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特表2024-540910エネルギーツールのための一体型センサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】エネルギーツールのための一体型センサ
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/30 20160101AFI20241029BHJP
   A61B 17/072 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
A61B34/30
A61B17/072
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523455
(86)(22)【出願日】2022-09-14
(85)【翻訳文提出日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 IB2022058650
(87)【国際公開番号】W WO2023067410
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】17/504,879
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.Linux
(71)【出願人】
【識別番号】516133124
【氏名又は名称】バーブ サージカル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Verb Surgical Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】サンカー・ベンジャミン・アラン
(72)【発明者】
【氏名】ゴネンコ・ベルク
(72)【発明者】
【氏名】コルドバ・ホセ・ルイス
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア・キルロイ・パブロ
【テーマコード(参考)】
4C130
4C160
【Fターム(参考)】
4C130AA42
4C130AB02
4C130AB04
4C130AD11
4C130AD15
4C130BA04
4C130BA12
4C160CC23
(57)【要約】
外科用ロボットシステムのためのエネルギーツールであって、エネルギーツールは、ベースに結合されたジョーであって、開放位置と閉鎖位置との間で第2のアンビルに対して移動する第1のアンビルを有する、ジョーと、ジョーに結合された力センサ、温度センサ、及び音響センサのうちの少なくとも1つと、を備える、エネルギーツール。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ロボットシステムのためのエネルギーツールであって、前記エネルギーツールは、
ベースに結合されたジョーであって、開放位置と閉鎖位置との間で第2のアンビルに対して移動する第1のアンビルを有する、ジョーと、
前記ジョーに結合された力センサ、温度センサ、及び音響センサのうちの少なくとも1つと、を備える、エネルギーツール。
【請求項2】
前記力センサが、前記第1のアンビル又は前記第2のアンビルに装着された容量センサである、請求項1に記載のエネルギーツール。
【請求項3】
前記力センサが、前記ジョーの遠位端に結合された第1の容量センサであり、前記エネルギーツールが、前記ジョーの近位端に結合された第2の容量センサを更に備える、請求項2に記載のエネルギーツール。
【請求項4】
前記力センサが、前記ジョーに結合された複数の別個の感知パッドを備える、請求項2に記載のエネルギーツール。
【請求項5】
前記力センサが、前記ジョーの全クランプ力又は前記ジョーに沿った印加された力の集中点のうちの少なくとも一方を測定するように動作可能である、請求項1に記載のエネルギーツール。
【請求項6】
前記温度センサが、前記ジョーに結合されたアナログ温度センサ又はデジタル温度センサを含む、請求項1に記載のエネルギーツール。
【請求項7】
前記温度センサが、前記ジョーに沿った温度分布を監視するように動作可能である、請求項1に記載のエネルギーツール。
【請求項8】
前記音響センサが、前記ジョーに結合された微小電気機械システムマイクロフォンを含む、請求項1に記載のエネルギーツール。
【請求項9】
前記音響センサが、前記ジョーに結合されたマイクロフォンのアレイを含む、請求項1に記載のエネルギーツール。
【請求項10】
前記音響センサが、エネルギー印加中に組織の水和レベルを監視するように動作可能である、請求項1に記載のエネルギーツール。
【請求項11】
前記エネルギーツールが、前記力センサ、前記温度センサ、及び前記音響センサを備え、前記力センサ、前記温度センサ、及び前記音響センサによって検出された情報が、クランプ圧力分布、温度分布、及び組織水和が前記エネルギー印加を進めるのに好適であるかどうかを判定するために、前記エネルギーツールに結合された1つ又は2つ以上のプロセッサによって分析される、請求項1に記載のエネルギーツール。
【請求項12】
外科用ロボットエネルギーツールシステムであって、前記システムは、
エネルギーツールであって、ベースに結合されたジョーを有し、前記ジョーは、前記エネルギーツールによるエネルギー印加中に開放位置と閉鎖位置との間で第2のアンビルに対して移動する第1のアンビルを有する、エネルギーツールと、
前記エネルギー印加中に力、温度、及び組織相のうちの少なくとも1つを検出するように構成された1つ又は2つ以上のセンサと、
前記エネルギー印加を最適化するための情報を提供するために、前記力、前記温度、及び前記組織相のうちの検出された前記少なくとも1つを分析するように構成された1つ又は2つ以上のプロセッサと、を備える、外科用ロボットエネルギーツールシステム。
【請求項13】
前記1つ又は2つ以上のセンサが、各々が力を検出し、力値を提供する少なくとも2つの力センサを含み、提供される前記情報が、(1)前記ジョーの全クランプ力、又は(2)前記ジョーに沿った前記クランプ力の集中点を含む、請求項12に記載の外科用ロボットエネルギーツールシステム。
【請求項14】
前記ジョーの前記全クランプ力に基づいて、前記1つ又は2つ以上のプロセッサが、最適なエネルギー印加を更に判定する、請求項13に記載の外科用ロボットエネルギーツールシステム。
【請求項15】
前記クランプ力の前記集中点に基づいて、前記1つ又は2つ以上のプロセッサが、不純物が前記組織内に存在するかどうかを更に判定する、請求項13に記載の外科用ロボットエネルギーツールシステム。
【請求項16】
前記1つ又は2つ以上のセンサが、温度センサを含み、前記提供される情報が、前記ジョーに沿った温度分布を含む、請求項12に記載の外科用ロボットエネルギーツールシステム。
【請求項17】
前記ジョーに沿った前記温度分布が、(1)力センサにおける熱ドリフトを補正する、(2)ユーザに表示される前記ジョーに沿った熱分布マップを構築する、(3)前記ジョーによって把持された組織の状態を判定する、又は(4)エネルギー活性化を調節する、ために使用される、請求項16に記載の外科用ロボットエネルギーツールシステム。
【請求項18】
前記1つ又は2つ以上のセンサが、マイクロフォンを含み、前記提供される情報が、前記ジョーによって把持された組織の水和レベルを含む、請求項12に記載の外科用ロボットエネルギーツールシステム。
【請求項19】
前記組織の前記水和レベルに基づいて、前記1つ又は2つ以上のプロセッサが、前記ジョーによって把持された前記組織がシールされているかどうかを更に判定する、請求項18に記載の外科用ロボットエネルギーツールシステム。
【請求項20】
前記提供される情報をユーザに表示することを更に含む、請求項12に記載の外科用ロボットエネルギーツールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ロボット手術の分野に関し、より具体的には、エネルギー印加プロセスを改善するのに役立つ組織特性を検出するためのエネルギーデバイス、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
腹腔鏡手術などの低侵襲手術(minimally-invasive surgery、MIS)は、外科処置中の組織損傷を低減することを意図した技術を伴う。例えば、腹腔鏡処置は、典型的には、患者において(例えば、腹部内で)いくつかの小さい切開部を作成することと、切開部を通して患者内に1つ又は2つ以上のツール、例えば外科用ステープラ及び/又はエネルギーデバイス、並びに少なくとも1つの内視鏡カメラを導入することと、を伴う。次に、外科処置は、導入されたツールを使用して、カメラによって提供される視覚化補助を用いて実施される。一般に、MISは、患者に残る傷跡が小さく、患者の疼痛が少なく、患者の回復期間が短縮され、患者の回復に関連する医療コストが低減できるなど、複数の利点を提供する。いくつかの実施形態では、MISは、操作者からのコマンドに基づいて外科用器具を操作するための1つ又は2つ以上のロボットアームを含むロボットシステムを用いて実施されてもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の態様は、外科医によるエネルギーツール又はデバイスを使用したエネルギーの印加中に使用することができる情報をユーザ(例えば、外科医)に提供する一体型センサ及びアーキテクチャを有するエネルギーツールを含む。本明細書で使用される「エネルギーツール」又は「エネルギーデバイス」は、外科処置中にエネルギーを印加することによって組織を操作するために使用することができる任意の外科用器具を指すことが意図される。例えば、エネルギーツール又はデバイスは、組織と接触すると、組織を切断する、切り裂く、焼く、シールする、凝固する、乾燥させる、高周波療法で治療する、及び/又は組織の恒常性を達成するのに十分なエネルギーを放出することができる任意の外科用器具であり得る。エネルギーツール又はデバイスは、高周波数、無線周波数、超音波、マイクロ波などの形態でエネルギーを印加し得る。情報は、外科医のためにディスプレイにリアルタイムに無線で送信され、かつ/又は人工知能及びデジタル手術への補足データソースとして制御システム又は機械学習アルゴリズムで使用するために様々なプラットフォーム上にストリーミングされ得る。現在、エネルギーツールは、外科医の経験及び手動制御に基づいて使用されている。したがって、エネルギーツールを使用して、組織が最適に把持、切断、シールされたかなどを判定することは困難であり、大部分は外科医の経験に依存する。例えば、組織の加熱が不均一若しくは過剰であるか、又はクランプ力が不均衡又は不十分であると、シーリングがうまくいかない場合がある。これらの側面は、外科医が手動で知覚することが困難であり得る。したがって、本開示は、リアルタイムで処置の特性を定量化/監視し、オペレータに知らせるために、(ツールのエネルギー印加機能に干渉することなく)エネルギーツール上にセンサ及びアクチュエータを位置させることによって、この課題を解決することを提案する。例えば、センサによって検出される特性は、圧縮力、温度、及び/又は組織性質を含み得、次いで、オペレータは、過熱、チャー形成、及び熱拡散が防止され、所望の熱効果(例えば、切断、凝固、乾燥、又は高周波療法)が達成されるように、手術を誘導するのを助けるために使用することができる。
