(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】電池及び電力消費装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/242 20210101AFI20241029BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20241029BHJP
H01M 50/505 20210101ALI20241029BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20241029BHJP
【FI】
H01M50/242
H01M50/342 101
H01M50/505
H01M50/291
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523874
(86)(22)【出願日】2022-06-27
(85)【翻訳文提出日】2024-04-22
(86)【国際出願番号】 CN2022101517
(87)【国際公開番号】W WO2024000103
(87)【国際公開日】2024-01-04
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524304976
【氏名又は名称】香港時代新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CONTEMPORARY AMPEREX TECHNOLOGY (HONG KONG) LIMITED
【住所又は居所原語表記】LEVEL 19, CHINA BUILDING, 29 QUEEN’S ROAD CENTRAL, CENTRAL, CENTRAL AND WESTERN DISTRICT, HONG KONG, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】陳興地
(72)【発明者】
【氏名】龍超
(72)【発明者】
【氏名】王鵬
【テーマコード(参考)】
5H012
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H012BB02
5H012DD05
5H012FF01
5H040AA01
5H040AA37
5H040AS07
5H040AT01
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY04
5H040AY08
5H040CC05
5H040CC13
5H040CC35
5H040JJ03
5H040NN01
5H043AA05
5H043CA03
5H043CA04
5H043CA05
5H043FA04
(57)【要約】
本願の実施例は電池及び電力消費装置を提供する。電池は筐体と、カバーと、電池セルと、載置アセンブリと、を含み、筐体の底部に開口が設置され、カバーは開口に被せられて、筐体に固定接続され、複数の電池セルは筐体内に設置され、電池セルのトップカバープレートは開口に向かって筐体に倒置して設置され、載置アセンブリは電池セルとカバーとの間に設置されて、電池セルを支持して載置する。本願の実施例によれば、電池の構造安定性及び安全性を向上させることができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体(1)と、カバー(2)と、複数の電池セル(3)と、載置アセンブリ(4)と、を含み、
前記筐体(1)の底部(102)に開口(103)が設置され、
前記カバー(2)は前記開口(103)に被せられ、前記カバー(2)は前記筐体(1)に固定接続され、
前記複数の電池セル(3)は前記筐体(1)内に設置され、前記電池セル(3)のトップカバープレート(31)は前記開口(103)に向かって前記筐体(1)に倒置して設置され、
前記載置アセンブリ(4)は前記電池セル(3)と前記カバー(2)との間に設置されて、前記電池セル(3)を支持して載置する、電池。
【請求項2】
前記載置アセンブリ(4)はメインプレート(41)及び前記メインプレート(41)に接続される載置ストリップ(42)を含み、前記メインプレート(41)は前記カバー(2)に当接し、前記載置ストリップ(42)は前記電池セル(3)に当接する、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記載置ストリップ(42)は複数設置され、前記複数の載置ストリップ(42)は第1方向において前記メインプレート(41)に沿って間隔をあけて設置され、且つ前記メインプレート(41)上で第2方向に沿って延伸する、請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記トップカバープレート(31)は機能領域(301)及びショルダー部(302)を含み、前記機能領域(301)に電極端子(311)が設置され、前記ショルダー部(302)は前記第1方向に沿って前記機能領域(301)の両側に位置し、前記電池セル(3)は前記ショルダー部(302)を介して前記載置ストリップ(42)に当接する、請求項3に記載の電池。
【請求項5】
前記電極端子(311)は隣接する2つの前記載置ストリップ(42)の間に設置され、且つ前記電極端子(311)と前記カバー(2)は間隔をあけて設置される、請求項4に記載の電池。
【請求項6】
前記メインプレート(41)の厚さ方向において、前記載置ストリップ(42)の厚さは前記電極端子(311)の延伸高さより大きい、請求項5に記載の電池。
【請求項7】
隣接する2つの電池セル(3)の前記ショルダー部(302)は共に同一の前記載置ストリップ(42)に当接する、請求項4に記載の電池。
【請求項8】
前記第1方向において、前記載置ストリップ(42)の幅D1と前記ショルダー部(302)の延伸幅D2とは、0.5D2≦D1≦2D2を満たす、請求項7に記載の電池。
【請求項9】
前記機能領域(301)にさらに減圧機構(312)が設置され、前記減圧機構(312)と前記カバー(2)は間隔をあけて設置され、前記第1方向において、前記電極端子(311)は前記減圧機構(312)の両側に設置される、請求項5に記載の電池。
【請求項10】
隣接する2つの前記電池セル(3)の前記電極端子(311)はバス部材(34)を介して電気的に接続され、前記第2方向において、隣接する2つの前記載置ストリップ(42)のうち一方の延伸長さは他方の延伸長さよりも短く、それにより前記バス部材(34)を逃がすための逃がし切り欠き(43)を形成する、請求項4に記載の電池。
【請求項11】
前記載置ストリップ(42)は前記メインプレート(41)と一体成形され又は取り外し可能に接続される、請求項2~3のいずれか一項に記載の電池。
【請求項12】
前記メインプレート(41)は前記カバー(2)に固定接続される、請求項2に記載の電池。
【請求項13】
前記載置アセンブリ(4)は絶縁材料で構成され、又は前記載置アセンブリ(4)の表面は絶縁材料で被覆される、請求項1に記載の電池。
【請求項14】
前記メインプレート(41)の厚さ方向において、前記載置ストリップ(42)の厚さは第1寸法H1であり、前記第1寸法H1は5mm≦H1≦30mmを満たす、請求項2に記載の電池。
【請求項15】
