112に結合され得、金属セグメント116がループアンテナを形成し得る。
【0016】
また、半導体ダイ102、インピーダンス整合回路104、及び金属層108は、封止パッケージ140内に封止され得る。封止パッケージ140は、金属平面112と金属セグメント114及び116との間、並びに、半導体ダイ102の金属相互接続間で電気絶縁を提供するために、成形化合物(例えば、プラスチック又は樹脂)から作製され得る。また、表面142及び144(x-z平面に平行)、表面146及び148(z-y平面に平行)、並びに、表面150(x-y平面に平行)を含む封止パッケージ140の表面は、金属の層で被覆され得る。被覆は、全面金属スパッタリングプロセスによって行うことができる。金属層は、半導体ダイ102及びインピーダンス整合回路104を、放射又は他の帯域外RF信号などの所望とされないRF信号から遮蔽することができる。
【0017】
表面142~150上の金属層は、封止パッケージ140内の電子部品を放射又は他の所望とされないRF信号から遮蔽することができるが、こういった金属層はまた、金属セグメント116を遮蔽し、金属セグメント116が封止パッケージ140からRF信号を受信又は送信することを防止し得る。アンテナ上の金属層の遮蔽効果を低減する方式の一つは、表面142~150の一部のみを金属層で被覆することによるものである。例えば、図1において、表面146と、金属部分116に近接する表面142、144、150の一部とが被覆されずに開口を提供し得、その開口を介してアンテナが封止パッケージ140からRF信号を受信又は送信することができるようにし得る。部分的な表面金属スパッタリングプロセスを実施して、表面142~150の一部を金属層で被覆することもできる。しかし、そのような配置は、所望とされないRF信号が、封止パッケージ140を介して入ることも可能にし、遮蔽効果を低下させ得る。また、部分的表面金属スパッタリングプロセスの制限された精度が、開口の寸法及び位置の変動をもたらし得、これにより、アンテナ及びワイヤレスシステム100全体の性能不確実性が増大し得る。
【0018】
図2A及び図2Bは、別の例示のワイヤレスシステム200の概略図である。図2Aは上面図を図示し、図2Bは斜視図を図示する。ワイヤレスシステム200は、基板206上に搭載される半導体ダイ102とインピーダンス整合回路104とを含み得、半導体ダイ102及びインピーダンス整合回路104は、封止パッケージ140内に封止され得る。図2A及び図2Bを参照すると、基板206は、金属層208、210、212、及び214などの複数の金属層と、積層された基板206を形成する誘電体層218、220、222、及び224などの複数の誘電体層とを含み得る。基板206はまた、複数の金属層及び誘電体層を貫通して複数の金属層間の電気的接続を提供する、貫通ビア226及び228を含み得る。いくつかの例において、基板206は多層印刷回路基板(PCB)を含み得、金属層は銅層を含み得、誘電体層はエポキシ材料を含み得る。いくつかの例において、基板206はまた、共に積層された複数のPCBを含み得る。例えば、金属層208及び誘電体層218は第1のPCBであり得、金属層210及び誘電体層220は第2のPCBであり得、金属層212及び誘電体層222は第3のPCBであり得、金属層214及び誘電体層224は第4のPCBであり得る。
【0019】
また、金属層208は金属平面230を含み得、金属平面230は、平面領域230a及び230bと、平面領域230a及び230b間で誘電体層218を露出させる分離区域230cとを含み得る。分離区域230cは、誘電体及び空気などの絶縁材料で充填することができる。金属層208はまた、金属セグメント232、234、及び236を含み得る。金属セグメント232は、サブセグメント232a及び232bを含み得る。サブセグメント232aは、封止パッケージ140で覆われていない平面領域230aの第1の部分(図2Aにおいて「A」と標示されている)から延在し得る。サブセグメント232bは、サブセグメント232aから延在し、サブセグメント232aに対して角度が付けられている。サブセグメント232bは、平面領域230aの第2の部分(図2Aにおいて「B」と標示されている)内に延在し得、インピーダンス整合回路104と結合する。サブセグメント232bは、分離区域230cによって平面領域230bから離間され得る。平面領域230a及び金属セグメント232は、RF信号の検出に応答して又はRF信号を送信/放射するために、ループの周りに電流を導通することができるループアンテナ240を提供することができ、金属サブセグメント232bの一部が、ループアンテナのためのフィード線を提供することができる。ループアンテナ240は、封止パッケージ140に隣接する外部領域内にあり得る。従って、ループアンテナ240は、封止パッケージ140によってあまり妨害されず、ループアンテナ240がRF信号を送信及び受信することが可能となる。
