(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】吻合接続器、部品のグループ、および適用器
(51)【国際特許分類】
A61B 17/11 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
A61B17/11
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523742
(86)(22)【出願日】2022-10-24
(85)【翻訳文提出日】2024-06-18
(86)【国際出願番号】 NL2022050599
(87)【国際公開番号】W WO2023075596
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】514116305
【氏名又は名称】ユーエムセー・ユトレヒト・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルヘルムス・ヨゼヒュス・レオナルドゥス・スイカー
(72)【発明者】
【氏名】パウルス・トーマス・ヴィルヘルムス・スイカー
(72)【発明者】
【氏名】ハルメン・マッテイス・ワシンク
(72)【発明者】
【氏名】イェルン・ファン・デン・ベルフ
(72)【発明者】
【氏名】フラウケ・エレン・エーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】イェッセ・マッタン・ボースマ
(72)【発明者】
【氏名】レオナルト・ヤン・ファン・スヘルフェン
(72)【発明者】
【氏名】パウル・フレーデリック・グリュンデマン
(72)【発明者】
【氏名】モニカ・ジャノーリ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC03
4C160CC06
4C160CC32
4C160MM33
(57)【要約】
拡張不可能な環状本体を備える、血管などの柔軟な脈管に搭載するための吻合接続器であって、その環状本体は、吻合開口部を包囲する内壁と、内壁を包囲する外壁と、内壁と外壁との間で延びる前側および後側と、開始位置から最終位置へと永久的に曲げられ、環状本体の周方向において互いからある距離に位置付けられるように構成される複数のステープルピンとを有する。ステープルピンは、環状本体から突出し、後側から離れる方向を指している。環状本体の内壁における前側と後側との間の距離は、内壁と外壁との間の距離より小さい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張不可能な環状本体(2)を備える、血管などの柔軟な脈管(8)に搭載するための吻合接続器(1)であって、前記環状本体(2)は、吻合開口部(4)を包囲する内壁(3)と、前記内壁(3)を包囲する外壁(5)と、前記内壁(3)と前記外壁(5)との間で延びる前側(6)および後側(7)と、開始位置から最終位置へと永久的に曲げられ、前記環状本体(2)の周方向において互いからある距離に位置付けられるように構成される複数のステープルピン(9)とを有し、前記ステープルピン(9)は、前記環状本体(2)から突出し、前記後側(7)から離れる方向を指し、
前記環状本体(2)の前記内壁(3)における前記前側(6)と前記後側(7)との間の距離が、前記内壁(3)と前記外壁(5)との間の距離より小さいことを特徴とする吻合接続器(1)。
【請求項2】
前記環状本体(2)の前記内壁(3)における前記前側(6)と前記後側(7)との間の前記距離は、前記内壁(3)と前記外壁(5)との間の前記距離の50%より小さく、好ましくは25%より小さい、請求項1に記載の吻合接続器(1)。
【請求項3】
前記内壁(3)と前記外壁(5)との間の前記距離は、対応する前記ステープルピン(9)の場所において前記内壁(3)から前記外壁(5)への方向において測定されるとき、いずれの前記ステープルピン(9)の太さより大きい、請求項1または2に記載の吻合接続器(1)。
【請求項4】
前記ステープルピン(9)は前記環状本体(2)の外方向に曲げられるように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の吻合接続器(1)。
【請求項5】
前記ステープルピン(9)は前記環状本体(2)の前記内壁(3)に位置付けられる、請求項1から4のいずれか一項に記載の吻合接続器(1)。
【請求項6】
前記環状本体(2)の周方向における隣接する前記ステープルピン(9)の各々の対の間の前記内壁(3)は実質的に線形に延びる、請求項5に記載の吻合接続器(1)。
【請求項7】
前記環状本体(2)の周方向における隣接する前記ステープルピン(9)の各々の対の間の前記内壁(3)は凹所(14)を有し、前記環状本体(2)の前記後側(7)には、前記凹所(14)も覆う延伸PTFE(13)の層が設けられる、請求項5に記載の吻合接続器(1)。
【請求項8】
前記環状本体の前記内壁(3)には切り欠き(10)の対が設けられ、各々の対の前記切り欠きは各々の前記ステープルピン(9)の両側に位置付けられる、請求項5から7のいずれか一項に記載の吻合接続器(1)。
【請求項9】
前記環状本体(2)は板状に成形される、請求項1から8のいずれか一項に記載の吻合接続器(1)。
【請求項10】
少なくとも前記前側(6)は実質的に平坦な表面を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の吻合接続器(1)。
【請求項11】
前記ステープルピン(9)はそれらの前記開始位置において実質的に線形である、請求項1から10のいずれか一項に記載の吻合接続器(1)。
【請求項12】
前記後側(7)は、前記内壁(3)に沿って、窪んだ縁部分(12)を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の吻合接続器(1)。
【請求項13】
前記窪んだ縁部分(12)は、延伸PTFEなどの、前記環状本体(2)の残余の材料と異なる材料の層によって包囲される、請求項11に記載の吻合接続器(1)。
【請求項14】
前記環状本体(2)の前記後側(7)の少なくとも一部が、前記後側(7)から前記前側(6)への方向において、前記内壁(3)と前記外壁(5)との間に分岐する、請求項1から13のいずれか一項に記載の吻合接続器(1)。
【請求項15】
前記環状本体(2)に補強部分(27)が設けられる、請求項1から14のいずれか一項に記載の吻合接続器(1)。
【請求項16】
前記補強部分は前記環状本体(2)の変形区域(27)を備える、請求項15に記載の吻合接続器(1)。
【請求項17】
前記変形区域は、前記吻合開口部(4)を包囲する円形の補強隆条部(27)を備える、請求項16に記載の吻合接続器(1)。
【請求項18】
前記補強隆条部(27)は、前記環状本体(2)の前記後側(7)において突出を形成し、前記前側(6)において窪みを形成する、請求項17に記載の吻合接続器(1)。
【請求項19】
前記内壁(3)および前記後側(7)の少なくとも一方は、サンドブラストおよび/または酸処理などの粗化処理によって処理され、前記内壁(3)および前記後側(7)の前記少なくとも一方の表面粗さは、前記前側(6)の表面粗さより大きくなり得る、請求項1から18のいずれか一項に記載の吻合接続器(1)。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に定められているような吻合接続器(1)を2つと、環状本体(2、2')同士を、それらのそれぞれの吻合開口部(4、4')が位置合わせされるように、互いに付着させるための固定部材(14~16)とを備え、それぞれの前記吻合接続器(1、1')の前記環状本体(2、2')の前記前側(6、6')は互いとぴったりと嵌まり合う、部品のグループ。
【請求項21】
それぞれの前記吻合接続器(1、1')の前記環状本体(2、2')の前記前側(6、6')は、それらの吻合開口部(4、4')の中心線の周りにおいて相互に異なる角度において、互いとぴったりと嵌まり合う、請求項20に記載の部品のグループ。
【請求項22】
前記固定部材(14、15)は、前記環状本体(2、2')同士を互いに解放可能に付着させるように適合される、請求項20または21に記載の部品のグループ。
【請求項23】
前記吻合接続器(1、1')同士は実質的に同一である、請求項20から22のいずれか一項に記載の部品のグループ。
【請求項24】
前記固定部材には、前記環状本体(2、2')同士が互いに対して斜めにされるとき、前記吻合接続器のうちの他方(1')における協働する第1の結合部材(29,37)に挿入可能である、前記吻合接続器のうちの一方(1)における第1の結合要素(28、36)が設けられ、前記第1の結合要素(28、36)と前記第1の結合部材(29,37)とは、前記第1の結合要素(28、36)が前記第1の結合部材(29,37)によって受け入れられるとき、前記第1の結合要素(28、36)および前記第1の結合部材(29,37)において枢動軸を含む枢動部を形成するように適合され、前記固定部材には、前記吻合接続器のうちの前記他方(1')における協働する第2の結合部材(30,39)に付着可能である、前記吻合接続器のうちの前記一方(1)における第2の結合要素(28、38)が設けられ、前記第1の結合要素(28、36)と前記第2の結合要素(28、38)とは互いからある距離に位置付けられる、請求項20から22のいずれか一項に記載の部品のグループ。
【請求項25】
前記第1の結合部材(29)は、フック形の断面を有する、または、孔(37)を備える、請求項24に記載の部品のグループ。
【請求項26】
前記第2の結合要素(28、38)と前記第2の結合部材(30,39)とは、相互に斜めにされた前記環状本体(2、2')同士を前記枢動軸の周りで互いへと回転させると、スナップ留め動作を通じて互いに付着可能である、請求項24または25に記載の部品のグループ。
【請求項27】
前記第1の結合要素(28、36)と前記第1の結合部材(29,37)とはそれぞれの前記環状本体(2、2')の前記外壁(5)に位置付けられる、請求項24から26のいずれか一項に記載の部品のグループ。
【請求項28】
前記第2の結合要素(28、38)と前記第2の結合部材(30,39)とはそれぞれの前記環状本体(2、2')の前記外壁(5)に位置付けられる、請求項24から27のいずれか一項に記載の部品のグループ。
【請求項29】
前記固定部材(14、15)は別体の部品である、請求項20から23のいずれか一項に記載の部品のグループ。
【請求項30】
