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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】内腔弁留置患者の結果予測
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/00 20180101AFI20241029BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
G16H50/00
A61B5/00 101L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523749
(86)(22)【出願日】2022-10-19
(85)【翻訳文提出日】2024-06-18
(86)【国際出願番号】 US2022078343
(87)【国際公開番号】W WO2023069978
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】63/262,776
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.イーサネット
(71)【出願人】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク ディー/ビー/エー オリンパス サージカル テクノロジーズ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・イー・ニッケソン
(72)【発明者】
【氏名】トルステン・エム・ライオン
【テーマコード(参考)】
4C117
5L099
【Fターム(参考)】
4C117XB01
4C117XB04
4C117XB09
4C117XD23
4C117XE24
4C117XE27
4C117XE57
4C117XQ13
5L099AA04
(57)【要約】
側副換気データに基づいて、患者が内腔弁を装着する候補であるかどうかを決定するためにモデルをトレーニングするための方法、システム、およびユースケースの様々な態様が使用され得る。方法は、肺の呼吸気道を介して空気を受け取ることができないように閉塞されている患者の肺のターゲット部分における圧力または空気流に基づいて、センサデータを受信するステップを含み得る。本方法は、特定の患者のターゲット肺部分に側副換気が存在するかどうかのしるしを介して患者の呼吸結果を予測するために、トレーニングデータに少なくとも部分的に基づいて(たとえば、センサデータに基づいて)機械学習モデルをトレーニングするステップを含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内腔弁留置の患者の結果の予測を支援するために、コンピュータベースの臨床意思決定支援システムにおいて使用するための機械学習モデルをトレーニングするための側副換気定量化システムであって、側副換気定量化システムは、
肺の呼吸気道を介して空気を受け取ることができないようにデバイスによって閉塞されている患者の前記肺のターゲット部分における圧力または空気流の少なくとも1つに基づいてデータをキャプチャするための少なくとも1つのセンサと、
処理回路と、
前記処理回路によって実行されると、前記処理回路に、
トレーニングデータを生成するために、対応する患者の呼吸結果に基づいて前記受信データにラベル付けすることと、
特定の患者のターゲット肺部分に側副換気が存在するかどうかのしるしを介して、1つまたは複数の患者の呼吸結果を予測するために、前記トレーニングデータに少なくとも部分的に基づいて機械学習モデルをトレーニングすることと、
前記機械学習モデルを記憶することと
を含む動作を実行させる命令を含むメモリと
を備える、システム。
【請求項2】
内腔弁留置の患者の結果の予測を支援するために、コンピュータベースの臨床意思決定支援システムにおいて使用するための機械学習モデルをトレーニングするための方法であって、
前記肺の呼吸気道を介して空気を受け取ることができないようにデバイスによって閉塞されている患者の肺のターゲット部分における圧力または空気流の少なくとも1つを示す、少なくとも1つのセンサによってキャプチャされたデータを受信するステップと、
トレーニングデータを生成するために、対応する患者の呼吸結果に基づいて前記受信データにラベル付けするステップと、
特定の患者のターゲット肺部分に側副換気が存在するかどうかのしるしを介して、1つまたは複数の患者の呼吸結果を予測するために、前記トレーニングデータに少なくとも部分的に基づいて機械学習モデルをトレーニングするステップと、
前記機械学習モデルを出力するステップと
を含む、方法。
【請求項3】
前記閉塞された呼吸気道がバルーンによって閉塞されて流出気道を遮断し、前記受信データが流入気道に加えられた陽圧に基づく圧力データである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記加えられる陽圧が一定の加えられる圧力を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記機械学習モデルをトレーニングするステップは、肺部分の容積データ、前記患者の医用画像、亀裂完全性スコア、前記患者の疾患状態、患者の年齢、または前記患者の併存疾患のうちの少なくとも1つを追加の入力データとして使用するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記対応する患者の呼吸結果は、前記受信データに基づいて前記患者が前記肺の前記ターゲット部分において側副換気を行っているかどうかの臨床医の決定を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記対応する患者の呼吸結果は、前記患者の呼吸の客観的結果、または前記患者の体内に内腔弁を挿入するための処置後に取得された患者が報告した呼吸評価を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
側副換気が特定の患者のターゲット肺部分に存在するかどうかの前記しるしは、側副換気が存在するか側副換気が存在しないかのバイナリ表示として前記モデルから出力される、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記モデルから、前記患者が前記ターゲット部分において側副換気を行っている確率を含む前記しるしが出力される、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記デバイスを使用して、前記肺の前記ターゲット部分の前記呼吸気道を閉塞するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記データを受信するステップは、前記肺の前記ターゲット部分における前記空気流または前記圧力の測定データを反復的または定期的に取得するステップを含む、請求項2から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記閉塞された呼吸気道は、流出空気を許容しながら流入気道を遮断する弁によって閉塞され、前記受信データが流出空気データである、請求項5から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記肺の呼吸気道を介して空気を受け取ることができないようにデバイスによって閉塞されている患者の肺のターゲット部分における圧力または空気流の少なくとも1つを示す、少なくとも1つのセンサによってキャプチャされたデータを受信するステップと、