【0020】
金属セグメント234はまた蛇行セグメントを含み得、蛇行セグメントは、平面領域230aから未接続/分離された第1の端部250を有し、未接続/開放端部を形成する。蛇行セグメントはまた、サブセグメント232bと接続する第2の端部252を有する。蛇行金属セグメント234は、誘導性負荷を提供することができ、誘導性負荷は、金属セグメント234の長さ及び蛇行サブセグメント間の間隔(図2Aにおいて「d」と標示されている)を変えることによって調整することができる。また、容量性負荷を提供するために、サブセグメント232bと平面領域230bとの間に間隙230dが存在することが可能であり、これは、間隙230dの幅(図2Aにおいて「w」と標示されている)を変えることによって調整することができる。間隙230dは、誘電体及び空気などの絶縁材料で充填することができる。インピーダンス整合回路104と組み合わされた誘導性負荷及び容量性負荷は、(金属セグメント236及び金属相互接続122のインピーダンスによって表される)半導体ダイ102のインピーダンスと整合するように、ループアンテナ240のフィード線のインピーダンスを調整するように構成され得る。インピーダンスの整合は、トランシーバ回路とアンテナとの間の電力伝送を改善することができ、アンテナの全体的な感度及び効率を改善することができる。
【0021】
図2のワイヤレスシステム200におけるループアンテナ240は、封止パッケージ140によって妨害されていない(又は妨害が少ない)RF信号を受信又は送信することができるが、様々な要因がその性能を制限する可能性がある。具体的には、ループアンテナ240の共振は狭帯域であり、ループアンテナ240は、RF信号を送信/検出するために狭い帯域幅を有し得る。例えば、ループアンテナ240は、5~10メガヘルツ(MHz)の帯域幅を有し得る。狭い帯域幅は、アンテナが5~10MHzよりも広い帯域幅にわたってRF信号を送信/受信し得る多くのワイヤレス応用例には不適切であり得る。
【0022】
また、ループアンテナ240は、封止パッケージ140に隣接する外部領域にあり、ワイヤレスシステム200のフットプリントに追加するので、ワイヤレスシステム200の全体的なフットプリントを低減するために、ループアンテナ240のループ寸法は、(例えば、サブセグメント232a及び232bの長さを低減することによって)縮小され得る。しかし、ループ寸法を縮小することは、ループアンテナ240の放射効率及び利得を低減する恐れがある。これは、ループアンテナ240によって送信又は受信されるRF信号の電力を低減し、アンテナの送信/検出範囲を低減する恐れがある。ワイヤレスシステム200の全体的な感度及び効率は、アンテナループの増加したインダクタンスに起因して更に低減され得、これにより、アンテナループと半導体ダイ102との間のインピーダンスを整合させることが困難となる。
【0023】
図3は、周波数に対する、図2A及び図2Bのループアンテナ240の反射損失(RL)の変動のグラフ300である。図3において及び本発明の残りの部分について、反射損失は、ループアンテナ240によって反射/拒絶される電力量(P)とループアンテナ240に提供される電力量(P)との間の比であり得る。ループアンテナ240がRF信号を送信する場合、Pは、半導体ダイ102によってループアンテナ240に提供される電力の量を指すことができる。ループアンテナ240がRF信号を検出する場合、Pは、ループアンテナ240によって検出された電力の量を指すことができる。RLは、下記式によって与えられ得る。
RL=10log10(P/P) (式1)
【0024】
図3を参照すると、ループアンテナ240は、共振システムを提供し、反射損失が1に近い、1~2ギガヘルツ(GHz)間、並びに、2.7~5GHz間の周波数帯域内のRF信号を拒絶することができる。ループアンテナ240は、2~2.7GHz間の周波数帯域内でRF信号を送信/受信することができる。ループアンテナ240の帯域幅は、反射損失が-10dBよりも低い或る周波数帯域を含み得、これは、図3において「BW」と標示されており、約75MHzである。ループアンテナ240の共振周波数は2.4GHzであり、ここで、反射損失は、図3で「RLmin0」と標示されている-15dBの最小値である。ループアンテナの狭い75MHz帯域幅は、多くのワイヤレス応用例にとって不適切であり得る。
【0025】
