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特表2024-540951増強されたエフェクター機能を有する生体合成バイパラトピック又は二重特異性結合分子
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】増強されたエフェクター機能を有する生体合成バイパラトピック又は二重特異性結合分子
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/46 20060101AFI20241029BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20241029BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20241029BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241029BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
C07K16/46 ZNA
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12P21/02 C
A61K39/395 N
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523708
(86)(22)【出願日】2022-10-19
(85)【翻訳文提出日】2024-06-17
(86)【国際出願番号】 US2022078355
(87)【国際公開番号】W WO2023069986
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】63/270,031
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】509087759
【氏名又は名称】ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100217663
【弁理士】
【氏名又は名称】末広 尚也
(72)【発明者】
【氏名】ツヴォラク,アダム
(72)【発明者】
【氏名】ホ,ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】テスタ,ジュニア,ジェイムス
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン,マイケル リース
(72)【発明者】
【氏名】リン-シュミット,シーファン
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト,イアン
(72)【発明者】
【氏名】シン,サンジャヤ
【テーマコード(参考)】
4B064
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064CE12
4B064DA01
4C085AA14
4C085BB01
4C085BB41
4C085BB50
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4H045AA11
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
特定の態様では、本明細書において提供されるのは、抗原結合ドメイン及びFc領域を含む結合分子であり、抗原結合ドメインはバイパラトピック又は二重特異性であり、Fc領域はK248E及びT437R変異(RE変異)を含み、アミノ酸残基の番号付けはEU番号付けシステムに従い、結合分子は、細胞表面上での六量体化の増加した能力、及び/又はC1qに係合する増加した能力を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗原結合ドメイン及びFc領域を含む結合分子であって、
(i)前記抗原結合ドメインが、バイパラトピック又は二重特異性であり、
(ii)前記Fc領域が、K248E及びT437R変異(RE変異)を含み、アミノ酸残基の番号付けが、EU番号付けシステムに従い、
前記結合分子が、細胞表面上での六量体化の増加した能力、及び/又はC1qに係合する増加した能力を有する、
抗原結合ドメイン及びFc領域を含む結合分子。
【請求項2】
前記抗原結合ドメインが、第1のVH領域及び第1のVL領域、第1の単一ドメイン抗原結合断片、並びに/あるいは第1の操作された結合断片を含む第1のドメインと、第2のVH領域及び第2のVL領域、第2の単一ドメイン抗原結合断片、並びに/あるいは第2の操作された結合断片を含む第2のドメインと、を含み、前記第1のドメイン及び前記第2のドメインが、同じ抗原又は異なる抗原(複数可)の2つの異なるエピトープに結合する、請求項1に記載の結合分子。
【請求項3】
(a)前記第1のドメイン及び前記第2のドメインの各々が、Fab断片、scFv、単一ドメイン抗原結合断片、又は操作された結合断片である、
(b)前記第1のドメインがFab断片であり、前記第2のドメインがscFvである、
(c)前記第1のドメインがFab断片であり、前記第2のドメインが単一ドメイン抗原結合断片である、
(d)前記第1のドメインがFab断片であり、前記第2のドメインが操作された結合断片である、
(e)前記第1のドメインがscFvであり、前記第2のドメインが単一ドメイン抗原結合断片である、
(f)前記第1のドメインがscFvであり、前記第2のドメインが操作された結合断片である、又は
(g)前記第1のドメインが単一ドメイン抗原結合断片であり、前記第2のドメインが操作された結合断片である、
請求項2に記載の結合分子。
【請求項4】
そのN297残基を介して前記Fc領域に共有結合しているオリゴ糖が、コアフコース残基を含まない、請求項1~3のいずれか一項に記載の結合分子。
【請求項5】
前記結合分子が、バイパラトピック又は二重特異性抗体である、請求項1~4のいずれか一項に記載の結合分子。
【請求項6】
前記結合分子が、増強された抗体依存性細胞傷害(ADCC)、増強された補体依存性細胞傷害(CDC)、及び/又は増強された抗体依存性細胞貪食作用(ADCP)を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の結合分子。
【請求項7】
CDCを増強するための第1の手段及びCDCを増強するための第2の手段を含む、結合分子。
【請求項8】
ADCCを増強するための第3の手段を更に含む、請求項7に記載の結合分子。
【請求項9】
ADCPを増強するための第4の手段を更に含む、請求項7又は8に記載の結合分子。
【請求項10】
前記第1の手段が、細胞表面上の前記結合分子の六量体化を増加させ、及び/又は前記結合分子によるC1q係合を増加させる、請求項7~9のいずれか一項に記載の結合分子。
【請求項11】
前記第1の手段が、CDC、ADCP、及び/又はADCCを増強する、請求項7~10のいずれか一項に記載の結合分子。
【請求項12】
前記結合分子が、バイパラトピック又は二重特異性抗体である、請求項7~11のいずれか一項に記載の結合分子。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の結合分子を含む結合分子の集団。
【請求項14】
結合分子の集団であって、各結合分子が、抗原結合ドメイン及びFc領域を含み、
(i)前記抗原結合ドメインが、バイパラトピック又は二重特異性である、
(ii)前記Fc領域が、K248E及びT437R変異(RE変異)を含み、アミノ酸残基の番号付けが、EU番号付けシステムに従い、
(iii)前記Fc領域の前記N297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の80%未満がコアフコース残基を含む、
結合分子の集団。
【請求項15】
結合分子の集団であって、
(i)各結合分子が、抗原結合ドメイン及びFc領域を含み、
(ii)前記集団中の前記結合分子の少なくとも10%の前記抗原結合ドメインが、バイパラトピック又は二重特異性であり、
(iii)各結合分子の前記Fc領域が、K248E及びT437R変異(RE変異)を含み、アミノ酸残基の番号付けが、EU番号付けシステムに従い、
(iv)前記Fc領域の前記N297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の80%未満がコアフコース残基を含む、
結合分子の集団。
【請求項16】
(a)前記集団中の前記結合分子の少なくとも20%の前記抗原結合ドメインが、バイパラトピック又は二重特異性である、
(b)前記集団中の前記結合分子の少なくとも30%の前記抗原結合ドメインが、バイパラトピック又は二重特異性である、
(c)前記集団中の前記結合分子の少なくとも40%の前記抗原結合ドメインが、バイパラトピック又は二重特異性である、
(d)前記集団中の前記結合分子の少なくとも50%の前記抗原結合ドメインが、バイパラトピック又は二重特異性である、
(e)前記集団中の前記結合分子の少なくとも60%の前記抗原結合ドメインが、バイパラトピック又は二重特異性である、
(f)前記集団中の前記結合分子の少なくとも70%の前記抗原結合ドメインが、バイパラトピック又は二重特異性である、
(g)前記集団中の前記結合分子の少なくとも80%の前記抗原結合ドメインが、バイパラトピック又は二重特異性である、又は
(h)前記集団中の前記結合分子の少なくとも90%の前記抗原結合ドメインが、バイパラトピック又は二重特異性である、
請求項15に記載の結合分子の集団。
【請求項17】
(a)前記Fc領域の前記N297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の70%未満がコアフコース残基を含む、
(b)前記Fc領域の前記N297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の60%未満がコアフコース残基を含む、
(c)前記Fc領域の前記N297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の50%未満がコアフコース残基を含む、
(d)前記Fc領域の前記N297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の40%未満がコアフコース残基を含む、
(e)前記Fc領域の前記N297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の30%未満がコアフコース残基を含む、
(f)前記Fc領域の前記N297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の20%未満がコアフコース残基を含む、又は
(g)前記Fc領域の前記N297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の10%未満がコアフコース残基を含む、
請求項14~16のいずれか一項に記載の結合分子の集団。
【請求項18】
前記抗原結合ドメインが、第1のVH領域及び第1のVL領域、第1の単一ドメイン抗原結合断片、並びに/あるいは第1の操作された結合断片を含む第1のドメインと、第2のVH領域及び第2のVL領域、第2の単一ドメイン抗原結合断片、並びに/あるいは第2の操作された結合断片を含む第2のドメインと、を含み、前記第1のドメイン及び前記第2のドメインが、同じ抗原又は異なる抗原(複数可)の2つの異なるエピトープに結合する、請求項14~17のいずれか一項に記載の結合分子の集団。
【請求項19】
(a)前記第1のドメイン及び前記第2のドメインの各々が、Fab断片、scFv、単一ドメイン抗原結合断片、又は操作された結合断片である、
(b)前記第1のドメインがFab断片であり、前記第2のドメインがscFvである、
(c)前記第1のドメインがFab断片であり、前記第2のドメインが単一ドメイン抗原結合断片である、
(d)前記第1のドメインがFab断片であり、前記第2のドメインが操作された結合断片である、
(e)前記第1のドメインがscFvであり、前記第2のドメインが単一ドメイン抗原結合断片である、
(f)前記第1のドメインがscFvであり、前記第2のドメインが操作された結合断片である、又は
(g)前記第1のドメインが単一ドメイン抗原結合断片であり、前記第2のドメインが操作された結合断片である、
請求項14~17のいずれか一項に記載の結合分子の集団。
【請求項20】
前記結合分子が、バイパラトピック又は二重特異性抗体である、請求項14~19のいずれか一項に記載の結合分子の集団。
【請求項21】
前記結合分子が、抗体のFc領域に付着した前記オリゴ糖へのフコースの付加が欠損している宿主細胞において、前記結合分子又はその断片をコードするポリヌクレオチドを発現させることによって産生される、請求項14~20のいずれか一項に記載の結合分子の集団。
【請求項22】
前記宿主細胞が、低下したGDP-マンノース4,6-デヒドラターゼ(GMD)活性又は低下したα-1,6フコシルトランスフェラーゼ活性を有する、請求項21に記載の結合分子の集団。
【請求項23】
前記結合分子の集団が、増強されたADCC、増強されたCDC、及び/又は増強されたADCPを有する、請求項13~22のいずれか一項に記載の結合分子の集団。
【請求項24】
請求項1~12のいずれか一項に記載の結合分子をコードする、核酸。
【請求項25】
請求項24に記載の核酸を含む、ベクター。
【請求項26】
前記N297残基を介して抗体に付着したオリゴ糖へのフコース残基の付加が欠損している宿主細胞において、前記結合分子又はその断片の1つ以上をコードするポリヌクレオチドを発現させることを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の結合分子又は請求項13~23のいずれか一項に記載の結合分子の集団を作製する方法。
【請求項27】
(a)前記宿主細胞は、低下したα-1,6フコシルトランスフェラーゼ活性を有する、
(b)前記宿主細胞は低下したGDP-マンノース4,6-デヒドラターゼ活性を有する、
(c)前記α-1,6フコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子は、変異しているか、正常よりも低いレベルで発現されるか、又は前記宿主細胞においてノックアウトされている、又は
(d)前記GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼをコードする遺伝子は、変異しているか、正常よりも低いレベルで発現されるか、又は前記宿主細胞においてノックアウトされている、
請求項26に記載の方法。
【請求項28】
結合分子の集団を作製する方法であって、前記結合分子がそれぞれ、バイパラトピック又は二重特異性抗原結合ドメイン及びFc領域を含み、
(i)前記結合分子の前記Fc領域にK248E及びT437R変異(RE変異)を導入する工程と、
(ii)前記Fc領域の前記N297残基を介して前記結合分子に付着したオリゴ糖中のコアフコースの量が低下した結合分子の集団を生成する工程と、
を含む、それぞれ一価抗原結合ドメイン及びFc領域を含む結合分子の集団を作製する方法。
【請求項29】
請求項26~28のいずれか一項に記載の方法に従って産生された結合分子の集団。
【請求項30】
請求項1~12のいずれか一項に記載の結合分子又は請求項13~23若しくは29のいずれか一項に記載の結合分子の集団と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む医薬組成物。
【請求項31】
システムにおいてCDC、ADCP、及び/又はADCCを増強するための方法であって、
(a)前記システムを請求項1~12のいずれか一項に記載の結合分子と接触させること、又は
(b)前記システムを請求項13~23又は29のいずれか一項に記載の結合分子の前記集団と接触させること、
を含む、システムにおいてCDC、ADCP、及び/又はADCCを増強するための方法。
【請求項32】
宿主における免疫を調節する方法であって、
(a)請求項1~12のいずれか一項に記載の結合分子を投与すること、又は
(b)請求項13~23又は29のいずれか一項に記載の結合分子の集団を投与すること、
を含む、宿主における免疫を調節する方法。
【請求項33】
対象における疾患又は障害を治療する方法であって、
(a)請求項1~12のいずれか一項に記載の結合分子を投与すること、又は
(b)請求項13~23又は29のいずれか一項に記載の結合分子の集団を投与すること、
を含む、対象における疾患又は障害を治療する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年10月20日に出願された米国特許出願第63/270,031号に対する優先権の利益を主張し、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(電子的に提出された配列表の参照)
本出願は、本出願と共にXMLファイル形式で提出されたコンピュータ可読配列表を含み、その全内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本出願と共に提出された配列表XMLファイルは、「14620-722-228_SEQ_LISTING.xml」と題され、2022年10月3日に作成され、サイズは431,738バイトである。
【0003】
(発明の分野)
増強された抗体依存性細胞傷害(ADCC)、増強された補体依存性細胞傷害(CDC)及び/又は増強された抗体依存性細胞貪食作用(ADCP)を有するバイパラトピック又は二重特異性結合分子が本明細書において提供される。
【背景技術】
【0004】
治療用抗体は、ナチュラルキラー(NK)細胞及びマクロファージなどの免疫エフェクター細胞上に発現されるFc受容体に結合することができ、ADCC及びADCPを介して抗腫瘍活性をもたらす。治療用抗体はまた、CDCを活性化し、抗腫瘍効果を達成することができる。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、抗原結合ドメインとFc領域とを含む結合分子が提供され、(i)抗原結合ドメインは、バイパラトピック又は二重特異性であり、(ii)Fc領域は、K248E及びT437R変異(RE変異)を含み、ここで、アミノ酸残基の番号付けは、EU番号付けシステムに従い、結合分子は、細胞表面上での六量体化の増加した能力、及び/又はC1qに係合する増加した能力を有する。
【0006】
いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、第1のVH領域及び第1のVL領域、第1の単一ドメイン抗原結合断片、並びに/あるいは第1の操作された結合断片を含む第1のドメインと、第2のVH領域及び第2のVL領域、第2の単一ドメイン抗原結合断片、並びに/あるいは第2の操作された結合断片を含む第2のドメインと、を含み、第1のドメイン及び第2のドメインは、同じ抗原又は異なる抗原(複数可)の2つの異なるエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、(i)第1のドメイン及び第2のドメインの各々は、Fab断片、scFv、単一ドメイン抗原結合断片、又は操作された結合断片である、(ii)第1のドメインはFab断片であり、第2のドメインはscFvである、(iii)第1のドメインはFab断片であり、第2のドメインは単一ドメイン抗原結合断片である、(iv)第1のドメインはFab断片であり、第2のドメインは操作された結合断片である、(v)第1のドメインはscFvであり、第2のドメインは単一ドメイン抗原結合断片である、(vi)第1のドメインはscFvであり、第2のドメインは操作された結合断片である、又は(vii)第1のドメインは単一ドメイン抗原結合断片であり、第2のドメインは操作された結合断片である。
【0007】
いくつかの実施形態では、N297残基を介してFc領域に共有結合しているオリゴ糖は、コアフコース残基を含まない。
【0008】
いくつかの実施形態では、結合分子は、バイパラトピック又は二重特異性抗体である。
【0009】
いくつかの実施形態では、結合分子は、増強されたADCC、増強されたCDC、及び/又は増強されたADCPを有する。
【0010】
別の態様では、本明細書に開示される結合分子を含む結合分子の集団が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、各結合分子は、抗原結合ドメイン及びFc領域を含み、(i)抗原結合ドメインは、バイパラトピック又は二重特異性であり、(ii)Fc領域は、K248E及びT437R変異(RE変異)を含み、ここで、アミノ酸残基の番号付けは、EU番号付けシステムに従い、(iii)Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の80%未満がコアフコース残基を含む。
【0011】
別の態様では、結合分子の集団が本明細書で提供され、各結合分子は、抗原結合ドメイン及びFc領域を含み、集団中の結合分子の少なくとも10%の抗原結合ドメインは、バイパラトピック又は二重特異性であり、各結合分子のFc領域は、K248E及びT437R変異(RE変異)を含み、アミノ酸残基の番号付けは、EU番号付けシステムに従い、Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の80%未満がコアフコース残基を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、集団中の結合分子の少なくとも20%の抗原結合ドメインは、バイパラトピック又は二重特異性である。いくつかの実施形態では、集団中の結合分子の少なくとも30%の抗原結合ドメインは、バイパラトピック又は二重特異性である。いくつかの実施形態では、集団中の結合分子の少なくとも40%の抗原結合ドメインは、バイパラトピック又は二重特異性である。いくつかの実施形態では、集団中の結合分子の少なくとも50%の抗原結合ドメインは、バイパラトピック又は二重特異性である。いくつかの実施形態では、集団中の結合分子の少なくとも60%の抗原結合ドメインは、バイパラトピック又は二重特異性である。いくつかの実施形態では、集団中の結合分子の少なくとも70%の抗原結合ドメインは、バイパラトピック又は二重特異性である。いくつかの実施形態では、集団中の結合分子の少なくとも80%の抗原結合ドメインは、バイパラトピック又は二重特異性である。いくつかの実施形態では、集団中の結合分子の少なくとも90%の抗原結合ドメインは、バイパラトピック又は二重特異性である。
【0013】
いくつかの実施形態では、Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の70%未満が、コアフコース残基を含む。いくつかの実施形態では、Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の60%未満が、コアフコース残基を含む。いくつかの実施形態では、Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の50%未満が、コアフコース残基を含む。いくつかの実施形態では、Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の40%未満が、コアフコース残基を含む。いくつかの実施形態では、Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の30%未満が、コアフコース残基を含む。いくつかの実施形態では、Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の20%未満が、コアフコース残基を含む。いくつかの実施形態では、Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の10%未満が、コアフコース残基を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、第1のVH領域及び第1のVL領域、第1の単一ドメイン抗原結合断片、並びに/あるいは第1の操作された結合断片を含む第1のドメインと、第2のVH領域及び第2のVL領域、第2の単一ドメイン抗原結合断片、並びに/あるいは第2の操作された結合断片を含む第2のドメインと、を含み、第1のドメイン及び第2のドメインは、同じ抗原又は異なる抗原(複数可)の2つの異なるエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、(i)第1のドメイン及び第2のドメインの各々は、Fab断片、scFv、単一ドメイン抗原結合断片、又は操作された結合断片である、第1のドメインがFab断片であり、第2のドメインがscFvである、第1のドメインがFab断片であり、第2のドメインが単一ドメイン抗原結合断片である、第1のドメインがFab断片であり、第2のドメインが操作された結合断片である、第1のドメインはscFvであり、第2のドメインは単一ドメイン抗原結合断片である、第1のドメインがscFvであり、第2のドメインが操作された結合断片である、第1のドメインが単一ドメイン抗原結合断片であり、第2のドメインが操作された結合断片である。
【0015】
いくつかの実施形態では、結合分子は、バイパラトピック又は二重特異性抗体である。
【0016】
いくつかの実施形態では、結合分子は、抗体のFc領域に付着したオリゴ糖へのフコースの付加が欠損している宿主細胞において、結合分子又はその断片をコードするポリヌクレオチドを発現させることによって産生される。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、低下したGDP-マンノース4,6-デヒドラターゼ(GDP-mannose 4,6-dehydratase、GMD)活性又は低下したα-1,6フコシルトランスフェラーゼ活性を有する。いくつかの実施形態では、α-1,6フコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子は、変異しているか、正常よりも低いレベルで発現されるか、又は宿主細胞においてノックアウトされている。いくつかの実施形態では、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼをコードする遺伝子は、変異しているか、正常よりも低いレベルで発現されるか、又は宿主細胞においてノックアウトされている。
【0017】
いくつかの実施形態では、結合分子の集団は、増強されたADCC、増強されたCDC、及び/又は増強されたADCPを有する。
【0018】
別の態様では、本明細書に開示される結合分子をコードする核酸が本明細書で提供される。
【0019】
別の態様では、核酸を含むベクターが本明細書で提供される。
【0020】
更なる一態様では、結合分子及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が本明細書で提供され、結合分子は抗原結合ドメイン及びFc領域を含み、(i)抗原結合ドメインはバイパラトピック又は二重特異性であり、(ii)Fc領域はK248E及びT437R変異(RE変異)を含み、アミノ酸残基の番号付けはEU番号付けシステムに従い、結合分子は、細胞表面上での六量体化の増加した能力、及び/又はC1qに係合する増加した能力を有する。
【0021】
別の態様では、結合分子の集団及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が本明細書で提供され、各結合分子は抗原結合ドメイン及びFc領域を含み、(i)抗原結合ドメインは、バイパラトピック又は二重特異性であり、(ii)Fc領域は、K248E及びT437R変異(RE変異)を含み、ここで、アミノ酸残基の番号付けは、EU番号付けシステムに従い、(iii)Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の80%未満がコアフコース残基を含む。
【0022】
別の態様では、結合分子の集団及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が本明細書で提供され、ここで、各結合分子は抗原結合ドメイン及びFc領域を含み、集団中の結合分子の少なくとも10%の抗原結合ドメインはバイパラトピック又は二重特異性であり、各結合分子のFc領域は、K248E及びT437R変異(RE変異)を含み、アミノ酸残基の番号付けは、EU番号付けシステムに従い、Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の80%未満がコアフコース残基を含む。
【0023】
更に一態様では、結合分子の集団を作製する方法が本明細書で提供され、N297残基を介して抗体に付着したオリゴ糖へのフコース残基の付加が欠損している宿主細胞において結合分子又はその断片をコードするポリヌクレオチドを発現させることを含み、結合分子の集団は、抗原結合ドメイン及びFc領域を含む結合分子を含み、(i)抗原結合ドメインは、バイパラトピック又は二重特異性であり、(ii)Fc領域は、K248E及びT437R変異(RE変異)を含み、ここで、アミノ酸残基の番号付けは、EU番号付けシステムに従う。結合分子は、細胞表面上での六量体化の増加した能力、及び/又はC1qに係合する増加した能力を有する。
【0024】
別の態様では、結合分子の集団を作製する方法が本明細書で提供され、N297残基を介して抗体に付着したオリゴ糖へのフコース残基の付加が欠損している宿主細胞において結合分子又はその断片をコードするポリヌクレオチドを発現させることを含み、各結合分子が抗原結合ドメイン及びFc領域を含み、(i)抗原結合ドメインは、バイパラトピック又は二重特異性であり、(ii)Fc領域は、K248E及びT437R変異(RE変異)を含み、ここで、アミノ酸残基の番号付けは、EU番号付けシステムに従い、(iii)Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の80%未満がコアフコース残基を含む。
【0025】
別の態様では、結合分子の集団を作製する方法が本明細書で提供され、N297残基を介して抗体に付着したオリゴ糖へのフコース残基の付加が欠損している宿主細胞において結合分子又はその断片をコードするポリヌクレオチドを発現させることを含み、各結合分子が抗原結合ドメイン及びFc領域を含み、集団中の結合分子の少なくとも10%の抗原結合ドメインは、バイパラトピック又は二重特異性であり、各結合分子のFc領域は、K248E及びT437R変異(RE変異)を含み、アミノ酸残基の番号付けは、EU番号付けシステムに従い、Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の80%未満がコアフコース残基を含む。
【0026】
なおも1つの態様では、システムにおいてCDC、ADCP及び/又はADCCを増強するための方法、又は宿主において免疫を調節する方法、又は対象において疾患又は障害を治療する方法が本明細書で提供され、システムを、抗原結合ドメイン及びFc領域を含む結合分子と接触させることを含み、(i)抗原結合ドメインはバイパラトピック又は二重特異性であり、(ii)Fc領域は、K248E及びT437R変異(RE変異)を含み、アミノ酸残基の番号付けは、EU番号付けシステムに従い、結合分子は、細胞表面上での六量体化の増加した能力、及び/又はC1qに係合する増加した能力を有する。
【0027】
別の態様では、システムにおいてCDC、ADCP及び/又はADCCを増強する方法、あるいは宿主において免疫を調節する方法、あるいは対象において疾患又は障害を治療する方法が本明細書で提供され、システムを結合分子の集団と接触させることを含み、各結合分子が抗原結合ドメイン及びFc領域を含み、(i)抗原結合ドメインは、バイパラトピック又は二重特異性であり、(ii)Fc領域は、K248E及びT437R変異(RE変異)を含み、ここで、アミノ酸残基の番号付けは、EU番号付けシステムに従い、(iii)Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の80%未満がコアフコース残基を含む。
【0028】
別の態様では、システムにおいてCDC、ADCP及び/又はADCCを増強する方法、あるいは宿主において免疫を調節する方法、あるいは対象において疾患又は障害を治療する方法が本明細書で提供され、システムを結合分子の集団と接触させることを含み、各結合分子が抗原結合ドメイン及びFc領域を含み、集団中の結合分子の少なくとも10%の抗原結合ドメインは、バイパラトピック又は二重特異性であり、各結合分子のFc領域は、K248E及びT437R変異(RE変異)を含み、アミノ酸残基の番号付けは、EU番号付けシステムに従い、Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の80%未満がコアフコース残基を含む。
【0029】
更に一態様では、CDCを増強するための第1の手段及びCDCを増強するための第2の手段を含む結合分子が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、結合分子は、ADCCを増強するための第3の手段を更に含む。いくつかの実施形態では、結合分子は、ADCPを強化するための第4の手段を更に含む。いくつかの実施形態では、第1の手段は、細胞表面上の結合分子の六量体化を増加させ、及び/又は結合分子によるC1q係合を増加させる。いくつかの実施形態では、第1の手段は、CDC、ADCP、及び/又はADCCを増強することを意味する。
【0030】
別の態様では、結合分子の集団を作製する方法が本明細書で提供され、(i)結合分子のFc領域にK248E及びT437R変異(RE変異)を導入する工程と、(ii)N297残基を介して結合分子に付着したオリゴ糖のコアフコースの量が低下した結合分子の集団を生成する工程と、を含み、ここで、結合分子は、バイパラトピック又は二重特異性抗原結合ドメインを含む。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1A】高レベルのCD37を発現する標的細胞(CARNAVAL、図1A図1C図1E及び図1G)及び低レベルのCD37を発現する標的細胞(JEKO-1、図1B図1D図1F及び図1H)に対する、低フコシル化を有する(図1A及び図1B)、Xencor変異を有する(図1C及び図1D)、RE変異を有する(図1E及び図1F)、並びに低フコシル化及びRE変異を有する(図1G及び図1H)異なるタイプの抗CD37抗体のCDC活性を示す図である。標的細胞を示されるような滴定濃度の抗体と共に30分間インキュベートした。次いで、仔ウサギ血清を混合物に10%の最終濃度まで添加して、補体成分の供給源を提供した。4時間インキュベーションした後、細胞生存率を、CellTiter-Glo試薬(Promega)の添加及び得られた発光の測定によって測定し、相対発光単位(RLU)で報告した。
図1B】高レベルのCD37を発現する標的細胞(CARNAVAL、図1A図1C図1E及び図1G)及び低レベルのCD37を発現する標的細胞(JEKO-1、図1B図1D図1F及び図1H)に対する、低フコシル化を有する(図1A及び図1B)、Xencor変異を有する(図1C及び図1D)、RE変異を有する(図1E及び図1F)、並びに低フコシル化及びRE変異を有する(図1G及び図1H)異なるタイプの抗CD37抗体のCDC活性を示す図である。標的細胞を示されるような滴定濃度の抗体と共に30分間インキュベートした。次いで、仔ウサギ血清を混合物に10%の最終濃度まで添加して、補体成分の供給源を提供した。4時間インキュベーションした後、細胞生存率を、CellTiter-Glo試薬(Promega)の添加及び得られた発光の測定によって測定し、相対発光単位(RLU)で報告した。
図1C】高レベルのCD37を発現する標的細胞(CARNAVAL、図1A図1C図1E及び図1G)及び低レベルのCD37を発現する標的細胞(JEKO-1、図1B図1D図1F及び図1H)に対する、低フコシル化を有する(図1A及び図1B)、Xencor変異を有する(図1C及び図1D)、RE変異を有する(図1E及び図1F)、並びに低フコシル化及びRE変異を有する(図1G及び図1H)異なるタイプの抗CD37抗体のCDC活性を示す図である。標的細胞を示されるような滴定濃度の抗体と共に30分間インキュベートした。次いで、仔ウサギ血清を混合物に10%の最終濃度まで添加して、補体成分の供給源を提供した。4時間インキュベーションした後、細胞生存率を、CellTiter-Glo試薬(Promega)の添加及び得られた発光の測定によって測定し、相対発光単位(RLU)で報告した。
図1D】高レベルのCD37を発現する標的細胞(CARNAVAL、図1A図1C図1E及び図1G)及び低レベルのCD37を発現する標的細胞(JEKO-1、図1B図1D図1F及び図1H)に対する、低フコシル化を有する(図1A及び図1B)、Xencor変異を有する(図1C及び図1D)、RE変異を有する(図1E及び図1F)、並びに低フコシル化及びRE変異を有する(図1G及び図1H)異なるタイプの抗CD37抗体のCDC活性を示す図である。標的細胞を示されるような滴定濃度の抗体と共に30分間インキュベートした。次いで、仔ウサギ血清を混合物に10%の最終濃度まで添加して、補体成分の供給源を提供した。4時間インキュベーションした後、細胞生存率を、CellTiter-Glo試薬(Promega)の添加及び得られた発光の測定によって測定し、相対発光単位(RLU)で報告した。
図1E】高レベルのCD37を発現する標的細胞(CARNAVAL、図1A図1C図1E及び図1G)及び低レベルのCD37を発現する標的細胞(JEKO-1、図1B図1D図1F及び図1H)に対する、低フコシル化を有する(図1A及び図1B)、Xencor変異を有する(図1C及び図1D)、RE変異を有する(図1E及び図1F)、並びに低フコシル化及びRE変異を有する(図1G及び図1H)異なるタイプの抗CD37抗体のCDC活性を示す図である。標的細胞を示されるような滴定濃度の抗体と共に30分間インキュベートした。次いで、仔ウサギ血清を混合物に10%の最終濃度まで添加して、補体成分の供給源を提供した。4時間インキュベーションした後、細胞生存率を、CellTiter-Glo試薬(Promega)の添加及び得られた発光の測定によって測定し、相対発光単位(RLU)で報告した。
図1F】高レベルのCD37を発現する標的細胞(CARNAVAL、図1A図1C図1E及び図1G)及び低レベルのCD37を発現する標的細胞(JEKO-1、図1B図1D図1F及び図1H)に対する、低フコシル化を有する(図1A及び図1B)、Xencor変異を有する(図1C及び図1D)、RE変異を有する(図1E及び図1F)、並びに低フコシル化及びRE変異を有する(図1G及び図1H)異なるタイプの抗CD37抗体のCDC活性を示す図である。標的細胞を示されるような滴定濃度の抗体と共に30分間インキュベートした。次いで、仔ウサギ血清を混合物に10%の最終濃度まで添加して、補体成分の供給源を提供した。4時間インキュベーションした後、細胞生存率を、CellTiter-Glo試薬(Promega)の添加及び得られた発光の測定によって測定し、相対発光単位(RLU)で報告した。
図1G】高レベルのCD37を発現する標的細胞(CARNAVAL、図1A図1C図1E及び図1G)及び低レベルのCD37を発現する標的細胞(JEKO-1、図1B図1D図1F及び図1H)に対する、低フコシル化を有する(図1A及び図1B)、Xencor変異を有する(図1C及び図1D)、RE変異を有する(図1E及び図1F)、並びに低フコシル化及びRE変異を有する(図1G及び図1H)異なるタイプの抗CD37抗体のCDC活性を示す図である。標的細胞を示されるような滴定濃度の抗体と共に30分間インキュベートした。次いで、仔ウサギ血清を混合物に10%の最終濃度まで添加して、補体成分の供給源を提供した。4時間インキュベーションした後、細胞生存率を、CellTiter-Glo試薬(Promega)の添加及び得られた発光の測定によって測定し、相対発光単位(RLU)で報告した。
図1H】高レベルのCD37を発現する標的細胞(CARNAVAL、図1A図1C図1E及び図1G)及び低レベルのCD37を発現する標的細胞(JEKO-1、図1B図1D図1F及び図1H)に対する、低フコシル化を有する(図1A及び図1B)、Xencor変異を有する(図1C及び図1D)、RE変異を有する(図1E及び図1F)、並びに低フコシル化及びRE変異を有する(図1G及び図1H)異なるタイプの抗CD37抗体のCDC活性を示す図である。標的細胞を示されるような滴定濃度の抗体と共に30分間インキュベートした。次いで、仔ウサギ血清を混合物に10%の最終濃度まで添加して、補体成分の供給源を提供した。4時間インキュベーションした後、細胞生存率を、CellTiter-Glo試薬(Promega)の添加及び得られた発光の測定によって測定し、相対発光単位(RLU)で報告した。
図2】野生型において低フコシル化を有し、かつRE変異を有する抗GPRC5D抗体の、H929標的細胞に対するCDC活性を示す図である。標的細胞を示されるような滴定濃度の抗体と共に30分間インキュベートした。次いで、仔ウサギ血清を混合物に10%の最終濃度まで添加して、補体成分の供給源を提供した。4時間インキュベーションした後、細胞生存率を、CellTiter-Glo試薬(Promega)の添加及び得られた発光の測定によって測定し、相対発光単位(RLU)で報告した。
図3A】PBMCを有するKLK2抗体によって媒介される、VCaP細胞に対するインビトロでのADCC性動態力学的死滅を示す。簡単に説明すると、Nuclight Red(Incucyte(登録商標)、Essen Bioscience)を用いて安定にトランスフェクトされたVCaP細胞を、384ウェルプレート(Perkin Elmer ViewPlate)中の透明培地(RPMI 1641+10% FBS、Thermo Fisher Scientific)に1ウェル当たり10,000細胞で播種し、一晩にわたって細胞を接着させた。新たに解凍したPBMC(Hemcare、PB009C-3)を用いてADCCアッセイを行った。1ウェル当たりのエフェクター細胞と標的細胞との比は、エフェクター細胞としてのPBMCについては34:1であった。KLK2抗体を、100nM~0.01nMの範囲の最終濃度で試験した。エフェクター細胞及び抗体を標的細胞に添加した後、Incucyte(登録商標)S3機器(Essen BioScience)下でリアルタイムイメージングを行った。1ウェル当たりの総積分(intergraded)赤色シグナルを、Incucyte(登録商標)ソフトウェアで定量化した。データ分析を、4回の値に基づいてIncucyte(登録商標)ソフトウェア及びPrism(GraphPad Software)によって行った。細胞死滅の割合を、(1-KLK2mAb/mAbなしの対照)×100%として計算した。
図3B】PBMCを有するKLK2抗体によって媒介される、VCaP細胞に対するインビトロでのADCC性動態力学的死滅を示す。簡単に説明すると、Nuclight Red(Incucyte(登録商標)、Essen Bioscience)を用いて安定にトランスフェクトされたVCaP細胞を、384ウェルプレート(Perkin Elmer ViewPlate)中の透明培地(RPMI 1641+10% FBS、Thermo Fisher Scientific)に1ウェル当たり10,000細胞で播種し、一晩にわたって細胞を接着させた。新たに解凍したPBMC(Hemcare、PB009C-3)を用いてADCCアッセイを行った。1ウェル当たりのエフェクター細胞と標的細胞との比は、エフェクター細胞としてのPBMCについては34:1であった。KLK2抗体を、100nM~0.01nMの範囲の最終濃度で試験した。エフェクター細胞及び抗体を標的細胞に添加した後、Incucyte(登録商標)S3機器(Essen BioScience)下でリアルタイムイメージングを行った。1ウェル当たりの総積分(intergraded)赤色シグナルを、Incucyte(登録商標)ソフトウェアで定量化した。データ分析を、4回の値に基づいてIncucyte(登録商標)ソフトウェア及びPrism(GraphPad Software)によって行った。細胞死滅の割合を、(1-KLK2mAb/mAbなしの対照)×100%として計算した。
図3C】PBMCを有するKLK2抗体によって媒介される、VCaP細胞に対するインビトロでのADCC性動態力学的死滅を示す。簡単に説明すると、Nuclight Red(Incucyte(登録商標)、Essen Bioscience)を用いて安定にトランスフェクトされたVCaP細胞を、384ウェルプレート(Perkin Elmer ViewPlate)中の透明培地(RPMI 1641+10% FBS、Thermo Fisher Scientific)に1ウェル当たり10,000細胞で播種し、一晩にわたって細胞を接着させた。新たに解凍したPBMC(Hemcare、PB009C-3)を用いてADCCアッセイを行った。1ウェル当たりのエフェクター細胞と標的細胞との比は、エフェクター細胞としてのPBMCについては34:1であった。KLK2抗体を、100nM~0.01nMの範囲の最終濃度で試験した。エフェクター細胞及び抗体を標的細胞に添加した後、Incucyte(登録商標)S3機器(Essen BioScience)下でリアルタイムイメージングを行った。1ウェル当たりの総積分(intergraded)赤色シグナルを、Incucyte(登録商標)ソフトウェアで定量化した。データ分析を、4回の値に基づいてIncucyte(登録商標)ソフトウェア及びPrism(GraphPad Software)によって行った。細胞死滅の割合を、(1-KLK2mAb/mAbなしの対照)×100%として計算した。
図3D】PBMCを有するKLK2抗体によって媒介される、VCaP細胞に対するインビトロでのADCC性動態力学的死滅を示す。簡単に説明すると、Nuclight Red(Incucyte(登録商標)、Essen Bioscience)を用いて安定にトランスフェクトされたVCaP細胞を、384ウェルプレート(Perkin Elmer ViewPlate)中の透明培地(RPMI 1641+10% FBS、Thermo Fisher Scientific)に1ウェル当たり10,000細胞で播種し、一晩にわたって細胞を接着させた。新たに解凍したPBMC(Hemcare、PB009C-3)を用いてADCCアッセイを行った。1ウェル当たりのエフェクター細胞と標的細胞との比は、エフェクター細胞としてのPBMCについては34:1であった。KLK2抗体を、100nM~0.01nMの範囲の最終濃度で試験した。エフェクター細胞及び抗体を標的細胞に添加した後、Incucyte(登録商標)S3機器(Essen BioScience)下でリアルタイムイメージングを行った。1ウェル当たりの総積分(intergraded)赤色シグナルを、Incucyte(登録商標)ソフトウェアで定量化した。データ分析を、4回の値に基づいてIncucyte(登録商標)ソフトウェア及びPrism(GraphPad Software)によって行った。細胞死滅の割合を、(1-KLK2mAb/mAbなしの対照)×100%として計算した。
図3E】PBMCを有するKLK2抗体によって媒介される、VCaP細胞に対するインビトロでのADCC性動態力学的死滅を示す。簡単に説明すると、Nuclight Red(Incucyte(登録商標)、Essen Bioscience)を用いて安定にトランスフェクトされたVCaP細胞を、384ウェルプレート(Perkin Elmer ViewPlate)中の透明培地(RPMI 1641+10% FBS、Thermo Fisher Scientific)に1ウェル当たり10,000細胞で播種し、一晩にわたって細胞を接着させた。新たに解凍したPBMC(Hemcare、PB009C-3)を用いてADCCアッセイを行った。1ウェル当たりのエフェクター細胞と標的細胞との比は、エフェクター細胞としてのPBMCについては34:1であった。KLK2抗体を、100nM~0.01nMの範囲の最終濃度で試験した。エフェクター細胞及び抗体を標的細胞に添加した後、Incucyte(登録商標)S3機器(Essen BioScience)下でリアルタイムイメージングを行った。1ウェル当たりの総積分(intergraded)赤色シグナルを、Incucyte(登録商標)ソフトウェアで定量化した。データ分析を、4回の値に基づいてIncucyte(登録商標)ソフトウェア及びPrism(GraphPad Software)によって行った。細胞死滅の割合を、(1-KLK2mAb/mAbなしの対照)×100%として計算した。
図4】48時間の時点でのVCaPに対するPBMCによるインビトロでのADCC性用量反応死滅を示す。用量反応曲線を、エフェクター細胞及び抗体を標的細胞に添加した48時間後に作成した。
図5A】JEG-3及びRERF-LC-Ad-1細胞に対する、抗HLA-G抗体 MHGB732及びMHGB738、並びに低フコシル化、RE変異、及び低フコシル化とRE変異とを有するそれらのそれぞれの対応物のADCC活性を示す。溶解の割合を、Triton-X100洗剤によるJEG-3又はRERF-LC-Ad-1細胞の最大溶解と比較し、(サンプル値-標的単独値)/(最大値-標的単独値)×100%として計算した。
図5B】JEG-3及びRERF-LC-Ad-1細胞に対する、抗HLA-G抗体MHGB732及びMHGB738、並びに低フコシル化、RE変異、及び低フコシル化とRE変異とを有するそれらのそれぞれの対応物のADCC活性を示す。溶解の割合を、Triton-X100洗剤によるJEG-3又はRERF-LC-Ad-1細胞の最大溶解と比較し、(サンプル値-標的単独値)/(最大値-標的単独値)×100%として計算した。
図5C】抗HLA-G抗体MHGB732及びMHGB738、並びに低フコシル化、RE変異、及び低フコシル化とRE変異とを有するそれらのそれぞれの対応物のCDC活性を示す図である。標的細胞を示されるような抗体と共に37℃で30分間インキュベートした。15~20%(ストック濃度)のウサギ補体及び熱不活性化補体を、それぞれ25μL/ウェルの体積までウェルに加えた。混合物を37℃で4~12時間インキュベートした。標的細胞溶解を、CellTiter-Glo試薬(Promega)の添加及び得られた発光の測定によって測定し、相対発光単位(RLU)で報告した。
図5D】抗HLA-G抗体MHGB732及びMHGB738、並びに低フコシル化、RE変異、及び低フコシル化とRE変異とを有するそれらのそれぞれの対応物のCDC活性を示す図である。標的細胞を示されるような抗体と共に37℃で30分間インキュベートした。15~20%(ストック濃度)のウサギ補体及び熱不活性化補体を、それぞれ25μL/ウェルの体積までウェルに加えた。混合物を37℃で4~12時間インキュベートした。標的細胞溶解を、CellTiter-Glo試薬(Promega)の添加及び得られた発光の測定によって測定し、相対発光単位(RLU)で報告した。
図6A】低フコシル化及びRE変異を有する抗PSMA抗体 PSMB896及びPSMB898によって媒介される、C42B及びLNCaP細胞のインビトロでのADCC性用量反応死滅を示す。具体的には、図6Aは、6時間の時点でのC42B細胞に対するPBMCによる、当該抗体によって媒介されるインビトロでのADCC性用量反応死滅を示し、図6Bは、6時間におけるLNCaP細胞に対するPBMCによる、抗体によって媒介されるインビトロでのADCC性用量反応死滅を示し、図6Cは、24時間の時点でのC42B細胞に対するNK細胞による、当該抗体によって媒介されるインビトロでのADCC性用量反応死滅を示し、図6Dは、24時間の時点でのLNCap細胞に対するNK細胞による、抗体によって媒介されるインビトロでのADCC性用量反応死滅を示す。用量反応曲線を、エフェクター細胞及び抗体を標的細胞に添加した6時間後又は24時間後に作成した。
図6B】低フコシル化及びRE変異を有する抗PSMA抗体 PSMB896及びPSMB898によって媒介される、C42B及びLNCaP細胞のインビトロでのADCC性用量反応死滅を示す。具体的には、図6Aは、6時間の時点でのC42B細胞に対するPBMCによる、当該抗体によって媒介されるインビトロでのADCC性用量反応死滅を示し、図6Bは、6時間におけるLNCaP細胞に対するPBMCによる、抗体によって媒介されるインビトロでのADCC性用量反応死滅を示し、図6Cは、24時間の時点でのC42B細胞に対するNK細胞による、当該抗体によって媒介されるインビトロでのADCC性用量反応死滅を示し、図6Dは、24時間の時点でのLNCap細胞に対するNK細胞による、抗体によって媒介されるインビトロでのADCC性用量反応死滅を示す。用量反応曲線を、エフェクター細胞及び抗体を標的細胞に添加した6時間後又は24時間後に作成した。
図6C】低フコシル化及びRE変異を有する抗PSMA抗体 PSMB896及びPSMB898によって媒介される、C42B及びLNCaP細胞のインビトロでのADCC性用量反応死滅を示す。具体的には、図6Aは、6時間の時点でのC42B細胞に対するPBMCによる、当該抗体によって媒介されるインビトロでのADCC性用量反応死滅を示し、図6Bは、6時間におけるLNCaP細胞に対するPBMCによる、抗体によって媒介されるインビトロでのADCC性用量反応死滅を示し、図6Cは、24時間の時点でのC42B細胞に対するNK細胞による、当該抗体によって媒介されるインビトロでのADCC性用量反応死滅を示し、図6Dは、24時間の時点でのLNCap細胞に対するNK細胞による、抗体によって媒介されるインビトロでのADCC性用量反応死滅を示す。用量反応曲線を、エフェクター細胞及び抗体を標的細胞に添加した6時間後又は24時間後に作成した。
図6D】低フコシル化及びRE変異を有する抗PSMA抗体 PSMB896及びPSMB898によって媒介される、C42B及びLNCaP細胞のインビトロでのADCC性用量反応死滅を示す。具体的には、図6Aは、6時間の時点でのC42B細胞に対するPBMCによる、当該抗体によって媒介されるインビトロでのADCC性用量反応死滅を示し、図6Bは、6時間におけるLNCaP細胞に対するPBMCによる、抗体によって媒介されるインビトロでのADCC性用量反応死滅を示し、図6Cは、24時間の時点でのC42B細胞に対するNK細胞による、当該抗体によって媒介されるインビトロでのADCC性用量反応死滅を示し、図6Dは、24時間の時点でのLNCap細胞に対するNK細胞による、抗体によって媒介されるインビトロでのADCC性用量反応死滅を示す。用量反応曲線を、エフェクター細胞及び抗体を標的細胞に添加した6時間後又は24時間後に作成した。
図7】40%正常ヒト血清の存在下でRE変異を有する又は有さないIgG1定常ドメインを使用した、バイパラトピック抗PSMA抗体のLNCaP標的細胞に対するCDC活性を示す。アイソタイプ対照抗体のLNCaP標的細胞に対するCDC活性も試験した。
図8】正常ドナー由来の精製NK細胞の存在下で、図7で試験したものと同じ抗体のBATDA標識LNCaP標的細胞に対するADCC活性を示す。
【発明の詳細な説明】
【0032】
抗体は、腫瘍学的適応症を含む様々な疾患又は障害のための重要で成長中のクラスの治療用生物製剤を表す。それらの作用機序には、抗腫瘍免疫応答を阻害するシグナルの遮断、抗腫瘍応答を増強するシグナルのアゴニズム、コンジュゲート抗体による抗腫瘍薬の標的送達、並びにADCC、ADCP、及びCDCを介した腫瘍関連抗原を発現する細胞の標的特異的枯渇が含まれる。これらの作用機序の中で、ADCC及びADCPは、エフェクター細胞(ADCCの場合のようなナチュラルキラー細胞又はADCPの場合のようなマクロファージ)上のFcγ受容体との抗体のフラグメント結晶化可能領域(Fc)の相互作用を介して媒介される。CDCは、Fcと補体成分C1qとの間の相互作用を介して媒介される。標的細胞殺傷のこれらの機構は、抗体エフェクター機能と総称される。多数の腫瘍学的治療薬は、これらの抗体エフェクター機能を利用して腫瘍細胞の増殖を特異的に枯渇又は抑制する。したがって、これらの経路のFc媒介活性化を増加させ得る戦略は、より強力な癌治療薬をもたらし得る。ADCC又はADCPエフェクター機能を増強することができる戦略が記載されている。しかしながら、それらは多くの場合、CDC活性などの他の機能と適合しない。ここでは、CDC、ADCC、及び/又はADCPなどの複数の抗体エフェクター機能の同時増強を可能にすることができるいくつかの戦略の組み合わせた適用について説明する。エフェクター機能の改善を組み合わせることにより、癌患者のこれらの区画のうちの1つにおける機能不全を克服することができるより良好な治療法を潜在的にもたらすことができる。
【0033】
CDC活性は、補体カスケードの活性化を必要とし、これは、標的細胞の表面と同一平面上にあるFc領域の六量体による補体成分C1qの活性化を必要とする。次いで、これには、細胞表面に近接した5つ又は6つの抗体分子の同時結合が必要である。Fc媒介抗体オリゴマー化の必要性のために、CDC活性は比較的高い標的受容体密度を必要とする。天然IgG抗体では、抗体-受容体結合の化学量論は、抗体濃度に応じて1:2~1:1で変化し得、前者はアビディティーのために非常に有利である。所与の数の細胞表面受容体に結合することができる抗体の数を最大化するために、本開示は、1:1の抗体-受容体結合化学量論を強制するための操作されたバイパラトピック又は二重特異性設計を組み込む。これにより、天然の二価IgGと比較して、所与の数の受容体を有する細胞の表面により多くのFc領域をもたらすことが可能になる。したがって、操作されたバイパラトピック又は二重特異性抗体は、より強力なCDC活性を有し得る。
【0034】
CDC活性を増加させる別の方法は、変異誘発を介してIgGが六量体化する能力を増強することである。RE変異と呼ばれる1つの戦略は、Fc領域に2つの点変異(K248E及びT437R)を組み込むことを含む。実証されているように、RE変異によるCDC活性の増強は、低フコース宿主で産生された抗体によって媒介されるADCC及びADCP活性の増強と適合する。本明細書で提供されるRE変異を特徴とするバイパラトピック又は二重特異性抗体は、以下のセクション7に示されるように、他の高度な特性の中でも、低フコース産生を介したADCC/ADCPの増強に適合する。
【0035】
本開示は、抗体の集団に共有結合しているオリゴ糖の80%未満がフコース残基を含み、抗体のFc領域がK248E変異及びT437R変異(RE変異)を含む場合、抗体の集団が増強されたADCC活性及び増強されたCDC活性の両方を有するという驚くべき知見にある程度基づいている。加えて、以下のセクション7に実証されるように、低フコシル化は、CDCの増強に与えるRE変異の影響を妨害せず、RE変異は、低フコシル化によって付与される増強されたADCC活性を妨害しない。一態様では、Fc領域にRE変異を含み、かつ抗体のFc領域に共有結合しているオリゴ糖内にコアフコース残基を含まない抗体が本明細書において提供される。別の態様では、Fc領域にRE変異を含み、かつ抗体のFc領域に共有結合しているオリゴ糖内にコアフコース残基を含まない抗体を含む抗体の集団が本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、K248E変異及びT437R変異(RE変異)を含む抗体の集団であって、そのN297残基を介して抗体の集団に共有結合しているオリゴ糖の80%未満がコアフコース残基を含む、抗体の集団が、本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、そのN297残基を介して抗体の集団に共有結合しているオリゴ糖の70%未満は、コアフコース残基を含む。いくつかの実施形態では、そのN297残基を介して抗体の集団に共有結合しているオリゴ糖の60%未満は、コアフコース残基を含む。いくつかの実施形態では、そのN297残基を介して抗体の集団に共有結合しているオリゴ糖の50%未満は、コアフコース残基を含む。いくつかの実施形態では、そのN297残基を介して抗体の集団に共有結合しているオリゴ糖の40%未満は、コアフコース残基を含む。いくつかの実施形態では、そのN297残基を介して抗体の集団に共有結合しているオリゴ糖の30%未満は、コアフコース残基を含む。いくつかの実施形態では、そのN297残基を介して抗体の集団に共有結合しているオリゴ糖の20%未満は、コアフコース残基を含む。いくつかの実施形態では、そのN297残基を介して抗体の集団に共有結合しているオリゴ糖の10%未満は、コアフコース残基を含む。いくつかの実施形態では、そのN297残基を介して抗体の集団に共有結合しているオリゴ糖の5%未満は、コアフコース残基を含む。
【0036】
本開示はまた、以下のセクション7で実証されるような他の高度な特性の中でも、RE変異とのバイパラトピック又は二重特異性構成の組合せが、そのような結合分子の六量体化の増加、したがって細胞表面上のC1qと係合する能力の増加を介してCDC活性の更なる増強を提供するという驚くべき知見に部分的に基づく。したがって、別の態様では、本開示は、Fc領域にRE変異を保有するバイパラトピック又は二重特異性結合分子を提供する。いくつかの実施形態では、そのような結合分子は、結合分子のFc領域に共有結合しているオリゴ糖中にコアフコース残基を含まない。いくつかの実施形態では、それぞれがRE変異を有するバイパラトピック又は二重特異性抗体の集団が本明細書で提供され、ここで、そのN297残基を介してバイパラトピック又は二重特異性抗体の集団に共有結合しているオリゴ糖の80%未満がコアフコース残基を含む。いくつかの実施形態では、そのN297残基を介してバイパラトピック又は二重特異性抗体の集団に共有結合しているオリゴ糖の70%未満は、コアフコース残基を含む。いくつかの実施形態では、そのN297残基を介してバイパラトピック又は二重特異性抗体の集団に共有結合しているオリゴ糖の60%未満は、コアフコース残基を含む。いくつかの実施形態では、そのN297残基を介してバイパラトピック又は二重特異性抗体の集団に共有結合しているオリゴ糖の50%未満は、コアフコース残基を含む。いくつかの実施形態では、そのN297残基を介してバイパラトピック又は二重特異性抗体の集団に共有結合しているオリゴ糖の40%未満は、コアフコース残基を含む。いくつかの実施形態では、そのN297残基を介してバイパラトピック又は二重特異性抗体の集団に共有結合しているオリゴ糖の30%未満は、コアフコース残基を含む。いくつかの実施形態では、そのN297残基を介してバイパラトピック又は二重特異性抗体の集団に共有結合しているオリゴ糖の20%未満は、コアフコース残基を含む。いくつかの実施形態では、そのN297残基を介してバイパラトピック又は二重特異性抗体の集団に共有結合しているオリゴ糖の10%未満は、コアフコース残基を含む。いくつかの実施形態では、そのN297残基を介してバイパラトピック又は二重特異性抗体の集団に共有結合しているオリゴ糖の5%未満は、コアフコース残基を含む。
【0037】
特定の実施形態では、抗体がFc領域を有する限り、任意の抗原結合構造を有するか、又は任意の抗原を標的とする任意の抗体が、本開示に含まれる。本抗体を含む医薬組成物、作製方法、及びそれらの使用も本開示に含まれる。
【0038】
定義
本明細書に記載又は参照されている技術及び手順には、当業者が概ねよく理解しているもの、及び/又は当業者が従来の手法を使用して通常採用しているもの、例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Sambrook,et al.,3d ed.2001)、Current Protocols in Molecular Biology(Ausubel,et al.eds.,2003)、Therapeutic Monoclonal Antibodies:From Bench to Clinic(An,ed.2009)、Monoclonal Antibodies:Methods and Protocols(Albitar,ed.2010)、及びAntibody Engineering Vols 1 and 2(Kontermann and Dubel,eds.,2d ed.2010)に記載されている広く利用されている手法などが含まれる。
【0039】
本明細書中で特に定義されていない限り、本明細書で使用されている技術用語及び科学用語は、当業者によって通常理解される意味を有する。この明細書を解釈するために、以下の用語の説明が適用され、必要に応じて、単数形で使用される用語は複数形も含まれ、その逆もまた同様である。記載された用語のいずれかの説明が、参照により本明細書に組み込まれるいずれかの文書と矛盾する場合、以下に記載された用語の説明が優先されるものとする。
【0040】
「抗体」、「免疫グロブリン」又は「Ig」という用語は、本明細書で互換的に使用され、最も広い意味で使用され、具体的には、例えば、以下に記載されるように、モノクローナル抗体(アゴニスト、アンタゴニスト、中和抗体、全長又はインタクトモノクローナル抗体を含む)、ポリエピトープ又はモノエピトープ特異性を有する抗体組成物、ポリクローナル又は一価抗体、多価抗体、及び少なくとも2つのインタクト抗体から形成された多重特異性抗体(例えば、所望の生物学的活性を示す限りにおいて、二重特異性抗体)を包含する。抗体は、ヒト、ヒト化、キメラ、及び/又は親和性成熟されたものであり、並びに他の種、例えば、マウス及びウサギなどからの抗体であり得る。「抗体」という用語は、特定の分子抗原に結合することができ、2つの同一の対のポリペプチド鎖で構成される、ポリペプチドの免疫グロブリンクラス内のB細胞のポリペプチド産物を含むことを意図しており、各対は、1つの重鎖(約50~70kDa)及び1つの軽鎖(約25kDa)を有し、各鎖の各アミノ末端部分は、約100~約130以上のアミノ酸の可変領域を含み、各鎖の各カルボキシ末端部分は、定常領域を含む。例えば、Antibody Engineering(Borrebaeck,ed.,2d ed.1995)、及びKuby,Immunology(3d ed.1997)を参照。具体的な実施形態では、特定の分子抗原は、ポリペプチド又はエピトープを含む、本明細書において提供される抗体によって結合され得る。また、抗体には、合成抗体、組み換え生成抗体、ラクダ化抗体又はそれらのヒト化変異体、細胞内抗体、及び抗イディオタイプの(抗Id)抗体が含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用される「抗体」という用語はまた、Fc領域及び上記のうちのいずれかの機能的断片(例えば、抗原結合断片)を有する任意の結合分子を含み、機能的断片は、断片が由来する抗体の結合活性の一部又は全部を保持する抗体重鎖又は軽鎖ポリペプチドの一部を指す。機能的断片(例えば、抗原結合断片)の非限定的な例としては、単鎖Fvs(scFv)(例えば、単一特異性、二重特異性などを含む)、Fab断片、F(ab’)断片、F(ab)断片、F(ab’)断片、ジスルフィド結合Fvs(dsFv)、Fd断片、Fv断片、ダイアボディ、トライアボディ、テトラボディ、及びミニボディが挙げられる。特に、本明細書において提供される抗体は、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、例えば、抗原に結合する抗原結合部位(例えば、抗体の1つ又は2つ以上のCDR)を含有する抗原結合ドメイン又は分子を含む。そのような抗体フラグメントは、例えば、Harlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual(1989)、Mol.Biology and Biotechnology:A Comprehensive Desk Reference(Myers,ed.,1995)、Huston,et al.,1993,Cell Biophysics 22:189-224、Pluckthun and Skerra,1989,Meth.Enzymol.178:497-515、及びDay,Advanced Immunochemistry(2d ed.1990)に見出すことができる。本明細書において提供される抗体は、免疫グロブリン分子の任意のクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、及びIgA)又は任意のサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)であり得る。抗体は、アゴニスト抗体又はアンタゴニスト抗体であり得る。
