(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】外科用ステープラのための一体型センサ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
A61B17/072
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523456
(86)(22)【出願日】2022-09-15
(85)【翻訳文提出日】2024-05-29
(86)【国際出願番号】 IB2022058731
(87)【国際公開番号】W WO2023067412
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】516133124
【氏名又は名称】バーブ サージカル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Verb Surgical Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ゴネンコ・ベルク
(72)【発明者】
【氏名】サンカー・ベンジャミン・アラン
(72)【発明者】
【氏名】コルドバ・ホセ・ルイス
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア・キルロイ・パブロ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC09
4C160CC23
4C160MM32
(57)【要約】
外科用ロボットシステムのための外科用ステープラであって、基部に結合されたジョーであって、開放位置と閉鎖位置との間で第2のアンビルに対して移動する第1のアンビルを有する、ジョーと、ジョーに印加された力を検出するように動作可能な力センサと、を含む、外科用ステープラ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ロボットシステムのための外科用ステープラであって、
基部に結合されたジョーであって、開放位置と閉鎖位置との間で第2のアンビルに対して移動する第1のアンビルを有する、ジョーと、
前記ジョーに印加された力を検出するように動作可能な力センサと、を備える、外科用ステープラ。
【請求項2】
前記力センサが、前記第1のアンビルに装着された容量センサである、請求項1に記載の外科用ステープラ。
【請求項3】
前記力センサが、前記第2のアンビルに装着された容量センサである、請求項1に記載の外科用ステープラ。
【請求項4】
前記第2のアンビルが、ステープルカートリッジを受容するように動作可能なチャネルを備え、前記容量センサが、前記チャネルに結合されている、請求項3に記載の外科用ステープラ。
【請求項5】
前記力センサが、前記基部に結合されている、請求項1に記載の外科用ステープラ。
【請求項6】
前記外科用ステープラが、前記第1のアンビルに結合された少なくとも1つの磁石と、前記第2のアンビルに結合された少なくとも1つのホール効果センサと、を更に備える、請求項5に記載の外科用ステープラ。
【請求項7】
前記力センサが、前記ジョーの遠位端に結合された第1の容量センサであり、前記外科用ステープラが、前記ジョーの近位端に結合された第2の容量センサを更に備える、請求項1に記載の外科用ステープラ。
【請求項8】
前記力センサが、前記第1のアンビル又は前記第2のアンビルに装着された容量センサのアレイのうちの1つである容量センサである、請求項1に記載の外科用ステープラ。
【請求項9】
前記力センサが、前記第1のアンビル又は前記第2のアンビルに結合された歪みゲージアレイを備える、請求項1に記載の外科用ステープラ。
【請求項10】
前記力センサによって検出された前記力が、前記外科用ステープラに結合された1つ又は2つ以上のプロセッサによって分析されて、全クランプ力又は力印加中心の場所が、ステープル留め動作を進めるのに好適であるかどうかを判定する、請求項1に記載の外科用ステープラ。
【請求項11】
外科用ロボットステープラシステムであって、
基部に結合されたジョーを有するロボット外科用ステープラであって、前記ジョーが、ステープル留め動作中に、開放位置と閉鎖位置との間で第2のアンビルに対して移動する第1のアンビルを有する、ロボット外科用ステープラと、
前記ジョーに印加された力を検出し、力値を提供するように構成された1つ又は2つ以上の力センサと、
前記力値を分析して、前記ステープル留め動作に関する特性を判定するように構成された1つ又は2つ以上のプロセッサと、を備える、外科用ロボットステープラシステム。
【請求項12】
前記1つ又は2つ以上の力センサが、各々が力を検出し、力値を提供する、少なくとも2つの力センサを含み、前記力値を分析することによって判定される前記特性が、(1)組織に対する全クランプ力、又は(2)前記組織に対する前記力の印加中心を含む、請求項11に記載の外科用ロボットステープラシステム。
【請求項13】
前記組織に対する前記判定された全クランプ力に基づいて、前記1つ又は2つ以上のプロセッサが、前記クランプ力が前記ステープル留め動作を進めるのに好適であるかどうかを更に判定する、請求項12に記載の外科用ロボットステープラシステム。
【請求項14】
前記組織に対する前記力の前記判定された印加中心に基づいて、前記1つ又は2つ以上のプロセッサが、前記ステープル留め動作を進めるために、前記組織が前記ジョー内の許容可能な位置にあるかどうかを更に判定する、請求項12に記載の外科用ロボットステープラシステム。
【請求項15】
前記1つ又は2つ以上の力センサが、各々が力を検出し、力値を提供する、力センサのアレイを含み、前記力値を分析することによって判定される前記特性が、前記ジョーに沿った力分布プロファイルを含む、請求項11に記載の外科用ロボットステープラシステム。
【請求項16】
前記力分布プロファイルに基づいて、前記1つ又は2つ以上のプロセッサが、局所的な硬さが前記組織に存在するかどうかを更に判定する、請求項15に記載の外科用ロボットステープラシステム。
【請求項17】
前記力分布プロファイルに基づいて、前記1つ又は2つ以上のプロセッサが、異物が前記ジョー内に位置決めされているかどうかを更に判定する、請求項15に記載の外科用ロボットステープラシステム。
【請求項18】
前記1つ又は2つ以上の力センサが、力を検出し、力値を提供する、歪みゲージアレイを備え、前記力値を分析することによって判定される前記特性が、前記第1のアンビル又は前記第2のアンビルの変形を含む、請求項11に記載の外科用ロボットステープラシステム。
【請求項19】
前記第1のアンビル又は前記第2のアンビルの前記変形に基づいて、前記1つ又は2つ以上のプロセッサが、前記ジョー内の組織のタイプを更に判定する、請求項18に記載の外科用ロボットステープラシステム。
【請求項20】
前記判定された特性が、前記ステープル留め動作を進めるべきでないことを示すときに、ユーザにアラートを発することを更に含む、請求項11に記載の外科用ロボットステープラシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ロボット手術の分野に関し、より具体的には、ステープル留めプロセスを改善するのに役立つ組織特性を検出するための外科用ステープラシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
腹腔鏡手術などの低侵襲手術(minimally-invasive surgery、MIS)は、外科処置中の組織損傷を低減することを意図した技術を伴う。例えば、腹腔鏡処置は、典型的には、患者において(例えば、腹部内で)いくつかの小さい切開を作成することと、切開を通して患者内に1つ又は2つ以上のツール、例えば、外科用ステープラ及び/又はエネルギーデバイス、並びに少なくとも1つの内視鏡カメラを導入することと、を伴う。次いで、外科処置は、導入されたツールを使用して、カメラによって提供される視覚化補助を用いて実施される。一般に、MISは、患者の傷跡の低減し、より少ない患者の疼痛、より短い患者の回復期間、及びより低い患者の回復に関連する医療コストなど、複数の利点を提供する。いくつかの実施形態では、MISは、操作者からのコマンドに基づいて外科用器具を操作するための1つ又は2つ以上のロボットアームを含むロボットシステムを用いて実施され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の態様は、組織圧縮力、把持具内の組織の場所、把持具間の異物の存在、及び/又は把持された組織の特性など、外科医によるステープル留め動作中に使用することができる情報をユーザ(例えば、外科医)に提供する一体型センサ及びアーキテクチャを有する外科用ステープル留め器具を含む。情報は、リアルタイムで外科医へのディスプレイに無線で送信され得、かつ/又は人工知能及びデジタル手術への補足データソースとして制御システム又は機械学習アルゴリズムにおいて使用するために様々なプラットフォーム上にストリーミングされ得る。典型的には、外科用ステープラを使用している間、外科医にとって組織の外科的視野は非常に限られている。したがって、組織を通してステープルを発射する前に、組織が最適に把持されたかどうかを判定することは困難であり、外科医の経験にほとんど依存する。その結果、十分な力がない状態で部分的にクランプされている組織(ジョーの中心に位置していない組織)、ジョーのアンビル間の硬い異物の存在、又は癌組織を扱う際に腫瘍を部分的にクランプすることにより、ステープル及びシールがうまく形成されない可能性がある。これは、ひいては、手術中の過剰な出血及び組織損傷、したがって危険な術中合併症につながり得る。本明細書で開示される態様は、ステープルを発射する前に外科医が手動で正しい決定を下すのに役立つことができる、ステープル留め動作に関連付けられる特性(例えば、情報及び/又は測定値)を判定するために使用され、かつ/又は人工知能アルゴリズムに供給され、ロボットシステムと組み合わせて使用され、手術中に外科医にアラートを発し、警告し、かつ/又は自動的に誘導することができる、センサをクランプ領域上/周囲に導入することによって、これらの問題に対処する。ステープル留めプロセス(測定目標)を改善するのに役立つことができる特性、情報、及び/又は測定値は、限定されないが、(1)全クランプ力及び/又はその印加中心、(2)ジョーに沿ったクランプ又は圧力プロファイル/変動、及び/又は(3)把持された組織の硬さを含み得る。代表的には、全クランプ力及び/又はその印加中心の検出は、外科医によって、クランプ力がステープル留め動作を進めるのに好適であること、及び/又は組織がジョー内に適切に位置決めされていることを確認するために使用することができる。一貫性のない又は不規則なプロファイルが検出されると、ステープル留めが進行すべきではないような、組織の不規則性又はジョーにおける組織のずれを示し得る。硬さの急激な変化が検出されると、異物又は硬い腫瘍組織の存在が示唆され得、その場合、外科医はステープル留めを続行すべきではないと判定し得る。
【0004】