図4A図4Dは、前述した問題の少なくともいくつかに対処することができる、例示のワイヤレスシステム400を図示する。図4Aは、ワイヤレスシステム400の斜視分解図を図示する概略図であり、図4Bは、ワイヤレスシステム400の部分側面図を図示する概略図である。図4A及び図4Bを参照すると、ワイヤレスシステム400は、基板406上に搭載された半導体ダイ102及びインピーダンス整合回路104を含み得、少なくとも半導体ダイ102が封止パッケージ140内に封止されている。基板406は、金属層408、410、及び412などの複数の金属層と、積層された基板を形成するように共に積層された誘電体層418、420、及び422などの複数の誘電体層とを含み得る。基板406はまた、複数の金属層と誘電体層とを介して延在して、複数の金属層間の電気的接続を提供する、貫通ビア426及び428を含み得る。いくつかの例において、基板406は多層PCBを含み得、金属層は銅層を含み得、誘電体層はエポキシ材料を含み得る。いくつかの例において、基板406は、共に積層された複数のPCBを含み得、金属層408及び誘電体層418は第1のPCBのものとすることができ、金属層410及び誘電体層420は第2のPCBのものとすることができ、金属層412及び誘電体層422は第3のPCBのものとすることができ、これらのPCBは、積層された基板406を形成するために積層され得る。
【0026】
各金属層は、金属平面と金属セグメントとを含み得、金属セグメントは、金属平面の第1の部分から延在し、同じ金属平面の第2の部分に戻り、ループアンテナを形成する。具体的には、金属層408は金属平面430を含み得、金属平面430は、平面領域430a及び430bと、平面領域430a及び430b間で誘電体層418を露出させる分離区域430cとを含む。分離区域430cは、誘電体及び空気などの絶縁材料で充填することができる。金属平面430は、電圧源に結合され得、接地平面として構成され得る。金属層408はまた、金属サブセグメント432a及び432bを含む金属セグメント432を含み得る。金属サブセグメント432aは、平面領域430bの一部(図中「A」と標示されている)から延在し得る。金属サブセグメント432bは、金属サブセグメント432aの端部433から延在し得、金属サブセグメント432aに対して角度が付けられ、金属サブセグメント432bは、端部435においてインピーダンス整合回路104に結合され得る。貫通ビア428は、金属サブセグメント432bを介して延在し、金属サブセグメント432aよりも端部435に近接している。金属セグメント432、435が、分離区域430cによって封止パッケージ140から離間されているループアンテナ434を提供することができる。ループアンテナ434は、RF信号の検出に応答してインピーダンス整合回路104に到達するために、又はRF信号を送信するために、平面領域430aのエッジを介して及び金属セグメント432を介して電流を導通することができる。金属層408はまた、インピーダンス整合回路104と半導体ダイ102との間を結合してそれらの間に電流を導通する金属セグメント436を含み得る。金属サブセグメント432bはまた、間隙430dによって平面領域430bから離間され得る。間隙430dは、誘電体及び空気などの絶縁材料で充填することができ、容量性負荷を提供することができ、容量性負荷は、インピーダンス整合回路104のAC静電容量と組み合わされて、ループアンテナ434のインピーダンスを金属セグメント436と整合するように設定することができる。容量性負荷は、間隙430dの幅(図4Aにおいて「w」と標示されている)によって設定することができる。
【0027】
また、金属層410は金属平面440を含み得、金属平面440は、平面領域440a及び440bと、平面領域440a及び440b間で誘電体層420を露出させる分離区域440cとを含む。分離区域440cは、誘電体及び空気などの絶縁材料で充填することができる。金属平面440は、貫通ビア426によって金属平面430に結合され得、接地平面として構成され得る。金属層410はまた、金属サブセグメント442a及び442bを含む金属セグメント442を含み得る。金属サブセグメント442aは、平面領域440aの一部(図4Aにおいて「B」と標示されている)から延在することができる。金属サブセグメント442bは、金属サブセグメント442aの端部443から延在し得、金属サブセグメント442aに対して角度を付けられ、金属サブセグメント442bは、開放/未接続端部を形成するため、金属平面440から離れている/分離された端部445を有し得る。貫通ビア428は、金属サブセグメント442bを介して延在して、金属セグメント432と442との間に電気的接続を提供し、金属サブセグメント442aよりも端部445に近接している。金属セグメント442、445は、金属層408と410との間の貫通ビア428と共に、分離区域440cによって封止パッケージ140から離間されているループアンテナ444を提供することができる。ループアンテナ444は、RF信号の検出に応答して、又はRF信号を送信するために、インピーダンス整合回路104及び半導体ダイ102に到達するように、平面領域440aのエッジを介して、金属セグメント442を介して、及び金属層408と410との間の貫通ビア428を介して、電流を導通することができる。金属サブセグメント442bはまた、間隙440dによって平面領域440bから離間され得る。間隙440dは、誘電体及び空気などの絶縁材料で充填することができ、ループアンテナ444のインピーダンスを金属セグメント436と整合するように設定することができる容量性負荷を提供することができる。容量性負荷は、間隙440dの幅(図4Aにおいて「w」と標示されている)によって設定することができる。
