(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】任意角度ゲートおよび/またはグローバルゲートを含む量子ゲートセット
(51)【国際特許分類】
G06N 10/40 20220101AFI20241029BHJP
【FI】
G06N10/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523754
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(85)【翻訳文提出日】2024-06-06
(86)【国際出願番号】 US2022047417
(87)【国際公開番号】W WO2023069705
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522047446
【氏名又は名称】クオンティニュアム エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・ボールドウィン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・スタック
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ガエブラー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・フェイグ
(72)【発明者】
【氏名】カール・マイヤー
(57)【要約】
QCCDベースの量子コンピュータは、グローバル単一量子ビットゲートならびに任意の角度の回転および/または位相非依存性反対称2量子ビットゲートなどの2量子ビットゲートプリミティブを含み、個々にアドレス指定されない個々の単一量子ビットゲートを使用して任意角度2量子ビットゲートを実行するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
QCCDベースの量子プロセッサを使用して一般2量子ビットゲートを実行するための方法であって、
前記QCCD量子プロセッサの要素によって閉じ込められる第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトを提供するステップと、
前記QCCDベースの量子プロセッサの様々な動作を制御するように構成されたコントローラによって、前記第1の原子オブジェクトの第1のフレーム回転および前記第2の原子オブジェクトの前記第1のフレーム回転を実行させるステップと、
前記コントローラによって、前記第2の原子オブジェクトが前記第1の原子オブジェクトに物理的に近接して位置するように前記第1の原子オブジェクトおよび前記第2の原子オブジェクトを輸送させるステップと、
前記第1の原子オブジェクトおよび前記第2の原子オブジェクトに対して第1の任意の角度の回転に対応する第1の位相非依存性2量子ビットゲートを実行させるステップと、
前記第1の原子オブジェクトの第2のフレーム回転および前記第2の原子オブジェクトの前記第2のフレーム回転を実行させるステップと、
前記第1の原子オブジェクトおよび前記第2の原子オブジェクトに対して第2の任意の角度の回転に対応する第2の任意角度位相非依存性2量子ビットゲートを実行させるステップと、
前記第1の原子オブジェクトの第3のフレーム回転および前記第2の原子オブジェクトの前記第3のフレーム回転を実行させるステップと、
前記第1の原子オブジェクトおよび前記第2の原子オブジェクトに対して第3の任意の角度に対応する第3の位相非依存性2量子ビットゲートを実行させるステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
第2のフレーム回転および第3のフレーム回転の各々は、それぞれの1つまたは複数のグローバル単一量子ビットゲートを備え、各グローバル単一量子ビットゲートは、前記第1の原子オブジェクトおよび前記第2の原子オブジェクトに対して作用する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のフレーム回転および前記第3のフレーム回転は各々、単一量子ビットゲート操作信号のそれぞれの対が前記第1の原子オブジェクトと前記第2の原子オブジェクトの両方に入射することによって実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記単一量子ビットゲート操作信号の対は、第1の操作信号と第2の操作信号とを備え、前記第1の操作信号と前記第2の操作信号は、(a)共伝播し、(b)量子ビット空間の第1の状態と前記量子ビット空間の第2の状態との間のエネルギー差に対応する周波数差を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1、第2、および第3の位相非依存性2量子ビットゲートは各々、2量子ビットゲート操作信号のそれぞれの対が前記第1の原子オブジェクトと前記第2の原子オブジェクトの両方に入射することによって実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記2量子ビットゲート操作信号の対は、第3の操作信号と第4の操作信号とを備え、前記第3の操作信号と前記第4の操作信号は、(a)90度の相対角度で伝播し、(b)直線偏光され、(c)垂直方向に直線偏光される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第3の操作信号または前記第4の操作信号の少なくとも一方の少なくとも1つの特性が、前記第3の操作信号または前記第4の操作信号のそれぞれの操作信号を調整するように構成された変調器への入力信号の関数としての操作信号特性の関数表現に基づいて制御され、前記少なくとも1つの特性は、電力レベル、周波数、または持続時間のうちの少なくとも1つである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
(a)前記第1の原子オブジェクトまたは(2)前記第2の原子オブジェクトの少なくとも一方の位相は、前記第1のフレーム回転が実行される前にまたは前記第1のフレーム回転の一部として物理的に更新される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の位相非依存性2量子ビットゲートを実行する前に冷却ステップが実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の位相非依存性2量子ビットゲートを実行する前に前記冷却ステップを実行した後、前記第3の位相非依存性2量子ビットゲートが実行される後まで前記第1の原子オブジェクトおよび前記第2の原子オブジェクトに対してさらなる冷却が実行されることはない、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
2つ以上の原子オブジェクトを閉じ込めるように構成された原子オブジェクト閉じ込め装置と、
1つまたは複数の操作源と、
コントローラと、を備え、前記コントローラは、前記1つまたは複数の操作源および前記原子オブジェクト閉じ込め装置を制御して、操作信号の2つ以上の対が各々、前記2つの原子オブジェクトに入射するように、前記1つまたは複数の操作源に前記操作信号の2つ以上の対を生成および提供させるように構成され、前記操作信号の2つ以上の対のうちの少なくとも1つが、前記2つの原子オブジェクトに対して反対称2量子ビットゲートを実行させるように構成され、前記2つの原子オブジェクトに入射する前記操作信号の2つ以上の対の結合効果は、個々の単一量子ビットゲートが実行されることである、量子コンピュータ。
【請求項12】
前記2つの原子オブジェクトは、第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトとを備え、前記第1の原子オブジェクトと前記第2の原子オブジェクトは、前記操作信号のうちの少なくとも1つの選択された位相差に対応する離間距離だけ離間される、請求項11に記載の量子コンピュータ。
【請求項13】
前記コントローラは、前記操作信号の2つ以上の対が前記2つの原子オブジェクトに入射する結果として前記2つの原子オブジェクトの各々に加えられるそれぞれのACシュタルクシフトを追跡するようにさらに構成される、請求項11に記載の量子コンピュータ。
【請求項14】
前記単一量子ビットゲートは、単一量子ビットアドレス指定を必要としない制御可能なゲートセットの一部である、請求項11に記載の量子コンピュータ。
【請求項15】
2つ以上の原子オブジェクトを閉じ込めるように構成された原子オブジェクト閉じ込め装置と、
1つまたは複数の操作源と、
コントローラと、を備え、前記コントローラは、前記1つまたは複数の操作源および前記原子オブジェクト閉じ込め装置を制御して、
前記原子オブジェクト閉じ込め装置によって第1の原子オブジェクトを閉じ込めさせ、前記原子オブジェクト閉じ込め装置によって第2の原子オブジェクトを閉じ込めさせ、
操作信号のそれぞれの第1のフレーム回転対を前記第1の原子オブジェクトおよび前記第2の原子オブジェクトの各々に入射させ、前記第1の原子オブジェクトの第1のフレーム回転を実行させ、かつ前記第2の原子オブジェクトの第1のフレーム回転を実行させ、
前記第1の原子オブジェクトが前記第2の原子オブジェクトに近接するように前記第1の原子オブジェクトまたは前記第2の原子オブジェクトの少なくとも一方を輸送させ、
操作信号の第1の2量子ビットゲート対を前記第1の原子オブジェクトおよび前記第2の原子オブジェクトに入射させ、前記第1の原子オブジェクトおよび前記第2の原子オブジェクトに対して第1の任意の角度の回転に対応する第1の位相非依存性の2量子ビットゲートを実行させ、
操作信号の第2のフレーム回転対を前記第1の原子オブジェクトおよび前記第2の原子オブジェクトに入射させ、前記第1の原子オブジェクトの第2のフレーム回転および前記第2の原子オブジェクトの前記第2のフレーム回転を実行させ、
操作信号の第2の2量子ビットゲート対を前記第1の原子オブジェクトおよび前記第2の原子オブジェクトに入射させ、前記第1の原子オブジェクトおよび前記第2の原子オブジェクトに対して第2の任意の角度の回転に対応する第2の位相非依存性2量子ビットゲートを実行させ、
操作信号の第3のフレーム回転対を前記第1の原子オブジェクトおよび前記第2の原子オブジェクトに入射させ、前記第1の原子オブジェクトの第3のフレーム回転および前記第2の原子オブジェクトの前記第3のフレーム回転を実行させ、
操作信号の第3の2量子ビットゲート対を前記第1の原子オブジェクトおよび前記第2の原子オブジェクトに入射させ、前記第1の原子オブジェクトおよび前記第2の原子オブジェクトに対して第3の任意の角度の回転に対応する第3の位相非依存性2量子ビットゲートを実行させる、
量子コンピュータ。
【請求項16】
前記第1の原子オブジェクトおよび前記第2の原子オブジェクトは、前記量子コンピュータのそれぞれの量子ビットである、請求項15に記載の量子コンピュータ。
【請求項17】
前記コントローラは、前記第1の複数ゲート対、第2の複数ゲート対、第3の複数ゲート対または第4の複数ゲート対のうちの少なくとも1つの、少なくとも1つの操作信号の特性を判定するようにさらに構成され、少なくとも1つの操作信号を調整するように構成された変調器への入力信号の関数としての操作信号特性の関数表現に基づいて判定され、前記少なくとも1つの特性は、電力レベル、周波数、または持続時間のうちの少なくとも1つである、請求項15に記載の量子コンピュータ。
【請求項18】
前記コントローラは、前記原子オブジェクト閉じ込め装置を制御して、少なくとも、前記操作信号の第1のフレーム回転対が前記第1の原子オブジェクトおよび前記第2の原子オブジェクトに入射するときに開始し、前記操作信号の第3の2量子ビットゲート対が前記第1の原子オブジェクトおよび前記第2の原子オブジェクトに入射するときに終了する期間の間、前記第1の原子オブジェクトを第1の位置に維持し、前記第2の原子オブジェクトを第2の位置に維持するようにさらに構成される、請求項15に記載の量子コンピュータ。
【請求項19】
前記コントローラは、前記操作信号の第1の2量子ビットゲート対を前記第1の原子オブジェクトおよび前記第2の原子オブジェクトに入射させる前に冷却ステップを実行させるようにさらに構成される、請求項15に記載の量子コンピュータ。
【請求項20】
前記操作信号の第1の2量子ビットゲート対を前記第1の原子オブジェクトおよび前記第2の原子オブジェクトに入射させる前に前記冷却ステップを実行した後、前記第3の位相非依存性2量子ビットゲートが実行される後まで前記第1の原子オブジェクトおよび前記第2の原子オブジェクトに対してさらなる冷却が実行されることはない、請求項19に記載の量子コンピュータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれている、2021年10月22日に出願された米国特許出願第63/270,901号の優先権を主張する。
【0002】
様々な実施形態は、量子コンピュータの量子ビットに対して量子ゲートを実行することに関する。たとえば、様々な実施形態は、量子コンピュータの量子ビットに対して任意角度ゲートおよび/またはグローバルゲートを実行することに関する。たとえば、様々な実施形態は、量子ビットに対して任意角度ゲートおよび/またはグローバルゲートを実行するように構成された量子コンピュータに関する。
【背景技術】
【0003】
量子電荷結合素子(QCCD)アーキテクチャは、大規模な量子計算に使用され得るアーキテクチャの一種である。QCCDアーキテクチャによれば、複数の原子オブジェクトが、原子オブジェクト閉じ込め装置によって閉じ込められ、原子オブジェクトの量子状態の制御された発展が、量子計算を実行するために使用される。原子オブジェクトの量子状態の制御された発展は、量子回路に従って様々な単一量子ビットゲートおよび複数量子ビットゲート(たとえば、2量子ビットゲート)を実行することによって実現される。ゲートセットは、ゲートセットのゲートプリミティブが任意のゲートを構成するために使用され得るときに汎用であると見なされる。
【0004】
単一量子ビットゲートを実行するには、ゲートが実行された原子オブジェクトをその近傍の原子オブジェクトから物理的に孤立させる必要がある。この場合、原子オブジェクトを輸送する必要があり、この輸送は、(ゲートの性能と比較して)比較的遅いプロセスであり、原子オブジェクトを加熱させる。この加熱を考慮するために、原子オブジェクトに対して冷却動作が実行されるが、この動作はさらに遅いプロセスである。取り組み、工夫、および新技術が適用されることによって、そのような従来の原子オブジェクト閉じ込め装置およびそのような原子オブジェクト閉じ込め装置を組み込んだシステム、ならびにそれらの装置およびシステムによって使用されるゲートセットの多数の欠点が、本発明の実施形態に従って構成された解決策を発展させることによって解消されており、本明細書ではそれらの実施形態の多数の例について詳しく説明する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第11,037,776号明細書
【特許文献2】米国特許出願第63/199,279号明細書
【特許文献3】米国特許出願第63/235,007号明細書
【特許文献4】米国特許出願第16/716,973号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
例示的な実施形態は、量子コンピュータの量子ビットに対して量子ゲートを実行することに関する。様々な実施形態は、QCCDベースの量子プロセッサの量子ビットに対して量子ゲートを実行することに関する。様々な実施形態は、本明細書では一般2量子ビットゲートと呼ばれる任意の2量子ビットゲートを提供する。様々な実施形態は、一般2量子ビットゲート(または一般複数量子ビットゲートもしくは一般単一量子ビットゲート)を実行させるように構成された一般2量子ビットゲート量子コンピュータコントローラ、ならびに/あるいは一般2量子ビットゲート(または一般複数量子ビットゲートもしくは一般単一量子ビットゲート)を実行するように構成された量子プロセッサおよび/またはコンピュータを提供する。様々な実施形態は、少なくとも部分的に2量子ビットゲートプリミティブの実行を介して実行される単一2量子ビットゲートを提供する。
【0007】
第1の態様によれば、QCCDベースの量子プロセッサを使用して一般2量子ビットゲートを実行するための方法が提供される。例示的な実施形態では、方法は、第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトを提供するステップであって、第2の原子オブジェクトが、第1の原子オブジェクトに物理的に近接して位置する、ステップと、QCCDベースの量子プロセッサの様々な動作を制御するように構成されたコントローラによって、第1の原子オブジェクトの第1のフレーム回転および第2の原子オブジェクトの第1のフレーム回転を実行させるステップと、コントローラによって、第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトに対して第1の任意の角度の回転に対応する第1の位相非依存性2量子ビットゲートを実行させるステップと、コントローラによって、第1の原子オブジェクトの第2のフレーム回転および第2の原子オブジェクトの第2のフレーム回転を実行させるステップと、コントローラによって、第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトに対して第2の任意の角度の回転に対応する第2の任意角度位相非依存性2量子ビットゲートを実行させるステップと、コントローラによって、第1の原子オブジェクトの第3のフレーム回転および第2の原子オブジェクトの第3のフレーム回転を実行させるステップと、コントローラによって、第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトに対して第3の任意の角度に対応する第3の位相非依存性2量子ビットゲートを実行させるステップとを含む。
【0008】
例示的な実施形態では、第2のフレーム回転および第3のフレーム回転の各々は、それぞれの1つまたは複数のグローバル単一量子ビットゲートを備え、各グローバル単一量子ビットゲートは、第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトに対して同じ作用を及ぼす。
【0009】
例示的な実施形態では、第2のフレーム回転および第3のフレーム回転は各々、単一量子ビットゲート操作信号のそれぞれの対が第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトの両方に入射することによって実行される。
【0010】
例示的な実施形態では、単一量子ビットゲート操作信号の対は、第1の操作信号と第2の操作信号とを備え、第1の操作信号と第2の操作信号は、(a)共伝播し、(b)量子ビット空間の第1の状態と量子ビット空間の第2の状態との間のエネルギー差に対応する周波数差を有する。
【0011】