【0041】
「バイパラトピック抗体」という用語は、2つの抗原結合ドメインのそれぞれが同じ目的の標的上の固有の重複しないエピトープを認識する二重特異性抗体のサブセットを指す。
【0042】
「抗原」とは、抗体が選択的に結合することができる構造である。標的抗原は、ポリペプチド、炭水化物、核酸、脂質、ハプテン、又は他の天然に存在する化合物若しくは合成化合物であり得る。いくつかの実施形態では、標的抗原は、ポリペプチドである。特定の実施形態では、抗原は、細胞と関連し、例えば、細胞上又は細胞内に存在する。
【0043】
「インタクト」抗体とは、抗原結合部位、並びに定常ドメイン(constant domain、CL)並びに少なくとも重鎖定常領域CH1、CH2及びCH3を含むものである。定常領域には、ヒト定常領域又はそのアミノ酸配列の変異体が含まれ得る。特定の実施形態では、インタクト抗体は、1つ又は2つ以上のエフェクター機能を有する。
【0044】
「結合」又は「結合すること」という用語は、例えば、複合体を形成することを含む分子間の相互作用を指す。相互作用は、例えば、水素結合、イオン結合、疎水性相互作用、及び/又はファンデルワールス相互作用を含む非共有相互作用であり得る。複合体には、共有結合若しくは非共有結合、相互作用、又は力によって一緒に保持された2つ又は3つ以上の分子の結合も含まれ得る。抗体の単一の抗原結合部位と、抗原などの標的分子の単一のエピトープとの間の非共有相互作用全体の強さが、そのエピトープに対する抗体又は機能的フラグメントの親和性である。一価の抗原に対する結合分子(例えば、抗体)の解離速度(koff)と会合速度(kon)との比(koff/kon)は、解離定数Kであり、親和性とは逆の関係にある。K値が低いほど、抗体の親和性は高くなる。Kの値は、抗体及び抗原の異なる複合体によって様々であり、kon及びkoffの両方に依存する。本明細書において提供される抗体の解離定数Kは、本明細書で提供されている任意の方法、又は当業者に周知である任意の他の方法を使用して決定することができる。1つの結合部位での親和性は、必ずしも抗体と抗原との間の相互作用の真の強さを反映するものではない。多価抗原などの複数の繰り返し抗原決定基を含有する複雑な抗原が、複数の結合部位を含む抗体と接触した場合、ある部位での抗体の抗原との相互作用は、第2部位での反応の確率を増加させるであろう。そのような多価抗体と抗原との間の複数の相互作用の強さは、親和力と呼ばれる。
【0045】
本明細書に記載されている抗体に関連して、「に結合する」、「に特異的に結合する」などの用語、及び類似の用語も本明細書では互換的に使用され、ポリペプチドなどの抗原に特異的に結合する抗原結合ドメインの抗体を指す。抗原に結合するか、又は抗原に特異的に結合する抗体又は抗原結合ドメインは、関連する抗原と交差反応し得る。特定の実施形態では、抗原に結合するか、又は抗原に特異的に結合する抗体又は抗原結合ドメインは、他の抗原と交差反応しない。抗原に結合するか、又は抗原に特異的に結合する抗体又は抗原結合ドメインは、例えば、イムノアッセイ、Octet(登録商標)、Biacore(登録商標)、又は当業者に知られている他の技術によって同定することができる。いくつかの実施形態では、抗体又は抗原結合ドメインは、ラジオイムノアッセイ(radioimmunoassay、RIA)及び酵素結合免疫吸着アッセイ(enzyme linked immunosorbent assay、ELISA)などの実験技術を使用して決定される任意の交差反応性抗原よりも高い親和性で抗原に結合する場合、抗原に結合するか、又は抗原に特異的に結合する。典型的には、特異的又は選択的な反応は、バックグラウンドのシグナル又はノイズの少なくとも2倍であり、バックグラウンドの10倍を超える場合がある。結合特異性に関する考察については、例えば、Fundamental Immunology 332-36(Paul,ed.,2d ed.1989)を参照。特定の実施形態では、「非標的」タンパク質に対する抗体又は抗原結合ドメインの結合の程度は、例えば、蛍光活性化細胞選別(fluorescence activated cell sorting、FACS)分析又はRIAによって決定される、その特定の標的抗原に対する抗体又は抗原結合ドメインの結合の約10%未満である。「特異的結合」、「に特異的に結合する」、又は「に特異的な」などの用語に関しては、結合は、非特異的な相互作用とは測定可能に異なる結合を意味する。特異的結合は、例えば、概ね結合活性を有していない類似構造の分子である対照分子の結合と比較して、分子の結合を決定することによって測定することができる。例えば、特異的結合は、標的に類似した対照分子、例えば、過剰な非標識標的との競合によって決定することができる。この場合、標識標的のプローブへの結合が、過剰な非標識標的によって競合的に阻害される場合、特異的結合が示される。抗原に結合する抗体又は抗原結合ドメインには、その抗体が、例えば、抗原を標的とした診断薬又は治療薬として有用であるように、十分な親和性で抗原に結合することが可能なものが含まれる。特定の実施形態では、抗原に結合する抗体又は抗原結合ドメインは、1000nM、800nM、500nM、250nM、100nM、50nM、10nM、5nM、4nM、3nM、2nM、1nM、0.9nM、0.8nM、0.7nM、0.6nM、0.5nM、0.4nM、0.3nM、0.2nM、又は0.1nM以下の解離定数(K)を有する。特定の実施形態では、抗体又は抗原結合ドメインは、異なる種に由来する抗原間(例えば、ヒトとカニクイザル種との間)で保存されている抗原のエピトープに結合する。
【0046】
「結合親和性」とは、概して、分子の単一の結合部位(例えば、抗体などの結合タンパク質)と、その結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有相互作用の総和の強さを指す。別段の記載がない限り、本明細書で使用されるとき、「結合親和性」とは、結合対(例えば、抗体及び抗原)のメンバー間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。結合分子Xのその結合パートナーYに対する親和性は、概ね解離定数(K)で表すことができる。親和性は、本明細書に記載されているものを含む、当該技術分野において既知である一般的な方法で測定することができる。低親和性抗体は、概ね抗原とゆっくり結合し、容易に解離する傾向があるが、高親和性抗体は、概ね抗原とより速く結合し、より長く結合を維持する傾向がある。結合親和性を測定する様々な方法が当該技術分野において既知であり、そのいずれもが本開示の目的のために使用することができる。具体的な例示的実施形態としては、以下のものが挙げられる。一実施形態では、「K」又は「K値」は、当該技術分野において既知であるアッセイによって、例えば、結合アッセイによって測定することができる。Kは、例えば、目的の抗体のFabバージョン及びその抗原を用いて行われるRIAで測定され得る(Chen,et al.,J.Mol Biol,1999,293:865-81)。また、K又はK値は、バイオレイヤー干渉法(biolayer interferometry、BLI)、又は、例えばOctet(登録商標)Red96システムを使用するOctet(登録商標)による、又は、例えばBiacore(登録商標)2000若しくはBiacore(登録商標)3000を使用するBiacore(登録商標)による表面プラズモン共鳴(surface plasmon resonance、SPR)アッセイを使用することによって、測定することができる。また、「オンレート」又は「会合の速度」又は「会合速度」又は「kon」は、例えば、Octet(登録商標)Red96、Biacore(登録商標)2000、又はBiacore(登録商標)3000システムを使用して、上述した同じバイオレイヤー干渉法(BLI)又は表面プラズモン共鳴(SPR)技術で決定することができる。
【0047】
特定の実施形態では、抗体は、重鎖及び/又は軽鎖の一部が、特定の種に由来するか、又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一又は相同である一方、鎖の残りの部分が、別の種に由来するか、又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一又は相同である、「キメラ」配列を含むことができるが、それらが所望の生物活性を示す場合に限る(米国特許第4,816,567号、及びMorrison,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1984,81:6851-55を参照)。
【0048】
特定の実施形態では、抗体は、ネイティブCDR残基が、所望の特異性、親和性、及び能力を有するマウス、ラット、ウサギ、又は非ヒト霊長類などの非ヒト種(例えば、ドナー抗体)の対応するCDRからの残基に置換されている、ヒト免疫グロブリン(例えば、レシピエント抗体)を含むキメラ抗体である、非ヒト(例えば、マウス)抗体の形態の「ヒト化」形態の部分を含み得る。場合によっては、ヒト免疫グロブリンの1つ以上のFR領域残基が、対応する非ヒト残基に置換される。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体又はドナー抗体で見出されない残基を含むことができる。これらの改変は、抗体の性能を更に改良するために行われる。ヒト化抗体の重鎖又は軽鎖は、CDRの全て又は実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FRの全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のものである、1つ以上の可変領域を含むことができる。特定の実施形態では、ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的には、ヒト免疫グロブリンの少なくとも一部分を含む。更なる詳細については、Jones,et al.,Nature,1986,321:522-25、Riechmann,et al.,Nature,1988,332:323-29、Presta,Curr.Op.Struct.Biol.,1992,2:593-96、Carter,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1992,89:4285-89、米国特許第6,800,738号、同第6,719,971号、同第6,639,055号、同第6,407,213号、及び同第6,054,297号を参照されたい。
【0049】
特定の実施形態では、抗体は、「完全ヒト抗体」又は「ヒト抗体」の一部を含むことができ、これらの用語は、本明細書で互換的に使用され、ヒト可変領域、及び、例えば、ヒト定常領域を含む、抗体を指す。具体的な実施形態では、これらの用語は、ヒト起源の可変領域及び定常領域を含む抗体を指す。「完全ヒト」抗体は、特定の実施形態では、ポリペプチドに結合し、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン核酸配列の天然に存在する体細胞変異体である核酸配列によってコードされる、抗体も包含することができる。「完全ヒト抗体」という用語には、Kabat et al.により記載されたようにヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に対応する可変領域及び定常領域を有する抗体が含まれる(Kabat,et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242を参照)。「ヒト抗体」とは、ヒトによって生成される抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有するもの、及び/又はヒト抗体を作製するための技術のうちのいずれかを使用して作製されたものである。このヒト抗体の定義では、具体的には、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を除外している。ヒト抗体は、当該技術分野で知られている様々な技術を使用して生成することができ、その中には、ファージ表示ライブラリー(Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,1991,227:381、Marks,et al.,1991,J.Mol.Biol.,1991,222:581)及び酵母表示ライブラリー(Chao,et al.,Nature Protocols,2006,1:755-68)が含まれる。また、ヒトモノクローナル抗体の調製には、Cole,et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy 77(1985)、Boerner,et al.,J.Immunol.,1991,147(1):86-95、及びvan Dijk and van de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol.,2001,5:368-74に記載されている方法も利用可能である。ヒト抗体は、抗原チャレンジに応答してそのような抗体を生成するように改変されているが、その内因性遺伝子座が無効化されているトランスジェニック動物、例えば、マウスに抗原を投与することによって調製することができる(例えば、Jakobovits,Curr.Opin.Biotechnol.,1995,6(5):561-66;Bruggemann and Taussing,Curr.Opin.Biotechnol.,1997,8(4):455-58、並びに、XENOマウス(商標)技術に関する米国特許第6,075,181号及び同第6,150,584号を参照)。また、例えば Li,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2006,103:3557-62(ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成されたヒト抗体に関する)も参照。
【0050】
特定の実施形態では、抗体は、「組み換えヒト抗体」の部分を含むことができ、この語句には、組み換え手段によって調製、発現、作成、若しくは単離されたヒト抗体、例えば、宿主細胞に遺伝子導入された組み換え発現ベクターを使用して発現された抗体、組み換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体、ヒト免疫グロブリン遺伝子のトランスジェニック及び/又はトランス染色体である動物(例えば、マウス又はウシ)から単離された抗体(例えば、Taylor,L.D.,et al.,Nucl.Acids Res.,1992 20:6287-6295)、又は、ヒト免疫グロブリン遺伝子配列を他のDNA配列にスプライシングすることを伴う任意の他の手段によって調製、発現、作成、若しくは単離された抗体が含まれる。そのような組み換えヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を有することができる(Kabat,E.A.,et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242を参照)。しかしながら、特定の実施形態では、そのような組み換えヒト抗体は、インビトロ変異誘発(又は、ヒトIg配列のトランスジェニックである動物を使用する場合は、インビボ体細胞変異誘発)を受けており、したがって、組み換え抗体のVH及びVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系列のVH配列及VL配列に由来し、関連しているが、インビボでのヒト抗体生殖細胞系列レパートリ内に天然には存在しない場合がある配列である。
【0051】
特定の実施形態では、抗体は、「モノクローナル抗体」の一部を含むことができ、本明細書で使用されるこの用語は、実質的に均質な抗体の集団から得られた抗体を指し、例えば、集団を含む個々の抗体は、微量で存在し得る天然に存在する起こり得る変異を除いて同一であり、各モノクローナル抗体は、典型的には、抗原上の単一のエピトープを認識する。具体的な実施形態では、本明細書で使用される「モノクローナル抗体」とは、単一のハイブリドーマ又は他の細胞によって生成される抗体である。「モノクローナル」という用語は、抗体を作製するための特定の方法に限定されるものではない。例えば、本開示で有用なモノクローナル抗体は、Kohler et al.,1975,Nature 256:495によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって調製され得るか、又は細菌若しくは真核動物若しくは植物細胞で組み換えDNA法を使用して作製され得る(例えば、米国特許第4,816,567号を参照)。また、「モノクローナル抗体」は、例えば、Clackson,et al.,Nature,1991,352:624-28及びMarks,et al.,J.Mol.Biol.,1991,222:581-97に記載されている技術を使用して、ファージ抗体ライブラリーから単離され得る。クローン細胞株及びそれによって発現するモノクローナル抗体を調製するための他の方法は、当該技術分野で周知である。例えば、Short Protocols in Molecular Biology(Ausubel et al.eds.,5th ed.2002)を参照。
【0052】
典型的な4鎖抗体ユニットは、2本の同一の軽鎖(L)及び2本の同一の重鎖(H)で構成されるヘテロ4量体糖タンパク質である。IgGの場合、4鎖ユニットは、概ね約150,000ダルトンである。各L鎖は、1つの共有ジスルフィド結合でH鎖によって連結され、一方、2つのH鎖は、H鎖のアイソタイプに応じて1つ以上のジスルフィド結合によって互いに連結される。また、各H鎖及びL鎖は、規則的間隔の鎖内ジスルフィド架橋を有する。各H鎖は、N末端に可変ドメイン(variable domain、VH)に続いて、α鎖及びγ鎖の各々に3つの定常ドメイン(constant domain、CH)並びに、μ及びεのアイソタイプには4つのCHドメインを有する。各L鎖は、N末端に可変ドメイン(variable domain、VL)に続いて、もう一方の末端に定常ドメイン(CL)を有する。VLは、VHとアラインメントし、CLは、重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)とアラインメントしている。特定のアミノ酸残基が、軽鎖及び重鎖の可変ドメイン間の界面を形成すると考えられる。VH及びVLの対合は、単一の抗原結合部位を共に形成する。異なるクラスの抗体の構造及び特性については、例えば、Basic and Clinical Immunology 71(Stites,et al.eds.,8th ed.1994)、及びImmunobiology(Janeway,et al.eds.,5th ed.2001)を参照。
【0053】
本明細書で使用される「コアフコース」、「コアフコース残基」、「フコース」、又は「フコース残基」は、Asn297連結N-オリゴ糖の最初のGlcNAcへのα1,6-連結内のフコース残基を指す。Ferrara et al.,Proc Natl Acad Sci U S A,2011,108:12669-74。「コアフコース」、「コアフコース残基」、「フコース」、及び「フコース残基」は、本開示において互換的に使用される。
【0054】
「Fab」又は「Fab領域」という用語は、抗原に結合する抗体領域を指す。従来のIgGは通常、2つのFab領域を含み、各々がY字型IgG構造の2つのアームのうちの1つに存在する。各Fab領域は、典型的には、重鎖及び軽鎖の各々の1つの可変領域及び1つの定常領域で構成されている。より具体的には、Fab領域における重鎖の可変領域及び定常領域は、VH及びCH1領域であり、Fab領域における軽鎖の可変領域及び定常領域は、VL及びCL領域である。Fab領域におけるVH、CH1、VL、及びCLは、本開示に従って抗原結合能力を付与するために様々な方式で配置することができる。例えば、VH領域及びCH1領域は、1つのポリペプチド上にあり、VL領域及びCL領域は、従来のIgGのFab領域と同様に、別個のポリペプチド上にあり得る。代替的に、VH領域、CH1領域、VL領域、CL領域は全て、同じポリペプチド上に存在し、以下のセクションでより詳細に記載されるように、異なる順序で配向することができる。
【0055】
「可変領域」、「可変ドメイン」、「V領域」、又は「Vドメイン」という用語は、軽鎖又は重鎖のアミノ末端に概ね位置し、重鎖では約120~130アミノ酸、軽鎖では約100~110アミノ酸の長さを有する抗体の軽鎖又は重鎖の一部を指し、各特定の抗体のその特定の抗原に対する結合及び特異性に使用される。重鎖の可変領域は、「VH」と称され得る。軽鎖の可変領域は、「VL」と称され得る。「可変」という用語は、可変領域の特定のセグメントが、抗体間で配列が大きく異なることを指す。V領域は、抗原の結合を媒介し、特定の抗原に対する特定の抗体の特異性を決定する。しかしながら、可変領域の110アミノ酸のスパン全体では、その可変性は均一ではない。代わりに、V領域は、各々が約9~12アミノ酸の長さである「超可変領域」と呼ばれるより大きな可変性(例えば、極端な可変性)のより短い領域によって分離された、約15~30アミノ酸のフレームワーク領域(framework region、FR)と呼ばれるより可変性の低い(例えば、比較的不変の)ストレッチからなる。重鎖及び軽鎖の可変領域は各々4つのFRを含み、大部分はβシート構造をとり、3つの超可変領域によって接続され、βシート構造を接続するループを形成し、場合によってはβシート構造の一部を形成する。各鎖内の超可変領域は、FRによって共に近接して保持され、他の鎖の超可変領域と共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与している(例えば、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest(5th ed.1991)を参照)。定常領域は、抗原への抗体の結合に直接関与しないが、ADCC及びCDCにおける抗体の関与などの様々なエフェクター機能を示す。可変領域は、異なる抗体間で配列が大きく異なる。具体的な実施形態では、可変領域は、ヒト可変領域である。
【0056】
「Kabatによる可変領域残基番号付け」又は「Kabatにあるようなアミノ酸位置番号付け」という用語、及びその変形は、Kabat et al.(上記)の抗体の編集物の重鎖可変領域又は軽鎖可変領域に使用される番号付けシステムを指す。この番号付けシステムを使用して、実際の直鎖状アミノ酸配列は、可変ドメインのFR若しくはCDRの短縮又はこれらへの挿入に対応する、より少ない又は追加のアミノ酸を含み得る。例えば、重鎖可変ドメインは、残基52の後に単一のアミノ酸挿入(Kabatによる残基52a)と、残基82の後に3つの挿入された残基(例えば、Kabatによる残基82a、82b、及び82cなど)とを含み得る。残基のKabat番号付けは、所与の抗体に対して、その抗体の配列と「標準」Kabat番号付け配列とを相同領域でアライメントすることにより、決定することができる。Kabat番号付けシステムは、可変ドメインの残基(軽鎖の約1~107残基、重鎖の約1~113残基)を参照する際に概ね使用される(例えば、上記のKabat et al.)。「EU番号付けシステム」又は「EUインデックス」は、免疫グロブリン重鎖定常領域内の残基に言及する際に概ね使用される(例えば、上記のKabat et al.で報告されているEUインデックス)。「KabatにあるようなEUインデックス」は、ヒトIgG1 EU抗体の残基番号付けを指す。他の番号付けシステムは、例えば、AbM、Chothia、Contact、IMGT、及びAHonによって記載されている。
【0057】
抗体に関して使用される場合の「重鎖」という用語は、約50~70kDaのポリペプチド鎖であって、アミノ末端部分が約120~130個以上のアミノ酸の可変領域を含み、カルボキシ末端部分が定常領域を含むものを指す。定常領域は、重鎖定常領域のアミノ酸配列に基づいて、アルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)、及びミュー(μ)と称される5つの明確に異なるタイプ(例えば、アイソタイプ)のうちの1つであり得る。明確に異なる重鎖の大きさは異なり、α、δ、及びγは約450個のアミノ酸を含み、一方、μ及びεは約550個のアミノ酸を含む。軽鎖と組み合わせられると、これらの明確に異なるタイプの重鎖は、それぞれ5つの周知のクラス(アイソタイプなど)の抗体、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM(IgGの4つのサブクラス、すなわち、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4も含まれる)を生じさせる。
【0058】
抗体に関して使用される場合の「軽鎖」という用語は、約25kDaのポリペプチド鎖であって、アミノ末端部分が約100~約110個以上のアミノ酸の可変領域を含み、カルボキシ末端部分が定常領域を含むものを指す。軽鎖のおおよその長さは、211~217アミノ酸である。定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)又はラムダ(λ)と称される2つの異なるタイプがある。
【0059】
本明細書で使用される場合、「超可変領域」、「hypervariable region、HVR」、「相補性決定領域」、及び「Complementarity Determining Region、CDR」という用語は、互換的に使用される。「CDR」は、免疫グロブリン(Ig又は抗体)VH β-シートフレームワークの非フレームワーク領域内の3つの超可変領域のうちの1つ(H1、H2、若しくはH3)、又は抗体VL β-シートフレームワークの非フレームワーク領域内の3つの超可変領域のうちの1つ(L1、L2、若しくはL3)を指す。したがって、CDRは、フレームワーク領域配列内に散在する可変領域配列である。
【0060】
CDR領域は、当業者に周知であり、周知の番号付けシステムによって定義されている。例えば、Kabat相補性決定領域(CDR)は、配列の可変性に基づいており、最も一般的に使用されている(例えば、Kabat et al.(上記)を参照)。Chothiaは、それに代えて、構造ループの位置を指す(例えば、Chothia及びLesk、J.Mol.Biol.、1987、196:901-17を参照)。Kabat付番規則を使用して付番されたときのChothia CDR-H1ループの末端は、ループの長さに応じてH32からH34まで変化する(これは、Kabat付番スキームが、H35A及びH35Bに挿入を配置するためであり、35Aも35Bも存在しない場合、ループは32で終わり、35Aのみが存在する場合、ループは33で終わり、35A及び35Bの両方が存在する場合、ループは34で終わる)。AbM超可変領域は、Kabat CDRとChothia構造ループとの間の妥協案を表し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用されている(例えばAntibody Engineering Vol.2(Kontermann and Dubel,eds.,2d ed.2010)を参照)。「contact」超可変領域は、利用可能な複合結晶構造の分析に基づく。開発され、広く採用されている別の世界共通の番号付けシステムは、ImMunoGeneTics(IMGT)Information System(登録商標)である(Lafranc,et al.,Dev.Comp.Immunol.,2003,27(1):55-77)。IMGTは、免疫グロブリン(immunoglobulin、IG)、T細胞受容体(T cell receptor、TCR)、並びにヒト及び他の脊椎動物の主要組織適合性複合体(major histocompatibility complex、MHC)専門の統合情報システムである。本明細書において、CDRは、アミノ酸配列と、軽鎖又は重鎖内の位置との両方の観点において言及される。免疫グロブリン可変ドメインの構造内のCDRの「位置」は、種の間で保存され、ループと称される構造に存在するため、可変ドメイン配列を構造的特徴に従ってアラインメントする番号付けシステムを使用することにより、CDR及びフレームワーク残基は容易に同定される。この情報は、1つの種の免疫グロブリンからのCDR残基を、典型的にはヒト抗体からのアクセプタフレームワーク内に移植及び置換することに使用され得る。Honegger and Pluckthun,J.Mol.Biol.,2001,309:657-70によって、追加の番号付けシステム(AHon)が開発されている。例えば、Kaba番号付け及びIMGT固有の番号付けシステムを含む番号付けシステム間の対応関係は、当業者に周知である(例えば、Kabat(上記)、Chothia及びLesk(上記)、Martin(上記)、Lefranc et al.(上記)を参照)。これらの超可変領域又はCDRの各々の残基を以下に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
所与のCDRの境界は、同定に使用されるスキームに応じて異なり得る。したがって、特に明記しない限り、可変領域などの所与の抗体又はその領域の「CDR」及び「相補性決定領域」という用語、並びに抗体又はその領域の個々のCDR(例えば、「CDR-H1、CDR-H2」)は、本明細書で上述した既知のスキームのうちのいずれかによって定義される相補性決定領域を包含すると理解されるべきである。場合によっては、Kabat、Chothia、又はContact法で定義されたCDRなど、特定のCDR又は複数のCDRの同定のためのスキームが指定されている。他の場合には、CDRの特定のアミノ酸配列が挙げられる。
【0063】
超可変領域は、次のような「拡張超可変領域」を含み得る:VL内の24~36又は24~34(L1)、46~56又は50~56(L2)、及び89~97又は89~96(L3)、並びにVH内の26~35又は26~35A(H1)、50~65又は49~65(H2)、及び93~102、94~102、又は95~102(H3)。
【0064】
用語「定常領域」又は「定常ドメイン」は、抗原に対する抗体の結合に直接関与しないが、Fc受容体との相互作用などの様々なエフェクター機能を示す軽鎖及び重鎖のカルボキシ末端部分を指す。この用語は、抗原結合部位を含む可変領域である免疫グロブリンの他の部分と比較してより保存されたアミノ酸配列を有する免疫グロブリン分子の部分を指す。定常領域は、重鎖のCH1、CH2、及びCH3領域、並びに軽鎖のCL領域を含み得る。
【0065】
「フレームワーク」又は「FR」という用語は、CDRに隣接する可変領域の残基を指す。FR残基は、例えば、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、ドメイン抗体、ダイアボディ、直鎖抗体、及び二重特異性抗体中に存在する。FR残基は、超可変領域残基又はCDR残基以外の可変ドメイン残基である。典型的には、VH領域及びVL領域の各々に4つのFR領域がある。VHにおけるFR領域は、VH FR1、VH FR2、VH FR3、及びVH FR4(又はFR H1、FR H2、FR H3及びFR H4)である。VLにおけるFR領域は、VL FR1、VL FR2、VL FR3及びVL FR4(又はFR L1、FR L2、FR L3及びFR L4)である。
【0066】
本明細書において、「Fc領域」という用語は、例えば、天然配列Fc領域、組み換えFc領域、及び変異体Fc領域を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は様々であり得るが、ヒトIgG重鎖のFc領域は、Cys226位のアミノ酸残基、又はPro230位のアミノ酸残基からカルボキシル末端まで伸びると定義されることが多い。Fc領域のC末端リジン(EUの番号付けシステムによる残基447)は、例えば、抗体の生成若しくは精製中に、又は抗体の重鎖をコードする核酸を組み換え操作することによって除去され得る。したがって、インタクト抗体の組成物は、全てのK447残基が除去された抗体集団、K447残基が除去されていない抗体集団、及びK447残基のある抗体とない抗体との混合物を有する抗体集団を含み得る。「機能的Fc領域」は、天然配列Fc領域の「エフェクター機能」を有する。例示的な「エフェクター機能」には、C1q結合、CDC、Fc受容体結合、ADCC、貪食作用、細胞表面の受容体(例えば、B細胞受容体)のダウンレギュレーションなどが含まれる。そのようなエフェクター機能は、概ね、Fc領域が結合領域又は結合ドメイン(例えば、抗体可変領域又はドメイン)と組み合わせられることを必要とし、当業者に知られている様々なアッセイを使用して評価することができる。「変異体Fc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸改変(例えば、置換、付加、又は欠失)により、天然配列Fc領域のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、変異体Fc領域は、天然配列Fc領域又は親ポリペプチドのFc領域と比較して、少なくとも1つのアミノ酸置換を有しており、例えば、天然配列Fc領域又は親ポリペプチドのFc領域において、約1~約10個のアミノ酸置換、又は約1~約5個のアミノ酸置換を有する。本明細書の変異体Fc領域は、天然配列Fc領域及び/又は親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約80%の相同性、又はそれと少なくとも約90%の相同性、例えば、それと少なくとも約95%の相同性を有し得る。
【0067】
抗原又は抗体に関して使用される場合、「変異体」という用語は、天然又は未改変の配列と比較して、1つ以上(例えば、約1~約25、約1~約20、約1~約15、約1~約10、又は約1~約5)のアミノ酸配列置換、欠失、及び/又は付加を含むペプチド又はポリペプチドを指し得る。例えば、CD37変異体は、天然CD37のアミノ酸配列に対する1つ又は2つ以上(例えば、約1~約25、約1~約20、約1~約15、約1~約10、又は約1~約5)の変更から生じ得る。また、例として、抗CD37抗体の変異体は、天然又は以前に未修飾の抗CD37抗体のアミノ酸配列に対する1つ又は2つ以上(例えば、約1~約25、約1~約20、約1~約15、約1~約10、又は約1~約5)の変更から生じ得る。変異体は、対立遺伝子変異型若しくはスプライシング変異体などの天然に存在し得るか、又は人工的に構築され得る。ポリペプチド変異体は、変異体をコードする対応する核酸分子から調製され得る。具体的な実施形態では、CD37変異体又は抗CD37抗体変異体は、それぞれCD37又は抗CD37抗体の機能活性を少なくとも保持する。具体的な実施形態では、抗CD37抗体変異体は、CD37に結合し、及び/又はCD37活性に拮抗的である。特定の実施形態では、変異体は、CD37又は抗CD37抗体VH又はVL領域若しくはサブ領域、例えば、1つ又は2つ以上のCDRをコードする核酸分子の一塩基多型(single nucleotide polymorphism、SNP)変異体によってコードされる。
【0068】
「同一性」という用語は、配列をアラインメント及び比較することによって決定される、2つ以上のポリペプチド分子又は2つ以上の核酸分子の配列間の関係を指す。参照ポリペプチド配列に対する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、最大配列同一性パーセントを達成するように、配列同一性の一部としていずれの保存的置換も考慮することなく、配列をアラインメントし、必要に応じてギャップを導入した後の、参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基の百分率として定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のためのアライメントは、当該技術分野における技能の範囲内である様々な方法、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、又はMEGALIGN(DNAStar,Inc.)ソフトウェアなどの公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列をアラインメントするための適切なパラメータを決定することができる。
【0069】
アミノ酸残基/位置の「改変」とは、出発アミノ酸配列と比較した一次アミノ酸配列の変化を指し、変化は、当該アミノ酸残基/位置を伴う配列変化から生じる。例えば、典型的な改変には、残基の別のアミノ酸による置換(例えば、保存的置換又は非保存的置換)、当該残基/位置に隣接する1つ以上(例えば、一般的には5個、4個、又は3個未満)のアミノ酸の挿入、及び/又は当該残基/位置欠失が含まれる。
【0070】
本明細書中で使用される場合、「エピトープ」とは、当該技術分野の用語であり、抗体が特異的に結合することができる抗原の局在領域を指す。エピトープは、線状エピトープ又は立体構造エピトープ、非線状エピトープ、又は不連続エピトープであり得る。ポリペプチド抗原の場合、例えば、エピトープは、ポリペプチドの連続したアミノ酸(「線状」エピトープ)であり得るか、又はエピトープは、ポリペプチドの2つ又は3つ以上の非連続領域からのアミノ酸(「立体構造」、「非線状」、又は「不連続」エピトープ)を含み得る。概ね、線状エピトープは、二次、三次、又は四次構造に依存する場合もあれば、依存しない場合もあることが当業者によって理解されるであろう。例えば、いくつかの実施形態では、抗体は、アミノ酸が天然の三次元タンパク質構造に折り畳まれているかどうかにかかわらず、アミノ酸の群に結合する。他の実施形態では、抗体は、エピトープを認識して結合するために、エピトープを構成するアミノ酸残基が特定の立体構造(例えば、屈曲、ねじれ、回転、又はフォールディング)を示すことを必要とする。
【0071】
「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」という用語は、本明細書では互換的に使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指す。ポリマーは、直鎖又は分岐鎖であってもよく、改変されたアミノ酸を含んでもよく、非アミノ酸により中断されてもよい。この用語はまた、天然に修飾されているか、又は介入によって修飾されているアミノ酸ポリマー、介入の例としては、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、又は任意の他の操作若しくは改変がある。また、定義には、例えば、非天然アミノ酸を含むがこれらに限定されない、アミノ酸の1つ以上の類似体を含むポリペプチド、並びに当該技術分野で知られている他の改変も含まれる。本開示のポリペプチドは、抗体又は免疫グロブリンスーパーファミリーの他のメンバーに基づき得るため、特定の実施形態では、「ポリペプチド」は、一本鎖として、又は2つ以上の関連鎖として生じ得ることが理解される。
【0072】
「ベクター」という用語は、核酸配列を宿主細胞に導入するために、例えば、本明細書に記載されている抗体をコードする核酸配列などの核酸配列を運ぶ又は含むために使用される物質を指す。使用に適用可能なベクターには、例えば、発現ベクター、プラスミド、ファージベクター、ウイルスベクター、エピソーム、及び人工染色体が含まれ、これらは、宿主細胞の染色体に安定的に組み込むことができる動作可能な選択配列又はマーカーを含み得る。加えて、ベクターは、1つ以上の選択可能マーカー遺伝子及び適切な発現制御配列を含み得る。含めることができる選択マーカー遺伝子は、例えば、抗生物質又は毒素への耐性を提供し、補助栄養要求性の欠乏を補完し、又は培養液にない重要な栄養素を供給するものである。発現制御配列は、当該技術分野で周知である構成的及び誘導性プロモーター、転写エンハンサー、転写ターミネーターなどを含み得る。2つ以上の核酸分子を共発現させる場合(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖の両方、又は抗体VH及びVL)、両方の核酸分子は、例えば、単一の発現ベクター又は別個の発現ベクターに挿入され得る。単一ベクターでの発現の場合、コード核酸は、1つの共通の発現制御配列に動作可能に連結されるか、又は1つの誘導性プロモーター及び1つの構成的プロモーターなどの異なる発現制御配列に連結され得る。宿主細胞への核酸分子の導入は、当該技術分野で周知である方法を使用して確認することができる。そのような方法としては、例えば、ノーザンブロット又はポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction、PCR)によるmRNAの増幅などの核酸分析、遺伝子産物の発現のための免疫ブロッティング、又は導入した核酸配列若しくはその対応する遺伝子産物の発現を試験するための他の好適な分析方法が挙げられる。当業者は、核酸分子が所望の産物を生成するのに十分な量で発現されることを理解しており、更に、当業者に周知である方法を使用して十分な発現を得るために発現レベルを最適化することができることを理解している。
【0073】
本明細書で使用する「宿主」という用語は、哺乳動物(例えば、ヒト)などの動物を指す。
【0074】
本明細書で使用される「宿主細胞」という用語は、核酸分子を遺伝子導入され得る特定の対象細胞、及びそのような細胞の子孫又は潜在的な子孫を指す。そのような細胞の子孫は、核酸分子で遺伝子導入された親細胞とは、宿主細胞ゲノムへの核酸分子の後続の生成又は集積において生じ得る、変異又は環境からの影響により、同一ではないことがある。
【0075】
「単離核酸」とは、核酸、例えば、RNA、DNA、又は混合核酸であり、他のゲノムDNA配列、並びに天然配列に天然に会合するリボソーム及びポリメラーゼなどのタンパク質又は複合体から実質的に分離されたものである。「単離」核酸分子とは、核酸分子の天然の供給源に存在する他の核酸分子から分離されたものである。更に、cDNA分子などの「単離」核酸分子は、組み換え技術によって製造された場合には、他の細胞材料又は培養液を実質的に含まなくてもよく、化学合成された場合には、化学前駆体又は他の化学物質を実質的に含まなくてもよい。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体をコードする1つ以上の核酸分子が単離又は精製される。この用語は、天然に存在する環境から取り出された核酸配列を包含し、組み換え又はクローン化されたDNA単離物、及び化学的に合成された類似体、又は異種系によって生物学的に合成された類似体を含む。実質的に純粋な分子には、その分子の単離形態が含まれることがある。
【0076】
「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド」又は「核酸」は、本明細書で互換的に使用される場合、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNA及びRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、改変ヌクレオチド又は塩基、及び/又はそれらの類似体、又はDNA又はRNAポリメラーゼによって、又は合成反応によってポリマーに組み込むことができる任意の基質であり得る。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びその類似体などの改変ヌクレオチドを含み得る。本明細書で使用される「オリゴヌクレオチド」は、長さが約200ヌクレオチド未満であるが、概して必ずしも必須ではなく、短く、概ね一本鎖の合成ポリヌクレオチドを指す。「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、相互に排他的なものではない。ポリヌクレオチドに関する上記の説明は、オリゴヌクレオチドにも同様に完全に適用できる。本開示の抗体を生成する細胞には、親ハイブリドーマ細胞、並びに抗体をコードする核酸が導入された細菌及び真核宿主細胞が挙げられ得る。特に指定のない限り、本明細書で開示されている任意の一本鎖ポリヌクレオチド配列の左端は、5’末端である。二本鎖ポリヌクレオチド配列の左方向は、5’方向と称される。新生RNA転写物の5’から3’への付加の方向は、転写方向と称される。RNA転写物の5’から5’末端にあるRNA転写物と同じ配列を有するDNA鎖上の配列領域は、「上流配列」と称され、RNA転写物の3’から3’末端にあるRNA転写物と同じ配列を有するDNA鎖上の配列領域は、「下流配列」と称される。
【0077】
本明細書で使用される「医薬的に許容される」という用語は、動物における使用について、より具体的にはヒトにおける使用について、連邦政府又は州政府の規制機関によって承認されているか、又は米国薬局方、欧州薬局方、若しくは他の一般的に認められている薬局方に列挙されていることを意味する。
【0078】
「賦形剤」とは、液体又は固体の充填剤、希釈剤、溶媒、カプセル化材料などの、医薬的に許容される材料、組成物、又はビヒクルを指す。賦形剤としては、例えば、吸収促進剤、抗酸化剤、バインダー、緩衝剤、担体、コーティング剤、着色剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、拡張剤、充填剤、香味剤、湿潤剤、潤滑剤、香料、防腐剤、推進剤、放出剤、殺菌剤、甘味料、可溶化剤、湿潤剤及びこれらの混合物などのカプセル化材料又は添加剤が挙げられる。また、「賦形剤」という用語は、希釈剤、アジュバント(例えば、フロイントアジュバント(完全又は不完全))又はビヒクルを指すことができる。
【0079】
いくつかの実施形態では、賦形剤は、医薬的に許容される賦形剤である。医薬的に許容される賦形剤の例としては、リン酸塩、クエン酸塩、及びその他の有機酸などの緩衝剤、アスコルビン酸を含む抗酸化剤、低分子量(例えば、約10アミノ酸残基未満)のポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリンなどのタンパク質、ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、又はリジンなどのアミノ酸、単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、又はデキストリンを含むその他の炭水化物、EDTAなどのキレート剤、マンニトール又はソルビトールなどの糖アルコール、ナトリウムなどの塩形成対イオン、並びに/又はTWEEN(商標)、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)、及びPLURONICS(商標)などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。医薬的に許容される賦形剤の他の例は、Remington and Gennaro,Remington’s Pharmaceutical Sciences(18th ed.1990)に記載されている。
【0080】
一実施形態では、各成分は、医薬製剤の他の成分と適合性があるという意味で「医薬的に許容される」ものであり、過度の毒性、刺激性、アレルギー反応、免疫原性、又はその他の問題又は合併症がなく、妥当な利点/リスク比に見合って、ヒト及び動物の組織又は器官と接触して使用するために好適である。例えば、Lippincott Williams & Wilkins:Philadelphia,PA,2005、Handbook of Pharmaceutical Excipients,6th ed.、Rowe et al.,Eds.、The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association:2009、Handbook of Pharmaceutical Additives,3rd ed.、Ash and Ash Eds.、Gower Publishing Company:2007、Pharmaceutical Preformulation and Formulation,2nd ed.、Gibson Ed.、CRC Press LLC:Boca Raton,FL,2009を参照。いくつかの実施形態では、医薬的に許容される賦形剤は、採用される用量及び濃度で、それに曝露される細胞又は哺乳動物に対して非毒性である。いくつかの実施形態では、医薬的に許容される賦形剤は、pH緩衝水溶液である。
【0081】
いくつかの実施形態では、賦形剤は、水、及び石油、動物、植物、又は合成物由来のものを含む油、例えば、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの無菌液体であってもよい。水は、組成物(例えば、医薬組成物)が静脈内投与される場合の例示的な賦形剤である。生理食塩水並びに水性デキストロース及びグリセロール溶液も、特に注射溶液用の液体賦形剤として採用され得る。賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリン、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセリン、プロピレン、グリコール、水、エタノールなども挙げることができる。必要に応じて、組成物は、少量の湿潤剤若しくは乳化剤、又はpH緩衝剤を更に含み得る。組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、徐放製剤などの形態を取り得る。製剤を含む経口組成物は、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準的な賦形剤を含み得る。
【0082】
医薬化合物を含む組成物は、例えば、単離又は精製された形の抗体を、好適な量の賦形剤と共に含み得る。
【0083】
本明細書で使用される「有効量」又は「治療有効量」という用語は、所望の結果をもたらすのに十分である、本明細書において提供される抗体又は医薬組成物の量を指す。
【0084】
「対象」及び「患者」という用語は、本明細書では互換的に使用することができる。本明細書で使用される場合、特定の実施形態では、対象は、非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラットなど)又は霊長類(例えば、サル及びヒト)などの哺乳動物である。具体的な実施形態では、対象は、ヒトである。一実施形態では、対象は、病態又は障害と診断された哺乳動物、例えば、ヒトである。別の実施形態では、対象は、病態又は障害を発症するリスクのある哺乳動物、例えば、ヒトである。
【0085】
「投与する」又は「投与」とは、本明細書に記載されているか、又は当該技術分野で知られている、粘膜、皮内、静脈内、筋肉内、皮下送達、及び/又は他の任意の物理的送達方法などによって、体外に存在する物質を患者に注射又は他の方法で物理的に送達する行為を指す。
【0086】
本明細書で使用される場合、「処置」、及び「治療/処置する」という用語は、1つ以上の治療法を投与することによって生じる、疾患又は病態の進行、重症度、及び/又は持続期間の減少又は寛解を指す。治療は、患者がまだ基礎疾患に罹患している場合があるにもかかわらず、患者に改善が観察されるように、基礎疾患と関連する1つ以上の症状の減少、軽減及び/又は緩和があったかどうかを評価することによって決定され得る。「治療すること」という用語は、疾患の管理及び寛解の両方を含む。「管理する」、「管理すること」、及び「管理」という用語は、対象が治療から得られる有益な効果を指し、必ずしも疾患の治癒をもたらすとは限らない。
【0087】
「予防する」、「予防すること」、及び「予防」という用語は、疾患、障害、病態、又は関連する症状の発症(又は再発)の可能性を低減することを指す。
【0088】
「約」及び「おおよそ」という用語は、所与の値又は範囲の20%以内、15%以内、10%以内、9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、1%以内、又はそれ未満を指す。
【0089】
本開示及び特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形を含む。
【0090】
実施形態が「含む」という用語で本明細書に記載される場合は常に、そうでなければ「からなる」及び/又は「から本質的になる」に関して記載される他の類似の実施形態もまた提供されることが理解される。実施形態が「から本質的になる」という語句で本明細書に記載される場合は常に、そうでなければ「からなる」に関して記載される類似の実施形態もまた提供されることも理解される。
【0091】
「AとBの間」又は「A~Bの間」などの語句で使用される「間」という用語は、A及びBの両方を含む範囲を指す。
【0092】
本明細書の「A及び/又はB」などの語句で使用される「及び/又は」という用語は、A及びBの両方、A又はB、A(単独)、及びB(単独)を含むことを意図している。同様に、「A、B、及び/又はC」などの語句で使用される「及び/又は」という用語は、以下の各実施形態:A、B、及びC、A、B、又はC、A又はC、A又はB、B又はC、A及びC、A及びB、B及びC、A(単独)、B(単独)、及びC(単独)を含むことを意図している。
【0093】
エフェクター機能が増強されたFc変異体
本明細書において提供される抗体は、Fc領域内の248位のリジン(K248)(EU番号付け)及び437位のスレオニン(T437)(EU番号付け)に変異を有する。
【0094】
248位のリジン(K248)(EU番号付け)及び437位のスレオニン(T437)(EU番号付け)は両方とも、異なるIgGサブタイプ間におけるFc領域中の保存された残基である(Zhang,D.,et al.、上記)。Fc変異であるT437R及びK248E(EU番号付け)は、細胞表面で抗原に結合する際に後退のオリゴマー化を促進し、増強されたエフェクター機能を有することが示された(Zhang,D.,et al.、上記)。T437R及びK248E二重変異(「RE変異」)は、用量依存的にCDC活性を保有しなかった野生型IgG1抗体にCDC活性を付与することが示された(Zhang,D.,et al.、上記)。
【0095】
「EU番号付け」又は「EUインデックス」は、一般に、免疫グロブリン重鎖定常領域の残基を指す場合に使用される。これは、ヒトIgG1 EU抗体の残基番号付けを指す。これは、抗体配列をEu抗体の配列とアライメントすることによって計算され(Edelman,G.M.,et al.,Proc Natl Acad Sci U S A,1969,63(1):78-85;Kabat,et al.、上記)、したがって、Eu抗体中の残基に相同である各残基は、Eu残基と同じ残基番号を有することになる。
【0096】
また、他のFc領域変異、例えば、S239D/I332E及びS239D/I332E/A330L(EU番号付け)を含む抗体は、FcγRへの増強した結合を介して大幅に増強されたADCCを示すことも示されている(Lazar,G.A.et al.,Proc Natl Acad Sci U S A,2006,103(11):4005-10)。
【0097】
バイパラトピック又は二重特異性抗体
一態様では、バイパラトピック又は二重特異性結合分子のFc領域にRE変異を有するバイパラトピック又は二重特異性結合分子(バイパラトピック又は二重特異性抗体など)が本明細書で提供される。以下に実証されるように、バイパラトピック又は二重特異性フォーマットとRE変異との組合せは、他の利点の中でも、RE変異単独と比較してCDC活性を更に増強する。
【0098】
CDC活性は、補体カスケードの活性化を必要とし、これは、標的細胞の表面と同一平面上にあるFc領域の六量体による補体成分C1qの活性化を必要とする。次いで、これには、細胞表面に近接した5つ又は6つの抗体分子の同時結合が必要である。Fc媒介抗体オリゴマー化の必要性のために、CDC活性は比較的高い標的受容体密度を必要とする。天然IgG抗体では、抗体-受容体結合の化学量論は、抗体濃度に応じて1:2~1:1で変化し得、前者はアビディティーのために非常に有利である。
【0099】
所与の数の細胞表面受容体に結合することができる抗体の数を最大化するために、本明細書で提供される抗体は、1:1の抗体-受容体結合化学量論を強制するバイパラトピック又は二重特異性抗体としてフォーマットされる。これにより、天然の二価IgGと比較して、所与の数の受容体を有する細胞の表面により多くのFc領域をもたらすことが可能になる。本明細書で提供されるバイパラトピック又は二重特異性抗体は、それらの天然の二価対応物よりも強力なCDC活性を有する。
【0100】
例えば、組み換えタンパク質のインビトロ発現を含む、当業者に公知の標準的な技術を使用して、抗体をバイパラトピック又は二重特異性抗体としてフォーマットすることができる。
【0101】
細胞表面での結合分子のオリゴマー化の増加(例えば、六量体化)及び/又はC1q係合の増加を介してCDC活性の更なる増強を与える限り、任意のバイパラトピック又は二重特異性抗体フォーマットを本構築物に適用することができる。
【0102】
いくつかの実施形態では、バイパラトピック又は二重特異性抗体は、第1のVH領域及び第1のVL領域、第1の単一ドメイン抗原結合断片、並びに/あるいは第1の操作された結合断片を含む第1の抗原結合ドメインと、第2のVH領域及び第2のVL領域、第2の単一ドメイン抗原結合断片、並びに/あるいは第2の操作された結合断片を含む第2の抗原結合ドメインと、を含み、第1の抗原結合ドメイン及び第2の抗原結合ドメインは、同じ抗原又は異なる抗原(複数可)の2つの異なるエピトープに結合する。
【0103】
いくつかの実施形態では、第1の抗原結合ドメイン及び第2の抗原結合ドメインの各々は、Fab断片、scFv、単一ドメイン抗原結合断片、又は操作された結合断片である。いくつかの実施形態では、第1の抗原結合ドメインはFab断片であり、第2の抗原結合ドメインはscFvである。いくつかの実施形態では、第1の抗原結合ドメインはFab断片であり、第2の抗原結合ドメインは単一ドメイン抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、第1の抗原結合ドメインはFab断片であり、第2の抗原結合ドメインは操作された結合断片である。いくつかの実施形態では、第1の抗原結合ドメインはscFvであり、第2の抗原結合ドメインは単一ドメイン抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、第1の抗原結合ドメインはscFvであり、第2の抗原結合ドメインは操作された結合断片である。いくつかの実施形態では、第1の抗原結合ドメインは単一ドメイン抗原結合断片であり、第2の抗原結合ドメインは操作された結合断片である。
【0104】
いくつかの実施形態では、バイパラトピック又は二重特異性抗体は、2つのFab及びFcドメインを含み、
第1のFabは抗原の第1のエピトープに結合し、第2のFabは抗原の第2のエピトープに結合し、バイパラトピック又は二重特異性抗体は2つの重鎖及び2つの軽鎖を含み、第1重鎖及び第1軽鎖は第1のFabを形成し、第2の重鎖及び第2の軽鎖は第2のFabを形成し、2つの重鎖のC末端は、Fcドメインを形成する。
【0105】
いくつかの実施形態では、バイパラトピック又は二重特異性抗体は、2つの一本鎖可変断片(scFv)及びFcドメインを含み、第1のscFvは抗原の第1のエピトープに結合し、第2のscFvは抗原の第2のエピトープに結合し、バイパラトピック又は二重特異性抗体は2つのポリペプチドを含み、第1のポリペプチドは、そのN末端に第1のscFvを含み、第2のポリペプチドは、そのN末端に第2のscFvを含み、2つのポリペプチドのC末端はFcドメインを形成する。
【0106】
いくつかの実施形態では、バイパラトピック又は二重特異性抗体は、2つの単一ドメイン抗原結合断片及びFcドメインを含む。第1の単一ドメイン抗原結合断片は抗原の第1のエピトープに結合し、第2の単一ドメイン抗原結合断片は抗原の第2のエピトープに結合し、バイパラトピック又は二重特異性抗体は2つのポリペプチドを含み、第1のポリペプチドは、そのN末端に第1の単一ドメイン抗原結合断片を含み、第2のポリペプチドは、そのN末端に第2の単一ドメイン抗原結合断片を含み、2つのポリペプチドのC末端はFcドメインを形成する。
【0107】
いくつかの実施形態では、バイパラトピック又は二重特異性抗体は、2つの操作された結合断片及びFcドメインを含み、第1の操作された結合断片は、抗原の第1のエピトープに結合し、第2の操作された結合断片は、抗原の第2のエピトープに結合し、バイパラトピック又は二重特異性抗体は、2つのポリペプチドを含み、ここで、第1のポリペプチドは、そのN末端に第1の操作された結合断片を含み、第2のポリペプチドは、そのN末端に第2の操作された結合断片を含み、2つのポリペプチドのC末端はFcドメインを形成する。
【0108】
いくつかの実施形態では、バイパラトピック又は二重特異性抗体は、Fab、一本鎖可変断片(scFv)及びFcドメインを含み、Fabは抗原の第1のエピトープに結合し、scFvは抗原の第2のエピトープに結合し、バイパラトピック又は二重特異性抗体は重鎖、軽鎖及びポリペプチドを含み、重鎖及び軽鎖はFabを形成し、ポリペプチドは、N末端にscFvを含み、C末端に重鎖と共にFcドメインを形成するドメインを含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、バイパラトピック又は二重特異性抗体は、Fab、単一ドメイン抗原結合断片及びFcドメインを含み、Fabは抗原の第1のエピトープに結合し、単一ドメイン抗原結合断片は抗原の第2のエピトープに結合し、バイパラトピック又は二重特異性抗体は重鎖、軽鎖及びポリペプチドを含み、重鎖及び軽鎖はFabを形成し、ポリペプチドは、N末端に単一ドメイン抗原結合断片を含み、C末端に、重鎖と共にFcドメインを形成するドメインを含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、バイパラトピック又は二重特異性抗体は、Fab、操作された結合断片及びFcドメインを含み、Fabは抗原の第1のエピトープに結合し、操作された結合断片は抗原の第2のエピトープに結合し、バイパラトピック又は二重特異性抗体は重鎖、軽鎖及びポリペプチドを含み、重鎖及び軽鎖はFabを形成し、ポリペプチドは、N末端に操作された結合断片を含み、C末端に、重鎖と共にFcドメインを形成するドメインを含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、バイパラトピック又は二重特異性抗体は、一本鎖可変断片(scFv)、単一ドメイン抗原結合断片及びFcドメインを含み、scFvは抗原の第1のエピトープに結合し、単一ドメイン抗原結合断片は抗原の第2のエピトープに結合し、バイパラトピック又は二重特異性抗体は2つのポリペプチドを含み、第1のポリペプチドは、そのN末端にscFvを含み、第2のポリペプチドは、そのN末端に単一ドメイン抗原結合断片を含み、2つのポリペプチドのC末端はFcドメインを形成する。
【0112】
いくつかの実施形態では、バイパラトピック又は二重特異性抗体は、一本鎖可変断片(scFv)、操作された結合断片及びFcドメインを含み、scFvは抗原の第1のエピトープに結合し、操作された結合断片は抗原の第2のエピトープに結合し、バイパラトピック又は二重特異性抗体は2つのポリペプチドを含み、第1のポリペプチドは、そのN末端にscFvを含み、第2のポリペプチドは、そのN末端に操作された結合断片を含み、2つのポリペプチドのC末端はFcドメインを形成する。
【0113】
いくつかの実施形態では、バイパラトピック又は二重特異性抗体は、単一ドメイン抗原結合断片、操作された結合断片及びFcドメインを含み、単一ドメイン抗原結合断片は抗原の第1のエピトープに結合し、操作された結合断片は抗原の第2のエピトープに結合し、バイパラトピック又は二重特異性抗体は2つのポリペプチドを含み、第1のポリペプチドは、そのN末端に単一ドメイン抗原結合断片を含み、第2のポリペプチドは、そのN末端に操作された結合断片を含み、2つのポリペプチドのC末端はFcドメインを形成する。
【0114】
低フコシル化
別の態様では、本明細書で提供されるバイパラトピック又は二重特異性結合分子は、結合分子のFc領域に共有結合したオリゴ糖中にフコースを含まない。別の態様では、結合分子のFc領域に共有結合したオリゴ糖の80%未満がフコースを含む、バイパラトピック又は二重特異性結合分子の集団が本明細書で提供される。
【0115】
抗体グリコシル化は、アスパラギン残基への結合(N-オリゴ糖)又はセリン/スレオニン残基への結合(O-オリゴ糖)の2タイプの共有結合を介した抗体へのオリゴ糖の添加を介して起こり得る翻訳後修飾のタイプであり(Alter,G.,et al.,Semin Immunol.,2018,39:102-10)、抗体の治療機能に多大な影響を与える(Walsh,G.and Jefferis,R.,Nat.Biotechnol.,2006,24:1241-52;Jefferis,R.,Nat.Rev.Drug Discov.,2009,8(3):226-34;Dalziel,M.,et al.,Science,2014,343(6166):1235681)。特に、全てのIgG抗体は、そのFc領域の保存されたAsn-297残基がグリコシル化される(Alter G.,et al.,上記)。
【0116】
Asn-297結合N-オリゴ糖は、保存された二分岐のコア構造からなり(Liu,L.,J Pharm Sci.,2015,104(6):1866-84)、これは、2つの共有結合したN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)残基からなり、更にマンノースに結合しており、マンノースは、1,3-及び1,6-分枝様式で2つの他のマンノース残基に結合している(Alter,G.,et al.,上記)。2つのガラクトースを含む追加の単糖、フコース、バイセクティングGlcNAc、及び2つのシアル酸(Alter,G.,et al.、上記)が、コア構造を伸長させてもよく、かなりの構造的及び機能的な不均一性を生じさせる(Jefferis,R.,Biochem J.,1990,268(3):529-37;Rudd,P.M.,Science,2001,291(5512):2370-6;Liu,L.、上記)。IgGのAsn-297連結N-オリゴ糖の少なくとも30の構造(グリコフォーム)が報告されている(Alter,G.,et al.、上記)。