【0028】
また、金属層412は、平面領域450a及び450bを含む金属平面450と、平面領域450a及び450b間で誘電体層422を露出させる分離区域450cとを含み得る。分離区域450cは、誘電体及び空気などの絶縁材料で充填することができる。金属平面450は、貫通ビア426によって金属平面430及び440に結合され得、接地平面として構成され得る。金属層412はまた、金属サブセグメント452a及び452bを含む金属セグメント452を含み得る。金属サブセグメント452aは、平面領域450aの一部(図4Aにおいて「C」と標示されている)から延在し得る。金属サブセグメント452bは、金属サブセグメント452aの端部453から延在し得、金属サブセグメント452aに対して角度を付けられ、金属サブセグメント452bは、金属平面450から離れている/分離された端部455を有して、開放/未接続端部を形成することができる。貫通ビア428は、金属サブセグメント452bを介して延在して、金属セグメント452並びに金属セグメント432及び442間の電気的接続を提供し、金属サブセグメント452aよりも端部455に近接している。金属セグメント452は、金属層408と412との間の貫通ビア428と共に、ループアンテナ454を提供することができる。ループアンテナ454は、RF信号の検出すること、又はRF信号を送信することに応答して、インピーダンス整合回路104及び半導体ダイ102に到達するように、平面領域450aのエッジを介して、金属セグメント452を介して、及び金属層408及び412間の貫通ビア428を介して、電流を導通することができる。金属サブセグメント452bは、分離区域450cの一部である間隙450dによって平面領域450bから離間され得る。間隙450dは、誘電体及び空気などの絶縁材料で充填することができ、ループアンテナ454のインピーダンスを金属セグメント436と整合するように設定することができる容量性負荷を提供することができる。容量性負荷は、間隙450dの幅(図4Aにおいて「w」と標示されている)によって設定することができる。
【0029】
図4A図4Cの例示の配置では、3つのループアンテナ434、444、及び454が、貫通ビア428によってインピーダンス整合回路104及び半導体ダイ102に結合され得る。ループアンテナ434、444、及び454、インピーダンス整合回路104、及び半導体ダイ102の間の接続は、図4Cの回路図に表されている。図4Cを参照すると、金属セグメント436が、半導体ダイ102のトランシーバ回路460とインピーダンス整合回路104のコンデンサの一方の側との間に結合される。また、インピーダンス整合回路104のコンデンサの他方の側は、貫通ビア428によって3つのループアンテナ434、444、及び454と結合され、貫通ビア428は、3つのアンテナの各々にフィード線を提供することができる。従って、トランシーバ回路460は、RF信号を送信及び受信するために、3つのループアンテナ434、444、及び454の1つ又は複数を用いることができる。
【0030】
複数のループアンテナ434、444、及び454は、ワイヤレスシステム400の動作周波数レンジを広げるために組み合わせることができる、同様の周波数応答を有することができる。組み合わされたアンテナの放射効率及び利得も、周波数レンジにわたって増加させることができる。
【0031】
図4Dは、それぞれのループアンテナ434、444、及び454の反射損失のグラフ472、474、及び476を含むチャート470と、3つのループアンテナの組み合わせ反射損失のチャート480とを図示する。チャート470を参照すると、ループアンテナ434は、図4Dに表される周波数の範囲内でfにおいて反射損失が最小となる共振周波数を有することができ、ループアンテナ444は、fにおいて反射損失が最小となる共振周波数を有することができ、ループアンテナ454は、fにおいて反射損失が最小となる振周波数を有することができる。ループアンテナは、異なるループ寸法を有するので、異なる共振周波数を有することができる。上述のように、ループアンテナ444は、金属層408と410との間に貫通ビア428を含み得、これは、電流経路を延長させ、ループアンテナ444のループ寸法を増加させる。また、ループアンテナ454は、金属層408と412との間に貫通ビア428を含み得、これも、電流経路を延長させ、ループアンテナ454のループ寸法を増加させる。各ループアンテナが、貫通ビア428からの異なる電流経路延長を有するので、異なるループ寸法及び異なる共振周波数を有することができる。