【0004】
代表的には、エネルギーツールを使用するシールの試みは、クランプされた組織の内側の不純物(異物又は堅い構造)、組織への熱損傷、局所熱拡散、及び/又はブレード上の炭化に起因して失敗する場合がある。加えて、いくつかの側面では、エネルギーツールが使用できる主な効果は、切断、凝固、乾燥、及び高周波療法の4つであり得る。エネルギーツールの不適切な使用は、患者の罹患率及び死亡率を増加させ得る。所望の効果を達成することは、特定の温度を必要とし、現在、エネルギー送達(ツールのデューティサイクル)を手動で制御することによって行われている。これは、非常に困難である可能性があり、外科医の技能レベル及びデバイスについての知識に大いに依存する。また、組織を把持するため、組織は器具の把持部の間に隠れてしまい、所望の効果を発生させるようにエネルギーの活性化を制御するために、オペレータには最小の視覚的な手がかりしか残されていない。
【0005】
これらの課題は、(例えば、力センサを介して)クランプ圧分布を監視し、(例えば、温度センサを介して)温度分布を監視し、(例えば、マイクロフォンを介して)組織の水和を監視し、適切な時間においてエネルギーの活性化を停止するために使用できるセンサをエネルギーツール内に一体化することによって、本開示において対処される。加えて、センサは、双極把持ツールのエネルギー印加を妨げず、ジョーの中/周りの流体及び/又は高熱印加の存在下で連続的な正確なデータを提供し、滅菌サイクルに耐えることができるように、エネルギーツール内で一体化され、したがって、データは、いくつかの態様において、無線で(例えば、Bluetoothを介して)送信可能であり得る。いくつかの態様では、データは処理構成要素に送信され得、処理構成要素において、データは分析され、次いで、ユーザに出力されて、処置を通してデータを誘導するのを助ける。いくつかの態様では、情報は、外科用ロボットシステムと関連付けられたディスプレイ上でユーザに提供され得るが、他の態様では、情報は、例えば、ユーザがエネルギー印加を進めるべきか否かをユーザに示すアラートの形態で提供され得る。
【0006】
代表的には、一態様では、本開示は、外科用ロボットシステムのためのエネルギーツールを対象とし、エネルギーツールは、ベースに結合されたジョーであって、開放位置と閉鎖位置との間で第2のアンビルに対して移動する第1のアンビルを有する、ジョーと、ジョーに結合された力センサ、温度センサ、及び音響センサのうちの少なくとも1つと、を含む。いくつかの態様では、力センサは、第1のアンビル又は第2のアンビルに装着された容量センサである。更なる態様では、力センサは、ジョーの遠位端に結合された第1の容量センサであり、エネルギーツールは、ジョーの近位端に結合された第2の容量センサを更に備える。力センサは、ジョーに結合された複数の別個の感知パッドを含み得る。いくつかの態様において、力センサは、ジョーの全クランプ力又はジョーに沿った印加された力の集中点のうちの少なくとも一方を測定するように動作可能であり得る。温度センサは、ジョーに結合されたアナログ温度センサ又はデジタル温度センサを含み得る。いくつかの態様では、温度センサは、ジョーに沿った温度分布を監視するように動作可能であり得る。音響センサは、ジョーに結合された微小電気機械システムマイクロフォンを含み得る。いくつかの態様では、音響センサは、ジョーに結合されたマイクロフォンのアレイを含み得る。音響センサは、エネルギー印加中に組織の水和レベルを監視するように動作可能であり得る。更に別の態様では、ツールは、力センサ、温度センサ、及び音響センサを含み得、力センサ、温度センサ、及び音響センサによって検出された情報は、クランプ圧力分布、温度分布、及び組織水和がエネルギー印加を進めるのに好適であるかどうかを判定するために、エネルギーツールに結合された1つ又は2つ以上のプロセッサによって分析され得る。
【0007】
別の態様では、外科用ロボットエネルギーツールシステムが提供され、外科用ロボットエネルギーツールシステムは、エネルギーツールであって、ベースに結合されたジョーを有し、ジョーは、エネルギーツールによるエネルギー印加中に開放位置と閉鎖位置との間で第2のアンビルに対して移動する第1のアンビルを有する、エネルギーツールと、エネルギー印加中に、力、温度、及び組織相のうちの少なくとも1つを検出するように構成された1つ又は2つ以上のセンサと、エネルギー印加を最適化するための情報を提供するために、力、温度、及び組織相のうちの検出された少なくとも1つを分析するように構成された1つ又は2つ以上のプロセッサと、を含む。1つ又は2つ以上のセンサは、各々が力を検出し、力値を提供する少なくとも2つの力センサを含み得、提供される情報は、(1)ジョーの全クランプ力、又は(2)ジョーに沿ったクランプ力の集中点を含む。いくつかの態様では、ジョーの全クランプ力に基づいて、1つ又は2つ以上のプロセッサは、最適なエネルギー印加を更に判定する。いくつかの態様では、クランプ力の集中点に基づいて、1つ又は2つ以上のプロセッサは、不純物が組織内に存在するかどうかを更に判定する。更に別の態様では、1つ又は2つ以上のセンサは、温度センサを含み得、提供される情報は、ジョーに沿った温度分布を含む。ジョーに沿った温度分布は、(1)力センサにおける熱ドリフトを補正する、(2)ユーザに表示されるジョーに沿った熱分布マップを構築する、(3)ジョーによって把持された組織の状態を判定する、又は(4)エネルギー活性化を調節する、ために使用され得る。更に別の態様では、1つ又は2つ以上のセンサは、マイクロフォンを備え、提供される情報は、ジョーによって把持された組織の水和レベルを含む。いくつかの態様では、組織の水和レベルに基づいて、1つ又は2つ以上のプロセッサは、ジョーによって把持された組織がシールされているかどうかを更に判定する。システムは、提供された情報をユーザに更に表示し得る。
【0008】
上記の概要は、本発明の全ての態様の網羅的なリストを含まない。本発明は、上記に要約された様々な態様の全ての好適な組み合わせから実施することができる全てのシステム及び方法、並びに以下の「発明を実施するための形態」に開示されているもの、特に本出願と共に提出された「特許請求の範囲」において指摘されているものを含むことが企図される。このような組み合わせは、上記の概要に具体的に記載されていない特定の利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】外科用ロボットシステムを備えた手術室の配置の概略図である。
図2】外科用ロボットシステムのエネルギーツールの一態様の斜視側面図である。
図3】外科用ロボットシステムのエネルギーツールの別の態様の側面斜視図である。
図4】外科用ロボットシステムのエネルギーツールの別の態様の側面斜視図である。
図5】外科用ロボットシステムのエネルギーツールの別の態様の分解図である。
図6】外科用ロボットシステムのエネルギーツールの別の態様の端部断面図である。
図7】外科用ロボットシステムのエネルギーツールの別の態様の端部断面図である。
図8】外科用ロボットシステムのエネルギーツールの別の態様の断面側面図である。
図9】外科用ロボットシステムのエネルギーツールの別の態様の断面側面図である。
図10】外科用ロボットシステムのエネルギーツールの別の態様の断面側面図である。
図11】外科用ロボットシステムのエネルギーツールの別の態様の側面斜視図である。
図12】外科用ロボットシステムのエネルギーツールのセンサの別の態様の断面側面図である。
図13】外科用ロボットシステムのエネルギーツールのための処理動作のブロック図である。
図14】外科用ロボットシステムのエネルギーツールの別の態様の断面側面図である。
図15】本開示の態様による、エネルギーツールを含む外科用ロボットシステムのコンピュータ部分のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
様々な実施形態では、説明は、図を参照してなされる。しかしながら、特定の実施形態は、これらの具体的な詳細のうちの1つ又は2つ以上を伴うことなく、又は他の既知の方法及び構成と組み合わせて実践され得る。以下の説明では、実施形態の完全な理解を提供するために、特定の構成、寸法、及びプロセスなどの、多数の具体的な詳細が記載される。他の場合では、説明を不必要に不明瞭にしないために、周知のプロセス及び製造技術は、特に詳細に説明されていない。本明細書の全体を通して、「一実施形態(one embodiment)」、「一実施形態(an embodiment)」などの参照は、説明される特定の特徴、構造、構成、又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通した様々な場所での「一実施形態(one embodiment)」、「一実施形態(an embodiment)」などの句の出現は、必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、構成、又は特性は、1つ又は2つ以上の実施形態において任意の好適な様式で組み合わせられ得る。
【0011】
