(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】ガラス製ウィンドシールド内の光学的欠陥を検出するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/958 20060101AFI20241029BHJP
G01N 21/88 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
G01N21/958
G01N21/88 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523557
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(85)【翻訳文提出日】2024-06-05
(86)【国際出願番号】 EP2022079276
(87)【国際公開番号】W WO2023067097
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン-ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】リバルチク,テオ
(72)【発明者】
【氏名】ルムゥル,ロラン
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA42
2G051AB02
2G051BA01
2G051CA04
2G051ED11
2G051ED21
(57)【要約】
【課題】ガラス製ウィンドシールド内の光学的欠陥、特に、現在の検査システムでは検出されないかもしれないが、人間の運転手には可視的であり続けるスレッドと呼ばれるその特殊な光学的欠陥を検出するための、新規で実装しやすい方法を提供する。
【解決手段】入力として、ガラス製ウィンドシールド(1002)を通して見た周期的パターン(1003)の一次像とゴースト像との間の角距離マップと、前記ガラス製ウィンドシールドを通して見た周期的パターンの画像と、周期的パターンの個々の特徴の少なくとも1つの形状パラメータとを取り込み、出力として、ガラス製ウィンドシールド(1002)内の光学的欠陥の画像を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス製ウィンドシールド(1002)内の光学的欠陥を検出するためのコンピュータ実装方法(4000)であって、
前記方法が、入力として、前記ガラス製ウィンドシールドを通して見た周期的パターン(1003)の一次像とゴースト像との間の角距離マップ(I4001)と、前記ガラス製ウィンドシールド(1002)を通して見た周期的パターン(1003)の画像(I4002)と、周期的パターン(1003)の個々の特徴(1003a~1003n)の少なくとも1つの形状パラメータ(I4003)とを取り込み、
前記方法(4000)が、出力として、光学的欠陥の画像(O2001)を提供し、
前記方法(4000)が、以下のステップ、
(a)前記入力角距離マップ(I4001)内で信号アーチファクトを検索するステップ(S4001)、
(b)周期パターン(1003)の入力画像(I4002)のゾーン内で周期パターン(1003)の個々の特徴(1003a~1003n)を検索するステップ(S4002)であって、ここで、前記ゾーンは、ステップ(a)で検索された信号アーチファクトのゾーンと一致する、
(c)検索された個々の特徴(1003a~1003n)のそれぞれの形状を画像処理によって画定するステップ(S4003)、
(d)周期的パターン(1003)の個々の特徴(1003a~1003n)の入力形状パラメータ(I4003)を、ステップ(c)の画定された形状の対応する形状パラメータと比較するステップ(S4004)、
(e)周期的パターン(1003)の入力画像(I4002)から画像を生成するステップ(S4005)であって、ここで、周期的パターン(1003)の個々の特徴(1003a~1003n)の入力形状パラメータ(I4003)は、画定された形状の対応する形状パラメータと一致せず、生成された前記画像は光学的欠陥の画像である、
を有する方法。
【請求項2】
探索される信号アーチファクトが、角距離マップ(I4001)のゴースト像の信号外れ値または信号非検出である、請求項1に記載のコンピュータ実装方法(4000)。
【請求項3】
