(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】低免疫細胞
(51)【国際特許分類】
C12N 5/10 20060101AFI20241029BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20241029BHJP
C12N 5/074 20100101ALI20241029BHJP
C12N 5/0735 20100101ALI20241029BHJP
C12N 5/071 20100101ALI20241029BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20241029BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241029BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20241029BHJP
A61K 35/12 20150101ALI20241029BHJP
A61K 35/33 20150101ALI20241029BHJP
A61K 35/54 20150101ALI20241029BHJP
A61K 35/44 20150101ALI20241029BHJP
A61K 35/38 20150101ALI20241029BHJP
A61K 35/39 20150101ALI20241029BHJP
A61K 35/28 20150101ALI20241029BHJP
A61K 35/34 20150101ALI20241029BHJP
A61K 35/407 20150101ALI20241029BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20241029BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20241029BHJP
A61K 9/51 20060101ALI20241029BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20241029BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20241029BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20241029BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20241029BHJP
C12N 15/86 20060101ALN20241029BHJP
【FI】
C12N5/10 ZNA
C12N15/09 Z
C12N5/074
C12N5/0735
C12N5/071
C12N15/09 110
A61P3/10
A61P35/00
A61P35/02
A61K35/12
A61K35/33
A61K35/54
A61K35/44
A61K35/38
A61K35/39
A61K35/28
A61K35/34
A61K35/407
A61P37/02
A61K48/00
A61K9/51
A61K47/44
C12N15/62 Z
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/86 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523933
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(85)【翻訳文提出日】2024-06-19
(86)【国際出願番号】 US2022078411
(87)【国際公開番号】W WO2023070019
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598032106
【氏名又は名称】バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【氏名又は名称】寺地 拓己
(72)【発明者】
【氏名】コンウェイ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】フルガ,チューダー
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
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4C087ZB27
4C087ZC35
(57)【要約】
免疫抑制因子の3’-UTRの破壊を含む単離された細胞(例えば、単離された幹細胞)、そのような幹細胞から分化した細胞(例えば、膵島細胞または免疫細胞)、および疾患(例えば、糖尿病またはがん)を処置するために細胞を使用する方法に関する組成物および方法が本明細書に開示される。単離された細胞(例えば、単離された幹細胞)を産生する(すなわち、遺伝子改変する)方法も提供される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫抑制因子をコードする対立遺伝子の3’-非翻訳領域(3’-UTR)における破壊を含む単離された幹細胞。
【請求項2】
破壊が、3’-UTRにおける欠失、挿入、転座、逆位、または置換を含む、請求項1に記載の単離された幹細胞。
【請求項3】
破壊が、3’-UTRの内因性RNA結合タンパク質および/またはマイクロRNAへの結合を減少させる、請求項1または請求項2に記載の単離された幹細胞。
【請求項4】
免疫抑制因子が、PDL1、CD47、HLA-G、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の単離された幹細胞。
【請求項5】
3’-UTRにおける欠失が免疫抑制因子の発現の増加をもたらす、請求項1から4のいずれか一項に記載の単離された幹細胞。
【請求項6】
免疫抑制因子の発現の増加がサイトカインによって誘導または増加され、任意選択で、サイトカインがインターフェロンガンマである、請求項5に記載の単離された幹細胞。
【請求項7】
免疫抑制因子がPDL1である、請求項1から6のいずれか一項に記載の単離された幹細胞。
【請求項8】
破壊がPDL1 3’-UTRの欠失をもたらす、請求項7に記載の単離された幹細胞。
【請求項9】
破壊がPDL1 3’-UTRの逆位をもたらす、請求項7に記載の単離された幹細胞。
【請求項10】
破壊がPDL1 3’-UTRのヌクレオチドの1つまたは複数の置換をもたらす、請求項7に記載の単離された幹細胞。
【請求項11】
破壊が、内因性マイクロRNAの1つまたは複数のPDL1 3’-UTRへの結合を減少させ、任意選択で、内因性マイクロRNAの1つまたは複数が、miR-34a、miR-140、miR-200a、miR-200b/c、miR-142、miR-340、miR-383、miR-424(322)、miR-338-5p、miR-324-5p、miR-152、miR-200b、miR-138-5p、miR-195、miR-16、miR-15a、miR15b miR-193a-3p、miR-497-5p、miR-33a、miR17-5p、miR-155、およびmiR-513からなる群から選択される、請求項7から10のいずれか一項に記載の単離された幹細胞。
【請求項12】
破壊が、配列番号32、34、36、38、40、42、45、48、36、58、59、61、63、65、67、69、71、および73のいずれか1つに記載されるPDL1 3’-UTR配列の1つまたは複数における1~7ヌクレオチドの欠失をもたらす、請求項1から11のいずれか一項に記載の単離された幹細胞。
【請求項13】
破壊が、配列番号31、33、35、37、39、41、44、47、57、60、62、64、66、68、70、および72のいずれか1つに記載のPDL1 3’-UTR配列の1つまたは複数における1~24ヌクレオチドの欠失をもたらす、請求項1から12のいずれか一項に記載の単離された幹細胞。
【請求項14】
免疫抑制因子がHLA-Gである、請求項1から6のいずれか一項に記載の単離された幹細胞。
【請求項15】
破壊が、内因性マイクロRNAの1つまたは複数のHLA-G 3’-UTRへの結合を減少させ、任意選択で、内因性マイクロRNAの1つまたは複数が、miR-133A、miR-148A、miR-148B、miR-152、miR-548qおよび/またはmiR-628-5pからなる群より選択される、請求項14に記載の単離された幹細胞。
【請求項16】
破壊が、HLA-G 3’-UTRの位置+2961から始まり+2961を含む少なくとも5つの連続的なヌクレオチドの欠失、および/または位置+2961における少なくとも5つのヌクレオチドの挿入をもたらす、請求項15に記載の単離された幹細胞。
【請求項17】
破壊が配列番号74に記載のHLA-G 3’-UTR配列にある、請求項15に記載の単離された幹細胞。
【請求項18】
破壊が、配列番号75に記載のHLA-G 3’-UTR配列の少なくとも1ヌクレオチドの欠失をもたらす、請求項17に記載の単離された幹細胞。
【請求項19】
破壊が、配列番号74に記載のHLA-G 3’-UTR配列のC120G、G252C、A297G、および/またはC306Gから選択される1つまたは複数の突然変異をもたらす、請求項17に記載の単離された幹細胞。
【請求項20】
破壊された3’-UTR遺伝子座へのCD47、CTLA-4、PDL1、PDL2、HLA-C、HLA-E、HLA-G、C1阻害剤、IL-35、DUX4、IDO1、IL10、CCL21、CCL22、CD16、CD52、H2-M3、CD200、FASLG、MFGE8、および/またはSERPINB9をコードする配列の挿入をさらに含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の単離された幹細胞。
【請求項21】
CD47をコードする配列のPDL1 3’-UTR遺伝子座への挿入は、免疫抑制因子およびCD47をコードする配列を含むRNAをもたらす、請求項20に記載の単離された幹細胞。
【請求項22】
CD47、CTLA-4、PDL1、PDL2、HLA-C、HLA-E、HLA-G、C1阻害剤、IL-35、DUX4、IDO1、IL10、CCL21、CCL22、CD16、CD52、H2-M3、CD200、FASLG、MFGE8、および/またはSERPINB9をコードする配列のセーフハーバー遺伝子座への挿入をさらに含む、請求項20に記載の単離された幹細胞。
【請求項23】
ゲノム中に外来性コード配列の挿入を含まない、請求項1から19のいずれか一項に記載の単離された幹細胞。
【請求項24】
同じ細胞型の野生型幹細胞と比較して、MHC-IおよびMHC-IIヒト白血球抗原(HLA)の発現が低下している、請求項1から23のいずれか一項に記載の単離された幹細胞。
【請求項25】
MHC-I HLAの発現低下が、β2ミクログロブリン(B2M)をコードする対立遺伝子における破壊に起因する、請求項24に記載の単離された幹細胞。
【請求項26】
MHC-II HLAの発現低下が、クラスII主要組織適合複合体トランスアクチベーター(CIITA)をコードする対立遺伝子における破壊に起因する、請求項24または請求項25に記載の単離された幹細胞。
【請求項27】
胚幹細胞である、請求項1から26のいずれか一項に記載の単離された幹細胞。
【請求項28】
多能性幹細胞である、請求項1から26のいずれか一項に記載の単離された幹細胞。
【請求項29】
ヒト幹細胞である、請求項1から28のいずれか一項に記載の単離された幹細胞。
【請求項30】
A抗原に対して陰性であり、B抗原に対して陰性である、請求項1から29のいずれか一項に記載の単離された幹細胞。
【請求項31】
Rh抗原に対して陰性である、請求項1から30のいずれか一項に記載の単離された幹細胞。
【請求項32】
請求項1から31のいずれか一項に記載の単離された幹細胞から分化した細胞。
【請求項33】
線維芽細胞、内皮細胞、胚体内胚葉細胞、原腸管細胞、膵前駆細胞、膵内分泌細胞、膵島細胞、幹細胞由来β細胞、幹細胞由来α細胞、幹細胞由来δ細胞、幹細胞由来エンテロクロマフィン(EC)細胞、インスリン産生細胞、インスリン陽性β様細胞、造血幹細胞、造血前駆細胞、筋細胞、サテライト幹細胞、肝細胞、ニューロン、または免疫細胞からなる群から選択される、請求項32に記載の細胞。
【請求項34】
免疫細胞であり、任意選択で、免疫細胞がキメラ抗原受容体(CAR)または人工T細胞受容体(TCR)を発現する、請求項32または請求項33に記載の細胞。
【請求項35】
同じ細胞型の細胞と比較して免疫原性が低い、請求項32から34のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項36】
請求項1から31のいずれか一項に記載の単離された幹細胞、または請求項32から35のいずれか一項に記載の細胞を含む組成物。
【請求項37】
NKX6.1陽性、ISL陽性細胞およびNKX6.1陰性、ISL陽性細胞を含み;集団が、NKX6.1陰性、ISL陽性細胞よりもNKX6.1陽性、ISL陽性細胞を多く含み、集団中の細胞の少なくとも15%がNKX6.1陰性、ISL陽性細胞であり、集団中の細胞の12%未満がNKX6.1陰性、ISL陰性細胞である、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
請求項1から31のいずれか一項に記載の単離された幹細胞、または請求項32から37のいずれか一項に記載の細胞を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法。
【請求項39】
糖尿病を処置する方法であって、請求項1から31のいずれか一項に記載の単離された幹細胞から分化した膵島細胞、または請求項37に記載の組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法。
【請求項40】
がんを処置する方法であって、請求項1から31のいずれか一項に記載の単離された幹細胞から分化した免疫細胞、または請求項34に記載の細胞を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法。
【請求項41】
がんが血液がんである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
RNA標的エンドヌクレアーゼと、免疫抑制因子をコードする対立遺伝子の3’-UTRを標的とするヌクレオチド配列を含む1つまたは複数のガイドRNA(gRNA)とを含むCRISPRシステムを幹細胞に送達するステップを含む、請求項1から31のいずれか一項に記載の単離された幹細胞を産生する方法。
【請求項43】
RNA標的エンドヌクレアーゼがCasタンパク質である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
Casタンパク質がCas9タンパク質またはCas12iタンパク質である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
免疫抑制因子がPDL1、CD47、またはHLA-Gである、請求項42から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
免疫抑制因子がPDL1である、請求項42から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
gRNAが、配列番号1に記載のPDL1配列の1003位~1022位もしくは1021位~1040位に対応する標的配列を標的とするか、または反対鎖のPDL1の3’-UTRの下流の標的配列を標的とする、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
組成物が、配列番号1に記載のPDL1配列の1003位~1022位または1021位~1040位に対応する標的配列を標的とする第1のgRNAと、反対鎖のPDL1の3’-UTRの下流の標的配列を標的とする第2のgRNAとを含む、請求項46または請求項47に記載の方法。
【請求項49】
gRNAが改変されている、請求項42~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
gRNAが脂質ナノ粒子(LNP)中で送達される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
gRNAが、gRNAをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を介して送達され、任意選択で、核酸がウイルスベクターである、請求項42から50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
RNA標的エンドヌクレアーゼが、RNA標的エンドヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を介して送達され、任意選択で、核酸がウイルスベクターである、請求項42から51のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年10月21日に出願された「HYPOIMMUNE CELLS」と題する米国特許仮出願第63/270,277号の35 U.S.C.§119(e)に基づく利益を主張するものであり、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
電子配列表への参照
電子配列表(V013870086WO00-SEQ-ZJG.xml;サイズ:224,720バイト;および作成日:2022年10月18日)の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
細胞ベース療法として対象に投与するために幹細胞(例えば、ヒト胚幹細胞またはヒト多能性幹細胞)由来のヒト成体細胞を作製することによって、全ての変性疾患を処置できるわけではないにしても、そのほとんどを処置できる可能性を提供する。しかしながら、このような治療の成功は、対象の免疫応答によって制限される可能性がある。免疫拒絶応答を克服するために考えられてきた戦略には、MHC-1および/もしくはMHC-IIヒト白血球抗原の発現を減少もしくは除去すること、ならびに/または移植用細胞における寛容原性因子の発現を増加させることが含まれる。
【0004】
参照による組込み
本明細書に記述する全ての刊行物、特許、および特許出願は、それぞれの個別の刊行物、特許、または特許出願が参照により組み込まれていると具体的にかつ個別に示されていると同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。他に指示がなければ、本明細書に記述する刊行物、特許、および特許出願は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、少なくとも部分的には、細胞ベース療法に使用可能な低免疫細胞、およびそのような低免疫細胞を産生する方法に関する。一部の態様では、低免疫細胞は幹細胞(例えば、ヒト胚幹細胞またはヒト多能性幹細胞)から産生される。本明細書に記載されるように、このような幹細胞は、例えば免疫抑制因子をコードする遺伝子の3’-UTRにおいて1つまたは複数の遺伝子破壊を有するように操作され、低免疫細胞を生成し、これらは、幹細胞の場合、次いで細胞ベース療法に続けて使用するために選択する細胞型にさらに分化し得る。このように、細胞(例えば、幹細胞)に対する遺伝子改変、ならびにこのような遺伝子改変を行うための方法および組成物も本明細書で提供される。疾患(例えば、糖尿病、がん)の処置に低免疫細胞を使用する方法も提供される。
【0006】
本開示の一部の態様は、免疫抑制因子をコードする対立遺伝子の3’-非翻訳領域(3’-UTR)における破壊を含む単離された細胞(例えば、単離された幹細胞)を提供する。一部の実施形態では、破壊は、3’-UTRにおける欠失、挿入、転座、逆位、または置換を含む。一部の実施形態では、破壊は、内因性RNA結合タンパク質および/またはマイクロRNAに対する3’-UTRの結合を減少させる。
【0007】
一部の実施形態では、免疫抑制因子は、PDL1、CD47、HLA-G、およびそれらの組合せからなる群から選択される。一部の実施形態では、3’-UTRにおける欠失は、免疫抑制因子の発現の増加をもたらす。一部の実施形態では、免疫抑制因子の発現の増加は、サイトカインによって誘導または増加され、任意選択で、サイトカインはインターフェロンガンマである。一部の実施形態では、免疫抑制因子はPDL1である。一部の実施形態では、破壊は、PDL1 3’-UTRの欠失をもたらす。一部の実施形態では、破壊は、PDL1 3’-UTRの逆位をもたらす。一部の実施形態では、破壊は、PD-L1 3’-UTRにおけるヌクレオチドの1つまたは複数の置換をもたらす。一部の実施形態では、破壊は、内因性マイクロRNAの1つまたは複数のPDL1 3’-UTRへの結合を減少させ、任意選択で、内因性マイクロRNAの1つまたは複数は、miR-34a、miR-140、miR-200a、miR-200b/c、miR-142、miR-340、miR-383、miR-424(322)、miR-338-5p、miR-324-5p、miR-152、miR-200b、miR-138-5p、miR-195、miR-16、miR-15a、miR15b miR-193a-3p、miR-497-5p、miR-33a、miR17-5p、miR-155、およびmiR-513からなる群から選択される。一部の実施形態では、破壊は、配列番号32、34、36、38、40、42、45、48、36、58、59、61、63、65、67、69、71、および73のいずれか1つに記載されるPDL1 3’-UTR配列の1つまたは複数における1~7ヌクレオチドの欠失をもたらす。一部の実施形態では、破壊は、配列番号31、33、35、37、39、41、44、47、57、60、62、64、66、68、70、および72のいずれか1つに記載のPDL1 3’-UTR配列の1つまたは複数における1~24ヌクレオチドの欠失をもたらす。
【0008】
一部の実施形態では、免疫抑制因子はHLA-Gである。一部の実施形態では、破壊は、内因性マイクロRNAの1つまたは複数のHLA-G 3’-UTRへの結合を減少させ、任意選択で、内因性マイクロRNAの1つまたは複数は、miR-133A、miR-148A、miR-148B、miR-152、miR-548qおよび/またはmiR-628-5pからなる群から選択される。一部の実施形態では、破壊は、HLA-G 3’-UTRの位置+2961から始まり、位置+2961を含む少なくとも5つの連続的なヌクレオチドの欠失、および/または位置+2961における少なくとも5つのヌクレオチドの挿入をもたらす。一部の実施形態では、破壊は、配列番号74に記載されるHLA-G 3’-UTR配列にある。一部の実施形態では、破壊は、配列番号75に記載されるHLA-G 3’-UTR配列の少なくとも1ヌクレオチドの欠失をもたらす。一部の実施形態では、破壊は、配列番号74に記載のHLA-G 3’-UTR配列のC120G、G252C、A297G、および/またはC306Gから選択される1つまたは複数の突然変異をもたらす。
【0009】
一部の実施形態では、単離された細胞(例えば、単離された幹細胞)は、破壊された3’-UTR遺伝子座へのCD47、CTLA-4、PDL1、PDL2、HLA-C、HLA-E、HLA-G、C1阻害剤、IL-35、DUX4、IDO1、IL10、CCL21、CCL22、CD16、CD52、H2-M3、CD200、FASLG、MFGE8、および/またはSERPINB9をコードする配列の挿入をさらに含む。一部の実施形態では、CD47をコードする配列のPDL1 3’-UTR遺伝子座への挿入は、免疫抑制因子およびCD47をコードする配列を含むRNAをもたらす。
【0010】
一部の実施形態では、単離された細胞(例えば、単離された幹細胞)は、CD47、CTLA-4、PDL1、PDL2、HLA-C、HLA-E、HLA-G、C1阻害剤、IL-35、DUX4、IDO1、IL10、CCL21、CCL22、CD16、CD52、H2-M3、CD200、FASLG、MFGE8、および/またはSERPINB9をコードする配列のセーフハーバー遺伝子座への挿入をさらに含む。
【0011】
一部の実施形態では、単離された細胞(例えば、単離された幹細胞)は、そのゲノム中に外来性コード配列の挿入を含まない。
一部の実施形態では、単離された細胞(例えば、単離された幹細胞)は、同じ細胞型の野生型幹細胞と比較して、MHC-IおよびMHC-IIヒト白血球抗原(HLA)の発現が低下している。一部の実施形態では、MHC-I HLAの発現低下は、β-2ミクログロブリン(B2M)をコードする対立遺伝子における破壊に起因する。一部の実施形態では、MHC-II HLAの発現低下は、クラスII主要組織適合複合体トランスアクチベーター(CIITA)をコードする対立遺伝子における破壊に起因する。
【0012】
一部の実施形態では、幹細胞は胚幹細胞である。一部の実施形態では、幹細胞は多能性幹細胞である。一部の実施形態では、幹細胞はヒト幹細胞である。一部の実施形態では、幹細胞はA抗原に対して陰性であり、B抗原に対して陰性である。一部の実施形態では、幹細胞はA抗原に対して陰性である。一部の実施形態では、幹細胞はB抗原に対して陰性である。一部の実施形態では、幹細胞はA抗原に対して陰性であり、B抗原に対して陽性である。一部の実施形態では、幹細胞はA抗原に対して陽性であり、B抗原に対して陰性である。一部の実施形態では、幹細胞はRh抗原に対して陰性である。
【0013】
本開示の他の態様は、本明細書に記載されるいずれかの単離された幹細胞から分化した細胞を提供する。一部の実施形態では、細胞は、線維芽細胞、内皮細胞、胚体内胚葉細胞、原腸管細胞、膵前駆細胞、膵内分泌細胞、膵島細胞、幹細胞由来β細胞、幹細胞由来α細胞、幹細胞由来δ細胞、幹細胞由来エンテロクロマフィン(EC)細胞、インスリン産生細胞、インスリン陽性β様細胞、造血幹細胞、造血前駆細胞、筋細胞、サテライト幹細胞、肝細胞、ニューロン、または免疫細胞からなる群から選択される。一部の実施形態では、細胞は免疫細胞であり、任意選択で、免疫細胞はキメラ抗原受容体(CAR)または人工T細胞受容体(TCR)を発現する。一部の実施形態では、細胞は、同じ細胞型の細胞と比較して免疫原性が低い。
【0014】
本明細書に記載される単離された細胞(例えば、単離された幹細胞)または単離された幹細胞から分化した細胞を含む組成物も提供される。一部の実施形態では、組成物は、NKX6.1陽性、ISL陽性細胞およびNKX6.1陰性、ISL陽性細胞を含み、集団は、NKX6.1陰性、ISL陽性細胞よりも多くのNKX6.1陽性、ISL陽性細胞を含み、集団中の細胞の少なくとも15%がNKX6.1陰性、ISL陽性細胞であり、集団中の細胞の12%未満はNKX6.1陰性、ISL陰性細胞である。
【0015】
さらに、本明細書に記載される単離された細胞(例えば、単離された幹細胞)または単離された幹細胞から分化した細胞を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、本方法は、糖尿病を処置する方法であり、本明細書に記載される単離された幹細胞から分化した膵島細胞、またはそのような細胞を含む組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、がんを処置する方法であり、本明細書に記載される単離された幹細胞から分化した免疫細胞、またはそのような細胞を含む組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む。一部の実施形態では、がんは血液がんである。
【0016】
本開示の他の態様は、本明細書に記載される単離された細胞(例えば、単離された幹細胞)を産生する方法であって、RNA標的エンドヌクレアーゼと、免疫抑制因子をコードする対立遺伝子の3’-UTRを標的とするヌクレオチド配列を含む1つまたは複数のガイドRNA(gRNA)とを含むCRISPRシステムを幹細胞に送達するステップを含む方法を提供する。
【0017】
一部の実施形態では、RNA標的エンドヌクレアーゼはCasタンパク質である。一部の実施形態では、Casタンパク質は、Cas9タンパク質、Cas12iタンパク質、またはCasφタンパク質である。一部の実施形態では、免疫抑制因子は、PDL1、CD47、またはHLA-Gである。一部の実施形態では、免疫抑制因子はPDL1である。一部の実施形態では、gRNAは、配列番号1に記載のPDL1配列の1003位~1022位もしくは1021位~1040位に対応する標的配列を標的とするか、または反対鎖のPDL1の3’-UTRの下流の標的配列を標的とする。一部の実施形態では、組成物は、配列番号1に記載のPDL1配列の1003位~1022位もしくは1021位~1040位に対応する標的配列を標的とする第1のgRNAと、反対鎖のPDL1の3’-UTRの下流の標的配列を標的とする第2のgRNAとを含む。一部の実施形態では、gRNAは改変されている。一部の実施形態では、gRNAは、脂質ナノ粒子(LNP)中で送達される。一部の実施形態では、gRNAは、gRNAをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を介して送達され、任意選択で、核酸はウイルスベクターである。一部の実施形態では、RNA標的エンドヌクレアーゼは、RNA標的エンドヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を介して送達され、任意選択で、核酸はウイルスベクターである。
【0018】
本発明の1つまたは複数の実施形態の詳細は、以下の説明に記載されている。本発明の他の特徴または利点は、以下の図面およびいくつかの実施形態の詳細な説明から、ならびに添付の特許請求の範囲からも明らかになる。
【0019】
添付図面は、縮尺通りに描かれることを意図していない。図面では、様々な図に示されている同一またはほぼ同一の各構成要素は、同様の数字で表されている。明確にするために、全ての図面において全ての構成要素が表示されているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1A~1Bは、PDL1の3’-UTRを破壊することにより、T細胞活性化を示すCD69発現が減少することを示す一連のグラフである。
図1Aは、培地のみ、CD3/CD28を含む培地、野生型ヒト胚幹細胞(hESC)から分化させた内皮細胞、B2M/CIITAダブルノックアウト(DKO)を有するhESCから分化させた内皮細胞、またはPDL1の3’-UTRを欠失させた3つのクローン(#12、#19、#25)のhESCから分化させた内皮細胞と混合した場合の、CD69の表面発現を有するCD8+ T細胞の割合を示すグラフである。
図1Bは、示した細胞についてフローサイトメトリーで測定し、平均蛍光強度(MFI)として報告したHLA-I発現を示すグラフである。PDL1の3’-UTRが破壊された細胞は、野生型細胞と同程度のレベルでHLA-Iを発現する。
【
図2】
図2は、培地のみ、陽性対照であるGMP-WCB、野生型ヒト胚幹細胞(hESC)から分化させた内皮細胞の3つのクローン、またはPDL1の3’-UTRが欠失したhESCの3つのクローンから分化させた内皮細胞と混合した場合の、CD69の表面発現を有するCD8+ T細胞の割合を示すグラフである。***はp<0.001を示す。
図1Aで観察されたことと一致して、PDL1の3’-UTRの欠失は、HLAクラスIおよびIIの除去で観察されたのと同様の程度までT細胞の活性化を減少させた。
【
図3】
図3は、野生型ヒト胚幹細胞(hESC)から分化させた内皮細胞、またはPDL1の3’-UTRを欠失させたhESCから刺激なしで分化させた内皮細胞、またはPDL1の3’-UTRを欠失させたhESCからCD8+ T細胞もしくはIFNγの存在下で分化させた内皮細胞におけるPDL1の表面発現(フローサイトメトリーで測定し、MFIとして報告する)を示すグラフである。
【
図4】
図4は、精製ヒトCD8+ T細胞との共培養後に残存した内皮細胞の割合(%生存)を示すグラフである。試験した細胞は、野生型ヒト胚幹細胞(hESC)、B2M/CIITAダブルノックアウト(DKO)を有するhESCの4つの異なるクローン、またはPDL1の3’-UTRの欠失を有するhESCの4つの異なるクローンから分化させた。その結果、PDL1の3’-UTRを欠失させると、細胞はT細胞を媒介した殺傷に対して耐性になることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の記述および実施例によって、本開示の実施形態を詳細に説明する。本開示は本明細書に記載した特定の実施形態に限定されず、したがって変動し得ることを理解されたい。当業者であれば、本開示には多数の変形および改変が存在し、これらは本開示の範囲内に包含されることが認識される。
【0022】
全ての用語は当業者によって理解されるように理解されることを意図している。他に定義しない限り、本明細書で用いる全ての技術用語および科学用語は、本開示が関連する技術における当業者によって共通に理解されると同じ意味を有する。
【0023】
本明細書で用いる見出しは整理の目的のみのためであって、記載した主題を限定するものと解釈すべきではない。
本開示の種々の特徴を単一の実施形態に関連して記述することができるが、特徴を個別にまたは任意の適切な組合せで提供することもできる。逆に、明確にするために本開示を個別の実施形態に関連して本明細書に記載することができるが、本開示を単一の実施形態で実行することもできる。
【0024】
以下の定義は当技術における定義を補うものであって本出願を指向しており、関連するまたは関連しないいかなる例、例えば広く共有されているいかなる特許または特許出願にも帰属されない。本明細書に記載した方法および材料と同様のまたは等価のいかなる方法および材料も本開示を試験するための実施において用いることができるが、本明細書には好ましい材料および方法を記載している。したがって、本明細書で用いる用語は特定の実施形態を記述する目的のためのみであって、限定することを意図していない。
【0025】
本出願において単数形の使用は、特に他の記述がなければ、複数形を含む。本明細書で用いる場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈によって他が明確に記述されない限り、複数の指示物を含むことに留意しなければならない。
【0026】
本出願において「または」の使用は、他の記述がなければ、「および/または」を意味する。本明細書で用いる用語「および/または」および「それらの任意の組合せ」ならびにそれらの文法的等価物は、相互交換可能に用いられ得る。これらの用語は、任意の組合せが具体的に意図されることを伝達することができる。説明目的のみのために、以下の語句、「A、B、および/またはC」または「A、B、C、またはそれらの任意の組合せ」は、「個別にA、個別にB、個別にC、AおよびB、BおよびC、AおよびC、ならびにA、B、およびC」を意味し得る。用語「または」は、文脈によって特に離接的な使用が意味されない限り、接続的または離接的に用いられ得る。
【0027】
さらに、用語「含む(including)」ならびに「含む(include、includes)」および「含まれる(included)」等の他の形態の使用は、限定的でない。
明細書中における「一部の実施形態」、「一実施形態(an embodiment、one embodiment)」、または「他の実施形態」への言及は、その実施形態に関連して記述された特定の特徴、構造、または特性が本開示の少なくとも一部の実施形態に含まれるが、必ずしも全ての実施形態には含まれないことを意味する。
【0028】
本明細書および特許請求の範囲で用いる場合、単語「含む(comprising)」(ならびに「comprise」および「comprises」等のcomprisingの任意の形)、「有する(having)」(ならびに「have」および「has」等のhavingの任意の形)、「含む(including)」(ならびに「includes」および「include」等のincludingの任意の形)、または「含む(containing)」(ならびに「contains」および「contain」等のcontainingの任意の形)は包括的またはオープンエンドであり、言及されていない追加的な要素または方法ステップを排除しない。本明細書で論じる任意の実施形態は本開示の任意の方法または組成物に関して実行することができ、逆もそうであることが意図されている。さらに、本開示の組成物は本開示の方法を達成するために用いることができる。
【0029】