【0032】
また、各ループアンテナは、それぞれの共振周波数f、f、及びfを中心とする同じ帯域幅(例えば、BW)を有することができる。共振周波数f、f、及びfは異なるが、共振周波数f、f、及びfを含む周波数レンジf及びfにわたってループアンテナの周波数応答が組み合わされ得るように、差は小さい。チャート480は、ループアンテナ434、444、及び454の組み合わされた反射損失を表す。チャート480を参照すると、周波数レンジfからfの間に及ぶアンテナ434、444、及び454の組み合わせ帯域幅(「BW」と標示されている)は、各スタンドアロンアンテナの帯域幅BWよりも広くすることができ、これにより、RF信号を送信/検出する際のワイヤレスシステム400の全体的な帯域幅を広げることができる。
【0033】
図4A図4Dの例において、金属層408の金属セグメント432、金属層410の金属セグメント442、及び金属層412の金属セグメント452は、封止パッケージ140の同じ側にあり得、ループアンテナ434、444、及び454は、(例えば、z軸に沿って)スタックを形成し得る。いくつかの例において、異なる金属層中のアンテナが、封止パッケージ140の異なる側にあってもよい。図5は、封止パッケージ140の異なる側にループアンテナ434及び444を有する、例示のワイヤレスシステム400の概略図である。図5を参照すると、平面領域430a及び430b、分離区域430c、間隙430d、並びに、金属サブセグメント432a及び432bは、封止パッケージ140の第1の側(例えば、方向C)にあり得る。また、平面領域440a及び440b、分離区域440c、間隙440d、並びに、金属サブセグメント442a及び442bは、封止パッケージ140の第2の側(例えば、方向D)にあり得る。異なる金属層(例えば、金属層412)が、金属サブセグメント442bと貫通ビア428との間を結合する金属セグメント502を含み得、金属セグメント502は、貫通ビア504によって金属サブセグメント442bに結合され得る。
【0034】
図6A図6Cは、別の例示のワイヤレスシステム400を図示する。図6Aは、ワイヤレスシステム400の斜視分解図を図示する概略図であり、図6Bは、ワイヤレスシステム400の部分側面図を図示する概略図である。図6A及び図6Bを参照すると、金属セグメント442が、金属サブセグメント442aよりも貫通ビア428に一層近接している、金属サブセグメント442bの端部445から延在する金属サブセグメント602を含む。金属サブセグメント拡張部602が、金属平面440から分離された開放端部604を有する。また、金属セグメント452が、金属サブセグメント452aよりも貫通ビア428に一層近接している、金属サブセグメント442bの端部455から延在する金属サブセグメント拡張部612を含む。金属サブセグメント拡張部612が、金属平面450から分離された開放端部614を有する。図6A及び図6Bの例において、端部445及び455は例示の目的の仮想端部とすることができ、ここで、金属サブセグメント442b及び602を連続金属サブセグメントとすることができ、金属サブセグメント452b及び612を連続金属サブセグメントとすることもできる。
【0035】
金属サブセグメント拡張部602及び612の各々は、開放スタブとし得、これは、それぞれの金属セグメント442及び452、並びに、それぞれのループアンテナ444及び454に、付加的な容量性負荷を提供することができる。図6Cは、ループアンテナ434、444、及び454、インピーダンス整合回路104、半導体ダイ102、並びに、金属サブセグメント拡張部602及び612によって提供される容量性負荷を表す回路概略図である。図6Cを参照すると、金属セグメント436は、半導体ダイ102のトランシーバ回路460とインピーダンス整合回路104のコンデンサの一方の側との間に結合される。また、インピーダンス整合回路104のコンデンサの他方の端部は、フィード線としての貫通ビア428によって3つのループアンテナ434、444、454に接続される。また、金属サブセグメント拡張部602は、貫通ビア428とアンテナ444との間にシャント容量性負荷を提供することができ、金属サブセグメント拡張部612は、貫通ビア428とアンテナ454との間にシャント容量性負荷を提供することができる。
【0036】
シャント容量性負荷は、それぞれのループアンテナ444及び454のインピーダンスを調整するように構成することができる。例えば、金属サブセグメント拡張部602/612の静電容量Cextは、ループアンテナ444/454インピーダンスのリアクタンス成分と組み合わせて容量性調整を提供することができるリアクタンス成分を提供することができる。例えば、静電容量Cextは、ループアンテナ444/454とそれぞれの金属サブセグメント拡張部602/612との組み合わせインピーダンスが、電力伝送を最大化するためにトランスミッタ回路のインピーダンスの複素共役に等しくなり得るように調整され得る。