例示的な実施形態では、第1、第2、および第3の位相非依存性2量子ビットゲートは各々、2量子ビットゲート操作信号のそれぞれの対が第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトの両方に入射することによって実行される。
【0012】
例示的な実施形態では、2量子ビットゲート操作信号の対は、第3の操作信号と第4の操作信号とを備え、第3の操作信号と第4の操作信号は、(a)90度の相対角度で伝播し、(b)直線偏光され、(c)垂直方向に直線偏光される。
【0013】
例示的な実施形態では、第3の操作信号または第4の操作信号の少なくとも一方の少なくとも1つの特性が、第3の操作信号または第4の操作信号のそれぞれの操作信号を調整するように構成された変調器への入力信号の関数としての操作信号特性の関数表現に基づいて制御され、少なくとも1つの特性は、電力レベル、周波数、または持続時間のうちの少なくとも1つである。
【0014】
例示的な実施形態では、(a)第1の原子オブジェクトまたは(2)第2の原子オブジェクトの少なくとも一方の位相は、第1のフレーム回転が実行される前に物理的に更新される。
【0015】
例示的な実施形態では、第1の位相非依存性2量子ビットゲートを実行する前に冷却ステップが実行される。
【0016】
例示的な実施形態では、第1の位相非依存性2量子ビットゲートを実行する前に冷却ステップを実行した後、第3の位相非依存性2量子ビットゲートが実行される後まで第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトに対してさらなる冷却が実行されることはない。
【0017】
別の態様によれば、量子コンピュータが提供される。例示的な実施形態では、量子コンピュータは、2つ以上の原子オブジェクトを閉じ込めるように構成された原子オブジェクト閉じ込め装置と、1つまたは複数の操作源と、コントローラとを備える。コントローラは、1つまたは複数の操作源および原子オブジェクト閉じ込め装置を制御して、操作信号の2つ以上の対が各々、2つの原子オブジェクトに入射するように、1つまたは複数の操作源に操作信号の2つ以上の対を生成および提供させるように構成され、操作信号の2つ以上の対のうちの少なくとも1つが、2つの原子オブジェクトに対して反対称2量子ビットゲートを実行させるように構成され、2つの原子オブジェクトに入射する操作信号の2つ以上の対の結合効果は、個々の単一量子ビットゲートが実行されることである。
【0018】
例示的な実施形態では、2つの原子オブジェクトは、第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトとを備え、第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトは、操作信号のうちの少なくとも1つの選択された位相差に対応する離間距離だけ離間される。
【0019】
例示的な実施形態では、個々の単一量子ビットゲートは、任意角度単一量子ビットゲートである。
【0020】
例示的な実施形態では、コントローラは、操作信号の2つ以上の対が2つの原子オブジェクトに入射する結果として2つの原子オブジェクトの各々に加えられるそれぞれのACシュタルクシフトを追跡するようにさらに構成される。
【0021】
例示的な実施形態では、生成される個々の単一量子ビットゲートは、量子ビットアドレス指定を必要としない制御可能なゲートセットの一部である。
【0022】
別の態様によれば、一般ゲートを実行するように構成された量子コンピュータが提供される。量子コンピュータは、2つ以上の原子オブジェクトを閉じ込めるように構成された原子オブジェクト閉じ込め装置と、1つまたは複数の操作源と、1つまたは複数の操作源および原子オブジェクト閉じ込め装置を制御するように構成されたコントローラとを備える。例示的な実施形態では、コントローラは、1つまたは複数の操作源および原子オブジェクト閉じ込め装置を制御して、第1の原子オブジェクトを第1の位置に閉じ込めさせ、第2の原子オブジェクトを第2の位置に閉じ込めさせることであって、第1の位置が第2の位置に近接している、閉じ込めさせることと、操作信号の第1のフレーム回転対を第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトに入射させ、第1の原子オブジェクトの第1のフレーム回転および第2の原子オブジェクトの第1のフレーム回転を実行させることと、操作信号の第1の2量子ビットゲート対を第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトに入射させ、第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトに対して第1の任意の角度の回転に対応する第1の位相非依存性の2量子ビットゲートを実行させることと、操作信号の第2のフレーム回転対を第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトに入射させ、第1の原子オブジェクトの第2のフレーム回転および第2の原子オブジェクトの第2のフレーム回転を実行させることと、操作信号の第2の2量子ビットゲート対を第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトに入射させ、第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトに対して第2の任意の角度の回転に対応する第2の位相非依存性2量子ビットゲートを実行させることと、操作信号の第3のフレーム回転対を第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトに入射させ、第1の原子オブジェクトの第3のフレーム回転および第2の原子オブジェクトの第3のフレーム回転を実行させることと、操作信号の第3の2量子ビットゲート対を第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトに入射させ、第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトに対して第3の任意の角度の回転に対応する第3の位相非依存性2量子ビットゲートを実行させることとを行うように構成される。
【0023】
例示的な実施形態では、第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトは、量子コンピュータのそれぞれの量子ビットである。
【0024】
例示的な実施形態では、コントローラは、少なくとも1つの操作信号を調整するように構成された変調器への入力信号の関数としての操作信号特性の関数表現に基づいて第1の2量子ビットゲート対、第2の2量子ビットゲート対、または第3の2量子ビットゲート対のうちの少なくとも1つの少なくとも1つの操作信号の少なくとも1つの特性を判定するようにさらに構成され、少なくとも1つの特性は、電力レベル、周波数、または持続時間のうちの少なくとも1つである。
【0025】
例示的な実施形態では、コントローラは、原子オブジェクト閉じ込め装置を制御して、少なくとも、操作信号の第1の2量子ビットゲート対が第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトに入射するときに開始し、操作信号の第3の2量子ビットゲート対が第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトに入射するときに終了する期間の間、第1の原子オブジェクトを第1の位置に維持し、第2の原子オブジェクトを第2の位置に維持するようにさらに構成される。
【0026】
例示的な実施形態では、一般ゲートは一般2量子ビットゲートである。
【0027】
例示的な実施形態では、一般ゲートは、一般単一量子ビットゲートである。
【0028】
上記のように、本発明について一般的な用語で説明したが、次に添付の図面を参照する。図面は必ずしも縮尺どおりに描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】様々な実施形態による例示的な量子コンピューティングシステムを示す概略図である。
【
図2】例示的な実施形態による、原子オブジェクトの超微細分割に基づいて画定された量子ビット空間の部分エネルギーレベル図である。
【
図3】例示的な実施形態による例示的な量子ビットのブロッホ球表現を示す図である。
【
図4】例示的な実施形態によるグローバル単一量子ビットゲートを示す概略図である。
【
図5】例示的な実施形態による2量子ビットゲート構成を示す概略図である。
【
図6】例示的な実施形態による、一般ゲートを実行するためのプロセス、手順、および/または動作を示すフローチャートである。
【
図7】例示的な実施形態による、一般ゲートを実行するために使用される操作信号を生成するためのプロセス、手順、および/または動作を示すフローチャートである。
【
図8】例示的な実施形態による、グローバル単一量子ビットプリミティブおよび/または2量子ビットゲートプリミティブを使用して個々の単一量子ビットゲートを実行するためのプロセス、手順、および/または動作を示すフローチャートである。
【
図9】例示的な実施形態による、グローバル単一量子ビットゲートおよび2量子ビットゲートを使用して個々の単一量子ビットゲートを実行するためのプロセス、手順、および/または動作を示すフローチャートである。
【
図10】様々な実施形態による、量子コンピュータの例示的なコントローラの概略図である。
【
図11】例示的な実施形態に従って使用され得る量子コンピュータシステムの例示的なコンピューティングエンティティの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、本発明について以下に、添付の図面を参照しながらより詳細に説明する。図面には、本発明のすべてではないが、いくつかの実施形態が示されている。実際には、本発明は、多数の異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載された実施形態に限定されると解釈されるべきでない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供されている。「または」という用語(「/」によっても示される)は、特に指示がない限り、代替的な意味と接続的な意味の両方で使用される。「例証的な」および「例示的な」という用語は、品質レベルを示さない例として使用される。「概して」および「おおよそ」という用語は、特に指示がない限り、工学的限界および/または製造限界/公差内ならびに/またはユーザ測定能力内を指す。全体にわたって同じ番号は同じ要素を指す。
【0031】
I. 定義
様々な実施形態は、QCCDベースの量子プロセッサおよび/またはQCCDベースの量子プロセッサを備える量子コンピュータに関する。一般に、QCCDベースの量子プロセッサは、原子オブジェクトを閉じ込めるように構成された原子オブジェクト閉じ込め装置を含む。原子オブジェクトのうちの少なくともいくつかは、量子プロセッサの量子ビットとして使用される。量子プロセッサの量子ビットとして使用される原子オブジェクトの量子状態の制御された発展によって、量子プロセッサは、量子回路および/またはアルゴリズムを実行することによって量子計算を実行することが可能になる。
【0032】
原子オブジェクト閉じ込め装置は、原子オブジェクトを閉じ込めるかまたは捕獲するために使用されるデバイスまたは装置である。様々な実施形態では、原子オブジェクト閉じ込め装置は、(たとえば、シリコン基板と、シリコン基板上に製作された様々な電気構成要素および/または要素とを有する)チップ上に製造および/または製作される。様々な実施形態では、原子オブジェクト閉じ込め装置は、イオントラップ(たとえば、表面イオントラップ、ポールトラップなど)である。
【0033】
様々な実施形態では、原子オブジェクトは、イオン、原子、中性分子、分極分子、もしくはイオン化分子、荷電粒子など、またはイオン、原子、分子、荷電粒子などの群もしくは結晶である。
【0034】
本明細書の他の部分でより詳細に説明するように、孤立された量子ビットは、ブロッホ球として表されかつ/またはモデル化されてもよく、量子ビットの現在の状態は、ブロッホ球上の点である。量子ビットに対して単一量子ビットゲートを実行することは一般に、1つもしくは複数の操作信号が、原子オブジェクトに入射し、それによって、原子オブジェクトによって具現化される量子ビットの量子状態に影響を与える(たとえば、量子状態の制御された発展を生じさせる)ことを含む。ゲートを実行すると、量子ビットの現在の状態を表すブロッホ球上の点が新しいおよび/または更新された位置に移動する。一般に、量子ビットに対してゲートを実行することは、ユニタリ演算子が量子ビットの現在の状態に作用することに相当する。
【0035】
ブロッホ球は、単位半径を有する球(単位球とも呼ばれる)であり、量子ビットの現在の状態を表す点は、単位球の表面上に残るので、単一量子ビットゲートの実行は、単位球の中心から単位球の表面上の点に向いたベクトル(本明細書では量子ビットベクトルと呼ばれる)の回転として表されかつ/またはモデル化され得る。従来の単一量子ビットゲートは、量子ビットベクトルの設定された回転(たとえば、Π/2の回転)に対応する。例示的な実施形態は、任意の角度にわたる量子ビットベクトルの回転に対応する一般単一量子ビットゲートを提供する。任意の角度は、設定された角度ではなく、ゲートごとに選択されてもよい。
【0036】
様々な実施形態は、量子ビットの各々に同様に影響を与える、2量子ビットに対する単一量子ビットゲートの実行を含む。そのようなゲートは、本明細書ではグローバル単一量子ビットゲートと呼ばれる。たとえば、グローバル単一量子ビットゲートは、2つ以上の量子ビットに対して実行され、2つ以上の量子ビットの各々に同じ回転を加えてもよい。
【0037】
様々な実施形態では、2つの量子ビット(たとえば、第1の量子ビットおよび第2の量子ビット)に対してフレーム回転が実行される。フレーム回転は、量子ビットのブロッホ球表現の局所的基準系の回転である。様々な実施形態では、フレーム回転は、1つまたは複数の個々の単一量子ビットゲートを含む。様々な実施形態では、フレーム回転は、個々にアドレス指定される単一量子ビットゲート(本明細書では個々にアドレス指定されたフレーム回転と呼ばれる)またはグローバル単一量子ビットゲート(本明細書ではグローバルフレーム回転と呼ばれる)であってもよい。
【0038】
様々な実施形態は、2量子ビットゲートの実行を含む。2量子ビットゲートは、2量子ビットに対して実行されるゲートであり、2量子ビットが実行される量子ビットのうちの少なくとも一方に対するゲートの効果(すなわち、ゲートによって生じる量子ビットベクトルの回転)は、2量子ビットのうちの別の量子ビットの状態に基づく。言い換えれば、2量子ビットゲートは、2量子ビットの状態間の相互作用および/またはもつれを生じさせる。
【0039】
様々な実施形態では、1つまたは複数のグローバル単一量子ビットゲートプリミティブと1つまたは複数の2量子ビットゲートプリミティブとを含むゲートセットが定義される。本明細書では、ゲートプリミティブは、スタンドアロンゲートとして使用され得る(たとえば、それ自体がゲートとして使用され得る)か、またはゲートにおける構成要素またはステップとして使用され得る定義されたゲートセットの要素である。たとえば、特定のゲートを実行することは、複数のゲートプリミティブの集合的効果または累積的効果が特定のゲートの実行に相当するように複数のゲートプリミティブを実行することを含んでもよい。たとえば、ゲートセットのゲートプリミティブは、量子プロセッサの利用可能なゲートのすべてが生成され得るビルディングブロックである。
【0040】
様々な実施形態は、少なくとも1つの2量子ビットゲートプリミティブからコンパイルされる個々の単一量子ビットゲートの実行に関する。本明細書では、個々の単一量子ビットゲートは、1量子ビットのみの状態に(あり得る位相シフトを超える)影響を与えるゲートである。たとえば、個々の単一量子ビットゲートは、2量子ビットに対して実行されるグローバル単一量子ビットゲートプリミティブと2量子ビットゲートプリミティブとの組合せによって生成されてもよい。2量子ビットに対してグローバル単一量子ビットゲートプリミティブと2量子ビットゲートプリミティブとの組合せを実行すると、2量子ビットのうちの一方の状態には、位相のあり得る変化を超える更新がなされ、2量子ビットのうちの他方の状態には、(たとえば、ACシュタルクシフトなどに起因して)そのような更新はなされない。たとえば、個々の単一量子ビットゲートは、個々にアドレス指定される単一量子ビットゲートと概ね同じ影響(最大で位相のあり得る変化)を与える場合があるが、目標量子ビットを個々にアドレス指定する必要はない。
【0041】
様々な実施形態は、グローバル単一量子ビットゲートおよび/または量子ビットアドレス指定を必要としない個々の単一量子ビットゲートを提供する。特に、量子ビットアドレス指定では、量子ビットが他の量子ビットから物理的に孤立および/または分離される必要があり、それによって、アドレス指定されたゲートを実行するために使用される操作信号は一般的に、アドレス指定された量子ビットにのみ入射する(多次元原子オブジェクト閉じ込め装置では、アドレス指定された単一量子ビットゲートは、同じ操作信号を使用して原子オブジェクト閉じ込め装置のそれぞれに異なるセクションにおいて並行して実施されてもよい)。
【0042】
様々な実施形態では、2量子ビットに対してゲートを実行するには、2量子ビットが互いに近接して位置しなければならない。本明細書では、2量子ビットは、操作信号が2量子ビットの両方に入射するときに互いに近接している。たとえば、2量子ビットは、その両方がゲートを実行するために使用される操作信号のスポットサイズの内側に収容されるように互いに十分に近くに位置している。
【0043】
様々な実施形態は、位相非依存性2量子ビットゲートの実行に関する。一般に、位相非依存性ゲートは、対応するユニタリ演算子がz軸(
図2に示されるように定義される)の周りの任意の回転と可換なゲートである。
【0044】
様々な実施形態は、反対称2量子ビットゲートの実行に関する。一般に、反対称2量子ビットゲートは、ゲートが非対称的な異なる方法で実行される2量子ビットに影響を与える。たとえば、2量子ビットに対して非対称2量子ビットゲートを実行すると、2量子ビットのうちの第1の量子ビットの状態を表す第1の量子ビットベクトルが第1の回転を受け、2量子ビットのうちの第2の量子ビットの状態を表す第2の量子ビットベクトルが第2の回転を受け、第1の回転と第2の回転は互いに等しくない。
【0045】
II. 例示的な量子コンピュータ
