(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】LPA受容体活性に関連する状態を処置するための化合物および組成物
(51)【国際特許分類】
C07D 277/62 20060101AFI20241029BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241029BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20241029BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241029BHJP
A61P 19/10 20060101ALI20241029BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20241029BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20241029BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20241029BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20241029BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20241029BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20241029BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20241029BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20241029BHJP
A61K 31/428 20060101ALI20241029BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20241029BHJP
A61K 31/437 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
C07D277/62 CSP
A61P29/00
A61P37/06
A61P35/00
A61P19/10
A61P11/00
A61P1/16
A61P9/00
A61P17/00
A61P27/02
A61P1/18
A61P13/12
A61P25/00
A61K31/428
C07D471/04 106A
A61K31/437
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523615
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 CN2022126596
(87)【国際公開番号】W WO2023066359
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/125409
(32)【優先日】2021-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2022/082072
(32)【優先日】2022-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523152411
【氏名又は名称】ローツェ・バイオ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Lhotse Bio, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】レイ,ホイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,チオン
(72)【発明者】
【氏名】ルビンスキー,アナトリー エム
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC84
4C086CB05
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA05
4C086NA14
4C086ZA33
4C086ZA36
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA97
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB26
(57)【要約】
本開示は、本明細書で開示されているLPAアンタゴニスト、ならびに化合物を含む医薬組成物を提供する。本開示は、LPA関連疾患、障害および状態を処置するための方法も提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表1から選択される化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
表2から選択される化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物。
【請求項3】
請求項1もしくは2に記載の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物、および医薬的に許容できる担体を含む医薬組成物。
【請求項4】
LPA関連疾患、障害または状態を処置するための方法であって、それを必要とする患者に、有効量の請求項1もしくは2に記載の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物、または請求項3に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項5】
LPA関連疾患、障害または状態が、LPA
1関連疾患である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
LPA関連疾患、障害または状態が、線維症、移植拒絶、癌、骨粗鬆症または炎症性障害である、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
線維症が、肺線維症、肝線維症、腎線維症、心臓線維症、皮膚線維症、眼線維症または膵線維症である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
癌が、膀胱、血液、骨、脳、乳房、中枢神経系、子宮頸部、結腸、子宮内膜、食道、胆嚢、生殖器、泌尿生殖器、頭部、腎臓、喉頭、肝臓、肺、筋肉組織、頸部、口腔もしくは鼻粘膜、卵巣、膵臓、前立腺、皮膚、脾臓、小腸、大腸、胃、精巣または甲状腺の癌である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
LPA関連疾患、障害または状態が、特発性肺線維症(IPF)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、慢性腎臓疾患、糖尿病性腎臓疾患、全身性強皮症、COVID-19、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、神経炎症または多発性硬化症である、請求項4または5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年3月21日に出願された国際特許出願番号PCT/CN2022/082072号、および2021年10月21日に出願された国際特許出願番号PCT/CN2021/125409号の利益を主張し、その各々の全体を参照により本明細書に組み込むものとする。
【0002】
発明の分野
本開示は、本明細書で開示されているLPAアンタゴニスト、ならびに化合物を含む医薬組成物を提供する。LPA関連疾患、障害および状態を処置するための方法も提供される。
【背景技術】
【0003】
エイコサノイドおよび血小板活性化因子(PAF)を含む様々な脂質伝達物質は、細胞膜からホスホリパーゼの活性により生成される。リゾリン脂質は、これらの膜に由来する生物活性脂質伝達物質の一分類であり、リゾホスファチジン酸(LPA)を含む。LPAは、単一分子実体ではなく、様々な長さおよび飽和度の脂肪酸を有する内因性構造変異体の採取物である。LPAは、細胞増殖、分化、生存、移動、接着、浸潤および形態形成を含む細胞機能に影響を与える。これらの機能は、ニューロン新生、血管形成、創傷治癒、免疫および癌化を含む多くの生物学的プロセスに影響を及ぼす。LPAは、生物学的エフェクター分子としての役割を有し、多様な範囲の生理学的作用、例えば、以下に限定されないが、血圧、血小板活性化および平滑筋収縮に対する効果と、細胞成長、細胞円形化、神経突起退縮、ならびにアクチンストレスファイバー形成および細胞移動を含む多彩な細胞効果を有する。LPAの効果は、受容体媒介性が優勢である。LPAでのLPA受容体(LPA1、LPA2、LPA3、LPA4、LPA5、LPA6)の活性化は、ある範囲の下流シグナル伝達カスケードを媒介する。
【発明の概要】
【0004】
LPA受容体(例えばLPA1受容体)に拮抗することは、線維症、例えば肺線維症、肝線維症、腎線維症、動脈線維症および全身性強皮症を含む多彩な障害、ひいては線維症に起因する疾患[例えば肺線維症、例として特発性肺線維症(IPF)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を含む肝線維症、腎線維症、例として糖尿病性腎症、全身性強皮症-強皮症]、COVID-19、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、神経炎症または多発性硬化症の処置に有用になり得る。本出願は、本明細書で開示されているLPAアンタゴニスト、ならびに化合物を含む医薬組成物について記載する。LPA関連疾患、障害および状態を処置するための方法も提供される。
【0005】
一実施形態では、表1の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物が提供される。一実施形態では、表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩、溶媒和物、立体異性体または立体異性体の混合物が提供される。
【0006】
表1の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物、および医薬的に許容できる賦形剤を含む医薬組成物も本明細書で提供される。
【0007】
LPA関連疾患を処置または防止するための方法を必要とする対象における、その方法であって、対象に治療有効量の本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、またはその医薬組成物を投与することを含む、方法も本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、LPA関連疾患は、LPA1関連疾患、例えば、以下に限定されないが、線維症、移植拒絶、癌、骨粗鬆症または炎症性障害である。
【0008】
いくつかの実施形態では、LPA関連疾患は、線維症、移植拒絶、癌、骨粗鬆症または炎症性障害である。これらの実施形態のあるものでは、線維症は、肺、肝臓、腎臓、心臓、皮膚、眼または膵線維症である。ある実施形態では、癌は、膀胱、血液、骨、脳、乳房、中枢神経系、子宮頸部、結腸、子宮内膜、食道、胆嚢、生殖器、泌尿生殖器、頭部、腎臓、喉頭、肝臓、肺、筋肉組織、頸部、口腔もしくは鼻粘膜、卵巣、膵臓、前立腺、皮膚、脾臓、小腸、大腸、胃、精巣または甲状腺のものである。
【0009】
いくつかの実施形態では、LPA関連疾患は、特発性肺線維症(IPF)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、慢性腎臓疾患、糖尿病性腎臓疾患、全身性強皮症、COVID-19、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、神経炎症または多発性硬化症である。
【0010】
線維症を処置または防止するための方法を必要とする対象における、その方法であって、対象に治療有効量の本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物、またはその医薬組成物を投与することを含む、方法も本明細書で提供される。
【0011】
いくつかの実施形態では、線維症は、特発性肺線維症(IPF)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、慢性腎臓疾患、糖尿病性腎臓疾患および全身性強皮症である。例えば、線維症はIPFであり得る。
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義
以下の記載は、本技術の例示的な実施形態を明記している。しかしそのような記載は、本開示の範囲に対する限定を意図されておらず、例示的な実施形態の記載として示されていることは把握されるべきである。
【0013】
本明細書に使用されている以下の言葉、語句および記号は、一般的に、使用されている文脈が別途指し示す場合を除き、以下に明記されている意味を有することが意図されている。
【0014】
本明細書で使用されている「化合物」という用語は、すべての立体異性体、幾何異性体、互変異性体および描写されている構造の同位体を含むことを意味する。名称または構造によりある特定の互変異性型と同定される本明細書の化合物は、特に指定がない限り、他の互変異性型を含むことが意図されている。
【0015】
化合物の一部は、互変異性体として存在する。互変異性体は、互いに平衡である。例えば、アミド含有化合物は、イミド酸互変異性体と平衡で存在し得る。その互変異性体が示されているかに関係なく、また、互変異性体のうちの平衡の性質に関係なく、化合物は、アミドおよびイミド酸互変異性体の両方を含むことが当業者により理解される。したがって、アミド含有化合物は、そのイミド酸互変異性体を含むことが理解される。同じく、イミド酸含有化合物は、そのアミド互変異性体を含むことが理解される。
【0016】
本明細書で示されている任意の化合物または構造は、化合物の非標識形態ならびに同位体標識形態を表すことも意図される。化合物のこれらの形態は、「同位体富化類似体(isotopically enriched analogs)」ともいわれる。同位体標識化合物は、1個または複数の原子が、選択された原子質量または質量数を有する原子により置き換えられていることを除いて、本明細書で描写されている構造を有する。開示されている化合物中に組み込まれ得る同位体の例は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素およびヨウ素の同位体、例えばそれぞれ2H、3H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123I、および125Iを含む。本開示の様々な同位体標識化合物は、例えば放射性同位体、例えば3Hおよび14Cが組み込まれているものを含む。そのような同位体標識化合物は、薬物もしくは基質組織分布アッセイを含む代謝研究、反応速度研究(reaction kinetic studies)、検出もしくは画像化技術、例えば陽電子放射断層撮影法(PET)もしくは単一光子放射断層撮影法(SPECT)に、または患者の放射性処置に有用になり得る。
【0017】
「同位体富化類似体」という用語は、1つまたは複数の水素、例えば炭素原子上の水素が、重水素により置き換えられている本明細書に記載されている化合物の「重水素化類似体」を含む。そのような化合物は、代謝に対する耐性の増加を呈し、したがって、哺乳動物、特にヒトに投与される場合、任意の化合物の半減期を増加させるのに有用である。例えば、Foster, "Deuterium Isotope Effects in Studies of Drug Metabolism," Trends Pharmacol. Sci. 5(12):524-527 (1984)を参照されたい。そのような化合物は、当業界で周知の手段により、例えば1つまたは複数の水素が、重水素で置き換えられている出発材料を用いることにより、合成される。
【0018】
重水素で標識または置換されている本開示の治療化合物は、分布、代謝および移動(ADME)に関して、改善したDMPK[薬物代謝および薬物動態(pharmacokinetics)]特性を有し得る。より重い同位体、例えば重水素での置換により、より高い代謝安定性から生じるある治療利点、例えばインビボ半減期の増加、投与要件の緩和、および/または治療指数の改善が得られる。18F、3H、11C標識化合物は、PETもしくはSPECTまたは他の画像化研究に有用なことがある。本開示の同位体標識化合物およびそのプロドラッグは、一般的に、同位体標識されていない試薬を容易に利用できる同位体標識試薬で置換して、以下に記載されているスキームまたは実施例、および調製で開示されている手順を実行することにより、調製され得る。本文脈における重水素が、本明細書に記載されている化合物における置換基とされていることは理解される。
【0019】
そのようなより重い同位体、具体的には重水素の濃度は、同位体濃縮係数により定義され得る。本開示の化合物では、特定の同位体として具体的に指定されていない任意の原子は、その原子の任意の安定な同位体を表すことを意味する。特に定めのない限り、位置が具体的に「H」または「水素」と指定されている場合、位置は、その天然存在度の同位体組成で水素を有することが理解される。したがって、本開示の化合物では、重水素(D)と具体的に指定されている任意の原子は、重水素を表すことを意味する。
【0020】
多くのケースでは、本開示の化合物は、アミノおよび/もしくはカルボキシル基、またはそれらと同様の基が存在することによって、酸性および/または塩基性塩を形成することが可能である。
【0021】
本明細書に記載されている化合物の医薬的に許容できる塩、水和物、溶媒和物、互変異性型、多形体およびプロドラッグも提供される。「医薬的に許容できる」または「生理学的に許容できる」は、獣医学的またはヒトの医薬的使用に好適な医薬組成物を調製するのに有用な化合物、塩、組成物、剤形および他の材料を指す。
【0022】
所定の化合物の「医薬的に許容できる塩」という用語は、所定の化合物の生物学的有効性および特性を保ち、生物学的にまたは他の点で望ましくないことがない塩を指す。「医薬的に許容できる塩」または「生理学的に許容できる塩」は、例えば、無機酸との塩および有機酸との塩を含む。さらに、本明細書に記載されている化合物が酸付加塩として得られる場合、遊離塩基は、酸性塩の溶液塩基性化することにより得られる。反対に、生成物が遊離塩基である場合、付加塩、特に医薬的に許容できる付加塩は、塩基化合物から酸付加塩を調製するための従来の手順に従って、遊離塩基を好適な有機溶媒に溶解すること、および溶液を酸で処理することにより生成され得る。当業者は、非毒性の医薬的に許容できる付加塩を調製するために使用され得る様々な合成方法論を把握する。医薬的に許容できる酸付加塩は、無機および有機酸から調製され得る。無機酸に由来する塩は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸を含む。有機酸に由来する塩は、例えば酢酸、プロピオン酸、グルコン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエン-スルホン酸、サリチル酸を含む。同じく、医薬的に許容できる塩基付加塩は、無機および有機塩基から調製され得る。無機塩基に由来する塩は、例に過ぎないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、およびマグネシウム塩を含む。有機塩基に由来する塩は、NH3、または第一級、第二級、第三級アミンの塩、例えばN-含有ヘテロ環、N-含有ヘテロアリールに由来する塩、または式N(RN)3[例えば、HN+(RN)3もしくは(アルキル)N+(RN)3]のアミンに由来し、各RNが独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、もしくはヘテロアリールであり、各々が例えば1個または複数の(例えば、1~5または1~3個の)置換基(例えば、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アルコキシまたはハロアルコキシ)により適宜置換されている塩を含むが、それらに限定されない。好適なアミンの特定の例は、例に過ぎないが、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリ(イソプロピル)アミン、トリ(n-プロピル)アミン、エタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、N-エチルピペリジンを含む。
【0023】
「置換されている」という用語は、指定された原子または基上の任意の1個または複数の水素原子が、水素以外の1個または複数の置換基で置き換えられているが、但し、指定された原子の通常の価数を超えないことを条件とすることを意味する。1個または複数の置換基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アシル、アミノ、アミド、アミジノ、アリール、アジド、カルバモイル、カルボキシル、カルボキシルエステル、シアノ、グアニジノ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、ヒドラジノ、イミノ、オキソ、ニトロ、アルキルスルフィニル、スルホン酸、アルキルスルホニル、チオシアネート、チオール、チオンまたはそれらの組合せを含むが、それらに限定されない。
【0024】
無限に付加されるさらなる置換基を有する置換基を定義すること(例えば、置換アリールは置換アルキルを有し、置換アルキル自体が置換アリール基で置換され、置換アリール基が置換ヘテロアルキル基によりさらに置換されているなど)により達成されるポリマーまたは同様の不定構造は、本明細書における包含が意図されていない。特に注記がなければ、本明細書に記載されている化合物における連続置換の最大数は、3回である。例えば、置換アリール基の、2個の他の置換アリール基を用いた連続置換は、[(置換アリール)置換アリール]置換アリールに限定される。同様に、上の定義は、容認できない置換パターン(例えば、5つのフッ素で置換されているメチル、または2個の隣接した酸素環原子を有するヘテロアリール基)を含むことが意図されていない。そのような容認できない置換パターンは、当業者に周知である。化学基を修飾するために使用される場合、「置換されている」という用語は、本明細書で定義されている他の化学基について記載し得る。特に規定がなければ、基が適宜置換されていると記載されている場合、基のいずれの置換基も、それ自体は非置換である。例えば、いくつかの実施形態では、「置換アルキル」という用語は、ヒドロキシル、ハロ、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールを含む1個または複数の置換基を有するアルキル基を指す。他の実施形態では、1個または複数の置換基は、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールでさらに置換され得、これらの各々が置換されている。他の実施形態では、置換基は、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールでさらに置換され得、これらの各々が非置換である。
【0025】
「任意選択の」または「してもよい」という用語は、続いて記載されている事象または状況が、発生することもしないこともあること、ならびに、記載は、前記事象もしくは状況が発生する例およびしない例を含むことを意味する。また、「適宜置換されている」という用語は、指定された原子または基上の任意の1個または複数の水素原子は、水素以外の部分により置き換えられていてもいなくてもよいことを指す。
【0026】
2つの文字または記号の間にないダッシュ(「-」)は、置換基の付着点を指し示すためには使用されていない。例えば、-C(O)NH2は、炭素原子を介して付着している。化学基の前または後のダッシュは、便宜のためのもの(a matter of convenience)であり、化学基は、その普通の意味を失うことなく、1つまたは複数のダッシュを伴っても伴わなくても描写され得る。構造において線を通って引かれている波線は、基の付着点を指し示す。化学的または構造的に必要とされない限り、化学基が記入されている、または命名されている順序によって方向性が指し示される、または示されることはない。
【0027】
接頭辞「Cu~v」は、以下の基が、uからv個の炭素原子を有することを指し示す。例えば「C1~6アルキル」は、アルキル基が、1から6個の炭素原子を有することを指し示す。
【0028】
本明細書における「約」の値またはパラメーターへの言及は、その値またはパラメーター自体を対象とする実施形態を含む(およびそれについて記載する)。ある実施形態では、「約」という用語は、指し示されている量±10%を含む。他の実施形態では、「約」という用語は、指し示されている量±5%を含む。ある他の実施形態では、「約」という用語は、指し示されている量±1%を含む。また、「約X」という用語(to the term)は、「X」の記載を含む。また、単数形「a」および「the」は、文脈からそうでないと明らかに示されない限り、複数形の言及を含む。したがって、例えば、「化合物(the compound)」への言及は、複数のそのような化合物を含み、「アッセイ(the assay)」への言及は、1つまたは複数のアッセイおよび当業者に公知であるその等価物への言及を含む。
【0029】
「アルキル」は、非分岐または分岐飽和炭化水素鎖を指す。本明細書で使用されるアルキルは、1から20個の炭素原子(すなわちC1~20アルキル)、1から12個の炭素原子(すなわちC1~12アルキル)、1から8個の炭素原子(すなわちC1~8アルキル)、1から6個の炭素原子(すなわちC1~6アルキル)または1から4個の炭素原子(すなわちC1~4アルキル)を有する。アルキル基の例は、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、2-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシルおよび3-メチルペンチルを含む。特定の数の炭素を有するアルキル残基が、化学名により命名される、または分子式により特定される場合、その数の炭素を有する位置異性体すべてが包含され得、したがって例えば「ブチル」は、n-ブチル[すなわち-(CH2)3CH3]、sec-ブチル[すなわち-CH(CH3)CH2CH3]、イソブチル[すなわち-CH2CH(CH3)2]およびtert-ブチル[すなわち-C(CH3)3]を含み、「プロピル」は、n-プロピル[すなわち-(CH2)2CH3]およびイソプロピル[すなわち-CH(CH3)2]を含む。
【0030】
「アルケニル」は、少なくとも1つ(例えば1~3つ、または1つ)の炭素-炭素二重結合を含有し、2から20個の炭素原子(すなわちC2~20アルケニル)、2から12個の炭素原子(すなわちC2~12アルケニル)、2から8個の炭素原子(すなわちC2~8アルケニル)、2から6個の炭素原子(すなわちC2~6アルケニル)、または2から4個の炭素原子(すなわちC2~4アルケニル)を有するアルキル基を指す。アルケニル基の例は、例えばエテニル、プロペニル、ブタジエニル(1,2-ブタジエニルおよび1,3-ブタジエニルを含む。
【0031】
「アルキニル」は、少なくとも1つ(例えば1~3つ、または1つ)の炭素-炭素三重結合を含有し、2から20個の炭素原子(すなわちC2~20アルキニル)、2から12個の炭素原子(すなわちC2~12アルキニル)、2から8個の炭素原子(すなわちC2~8アルキニル)、2から6個の炭素原子(すなわちC2~6アルキニル)、または2から4個の炭素原子(すなわちC2-4アルキニル)を有するアルキル基を指す。「アルキニル」という用語は、1つの三重結合および1つの二重結合を有する基も含む。
【0032】
通例使用されるある代替化学名を使用できる。例えば、二価基、例えば二価「アルキル」基、二価「アリール」基はそれぞれ、「アルキレン」基または「アルキレニル」基、「アリーレン」基または「アリーレニル(arylenyl)」基ともいわれる。
【0033】
「アルコキシ」は、「アルキル-O-」基を指す。アルコキシ基の例は、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソ-プロポキシ、n-ブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペントキシ、n-ヘキソキシおよび1,2-ジメチルブトキシを含む。
【0034】
「ハロアルキル」は、1個または複数(例えば、1から6個、または1から3個)の水素原子が、ハロゲンにより置き換えられている、上で定義されている非分岐または分岐アルキル基を指す。例えば、残基が、1つ超のハロゲンで置換される場合、これは、付着したハロゲン部分の数に対応する接頭辞を使用することにより言及され得る。ジハロアルキルおよびトリハロアルキルは、2個(「ジ」)または3個(「トリ」)のハロ基で置換されているアルキルを指し、これは同一のハロゲンでもよいが、必ずしもそうである必要はない。ハロアルキルの例は、例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1,2-ジフルオロエチル、3-ブロモ-2-フルオロプロピル、1,2-ジブロモエチルなどを含む。
【0035】
「ハロアルコキシ」は、1個または複数(例えば、1から6個、または1から3個)水素原子が、ハロゲンにより置き換えられている、上で定義されているアルコキシ基を指す。
【0036】
「ヒドロキシアルキル」は、1個または複数(例えば、1から6個、または1から3個)水素原子が、ヒドロキシ基により置き換えられている、上で定義されているアルキル基を指す。
【0037】
「アルキルチオ」は、「アルキル-S-」基を指す。
【0038】
「アシル」は、-C(O)R基を指し、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキルまたはヘテロアリールであり、その各々が、本明細書で定義されているように適宜置換され得る。アシルの例は、ホルミル、アセチル、シクロヘキシルカルボニル、シクロヘキシルメチル-カルボニルおよびベンゾイルを含む。
【0039】
「アミド」は、-C(O)NRyRz基を指す「C-アミド」基、および-NRyC(O)Rz基を指す「N-アミド」基の両方を指し、RyおよびRzは、独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキルもしくはヘテロアリールであり、その各々は、本明細書で定義されているように適宜置換され得る、または、RyおよびRzは、一緒になってシクロアルキルもしくはヘテロシクリルを形成し、その各々は、本明細書で定義されているように適宜置換され得る。