前記第1寸法H1と1つの前記電池セル(3)の重量Mとの比H1/Mは0.5mm/Kg≦H1/M≦50mm/Kgを満たす、請求項14に記載の電池。
【請求項16】
電気エネルギーを供給するための請求項1~15のいずれか一項に記載の電池を含む、電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は電池技術分野に関し、特に、電池及び電力消費装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新エネルギー自動車の出現は社会の発展及び環境保護に対していずれも大きな推進作用を果たしており、動力電池は充電可能な電池として新エネルギー自動車の動力源であり、新エネルギー自動車分野において広く応用されている。
【0003】
従来技術では、電池のエネルギー密度が低く、空間の無駄が生じ、電力消費装置の性能に影響を与え、且つ、従来の電池は剛性が低く、電池が衝突中に熱暴走が発生しやすく、電力消費装置の安全性に影響を与える。
【発明の概要】
【0004】
本願の実施例は、電池のエネルギー密度及び安全性を向上させることができる電池及び電力消費装置を提供する。
【0005】
第1態様によれば、本願の実施例は筐体と、カバーと、電池セルと、載置アセンブリと、を含む電池を提供する。筐体の底部に開口が設置され、カバーは開口に被せられ、カバーは筐体に固定接続され、複数の電池セルは筐体内に設置され、電池セルのトップカバープレートは開口に向かって筐体に倒置して設置され、載置アセンブリは電池セルとカバーとの間に設置されて、電池セルを支持して載置する。
【0006】
上記技術的解決手段において、開口が筐体の底部に設置され、電池セルは筐体内に設置され、トップカバープレートは開口に向かって設置され、カバーは開口に被せられ、電池セルとカバーとの間に載置アセンブリが設置されて電池セルを支持し、電池全体の剛性を強化することができ、それが衝突中に破損する確率を低下させて、電池の安全性を向上させる。
【0007】
いくつかの実施例において、載置アセンブリはメインプレート及びメインプレートに接続された載置ストリップを含み、メインプレートはカバーに当接し、載置ストリップは電池セルに当接する。
【0008】
上記技術的解決手段において、載置ストリップは電池セルを支持して載置する役割を果たすことができる。
【0009】
いくつかの実施例において、載置ストリップが複数設置され、複数の載置ストリップは第1方向においてメインプレートに沿って間隔をあけて設置され、且つメインプレート上で第2方向に沿って延伸する。
【0010】
上記技術的解決手段において、複数の載置ストリップは複数の電池セルを支持し、電池構造の安定性を向上させる。
【0011】
いくつかの実施例において、トップカバープレートは機能領域及びショルダー部を含み、機能領域に電極端子が設置され、ショルダーは第1方向に沿って機能領域の両側に位置し、電池セルはショルダー部を介して載置ストリップに当接する。
【0012】
上記技術的解決手段において、電極端子が設置される機能領域はショルダー部の間に位置し、それによりショルダー部は電極端子に対して一定の保護効果を実現する。電池セルはショルダー部を介して載置ストリップに当接し、それにより機能領域が力を受けて破損することを回避でき、電池セルの耐用年数を延長する。
【0013】
いくつかの実施例において、電極端子は隣接する2つの載置ストリップの間に設置され、且つ電極端子とカバーは間隔をあけて設置される。
【0014】
上記技術的解決手段において、電極端子はカバーと接触せず、それにより電極端子の機能を実現させやすい。
【0015】
いくつかの実施例において、メインプレートの厚さ方向において、載置ストリップの厚さは電極端子の延伸高さより大きい。
【0016】
上記技術的解決手段において、電極端子は載置ストリップの間に懸架される。
【0017】
いくつかの実施例において、隣接する2つの電池セルのショルダー部は共に同一の載置ストリップに当接する。
【0018】
上記技術的解決手段において、第1方向において隣接する電池セルは同一の載置ストリップを共有し、載置ストリップの数をできるだけ減少させることができ、載置アセンブリの製造に便宜を図る。
【0019】
いくつかの実施例において、第1方向において、載置ストリップの幅D1とショルダー部の延伸幅D2とは、0.5D2≦D1≦2D2を満たす。
【0020】
上記技術的解決手段において、載置ストリップがオフセットされて一方の側の電池セルのみが載置されることを回避し、且つ載置ストリップを隣接する2つの電池セルのショルダー部のみと接触させて、機能領域と接触して電池セルの機能に影響を与えることを回避する。
【0021】
いくつかの実施例において、機能領域にさらに減圧機構が設置され、減圧機構とカバーは間隔をあけて設置され、第1方向において、電極端子は減圧機構の両側に設置される。
【0022】
上記技術的解決手段において、減圧機構はいずれも載置ストリップの間に懸架され、より大きな減圧空間を減圧機構に提供することができ、排出物の排出によるリスクを削減し、電池の安全性を向上させる。
【0023】
いくつかの実施例において、隣接する2つの電池セルの電極端子はバス部材を介して電気的に接続され、第2方向において、隣接する2つの載置ストリップのうち一方の延伸長さは他方の延伸長さよりも短く、それによりバス部材を逃がすための逃がし切り欠きを形成する。
【0024】
上記技術的解決手段において、載置アセンブリはより良好に電池の構造に適合し、電池セルの直列接続、並列接続及び直並列接続を実現しやすい。
【0025】
いくつかの実施例において、載置ストリップはメインプレートと一体成形され又は取り外し可能に接続され、それにより載置アセンブリの製造又は電池セルの配列に基づく載置ストリップの位置の調整が容易である。
【0026】
いくつかの実施例において、メインプレートはカバーに固定接続され、それにより電池の構造の堅牢性を向上させる。
【0027】
いくつかの実施例において、載置アセンブリは絶縁材料で構成され、又は載置アセンブリの表面は絶縁材料で被覆される。
【0028】
いくつかの実施例において、メインプレートの厚さ方向において、載置ストリップの厚さは第1寸法H1であり、第1寸法H1は5mm≦H1≦30mmを満たす。
【0029】
いくつかの実施例において、第1寸法H1と1つの電池セルの重量Mとの比H1/Mは0.5mm/Kg≦H1/M≦50mm/Kgを満たす。
【0030】
第2方面によれば、本願の実施例は電気エネルギーを供給するための第1態様のいずれかの実施形態の電池を含む電力消費装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本願の実施例における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下に本願の実施例に必要な図面を簡単に説明し、理解すべき点として、以下に示された図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、図面に基づいて他の図面をさらに取得することができる。
【
図1】本願のいくつかの実施例に係る車両の構造概略図である。
【
図2】本願のいくつかの実施例に係る電池の組み立て構造概略図である。
【
