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特表2024-540966充電ステーションのための位置決めユニット、及び接触を確立するための方法
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  • 特表-充電ステーションのための位置決めユニット、及び接触を確立するための方法 図1
  • 特表-充電ステーションのための位置決めユニット、及び接触を確立するための方法 図2
  • 特表-充電ステーションのための位置決めユニット、及び接触を確立するための方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】充電ステーションのための位置決めユニット、及び接触を確立するための方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H02J7/00 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523789
(86)(22)【出願日】2021-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-06-10
(86)【国際出願番号】 EP2021079561
(87)【国際公開番号】W WO2023072365
(87)【国際公開日】2023-05-04
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521205102
【氏名又は名称】シュンク トランジット ジステムズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フール アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ライプ ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー ローター
(72)【発明者】
【氏名】ドメス マティアス
(72)【発明者】
【氏名】シュタウバッハ ティモ
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA01
5G503FA03
5G503FA06
(57)【要約】
本発明は、固定式充電ステーションと、車両、特に電動バス等との間の導電接続を確立するための位置決めユニット(10)及び方法に関する。前記位置決めユニットは、車両の上方に配置可能であるように設計され、前記位置決めユニットの充電接触子(11)は、前記位置決めユニットによって、前記車両の充電接触面(13)に対して移動可能であり、かつ、前記充電接触面(13)と接触可能であり、前記位置決めユニットは、位置決め装置(14)と、前記位置決め装置を駆動する駆動装置(15)とを有し、前記充電接触子は、前記位置決め装置によって、送電のための接触位置と、電力遮断のための格納位置とのいずれかに配置されることが可能である。前記駆動装置は、前記位置決め装置と結合された支持手段(17)を有する変位駆動部(16)を有し、前記位置決め装置が、前記変位駆動部によって、前記接触位置と前記格納位置との間で可動であるように、前記支持手段(17)を使用して、引張力が前記位置決め装置に伝達され得る。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定式充電ステーションと、車両、特に電動バス等との間の導電接続を確立するための位置決めユニット(10)であって、
前記位置決めユニットは、車両の上方に配置可能であるように設計され、
前記位置決めユニットの充電接触子(11)は、前記位置決めユニットによって、前記車両の充電接触面(13)に対して移動可能であり、かつ、前記充電接触面(13)と接触可能であり、
前記位置決めユニットは、位置決め装置(14)と、前記位置決め装置を駆動する駆動装置(15)とを有し、
前記充電接触子は、前記位置決め装置によって、送電のための接触位置と、電力遮断のための格納位置とのいずれかに配置されることが可能であり、
前記駆動装置は、前記位置決め装置と結合された支持手段(17)を有する変位駆動部(16)を備え、