【0040】
「アミノ」は、-NRyRz基を指し、RyおよびRzは、独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキルまたはヘテロアリールであり、その各々は、本明細書で定義されているように適宜置換され得る。
【0041】
「アミジノ」は、-C(NRy)(NRz
2)を指し、RyおよびRzは、独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキルまたはヘテロアリールであり、その各々は、本明細書で定義されているように適宜置換され得る。
【0042】
「アリール」は、単環(例えば単環式)または縮合系を含む多環(例えば、二環式または三環式)を有する芳香族炭素環式基を指す。本明細書で使用されているアリールは、6から20個の環炭素原子(すなわちC6~20アリール)、6から12個の炭素環原子(すなわちC6~12アリール)、または6から10個の炭素環原子(すなわちC6~10アリール)を有する。アリール基の例は、例えばフェニル、ナフチル、フルオレニルおよびアントリルを含む。しかしアリールは、ヘテロアリールをいかなる方途でも包含しない、または重複しない。1個または複数のアリール基が、ヘテロアリールと縮合する場合、生じた環系は、付着点に関係なくヘテロアリールである。1個または複数のアリール基が、ヘテロシクリルと縮合する場合、生じた環系は、付着点に関係なくヘテロシクリルである。1個または複数のアリール基がシクロアルキルと縮合する場合、生じた環系は、付着点に関係なくシクロアルキルである。
【0043】
「カルバモイル」は、-O-C(O)NRyRz基を指す「O-カルバモイル」基、および-NRyC(O)ORz基を指す「N-カルバモイル」基の両方を指し、RyおよびRzは、独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキルまたはヘテロアリールであり、その各々は、本明細書で定義されているように適宜置換され得る。
【0044】
「カルボキシルエステル」または「エステル」は、-OC(O)Rxおよび-C(O)ORxの両方を指し、Rxは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキルまたはヘテロアリールであり、その各々は、本明細書で定義されているように適宜置換され得る。
【0045】
「シクロアルキル」は、単環、または縮合、架橋およびスピロ環系を含む多環を有する飽和または部分的不飽和環状アルキル基を指す。「シクロアルキル」という用語は、シクロアルケニル基(すなわち、少なくとも1つの二重結合を有する環状基)、および少なくとも1個のsp3炭素原子(すなわち、少なくとも1個の非芳香族環)を有する炭素環式縮合環系を含む。本明細書で使用されているシクロアルキルは、3から20個の環炭素原子(すなわちC3~20シクロアルキル)、3から14個の環炭素原子(すなわちC3~12シクロアルキル)、3から12個の環炭素原子(すなわちC3~12シクロアルキル)、3から10個の環炭素原子(すなわちC3~10シクロアルキル)、3から8個の環炭素原子(すなわちC3~8シクロアルキル)または3から6個の環炭素原子(すなわちC3~6シクロアルキル)を有する。単環式基は、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルを含む。多環式基は、例えばビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、アダマンチル、ノルボルニル、デカリニル、7,7-ジメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタニルを含む。さらに、シクロアルキルという用語は、分子の残りへの付着に関係なく、アリール環に縮合し得る任意の非芳香族環を包含することが意図されている。さらになお、シクロアルキルは、同一の炭素原子上に置換のための2つの位置が存在する場合、「スピロシクロアルキル」、例えばスピロ[2.5]オクタニル、スピロ[4.5]デカニルまたはスピロ[5.5]ウンデカニルも含む。
【0046】
「イミノ」は、-C(NRy)Rz基を指し、RyおよびRzは、各々独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキルまたはヘテロアリールであり、その各々は、本明細書で定義されているように適宜置換され得る。
【0047】
「ハロゲン」または「ハロ」は、周期表のVIIA群を占める原子、例えばフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを指す。
【0048】
「ヘテロアルキル」は、炭素原子の1個または複数(およびいくつかの関連する水素原子)が各々独立して、同一の、または異なるヘテロ原子基で置き換えられているアルキル基を指す。「ヘテロアルキル」という用語は、炭素およびヘテロ原子を有する非分岐または分岐飽和鎖を含む。例として、1、2または3個の炭素原子は、独立して、同一のまたは異なるヘテロ原子基で置き換えられていてよい。ヘテロ原子基は、-NR-、-O-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-などを含むが、それらに限定されず、Rは、H、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり、その各々は、適宜置換され得る。ヘテロアルキル基の例は、-OCH3、-CH2OCH3、-SCH3、-CH2SCH3、-NRCH3および-CH2NRCH3を含み、Rは、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキルまたはヘテロアリールであり、その各々は、適宜置換され得る。本明細書で使用されているヘテロアルキルは、1から10個の炭素原子、1から8個の炭素原子または1から4個の炭素原子、および1から3個のヘテロ原子、1から2個のヘテロ原子または1個のヘテロ原子を含む。
【0049】
「ヘテロアリール」は、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1個または複数の環ヘテロ原子を有する、単環または複数の縮合環を有する香族基を指す。本明細書で使用されているヘテロアリールは、1から20個の環炭素原子(すなわちC1~20ヘテロアリール)、3から12個の環炭素原子(すなわちC3~12ヘテロアリール)または3から8個の炭素環原子(すなわちC3~8ヘテロアリール)、ならびに窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1から5個の環ヘテロ原子、1から4個の環ヘテロ原子、1から3個の環ヘテロ原子、1から2個の環ヘテロ原子または1個の環ヘテロ原子を含む。ある例では、ヘテロアリールは、各々独立して、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1から4個の環ヘテロ原子、1から3個の環ヘテロ原子、1から2個の環ヘテロ原子または1個の環ヘテロ原子を有する5~10員環系、5~7員環系または5~6員環系を含む。ヘテロアリール基の例は、例えば、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2-a]ピリジル、カルバゾリル、シンノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、イソキノリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、1-オキシドピリジニル、1-オキシドピリミジニル、1-オキシドピラジニル、1-オキシドピリダジニル、フェナジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、キヌクリジニル、イソキノリニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリルおよびトリアジニルを含む。縮合-ヘテロアリール環の例は、ベンゾ[d]チアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾ[b]チオフェニル、インダゾリル、ベンゾ[d]イミダゾリル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジニル、およびイミダゾ[1,5-a]ピリジニルを含むが、それらに限定されず、ヘテロアリールは、縮合系の環を経由して結合し得る。少なくとも1個のヘテロ原子を含有する、単一または複数の縮合環を有する任意の芳香族環は、分子の残りへの付着に関係なくヘテロアリールと考えられる(すなわち縮合環のいずれか1個を通して)。ヘテロアリールは、上で定義されているアリールを包含しない、またはそれと重複しない。
【0050】
「ヘテロシクリル」は、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1個または複数の環ヘテロ原子を有する、飽和または部分的不飽和環状アルキル基を指す。「ヘテロシクリル」という用語は、ヘテロシクロアルケニル基(すなわち少なくとも1つの二重結合を有するヘテロシクリル基)、架橋-ヘテロシクリル基、縮合へテロシクリル基、およびスピロ-ヘテロシクリル基を含む。ヘテロシクリルは、単環または多環であり得、多環は、縮合、架橋またはスピロであり得、1つまたは複数の(例えば1から3つの)オキソ(=O)またはN-オキシド(-O-)部分を含み得る。少なくとも1個のヘテロ原子を含有する任意の非芳香族環は、付着に関係なくヘテロシクリルと考えられる(すなわち、炭素原子またはヘテロ原子を通して結合できる)。さらに、ヘテロシクリルという用語は、少なくとも1個のヘテロ原子を含有する任意の非芳香族環を包含することが意図されており、この環は、分子の残りへの付着に関係なく、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール環に縮合され得る。本明細書で使用されているヘテロシクリルは、2から20個の環炭素原子(すなわちC2~20ヘテロシクリル)、2から12個の環炭素原子(すなわちC2~12ヘテロシクリル)、2から10個の環炭素原子(すなわちC2~10ヘテロシクリル)、2から8個の環炭素原子(すなわちC2~8ヘテロシクリル)、3から12個の環炭素原子(すなわちC3~12ヘテロシクリル)、3から8個の環炭素原子(すなわちC3~8ヘテロシクリル)または3から6個の環炭素原子(すなわちC3~6ヘテロシクリル)を有し、窒素、硫黄または酸素から独立して選択される1から5個の環ヘテロ原子、1から4個の環ヘテロ原子、1から3個の環ヘテロ原子、1から2個の環ヘテロ原子または1個の環ヘテロ原子を有する。ヘテロシクリル基の例は、例えば、アゼチジニル、アゼピニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、1,4-ベンゾジオキサニル、ベンゾピラニル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラノニル、ジオキソラニル、ジヒドロピラニル、ヒドロピラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、フラノニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、インドリニル、インドリジニル、イソインドリニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、オキシラニル、オキセタニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、トリチアニル、テトラヒドロキノリニル、チオフェニル(すなわちチエニル)、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1-オキソ-チオモルホリニルおよび1,1-ジオキソ-チオモルホリニルを含む。「ヘテロシクリル」という用語は、同一の炭素原子上に置換のための2つの位置が存在する場合、「スピロヘテロシクリル」も含む。スピロ-ヘテロシクリル環の例は、例えば、二環式および三環式環系、例としてオキサビシクロ[2.2.2]オクタニル、2-オキサ-7-アザスピロ[3.5]ノナニル、2-オキサ-6-アザスピロ[3.4]オクタニルおよび6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタニルを含む。縮合へテロシクリル環の例は、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリニル、4,5,6,7-テトラヒドロチエノ[2,3-c]ピリジニル、インドリニルおよびイソインドリニルを含むが、それらに限定されず、ヘテロシクリルは、縮合系の環を経由して結合し得る。
【0051】
「スルホニル」は、-S(O)2Ry基を指し、Ryは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキルまたはヘテロアリールであり、その各々は、本明細書で定義されているように適宜置換され得る。スルホニルの例は、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニルおよびトルエンスルホニルである。
【0052】
「アルキルスルホニル」は、-S(O)2R基を指し、Rはアルキルである。
【0053】
「アルキルスルフィニル」は、-S(O)R基を指し、Rはアルキルである。
【0054】
本明細書で使用されている「医薬的に許容できる担体」または「医薬的に許容できる賦形剤」は、任意の、およびすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤ならびに吸収遅延剤などを含む。そのような媒体および作用剤の医薬的活性物質への使用は、当業界で周知である。任意の従来の媒体または作用剤が活性成分と混合できない場合を除いて、治療用組成物におけるその使用が想定される。補助的活性成分(Supplementary active ingredient)も組成物中に組み込まれ得る。
【0055】
「溶媒和物」は、溶媒および化合物の相互反応により形成される。本明細書に記載されている化合物の塩の溶媒和物も提供される。本明細書に記載されている化合物の水和物も提供される。
【0056】
本明細書で使用されている「LPA関連疾患」という用語は、LPAによる少なくとも1つのLPA受容体の活性化が、疾患、障害または病態の症候学(symptomology)または進展に寄与する、疾患、障害または状態を含むが、それらに限定されないことを意味する。これらの疾患、障害または状態は、遺伝的、医原性、免疫学的、感染性、代謝性、腫瘍性、毒性、外科的および/または外傷性病因の1つまたは複数から生じることがある。したがって、1つまたは複数のリゾホスファチジン酸(LPA)受容体(例えばLPA1、LPA2、LPA3、LPA4、LPA5またはLPA6受容体)シグナル伝達を阻害すると、疾患、障害または状態の病変および/または症状および/または進展を変えることができる。いくつかの実施形態では、LPA関連疾患は、LPA1関連疾患であり、LPA1受容体シグナル伝達を調節すると、疾患、障害または状態の病変および/または症状および/または進展を変えることができる。
【0057】
本明細書で使用されている「線維症」または「線維化障害」という用語は、細胞および/もしくはフィブロネクチンおよび/もしくはコラーゲンの異常な蓄積、ならびに/または、線維芽細胞補充の増大に関連する状態を指し、個々の器官または組織、例えば心臓、腎臓、肝臓、関節、肺、胸膜組織、腹膜組織、皮膚、角膜、網膜、筋骨格および消化管の線維症を含むが、それらに限定されない。
【0058】
本明細書で使用されている「医薬的に許容できる」という用語は、化合物、またはその塩もしくは組成物が、製剤を含む他の原料、および/またはそれで処置される対象に、化学的および/または毒物学的に適合性であることを指し示す。
【0059】
「投与」または「投与すること」という用語は、投与量の化合物または医薬組成物を、哺乳動物、鳥類、魚類または両生類を含む脊椎動物または無脊椎動物に付与する方法を指す。投与する方法は、様々な要因、例えば、医薬組成物の成分、疾患の部位および疾患の重症度に応じて変動し得る。
【0060】
本明細書で使用されている「有効量」または「有効投与量」または「医薬的有効量」または「治療有効量」という用語は、処置される疾患または状態の症状の1つまたは複数をある程度軽減し、かつ、疾患の治癒を含み得る、投与される十分な量の化学的実体(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)を指す。「治癒すること」は、活動性疾患の症状が取り除かれることを意味する。結果は、疾患の兆候、症状もしくは原因の低減および/もしくは緩和、または、生物系の任意の他の望ましい変化を含む。例えば、治療用途の「有効量」は、疾患症状に臨床的に著しい低減をもたらすのに必要とされる、本明細書で開示されている化合物を含む組成物の量である。任意の個々のケースにおける適切な「有効」量は、任意の好適な技術、例えば用量漸増(dose escalation)研究を使用して判定される。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物の「治療有効量」は、単剤療法または併用療法として有効である化合物の量を指す。
【0061】
「賦形剤」または「医薬的に許容できる賦形剤」という用語は、医薬的に許容できる材料、組成物または媒体、例えば液体もしくは固体フィラー、希釈剤、担体、溶媒またはカプセル化材料を意味する。いくつかの実施形態では、各成分は、医薬製剤の他の原料と適合する、また、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、免疫原性、または他の問題、または合併症を伴わず、妥当な利益/危険性比に見合う、ヒトおよび動物の組織または器官との接触における使用に好適であるという意味で「医薬的に許容できる」。例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st ed.; Lippincott Williams & Wilkins: Philadelphia, PA, 2005; Handbook of Pharmaceutical Excipients, 6th ed.; Rowe et al., Eds.; The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association: 2009; Handbook of Pharmaceutical Additives, 3rd ed.; Ash and Ash Eds.; Gower Publishing Company: 2007; Pharmaceutical Preformulation and Formulation, 2nd ed.; Gibson Ed.; CRC Press LLC: Boca Raton, FL, 2009を参照されたい。
【0062】
「医薬組成物」という用語は、本明細書で開示されている化合物、または本明細書で提供されるその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物と、他の化学成分(本明細書ではまとめて「賦形剤」といわれる)、例えば担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁剤および/または増粘剤の混合物を指す。医薬組成物は、化合物の生物への投与を促進する。当業界に存在する化合物を投与する複数の技術は、直腸、経口、静脈内、エーロゾル、非経口、眼科用、肺および局所投与を含むが、それらに限定されない。
【0063】
「処置する」、「処置すること」および「処置」という用語は、疾患、障害または状態の処置に関して、障害、疾患もしくは状態、または障害、疾患もしくは状態に関連する症状の1つもしくは複数を軽減または抑止すること、あるいは疾患、障害もしくは病態、またはその1つもしくは複数の症状の進展、拡散もしくは悪化を遅くすることを含むことを意味する。
【0064】
本明細書で使用されている「防止すること」という用語は、本明細書に記載されている疾患もしくは状態、またはその症状の発症、再発もしくは拡散の全体的または部分的防止である。
【0065】
本明細書で使用されている「対象」、「患者」または「個体」という用語は、互換的に使用され、哺乳動物、例えばマウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、霊長類およびヒトを含む任意の動物を指す。いくつかの実施形態では、この用語は、診断、予後診断または治療が望ましい、または必要とされる対象、特に哺乳類対象を指す。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、処置および/または防止される疾患、障害または状態の少なくとも1つの症状を経験および/または呈していた。
【0066】
「処置レジメン」および「用法」という用語は、組合せにおける各治療剤の投与の用量およびタイミングを指すように互換的に使用される。
【0067】
本明細書で使用されている「医薬的組合せ」という用語は、1種超の活性成分を混合または組み合わせることから生じた医薬的処置を指し、活性成分の固定された、および固定されていない組合せの両方を含む。
【0068】
本明細書で使用されている「併用療法」という用語は、2種の異なる治療的活性剤(すなわち組合せの成分または組合せパートナー)の用法を指し、治療的活性剤は、医療従事者(medical care taker)により処方される手法で、または本明細書で定義されている規制機関に従って、一緒に、または別々に投与される。
【0069】
本明細書で使用されている「調節する」、「調節すること」または「調節」という用語は、規制または調整(例えば、上昇または低下させる)を指し、例えばアゴニズム、部分的アゴニズムまたはアンタゴニズムを含み得る。
【0070】
化合物
LPAアンタゴニストである化合物が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、表1から選択される化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物が提供される:
【0071】
表1
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0072】
本明細書で提供される化合物は、化合物の立体化学形態、例えば光学異性体、例として鏡像異性体、ジアステレオ異性体ならびにそれらの混合物、例えば、ラセミ混合物を含む鏡像異性体および/またはジアステレオ異性体の混合物、ならびに個々の鏡像異性体および/またはジアステレオ異性体の等量または非等量混合物(equal or non-equal mixtures)を包含する。クロマトグラフィー、分光法、X線結晶構造解析などを含むが、それらに限定されない当業界で公知の方法を使用して、絶対および/または相対配置を判定できる。すべての立体化学形態が、本開示では想定される。特に指示がない限り、開示されている化合物が、立体化学を特定せずに、構造により命名または描写され、1つまたは複数のキラル中心を有する場合、化合物のすべての考えられる立体異性体、例えば表2で描かれているものを表すことが理解される。いくつかの実施形態では、表2から選択される化合物、またはその医薬的に許容できる塩、溶媒和物、立体異性体もしくは立体異性体の混合物が提供される。
【0073】
【0074】
本明細書で開示されている化合物は、医薬的に許容できるそれらの塩を含む。さらに、本明細書で開示されている化合物は、そのような化合物の、必ずしも医薬的に許容できる塩ではない、また、本明細書で開示されている化合物を調製および/または精製するための、および/または化合物の異性体もしくは鏡像異性体を分離するための中間体として有用であり得る、他の塩も含む。本明細書で開示されている化合物の医薬的に許容できる塩の非限定的な例は、トリフルオロ酢酸塩を含む。
【0075】
本明細書で開示されている化合物またはその塩は、溶媒和物の形態で単離され得、したがってそのような任意の溶媒和物は、本開示の範囲内に含まれることがさらに認識される。例えば、本明細書で開示されている化合物およびその塩は、医薬的に許容できる溶媒、例えば水、エタノールなどを用いた非溶媒和ならびに溶媒和形態で存在し得る。
【0076】
処置方法および使用
本明細書に記載されている方法は、インビボまたはエクスビボで細胞集団に適用され得る。「インビボ」は、動物またはヒト内のような生体個体内を意味する。本文脈において、本明細書に記載されている方法は、個体において治療として使用され得る。「エクスビボ」は、生体個体の外側を意味する。エクスビボの細胞集団の例は、個体から得られた流体または組織試料を含むインビトロ細胞培養物および生体試料を含む。そのような試料は、当業界で周知の方法により得られる。例示的な生物学的流体試料は、血液、脳脊髄液、尿および唾液を含む。本文脈において、本明細書に記載されている化合物および組成物は、治療および実験目的を含む多彩な目的に使用され得る。例えば、本明細書に記載されている化合物および組成物は、エクスビボで使用して、所定の指示、細胞型、個体および他のパラメーターに対して、本開示の化合物を投与するのに最適な予定および/または投与間隔を判定できる。そのような使用から収集された情報は、実験目的に、またはインビボ処置のためのプロトコールを設定するために診療所で使用され得る。本明細書に記載されている化合物および組成物が適している可能性がある他のエクスビボでの使用は、以下に記載されている、または当業者に明らかになる。選択された化合物は、さらに特徴付けられて、ヒトまたはヒト以外の動物対象における安全性または耐性投与量を検査することができる。そのような特性は通例、当業者に公知の方法を使用して検査され得る。
【0077】
本明細書で提供される化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物、またはそのような化合物の医薬組成物は、1つまたは複数のLPA受容体の阻害剤として有用である。本明細書でさらに記載されているように、LPA受容体に拮抗する化合物は、疾患、例えば線維症(例えば腎線維症、肺線維症、肝線維症、動脈線維症、全身性強皮症)、泌尿器系疾患、癌腫関連疾患、増殖性疾患、炎症/免疫系疾患、分泌機能不全による疾患、脳関連疾患および慢性疾患を含む様々な種類の疾患を防止および/または処置するのに有用であり得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、本開示は、疾患、障害または状態(すなわちLPA関連疾患)を有する対象(例えばヒト)を処置するための方法であって、1つまたは複数のLPA受容体の阻害が疾患、障害または状態の基礎病理ならびに/または症状および/もしくは進展の処置に有益である、方法を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、本明細書で示される状態のいずれか1つまたは複数に対する、1つまたは複数の関連状態、併存症または続発症を処置することを含み得る、またはさらに含み得る。
【0079】
LPA関連疾患を処置するための方法であって、それを必要とする対象に有効量の本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で開示されている医薬組成物を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0080】
いくつかの実施形態では、LPA関連疾患は、器官(例えば、肝臓、腎臓、肺、心臓および皮膚)の線維症、肝疾患[急性肝炎、慢性肝炎、肝線維症、肝硬変、門脈高血庄症、再生不全、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝臓機能低下、肝臓血流障害など]、細胞増殖性疾患[例えば、固形腫瘍、固形腫瘍転移、血管線維腫、骨髄腫、多発性骨髄腫、カポジ肉腫、白血病および慢性リンパ性白血病(CLL)、ならびに癌細胞の侵襲的転移を含む癌、炎症性疾患(例えば乾癬、腎症および肺炎]、胃腸管疾患[例えば過敏性腸症候群(TBS)、炎症性腸疾患(IBD)および異常膵液分泌]、腎疾患、尿路関連疾患[例えば良性前立腺肥厚もしくは神経因性膀胱疾患に関連する症状、脊髄腫瘍、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄、糖尿病に由来する症状、下部尿路疾患(例えば下部尿路の閉塞)、下部尿路の炎症性疾患、排尿障害および頻尿]、膵臓疾患、異常血管形成関連疾患(例えば動脈閉塞)、強皮症、脳関連疾患(例えば脳梗塞および脳出血)、神経障害性疼痛、末梢神経障害、眼疾患[例えば加齢性黄斑変性(AMD)、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症(PVR)、瘢痕性類天疱瘡および緑内障濾過手術瘢痕化]を処置することを含むが、それらに限定されない。
【0081】
いくつかの実施形態では、線維症を処置または防止する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で開示されている医薬組成物を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。例えば、方法は、腎線維症、肺線維症、肝線維症、動脈線維症または全身性強皮症を処置することを含み得る。いくつかの実施形態では、肺線維症[例えば、特発性肺線維症(IPF)]を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で提供される医薬組成物を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。
【0082】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で提供される医薬組成物は、対象における線維症を処置または防止するために使用される。例えば、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で提供される医薬組成物は、対象における器官または組織の線維症を処置するために使用され得る。いくつかの実施形態では、対象における線維症状態を防止するための方法であって、1つまたは複数の線維症状態を発症する危険性がある対象に、治療有効量の本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で提供される医薬組成物を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。例えば、対象は、器官または組織の線維症の危険性を上昇させることが公知の1つまたは複数の環境条件に曝露していることがある。いくつかの実施形態では、対象は、肺、肝臓または腎臓線維症の危険性を上昇させることが公知の1つまたは複数の環境条件に曝露している。いくつかの実施形態では、対象は、器官または組織の線維症を発症する遺伝的素因を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で提供される医薬組成物は、損傷後の瘢痕を防止または最小化するために対象に投与される。例えば、損傷は手術を含み得る。