図3】本願のいくつかの実施例に係る電池の分解概略図である。
【
図4】本願のいくつかの実施例に係る電池の載置アセンブリの構造概略図である。
【
図5】本願のいくつかの実施例に係る電池セルの構造概略図である。
【
図7】
図6の円で囲われたB箇所の拡大概略図である。
【
図8】本願のいくつかの実施例に係る電池に対して衝突試験を行う衝突試験装置の構造概略図である。
【
図9】本願のいくつかの実施例に係る電池のカバーの構造概略図である。
【
図10】本願のいくつかの実施例に係る電池セルの内部構造概略図である。
【0032】
発明を実施するための形態における符号は以下のとおりである。
【符号の説明】
【0033】
1000 車両
100 電池
200 コントローラ
300 モータ
1 筐体
101 上部
102 底部
103 開口
11 支持板
12 側板
2 カバー
21 本体部
22 係合部
3 電池セル
301 機能領域
302 ショルダー部
31 トップカバープレート
311 電極端子
312 減圧機構
32 ハウジング
33 電極アセンブリ
34 バス部材
4 載置アセンブリ
41 メインプレート
42 載置ストリップ
43 逃がし切り欠き
A 衝突試験装置
A1 衝撃ヘッド
A2 発射装置
A3 フレーム
X 第1方向
Y 第2方向
Z 第3方向
【発明を実施するための形態】
【0034】
本願の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下に本願の実施例における図面を参照しながら、本願の実施例における技術的解決手段を明確に説明し、明らかに、説明される実施例は本願の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。本願の実施例に基づき、当業者が創造的な労力を要することなく取得した全ての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0035】
別途定義されない限り、本願で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本願の当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。本願の明細書で使用される用語は、単に具体的な実施例を説明することが目的であり、本願を限定することを意図したものではない。本願の明細書と特許請求の範囲及び上記図面の説明における「含む」及び「有する」という用語及びそれらの類語は、排他的ではないものを意図している。本願の明細書と特許請求の範囲又は上記図面における「第1」、「第2」等の用語は異なる対象を区別するために用いられ、特定の順序又は主従関係を説明するために用いられるものではない。
【0036】
本願における「実施例」への言及は、実施例に関連して説明される特定の特徴、構造又は特性が、本願の少なくとも1つの実施例に含まれ得ることを意味する。本明細書の各所に該「実施例」という語が出現しても、必ずしも全てが同じ実施例を指すわけではなく、他の実施例と相互に排他的で独立した又は代替的な実施例を指すものでもない。
【0037】
本願の記載において説明すべきことは、特に明確に規定及び限定しない限り、「取り付ける」、「つながっている」、「接続」、「取り付け」という用語は広義に理解すべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、又は一体接続であってもよい。直接つながっていてもよく、中間媒体を介して間接的につながっていてもよく、又は2つの素子内部の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0038】
本願における「及び/又は」という用語は、単に関連対象の関連、関係を説明しているに過ぎず、3種類の関係が存在可能であることを示し、例として、A及び/又はBは、Aが単独で存在する、AとBが同時に存在する、Bが単独で存在する、という3つの状況を示すことができる。なお、本願において記号「/」は、一般的に前後の関連対象が「又は」の関係であることを示す。
【0039】
本願の実施例において、同一の符号は同一の部材を示し、異なる実施例においては、簡潔にするために同一の部材の詳細な説明を省略する。なお、図面に示される本願の実施例における各部材の厚さ、長さ、幅等の寸法、及び集積装置の全体の厚さ、長さ、幅等の寸法は例示的な説明に過ぎず、本願を何ら限定するものではない。
【0040】
本願に出現する「複数」は2つ以上(2つを含む)を指す。
【0041】
本願における「平行」という用語は、絶対的に平行である場合を含むだけでなく、工学的に一般的な認知がほぼ平行であるという状況も含み、同時に、「垂直」も絶対的に垂直である場合を含むだけでなく、工学的に一般的な認知がほぼ垂直であるという状況も含む。
【0042】
本願において、電池セルはリチウムイオン二次電池セル、リチウムイオン一次電池セル、リチウム硫黄電池セル、ナトリウムリチウムイオン電池セル、ナトリウムイオン電池セル又はマグネシウムイオン電池セル等を含むことができ、本願の実施例はこれに限定されない。
【0043】
本願において、電池は、より高い電圧及び容量を提供するために1つ又は複数の電池セルを含む単一の物理的モジュールを指す。例えば、本願で言及される電池は、電池モジュール又は電池パックなどであってもよい。電池は、一般的に1つ又は複数の電池セルをパッケージ化するための筐体を含む。筐体は、液体又は他の異物が電池セルの充放電に影響を及ぼすことを防止する。電池内で、複数の電池セルの間は直列接続又は並列接続又は直並列接続することができ、直並列接続とは複数の電池セルに直列接続だけでなく並列接続もあることを指す。複数の電池セルの間を直接、直列接続又は並列接続又は直並列接続し、次いで複数の電池セルで構成された全体を筐体内に収容することができる。当然ながら、複数の電池セルが、まず直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池モジュールの形態を構成し、複数の電池モジュールがさらに直列接続又は並列接続又は直並列接続されて一体に形成され、筐体内に収容されてもよい。
【0044】
現在、市場の情勢が発展していることから、動力電池の応用はますます広がっている。動力電池は水力、火力、風力及び太陽光発電所等のエネルギー貯蔵電源システムへの応用にとどまらず、電動自転車、電動バイク、電気自動車等の電動車両、及び軍事装備及び航空宇宙等の複数の分野に広く応用されている。動力電池の応用分野の拡大に伴い、市場におけるその需要量も絶えず拡大している。
【0045】
関連技術では、電池の筐体の開口は、垂直方向において通常は上向きであり、電池セルは電池の底部に固定され、電極端子は筐体の開口を覆うカバーに向けられる。
【0046】
しかしながら、以上のように設置された電池において、発明者らは、電池が電力消費装置内に設置される時、底部が電力消費装置に接着され、電池セルは電池の底部に固定されるため、より衝突されやすい電池上部の剛性が低く、且つ、電池が衝突する過程で、内部の電池セルが受ける力は均一でなく、電池が破損しやすく、電池の安全性が低下し、電池の使用性能に影響を与えることに注目した。
【0047】