形状パラメータ(I4003)が、面積、真円度、面積包絡度、短軸、長軸、周囲長、フェレ径、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項1または2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
周期的パターン(1003)が、ドットマトリクスである、請求項1から3のいずれか一つに記載のコンピュータ実装方法(4000)。
【請求項5】
ドットマトリクスのドットが、点状の光源である、請求項4に記載のコンピュータ実装方法(4000)。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一つに記載の方法を実施するための手段を備える、データ処理システム(6000)。
【請求項7】
プログラムがコンピュータによって実行されるとき、請求項1から5のいずれか一つに記載の方法をコンピュータに実行に移させる命令を含むコンピュータプログラム(I6001)。
【請求項8】
プログラムの前記命令がコンピュータによって実行されるとき、請求項1から5のいずれか一つに記載の方法をコンピュータに実施させる命令を含むコンピュータ可読媒体(6002)。
【請求項9】
ガラス製ウィンドシールド(1002)内の光学的欠陥を検出するためのプロセスであって、前記プロセスが、以下のステップ、
(a)ガラス製ウィンドシールド(1002)を提供するステップ、
(b)検査システム(1000)を用いて、前記ガラス製ウィンドシールド(1002)を通して見た周期的パターン(1003)の一次像とゴースト像との間の角距離マップ(I4001)と、前記ガラス製ウィンドシールド(1002)を通して見た周期的パターン(1003)の画像(I4002)とを取得するステップ、
(c)周期的パターン(1003)の個々の特徴(1003a~1003n)の少なくとも一つの形状パラメータ(I4003)を定義するステップ、
(d)入力として、前記角距離マップ(I4001)と、周期的パターン(1003)の前記画像(I4002)と、少なくとも一つの形状パラメータ(I4003)とが提供される、請求項1から5のいずれか一つに記載の方法を実施するステップ、
を有するプロセス。
【請求項10】
ガラス製ウィンドシールド内の光学的欠陥を検出するための検査システム(1000)であって、前記検査システム(1000)が、以下、
-周期的パターン(1003)、好ましくは、点状光源のドットマトリクス、
-前記ガラス製ウィンドシールド(1002)を通して見た周期的パターン(1003)の一次像とゴースト像との間の角距離マップ(I4001)と、前記ガラス製ウィンドシールド(1002)を通して見た周期的パターン(1003)の画像(I4002)とを取得するように構成された取得装置(1001)、
-請求項6に記載のデータ処理システム(6000)、
を備える検査システム。
【請求項11】
光学的欠陥の画像マップを表示するための表示モジュールを備えた、請求項10に記載の検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガラス製ウィンドシールド内の光学的欠陥を検出するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス製ウィンドシールドは、例えば自動車、鉄道輸送および航空の運送業界において広く使用されている。
それらは、運転手が、それを通して前方にあるもの、例えば道路、鉄道、景色などを視認するグレージングである。
それらは、通常、ポリマー中間膜を用いて積層される2枚の湾曲した無機ガラスシートで作られている。
【0003】
安全の理由から、ウィンドシールドを通して見るときの物体の歪みは、可能な限り小さくなければならず、少なくとも運転手を混乱させるものであってはならない。
これに関して、ウィンドシールドの光学的品質は、国際連合欧州経済委員会(UN/ECE)の協定規則第43条の附則3の9.2項に詳述されている一定の要件を満たす必要がある。
【0004】
当技術分野では、協定規則第43条の枠内でウィンドシールドの光学的歪みを測定することを意図し得るいくつかの方法および機器が記載されている。
【0005】
米国特許出願公開第2009/282871号明細書は、ガラスシートの透過光学的歪みを、前記ガラスシートを透過したドットマトリクスの画像から測定するための機器および方法を記載している。
【0006】
国際公開第2014/191401号は、フロントガラスの屈折力を、前記フロントガラスを通して取得された線格子の像に生じる幾何変形から決定するための方法を記載している。
【0007】