請求項1から19のいずれか一項に記載の吻合接続器(1)を、柔軟な脈管(8)に、その開口において搭載するための適用器(17)であって、互いに結合される細長い要素(19、21)および押し子(20)であって、前記細長い要素(19、21)の長手方向軸に沿う方向において互いに対して移動可能である細長い要素(19、21)および押し子(20)を備え、前記細長い要素(19、21)は、前記吻合接続器(1)の前記吻合開口部(4)を通じて押され、前記柔軟な脈管(8)の前記開口へと挿入される遠位端部分を有し、前記遠位端部分には、前記細長い要素(19、21)の長手方向軸に対して前記細長い要素(19、21)の外方向に突出する複数のアンビル(24)が設けられ、前記アンビル(24)は、前記吻合接続器(1)が前記押し子(20)と前記アンビル(24)との間に位置付けられ、前記押し子(20)と前記アンビル(24)とが互いへと移動させられるとき、動作状態の下で前記ステープルピン(9)を曲げるように、前記押し子(20)へと向けられる上側をそれぞれ有する、適用器(17)。
【請求項31】
前記アンビル(24)は、前記細長い要素(19、21)の長手方向軸に対する横断方向において、後退位置と延長位置との間で移動可能である、請求項30に記載の適用器(17)。
【請求項32】
前記押し子(20)には、前記吻合接続器(1)を一時的に保持するために、磁石などの保持デバイスが設けられる、請求項30または31に記載の適用器(17)。
【請求項33】
前記押し子(20)は前記細長い要素(19、21)を包囲する、請求項30から32のいずれか一項に記載の適用器(17)。
【請求項34】
前記アンビル(24)の前記上側は凹んでいる、請求項30から33のいずれか一項に記載の適用器(17)。
【請求項35】
前記適用器(17)には、前記吻合接続器(1)の前記ステープルピン(9)を前記アンビル(24)と位置合わせするための位置合わせデバイスが設けられる、請求項30から34のいずれか一項に記載の適用器(17)。
【請求項36】
前記適用器(17)には、前記吻合接続器(1)が搭載される開口の縁において前記脈管(8)を支持するための脈管支持部材(25)が設けられ、前記脈管支持部材(25)は、前記押し子(20)と前記アンビル(24)との間で前記細長い部材(19、21)の前記遠位端部分に位置付けられる、請求項30から35のいずれか一項に記載の適用器(17)。
【請求項37】
前記脈管支持部材(25)は、前記細長い要素(19、21)の長手方向軸に対する横断方向において、後退位置と拡張位置との間で拡張可能である、請求項36に記載の適用器(17)。
【請求項38】
前記アンビル(24)は、前記アンビル(24)がそれらの延長位置にあり、前記脈管支持部材(25)がその拡張位置にあるとき、前記細長い要素(19、21)の外方向において見られるときに前記脈管支持部材(25)を越えて延びる、請求項31および36に記載の適用器(17)。
【請求項39】
前記細長い要素は胴部(19)と複数の腕部(21)とを備え、前記腕部(21)は、前記胴部(19)の長手方向において、前記胴部(19)の端から前記腕部(21)の自由端へと延び、前記胴部(19、21)の長手方向軸に対する横断方向において、後退位置と延長位置との間で、前記胴部(19)に対して移動可能であり、前記細長い部材の前記遠位端部分は前記腕部(21)の遠位端部分によって形成され、前記適用器(17)は、前記腕部(21)と協働し、前記胴部(19)の前記長手方向軸に沿って、前記腕部(21)に対して移動可能である拡散要素(23)が設けられ、前記腕部(21)は前記拡散要素(23)の周りの周方向に配置され、前記腕部(21)の内側と前記拡散要素(23)の外側とは、前記拡散要素(23)を前記腕部(21)に対して移動させると前記腕部(21)がそれらの後退位置と延長位置との間で移動させられるように適合され、前記脈管支持部材(25)は、それぞれの前記腕部(21)の前記遠位端部分において、それぞれの前記腕部(21)の外面によって形成され、前記アンビル(24)も前記遠位端部分に設けられる、請求項38に記載の適用器(17)。
【請求項40】
前記腕部(21)の前記外面には、前記押し子(20)と前記アンビル(24)とが互いへと移動させられるとき、前記吻合接続器(1)の通過する前記ステープルピン(9)の自由端を受け入れるために、前記腕部(21)の長手方向に延びる凹所(26)がそれぞれ設けられる、請求項39に記載の適用器(17)。
【請求項41】
前記拡散要素(23)は軸部(18)に搭載され、前記軸部(18)は、前記軸部(23)と前記胴部(19)とがそれらの長手方向において互いに対して移動可能となるように、前記胴部(19)を貫いて延びる、請求項39または40に記載の適用器(17)。
【請求項42】
前記適用器(17)には、吻合接続器(1)を前記押し子(20)へと一時的に保持させるための保持デバイスが設けられ、前記保持デバイスは、吻合接続器(1、1')を前記押し子(20)に保持させるための保持位置と、前記吻合接続器(1、1')を前記押し子(20)から連結解除するための解放位置との間で、前記押し子(20)に対して移動可能である顎部(33)を備える、請求項30から41のいずれか一項に記載の適用器(17)。
【請求項43】
前記適用器(17)は筐体(34)を有し、前記顎部(33)は前記筐体(34)に回転可能に搭載される、請求項42に記載の適用器(17)。
【請求項44】
前記顎部(33)と前記押し子(20)とは、前記アンビル(24)に向けての前記押し子(20)の移動の間に前記押し子(20)が前記顎部(33)をその保持位置から解放位置へと移動させるように協働する、請求項42または43に記載の適用器(17)。
【請求項45】
前記顎部(33)はそれぞれの双安定バネ(35)に固定され、前記双安定バネ(35)は、前記アンビル(24)に向けての前記押し子(20)の移動の間に、第1の安定した形から第2の安定した形へと切り替えられる、請求項43および44に記載の適用器(17)。
【請求項46】
前記適用器(17)には、吻合接続器(1)を前記押し子(20)へと一時的に保持させるための保持デバイスが設けられ、前記保持デバイスは、前記腕部(21)のうちの1つと前記押し子(20)との間に脚部(42)を少なくとも備え、前記脚部(42)は、前記胴部(19)の長手方向において、前記腕部(21)および前記押し子(20)に対して移動可能であり、前記脚部(42)は自由端部分(43)を有し、前記腕部(21)は開口(44)を有し、前記自由端部分(43)は、吻合接続器(1、1')を支持するための支持区域を有し、前記腕部(21)、前記脚部(42)、および前記押し子(20)は、前記アンビル(24)に向かう方向において、前記押し子(20)を延長位置にある前記腕部(21)に対して移動させる間、前記押し子(20)が前記脚部(42)を同じ方向に移動させることで、前記自由端部分(43)が、前記腕部(21)に沿って滑り、前記腕部(21)および前記脚部(42)の所定の相対位置において、前記開口(44)へと入り込むように、適合される、請求項39から41のいずれか一項に記載の適用器(17)。
【請求項47】
請求項30から46のいずれか一項に記載の適用器(17)と、請求項20から29に記載の部品のグループとを備える、協働する部品のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡張不可能な環状本体を備える、血管などの柔軟な脈管に搭載するための吻合接続器であって、その環状本体は、吻合開口部を包囲する内壁と、内壁を包囲する外壁と、内壁と外壁との間で延びる前側および後側と、開始位置から最終位置へと永久的に曲げられ、環状本体の周方向において互いからある距離に位置付けられるように構成される複数のステープルピンとを有し、ステープルピンは、環状本体から突出し、後側から離れる方向を指す、吻合接続器に関する。
【背景技術】
【0002】
このような吻合接続器はWO99/21491から知られている。知られている吻合接続器は、2つの脈管を、側面と側面とが横並びの配置または端面と側面との配置で連結するために使用できる。吻合は、例えば、妨害された動脈において血流を回復させる目的のための、または、移植された器官もしくは移植可能なデバイスを連結する目的のための脈管手術において用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO99/21491
【特許文献2】EP0957775
【特許文献3】米国特許第6,569,173号
【特許文献4】米国特許出願公開第2012/0271336号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、吻合の構造を簡素化する向上した吻合接続器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、環状本体の内壁における前側と後側との間の距離が、内壁と外壁との間の距離より小さいことを特徴とする、本発明による吻合接続器によって達成される。
【0006】
本発明による吻合接続器の利点は、環状本体が脈管の外側に留まり、環状本体の前側が開口から離れる方に向けられるように、ステープルピンを脈管壁の開口の周りに固定することで、脈管における管腔外での配置に適していることである。これは、互いに連結されるべきであるそれぞれの脈管に2つのこのような吻合接続器を搭載し、続いて、吻合接続器同士を、それらの前側が互いを向くように、互いに固定する機会を提供する。環状本体の内壁と外壁との間の比較的大きい距離は、別体の固定部材を可及的には用いて、環状本体同士を互いと固定させるのに十分な材料を提供することができる。加えて、環状本体の内壁と外壁との間の比較的大きい距離は、環状本体を脈管の外側において維持する。
【0007】
吻合接続器が搭載できる脈管は、人工脈管、または自然な脈管および生来の脈管のいずれかで、脈管グラフトであり得る。例えば、吻合接続器は、例えば、脈管の既存の開放端、または、脈管壁における作り出された開口といった、血管にその開口において位置決めすることができ、ステープルピンは初めに脈管の方へと向けられ、その後、ステープルピンは、開口を包囲する脈管の縁部分に突き刺さるように曲げられる。
【0008】
環状本体の内壁における前側と後側との間の比較的小さい距離は、環状本体が搭載される脈管の内側において、環状本体の比較的小さい露出面を確保し、したがって、脈管における液体と吻合接続器の材料との間の接触を最小限にする。また、2つの吻合接続器がそれぞれの脈管に搭載され、続いて互いに固定されるとき、対応する吻合開口部を包囲するこれらの脈管の組織は、それぞれの内壁にわたって互いへと成長することができ、比較的短い期間のうちに一体化することができると考えられる。この効果は、環状本体の内壁における前側と後側との間の距離の短縮に伴って増加する。
【0009】
本発明による吻合接続器のさらなる利点は、吻合を構築する外科医が、吻合を構築する各々のステップの間に視覚的制御を保てることである。
【0010】