【0037】
金属サブセグメント拡張部602及び612は、インピーダンス整合回路104と共に、ループアンテナの組み合わせインピーダンスを調整して、フィード線と金属セグメント436(及びトランシーバ回路460)との間のインピーダンス整合を更に改善するため、及び、トランシーバ回路とアンテナとの間の電力伝送を改善するための、異なる選択肢を提供することができる。例えば、Cextは、金属サブセグメント拡張部の(y軸に沿った)長さ及び(x軸に沿った)幅によって設定することができる。また、いくつかの例において、異なるループアンテナが、異なる容量性負荷を提供するために、異なる長さ/幅の金属サブセグメント拡張部を有することができる。これは、異なるループアンテナが、異なるループ寸法を有し得、異なるCshunt静電容量及び異なる容量性リアクタンスを有し得るためであり得る。従って、金属サブセグメント拡張部602及び612は、ループアンテナの組み合わせインピーダンスを調整するようにそれぞれのループアンテナ444及び454の異なる容量性リアクタンスと組み合わせるために、異なるCext静電容量を提供するために異なる寸法を有することができる。
【0038】
図7は、図6A図6Cのループアンテナ434、444、及び454の、周波数に対する組み合わせ反射損失(RL)の変動のグラフ700である。図7において、ループアンテナ240の組み合わせ帯域幅は、反射損失が-10dBよりも低い周波数レンジを含み得、これは、「BW」と標示されており、約105MHzである。図3と比較して、帯域幅は40%広がっている。また、ループアンテナの組み合わせ共振周波数は2.4GHzであり、これは図3と同じである。しかしながら、図7で「RLmin1」と標示された共振周波数での反射損失は-30dBであり、これは図3から15dB改善していること表す。低減された反射損失は、例えば、金属サブセグメント拡張部602及び612、分離区域430c、440c、及び450c、並びに、インピーダンス整合回路104によって提供される、フィード線(及びループアンテナの組み合わせインピーダンス)と金属セグメント436(及びトランシーバ回路160)との間の改善されたインピーダンス整合に起因するものであり得る。
【0039】
図8図9、及び図10は、多層基板内にマルチバンドアンテナを含む例示のワイヤレスシステムの概略図である。図8図9、及び図10の各々は、例示のワイヤレスシステム800の斜視図及び分解図を図示する概略図である。図8図10を参照すると、ワイヤレスシステム800は、半導体ダイ102(図8図10には図示せず)と、基板806上に搭載されたインピーダンス整合回路104とを含み得、少なくとも半導体ダイ102が、封止パッケージ140内に封止されている。基板806は、金属層808及び810などの複数の金属層を含み得る。基板806はまた、誘電体層818及び820を含み得る。金属層及び誘電体層は、共に積層されて、積層された基板を形成することができる。いくつかの例において、基板806は、金属層408と810との間に他の金属層及び誘電体層(図8には図示せず)を含むこともできる。基板806はまた、複数の金属層間の電気的接続を提供するため、複数の金属層及び誘電体層を貫通する貫通ビア826及び828を含み得る。いくつかの例において、基板806は多層PCBを含み得、金属層は銅層を含み得、誘電体層はエポキシ材料を含み得る。いくつかの例において、基板806は、共に積層された複数のPCBを含むことができ、ここで、金属層408及び誘電体層418は第1のPCBのものとすることができ、金属層810及び誘電体層820は第2のPCBのものとすることができ、PCBは積層された基板806を形成するようにスタックされることができる。
【0040】
各金属層は、金属平面と金属セグメントとを含み得、金属セグメントは、アンテナとして構成することができる。ワイヤレスシステム800は、異なるトポロジーの、異なる金属層において異なる動作周波数帯域を有するアンテナを含み得る。例えば、図8を参照すると、金属層808が金属平面830を含み得、金属平面830は、平面領域830a及び830bと、平面領域830a及び830b間で誘電体層818を露出させる分離区域830cとを含み得る。分離区域830cは、誘電体及び空気などの絶縁材料で充填することができる。金属平面830は、電圧源に結合され得、接地平面として構成され得る。金属層808はまた、金属セグメント832を含み得、これは、平面領域830aの一部(図8に「A」と標示されている)から延在する金属サブセグメント832aを含み得る。