加えて、本明細書で使用される専門用語は、特定の態様を説明することのみを目的とするものであり、本発明の限定を意図するものではない。「下」、「下方」、「下部」、「上方」、「上部」などの空間的に相対的な用語は、図面に例示される、一方の要素又は特徴の、他方の要素又は特徴に対する関係の説明を容易にするために本明細書で使用され得る。これらの空間的に相対的な用語は、図面に示された配向に加えて、使用中又は動作中のデバイスの異なる配向を包含することを意図するものであることが理解されるであろう。例えば、図面のデバイスを逆さまにした場合、他の要素又は特徴の「下方」又は「下」と記載された要素は、他の要素又は特徴の「上方」に配向されることになる。したがって、「下方」という例示的な用語は、上方及び下方の配向の両方を包含し得る。デバイスは、別様に配向され得(例えば、90度又は他の配向に回転され得)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述語は、それに応じて解釈される。
【0012】
本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別途指示しない限り、複数形も含むことを意図する。「備える(comprises)」及び/又は「備える(comprising)」という用語は、記載された特徴、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を明示するものであるが、1つ又は2つ以上の他の特徴、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではないことが更に理解されるであろう。
【0013】
本明細書で使用される場合、「又は」及び「及び/又は」という用語は、包括的であるか、あるいは任意の1つ又は任意の組み合わせを意味するものと解釈されるべきである。したがって、「A、B、又はC」あるいは「A、B、及び/又はC」は、「A、B、C、A及びB、A及びC、B及びC、A、B及びC」、のうちのいずれかを意味する。この定義の例外は、要素、機能、ステップ、又は作用の組み合わせが、何らかの方式で本質的に互いに排他的である場合にのみ生じることになる。
【0014】
更に、説明の全体を通じて相対的な用語の使用は、相対的な位置又は方向を表し得る。例えば、「遠位」は、基準点から離れた、例えば、ユーザから離れた、第1の方向を示し得る。同様に、「近位」は、第1の方向とは反対の、例えば、ユーザに向かう、第2の方向の場所を示し得る。しかしながら、かかる用語は、関連する基準系を確立するために提供され、任意の特定の外科用ロボット構成要素の使用又は配向を、下の様々な実施形態に記載された特定の構成に限定することを意図するものではない。
【0015】
図1を参照すると、本図は、手術室の例示的な外科用ロボットシステム100の絵図である。外科用ロボットシステム100は、ユーザコンソール102と、制御タワー103と、外科用ロボットプラットフォーム105、例えば、手術テーブル、ベッドなどにある、ロボットアーム104を含む1つ又は2つ以上の外科用ロボット120と、を含む。システム100は、患者106に手術を実施ために使用される任意の数のデバイス、ツール、又はアクセサリを組み込むことができる。例えば、システム100は、手術を実施するために使用される1つ又は2つ以上の外科用ツール107を含み得る。外科用ツール107は、外科用アーム104の遠位端に取り付けられる、外科処置を実行するためのエンドエフェクタであり得る。
【0016】
各外科用ツール107は、手術中に、手動で、ロボットで、又はその両方で操作されてもよい。例えば、外科用ツール107は、患者106の内部解剖学的構造に入る、それを見る、又は操作するために使用されるツールであってもよい。一実施形態では、外科用ツール107は、患者の組織を把持することができる把持器具、及び/又は把持された組織を切断する、凝固する、乾燥させる、及び/又高周波療法で治療するためにエネルギーを放出することができるエネルギーツールであり得る。外科用ツール107は、ベッドの傍らの操作者108によって手動で制御され得るか、又は外科用ツールが取り付けられている外科用ロボットアーム104の作動運動を介して、ロボット的に制御され得る。ロボットアーム104は、テーブルに装着されたシステムとして示されているが、他の構成では、アーム104は、カート、天井、若しくは側壁に、又は別の好適な構造的支持体に装着され得る。
【0017】
概して、外科医又は他の操作者などの遠隔操作者109は、ユーザコンソール102を使用して、遠隔で、例えば、テレオペレーションで、アーム104及び/又は取り付けられた外科用ツール107を操作し得る。テレオペレーションは、ユーザの行動に基づいて係合又は係脱され得る。テレオペレーションモードに「係合する」ことは、例えば、外科用器具を制御することが防止されているUID又はフットペダルが、現在外科用器具を制御することができるモード(例えば、テレオペレーションモード)に移行される動作を指すことを意図するものと理解されるべきである。その一方で、テレオペレーションモードを係脱することは、システムがテレオペレーションモードにあるときに起こり、次いで、UID又はフットペダルがもはや外科用器具を制御することができないモード(非テレオペレーションモード)に移行する動作を指すことを意図している。例えば、テレオペレーションモードは、システムが、検出された動きがユーザによる予想外の行動若しくは動きである、又はテレオペレーションモードがもはや係合されるべきでないことを示唆する任意の他の行動にユーザが係合する、と判定したときに係脱され得る。
【0018】
図1に示されるように、ユーザコンソール102は、システム100の残りの部分と同じ手術室に位置し得る。しかしながら、その他の環境では、ユーザコンソール102は、隣接する部屋若しくは近くの部屋に位置してもよいし、又は遠隔地、例えば、異なる建物、都市、若しくは国にあってもよい。ユーザコンソール102は、シート110と、1つ又は2つ以上のユーザインターフェースデバイス、例えば、足踏み式制御113又は手持ち式ユーザ入力デバイス(user input device、UID)114と、例えば、患者106の内部の手術部位の視野を表示するように構成されている、少なくとも1つのユーザディスプレイ115と、を備え得る。例示的なユーザコンソール102では、遠隔操作者109は、アーム104及び(アーム104の遠位端に装着されている)外科用ツール107を遠隔制御するために、足踏み式制御113及び手持ち式UID114を操作しながら、シート110に着座してユーザディスプレイ115を見ている。
【0019】
いくつかの変形例では、ベッドの傍にいる操作者108はまた、「ベッド対面」モードでシステム100を動作させ得、このモードでは、ベッドの傍にいる操作者108(ユーザ)は、ここでは患者106の傍に存在して、ロボット駆動型ツール(アーム104に取り付けられたエンドエフェクタ)を、例えば、手持ち式UID114を片手に保持した状態で、手動式腹腔鏡ツールと同時に操作している。例えば、ベッドの傍にいる操作者の左手は、手持ち式UIDを操作して、ロボット構成要素を制御していてもよく、一方、ベッドの傍にいる操作者の右手は、手動式腹腔鏡ツールを操作していてもよい。したがって、これらの変形例では、ベッドの傍にいる操作者108は、患者106に対してロボット支援型低侵襲手術及び手動腹腔鏡手術の両方を実施してもよい。
【0020】
例示的な処置(手術)の間、患者106は、麻酔を達成するために、滅菌されて準備され覆われている。手術部位への初期アクセスは、(手術部位へのアクセスを容易にするために)ロボットシステム100のアームが収容構成にあるか、又は引き込み構成である間に、手動で実施され得る。外科用器具の患者106への導入を可能にするためのポートを作成するために、トロカールアセンブリが、患者(例えば、腹壁において)の切開部又は進入点を通して、患者に少なくとも部分的に挿入され得る。トロカールアセンブリは、カニューレ若しくはトロカール、閉塞具、及び/又はシールを含み得る。いくつかの変形例では、トロカールアセンブリは、患者の皮膚を貫通するための鋭利な先端部を有する針などの閉塞具を含み得る。閉塞具は、患者106内に挿入されたときにカニューレの管腔内に配設され得、次いで、外科用器具がカニューレの管腔を通して挿入され得るように、カニューレから取り外され得る。本明細書で更に説明されるように、患者106の体内に位置決めされると、カニューレは、例えば、1つ又は2つ以上の外科用器具又はツール(例えば、エネルギーツール)を患者106の体腔に挿入することができるように、患者106内の体腔又は他の部位にアクセスするためのチャネルを提供し得る。本明細書に記載されるカニューレは、トロカールの一部であり得、任意選択的に、閉塞具又は他の構成要素を含むことができることが理解されるであろう。
【0021】
アクセスが完了すると、アーム104を含むロボットシステム100の初期の位置決め又は準備が実施され得る。次に、手術は、ユーザコンソール102の遠隔操作者109が、手術を実施するために、様々なエンドエフェクタ、及び場合によっては、撮像システムを操作するために、足踏み式制御113及びUID114を利用することによって進む。手動による支援はまた、滅菌ガウンを着用したベッドの傍にいる要員、例えば、ベッドの傍にいる操作者108によって、処置ベッド又はテーブルにおいて提供され得、操作者は、組織を後退させる、手動の再位置決めを実施する、及びロボットアーム104のうちの1つ又は2つ以上のツールを交換する、などのタスクを実施し得る。また、ユーザコンソール102の遠隔操作者109を支援するために、非滅菌要員が存在し得る。処置又は手術が完了すると、システム100及びユーザコンソール102は、洗浄又は滅菌及びユーザコンソール102を介した医療記録の入力又は印刷などの術後処置を容易にするための状態に構成又は設定され得る。
【0022】