用語「約」または「ほぼ」は、当業者によって決定される特定の値についての許容される誤差範囲内を意味し、これは部分的にその値がどのようにして測定されまたは決定されたか、例えば測定システムの限界によることになる。例えば、「約」は当技術における慣例によって標準偏差の1倍以内または1倍を超えることを意味し得る。あるいは、「約」は所与の値の20%まで、10%まで、5%まで、または1%までの範囲を意味し得る。別の例では、「約10」の量は、10および9から11までの任意の量を含む。さらに別の例では、参照数値に関連する用語「約」は、その値のプラスマイナス10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%の範囲をも含み得る。あるいは、特に生物学的なシステムまたはプロセスに関しては、用語「約」は、ある値の1桁以内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味し得る。出願および特許請求の範囲において特定の値が記載されている場合には、他に記述がなければ、特定の値についての許容される誤差範囲内を意味する用語「約」を前提とすべきである。
【0030】
本明細書で用いる用語「糖尿病」およびその文法的等価物は、長期間にわたる高い血糖レベルによって特徴付けられる疾患を意味し得る。例えば、本明細書で用いる用語「糖尿病」およびその文法的等価物は、それだけに限らないが、1型糖尿病、2型糖尿病、嚢胞性線維症関連糖尿病、外科的糖尿病、妊娠性糖尿病、およびミトコンドリア糖尿病を含む全てまたは任意の型の糖尿病を意味し得る。一部の例では、糖尿病は遺伝性糖尿病の一形態であり得る。一部の実施形態では、糖尿病は、自己免疫型の糖尿病であり得る。
【0031】
用語「内分泌細胞」は、特に特定しない限り、「膵島」、「膵島細胞」、「膵島同等物」、「膵島様細胞」、「膵臓島」、およびその文法的等価物等の、生体の膵臓に存在するホルモン生成細胞を意味し得る。一実施形態では、内分泌細胞は膵前駆細胞または前駆体から分化することができる。膵島細胞は、それだけに限らないが、膵α細胞、膵β細胞、膵δ細胞、膵F細胞、および/または膵ε細胞を含む様々な型の細胞を含み得る。膵島細胞は細胞の群、細胞クラスター、その他をも意味し得る。
【0032】
用語「前駆細胞」および「前駆体」細胞は本明細書において相互交換可能に用いられ、分化によって生じることができる細胞と比較してより原始的な(例えば発生経路または発達において完全に分化した細胞よりも早いステップにある)細胞表現型を有する細胞を意味する。前駆細胞はまた、顕著なまたは極めて高い増殖可能性を有し得ることが多い。前駆細胞は発生経路および細胞が発生し分化する環境に応じて、多くの異なった分化細胞型または単一の分化細胞型を生じることができる。
【0033】
インスリン陽性内分泌細胞に関する用語としての「その前駆体」とは、例えば、多能性幹細胞、胚体内胚葉細胞、原腸管細胞、膵前駆細胞、または内分泌前駆細胞を含む、インスリン陽性内分泌細胞に分化し得る任意の細胞を意味することができ、適切な条件下で培養すれば、前駆体細胞をインスリン陽性内分泌細胞に分化させることができるものである。
【0034】
用語「幹細胞由来β細胞」、「SC-β細胞」、「機能性β細胞」、「機能性膵β細胞」、「成熟SC-β細胞」、およびそれらの文法的等価物は、膵β細胞を示す少なくとも1つのマーカー(例えば、PDX-1またはNKX6.1)を提示し、インスリンを発現し、内因性の成熟β細胞と同等以上のグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)応答を提示する細胞(例えば、非天然の膵β細胞)を意味することができる。一部の実施形態では、本明細書で使用する「SC-β細胞」および「非天然のβ細胞」という用語は相互互換可能である。一部の実施形態では、「SC-β細胞」は、健常成人ヒト患者由来の膵β細胞よりも低いレベルのMAFAを発現する。一部の実施形態では、「SC-β細胞」は、健常成人ヒト患者由来の膵β細胞よりも高レベルのMAFBを発現する。一部の実施形態では、「SC-β細胞」は、健常成人ヒト患者由来の膵β細胞よりも高レベルのSIX2、HOPX、IAPPおよび/またはUCN3を発現する。一部の実施形態では、「SC-β細胞」は成熟膵細胞を含む。本開示の方法は、任意の細胞を出発点として用いて、任意のインスリン陽性の内分泌細胞またはその前駆体からSC-β細胞を誘導することが可能であるため、SC-β細胞は幹細胞から(例えば、直接)誘導される必要はないことを理解するべきである(例えば、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、胚体内胚葉細胞などの前駆細胞、部分的に初期化された体細胞(人工多能性幹細胞とそれが由来する体細胞との間の中間状態に部分的に初期化された体細胞)、多能性細胞、全能性細胞、前述のいずれかの細胞のトランス分化バージョンなどを用いることができ、本発明はこのように限定されることを意図していない)。一部の実施形態では、SC-β細胞は多重のグルコースチャレンジ(例えば少なくとも1回、少なくとも2回、もしくは少なくとも3回またはそれ以上の一連のグルコースチャレンジ)に対する、応答を呈する。一部の実施形態では、応答は多重のグルコースチャレンジに対する内因性膵島(例えばヒト膵島)の応答に類似している。一部の実施形態では、SC-β細胞の形態は内因性β細胞の形態に類似している。一部の実施形態では、SC-β細胞は内因性β細胞のGSIS応答に類似したin vitroのGSIS応答を呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞は内因性β細胞のGSIS応答に類似したin vivoのGSIS応答を呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞は内因性β細胞のGSIS応答に類似したin vitroおよびin vivoの両方のGSIS応答を呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞のGSIS応答は、SC-β細胞を宿主(例えば、ヒトまたは動物)に移植してから2週間以内に観察することができる。一部の実施形態では、SC-β細胞のGSIS応答は、SC-β細胞を宿主(例えば、ヒトまたは動物)に移植してから3週間以内に観察することができる。一部の実施形態では、SC-β細胞のGSIS応答は、SC-β細胞を宿主(例えば、ヒトまたは動物)に移植してから4週間以内に観察することができる。一部の実施形態では、SC-β細胞のGSIS応答は、SC-β細胞の宿主(例えば、ヒトまたは動物)に移植してから1~3カ月以内に観察することができる。一部の実施形態では、SC-β細胞はインスリンを分泌顆粒にパッケージする。一部の実施形態では、SC-β細胞は、カプセル化された結晶性のインスリン顆粒を示す。一部の実施形態では、SC-β細胞は1を超える刺激インデックスを呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞は1.1を超える刺激インデックスを呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞は、2を超える刺激指数を示す。一部の実施形態では、SC-β細胞は、サイトカインに応答してサイトカイン誘導性アポトーシスを示す。一部の実施形態では、SC-β細胞からのインスリン分泌は、公知の抗糖尿病薬(例えば、分泌促進薬)に応答して増強される。一部の実施形態では、SC-β細胞はモノホルモナルである。一部の実施形態では、SC-β細胞は他のホルモン、例えばグルカゴン、ソマトスタチン、または膵ポリペプチドを異常に共発現しない。一部の実施形態では、SC-β細胞は低い複製速度を呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞はグルコースに応答して細胞内Ca2+を増加させる。一部の実施形態では、細胞の刺激指数は、低グルコース濃度(例えば、2.5mM)と比較した高グルコース濃度(例えば、15mM)に応答して分泌されるインスリンの比率によって特徴付けられる。
【0035】
用語「幹細胞由来α細胞」、「SC-α細胞」、「機能的α細胞」、「機能性膵α細胞」、「成熟SC-α細胞」、およびそれらの文法的等価物は、膵α細胞を示す少なくとも1つのマーカー(例えば、グルカゴン、ISL1を発現するがNKX6.1は発現しない)を提示し、グルカゴンを発現し、機能性グルカゴンを分泌する細胞(例えば、非天然の膵α細胞)を意味することができる。一部の実施形態では、「SC-α細胞」はソマトスタチンを発現しない。一部の実施形態では、「SC-α細胞」は、インスリンを発現しない。一部の実施形態では、本明細書で用いる用語「SC-α細胞」および「非天然α細胞」は、相互交換可能である。一部の実施形態では、「SC-α細胞」は、成熟膵細胞を含む。
【0036】
用語「幹細胞由来δ細胞」、「SC-δ細胞」、「機能性δ細胞」、「機能性膵δ細胞」、「成熟SC-δ細胞」、およびそれらの文法的等価物は、膵δ細胞を示す少なくとも1つのマーカー(例えば、ソマトスタチン)を提示し、発現し、ソマトスタチンを分泌する細胞(例えば、非天然の膵δ細胞)を意味し得る。一部の実施形態では、「SC-δ細胞」は、グルカゴンを発現しない。一部の実施形態では、「SC-δ細胞」は、インスリンを発現しない。一部の実施形態では、本明細書で用いる用語「SC-δ細胞」および「非天然δ細胞」は、相互交換可能である。一部の実施形態では、「SC-δ細胞」は、成熟膵細胞を含む。
【0037】
用語「幹細胞由来腸クロム親和性(EC)細胞」、「SC-EC細胞」、およびそれらの文法的等価物は、膵EC細胞を示す少なくとも1つのマーカー(例えば、VMAT1(小胞モノアミントランスポーター1)、NKX6.1を発現するがISL1を発現しない)を示す細胞(例えば、非天然膵EC細胞)を指すことができる。一部の実施形態では、本明細書で用いる用語「SC-EC細胞」および「非天然EC細胞」は、相互交換可能である。
【0038】
SC-β細胞と同様に、SC-α、SC-δ細胞、およびSC-EC細胞は幹細胞から(例えば、直接)誘導される必要はなく、これは、開示の方法が、出発点としてSC-β細胞のin vitro分化の間に産生された他の前駆細胞からSC-α細胞を誘導することができるためであることが理解されるべきである(例えば、本発明は、このように限定されることを意図しないため、胚幹細胞、人工多能性幹細胞、前駆細胞、部分的に再プログラミングされた体細胞(例えば、人工多能性幹細胞とそれが誘導された体細胞との間の中間状態に部分的に再プログラミングされた体細胞)、万能性細胞、全能性細胞、前述の任意の細胞の分化転換したバージョンなどを使用することができる)。
【0039】
本明細書で用いる場合、用語「インスリン生成細胞」およびその文法的等価物は、膵前駆細胞またはその前駆体から分化し、インスリンを分泌する細胞を意味する。インスリン生成細胞は、その用語が本明細書に記載されているように、膵β細胞、ならびに構造的または誘導的な様式でインスリンを合成(例えばインスリン遺伝子を転写し、プロインスリンmRNAを翻訳し、およびプロインスリンmRNAを修飾してインスリンタンパク質に)し、発現(例えばインスリン遺伝子が運搬する表現型の形質を実現)し、または分泌(インスリンを細胞外スペースに放出)する膵β様細胞(例えばインスリン陽性内分泌細胞)を含み得る。例えばインスリン陽性内分泌細胞またはその前駆体を本開示の方法に従ってSC-β細胞に分化することによって生成されたインスリン生成細胞の集団は、膵β細胞またはβ様細胞、例えば内因性β細胞の少なくとも1つもしくは少なくとも2つの特徴を有し、内因性成熟β細胞に類似したグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)応答を呈する細胞であってよい。例えば本明細書に開示した方法によって生成されたインスリン生成細胞の集団は成熟した膵β細胞またはSC-β細胞を含んでよく、非インスリン生成細胞(例えばインスリンを生成せずまたは分泌しないこと以外は細胞様表現型を有する細胞)を含んでもよい。
【0040】
用語「インスリン陽性β様細胞」、「インスリン陽性の内分泌細胞」、およびそれらの文法的等価物は、膵β細胞を示す少なくとも1つのマーカーを呈し、インスリンも発現するが、内因性β細胞に特徴的なグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)応答を欠く細胞(例えば膵内分泌細胞)を意味し得る。「インスリン陽性の内分泌細胞」の例示的なマーカーとしては、それだけに限らないが、NKX6.1(NK6ホメオボックス1)、ISL1(Islet1)、およびインスリンが挙げられる。
【0041】
用語「β細胞マーカー」は、限定なく、膵β細胞中に発現しまたは存在するタンパク質、ペプチド、核酸、タンパク質および核酸の多型、スプライス変異体、タンパク質または核酸の断片、要素、およびその他の分析物質を意味する。例示的なβ細胞マーカーには、それだけに限らないが、膵および十二指腸のホメオボックス1(PDX1)ポリペプチド、インスリン、c-ペプチド、アミリン、E-カドヘリン、Hnf3β、PCI/3、B2、Nkx2.2、GLUT2、PC2、ZnT-8、ISL1、Pax6、Pax4、NeuroD、1 Inf1b、Hnf-6、Hnf-3ベータ、VMAT2、NKX6.1、およびMafA、ならびにZhangら、Diabetes. 50(10):2231-6 (2001)によって記載されたものが含まれる。一部の実施形態では、β細胞マーカーは核β-細胞マーカーである。一部の実施形態では、β細胞マーカーはPDX1またはPH3である。
【0042】
用語「膵内分泌マーカー」は、限定なく、膵内分泌細胞中に発現しまたは存在するタンパク質、ペプチド、核酸、タンパク質および核酸の多型、スプライス変異体、タンパク質または核酸の断片、要素、およびその他の分析物質を意味し得る。例示的な膵内分泌細胞マーカーには、それだけに限らないが、Ngn-3、NeuroD、およびIslet-1が含まれる。
【0043】
用語「膵前駆細胞」、「膵内分泌前駆細胞」、「膵前駆体」、「膵内分泌前駆体」、およびそれらの文法的等価物は本明細書で相互交換可能に用いられ、膵内分泌細胞、膵外分泌細胞、または膵導管細胞を形成することができる膵ホルモン発現細胞になることができる幹細胞を意味し得る。これらの細胞は少なくとも1つの型の膵細胞、例えばインスリンを生成するβ細胞、グルカゴンを生成するα細胞、ソマトスタチンを生成するδ細胞(またはD細胞)、および/または膵ポリペプチドを生成するF細胞に向けた分化に関与している。そのような細胞は以下のマーカー、NGN3、NKX2.2、NeuroD、ISL-1、Pax4、Pax6、またはARXのうち少なくとも1つを発現することができる。
【0044】
本明細書で用いる用語「PDX1陽性膵前駆細胞」は、膵β細胞等のSC-β細胞に分化する能力を有する膵内胚葉(PE)細胞である細胞を意味し得る。PDX1陽性膵前駆細胞はマーカーPDX1を発現する。その他のマーカーには、それだけに限らないが、Cdcp1、またはPtf1a、またはHNF6もしくはNRx2.2が含まれる。PDX1の発現は、抗PDX1抗体を用いる免疫化学または定量的RT-PCR等の当業者には公知の任意の方法によって評価することができる。一部の例では、PDX1陽性の膵前駆細胞はNKX6.1の発現を欠く。一部の例では、PDX1陽性膵前駆細胞は、それがNKX6.1の発現を欠くので、PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞と称することもできる。一部の例では、PDX1陽性膵前駆細胞は「膵前腸内胚葉細胞」と名付けることもできる。
【0045】
用語「PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞」および「NKX6.1陽性の膵前駆体」は、本明細書において相互交換可能に使用され、膵β細胞などのインスリン生成細胞に分化する能力を有する膵内胚葉(PE)細胞である細胞を指すことができる。PDX1陽性、NKX6-1陽性の膵前駆細胞はマーカーPDX1およびNKX6-1を発現する。他のマーカーとしては、限定されないが、Cdcp1、Ptf1a、HNF6またはNRx2.2が含まれ得る。NKX6-1の発現は、抗NKX6-1抗体を用いる免疫化学または定量的RT-PCR等の当業者には公知の任意の方法によって評価することができる。本明細書で用いる場合、用語「NKX6.1」および「NKX6-1」は等価で相互交換可能である。一部の例では、PDX1陽性、NKX6-1陽性の膵前駆細胞は「膵前腸前駆体細胞」と名付けることもできる。
【0046】
用語「NeuroD」および「NeuroD1」は相互交換可能に用いられ、膵内分泌前駆細胞において発現するタンパク質およびそれをコードする遺伝子を特定する。
用語「分化した細胞」またはその文法的等価物は、本明細書において定義されるように、本来の形では多能性でないあらゆる初代細胞を意味する。別の言い方では、用語「分化した細胞」は、細胞分化プロセスにおいて特殊性の低い細胞型(例えば人工多能性幹細胞等の幹細胞)の細胞から誘導された特殊性の高い細胞型の細胞を意味し得る。理論に限定されることは望まないが、正常な個体発生の過程における多能性幹細胞は、最初に膵細胞およびその他の内胚葉細胞型を形成することができる内胚葉細胞に分化することができる。内胚葉細胞がさらに分化すると膵臓経路に至り、そこでは細胞の約98%が外分泌細胞、管状細胞、またはマトリックス細胞となり、約2%が内分泌細胞となる。早期の内分泌細胞は膵島前駆細胞であり、次いでこれがさらに、インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、または膵ポリペプチドを分泌するインスリン生成細胞(例えば機能性内分泌細胞)に分化することができる。内胚葉細胞は内胚葉起源の他の細胞、例えば肺、肝臓、腸、胸腺等に分化することもできる。
【0047】
本明細書で用いる場合、用語「体細胞」は、生殖系列細胞とは反対に、生命体を形成する任意の細胞を意味し得る。哺乳動物では、生殖系列細胞(「配偶子」としても公知である)は、受精の間に融合して接合子と呼ばれる細胞を生成する精子および卵子であり、接合子から哺乳動物の胚の全体が発生する。体細胞がそれから作られる細胞である精子および卵子(生殖母細胞)および未分化幹細胞は別として、哺乳動物の体内の全ての他の細胞型は体細胞である。内部器官、皮膚、骨、血液、および結合組織は全て体細胞から作られている。一部の実施形態では、体細胞は「非胚性体細胞」であり、これは胚に存在せずまたは胚から得られず、そのような細胞のin vitro増殖に起因しない体細胞を意味する。一部の実施形態では、体細胞は「成体体細胞」であり、これは胚または胎児以外の生命体に存在しもしくはこれから得られ、またはそのような細胞のin vitro増殖に起因する細胞を意味する。他に指示しなければ、少なくとも1つのインスリン陽性内分泌細胞またはその前駆体をインスリン産生グルコース応答性細胞に変換するための方法は、in vivoおよびin vitroのいずれか、またはin vivoおよびin vitroの両方で実施することができる(in vivoは、少なくとも1つのインスリン陽性内分泌細胞またはその前駆体が対象内に存在する場合に実施され、in vitroは、培地中に維持された単離された少なくとも1つのインスリン陽性内分泌細胞またはその前駆体を用いて実施される)。
【0048】
本明細書で用いる場合、用語「成体細胞」は胚発生の後で体内の至るところに見出される細胞を意味し得る。
本明細書で用いる場合、用語「内胚葉細胞」は極めて早期の胚の中の3つの一次胚細胞層のうちの1つからのものである細胞を意味し得る(他の2つの胚細胞層は中胚葉および外胚葉である)。内胚葉は3つの層のうち最も内側にある。内胚葉細胞が分化して、最初に胎児の腸が生じ、次に呼吸器および消化管(腸など)、肝臓および膵臓の内層を生じる。
【0049】
本明細書で用いる用語「内胚葉起源の細胞」は、内胚葉細胞から発生しまたは分化した任意の細胞を意味し得る。例えば、内胚葉起源の細胞には肝臓、肺、膵、胸腺、腸、胃、および甲状腺の細胞が含まれる。理論に縛られることを望まないが、肝臓と膵臓の前駆細胞(膵前駆細胞と称することもできる)は、胚前腸の内胚葉細胞から発生する。これらが特定されてからすぐに、肝臓および膵の前駆細胞は全く異なった細胞機能および再生能力を急速に獲得する。これらの変化は、脊椎動物の間で高度に保存された誘起シグナルおよび遺伝子制御因子によって引き起こされる。臓器の発生および再生に対する興味は、肝不全およびI型糖尿病の治療処置における肝細胞および膵β細胞への強いニーズによって加速されてきた。多様なモデルの生命体およびヒトにおける研究によって、肝細胞および膵細胞の分化を引き起こし、多様な幹細胞および前駆細胞の型からの肝細胞およびβ細胞の分化をどのように促進するかについての指針を提供する進化的に保存された誘起シグナルおよび転写因子のネットワークが明らかになってきた。
【0050】
本明細書で用いる用語「胚体内胚葉」は、内胚葉細胞から分化し、SC-β細胞(例えば膵β細胞)に分化することができる細胞を意味し得る。胚体内胚葉細胞はマーカーSox17を発現する。胚体内胚葉細胞に特徴的なその他のマーカーには、それだけに限らないが、MIXL2、GATA4、HNF3B、GSC、FGF17、VWF、CALCR、FOXQ1、CXCR4、Cerberus、OTX2、グーセコイド、C-Kit、CD99、CMKOR1、およびCRIP1が含まれ得る。特に、本明細書の胚体内胚葉細胞はSox17ならびに一部の実施形態ではSox17およびHNF3Bを発現し、顕著なレベルのGATA4、SPARC、APF、またはDABは発現しない。胚体内胚葉細胞はマーカーPDX1については陽性ではない(例えばそれらはPDX1陰性である)。胚体内胚葉細胞は肝臓、肺、膵、胸腺、腸、胃、および甲状腺の細胞を含む細胞に分化する能力を有している。Sox17およびその他の胚体内胚葉のマーカーの発現は、例えば抗Sox17抗体を用いる免疫化学または定量的RT-PCR等の当業者には公知の任意の方法によって評価することができる。
【0051】
用語「膵内胚葉」は、膵β細胞を含む多重の膵臓系統に分化することができるが、非膵臓系統に分化する能力をもはや有しない内胚葉起源の細胞を意味し得る。
用語「膵島細胞」は、異なるタイプの膵内分泌細胞(β細胞、α細胞、δ細胞、ε細胞)およびエンテロクロマフィン(EC)細胞を含む細胞集団を意味し、例えば、参照により本明細書に組み込まれるXavierら、(J Clin Med. 2018 Mar; 7(3): 54)に記載される。
【0052】
本明細書で使用される用語「原腸管細胞」、または「腸管細胞」とは、内胚葉細胞から分化し、SC-β細胞(例えば、膵β細胞)に分化することができる細胞を指すことができる。原腸管細胞は以下のマーカー、HNP1-β、HNF3-β、またはHNF4-αのうち少なくとも1つを発現する。一部の例では、原腸管細胞は、FOXA2陽性およびSOX2陽性であり、すなわち、FOXA2(HNF3-βとしても公知である)とSOX2の両方を発現する。一部の例では、原腸管細胞は、FOXA2陽性およびPDX1陰性であり、すなわち、FOXA2を発現するがPDX1は発現しない。原腸管細胞は肺、肝臓、膵、胃、および腸の細胞を含む細胞に分化する能力を有している。HNF1-βおよびその他の原腸管のマーカーの発現は、例えば抗HNF1-β抗体を用いる免疫化学等の当業者には公知の任意の方法によって評価することができる。
【0053】
本明細書で用いる用語「幹細胞」は、増殖することができ、次に分化したまたは分化可能な娘細胞を生じさせることができる多数の母細胞を産生する能力を有するより多くの前駆細胞を生じる未分化の細胞を指し得る。娘細胞それ自体は、増殖し、続いて1つまたは複数の成熟細胞型に分化する子孫を生成するように誘導される一方、親の発生可能性を有する1つまたは複数の細胞を保持することができる。用語「幹細胞」は、特定の状況下でより特殊化されまたは分化した表現型に分化する能力または可能性を有し、ある特定の状況下では実質的に分化せずに増殖する能力を保持している前駆細胞のサブセットを意味し得る。一実施形態では、幹細胞という用語は一般に、その子孫(descendants)(子孫(progeny))が、胚性細胞および組織の漸進的多様化で起こるように、分化によって、例えば完全に個別の特徴を獲得することによって、しばしば異なる方向に特殊化する、天然に存在する母細胞を指す。細胞分化は典型的には多くの細胞分裂を通して起こる複雑なプロセスである。分化した細胞は万能性細胞由来であってよく、万能性細胞はそれ自体、万能性細胞由来等である。これらの万能性細胞のそれぞれは幹細胞であると考え得るが、それぞれが生じることができる細胞型の範囲はかなり変動し得る。いくつかの分化した細胞はより大きな発生の可能性を有する細胞を生じる能力をも有する。そのような能力は天然であってもよく、種々の因子を用いる処理によって人工的に誘導してもよい。多くの生物学的な例では、幹細胞は2つ以上の異なった細胞型を有する子孫を生成し得るため、「万能性」でもあるが、これは「幹細胞性」に必要ではない。「自己複製」は幹細胞の定義の他の古典的な部分であり、これは本書で用いるように重要である。理論的には、自己複製は2つの主な機構のいずれかによって起こり得る。幹細胞は非対称的に分裂してもよく、1つの娘は幹細胞状態を保持し、他の娘はいくつかの異なった他の特定の機能および表現型を発現する。あるいは、集団中の幹細胞のいくつかは2つの幹細胞に対称的に分裂することができ、それにより集団中のいくつかの幹細胞は全体として維持される一方、集団中の他の細胞は分化した子孫のみを生じる。形式的には、幹細胞として始まった細胞が分化した表現型に向かって進行するが、後に「逆行」し、幹細胞の表現型を逆発現することも可能であり、これは当技術分野の当業者によって「脱分化」または「再プログラミング」または「逆分化」としばしば称される用語である。本明細書で用いる場合、用語「多能性幹細胞」には、胚幹細胞、人工多能性幹細胞、胎盤幹細胞等が含まれる。
【0054】
本明細書で用いる用語「多能性」は、種々の条件下で2つ以上の分化した細胞型に分化し、好ましくは3つ全ての胚細胞層に特徴的な細胞型に分化する能力を有する細胞を指し得る。多能性細胞は、一次的には例えばヌードマウスの奇形腫形成アッセイを用いて2つ以上の細胞型、好ましくは3つ全ての胚葉層に分化する能力によって特徴付けられる。多能性は胚幹(ES)細胞マーカーの発現によっても証明されるが、多能性のための好ましい試験は3つの胚葉層のそれぞれの細胞へ分化する能力を実証することである。そのような細胞を単に培養することそれ自体だけでは、これらの細胞が多能性になるわけではないことに留意されたい。再プログラミングされた多能性細胞(例えば本明細書でその用語を定義するようなiPS細胞)は、一般には培養中に限られた回数の分裂のみの能力を有する初代親細胞と比較して、成長の可能性を失わずに延長された継代の能力を有することも特徴としている。
【0055】
本明細書で用いる場合、用語「iPS細胞」および「人工多能性幹細胞」は相互交換可能に用いられ、例えば1つまたは複数の遺伝子の強制的な発現を誘導することによって、非多能性細胞から、典型的には成体体細胞から人工的に誘導された(例えば誘導された、または完全な逆転による)多能性幹細胞を指し得る。
【0056】
用語「表現型」は、実際の遺伝子型に関わらず、環境条件および因子の特定の組のもとに細胞または生命体を定義する1つまたはいくつかの生物的特徴の全てを意味し得る。
用語「患者」、「対象」、および「個体」は、相互交換可能に用いられ、ヒトまたはヒト以外の動物のいずれかを意味し得る。本明細書で相互交換可能に用いられる「非ヒト動物」および「非ヒト哺乳動物」には、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ネコ、イヌ、ウシ、ブタ、および非ヒト霊長類等の哺乳動物が含まれる。用語「対象」には、それだけに限らないが哺乳類、爬虫類、両生類、および魚類を含む任意の脊椎動物も包含される。しかし有利には、対象はヒト等の哺乳動物、または例えばイヌ、ネコ、ウマ、その他の家畜、もしくはウシ、ヒツジ、ブタ、その他の生産用哺乳動物等のその他の哺乳動物である。「それを必要とする患者」または「それを必要とする対象」は、本明細書では糖尿病に限らず、例えば疾患または障害を有すると診断されたか、その疑いがある患者を意味する。
【0057】
本明細書で用いる「投与する」は、本明細書に記載される1つまたは複数の組成物を患者または対象に提供することを意味し得る。例として限定せずに、組成物の投与、例えば注射は、静脈内(i.v.)注射、皮下(s.c.)注射、皮内(i.d.)注射、腹腔内(i.p.)注射、または筋肉内(i.m.)注射によって実施することができる。1つまたは複数のそのような経路を採用することができる。非経口投与は、例えばボーラス注射または時間をかけた段階的潅流によるものでよい。あるいは、または同時に、投与は経口経路によるものでよい。さらに、投与は細胞のボーラスまたはペレットを手術で堆積してもよく、医用デバイスを位置決めしてもよい。一実施形態では、本開示の組成物は、増殖性障害を治療しまたは予防するために有効な量の本明細書に記載した核酸配列または本明細書に記載した少なくとも1つの核酸配列を含むベクターを発現する操作された細胞または宿主細胞を含み得る。薬学的組成物は、1つまたは複数の薬学的にまたは生理学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と組み合わせて、本明細書に記載した細胞集団を含んでよい。そのような組成物は、中性緩衝食塩液、リン酸緩衝食塩液等の緩衝液、グルコース、マンノース、スクロース、もしくはデキストラン、マンニトール等の炭水化物、タンパク質、ポリペプチド、またはグリシン等のアミノ酸、酸化防止剤、EDTAもしくはグルタチオン等のキレート化剤、アジュバント(例えば水酸化アルミニウム)、および保存剤を含んでもよい。
【0058】
全体に開示したいくつかの数値は、例えば「Xは少なくともまたは少なくとも約100、または200[または任意の数]である」と称される。この数値にはその数それ自体および以下
i)Xは少なくとも100である、
ii)Xは少なくとも200である、
iii)Xは少なくとも約100である、および
iv)Xは少なくとも約200である
の全てが含まれる。
【0059】
全体に開示した数値によって、これら全ての異なった組合せが意図されている。他にその反対が具体的に指示されなければ、それが治療薬の投与についてであっても、日、月、年、重量、用量、その他についてであっても、開示した全ての数値はこのように解釈すべきである。
【0060】
全体に開示した範囲は、例えば「Xは1~2日目もしくは約1~2日目に、または2~3日目もしくは約2~3日目に[または任意の数値範囲に]投与される」と称されることがある。この範囲にはその数それ自体(例えば範囲の終点)および以下
i)Xは1日目と2日目の間に投与される、
ii)Xは2日目と3日目の間に投与される、
iii)Xは約1日目と2日目の間に投与される、
iv)Xは約2日目と3日目の間に投与される、
v)Xは1日目と約2日目の間に投与される、
vi)Xは2日目と約3日目の間に投与される、
vii)Xは約1日目と約2日目の間に投与される、および
viii)Xは約2日目と約3日目の間に投与される
の全てが含まれる。
【0061】
全体に開示した範囲によって、これら全ての異なった組合せが意図されている。他にその反対が具体的に指示されなければ、それが治療薬の投与についてであっても、日、月、年、重量、用量、その他についてであっても、開示した全ての範囲はこのように解釈すべきである。
【0062】
本開示は、本明細書に開示されるDNA配列のいずれかの相補体(例えば、逆相補体)および/またはRNA等価体を企図する。例えば、本明細書に開示されるDNA配列のいずれかは、RNA等価物を生成するために、配列中の各「T」を「U」で置き換えて、代替的に提示され得る。
【0063】
低免疫細胞
本開示は、一部の態様では、低免疫性である細胞を提供する。一部の実施形態では、本開示は、低免疫性である単離された細胞(例えば、体細胞)を提供する。一部の実施形態では、本開示は、低免疫性である細胞(例えば、体細胞)に分化させることができる幹細胞を提供する。このような分化した細胞(例えば、体細胞)は、一部の実施形態では、疾患(例えば、糖尿病またはがん)を処置するために対象に投与するために使用することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞(例えば、単離された細胞、または単離された幹細胞から分化した細胞)は、同じ型の野生型細胞と比較して、対象に投与された場合に免疫原性が低い(例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%免疫原性が低い)。一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞(例えば、単離された細胞、または単離された幹細胞から分化した細胞)は、同じ型の野生型細胞と比較して、対象に投与された場合にCD8+ T細胞活性化の減少レベル(例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%の減少)を示す。一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞(例えば、単離された細胞、または単離された幹細胞から分化した細胞)は、同じ型の野生型細胞と比較して、対象に投与された場合に、CD8+ T細胞媒介性殺傷に対して、増加した耐性(例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍またはそれ以上の増加)を示す。
【0064】
一部の実施形態では、本開示の細胞(例えば、単離された細胞、または単離された幹細胞から分化した細胞)は、免疫抑制因子をコードする対立遺伝子の3’-非翻訳領域(3’-UTR)における破壊を含む。一部の実施形態では、3’-UTRにおける破壊は、欠失(例えば、3’-UTRのフラグメントもしくは3’-UTR全体の欠失)、挿入、転座、逆位(例えば、3’-UTR全体もしくは3’-UTR内の配列の逆位)、または置換(例えば、3’-UTR内の1つもしくは複数のヌクレオチドの置換)、またはその組合せを含む。したがって、一部の実施形態では、3’-UTRの破壊は挿入を含む。一部の実施形態では、3’-UTRの破壊は挿入を含む。一部の実施形態では、3’-UTRの破壊は転座を含む。一部の実施形態では、3’-UTRの破壊は、逆位を含む。一部の実施形態では、3’-UTRの破壊は置換を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される任意の遺伝子改変は、ホモ接合体改変である。一部の実施形態では、本明細書に記載される遺伝子改変は、ヘテロ接合体改変である。
【0065】
一部の実施形態では、3’-UTRは、本明細書に開示される3’-UTR配列のいずれかと少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む。例えば、一部の実施形態では、3’-UTRは、配列番号3、74、または76~89のいずれかと少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0066】
一部の実施形態では、本開示は、免疫抑制因子の3’-UTR内の配列が破壊された細胞を企図する。一部の実施形態では、破壊は、免疫抑制因子の3’-UTRからの1、2、3、4、5、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、1~3、5~25、5~20、5~15、5~10、10~25、10~20、10~15、15~25、15~20、20~25、25~100、100~200、200~300、300~400、400~500、500~1000、または1000~5000ヌクレオチドの欠失を含む。一部の実施形態では、破壊は、免疫抑制因子の3’-UTRへの1、2、3、4、5、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、1~3、5~25、5~20、5~15、5~10、10~25、10~20、10~15、15~25、15~20、または20~25ヌクレオチドの挿入を含む。一部の実施形態では、破壊は、免疫抑制因子の3’-UTRにおける1、2、3、4、5、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、1~3、5~25、5~20、5~15、5~10、10~25、10~20、10~15、15~25、15~20、または20~25ヌクレオチドの置換を含む。特定の実施形態では、3’-UTRの破壊は、miRNAの3’-UTRへの結合の減少または消失をもたらす。特定の実施形態では、3’-UTRの破壊は、miRNAの3’-UTRへの結合の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%の減少をもたらす。特定の実施形態では、3’-UTRの破壊は、3’-UTRが破壊されていない細胞と比較して、免疫抑制因子の発現の少なくとも10%、30%、50%、75%、100%、150%、200%、または250%の増加をもたらす。一部の実施形態では、破壊された配列は、配列ATTTA、ATTTTA、またはATTTTTAを含む。一部の実施形態では、破壊された配列は、免疫抑制因子の3’-UTR中の配列ATTTA、ATTTTA、またはATTTTTAから1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、1~3、5~25、5~20、5~15、5~10、10~25、10~20、10~15、15~25、15~20、または20~25ヌクレオチド以内である。