国際公開第2010/037958号は、フロントガラスの光学的歪みを、前記フロントガラスを通して取得された格子像上で測定された位相シフトから分析するための装置および方法を記載している。
【0008】
国際公開第2009/065740号は、周期的パターンの前に配置された位相および振幅物体の光学検査のためのデフレクトメトリシステムおよび方法を記載しており、これは、前記物体を通る前記周期的パターンの画像の2ステップフーリエ変換および逆フーリエ変換に基づいている。
【0009】
欧州特許出願公開第0463940号明細書は、フロントガラスの光学的品質を、影の照度に基づいて測定するプロセスを記載している。
【0010】
国際公開第98/17993号、英国特許出願公開第2152210号明細書および欧州特許出願公開第1061357号明細書は、ウィンドシールドの光学的歪みを、透過または反射パターンの画像分析を通じて測定するための方法を記載している。
【0011】
国際公開第2017/008159号は、ウィンドシールドの光学的欠陥を、色収差の合成画像の分析を通じて検出するための方法を記載している。
【0012】
国際公開第2018/024550号は、フロントガラスを通して見た複数の点状の光源の一次像と二次像の位置間の角距離を決定するための機器および方法を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/282871号明細書
【特許文献2】国際公開第2014/191401号
【特許文献3】国際公開第2010/037958号
【特許文献4】国際公開第2009/065740号
【特許文献5】欧州特許出願公開第0463940号明細書
【特許文献6】国際公開第98/17993号
【特許文献7】英国特許出願公開第2152210号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第1061357号明細書
【特許文献9】国際公開第2017/008159号
【特許文献10】国際公開第2018/024550号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
どんなに効率的であったとしても、当該技術分野に記載されている方法では、スレッドと呼ばれる、ある特殊な光学的欠陥を検出できないことがあり、スレッドは、ガラス産業においてリーム欠陥と呼ばれるものに似ているかもしれないが、はるかに細く、しばしば実質的にウィンドシールドの縦軸に沿って配向している。
【0015】
これらの特殊な光学的欠陥は、特定の角度または異なる観察角度で運転者および/または同乗者にしか見えない可能性があり、製造ラインの検査システムでは完全に見落としかねない。
【0016】
特に、デフレクトメトリに基づくシステムおよび方法は、ウィンドシールド全体の光学的歪みマップにこれらの欠陥の痕跡が残らない可能性があるため、これらの欠陥を検出できないことがある。
【0017】
特に、スレッドは、現在の検査システムが取得した電磁信号を、前記検査システムが信号をもはや検出しなくなるように、妨害することができるようである。
そのとき、検査システムは、この信号の欠如が、実際の光学的欠陥に由来するものであるのか、またはウィンドシールドをしばしば装飾するいくつかの要素、例えばガスケット、マスキングエナメルなどに由来するものであるのか、またはさらには、前記検査システムを作動させるためにウィンドシールドの表面に作られるマスキングマーク、例えばインクマークに由来するものであるのかを区別することができない。
【0018】
直接的な悪影響は、当初は技術仕様を満たしていると考えられていたウィンドシールドが、後になって顧客によって不合格と判定され得ることである。
そのとき、クレームおよび生産ロスが発生するかもしれない。
【0019】
これに関連して、ガラス製ウィンドシールド内の光学的欠陥、特に、現在の検査システムでは検出されないかもしれないが、人間の運転手には可視的であり続けるスレッドと呼ばれるその特殊な光学的欠陥を検出するための、新規で実装しやすい方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本開示の第一の態様において、請求項1に記載されるような、ウィンドシールド内の光学的欠陥を検出するためのコンピュータ実装方法が提供され、従属する請求の範囲は、有利な実施形態である。
【0021】
本発明の第二の態様において、請求項6から8に記載されるような、第一の態様の方法を実装するためのデータ処理装置、コンピュータプログラムおよびコンピュータ可読媒体が提供される。