前記患者の患者の呼吸結果を予測するために、入力された以前の患者センサデータとラベル付けされた対応する以前の患者の呼吸結果を含むトレーニングデータに少なくとも部分的に基づいてトレーニングされた機械学習モデルを実装するステップと、
前記機械学習モデルからの前記予測に基づいて、側副換気が存在するかどうか、または前記予測された患者の呼吸結果が前記患者の体内への内腔弁の留置に対応するかどうかのうちの少なくとも1つのしるしを出力するステップと
を含む、方法。
【請求項14】
前記しるしを出力するステップは、側副換気が存在することを識別するステップ、およびそれに応じて、前記内腔弁を用いて前記患者を治療するという推奨を表示するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記しるしを出力するステップは、側副換気が存在しないことを識別するステップ、およびそれに応じて、前記内腔弁を用いて前記患者を治療しないという推奨を表示するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記閉塞された呼吸気道がバルーンによって閉塞されて流出気道を遮断し、前記受信データが流入気道に加えられた陽圧に基づく圧力データである、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記加えられる陽圧が一定の加えられる圧力を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記しるしを出力するステップは、前記患者が前記ターゲット部分において側副換気を行っている確率を出力するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記デバイスを使用して、前記肺の前記ターゲット部分の前記呼吸気道を閉塞するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記データを受信するステップは、前記肺の前記ターゲット部分における前記空気流または前記圧力の測定データを反復的または定期的に取得するステップを含む、請求項13から19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2021年10月20日に出願された「ENDOLUMINAL VALVE PLACEMENT PATIENT OUTCOME PREDICTION」という名称の米国仮出願第63/262776号に対する優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
内腔弁は、呼吸した空気を罹患領域から肺のより健康な部分に方向転換するために、肺の罹患部分に通じる気道の内側に留置され得る。これらの内腔弁は、呼吸された空気が肺の罹患部分に入るのを防ぎながら、空気および体液(たとえば、粘液)が肺の罹患部分から逃げることを可能にする逆止弁である。肺の罹患部分(たとえば、重大な肺気腫のある肺領域)は容積が増加する傾向があり、他の部分が適切に拡張することを妨げるため、内腔弁留置は、肺の罹患部分(O2-CO2ガス交換に寄与しない)によって占められる容積を減らすための有効な治療法である。罹患部分の容積を減らすと、呼吸サイクル中に完全に膨張するためのより多くのスペースが健康な肺の部分に提供され、これにより著しくより多くのガス交換が可能になる。残念ながら、一部の肺の罹患部分は、側副換気から空気流を受けてよく、側副換気では、ガスが1つの肺ユニットから、たとえば肺胞孔および/または直接気道吻合部などの側副チャネルを通じて隣接する肺ユニットに通過する。ある程度の側副換気が存在する場合でも内腔弁留置は有効な治療法であり得るが、側副換気の程度が比較的高い場合、内腔弁留置は肺容積減少に対する効果のない治療法となり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
図面においては、必ずしも縮尺どおりに描かれていないが、異なる図面において同様の数字は同様の構成要素を表し得る。異なる文字の接尾辞を有する同様の数字は、同様の構成要素の異なるインスタンスを表し得る。図面は、本明細書で議論される様々な実施形態を、限定ではなく例として一般的に示している。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本開示の少なくとも1つの例による、例示的な側副換気定量化システム(CVQS)を示す図である。
図2】本開示の少なくとも1つの例による、機械学習モデルのトレーニング図である。
図3】本開示の少なくとも1つの例による、機械学習モデル推論図である。
図4A】本開示の少なくとも1つの例による、側副換気を示す流れと圧力の図である。
図4B】本開示の少なくとも1つの例による、側副換気を示す流れおよび容積図である。
図4C】本開示の少なくとも1つの例による、側副換気の欠如(CVが存在しない)を示す流れと圧力の図である。
図4D】本開示の少なくとも1つの例による、側副換気の欠如(CVが存在しない)を示す流れと容積の図である。
図5】本開示の少なくとも1つの例による、側副換気データに基づいて、患者が内腔弁を装着する候補であるかどうかを決定するためにモデルをトレーニングするための技法を示すフローチャートである。
図6】本開示の少なくとも1つの例による、本明細書で議論される技法のうちのいずれか1つまたは複数が実行され得る例示的な機械のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
上述したように、肺の一部の罹患部分は、側副換気および/または側副チャネルから空気流を受けることがある。それの程度によっては、この側副換気(CV)により、内腔弁留置が肺容積減少に対する効果のない治療になり得る。これは、内腔弁が適切に機能し、正常な気道(たとえば、気管支など)を介して肺の罹患部分に空気が入るのを防ぎ得るが、側副換気は、弁が留置されている正常な気道を通らずに空気が罹患部分に自由に入る程度に存在し得るためである。したがって、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者を内腔弁の留置を用いて治療する前に、COPD患者が内腔弁留置に十分に反応しない可能性が高い程度に、側副換気を介して空気流を受けていないことを確認するために、通常、ターゲットとなる肺領域が評価される。
【0006】