これに鑑みて、本願の実施例は電池を提供し、開口が筐体の底部に設置され、電池セルは筐体内に倒置され、トップカバープレートは開口に向かって設置され、カバーは開口に被せられ、電池セルとカバーとの間に載置アセンブリが設置されて電池セルを支持し、電池全体の剛性を強化することができ、それが衝突中に破損する確率を低下させて、電池の安全性を向上させる。且つ、載置アセンブリの厚さと電池セルの重量との比を調整することにより、電池のエネルギー密度を保証すると同時に電池の全体的な構造強度を調整することができ、電池の性能をさらに向上させる。
【0048】
本願の実施例に記載の技術的解決手段は、電池及び電池から電力の供給を受ける電力消費装置に適用される。
【0049】
電力消費装置は車両、携帯電話、携帯機器、ノートパソコン、船舶、宇宙機、電動玩具、電動工具などであってもよい。車両はガソリン自動車、天然ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は純粋な電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー自動車等であってもよい。宇宙機は航空機、ロケット、宇宙飛行機及び宇宙船等を含む。電動玩具はゲーム機、電動自動車玩具、電動船舶玩具及び電動航空機玩具等の固定式又は移動式の電動玩具を含む。電動工具は電動ドリル、電動グラインダ、電動レンチ、電動ドライバ、電動ハンマ、電動インパクトドライバ、コンクリートバイブレータ及び電動カンナ等の金属切削電動工具、研磨電動工具、組立電動工具及び鉄道用電動工具を含む。本願の実施例は上記電力消費装置について特に限定しない。
【0050】
なお、本願の実施例に記載の技術的解決手段は上記の電力消費装置に適用することだけに限定されるものではないが、説明を簡潔にするために、下記実施例はいずれも車両1000を例として説明する。
【0051】
図1は本願のいくつかの実施例に係る車両1000の構造概略図である。
図1に示すように、車両1000はガソリン自動車、天然ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は純粋な電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー自動車等であってもよい。車両1000の内部に電池100が設置され、電池100は車両1000の底部又は前側又は後側に設置されてもよい。
【0052】
電池100は、車両1000へ電力を供給するために用いることができ、例えば、車両1000の動作電源として用いることができる。車両1000はさらにコントローラ200及びモータ300を含むことができ、コントローラ200は、電池100がモータ300へ電力を供給するように制御するために用いられ、例えば、車両1000の起動、ナビゲーション及び走行時の動作電力の必要を賄う。本願のいくつかの実施例において、電池100は車両1000の動作電源としてだけでなく、車両1000の駆動電源として、燃料又は天然ガスを代替又は部分的に代替して車両1000に駆動動力を提供することができる。
【0053】
図2は本願のいくつかの実施例に係る電池100の組み立て構造概略図である。
図3は本願のいくつかの実施例に係る電池100の分解概略図である。
図2及び
図3に示すように、本願のいくつかの実施例によれば、電池100は筐体1と、カバー2と、電池セル3と、載置アセンブリ4と、を含む。筐体1の底部102に開口103が設置される。カバー2は開口103に被せられ、筐体1に固定接続される。複数の電池セル3は筐体1内に設置され、電池セル3のトップカバープレート31は開口103に向かって筐体1に倒置して設置される。載置アセンブリ4は電池セル3とカバー2との間に設置されて、電池セル3を支持して載置する。
【0054】
筐体1の開口103は底部102に設置され、底部102とは、筐体1の厚さ方向における底部102であり、開口103は筐体1の厚さ方向において下方に向く。説明を容易にするために、本願の実施例において、筐体1の厚さ方向を第3方向、すなわちZ方向とし、筐体1は第3方向Zにおいてさらに上部101を有し、上部101と底部102は第3方向Zに沿って互いに対向する。なお、以下の内容においては、電池セル3の配列方向などの他の要素を示すために、さらに第1方向及び第2方向を詳細に定義するが、ここでは詳細な説明を省略する。
【0055】
カバー2は開口103に被せられて筐体1に固定接続される。カバー2は筐体1の底部102に設置され、且つ開口103を覆う。筐体1内に複数の電池セル3が設置され、電池セル3のトップカバープレート31は開口103に向き、すなわち電池セル3の底部は、筐体1の第3方向Zにおける上部101に設置され、電池100上部のトップカバープレート31は底部102に向けて設置され、電池セル3は第3方向Zにおいて筐体1と互いに倒置して設置されることを指す。電池セル3を筐体1に倒置して設置することにより、電池セル3を電池100の上部101に設置することができ、それにより電池100の上部101の剛性を増加させ、電池100の安全性を向上させる。且つ、電池セル3のトップカバープレート31は電池100の底部102に向き、電池100のエネルギー密度を増加させ、電池100の利用可能性を向上させる。
【0056】
電池セル3のトップカバープレート31が開口103を向く場合、電池セル3のトップカバープレート31は開口103に設置されたカバー2に向き、電池セル3とカバー2との間に載置アセンブリ4が設置されることで電池セル3を支持して載置する。載置アセンブリ4は電池セル3とカバー2との間に設置されるため、電池セル3、載置アセンブリ4及びカバー2は第3方向Zに沿って上から下へ順に配列される。載置アセンブリ4は電池セル3に対して支持と載置の役割を果たし、すなわち載置アセンブリ4は電池セル3のトップカバープレート31に当接し、それにより電池100の構造強度を増加し、電池100の耐力性能を向上させ、衝突において電池100が破損する可能性を低下させる。
【0057】
図4は本願のいくつかの実施例に係る電池100の載置アセンブリ4の構造概略図である。
図4に示すように、本願のいくつかの実施例において、載置アセンブリ4はメインプレート41及び載置ストリップ42を含み、メインプレート41はカバー2に当接し、載置ストリップ42は電池セル3に当接する。
【0058】
当接する、すなわちメインプレート41とカバー2との間及び載置ストリップ42と電池セル3との間は互いに接触するが、互いに固定されない。メインプレート41はカバー2に当接し、載置ストリップ42は電池セル3に当接し、すなわち載置アセンブリ4はそれぞれカバー2及び電池セル3に当接し、それにより電池セル3に支持力を提供し、電池セル3とカバー2との間の距離を保持する。
【0059】
本願のいくつかの実施例において、載置ストリップ42は複数設置され、複数の載置ストリップ42は第1方向においてメインプレート41に沿って間隔をあけて設置され、且つメインプレート41上で第2方向に沿って延伸する。
【0060】