具体的には、冠動脈の吻合の場合、言及された利点は大きな関連性があり、これによって、吻合接続器は、それぞれの血管に搭載でき、内視鏡手術により互いに固定できる一方で、血管の内側における環状本体の小さい露出面は、血栓の危険性を最小限にする。内視鏡手術による冠動脈再建は、開胸手術と比較して、合併症の数および回復時間を劇的に低減することになる。それでもなお、他の柔軟な脈管同士または柔軟な中空構造同士の間に吻合を作り出すために本発明を使用することも可能である。
【0011】
吻合接続器は、ステンレス鋼316LVMなどの生体適合性金属から作られ得る。
【0012】
環状本体の内壁における前側と後側との間の距離は、内壁と外壁との間の距離の50%より小さく、好ましくは25%より小さく、またはさらには10%より小さくなり得る。例えば、環状本体の内壁における前側と後側との間の距離は、0.25mmより小さく、好ましくは0.15mmより小さくなり得る。距離は、例えば0.10mmであり得る。さらに、ステープルピンの開始位置におけるステープルピンの各々の長さは、内壁と外壁との間の距離より短くなり得る。
【0013】
環状本体の前側と後側との間の距離が、内壁においてだけ、内壁と外壁との間の距離より小さいとは限らず、内壁から離れての前側と後側との間の距離が、内壁と外壁との間の距離より小さい可能性もあり得ることは、留意されている。ステープルピンの各々の長さは、吻合開口部の周りで周方向において測定されるときにその幅より大きくなり得る、または、2倍、3倍、4倍、もしくは5倍より大きくなり得る。
【0014】
内壁と外壁との間の距離は、対応するステープルピンの場所において内壁から外壁への方向において測定されるとき、いずれのステープルピンの太さより大きくなり得る。これは、湾曲したステープルピンを用いて、吻合接続器が搭載される脈管壁を環状本体に締め付けるための機会を提供する。
【0015】
好ましい実施形態では、ステープルピンは環状本体の外方向に曲げられるように構成され、これによって、ステープルピンは、脈管壁にまだ突き刺さることなく、吻合接続器が配置されるべきである脈管における開口に入ることができ、部分的に曲げられ、ステープルピンの自由端が環状本体に向けて戻るように動いた後にのみ脈管壁に突き刺さることができる。そのため、脈管壁はステープルピンの自由端と環状本体との間に位置付けられ、これは突き刺しを容易にする。環状本体が存在しない場合、脈管壁は、脈管壁への突き刺しがなく、離れる方へ押されてしまう可能性がある。
【0016】
ステープルピンは、環状本体が搭載される脈管の内部への環状本体の露出面を最小限にするように、環状本体の内壁に位置付けられ得る。
【0017】
環状本体の周方向における隣接するステープルピンの各々の対の間の内壁は実質的に線形に延びてもよい。これは、脈管において搭載された状態において、2つのステープルピンの間で通常は線形に延びる脈管の開口の周りの縁が内壁に正確に追従することで、漏れの危険性を最小限にすることができることを意味する。実用的な実施形態では、吻合接続器は、八角形として形成される内壁の8カ所の角において8本のステープルピンを有する。
【0018】
例えば、代替の多角形、円形、楕円形など、内壁および/または外壁の数多くの代替の形が考えられることは、留意されている。同様に、ステープルピンの場所の仮想的な周囲は、例えば楕円形など、代替の形を有してもよい。
【0019】
環状本体の周方向における隣接するステープルピンの各々の対の間の内壁は凹所を有することができ、環状本体の後側には、凹所も覆う延伸PTFEの層が設けられる。延伸PTFEはGore-Texとしても知られている。吻合接続器が脈管に搭載されるとき、外科医は、望まれる場合、1つまたは複数の縫合を、凹所において脈管と延伸PTFEとの間に適用することができる。凹所の存在は、縫合が適用されるべき場所において適切な視界を外科医に提供する。
【0020】
好ましくは、環状本体の内壁には切り欠きの対が設けられ、各々の対の切り欠きは各々のステープルピンの両側に位置付けられ、これによって、環状本体を不利に変形させることなくステープルピンを曲げる機会を提供すると考えられる。さらに、環状本体とステープルピンとの間の移行部におけるステープルピンの各々の小さい曲げ半径が達成できると考えられる。これは、ステープルピンが脈管壁を環状本体に締め付けるのを助ける。
【0021】
脈管壁を環状本体に締め付けることは、脈管壁を局所的に圧縮することをもたらし得る。これは吻合開口部への組織の突出または膨出を結果的にもたらす可能性があり、これは、2つの相互連結した吻合接続器のそれぞれの内壁にわたって互いへと成長する組織の前述の効果を増加させる。
【0022】
ステープルピンは、所定の曲率へと曲げることができるように適合させられ得る。変形は、それらの自由端において開始でき、環状本体に向けて前進することができる。これは、各々のステープルピンの径方向の厚さおよび/または周囲の厚さによって達成することができ、それら厚さは各々のステープルピンの自由端に向けて小さくなる。別の言い方をすれば、ステープルピンは、所定の曲げ特性を作り出すために、環状本体の径方向長さおよび/または周方向長さに沿って先細りとされ得る。
【0023】
実用的な実施形態では、環状本体は板状に成形される。この構造は比較的容易に製造することができる。
【0024】
少なくとも前側は実質的に平坦な表面を有し得る。これは、このような同一の吻合接続器のうちの2つを、当接する前側同士の間での最小限の漏れの危険性を伴って、信頼できる手法で互いに固定する機会を提供する。
【0025】
ステープルピンはそれらの開始位置において実質的に線形であり得る。それらの最終位置において、各々のステープルピンは、部分的に円の形、実質的に円の形、または楕円の形を有し得る。概して、各々のステープルピンは、吻合接続器が配置される脈管の開口の周りに、脈管壁の適切な締め付け特性を作り出すために、非均一な曲げ曲線を有し得る。ステープルピンが、それらの開始位置において、あらかじめ湾曲した自由端部分を有することも考えられる。
【0026】
環状本体の後側は、吻合接続器が脈管に搭載されるとき、脈管壁の一部分が、窪んだ縁部分によって定められる空間において延びることができるように、窪んだ縁部分を内壁に沿って有することができる。これは、安定した実質的に漏れのない連結を提供する。具体的には、内壁に位置付けられるステープルピンとの組み合わせにおいて、ステープルピンは、脈管の組織が局所的に圧縮されるように、ステープルピンの最終位置にあるとき、言及されている空間において脈管壁の一部分を締め付けることができる。
【0027】
窪んだ縁部分は、延伸PTFEなどの環状本体の残余の材料と異なる材料の層によって包囲され得る。吻合接続器が搭載される開口の周りの脈管壁は、延伸PTFEへと成長することができる。環状本体の残りの部分、またはその一部は、生体適合性金属を備え得る。
【0028】
窪んだ縁部分の存在から独立した、環状本体の後側における延伸PTFEの層の利点は、吻合接続器を脈管に搭載した後、外科医が、必要な場合には修復の縫合を作り出し、吻合接続器を延伸PTFEの層に係留することができることである。
【0029】
具体的な実施形態では、環状本体の後側の少なくとも一部が、後側から前側への方向において、内壁と外壁との間で分岐する。これは、言及された少なくとも一部において、後側が、内壁が位置する平面と平行に延び、その平面からある距離に位置する平面と交差することを意味する。したがって、吻合接続器が脈管に搭載されるとき、内壁は脈管に位置付けられることになる一方で、内壁からある距離における後側は、内壁が位置する平面と垂直な方向において内壁からある距離に位置付けられる。この実施形態の利点は、例えば冠動脈において、吻合接続器が、その周囲によって妨害されることなく、解剖学的に狭い領域の中の場所において脈管に搭載させることができることである。環状本体の後側全体が、後側から前側への方向において、内壁と外壁との間で分岐することは考えられる。
【0030】
後側は連続的または不連続的に分岐することができる。連続的に分岐する後側の場合、後側は円錐形であり得る。
【0031】
当然ながら、前側は、適切な協働する吻合接続器に嵌まり合わなければならない。
【0032】
前側は後側と同じ形を有し得る。例えば、環状本体は、小さい傾斜角度を含む漏斗を形成することができ、前側は後側と平行に延びる。
【0033】
環状本体に補強部分が設けられてもよく、補強部分は、環状本体の薄い構造を可能にする。これは、環状本体がチタンから作られるときに特に有利であると考えられる。
【0034】
補強部分は環状本体の変形区域を備えてもよい。
【0035】
実用的な実施形態では、変形区域は、吻合開口部を包囲する円形の補強隆条部を備える。
【0036】
好ましくは、補強隆条部は、環状本体の後側において突出を形成し、前側において窪みを形成し、これによって、窪みは、別の吻合接続器の環状本体との封止された連結を作り出すために、封止リングの受け入れに使用できる。
【0037】
内壁および後側の少なくとも一方は、サンドブラストおよび/または酸処理などの粗化処理によって処理でき、内壁および後側の少なくとも一方の表面粗さは、前側の表面粗さより大きくできる。増加した表面粗さは、環状本体への組織付着を向上させる。この効果のため、ステップピンへの荷重は、吻合接続器を脈管に搭載した後に小さくなることができ、これは材料疲労の危険性を最小限にする。
【0038】
EP0957775は、端側脈管吻合を実施するためのシステムに関する。
図30Bは、
図30Jに示されているように、環状部材356の外部にわたって嵌まる大きさとされた中心開口部364を有する外側フランジ358を示している。外側フランジ358は係止機構を有し、その係止機構は、外側フランジ358を管状部材356の外面にスライド可能に位置決めするために、外側フランジ358と一体に形成された上向きに傾斜した係止タブ366を伴う自己係止保持ワッシャ365を含む。上向きに傾斜した係止タブ366は、保持ワッシャ365を、管状部材356の外部にわたって遠位方向に滑らせることができるが、近位方向への滑りには抗する。上向きに傾斜した係止タブ366は、管状部材356の外面における溝362に係止するとき、より永久的な付着を形成し、近位方向への移動に強く抗する。これは、係止タブ366が外方向および内方向における弾性的な変位のために構成されていることと、係止タブ366が、本発明による、開始位置から最終位置まで永久的に曲げられる、つまり、塑性変形で曲げられるように構成されるステープルピンではないこととを意味する。
【0039】
米国特許第6,569,173号は、端端吻合および端側吻合を含め、構造の吻合のための圧縮板および脈管アンビルに関連する。