【0022】
本発明の第三の態様において、請求項9に記述されるような、ガラス製ウィンドシールド内の光学的欠陥を検出するためのプロセスが提供される。
【0023】
本発明の第四の態様において、請求項10に記述されるような、ガラス製ウィンドシールド内の光学的欠陥を検出するための検査システムが提供され、従属する請求の範囲は、有利な実施形態である。
【0024】
本開示による方法、プロセスおよび検査システムは、ウィンドシールドの製造プロセスの中で使用することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の第一の傑出した利益は、最も一般的な検査システムでは検出されないままであるかもしれないが、人間の目、例えば運転手および/または同乗者の目にはそれでも見える可能性のある、ガラス製ウィンドシールド内の光学的欠陥、特にスレッドを検出することを可能にすることである。
【0026】
第二の利点は、本発明が既存の製造プロセスで比較的容易に実装でき、適合が必要であるとしてもほとんど必要ないことである。
より正確には、本発明によるコンピュータ実装発明およびプロセスは、製造ラインおよび/または品質管理プロセスにおいて既に利用可能な、屈折力のデジタル画像マップを取得するための設備の恩恵を受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】ガラス製ウィンドシールドを通して周期的パターンの画像を取得するための検査システムの概略図である。
【
図2】ウィンドシールドを通して取得した周期的パターンの個々の特徴の一次像とゴースト像とを重ね合わせた一例である。
【
図3】ウィンドシールドを通して取得した周期的パターンの歪んだ個々の特徴の一次像とゴースト像とを重ね合わせた例である。
【
図4】本発明の第一の態様の一実施形態による、ガラス製ウィンドシールド内の光学的欠陥を検出するためのコンピュータ実装方法のデータフロー図である。
【
図5】本発明の第一の態様による方法によって出力として提供された、ウィンドシールド内の光学的欠陥の画像マップの一例である。
【
図6】本発明の第二の態様の一実施形態によるデータ処理システムである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示の文脈において、「信号アーチファクト」は、信号処理の分野における一般的な定義に従って理解されるべきである。
信号アーチファクトは、意図または期待された以外の活動または現象を表す信号の、予期せぬ、望まれない、または偶然の変更として理解されることができる。
例えば、それは信号の欠落や外れ値、すなわち前記信号の残りの主要部分と著しく異なる信号の一部であり得る。
【0029】
[
図1]を参照すると、ガラス製ウィンドシールド内の光学的欠陥を検出するための検査システム1000は、ガラス製ウィンドシールド1002の後方に配置されるデジタル画像記録装置1001を備える。
デジタル画像記録装置は、周期的パターン1003の画像を取得するように構成され、周期的パターンは、ウィンドシールド1002の前方に配置され、ウィンドシールドを通して見られる。
画像は、一旦取得されると、電磁信号、例えば光がウィンドシールドを通過するときの、前記ウィンドシールドにより発生する光学的歪みを見つけるために処理される。
【0030】
ほとんどの処理方法は、取得された画像すなわちウィンドシールド1002を通して見たときの画像内の周期的パターン1003の個々の特徴1003a~nと、元の周期的パターン1003の個々の特徴との比較に依存する。
この比較は、歪んで見える個々の特徴1003a~nを検出し、関連する光学パラメータ、例えば位相シフト、屈折力などを計算して、ウィンドシールド1002の光学的歪みマップまたは角距離マップを生成することを可能にする。
【0031】
現在の検査装置および方法は、ガラス製ウィンドシールド内のスレッドと呼ばれる特殊な光学的欠陥を検出することができない。
スレッドは、リーム欠陥に似ているかもしれないが、はるかに細く、しばしばウィンドシールド1002の縦軸(B)に沿って実質的に配向している。
スレッドは、デジタル画像記録装置1001が後で取得する入射電磁信号、例えば光を妨害することができるようであり、そのため、例えば、その位置で角距離が計算されず、またそのとき光学的歪みは報告されない。
【0032】