代表的には、一態様では、本開示は、外科用ロボットシステムのための外科用ステープラを対象とし、外科用ステープラは、基部に結合されたジョーであって、開放位置と閉鎖位置との間で第2のアンビルに対して移動する第1のアンビルを有する、ジョーと、ジョーに印加された力を検出するように動作可能な力センサと、を備える。いくつかの態様では、力センサは、第1のアンビルに装着された容量センサである。いくつかの態様では、力センサは、第2のアンビルに装着された容量センサである。いくつかの態様では、第2のアンビルは、ステープルカートリッジを受容するように動作可能なチャネルを含み、容量センサはチャネルに結合されている。いくつかの態様では、力センサは基部に結合されている。いくつかの態様では、外科用ステープラは、第1のアンビルに結合された少なくとも1つの磁石と、第2のアンビルに結合された少なくとも1つのホール効果センサと、を更に含み得る。いくつかの態様では、力センサは、ジョーの遠位端に結合された第1の容量センサであり得、外科用ステープラは、ジョーの近位端に結合された第2の容量センサを更に備える。いくつかの態様では、力センサは、第1のアンビル又は第2のアンビルに装着された容量センサのアレイのうちの1つである容量センサである。いくつかの態様では、力センサは、第1のアンビル又は第2のアンビルに結合された歪みゲージアレイである。いくつかの態様では、力センサによって検出された力は、外科用ステープラに結合された1つ又は2つ以上のプロセッサによって分析されて、全クランプ力又は力印加中心の場所が、ステープル留め動作を進めるのに好適であるかどうかを判定する。
【0005】
別の態様では、外科用ロボットステープラシステムであって、基部に結合されたジョーを有するロボット外科用ステープラであって、ジョーが、ステープル留め動作中に開放位置と閉鎖位置との間で第2のアンビルに対して移動する第1のアンビルを有する、ロボット外科用ステープラと、ジョーに印加された力を検出し、力値を提供するように構成された1つ又は2つ以上の力センサと、力値を分析して、ステープル留め動作に関する特性を判定するように構成された1つ又は2つ以上のプロセッサと、を含む、外科用ロボットステープラシステムが提供される。いくつかの態様では、1つ又は2つ以上の力センサは、各々が力を検出し、力値を提供する、少なくとも2つの力センサを含み、力値を分析することによって判定される特性は、(1)組織に対する全クランプ力、又は(2)組織に対する力の印加中心を含む。いくつかの態様では、組織に対する判定された全クランプ力に基づいて、1つ又は2つ以上のプロセッサは、クランプ力がステープル留め動作を進めるのに好適であるかどうかを更に判定する。いくつかの態様では、組織に対する力の判定された印加中心に基づいて、1つ又は2つ以上のプロセッサは、ステープル留め動作を進めるために、組織がジョー内の許容可能な位置にあるかどうかを更に判定する。いくつかの態様では、1つ又は2つ以上の力センサは、各々が力を検出し、力値を提供する、力センサのアレイを含み得、力値を分析することによって判定される特性は、ジョーに沿った力分布プロファイルを含む。いくつかの態様では、力分布プロファイルに基づいて、1つ又は2つ以上のプロセッサは、局所的な硬さが組織に存在するかどうかを更に判定する。いくつかの態様では、力分布プロファイルに基づいて、1つ又は2つ以上のプロセッサは、異物がジョー内に位置決めされているかどうかを更に判定する。いくつかの態様では、1つ又は2つ以上の力センサは、力を検出し、力値を提供する、歪みゲージアレイを備え、力値を分析することによって判定される特性は、第1のアンビル又は第2のアンビルの変形を含む。いくつかの態様では、第1のアンビル又は第2のアンビルの変形に基づいて、1つ又は2つ以上のプロセッサは、ジョー内の組織のタイプを更に判定する。いくつかの態様では、システムは、判定された特性がステープル留め動作を進めるべきでないことを示すときに、ユーザにアラートを発することを更に含む。
【0006】
上記の概要は、本発明の全ての態様の網羅的なリストを含まない。本発明は、上記に要約された様々な態様の全ての好適な組み合わせから実践することができる全てのシステム及び方法、並びに以下の「発明を実施するための形態」に開示されているもの、特に本出願と共に提出された「特許請求の範囲」において指摘されているものを含むことが企図される。このような組み合わせは、上記の概要に具体的に記載されていない特定の利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】外科用ロボットシステムを備えた手術室の配置の概略図である。
【
図2】外科用ロボットシステムの外科用ステープラの一態様の斜視側面図である。
【
図3】外科用ロボットシステムの外科用ステープラの別の態様の断面側面図である。
【
図4】外科用ロボットシステムの外科用ステープラの別の態様の断面側面図である。
【
図5】外科用ロボットシステムの外科用ステープラのための処理動作のブロック図である。
【
図6】外科用ロボットシステムの外科用ステープラの別の態様の断面側面図である。
【
図7】外科用ロボットシステムの外科用ステープラのための処理動作のブロック図である。
【
図8】外科用ロボットシステムの外科用ステープラの別の態様の断面側面図である。
【
図9】外科用ロボットシステムの外科用ステープラの別の態様の断面側面図である。
【
図10】外科用ロボットシステムの外科用ステープラの別の態様の断面側面図である。
【
図11】外科用ロボットシステムの外科用ステープラの別の態様の側面図である。
【
図12】外科用ロボットシステムの外科用ステープラの別の態様の断面側面図である。
【
図13】外科用ロボットシステムの外科用ステープラのための処理動作のブロック図である。
【
図14】外科用ロボットシステムの外科用ステープラの別の態様の断面側面図である。
【
図15】外科用ロボットシステムの外科用ステープラの別の態様の断面側面図である。
【
図16】外科用ロボットシステムの外科用ステープラの別の態様の断面側面図である。
【
図17】外科用ロボットシステムの外科用ステープラのための処理動作のブロック図である。
【
図18】実施形態による、外科用ステープラを含む外科用ロボットシステムのコンピュータ部分のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
様々な実施形態では、説明は、図を参照してなされる。しかしながら、特定の実施形態は、これらの具体的な詳細のうちの1つ又は2つ以上を伴うことなく、又は他の既知の方法及び構成と組み合わせて実践され得る。以下の説明では、実施形態の完全な理解を提供するために、特定の構成、寸法、及びプロセスなどの、多数の具体的な詳細が記載される。他の場合では、説明を不必要に不明瞭にしないために、周知のプロセス及び製造技術は、特に詳細に説明されていない。本明細書の全体を通して、「一実施形態(one embodiment)」、「一実施形態(an embodiment)」などの参照は、説明される特定の特徴、構造、構成、又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通した様々な場所での「一実施形態(one embodiment)」、「一実施形態(an embodiment)」などの句の出現は、必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、構成、又は特性は、1つ又は2つ以上の実施形態において任意の好適な様式で組み合わせられ得る。
【0009】
加えて、本明細書で使用される専門用語は、特定の態様を説明することのみを目的とするものであり、本発明の限定を意図するものではない。「下(beneath)」、「下方(below)」、「下部(lower)」、「上方(above)」、「上部(upper)」などの空間的に相対的な用語は、図面に例解される、一方の要素又は特徴の、他方の要素又は特徴に対する関係の説明を容易にするために本明細書で使用され得る。これらの空間的に相対的な用語は、図面に描示された配向に加えて、使用中又は動作中のデバイスの異なる配向を包含することを意図するものであることが理解されるであろう。例えば、図面のデバイスを逆さまにした場合、他の要素又は特徴の「下方」又は「下」として説明される要素は、他の要素又は特徴の「上方」に配向されることになる。したがって、「下方」という例示的な用語は、上方及び下方の配向の両方を包含し得る。デバイスは、別様に配向され得(例えば、90度又は他の配向に回転され得)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述語は、それに応じて解釈される。
【0010】
本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別途指示しない限り、複数形も含むことを意図する。「備える(comprises)」及び/又は「備えている(comprising)」という用語は、記載された特徴、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を明示するものであるが、1つ又は2つ以上の他の特徴、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではないことが更に理解されるであろう。
【0011】
本明細書で使用される場合、「又は(or)」及び「及び/又は(and/or)」という用語は、包括的であるか、あるいは任意の1つ又は任意の組み合わせを意味するものと解釈されるべきである。したがって、「A、B、又はC」あるいは「A、B、及び/又はC」は、「A、B、C、A及びB、A及びC、B及びC、A、B及びC」、のうちのいずれかを意味する。この定義の例外は、要素、機能、ステップ、又は作用の組み合わせが、何らかの方式で本質的に互いに排他的である場合にのみ生じることになる。
【0012】
更に、説明の全体を通じて相対的な用語の使用は、相対的な位置又は方向を表し得る。例えば、「遠位(distal)」は、基準点から離れた、例えば、ユーザから離れた、第1の方向を示し得る。同様に、「近位(proximal)」は、第1の方向とは反対の、例えば、ユーザに向かう、第2の方向の場所を示し得る。しかしながら、かかる用語は、関連する基準系を確立するために提供され、任意の特定の外科用ロボット構成要素の使用又は配向を、下の様々な実施形態において説明される具体的な構成に限定することを意図するものではない。
【0013】
図1を参照すると、本図は、手術室の例示的な外科用ロボットシステム100の絵図である。外科用ロボットシステム100は、ユーザコンソール102と、制御タワー103と、外科用ロボットプラットフォーム105、例えば、手術台、ベッドなどにある、ロボットアーム104を含む1つ又は2つ以上の外科用ロボット120と、を含む。システム100は、患者106に手術を実施するために使用される任意の数のデバイス、ツール、又はアクセサリを組み込むことができる。例えば、システム100は、手術を実施するために使用される1つ又は2つ以上の外科用ツール107を含み得る。外科用ツール107は、外科用アーム104の遠位端に取り付けられる、外科処置を実行するためのエンドエフェクタであり得る。