載置ストリップ42はストリップ状に形成され、第2方向に延伸する。複数の載置ストリップ42は第1方向においてメインプレート41上に間隔をあけて設置され、すなわち載置ストリップ42は第1方向に沿って配列され、それにより複数の位置で電池セル3に対する支持作用を実施する。第1方向及び第2方向は互いに垂直な方向であり、載置アセンブリ4は筐体1の第3方向Zにおける上部101及び底部102に平行に設置されるため、第1方向、第2方向及び第3方向Zは互いに垂直である。説明の便宜上、以下の内容において、第1方向及び第2方向をそれぞれX方向及びY方向とする。なお、第1方向X、第2方向Y及び第3方向Zの相互間の夾角が85°~95°であれば、第1方向X、第2方向Y及び第3方向Zは互いに垂直であると見なすことができる。なお、第1方向X、第2方向Y及び第3方向Zは、互いに垂直な他の方向であってもよい。
【0061】
載置ストリップ42は電池セル3に近いメインプレート41の一面に設置され、第3方向Zに沿って電池セル3に突出して、それにより電池セル3と当接し、従って電池セル3を支持して載置する役割を果たすことができ、電池100の構造の安定性を向上させる。
【0062】
図5は本願の実施例に係る電池セル3の構造概略図である。
図5に示すように、本願のいくつかの実施例において、トップカバープレート31は機能領域301及びショルダー部302を含み、機能領域301に電極端子311が設置され、ショルダー部302は第1方向Xに沿って機能領域301の両側に位置し、電池セル3はショルダー部302を介して載置ストリップ42に搭載される。
【0063】
機能領域301とは、トップカバープレート31上に電池セル3がそれ自体の機能を実現することができる領域、又は電池セル3が外部と相互作用することができる領域のことであり、例えば電池セル3が外部と電気的に接続することができる電極端子311である。機能領域301には電極端子311などの部材が常に設置されるため、機能領域301は電池100の使用の過程で力を受けることには適していない。ショルダー部302とは、機能領域301を除いたトップカバープレート31の力を受けることができる領域のことである。
【0064】
電極端子311が設置される機能領域301をショルダー部302の間に設置することにより、ショルダー部302は機能領域301に対して一定の保護効果を実現する。電池セル3はショルダー部302を介して載置ストリップ42に当接し、それにより機能領域301の電極端子311が力を受けて破損することを回避でき、電池セル3の耐用年数を延長する。
【0065】
本願のいくつかの実施例において、電極端子311は隣接する2つの載置ストリップ42の間に設置され、且つ電極端子311とカバー2は間隔をあけて設置される。
【0066】
機能領域301は2つのショルダー部302の間に位置するため、ショルダー部302は載置ストリップ42に当接し、機能領域301の電極端子311も隣接する2つの載置ストリップ42の間に位置する。電極端子311とカバー2は間隔をあけて設置され、すなわち電極端子311はカバー2と接触せず、電極端子311は2つの載置ストリップ42の間に浮いた状態で設置されると見なすことができ、それにより電極端子311を介して電池セル3の電気エネルギーを引き出しやすく、電池セル3の利用可能性を向上させる。
【0067】
本願のいくつかの実施例において、メインプレート41の厚さ方向において、載置ストリップ42の厚さは電極端子311の延伸高さより大きい。
【0068】
メインプレート41の厚さ方向はすなわち筐体1の厚さ方向であり、すなわち第3方向Zでもあり、第3方向Zにおいて、載置ストリップ42の厚さが電極端子311の延伸高さより大きいことで、電極端子311は隣接する載置ストリップ42の間に懸架されて、他の部材と接触して機能に影響を与えることを回避する。
【0069】
本願のいくつかの実施例において、隣接する2つの電池セル3のショルダー部302は共に同一の載置ストリップ42に当接する。
【0070】
筐体1内には、1つの電池セル3が設置されてもよく、複数の電池セル3が設置されてもよく、筐体1内に複数の電池セル3が設置された場合、複数の電池セル3は筐体1の中に隣接して配置され、載置ストリップ42は第1方向Xに沿ってメインプレート41に沿って間隔をあけて設置されるため、ショルダー部302は第1方向Xに沿って機能領域301の両側に位置し、ショルダー部302を隣接する電池セル3の接続部に位置させることができ、それにより隣接する2つの電池セル3のショルダー部302を共に同一の載置ストリップ42に当接させることができる。
【0071】
第1方向Xにおいて隣接する電池セル3は同一の載置ストリップ42を共有し、載置ストリップ42の数をできるだけ減少させることができ、載置アセンブリ4の製造に便宜を図る。
【0072】
本願のいくつかの実施例において、第1方向Xにおいて、載置ストリップ42の幅D1とショルダー部302の延伸幅D2とは、0.5D2≦D1≦2D2を満たす。
【0073】
載置ストリップ42の幅D1がショルダー部302の延伸幅D2の0.5倍以上であれば、電池セル3に対して十分な支持力を提供することができる。載置ストリップ42が隣接する2つの電池セル3を同時に載置する場合、載置ストリップ42の長さ方向Xの幅がショルダー部302の延伸幅の2倍以下であれば、載置ストリップ42は隣接する2つの電池セル3のショルダー部302のみに接触し、機能領域301と接触して電池セル3の機能に影響を与えることを回避することができる。
【0074】
好ましくは、載置ストリップ42の幅D1とショルダー部302の延伸幅D2との間の関係は、D2≦D1≦2D2を満たすことができる。載置ストリップ42は隣接する電池セル3との間でオフセットされる可能性があるため、載置ストリップ42の長さ方向Xにおける幅をショルダー部302の延伸幅以上として、載置ストリップ42に、隣接する2つの電池セル3を同時に載置させることができ、オフセットされて一方のみを載置し、電池100が受ける力が均一でないために構造安定性が劣るという問題が生じない。
【0075】
本願のいくつかの実施例において、機能領域301にさらに減圧機構312が設置され、減圧機構312とカバー2は間隔をあけて設置され、第1方向Xにおいて、電極端子311は減圧機構312の両側に設置される。
【0076】
減圧機構312とは、電池セル3の内部圧力が所定の閾値に達した時に作動して、内部圧力を放出する素子又は部品である。電池セル3の内部圧力が所定の閾値に達すると、減圧機構312は動作を生成し又は一定の状態まで活性化され、それにより電池セル3の内部圧力を放出する。減圧機構312が生成する動作は、減圧機構312の少なくとも一部が破裂する、破砕する、引き裂かれる又は開くことを含むがこれには限定されず、それにより内部圧力を放出することができる開口又は通路が形成される。この時に、電池セル3の内部の高温高圧物質が排出物として作動した箇所から外に排出される。この方式により、制御可能な圧力の状況下で電池セル3から圧力を放出することができ、潜在的でより深刻な事故の発生を回避する。減圧機構312は例えば防爆弁、空気弁、減圧弁又は安全弁等の形式を用いることができ、且つ具体的には感圧の素子又は構造を用いることができる。
【0077】
電極端子311は減圧機構312の両側に設置され、減圧機構312から圧力を放出する時に電極端子311に及ぼす影響を減少させることができる。且つ、減圧機構312とカバー2は間隔をあけて設置され、減圧機構312はカバー2に接触せず、より大きな減圧空間を減圧機構312に提供して、排出物の排出によるリスクを削減し、電池100の安全性を向上させる。