【0067】
一部の実施形態では、本開示は、細胞内の内因性RNA結合タンパク質および/またはマイクロRNAが、免疫抑制遺伝子によってコードされるRNAの3’-UTRに結合できないか、または結合が著しく減少するように、細胞内の免疫抑制遺伝子の3’-UTRが破壊された細胞を企図する。一部の実施形態では、RNA結合タンパク質および/またはマイクロRNAは、マイクロRNAに対する3’-UTRの結合部位における1つまたは複数のヌクレオチドが欠失したために、3’-UTRに結合することができない。一部の実施形態では、RNA結合タンパク質および/またはマイクロRNAは、マイクロRNAに対する3’-UTRの結合部位における1つまたは複数のヌクレオチドが挿入されているため(例えば、数個のヌクレオチドが挿入されている場合、または導入遺伝子全体が免疫抑制遺伝子のマイクロRNAに対する結合部位に挿入されている場合)、3’-UTRに結合することができない。一部の実施形態では、RNA結合タンパク質および/またはマイクロRNAは、マイクロRNAがもはや3’-UTRに結合することができないように(例えば、相補性/塩基対合を破壊するように)、マイクロRNAに対する3’-UTRの結合部位における1つまたは複数のヌクレオチドが置換されているため、3’-UTRに結合することができない。一部の実施形態では、免疫抑制遺伝子はPDL1であり、マイクロRNAは、miR-34a、miR-140、miR-200a、miR-200b/c、miR-142、miR-340、miR-383、miR-424(322)、miR-338-5p、miR-324-5p、miR-152、miR-200b、miR-138-5p、miR-195、miR-16、miR-15、miR-193a-3p、miR-497-5p、miR-33a、miR17-5p、miR-155および/またはmiR-513のいずれか1つまたは複数である。例えば、Xieら,2017年 PLOS One,DOI:10.1371/journal.pone.0168822;Zhaoら, 2016年,Oncotarget,7(29):45370~84頁;Heら, 2018年 Biomedicine and Pharmacology, 98:95~101頁;Taoら, 2018年, Cell Physiol Biochem., 48:801~814頁;Kaoら, 2017年, J. Thoracic Oncology, 12(9):1421~1433頁;Audritoら, 2017年, Oncotarget, 8(9):15894~15911頁;Hollaら, 2016, Scientific Reports, 6(24193);Danbaranら, 2020, International Immunopharmacology, 84:106594;Gongら, 2009年, J Immunol., 182(3):1325~1333頁;Chenら, 2014年, Nat. Commun., 5:5241頁;Wangら, 2015年, Cellular Signaling, 27(3):443~452頁;Xuら, 2016年、Nat. Comm., 7:11406頁、およびDongら、2018年, Oncogene, 37:5257~5268頁を参照されたい。一部の実施形態では、免疫抑制遺伝子は、HLA-Gであり、マイクロRNAは、miR-133A、miR-148A、miR-148B、miR-152、miR-548qおよび/またはmiR-628-5pのいずれか1つまたは複数である。例えば、Schwichら, 2019年、Scientific Reports、9:5407頁を参照されたい。一部の実施形態では、本開示は、免疫抑制遺伝子の3’-UTRに結合してその発現を低下させるマイクロRNAをコードする遺伝子の破壊(例えば、全部または一部の欠失)を含む細胞を企図する。一部の実施形態では、本開示は、miR-34a、miR-140、miR-200a、miR-200b/c、miR-142、miR-340、miR-383、miR-424(322)、miR-338-5p、miR-324-5p、miR-152、miR-200b、miR-138-5p、miR-195、miR-16、miR-15、miR-193a-3p、miR-497-5p、miR-33a、miR17-5p、miR-155、miR-513、miR-133A、miR-148A、miR-148B、miR-152、miR-548qおよび/またはmiR-628-5pのいずれかの1つまたは複数をコードする遺伝子の破壊(例えば、欠失)を含む細胞を企図する。
【0068】
一部の実施形態では、免疫抑制因子をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、単離された細胞、幹細胞、および/または単離された幹細胞から分化した細胞における免疫抑制因子の発現の増加(例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍またはそれ以上の増加)をもたらす。一部の実施形態では、免疫抑制因子の発現の増加は、インターフェロンガンマなどのサイトカインによって誘導または増加される。一部の実施形態では、免疫抑制因子の発現の増加は、インターフェロンガンマによって誘導または増加される。一部の実施形態では、細胞における免疫抑制因子の挿入された導入遺伝子の構成的発現を有するよりも、本明細書で企図されるようなインターフェロンガンマのようなサイトカインに応答性の免疫抑制因子を有することが有利であり得る。一部の実施形態では、本明細書に開示される細胞のいずれかは、対象への移植時にサイトカイン(例えば、インターフェロンガンマ)に曝露される。特定の実施形態では、本明細書に開示される細胞のいずれかを、対象への移植前にサイトカイン(例えば、インターフェロンガンマ)に曝露することは必要ではない。
【0069】
本明細書で使用する「免疫抑制因子」は、免疫応答を減弱させる遺伝子または分子を指す。一部の実施形態では、免疫抑制因子は、免疫系の適応アームを阻害する。一部の実施形態では、免疫抑制因子は、免疫系の自然アームを阻害する。一部の実施形態では、免疫抑制因子は、発生中の正常な免疫応答を減弱させる。一部の実施形態では、免疫抑制因子は、疾患状態の間の正常な免疫応答を減弱させる。一部の実施形態では、免疫抑制因子は、組織移植または細胞移植中の免疫応答を減弱させるために使用される。本開示に従って使用され得る免疫抑制因子の非限定的な例としては、PDL1、PDL2、CD47、HLA-G、CTLA-4、HLA-C、HLA-E、C1阻害剤、IL-10、IL-35、HLA-C、HLA-E、HLA-G、C1阻害剤、IL-35、DUX4、IDO1、IL10、CCL21、CCL22、CD16、CD52、H2-M3、CD200、FASLG、MFGE8、および/またはSERPINB9が挙げられる。一部の実施形態では、本明細書に記載される低免疫細胞は、1つまたは複数の免疫抑制因子の3’UTRを破壊することによって産生される。
【0070】
一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞(例えば、単離された幹細胞)は、プログラム死リガンド1(PDL1)をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊を含む。一部の実施形態では、破壊はホモ接合体改変である。一部の実施形態では、破壊はヘテロ接合体改変である。「プログラム死リガンド1(PDL1)」は、T細胞およびB細胞などの造血細胞および非造血細胞、ならびに様々な種類の腫瘍細胞によって発現される免疫阻害性受容体リガンドである。PDL1タンパク質は、免疫グロブリンV様ドメインおよびC様ドメインを有するI型膜貫通タンパク質である。このリガンドとその受容体との相互作用により、T細胞の活性化およびサイトカイン産生が阻害される。正常組織への炎症の感染の際、この相互作用は免疫応答のホメオスタシスを維持することで自己免疫を防ぐために重要である。
【0071】
ホモサピエンスPDL1遺伝子配列の例は、NCBI遺伝子ID:29126(配列番号28;NCBI受託番号NC_000009.12で提供されているホモサピエンス第9染色体配列の5450542~5470554位に対応する)で提供されている。さらに、PDL1タンパク質の異なるアイソフォームをコードするヒトPDL1転写物バリアントの例は、NCBI受託番号NM_014143.4(配列番号1)、NM_001267706.2(配列番号2)、またはNM_001314029.2(配列番号3)で提供されている。
【0072】
ヒトPDL1遺伝子 - NCBI遺伝子ID:29126(配列番号28);3’-UTR下線(配列番号87)
AGTTCTGCGCAGCTTCCCGAGGCTCCGCACCAGCCGCGCTTCTGTCCGCCTGCAGGTAGGGAGCGTTGTTCCTCCGCGGGTGCCCACGGCCCAGTATCTCTGGCTAGCTCGCTGGGCACTTTAGGACGGAGGGTCTCTACACCCTTTCTTTGGGATGGAGAGAGGAGAAGGGAAAGGGAACGCGATGGTCTAGGGGGCAGTAGAGCCAATTACCTGTTGGGGTTAATAAGAACAGGCAATGCATCTGGCCTTCCTCCAGGCGCGATTCAGTTTTGCTCTAAAAATAATTTATACCTCTAAAAATAAATAAGATAGGTAGTATAGGATAGGTAGTCATTCTTATGCGACTGTGTGTTCAGAATATAGCTCTGATGCTAGGCTGGAGGTCTGGACACGGGTCCAAGTCCACCGCCAGCTGCTTGCTAGTAACATGACTTGTGTAAGTTATCCCAGCTGCAGCATCTAAGTAAGTCTCTTCCTGCGCTAAGCAGGTCCAGGATCCCTGAACGGAATTTATTTGCTCTGTCCATTCTGAGAACCCAAAGGAGTCCTAAAAGAGGAATGGAGGAGCCTAAGAATAAAAATAGTATAATAAAACATTTCTTAGACACATTGACCTTGGCCTATGTCAAAGTTCAGTCTGGGTTTGTCTTATAACACAAGGAGTAAAAGTACCATTGTTCTACCTCTTTTTTTAATACTTGAAAAAAATTTACTGTGGATGCTTTTCTATGAATTAAATAACCTTCTAAAAAATGTTTTCATTGCTGCATTCGATTAGATTGGGTAACTAAATGAAATTAATTCCTCACTGTTGGGTATAAAGGTTATTTACAGTGGTTCTGTCTTAGCCATTCACTGAACTCATTGCATATATATCTCTGGAATATTGCTGATTGTTTCCTTCAAGTAAACTTAGAAGTGTAACTACTTAGTCAAAGAGCCTGAATATTTTAAAGGCCTTTTGAAGAAAACTGAAAATGCTTTCCAGAAAGGATGTATCAGTTGACAATGACAGTCGTCAACAGTATTTAAGGAGAACTATGATACTCTGAAGAAAAACTTAGCCTTTCTCAGTAAAAGTAGGTAGGCAGAGGCCACATGACAGCAGTTAGAGTGTGGTCTTCAAGGAAGTCACAGAAATACTGTGGGGAATTGAAACCCCATGTGGAAAATGTACAAGAGTGTCTCAGTGTGACTGAGAAGGAGGTTGGGCATGGGGTTTCATGGAGTTTAATAAAGTTTGGTCACTTAGTAGAGGTTTAATAAATCAACTGTCTTAATCTTTGATCCTACTTAAGAATTTTTTTTTTGTTTTTGTAGAGATGGGGCTCTTGTTATGTTGCCCAGGCTGTTCTCGAACTCCTAGCCTCAGGCGATCCTCCCTCCTCAGGCTCCAGAAGTCCTGGGATTACTGGCGGGAGCCACCATGCAGGCCTCTTGCTCCTACTTTTGAGAAAGGAAGTTTAACCGGTTTTTTTTGTCTTTTTTTTTTTTTTTTTGAGACAGAGTCTCACTCTGTTGCCCATGCTGGAGTGCAGTGGTGCAATCTCAGCTCACTGCCTCCCGGGTTCAAGTGATTCTCCTGCCTCAGCCTCCCGAGTAGCTGGGACTACAGGCACCTGCCACCACGCCCAGCTAATTTTTGTATTTTTAGTAGAAATGGGGTTTCACCATATTGGCCAGGCTGATCTCGAACTCCTGACCTCAGGTGATCCGCCTGCCTCGGCCTCCCAAAGTGCTGGGATTACAGGCATGAGCCACTGCTCCTGGCTGCTTAACTTTTTCTCTATCTCATCCTCCTACCCATCCTACCCTTGGAAGATAGAGAAGTAGTATTAGTTCCATAGTGTTATACTGGGCTTCCCCCAGGGACAAACCCACTTCCCCAACCTGAATGAGCCATCACTTCTTCCCCAGTTTACATTTCATTGCTCTTTAAATGTCTCCATTCGGATATGGGAATTCACATATGGTCATAATTCTTACCTGAAGAAGATGTCAGTCTTCTTCTCTTAGACCAACTGCCCTGATATGAGGTTTAGAGGTTAAAGAACATGTGTGTATTTACATGATCTTTGTATTCTGCCTTTTCGTCCCTCACTAATGACAGCTGCACCCCAAGGAAATGGAGCTGTGGAAGAGAGGGTTTGATAAGAAATTAAGTAAATATTGGATCTAATCCATCACCCTCCAGGAAGCCTTTATTACTCCTAAAAATTTCAACCAAATTCATTAAAGGACAAGAACTCCACCAGAGTAGGCCATAAACATTGGCAAAATTAGTTGTAATCCATGACTAGATTTAATGTCCCTTTGTTTTATTCCCATATGGTTATAATGCTTTGCTTGGCATTAGGGGTATTTTAAGTTTTCTTCTGCCTAGTAAGTGAATTTGTGTTTATAATACAATAATCATAAAATATCACATTAATATTTTATAACTGTACAGTTATAAAATATTTTATAAGTAATATTTATATTTTATAAGTAATATTTTATAACTGTACAGTTAACTCTGGCCCAAGGAAAAGATAGTCTGATAGATGCTGCAGCCCCATTTTAGCAAATGTGACCTCACAGGCCTGAATGCCATCGCTATTCCACATCTACAGGATAGACGGAAAGGAAAGAAATAAAAAAATAGGTACCTAACACTGGCAAGAGGATGATGACTCATGTTATTTCACTTAACCTTTTTATCTTTTAACATGAAGGACTCATACAGGTTGATAAGAAACCAGTGACATAAACAGACCAAAAAATGATCAGATCTTTCAAATTAGCAAAAAAATAATATTTTTTAAACAATGGGTGAAAATACAGTGTAACAGTACCAATTATCAACATGTGTTGAGAACCAGAAAAATGTTCTTTTTCTTTGATCAGCAACACTATTTGGGAAAATCTATCCTCAGGGCCTAGCCTGGGGCCCTGGCACACAGTAGGCACTCAACGAATATTTGCTGAACACACAAATACTTATGATATTTTAAAAAATTGGCAACAATCTGATACCTAACAATAGAGGGATTAAATATTATGGAACTGTTAAATAAGATGCTTATGAATACCATGCAGTAAGATGGGCAATATTTATGCCATAAGCTTTAATGAAACAAATGGGTATTAAATGTATGATAAGGTTATAAATTACTTTTTAAAAGATTACAGGGAAAAAAATTGAAAGATATACACTGAAATGTTTTTTGCTCACAGTGGTGACAAGGTTTCTCAGCACTGGCACTGTTGACGTTTTAGGCTGTATGTCTTTGCTGTGGGAGGCTGGCCTGTGCACTGCAGGGTGTTTGGCAGCACTCTTGGCCTCTGCCCCTAGATAGCAATAGCAGTCCTCCCTCAACCAGCCCAATTTTGACAACCAAAAATGTTTCCAGGCATCACCAGATGCTCCCTGGGTGAGAGTGATGAAATAGTAGGGGATTTTCCCCTTCTTTTCTTATTTTCTGTAATTCCATTATATTACTTTAATAATAAAGAAAAAAACATAAAAAATAAACGAATGTTATTATTCTACGTCAGTTTGGATGTTTGGACTCCATTTTGGGGTTCTTTCCATTATATCACTTGGTCTGCTAAACATTCTACGGTTTGGTAAGGTGAAGTGATTCATGAAATTTTGGTTTTATTTTTTTCCTGATACTAAAAATAAAACATTCTTTCACTTGGAAATTTGGACACAGAACACCAAAAAAAATCCATAATCTCATCTCTCTTTTTCTGTCTTTTCCTTCCTTTTTTCCCTTTAAAAACAATAAAGAGTGAAACCTACCTGTTCTCCCTCTAATTTAATTCCTAAATATAATCACTGTCAATATCTTGGACATTTCCTGTGTCTAAACACACACACACACTTTTTTTTTTCAGCAAAAGTGGATTTCTGCTACATGTAGTGTTCTGCAACTTACTTTCTATGTGTTTACAAAATCAGTACATGTACATATGCTGAATTCAGTCCTTAATGGTATTATATTTTGTGAATATACCAAAATTTGTTTAACCACTTAGACAATCTAGGATATTCTCAGTTTGCTGTTATGAGCAATGCTCTTCCTTTACATATACAGACATATATATATATATGTGTGTGTGTGTGTTTTTGTTTTAGTAGGATAGATTTCTAGGAGAGGGTGAAAGGTCTTATGACATCCGCATTTACGATTGTAATAGGAAGTATCAAAGTGCCCCCTAAAGAAAAAAATCCTCCCATTAGTGGGTAAGAAAGCCTATTTGTTCATATCTTCACAAACACTAAATATTAGAAATATTTACAATTGTGGTCAAGCTCATAAGTGAAAATGGTATTTCATATCTTATATTTTTTATTGTGAGATTGAACATCTTTCATATGTTTACATGTCACCTGTATTTCTTATTCTCTGAACTATATGTTATGACCTTTCACTTTTTTTCCTCATGGGTTATGTGTAGTTTGTATAGTTGTCTTATTGATTGTTAGGAGCTATTTATATATTAGGAACATTAATCTCCTGTCTTATATATACGTGGCATCGATTAGTTGATCATTTGTGAGTTCATGTCTGTATACAAAGATTGGAGAGGCACTAAGAGGGAAAACTTACCTCTTTCTTATCAAAGTTTGTAAATATATGTATAACAGAAGAGGGAGAAAATATTAATAAATGCACAGATTGGCTGAAATAGAGTATAAATCTTTTACTCCCCTACTTCAACATAAACTGCAAAAGGAGAGTGACTTTTCTTTCACTCTGACTTCCGTATTCCTCATGCTTAAAATAGTGCCTAGCACAGAAGAGGTGCTCAATCAGTGTTTGCTAAACGAAATAATTAGTCACATTTCAAGCAGGATGACTAAATGAAGAATAGAATCTAGGCAGATACTCTGGAAGAGTGGCTGTGAGTCATTCATATCTTAGTATGAATTAGTCAAATCCAACTCTCTCCCCTTCCCACTCCCCACTGTTAGTAGAAGAATCTGTTTATTGAGAGAATAGATTTAT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【0073】
ヒトPDL1転写物バリアント1 - NM_014143.4(配列番号1);3’-UTR下線(配列番号78)
AGTTCTGCGCAGCTTCCCGAGGCTCCGCACCAGCCGCGCTTCTGTCCGCCTGCAGGGCATTCCAGAAAGATGAGGATATTTGCTGTCTTTATATTCATGACCTACTGGCATTTGCTGAACGCATTTACTGTCACGGTTCCCAAGGACCTATATGTGGTAGAGTATGGTAGCAATATGACAATTGAATGCAAATTCCCAGTAGAAAAACAATTAGACCTGGCTGCACTAATTGTCTATTGGGAAATGGAGGATAAGAACATTATTCAATTTGTGCATGGAGAGGAAGACCTGAAGGTTCAGCATAGTAGCTACAGACAGAGGGCCCGGCTGTTGAAGGACCAGCTCTCCCTGGGAAATGCTGCACTTCAGATCACAGATGTGAAATTGCAGGATGCAGGGGTGTACCGCTGCATGATCAGCTATGGTGGTGCCGACTACAAGCGAATTACTGTGAAAGTCAATGCCCCATACAACAAAATCAACCAAAGAATTTTGGTTGTGGATCCAGTCACCTCTGAACATGAACTGACATGTCAGGCTGAGGGCTACCCCAAGGCCGAAGTCATCTGGACAAGCAGTGACCATCAAGTCCTGAGTGGTAAGACCACCACCACCAATTCCAAGAGAGAGGAGAAGCTTTTCAATGTGACCAGCACACTGAGAATCAACACAACAACTAATGAGATTTTCTACTGCACTTTTAGGAGATTAGATCCTGAGGAAAACCATACAGCTGAATTGGTCATCCCAGAACTACCTCTGGCACATCCTCCAAATGAAAGGACTCACTTGGTAATTCTGGGAGCCATCTTATTATGCCTTGGTGTAGCACTGACATTCATCTTCCGTTTAAGAAAAGGGAGAATGATGGATGTGAAAAAATGTGGCATCCAAGATACAAACTCAAAGAAGCAAAGTGATACACATTTGGAGGAGACGTAATCCAGCATTGGAACTTCTGATCTTCAAGCAGGGATTCTCAACCTGTGGTTTAGGGGTTCATCGGGGCTGAGCGTGACAAGAGGAAGGAATGGGCCCGTGGGATGCAGGCAATGTGGGACTTAAAAGGCCCAAGCACTGAAAATGGAACCTGGCGAAAGCAGAGGAGGAGAATGAAGAAAGATGGAGTCAAACAGGGAGCCTGGAGGGAGACCTTGATACTTTCAAATGCCTGAGGGGCTCATCGACGCCTGTGACAGGGAGAAAGGATACTTCTGAACAAGGAGCCTCCAAGCAAATCATCCATTGCTCATCCTAGGAAGACGGGTTGAGAATCCCTAATTTGAGGGTCAGTTCCTGCAGAAGTGCCCTTTGCCTCCACTCAATGCCTCAATTTGTTTTCTGCATGACTGAGAGTCTCAGTGTTGGAACGGGACAGTATTTATGTATGAGTTTTTCCTATTTATTTTGAGTCTGTGAGGTCTTCTTGTCATGTGAGTGTGGTTGTGAATGATTTCTTTTGAAGATATATTGTAGTAGATGTTACAATTTTGTCGCCAAACTAAACTTGCTGCTTAATGATTTGCTCACATCTAGTAAAACATGGAGTATTTGTAAGGTGCTTGGTCTCCTCTATAACTACAAGTATACATTGGAAGCATAAAGATCAAACCGTTGGTTGCATAGGATGTCACCTTTATTTAACCCATTAATACTCTGGTTGACCTAATCTTATTCTCAGACCTCAAGTGTCTGTGCAGTATCTGTTCCATTTAAATATCAGCTTTACAATTATGTGGTAGCCTACACACATAATCTCATTTCATCGCTGTAACCACCCTGTTGTGATAACCACTATTATTTTACCCATCGTACAGCTGAGGAAGCAAACAGATTAAGTAACTTGCCCAAACCAGTAAATAGCAGACCTCAGACTGCCACCCACTGTCCTTTTATAATACAATTTACAGCTATATTTTACTTTAAGCAATTCTTTTATTCAAAAACCATTTATTAAGTGCCCTTGCAATATCAATCGCTGTGCCAGGCATTGAATCTACAGATGTGAGCAAGACAAAGTACCTGTCCTCAAGGAGCTCATAGTATAATGAGGAGATTAACAAGAAAATGTATTATTACAATTTAGTCCAGTGTCATAGCATAAGGATGATGCGAGGGGAAAACCCGAGCAGTGTTGCCAAGAGGAGGAAATAGGCCAATGTGGTCTGGGACGGTTGGATATACTTAAACATCTTAATAATCAGAGTAATTTTCATTTACAAAGAGAGGTCGGTACTTAAAATAACCCTGAAAAATAACACTGGAATTCCTTTTCTAGCATTATATTTATTCCTGATTTGCCTTTGCCATATAATCTAATGCTTGTTTATATAGTGTCTGGTATTGTTTAACAGTTCTGTCTTTTCTATTTAAATGCCACTAAATTTTAAATTCATACCTTTCCATGATTCAAAATTCAAAAGATCCCATGGGAGATGGTTGGAAAATCTCCACTTCATCCTCCAAGCCATTCAAGTTTCCTTTCCAGAAGCAACTGCTACTGCCTTTCATTCATATGTTCTTCTAAAGATAGTCTACATTTGGAAATGTATGTTAAAAGCACGTATTTTTAAAATTTTTTTCCTAAATAGTAACACATTGTATGTCTGCTGTGTACTTTGCTATTTTTATTTATTTTAGTGTTTCTTATATAGCAGATGGAATGAATTTGAAGTTCCCAGGGCTGAGGATCCATGCCTTCTTTGTTTCTAAGTTATCTTTCCCATAGCTTTTCATTATCTTTCATATGATCCAGTATATGTTAAATATGTCCTACATATACATTTAGACAACCACCATTTGTTAAGTATTTGCTCTAGGACAGAGTTTGGATTTGTTTATGTTTGCTCAAAAGGAGACCCATGGGCTCTCCAGGGTGCACTGAGTCAATCTAGTCCTAAAAAGCAATCTTATTATTAACTCTGTATGACAGAATCATGTCTGGAACTTTTGTTTTCTGCTTTCTGTCAAGTATAAACTTCACTTTGATGCTGTACTTGCAAAATCACATTTTCTTTCTGGAAATTCCGGCAGTGTACCTTGACTGCTAGCTACCCTGTGCCAGAAAAGCCTCATTCGTTGTGCTTGAACCCTTGAATGCCACCAGCTGTCATCACTACACAGCCCTCCTAAGAGGCTTCCTGGAGGTTTCGAGATTCAGATGCCCTGGGAGATCCCAGAGTTTCCTTTCCCTCTTGGCCATATTCTGGTGTCAATGACAAGGAGTACCTTGGCTTTGCCACATGTCAAGGCTGAAGAAACAGTGTCTCCAACAGAGCTCCTTGTGTTATCTGTTTGTACATGTGCATTTGTACAGTAATTGGTGTGACAGTGTTCTTTGTGTGAATTACAGGCAAGAATTGTGGCTGAGCAAGGCACATAGTCTACTCAGTCTATTCCTAAGTCCTAACTCCTCCTTGTGGTGTTGGATTTGTAAGGCACTTTATCCCTTTTGTCTCATGTTTCATCGTAAATGGCATAGGCAGAGATGATACCTAATTCTGCATTTGATTGTCACTTTTTGTACCTGCATTAATTTAATAAAATATTCTTATTTATTTTGTTACTTGGTACACCAGCATGTCCATTTTCTTGTTTATTTTGTGTTTAATAAAATGTTCAGTTTAACATCCCA。
【0074】
ヒトPDL1転写物バリアント2 - NM_001267706.2(配列番号2);3’-UTR下線(配列番号79)
AGTTCTGCGCAGCTTCCCGAGGCTCCGCACCAGCCGCGCTTCTGTCCGCCTGCAGGGCATTCCAGAAAGATGAGGATATTTGCTGTCTTTATATTCATGACCTACTGGCATTTGCTGAACGCCCCATACAACAAAATCAACCAAAGAATTTTGGTTGTGGATCCAGTCACCTCTGAACATGAACTGACATGTCAGGCTGAGGGCTACCCCAAGGCCGAAGTCATCTGGACAAGCAGTGACCATCAAGTCCTGAGTGGTAAGACCACCACCACCAATTCCAAGAGAGAGGAGAAGCTTTTCAATGTGACCAGCACACTGAGAATCAACACAACAACTAATGAGATTTTCTACTGCACTTTTAGGAGATTAGATCCTGAGGAAAACCATACAGCTGAATTGGTCATCCCAGAACTACCTCTGGCACATCCTCCAAATGAAAGGACTCACTTGGTAATTCTGGGAGCCATCTTATTATGCCTTGGTGTAGCACTGACATTCATCTTCCGTTTAAGAAAAGGGAGAATGATGGATGTGAAAAAATGTGGCATCCAAGATACAAACTCAAAGAAGCAAAGTGATACACATTTGGAGGAGACGTAATCCAGCATTGGAACTTCTGATCTTCAAGCAGGGATTCTCAACCTGTGGTTTAGGGGTTCATCGGGGCTGAGCGTGACAAGAGGAAGGAATGGGCCCGTGGGATGCAGGCAATGTGGGACTTAAAAGGCCCAAGCACTGAAAATGGAACCTGGCGAAAGCAGAGGAGGAGAATGAAGAAAGATGGAGTCAAACAGGGAGCCTGGAGGGAGACCTTGATACTTTCAAATGCCTGAGGGGCTCATCGACGCCTGTGACAGGGAGAAAGGATACTTCTGAACAAGGAGCCTCCAAGCAAATCATCCATTGCTCATCCTAGGAAGACGGGTTGAGAATCCCTAATTTGAGGGTCAGTTCCTGCAGAAGTGCCCTTTGCCTCCACTCAATGCCTCAATTTGTTTTCTGCATGACTGAGAGTCTCAGTGTTGGAACGGGACAGTATTTATGTATGAGTTTTTCCTATTTATTTTGAGTCTGTGAGGTCTTCTTGTCATGTGAGTGTGGTTGTGAATGATTTCTTTTGAAGATATATTGTAGTAGATGTTACAATTTTGTCGCCAAACTAAACTTGCTGCTTAATGATTTGCTCACATCTAGTAAAACATGGAGTATTTGTAAGGTGCTTGGTCTCCTCTATAACTACAAGTATACATTGGAAGCATAAAGATCAAACCGTTGGTTGCATAGGATGTCACCTTTATTTAACCCATTAATACTCTGGTTGACCTAATCTTATTCTCAGACCTCAAGTGTCTGTGCAGTATCTGTTCCATTTAAATATCAGCTTTACAATTATGTGGTAGCCTACACACATAATCTCATTTCATCGCTGTAACCACCCTGTTGTGATAACCACTATTATTTTACCCATCGTACAGCTGAGGAAGCAAACAGATTAAGTAACTTGCCCAAACCAGTAAATAGCAGACCTCAGACTGCCACCCACTGTCCTTTTATAATACAATTTACAGCTATATTTTACTTTAAGCAATTCTTTTATTCAAAAACCATTTATTAAGTGCCCTTGCAATATCAATCGCTGTGCCAGGCATTGAATCTACAGATGTGAGCAAGACAAAGTACCTGTCCTCAAGGAGCTCATAGTATAATGAGGAGATTAACAAGAAAATGTATTATTACAATTTAGTCCAGTGTCATAGCATAAGGATGATGCGAGGGGAAAACCCGAGCAGTGTTGCCAAGAGGAGGAAATAGGCCAATGTGGTCTGGGACGGTTGGATATACTTAAACATCTTAATAATCAGAGTAATTTTCATTTACAAAGAGAGGTCGGTACTTAAAATAACCCTGAAAAATAACACTGGAATTCCTTTTCTAGCATTATATTTATTCCTGATTTGCCTTTGCCATATAATCTAATGCTTGTTTATATAGTGTCTGGTATTGTTTAACAGTTCTGTCTTTTCTATTTAAATGCCACTAAATTTTAAATTCATACCTTTCCATGATTCAAAATTCAAAAGATCCCATGGGAGATGGTTGGAAAATCTCCACTTCATCCTCCAAGCCATTCAAGTTTCCTTTCCAGAAGCAACTGCTACTGCCTTTCATTCATATGTTCTTCTAAAGATAGTCTACATTTGGAAATGTATGTTAAAAGCACGTATTTTTAAAATTTTTTTCCTAAATAGTAACACATTGTATGTCTGCTGTGTACTTTGCTATTTTTATTTATTTTAGTGTTTCTTATATAGCAGATGGAATGAATTTGAAGTTCCCAGGGCTGAGGATCCATGCCTTCTTTGTTTCTAAGTTATCTTTCCCATAGCTTTTCATTATCTTTCATATGATCCAGTATATGTTAAATATGTCCTACATATACATTTAGACAACCACCATTTGTTAAGTATTTGCTCTAGGACAGAGTTTGGATTTGTTTATGTTTGCTCAAAAGGAGACCCATGGGCTCTCCAGGGTGCACTGAGTCAATCTAGTCCTAAAAAGCAATCTTATTATTAACTCTGTATGACAGAATCATGTCTGGAACTTTTGTTTTCTGCTTTCTGTCAAGTATAAACTTCACTTTGATGCTGTACTTGCAAAATCACATTTTCTTTCTGGAAATTCCGGCAGTGTACCTTGACTGCTAGCTACCCTGTGCCAGAAAAGCCTCATTCGTTGTGCTTGAACCCTTGAATGCCACCAGCTGTCATCACTACACAGCCCTCCTAAGAGGCTTCCTGGAGGTTTCGAGATTCAGATGCCCTGGGAGATCCCAGAGTTTCCTTTCCCTCTTGGCCATATTCTGGTGTCAATGACAAGGAGTACCTTGGCTTTGCCACATGTCAAGGCTGAAGAAACAGTGTCTCCAACAGAGCTCCTTGTGTTATCTGTTTGTACATGTGCATTTGTACAGTAATTGGTGTGACAGTGTTCTTTGTGTGAATTACAGGCAAGAATTGTGGCTGAGCAAGGCACATAGTCTACTCAGTCTATTCCTAAGTCCTAACTCCTCCTTGTGGTGTTGGATTTGTAAGGCACTTTATCCCTTTTGTCTCATGTTTCATCGTAAATGGCATAGGCAGAGATGATACCTAATTCTGCATTTGATTGTCACTTTTTGTACCTGCATTAATTTAATAAAATATTCTTATTTATTTTGTTACTTGGTACACCAGCATGTCCATTTTCTTGTTTATTTTGTGTTTAATAAAATGTTCAGTTTAACATCCCA。
【0075】
ヒトPDL1転写物バリアント4 - NM_001314029.2(配列番号3);3’-UTR下線