【0014】
各外科用ツール107は、手術中に、手動で、ロボットで、又はその両方で操作され得る。例えば、外科用ツール107は、患者106の内部解剖学的構造に入る、それを見る、又は操作するために使用されるツールであり得る。一実施形態では、外科用ツール107は、患者の組織を把持することができる把持器具である。外科用ツール107は、ベッドの傍らの操作者108によって手動で制御され得るか、又は外科用ツールが取り付けられている外科用ロボットアーム104の作動運動を介して、ロボット的に制御され得る。ロボットアーム104は、台に装着されたシステムとして示されているが、他の構成では、アーム104は、カート、天井、若しくは側壁に、又は別の好適な構造的支持体に装着され得る。
【0015】
一般に、外科医又は他の操作者などの遠隔操作者109は、ユーザコンソール102を使用して、遠隔で、例えば、テレオペレーションで、アーム104及び/又は取り付けられた外科用ツール107を操作し得る。テレオペレーションは、ユーザの行動に基づいて係合又は係脱され得る。テレオペレーションモードに「係合する」ことは、例えば、外科用器具を制御することが防止されているUID又はフットペダルが、現在外科用器具を制御することができるモード(例えば、テレオペレーションモード)に移行される動作を指すことを意図するものと理解されるべきである。その一方で、テレオペレーションモードを係脱することは、システムがテレオペレーションモードにあるときに起こり、次いで、UID又はフットペダルがもはや外科用器具を制御することができないモード(非テレオペレーションモード)に移行する動作を指すことを意図している。例えば、テレオペレーションモードは、システムが、検出された動きがユーザによる予想外の行動若しくは動きである、又はテレオペレーションモードがもはや係合されるべきでないことを示唆する任意の他の行動にユーザが係合する、と判定したときに係脱され得る。
【0016】
図1に示されるように、ユーザコンソール102は、システム100の残りの部分と同じ手術室に位置し得る。しかしながら、その他の環境では、ユーザコンソール102は、隣接する部屋若しくは近くの部屋に位置し得るか、又は遠隔の場所、例えば、異なる建物、都市、若しくは国にあり得る。ユーザコンソール102は、シート110と、1つ又は2つ以上のユーザインターフェースデバイス、例えば、足踏み式制御113又は手持ち式ユーザ入力デバイス(user input device、UID)114と、例えば、患者106の内部の手術部位の視野を表示するように構成されている、少なくとも1つのユーザディスプレイ115と、を備え得る。例示的なユーザコンソール102では、遠隔操作者109は、アーム104及び(アーム104の遠位端に装着されている)外科用ツール107を遠隔制御するために、足踏み式制御113及び手持ち式UID114を操作しながら、シート110に着座してユーザディスプレイ115を見ている。
【0017】
いくつかの変形例では、ベッドの傍にいる操作者108はまた、「ベッド対面」モードでシステム100を動作させ得、このモードでは、ベッドの傍にいる操作者108(ユーザ)は、ここでは患者106の傍に存在して、ロボット駆動型ツール(アーム104に取り付けられたエンドエフェクタ)を、例えば、手持ち式UID114を片手に保持した状態で、手動式腹腔鏡ツールと同時に操作している。例えば、ベッドの傍にいる操作者の左手は、手持ち式UIDを操作して、ロボット構成要素を制御している場合があり、一方、ベッドの傍にいる操作者の右手は、手動式腹腔鏡ツールを操作している場合がある。したがって、これらの変形例では、ベッドの傍にいる操作者108は、患者106に対してロボット支援型低侵襲手術及び手動腹腔鏡手術の両方を実施し得る。
【0018】
例示的な処置(手術)の間、患者106は、麻酔を達成するために、滅菌されて準備され覆われている。手術部位への初期アクセスは、(手術部位へのアクセスを容易にするために)ロボットシステム100のアームが収容構成にあるか、又は引き込み構成である間に、手動で実施され得る。外科用器具の患者106への導入を可能にするためのポートを作成するために、トロカールアセンブリが、患者(例えば、腹壁において)の切開部又は進入点を通して、患者に少なくとも部分的に挿入され得る。トロカールアセンブリは、カニューレ若しくはトロカール、閉塞具、及び/又はシールを含み得る。いくつかの変形例では、トロカールアセンブリは、患者の皮膚を貫通するための鋭利な先端部を有する針などの閉塞具を含み得る。閉塞具は、患者106内に挿入されたときにカニューレの管腔内に配設され得、次いで、外科用器具がカニューレの管腔を通して挿入され得るように、カニューレから取り外され得る。本明細書で更に説明されるように、患者106の体内に位置決めされると、カニューレは、例えば、1つ又は2つ以上の外科用器具又はツールを患者106の体腔に挿入することができるように、患者106内の体腔又は他の部位にアクセスするためのチャネルを提供し得る。本明細書に説明されるカニューレは、トロカールの一部であり得、任意選択的に、閉塞具又は他の構成要素を含むことができることが理解されるであろう。
【0019】
アクセスが完了すると、そのアーム104を含むロボットシステム100の初期の位置決め又は準備が実施され得る。次に、ユーザコンソール102の遠隔操作者109が、足踏み式制御113及びUID114を利用して、様々なエンドエフェクタ及びおそらくは撮像システムを操作して、手術を実施することによって手術を進める。手動による支援はまた、滅菌ガウンを着用したベッドの傍にいる要員、例えば、ベッドの傍にいる操作者108によって、処置ベッド又は台において提供され得、操作者は、組織を後退させる、手動の再位置決めを行う、及びロボットアーム104のうちの1つ又は2つ以上のツールを交換する、などのタスクを行い得る。また、ユーザコンソール102の遠隔操作者109を支援するために、非滅菌要員が存在し得る。処置又は手術が完了すると、システム100及びユーザコンソール102は、洗浄又は滅菌及びユーザコンソール102を介した医療記録の入力又は印刷などの術後処置を容易にするための状態に構成又は設定され得る。
【0020】
一実施形態では、遠隔操作者109は、UID114を保持し、動かして、ロボットシステム100のロボットアームアクチュエータ117を動かすための入力コマンドを提供する。UID114は、例えば、コンソールコンピュータシステム116を介して、ロボットシステム100の残りの部分に通信可能に結合され得る。代表的には、いくつかの実施形態では、UID114は、外科用ロボットシステムの別の構成要素に対して接地されてないポータブル手持ち式ユーザ入力デバイス又はコントローラであり得る。例えば、UID114は、ユーザコンソールとつながれている、又はつながれていない、のいずれかである間に、接地されていない場合がある。「接地されない」という用語は、例えば、両方のUIDがユーザコンソールに対して機械的にも運動的にも拘束されていない実装形態を指すことを意図するものである。例えば、ユーザは、手にUID114を保持して、例えば、ユーザコンソールの追跡機構によってのみ制限された空間内で、任意の可能な位置及び配向に自由に動き得る。UID114は、UID114の動き、例えば、UIDの手持ち式ハウジングの位置及び向きに対応する空間状態信号を生成することができ、空間状態信号は、ロボットアームアクチュエータ117の運動を制御するための入力信号であり得る。ロボットシステム100は、空間状態信号から導出された制御信号を使用して、アクチュエータ117の比例的運動を制御し得る。一実施形態では、コンソールコンピュータシステム116のコンソールプロセッサは、空間状態信号を受信し、対応する制御信号を生成する。アクチュエータ117に通電して、アーム104のセグメント又はリンクを動かす方法を制御するこれらの制御信号に基づいて、アームに取り付けられている対応する外科用ツールの動きが、UID114の動きを模倣し得る。同様に、遠隔操作者109とUID114との間の相互作用により、例えば、外科用ツール107の把持器具の顎部を閉鎖させて患者106の組織を掴む、掴み制御信号を生成することができる。
【0021】
外科用ロボットシステム100は、いくつかのUID114を含み得、そこでは、それぞれのアーム104のアクチュエータ及び外科用ツール(エンドエフェクタ)を制御するUIDごとに、それぞれの制御信号が生成される。例えば、遠隔操作者109は、第1のUID114を動かして、左のロボットアームにあるアクチュエータ117の運動を制御し得、アクチュエータは、そのアーム104内のリンケージ、歯車などを動かすことによって応答する。同様に、遠隔操作者109によって第2のUID114の動きは、別のアクチュエータ117の運動を制御し、その運動は、ロボットシステム100の他のリンケージ、歯車などを動かす。ロボットシステム100は、ベッド又は台に固定された患者の右側の右アーム104と、患者の左側の左アーム104と、を含み得る。アクチュエータ117は、1つ又は2つ以上のモータを含み得、モータは、アーム104のジョイントの回転を駆動して、例えば、患者に対する、そのアームに取り付けられている外科用ツール107の内視鏡又は把持器具の配向を変化させるように制御される。同じアーム104内のいくつかのアクチュエータ117の運動は、特定のUID114から生成された空間状態信号によって制御することができる。UID114はまた、それぞれの外科用ツール把持器具の運動を制御することができる。例えば、各UID114は、患者106内の組織を掴むために外科用ツール107の遠位端にある把持器具の顎部を開放又は閉鎖するアクチュエータ、例えば、線形アクチュエータの運動を制御するための、それぞれの掴み信号を生成することができる。いくつかの態様では、外科用ツール把持具は外科用ステープラであり得、UID114は、外科用ステープラのジョーの開閉、並びに組織を通るステープルの解放を制御するために使用される。ユーザがUID114で外科用ツールを制御し終ったとき、ユーザは、コンソール102に位置するドッキングステーション又はUIDホルダによって、UID114をドッキング(すなわち、格納)し得る。
【0022】
いくつかの態様では、プラットフォーム105とユーザコンソール102との間の通信は、制御タワー103を通し得、制御タワーは、ユーザコンソール102から(特にコンソールコンピュータシステム116から)受信されるユーザコマンドを、ロボットプラットフォーム105上のアーム104に送信されるロボット制御コマンドに変換し得る。制御タワー103はまた、状態及びプラットフォーム105からのフィードバックをユーザコンソール102へ返信し得る。ロボットプラットフォーム105と、ユーザコンソール102と、制御タワー103との間の通信接続は、様々なデータ通信プロトコルのうちの任意の好適なものを使用して、有線及び/又は無線リンクを介し得る。任意の有線接続が、手術室の床及び/又は壁若しくは天井に任意選択的に内蔵され得る。ロボットシステム100は、手術室内のディスプレイ、並びにインターネット又は他のネットワークを介してアクセス可能である遠隔ディスプレイを含む、1つ又は2つ以上のディスプレイへのビデオ出力を提供し得る。ビデオ出力又はフィードはまた、プライバシーを確保するために暗号化され得、ビデオ出力の全て又は一部は、サーバ又は電子医療記録システムに保存され得る。