金属サブセグメント832bは、金属サブセグメント832aから延在し得、金属サブセグメント832aに対して角度が付けられており、金属サブセグメント832bは、インピーダンス整合回路104に結合される端部833を有することができる。貫通ビア828が、金属サブセグメント832bを介して延在し、金属サブセグメント832aよりも端部833に近接している。金属セグメント832は、ループアンテナ834を提供することができ、これは分離区域830cによって封止パッケージ140から離間され、間隙830dによって平面領域830bから離間されている。間隙830dは、誘電体及び空気などの絶縁材料で充填され得る。金属層808はまた、インピーダンス整合回路104と半導体ダイ102との間に結合される金属セグメント836を含み得る。
【0041】
また、図8を参照すると、金属層810は、金属平面840aと分離区域840bとを含み得る。分離区域840bは、封止パッケージ140に隣接する外部領域内にあり得る。分離区域840bは、誘電体及び空気などの絶縁材料で充填することができる。金属平面840aは、貫通ビア826によって金属平面830に結合することができ、接地平面として構成することができる。金属層810はまた、封止パッケージ140及び平面領域840aから分離区域840bにより離間されている金属セグメント842を含み得、金属セグメント842の対向する端部844及び846が、金属平面840aから分離され/離れている。端部846は開放端部とすることができる。貫通ビア828は、金属セグメント832及び842を介して延在し、端部846よりも端部844に近接している。金属セグメント842は、共に接続された複数のサブセグメントを含み得、隣接するサブセグメント(例えば、842a及び842b、842b及び842c)は互いから角度が付けられている(例えば、90度)。金属セグメント842は、金属層808と810との間の貫通ビア828と共に、蛇行アンテナ854を形成することができる。蛇行アンテナ854は、RF信号を検出すること、又はRF信号を送信することに応答して、インピーダンス整合回路104及び半導体ダイ102に到達するために、金属セグメント842を介して、並びに金属層808及び810間の貫通ビア428を介して、電流を導通することができる。いくつかの例において、金属層810は、端部844から延在する金属サブセグメント拡張部(図8図10には図示せず)を含んで、図6A図6Cで上述したように、アンテナ854のインピーダンスの容量性調整のための付加的な容量性負荷を提供し得る。
【0042】
図9及び図10は、ワイヤレスシステム800の付加的な例を図示する。図9において、金属層810は、隔離エリア840b内に金属セグメント902を含み得、金属セグメント902は、封止パッケージ140に近接する外部領域内にあってもよい。金属セグメント902は、金属サブセグメント902aと金属サブセグメント902bとを含み得る。金属サブセグメント902aは、平面領域840aの第1の部分(例えば、図9において「B」と標示されている)から延在し得、平面領域840aの第2の部分(図9において「C」と標示されている)から分離され/離れている端部904を有することができる。端部904は、開放/未接続端部とすることができる。また、金属サブセグメント902bは、金属サブセグメント902aから延在し得、金属サブセグメント902aに対して角度を付けられており、金属サブセグメント902bは、金属平面840aから離れている/分離された端部916を有して、開放/未接続端部を形成することができる。金属サブセグメント902bは、端部904よりも接地平面840aに近接し得る。貫通ビア828は、金属サブセグメント902bを介して延在して、金属セグメント832と902との間の電気的接続を提供し、金属サブセグメント902aよりも端部916に近接している。金属セグメント902は、金属層808と810との間の貫通ビア828と共に、逆Fアンテナ920を形成することができる。また、図10において、ワイヤレスシステム800は、蛇行アンテナ854を提供する金属セグメント842を含む金属層808と、逆Fアンテナ920を提供する金属セグメント902を含む金属層810とを含み得る。図9及び図10において、金属層810は、金属サブセグメント902bの端部916から延在する金属サブセグメント拡張部(図10には図示せず)を含んで、アンテナ920のインピーダンスの容量性調整のための付加的な容量性負荷が提供され得る。
【0043】
いくつかの例において、金属層808はまた、逆Fアンテナ920を提供するために金属セグメント902を含み得、ここで、インピーダンス整合回路104は、金属サブセグメント902bの端部916に結合され得、金属層810は、蛇行アンテナ854を提供するために金属セグメント842を含み得る。
【0044】
