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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】リチウムイオンセル
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0525 20100101AFI20241029BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20241029BHJP
   H01M 4/485 20100101ALI20241029BHJP
   H01M 4/131 20100101ALI20241029BHJP
   H01M 50/531 20210101ALI20241029BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20241029BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20241029BHJP
   H01M 10/0568 20100101ALI20241029BHJP
   H01M 10/0567 20100101ALI20241029BHJP
【FI】
H01M10/0525
H01M4/505
H01M4/485
H01M4/131
H01M50/531
H01M4/66 A
H01M10/0569
H01M10/0568
H01M10/0567
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523592
(86)(22)【出願日】2022-10-13
(85)【翻訳文提出日】2024-06-13
(86)【国際出願番号】 EP2022078566
(87)【国際公開番号】W WO2023066791
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】21203827.7
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502350250
【氏名又は名称】ヴァルタ マイクロバッテリー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】ショルツ シュテファニー
(72)【発明者】
【氏名】ピュトリク エドゥアルト
(72)【発明者】
【氏名】エンスリング ダーヴィト
(72)【発明者】
【氏名】チュマク イホール
【テーマコード(参考)】
5H017
5H029
5H043
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017AS10
5H017CC01
5H017EE05
5H029AJ02
5H029AJ06
5H029AK03
5H029AL03
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
5H029BJ14
5H029DJ08
5H029HJ01
5H029HJ04
5H029HJ07
5H029HJ10
5H043AA03
5H043AA19
5H043BA19
5H043CA03
5H043CA12
5H043EA35
5H050AA02
5H050AA12
5H050BA17
5H050CA09
5H050CB03
5H050DA10
5H050DA11
5H050FA05
5H050HA01
5H050HA04
(57)【要約】
二次リチウムイオンセル(100)は、アノード(120)/セパレータ(118)/カソード(130)の順序を有する電極-セパレータアセンブリ(104)を含む。アノード(120)及びカソード(130)は、ストリップ状の設計であり、且つ第1の長手方向端部(115a、125a)及び第2の長手方向端部を有するストリップ状集電体(115、125)をそれぞれ含み、及びストリップ状主要区域(122、116)内に電極材料(155、123)がそれぞれ装荷され、それぞれの場合に第1の長手方向端部(115a、125a)に沿って延在する自由端部ストリップ(121、117)には電極材料が装荷されない。電極-セパレータアセンブリ(104)は、2つの端子端面を有するコイルの形態であり、且つハウジングによって取り囲まれる。アノード(120)及びカソード(130)は、端部ストリップ(121)が端子端面の一方から出現し、及び端部ストリップ(117)が端子端面の他方から出現するように、電極-セパレータアセンブリ(104)内で互いに対して形成及び/又は配置される。セルは、端部ストリップ(117、121)の1つに直接接触する接触シート金属部材(113)を含む。負極材料(155)の層は、チタン酸リチウム(LTO)を含み、及び正極材料(123)の層は、マンガン酸リチウム(LMO)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次リチウムイオンセルであって、特徴
a.前記セルは、アノード(120)/セパレータ(118)/カソード(130)の順序を有する電極-セパレータアセンブリ(104)を含むこと、
b.前記アノード(120)は、リボン状であり、且つ負極材料(155)と、第1の長手方向端部(115a)及び第2の長手方向端部を有するリボン状アノード集電体(115)とを含むこと、
c.前記アノード集電体(115)は、前記負極材料(155)の層が装荷されるストリップ状主要区域(122)と、前記第1の長手方向端部(115a)に沿って延在し、且つ前記電極材料(155)が装荷されない自由端部ストリップ(121)とを有すること、
d.前記カソード(130)は、リボン状であり、且つ正極材料(123)と、第1の長手方向端部(125a)及び第2の長手方向端部を有するリボン状カソード集電体(125)とを含むこと、
e.前記カソード集電体(125)は、前記正極材料(123)の層が装荷されるストリップ状主要区域(116)と、前記第1の長手方向端部(115e)に沿って延在し、且つ前記電極材料(125)が装荷されない自由端部ストリップ(117)とを有すること、
f.前記電極-セパレータアセンブリ(104)は、2つの端子端面(104b、104c)を有するコイルの形態であること、
g.前記電極-セパレータアセンブリ(104)は、ハウジング内に取り囲まれること、
h.前記アノード(120)及び前記カソード(130)は、前記アノード集電体(115)の前記自由端部ストリップ(121)が前記端子端面の一方から出現し、及び前記カソード集電体(125)の前記自由端部ストリップ(117)が前記端子端面の他方から出現するように、前記電極-セパレータアセンブリ(104)内で互いに対して形成及び/又は配置されること、
i.前記セルは、前記端部ストリップ(117、121)の1つに直接接触する接触シート金属部材(113)を有すること、
j.前記負極材料(155)の層は、チタン酸リチウム(LTO)を含むこと、及び
k.前記正極材料(123)の層は、マンガン酸リチウム(LMO)を含むこと
を有する二次リチウムイオンセル。
【請求項2】
以下のさらなる特徴:
a.前記カソード集電体(125)は、アルミニウム若しくはアルミニウム合金を含むか、又は前記アルミニウム若しくはアルミニウム合金で作られること、
b.前記アノード集電体(115)は、アルミニウム若しくはアルミニウム合金を含むか、又は前記アルミニウム若しくはアルミニウム合金で作られること
を有する、請求項1に記載のセル。
【請求項3】
以下のさらなる特徴:
a.前記正極材料(123)は、前記LMOを70重量%~99.4重量%の比率で含むこと、
b.前記正極材料(123)は、電極バインダー及び/又は導電剤を含むこと、
c.前記電極バインダーは、前記正極材料(123)中に0.5重量%~15重量%の比率で含有されること、
d.前記導電剤は、前記正極材料(123)中に0.1重量%~15重量%の比率で含有されること
の少なくとも1つを有する、請求項1又は2に記載のセル。
【請求項4】
以下のさらなる特徴:
a.前記カソード集電体(125)上の前記正極材料(123)の層は、20~300μmの範囲の厚さを有すること
を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のセル。
【請求項5】
以下のさらなる特徴:
a.前記負極材料(155)は、前記LTOを70重量%~99.4重量%の比率で含むこと、
b前記負極材料(155)は、電極バインダー及び/又は導電剤を含むこと、
c.前記電極バインダーは、前記負極材料(155)中に0.5重量%~15重量%の比率で含有されること、
d.前記導電剤は、前記負極材料(155)中に0.1重量%~15重量%の比率で含有されること
の少なくとも1つを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のセル。
【請求項6】
以下のさらなる特徴:
a.前記アノード集電体(115)上の前記負極材料(155)の層は、20μm~300μmμmの範囲の厚さを有すること
を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のセル。
【請求項7】
以下のさらなる特徴:
a.前記セルは、アセトニトリル(ACN)、プロピレンカーボネート(PC)、γ-ブチロラクトン(GBL)、アジポニトリル(ADN)、エチレンカーボネート-ジエチルカーボネート(EC-DEC)、エチレンカーボネート-ジメチルカーボネート(EC-DMC)、エチレンカーボネート-エチルメチルカーボネート(EC-EMC)、エチレンカーボネート-ジメチルカーボネート-エチルメチルカーボネート(EC-DMC-EMC)及びエチレンカーボネート-ジメチルカーボネート-ジエチルカーボネート(EC-DMC-DEC)を含む群からの溶媒又は溶媒混合物である電解質を含むこと、
b.前記セルは、テトラフルオロホウ酸テトラテチルアンモニウム(EtNBF)、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(LiAsF)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiB(C)及びLiP(Cからなる群から選択される伝導性塩を含有する電解質を含むこと、
c.前記伝導性塩は、前記電解質中に0.5M~5M、特に2Mの比率で含有されること、
d.前記セルは、ビニレンカーボネート(VC)及びフルオロエチレンカーボネート(FEC)からなる群から選択される添加剤を含む電解質を含むこと
の少なくとも1つを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のセル。
【請求項8】
以下のさらなる特徴:
a.前記セルは、アセトニトリル(ACN)を溶媒として含有する電解質を含むこと、
b.前記セルは、テトラフルオロホウ酸テトラテチルアンモニウム(EtNBF)、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(LiAsF)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiB(C)及びLiP(C、特にテトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)からなる群から選択される伝導性塩である電解質を含むこと、
c.前記伝導性塩は、前記電解質中に1.0~3.0M、特に1.5~2.5Mの濃度で含有されること
を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のセル。
【請求項9】
以下のさらなる特徴:
a.前記セルは、プロピレンカーボネート(PC)とγ-ブチロラクトン(GBL)との混合物を溶媒として含有する電解質を含むこと、
b.前記混合物中のPC:対GBLの体積比は、10:90~90:10の範囲であり、特に好ましくは、前記体積比は、30:70であること、
c.前記セルは、テトラフルオロホウ酸テトラテチルアンモニウム(EtNBF)、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(LiAsF)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiB(C)及びLiP(Cからなる群から選択される伝導性塩である電解質を含むこと、