様々な実施形態は、原子オブジェクト閉じ込め装置、原子オブジェクト閉じ込め装置を備える量子プロセッサ、原子オブジェクト閉じ込め装置を備える量子コンピュータなど、および/またはそれらによって使用される方法を提供する。たとえば、原子オブジェクト閉じ込め装置は、その中に2つ以上の原子オブジェクトを閉じ込め得る。2つ以上の原子オブジェクトのうちの1つまたは複数の原子オブジェクトの量子状態の制御された発展は、1つまたは複数の一般ゲートおよび/またはグローバルゲートを使用して(たとえば、量子回路に従って)実行されてもよい。たとえば、原子オブジェクト閉じ込め装置によって捕獲されかつ/または閉じ込められ、操作信号による作用を受ける原子オブジェクトが、量子プロセッサの量子ビットによって使用されてもよい。たとえば、量子コンピュータは、様々な実施形態において2量子ビットに対して1つまたは複数の一般ゲートを実行するように構成される。たとえば、量子コンピュータは、少なくとも1つの2量子ビットゲートプリミティブを使用して生成された1つまたは複数の個々の単一量子ビットゲートを実行するように構成される。
【0046】
図1は、例示的な実施形態による原子オブジェクト閉じ込め装置70(たとえば、イオントラップ、表面トラップ、ポールトラップなど)を備える例示的な量子コンピュータシステム100の概略図を示す。様々な実施形態では、量子コンピュータシステム100は、コンピューティングエンティティ10と量子コンピュータ110とを備える。様々な実施形態では、量子コンピュータ110は、コントローラ30と量子プロセッサ115とを備える。様々な実施形態では、量子プロセッサ115は、極低温および/または真空チャンバ40において密閉された原子オブジェクト閉じ込め装置70、1つまたは複数の電圧源50、1つまたは複数の操作源60、1つまたは複数の磁界発生器80(たとえば、80A、80B)などを備える。
【0047】
図示の実施形態では、原子オブジェクト閉じ込め装置70は、無線周波数(RF)レール電極72(たとえば、72A、72B)と、捕獲および/または輸送(TT)電極74(たとえば、74A、74B、74C)のシーケンスとを備える。様々な実施形態では、RFレール電極72およびTT電極74は、一次元原子オブジェクト閉じ込め装置または二次元原子オブジェクト閉じ込め装置を画定する。いくつかの非限定的な例示的な原子オブジェクト閉じ込め装置は、2021年6月15日に発行された米国特許第11,037,776号、2020年12月17日に出願された米国特許出願第63/199,279号、および2021年8月19日に出願された米国特許出願第63/235,007号によって記載されており、これらの特許および特許出願の内容は、参照によってその全体が本明細書に全体的に組み込まれる。
【0048】
例示的な実施形態では、1つまたは複数の操作源60は、1つまたは複数のレーザ(たとえば、光学レーザ、マイクロ波源など)を備える。様々な実施形態では、1つまたは複数の操作源60は、原子オブジェクト閉じ込め装置70内の1つまたは複数の原子オブジェクトの制御された量子状態発展を操作しかつ/または生じさせるように構成される。たとえば、1つまたは複数の操作源60は、第1の操作信号、第2の操作信号、第3の操作信号、第4の操作信号などを生成および提供するように構成されたそれぞれの操作源60を備える。例示的な実施形態では、操作信号のうちの少なくともいくつかはレーザ光線、レーザパルス列などである。たとえば、例示的な実施形態では、1つまたは複数の操作源60は、1つまたは複数のレーザを備え、レーザは、極低温および/または真空チャンバ40内の閉じ込め装置に1つまたは複数のレーザ光線を提供してもよい。レーザ光線は、1つまたは複数の量子ビットおよび/または原子オブジェクトに対して1つまたは複数の量子ゲートを実行すること、1つまたは複数の原子オブジェクトを共同冷却すること、量子ビットを読み取りかつ/または原子オブジェクトの量子状態を判定すること、原子オブジェクトを量子ビット空間に初期設定することなど、様々な動作(たとえば、並行動作)を実行するために使用され得る。様々な実施形態では、操作源60は、コントローラ30のそれぞれのドライバコントローラ要素1015(
図10参照)によって制御される。
【0049】
様々な実施形態では、量子コンピュータ110は、1つまたは複数の電圧源50を備える。たとえば、電圧源50は、複数のTT電圧ドライバおよび/または電圧源および/または少なくとも1つのRFドライバおよび/または電圧源を備えてもよい。電圧源50は、例示的な実施形態では、原子オブジェクト閉じ込め装置70の対応する電位発生要素(たとえば、TT電極156、RFレール電極、RFバス電極)に電気的に結合されてもよい。たとえば、電圧源50は、原子オブジェクト閉じ込め装置70のRFレール電極およびRFバス電極に(RF)発振電圧信号を提供するように構成される。たとえば、電圧源50は、TT電極74のシーケンスのTT電極に制御電圧信号を提供するように構成される。様々な実施形態では、電圧源50は、コントローラ30のそれぞれのドライバコントローラ要素1015によって制御される。
【0050】
様々な実施形態では、量子コンピュータ110は、1つまたは複数の磁界発生器80(たとえば、80A、80B)を備える。たとえば、磁界発生器は、極低温および/もしくは真空チャンバ40内に配設された内部磁界発生器80Aならびに/または極低温および/もしくは真空チャンバ40の外側に配設された外部磁界発生器80Bであってもよい。様々な実施形態では、磁界発生器80は永久磁石、ヘルムホルツコイル、電磁石などである。様々な実施形態では、磁界発生器80は、原子オブジェクト閉じ込め装置70の1つまたは複数の領域において、特定の大きさと、原子オブジェクト閉じ込め装置70の1つまたは複数の領域における特定の磁界方向とを有する磁界を発生させるように構成される。例示的な実施形態では、特定の磁界方向は、量子ビットのブロッホ球表現のz方向を画定する。例示的な実施形態では、特定の大きさは実質的に5.9ガウスに等しい。例示的な実施形態では、1つまたは複数の磁界発生器80の動作は、コントローラ30によって制御される。例示的な実施形態では、磁界発生器80のうちの少なくとも1つは永久磁石であり、したがって、コントローラ30によって制御されない。
【0051】
様々な実施形態では、コンピューティングエンティティ10は、ユーザが(たとえば、コンピューティングエンティティ10のユーザインターフェースを介して)量子コンピュータ110への入力を提供し、量子コンピュータ110からの出力の受信、視認などを行うのを可能にするように構成される。コンピューティングエンティティ10は、1つもしくは複数の有線もしくは無線ネットワーク20ならびに/または直接有線および/もしくは無線通信を介して量子コンピュータ110のコントローラ30と通信してもよい。例示的な実施形態では、コンピューティングエンティティ10は、情報/データ、量子回路、量子コンピューティングアルゴリズムなどの、コントローラ30が理解および/または実施することのできるコンピューティング言語、実行可能な命令、コマンドセットなどへの変換、構成、フォーマッティングなどを行ってもよい。
【0052】
様々な実施形態では、コントローラ30は、電圧源50、極低温および/もしくは真空チャンバ40内の温度および圧力を制御する極低温システムならびに/または真空システム、操作源60、磁界発生器80、ならびに/または極低温および/もしくは真空チャンバ40内の様々な環境条件(たとえば、温度、圧力など)を制御し、かつ/もしくは原子オブジェクト閉じ込め装置70内の1つもしくは複数の原子オブジェクトの量子状態の制御された発展を操作しかつ/もしくは生じさせるように構成された他のシステムを制御するように構成される。たとえば、コントローラ30は、原子オブジェクト閉じ込め装置70内の1つまたは複数の原子オブジェクトの量子状態の制御された発展を生じさせて量子回路および/またはアルゴリズムを実行してもよい。たとえば、コントローラ30は、様々な実施形態において1つまたは複数の一般ゲートおよび/または1つまたは複数のグローバルゲートを備える量子回路を実行するように構成される。
【0053】
様々な実施形態では、原子オブジェクト閉じ込め装置70内に閉じ込められた原子オブジェクトは、量子コンピュータ110および/または量子プロセッサ115の量子ビットとして使用される。たとえば、量子プロセッサ115は、各マルチ原子オブジェクト結晶が、(量子プロセッサ115の量子ビットを具現化する)量子プロセッサの量子ビット原子オブジェクトとして使用される第1の原子オブジェクトと、同じマルチ原子オブジェクト結晶の量子ビット原子オブジェクトを冷却する際に使用される共同冷却原子オブジェクトとして使用される第2の原子オブジェクトとを備える複数のマルチ原子オブジェクト結晶を含んでもよい。
【0054】
III. 例示的な量子ビット表現
様々な実施形態では、原子オブジェクト閉じ込め装置によって閉じ込められた原子オブジェクトは、量子プロセッサおよび/または量子コンピュータの量子ビットとして使用される。たとえば、原子オブジェクトの量子状態の2状態部分空間は量子ビット空間として定義される。様々な実施形態では、量子ビット空間は、2超微細状態として定義される。たとえば、
図2は、例示的な原子オブジェクトの部分エネルギー
図200を示す。量子ビット空間210は、2つの異なる超微細状態を含むものと定義される。たとえば、原子オブジェクトが1価イオンのイッテルビウムである例示的な実施形態では、量子ビット空間210の超微細状態は、S-マニホールドのF=0、m=0状態、およびS-マニホールドのF=1、m=1状態であってもよい。様々な実施形態では、量子ビット空間210の2つの状態は、特定の周波数分離ν
s(たとえば、量子ビット空間210の2つの状態間のエネルギー差はhν
sであり、ここで、hはプランクの定数である)に対応するエネルギーによって分離される。原子オブジェクトが1価イオンのイッテルビウムである例示的な実施形態では、磁界が約5.9ガウスであるときに特定の周波数分離ν
sは約12.64GHzである。
【0055】
上記で指摘したように、ブロッホ球表現は、量子ビットを一般的に記述またはモデル化するために使用され得る。
図3は、量子ビットベクトルr
Qに対応する単位球上の点によって表される量子ビット状態|Q>における量子ビットの例示的なブロッホ球表現300を示す。量子ビット空間210の第1の状態は、単位球の表面と正のz軸との交点に画定され、量子ビット空間210の第2の状態は、単位球の表面と負のz軸との交点に画定される。量子ビットベクトルr
Qは、量子ビットベクトルr
Qと正のz軸との関係を記述する方位角
【数1】
、およびxy平面内に存在する位相角φによって画定される。たとえば、量子ビットベクトルr
Qは
【数2】
として表され得る。
【0056】
様々な実施形態では、フレーム回転が(たとえば、例示的な実施形態では、グローバル単一量子ビットゲートとして)実装される。本明細書では、フレーム回転は、量子ビットのブロッホ球表現の局所的基準系を外部に画定された基準系に対して回転させるユニタリ演算である。たとえば、様々な実施形態では、外部に画定された基準系は、z軸を磁界方向に整列することによって画定される。たとえば、フレーム回転は、量子ビットベクトルrQのx成分が外部に画定されたz軸に整列され、量子ビットベクトルrQのy成分が外部に画定されたz軸に整列され、ブロッホ球の局所系基準系が外部に画定された基準系に再整列される、などのように量子ビットベクトルrQを回転させるように構成され得る。
【0057】
様々な実施形態では、量子ビットに対してゲート(たとえば、グローバル単一量子ビットゲート、2量子ビットゲートなど)を実行すると、量子ビットは位相シフト(たとえば、ACシュタルクシフトなど)を累積させる。たとえば、操作信号と原子オブジェクトが相互作用すると、量子ビットの位相シフトが生じ得る。様々な実施形態では、量子コンピュータ(たとえば、コントローラ30)は、量子ビットの位相シフトを(リアルタイムまたは準リアルタイムに)追跡し、量子ビットに対応するそれぞれの量子ビットレコードを更新して、各量子ビットによって累積された位相シフトを追跡するように構成される。様々な実施形態では、ゲートは、量子ビットの累積された位相シフトを考慮するように修正されてもよく、かつ/またはゲートは、量子ビットの累積された位相シフトに基づいて量子ビットの位相を修正するように実行されてもよい。たとえば、2019年12月17日に出願された米国特許出願第16/716,973号は、量子ビットによって累積された位相シフトを追跡し、累積された位相シフトを物理的に考慮するいくつかの例について説明している。
【0058】
IV. 例示的なゲートセットプリミティブ
上記で説明したように、ゲートセットは、ゲートセットプリミティブのセットによって定義される。ゲートセットプリミティブは、スタンドアロンゲートとして使用され得、かつ/または追加のゲートを構築するためのビルディングブロックとして使用され得る。様々な実施形態では、ゲートセットプリミティブは、グローバル単一量子ビットゲートと2量子ビットゲートとを含む。
【0059】
原子オブジェクトがイオンである例示的な実施形態では、ゲートセットは、1量子ビット上のパウリ群に基づく。1量子ビット上のパウリ群の要素は、
【数3】
、
【数4】
、および
【数5】
であるように2×2行列として表され、それによって、パウリ群は、{±I, ±iI, ±X, ±iX、±Y, ±iY、±Z, ±iZ}によって与えられ、ここで、Iは2×2単位行列である。標準的な単一量子ビットゲートは、量子ビット空間210と原子オブジェクトの励起状態との間に誘導ラマン遷移を適用することによって実装される。このことは一般に、周波数オフセットが約ν
sである第1の操作信号と第2の操作信号を原子オブジェクトに入射させることによって実装される。自発放出に起因する小さいエラーまでは、この相互作用は、
【数6】
によって与えられる、j番目の量子ビットの量子ビット状態のユニタリ発展Uに対応し、この式において、△θは、回転角であり、原子オブジェクトに適用される操作信号の、操作信号電力レベル、操作信号周波数、持続時間(たとえば、時間の長さ)、および/またはそれらの組合せ(たとえば、および相互作用が適用される時間)に比例する。角度
【数7】
は、第1の操作信号と第2の操作信号との間の位相差に対応する。
【0060】
様々な実施形態では、ゲートセットは、グローバル単一量子ビットゲートであるゲートプリミティブを備える。グローバル単一量子ビットゲートは、第1の操作信号および第2の操作信号が2つ以上の量子ビットの両方(すべて)に入射するように2つ以上の量子ビットを互いに近接して位置させることによって2つ以上の量子ビット上に実装することができる。2つ以上の量子ビットの各々は、(たとえば、ユニタリ発展Uによって記述されるように)同様に回転させられる。たとえば、グローバル単一量子ビットゲートは、ユニタリ演算子
【数8】
に対応し、ここで、
【数9】
は、第1の量子ビットのみに作用する単一量子ビットユニタリ演算子U
1と、第2の量子ビットのみに作用する単一量子ビットユニタリ演算子U
2とのクロネッカー積を示す。したがって、第1の量子ビットと第2の量子ビットはどちらも、
【数10】
に対応するグローバル単一量子ビットゲートが第1の量子ビットおよび第2の量子ビットに対して実行された結果として△θ、
【数11】
によって示される回転を受ける。
【0061】
図4は、第1の原子オブジェクト402Aとして具現化される第1の量子ビットおよび第2の原子オブジェクト402Bとして具現化される第2の量子ビットに対して例示的なグローバル単一量子ビットゲートを実行するための構成を示す。第1の原子オブジェクト402Aおよび第2の原子オブジェクト402Bは軸405に沿って整列される。様々な実施形態では、第1の原子オブジェクト402Aおよび第2の原子オブジェクト402Bの位置に存在する磁界Bは、軸405と角度βを形成する磁界方向を有する。例示的な実施形態では、角度βは実質的に45度に等しい。第1の原子オブジェクト402Aと第2の原子オブジェクト402Bは離間距離△xだけ離間される。様々な実施形態では、離間距離△xは、第1の原子オブジェクト402Aと第2の原子オブジェクト402Bが互いに近接し、それによって、第1の操作信号410および第2の操作信号420が第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトの両方に入射するように構成される。たとえば、離間距離△xは、第1の原子オブジェクト402Aおよび第2の原子オブジェクト402Bの位置における第1の操作信号410および/または第2の操作信号420のスポットサイズ以下である。例示的な実施形態では、第1の操作信号410および第2の操作信号420は、第1の原子オブジェクト402Aおよび第2の原子オブジェクト402Bの位置で約35μmのスポットサイズに集束される。
【0062】
様々な実施形態では、第1の操作信号410および第2の操作信号420は、第1の原子オブジェクト402Aおよび第2の原子オブジェクト402Bに誘導ラマン遷移を生じさせるように構成される。例示的な実施形態では、第1の操作信号410および第2の操作信号420は互いに位相ロックされる。例示的な実施形態では、第1の操作信号410および第2の操作信号420は、波長が約372.5nmのレーザ光線であり、第1の操作信号410と第2の操作信号420との間の周波数オフセットは約νsである。たとえば、例示的な実施形態では、第3の操作信号は、周波数が約c/(372.5nm)(cは光の速度である)であり、第4の操作信号は、周波数が約c/(372.5nm)±νsである。様々な実施形態では、第1の操作信号410および第2の操作信号420は共伝播するレーザ光線(たとえば、実質的に互いに平行なそれぞれの伝播方向に伝播するレーザ光線)である。様々な実施形態では、第1の操作信号410と第2の操作信号420はどちらもσ+-偏光ラマンレーザ光線である。例示的な実施形態では、第1の操作信号および第2の操作信号は、磁界方向に実質的に平行な方向に伝播する。たとえば、第1の操作信号および第2の操作信号は、例示的な実施形態では、軸405と角度βを形成する。
【0063】
様々な実施形態では、グローバル単一量子ビットゲートはフレーム回転として使用される。たとえば、グローバル単一量子ビットゲートは、グローバル単一量子ビットゲートが同様に実行される各量子ビットの局所的基準系を回転させるために使用されてもよい。
【0064】
様々な実施形態では、2量子ビットゲートプリミティブとしてMolmer-Sorensen(MS)ゲートが使用されてもよい。MSゲートは、変換
【数12】
を生じさせるように構成され、ここで、ケット|↑↓>は、たとえば、第1の量子ビットが状態|↑>であり、第2の量子ビットが状態|↓>であることを示す。MSゲートについてのユニタリ演算子は、
【数13】
であり、ここで、
【数14】
および
【数15】
は、MSゲートを実行するために使用される操作信号(たとえば、第3の操作信号および第4の操作信号)の位相、ならびに原子オブジェクトの相対位置によって定義される。
【0065】
グローバル単一量子ビットゲートを実行するために使用される第1および第2の操作信号410、420と、2量子ビットゲートを実行するために使用される第3および第4の操作信号510、520(