【0117】
哺乳動物細胞で発現される抗体は、通常、80%を超えてフコシル化される(Kamoda,S.,et al.,J Chromatogr A.,2004,1050(2):211-6;Shinkawa,T.,et al.,J Biol Chem.,2003,278(5):3466-73)。例えば、正常なチャイニーズハムスター卵巣(Chinese Hamster Ovary、CHO)細胞及びHEK293細胞は、フコースをIgG抗体へのAsn-297連結N-オリゴ糖の80~98%に付加する(Shields,R.L.et al.,J Biol Chem.,2002,277(30):26733-40)。
【0118】
一態様では、そのFc領域に結合しているオリゴ糖中にフコースを有しておらず、かつFc領域内にRE変異を有する抗体が、本明細書において提供される。別の態様では、そのFc領域に結合しているオリゴ糖中にフコースを有しておらず、かつFc領域内にRE変異を有する抗体を含む抗体の集団が、本明細書において提供される。更に別の態様では、抗体の集団に共有結合しているオリゴ糖の80%未満がフコース残基を含み、これらの抗体のFc領域がK248E変異及びT437R変異(RE変異)を含む、抗体の集団が、本明細書において提供される。
【0119】
いくつかの実施形態では、抗体の集団に共有結合しているオリゴ糖の70%未満が、フコース残基を含む。いくつかの実施形態では、抗体の集団に共有結合しているオリゴ糖の60%未満が、フコース残基を含む。いくつかの実施形態では、抗体の集団に共有結合しているオリゴ糖の50%未満が、フコース残基を含む。いくつかの実施形態では、抗体の集団に共有結合しているオリゴ糖の40%未満が、フコース残基を含む。更に他の実施形態では、抗体の集団に共有結合しているオリゴ糖の30%未満が、フコース残基を含む。更に他の実施形態では、抗体の集団に共有結合しているオリゴ糖の20%未満が、フコース残基を含む。更に他の実施形態では、抗体の集団に共有結合しているオリゴ糖の10%未満が、フコース残基を含む。
【0120】
当業者に既知の標準的な技術、例えば、質量分析を使用して、抗体上のAsn297連結N-オリゴ糖を特徴づけることができる(Pereira,N.A.,et al.、上記;Shields,R.L.et al.、上記)。例えば、マトリックス支援レーザ脱離イオン化飛行時間型質量スペクトル(matrix-assisted laser desorption/ionization time-of-flight mass spectral、MALDI-TOF-MS)分析では、50mgのIgG抗体をMultiScreen96ウェルIPプレート(Millipore)内でポリフッ化ビニリデン膜に固定化した。次いで、RCM緩衝液(pH8.6、3.2mM EDTA、360mMトリス、及び8M尿素)中のDTTの50mLの0.1M溶液を使用して、タンパク質を還元した。次に、還元ステップから生じる遊離スルフヒドリル基をカルボキシメチル化するために、それらを0.1Mのヨード酢酸を含有するRCM緩衝液中で25℃で30分間暗所でインキュベートした。次いで、膜結合タンパク質をポリビニルピロリドン360(Sigma)の1%水溶液中25℃で1時間インキュベートし、3ステッププロセスである、32単位のペプチド:N-グリコシダーゼF(New England Biolabs,Beverly,MA)を含有するpH8.4酢酸トリス緩衝液(25mL)中37℃で3時間インキュベートし、pHを低下させるための1.5M酢酸(2.5mL)を添加し、25℃で3時間のインキュベーションすることによって、それらのオリゴ糖をタンパク質から切断した(Shields,R.L.et al.,J Biol Chem.,2001,276(9):6591-604)。
【0121】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、抗体に付着したオリゴ糖へのフコースの付加が欠損している宿主細胞において抗体又はその断片をコードするポリヌクレオチドを発現させることによって産生される。
【0122】
哺乳動物細胞では、FUT8は、コアフコシル化(α-1,6-連結を介したGDP-フコース残基の最も内側のGlcNAcへの移動)を触媒する唯一の酵素、α-1,6フコシルトランスフェラーゼをコードする(Imai-Nishiya,H.,et al.,BMC Biotechnol.,2007,7:84)。オリゴ糖フコシル化には、細胞内のGDP-フコースが基質として必要であり、これは、細胞質内において新生経路又は再利用経路を介して合成される。新生経路では、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼ(GDP-mannose 4,6-dehydratase、GMD)が、GDP-マンノースからのGDP-4-ケト-6-デオキシ-マンノース(GDP-4-keto-6-deoxy-mannose、GKDM)の合成を媒介し、続いて、GDP-ケト-6-デオキシマンノース3,5-エピメラーゼ,4-レダクターゼ(4-reductase、FX)がGDP-フコースの合成を媒介する(Imai-Nishiya,H.,et al.、上記)。したがって、GMD酵素が欠損した細胞株、例えば、CHO Lec13細胞、又はFUT8遺伝子の変異によるα-1,6フコシルトランスフェラーゼ活性の低下は、アフコシル化抗体を生成することが示されている(Pereira,N.A.,et al.,Mabs,2018,10(5):693-711)。例えば、約10%のフコシル化(Shields,R.L.et al.、上記)又はそれ以下を有する抗体は、Lec13細胞内で一貫して産生され得る(Shields,R.L.et al.、上記;Kanda Y.,Biotechnol Bioeng.,2006,94(4):680-8)が、増加したフコシル化は、細胞を静的フラスコ内でコンフルエントになるまで培養したときに生じ得る(Pereira,N.A.,et al.、上記)。
【0123】
バイセクティングGlcNAcをオリゴ糖コア構造に添加すると、フコシル化の立体障害が生じる(Alter,G.,et al.、上記)。したがって、最内部のマンノースへのバイセクティングGlcNAcの付加を触媒するβ-1,4-マンノシル-糖タンパク質4-β-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(β-1,4-mannosyl-glycoprotein 4-β-N-acetylglucosaminyltransferase、GnT-III)の過剰発現は、Fcフコシル化を大幅に低減させることが示された(Pereira,N.A.,et al.、上記)。
【0124】
更に、不活性化ゴルジGDP-フコース輸送体(GDP-fucose transporter、GFT)遺伝子(Slc35c1)は、例えば、CHO-gmt3細胞においてアフコシル化抗体を産生することが示されている(Pereira,N.A.,et al.、上記)。フコシル化の生化学的阻害剤、例えば、2-フルオロフコース及び5-アルキニルフコースなどのフコース類似体を使用することによって、アフコシル化抗体を生成することもできる(Pereira,N.A.,et al.、上記)。哺乳動物細胞におけるフコース新生合成経路内の中間体GKDMは、細菌GDP-4-ケト-6-デオキシマンノースレダクターゼ(bacteria GDP-4-keto-6-deoxy mannose reductase、RMD)によってGDP-ラムノースへと還元され、したがってフコース生合成経路をバイパスすることができる。アフコシル化抗体はまた、細菌RMDがサイトゾルで異種発現される細胞において生成され得る(Pereira,N.A.,et al.、上記)。
【0125】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、上記の酵素のいずれかにおいて欠損を有する宿主細胞において抗体を発現することによって産生される。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、低下したGDP-マンノース4,6-デヒドラターゼ(GMD)活性を有する。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、低下したα-1,6フコシルトランスフェラーゼ活性を有する。
【0126】
ADCC、CDC、及びADCPエフェクター機能
本明細書で提供される抗体又は抗体の集団は、増強されたADCC活性、増強されたCDC活性、及び/又は増強されたADCP活性を有する。
【0127】
治療用抗体は、NK細胞、マクロファージ、単核貪食細胞、好中球及び好酸球などのエフェクター細胞の細胞表面上のFc受容体に結合し(Saunder,K.O.,Front Immunol.,2019,10:1296)、ADCC及びADCPなどの重要な抗体依存性エフェクター機能を生じさせる。IgGのFc領域の受容体のファミリーは、Fcγ受容体(Fcγ receptor、FcγR)と称され(Cohen-Solal,J.F.,Immunol Lett.,2004,92(3):199-205)、FcγRI;アイソフォームFcγRIIa、FcγRIIb、及びFcγRIIcを含むFcγRII;並びにアイソフォームFcγRIIIa及びFcγRIIIbを含むFcγRIIIからなる(Jefferis,R.and Lund,J.,Immunol Lett.,2002,82(1-2):57-65)。
【0128】
様々なエフェクター機能の中で、ADCC及びADCPは、臨床的に有意な抗腫瘍効果を有することが示されている。例えば、FcγRIII受容体(CD16)媒介ADCC機構を介してトラスツズマブ被覆腫瘍細胞を死滅させるNK細胞の能力によって証明されるように、ADCCは、インビトロでのトラスツズマブの抗腫瘍有効性の重要な機構であることが示され(Cooley,S.,et al.,Exp Hematol.,1999;27(10):1533-41;Carson,W.E.,et al.,Eur J Immunol.,2001,31(10):3016-3025;Kubo,M.,et al.,Anticancer Res.,2003,23(6a):4443-9)、インビボにおいて、トラスツズマブ治療後の腫瘍浸潤物中のNK細胞の数の増加によって証明される(Clynes,R.A.,et al.,Nat Med.,2000,6(4):443-6;Arnould,L.,et al.,Br J Cancer,2006,94(2):259-67)。加えて、マクロファージ媒介ADCPは、トラスツズマブの抗腫瘍効果において重要であることが示されている(Shi,Y.,et al.,J Immunol.,2015,194(9):4379-86)。
【0129】
フコシル化されていない抗体又は低フコシル化抗体は、CDC又は抗原結合能力における検出可能な変化なしにFcγRIIIa結合に対するそれらの結合能力が増強したことにより、劇的に増強されたADCC活性を示した(Okazaki,A.,et al.,J Mol Biol.,2004,336(5):1239-49;Kanda,Y.,et al.,Glycobiology,2007,17(1):104-18)。抗体Fc領域のN-オリゴ糖は、FcγRへの結合に不可欠であり、これは抗体のエフェクター機能に関与する(Yamane-Ohnuki,N.and Satoh,M.,Mabs,2009,1(3):230-6)。
【0130】
抗体Fc領域のN-オリゴ糖上のフコースの欠如は、NK細胞及びマクロファージなどの免疫エフェクター細胞に存在するFcγRIIIa受容体に対する抗体の結合能力を劇的に増強させ、抗腫瘍治療効果を生じさせることが示されている(Pereira,N.A.,et al.、上記)。FcγRIIIa受容体は、Fcのヒンジ領域及びCH2ドメインとの相互作用を介してFc領域に結合する(Radaev,S.,et al.,J Biol Chem.,2001,276:16469-77;Sondermann,P.,et al.,Nature,2000,406:267-73)。したがって、フコースの欠如は、立体障害を排除し、Fc-FcγRIIIa相互作用を増強させ、エフェクター機能の増強をもたらす(Pereira,N.A.,et al.、上記)。
【0131】
CDCは、別の重要な抗体エフェクター機能である。抗体依存性の古典的補体活性化経路では、補体C1qヘテロ六量体ヘッドピースとオリゴマー抗体複合体との間の結合は、タンパク質の補体カスケード反応を開始し(Wang,G.et al.,Mol Cell,2016,63:135-45;Diebolder,C.A.et al.,Science,2014,343:1260-3)、これは、C3由来のオプソニン(例えば、C3b)による標的細胞のオプソニン化、及び有力な炎症メディエーター(C3a及びC5a)の生成をもたらし、最終的に、標的細胞膜上に膜攻撃複合体(membrane attack complex、MAC)(C5b~C9)が形成される(Reis,E.S.,et al.,Nat Rev Immunol.,2018,18:5-18)。また、CDCは、抗CD20mAbリツキシマブ及び抗CD38mAbダラツムマブにおいて臨床的に有意な抗腫瘍効果を有することも示されている(de Weers,M.,et al.,J Immunol.,2011,186:1840-8;Lokhorst,H.M.,et al.,N Engl J Med.,2015,373:1207-19;Taylor,R.P.and Lindorfer,M.A.,Semin Immunol.,2016,28:309-16)。
【0132】
RE変異及びE345R(EU番号付け)などの抗体オリゴマー化を促進するFc領域における変異は、抗体のCDC活性を有意に増強させることが実証されている(Diebolder、C.A.et al.、上記;Zhang,D.,et al.、上記)。
【0133】
本明細書に開示されるバイパラトピック又は二重特異性抗体は、天然の二価IgGと比較して、所与の数の受容体を有する細胞の表面により多くのFc領域をもたらすことを可能にする。したがって、操作されたバイパラトピック又は二重特異性抗体は、より強力なCDC活性を有する。
【0134】
いくつかの実施形態では、本抗体のADCC活性は、通常のフコシル化を有する抗体よりも10%高い。いくつかの実施形態では、本抗体のADCC活性は、通常のフコシル化を有する抗体よりも20%高い。いくつかの実施形態では、本抗体のADCC活性は、通常のフコシル化を有する抗体よりも30%高い。いくつかの実施形態では、本抗体のADCC活性は、通常のフコシル化を有する抗体よりも40%高い。いくつかの実施形態では、本抗体のADCC活性は、通常のフコシル化を有する抗体よりも50%高い。いくつかの実施形態では、本抗体のADCC活性は、通常のフコシル化を有する抗体よりも60%高い。いくつかの実施形態では、本抗体のADCC活性は、通常のフコシル化を有する抗体よりも70%高い。いくつかの実施形態では、本抗体のADCC活性は、通常のフコシル化を有する抗体よりも80%高い。いくつかの実施形態では、本抗体のADCC活性は、通常のフコシル化を有する抗体よりも90%高い。いくつかの実施形態では、本抗体のADCC活性は、通常のフコシル化を有する抗体の2倍超である。いくつかの実施形態では、本抗体のADCC活性は、通常のフコシル化を有する抗体の3倍超である。いくつかの実施形態では、本抗体のADCC活性は、通常のフコシル化を有する抗体の4倍超である。いくつかの実施形態では、本抗体のADCC活性は、通常のフコシル化を有する抗体の5倍超である。いくつかの実施形態では、本抗体のADCC活性は、通常のフコシル化を有する抗体の6倍超である。いくつかの実施形態では、本抗体のADCC活性は、通常のフコシル化を有する抗体の7倍超である。いくつかの実施形態では、本抗体のADCC活性は、通常のフコシル化を有する抗体の8倍超である。いくつかの実施形態では、本抗体のADCC活性は、通常のフコシル化を有する抗体の9倍超である。いくつかの実施形態では、本抗体のADCC活性は、通常のフコシル化を有する抗体の10倍超である。
【0135】
いくつかの実施形態では、上記の抗体はまた、より高いCDC活性を有する。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、RE変異を伴わない抗体よりも10%高い。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、RE変異を伴わない抗体よりも20%高い。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、RE変異を伴わない抗体よりも30%高い。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、RE変異を伴わない抗体よりも40%高い。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、RE変異を伴わない抗体よりも50%高い。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、RE変異を伴わない抗体よりも60%高い。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、RE変異を伴わない抗体よりも70%高い。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、RE変異を伴わない抗体よりも80%高い。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、RE変異を伴わない抗体よりも90%高い。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、RE変異を伴わない抗体の2倍超である。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、RE変異を伴わない抗体の3倍超である。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、RE変異を伴わない抗体の4倍超である。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、RE変異を伴わない抗体の5倍超である。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、RE変異を伴わない抗体の6倍超である。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、RE変異を伴わない抗体の7倍超である。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、RE変異を伴わない抗体の8倍超である。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、RE変異を伴わない抗体の9倍超である。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、RE変異を伴わない抗体の10倍超である。
【0136】
いくつかの実施形態では、上記の抗体はまた、より高いCDC活性を有する。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、バイパラトピック又は二重特異性フォーマットを有さない抗体よりも10%高い。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、バイパラトピック又は二重特異性フォーマットを有さない抗体よりも20%高い。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、バイパラトピック又は二重特異性フォーマットを有さない抗体よりも30%高い。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、バイパラトピック又は二重特異性フォーマットを有さない抗体よりも40%高い。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、バイパラトピック又は二重特異性フォーマットを有さない抗体よりも50%高い。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、バイパラトピック又は二重特異性フォーマットを有さない抗体よりも60%高い。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、バイパラトピック又は二重特異性フォーマットを有さない抗体よりも70%高い。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、バイパラトピック又は二重特異性フォーマットを有さない抗体よりも80%高い。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、バイパラトピック又は二重特異性フォーマットを有さない抗体よりも90%高い。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、バイパラトピック又は二重特異性フォーマットを有さない抗体のCDC活性の2倍超である。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、バイパラトピック又は二重特異性フォーマットを有さない抗体のCDC活性の3倍超である。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、バイパラトピック又は二重特異性フォーマットを有さない抗体のCDC活性の4倍超である。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、バイパラトピック又は二重特異性フォーマットを有さない抗体のCDC活性の5倍超である。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、バイパラトピック又は二重特異性フォーマットを有さない抗体のCDC活性の6倍超である。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、バイパラトピック又は二重特異性フォーマットを有さない抗体のCDC活性の7倍超である。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、バイパラトピック又は二重特異性フォーマットを有さない抗体のCDC活性の8倍超である。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、バイパラトピック又は二重特異性フォーマットを有さない抗体のCDC活性の9倍超である。いくつかの実施形態では、本抗体のCDC活性は、バイパラトピック又は二重特異性フォーマットを有さない抗体のCDC活性の10倍超である。
【0137】
例示的なバイパラトピック又は二重特異性抗体
1つの態様において、1つ以上の従来の二価抗体に由来するバイパラトピック又は二重特異性抗体が本明細書において提供される。
【0138】
更に別の態様では、公知のバイパラトピック又は二重特異性抗体の1つと競合するバイパラトピック又は二重特異性抗体が本明細書において提供される。そのようなバイパラトピック又は二重特異性抗体は、公知のバイパラトピック又は二重特異性抗体の1つと同じエピトープ、又は重複するエピトープに結合し得る。同じエピトープと競合するか又は同じエピトープに結合する抗体は、同様の機能的特性を示すと予想される。
【0139】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるバイパラトピック又は二重特異性抗体は、下記の第7節に記載される公知のバイパラトピック又は二重特異性抗体又は例示的なバイパラトピック又は二重特異性抗体の1つと比較して、ある特定のパーセント同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0140】
2つの配列(例えば、アミノ酸配列又は核酸配列)間の同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。2つの配列の比較に利用される数学的アルゴリズムの好ましい非限定的な例は、Karlin及びAltschul、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,1990,87:2264-8,modified as in Karlin and Altschul,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1993,90:5873-7のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、Altschul,et al.,J.Mol.Biol.,1990,215:403のNBLAST及びXBLASTプログラムに組み込まれている。BLASTヌクレオチド検索は、NBLASTヌクレオチドプログラムのパラメータを、例えば、スコア=100、ワード長=12に設定して実行し、本明細書に記載された核酸分子に相同なヌクレオチド配列を取得することができる。BLASTタンパク質検索は、XBLASTプログラムのパラメータを、例えば、スコア50、ワード長=3に設定して実行し、本明細書に記載されたタンパク質分子に相同なアミノ酸配列を取得することができる。比較目的のギャップ入りアライメントを得るため、Altschul et al.,Nucleic Acids Res.,1997,25:3389-402に記載されるようにGappedBLASTを利用する。代替的に、PSI BLASTを使って、分子間の離れた関係を検出する反復検索を行うこともできる(同上)。BLAST、Gapped BLAST、PSI Blastプログラムを利用する際には、それぞれのプログラム(例えば、XBLAST及びNBLAST)のデフォルトのパラメータを使用することができる(例えば、ワールドワイドウェブ上のNational Center for Biotechnology Information(NCBI)、ncbi.nlm.nih.govを参照)。配列の比較に利用される数学的アルゴリズムの別の好ましい非限定的な例として、Myers and Miller,1988,CABIOS 4:11 17のアルゴリズムがある。そのようなアルゴリズムは、GCG配列アラインメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを利用する場合、PAM120重量残基テーブル、ギャップ長ペナルティ12、ギャップペナルティ4を使用することができる。
【0141】
2つの配列間の同一性パーセントは、ギャップを許容するかどうかにかかわらず、上述のものと同様の技術を使用して決定することができる。同一性パーセントを計算する際には、典型的には、完全に一致したものだけがカウントされる。
【0142】
一定の実施形態では、RE変異を有するがフコース残基を有さないFc領域を含むバイパラトピック又は二重特異性抗体が本明細書で提供される。
【0143】
当業者に知られている標準的な技術を使用して、例えば、部位特異的変異誘発及びアミノ酸置換をもたらすPCR媒介変異誘発を含む、本明細書において提供されるバイパラトピック又は二重特異性をコードするヌクレオチド配列に変異を導入することができる。
【0144】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供されるバイパラトピック又は二重特異性抗体のFc領域の248位でグルタミン酸がリジンに置換されている(K248E)(EU番号付け)。いくつかの実施形態では、本明細書において提供されるバイパラトピック又は二重特異性抗体のFc領域の338位(K338A)でグルタミン酸がアラニンに置換されている(EU番号付け)。いくつかの実施形態では、アルギニンは、本明細書において提供されるバイパラトピック又は二重特異性抗体のFc領域の437位でスレオニン(T437R)に置換されている(EU番号付け)。いくつかの実施形態では、本明細書において提供されるバイパラトピック又は二重特異性抗体のFc領域の248位でグルタミン酸がリジンに、437位でアルギニンがスレオニンに置換されている(K248E/T437R)(EU番号付け)。いくつかの実施形態では、本明細書において提供されるバイパラトピック又は二重特異性抗体のFc領域の338位でグルタミン酸がアラニンに、437位でアルギニンがスレオニンに置換されている(K248E/T437R)(EU番号付け)。
【0145】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供されるバイパラトピック又は二重特異性抗体は、T437R変異を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、本明細書において提供されるバイパラトピック又は二重特異性抗体は、K248E変異を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、本明細書において提供されるバイパラトピック又は二重特異性抗体は、K338A変異を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、本明細書において提供されるバイパラトピック又は二重特異性抗体は、K248E/T437R変異を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、本明細書において提供されるバイパラトピック又は二重特異性抗体は、K338A/T437R変異を含む重鎖を含む。
【0146】
当業者に知られている標準的な技術を使用して、そのAsn-297連結N-オリゴ糖にフコース残基を含まない重鎖を有する本明細書において提供されるバイパラトピック又は二重特異性抗体を生成することができる。例えば、GMD酵素が欠損している(例えば、CHO Lec13細胞)、変異FUT8遺伝子に起因してα-1,6フコシルトランスフェラーゼ活性が低下している、β-1,4-マンノシル-糖タンパク質4-β-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(GnT-III)を過剰発現している、不活性化ゴルジGDP-フコース輸送体(GFT)遺伝子Slc35c1を有する(例えば、CHO-gmt3細胞)、細菌RMDを異種発現する、又はフコシル化の生化学的阻害剤(例えば、2-フルオロフコース及び5-アルキニルフコースなどのフコース類似体)の使用を伴う哺乳動物細胞株は、重鎖上にAsn-297連結N-オリゴ糖にフコース残基を有していない抗体を産生することが示されている(Pereira,N.A.,et al.、上記;Shields,R.L.et al.、上記;Kanda Y.、上記)。
【0147】
いくつかの実施形態では、バイパラトピック又は二重特異性抗体は、そのAsn-297連結N-オリゴ糖上にフコース残基を含まない重鎖を含む。
【0148】
例えば、組み換えタンパク質のインビトロ発現を含む、当業者に公知の標準的な技術を使用して、抗体をバイパラトピック又は二重特異性抗体としてフォーマットすることができる。
【0149】
いくつかの実施形態では、バイパラトピック又は二重特異性抗体は、第1のVH領域及び第1のVL領域、第1の単一ドメイン抗原結合断片、並びに/あるいは第1の操作された結合断片を含む第1の抗原結合ドメインと、第2のVH領域及び第2のVL領域、第2の単一ドメイン抗原結合断片、並びに/あるいは第2の操作された結合断片を含む第2の抗原結合ドメインと、を含み、第1の抗原結合ドメイン及び第2の抗原結合ドメインは、同じ抗原又は異なる抗原(複数可)の2つの異なるエピトープに結合する。
【0150】
いくつかの実施形態では、第1の抗原結合ドメイン及び第2の抗原結合ドメインの各々は、Fab断片、scFv、単一ドメイン抗原結合断片、又は操作された結合断片である。いくつかの実施形態では、第1の抗原結合ドメインはFab断片であり、第2の抗原結合ドメインはscFvである。いくつかの実施形態では、第1の抗原結合ドメインはFab断片であり、第2の抗原結合ドメインは単一ドメイン抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、第1の抗原結合ドメインはFab断片であり、第2の抗原結合ドメインは操作された結合断片である。いくつかの実施形態では、第1の抗原結合ドメインはscFvであり、第2の抗原結合ドメインは単一ドメイン抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、第1の抗原結合ドメインはscFvであり、第2の抗原結合ドメインは操作された結合断片である。いくつかの実施形態では、第1の抗原結合ドメインは単一ドメイン抗原結合断片であり、第2の抗原結合ドメインは操作された結合断片である。
【0151】
いくつかの実施形態では、バイパラトピック又は二重特異性抗体は、2つのFab及びFcドメインを含み、
第1のFabは抗原の第1のエピトープに結合し、第2のFabは抗原の第2のエピトープに結合し、バイパラトピック又は二重特異性抗体は2つの重鎖及び2つの軽鎖を含み、第1重鎖及び第1軽鎖は第1のFabを形成し、第2の重鎖及び第2の軽鎖は第2のFabを形成し、2つの重鎖のC末端は、Fcドメインを形成する。
【0152】
いくつかの実施形態では、バイパラトピック又は二重特異性抗体は、2つの一本鎖可変断片(scFv)及びFcドメインを含み、第1のscFvは抗原の第1のエピトープに結合し、第2のscFvは抗原の第2のエピトープに結合し、バイパラトピック又は二重特異性抗体は2つのポリペプチドを含み、第1のポリペプチドは、そのN末端に第1のscFvを含み、第2のポリペプチドは、そのN末端に第2のscFvを含み、2つのポリペプチドのC末端はFcドメインを形成する。
【0153】
いくつかの実施形態では、バイパラトピック又は二重特異性抗体は、2つの単一ドメイン抗原結合断片及びFcドメインを含む。第1の単一ドメイン抗原結合断片は抗原の第1のエピトープに結合し、第2の単一ドメイン抗原結合断片は抗原の第2のエピトープに結合し、バイパラトピック又は二重特異性抗体は2つのポリペプチドを含み、第1のポリペプチドは、そのN末端に第1の単一ドメイン抗原結合断片を含み、第2のポリペプチドは、そのN末端に第2の単一ドメイン抗原結合断片を含み、2つのポリペプチドのC末端はFcドメインを形成する。
【0154】
いくつかの実施形態では、バイパラトピック又は二重特異性抗体は、2つの操作された結合断片及びFcドメインを含み、第1の操作された結合断片は、抗原の第1のエピトープに結合し、第2の操作された結合断片は、抗原の第2のエピトープに結合し、バイパラトピック又は二重特異性抗体は、2つのポリペプチドを含み、ここで、第1のポリペプチドは、そのN末端に第1の操作された結合断片を含み、第2のポリペプチドは、そのN末端に第2の操作された結合断片を含み、2つのポリペプチドのC末端はFcドメインを形成する。
【0155】
いくつかの実施形態では、バイパラトピック又は二重特異性抗体は、Fab、一本鎖可変断片(scFv)及びFcドメインを含み、Fabは抗原の第1のエピトープに結合し、scFvは抗原の第2のエピトープに結合し、バイパラトピック又は二重特異性抗体は重鎖、軽鎖及びポリペプチドを含み、重鎖及び軽鎖はFabを形成し、ポリペプチドは、N末端にscFvを含み、C末端に重鎖と共にFcドメインを形成するドメインを含む。
【0156】
いくつかの実施形態では、バイパラトピック又は二重特異性抗体は、Fab、単一ドメイン抗原結合断片及びFcドメインを含み、Fabは抗原の第1のエピトープに結合し、単一ドメイン抗原結合断片は抗原の第2のエピトープに結合し、バイパラトピック又は二重特異性抗体は重鎖、軽鎖及びポリペプチドを含み、重鎖及び軽鎖はFabを形成し、ポリペプチドは、N末端に単一ドメイン抗原結合断片を含み、C末端に、重鎖と共にFcドメインを形成するドメインを含む。
【0157】
いくつかの実施形態では、バイパラトピック又は二重特異性抗体は、Fab、操作された結合断片及びFcドメインを含み、Fabは抗原の第1のエピトープに結合し、操作された結合断片は抗原の第2のエピトープに結合し、バイパラトピック又は二重特異性抗体は重鎖、軽鎖及びポリペプチドを含み、重鎖及び軽鎖はFabを形成し、ポリペプチドは、N末端に操作された結合断片を含み、C末端に、重鎖と共にFcドメインを形成するドメインを含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、バイパラトピック又は二重特異性抗体は、一本鎖可変断片(scFv)、単一ドメイン抗原結合断片及びFcドメインを含み、scFvは抗原の第1のエピトープに結合し、単一ドメイン抗原結合断片は抗原の第2のエピトープに結合し、バイパラトピック又は二重特異性抗体は2つのポリペプチドを含み、第1のポリペプチドは、そのN末端にscFvを含み、第2のポリペプチドは、そのN末端に単一ドメイン抗原結合断片を含み、2つのポリペプチドのC末端はFcドメインを形成する。
【0159】
いくつかの実施形態では、バイパラトピック又は二重特異性抗体は、一本鎖可変断片(scFv)、操作された結合断片及びFcドメインを含み、scFvは抗原の第1のエピトープに結合し、操作された結合断片は抗原の第2のエピトープに結合し、バイパラトピック又は二重特異性抗体は2つのポリペプチドを含み、第1のポリペプチドは、そのN末端にscFvを含み、第2のポリペプチドは、そのN末端に操作された結合断片を含み、2つのポリペプチドのC末端はFcドメインを形成する。
【0160】
いくつかの実施形態では、バイパラトピック又は二重特異性抗体は、単一ドメイン抗原結合断片、操作された結合断片及びFcドメインを含み、単一ドメイン抗原結合断片は抗原の第1のエピトープに結合し、操作された結合断片は抗原の第2のエピトープに結合し、バイパラトピック又は二重特異性抗体は2つのポリペプチドを含み、第1のポリペプチドは、そのN末端に単一ドメイン抗原結合断片を含み、第2のポリペプチドは、そのN末端に操作された結合断片を含み、2つのポリペプチドのC末端はFcドメインを形成する。
【0161】
いくつかの実施形態では、癌細胞は、副腎癌、肛門癌、虫垂癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、食道癌、胆嚢癌、妊娠性絨毛性、頭頸部癌、ホジキンリンパ腫、腸癌、腎臓癌、白血病、肝臓癌、肺癌、黒色腫、中皮腫、多発性骨髄腫、神経内分泌腫瘍、非ホジキンリンパ腫、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、洞癌、皮膚癌、軟部組織肉腫脊髄癌、胃癌、精巣癌、咽頭癌、甲状腺癌、子宮癌、子宮内膜癌、膣癌、又は外陰部癌の細胞である。いくつかの実施形態では、癌は、副腎癌、肛門癌、虫垂癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、食道癌、胆嚢癌、妊娠性絨毛性、頭頸部癌、ホジキンリンパ腫、腸癌、腎臓癌、白血病、肝臓癌、肺癌、黒色腫、中皮腫、多発性骨髄腫、神経内分泌腫瘍、非ホジキンリンパ腫、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、洞癌、皮膚癌、軟部組織肉腫脊髄癌、胃癌、精巣癌、咽頭癌、甲状腺癌、子宮癌、子宮内膜癌、膣癌、又は外陰部癌である。いくつかの実施形態では、癌は、副腎癌である。いくつかの実施形態では、癌は、肛門癌である。いくつかの実施形態では、癌は、虫垂癌である。いくつかの実施形態では、癌は、胆管癌である。いくつかの実施形態では、癌は、膀胱癌である。いくつかの実施形態では、癌は、骨癌である。いくつかの実施形態では、癌は、脳癌である。いくつかの実施形態では、癌は、乳癌である。いくつかの実施形態では、癌は、子宮頸癌である。いくつかの実施形態では、癌は、結腸直腸癌である。いくつかの実施形態では、癌は、食道癌である。いくつかの実施形態では、癌は、胆嚢癌である。いくつかの実施形態では、癌は、妊娠性絨毛性である。いくつかの実施形態では、癌は、頭頸部癌である。いくつかの実施形態では、癌は、ホジキンリンパ腫である。いくつかの実施形態では、癌は、腸癌である。いくつかの実施形態では、癌は、腎臓癌である。いくつかの実施形態では、癌は、白血病である。いくつかの実施形態では、癌は、肝臓癌である。いくつかの実施形態では、癌は、肺癌である。いくつかの実施形態では、癌は、黒色腫である。いくつかの実施形態では、癌は、中皮腫である。いくつかの実施形態では、癌は、多発性骨髄腫である。いくつかの実施形態では、癌は、神経内分泌腫瘍である。いくつかの実施形態では、癌は、非ホジキンリンパ腫である。いくつかの実施形態では、癌は、口腔癌である。いくつかの実施形態では、癌は、卵巣癌である。いくつかの実施形態では、癌は、膵臓癌である。いくつかの実施形態では、癌は、前立腺癌である。いくつかの実施形態では、癌は、洞癌である。いくつかの実施形態では、癌は、皮膚癌である。いくつかの実施形態では、癌は、軟部組織肉腫脊髄癌である。いくつかの実施形態では、癌は、胃癌である。いくつかの実施形態では、癌は、精巣癌である。いくつかの実施形態では、癌は、咽頭癌である。いくつかの実施形態では、癌は、甲状腺癌である。いくつかの実施形態では、癌は、子宮癌子宮内膜癌である。いくつかの実施形態では、癌は、膣癌である。いくつかの実施形態では、癌は、外陰部癌である。
【0162】
いくつかの実施形態では、副腎癌は、副腎皮質性癌腫(ACC)、副腎皮質癌、褐色細胞腫、又は神経芽細胞腫である。いくつかの実施形態では、肛門癌は、扁平上皮細胞癌腫、総排泄腔癌腫、腺癌腫、基底細胞癌腫、又は黒色腫である。いくつかの実施形態では、虫垂癌は、神経内分泌腫瘍(NET)、粘液性腺癌腫、杯細胞カルチノイド、腸型腺癌腫、又は印環細胞腺癌腫である。いくつかの実施形態では、胆管癌は、肝外胆管癌、腺癌腫、肝門部胆管癌、肝門部領域胆管癌、遠位胆管癌、又は肝内胆管癌である。いくつかの実施形態では、膀胱癌は、移行細胞癌腫(TCC)、乳頭状癌腫、扁平癌腫、扁平上皮細胞癌腫、腺癌腫、小細胞癌腫、又は肉腫である。いくつかの実施形態では、骨癌は、原発性骨癌、肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫、肉腫、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、骨の巨細胞腫瘍、脊索腫、又は転移性骨癌である。いくつかの実施形態では、脳癌は、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、神経膠芽腫、髄膜腫、上衣腫、乏突起膠腫、混合神経膠腫、下垂体癌、下垂体腺腫、頭蓋咽頭腫、胚細胞腫瘍、松果体部腫瘍、髄芽腫、又は原発性CNSリンパ腫である。いくつかの実施形態では、乳癌は、乳腺癌腫、侵襲性乳癌、非侵襲性乳癌、乳肉腫、化生性癌腫、腺嚢癌腫、葉状腫瘍、血管肉腫、HER2陽性乳癌、トリプルネガティブ乳癌、又は炎症性乳癌である。いくつかの実施形態では、子宮頸癌は、扁平上皮細胞癌腫又は腺癌腫である。いくつかの実施形態では、結腸直腸癌は、結腸直腸腺癌腫、原発性結腸直腸リンパ腫、消化管間質腫瘍、平滑筋肉腫、カルチノイド腫瘍、粘液性腺癌腫、印環細胞腺癌腫、消化管カルチノイド腫瘍、又は黒色腫である。いくつかの実施形態では、食道癌は、腺癌腫又は扁平上皮細胞癌腫である。いくつかの実施形態では、胆嚢癌は、腺癌腫、乳頭状腺癌腫、腺扁平上皮癌腫、扁平上皮細胞癌腫、小細胞癌腫、又は肉腫である。いくつかの実施形態では、妊娠性絨毛性疾患(GTD)は、胞状奇胎、妊娠性絨毛性新生物(GTN)、絨毛癌腫、胎盤部トロホブラスト腫瘍(PSTT)、又は類上皮性トロホブラスト腫瘍(ETT)である。いくつかの実施形態では、頭頸部癌は、喉頭癌、鼻咽頭癌、下咽頭癌、鼻腔癌、副鼻腔癌、唾液腺癌、口腔癌、中咽頭癌、又は扁桃癌である。いくつかの実施形態では、ホジキンリンパ腫は、古典的ホジキンリンパ腫、結節硬化型、混合細胞型、リンパ球豊富型、リンパ球減少型、又は結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫(NLPHL)である。いくつかの実施形態では、腸癌は、小腸癌(small intestine cancer)、小腸癌(small bowel cancer)、腺癌腫、肉腫、消化管間質腫瘍、カルチノイド腫瘍、又はリンパ腫である。いくつかの実施形態では、腎臓癌は、腎細胞癌(RCC)、明細胞RCC、乳頭状RCC、嫌色素性RCC、集合管RCC、未分類RCC、移行細胞癌、尿路上皮癌、腎盂癌腫、又は腎肉腫である。いくつかの実施形態では、白血病は、急性リンパ球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、ヘアリーセル白血病(HCL)、又は骨髄異形成症候群(MDS)である。特定の実施形態では、白血病は、AMLである。いくつかの実施形態では、肝臓癌は、肝細胞癌腫(HCC)、線維層板型HCC、胆管細胞癌腫、血管肉腫、又は肝転移である。いくつかの実施形態では、肺癌は、小細胞肺癌、小細胞癌腫、複合型小細胞癌腫、非小細胞肺癌、肺腺癌腫、扁平上皮細胞肺癌、大細胞未分化型癌腫、肺結節、転移性肺癌、腺扁平上皮癌腫、大細胞神経内分泌癌腫、唾液腺型肺癌腫、肺カルチノイド、中皮腫、肺の肉腫様癌腫、又は悪性顆粒細胞肺腫瘍である。いくつかの実施形態では、黒色腫は、表在拡大型黒色腫、結節性黒色腫、末端黒子型黒色腫、悪性黒子由来黒色腫、無色素性黒色腫、線維形成性黒色腫、眼黒色腫、又は転移性黒色腫である。いくつかの実施形態では、中皮腫は、胸膜中皮腫、腹膜中皮腫、心膜中皮腫、又は精巣中皮腫である。いくつかの実施形態では、多発性骨髄腫は、活動型又はくすぶり型の多発性骨髄腫である。いくつかの実施形態では、神経内分泌腫瘍は、消化管神経内分泌腫瘍、膵神経内分泌腫瘍、又は肺神経内分泌腫瘍である。いくつかの実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、未分化大細胞リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、MALTリンパ腫、小細胞リンパ球性リンパ腫、バーキットリンパ腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、前駆Tリンパ芽球性白血病/リンパ腫、急性リンパ球性白血病(ALL)、成人T細胞リンパ腫/白血病(ATLL)、ヘアリーセル白血病、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔B細胞リンパ腫、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、結節辺縁帯B細胞リンパ腫、脾臓辺縁帯B細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、B細胞非ホジキンリンパ腫、T細胞非ホジキンリンパ腫、ナチュラルキラー細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、アリベール-バザン症候群、セザリー症候群、原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、全身性ALCL、腸症型T細胞リンパ腫(EATL)、又は肝脾ガンマ/デルタT細胞リンパ腫である。いくつかの実施形態では、口腔癌は、扁平上皮細胞癌腫、疣状癌腫、小唾液腺癌腫、リンパ腫、良性口腔腫瘍、好酸球性肉芽腫、線維腫、顆粒細胞腫瘍、角化棘細胞腫、平滑筋腫、骨軟骨腫、脂肪腫、シュワン細胞腫、神経線維腫、乳頭腫、尖圭コンジローマ、疣贅型黄色腫、化膿性肉芽腫、横紋筋腫、歯原性腫瘍、白板症、紅板症、扁平上皮細胞口唇癌、基底細胞口唇癌、口癌、歯肉癌、又は舌癌である。いくつかの実施形態では、卵巣癌は、卵巣上皮癌、粘液性上皮卵巣癌、子宮内膜上皮卵巣癌、明細胞上皮卵巣癌、未分化型上皮卵巣癌、卵巣低悪性度腫瘍、原発性腹膜癌、卵管癌、胚細胞腫瘍、奇形腫、未分化卵巣胚細胞癌、内胚葉洞腫瘍、性索間質性腫瘍、性索性腺間質腫瘍、卵巣間質腫瘍、顆粒膜細胞腫瘍、顆粒膜卵胞膜腫瘍、セルトリ-ライディッヒ腫瘍、卵巣肉腫、卵巣癌肉腫、卵巣腺肉腫、卵巣平滑筋肉腫、卵巣線維肉腫、クルケンベルグ腫瘍、又は卵巣嚢胞である。いくつかの実施形態では、膵臓癌は、膵外分泌腺癌、膵内分泌腺癌、又は膵腺癌腫、膵島細胞腫瘍、又は神経内分泌腫瘍である。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、前立腺腺癌腫、前立腺肉腫、移行細胞癌腫、小細胞癌腫、又は神経内分泌腫瘍である。いくつかの実施形態では、洞癌は、扁平上皮細胞癌腫、粘膜細胞癌腫、腺様嚢胞細胞癌腫、腺房細胞癌腫、副鼻腔未分化癌腫、鼻腔癌、副鼻腔癌、上顎洞癌、篩骨洞癌、又は鼻咽頭癌である。いくつかの実施形態では、皮膚癌は、基底細胞癌、扁平上皮癌腫、黒色腫、メルケル細胞癌腫、カポジ肉腫(KS)、日光角化症、皮膚リンパ腫、又は角化棘細胞腫である。いくつかの実施形態では、軟部組織癌は、血管肉腫、皮膚線維肉腫、上皮性肉腫、ユーイング肉腫、線維肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、脱分化型脂肪肉腫(DL)、粘液性/円形細胞脂肪肉腫(MRCL)、高分化型脂肪肉腫(WDL)、悪性線維性組織球腫、神経線維肉腫、横紋筋肉腫(RMS)、又は滑膜肉腫である。いくつかの実施形態では、脊髄癌は、脊髄転移性腫瘍である。いくつかの実施形態では、胃癌は、胃腺癌腫、胃リンパ腫、消化管間質腫瘍、カルチノイド腫瘍、胃カルチノイド腫瘍、I型ECL細胞カルチノイド、II型ECL細胞カルチノイド、又はIII型ECL細胞カルチノイドである。いくつかの実施形態では、精巣癌は、セミノーマ、非セミノーマ、胚性癌腫、卵黄嚢癌腫、絨毛癌腫、奇形腫、性腺間質腫瘍、ライディッヒ細胞腫瘍、又はセルトリ細胞腫瘍である。いくつかの実施形態では、咽頭癌は、扁平上皮細胞癌腫、腺癌腫、肉腫、喉頭癌、咽頭癌、鼻咽頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌、喉頭癌、喉頭扁平上皮細胞癌、喉頭腺癌腫、リンパ上皮腫、紡錘細胞癌腫、疣状癌、未分化癌腫、又はリンパ節癌である。いくつかの実施形態では、甲状腺癌は、乳頭状癌腫、濾胞状癌腫、ハースル細胞癌腫、甲状腺髄様癌腫、又は未分化癌腫である。いくつかの実施形態では、子宮癌は、子宮内膜癌、子宮内膜腺癌腫、類子宮内膜癌腫、漿液性腺癌腫、腺扁平上皮癌腫、子宮癌肉腫、子宮肉腫、子宮平滑筋肉腫、子宮内膜間質肉腫、又は未分化肉腫である。いくつかの実施形態では、膣癌は、扁平上皮細胞癌腫、腺癌腫、黒色腫、又は肉腫である。いくつかの実施形態では、外陰部癌は、扁平上皮細胞癌腫又は腺癌腫である。
【0163】
いくつかの実施形態では、バイパラトピック又は二重特異性抗体によって結合される1つの抗原は癌抗原である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、アンジオポエチン、BCMA、CD19、CD20、CD22、CD25(IL2-R)、CD30、CD33、CD37、CD38、CD52、CD56、CD123(IL-3R)、cMET、DLL/Notch、EGFR、EpCAM、FGF、FGF-R、GD2、HER2、メソテリン、ネクチン-4、PDGFRα、RANKL、SLAMF7、TROP2、VEGF、又はVEGF-Rである。いくつかの実施形態では、癌抗原は、アンジオポエチンである。いくつかの実施形態では、癌抗原は、BCMAである。いくつかの実施形態では、癌抗原は、CD19である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、CD20である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、CD22である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、CD25(IL2-R)である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、CD30である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、CD33である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、CD37である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、CD38である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、CD52である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、CD56である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、CD123(IL-3R)である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、cMETである。いくつかの実施形態では、癌抗原は、DLL/Notchである。いくつかの実施形態では、癌抗原は、EGFRである。いくつかの実施形態では、癌抗原は、EpCAMである。いくつかの実施形態では、癌抗原は、FGFである。いくつかの実施形態では、癌抗原は、FGF-Rである。いくつかの実施形態では、癌抗原は、GD2である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、HER2である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、メソテリンである。いくつかの実施形態では、癌抗原は、ネクチン-4である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、PDGFRαである。いくつかの実施形態では、癌抗原は、RANKLである。いくつかの実施形態では、癌抗原は、SLAMF7である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、TROP2である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、VEGFである。いくつかの実施形態では、癌抗原は、VEGF-Rである。
【0164】
いくつかの実施形態では、癌抗原は、CEA、未成熟ラミニン受容体、TAG-72、HPV E6、HPV E7、BING-4、カルシウム活性化クロリドチャネル2、サイクリン-B1、9D7、EpCAM、EphA3、Her2/neu、テロメラーゼ、メソテリン、SAP-1、サバイビン、BAGEファミリー抗原、CAGEファミリー抗原、GAGEファミリー抗原、MAGEファミリー抗原、SAGEファミリー抗原、XAGEファミリー抗原、NY-ESO-1/LAGE-1、PRAME、SSX-2、Melan-A、MART-1、Gp100、pmel17、チロシナーゼ、TRP-1、TRP-2、P.ポリペプチド、MC1R、前立腺特異的抗原、β-カテニン、BRCA1、BRCA2、CDK4、CML66、フィブロネクチン、MART-2、p53、Ras、TGF-βRII、又はMUC1である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、CEAである。いくつかの実施形態では、癌抗原は、未成熟ラミニン受容体である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、TAG-72である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、HPV E6である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、HPV E7である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、BING-4である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、カルシウム活性化クロリドチャネル2である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、サイクリン-B1である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、9D7である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、EpCAMである。いくつかの実施形態では、癌抗原は、EphA3である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、Her2/neuである。いくつかの実施形態では、癌抗原は、テロメラーゼである。いくつかの実施形態では、癌抗原は、メソテリンである。いくつかの実施形態では、癌抗原は、SAP-1である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、サバイビンである。いくつかの実施形態では、癌抗原は、BAGEファミリー抗原である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、CAGEファミリー抗原である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、GAGEファミリー抗原である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、MAGEファミリー抗原である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、SAGEファミリー抗原である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、XAGEファミリー抗原である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、NY-ESO-1/LAGE-1である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、PRAMEである。いくつかの実施形態では、癌抗原は、SSX-2である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、Melan-Aである。いくつかの実施形態では、癌抗原は、MART-1である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、Gp100である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、pmel17である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、チロシナーゼである。いくつかの実施形態では、癌抗原は、TRP-1である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、TRP-2である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、P.ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、癌抗原は、MC1Rである。いくつかの実施形態では、癌抗原は、前立腺特異的抗原である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、β-カテニンである。いくつかの実施形態では、癌抗原は、BRCA1である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、BRCA2である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、CDK4である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、CML66である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、フィブロネクチンである。いくつかの実施形態では、癌抗原は、MART-2である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、p53である。いくつかの実施形態では、癌抗原は、Rasである。いくつかの実施形態では、癌抗原は、TGF-βRIIである。いくつかの実施形態では、癌抗原は、MUC1である。
【0165】