d.前記伝導性塩は、前記電解質中に0.5M~5M、特に2Mの濃度で含有されること
を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のセル。
【請求項10】
以下のさらなる特徴:
a.前記セルは、プロピレンカーボネート(PC)を溶媒として含有する電解質を含むこと、
b.前記セルは、テトラフルオロホウ酸テトラテチルアンモニウム(EtNBF)、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(LiAsF)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiB(C)及びLiP(C、特にヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)からなる群から選択される伝導性塩である電解質を含むこと、
c.前記伝導性塩は、前記電解質中に1.0~2.0Mの濃度で含有されること
を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のセル。
【請求項11】
以下のさらなる特徴:
a.前記セルは、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)との混合物を溶媒として含有する電解質を含むこと、
b.前記混合物中のEC:対DMCの体積比は、1:7~5:7の範囲であり、特に好ましくは、前記体積比は、3:7であること、
c.前記セルは、テトラフルオロホウ酸テトラテチルアンモニウム(EtNBF)、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(LiAsF)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiB(C)及びLiP(C、特にヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)からなる群から選択される伝導性塩である電解質を含むこと、
d.前記伝導性塩は、前記電解質中に1.0~2.0Mの濃度で含有されること、
e.前記電解質は、ビニレンカーボネート(VC)を添加剤として特に1重量%~3重量%の濃度で含むこと
を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のセル。
【請求項12】
以下のさらなる特徴:
a.前記セルは、エチレンカーボネート(EC)と、プロピレンカーボネート(PC)と、ジメチルカーボネート(DMC)との混合物を溶媒として含有する電解質を含むこと、
b.前記電解質中の前記3つの成分EC、PC及びDMCの比率は、互いに対して1:2:7であること、
c.前記セルは、テトラフルオロホウ酸テトラテチルアンモニウム(EtNBF)、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(LiAsF)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiB(C)及びLiP(C、特にヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)からなる群から選択される伝導性塩である電解質を含むこと、
d.前記伝導性塩は、前記電解質中に0.5M~5Mの濃度で含有されること、
e.前記セルは、テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウム(EtNBF)を共伝導性塩として含む電解質を含むこと、
f.前記共伝導性塩は、前記電解質中に0.1M~2Mの濃度で含有されること
を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に記載される本発明は、二次リチウムイオンセルに関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学セルは、酸化還元反応により、貯蔵された化学エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。これらは、通常、セパレータによって互いに分離される正極及び負極を含む。放電中、酸化プロセスを介して負極で電子が放出される。これにより、外部の電気消費者によって取り出すことができる電子電流が得られ、このため、電気化学セルは、エネルギー供給元として機能する。同時に、電極反応に対応するイオン電流がセル内で生じる。このイオン電流は、セパレータを通過し、これは、イオン伝導性電解質によって可能になる。
【0003】
放電が可逆的である場合、すなわち放電中の化学エネルギーから電気エネルギーへの変換を反転させ、セルを再び充電することができる場合、これは、二次セルと呼ばれる。二次セル内のアノードとしての負極の一般的名称及びカソードとしての正極の名称は、電気化学セルの放電機能を基準とする。
【0004】
最近では、二次リチウムイオンセルは、大電流を得ることができ、比較的高いエネルギー密度を特徴とするため、多くの用途に使用される。これらは、イオンの形態でセルの電極間を往復して移動し得るリチウムの使用に基づく。リチウムイオンセルの負極及び正極は、通常、電気化学的に不活性の成分と、電気化学的に活性の成分とを含むいわゆる複合電極によって形成される。
【0005】
原理上、リチウムイオンの吸収及び放出が可能なあらゆる材料を二次リチウムイオンセルの電気化学的活性成分(活物質)として使用することができる。黒鉛状炭素などの炭素をベースとする粒子が負極に使用されることが多い。チタン酸リチウム(LTO)など、リチウムインターカレーションに適切な別の非黒鉛状炭素材料を使用することもできる。さらに、リチウムと合金化可能な金属及び半金属材料を使用することもできる。例えば、元素のスズ、アルミニウム、アンチモン及びケイ素は、リチウムと金属間相を形成することができる。コバルト酸リチウム(LiCoO)及びマンガン酸リチウム(LMO)、リン酸鉄リチウム(LiFePO)又はそれらの誘導体などのリチウム金属酸化物を正極の活物質として使用することができる。電気化学的活性材料は、通常、電極中に粒子形態で含有される。
【0006】
電気化学的に不活性の成分として、複合電極は、一般に、それぞれの活物質の担体として機能する平坦及び/又はストリップ状の集電体、例えば金属箔を含む。負極の集電体(アノード集電体)は、例えば、銅又はニッケルで作られ得、正極の集電体(カソード集電体)は、例えば、アルミニウムで作られ得る。さらに、電極は、電極バインダー(例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)又は別のポリマー、例えばカルボキシメチルセルロース)、伝導性を改善する添加剤及び別の添加剤を電気化学的に不活性の成分として含み得る。電極バインダーにより、電極の機械的安定性が保証され、多くの場合、活物質の集電体に対する接着も保証される。
【0007】
リチウムイオンセル内で使用される電解質は、通常、有機溶媒(例えば、エーテル及び炭酸のエステル)中のヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)などのリチウム塩の溶液である。
【0008】
リチウムイオンセルの製造中、複合電極は、1つ以上のセパレータと組み合わされてアセンブリが形成される。このプロセスでは、電極及びセパレータは、通常、加圧下において、場合により積層又は接合も行うことによって互いに接続される。次に、セルの基本的な機能は、アセンブリに電解質を含浸させることによって得ることができる。
【0009】
多くの実施形態では、アセンブリは、コイルの形態で形成されるか又はコイルに加工される。通常、これは、正極/セパレータ/負極の順序を含む。アセンブリは、多くの場合、いわゆるバイセルとして製造され、可能性のある順序として負極/セパレータ/正極/セパレータ/負極又は正極/セパレータ/負極/セパレータ/正極を有する。
【0010】
自動車部門における用途、e-バイク又は工具などの高エネルギー必要量を有する別の用途の場合、充電及び放電中の大電流に耐えることもできる可能な最大エネルギー密度を有するリチウムイオンセルが必要となる。
【0011】
前述の用途のセルは、例えば、21×70(mmの単位での直径×高さ)の形状因子を有する円筒形丸形セルとして設計されることが多い。この種類のセルは、常に巻回の形態のアセンブリを含む。この形状因子の最新のリチウムイオンセルは、既に最大で270Wh/kgのエネルギー密度を実現可能である。しかしながら、このエネルギー密度は、単に中間段階であると考えられている。市場では、さらに高いエネルギー密度を付するセルが既に要求されている。
【0012】
しかしながら、改善された電気化学セルを開発する場合、エネルギー密度だけでなく、別の要因が考慮される。充電及び放電中の電力損失を軽減するために、できるだけ低く維持すべきセルの内部抵抗及びセルの温度の調節に重要となり得る電極の熱的接続も非常に重要なパラメーターである。これらのパラメーターは、コイルの形態のアセンブリを含む円筒形丸形セルの場合にも非常に重要である。セルが急速充電される場合、電力損失のためにセル内に熱が蓄積し、それにより大きい熱機械応力が生じ得、続いてセル構造の変形及び損傷が生じ得る。巻回アセンブリから軸方向に出現する(emerge)、集電体に溶接された別個の導電性アレスタータブによって集電体の電気的接続が行われる場合、その危険性が高まり、なぜなら、充電及び放電中の重負荷下でこれらのアレスタータブにおいて発熱が生じ得るためである。このようなアレスタータブは、例えば、薄い幅数mmの金属箔のストリップであり得る。
【0013】
国際公開第2017/215900 A1号パンフレットは、電極-セパレータアセンブリ及びその電極がリボン状及びコイルの形態であるセルを記載している。それぞれの電極は、電極材料が装荷された集電体を有する。互いに反対の極性の電極は、電極-セパレータアセンブリ内で互いにオフセットして配列され、そのため、正極の集電体の長手方向端部は、コイルの一方の側で出現し、負極の集電体の長手方向端部は、コイルの別の側から出現する。集電体の電気的接触に関して、セルは、線状接触ゾーンが形成されるように、一方の長手方向端部上にある少なくとも1つの接触シート金属部材を有する。接触シート金属部材は、溶接によって直線状接触ゾーンに沿って長手方向端部に接続される。これにより、集電体に電気的に接触することができ、したがって関連する電極にその全長にわたって電気的に接触することができる。これにより、上記のセル内の内部抵抗が大幅に低下する。結果として、大電流の発生を非常に良好に緩和することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、従来技術と比較して改善されたエネルギー密度を特徴とし、同時にその内部抵抗及びその受動的熱放散能力に関して優れた特性を有するリチウムイオンセルを提供するという課題に基づくものであった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この課題は、請求項1の特徴を有するリチウムイオンセルによって解決される。セルの好ましい実施形態は、従属請求項に示される。
【0016】
本発明による二次リチウムイオンセルは、直下の特徴a.~k:
a.セルは、順序アノード/セパレータ/カソードの順序を有する電極-セパレータアセンブリを含むこと、
b.アノードは、リボン状であり、且つ負極材料と、第1の長手方向端部及び第2の長手方向端部を有するリボン状アノード集電体とを含むこと、
c.アノード集電体は、負極材料の層が装荷されるストリップ状主要区域と、第1の長手方向端部に沿って延在し、且つ電極材料が装荷されない自由端部ストリップとを有すること、
d.カソードは、リボン状であり、且つ正極材料と、第1の長手方向端部及び第2の長手方向端部を有するリボン状カソード集電体とを含むこと、
e.カソード集電体は、正極材料の層が装荷されるストリップ状主要区域と、第1の長手方向端部に沿って延在し、且つ電極材料が装荷されない自由端部ストリップとを有すること、
f.電極-セパレータアセンブリは、2つの端面を有するコイルの形態であること、
g.電極-セパレータアセンブリは、ハウジング内に取り囲まれること、