CVのターゲット肺領域を評価するために、側副換気定量化システム(CVQS)が使用され得る。CVQSは、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)など上に、センサデータ(たとえば、圧力および/または空気流)を出力し得る。特定の非限定的な例として、閉塞した肺葉内の圧力および閉塞した肺葉に入る(または、肺葉から出る)空気流の測定値が、定期的または継続的にサンプリングされ得る。出力は、経時的なグラフおよび/またはデータポイントを含み得る。臨床医(たとえば、医師、外科医、専門家など)は、ターゲット肺領域にCVが存在するかどうか、および/またはCVの程度を決定するために、センサデータを評価し得る。しかしながら、いくつかの例では、臨床医は、CVが存在するかどうかを決定できなくてもよく、CVが存在するかどうかを評価するために長い時間がかかってもよく、および/または存在するCVの程度を高い信頼性で正確に決定できなくてもよい。いくつかの例では、CVがある程度存在する場合でも、いくつか例を挙げると、患者の年齢、体重、肥満指数(BMI)、病歴などの様々な要因に応じて、患者は依然として内腔弁の留置から恩恵を受け得る。しかしながら、内腔弁留置による良好な結果の可能性は、臨床医の評価だけでは決定し得ない。
【0007】
本明細書に記載されるシステムおよび技法は、患者がCVを有するかどうかに関連する情報を提供するために、モデル(たとえば、人工知能としても知られる機械学習技法を使用するなどの、分類器、トレーニングされたモデルなど)を提供する。モデルは、患者のターゲット肺領域にCVが存在する(CV+)またはCVが存在しない(CV-)というしるしを出力し得る。いくつかの例では、モデルは、CVが存在するかどうかの確率および/または信頼レベル、CVの程度(たとえば、低、中、高などのCV流量の推定、経時的な流量結果など)、閉塞した肺部分と隣接する肺部分との間の側副抵抗の程度などを出力し得る。
【0008】
一例では、モデルは、(CVが存在するかどうかの代わりに、またはCVが存在するかどうかに加えて)患者が内腔弁の適切な候補であるかどうかのしるしを出力し得る。この例では、しるしはCVの決定を含み得るが、CVが存在するかどうかに完全に依存しなくてもよい。たとえば、患者は、いくつかの例では、いくつかのCVを有しているにもかかわらず、内腔弁から利益を得てもよい。
【0009】
図1は、本開示の少なくとも1つの例による、例示的な側副換気定量化システム(CVQS)100を示している。CVQS100は、陽圧システムとして示されているが、他の例では、陽圧を含まなくてもよい。たとえば、図示されたCVQS100は、肺部分への空気流を含むが、他の例は、肺部分への空気流を防ぎながら、肺部分からの空気流を可能にするシステムを含み得る。一般的に言えば、いくつかの例では、肺部分に側副換気が存在するかどうかを決定するために、肺部分に出入りする空気流が制限される。
【0010】
CVQS100は、CVQSデバイス102およびCVQSチュービングキット104を含む。CVQSデバイス102は、流量計106、圧力計108、ディスプレイデバイス110(たとえば、グラフィカルユーザインターフェースを含む)、および定圧空気供給装置112(たとえば、持続的気道陽圧法CPAP)を含む。いくつかの例では、CVQSデバイス102は、これらの構成要素のうちの1つまたは複数を含まなくてもよい。たとえば、定圧空気供給装置112は使用されなくてもよい(そして任意で、この例では流量計106および圧力計108が省略されてもよい)。一例では、ディスプレイデバイス110は、CVQSデバイス102から遠隔に配置されてもよい(たとえば、イーサネット、Wi-Fi、Bluetoothなどのワイヤードまたはワイヤレス通信アーキテクチャを介して通信可能に結合される)。
【0011】
CVQSチュービングキット104は、肺部分に空気を加えるために使用されるチューブ、および/または肺部分から空気を除去するチューブなどの、様々なチューブおよび/またはフィルタを含み得る。CVQSチュービングキット104は、肺部分への空気の出入りを制限し得る逆止弁114を含む。CVQS100に示される例では、逆止弁114は、肺部分からの空気流を阻止するが、空気が肺部分に流入することを可能にする(たとえば、定圧空気供給装置112を介して)。他の例では、逆止弁は肺部分への空気流を防ぎ、空気が肺部分から出ることを可能にし得る。
【0012】
図1に示されるCVQS100は、肺の閉塞部分に陽圧を供給し、経時的な圧力(圧力計108を使用)および/または経時的な流量(流量計106を使用)を測定する。閉塞した肺部分が側副路を介して空気を換気しているかどうかを評価するために、経時的な圧力および/または流量が使用され得る。ターゲット肺部分は、閉塞バルーン(たとえば、オリンパス社のバルーンカテーテルB7-2C)、内腔弁、および/または他の適切な閉塞デバイス116を用いて閉塞され得る。一例では、バルーンカテーテルは、気道内で膨張することによって肺の一部または複数の部分を一時的に隔離する。気道内で膨張している間、CVQSデバイス102は、カテーテルの内腔を通る空気流を、たとえば一定の圧力において(たとえば、10cmH2Oにおいて)提供し得る。カテーテル内腔を通る空気流は、CVQSデバイス102の流量計106および/または圧力計108によって監視され得、データ(たとえば、流量、圧力、および/または総容積)が出力され得る。出力は、ディスプレイデバイス110(たとえば、ポータブルコンピュータ、モバイルデバイスなど)上に表示され得る。いくつかの例では、出力は表示されずに記憶される。出力は、機械学習トレーニング済みモデルなどを介して、患者の状態(たとえば、側副換気の有無、および/または内腔弁の適切な候補か、適切ではない候補か)を予測するために使用され得る。
【0013】
チュービングキット104は、バルーンカテーテルをCVQSデバイス102に接続し得る。チュービングキット104は、たとえば1~10分間(たとえば、3~5分間)、5~20分間(たとえば、約10分間)などの間、ターゲット肺葉への空気流(たとえば、定圧空気供給装置112によって供給される)のみを可能にするためのフィルタおよび逆止弁を含み得る。バルーンカテーテルを通る流れは、組織内の側副換気の量によって影響を受け得る。たとえば、呼気終末圧力がCVQS源圧力と等しくなるまで、空気は閉塞肺葉に流入し続け得る。側副換気が存在する場合、空気は側副路を通って逃げるときに肺葉に流入し続ける(たとえば、終圧に達しなくてもよい、または到達しても流れが続いてもよい)。空気が側副換気チャネルを介して閉塞した葉から隣接する葉に逃げることができる場合、肺葉の圧力が均一にならず、および/または閉塞カテーテル内腔などを介して閉塞葉に空気が流入し続けてもよく、および/または側副換気チャネルを介して閉塞葉から流出してもよい。
【0014】
一部の肺気腫または他の肺患者では、肺の肺胞が腫れて、ガス交換ができなくなることがある。肺胞が大きくなると、他の肺葉を圧迫し、交換される空気の量が減ってしまう。肺部分から空気が出るが流入しないようにするために内腔弁が使用され得、それによって肺の罹患部分の肺容積が減少する。このタイプの弁は、これらの患者のいくつかの症状に関連付けられる問題を軽減し得る。しかしながら、側副換気が存在する場合、側副チャネルを介して肺葉間で空気が漏れると、弁が機能しなくなったり、弁の効果が低下したりし得る。側副換気は、肺葉間および/または肺葉の部分間で空気が移動する場合に発生し得る。肺気腫患者では側副換気が行われ得る。一部の患者では、肺の亀裂が壊れて肺葉の間に突破口が開き、その結果側副換気が起こる。いくつかの例では、患者が内腔弁の適切な候補であるかどうかを評価するために、亀裂完全性スコアが使用され得る。たとえば、患者の亀裂完全性スコアが90%程度を超える場合、肺葉は患者の体内に弁を留置できるほど十分に無傷であると評価され得る。スコアが90%未満の場合、内腔弁が有効であるかどうかについて、より不確実性が存在し得る。CVQS100は、患者を評価して患者が内腔弁から恩恵を受けるかどうかを決定するために、機械学習トレーニング済みモデルとともに使用され得る。