前記位置決め装置が、前記変位駆動部によって、前記接触位置と前記格納位置との間で可動であるように、前記支持手段(17)を使用して、引張力が前記位置決め装置に伝達され得ることを特徴とする、
位置決めユニット(10)。
【請求項2】
前記支持手段(17)は、少なくともベルト、ロープ(20)又はチェーンであることを特徴とする、
請求項1に記載の位置決めユニット。
【請求項3】
少なくとも前記位置決め装置(14)と前記充電接触子(11)との重量は、前記引張力に対抗する変位力を発生させ、
前記重量によって、接触力が前記充電接触面(13)に作用させられることが可能であることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の位置決めユニット。
【請求項4】
前記変位駆動部(16)は、前記支持手段(17)を駆動するウインチ(19)を有するよう形成されていることを特徴とする、
請求項1-3のいずれか1項に記載の位置決めユニット。
【請求項5】
前記変位駆動部(16)は、前記接触位置における前記支持手段(17)の緩みが前記変位駆動部によって検出可能であるように設計されていることを特徴とする、
請求項1-4のいずれか1項に記載の位置決めユニット。
【請求項6】
前記変位駆動部(16)は電動機(18)を有し、
前記電動機によって、前記変位駆動部のリール、ドラム、ボビン又はチェーンホイールが駆動可能であることを特徴とする、
請求項1-5のいずれか1項に記載の位置決めユニット。
【請求項7】
前記変位駆動部(16)は、制御装置を有し、
前記制御装置によって、前記電動機(18)が制御可能であり及び/又は前記電動機の回転速度が制御されることを特徴とする、
請求項6に記載の位置決めユニット。
【請求項8】
前記変位駆動部(16)は、前記電動機(18)のトルクが前記制御装置によって検出可能であるように設計され、
前記接触位置は、前記制御装置によって、前記電動機の前記トルクの関数として求められ得ることを特徴とする、
請求項6又は7に記載の位置決めユニット。
【請求項9】
前記変位駆動部(16)及び/又は前記位置決め装置(14)は、位置センサー又は経路センサー、及び/又は、力センサーを有し、前記位置センサー又は前記経路センサーによって、前記充電接触子(11)の位置を求めることができ、前記力センサーによって、接触力及び/又は引張力を求めることができることを特徴とする、
請求項1-8のいずれか1項に記載の位置決めユニット。
【請求項10】
前記位置決め装置(14)は、関節アーム要素(21)を形成していることを特徴とする、
請求項1-9のいずれか1項に記載の位置決めユニット。
【請求項11】
前記関節アーム要素(21)は、好ましくは平行四辺形ガイドを有する、ワンアームシステム若しくはクロスバーシステムとして、又はパンタグラフとして設計されていることを特徴とする、
請求項10に記載の位置決めユニット。
【請求項12】
前記位置決めユニット(10)は、前記位置決め装置(14)を車両の上方に固定する支持フレーム(25)を有し、前記変位駆動部(16)は前記支持フレームに配置されていることを特徴とする、
請求項1-11のいずれか1項に記載の位置決めユニット。
【請求項13】
前記位置決めユニット(10)は、少なくとも2つの充電接触子(11)が配置された2つの充電接触子サポート(27)を有する接触要素(12,26)を有し、
前記充電接触子は、平行に配置された2つの接続ロッド(31)及び平行に配置された2つのサポートロッド(32)を有する、前記接触要素のパラレルリンク(30)を介して、互いに接続され、
前記サポートロッドはそれぞれ、間隔を空けて配置された接続ジョイント(33)を介して、2つの平行な動き面のうちの一方において、前記接続ロッドに接続され、前記接続ロッドとともに平行四辺形を形成していることを特徴とする、
請求項1-12のいずれか1項に記載の位置決めユニット。
【請求項14】
前記接続ロッド(31)は、2つの、間隔を空けて配置されたサポートジョイント(35)を介して、前記動き面に並行かつ前記動き面間の中央に延びるサポート平面において、前記位置決め装置(14)の下端(24,36)に接続され、
前記充電接触子サポート(27)はそれぞれ、スイベルジョイント(34)を介して前記サポートロッド(32)に接続され、
前記スイベルジョイントは、前記接続ジョイント(33)に対して直角に配置され、
前記充電接触子サポートはそれぞれ、前記スイベルジョイントに対して前記充電接触子(11)を同軸に保持していることを特徴とする、