【0083】
線維症に関与する例示的な疾患、障害または状態は、線維症に関連する肺疾患、例えば特発性肺線維症、医原性薬物誘発性(iatrogenic drug induced)、職業性/環境誘発性線維症(農夫肺)、肉芽腫性疾患(サルコイドーシス、過敏性肺炎)、膠原病(強皮症など)、肺胞タンパク質症、ランゲルハンス細胞グラニュロンマトーシス(granulonmatosis)、リンパ管平滑筋腫症、遺伝病[例えば、ヘルマンスキー-パドラック症候群、結節性硬化症、神経線維腫症、代謝性蓄積症(metabolic storage disorders)および家族性間質性肺炎]、全身性炎症性疾患、例えば関節リウマチ、強皮症、狼瘡に続発する肺線維症、特発性線維化性肺胞炎、放射線誘発性線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、強皮症、ブレオマイシン誘発性肺線維症、慢性喘息、珪肺症、アスベスト誘発性肺または胸膜線維症、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)および急性呼吸促迫[細菌性肺炎誘発性、外傷誘発性、ウイルス性肺炎誘発性、人工呼吸器誘発性、非肺敗血症誘発性(non-pulmonary sepsis induced)および誤嚥誘発性(aspiration induced)を含む]を含むが、それらに限定されない。慢性腎症は、損傷/線維症、腎臓線維症(腎線維症)、全身性炎症性疾患、例えば狼瘡および強皮症に続発する糸球体腎炎、尿細管間質線維症、糸球体腎炎、糸球体硬化症、巣状分節性(focal segmental)、糖尿病、糸球体腎炎、巣状分節性糸球体硬化症、IgA腎症、高血圧、同種移植およびアルポート症候群;皮膚障害、腸線維症、例えば強皮症および放射線誘発性腸線維症;肝線維症、例えば肝硬変、アルコール誘発性肝線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、毒性/薬物誘発性肝線維症(例えばヘモクロマトーシス)、胆管損傷、原発性胆汁性肝硬変、感染性またはウイルス性誘発性肝線維症(例えば慢性HCV感染症)、炎症/免疫障害および自己免疫性肝炎;頭頸部線維症、例えば角膜瘢痕、例としてレーシック(レーザー角膜切削形成術)、角膜移植および線維柱帯切除術;肥厚性瘢痕、デュピュトラン病(Duputren disease)、皮膚線維症、皮膚強皮症、ケロイド、例えば熱傷誘発性もしくは手術;ならびに他の線維性疾患、例えばサルコイドーシス、強皮症、脊髄損傷/線維症、骨髄線維症、血管再狭窄、アテローム性動脈硬化、動脈硬化症、ウェゲナー肉芽腫症、慢性リンパ性白血病、腫瘍転移、移植器官拒絶(例えば閉塞性細気管支炎)、子宮内膜症、新生児呼吸窮迫症候群、および神経障害性疼痛、線維筋痛、混合性結合組織病、およびペイロニー病に関連する。
【0084】
対象における肺機能を改善する方法であって、治療有効量の本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で提供される医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、対象は、肺線維症を有すると診断されている。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で提供される医薬組成物は、対象における特発性肺線維症を処置するために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で提供される医薬組成物は、対象における通常型間質性肺炎を処置するために使用される。
【0085】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で提供される医薬組成物は、対象におけるびまん性実質間質性肺疾患(parenchymal interstitial lung diseases)、例えば医原性薬物誘発性、職業性/環境誘発性線維症(農夫肺)、肉芽腫性疾患(サルコイドーシス、過敏性肺炎)、膠原病(強皮症など)、肺胞タンパク質症、ランゲルハンス細胞グラニュロンマトーシス、リンパ管平滑筋腫症、遺伝病(例えば、ヘルマンスキー-パドラック症候群、結節性硬化症、神経線維腫症、代謝性蓄積症および家族性間質性肺炎)を処置するために使用される。
【0086】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で提供される医薬組成物は、対象における慢性拒絶に関連する移植後の線維症、例えば肺移植後の閉塞性細気管支炎を処置するのに有用である。
【0087】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で提供される医薬組成物は、対象における皮膚線維症、例えば皮膚強皮症、デュピュイトラン病(Dupuytren disease)およびケロイドを処置するのに有用である。
【0088】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で提供される医薬組成物は、肝硬変の有無を問わず、対象における肝線維症を処置するのに有用である。例えば、毒性/薬物誘発性(ヘモクロマトーシス)、アルコール性肝疾患、ウイルス性肝炎(B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、HCV)、非アルコール性肝疾患(NAFLD、NASH)、ならびに代謝および自己免疫疾患を包含する。
【0089】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で提供される医薬組成物は、対象における腎線維症(例えば尿細管間質線維症および糸球体硬化症)を処置するのに有用である。
【0090】
本明細書で示される疾患、障害または状態のさらなる例は、アテローム性動脈硬化、血栓症、心疾患、血管炎、瘢痕組織の形成、再狭窄、静脈炎、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、肺高血圧症、肺線維症、肺炎症、腸の癒着、膀胱線維症および膀胱炎、鼻道の線維症、副鼻腔炎、好中球により媒介される炎症、ならびに線維芽細胞により媒介される線維症を含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で提供される医薬組成物は、線維症を処置するために使用される1つまたは複数の他の作用剤と、器官もしくは組織の線維症を有する、または、器官もしくは組織の線維症を発症する素因を有する対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の作用剤は、副腎皮質ステロイド、免疫抑制剤、B細胞アンタゴニストおよびウテログロビンを含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で提供される医薬組成物は、対象における皮膚障害を処置するために使用される。そのような皮膚障害は、皮膚の増殖性または炎症性障害、例えばアトピー性皮膚炎、水疱性障害、膠原病、乾癬、強皮症、乾癬病巣、皮膚炎、接触性皮膚炎、湿疹、蕁麻疹、酒さ、創傷治癒、瘢痕、肥厚性瘢痕、ケロイド、川崎病、酒さ、シェーグレン-ラルソン症候群(Sjogren-Larsso Syndrome)または蕁麻疹を含むが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)は、全身性強皮症を処置するために使用される。
【0093】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)は、対象における炎症を処置または防止するのに有用である。例えば、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)は、対象における炎症/免疫障害の処置または防止に使用され得る。
【0094】
炎症/免疫障害の例は、乾癬、関節リウマチ、血管炎、炎症性腸疾患、皮膚炎、骨関節炎、喘息、炎症性筋肉疾患、アレルギー性鼻炎、膣炎、間質性膀胱炎、強皮症、湿疹、同種間または異種間移植(器官、骨髄、幹細胞、ならびに他の細胞および組織)の移植片拒絶、移植片対宿主病、紅斑性狼瘡、炎症性疾患、I型糖尿病、肺線維症、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、甲状腺炎(例えば、橋本甲状腺炎および自己免疫性甲状腺炎)、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血、多発性硬化症、嚢胞性線維症、慢性再発性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、アレルギー性結膜炎およびアトピー性皮膚炎を含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で提供される医薬組成物は、対象における疼痛の処置に使用される。いくつかの実施形態では、疼痛は、急性疼痛または慢性的疼痛である。いくつかの実施形態では、疼痛は、神経障害性疼痛である。
【0096】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で提供される医薬組成物は、線維筋痛の処置に使用される。線維筋痛は、収縮(随意)筋における線維性瘢痕組織の形成に由来すると考えられている。線維症は組織に結合し、血流を阻害し、疼痛を生じる。
【0097】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で提供される医薬組成物は、癌の処置に使用される。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で提供される医薬組成物は、悪性および良性増殖性疾患の処置に使用される。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で提供される医薬組成物は、腫瘍細胞の増殖、癌腫、胸膜中皮腫[Yamada, Cancer Sci., 2008, 99(8), 1603-1610]または腹膜中皮腫の浸潤および転移、癌の疼痛、骨への転移[Boucharaba et al, J Clin. Invest., 2004, 114(12), 1714-1725; Boucharaba et al, Proc. Natl. Acad. Sci., 2006, 103(25) 9643-9648]を防止または低減するために使用される。対象における癌を処置する方法であって、対象に治療有効量の本明細書で開示されている化合物(a therapeutically effective amount a compound disclosed herein)(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で提供される医薬組成物を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、第2の治療剤の投与をさらに含み、第2の治療剤は、抗癌剤である。
【0098】
本明細書で使用されている「癌」という用語は、制御できないように増殖する、またいくつかのケースでは、増殖して転移する(拡散する)傾向がある細胞の異常な成長を指す。癌のタイプは、転移の有無を問わず、疾患の任意の段階の固形腫瘍[例えば膀胱、腸、脳、乳房、子宮内膜、心臓、腎臓、肺、リンパ性組織(リンパ腫)、卵巣、膵臓または他の内分泌器官(甲状腺)、前立腺、皮膚(黒色腫または基底細胞癌)、または血液腫瘍(例えば白血病)を含むが、それらに限定されない。
【0099】
癌のさらなる非限定的な例は、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌、肛門癌、虫垂癌、星状細胞腫、非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌(骨肉腫および悪性線維性組織球腫)、脳幹神経膠腫、脳腫瘍、脳および脊髄腫瘍、乳癌、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、子宮頸癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸癌、結腸直腸癌、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、胚芽腫、子宮内膜癌、上衣芽腫、上衣腫、食道癌、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、眼癌、網膜芽細胞腫、胆嚢癌、胃(胃)癌[gastric (stomach) cancer]、消化管カルチノイド腫瘍(gastrointestinal carcinoid tumor)、消化管間質腫瘍(GIST)、胃腸間質細胞腫瘍、胚細胞腫瘍、神経膠腫、ヘアリー細胞白血病、頭頸部癌、肝細胞性(肝臓)癌、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、眼球内黒色腫、島細胞腫瘍(膵内分泌部)、カポジ肉腫、腎臓癌、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭癌、白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、ヘアリー細胞白血病、肝臓癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、バーキットリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、髄芽腫、髄上皮腫、黒色腫、中皮腫、口癌(mouth cancer)、慢性骨髄性白血病、骨髄性白血病、多発性骨髄腫、上咽頭癌、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、口腔癌(oral cancer)、中咽頭癌、骨肉腫、骨の悪性線維性組織球腫、卵巣癌、卵巣上皮癌、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、膵臓癌、乳頭腫症、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、中間分化の松果体実質腫瘍(pineal parenchymal tumors of intermediate differentiation)、松果体芽腫およびテント上未分化神経外胚葉性腫瘍、下垂体腫瘍、形質細胞腫瘍(plasma cell neoplasm)/多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫、中枢神経原発リンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞(腎臓)癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、肉腫、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、肉腫、カポジ(sarcoma,kaposi)、セザリー症候群、皮膚癌、小細胞肺癌、小腸癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、胃(胃)癌、テント上未分化神経外胚葉性腫瘍、T細胞リンパ腫、精巣癌、咽喉癌、胸腺腫および胸腺癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮癌、子宮肉腫、膣癌、外陰部癌、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症ならびにウィルムス腫瘍を含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、対象におけるアレルギー疾患(allergic disorder)を処置する方法であって、本明細書で提供される治療有効量の本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)の投与を含む、方法が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)は、対象における呼吸器疾患、障害または状態の処置に有用である。例えば、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)は、対象における喘息(例えば慢性喘息)を処置できる。
【0101】
本明細書で使用されている「呼吸器疾患」という用語は、呼吸に関与する器官、例えば鼻、咽喉、喉頭、エウスタキー管、気管、気管支、肺、関連筋肉(例えば、隔膜および肋間筋)および神経に影響を与える疾患を指す。呼吸器疾患の非限定的な例は、喘息、成人呼吸窮迫症候群およびアレルギー性(外因系)喘息、非アレルギー性(内因系)喘息、重度の急性喘息、慢性喘息、臨床喘息、夜間性喘息、アレルゲン誘発性喘息、アスピリン感受性喘息、運動誘発性喘息、等炭酸ガス性過呼吸、小児発症喘息、成人発症喘息、咳喘息(cough-variant asthma)、職業喘息、ステロイド抵抗性喘息、季節性喘息、季節性アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、慢性気管支炎もしくは気腫を含む慢性閉塞性肺疾患、肺高血圧症、間質性肺線維症および/または気道炎症、ならびに嚢胞性線維症と低酸素症を含む。
【0102】
本明細書で使用されている「喘息」という用語は、あらゆる原因(内因性、外因性、またはその両方;アレルギー性または非アレルギー性)の気道収縮に関連する肺気流の変動により特徴付けられる肺の任意の障害を指す。喘息という用語は、原因を指し示す1つまたは複数の形容詞と共に使用され得る。
【0103】
対象における慢性閉塞性肺疾患を処置または防止するための方法であって、本明細書で提供される治療有効量の本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法が、本明細書でさらに提供される。慢性閉塞性肺疾患の例は、慢性気管支炎もしくは気腫、肺高血圧症、間質性肺線維症および/または気道炎症、ならびに嚢胞性線維症を含むが、それらに限定されない。
【0104】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)は、対象における神経系障害の処置または防止に有用である。本明細書で使用されている「神経系障害」という用語は、アルツハイマー病、脳浮腫、脳虚血、卒中、多発性硬化症、ニューロパチー、パーキンソン病、鈍的または外科的外傷後に見出すもの(術後認知機能不全および脊髄または脳幹損傷を含む)、ならびに障害の神経学的態様、例えば変性椎間板疾患および坐骨神経痛を含むが、それらに限定されない脳、脊髄または末梢神経系の構造または機能を変える状態を指す。
【0105】
いくつかの実施形態では、対象におけるCNS障害を処置または防止するための方法が、本明細書で提供される。CNS障害の非限定的な例は、多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病、卒中、脳虚血、網膜虚血、術後認知機能不全、片頭痛、末梢神経障害/神経障害性疼痛、脊髄損傷、脳浮腫および頭部損傷を含む。
【0106】
対象における心血管疾患を処置または防止する方法も、本明細書で提供される。本明細書で使用されている「心血管疾患」という用語は、不整脈(心房性もしくは心室性、またはその両方);アテローム性動脈硬化およびその続発症;狭心症;心調律障害(cardiac rhythm disturbances);心筋虚血;心筋梗塞;心臓または血管動脈瘤;血管炎、卒中;手足、器官または組織の末梢閉塞性動脈症;脳、心臓または他の器官もしくは組織の虚血後の再灌流傷害;内毒素性、外科的または外傷性ショック;高血圧、心臓弁膜症、心不全、異常血圧;ショック;血管収縮(片頭痛に関連するものを含む);単一の器官または組織に限定される血管異常、炎症、不全を含むが、それらに限定されない心臓もしくは血管、またはその両方に影響を与える疾患を指す。例えば、血管収縮、アテローム性動脈硬化およびその続発症である心筋虚血、心筋梗塞、大動脈瘤、血管炎、ならびに卒中を処置または防止するための方法であって、治療有効量の本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0107】
いくつかの実施形態では、心筋虚血および/または内毒素性ショック後の心臓再灌流傷害を低減するための方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。
【0108】
対象における血管の収縮を低減するための方法であって、治療有効量の本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法が本明細書でさらに提供される。例えば、対象の血圧上昇を低減または防止するための方法であって、治療有効量の本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0109】
LGA受容体の阻害剤として作用するテスト化合物の能力は、当業界で公知のアッセイにより実証され得る。LGA受容体阻害剤として本明細書で提供される化合物および組成物の活性は、インビトロ、インビボまたは細胞株においてアッセイされ得る。
【0110】
例えば、ヒトLPA1を過剰発現するチャイニーズハムスター卵巣細胞は、マイクロプレートにおいて、DMEM/F12培地中に終夜播種され得る(15,000細胞/ウェル)。終夜培養後、細胞にカルシウム指標色素(calcium indicator dye)を37℃にて30分負荷する。細胞を次いで、アッセイの前に室温に30分平衡化する。DMSOに可溶化したテスト化合物を、マルチウェル非結合表面プレートに移し、アッセイ緩衝液(例えば、カルシウム/マグネシウムを有するIX HBSS、20mM HEPES、および0.1%脂肪酸遊離BSA)で0.5% DMSOの最終濃度に希釈した。希釈した化合物を、0.08nMから5mMに及ぶ最終濃度で細胞に添加し、次いで室温にて20minインキュベーションし、このときLPAを10nMの最終濃度で添加して、細胞を刺激する。化合物IC50値は、LPA単体により誘発されたカルシウム流入の50%を阻害したテスト化合物の濃度と定義される。IC50値は、データを4-パラメーターロジスティック方程式に当てはめることにより判定され得る。
【0111】
別の例では、本明細書で提供される、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)は、LPA負荷前に、p.o.2時間でCD-1雌マウスに経口投与される。マウスに次いで、0.15mLの0.1%BSA/PBS(2pg/pL)中のLPAを、尾静脈(IV)を経由して投与する。LPA負荷の正確に2分後、マウスを断頭により安楽死させ、胴体の血液を収集する。これらの試料を集合的に遠心分離し、個々の75pL試料を、ヒスタミンアッセイの実行まで-20℃にて冷凍する。血漿ヒスタミン分析は、標準的なEIA(酵素イムノアッセイ)法により実行できる。血漿試料を解凍し、PBS中の0.1%BSAで1:30に希釈した。以前に記載されているヒスタミン分析のためのEIAプロトコールは、このアッセイで使用され得る。
【0112】
LPAは、生物学的エフェクター分子としての役割を有し、血圧、血小板活性化および平滑筋収縮に対する効果と、細胞成長、細胞円形化、神経突起退縮、ならびにアクチンストレスファイバー形成および細胞移動を含む多彩な細胞効果を含む多様な範囲の生理学的作用を有する。これらの効果は、受容体媒介性が優勢である。
【0113】
LPAでのLPA受容体(LPA1、LPA2、LPA3、LPA4、LPA5、LPA6)の活性化は、ある範囲の下流シグナル伝達カスケードを媒介する。非限定的な例は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)活性化、アデニリルシクラーゼ(AC)阻害/活性化、ホスホリパーゼC(PLC)活性化/Ca2+動員、アラキドン酸放出、Akt/PKB活性化、ならびに小さいGTPアーゼRho、ROCK、RaeおよびRasの活性化を含む。LPA受容体活性化により影響を受ける追加の経路は、例えば、環状アデノシン一リン酸(cAMP)、細胞分裂サイクル42/GTP-結合タンパク質(Cdc42)、癌原遺伝子セリン/トレオニン-プロテインキナーゼRaf(c-RAF)、癌原遺伝子チロシン-プロテインキナーゼSrc(c-src)、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)、接着斑キナーゼ(FAK)、グアニンヌクレオチド交換因子(GEF)、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3b(GSK3b)、c-junアミノ-末端キナーゼ(JNK)、MEK、ミオシン軽鎖II(MLC II)、核因子kB(NF-kB)、N-メチル-D-アスパルテート(NMDA)受容体活性化、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PBK)、プロテインキナーゼA(PKA)、プロテインキナーゼC(PKC)、ms-関連C3ボツリヌス毒素基質1(RAC1)を含む。ほぼすべての哺乳類細胞、組織および器官は、いくつかのLPA-受容体サブタイプを同時発現し、これにより、LPA受容体は協力的にシグナル伝達することが指し示される。LPA1、LPA2およびLPA3は、高いアミノ酸配列類似性を共有する。
【0114】
LPA1(以前にVZG-1/EDG-2/mrec1.3と呼ばれていた)は、3タイプのGタンパク質Gi/o、GqおよびG12/13とカップリングする。これらのGタンパク質の活性化を通して、LPAは、例えば細胞増殖、血清応答要素(serum-response element)(SRE)活性化、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)活性化、アデニリルシクラーゼ(AC)阻害、ホスホリパーゼC(PLC)活性化、Ca2+動員、Akt活性化およびRho活性化を含む、LPA1を通したある範囲の細胞応答を誘発する。
【0115】
LPA1の発現は、マウスの精巣、脳、心臓、肺、小腸、胃、脾臓、胸腺、および骨格筋で観察される。同様に、LPA1は、ヒト組織、例えば脳、心臓、肺、胎盤、結腸、小腸、前立腺、精巣、卵巣、膵臓、脾臓、腎臓、骨格筋および胸腺において発現する。
【0116】
LPA2(EDG-4)も、3タイプのGタンパク質Gi/o、GqおよびG12/13にカップリングして、LPAに誘発される細胞のシグナル伝達を媒介する。LPA2の発現は、成体マウスの精巣、腎臓、肺、胸腺、脾臓および胃で、また、ヒト精巣、膵臓、前立腺、胸腺、脾臓および末梢血液の白血球で観察される。LPA2の発現は、様々な癌細胞株で上方調節され、3’-非翻訳領域に変異を有するいくつかのヒトLPA2転写変異体が観察された。
【0117】
LPA3は、PLC活性化、Ca2+動員、AC阻害/活性化およびMAPK活性化を含む、多面的な、LPAに誘発されるシグナル伝達を媒介し得る。神経芽細胞腫細胞におけるLPA3の過剰発現により、神経突起伸長が生じる。LPA3の発現は、成体マウスの精巣、腎臓、肺、小腸、心臓、胸腺および脳で観察される。ヒトではこれを、心臓、膵臓、前立腺、精巣、肺、卵巣、および脳(前頭皮質、海馬および扁桃体)で見出す。
【0118】
LPA4(p2y9/GPR23)は、LPA1、LPA2およびLPA3と比較して異なる配列(divergent sequence)のものであり、血小板活性化因子(PAF)受容体に近い類似性を有する。LPA4は、LPAに誘発されるCa2+動員およびcAMP蓄積、AC活性化のためのGタンパク質Gsへの機能的カップリング、ならびに他のGタンパク質へのカップリングを媒介する。LPA4遺伝子は、卵巣、膵臓、胸腺、腎臓および骨格筋で発現する。
【0119】
LPA5(GPR92)は、GPCRのプリノクラスター(purinoc1uster)のメンバーであり、LPA4に構造的に最も近縁である。LPA5は、ヒト心臓、胎盤、脾臓、脳、肺および腸で発現する。LPAは、胃腸管のCD8+リンパ球区画でもきわめて高い発現を示す。
【0120】
LPA6(p2y5)は、GPCRsのプリノクラスターのメンバーであり、LPA4に構造的に最も近縁である。LPA6は、G12/13-Rhoシグナル伝達経路にカップリングするLPA受容体であり、ヒト毛嚢の内毛根鞘で発現する。
【0121】
先述の応答基準のいずれかにおける改善は、具体的には、本開示の方法により行われる。
【0122】
組合せ治療法
一実施形態では、本明細書で開示されている化合物は、疾患、障害または状態(すなわちLPA関連疾患)を処置するために使用および/または開発される1つまたは複数の追加の治療剤と組み合わせて使用され得、1つまたは複数のLPA受容体の阻害が、疾患、障害または状態の基礎病理ならびに/または症状および/もしくは進展の処置に有益である。
【0123】
本明細書で提供される化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物、またはそのような化合物の医薬組成物は、1つまたは複数のLPA受容体の阻害剤として有用である。本明細書でさらに記載されているように、LPA受容体に拮抗する化合物は、疾患、例えば線維症(例えば腎線維症、肺線維症、肝線維症、動脈線維症、全身性強皮症)、泌尿器系疾患、癌腫関連疾患、増殖性疾患、炎症/免疫系疾患、分泌機能不全による疾患、脳関連疾患および慢性疾患を含む様々な種類の疾患を防止および/または処置するのに有用であり得る
【0124】
いくつかの実施形態では、本開示は、疾患、障害または状態(すなわちLPA関連疾患)を有する対象(例えばヒト)を処置するための方法であって、1つまたは複数のLPA受容体の阻害が、疾患、障害または状態の基礎病理ならびに/または症状および/もしくは進展の処置に有益である、方法を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、本明細書で示される状態のいずれか1つまたは複数に対する、1つまたは複数の関連状態、併存症または続発症を処置することを含み得る、またはさらに含み得る。
【0125】
LPA関連疾患を処置するための方法であって、それを必要とする対象に有効量の本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で開示されている医薬組成物を投与することを含む方法が、本明細書で提供される。
【0126】