【0015】
図2は、本開示の少なくとも1つの例による、機械学習モデルのトレーニング図200である。図200は、機械学習を使用してモデル202をトレーニングするための構成要素および入力を示している。
【0016】
機械学習(ML)は、データ分析において見つかったパターンに基づいて推論を行うことによって、明示的にプログラムせずに、タスクを実行する機能をコンピュータシステムに提供するアプリケーションである。機械学習は、既存のデータから学習して新しいデータについて予測を行い得る、本明細書ではツールとも呼ばれるアルゴリズムの研究と構築を探求する。いくつかの機械学習ツールに関して例が提示されるが、本明細書で示される原理は他の機械学習ツールにも適用され得る。
【0017】
機械学習アルゴリズムは、結果に影響を与える識別された特徴間の相関関係を見つけるために、データ(たとえば、アクションプリミティブおよび/またはインタラクションプリミティブ、目標ベクトル、報酬など)を使用する。特徴とは、観察されている現象の個別に測定可能な特性である。モデル202の例示的な特徴は、内腔弁の有無にかかわらず、診断データ(たとえば、医師からの)、報告された患者結果データ、ならびに/あるいは患者の状態および/または状況に関する他のラベルを含み得る。ラベルデータを含み得る、および/またはラベルデータと呼ばれ得る特徴は、圧力データ、流量データなどの入力データと比較され得る。
【0018】
特徴の概念は、線形回帰などの統計技法において使用される説明変数の概念に関連している。有益で、識別力があり、独立した特徴を選択することは、パターン認識、分類、および回帰におけるMLの有効な動作のために重要である。特徴は、数値特徴、文字列、およびグラフなど、様々なタイプであり得る。
【0019】
トレーニング中、MLアルゴリズムは、識別された特徴と、任意でトレーニング用に定義された構成パラメータ(たとえば、環境データ、状態データ、人口動態および/または併存疾患などの患者データ)に基づいて入力データを分析する。トレーニングの結果はモデル202であり、複雑なタスクを生成するために入力を受け取ることができる。
【0020】
一例では、入力データはラベル付けされ得る(たとえば、トレーニング段階における特徴として使用するために)。ラベル付けは、処置後および/または処置なし後の患者の状態および/または状況を識別することを含み得る。たとえば、患者の状態および/または状況は、内腔弁介入を含む、または含まないとしてラベル付けされ得る。患者の状態および/または状況は、客観的結果(たとえば、CVが存在したか否か、客観的検査に基づいて患者の呼吸が改善したなど)および/または主観的結果(たとえば、患者は呼吸および/または生活の質の改善を認識し、臨床医は視覚的決定を使用するなどしてCVが存在したかどうかを評価する)を含み得る。結果は、介入後(または、介入なし)の3か月および/または6か月など、経時的に識別され得る。時間ラベルは重み付けされてもよく、および/またはモデル202の異なるバージョンを生成するために使用されてもよい。客観的な結果の例は、亀裂完全性スコアを含む。スコアは、90以上はCVなしを示し、80以下はCVを示すなど、重み付けされ得る。いくつかの例では、ラベルはCVの程度に対する重み付けを含み得る。これらの例では、モデル202を改善するために、重み付けは流量が少ないか多いかに基づき得る。本明細書で説明するいくつかの結果は、初期トレーニング後にモデル202を更新するために使用され得る。
【0021】
モデル202の入力トレーニングデータは、上で論じたように、圧力データおよび/または流量データを含み得る。入力データに使用される他のデータは、対応する亀裂完全性スコア、疾患状態、患者の年齢、感染などの交絡因子などを伴うCTスキャン(たとえば、高解像度)を含み得る。
【0022】
人工ニューラルネットワークとも呼ばれるニューラルネットワークは、動物の脳の生物学的ニューラルネットワークの考察に基づくコンピューティングシステムである。そのようなシステムは、通常はタスク固有のプログラミングを行わずに、学習と呼ばれるタスクを実行するためのパフォーマンスを徐々に向上させる。たとえば、画像認識において、ニューラルネットワークは、物体の名前がタグ付けされた例示的な画像を分析することによって、物体を含む画像を識別するように学習され、物体と名前を学習すると、タグなしの画像において物体を識別および/または分類するためにその分析結果を使用し得る。たとえば、図2において、モデル202は、入力データ(たとえば、圧力および/または流量)に基づいて患者がCVを有するか否かを識別し、および/または患者を分類する(たとえば、内腔弁の候補として、またはそうでないものとして、および/あるいは内腔弁処置の成功の確率および/または信頼度とともに)ようにトレーニングされ得る。
【0023】
ニューラルネットワークは、ニューロンと呼ばれる接続されたユニットの集合に基づいており、ニューロン間のシナプスと呼ばれる各接続は、接続の強度に応じて異なる活性化強度を有する一方向信号を送信することができる。受信ニューロンは、信号を活性化し、それに接続されている下流のニューロンに信号を伝播することができ、これは、通常、多くの送信ニューロンからの信号である可能性のある結合された受信信号が十分な強度であるかどうかに基づいて行われ、強度はパラメータである。
【0024】
ディープニューラルネットワーク(DNN)は、複数の層で構成される積層型ニューラルネットワークである。層はノードで構成され、ノードは計算が行われる場所であり、人間の脳のニューロン上に緩やかにパターン化されており、十分な刺激に遭遇するとニューロンが起動する。ノードは、データからの入力を係数のセットおよび/または重みと組み合わせて、その入力を増幅または減衰させ、アルゴリズムが学習しようとしているタスクの入力に重要性を割り当てる。これらの入力と重みの積が合計され、信号がネットワーク内をさらに進んで最終的な結果に影響を与えるかどうか、またその程度を決定するために、その合計がノードのいわゆるアクティベーション関数に渡される。DNNは、特徴の抽出および変換に非線形処理ユニットの多くの層のカスケードを使用する。後続の各層は、前の層からの出力を入力として使用する。上位レベルの特徴は、階層表現を形成するために下位レベルの特徴から導出される。入力層に続く層は、入力のフィルタリング結果であり、次の畳み込み層によって使用される特徴マップを生成する畳み込み層であり得る。
【0025】
DNNは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、リカレントニューラルネットワーク(RNN)、ロングショートタームメモリ(LSTM)などの特定のタイプのDNNであってもよい。いくつかの例では、他の人工ニューラルネットワークが使用され得る。いくつかの例では、ニューラルネットワークの代わりに分類器が使用され得る。分類器は隠れ層を含まなくてもよいが、特定の入力を特定の出力に対応するものとして分類し得る。たとえば、圧力および/または流量データのセットについて、CVかCVではないかの識別が分類器によって生成され得る。