AGTTCTGCGCAGCTTCCCGAGGCTCCGCACCAGCCGCGCTTCTGTCCGCCTGCAGGGCATTCCAGAAAGATGAGGATATTTGCTGTCTTTATATTCATGACCTACTGGCATTTGCTGAACGCATTTACTGTCACGGTTCCCAAGGACCTATATGTGGTAGAGTATGGTAGCAATATGACAATTGAATGCAAATTCCCAGTAGAAAAACAATTAGACCTGGCTGCACTAATTGTCTATTGGGAAATGGAGGATAAGAACATTATTCAATTTGTGCATGGAGAGGAAGACCTGAAGGTTCAGCATAGTAGCTACAGACAGAGGGCCCGGCTGTTGAAGGACCAGCTCTCCCTGGGAAATGCTGCACTTCAGATCACAGATGTGAAATTGCAGGATGCAGGGGTGTACCGCTGCATGATCAGCTATGGTGGTGCCGACTACAAGCGAATTACTGTGAAAGTCAATGCCCCATACAACAAAATCAACCAAAGAATTTTGGTTGTGGATCCAGTCACCTCTGAACATGAACTGACATGTCAGGCTGAGGGCTACCCCAAGGCCGAAGTCATCTGGACAAGCAGTGACCATCAAGTCCTGAGTGGTAAGACCACCACCACCAATTCCAAGAGAGAGGAGAAGCTTTTCAATGTGACCAGCACACTGAGAATCAACACAACAACTAATGAGATTTTCTACTGCACTTTTAGGAGATTAGATCCTGAGGAAAACCATACAGCTGAATTGGTCATCCCAGGTAATATTCTGAATGTGTCCATTAAAATATGTCTAACACTGTCCCCTAGCACCTAGCATGATGTCTGCCTATCATAGTCATTCAGTGATTGTTGAATAAATGAATGAATGAATAACA。
【0076】
一部の実施形態では、PDL1をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTRの欠失を含む。一部の実施形態では、欠失は、3’-UTRの1つまたは複数のフラグメントの欠失を含む。一部の実施形態では、欠失は、3’-UTRの完全な欠失である。一部の実施形態では、欠失は、3’-UTRの部分欠失である。一部の実施形態では、PDL1をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTRにおける配列の逆位を含む。一部の実施形態では、PDL1をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTRにおけるフラグメントの逆位を含む。一部の実施形態では、PDL1をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTR全体の逆位を含む。一部の実施形態では、PDL1をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTR全体の配列の転座を含む。一部の実施形態では、PDL1をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTRにおける1つまたは複数のヌクレオチドの置換を含む。一部の実施形態では、PDL1をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、配列番号1のヌクレオチド1000~1050に対応するヌクレオチドのいずれかから配列番号1の3634に対応するヌクレオチドにまたがる3’UTRの部分の消失をもたらす欠失を含む。一部の実施形態では、PDL1をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、配列番号1のヌクレオチド1010~1050に対応するヌクレオチドのいずれかから配列番号1の3634に対応するヌクレオチドにまたがる3’UTRの部分の消失をもたらす欠失を含む。一部の実施形態では、PDL1をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、配列番号1のヌクレオチド1010~1040に対応するヌクレオチドのいずれかから配列番号1の3634に対応するヌクレオチドにまたがる3’UTRの部分の消失をもたらす欠失を含む。一部の実施形態では、PDL1をコードする対立遺伝子の3’UTRの少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、25、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1200、1500、1700、2000、2200、2300、2400、2500、または2600ヌクレオチド(例えば、連続的なヌクレオチド)が欠失されている。一部の実施形態では、配列番号1と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である配列のヌクレオチド943~3634に対応する部分から少なくとも10、25、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1200、1500、1700、2000、2200、2300、2400、2500、または2600ヌクレオチド(例えば、連続的なヌクレオチド)が欠失されている。一部の実施形態では、本開示は、PDL1遺伝子の3’-UTRが、配列番号13および配列番号15に対応する配列間の細胞のゲノムにおいて、完全または部分的な欠失(例えば、少なくとも10、25、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1200、1500、1700、2000、2200、2300、2400、2500、または2600ヌクレオチド、例えば連続的なヌクレオチド)によって破壊された細胞(例えば、幹細胞)を提供する。一部の実施形態では、本開示は、PDL1遺伝子の3’-UTRが、配列番号14および配列番号15に対応する配列間の細胞のゲノムにおいて、完全または部分的な欠失(例えば、少なくとも10、25、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1200、1500、1700、2000、2200、2300、2400、2500、または2600ヌクレオチド、例えば連続的なヌクレオチド)によってPDL1遺伝子の3’-UTRが破壊された細胞(幹細胞)を提供する。一部の実施形態では、本開示は、RNAガイドエンドヌクレアーゼ(例えば、Cas9またはCas12)と、配列番号13および配列番号15の配列を標的とするRNAガイドとを含む遺伝子編集システムを使用して、細胞のゲノムの一部が切除された細胞を企図する。一部の実施形態では、本開示は、RNAガイドエンドヌクレアーゼ(例えば、Cas9またはCas12)と、配列番号14および配列番号15の配列を標的とするRNAガイドとを含む遺伝子編集システムを使用して、細胞のゲノムの一部が切除された細胞を企図する。
【0077】
一部の実施形態では、本開示は、PDL1 3’-UTRの配列番号31(TCCAGCATTGGAACTTCTGATCT)または配列番号32(TCTGATC)が、1つまたは複数のヌクレオチド欠失、挿入、および/または置換を含む細胞を企図する。一部の実施形態では、配列番号31または32の配列は、miR-140が配列番号32もしくは32またはRNA等価物またはその相補配列に結合できないか、または結合が有意に減少するように、PDL1 3’-UTRにおいて突然変異している。一部の実施形態では、本開示は、PDL1 3’-UTRの配列番号33(CCACCCTGTTGTGATAACCACTA)または配列番号34(AACCACT)が、1つまたは複数のヌクレオチド欠失、挿入、および/または置換を含む細胞を企図する。一部の実施形態では、配列番号33または34の配列は、miR-142が配列番号33もしくは34またはRNA等価物および/またはその相補配列に結合できないか、または結合が有意に減少するように、PDL1 3’-UTRにおいて突然変異している。一部の実施形態では、本開示は、PDL1 3’-UTRの配列番号35(GCCACCCACTGTCCTTTTATAAT)または36(TTTATAA)が、1つまたは複数のヌクレオチド欠失、挿入、および/または置換を含む細胞を企図する。一部の実施形態では、配列番号35または36の配列は、miR-340が配列番号35もしくは36またはRNA等価物および/またはその相補配列に結合できないか、または結合が著しく減少するように、PDL1 3’-UTRにおいて突然変異している。一部の実施形態では、本開示は、PDL1 3’-UTRの配列番号37(TTGGATTTGTAAGGCACTTTAT)または38(ACTTTAT)が、1つまたは複数のヌクレオチド欠失、挿入、および/または置換を含む細胞を企図する。一部の実施形態では、配列番号37または38の配列は、miR-383が配列番号37もしくは38またはRNA等価物および/またはその相補配列に結合することができないか、または結合が有意に減少するように、PDL1 3’-UTRにおいて突然変異している。一部の実施形態では、本開示は、PDL1 3’-UTRの配列番号39(GGCTCATCGACGCCTGTGAC)または40(CCTGTGA)が、1つまたは複数のヌクレオチド欠失、挿入、および/または置換を含む細胞を企図する。一部の実施形態では、配列番号39または40の配列は、miR-513が配列番号39もしくは40またはRNA等価物および/またはその相補配列に結合できないか、または結合が有意に減少するように、PDL1 3’-UTRにおいて突然変異している。一部の実施形態では、本開示は、PDL1 3’-UTRの配列番号41(AATAGCAGACCTCAGACTGCCA)または42(ACTGCCA)が、例えば、配列番号43(ACTCCCA)の配列を生成するために、1つまたは複数のヌクレオチド欠失、挿入、および/または置換を含む細胞を企図する。一部の実施形態では、配列番号41または42の配列は、miR-34aが配列番号41もしくは42またはRNA等価物および/またはその相補配列に結合できないか、または結合が有意に減少するように、PDL1 3’-UTRにおいて突然変異している。一部の実施形態では、本開示は、PDL1 3’-UTRの配列番号44(CAGTGTTGGAACGGGACAGTATTT)、45(CAGTGTT)、または46(CAGTATT)が、1つまたは複数のヌクレオチド欠失、挿入、および/または置換を含む細胞を企図する。一部の実施形態では、miR-200aおよび/またはmiR-200b/cが、配列番号44、45もしくは46、またはRNA等価物および/またはその相補配列に結合できないか、または結合が有意に減少するように、配列番号44、45または46の配列がPDL1 3’-UTRにおいて突然変異している。一部の実施形態では、本開示は、PDL1 3’-UTRの配列番号47(CCAAACTAAACTTGCTGCTT)または48(TTGCTGCT)が、1つまたは複数のヌクレオチド欠失、挿入、および/または置換を含む細胞を企図する。一部の実施形態では、miR-424(322)、miR-195、またはmiR497-5pが、配列番号47もしくは48、またはRNA等価物および/またはその相補配列に結合できないか、または結合が有意に減少するように、配列番号47または48の配列がPDL1 3’-UTRにおいて突然変異している。一部の実施形態では、本開示は、PDL1 3’-UTRの配列番号57(TGTGAGCAAGACAAAGTAC)が、1つまたは複数のヌクレオチド欠失、挿入、および/または置換を含む細胞を企図する。一部の実施形態では、miR-33aが配列番号57またはRNA等価物および/またはその相補配列に結合できないか、または結合が有意に減少するように、配列番号57の配列がPDL1 3’-UTRにおいて突然変異している。一部の実施形態では、本開示は、PDL1 3’-UTRの配列番号58(GCATTAA)または59(AGCATTA)が1つまたは複数のヌクレオチド欠失、挿入、および/または置換を含む細胞を企図する。一部の実施形態では、miR155が配列番号58および/または59またはRNA等価物および/またはその相補配列に結合できないか、または結合が有意に減少するように、配列番号58および/または59の配列がPDL1 3’-UTRにおいて突然変異している。一部の実施形態では、本開示は、PDL1 3’-UTRの配列番号60(ACTTAAAAGGCCCAAGCACTGAA)または61(GCACTG)が、1つまたは複数のヌクレオチド欠失、挿入、および/または置換を含む細胞を企図する。一部の実施形態では、miR-152が配列番号60および/もしくは61、またはRNA等価物および/またはその相補配列に結合できないか、または結合が有意に減少するように、配列番号60および/または61の配列がPDL1 3’-UTRにおいて突然変異している。一部の実施形態では、本開示は、PDL1 3’-UTRの配列番号65、62(TATTTTGTTACTTGGTACACCAGCA)または63(ACACCAGC)が、1つまたは複数のヌクレオチド欠失、挿入、および/または置換を含む細胞を企図する。一部の実施形態では、miR-138-5pが配列番号62および/もしくは63、またはRNA等価物および/またはその相補配列に結合できないか、または結合が有意に減少するように、配列番号62および/または63の配列がPDL1 3’-UTRにおいて突然変異している。一部の実施形態では、本開示は、PDL1 3’-UTRの配列番号64(CGCCAAACTAAACTTGCTGCTT)または65(ACTTGCTGCT)が、1つまたは複数のヌクレオチド欠失、挿入、および/または置換を含む細胞を企図する。一部の実施形態では、miR-16、miR-15a、および/またはmiR15bが配列番号64および/もしくは65、またはRNA等価物および/またはその相補配列に結合できないか、または結合が有意に減少するように、配列番号64および/または65の配列がPDL1 3’-UTRにおいて突然変異している。一部の実施形態では、本開示は、PDL1 3’-UTRの配列番号66(ATCCCTAATTTGAGGGTCAGTT)または67(TTTGAGGGTCAGT)が、1つまたは複数のヌクレオチド欠失、挿入、および/または置換を含む細胞を企図する。一部の実施形態では、miR-193aが配列番号66および/もしくは67、またはRNA等価物および/またはその相補配列に結合できないか、または結合が有意に減少するように、配列番号66および/または67の配列がPDL1 3’-UTRにおいて突然変異している。一部の実施形態では、本開示は、PDL1 3’-UTRの配列番号68(GGTGTTGGATTTGTAAGGCACTTTA)または69(GCACTTT)が、1つまたは複数のヌクレオチド欠失、挿入、および/または置換を含む細胞を企図する。一部の実施形態では、miR-17-5pが配列番号68および/もしくは69またはRNA等価物および/またはその相補配列に結合できないか、または結合が著しく減少するように、配列番号68および/または69の配列がPDL1 3’-UTRにおいて突然変異している。一部の実施形態では、本開示は、PDL1 3’-UTRの配列番号70(AAGGAATGGGCCCGTGGGATGCA)または71(GGGATGC)が、1つまたは複数のヌクレオチド欠失、挿入、および/または置換を含む細胞を企図する。一部の実施形態では、miR-324-5pが配列番号70および/もしくは71、またはRNA等価物および/またはその相補配列に結合できないか、または結合が著しく減少するように、配列番号70および/または71の配列がPDL1 3’-UTRにおいて突然変異している。一部の実施形態では、本開示は、PDL1 3’-UTRの配列番号72(ATTTCTTTTGAAGATATATTGTA)または73(ATATTGT)が、1つまたは複数のヌクレオチド欠失、挿入、および/または置換を含む細胞を企図する。一部の実施形態では、miR-338-5pが配列番号72および/もしくは73、またはRNA等価物および/またはその相補配列に結合できないか、または結合が有意に減少するように、配列番号72および/または73の配列がPDL1 3’-UTRにおいて突然変異している。一部の実施形態では、本開示は、PDL1 3’-UTRの配列番号32、34、36、38、40、42、45、48、36、58、59、61、63、65、67、69、71、および/または73のいずれか1つまたは複数から1、2、3、4、5、6もしくは7または全てのヌクレオチドが欠失されている細胞を提供する。一部の実施形態では、本開示は、PDL1 3’-UTRの配列番号31、33、35、37、39、41、44、47、57、60、62、64、66、68、70、および/または72のいずれか1つから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23もしくは24、または全てのヌクレオチドが欠失されている細胞を提供する。例えば、Xieら, 2017年 PLOS One, DOI:10.1371/journal.pone.0168822;Zhaoら, 2016年, Oncotarget, 7(29):45370~84頁;Heら, 2018年 Biomedicine and Pharmacology, 98:95~101頁;Taoら,
2018年, Cell Physiol Biochem., 48:801~814頁;Kaoら, 2017年, J. Thoracic Oncology, 12(9):1421~1433頁;Audritoら, 2017年, Oncotarget, 8(9):15894~15911頁;Hollaら, 2016年,Scientific Reports, 6(24193);Danbaranら, 2020年, International Immunopharmacology, 84:106594;Gongら, 2009年, J Immunol., 182(3):1325~1333頁;Chenら, 2014年, Nat. Commun., 5:5241頁;Wangら, 2015年, Cellular Signaling, 27(3):443~452頁;Xuら, 2016年, Nat. Comm., 7:11406頁、およびDongら, 2018年, Oncogene, 37:5257~5268頁を参照されたく、それぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。PDL1 3’-UTRの配列番号1、2、31、32~42、44~45、47~48、および/または57~73の配列が、細胞内に天然に存在するヌクレオチド配列に由来するため、細胞内の核酸は、これらの参照配列と比較して何らかの差異(例えば、多型)を有する可能性があることは留意されたい。したがって、本開示は、細胞が、改変前のPDL1 3’-UTRの配列番号1、2、31、32~42、44~45、47~48、および/または57~73のいずれかの参照配列と比較して、1、2、3、4、5、または6以下のヌクレオチドの差異を有するヌクレオチドを含み得ることを企図する。一部の実施形態では、細胞は、この段落に列挙された上記の遺伝子エレメントのいずれか1つまたはその組合せに対してヘテロ接合体である。一部の実施形態では、細胞は、この段落に列挙された上記の遺伝子エレメントのいずれか1つまたはその組合せに対してホモ接合体である。
【0078】
一部の実施形態では、PDL1をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、細胞、単離された幹細胞、または単離された幹細胞から分化した細胞におけるPDL1の発現の増加(例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍またはそれ以上の増加)をもたらす。一部の実施形態では、PDL1の発現の増加は、インターフェロンガンマによって誘導または増加される。
【0079】
一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞(例えば、単離された幹細胞)は、表面抗原分類47(CD47)をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊を含む。一部の実施形態では、破壊はホモ接合体改変である。一部の実施形態では、破壊はヘテロ接合体改変である。「表面抗原分類47(CD47)」は免疫グロブリンスーパーファミリーに属し、膜インテグリンとパートナーであり、またリガンドであるトロンボスポンジン-1(TSP-1)およびシグナル調節タンパク質アルファ(SIRPα)とも結合する。CD47は免疫系のマクロファージに対して「私を食べないで(don’t eat me)」というシグナルとして作用する。細胞ベースの治療として対象に投与された細胞におけるCD47の発現が増加すると、マクロファージによる貪食から細胞が保護される。
【0080】
ホモサピエンスCD47遺伝子配列の例は、NCBI遺伝子ID:961(配列番号29;NCBI受託番号NC_000003.12で提供されるホモサピエンス第3染色体配列の108043091位~108094200位に相補的な配列に対応する)に提供される。さらに、CD47タンパク質の異なるアイソフォームをコードするヒトCD47転写物バリアントの例は、NCBI受託番号NM_001777.4(配列番号4)、NM_198793.3(配列番号5)、またはNM_001382306.1(配列番号6)に提供される。
【0081】
ヒトCD47遺伝子 - NCBI遺伝子ID:961(配列番号29);3’-UTR下線(配列番号88)
CTCATTCTATTTATTCTTTTAACAACGATTTGTTGAGTACATACTATGTGTCAGGCAAAGGGGCTAGCAGTAAAGAAGACTCATATGGTCCCTCCCCTCATTGAGCTTACAGTATAGGAAACAGTTATTACTGAACACGAAGACAGCTATATAAACATAATTTCAATAAAAGATGGTAACTGATATGCACCAAAGTAAGACTAAAACACAGAGAAGTGCACTTAACTTATACTGGCATTATCATGGGCCTTGATTTACTGTGGGATCCTTTGCTGTTATGTTCCCTTACGTTGAAAGATGCATCTGGCCCTACACAAAGCACAGACTATGAGTAGGTAGGCACATACAGTTCTAAGCCAACCCCTTGGGGCACCAGGAGACAGCACTGTCTCATGTCGTTGCATGACACACCACCATGGGGCAAAACATTTGCTGAATGAAGTTACAATAAGGATACAATTGTATCTACATAAACATTTAAAGATACTATCATATCAATACCTACTATGTGGCAGGATCTTGATGTTGTGTGGGGAGGAAGATAAAAGTAGATGTATCGTTGAGACAGAAATGAGGGCAAGGGAAATTTTTTATGCATTGAGAGAGGAAGTTTGTGAATTTTTTCGCTGGCCATGGAGTCAGGGAGACTTCAGTCCAACCACCGTCCCTCCCTGAGCTTGTGACCAAGCCTCACTTTCCTTATCTATAAAGGTGACAAGAGTGATTTTTTTAAGTTTATTTATCTGTAAAGGGGAAACTGTAGCAACTTTGCTATTATAGGGTAAAAAGAAAAAAGGATGAAAACCAGAACAAGGGAGAGAGACAAGAGAGAGAGCAGTGTCACTTATAACTGTGGGCAAAGTGCTCACCATTCCTCTTTCCCTTTGTTTCCTCATCTCAAAAAGGGAGATCATAACATTTATCCTTTCTGAGGTTGTTATGAAGATTAACTTAGGTGATATAGCTAATGTGTACTTCCTGTGTTCAAAACATTCTAATATGTATTATCCCCTCCCTCTCTACCCAAGAAACTCCTTACATACAGATAAGATGAGCTCAACATCCAAATTAAAATGCTTTGAAAAGTTAAAAGGCAAACCTTTAAAATGATTAAATACTGAAAAGAGCTTAAGGTTATCTCAGAGAGAGGATAATCAAACCTAGGCAGGCTGCTTTGGACTGTCTCTCCTGGGATATGCCTGCTTTTGCCCCACCACCAAAACATACCCCAGCTAGATTCCCAAGAGCAGCAGTGGTCACCCAGGTGGCCTCTCATTCCATTTTCTGCACAAAAAGACGTTAAGCATATAGCTCAGTAGCTCCCAGTGTAAAACAGAACATCACCCGATCTCCACCTCTGAAGGTTGGGGACAGTCCTTTCTAGTCACTCTTCAGCTTTAGGGGGGTTGGTTGGTATCAGGGACAGCTGACAGCCTTATTTAGCCAACCAGCTGCTCTGTGATACACAATGTCCCTAATGCTCAAAGTCTGGTGGATGATTCTTTTGTATCCACATAAGCAGCAGTTGGAGGAGAATCGATGAGTCCCTTTGGTTGCCTCGGGGTGTCAAGGCTGCCATTCAAATCATTACCACCATAATTATTAACCATTGTTTTAGTGAGATGTCTGCCAGGCAATTGTTTTTATTTTTCAATCATTAAAAAAGCAATCAAATTTCACTAGAGCAATGCCTGCCTCACGCCGCATCAACACATTTATTAAACCCCTTCTGTTTGCCGAGCTCAATGGAAAGTCTTGGAGGAGGGAATACTTAAAATGCTCTCGGATTTAAAAGAATTGATAATGCTGTGGGGAAGAGGTTCACACAAAAAAGCAATTACAGGAAGAAGCTCGATAGTATACAATACACTGGTACAGAGTGTCATAGACAGTGCCACTTTCATACGCTGGATTTTATTTCTGTGGCAATGGGATGCTTGGGAGGAGCCGCACTGTGTAGAGGATTTGGAGAAGTGGGGTATTGTGGTGGGAAATTGCTTTCTTTCCCAGGAGGTAGGAGGAAAACAATCAAGGAGGTGGACAGGATGTGCACTCCATTAGAGCAGCCACCAGAGCCTGACTTTTTGATAAGAGAGTACATCAGTTAGGATAACGGTTAAAAGTATCTTTAAAAGACTTTTGCTTCAGGATGAATGATGTGGCCTGTGTGATTCAGCGATAAATTCAAAAGCCTTGTCCCTATTGTGGCTTGCGGCCACATTTCGAACCCATTTTTCAAGCATGTTAAACCCAAGCGCAGCGCAGAGGGCTGCACATGGGGCAGTCACAAACCAAGCTCAATAACCTTGCTGGTGGGGATGTGTTGGATACGCTGCTAATGCCTGTTTGCGACAATGCTCGCTAGTCCCGGTGGTGGCGGTGTTCACAGGTAACAATGTTTACCACCGTGAATGGAACTTGTTTGATTAACCCTGATCAGAGGATGAAAACACTAAAGAACCAAGTGAGAAAGAGGGAAGAGAACCGCATAGGGAAGAGCAGAGCGAGTAGACGAGCCGAACGCAGAGCCCGCGAGGGGCGAGTGGAAGCTCCCTGCGGGCAGGTACCCGACCACCGCCCTGCCCTGGGCGTGGCGGCCTCGGGCTCAGGGACCGCTTCGGCGCTAGACGGCCGCGTCCGGAGGAAACGGGCGCTGGTGAAAGCCTAGGTGTCCTGGTCCACGCGCGCAGCCGGACGTCGGGTCCAGGGAGAGACGCGGGCTGGGGCGGGACGGGACCCGGCCCCTGAAGCGCGAGGGTGGGAGTGAAAGCAAAGAGGAGAAAAGTAGAGAGAGAGGACAGTGGGGCCCAGCGCCGCGCGAAAGGCAGGAACCGACCCGCGGACAGGAACGGGTGCAATGAGGTCCCCGGCGAGCGTGGGAACACAGGGTTCAGCCTCCTGCGGCGGGCGAGCACGCGGACCCCAGGGGCGGGCGGGTGCGACAGGACGTGACCTGGAAGCGCGGCGCGTGCCACCGCCCTGGAGCAGGCATCCGGCCTCCGTGGAGCGGGCAGGCGGGCCCCGGGTCTGGAGCCTGCGACTGGGGAGGGCGCCGCGTCAACAGCAGCGGTTGCGGGGCGGGGCCGAGTGCGCGTGCGCGGCTCTCGCGGGCGGGGAGCAGGCGGGGGAGCGGGCGGGAAGCAGTGGGAGCGCGCGTGCGCGCGGCCGTGCAGCCTGGGCAGTGGGTCCTGCCTGTGACGCGCGGCGGCGGTCGGTCCTGCCTGTAACGGCGGCGGCGGCTGCTGCTCCGGACACCTGCGGCGGCGGCGGCGACCCCGCGGCGGGCGCGGAGATGTGGCCCCTGGTAGCGGCGCTGTTGCTGGGCTCGGCGTGCTGCGGTGAGTGGCTCCTCGCTCCCAGCCCTGCGGCTGCTGTCGCTTCGCCCCCGCGGGCGTGTGGGCTGCGCCCCAGCCAGCCCGGCGGCGCCCTGAAGAGGGTGGCCGGGGCGCAGAACACTCGGGCCCTGAGCGCCCGAAGTGCAGACGTGGGAGGGCCCCACGGGGAATCGGGCGCCCCCCTTCTTCCTCCCTTCCTTTCCCTGGTCGTCTTCTTCCCCCTGGGTGAGAGCGGGGCTCATCTCCTCCACCCGGTTCTCCATCTCCAAATGCACACACACAGGAAGACTCCAAACCGCGCACCTCGCGCAAAAATTAACTAGCAAGAAAGGGCGCGATCAGAGGCAAGGGGCTGCAGCTGCTAGGGATCCCCTTCTTTCGCACCCCTCTCCCTTCTCAGTGCTTAGACGCATTTGGGGTTGAGGGAGGGAGAGTGGGAGGGCCCGGGCCTCTTGCGATGGAAGTGCGCATTTTGGCGAAGTCGGTGAGAAGGGGTTTCTGCCGTTTGCCTCCCACATGAACATAGGAGCGAAGAGGACGTAAAGGACACAATTAAGTTTCATTTTCAACTCAGCATTCAATCAGAAGAATCTTCCGGCCGTGTAATTTTTGCTGTCGTTTTTAATCCTAAAAATAAGCTTGCTGGAAACTCTTCCTTTCTCGTGACCCTCACGCCCCATCAGCCACTTGCATACATTCTAAATTGTACGTTGAAGTTTTTCCCACTTTATTTGGGGGAACCGTTTTAAAAGTAATCTGGTTTTCGCCTGAAATAGGAAGACAGTAACCTCCAGTCAAAACATGTGCAGCAGAATGGGATTTGGTGTTTTTCGACGCCAAAGAACCTCCACCCCCCCACCCCCACCCCGAGCTTTTGGAATCCATTTCGCTTTTGTAAAACGTGTGCTTCGTCTGTAAAAACTGAGCAAGGAATAGAAACATTCGTAGCTCTACAGTGAGTGCCTGTCACACTTCACATCCATAGAGCCTTTTGTGAACTTTTATAAGATTCAGAATTCAGCTTGAGCACCAGTGACAGCAATTGTTACATTTATTCTAGAATGCTAAATTAATTCGATTTTAAACTGATTATTAGCCTCGGTGTGCCGTTCCTAAAGGCTTGTGACTTTAGGTATTTCCAAGATGCCCTTAAGTCTCTGCTTACCACTTTCCTCCCTCCCCGAGCATCCTGGATGTTGGGACTGTGAATCCAGGTCTCCGTTATCTAAATGGTTGATGTTAGTGTTTCCTGTCATCACGTTTAGTATGCTTGTTGCCTTTACTATCATTATAGCTAAAATAATACTGCTTTCAGAGATGTGTTGTATAATCGCATAATAATTTCAGAACGCCTTCATATTGAACCAGATATGAAGTGATACAGTATCATTTATTCAAACTGCCTAAAAAGTAAAAAGTATAAACCATATACTATTTTTAAAACAGGTAGGTTAGATTTAAATCACGTAGTTTAGAACTGTTGGAATGGTACTTTGAGTGATAGGATTTATGTTAGGCCTTCTTTAGTAATAGTTAATATCATGTAATTAGCACTCGTTTACACACAATTTTAATGTGTTCGAATCCCTAGAGTCATCGAATTCAGAATTTATAGTATTTTATTTTACTTAGTTAATATTAACCTAAAAAAAAAGCAAAATACAG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【0082】
ヒトCD47転写物バリアント1 - NM_001777.4(配列番号4);3’-UTR下線(配列番号80)
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GCTATTTTGTTGGGCTATTTCTATTGCTGCTACAGCAGACCACAAGCACATTTCTGAAAAATTTAATTTATTAATGTATTTTTAAGTTGCTTATATTCTAGGTAACAATGTAAAGAATGATTTAAAATATTAATTATGAATTTTTTGAGTATAATACCCAATAAGCTTTTAATTAGAGCAGAGTTTTAATTAAAAGTTTTAAATCAGTCCAA。
【0083】
ヒトCD47転写物バリアント2 - NM_198793.3(配列番号5);3’-UTR下線(配列番号81)