図1は、圧縮板14および18に、圧縮板14および18の反対の吻合側からそれぞれ突出するスパイク15および17が設けられている実施形態を示している。スパイク15および17は、このようなスパイクの先端がそれぞれの基部の周りで若干揺れるような方法で、弾性的に曲がることができるように製造および配置される。曲げの行為が停止すると、スパイク15および17はそれらの初期の構成に向けて弾性的に動く。これは、スパイク15および17が、本発明による、開始位置から最終位置まで永久的に曲げられる、つまり、塑性変形で曲げられるように構成されるステープルピンではないことを意味する。
【0040】
米国特許出願公開第2012/0271336号は、複数の腕部52を備える脈管保持デバイス10に関連する。
図10A~
図10Lは、遠位の吻合が近位の吻合の前に作り出される例のオフポンプCABG手術を示している。
図10Kに示されているように、グラフト脈管60が適切に位置決めされると、唇部63が脈管壁71における孔72の周りに封止を形成し、脈管かん流が行われる。脈管保持デバイス10は、孔72にわたって開口するグラフト脈管60を止血の様態で保持することができる一方で、血液をグラフト脈管60へと流すことができる。封止が形成されると、外科医は、血液がグラフト脈管60を通じて流れているとき、グラフト脈管60を受入脈管70に付着させることができる。グラフト脈管60の近位端64および脈管壁70に縫合を提供する縫合デバイス68が示されている。保持デバイス10の腕部52の形は同じままである。これは、腕部52が、本発明による、開始位置から最終位置まで永久的に曲げられる、つまり、塑性変形で曲げられるように構成されるステープルピンではないことを意味する。
【0041】
本発明は、先に記載されているような吻合接続器を2つと、環状本体同士を、それらのそれぞれの吻合開口部が位置合わせされるように、互いに付着させるための固定部材とを備え、それぞれの吻合接続器の環状本体の前側は互いとぴったりと嵌まり合う、部品のグループにも関する。
【0042】
固定部材は別体の部品であってもよい。それでもなお、固定部材は、吻合接続器をそれぞれの脈管に搭載する前に、吻合接続器のうちの1つの一部であってもよい。
【0043】
固定部材は締め付け具または接着剤などであり得る。
【0044】
好ましくは、それぞれの吻合接続器の環状本体の前側は、それら吻合接続器の中心線の周りにおいて異なる相互角度で互いにぴったりと嵌まり、これによって、外科医は、連結された脈管を、解剖学的に好ましい配向において、互いに対して配置することができる。
【0045】
固定部材は、環状本体同士を互いに解放可能に付着させるように適合され得る。この実施形態の利点は、例えば、吻合を試みた後、吻合接続器のうちの一方が、他方の吻合接続器が固定されていない状態で、再確認または追加の修復の縫合などの別の処置を必要とすることが考えられる場合など、外科医が吻合接続器を互いから容易に取り外すことができることである。最終的な固定は、解放不可能な固定部材で実施されてもよい。
【0046】
吻合接続器同士は実質的に同一とでき、これは製造コストの観点において効率的である。
【0047】
一方または両方の吻合接続器の上側には、シリコーンまたはPTFEなど、流体密の層または封止要素が設けられてもよい。
【0048】
実施形態では、固定部材には、環状本体同士が互いに対して斜めにされるとき、吻合接続器のうちの他方における協働する第1の結合部材に挿入可能である、吻合接続器のうちの一方における第1の結合要素が設けられ、第1の結合要素と第1の結合部材とは、第1の結合要素が第1の結合部材によって受け入れられるとき、第1の結合要素および第1の結合部材において枢動軸を含む枢動部を形成するように適合され、固定部材には、吻合接続器のうちの前記他方における協働する第2の結合部材に付着可能である、吻合接続器のうちの前記一方における第2の結合要素が設けられ、第1の結合要素と第2の結合要素とは互いからある距離に位置付けられる。これは、第1の結合部材および第2の結合部材も互いからある距離に位置付けられることを意味する。第1の結合部材と第2の結合部材とは互いと反対に位置付けられ得る。一方の吻合接続器の第1の結合要素を他方の吻合接続器の第1の結合部材へと挿入した後、それらの環状本体は、第2の結合要素と第2の結合部材とが互いに付着させることができるように、互いへと回転させることができる。
【0049】
第1の結合部材は、フック形の断面を有し得る、または、孔を備え得る。
【0050】
好ましくは、第2の結合要素と第2の結合部材とは、相互に斜めにされた環状本体同士を枢動軸の周りで互いへと回転させると、スナップ留め動作を通じて互いに付着可能であり、これによって、吻合動作を容易にする。数多くの協働するスナップ留め要素が、この種類の付着について考えられる。
【0051】
第1の結合要素と第1の結合部材とはそれぞれの環状本体の外壁に位置付けられ得る。
【0052】
同様に、第2の結合要素と第2の結合部材とはそれぞれの環状本体の外壁に位置付けられ得る。
【0053】
本発明は、先に記載されているような吻合接続器を、柔軟な脈管に、その開口において搭載するための適用器であって、互いに結合される細長い要素および押し子であって、細長い要素の長手方向軸に沿う方向において互いに対して移動可能である細長い要素および押し子を備え、細長い要素は、吻合接続器の吻合開口部を通じて押され、柔軟な脈管の開口へと挿入される遠位端部分を有し、遠位端部分には、細長い要素の長手方向軸に対して細長い要素の外方向に突出する複数のアンビルが設けられ、アンビルは、吻合接続器が押し子とアンビルとの間に位置付けられ、押し子とアンビルとが互いへと移動させられるとき、動作状態の下でステープルピンを曲げるように、押し子へと向けられる上側をそれぞれ有する、適用器にも関する。動作状態の下で、押し子は吻合接続器の前側に接触し、ステープルピンはアンビルの上側によって受け入れられる。
【0054】
本明細書において、遠位端が、吻合部位の場所における位置決めのために設計される端に言及しており、近位端が、吻合部位の場所から離れる方への位置決めのために設計される端に言及していることは、留意されている。対応するように、遠位方向は、近位端から遠位端への方向として定められており、近位方向は、遠位端から近位端への方向として定められている。
【0055】
アンビルは、細長い要素の長手方向軸に対する横断方向において、後退位置と延長位置との間で移動可能であり得る。これは、延長位置において、アンビルが後退位置におけるより大きい周囲を包囲することを意味する。この実施形態は、延長位置において、アンビルによって定められる外側周囲が環状本体の内壁の周囲より大きくなるように、適用器と吻合接続器とを互いに適合させることができる一方で、後退位置では、アンビルは吻合開口部を自由に通過することができる。動作状態の下で、アンビルは、ステープルピンがアンビルに接触することができ、より大きな周囲において曲げることができるように、脈管の開口へと挿入された後に延長させられてもよい。
【0056】
押し子には、吻合接続器を一時的に保持するために、磁石などの保持デバイスが設けられてもよい。これは、アンビルに向けての吻合接続器の早過ぎる移動を防止し、このような早過ぎる移動は、吻合接続器が搭載される場所における外科医の視野を邪魔する可能性がある。
【0057】
実用的な実施形態では、押し子は、均一な力が吻合接続器の環状本体に発揮できるように、細長い要素を包囲する。
【0058】
具体的な実施形態では、アンビルの上側は凹んでおり、これは、ステープルピンの自由端が、押し子とアンビルとの互いへの移動の間、吻合接続器の環状本体に向けて戻るように向けられるように、ステープルピンを曲げる機会を提供する。上側の形は、例えば部分的に円形とできるが、ステープルピンの最終位置においてその所定の曲げの湾曲を作り出す代替の形が考えられる。
【0059】
適用器には、アンビルとの吻合接続器のステープルピンの位置合わせのための位置合わせデバイスが設けられてもよい。これは、吻合接続器を適用器に配置することを容易にする。例えば、吻合接続器のステープルピンがアンビルと接触するときにアンビルと位置合わせさせられるように、アンビルと押し子とが互いへと移動するとき、位置合わせデバイスは吻合接続器を細長い要素の周りで回転させる。
【0060】
適用器には、吻合接続器が搭載される開口の縁において脈管を支持するための脈管支持部材が設けられてもよく、脈管支持部材は、押し子とアンビルとの間で細長い部材の遠位端部分に位置付けられる。これは、吻合接続器とアンビルとを互いへと押す間にステープルピンを受け入れるための脈管壁の安定した位置を作り出す機会を提供する。
【0061】
好ましくは、脈管支持部材は、細長い要素の長手方向軸に対する横断方向において、後退位置と拡張位置との間で拡張可能であり、これによって、医学的な観点から、吻合接続器を脈管に搭載する前に脈管の開口の縁を引き伸ばすことが望まれる。さらに、この実施形態は、拡張位置において、脈管支持部材の周囲が環状本体の内壁の周囲より大きくなるように、適用器と吻合接続器とを互いに適合させることができる一方で、後退位置では、脈管支持部材は吻合開口部を自由に通過することができる。したがって、脈管支持部材は、その後退位置において吻合開口部および脈管の開口を通じて挿入させることができ、その後、押し子とアンビルとを互いへと移動させる前に、その拡張位置へと拡張させることができる。押し子とアンビルとを互いへと移動させることで吻合接続器を脈管に固定した後、脈管支持部材は、その後退位置に設定され、開口および吻合開口部を通じて引っ張り戻すことができる。
【0062】
アンビルは、アンビルがその延長位置にあり、脈管支持部材がその拡張位置にあるとき、細長い要素の外方向において見られるときに脈管支持部材を越えて延び得る。これは、吻合接続器が搭載される脈管の開口を拡張させ、ステープルピンを環状本体の外方向に曲げる機会を提供する。
【0063】
実用的な実施形態では、細長い要素は胴部と複数の腕部とを備え、それら腕部は、胴部の長手方向において、胴部の端から腕部の自由端へと延び、胴部の長手方向軸に対する横断方向において、後退位置と延長位置との間で、胴部に対して移動可能であり、細長い部材の遠位端部分は腕部の遠位端部分によって形成され、適用器は、腕部と協働し、胴部の長手方向軸に沿って、腕部に対して移動可能である拡散要素が設けられ、腕部は拡散要素の周りの周方向に配置され、腕部の内側と拡散要素の外側とは、拡散要素を腕部に対して移動させると腕部がそれらの後退位置と延長位置との間で移動させられるように適合され、脈管支持部材は、それぞれの腕部の遠位端部分において、それぞれの腕部の外面によって形成され、アンビルも遠位端部分に設けられる。これは、脈管支持部材およびアンビルを後退および拡張させるための適切な機械的構造である。例えば、腕部は胴部に枢動可能に結合させることができる、または、腕部は、柔軟とでき、胴部に対する移動を許容するように胴部に固定させることができる。アンビルは、胴部から見られるとき、脈管支持部材を越えて位置付けられる。