いくつかの実施形態では、LPA関連疾患は、器官(例えば、肝臓、腎臓、肺、心臓および皮膚)の線維症、肝疾患[急性肝炎、慢性肝炎、肝線維症、肝硬変、門脈高血庄症、再生不全、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝臓機能低下、肝臓血流障害など]、細胞増殖性疾患[例えば、固形腫瘍、固形腫瘍転移、血管線維腫、骨髄腫、多発性骨髄腫、カポジ肉腫、白血病および慢性リンパ性白血病(CLL)、ならびに癌細胞の侵襲的転移を含む癌、炎症性疾患(例えば乾癬、腎症および肺炎]、胃腸管疾患[例えば過敏性腸症候群(TBS)、炎症性腸疾患(IBD)および異常膵液分泌]、腎疾患、尿路関連疾患[例えば良性前立腺肥厚もしくは神経因性膀胱疾患に関連する症状、脊髄腫瘍、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄、糖尿病に由来する症状、下部尿路疾患(例えば下部尿路の閉塞)、下部尿路の炎症性疾患、ディシューナおよび頻尿]、膵臓疾患、異常血管形成関連疾患(例えば動脈閉塞)、強皮症、脳関連疾患(例えば脳梗塞および脳出血)、神経障害性疼痛、末梢神経障害、眼疾患[例えば加齢性黄斑変性(AMD)、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症(PVR)、瘢痕性類天疱瘡および緑内障濾過手術瘢痕化]を処置することを含むが、それらに限定されない。
【0127】
いくつかの実施形態では、線維症を処置または防止する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で開示されている医薬組成物を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。例えば、方法は、腎線維症、肺線維症、肝線維症、動脈線維症または全身性強皮症を処置することを含み得る。いくつかの実施形態では、肺線維症[例えば、特発性肺線維症(IPF)]を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で提供される医薬組成物を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。
【0128】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で提供される医薬組成物は、対象における線維症を処置または防止するために使用される。例えば、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で提供される医薬組成物は、対象における器官または組織の線維症を処置するために使用され得る。いくつかの実施形態では、対象における線維症状態を防止するための方法であって、1つまたは複数の線維症状態を発症する危険性がある対象に、治療有効量の本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で提供される医薬組成物を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。例えば、対象は、器官または組織の線維症の危険性を上昇させることが公知の1つまたは複数の環境条件に曝露していることがある。いくつかの実施形態では、対象は、肺、肝臓または腎臓線維症の危険性を上昇させることが公知の1つまたは複数の環境条件に曝露している。いくつかの実施形態では、対象は、器官または組織の線維症を発症する遺伝的素因を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で提供される医薬組成物は、損傷後の瘢痕を防止または最小化するために対象に投与される。例えば、損傷は手術を含み得る。
【0129】
線維症に関与する例示的な疾患、障害または状態は、線維症に関連する肺疾患、例えば特発性肺線維症、医原性薬物誘発性、職業性/環境誘発性線維症(農夫肺)、肉芽腫性疾患(サルコイドーシス、過敏性肺炎)、膠原病(強皮症など)、肺胞タンパク質症、ランゲルハンス細胞グラニュロンマトーシス、リンパ管平滑筋腫症、遺伝病(例えば、ヘルマンスキー-パドラック症候群、結節性硬化症、神経線維腫症、代謝性蓄積症および家族性間質性肺炎)、全身性炎症性疾患、例えば関節リウマチ、強皮症、狼瘡に続発する肺線維症、特発性線維化性肺胞炎、放射線誘発性線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、強皮症、ブレオマイシン誘発性肺線維症、慢性喘息、珪肺症、アスベスト誘発性肺または胸膜線維症、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)および急性呼吸促迫(細菌性肺炎誘発性、外傷誘発性、ウイルス性肺炎誘発性、人工呼吸器誘発性、非肺敗血症誘発性および誤嚥誘発性を含む)を含むが、それらに限定されない。慢性腎症は、損傷/線維症、腎臓線維症(腎線維症)、全身性炎症性疾患、例えば狼瘡および強皮症に続発する糸球体腎炎、尿細管間質線維症、糸球体腎炎、糸球体硬化症、巣状分節性、糖尿病、糸球体腎炎、巣状分節性糸球体硬化症、IgA腎症、高血圧、同種移植およびアルポート症候群;皮膚障害、腸線維症、例えば強皮症および放射線誘発性腸線維症;肝線維症、例えば肝硬変、アルコール誘発性肝線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、毒性/薬物誘発性肝線維症(例えばヘモクロマトーシス)、胆管損傷、原発性胆汁性肝硬変、感染性またはウイルス性誘発性肝線維症(例えば慢性HCV感染症)、炎症/免疫障害および自己免疫性肝炎;頭頸部線維症、例えば角膜瘢痕、例としてレーシック(レーザー角膜切削形成術)、角膜移植および線維柱帯切除術;肥厚性瘢痕、デュピュトラン病、皮膚線維症、皮膚強皮症、ケロイド、例えば熱傷誘発性もしくは手術;ならびに他の線維性疾患、例えばサルコイドーシス、強皮症、脊髄損傷/線維症、骨髄線維症、血管再狭窄、アテローム性動脈硬化、動脈硬化症、ウェゲナー肉芽腫症、慢性リンパ性白血病、腫瘍転移、移植器官拒絶(例えば閉塞性細気管支炎)、子宮内膜症、新生児呼吸窮迫症候群、および神経障害性疼痛、線維筋痛、混合性結合組織病、およびペイロニー病に関連する。
【0130】
対象における肺機能を改善する方法であって、治療有効量の本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で提供される医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、対象は、肺線維症を有すると診断されている。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で提供される医薬組成物は、対象における特発性肺線維症を処置するために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で提供される医薬組成物は、対象における通常型間質性肺炎を処置するために使用される。
【0131】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で提供される医薬組成物は、対象におけるびまん性実質間質性肺疾患、例えば医原性薬物誘発性、職業性/環境誘発性線維症(農夫肺)、肉芽腫性疾患(サルコイドーシス、過敏性肺炎)、膠原病(強皮症など)、肺胞タンパク質症、ランゲルハンス細胞グラニュロンマトーシス、リンパ管平滑筋腫症、遺伝病(例えば、ヘルマンスキー-パドラック症候群、結節性硬化症、神経線維腫症、代謝性蓄積症および家族性間質性肺炎)を処置するために使用される。
【0132】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で示されている医薬組成物は、対象における慢性拒絶に関連する移植後の線維症、例えば肺移植後の閉塞性細気管支炎を処置するのに有用である。
【0133】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で示されている医薬組成物は、対象における皮膚線維症、例えば皮膚強皮症、デュピュイトラン病およびケロイドを処置するのに有用である。
【0134】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で示されている医薬組成物は、肝硬変の有無を問わず、対象における肝線維症を処置するのに有用である。例えば、毒性/薬物誘発性(ヘモクロマトーシス)、アルコール性肝疾患、ウイルス性肝炎(B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、HCV)、非アルコール性肝疾患(NAFLD、NASH)、ならびに代謝および自己免疫疾患。
【0135】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で示されている医薬組成物は、対象における腎線維症(例えば尿細管間質線維症および糸球体硬化症)を処置するのに有用である。
【0136】
本明細書で示される疾患、障害または状態のさらなる例は、アテローム性動脈硬化、血栓症、心疾患、血管炎、瘢痕組織の形成、再狭窄、静脈炎、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、肺高血圧症、肺線維症、肺炎症、腸の癒着、膀胱線維症および膀胱炎、鼻道の線維症、副鼻腔炎、好中球により媒介される炎症、ならびに線維芽細胞により媒介される線維症を含む。
【0137】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で示されている医薬組成物は、COVID-19の1つまたは複数の症状を処置するのに有用である。
【0138】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で示されている医薬組成物は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)を処置するのに有用である。
【0139】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で示されている医薬組成物は、神経炎症を処置するのに有用である。
【0140】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で示されている医薬組成物は、多発性硬化症を処置するのに有用である。
【0141】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で示されている医薬組成物は、線維症を処置するために使用される1つまたは複数の他の作用剤と、器官もしくは組織の線維症を有する、または、器官もしくは組織の線維症を発症する素因を有する対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の作用剤は、副腎皮質ステロイド、免疫抑制剤、B細胞アンタゴニストおよびウテログロビンを含む。
【0142】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で示されている医薬組成物は、対象における皮膚障害を処置するために使用される。そのような皮膚障害は、皮膚の増殖性または炎症性障害、例えばアトピー性皮膚炎、水疱性障害、膠原病、乾癬、強皮症、乾癬病巣、皮膚炎、接触性皮膚炎、湿疹、蕁麻疹、酒さ、創傷治癒、瘢痕、肥厚性瘢痕、ケロイド、川崎病、酒さ、シェーグレン-ラルソ症候群または蕁麻疹を含むが、それらに限定されない。
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)は、全身性強皮症を処置するために使用される。
【0143】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)は、対象における炎症を処置または防止するのに有用である。例えば、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)は、対象における炎症/免疫障害の処置または防止に使用され得る。
【0144】
炎症/免疫障害の例は、乾癬、関節リウマチ、血管炎、炎症性腸疾患、皮膚炎、骨関節炎、喘息、炎症性筋肉疾患、アレルギー性鼻炎、膣炎、間質性膀胱炎、強皮症、湿疹、同種間または異種間移植(器官、骨髄、幹細胞、ならびに他の細胞および組織)の移植片拒絶、移植片対宿主病、紅斑性狼瘡、炎症性疾患、I型糖尿病、肺線維症、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、甲状腺炎(例えば、橋本甲状腺炎および自己免疫性甲状腺炎)、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血、多発性硬化症、嚢胞性線維症、慢性再発性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、アレルギー性結膜炎およびアトピー性皮膚炎を含む。
【0145】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で示されている医薬組成物は、対象における疼痛の処置に使用される。いくつかの実施形態では、疼痛は、急性疼痛または慢性的疼痛である。いくつかの実施形態では、疼痛は、神経障害性疼痛である。
【0146】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で示されている医薬組成物は、線維筋痛の処置に使用される。線維筋痛は、収縮(随意)筋における線維性瘢痕組織の形成に由来すると考えられている。線維症は組織に結合し、血流を阻害し、疼痛を生じる。
【0147】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で示されている医薬組成物は、癌の処置に使用される。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で示されている医薬組成物は、悪性および良性増殖性疾患の処置に使用される。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で示されている医薬組成物は、腫瘍細胞の増殖、癌腫、胸膜中皮腫[Yamada, Cancer Sci., 2008, 99(8), 1603-1610]または腹膜中皮腫の浸潤および転移、癌の疼痛、骨への転移[Boucharaba et al, J Clin. Invest., 2004, 114(12), 1714-1725; Boucharaba et al, Proc. Natl. Acad. Sci., 2006, 103(25) 9643-9648]を防止または低減するために使用される。対象における癌を処置する方法であって、対象に治療有効量の本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で提供される医薬組成物を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、第2の治療剤の投与をさらに含み、第2の治療剤は、抗癌剤である。
【0148】
本明細書で使用されている「癌」という用語は、制御できないように増殖する、またいくつかのケースでは、増殖して転移する(拡散する)傾向がある細胞の異常な成長を指す。癌のタイプは、転移の有無を問わず、疾患の任意の段階の固形腫瘍[例えば膀胱、腸、脳、乳房、子宮内膜、心臓、腎臓、肺、リンパ性組織(リンパ腫)、卵巣、膵臓または他の内分泌器官(甲状腺)、前立腺、皮膚(黒色腫または基底細胞癌)、または血液腫瘍(例えば白血病)を含むが、それらに限定されない。
【0149】
癌のさらなる非限定的な例は、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌、肛門癌、虫垂癌、星状細胞腫、非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌(骨肉腫および悪性線維性組織球腫)、脳幹神経膠腫、脳腫瘍、脳および脊髄腫瘍、乳癌、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、子宮頸癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸癌、結腸直腸癌、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、胚芽腫、子宮内膜癌、上衣芽腫、上衣腫、食道癌、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、眼癌、網膜芽細胞腫、胆嚢癌、胃(胃)癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、胃腸間質細胞腫瘍、胚細胞腫瘍、神経膠腫、ヘアリー細胞白血病、頭頸部癌、肝細胞性(肝臓)癌、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、眼球内黒色腫、島細胞腫瘍(膵内分泌部)、カポジ肉腫、腎臓癌、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭癌、白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、ヘアリー細胞白血病、肝臓癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、バーキットリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、髄芽腫、髄上皮腫、黒色腫、中皮腫、口癌、慢性骨髄性白血病、骨髄性白血病、多発性骨髄腫、上咽頭癌、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、口腔癌、中咽頭癌、骨肉腫、骨の悪性線維性組織球腫、卵巣癌、卵巣上皮癌、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、膵臓癌、乳頭腫症、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、中間分化の松果体実質腫瘍、松果体芽腫およびテント上未分化神経外胚葉性腫瘍、下垂体腫瘍、形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫、中枢神経原発リンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞(腎臓)癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、肉腫、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、肉腫、カポジ、セザリー症候群、皮膚癌、小細胞肺癌、小腸癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、胃(胃)癌、テント上未分化神経外胚葉性腫瘍、T細胞リンパ腫、精巣癌、咽喉癌、胸腺腫および胸腺癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮癌、子宮肉腫、膣癌、外陰部癌、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症ならびにウィルムス腫瘍を含む。
【0150】
いくつかの実施形態では、対象におけるアレルギー疾患を処置する方法であって、本明細書で提供される治療有効量の本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)の投与を含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)は、対象における呼吸器疾患、障害または状態の処置に有用である。例えば、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)は、対象における喘息(例えば慢性喘息)を処置できる。
【0151】
本明細書で使用されている「呼吸器疾患」という用語は、呼吸に関与する器官、例えば鼻、咽喉、喉頭、エウスタキー管、気管、気管支、肺、関連筋肉(例えば、隔膜および肋間筋)および神経に影響を与える疾患を指す。呼吸器疾患の非限定的な例は、喘息、成人呼吸窮迫症候群およびアレルギー性(外因系)喘息、非アレルギー性(内因系)喘息、重度の急性喘息、慢性喘息、臨床喘息、夜間性喘息、アレルゲン誘発性喘息、アスピリン感受性喘息、運動誘発性喘息、等炭酸ガス性過呼吸(isocapnic hyperventilation)、小児発症喘息、成人発症喘息、咳喘息、職業喘息、ステロイド抵抗性喘息、季節性喘息、季節性アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、慢性気管支炎もしくは気腫を含む慢性閉塞性肺疾患、肺高血圧症、間質性肺線維症および/または気道炎症、ならびに嚢胞性線維症と低酸素症を含む。
【0152】
本明細書で使用されている「喘息」という用語は、あらゆる原因(内因性、外因性、またはその両方;アレルギー性または非アレルギー性)の気道収縮に関連する肺気流の変動により特徴付けられる肺の任意の障害を指す。喘息という用語は、原因を指し示す1つまたは複数の形容詞と共に使用され得る。
【0153】
対象における慢性閉塞性肺疾患を処置または防止するための方法であって、本明細書で提供される治療有効量の本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法が、本明細書でさらに提供される。慢性閉塞性肺疾患の例は、慢性気管支炎もしくは気腫、肺高血圧症、間質性肺線維症および/または気道炎症、ならびに嚢胞性線維症を含むが、それらに限定されない。
【0154】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)は、対象における神経系障害の処置または防止に有用である。本明細書で使用されている「神経系障害」という用語は、アルツハイマー病、脳浮腫、脳虚血、卒中、多発性硬化症、ニューロパチー、パーキンソン病、鈍的または外科的外傷後に見出すもの(術後認知機能不全および脊髄または脳幹損傷を含む)、ならびに障害の神経学的態様、例えば変性椎間板疾患および坐骨神経痛を含むが、それらに限定されない脳、脊髄または末梢神経系の構造または機能を変える状態を指す。
【0155】
いくつかの実施形態では、対象におけるCNS障害を処置または防止するための方法が、本明細書で提供される。CNS障害の非限定的な例は、多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病、卒中、脳虚血、網膜虚血、術後認知機能不全、片頭痛、末梢神経障害/神経障害性疼痛、脊髄損傷、脳浮腫および頭部損傷を含む。
【0156】
対象における心血管疾患を処置または防止する方法も、本明細書で提供される。本明細書で使用されている「心血管疾患」という用語は、不整脈(心房性もしくは心室性、またはその両方);アテローム性動脈硬化およびその続発症;狭心症;心調律障害;心筋虚血;心筋梗塞;心臓または血管動脈瘤;血管炎、卒中;手足、器官または組織の末梢閉塞性動脈症;脳、心臓または他の器官もしくは組織の虚血後の再灌流傷害;内毒素性、外科的または外傷性ショック;高血圧、心臓弁膜症、心不全、異常血圧;ショック;血管収縮(片頭痛に関連するものを含む);単一の器官または組織に限定される血管異常、炎症、不全を含むが、それらに限定されない心臓もしくは血管、またはその両方に影響を与える疾患を指す。例えば、血管収縮、アテローム性動脈硬化およびその続発症である心筋虚血、心筋梗塞、大動脈瘤、血管炎、ならびに卒中を処置または防止するための方法であって、治療有効量の本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0157】
いくつかの実施形態では、心筋虚血および/または内毒素性ショック後の心臓再灌流傷害を低減するための方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法が本明細書で提供される
【0158】
対象における血管の収縮を低減するための方法であって、治療有効量の本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法が本明細書でさらに提供される。例えば、対象の血圧上昇を低減または防止するための方法であって、治療有効量の本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0159】
医薬組成物および投与の様式
本明細書で提供される化合物は、通常医薬組成物の形態で投与される。
【0160】
医薬品として用いられる場合、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)は、その医薬的に許容できる塩または溶媒和物を含めて、医薬組成物の形態で投与され得る。これらの組成物は、医薬品業界で周知の手法で調製され得、局所処置または全身処置のどちらが望ましいかに応じて多彩な経路により、また、処置される領域に投与され得る。投与は、局所(経皮、表皮、眼および鼻腔内、膣および直腸デリバリーを含む粘膜に対して含む)、肺(例えば、ネブライザーによるものを含む、散剤またはエーロゾルの吸入または吹送による;気管内または鼻腔内)、経口または非経口であり得る。経口投与は、1日1回または1日2回(BID)投与で製剤された剤形を含み得る。非経口投与は、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、筋肉内または注入もしくは注射;または頭蓋内、例えば、髄腔内もしくは心室内投与を含む。非経口投与は、単回ボーラス投与の形態であり得、または、例えば、連続注入ポンプにより得る。局所投与のための医薬組成物および製剤は、経皮パッチ剤、軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、ドロップ剤、坐剤、噴霧剤、液剤および散剤を含み得る。従来の医薬担体、水性、粉末または油性ベース、増粘剤などは、必須または望ましいことがある。
【0161】
活性成分として本明細書で開示されている化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)を、1つまたは複数の医薬的に許容できる賦形剤(担体)と組み合わせて含有する医薬組成物も本明細書で提供される。例えば、本明細書で開示されている化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)を使用して調製した医薬組成物が含まれる。いくつかの実施形態では、組成物は、局所投与に好適である。本明細書で提供される組成物を作る際、活性成分は、典型的には賦形剤と混合され、賦形剤により希釈され、または例えば、カプセル、サシェ、紙または他のコンテナの形態で、そのような担体内に包み込まれる。賦形剤が希釈剤としての機能を果たす場合、これは、活性成分の媒体、担体または媒質として作用する固体、半固体または液体材料であり得る。したがって、組成物は、錠剤、丸剤、散剤、ロゼンジ剤、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁液剤、エマルション剤、液剤、シロップ剤、エーロゾル剤(固体として、または液体媒質中で)、例えば10重量%までの活性化合物を含有する軟膏剤、ソフトおよびハードゼラチンカプセル剤、坐剤、注入可能な滅菌液剤、および包装された滅菌散剤の形態であり得る。いくつかの実施形態では、組成物は、経口投与のために製剤される。いくつかの実施形態では、組成物は、固体経口製剤である。いくつかの実施形態では、組成物は、錠剤またはカプセル剤として製剤される。
【0162】
本明細書で開示されている化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物、(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)を、医薬的に許容できる賦形剤と含有する医薬組成物が、本明細書でさらに提供される。本明細書で開示されている化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物、(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)を活性成分として含有する医薬組成物は、本明細書で開示されている化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物、(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)を、従来の医薬的配合技術に従って、医薬担体と密接に混合することにより調製され得る。担体は、望ましい投与経路に応じて幅広い形態をとり得る(例えば経口、非経口)。いくつかの実施形態では、組成物は、固体経口組成物である。
【0163】
好適な医薬的に許容できる担体は、当業界で周知である。これらの医薬的に許容できる担体の一部の記載は、American Pharmaceutical Association and Pharmaceutical Society of Great Britainにより発表されたThe Handbook of Pharmaceutical Excipientsで見出すことができる。
【0164】
医薬組成物を製剤する方法は、多数の出版物、例えばPharmaceutical Dosage Forms: Tablets, Second Edition, Revised and Expanded, Volumes 1-3, edited by Lieberman et al; Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications, Volumes 1-2, edited by Avis et al;およびPharmaceutical Dosage Forms: Disperse Systems, Volumes 1-2, edited by Lieberman et al; published by Marcel Dekker, Inc.に記載されている。
【0165】
医薬的に許容できる賦形剤は、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、自己乳化薬物デリバリー系(SEDDS)、例えばd-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネート、医薬剤形に使用される界面活性剤、例えばTweens、ポロキサマーまたは他の同様のポリマー性デリバリーマトリックス、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えばホスフェート、トリス、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマーならびに羊毛脂を含むが、それらに限定されない。シクロデキストリン、例えばα-、βおよびγ-シクロデキストリン、または化学的に修飾された誘導体、例えば2-および3-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含むヒドロキシアルキルシクロデキストリン、または他の可溶化された誘導体も、本明細書で提供される化合物のデリバリーを向上させるために使用され得る。本明細書で提供される化学的実体を0.005%から100%の範囲で含有し、残りが非毒性賦形剤からなる(with the balance made up from non-toxic excipient)剤形または組成物が調製され得る。想定される組成物は、本明細書で提供される化学的実体を0.001%~100%、一実施形態では0.1~95%、別の実施形態では75~85%、さらなる実施形態では20~80%含有し得る。そのような剤形を調製する実際の方法は公知であり、または当業者に明らかであり;例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 22nd Edition (Pharmaceutical Press, London, UK. 2012)を参照されたい。