GCAGCCTGGGCAGTGGGTCCTGCCTGTGACGCGCGGCGGCGGTCGGTCCTGCCTGTAACGGCGGCGGCGGCTGCTGCTCCGGACACCTGCGGCGGCGGCGGCGACCCCGCGGCGGGCGCGGAGATGTGGCCCCTGGTAGCGGCGCTGTTGCTGGGCTCGGCGTGCTGCGGATCAGCTCAGCTACTATTTAATAAAACAAAATCTGTAGAATTCACGTTTTGTAATGACACTGTCGTCATTCCATGCTTTGTTACTAATATGGAGGCACAAAACACTACTGAAGTATACGTAAAGTGGAAATTTAAAGGAAGAGATATTTACACCTTTGATGGAGCTCTAAACAAGTCCACTGTCCCCACTGACTTTAGTAGTGCAAAAATTGAAGTCTCACAATTACTAAAAGGAGATGCCTCTTTGAAGATGGATAAGAGTGATGCTGTCTCACACACAGGAAACTACACTTGTGAAGTAACAGAATTAACCAGAGAAGGTGAAACGATCATCGAGCTAAAATATCGTGTTGTTTCATGGTTTTCTCCAAATGAAAATATTCTTATTGTTATTTTCCCAATTTTTGCTATACTCCTGTTCTGGGGACAGTTTGGTATTAAAACACTTAAATATAGATCCGGTGGTATGGATGAGAAAACAATTGCTTTACTTGTTGCTGGACTAGTGATCACTGTCATTGTCATTGTTGGAGCCATTCTTTTCGTCCCAGGTGAATATTCATTAAAGAATGCTACTGGCCTTGGTTTAATTGTGACTTCTACAGGGATATTAATATTACTTCACTACTATGTGTTTAGTACAGCGATTGGATTAACCTCCTTCGTCATTGCCATATTGGTTATTCAGGTGATAGCCTATATCCTCGCTGTGGTTGGACTGAGTCTCTGTATTGCGGCGTGTATACCAATGCATGGCCCTCTTCTGATTTCAGGTTTGAGTATCTTAGCTCTAGCACAATTACTTGGACTAGTTTATATGAAATTTGTGGCTTCCAATCAGAAGACTATACAACCTCCTAGGAATAACTGAAGTGAAGTGATGGACTCCGATTTGGAGAGTAGTAAGACGTGAAAGGAATACACTTGTGTTTAAGCACCATGGCCTTGATGATTCACTGTTGGGGAGAAGAAACAAGAAAAGTAACTGGTTGTCACCTATGAGACCCTTACGTGATTGTTAGTTAAGTTTTTATTCAAAGCAGCTGTAATTTAGTTAATAAAATAATTATGATCTATGTTGTTTGCCCAATTGAGATCCAGTTTTTTGTTGTTATTTTTAATCAATTAGGGGCAATAGTAGAATGGACAATTTCCAAGAATGATGCCTTTCAGGTCCTAGGGCCTCTGGCCTCTAGGTAACCAGTTTAAATTGGTTCAGGGTGATAACTACTTAGCACTGCCCTGGTGATTACCCAGAGATATCTATGAAAACCAGTGGCTTCCATCAAACCTTTGCCAACTCAGGTTCACAGCAGCTTTGGGCAGTTATGGCAGTATGGCATTAGCTGAGAGGTGTCTGCCACTTCTGGGTCAATGGAATAATAAATTAAGTACAGGCAGGAATTTGGTTGGGAGCATCTTGTATGATCTCCGTATGATGTGATATTGATGGAGATAGTGGTCCTCATTCTTGGGGGTTGCCATTCCCACATTCCCCCTTCAACAAACAGTGTAACAGGTCCTTCCCAGATTTAGGGTACTTTTATTGATGGATATGTTTTCCTTTTATTCACATAACCCCTTGAAACCCTGTCTTGTCCTCCTGTTACTTGCTTCTGCTGTACAAGATGTAGCACCTTTTCTCCTCTTTGAACATGGTCTAGTGACACGGTAGCACCAGTTGCAGGAAGGAGCCAGACTTGTTCTCAGAGCACTGTGTTCACACTTTTCAGCAAAAATAGCTATGGTTGTAACATATGTATTCCCTTCCTCTGATTTGAAGGCAAAAATCTACAGTGTTTCTTCACTTCTTTTCTGATCTGGGGCATGAAAAAAGCAAGATTGAAATTTGAACTATGAGTCTCCTGCATGGCAACAAAATGTGTGTCACCATCAGGCCAACAGGCCAGCCCTTGAATGGGGATTTATTACTGTTGTATCTATGTTGCATGATAAACATTCATCACCTTCCTCCTGTAGTCCTGCCTCGTACTCCCCTTCCCCTATGATTGAAAAGTAAACAAAACCCACATTTCCTATCCTGGTTAGAAGAAAATTAATGTTCTGACAGTTGTGATCGCCTGGAGTACTTTTAGACTTTTAGCATTCGTTTTTTACCTGTTTGTGGATGTGTGTTTGTATGTGCATACGTATGAGATAGGCACATGCATCTTCTGTATGGACAAAGGTGGGGTACCTACAGGAGAGCAAAGGTTAATTTTGTGCTTTTAGTAAAAACATTTAAATACAAAGTTCTTTATTGGGTGGAATTATATTTGATGCAAATATTTGATCACTTAAAACTTTTAAAACTTCTAGGTAATTTGCCACGCTTTTTGACTGCTCACCAATACCCTGTAAAAATACGTAATTCTTCCTGTTTGTGTAATAAGATATTCATATTTGTAGTTGCATTAATAATAGTTATTTCTTAGTCCATCAGATGTTCCCGTGTGCCTCTTTTATGCCAAATTGATTGTCATATTTCATGTTGGGACCAAGTAGTTTGCCCATGGCAAACCTAAATTTATGACCTGCTGAGGCCTCTCAGAAAACTGAGCATACTAGCAAGACAGCTCTTCTTGAAAAAAAAAATATGTATACACAAATATATACGTATATCTATATATACGTATGTATATACACACATGTATATTCTTCCTTGATTGTGTAGCTGTCCAAAATAATAACATATATAGAGGGAGCTGTATTCCTTTATACAAATCTGATGGCTCCTGCAGCACTTTTTCCTTCTGAAAATATTTACATTTTGCTAACCTAGTTTGTTACTTTAAAAATCAGTTTTGATGAAAGGAGGGAAAAGCAGATGGACTTGAAAAAGATCCAAGCTCCTATTAGAAAAGGTATGAAAATCTTTATAGTAAAATTTTTTATAAACTAAAGTTGTACCTTTTAATATGTAGTAAACTCTCATTTATTTGGGGTTCGCTCTTGGATCTCATCCATCCATTGTGTTCTCTTTAATGCTGCCTGCCTTTTGAGGCATTCACTGCCCTAGACAATGCCACCAGAGATAGTGGGGGAAATGCCAGATGAAACCAACTCTTGCTCTCACTAGTTGTCAGCTTCTCTGGATAAGTGACCACAGAAGCAGGAGTCCTCCTGCTTGGGCATCATTGGGCCAGTTCCTTCTCTTTAAATCAGATTTGTAATGGCTCCCAAATTCCATCACATCACATTTAAATTGCAGACAGTGTTTTGCACATCATGTATCTGTTTTGTCCCATAATATGCTTTTTACTCCCTGATCCCAGTTTCTGCTGTTGACTCTTCCATTCAGTTTTATTTATTGTGTGTTCTCACAGTGACACCATTTGTCCTTTTCTGCAACAACCTTTCCAGCTACTTTTGCCAAATTCTATTTGTCTTCTCCTTCAAAACATTCTCCTTTGCAGTTCCTCTTCATCTGTGTAGCTGCTCTTTTGTCTCTTAACTTACCATTCCTATAGTACTTTATGCATCTCTGCTTAGTTCTATTAGTTTTTTGGCCTTGCTCTTCTCCTTGATTTTAAAATTCCTTCTATAGCTAGAGCTTTTCTTTCTTTCATTCTCTCTTCCTGCAGTGTTTTGCATACATCAGAAGCTAGGTACATAAGTTAAATGATTGAGAGTTGGCTGTATTTAGATTTATCACTTTTTAATAGGGTGAGCTTGAGAGTTTTCTTTCTTTCTGTTTTTTTTTTTTGTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTGACTAATTTCACATGCTCTAAAAACCTTCAAAGGTGATTATTTTTCTCCTGGAAACTCCAGGTCCATTCTGTTTAAATCCCTAAGAATGTCAGAATTAAAATAACAGGGCTATCCCGTAATTGGAAATATTTCTTTTTTCAGGATGCTATAGTCAATTTAGTAAGTGACCACCAAATTGTTATTTGCACTAACAAAGCTCAAAACACGATAAGTTTACTCCTCCATCTCAGTAATAAAAATTAAGCTGTAATCAACCTTCTAGGTTTCTCTTGTCTTAAAATGGGTATTCAAAAATGGGGATCTGTGGTGTATGTATGGAAACACATACTCCTTAATTTACCTGTTGTTGGAAACTGGAGAAATGATTGTCGGGCAACCGTTTATTTTTTATTGTATTTTATTTGGTTGAGGGATTTTTTTATAAACAGTTTTACTTGTGTCATATTTTAAAATTACTAACTGCCATCACCTGCTGGGGTCCTTTGTTAGGTCATTTTCAGTGACTAATAGGGATAATCCAGGTAACTTTGAAGAGATGAGCAGTGAGTGACCAGGCAGTTTTTCTGCCTTTAGCTTTGACAGTTCTTAATTAAGATCATTGAAGACCAGCTTTCTCATAAATTTCTCTTTTTGAAAAAAAGAAAGCATTTGTACTAAGCTCCTCTGTAAGACAACATCTTAAATCTTAAAAGTGTTGTTATCATGACTGGTGAGAGAAGAAAACATTTTGTTTTTATTAAATGGAGCATTATTTACAAAAAGCCATTGTTGAGAATTAGATCCCACATCGTATAAATATCTATTAACCATTCTAAATAAAGAGAACTCCAGTGTTGCTATGTGCAAGATCCTCTCTTGGAGCTTTTTTGCATAGCAATTAAAGGTGTGCTATTTGTCAGTAGCCATTTTTTTGCAGTGATTTGAAGACCAAAGTTGTTTTACAGCTGTGTTACCGTTAAAGGTTTTTTTTTTTATATGTATTAAATCAATTTATCACTGTTTAAAGCTTTGAATATCTGCAATCTTTGCCAAGGTACTTTTTTATTTAAAAAAAAACATAACTTTGTAAATATTACCCTGTAATATTATA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AAATTTAATTTATTAATGTATTTTTAAGTTGCTTATATTCTAGGTAACAATGTAAAGAATGATTTAAAATATTAATTATGAATTTTTTGAGTATAATACCCAATAAGCTTTTAATTAGAGCAGAGTTTTAATTAAAAGTTTTAAATCAGTCCAA。
【0084】
ヒトCD47転写物バリアント3 - NM_001382306.1(配列番号6);3’-UTR下線(配列番号82)
GCAGCCTGGGCAGTGGGTCCTGCCTGTGACGCGCGGCGGCGGTCGGTCCTGCCTGTAACGGCGGCGGCGGCTGCTGCTCCGGACACCTGCGGCGGCGGCGGCGACCCCGCGGCGGGCGCGGAGATGTGGCCCCTGGTAGCGGCGCTGTTGCTGGGCTCGGCGTGCTGCGGATCAGCTCAGCTACTATTTAATAAAACAAAATCTGTAGAATTCACGTTTTGTAATGACACTGTCGTCATTCCATGCTTTGTTACTAATATGGAGGCACAAAACACTACTGAAGTATACGTAAAGTGGAAATTTAAAGGAAGAGATATTTACACCTTTGATGGAGCTCTAAACAAGTCCACTGTCCCCACTGACTTTAGTAGTGCAAAAATTGAAGTCTCACAATTACTAAAAGGAGATGCCTCTTTGAAGATGGATAAGAGTGATGCTGTCTCACACACAGGAAACTACACTTGTGAAGTAACAGAATTAACCAGAGAAGGTGAAACGATCATCGAGCTAAAATATCGTGTTGTTTCATGGTTTTCTCCAAATGAAAATATTCTTATTGTTATTTTCCCAATTTTTGCTATACTCCTGTTCTGGGGACAGTTTGGTATTAAAACACTTAAATATAGATCCGGTGGTATGGATGAGAAAACAATTGCTTTACTTGTTGCTGGACTAGTGATCACTGTCATTGTCATTGTTGGAGCCATTCTTTTCGTCCCAGGTGAATATTCATTAAAGAATGCTACTGGCCTTGGTTTAATTGTGACTTCTACAGGGATATTAATATTACTTCACTACTATGTGTTTAGTACAGCGATTGGATTAACCTCCTTCGTCATTGCCATATTGGTTATTCAGGTGATAGCCTATATCCTCGCTGTGGTTGGACTGAGTCTCTGTATTGCGGCGTGTATACCAATGCATGGCCCTCTTCTGATTTCAGGTTTGAGTATCTTAGCTCTAGCACAATTACTTGGACTAGTTTATATGAAATTTGTGGCTTCCAATCAGAAGACTATACAACCTCCTAGGAAAGCTGTAGAGGAACCCCTTAATGAATAACTGAAGTGAAGTGATGGACTCCGATTTGGAGAGTAGTAAGACGTGAAAGGAATACACTTGTGTTTAAGCACCATGGCCTTGATGATTCACTGTTGGGGAGAAGAAACAAGAAAAGTAACTGGTTGTCACCTATGAGACCCTTACGTGATTGTTAGTTAAGTTTTTATTCAAAGCAGCTGTAATTTAGTTAATAAAATAATTATGATCTATGTTGTTTGCCCAATTGAGATCCAGTTTTTTGTTGTTATTTTTAATCAATTAGGGGCAATAGTAGAATGGACAATTTCCAAGAATGATGCCTTTCAGGTCCTAGGGCCTCTGGCCTCTAGGTAACCAGTTTAAATTGGTTCAGGGTGATAACTACTTAGCACTGCCCTGGTGATTACCCAGAGATATCTATGAAAACCAGTGGCTTCCATCAAACCTTTGCCAACTCAGGTTCACAGCAGCTTTGGGCAGTTATGGCAGTATGGCATTAGCTGAGAGGTGTCTGCCACTTCTGGGTCAATGGAATAATAAATTAAGTACAGGCAGGAATTTGGTTGGGAGCATCTTGTATGATCTCCGTATGATGTGATATTGATGGAGATAGTGGTCCTCATTCTTGGGGGTTGCCATTCCCACATTCCCCCTTCAACAAACAGTGTAACAGGTCCTTCCCAGATTTAGGGTACTTTTATTGATGGATATGTTTTCCTTTTATTCACATAACCCCTTGAAACCCTGTCTTGTCCTCCTGTTACTTGCTTCTGCTGTACAAGATGTAGCACCTTTTCTCCTCTTTGAACATGGTCTAGTGACACGGTAGCACCAGTTGCAGGAAGGAGCCAGACTTGTTCTCAGAGCACTGTGTTCACACTTTTCAGCAAAAATAGCTATGGTTGTAACATATGTATTCCCTTCCTCTGATTTGAAGGCAAAAATCTACAGTGTTTCTTCACTTCTTTTCTGATCTGGGGCATGAAAAAAGCAAGATTGAAATTTGAACTATGAGTCTCCTGCATGGCAACAAAATGTGTGTCACCATCAGGCCAACAGGCCAGCCCTTGAATGGGGATTTATTACTGTTGTATCTATGTTGCATGATAAACATTCATCACCTTCCTCCTGTAGTCCTGCCTCGTACTCCCCTTCCCCTATGATTGAAAAGTAAACAAAACCCACATTTCCTATCCTGGTTAGAAGAAAATTAATGTTCTGACAGTTGTGATCGCCTGGAGTACTTTTAGACTTTTAGCATTCGTTTTTTACCTGTTTGTGGATGTGTGTTTGTATGTGCATACGTATGAGATAGGCACATGCATCTTCTGTATGGACAAAGGTGGGGTACCTACAGGAGAGCAAAGGTTAATTTTGTGCTTTTAGTAAAAACATTTAAATACAAAGTTCTTTATTGGGTGGAATTATATTTGATGCAAATATTTGATCACTTAAAACTTTTAAAACTTCTAGGTAATTTGCCACGCTTTTTGACTGCTCACCAATACCCTGTAAAAATACGTAATTCTTCCTGTTTGTGTAATAAGATATTCATATTTGTAGTTGCATTAATAATAGTTATTTCTTAGTCCATCAGATGTTCCCGTGTGCCTCTTTTATGCCAAATTGATTGTCATATTTCATGTTGGGACCAAGTAGTTTGCCCATGGCAAACCTAAATTTATGACCTGCTGAGGCCTCTCAGAAAACTGAGCATACTAGCAAGACAGCTCTTCTTGAAAAAAAAAATATGTATACACAAATATATACGTATATCTATATATACGTATGTATATACACACATGTATATTCTTCCTTGATTGTGTAGCTGTCCAAAATAATAACATATATAGAGGGAGCTGTATTCCTTTATACAAATCTGATGGCTCCTGCAGCACTTTTTCCTTCTGAAAATATTTACATTTTGCTAACCTAGTTTGTTACTTTAAAAATCAGTTTTGATGAAAGGAGGGAAAAGCAGATGGACTTGAAAAAGATCCAAGCTCCTATTAGAAAAGGTATGAAAATCTTTATAGTAAAATTTTTTATAAACTAAAGTTGTACCTTTTAATATGTAGTAAACTCTCATTTATTTGGGGTTCGCTCTTGGATCTCATCCATCCATTGTGTTCTCTTTAATGCTGCCTGCCTTTTGAGGCATTCACTGCCCTAGACAATGCCACCAGAGATAGTGGGGGAAATGCCAGATGAAACCAACTCTTGCTCTCACTAGTTGTCAGCTTCTCTGGATAAGTGACCACAGAAGCAGGAGTCCTCCTGCTTGGGCATCATTGGGCCAGTTCCTTCTCTTTAAATCAGATTTGTAATGGCTCCCAAATTCCATCACATCACATTTAAATTGCAGACAGTGTTTTGCACATCATGTATCTGTTTTGTCCCATAATATGCTTTTTACTCCCTGATCCCAGTTTCTGCTGTTGACTCTTCCATTCAGTTTTATTTATTGTGTGTTCTCACAGTGACACCATTTGTCCTTTTCTGCAACAACCTTTCCAGCTACTTTTGCCAAATTCTATTTGTCTTCTCCTTCAAAACATTCTCCTTTGCAGTTCCTCTTCATCTGTGTAGCTGCTCTTTTGTCTCTTAACTTACCATTCCTATAGTACTTTATGCATCTCTGCTTAGTTCTATTAGTTTTTTGGCCTTGCTCTTCTCCTTGATTTTAAAATTCCTTCTATAGCTAGAGCTTTTCTTTCTTTCATTCTCTCTTCCTGCAGTGTTTTGCATACATCAGAAGCTAGGTACATAAGTTAAATGATTGAGAGTTGGCTGTATTTAGATTTATCACTTTTTAATAGGGTGAGCTTGAGAGTTTTCTTTCTTTCTGTTTTTTTTTTTTGTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTGACTAATTTCACATGCTCTAAAAACCTTCAAAGGTGATTATTTTTCTCCTGGAAACTCCAGGTCCATTCTGTTTAAATCCCTAAGAATGTCAGAATTAAAATAACAGGGCTATCCCGTAATTGGAAATATTTCTTTTTTCAGGATGCTATAGTCAATTTAGTAAGTGACCACCAAATTGTTATTTGCACTAACAAAGCTCAAAACACGATAAGTTTACTCCTCCATCTCAGTAATAAAAATTAAGCTGTAATCAACCTTCTAGGTTTCTCTTGTCTTAAAATGGGTATTCAAAAATGGGGATCTGTGGTGTATGTATGGAAACACATACTCCTTAATTTACCTGTTGTTGGAAACTGGAGAAATGATTGTCGGGCAACCGTTTATTTTTTATTGTATTTTATTTGGTTGAGGGATTTTTTTATAAACAGTTTTACTTGTGTCATATTTTAAAATTACTAACTGCCATCACCTGCTGGGGTCCTTTGTTAGGTCATTTTCAGTGACTAATAGGGATAATCCAGGTAACTTTGAAGAGATGAGCAGTGAGTGACCAGGCAGTTTTTCTGCCTTTAGCTTTGACAGTTCTTAATTAAGATCATTGAAGACCAGCTTTCTCATAAATTTCTCTTTTTGAAAAAAAGAAAGCATTTGTACTAAGCTCCTCTGTAAGACAACATCTTAAATCTTAAAAGTGTTGTTATCATGACTGGTGAGAGAAGAAAACATTTTGTTTTTATTAAATGGAGCATTATTTACAAAAAGCCATTGTTGAGAATTAGATCCCACATCGTATAAATATCTATTAACCATTCTAAATAAAGAGAACTCCAGTGTTGCTATGTGCAAGATCCTCTCTTGGAGCTTTTTTGCATAGCAATTAAAGGTGTGCTATTTGTCAGTAGCCATTTTTTTGCAGTGATTTGAAGACCAAAGTTGTTTTACAGCTGTGTTACCGTTAAAGGTTTTTTTTTTTATATGTATTAAATCAATTTATCACTGTTTAAAGCTTTGAATATCTGCAATCTTTGCCAAGGTACTTTTTTATTTAAAAAAAAACATAACTTTGTAAATATTACCCTGTAATATTATATATACTTAATAAAACATTTTAAGCTATTTTGTTGGGCTATTTCTATTGCTGCTAC
AGCAGACCACAAGCACATTTCTGAAAAATTTAATTTATTAATGTATTTTTAAGTTGCTTATATTCTAGGTAACAATGTAAAGAATGATTTAAAATATTAATTATGAATTTTTTGAGTATAATACCCAATAAGCTTTTAATTAGAGCAGAGTTTTAATTAAAAGTTTTAAATCAGTCCAA
一部の実施形態では、CD47をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTRの欠失を含む。一部の実施形態では、欠失は、3’-UTRの1つまたは複数のフラグメントの欠失を含む。一部の実施形態では、欠失は3’-UTRの完全な欠失である。一部の実施形態では、CD47をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTRにおける配列の逆位を含む。一部の実施形態では、CD47をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTRにおけるフラグメントの逆位を含む。一部の実施形態では、CD47をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTR全体の逆位を含む。一部の実施形態では、CD47をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTR全体の配列の転座を含む。一部の実施形態では、CD47をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTRにおける1つまたは複数のヌクレオチドの置換を含む。一部の実施形態では、CD47をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTRにおける1つまたは複数のヌクレオチドの挿入を含む。
【0085】
一部の実施形態では、CD47をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、細胞、単離された幹細胞、および単離された幹細胞から分化した細胞におけるCD47の発現の増加(例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍またはそれ以上の増加)をもたらす。一部の実施形態では、CD47の発現の増加は、インターフェロンガンマによって誘導または増加される。
【0086】
一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞(例えば、単離された幹細胞)は、組織適合抗原クラスI、G(HLA-G)をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊を含む。一部の実施形態では、破壊はホモ接合体改変である。一部の実施形態では、破壊はヘテロ接合体改変である。「組織適合抗原、クラスI、G(HLA-G)」は、HLA非古典クラスI重鎖パラログに属する。重鎖と軽鎖からなるヘテロ二量体である。重鎖は膜に固定されている。HLA-Gは免疫抑制に関与している。HLA-Gはナチュラルキラー(NK)細胞阻害性受容体KIR2DL4のリガンドである。HLA-Gの発現は、NK細胞介在死から発現細胞を防御する。
【0087】
ホモサピエンスHLA-G遺伝子配列の例は、NCBI遺伝子ID:3135(配列番号30;NCBI受託番号NC_000006.12に提供されているホモサピエンス第6染色体配列の29826474位~29831130位に対応する)に提供される。さらに、HLA-Gタンパク質の異なるアイソフォームをコードするヒトHLA-G転写物バリアントの例は、NCBI受託番号NM_001363567.2(配列番号7)、NM_002127.6(配列番号8)、NM_001384280.1(配列番号9)、またはNM_001384290.1(配列番号10)に提供される。
【0088】
ヒトHLA-G遺伝子 - NCBI遺伝子ID:3151(配列番号30);3’-UTR下線(配列番号89)
ATAGTAGCAGGACCACTATAGAGAGAACACTCATGTAGCAGGTCATGGAACAGTGCTAGAGCCACAGTTCAGGAGTGAGAGGGTGGTGGGGATTAAGGGGAGAAGAGGGCCTGAGGGATGAGAGGGACGGAGGGAAGGGCTGGAGGAGCAGGAGGTGAGGAAAAGGAGCAGAGGAAAGAATTCCAAAGCAGCAGAACTCTTAGGTTTAAACACATTGTTTTATAGATTTTAATACATCCATCTACAGAGCTTCGCTGGGTGTTCTTTGCAGTTGGCCTTTAATATCTTATGTGGGTCTGCCTAGAAACTAATTGTTTTTTATGTTAATCAGGTTTAAAAAATACTAAGTATTCCTAAAAAATATACACTCCACTCACATGTGGATACTTCCTAAAAACAGGCAGTGCGTGAGCACTAGTGAGGGGCATTGTGACTGCACTGAACACTTACAACTGTGAGGTGAATAAAGTTTGTGCTGGCTCCTGGTTGCAACATATAGTAACATAGTGTGGTACTTTGTCTTGAGGAGATGTCCTGGACTCACACGGAAACTTAGGGCTACGGAATGAAGGTAAATTTAAAATAAAACAAGCGGGAGTCACAGATACACTGTCTGGGAAAGTGAAACTTAAGAGCTTTGTGAGTCGTGTTGTAATGCTTTTAGATGCATTTATATACCAACAGGCCAAAGTCACATTTTTTACCGATTAGATTCCTGATCATTCAGGGGTTACCAAGGTTATGCTACCCACTATAGTTAATAAACAAAAAGCAAACTGGTCTCTATTCTATCTCATGCACTCAGGCACAACTTTTCCAGATTTAAGGGGGAAAAAAAACCCTGTCTTTACACCTACAATCCCAGGGCGAGCTCACTCTCTGGCAACAAGCTCCCTGGGGTGATTTTTCTTCTAGAAGAGTACAGGAGGACAGGCAAGGAGTGGGAGGCAGGGAGTCCAGTTCAGGGACAGGGATTCCGGGATGAAAAGTGAAGGGAGAGGGCCAGGGACCTTGCCGAGGGTTTCTCCCTGGTTTCTCAGACAGCTCCTGGGCCAAGACTCAGGGAGACACTGAGACAGAACGCTTGGCACAAGAGTAGCGGGGTCAGGGCGAAGTCCCAGGGCCTCAAGCGTGGCTCTCAGGGTCTCAGGCCCCACAGGCGGTGTATGGGTTGGGGAGGCCCCGCGTTGGGGATTCTCTCCTCCTTCTCCTAACCTGTGTCGGGTCCTTCTTCCTGGATACTCACCGGGCGGCCCCAGTTCTCACTCCCATTAGGTGACAGGTTTTTAGAGAAGCCAATCAGCGTCGCCGCGGTCCTGGTTCTAAAGTCCTCGCTCACCCACCCGGACTCATTCTCCCCAGACGCCAAGGATGGTGGTCATGGCGCCCCGAACCCTCTTCCTGCTGCTCTCGGGGGCCCTGACCCTGACCGAGACCTGGGCGGGTGAGTGCGGGGTCAGGAGGGAAACAGCCCCTGCGCGGAGGAGGGAGGGGCCGGCCCGGCGGGGGCGCAGGACTCGGCAGCCGCGCCGGGAGGAGGGTCGGGCGGGTCTCAACCCCTCCTCGCCCCCAGGCTCCCACTCCATGAGGTATTTCAGCGCCGCCGTGTCCCGGCCCGGCCGCGGGGAGCCCCGCTTCATCGCCATGGGCTACGTGGACGACACGCAGTTCGTGCGGTTCGACAGCGACTCGGCGTGTCCGAGGATGGAGCCGCGGGCGCCGTGGGTGGAGCAGGAGGGGCCGGAGTATTGGGAAGAGGAGACACGGAACACCAAGGCCCACGCACAGACTGACAGAATGAACCTGCAGACCCTGCGCGGCTACTACAACCAGAGCGAGGCCAGTGAGTAACTCCGGCCCAGGGAGCAGATCACGACCCCCACCTCCATGCCCCACGGACGGCCCGGGTACTCCCGAGTCTCCGGGTCTGGGATCCACCCCGAGGCCGCGGGACCCGCCCAGACCCTCTACCTGGGAGAACCCCAAGGCGCCTTTACCAAAATCCCCGCGGGTGGGTCCGGGCGAGGGCGAGGCTCGGTGGGCGGGGCTGACCGAGGGGGTGGGGCCAGGTTCTCACACCCTCCAGTGGATGATTGGCTGCGACCTGGGGTCCGACGGACGCCTCCTCCGCGGGTATGAACAGTATGCCTACGATGGCAAGGATTACCTCGCCCTGAACGAGGACCTGCGCTCCTGGACCGCAGCGGACACTGCGGCTCAGATCTCCAAGCGCAAGTGTGAGGCGGCCAATGTGGCTGAACAAAGGAGAGCCTACCTGGAGGGCACGTGCGTGGAGTGGCTCCACAGATACCTGGAGAACGGGAAGGAGATGCTGCAGCGCGCGGGTACCAGGGGCAGTGGGGCGCCTCCCTGATCTCCTGTAGACCTCTCAGCCTGGCCTAGCACAAGGAGAGGAGGAAAATGGGACCAACACTAGAATATCGCCCTCCCTCTGGTCCTGAGGGAGAGGAATCCTCCTGGGTTTCCAGATCCTGTACCAGAGAGTGATTCTGAGGGTCCGTCCTGCTCTCTGGGACAATTAAGGGATGAAGTCTCTGAGGGAGTGGAGGGGAAGACAATCCCTGGAAGACTGATCAGGGGTTCCCTTTGACCCCACAGCAGCCTTGGCACCAGGACTTTTCCCCTCAGGCCTTGTTCTCTGCCTCACACTCAATGTGTGTGGGGGTCTGACTCCAGCTCCTCTGAGTCCCTTGGCCTCCACTCAGGTCAGAACCGGAGGTCCCTGCTCCCCCGCTCAGAGACTAGAACTTTCCAAGGAATAGGAGATTATCCCAGGTGCCCGTGTCCAGGCTGGTGTCTGGGTTCTGTGCTCCCTTCCCCACCCCAGGTATCTGGTTCATTCTTAGGATGGTCACATCCAGGTGCTGCTGGAGTGTCCCATGAGAGATGCAAAGTGCTTGAATTTTCTGACTCTTCCTTTCAGACCCCCCCAAGACACACGTGACCCACCACCCTGTCTTTGACTATGAGGCCACCCTGAGGTGCTGGGCCCTGGGCTTCTACCCTGCGGAGATCATACTGACCTGGCAGCGGGATGGGGAGGACCAGACCCAGGACGTGGAGCTCGTGGAGACCAGGCCTGCAGGGGATGGAACCTTCCAGAAGTGGGCAGCTGTGGTGGTGCCTTCTGGAGAGGAGCAGAGATACACGTGCCATGTGCAGCATGAGGGGCTGCCGGAGCCCCTCATGCTGAGATGGAGTAAGGAGGGAGATGGAGGCATCATGTCTGTTAGGGAAAGCAGGAGCCTCTCTGAAGACCTTTAACAGGGTCGGTGGTGAGGGCTGGGGGTCAGAGACCCTCACCTTCACCTCCTTTCCCAGAGCAGTCTTCCCTGCCCACCATCCCCATCATGGGTATCGTTGCTGGCCTGGTTGTCCTTGCAGCTGTAGTCACTGGAGCTGCGGTCGCTGCTGTGCTGTGGAGAAAGAAGAGCTCAGGTAAGGAAGGGGTGACAAGTGGGGTCTGAGTTTTCTTGTCCCACTGGGGGTTTCAAGCCCCAGGTAGAAGTGTGCCCTGCCTGGTTACTGGGAAGCACCATCCACACTCATGGGCCTACCCAGCCTGGGCCCTGTGTGCCAGCACCTTCTCTTTTGTAAAGCACCTGTGACAATGAAGGACAGATTTATTACCTTGATGATTGTAGTGATGGGGACCTGATCCCAGTAATCACAGGTCAGGAGAAGGTCCCTGGCTAAGGACAGACCTTAGGAGGGCAGTTGGTCGAGGACCCACATCTGCTTTCCTTGTTTTTCCTGATCCCGCCCTGGGTCTGCAGTCACACATTTCTGGAAACTTCTCGAGGGTCCAAGACTAGGAGGTTCCTCTAGGACCTCATGGCCCTGCCACCTTTCTGGCCTCTCACAGGACATTTTCTTCCCACAGATTGAAAAGGAGGGAGCTACTCTCAGGCTGCAAGTAAGTATGAAGGAGGCTGATCCCTGAGATCCTTGGGATCTTGTGTTTGGGAGCCCATGGGGGAGCTCACCCACCCCACAATTCCTCCTCTGGCCACATCTCCTGTGGTCTCTGACCAGGTGCTGTTTTTGTTCTACTCTAGGCAGTGACAGTGCCCAGGGCTCTAATGTGTCTCTCACGGCTTGTAAATGTGACACCCCGGGGGGCCTGATGTGTGTGGGTTGTTGAGGGGAACAGGGGACATAGCTGTGCTATGAGGTTTCTTTGACTTCAATGTATTGAGCATGTGATGGGCTGTTTAAAGTGTCACCCCTCACTGTGACTGATATGAATTTGTTCATGAATATTTTTCTGTAGTGTGAAACAGCTGCCCTGTGTGGGACTGAGTGGCAAGTCCCTTTGTGACTTCAAGAACCCTGACTCCTCTTTGTGCAGAGACCAGCCCACCCCTGTGCCCACCATGACCCTCTTCCTCATGCTGAACTGCATTCCTTCCCCAATCACCTTTCCTGTTCCAGAAAAGGGGCTGGGATGTCTCCGTCTCTGTCTCAAATTTGTGGTCCACTGAGCTATAACTTACTTCTGTATTAAAATTAGAATCTGAGTATAAATTTACTTTTTCAAATTATTTCCAAGAGAGATTGATGGGTTAATTAAAGGAGAAGATTCCTGAAATTTGAGAGACAAAATAAATGGAAGACATGAGAACTTTCCACAGTA。
【0089】
ヒトHLA-G転写物バリアント1 - NM_001363567.2(配列番号7);3’-UTR下線(配列番号83)
ATATAGTAACATAGTGTGGTACTTTGTCTTGAGGAGATGTCCTGGACTCACACGGAAACTTAGGGCTACGGAATGAAGACGCCAAGGATGGTGGTCATGGCGCCCCGAACCCTCTTCCTGCTGCTCTCGGGGGCCCTGACCCTGACCGAGACCTGGGCGGGCTCCCACTCCATGAGGTATTTCAGCGCCGCCGTGTCCCGGCCCGGCCGCGGGGAGCCCCGCTTCATCGCCATGGGCTACGTGGACGACACGCAGTTCGTGCGGTTCGACAGCGACTCGGCGTGTCCGAGGATGGAGCCGCGGGCGCCGTGGGTGGAGCAGGAGGGGCCGGAGTATTGGGAAGAGGAGACACGGAACACCAAGGCCCACGCACAGACTGACAGAATGAACCTGCAGACCCTGCGCGGCTACTACAACCAGAGCGAGGCCAGTTCTCACACCCTCCAGTGGATGATTGGCTGCGACCTGGGGTCCGACGGACGCCTCCTCCGCGGGTATGAACAGTATGCCTACGATGGCAAGGATTACCTCGCCCTGAACGAGGACCTGCGCTCCTGGACCGCAGCGGACACTGCGGCTCAGATCTCCAAGCGCAAGTGTGAGGCGGCCAATGTGGCTGAACAAAGGAGAGCCTACCTGGAGGGCACGTGCGTGGAGTGGCTCCACAGATACCTGGAGAACGGGAAGGAGATGCTGCAGCGCGCGGACCCCCCCAAGACACACGTGACCCACCACCCTGTCTTTGACTATGAGGCCACCCTGAGGTGCTGGGCCCTGGGCTTCTACCCTGCGGAGATCATACTGACCTGGCAGCGGGATGGGGAGGACCAGACCCAGGACGTGGAGCTCGTGGAGACCAGGCCTGCAGGGGATGGAACCTTCCAGAAGTGGGCAGCTGTGGTGGTGCCTTCTGGAGAGGAGCAGAGATACACGTGCCATGTGCAGCATGAGGGGCTGCCGGAGCCCCTCATGCTGAGATGGAAGCAGTCTTCCCTGCCCACCATCCCCATCATGGGTATCGTTGCTGGCCTGGTTGTCCTTGCAGCTGTAGTCACTGGAGCTGCGGTCGCTGCTGTGCTGTGGAGAAAGAAGAGCTCAGATTGAAAAGGAGGGAGCTACTCTCAGGCTGCAATGTGAAACAGCTGCCCTGTGTGGGACTGAGTGGCAAGTCCCTTTGTGACTTCAAGAACCCTGACTCCTCTTTGTGCAGAGACCAGCCCACCCCTGTGCCCACCATGACCCTCTTCCTCATGCTGAACTGCATTCCTTCCCCAATCACCTTTCCTGTTCCAGAAAAGGGGCTGGGATGTCTCCGTCTCTGTCTCAAATTTGTGGTCCACTGAGCTATAACTTACTTCTGTATTAAAATTAGAATCTGAGTATAAA。