【0064】
腕部の外面には、押し子とアンビルとが互いへと移動させられるとき、吻合接続器の通過するステープルピンの自由端を受け入れるために、腕部の長手方向に延びる凹所がそれぞれ設けられ得る。動作状態の下で腕部がそれらの延長位置にあるとき、脈管の開口は拡張させられ、押し子とアンビルとは互いへと移動させることができる一方で、ステープルピンの自由端は、脈管壁に突き刺さることなく開口を通過するように、凹所によって受け入れられる。自由端は、脈管壁を通過した後、アンビルによって曲げられる。アンビルの上側が凹んでいる場合、自由端は環状本体に向けて逆に戻すことができ、脈管壁における開口の拡張した縁に突き刺さることができる。凹所は、吻合接続器のステープルピンをそれぞれのアンビルに向けて案内することができるように適合されてもよい。
【0065】
拡散要素は軸部に搭載され、その軸部は、軸部と胴部とがそれらの長手方向において互いに対して移動可能となるように、胴部を貫いて延びる。
【0066】
具体的には拡張可能な脈管支持部材の場合においての拡張位置における脈管支持部材、および/または、特には延長可能なアンビルの場合においての延長位置におけるアンビルは、内壁が対応する形を有する、または、ステープルピンの場所の仮想的な周囲が対応する形を有する吻合接続器を適用するために、円形または楕円形などの異なる輪郭を有し得る。ステープルピンが環状本体において楕円の輪郭に沿って配置される場合、アンビルは、ステープルピンとアンビルとが互いに触れるとき、同じ輪郭を形成するべきである。
【0067】
具体的な実施形態では、適用器には、吻合接続器を押し子へと一時的に保持させるための保持デバイスが設けられ、保持デバイスは、吻合接続器を押し子に保持させるための保持位置と、吻合接続器を押し子から連結解除するための解放位置との間で、押し子に対して移動可能である顎部を備える。
【0068】
適用器は筐体を有してもよく、顎部は筐体に回転可能に搭載され得る。
【0069】
顎部と押し子とは、アンビルに向けての押し子の移動の間に押し子が顎部をその保持位置から解放位置へと移動させるように協働することができる。
【0070】
好ましい実施形態では、顎部はそれぞれの双安定バネに固定され、双安定バネは、アンビルに向けての押し子の移動の間に、第1の安定した形から第2の安定した形へと切り替えられ、これによって、押し子と吻合接続器との素早い結合解除を結果的にもたらす。
【0071】
代替の実施形態では、保持デバイスは、腕部のうちの1つと押し子との間に脚部を少なくとも備え、その脚部は、胴部の長手方向において、腕部および押し子に対して移動可能であり、脚部は自由端部分を有し、腕部は開口を有し、自由端部分は、吻合接続器を支持するための支持区域を有し、腕部、脚部、および押し子は、アンビルに向かう方向において、押し子を延長位置にある腕部に対して移動させる間、押し子が脚部を同じ方向に移動させることで、自由端部分が、腕部に沿って滑り、腕部および脚部の所定の相対位置において開口へと入り込むように、適合される。自由端部分が開口へと入り込むとき、支持区域は、支持されている吻合接続器から連結解除され得るように、腕部に向けて移動させられる。押し子と脚部とは、押し子をアンビルに向けて移動させる間、自由端部分が腕部の開口へと入り込むまで初めに脚部が押し子と一緒に移動させられ得るように、適合される。動作状態の下で、吻合接続器の環状本体は、自由端部分が腕部の開口へと入り込むまで、押し子と支持区域との間に挟まれ得る。
【0072】
先に記載されているような適用器の利点は、吻合接続器を脈管に搭載した後に適用器が再装填できることである。さらに、外科医は、脈管への細長い要素の遠位部分の適切な挿入においてはっきりとした視界を有することができる。延長可能なアンビルの場合、外科医は、押し子に搭載されている吻合接続器を含む押し子とアンビルとを互いへと移動させる前に細長い要素を若干引っ張ることで、脈管の中でのアンビルの正しい場所を試してみることができる。
【0073】
本発明は、先に記載されているような吻合接続器および適用器を備える部品のグループにも関する。
【0074】
本発明は、先に記載されているような適用器と、2つの吻合接続器を備える部品のグループとを備える部品のキットにも関する。
【0075】
本発明は、以下の態様にも関する。
【0076】
態様1: 2つの血管などの柔軟な脈管の間に吻合を構築する方法であって、先に記載されているような吻合接続器を、ステープルピンがそれぞれの脈管の開口の周りでそれぞれの脈管の脈管壁に固定され、環状本体がそれぞれの脈管の外側に位置付けられるように、それぞれの柔軟な脈管における開口に搭載するステップと、接続器の環状本体同士を互いに付着させるステップとを含む方法。方法の利点は、吻合を作り出す間に外科医が完全な視覚的制御を有することができることである。
【0077】
態様2: 吻合接続器を脈管に搭載する前および最中に、それぞれの開口は外方へ引き伸ばされる、態様1による方法。
【0078】
態様3: 各々の脈管の開口は、拡張可能な脈管支持部材を脈管へと挿入し、続いて脈管支持部材を拡張させることで引き伸ばされる、態様2による方法。
【0079】
態様4: 吻合接続器の各々は、ステープルピンを曲げ、ステープルピンを開口の周りの脈管壁に通すために、アンビルを脈管に挿入し、ステープルピンおよびアンビルを互いと一直線に位置決めし、吻合接続器とアンビルとを互いへと押すことで、対応する開口に搭載される、態様1から3のうちのいずれか1つによる方法。
【0080】
態様5: ステープルピンは、初めに、脈管壁に突き刺さることなく脈管壁に沿って通過させられ、続いて、ステープルピンの自由端が環状本体に向けて逆に戻り、脈管壁に突き刺さるように外方へ曲げられる、態様4による方法。
【0081】
本発明は、以後において、例を用いて本発明の実施形態を示している非常に概略的な図面を参照して明らかにされることになる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【
図1】開始位置にあるステープルピンを示している、本発明による吻合接続器の実施形態の斜視図である。
【
図2】最終位置におけるステープルピンを示している、異なる側から見たときの
図1と同様の図である。
【
図3】
図1と同様の図であるが、それぞれの血管に搭載されている2つの同一の吻合接続器を示す図である。
【
図4】
図3と同様の図であるが、吻合接続器が互いに固定されている状態を示す図である。
【
図5】
図1と同様の図であるが、異なる状態での吻合接続器を示す図である。
【
図6】
図1と同様の図であるが、異なる状態での吻合接続器を示す図である。
【
図7】
図1と同様の図であるが、異なる状態での吻合接続器を示す図である。
【
図8】本発明による吻合接続器の代替の実施形態の断面図である。
【
図9】
図4と同様の図であるが、吻合接続器の2つの代替の実施形態を用いた吻合を示す図である。
【
図10】
図4と同様の図であるが、吻合接続器の2つの他の代替の実施形態を用いた吻合を示す図である。
【
図11】協働する吻合接続器の2つの異なる実施形態を示す、部品のグループの実施形態の斜視図である。
【
図12】協働する吻合接続器の2つの異なる実施形態を示す、部品のグループの実施形態の斜視図である。
【
図13】固定状態での部品のグループを示す、
図12と同様の図である。
【
図14】
図13に示されている吻合の一部の拡大断面図である。
【
図15】異なる状態を示す、吻合接続器を含む、本発明による適用器の実施形態の斜視図である。
【
図16】異なる状態を示す、吻合接続器を含む、本発明による適用器の実施形態の斜視図である。
【
図17】異なる状態を示す、吻合接続器を含む、本発明による適用器の実施形態の斜視図である。
【
図18】異なる状態を示す、吻合接続器を含む、本発明による適用器の実施形態の斜視図である。
【
図19】異なる状態を示す、吻合接続器を含む、本発明による適用器の実施形態の斜視図である。
【
図20】異なる状態を示す、吻合接続器を含む、本発明による適用器の実施形態の斜視図である。
【
図21】
図2と同様の図であるが、本発明による吻合接続器の代替の実施形態を示す図である。
【
図22】協働する吻合接続器の2つの異なる実施形態を示す、部品のグループの代替の実施形態の斜視図および側面図である。
【
図23】協働する吻合接続器の2つの異なる実施形態を示す、部品のグループの代替の実施形態の斜視図および側面図である。
【
図24】協働する吻合接続器の2つの異なる実施形態を示す、部品のグループの代替の実施形態の側面図である。
【
図25】
図1と同様の図であるが、異なる側から見たときの、本発明による吻合接続器の代替の実施形態を示す図である。
【
図26】
図1と同様の図であるが、異なる側から見たときの、本発明による吻合接続器の代替の実施形態を示す図である。
【
図27】
図26に示されているような実施形態の断面図である。
【
図28】
図1と同様の図であるが、
図25~
図27に示されているような実施形態と協働する、本発明による吻合接続器の代替の実施形態を示す図である。
【
図29】本発明による適用器の代替の実施形態を示す、
図15と同様の図である。
【
図30】
図29に示されているような適用器の拡大部分図である。
【
図31】
図30と同様の図であるが、異なる状態での適用器を示す図である。
【
図37】
図1と同様の図であるが、相対する側から見たときの、本発明による吻合接続器の代替の実施形態を示す図である。
【
図38】
図1と同様の図であるが、相対する側から見たときの、本発明による吻合接続器の代替の実施形態を示す図である。
【
図39】
図1と同様の図であるが、
図37および
図38に示されているような実施形態と協働する、相対する側から見たときの、本発明による吻合接続器の代替の実施形態を示す図である。
【
図40】
図1と同様の図であるが、
図37および
図38に示されているような実施形態と協働する、相対する側から見たときの、本発明による吻合接続器の代替の実施形態を示す図である。
【
図41】互いと協働する吻合接続器を搭載する連続的なステップを示す、
図37~
図40に示されているような実施形態の拡大斜視図である。
【
図42】互いと協働する吻合接続器を搭載する連続的なステップを示す、
図37~
図40に示されているような実施形態の拡大斜視図である。
【
図43】本発明による適用器の代替の実施形態を示す、
図15と同様の図である。
【
図44】本発明による適用器の代替の実施形態を示す、
図15と同様の図である。
【
図46】本発明による適用器の代替の実施形態を示す、
図43と同様の図である。
【
図47】