図5参照)との間の位相コヒーレンスを維持することは技術的に困難である場合があるので、様々な実施形態において位相非依存性の回転MSゲートが使用される。たとえば、MSゲートは、第3および第4の操作信号510、520を用いて第1および第2の量子ビットへの初期フレーム回転を実行し、次いでMSゲートを実行し、次いで(第3および第4の操作信号510、520の別のインスタンスを使用して)第1および第2の量子ビットへの終了フレーム回転を実行して、局所的基準系を外部に定義された基準系と整列させ直す。例示的な実施形態では、第1のフレーム回転は、位相非依存性のMSゲートをzベースにおいて相互作用させ、それによって、2量子ビットゲートプリミティブについてのユニタリ演算子が
【数16】
として与えられる。様々な実施形態では、ゲートセットは、位相非依存性のMS2量子ビットゲートU
ZZを含む。
【0066】
例示的な実施形態では、MSゲートプリミティブの第1のインスタンスと第2のMSゲートプリミティブとの間のπ/2位相更新と連続して実行される2つのMSゲートプリミティブを含む別の位相非依存性2量子ビットゲートが含まれる。MSゲートプリミティブのシーケンスの結果は、ユニタリ演算子
【数17】
によって与えられる仮想スワップまたはiSWAP(△φ)2量子ビットゲートであり、ここで
【数18】
である。反対称2量子ビットゲートは、iSWAP(△φ)2量子ビットゲートの例であり、ここで△φ=π/2である。位相差△φは、複数量子ビットゲートを実行するために使用される第3および第4の操作信号によって生成される定常波の波長に対する離間距離△x(第1の原子オブジェクト402Aと第2の原子オブジェクト402Bとの間の距離)によって設定される。たとえば、λが第1および第2の原子オブジェクト402A、422Bにおける第3および第4の操作信号によって生成される定常波の波長であり、かつ△φ/λ=1/2である場合、
【数19】
である。様々な実施形態では、ゲートセットは、位相非依存性iSWAP2量子ビットゲートU
iを含む。
【0067】
様々な実施形態では、ユニタリゲートUi(△θ,△φ)の△θは、完全なもつれ生成部を提供する特定の角度に設定される。たとえば、例示的な実施形態では、△θはπ/2に設定される。別の例示的な実施形態では、△θは、iSWPゲートの平方根(たとえば、sqrt(iSWAP))を提供するようにπ/4(たとえば、Ui(π/4,△φ))に設定される。sqrt(iSWAP)ゲートは、完全なもつれ生成部(たとえば、2量子ビットベル状態を形成するために使用され得る)であるが、標準的なiSWPゲートとして全回転角の2分の1を必要とする(たとえば、一般にUi(π/2,△φ))。本明細書の他の部分でより詳細に説明するように、全回転角度を小さくすると、エラーを小さくすることができる。したがって、sqrt(iSWAP)は一般に、より大きい全回転角度を必要とする他の完全なもつれ生成部よりも小さいエラーを含む。
【0068】
図5は、第1の原子オブジェクト402Aとして具現化される第1の量子ビットおよび第2の原子オブジェクト402Bとして具現化される第2の量子ビットに対して例示的な位相非依存性の2量子ビットゲート(たとえば、位相非依存性のMSゲートU
ZZ、位相非依存性のiSWAP、および/またはsqrt(iSWP)量子ビットゲートU
iなど)を実行するための構成を示す。第1の原子オブジェクト402Aと第2の原子オブジェクト402Bは軸405に沿って整列される。様々な実施形態では、第1の原子オブジェクト402Aおよび第2の原子オブジェクト402Bの位置に存在する磁界Bは、軸405と角度βを形成する磁界方向を有する。例示的な実施形態では、角度βは実質的に45度に等しい。第1の原子オブジェクト402Aと第2の原子オブジェクト402Bは、軸405に沿って離間距離△xだけ離間される。様々な実施形態では、離間距離△xは、第1の原子オブジェクト402Aと第2の原子オブジェクト402Bが互いに近接し、それによって、第3の操作信号510および第4の操作信号520が第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトの両方に入射するように構成される。たとえば、離間距離△xは、第1の原子オブジェクト402Aおよび第2の原子オブジェクト402Bの位置における第3の操作信号510および/または第4の操作信号520のスポットサイズ以下である。例示的な実施形態では、第3の操作信号510および第4の操作信号520は、第1の原子オブジェクト402Aおよび第2の原子オブジェクト402Bの位置で約35μmのスポットサイズに集束される。
【0069】
例示的な実施形態では、位相非依存性のiSWAPおよび/またはsqrt(iSWAP)2量子ビットゲートを実行する場合、離間距離△xは、△φ=nπ=△k△xであるように相互作用(たとえば、(XX+YY)相互作用)の対称iSWAPおよび/またはsqrt(iSWAP)部分に利用され、ここで、nは正数であり、△kは、第3の操作信号510と第4の操作信号520との間の波数ベクトル差の大きさである。例示的な実施形態では、△k△x≒27πである。例示的な実施形態では、位相非依存性のiSWAPおよび/またはsqrt(iSWAP)2量子ビットゲートを実行する場合、離間距離△xは、△φ=(n+1/2)π=△k△xであるように相互作用(たとえば、(XX-YX)相互作用)の反対称iSWAPおよび/またはsqrt(iSWAP)部分に利用される。例示的な実施形態では、△k△x≒27.5πである。
【0070】
様々な実施形態では、第3の操作信号510および第4の操作信号520は、第1の原子オブジェクト402Aおよび第2の原子オブジェクト402Bに2量子ビットゲートを生じさせるように構成される。例示的な実施形態では、第3の操作信号510および第4の操作信号520は互いに位相ロックされる。例示的な実施形態では、第3の操作信号510および第4の操作信号520は、波長が約372.5nmのレーザ光線であり、第1の操作信号510と第2の操作信号520との間の周波数オフセットは約ν
sである。たとえば、例示的な実施形態では、第3の操作信号は、周波数が約c/(372.5nm)であり、第4の操作信号は、周波数が約c/(372.5nm)±ν
sである。様々な実施形態では、第3の操作信号510および第4の操作信号520は、間に相対角度αを有する伝播するレーザ光線である。例示的な実施形態では、角度αは約90度である。たとえば、例示的な実施形態では、波数ベクトル差はz方向に平行である(たとえば、
【数20】
)。様々な実施形態では、第3の操作信号510と第4の操作信号520はどちらも直線偏光ラマンレーザ光線であり、第3の操作信号の偏光方向は、第4の操作信号の偏光方向に垂直である。
【0071】
様々な実施形態では、ゲートセットは、「ソフトウェア」単一量子ビットゲートをさらに含んでもよく、「ソフトウェア」単一量子ビットゲートは、(たとえば、それぞれの量子ビットレコードに記憶された)量子ビットの追跡された位相を使用して、所与の量子ビットに対して実行される将来の単一量子ビットゲートの位相を更新することによって実行される。そのような「ソフトウェア」ゲートは、
【数21】
などのz軸の周りの回転に対応し、この数式は、位相非依存性の回転MS2量子ビットゲートU
ZZと可換であるが、位相非依存性のiSWAPおよび/またはsqrt(iSWAP)2量子ビットゲートU
iと可換ではない。上記で指摘したように、量子ビットに対してゲートを実行すると、較正エラーまで、
【数22】
「ソフトウェア」ゲートに対応する各量子ビットに対して(小さい)ACシュタルクシフトが加えられるかまたは誘導される。任意の単一量子ビットゲートが、R
z(θ
1)U(θ
2,0)R
z(θ
3)として2つのそのような「ソフトウェア」ゲートおよび1つのラマンゲートに分解され得る。
【0072】
様々な実施形態では、グローバル単一量子ビットゲート、位相非依存性の2量子ビットゲート、および「ソフトウェア」ゲートを含むゲートセットプリミティブ、ゲートセットプリミティブから構築されたゲートなどを使用して様々な量子回路が構築される。たとえば、様々なゲートプリミティブが、2量子ビットゲートプリミティブを含む一般ゲートおよび/または個々の単一量子ビットゲートを構築および/または実行するために使用され得る。
【0073】
V. 一般ゲートの例示的な実行
様々な実施形態は、一般ゲート(たとえば、一般2量子ビットゲート)の実行、量子コンピュータおよび/もしくは量子プロセッサに一般ゲートを実行させるように構成された量子コンピュータコントローラ、ならびに/または一般ゲートを実行するように構成された量子コンピュータを含む。様々な実施形態では、一般ゲートは、2量子ビットの任意角度ゲートである。
【0074】
様々な実施形態では、ゲートセットの2量子ビットゲートは、群SU(2
m)の要素であり、mはゲートによって作用される量子ビットの数である。たとえば、2状態量子ビット空間210について、2量子ビットに作用するように構成された2量子ビットゲートは、群SU(4)の要素である。一般に、SU(2
m)は、行列式が1である2
m×2
mユニタリ行列のリー群である。ゲートセットプリミティブを使用して、任意の2量子ビットゲートVが構築され得る。ここで、V∈SU(2
m)である。m=2である例では、任意の2量子ビットゲートVは、カルタン分解を介して
【数23】
に分解され得る。ここで、U
1、U
2、U
3、およびU
4は任意の個々の単一量子ビットゲートおよび2量子ビットゲートU
M=exp[-i(θ
xXX+θ
yYY+θ
zZZ)/2]である。言い換えれば、2量子ビットゲートU
Mを実行すると、それぞれの量子ビットが任意の角度だけ回転する。様々な実施形態では、位相非依存性の回転MS2量子ビットゲートU
ZZは、(たとえば、設定角度ではなく任意の角度を有する)任意角度ゲートとして実行される。様々な実施形態では、位相非依存性のiSWAPおよび/またはsqrt(iSWAP)2量子ビットゲートU
iは任意角度ゲートとして(たとえば、反対称ゲートとして)実行される。
【0075】
例示的な実施形態では、2量子ビットゲートはUM(θx,θy,θz)=UG(π/2, π/2)UZZ(θx)UG(π/2,-π/2)UG(π/2,0)UZZ(θy)UG(π/2,-π)UZZ(θz)として実行される。様々な実施形態では、UMゲートは、3つの2量子ビットゲートおよび3~5フレーム回転に分解される。
【0076】
一般ゲートを実行する際に生じる新しい課題は、Rz(θ)はゲートU
Mと可換ではないので、一般ゲートが適用される量子ビット間の位相を同期させるためにU
Mゲートを実行する前に任意のソフトウェアゲートが物理的に適用されるべきであることである。様々な実施形態では、ソフトウェアゲートは、(たとえば、それぞれの量子ビットレコードによって示される)量子ビットの履歴からの任意のACシュタルクシフトを含めることによって物理的に適用される。たとえば、任意の複数ゲートVの
【数24】
は、U(θ
1,0)U(θ
2,π/2)U(θ
3,0)としてコンパイルされ得、ここで、θ
1、θ
2、およびθ
3は、それぞれの量子ビットの履歴からのACシュタルクシフトを考慮に入れる。様々な実施形態では、ソフトウェアゲートは、2量子ビットゲートが実行される少なくとも1量子ビットに物理相更新を適用することによって物理的に適用される。たとえば、量子ビットの物理相は、単一量子ビットゲートU(π,β/4)(π,π-β/4)を実行することによって更新され得る。ここで、βは、2量子ビットゲートが実行される量子ビット間の位相差である。
【0077】
図6は、一般2量子ビットゲートを実行するための様々なプロセス、手順、動作などを示すフローチャートを提示する。ステップ/動作602から開始し、2つ以上の原子オブジェクトが原子オブジェクト閉じ込め装置70によって閉じ込められる。たとえば、量子コンピュータのコントローラ30は、1つまたは複数の電圧源50を動作させかつ/または1つまたは複数の電圧源50の動作を生じさせて、RFレール電極72および/またはTT電極74のシーケンスによって閉じ込め電位を生成させ、原子オブジェクト閉じ込め装置70によって2つ以上の原子オブジェクトを閉じ込めてもよい。
【0078】
コントローラ30は、量子プロセッサに量子回路の実施および/または実行を開始させてもよい。たとえば、コントローラ30は、電圧源50の動作を制御して原子オブジェクト閉じ込め装置70によって閉じ込められた様々な原子オブジェクトを原子オブジェクト閉じ込め装置内の特定の位置へ輸送し、操作源60の動作を制御して1つまたは複数の操作信号を様々な原子オブジェクト上の特定の位置に入射させて、量子プロセッサの1つまたは複数の動作および/または機能を実行させ(たとえば、単一量子ビットゲート、2量子ビットゲート、量子ビット初期化(たとえば、原子オブジェクトを初期化させて量子ビット空間内の量子状態にする)、量子ビットの読み取りなど)てもよい。量子回路の実施および/または実行中のある点において、第1の原子オブジェクトによって具現化される第1の量子ビットおよび第2の原子オブジェクトによって具現化される第2の量子ビットは、相互作用させられ、かつ/または量子ビットに対して2量子ビットゲート(たとえば、一般2量子ビットゲート)が実行される。
【0079】
ステップ/動作604において、第1のフレーム回転が実行される。たとえば、第1の原子オブジェクトに対する第1の個々にアドレス指定された単一量子ビットゲートU(π/2,π/2)が実行される。たとえば、コントローラ30は、第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第1のインスタンスが第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトの両方に入射するように、1つまたは複数の操作源60に第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第1のインスタンスを生成および提供させてもよい。第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第1のインスタンスに存在する電力、ならびに第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第1のインスタンスが第1の原子オブジェクトに入射する(たとえば、第1の原子オブジェクトと相互作用する)時間の長さは、第1の原子オブジェクトがπ/2の△θ回転を受けるように構成される。たとえば、(第1の原子オブジェクトによって具現化される)第1の量子ビットのそれぞれの量子ビットベクトルr
Qの極角θは、π/2だけ修正される(たとえば、値が変更される)。第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第1のインスタンス間の位相差は、(第1の原子オブジェクトによって具現化される)第1の量子ビットのそれぞれの量子ビットベクトルr
Qの方位角
【数25】
をπ/2だけ修正させる(たとえば、値を変更させる)ように構成される。第2の原子オブジェクトについて同じ手順が繰り返される。
【0080】
ステップ/動作606において、第1の量子ビットまたは第2の量子ビットのうちの少なくとも一方の物理相が更新される。一般ゲートを実行する際に生じる新しい課題は、R
z(θ)はゲートU
Mと可換ではないので、一般ゲートが適用される量子ビット間の位相を同期させるために一般ゲートを実行する前に任意のソフトウェアゲートが物理的に適用されるべきであることである。様々な実施形態では、ソフトウェアゲートは、(たとえば、それぞれの量子ビットレコードによって示される)量子ビットの履歴からの任意のACシュタルクシフトを含めることによって物理的に適用される。たとえば、任意の複数ゲートVの
【数26】
は、U(θ
1,0)U(θ
2,π/2)U(θ
3,0)としてコンパイルされ得、ここで、θ
1、θ
2、およびθ
3は、それぞれの量子ビットの履歴からのACシュタルクシフトを考慮に入れる。様々な実施形態では、ソフトウェアゲートは、2量子ビットゲートが実行される少なくとも1量子ビットに物理相更新を適用することによって物理的に適用される。たとえば、量子ビットの物理相は、単一量子ビットゲートU(π,β/4)(π,π-β/4)を実行することによって更新され得る。ここで、βは、2量子ビットゲートが実行される量子ビット間の位相差である。様々な実施形態では、コントローラ30は、1つまたは複数の操作源60の動作を制御して、第1の原子オブジェクトまたは第2の原子オブジェクトに入射して(第1の原子オブジェクトによって具現化される)第1の量子ビットまたは(第2の原子オブジェクトによって具現化される)第2の量子ビットの物理相を更新させる操作信号を提供する。たとえば、第1の量子ビットの物理相を更新することは、任意の複数角度ゲートVのゲートプリミティブ
【数27】
を実行することを含んでもよい。例示的な実施形態では、第1の量子ビットまたは第2の量子ビットの物理相は、ステップ/動作604において実行される個々にアドレス指定される単一量子ビットゲートの一部として更新される。
【0081】
ステップ/動作608において、第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトは、互いに近接した原子オブジェクト閉じ込め装置70内のそれぞれの位置に輸送される。例示的な実施形態では、第1の原子オブジェクトおよび/または第2の原子オブジェクトは、第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトが互いに隣接しかつ/または近接する(たとえば、第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトとの間に他の原子オブジェクトが配設されていない)ように輸送される。たとえば、コントローラ30は、第1の原子オブジェクトをそれぞれの前の位置から第1の位置へ移動させ、かつ/または第2の原子オブジェクトをそれぞれの前の位置から第2の位置へ移動させる制御電圧信号が、TT電極74のシーケンスに提供されるように、電圧源50を動作させかつ/または電圧源50の動作を生じさせる。第1の位置と第2の位置は互いに近接している。
【0082】
第1の原子オブジェクトの第1の位置への輸送および/または第2の原子オブジェクトの第2の位置への輸送の間、原子オブジェクトの加熱が生じることがある。ステップ/動作610において、第1の原子オブジェクトおよび/または第2の原子オブジェクトを冷却するために冷却動作が実行されてもよい。例示的な実施形態では、冷却動作は共同冷却動作である。たとえば、コントローラ30は、1つまたは複数の操作源60に、第1および/または第2の原子オブジェクトのそれぞれの十分近くに位置する共同冷却原子オブジェクトに入射する操作信号を提供させてもよく、それによって、共同冷却原子オブジェクトは、第1および/または第2の原子オブジェクトから熱を除去するために使用可能になる。
【0083】
様々な実施形態では、UMゲートの実行の初めから終わりまで、第1の原子オブジェクトは、第1の位置に位置し、第2の原子オブジェクトは、第2の位置に位置する。特に、UMゲートを構築するために使用されるゲートプリミティブのすべてが2量子ビットゲートまたはグローバル単一量子ビットゲートであるので、UMゲートの実行中に第1の原子オブジェクトおよび/または第2の原子オブジェクトの輸送は行われない。したがって、冷却動作は(第1の位相非依存性2量子ビットゲートを実行する前に)一度だけ実行されればよい。