いくつかの実施形態では、バイパラトピック又は二重特異性抗体はB細胞抗原に結合する。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD1a、CD1b、CD1c、CD1d、CD2、CD5、CD6、CD9、CD11a、CD11b、CD11c、CD17、CD18、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD25、CD26、CD27、CD29、CD30、CD31、CD32a、CD32b、CD35、CD37、CD38、CD39、CD40、CD45、CD45RA、CD45RB、CD45RC、CD45RO、CD46、CD47、CD48、CD49b、CD49c、CD49d、CD50、CD52、CD53、CD54、CD55、CD58、CD60a、CD62L、CD63、CD68、CD69、CD70、CD72、CD73、CD74、CD75、CD75S、CD77、CD79a、CD79b、CD80、CD81、CD82、CD83、CD84、CD85E、CD85I、CD85J、CD86、CD92、CD95、CD97、CD98、CD99、CD100、CD102、CD108、CD119、CD120a、CD120b、CD121b、CD122、CD124、CD125、CD126、CD130、CD132、CD137、CD138、CD139、CD147、CD148、CD150、CD152、CD162、CD164、CD166、CD167a、CD170、CD171、CD175、CD175s、CD180、CD184、CD185、CD192、CD196、CD197、CD200、CD205、CD201a、CDw210b、CD212、CD213a1、CD213a2、CD215、CD217、CD218a、CD218b、CD220、CD221、CD222、CD224、CD225、CD226、CD227、CD229、CD230、CD232、CD252、CD252、CD254、CD255、CD256、CD257 CD258、CD259、CD260、CD261、CD262、CD263、CD264、CD267、CD268、CD269、CD270、CD272、CD274、CD275、CD277、CD279、CD283、CD289、CD290、CD295、CD298、CD300、CD300c、CD305、CD306、CD307a、CD307b、CD307c、CD307d、CD307e、CD314、CD215、CD316、CD317、CD319、CD321、CD327、CD328、CD329、CD338、CD351、CD352、CD353、CD354、CD355、CD356、CD357、CD358、CD360、CD361、CD362、又はCD363抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD1a抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD1b抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD1c抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD1d抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD2抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD5抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD6抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD9抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD11a抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD11b抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD11c抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD17抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD18抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD19抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD20抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD21抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD22抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD23抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD24抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD25抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD26抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD27抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD29抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD30抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD31抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD32a抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD32b抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD35抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD37抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD38抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD39抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD40抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD45抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD45RA抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD45RB抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD45RC抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD45RO抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD46抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD47抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD48抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD49b抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD49c抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD49d抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD50抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD52抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD53抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD54抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD55抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD58抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD60a抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD62L抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD63抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD68抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD69抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD70抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD72抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD73抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD74抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD75抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD75S抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD77抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD79a抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD79b抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD80抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD81抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD82抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD83抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD84抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD85E抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD85I抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD85J抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD86抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD92抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD95抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD97抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD98抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD99抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD100抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD102抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD108抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD119抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD120a抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD120b抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD121b抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD122抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD124抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD125抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD126抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD130抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD132抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD137抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD138抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD139抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD147抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD148抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD150抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD152抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD162抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD164抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD166抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD167a抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD170抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD171抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD175抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD175s抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD180抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD184抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD185抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD192抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD196抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD197抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD200抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD205抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD201a抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CDw210b抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD212抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD213a1抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD213a2抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD215抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD217抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD218a抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD218b抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD220抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD221抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD222抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD224抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD225抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD226抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD227抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD229抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD230抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD232抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD252抗原である。いくつ


かの実施形態では、B細胞抗原は、CD252抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD254抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD255抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD256抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD257 CD258抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD259抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD260抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD261抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD262抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD263抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD264抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD267抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD268抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD269抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD270抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD272抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD274抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD275抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD277抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD279抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD283抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD289抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD290抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD295抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD298抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD300抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD300c抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD305抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD306抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD307a抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD307b抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD307c抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD307d抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD307e抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD314抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD215抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD316抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD317抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD319抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD321抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD327抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD328抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD329抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD338抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD351抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD352抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD353抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD354抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD355抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD356抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD357抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD358抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD360抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD361抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD362抗原である。いくつかの実施形態では、B細胞抗原は、CD363抗原である。
【0166】
一実施形態では、バイパラトピック又は二重特異性抗体は病原体に結合する。いくつかの実施形態では、病原体は、急性弛緩性脊髄炎(AFM)、アナプラズマ病、炭疽病、バベシア症、ボツリヌス中毒症、ブルセラ症、カンピロバクター症、カルバペネム耐性感染、軟性下疳、チクングニアウイルス感染症、クラミジア、シガテラ中毒、ディフィシル感染症、パーフリンジェンス、コクシジオイデス症真菌感染症、コロナウイルス感染症、Covid-19(SARS-CoV-2)、クロイツフェルト・ヤコブ病/伝達性海綿状脳症、クリプトスポリジウム症(Crypto)、シクロスポラ症、デング熱1、2、3、又は4、ジフテリア、大腸菌感染症/志賀毒素生成性(STEC)、東部馬脳炎、出血熱(エボラ)、エーリキア症、脳炎、アルボウイルス又は傍感染性脳炎、非ポリオエンテロウイルス、D68エンテロウイル(EV-D68)、ジアルジア症、鼻疽、淋菌感染症、鼠径部肉芽腫、ヘモフィルスインフルエンザ感染症B型(Hib又はH-flu)、ハンタウイルス肺症候群(HPS)、溶血性尿毒症症候群(HUS)、A型肝炎(Hep A)、B型肝炎(Hep B)、C型肝炎(Hep C)、D型肝炎(Hep D)、E型肝炎(Hep E)、ヘルペス、帯状ヘルペス(帯状疱疹)、ヒストプラスマ症、ヒト免疫不全ウイルス/AIDS(HIV/AIDS)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、インフルエンザ(Flu)、レジオネラ症(レジオネラ病)、癩(ハンセン病)、レプトスピラ症、リステリア症(リステリア)、ライム病、鼠径リンパ肉芽腫感染症(LGV)、マラリア、麻疹、メリオイドーシス、髄膜炎(ウイルス性)、髄膜炎菌性疾患(髄膜炎(細菌性))、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、ムンプス、ノロウイルス、シラミ寄生症(Pediculosis)、骨盤内感染症(PID)、パーツシス(百日咳)、ペスト(腺、敗血性、肺炎性)、肺炎球菌疾患(肺炎)、ポリオウイルス感染症(ポリオ)、ポワッサン、オウム病、シラミ寄生症(ケジラミ症)、膿疱疹疾患(天然痘、サル痘、牛痘)、Q熱、狂犬病、リケッチア症(ロッキー山紅斑熱)、風疹(ドイツ麻疹)、サルモネラ症胃腸炎(サルモネラ)、疥癬、スコンブロイド、敗血症、重症急性呼吸器症候群(SARS)、赤痢菌感染症胃腸炎(シゲラ)、天然痘、メチシリン耐性スタフィロカル感染症(MRSA)、ブドウ球菌食中毒エンテロトキシンB中毒(ブドウ球菌食中毒)、バンコマイシン中間体サフィロコカル感染症(VISA)、バンコマイシン耐性ブドウ球菌感染症(VRSA)、A群連鎖球菌感染症(侵襲性)(Strep A(侵襲性)、B群連鎖球菌感染症(Strep-B)、連鎖球菌毒素性ショック症候群STSS毒素ショック、梅毒(第1期、第2期、早期潜伏、晩期潜伏、先天性)、破傷風感染、トリコモナス症、トリコノシス感染症、結核(TB)、潜伏性結核(LTBI)、ツラレミア、腸チフスD群、膣症、水痘(水疱瘡)、コレラ菌(コレラ)、ビブリオ症(ビブリオ)、エボラウイルス出血熱、ラサウイルス出血熱、マールブルグウイルス出血熱、ウエストナイルウイルス、黄熱、エルセニア、及びジカウイルス感染症からなる群から選択される感染症を引き起こす。いくつかの実施形態では、感染症は、急性弛緩性脊髄炎(AFM)である。いくつかの実施形態では、感染症は、アナプラズマ病である。いくつかの実施形態では、感染症は、炭疽病である。いくつかの実施形態では、感染症は、バベシア症である。いくつかの実施形態では、感染症は、ボツリヌス中毒症である。いくつかの実施形態では、感染症は、ブルセラ症である。いくつかの実施形態では、感染症は、カンピロバクター症である。いくつかの実施形態では、感染症は、カルバペネム耐性感染である。いくつかの実施形態では、感染症は、軟性下疳である。いくつかの実施形態では、感染症は、チクングニアウイルス感染症である。いくつかの実施形態では、感染症は、クラミジアである。いくつかの実施形態では、感染症は、シガテラ中毒である。いくつかの実施形態では、感染症は、ディフィシル感染症である。いくつかの実施形態では、感染症は、パーフリンジェンスである。いくつかの実施形態では、感染症は、コクシジオイデス症真菌感染症である。いくつかの実施形態では、感染症は、コロナウイルスである。いくつかの実施形態では、感染症は、Covid-19(SARS-CoV-2)である。いくつかの実施形態では、感染症は、クロイツフェルト・ヤコブ病/伝達性海綿状脳症である。いくつかの実施形態では、感染症は、クリプトスポリジウム症(Crypto)である。いくつかの実施形態では、感染症は、シクロスポラ症である。いくつかの実施形態では、感染症は、デング熱1、2、3、又は4である。いくつかの実施形態では、感染症は、ジフテリアである。いくつかの実施形態では、感染症は、大腸菌感染症/志賀毒素生成性(STEC)である。いくつかの実施形態では、感染症は、東部馬脳炎である。いくつかの実施形態では、感染症は、出血熱(エボラ)である。いくつかの実施形態では、感染症は、エーリキア症である。いくつかの実施形態では、感染症は、脳炎である。いくつかの実施形態では、感染症は、アルボウイルス又は傍感染性である。いくつかの実施形態では、感染症は、非ポリオエンテロウイルスである。いくつかの実施形態では、感染症は、D68エンテロウイル(EV-D68)である。いくつかの実施形態では、感染症は、ジアルジア症である。いくつかの実施形態では、感染症は、鼻疽である。いくつかの実施形態では、感染症は、淋菌感染症である。いくつかの実施形態では、感染症は、鼠径部肉芽腫である。いくつかの実施形態では、感染症は、ヘモフィルスインフルエンザ感染症B型(Hib又はH-flu)である。いくつかの実施形態では、感染症は、ハンタウイルス肺症候群(HPS)である。いくつかの実施形態では、感染症は、溶血性尿毒症症候群(HUS)である。いくつかの実施形態では、感染症は、A型肝炎(Hep A)である。いくつかの実施形態では、感染症は、B型肝炎(Hep B)である。いくつかの実施形態では、感染症は、C型肝炎(Hep C)である。いくつかの実施形態では、感染症は、D型肝炎(Hep D)である。いくつかの実施形態では、感染症は、E型肝炎(Hep E)である。いくつかの実施形態では、感染症は、ヘルペスである。いくつかの実施形態では、感染症は、帯状ヘルペス(帯状疱疹)である。いくつかの実施形態では、感染症は、ヒストプラスマ症である。いくつかの実施形態では、感染症は、ヒト免疫不全ウイルス/AIDS(HIV/AIDS)である。いくつかの実施形態では、感染症は、ヒトパピローマウイルス(HPV)である。いくつかの実施形態では、感染症は、インフルエンザ(Flu)である。いくつかの実施形態では、感染症は、レジオネラ症(レジオネラ病)である。いくつかの実施形態では、感染症は、癩(ハンセン病)である。いくつかの実施形態では、感染症は、レプトスピラ症である。いくつかの実施形態では、感染症は、リステリア症(リステリア)である。いくつかの実施形態では、感染症は、ライム病である。いくつかの実施形態では、感染症は、鼠径リンパ肉芽腫感染症(LGV)である。いくつかの実施形態では、感染症は、マラリアである。いくつかの実施形態では、感染症は、麻疹である。いくつかの実施形態では、感染症は、メリオイドーシスである。いくつかの実施形態では、感染症は、髄膜炎(ウイルス性)である。いくつかの実施形態では、感染症は、髄膜炎菌性疾患(髄膜炎(細菌性))である。いくつかの実施形態では、感染症は、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)である。いくつかの実施形態では、感染症は、ムンプスである。いくつかの実施形態では、感染症は、ノロウイルスである。いくつかの実施形態では、感染症は、シラミ寄生症(Pediculosis)である。いくつかの実施形態では、感染症は、骨盤内感染症(PID)である。いくつかの実施形態では、感染症は、パーツシス(百日咳)である。いくつかの実施形態では、感染症は、ペスト(腺である。いくつかの実施形態では、感染症は、敗血性である。いくつかの実施形態では、感染症は、肺炎性)である。いくつかの実施形態では、感染症は、肺炎球菌疾患(肺炎)である。いくつかの実施形態では、感染症は、ポリオウイルス感染症(ポリオ)である。いくつかの実施形態では、感染症は、ポワッサンである。いくつかの実施形態では、感染症は、オウム病である。いくつかの実施形態では、感染症は、シラミ寄生症(ケジラミ症)である。いくつかの実施形態では、感染症は、膿疱疹疾患(天然痘である。いくつかの実施形態では、感染症は、サル痘である。いくつかの実施形態では、感染症は、牛痘)である。いくつかの実施形態では、感染症は、Q熱である。いくつかの実施形態では、感染症は、狂犬病である。いくつかの実施形態では、感染症は、リケッチア症(ロッキー山紅斑熱)である。いくつかの実施形態では、感染症は、風疹(ドイツ麻疹)である。いくつかの実施形態では、感染症は、サルモネラ症胃腸炎(サルモネラ)である。いくつかの実施形態では、感染症は、疥癬である。いくつかの実施形態では、感染症は、スコンブロイドである。いくつかの実施形態では、感染症は、敗血症である。いくつかの実施形態では、感染症は、重症急性呼吸器症候群(SARS)である。いくつかの実施形態では、感染症は、赤痢菌感染症胃腸炎(シゲラ)である。いくつかの実施形態では、感染症は、天然痘である。いくつかの実施形態では、感染症は、メチシリン耐性スタフィロカル感染症(MRSA)である。いくつかの実施形態では、感染症は、ブドウ球菌食中毒エンテロトキシンB中毒(ブドウ球菌食中毒)である。いくつかの実施形態では、感染症は、バンコマイシン中間体サフィロコカル感染症(VISA)である。いくつかの実施形態では、感染症は、バンコマイシン耐性ブドウ球菌感染症(VRSA)である。いくつかの実施形態では、感染症は、A群連鎖球菌感染症(侵襲性)(Strep A(侵襲性)である。いくつかの実施形態では、感染症は、連鎖球菌感染症である。いくつかの実施形態では、感染症は、B群(Strep-B)である。いくつかの実施形態では、感染症は、連鎖球菌毒素性ショック症候群STSS毒素ショックである。いくつかの実施形態では、感染症は、梅毒(第1期である。いくつかの実施形態では、感染症は、第2期である。いくつかの実施形態では、感染症は、早期潜伏である。いくつかの実施形態では、感染症は、晩期潜伏である。いくつかの実施形態では、感染症は、先天性)である。いくつかの実施形態では、感染症は、破傷風感染である。いくつかの実施形態では、感染症は、トリコモナス症である。いくつかの実施形態では、感染症は、トリコノシス感染症である。いくつかの実施形態では、感染症は、結核(TB)である。いくつかの実施形態では、感染症は、潜伏性結核(LTBI)である。いくつかの実施形態では、感染症は、ツラレミアである。いくつかの実施形態では、感染症は、腸チフスD群である。いくつかの実施形態では、感染症は、水痘(水疱瘡)、コレラ菌(コレラ)である。いくつかの実施形態では、感染症は、ビブリオ症(ビブリオ)である。いくつかの実施形態では、感染症は、エボラウイルス出血熱である。いくつかの実施形態では、感染症は、ラサウイルス出血熱である。いくつかの実施形態では、感染症は、マールブルグウイルス出血熱である。いくつかの実施形態では、感染症は、ウエストナイルウイルスである。いくつかの実施形態では、感染症は、黄熱である。いくつかの実施形態では、感染症は、エルセニアである。いくつかの実施形態では、感染症は、及びジカウイルス感染症である。
【0167】
いくつかの実施形態では、病原体は、ウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、アデノウイルス科、アレナウイルス科、アストロウイルス科、ブニヤウイルス科、カリシウイルス科、コロナウイルス科、フィロウイルス科、フラビウイルス科、ヘパドナウイルス科、ヘペウイルス科、オルトミクソウイルス科、パピローマウイルス科、パラミクソウイルス科、パルボウイルス科、ピコルナウイルス科、ポリオーマウイルス科、ポックスウイルス科、レオウイルス科、レトロウイルス科、ラブドウイルス科、又はトガウイルス科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、アデノウイルス科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、アレナウイルス科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、アストロウイルス科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、ブニヤウイルス科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、カリシウイルス科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、コロナウイルス科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、フィロウイルス科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、フラビウイルス科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、ヘパドナウイルス科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、ヘペウイルス科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、オルトミクソウイルス科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、パピローマウイルス科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、パラミクソウイルス科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、パルボウイルス科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、ピコルナウイルス科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、ポリオーマウイルス科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、ポックスウイルス科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、レオウイルス科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、レトロウイルス科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、ラブドウイルス科のウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、トガウイルス科のウイルスである。
【0168】
いくつかの実施形態では、ウイルスは、アデノウイルス、コロナウイルス、コクサッキーウイルス、エプスタインバーウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、単純ヘルペスウイルス2型、サイトメガロウイルス、ヒトヘルペスウイルス8型、ヒト免疫不全ウイルス、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、ヒトパピローマウイルス、パラインフルエンザウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、風疹ウイルス、又は水痘帯状疱疹ウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、アデノウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、コロナウイルスである。いくつかの実施形態では、コロナウイルスウイルスは、Covid-19(SARS-CoV-2)である。いくつかの実施形態では、ウイルスは、コクサッキーウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、エプスタインバーウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、A型肝炎ウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、B型肝炎ウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、C型肝炎ウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、単純ヘルペスウイルス2型である。いくつかの実施形態では、ウイルスは、サイトメガロウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、ヒトヘルペスウイルス8型である。いくつかの実施形態では、ウイルスは、ヒト免疫不全ウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、インフルエンザウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、麻疹ウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、ムンプスウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、ヒトパピローマウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、パラインフルエンザウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、ポリオウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、狂犬病ウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、呼吸器合胞体ウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、風疹ウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、水痘帯状疱疹ウイルスである。
【0169】
いくつかの実施形態では、病原体は、細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、バチルス、バルトネラ、ボルデテラ、ボレリア、ブルセラ、カンピロバクター、クラミジア、クラミドフィラ、クロストリジウム、コリネバクテリウム、エンテロコッカス、エシェリキア、フランシセラ、ヘモフィルス、ヘリコバクター、レジオネラ、レプトスピラ、リステリア、マイコバクテリア、マイコプラズマ、ナイセリア、シュードモナス、リケッチア、サルモネラ、シゲラ、ブドウ球菌、連鎖球菌、トレポネーマ、ウレアプラズマ、ビブリオ、又はエルシニア属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、バチルス属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、バルトネラ属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、ボルデテラ属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、ボレリア属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、ブルセラ属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、カンピロバクター属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、クラミジア属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、クラミドフィラ属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、クロストリジウム属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、コリネバクテリウム属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、エンテロコッカス属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、エシェリキア属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、フランシセラ属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、ヘモフィルス属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、ヘリコバクター属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、レジオネラ属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、レプトスピラ属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、リステリア属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、マイコバクテリア属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、マイコプラズマ属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、ナイセリア属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、シュードモナス属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、リケッチア属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、サルモネラ属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、シゲラ属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、ブドウ球菌属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、連鎖球菌属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、トレポネーマ属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、ウレアプラズマ属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、ビブリオ属の細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は、エルシニア属の細菌である。
【0170】
いくつかの実施形態では、病原体は、寄生虫である。いくつかの実施形態では、寄生虫は、原虫、蠕虫、又は外部寄生虫である。いくつかの実施形態では、原虫は、エントアメーバ属、ジアルジア属、リーシュマニア属、バランチジウム属、プラスモジウム属、又はクリプトスポリジウム属である。いくつかの実施形態では、蠕虫は、吸虫、条虫、鈎頭虫、又は回虫である。いくつかの実施形態では、外部寄生虫は、節足動物である。
【0171】
いくつかの具体的な実施形態では、本明細書において提供されるバイパラトピック又は二重特異性抗体はCD22に結合する。いくつかの具体的な実施形態では、本明細書において提供されるバイパラトピック又は二重特異性抗体はCD37に結合する。いくつかの具体的な実施形態では、本明細書において提供されるバイパラトピック又は二重特異性抗体はGPRC5Dに結合する。いくつかの具体的な実施形態では、本明細書において提供されるバイパラトピック又は二重特異性抗体はKLK2に結合する。いくつかの具体的な実施形態では、本明細書において提供されるバイパラトピック又は二重特異性抗体はHLA-Gに結合する。いくつかの具体的な実施形態では、本明細書において提供されるバイパラトピック又は二重特異性抗体はPSMAに結合する。いくつかの具体的な実施形態では、本明細書において提供されるバイパラトピック又は二重特異性抗体はBCMAに結合する。
【0172】
他の例示的な結合分子
いくつかの実施形態では、本明細書において提供されるバイパラトピック又は二重特異性抗体は、RE変異を有し、場合によりフコシル化を伴わないFc領域を含む特定の公知の抗体に由来する。そのような例示的な既知の抗体としては、限定するものではないが、ReoPro(アブシキシマブ)、Humira(アダリムマブ)、Hyrimoz(アダリムマブ-adaz)、Cyltezo(アダリムマブ-adbm)、Abrilada(アダリムマブ-afzb)、Amjevita(アダリムマブ-atto)、Hadlima(アダリムマブ-bwwd)、Campath、Lemtrada(アレムツズマブ)、Praluent(アリロクマブ)、Tecentriq(アテゾリズマブ)、Bavencio(アベルマブ)、Simulect(バシリキシマブ)、Benlysta(ベリムマブ)、Benlysta(ベリムマブ)、Fasenra(ベンラリズマブ)、Avastin(ベバシズマブ)、Mvasi(ベバシズマブ-awwb)、Zirabev(ベバシズマブ-bvzr)、Zinplava(ベズロトクスマブ)、Blincyto(ブリナツモマブ)、Siliq(ブロダルマブ)、Beovu(ブロルシズマブ-dbll)、Crysvita(ブロスマブ-twza)、Ilaris(カナキヌマブ)、Cablivi(カプラシズマブ-yhdp)、Libtayo(セミプリマブ-rwlc)、Erbitux(セツキシマブ)、Adakveo(クリザンリズマブ-tmca)、Zenapax(ダクリズマブ)、Zinbryta(ダクリズマブ)、Darzalex(ダラツムマブ)、Prolia、Xgeva(デノスマブ)、Unituxin(ジヌツキシマブ)、Dupixent(デュピルマブ)、Imfinzi(デュルバルマブ)、Soliris(エクリズマブ)、Empliciti(エロツズマブ)、Gamifant(エマパルマブ-lzsg)、Hemlibra(エミシズマブ-kxwh)、Vyepti(エプチネズマブ-jjmr)、Aimovig(エレヌマブ-aooe)、Repatha(エボロクマブ)、Ajovy(フリーマーンズマブ-vfrm)、Emgality(ガルカネズマブ-gnlm)、Simponi(ゴリムマブ)、Simponi Aria(ゴリムマブ)、Tremfya(グセルクマブ)、Trogarzo(イバリズマブ-uiyk)、Praxbind(イダルシズマブ)、Remicade(インフリキシマブ)、Renflexis(インフリキシマブ-abda)、Avsola(インフリキシマブ-axxq)、Inflectra(インフリキシマブ-dyyb)、Ixifi(インフリキシマブ-qbtx)、Yervoy(イピリムマブ)、Sarclisa(イサツキシマブ-irfc)、Taltz(イキセキズマブ)、Takhzyro(ラナデルマブ-flyo)、Nucala(メポリズマブ)、Nucala(メポリズマブ)、Poteligeo(モガムリズマブ-kpkc)、Tysabri(ナタリズマブ)、Portrazza(ネシツムマブ)、Opdivo(ニボルマブ)、Anthim(オビルトキサキシマブ)、Gazyva(オビヌツズマブ)、Ocrevus(オクレリズマブ)、Arzerra(オファツムマブ)、Lartruvo(オララツマブ)、Xolair(オマリズマブ)、Synagis(パリビズマブ)、Vectibix(パニツムマブ)、Keytruda(ペンブロリズマブ)、Perjeta(ペルツズマブ)、Cyramza(ラムシルマブ)、Lucentis(ラニビズマブ)、Ultomiris(ラブリズマブ-cwvz)、ラキシバクマブ(ラキシバクマブ)、Cinqair(レスリズマブ)、Skyrizi(リサンキズマブ-rzaa)、Rituxan(リツキシマブ)、Truxima(リツキシマブ-abbs)、Ruxience(リツキシマブ-pvvr)、Evenity(ロモソズマブ-aqqg)、Kevzara(サリルマブ)、Cosentyx(セクキヌマブ)、Sylvant(シルツキシマブ)、Tepezza(テプロツムマブ-trbw)、Ilumya(チルドラキズマブ-asmn)、Actemra(トシリズマブ)、Actemra(トシリズマブ)、Herceptin(トラスツズマブ)、Kanjinti(トラスツズマブ-anns)、Ogivri(トラスツズマブ-dkst)、Ontruzant(トラスツズマブ-dttb)、Herzuma(トラスツズマブ-pkrb)、Trazimera(トラスツズマブ-qyyp)、Stelara(ウステキヌマブ)、Stelara(ウステキヌマブ)、及びEntyvio(ベドリズマブ)が挙げられる。RE変異を導入し、フコシル化を低減するための方法は、本明細書において提供される他のセクションにおいてより詳細に記載されており、当該技術分野において周知である。
【0173】
いくつかの実施形態では、バイパラトピック又は二重特異性結合分子の抗原結合ドメインの各々は単一ドメイン抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、バイパラトピック又は二重特異性結合分子の抗原結合ドメインの各々は操作された結合断片である。
【0174】
ポリヌクレオチド
特定の実施形態では、本開示は、本明細書に記載の抗体をコードするポリヌクレオチドを包含する。「ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド」という用語は、ポリペプチドのコード配列のみを含むポリヌクレオチド、並びに追加のコード配列及び/又は非コード配列を含むポリヌクレオチドを包含する。本開示のポリヌクレオチドは、RNAの形態又はDNAの形態であり得る。DNAには、cDNA、ゲノムDNA、及び合成DNAが挙げられ、これは、二本鎖又は一本鎖であり得、一本鎖の場合は、コード鎖又非コード(アンチセンス)鎖であり得る。
【0175】
特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、例えば、宿主細胞からのポリペプチドの発現及び分泌を補助するポリヌクレオチド(例えば、ポリペプチドの輸送を制御するための分泌配列として機能するリーダー配列)と同じ読み枠で融合した、ポリペプチドのコード配列を含む。ポリペプチドは、「成熟」型のポリペプチドを形成させるために宿主細胞によって切断されるリーダー配列を有することができる。
【0176】
特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、マーカー又はタグ配列と同じ読み枠で融合した、ポリペプチドのコード配列を含む。例えば、いくつかの実施形態では、細菌宿主の場合、マーカー配列は、マーカーと融合したポリペプチドの効率的精製を可能にするベクターによって供給されるヘキサヒスチジンタグである。いくつかの実施形態では、マーカーは、他の親和性タグと併せて使用される。
【0177】
本開示は更に、本明細書に記載されたポリヌクレオチドの変異体に関し、変異体は、例えば、ポリヌクレオチドの断片、類似体、及び/又は誘導体をコードする。特定の実施形態では、本開示は、本明細書に記載の抗体を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと、少なくとも約80%同一、少なくとも約85%同一、少なくとも約90%同一、少なくとも約95%同一、及びいくつかの実施形態では、少なくとも約96%、97%、98%又は99%同一のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む、ポリヌクレオチドを提供する。
【0178】
本明細書で使用される場合、「参照ヌクレオチド配列と少なくとも、例えば、95%「同一」のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド」という語句は、ポリヌクレオチド配列が参照ヌクレオチド配列の100ヌクレオチドごとに最大5個の点変異を含み得ることを除いて、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が参照配列と同一であることを意味することを意図している。言い換えれば、参照ヌクレオチド配列と少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを得るためには、参照配列のヌクレオチドのうち最大5%が、欠失若しくは別のヌクレオチドで置換され得るか、又は参照配列の全ヌクレオチドのうち最大5%の数のヌクレオチドが、参照配列に挿入され得る。参照配列のこれらの変異は、参照ヌクレオチド配列の5’又は3’の末端位置、又はそれらの末端位置の間の任意の場所で起こり得、参照配列のヌクレオチド間で個別に、又は参照配列内の1つ以上の隣接グループで散在する。
【0179】
ポリヌクレオチド変異体は、コード領域、非コード領域、又はその両方に変化を含み得る。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドバリアントは、サイレント置換、付加、又は欠失をもたらす変化を含むが、コードされたポリペプチドの特性又は活性を変化させない。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドバリアントは、(遺伝子コードの縮重により)ポリペプチドのアミノ酸配列に変化をもたらさないサイレント置換を含む。ポリヌクレオチド変異体は、様々な理由のため、例えば、特定の宿主に対するコドン発現を最適化するため(すなわち、ヒトのmRNAのコドンを大腸菌などの細菌宿主が好むものに変更する)、生成することができる。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドバリアントは、配列の非コード領域又はコード領域における少なくとも1つのサイレント変異を含む。
【0180】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドバリアントは、コードされたポリペプチドの発現(又は発現レベル)を調節又は変更するために産生される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドバリアントは、コードされたポリペプチドの発現を増加させるために産生される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドバリアントは、コードされたポリペプチドの発現を減少させるために産生される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドバリアントは、親ポリヌクレオチド配列と比較して、コードされたポリペプチドの発現が増加している。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドバリアントは、親ポリヌクレオチド配列と比較して、コードされたポリペプチドの発現が減少している。
【0181】
特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、単離される。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、実質的に純粋である。
【0182】
本明細書に記載のポリヌクレオチドを含むベクター及び細胞も提供される。いくつかの実施形態では、発現ベクターは、ポリヌクレオチド分子を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、ポリヌクレオチド分子を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、ポリヌクレオチド分子を含む1つ又は2つ以上の発現ベクターを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、ポリヌクレオチド分子を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、1つ又は2つ以上のポリヌクレオチド分子を含む。本明細書において提供されるベクターの構築は、以下のセクション7に例示される。
【0183】
ポリクローナル及びモノクローナル抗体
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体の集団は、ポリクローナル抗体を含む。ポリクローナル抗体を調製する方法は、当業者に既知である。ポリクローナル抗体は、例えば、免疫剤、及び、必要に応じて、アジュバントを1回又は2回以上注射することによって、哺乳動物中で生じさせることができる。典型的には、免疫剤及び/又はアジュバントは、複数回の皮下注射又は腹腔内注射によって哺乳動物に注射される。免疫剤は、ポリペプチド(そのようなHLA-G、CD37、GPRC5D、KLK2、PSMA、又はBCMA又はそのフラグメント)又はその融合タンパク質を含み得る。免疫化される哺乳動物において免疫原性であることが知られているタンパク質に、免疫剤をコンジュゲートさせ、当該タンパク質及び1つ又は2つ以上のアジュバントで哺乳動物を免疫化することが有用であり得る。そのような免疫原性タンパク質の例としては、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシのサイログロブリン、及びダイズトリプシン阻害因子が挙げられるが、これらに限定されない。採用され得るアジュバントの例としては、Ribi、CpG、Poly(I:C)、フロイント完全アジュバント、及びMPL-TDMアジュバント(モノホスホリルリピド、合成トレハロースジコリノミコレート)が挙げられる。免疫プロトコルは、当業者によって、過度の実験を伴わずに選択され得る。次いで、哺乳動物から採血し、血清を、例えば、抗HLA-G、抗CD37、抗GPRC5D、抗KLK2抗体、抗PSMA、又は抗BCMA力価についてアッセイすることができる。所望の場合、抗体力価が増大するか、又はプラトー状態に達するまで、哺乳動物に追加免疫することができる。追加的又は代替的に、リンパ球は、ハイブリドーマからのモノクローナル抗体の融合及び調製のために、免疫化動物から取得され得る。
【0184】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、モノクローナル抗体を含む。モノクローナル抗体は、Kohler,et al.,Nature,1975,256:495-7により最初に記載されたハイブリドーマ法を使用して作製され得るか、又は組み換えDNA方法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)によって作製され得る。
【0185】
ハイブリドーマ方法では、マウス、又はハムスターなどの他の適切な宿主動物を、上記で記載した通りに免疫化して、免疫化のために使用されるタンパク質に特異的に結合する抗体を生成するか、又はこれらを生成することが可能なリンパ球を誘発する。代替的に、リンパ球は、インビトロで免疫化され得る。免疫化の後、リンパ球を単離し、次いで、ポリエチレングリコールなどの好適な融合剤を使用して骨髄腫細胞系と融合させて、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding,モノクローナル抗体:Principles and Practice 59-103(1986))。
【0186】
このようにして調製されたハイブリドーマ細胞を、特定の実施形態では、融合されていない親骨髄腫細胞(融合パートナーとも称される)の増殖又は生存を阻害する1つ以上の物質を含有する、好適な培養培地中に播種し、増殖させる。例えば、親骨髄腫細胞が、酵素であるヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマのための選択的培養培地は、典型的に、ヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジンを含み(HAT培地)、これらは、HGPRT欠損細胞の増殖を防止する。
【0187】
例示的な融合パートナーである骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体生成細胞による安定的な高レベルの抗体の生成を支援し、融合させていない親細胞に対して選択する選択的培地に感受性である骨髄腫細胞である。例示的な骨髄腫細胞系は、American Type Culture Collection(Manassas,VA)から入手可能な、SP-2細胞及び派生細胞、例えば、X63-Ag8-653細胞などのマウス骨髄腫系、並びにSalk Institute Cell Distribution Center(San Diego,CA)から入手可能な、MOPC-21マウス腫瘍及びMPC-11マウス腫瘍に由来する、マウス骨髄腫系である。ヒトモノクローナル抗体を産生するための、ヒト骨髄腫細胞系及びマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞系についてもまた、記載されている(Kozbor,Immunol.,1984,133:3001-05;and Brodeur,et al.,モノクローナル抗体 Production Techniques and Applications,1987,51-63)。
【0188】
ハイブリドーマ細胞が増殖する培養培地を、抗原に対するモノクローナル抗体の生成についてアッセイする。ハイブリドーマ細胞により生成されるモノクローナル抗体の結合特異性を、免疫沈降、又はRIA若しくはELISAなどのインビトロにおけるにおける結合アッセイにより決定する。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munson et al.,Anal.Biochem.,1980,107:220-39において記載されている、スカッチャード分析により決定することができる。
【0189】
所望の特異性、親和性、及び/又は活性を有する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を同定したら、クローンを、限界希釈手順によりサブクローニングし、標準的な方法により増殖させることができる(Goding、上記)。この目的に好適な培養培地は、例えば、DMEM培地又はRPMI-1640培地を含む。加えて、例えば、細胞のマウスへのi.p.注射により、ハイブリドーマ細胞を、インビボにおいて、動物における腹水腫瘍として増殖させ得る。
【0190】
サブクローンにより分泌されたモノクローナル抗体を、例えば、親和性クロマトグラフィ(例えば、プロテインA-セファロース又はプロテインG-セファロースを使用して)又はイオン交換クロマトグラフィ、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィ、ゲル電気泳動、透析などの従来の抗体精製手順により、培養培地、腹水、又は血清から、好適に分離する。
【0191】
モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することが可能なオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)、容易に単離され、配列決定される。ハイブリドーマ細胞を、そのようなDNAの供給源として用いることができる。単離したら、DNAを発現ベクターに入れることができ、次いで、普通であれば抗体タンパク質を産生しない大腸菌(E.coli)細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又は骨髄腫細胞などの宿主細胞にこれらをトランスフェクトして、組み換え宿主細胞内のモノクローナル抗体の合成を得ることができる。抗体をコードするDNAの、細菌内の組み換え発現についての総説論文は、Skerra,et al.,Curr.Opinion in Immunol.,1993,5:256-62 and Pluckthun,Immunol.Revs.,1992,130:151-88を含む。
【0192】
いくつかの実施形態では、(例えば、HLA-G、CD37、GPRC5D、KLK2、PSMA、又はBCMAの)エピトープに結合する抗体は、(1)厳密な条件(例えば、結合したDNAを、6倍濃度の塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約45℃で濾過するハイブリダイゼーションに続く、0.2倍濃度のSSC/0.1%のSDS中、約50~65℃で、1回又は2回以上の洗浄)下で、高度に厳密な条件(例えば、結合した核酸を、6倍濃度のSSC中、約45℃で濾過するハイブリダイゼーションに続く、0.1倍濃度のSSC/0.2%のSDS中、約68℃で、1回又は2回以上の洗浄)下で、又は当業者に既知である他の厳密なハイブリダイゼーション条件下で、本明細書において記載されるVHドメイン及び/又はVLドメインのうちのいずれか1つをコードするヌクレオチド配列の相補体とハイブリダイズするヌクレオチド配列によりコードされる、VHドメインのアミノ酸配列及び/又はVLドメインのアミノ酸配列を含む(例えば、Current Protocols in Molecular Biology Vol.I,6.3.1-6.3.6 and 2.10.3(Ausubel et al.eds.,1989)を参照されたい)。
【0193】
更なる実施形態では、モノクローナル抗体は、例えば、例えば、Antibody Phage Display:Methods and Protocols(O’Brien and Aitken,eds.,2002)において記載されている技法を使用して作出された抗体ファージライブラリーから単離することができる。ファージ表示方法では、機能的な抗体ドメインを、それらをコードするポリヌクレオチド配列を保有するファージ粒子の表面上に提示する。本明細書で記載される抗体を作製するのに使用され得るファージディスプレイ方法の例は、Brinkman,et al.,J.Immunol.Methods,1995,182:41-50;Ames,et al.,J.Immunol.Methods,1995,184:177-86;Kettleborough,et al.,Eur.J.Immunol.,1994,24:952-8;Persic,et al.,Gene,1997,187:9-18;Burton et al.,Advances in Immunology,1994,57:191-280;PCT出願第GB91/01134号、国際公開第90/02809号、同第91/10737号、同第92/01047号、同第92/18619号、同第93/11236号、同第95/15982号、同第95/20401号、及び同第97/13844号、並びに米国特許第5,698,426号、同第5,223,409号、同第5,403,484号、同第5,580,717号、同第5,427,908号、同第5,750,753号、同第5,821,047号、同第5,571,698号、同第5,427,908号、同第5,516,637号、同第5,780,225号、同第5,658,727号、同第5,733,743号及び同第5,969,108号において開示されているファージ表示方法を含む。