図46に示されているような適用器の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0083】
図1および
図2は、本発明による吻合接続器1の実施形態を示している。吻合接続器1は、例えば冠動脈再建といった血管に搭載するのに適しており、その血管は、2mmの大きさの程度での内径を有し得るが、代替の柔軟な脈管に搭載することもできる。吻合接続器1は、主平面の中で延びる、この場合は板状に成形されている拡張不可能な環状本体2を有する。吻合接続器1は、ステンレス鋼316LVMまたはチタンといった、医療技術において使用される生体適合性金属から作られる。
【0084】
環状本体2は、吻合開口部4を包囲する内壁3と、内壁3を包囲する外壁5と、内壁3と外壁5との間で延びる前側6および後側7とを有する。
図1および
図2に示されているような実施形態では、前側6と後側7とは実質的に平坦な表面を有する。
図3および
図4は、2つのこのような同一の吻合接続器1、1'が側側吻合の場合にそれぞれの血管8、8'にどのように搭載され、その後、それら吻合接続器1、1'の前側6、6'が互いに向けられるようにして互いに固定されるかを示している。好ましくは、前側6、6'は、流体密の連結を作り出すために、互いにぴったりと嵌まる。それぞれの吻合開口部4、4'は血管8、8'の間に共通の開口を形成する。吻合接続器1、1'を互いに固定するための手法は数多くあり、例が以下に示される。
【0085】
図1および
図2に示されているような吻合接続器1は、環状本体2の周方向において互いからある距離において環状本体2の内壁3に位置付けられる8つのステープルピン9を備える。ステープルピン9は、環状本体2から突出し、後側7から離れる方向を指している。吻合接続器1は、ステープルピン9によって血管8に固定されることになる。
【0086】
環状本体2の周方向における隣接するステープルピン9の各々の対の間の内壁3は、八角形を形成するように実質的に線形に延びる。ステープルピン9は八角形のそれぞれの角に位置付けられる。吻合接続器1が血管8にその開口において搭載されるとき、開口の周りの血管壁の縁は、血管壁に固定される2つの隣接するステープルピン9の各々の間で直線的に延びることになる。結果として、血管壁は内壁3の直線的な縁に従い、そのため漏れの危険性を最小限にすることになる。
図1および
図2に示されているような実施形態の外壁5は円を形成するが、これは代替の実施形態では異なってもよい。
【0087】
図1に示されているような実施形態のステープルピン9は、
図2を見ると、開始位置から、環状本体2の外方向における最終位置へと永久的に曲げられるように構成される。曲げ過程は、開始位置、中間位置、および最終位置においてステープルピン9を連続的に示している
図5~
図7に示されている。開始位置では、ステープルピン9は実質的に線形であり、環状本体2の主平面に対して垂直に延びている。中間位置では、ステープルピン9は、その自由端が環状本体2の方へ向けられるように変形されている。吻合接続器1を血管8に搭載すると、ステープルピン9は、中間位置に到達した後に血管壁に突き刺さり始め、したがって、血管8の内側から突き刺さり始めることができる。ステープルピン9を引き続き曲げる間、ステープルピン9は血管壁へとさらに深く突き刺さり、ステープルピン9の最終位置において、ステープルピン9は、吻合接続器1が血管8に固定されるだけでなく、環状本体2および血管壁の締め付けられた一部分が血管8と環状本体2との間の漏れを最小限にもするように、血管壁の一部分を環状本体2の後側7に締め付けることができる。
図7は、ステープルピン9がそれらの最終位置において部分的に円形を有するが、実質的に円または楕円の形を有し得ることを示している。
【0088】
図1は、環状本体2の内壁3が切り欠き10の8つの対が設けられていることを示している。各々の対の切り欠き10は、各々のステープルピン9の両側に位置付けられており、環状本体2の中心線から径方向に延び、前側6から後側7へと延びている。切り欠き10の対の存在のため、ステープルピン9は、それらの自由端から離れているそれらの端において、小さい曲げ半径を得ることができる。
【0089】
図3および
図4を参照すると、それぞれの環状本体2、2'の内壁3、3'が、吻合を作り出した後、血管8を通じて流れる血液と接触することになることは明らかである。血液への露出を最小限にするために、それぞれの内壁3、3'における環状本体2、2'の厚さは小さくなければならない。より明確には、環状本体2の前側6と後側7との間の距離は、内壁3と外壁5との間の距離より小さい。2つの吻合接続器1を互いと連結させるための十分な材料を作り出すために、内壁3と外壁5との間の距離は、ステープルピン9のうちのいずれかの場所において内壁3から外壁5への方向において測定されるとき、対応するステープルピン9の太さより大きい。
【0090】
図8は吻合接続器1の代替の実施形態を示している。この実施形態では、環状本体2の上側6には、互いと固定される2つの吻合接続器1の間に封止を形成する封止層11が設けられる。封止層11は、例えばシリコーンの被覆であり得る。環状本体2の後側7は、内壁3に沿って窪んだ縁部分12を有する。窪んだ縁部分12は、Gore-Texとしても知られている延伸PTFEの層13によって包囲され、この材料の多孔性は身体自体の組織を材料の中へと成長させることができ、この材料は身体の内部でほとんど不活性である。吻合接続器1を血管8に搭載する間、血管8の開口の周りにおける血管壁の一部分が、窪んだ縁部分12において締め付けることができる一方で、脈管壁は延伸PTFEの層13の内部へと成長することができる。
図8では、封止層11と延伸PTFEの層13とは、それらの間に挟まれる環状本体2の芯材とおおよそ同じ厚さを有するが、封止層11はできるだけ薄くされるべきであるが、望まれる場合、延伸PTFEの層13は、吻合接続器1が搭載される脈管8と延伸PTFEの層との間に追加の縫合を適用するための十分な材料を提供するために、環状本体2の芯材より厚くてもよい。
【0091】
図21は、吻合接続器1の代替の実施形態を示しており、環状本体2の周方向における隣接するステープルピン9の各々の対の間の内壁3が凹所14を有する。凹所14は、吻合開口部4の中心から見たとき、ステープルピン9を越えて位置付けられる。環状本体2の後側7には、凹所14も覆い、環状本体2の芯材に固定される延伸PTFEの層13が設けられる。凹所14によって形成される空間も延伸PTFEで満たされ得る。
図21に示されているような実施形態では、凹所14における内壁3は部分的に円形の輪郭を有するが、数多くの代替の形が考えられる。この実施形態の利点は、この実施形態によって、外科医が、吻合接続器1が搭載される脈管8と、隣接するステープルピン9の各々の対の間の延伸PTFEの層との間に、追加の縫合を構築することができることである。
【0092】
図9は、2つの血管8、8'の側側吻合において環状本体2、2'を解放可能に互いに付着させるための4つの磁石14が各々に設けられている吻合接続器1、1'の2つの代替の実施形態を示している。磁石14は接着剤などを用いて環状本体2、2'に固定される。磁石14は、金などの生体適合性材料によって被覆されてもよい。磁石14は、環状本体2、2'がその共通の中心線の周りの4つの異なる角度において互いに固定できるように位置付けられる。固定状態では、それぞれの環状本体2、2'の吻合開口部4、4'が位置合わせされる。
【0093】
図9に示されているような吻合では、磁石14を含む2つの同一の吻合接続器1、1'が、本発明による2つの吻合接続器1、1'および固定部材を有する部品のグループの実施形態を形成し、その固定部材は磁石14によって形成される。磁石14が環状本体2に固定されるため、固定部材はそれぞれの吻合接続器1、1'に一体化されている。それぞれの吻合接続器1、1'が血管8、8'において適用されるため、磁力は、磁石14が環状本体2、2'同士の間の血圧に耐えることができるようにされなければならない。磁石14を適用することの利点は、環状本体2、2'が互いに接近すると瞬間的に互いに結合され、これによって内視鏡の適用を容易にすることである。
【0094】
固定部材は、
図10に示されているように互いに固定される部品のグループの実施形態で示されている別体の部品であってもよい。この場合、環状本体2、2'は2つの留め具15を通じて互いに付着させられる。環状本体2、2'の前側6、6'および吻合開口部4、4'は、環状本体2、2'がそれらの共通の中心線の周りにおいて任意の所望の角度で互いにぴったりと嵌まるように適合される。円形の内壁3、3'の場合、内壁3、3'は正確に位置合わせされたままとできる。
【0095】
図11~
図14は別の代替の部品のグループを示しており、2つの代替の吻合接続器1、1'の環状本体2、2'が異なる。両方の環状本体2、2'は板状に成形されるが、それらのうちの一方は、外壁5において直立の湾曲した縁を有し、その湾曲した縁は前側6から離れるように向けられるが、他方は全体として平坦な前側6'を有する。柔軟なリング16が湾曲した縁の内部に位置付けられる。吻合接続器1、1'は、平坦な環状本体2'が柔軟なリング16を通るように、環状本体2、2'を互いへと押すことで互いに付着させることができ、その結果の状態が
図13および
図14に示されている。吻合接続器1、1'の間の数多くの代替のスナップ留めが考えられることは、留意されている。
【0096】
図22~
図24は別の代替の部品のグループをなおも示しており、2つの代替の協働する吻合接続器1、1'の環状本体2、2'がここでも異なる。両方の環状本体2、2'が円錐形を有する。
図22に示されているような吻合接続器1の環状本体2は、後側7から前側6への方向において、内壁3から外壁5へと分岐している。
図23に示されているような吻合接続器1'の環状本体2'は、前側6'から後側7'への方向において、内壁3'から外壁5'へと分岐している。
図22に示されているような環状本体2の形の利点は、例えば、他の血管または器官によって包囲される場所といった解剖学的に狭い領域の中の場所に、環状本体2が血管8に適切に搭載されることである。このような場合、分岐する環状本体2は、妨害されることなく、または周囲を妨害することなく、血管8に搭載させることができる。
図23に示されているような協働する吻合接続器1'の環状本体2'は、
図22に示されているような吻合接続器1の環状本体2に嵌まる。これは
図24に示されている。協働する環状本体2、2'の円錐形のため、環状本体2、2'は自立的に中心が合う。加えて、環状本体2、2'、それらの吻合開口部4、4'の中心線の周りの複数の異なる角度において互いに嵌まる。
【0097】
図25~