h.アノード及びカソードは、アノード集電体の自由端部ストリップが端子端面の一方から出現し、及びカソード集電体の自由端部ストリップが端子端面の他方から出現するように、電極-セパレータアセンブリ内で設計及び/又は配置されること、
i.セルは、端部ストリップの1つに直接接触し、好ましくは溶接又ははんだ付けによってこの端部ストリップに直接接続される接触シート金属部材を有すること、
j.負極材料の層は、チタン酸リチウム(LTO)を含むこと、及び
k.正極材料の層は、マンガン酸リチウム(LMO)を含むこと
を常に有する。
【0017】
明確にするために、接触シート金属部材と、アノード集電体又はカソード集電体の端部ストリップとの間の接続は、直接的なものである。溶接の場合、接触シート金属部材は、自由端部ストリップに直接融着する一方、はんだ付けの場合、最大でもはんだ金属の薄層が接触シート金属部材と自由端部ストリップとの間に配置される。
【0018】
電極の集電体への接触シート金属部材の直接的な接続により、優れた熱放散特性を補償することができ、これについて以下で説明する。
【0019】
さらに、第1の長手方向端部に沿って延在する自由端部ストリップは、これらの長手方向端部を含む。したがって、第1の長手方向端部は、それぞれの端部ストリップの一部であると見なされるべきである。
【0020】
電気化学的システム
本発明によるセルは、リチウムイオンセルとして設計され、すなわち、これは、リチウムの吸収及び放出を可逆的に行うことができる電極を有する。負極中のLTO及び正極中のLMOは、この目的のために使用される。
【0021】
LMOは、これまで、リチウムイオン電池の正極の電極材料として知られている。これは、天然鉱物のMgAlと類似したスピネル構造を有する。
【0022】
LTOも、これまで、リチウムイオン電池の負極の電極材料として知られている。これもスピネル構造で利用可能である。
【0023】
適切なリチウムマンガンスピネル化合物及び適切なチタン酸リチウム化合物の概要は、
- J.B.Goodenough/Journal of Power Sources 174(2007)996-1000
- Zaghib et al./Materials 2013,6,1028-1049
- Lin et al./Journal of Power Sources 248(2014)1034-1041
に見ることができる。
【0024】
特定の利点の1つは、本発明による電極材料の組み合わせ(LTO/LMO)により、従来のスーパーキャパシタとの電圧互換性が可能になることである。本発明によるセルは、好ましくは、室温で2.2~3.0Vの範囲、特に2.7Vの公称電圧を有する。このような電圧ウィンドウを有するセルは、対応する用途でスーパーキャパシタに取って代わることができるが、はるかに高い容量を有し得る。電極材料の上記の組合せと、接触シート金属部材による集電体の接触との組み合わせにより、特に充電方向及びまた低温(<10℃)で驚くべき良好な高電流容量をセルに与える。
【0025】
好ましいカソード側の構造
特に好ましい一実施形態では、本発明によるセルのカソードは、直下のさらなる特徴a.~d.の少なくとも1つを特徴とする:
a.正極材料は、70重量%~99.4重量%の比率でLMOを含む。
b.正極材料は、電極バインダー及び/又は導電剤を含む。
c.電極バインダーは、正極材料中に0.5重量%~15重量%の比率で含有される。
d.導電剤は、正極材料中に0.1重量%~15重量%の比率で含有される。
好ましくは、直前の追加の特徴a.~d.は、組み合わせで実現される。
【0026】
パーセント値は、電極材料の乾燥質量、すなわち電解質を除外した電極材料を基準とする。
【0027】
カソードの活物質は、好ましくは、電極バインダーのマトリックス中に埋め込まれ、それにより、マトリックス中の隣接する粒子は、好ましくは、互いに直接接触する。導電剤は、電極の導電率を増加させるために使用される。一般的な電極バインダーは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアクリレートスチレン-ブタジエン-ゴム(SBR)又はカルボキシメチルセルロースをベースとする。一般的な導電剤は、カーボンブラック、黒鉛、グラフェン、カーボンナノファイバー及び金属粉末である。
【0028】
好ましくは、カソード集電体上の正極材料の層は、20μm~300μmの範囲の厚さを有する。
【0029】
好ましいアノード側の構造
特に好ましい一実施形態では、本発明によるセルのアノードは、直下のさらなる特徴a.~d.の少なくとも1つを特徴とする:
a.負極材料は、70重量%~99.4重量%でLTOを含む。
b.負極材料は、電極バインダー及び/又は導電剤を含む。
c.電極バインダーは、負極材料中に0.5重量%~15重量%の比率で含有される。
d.導電剤は、負極材料中に0.1重量%~15重量%の比率で含有される。
好ましくは、直前の追加の特徴a.~d.は、組み合わせで実現される。
【0030】
ここでのパーセント値も、電極材料の乾燥質量、すなわち電解質を除外した電極材料を基準とする。
【0031】
アノードの活物質は、好ましくは、電極バインダーのマトリックス中に埋め込まれ、それにより、マトリックス中の隣接する粒子は、好ましくは、互いに直接接触する。導電剤は、電極の導電率を増加させるために使用される。一般的な電極バインダーは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアクリレートスチレン-ブタジエン-ゴム(SBR)又はカルボキシメチルセルロースをベースとする。一般的な導電剤は、カーボンブラック、黒鉛、グラフェン、カーボンナノファイバー及び金属粉末である。
【0032】
好ましくは、アノード集電体上の負極材料の層は、20μm~300μmの範囲の厚さを有する。
【0033】
セパレータ
電極-セパレータアセンブリは、好ましくは、少なくとも1つのリボン状セパレータ、特に好ましくは2つのリボン状セパレータを含み、そのそれぞれは、第1及び第2の長手方向端部並びに2つの末端を有する。
【0034】
セパレータは、好ましくは、電気絶縁性プラスチックフィルムから形成される。セパレータが液体電解質によって透過され得ることが好ましい。このため、例えば、使用されるプラスチックフィルムは、細孔を有し得る。これらのフィルムは、例えば、ポリオレフィン又はポリエーテルケトンで作られ得る。プラスチック材料で作られた不織布及び布又は別の電気絶縁性の布をセパレータとして使用することもできる。5μm~50μmの範囲の厚さを有するセパレータが好ましい。
【0035】
セパレータは、動作のための液体電解質を含浸される。
【0036】
しかしながら、セパレータ-液体電解質の組み合わせに対する代替形態として、セルは、例えば、固体電解質を有することもできる。
【0037】
固体電解質は、好ましくは、液体成分を全く含まない単相中に存在するポリマー-伝導性塩複合体をベースとするポリマー固体電解質である。ポリマー固体電解質は、ポリアクリル酸(PAA)、ポリエチレングリコール(PEG)又はポリメタクリル酸メチル(PMMA)をポリマーマトリックスとして有し得る。これらの中にリチウムビス-(トリフルオロメタン)スルホニルイミド(LiTFSI)、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)及びテトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)などのリチウム伝導性塩を溶解させることができる。
【0038】
電解質
ほとんどの場合、セルは、溶媒又は溶媒混合物と、リチウムイオン含有伝導性塩とからなり、セパレータに含浸される液体電解質を含むことが好ましい。
【0039】
セルは、好ましくは、アセトニトリル(ACN)、プロピレンカーボネート(PC)、γ-ブチロラクトン(GBL)、アジポニトリル(ADN)、エチレンカーボネート-ジエチルカーボネート(EC-DEC)、エチレンカーボネート-ジメチルカーボネート(EC-DMC)、エチレンカーボネート-エチルメチルカーボネート(EC-EMC)、エチレンカーボネート-ジメチルカーボネート-エチルメチルカーボネート(EC-DMC-EMC)及びエチレンカーボネート-ジメチルカーボネート-ジエチルカーボネート(EC-DMC-DEC)を含む群からの溶媒又は溶媒混合物である電解質を含む。
【0040】
さらに、セルは、テトラフルオロホウ酸テトラテチルアンモニウム(tetratethylammonium tetrafluoroborate)(EtNBF)、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(LiAsF)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiB(C)及びLiP(Cからなる群から選択される伝導性塩を含有する電解質を含むことが好ましい。
【0041】
伝導性塩は、好ましくは、電解質中に0.5M~5M、特に2Mの比率で含有される。
【0042】
幾つかの好ましい実施形態では、電解質は、ビニレンカーボネート(VC)及びフルオロエチレンカーボネート(FEC)からなる群から選択される添加剤を含む。
【0043】
第1の特に好ましい変形形態では、本発明によるセルは、電解質に関して以下の3つのさらなる特徴a.~c.の少なくとも1つを特徴とする:
a.セルは、アセトニトリル(ACN)を溶媒として含有する電解質を含む。
b.セルは、テトラフルオロホウ酸テトラテチルアンモニウム(EtNBF)、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(LiAsF)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiB(C)及びLiP(C、特にテトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)からなる群から選択される伝導性塩を含む電解質を含む。
c.伝導性塩は、電解質中に1.0~3.0M、特に1.5~2.5Mの濃度で含有される。
特に好ましくは、直前の3つの特徴a.~c.は、互いの組み合わせで実現される。
【0044】
第2の特に好ましい変形形態では、本発明によるセルは、電解質に関して以下の4つのさらなる特徴a.~d.の少なくとも1つを特徴とする:
a.セルは、プロピレンカーボネート(PC)とγ-ブチロラクトン(GBL)との混合物を溶媒として含有する電解質を含む。
b.混合物中のPC:対GBLの体積比は、10:90~90:10の範囲であり、特に好ましくは、体積比は、30:70である。
c.セルは、テトラフルオロホウ酸テトラテチルアンモニウム(EtNBF)、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(LiAsF)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiB(C)及びLiP(Cからなる群から選択される伝導性塩を含む電解質を含む。
d.伝導性塩は、電解質中に0.5~5M、特に2Mの濃度で含有される。
直前の4つの特徴a.~d.は、特に好ましくは、互いの組み合わせで実現される。
【0045】
第3の特に好ましい変形形態では、本発明によるセルは、電解質に関して以下の3つのさらなる特徴a.~c.の少なくとも1つを特徴とする:
a.セルは、プロピレンカーボネート(PC)を溶媒として含有する電解質を含む。
b.セルは、テトラフルオロホウ酸テトラテチルアンモニウム(EtNBF)、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(LiAsF)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiB(C)及びLiP(C、特にヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)からなる群から選択される伝導性塩を含む電解質を含む。
c.伝導性塩は、電解質中に1.0~2.0Mの濃度で含有される。
直前の3つの特徴a.~c.は、特に好ましくは、互いの組み合わせで実現される。
【0046】
第4の特に好ましい変形形態では、本発明によるセルは、電解質に関して以下の5つのさらなる特徴a.~e.の少なくとも1つを特徴とする:
a.セルは、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)との混合物を溶媒として含有する電解質を含む。