直接的な悪影響は、現在の検査システムおよび方法が、信号が検出されない原因を特定できないことにより、また、スレッドなどの光学的欠陥とは関係のない、ウィンドシールドを装飾する他の要素に原因を関連付けることが多いことにより、混乱する可能性があることである。
【0033】
実例となる一例として、[
図2]を参照すると、ウィンドシールドの1つの位置における角距離は、前記ウィンドシールド1002を通して見たときの前記パターン1003の一次像上の、周期的パターン1003の個々の特徴、例えば1003a、それは2001に現れている、と、前記パターンのゴースト像における同じ個々の特徴、例えば1003a、それはシフトした2002に現れている、との間の距離から計算することができる。
角距離の計算は、ウィンドシールドの全部または一部についての角距離マップを生成するように、周期的パターン1003の個々の特徴1003a~nの1つごとに行われる。
【0034】
ゴースト像は光学でよく知られている現象で、例えばウィンドシールドなどの光学系の表面間で光が内面反射することによって発生し、そのため光学系の屈折率と物体の観察角度とに依存する空間変位を伴って前記物体が2度現れることがある。
【0035】
[
図3]を参照すると、ウィンドシールド1002内の光学的欠陥、例えばスレッドは、光路を乱して、個々の特徴、例えば1003aが依然として高度に歪んだまま3001であるのに、周期的パターン1003の個々の特徴、例えば1003aのゴースト像が検出されなくなるという可能性がある。
このような信号アーチファクト、例えばゴースト像の信号非検出またはその外れ値は、ゴースト像がないため光学系例えばウィンドシールドが完全であると見なされている可能性があること、一次像とゴースト像との間のずれが小さすぎてシフトしていない特徴とシフトした特徴とが重なって解像できないこと、または、ずれが大きすぎてシフトした特徴が取得システムの視野から外れていることに起因し得る。
【0036】
直接的な悪影響は、光学的欠陥の位置において角距離がゼロに近いことである。
このように、角度マップには、いかなる欠陥の兆候も見られないが、一方、個体は依然として歪んでおり、明らかに光学的欠陥の存在を示している。
【0037】
これに関連して、[
図1]~[
図4]を参照すると、本発明の第一の態様において、ガラス製ウィンドシールド1002内の光学的欠陥を検出するためのコンピュータ実装方法4000が提供されており、
前記方法は、入力として、前記ガラス製ウィンドシールドを通して見た周期的パターン1003の一次像とゴースト像との間の角距離マップI4001と、前記ガラス製ウィンドシールド1002を通して見た周期的パターン1003の画像I4002と、周期的パターン1003の個々の特徴1003a~1003nの少なくとも1つの形状パラメータI4003とを取り込み、
前記方法4000は、出力として、光学的欠陥の画像O2001を提供し、
前記方法4000は、以下のステップを有する。
(a)前記入力角距離マップI4001内で信号アーチファクトを検索するステップS4001、
(b)周期パターン1003の入力画像I4002のゾーン内で周期パターン1003の個々の特徴1003a~1003nを検索するステップS4002であって、ここで、前記ゾーンは、ステップ(a)で検索された信号アーチファクトのゾーンと一致する、
(c)検索された個々の特徴1003a~1003nのそれぞれの形状を画像処理によって画定するステップS4003、
(d)周期的パターン1003の個々の特徴1003a~1003nの入力形状パラメータI4003を、ステップ(c)の画定された形状の対応する形状パラメータと比較するステップS4004、
(e)周期的パターン1003の入力画像I4002から画像を生成するステップS4005であって、ここで、周期的パターン1003の個々の特徴1003a~1003nの入力形状パラメータI4003は、画定された形状の対応する形状パラメータと一致せず、生成された前記画像は光学的欠陥の画像である。
【0038】
好ましい実施形態において、ステップS4001で、探索される信号アーチファクトは、角距離マップI4001のゴースト像の信号外れ値または信号非検出である。
信号非検出または信号外れ値は、ゴースト像がないため光学系例えばウィンドシールドが完全であると見なされている可能性があること、一次像とゴースト像との間のずれが小さすぎてシフトしていない特徴とシフトした特徴とが重なって解像できないこと、または、ずれが大きすぎてシフトした特徴が取得システムの視野から外れていることに起因し得る。
【0039】