【0166】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で提供される医薬組成物は、それを必要とする対象に、任意の許容される投与経路により投与され得る。投与の許容できる経路は、バッカル、皮膚、子宮頸管内、洞内(endosinusial)、気管内、経腸、硬膜外(epidural)、間質性、腹部内(intra-abdominal)、動脈内、気管支内、嚢内、脳内、槽内、冠動脈内、皮内、分泌管内(intraductal)、十二指腸内、硬膜内、表皮内、食道内、胃内、歯肉内、回腸内(intraileal)、リンパ内、髄内、髄膜内、筋肉内、卵巣内、腹腔内、前立腺内、肺内、洞内(intrasinal)、脊髄内、関節滑液嚢内、精巣内、髄腔内、管内(intratubular)、腫瘍内、子宮内、血管内、静脈内、経鼻(例えば鼻腔内)、鼻腔胃、経口、非経口、経皮(percutaneous)、硬膜上(peridural)、直腸、呼吸器(吸入)、皮下、舌下、粘膜下、局所、経皮(transdermal)、経粘膜、経気管、尿管、尿道および膣を含むが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、好ましい投与経路は、非経口(例えば腫瘍内)である。
【0167】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、またはその医薬組成物は、非経口投与のために製剤され得、例えば、動脈内、胸骨内、頭蓋内、静脈内、筋肉内、皮下または腹腔内経路を経由した注入のために製剤され得る。例えば、そのような組成物は、液体溶液または懸濁液としての注入液として調製され得;注入前の液体を添加する際に、液剤または懸濁液剤を調製する使用に好適な固体形態も調製され得;また、調製物は乳化もされ得る。そのような製剤の調製は、本開示を踏まえて当業者に公知である。いくつかの実施形態では、デバイスは、非経口投与に使用される。例えば、そのようなデバイスは、有針注入器、マイクロニードル注入器、無針注入器および注射技術を含み得る。
【0168】
いくつかの実施形態では、注入に好適な医薬形態は、滅菌水溶液または分散体;ゴマ油、落花生油またはプロピレングリコール水溶液を含む製剤;および滅菌注入可能溶液または分散体を即時調製するための滅菌粉末を含む。いくつかの実施形態では、形態は、滅菌されていなければならず、容易に注入され得る程度に流体でなければならない。いくつかの実施形態では、形態は、製造および保存の条件下で安定であるべきであり、微生物、例えば細菌および真菌の混入作用に対して保存されなければならない。
【0169】
いくつかの実施形態では、担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)、好適なそれらの混合物、ならびに植物油を含有する溶媒または分散媒でもあり得る。いくつかの実施形態では、適正な流動性は、例えば、コーティング、例えばレシチンを使用することにより、分散体のケースでは必要とされる粒径を維持して、また、界面活性剤を使用することにより維持され得る。いくつかの実施形態では、微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールにより生じ得る。いくつかの実施形態では、等張剤、例えば糖または塩化ナトリウムが含まれる。いくつかの実施形態では、注入可能な組成物の延長された吸収は、吸収を遅延させる作用剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの組成物における使用により生じ得る。
【0170】
いくつかの実施形態では、滅菌注入可能溶液は、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)を、必要とされる量で、上に一覧表示されている他の様々な原料と適切な溶媒中に組み込み、必要に応じて濾過滅菌を続けることにより、調製される。いくつかの実施形態では、分散体は、様々な滅菌活性成分を、塩基性分散媒、および上に一覧表示されているものからの必要とされる他の原料を含有する滅菌媒体中に組み込むことにより調製される。いくつかの実施形態では、滅菌粉末は、滅菌注入可能溶液の調製に使用される。いくつかの実施形態では、調製する方法は、真空乾燥およびフリーズドライ技術であり、これにより活性成分と、予め滅菌濾過されたその溶液からの追加の望ましい任意の原料の粉末が得られる。
【0171】
いくつかの実施形態では、使用可能な薬理学的に許容できる賦形剤は、ゲル剤、クリーム剤、浣腸剤または直腸坐剤としての直腸組成物中に、ココアバターグリセリド、合成ポリマー、例えばポリビニルピロリドン、PEG(PEG軟膏のような)、グリセリン、グリセリンゼラチン、水素化植物油、ポロキサマー、様々な分子量のポリエチレングリコールおよびポリエチレングリコールの脂肪酸エステルの混合物、ワセリン、無水ラノリン、サメ肝油、サッカリン酸ナトリウム、メントール、スイートアーモンド油、ソルビトール、安息香酸ナトリウム、anoxid SBN、バニラエッセンシャルオイル、エーロゾル、フェノキシエタノール中パラベン、p-オキシ安息香酸メチルナトリウム、p-オキシ安息香酸プロピルナトリウム、ジエチルアミン、カルボマー、カーボポール、メチルオキシベンゾエート、マクロゴールセトステアリルエーテル、ココイルカプリロカプレート、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、流動パラフィン、キサンタンガム、カルボキシ-メタ重亜硫酸塩、エデト酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、グレープフルーツ種子抽出物、メチルスルホニルメタン(MSM)、乳酸、グリシン、ビタミン、例えばビタミンAおよびE、ならびに酢酸カリウムのいずれか1つまたは複数を含むが、それらに限定されない。
【0172】
いくつかの実施形態では、坐剤は、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、または本明細書で提供される医薬組成物を、好適な非刺激性賦形剤または担体、例えばココアバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤ワックスと混合することにより調製され得、これらは、周囲温度にて固体であるが、体温にて液体であり、ひいては直腸において溶融し、活性化合物を放出する。いくつかの実施形態では、直腸投与のための組成物は、浣腸の形態である。
【0173】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、またはその医薬組成物は、経口投与の目的で、消化管またはGI管への局所デリバリーのために製剤される(例えば、固体または液体剤形)。
【0174】
いくつかの実施形態では、経口投与のための固体剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤および粒剤を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)は、1つまたは複数の医薬的に許容できる賦形剤、例えばクエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムと/または:a)フィラーもしくは増量剤、例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸、b)結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロースおよびアカシア、c)湿潤剤、例えばグリセロール、d)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、あるシリケートおよび炭酸ナトリウム、e)溶解遅滞剤(solution retarding agents)、例えばパラフィン、f)吸収促進剤、例えば四級アンモニウム化合物、g)湿潤剤、例えばセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール、h)吸収剤、例えばカオリンおよびベントナイトクレイ、ならびにi)滑沢剤、例えば滑石、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびそれらの混合物と混合される。例えば、カプセル剤、錠剤および丸剤のケースでは、剤形は緩衝剤も含み得る。いくつかの実施形態では、同様のタイプの固体組成物は、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を使用して、ソフトおよびハード充填ゼラチンカプセル剤中のフィラーとしても用いてよい。
【0175】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、単位剤形、例えば丸剤または錠剤の形態をとり、ひいては組成物は、本明細書で提供される、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)と共に、希釈剤、例えばラクトース、スクロース、リン酸二カルシウムなど;滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムなど;および結合剤、例えばデンプン、アカシアガム、ポリビニルピロリジン、ゼラチン、セルロース、セルロース誘導体などを含有し得る。いくつかの実施形態では、別の固体剤形、散剤、マルメ(marume)、液剤または懸濁液剤(例えば、炭酸プロピレン、植物油、PEG、ポロキサマー124またはトリグリセリド中)は、カプセル剤(ゼラチンまたはセルロースベースカプセル剤)にカプセル化される。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される1つもしくは複数の化合物および医薬組成物、または追加の活性剤が物理的に分離される単位剤形、例えば、各薬物の粒剤を有するカプセル剤(またはカプセル剤中の錠剤);2層錠剤;2区画ゲルキャップも想定される。いくつかの実施形態では、腸溶性コーティングまたは遅延放出経口剤形も想定される。
【0176】
いくつかの実施形態では、他の生理学的に許容できる化合物は、微生物の成長または作用を防止するために特に有用な湿潤剤、乳化剤、分散剤または防腐剤を含み得る。例えば、様々な防腐剤は周知であり、例えばフェノールおよびアスコルビン酸を含む。
【0177】
いくつかの実施形態では、賦形剤は滅菌されており、一般的に望ましくない物質を含まない。例えば、これらの組成物は、従来の周知の滅菌技術により滅菌されていることがある。いくつかの実施形態では、様々な経口剤形、例えば錠剤およびカプセル剤の賦形剤に対して、無菌が必要とされない。例えば、米国薬局方/国民医薬品集(United States Pharmacopeia/National Formulary)(USP/NF)標準では、十分であり得る。
【0178】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、またはその医薬組成物は、眼内投与のために製剤される。いくつかの実施形態では、眼用組成物は、ビスコーゲン(例えばカルボキシメチルセルロース、グリセリン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール);安定剤[例えばプルロニック(トリブロックコポリマー)、シクロデキストリン];防腐剤[例えば、塩化ベンザルコニウム、ETDA、SofZia(ホウ酸、プロピレングリコール、ソルビトールおよび塩化亜鉛;Alcon Laboratories,Inc.)、Purite(安定化オキシクロロ錯体;Allergan,Inc.)]の1つまたは複数を含み得るが、それらに限定されない。
【0179】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)、またはその医薬組成物は、皮膚または粘膜への局所投与(例えば皮膚または経皮)のために製剤される。いくつかの実施形態では、局所組成物は、軟膏剤およびクリーム剤を含み得る。いくつかの実施形態では、軟膏剤は、典型的にはワセリンまたは他の石油誘導体ベースの半固体調製物である。いくつかの実施形態では、選択された活性剤を含有するクリーム剤は、典型的には粘性液体または半固体エマルション、多くは水中油または油中水である。例えば、クリーム剤基剤は、典型的には水洗性であり、油相、乳化剤および水性相を含有する。例えば、油相は、ときに「内部」相とも呼ばれ、一般的にワセリンおよび脂肪族アルコール、例えばセチルまたはステアリルアルコールからなり、水性相は通常、必ずしも必要ではないが、容量において油相を超え、一般的に湿潤剤を含有する。いくつかの実施形態では、クリーム製剤中の乳化剤は、一般的に非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性界面活性剤である。いくつかの実施形態では、他の担体または媒体と同様に、軟膏剤基剤は、不活性、安定、非刺激性かつ非感作性であるべきである。
【0180】
先述の実施形態のいずれかでは、本明細書で提供される医薬組成物は、脂質、二重層間架橋多重膜小胞(interbilayer crosslinked multilamellar vesicles)、生分解性ポリ(D,L-乳酸-co-グリコール酸)[PLGA]系またはポリ無水物系ナノ粒子または微小粒子、および ナノ多孔性粒子担持脂質二重層の1つまたは複数を含み得る。
【0181】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)の投与量は、対象のタイプ、年齢、重量、性別、医学的状態、対象の医学的状態の重症度、化合物またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物の投与経路および活性を含むが、それらに限定されない複数の要因に基づいて判定される。いくつかの実施形態では、詳細な状況に対する適正な投与量は、医学分野の当業者により判定され得る。いくつかの実施形態では、合計一日投与量は、分けられ得る、また、1日を通して少しずつ、または、連続してデリバリーをもたらす手段により投与され得る。
【0182】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)は、約0.01から約1000mgの用量で投与される。例えば、約0.1から約30mg、約10から約80mg、約0.5から約15mg、約50mgから約200mg、約100mgから約300mg、約200から約400mg、約300mgから約500mg、約400mgから約600mg、約500mgから約800mg、約600mgから約900mgまたは約700mgから約1000mg。いくつかの実施形態では、用量は、治療有効量である。
【0183】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、または本明細書で提供されるその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)は、約0.0002mg/Kgから約100mg/Kg(例えば,約0.0002mg/Kgから約50mg/Kg;約0.0002mg/Kgから約25mg/Kg;約0.0002mg/Kgから約10mg/Kg;約0.0002mg/Kgから約5mg/Kg;約0.0002mg/Kgから約1mg/Kg;約0.0002mg/Kgから約0.5mg/Kg;約0.0002mg/Kgから約0.1mg/Kg;約0.001mg/Kgから約50mg/Kg;約0.001mg/Kgから約25mg/Kg;約0.001mg/Kgから約10mg/Kg;約0.001mg/Kgから約5mg/Kg;約0.001mg/Kgから約1mg/Kg;約0.001mg/Kgから約0.5mg/Kg;約0.001mg/Kgから約0.1mg/Kg;約0.01mg/Kgから約50mg/Kg;約0.01mg/Kgから約25mg/Kg;約0.01mg/Kgから約10mg/Kg;約0.01mg/Kgから約5mg/Kg;約0.01mg/Kgから約1mg/Kg;約0.01mg/Kgから約0.5mg/Kg;約0.01mg/Kgから約0.1mg/Kg;約0.1mg/Kgから約50mg/Kg;約0.1mg/Kgから約25mg/Kg;約0.1mg/Kgから約10mg/Kg;約0.1mg/Kgから約5mg/Kg;約0.1mg/Kgから約1mg/Kg;約0.1mg/Kgから約0.5mg/Kg)の投与量で投与される。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、または本明細書で提供されるその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)は、約100mg/Kgの投与量として投与される。
【0184】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)の先述の投与量は、日常的に(例えば、単回投与として、またはとして2回以上の分割投与)、または非日常的に(例えば、1日おき、2日おき、3日おき、1週間に1回、1週間に2回(twice weeks)、2週間に1回、1か月に1回)投与され得る。
【0185】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)の投与の期間は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月またはそれ超にわたる。いくつかの実施形態では、投与が止められる期間は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月またはそれ超にわたる。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)は、一定期間にわたり対象に投与され、本明細書で開示されている化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)の投与が止められる別の期間が続く。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)は、第1の期間にわたり投与され、第1の期間後に第2の期間が続き、投与は、第2の期間中に止められ、本明細書で開示されている化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物、(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)の投与がスタートする第3の期間、次いで第3の期間後に投与が止められる第4の期間が続く。例えば、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)の投与の期間、続いて投与が止められる期間が、決定された、または未定の期間にわたり繰り返される。いくつかの実施形態では、投与の期間は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月またはそれ超にわたる。いくつかの実施形態では、投与が止められる期間は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月またはそれ超にわたる。
【0186】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)は、対象に、1日につき1回または複数回(例えば、1日につき1回、1日につき2回、1日につき3回、1日につき4回、または単回一日用量)経口投与される。
【0187】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)は、対象に、1日につき1回または複数回(例えば、1日につき1から4回、1回(1 to 4 times one time per day)、1日につき2回、1日につき3回、1日につき4回または単回一日用量)非経口投与により投与される。
【0188】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている化合物(例えば、表1もしくは表2の化合物、またはその医薬的に許容できる塩もしくは溶媒和物)は、対象に毎週非経口投与により投与される。
【0189】
化合物の合成
本開示の化合物は、例えば、以下の一般的方法および手順を使用して、容易に利用できる出発材料から調製され得る。ある加工条件(すなわち反応温度、時間、反応物のモル比、溶媒、圧力など)が示されている場合、特に定めのない限り、他の加工条件も使用できることが認識される。最適な反応条件は、使用される反応物または溶媒によって異なり得るが、そのような条件は、当業者により日常的な最適化手順で判定され得る。
【0190】
さらに、当業者に明らかなように、従来の保護基は、ある官能基が望ましくない反応を受けることから防止するのに必要なことがある。様々な官能基に好適な保護基、ならびにある官能基を保護および脱保護するのに好適な条件は、当業界で周知である。例えば、多数の保護基がT. W. Greene and G. M. Wuts (1999) Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rd Edition, Wiley, New York、およびその引用文献に記載されている。
【0191】
さらに、本開示の化合物は、1つまたは複数のキラル中心を含有し得る。したがって、必要に応じて、そのような化合物は、純粋な立体異性体として、すなわち個々の鏡像異性体もしくはジアステレオ異性体として、または立体異性体濃縮混合物として、調製または単離され得る。すべてのそのような立体異性体(および濃縮混合物)は、特に指示がない限り本開示の範囲内に含まれる。純粋立体異性体(または濃縮混合物)は、例えば、当業界で周知の光学活性出発材料または立体選択的試薬を使用して調製され得る。あるいは、そのような化合物のラセミ混合物は、例えば、キラルカラムクロマトグラフィー、キラル分割剤を使用して分離され得る。
【0192】
以下の反応のための出発材料は、一般的に公知の化合物である、または公知の手順もしくはその明らかな改変により調製され得る。例えば、出発材料の多くは、商業的供給業者、例えばAldrich Chemical Co.(Milwaukee、Wisconsin、USA)、Bachem(Torrance CA USA)、EMKA-Chemie Gmbh & Co.KG(Eching Germany)またはMillipore Sigma(Burlington MA USA)から入手できる。他のものが、標準的な参考書、例えばFieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis, Volumes 1-15 (John Wiley, and Sons, 1991)、Rodd's Chemistry of Carbon Compounds, Volumes 1-5, and Supplementals (Elsevier Science Publishers, 1989)、Organic Reactions, Volumes 1-40 (John Wiley, and Sons, 1991)、March's Advanced Organic Chemistry, (John Wiley, and Sons, 5th Edition, 2001)およびLarock's Comprehensive Organic Transformations (VCH Publishers Inc., 1989)に記載されている手順、またはその明らかな改変により調製されることがある。
【0193】
一般的合成
本明細書に記載されている化合物の典型的な実施形態は、以下に記載されている一般的な反応スキームを使用して合成され得る。本明細書の記載を踏まえると、出発材料を、同様の構造を有する他の材料で置換して、それに対応して様々な生成物を得ることにより、一般的スキームが変化し得ることが明らかである。合成の記載は、どのように出発材料が変動して、対応する生成物が得られるかの多数の実施例を示すために後続する。置換基が定義されている望ましい生成物を踏まえ、必須の出発材料は、一般的に査察により判定され得る。出発材料は、典型的には商用供給源から得られる、または発表されている方法を使用して合成され得る。本開示に記載されている実施形態である化合物を合成するために、合成される化合物の構造の査察により、各置換基の識別が行われる。最終生成物の識別により、一般的に、本明細書における実施例を踏まえ、査察の簡単なプロセスで必須の出発材料の識別が明らかになる。一般に、本明細書に記載されている化合物は、典型的には室温および圧力にて安定かつ単離可能である。
【実施例】
【0194】
以下の実施例は、本開示の特定の実施形態を実証するために含まれる。後続する実施例で開示されている技術が、本開示の実践において十分に機能する技術を表し、ひいては、それを実践するための特定の様式を構成すると考えられることは、当業者により認識されるべきである。しかし、当業者は、本開示を踏まえ、開示されている特定の実施形態において多くの変化がなされ得、さらに本開示の精神および範囲から逸脱することなく、似ている、または同様の結果を得ることができると認識すべきである。
【0195】
略語(本明細書で使用されている):
【0196】
【0197】
一般情報:すべての蒸発または濃縮は、ロータリーエバポレーターを用いて真空で実行した。分析試料は、rtにて真空で乾燥させた(1~5mmHg)。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、シリカゲルプレート上で行い、スポットをUV光(214および254nm)により視覚化した。カラムおよびフラッシュクロマトグラフィーによる精製は、シリカゲル(100~200メッシュ)を使用して実行した。溶媒系は、容量により混合物として報告した。NMRスペクトルは、Bruker 400またはVarian(400MHz)分光計で記録した。1H化学シフトは、内部標準として重水素化溶媒を用いてppmのδ値で報告した。データは、以下のように報告されている:化学シフト、多重度(s=一重線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、br=ブロード、m=多重線)、結合定数(Hz)、積分。LCMSスペクトルは、エレクトロスプレーイオン化を用いて、また別途指し示されているものを除いて、SHIMADZU LC20-MS2020、またはAgilent 1260シリーズ6125B質量分析計もしくはAgilent 1200シリーズ6110もしくは6120質量分析計で得た。
[実施例A1]
【0198】
2-((2S,3R)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-ヒドロキシ-3-(3-メトキシ-4-メチルフェニル)プロピル)-6-エトキシベンゾ[d]チアゾール-4-カルボン酸(化合物101)
【0199】
【0200】
【0201】
工程A:メチル2-アミノ-5-エトキシベンゾエート
【0202】
【化2】
THF(150mL)中のメチル2-アミノ-5-ヒドロキシ-ベンゾエート(10.0g、59.8mmol)、EtOH(5.51g、6.99mL)およびPPh
3(31.4g、120mmol)の溶液に、DIAD(24.2g、23.3mL)を25℃にて滴下添加した。生じた反応混合物を25℃にて72h撹拌した。溶媒を減圧下で除去して、残渣を得た。残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー[ISCO(登録商標);120g SepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、0~15% EtOAc/PE勾配の溶離液@100mL/min]により精製して、メチル2-アミノ-5-エトキシ-ベンゾエート(10.9g、93.0%収率)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 7.17 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 6.97 (dd, J = 8.8, 3.2 Hz, 1H), 6.74 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.29 (s, 2H), 3.89 (q, J = 6.8 Hz, 2H), 3.78 (s, 3H), 1.27 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0203】
工程B:メチル2-アミノ-3-ブロモ-5-エトキシベンゾエート
【0204】
【化3】
AcOH(80mL)中のメチル2-アミノ-5-エトキシ-ベンゾエート(10.9g、55.6mmol)の溶液に、NBS(9.90g、55.6mmol)を添加した。生じた混合物を25℃にて24h撹拌した。反応混合物を水(60mL)中に注ぎ、10min撹拌した。水性相をEtOAc(30mL×3)で抽出した。合わせた有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー[ISCO(登録商標);120g SepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、0~5% EtOAc/PE勾配の溶離液@100mL/min]により精製して、メチル2-アミノ-3-ブロモ-5-エトキシ-ベンゾエート(6.65g、43.7%収率)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.32 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.20 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 5.59 (brs, 2H), 3.87 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 3.80 (s, 3H), 1.29 (t, J =7.0 Hz, 3H).