一実施形態では、遠隔操作者109は、UID114を保持し、動かして、ロボットシステム100のロボットアームアクチュエータ117を動かすための入力コマンドを提供する。UID114は、例えば、コンソールコンピュータシステム116を介して、ロボットシステム100の残りの部分に通信可能に結合され得る。代表的には、いくつかの実施形態では、UID114は、外科用ロボットシステムの別の構成要素に対して接地されてないポータブル手持ち式ユーザ入力デバイス又はコントローラであり得る。例えば、UID114は、ユーザコンソールとつながれている、又はつながれていない、のいずれかである間に、接地されなくてもよい。「接地されない」という用語は、例えば、両方のUIDがユーザコンソールに対して機械的にも運動的にも拘束されていない実装形態を指すことを意図するものである。例えば、ユーザは、手にUID114を保持して、例えば、ユーザコンソールの追跡機構によってのみ制限された空間内で、任意の可能な位置及び配向に自由に動き得る。UID114は、UID114の動き、例えば、UIDの手持ち式ハウジングの位置及び配向に対応する空間状態信号を生成することができ、空間状態信号は、ロボットアームアクチュエータ117の運動を制御するための入力信号であってもよい。ロボットシステム100は、空間状態信号から導出された制御信号を使用して、アクチュエータ117の比例的運動を制御し得る。一実施形態では、コンソールコンピュータシステム116のコンソールプロセッサは、空間状態信号を受信し、対応する制御信号を生成する。アクチュエータ117に通電して、アーム104のセグメント又はリンクを動かす方法を制御するこれらの制御信号に基づいて、アームに取り付けられている対応する外科用ツールの動きが、UID114の動きを模倣し得る。同様に、遠隔操作者109とUID114との間の相互作用により、例えば、外科用ツール107の把持器具のジョーを閉鎖させて患者106の組織を掴む、掴み制御信号を生成することができる。
【0023】
外科用ロボットシステム100は、いくつかのUID114を含み得、そこでは、それぞれのアーム104のアクチュエータ及び外科用ツール(エンドエフェクタ)を制御するUIDごとに、それぞれの制御信号が生成される。例えば、遠隔操作者109は、第1のUID114を動かして、左のロボットアームにあるアクチュエータ117の運動を制御し得、アクチュエータは、そのアーム104内のリンケージ、歯車などを動かすことによって応答する。同様に、遠隔操作者109によって第2のUID114の動きは、別のアクチュエータ117の運動を制御し、その運動は、ロボットシステム100の他のリンケージ、歯車、などを動かす。ロボットシステム100は、ベッド又はテーブルに固定された患者の右側の右アーム104と、患者の左側の左アーム104と、を含み得る。アクチュエータ117は、1つ又は2つ以上のモータを含み得、モータは、アーム104のジョイントの回転を駆動して、例えば、患者に対する、そのアームに取り付けられている外科用ツール107の内視鏡又は把持器具の配向を変化させるように制御される。同じアーム104内のいくつかのアクチュエータ117の運動は、特定のUID114から生成された空間状態信号によって制御することができる。UID114はまた、それぞれの外科用ツール把持器具の運動を制御することができる。例えば、各UID114は、患者106内の組織を掴むために外科用ツール107の遠位端にある把持器具のジョーを開放又は閉鎖するアクチュエータ、例えば、線形アクチュエータの運動を制御するための、それぞれの掴み信号を生成することができる。いくつかの態様では、外科用ツール把持器具は、外科用ステープラ又はエネルギーツールであり得、UID114は、外科用ステープラ又はエネルギーツールのジョーの開閉、並びに組織を通したステープルの解放及び/又はエネルギー印加を制御するために使用される。ユーザがUID114で外科用ツールを制御し終ったとき、ユーザは、コンソール102に位置するドッキングステーション又はUIDホルダによって、UID114をドッキング(すなわち、格納)し得る。
【0024】
いくつかの態様では、プラットフォーム105とユーザコンソール102との間の通信は、制御タワー103を通し得、制御タワーは、ユーザコンソール102から(特にコンソールコンピュータシステム116から)受信されるユーザコマンドを、ロボットプラットフォーム105上のアーム104に送信されるロボット制御コマンドに変換し得る。制御タワー103はまた、状態及びプラットフォーム105からのフィードバックをユーザコンソール102へ返信し得る。ロボットプラットフォーム105と、ユーザコンソール102と、制御タワー103との間の通信接続は、様々なデータ通信プロトコルのうちの任意の好適なものを使用して、有線及び/又は無線リンクを介し得る。任意の有線接続が、手術室の床及び/又は壁若しくは天井に任意選択的に内蔵され得る。ロボットシステム100は、手術室内のディスプレイ、並びにインターネット又は他のネットワークを介してアクセス可能である遠隔ディスプレイを含む、1つ又は2つ以上のディスプレイへのビデオ出力を提供し得る。ビデオ出力又はフィードはまた、プライバシーを確保するために暗号化され得、ビデオ出力の全て又は一部は、サーバ又は電子医療記録システムに保存され得る。図1の手術室シーンは、例示的なものであり、特定の医療行為を正確に表し得ないことが理解されるであろう。
【0025】
ここで図2を参照すると、図2は、1つの例示的な外科用ツール又は器具、この場合、外科用ロボットシステムのためのエネルギーツール200の斜視図を例解する。エネルギーツール200は、外科処置に患者の外側でユーザによって保持される近位端200Aと、外科処置中に患者内に挿入される遠位端200Bと、を含み得る。ツール200は、ハンドル部分202と、シャフト部分204と、シャフト部分204に結合されたジョー206と、を含み得る。ハンドル部分202は、患者内でジョー206を操作し、エネルギー印加を制御するのに好適な様々な機構を含み得る。シャフト部分204は、ハンドル部分202をジョー206に接続する細長い部分であり得る。シャフト部分204は、ジョー206及びエネルギーの印加を制御するために、ハンドル部分202からジョー206まで延びる回路又は他の構成要素を封入し得る。シャフト部分204は、患者内にジョー206を挿入し、位置決めするために使用され得る。
【0026】
ジョー206の分解図から分かるように、ジョー206は、第1のアンビル208及び第2のアンビル210を含む。第1のアンビル208は、シャフト部分204に結合された近位端208Aと、近位端208Aの遠位にある自由端である遠位端208Bと、を有し得る。第1のアンビル208は、第1のアンビル208が(図示されるような)開放位置と閉鎖位置との間で第2のアンビル210に対して移動するように、近位端208A付近の枢動点(例えば、枢動継手)においてシャフト部分204に移動可能に結合され得る。同様に、第2のアンビル210は、シャフト部分204に結合された近位端210Aと、近位端210Aの遠位にある自由端である遠位端210Bと、を有し得る。いくつかの態様では、第2のアンビル210は、近位端210Aにおいてシャフト部分204に固定的に結合され得、それにより、ツール200の比較的剛性の固定部分となる。第1のアンビル208及び第2のアンビル210の一方又は両方は、第2のアンビル210と第1のアンビル208との間にクランプ又は把持された組織にエネルギーを放出又は印加するエネルギー放出構成要素を含み得る。代表的には、外科処置中、外科医は、所望の手術部位に達するまで、ジョー206を患者内に挿入する。次いで、外科医は、ジョー206を開放位置と閉鎖位置との間で操作して、所望の手術部位において組織をクランプする。次いで、ハンドル部分202におけるアクチュエータ(例えば、トリガ)が、外科医によって使用されて、エネルギーをツール200からクランプされた組織内に放出する。
【0027】
これまで考察したように、ツール200は、その中に一体化されたセンサ214の1つ又は2つ以上を更に含む。1つ又は2つ以上のセンサ214が、第1のアンビル208及び/又は第2のアンビル210に装着され得る。任意の数のセンサ214が、ツール200に沿った任意の数の位置において使用され得ることが企図される。代表的には、1つ又は2つ以上のセンサ214は、単一のセンサを含み得るか、又は第1のアンビル208及び/又は第2のアンビル210に沿った異なる位置においてセンサのアレイを含み得る。いくつかの態様では、1つ又は2つ以上のセンサ214は、力又は圧力センサ、温度センサ、及び/又は音響センサのうちの1つ又は2つ以上を含み得る。例えば、力センサは、容量センサ、若しくは1つ又は2つ以上の歪みゲージセンサであり得る。しかしながら、所望の力及び/又は圧力情報を得るのに好適な他のタイプのセンサも企図される。温度センサは、ツール200の動作温度に適合する好適なアナログ又はデジタルセンサであり得る。音響センサは、トランスデューサ、例えば、マイクロフォン、マイクロ電気機械システム(micro-electromechanical system、MEMS)マイクロフォンなどのような音響-電気トランスデューサであり得る。
【0028】
センサ214から得られる情報は、ツール200に関連付けられた1つ又は2つ以上のプロセッサによって分析され、エネルギーツール200のエネルギー印加を最適化するために使用され得る。この情報は、ひいては、(例えば、ディスプレイ115上に)表示され得るか、又は別様に(例えば、無線で)外科医に通信若しくは提供され得る。外科医は、この情報を使用して、例えば、組織圧縮力、温度、及び組織性質をリアルタイムで定量化/監視し、オペレータに知らせ、過熱、チャー形成、及び熱拡散が防止され、所望の熱効果(例えば、切断、凝固、乾燥、又は高周波療法)が達成されるように、手術を誘導するのを助け得る。
【0029】
次に、いくつかの代表的なエネルギーツール及びセンサ構成について、図3図12を参照してより詳細に考察する。代表的に、図3図4、及び図5は、中に一体化されたセンサを有するエネルギーツールジョーの斜視図を例解する。ここで図3を参照すると、図3は、第1のアンビル208及び第2のアンビル210を含むジョー206の側面斜視図を例解する。この図から、1つ又は2つ以上のセンサ214が、第2のアンビル210内に一体化されていることが分かる。いくつかの態様において、1つ又は2つ以上のセンサ214は、異なる測定値(例えば、圧力、力、温度、又は音に対応する)がジョー206に沿って取得することができるように、第2のアンビル210の実質的な部分に沿って延在し得る。
【0030】