b.混合物中のEC:対DMCの体積比は、1:7~5:7の範囲であり、特に好ましくは、体積比は、3:7である。
c.セルは、テトラフルオロホウ酸テトラテチルアンモニウム(EtNBF)、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(LiAsF)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiB(C)及びLiP(C、特にヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)からなる群から選択される伝導性塩を含む電解質を含む。
d.伝導性塩は、電解質中に1.0~2.0Mの濃度で含有される。
e.電解質は、ビニレンカーボネート(VC)を添加剤として特に1重量%~3重量%の濃度で含む。
直前の5つの特徴a.~e.は、特に好ましくは、互いの組み合わせで実現される。
【0047】
第5の特に好ましい変形形態では、本発明によるセルは、電解質に関して直下の6つのさらなる特徴a.~f.の少なくとも1つを特徴とする:
a.セルは、エチレンカーボネート(EC)と、プロピレンカーボネート(PC)と、ジメチルカーボネート(DMC)との混合物を溶媒として含有する電解質を含む。
b.電解質中の3つの成分EC、PC及びDMCの互いに対する比率は、1:2:7である。
c.セルは、テトラフルオロホウ酸テトラテチルアンモニウム(EtNBF)、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(LiAsF)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiB(C)及びLiP(C、特にヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)からなる群から選択される伝導性塩を含む電解質を含む。
d.伝導性塩は、電解質中に0.5M~5Mの濃度で含有される。
e.セルは、テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウム(EtNBF)を共伝導性塩として含む電解質を含む。
f.共伝導性塩は、電解質中に0.1M~2Mの濃度で含有される。
直前の6つの特徴a.~f.は、特に好ましくは、互いの組み合わせで実現される。
【0048】
第1の変形形態による電解質は、特に有利であることが分かっている。溶媒のアセトニトリルは、EDLCのキャパシタ領域に使用されることが多い。これは、一般に、リチウムイオンセルに使用されず、なぜなら、通常の電気化学的条件下で安定ではないためである。しかしながら、本明細書の場合、この点に関して問題は生じなかった。むしろ、本発明によるセルは、この電解質を用いて優れたサイクル性を示すことが明らかになった。
【0049】
セパレータの特に好ましい実施形態
本発明によるセルは、特に好ましくは、直下の特徴aを特徴とする:
a.セパレータは、熱応力に対するその抵抗性を改善する少なくとも1つの無機材料を含む。
【0050】
この材料は、特に、接触シート金属部材の溶接又ははんだ付けの場合に発生し得る局所加熱によって生じる収縮からセパレータを保護する。これにより、短絡の危険性が大幅に低下する。
【0051】
好ましいさらなる発展形態では、本発明によるセルは、直下の特徴a.~cの少なくとも1つを特徴とする:
a.電極-セパレータアセンブリは、第1のセパレータ及び第2のセパレータを含む。
b.第1のセパレータと第2のセパレータとは、同一である。
c.電極-セパレータアセンブリは、アノード/第1のセパレータ/カソード/第2のセパレータの順序又は第1のセパレータ/アノード/第2のセパレータ/カソードの順序を有する。
【0052】
直前の特徴a.及びc.並びに場合により直前の特徴a.~c.は、互いの組み合わせで実現されることが特に好ましい。
【0053】
好ましくは、第1及び第2のセパレータの両方は、少なくとも1つの無機材料によって熱応力に対して改善される。
【0054】
好ましいさらなる発展形態では、本発明によるセルは、直下の特徴aを特徴とする:
a.少なくとも1つの無機材料は、セパレータ、特に第1のセパレータ及び/又は第2のセパレータ中に粒子状充填材料として含有される。
【0055】
したがって、セパレータは、好ましくは、粒子状充填材料がその中に埋め込まれる電気絶縁性プラスチックフィルムであり得る。プラスチックフィルムは、例えば、微細孔を有するため、電解質によって透過され得ることが好ましい。このフィルムは、例えば、ポリオレフィン又はポリエーテルケトンで作られ得る。このようなプラスチック材料で作られた不織布及び布も使用できることは排除されない。
【0056】
セパレータ中の粒子状フィラー材料の比率は、好ましくは、少なくとも40重量%、特に好ましくは少なくとも60重量%である。
【0057】
さらに好ましいさらなる発展形態では、本発明によるセルは、直下の特徴aを特徴とする:
a.少なくとも1つの無機材料は、セパレータ、特に第1のセパレータ及び/又は第2のセパレータの表面上のコーティングとして存在する。
【0058】
したがって、セパレータは、好ましくは、粒子状充填材料がコーティングされるプラスチックフィルム又は不織布若しくは布或いは別の電気絶縁性シート材料であり得る。
【0059】
この場合、5μm~20μmの範囲、好ましくは7μm~12μmの範囲のベース厚さを有するセパレータが好ましくは使用される。前述の好ましいセパレータ全体の厚さは、ベース厚さとコーティングの厚さとによって得られる。
【0060】
幾つかの実施形態では、平坦構造、特にプラスチックフィルムの一方の側にのみ無機材料がコーティングされる。さらなる実施形態では、シート構造、特にプラスチックフィルムの好ましくは両側に無機材料がコーティングされる。
【0061】
コーティングの厚さは、好ましくは、0.5μm~5μmの範囲である。これは、両側のコーティングの場合にセパレータ全体の厚さが好ましくは6μm~30μmの範囲、特に好ましくは8μm~22μmの範囲となることを意味する。片側のコーティングの場合、厚さは、好ましくは、5.5μm~20.5μmの範囲、特に好ましくは7.5μm~17μmの範囲である。
【0062】
適切な場合、使用されるセパレータは、コーティングと同じ又は異なる無機材料である無機材料をフィラーとして含むことが好ましい場合もある。
【0063】
さらなる可能な好ましい実施形態では、本発明によるセルは、直下の特徴a.~eの少なくとも1つを特徴とする:
a.少なくとも1つの無機材料は、電気絶縁性材料であるか又はそれを含む。
b.少なくとも1つの無機材料は、セラミック材料、ガラス-セラミック材料及びガラスからなる群から選択される少なくとも1つの材料であるか又はそれを含む。
c.少なくとも1つの無機材料は、リチウムイオン伝導性のセラミック材料、例えばLiAlO*LiSiO又はLiAlSiであるか又はそれを含む。
d.少なくとも1つの無機材料は、酸化物材料、特に金属酸化物であるか又はそれを含む。
e.セラミック又は酸化物材料は、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)、窒化チタン(TiN)、窒化チタンアルミニウム(TiAlN)、酸化ケイ素、特に二酸化ケイ素(SiO)又は炭窒化チタン(TiCN)である。
【0064】
直前の特徴a.~c.又は直前の特徴a.、及びb.、及びd.又は直前の特徴a.、及びb.、及びe.は、互いの組み合わせで実現されることが特に好ましい。
【0065】
前述の材料のうち、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)及び二酸化ケイ素(SiO)がコーティング材料として特に好ましい。
【0066】
さらなる可能な好ましい実施形態では、本発明によるセルは、直下の特徴a.~cの少なくとも1つを特徴とする:
a.第1のセパレータ及び/又は第2のセパレータは、特定の領域にのみ少なくとも1つの無機材料を含む。
b.第1のセパレータ及び/又は第2のセパレータは、第1及び/又は第2の長手方向端部に沿って端部ストリップを有し、その中にコーティング及び/又は粒子状フィラー材料としての少なくとも1つの無機材料を含む。
c.第1のセパレータ及び/又は第2のセパレータは、好ましくは、少なくとも1つの無機材料を含まない帯型主要区域を有する。
直前の特徴a.~c.は、互いの組み合わせで実現されることが特に好ましい。
【0067】
セパレータが、均一に分散した無機材料を含有するか又はその材料であらゆる場所で均一にコーティングされることは、絶対に必要というわけでは決してない。実際、セパレータは、特定の領域、例えば前述の主要領域に無機材料を含まないことがさらに好ましい場合がある。この領域内では、セパレータの端部ほどセパレータの耐熱性が増加する必要がない。さらに、無機材料により、特にこの領域内において、本発明によるセルの内部抵抗の望ましくない増加が生じ得る。
【0068】
コイルとして形成される電極-セパレータアセンブリの好ましい構造
ストリップ状アノード、ストリップ状カソード及びストリップ状セパレータは、好ましくは、らせん状に巻かれて、コイルとして形成された電極-セパレータアセンブリとなる。好ましくは、電極-セパレータアセンブリを製造するために、ストリップ状電極は、ストリップ状セパレータとともに巻取装置に供給され、そこで、これらは、好ましくは、巻取軸の周囲にらせん状に巻き取られる。代わりに、電極及びセパレータを組み合わせてアセンブリを形成し、次に巻き取ることもできる。幾つかの実施形態では、電極及びセパレータは、この目的のための円筒形又は中空円筒形の巻取コアの上に巻き取られ、このコアは、巻取マンドレル上に配置され、巻き取り後にコイル中に残存する。例えば、プラスチックフィルム又は接着テープによって巻取シェル(コイルのシェル)を形成することができる。巻取シェルは、1つ以上のセパレータを巻き取ったものから形成することもできる。
【0069】
1つ又は複数のセパレータの長手方向端部は、コイルとして形成された電極-セパレータアセンブリの端面を形成することが好ましい。
【0070】
コイルの端面から出現するアノード集電体及び/又はカソード集電体の端部ストリップは、端面から5000μmを超えて突出せず、好ましくは3500μmを超えて突出しないことも好ましい。
【0071】
特に好ましくは、アノード集電体の端部ストリップは、コイルの端面から2500μmを超えて突出せず、特に好ましくは1500μmを超えて突出しない。特に好ましくは、カソード集電体の端部ストリップは、コイルの端面から3500μmを超えて突出せず、特に好ましくは2500μmを超えて突出しない。
【0072】
電極-セパレータアセンブリ内では、アノード及びカソードは、好ましくは、互いにオフセットして配置され、それにより、アノード集電体の端部ストリップは、電極-セパレータアセンブリの端子端面の一方から出現し、及びカソード集電体の端部ストリップは、電極-セパレータアセンブリの端子端面の他方から出現する。
【0073】
集電体
本発明によるエネルギー貯蔵要素は、2つの金属製の接触シート金属部材を含み、特に溶接又ははんだ付けによって接続されて、その一方がアノード集電体の自由端部ストリップに直接接触し、他方がカソード集電体の自由端部ストリップに直接接触することが特に好ましい。
【0074】
本発明によるセルの集電体は、できる限り広い面積にわたり、それぞれの電極材料中に含有される電気化学的活性成分に電気的に接触する役割を果たす。好ましくは、集電体は、金属で作られるか又は少なくとも表面上において金属化される。アノード集電体に適切な金属としては、銅若しくはニッケル又は別の電気伝導性材料、特に銅及びニッケルの合金又はニッケルで被覆された金属が挙げられる。選択肢として、ステンレス鋼も挙げられる。アルミニウム又は別の電気伝導性材料、例えばアルミニウム合金は、カソード集電体に適切な金属である。ステンレス鋼、例えばタイプ1.4404もこの場合の選択肢である。
【0075】
好ましくは、アノード集電体及び/又はカソード集電体のそれぞれは、4μm~30μmの範囲の厚さの金属箔、特に4μm~30μmの範囲の厚さのストリップ状金属箔である。
【0076】
特に好ましい実施形態では、本発明によるセルは、直下の特徴a.及びbの少なくとも1つを特徴とする:
a.カソード集電体は、アルミニウム若しくはアルミニウム合金を含む又はそれからなる。