個別の特徴1003a~1003nの形状パラメータI4003および対応する画定された形状のパラメータは、個別の特徴および画定された形状の少なくとも1つの形態学的特性を測定または定量化するための任意の形態学的パラメータであり得る。
【0040】
したがって、特定の実施形態において、形状パラメータI4003は、面積、真円度、面積包絡度、短軸、長軸、周囲長、フェレ径、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0041】
ステップS4003で、画定操作には、画像処理の分野で利用可能な画像セグメンテーションなどの任意の画定操作を使用することができる。
例えば、それは閾値処理セグメンテーション、流域セグメンテーション、またはランダムウォーカーセグメンテーションであり得る。
【0042】
ステップS4005において、実例となる一実施例としての
図5を参照すると、光学的欠陥5001の画像マップO2001が、ステップS4003の画定された面積から生成される。
図5において、検出されたガラス欠陥5001は、いわゆるスレッドであり、それは、ウィンドシールドの縦軸(B)に沿って配向している細長いガラス欠陥である。
本発明の第一の態様による方法は、このような細いガラス欠陥を検出することができる一方で、非光学透明ガラス欠陥、例えば、ガラス製ウィンドシールドの表面上に作られたインクマーク、エナメル、ガスケットなどのような装飾要素5002a~cを検出することはできない。
【0043】
好ましい実施形態において、
図1に示されているように、周期的パターン1003はドットマトリクスであってもよい。
より好ましい実施形態では、ドットマトリクスのドットは、点状の光源、例えば点状LEDであってもよい。
最も正確な結果は、特に細長い光学的欠陥、例えばスレッドについて、点状の光源を用いて得ることができる。
【0044】
本発明の第二の態様において、
図6を参照すると、本発明の第一の態様の実施形態のうちのいずれか一つによる方法4000を実施するための手段を備えるデータ処理システム6000と、コンピュータによって実行されるとき、本発明の第一の態様の実施形態のうちのいずれか一つによる方法をコンピュータに実施させる命令を含むコンピュータプログラムI6001とが提供される。
【0045】
データ処理システム6000は、本発明の第一および第二の態様の実施形態のうちのいずれかによる方法を実施するための手段6001を備える。
方法を実施するための手段6001の例は、タスクまたはアクションを行うために算術演算または論理演算のシーケンスを自動的に実施するように命令されることができる装置であってもよい。
コンピュータとも呼ばれる、そのような装置は、それらの演算を行うように適合された、単数または複数の中央処理装置(CPU)と少なくとも1つの制御装置とを備えることができる。
【0046】
それは、さらに、入出力インターフェース6003、不揮発性または揮発性の記憶装置6002、およびコンピュータ内部の部品間またはコンピュータ間のデータ転送のための通信システムであるバスなどの他の電子部品を備えていてもよい。
入出力装置のうちの1つは、ヒューマンマシンインタラクション用ユーザインタフェース、例えば人間が理解できる情報を表示するためのグラフィカルユーザインタフェースであってもよい。
【0047】
計算は、かなりの量のデータを処理するために多くの計算能力を必要とし得るので、データ処理システムは有利には、特にレイトレーシングでの画像処理の場合、並列構造によりCPUよりも効率が高くなる単数または複数のグラフィックスプロセッシングユニット(GPU)を備えることができる。
【0048】
コンピュータプログラムI6001に関して、任意の種類のプログラミング言語、コンパイル型またはインタプリタ型を、本発明の方法のステップを実装するために使用することができる。
コンピュータプログラムI6001は、ソフトウェアソリューションの一部、すなわち、実行可能な命令、コード、スクリプトもしくは同種のものの集合および/またはデータベースの一部であってもよい。
【0049】
特定の実施形態において、コンピュータによって実行されるとき、本発明の第一の態様の実施形態のうちのいずれかによる方法をコンピュータに実施させる命令を含む、コンピュータ可読記憶装置または媒体6002もまた提供される。
【0050】
コンピュータ可読記憶装置6002は、好ましくは、不揮発性の記憶装置またはメモリ、例えば、ハードディスクドライブまたはソリッドステートドライブであり得る。