【0026】
モデル202をトレーニングするための入力データは、医師および/または患者からのラベル付きデータとともに、CVQS(たとえば、図1のCVQS100)からキャプチャされたデータを含み得る。モデル202は、側副換気の存在(または、その欠如)を決定するため、および/または患者が内腔弁の候補であるかどうかを示すための推論段階(図3に関して以下でさらに詳細に説明される)で使用され得る。
【0027】
図2に示されるように、トレーニングデータは、CVQSの流量計および/または圧力センサによって取得された定量化可能な測定値を表す測定信号から構成される信号トレーニングデータを含み得る。たとえば、トレーニングデータは、CVQSによって閉塞されており、閉塞された肺葉と流体連通している1つまたは複数の気道への内腔弁留置による治療が検討されている肺葉への、および/または肺葉からの空気流の測定値を含み得る。肺葉が閉塞されているため、閉塞空気通路を介して閉塞肺葉に出入りする空気流は、閉塞デバイスをバイパスするCVQSの内腔を完全に通過することになることが理解されるであろう(たとえば、閉塞デバイスが完全なシールを形成すると仮定するが、現実問題として、実生活の環境では常に発生するとは限らない)。信号トレーニングデータは、患者を能動的に換気しているCPAP機械(たとえば、図1の定圧空気供給装置112)によって提供されるデータを含み得る。いくつかの例では、トレーニングデータは、医師および/または患者によって(たとえば、ラベリングデータとして)提供される注釈トレーニングデータを含み得る。たとえば、医師は、患者固有のCVQSデータセットに、CVが存在する、またはCVが存在しないとして注釈を付けることができ、ならびに/あるいは患者固有のCVQSデータセットにCVおよび/または側副抵抗性(Rcoll)の評価程度を表すものとして注釈を付けることができる。この注釈付きトレーニングデータは、モデル202をトレーニングするために使用され得る。追加的に、または代替的に、患者固有のCVQSデータセットに、弁を留置したか否かの後の主観的な患者結果フィードバックを用いて注釈を付けることができる。たとえば、個々の患者は、患者固有のCVQSデータセットを生成するためにCVQSの動作を介して評価され得る。次いで、この評価に続いて、1つまたは複数の内腔弁が患者の体内に留置され得、この弁留置手順に続いて(たとえば、バルブ留置後1週間、バルブ留置後1か月など)、患者は知覚された改善または改善の欠如についての主観的なフィードバックを提供し得る。患者の結果フィードバックは、弁の留置から生じる知覚された寿命の改善のスライドスケール値を含み得る(たとえば、以前に報告された息切れが弁の留置手順後にどのように改善したかを1~10のスケールで)。
【0028】
信号トレーニングデータおよび/または注釈トレーニングデータに基づいて、モデル202は、入力層、出力層、および1つまたは複数の隠れ層にわたって広がる個々の処理ノードに対応する出力重みを生成し得る。モデル202およびトレーニングされた重みは、後に、検討中の患者からの新たな入力に基づいて、CV+またはCV-のしるし、CVの程度のしるし、および/またはあらかじめ定められたタイプの治療(たとえば、内腔弁留置)に対する患者の適合性を推測するために使用され得る。
【0029】
図3は、本開示の少なくとも1つの例による、機械学習モデル推論図300を示している。推論図300において、患者にCVが存在するかどうか、治療が推奨されるか(たとえば、内腔弁)どうかなどの予測を出力するために、モデル302(たとえば、トレーニング後および/または更新時のモデル202など)が使用され得る。信頼レベルおよび/または重み付けは、予測として、または上で論じた他の予測に加えて出力され得る。機械学習モデル推論図300は、COPD患者の肺の罹患部分と流体連通している1つまたは複数の気管支気道への1つまたは複数の内腔弁の留置から生じる患者固有の結果を予測する際に支援するように構成された、例示的なコンピュータベースの臨床意思決定支援システム(CDSS)を表し得る。
【0030】
図3に示されるように、モデル302は、CVQS(たとえば、図1のCVQS100)から、圧力データ、流量データ、および/またはCPAP機械(たとえば、図1の定圧空気供給装置112)によって提供されるデータならびに/あるいは患者データなどの他のデータなどの信号を入力として受信し得る。モデル302は、患者適合性評価(たとえば、CVが存在する、またはCVが存在しない)、予測される患者の結果(たとえば、現在観察されている入力信号に基づいて弁留置を実行した場合に起こり得る患者の結果のしるし)、信頼水準(たとえば、「CVが存在しない」患者の適合性評価に95%の信頼がある、弁の留置によって息切れが軽減されることに95%の信頼があるなど)、推定されるCVの量などを含む出力(たとえば、推論)を生成し得る。モデル302は、患者がCVQS処置を受けている間、および/または完了直後に発生する実行時間を有し得る。モデル302は、現在の患者が側副換気を行っているかどうか、および/または現在の患者が閉塞した肺葉への弁の留置から利益を得ることができるかどうかについての迅速な現場評価を医師に提供し得る。
【0031】
図4Aは、本開示の少なくとも1つの例による、側副換気の例を示す流れと圧力の図を示している。図4Aは、バルーン閉塞が生じたかどうか(たとえば、20秒において)を示す矢印を含む。CVのしるしはトレーニングを受けていない目には容易に見えず、いくつかの例では、トレーニングを受けた医師にも検出できなくてもよい。一例では、図4Aに示される出力グラフは、対応する患者がCVを有するかどうかを判定するために、機械学習トレーニング済みモデルへの入力として使用され得る。モデルは、グラフおよび/または基礎となるデータからCVが存在するかどうかを決定するために、分類器および/またはニューラルネットワークを使用し得る。
【0032】
図4Bは、本開示の少なくとも1つの例による、側副換気の一例を示す流れおよび容積図を示している。縦のグラフ部分は流量データを表し、増加する線は総流量を表す。
【0033】
図4Cは、本開示の少なくとも1つの例による、側副換気の欠如(CVが存在しない)の一例を示す流れと圧力の図を示している。図4Dは、本開示の少なくとも1つの例による、側副換気の欠如(CVが存在しない)の一例を示す流れと容積の図を示している。側副換気が存在しない場合、閉塞肺葉内の圧力が元の圧力に達すると、空気流が弱まる、および/または停止する。評価の実行中に人工呼吸器が一時停止された場合、空気は、CPAP圧力まで加圧されるまで継続的に肺葉に流入する。図4C図4Dに示されるグラフは(CV陰性、CVが存在しない)状態を表している。
【0034】
図5は、本開示の少なくとも1つの例による、側副換気データに基づいて、患者が内腔弁を装着する候補であるかどうかを決定するためにモデルをトレーニングするための技法500を示すフローチャートを示している。技法500は、メモリに記憶された命令を実行することによってプロセッサによって実行され得る。
【0035】