請求項13に記載の位置決めユニット。
【請求項15】
固定式充電ステーションと、車両、特に電動バス等との間の導電接続を確立するための方法であって、
前記充電ステーションの位置決めユニット(10)によって、車両の上方の前記位置決めユニットの充電接触子(11)は、前記車両の充電接触面(13)に対して移動させられ、前記充電接触面(13)と接触させられ、
前記位置決めユニットの位置決め装置(14)は、前記位置決めユニットの駆動装置(15)によって駆動され、
前記充電接触子は、前記位置決め装置によって、送電のための接触位置と、電力遮断のための格納位置とのいずれかに配置され、
前記位置決め装置が、変位駆動部によって、前記接触位置と前記格納位置との間で動かされるように、前記駆動装置の前記変位駆動部(16)の支持手段(17)によって、引張力が前記位置決め装置に伝達され、
前記支持手段は前記位置決め装置に結合されていることを特徴とする、
方法。
【請求項16】
前記格納位置から前記接触位置への、前記位置決め装置(14)の移動は、
a.前記支持手段(17)を解放することにより、前記変位駆動部(16)によって、前記位置決め装置と、前記位置決め装置に配置された前記充電接触子(11)とを下方へ移動させることと、
b.前記充電接触子を前記充電接触面(13)に対して当接させることによって、前記接触位置において前記支持手段を停止させることと、
c.同時に、少なくとも前記位置決め装置と前記充電接触子との重量のみによって、接触力を生成することとを含むことを特徴とする、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記接触位置及び前記接触力は、前記位置決めユニット(10)の下の前記車両の前記充電接触面(13)と、前記位置決めユニットの前記格納位置との相対距離に関係なく生成されることを特徴とする、
請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記位置決めユニット(10)の下の前記車両の前記充電接触面(13)と、前記位置決めユニットの前記格納位置との相対距離が変化する間、前記接触力は、前記接触位置において一定して生成されることを特徴とする、
請求項15-17のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定式充電ステーションと、車両、特に電動バス等との間の導電接続を確立するための位置決めユニット及び方法に関し、前記位置決めユニットは、車両の上方に配置可能になるように設計され、前記位置決めユニットの充電接触子は、前記位置決めユニットによって、前記車両の充電接触面に対して移動可能であり、かつ、これと接触可能であり、前記位置決めユニットは、位置決め装置と、前記位置決め装置を駆動するための駆動装置とを有し、前記充電接触子は、前記位置決め装置によって、送電のための接触位置と電力遮断のための格納位置とのいずれかに配置されることが可能である。
【0002】
そのような位置決めユニット及び方法は、先行技術から既知であり、通常は、停留所間を移動する電動車両において使用される。車両は電動バスであってもよいが、基本的には、電車又は路面電車のような他の車両であってもよく、それらは、トロリー線又は類似のものに、常に電気的に接続されているわけではない。これらの車両では、停車地又は車両基地で走行が中断される時、電気エネルギー貯蔵装置が、充電ステーションによって充電される。車両は、充電ステーションに電気的に接続され、車両のエネルギー貯蔵装置は、例えば、短時間の停車中又は夜間に充電される。
【0003】
位置決めユニットの充電接触子は、次に、位置決め装置によって、車両の屋根の充電接触面の方向に移動され、電気的接続が確立される。例えば、位置決めユニットは、少なくとも4つの充電接触子を有し得るので、2つの充電接触子は、送電のために定期的に使用され得て、1つの充電接触子は接地導体として、別の充電接触子はデータ伝送のために使用され得る。充電接触子を車両のそれぞれの充電接触面に接続するとき、確実な電気接続を確立するために、それぞれの充電接触子が、過度でない十分な接触力で充電接触面に押し付けられることが必要である。規定された接触力を生成するために、既知の位置決めユニットは、例えば、接触力を生成するための接点ばねと、位置決め装置の重量に抗して作用する戻しばねとを有する、ばね要素を有する。