図1の手術室シーンは、例解的なものであり、特定の医療行為を正確に表し得ないことが理解されるであろう。
【0023】
ここで
図2を参照すると、
図2は、1つの例示的な外科用ツール、この場合、外科用ロボットシステムのための外科用ステープラ200の斜視図を例解する。ステープラ200は、患者の体外でのステープル留め動作中にユーザによって保持される近位端200Aと、ステープル留め動作中に患者に挿入される遠位端200Bと、を含み得る。ステープラ200は、ハンドル部分202と、シャフト部分204と、シャフト部分204に結合されたリング又は基部部分216と、リング又は基部部分216に結合されたジョー206と、を含み得る。ハンドル部分202は、患者内でジョー206を操作し、ステープル留め動作を作動させるのに好適な様々な機構(例えば、ステープル解放を作動させるための発射ハンドル)を含み得る。シャフト部分204は、ハンドル部分202をリング又は基部216及びジョー206に接続する細長い部分であり得る。シャフト部分204は、ジョー206を制御するために、ハンドル部分202からジョー206まで延びる回路又は他の構成要素を囲み得る。シャフト部分204は、患者内にジョー206を挿入し、位置決めするために使用され得る。
【0024】
ジョー206の分解図から分かるように、ジョー206は、第1のアンビル208及び第2のアンビル210を含む。第1のアンビル208は、リング216に結合された近位端208Aと、近位端208Aの遠位にある自由端である遠位端208Bと、を有し得る。第1のアンビル208は、第1のアンビル208が、開放位置(図示されるような)と閉鎖位置との間で第2のアンビル210に対して移動するように、近位端208Aの近くの枢動点(例えば、枢動ジョイント)においてリング216に移動可能に結合され得る。同様に、第2のアンビル210は、リング216に結合された近位端210Aと、近位端210Aの遠位にある自由端である遠位端210Bと、を有し得る。いくつかの態様において、第2のアンビル210は、外科用ステープラ200の比較的剛性のある固定部となるように、近位端210Aにおいてリング216に固定的に結合され得る。第2のアンビル210は、その長さに沿って延び、ステープラカートリッジ(図示せず)を保持するように寸法決めされたチャネル212を更に含み得る。ステープル留め動作中、ステープルは、第2のアンビル210内のステープラカートリッジから、第2のアンビル210と第1のアンビル208との間にクランプ又は把持された組織を通して解放(例えば、発射)され得る。代表的には、外科的ステープル留め動作の間、外科医は、所望の手術部位に達するまで、ジョー206を患者に挿入する。次いで、外科医は、ジョー206を開放位置と閉鎖位置との間で操作して、所望の手術部位において組織上にクランプする。次いで、ハンドル部分202におけるアクチュエータ(例えば、トリガ)が、外科医によって使用されて、ステープルをカートリッジからクランプされた組織の中に解放する。
【0025】
組織がステープル留めに好適であり、適切な位置にあると外科医が判定するのを容易にするために、ステープラ200は、1つ又は2つ以上のセンサ214を更に含む。1つ又は2つ以上のセンサ214を、第1のアンビル208、第2のアンビル210、及び/又はリング216に装着し得る。任意の数のセンサ214が、ステープラ200に沿った任意の数の位置において使用され得ることが企図される。1つ又は2つ以上のセンサ214は、力若しくは圧力センサ、例えば、容量センサ、又は1つ若しくは2つ以上の歪みゲージセンサ、のうちの1つ又は2つ以上を含み得る。しかしながら、所望の力及び/又は圧力情報を得るのに好適な他のタイプのセンサも企図される。センサ214から得られた情報は、ステープラ200に関連付けられた1つ又は2つ以上のプロセッサによって分析されて、(1)全クランプ力及び/若しくはその印加中心、(2)ジョーに沿ったクランプ若しくは圧力プロファイル/変動、並びに/又は(3)把持された組織の硬さを判定し得る。この情報は、ひいては、(例えば、ディスプレイ115上に)表示され得るか、又は別様に(例えば、無線で)外科医に通信若しくは提供され得る。外科医は、この情報を使用して、例えば、クランプ力がステープル留め動作を進めるのに好適であること、組織がジョー内に適切に位置決めされていること、ジョー内の組織の不規則性若しくは組織のずれ、及び/又は異物若しくは硬い腫瘍組織の存在、若しくはステープル留め動作を進めるかどうかを確認するために外科医によって使用することができる他の状態を確認し得る。
【0026】
ここで、いくつかの代表的な外科用ステープラ及びセンサ構成について、
図3~
図17を参照してより詳細に考察する。代表的には、
図3及び
図4は、その中で一体化されたセンサを有する外科用ステープラジョーの断面側面図を例解している。外科用ステープラジョー206は、
図2を参照してこれまで考察したものと同じジョーであり得、第1のアンビル208及び第2のアンビル210を含み得る。この図から、第1のアンビル208が、開放位置(図示)と閉鎖位置との間で枢動ジョイント302を中心として、第2のアンビル210に対して回転する(又は別様に移動する)ことが分かる。ステープラカートリッジ306は、第2のアンビル210に結合され得る。例えば、ステープラカートリッジ306は、
図2を参照してこれまで考察したように、第2のアンビル210のチャネルに挿入され得る。組織304は、第1のアンビル208と第2のアンビル210のステープラカートリッジ306との間でジョー206内に位置決めされて更に示される。したがって、ステープラカートリッジ306からのステープルの解放(又は発射)は、ジョー206内に保持された組織304を通過し、組織部分を一緒にステープル留めする。
【0027】
この図から、少なくとも2つのセンサ214A及び214Bが第2のアンビル210内に一体化されていることが更に分かる。センサ214A、214Bは、例えば、ジョー206が組織304上にクランプするときに、第2のアンビル210上の力又は圧力を検出する力センサであり得る。代表的には、センサ214A、214Bは、容量力センサであり得る。センサ214A、214Bは、ステープラカートリッジ306の下にあるように、第2のアンビル210のチャネル212内に装着され得る。一態様では、センサ214A、214Bは、ステープラカートリッジ306の下に位置決めされた非常に薄い容量プレートからなり得る。この態様では、センサ214A、214Bは、チャネル212によって下から、剛性ステープラカートリッジ306によって上から接続され得る。代表的には、センサ214Aは、図示されるように小さいギャップによって分離される、チャネル212内に装着された容量又は導電性プレート308A(例えば、電極)と、容量又は導電性プレート308A(例えば、電極)と、を含み得る。同様に、センサ214Bは、ギャップによって分離される、チャネル212内に装着された容量又は導電性プレート310A(例えば、電極)と、容量又は導電性プレート310B(例えば、電極)と、を含み得る。この構成は、ステープラカートリッジ306の剛性を利用する。ステープラカートリッジ306が設置された後に、センサ再バイアスが更に使用され得る。この態様は、カートリッジ設置の瞬間が検出できる場合、自動化され得ることに留意されたい。第1のアンビル208が、第2のアンビル210に対して開放位置(
図3)から閉鎖位置(
図4)に移動されると、その中で圧縮された組織304からの圧力が、センサ214A、214Bによって検出され、この情報に基づいて、対応する組織力(Ftissue)を判定することができる。
【0028】
センサ214A、214Bは、異なる既知の位置又は場所において第2のアンビル210内で一体化され得、それにより、異なる圧力及び/又は力の読み取り値が検出され、ステープル留め動作に関連付けられる特性、例えば、クランプ力、その印加中心、ジョーに沿ったクランプ力プロファイル/変動、及び/又はクランプされた組織層の硬さを判定するために使用することができる。この特性又は情報は、ひいては、外科医に表示され、状態がステープル留めを進めるのに好適であるかどうかを判定するために使用され得る。更に別の態様では、ステープル留め動作は、検出された情報に応じて自動的に防止され得る。代表的には、センサ214Aは、第2のアンビル210の近位端210Aの近くの既知の位置又は場所に装着され得る。センサ214Bは、第2のアンビル210の遠位端210Bの近くの既知の位置又は場所に装着され得る。この態様では、第2のアンビル210に沿った2つの異なる既知の場所における圧力又は力の読み取り値が検出される。次いで、センサ214A、214Bからの2つの力読み取り値を分析して、ジョーの全把持力及び/又は力印加中心の場所を判定することができる。この情報は、ひいては、外科医がステープラ200で把持している組織を識別するのに役立ち、組織の不適切なステープル留めを回避するのに役立つように、外科医によって使用され得る。
【0029】
いくつかの態様では、感知アルゴリズムは、センサ214A、214Bによって得られた力又は圧力情報を分析するために、ロボット外科用ステープラ200に関連付けられた1つ又は2つ以上のプロセッサによって使用され得る。ここで、使用され得る代表的な感知アルゴリズムを、
図4及び
図5、並びに以下の式を参照して詳細に説明する。代表的には、
図5に開示される処理動作500から分かるように、基部容量センサ(例えば、センサ214A)及び先端容量センサ(例えば、センサ214B)からの読み取り値は、動作502において得られる。加えて、動作504において、ステープラカートリッジ306の設置が検出される。設置が検出されると、各センサ214A、214Bのゼロ力(ベースライン)読み取り値が確立される(例えば、C10及びC20)。いくつかの態様では、カートリッジ306の設置は、カートリッジ306及びステープラチャネル212の内側に位置する磁石ホールセンサ対によって自動的に検出することができる。その後、動作506において、ベースライン読み取り値からの各キャパシタンス値の変化が継続的に計算される。較正定数(例えば、K1及びK2)は、動作508において判定され、容量シフト(例えば、ΔC1及びΔC2)は、動作510において、各センサの較正定数(例えば、K1及びK2)と乗算されて、ジョー206の遠位端208B及び近位端206Aにおける力(例えば、F1及びF2)を計算する。動作512において結果として生じる計算された力の値(F1及びF2)、動作514におけるセンサの幾何学的形状(アンビルに沿ったセンサの物理的場所(L1及びL2))、及びジョーの枢動ジョイントの周りのトルクバランスに基づいて、全把持力及び力の集中点が、以下の式(1)及び(2)を使用して、動作516において計算される。
F