ここでセンサ構成をより詳細に参照すると、図4は、ジョー206内に埋め込まれた1つ又は2つ以上のセンサ214を例解する。代表的には、ジョー206は、ジョー本体402と、ジョー本体上に形成された絶縁層404と、絶縁層404上に形成されたエネルギー層406と、を含み得る。ジョー本体402は、金属によって形成され得、ジョー206を形成する第2のアンビル210であり得るか、又はその一部であり得る。絶縁層404は、エネルギーツールでの使用に好適な任意のタイプの電気絶縁層であり得る。エネルギー層406は、ジョー206内に位置決めされた組織にエネルギーを放出又は印加するために好適な任意のタイプのエネルギー層であり得る。この図から更に分かるように、一態様では、1つ又は2つ以上のセンサ214は、ジョー本体402と絶縁層404との間に位置決めされるか、又は埋め込まれる。例えば、この態様では、1つ又は2つ以上のセンサ214は、ジョー206の絶縁層404の下に位置決めされた容量センサパッドを含み得るが、これに限定されない。一態様では、容量センサパッドは、第2のアンビル210の内側に薄いパッド層を形成し得、(1)全クランプ力、及び(2)把持具に沿った印加された力の集中点を測定するために使用され得る。いくつかの態様では、下から金属ジョー本体402によって接続され、上からジョー絶縁層404の絶縁境界によって接続される少なくとも1対の容量性パッドが使用され得る。したがって、容量性感知パッドは、エネルギー層406のエネルギー印加中に流れる電流から分離されて、センサ読み出しへの干渉を最小限に抑える。いくつかの態様では、圧力分布マップを得るために、いくつかの容量性パッドをアレイ状に配置し、第2のアンビル402の表面積全体を覆うことができる。いくつかの態様では、全把持力を測定し、ジョー206に沿った全体的な力集中点を計算するために、図8及び図9を参照してより詳細に説明するように、近位端210Aに1つ、遠位端210Bに1つの、少なくとも2つの容量センサパッドを使用し得る。
【0031】
ここで図5図6、及び図7を参照すると、図5は、1つの代表的なセンサの分解斜視図を例解し、図6及び図7は、エネルギーツール内に一体化されたセンサの断面端面図を例解する。より具体的には、図5は、ジョー206の第2のアンビル210内に一体化された力センサ514を例解する。ここで、第2のアンビル210内に埋め込まれた力センサ514をより詳細に参照すると、力センサ514は、多層構造であり得る。多層構造は、絶縁層514Aと、上部金属シート514Bと、フレックス回路514Cと、誘電エラストマ514Dを含む容量性パッドと、からなり得る。絶縁層514Aは、これまで考察したように、ジョー206の絶縁層406であり得る。上部金属シート514Aは、絶縁層514Bに結合され得、力が印加されたときにセンサの変形電極として機能する。容量性パッド及び電気機械応答性誘電エラストマ514Dを含むフレックス回路514Cは、検知媒体として機能する。センサ上部金属シート514Bの分解図から分かるように、上部金属シート514Bは、金属シート514B-1及び514B-2を含む細長い二股構造であり得る。分解図から更に分かるように、フレックス回路514Cは、別個の容量性パッド及びそれに結合された誘電エラストマ514D構造を有する同様に成形された二股構造である。誘電エラストマは、金属ジョー本体402に結合され、次いで、容量センサ514の固定電極として機能する。絶縁体514A(例えば、ジョー206の絶縁体404)に接触するフレックス回路514Cの上側は、センサの変形電極514Bの金属シート514B-1及び514B-2と、容量レベルを能動的に監視するためのチップ516と、を含む。アセンブリは、ツールシャフト(例えば、ツールシャフト204)に沿って延びるワイヤを通して、ツールハンドル(例えば、ツールハンドル202)上に位置する無線データ送信(Bluetooth)モジュールに電力供給し、データを送信するために、3ボルト電源及びI2Cバスを更に含み得る。
【0032】
図6及び図7は、動作中の、図5を参照して説明した力センサ514の断面端面図を例解する。代表的に、図6は、ツール作動前のジョー206の第1のアンビル208と第2のアンビル210との間に位置決めされた組織520を示す。加えて、この図から更に分かるように、いくつかの態様では、第2のアンビル210は、中央切断ブレード(図示せず)を収容するように寸法決めされ得る間隙530を含み得る。図6は、組織520の周りで比較的開いた位置にあるジョー206を示す。換言すれば、組織520は、アンビル208とアンビル210との間に位置決めされているが、アンビル208、210は、組織を検出可能な程度まで圧縮していない。この開放構成では、センサ514の容量性パッド及び電気機械応答性誘電エラストマ514Dは、静止又は非変形構成で示されている。この構成では、容量性パッド及び電気機械応答性誘電エラストマ514Dは、第1の容量(C-1)を有するとみなし得る。図7は、ツール作動中に第1のアンビル208と第2のアンビル210との間で圧縮されている組織520を示す。この図から、ツール作動中に、第1及び第2のアンビル208、210の一方又は両方が、矢印706、708によって例解されるように互いに向かって移動して、組織520を圧縮し、エネルギーが印加され得ることが分かる。組織圧縮力は、矢印704によって例解される。加えて、電流702は、組織520を通って流れるように示されている。組織圧縮力は、矢印704によって例解される。組織圧縮は更に、センサ514の容量性パッド及び電気機械応答性誘電エラストマ514Dを図示のように変形させる(例えば、圧縮させる)。金属シート/変形電極514Bとジョー本体402(例えば、固定電極)との間の間隙のこの減少は、容量又は第2の容量(C-2)の上昇として検出され得る。これまで考察したチップ516は、容量レベル及び/又は容量レベルの変化を能動的に監視し得、検出された情報は、例えば、全クランプ力及び/又はジョーに沿った印加された力の集中点を判定するために、ツールハンドル上に位置する無線データ送信(Bluetooth)モジュールに送信され、分析され得る。この情報は、ひいては、ツールの動作を誘導するのに役立つように、ユーザに表示されるか、又は別様に通信され得る(例えば、アラート)。
【0033】
いくつかの態様では、感知アルゴリズムは、力センサ514によって得られた力又は圧力情報を分析するために、エネルギーツール200に関連付けられた1つ又は2つ以上のプロセッサによって使用され得る。ここで、使用され得る代表的な感知アルゴリズムが、図8及び図9並びに以下の式を参照して詳細に説明される。代表的には、各センサの場所における力を識別した後、それらの合計が、組織に対する全圧縮力となり、力の集中点は、以下の式(1)及び(2)を使用して計算することができる。
【0034】
【数1】
【0035】
代表的には、力F1及びF2の合計は、以下の式(1)によって示されるように、全組織クランプ力(Ftissue)を提供する。
【0036】
【数2】
【0037】
力の印加の中心は、以下の式(2)によって示されるように判定され得る。
【0038】
【数3】
【0039】
代表的には、図8及び図9によって示されるように、これらは、中に一体化されたセンサを有するエネルギーツールの断面側面図を例解する。エネルギーツールジョー206は、図2を参照してこれまで考察したものと同じジョーであり得、第1のアンビル208及び第2のアンビル210を含み得る。この図から、第1のアンビル208が、開放位置(図示)と閉鎖位置との間で枢動継手812を中心として第2のアンビル210に対して回転する(又は別様に移動する)ことが分かる。第2のアンビル210は、本体部分802と、絶縁層804と、エネルギー層806と、を含み得る。本体部分802、絶縁層804、及びエネルギー層806は、図2を参照してこれまで考察した本体部分402、絶縁層204、及びエネルギー層406と実質的に同じであり得る。組織520は、第1のアンビル208と第2のアンビル210との間のジョー206内に位置決めされて更に示される。したがって、ジョー206からのエネルギーの印加は、組織に対する所望の熱効果(例えば、切断、凝固、乾燥、高周波療法など)をもたらすように、ジョー206内に保持された組織520を通って進む。
【0040】
この図から、少なくとも2つの力センサ514-1及び514-2が、第2のアンビル210内に一体化されていることが更に分かる。センサ514-1、514-2は、例えば、ジョー206が組織520をクランプするときに第2のアンビル210にかかる力又は圧力を検出する力センサであり得る。代表的には、センサ514-1、514-2は容量力センサであり得る。センサ514-1、514-2は、これまで考察したように、第2のアンビル210の本体部分802が、センサの固定電極を構成するように、絶縁層804と本体部分802との間に装着され得る。センサ514-1、514-2は、図5図7を参照してこれまで考察したように、多層構造からなり得る。第1のアンビル208が、第2のアンビル210に対して開放位置(図8)から閉鎖位置(図9)に移動されたとき、その中で圧縮された組織520からの圧力が、センサ514-1、514-2によって検出され、この情報に基づいて、対応する組織力(Ftissue)が判定され得る。
【0041】
例えば、センサ514-1、514-2は、異なる既知の位置又は場所において第2のアンビル210内に一体化され得、それにより、異なる圧力及び/又は力の読み取り値が検出され、エネルギー印加動作に関連付けられた情報及び/又は特性を判定するために使用される可能性があり、その結果、エネルギー印加動作を最適化することができる。例えば、センサは、クランプ力、その印加の中心、ジョーに沿ったクランプ力プロファイル/変動、及び/又はクランプされた組織層の剛性を判定するために使用することができる情報を測定又は検出し得る。この特性又は情報は、ひいては、外科医に表示され、状態がエネルギー印加を進めるのに好適であるかどうか、及び/又は所望の結果を達成するためにエネルギー印加をどのように最適化するかを判定するために使用され得る。更に別の態様では、エネルギー動作は、検出された情報に応じて自動的に防止され得る。代表的に、センサ514-1は、第2のアンビル210の近位端210Aの近くの既知の位置又は場所に装着され得る。センサ514-2は、第2のアンビル210の遠位端210B付近の既知の位置又は場所に装着され得る。この態様では、第2のアンビル210に沿った2つの異なる既知の場所における圧力又は力の読み取り値が検出される。次に、センサ514-1、514-2からの2つの力読み取り値を分析して、ジョーの全把持力及び/又は力印加の中心場所を判定し得る。この情報は、ひいては、外科医がステープラ200で把持している組織を識別するのを助け、エネルギー印加を誘導するのを助けるために、外科医によって使用され得る。