【0194】
原則として、合成抗体クローンは、ファージコートタンパク質へと融合させた、抗体可変領域(Fv)の多様な断片を提示するファージを含むファージライブラリーをスクリーニングすることにより選択される。そのようなファージライブラリーを、所望の抗原に対してスクリーニングする。所望の抗原への結合が可能なFv断片を発現するクローンは、抗原へと吸着されるので、ライブラリー内の非結合クローンから分離される。次いで、結合クローンを、抗原から溶離させ、抗原への吸着/溶離の更なるサイクルにより、更に濃縮され得る。
【0195】
可変ドメインは、例えば、Winter et al.,1994,Ann.Rev.Immunol.12:433-55に記載されている通り、それらはそれぞれ定常ドメインに融合し、非共有結合的に相互作用する。
【0196】
VH遺伝子及びVL遺伝子のレパートリは、Winter et al.、上記において記載されている通り、PCRにより個別にクローニングされ、ファージライブラリー内でランダムに組み換えられることができ、次いで、これらを、抗原結合クローンについて検索することができる。免疫された起源からのライブラリーは、ハイブリドーマを構築する必要性を伴うことなく免疫原に高親和性抗体を提供する。代替的に、Griffiths et al.,EMBO J,1993,12:725-34により記載されているように、ナイーブレパートリをクローニングして、広範にわたる非自己に対するヒト抗体の単一の供給源をもたらし、また、免疫化を伴わない自己抗原に対するヒト抗体の単一の供給源ももたらすことができる。最後に、ナイーブライブラリーはまた、例えば、Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,1992,227:381-88により記載されている通り、幹細胞に由来する、再配列されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、ランダム配列を含むPCRプライマーを使用して、高度に可変性のCDR3領域をコードし、インビトロにおける再配列を達成することにより、合成により作ることもできる。
【0197】
ライブラリーのスクリーニングは、当該技術分野で知られている様々な技術によって達成することができる。例えば、HLA-G、CD37、GPRC5D、KLK2、PSMA、又はBCMA(例えば、an HLA-G、CD37、GPRC5D、KLK2、PSMA、又はBCMA ポリペプチド、フラグメント、又はエピトープ)は、吸着プレートのウェルをコーティングするのに使用することができ、吸着プレートへと固定した宿主細胞上で発現させることもでき、細胞選別において使用することができ、ストレプトアビジンでコーティングされたビーズによる捕捉のためにビオチンへとコンジュゲートさせることができ、パニングディスプレイライブラリーのための他の任意の方法において使用することができる。解離反応速度の遅い(例えば、結合親和性が良好な)抗体の選択は、Bass,et al.,Proteins,1990,8:309-14及び国際公開第92/09690号において記載されているように、長時間の洗浄及び一価ファージディスプレイの使用、並びにMarks et al.,Biotechnol.,1992,10:779-83において記載されているように、抗原の低コーティング密度の使用により促進することができる。
【0198】
抗体は、目的のファージクローンを選択するための好適な抗原スクリーニング手順に続き、Kabat,et al.、(上記)に記載されている、K248E、T437R、又はK248E/T437R変異を含む、目的のファージクローン及び好適な定常領域(例えば、Fc)配列に由来する、VH配列及び/又はVL配列(例えば、Fv配列)、又はVH配列及びVL配列に由来する多様なCDR配列を使用する、全長抗体クローンの構築を設計することにより得ることができる。
【0199】
本明細書で記載される抗体はまた、例えば、キメラ抗体を含み得る。キメラ抗体とは、抗体の異なる部分が異なる免疫グロブリン分子に由来する分子である。例えば、キメラ抗体は、ヒト抗体の定常領域へと融合させたマウスモノクローナル抗体又はラットモノクローナル抗体の可変領域を含み得る。キメラ抗体を生成するための方法は当該技術分野において既知である。例えば、Morrison,Science,1985,229:1202;Oi et al.,1986,BioTechniques 4:214、Gillies et al.,1989,J.Immunol.Methods 125:191-202、及び米国特許第5,807,715号、同第4,816,567号、同第4,816,397号、及び同第6,331,415号を参照。
【0200】
本明細書で記載される技法などの技法を使用して産生される抗体は、周知の標準的な技法を使用して単離することができる。例えば、抗体は、例えば、プロテインA-セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィ、ゲル電気泳動、透析、又は親和性クロマトグラフィなど、従来の免疫グロブリン精製手順により、例えば、培養培地、腹水、血清、細胞溶解物、合成反応材料などから好適に分離することができる。本明細書中で使用される場合、「単離」又は「精製」抗体は、抗体が由来する細胞供給源若しくは組織供給源に由来する細胞物質若しくは他のタンパク質を実質的に含まないか、又は化学合成される場合、化学的前駆物質若しくは他の化学物質を実質的に含まない。
【0201】
いくつかの特定の実施形態では、モノクローナル抗体は、セクション7において例示される方法を使用して生成される。
【0202】
ヒト化抗体
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ヒト化抗体であり得る。ヒト化抗体は、ヒトフレームワーク領域及びヒト定常領域の配列を含み得る。例えば、ヒト化抗体は、ヒト定常領域配列を含み得る。特定の実施形態では、ヒト化抗体は、IgM、IgG、IgD、IgA及びIgEを含む免疫グロブリンの任意のクラス、及びIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4を含む任意のアイソタイプ(例えば、IgG4の変異体及びIgG4ヌルボディ)から選択され得る。特定の実施形態では、ヒト化抗体は、カッパ又はラムダの軽鎖定常配列を含み得る。
ヒト化抗体は、CDRグラフティング(欧州特許第239,400号、国際公開第91/09967号、米国特許第5,225,539号、同第5,530,101号、及び同第5,585,089号)、ベニヤリング又はリサーフェシング(欧州特許第592,106号、同第519,596号、Padlan,Molecular Immunology,1991,28(4/5):489-498;Studnicka,et al.,Protein Engineering,1994,7(6):805-814;and Roguska,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1994,91:969-73)、鎖シャフリング(米国特許第5,565,332号)、及び、例えば、米国特許第6,407,213号、米国特許第5,766,886号、国際公開第93/17105号;Tan,et al.,J.Immunol.,2002,169:1119-25;Caldas,et al.,Protein Eng.,2000,13(5):353-60;Morea et al.,Methods,2000,20(3):267-79,Baca,et al.,J.Biol.Chem.,1997,272(16):10678-84;Roguska,et al.,Protein Eng.,1996,9(10):895 904;Couto,et al.,Cancer Res.,1995,55(23 Supp):5973s-5977s;Couto,et al.,Cancer Res.,1995,55(8):1717-22;Sandhu,J.S.,Gene,1994,150(2):409-10 and Pedersen,et al.,J.Mol.Biol.,1994,235(3):959-73に開示される技術を含むが、これらに限定されない当技術分野で公知の様々な技術を使用して産生され得る。米国特許出願公開第2005/0042664(A1)号(2005年2月24日)も参照されたく、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0203】
非ヒト抗体をヒト化するための様々な方法が、当該技術分野では知られている。例えば、ヒト化抗体は、非ヒトである供給源からそれに導入された1つ以上のアミノ酸残基を有し得る。これらの非ヒトアミノ酸残基は、多くの場合「インポート」残基と称され、典型的には、「インポート」可変ドメインから取得される。ヒト化は、例えば、Jones,et al.,1986,Nature 321:522-5;Riechmann,et al.,Nature,1988,332:323-7;and Verhoeyen,et al.,Science,1988,239:1534-6の方法に従い、超可変領域の配列で、ヒト抗体の対応する配列を置換することにより実施することができる。
【0204】
場合によっては、ヒト化抗体は、親非ヒト抗体(例えば、齧歯動物)の6つのCDRのアミノ酸配列をヒト抗体フレームワークへとグラフトする、CDRグラフティングにより構築される。例えば、Padlanらは、実際に抗原に接触するのは、CDR内の残基のうちの約3分の1だけであることを決定し、これらを「特異性決定残基」又はSDRと名付けた(Padlan,et al.,FASEB J.,1995,9:133-9)。SDRグラフティング技法では、SDR残基だけを、ヒト抗体フレームワークへとグラフトする(例えば、Kashmiri,et al.,Methods,2005,36:25-34を参照されたい)。
【0205】
ヒト化抗体を作るのに使用される、ヒト可変ドメインの、軽鎖及び重鎖の両方の選択は、抗原性を低減するのに重要であり得る。例えば、いわゆる「ベストフィット」方法に従い、非ヒト(例えば、齧歯動物)抗体の可変ドメインの配列を、既知のヒト可変ドメイン配列のライブラリーの全体に対してスクリーニングする。齧歯動物の配列に最も近いヒト配列を、ヒト化抗体のためのヒトフレームワークとして選択することができる(Sims et al.,J.Immunol.,1993,151:2296-308;and Chothia et al.,J.Mol.Biol.,1987,196:901-17)。別の方法は、軽鎖又は重鎖の特定のサブグループの全てのヒト抗体のコンセンサス配列に由来する特定のフレームワークを使用する。いくつかの異なるヒト化抗体のために、同じフレームワークを使用することができる(Carter et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1992,89:4285-89;and Presta et al.,J.Immunol.,1993,151:2623-32)。場合によっては、フレームワークは、最も存在量が多いヒトサブクラスであるVL6亜群I(VL6I)及びVH亜群III(VHIII)のコンセンサス配列に由来する。別の方法では、ヒト生殖細胞系列遺伝子をフレームワーク領域の供給源として使用する。
【0206】
スーパーヒト化と呼ばれるCDRの比較に基づいた代替パラダイムでは、FRの相同性は関係ない。この方法は、非ヒト配列及び機能的ヒト生殖細胞系列遺伝子レパートリを比較することからなる。次いで、マウス配列と同じ又は密接に関連した標準構造をコードする遺伝子が選択される。次に、非ヒト抗体と標準構造を共有する遺伝子のうち、CDR内の相同性が最も高い遺伝子をFRドナーとして選択する。最後に、非ヒトCDRをこれらのFRへとグラフトする(例えば、Tan et al.,J.Immunol.,2002,169:1119-25を参照されたい)。
【0207】
更に、抗体は、抗原に対する親和性及びその他の好ましい生物学的特性を保持したままヒト化されることが概ね望ましい。この目標を達成するために、ある方法によれば、親配列及びヒト化配列の三次元モデルを使用して、親配列及び様々な概念のヒト化産物を分析するプロセスによって、ヒト化抗体を調製する。三次元の免疫グロブリンモデルが一般的に利用可能であり、当業者に周知である。選択された免疫グロブリン配列候補について確率の高い三次元立体構造を図示及び表示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらは、例えば、WAM(Whitelegg and Rees,Protein Eng.,2000,13:819-24)、Modeller(Sali and Blundell,J.Mol.Biol.,1993,234:779-815)、及びSwiss PDB Viewer(Guex and Peitsch,Electrophoresis,1997,18:2714-23)を含む。これらの表示について精査することにより、免疫グロブリン配列候補の機能において残基が示す可能性の高い働きの分析、例えば、免疫グロブリン候補が、その抗原結合能に影響を及ぼす残基についての分析が可能となる。このようにして、標的抗原に対する親和性の増大など、所望の抗体特性が達成されるように、レシピエント配列及びインポート配列から、FR残基を選択し組み合わせることができる。概して、超可変領域残基は、抗原結合に直接的に、ほとんど実質的に関与する。
【0208】
抗体のヒト化の別の方法は、Human String Content(HSC)と呼ばれる抗体のヒト性の測定基準に基づいている。この方法では、マウスの配列とヒト生殖細胞系列遺伝子のレパートリを比較し、その違いをHSCとしてスコアリングする。次いで、標的配列は、全体的な同一性測定を使用して多様なヒト化変異体を生成するのではなく、そのHSCを最大化することによってヒト化される(Lazar et al.、Mol.Immunol.、2007、44:1986-98)。
【0209】
上記の方法に加えて、経験的な方法を用いてヒト化抗体を生成及び選択することができる。これらの方法には、ヒト化変異体の大規模なライブラリーを生成し、濃縮技術又はハイスループットスクリーニング技術を使用する最適なクローンの選択に基づく方法がある。抗体変異体は、ファージライブラリー、リボソームライブラリー、及び酵母ディスプレイライブラリーから、並びに細菌コロニーのスクリーニングによっても単離することができる(例えば、Hoogenboom,Nat.Biotechnol.,2005,23:1105-16;Dufner,et al.,Trends Biotechnol.,2006,24:523-9;Feldhaus,et al.,Nat.Biotechnol.,2003,21:163-70;and Schlapschy et al.,Protein Eng.Des.Sel.,2004,17:847-60を参照されたい)。
【0210】
FRライブラリーアプローチでは、FRの特定の位置に複数の残基変異体を導入した後、ライブラリーをスクリーニングして、グラフトされたCDRを最もよくサポートするFRを選択する。置換される残基は、CDR構造に潜在的に寄与するものとして同定される「バーニヤ」残基の一部又は全部を含む場合もあり(例えば、Foote and Winter,J.Mol.Biol.,1992,224:487-99を参照されたい)、Baca,et al.,J.Biol.Chem.,1997,272:10678-84により同定される、標的残基のより限定的なセットに由来する場合もある。
【0211】
FRシャフリングでは、全FRを、選択された残基変異体のコンビナトリアルライブラリーを創出するのではなく、非ヒトCDRと組み合わせる(例えば、Dall’Acqua et al.,Methods,2005,36:43-60を参照されたい)。ライブラリーは、結合について、まず、VLをヒト化するのに続き、VHをヒト化する、2ステッププロセスでスクリーニングすることができる。代替的に、1ステップのFRシャフリングプロセスを使用することができる。そのようなプロセスは、得られた抗体が、発現の増強、親和性の増大、及び熱的安定性を含む、生化学的特性及び物理化学的特性の改善を呈したので、2ステップスクリーニングより効率的であることが示されている(例えば、Damschroder,et al.,Mol.Immunol.,2007,44:3049-60を参照されたい)。
【0212】
「ヒューマニアリング」方法は、必須の最小特異性決定基(minimum specificity determinant、MSD)の実験的同定に基づくものであり、非ヒト断片をヒトFRライブラリーに順次置換し、結合を評価することに基づいている。ヒューマニアリング方法は、非ヒトVH鎖及び非ヒトVL鎖のCDR3の領域で始まり、VH及びVLの両方の、CDR1及びCDR2を含む、非ヒト抗体の他の領域を、ヒトFRへと徐々に置換する。この手法により、典型的には、エピトープを保持し、ヒトVセグメントのCDRが明確に異なる複数のサブクラスの抗体を同定する。ヒューマニアリングは、ヒト生殖細胞系列遺伝子抗体に91~96%相同な抗体の単離を可能とする(例えば、Alfenito,Cambridge Healthtech Institute’s Third Annual PEGS,The Protein Engineering Summit,2007を参照されたい)。
【0213】
「ヒト操作」方法は、ヒトにおける免疫原性を低減する一方で、元の非ヒト抗体の所望の結合特性を保持する改変抗体を生成するように、抗体のアミノ酸配列へと特異的変化を施すことにより、マウス抗体又はキメラ抗体若しくは抗体断片などの非ヒト抗体又は抗体断片を変更することを伴う。一般に、技法は、非ヒト(例えば、マウス)抗体のアミノ酸残基を、「低リスク」残基、「中程度のリスク」残基、又は「高リスク」残基として分類することを伴う。分類は、特定の置換を施すことの予測される利益(例えば、ヒトにおける免疫原性のための)を、結果として得られる抗体の折り畳みに置換が影響を及ぼすリスクに対して査定する、グローバルなリスク/有益性の計算を使用して実施する。非ヒト(例えば、マウス)抗体配列の、所与の位置(例えば、低リスク又は中程度のリスク)において置換される、特定のヒトアミノ酸残基は、非ヒト抗体の可変領域に由来するアミノ酸配列を、特異的又はコンセンサスヒト抗体配列の対応する領域とアライメントすることにより選択することができる。非ヒト配列の低リスク又は中リスクの位置にあるアミノ酸残基は、アライメントに応じてヒト抗体配列の対応する残基に置換することができる。ヒト操作タンパク質を作製するための技術については、Studnicka et al.,Protein Engineering,1994,7:805-14;米国特許第5,766,886号、同第5,770,196号、同第5,821,123号、及び同第5,869,619号、並びに国際公開第93/11794号に詳しく記載されている。
【0214】
複合ヒト抗体は、例えば、Composite Human Antibody(商標)テクノロジ(Antitope Ltd.,Cambridge,United Kingdom)を使用して生成することができる。複合ヒト抗体を生成するためには、複数のヒト抗体可変領域配列の断片から、T細胞エピトープを回避する方法で可変領域配列を設計することで、得られる抗体の免疫原性を最小限に抑える。そのような抗体は、ヒト定常領域配列、例えば、ヒト軽鎖定常領域及び/又はヒト重鎖定常領域を含み得る。
【0215】
脱免疫抗体は、T細胞エピトープが除去された抗体である。脱免疫化抗体を作製するための方法が、記載されている(例えば、Jones,et al.,Methods Mol Biol.,2009,525:405-23;and De Groot,et al.,Cell.Immunol.,2006,244:148-153を参照されたい)。脱免疫抗体は、T細胞エピトープ枯渇可変領域及びヒト定常領域を含む。略述すると、抗体のVH及びVLをクローニングし、その後、T細胞増殖アッセイにおいて、抗体のVH及びVLに由来する重複ペプチドを調べることにより、T細胞エピトープを同定する。T細胞エピトープは、ヒトMHCクラスIIに結合するペプチドを同定するためのインシリコの方法によって同定される。変異は、ヒトMHCクラスIIへの結合を無効にするためにVH及びVLに導入される。次いで、VH及びVLを利用して、脱免疫化抗体を生成する。
【0216】
抗体バリアント
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体のアミノ酸配列の修飾(複数可)が企図される。例えば、特異性、熱安定性、発現レベル、エフェクター機能、グリコシル化(例えば、フコシル化)、免疫原性の低下、又は溶解性を含むがこれらに限定されない、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。したがって、本明細書において記載される抗体に加えて、抗体変異体も調製され得ることが企図される。例えば、抗体変異体は、適切なヌクレオチド変化を、コードするDNAに導入することによって、及び/又は所望の抗体又はポリペプチドを合成することによって調製することができる。当業者は、アミノ酸変化が、グリコシル化部位の数若しくは位置の変化、又は膜アンカー特性の変更など、抗体の翻訳後プロセス変更し得ることを理解する。
【0217】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗体は、例えば、任意のタイプの分子を抗体に共有結合させることによって、化学的に修飾される。抗体誘導体は、例えば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、既知の保護(protecting/blocking)基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞のリガンド又は他のタンパク質への連結などにより化学改変された抗体を含み得る。多数の化学的改変のうちのいずれかは、特異的化学開裂、アセチル化、製剤化、ツニカマイシンの代謝的合成などを含むがこれらに限定されない、既知の技法により実行することができる。加えて、抗体は、1つ又は2つ以上の非古典的アミノ酸を含み得る。
【0218】
変異は、抗体又はポリペプチドをコードする1つ以上のコドンの置換、欠失、又は挿入であって、天然配列の抗体又はポリペプチドと比較してアミノ酸配列の変化を結果としてもたらす、置換、欠失、又は挿入であり得る。アミノ酸置換は、ロイシンのセリンによる置換し、例えば、保存的アミノ酸の置換など、あるアミノ酸を類似の構造的及び/又は化学的特性を有する別のアミノ酸に置換した結果であり得る。当業者に知られている標準的な技術を使用して、例えば、部位特異的変異誘発及びアミノ酸置換をもたらすPCR媒介変異誘発を含む、本明細書において提供される分子をコードするヌクレオチド配列に変異を導入することができる。挿入又は欠失は、任意選択的に、約1~5のアミノ酸の範囲であり得る。特定の実施形態では、置換、欠失、又は挿入は、元の分子と比較して、25未満のアミノ酸置換、20未満のアミノ酸置換、15未満のアミノ酸置換、10未満のアミノ酸置換、5未満のアミノ酸置換、4未満のアミノ酸置換、3未満のアミノ酸置換、又は2未満のアミノ酸置換を含む。特定の実施形態では、置換は、1つ又は2つ以上の予測される非必須アミノ酸残基で行われる保存的アミノ酸置換である。許容される変異は、配列内に、アミノ酸の挿入、欠失、又は置換を体系的に施し、結果として得られる変異体を、全長天然配列又は成熟天然配列が呈する活性について調べることにより決定することができる。
【0219】
アミノ酸配列の挿入には、1つの残基から100以上の残基を含むポリペプチドまでの長さのアミノ末端及び/又はカルボキシル末端の融合、並びに単一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入変異体は、抗体のN末端又はC末端の、酵素(例えば、抗体指向酵素によるプロドラッグ療法)又は抗体の血清半減期を延長するポリペプチドへの融合体を含む。
【0220】
「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、同様の電荷を持つ側鎖を有するアミノ酸残基で置換されるアミノ酸置換である。類似した電荷を持つ側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非電荷極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が含まれる。代替的に、飽和変異誘発などにより、コード配列の全部又は一部に沿ってランダムに変異を導入することができ、得られた突然変異体の生物活性をスクリーニングして、活性を保持する突然変異体を同定することもできる。変異誘発の後、コードされたタンパク質を発現させ、タンパク質の活性を決定することができる。
【0221】
抗体の生物学的特性における実質的な修飾は、(a)置換領域内のポリペプチドの構造骨格、例えば、シート又はヘリックス立体構造、(b)標的部位における分子の電荷若しくは疎水性、又は(c)側鎖のバルク、の維持に対するそれらの効果が著明に異なる置換を選択することにより達成することができる。代替的に、保存的(例えば、同様な特性及び/又は側鎖による、アミノ酸群内の)置換は、特性を維持するか、又は特性を著明に変化させないように施すことができる。アミノ酸は、以下に挙げるその側鎖の特性の類似性に応じてグループ化することができる(例えば、Lehninger,Biochemistry 73--75(2d ed.1975)参照):(1)非極性:Ala(A)、Val(V)、Leu(L)、Ile(I)、Pro(P)、Phe(F)、Trp(W)、Met(M)、(2)非荷電極性:Gly(G)、Ser(S)、Thr(T)、Cys(C)、Tyr(Y)、Asn(N)、Gln(Q)、(3)酸性:Asp(D)、Glu(E)、及び(4)塩基性:Lys(K)、Arg(R)、His(H)を参照)。
【0222】
代替的に、天然に存在する残基は、共通の側鎖特性に基づいてグループに分けられることもある:(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile、(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln、(3)酸性:Asp、Glu、(4)塩基性:His、Lys、Arg、(5)鎖の向きに影響を与える残基:Gly、Pro、(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0223】
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを、別のクラスのメンバーと交換することを伴う。そのような置換残基はまた、保存的置換部位に、又は残りの(非保存的)部位に導入され得る。
【0224】
したがって、一実施形態では、CD22、GPRC5D、PSMA、又はBCMAエピトープに結合する抗体は、本明細書において記載される抗体、例えば、以下のセクション7において記載される抗体のアミノ酸配列と、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0225】
一実施形態では、CD22、GPRC5D、PSMA、又はBCMAエピトープに結合する抗体は、本明細書において記載される抗体のアミノ酸配列と少なくとも35%同一であるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、CD22、GPRC5D、PSMA、又はBCMAエピトープに結合する抗体は、本明細書において記載される抗体のアミノ酸配列と少なくとも40%同一であるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、CD22、GPRC5D、PSMA、又はBCMAエピトープに結合する抗体は、本明細書において記載される抗体のアミノ酸配列と少なくとも45%同一であるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、CD22、GPRC5D、PSMA、又はBCMAエピトープに結合する抗体は、本明細書において記載される抗体のアミノ酸配列と少なくとも50%同一であるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、CD22、GPRC5D、PSMA、又はBCMAエピトープに結合する抗体は、本明細書において記載される抗体のアミノ酸配列と少なくとも55%同一であるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、CD22、GPRC5D、PSMA、又はBCMAエピトープに結合する抗体は、本明細書において記載される抗体のアミノ酸配列と少なくとも60%同一であるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、CD22、GPRC5D、PSMA、又はBCMAエピトープに結合する抗体は、本明細書において記載される抗体のアミノ酸配列と少なくとも65%同一であるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、CD22、GPRC5D、PSMA、又はBCMAエピトープに結合する抗体は、本明細書において記載される抗体のアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、CD22、GPRC5D、PSMA、又はBCMAエピトープに結合する抗体は、本明細書において記載される抗体のアミノ酸配列と少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、CD22、GPRC5D、PSMA、又はBCMAエピトープに結合する抗体は、本明細書において記載される抗体のアミノ酸配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、CD22、GPRC5D、PSMA、又はBCMAエピトープに結合する抗体は、本明細書において記載される抗体のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、CD22、GPRC5D、PSMA、又はBCMAエピトープに結合する抗体は、本明細書において記載される抗体のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、CD22、GPRC5D、PSMA、又はBCMAに結合する抗体は、本明細書において記載される抗体のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0226】
多価抗体
更に別の態様では、本明細書において提供される様々な抗体を作製するための方法が本明細書において提供される。
【0227】
多価抗体は、抗体が結合する抗原を発現する細胞により、二価抗体より急速に内部化(及び/又は異化)され得る。本開示の抗体は、3つ以上の抗原結合部位を伴う(IgMクラス以外の)多価抗体(例えば、四価抗体)の場合があり、これは、抗体のポリペプチド鎖をコードする核酸の組み換え発現により容易に産生することができる。多価抗体は、二量体化ドメイン、及び3つ以上の抗原結合部位を含み得る。特定の実施形態では、二量体化ドメインは、Fc領域又はヒンジ領域を含む(又はこれらからなる)。この状況では、抗体は、Fc領域と、Fc領域に対してアミノ末端側にある3つ以上の抗原結合部位とを含むであろう。特定の実施形態では、多価抗体は、例えば、3つ~約8つの抗原結合部位を含む(又はこれらからなる)。そのような一実施形態では、多価抗体は、4つの抗原結合部位を含む(又はこれらからなる)。多価抗体は、少なくとも1つのポリペプチド鎖(例えば、2つのポリペプチド鎖)を含み、ポリペプチド鎖は、2つ以上の可変ドメインを含む。例えば、ポリペプチド鎖は、VD1-(X1)n-VD2-(X2)n-Fcを含み得、配列中、VD1は、第1の可変ドメインであり、VD2は、第2の可変ドメインであり、Fcは、Fc領域の1つのポリペプチド鎖であり、X1及びX2は、アミノ酸又はポリペプチドを表し、nは、0又は1である。例えば、ポリペプチド鎖は、VH-CH1-可撓性リンカー-VH-CH1-Fc領域鎖;又はVH-CH1-VH-CH1-Fc領域鎖を含み得る。本明細書の多価抗体は、少なくとも2つ(例えば、4つ)の軽鎖可変ドメインポリペプチドを更に含み得る。本明細書の多価抗体は、例えば、約2つ~約8つの軽鎖可変ドメインポリペプチドを含み得る。本明細書で企図される軽鎖可変ドメインポリペプチドは、軽鎖可変ドメインを含み、任意選択的に、CLドメインを更に含む。
【0228】
多重特異性抗体
二重特異性抗体などの多重特異的抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。特定の実施形態では、多重特異性抗体は、本明細書において提供される抗体の配列、例えば、本明細書において提供されるVL配列及びVH配列に含まれるCDR配列に基づいて構築され得る。特定の実施形態では、本明細書において提供される多重特異性抗体は、二重特異性抗体である。特定の実施形態では、二重特異性抗体は、マウス、キメラ、ヒト、又はヒト化抗体である。多重特異性抗体を作製するための方法は、当該分野で既知であり、例えば、2つの重鎖が異なる特異性を有する、2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖ペアの共発現による(例えば、Milstein and Cuello,Nature,1983,305:537-40を参照のこと)。多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)の生成の更なる詳細については、例えば、Bispecific Antibodies(Kontermann,ed.,2011)を参照されたい。
【0229】
抗体の作製方法
更に別の態様では、本明細書において提供される様々な抗体を作製するための方法が本明細書において提供される。
【0230】
いくつかの実施形態では、抗原(例えば、CD22、GPRC5D、PSMA、又はBCMA)に結合する本明細書において提供される抗体(例えば、本明細書において提供される全長抗体、抗体の重鎖及び/若しくは軽鎖、又はその突然変異体)の組み換え発現は、抗体をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターの構築を必要とする。本明細書において提供される抗体の抗体分子又は重鎖若しくは軽鎖をコードするポリヌクレオチドが得られると、全長抗体又はその重鎖にK248E、T437R又はK248E/T437R変異を含む、そのようなポリヌクレオチドのバリアントを、遺伝子合成(例えば、Zhang,D.,et al.、上記を参照)、及び/又は部位特異的変異誘発(Clynes,R.A.,et al.,Nature Medicine,2000,6(4):443-6)によって生成することができる。
【0231】
抗体分子の産生のためのベクターは、当該技術分野で周知の技術を使用する組み換えDNA技術により産生され得る。したがって、抗体をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを発現することによりタンパク質を調製するための方法が、本明細書において記載される。当業者に周知である方法を使用して、抗体コード配列並びに適切な転写及び翻訳制御シグナルを含む発現ベクターを構築することができる。いくつかの実施形態では、これらの方法は、例えば、インビトロ組み換えDNA技術、合成技術、及びインビボ遺伝的組み換えである。いくつかの実施形態では、これらの発現ベクターは、プロモーターに作動可能に連結された、本明細書において提供される抗体分子、又は抗体の重鎖若しくは軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含む複製可能なベクターである。いくつかの実施形態では、これらのベクターは、抗体分子の定常領域をコードするヌクレオチド配列を含み得(例えば、国際公開第86/05807号及び国際公開第89/01036号、並びに米国特許第5,122,464号を参照のこと)、抗体の可変ドメインは、重鎖全体、軽鎖全体、又は重鎖及び軽鎖両方の全体の発現のために、そのようなベクターにクローニングされ得る。
【0232】
いくつかの実施形態では、発現ベクターは、従来の技術により宿主細胞に移入され、次いで、トランスフェクションされた細胞は、従来の技術により培養されて、本明細書において提供される抗体を産生する。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、異種プロモーターに作動可能に連結された、本明細書において提供される抗体、又はその重鎖若しくは軽鎖をコードするヌクレオチドを含む。二本鎖抗体を発現させるための特定の実施形態では、下記で詳述される通り、免疫グロブリン分子全体の発現のために、重鎖及び軽鎖の両方をコードするベクターが、宿主細胞内で共発現され得る。
【0233】
本明細書において提供される融合タンパク質を発現させるために、様々な宿主発現ベクター系が利用され得る(例えば、米国特許第5,807,715号を参照)。そのような宿主発現系は、目的のコード配列が生成され、続いて精製され得るビヒクルを表すが、適切なヌクレオチドコード配列で形質転換又は遺伝子導入された場合に、本明細書において提供される抗体分子をインサイチュで発現し得る細胞も表す。いくつかの実施形態では、これらの宿主発現系は、抗体コード配列を含む組み換えバクテリオファージDNA発現ベクター、プラスミドDNA発現ベクター、又はコスミドDNA発現ベクターにより形質転換した細菌(例えば、大腸菌及び枯草菌(B.subtilis))などの微生物である。いくつかの実施形態では、これらの宿主発現系は、抗体コード配列を含む組み換え酵母発現ベクターにより形質転換した酵母(例えば、サッカロミセス属(Saccharomyces)である。いくつかの実施形態では、これらの宿主発現系は、抗体コード配列を含む組み換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)を感染させた昆虫細胞系、抗体コード配列を含む組み換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV、タバコモザイクウイルス、TMV)を感染させるか、又は抗体コード配列を含む組み換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)により形質転換した植物細胞系である。いくつかの実施形態では、これらの宿主発現系は、哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)、若しくは哺乳動物ウイルスに由来するプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;牛痘ウイルス7.5Kプロモーター)を含む組み換え発現構築物を保有する、哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、293、NS0、及び3T3細胞)である。いくつかの実施形態では、これらの宿主発現系は、特に、組み換え抗体分子を発現させるために使用することができる完全な組み換え抗体分子を発現させるための、大腸菌などの細胞又は真核性細胞である。いくつかの実施形態では、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)などの哺乳動物細胞は、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要中間初期遺伝子プロモーターエレメントなどのベクターと併用することで、抗体の効果的な発現系となる(Foecking,et al.,Gene,1986,45:101;and Cockett,et al.,Bio/Technology,1990,8:2)。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗体は、CHO細胞内で産生される。いくつかの実施形態では、CD22、GPRC5D、PSMA、又はBCMA抗原に免疫特異的に結合する本明細書において提供される抗体をコードするヌクレオチド配列の発現は、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、又は組織特異的プロモーターによって調節される。
【0234】
細菌系では、発現させる抗体分子の意図する用途に応じて、多くの発現ベクターが有利に選択され得る。例えば、そのような抗体を大量に生成する場合、抗体分子の医薬組成物を生成するために、容易に精製される高レベルの融合タンパク質産物の発現を指示するベクターが望ましい場合がある。そのようなベクターとしては、融合タンパク質が産生されるように、抗体コード配列がlac Zコード領域と、インフレームで、個別に、ベクターへとライゲーションされ得る大腸菌発現ベクターpUR278(Ruther,et al.,EMBO,1983,12:1791);pINベクター(Inouye & Inouye,Nucleic Acids Res.,1985,13:3101-3109;Van Heeke & Schuster,J.Biol.Chem.,1989,24:5503-9);などを含むが、これに限定されるものではない。pGEXベクターは、グルタチオン5-トランスフェラーゼ(glutathione 5-transferase、GST)との融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現させるためにも使用され得る。いくつかの実施形態では、そのような融合タンパク質は、可溶性であり、マトリックスグルタチオンアガロースビーズに吸着及び結合した後、遊離グルタチオンの存在下で溶出することにより、溶解した細胞から容易に精製することができる。いくつかの実施形態では、pGEXベクターは、クローン化された標的遺伝子産物がGST部分から放出され得るように、トロンビン又は第Xa因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計されている。
【0235】
いくつかの実施形態では、昆虫系において外来遺伝子を発現させるためのベクターとして、Autographa californica核多角体病ウイルス(Autographa californica nuclear polyhedrosis virus、AcNPV)が使用される。いくつかの実施形態では、ウイルスは、Spodoptera frugiperda細胞内で増殖する。いくつかの実施形態では、抗体コード配列は、ウイルスの非必須領域(例えば、ポリヘドリン遺伝子)に個別にクローニングされ、AcNPVプロモーター(例えば、ポリヘドリンプロモーター)の制御下に置かれ得る。
【0236】
いくつかの実施形態では、ウイルスベクター、例えば、タバコモザイクウイルス(tobacco mosaic virus、TMV)に基づくウイルスベクターを、植物細胞に使用し、アグロバクテリウムによって植物体の複数部分へと体系的に送達し、複数の目的の抗体を発現させる。(Giritch,A.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2006,103(40):14701-6)。いくつかの実施形態では、植物細胞を発現系として使用することにより、抗体の産生速度及び収率、並びに哺乳動物型の複合N-オリゴ糖を合成する能力の有意な増加がもたらされる。(Loos,A.and Steinkellner,H.,Arch Biochem Biophys.,2012,526-172(2):167-73)。
【0237】
哺乳動物の宿主細胞では、多くのウイルスベースの発現系が利用され得る。いくつかの実施形態では、アデノウイルスを発現ベクターとして使用し、目的の抗体コード配列が、アデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プロモーター及び三連リーダー配列とライゲーションされ得る。いくつかの実施形態では、次いで、インビトロ又はインビボにおける組み換えにより、このキメラ遺伝子は、アデノウイルスゲノム内に挿入され得る。いくつかの実施形態では、ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域El又はE3)に挿入する結果として、感染させた宿主内で生存可能であり、抗体分子を発現することが可能な組み換えウイルスがもたらされる(例えば、Logan & Shenk,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1984,8(1):355-9を参照されたい)。いくつかの実施形態では、挿入された抗体コード配列を効率的に翻訳するためには、特定の開始シグナルが必要となる場合がある。いくつかの実施形態では、これらのシグナルには、ATG開始コドン及び隣接する配列が含まれる。いくつかの実施形態では、挿入全体の翻訳を確実にするためには、開始コドンが所望のコード配列の読み枠と一致していなければならない。いくつかの実施形態では、これらの外因性の翻訳制御シグナル及び開始コドンは、天然及び合成の両方の様々な起源のものであり得る。いくつかの実施形態では、発現の効率は、適切な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどを組み入れることにより、増強され得る(例えば、Bittner,et al.,Methods in Enzymol.,1987,153:51-544を参照のこと)。
【0238】
いくつかの実施形態では、挿入された配列の発現を調節するか、又は所望の特定の方法で遺伝子産物を修飾及び処理する、宿主細胞株が選択され得る。タンパク質産物のそのような修飾(例えば、グリコシル化、フコシル化を含む)及び処理(例えば、切断)は、タンパク質の機能にとって重要であり得る。異なる宿主細胞は、タンパク質及び遺伝子産物の翻訳後の処理及び修飾のための特徴的かつ特異的なメカニズムを有する。適切な細胞株又は宿主系を選択することで、発現した外来タンパク質を正しく修飾及び処理することができる。この目的で、一次転写物の適切な処理、グリコシル化、及び遺伝子産物のリン酸化のための細胞機構を有する真核性宿主細胞が、使用され得る。そのような哺乳動物宿主細胞としては、CHO、VERY、BHK、Hela、COS、MDCK、293、3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT2O及びT47D、NS0(内因性では免疫グロブリン鎖を全く生成しないマウス骨髄腫細胞株)、CRL7O3O及びHsS78Bst細胞が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本明細書で提供される完全ヒトモノクローナル抗体は、CHO細胞などの哺乳動物細胞内で産生される。
【0239】
当業者に知られている標準的な技術を使用して、そのAsn-297連結N-オリゴ糖にフコース残基を含まない重鎖を有する本明細書において提供される抗体を生成することができる。いくつかの実施形態では、GMD酵素が欠損している細胞(例えば、CHO Lec13細胞)を使用して、重鎖上にAsn-297連結N-オリゴ糖にフコース残基を有していない抗体を生成する。いくつかの実施形態では、変異又は不活性化したFUT8遺伝子に起因してα-1,6フコシルトランスフェラーゼ活性が低下している細胞(例えば、ラットハイブリドーマYB2/0細胞株)を使用して、重鎖上にAsn-297連結N-オリゴ糖にフコース残基を有していない抗体を生成する。いくつかの実施形態では、β-1,4-マンノシル-糖タンパク質4-β-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(GnT-III)を過剰発現している細胞を使用して、重鎖上にAsn-297連結N-オリゴ糖にフコース残基を有していない抗体を生成する。いくつかの実施形態では、不活性化ゴルジGDP-フコース輸送体(GFT)遺伝子Slc35c1を有する細胞(例えば、CHO-gmt3細胞)を使用して、重鎖上にAsn-297連結N-オリゴ糖にフコース残基を有していない抗体を生成する。いくつかの実施形態では、細菌RMDを異種発現する細胞を使用して、重鎖上にAsn-297連結N-オリゴ糖にフコース残基を有していない抗体を生成する。いくつかの実施形態では、フコシル化の生化学的阻害剤(例えば、2-フルオロフコース及び5-アルキニルフコースなどのフコース類似体)を発現系において使用して、重鎖上にAsn-297連結N-オリゴ糖にフコース残基を有していない抗体を産生する(Pereira,N.A.,et al.、上記;Shields,R.L.et al.、上記;Kanda Y.、上記)。いくつかの実施形態では、α1,3-フコシルトランスフェラーゼ(FucT)及びβ1,2-キシロシルトランスフェラーゼ(XylT)が破壊された植物細胞を使用して、重鎖上にAsn-297連結N-オリゴ糖にフコース残基を有していない抗体を生成する(Pereira,N.A.,et al.、上記)。いくつかの実施形態では、化学酵素的リモデリングを使用して、重鎖上にAsn-297連結N-オリゴ糖にフコース残基を有していない抗体を生成する(Pereira,N.A.,et al.、上記)。例えば、フコシダーゼなどのエキソグリコシダーゼを使用して、抗体の重鎖上のAsn-297連結N-オリゴ糖のフコースを除去してもよい(Pereira,N.A.,et al.、上記)。
【0240】
組み換えタンパク質を長期間、高収率で生成するためには、安定した発現を利用することができる。例えば、抗体分子を安定的に発現する細胞株が操作され得る。ウイルスの複製起点を含む発現ベクターを使用するのではなく、適切な発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)及び選択可能マーカーによって制御されるDNAで、宿主細胞を形質転換することができる。外来DNAの導入後に、操作された細胞は、濃縮培地中で1~2日間増殖させられ得、次いで、選択培地に切り替えられる。いくつかの実施形態では、組み換えプラスミドの選択マーカーは、選択に耐性を付与し、細胞が、染色体中にプラスミドを安定に組み込み、増殖して増殖巣を形成することを可能にし、次にこの増殖巣は、クローン化して細胞株へと増殖することができる。この方法は、抗体分子を発現する細胞株を操作するために有利に使用され得る。そのような操作された細胞株は、抗体分子と直接的又は間接的に相互作用する組成物のスクリーニング及び評価に特に有用であり得る。
【0241】
多数の選択システムを使用することができ、これには、限定されないが、単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ(Wigler,et al.,Cell,1977,11:223)、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska & Szybalski,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1992,48:202)、及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy,et al.,Cell,1980,22:8-17))が挙げられ、遺伝子は、それぞれ、tk-、hgprt-、又はaprt-細胞で利用することができる。また、代謝拮抗剤耐性も、以下の遺伝子の選択基準として使用され得る:メトトレキサートに対する耐性を付与するdhfr(Wigler,et al.,Natl.Acad.Sci.USA,1980,77:357;O’Hare,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1981,78:1527);ミコフェノール酸に対する耐性を付与するgpt(Mulligan & Berg,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1981,78:2072);アミノグリコシドであるG-418に対する耐性を付与するneo(Wu and Wu,Biotherapy,1991,3:87-95;Tolstoshev,Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.,1993,32:573-96;Mulligan,Science,1993,260:926-32;及びMorgan and Anderson,Ann.Rev.Biochem.,1993,62:191-217);及びハイグロマイシンに対する耐性を付与するhygro(Santerre,et al.,Gene,1984,30:147)。組み換えDNA技術の分野で当該技術分野で一般に知られている方法を、規定通りに適用して、所望の組み換えクローンを選択することができ、そのような方法については、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、例えば、Ausubel,et al.(eds.),Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,NY(1993);Kriegler,Gene Transfer and Expression,A Laboratory Manual,Stockton Press,NY(1990);及びChapters 12 and 13,Dracopoli,et al.(eds.),Current Protocols in Human Genetics,John Wiley & Sons,NY(1994);Colberre-Garapin,et al.,J.Mol.Biol.,1981,150:1に記載されている。
【0242】
抗体分子の発現レベルは、ベクターの増幅により増大させることができる(総説については、Bebbington and Hentschel,DNAクローニングにおける哺乳類細胞におけるクローン化遺伝子の発現のための遺伝子増幅に基づくベクターの使用,Vol.3(Academic Press,New York,1987)を参照)。いくつかの実施形態では、抗体を発現させるベクター系内のマーカーが増幅可能である場合、増幅された領域は抗体遺伝子と関連するので、宿主細胞の培養物中に存在する阻害剤のレベルの上昇は、マーカー遺伝子のコピー数及び抗体の産生を増大させるであろう(Crouse et al.,1983,Mol.Cell.Biol.3:257)。
【0243】
宿主細胞は、第1のベクターが重鎖由来のポリペプチドをコードし、第2のベクターが軽鎖由来のポリペプチドをコードする、本明細書において提供される2つの発現ベクターを共トランスフェクションされ得る。2つのベクターは、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドの同等な発現を可能とする、同一な選択可能マーカーを含み得る。代替的に、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドの両方をコードし、これらを発現させることが可能な、単一のベクターが使用され得る。そのような状況では、軽鎖を、重鎖の前に配置して、毒性である遊離重鎖の過剰を回避すべきである(Proudfoot,Nature,1986,322:52;and Kohler,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1980,77:2197-9)。重鎖及び軽鎖のコード配列は、cDNA又はゲノムDNAを含み得る。
【0244】
本明細書において提供される抗体分子が、組み換え発現により生成されると、これは、免疫グロブリン分子を精製するための当該技術分野で既知である任意の方法、例えば、クロマトグラフィ(例えば、イオン交換クロマトグラフィ、親和性クロマトグラフィ、特に、プロテインAクロマトグラフィの後における特異的抗原についての親和性クロマトグラフィ、及びサイズ除外カラムクロマトグラフィ)、遠心分離、示差的可溶性によって、又はタンパク質を精製するための他の任意の標準的な技法によって、精製され得る。更に、本明細書において提供される抗体は、精製を促進するために、本明細書に記載されているか、又は他の技術分野で知られている異種ポリペプチド配列に融合させることができる。本明細書において提供される抗体を作製する特定の方法については、以下のセクション7に記載する。
【0245】
医薬組成物
一態様では、本開示は、本開示の少なくとも1つの抗体を含む医薬組成物を更に提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、治療有効量の本明細書で提供される抗体又はその抗原結合断片と、医薬的に許容される賦形剤と、を含む。
【0246】
いくつかの実施形態では、抗体を含む医薬組成物は、保存のために、所望の純度を有する融合タンパク質を、任意の生理学的に許容される賦形剤(例えば、Remington,Remington’s Pharmaceutical Sciences(18th ed.1980)参照)と、水溶液の形態又は凍結乾燥又は他の乾燥形態で混合することにより、調製される。
【0247】
本開示の抗体は、標的細胞/組織への送達に任意の好適な形態で、例えば、マイクロカプセル又はマクロエマルジョンとして(Remington、上記;Park,et al.,Molecules,2005,10:146-61;Malik,et al.,Curr.Drug.Deliv.,2007,4:141-51)、徐放製剤として(Putney and Burke,Nature Biotechnol.,1998,16:153-57),or in liposomes(Maclean,et al.,Int.J.Oncol.,1997,11:325-32;Kontermann,Curr.Opin.Mol.Ther.,2006,8:39-45)製剤化され得る。
【0248】
また、本明細書において提供される抗体は、それぞれ、例えばコアセルベーション法によって、又は界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えばヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンマイクロカプセル及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセル内に、コロイド状薬剤送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、及びナノカプセルなど)中、又はマクロエマルジョン中に封入することができる。そのような技術は、例えば、Remington(上記)に開示されている。
【0249】
リポソーム内、マイクロ粒子内、マイクロカプセルへの封入、抗体を発現することが可能な組み換え細胞、受容体媒介性エンドサイトーシス(例えば、Wu and Wu,J.Biol.Chem.,1987,262:4429-32を参照のこと)、レトロウイルス又は他のベクターの一部としての核酸の構築などを含むが、これらに限定されない、多様な組成物及び送達系が既知であり、本明細書で記載される抗体と共に使用することができる。一実施形態では、ポンプが、制御放出又は徐放を達成するために使用され得る(例えば、Langer,Science,1990,249:1527-33;Sefton,Crit.Ref.Biomed.Eng.,1987,14:201-40;Buchwald,et al.,Surgery,1980,88:507-16;and Saudek et al.,N.Engl.J.Med.,1989,321:569-74を参照されたい)。別の実施形態では、ポリマー材料を使用して、予防薬若しくは治療薬(例えば、本明細書において記載される抗体)、又は本明細書において提供される組成物の制御放出若しくは徐放を達成することができる(例えば、Medical Applications of Controlled Release(Langer and Wise,eds.,1974);Controlled Drug Bioavailability,Drug Product Design and Performance(Smolen and Ball,eds.,1984);Ranger and Peppas,J.Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem.,1983,23:61-126;Levy,et al.,Science,1985,228:190-92;During,et al.,Ann.Neurol.,1989,25:351-6;Howard,et al.,J.Neurosurg.,1989,71:105-12;米国特許第5,679,377号、米国特許第5,916,597号、米国特許第5,912,015号、米国特許第5,989,463号、及び米国特許第5,128,326号、国際公開第99/15154号及び同第99/20253号を参照)。徐放製剤中で使用されるポリマーの例としては、徐放製剤中で使用されるポリマーの例としては、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチレン-co-ビニルアセテート)、ポリ(メタクリル酸)、ポリグリコリド(PLG)、ポリ無水物、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)、ポリラクチド(PLA)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)、及びポリオルトエステルが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、徐放性製剤中で使用されるポリマーは、不活性で、浸出性不純物を含まず、保存時に安定で、無菌で、生分解性である。
【0250】
更に別の実施形態では、制御放出システム又は徐放システムを特定の標的組織、例えば、鼻腔又は肺に近接して配置することができ、その結果、全身用量のほんの一部しか必要としない(例えば、Goodson,Medical Applications of Controlled Release Vol.2,115-38(1984)を参照)。制御放出システムについては、例えば、by Langer(上記)によって考察されている。当業者に知られている任意の技術を使用して、本明細書において記載される1つ又は2つ以上の抗体を含む徐放製剤を製造することができる(例えば、米国特許第4,526,938号、国際公開第91/05548号及び同第96/20698号、Ning,et al.,Radiotherapy & Oncology,1996,39:179-89;Song,et al.,PDA J.of Pharma.Sci.& Tech.,1995,50:372-97;Cleek,et al.,Pro.Int’l.Symp.Control.Rel.Bioact.Mater.,1997,24:853-4;及びLam,et al.,Proc.Int’l.Symp.Control Rel.Bioact.Mater.,1997,24:759-60を参照されたい)。
【0251】
使用、投与及び投薬の方法
一態様では、抗体のADCC、CDC及び/又はADCP活性を増強する方法が本明細書で提供される。
【0252】
別の実施例として、GFPを用いて安定にトランスフェクトされたC42B細胞及びLNCaP細胞を、384ウェルプレート(Perkin Elmer ViewPlate)中の透明培地(RPMI 1641+10% FBS、Thermo Fisher Scientific)に1ウェル当たり9,000細胞で播種し、一晩にわたって細胞を接着させる。新たに解凍したPBMC(Hemcare、PB009C-3)、又はRoboSep(商標)Cell Separation Instrumentsによって凍結されたPBMCから単離されたNK細胞を用いて、ADCCアッセイを行うことができる。単離されたNK細胞は、即座に使用されるか、又は低用量IL-2(1ng/ml、Miltenyi Biotec)で一晩刺激され得る。1ウェル当たりのエフェクター細胞と標的細胞との比は、PBMCについては34:1、単離されたNK細胞については5:1であり得る。いくつかの実施形態では、抗PSMA抗体を、100nM~0.01nMの範囲の最終濃度で試験する。エフェクター細胞及び抗体を標的細胞に添加した後、Incucyte(登録商標)S3機器(Essen BioScience)下でリアルタイムイメージングを行うことができる。1ウェル当たりの総積分(intergraded)GPFシグナルを、Incucyte(登録商標)ソフトウェアで定量化することができる。データ分析を、4回の値に基づいてIncucyte(登録商標)ソフトウェア及びPrism(GraphPad Software)によって行うことができる。細胞死滅の割合を、(1-PSMAmAb/mAbなしの対照)×100%として計算することができる。
【0253】
別の実施例として、GFPを用いて安定にトランスフェクトされたC42B細胞及びLNCaP細胞を、384ウェルプレート(Perkin Elmer ViewPlate)中の透明培地(RPMI 1641+10% FBS、Thermo Fisher Scientific)に1ウェル当たり9,000細胞で播種し、一晩にわたって細胞を接着させる。新たに解凍したPBMC(Hemcare、PB009C-3)、又はRoboSep(商標)Cell Separation Instrumentsによって凍結されたPBMCから単離されたNK細胞を用いて、ADCCアッセイを行うことができる。単離されたNK細胞は、即座に使用されるか、又は低用量IL-2(1ng/ml、Miltenyi Biotec)で一晩刺激され得る。1ウェル当たりのエフェクター細胞と標的細胞との比は、PBMCについては34:1、単離されたNK細胞については5:1であり得る。いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体を、100nM~0.01nMの範囲の最終濃度で試験する。エフェクター細胞及び抗体を標的細胞に添加した後、Incucyte(登録商標)S3機器(Essen BioScience)下でリアルタイムイメージングを行うことができる。1ウェル当たりの総GFP積分(intergraded)シグナルを、Incucyte(登録商標)ソフトウェアで定量化することができる。データ分析を、4回の値に基づいてIncucyte(登録商標)ソフトウェア及びPrism(GraphPad Software)によって行うことができる。細胞死滅の割合を、(1-BCMAmAb/mAbなしの対照)×100%として計算することができる。