b.アノード集電体は、アルミニウム若しくはアルミニウム合金を含むか、又はアルミニウム若しくはアルミニウム合金で作られる。
直前の特徴a.及びb.は、互いの組み合わせで実現されることが特に好ましい。
【0077】
特に、LTO/LMO電気化学の使用によって得られるアノード側でのアルミニウム集電体の使用は、例えば、銅をベースとする集電体の使用に対する利点を有する。アルミニウムは、銅よりも軽いため、セルのエネルギー密度を大幅に増加させることができる。さらに、集電体としてのアルミニウム箔及びLTOをベースとするアノードを有する本発明によるセルは、深放電に対して非常に安定であることが示された。デンドライトを形成する傾向は、大幅に縮小されると思われる。
【0078】
集電体、特にアルミニウム又はアルミニウム合金をベースとする集電体の表面は、特に接触抵抗を低下させるために、好ましくは炭素層でコーティングすることができる。この層は、好ましくは、数nm~数μmの厚さであり、例えば気相からの堆積、例えばCVDプロセス(CVD=化学蒸着)又は吹き付けプロセスによって形成することができる。
【0079】
フィルムに加えて、金属製不織布若しくは金属化不織布又は開放細孔金属発泡体或いはエキスパンドメタルなどの別のストリップ状構造を集電体として使用することもできる。
【0080】
集電体は、好ましくは、それぞれの電極材料が両側に装荷される。したがって、これらのそれぞれは、好ましくは、それぞれの電極材料の層が両側に装荷されるストリップ状主要領域を有する。
【0081】
アルミニウム、銅又はニッケルの合金が集電体に関連して言及される場合、これは、好ましくは、それぞれのベース金属のアルミニウム、銅又はニッケルの含有量が少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも90重量%である合金を意味する。
【0082】
集電体の低材料設計
特に好ましい実施形態では、本発明によるセルは、直下の特徴a.~cの少なくとも1つを特徴とする:
a.好ましくは溶接又ははんだ付けによって接触シート金属部材に接続される集電体のストリップ状主要領域は、多数の開口部を有する。
b.主要領域内の開口部は、丸い又は正方形の孔であり、特に打ち抜かれた又は穿孔された孔である。
c.好ましくは溶接又ははんだ付けによって接触シート金属部材に接続される集電体は、主要領域内において、特に丸い孔又はスロット状の孔によって穿孔される。
好ましくは、直前の特徴a.及びb.又はa.及びc.、特に好ましくは直前の3つの特徴a.~c.は、互いの組み合わせで実現される。
【0083】
多数の開口部によって集電体の体積が減少し、重量も減少する。これにより、より多くの活物質をセル内に導入することができ、したがってセルのエネルギー密度が大幅に増加する。この方法により、2桁パーセント値の範囲でのエネルギー密度の増加を実現することができる。
【0084】
幾つかの好ましい実施形態では、開口部は、ストリップ状主要領域内にレーザーを用いて形成される。
【0085】
原則として、開口部の形状は、本発明にとって重要ではない。重要なことは、開口部を導入することにより、集電体の質量が減少し、開口部に活物質を満たすことができるため、活物質のためにより多くの空間が得られることである。
【0086】
開口部を挿入する場合、開口部の最大直径が大きくなりすぎないことを保証することが非常に有利であり得る。好ましくは、開口部の寸法は、それぞれの集電体上の電極材料の層の厚さの2倍を超えるべきではない。
【0087】
特に好ましい実施形態では、本発明によるセルは、直下の特徴aを特徴とする:
a.集電体中、特に主要領域内の開口部は、1μm~3000μmの範囲の直径を有する。
【0088】
この好ましい範囲内において、10μm~2000μmの範囲、好ましくは10μm~1000μm、特に50μm~250μmの直径がさらに好ましい。
【0089】
特に好ましくは、本発明によるセルは、直下の特徴a.及びbの少なくとも1つをさらなる特徴とする:
a.好ましくは溶接又ははんだ付けによって接触シート金属部材に接続される集電体は、少なくとも主要領域の部分において、同じ集電体の自由端部ストリップよりも単位面積当たりの重量が小さい。
b.好ましくは溶接又ははんだ付けによって接触シート金属部材に接続される集電体は、主要領域内と比較して、自由端部ストリップ中に単位面積の開口部がないか又は少ない。
直前の特徴a.及びb.は、互いの組み合わせで実現されることが特に好ましい。
【0090】
開口部は、好ましくは、主要領域にわたって実質的に均一に分布する。
【0091】
さらなる特に好ましい実施形態では、本発明によるセルは、直下の特徴a.~cの少なくとも1つを特徴とする:
a.主要領域内の集電体の単位面積当たりの重量は、自由端部ストリップ中の集電体の単位面積当たりの重量よりも5%~80%小さい。
b.集電体は、主要領域内に5%~80%の範囲の穿孔領域を有する。
c.集電体は、主要領域内で20N/mm~250N/mmの引張強度を有する。
直前の特徴a.~c.は、互いの組み合わせで実現されることが特に好ましい。
【0092】
自由断面と呼ばれることも多い穿孔領域は、ISO 7806-1983に準拠して決定することができる。主要領域内の集電体の引張強度は、開口部を有しない集電体よりも低い。これは、DIN EN ISO 527 Part 3に準拠して求めることができる。
【0093】
アノード集電体及びカソード集電体は、開口部に関して同じ又は類似の設計を有することが好ましい。それぞれの場合の実現可能なエネルギー密度の改善が足し合わされる。したがって、好ましい実施形態では、本発明によるセルは、直下の特徴a.~cの少なくとも1つをさらなる特徴とする:
a.アノード集電体の主要ストリップ状領域と、カソード集電体の主要領域との両方は、前述の多数の開口部を特徴とする。
b.セルは、一方の端部ストリップに直接接続される接触シート金属部材を第1の接触シート金属部材として含み、特に溶接又ははんだ付けによって他方の端部ストリップに直接接続される第2の接触シート金属部材を含む。
【0094】
直前の特徴a.及びb.は、互いの組み合わせで実現されることが特に好ましい。
【0095】
前述の開口部が設けられた集電体の好ましい実施形態は、アノード集電体及びカソード集電体に対して互いに独立して適用することができる。
【0096】
穿孔された集電体又は多数の開口部を有する集電体の使用は、そのような集電体を電気的に接触させることが非常に困難であるため、リチウムイオンセルに関してあまり重要であるとは考えられていなかった。最初に述べたように、集電体の電気的接続は、別個のアレスターラグを介して行われることが多い。しかしながら、工業的大量生産プロセスで容認できないエラー率が生じることなく、これらのアレスタータブと穿孔された集電体との間に信頼性のある溶接接続を形成することは、特に困難である。
【0097】
本発明によると、この問題は、特に前述の端部ストリップの接触シート金属部材に対する溶接又ははんだ付けによって解決される。本発明による概念により、別個のアレスターラグを全く用いないことが可能になり、したがって開口部が設けられた低材料集電体の使用が可能になる。特に、集電体の自由端部ストリップに開口部が設けられない実施形態では、溶接又ははんだ付けは、非常に低い不良率を有して高い信頼性で行うことができる。
【0098】
ハウジング
特に好ましい一実施形態では、本発明によるセルのハウジングは、直下の特徴a.及びbの少なくとも1つを特徴とする:
a.電極-セパレータアセンブリを取り囲むハウジングは、円形開口部を末端に有する金属製管状ハウジング部分を含む。
b.コイルとして設計される電極/セパレータアセンブリは、管状ハウジング部分の内側に対して巻取シェルが配置されるように、ハウジング内で軸方向に配列される。
直前の特徴a.及びb.は、互いの組み合わせで実現されることが特に好ましい。
【0099】
ハウジングの閉鎖
特に好ましくは、セルは、直下の2つの特徴a.及びbを特徴とする:
a.接触シート金属部材は、円形端部を有する。
b.接触シート金属部材によって管状ハウジング部分の末端円形開口部が閉じられる。
【0100】
したがって、本発明によると、円形端部を有する接触シート金属部材を接触シート金属部材として使用し、管状ハウジング部分の末端円形開口部を閉じるために接触シート金属部材を使用することが提案される。したがって、ここで、接触シート金属部材は、電極と電気的接触を行うためにのみ使用されるのではなく、ハウジング部分としても機能する。接触シート金属部材とハウジング部分との間に別個の電気的接続は、もはや必要ではなくなるため、これは、大きい利点となる。これにより、ハウジング内に空間が形成され、セルアセンブリが簡略化される。さらに、セルの集電体にハウジング部分を直接接続することで優れた熱放散特性が得られる。
【0101】
好ましいさらなる発展形態では、本発明によるセルは、直下の4つの特徴a.~dの少なくとも1つを特徴とする:
a.接触シート金属部材は、金属ディスクであるか又は金属ディスクを含むカバーアセンブリの一部である。
b.金属ディスクは、その端部が周囲接触ゾーンに沿って管状ハウジング部分の内側に対して配置されるように管状ハウジング部分内に配置される。
c.金属ディスクの端部は、周囲の溶接又ははんだ付けによる継ぎ目によって管状ハウジング部分に接続される。
d.1つの端部ストリップは、溶接又ははんだ付けによって金属ディスクに接続される。
特に好ましくは、直前の4つの特徴a.~d.のすべては、互いの組み合わせで実現される。
【0102】
幾つかの実施形態では、金属ディスクは、第1の長手方向端部を下にして平坦に配置され、それにより、らせん状に巻かれた電極の場合、らせん形状を有する線状接触ゾーンが得られる。さらなる実施形態では、第1の長手方向端部と、したがって端部ストリップとは、曲げるか又は変形させることができる。
【0103】
金属ディスクの端部は、周囲接触ゾーンに沿って管状ハウジング部分の内側に対して配置できるため、管状ハウジング部分は、少なくとも金属ディスクの端部が配置される部分で円形断面を有することが好ましい。このため、この部分が中空の円筒形となると好都合である。管状ハウジング部分のこの部分の内径は、金属ディスクの端部の外径に対応して適合する。
【0104】
金属ディスクの端部と管状ハウジング部分との溶接は、特にレーザーを用いて行うことができる。代わりに、はんだ付け又は接合によって金属ディスクを固定することも可能である。
【0105】
周囲の溶接又ははんだ付けが行われる継ぎ目のための別個の封止要素は、不用である。金属ディスク及び管状ハウジング部分は、溶接又ははんだ付けが行われた継ぎ目による封止方法で互いに接続される。さらに、溶接又ははんだ付けによる接続により、金属ディスクと管状ハウジング部分との間に実質的に抵抗のない電気的接続も保証される。この場合、金属ディスク及び管状ハウジング部分は、同じ極性を有する。
【0106】
さらなる好ましいさらなる発展形態では、本発明によるセルは、直下の4つの特徴a.~dの少なくとも1つを特徴とする:
a.接触シート金属部材は、金属ディスクであるか又は金属ディスクを含むカバーアセンブリの一部である。
b.セルは、金属ディスクの円形端部を取り囲む電気絶縁性材料で作られたリング型シールを含む。
c.金属ディスクは、周囲接触ゾーンに沿って管状ハウジング部分の内側に対してリング型シールが配置されるように管状ハウジング部分内に配置される。
d.1つの端部ストリップは、溶接又ははんだ付けによって金属ディスクに接続される。
【0107】
特に好ましくは、直前の4つの特徴a.~d.のすべては、互いの組み合わせで実現される。したがって、この実施形態では、電気絶縁性材料で作られた環状シールを接触シート金属部材の円形端部に適合させるために円形端部を有する接触シート金属部材を使用し、管状ハウジング部分の末端円形開口部を閉じるために接触シート金属部材を使用することが提案される。代わりに、接触シート金属部材と金属ディスクとの組み合わせを含むカバーアセンブリを接触シート金属部材の代わりに使用することができる。この場合、このシールは、金属ディスクの端部の上に取り付けられ、管状ハウジング部分の末端円形開口部は、カバーアセンブリを用いて閉じられる。
【0108】
セルは、例えば、圧着又はシールが好ましくは圧縮される圧着によって閉じることができる。
【0109】