さらに、接触位置と格納位置との間の相対距離は可変的に用いられ得て、その結果、異なる高さの車両も、所望の接触力を使用して接触され得る。さらに、特にバスは、例えば、身体障害者の利用を容易にするために、バス停のエリアにおいて車高を下げられ得る。このバスの車高の下降によって、路面に対する充電接触面の高さが変化し、もし、バスの片側のみで車高の下降が発生すると、バスは、その長手方向軸の周りで傾くことになる。車両のこの動作には、充電プロセスを中断することなく、位置決めユニットの接触位置が調節される必要がある。これは、ばね要素又は充電プロセスの間のセンサーの使用によって、達成され得る。そのような位置決めユニットは、例えば、WO2017/042065A1から既知である。ここでの不利な点は、位置決めユニットは構造的に複雑であり、それによって製造コスト及び運用コストが大幅に増大することである。
【発明の概要】
【0004】
したがって、本発明の目的は、固定式充電ステーションと車両との間の導電接続を確立するための位置決めユニット及び方法を提案することであり、そのいずれも、取得原価及び運用コストを同時に低くして車両の安全な接触を可能にする。
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を有する位置決めユニット、請求項15の特徴を有する方法によって達成される。
【0006】
固定式充電ステーションと、車両、特に電動バス等との間の導電接続を確立するための、本発明による位置決めユニットは、車両の上方に配置可能であるように設計され、位置決めユニットの充電接触子は、前記位置決めユニットによって、前記車両の充電接触面に対して移動可能であり、かつ、前記充電接触面と接触可能であり、前記位置決めユニットは、位置決め装置と、前記位置決め装置を駆動する駆動装置とを有し、前記充電接触子は、前記位置決め装置によって、送電のための接触位置と、電力遮断のための格納位置とのいずれかに配置されることが可能であり、前記駆動装置は、前記位置決め装置と結合された支持手段を有する変位駆動部を有し、前記位置決め装置が、前記変位駆動部によって、前記接触位置と前記格納位置との間で可動であるように、前記支持手段を使用して、引張力が前記位置決め装置に伝達されることが可能である。
【0007】
位置決めユニットは、したがって、電動車両のための固定式充電ステーションの構成要素であり、充電ステーションの少なくとも1つの充電接触子及び/又は位置決めユニットを、車両の充電接触面に移動させるために、及びそれと電気的に接触させるために使用され、この充電接触面は、好ましくは、車両の屋根に配置される。これによって、停車地又は車両基地で、車両に電気エネルギーを供給し、このエネルギーを車両に貯蔵することが可能になる。それぞれの充電接触面への、充電接触子(群)の移動は、位置決めユニットを使用して実行され、この位置決めユニットは、車両の上方、例えば、支柱、地下通路、支持構造物、又は建物の天井構造に配置される。充電接触子又は充電接触子群は、この目的のために、位置決めユニットの下端に配置され、送電及び/又は充電接触面の接触のために、上部の格納位置から下部の接触位置に移動され得る。接触位置では、規定された接触力が、それぞれの充電接触面に作用する。格納位置では、位置決めユニットが使用されていない時に、充電接触子(群)が格納される。
【0008】
本発明によれば、変位駆動部は、支持手段を介して位置決め装置に作用するように構成される。変形可能な支持手段は、位置決め装置に引張力を伝達する役割を果たし、この支持手段は、位置決め装置に結合され、及び/又は、位置決め装置に、機械的に間接的又は直接的に接続される。駆動装置は、引張力を使用することによって、位置決め装置、具体的には充電接触子を、接触位置と格納位置との間で動かすことができるように設計されている。これによって、ばね要素を完全に省き、位置決め装置を、変形可能又は移動可能な支持手段のみによって駆動することが可能になる。これによって、位置決めユニットの製造が、より簡単かつ安価になる。
【0009】