【0084】
従来の2量子ビットゲートでは、1量子ビットのみに対して実行される個々の単一量子ビットゲート(たとえば、個々にアドレス指定された単一量子ビットゲート)を含むゲートプリミティブから2量子ビットゲートを構築することが一般的である。したがって、従来のシナリオでは、第1および第2の原子オブジェクトは、ゲートの実行の初めから終わりまで複数回(たとえば、3回)にわたって、2量子ビットの実行が開始されるように互いに近接するように輸送され、次いで分離されて元に戻される。したがって、従来の2量子ビットゲートでは、冷却動作を複数回(たとえば、3回)実行する必要がある。冷却動作のこのような追加的な実行は、2量子ビットゲートの実行時間を顕著に延ばし、メモリエラー、ドリフトエラー、および他のゲートエラーを生じさせる。したがって、本発明の実施形態は、(著しい加熱エラーなしに)ゲートを実行するために必要な冷却動作の回数が1回のみであり(たとえば、従来の2量子ビットゲートにおいて必要とされる回数の3分の1)、メモリおよび/またはドリフトエラーに関連付けられた冷却動作も著しく低減されるという点で、従来の2量子ビットゲートを向上させる。
【0085】
ステップ/動作612において、第1の位相非依存性2量子ビットゲートプリミティブが実行される。例示的な実施形態では、第1の位相非依存性2量子ビットゲートプリミティブは、位相非依存性の回転MSゲートUZZ(θx)である。様々な実施形態は、位相非依存性の回転MSゲートUZZ(θx)を位相非依存性の2量子ビットゲートプリミティブとして使用するが、他の実施形態では、第1の位相非依存性の2量子ビットゲートプリミティブは、対称iSWAPおよび/またはsqrt(iSWAP)ゲートUi(θx,π)である。たとえば、コントローラ30は、第3の操作信号510および第4の操作信号520のそれぞれの第1のインスタンスが第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトの両方に入射するように、1つまたは複数の操作源60に第3の操作信号510および第4の操作信号520のそれぞれの第1のインスタンスを生成および提供させてもよい。第3の操作信号510および第4の操作信号520のそれぞれの第1のインスタンスに存在する電力、第3の操作信号510および第4の操作信号520のそれぞれの第1のインスタンスの周波数、ならびに/または第3の操作信号510および第4の操作信号520のそれぞれの第1のインスタンスが第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトに入射する(たとえば、第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトと相互作用する)持続時間は、回転角θxによって特徴付けられる第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトとの間の相互作用を生じさせるように構成される。
【0086】
ステップ/動作614において、第2のフレーム回転が実行される。たとえば、グローバル単一量子ビットゲートおよび/またはグローバル単一量子ビットゲートの対U
G(π/2,-π/2)U
G(π/2,0)が実行される。たとえば、コントローラ30は、第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第2のインスタンスが第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトの両方に入射するように、1つまたは複数の操作源60に第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第2のインスタンスを生成および提供させてもよい。第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第2のインスタンスに存在する電力、ならびに第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第2のインスタンスが第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトに入射する(たとえば、第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトと相互作用する)時間の長さは、第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトの両方にπ/2の△θ回転を受けさせるように構成される。たとえば、(第1の原子オブジェクトによって具現化される)第1の量子ビットおよび(第2の原子オブジェクトによって具現化される)第2の量子ビットのそれぞれの量子ビットベクトルr
Qの極角θは、π/2だけ修正される(たとえば、値が変更される)。第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第2のインスタンス間の位相差は、(第1の原子オブジェクトによって具現化される)第1の量子ビットおよび(第2の原子オブジェクトによって具現化される)第2の量子ビットのそれぞれの量子ビットベクトルr
Qの方位角
【数28】
をπ/2だけ修正させる(たとえば、値を変更させる)ように構成される。
【0087】
例示的な実施形態では、第2のフレーム回転を完了するために、コントローラ30は、第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第2のインスタンスが第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトの両方に入射するように、1つまたは複数の操作源60に第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第2のインスタンスを生成および提供させてもよい。第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第3のインスタンスに存在する電力、ならびに第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第3のインスタンスが第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトに入射する(たとえば、第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトと相互作用する)時間の長さは、第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトの両方にπ/2の△θ回転を受けさせるように構成される。たとえば、(第1の原子オブジェクトによって具現化される)第1の量子ビットおよび(第2の原子オブジェクトによって具現化される)第2の量子ビットのそれぞれの量子ビットベクトルr
Qの極角θは、π/2だけ修正される(たとえば、値が変更される)。第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第3のインスタンス間の位相は、例示的な実施形態では、(第1の原子オブジェクトによって具現化される)第1の量子ビットおよび(第2の原子オブジェクトによって具現化される)第2の量子ビットのそれぞれの量子ビットベクトルr
Qの方位角
【数29】
を変更せず、かつ/または修正しない(ACシュタルクシフトなどを含む小さいエラーまで)ように整列される。
【0088】
ステップ/動作616において、第2の位相非依存性2量子ビットゲートプリミティブが実行される。例示的な実施形態では、第2の位相非依存性2量子ビットゲートプリミティブは、位相非依存性の回転MSゲートUZZ(θy)である。例示的な実施形態では、第2の位相非依存性の2量子ビットゲートプリミティブは、非対称iSWAPおよび/またはsqrt(iSWAP)ゲートUi(θy, π)である。たとえば、コントローラ30は、第3の操作信号510および第4の操作信号520のそれぞれの第2のインスタンスが第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトの両方に入射するように、1つまたは複数の操作源60に第3の操作信号510および第4の操作信号520のそれぞれの第2のインスタンスを生成および提供させてもよい。第3の操作信号510および第4の操作信号520のそれぞれの第2のインスタンスに存在する電力、第3の操作信号510および第4の操作信号520のそれぞれの第1のインスタンスの周波数、ならびに/または第3の操作信号510および第4の操作信号520のそれぞれの第2のインスタンスが第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトに入射する(たとえば、第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトと相互作用する)持続時間は、回転角θyによって特徴付けられる第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトとの間の相互作用を生じさせるように構成される。
【0089】
ステップ/動作618において、第3のフレーム回転が実行される。たとえば、第2のグローバル単一量子ビットゲートU
G(π/2,-π)が実行される。たとえば、コントローラ30は、第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第4のインスタンスが第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトの両方に入射するように、1つまたは複数の操作源60に第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第4のインスタンスを生成および提供させてもよい。第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第4のインスタンスに存在する電力、ならびに第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第4のインスタンスが第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトに入射する(たとえば、第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトと相互作用する)時間の長さは、第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトの両方にπ/2の△θ回転を受けさせるように構成される。たとえば、(第1の原子オブジェクトによって具現化される)第1の量子ビットおよび(第2の原子オブジェクトによって具現化される)第2の量子ビットのそれぞれの量子ビットベクトルr
Qの極角θは、π/2だけ修正される(たとえば、値が変更される)。第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第4のインスタンス間の位相差は、(第1の原子オブジェクトによって具現化される)第1の量子ビットおよび(第2の原子オブジェクトによって具現化される)第2の量子ビットのそれぞれの量子ビットベクトルr
Qの方位角
【数30】
を-πだけ修正させる(たとえば、値を変更させる)ように構成される。
【0090】
ステップ/動作620において、第3の位相非依存性2量子ビットゲートプリミティブが実行される。例示的な実施形態では、第3の位相非依存性2量子ビットゲートプリミティブは、位相非依存性の回転MSゲートUZZ(θz)である。例示的な実施形態では、第2の位相非依存性の2量子ビットゲートプリミティブは、非対称iSWAPおよび/またはsqrt(iSWAP)ゲートUi(θz,π)である。たとえば、コントローラ30は、第3の操作信号510および第4の操作信号520のそれぞれの第3のインスタンスが第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトの両方に入射するように、1つまたは複数の操作源60に第3の操作信号510および第4の操作信号520のそれぞれの第3のインスタンスを生成および提供させてもよい。第3の操作信号510および第4の操作信号520のそれぞれの第3のインスタンスに存在する電力、第3の操作信号510および第4の操作信号520のそれぞれの第1のインスタンスの周波数、ならびに/または第3の操作信号510および第4の操作信号520のそれぞれの第3のインスタンスが第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトに入射する(たとえば、第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトと相互作用する)持続時間は、回転角θzによって特徴付けられる第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトとの間の相互作用を生じさせるように構成される。
【0091】
様々な実施形態では、一般2量子ビットゲートが、第1の原子オブジェクトまたは第2の原子オブジェクトに対して実行される量子回路の最後のゲートである場合、第1の原子オブジェクトまたは第2の原子オブジェクトに対して(たとえば、それらの読み取りの前に)単一量子ビットゲート(たとえば、個々にアドレス指定された単一量子ビットゲート)が実行される。
【0092】
2量子ビット任意角度ゲート(たとえば、任意の回転に対応する2量子ビットゲート)を必要とするいくつかの例示的なアルゴリズムは、量子近似最適化アルゴリズム(QAOA)および量子フーリエ変換(QFT)を含む。従来、これらの任意角度ゲートは、総回転がπである2つの固定角度ゲートに分解される。別の例では、UMゲートの標準的な分解は、総回転が3π/2である3つのπ/2MSゲートを含む。しかしながら、MSゲートにおけるエラー(たとえば、振幅ゲートエラー、離調エラー、位相ノイズエラー、など)の多くは、総回転角度の単調増加関数である。したがって、総回転角度を小さくし、しかも所望のゲートを実現すると、ゲートエラーが低減する。一般に、一般2量子ビットゲートの平均総回転は約0.75πであり、エラーの顕著な低減をもたらす。したがって、本明細書で説明する一般2量子ビットゲートは、固定角度を使用して生成される従来の一般ゲート(たとえば、任意の角度の回転に対応する)と比較してエラーがより少ない/小さい一般ゲートを提供する。
【0093】
VI. 任意の角度の例示的な較正およびそれに基づく操作信号の生成
様々な実施形態では、2量子ビット任意角度ゲートが提供される。2量子ビット任意角度ゲートを実行するための1つの潜在的な課題は、所望の任意の角度が影響を受ける操作信号の較正が、較正が離散値のセット(たとえば、固定角度/回転のセット)ではなく連続的な範囲(たとえば、あり得る任意の角度/回転の連続的な範囲)にわたる実行を検証することを含むので、困難であることである。
【0094】
様々な実施形態では、操作信号(たとえば、第1の操作信号410、第2の操作信号420、第3の操作信号510、または第4の操作信号520)は、レーザなどのそれぞれの操作源60によって生成される。たとえば、操作源60は、レーザ光線を生成するように構成されたレーザを備えてもよい。次いで、レーザ光線は、音響光学変調器(AOM)などの変調器に渡される。AOMは、(電気)入力信号に基づいて操作信号の振幅、周波数、および/または位相を変調および/または制御するように構成される。ゲートによって実行される任意の角度の回転は、操作信号の対(たとえば、第1および第2の操作信号410、420または第3および第4の操作信号510、520)によって第1の原子オブジェクトおよび/もしくは第2の原子オブジェクトに入射しかつ/または第1の原子オブジェクトおよび/もしくは第2の原子オブジェクトに給送されるエネルギーに比例する。たとえば、ゲートによって実行される任意の角度の回転は、第1の原子オブジェクトおよび/もしくは第2の原子オブジェクトに入射する操作信号のそれぞれの電力レベル、第1の原子オブジェクトおよび/もしくは第2の原子オブジェクトに入射する操作信号のそれぞれの周波数、ならびに第1の原子オブジェクトおよび/もしくは第2の原子オブジェクトに入射しかつ/または第1の原子オブジェクトおよび/もしくは第2の原子オブジェクトと相互作用する持続時間および/または時間の関数である。
【0095】
図7は、任意の角度を較正し、任意角度ゲートを実行する際に使用される操作信号を生成するためのプロセス、手順、動作などを示すフローチャートを提示する。様々な実施形態では、コントローラ30の処理デバイス1005(
図10参照)および/またはコンピューティングエンティティ10の処理デバイス1108(
図11参照)は、(たとえば、メモリ1010、1122、1124に記憶された)コンピュータ実行可能なコードおよび/または命令を実行して、
図7のプロセス、手順、動作などを実施する。
【0096】
ステップ/動作702から開始し、複数の変調器入力信号パラメータ値について操作信号の特性(たとえば、操作信号の電力、周波数、持続時間、および/またはそれらの組合せ)が測定される。たとえば、複数の変調器入力信号パラメータ値において、操作信号によって提供された電力(たとえば、期間当たりエネルギー)が測定される。別の例では、複数の変調器入力信号パラメータ値において操作信号の周波数および/または周波数スペクトルが測定されてもよい。別の例では、複数の変調器入力信号パラメータ値において、提供された操作信号の持続時間が測定される。様々な実施形態では、複数の変調器入力信号パラメータ値において、提供された操作信号の電力、周波数、および/または持続時間の様々な組合せが測定される。様々な実施形態では、測定は、コントローラ30および/またはコンピューティングエンティティ10によって実行および/または制御される。たとえば、コントローラ30は、シーケンスの各操作信号が、それぞれの変調器入力信号パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて生成される、操作信号のシーケンスが生成されるように操作源60を制御してもよい。例示的な実施形態では、それぞれの変調器入力信号パラメータは、電気入力信号の電圧レベル、電気入力信号の周波数などを含む。
【0097】
たとえば、コントローラ30および/またはコンピューティングエンティティ10は、第1の入力信号をAOMに適用させ、操作源60に、AOMによって(たとえば、振幅/電力、周波数、位相、持続時間、および/またはそれらの組合せが)調整および/または変調された操作信号を生成させる。(たとえば、受信された光電力、周波数、および/または持続時間を示す電気信号を生成するように構成された光検出器および/または光検出器のアレイを使用して)得られる操作信号の特性(たとえば、電力、周波数、持続時間、および/またはそれらの組合せ)が測定および/または判定される。第1の入力信号の入力信号パラメータ値および得られる測定された操作信号特性(たとえば、電力、周波数、持続時間、および/またはそれらの組合せ)が記録される。プロセスは、様々な入力信号パラメータ値について複数回繰り返され、それによって、入力信号パラメータ値のパラメータ空間が適切にサンプリングされる。たとえば、コントローラ30および/またはコンピューティングエンティティ10は、入力信号パラメータ値とそれぞれの測定された操作信号特性(たとえば、電力、周波数、持続時間、および/またはそれらの組合せ)とを含む複数のデータポイントを生成および/または記憶してもよい。