技法500は、肺の呼吸気道を介して空気を受け取ることができないように閉塞されている患者の肺のターゲット部分における圧力および/または空気流に基づいて、たとえばセンサによってキャプチャされたデータを受信する動作502を含む。閉塞した呼吸気道はバルーンによって閉塞され、流出気道を遮断することがある。この例では、受信データは、流入気道に加えられた陽圧などに基づく圧力データであり得る。加えられる陽圧は、定圧、たとえば10cmH2Oの定圧を含み得る。いくつかの例では、閉塞された呼吸気道は、流出空気を許容しながら流入気道を遮断する弁によって閉塞され、受信データは流出空気データである。一例では、動作502は、肺のターゲット部分における空気流および/または圧力の測定データを定期的に取得することを含む。
【0036】
技法500は、トレーニングデータを生成する、および/またはラベル付きデータを受信するために、対応する患者の呼吸結果に基づいて受信データにラベル付けする動作504を含む。一例では、対応する患者の呼吸結果は、受信データに基づいて患者が肺のターゲット部分において側副換気を行っているかどうかの臨床医の決定を含む。他の例では、対応する患者の呼吸結果は、患者の呼吸の客観的測定基準、および/または患者の体内に内腔弁を挿入するための処置後に取得された患者が報告した呼吸評価を含む。いくつかの例では、対応する患者の呼吸結果の組合せが使用され得る。
【0037】
技法500は、特定の患者のターゲット肺部分に側副換気が存在するかどうかの表示を介して患者の呼吸結果を予測するために、トレーニングデータに少なくとも部分的に基づいて機械学習モデルをトレーニングするための動作506を含む。動作506は、容積データ、患者の医用画像、亀裂完全性スコア、患者の疾患状態、患者の年齢、および/または患者の併存疾患のうちの少なくとも1つを追加の入力データとして使用するステップを含み得る。しるしは、側副換気陽性または側副換気陰性のいずれかのバイナリ表示を含み得る(たとえば、テキストおよび/または画像を表示するユーザインターフェースを介して、CV陽性の場合は緑色の光、またはCV陰性の場合は赤色光などの光を介して)。しるしは、患者が側副換気陽性である可能性、信頼レベルなどを含み得る。
【0038】
技法500は、機械学習モデルを出力するための動作508を含む。動作508は、機械学習モデルを展開すること(たとえば、API、インターネット、ダウンロードなどを介して機械学習モデルを利用可能にすること)、機械学習モデルを保存すること(たとえば、後で使用するための検索および/または更新のために)、機械学習モデルを宛先(たとえば、データベースおよび/またはサーバ)に送信することなどを含むことができる。
【0039】
技法500は、肺のターゲット部分の呼吸気道を閉塞するための動作(たとえば、弁、バルーンなどを使用して)を含み得る。
【0040】
図6は、いくつかの実施形態による、本明細書で議論される技法のうちのいずれか1つまたは複数が実行され得る例示的な機械600のブロック図である。代替実施形態では、機械600は、スタンドアロンデバイスとして動作し得、および/または他の機械に接続(たとえば、ネットワーク接続)され得る。ネットワーク化された展開では、機械600は、サーバクライアントネットワーク環境において、サーバ機械、クライアント機械、またはその両方の能力で動作し得る。一例では、機械600は、ピアツーピア(P2P)(または、他の分散型)ネットワーク環境においてピア機械として機能し得る。機械600は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、携帯情報端末(PDA)、モバイル電話、ウェブアプライアンス、ネットワークルータ、スイッチまたはブリッジ、あるいはその機械が実行するべきアクションを指定する命令(順次、またはその他)を実行することができる機械であり得る。さらに、単一の機械のみが示されているが、「機械」という用語は、クラウドコンピューティング、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)、他のコンピュータクラスタ構成などの、本明細書で説明されている方法論のうちのいずれか1つまたは複数を実行する命令のセット(または、複数のセット)を個別にまたは共同で実行する機械の任意の集合も含むものと解釈される。
【0041】
機械(たとえば、コンピュータシステム)600は、ハードウェアプロセッサ602(たとえば、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)、ハードウェアプロセッサコア、またはそれらの任意の組合せ)、メインメモリ604、およびスタティックメモリ606を含み得、その一部またはすべては、インターリンク(たとえば、バス)608を介して互いに通信し得る。機械600は、ディスプレイユニット610、英数字入力デバイス612(たとえば、キーボード)、およびユーザインターフェース(UI)ナビゲーションデバイス614(たとえば、マウス)をさらに含み得る。一例では、ディスプレイユニット610、入力デバイス612、およびUIナビゲーションデバイス614は、タッチスクリーンディスプレイであってもよい。機械600は、ストレージデバイス(たとえば、ドライブユニット)616、信号生成デバイス618(たとえば、スピーカ)、ネットワークインターフェースデバイス620、および全地球測位システム(GPS)センサ、コンパス、加速度計、または他のセンサなどの1つまたは複数のセンサ621をさらに含み得る。機械600は、1つまたは複数の周辺デバイス(たとえば、プリンタ、カードリーダなど)と通信および/または制御するためのシリアル(たとえば、ユニバーサルシリアルバス(USB))、パラレル、あるいは他のワイヤードまたはワイヤレス(たとえば、赤外線(IR)、近距離無線通信(NFC)など)接続などの出力コントローラ628を含み得る。
【0042】
ストレージデバイス616は、本明細書に記載される技法または機能のうちのいずれか1つまたは複数を具体化する、またはそれによって利用されるデータ構造または命令624(たとえば、ソフトウェア)の1つまたは複数のセットが記憶される機械可読媒体622を含み得る。命令624はまた、機械600による実行中に、完全にまたは少なくとも部分的に、メインメモリ604内、スタティックメモリ606内、またはハードウェアプロセッサ602内に常駐し得る。一例では、ハードウェアプロセッサ602、メインメモリ604、スタティックメモリ606、またはストレージデバイス616の1つまたは任意の組合せは、機械可読媒体を構成し得る。
【0043】
機械可読媒体622は単一の媒体として示されているが、「機械可読媒体」という用語は、1つまたは複数の命令624を記憶するように構成された単一の媒体または複数の媒体(たとえば、集中型または分散型データベース、および/あるいは関連付けられるキャッシュとサーバ)を含み得る。「機械可読媒体」という用語は、機械600による実行のための命令を記憶、符号化、または搬送することができ、機械600に本開示の技法のうちのいずれか1つまたは複数を実行させる、あるいは、そのような命令によって使用される、またはそのような命令に関連付けられるデータ構造を記憶、符号化、または搬送することができる任意の媒体を含み得る。機械可読媒体の非限定的な例は、ソリッドステートメモリ、光媒体および磁気媒体を含み得る。
【0044】