tissue=F1+F2
X
tissue=L1+(F2/(F1+F2))
*L2
【0030】
代表的には、力F1及びF2の合計は、以下の式(1)によって示されるように、全組織クランプ力(Ftissue)を提供する。
Ftissue=F1+F2
【0031】
力の印加中心は、以下の式(2)によって示されるように判定され得る。
Xtissue=L1+(F2/(F1+F2))*L2
【0032】
例えば、
図4に戻ると、センサ214Aから判定された力値(F1)及びセンサ214Bから判定された力値(F2)は、全クランプ力(Ftissue)を得るために一緒に加算される。近位端におけるセンサ214A(例えば、基部容量センサ)の場所(L1)は既知であり、遠位端におけるセンサ214B(例えば、先端容量センサ)の場所(L2)も既知である。同じ回転点(アンビルと基部との間のヒンジ)におけるモーメントが使用され、センサの幾何学形状が既知である場合、力の印加中心(Xtissue)は、上記の式を使用して判定することができる。
図4の代表的な例解図から分かるように、力の印加中心(Xtissue)は、近位端210Aよりも遠位端210Bに近くなるように判定される。この情報は、外科医に表示され得、外科医は、この情報を使用して、ステープル留めを進めるべきかどうかを判定し得る。例えば、外科医は、この情報に基づいて、組織304が中心にないこと、例えば、組織304が、近位端よりも遠位端に近いことを判定し得る。ステープル留めが進行する場合、近位端210Aの近くで解放されたステープルは、いかなる組織にも接触しない場合がある。したがって、この情報に基づいて、外科医は、ステープル留めを進めることができず、適切なステープル留めを確実にするために組織304を再び中心に置くべきであると判定し得る。
【0033】
ここで
図6を参照すると、
図6は、その中で一体化されたセンサを有する外科用ステープラジョーの別の態様の断面側面図を例解する。外科用ステープラジョー206は、
図2~
図4を参照してこれまで考察したものと同じジョーであり得、第1のアンビル208及び第2のアンビル210を含み得る。第1のアンビル208は、開放位置(図示)と閉鎖位置との間で枢動ジョイント302を中心として第2のアンビル210に対して回転する(又は別様に移動する)。ステープラカートリッジ306は、これまで考察したように、第2のアンビル210に結合され得る。組織304は、第1のアンビル208と第2のアンビル210のステープラカートリッジ306との間のジョー206内に位置決めされて更に示されている。したがって、ステープラカートリッジ306からのステープルの解放(又は発射)は、ジョー206内に保持された組織304を通過し、組織部分を一緒にステープル留めする。
【0034】
この図から、センサ214A、214B、214C、214D、及び214Eのアレイが、第2のアンビル210内に一体化されていることが更に分かる。センサ214A~214Eは、例えば、ジョー206が組織304上にクランプするときに、第2のアンビル210上の力又は圧力を検出する力センサであり得る。代表的には、センサ214A~214Eは、離散的であるか、又は別様に互いに分離していると考えられる容量力センサであり得る。センサ214A~214Eの各々は、それらがステープラカートリッジ306の下にあるように、第2のアンビル210のチャネル212内に装着され得る。例えば、センサ214A~214Eは、ステープラカートリッジ306の下に位置決めされた非常に薄い容量又は導電性プレート(例えば、電極)を含み得る。代表的には、センサ214Aは、一対のプレート308A、308Bを含み得、センサ214Bは、プレート310A、310Bを含み得、センサ214Cは、一対のプレート312A、312Bを含み得、センサ214Dは、一対のプレート314A、314Bを含み得、センサ214Eは、一対のプレート316A、316Bを含み得る。プレート308A、310A、312A、314A、316Aは、容量性感知を可能にするために、ギャップによってそれらのそれぞれのプレート対308B、310B、312B、314B、316Bから分離され得る。例えば、プレート308A、310A、312A、314A、316Aは、第2のアンビル210内のチャネル212の底面に装着され得る。プレート308B、310B、312B、314B、316Bは、底部上に位置決めされたプレートと整列され、それに面するように、第2のアンビル210の反対側に装着され得る。
【0035】
センサ214A~214Eの各々は、ジョー206に沿った力分布プロファイルを判定するために使用することができるように、既知の位置又は場所において第2のアンビル210に沿って均等に離間され得る。この情報は、ひいては、ステープル留めを進めるべきかどうかを判定するために外科医に表示され得るか、又は別様に提供され得る。例えば、この力分布プロファイルは、局所的な硬さを検出し得るか、又は別様にジョー206に対する圧力が均一でないことを検出し得る。この情報に基づいて、外科医は、組織304内に塊(例えば、がん又は他の不純物)があるか、又はジョー206内に異物があるかを判定し得、したがって、組織304のステープル留めを進めるべきではないと判定し得る。
【0036】
感知アルゴリズムは、センサ214A~214Eによって得られた力又は圧力情報を分析するために、ロボット外科用ステープラ200に関連付けられた1つ又は2つ以上のプロセッサによって使用され得る。ここで、使用され得る1つの代表的な感知アルゴリズムを、これまで考察した式(1)及び(2)、並びに
図7を参照して詳細に説明する。代表的には、
図7に開示される処理動作700から分かるように、容量センサアレイ(例えば、センサ214A~214E)からの読み取り値は、動作702において得られる。加えて、ステープラカートリッジ306の設置は、動作704において検出され得る。先のアルゴリズムと同様に、各力センサは、動作704におけるカートリッジ設置後に、個別に再バイアスされ得る。次いで、動作708において、動作706において判定された各センサの較正定数(例えば、K1、K2、...、Kn)を乗算することにより、動作708において、ベースライン読取値からの容量変化が各センサに対する力値(F1、F2、...、Fn)に変換される。動作710において例解される結果として生じる計算された力値(F1、F2、...、Fn)、及び動作712におけるセンサの幾何学的形状(例えば、センサの場所)に基づいて、アンビル表面に沿った力分布マップが、動作714において生成される。個々のセンサ読み取り値の合計が、全把持力又はクランプ力となる。力の集中は、力分布マップに基づいて監視することができる。力の集中がある領域で別の領域より高いことが判明したとき、その領域は局所的な硬さ(例えば、腫瘍)を含むか、又はおそらく異物がその領域に存在し、その領域ではステープル留めを進めるべきではないと判定することができる。
【0037】
ここで
図8及び
図9を参照すると、
図8及び
図9は、その中で一体化されたセンサを有する外科用ステープラジョーの別の態様の断面側面図を例解する。外科用ステープラジョー206は、
図2を参照してこれまで考察したものと同じジョーであり得、第1のアンビル208及び第2のアンビル210を含み得る。この図から、第1のアンビル208が、開放位置(図示)と閉鎖位置との間で枢動ジョイント302を中心として、第2のアンビル210に対して回転する(又は別様に移動する)ことが分かる。図示されていないが、ステープラカートリッジ(例えば、ステープラカートリッジ306)は、第2のアンビル210に結合され得る。組織304は、第1のアンビル208と第2のアンビル210との間でジョー206内に位置決めされて更に示される。したがって、ステープラカートリッジ(図示せず)からのステープルの解放(又は発射)は、ジョー206内に保持された組織304を通過し、組織部分を一緒にステープル留めする。
【0038】
この図から、少なくとも2つのセンサ214A及び214Bが、第1のアンビル208内に形成されたチャネル812内に一体化されていることが更に分かる。センサ214A、214Bは、この構成において、それらが第2のアンビル210の代わりに、第1のアンビル208内に装着されることを除いて、以前の構成を参照して説明されたものと同じセンサであり得る。例えば、センサ214A~Bは、ジョー206が組織304上にクランプするときに、第1のアンビル208にかかる力又は圧力を検出する力センサであり得る。代表的には、センサ214A、214Bは容量力センサであり得る。例えば、センサ214A、214Bは、チャネル812の上面及び下面に沿って位置決めされた薄い容量プレート308A、308B及び310A、310Bからなり得る。代表的には、センサ214Aは、チャネル212内に装着され、図示されるように小さいギャップによって分離される、第1の容量又は導電性プレート308A及び第2の容量又は導電性プレート308Bを含み得る。同様に、センサ214Bは、チャネル212内に装着され、小さいギャップによって分離される、第1の容量又は導電性プレート310A(例えば、電極)及び第2の容量又は導電性プレート310B(例えば、電極)を含み得る。この構成は、第1のアンビル208の剛性を利用する。第1のアンビル208が、第2のアンビル210に対して開放位置(
図8)から閉鎖位置(
図9)に移動されると、その中で圧縮された組織304からの圧力が、センサ214A、214Bによって検出され、この情報に基づいて、対応する組織力(Ftissue)を判定することができる。
【0039】
センサ214A、214Bは、異なる既知の位置又は場所において第1のアンビル208内で一体化され得、それにより、異なる圧力及び/又は力の読み取り値が検出され、例えば、クランプ力、その印加中心、ジョーに沿ったクランプ力プロファイル/変動、及び/又はクランプされた組織層の硬さを判定するために使用することができる。代表的には、センサ214Aは、第2のアンビル210の近位端208Aの近くの既知の位置又は場所に装着され得る。センサ214Bは、第1のアンビル208の遠位端210Bの近くの既知の位置又は場所に装着され得る。この態様では、第1のアンビル208に沿った2つの異なる既知の場所における圧力又は力の読み取り値が検出される。次いで、センサ214A、214Bからの2つの力読み取り値を分析して、ジョーの全把持力及び/又は力印加中心の場所を判定することができる。この情報は、ひいては、外科医がステープラ200で把持している組織を識別するのに役立ち、組織の不適切なステープル留めを回避するのに役立つように、外科医によって使用され得る。
【0040】
図3~
図5を参照してこれまで考察した感知アルゴリズム及び処理動作を使用して、センサ214A、214Bによって得られた力又は圧力情報を分析し得る。代表的には、以下のこれまで考察した式(1)及び(2)を使用して、力F1及びF2の合計は、以下の式(1)によって示されるように、全組織クランプ力(Ftissue)を提供する。
F
tissue=F1+F2
【0041】
力の印加中心は、以下の式(2)によって示されるように判定され得る。