環状シールは、周囲接触ゾーンに沿って内側に対して配置することができるため、この場合、管状ハウジング部分は、少なくともシールが配置される部分に円形断面を有することも好ましい。このため、この部分が中空の円筒形となると好都合である。この部分では、管状ハウジング部分の内径は、シールが上に装荷される金属ディスクの端部の外径に対応して適合する。
【0110】
シール自体は、標準的なプラスチックシールであり得、これは、使用される電解質に対して化学的に抵抗性となるべきである。適切な封止材料は、当業者に公知である。
【0111】
電気絶縁性材料で作られたリング型シールを用いる封止の変形形態は、接触シート金属部材が管状ハウジング部分から電気的に絶縁されることを意味する。これは、セルの電極を形成する。周囲の溶接又ははんだ付けによる継ぎ目によって金属ディスクの端部を管状ハウジング部分に接続する封止の変形形態では、管状ハウジング部分と接触シート金属部材とは、同じ極性を有する。
【0112】
金属ディスクの設計
接触シート金属部材は、接触シート金属部材に加えて、前述の金属ディスクと、場合により別の個別の部分とを含む前述のカバーアセンブリの一部であり得る。この場合、接触シート金属部材と金属ディスクとは、好ましくは、互いに直接接触するか又は導電体を介して接触する。幾つかのさらなる好ましい実施形態では、接触シート金属部材は、前述の金属ディスクである。
【0113】
最も単純な実施形態では、金属ディスクは、1つの面内でのみ延在する円形の周囲を有する平坦なシート金属部分である。しかしながら、多くの場合、より精巧な設計が好ましい場合もある。例えば、金属ディスクは、輪郭を形成することができ、例えばその中心の周囲に好ましくは同心配置で1つ以上の円形のくぼみ及び/又は隆起部を有し得、これにより例えば波形の断面を形成し得る。その内側は、1つ以上の稜線又は直線状のくぼみ及び/若しくは隆起部を有することもできる。さらに、ディスクは、例えば、U字型断面を有する二重層端部領域を有するように、半径方向内側に曲げられる端部を有し得るか、又はL字型の断面が得られるように半径方向に90°曲げられ得る。
【0114】
さらなる発展形態では、本発明によるセルは、直下の3つの特徴a.~cの少なくとも1つを特徴とする:
a.金属ディスクは、その一方の側の上に少なくとも1つの溝型及び/又はドット型のくぼみを有し、これによりその反対側に少なくとも1つの直線状及び/又はドット型の隆起部が出現する。
b.少なくとも1つの隆起部を有する側は、端部ストリップに直接接触する。
c.少なくとも1つの隆起部と端部ストリップとは、少なくとも1つの溶接若しくははんだ付け箇所及び/又は少なくとも1つの溶接若しくははんだ付けの継ぎ目を介して接続される。
直前の特徴a.~c.は、特に好ましくは、組み合わせで実現される。
【0115】
したがって端部ストリップは、好ましくは、少なくとも1つの隆起部に直接溶接又ははんだ付けが行われる。
【0116】
幾つかの実施形態では、1つの端部ストリップは、少なくとも1つの隆起部に接触することによって曲げるか又は変形させることができる。
【0117】
さらに、細長いくぼみとしてビーズが導入されることが好ましい場合がある。したがって、本発明によるセルの金属ディスクの好ましいさらなる発展形態では、以下の2つの特徴a.及びbの少なくとも1つを特徴とする:
a.金属ディスクは、その一方の側に例えば星型配列などの幾つかの溝型のくぼみを有し、これにより他方の側に線状の隆起部が出現する。
b.金属ディスクは、金属ディスクの端部ストリップへの溶接又ははんだ付けの結果としての溝型のくぼみのそれぞれの中に少なくとも1つの溶接又ははんだの継ぎ目、好ましくは2つの平行な溶接の継ぎ目を含む。
直前の特徴a.及びb.は、特に好ましくは、組み合わせで実現される。
【0118】
星型の配列及び必要に応じて二重の溶接の継ぎ目により、1つの端部ストリップに対する金属ディスクの良好で特に均一な接続が保証される。
【0119】
複数部分のカバーアセンブリ
特に好ましいさらなる発展形態では、本発明によるセルは、直下の特徴a.及びbの少なくとも1つを特徴とする:
a.これは、接触シート金属部材に加えて、前述の金属ディスクを含むカバーアセンブリを含む。
b.接触シート金属部材は、端部ストリップに直接接触し、この端部ストリップに溶接又ははんだ付けによって接続される。
直前の特徴a.及びb.は、特に好ましくは、組み合わせで実現される。
【0120】
したがって、この実施形態では、カバーアセンブリは、少なくとも2つの個別の部分を含む。ここで、金属ディスクは、ハウジングを閉じるために使用される一方、接触シート金属部材は、集電体の端部ストリップに接触する。
【0121】
幾つかの好ましい実施形態では、接触シート金属部材は、円形の周囲を有し得るが、これは、決して必須ではない。幾つかの場合、例えば、接触シート金属部材は、金属ストリップであり得るか、又は例えば星型配列で幾つかのストリップ状セグメントを有し得る。
【0122】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つのスロット、及び/又は少なくとも1つの孔、及び/又は少なくとも1つの穿孔を有する接触シート金属部材を使用することができる。これらは、端部ストリップへの溶接接続又ははんだ付け接続を形成する場合、接触シート金属部材の変形を抑制する役割を果たし得る。
【0123】
さらに、接触シート金属部材は、孔又は間隙などのくぼみを有し得、これらは、供給中の電解質の分布を単純化し、形成中に生じるか又はコイルの内側からの誤用若しくは欠陥の結果として生じるガスの放出を促進する目的に用いられる。
【0124】
好ましくは、接触シート金属部材及び金属ディスクは、少なくとも一部の領域で互いの上に平坦に配置され、それにより2次元の接触表面が形成される。
【0125】
好ましくは、接触シート金属部材と金属ディスクとは、互いに直接接触する。この場合、これらは、特に好ましくは、溶接又ははんだ付けによって互いに固定される。
【0126】
特に好ましい実施形態では、接触シート金属部材は、国際公開第2017/215900 A1号パンフレットに記載の接触シート金属部材のように設計される。
【0127】
特に好ましい一実施形態では、カバーアセンブリは、金属ディスクに加えて及びまた場合により接触シート金属部材に加えて、円形の周囲を有する輪郭が形成された金属製電極カバーを含み得、これは、金属ディスク上に溶接又ははんだ付けを行うことができ、金属ディスクとほぼ又は正確に同じ直径を有し、これにより金属ディスクの端部と電極カバーの端部とを合わせたものがカバーアセンブリの端部を形成する。さらなる一実施形態では、電極カバーの端部は、金属ディスクの半径方向内側に曲げられた端部によって取り囲むことができる。好ましい実施形態では、2つの個別の部分間にクランプ接続が存在し得る。
【0128】
1つの端部ストリップへの接触要素の溶接
接触要素を用いて集電体の端部を溶接するという概念は、国際公開第2017/215900 A1号パンフレット又は特開2004-119330 A号公報から既に公知である。この技術により、特に高い電流通過容量及び低い内部抵抗が可能になる。したがって、接触要素、特にディスク型接触要素の、集電体の端部への電気的接続方法に関して、国際公開第2017/215900 A1号パンフレット及び特開2004-119330 A号公報の内容全体が参照される。
【0129】
ハウジングカップを有するハウジングの変形形態
前述の説明のように、本発明によるセルのハウジングは、好ましい一実施形態では、末端に円形開口部を有する金属製の管状ハウジング部分を含むことを特徴とし、接触シート金属部材は、円形端部を含み、管状ハウジング部分の末端で円形開口部を閉じ、1つの端部ストリップは、溶接又ははんだ付けによって接触シート金属部材に接続される。
【0130】
特に好ましいさらなる発展形態では、本発明によるセルは、そのハウジングに関して以下のさらなる特徴a.及びb.の少なくとも1つを特徴とする:
a.管状ハウジング部分は、円形基部を有する金属ハウジングカップの一部である。
b.別の端部ストリップは、床に直接配置され、好ましくは溶接又ははんだ付けによって床に接続される。
直前の特徴a.及びb.は、特に好ましくは、組み合わせで実現される。
【0131】
この変形形態は、電気絶縁性材料で作られたリング型シールを有する前述の閉鎖の変形形態によるセルに特に適切である。
【0132】
セルハウジングの構成におけるハウジングカップの使用は、例えば、最初に言及した国際公開第2017/215900A1号パンフレットから長い間公知である。しかしながら、本明細書で提案されるように、ハウジングカップの基部に集電体の端部ストリップを直接接続することは、知られていない。
【0133】
したがって、本発明によると、コイルとして形成された電極-セパレータアセンブリの互いに反対側の端面から出現する集電体の端部ストリップを、ハウジング部分、すなわちカップの基部及び閉鎖要素として機能する前述の接触シート金属部材に直接連結することが可能であり、好ましい。したがって、セルハウジングの利用可能な内部容積の活性成分のための利用は、その理論上の最適条件に近づく。
【0134】
ハウジング材料
ハウジングカップ及び接触シート金属部材が製造される材料の選択は、通常、それらがアノード又はカソードの集電体と電気的に接触するかどうかによって決定される。集電体自体が製造される材料と同じ材料が一般に好ましい。記載の構成要素は、例えば、以下の材料から作られ得る。
【0135】
合金化された又は合金化されていないアルミニウム、合金化された又は合金化されていないチタン、合金化された又は合金化されていないニッケル、合金化された又は合金化されていない銅、ステンレス鋼(例えば、タイプ1.4303又は1.4404)、ニッケルめっきされた鋼。
【0136】
さらに、ハウジング及びその構成要素は、多層材料(クラッド材料)、例えば鋼の層及びアルミニウム若しくは銅の層からなり得る。これらの場合、アルミニウムの層又は銅の層は、例えば、ハウジングカップの内側又はハウジングカップの基部を形成する。
【0137】
別の適切な材料は、当業者に公知である。
【0138】
アルミニウム、銅又はニッケルの合金がハウジング材料に関連して言及される場合、これは、好ましくは、それぞれのベース金属のアルミニウム、銅又はニッケルの含有量が少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも90重量%である合金を意味する。
【0139】
電極の好ましい設計
自由端部ストリップでは、それぞれの集電体の金属は、好ましくは、それぞれの電極材料を含まない。幾つかの好ましい実施形態では、それぞれの集電体の金属は、被覆されず、例えば接触シート金属部材への前述の溶接又ははんだ付けによる電気的接触に利用可能である。
【0140】
しかしながら、幾つかのさらなる実施形態では、支持材料であって、それがコーティングされる集電体よりも耐熱性が高く、それぞれの集電体上に配置される電極材料と異なる支持材料を自由端部ストリップ中のそれぞれの集電体の金属の少なくとも一部の領域にコーティングすることもできる。
【0141】
本明細書では、「より熱安定性」は、集電体の金属が溶融する温度で支持材料がその固体状態を維持することを意味する。したがって、これは、金属よりも高い融点を有するか、又は金属が既に溶融している温度で昇華若しくは分解が起こるかのいずれかである。
【0142】
本発明に関連して使用され得る持材料は、原理上、金属又は金属合金であり得るが、但し、これ又はこれは、支持材料でコーティングされる表面を構成する金属よりも高い融点を有することを条件とする。多くの実施形態では、しかしながら、本発明によるセルは、好ましくは、直下のさらなる特徴a.~dの少なくとも1つを特徴とする:
a.支持材料は、非金属材料である。
b.支持材料は、電気絶縁性材料である。
c.非金属材料は、セラミック材料、ガラス-セラミック材料又はガラスである。
d.セラミック材料は、酸化アルミニウム(Al)、二酸化チタン(TiO)、窒化チタン(TiN)、窒化チタンアルミニウム(TiAlN)、酸化ケイ素、特に二酸化ケイ素(SiO)又は炭窒化チタン(TiCN)である。
【0143】
本発明によると、支持材料は、特に好ましくは、直前の特徴b.によって形成され、特に好ましくは直前の特徴dによって形成される。
【0144】
非金属材料という用語は、特にプラスチック、ガラス及びセラミック材料を含む。
【0145】