支持手段は、少なくともベルト、ロープ又はチェーンであり得る。そのような支持手段は、位置決めユニットに容易に格納され得る。充電接触子のストローク長及び/又は移動距離も、そのような支持手段を用いて容易に変化され得る。同時に、支持手段が位置決め装置に接続されている時、引張力は、支持手段を介して、位置決め装置に安全に伝達され得る。位置決め装置は、それから、引張力を作用させることによって、接触位置から格納位置へ動かされ得る。逆に、位置決め装置は、対応する支持手段を伸長及び/又は解放することによって、格納位置から接触位置へ下げられ得る。それにもかかわらず、いくつかの支持手段が、たとえ異なる種類のものであっても、設けられ得る。
【0010】
このようにして、少なくとも位置決め装置と充電接触子との重量は、引張力に対抗する変位力を発生し得て、接触力は、重量によって、充電接触面に作用させられることが可能である。少なくとも位置決め装置及び充電接触子のみの質量によってもたらされる重量は、支持手段によって保持され得る。この重量は、よって、支持手段において反対方向に作用する引張力に相当し、引張力に抵抗して作用する変位力は、よって、位置決め装置又は駆動装置に作用する。位置決め装置及び充電接触子に加えて、位置決めユニットの他の要素も、重量又は変位力を発生し、これらの他の要素は、位置決め装置及び充電接触子とともに動くように設計されている。もし充電接触子が、ここで、接触位置において車両の充電接触面にあるなら、接触力は、実質的に、重量及び/又は変位力に相当する。もしいくつかの充電接触子が設けられているなら、個々の充電接触子の接触力は、重量に比例して生じ得る。有利なことに、位置決めユニットは、一様の大きさの接触力が発生することを常に確実にする重量を有し得る。
【0011】
変位駆動部は、支持手段を駆動するウインチを有するように形成され得る。ウインチは、例えば、ロープウインチの形で設計されてもよい。支持手段は位置決め装置に接続されているので、位置決め装置は、ウインチを駆動することによって、容易に引き上げられ得るか、又は下げられ得る。複雑なバネ要素は、もはや必要とされず、駆動装置は、容易に形成され得る。
【0012】
変位駆動部は、接触位置での支持手段の緩みが変位駆動部によって検出されるように、設計され得る。充電接触子が接触位置に下げられる時、変形可能な支持手段は緩み得る。緩みは、支持手段が緩んでいる、及び/又は、張力を受けておらず、引張力も力も伝達されていないことを意味すると理解される。支持手段が、完全にほどける、又は、車両又は充電接触面にあたることを防ぐために、支持手段の緩みを検出する必要がある場合もある。例えば、変位駆動部は、引張力が支持手段に加えられているかどうかを検出するために使用され得る。そうでない場合には、変位駆動部のスイッチが切られてもよいし、又は、支持手段のさらなる搬送は停止されてもよい。支持手段における緩みを検出するセンサーも、提供され得る。
【0013】
変位駆動部は、電動機を有し得て、それによって、変位駆動部のリール、ドラム、ボビン又はチェーンホイールが駆動され得る。電動機は、例えば変速機を介して、リール、ドラム、ボビン又はチェーンホイールに、直接に、又は間接に接続され得る。支持手段は、よって、容易に駆動され、及び/又は巻き上げられ得る。電動機は、ブラシレス電動機又はステッピングモーターであってもよい。支持手段が、ベルト、ロープ又はチェーンである場合、支持手段はリール、ドラム又はボビンに巻き上げられて格納され得る。支持手段がチェーンである場合、チェーンは、例えばチェーンホイールを使用して操作され得て、この目的のために設けられた容器に入れられてもよい。チェーンの設計に応じて、チェーンホイールは、キャプスタンによって形成され得る。支持手段は、よって、位置決めユニットに、特にコンパクトに格納され得る。
【0014】
変位駆動部は、制御装置を有し得て、この制御装置によって、電動機が制御可能であり、及び/又は電動機の回転速度が制御される。電動機の回転速度又は加速度を制御する時、充電接触子は、少なくとも部分的に、一定速度で動かされることが意図され得る。充電接触子の移動の遅れ又は加速は、接触位置又は格納位置に達する前に、電動機の回転速度を制御することによっても提供され得る。オプションとして、電動機及び使用される任意の変速機の種類に応じて、変位駆動部は自動ロック式にも設計され得る。位置決め装置は、よって、さらなる助けなしに、容易に、所望の位置に動かされ得て、位置が固定され得る。変位駆動部は予備電池も有し得て、この予備電池は、停電又は他の動作不良の場合に、位置決め装置が、予備電池からの非常用の電力供給によって格納位置へ自動的に動くことを確実にする。予備電池は、変位駆動部に統合されてもよい。電動機に加えて、他の適した駆動装置も提供され得る。