【0205】
工程C:メチル2-アミノ-5-エトキシ-3-((3-((2-エチルヘキシル)オキシ)-3-オキソプロピル)チオ)ベンゾエート
【0206】
【化4】
トルエン(80mL)中の2-エチルヘキシル3-スルファニルプロパノエート(5.30g、24.3mmol)およびメチル2-アミノ-3-ブロモ-5-エトキシ-ベンゾエート(6.65g、24.3mmol)の溶液に、Pd
2(dba)
3(1.11g、1.21mmol)、キサントホス(1.40g、2.43mmol)およびDIEA(7.84g、60.7mmol、10.6mL)を添加した。混合物を110℃にて36h撹拌した。残渣を水(150mL)中に注ぎ、10min撹拌した。水性相をEtOAc(80mL×3)で抽出した。合わせた有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー[ISCO(登録商標);120g SepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、0~5% EtOAc/PE勾配の溶離液@100mL/min]により精製して、メチル2-アミノ-5-エトキシ-3-[3-(2-エチルヘキソキシ)-3-オキソ-プロピル]スルファニル-ベンゾエート(8.29g、83.0%収率)を得た。
【0207】
工程D:メチル2-アミノ-5-エトキシ-3-[(3-エトキシ-5-メトキシカルボニル-フェニル)ジスルファニル]ベンゾエート
【0208】
【化5】
EtOH(50mL)中のメチル2-アミノ-5-エトキシ-3-[2-(2-エチルヘキソキシ)-2-オキソ-エチル]スルファニル-ベンゾエート(8.29g、20.9mmol)の溶液に、EtONa(9.22g、27.1mmol、EtOH中20%)を添加した。反応混合物を25℃にて12h撹拌した。残渣を、水(100mL)で希釈し、37% HClでpH=6に酸性化し、EtOAc(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した[ISCO(登録商標);120g SepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、0~5% EtOAc/PE勾配の溶離液@100mL/min]、メチル2-アミノ-5-エトキシ-3-[(3-エトキシ-5-メトキシカルボニル-フェニル)ジスルファニル]ベンゾエート(1.09g、12.0%収率)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.46 (d, J = 3.2 Hz, 2H), 6.84 (d, J = 3.2 Hz, 2H), 6.37 (brs, 4H), 4.27 (q, J = 7.2 Hz, 4H), 3.75 (q, J = 6.8 Hz, 4H), 1.32 (t, J = 7.0 Hz, 6H), 1.24 (t, J = 7.0 Hz, 6H).
【0209】
工程E:2-(シクロペンチルオキシ)酢酸
【0210】
【化6】
THF(50mL)中のシクロペンタノール(3g、34.83mmol)の溶液に、NaH(2.79g、69.66mmol、60%純度)を0℃にて添加した。60℃にて30min撹拌した後で、次いで2-クロロ酢酸(3.29g、34.83mmol)を反応混合物に25℃にてゆっくり添加した。生じた混合物を60℃にて16h撹拌した。冷却後、反応混合物をH
2O(10mL)でクエンチし、H
2O(50mL)で希釈し、1N HClでpH値を5に調整した。混合物をEtOAc(40mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mL×3)で洗浄し、無水Na
2SO
4で脱水し、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=1/0から1/1)により精製して、2-(シクロペントキシ)酢酸(3.7g、73%収率)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 4.21 - 4.19 (m, 1H), 3.94 (s, 2H), 1.71 - 1.28 (m, 8H).
【0211】
工程F:2-(シクロペンチルオキシ)塩化アセチル
【0212】
【化7】
DCM(20mL)中の2-(シクロペントキシ)酢酸(3.7g、25.66mmol)の溶液に、二塩化オキサリル(4.89g、38.50mmol)およびDMF(0.1mL)を添加した。次いで、混合物を25℃にて1h撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して、2-(シクロペントキシ)塩化アセチル(4.17g、粗製物)を得、これを、さらなる精製なしで、次の工程で直接使用した。
【0213】
工程G:(R)-4-ベンジル-3-(2-(シクロペンチルオキシ)アセチル)オキサゾリジン-2-オン
【0214】
【化8】
THF(30mL)中の(4R)-4-ベンジルオキサゾリジン-2-オン(6.82g、38.47mmol)の溶液に、N
2下で-78℃にてn-BuLi(14.36mL、35.9mmol、ヘキサン中2.5M溶液)を滴下添加した。添加後、THF(8mL)中の2-(シクロペントキシ)塩化アセチル(4.17g、25.64mmol)の溶液を、混合物に-78℃にて添加した。生じた混合物を25℃にて2h撹拌した。次いで反応混合物をsat.aq.NH
4Cl溶液(50mL)によりクエンチし、EtOAc(30mL×3)で抽出した。合わせた有機層を水(20mL×3)で洗浄し、無水Na
2SO
4で脱水し、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=1/0から1/1)により精製して、(4R)-4-ベンジル-3-[2-(シクロペントキシ)アセチル]オキサゾリジン-2-オン(2.14g、23%収率)を得た。LC-MS:m/z 304.1(M+H)
+。
【0215】
工程H:(R)-4-ベンジル-3-((2R,3S)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-ヒドロキシ-3-(3-メトキシ-4-メチルフェニル)プロパノイル)オキサゾリジン-2-オン
【0216】
【化9】
DCM(45mL)中の(R)-4-ベンジル-3-(2-(シクロペンチルオキシ)アセチル)オキサゾリジン-2-オン(1.8g、5.93mmol)の溶液に、TiCl
4(683μL、6.23mmol)を窒素下で-78℃にて添加した。混合物を-78℃にて15分撹拌した。次いでDIEA(2.58mL、14.8mmol)を-78℃にて滴下添加した。生じた混合物を-78℃にて40分撹拌した。次いでNMP(577μL、5.93mmol)を滴下添加した。反応混合物を窒素下で-78℃にて10mins撹拌した。次いで乾燥DCM(10mL)中の3-メトキシ-4-メチルベンズアルデヒド(980mg、6.53mmol)を滴下添加した。生じた混合物を窒素下で-78℃にて2h撹拌した。次いで反応混合物をsat.aq.NH
4Cl(50mL)でクエンチし、DCM(60mL×3)で抽出した。有機層を無水Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮して残渣を得た。残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー[ISCO(登録商標);40g Sepa Flash(登録商標)シリカフラッシュカラム、0~45% EtOAc/PE勾配の溶離液@40mL/min]により精製して、(R)-4-ベンジル-3-((2R,3S)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-ヒドロキシ-3-(3-メトキシ-4-メチルフェニル)プロパノイル)オキサゾリジン-2-オン(2.27g、84.4%収率)を得た。LC-MS:m/z 476.2(M+Na)
+。
【0217】
工程I:(R)-1-((R)-4-ベンジル-2-オキソオキサゾリジン-3-イル)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3-メトキシ-4-メチルフェニル)プロパン-1,3-ジオン
【0218】
【化10】
0℃にて、DCM(30mL)中の(R)-4-ベンジル-3-((2R,3S)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-ヒドロキシ-3-(3-メトキシ-4-メチルフェニル)プロパノイル)オキサゾリジン-2-オン(2.27g、5.01mmol)の混合物に、Dess-Martinペルヨージナン(4.25g、10.0mmol)を少しずつ添加した。反応混合物を0℃にて2h撹拌した。次いで混合物をH
2O(50mL)およびDCM(50mL)でクエンチした。混合物はセライトを通して濾過し、DCM(50mL×2)で抽出した。有機層をNa
2SO
4で脱水し、濾過し、真空下で濃縮した。残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー[ISCO(登録商標);40g Sepa Flash(登録商標)シリカフラッシュカラム、0~35% EtOAc/PE勾配の溶離液@40mL/min]により精製して、(R)-1-((R)-4-ベンジル-2-オキソオキサゾリジン-3-イル)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3-メトキシ-4-メチルフェニル)プロパン-1,3-ジオン(2.2g、97.4%収率)を得た。LC-MS:m/z 474.1(M+Na)
+。
【0219】
工程J:(R)-4-ベンジル-3-((2R,3R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3-メトキシ-4-メチルフェニル)プロパノイル)オキサゾリジン-2-オン
【0220】
【化11】
-10℃にて、TFA(21.7mL)およびDCM(22mL)中の(R)-1-((R)-4-ベンジル-2-オキソオキサゾリジン-3-イル)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3-メトキシ-4-メチルフェニル)プロパン-1,3-ジオン(2.2g、4.87mmol)の混合物に、ジメチル(フェニル)シラン(2.27mL、14.6mmol)を一滴ずつ添加した。反応混合物を-10℃にて2h撹拌した。溶液をsat.aq.NaHCO
3(200mL)中に注ぎ、DCM(30mL×3)で抽出した。合わせた有機物を無水Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー[ISCO(登録商標);40g Sepa Flash(登録商標)シリカフラッシュカラム、0~50% EtOAc/PE勾配の溶離液@40mL/min]により精製して、(R)-4-ベンジル-3-((2R,3R)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-ヒドロキシ-3-(3-メトキシ-4-メチルフェニル)プロパノイル)オキサゾリジン-2-オン(1.85g、83.7%収率)を得た。LC-MS:m/z 476.1(M+Na)
+。
【0221】
工程K:(R)-4-ベンジル-3-((2R,3R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3-メトキシ-4-メチルフェニル)プロパノイル)オキサゾリジン-2-オン
【0222】
【化12】
DCM(15mL)および2,6-ジメチルピリジン(950μL、8.16mmol)中の(R)-4-ベンジル-3-((2R,3R)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-ヒドロキシ-3-(3-メトキシ-4-メチルフェニル)プロパノイル)オキサゾリジン-2-オン(1.85g、4.08mmol)の混合物に、[tert-ブチル(ジメチル)シリル]トリフルオロメタンスルホネート(1.88mL、8.16mmol)を0℃にて添加した。反応混合物を0℃にて2h撹拌した。次いで混合物をH
2O(50mL)でクエンチし、DCM(50mL×3)で抽出した。有機層をH
2O(50mL×2)で洗浄し、無水Na
2SO
4で脱水し、真空下で濃縮した。残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー[ISCO(登録商標);20g Sepa Flash(登録商標)シリカフラッシュカラム、0~10% EtOAc/PE勾配の溶離液@35mL/min]により精製して、(4R)-4-ベンジル-3-[(2S,3R)-3-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-(シクロペントキシ)-3-(3-メトキシ-4-メチル-フェニル)プロパノイル]オキサゾリジン-2-オン(2.2g、95.0%収率)を得た。
【0223】
工程L:(2S,3R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3-メトキシ-4-メチルフェニル)プロパン-1-オール
【0224】
【化13】
0℃にて、THF(10mL)中のLiBH
4(9.69mL、38.76mmol、THF中4M溶液)の混合物にH
2O(15.4mg、852μmol)をN
2下で滴下添加した。混合物を0℃にて0.5h撹拌した。次いでTHF(20mL)中の(R)-4-ベンジル-3-((2R,3R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3-メトキシ-4-メチルフェニル)プロパノイル)オキサゾリジン-2-オン(2.2g、3.87mmol)の溶液を滴下添加した。反応混合物を15℃まで温め、15℃にて16h撹拌した。反応混合物を慎重に1M aq.HCl溶液で中和し、EtOAc(30mL×3)で抽出した。有機層をブライン(50mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー[ISCO(登録商標);40g Sepa Flash(登録商標)シリカフラッシュカラム、0~10% EtOAc/PE勾配の溶離液@40mL/min]により精製して、(2S,3R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3-メトキシ-4-メチルフェニル)プロパン-1-オール(1.26g、82.4%収率)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.04 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 6.85 (s, 1H), 6.79 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 4.61 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 3.82 (s, 3H), 3.81 - 3.70 (m, 3H), 3.36 - 3.35 (m, 1H), 2.20 (s, 3H), 1.58-1.26 (m, 8H), 0.89 (s, 9H), 0.05 (s, 3H), -0.16 (s, 3H).
【0225】
工程M:(2S,3R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3-メトキシ-4-メチルフェニル)プロピルメタンスルホネート
【0226】
【化14】
DCM(20mL)およびTEA(667μL、4.79mmol)中の(2S,3R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3-メトキシ-4-メチルフェニル)プロパン-1-オール(1.26g、3.19mmol)の混合物に、MsCl(439mg、3.83mmol、297μL)を0℃にて滴下添加した。反応混合物を0℃にて0.5h撹拌した。混合物をsat.aq.NaHCO
3(50mL)でクエンチし、DCM(20mL×3)で抽出した。有機層を0.5N HCl(20mL×2)、ブライン(20mL×2)で洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、真空下で濃縮した。残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー[ISCO(登録商標);20g Sepa Flash(登録商標)シリカフラッシュカラム、0~15% EtOAc/PE勾配の溶離液@35mL/min]により精製して、(2S,3R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3-メトキシ-4-メチルフェニル)プロピルメタンスルホネート(1.42g、94.1%収率)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.05 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.84 (s, 1H), 6.79 - 6.76 (m, 1H), 4.65 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 4.41 - 4.27 (m, 2H), 3.82 (s, 4H), 3.57 - 3.56 (m, 1H), 2.99 (s, 3H), 2.20 (s, 3H), 1.61 -1.30 (m, 8H), 0.89 (s, 9H), 0.07 (s, 3H), -0.14 (s, 3H).
【0227】
工程N:(3S,4R)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-3-(シクロペンチルオキシ)-4-(3-メトキシ-4-メチルフェニル)ブタンニトリル
【0228】
【化15】
DMSO(60mL)中の[(2S,3R)-3-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-(シクロペントキシ)-3-(3-メトキシ-4-メチル-フェニル)プロピル]メタンスルホネート(6.0g、12.69mmol)の溶液に、NaCN(3.11g、63.46mmol)を添加した。混合物を85℃にて3h撹拌した。冷却後、混合物をH
2O(60mL)でクエンチし、EtOAc(60mL×2)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(PE/EtOAc=10/1)により精製して、(3S,4R)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-3-(シクロペンチルオキシ)-4-(3-メトキシ-4-メチルフェニル)ブタンニトリル(4g、78.1%収率)を得た。LC-MS:m/z 426.2(M+Na)
+。
【0229】
工程O:(3S,4R)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-3-(シクロペンチルオキシ)-4-(3-メトキシ-4-メチルフェニル)ブタナール
【0230】
【化16】
トルエン(50mL)中の(3S,4R)-4-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-3-(シクロペントキシ)-4-(3-メトキシ-4-メチル-フェニル)ブタンニトリル(4.0g、9.91mmol)の溶液に、DIBAL-H(19.82mL、19.82mmol)を-78℃にて添加した。反応混合物を0℃にて1h撹拌した。次いで混合物を酒石酸カリウムナトリウム(potassium sodium tartaric)溶液(50mL)でクエンチし、EtOAc(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮して、粗(3S,4R)-4-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-3-(シクロペントキシ)-4-(3-メトキシ-4-メチル-フェニル)ブタナール(4.0g、99.2%収率)を得、これを次の工程においてさらなる精製なしで使用した。
【0231】
工程P:(3S,4R)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-3-(シクロペンチルオキシ)-4-(3-メトキシ-4-メチルフェニル)ブタン酸
【0232】
【化17】
t-BuOH(40mL)およびH
2O(10mL)中の(3S,4R)-4-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-3-(シクロペントキシ)-4-(3-メトキシ-4-メチル-フェニル)ブタナール(4.0g、9.84mmol)の溶液に、NaH
2PO
4(1.18g、9.84mmol)、亜塩素酸ナトリウム(3.20g、35.41mmol)および2-メチルブタ-2-エン(3.10g、44.27mmol)を添加した。反応混合物を25℃にて1h撹拌した。次いで混合物をH
2O(60mL)でクエンチし、EtOAc(60mL×2)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(PE/EtOAc=10/1)により精製して、(3S,4R)-4-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-3-(シクロペントキシ)-4-(3-メトキシ-4-メチル-フェニル)ブタン酸(1.6g、38.5%収率)を得た。LC-MS:m/z 445.1(M+Na)
+。
【0233】
工程Q:エチル2-((2S,3R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3-メトキシ-4-メチルフェニル)プロピル)-6-エトキシベンゾ[d]チアゾール-4-カルボキシレート
【0234】
【化18】
トルエン(10mL)中の(3S,4R)-4-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-3-(シクロペントキシ)-4-(3-メトキシ-4-メチル-フェニル)ブタン酸(300mg、709.84μmol)およびエチル2-アミノ-3-[(2-アミノ-5-エトキシ-3-エトキシカルボニル-フェニル)ジスルファニル]-5-エトキシ-ベンゾエート(341mg、709.84μmol)の溶液に、トリブチルホスファン(430mg、2.13mmol)を添加した。反応混合物を80℃にて12h撹拌した。混合物をH
2O(30mL)でクエンチし、EtOAc(30mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(PE/EtOAc=10/1)により精製して、化合物エチル2-[(2S,3R)-3-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-(シクロペントキシ)-3-(3-メトキシ-4-メチル-フェニル)プロピル]-6-エトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-4-カルボキシレート(110mg、24.7%収率)を得た。LC-MS:m/z 628.3(M+H)
+。
【0235】
工程R:2-((2S,3R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3-メトキシ-4-メチルフェニル)プロピル)-6-エトキシベンゾ[d]チアゾール-4-カルボン酸
【0236】
【化19】
THF(2mL)、EtOH(2mL)およびH
2O(2mL)中のエチル2-[(2S,3R)-3-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-(シクロペントキシ)-3-(3-メトキシ-4-メチル-フェニル)プロピル]-6-エトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-4-カルボキシレート(110mg、175.19μmol)の溶液に、LiOH・H
2O(37mg、875.93μmol)を添加した。混合物を25℃にて1h撹拌した。反応混合物を1N HClでpH=4に調整し、EtOAc(20mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮して、2-[(2S,3R)-3-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-(シクロペントキシ)-3-(3-メトキシ-4-メチル-フェニル)プロピル]-6-エトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-4-カルボン酸(100mg、95.1%収率)を得、これを次の工程においてさらなる精製なしで使用した。LC-MS:m/z 600.3(M+H)
+。
【0237】
工程S:2-((2S,3R)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-ヒドロキシ-3-(3-メトキシ-4-メチルフェニル)プロピル)-6-エトキシベンゾ[d]チアゾール-4-カルボン酸(化合物101)
【0238】
【化20】
THF(5mL)中の2-[(2S,3R)-3-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-(シクロペントキシ)-3-(3-メトキシ-4-メチル-フェニル)プロピル]-6-エトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-4-カルボン酸(100mg、166.71μmol)の溶液に、TBAF(1.67mL、1.67mmol)を添加した。混合物を25℃にて1h撹拌した。反応混合物をH
2O(30mL)で希釈し、EtOAc(30mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣をprep.HPLC[カラム:Welch Xtimate C18 150×30mm×5μm;移動相A:[水(0.1% HCOOH)]、移動相B:CH
3CN;勾配:7minで55% B%から85% B%]により精製し手、2-[(2S,3R)-2-(シクロペントキシ)-3-ヒドロキシ-3-(3-メトキシ-4-メチル-フェニル)プロピル]-6-エトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-4-カルボン酸(30mg、36.5%収率)を得た。LC-MS:m/z 486.1(M+Na)
+。
1H NMR (400MHz, CD
3OD) δ 7.74 (d, J = 4.0, 1H), 7.71 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 7.07 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.98 (s, 1H), 6.88 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 4.69 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 4.15 (q, J = 8.0 Hz, 2H), 3.98 - 3.88 (m, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.43 (d, J = 4.0 Hz, 2H), 2.15 (s, 3H), 1.54 - 1.40 (m, 8H), 1.38 - 1.28 (m, 3H).
[実施例A2]
【0239】
2-((2S,3R)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(4-(ジフルオロメチル)-3-メトキシフェニル)-3-ヒドロキシプロピル)-6-メトキシベンゾ[d]チアゾール-4-カルボン酸(化合物102)
【0240】
【化21】
(3S,4R)-4-(4-ブロモ-3-メトキシフェニル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-3-(シクロペンチルオキシ)ブタン酸(2-1)は、実施例A1の調製について記載されている手順(スキーム1における工程Hから工程P)に従って、工程Hにおける4-ブロモ-3-メトキシ-ベンズアルデヒドを使用することにより合成した。
【0241】
【化22】
エチル2-アミノ-3-[(2-アミノ-3-エトキシカルボニル-5-メトキシ-フェニル)ジスルファニル]-5-メトキシ-ベンゾエート(2-2)は、実施例A1の調製について記載されている手順(スキーム1における工程Cから工程D)に従って、工程Cにおけるメチル2-アミノ-3-ブロモ-5-メトキシベンゾエートを使用することにより合成した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.53 (d, J = 3.2 Hz, 2H), 6.88 (d, J = 3.2 Hz, 2H), 4.35 (q, J = 7.2 Hz, 4H), 3.63 (s, 6H), 1.40 (t, J = 7.2 Hz, 6H).