コンピュータ可読記憶装置は、取外し可能な記憶媒体またはコンピュータの一部として取外し不可能な記憶媒体であり得る。
【0051】
あるいは、コンピュータ可読記憶装置は、取外し可能な媒体内の揮発性メモリであってもよい。
【0052】
コンピュータ可読記憶装置6002は、サーバとして使用されるコンピュータの一部であってもよく、そこから実行可能な命令をダウンロードすることができ、命令は、コンピュータによって実行されるとき、本明細書中に記載の実施形態のうちのいずれかによる方法をコンピュータに実行に移させる。
【0053】
あるいは、プログラムI6001は、分散コンピューティング環境、例えばクラウドコンピューティングにおいて実装されてもよい。
命令は、クライアントコンピュータが接続して符号化データを方法に対する入力として提供することができるサーバ上で、実行されてもよい。
データが一旦処理されると、出力は、クライアントコンピュータにダウンロードおよび符号化されてもよいし、または、例えば、命令として直接送信されてもよい。
この種の実装は、クラウドコンピューティングソリューションのような分散コンピューティング環境で実現できるので有利であり得る。
【0054】
本発明の第三の態様において、ガラス製ウィンドシールド1002内の光学的欠陥を検出するためのプロセスが提供され、前記プロセスは、以下のステップを有する。
(a)ガラス製ウィンドシールド1002を提供するステップ、
(b)検査システム1000を用いて、前記ガラス製ウィンドシールド1002を通して見た周期的パターン1003の一次像とゴースト像との間の角距離マップI4001と、前記ガラス製ウィンドシールド1002を通して見た周期的パターン1003の画像I4002とを取得するステップ、
(c)周期的パターン(1003)の個々の特徴(1003a~1003n)の少なくとも1つの形状パラメータ(I4003)を定義するステップ、
(d)入力として、前記角距離マップ(I4001)と、周期的パターン(1003)の前記画像(I4002)と、少なくとも1つの形状パラメータ(I4003)とが提供される、本発明の第一の態様の任意の実施形態による方法を実施するステップ。
【0055】
本発明の第一および第二の態様の文脈内で詳述したさまざまな実施形態の技術的側面および特徴は、本発明の第三の態様にも適用することができる。
本発明の第三の態様によるプロセスにおいてそれらを変化、変換または適合させることは、当業者の範囲内である。
【0056】
本発明の第四の態様において、
図1から
図6を参照すると、ガラス製ウィンドシールド内の光学的欠陥を検出するための検査システム1000が提供され、前記検査システム1000は、以下を備える。
-周期的パターン1003、好ましくは、点状光源のドットマトリクス、
-前記ガラス製ウィンドシールド1002を通して見た周期的パターン1003の一次像とゴースト像との間の角距離マップI4001と、前記ガラス製ウィンドシールド1002を通して見た周期的パターン1003の画像I4002とを取得するように構成された取得装置1001、
-本発明の第一の態様の任意の実施形態による方法4000を実施するための手段を備えるデータ処理システム6000。
【0057】
取得モジュール1001は、マトリクスカメラ、例えばCCDまたはCMOSカメラシステムなどのデジタル画像記録装置であってもよい。
【0058】
一特定実施形態において、検査システムは、さらに、光学的欠陥の画像マップを表示するための表示モジュール、例えば、デジタル表示画面を備えていてもよい。
【0059】
本開示による方法、プロセスおよび検査システムは有利には、ウィンドシールドの製造プロセスにおいて使用することができる。
【0060】
本明細書で記述されている全ての実施形態は、それが本発明の第一の態様、第二の態様、第三の態様または第四の態様のいずれに関するものであろうと、それらが技術的に相容れないと思われない限り、当業者であれば組み合わせることができる。
【0061】
さらに、本発明を好ましい実施形態に関連して説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者によって本発明にさまざまな修正、追加および変更がなされ得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0062】
1000 検査システム
1001 デジタル画像記録装置
1002 ガラス製ウィンドシールド
1003 周期的パターン
4000 コンピュータ実装方法
6000 データ処理システム
【国際調査報告】