【0042】
例えば、ここで図9を参照すると、センサ514-1から判定された力値(F1)及びセンサ514-2から判定された力値(F2)は、式(1)によって示されるように、全クランプ力(Ftissue)を得るために一緒に加算される。加えて、近位端におけるセンサ514-1(例えば、ベース容量センサ)の場所(L1)は既知であり、遠位端におけるセンサ514-2(例えば、先端容量センサ)の場所(L2)も既知である。同じ回転点(アンビルとベースとの間のヒンジ)におけるモーメントが使用され、センサジオメトリが既知である場合、力の印加の中心(Xtissue)は、これまで考察した式(2)を使用して判定することができる。この情報は、外科医に表示され得、外科医は、この情報を使用して、所望の結果(例えば、組織シーリング)を達成するために、エネルギー印加を進めるべきか、進め続けるべきか、かつ/又はエネルギー印加をどのように最適化するかを判定し得る。例えば、外科医は、この情報に基づいて、組織520が中心に置かれていないこと、例えば、組織520が近位端よりも遠位端に近いこと、及び、この位置において、エネルギーの印加が、組織520に所望の熱効果をもたらすか否かを判定し得る。
【0043】
加えて、エネルギー印加サイクル中に、ジョー206の温度が著しく上昇することを理解されたい。これは、各力センサ514からの容量測定値のドリフトにつながる可能性がある。これを回避するために、各容量センサのドリフトを隣接する温度センサの測定値に対してモデル化し得るか、又は適切な保護シールドを有する隣接する容量性パッドを追加して、把持力の影響を受けずに温度の影響のみを捕捉することができる。次いで、隣接する容量性パッドの検出されたドリフトは、実際の力感知容量性パッドの熱補正のために使用することができる。温度補正の後、各センサの容量変化は、較正定数を掛けることによって力値に変換することができる。較正定数は、各センサ上に既知の負荷を印加し、各センサ上で結果として生じる容量変化を測定/モデル化することによって、実験的較正を通して判定することができる。各センサの場所における力を識別した後、それらの合計は、これまで考察したように、組織に対する全圧縮力(Ftissue)を与える。加えて、トルク平衡方程式(例えば、式2)を使用して、力の集中点(Xtissue)は、これまで考察したように計算することができる。
【0044】
ここで図10を参照すると、図10は、エネルギーツール内に一体化された力センサ、温度センサ、及び音響センサの各々を含むセンサの断面側面図を例解する。代表的には、この図から、エネルギーツール(例えば、エネルギーツール200)は、これまで考察したような力センサ514、並びにジョー206内に一体化された温度センサ1014及び音響センサ1016のうちの少なくとも1つ又は2つ以上を含み得ることが分かる。温度センサ1014及び/又は音響センサ1016は、ジョー206の第1のアンビル208及び/又は第2のアンビル210内に一体化され得る。代表的に、一態様では、温度センサ1014及び/又は音響センサ1016は、第2のアンビル210の絶縁層804内に埋め込まれ得る。他の態様では、温度センサ1014及び/又は音響センサ1016は、第1のアンビル208に装着され得ることが企図される。
【0045】
ここで温度センサ1014をより詳細に参照すると、温度センサ1014は、ジョー206に沿った温度分布を監視し得る。一態様では、温度センサ1014は、エネルギーツールの動作温度に適合する標準的なアナログ又はデジタル温度センサであり得る。図10に例解されるように、温度センサ1014は、ジョー206の第2のアンビル210の絶縁層804の内側に埋め込むことができる。図11に例解されるように、他の態様では、温度センサ1014は、第1のアンビル208の内側に装着された独立したフレックス回路1102に結合することができる。温度センサ1014のうちの1つ又は2つ以上は、フレックス回路1102に結合され得る。センサの読み取り値は、他のセンサのうちの任意の1つ又は2つ以上との共有線である可能性がある、共通2線I2Cバスを介して送信することができ、次いで、情報は、エネルギーツール最適化のために使用され得る。
【0046】
代表的には、背景として、エネルギーツールを使用する加熱による組織壊死及び止血は、特定の温度パターンに従う。組織の変性のプロセスは、摂氏(C)60度のあたりで高分子が不可逆的に凝集し、コラーゲンのらせんが解けることから始まる。タンパク質変性は、摂氏70度~摂氏80度で起こり、凝固をもたらす。更に摂氏90度まで加熱すると、脱水又は乾燥がもたらされる。摂氏100度を超えると、細胞間の水が沸騰し、最終的に細胞を蒸発させて、組織切断が許容される。最後に、摂氏200度を超えると、組織の高周波療法又は炭化が起こる。したがって、1つ又は2つ以上の温度センサ1014によって提供される連続局所温度データは、これまで考察したように、力センサにおける熱ドリフトを排除/補正するためだけでなく、ジョーに沿った熱分布マップを構築し、術中フィードバックとして情報をオペレータに表示し、かつ/又は把持された組織の局所状態を予測し、異なる相(60℃での変性、70~80℃での凝固、90℃での乾燥、100℃以上での切断、及び200℃を超える高周波療法)の進行を追跡するためにも使用され得る。加えて、温度センサ1014からの情報は、温度を制御し、組織への熱損傷を防止し、所望の効果(切断、凝固、乾燥、又は高周波療法)が生成されることを確実にするように、警告を生成するか、又はエネルギー活性化を調節する(デューティサイクルを調節する)ために使用することができる。エネルギーツール内の温度センサ1014の一体化により、ジョーの直接温度測定が提供され、これは、不正確になりやすく、したがって、例えば、組織(タイプ及び厚さ)の変動に起因して制限され得る、間接測定よりも正確であることを更に理解されたい。更に、熱分布マップは、エネルギーツールを誘導するために使用することができる単一の温度値のみとは対照的に、ジョー表面全体にわたる正確な温度勾配マップを提供する。
【0047】
ここで音響センサ1016を参照すると、音響センサは、組織の水和レベル、ひいては、エネルギー印加中の組織相を監視するために使用され得る。組織が、温度レベルの増加に伴って異なるモードを通って進むにつれて、組織の水和レベルは急速な蒸発により減少する。水が組織を通ってはじける音は、シズル音を作り、この音は、ツールの組織把持インターフェース内に埋め込まれた(例えば、第2のアンビル210の絶縁層804内及び/又はその上に埋め込まれた)音響センサ1016によって検出され得る。いくつかの態様では、音響センサ1016は、微小電気機械システム(MEMS)マイクロフォン、又はジョー206内での一体化に好適な他の同様のサイズのマイクロフォンであり得る。代表的には、いくつかの態様では、音響センサ1016は、約700平方ミクロンのサイズを有するMEMSマイクロフォン、又は約3.5ミリメートル×2.7ミリメートルのサイズを有するマイクロフォンであり得る。音響センサ1016は更に、ツールの組織把持表面及び液体(例えば、音響ポート上の弾性カバー)の高温から適切に保護をされるべきである。加えて、いくつかの態様では、音響センサ1016は、これまで考察したように、ジョー206に結合されたマイクロフォンのアレイを含み得、それは、ジョーの界面全体を通して組織状態を監視するために使用することができる。マイクロフォンは、例えば、急速な蒸発プロセスがいつ終了したかを検出し、組織を焼く次の段階に移行することなく、乾燥が望ましい効果であるときに、エネルギー印加を中止する適切な時期を知らせることができる。
【0048】
1つの代表的な音響センサ1016を、図12に例解する。特に、図12から分かるように、一態様では、音響センサ1016は、例えばシール1210によって結合されたMEMSトランスデューサ1204(例えば、MEMSマイクロフォン)を有するプリント回路基板(printed circuit board、PCB)1202を含み得る。特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)1206は、ワイヤ1208によってPCB1202及びMEMSトランスデューサ1204に更に結合され得る。センサ構成要素の各々は、音がMEMSトランスデューサ1204に通過することを許容するサウンドポート1216を有するエンクロージャ1214内に更に入れられる場合がある。加えて、いくつかの態様では、ASIC1206を高温及び/又は液体から保護するために、グロブトップモールディング1212をASIC1206の上に提供し得る。図12に例解されるセンサアセンブリのうちの1つ又は2つ以上は、これまで考察したように、ジョー206の第1のアンビル208又は第2のアンビル210内に埋め込まれ得る。1つの代表的なセンサアセンブリが例解されているが、他のアセンブリ構成が使用され得、したがって、センサアセンブリ1016は、図12に示されるものに限定されないことが企図されることを更に理解されたい。
【0049】
ここで制御戦略をより詳細に参照すると、図13は、エネルギーツールを動作させるためにセンサによって検出された情報を分析及び使用するための1つの代表的な制御アルゴリズム又は戦略を例解する。これまで考察したように、力センサ(例えば、センサ514)は、ツールジョー(例えば、エネルギーツールジョー206)によって印加される圧縮力を測定するために使用され得る。この力は、適切な組織シーリングを確実にするために、ある特定の閾値を超えていなければならない。しかしながら、力センサの容量性のため、ジョー206の温度変化によって影響を受ける可能性がある。したがって、印加された把持力からのいかなる影響も伴わずに熱ドリフト効果のみを捕捉する温度センサ1014又は別の容量センサが、他のセンサに対する温度変化の影響を補正するために更に提供され得る。温度センサ1014は、単一のセンサであり得るか、又はツール200のジョー206に沿った温度分布を検出することができる温度センサのアレイであり得る。組織に対する所望の効果(切断、凝固、乾燥、及び/又は高周波療法)に応じて、エネルギー活性化の温度及びデューティサイクルを調節することができる。
【0050】