命令624は、多数の転送プロトコル(たとえば、フレームリレー、インターネットプロトコル(IP)、伝送制御プロトコル(TCP)、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)など)のうちのいずれか1つを利用して、ネットワークインターフェースデバイス620を介して通信媒体を使用して、通信ネットワーク626を介してさらに送信または受信され得る。例示的な通信ネットワークは、とりわけ、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、パケットデータネットワーク(たとえば、インターネット)、モバイル電話ネットワーク(たとえば、セルラーネットワーク)、基本電話(Plain Old Telephone; POTS)ネットワーク、およびワイヤレスデータネットワーク(たとえば、Wi-Fi(登録商標)として知られる電気電子学会(IEEE)802.11規格ファミリ、WiMax(登録商標)として知られるIEEE 802.16規格ファミリ)、IEEE 802.15.4規格ファミリ、ピアツーピア(P2P)ネットワークなどを含み得る。一例では、ネットワークインターフェースデバイス620は、通信ネットワーク626に接続するための1つまたは複数の物理ジャック(たとえば、イーサネット、同軸、または電話ジャック)あるいは1つまたは複数のアンテナを含み得る。一例では、ネットワークインターフェースデバイス620は、単一入力複数出力(SIMO)、複数入力複数出力(MIMO)、または複数入力単一出力(MISO)技法のうちの少なくとも1つを使用してワイヤレスに通信するための複数のアンテナを含み得る。「送信媒体」という用語は、機械600による実行のための命令を記憶、符号化、または搬送することができる任意の無形媒体を含むものと解釈され、デジタルまたはアナログ通信信号、あるいはそのようなソフトウェアの通信を容易にする他の無形媒体を含む。
【0045】
以下の非限定的な例の各々は、それ自体単独で存在してもよく、他の例のうちの1つまたは複数と様々な順列または組合せで組み合わせられてもよい。
【0046】
例1は、内腔弁留置の患者の結果の予測を支援するために、コンピュータベースの臨床意思決定支援システムにおいて使用するための機械学習モデルをトレーニングするための側副換気定量化システムであって、側副換気定量化システムは、肺の呼吸気道を介して空気を受け取ることができないようにデバイスによって閉塞されている患者の肺のターゲット部分における圧力または空気流の少なくとも1つに基づいてデータをキャプチャするための少なくとも1つのセンサと、処理回路と、処理回路によって実行されると、処理回路に、トレーニングデータを生成するために、対応する患者の呼吸結果に基づいて受信データにラベル付けすることと、特定の患者のターゲット肺部分に側副換気が存在するかどうかのしるしを介して、1つまたは複数の患者の呼吸結果を予測するために、トレーニングデータに少なくとも部分的に基づいて機械学習モデルをトレーニングすることと、機械学習モデルを記憶することとを含む動作を実行させる命令を含むメモリとを備える。
【0047】
例2は、内腔弁留置の患者の結果の予測を支援するために、コンピュータベースの臨床意思決定支援システムにおいて使用するための機械学習モデルをトレーニングするための方法であって、本方法は、肺の呼吸気道を介して空気を受け取ることができないようにデバイスによって閉塞されている患者の肺のターゲット部分における圧力または空気流の少なくとも1つを示す、少なくとも1つのセンサによってキャプチャされたデータを受信するステップと、トレーニングデータを生成するために、対応する患者の呼吸結果に基づいて受信データにラベル付けするステップと、特定の患者のターゲット肺部分に側副換気が存在するかどうかのしるしを介して、1つまたは複数の患者の呼吸結果を予測するために、トレーニングデータに少なくとも部分的に基づいて機械学習モデルをトレーニングするステップと、機械学習モデルを出力するステップとを含む。
【0048】
例3において、例2の主題は、閉塞された呼吸気道がバルーンによって閉塞されて流出気道を遮断し、受信データが流入気道に加えられた陽圧に基づく圧力データであることを含む。
【0049】
例4において、例3の主題は、加えられる陽圧が一定の加えられる圧力を含むことを含む。
【0050】
例5において、例2~4の主題は、機械学習モデルをトレーニングすることが、肺部分の容積データ、患者の医用画像、亀裂完全性スコア、患者の疾患状態、患者の年齢、または患者の併存疾患のうちの少なくとも1つを追加の入力データとして使用することを含むことを含む。
【0051】
例6において、例2~5の主題は、対応する患者の呼吸結果は、受信データに基づいて患者が肺のターゲット部分において側副換気を行っているかどうかの臨床医の決定を含むことを含む。
【0052】
例7において、例2~6の主題は、対応する患者の呼吸結果は、患者の呼吸の客観的結果、または患者の体内に内腔弁を挿入するための処置後に取得された患者が報告した呼吸評価を含むことを含む。
【0053】
例8において、例2~7の主題は、側副換気が特定の患者のターゲット肺部分に存在するかどうかのしるしは、側副換気が存在するか側副換気が存在しないかのバイナリ表示としてモデルから出力されることを含む。
【0054】
例9において、例2~8の主題は、モデルから、患者がターゲット部分において側副換気を行っている確率を含むしるしが出力されることを含む。
【0055】
例10において、例2~9の主題は、デバイスを使用して、肺のターゲット部分の呼吸気道を閉塞することを含む。
【0056】
例11において、例2~10の主題は、データを受信するステップが、肺のターゲット部分における空気流または圧力の測定データを反復的または定期的に取得するステップを含む。
【0057】
例12において、例2~11の主題は、閉塞された呼吸気道が、流出空気を許容しながら流入気道を遮断する弁によって閉塞され、受信データは流出空気データであることを含む。
【0058】
例13は、内腔弁留置の患者の結果の予測を支援するために、コンピュータベースの臨床意思決定支援システムにおいて使用するための機械学習モデルをトレーニングするための方法であって、本方法は、肺の呼吸気道を介して空気を受け取ることができないようにデバイスによって閉塞されている患者の肺のターゲット部分における圧力を示す、少なくとも1つのセンサによってキャプチャされた圧力データを受信するステップと、トレーニングデータを生成するために、対応する患者の呼吸結果に基づいて受信した圧力データにラベル付けするステップと、特定の患者のターゲット肺部分に側副換気が存在するかどうかのしるしを介して、1つまたは複数の患者の呼吸結果を予測するために、トレーニングデータに少なくとも部分的に基づいて機械学習モデルをトレーニングするステップと、機械学習モデルを記憶するステップとを含む。
【0059】
例14は、内腔弁留置の患者の結果の予測を支援するために、コンピュータベースの臨床意思決定支援システムにおいて使用するための機械学習モデルをトレーニングするための方法であって、本方法は、肺の呼吸気道を介して空気を受け取ることができないようにデバイスによって閉塞されている患者の肺のターゲット部分から出る空気流を示す、少なくとも1つのセンサによってキャプチャされた空気流データを受信するステップと、トレーニングデータを生成するために、対応する患者の呼吸結果に基づいて受信した気流データにラベル付けするステップと、特定の患者のターゲット肺部分に側副換気が存在するかどうかのしるしを介して、1つまたは複数の患者の呼吸結果を予測するために、トレーニングデータに少なくとも部分的に基づいて機械学習モデルをトレーニングするステップと、機械学習モデルを記憶するステップとを含む。