【0078】
再び
図4を参照すると、
図4に示すように、本願のいくつかの実施例において、隣接する2つの電池セル3の電極端子311はバス部材34を介して電気的に接続され、第2方向Yにおいて、隣接する2つの載置ストリップ42のうち一方の延伸長さは他方の延伸長さよりも短く、それによりバス部材34を逃がすための逃がし切り欠き43を形成する。
【0079】
バス部材34は、複数の電池セル3の間に電気的な接続を実現する部材である。バス部材34は隣接する電池セル3の電極端子311の間を跨いで接続し、複数の電池セル3を直列接続、並列接続又は直並列接続する。バス部材34は第1方向Xにおいて隣接する電池セル3の電極端子311の間を跨いで接続するため、第2方向Yに沿って延伸する少なくとも一部の載置ストリップ42はそれを逃がす必要があり、逃がし切り欠き43を形成する。
【0080】
隣接する2つの載置ストリップ42のうち一方の延伸長さは他方の延伸長さよりも短く、すなわち延伸長さが長い載置ストリップ42と延伸長さが短い載置ストリップ42は交互に配置される。選択的に、載置ストリップ42の長さはバス部材34の配置状況に応じて調整されてもよい。且つ、載置ストリップ42の第2方向Yにおける延伸長さとは、載置ストリップ42の第2方向Yにおける長さの総和を示すだけであり、すなわち、逃がし切り欠き43は載置ストリップ42の一端に設置されてもよく、載置ストリップ42の中央部に設置されてもよく、バス部材34の配置に応じて決定され、本願の実施例はこれに特に限定されない。
【0081】
載置ストリップ42に逃がし切り欠き43が設置され、載置アセンブリ4はより良好に電池100の構造に適合し、電池セル3の直列接続、並列接続及び直並列接続を実現しやすい。
【0082】
本願のいくつかの実施例において、載置ストリップ42はメインプレート41と一体成形され又は取り外し可能に接続される。
【0083】
載置ストリップ42とメインプレート41が一体成形される場合、載置アセンブリ4の製造を容易にすることができる。載置ストリップ42がメインプレート41に取り外し可能に接続される場合、電池セル3の配列に基づく載置ストリップ42の位置の調整を容易に行うことができ、載置アセンブリ4はより広い応用シーンを有する。
【0084】
本願のいくつかの実施例において、メインプレート41はカバー2に固定接続されてもよい。それにより電池100の構造の堅牢性を向上させる。選択的に、メインプレート41はカバー2に当接していてもよく、本願の実施例はこれに限定されない。
【0085】
本願のいくつかの実施例において、載置アセンブリ4は絶縁材料で構成され、又は載置アセンブリ4の表面は絶縁材料で被覆される。
【0086】
電池セル3の間の電気的な接続に影響を与えることを回避するため、載置アセンブリ4は絶縁部材である。なお、載置アセンブリ4は全体が絶縁材料であってもよく、表面に絶縁材料が被覆されて全体として絶縁性を呈する物体であってもよい。載置アセンブリ4が、表面に絶縁材料が被覆された物体である場合、芯材は金属材料、絶縁材料又は複合材料であってもよく、芯材の外表面に絶縁材料が被覆される。同時に、載置アセンブリ4は一定の硬度及び弾性を有する必要があり、それにより電池セル3に対する支持効果を実現すると同時に、衝撃を受けた時に一定量の変形を生成することができ、電池セル3に対して保護の役割を果たす。
【0087】
図6は
図2に示す電池の断面概略図である。
図7は
図6の円で囲われたB箇所の拡大概略図である。
図6及び
図7に示すように、本願のいくつかの実施例において、メインプレート41の厚さ方向において、載置ストリップ42の厚さは第1寸法H1であり、第1寸法H1は5mm≦H1≦30mmを満たす。
【0088】
メインプレート41の厚さ方向は筐体1の厚さ方向であり、すなわち第3方向Zでもある。載置ストリップ42は第3方向Zにおいて一定の厚さを有し、それをメインプレート41から突出させて電池セル3を支持して載置することができる。載置ストリップ42は第1寸法を保有し、電池セル3のトップカバープレート31とカバー2との一定の距離を保持することができ、それにより電池100のエネルギー密度を適切に保持する。
【0089】
本願のいくつかの実施例において、第1寸法H1と1つの電池セル3の重量Mとの比H1/Mは0.5mm/Kg≦H1/M≦50mm/Kgを満たす。
【0090】
第1寸法H1と1つの電池セル3の重量Mとの比H1/Mは、電池100のエネルギー密度及び構造強度を示すことができ、第1寸法H1と1つの電池セル3の重量Mとの比が大きすぎると、電池100のエネルギー密度は低くなり過ぎる。第1寸法H1と1つの電池セル3の重量Mとの比が小さすぎると、電池100の構造強度が不足し、衝突した時に安全上の事故が発生することがある。従って、第1寸法H1と1つの電池セル3の重量Mとの比H1/Mの範囲が0.5mm/Kg≦H1/M≦50mm/Kgを満たし、好ましくは、H1/Mの範囲が1mm/Kg≦H1/M≦30mm/Kgの範囲を満たし、この値の範囲内で、電池100は良好なエネルギー密度を有し、且つ適切な構造強度を有する。
【0091】
図8は、本願のいくつかの実施例に係る電池100に対して衝突試験を行う衝突試験装置Aの構造概略図である。第1寸法H1と1つの電池セル3の重量Mとの比H1/Mが適切な範囲内にある電池100が良好な性能を有することを検証するために、例として、衝突試験装置Aで電池100に対して衝突試験を行った。
図8に示すように、衝突試験装置Aは衝撃ヘッドA1、発射装置A2及びフレームA3を含む。試験の過程において、電池100をフレームA3に置き、衝撃ヘッドA1を発射装置A2で駆動し、一定の速度で電池100に衝突させる。試験条件を以下のように選定することができる。衝突方向は第3方向Zであり、衝突位置は電池100の弱い箇所であり、衝突エネルギーは90Jである。
【0092】
電池100は車両1000のような電力消費装置に応用されるため、上部101を車両1000に取り付け、電池100の底部102に対して第3方向Zにおいて衝突させることにより、電池100が車両1000に取り付けられた後のシーンをシミュレーションすることができる。電池100の弱い箇所とは電池100の破壊されやすい位置のことであり、この箇所は常に電池100の幾何学的中心から半径240mmの領域内にあり、電池100の弱い箇所に衝突させることで、電池100の構造強度が弱い位置に衝突した後の電池100の状態をシミュレーションすることができる。衝突エネルギーは90Jであり、衝撃ヘッドA1が4.2m/sの速度で電池100に衝突することと等価であってもよく、なお、他の衝突エネルギーで、例えば、120J(衝突速度4.9m/s)又は150J(衝突速度5.5m/s)で電池100に衝突させてもよい。実際の実験の過程では、1つの衝突エネルギーで電池100に複数回衝突させてもよく、又は複数の衝突エネルギーで電池100に複数回衝突させてもよい。
【0093】
衝突試験装置Aで電池100に衝突させた後、環境温度下で2時間観察し、電池100の発火や爆発の現象の有無を検出する。選択的に、衝突試験装置Aで電池100に衝突試験を行った後、さらに電池100に対してハウジングの保護等級などの試験を行ってもよく、本願の実施例はこれに限定されない。
【0094】