【0254】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCCを介して少なくとも10%の標的細胞死を引き起こす。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCCを介して少なくとも20%の標的細胞死を引き起こす。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCCを介して少なくとも30%の標的細胞死を引き起こす。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCCを介して少なくとも40%の標的細胞死を引き起こす。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCCを介して少なくとも50%の標的細胞死を引き起こす。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCCを介して少なくとも60%の標的細胞死を引き起こす。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCCを介して少なくとも70%の標的細胞死を引き起こす。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCCを介して少なくとも80%の標的細胞死を引き起こす。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCCを介して少なくとも90%の標的細胞死を引き起こす。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCCを介して少なくとも95%の標的細胞死を引き起こす。
【0255】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗CD22抗体、抗GPRC5D抗体、抗PSMA抗体、又は抗BCMA抗体のCDC活性は、標的細胞死の割合を測定することによって決定される。例えば、CD22、GPRC5D、PSMA又はBCMAを内因的に発現する標的細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS)を含むDMEM培地中で培養することができる。いくつかの実施形態では、抗体を標的細胞に添加し、37℃で30分間インキュベートした後、仔ウサギ血清を標的細胞に10%の最終濃度まで添加して、CDCの補体成分の供給源を提供する。いくつかの実施形態では、そのような混合物を37℃で4時間インキュベートする。100μLのCellTiter-Glo試薬(Promega)を混合物に加えた後、室温で10分間インキュベートすることができる。標的細胞の生存率は、Tecan SPARKリーダーで発光を測定することによって決定され得る。したがって、標的細胞死は、100%と標的細胞の生存率との差として決定され得る。
【0256】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、CDCを介して少なくとも10%の標的細胞死を引き起こす。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、CDCを介して少なくとも20%の標的細胞死を引き起こす。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、CDCを介して少なくとも30%の標的細胞死を引き起こす。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、CDCを介して少なくとも40%の標的細胞死を引き起こす。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、CDCを介して少なくとも50%の標的細胞死を引き起こす。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、CDCを介して少なくとも60%の標的細胞死を引き起こす。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、CDCを介して少なくとも70%の標的細胞死を引き起こす。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、CDCを介して少なくとも80%の標的細胞死を引き起こす。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、CDCを介して少なくとも90%の標的細胞死を引き起こす。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、CDCを介して少なくとも95%の標的細胞死を引き起こす。
【0257】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCC活性を少なくとも約2倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCC活性を少なくとも約5倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCC活性を少なくとも約10倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCC活性を少なくとも約20倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCC活性を少なくとも約30倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCC活性を少なくとも約40倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCC活性を少なくとも約50倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCC活性を少なくとも約60倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCC活性を少なくとも約70倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCC活性を少なくとも約80倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCC活性を少なくとも約90倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCC活性を少なくとも約100倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCC活性を少なくとも約200倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCC活性を少なくとも約500倍増強させる。
【0258】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、CDC活性を少なくとも約2倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、CDC活性を少なくとも約5倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、CDC活性を少なくとも約10倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、CDC活性を少なくとも約20倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、CDC活性を少なくとも約30倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、CDC活性を少なくとも約40倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、CDC活性を少なくとも約50倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、CDC活性を少なくとも約60倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、CDC活性を少なくとも約70倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、CDC活性を少なくとも約80倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、CDC活性を少なくとも約90倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、CDC活性を少なくとも約100倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、CDC活性を少なくとも約200倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、CDC活性を少なくとも約500倍増強させる。
【0259】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCC及びCDC活性の両方を少なくとも約2倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCC及びCDC活性の両方を少なくとも約5倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCC及びCDC活性の両方を少なくとも約10倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCC及びCDC活性の両方を少なくとも約20倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCC及びCDC活性の両方を少なくとも約30倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCC及びCDC活性の両方を少なくとも約40倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCC及びCDC活性の両方を少なくとも約50倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCC及びCDC活性の両方を少なくとも約60倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCC及びCDC活性の両方を少なくとも約70倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCC及びCDC活性の両方を少なくとも約80倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCC及びCDC活性の両方を少なくとも約90倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCC及びCDC活性の両方を少なくとも約100倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCC及びCDC活性の両方を少なくとも約200倍増強させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、ADCC及びCDC活性の両方を少なくとも約500倍増強させる。
【0260】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、細胞表面での六量体化の能力が少なくとも約2倍増加している。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、細胞表面での六量体化の能力が少なくとも約5倍増加している。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、細胞表面での六量体化の能力が少なくとも約10倍増加している。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、細胞表面での六量体化の能力が少なくとも約20倍増加している。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、細胞表面での六量体化の能力が少なくとも約30倍増加している。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、細胞表面での六量体化の能力が少なくとも約40倍増加している。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、細胞表面での六量体化の能力が少なくとも約50倍増加している。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、細胞表面での六量体化の能力が少なくとも約60倍増加している。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、細胞表面での六量体化の能力が少なくとも約70倍増加している。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、細胞表面での六量体化の能力が少なくとも約80倍増加している。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、細胞表面での六量体化の能力が少なくとも約90倍増加している。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、細胞表面での六量体化の能力が少なくとも約100倍増加している。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、細胞表面での六量体化の能力が少なくとも約200倍増加している。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、細胞表面での六量体化の能力が少なくとも約500倍増加している。
【0261】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、C1qに係合する能力が少なくとも約2倍増加している。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、C1qに係合する能力が少なくとも約5倍増加している。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、C1qに係合する能力が少なくとも約10倍増加している。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、C1qに係合する能力が少なくとも約20倍増加している。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、C1qに係合する能力が少なくとも約30倍増加している。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、C1qに係合する能力が少なくとも約40倍増加している。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、C1qに係合する能力が少なくとも約50倍増加している。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、C1qに係合する能力が少なくとも約60倍増加している。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、C1qに係合する能力が少なくとも約70倍増加している。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、C1qに係合する能力が少なくとも約80倍増加している。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、C1qに係合する能力が少なくとも約90倍増加している。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、C1qに係合する能力が少なくとも約100倍増加している。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、C1qに係合する能力が少なくとも約200倍増加している。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、C1qに係合する能力が少なくとも約500倍増加している。
【0262】
別の態様では、有効量の本明細書において提供される抗体を対象に投与することを含む、対象における疾患又は障害を治療する方法が、本明細書において提供される。一実施形態では、疾患又は障害は、CD22媒介疾患又は障害である。一実施形態では、疾患又は障害は、GPRC5D媒介疾患又は障害である。一実施形態では、疾患又は障害は、PSMA媒介疾患又は障害である。一実施形態では、疾患又は障害は、BCMA媒介疾患又は障害である。いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、関節、皮膚、腎臓、肝臓、腸、心臓、肺、筋肉、胃、脾臓、膵臓、胆嚢、膀胱、盲腸、胸腺、脳、食道、眼球又は耳に影響を与える、癌、自己免疫疾患、炎症性疾患、心血管疾患、遺伝性疾患、血液疾患及び/又は肺疾患からなる群から選択され、任意選択的に、疾患又は障害は、関節リウマチ、水疱性類天疱瘡、円板状皮膚ループス、蕁麻疹様血管炎、ヘーノホ-シェーンライン紫斑病、IgA腎症、アトピー性皮膚炎(アトピー性湿疹)、乾癬(尋常性乾癬)、脂漏性湿疹、喘息、蛋白尿腎疾患、肝臓病、ループス腎炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、カルシニューリン阻害剤誘発腎毒性、筋強直性ジストロフィ、心機能不全及び心機能不全、アルポート症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病、皮膚血管炎、悪液質、及び炎症性大腸疾患からなる群から選択され、任意選択的に、疾患又は障害は、線維症に関連し、任意選択的に、組織の線維化、特発性肺線維症、間質性肺炎、強皮症(全身性硬化症)、癌、癌に関連する悪液質、筋肉疲労、ケロイド、封入体筋炎、及び組織再構築からなる群から選択される(例えば、Heider,K.H.,et al.,Blood,2011,118(15):4159-68;Carosella,E.D.,et al.,Adv.Immunol.,2015,127:33-144;Stathis,S.,et al.,Invest New Drugs,2018,36(5):869-76;Stilgenbauer,S.,et al.,Leukemia,2019,33:2531-5;Gomes,R.G.,et al.,Hum.Immunol.,2018,79(6):477-84;Moroso,V.,et al.,Transplantation,2015,99(12):2514-22;Lazarte,J.,et al.,Hum.Immunol.,2018,79(8):587-93;Rached,M.R.,et al.,Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol.,2019,235:36-41;Koc,A.,et al.,Adv Clin Exp Med.,2018,27(9):1233-7;Ribeyre,C.,et al.,Front Immunol.,2018,9:278;Smith,E.L.,et al.,Sci Transl Med.,2019,11(485):eaau7746、Kodama,T.,et al.,Mol Cancer Ther.,2019,18(9):1555-64;Cohen,Y.,et al.,Hematology,2013,18(6):348-51を参照されたい)。
【0263】
また、疾患又は障害を治療する方法であって、対象が、1つ又は2つ以上の治療薬を、本明細書において提供される抗体と併用して投与される、方法が、本明細書において提供される。
【0264】
別の態様では、対象における疾患又は障害を治療するための薬剤の製造における、本明細書において提供される抗体の使用が、本明細書において提供される。
【0265】
別の態様では、対象における疾患又は障害を治療するための薬剤の製造における、本明細書で提供される医薬組成物の使用が、本明細書で提供される。
【0266】
具体的な実施形態では、本明細書において提供される抗体を含む、疾患又は病態の予防及び/又は治療において使用するための組成物が、本明細書において提供される。一実施形態では、疾患又は病態の予防において使用するための組成物であって、当該組成物が本明細書において提供される抗体を含む、組成物が、本明細書において提供される。一実施形態では、疾患又は病態の治療において使用するための組成物であって、当該組成物が本明細書において提供される抗体を含む、組成物が、本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、疾患又は病態は、CD22媒介疾患である。いくつかの実施形態では、疾患又は病態は、GPRC5D媒介疾患である。いくつかの実施形態では、疾患又は病態は、PSMA媒介疾患である。いくつかの実施形態では、疾患又は病態は、BCMA媒介疾患である。いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、関節、皮膚、腎臓、肝臓、腸、心臓、肺、筋肉、胃、脾臓、膵臓、胆嚢、膀胱、盲腸、胸腺、脳、食道、眼球又は耳に影響を与える、癌、自己免疫疾患、炎症性疾患、心血管疾患、遺伝性疾患、血液疾患及び/又は肺疾患からなる群から選択され、任意選択的に、疾患又は障害は、関節リウマチ、水疱性類天疱瘡、円板状皮膚ループス、蕁麻疹様血管炎、ヘーノホ-シェーンライン紫斑病、IgA腎症(nephrophathy)、アトピー性皮膚炎(アトピー性湿疹)、乾癬(尋常性乾癬)、脂漏性湿疹、喘息、蛋白尿腎疾患、肝臓病、ループス腎炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、カルシニューリン阻害剤誘発腎毒性、筋強直性ジストロフィ、心機能不全及び心機能不全、アルポート症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病、皮膚血管炎、悪液質、及び炎症性大腸疾患からなる群から選択され、任意選択的に、疾患又は障害は、線維症に関連し、任意選択的に、組織の線維化、特発性肺線維症、間質性肺炎、強皮症(全身性硬化症)、癌、癌に関連する悪液質、筋肉疲労、ケロイド、封入体筋炎、及び組織再構築からなる群から選択される。
【0267】
特定の実施形態では、対象は、その治療を必要としている対象である。いくつかの実施形態では、対象は、疾患又は病態を有する。他の実施形態では、対象は、疾患又は病態を有するリスクにある。いくつかの実施形態では、投与は、疾患又は病態の予防、管理、治療又は寛解をもたらす。
【0268】
一実施形態では、疾患又は病態の症状の予防及び/又は治療において使用するための組成物であって、当該組成物が本明細書において提供される抗体を含む、組成物が、本明細書において提供される。一実施形態では、疾患又は病態の症状の予防において使用するための組成物であって、当該組成物が本明細書において提供される抗体を含む、組成物が、本明細書において提供される。一実施形態では、疾患又は病態の症状の治療において使用するための組成物であって、当該組成物が本明細書において提供される抗体を含む、組成物が、本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、疾患又は病態は、CD22媒介、GPRC5D媒介、PSMA媒介疾患及び/又はBCMA媒介疾患である。いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、関節、皮膚、腎臓、肝臓、腸、心臓、肺、筋肉、胃、脾臓、膵臓、胆嚢、膀胱、盲腸、胸腺、脳、食道、眼球又は耳に影響を与える、癌、自己免疫疾患、炎症性疾患、心血管疾患、遺伝性疾患、血液疾患及び/又は肺疾患からなる群から選択され、任意選択的に、疾患又は障害は、関節リウマチ、水疱性類天疱瘡、円板状皮膚ループス、蕁麻疹様血管炎、ヘーノホ-シェーンライン紫斑病、IgA腎症(nephrophathy)、アトピー性皮膚炎(アトピー性湿疹)、乾癬(尋常性乾癬)、脂漏性湿疹、喘息、蛋白尿腎疾患、肝臓病、ループス腎炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、カルシニューリン阻害剤誘発腎毒性、筋強直性ジストロフィ、心機能不全及び心機能不全、アルポート症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病、皮膚血管炎、悪液質、及び炎症性大腸疾患からなる群から選択され、任意選択的に、疾患又は障害は、線維症に関連し、任意選択的に、組織の線維化、特発性肺線維症、間質性肺炎、強皮症(全身性硬化症)、癌、癌に関連する悪液質、筋肉疲労、ケロイド、封入体筋炎、及び組織再構築からなる群から選択される。
【0269】
特定の実施形態では、対象は、その治療を必要としている対象である。いくつかの実施形態では、対象は、疾患又は病態を有する。他の実施形態では、対象は、疾患又は病態を有するリスクにある。いくつかの実施形態では、投与は、疾患又は病態の症状の予防又は治療をもたらす。
【0270】
別の実施形態では、有効量の本明細書において提供される抗体を投与することを含む、対象における疾患又は病態を予防及び/又は治療する方法が、本明細書において提供される。一実施形態では、有効量の本明細書において提供される抗体を投与することを含む、対象における疾患又は病態を予防する方法が、本明細書において提供される。一実施形態では、有効量の本明細書において提供される抗体を投与することを含む、対象における疾患又は病態を治療する方法が、本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、疾患又は病態は、CD22媒介、GPRC5D媒介、PSMA媒介疾患及び/又はBCMA媒介疾患である。いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、関節、皮膚、腎臓、肝臓、腸、心臓、肺、筋肉、胃、脾臓、膵臓、胆嚢、膀胱、盲腸、胸腺、脳、食道、眼球又は耳に影響を与える、癌、自己免疫疾患、炎症性疾患、心血管疾患、遺伝性疾患、血液疾患及び/又は肺疾患からなる群から選択され、任意選択的に、疾患又は障害は、関節リウマチ、水疱性類天疱瘡、円板状皮膚ループス、蕁麻疹様血管炎、ヘーノホ-シェーンライン紫斑病、IgA腎症(nephrophathy)、アトピー性皮膚炎(アトピー性湿疹)、乾癬(尋常性乾癬)、脂漏性湿疹、喘息、蛋白尿腎疾患、肝臓病、ループス腎炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、カルシニューリン阻害剤誘発腎毒性、筋強直性ジストロフィ、心機能不全及び心機能不全、アルポート症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病、皮膚血管炎、悪液質、及び炎症性大腸疾患からなる群から選択され、任意選択的に、疾患又は障害は、線維症に関連し、任意選択的に、組織の線維化、特発性肺線維症、間質性肺炎、強皮症(全身性硬化症)、癌、癌に関連する悪液質、筋肉疲労、ケロイド、封入体筋炎、及び組織再構築からなる群から選択される。
【0271】
特定の実施形態では、対象は、その治療を必要としている対象である。いくつかの実施形態では、対象は、疾患又は病態を有する。他の実施形態では、対象は、疾患又は病態を有するリスクにある。いくつかの実施形態では、投与は、疾患又は病態の予防又は治療をもたらす。
【0272】
別の実施形態では、有効量の本明細書において提供される抗体を投与することを含む、対象における疾患又は病態の症状を予防及び/又は治療する方法が、本明細書において提供される。一実施形態では、有効量の本明細書において提供される抗体を投与することを含む、対象における疾患又は病態の症状を予防する方法が、本明細書において提供される。一実施形態では、有効量の本明細書において提供される抗体を投与することを含む、対象における疾患又は病態の症状を治療する方法が、本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、疾患又は病態は、CD22媒介、GPRC5D媒介、PSMA媒介疾患及び/又はBCMA媒介疾患である。いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、関節、皮膚、腎臓、肝臓、腸、心臓、肺、筋肉、胃、脾臓、膵臓、胆嚢、膀胱、盲腸、胸腺、脳、食道、眼球又は耳に影響を与える、癌、自己免疫疾患、炎症性疾患、心血管疾患、遺伝性疾患、血液疾患及び/又は肺疾患からなる群から選択され、任意選択的に、疾患又は障害は、関節リウマチ、水疱性類天疱瘡、円板状皮膚ループス、蕁麻疹様血管炎、ヘーノホ-シェーンライン紫斑病、IgA腎症、アトピー性皮膚炎(アトピー性湿疹)、乾癬(尋常性乾癬)、脂漏性湿疹、喘息、蛋白尿腎疾患、肝臓病、ループス腎炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、カルシニューリン阻害剤誘発腎毒性、筋強直性ジストロフィ、心機能不全及び心機能不全、アルポート症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病、皮膚血管炎、悪液質、及び炎症性大腸疾患からなる群から選択され、任意選択的に、疾患又は障害は、線維症に関連し、任意選択的に、組織の線維化、特発性肺線維症、間質性肺炎、強皮症(全身性硬化症)、癌、癌に関連する悪液質、筋肉疲労、ケロイド、封入体筋炎、及び組織再構築からなる群から選択される。
【0273】
特定の実施形態では、対象は、その治療を必要としている対象である。いくつかの実施形態では、対象は、疾患又は病態を有する。他の実施形態では、対象は、疾患又は病態を有するリスクにある。いくつかの実施形態では、投与は、疾患又は病態の症状の予防又は治療をもたらす。
【0274】
また、有効量の本明細書において提供される抗体又は本明細書において提供される抗体を含む医薬組成物を対象に投与することによって、疾患又は病態を予防及び/又は治療する方法も、本明細書において提供される。一態様では、抗体は、実質的に精製される(すなわち、その効果を制限するか、又は望ましくない副作用を生じさせる物質を実質的に含まない)。治療法を投与される対象は、非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラットなど)又は霊長類(例えば、マカク(カニクイザル)などのサル、若しくはヒト)などの哺乳動物であり得る。一実施形態では、対象は、ヒトである。別の実施形態では、対象は、疾患又は病態を有するヒトである。
【0275】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、本結合分子は、固形腫瘍癌を治療するために使用される。他の実施形態では、本結合分子は、血液癌の治療に使用される。他の実施形態では、疾患又は障害は、自己免疫疾患又は炎症性疾患である。他の実施形態では、疾患又は障害は、免疫疾患又は障害である。
【0276】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、疾患又は障害は、異常な細胞増殖及び/又は調節不全のアポトーシスの疾患である。このような疾患の例としては、癌、中皮腫、膀胱癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部又は頚部の癌、皮膚又は眼球内メラノーマ、卵巣癌、乳癌、子宮癌、ファロピウス管の癌、子宮内膜の癌、頸部の癌、膣の癌、外陰の癌、骨癌、結腸癌、直腸癌、肛門部癌、胃癌、消化管(胃、結腸直腸、及び/又は十二指腸)癌、慢性リンパ性白血病、急性リンパ性白血病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟部組織の癌、尿道の癌、陰茎の癌、睾丸癌、肝細胞(肝臓及び/又は胆管)癌、一次又は二次中枢神経系腫瘍、一次又は二次脳腫瘍、ホジキン病、慢性又は急性の白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ性リンパ腫、リンパ芽球性白血病、濾胞性リンパ腫、T細胞又はB細胞起源のリンパ性悪性腫瘍、メラノーマ、多発性ミエローマ、口腔癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、小細胞肺癌、腎及び/又は輸尿管の癌、腎細胞癌、腎盂の癌、中枢神経系の新生物、一次中枢神経系リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹グリオーマ、下垂体腺腫、副腎皮質癌、胆嚢癌、脾臓の癌、胆管癌、線維肉腫、神経芽細胞種、網膜芽腫又はこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0277】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、疾患又は障害は、膀胱癌、脳癌、乳癌、骨髄癌、子宮頸癌、慢性リンパ性白血病、急性リンパ性白血病、結腸直腸癌、食道癌、肝細胞癌、リンパ芽球性白血病、濾胞性リンパ腫、T細胞起源又はB細胞起源のリンパ性悪性腫瘍、黒色腫、骨髄性白血病、骨髄腫、口腔癌、卵巣癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、小細胞肺癌、及び脾臓癌からなる群より選択される。
【0278】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、疾患又は障害は、白血病、リンパ腫、又は骨髄腫などの血液癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、皮膚B細胞リンパ腫、活性化B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞中心リンパ腫、形質転換リンパ腫、中間分化のリンパ球性リンパ腫、中間リンパ球性リンパ腫(ILL)、びまん性低分化リンパ球性リンパ腫(PDL)、中心細胞リンパ腫、びまん性小切断細胞リンパ腫(DSCCL)、末梢T細胞性リンパ腫(PTCL)、皮膚T細胞性リンパ腫、マントルゾーンリンパ腫、低悪性度濾胞性リンパ腫、多発性骨髄腫(MM)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、骨髄異形成症候群(MDS)、急性T細胞性白血病、急性骨髄球性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性巨核芽球性白血病、前駆B急性リンパ芽球性白血病、前駆T急性リンパ芽球性白血病、バーキット白血病(バーキットリンパ腫)、急性二表現型白血病、慢性骨髄性リンパ腫、慢性骨髄性白血病(CML)、及び慢性単球性白血病からなる群より選択される。特定の実施形態では、疾患又は障害は骨髄異形成症候群(MDS)である。別の特定の実施形態では、疾患又は障害は急性骨髄性白血病(AML)である。別の特定の実施形態では、疾患又は障害は慢性リンパ球性白血病である。更に別の特定の実施形態では、疾患又は障害は多発性骨髄腫(MM)である。
【0279】
他の実施形態では、疾患又は障害は固形腫瘍癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、充実性腫瘍癌は、癌、腺癌、副腎皮質腫瘍、大腸腺癌、結腸直腸腺癌、結腸直腸癌、腺管細胞癌、肺癌、甲状腺癌、鼻咽頭癌、メラノーマ、非メラノーマ皮膚癌、肝臓癌及び肺癌からなる群より選択される。
【0280】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は副腎癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は肛門癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は虫垂癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は胆管癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は膀胱癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は骨癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は脳癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は乳癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は子宮頸癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は結腸直腸癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は食道癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は胆嚢癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は妊娠性絨毛膜癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は頭頸部癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌はホジキンリンパ腫である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は腸癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は腎臓癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は白血病である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は肝臓癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は肺癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は黒色腫である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は中皮腫である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は多発性骨髄腫(MM)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は神経内分泌腫瘍である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は非ホジキンリンパ腫である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は口腔癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は卵巣癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は膵臓癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は前立腺癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は洞癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は皮膚癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は軟部組織肉腫脊髄癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は胃癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は精巣癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は咽喉癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は甲状腺癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は子宮癌、子宮内膜癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は腟癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、癌は外陰癌である。
【0281】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、副腎癌は、副腎皮質腫瘍(ACC)、副腎皮質癌、褐色細胞腫、又は神経芽細胞種である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、肛門癌は、扁平上皮癌、総排出性癌、腺癌、基底細胞癌、又はメラノーマである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、虫垂癌は、神経内分泌腫瘍(NET)、粘液性腺癌腫、杯細胞カルチノイド、腸型腺癌腫、又は印環細胞腺癌腫である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、胆管癌は、肝外胆管癌、腺癌腫、肝門部胆管癌、肝門部領域胆管癌、遠位胆管癌、又は肝内胆管癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、膀胱癌は、移行細胞癌腫(TCC)、乳頭状癌腫、扁平癌腫、扁平上皮細胞癌腫、腺癌腫、小細胞癌腫、又は肉腫である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、原発性骨癌、肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫、肉腫、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、骨の巨細胞腫瘍、脊索腫、又は転移性骨癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、脳癌は、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、神経膠芽腫、髄膜腫、上衣腫、乏突起膠腫、混合神経膠腫、下垂体癌、下垂体腺腫、頭蓋咽頭腫、胚細胞腫瘍、松果体部腫瘍、髄芽腫、又は原発性CNSリンパ腫である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、乳癌は、乳腺癌腫、侵襲性乳癌、非侵襲性乳癌、乳肉腫、化生性癌腫、腺嚢癌腫、葉状腫瘍、血管肉腫、HER2陽性乳癌、トリプルネガティブ乳癌、又は炎症性乳癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、子宮頸癌は扁平上皮癌又は腺癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、結腸直腸癌は、結腸直腸腺癌腫、原発性結腸直腸リンパ腫、消化管間質腫瘍、平滑筋肉腫、カルチノイド腫瘍、粘液性腺癌腫、印環細胞腺癌腫、消化管カルチノイド腫瘍、又は黒色腫である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、食道癌は腺癌又は扁平上皮癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、胆嚢癌は、腺癌腫、乳頭状腺癌腫、腺扁平上皮癌腫、扁平上皮細胞癌腫、小細胞癌腫、又は肉腫である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、妊娠性絨毛性疾患(GTD)は、胞状奇胎、妊娠性絨毛性新生物(GTN)、絨毛癌腫、胎盤部トロホブラスト腫瘍(PSTT)、又は類上皮性トロホブラスト腫瘍(ETT)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、頭頸部癌は、喉頭癌、鼻咽頭癌、下咽頭癌、鼻腔癌、副鼻腔癌、唾液腺癌、口腔癌、中咽頭癌、又は扁桃癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、ホジキンリンパ腫は、古典的ホジキンリンパ腫、結節硬化型、混合細胞型、リンパ球豊富型、リンパ球減少型、又は結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫(NLPHL)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、腸癌は、小腸癌(small intestine cancer)、小腸癌(small bowel cancer)、腺癌腫、肉腫、消化管間質腫瘍、カルチノイド腫瘍、又はリンパ腫である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、腎臓癌は、腎細胞癌(RCC)、明細胞RCC、乳頭状RCC、嫌色素性RCC、集合管RCC、未分類RCC、移行細胞癌、尿路上皮癌、腎盂癌腫、又は腎肉腫である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、白血病は、急性リンパ球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、ヘアリーセル白血病(HCL)、又は骨髄異形成症候群(MDS)である。特定の実施形態では、白血病は、AMLである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、肝臓癌は、肝細胞癌(HCC)、線維層板型HCC、胆管癌、血管肉腫、又は肝転移である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、肺癌は、小細胞肺癌、小細胞癌腫、複合型小細胞癌腫、非小細胞肺癌、肺腺癌腫、扁平上皮細胞肺癌、大細胞未分化型癌腫、肺結節、転移性肺癌、腺扁平上皮癌腫、大細胞神経内分泌癌腫、唾液腺型肺癌腫、肺カルチノイド、中皮腫、肺の肉腫様癌腫、又は悪性顆粒細胞肺腫瘍である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、黒色腫は、表在拡大型黒色腫、結節性黒色腫、末端黒子型黒色腫、悪性黒子由来黒色腫、無色素性黒色腫、線維形成性黒色腫、眼黒色腫、又は転移性黒色腫である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、中皮腫は、胸膜中皮腫、腹膜中皮腫、心膜中皮腫、又は精巣中皮腫である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、多発性骨髄腫は、活動性骨髄腫又はくすぶり型骨髄腫である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、神経内分泌腫瘍は、胃腸神経内分泌腫瘍、膵臓神経内分泌腫瘍、又は肺神経内分泌腫瘍である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、未分化大細胞リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、MALTリンパ腫、小細胞リンパ球性リンパ腫、バーキットリンパ腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、前駆Tリンパ芽球性白血病/リンパ腫、急性リンパ球性白血病(ALL)、成人T細胞リンパ腫/白血病(ATLL)、ヘアリーセル白血病、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔B細胞リンパ腫、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、結節辺縁帯B細胞リンパ腫、脾臓辺縁帯B細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、B細胞非ホジキンリンパ腫、T細胞非ホジキンリンパ腫、ナチュラルキラー細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、アリベール-バザン症候群、セザリー症候群、原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、全身性ALCL、腸症型T細胞リンパ腫(EATL)、又は肝脾ガンマ/デルタT細胞リンパ腫である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、口腔癌は、扁平上皮細胞癌腫、疣状癌腫、小唾液腺癌腫、リンパ腫、良性口腔腫瘍、好酸球性肉芽腫、線維腫、顆粒細胞腫瘍、角化棘細胞腫、平滑筋腫、骨軟骨腫、脂肪腫、シュワン細胞腫、神経線維腫、乳頭腫、尖圭コンジローマ、疣贅型黄色腫、化膿性肉芽腫、横紋筋腫、歯原性腫瘍、白板症、紅板症、扁平上皮細胞口唇癌、基底細胞口唇癌、口癌、歯肉癌、又は舌癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、卵巣癌は、卵巣上皮癌、粘液性上皮卵巣癌、子宮内膜上皮卵巣癌、明細胞上皮卵巣癌、未分化型上皮卵巣癌、卵巣低悪性度腫瘍、原発性腹膜癌、卵管癌、胚細胞腫瘍、奇形腫、未分化卵巣胚細胞癌、内胚葉洞腫瘍、性索間質性腫瘍、性索性腺間質腫瘍、卵巣間質腫瘍、顆粒膜細胞腫瘍、顆粒膜卵胞膜腫瘍、セルトリ-ライディッヒ腫瘍、卵巣肉腫、卵巣癌肉腫、卵巣腺肉腫、卵巣平滑筋肉腫、卵巣線維肉腫、クルケンベルグ腫瘍、又は卵巣嚢胞である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、膵臓癌は、膵外分泌腺癌、膵内分泌腺癌、又は膵腺癌腫、膵島細胞腫瘍、又は神経内分泌腫瘍である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、前立腺癌は、前立腺腺癌腫、前立腺肉腫、移行細胞癌腫、小細胞癌腫、又は神経内分泌腫瘍である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、洞癌は、扁平上皮細胞癌腫、粘膜細胞癌腫、腺様嚢胞細胞癌腫、腺房細胞癌腫、副鼻腔未分化癌腫、鼻腔癌、副鼻腔癌、上顎洞癌、篩骨洞癌、又は鼻咽頭癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、皮膚癌は、基底細胞癌、扁平上皮癌腫、黒色腫、メルケル細胞癌腫、カポジ肉腫(KS)、日光角化症、皮膚リンパ腫、又は角化棘細胞腫である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、軟部組織癌は、血管肉腫、皮膚線維肉腫、上皮性肉腫、ユーイング肉腫、線維肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、脱分化型脂肪肉腫(DL)、粘液性/円形細胞脂肪肉腫(MRCL)、高分化型脂肪肉腫(WDL)、悪性線維性組織球腫、神経線維肉腫、横紋筋肉腫(RMS)、又は滑膜肉腫である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、脊髄癌は脊髄転移性腫瘍である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、胃癌は、胃腺癌腫、胃リンパ腫、消化管間質腫瘍、カルチノイド腫瘍、胃カルチノイド腫瘍、I型ECL細胞カルチノイド、II型ECL細胞カルチノイド、又はIII型ECL細胞カルチノイドである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、精巣癌は、セミノーマ、非セミノーマ、胚性癌腫、卵黄嚢癌腫、絨毛癌腫、奇形腫、性腺間質腫瘍、ライディッヒ細胞腫瘍、又はセルトリ細胞腫瘍である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、咽頭癌は、扁平上皮細胞癌腫、腺癌腫、肉腫、喉頭癌、咽頭癌、鼻咽頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌、喉頭癌、喉頭扁平上皮細胞癌、喉頭腺癌腫、リンパ上皮腫、紡錘細胞癌腫、疣状癌、未分化癌腫、又はリンパ節癌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、甲状腺癌は、乳頭状癌腫、濾胞状癌腫、ハースル細胞癌腫、甲状腺髄様癌腫、又は未分化癌腫である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、子宮癌は、子宮内膜癌、子宮内膜腺癌腫、類子宮内膜癌腫、漿液性腺癌腫、腺扁平上皮癌腫、子宮癌肉腫、子宮肉腫、子宮平滑筋肉腫、子宮内膜間質肉腫、又は未分化肉腫である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、腟癌は扁平上皮癌、腺癌、メラノーマ、又は肉腫である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、外陰癌は扁平上皮癌又は腺癌である。
【0282】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、疾患又は障害は病原体によって引き起こされる。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、病原体は、急性弛緩性脊髄炎(AFM)、アナプラズマ病、炭疽病、バベシア症、ボツリヌス中毒症、ブルセラ症、カンピロバクター症、カルバペネム耐性感染、軟性下疳、チクングニアウイルス感染症、クラミジア、シガテラ中毒、ディフィシル感染症、パーフリンジェンス、コクシジオイデス症真菌感染症、コロナウイルス感染症、Covid-19(SARS-CoV-2)、クロイツフェルト・ヤコブ病/伝達性海綿状脳症、クリプトスポリジウム症(Crypto)、シクロスポラ症、デング熱1、2、3、又は4、ジフテリア、大腸菌感染症/志賀毒素生成性(STEC)、東部馬脳炎、出血熱(エボラ)、エーリキア症、アルボウイルス又は傍感染性脳炎、非ポリオエンテロウイルス、D68エンテロウイル(EV-D68)、ジアルジア症、鼻疽、淋菌感染症、鼠径部肉芽腫、ヘモフィルスインフルエンザ感染症B型(Hib又はH-flu)、ハンタウイルス肺症候群(HPS)、溶血性尿毒症症候群(HUS)、A型肝炎(Hep A)、B型肝炎(Hep B)、C型肝炎(Hep C)、D型肝炎(Hep D)、E型肝炎(Hep E)、ヘルペス、帯状ヘルペス(帯状疱疹)、ヒストプラスマ症、ヒト免疫不全ウイルス/AIDS(HIV/AIDS)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、インフルエンザ(Flu)、レジオネラ症(レジオネラ病)、癩(ハンセン病)、レプトスピラ症、リステリア症(リステリア)、ライム病、鼠径リンパ肉芽腫感染症(LGV)、マラリア、麻疹、メリオイドーシス、髄膜炎(ウイルス性)、髄膜炎菌性疾患(髄膜炎(細菌性))、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、ムンプス、ノロウイルス、シラミ寄生症(Pediculosis)、骨盤内感染症(PID)、パーツシス(百日咳)、ペスト(腺、敗血性、肺炎性)、肺炎球菌疾患(肺炎)、ポリオウイルス感染症(ポリオ)、ポワッサン、オウム病、シラミ寄生症(ケジラミ症)、膿疱疹疾患(天然痘、サル痘、牛痘)、Q熱、狂犬病、リケッチア症(ロッキー山紅斑熱)、風疹(ドイツ麻疹)、サルモネラ症胃腸炎(サルモネラ)、疥癬、スコンブロイド、敗血症、重症急性呼吸器症候群(SARS)、赤痢菌感染症胃腸炎(シゲラ)、天然痘、メチシリン耐性スタフィロカル感染症(MRSA)、ブドウ球菌食中毒エンテロトキシンB中毒(ブドウ球菌食中毒)、バンコマイシン中間体サフィロコカル感染症(VISA)、バンコマイシン耐性ブドウ球菌感染症(VRSA)、A群連鎖球菌感染症(侵襲性)(Strep A(侵襲性)、B群連鎖球菌感染症(Strep-B)、連鎖球菌毒素性ショック症候群STSS毒素ショック、梅毒(第1期、第2期、早期潜伏、晩期潜伏、先天性)、破傷風感染、トリコモナス症、トリコノシス感染症、結核(TB)、潜伏性結核(LTBI)、ツラレミア、腸チフスD群、膣症、水痘(水疱瘡)、コレラ菌(コレラ)、ビブリオ症(ビブリオ)、エボラウイルス出血熱、ラサウイルス出血熱、マールブルグウイルス出血熱、ウエストナイルウイルス、黄熱、エルセニア、及びジカウイルス感染症からなる群から選択される感染症を引き起こす。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は急性弛緩性脊髄炎(AFM)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はアナプラズマ病である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は炭疽である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はバベシア症である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はボツリヌス中毒症である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はブルセラ症である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はカンピロバクター症である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はカルバペネム耐性感染である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は軟下疳である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はチクングニアウイルス感染である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はクラミジアである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はシガテラ属である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はディフィシル感染である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はパーフリンジェンスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はコクシジオイデス症真菌感染である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はコロナウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はCovid-19(SARS-CoV-2)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はクロイツフェルト-ヤコブ病/伝染性海綿状脳症である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はクリプトスポリジウム症(Crypto)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はシクロスポリン症である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はデング1,2,3又は4である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はジフテリアである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は、大腸菌感染/志賀毒素生成性(STEC)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は東部馬脳炎である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は出血熱(エボラ)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はエールリヒア症である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は脳炎である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はアルボウイルス(Arboviral)又はパラ感染性である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は非ポリオエンテロウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はD68 Enteroviru(EV-D68)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はジアルジア症である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は鼻疽である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は淋菌感染症である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は鼠径部肉芽腫である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はB型インフルエンザ菌(Hib又はH-flu)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はハンタウイルス肺症候群(HPS)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は溶血性尿毒症症候群(HUS)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はA型肝炎(Hep A)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はB型肝炎(Hep B)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はC型肝炎(Hep C)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はD型肝炎(Hep D)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はE型肝炎(Hep E)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はヘルペスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は帯状疱疹(Herpes Zoster)(帯状疱疹)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はヒストプラスマ症感染である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はヒト免疫不全ウイルス/AIDS(HIV/AIDS)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はヒトパピローマウイルス(HPV)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はインフルエンザ(Flu)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はレジオネラ症(レジオネラ症)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はライ病(ハンセズ病)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はレプトスピラ症である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はリステリア症(Listeria)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はライム病である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は鼡径リンパ肉芽腫症感染(LGV)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はマラリアである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は麻疹である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は類鼻疽である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は髄膜炎(ウイルス性)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は髄膜炎菌性心疾患(髄膜炎(細菌性))である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はムンプスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はノロウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はしらみ寄生症である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は骨盤腹膜炎(PID)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は百日咳(パーツシス)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はペスト(腺疫菌)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感