図27は、本発明による吻合接続器1の代替の実施形態の異なる図を示している。対応する要素について、先の実施形態に使用されているのと同じ符号が適用されている。拡張不可能な環状本体2は板状に成形されるが、内壁3と外壁5との間に、環状本体2には円形の補強隆条部27が設けられる。補強隆条部27は、環状本体2の変形部分を備え、吻合開口部4を包囲する。この場合、補強隆条部27は、環状本体2の後側7において突出を形成し、前側6において窪みを形成する。補強隆条部27は、剛性の吻合接続器1を作り出し、薄い環状本体2を可能とし、これは、吻合を作り出した後の血液との接触を最小限にする。特には、吻合接続器1がチタンから作られる場合、補強隆条部27は有利である。さらに、環状本体2の前側6における窪みは、封止リングを受け入れるための機会を提供する。吻合接続器1は、縁28が、後側7から離れるように、つまり、ステープルピン9と同じ方向に向けられ、凸状の外面を有する外壁5において、直立の湾曲した縁28を有する。環状本体2に円形の補強隆条部2ではなく代替の補強が設けられ得ることは、留意されている。
【0098】
図28は、本発明による吻合接続器1'の代替の実施形態を示しており、吻合接続器1'は、吻合を作り出すように、
図25~
図27に示されているように吻合接続器1と協働することができる。これは、
図25~
図27に示されているように吻合接続器1と、
図28に示されているように吻合接続器1'とが、本発明による部品のグループの実施形態を形成することができることを意味する。
図28を参照すると、吻合接続器1'の環状本体2'は平坦な前側6'を有する板状に成形されている。協働する吻合接続器1、1'の固定状態において、それらの前側6および6'は、
図25~
図27に示されているように、吻合接続器1の補強隆条部27の外側で互いに接触することができる。協働する吻合接続器1、1'の間のしっかりとした封止は、環状本体2の前側6における窪みに封止リングを適用することで達成できる。
【0099】
図28に示されているような吻合接続器1'は、環状本体2'の外壁5'において第1の結合部材29と1つの第2の結合部材30との対を備える。第1の結合部材29および第2の結合部材30は、前側6'から突出し、フック形の断面を有するように凹んだ内面を有する湾曲した突出部を形成する。曲率は、
図25~
図27に示されているような吻合接続器1の縁28が第1の結合部材29および第2の結合部材30の中に嵌まるようになっている。別の言い方をすれば、縁28の凹んだ外面が第1の結合部材29および第2の結合部材30の凹んだ内面と合致する。前側6'から測定されるときの第1の結合部材29の対の高さは、第2の結合部材30の高さより大きい。永久的に変形可能な係止要素31が第2の結合部材30の上側に設けられる。
【0100】
実際には、
図25~
図28に示されているような吻合接続器1、1'は、次のように互いに付着させられる。外科医が別体の吻合接続器1、1'をそれぞれの血管に固定した後、
図28に示されているような吻合接続器1'は、それぞれの環状本体2、2'が互いに対して斜めにされるときに、吻合接続器1の縁28を、第1の結合部材29の凹んだ内面の中に定められる空間へと挿入することで、
図25~
図27に示されているような吻合接続器1に連結される。この状態で、第1の結合部材29と縁28とは、仮想的な枢動軸を含む枢動部を形成する。続いて、環状本体2、2'は、第2の結合部材30の凹んだ内面の中に定められる空間に縁28がスナップ留めするまで、枢動軸の周りで互いに対して回転させることができる。後者の状態において、環状本体2、2'のそれぞれの前側6、6'は互いと接触する。この場合、縁28の一部分は、第1の結合部材29と協働する第1の結合要素を形成し、縁28の別の一部分が、第2の結合部材30と協働する第2の結合要素を形成する。
【0101】
吻合接続器1、1'を互いにスナップ留めした後、外科医は、結果的にできた吻合が正しく作られたかどうかを確認することができる。そうでない場合、第2の結合部材30における開口32は、第2の結合部材30において吻合接続器1、1'を互いに対して持ち上げ、吻合接続器1の縁28を第2の結合部材30から解放するために、外科医が突き刺し具(図示されていない)をそれぞれの前側6、6'の間に挿入することを許容する。吻合接続器1の縁28も第1の結合部材29から取り外すことができる。結果的にできた吻合が正しく作り出されている場合、外科医は、吻合接続器1、1'のしっかりとした係止を作り出すために、係止要素31を縁28にわたって折り曲げることができる。
【0102】
図37~
図42は、楕円形の環状本体2、2'を有する吻合接続器1、1'の代替の実施形態を示している。対応する要素について、先の実施形態に使用されているのと同じ符号が適用されている。吻合接続器1、1'は、例えば2つの血管の側側吻合などの吻合を作り出すために、互いと協働することができる。
図37および
図38に示されているような吻合接続器1には補強隆条部27が設けられる。
【0103】
図37および
図38に示されているような吻合接続器1は、
図39および
図40に示されているような吻合接続器1'における2つの対の協働する貫通孔37のうちの1つの対に嵌まる第1の耳部36の対を備える。さらに、吻合接続器1は、
図39および
図40に示されているような吻合接続器1'における2つの相対する柔軟な唇部39の一方の背後においてスナップ留めされ得る第2の耳部38を備える。後者の吻合接続器1'は、
図37および
図38に示されているような吻合接続器1が2つの異なる位置で吻合接続器1'に固定され得るように、相対する柔軟な唇部39の間の中心平面に対して対称である。
【0104】
図41および
図42は、
図37~
図40に示されているような吻合接続器1、1'がどのように互いに付着させることができるかを示している。吻合接続器1は、それぞれの環状本体2、2'が互いに対して斜めにされるとき、第1の耳部36を貫通孔37の協働する対の一方へと挿入することで、吻合接続器1'に連結させられる。続いて、環状本体2、2'は、第2の耳部38が唇部39の背後においてスナップ留めするまで、貫通孔37において仮想的な枢動軸の周りで互いに対して回転させることができる。後者の状態において、それぞれの前側6、6'は互いと接触する。第1の耳部36および協働する貫通孔37は、
図25~
図28に示されているような吻合接続器1、1'の縁28および協働する第1の結合部材29と機能的に同等であることは、留意されている。同様に、第2の耳部38および協働する唇部39は、
図25~
図28に示されているような吻合接続器1、1'の縁28および協働する第2の結合部材30と機能的に同等である。この場合、第1の耳部36は第1の結合要素を形成し、第2の耳部38は第2の結合要素を形成するが、貫通孔37の各々の対は第1の結合部材を形成し、柔軟な唇部39の各々は第2の結合部材を形成する。
【0105】
図15~
図20は、吻合接続器1を血管8にその開口において搭載するための適用器17の実施形態を示している。適用器17は、
図16および
図17において視認可能である中心軸部18を有する。中心軸部18は胴部19の内側に搭載され、胴部19の中で胴部19の長手方向に移動可能である。押し子20が、胴部19の周りに搭載され、胴部19の長手方向において胴部19に対して移動可能である。胴部19の遠位端には、自由な遠位端を含む柔軟な腕部21が設けられる。腕部21は、胴部19の長手方向軸に対して径方向に移動可能である。この場合、胴部19および腕部21は剛性の管から作られ、腕部21は、平行なスロット22を切り出すことで作り出され、スロット22は、
図15を見ると、管の周囲において互いからある角度距離に位置付けられ、管の遠位端から管の近位端に向かう場所へと延びる。したがって、腕部21の遠位端は管の遠位端に位置付けられる。代替の実施形態では、柔軟な腕部21は、胴部に固定される別体の要素であり得る、または、腕部は、胴部19に対して枢動可能である柔軟性または剛性の要素であり得る。
【0106】
中心軸部18の遠位端には、太くされた端の部分の形態での拡散要素23が設けられる。腕部21の遠位端は、拡散要素23の周りの周方向に配置される。腕部21の内側と、拡散要素23の協働する外側とは、拡散要素23を含む中心軸部18を胴部19に対してその遠位端から近位端に向かう方向で移動させると、腕部21が外方へ移動させられるように適合させられる。拡散要素23は、腕部21の遠位端が所定の経路に追従するように腕部21の遠位端を案内するための案内溝を有する。
図15~
図20に示されているような拡散要素23および腕部21は、実質的に円形の輪郭を有するが、異なる形を有し得る吻合接続器1を適用するために、楕円などの異なる形を有してもよい。
【0107】
図15は、拡散要素23が腕部21を移動させていない状態を示しており、腕部21は後退位置にあり、後退位置は、この場合には腕部21が胴部19と位置合わせされていることを意味する。
図16は、腕部21が胴部19の長手方向軸に対して外方に移動するように、中心軸部18が胴部19に対してその遠位端から近位端への方向において持ち上げられている状態を示している。
【0108】
腕部21の自由端には、腕部21の外方向に突出するアンビル24がそれぞれ設けられている。アンビル24の数は、血管8に搭載される吻合接続器1のステープルピン9の数に等しい。アンビル24は、押し子20へと向けられる凹んだ上側を有する。凹んだ上側は、例えば部分的に円形であり得る。アンビル24は、押し子20が吻合接続器1をアンビル24へと押すとき、吻合接続器1のステープルピン9を曲げるのに適する。
【0109】
押し子20には、吻合接続器1を一時的に保持するために、磁石または容易に解放可能な材料などの保持デバイス(図示されていない)が設けられる。これは、吻合接続器1が、アンビル24に向けて意図せずに時期尚早に移動するのを防止し、吻合接続器1を血管8に搭載するとき、腕部21における外科医の視覚的制御を提供する。
図17および
図18は、押し子20および吻合接続器1を遠位方向へとアンビル24へ移動させる間の連続的な状況を示している。
図19に示されているような状況において、中心軸部18は、腕部21がそれらの後退位置へ戻るように、胴部19に対してその近位端から遠位端への方向に移動させられる。これは、後退した腕部21の端部分を、吻合開口部4を通じて引っ張ることで、適用器17を吻合部位から取り外させることができる。押し子20の保持デバイスは、押し子20が吻合接続器1の環状本体2から容易に取り外すことができるように適合されている。
【0110】
吻合接続器1を血管8に搭載するために適用器17を使用する外科医は、吻合接続器1が搭載されるべき場所においての切開によって、脈管壁に開口を最初に作り出すことができる。続いて、