【0090】
ヒトHLA-G転写物バリアント2 - NM_002127.6(配列番号8);3’-UTR下線(配列番号84)
ATATAGTAACATAGTGTGGTACTTTGTCTTGAGGAGATGTCCTGGACTCACACGGAAACTTAGGGCTACGGAATGAAGTTCTCACTCCCATTAGGTGACAGGTTTTTAGAGAAGCCAATCAGCGTCGCCGCGGTCCTGGTTCTAAAGTCCTCGCTCACCCACCCGGACTCATTCTCCCCAGACGCCAAGGATGGTGGTCATGGCGCCCCGAACCCTCTTCCTGCTGCTCTCGGGGGCCCTGACCCTGACCGAGACCTGGGCGGGCTCCCACTCCATGAGGTATTTCAGCGCCGCCGTGTCCCGGCCCGGCCGCGGGGAGCCCCGCTTCATCGCCATGGGCTACGTGGACGACACGCAGTTCGTGCGGTTCGACAGCGACTCGGCGTGTCCGAGGATGGAGCCGCGGGCGCCGTGGGTGGAGCAGGAGGGGCCGGAGTATTGGGAAGAGGAGACACGGAACACCAAGGCCCACGCACAGACTGACAGAATGAACCTGCAGACCCTGCGCGGCTACTACAACCAGAGCGAGGCCAGTTCTCACACCCTCCAGTGGATGATTGGCTGCGACCTGGGGTCCGACGGACGCCTCCTCCGCGGGTATGAACAGTATGCCTACGATGGCAAGGATTACCTCGCCCTGAACGAGGACCTGCGCTCCTGGACCGCAGCGGACACTGCGGCTCAGATCTCCAAGCGCAAGTGTGAGGCGGCCAATGTGGCTGAACAAAGGAGAGCCTACCTGGAGGGCACGTGCGTGGAGTGGCTCCACAGATACCTGGAGAACGGGAAGGAGATGCTGCAGCGCGCGGACCCCCCCAAGACACACGTGACCCACCACCCTGTCTTTGACTATGAGGCCACCCTGAGGTGCTGGGCCCTGGGCTTCTACCCTGCGGAGATCATACTGACCTGGCAGCGGGATGGGGAGGACCAGACCCAGGACGTGGAGCTCGTGGAGACCAGGCCTGCAGGGGATGGAACCTTCCAGAAGTGGGCAGCTGTGGTGGTGCCTTCTGGAGAGGAGCAGAGATACACGTGCCATGTGCAGCATGAGGGGCTGCCGGAGCCCCTCATGCTGAGATGGAAGCAGTCTTCCCTGCCCACCATCCCCATCATGGGTATCGTTGCTGGCCTGGTTGTCCTTGCAGCTGTAGTCACTGGAGCTGCGGTCGCTGCTGTGCTGTGGAGAAAGAAGAGCTCAGATTGAAAAGGAGGGAGCTACTCTCAGGCTGCAATGTGAAACAGCTGCCCTGTGTGGGACTGAGTGGCAAGTCCCTTTGTGACTTCAAGAACCCTGACTCCTCTTTGTGCAGAGACCAGCCCACCCCTGTGCCCACCATGACCCTCTTCCTCATGCTGAACTGCATTCCTTCCCCAATCACCTTTCCTGTTCCAGAAAAGGGGCTGGGATGTCTCCGTCTCTGTCTCAAATTTGTGGTCCACTGAGCTATAACTTACTTCTGTATTAAAATTAGAATCTGAGTATAAA。
【0091】
ヒトHLA-G転写物バリアント3 - NM_001384280.1(配列番号9);3’-UTR下線(配列番号85)
ATAGTAGCAGGACCACTATAGAGAGAACACTCATGTAGCAGGTCATGGAACAGTGCTAGAGCCACAGTTCAGGAATGTCCTGGACTCACACGGAAACTTAGGGCTACGGAATGAAGACGCCAAGGATGGTGGTCATGGCGCCCCGAACCCTCTTCCTGCTGCTCTCGGGGGCCCTGACCCTGACCGAGACCTGGGCGGGCTCCCACTCCATGAGGTATTTCAGCGCCGCCGTGTCCCGGCCCGGCCGCGGGGAGCCCCGCTTCATCGCCATGGGCTACGTGGACGACACGCAGTTCGTGCGGTTCGACAGCGACTCGGCGTGTCCGAGGATGGAGCCGCGGGCGCCGTGGGTGGAGCAGGAGGGGCCGGAGTATTGGGAAGAGGAGACACGGAACACCAAGGCCCACGCACAGACTGACAGAATGAACCTGCAGACCCTGCGCGGCTACTACAACCAGAGCGAGGCCAGTTCTCACACCCTCCAGTGGATGATTGGCTGCGACCTGGGGTCCGACGGACGCCTCCTCCGCGGGTATGAACAGTATGCCTACGATGGCAAGGATTACCTCGCCCTGAACGAGGACCTGCGCTCCTGGACCGCAGCGGACACTGCGGCTCAGATCTCCAAGCGCAAGTGTGAGGCGGCCAATGTGGCTGAACAAAGGAGAGCCTACCTGGAGGGCACGTGCGTGGAGTGGCTCCACAGATACCTGGAGAACGGGAAGGAGATGCTGCAGCGCGCGGACCCCCCCAAGACACACGTGACCCACCACCCTGTCTTTGACTATGAGGCCACCCTGAGGTGCTGGGCCCTGGGCTTCTACCCTGCGGAGATCATACTGACCTGGCAGCGGGATGGGGAGGACCAGACCCAGGACGTGGAGCTCGTGGAGACCAGGCCTGCAGGGGATGGAACCTTCCAGAAGTGGGCAGCTGTGGTGGTGCCTTCTGGAGAGGAGCAGAGATACACGTGCCATGTGCAGCATGAGGGGCTGCCGGAGCCCCTCATGCTGAGATGGAAGCAGTCTTCCCTGCCCACCATCCCCATCATGGGTATCGTTGCTGGCCTGGTTGTCCTTGCAGCTGTAGTCACTGGAGCTGCGGTCGCTGCTGTGCTGTGGAGAAAGAAGAGCTCAGATTGAAAAGGAGGGAGCTACTCTCAGGCTGCAATGTGAAACAGCTGCCCTGTGTGGGACTGAGTGGCAAGTCCCTTTGTGACTTCAAGAACCCTGACTCCTCTTTGTGCAGAGACCAGCCCACCCCTGTGCCCACCATGACCCTCTTCCTCATGCTGAACTGCATTCCTTCCCCAATCACCTTTCCTGTTCCAGAAAAGGGGCTGGGATGTCTCCGTCTCTGTCTCAAATTTGTGGTCCACTGAGCTATAACTTACTTCTGTATTAAAATTAGAATCTGAGTATAAA。
【0092】
ヒトHLA-G転写物バリアント4-NM_001384290.1(配列番号10);3’-UTR下線(配列番号86)
ATTCTCCCCAGACGCCAAGGATGGTGGTCATGGCGCCCCGAACCCTCTTCCTGCTGCTCTCGGGGGCCCTGACCCTGACCGAGACCTGGGCGGGCTCCCACTCCATGAGGTATTTCAGCGCCGCCGTGTCCCGGCCCGGCCGCGGGGAGCCCCGCTTCATCGCCATGGGCTACGTGGACGACACGCAGTTCGTGCGGTTCGACAGCGACTCGGCGTGTCCGAGGATGGAGCCGCGGGCGCCGTGGGTGGAGCAGGAGGGGCCGGAGTATTGGGAAGAGGAGACACGGAACACCAAGGCCCACGCACAGACTGACAGAATGAACCTGCAGACCCTGCGCGGCTACTACAACCAGAGCGAGGCCAGTTCTCACACCCTCCAGTGGATGATTGGCTGCGACCTGGGGTCCGACGGACGCCTCCTCCGCGGGTATGAACAGTATGCCTACGATGGCAAGGATTACCTCGCCCTGAACGAGGACCTGCGCTCCTGGACCGCAGCGGACACTGCGGCTCAGATCTCCAAGCGCAAGTGTGAGGCGGCCAATGTGGCTGAACAAAGGAGAGCCTACCTGGAGGGCACGTGCGTGGAGTGGCTCCACAGATACCTGGAGAACGGGAAGGAGATGCTGCAGCGCGCGGACCCCCCCAAGACACACGTGACCCACCACCCTGTCTTTGACTATGAGGCCACCCTGAGGTGCTGGGCCCTGGGCTTCTACCCTGCGGAGATCATACTGACCTGGCAGCGGGATGGGGAGGACCAGACCCAGGACGTGGAGCTCGTGGAGACCAGGCCTGCAGGGGATGGAACCTTCCAGAAGTGGGCAGCTGTGGTGGTGCCTTCTGGAGAGGAGCAGAGATACACGTGCCATGTGCAGCATGAGGGGCTGCCGGAGCCCCTCATGCTGAGATGGAAGCAGTCTTCCCTGCCCACCATCCCCATCATGGGTATCGTTGCTGGCCTGGTTGTCCTTGCAGCTGTAGTCACTGGAGCTGCGGTCGCTGCTGTGCTGTGGAGAAAGAAGAGCTCAGATTGAAAAGGAGGGAGCTACTCTCAGGCTGCAATGTGAAACAGCTGCCCTGTGTGGGACTGAGTGGCAAGTCCCTTTGTGACTTCAAGAACCCTGACTCCTCTTTGTGCAGAGACCAGCCCACCCCTGTGCCCACCATGACCCTCTTCCTCATGCTGAACTGCATTCCTTCCCCAATCACCTTTCCTGTTCCAGAAAAGGGGCTGGGATGTCTCCGTCTCTGTCTCAAATTTGTGGTCCACTGAGCTATAACTTACTTCTGTATTAAAATTAGAATCTGAGTATAAA。
【0093】
一部の実施形態では、HLA-Gをコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTRの欠失を含む。一部の実施形態では、欠失は、3’-UTRの1つまたは複数のフラグメントの欠失を含む。一部の実施形態では、欠失は、3’-UTRの完全な欠失である。一部の実施形態では、HLA-Gをコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTRにおける配列の逆位を含む。一部の実施形態では、HLA-Gをコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTRにおけるフラグメントの逆位を含む。一部の実施形態では、HLA-Gをコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTR全体の逆位を含む。一部の実施形態では、HLA-Gをコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTR全体の配列の転座を含む。一部の実施形態では、HLA-Gをコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTRにおける1つまたは複数のヌクレオチドの置換を含む。一部の実施形態では、HLA-Gをコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTRにおける1つまたは複数のヌクレオチドの挿入を含む。
【0094】
一部の実施形態では、本開示は、HLA-G 3’-UTRのヌクレオチド位置+3001、+3003、+3010、+3027、+3032、+3035、+3052、+3092、+3111、+3121、+3142、+3177、+3183、+3187、+3196、および+3227のいずれかが欠失または代替ヌクレオチドで置換された細胞を企図する。一部の実施形態では、本開示は、細胞のHLA-G 3’-UTRの1つまたは両方のコピーが、+3003T、+3010G、+3010C、+3035C、+3142C、+3142G、+3187G、+3187A、+3196C、+3196G、+3227G、+3227Aのいずれか1つまたは組合せを含む細胞を企図する。一部の実施形態では、本開示は、HLA-G 3’-UTRのヌクレオチド位置+3001、+3003、+3010、+3027、+3032、+3035、+3052、+3092、+3111、+3121、+3142、+3177、+3183、+3187、+3196、および+3227のいずれかが欠失または代替ヌクレオチドで置換され、マイクロRNA(例えば、miR-133A、miR-148A、miR-148B、miR-152、miR-548qおよび/またはmiR-628-5pのいずれか1つまたは複数)が、HLA-G RNA転写物の3’-UTRに結合できないか、または結合が有意に減少するようになっている細胞を企図する。一部の実施形態では、本開示は、HLA-G 3’-UTRの位置+2961から始まり、位置+2961を含む、少なくとも5、8、10、12、14、20の連続的なヌクレオチドが欠失した細胞、および/または位置+2961に少なくとも5、8、10、12、14、20のヌクレオチドが挿入された細胞を企図する。一部の実施形態では、本開示は、配列番号74と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である配列に対応する核酸配列に、少なくとも1つの挿入、欠失、置換、転座が導入された細胞を企図する。一部の実施形態では、本開示は、配列番号75(ATTTGTTCATGCCT)の少なくとも1、3、5、8、10、12または14ヌクレオチドが、核酸中に存在しない(例えば、核酸から欠失されている)、配列番号74と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である配列を含む核酸を含む(例えば、配列番号74と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である配列を含む核酸から、配列番号75の全てが欠失されている)細胞を企図する。一部の実施形態では、細胞は、配列番号74と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である、配列の120位に対応する位置にGが存在する核酸を含む。一部の実施形態では、細胞は、配列番号74と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である配列の252位に対応する位置にCが存在する核酸を含む。一部の実施形態では、細胞は、配列番号74と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である配列の297位に対応する位置にGが存在する核酸を含む。一部の実施形態では、細胞は、配列番号74と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である配列の306位に対応する位置にGが存在する核酸を含む。例えば、Porasら, 2017年, PLOS One, DOI:10.1371/journal.pone.0169032;Schwichら, 2019年、Scientific Reports, 9:5407頁を参照されたい。一部の実施形態では、細胞は、この段落に列挙された上記遺伝子エレメントのいずれか1つまたはその組合せに対してヘテロ接合体である。一部の実施形態では、細胞は、この段落に列挙された上記遺伝子エレメントのいずれか1つまたはその組合せに対してホモ接合体である。
【0095】
配列番号74
ATTGAAAAGGAGGGAGCTACTCTCAGGCTGCAATGTGAAACAGCTGCCCTGTGTGGGACTGAGTGGCAAGATTTGTTCATGCCTTCCCTTTGTGACTTCAAGAACCCTGACTTCTCTTTCTGCAGAGACCAGCCCACCCCTGTGCCCACCATGACCCTCTTCCTCATGCTGAACTGCATTCCTTCCCCAATCACCTTTCCTGTTCCAGAAAAGGGGCTGGGATGTCTCCGTCTCTGTCTCAAATTTGTGGTGCACTGAGCTATAACTTACTTCTGTATTAAAATTAGAATCTGAGTATAAATTTACTTTTTCAAATTATTTCCAAGAGAGATTGATGGGTTAATTAAAGGAGAAGATTCCTGAAATTTGAGAGACAAAATAAATGGAAGAC。
【0096】
一部の実施形態では、対立遺伝子HLA-Gの3’-UTRにおける破壊は、細胞、単離された幹細胞、および単離された幹細胞から分化した細胞において、HLA-Gの発現の増加(例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍またはそれ以上の増加)をもたらす。一部の実施形態では、HLA-Gの発現の増加は、インターフェロンガンマによって誘導または増加される。
【0097】
一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞(例えば、単離された幹細胞)は、任意の因子(例えば、タンパク質またはRNA)の追加の外因性発現を含まない。一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された細胞(例えば、幹細胞)は、そのゲノムのどこにも外因性ヌクレオチド配列の挿入を含まない。一部の実施形態では、本開示は、細胞のゲノム中の2つ以上の対立遺伝子の3’-UTR、例えば、PD-L1、CD47、またはHLA-Gのいずれかをコードする対立遺伝子の2つ以上の3’-UTRにおける破壊を含む、単離された細胞(例えば、幹細胞)を提供する。
【0098】
一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞(例えば、単離された幹細胞)は、PDL2をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊を含む。一部の実施形態では、破壊はホモ接合体改変である。一部の実施形態では、破壊はヘテロ接合体改変である。一部の実施形態では、PDL2をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTRの欠失を含む。一部の実施形態では、欠失は、3’-UTRの1つまたは複数のフラグメントの欠失を含む。一部の実施形態では、欠失は、3’-UTRの完全な欠失である。一部の実施形態では、PDL2をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTRにおける配列の逆位を含む。一部の実施形態では、PDL2をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTRにおけるフラグメントの逆位を含む。一部の実施形態では、PDL2をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTR全体の逆位を含む。一部の実施形態では、PDL2をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTR全体の配列の転座を含む。一部の実施形態では、PDL2をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTRにおける1つまたは複数のヌクレオチドの置換を含む。一部の実施形態では、PDL2をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTRにおける1つまたは複数のヌクレオチドの挿入を含む。一部の実施形態では、本明細書で言及されるPDL2の3’-UTRは、配列番号76、および90~96のヌクレオチド配列またはその一部と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である配列を含む。
【0099】
配列番号76(受託番号NM_025239)
GGCAAGTTGGACGCCCGCAAGATCCGCGAGATTCTCATTAAGGCCAAGAAGGGCGGAAAGATCGCCGTGTAACAATTGGCAGAGCTCAGAATTCAAGCGATCGCCACAAAGAGGGAAGTGAACAGTGCTATCTGAACCTGTGGTCTTGGGAGCCAGGGTGACCTGATATGACATCTAAAGAAGCTTCTGGACTCTGAACAAGAATTCGGTGGCCTGCAGAGCTTGCCATTTGCACTTTTCAAATGCCTTTGGATGACCCAGCACTTTAATCTGAAACCTGCAACAAGACTAGCCAACACCTGGCCATGAAACTTGCCCCTTCACTGATCTGGACTCACCTCTGGAGCCTATGGCTTTAAGCAAGCACTACTGCACTTTACAGAATTACCCCACTGGATCCTGGACCCACAGAATTCCTTCAGGATCCTTCTTGCTGCCAGACTGAAAGCAAAAGGAATTATTTCCCCTCAAGTTTTCTAAGTGATTTCCAAAAGCAGAGGTGTGTGGAAATTTCCAGTAACAGAAACAGATGGGTTGCCAATAGAGTTATTTTTTATCTATAGCTTCCTCTGGGTACTAGAAGAGGCTATTGAGACTATGAGCTCACAGACAGGGCTTCGCACAAACTCAAATCATAATTGACATGTTTTATGGATTACTGGAATCTTGATAGCATAATGAAGTTGTTCTAATTAACAGAGAGCATTTAAATATACACTAAGTGCACAAATTGTGGAGTAAAGTCATCAAGCTCTGTTTTTGAGGTCTAAGTCACAAAGCATTTGTTTTAACCTGTAATGGCACCATGTTTAATGGTGGTTTTTTTTTTGAACTACATCTTTCCTTTAAAAATTATTGGTTTCTTTTTATTTGTTTTTACCTTAGAAATCAATTATATACAGTCAAAAATATTTGATATGCTCATACGTTGTATCTGCAGCAATTTCAGATAAGTAGCTAAAATGGCCAAAGCCCCAAACTAAGCCTCCTTTTCTGGCCCTCAATATGACTTTAAATTTGACTTTTCAGTGCCTCAGTTTGCACATCTGTAATACAGCAATGCTAAGTAGTCAAGGCCTTTGATAATTGGCACTATGGAAATCCTGCAAGATCCCACTACATATGTGTGGAGCAGAAGGGTAACTCGGCTACAGTAACAGCTTAATTTTGTTAAATTTGTTCTTTATACTGGAGCCATGAAGCTCAGAGCATTAGCTGACCCTTGAACTATTCAAATGGGCACATTAGCTAGTATAACAGACTTACATAGGTGGGCCTAAAGCAAGCTCCTTAACTGAGCAAAATTTGGGGCTTATGAGAATGAAAGGGTGTGAAATTGACTAACAGACAAATCATACATCTCAGTTTCTCAATTCTCATGTAAATCAGAGAATGCCTTTAAAGAATAAAACTCAATTGTTATTCTTCAACGTTCTTTATATATTCTACTTTTGGGTAACGCGTAAGCGGCCGCGGCATCTAGATTCGAAGAAAATGACCGACCAAGCGACGCCCAACCTGCCATCACGAGATTTCGATTCCACCGCCGCCTTCTATGAAAGG。
【0100】
一部の実施形態では、細胞は、配列番号76のヌクレオチド581~603に対応するヌクレオチドの破壊を含む。一部の実施形態では、細胞は、配列番号76のヌクレオチド362~387に対応するヌクレオチドの破壊を含む。一部の実施形態では、細胞は、配列番号76のヌクレオチド394~416に対応するヌクレオチドの破壊を含む。一部の実施形態では、細胞は、配列番号76のヌクレオチド699~723に対応するヌクレオチドの破壊を含む。一部の実施形態では、細胞は、配列番号76のヌクレオチド1333~1353に対応するヌクレオチドの破壊を含む。一部の実施形態では、細胞は、配列番号76のヌクレオチド686~709に対応するヌクレオチドの破壊を含む。一部の実施形態では、細胞は、配列番号76のヌクレオチド764~785に対応するヌクレオチドの破壊を含む。一部の実施形態では、本開示は、PDL2 3’-UTRの配列番号90(AAGAGGCTATTGAGACTATGAGC)が、1つまたは複数のヌクレオチド欠失、挿入、および/または置換を含む細胞を企図する。一部の実施形態では、本開示は、PDL2 3’-UTRの配列番号91(AAGCACTACTGCACTTTACAGAATTA)が1つまたは複数のヌクレオチド欠失、挿入、および/または置換を含む細胞を企図する。一部の実施形態では、本開示は、PDL2 3’-UTRの配列番号92(TGGATCCTGGACCCACAGAATTC)が1つまたは複数のヌクレオチド欠失、挿入、および/または置換を含む細胞を企図する。一部の実施形態では、本開示は、PDL2 3’-UTRの配列番号93(GAGAGCATTTAAATATACACTAAGT)が、1つまたは複数のヌクレオチド欠失、挿入、および/または置換を含む細胞を企図する。一部の実施形態では、本開示は、PDL2 3’-UTRの配列番号94(GAAATTGACTAACAGACAAAT)が、1つまたは複数のヌクレオチド欠失、挿入、および/または置換を含む細胞を企図する。一部の実施形態では、本開示は、PDL2 3’-UTRの配列番号95(GTTCTAATTAACAGAGCATTTA)が、1つまたは複数のヌクレオチド欠失、挿入、および/または置換を含む細胞を企図する。一部の実施形態では、本開示は、PDL2 3’-UTRの配列番号96(GGTCTAAGTCACAAAGCATTTG)が1つまたは複数のヌクレオチド欠失、挿入、および/または置換を含む細胞を企図する。一部の実施形態では、細胞は、内因性マイクロRNAが細胞において結合を減少または消失させるように、76または90~96のいずれか1つにおける1つまたは複数のヌクレオチド欠失、挿入、および/または置換を含む。一部の実施形態では、内因性マイクロRNAは、miR-BHRF1-2-5p、miR-BART1-5p、miR-BART7-3p、および/またはmiR-BART14-3pのいずれか1つまたは複数である。
【0101】
一部の実施形態では、本開示は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23もしくは24、または全てのヌクレオチドが配列番号PDL2 3’-UTRの76および90~96のいずれか1つからヌクレオチドが欠失されている細胞を提供する。一部の実施形態では、本開示は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23もしくは24または全てのヌクレオチドがPDL2 3’-UTRの配列番号76および90~96のいずれか1つにおいて置換されている細胞を提供する。一部の実施形態では、本開示は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23もしくは24または全てのヌクレオチドがPDL2 3’-UTRの配列番号76および90~96に挿入されている細胞を提供する。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Cristino, 2019年, Blood, 134(25):2261~2270頁を参照されたい。PDL2 3’-UTRの配列番号76および90~96の配列は、細胞内で天然に存在するヌクレオチド配列に由来するため、細胞内の核酸は、これらの参照配列と比較して何らかの差異(例えば、多型)を有する可能性があることは留意されたい。したがって、本開示は、細胞が、改変前のPDL2 3’-UTRの配列番号76および90~96のいずれかの参照配列と比較して、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つ以下のヌクレオチドの差異を有するヌクレオチド配列を含み得ることを企図する。一部の実施形態では、細胞は、この段落に列挙された上記の遺伝子エレメントのいずれか1つまたはその組合せに対してヘテロ接合体である。一部の実施形態では、細胞は、この段落に列挙された上記の遺伝子エレメントのいずれか1つまたはその組合せに対してホモ接合体である。
【0102】
一部の実施形態では、PDL2をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、細胞、単離された幹細胞、または単離された幹細胞から分化した細胞におけるPDL2の発現の増加(例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍またはそれ以上の増加)をもたらす。一部の実施形態では、PDL2の発現の増加は、インターフェロンガンマによって誘導または増加される。
【0103】
一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞(例えば、単離された幹細胞)は、IL-10をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊を含む。一部の実施形態では、破壊はホモ接合体改変である。一部の実施形態では、破壊はヘテロ接合体改変である。一部の実施形態では、IL-10をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTRの欠失を含む。一部の実施形態では、欠失は、3’-UTRの1つまたは複数のフラグメントの欠失を含む。一部の実施形態では、欠失は、3’-UTRの完全な欠失である。一部の実施形態では、IL-10をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTRにおける配列の逆位を含む。一部の実施形態では、IL-10をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTRにおけるフラグメントの逆位を含む。一部の実施形態では、IL-10をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTR全体の逆位を含む。一部の実施形態では、IL-10をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTR全体の配列の転座を含む。一部の実施形態では、IL-10をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTRにおける1つまたは複数のヌクレオチドの置換を含む。一部の実施形態では、IL-10をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、3’-UTRにおける1つまたは複数のヌクレオチドの挿入を含む。一部の実施形態では、本明細書で言及されるIL-10の3’-UTRは、配列番号77、97、またはTACCTCAのヌクレオチド配列またはその一部と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である配列を含む。
【0104】
配列番号77
GACATCAGGGTGGCGACTCTATAGACTCTAGGACATAAATTAGAGGTCTCCAAAATCGGATCTGGGGCTCTGGGATAGCTGACCCAGCCCCTTGAGAAACCTTATTGTACCTCTCTTATAGAATATTTATTACCTCTGATACCTCAACCCCCATTTCTATTTATTTACTGAGCTTCTCTGTGAACGATTTAGAAAGAAGCCCAATATTATAATTTTTTTCAATATTTATTATTTTCACCTGTTTTTAAGCTGTTTCCATAGGGTGACACACTATGGTATTTGAGTGTTTTAAGATAAATTATAAGTTACATAAGGGAGGAAAAAAAATGTTCTTTGGGGAGCCAACAGAAGCTTCCATTCCAAGCCTGACCACGCTTTCTAGCTGTTGAGCTGTTTTCCCTGACCTCCCTCTAATTTATCTTGTCTCTGGGCTTGGGGCTTCCTAACTGCTACAAATACTCTTAGGAAGAGAAACCAGGGAGCCCCTTTGATGATTAATTCACCTTCCAGTGTCTCGGAGGGATTCCCCTAACCTCATTCCCCAACCACTTCATTCTTGAAAGCTGTGGCCAGCTTGTTATTTATAACAACCTAAATTTGGTTCTAGGCCGGGCGCGGTGGCTCACGCCTGTAATCCCAGCACTTTGGGAGGCTGAGGCGGGTGGATCACTTGAGGTCAGGAGTTCCTAACCAGCCTGGTCAACATGGTGAAACCCCGTCTCTACTAAAAATACAAAAATTAGCCGGGCATGGTGGCGCGCACCTGTAATCCCAGCTACTTGGGAGGCTGAGGCAAGAGAATTGCTTGAACCCAGGAGATGGAAGTTGCAGTGAGCTGATATCATGCCCCTGTACTCCAGCCTGGGTGACAGAGCAAGACTCTGTCTCAAAAAATAAAAATAAAAATAAATTTGGTTCTAATAGAACTCAGTTTTAACTAGAATTTATTCAATTCCTCTGGGAATGTTACATTGTTTGTCTGTCTTCATAGCAGATTTTAATTTTGAATAAATAAATGTATCTTATTCACATC。
【0105】
一部の実施形態では、細胞は、配列番号77のヌクレオチド125~147に対応するヌクレオチドの破壊を含む。一部の実施形態では、本開示は、IL-10 3’-UTRの配列番号97(ATTTATTACCTCTGATACCTCAA)が、1つまたは複数のヌクレオチド欠失、挿入、および/または置換を含む細胞を企図する。一部の実施形態では、本開示は、IL-10 3’-UTRのTACCTCAが1つまたは複数のヌクレオチド欠失、挿入、および/または置換を含む細胞を企図する。一部の実施形態では、細胞は、内因性マイクロRNAが細胞において結合を減少または消失させるように、77、97、またはTACCTCAのいずれか1つにおいて1つまたは複数のヌクレオチド欠失、挿入、および/または置換を含む。一部の実施形態では、内因性マイクロRNAは、let-7b、let-7c、またはlet-7fのいずれか1つまたは複数である。
【0106】