染症は敗血症である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は肺炎性である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は肺炎球菌疾患(肺炎)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は灰白髄炎(ポリオ)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はポワッサンである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はオウム病である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はケジラミ症である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は膿疱性発疹疾患(天然痘)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はサル痘である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は牛痘である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はQ熱である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は狂犬病である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は、リケッチア症(ロッキー山紅斑熱)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は三日ばしか(風疹)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はサルモネラ症胃腸炎(サルモネラ菌)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は疥癬である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はサバ中毒である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は敗血症である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はサーズ(SARS)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は細菌性赤痢胃腸炎(シゲラ)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は天然痘である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はブドウ球菌感染メチシリン耐性(MRSA)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はぶどう球菌食中毒エンテロトキシンB中毒(ブドウ球菌食中毒)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はブドウ球菌感染バンコマイシン中間体(VISA)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はぶどう球菌感染症バンコマイシン耐性(VRSA)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は連鎖球菌A群(侵襲性)(連鎖球菌A(侵襲性))である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は連鎖球菌疾患である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はB群(Strep-B)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は連鎖球菌毒性ショック症候群STSS毒性ショックである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は原発性である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は二次性である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は早期潜在性である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は後期潜伏性である。いくつかの実施形態では、感染症は、先天性)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は破傷風感染である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はトリコモナス症である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はトリコノシス感染である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は結核(TB)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は潜在性結核(LTBI)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は野兎病である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は腸チフスD群である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は膣症である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は、水痘(水痘)、コレラ菌(コレラ)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はビブリオ症(Vibrio)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はエボラウイルス出血熱である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はラサウイルス出血熱である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はマールブルグウイルス出血熱である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は西ナイルウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症は黄熱病である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はエルシニアである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、感染症はジカウイルス感染である。
【0283】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、病原体は細菌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、細菌は、バチルス、バルトネラ、ボルデテラ、ボレリア、ブルセラ、カンピロバクター、クラミジア、クラミドフィラ、クロストリジウム、コリネバクテリウム、エンテロコッカス、エシェリキア、フランシセラ、ヘモフィルス、ヘリコバクター、レジオネラ、レプトスピラ、リステリア、マイコバクテリア、マイコプラズマ、ナイセリア、シュードモナス、リケッチア、サルモネラ、シゲラ、ブドウ球菌、連鎖球菌、トレポネーマ、ウレアプラズマ、ビブリオ、又はエルシニア属の細菌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、細菌はバチルス属の細菌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、細菌はバルトネラ科属の細菌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、細菌はボルデテラ属の細菌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、細菌はボレリア属の細菌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、細菌はブルセラ属の細菌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、細菌は、カンピロバクター属の細菌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、細菌はクラミジア属の細菌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、細菌はクラミドフィラ属の細菌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、細菌はクロストリジウム(Clostridium)属の細菌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、細菌はコリネバクテリウム属の細菌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、細菌はエンテロコッカス属の細菌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、細菌はエシェリヒア属の細菌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、細菌は、フランシセラ属の細菌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、細菌はヘモフィルス属の細菌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、細菌はヘリコバクター属の細菌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、細菌はレジオネラ属の細菌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、細菌はレプトスピラ属の細菌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、細菌はリステリア属の細菌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、細菌はマイコバクテリウム属の細菌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、細菌はマイコプラズマ属の細菌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、細菌はナイセリア属の細菌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、細菌はシュードモナス属の細菌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、細菌はリケッチア属の細菌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、細菌はサルモネラ属の細菌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、細菌は赤痢菌属の細菌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、細菌はブドウ球菌属の細菌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、細菌は連鎖球菌属の細菌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、細菌はトレポネーマ属の細菌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、細菌はウレアプラズマ属(大腸菌)属の細菌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、細菌はビブリオ属の細菌である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、細菌はエルシニア属の細菌である。
【0284】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、病原体は寄生生物である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、寄生生物は、原生動物、蠕虫、又は外部寄生生物である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、原虫は、エントアメーバ属、ジアルジア、リーシュマニア、バランチジウム、プラスモジウム、又はクリプトスポリジウムである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、蠕虫は、吸虫、条虫、鈎頭虫、又は回虫である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、外部寄生生物は節足動物である。
【0285】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、病原体はウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスは、アデノウイルス科、アレナウイルス科、アストロウイルス科、ブニヤウイルス科、カリシウイルス科、コロナウイルス科、フィロウイルス科、フラビウイルス科、ヘパドナウイルス科、ヘペウイルス科、オルトミクソウイルス科、パピローマウイルス科、パラミクソウイルス科、パルボウイルス科、ピコルナウイルス科、ポリオーマウイルス科、ポックスウイルス科、レオウイルス科、レトロウイルス科、ラブドウイルス科、又はトガウイルス科のウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスはアデノウイルス科のウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスは、アレナウイルス科のウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスは、アストロウイルス科のウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスはブニヤウイルス科のウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスはカリチウイルス科のウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスはコロナウイルス科のウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスはフィロウイルス科のウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスはフラビウイルス科のウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスはヘパドナウイルス科(hepadnaviridae)のウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスはヘペウイルス科のウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスはオルトミウイルス科のウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスは、パピローマウイルス科のウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスはパラミクソウイルス科のウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスはパルボウイルス科のウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスはピコルナウイルス科のウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスは、ポリオーマウイルス科のウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスはポックスウイルス科のウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスはレオウイルス科のウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスはレトロウイルス科のウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスはラブドウイルス科のウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスはトガウイルス科のウイルスである。
【0286】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスは、アデノウイルス、コロナウイルス、コクサッキーウイルス、エプスタインバーウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、単純ヘルペスウイルス2型、サイトメガロウイルス、ヒトヘルペスウイルス8型、ヒト免疫不全ウイルス、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、ヒトパピローマウイルス、パラインフルエンザウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、風疹ウイルス、又は水痘帯状疱疹ウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスはアデノウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスはコロナウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、コロナウイルスウイルスはCovid-19(SARS-CoV-2)である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスはコクサッキーウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスはエプスタインバーウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスはA型肝炎ウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスはB型肝炎ウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスはC型肝炎ウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスは単純ヘルペスウイルス2型である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスはサイトメガロウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスはヒトヘルペスウイルス8型である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスはヒト免疫不全ウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスはインフルエンザウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスは麻疹ウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスはムンプスウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスはヒトパピローマウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスはパラインフルエンザウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスはポリオウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスは狂犬病ウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスは呼吸器合胞体ウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスは風疹ウイルスである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、ウイルスは水痘帯状疱疹ウイルスである。
【0287】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、疾患又は障害は免疫障害又は自己免疫障害である。そのような障害には、自己免疫性水疱性疾患、無βリポ蛋白血症、後天性免疫不全関連疾患、臓器移植に関連する急性免疫疾患、後天性先端チアノーゼ、急性及び慢性の寄生虫又は感染過程、急性膵炎、急性腎不全、急性リウマチ熱、急性横断性脊髄炎、腺癌、気中異所性拍動、成人(急性)呼吸窮迫症候群、AIDS認知症合併症、アルコール性肝硬変、アルコール誘発性肝損傷、アルコール誘発性肝炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性接触皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー及び喘息、同種移植片拒絶、アルファ-l-抗トリプシン欠乏症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、貧血、狭心症、強直性脊椎炎関連肺疾患、前角細胞変性、抗体媒介性細胞傷害性、抗リン脂質症候群、抗受容体動脈瘤反応、大動脈及び末梢動脈瘤、大動脈解離、動脈性高血圧、動脈硬化症、動脈静脈瘤、関節症、無力症、喘息、運動失調、アトピー性アレルギー、心房細動(持続性又は発作性)、心房粗動、房室ブロック、萎縮性自己免疫性甲状腺機能低下症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、1型自己免疫性肝炎(古典的自己免疫性又はルポイド性肝炎)、自己免疫性媒介性低血糖、自己免疫性好中球減少症、自己免疫性血小板減少症、自己免疫性甲状腺疾患、B細胞リンパ腫、骨移植拒絶、骨髄移植(BMT)拒絶、閉塞性細気管支炎、束枝ブロック、火傷、悪液質、心不整脈、心臓スタニング症候群、心臓腫瘍、心筋症、心肺バイパス炎症反応、軟骨移植拒絶、小脳皮質変性、小脳障害、カオス性又は多巣性心房性頻拍、化学療法関連障害、クラミジア、胆汁うっ滞、慢性アルコール依存症、慢性活動性肝炎、慢性疲労症候群、臓器移植に関連する慢性免疫疾患、慢性好酸球性肺炎、慢性炎症性肺炎、慢性皮膚粘膜カンジダ症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性サリチル酸中毒、結腸直腸多形性免疫不全(一般的な可変性低ガンマグロブリン血症)、結膜炎、結合組織疾患関連間質性肺疾患、接触性皮膚炎、クームス陽性溶血性貧血、肺性心、クロイツフェルト・ヤコブ病、潜在性自己免疫性肝炎、潜在性線維化肺胞炎、培養陰性敗血症、嚢胞性線維症、サイトカイン治療関連障害、クローン病、プギリシン性認知症、脱髄性疾患、出血熱、皮膚炎、強皮症、皮膚病、皮膚筋炎/多発性筋炎関連肺疾患、糖尿病、糖尿病性動脈硬化症、糖尿病、びまん性レビー小体病、拡張型心筋症、拡張型うっ血性心筋症、円板状エリテマトーデス、基底核の障害、播種性血管内凝固、中年期ダウン症候群、薬物誘発性間質性肺疾患、薬物誘発性肝炎、CNS受容体を遮断する薬物によって誘発される薬物誘発性運動障害、薬物感受性、湿疹、脳脊髄炎、心内膜炎、腸炎、腸疾患滑膜炎、喉頭蓋炎、エプスチン・バー・ウイルス感染症、紅痛症、錐体外路性及び小脳性障害、家族性食作用性リンパ球増加症、胎児胸腺移植拒絶、フリードライヒ運動失調症、機能性末梢動脈障害、女性不妊症、線維症、線維性肺疾患、真菌性敗血症、ガス壊疽、胃潰瘍、巨細胞性動脈炎、糸球体腎炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、甲状腺腫性自己免疫性甲状腺機能低下症(橋本病)、痛風性関節炎、任意の臓器又は組織の移植片拒絶、移植片対宿主病、グラム陰性敗血症、グラム陽性敗血症、細胞内生物による肉芽腫、B群連鎖球菌(GBS)感染、グレーブス病、ヘモジデローシス関連肺疾患、ヘアリー細胞白血病、アレルデン-スパッツ病、橋本甲状腺炎、ヘイ熱、心臓移植、ヘモクロマトーシス、造血性悪性腫瘍(白血病及びリンパ腫)、溶血性貧血、溶血性尿毒症症候群/血栓溶解性血小板減少性紫斑病、出血、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、HIV感染症/HIVニューロパシー、ホジキン病、副甲状腺機能低下症、ハンチントン舞踏病、運動亢進障害、過敏反応、過敏性肺炎、甲状腺機能亢進症、運動低下障害、視床下部-下垂体-副腎軸評価、特発性アジソン病、特発性白血球減少症、特発性肺線維症、特発性血小板減少症、特異的肝疾患、乳児脊髄性筋萎縮症、感染症、大動脈の炎症、炎症性腸疾患、インスリン依存性糖尿病、間質性肺炎、虹彩毛様体炎/ブドウ膜炎/視神経炎、虚血-再灌流傷害、虚血性脳卒中、若年性悪性貧血、若年性関節リウマチ、若年性脊髄性筋萎縮症、カポジ肉腫、川崎病、腎移植拒絶反応、レジオネラ、リーシュマニア症、ハンセン病、皮質脊髄系の病変、線状IgA病、脂肪浮腫、肝移植拒絶反応、ライム病、リンパ皮腫、リンパ球性浸潤性肺疾患、マラリア、男性不妊特発性又はNOS、悪性組織球増加症、悪性黒色腫、髄膜炎、髄膜血症、腎臓の顕微鏡的血管炎、片頭痛、ミトコンドリア多系統障害、混合型結合組織病、混合性結合組織疾患関連肺疾患、モノクローナルガンマグモパシー、多発性骨髄腫、多系統変性症(Mencel、Dejerine-Thomas、Shy-Drager及びMachado-Joseph)、筋アルギン酸脳炎/Royal Free病、重症筋無力症、顕微鏡的腎血管炎、マイコバクテリウム・アビウム・イントラセルラーレ(Mycobacterium avium intracellulare)、マイコバクテリウム結核(Mycobacterium tuberculosis)、骨髄異形成症候群、心筋梗塞、心筋虚血性障害、鼻咽頭癌、新生児慢性肺疾患、腎炎、腎症、腎性症候群、神経変性疾患、神経原性I型筋萎縮症、好中球減少性発熱、非アルコール性脂肪性肝炎、腹部大動脈及びその分枝の閉塞、閉塞性動脈障害、臓器移植拒絶、精巣炎/精巣上体炎、精巣炎/血管切除反転術、臓器肥大、骨関節症、骨粗鬆症、卵巣不全、膵臓移植拒絶、寄生虫疾患、副甲状腺移植拒絶、パーキンソン病、骨盤炎症性疾患、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、類天疱瘡、多年生鼻炎、心膜疾患、末梢アテローム硬化性疾患、末梢血管障害、腹膜炎、悪性貧血、線維性ブドウ膜炎、ニューモシスチス・カリニ肺炎、肺炎、POEMS症候群(多発神経障害、臓器肥大、内分泌障害、単クローン性高ガンマグロブリン血症及び皮膚変化症候群)、灌流後症候群、ポンプ後症候群、MI心臓切開後症候群、感染後間質性肺疾患、早発性卵巣不全、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性肝炎、原発性粘液浮腫、原発性肺高血圧症、原発性硬化性胆管炎、原発性血管炎、進行性核上性麻痺、乾癬、乾癬1型、乾癬2型、乾癬性関節症、結合組織病に続発する肺高血圧症、結節性多発動脈炎の肺症状、炎症後間質性肺疾患、放射線線維症、放射線療法、レイノー現象及び疾患、レイノー病、レフサム病、規則的な狭いQRS頻脈、ライター病、腎疾患NOS、腎血管性高血圧、再灌流傷害、拘束性心筋症、関節リウマチ関連間質性肺疾患、リウマチ性脊椎炎、サルコイドーシス、シュミット症候群、強皮症、老人性舞踏病、レビー小体型の老年性認知症、敗血症症候群、敗血症性ショック、血清反応陰性関節症、ショック、鎌状赤血球貧血、T細胞又はFAB ALL、高安病/動脈炎、毛細血管拡張症、Th2型及びTh1型媒介疾患、閉塞性血栓血管炎、血小板減少症、甲状腺炎、毒性、毒性ショック症候群、移植、外傷/出血、2型自己免疫性肝炎(抗LKM抗体肝炎)、黒色表皮肥厚症を伴うB型インスリン抵抗性、III型過敏症反応、IV型過敏症、潰瘍性大腸炎関節症、潰瘍性大腸炎、不安定狭心症、尿毒症、尿性敗血症、蕁麻疹、ブドウ膜炎、心臓弁膜症、静脈瘤、血管炎、脈管炎性びまん性肺疾患、静脈疾患、静脈血栓症、心室細動、白斑急性肝疾患、ウイルス感染症及び真菌感染症、致死性脳炎/無菌性髄膜炎、致死性血球貪食症候群、ウェゲナー肉芽腫症、ウェルニッケ・コルサコフ症候群、ウィルソン病、任意の臓器又は組織の異種移植片拒絶、エルシニア及びサルモネラ関連関節症、後天性免疫不全症候群(AIDS)、自己免疫性リンパ増殖性症候群、溶血性貧血、炎症性疾患、血小板減少症、臓器移植に伴う急性及び慢性免疫疾患、アジソン病、アレルギー性疾患、脱毛症、円形脱毛症、アテローム性疾患/動脈硬化症、関節炎(変形性関節症、若年性慢性関節炎、敗血症性関節炎、ライム関節炎、乾癬性関節炎及び反応性関節炎を含む)、シェーグレン病関連肺疾患、シェーグレン症候群、皮膚同種移植拒絶、皮膚変化症候群、小腸移植拒絶、精子自己免疫、多発性硬化症(全てのサブタイプ)、脊髄運動失調、脊髄小脳変性症、脊椎関節症、散発性多腺性欠損症I型、散発性多腺性欠損症II型、スティル病、連鎖球菌性筋炎、脳卒中、小脳の構造病変、亜急性硬化性全脳炎、交感神経性眼炎、失神、心血管系の梅毒、全身性アナフィラキシー、全身性炎症反応症候群、全身性若年性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、全身性エリテマトーデス関連肺疾患、ループス腎炎、全身性硬化症、及び全身性硬化症関連間質性肺疾患が含まれる。
【0288】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかであるいくつかの実施形態では、疾患又は障害は炎症性疾患である。炎症は、宿主防御及び免疫介在性疾患の進行において基本的な役割を果たす。炎症反応は、損傷(例えば、外傷、虚血及び異物)及び感染(例えば、細菌又はウイルス感染)に応答して、化学的メディエーター(例えば、サイトカイン及びプロスタグランジン)及び炎症細胞(例えば、白血球)を含む事象の複雑なカスケードによって開始される。炎症反応は、血流の増加、毛細血管透過性の増加、及び食細胞の流入を特徴とする。これらの事象は、損傷又は感染部位における腫脹、発赤、温感(熱パターンの変化)、及び膿形成をもたらす。
【0289】
サイトカイン及びプロスタグランジンは、炎症反応を制御し、順序付けられた自己制限的カスケードで血液又は患部組織に放出される。このサイトカイン及びプロスタグランジンの放出は、損傷又は感染の領域への血流を増加させ、発赤及び温感をもたらし得る。これらの化学物質のいくつかは、組織への流体の漏出を引き起こし、腫脹をもたらす。この保護プロセスは、神経を刺激し、疼痛を引き起こし得る。これらの変化は、関連する領域において限られた期間にわたって生じる場合、身体の利益に対して働く。
【0290】
炎症反応における体液性免疫要素と細胞性免疫要素との間の繊細でバランスのとれた相互作用は、有害な薬剤の排除及び損傷組織の修復の開始を可能にする。この微妙にバランスのとれた相互作用が破壊されると、炎症反応は正常組織にかなりの損傷をもたらす可能性があり、反応を開始した元の傷害よりも有害である可能性がある。これらの制御されない炎症反応の場合、組織損傷及び臓器機能不全を予防するために臨床的介入が必要とされる。乾癬、関節リウマチ、変形性関節症、乾癬性関節炎、クローン病、喘息、アレルギー又は炎症性腸疾患などの疾患は、慢性炎症を特徴とする。関節炎、関連する関節炎病態(例えば、変形性関節症、関節リウマチ、及び乾癬性関節炎)、炎症性腸疾患(例えば、クローン病及び潰瘍性大腸炎)、敗血症、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、及び慢性閉塞性肺疾患などの炎症性疾患、慢性炎症性肺疾患もまた、蔓延しており、問題となる病気である。
【0291】
リポソーム、マイクロ粒子、マイクロカプセルへの封入、抗体を発現させることが可能な組み換え細胞、受容体媒介性エンドサイトーシス(例えば、Wu and Wu,J.Biol.Chem.,1987,262:4429-4432を参照のこと)、レトロウイルス又は他のベクターの一部としての核酸の構築などを含むが、これらに限定されない、多様な送達系が既知であり、予防薬又は治療薬(例えば、本明細書において提供される抗体)を投与するために使用することができる。予防薬若しくは治療薬(例えば、本明細書において提供される抗体)、又は医薬組成物を投与する方法としては、非経口投与(例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内及び皮下)、硬膜外、及び経粘膜(例えば、経鼻投与及び経口経路)が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な実施形態では、予防薬若しくは治療薬(例えば、本明細書において提供される抗体)、又は医薬組成物は、鼻腔内投与、筋肉内投与、静脈内投与、又は皮下投与される。予防薬若しくは治療薬、又は組成物は、任意の好都合な経路、例えば、注入又はボーラス注射により、上皮又は皮膚粘膜内壁(例えば、口腔粘膜、鼻腔粘膜、直腸粘膜、及び腸粘膜など)を介する吸収により、投与され得、他の生物学的活性剤と共に投与され得る。投与は、全身性又は局所的であり得る。加えて、例えば、吸入器又は噴霧器、及びエアゾール化剤を伴う製剤の使用による肺内投与を採用することもできる。例えば、各々が参照によりそれらの全体で本明細書に組み込まれる、米国特許第6,019,968号、同第5,985,320号、同第5,985,309号、同第5,934,272号、同第5,874,064号、同第5,855,913号、同第5,290,540号、及び同第4,880,078号、及び国際公開第92/19244号、同第97/32572号、同第97/44013号、同第98/31346号、及び同第99/66903号を参照されたい。
【0292】
特定の実施形態では、本明細書において提供される予防薬若しくは治療薬、又は医薬組成物を、治療を必要とする領域に局所投与することが望ましい場合がある。これは、例えば、限定を目的とするものではないが、局所注入により、局所投与により(例えば、鼻内噴霧により)、注射により、又はインプラントを用いて達成され得、当該インプラントは、シラスティック膜などの膜又は繊維を含む、多孔性材料、非多孔性材料、又はゼラチン性材料である。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体を投与する場合、抗体が吸着しない材料を使用するように注意しなければならない。
【0293】
別の実施形態では、本明細書において提供される予防薬若しくは治療薬、又は組成物は、ベシクル、特に、リポソームで送達され得る(Langer,Science,1990,249:1527-1533;Treat,et al.,in Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer,Lopez-Berestein and Fidler(eds.),Liss,New York,pp.353-365(1989);Lopez-Berestein,ibid.,pp.317-327を参照。同書を全般的に参照)。
【0294】
別の実施形態では、本明細書において提供される予防薬若しくは治療薬、又は組成物は、制御放出システム又は徐放システムで送達されることができる。一実施形態では、ポンプが、制御放出又は徐放を達成するために使用され得る(Langer、上記;Sefton,CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.,1987,14:20;Buchwald et al.,Surgery,1980,88:507;Saudek et al.,N.Engl.J.Med.,1989,321:574を参照のこと)。別の実施形態では、ポリマー材料を使用して、予防薬若しくは治療薬(例えば、本明細書において提供される抗体)、又は本明細書において提供される組成物の制御放出又は徐放を達成することができる(例えば、Medical Applications of Controlled Release,Langer and Wise(eds.),CRC Pres.,Boca Raton,Florida(1974);Controlled Drug Bioavailability,Drug Product Design and Performance,Smolen and Ball(eds.),Wiley,New York(1984)、Ranger and Peppas,J.,Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem.,1983,23:61を参照されたい;また、Levy,et al.,Science,1985,228:190;During,et al.,Ann.Neurol.,1989,25:351;Howard,et al.,J.Neurosurg.,1989,7(1):105;米国特許第5,679,377号、米国特許第5,916,597号、米国特許第5,912,015号、米国特許第5,989,463号、米国特許第5,128,326号、国際公開第99/15154号;及び国際公開第99/20253号も参照されたい)。徐放製剤中で使用されるポリマーの例としては、徐放製剤中で使用されるポリマーの例としては、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチレン-co-ビニルアセテート)、ポリ(メタクリル酸)、ポリグリコリド(PLG)、ポリ無水物、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)、ポリラクチド(PLA)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)、及びポリオルトエステルが挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、徐放製剤中で使用されるポリマーは、不活性であり、浸出性不純物を含まず、保存時に安定であり、無菌であり、かつ生分解性である。更に別の実施形態では、制御放出システム又は徐放システムを治療標的、すなわち、鼻腔又は肺に近接して配置することができ、その結果、全身用量のほんの一部しか必要としない(例えば、Goodson,in Medical Applications of Release、上記,vol.2,pp.115-138(1984)を参照のこと)。制御放出システムについては、Langer,Science,1990,249:1527-33)による概説中に考察されている。当業者に既知の任意の技術を使用して、本明細書において提供される1つ又は2つ以上の抗体を含む徐放製剤を生産することができる。例えば、各々が参照によりそれらの全体で本明細書に組み込まれる、米国特許第4,526,938号、国際公開第91/05548号、国際公開第96/20698号、Ning,et al.,Radiotherapy & Oncology,1996,39:179-89;Song,et al.,PDA J of Pharmaceutical Sci & Technol.,1995,50:372-97;Cleek,et al.,Pro.Int’l.Symp.Control.Rel.Bioact.Mater.,1997,24:853-54;及びLam,et al.,Proc.Int’l.Symp.Control Rel.Bioact.Mater.,1997,24:759-60を参照されたい。
【0295】
本明細書で提供される組成物が、予防剤又は治療剤(例えば、本明細書で提供される抗体)をコードする核酸である、特定の実施形態では、核酸を、適切な核酸発現ベクターの一部として構築し、例えば、レトロウイルスベクターの使用により、核酸が、細胞内核酸となるように、ベクターを投与すること(米国特許第4,980,286号を参照)により、又は直接注射により、又はマイクロ粒子衝突(例えば、遺伝子銃;Biolistic、Dupont)により、又は脂質若しくは細胞表面受容体若しくは遺伝子導入剤によるコーティングの使用により、又は核に侵入することが既知であるホメオボックス様ペプチドと連結して核酸を投与すること(例えば、Joliot,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1991,88:1864-8を参照されたい)などにより、そのコードされる予防剤又は治療剤の発現を促進するように、核酸を、インビボにおいて投与することができる。代替的に、核酸は、細胞内に導入し、相同組み換えによる発現のために、宿主細胞DNA内に組み込むことができる。
【0296】
具体的な実施形態では、本明細書において提供される組成物は、1つ、2つ以上の、本明細書において提供される抗体を含む。別の実施形態では、本明細書において提供される組成物は、1つ、2つ以上の、本明細書において提供される抗体と、本明細書において提供される抗体以外の予防薬又は治療薬とを含む。一実施形態では、薬剤は、疾患若しくは病態の予防、管理、治療及び/又は寛解に有用であることが既知であるか、又はこれらのために使用されているか、若しくは現在使用されている。予防薬又は治療薬に加えて、本明細書において提供される組成物はまた、賦形剤を含み得る。
【0297】
本明細書において提供される組成物は、単位剤形の調製に使用され得る医薬組成物(例えば、対象又は患者への投与に好適な組成物)の製造において有用なバルク薬剤組成物を含む。ある実施形態では、本明細書で提供される組成物は、医薬組成物である。そのような組成物は、予防有効量又は治療有効量の1つ又は2つ以上の予防薬又は治療薬(例えば、本明細書において提供される抗体、又は他の予防薬若しくは治療薬)と、医薬的に許容される賦形剤とを含む。医薬組成物は、対象への投与経路に好適であるように製剤化されることができる。
【0298】
具体的な実施形態では、「賦形剤」という用語は、希釈剤、アジュバント(例えば、フロイントアジュバント(完全又は不完全))又はビヒクルを指すこともできる。医薬用賦形剤は、無菌液体、例えば水、及び落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油等の、石油、動物、植物、又は合成起源のものを含む油であり得る。水は、医薬組成物が静脈内投与される場合の代表的な賦形剤である。生理食塩水並びに水性デキストロース及びグリセロール溶液も、特に注射溶液用の液体賦形剤として採用され得る。好適な医薬用賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリン、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセリン、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられるが、これらに限定されない。必要に応じて、組成物は、少量の湿潤剤若しくは乳化剤、又はpH緩衝剤を更に含み得る。これらの組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、徐放製剤などの形態を取り得る。経口製剤は、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準的な賦形剤を含み得る。好適な医薬用賦形剤の例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1990)Mack Publishing Co.,Easton,PAにおいて記載されている。そのような組成物は、患者に適切に投与するための形態をもたらすように、精製形態などの予防有効量又は治療有効量の本明細書において提供される抗体を、好適な量の賦形剤と併せて含有する。その製剤は、投与様式に適するべきである。
【0299】
実施形態では、組成物は、日常的な手順に従って、ヒトへの静脈内投与に適合させた医薬組成物として製剤化される。いくつかの実施形態では、静脈内投与用の組成物は、滅菌水性等張緩衝液中の溶液である。必要な場合、組成物はまた、可溶化剤及び、注射部位の疼痛を和らげるための、リグノカインなどの局所麻酔剤も含み得る。しかしながら、そのような組成物は、静脈内経路以外の経路を介して投与され得る。
【0300】
本明細書において提供される組成物の成分は、例えば、活性薬剤の量を示すアンプル又は小袋などの密封容器内に、乾燥した凍結乾燥粉末又は水分を含まない濃縮物として、個別に、又は単位剤形中に一体に混合して供給され得る。組成物が注入により投与される場合、組成物は、医薬品グレードの滅菌水又は生理食塩水の入った注入ボトルによって分注され得る。組成物が注射により投与される場合、投与前に成分が混合され得るように、注射用滅菌水又は生理食塩水のアンプルを提供することができる。
【0301】
本明細書において提供される抗体は、抗体の量を示すアンプル又は小袋などの密封容器内に包装され得る。一実施形態では、抗体を、密封容器に入った乾燥滅菌した凍結乾燥粉末又は水分を含まない濃縮物として供給して、例えば、水又は生理食塩液で、対象への投与に適切な濃度まで復元させることができる。凍結乾燥された抗体は、その元の容器内で2~8℃で保存され得、抗体は、復元後12時間以内(例えば、6時間以内、5時間以内、3時間以内、又は1時間以内)に投与され得る。代替的な実施形態では、本明細書において提供される抗体は、抗体の量及び濃度を示す密封容器内の液体形態で供給される。
【0302】
本明細書において提供される組成物は、中性形態又は塩形態として製剤化され得る。医薬的に許容される塩としては、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などに由来するアニオンなどのアニオンと共に形成される塩、及びナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどに由来するカチオンなどのカチオンと共に形成される塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0303】
疾患又は病態の予防及び/又は治療に有効である、予防薬又は治療薬(例えば、本明細書において提供される抗体)又は本明細書において提供される組成物の量は、標準的な臨床技術によって決定され得る。加えて、最適な用量範囲を識別するのに役立てるために、任意選択的にインビトロアッセイが採用され得る。いくつかの実施形態では、製剤において採用される正確な用量は、投与経路、及び疾患又は病態の重篤度にも依存し、医師の判断及び各患者の状況に従って決定されるべきである。
【0304】
有効用量は、インビトロ又は動物モデル試験系から導出される用量反応曲線から外挿され得る。
【0305】
特定の実施形態では、本明細書において提供される抗体の用量の患者への投与経路は、経鼻内、筋内、静脈内、皮下、又はこれらの組合せであるが、本明細書に記載される他の経路も許容可能である。各用量は、同一の投与経路で投与されても、投与されなくてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体は、本明細書において提供される同じ又は異なる抗体の他の用量と同時に、又はその後に、複数の投与経路を介して投与され得る。
【0306】
特定の実施形態では、本明細書において提供される抗体は、対象に対して予防的に又は治療的に投与される。本明細書において提供される抗体は、疾患又は症状を防止する、減少させる、又は寛解させるように、対象に対して予防的に又は治療的に投与され得る。
【0307】
簡潔にするために、特定の略語が本明細書で使用される。一例として、アミノ酸残基を表す単一文字の略語がある。アミノ酸及びそれらに対応する3文字及び1文字の略語は以下の通りである:
【0308】
【表2】
【0309】
本発明は、概して、多数の実施形態を説明するために肯定的な言葉を使用して本明細書に開示される。また、本発明には、物質又は材料、方法のステップ及び条件、プロトコル、手順、アッセイ又は分析など、特定の主題が完全に又は部分的に除外されている実施形態も具体的に含まれる。したがって、本明細書は、概ね、本発明が含まないものに関して本明細書で表現されていない場合であっても、それでもなお、本発明に明示的に含まれていない態様が本明細書で開示される。
【0310】
本発明の多くの実施形態が説明されてきた。しかしながら、様々な修正が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく実行され得ることが、理解されるであろう。したがって、以下の実施例は、特許請求の範囲に記載された発明の範囲を説明することを意図しているが、限定するものではない。
【0311】
実施形態
本発明は、以下の非限定的な実施形態を提供する。
【0312】
1つのセットの実施形態(実施形態セットA)では、以下が提供される。
A1.抗原結合ドメイン及びFc領域を含む結合分子であって、
(i)抗原結合ドメインが、バイパラトピック又は二重特異性であり、
(ii)Fc領域が、K248E及びT437R変異(RE変異)を含み、アミノ酸残基の番号付けが、EU番号付けシステムに従い、
結合分子が、細胞表面上での六量体化の増加した能力、及び/又はC1qに係合する増加した能力を有する、
抗原結合ドメイン及びFc領域を含む結合分子。
A2.抗原結合ドメインが、第1のVH領域及び第1のVL領域、第1の単一ドメイン抗原結合断片、並びに/あるいは第1の操作された結合断片を含む第1のドメインと、第2のVH領域及び第2のVL領域、第2の単一ドメイン抗原結合断片、並びに/あるいは第2の操作された結合断片を含む第2のドメインと、を含み、第1のドメイン及び第2のドメインが、同じ抗原又は異なる抗原(複数可)の2つの異なるエピトープに結合する、実施形態A1に記載の結合分子。
A3.
(i)第1のドメイン及び第2のドメインの各々が、Fab断片、scFv、単一ドメイン抗原結合断片、又は操作された結合断片である、
(ii)第1のドメインがFab断片であり、第2のドメインがscFvである、
(iii)第1のドメインがFab断片であり、第2のドメインが単一ドメイン抗原結合断片である、
(iv)第1のドメインがFab断片であり、第2のドメインが操作された結合断片である、
(v)第1のドメインがscFvであり、第2のドメインが単一ドメイン抗原結合断片である、
(vi)第1のドメインがscFvであり、第2のドメインが操作された結合断片である、又は
(vii)第1のドメインが単一ドメイン抗原結合断片であり、第2のドメインが操作された結合断片である、
実施形態A2に記載の結合分子。
A4.そのN297残基を介してFc領域に共有結合しているオリゴ糖が、コアフコース残基を含まない、実施形態A1~A3のいずれか一項に記載の結合分子。
A5.結合分子が、バイパラトピック又は二重特異性抗体である、実施形態A1~A4のいずれか一項に記載の結合分子。
A6.実施形態A1~A5のいずれか一項に記載の結合分子を含む結合分子の集団。
A7.結合分子の集団であって、各結合分子が、抗原結合ドメイン及びFc領域を含み、
(i)抗原結合ドメインが、バイパラトピック又は二重特異性であり、
(ii)Fc領域が、K248E及びT437R変異(RE変異)を含み、アミノ酸残基の番号付けが、EU番号付けシステムに従い、
(iii)Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の80%未満がコアフコース残基を含む、
結合分子の集団。
A8.結合分子の集団であって、
各結合分子が、抗原結合ドメイン及びFc領域を含み、
集団中の結合分子の少なくとも10%の抗原結合ドメインが、バイパラトピック又は二重特異性であり、
各結合分子のFc領域が、K248E及びT437R変異(RE変異)を含み、アミノ酸残基の番号付けが、EU番号付けシステムに従い、
Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の80%未満がコアフコース残基を含む、
結合分子の集団。
A9.集団中の結合分子の少なくとも20%の抗原結合ドメインがバイパラトピック又は二重特異性である、実施形態A8に記載の結合分子の集団。
A10.集団中の結合分子の少なくとも30%の抗原結合ドメインがバイパラトピック又は二重特異性である、実施形態A8に記載の結合分子の集団。
A11.集団中の結合分子の少なくとも40%の抗原結合ドメインがバイパラトピック又は二重特異性である、実施形態A8に記載の結合分子の集団。
A12.集団中の結合分子の少なくとも50%の抗原結合ドメインがバイパラトピック又は二重特異性である、実施形態A8に記載の結合分子の集団。
A13.集団中の結合分子の少なくとも60%の抗原結合ドメインがバイパラトピック又は二重特異性である、実施形態A8に記載の結合分子の集団。
A14.集団中の結合分子の少なくとも70%の抗原結合ドメインがバイパラトピック又は二重特異性である、実施形態A8に記載の結合分子の集団。
A15.集団中の結合分子の少なくとも80%の抗原結合ドメインがバイパラトピック又は二重特異性である、実施形態A8に記載の結合分子の集団。
A16.集団中の結合分子の少なくとも90%の抗原結合ドメインがバイパラトピック又は二重特異性である、実施形態A8に記載の結合分子の集団。
A17.Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の70%未満がコアフコース残基を含む、実施形態A7~A16のいずれか一項に記載の結合分子の集団。
A18.Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の60%未満がコアフコース残基を含む、実施形態A7~A16のいずれか一項に記載の結合分子の集団。
A19.Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の50%未満がコアフコース残基を含む、実施形態A7~A16のいずれか一項に記載の結合分子の集団。
A20.Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の40%未満がコアフコース残基を含む、実施形態A7~A16のいずれか一項に記載の結合分子の集団。
A21.Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の30%未満がコアフコース残基を含む、実施形態A7~A16のいずれか一項に記載の結合分子の集団。
A22.Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の20%未満がコアフコース残基を含む、実施形態A7~A16のいずれか一項に記載の結合分子の集団。
A23.Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の10%未満がコアフコース残基を含む、実施形態A7~A16のいずれか一項に記載の結合分子の集団。
A24.抗原結合ドメインが、第1のVH領域及び第1のVL領域、第1の単一ドメイン抗原結合断片、並びに/あるいは第1の操作された結合断片を含む第1のドメインと、第2のVH領域及び第2のVL領域、第2の単一ドメイン抗原結合断片、並びに/あるいは第2の操作された結合断片を含む第2のドメインと、を含み、第1のドメイン及び第2のドメインが、同じ抗原又は異なる抗原(複数可)の2つの異なるエピトープに結合する、実施形態A7~A23のいずれか一項に記載の結合分子の集団。
A25.
(i)第1のドメイン及び第2のドメインの各々が、Fab断片、scFv、単一ドメイン抗原結合断片、又は操作された結合断片である、
(ii)第1のドメインがFab断片であり、第2のドメインがscFvである、
(iii)第1のドメインがFab断片であり、第2のドメインが単一ドメイン抗原結合断片である、
(iv)第1のドメインがFab断片であり、第2のドメインが操作された結合断片である、
(v)第1のドメインがscFvであり、第2のドメインが単一ドメイン抗原結合断片である、
(vi)第1のドメインがscFvであり、第2のドメインが操作された結合断片である、又は
(vii)第1のドメインが単一ドメイン抗原結合断片であり、第2のドメインが操作された結合断片である、
実施形態A7~A24のいずれか一項に記載の結合分子の集団。
A26.結合分子が、バイパラトピック又は二重特異性抗体である、実施形態A7~A25のいずれか一項に記載の結合分子の集団。
A27.結合分子が、抗体のFc領域に結合したオリゴ糖へのフコースの付加が欠損している宿主細胞において、結合分子又はその断片をコードするポリヌクレオチドを発現させることによって産生される、実施形態A7~A26のいずれか一項に記載の結合分子の集団。
A28.宿主細胞が、低下したGDP-マンノース4,6-デヒドラターゼ(GMD)活性又は低下したα-1,6フコシルトランスフェラーゼ活性を有する、実施形態A27に記載の結合分子の集団。
A29.結合分子が、増強されたADCC、増強されたCDC及び/又は増強されたADCPを有する、実施形態A1~A5のいずれか一項に記載の結合分子。
A30.結合分子の集団が、増強されたADCC、増強されたCDC、及び/又は増強されたADCPを有する、実施形態A6~A28のいずれか一項に記載の結合分子の集団。
A31.実施形態A1~A5又はA29のいずれか一項に記載の結合分子をコードする核酸。
A32.実施形態A31に記載の核酸を含む、ベクター。
【0313】
別のセットの実施形態(実施形態セットB)では、以下が提供される。
B1.結合分子及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物であって、結合分子が抗原結合ドメイン及びFc領域を含み、
(i)抗原結合ドメインが、バイパラトピック又は二重特異性であり、
(ii)Fc領域が、K248E及びT437R変異(RE変異)を含み、アミノ酸残基の番号付けが、EU番号付けシステムに従い、
結合分子が、細胞表面上での六量体化の増加した能力、及び/又はC1qに係合する増加した能力を有する、結合分子及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
B2.抗原結合ドメインが、第1のVH領域及び第1のVL領域、第1の単一ドメイン抗原結合断片、並びに/あるいは第1の操作された結合断片を含む第1のドメインと、第2のVH領域及び第2のVL領域、第2の単一ドメイン抗原結合断片、並びに/あるいは第2の操作された結合断片を含む第2のドメインと、を含み、第1のドメイン及び第2のドメインが、同じ抗原又は異なる抗原(複数可)の2つの異なるエピトープに結合する、実施形態B1に記載の医薬組成物。
B3.
(i)第1のドメイン及び第2のドメインの各々が、Fab断片、scFv、単一ドメイン抗原結合断片、又は操作された結合断片である、
(ii)第1のドメインがFab断片であり、第2のドメインがscFvである、
(iii)第1のドメインがFab断片であり、第2のドメインが単一ドメイン抗原結合断片である、
(iv)第1のドメインがFab断片であり、第2のドメインが操作された結合断片である、
(v)第1のドメインがscFvであり、第2のドメインが単一ドメイン抗原結合断片である、
(vi)第1のドメインがscFvであり、第2のドメインが操作された結合断片である、又は
(vii)第1のドメインが単一ドメイン抗原結合断片であり、第2のドメインが操作された結合断片である、
実施形態B2に記載の医薬組成物。
B4.そのN297残基を介してFc領域に共有結合しているオリゴ糖が、コアフコース残基を含まない、実施形態B1~B3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
B5.結合分子がバイパラトピック又は二重特異性抗体である、実施形態B1~B4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
B6.結合分子が、増強されたADCC、増強されたCDC、及び/又は増強されたADCPを有する、実施形態B1~B5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
B7.結合分子の集団及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物であって、各結合分子が抗原結合ドメイン及びFc領域を含み、
(i)抗原結合ドメインが、バイパラトピック又は二重特異性であり、
(ii)Fc領域が、K248E及びT437R変異(RE変異)を含み、アミノ酸残基の番号付けが、EU番号付けシステムに従い、
(iii)Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の80%未満がコアフコース残基を含む、
結合分子の集団及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
B8.結合分子の集団及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物であって、
各結合分子が、抗原結合ドメイン及びFc領域を含み、
集団中の結合分子の少なくとも10%の抗原結合ドメインは、バイパラトピック又は二重特異性であり、
各結合分子のFc領域が、K248E及びT437R変異(RE変異)を含み、アミノ酸残基の番号付けが、EU番号付けシステムに従い、
Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の80%未満がコアフコース残基を含む、
結合分子の集団及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
B9.集団中の結合分子の少なくとも20%の抗原結合ドメインが、バイパラトピック又は二重特異性である、実施形態B8に記載の医薬組成物。
B10.集団中の結合分子の少なくとも30%の抗原結合ドメインが、バイパラトピック又は二重特異性である、実施形態B8に記載の医薬組成物。
B11.集団中の結合分子の少なくとも40%の抗原結合ドメインが、バイパラトピック又は二重特異性である、実施形態B8に記載の医薬組成物。
B12.集団中の結合分子の少なくとも50%の抗原結合ドメインが、バイパラトピック又は二重特異性である、実施形態B8に記載の医薬組成物。
B13.集団中の結合分子の少なくとも60%の抗原結合ドメインが、バイパラトピック又は二重特異性である、実施形態B8に記載の医薬組成物。
B14.集団中の結合分子の少なくとも70%の抗原結合ドメインが、バイパラトピック又は二重特異性である、実施形態B8に記載の医薬組成物。
B15.集団中の結合分子の少なくとも80%の抗原結合ドメインが、バイパラトピック又は二重特異性である、実施形態B8に記載の医薬組成物。
B16.集団中の結合分子の少なくとも90%の抗原結合ドメインが、バイパラトピック又は二重特異性である、実施形態B8に記載の医薬組成物。
B17.Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の70%未満がコアフコース残基を含む、実施形態B7~B16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
B18.Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の60%未満がコアフコース残基を含む、実施形態B7~B16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
B19.Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の50%未満がコアフコース残基を含む、実施形態B7~B16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
B20.Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の40%未満がコアフコース残基を含む、実施形態B7~B16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
B21.Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の30%未満がコアフコース残基を含む、実施形態B7~B16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
B22.Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の20%未満がコアフコース残基を含む、実施形態B7~B16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
B23.Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の10%未満がコアフコース残基を含む、実施形態B7~B16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
B24.抗原結合ドメインが、第1のVH領域及び第1のVL領域、第1の単一ドメイン抗原結合断片、並びに/あるいは第1の操作された結合断片を含む第1のドメインと、第2のVH領域及び第2のVL領域、第2の単一ドメイン抗原結合断片、並びに/あるいは第2の操作された結合断片を含む第2のドメインと、を含み、第1のドメイン及び第2のドメインが、同じ抗原又は異なる抗原(複数可)の2つの異なるエピトープに結合する、実施形態B7~B23のいずれか一項に記載の医薬組成物。
B25.
(i)第1のドメイン及び第2のドメインの各々が、Fab断片、scFv、単一ドメイン抗原結合断片、又は操作された結合断片である、
(ii)第1のドメインがFab断片であり、第2のドメインがscFvである、
(iii)第1のドメインがFab断片であり、第2のドメインが単一ドメイン抗原結合断片である、
(iv)第1のドメインがFab断片であり、第2のドメインが操作された結合断片である、
(v)第1のドメインがscFvであり、第2のドメインが単一ドメイン抗原結合断片である、
(vi)第1のドメインがscFvであり、第2のドメインが操作された結合断片である、又は
(vii)第1のドメインが単一ドメイン抗原結合断片であり、第2のドメインが操作された結合断片である、
実施形態B7~B24のいずれか一項に記載の医薬組成物。
B26.結合分子がバイパラトピック又は二重特異性抗体である、実施形態B7~B25のいずれか一項に記載の医薬組成物。
B27.結合分子の集団が、増強されたADCC、増強されたCDC、及び/又は増強されたADCPを有する、実施形態B7~B26のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0314】
別のセットの実施形態(実施形態セットC)では、以下が提供される。
C1.結合分子の集団を作製する方法であって、N297残基を介して抗体に付着したオリゴ糖へのフコース残基の付加が欠損している宿主細胞において結合分子又はその断片をコードするポリヌクレオチドを発現させることを含み、結合分子の集団が、抗原結合ドメイン及びFc領域を含む結合分子を含み、
(i)抗原結合ドメインが、バイパラトピック又は二重特異性であり、
(ii)Fc領域が、K248E及びT437R変異(RE変異)を含み、アミノ酸残基の番号付けが、EU番号付けシステムに従い、
結合分子が、細胞表面上での六量体化の増加した能力、及び/又はC1qに係合する増加した能力を有する、
結合分子の集団を作製する方法。
C2.抗原結合ドメインが、第1のVH領域及び第1のVL領域、第1の単一ドメイン抗原結合断片、並びに/あるいは第1の操作された結合断片を含む第1のドメインと、第2のVH領域及び第2のVL領域、第2の単一ドメイン抗原結合断片、並びに/あるいは第2の操作された結合断片を含む第2のドメインと、を含み、第1のドメイン及び第2のドメインが、同じ抗原又は異なる抗原(複数可)の2つの異なるエピトープに結合する、実施形態C1に記載の方法。
C3.