電気絶縁性材料という用語は、本明細書で広く解釈されるべきである。原則として、これは、あらゆる電気絶縁性材料、特に前述のプラスチックを含む。
【0146】
セラミック材料という用語は、本明細書で広く解釈されるべきである。特に、これは、炭化物、窒化物、酸化物、ケイ化物又はこれらの化合物の混合物及び誘導体を含む。
【0147】
「ガラス-セラミック材料」という用語は、特に非晶質ガラス層中に埋め込まれた結晶性粒子を含む材料を意味する。
【0148】
「ガラス」という用語は、基本的に、前述の規定の熱安定性基準に適合し、セル内に存在するあらゆる電解質に対して化学的に安定なあらゆる無機ガラスを意味する。
【0149】
アノード集電体は、好ましくは、銅又は銅合金で作られる一方、カソード集電体は、アルミニウム又はアルミニウム合金で作られ、支持材料は、酸化アルミニウム又は酸化チタンである。
【0150】
アノード及び/又はカソードの集電体の自由端部ストリップは、支持材料のストリップで被覆されることが好ましい場合もある。
【0151】
アノード集電体及びカソード集電体の主要領域、特にストリップ状主要領域は、好ましくは、集電体のそれぞれの端部又は長手方向端部に対して平行に延在する。好ましくは、ストリップ状主要領域は、アノード集電体及びカソード集電体の面積の少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも95%にわたって延在する。
【0152】
幾つかの好ましい実施形態では、支持材料は、好ましくは、ストリップ状主要領域に隣接してストリップ又は線の形態で取り付けられるが、自由面積を完全に覆わず、そのため、それぞれの集電体の金属は、長手方向端部に沿って直接露出する。
【0153】
本発明によるセルの別の好ましい実施形態
本発明によるセルは、ボタンセルであり得る。ボタンセルは、円筒形の形状であり、それらの直径よりも小さい高さを有する。好ましくは、高さは、4mm~15mmの範囲である。ボタンセルは、5mm~25mmの範囲の直径を有することも好ましい。ボタンセルは、例えば、腕時計、補聴器及びワイヤレスヘッドホンなどの小型電子デバイスに電気エネルギーを供給するために適切である。
【0154】
リチウムイオンセルとして設計された本発明によるボタンセルの公称容量は、一般に、最大で1500mAhである。好ましくは、公称容量は、100mAh~1000mAhの範囲、特に好ましくは100~800mAhの範囲である。
【0155】
しかしながら、本発明によるセルは、特に好ましくは、円筒形丸形セルである。円筒形丸形セルは、それらの直径よりも大きい高さを有する。これらは、例えば、自動車部門における高エネルギー必要量の前述の用途又はe-バイク若しくは動力工具に特に適切である。
【0156】
丸形セルとして設計されるセルの高さは、好ましくは、15mm~150mmの範囲である。円筒形丸形セルの直径は、好ましくは、10mm~60mmの範囲である。これらの範囲内において、例えば、18×65(mmの単位での直径×高さ)又は21×70(mmの単位での直径×高さ)の形状因子が特に好ましい。これらの形状因子を有する円筒形丸形セルは、自動車の電気駆動装置に電力を供給するために特に適切である。
【0157】
リチウムイオンセルとして設計される本発明による円筒形丸形セルの公称容量は、好ましくは、最大で90000mAhである。21×70の形状因子では、リチウムイオンセルとしての一実施形態におけるセルは、好ましくは、1500mAh~7000mAhの範囲、特に好ましくは3000~5500mAhの範囲の公称容量を有する。18×65の形状因子では、リチウムイオンセルとしての一実施形態におけるセルは、好ましくは、1000mAh~5000mAhの範囲、特に好ましくは2000~4000mAhの範囲の公称容量を有する。
【0158】
欧州連合では、二次電池の公称容量に関する製造者情報が厳しく規制されている。例えば、二次ニッケルカドミウム電池の公称容量に関する情報は、IEC/EN 61951-1及びIEC/EN 60622の規格に準拠した測定に基づく必要があり、二次ニッケル金属水素化物電池の公称容量に関する情報は、EC/EN 61951-2の規格に準拠した測定に基づく必要があり、二次リチウム電池の公称容量に関する情報は、IEC/EN 61960の規格に準拠した測定に基づく必要があり、二次鉛酸電池の公称容量に関する情報は、IEC/EN 61056-1の規格に準拠した測定に基づく必要がある。本明細書の用途における公称容量に関するあらゆる情報も好ましくはこれらの規格に基づく。
【0159】
本発明によるセルが円筒形丸形セルである実施形態では、アノード集電体、カソード集電体及びセパレータは、好ましくは、リボン状であり、好ましくは以下の寸法:
- 0.5m~25mの範囲の長さ
- 30mm~145mmの範囲の幅
を有する。
【0160】
第1の長手方向端部に沿って延在し、且つ電極材料が装荷されない自由端部ストリップは、好ましくは、これらの場合に5000μm以下の幅を有する。
【0161】
18×65の形状因子の円筒形丸形セルの場合、集電体は、好ましくは、
- 56mm~62mm、好ましくは60mmの幅、及び
- 2m以下、好ましくは1.5m以下の長さ
を有する。
【0162】
21×70の形状因子の円筒形丸形セルの場合、集電体は、好ましくは、
- 56mm~68mm、好ましくは65mmの幅、及び
- 3m以下、好ましくは2.5m以下の長さ
を有する。
【0163】
本発明の特に好ましい一実施形態では、本発明によるセルは、以下のさらなる特徴を特徴とする:
a.接触シート金属部材又は接触シート金属部材を有するカバーアセンブリは、さらなる圧力閾値を超える場合にハウジングから圧力を逃すことができる安全弁を含む。
【0164】
この安全弁は、例えば、セルの爆発を回避するためにセル内の規定の過圧で破裂し得る、破裂膜、破裂クロス又は類似の所定の亀裂用箇所であり得る。例えば、カバーアセンブリの金属ディスクは、特に所定の亀裂用箇所の形態の安全弁を有し得る。
【0165】
角形設計
本発明は、角形ハウジング内に入れられた複数のアノード及び複数のカソードのスタックを含むエネルギー貯蔵要素も含む。
【0166】
したがって、特に本発明は、直下の特徴a.~k.を有するエネルギー貯蔵要素も含む:
a.これは、複数のアノード及びカソードを含むこと、
b.それぞれのアノードは、アノード集電体及び負極材料を含むこと、
c.それぞれのアノード集電体は、
- 負極材料の層が装荷された主要領域と、
- アノード集電体の一方の端部に沿って延在し、且つ負極材料が装荷されない自由端部ストリップと
を有すること、
d.それぞれのカソードは、カソード集電体及び正極材料を含むこと、
e.それぞれのカソード集電体は、
- 正極材料の層が装荷された主要領域と、
- カソード集電体の一方の端部に沿って延在し、且つ正極材料が装荷されない自由端部ストリップと
を有すること、
f.アノード及びカソードは、積み重ねられ、それにより、スタック中のアノード及びカソードは、セパレータ又は固体電解質の層によって分離されること、
g.スタックは、角形ハウジング内に入れられること、
h.アノード集電体の自由端部ストリップは、スタックの一方の側から突出し、及びカソード集電体の自由端部ストリップは、スタックの別の側から突出すること、
i.エネルギー貯蔵要素は、アノード集電体及び/又はカソード集電体の自由端部ストリップに直接接触する接触シート金属部材を有すること、
j.負極材料の層は、チタン酸リチウム(LTO)を含むこと、及び
k.正極材料の層は、マンガン酸リチウム(LMO)を含むこと。
【0167】
本発明によるリチウムイオンセルの場合のように、同じ好ましい実施形態が負極材料の層、正極材料の層、集電体及びセパレータに適用される。エネルギー貯蔵要素が電解質を有する場合、同じことがその電解質に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0168】
図1】本発明による一実施形態における集電体の上面図を示す。
図2図1に示される集電体の断面図を示す。
図3】コイルの形態の電極-セパレータアセンブリに加工することができるアノードの上面図を示す。
図4図3に示されるアノードの断面図である。
図5図3に示されるアノードを用いて製造された電極-セパレータアセンブリの上面図を示す。
図6図5に示される電極-セパレータアセンブリの断面図である。
図7】本発明によるセルの接触シート金属部材又はカバーアセンブリの種々の実施形態を示す(断面図)。
図8】本発明によるセルの一実施形態による部分図である(断面図)。
図9】本発明によるセルのさらなる一実施形態の部分図である(断面図)。
図10】本発明によるセルのさらなる一実施形態の図である(断面図)。
図11】本発明によるセルのさらなる一実施形態の図である(断面図).
図12】3つのサイクル試験の結果のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0169】
図1及び図2は、集電体115の設計を示す。図2は、Sに沿った断面図である。集電体115は、長方形の孔である複数の開口部211を含む。領域115xは、開口部211を特徴とする一方、長手方向端部115aに沿った領域115z中には開口部が存在しない。したがって、集電体115は、領域115x中の単位面積当たりの重量が領域115z中よりもはるかに小さい。
【0170】
図3及び図4は、図1及び図2に示される集電体115の両側に負極材料155を取り付けることによって製造されたアノード120を示す。図4は、Sに沿った断面である。ここで、集電体115は、負極材料123の層が装荷されるストリップ状主要領域122と、長手方向端部115aに沿って延在し、且つ電極材料155が装荷されない自由端部ストリップ121とを有する。電極材料155は、開口部211にも満たされる。
【0171】
図5及び図6は、図3及び図4に示されるアノード120を用いて製造された電極-セパレータアセンブリ104を示す。これは、カソード130並びにセパレータ118及び119も含む。図6は、Sに沿った断面図である。カソード130は、アノード120と同じ集電体設計に基づく。好ましくは、アノード120及びカソード130の集電体115及び125は、いずれもアルミニウムで作られる。カソード130の集電体125は、正極材料123の層が装荷されたストリップ状主要区域116と、長手方向端部125aに沿って延在し、且つ電極材料123が装荷されない自由端部ストリップ117とを含む。本発明によると、電極-セパレータアセンブリ104は、好ましくは、らせん状に巻かれた形態であり、本発明によるセル内に含まれ得る。
【0172】
幾つかの好ましい実施形態では、自由端部ストリップ117及び121は、両面上の少なくとも一部の領域において、電気絶縁性支持材料、例えばケイ素又はアルミニウムの酸化物などのセラミック材料でコーティングされる。
【0173】
図7は、本発明によるセル100を閉じるのに適している接触シート金属部材及びカバーアセンブリの種々の実施形態A~Hの断面図を示す。詳細には、
A 本発明による接触シート金属部材113の最も単純な実施形態がここに示され、すなわち1つの面内にのみ延在する円形の周囲を有する平坦な金属ディスクである。この金属ディスクは、例えば、アルミニウムで作られ得る。
B ここに示されるカバーアセンブリ110は、金属ディスクの形態の接触シート金属部材113と、金属電極カバー112とを含む。接触シート金属部材113及び電極カバー112のそれぞれは、円形の周囲及び同一の直径を有する。接触シート金属部材113は、1つの面内にのみ延在するが、電極カバー112は、中央で湾曲している。カバーアセンブリ110の2つの構成要素112及び113は、好ましくは、溶接又ははんだ付け(図示せず)によって互いに連結される。
C ここに示されるカバーアセンブリ110は、金属ディスクとして設計された接触シート金属部材113と、金属電極カバー112とを含む。電極カバー112は、Bの電極カバーと同じ方法で設計される。しかしながら、ここで、接触シート金属部材113の端部113aは、半径方向内側に曲げられ、そのため、接触シート金属部材113は、端部領域でU字型断面を有する。曲げられた端部113aは、電極カバー112の端部112aを取り囲み、それにより、電極カバー112は、接触シート金属部材113上に固定される。これとは無関係に、接触シート金属部材及び電極カバー112は、さらに互いに溶接又ははんだ付けが行われることが好ましい。