表1は、第1寸法H1、1つの電池セル3の重量M及びH1/Mの値にそれぞれ異なる値を採用し、上記方法で電池100に対して衝突試験を行った場合の結果を示す。
【0095】
【0096】
表1に示すように、H1が5mm≦H1≦30mmを満たし、H1/Mが0.5mm/Kg≦H1/M≦50mm/Kgを満たす場合、一定の強度の衝突試験において、電池100には発火や爆発が発生せず、比較的良好な安全性を有する。
【0097】
別の選択可能な実施例において、電池セル3は載置ストリップ42上に搭載されず、載置ストリップ42に固定接続されてもよい。
【0098】
この時に、第1寸法H1は0.5mm≦H1≦30mmを満たし、第1寸法H1と1つの電池セル3の重量Mとの比H1/Mは0.05 mm/Kg≦H1/M≦50mm/Kgを満たし、この値の範囲内で、電池100は良好なエネルギー密度を有し、且つ適切な構造強度を有する。
【0099】
第1寸法H1と1つの電池セル3の重量Mとの比H1/Mが適切な範囲内にある電池100が良好な性能を有することを検証するために、電池100に対して構造強度試験を行うことができる。電池100に対して構造強度試験を行う過程において、例として、せん断強度試験、圧縮強度試験などの複数の試験によって電池100の構造強度を判断することができる。
【0100】
せん断強度試験において、例として、電池100をせん断試験機の治具の間に固定した後、せん断試験機の検出ヘッドを用いて電池100を駆動し、5mm/minの速度で第1方向X又は第2方向Yに沿って移動させることができ、筐体1が破壊された時に検出ヘッドが印加した引張力Fを記録する。電池100の第3方向Zにおける投影面積を面積Aとし、F/Aの値がすなわち電池100が耐えられるせん断強度である。
【0101】
圧縮強度試験において、例として、押圧ヘッドを用いて第3方向Z及び第1方向X又は第2方向Yにおいて電池100に圧力を印加し、2m/sの速度で電池100に向かって推進させ、押圧力が50KNに達し又は電池100の変形量が30%に達した時に停止し、10分間保持し、且つ圧縮強度試験後に電池100を環境温度で2時間静置して観察する。
【0102】
選択的に、さらに他の構造強度試験によって電池100の構造強度を試験することができ、本願の実施例はこれに限定されない。
【0103】
表2は、電池セル3を載置ストリップ42に固定した状況で、第1寸法H1、1つの電池セル3の重量M及びH1/Mの値にそれぞれ異なる値を採用し、上記方法で電池100に対して構造強度試験を行った場合の結果を示す。
【0104】
【0105】
表2に示すように、H1が0.5mm≦H1≦30mmを満たし、H1/Mが0.05 mm/Kg≦H1/M≦50mm/Kgを満たす場合、強度構造試験において、電池100は比較的良好な構造強度を有する。
【0106】
なお、電池100のいくつかの実施例の上記説明は例示的なものに過ぎず、電池100は他の構造を有していてもよい。
【0107】
再び
図2及び
図3を参照すると、
図2及び
図3に示すように、筐体1は支持板11及び側板12を含み、支持板11は上部101に設置され、側板12は開口103の周囲側に沿って配置される。すなわち、支持板11及び側板12は第3方向Zに沿って上から下へ順に配列され、支持板11は第1方向Xに沿って延伸する板体であり、側板12は第3方向Zに沿って延伸する板体であり、側板12は支持板11を囲んで設置され、底部102の箇所に開口103が形成され、筐体1を中空構造体として形成する。電池セル3は支持板11に設置されて、電池100の上部101の剛性を増加させることができ、電池100が衝突において破損する可能性を低下させる。
【0108】
選択的に、側板12は支持板11と一体成形されてよく、支持板11と溶接、接着、締結部材又はホットメルトセルフタッピングのプロセスのうち少なくとも1つの方法で固定接続されてもよく、本願の実施例はこれに限定されない。
【0109】
選択可能な実施例において、支持板11の内部に通路(図示せず)が埋設される。電池セル3は支持板11に設置されるため、電池セル3の底部102は支持板11と接触し、電池100の性能を考慮すると、支持板11の内部に通路が埋設され、その中に熱媒体とされる気体又は液体を通して、電池100が動作する時に電池100に対して電池100の温度を調節する効果を発揮させることができ、それにより電池100の耐用年数及び利用可能性を向上させる。
【0110】
別の選択可能な実施例において、通路は熱管理部材として電池セル3と支持板11との間に設置されてもよく、又は電池100の温度を調節できる機能を果たすように設置される任意の他の部材に形成されてもよく、本願の実施例はこれに限定されない。
【0111】
選択可能な実施例において、筐体1は直方体又は円筒などの簡単な立体構造であってもよく、直方体又は円筒などの簡単な立体構造を組み合わせて構成される複雑な立体構造であってもよい。筐体1の材料はアルミニウム合金、鉄合金などの合金材料であってもよく、ポリカーボネート、ポリイソシアヌレートフォームなどの高分子材料であってもよく、又はガラス繊維にエポキシ樹脂を加えた複合材料であってもよい。筐体1の密封性を向上させるために、カバー2と側板12との間に、シーリング材、シールリング等のシール部材が設置されてもよい。本願の実施例は以上の実現可能な設置に対していずれも限定しない。
【0112】
選択可能な実施例において、電池100において、電池セル3は複数であってもよく、複数の電池セル3の間は直列接続又は並列接続又は直並列接続することができ、直並列接続とは複数の電池セル3において直列接続だけでなく並列接続もあることを指す。複数の電池セル3の間を直接、直列接続又は並列接続又は直並列接続し、次いで複数の電池セル3で構成された全体を筐体1内に収容することができる。なお、電池100は、複数の電池セル3が、まず直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池100のモジュール形式を構成し、複数の電池100のモジュールがさらに直列接続又は並列接続又は直並列接続されて一体に形成され、筐体1内に収容されてもよい。
【0113】
各電池セル3は二次電池又は一次電池であってもよく、リチウム硫黄電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池であってもよいが、これに限定されない。電池セル3は円筒、扁平体、直方体、又は他の形状等であってもよい。
【0114】
図9は本願のいくつかの実施例に係る電池100のカバー2の構造概略図である。
図9に示すように、本願のいくつかの実施例によれば、筐体1はさらに開口103に設置されるカバー2を含み、カバー2は側板12に固定接続されて、開口103を覆い、筐体1は相対的に密封された構造を有する。
【0115】
カバー2は本体部21及び係合部22を含み、係合部22は本体部21の周方向に設置され且つ側板12と嵌合する。すなわち、本体部21は側板12で形成された開口103を覆い、係合部22は側板12に固定され、カバー2を側板12と固定接続する。選択的に、係合部22と側板12はボルトで接続されてもよく、係合部22と側板12は他の方式で固定接続されてもよい。
【0116】