【0242】
工程A:エチル2-((2S,3R)-3-(4-ブロモ-3-メトキシフェニル)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(シクロペンチルオキシ)プロピル)-6-メトキシベンゾ[d]チアゾール-4-カルボキシレート
【0243】
【化23】
トルエン(10mL)中の(3S,4R)-4-(4-ブロモ-3-メトキシフェニル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-3-(シクロペンチルオキシ)ブタン酸(850mg、1.74mmol)およびエチル2-アミノ-3-[(2-アミノ-3-エトキシカルボニル-フェニル)ジスルファニル]ベンゾエート(789mg、1.74mmol)の溶液に、トリブチルホスファン(1.06g、5.23mmol)を添加した。反応混合物を80℃にて12h撹拌した。冷却後、混合物をH
2O(30mL)でクエンチし、EtOAc(30mL×2)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(PE/EtOAc=10/1)により精製して、エチル2-[(2S,3R)-3-(4-ブロモ-3-メトキシ-フェニル)-3-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-(シクロペントキシ)プロピル]-6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-4-カルボキシレート(500mg、42.2%収率)を黄色油状物として得た。LC-MS:m/z 680.1(M+H)
+。
【0244】
工程B:エチル2-((2S,3R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3-メトキシ-4-ビニルフェニル)プロピル)-6-メトキシベンゾ[d]チアゾール-4-カルボキシレート
【0245】
【化24】
H
2O(2mL)およびジオキサン(8mL)中のエチル2-[(2S,3R)-3-(4-ブロモ-3-メトキシ-フェニル)-3-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-(シクロペントキシ)プロピル]-6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-4-カルボキシレート(330mg、486.19μmol)の溶液に、Pd(dppf)Cl
2(36mg、48.62μmol)、カリウムエテニルトリフルオロボレート(130mg、972.38μmol)およびCs
2CO
3(475mg、1.46mmol)を添加した。混合物を80℃にて12h撹拌した。冷却後、混合物をH
2O(30mL)で希釈し、EtOAc(30mL×2)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(PE/EtOAc=10/1)により精製して、エチル2-[(2S,3R)-3-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-(シクロペントキシ)-3-(3-メトキシ-4-ビニル-フェニル)プロピル]-6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-4-カルボキシレート(240mg、78.8%収率)を得た。LC-MS:m/z 626.2(M+H)
+。
【0246】
工程C:エチル2-((2S,3R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(4-ホルミル-3-メトキシフェニル)プロピル)-6-メトキシベンゾ[d]チアゾール-4-カルボキシレート
【0247】
【化25】
THF(3mL)およびH
2O(3mL)中のエチル2-[(2S,3R)-3-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-(シクロペントキシ)-3-(3-メトキシ-4-ビニル-フェニル)プロピル]-6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-4-カルボキシレート(200mg、319.55μmol)の溶液に、NaIO
4(273mg、1.28mmol)およびK
2OsO
4.2H
2O(1mg、1.92μmol)を添加した。反応混合物を25℃にて3h撹拌した。混合物をH
2O(30mL)でクエンチし、EtOAc(30mL×2)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(PE/EtOAc=10/1)により精製して、エチル2-[(2S,3R)-3-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-(シクロペントキシ)-3-(4-ホルミル-3-メトキシ-フェニル)プロピル]-6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-4-カルボキシレート(150mg、74.7%収率)を得た。LC-MS:m/z 628.3(M+H)
+。
【0248】
工程D:エチル2-((2S,3R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(4-(ジフルオロメチル)-3-メトキシフェニル)プロピル)-6-メトキシベンゾ[d]チアゾール-4-カルボキシレート
【0249】
【化26】
DCM(3mL)中のエチル2-[(2S,3R)-3-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-(シクロペントキシ)-3-(4-ホルミル-3-メトキシ-フェニル)プロピル]-6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-4-カルボキシレート(150mg、238.91μmol)の溶液に、DAST(192.55mg、1.19mmol)を0℃にて添加した。混合物を25℃にて12h撹拌した。混合物をsat.aq.NaHCO
3(30mL)でクエンチし、DCM(30mL×2)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(PE/EtOAc=10/1)により精製して、エチル2-[(2S,3R)-3-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-(シクロペントキシ)-3-[4-(ジフルオロメチル)-3-メトキシ-フェニル]プロピル]-6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-4-カルボキシレート(70mg、45.1%収率)を得た。LC-MS:m/z 672.2(M+Na)
+。
【0250】
【化27】
2-((2S,3R)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(4-(ジフルオロメチル)-3-メトキシフェニル)-3-ヒドロキシプロピル)-6-メトキシベンゾ[d]チアゾール-4-カルボン酸(化合物102)は、実施例A1の調製について記載されている手順(スキーム1における工程Rから工程S)に従って、工程Rにおけるエチル2-((2S,3R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(4-(ジフルオロメチル)-3-メトキシフェニル)プロピル)-6-メトキシベンゾ[d]チアゾール-4-カルボキシレートを使用することにより合成した。LC-MS:m/z 508.0(M+H)
+。
1H NMR (400MHz, CD
3OD) δ 7.75 - 7.72 (m, 1H), 7.71 - 7.68 (m, 1H), 7.46 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.16 (s, 1H), 7.09 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.06 - 6.76 (m, 1H), 6.92 (t, J = 55.6 Hz, 1H), 4.74 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 3.99 - 3.93 (m, 2H), 3.91 (s, 3H), 3.90 (s, 3H), 3.52 - 3.39 (m, 2H), 1.58 - 1.45 (m, 3H), 1.42 - 1.30 (m, 5H).
[実施例A3]
【0251】
2-((2S,3R)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)-3-ヒドロキシプロピル)-6-(ヒドロキシメチル)ベンゾ[d]チアゾール-4-カルボン酸(化合物103)
【0252】
【0253】
【化28-2】
ジエチル3,3’-ジスルファンジイルビス(2-アミノ-5-クロロベンゾエート)(3-4)は、実施例A1の調製について記載されている手順(スキーム1における工程Bから工程D)に従って、工程Bにおけるメチル2-アミノ-5-クロロ-ベンゾエートを使用することにより合成した。LC-MS:m/z 460.9(M+H)
+。
【0254】
【化29】
(3S,4R)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-3-(シクロペンチルオキシ)-4-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)ブタン酸(3-5)は、実施例A1の調製について記載されている手順(スキーム1における工程Hから工程P)に従って、工程Hにおける3,5-ジメトキシ-4-メチルベンゼン-1-カルバルデヒドを使用することにより合成した。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 6.51 (s, 2H), 4.71 - 4.70 (m ,1H), 3.98 - 3.95 (m, 1H), 3.84 - 3.77 (m, 7H), 2.60 - 2.57 (m, 2H), 2.06 (s, 3H), 1.67 - 1.26 (m, 8H), 0.91 (s, 9H), 0.07 (s, 3H), -0.11 (s, 3H).
【0255】
【化30】
エチル2-((2S,3R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)プロピル)-6-クロロベンゾ[d]チアゾール-4-カルボキシレート(3-6)は、実施例A1の調製について記載されている手順(スキーム1における工程Q)に従って、工程Qにおけるジエチル3,3’-ジスルファンジイルビス(2-アミノ-5-クロロベンゾエート)(3-4)および(3S,4R)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-3-(シクロペンチルオキシ)-4-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)ブタン酸(3-5)により合成した。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.96-7.99 (m, 2H), 6.55 (s, 2H), 4.75 - 4.74 (m, 1H), 4.49 - 4.44 (m, 2H), 3.94 - 3.92 (m, 1H), 3.83 - 3.82 (m, 7H), 3.46 - 3.35 (m, 2H), 2.05 (s, 3H), 1.51 - 1.32 (m, 11H), 0.91 (s, 9H), 0.07 (s, 3H), -0.12 (s, 3H).
【0256】
【化31】
エチル2-((2S,3R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)プロピル)-6-ホルミルベンゾ[d]チアゾール-4-カルボキシレート(3-8)は、実施例A2の調製について記載されている手順(スキーム2における工程Bから工程C)に従って、エチル2-((2S,3R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)プロピル)-6-クロロベンゾ[d]チアゾール-4-カルボキシレート(3-6)を使用することにより合成した。LC-MS:m/z 642.2(M+H)
+。
【0257】
工程G:エチル2-((2S,3R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)プロピル)-6-(ヒドロキシメチル)ベンゾ[d]チアゾール-4-カルボキシレート
【0258】
【化32】
MeOH(1mL)中のエチル2-((2S,3R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)プロピル)-6-ホルミルベンゾ[d]チアゾール-4-カルボキシレート(30mg、46.78μmol)の溶液に、NaBH
4(5.30mg、140.21μmol)を添加した。反応混合物を25℃にて3h撹拌した。次いで混合物をsat.aq.NH
4Cl溶液(10mL)でクエンチし、DCM(10mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濾過し、濃縮して、エチル2-((2S,3R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)プロピル)-6-(ヒドロキシメチル)ベンゾ[d]チアゾール-4-カルボキシレート(20mg、66%収率)を得た。LC-MS:m/z 644.3(M+H)
+。
【0259】
【化33】
2-((2S,3R)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)-3-ヒドロキシプロピル)-6-(ヒドロキシメチル)ベンゾ[d]チアゾール-4-カルボン酸(化合物103)は、実施例A1の調製について記載されている手順(スキーム1における工程Sおよび工程R)に従って、工程Sにおけるエチル2-((2S,3R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)プロピル)-6-(ヒドロキシメチル)ベンゾ[d]チアゾール-4-カルボキシレート(3-9)を使用することにより合成した。LC-MS:m/z 502.3(M+H)
+。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ 8.05 (s, 1H), 7.94 (s, 1H), 6.64 (s, 2H), 4.75 (s, 1H), 4.61 (s, 2H), 3.97 - 3.93 (m, 1H), 3.86 - 3.79 (m, 1H), 3.79 (s, 6H), 3.45 - 3.43 (m, 2H), 3.30-3.29 (m, 1H), 1.99 (s, 3H), 1.42 - 1.32 (m, 8H).
[実施例A4]
【0260】
2-((2S,3R)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)-3-ヒドロキシプロピル)-6-(メトキシメチル)ベンゾ[d]チアゾール-4-カルボン酸(化合物104)
【0261】
【化34】
工程A:メチル5-(ブロモメチル)-2-ニトロベンゾエート
【0262】
【化35】
CCl
4(200mL)中のメチル5-メチル-2-ニトロ-ベンゾエート(23.5g、120.41mmol)の溶液に、AIBN(1.98g、12.04mmol)およびNBS(32.15g、180.61mmol)を添加した。反応混合物を80℃にて16h撹拌した。冷却後、反応をH
2O(300mL)で希釈し、DCM(300mL×3)で抽出した。合わせた有機物を減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣をカラム(PE/EtOAc=7/1)により精製して、メチル5-(ブロモメチル)-2-ニトロベンゾエート(19.12g、38.6%収率)を得た。
【0263】
工程B:メチル5-(メトキシメチル)-2-ニトロベンゾエート
【0264】
【化36】
MeOH(180mL)中のメチル5-(ブロモメチル)-2-ニトロベンゾエート(19.12g、69.77mmol)の溶液に、K
2CO
3(9.64g、69.77mmol)を添加した。混合物を80℃にて2h撹拌した。反応をH
2O(300mL)で希釈し、EtOAc(300mL×3)で抽出した。有機物を無水Na
2SO
4で脱水し、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣をシリカゲルカラム(PE/EtOAc=5/1)により精製して、メチル5-(メトキシメチル)-2-ニトロベンゾエート(10.52g、66.9%収率)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.85 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.60 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 7.51 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 4.48 (s, 2H), 3.86 (s, 3H), 3.38 (s, 3H).
【0265】
工程C:メチル2-アミノ-5-(メトキシメチル)ベンゾエート
【0266】
【化37】
EtOAc(100mL)中のメチル5-(メトキシメチル)-2-ニトロ-ベンゾエート(7.52g、33.39mmol)の溶液に、N
2下で10% Pd/C(2.6g)を添加し、混合物を脱気し、N
2で3回パージした。次いで混合物を脱気し、H
2で3回パージした。混合物をH
2下(45psi)で25℃にて16h撹拌した。濾過後、濾液を減圧下で濃縮して残渣を得た。残渣をシリカゲルカラム(PE/EtOAc=6/1)により精製して、メチル2-アミノ-5-(メトキシメチル)ベンゾエート(5.85g、79.6%収率)を得た。LC-MS:m/z 195.8(M+H)
+。
【0267】
【化38】
ジメチル3,3’-ジスルファンジイルビス(2-アミノ-5-(メトキシメチル)ベンゾエート)(4-7)は、実施例A1の調製について記載されている手順(スキーム1における工程Bから工程D)に従って、工程Bにおけるメチル2-アミノ-5-(メトキシメチル)ベンゾエートを使用することにより合成した。LC-MS:m/z 474.8(M+Na)
+。
【0268】
【化39】
2-((2S,3R)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)-3-ヒドロキシプロピル)-6-(メトキシメチル)ベンゾ[d]チアゾール-4-カルボン酸(化合物104)は、実施例A1の調製について記載されている手順(スキーム1における工程Qから工程S)に従って、工程Qにおけるジメチル3,3’-ジスルファンジイルビス(2-アミノ-5-(メトキシメチル)ベンゾエート)(4-7)および(3S,4R)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-3-(シクロペンチルオキシ)-4-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)ブタン酸(3-5)を使用することにより合成した。LC-MS:m/z 516.1(M+H)
+。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ 8.19 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 8.12 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 6.67 (s, 2H), 4.69 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 4.65 (s, 2H), 4.04 - 3.99 (m, 1H), 3.97 - 3.90 (m, 1H), 3.83 (s, 6H), 3.53 - 3.48 (m, 2H), 3.46 (s, 3H), 1.99 (s, 3H), 1.55 - 1.34 (m, 8H).
[実施例A5]
【0269】
2-((2S,3R)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)-3-ヒドロキシプロピル)-6-(メチルアミノ)ベンゾ[d]チアゾール-4-カルボン酸(化合物105)
【0270】
【化40】
工程A:エチル6-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-((2S,3R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)プロピル)ベンゾ[d]チアゾール-4-カルボキシレート
【0271】
【化41】
トルエン(10mL)中のエチル2-[(2S,3R)-3-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-(シクロペントキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチル-フェニル)プロピル]-6-クロロ-1,3-ベンゾチアゾール-4-カルボキシレート(500mg、771.22μmol)およびtert-ブチルカルバメート(271.04mg、2.31mmol)の溶液に、Pd(dba)
2(44.35mg、77.12μmol)、K
2CO
3(319.76mg、2.31mmol)およびS-Phos(63.32mg、154.24μmol)を添加した。混合物を100℃にて16h撹拌した。反応混合物は、H
2O(10mL)を0℃にて添加することによりクエンチし、EtOAc(10mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で脱水し、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣をシリカゲルカラム(PE/EtOAc=100/1から10/1)により精製して、エチル6-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-[(2S,3R)-3-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-(シクロペントキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチル-フェニル)プロピル]-1,3-ベンゾチアゾール-4-カルボキシレート(500mg、88.9%収率)を得た。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) δ 8.46 (br s, 1H), 7.66 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 6.70 (s, 1H), 6.56 (s, 2H), 4.73 (d, J = 4.6 Hz, 1H), 4.48 - 4.42 (m, 3H), 3.95 - 3.90 (m, 1H), 3.82 (s, 6H), 3.45 - 3.40 (m, 1H), 3.31 - 3.25 (m, 1H), 2.06 (s, 3H), 1.53 (s, 9H), 1.43 - 1.25 (m, 10H), 1.43 - 1.24 (m, 1H), 0.91 (s, 9H), 0.07 (s, 3H), -0.12 (s, 3H).
【0272】
工程B エチル6-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)-2-((2S,3R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)プロピル)ベンゾ[d]チアゾール-4-カルボキシレート
【0273】
【化42】
DMF(2mL)中のエチル6-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-[(2S,3R)-3-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-(シクロペントキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチル-フェニル)プロピル]-1,3-ベンゾチアゾール-4-カルボキシレート(200mg、274.35μmol)の溶液に、K
2CO
3(189.58mg、1.37mmol)およびMeI(194.70mg、85.40μL)を添加した。混合物を80℃にて12h撹拌した。冷却後、反応混合物をH
2O(5mL)で希釈し、EtOAc(5mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(5mL×3)で洗浄し、無水Na
2SO
4で脱水し、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣をprep.TLC(SiO
2、PE/EtOAc=10/1)により精製して、エチル6-[tert-ブトキシカルボニル(メチル)アミノ]-2-[(2S,3R)-3-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-(シクロペントキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチル-フェニル)プロピル]-1,3-ベンゾチアゾール-4-カルボキシレート(40mg、19.6%収率)を得た。LC-MS:m/z 765.3(M+Na)
+。
【0274】
工程C:エチル2-((2S,3R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)プロピル)-6-(メチルアミノ)ベンゾ[d]チアゾール-4-カルボキシレート
【0275】
【化43】
DCM(1mL)中のエチル6-[tert-ブトキシカルボニル(メチル)アミノ]-2-[(2S,3R)-3-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-(シクロペントキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチル-フェニル)プロピル]-1,3-ベンゾチアゾール-4-カルボキシレート(30mg、40.37μmol)の溶液にTFA(29.89μL、400μmol)を添加した。反応混合物を0℃にて0.5h撹拌した。反応混合物をH
2O(10mL)で希釈し、EtOAc(10mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮して、エチル2-((2S,3R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)プロピル)-6-(メチルアミノ)ベンゾ[d]チアゾール-4-カルボキシレート(22.5mg、86.7%収率)を得、これを次の工程においてさらなる精製なしで使用した。LC-MS:m/z 643.1(M+H)
+。
【0276】
工程D:エチル2-((2S,3R)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)-3-ヒドロキシプロピル)-6-(メチルアミノ)ベンゾ[d]チアゾール-4-カルボキシレート
【0277】
【化44】
THF(0.5mL)中のエチル2-[(2S,3R)-3-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-(シクロペントキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチル-フェニル)プロピル]-6-(メチルアミノ)-1,3-ベンゾチアゾール-4-カルボキシレート(30mg、46.66μmol)の溶液に、TBAF(466.62μL、466.62μmol、THF中1M溶液)を0℃にて添加した。混合物を0℃にて1h撹拌した。反応混合物をH
2O(10mL)で希釈し、EtOAc(10mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮して、エチル2-[(2S,3R)-2-(シクロペントキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチル-フェニル)-3-ヒドロキシ-プロピル]-6-(メチルアミノ)-1,3-ベンゾチアゾール-4-カルボキシレート(20mg、81.1%収率)を得、これを次の工程においてさらなる精製なしで使用した。LC-MS:m/z 528.7(M+H)
+。
【0278】
工程E:2-((2S,3R)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)-3-ヒドロキシプロピル)-6-(メチルアミノ)ベンゾ[d]チアゾール-4-カルボン酸(化合物105)
【0279】
【化45】
THF(0.8mL)、MeOH(0.2mL)およびH
2O(0.2mL)中のエチル2-[(2S,3R)-2-(シクロペントキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチル-フェニル)-3-ヒドロキシ-プロピル]-6-(メチルアミノ)-1,3-ベンゾチアゾール-4-カルボキシレート(20mg、37.83μmol)の溶液に、LiOH(4.53mg、189.16μmol)を添加した。混合物を20℃にて1h撹拌した。反応混合物をH
2O(10mL)で希釈し、EtOAc(10mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣をprep.HPLC[カラム:Kromasil 100-5-C18;移動相A:水(0.1% HCOOH)、移動相B:CH
3CN;勾配:10minで50% Bから90% B]により精製して、2-[(2S,3R)-2-(シクロペントキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチル-フェニル)-3-ヒドロキシ-プロピル]-6-(メチルアミノ)-1,3-ベンゾチアゾール-4-カルボン酸(7.92mg、41.8%収率)を得た。LC-MS:m/z 501.3(M+H)
+。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) δ 7.57 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.09 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 6.57 (s, 2H), 4.93 (d, J = 4.3 Hz, 1H), 4.02 - 3.97 (m, 2H), 3.84 (s, 6H), 3.31 - 3.24 (m, 1H), 3.11 (dd, J = 3.5, 15.2 Hz, 1H), 2.92 (s, 3H), 2.06 (s, 3H), 1.61 - 1.40 (m, 8H).
[実施例A6]
【0280】
2-((2S,3R)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)-3-ヒドロキシプロピル)-6-(ジメチルアミノ)ベンゾ[d]チアゾール-4-カルボン酸(化合物106)
【0281】
【化46】
工程A:エチル6-アミノ-2-((2S,3R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)プロピル)ベンゾ[d]チアゾール-4-カルボキシレート
【0282】
【化47】
DCM(1mL)中のエチル6-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-[(2S,3R)-3-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-(シクロペントキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチル-フェニル)プロピル]-1,3-ベンゾチアゾール-4-カルボキシレート(100mg、137.17μmol)の溶液に、TFA(101.56μL、1.37mmol)を添加した。反応混合物を0℃にて0.5h撹拌した。反応混合物をH
2O(10mL)の添加によりクエンチし、DCM(10mL×3)で抽出した。有機層をNa
2SO
4で脱水し、濾過し、減圧下で濃縮して、エチル6-アミノ-2-[(2S,3R)-3-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-(シクロペントキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチル-フェニル)プロピル]-1,3-ベンゾチアゾール-4-カルボキシレート(80mg、92.74%収率)を得、これを次の工程においてさらなる精製なしで使用した。LC-MS:m/z 629.2(M+H)
+。
【0283】
工程B:エチル2-((2S,3R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)プロピル)-6-(ジメチルアミノ)ベンゾ[d]チアゾール-4-カルボキシレート
【0284】
【化48】
DMF(1mL)中のエチル6-アミノ-2-((2S,3R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)プロピル)ベンゾ[d]チアゾール-4-カルボキシレート(60mg、95.41μmol)の溶液に、K
2CO
3(39.56mg、286.22μmol)およびMeI(23.76μL、381.62μmol)を添加した。反応混合物を80℃にて12h撹拌した。冷却後、反応混合物をH
2O(10mL)で希釈し、EtOAc(10mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mL×3)で洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮して、エチル2-((2S,3R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)プロピル)-6-(ジメチルアミノ)ベンゾ[d]チアゾール-4-カルボキシレート(55mg、87.75%収率)を得、これを次の工程においてさらなる精製なしで使用した。LC-MS:m/z 657.3(M+H)
+。
【0285】
【化49】
2-((2S,3R)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)-3-ヒドロキシプロピル)-6-(ジメチルアミノ)ベンゾ[d]チアゾール-4-カルボン酸、実施例A6(化合物106)は、実施例A5の調製について記載されている手順(スキーム5における工程Dから工程E)に従って、工程Dにおけるエチル2-((2S,3R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)プロピル)-6-(ジメチルアミノ)ベンゾ[d]チアゾール-4-カルボキシレート(6-2)を使用することにより合成した。LC-MS:m/z 515.3(M+H)
+。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) δ 7.73 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.19 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 6.58 (s, 2H), 4.94 (d, J = 4.3 Hz, 1H), 4.03 - 3.97 (m, 2H), 3.85 (s, 6H), 3.31 - 3.24 (m, 1H), 3.14 - 3.09 (m, 1H), 3.08 (s, 6H), 2.07 (s, 3H), 1.56 - 1.32 (m, 8H).