Xtissue=L1+(F2/(F1+F2))*L2
【0042】
例えば、
図9に例解されるように、センサ308から判定された力値(F1)及びセンサ310から判定された力値(F2)は、全クランプ力(Ftissue)を得るために一緒に加算される。近位端におけるセンサ214A(例えば、基部容量センサ)の場所(L1)は既知であり、遠位端におけるセンサ214B(例えば、先端容量センサ)の場所(L2)も既知である。同じ回転点(アンビルと基部との間のヒンジ)におけるモーメントが使用され、センサの幾何学形状が既知である場合、力の印加中心(Xtissue)は、式(2)を使用して判定することができる。
図8の代表的な構成から分かるように、比較的開いたジョーの位置では、力の印加中心(Xtissue)は、遠位端208Bよりも近位端208Aに近いと判定される。しかしながら、ジョーが閉じて組織を圧迫している
図9では、力の印加中心(Xtissue)は、近位端208Aよりも遠位端208Bに近いと判定される。この情報は、外科医に表示され得、外科医は、この情報を使用して、ステープル留めを進めるべきかどうかを判定し得る。例えば、外科医は、
図8の印加力の中心(Xtissue)に基づいて、組織304がステープル留めを進めるために適切に位置決めされていないことを判定し得るが、
図9では、組織304がジョー206内に適切に位置決めされ、ステープル留めが進められ得る。
【0043】
ここで
図10及び
図11を参照すると、
図10は、その中に一体化されたセンサを有する外科手術ステープラジョーの別の態様の断面側面図を例解し、
図11は、ジョーに沿った代表的な圧力分布プロファイルを例解する。外科用ステープラジョー206は、これまで考察したジョーと実質的に同一であり得、第1のアンビル208及び第2のアンビル210を含み得る。第1のアンビル208は、開放位置(図示)と閉鎖位置との間で枢動ジョイント302を中心として第2のアンビル210に対して回転する(又は別様に移動する)。ステープラカートリッジ306は、これまで考察したように、第2のアンビル210に結合され得る。組織304は、第1のアンビル208と第2のアンビル210のステープラカートリッジ306との間のジョー206内に位置決めされて更に示されている。したがって、ステープラカートリッジ306からのステープルの解放(又は発射)は、ジョー206内に保持された組織304を通過し、組織部分を一緒にステープル留めする。
【0044】
この図から、センサ214A、214B、214C、及び214Dのアレイが、第1のアンビル208内に一体化されていることが更に分かる。センサ214A~214Dは、例えば、この構成では、力センサ214A~214Dが第1のアンビル208に装着されていることを除いて、
図6を参照してこれまで考察したような力センサのアレイであり得る。代表的には、センサ214A~214Dは、離散的であるか、又は別様に互いに分離していると考えられる容量力センサであり得る。センサ214A~214Dの各々は、第1のアンビル208のチャネル212内に装着され得る。例えば、センサ214A~214Dは、第1のアンビル208の対向する接合面に装着された容量又は導電性プレート(例えば、電極)を含み得る。代表的には、センサ214Aは、一対のプレート308A、308Bを含み得、センサ214Bは、プレート310A、310Bを含み得、センサ214Cは、一対のプレート312A、312Bを含み得、センサ214Dは、一対のプレート314A、314Bを含み得る。プレート308A、310A、312A、314Aは、容量感知を可能にするために、それぞれのプレート対308B、310B、312B、314Bからギャップによって分離され得る。例えば、プレート308A、310A、312A、314Aは、第1のアンビル208内のチャネル212の底面に装着され得る。プレート308B、310B、312B、314Bは、底部に位置決めされたプレートと整列され、それに面するように、第1のアンビル208の反対側に装着され得る。センサ214A~214Dは、局所的なノード力を測定し得、この手法では、アンビルチャネル212の表面は、セグメント化され、感応され得る。組織304が圧縮されると、各セグメントは、わずかに異なるレベルの圧縮荷重を経験し、したがって変形する。感知領域の感度及び剛性は、アンビルの表面に沿った任意の変形を考慮して最適化され得る。センサ214A~214Dの各々は、ジョー206に沿った力分布プロファイルを判定するために使用することができるように、既知の位置又は場所において第1のアンビル208に沿って均等に離間され得る。この情報は、ひいては、ステープル留め動作中に使用され得る情報を判定するために外科医に表示され得るか、又は別様に提供され得る。例えば、この力分布プロファイルは、これまで考察したように、局所的な硬さを検出し得るか、又は別様にジョー206に対する圧力が均一でないことを検出し得る。
【0045】
図6及び
図7を参照してこれまで考察した感知アルゴリズム及び処理動作は、
図11に例解するように、ジョー206に沿った力又は圧力分布プロファイルを判定するために使用し得る。代表的には、式(1)を使用して、局所的な力測定値(例えば、Ftissue1、Ftissue2、Ftissue3、及びFtissue4)が、
図10に示されるようなセンサ214A~214Dの場所において判定される。これらの局所的な力測定に基づいて、アンビル表面に沿った力分布マップ1100が、
図11に示されるように生成される。力分布マップ1100は、外科医に表示され、ステープル留め動作中にジョーに沿った力の集中を監視するために使用され得る。代表的には、力分布マップ1100に基づいて、(センサ214Aの場所に対応する)点1102A、(センサ214Bの場所に対応する)点1102B、(センサ214Cの場所に対応する)点1102C、及び(センサ214Dの場所に対応する)点1102Dにおける力の集中が変化することが理解できる。例えば、力の集中は、点1102Cで急上昇するように見え、センサ214Cの場所において組織の硬さ又は組織の異常があり得ることを示唆する。力の集中がある領域で別の領域(例えば、センサ214Cの場所及び/又はセンサ214Aの場所)より高いことが判明したとき、その領域が腫瘍を含み得るか、又はおそらく異物がその領域に存在し、そのため、その領域ではステープル留めを進めるべきではないと判定することができる。
【0046】
ここで
図12~
図15を参照すると、
図12~
図15は、その中に一体化されたセンサと、センサ情報を分析するための例示的な処理動作及び/又はアルゴリズムと、を有する、外科用ステープラジョーの別の構成の断面側面図を例解する。ここで
図12を参照すると、外科用ステープラジョー206は、
図2を参照してこれまで考察したジョーと同様であり得、第1のアンビル208及び第2のアンビル210を含み得る。この図から、第1のアンビル208が、開放位置(図示)と閉鎖位置との間で枢動ジョイント302を中心として、第2のアンビル210に対して回転する(又は別様に移動する)ことが分かる。ステープラカートリッジ306は、第2のアンビル210に結合され得る。例えば、ステープラカートリッジ306は、
図2を参照してこれまで考察したように、第2のアンビル210のチャネルに挿入され得る。組織304は、第1のアンビル208と第2のアンビル210のステープラカートリッジ306との間でジョー206内に位置決めされて更に示される。したがって、ステープラカートリッジ306からのステープルの解放(又は発射)は、ジョー206内に保持された組織304を通過し、組織部分を一緒にステープル留めする。
【0047】
この図から、少なくとも2つのセンサ1214A及び1214Bが第2のアンビル210内に一体化されていることが更に分かる。この構成では、センサ1214A、1214Bは、例えば、第1のアンビル206に装着されたそれぞれの磁石1202及び1204と対にされたホール効果センサであり得る。代表的には、センサ1214Aは、第2のアンビル210の近位端210Aに装着され得、第1のアンビル208の近位端208Aに装着された磁石1202と整列され得る。センサ1214Bは、第2のアンビル210の遠位端210Bに装着され得、第1のアンビル208の遠位端208Bに装着された磁石1204と整列され得る。加えて、センサ1206は、リング216に装着され得、これまで考察したように、ジョー206をシャフト204に接続する。センサ1206は、以前の構成を参照して考察したように、容量力センサであり得る。磁石1202、1204及びセンサ1206と対になったセンサ1214A~Bの各々から得られた情報は、アンビルにおける間接的な力測定値を判定するために使用され得る。代表的には、ジョー206を閉じるために、第1のアンビル208は、リング216を前方に(例えば、遠位端208B、210Bに向かって)押すことによって下方に移動され、アンビル208に印加される把持力及び組織抵抗と相関する圧縮応力をリング216にかける。したがって、リング216上の容量力センサ1206は、作動リング216上の1-DOF軸方向荷重を測定する。代表的には、リング216における容量力センサ1206は、第1のアンビル208を押し下げるためにリング216に印加される累積圧縮荷重を測定する。したがって、この圧縮荷重は、ジョー206が閉じるにつれて増加する。磁石ホールセンサ対1214A~B、1202~1204は、基部(例えば、ジョー近位端)及び先端(例えば、ジョー遠位端)における開口部を測定する。ジョー206が閉じるとき、組織304からの抵抗が大きすぎる場合、第1のアンビル208が変形し、これにより、磁石ホールセンサ対1214A~B、1202~1204によって測定される先端開口部と基部開口部との間の不一致が引き起こされる。更に、センサ1206によって検出される力は、急速に上昇する。この情報は、ひいては、ジョー206内の異物又は硬い組織不純物を検出するのに役立ち得る。
【0048】
ここで、
図12のセンサ構成を使用して得られた情報を分析するための代表的な処理動作及びアルゴリズムについて、
図13を参照してより詳細に説明する。代表的には、プロセス1300から分かるように、このアーキテクチャでは、先端及び基部ホールセンサ対(例えば、磁石ホールセンサ対1214A~B、1202~1204)は、動作1302においてセンサ情報を出力する。特に、第1のアンビル208が閉じるにつれて、第1のアンビル208は、組織圧縮力の下で変形する。先端ホールセンサ対(例えば、1214B、1204)は、先端(例えば、遠位端208B、210B)における第1のアンビル208と第2のアンビル210との間の距離に対応する第1の距離値を出力する。同様に、基部ホールセンサ対(例えば、1214A、1202)は、基部(例えば、近位端208A、210A)における第1のアンビル208と第2のアンビル210との間の距離に対応する第2の距離値を出力する。これらの2つの距離に基づいて、かつそれらを第1のアンビル208の変形していない幾何学的形状知識と比較することによって、アンビルの変形(Δy)は、動作1304において連続的に検出することができる。アンビル変形(Δy)は、組織力(F)及び基部ジョイント(例えば、枢動ジョイント302)からのその集中距離(x)の関数としてモデル化することができ、これらの両方は未知数であり、動作1306において以下の変形モデルを使用して計算することができる。