代表的には、一態様では、切断の効果は、エネルギーツール200の活性電極を通して印加される連続波形(100%デューティサイクル)を使用することによって達成され得る。いくつかの態様では、エネルギーツール200は、大きな電流集中を許容する狭い先端を有し得、組織の近くに置かれているが接触しないとき、アークを発生させ、このアークを通して電流が組織に流れ込み、大量の熱(100℃超)を発生させ、これが急速な組織蒸発につながり、切断を誘発する。鈍い器具先端が組織に接触して使用される場合、増加した表面積に起因する減少した電流濃度は、組織温度の上昇につながるが、蒸発点には至らず、70~80℃の温度において凝塊を、及び90℃の温度において乾燥を創出する。凝固又は乾燥を実施するために、より低いデューティサイクルの高電圧波形が使用されるが、100%デューティサイクルのより低い電圧切断波形を用いて実施することもできる。高周波療法では、より低いデューティサイクルの高電圧波形が、組織に近い非接触モードで、尖った単極電気外科ツール先端の活性電極を通して印加される。高電圧及び低デューティサイクル(通常6%)では、ツール先端からアークを通って流れる電流によって生成される熱は、組織を加熱して凝固物を形成し、反復印加では、温度を200℃又はそれ以上に上昇させて、炭化又は高周波療法を形成する。音響センサ1016は更に、組織のシズル音及び組織の水和含有量を感知することができる。ロボットツールの場合、より正確な組織シーリングのために、最適なジョーの閉鎖力をツールの制御理論に組み込むこともできる。
【0051】
ここでプロセス1300をより詳細に参照すると、一態様では、プロセス1300は、動作1302において、力センサ(例えば、力センサ514)を使用して、力又は容量値を検出することを含む。これまで考察したように、検出された力又は容量値は、エネルギーデバイスの高温に起因する温度ドリフトに敏感であり得る。したがって、いくつかの態様では、動作1304において温度補償が実施され得る。代表的には、動作1314において、温度センサのうちの1つ又は2つ以上(例えば、温度センサ1014)は、ジョーに沿った様々な位置/場所における温度を検出して、動作1316における局所温度読取値又は出力と、動作1318におけるジョーに沿った温度分布マップとの両方を提供し得る。この情報に基づいて、動作1304において温度補償を実施することができ、動作1306において既知の計算を使用して較正定数を判定することができる。次に、これらの動作に基づいて判定された力及び/又は容量値を使用して、動作1308における力/圧力分布マップ、動作1310における全把持力、及び動作1312における力集中点を判定することができる。また更に、動作1320において、音響センサ(例えば、音響センサ1016)は、組織が適切にシールされたときをユーザが理解するのを助けるために、シズル音を検出し、組織の水和レベルを判定するために使用され得る。収集された情報の全てに基づいて、システムアルゴリズム及び/又はユーザは、動作1322において、組織を適切にシールするために出力される必要があるエネルギー活性化を判定し、対応するエネルギー活性化制御信号を出力することができる。例えば、センサ情報を使用して、システムは、フィルタ(又は処理アルゴリズム)を適用して、事象、特性、又は事象若しくは特性の数量記号を識別し、その情報を使用して、手術後分析を行うか、又はエネルギーツールを使用しながら外科医を誘導するために使用することができるエネルギー印加に関する特性若しくは情報について外科医に直接通知し得る。いくつかの態様では、情報は、エネルギーツールを自動的に調節又は制御するためにシステムによって使用され得、一方、他の場合、情報は、最適性能のためにツールを手動で調節又は制御するために外科医によって使用され得る。いくつかの態様では、センサからの情報が得られると、システムが、最適動作パラメータを判定し、エネルギーツールを自動的に制御するために、この情報を使用することができる、エネルギー印加の部分があり得る。エネルギーツール内に一体化されたセンサからの情報に加えて、システムはまた、カメラ、マイクロフォン、又は他のツールに関連付けられた他のセンサからの情報を使用して、エネルギーツールの最適な使用及び/又は出力を判定するための追加のコンテキストを提供し得る他の特性を検出し得る。
【0052】
いくつかの態様では、動作1308、1310、1312、1316、1318、及び/又は1320において判定された力/圧力分布マップ、全把持力、力集中点、局所熱変化、温度分布マップ、及び/又はシズル音/水和レベルなどの特性のうちの1つ又は2つ以上は、エネルギー印加中にユーザを助けるために、ユーザに出力されるか、又は別様に表示され得る。
【0053】
図14は、動作1308において判定された代表的な力/圧力分布マップと、動作1318において判定された温度分布マップとを例解しており、これらのマップは、表示されるか、又は別様にユーザに伝達され得る。代表的には、これまで考察した感知アルゴリズム及び処理動作は、図14に例解されるように、ジョー206に沿った力又は圧力分布プロファイルを判定するために使用され得る。代表的には、式(1)を使用して、局所力測定値(例えば、Ftissue1、Ftissue2、Ftissue3、及びFtissue4)が、ジョー206に沿って分散された異なる力センサ514の場所において判定される。これらの局所力測定に基づいて、アンビル表面に沿った力分布マップ1308が、図14に示されるように生成される。力分布マップ1308は、外科医に表示され、エネルギー印加中にジョーに沿った力の集中を監視するために使用され得る。代表的には、力分布マップ1308に基づいて、点1402A、1402B、1402C、及び1402Dにおける力集中が変化することを理解することができる。例えば、力の集中は、点1402Cにおいて急上昇するように見える。ある領域において別の領域より高い力の集中が発見されたとき、その領域が異常又は不純物(例えば、腫瘍、硬い構造、又は異物)を含み得ると、システムによって、又はユーザによって視覚的に判定され得る。いったん不純物が検出されると、システム及び/又は外科医は、不純物に起因してシールが失敗しないように、進む前にエネルギー印加を修正する必要があると決定する場合がある。異常若しくは不純物の検出、及び/又はそれに関する警告をユーザに提供することは、ツールの使用を学ぶ外科医、並びに経験豊富な外科医を、エネルギーツールの適切な使用で誘導するのに役立つ。
【0054】
同様に、これまで考察した感知アルゴリズム及び処理動作は、図14に例解されるように、ジョー206に沿った温度分布プロファイルを判定するために使用され得る。代表的には、局所温度測定値は、ジョー206に沿って分散された異なる温度センサ1014の場所において判定され得る。これらの局所温度測定に基づいて、アンビル表面に沿った温度分布マップ1318が、図14に示されるように生成される。温度分布マップ1318は、ジョー表面全体にわたる正確な温度勾配マップを提供し得る。温度分布マップ1318は、外科医に表示され、エネルギー印加中にジョーに沿った温度集中を監視するために使用され得る。代表的には、温度分布マップ1318に基づいて、点1404A、1404B、1404C、及び1404Dにおける温度は異なり得、ジョーに沿って変化し得ることを理解することができる。ジョーに沿ったある特定の点における温度を知ることは、本明細書で考察されるように、力センサにおける熱ドリフトを排除/補正するのを助けるために使用することができる。加えて、情報は、外科医が把持された組織の局所状態を理解し、エネルギー印加の異なる段階の進行を追跡するのを助けることができる。例えば、温度分布マップ1318によって表される異なる温度に基づいて、外科医は、相が(例えば、摂氏60度での)変性、(例えば、摂氏70~80度での)凝固、(例えば、摂氏90度での)乾燥、摂氏100度以上での切断、及び/又は(例えば、摂氏200度を超える)高周波療法であるかどうかを判定することができる。加えて、温度分布マップが、ジョーの部分における温度がある特定の閾値を上回ることを示すとき、システムは、エネルギー活性化を調節するようにユーザに促す警告を生成し得るか、又はエネルギー活性化を自動的に調節して(デューティサイクルを調整して)、温度を制御し、組織への熱損傷を防止し、所望の効果(切断、凝固、乾燥、又は高周波療法)が生成されることを確実にし得る。
【0055】
いくつかの態様では、ジョーに埋め込まれた1つ又は2つ以上のセンサは、器具のシャフトに沿って延びるワイヤを通して、ツールハンドル内に位置する無線送信(Bluetooth)モジュールにデータを送信することができ、かつ/又はエネルギーケーブルと一緒に延びる線を介して中央処理装置に送信することができる。温度、力、及びマイクロフォンのデータが、処理コンピュータに送信された後、アルゴリズム(機械学習ベースである可能性がある)が実行され、把持器具の温度を制御し、最適なレベルに維持するためにデューティサイクル及びエネルギーレベルを調整することができる一方、外科医に貴重な情報(把持器具のヒートマップ、組織加熱プロセスの段階、又は術中の提案など)をディスプレイに示すことができ、これは手術ビューに重ねるか、又は別の外部スクリーン上に提供することができる。
【0056】
図15は、これまで考察した動作のうちの任意の1つ又は2つ以上を実施するように動作可能である、外科用ロボットシステムのコンピュータ部分のブロック図である。例示的な外科用ロボットシステム1500は、ユーザコンソール102と、外科用ロボット120と、制御タワー103と、を含み得る。外科用ロボットシステム1500は、他の又は追加のハードウェア構成要素を含み得る。したがって、図は、例として提供されるものであり、このシステムアーキテクチャーへの限定ではない。
【0057】