(i)第1のドメイン及び第2のドメインの各々が、Fab断片、scFv、単一ドメイン抗原結合断片、又は操作された結合断片である、
(ii)第1のドメインがFab断片であり、第2のドメインがscFvである、
(iii)第1のドメインがFab断片であり、第2のドメインが単一ドメイン抗原結合断片である、
(iv)第1のドメインがFab断片であり、第2のドメインが操作された結合断片である、
(v)第1のドメインがscFvであり、第2のドメインが単一ドメイン抗原結合断片である、
(vi)第1のドメインがscFvであり、第2のドメインが操作された結合断片である、又は
(vii)第1のドメインが単一ドメイン抗原結合断片であり、第2のドメインが操作された結合断片である、
実施形態C2に記載の方法。
C4.第1ドメイン及び第2ドメインが、同じ抗原又は異なる抗原の2つの異なるエピトープに結合する、実施形態C1~C3のいずれか一項に記載の方法。
C5.結合分子が、バイパラトピック又は二重特異性抗体である、実施形態C1~C4のいずれか一項に記載の方法。
C6.結合分子が増強されたCDCを有する、実施形態C1~C5のいずれか一項に記載の方法。
C7.結合分子の集団を作製する方法であって、N297残基を介して抗体に付着したオリゴ糖へのフコース残基の付加が欠損している宿主細胞において結合分子又はその断片をコードするポリヌクレオチドを発現させることを含み、各結合分子が抗原結合ドメイン及びFc領域を含み、
(i)抗原結合ドメインが、バイパラトピック又は二重特異性であり、
(ii)Fc領域が、K248E及びT437R変異(RE変異)を含み、アミノ酸残基の番号付けが、EU番号付けシステムに従い、
(iii)Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の80%未満がコアフコース残基を含む、
結合分子の集団を作製する方法。
C8.結合分子の集団を作製する方法であって、N297残基を介して抗体に付着したオリゴ糖へのフコース残基の付加が欠損している宿主細胞において結合分子又はその断片をコードするポリヌクレオチドを発現させることを含み、
各結合分子が、抗原結合ドメイン及びFc領域を含み、
集団中の結合分子の少なくとも10%の抗原結合ドメインは、バイパラトピック又は二重特異性であり、
各結合分子のFc領域が、K248E及びT437R変異(RE変異)を含み、アミノ酸残基の番号付けが、EU番号付けシステムに従い、
Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の80%未満がコアフコース残基を含む、
結合分子の集団を作製する方法。
C9.抗原結合ドメインが、第1のVH領域及び第1のVL領域、第1の単一ドメイン抗原結合断片、並びに/あるいは第1の操作された結合断片を含む第1のドメインと、第2のVH領域及び第2のVL領域、第2の単一ドメイン抗原結合断片、並びに/あるいは第2の操作された結合断片を含む第2のドメインと、を含み、第1のドメイン及び第2のドメインが、同じ抗原又は異なる抗原(複数可)の2つの異なるエピトープに結合する、実施形態C7又はC8に記載の方法。
C10.
(i)第1のドメイン及び第2のドメインの各々が、Fab断片、scFv、単一ドメイン抗原結合断片、又は操作された結合断片である、
(ii)第1のドメインがFab断片であり、第2のドメインがscFvである、
(iii)第1のドメインがFab断片であり、第2のドメインが単一ドメイン抗原結合断片である、
(iv)第1のドメインがFab断片であり、第2のドメインが操作された結合断片である、
(v)第1のドメインがscFvであり、第2のドメインが単一ドメイン抗原結合断片である、
(vi)第1のドメインがscFvであり、第2のドメインが操作された結合断片である、又は
(vii)第1のドメインが単一ドメイン抗原結合断片であり、第2のドメインが操作された結合断片である、
実施形態C7又はC8に記載の方法。
C11.結合分子がバイパラトピック又は二重特異性抗体である、実施形態C7又はC8に記載の方法。
C12.宿主細胞が、低下したα-1,6フコシルトランスフェラーゼ活性を有する、実施形態C1~C11のいずれか一項に記載の方法。
C13.宿主細胞が、低下したGDP-マンノース4,6-デヒドラターゼ活性を有する、実施形態C1~C11のいずれか一項に記載の方法。
C14.α-1,6フコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子が、変異しているか、正常よりも低いレベルで発現されるか、又は宿主細胞においてノックアウトされている、実施形態C1~C11のいずれか一項に記載の方法。
C15.GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼをコードする遺伝子が、変異しているか、正常よりも低いレベルで発現されるか、又は宿主細胞においてノックアウトされている、実施形態C1~C11のいずれか一項に記載の方法。
【0315】
別のセットの実施形態(実施形態セットD)では、以下が提供される。
D1.システムにおいてCDC、ADCP及び/又はADCCを増強するための方法であって、システムを抗原結合ドメイン及びFc領域を含む結合分子と接触させることを含み、
(i)抗原結合ドメインが、バイパラトピック又は二重特異性であり、
(ii)Fc領域が、K248E及びT437R変異(RE変異)を含み、アミノ酸残基の番号付けが、EU番号付けシステムに従い、
結合分子が、細胞表面上での六量体化の増加した能力、及び/又はC1qに係合する増加した能力を有する、
システムにおいてCDC、ADCP及び/又はADCCを増強するための方法。
D2.宿主における免疫を調節する方法であって、抗原結合ドメイン及びFc領域を含む結合分子を投与することを含み、
(i)抗原結合ドメインが、バイパラトピック又は二重特異性であり、
(ii)Fc領域が、K248E及びT437R変異(RE変異)を含み、アミノ酸残基の番号付けが、EU番号付けシステムに従い、
結合分子が、細胞表面上での六量体化の増加した能力、及び/又はC1qに係合する増加した能力を有する、
宿主における免疫を調節する方法。
D3.対象における疾患又は障害を治療する方法であって、抗原結合ドメイン及びFc領域を含む結合分子を投与することを含み、
(i)抗原結合ドメインが、バイパラトピック又は二重特異性であり、
(ii)Fc領域が、K248E及びT437R変異(RE変異)を含み、アミノ酸残基の番号付けが、EU番号付けシステムに従い、
結合分子が、細胞表面上での六量体化の増加した能力、及び/又はC1qに係合する増加した能力を有する、
対象における疾患又は障害を治療する方法。
D4.抗原結合ドメインが、第1のVH領域及び第1のVL領域、第1の単一ドメイン抗原結合断片、並びに/あるいは第1の操作された結合断片を含む第1のドメインと、第2のVH領域及び第2のVL領域、第2の単一ドメイン抗原結合断片、並びに/あるいは第2の操作された結合断片を含む第2のドメインと、を含み、第1のドメイン及び第2のドメインが、同じ抗原又は異なる抗原(複数可)の2つの異なるエピトープに結合する、実施形態D1~D3のいずれか一項に記載の方法。
D5.
(i)第1のドメイン及び第2のドメインの各々が、Fab断片、scFv、単一ドメイン抗原結合断片、又は操作された結合断片である、
(ii)第1のドメインがFab断片であり、第2のドメインがscFvである、
(iii)第1のドメインがFab断片であり、第2のドメインが単一ドメイン抗原結合断片である、
(iv)第1のドメインがFab断片であり、第2のドメインが操作された結合断片である、
(v)第1のドメインがscFvであり、第2のドメインが単一ドメイン抗原結合断片である、
(vi)第1のドメインがscFvであり、第2のドメインが操作された結合断片である、又は
(vii)第1のドメインが単一ドメイン抗原結合断片であり、第2のドメインが操作された結合断片である、
実施形態D4に記載の方法。
D6.結合分子が、バイパラトピック又は二重特異性抗体である、実施形態D1~D5のいずれか一項に記載の方法。
D7.そのN297残基を介してFc領域に共有結合しているオリゴ糖が、コアフコース残基を含まない、実施形態D1~D6のいずれか一項に記載の方法。
D8.システム中のCDC、ADCP及び/又はADCCを増強する方法であって、システムを結合分子の集団と接触させることを含み、各結合分子が抗原結合ドメイン及びFc領域を含み、
(i)抗原結合ドメインが、バイパラトピック又は二重特異性であり、
(ii)Fc領域が、K248E及びT437R変異(RE変異)を含み、アミノ酸残基の番号付けが、EU番号付けシステムに従い、
(iii)Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の80%未満がコアフコース残基を含む、
システム中のCDC、ADCP及び/又はADCCを増強する方法。
D9.システムにおいてCDC、ADCP及び/又はADCCを増強するための方法であって、システムを結合分子の集団と接触させることを含み、
各結合分子が、抗原結合ドメイン及びFc領域を含み、
集団中の結合分子の少なくとも10%の抗原結合ドメインは、バイパラトピック又は二重特異性であり、
各結合分子のFc領域が、K248E及びT437R変異(RE変異)を含み、アミノ酸残基の番号付けが、EU番号付けシステムに従い、
Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の80%未満がコアフコース残基を含む、
システムにおいてCDC、ADCP及び/又はADCCを増強するための方法。
D10.宿主における免疫を調節する方法であって、結合分子の集団を投与することを含み、各結合分子が抗原結合ドメイン及びFc領域を含み、
(i)抗原結合ドメインが、バイパラトピック又は二重特異性であり、
(ii)Fc領域が、K248E及びT437R変異(RE変異)を含み、アミノ酸残基の番号付けが、EU番号付けシステムに従い、
(iii)Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の80%未満がコアフコース残基を含む、
宿主における免疫を調節する方法。
D11.宿主における免疫を調節する方法であって、結合分子の集団を投与することを含み、
各結合分子が、抗原結合ドメイン及びFc領域を含み、
集団中の結合分子の少なくとも10%の抗原結合ドメインは、バイパラトピック又は二重特異性であり、
各結合分子のFc領域が、K248E及びT437R変異(RE変異)を含み、アミノ酸残基の番号付けが、EU番号付けシステムに従い、
Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の80%未満がコアフコース残基を含む、
宿主における免疫を調節する方法。
D12.対象における疾患又は障害を治療する方法であって、結合分子の集団を投与することを含み、ここで、各結合分子は、抗原結合ドメイン及びFc領域を含み、
(i)抗原結合ドメインが、バイパラトピック又は二重特異性であり、
(ii)Fc領域が、K248E及びT437R変異(RE変異)を含み、アミノ酸残基の番号付けが、EU番号付けシステムに従い、
(iii)Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の80%未満がコアフコース残基を含む、
結合分子対象における疾患又は障害を治療する方法。
D13.対象における疾患又は障害を治療する方法であって、結合分子の集団を投与することを含み、
各結合分子が、抗原結合ドメイン及びFc領域を含み、
集団中の結合分子の少なくとも10%の抗原結合ドメインは、バイパラトピック又は二重特異性であり、
各結合分子のFc領域が、K248E及びT437R変異(RE変異)を含み、アミノ酸残基の番号付けが、EU番号付けシステムに従い、
Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の80%未満がコアフコース残基を含む、
結合分子対象における疾患又は障害を治療する方法。
D14.集団中の結合分子の少なくとも20%の抗原結合ドメインがバイパラトピック又は二重特異性である、実施形態D9、D11及びD13のいずれか一項に記載の方法。
D15.集団中の結合分子の少なくとも30%の抗原結合ドメインがバイパラトピック又は二重特異性である、実施形態D9、D11及びD13のいずれか一項に記載の方法。
D16.集団中の結合分子の少なくとも40%の抗原結合ドメインがバイパラトピック又は二重特異性である、実施形態D9、D11及びD13のいずれか一項に記載の方法。
D17.集団中の結合分子の少なくとも50%の抗原結合ドメインがバイパラトピック又は二重特異性である、実施形態D9、D11及びD13のいずれか一項に記載の方法。
D18.集団中の結合分子の少なくとも60%の抗原結合ドメインがバイパラトピック又は二重特異性である、実施形態D9、D11及びD13のいずれか一項に記載の方法。
D19.集団中の結合分子の少なくとも70%の抗原結合ドメインがバイパラトピック又は二重特異性である、実施形態D9、D11及びD13のいずれか一項に記載の方法。
D20.集団中の結合分子の少なくとも80%の抗原結合ドメインがバイパラトピック又は二重特異性である、実施形態D9、D11及びD13のいずれか一項に記載の方法。
D21.集団中の結合分子の少なくとも90%の抗原結合ドメインがバイパラトピック又は二重特異性である、実施形態D9、D11及びD13のいずれか一項に記載の方法。
D22.Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の70%未満がコアフコース残基を含む、実施形態D8~D21のいずれか一項に記載の方法。
D23.Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の60%未満がコアフコース残基を含む、実施形態D8~D21のいずれか一項に記載の方法。
D24.Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の50%未満がコアフコース残基を含む、実施形態D8~D21のいずれか一項に記載の方法。
D25.Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の40%未満がコアフコース残基を含む、実施形態D8~D21のいずれか一項に記載の方法。
D26.Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の30%未満がコアフコース残基を含む、実施形態D8~D21のいずれか一項に記載の方法。
D27.Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の20%未満がコアフコース残基を含む、実施形態D8~D21のいずれか一項に記載の方法。
D28.Fc領域のN297残基を介して結合分子の集団に共有結合しているオリゴ糖の10%未満がコアフコース残基を含む、実施形態D8~D21のいずれか一項に記載の方法。
D29.抗原結合ドメインが、第1のVH領域及び第1のVL領域、第1の単一ドメイン抗原結合断片、並びに/あるいは第1の操作された結合断片を含む第1のドメインと、第2のVH領域及び第2のVL領域、第2の単一ドメイン抗原結合断片、並びに/あるいは第2の操作された結合断片を含む第2のドメインと、を含み、第1のドメイン及び第2のドメインが、同じ抗原又は異なる抗原(複数可)の2つの異なるエピトープに結合する、実施形態D8~D28のいずれか一項に記載の方法。
D30.
(i)第1のドメイン及び第2のドメインの各々が、Fab断片、scFv、単一ドメイン抗原結合断片、又は操作された結合断片である、
(ii)第1のドメインがFab断片であり、第2のドメインがscFvである、
(iii)第1のドメインがFab断片であり、第2のドメインが単一ドメイン抗原結合断片である、
(iv)第1のドメインがFab断片であり、第2のドメインが操作された結合断片である、
(v)第1のドメインがscFvであり、第2のドメインが単一ドメイン抗原結合断片である、
(vi)第1のドメインがscFvであり、第2のドメインが操作された結合断片である、又は
(vii)第1のドメインが単一ドメイン抗原結合断片であり、第2のドメインが操作された結合断片である、
実施形態D29の方法。
D31.結合分子がバイパラトピック又は二重特異性抗体である、実施形態D8~D30のいずれか一項に記載の方法。
【0316】
別のセットの実施形態(実施形態セットE)では、以下が提供される。
E1.CDCを増強するための第1の手段及びCDCを増強するための第2の手段を含む、結合分子。
E2.ADCCを増強するための第3の手段を更に含む、実施形態E1に記載の結合分子。
E3.ADCPを増強するための第4の手段を更に含む、実施形態E2に記載の結合分子。
E4.第1の手段が、細胞表面上の結合分子の六量体化を増加させ、及び/又は結合分子によるC1q係合を増加させる、実施形態E1~E3のいずれか一項に記載の結合分子。
E5.第1の手段が、CDC、ADCP、及び/又はADCCを増強する、実施形態E1~E4のいずれか一項に記載の結合分子。
E6.結合分子が、バイパラトピック又は二重特異性抗体である、実施形態E1~E5のいずれか一項に記載の結合分子。
E7.実施形態E1~E6のいずれか一項に記載の結合分子を含む結合分子の集団。
E8.結合分子の集団を作製する方法であって、
(i)結合分子のFc領域にK248E及びT437R変異(RE変異)を導入する工程と、
(ii)N297残基を介して結合分子に付着したオリゴ糖中のコアフコースの量が減少した結合分子の集団を生成する工程と、
を含み、
結合分子が、バイパラトピック又は二重特異性抗原結合ドメインを含む、
結合分子の集団を作製する方法。
E9.実施形態E8の方法に従って産生された結合分子の集団。
E10.システムにおいてCDC、ADCP及び/又はADCCを増強するための方法であって、システムを実施形態E1~E6のいずれか一項に記載の結合分子又は実施形態E7若しくはE9のいずれかに記載の結合分子の集団と接触させることを含む、システムにおいてCDC、ADCP及び/又はADCCを増強するための方法。
E11.宿主における免疫を調節する方法であって、実施形態E1~E6のいずれか一項に記載の結合分子又は実施形態E7若しくはE9のいずれかに記載の結合分子の集団を投与することを含む、宿主における免疫を調節する方法。
E12.実施形態1~6のいずれか一項に記載の結合分子又は実施形態E7若しくはE9のいずれかに記載の結合分子の集団を投与することを含む、対象における疾患又は障害を治療する方法。
【実施例
【0317】
以下は、研究において使用される様々な方法及び材料の記載である。これらは、当業者に本発明の作製及び使用方法の完全な開示及び説明を提供するように記載されており、本発明者らがその発明と見なす範囲を限定することを意図しておらず、また、以下の実験が実施され、実施可能な実験の全てであることを表すことを意図していない。現在形で書かれた例示的な記述は、必ずしも実行されたものではなく、むしろ記述は、本発明の教示と関連するデータなどを生成するために実行され得るものであることを理解されたい。使用される数値(例えば、量、割合など)についての正確度を保証するための努力はなされているが、多少の実験誤差及び偏差が考慮に入れられるべきである。
【0318】
実施例1-改変された定常領域を有する抗体のADCC及びCDC機能的分析
実施例1.1 抗CD37抗体
8つの異なるタイプの抗CD37抗体を、高レベルのCD37を発現する細胞株CARNAVAL、及び低レベルのCD37を発現するJEKO-1において、CDCを介して腫瘍細胞死滅を媒介するそれらの能力について試験した。簡潔に説明すると、抗CD37抗体の各タイプについて、低フコシル化を有する抗体(すなわち、それぞれ、T26B375.CLF、T26B382.CLF、T26B386.CLF、T26B379.CLF、T26B373.CLF、T26B388.CLF、T26B385.CLF及びT26B374.CLF)、S239D/I332E(Xencor)変異を有する抗体(すなわち、それぞれT26B612、T26B613、T26B614、T26B615、T26B608、T26B609、T26B610及びT26B611)、RE変異を含む抗体(すなわち、それぞれ、T26B461、T26B463、T26B465、T26B462、T26B459、T26B466、T26B464及びT26B460)、及び低フコシル化を有するRE変異を含む抗体(すなわち、それぞれ、T26B461.CLF、T26B463.CLF、T26B465.CLF、T26B462.CLF、T26B459.CLF、T26B466.CLF、T26B464.CLF及びT26B460.CLF)を生成した。抗CD37抗体をCARNAVAL標的細胞に添加し、37℃で30分間インキュベートした。次いで、仔ウサギ血清を標的細胞に10%の最終濃度まで添加して、CDCの補体成分の供給源を提供した。混合物を37℃で4時間インキュベートした。100μLのCellTiter-Glo試薬(Promega)を混合物に加えた後、室温で10分間インキュベートした。Tecan SPARKリーダーで発光を測定することによって標的細胞生存率を決定し、相対発光単位(RLU)で報告した。
【0319】
抗CD37抗体及び改変された定常領域を有するそれらのバリアントを以下の表2に要約する。
【0320】
【表3】
【0321】
例示的な抗CD37抗体の重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列を以下の表3及び表4に要約する。
【0322】
【表4-1】
【0323】
【表4-2】
【0324】
【表5】
【0325】
例示的な抗CD37抗体のVH CDR及びVL CDRのアミノ酸配列を以下の表5~表14に要約する。
【0326】
【表6】
【0327】
【表7】
【0328】
【表8】
【0329】
【表9】
【0330】
【表10】
【0331】
【表11】
【0332】
【表12】
【0333】
【表13】
【0334】
【表14】
【0335】
【表15】
【0336】
低フコシル化を有する抗CD37抗体は、CARNAVAL細胞に対するCDC活性を示したが、JEKO-1細胞には示さなかった(図1A及び図1B)。これらの抗体におけるXencor変異は、CARNAVAL細胞に対するそれらのCDC活性を有意に除去した(図1C)。RE変異は、CARNAVAL細胞に対するこれらの抗体のCDCの効力を更に増加させたと同時に、これらの抗体にJEKO-1細胞に対するCDC活性を付与した(図1E及び図1F)。重要なことに、RE変異によるCDC活性の増強は、通常のフコシル化を有する抗体(図1E及び図1F)と比較して、低フコシル化を有する抗体(図1G及び図1H)が使用された場合に影響を受けなかった。
【0337】
まとめると、これらの結果は、RE変異のCDC増強特性が標的に依存しないことを示した。また、S239D/I332E変異が抗体のADCC活性を改善することが示されたが(Lazar,G.A.et al.、上記)、それらはCDCに悪影響を及ぼす。対照的に、RE変異は、抗体のCDC活性を増強させることができる。この増強は、それらのADCC活性を増強させることができる抗体の低フコシル化によって影響されない。
【0338】
実施例1.2 抗GPRC5D抗体
Fc領域におけるRE変異のCDC増強特性が変異の一般的な特性であることを更に確認するために、RE変異の効果を、GPRC5Dを発現する第3の標的細胞株H929において調査した。簡潔に説明すると、低フコシル化を有する野生型IgG1抗体であるGC5B747.CLF、及びRE変異を有するその対応物であるGC5B752.CLFを、H929標的細胞に添加し、37℃で30分間インキュベートした。次いで、仔ウサギ血清を標的細胞に10%の最終濃度まで添加して、CDCの補体成分の供給源を提供した。混合物を37℃で4時間インキュベートした。100μLのCellTiter-Glo試薬(Promega)を混合物に加えた後、室温で10分間インキュベートした。Tecan SPARKリーダーで発光を測定することによって標的細胞生存率を決定し、相対発光単位(RLU)で報告した。
【0339】
例示的な抗GPRC5D抗体の重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列を以下の表15及び表16に要約する。
【0340】
【表16】
【0341】
【表17】
【0342】
GC5B747及びGC5B752は、以下の表17に要約されているVH CDR及びVL CDRの同じアミノ酸配列を共有する。
【0343】
【表18】
【0344】
野生型GC5B747.CLF抗体は、H929細胞に対するCDC活性を示さなかったが、RE変異を含むGC5B752.CLF抗体は、H929細胞に対して有意に増強されたCDC活性を示した(図2)。
【0345】
これらの結果は、Fc領域におけるRE変異が、複数の標的細胞株にわたって抗体のCDC活性を一貫して増強させることを示した。したがって、そのようなCDC増強は、標的特異的現象ではないが、一般にFcエフェクター機能を増強させるために適用され得るRE変異の一般的な特徴である。
【0346】
実施例1.3 抗KLK2抗体
抗KLK2抗体、及び改変された定常領域を有するそれらのバリアント(すなわち、L234A/L235A/D265S変異、低フコシル化及び/又はK248E及びT437R(RE)変異を有する)を生成し、前立腺癌組織から確立された細胞株である前立腺の椎弓癌(VCaP)細胞株においてADCCを介して腫瘍細胞死滅を媒介するそれらの能力について試験し、これらの抗体は以下の表18に要約する。
【0347】
【表19】
【0348】
親抗体KL2B30をそのFc領域で修飾してL234A、L235A及びD265S変異(AAS変異)を導入し、Fc受容体に結合しないFc領域をもたらした。得られたKL2B871を陰性対照として生成した。KL2B30抗体をそのFc領域で修飾して、K248E変異及びT437R変異(RE変異)を導入した。得られた抗体はKL2B870である。KL2B870及びKL2B872抗体をフコシル化欠損細胞で発現させて、低フコシル化を有する抗体を産生し(例えば、フコシル化欠損チャイニーズハムスター卵巣細胞においてこれらの抗体を発現させることにより、10%未満のフコシル化を有する抗体を産生する)、これらは、それぞれ、KL2B870.CLF及びKL2B872.CLFと呼ばれた(表18を参照)。
【0349】
例示的な抗KLK2抗体の重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列を以下の表19及び表20に要約する。
【0350】
【表20】
【0351】
【表21】
【0352】
KL2B870、KL2B871及びKL2B872は、以下の表21に要約されるVH CDR及びVL CDRの同じアミノ酸配列を共有する。
【0353】
【表22】
【0354】
Nuclight Red(Incucyte(登録商標)、Essen Bioscience)を用いて安定にトランスフェクトされたVCaP細胞を、384ウェルプレート(Perkin Elmer ViewPlate)中の透明培地(RPMI 1641+10% FBS、Thermo Fisher Scientific)に1ウェル当たり10,000細胞で播種し、一晩にわたって細胞を接着させた。新たに解凍したPBMC(Hemcare、PB009C-3)を用いてADCCアッセイを行った。1ウェル当たりのエフェクター細胞と標的細胞との比は、エフェクター細胞としてのPBMCについては34:1であった。KLK2抗体を、100nM~0.01nMの範囲の最終濃度で試験した。エフェクター細胞及び抗体を標的細胞に添加した後、Incucyte(登録商標)S3機器(Essen BioScience)下でリアルタイムイメージングを行った(図3A図3E)。1ウェル当たりの総積分(intergraded)赤色シグナルを、Incucyte(登録商標)ソフトウェアで定量化した。データ分析を、4回の値に基づいてIncucyte(登録商標)ソフトウェア及びPrism(GraphPad Software)によって行った。細胞死滅の割合を、(1-KLK2mAb/mAbなしの対照)×100%として計算した。
【0355】
KLK2抗体は、VCaP細胞上でPBMCによって明らかな用量依存的ADCC活性を示した。動態は、エフェクター細胞及び抗体の添加直後に開始され、時間と共に継続されたADCC活性を示した(図4)。KLKB870.CLF及びKLKB872.CLF抗体は、約89%及び85%の細胞死滅を伴う最も高いADCC活性を示し、KLKB870による約73%が続いた。AAS変異を有するIgG1抗体であるKLKB87は、ADCC活性を示さなかった(図4)。特定の時点(エフェクター細胞及び抗体を標的細胞に添加した48時間後)で生成された用量応答曲線は、低フコシル化を有する抗体であるKLKB870.CLFで殺傷EC50が約354pMであることを示した。通常のフコシル化抗体KLKB870のEC50は、約1nMであった(表3)。
【0356】
実施例1.4 抗HLA-G抗体
抗HLA-G抗体が、HLA-Gを内因性に発現する絨毛癌細胞株JEG-3(ATCCHTB-36)においてADCCを介して腫瘍細胞死滅を媒介する能力を試験するために、細胞内に一定方向に浸透することができるBATDA色素(Perkin Elmerカタログ番号C136-100)で標識されたJEG-3細胞に、抗体を添加した。細胞溶解時に、色素は、ユーロピウムを含有する溶液中に放出され、ユーロピウムは、色素と反応して蛍光キレートを形成し、その蛍光シグナルを測定することができる。一晩培養したPBMCを、50:1のE:T比で、5,000個の細胞/ウェルでJEG-3細胞に添加し、混合物を37℃で4時間インキュベートした。細胞混合物をユーロピウム溶液に1:10で添加し、室温で15分間インキュベートし、610nmでの蛍光を監視して、シグナルを決定した。100%の殺傷についての蛍光シグナルを、Triton-X 100界面活性剤と混合したBATDA標識標的細胞を含有するウェルを使用して決定した。
【0357】
抗HLA-G抗体は、インビトロでADCCを表示することができるため、この活性が増強され得るかどうかを調査した。いくつかの研究は、10%未満の末端フコシル化Fc領域を有する抗体が、Fc受容体への親和性結合が高いために増強されたエフェクター機能を示すことを示した。したがって、抗HLA-G抗体MHGB732及びMHGB738を、低フコースチャイニーズハムスター卵巣(CHO)宿主で生成して、10%未満のフコシル化を有する抗体(MHGB732.CLF及びMHGB738.CLF)を産生した(表22、図5A図5D)。陰性対照として、Fc受容体に結合することができないFc領域を有するMHGB738のバージョンを生成し、この抗体はMHGB745と呼ばれた。
【0358】
通常のフコース及び低フコースの抗体を、JEG-3細胞(図5A)又はRERF-LC-Ad-1細胞(ヒト肺腺癌細胞株、JCRB1020)のいずれかに対してNK細胞によるADCCを誘導するそれらの能力について試験した(図5B)。低フコシル化を有する抗体を、フコシルトランスフェラーゼ酵素の低い発現レベルを有するCHO細胞中の重鎖及び軽鎖をコードする構築物の発現によって生成し、10%未満のフコシル化を有する抗体の産生をもたらした。
【0359】
ADCCアッセイを上記のように実施した。エフェクター細胞と標的細胞との比を、図5A及び図5Bに示す。MHGB745及びアイソタイプ対照の両方は、アッセイにおいてADCCを誘導しなかった。2つのIgG1抗体、MHGB732及びMHGB738は、ADCCを誘導することができたが、低フコシル化を有するFc領域を有する同じ抗体は、約10倍増強されたADCC活性を示した。これは、低フコシル化を有する抗体を使用することによって、ADCC増強を得ることができることを示した。
【0360】
次に、これらの抗体のCDCを媒介する能力を試験した(図5C及び図5D)。簡潔に述べると、アッセイは、DMEM(JEG-3)又はRPMI(RERF-LC-Ad-1)を含有する10%FBS中で実行した。抗体を標的細胞に添加し、37℃で30分間インキュベートした。インキュベーション後、15~20%(ストック濃度)のウサギ補体(Cedarlaneカタログ番号CL3441-S)及び熱不活性化補体を、それぞれ、25μL/ウェルの体積までウェルに加えた。混合物を37℃で4~12時間インキュベートした。標的細胞溶解を、100μLのCellTitre-Glo(Promegaカタログ番号G9242)試薬を添加し、続いて室温で10分間インキュベートすることによって検出する。発光を、Tecan MicroplateリーダーSPARK(登録商標)を使用して監視した。2つのIgG1抗体、MHGB732、及びMHGB738は、CDCを媒介しなかった。IgG1抗体がCDCを媒介することができなかったため、その可変領域を、CDC活性を特異的に増強させることが示されているK248E変異及びT437R変異(RE変異)を保有するIgG1Fcにクローニングした。それらのIgG1対応物と同一の可変領域を有するこれらの抗体は、CDC活性を媒介することができた。対照として、抗HLA-G抗体MHGB665もCDC活性アッセイで試験した。REFc変異体が、低フコシル化を有する抗体におけるADCC活性増強に影響を与えるかどうか、及び低フコシル化を有するFc領域がREFc変異体体のCDC活性に影響を与えるかどうかを調べた。低フコース宿主(10%未満のフコシル化を有する)、MHGB752及びMHGB758で産生されたRE変異を有する抗体は、低フコシル化を伴うIgG1抗体MHGB732及びMHGB738に対して同一のADCC活性を有した(図5A及び図5B)。同様に、低フコース宿主で産生されたRE変異を有する抗体は、通常のフコース宿主で産生された同じ抗体と同一のCDC活性を有した((図5C及び図5D)。
【0361】
改変された定常領域を有する抗体MHGB732及びMHGB738並びにそれらのバリアントを、以下の表22に要約する。
【0362】
【表23】
【0363】
例示的な抗HLA-G抗体の重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列を以下の表23及び表24に要約する。
【0364】
【表24】
【0365】
【表25】
【0366】
MHGB732及びMHGB752は、VH CDR及びVL CDRの同じアミノ酸配列を共有し、一方、MHGB738、MHGB745、及びMHGB758は、VH CDR及びVL CDRの同じアミノ酸配列を共有し、これらは全て以下の表25に要約される。
【0367】
【表26】
【0368】
実施例1.5 抗PSMA抗体
抗PSMA抗体PSMB896及びPSMB898をそのFc領域で修飾して、K248E変異及びT437R変異(RE変異)を導入した。RE変異を有する抗PSMA抗体をフコシル化欠損細胞で発現させて、低フコシル化を有する抗体を産生した。PSMB896に対する得られた抗体は、PSMB952であり、PSMB898対する得られた抗体は、PSMB956である。PSMB952及びPSMB956の結合及び熱安定性をアッセイした。結果は、低フコシル化及びRE変異が、PSMB896抗体及びPSMB898抗体のこれらの生物物理学的特徴に影響を与えないことを示す。
【0369】
GFPを用いて安定にトランスフェクトされたC42B細胞及びLNCaP細胞を、384ウェルプレート(Perkin Elmer ViewPlate)中の透明培地(RPMI 1641+10% FBS、Thermo Fisher Scientific)に1ウェル当たり9,000細胞で播種し、一晩にわたって細胞を接着させた。新たに解凍したPBMC(Hemcare、PB009C-3)、又はRoboSep(商標)Cell Separation Instrumentsによって凍結されたPBMCから単離されたNK細胞を用いて、ADCCアッセイを行った。単離されたNK細胞は、即座に使用するか、又は低用量IL-2(1ng/ml、Miltenyi Biotec)で一晩刺激した。1ウェル当たりのエフェクター細胞と標的細胞との比は、PBMCについては34:1、単離されたNK細胞については5:1であった。PSMB952抗体及びPSMB956抗体を、100nM~0.01nMの範囲の最終濃度で試験した。エフェクター細胞及び抗体を標的細胞に添加した後、Incucyte(登録商標)S3機器(Essen BioScience)下でリアルタイムイメージングを行った。1ウェル当たりの総GFP積分(intergraded)シグナルを、Incucyte(登録商標)ソフトウェアで定量化した。データ分析を、4回の値に基づいてIncucyte(登録商標)ソフトウェア及びPrism(GraphPad Software)によって行った。細胞死滅の割合を、(1-PSMAmAb/mAbなしの対照)×100%として計算した。
【0370】
PSMB952及びPSMB956抗体は、C42B及びLNCaP細胞のエフェクター細胞によって明らかな用量依存的ADCC活性を示した(図6A図6D)。動態は、エフェクター細胞及び抗体の添加直後に開始され、時間と共に継続されたADCC活性を示した。最大ADCC活性は、PBMCで約97%、精製NK細胞で40~50%である。
【0371】
特定の時点(PBMCについては6時間、NK細胞については24時間)で生成された用量応答曲線は、殺傷EC50が10-10~10-11Mの範囲にあることを示した(表26)。
【0372】
【表27】
【0373】
実施例1.6 抗BCMA抗体
例示的な抗BCMA抗体BCMB519を、そのFc領域で修飾して、RE変異(K248E変異及びT437R変異)を導入する。RE変異を有する抗BCMA抗体をフコシル化欠損細胞で発現させて、低フコシル化を有する抗体を産生する。得られた抗体の結合及び熱安定性をアッセイする。
【0374】
GFPを用いて安定にトランスフェクトされたC42B細胞及びLNCaP細胞を、384ウェルプレート(Perkin Elmer ViewPlate)中の透明培地(RPMI 1641+10% FBS、Thermo Fisher Scientific)に1ウェル当たり9,000細胞で播種し、一晩にわたって細胞を接着させる。新たに解凍したPBMC(Hemcare、PB009C-3)、又はRoboSep(商標)Cell Separation Instrumentsによって凍結されたPBMCから単離されたNK細胞を用いて、ADCCアッセイを行う。単離されたNK細胞は、即座に使用するか、又は低用量IL-2(1ng/ml、Miltenyi Biotec)で一晩刺激する。1ウェル当たりのエフェクター細胞と標的細胞との比は、PBMCについては34:1、単離されたNK細胞については5:1である。低フコシル化及びRE変異を有する抗BCMA抗体を、100nM~0.01nMの範囲の最終濃度で試験する。エフェクター細胞及び抗体を標的細胞に添加した後、Incucyte(登録商標)S3機器(Essen BioScience)下でリアルタイムイメージングを行う。1ウェル当たりの総GFP積分(intergraded)シグナルを、Incucyte(登録商標)ソフトウェアで定量化する。データ分析を、4回の値に基づいてIncucyte(登録商標)ソフトウェア及びPrism(GraphPad Software)によって行う。細胞死滅の割合を、(1-BCMAmAb/mAbなしの対照)×100%として計算する。
【0375】
次に、これらの抗体のCDCを媒介する能力を試験する。簡潔に説明すると、アッセイを、DMEM(JEG-3)又はRPMI(RERF-LC-Ad-1)を含む10%FBS中で実施する。抗体を標的細胞に添加し、37℃で30分間インキュベートする。インキュベーション後、15~20%(ストック濃度)のウサギ補体(Cedarlaneカタログ番号CL3441-S)及び熱不活性化補体をそれぞれ、25μL/ウェルの体積までウェルに加える。混合物を37℃で4~12時間インキュベートする。標的細胞溶解を、100μLのCellTitre-Glo(Promega カタログ番号G9242)試薬を添加し、続いて室温で10分間インキュベートすることによって検出する。発光を、Tecan MicroplateリーダーSPARK(登録商標)を使用して監視する。
【0376】
実施例2-バイパラトピック又は二重特異性抗体のADCC及びCDC機能分析
実施例2.1 抗GPRC5D抗体
一対の非競合GPRC5D結合剤は、RE変異の有無にかかわらず、IgG1定常ドメインを使用してバイパラトピック抗体としてフォーマットされる。
【0377】
第1に、バイパラトピック抗GPRC5D抗体を、野生型MM.1R細胞並びにGPRC5D陰性MM.1R細胞(MM.1R GPRC5Dノックアウト(KO))に対するそれらの結合プロフィールについて試験する。バイパラトピック抗GPRC5D抗体はまた、野生型H929細胞並びにGPRC5D陰性H929細胞(H929 GPRC5D KO)に対するそれらの結合プロファイルについて試験される。アイソタイプ対照抗体の結合プロファイルも試験する。具体的には、細胞を様々な濃度の試験抗体とインキュベートし、続いてAlexa Fluor 647コンジュゲート抗ヒトFc試薬との結合を検出する。試料をIntellicyt iQue 3フローサイトメーターで処理して蛍光強度を測定し、次いでGraph Pad Prismにプロットする。
【0378】
バイパラトピック抗GPRC5D抗体は、GPRC5D陽性である野生型MM.1R細胞及びH929細胞に結合すると予想される。バイパラトピック抗GPRC5D抗体は、GPRC5D陰性MM.1R細胞及びH929細胞に結合しないことが予想される。アイソタイプ対照抗体は、4種類の細胞のいずれにも結合しないことが予想される。
【0379】
第2に、バイパラトピック抗GPRC5D抗体を、4つの異なる細胞株に対するCDC活性について試験する。4つの細胞株は、GPRC5D陽性MM.1R標的細胞、GPRC5D陽性H929標的細胞、GPRC5D陽性JIM3標的細胞、並びにGPRC5D陰性MM.1R細胞(MM.1R GPRC5D KO)である。4つの異なる細胞株に対するアイソタイプ対照抗体のCDC活性も試験する。具体的には、標的細胞を、40%正常ヒト血清の存在下で24時間、試験した抗体とインキュベートする。次いで、等量のCell TiterGlo(Promega)を処理された標的細胞に添加する。生存率を発光シグナルから測定し、最も高い抗体濃度(100nM)をビヒクル対照で除し、100を乗じることによって計算する。値は、4パラメータ非線形回帰曲線適合を用いて対数変換されたx軸でプロットされる。
【0380】
バイパラトピック抗GPRC5D抗体は、GPRC5D陰性H929細胞ではなく、全てのGPRC5D陽性細胞株において強力なCDC活性を有すると予想される。アイソタイプ対照抗体は、CDC活性を示さないと予想される。
【0381】
第3に、バイパラトピック抗GPRC5D抗体を、5つの異なる細胞株に対するADCC活性について試験する。5つの細胞株は、GPRC5D陽性MM.1R標的細胞、GPRC5D陽性MM.1S標的細胞、GPRC5D陽性H929標的細胞、BCMA陰性H929細胞(H929 BCMA KO)並びにGPRC5D陰性H929細胞(H929 GPRC5D KO)である。5つの異なる細胞株に対するアイソタイプ対照抗体のADCC活性も試験する。具体的には、標的細胞を、初代ヒトNK細胞の存在下で48時間、試験した抗体とインキュベートする。2人の健康なドナー由来の初代ヒトNK細胞を試験し、ウェル当たりのエフェクター細胞対標的細胞の比は5:1である。処理された標的細胞を生/死色素で染色し、死細胞及びCFSE+細胞のパーセンテージ(%細胞傷害性)について評価し、4パラメータ非線形回帰曲線適合を用いて対数変換されたx軸でプロットする。
【0382】
バイパラトピック抗GPRC5D抗体は、GPRC5D陰性H929細胞ではなく、全てのGPRC5D陽性細胞株に対してADCC細胞傷害性を誘発すると予想される。アイソタイプ対照抗体は、ADCC活性を示さないと予想される。
【0383】
第4に、バイパラトピック抗GPRC5D抗体を、4つの異なる細胞株に対するADCP活性について試験する。4つの細胞株は、GPRC5D陽性H929標的細胞、BCMA陰性H929細胞(H929 BCMA KO)、GPRC5D陽性JIM3標的細胞、並びにGPRC5D陰性H929細胞(H929 GPRC5D KO)である。4つの異なる細胞株に対するアイソタイプ対照抗体のADCP活性も試験する。具体的には、マクロファージコロニー刺激因子を添加し、続いてインターフェロンガンマ(M1)又はインターロイキン-4(M2)のいずれかを24時間添加することによって、2人の健康なドナー由来の単球をマクロファージに分化させる。次いで、一次ヒトマクロファージの存在下で、標的細胞を試験した抗体と2時間インキュベートする。ウェル当たりのエフェクター対標的細胞の比は3:1である。処理した標的細胞を、生/死色素及び抗CD11b抗体で染色する。ADCP活性を、フローサイトメトリーによってCD11b及びCFSEについて二重陽性である全ライブイベントからのパーセンテージとして計算する。
【0384】
バイパラトピック抗GPRC5D抗体は、GPRC5D陰性H929細胞ではなく、全てのGPRC5D陽性細胞株に対してADCP細胞傷害性を誘発すると予想される。アイソタイプ対照抗体は、ADCP活性を示さないと予想される。
【0385】
実施例2.2 抗CD22抗体
一対の非競合CD22結合剤は、RE変異の有無にかかわらず、IgG1定常ドメインを使用してバイパラトピック抗体としてフォーマットされる。次いで、この抗体対(RE変異あり及びなし)を、40%正常ヒト血清の存在下でCD22発現Daudi細胞株に対するCDC活性について試験する。12時間のインキュベーション後、細胞生存率をCell TiterGlo(Promega)によって測定し、次いで溶解パーセントを計算する。
【0386】
次いで、同じ抗体を、正常ドナー由来の精製NK細胞の存在下で、CD22発現Daudi標的細胞に対するADCC活性について試験する。Daudi標的細胞に、細胞死時に放出され、蛍光キレートを形成した後に細胞培養上清中で検出することができる細胞標識試薬であるBATDAを負荷する。12時間のインキュベーション後、細胞生存率を放出されたBATDAの量によって測定し、次いで溶解パーセントを計算する。
【0387】
実施例2.3 抗HLA-G抗体
一対の非競合HLA-G結合剤は、RE変異の有無にかかわらず、IgG1定常ドメインを使用してバイパラトピック抗体としてフォーマットした。
【0388】
最初に、バイパラトピック抗HLA-G抗体を、HLA-G陽性及びHLA-G陰性標的細胞に対するそれらの結合プロフィールについて試験する。アイソタイプ対照抗体の結合プロファイルも試験する。具体的には、細胞を様々な濃度の試験抗体とインキュベートし、続いてAlexa Fluor 647コンジュゲート抗ヒトFc試薬との結合を検出する。試料をIntellicyt iQue 3フローサイトメーターで処理して蛍光強度を測定し、次いでGraph Pad Prismにプロットする。
【0389】
バイパラトピック抗HLA-G抗体は、HLA-G陽性標的細胞に結合すると予想される。バイパラトピック抗HLA-G抗体は、HLA-G陰性標的細胞に結合しないと予想される。アイソタイプ対照抗体は、標的細胞のいずれにも結合しないと予想される。
【0390】
第2に、バイパラトピック抗HLA-G抗体を、HLA-G陽性及びHLA-G陰性標的細胞に対するCDC活性について試験する。同じ標的細胞に対するアイソタイプ対照抗体のCDC活性も試験する。具体的には、標的細胞を、40%正常ヒト血清の存在下で24時間、試験した抗体とインキュベートする。次いで、等量のCell TiterGlo(Promega)を処理された標的細胞に添加する。生存率を発光シグナルから測定し、最も高い抗体濃度(100nM)をビヒクル対照で除し、100を乗じることによって計算する。値は、4パラメータ非線形回帰曲線適合を用いて対数変換されたx軸でプロットされる。
【0391】
バイパラトピック抗HLA-G抗体は、HLA-G陰性標的細胞ではなく、全てのHLA-G陽性標的細胞において強力なCDC活性を有すると予想される。アイソタイプ対照抗体は、CDC活性を示さないと予想される。
【0392】
第3に、バイパラトピック抗HLA-G抗体を、HLA-G陽性及びHLA-G陰性標的細胞に対するADCC活性について試験する。同じ標的細胞に対するアイソタイプ対照抗体のADCC活性も試験する。具体的には、標的細胞を、初代ヒトNK細胞の存在下で48時間、試験した抗体とインキュベートする。2人の健康なドナー由来の初代ヒトNK細胞を試験し、ウェル当たりのエフェクター細胞対標的細胞の比は5:1である。処理された標的細胞を生/死色素で染色し、死細胞及びCFSE+細胞のパーセンテージ(%細胞傷害性)について評価し、4パラメータ非線形回帰曲線適合を用いて対数変換されたx軸でプロットする。
【0393】
バイパラトピック抗HLA-G抗体は、LA-G陰性標的細胞ではなく、全てのHLA-G陽性標的細胞に対してADCC細胞傷害性を誘発すると予想される。アイソタイプ対照抗体は、ADCC活性を示さないと予想される。
【0394】
第4に、バイパラトピック抗HLA-G抗体を、HLA-G陽性及びHLA-G陰性標的細胞に対するADCP活性について試験する。同じ標的細胞に対するアイソタイプ対照抗体のADCP活性も試験する。具体的には、マクロファージコロニー刺激因子を添加し、続いてインターフェロンガンマ(M1)又はインターロイキン-4(M2)のいずれかを24時間添加することによって、2人の健康なドナー由来の単球をマクロファージに分化させる。次いで、一次ヒトマクロファージの存在下で、標的細胞を試験した抗体と2時間インキュベートする。ウェル当たりのエフェクター対標的細胞の比は3:1である。処理した標的細胞を、生/死色素及び抗CD11b抗体で染色する。ADCP活性を、フローサイトメトリーによってCD11b及びCFSEについて二重陽性である全ライブイベントからのパーセンテージとして計算する。
【0395】
バイパラトピック抗HLA-G抗体は、LA-G陰性標的細胞ではなく、全てのHLA-G陽性標的細胞に対してADCP細胞傷害性を誘発すると予想される。アイソタイプ対照抗体は、ADCP活性を示さないと予想される。
【0396】
実施例2.4 抗PSMA抗体
一対の非競合PSMA結合剤は、RE変異の有無にかかわらず、IgG1定常ドメインを使用してバイパラトピック抗体としてフォーマットした。次いで、この抗体対(RE変異あり及びなし)を、40%正常ヒト血清の存在下でPSMA発現LNCaP細胞株に対するCDC活性について試験した。
【0397】
抗PSMA抗体を20,000細胞/ウェルでLNCaP細胞に添加し、37℃で30分間インキュベートした。次いで、正常ヒト血清を標的細胞に40%の最終濃度まで添加して、CDCの補体成分の供給源を提供した。混合物を37℃で17時間インキュベートした。100μlのCellTiter-Glo試薬(Promega)を混合物に添加した後、オービタルプレース振盪機で2分間振盪し、室温で10分間インキュベートした。Tecan SPARKリーダーで発光を測定することによって標的細胞生存率を決定し、相対発光単位(RLU)で報告した。
【0398】
RE変異がIgG1定常ドメインに組み込まれたバイパラトピック抗体は、野生型IgG1定常ドメインを有する同じ抗体よりも強力なCDC活性を示す(図7)。
【0399】
次いで、同じ対の抗PSMA抗体を、エフェクターとして正常ドナー由来の精製NKを使用して、LNCaP細胞株に対するADCC活性について試験した。
【0400】
RE変異がIgG1定常ドメインに組み込まれたバイパラトピック抗体は、野生型IgG1定常ドメインを有する同じ抗体と同様のレベルのADCC活性を示す(図8)。
【0401】
これらの結果は、バイパラトピック抗体設計が所与の結合剤の全体的な有効性(最大死滅の増加)を増加させることができ、この増強がRE変異と適合することを示している。
【0402】
実施例2.5 抗BCMA抗体
一対の非競合BCMA結合剤は、RE変異の有無にかかわらず、IgG1定常ドメインを使用してバイパラトピック抗体としてフォーマットされる。次いで、この抗体対(RE変異あり及びなし)を、40%正常ヒト血清の存在下でBCMA発現LNCaP細胞株に対するCDC活性について試験する。12時間のインキュベーション後、細胞生存率をCell TiterGlo(Promega)によって測定し、次いで溶解パーセントを計算する。
【0403】
次いで、正常ドナー由来の精製NK細胞の存在下で、BCMA発現LNCaP標的細胞に対するADCC活性について同じ抗体を試験する。LNCaP標的細胞に、細胞死時に放出され、蛍光キレートを形成した後に細胞培養上清中で検出することができる細胞標識試薬であるBATDAを負荷する。12時間のインキュベーション後、細胞生存率を放出されたBATDAの量によって測定し、次いで溶解パーセントを計算する。
【0404】
当業者は、広い発明概念から逸脱することなく、上で説明される実施形態に変更を行うことができることを理解するであろう。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に制限されず、本明細書によって定義されるように本発明の趣旨及び範囲内の修正を包含することを意図するものと理解される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
【配列表】
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【国際調査報告】