一部の実施形態では、本開示は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23もしくは24、または全てのヌクレオチドがIL-10 3’-UTRの配列番号77、97、またはTACCTCAのいずれか1つからヌクレオチドが欠失されている細胞を提供する。一部の実施形態では、本開示は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23もしくは24または全てのヌクレオチドがIL-10 3’-UTRの配列番号77、97、またはTACCTCAのいずれか1つにおいて置換されている細胞を提供する。一部の実施形態では、本開示は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23もしくは24または全てのヌクレオチドがIL-10 3’-UTRの配列番号77、97、またはTACCTCAのいずれか1つに挿入されている細胞を提供する。例えば、参照により全体が本明細書中に組み込まれる、Swaminathanら, 2012年, J. Immunol., 188(12):6238~6246頁を参照されたい。なお、IL-10 3’-UTRの配列番号77、97、またはTACCTCAの配列は、細胞中の天然に存在するヌクレオチド配列に由来するため、細胞中の核酸は、これらの参照配列と比較して、いくらかの差異(例えば、多型)を有する可能性があることは留意されたい。したがって、本開示は、細胞が、改変前のIL-10 3’-UTRの配列番号77、97、またはTACCTCAのいずれかの参照配列と比較して、1、2、3、4、5、または6つ以下のヌクレオチドの差異を有するヌクレオチド配列を含み得ることを企図する。一部の実施形態では、細胞は、この段落に列挙された上記の遺伝子エレメントのいずれか1つまたはその組合せに対してヘテロ接合体である。一部の実施形態では、細胞は、この段落に列挙された上記の遺伝子エレメントのいずれか1つまたはその組合せに対してホモ接合体である。
【0107】
一部の実施形態では、IL-10をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊は、細胞、単離された幹細胞、または単離された幹細胞から分化した細胞におけるIL-10の発現の増加(例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍またはそれ以上の増加)をもたらす。一部の実施形態では、IL-10の発現の増加は、インターフェロンガンマによって誘導または増加される。
【0108】
一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞(例えば、単離された幹細胞)は、1つまたは複数の免疫抑制因子の外因性発現をさらに含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞(例えば、単離された幹細胞)は、そのゲノム中に1つまたは複数の免疫抑制因子をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドの挿入をさらに含む。外因性発現のための1つまたは複数の免疫抑制因子の非限定的な例としては、CD47、PDL1、PDL2、CTLA-4、HLA-C、HLA-E、HLA-G、C1阻害剤、IL-35、DUX4、IDO1、IL10、CCL21、CCL22、CD16、CD52、H2-M3、CD200、FASLG、MFGE8、およびSERPINB9が挙げられる。免疫抑制因子(例えば、CD47、PDL1、CTLA-4、HLA-C、HLA-E、HLA-G、C1阻害剤、またはIL-35)をコードするヌクレオチド配列は、当技術分野で公知である。一部の実施形態では、細胞は、TGFβ、CD73、CD39、LAG3、IL1R2、ACKR2、TNFRSF22、TNFRSF23、TNFRS10、DAD1、および/またはIFNγR1 d39のうちの1つまたは複数をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドの挿入を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞(例えば、単離された幹細胞)のゲノムに挿入される1つまたは複数の免疫抑制因子をコードするヌクレオチド配列は、改変される(例えば、コドン最適化される)。
【0109】
一部の実施形態では、外因性発現のための1つまたは複数の免疫抑制因子は、CD47、PDL1、および/またはCTLA-4である。CD47タンパク質の異なるアイソフォームをコードするヌクレオチド配列の非限定的な例は、NCBI受託番号NM_001777.4(配列番号4)、NM_198793.3(配列番号5)、またはNM_001382306.1(配列番号6)に示されている。PDL1タンパク質の異なるアイソフォームをコードするヌクレオチド配列の非限定的な例は、NCBI受託番号NM_014143.4(配列番号1)、NM_001267706.2(配列番号2)、またはNM_001314029.2(配列番号3)に記載されている。HLA-Gタンパク質の異なるアイソフォームをコードするヒトヌクレオチド配列の非限定的な例は、NCBI受託番号NM_001363567.2(配列番号7)、NM_002127.6(配列番号8)、NM_001384280.1(配列番号9)、またはNM_001384290.1(配列番号10)に示される。CTLA-4タンパク質の異なるアイソフォームをコードするヒトヌクレオチド配列の非限定的な例は、NCBI受託番号NM_001037631.3(配列番号11)またはNM_005214.5(配列番号12)に示される。
【0110】
CD47タンパク質の異なるアイソフォームのアミノ酸配列の非限定的な例は、NCBI受託番号NP_001369235.1(配列番号49)、NP_001768.1(配列番号50)、またはNP_942088.1(配列番号51)に示されている。PDL1タンパク質の異なるアイソフォームのアミノ酸配列の非限定的な例は、NCBI受託番号NP_001254635.1(配列番号52)、NP_001300958.1(配列番号53)、またはNP_054862.1(配列番号54)に示される。CTLA-4タンパク質の異なるアイソフォームのアミノ酸配列の非限定的な例は、NCBI受託番号NP_001032720.1(配列番号55)またはNP_005205.2(配列番号56)に示される。
【0111】
一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された細胞(例えば、単離された幹細胞)は、配列番号49~56のいずれか1つのアミノ酸配列、またはそのフラグメントと少なくとも75%(例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%)同一であるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む外来性ポリヌクレオチドの挿入を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された細胞(例えば、単離された幹細胞)は、配列番号49~56のいずれか1つのアミノ酸配列、またはそのフラグメントもしくはバリアントを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む外来性ポリヌクレオチドの挿入を含む。
【0112】
一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された細胞(例えば、単離された幹細胞)は、1つまたは複数の免疫抑制因子(例えばCD47、CTLA-4、PDL1、PDL2、HLA-C、HLA-E、HLA-G、C1阻害剤、IL-35、DUX4、IDO1、IL10、CCL21、CCL22、CD16、CD52、H2-M3、CD200、FASLG、MFGE8、および/またはSERPINB9)をコードするヌクレオチド配列を含む外因性ポリヌクレオチドの、細胞(例えば、幹細胞)内の内因性免疫抑制因子遺伝子(例えば、PDL1、CD47またはHLA-G)の破壊された3’-UTR遺伝子座への挿入をさらに含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の免疫抑制因子(例えば、CD47、CTLA-4、PDL1、PDL2、HLA-C、HLA-E、HLA-G、C1阻害剤、IL-35、DUX4、IDO1、IL10、CCL21、CCL22、CD16、CD52、H2-M3、CD200、FASLG、MFGE8、および/またはSERPINB9)をコードする外因性ポリヌクレオチド配列の細胞における内因性免疫抑制因子遺伝子(例えば、PDL1、CD47またはHLA-G)の破壊された3’-UTR遺伝子座に挿入することにより、両方の免疫抑制因子のコード配列を含むRNA(例えば、mRNA)が得られる。一部の実施形態では、1つまたは複数の免疫抑制因子(例えば、CD47、CTLA-4、PDL1、PDL2、HLA-C、HLA-E、HLA-G、C1阻害剤、IL-35、DUX4、IDO1、IL10、CCL21、CCL22、CD16、CD52、H2-M3、CD200、FASLG、MFGE8、および/またはSERPINB9)をコードする外因性ポリヌクレオチドの細胞における内因性免疫抑制因子遺伝子(例えば、PDL1、CD47またはHLA-G)を破壊された3’-UTR遺伝子座に挿入することによって、外因性ポリヌクレオチドおよび破壊された内因性免疫抑制因子遺伝子の3’-UTR遺伝子座を欠く同じ細胞型の細胞と比較して、外因性ポリヌクレオチドおよび内因性免疫抑制因子遺伝子の細胞発現の増加レベル(例えば少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍以上またはそれ以上の増加)が得られる。
【0113】
一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された細胞(例えば、幹細胞)は、1つまたは複数の免疫抑制因子(例えば、CD47、CTLA-4、PDL1、PDL2、HLA-C、HLA-E、HLA-G、C1阻害剤、IL-35、DUX4、IDO1、IL10、CCL21、CCL22、CD16、CD52、H2-M3、CD200、FASLG、MFGE8、および/またはSERPINB9)をコードするヌクレオチドをセーフハーバー遺伝子座(例えば、AAVS1遺伝子座)に挿入することをさらに含む。本明細書で使用する「セーフハーバー遺伝子座」は、遺伝子または他の遺伝子エレメントを安全に挿入し、発現させることができるゲノム遺伝子座を指す。宿主ゲノムにランダムに挿入された遺伝子または遺伝子エレメントは、宿主遺伝子または宿主遺伝子エレメントと予測不可能な形で相互作用する可能性がある。セーフハーバー遺伝子座は、細胞の健康を著しく損なうことなく外来遺伝子または遺伝子エレメントの適切な発現および機能を保証する、外来遺伝子または遺伝子エレメントを安全に挿入するための公知の部位である。
【0114】
一部の実施形態では、本明細書に開示される単離された細胞のいずれか(例えば、本明細書に開示される幹細胞のいずれか)は、「安全スイッチ」を含む。一部の実施形態では、安全スイッチは、誘導的に細胞死を引き起こすかまたは細胞増殖を停止させるスイッチタンパク質をコードする核酸構築物である。一部の実施形態では、安全スイッチは、操作された細胞のゲノム中の、定義された特定の標的遺伝子座(例えば、セーフハーバー遺伝子座)に、通常は標的遺伝子座の両方の対立遺伝子に挿入される。一部の実施形態では、標的遺伝子座は、ActBまたはCLYBLなどのセーフハーバー遺伝子座である。一部の実施形態では、スイッチタンパク質は、臨床的に許容されるオルソログ小分子の有効量と接触させることによって活性化される。一部の実施形態では、活性化された場合、安全スイッチは、一部の実施形態では細胞のアポトーシスを活性化することによって、細胞の増殖を停止させる。一部の実施形態では、スイッチタンパク質はヘルペス-シンプレックス-チミジンキナーゼを含む。一部の実施形態では、スイッチタンパク質は、ヒトカスパーゼタンパク質、例えば、カスパーゼ1、カスパーゼ2、カスパーゼ3、カスパーゼ4、カスパーゼ5、カスパーゼ6、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9、カスパーゼ10、カスパーゼ14などを含む。ある特定の実施形態では、タンパク質はヒトカスパーゼ9である。一部の実施形態では、カスパーゼタンパク質は、化学的に誘導された二量体化(CID)を提供する配列に融合され、二量体化はオルソログ活性化剤の存在下でのみ起こる。1つまたは複数のCIDドメインがカスパーゼタンパク質に融合され得、例えば、2つの異なるCIDドメインがカスパーゼタンパク質に融合され得る。一部の実施形態では、CIDドメインは、ラパマイシン類似体を用いて活性化される、mTORのFKBPまたはFRB(FKBP-ラパマイシン結合)ドメインの二量体化ドメインである。一部の実施形態では、安全スイッチは、国際出願公開第WO2021/173449号およびJonesら、2014年, Frontiers in Pharmacology, 5(254):1~8頁に記載される安全スイッチのいずれかであり、これらの各々はその全体が本明細書に組み込まれる。
【0115】
一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された細胞(例えば、幹細胞)のいずれかは、PDL1をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊(例えば、欠失、挿入、転座、逆位、または置換)を含み、PDL1の破壊された3’-UTR遺伝子座におけるCD47をコードするポリヌクレオチドの挿入をさらに含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された細胞(例えば、幹細胞)のいずれかは、PDL1をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊(例えば、欠失、挿入、転座、逆位、または置換)を含み、セーフハーバー遺伝子座におけるCD47をコードするポリヌクレオチドの挿入をさらに含む。
【0116】
一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された細胞(例えば、幹細胞)のいずれかは、PDL1をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊(例えば、欠失、挿入、転座、逆位、または置換)を含み、PDL1の破壊された3’-UTR遺伝子座におけるCTLA-4をコードするポリヌクレオチドの挿入をさらに含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された細胞(例えば、幹細胞)のいずれかは、PDL1をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊(例えば、欠失、挿入、転座、逆位、または置換)を含み、セーフハーバー遺伝子座におけるCTLA-4をコードするポリヌクレオチドの挿入をさらに含む。
【0117】
一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された細胞(例えば、幹細胞)のいずれかは、PDL1をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊(例えば、欠失、挿入、転座、逆位、または置換)を含み、PDL1の破壊された3’-UTR遺伝子座におけるPDL1をコードするポリヌクレオチドの挿入をさらに含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された細胞(例えば、幹細胞)のいずれかは、PDL1をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊(例えば、欠失、挿入、転座、逆位、または置換)を含み、セーフハーバー遺伝子座におけるPDL1をコードするポリヌクレオチドの挿入をさらに含む。
【0118】
一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された細胞(例えば、幹細胞)のいずれかは、CD47をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊(例えば、欠失、挿入、転座、逆位、または置換)を含み、CD47の破壊された3’-UTR遺伝子座におけるCD47をコードするポリヌクレオチドの挿入をさらに含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された細胞(例えば、幹細胞)のいずれかは、CD47をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊(例えば、欠失、挿入、転座、逆位、または置換)を含み、セーフハーバー遺伝子座におけるCD47をコードするポリヌクレオチドの挿入をさらに含む。
【0119】
一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された細胞(例えば、幹細胞)のいずれかは、CD47をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊(例えば、欠失、挿入、転座、逆位、または置換)を含み、CD47の破壊された3’-UTR遺伝子座におけるCTLA-4をコードするポリヌクレオチドの挿入をさらに含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された細胞(例えば、幹細胞)のいずれかは、CD47をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊(例えば、欠失、挿入、転座、逆位、または置換)を含み、セーフハーバー遺伝子座におけるCTLA-4をコードするポリヌクレオチドの挿入をさらに含む。
【0120】
一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された細胞(例えば、幹細胞)のいずれかは、CD47をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊(例えば、欠失、挿入、転座、逆位、または置換)を含み、CD47の破壊された3’-UTR遺伝子座におけるPDL1をコードするポリヌクレオチドの挿入をさらに含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された細胞(例えば、幹細胞)のいずれかは、CD47をコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊(例えば、欠失、挿入、転座、逆位、または置換)を含み、セーフハーバー遺伝子座におけるPDL1をコードするポリヌクレオチドの挿入をさらに含む。
【0121】
一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された細胞(例えば、幹細胞)のいずれかは、HLA-Gをコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊(例えば、欠失、挿入、転座、逆位、または置換)を含み、HLA-Gの破壊された3’-UTR遺伝子座におけるCD47をコードするポリヌクレオチドの挿入をさらに含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された細胞(例えば、幹細胞)のいずれかは、HLA-Gをコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊(例えば、欠失、挿入、転座、逆位、または置換)を含み、セーフハーバー遺伝子座におけるCD47をコードするポリヌクレオチドの挿入をさらに含む。
【0122】
一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された細胞(例えば、幹細胞)のいずれかは、HLA-Gをコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊(例えば、欠失、挿入、転座、逆位、または置換)を含み、HLA-Gの破壊された3’-UTR遺伝子座におけるCTLA-4をコードするポリヌクレオチドの挿入をさらに含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された細胞(例えば、幹細胞)のいずれかは、HLA-Gをコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊(例えば、欠失、挿入、転座、逆位、または置換)を含み、セーフハーバー遺伝子座におけるCTLA-4をコードするポリヌクレオチドの挿入をさらに含む。
【0123】
一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された細胞(例えば、幹細胞)のいずれかは、HLA-Gをコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊(例えば、欠失、挿入、転座、逆位、または置換)を含み、HLA-Gの破壊された3’-UTR遺伝子座におけるPDL1をコードするポリヌクレオチドの挿入をさらに含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された細胞(例えば、幹細胞)のいずれかは、HLA-Gをコードする対立遺伝子の3’-UTRにおける破壊(例えば、欠失、挿入、転座、逆位、または置換)を含み、セーフハーバー遺伝子座におけるPDL1をコードするポリヌクレオチドの挿入をさらに含む。
【0124】
一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された細胞のいずれか(例えば、幹細胞のいずれか)は、同じ細胞型の野生型細胞に対するMHC-IおよびMHC-IIヒト白血球抗原(HLA)の発現低下(例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%低下)をさらに含む。主要組織適合複合体(MHC)はヒトChr.6p21上の遺伝子座であり、臓器移植の際にドナーの適合性を規定する表面分子の高度に多型な遺伝子ファミリーをコードしている。MHCクラスI(MHC-I)およびMHCクラスII(MHCII)は、Tリンパ球に抗原を提示することにより、適応免疫応答の活性化に重要な役割を果たしている。ヒトは3つの古典的なMHC-Ia分子(HLA-A、HLA-B、HLA-C)を持っており、これらはウイルス、がん細胞、移植細胞の検出および排除に不可欠である。さらに、非古典的なMHC-Ib分子(HLA-E、HLA-F、HLA-G)が3つあり、これらは免疫調節機能を有する。MHCは重要な機能を果たす一方で、細胞ベースの移植療法など特定の状況では、免疫拒絶反応に寄与することもある。
【0125】
MHC-I分子は、MHCコード化された重鎖と不変サブユニットβ2-ミクログロブリン(B2M)から構成されている。抗原由来のペプチドは、細胞表面のMHC-I-B2M複合体によって、抗原特異的T細胞受容体を有するCD8 T細胞に提示される。ペプチドのほとんどは、MHCクラスIペプチドを生成するために最適化され、一部のIFN-γ誘導性サブユニットを含む特殊なプロテアソームまたはイムノプロテアソームによる細胞質タンパク質の分解から産生される。主に抗原提示細胞に存在するMHC-IIとは異なり、MHC-Iaはほとんど全ての有核細胞にユビキタスに発現している(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Pamerら, Annu Rev Immunol (1998年) 16:323~358頁を参照。)MHC-I遺伝子およびMHC-II遺伝子は共に、IFN-γ刺激により高度に誘導可能である。
【0126】
特定の実施形態では、MHC-IおよびMHC-II HLAの発現の減少は、個々のHLAを標的とすること(例えば、HLA-A、HLA-Bおよび/またはHLA-Cをコードする遺伝子を破壊すること)、HLA発現の転写調節因子を標的とすること(例えば、NLRC5、CIITA、RFX5、RFXAP、RFXANK、NFY-A、NFY-B、NFY-Cおよび/またはIRF-1をコードする破壊遺伝子)、またはMHCクラスI分子の表面輸送をブロックする(例えば、B2Mおよび/またはTAP1をコードする破壊遺伝子)、および/またはHLA-Razorを標的とすることに起因する。特定の実施形態では、HLA-AおよびHLA-Bをコードする遺伝子は個々に破壊され、HLA-Cをコードする遺伝子は破壊されない。特定の実施形態では、HLA-AおよびHLA-Cをコードする遺伝子は個々に破壊され、HLA-Bをコードする遺伝子は破壊されない。特定の実施形態では、HLA-BおよびHLA-Cをコードする遺伝子は個々に破壊され、HLA-Aをコードする遺伝子は破壊されない。
【0127】
一部の実施形態では、MHC-Iヒト白血球抗原の発現低下は、β-2ミクログロブリン(B2M)をコードする対立遺伝子における破壊に起因する。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された細胞(例えば、幹細胞)のいずれかは、B2Mをコードする対立遺伝子における破壊(例えば、欠失、転座、逆位、または置換)をさらに含む。一部の実施形態では、B2Mをコードする対立遺伝子における破壊(例えば、欠失、挿入、転座、逆位、または置換)は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%のB2M発現の減少をもたらす。一部の実施形態では、本明細書に開示される細胞のいずれも、B2Mをコードする対立遺伝子の破壊を含まない。
【0128】
一部の実施形態では、MHC-IIヒト白血球抗原の発現の低下は、クラスII主要組織適合複合体トランスアクチベーター(CIITA)をコードする対立遺伝子における破壊に起因する。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された細胞(例えば、幹細胞)のいずれかは、CIITAをコードする対立遺伝子における破壊(例えば、欠失、挿入、転座、逆位、または置換)をさらに含む。一部の実施形態では、CIITAをコードする対立遺伝子における破壊(例えば、欠失、挿入、転座、逆位、または置換)は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%のCIITA発現の減少をもたらす。一部の実施形態では、本明細書に開示される細胞のいずれかは、CIITAをコードする対立遺伝子の破壊を含まない。
【0129】
一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された細胞(例えば、幹細胞)のいずれかは、B2Mをコードする対立遺伝子における破壊(例えば、欠失、挿入、転座、逆位、または置換)、およびCIITAをコードする対立遺伝子における破壊(例えば、欠失、挿入、転座、逆位、または置換)をさらに含む。
【0130】
一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された細胞(例えば、幹細胞)のいずれかは、B2M、CIITA、HLA-A、HLA-B、HLA-C、RFX-ANK、NFY-A、NLRC5、RFX5、RFX-AP、HLA-G、HLA-E、NFY-B、PD-L1、NFY-C、IRF1、TAPI、GITR、4-1BB、CD28、B7-1、CD47、B7-2、0X40、CD27、HVEM、SLAM、CD226、ICOS、LAG3、TIGIT、TIM3、CD160、BTLA、CD244、LFA-1、ST2、HLA-F、CD30、B7-H3、VISTA、TLT、PD-L2、CD58、CD2、HELIOS、IDO1、TRAC、TRB、NFY-A、CCR5、F3、CD142、MICA、MICB、LRP1、HMGB1、ABO、RHD、FUT1、KDM5D、PDGFRa、OLIG2、および/またはGFAPをコードする遺伝子のいずれか1つまたは複数における破壊(例えば、欠失、挿入、転座、逆位、または置換)を含む。
【0131】
一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された細胞(例えば、幹細胞)のいずれかは、同じ細胞型の野生型幹細胞と比較して、MHC-IおよびMHC-IIヒト白血球抗原(HLA)の発現低下を含まない。一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞(例えば、単離された幹細胞)のいずれも、B2Mをコードする対立遺伝子またはCIITAをコードする対立遺伝子における破壊(例えば、欠失、転座、逆位、または置換)を含まない。
【0132】
一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞(例えば、単離された幹細胞)は、A抗原に対して陰性であり、B抗原に対して陰性である。一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞は、A抗原に対して陰性である。一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞はB抗原に対して陰性である。一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞(例えば、単離された幹細胞)は、Rh抗原に対して陰性である。一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞(例えば、単離された幹細胞)は、A抗原に対して陰性であり、B抗原に対して陰性であり、Rh抗原に対して陰性である。本明細書で使用される「A抗原」は、3α-N-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼによって生成され、細胞表面抗原として発現する組織血液型抗原を指す。本明細書で使用される「B抗原」は、3α-ガラクトサミニルトランスフェラーゼによって生成され、細胞表面抗原として発現する組織血液型抗原を指す。一部の実施形態では、細胞はABO遺伝子の破壊を含む。一部の実施形態では、細胞はABO遺伝子の破壊を含み、その結果、細胞はA抗原とB抗原のレベルが減少または消失している。一部の実施形態では、細胞はFUT1遺伝子の破壊を含む。一部の実施形態では、細胞はFUT1遺伝子の破壊を含み、その結果、ガラクトシド2-アルファ-L-フコシルトランスフェラーゼ1の発現が減少または消失している。本明細書で使用される「Rh抗原」は、RHDとRHCEという2つの高度に多型な遺伝子によってコードされる免疫原性の高い抗原を指す。Rh抗原タンパク質は膜貫通タンパク質である。一部の実施形態では、細胞はRHAG遺伝子の破壊を含む。一部の実施形態では、細胞はRHAG遺伝子の破壊を含み、その結果、細胞は、Rh関連糖タンパク質のレベルが減少または消失している。一部の実施形態では、細胞は、Rh C抗原、Rh E抗原、Kell K抗原(KEL)、Duffy(FY)Fya抗原、Duffy Fy3抗原、Kidd(JK)Jkb抗原、MNS抗原U、およびMNS抗原Sからなる群から選択されるRhタンパク質抗原発現が減少または除外されている。
【0133】
一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞(例えば、単離された幹細胞)は胚幹細胞である。一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞(例えば、単離された幹細胞)は、胚性生殖幹細胞(EGSC)である。一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞(例えば、単離された幹細胞)は、多能性幹細胞である。一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞(例えば、単離された幹細胞)は、人工多能性幹細胞である。一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞(例えば、単離された幹細胞)は、体細胞由来の再プログラミングされた幹細胞である。一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞(例えば、単離された幹細胞)は、ヒト幹細胞(例えば、ヒト胚幹細胞、またはヒト人工多能性幹細胞などのヒト多能性幹細胞)である。
【0134】
本明細書で使用する場合、「幹細胞」という用語は、自己複製能と分化した細胞型の生成能の両方を有する細胞(例えば、脊椎動物幹細胞、哺乳動物幹細胞)を指すことができる(Morrisonら, (1997年)Cell 88:287~298頁)。細胞の個体発生の文脈では、「分化した」あるいは「分化しつつある」という形容詞は相対的な用語である。「分化した細胞」は、比較される細胞よりもさらに発生経路を進んだ細胞であり得る。このように、多能性幹細胞は、系統に制限のある前駆細胞(例えば、中胚葉幹細胞)に分化することができ、その前駆細胞はさらに系統に制限のある細胞(例えば、ニューロン前駆細胞)に分化することができ、その前駆細胞は、ある組織型において特徴的な役割を果たす終末期の細胞(例えば、終末分化細胞、例えば、ニューロン、心筋細胞など)に分化することができ、さらに増殖する能力を保持することができたり、そうでなかったりする。幹細胞は特定のマーカー(例えばタンパク質、RNA等)の存在および特定のマーカーの非存在によって特徴付けることができる。幹細胞はin vitroとin vivoの両方の機能性アッセイ、特に多種の分化した子孫を生じる幹細胞の能力に関連するアッセイによっても同定することができる。一実施形態では、宿主細胞は成体幹細胞、体幹細胞、非胚幹細胞、胚幹細胞、造血幹細胞であり、多能性幹細胞、およびトロホブラスト幹細胞を含む。
【0135】
目的の幹細胞、例えば、本開示に従って使用することができる幹細胞は、多能性幹細胞(PSC)を含むことができる。本明細書で使用される場合、用語「多能性幹細胞」または「PSC」は、生物の全ての細胞型を産生することができる幹細胞を指すことができる。したがって、PSCは生物の全ての生殖細胞層(例えば脊椎動物の内胚葉、中胚葉、外胚葉)の細胞を生み出すことができる。多能性細胞は奇形腫を形成し、生体の外胚葉、中胚葉、内胚葉組織に寄与することがある。植物の多能性幹細胞は植物の全ての細胞型(例えば根、茎、葉、その他の細胞)を生じることができる。
【0136】
「胚幹細胞」(ESC)という用語は、胚から単離された多能性幹細胞、典型的には胚盤胞の内部細胞塊から単離された多能性幹細胞を指す。ESC株、例えばhESBGN-01、hESBGN-02、hESBGN-03、hESBGN-04(BresaGen,Inc.社);HES-1、HES-2、HES-3、HES-4、HES-5、HES-6(ES Cell International社);Miz-hES1(MizMedi Hospital-Seoul National University);HSF-1、HSF-6(University of California at San Francisco);およびH1、H7、H9、H13、H14(Wisconsin Alumni Research Foundation (WiCell Research Institute))がNIH Human Embryonic Stem Cell Registryに列挙されている。目的の幹細胞にはその他の霊長類からの胚幹細胞、例えばアカゲザル幹細胞およびマーモセット幹細胞も含まれる。幹細胞は、任意の哺乳動物種、例えば、ヒト、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、げっ歯類、例えば、マウス、ラット、ハムスター、霊長類などから得ることができる(Thomsonら、(1998年) Science 282: 1145頁;Thomsonら、(1995年) Proc. Natl. Acad. Sci USA 92:7844頁;Thomsonら、(1996年) Biol. Reprod. 55:254頁;Shamblottら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 13726頁, 1998年)。培養において、ESCは、大きな核-細胞質比、明確な境界、および顕著な核小体を有する平坦なコロニーとして増殖することができる。さらに、ESCはSSEA-3、SSEA-4、TRA-1-60、TRA-1-81、およびアルカリホスファターゼを発現し得るが、SSEA-1は発現できない。ESCを産生し特徴解析する方法の例は、例えばそれぞれが全体として本明細書に組み込まれる米国特許第7,029,913号、同第5,843,780号、および同第6,200,806号に見出すことができる。未分化の形態のhESCを増殖させる方法は、それぞれが全体として本明細書に組み込まれるWO第99/20741号、WO第01/51616号、およびWO第03/020920号に記載されている。
【0137】
「胚性生殖幹細胞」(EGSC)または「胚性生殖細胞」または「EG細胞」という用語は、生殖細胞および/または生殖細胞前駆細胞、例えば始原生殖細胞、例えば精子および卵子になることができる細胞に由来する多能性幹細胞を指す。胎児胚細胞(EG細胞)は上記の胎児幹細胞と同様の特性を有すると考えられている。EG細胞を産生し特徴解析する方法の例は、例えばそれぞれが全体として本明細書に組み込まれる米国特許第7,153,684号;Matsui, Y.ら、(1992) Cell 70:841;Shamblott, M.ら、(2001) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98: 113;Shamblott, M.ら、(1998) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95:13726;およびKoshimizu, U.ら、(1996) Development, 122:1235に見出すことができる。