【0015】
変位駆動部は、電動機のトルクが制御装置によって検出可能であるように設計され得て、接触位置は、制御装置によって、電動機のトルクの関数として求められ得る。制御装置は、電動機のための制御電子機器から形成され得る。これに関連して、制御電子機器が電動機に直接に統合されることが可能になり得る。制御装置は、例えば、加えられたエネルギーを介して、電動機のトルクを検出し得て、位置決め装置の接触位置及び/又は格納位置が認識されるように、電動機を制御し得る。これは、格納位置では、検出されるトルクが比較的に高く、接触位置では、検出されるトルクが比較的に低いので、達成され得る。よって、位置決め装置に対する、必要であれば充電接触子に対する直接的な力の影響を、オプションとしてさまざまな影響因子にも応じて、能動的に調節することが可能である。これによって、充電接触面と位置決めユニットとの間の相対距離、及び/又は車両の高さに関係なく、重量によって、充電接触面に対する一定の接触力を発生することが可能になる。例えば、荷重を増加させることによって接触位置に達した後に車両が下げられる場合、トルクが、引張力を発生することによって支持手段において発生され得て、制御装置によって検出され得る。制御装置は、よって、電動機によって、さらに適宜、位置決め装置を下げることができる。
【0016】
変位駆動部及び/又は位置決め装置は、位置センサー又は経路センサー、及び/又は、力センサーを有し得て、この位置センサー又は経路センサーによって、充電接触子の位置を求めることができ、この力センサーによって、接触力及び/又は引張力を求めることができる。これによって、接触力を制限することも可能になり、この制限は、支持手段において、ある一定の力又は引張力に達した時に、変位駆動部のスイッチを切ることによって行うことができる。位置決めユニット又は充電接触面への損傷の可能性は、よって、容易に防ぐことができる。オプションとして、又は追加として、インクリメンタルエンコーダー又はアブソリュートエンコーダーが、経路センサーとして使用されてもよい。よって、位置決め装置の正確な動作位置を求めることが、常に可能である。位置決め装置は、位置依存で作動するリミットスイッチ、及び/又は力依存で作動するプレッシャースイッチも有し得る。プレッシャースイッチは、充電接触子に、直接に配置され得る。位置決め装置の設計に応じて、関連するセンサーは、位置決め装置のジョイント又はベアリングにも配置され得る。
【0017】
位置決め装置は、したがって、関節アーム要素を形成し得る。これによって、充電接触子を格納位置から接触位置へ、かつ接触位置から格納位置へ所定の経路に沿って導くことができるようになる。原則として、位置決め装置は、伸縮式のガイド要素で構成されてもよい。
【0018】
関節アーム要素は、好ましくは平行四辺形ガイドを有する、ワンアームシステム若しくはクロスバーシステムとして、又はパンタグラフとして設計され得る。このようにして、関節アーム要素は、充電接触子の格納位置から、車両の充電接触面上の接触位置への、充電接触子の平行移動を可能にする。
【0019】
位置決めユニットは、位置決め装置を車両の上方に固定するための支持フレームを有し得て、変位駆動部は支持フレームに配置されている。支持フレームは、建物の、支柱又は天井構造に、容易に取付られ得るように設計され得る。変位駆動部は、したがって、支持フレームにも接続され得る。しかしながら、変位駆動部は、支持手段のみを介して位置決め装置に作用するので、変位駆動部が、支持フレームから独立して、支柱又は建物に直接に配置されることも意図され得る。
【0020】
位置決めユニットは、少なくとも2つの充電接触子が配置された2つの充電接触子サポートを有する接触要素を有し、この充電接触子は、平行に配置された2つの接続ロッド及び平行に配置された2つのサポートロッドを有する、接触要素のパラレルリンクを介して互いに接続され得て、このサポートロッドはそれぞれ、間隔を空けて配置された接続ジョイントを介して、2つの平行な動き面のうちの一方において、接続ロッドに接続され、接続ロッドとともに平行四辺形を形成することができる。そのような位置決めユニットを用いて、少なくとも4つの充電接触子は、それぞれの車両の充電接触面に動かされ得て、それと電気的に接触され得る。