上述のように、ユーザコンソール102は、コンソールコンピュータ1511と、1つ又は2つ以上のUID1512と、コンソールアクチュエータ1513と、ディスプレイ1514と、フットペダル1516と、コンソールコンピュータ1511と、ネットワークインターフェース1518と、を含み得る。加えて、ユーザコンソール102は、システムの動作に必要とされる様々な外科的条件(例えば、UIDの配向、ディスプレイに対する外科医の配向、コンソールシートの配向など)を検出するためのいくつかの構成要素、例えば、UIDトラッカ1515、ディスプレイトラッカ1517、及びコンソールトラッカ1519を含み得る。ユーザコンソール102に着座しているユーザ若しくは外科医は、ユーザコンソール102の人間工学的な設定を手動で調節することができるか、又は設定は、ユーザプロファイル若しくは選好に従って自動的に調節することができることが更に理解されるべきである。手動調節及び自動調節は、ユーザ入力又はコンソールコンピュータ1511によって記憶された構成に基づいて、コンソールアクチュエータ1513を駆動することを通じて達成され得る。ユーザは、1つ又は2つ以上のマスタUID1512及びフットペダル1516を使用して、外科用ロボット120を制御することによってロボット支援手術を実施し得る。UID1512の位置及び配向は、UIDトラッカ1515によって連続的に追跡され、状態の変化は、コンソールコンピュータ1511によってユーザ入力として記録されて、ネットワークインターフェース1518を介して制御タワー103に送られる。患者の解剖学的構造のリアルタイム外科用ビデオ、器具、及び関連するソフトウェアアプリケーションは、開放型又は没入型ディスプレイを含む、高解像度3Dディスプレイ1514上でユーザに提示することができる。
【0058】
ユーザコンソール102は、制御タワー103に通信可能に結合され得る。ユーザコンソールはまた、改善された人間工学のための追加的な特徴も提供する。例えば、ユーザコンソールは、開放型ディスプレイを含むオープンアーキテクチャシステムであり得るが、場合によっては、没入型ディスプレイが提供され得る。更に、改善された人間工学のために、外科医のための高度に調節可能なシート及び電磁又は光トラッカを通じて追跡されるマスタUIDがユーザコンソール102に含まれる。
【0059】
制御タワー103は、タッチスクリーンディスプレイ、外科医のロボット支援型の器具の操作を制御するコンピュータ、安全システム、グラフィカルユーザインターフェース(graphical user interface、GUI)、光源、並びにビデオ及びグラフィックコンピュータを収容する、治療現場移動カートとすることができる。図15に示されるように、制御タワー103は、少なくとも視覚化コンピュータ、制御コンピュータ、及び補助コンピュータを含む中央コンピュータ1531と、チームディスプレイ及び看護師ディスプレイを含む様々なディスプレイ1533と、制御タワー103をユーザコンソール102及び外科用ロボット120の両方に結合するネットワークインターフェース1538と、を含み得る。制御タワー103は、看護師ディスプレイタッチスクリーン、ソフトパワー及びE-ホールドボタン、ビデオ及び静止画像のためのユーザフェーシングUSB、並びに電子キャスタ制御インターフェースなどの、ユーザの利便性のための追加的な特徴を提供し得る。補助コンピュータはまた、リアルタイムLinuxを実行し得、ロギング/監視、及びクラウドベースのウェブサービスとの相互作用を提供し得る。
【0060】
外科用ロボット120は、標的の患者の解剖学的構造の上に位置決めすることができる複数の一体型ロボットアーム1522を備えた、手術テーブル1524を含み得る。エネルギーツール1523は、アーム1522の遠位端に取り付けること、又はそこから取り外すことができ、外科医が、様々な外科処置を実施することを可能にする。エネルギーツール1523は、図2図14を参照してこれまで考察したように、中に一体化されたセンサを有するエネルギーツールのうちの任意の1つ又は2つ以上であり得る。外科用ロボット120はまた、アーム1522、テーブル1524、及びツール1523の手動又は自動制御のための制御インターフェース1525を備え得る。制御インターフェースは、限定されないが、遠隔制御装置、ボタン、パネル、及びタッチスクリーンなどのアイテムを含むことができる。システムによって処置を実施するために、トロカール(スリーブ、シールカートリッジ、及び閉塞具)及びドレープなどの他の付属品も必要であり得る。いくつかの変形例では、複数のアーム1522は、各側に2つのアームを備えた、手術テーブル1524の両側に装着された4つのアームを含む。ある特定の外科処置の場合、テーブルの片側に装着されたアームは、テーブル及びテーブルの反対側に装着されたアームの下に伸ばして交差させることによって、テーブルの反対側に位置決めすることができ、これにより合計で3つのアームがテーブル1524の同じ側に位置決めされる。外科用ツールはまた、テーブルコンピュータ1521及びネットワークインターフェース1528を備えることができ、これらは、外科用ロボット120を制御タワー103と通信させることができる。
【0061】
前述の説明は、説明の目的で、本発明の完全な理解を提供するために特定の用語体系を使用した。しかしながら、本発明を実施するためには、具体的な詳細の多くが必要とされないことは、当業者には明らかであろう。したがって、特定の本発明の態様の上述の説明は、例示及び説明の目的で提示されている。それらは、網羅的であること、及び開示した正確な形態に本発明を制限することを意図するものではない。明確に、上記の教示に照らして、多くの修正及び変形が可能である。本明細書に記載の実施形態は、本発明の原理及びその実際的な用途の最良の説明を提供し、それによって当業者が本発明を様々な実施形態で、また企図される特定の用途に適するように様々な修正を行って最良に利用できるように、選択され説明された。
【0062】
〔実施の態様〕
(1) 外科用ロボットシステムのためのエネルギーツールであって、前記エネルギーツールは、
ベースに結合されたジョーであって、開放位置と閉鎖位置との間で第2のアンビルに対して移動する第1のアンビルを有する、ジョーと、
前記ジョーに結合された力センサ、温度センサ、及び音響センサのうちの少なくとも1つと、を備える、エネルギーツール。
(2) 前記力センサが、前記第1のアンビル又は前記第2のアンビルに装着された容量センサである、実施態様1に記載のエネルギーツール。
(3) 前記力センサが、前記ジョーの遠位端に結合された第1の容量センサであり、前記エネルギーツールが、前記ジョーの近位端に結合された第2の容量センサを更に備える、実施態様2に記載のエネルギーツール。
(4) 前記力センサが、前記ジョーに結合された複数の別個の感知パッドを備える、実施態様2に記載のエネルギーツール。
(5) 前記力センサが、前記ジョーの全クランプ力又は前記ジョーに沿った印加された力の集中点のうちの少なくとも一方を測定するように動作可能である、実施態様1に記載のエネルギーツール。
【0063】
(6) 前記温度センサが、前記ジョーに結合されたアナログ温度センサ又はデジタル温度センサを含む、実施態様1に記載のエネルギーツール。
(7) 前記温度センサが、前記ジョーに沿った温度分布を監視するように動作可能である、実施態様1に記載のエネルギーツール。
(8) 前記音響センサが、前記ジョーに結合された微小電気機械システムマイクロフォンを含む、実施態様1に記載のエネルギーツール。
(9) 前記音響センサが、前記ジョーに結合されたマイクロフォンのアレイを含む、実施態様1に記載のエネルギーツール。
(10) 前記音響センサが、エネルギー印加中に組織の水和レベルを監視するように動作可能である、実施態様1に記載のエネルギーツール。
【0064】
(11) 前記エネルギーツールが、前記力センサ、前記温度センサ、及び前記音響センサを備え、前記力センサ、前記温度センサ、及び前記音響センサによって検出された情報が、クランプ圧力分布、温度分布、及び組織水和が前記エネルギー印加を進めるのに好適であるかどうかを判定するために、前記エネルギーツールに結合された1つ又は2つ以上のプロセッサによって分析される、実施態様1に記載のエネルギーツール。
(12) 外科用ロボットエネルギーツールシステムであって、前記システムは、
エネルギーツールであって、ベースに結合されたジョーを有し、前記ジョーは、前記エネルギーツールによるエネルギー印加中に開放位置と閉鎖位置との間で第2のアンビルに対して移動する第1のアンビルを有する、エネルギーツールと、
前記エネルギー印加中に力、温度、及び組織相のうちの少なくとも1つを検出するように構成された1つ又は2つ以上のセンサと、
前記エネルギー印加を最適化するための情報を提供するために、前記力、前記温度、及び前記組織相のうちの検出された前記少なくとも1つを分析するように構成された1つ又は2つ以上のプロセッサと、を備える、外科用ロボットエネルギーツールシステム。
(13) 前記1つ又は2つ以上のセンサが、各々が力を検出し、力値を提供する少なくとも2つの力センサを含み、提供される前記情報が、(1)前記ジョーの全クランプ力、又は(2)前記ジョーに沿った前記クランプ力の集中点を含む、実施態様12に記載の外科用ロボットエネルギーツールシステム。
(14) 前記ジョーの前記全クランプ力に基づいて、前記1つ又は2つ以上のプロセッサが、最適なエネルギー印加を更に判定する、実施態様13に記載の外科用ロボットエネルギーツールシステム。
(15) 前記クランプ力の前記集中点に基づいて、前記1つ又は2つ以上のプロセッサが、不純物が前記組織内に存在するかどうかを更に判定する、実施態様13に記載の外科用ロボットエネルギーツールシステム。
【0065】
(16) 前記1つ又は2つ以上のセンサが、温度センサを含み、前記提供される情報が、前記ジョーに沿った温度分布を含む、実施態様12に記載の外科用ロボットエネルギーツールシステム。
(17) 前記ジョーに沿った前記温度分布が、(1)力センサにおける熱ドリフトを補正する、(2)ユーザに表示される前記ジョーに沿った熱分布マップを構築する、(3)前記ジョーによって把持された組織の状態を判定する、又は(4)エネルギー活性化を調節する、ために使用される、実施態様16に記載の外科用ロボットエネルギーツールシステム。
(18) 前記1つ又は2つ以上のセンサが、マイクロフォンを含み、前記提供される情報が、前記ジョーによって把持された組織の水和レベルを含む、実施態様12に記載の外科用ロボットエネルギーツールシステム。
(19) 前記組織の前記水和レベルに基づいて、前記1つ又は2つ以上のプロセッサが、前記ジョーによって把持された前記組織がシールされているかどうかを更に判定する、実施態様18に記載の外科用ロボットエネルギーツールシステム。
(20) 前記提供される情報をユーザに表示することを更に含む、実施態様12に記載の外科用ロボットエネルギーツールシステム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】