g(Δy,x,F)=0
【0049】
変形モデルに加えて、リング216上の力センサ1206によって感知された作動リング上の圧縮力(f)が、動作1308において提供される。次いで、組織圧縮力(F)と、ツールシャフト上の力センサによって感知された作動リング上の圧縮力(f)との間の相関を確立するステープラ閉鎖機構上の力平衡方程式が、動作1310において適用され得る。動作1310における代表的なツール作動トルクバランスモデル式は、以下の通りであり得る。
h(f,x,F)=0
【0050】
アンビルの変形(Δy)及び圧縮力(f)の値は、それぞれ、一体化されたホールセンサ及び力センサによって連続的に更新されるが、動作1306及び1310におけるアルゴリズムは、動作1312において、全組織把持力(F)を計算し、その集中点(x)を位置特定するために同時に使用できることが理解されるべきである。
【0051】
ここで、
図12及び
図13のステープラセンサ構成を使用する1つの代表的な計算について、
図14及び
図15、並びに以下の式を参照して詳細に考察する。代表的には、アンビル208は、梁(x)に沿った何らかの不明な点に位置する何らかの不明な集中荷重(組織圧縮力F)を有する片持ち梁に構造的に単純化され得、周知の梁撓み式を使用して、その先端におけるその撓み(Δy)をモデル化する。例えば、以下の最大撓み式が既知である。
【0052】
【数1】
式中、Eは、弾性係数であり、Iは、慣性モーメントであり、Lは、アンビルの全長であり、xは、ステープラの回転ジョイントからの力集中点の距離であり、Fは、アンビルに印加される力である。この式は、以下の形式の関数を得るために再構成することができる。
【0053】
【0054】
この式において、Δyは、ホールセンサによって提供される能動的に測定された(既知の)量である。例えば、
図14に示されるように、通常のアンビル形状(例えば、変形されていない)は、開口距離(D2)を有する。アンビルが圧縮中の組織力によって変形すると、ホールセンサは、開口距離(D2’)を測定する。Δyは、D2とD2’との間の差に対応し得る。次いで、これらのセンサがアンビル上のどこに位置しているか(
図14のS1及びS2)、及び各ホールセンサによって測定された開口距離(
図14のD1及びD2’)の事前知識に基づいて、アンビルの変形を、以下のように計算することができる。
【0055】
【0056】
また、
図15に示されるように、ジョー206の作動ジョイント302上のトルクバランスは、以下の関係を意味する。
【0057】
【数4】
式中、fは、リング216上の容量センサ(例えば、センサ1206)によって感知される力であり、rは、アンビル208、210の閉鎖を提供する枢動ジョイント302の半径である。この式は、以下の形式の関数を得るために再構成することができる。
【0058】
【0059】
これらの2つの方程式は、力集中点xについて解くために、以下の二次方程式を有するように再構成することができる。
【0060】
【0061】
xを求めた後、それをh(f,x,F)に代入し、以下のように全クランプ力(F)を計算する。
【0062】
【0063】
したがって、これまで考察したアンビル変形及びバランスモデル方程式からの未知数(F,x)を同時に解いて、全組織圧縮力(F)を計算し、プロセス1300の動作1312においてその集中点(x)を位置特定することができる。
【0064】
ここで
図16及び
図17を参照すると、
図16及び
図17は、その中に一体化されたセンサと、センサ情報を分析するための例示的な処理動作及び/又はアルゴリズムと、を有する、外科用ステープラジョーの別の構成の断面側面図を例解する。代表的には、外科用ステープラジョー206は、
図2を参照してこれまで考察したものと同じジョーであり得、第1のアンビル208及び第2のアンビル210を含み得る。この図から、第1のアンビル208が、開放位置(図示)と閉鎖位置との間で枢動ジョイント302を中心として、第2のアンビル210に対して回転する(又は別様に移動する)ことが分かる。ステープラカートリッジ(例えば、ステープラカートリッジ306)は、第2のアンビル210に結合され得る。組織304は、第1のアンビル208と第2のアンビル210との間でジョー206内に位置決めされて更に示される。したがって、ステープラカートリッジ(図示せず)からのステープルの解放(又は発射)は、ジョー206内に保持された組織304を通過し、組織部分を一緒にステープル留めする。
【0065】
この図から、センサ214が第1のアンビル208に装着されていることが更に分かる。この構成では、センサ214は、抵抗歪みゲージセンサ又は光学歪みゲージセンサ(例えば、マルチコアファイバブラッグ格子)のアレイであり得る。センサ214は、第1のアンビル208の上面又は内面上に装着され得る。例解された構成では、センサ214は、第1のアンビル208の上面に装着されている。センサ214は、近位端208Aから遠位端208Bまで表面全体に沿って延在し得る。センサ214内の歪みゲージの各々は、第1のアンビル208上の局所変形を測定する。局所的な変形(歪み)データを組み合わせて、次いで、アンビルの変形形状が判定される。アンビルの幾何学的形状及びモデルの知識があれば、有限要素解析(finite element analysis、FEA)を通じて、様々な場所及びレベルの把持力下でのアンビル214の変形をモデル化することができる。器具を使用する前に、異なる力のレベル及び場所の多数のシナリオに基づいて、有限要素解析(FEA)シミュレーションにより、訓練データセットを形成することができる。臨床使用中には、データセットを使用して、(歪みゲージから)感知された変形を、印加された全力の大きさ及び集中点に逆マッピングすることができる。これは、ディープラーニングモデルを訓練し、使用することによって達成することができる。
【0066】
図17は、
図16のステープラ/センサ構成を使用する代表的な処理動作及び/又はアルゴリズムを例解する。代表的には、プロセス1700は、動作1702において例解するようなモデル訓練を含み得る。モデル訓練は、動作1702Aにおける力の場所及び大きさのシナリオ、動作1702Bにおける有限要素解析、及び動作1702Cにおけるシミュレートされた変形を考慮に入れる場合がある。加えて、プロセス1700は、動作1704において、アンビルの局所的な変形に関する歪みゲージアレイ情報を提供することを含み得る。次いで、この情報は、動作1708において力の大きさ及び場所を判定するために、動作1702において訓練モデルによって開発されたディープラーニングモデルを使用して、動作1706において分析され得る。プロセス1700によって得られた情報は、ひいては、外科医に表示されるか、又は別様に外科医によって使用され、ステープル留め動作を進めるかどうかを判定し得る。
【0067】
外科用ステープラのためのいくつかの異なるセンサ構成及び配置が本明細書に開示されるが、開示されるセンサ構成又は配置のうちの任意の1つ又は2つ以上が、単独で、又は組み合わせて使用され得ることを理解されたい。例えば、
図16の歪みゲージアレイセンサ214の構成は、他のセンサ構成のうちの1つ又は2つ以上と組み合わせて使用され得る。例えば、歪みゲージセンサアレイは、
図16に説明されるように、第1のアンビル208に結合され得、1つ又は2つ以上の力センサ(例えば、容量センサ)は、
図3~
図7に説明されるように、第2のアンビル210に結合され得る。
【0068】
更に、本明細書に開示される全てのセンサ構成に関して、電源及びBluetooth送信機を器具ハンドル内に位置させることにより、Bluetoothを介して生データを集中プロセッサ(例えば、中央PC)に無線送信することができる。センサデータは、中央処理PCによって取得された後、提示されたアルゴリズム及び/又は他のAIモデルへの入力として使用されて、様々な臨床的に重要な事象を検出し、警告又はアラートをオペレータに割り当て、かつ/又は外科処置を支援するためにいくつかの方法で自動アクションを取ることができる。例えば、検出された合計力がある特定の閾値を下回っている場合、適切なステープル留めを確実にするのに十分にしっかりと組織がクランプされていないと判定され得る。検出された力レベルが低い場合、警告又はアラートをオペレータに表示することができる。警告又はアラートは、光の点滅、ディスプレイ上で問題を説明するテキスト、又は同様の視覚的警告又はアラートであり得る。代替的に、警告又はアラートは、外科医に対する振動又は他の物理的合図などの触覚警告又はアラートであり得る。手動で操作する場合、検出された把持力が十分でないことが判明した場合、ステープル発射を自動的に防止することができる。
【0069】
代替的に、力がジョーに沿って中心に位置しない場合、これは、組織が、ステープル留めのためにステープル留め表面の先端又は基部のいずれかに近すぎることを意味し得る。感知された集中点に基づいて、組織がジョーに沿って中心に位置していない場合、警告をオペレータに表示することができる。加えて、力集中点の場所をリアルタイムで示すマップが、ディスプレイ上に示され、外科医が把持具間の組織を手動でより良好に整列させることに役立つことができる。代替的に、ロボット器具である場合、組織の感知された位置(力集中点)に基づいて、力が中心に集中するように、組織/ツール整合を自動的に調節するようにロボットを命令することができる。
【0070】
なお更に、力の大きさの経時的変化率及び力の集中位置の経時的変化率を監視して、把持された組織(より硬い腫瘍など)及び/又はプラスチック/金属クランプの不均一性を検出することができる。力及び力集中点が徐々に変化することが予想される。しかしながら、力レベルが突然上昇し、かつ/又は力集中点が突然シフトする場合、これは、ステープラのジョー間の不純物を示唆する場合がある。そのような不純物が把持された組織に存在する場合、警告をオペレータに表示することができ、ステープルの発射を能動的に防止することができる(ロボットケースの場合、発射機能を無効にする)。
【0071】
加えて、把持力及び把持具の閉鎖の変化を継続的に監視することによって、把持具間の組織の全体的硬さを、リアルタイムで計算することができる(k=ForceChange/変位)。検出された組織の硬さは、様々な方法で使用することができ、組織タイプをオペレータに知らせることができ、硬さの予想範囲と比較し、把持された組織を任意の異常に対して検査するために使用することができ、把持された組織内部の腫瘍及び/又は不純物(異物)を検出するのに役立つ。
【0072】
図18は、これまで考察した動作のうちの任意の1つ又は2つ以上を実施するように動作可能である、外科用ロボットシステムのコンピュータ部分のブロック図である。例示的な外科用ロボットシステム1800は、ユーザコンソール102と、外科用ロボット120と、制御タワー103と、を含み得る。外科用ロボットシステム1800は、他の又は追加のハードウェア構成要素を含み得る。したがって、図は、例として提供されるものであり、このシステムアーキテクチャーへの限定ではない。