接触力を、それぞれの充電接触面に、均等に配分し又は発生させることも可能である。接触要素は、接触要素が、実質的に中心又は重心に保持されるように、位置決め装置の下端に配置され得る。パラレルリンクは、比較的に長い接続ロッド及び短いサポートロッドから形成され得て、それらは垂直に配置され、接続ジョイントを介して接続ロッドに接続される。接続ロッドは、よって、水平面に対して傾斜し得て、サポートロッドは常に、2つの平行な動き面内に、垂直に配置され得る。接続ジョイントがサポートジョイントと同軸に配置されている場合、接続ロッドの傾きにかかわらず、接触要素の中心に加えられた接触力から、2つのサポートロッドへ、力が常に均等に配分される。接触要素の左右対称の設計により、接触要素の重心は、ほぼ中央にも位置し得るので、その結果、充電接触子に対して接触力が均等に配分される。
【0021】
接続ロッドは、2つの、間隔を空けて配置されたサポートジョイントを介して、動き面に並行かつ動き面の中央に延びるサポート平面において、位置決め装置の下端に接続され得て、充電接触子サポートはそれぞれ、スイベルジョイントを介してサポートロッドに接続され得て、スイベルジョイントは、接続ジョイントに対して直角に配置され得て、充電接触子サポートはそれぞれ、スイベルジョイントに対して充電接触子を同軸に保持することができる。充電接触子サポートはそれぞれ、スイベルジョイントを介してサポートロッドに配置され得る。それぞれの充電接触子サポート上の充電接触子も、スイベルジョイントに対して同軸に配置され得るので、接触力は、サポートジョイント及び/又はスイベルジョイントを介して、充電接触子サポートに配置された2つの充電接触子に、比例して配分され得る。スイベルジョイントが、接続ジョイントに対して直角に配置される場合、充電接触子の高さを、車両に対する車両の横方向及び縦方向の傾斜に適合させることが可能であり、同時に、簡単な手段を使用して、実質的に等しい、又は比例した接触力で、車両のそれぞれの充電接触面の確実な接触を達成することが可能である。
【0022】
固定式充電ステーションと、車両、特に電動バス等との間の導電接続を確立するための本発明による方法において、充電ステーションの位置決めユニットによって、車両の上方の位置決めユニットの充電接触子は、車両の充電接触面に対して移動させられ、充電接触面と接触させられ、位置決めユニットの位置決め装置は、位置決めユニットの駆動装置によって駆動され、充電接触子は、位置決め装置によって、送電のための接触位置と、電力遮断のための格納位置とのいずれかに配置され、位置決め装置が、変位駆動部によって、接触位置と格納位置との間で動かされるように、駆動装置の変位駆動部の支持手段によって、引張力が位置決め装置に伝達され、支持手段は位置決め装置に結合されている。本発明による方法の利点に関しては、本発明による位置決めユニットの利点の説明を参照されたい。
【0023】
格納位置から接触位置への、位置決め装置の移動は、
a.支持手段を解放することにより、変位駆動部によって、位置決め装置と、位置決め装置に配置された充電接触子とを下方へ移動させることと、
b.充電接触子を充電接触面に対して当接させることによって、接触位置において支持手段を停止させることと、
c.同時に、少なくとも位置決め装置と充電接触子との重量のみによって、接触力を生成することと、
を含む。
【0024】
接触位置及び接触力は、位置決めユニットの下の車両の充電接触面と、位置決めユニットの格納位置との相対距離に関係なく生成され得る。これによって、路面に対して異なる高さの車両を、位置決めユニットに接触させることが可能になる。好ましくは、車両の充電接触面は、車両の屋根、又は車両の上部における別の適した場所に、配置され得る。
【0025】
位置決めユニットの下の車両の充電接触面と、位置決めユニットの格納位置との相対距離が変化する間、接触力は、接触位置において一定して生成され得る。充電接触面の相対距離が変化すると、道路までの充電接触面の距離も変化する。相対距離の変化は、シャーシを介して車両を下げることによって、又は車両に荷重をかけることによって起こり得る。位置決め装置、充電接触子(群)及び存在する任意の接触要素の重量によって、接触力は実質的に生成され得るという事実は、たとえ相対距離が変化しても、接触力は実質的に一定であり得ることを意味する。たとえ、支持手段が、接触位置においてわずかにたるんでいたとしても、接触力が変化することなく、車両の動きは、適度に補償され得る。