ここに示されるカバーアセンブリ110は、金属ディスクの形態の接触シート金属部材113と、金属ディスク112とを含む。接触シート金属部材113は、金属ディスク112に対して平坦に配置され、好ましくはこれに対して溶接又ははんだ付けが行われる。金属ディスク112は、例えば、ステンレス鋼で作られ得、接触シート金属部材113は、例えば、アルミニウム合金で作られ得る。
ここに示される接触シート金属部材113は、金属ディスクとして設計される。Aに示される金属ディスクと異なり、これは、その上側の円形のくぼみ113bと、その下側の対応する隆起部とを有し、すなわち輪郭が形成されている。
F ここに示される接触シート金属部材113は、金属ディスクのみを含む。Aに示される金属ディスクと異なり、これは、半径方向内側に折りたたまれた端部113aを有し、それにより二重層端部領域を有する。
G ここに示されるカバーアセンブリ110は、金属ディスクの形態の接触シート金属部材113と、中央で湾曲した金属電極カバー112とを含む。接触シート金属部材113の端部113aは、半径方向内側に曲げられ、そのため、接触シート金属部材113は、端部領域でU字型断面を有する。曲げられた端部113aは、電極カバー112の端部112aを取り囲み、それにより、電極カバー112は、接触シート金属部材113上に固定される。好ましくは、接触シート金属部材113及び電極カバー112の端部s131a及び112aは、周囲の溶接又ははんだの継ぎ目(図示せず)によってさらに互いに連結される。接触シート金属部材113の中央に孔114が存在し、それを通して空洞116に到達可能であり、これは、接触シート金属部材113及び電極カバー112によって閉じられる。過圧安全装置120は、電極カバー112と一体化され、これは、空洞116内で過圧が発生すると作動し得る。最も単純な場合、過圧保護120は、所定の亀裂用箇所であり得る。
H ここに示される接触シート金属部材113は、金属ディスクとして設計される。これは、90°曲げられた端部113aを有し、L字型の断面を有する。
【0174】
前述の2つの蓋を有するハウジングの変形形態の一部として使用できる本発明による閉鎖要素は、好ましくは、実施形態A~Hによって設計することもできる。
【0175】
図8に示されるセル100は、図7Bに示されるカバーアセンブリ110を含み、その端部110aは、金属ディスクとして形成される接触シート金属部材113及び金属電極カバー112の端部s113a及び112aによって形成される。ハウジング部分101とともに、カバーアセンブリ110は、セル100のハウジングを形成し、ハウジング部分101の末端開口部を閉じる。カバーアセンブリ110の端部110aは、管状ハウジング部分101の内側101bの周囲接触ゾーンに沿って配置され、周囲の溶接又ははんだの継ぎ目によって管状ハウジング部分101に接続される。ハウジング部分101の端部101aは、カバーアセンブリ110の端部110aの上で半径方向内側に曲げられる。
【0176】
らせん状に巻かれた電極-セパレータアセンブリ104は、ハウジング内で軸方向に配列され、それにより、その巻取シェル104aは、管状ハウジング部分101の内側に対して配置される。電極材料で覆われていないアノード集電体の端部ストリップ121は、コイルとして形成される電極-セパレータアセンブリ104の上側端面104bから出現する。これは、接触シート金属部材113の下側に対して直接溶接又ははんだ付けが行われる。
【0177】
図9に示されるセル100は、図1Bに示されるものと類似しているが、互いに異なるカバーアセンブリを含む。ここに示されるカバーアセンブリ110では、電極カバー112に対して配置される金属ディスク111は、アノード集電体との接触に使用されない。このため、これは、金属接触シート金属部材113を含み、これは、2つの側を有し、金属ディスク111の方向にあるその一方の側は、それに対してさらに平坦に配置され、溶接又ははんだ付けによって金属ディスク111に接続される。アノード集電体の自由端部ストリップ121は、コイルとして形成される電極-セパレータアセンブリ104の上端104bから出現する。これは、接触シート金属部材113の下側に対して直接配置され、接触シート金属部材113の下側に対して溶接又ははんだ付けが行われる。
【0178】
図10に示されるセル100は、電極-セパレータアセンブリ104を含み、これは、中空円筒形のハウジング部分101内に軸方向に挿入され、そのため、その巻取シェル104aは、管状ハウジング部分101の内側101bに対して配置される。電極-セパレータアセンブリ104は、らせん状に巻かれるリボン状アノード及びリボン状カソードを含む。アノードは、リボン状アノード集電体及びリボン状カソード集電体を含む。アノード集電体には負極材料の層が装荷される。カソード集電体には正極材料の層が装荷される。
【0179】
アノード集電体の自由端部ストリップ121は、コイルとして形成される電極-セパレータアセンブリ104の上端104bから出現する。カソード集電体の自由端部ストリップ117は、コイルとして形成される電極-セパレータアセンブリ104の底部端104cから出現する。
【0180】
セル100は、筒状及び中空の円筒形金属ハウジング部分101を含み、これは、2つの末端開口部を有する。上部の開口部は、管状ハウジング部分101内に配置される金属ディスク111によって閉じられ、その端部111aは、周囲接触ゾーンに沿って管状ハウジング部分101の内側101bに対して配置される。金属ディスク111の端部111aは、周囲の溶接又ははんだ付けが行われる継ぎ目によって管状ハウジング部分101に接続される。
【0181】
金属ディスク111は、金属ディスク111に加えて、接触シート金属部材113及び電極ピン108を含むカバーアセンブリ110の一部である。接触シート金属部材113は、2つの側を有し、その一方は、図の上側にあり、金属ディスク111の方向に面する。長手方向端部115aは、接触シート金属部材113の他方の側、この場合には下側に対して直接配置される。長手方向端部115aは、溶接又ははんだ付けによって接触シート金属部材113に接続される。電極ピン108は、接触シート金属部材113に対して溶接又ははんだ付けが行われ、金属ディスク111の中央開口部を通してセル100のハウジングから外に出る。
【0182】
カバーアセンブリ110は、絶縁手段103をさらに含み、電極ピン108及び接触シート金属部材113を電気的に絶縁し、金属ディスク111に対して電極ピンに溶接又ははんだ付けが行われる。
【0183】
ハウジング部分101の底部開口部は、閉鎖要素145を用いて閉じられる。閉鎖要素145は、金属ディスクであり、その端部145aは、周囲接触ゾーンに沿って管状ハウジング部分101の内側101bに対して配置される。閉鎖要素145の端部145aは、溶接又ははんだ付けが行われる継ぎ目によって管状ハウジング部分101に接続される。
【0184】
カソード集電体の長手方向端部125aは、接触シート金属部材113の内(上)側に対して直接配置される。長手方向端部125aは、溶接又ははんだ付けによって閉鎖要素145に接続される。溶接は、例えば、閉鎖要素145の金属ディスクを介したレーザーによって行うことができる。
【0185】
図11に示されるセル100は、円形基部107a及び円形開口部(リム101aによって画定される)を含むハウジングカップ107の一部である中空で円筒形のハウジング部分101を含む。ハウジングカップ107は、深絞りされた部品である。円形リム111aを有する平坦な金属ディスク111を含む蓋アセンブリ110とともに、ハウジングカップ107は、コイルとして形成される電極-セパレータアセンブリ104が軸方向に配列される内側137を取り囲む。金属ディスク111は、管状ハウジング部分101内に配置され、その端部111aは、周囲接触ゾーンに沿って管状ハウジング部分101の内側101bに対して配置される。その端部111aは、カバーアセンブリの端部に対応し、周囲の溶接又ははんだの継ぎ目によって管状ハウジング部分101に接続される。管状ハウジング部分101の端部101aは、金属ディスク111の端部111aの上で半径方向内側に(ここでは約90°で)曲げられる。
【0186】
電極-セパレータアセンブリ104は、2つの端面を有する円筒形コイルの形態であり、これらの端面間に周囲の巻取シェルが延在し、これは、中空で円筒形のハウジング部分101の内側に対して配置される。これは、正極及び負極並びにセパレータ118及び119で構成され、それぞれがストリップとして形成され、らせん状に巻かれる。電極-セパレータアセンブリ104の2つの端面は、セパレータ118及び119の長手方向端部によって形成される。いずれもアルミニウムで作られた集電体115及び125は、これらの端面から突出する。対応する突出部は、d1及びd2で示される。
【0187】
アノード集電体115は、電極-セパレータアセンブリ104の上側端面から出現し、及びカソード集電体125は、下側端面から出現する。アノード集電体115のストリップ状主要区域内に負極材料155の層が装荷される。カソード集電体125のストリップ状主要区域内に正極材料123の層が装荷される。アノード集電体115は、その長手方向端部115aに沿って延在し、且つ電極材料155は装荷されない端部ストリップ117を有する。代わりに、この場合、セラミック支持材料のコーティング165が設けられ、これによりこの領域内の集電体が安定化する。カソード集電体125は、その長手方向端部125aに沿って延在し、且つ電極材料123が装荷されない端部ストリップ121を有する。代わりに、この場合にもセラミック支持材料のコーティング165が設けられる。
【0188】
金属ディスク111に加えて、カバーアセンブリ110は、接触シート金属部材113及び電極ピン108も含む。金属接触シート金属部材113は、2つの側を含み、その一方は、図中の上側にあり、金属ディスク111の方向に向かう。ここでは下側にある接触シート金属部材113の他方の側では、長手方向端部115aは、その全長にわたって接触シート金属部材113及びしたがってカバーアセンブリ110に直接接触し、後者に対して少なくとも幾つかの部分、好ましくはその全長にわたって溶接又ははんだ付けによって接続される。代わりに、前述のマルチピン接続がこの場合に存在し得る。したがって、カバーアセンブリ110は、アノードに対する電気的接触及びハウジング部分として同時に機能する。
【0189】
電極ピン108は、接触シート金属部材113に対して溶接又ははんだ付けが行われ、金属ディスク111の中央開口部を通してセル100のハウジングから外に出る。カバーアセンブリ110は、絶縁手段103も含み、これは、電極ピン108及びしたがって接触シート金属部材113を電気的に絶縁し、金属ディスク111から電極ピンに対して溶接又ははんだ付けが行われる。金属ディスク111のみがハウジングカップ107と直接接触し、したがって電気的にも接触する。電極ピン108及びシート金属部材113は、ハウジングカップから絶縁される。
【0190】
カソード集電体125の端部125aは、基部107aとその全長にわたって直接接触し、後者に対して少なくとも幾つかの部分、好ましくはその全長にわたって溶接(特にレーザーを用いて)又ははんだ付けによって接続される。代わりに、この場合に前述のマルチピン接続を用いることもできる。したがって、基部107aは、ハウジングの一部としてだけでなく、カソードの電気的接触の役割も果たす。
【0191】
電極-セパレータアセンブリ104は、例えば、95重量%のLMO、2重量%の電極バインダー及び導電剤としての3重量%のカーボンブラックを含む正極を含み得る。アノード101は、例えば、95重量%のLTO、2重量%の電極バインダー及び導電剤としての3重量%のカーボンブラックを含む負極を含み得る。アセトニトリル中のテトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)の2M溶液を電解質として使用することができる。
【0192】
図12に示される図は、本発明によるセルの良好なサイクル性を示す。10C(充電)/10C(放電)の負荷で初期容量のほぼ80%が5000サイクル後でも達成された。3C/1C及び5C/5Cの負荷でも1000及び2500サイクルが安定して実現された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】