【0098】
ステップ/動作704で、操作信号特性(たとえば、電力、周波数、持続時間、および/またはそれらの組合せ)と入力信号パラメータ値との間の測定された関係の関数近似が判定される。たとえば、コントローラ30および/またはコンピューティングエンティティ10は、ステップ/動作702において生成されたデータポイントを処理および/または分析して、データポイントの関数近似を判定してもよい。例示的な実施形態では、関数近似は、操作信号電力に対応し、関数形式
【数31】
を有し、ここで、vは、入力信号パラメータ値であり、A
0は、関数P(v)のデータポイントへの当てはめに基づいて判定されるスケーリング定数であり、A
1は、関数P(v)のデータポイントへの当てはめに基づいて判定される周期スケーリング定数であり、A
2は、関数P(v)のデータポイントへの当てはめに基づいて判定される減衰定数である。様々な実施形態では、関数近似は可逆的である。様々な関数近似フォーマットが、ステップ/動作702において収集された操作信号特性および観測値に適切なフォーマットとして使用されてもよい。
【0099】
様々な実施形態では、第1の関数当てはめは、正の任意の角度の回転に対して判定され、第2の関数当てはめは、負の任意の角度の回転に対して判定される。たとえば、第3の操作信号510および第4の操作信号520の干渉を特徴付けるビート信号周波数ωbは、ωb=ω0±ωz,2±δを満たし、ここで、ωz,2は、第3および/または第4の操作信号510、520の軸方向逆位相モードであり、2π/δ≒tgate = 35μsであり、ここで、tgateは、ゲートが実行される持続時間(たとえば、第3および第4の操作信号510、520が、ゲートを実行する第1および第2の原子オブジェクトに入射する時間)である。様々な実施形態では、ωb=2πνsであり、νsは、第3の操作信号510と第4の操作信号520との周波数分離である。様々な実施形態では、2量子ビット回転UZZ(θ)を実行するが、-δを使用することによる2量子ビット回転UZZ(-θ)である。
【0100】
しばらくして、コントローラ30は、第1の原子オブジェクトによって具現化される第1の量子ビットおよび第2の原子オブジェクトとして具現化される第2の量子ビットに対して任意角度2量子ビットゲートが実行されると判定する。ステップ/動作706において、任意角度2量子ビットゲートが実行されると判定したことに応答して、任意の角度に対応する操作信号特性(たとえば、電力、周波数、持続時間、および/またはそれらの組合せ)が判定される。たとえば、コントローラ30は、任意角度2量子ビットゲートを実行するのに必要な操作信号特性(たとえば、電力、周波数、持続時間、および/またはそれらの組合せ)を判定してもよい。
【0101】
ステップ/動作708において、適切な変調器入力信号パラメータ値が判定される。たとえば、適切な変調器入力信号パラメータ値は、任意の角度に対応する判定された操作信号特性(たとえば、電力、周波数、持続時間、および/またはそれらの組合せ)ならびに操作信号特性(たとえば、電力、周波数、持続時間、および/またはそれらの組合せ)と変調器入力信号パラメータ値(および/または関数近似の逆数)との間の関係の関数近似に少なくとも部分的に基づいて判定される。たとえば、コントローラ30は、関数近似(および/またはその逆数)ならびに任意の角度に対応する判定された操作信号特性(たとえば、電力、周波数、持続時間、および/またはそれらの組合せ)に基づいて適切な変調器入力信号パラメータ値を判定する。例示的な実施形態では、(たとえば、任意角度2量子ビットゲートを実行することによって誘導される)第1の原子オブジェクトおよび/または第2の原子オブジェクトについての得られるACシュタルクシフトも判定される。
【0102】
ステップ/動作710において、任意の角度に対応するそれぞれの特性(たとえば、電力、周波数、持続時間、および/またはそれらの組合せを有する)第3および第4の操作信号510、520が生成される。たとえば、コントローラ30は、操作源60に、任意角度2量子ビットゲートを実行するための第3の操作信号および第4の操作信号を生成および提供させる。第3の操作信号510および第4の操作信号520は、任意の角度に対応するそれぞれの電力、周波数、持続時間、および/またはそれらの組合せを有し、判定された適切な変調器入力信号パラメータ値に従う電気入力信号を1つまたは複数のAOMに適用することに少なくとも部分的に基づいて生成される。第3および第4の操作信号510、520は、第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトに入射して任意角度2量子ビットゲートを実行するように提供される。
【0103】
VII. グローバル単一量子ビットゲートおよび/または2量子ビットゲートプリミティブを使用する個々の単一量子ビットゲートの例示的な実行
様々な実施形態は、個々の単一量子ビットゲートの実行に関する。様々な実施形態は、少なくとも1つの2量子ビットゲートプリミティブおよび/または少なくとも1つのグローバル単一量子ビットゲートを含む個々の単一量子ビットゲートの実行に関する。本明細書では、個々の単一量子ビットゲートは、1つの量子ビットのみの状態に(あり得る位相シフトを超える)影響を与えるゲートである。たとえば、個々の単一量子ビットゲートは、グローバル単一量子ビットゲートプリミティブと2量子ビットゲートプリミティブの組合せを2量子ビットに対して実行することによって生成されてもよい。グローバル単一量子ビットゲートプリミティブと2量子ビットゲートプリミティブの組合せを2量子ビットに対して実行した結果、(たとえば、ACシュタルクシフトなどに起因した)位相のあり得る変化を超えて、2量子ビットのうちの第1のビットの状態が更新および/または修正され、2量子ビットのうちの第2のビットの状態が更新および/または修正されない。
【0104】
様々な実施形態では、個々の単一量子ビットゲートは一般ゲートである。様々な実施形態では、個々の単一量子ビットゲートは固定角度ゲートである。たとえば、回転角度は、あり得る回転角度のセット(たとえば、非限定的な一例として-π、-π/2、π/2、およびπ)から選択される。
【0105】
図8は、グローバル単一量子ビットゲートプリミティブおよび/または2量子ビットゲートプリミティブを使用して個々の単一量子ビットゲートを実行するための様々なプロセス、手順、動作などを示すフローチャートを提示する。ステップ/動作802から開始し、2つ以上の原子オブジェクトが原子オブジェクト閉じ込め装置70によって閉じ込められる。たとえば、量子コンピュータのコントローラ30は、RFレール電極72および/またはTT電極74のシーケンスによって閉じ込め電位を生成させて、2つ以上の原子オブジェクトを原子オブジェクト閉じ込め装置70によって閉じ込めるように1つまたは複数の電圧源50を動作させかつ/または1つまたは複数の電圧源50の動作を生じさせてもよい。
【0106】
コントローラ30は、量子プロセッサに量子回路の実施および/または実行を開始させてもよい。たとえば、コントローラ30は、電圧源50の動作を制御して、原子オブジェクト閉じ込め装置70によって閉じ込められた様々な原子オブジェクトを原子オブジェクト閉じ込め装置内の特定の位置まで輸送し、操作源60の動作を制御して、1つまたは複数の操作信号を特定の位置において様々な原子オブジェクトに入射させ、量子プロセッサの1つまたは複数の動作および/または機能(たとえば、単一量子ビットゲート、2量子ビットゲート、量子ビット初期化(たとえば、原子オブジェクトを量子ビット空間内の量子状態に初期化させること、量子ビットの読み取りなど))を実行させてもよい。量子回路の実施および/または実行中のある時点で、第1の原子オブジェクトによって具現化される第1の量子ビットに、個々の単一量子ビットゲートが実行される。
【0107】
ステップ/動作804において、第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトは、互いに近接する原子オブジェクト閉じ込め装置70内のそれぞれの位置に輸送される。例示的な実施形態では、第1の原子オブジェクトおよび/または第2の原子オブジェクトは、第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトが互いに隣接しかつ/または近接する(たとえば、第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトとの間に他の原子オブジェクトは配設されていない)ように輸送される。たとえば、コントローラ30は、第1の原子オブジェクトをそれぞれの前の位置から第1の位置まで移動させ、かつ/または第2の原子オブジェクトをそれぞれの前の位置から第2の位置まで移動させる制御電圧信号が、TT電極74のシーケンスに提供されるように電圧源50を動作させかつ/または電圧源50の動作を生じさせる。第1の位置と第2の位置は互いに近接している。たとえば、量子回路は、個々の単一量子ビットゲートを実行する前および/または単一量子ビットゲートを実行した後に、第1の量子ビットと第2の量子ビットが互いに相互作用することを示してもよい。
【0108】
第1の原子オブジェクトを第1の位置まで輸送し、かつ/または第2の原子オブジェクトを第2の位置まで輸送する間、原子オブジェクトの加熱が生じる場合がある。ステップ/動作806において、第1の原子オブジェクトおよび/または第2の原子オブジェクトを冷却するために冷却動作が実行されてもよい。例示的な実施形態では、冷却動作は共同冷却動作である。たとえば、コントローラ30は、1つまたは複数の操作源60に、第1および/または第2の原子オブジェクトのそれぞれの十分近くに位置する共同冷却原子オブジェクトに入射する操作信号を提供させてもよく、それによって、共同冷却原子オブジェクトは、第1および/または第2の原子オブジェクトから熱を除去するために使用可能になる。
【0109】
ステップ808において、第1の量子ビットおよび第2の量子ビットに対してゲートプリミティブのシーケンスを実行することによって、第1の量子ビットに対して個々の単一量子ビットゲートが実行される。例示的な実施形態では、ゲートプリミティブのシーケンスは、グローバル単一量子ビットゲートおよび2量子ビットゲートのみからなる。たとえば、個々の単一量子ビットゲートの結合効果を有するゲートプリミティブのシーケンスは、個々にアドレス指定されたゲート(たとえば、1量子ビットのみに対して実行されるゲート)であるゲートプリミティブを含まない。
【0110】
例示的な実施形態では、個々の単一量子ビットゲートを実行する効果を有するゲートプリミティブの実行されるシーケンスは、1つまたは複数の反対称iSWAP
【数32】
および/またはsqrt(iSWAP)2量子ビットゲートを備える。たとえば、個々の単一量子ビットゲートを実行する効果を有するゲートプリミティブの実行されるシーケンスは、1つまたは複数の反対称2量子ビットゲートiSWAP
【数33】
および/またはsqrt(iSWAP)ゲートの1つまたは複数の対を備える。たとえば、ゲートプリミティブの実行されるシーケンスは、反対称ゲート
【数34】
の1つまたは複数のインスタンスを含んでもよく、この反対称ゲートは、第1および第2の位置において第3の操作信号および第4の操作信号によって生成される定常波におけるπ/2の相対位相差に対応する離間距離△xだけ第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトを分離することを必要とする。様々な実施形態では、ゲートプリミティブの実行されるシーケンスは、反対称ゲートU
iの任意角度バージョンの1つまたは複数のインスタンスを含んでもよい。
【0111】
図9は、個々の単一量子ビットゲートを実行させるために(グローバル単一量子ビットゲートと2量子ビットゲートとからなる)ゲートプリミティブのシーケンスを実行するために実行され得る様々なプロセス、手順、動作などを示すフローチャートを提示する。たとえば、
図9に示されるステップ/動作は、ステップ/動作808の一部として(たとえば、コントローラ30によって)実行され得る。
【0112】
グローバル単一量子ビットゲートと(1つまたは複数の反対称2量子ビットゲートを含む)2量子ビットゲート(のみ)からなるゲートプリミティブのシーケンスを実行することによって実行される非制限的な例の個々の量子ビットゲートは、
【数35】
などの任意角度Y回転ゲートである。ここで、
【数36】
は一致演算である。特に、任意角度Y回転ゲートは、第1の量子ビットおよび第2の量子ビットに対して実行される個々の単一の量子ビットゲートであり、第1の量子ビットに対して任意角度Y回転を実行し、第2の量子ビットに対して一致演算を実行する効果をもたらす(たとえば、第2の量子ビットの量子状態には、場合によっては、誘発されるACシュタルクシフトなどに起因する小さい位相シフトを超える更新または修正は行われない)。様々な実施形態では、個々の単一量子ビット任意角度Y回転ゲート、グローバル単一量子ビットゲート、および回転位相非依存性MSゲートU
ZZまたは位相非依存性非対称ゲートU
iは、制御可能なゲートセット(ゲートセットのプリミティブがSU(2
m)における任意のゲートを構築するために使用され得ることを意味する)を提供する。様々な実施形態では、ゲートセットは、最大で6つの任意角度2量子ビット(たとえば、2量子ビット)ゲートを使用してSU(4)における任意のゲートを構築するために使用され得る。
【0113】
様々な実施形態では、(すべての他の量子ビットを除外するかまたは特定の量子ビットの近傍によって)その特定の量子ビットにアドレス指定された個々の単一量子ビットゲートではなく、グローバル単一量子ビットゲートおよび2量子ビットゲートのシーケンスを実行することによって実行される個々の単一量子ビットゲートを使用する際、各量子ビットの位相が(たとえば、(たとえば、メモリ1010に記憶された)それぞれの量子ビットレコードにおいておよび/またはソフトウェアゲートを使用することによって)追跡され、様々なSU(4)ゲートが量子ビットに適用されるときに様々なSU(4)ゲートにコンパイルされる。様々な実施形態では、量子ビット位相のこのような追跡および量子ビット位相を考慮するためのSU(4)ゲートのコンパイルでは、アドレス指定された個々の単一量子ビットゲートも量子ビット位相追跡を必要とするので追加のハードウェアは必要とされない。
【0114】
図9は、任意角度Y回転ゲートの個々の単一量子ビットゲート例を実行するためのプロセス、手順、動作などを示す。ステップ/動作902から開始して、第1のフレーム回転が実行される。たとえば、第1のグローバル単一量子ビットゲートUG(π-θ
y, π/2)が実行される。たとえば、コントローラ30は、第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第1のインスタンスが第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトの両方に入射するように、1つまたは複数の操作源60に第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第1のインスタンスを生成および提供させてもよい。第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第1のインスタンスに存在する電力、ならびに第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第1のインスタンスが第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトに入射する(たとえば、第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトと相互作用する)時間の長さは、第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトの両方にπ-θ
yの△θ回転を受けさせるように構成される。たとえば、(第1の原子オブジェクトによって具現化される)第1の量子ビットおよび(第2の原子オブジェクトによって具現化される)第2の量子ビットのそれぞれの量子ビットベクトルr
Qの極角θは、π-θ
yだけ修正される(たとえば、値が変更される)。第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第1のインスタンス間の位相差は、(第1の原子オブジェクトによって具現化される)第1の量子ビットおよび(第2の原子オブジェクトによって具現化される)第2の量子ビットのそれぞれの量子ビットベクトルr
Qの方位角
【数37】
をπ/2だけ修正させる(たとえば、値を変更させる)ように構成される。
【0115】
ステップ/動作904において、第1の位相非依存性2量子ビットゲートプリミティブが実行される。図示の実施形態では、第1の位相非依存性非対称2量子ビットゲートUi(π/2,π/2)が実行される。たとえば、コントローラ30は、第3の操作信号510および第4の操作信号520のそれぞれの第1のインスタンスが第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトの両方に入射して第1の反対称ゲートを実行させるように、1つまたは複数の操作源60に第3の操作信号510および第4の操作信号520のそれぞれの第1のインスタンスを生成および提供させてもよい。
【0116】
ステップ/動作906において、第2のフレーム回転が実行される。たとえば、第2のグローバル単一量子ビットゲートU
G(π/2,π)が実行される。たとえば、コントローラ30は、第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第2のインスタンスが第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトの両方に入射するように、1つまたは複数の操作源60に第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第2のインスタンスを生成および提供させてもよい。第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第2のインスタンスに存在する電力、ならびに第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第2のインスタンスが第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトに入射する(たとえば、第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトと相互作用する)時間の長さは、第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトの両方にπ/2の△θ回転を受けさせるように構成される。たとえば、(第1の原子オブジェクトによって具現化される)第1の量子ビットおよび(第2の原子オブジェクトによって具現化される)第1の量子ビットのそれぞれの量子ビットベクトルr