【0060】
例15は、内腔弁留置の患者の結果の予測を支援するために、コンピュータベースの臨床意思決定支援システムにおいて使用するための機械学習モデルをトレーニングするためのデバイスであって、本デバイスは、処理回路と、処理回路によって実行されると、処理回路に、肺の呼吸気道を介して空気を受け取ることができないようにデバイスによって閉塞されている患者の肺のターゲット部分における圧力または空気流を示す、少なくとも1つのセンサによってキャプチャされたデータを受信するステップと、トレーニングデータを生成するために、対応する患者の呼吸結果に基づいて受信データにラベル付けすることと、特定の患者のターゲット肺部分に側副換気が存在するかどうかのしるしを介して、1つまたは複数の患者の呼吸結果を予測するために、トレーニングデータに少なくとも部分的に基づいて機械学習モデルをトレーニングすることと、機械学習モデルを出力することとを含む動作を実行させる命令を含む、メモリとを備える。
【0061】
例16は、処理回路によって実行されると、処理回路に、肺の呼吸気道を介して空気を受け取ることができないようにデバイスによって閉塞されている患者の肺のターゲット部分における圧力または空気流を示す、少なくとも1つのセンサによってキャプチャされたデータを受信することと、トレーニングデータを生成するために、対応する患者の呼吸結果に基づいて受信データにラベル付けすることと、特定の患者のターゲット肺部分に側副換気が存在するかどうかのしるしを介して、1つまたは複数の患者の呼吸結果を予測するために、トレーニングデータに少なくとも部分的に基づいて機械学習モデルをトレーニングすることと、機械学習モデルを出力することとを含む動作を実行させる命令を含む、少なくとも1つの機械可読媒体である。
【0062】
例17は、肺の呼吸気道を介して空気を受け取ることができないようにデバイスによって閉塞されている患者の肺のターゲット部分における圧力または空気流の少なくとも1つを示す、少なくとも1つのセンサによってキャプチャされたデータを受信するステップと、患者の患者の呼吸結果を予測するために、入力された以前の患者センサデータとラベル付けされた対応する以前の患者の呼吸結果を含むトレーニングデータに少なくとも部分的に基づいてトレーニングされた機械学習モデルを実装するステップと、機械学習モデルからの予測に基づいて、側副換気が存在するかどうか、または予測された患者の呼吸結果が患者の体内への内腔弁の留置に対応するかどうかのうちの少なくとも1つのしるしを出力するステップとを含む方法である。
【0063】
例18において、例17の主題は、しるしを出力するステップが、側副換気が存在することを識別するステップ、およびそれに応じて、内腔弁を用いて患者を治療するという推奨を表示するステップを含むことを含む。
【0064】
例19において、例17~18の主題は、しるしを出力するステップが、側副換気が存在しないことを識別するステップ、およびそれに応じて、内腔弁を用いて患者を治療しないという推奨を表示するステップを含むことを含む。
【0065】
例20において、例17~19の主題は、閉塞された呼吸気道がバルーンによって閉塞されて流出気道を遮断し、受信データが流入気道に加えられた陽圧に基づく圧力データであることを含む。
【0066】
例21において、例20の主題は、加えられる陽圧が一定の加えられる圧力を含むことを含む。
【0067】
例22において、例17~21の主題は、しるしを出力するステップが、患者がターゲット部分において側副換気を行っている確率を出力するステップを含む。
【0068】
例23において、例17~22の主題は、デバイスを使用して、肺のターゲット部分の呼吸気道を閉塞することを含む。
【0069】
例24において、例17~23の主題は、データを受信するステップが、肺のターゲット部分における空気流または圧力の測定データを反復的または定期的に取得するステップを含む。
【0070】
例25において、例17~24の主題は、閉塞された呼吸気道が、流出空気を許容しながら流入気道を遮断する弁によって閉塞され、受信データは流出空気データであることを含む。
【0071】
例26は、処理回路によって実行されると、処理回路に、例1~25のいずれかを実装するための動作を実行させる命令を含む、少なくとも1つの機械可読媒体である。
【0072】
例27は、例1~25のいずれかを実装するための手段を備える装置である。
【0073】
例28は、例1~25のいずれかを実装するためのシステムである。
【0074】
例29は、例1~25のいずれかを実装するための方法である。
【0075】
本明細書に記載される方法の例は、少なくとも部分的に、機械実装またはコンピュータ実装され得る。いくつかの例は、上記の例で説明した方法を実行するために電子デバイスを構成するように動作可能な命令を用いて符号化されたコンピュータ可読媒体または機械可読媒体を含み得る。そのような方法の実装形態は、マイクロコード、アセンブリ言語コード、高水準言語コードなどのコードを含み得る。そのようなコードは、様々な方法を実行するためのコンピュータ可読命令を含み得る。コードはコンピュータプログラム製品の一部を形成し得る。さらに、一例では、コードは、実行中または他の時点で、1つまたは複数の揮発性、非一時的、または不揮発性の有形のコンピュータ可読媒体に有形に記憶され得る。これらの有形のコンピュータ可読媒体の例は、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、リムーバブル光ディスク(たとえば、コンパクトディスクおよびデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカードまたはメモリスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)などを含み得るが、これらに限定されない。
【符号の説明】
【0076】
100 側副換気定量化システム(CVQS)
102 CVQSデバイス
104 CVQSチュービングキット
106 流量計
108 圧力計
110 ディスプレイデバイス
112 定圧空気供給装置
114 逆止弁
116 閉塞デバイス
200 機械学習モデルのトレーニング図
202 モデル
300 機械学習モデル推論図
302 モデル
500 技法
502 動作
600 機械
602 ハードウェアプロセッサ
604 メインメモリ
606 スタティックメモリ
608 インターリンク
610 ディスプレイユニット
612 英数字入力デバイス
614 ユーザインターフェース(UI)ナビゲーションデバイス
616 ストレージデバイス
618 信号生成デバイス
620 ネットワークインターフェースデバイス
621 センサ
622 機械可読媒体
624 命令
626 通信ネットワーク
628 出力コントローラ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
【国際調査報告】