第3方向Zにおいて、本体部21は係合部22に対して底部102の延伸面から突出する。筐体1の内部に設置された電池セル3とカバー2との間が相対的により大きな距離を有するようにして、それによりバス部材34又は載置アセンブリ4のために退避する。なお、本体部21が係合部22に対して突出する距離は、電池100のエネルギー密度に基づいて選択されるべきであり、電池100の体積を増加させ、電池100のエネルギー密度を低下させるほど大きいものであってはならない。
【0117】
図10は本願のいくつかの実施例に係る電池セル3の内部構造概略図である。電池セル3とは電池100を構成する最小ユニットを指す。
図10に示すように、電池セル3はさらにトップカバープレート31と、ハウジング32と、電極アセンブリ33と、その他の機能性部材と、を含む。
【0118】
トップカバープレート31は、ハウジング32の開口部に被せられて電池セル3の内部環境を外部環境から隔離する部材である。トップカバープレート31の形状をハウジング32の形状に適合させて、ハウジング32と嵌合させることができるが、これには限定されない。選択的に、トップカバープレート31は一定の硬度及び強度を有する材質(例えばアルミニウム合金)で製造することができ、これにより、トップカバープレート31が押圧されたりぶつけられたりしても変形しにくく、電池セル3はより高い構造強度を有することができ、安全性能も向上させることができる。トップカバープレート31には電極端子311及び防爆弁などの機能性部品が設置される。電極端子311は電極アセンブリ33と電気的に接続することができ、電池セル3の電気エネルギーを出力又は入力するために用いられる。いくつかの実施例において、トップカバープレート31には、電池セル3の内部圧力又は温度が閾値に達した時に、内部圧力を逃がすために用いられる減圧機構312をさらに設置することができる。トップカバープレート31の材質はいくつもあり、例えば、銅、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、アルミニウム合金、プラスチック等であってもよく、本願の実施例はこれについて特に限定しない。いくつかの実施例において、トップカバープレート31の内側にさらに絶縁部材が設置されてもよく、絶縁部材はハウジング32内の電気接続プレート部材をトップカバープレート31から隔離することに用いられてもよく、それにより短絡のリスクを低下させる。例示的に、絶縁体は、プラスチック、ゴムなどであってもよい。
【0119】
ハウジング32は、トップカバープレート31と嵌合して電池セル3の内部環境を形成するためのアセンブリであり、形成された内部環境は、電極アセンブリ33、電解液(図示せず)及び他の部材を収容するために用いられる。ハウジング32及びトップカバープレート31は、個別の部材であってもよく、ハウジング32に開口が設けられ、開口部においてトップカバープレート31が開口部を覆うことによって電池セル3の内部環境が形成されてもよい。トップカバープレート31とハウジング32は一体化されていてもよく、具体的には、トップカバープレート31とハウジング32は、他の部材をハウジングに入れる前に共通の連結面が形成されてもよく、ハウジング32の内部を封止する必要がある場合、さらにトップカバープレート31がハウジング32に被せられるが、これには限定されない。ハウジング32は直方体、円筒、六角柱など、様々な形状及び寸法であってもよい。具体的に、ハウジング32の形状は、電極アセンブリ33の具体的な形状及び大きさによって決定される。ハウジング32の材質はいくつもあり、例えば、銅、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、アルミニウム合金、プラスチック等であってもよく、本願の実施例はこれについて特に限定しない。
【0120】
電極アセンブリ33は電池セル3において電気化学反応を発生させる部材である。ハウジング32内には1つ以上の電極アセンブリ33を含むことができる。電極アセンブリ33は、主に正極シート及び負極シートが捲回又は積層配置されて形成され、一般的には正極シートと負極シートとの間にセパレータが設けられる。正極シート及び負極シートの活物質を含む部分は、電極アセンブリ33の本体部を構成し、正極シート及び負極シートの活物質を含まない部分は、それぞれタブを構成する。正極タブと負極タブは、本体部の一端に共に位置してもよく、又は本体部の両端にそれぞれ位置してもよい。電池セル100の充放電過程において、正極活物質及び負極活物質は電解液と反応し、タブは電極端子311に接続されて電流回路を形成する。
【0121】
本願の選択可能な実施例において、電池100は筐体1と、カバー2と、複数の電池セル3と、載置アセンブリ4と、を含み、カバー2は筐体1の底部102の開口103に被せられて、筐体1と固定接続され、複数の電池セル3は筐体1内に設置され、トップカバープレート31は開口103に向かって筐体1に倒置して設置され、載置アセンブリ4は電池セル3とカバー2との間に設置され、メインプレート41及びメインプレート41に接続される載置ストリップ42を含み、メインプレート41はカバー2に当接し、載置ストリップ42は電池セル3に当接し、それにより電池セル3を支持して載置する。載置ストリップ42は複数設置され、複数の載置ストリップ42は第1方向Xにおいてメインプレート41に沿って間隔をあけて設置され、且つメインプレート41上で第2方向Yに沿って延伸する。電池セル3のトップカバープレート31は、電極端子311が設置された機能領域301及び第1方向Xに沿って機能領域301の両側に設置されたショルダー部302を含み、電池セル3はショルダー部302を介して載置ストリップ42に当接し、電極端子311を隣接する載置ストリップ42の間に位置させ且つカバー2と間隔をあけて設置され、それにより電極端子311に対する保護の役割を果たす。メインプレート41の厚さ方向すなわち第3方向Zにおいて、載置ストリップ42の厚さは第1寸法H1であり、第1寸法H1が5mm≦H1≦30mmを満たし、第1寸法H1と1つの電池セル3の重量Mとの比H1/Mが0.5mm/Kg≦H1/M≦50mm/Kgを満たす場合、表1に示すように、一定の強度の衝突試験において、電池100には発火や爆発が発生せず、比較的良好な安全性を有する。
【0122】
いくつかの状況において、本願の実施例の電池100は、電池セル3を筐体1内に倒置することにより、筐体1の剛性を増加させ、且つ電池100のエネルギー密度を増加させることができる。且つ、載置アセンブリ4を介して電池セル3を支持して載置することにより、電池100の構造強度を強化することができ、それが衝突中に破損する確率を低下させて、電池100はより良好な安全性を有する。
【0123】
なお、本願における実施例及び実施例における特徴は、矛盾しない限り、互いに組み合わせることができる。
【0124】
最後に説明すべき点は以下のとおりである。以上の各実施例は本願の技術的解決手段を説明するためのものに過ぎず、それを制限するものではない。前述の実施例を参照して本願を詳細に説明したが、当業者は以下のことを理解すべきである。当業者は依然として前記各実施例に記載の技術的解決手段を修正し、又はそのうち一部の技術的特徴を等価置換することができるが、これらの修正又は置換は、対応する技術的解決手段の実質を本願の各実施例の技術的解決手段の主旨及び範囲から逸脱させるものではない。
【国際調査報告】