[実施例A7]
【0286】
2-((2S,3R)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)-3-ヒドロキシプロピル)-7-メトキシベンゾ[d]チアゾール-4-カルボン酸(化合物107)
【0287】
【化50】
工程A:メチル4-メトキシ-2-ピバルアミドベンゾエート
【0288】
【化51】
DCM(200mL)中のメチル2-アミノ-4-メトキシベンゾエート(25g、137.98mmol)の溶液に、ピリジン(22.27mL、275.96mmol)およびDMAP(168.57mg、1.38mmol)を25℃にて添加した。次いで2,2-ジメチルプロパノイルクロリド(18.67mL、151.78mmol)を混合物に0℃にて滴下添加した。生じた混合物を0℃にて2h撹拌した。反応混合物を1N HCl溶液(50mL)でクエンチし、DCM(100mL)で希釈した。有機層を分離し、1N HCl溶液(40mL)、sat.aq.NaHCO
3(50mL)およびブライン(40mL)で洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮して、粗メチル4-メトキシ-2-ピバルアミドベンゾエート(18g、60.9%収率)を得、これを次の工程において、さらなる精製なしで直接使用した。LC-MS:m/z 266.3(M+H)
+。
【0289】
工程B:メチル3-ブロモ-4-メトキシ-2-ピバルアミドベンゾエート
【0290】
【化52】
トルエン(400mL)中のメチル2-(2,2-ジメチルプロパノイルアミノ)-4-メトキシ-ベンゾエート(36g、135.69mmol)の溶液に、Pd(OAc)
2(6.09g、27.14mmol)、NBS(53.13g、298.53mmol)および4-メチルベンゼンスルホン酸(46.73g、271.39mmol)を添加した。反応混合物を25℃にて16h撹拌した。次いで反応混合物をH
2O(200mL)で希釈し、濾過した。濾液をEtOAc(150mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(100mL×3)で洗浄し、無水Na
2SO
4で脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー[ISCO(登録商標);80g SepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、0~15% EtOAc/PE勾配の溶離液@65mL/min]により精製して、メチル3-ブロモ-2-(2,2-ジメチルプロパノイルアミノ)-4-メトキシ-ベンゾエート(4.8g、10.3%収率)を得た。LC-MS:m/z 344.2(M+H)
+。
【0291】
工程C:メチル2-アミノ-3-ブロモ-4-メトキシベンゾエート
【0292】
【化53】
MeOH(2mL)中のメチル3-ブロモ-4-メトキシ-2-ピバルアミドベンゾエート(4.8g、13.95mmol)の溶液に、conc.H
2SO
4(44.66g、24.27mL)を0℃にて滴下添加した。反応混合物を脱気し、N
2で3回パージした。生じた混合物をN
2雰囲気下で70℃にて4h撹拌した。冷却後、反応を水(50mL)で希釈し、EtOAc(30mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(30mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をPE(10mL)で粉砕し、懸濁液を濾過により単離した。濾過ケーキをPE(20mL)で洗浄し、次いで減圧下で乾燥させて、メチル2-アミノ-3-ブロモ-4-メトキシベンゾエート(2.4g、66.2%収率)を得、これを次の工程において、さらなる精製なしで直接使用した。LC-MS:m/z 262.1(M+H)
+。
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 7.82 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 6.45 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 3.87 (s, 3H), 3.79 (s, 3H).
【0293】
【化54】
ジエチル3,3’-ジスルファンジイルビス(2-アミノ-4-メトキシベンゾエート)(7-6)は、実施例A1の調製について記載されている手順(スキーム1における工程Cから工程D)に従って、工程Cにおけるメチル2-アミノ-3-ブロモ-4-メトキシベンゾエート(7-4)を使用することにより合成した。LC-MS:m/z 474.9(M+Na)
+。
【0294】
【化55】
2-((2S,3R)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)-3-ヒドロキシプロピル)-7-メトキシベンゾ[d]チアゾール-4-カルボン酸(化合物107)は、実施例A1の調製について記載されている手順(スキーム1における工程Q、SおよびR)に従って、工程Dにおけるジエチル3,3’-ジスルファンジイルビス(2-アミノ-4-メトキシベンゾエート)(7-6)を使用することにより合成した。LC-MS:m/z 502.3(M+H)
+。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) δ 13.36 (br s, 1H), 8.32 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 6.95 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.58 (s, 2H), 4.95 (d, J = 4.3 Hz, 1H), 4.07 (s, 3H), 4.06 - 3.98 (m, 2H), 3.85 (s, 6H), 3.39 (dd, J = 8.3, 15.1 Hz, 1H), 3.21 (dd, J = 3.7, 15.1 Hz, 1H), 2.06 (s, 3H), 1.59 - 1.34 (m, 8H).
[実施例A8]
【0295】
2-((2S,3R)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)-3-ヒドロキシプロピル)-4-(メチルアミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-カルボン酸(化合物108)
【0296】
【化56】
(3S,4R)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-3-(シクロペンチルオキシ)-4-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)ブタナール(8-1)は、実施例A1の調製について記載されている手順(スキーム1における工程Hから工程O)に従って、工程Hにおける3,5-ジメトキシ-4-メチルベンゼン-1-カルバルデヒドを使用することにより合成した。
【0297】
工程A:tert-ブチル(((1R,2S)-2-(シクロペンチルオキシ)-1-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)ペンタ-4-イン-1-イル)オキシ)ジメチルシラン
【0298】
【化57】
0℃にて、1-ジアゾ-1-ジメトキシホスホリル-プロパン-2-オン(3.8g、19.8mmol)を、MeOH(70mL)中の(3S,4R)-4-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-3-(シクロペントキシ)-4-(3,5-ジメトキシ-4-メチル-フェニル)ブタナール(7.2g、16.5mmol)およびK
2CO
3(4.56g、33.0mmol)の混合物に滴下添加した。反応混合物を窒素下で15℃にて16h撹拌した。混合物を真空下で濃縮した。残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー[ISCO(登録商標);220g SepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、0~4% EtOAc/PE勾配の溶離液@150mL/min]により精製して、tert-ブチル-[(1R,2S)-2-(シクロペントキシ)-1-(3,5-ジメトキシ-4-メチル-フェニル)ペンタ-4-イノキシ]-ジメチル-シラン(3.2g、44.9%収率)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 6.54 (s, 2H), 4.59 - 4.58 (m, 1H), 3.85 -3.81 (m, 7H), 3.50 - 3.46 (m, 1H), 2.48 - 2.46 (m, 2H), 2.07 (s, 3H), 1.97 (s, 1H), 1.46 - 1.34 (m, 8H), 0.90 (s, 9H), 0.07 (s, 3H), -0.15 (s, 3H).
【0299】
工程B:メチル5-アミノ-6-ヨードピコリネート
【0300】
【化58】
DMF(80mL)中のメチル5-アミノピコリネート(10g、65.7mmol)の溶液に、NaIO
4(5.61g、26.2mmol)およびI
2(13.4g、52.7mmol)を添加した。反応混合物を60℃にて48h撹拌した。冷却後、反応混合物に10% aq.亜硫酸ナトリウム溶液(100mL)を添加した。生じた混合物を10分撹拌した。結晶を濾取した。収集した結晶を水で洗浄し、減圧下で乾燥させて、メチル5-アミノ-6-ヨード-ピリジン-2-カルボキシレート(7.84g、42.9%収率)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.88 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 6.95 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 4.68 (brs, 2H), 3.93 (s, 3H).
【0301】
工程C:メチル5-アミノ-6-((4S,5R)-5-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-4-(シクロペンチルオキシ)-5-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)ペンタ-1-イン-1-イル)ピコリネート
【0302】
【化59】
MeCN(40mL)中のtert-ブチル-[(1R,2S)-2-(シクロペントキシ)-1-(3,5-ジメトキシ-4-メチル-フェニル)ペンタ-4-イノキシ]-ジメチル-シラン(1.71g、3.96mmol)およびメチル5-アミノ-6-ヨード-ピリジン-2-カルボキシレート(1g、3.60mmol)の溶液に、Pd(PPh
3)
2Cl
2(252mg、360μmol)、CuI(68.5mg、360μmol)およびDIEA(3.13mL、17.95mmol)を添加した。生じた混合物を25℃にて3h撹拌した。混合物を水(200mL)で希釈し、EtOAc(150mL×3)で抽出した。合わせた有機相を無水Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮して、残渣を得た。残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー[ISCO(登録商標);40g SepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、0~20% EtOAc/PE勾配の溶離液@100mL/min]により精製して、メチル5-アミノ-6-[(4S,5R)-5-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-4-(シクロペントキシ)-5-(3,5-ジメトキシ-4-メチル-フェニル)ペンタ-1-イニル]ピリジン-2-カルボキシレート(1.77g、84.2%収率)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.88 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 6.99 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 6.55 (s, 2H), 4.75 (s, 2H), 4.65 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 3.93 (s, 3H), 3.87 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 3.83 (s, 6H), 3.66 - 3.57 (m, 1H), 2.91 - 2.81 (m, 1H), 2.80 - 2.70 (m, 1H), 2.08 (s, 3H), 1.73 - 1.63 (m, 2H), 1.52 - 1.30 (m, 6H), 0.91 (s, 9H), 0.08 (s, 3H), -0.13 (s, 3H).
【0303】
工程D:メチル4-アミノ-2-((2S,3R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)プロピル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-カルボキシレート
【0304】
【化60】
tert-ブチル((メシチルスルホニル)オキシ)カルバメート(946mg、3mmol)およびTFA(5mL)の混合物を0℃にて1h撹拌した。混合物を氷冷水(150mL)中に注ぎ、DCM(20mL×2)で抽出した。合わせた有機層を無水Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濾液を、DCM(20mL)中のメチル5-アミノ-6-[(4S,5R)-5-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-4-(シクロペントキシ)-5-(3,5-ジメトキシ-4-メチル-フェニル)ペンタ-1-イニル]ピリジン-2-カルボキシレート(0.96g、1.65mmol)の溶液に25℃にて滴下添加した。生じた混合物を25℃にて15h撹拌した。反応混合物をsat.aq.NaHCO
3(150mL)でクエンチした。有機層を分離し、無水Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮して、残渣を得た。残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー[ISCO(登録商標);20g SepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、0~20~40% EtOAc/PE勾配の溶離液@80mL/min]により精製して、メチル4-アミノ-2-[(2S,3R)-3-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-(シクロペントキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチル-フェニル)プロピル]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-カルボキシレート(168mg、17.1%収率)を得た。LC-MS:m/z 598.8(M+H)
+。
【0305】
工程E:メチル2-((2S,3R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)プロピル)-4-(メチルアミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-カルボキシレート
【0306】
【化61】
DMF(2mL)中のメチル4-アミノ-2-[(2S,3R)-3-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-(シクロペントキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチル-フェニル)プロピル]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-カルボキシレート(84mg、141μmol)の溶液に、K
2CO
3(58.3mg、422μmol)およびMeI(70.0μL、1.12mmol)を添加した。反応混合物を80℃にて12h撹拌した。冷却後、混合物を水(30mL)で希釈し、EtOAc(30mL×4)で抽出した。合わせた有機層を無水Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮して、残渣を得た。残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー[ISCO(登録商標);4g SepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、0~20% EtOAc/PE勾配の溶離液@100mL/min]により精製して、メチル2-[(2S,3R)-3-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-(シクロペントキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチル-フェニル)プロピル]-4-(メチルアミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-カルボキシレート(20mg、23.3%収率)を得た。LC-MS:m/z 634.0(M+Na)
+。
【0307】
工程F:2-((2S,3R)-2-(シクロペンチルオキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)-3-ヒドロキシプロピル)-4-(メチルアミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-カルボン酸
【0308】
【化62】
THF(2mL)、MeOH(5mL)およびH
2O(2mL)中のメチル2-[(2S,3R)-3-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-(シクロペントキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチル-フェニル)プロピル]-4-(メチルアミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-カルボキシレート(20mg、32.7μmol)の溶液に、NaOH(261mg、6.54mmol)を添加した。反応混合物を60℃にて12h撹拌した。溶媒を真空下で除去した。残渣を水(5mL)で希釈し、6N HClでpH=4~5に酸性化した。混合物をEtOAc(30mL×3)で抽出した。有機層をNa
2SO
4で脱水し、濾過し、真空下で濃縮して、残渣を得た。残渣をprep.HPLC[カラム:Kromasil 100-5-C18;移動相A:水(0.1% HCOOH)、移動相B:CH
3CN;勾配:8minで50% Bから80% B]により精製して、2-[(2S,3R)-2-(シクロペントキシ)-3-(3,5-ジメトキシ-4-メチル-フェニル)-3-ヒドロキシ-プロピル]-4-(メチルアミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-カルボン酸(2.33mg、14.52%収率)を得た。LC-MS:m/z 484.3(M+H)
+。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ 7.76 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 6.71 (s, 1H), 6.64 (s, 2H), 6.24 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 4.61 - 4.58 (m, 2H), 3.87 - 3.74 (m, 8H), 3.22 - 3.14 (m, 1H), 3.07 - 3.01 (m, 1H), 3.00 (s, 3H), 1.99 (s, 3H), 1.46 -1.24 (m, 8H).
【0309】
表1における化合物は、適切な出発材料を使用する上の実施例に記載されている同様の手順を使用して、合成され得る、または合成された。ある化合物についてのデータは、以下の表で示されている。ある化合物の精製条件は、以下の通りである。
【0310】
化合物102のPrep.HPLC分離条件:カラム:Welch Xtimate C18 150×30mm*5μm;移動相A:水(0.1% HCOOH)、移動相B:CH3CN;勾配:7minで57% Bから87% B。
【0311】
化合物103のPrep.HPLC分離条件:カラム:Kromasil 100-5-C18;移動相A:水(0.1% HCOOH)、移動相B:CH3CN;勾配:10minで50% Bから80% B。
【0312】
化合物104のPrep.HPLC分離条件:カラム:Welch Xtimate C18 150×30mm×5μm;移動相A:水(0.01% NH3H2O+10mM NH4HCO3)、移動相B:CH3CN;勾配:9minで20% Bから50% B。
【0313】
化合物106のPrep.HPLC分離条件:カラム:Kromasil 100-5-C18;移動相A:水(0.1% HCOOH)、移動相B:CH3CN;勾配:10minで50% Bから90% B。
【0314】
化合物107のPrep.HPLC分離条件:カラム:Kromasil 100-5-C18;移動相A:水(0.1% HCOOH)、移動相B:CH3CN;勾配:10minで50% Bから85% B。
【0315】
化合物109のPrep.HPLC分離条件:カラム:Kromasil 100-5-C18;移動相A:水(0.1% CF3COOH)、移動相B:CH3CN;勾配:10minで50% Bから90% B。
【0316】
化合物110のPrep.HPLC分離条件:カラム:Kromasil 100-5-C18;移動相A:水(0.1% HCOOH)、移動相B:CH3CN;勾配:9minで55% Bから95% B。
【0317】
化合物111のPrep.HPLC分離条件:カラム:Boston Green ODS(150×30mm×5μm);移動相A:水(0.225% HCOOH)、移動相B:CH3CN;勾配:8minで60% Bから90% B。
【0318】
化合物112のPrep.HPLC分離条件:カラム:Phenomenex Gemini-NX C18 75×30mm×3μm;移動相A:水(0.225% HCOOH)、移動相B:CH3CN;勾配:8minで63% Bから93% B。
【0319】
化合物113のPrep.HPLC分離条件:カラム:Kromasil 100-5-C18;移動相A:水(0.1% HCOOH)、移動相B:CH3CN;勾配:10minで55% Bから100% B。
【0320】
化合物114のPrep.HPLC分離条件:カラム:DAICEL CHIRALPAK IF(250mm×30mm×10μm);移動相A:水(0.1%NH3H2O)、移動相B:EtOH;勾配:8minで20% Bから20% B。
【0321】
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【0322】
生物学的アッセイ
インビトロLPA1機能的アンタゴニストアッセイ
ヒトLPA1を過剰発現するCHO-K1細胞を、壁が黒く底が透明なポリ-D-リジンコーティング384ウェルマイクロプレート中に20μLの合計容量でシードし、テスト前に37℃にて適切な時間インキュベーションした。アッセイを、HBSS/20mM Hepes中の1×色素、1×添加剤Aおよび2.5mMプロベネシドからなる1×色素負荷緩衝液(dye loading buffer)中で行った。プロベニシドを新たに調製する。細胞は、テスト前に色素を負荷する。培地を細胞から吸引し、20μL色素負荷緩衝液で置き換える。細胞を37℃にて30~60分間インキュベーションする。色素負荷後、細胞をインキュベーターから除去し、10μL 3×テスト化合物を添加する。細胞を室温にて暗中で30分インキュベーションして、プレート温度を平衡化し、これに0.018μMでのオレオイルLPA負荷が続く。化合物のアンタゴニスト活性をFLIPR Tetra(MDS)で測定する。カルシウム動員を2分モニターし、HBSS/20 mM Hepes中の10μLオレオイルLPAを細胞にアッセイ開始から5秒で(5 seconds into the assay)添加する。化合物の活性は、CBIS data analysis suite(ChemInnovation、CA)を使用して分析する。阻害パーセンテージは、以下の式を使用して計算する:
%阻害=100%×(1-(テスト試料の平均RFU-培地対照の平均RFU)/(LPA対照の平均RFU-培地対照の平均RFU))。
【0323】
インビトロLPA1カルシウム流入アンタゴニストアッセイ
ヒトLPA1およびG15aを過剰発現するCHO-K1細胞を、20μL(15000細胞/ウェル)の合計容量でMatrigelプレコーティング384ウェルプレート(corning-3764)中にシードし、37℃にてインキュベーションした。終夜インキュベーションした後、細胞を4h血清飢餓させた。アッセイは、HBSS/20mM Hepes中の1×Fluo-8 AM(AAT Bioquest、21080)および2.5mMプロベネシド(Thermo Fisher、36400)を含有する色素負荷緩衝液中で行った。細胞飢餓後、培地を20μLの色素負荷緩衝液で置き換え、37℃にて30minインキュベーションした。次いで色素負荷緩衝液中の滴定された5μLの5×化合物を細胞に添加し、30minインキュベーションし、これにEC80でのLPA負荷が続いた。カルシウム動員をFLIPR Tetra(MDS)で測定した。LPA EC80判定では、飢餓細胞を20μLの色素負荷緩衝液と1hインキュベーションし、次いで色素負荷緩衝液中の滴定された5μLの5×LPAを細胞に添加した。LPAにより誘導されるカルシウムシグナルをFLIPRでモニターした。
【0324】
阻害パーセンテージは、以下の式を使用して計算する:
%阻害=100%×(1-(テスト試料の平均RFU-DMSOの平均RFU)/(LPA対照の平均RFU-DMSOの平均RFU))。
【0325】
表B1は、インビトロLPA1カルシウム流入アンタゴニストアッセイにおける化合物の生物学的活性を示す。テストされた化合物の活性は、下記の表B1に以下のように示されている:+++=IC50<10nM;++=IC50 10nM~100nM;+=IC50>100nM。
【0326】
【0327】
インビボ研究
マウスにおける薬物動態測定
選択された化合物のPK特性を、単回経口(5mg/kg)投与後にCD1雌マウスで測定した。
【0328】
化合物103および104を、5mL/kgでの経口投与用の10% Solutol HS15および90%生理食塩水の1mg/mL溶液中でそれぞれ調製し、マウス3匹/3群に投与した。投与後、血液採取を0.25、0.5、1、2、4、6、8、24hでの背側中足静脈サンプリングにより行い、続いて遠心分離して、血漿を得た。試料は、化合物抽出およびLC-MS/MS分析の前に、-80℃にて凍結保存した。マウスにおける化合物103および104の薬物動態学的パラメーターを、標準的な非コンパートメントモデリングにより、全身血漿中濃度-時間プロファイルから計算した。
【0329】
表B2は、非コンパートメントモデルにより判定された、マウス(CD1、雌)における化合物103および104の平均薬物動態学的パラメーターを示す。
【0330】
【0331】
ラットにおける薬物動態測定
選択された化合物のPK特性を、単回経口(5mg/kg)および静脈内投与(1mg/kg)後に、SD雄ラットで測定した。
【0332】
化合物103および104を、5mL/kgでの経口投与用の10% Solutol HS15および90%生理食塩水の1mg/mL溶液中で、また、1mL/kgでの静脈内投与用の10% Solutol HS15および90%生理食塩水の0.2mg/mL溶液中でそれぞれ調製し、1群当たりラット3匹に投与した。投与後、血液採取を、それぞれ0.25、0.5、1、2、4、6、8、24h、および0.083、0.25、0.5、1、2、4、8、24hでの頸静脈サンプリングにより(カニューレにより)行い、続いて遠心分離して、血漿を得た。試料は、化合物抽出およびLC-MS/MS分析の前に、-80℃にて凍結保存した。ラットにおける化合物103および104の薬物動態学的パラメーターを、標準的な非コンパートメントモデリングにより、全身血漿中濃度-時間プロファイルから計算した。
【0333】
表B3は、非コンパートメントモデルにより判定された、ラット(SD、雄)における化合物103および104の平均薬物動態学的パラメーターを示す。
【0334】
【国際調査報告】