Qの極角θは、π/2だけ修正される(たとえば、値が変更される)。第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第2のインスタンス間の位相差は、(第1の原子オブジェクトによって具現化される)第1の量子ビットおよび(第2の原子オブジェクトによって具現化される)第2の量子ビットのそれぞれの量子ビットベクトルr
Qの方位角
【数38】
をπだけ修正させる(たとえば、値を変更させる)ように構成される。
【0117】
ステップ/動作908において、第2の位相非依存性2量子ビットゲートプリミティブが実行される。例示的な実施形態では、第2の位相非依存性2量子ビットゲートプリミティブは、位相非依存性回転MSゲートUZZ(π/2)である。たとえば、コントローラ30は、第3の操作信号510および第4の操作信号520のそれぞれの第2のインスタンスが第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトの両方に入射するように、1つまたは複数の操作源60に第3の操作信号510および第4の操作信号520のそれぞれの第2のインスタンスを生成および提供させてもよい。第3の操作信号510および第4の操作信号520のそれぞれの第2のインスタンスに存在する電力、第3の操作信号510および第4の操作信号520のそれぞれの第2のインスタンスのそれぞれの周波数、ならびに第3の操作信号510および第4の操作信号520のそれぞれの第2のインスタンスが第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトに入射する(たとえば、第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトと相互作用する)持続時間は、回転角度π/2によって特徴付けられる第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトとの間の相互作用を生じさせるように構成される。
【0118】
ステップ/動作910において、第3のフレーム回転が実行される。たとえば、第3のグローバル単一量子ビットゲートU
G(θ
y,π)が実行される。たとえば、コントローラ30は、第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第3のインスタンスが第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトの両方に入射するように、1つまたは複数の操作源60に第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第3のインスタンスを生成および提供させてもよい。第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第3のインスタンスに存在する電力、ならびに第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第4のインスタンスが第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトに入射する(たとえば、第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトと相互作用する)時間の長さは、第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトの両方にθ
yの△θ回転を受けさせるように構成される。たとえば、(第1の原子オブジェクトによって具現化される)第1の量子ビットおよび(第2の原子オブジェクトによって具現化される)第1の量子ビットのそれぞれの量子ビットベクトルr
Qの極角θは、θ
yだけ修正される(たとえば、値が変更される)。第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第4のインスタンス間の位相差は、(第1の原子オブジェクトによって具現化される)第1の量子ビットおよび(第2の原子オブジェクトによって具現化される)第2の量子ビットのそれぞれの量子ビットベクトルr
Qの方位角
【数39】
をπだけ修正させる(たとえば、値を変更させる)ように構成される。
【0119】
ステップ/動作912において、第3の位相非依存性2量子ビットゲートプリミティブが実行される。例示的な実施形態では、第3の位相非依存性非対称2量子ビットゲートは、第2の位相非依存性反対称2量子ビットゲートUi(π/2,π/2)が実行される。たとえば、コントローラ30は、第3の操作信号510および第4の操作信号520のそれぞれの第3のインスタンスが第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトの両方に入射して第2の反対称ゲートを実行させるように、1つまたは複数の操作源60に第3の操作信号510および第4の操作信号520のそれぞれの第3のインスタンスを生成および提供させてもよい。
【0120】
ステップ/動作914において、第4のフレーム回転が実行される。たとえば、第4のグローバル単一量子ビットゲートU
G(π/2, π/2)が実行される。たとえば、コントローラ30は、第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第4のインスタンスが第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトの両方に入射するように、1つまたは複数の操作源60に第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第4のインスタンスを生成および提供させてもよい。第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第4のインスタンスに存在する電力、ならびに第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第2のインスタンスが第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトに入射する(たとえば、第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトと相互作用する)時間の長さは、第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトの両方にπ/2の△θ回転を受けさせるように構成される。たとえば、(第1の原子オブジェクトによって具現化される)第1の量子ビットおよび(第2の原子オブジェクトによって具現化される)第2の量子ビットのそれぞれの量子ビットベクトルr
Qの極角θは、π/2だけ修正される(たとえば、値が変更される)。第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第4のインスタンス間の位相差は、(第1の原子オブジェクトによって具現化される)第1の量子ビットおよび(第2の原子オブジェクトによって具現化される)第2の量子ビットのそれぞれの量子ビットベクトルr
Qの方位角
【数40】
をπ/2だけ修正させる(たとえば、値を変更させる)ように構成される。
【0121】
ステップ/動作916において、第4の位相非依存性2量子ビットゲートプリミティブが実行される。例示的な実施形態では、第2の位相非依存性2量子ビットゲートプリミティブは、位相非依存性回転MSゲートUZZ(π/2)である。たとえば、コントローラ30は、第3の操作信号510および第4の操作信号520のそれぞれの第4のインスタンスが第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトの両方に入射するように、1つまたは複数の操作源60に第3の操作信号510および第4の操作信号520のそれぞれの第4のインスタンスを生成および提供させてもよい。第3の操作信号510および第4の操作信号520のそれぞれの第4のインスタンスに存在する電力、第3の操作信号510および第4の操作信号520のそれぞれの第4のインスタンスのそれぞれの周波数、ならびに/または第3の操作信号510および第4の操作信号520のそれぞれの第4のインスタンスが第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトに入射する(たとえば、第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトと相互作用する)持続時間は、回転角度π/2によって特徴付けられる第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトとの間の相互作用を生じさせるように構成される。
【0122】
ステップ/動作918において、第5のフレーム回転が実行される。たとえば、第3のグローバル単一量子ビットゲートU
G(π,π)が実行される。たとえば、コントローラ30は、第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第5のインスタンスが第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトの両方に入射するように、1つまたは複数の操作源60に第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第5のインスタンスを生成および提供させてもよい。第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第5のインスタンスに存在する電力、ならびに第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第5のインスタンスが第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトに入射する(たとえば、第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトと相互作用する)時間の長さは、第1の原子オブジェクトと第2の原子オブジェクトの両方にπの△θ回転を受けさせるように構成される。たとえば、(第1の原子オブジェクトによって具現化される)第1の量子ビットおよび(第2の原子オブジェクトによって具現化される)第2の量子ビットのそれぞれの量子ビットベクトルr
Qの極角θは、πだけ修正される(たとえば、値が変更される)。第1の操作信号410および第2の操作信号420のそれぞれの第4のインスタンス間の位相差は、(第1の原子オブジェクトによって具現化される)第1の量子ビットおよび(第2の原子オブジェクトによって具現化される)第2の量子ビットのそれぞれの量子ビットベクトルr
Qの方位角
【数41】
をπだけ修正させる(たとえば、値を変更させる)ように構成される。
【0123】
例示的な個々の単一量子ビットゲートを実行した結果は、第1の量子ビットには任意の角度のY回転が実行され、第2の量子ビットには単位ゲートが実行されたことである。
【0124】
VIII. 技術的な利点
量子コンピューティングの分野における全般的な技術的問題は、量子回路の実行中に累積されるエラーを低減させることである。様々な実施形態は、グローバル単一量子ビットゲートを使用する2量子ビット任意角度ゲートを使用することによってこの技術的問題の技術的解決策を提供する。
【0125】
様々な量子回路は、一般(単一量子ビット、2量子ビット、および/または複数量子ビット)ゲートを使用する必要がある。変分アルゴリズム(たとえば、変分量子固有値ソルバ(VQE)など)、QAQA、QFT、ハミルトニアンシミュレーション技法、およびボリュームテストは、量子コンピュータ上に実行すると有益であり、かつ/または量子コンピュータを使用する必要があり、任意角度ゲートを含む実装形態を有する計算の例である。一般2量子ビットゲートの従来の分解は、3つの固定角度2量子ビットゲートと3つ~5つのアドレス指定された単一量子ビットゲートとを含む。アドレス指定された単一量子ビットゲートを実行するために原子オブジェクト輸送が必要であることに起因して、3つの固定角度2量子ビットゲートの各々の前に冷却動作が実行される。冷却動作は、量子コンピュータによって実行される他の機能および/または動作と比較して比較的低速であり、メモリエラーおよびドリフトエラー(たとえば、操作源電力、周波数、および/または位相ドリフト、原子オブジェクト位相ドリフトなど)が生じる。様々な実施形態は、一般2量子ビットゲートの実行中に実行する必要のある冷却動作の数を3だけ減少させる。したがって、様々な実施形態は、冷却動作を複数回実行する必要があることに起因して一般2量子ビットゲートを実行する際に生じるエラーを著しく低減させる。
【0126】
一般2量子ビットゲートの従来の分解は、3つの固定角度2量子ビットゲートを含む。固定角度は従来、π/2に設定され、それによって、2量子任意角度ビットゲートを実行すると、総回転角度は3π/2になる。例示的な実施形態では、発明者は、10,000個の任意角度SU(4)ゲートのサンプルにおいて、平均総回転角度が約3π/4、すなわち、従来の一般2量子ビットゲート分解の総回転角度の2分の1であることを見出した。従来、MSゲートは、一般2量子ビットゲートの分解において2量子ビットゲートとして使用されている。しかしながら、MEゲートにおける多数のエラー(たとえば、振幅エラー、離調エラー、位相ノイズエラー、自然放出など)は総回転角度とともに単調増加する。したがって、様々な実施形態は、総回転角度を小さくすることによって、一般2量子ビットゲートを実行することによって生じるゲートエラーを低減させる。
【0127】
上記で指摘したように、個々にアドレス指定された単一量子ビットゲートプリミティブを使用する際、個々にアドレス指定された単一量子ビットゲートを実行するために原子オブジェクト同士を互いに引き離す必要があり、次いで2量子ビットゲートを実行するために原子オブジェクトを再び互いに近接させるように輸送する必要がある場合がある。原子オブジェクトを再び互いに近接させるように輸送するたびに、加熱エラーを低減させるために冷却動作を実行しなければならない。したがって、様々な実施形態は、グローバル単一量子ビットゲートおよび個々の単一量子ビットゲート(たとえば、アドレス指定を必要とせず、かつ/または反対称ゲートなどの少なくとも1つの2量子ビットゲートを含む単一量子ビットゲート)を提供することによって量子コンピューティングの分野を向上させる。
【0128】
さらに、様々な実施形態は、本発明のプロセスの間に発明者によって識別された、操作信号電力、周波数、持続時間、および/またはそれらの組合せ、較正および物理相更新に関する技術的問題に対する解決策を提供する。
【0129】
したがって、様々な実施形態は、任意の角度の回転を含む任意角度ゲートおよび/またはアドレス指定を必要としない個々の単一量子ビットゲートを提供することによって量子コンピューティングおよびQCCDベースの量子コンピューティングの分野を向上させる。
【0130】
IX. 例示的なコントローラ
様々な実施形態では、量子コンピュータ110に原子オブジェクト閉じ込め装置が組み込まれる。様々な実施形態では、量子コンピュータ110は、量子コンピュータ110の様々な要素を制御するように構成されたコントローラ30を備える。たとえば、コントローラ30は、電圧源50、極低温および/もしくは真空チャンバ40内の温度および圧力を制御する極低温および/または真空システム、操作源60、磁界発生器80、ならびに/または極低温および/もしくは真空チャンバ40内の環境条件(たとえば、温度、湿度、圧力など)を制御し、原子オブジェクト閉じ込め装置70内の1つまたは複数の原子オブジェクトの量子状態の制御された発展を操作し、かつ/または生じさせる他のシステムを制御するように構成されてもよい。
【0131】
図10に示されるように、様々な実施形態では、コントローラ30は、処理要素および/またはデバイス1005、メモリ1010、ドライバコントローラ要素1015、通信インターフェース1020、アナログデジタル変換器要素1025などを含む様々なコントローラ要素を備えてもよい。たとえば、処理要素および/またはデバイス1005は、プログラマブルロジックデバイス(CPLD)、マイクロプロセッサ、コプロセッシングエンティティ、特定用途向け命令セットプロセッサ(ASIP)、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、ハードウェアアクセラレータ、他の処理デバイスおよび/もしくは回路など、ならびに/またはコントローラを備えてもよい。回路という用語は、ハードウェア実施形態全体またはハードウェア製品とコンピュータプログラム製品の組合せを指してもよい。例示的な実施形態では、コントローラ30の処理要素および/またはデバイス1005は、クロックを備え、かつ/またはクロックと通信する。たとえば、処理要素および/またはデバイス1005は、どのようにして量子プロセッサ115に(たとえば、並行および/または同時動作を使用して)量子回路を実行させるかを判定し、次いで(たとえば、それぞれのドライバコントローラ要素1015に命令を提供することによって)量子コンピュータの様々な態様を制御して量子プロセッサ115に量子回路を実行させるように構成される。様々な実施形態では、量子回路を実行することは、1つもしくは複数の任意角度ゲートおよび/または1つもしくは複数のグローバルゲートを実行することを含む。
【0132】