図11は、図8図10のマルチバンドアンテナの組み合わせ反射損失(RL)の変動のグラフ1100である。図11を参照すると、マルチバンドアンテナは、2つの重複しない動作周波数レンジを有し得る。第1の動作周波数レンジは1.9GHz付近を中心とし、BWと標示されている帯域幅を有し得、第2の動作周波数レンジは4.1GHz付近を中心とし、BWと標示されている帯域幅を有し得、ここで、マルチバンドアンテナの第1のアンテナが、1.9GHzの第1の共振周波数を有し得、マルチバンドアンテナの第2のアンテナが、4.1GHzの第2の共振周波数を有し得る。1.9GHzの第1の共振周波数における反射損失は-18dB(「RLmin3」と標示されている)であり得、4.1GHzの第2の共振周波数における反射損失は-14dB(「RLmin4」と標示されている)であり得る。
【0045】
前述した手法は、多層基板において、無指向性アンテナ及び指向性アンテナを含む様々なアンテナタイプを実装するために用いられ得る。無方向性アンテナの例には、図8図10のループアンテナ834及び蛇行アンテナ854などのループアンテナ及び蛇行アンテナが含まれ得る。指向性アンテナの例には、パッチアンテナ、ビバルディアンテナ、多層ヘリカルアンテナ、及びホーンアンテナが含まれ得る。
【0046】
本記載において「結合する」という用語は、本記載と一貫する機能的関係を可能にする、接続、通信、又は信号経路を包含し得る。例えば、或る行為を実施するためにデバイスAがデバイスBを制御するための信号を提供する場合、(A)第1の例において、デバイスAがデバイスBに直接電気的に結合され、又は、(b)第2の例において、介在する構成要素CがデバイスAとデバイスBとの間の機能的関係を実質的に変更しない場合に、デバイスAが、介在する構成要素Cを介してデバイスBに間接的に電気的に結合され、そのため、デバイスBが、デバイスAによって提供される制御信号を介してデバイスAによって制御されるようにする。
【0047】
本記載において、或るタスク又は機能を実施する「ように構成される」デバイスが、その機能を実施するために、製造業者によって製造時に構成(例えば、プログラム及び/又は配線接続)され得、及び/又は、その機能及び/又は他の付加的な又は代替の機能を実施するために製造後にユーザによって構成可能(又は再構成可能)であり得る。こういった構成は、デバイスのファームウェア及び/又はソフトウェアプログラミングを介するもの、デバイスのハードウェア構成要素及び相互接続の構築及び/又はレイアウトを介するもの、又はそれらの組み合わせであり得る。
【0048】
或る構成要素を含むものとして本明細書において記載される回路又はデバイスが、代わりに、記載された回路要素又はデバイスを形成するようにそれらの構成要素に電気的に結合されるよう適合されてもよい。例えば、1つ又は複数の半導体素子(トランジスタなど)、1つ又は複数の受動素子(抵抗器、コンデンサ、及び/又はインダクタなど)、及び/又は、1つ又は複数の供給源(電圧及び/又は電流源など)を含むものとして本明細書において記載される構造が、代わりに、単一の物理デバイス(例えば、半導体ダイ及び/又は集積回路(IC)パッケージ)内の半導体素子のみを含んでいてもよく、エンドユーザ及び/又は第三者などによる製造時又は製造後のいずれかに、受動素子及び/又は供給源の少なくともいくつかに電気的に結合されるように適合されて、記載された構造を形成してもよい。
【0049】
或る構成要素が本明細書では特定のプロセス技術のものとして記載され得るが、これらの構成要素は、他のプロセス技術の構成要素に対して交換されてもよい。本明細書において記載される回路は、構成要素置換前に利用可能な機能と少なくとも部分的に同様の機能を提供するために、置換された構成要素を含むように再構成可能である。抵抗器として示される構成要素は、特に断りのない限り、概して、示される抵抗器によって表されるインピーダンスの量を提供するために、直列及び/又は並列に結合される任意の1つ又は複数の要素を表す。例えば、単一の構成要素として本明細書に示され記載される抵抗器又はコンデンサが、代わりに、その単一の抵抗器又はコンデンサと同じ2つのノード間で直列又は並列に結合される、それぞれ、複数の抵抗器又はコンデンサであってもよい。
【0050】
本記載における「接地電圧電位」という語句の使用は、シャーシ接地、アース接地、フローティング接地、仮想接地、デジタル接地、共通接地、及び/又は本記載の教示に適用可能であるか又はそれに適した任意の他の形態の接地接続を含む。特に明記しない限り、本記載においてパラメータに先行する「約」、「およそ」、又は「実質的に」は、そのパラメータの+/-10%以内を意味する。
【0051】
本発明の特許請求の範囲内で、記載した例示の実施例に改変が成され得、他の実施例が可能である。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】