図15に示されているような状態で吻合接続器1を含む適用器17は血管8に向けて移動させられることになり、腕部21の自由端および拡散要素23は、拡散要素23と、アンビル24と、アンビル24に隣接する腕部21の区域とが血管8の内部に位置付けられるように、開口を通過させられる。続いて、拡散要素23は、
図16に示されているように胴部19に対して持ち上げられることになる。好ましくは、血管8における開口は、腕部21が外方へ移動する間に開口の周りで血管壁を拡張するようにされる。その理由のため、開口の周りで血管壁に接触するアンビル24に隣接する腕部21のそれぞれの区域の外面は、
図16を参照すると、脈管支持部材25を形成する。アンビル24も腕部21に設けられているが、胴部19から見られるとき、脈管支持部材25を越えて位置付けられることは、留意されている。
【0111】
開口の周りで血管壁を引き伸ばした後、外科医は、吻合接続器1を含む押し子20を、アンビル24に向けて遠位方向に移動させる。ステープルピン9は、アンビル24に到達する前、脈管壁に突き刺さることなく血管8における拡張した開口を通過する。これは、それぞれの腕部の外面における凹所26の存在によって達成される。凹所26は、腕部21の長手方向に延び、脈管壁に突き刺さることなく血管8における拡張した開口を通過するために、ステープルピン9の自由端のための空間を提供する。凹所26は、吻合接続器1のステープルピン9をそれぞれのアンビル24に向けて案内することができるように適合されてもよい。
【0112】
ステープルピン9は、アンビル24に押し付けられるとき、それらの自由端が逆に戻され、吻合接続器1の環状本体2を向いた後、拡張した開口の周りで曲げられ、血管に突き刺さることになる。吻合接続器1が血管8に固定された後、外科医は、適用器17を取り外すと拡散要素23と腕部21の自由端とが環状本体2の吻合開口部4を容易に通過することができるように、中心軸部18を遠位方向において胴部19に対して移動させることができる。
【0113】
図29は、
図25~
図28に示されているような異なる吻合接続器1、1'をそれぞれの血管に搭載するのに適する適用器17の代替の実施形態を示している。
図30~
図36は適用器17をより詳細に示している。
図15~
図20に示されているような実施形態における要素に対応する要素は、同じ符号を有する。適用器17は、アンビル24を含む移動可能な腕部と、遠位端から近位端への方向において腕部に対して移動させるとアンビル24を外方向へ移動させるための拡散要素23とが設けられている。適用器17は、吻合接続器1、1'をアンビル24へと押すための押し子を備えるが、押し子は明確性の理由のために図示されていない。拡散要素23、アンビル24、および押し子は、
図15~
図19に示されているような実施形態と機能的に同等である。
【0114】
適用器17には、吻合接続器1、1'を一時的に保持するために、顎部33の形態での保持デバイスが設けられている。この場合、適用器17は、
図34~
図36を参照すると、環部34の周方向において互いから等角度の距離に位置付けられている3つの顎部33を有する。環部34は適用器17の筐体の一部を形成している。顎部33は環部34に回転可能に搭載される。顎部33はそれぞれの双安定バネ35に固定され、双安定バネ35はさらに、双安定バネ35が径方向外方向に突出する中心リングに固定される。
【0115】
図32および
図34は、顎部33が
図25~
図27に示されているような吻合接続器1をどのように保持するかを示している。吻合接続器1の縁28が、顎部33を吻合接続器1の後側7に接触させるために、対応する開口を備えていることが見て取れる。
図33および
図35は、顎部33が
図28に示されているような吻合接続器1'をどのように保持するかを示している。環部34が、突出する第1の結合部材29および第2の結合部材30と、
図28に示されているような吻合接続器1'の係止要素31とを受け入れることができるように成形されていることが見て取れる。
図32および
図33は、係止要素31が環部34の協働する凹所34aに受け入れられ得ることを示している。これは、適用器17が、両方の異なる吻合接続器1、1'に適用するために万能性になっていることを意味し、これは非常に効率的である。
【0116】
図36は、顎部33が吻合接続器1、1'を適用器17から解放するために外方に移動させられる状況を示している。バネ35の形を、一方における
図36と、他方における
図34および
図35との間で比較するとき、中心リングと顎部33のうちの1つとの間の双安定バネ35が、反対の湾曲した形同士の間で、つまり、顎部33の保持位置と解放位置とに対応する第1の安定した形と第2の安定した形との間で変化することが見て取れる。双安定バネを使用することで、中心リングを環部34に対して遠位方向に移動させると、つまり、
図34および
図35に示されているような位置から
図36に示されているような位置へと移動させると、顎部33の迅速な解放を提供する。
【0117】
図34および
図35を参照すると、押し子(
図29~
図36に示されていない)は環部34の中に位置付けられ、環部34に対して移動可能である。押し子は、吻合開口部4、4'に近いそれぞれの吻合接続器1、1'の前側6、6'だけに接触するように成形されている。さらに、押し子は、前側6、6'に接触すると、またはその瞬間の直前もしくは直後に、バネ35において中心リングにも接触するように成形されている。その結果、ステープルピン9およびアンビル24を互いへと押すことで、顎部33は、自動的に開き、対応する吻合接続器1、1'を解放することになる。結果として、ステープルピン9を曲げ、アンビル24を後退させた後、適用器17は、適用された吻合接続器1、1'から分離され得る。
【0118】
適用器17と、異なる吻合接続器1、1'とは、本発明による協働する部品のキットの実施形態を形成する。適用器17は、両方の種類の吻合接続器1、1'に適用可能である。顎部33の場所、環部34の形、および吻合接続器1、1'の形は、動作状態の下で、アンビル24がステープルピン9と位置合わせされるように選択される。
【0119】
図43~
図45は、
図37~
図40に示されているような異なる楕円形の吻合接続器1、1'をそれぞれの血管に搭載するのに適する適用器17の代替の実施形態の一部を示している。
図15~
図20または
図29~
図36に示されているような実施形態における要素に対応する要素は、同じ符号を有する。先の実施形態と同様に、適用器17には、アンビル24を含む移動可能な腕部21と、アンビル24を外方向へ移動させるための拡散要素23とが設けられるが、それらの形は、楕円形の吻合接続器1、1'に嵌まるために異なる。適用器17は、吻合接続器1、1'をアンビル24へと押すための押し子20も備える。
【0120】
適用器17には、吻合接続器1、1'を一時的に保持するための保持デバイス40が設けられている。保持デバイス40は、2つの相対する柔軟な脚部42がアンビル24に向けて突出する円板41を有する。脚部42は、それぞれの曲げの上方の脚部42の区域が対応する吻合接続器1、1'の環状本体2、2'を支持することができるように内向きに若干曲げられている自由端部分43を有する。動作状態の下で、自由端部分43は、次のように、それぞれの腕部21における開口44と協働する。押し子20がアンビル24に向けて移動するとき、円板41は、初めに押し子20の上面に位置し、対応する吻合接続器1、1'の環状本体2、2'を押し子20に接したままにする一方で、脚部42も拡散した腕部21に沿ってアンビル24に向けて移動するように、押し子20と一緒に移動する。押し子20、腕部21、および脚部42は、押し子20、腕部21、および脚部42の所定の相対位置において、自由端部分43が、腕部21のそれぞれの開口44へと入り込むことで、内向きに移動し、対応する吻合接続器1、1'をもはや支持しないように成形される。押し子20をアンビル24に向けてさらに移動させるとき、自由端部分43は、保持デバイス40がアンビル24に向けてさらに移動できず、それによって、対応する吻合接続器1、1'が解放されることを確保するように、それぞれの開口44の下方の縁に接することができる。脚部42は、腕部21に沿っての自由端部分43の移動の間、脚部42が弾性的に外方へ移動させられ、自由端部分43がそれぞれの開口44に到達するとすぐに跳ね返るように、弾性的であり得る。
【0121】
図46~
図47は、
図37~
図40に示されているような異なる楕円形の吻合接続器1、1'をそれぞれの血管に搭載するのに適する適用器17の別の代替の実施形態の一部を示している。
図43~
図45に示されているような実施形態における要素に対応する要素は、同じ符号を有する。
図43~
図45に示されているような実施形態と同様に、適用器17には、アンビル24を含む移動可能な腕部21と、腕部21を外方向へ移動させるための拡散要素23とが設けられている。この場合、それぞれの相対する腕部21において脚部42の2つの対がある。
図47は、湾曲した自由端部分43の上方の脚部42が吻合接続器1'をどのように支持するかを示している。動作条件の下で、押し子20をアンビル24に向けて移動させるとき、自由端部分43は、内方へ移動し、対応する吻合接続器1'をもはや支持しないため、その吻合接続器1'を適用器17から解放するように、腕部21のそれぞれの開口44へと入り込むことになる。
【0122】
上記のことから、本発明が、脈管同士の間、具体的には、冠動脈バイパスグラフト(GABG)のような細い血管同士の間に、信頼できる吻合を作るための機会を提供することは、明らかである。本発明は、例えば透析用シャント構築を含む脈管手術などの他の手術分野において使用されてもよい。
【0123】
本発明は、図面に示されている実施形態および先に記載されている実施形態に限定されず、それら実施形態は、請求項の範囲内およびその技術的均等の範囲内において、異なる様態で変化させることができる。例えば、本発明は、端側吻合または端端吻合にも適用可能である。
【符号の説明】
【0124】
1、1' 吻合接続器
2、2' 環状本体
3、3' 内壁
4、4' 吻合開口部
5、5' 外壁
6、6' 前側
7、7' 後側
8、8' 血管、脈管
9 ステープルピン
10 切り欠き
11 封止層
12 窪んだ縁部分
13 延伸PTFEの層
14 凹所、磁石
15 留め具
16 柔軟なリング
17 適用器
18 中心軸部
19 胴部
20 押し子
21 腕部
22 スロット
23 拡散要素
24 アンビル
25 脈管支持部材
26 凹所
27 補強隆条部
28 縁
29 第1の結合部材
30 第2の結合部材
31 係止要素
32 開口
33 顎部
34 環部
34a 凹所
35 双安定バネ
36 第1の耳部
37 貫通孔
38 第2の耳部
39 柔軟な唇部
40 保持デバイス
41 円板
42 脚部
43 自由端部分
44 開口
【国際調査報告】