【0026】
この方法のさらに有利な実施形態は、装置の請求項1を参照した従属請求項の特徴の説明から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
以下では、本発明の好ましい実施形態が、添付の図面を参照してさらに詳細に説明される。
図1図1は、第1動作位置にある位置決めユニットの第1実施形態の側面図を示す。
図2図2は、第2動作位置にある位置決めユニットを示す。
図3図3は、接触要素の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1及び図2は、固定式充電ステーション(不図示)と、位置決めユニット10の下に配置された、特に電動バス等の車両(不図示)との間の導電接続を確立するための、位置決めユニット10を示す。位置決めユニット10は、位置決めユニット10の4つの充電接触子11を、車両の屋根の充電接触面13に対して移動させて、そこに接触するように使用され得て、これらの充電接触子11は、この場合には、位置決めユニット10の接触要素12に配置されている。位置決めユニット10は、位置決め装置14と、位置決め装置14を駆動するための駆動装置15とを備える。位置決め装置14によって、充電接触子11は、充電接触子11を格納するための、図1に示される格納位置、つまり休止位置と、送電のための、図2に示される接触位置とのいずれかに配置される。
【0029】
駆動装置15は、位置決め装置14に結合された支持手段17を有する変位駆動部16を有する。変位駆動部16は、電動機18を有するように設計されたウインチ19によって形成され、支持手段17はロープ20によって形成され、それは、ウインチ19を使用して引き上げられ又は降下され得る。変位駆動部16は、電動機18を制御及び調節するための制御装置(不図示)も備える。位置決め装置14はさらに、実質的に2つの関節アーム22及び23からなる、関節アーム要素21によって形成されている。接触要素12及びロープ20は、位置決め装置14の下端24に固定されている。位置決めユニット10は、位置決め装置14を、支柱(不図示)又は建物の天井等に固定するための支持フレーム25も有する。ウインチ19は、支持フレーム25に固定されている。
【0030】
ここで電動機18を駆動することによって、ロープ20は、ウインチ19を使用して、巻き上げられ得るか、又は緩められ得て、その結果、ウインチ19によって緩められるロープ20の長さは、変えられ得る。したがって、図1及び図2から分かるように、充電接触子11を有する接触要素12は、格納位置に引き上げられ又は接触位置に降下され得る。位置決め装置14及び/又は接触要素12と、充電接触子11との重量によって、ロープ20に引張力が生じるが、この引張力は、充電接触子11を持ち上げるために電動機18によって加えられなければならない変位力を実質的に相殺するように作用し、この変位力に相当する。もし充電接触子11が充電接触面13に載っており、ロープ20が無負荷であるなら、つまり、引張力がロープ20を介して伝達されていないか、又はロープ20がわずかにたるんでいる場合、重量は、充電接触面13に対する接触力として作用し、重量は、それぞれの充電接触子11に比例して配分される。変位駆動部16は、充電接触子11の位置を求めるために使用され得る、少なくとも1つのセンサー(不図示)を有する。この位置は、電動機18のトルクや引張力等に基づいて、変位駆動部16によって容易に求められ得る。
【0031】
図3は接触要素26を示し、それはまた、上述の位置決めユニットとともに使用され得る。接触要素26は、2つの充電接触子サポート27を有し、その先端28にコンタクトストリップ29が固定されて、充電接触子11を形成する。実質的に円弧状又はO形の充電接触子サポート27は、接触要素26のパラレルリンク30に接続され、それは、接続ロッド31及び垂直に配置されたサポートロッド32から形成されている。接続ロッド31は、接続ジョイント33を介して、サポートロッド32に可動に接続され、充電接触子サポート27はそれぞれ、スイベルジョイント34を介して、サポートロッド32に可動に接続されている。さらに、サポートジョイント35は、位置決め装置の下端36(不図示)を、接続ロッド31に可動に接続する。
図1
図2
図3
【国際調査報告】