【0073】
上で説明されるように、ユーザコンソール102は、コンソールコンピュータ1811と、1つ又は2つ以上のUID1812と、コンソールアクチュエータ1813と、ディスプレイ1814と、フットペダル1816と、コンソールコンピュータ1811と、ネットワークインターフェース1818と、を含み得る。加えて、ユーザコンソール102は、システムの動作に必要とされる様々な外科的条件(例えば、UIDの配向、ディスプレイに対する外科医の配向、コンソールシートの配向など)を検出するためのいくつかの構成要素、例えば、UIDトラッカ1815、ディスプレイトラッカ1817、及びコンソールトラッカ1819を含み得る。ユーザコンソール102に着座しているユーザ若しくは外科医は、ユーザコンソール102の人間工学的な設定を手動で調節することができ、又は設定は、ユーザプロファイル若しくは選好に従って自動的に調節することができることが更に理解されるべきである。手動調節及び自動調節は、ユーザ入力又はコンソールコンピュータ1811によって記憶された構成に基づいて、コンソールアクチュエータ1813を駆動することを通じて達成され得る。ユーザは、1つ又は2つ以上のマスタUID1812及びフットペダル1816を使用して外科用ロボット120を制御することによってロボット支援手術を実施し得る。UID1812の位置及び配向は、UIDトラッカ1815によって連続的に追跡され、状態の変化は、コンソールコンピュータ1811によってユーザ入力として記録されて、ネットワークインターフェース1818を介して制御タワー103に送られる。患者の解剖学的構造のリアルタイム外科用ビデオ、器具、及び関連するソフトウェアアプリケーションは、開放型又は没入型ディスプレイを含む、高解像度3Dディスプレイ1814上でユーザに提示することができる。
【0074】
ユーザコンソール102は、制御タワー103に通信可能に結合され得る。ユーザコンソールはまた、改善された人間工学のための追加的な特徴も提供する。例えば、ユーザコンソールは、開放型ディスプレイを含むオープンアーキテクチャシステムであり得るが、場合によっては、没入型ディスプレイが提供され得る。更に、改善された人間工学のために、外科医のための高度に調節可能なシート及び電磁又は光トラッカを通じて追跡されるマスタUIDがユーザコンソール102に含まれる。
【0075】
制御タワー103は、タッチスクリーンディスプレイ、外科医のロボット支援型の器具の操作を制御するコンピュータ、安全システム、グラフィカルユーザインターフェース(graphical user interface、GUI)、光源、並びにビデオ及びグラフィックコンピュータを収容する、治療現場移動カートとすることができる。
図18に示されるように、制御タワー103は、少なくとも視覚化コンピュータ、制御コンピュータ、及び補助コンピュータを含む中央コンピュータ1831と、チームディスプレイ及び看護師ディスプレイを含む様々なディスプレイ1833と、制御タワー103をユーザコンソール102及び外科用ロボット120の両方に結合するネットワークインターフェース1838と、を含み得る。制御タワー103は、看護師ディスプレイタッチスクリーン、ソフトパワー及びE-ホールドボタン、ビデオ及び静止画像のためのユーザフェーシングUSB、並びに電子キャスタ制御インターフェースなどの、ユーザの利便性のための追加的な特徴を提供し得る。補助コンピュータはまた、リアルタイムLinuxを実行し得、ロギング/監視、及びクラウドベースのウェブサービスとの相互作用を提供し得る。
【0076】
外科用ロボット120は、標的の患者の解剖学的構造の上に位置決めすることができる複数の一体型ロボットアーム1822を備えた、手術台1824を含み得る。外科用ステープラ1823は、アーム1822の遠位端に取り付けること、又はそこから取り外すことができ、外科医が、様々な外科処置を実施することを可能にする。外科用ステープラ1823は、
図2~
図17を参照してこれまで考察したように、その中に一体化されたセンサを有する外科用ステープラのうちの任意の1つ又は2つ以上であり得る。外科用ロボット120はまた、アーム1822、台1824、及びツール1823の手動又は自動制御のための制御インターフェース1825も備え得る。制御インターフェースは、限定されないが、遠隔制御装置、ボタン、パネル、及びタッチスクリーンなどのアイテムを含むことができる。システムによって処置を実施するために、トロカール(スリーブ、シールカートリッジ、及び閉塞具)及びドレープなどの他の付属品も必要であり得る。いくつかの変形例では、複数のアーム1822は、各側に2つのアームを備えた、手術台1824の両側に装着された4つのアームを含む。ある特定の外科処置の場合、台の一方の側に装着されたアームは、台及び他方の側に装着されたアームの下に伸ばして交差させることによって、台の他方の側に位置決めすることができ、これにより合計で3つのアームが台1824の同じ側に位置決めされる。外科用ツールはまた、台のコンピュータ1821及びネットワークインターフェース1828も備えることができ、これらは、外科用ロボット120を制御タワー103と通信させることができる。
【0077】
前述の説明は、解説の目的で、本発明の完全な理解を提供するために具体的な用語体系を使用した。しかしながら、本発明を実施するためには、具体的な詳細が必要とされないことは、当業者には明らかであろう。したがって、具体的な本発明の態様の上述の説明は、例解及び説明の目的で提示されている。それらは、網羅的であること、及び開示した正確な形態に本発明を制限することを意図するものではない。明確に、上記の教示に照らして、多くの修正及び変形が可能である。実施形態は、本発明の原理及びその実際的な用途を最良に解説するために選択及び説明され、それによって、当業者は、企図される特定の用途に適するように、様々な修正を伴って、本発明及び様々な実施形態を最良に利用することを可能にする。
【0078】
〔実施の態様〕
(1) 外科用ロボットシステムのための外科用ステープラであって、
基部に結合されたジョーであって、開放位置と閉鎖位置との間で第2のアンビルに対して移動する第1のアンビルを有する、ジョーと、
前記ジョーに印加された力を検出するように動作可能な力センサと、を備える、外科用ステープラ。
(2) 前記力センサが、前記第1のアンビルに装着された容量センサである、実施態様1に記載の外科用ステープラ。
(3) 前記力センサが、前記第2のアンビルに装着された容量センサである、実施態様1に記載の外科用ステープラ。
(4) 前記第2のアンビルが、ステープルカートリッジを受容するように動作可能なチャネルを備え、前記容量センサが、前記チャネルに結合されている、実施態様3に記載の外科用ステープラ。
(5) 前記力センサが、前記基部に結合されている、実施態様1に記載の外科用ステープラ。
【0079】
(6) 前記外科用ステープラが、前記第1のアンビルに結合された少なくとも1つの磁石と、前記第2のアンビルに結合された少なくとも1つのホール効果センサと、を更に備える、実施態様5に記載の外科用ステープラ。
(7) 前記力センサが、前記ジョーの遠位端に結合された第1の容量センサであり、前記外科用ステープラが、前記ジョーの近位端に結合された第2の容量センサを更に備える、実施態様1に記載の外科用ステープラ。
(8) 前記力センサが、前記第1のアンビル又は前記第2のアンビルに装着された容量センサのアレイのうちの1つである容量センサである、実施態様1に記載の外科用ステープラ。
(9) 前記力センサが、前記第1のアンビル又は前記第2のアンビルに結合された歪みゲージアレイを備える、実施態様1に記載の外科用ステープラ。
(10) 前記力センサによって検出された前記力が、前記外科用ステープラに結合された1つ又は2つ以上のプロセッサによって分析されて、全クランプ力又は力印加中心の場所が、ステープル留め動作を進めるのに好適であるかどうかを判定する、実施態様1に記載の外科用ステープラ。
【0080】
(11) 外科用ロボットステープラシステムであって、
基部に結合されたジョーを有するロボット外科用ステープラであって、前記ジョーが、ステープル留め動作中に、開放位置と閉鎖位置との間で第2のアンビルに対して移動する第1のアンビルを有する、ロボット外科用ステープラと、
前記ジョーに印加された力を検出し、力値を提供するように構成された1つ又は2つ以上の力センサと、
前記力値を分析して、前記ステープル留め動作に関する特性を判定するように構成された1つ又は2つ以上のプロセッサと、を備える、外科用ロボットステープラシステム。
(12) 前記1つ又は2つ以上の力センサが、各々が力を検出し、力値を提供する、少なくとも2つの力センサを含み、前記力値を分析することによって判定される前記特性が、(1)組織に対する全クランプ力、又は(2)前記組織に対する前記力の印加中心を含む、実施態様11に記載の外科用ロボットステープラシステム。
(13) 前記組織に対する前記判定された全クランプ力に基づいて、前記1つ又は2つ以上のプロセッサが、前記クランプ力が前記ステープル留め動作を進めるのに好適であるかどうかを更に判定する、実施態様12に記載の外科用ロボットステープラシステム。
(14) 前記組織に対する前記力の前記判定された印加中心に基づいて、前記1つ又は2つ以上のプロセッサが、前記ステープル留め動作を進めるために、前記組織が前記ジョー内の許容可能な位置にあるかどうかを更に判定する、実施態様12に記載の外科用ロボットステープラシステム。
(15) 前記1つ又は2つ以上の力センサが、各々が力を検出し、力値を提供する、力センサのアレイを含み、前記力値を分析することによって判定される前記特性が、前記ジョーに沿った力分布プロファイルを含む、実施態様11に記載の外科用ロボットステープラシステム。
【0081】
(16) 前記力分布プロファイルに基づいて、前記1つ又は2つ以上のプロセッサが、局所的な硬さが前記組織に存在するかどうかを更に判定する、実施態様15に記載の外科用ロボットステープラシステム。
(17) 前記力分布プロファイルに基づいて、前記1つ又は2つ以上のプロセッサが、異物が前記ジョー内に位置決めされているかどうかを更に判定する、実施態様15に記載の外科用ロボットステープラシステム。
(18) 前記1つ又は2つ以上の力センサが、力を検出し、力値を提供する、歪みゲージアレイを備え、前記力値を分析することによって判定される前記特性が、前記第1のアンビル又は前記第2のアンビルの変形を含む、実施態様11に記載の外科用ロボットステープラシステム。
(19) 前記第1のアンビル又は前記第2のアンビルの前記変形に基づいて、前記1つ又は2つ以上のプロセッサが、前記ジョー内の組織のタイプを更に判定する、実施態様18に記載の外科用ロボットステープラシステム。
(20) 前記判定された特性が、前記ステープル留め動作を進めるべきでないことを示すときに、ユーザにアラートを発することを更に含む、実施態様11に記載の外科用ロボットステープラシステム。
【国際調査報告】