たとえば、メモリ1010は、ハードディスク、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、MMCs、SDメモリカード、メモリスティック、CBRAM、PRAM、FeRAM、RRAM、SONOS、レーストラックメモリ、RAM、DRAM、SRAM、FPM DRAM、EDO DRAM、SDRAM、DDR SDRAM、DDR2 SDRAM、DDR3 SDRAM、RDRAM、RIMM、DIMM、SIMM、VRAM、キャッシュメモリ、レジスタメモリなどのうちの1つまたは複数などの揮発性および/または不揮発性メモリストレージなどの非一時的メモリを備えてもよい。様々な実施形態では、メモリ1010は、(たとえば、量子ビットレコードデータストア、量子ビットレコードデータベース、量子ビットレコードテーブルなどにおける)量子コンピュータの量子ビットに対応する量子ビットレコード、それぞれの操作信号を調整するように構成された変調器に提供される入力信号の関数(たとえば、入力信号パラメータ値)としての操作信号電力、周波数、持続時間、および/またはそれらの組合せの1つもしくは複数の関数表現、較正テーブル、実行可能なキュー、(たとえば、1つもしくは複数のコンピュータ言語、特殊コントローラ言語などにおける)コンピュータプログラムコード、1つまたは複数のライブラリ、一次元捕獲領域に沿った原子オブジェクトの輸送および一次元捕獲領域同士を接続する接合部を通過する原子オブジェクトの輸送を制御するための制御電圧信号を形成するための1つまたは複数の波形系列、ならびに関連するメタデータなどを記憶してもよい。例示的な実施形態では、それぞれの量子ビットに対応する量子ビットレコードは、それぞれの量子ビットの位相、量子ビットの位相に加えられる任意のACシュタルクシフト、量子ビットの位相に対する任意のソフトウェアゲートの結果などを追跡する。例示的な実施形態では、メモリ1010に記憶されたコンピュータプログラムコードの少なくとも一部を(たとえば、処理要素および/またはデバイス1005によって)実行すると、コントローラ30は、原子システム内の原子オブジェクトおよび/または多原子オブジェクト結晶の位相、位置などを追跡し、1つもしくは複数の操作源および/またはそれによって生成された信号の位相を調整させるための、本明細書で説明する1つもしくは複数のステップ、動作、プロセス、手順などを実行する。
【0133】
様々な実施形態では、ドライバコントローラ要素1015は、1つもしくは複数のドライバおよび/または各々が1つまたは複数のドライバを制御するように構成されたコントローラ要素を含んでもよい。様々な実施形態では、ドライバコントローラ要素1015は、ドライバおよび/またはドライバコントローラを備えてもよい。たとえば、ドライバコントローラは、コントローラ30によって(たとえば、処理要素および/またはデバイス1005によって)スケジューリングされ実行される1つもしくは複数の対応するドライバを実行可能な命令、コマンドなどに従って動作させるように構成されてもよい。様々な実施形態では、ドライバコントローラ要素1015は、コントローラ30が操作源60、電圧源50、磁界発生器80などを動作させるのを可能にしてもよい。様々な実施形態では、ドライバは、レーザドライバ;真空構成要素ドライバ;原子オブジェクト閉じ込め装置70の様々な領域において磁界を維持および/もしくは制御し、原子オブジェクト閉じ込め装置70の捕獲電位を維持および/もしくは制御し、かつ/または1つもしくは複数の原子オブジェクトを輸送させるために使用されるTT電極、RFレール電極、RFバス電極、および/または他の電極に印加される電流および/または電圧の流れを制御するためのドライバ;極低温および/または真空システム構成要素ドライバなどであってもよい。たとえば、ドライバは、TTおよび/もしくはRF電圧ドライバ、ならびに/または電圧および/もしくは電気信号(たとえば、発振電圧信号および/もしくは制御電圧信号)をTT電極および/もしくはRFレール電極に提供する電圧源50を制御しかつ/または備えてもよい。
【0134】
様々な実施形態では、コントローラ30は、原子オブジェクト閉じ込め装置70によって捕獲されかつ/または閉じ込められた原子オブジェクトによって生成された光信号のキャプチャ、検出、測定などを行うように構成された集光システムの光検出器、カメラ、MEMsカメラ、CCDカメラ、フォトダイオード、光電子増倍管などの1つまたは複数の受光器構成要素からの信号を通信および/または受信するための手段を備える。たとえば、コントローラ30は、1つまたは複数の受光器構成要素、較正センサなどから信号を受信するように構成された1つまたは複数のアナログデジタル変換器要素1025を備えてもよい。
【0135】
様々な実施形態では、コントローラ30は、コンピューティングエンティティ10とのインターフェースをとりかつ/またはコンピューティングエンティティ10と通信するための通信インターフェース1020を備えてもよい。たとえば、コントローラ30は、実行可能な命令、コマンドセットなどをコンピューティングエンティティ10から受信し、量子コンピュータ110から(たとえば、光学収集システムから)受信された出力をおよび/または出力を処理した結果をコンピューティングエンティティ10に提供するための通信インターフェース1020を備えてもよい。様々な実施形態では、コンピューティングエンティティ10およびコントローラ30は、直接有線および/もしくは無線接続ならびに/または1つもしくは複数の有線および/もしくは無線ネットワーク20を介して通信してもよい。
【0136】
X. 例示的なコンピューティングエンティティ
図11は、本発明の実施形態に関連して使用することができる例示的なコンピューティングエンティティ10の例示的な概略図を提示する。様々な実施形態では、コンピューティングエンティティ10は、ユーザが(たとえば、コンピューティングエンティティ10のユーザインターフェースを介して)量子コンピュータ110に入力を提供し、量子コンピュータ110からの出力の受信、表示、分析などを行うことを可能にするように構成される。
【0137】
図11に示すように、コンピューティングエンティティ10は、アンテナ1112と、トランスミッタ1104(たとえば、無線)と、レシーバ1106(たとえば、無線)と、それぞれレシーバ1106に信号を提供し、トランスミッタ1104から信号を受信する処理要素1108とを含むことができる。それぞれレシーバ1106に提供されトランスミッタ1104から受信される信号は、適用可能な無線システムのエアインターフェース規格に従って情報/データをシグナリングして、コントローラ30、他のコンピューティングエンティティ10などの様々なエンティティと通信することを含んでもよい。これに関して、コンピューティングエンティティ10は、1つまたは複数のエアインターフェース規格、通信プロトコル、変調タイプ、およびアクセスタイプで動作することが可能であり得る。たとえば、コンピューティングエンティティ10は、ファイバ分散データインターフェース(FDDI)、デジタル加入者線(DSL)、イーサネット、非同期転送モード(ATM)、フレームリレー、ケーブルによるデータサービスインターフェース標準(data over cable service interface specification、DOCSIS)、または任意の他の有線伝送プロトコルを使用して通信を受信および/または提供するように構成され得る。同様に、コンピューティングエンティティ10は、汎用パケット無線サービス(GPRS)、ユニバーサル移動体通信システム(Universal Mobile Telecommunications System、UMTS)、符号分割多元接続2000(Code Division Multiple Access 2000、CDMA2000)、CDMA2000 1X(1xRTT)、広帯域符号分割多元接続(Wideband Code Division Multiple Access、WCDMA)、グローバルシステムフォーモバイルコミュニケーションズ(Global System for Mobile Communications、GSM)、GSM進化型高速データレート(Enhanced Data rates for GSM Evolution、EDGE)、時分割同期符号分割多重接続(Time Division-Synchronous Code Division Multiple Access、TD-SCDMA)、ロングタームエボリューション(Long Term Evolution、LTE)、進化型地上無線アクセスネットワーク(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network、E-UTRAN)、Evolution-Data Optimized(EVDO)、高速パケット接続(High Speed Packet Access、HSPA)、高速ダウンリンクパケット接続(High-Speed Downlink Packet Access、HSDPA)、IEEE 802.11(Wi-Fi)、Wi-Fi Direct、802.16(WiMAX)、超広帯域無線通信(UWB)、赤外線(IR)プロトコル、近距離通信(NFC)プロトコル、Wibree、Bluetoothプロトコル、無線ユニバーサルシリアルバス(USB)プロトコル、および/または任意の他の無線プロトコルなどの多種多様なプロトコルのいずれかを使用して無線外部通信ネットワークを介して通信するように構成されてもよい。コンピューティングエンティティ130は、そのようなプロトコルおよび規格を使用して、ボーダーゲートウェイプロトコル(Border Gateway Protocol、BGP)、ダイナミックホストコンフィギュレーションプロトコル(Dynamic Host Configuration Protocol、DHCP)、ドメインネームシステム(Domain Name System、DNS)、ファイル転送プロトコル(File Transfer Protocol、FTP)、ハイパーテキスト転送プロトコル(Hypertext Transfer Protocol、HTTP)、HTTP over TLS/SSL/Secure、インターネットメッセージアクセスプロトコル(Internet Message Access Protocol、IMAP)、ネットワークタイムプロトコル(Network Time Protocol、NTP)、簡易メール転送プロトコル(Simple Mail Transfer Protocol、SMTP)、Telnet、トランスポートレイヤセキュリティ(Transport Layer Security、TLS)、セキュアソケットレイヤ(Secure Sockets Layer、SSL)、インターネットプロトコル(IP)、伝送制御プロトコル(Transmission Control Protocol、TCP)、ユーザデータグラムプロトコル(User Datagram Protocol、UDP)、データグラム輻輳制御プロトコル(Datagram Congestion Control Protocol、DCCP)、ストリーム制御伝送プロトコル(Stream Control Transmission Protocol、SCTP)、ハイパーテキストマークアップ言語(HyperText Markup Language、HTML)などを使用して通信する。
【0138】
これらの通信規格およびプロトコルを介して、コンピューティングエンティティ10は、非構造化補足サービス情報/データ(Unstructured Supplementary Service information/data、USSD)、ショートメッセージサービス(Short Message Service、SMS)、マルチメディアメッセージングサービス(Multimedia Messaging Service、MMS)、Dual-Tone Multi-Frequency Signaling(DTMF)、および/または加入者識別モジュールダイアラ(Subscriber Identity Module Dialer、SIM dialer)などの概念を使用して様々な他のエンティティと通信する。コンピューティングエンティティ10はまた、たとえば、変更、アドオン、および更新をコンピューティングエンティティ10のファームウェア、ソフトウェア(たとえば、実行可能命令、アプリケーション、プログラムモジュールを含む)、およびオペレーティングシステムにダウンロードする。
【0139】
コンピューティングエンティティ10はまた、1つまたは複数のユーザ入出力インターフェース(たとえば、処理要素1108に結合されたディスプレイ1116および/またはスピーカ/スピーカドライバならびに処理要素1108に結合されたタッチスクリーン、キーボード、マウス、および/またはマイクロフォン)を備えるユーザインターフェースデバイスを備えてもよい。たとえば、ユーザ出力インターフェースは、情報/データを表示または可聴提示させ、かつ1つもしくは複数のユーザインターフェースを介してコンピューティングエンティティ10と相互作用するために、コンピューティングエンティティ10上で実行され、かつ/またはコンピューティングエンティティ10を介してアクセス可能であるアプリケーション、ユーザインターフェース、インターフェース、ダッシュボード、スクリーン、ウェブページ、ページ、および/または本明細書で交換可能に使用される同様の語を提供するように構成されてもよい。ユーザ入力インターフェースは、キーパッド1118(ハードまたはソフト)、タッチディスプレイ、音声/発話もしくは運動インターフェース、スキャナ、リーダー、または他の入力デバイスなどの、コンピューティングエンティティ10がデータを受信するのを可能にするいくつかのデバイスを備えることができる。キーパッド1118を含む実施形態では、キーパッド1118は、従来の数値(0~9)および関連するキー(#、*)、ならびにコンピューティングエンティティ10を動作させるために使用される他のキーを含む(または表示させる)ことができ、アルファベットキーのフルセット、または英数字キーのフルセットを提供するようにアクティブ化され得るキーのセットを含んでもよい。ユーザ入力インターフェースは、入力を提供するだけでなく、スクリーンセーバおよび/またはスリープモードなどのいくつかの機能をアクティブ化または非アクティブ化するために使用され得る。コンピューティングエンティティ10は、そのような入力によって、情報/データ、ユーザ対話/入力などを収集することができる。
【0140】
コンピューティングエンティティ10はまた、揮発性ストレージもしくはメモリ1122および/または不揮発性ストレージもしくはメモリ1124を含むことができ、これらのストレージもしくはメモリは、内蔵することができ、かつ/または取り外し可能であってもよい。たとえば、不揮発性メモリは、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、MMC、SDメモリカード、メモリスティック、CBRAM、PRAM、FeRAM、RRAM、SONOS、レーストラックメモリなどであってもよい。揮発性メモリは、RAM、DRAM、SRAM、FPM DRAM、EDO DRAM、SDRAM、DDR SDRAM、DDR2 SDRAM、DDR3 SDRAM、RDRAM、RIMM、DIMM、SIMM、VRAM、キャッシュメモリ、レジスタメモリなどであってもよい。揮発性ストレージまたはメモリおよび不揮発性ストレージまたはメモリは、コンピューティングエンティティ10の機能を実施するためにデータベース、データベースインスタンス、データベース管理システムエンティティ、データ、アプリケーション、プログラム、プログラムモジュール、スクリプト、ソースコード、オブジェクトコード、バイトコード、コンパイル済みコード、解釈済みコード、機械コード、実行可能命令などを記憶することができる。
【0141】
XI. 結論
本発明が関連し、上記の説明および関連する図面に提示された教示の利益を有する当業者には、本明細書に記載された本発明の多くの修正形態および他の実施形態が想起されよう。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されず、修正形態および他の実施形態が添付の特許請求の範囲内に含まれるものであることを理解されたい。本明細書では特定の用語が使用されるが、それらの用語は、一般的で説明的な意味で使用されており、限定を目的とするものではない。
【符号の説明】
【0142】
10 量子コンピュータ
30 コントローラ
40 極低温および/または真空チャンバ
50 電圧源
60 操作源
70 原子オブジェクト閉じ込め装置
72、72A、72B、72C 無線周波数(RF)レール電極
74、74A、74B、74C 捕獲および/または輸送(TT)電極
80、80A、80B 磁界発生器
100 量子コンピュータシステム
110 量子コンピュータ
115 量子プロセッサ
156 TT電極
200 部分エネルギー図
210 量子ビット空間
300 ブロッホ球表現
402A 第1の原子オブジェクト
402B 第2の原子オブジェクト
405 軸
410 第1の操作信号
420 第2の操作信号
510 第3の操作信号
520 第4の操作信号
1005 処理デバイス
1010 メモリ
1015 ドライバコントローラ要素
1020 通信インターフェース
1025 A/D変換器
【手続補正書】
【提出日】2024-06-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
QCCDベースの量子プロセッサを使用して一般2量子ビットゲートを実行するための方法であって、
前記QCCD量子プロセッサの要素によって閉じ込められる第1の原子オブジェクトおよび第2の原子オブジェクトを提供するステップと、
前記QCCDベースの量子プロセッサの様々な動作を制御するように構成されたコントローラによって、前記第1の原子オブジェクトの第1のフレーム回転および前記第2の原子オブジェクトの前記第1のフレーム回転を実行させるステップと、
前記コントローラによって、前記第2の原子オブジェクトが前記第1の原子オブジェクトに物理的に近接して位置するように前記第1の原子オブジェクトおよび前記第2の原子オブジェクトを輸送させるステップと、
前記第1の原子オブジェクトおよび前記第2の原子オブジェクトに対して第1の任意の角度の回転に対応する第1の位相非依存性2量子ビットゲートを実行させるステップと、
前記第1の原子オブジェクトの第2のフレーム回転および前記第2の原子オブジェクトの前記第2のフレーム回転を実行させるステップと、
前記第1の原子オブジェクトおよび前記第2の原子オブジェクトに対して第2の任意の角度の回転に対応する第2の任意角度位相非依存性2量子ビットゲートを実行させるステップと、
前記第1の原子オブジェクトの第3のフレーム回転および前記第2の原子オブジェクトの前記第3のフレーム回転を実行させるステップと、
前記第1の原子オブジェクトおよび前記第2の原子オブジェクトに対して第3の任意の角度に対応する第3の位相非依存性2量子ビットゲートを実行させるステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第2のフレーム回転および
前記第3のフレーム回転の各々は、それぞれの1つまたは複数のグローバル単一量子ビットゲートを備え、各グローバル単一量子ビットゲートは、前記第1の原子オブジェクトおよび前記第2の原子オブジェクトに対して作用する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1、第2、および第3の位相非依存性2量子ビットゲートは各々、2量子ビットゲート操作信号のそれぞれの対が前記第1の原子オブジェクトと前記第2の原子オブジェクトの両方に入射することによって実行
され、前記2量子ビットゲート操作信号のそれぞれの対の少なくとも1つの操作信号の少なくとも1つの特性は、前記少なくとも1つの操作信号を調整するように構成された変調器への入力信号の関数としての操作信号特性の関数表現に基づいて制御され、前記少なくとも1つの特性は、電力レベル、周波数、および持続時間のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
【国際調査報告】