【0138】
「人工多能性幹細胞」または「iPSC」という用語は、PSCではない細胞(例えば、PSCと比較して分化した細胞)に由来する多能性細胞を指す。iPSCは最終的に分化した細胞を含む多種の異なった細胞型から誘導することができる。iPSCはES細胞様の形態を有し、大きな核-細胞質比、明確な境界、および目立った核を有する平坦なコロニーとして成長することができる。さらに、iPSCは、それだけに限らないがアルカリホスファターゼ、SSEA3、SSEA4、Sox2、Oct3/4、Nanog、TRA160、TRA181、TDGF1、Dnmt3b、FoxD3、GDF3、Cyp26a1、TERT、およびzfp42を含む当業者には公知の1つまたは複数の重要な多能性マーカーを発現することができる。iPSCを産生し特徴解析する方法の例は、例えばそれぞれが全体として本明細書に組み込まれる米国特許公開第2009/0047263号、同第2009/0068742号、同第2009/0191159号、同第2009/0227032号、同第2009/0246875号、および同第2009/0304646に見出すことができる。一般にiPSCを産生するためには、体細胞を再プログラミングして多能性幹細胞にする当技術で公知の再プログラミング因子(例えばOct4、SOX2、KLF4、MYC、Nanog、Lin28、その他)を体細胞に提供する。一部の実施形態では、脱分化された幹細胞は、例えばそれだけに限らないが新生物細胞、腫瘍細胞、およびがん細胞、あるいは人工多能性幹細胞もしくはiPS細胞等の、誘導され再プログラミングされた細胞であってよい。
【0139】
一部の実施形態では、本開示に従って使用される幹細胞は、哺乳動物種、例えば、ヒト、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、げっ歯類、例えば、マウス、ラット、ハムスター、霊長類等から得ることができる。一部の実施形態では、内皮、筋肉、および/または神経幹細胞の好適な供給源からの細胞の混合物が、本開示の目的のために哺乳動物ドナーから採取される。好適な供給源は造血微小環境である。例えば、好ましくは動員された(例えば、リクルートされた)循環末梢血が対象から取り出され得る。
【0140】
本開示の他の態様は、幹細胞以外の単離された細胞、および本明細書に記載された単離された幹細胞のいずれかから分化した細胞を提供する。幹細胞以外の細胞および単離された幹細胞は、任意の細胞型に分化させることができる。一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された幹細胞または幹細胞以外の細胞から分化した細胞は、線維芽細胞、内皮細胞、胚体内胚葉細胞、原腸管細胞、膵内胚葉細胞、膵前駆細胞、膵内分泌細胞、膵島細胞(例えばβ細胞、α細胞、δ細胞、またはエンテロクロマフィン(EC)細胞)、幹細胞由来β細胞、幹細胞由来α細胞、幹細胞由来δ細胞、幹細胞由来エンテロクロマフィン(EC)細胞、インスリン産生細胞、インスリン陽性β様細胞、造血幹細胞、造血前駆細胞、筋細胞(例えば、心筋細胞、骨格筋細胞、または平滑筋細胞)、サテライト幹細胞、肝細胞(例えば、肝細胞または肝星状細胞)、ニューロン細胞(例えば、ドーパミン作動性ニューロン)、または免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞)である。単離された幹細胞から分化した細胞、または本明細書に記載された幹細胞以外の細胞は、同じ細胞型であれば野生型細胞と比較して免疫原性が低下している。
【0141】
一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞(例えば、単離された幹細胞から分化した細胞)は、膵臓系の細胞である。一部の実施形態では、膵臓系統の細胞としては、胚体内胚葉細胞、原腸管細胞、膵内胚葉細胞、膵前駆細胞、膵内分泌細胞、および膵島細胞(例えば、β細胞、an細胞、δ細胞、エンテロクロマフィン(EC)細胞)、およびその組合せが挙げられる。幹細胞を膵臓系に分化させる方法は当技術分野で知られており、例えば、少なくとも米国特許出願公開第2015/0240212号、同第2015/0218522号、同第2022/0090020号、米国特許第11,466,256号、国際公開第2022/147056号、および同第2022/192300号に記載されており、これらの各明細書は参照により本明細書に組み込まれる。
【0142】
一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞(例えば、単離された幹細胞から分化した細胞)は、免疫細胞(例えば、T細胞、またはナチュラルキラー細胞)である。一部の実施形態では、免疫細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)または人工T細胞受容体(TCR)を発現するようにさらに改変される。本明細書で使用する「キメラ抗原受容体T細胞(CART細胞)」とは、免疫療法に使用するための人工T細胞受容体を産生するように遺伝子操作されたT細胞を指す。「キメラ抗原受容体(CAR)」とは、本明細書で用いる場合、T細胞に特定のタンパク質を標的とする新たな能力を与えるように遺伝子操作された免疫受容体タンパク質を指す。キメラ抗原受容体は、抗原結合活性とT細胞活性の両方を単一の受容体に組み合わせているため、キメラである。「T細胞受容体(TCR)」とは、本明細書で使用する場合、T細胞またはTリンパ球の表面に見られるタンパク質複合体を指す。TCRは、MHC分子に結合したペプチドとして抗原のフラグメントを認識する役割を担っている。TCRがMHC分子に結合した抗原ペプチドと結合すると、T細胞はシグナル伝達を介して活性化され、その結果、適応免疫応答が生じる。
【0143】
一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された幹細胞から分化した細胞は、分化元である単離された幹細胞と同じ遺伝子改変、例えば、免疫抑制因子(例えば、PDL1、CD47、またはHLA-G)をコードする対立遺伝子の3’-UTRの破壊、および任意選択で1つまたは複数の免疫抑制因子(例えばCD47、CTLA-4、PDL1、PDL2、HLA-C、HLA-E、HLA-G、C1阻害剤、IL-35、DUX4、IDO1、IL10、CCL21、CCL22、CD16、CD52、H2-M3、CD200、FASLG、MFGE8、および/またはSERPINB9)の外因性発現、ならびに/またはMHC-IおよびMHC-IIの発現の低下を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞(例えば、単離された幹細胞から分化した細胞)は、前記細胞型の野生型細胞と比較して、免疫抑制因子(例えば、PDL1、CD47、またはHLA-G)の発現の増加(例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍またはそれ以上の増加)を含む。一部の実施形態では、免疫抑制因子(例えば、PDL1、CD47、またはHLA-G)の発現の増加は、インターフェロンガンマによって誘導または増加される。一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された細胞(例えば、幹細胞)から分化した細胞(例えば、膵島細胞または免疫細胞)は、同じ細胞型の野生型細胞と比較して、免疫原性が低い(例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%低い)。
【0144】
一部の態様では、本開示は、本明細書に開示された遺伝子改変のいずれかを有する単離された免疫細胞も企図し、同じ型の改変されていない単離された免疫細胞と比較して免疫原性が低下している。このような単離された免疫細胞は、CARまたはTCRを発現するようにさらに改変され得る。
【0145】
組成物および処置方法
本明細書において、一部の態様では、本明細書に開示される細胞のいずれか(例えば、本明細書に開示される単離された幹細胞のいずれかから分化した細胞)を含む組成物がさらに提供される。一部の実施形態では、組成物は、膵島細胞(例えば、ヒト膵島細胞)の集団を含む。一部の実施形態では、膵島細胞は、本明細書に開示される単離された幹細胞のいずれかから分化される。
【0146】
一部の実施形態では、本明細書に記載される膵島細胞(例えば、ヒト膵島細胞)の集団は、NKX6.1陽性、ISL陽性細胞およびNKX6.1陰性、ISL陽性細胞を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された幹細胞から分化した膵島細胞(例えば、ヒト膵島細胞)の集団は、NKX6.1陰性、ISL陽性細胞よりも多くのNKX6.1陽性、ISL陽性細胞を含む。一部の実施形態では、集団中の細胞は、本明細書に記載されるいずれかの単離された幹細胞から分化される。
【0147】
一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された幹細胞から分化した膵島細胞(例えば、ヒト膵島細胞)の集団は、NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞およびNKX6.1陰性、ISL1陽性細胞を含み、集団中の細胞の12%未満(例えば、約11%、約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%、またはそれ以下)は、NKX6.1陰性、ISL1陰性細胞である。一部の実施形態では、集団中の細胞の10%未満、8%未満、6%未満、4%未満、1~11%、2~10%、2~12%、4~12%、6~12%、8~12%、2~8%、4~8%、3~6%または3~5%はNKX6.1陰性、ISL1陰性細胞である。一部の実施形態では、集団中の細胞の2~12%、4~12%、6~12%、8~12%、2~8%、4~8%、3~6%または3~5%はNKX6.1陰性、ISL1陰性細胞である。一部の実施形態では、集団中の細胞は、本明細書に記載される単離された幹細胞のいずれかから分化される。
【0148】
一部の実施形態では、集団中の細胞の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、約85~95%、または約90~95%がISL1陽性細胞である。一部の実施形態では、集団中の細胞の50~90%、50~85%、50~80%、50~75%、50~70%、50~60%、60~90%、60~85%、60~80%、60~75%、60~70%、65~90%、65~85%、65~80%、65~75%、65~70%、70~90%、70~85%、70~80%、70~75%、75~90%、75~85%、75~80%、80~90%、80~85%、または85~90%がISL1陽性細胞である。一部の実施形態では、集団中の細胞の少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、約85~95%、または約90~95%がISL1陽性細胞である。一部の実施形態では、集団中の細胞の約60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または約99%がISL1陽性細胞である。一部の実施形態では、集団中の細胞は、本明細書に記載される単離された幹細胞のいずれかから分化している。
【0149】
一部の実施形態では、本明細書に記載される膵島細胞(例えば、ヒト膵島細胞)の集団は、NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞よりも多くのNKX6.1陰性、ISL1陽性細胞を含む。一部の実施形態では、集団中の細胞の少なくとも40%がNKX6.1陰性、ISL1陽性細胞である。一部の実施形態では、集団中の細胞の少なくとも45%、少なくとも50%、約40~50%、約45~55%、または約50~55%がNKX6.1陰性、ISL1陽性細胞である。一部の実施形態では、集団中の細胞の約40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、または約55%がNKX6.1陰性、ISL1陽性細胞である。一部の実施形態では、集団中の細胞は、本明細書に記載される単離された幹細胞のいずれかから分化される。
【0150】
一部の実施形態では、本明細書に記載される膵島細胞(例えば、ヒト膵島細胞)の集団は、インスリンを発現する細胞(例えば、インスリンを発現するがグルカゴンまたはソマトスタチンを発現しない細胞)、グルカゴンを発現する細胞(例えば、グルカゴンを発現するがインスリンまたはソマトスタチンを発現しない細胞)、およびソマトスタチンを発現する細胞(例えば、ソマトスタチンを発現するがインスリンまたはグルカゴンを発現しない細胞)を含む。一部の実施形態では、組成物の細胞におけるインスリンの発現は、その細胞がSC-β細胞であることを示唆する。一部の例では、組成物の細胞においてグルカゴンが発現し、ソマトスタチンが発現しないことは、その細胞がSC-α細胞であることを示唆する。一部の実施形態では、組成物の細胞においてソマトスタチンが発現し、グルカゴンが発現しないことは、その細胞がSC-δ細胞であることを示唆する。一部の実施形態では、インスリンを発現する細胞は、グルコース応答性インスリン生成細胞でもある。一部の実施形態では、集団中の細胞は、本明細書に記載される単離された幹細胞のいずれかから分化される。
【0151】
一部の実施形態では、本明細書に記載される膵島細胞の集団(例えばヒト膵島細胞)は、(a)細胞集団中の細胞の30~90%、30~80%、30~70%、30~60%、30~50%、30~40%、40~90%、40~80%、40~70%、40~60%、40~50%、50~90%、50~80%、50~70%、50~60%、60~90%、60~80%、60~70%、70~90%、70~80%、または80~90%がインスリンを発現する;(b)細胞集団中の細胞の5~40%、5~35%、5~30%、5~25%、5~20%、5~15%、5~10%、10~40%、10~35%、10~30%、10~25%、10~20%、10~15%、15~40%、15~35%、15~30%、15~25%、15~20%、20~40%、20~35%、20~30%、20~25%、25~40%、25~35%、25~30%、30~40%、30~35%または35~40%がグルカゴンを発現するが、ソマトスタチンは発現しない;および/または(c)細胞集団中の細胞の3~20%、3~15%、3~12%、3~10%、3~8%、3~5%、4~20%、4~15%、4~12%、4~10%、4~8%、4~5%、5~20%、5~15%、5~12%、5~10%、5~8%、7~20%、7~15%、7~12%、7~10%、9~20%、9~15%、9~12%、8~10%、8~12%、8~15%、8~20%、10~20%、10~12%、10~15%、12~20%、12~15%または15~20%の細胞が、ソマトスタチンを発現するがグルカゴンを発現しないことを含む。一部の実施形態では、集団中の細胞は、本明細書に記載される単離された幹細胞のいずれかから分化される。
【0152】
一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された幹細胞から分化した膵島細胞の集団(例えばヒト膵島細胞)は、(a)細胞集団中の細胞の30~90%、30~80%、30~70%、30~60%、30~50%、30~40%、40~90%、40~80%、40~70%、40~60%、40~50%、50~90%、50~80%、50~70%、50~60%、60~90%、60~80%、60~70%、70~90%、70~80%、または80~90%がインスリンを発現する;(b)細胞集団中の細胞の5~40%、5~35%、5~30%、5~25%、5~20%、5~15%、5~10%、10~40%、10~35%、10~30%、10~25%、10~20%、10~15%、15~40%、15~35%、15~30%、15~25%、15~20%、20~40%、20~35%、20~30%、20~25%、25~40%、25~35%、25~30%、30~40%、30~35%または35~40%がグルカゴンを発現するが、ソマトスタチンは発現しない;および(c)細胞集団中の細胞の3~20%、3~15%、3~12%、3~10%、3~8%、3~5%、4~20%、4~15%、4~12%、4~10%、4~8%、4~5%、5~20%、5~15%、5~12%、5~10%、5~8%、7~20%、7~15%、7~12%、7~10%、9~20%、9~15%、9~12%、8~10%、8~12%、8~15%、8~20%、10~20%、10~12%、10~15%、12~20%、12~15%または15~20%の細胞が、ソマトスタチンを発現するがグルカゴンを発現しないことを含む。一部の実施形態では、集団中の細胞は、本明細書に記載される単離された幹細胞のいずれかから分化される。
【0153】
一部の実施形態では、本明細書に提供されるマーカーを発現する細胞の割合は、フローサイトメトリーによって測定される。一部の実施形態では、本明細書に提供されるマーカーを発現する細胞の割合は、免疫組織化学分析によって測定される。
【0154】
一部の実施形態では、本明細書に記載される膵島細胞(例えば、ヒト膵島細胞)の集団においてインスリンを発現する細胞(すなわち、SC-β細胞)は、グルコース刺激インスリン分泌(GSIS)を示す。一部の実施形態では、本明細書に記載される膵島細胞(例えば、ヒト膵島細胞)の集団においてインスリンを発現する細胞(すなわち、SC-β細胞)は、グルコース刺激インスリン分泌(GSIS)を示す細胞にさらに成熟する(例えば、移植後の対象においてさらに成熟する)。一部の実施形態では、集団中の細胞は、本明細書に記載される単離された幹細胞のいずれかから分化される。
【0155】
一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞(例えば、本明細書に記載される単離された幹細胞から分化した細胞)(例えば、膵島細胞または免疫細胞)を含む組成物は、治療用組成物である。治療用組成物は、例えば、人工脳脊髄液またはリン酸緩衝生理食塩水を含む生理学的に適合性の溶液をさらに含むことができる。治療用組成物は、疾患(例えば、糖尿病またはがん)を処置し、予防し、または安定化するために用いることができる。
【0156】
一部の実施形態では、治療用組成物は、他の活性化剤、例えば、抗炎症剤、外因性低分子アゴニスト、外因性低分子アンタゴニスト、抗アポトーシス剤、抗酸化剤、および/または当業者に公知の成長因子をさらに含む。
【0157】
一部の実施形態では、治療用組成物は、薬学的に許容される担体(例えば、培地または賦形剤)をさらに含む。薬学的に許容される担体(または媒体)という用語は、生物学的に適合性の担体または媒体という用語と交換可能に使用することができ、治療上投与される細胞および他の薬剤と適合性であるだけでなく、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、または他の合併症を有することなく、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するのにも好適である、試薬、細胞、化合物、材料、組成物、および/または剤形を指し得る。好適な薬学的に許容される担体としては、水、塩溶液(例えば、リンゲル液)、アルコール、油、ゼラチン、およびラクトース、アミロース、またはデンプンなどの炭水化物、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンを挙げることができる。このような調製物は、滅菌され、所望の場合、滑沢剤、保存剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与える塩、緩衝液、および着色剤などの補助剤と混合され得る。生細胞以外の細胞の構成成分または生成物を含む医薬組成物は、液体として製剤化することができる。生きた非天然膵β細胞を含む医薬組成物は、液体、半固体(例えば、ゲル、ゲルカプセル、またはリポソーム)または固体(例えば、マトリックス、スキャフォールドなど)として製剤化することができる。
【0158】
一部の実施形態では、治療用組成物は、薬学的に使用され得る調製物への活性化合物の加工を容易にする賦形剤および補助剤を含む1つまたは複数の生理学的に許容される担体を用いて、従来の方法で製剤化される。適切な製剤は、選択される投与経路に依存する。本明細書に記載の医薬組成物の概要は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第19版(Easton、Pa.: Mack Publishing Company、1995年);Hoover, John E.、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、Pennsylvania 1975年;Liberman, H.A.およびLachman, L.編、Pharmaceutical Dosage Forms、Marcel Decker、New York、N.Y.、1980年;ならびにPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、第7版(Lippincott Williams & Wilkins 1999年)に見られる。
【0159】
一部の実施形態では、治療用組成物は、任意選択で、従来の方法で、例えば、例示にすぎないが、従来の混合、溶解、造粒、ドラジェ化、浮遊化、乳化、カプセル化、封入または圧縮プロセスによって製造される。
【0160】
一部の実施形態では、治療用組成物は、酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸および塩酸などの酸;水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウムおよびtris-ヒドロキシメチルアミノメタンなどの塩基;ならびにクエン酸/デキストロース、炭酸水素ナトリウムおよび塩化アンモニウムなどの緩衝剤を含む、1つまたは複数のpH調整剤または緩衝化剤を含む。このような酸、塩基および緩衝剤は、組成物のpHを許容範囲に維持するのに必要な量で含まれる。
【0161】
一部の実施形態では、治療用組成物は、組成物の浸透圧を許容範囲にもたらすのに必要な量で1つまたは複数の塩をさらに含む。このような塩は、ナトリウム、カリウムまたはアンモニウムカチオンおよび塩化物、クエン酸、アスコルビン酸、ホウ酸、リン酸、炭酸水素、硫酸、チオ硫酸または重亜硫酸アニオンを有する塩を含み、好適な塩として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、重硫酸ナトリウムおよび硫酸アンモニウムが挙げられる。
【0162】
一部の実施形態では、治療用組成物は、限定されないが、経口、非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、脳内、脳室内、関節内、腹腔内、もしくは頭蓋内)、鼻腔内、頬側、舌下、または直腸投与経路を含む、任意の投与経路による投与に適している。一部の実施形態では、治療用組成物は、非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、脳内、脳室内、関節内、腹腔内、または頭蓋内)投与用に製剤化される。
【0163】
一部の実施形態では、治療用組成物は、微生物活性を阻害するために1つまたは複数の保存剤をさらに含む。好適な保存剤としては、水銀含有物質、例えば、メルフェン(merfen)およびチオメルサール;安定化二酸化塩素;ならびに第四級アンモニウム化合物、例えば、塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウムおよび塩化セチルピリジニウムが挙げられる。
【0164】
一部の実施形態では、治療用組成物は、例えば、糖尿病を処置または予防するのに有効な量の、本明細書に記載される膵島細胞の集団(例えば、本明細書に記載される単離された幹細胞のいずれかから分化した膵島細胞の集団)を含む。一部の実施形態では、治療用組成物は、1つまたは複数の薬学的または生理学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤をさらに含む。このような組成物は、緩衝剤、例えば、中性緩衝生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水など;炭水化物、例えば、グルコース、マンノース、スクロースまたはデキストラン、マンニトール;タンパク質;ポリペプチドまたはアミノ酸、例えば、グリシン;酸化防止剤;キレート剤、例えば、EDTAまたはグルタチオン;アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム);および保存剤を含むことができる。
【0165】
一部の実施形態では、細胞、細胞成分または細胞生成物を含む治療用組成物は、当技術分野で公知であるいくつかの送達方法のうちの1つまたは複数において、患者の腎臓に送達することができる。一部の実施形態では、組成物は、腎臓に送達される(例えば、腎被膜の上および/または腎被膜の下に)。別の実施形態では、組成物は、周期的な腹腔内または腎内注射によって、腎臓内の様々な位置に送達されてもよい。あるいは、組成物は、当業者に公知の他の剤形で、例えば、事前に形成されたかまたはin situで形成されたゲルまたはリポソームで適用されてもよい。
【0166】
一部の実施形態では、半固体または固体の担体中に生細胞を含む治療用組成物は、腎被膜上または腎被膜下に外科的に移植するために製剤化することができる。液体組成物も外科的手段で投与されてもよいことが認識されるべきである。特定の事例では、半固体または固体の医薬組成物は、非生分解性または生分解性であってもよい半透過性ゲル、格子、細胞スキャフォールドなどを含むことができる。例えば、ある特定の事例では、外因性細胞を、その周辺から隔離し、さらに、細胞が生物学的分子(例えば、インスリン)を周辺細胞または血流に対して分泌および送達できるようにすることが、望ましいかまたは適切である場合がある。これらの事例では、細胞は、移植細胞を宿主組織から物理的に分離する非分解性であり、選択的に透過するバリアによって、生細胞を含む自律的移植片として形成され得る。このような移植片は、薬理学的に誘導された免疫抑制がない場合、免疫細胞および高分子が移植細胞を死滅させるのを防ぐ能力があるため、「免疫保護的」と称することがある。本開示の医薬組成物には、様々なカプセル化デバイス、分解性ゲルおよびネットワークを用いることができる。例えば、持続放出製剤に特に好適な分解性材料としては、生体適合性ポリマー、例えば、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)、メチルセルロース、ヒアルロン酸、コラーゲンなどが挙げられる。
【0167】
一部の実施形態では、生分解性、好ましくは、生体吸収性(bioresorbableまたはbioabsorbable)のスキャフォールドまたはマトリックス上またはその中に細胞を送達するのが望ましいかまたは適切であり得る。これらの典型的な三次元生体材料は、スキャフォールドに付着した、スキャフォールド内に分散した、またはスキャフォールドに捕捉された細胞外マトリックスに組み込まれた生細胞を含有する。一旦、身体の標的領域に移植されると、これらの移植片は宿主組織と一体となり、移植細胞が次第に確立されてくる。本開示において使用することができるスキャフォールドまたはマトリックス(「フレームワーク」と総称されることがある)材料の例としては、不織マット、多孔質発泡体、または自己集合ペプチドが挙げられる。不織マットは、例えば、グリコール酸と乳酸(PGA/PLA)の合成吸収性コポリマー、発泡体、および/またはポリ(イプシロン-カプロラクトン)/ポリ(グリコール酸)(PCL/PGA)コポリマーを含む繊維を使用して形成されてもよい。
【0168】
一部の実施形態では、フレームワークはフェルトであり、このフェルトは、生体吸収性材料、例えば、PGA、PLA、PCLコポリマーもしくはブレンド、またはヒアルロン酸から製造されたマルチ糸から構成され得る。この糸は、クリンピング、カッティング、カーディングおよびニードリングからなる標準的なテキスタイル加工技術を使用してフェルトにされる。別の実施形態では、細胞を混成構造であり得る発泡体スキャフォールド上に播種する。前記実施形態の多くでは、フレームワークは、有用な形状に成型することができる。さらに、非天然膵β細胞は、プレフォーム型の、非分解性外科用または移植用デバイス上で、培養することができる。
【0169】
一部の実施形態では、マトリックス、スキャフォールドまたはデバイスは、細胞の接着を増強するために、細胞の接種前に処理することができる。例えば、接種前に、ナイロンマトリックスは、0.1モル酢酸で処理し、ポリリジン、PBS、および/またはコラーゲン中でインキュベートして、このナイロンをコーティングすることができる。ポリスチレンも硫酸を使用して同様に処理することができる。また、フレームワークの外面は、細胞の接着または成長および組織の分化を向上させるために、例えば、フレームワークの血漿コーティングまたは1つもしくは複数のタンパク質(例えば、コラーゲン、弾性繊維、細網繊維)、糖タンパク質、グリコサミノグリカン(例えば、ヘパリン硫酸、コンドロイチン-4-硫酸、コンドロイチン-6-硫酸、デルマタン硫酸、ケラチン硫酸)、細胞マトリックス、および/または、以下に限定されないが、とりわけ、ゼラチン、アルギン酸塩、寒天、アガロース、および植物ゴムなどの他の材料の添加などにより修飾することができる。
【0170】
一部の態様では、本開示は、本明細書に記載される膵島細胞の集団(例えば、本明細書に記載される単離された幹細胞のいずれかから分化した膵島細胞の集団)を含むデバイスを提供する。一部の実施形態では、膵島細胞は、細胞クラスターを形成する。デバイスは、特定の実施形態では対象に移植した場合にインスリンを生成および放出する、本明細書に記載される細胞を収容するように構成することができる。一部の実施形態では、デバイスは半透膜をさらに含むことができる。半透膜は、細胞クラスターをデバイス内に保持し、細胞によって分泌されるインスリンの通過を可能にするように構成することができる。デバイスの一部の例では、細胞は半透膜によってカプセル化することができる。カプセル化は、当業者に利用可能な任意の技法によって実施され得る。半透膜は、当業者が認識し、検証するように、任意の好適な材料から作製することもできる。例えば、半透膜は、多糖またはポリカチオンから作製することができる。一部の例では、半透膜は、ポリ(ラクチド)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、および他のポリヒドロキシ酸、ポリ(カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリアミノ酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、生分解性ポリウレタン、アルブミン、コラーゲン、フィブリン、ポリアミノ酸、プロラミン、アルギネート、アガロース、ゼラチンを含むアガロース、デキストラン、ポリアクリレート、エチレン-酢酸ビニルポリマーおよび他のアシル置換酢酸セルロースならびにそれらの誘導体、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリ(ビニルイミダゾール)、クロロスルホン化ポリオレフィン、ポリエチレンオキシド、またはそれらの任意の組合せから作製することができる。一部の例では、半透膜は、アルギネートを含む。一部の実施形態では、細胞は半透膜に囲まれたアルギン酸コアを含むマイクロカプセルに封入される。一部の実施形態では、アルギネートコアは、例えば、RGD配列(アルギニン、グリシン、アスパラギン酸)と共有結合によりコンジュゲートしたオリゴペプチドを有するアルギネートコアを含むスキャフォールドを生成するために改変される。一部の例では、アルギネートコアは、例えば、安定性の向上した、化学酵素的に操作されたアルギネートを有する、共有結合によって強化されたマイクロカプセルを生成するために改変される。一部の実施形態では、アルギネートコアは、例えば、アクリレート官能化されたリン脂質のin-situ重合によってアセンブルされた膜模倣フィルムを生成するために改変される。一部の例では、マイクロカプセルは、エピメラーゼを使用して、酵素によって改変されたアルギネートから構成される。一部の例では、マイクロカプセルは、マイクロカプセル膜の隣接する層間に共有結合を含む。一部の実施形態では、マイクロカプセルは、フェノール部分で連結したアルギネートを含むサブシーブカプセルを含む。一部の例では、マイクロカプセルは、アルギネート-アガロースを含むスキャフォールドを含む。一部の実施形態では、細胞は、アルギネート内にカプセル化される前にPEGで修飾される。一部の実施形態では、細胞は、光反応性リポソームおよびアルギネート内にカプセル化される。マイクロカプセル中に用いられるアルギネートは、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、キトサン、ポリエステル中空繊維、コラーゲン、ヒアルロン酸、RODを含むデキストラン、BHDおよびポリエチレングリコール-ジアクリレート(PEGDA)、ポリ(MPC-コ-n-ブチルメタクリレート-コ-4-ビニルフェニルボロン酸)(PMBV)およびポリ(ビニルアルコール)(PVA)、アガロース、ゼラチンを含むアガロース、ならびにこれらの多層の事例を含む他の好適な生体材料で置き換えることができる。一部の実施形態では、本明細書において提供されるデバイスは、体外のセグメントを含み、例えば、デバイスの一部は、デバイスが対象に移植される場合に、対象の体外に存在し得る。体外セグメントは、本明細書において提供される細胞または細胞クラスターを含むか含まないかに関わらず、デバイスの任意の機能的構成成分を含み得る。
【0171】
さらに、対象における疾患を処置または予防するための方法が本明細書で提供される。本明細書に記載される単離された幹細胞から分化した膵島細胞を含む組成物は、対象の膵臓機能の程度を回復させるために対象に投与し得る。一部の実施形態では、このような組成物は対象に移植される。用語「移植」は、所望の部位に導入された細胞または細胞クラスターの少なくとも部分的な局在化をもたらす方法または経路によって、細胞もしくは細胞クラスター、細胞もしくはその細胞クラスターの任意の部分、または細胞、細胞クラスターもしくはこれらの任意の部分を含む任意の組成物の対象への配置を指し得る。一部の実施形態では、所望の部位は膵臓である。一部の実施形態では、所望の部位は、移植した細胞を移植した位置に維持し、移動を避けるために、例えば、カプセル(例えば、マイクロカプセル)で、膵臓以外の位置、例えば、肝臓内または皮下である。一部の実施形態では、移植した細胞は、対象の血中グルコースレベルの低下に十分な量のインスリンを放出する。
【0172】
一部の実施形態では、本明細書に開示される膵島細胞(例えば、本明細書に記載される単離された幹細胞のいずれかから分化した膵島細胞)を含む組成物は、対象に移植されるデバイスに収容される。一部の実施形態では、対象に移植されたデバイスは、細胞をデバイス内に保持しながらインスリンを放出し、デバイス内およびデバイス周囲の組織脈管形成を促進する。例示的なデバイスは、例えば、国際出願公開第WO2018/232180号、国際出願公開第WO2019/068059号、国際出願公開第WO2019/178134号、国際出願公開第WO2020/206150号、および国際出願公開第WO2020/206157号に記載されており、これらの各々は参照によりその全体が組み込まれる。一部の実施形態では、対象は、デバイスの移植中または血管新生中に免疫抑制剤を投与されない。一部の実施形態では、デバイスは少なくとも約300pmの厚さを有する。一部の実施形態では、デバイスは、複数のフィブリルによって相互接続された複数のノードを含む膜を備える。
【0173】
一部の実施形態では、デバイスは、複数のチャネルを含む第1の表面と、第1の表面に対向する複数の第2の表面とを有する第1の膜;および第1の膜の複数の第2の表面に対向して取り付けられた第2の膜を備え、第1の膜と第2の膜が、少なくとも約40cm-lの表面積対容積比を有する密閉区画を形成し、密閉区画がデバイス内に細胞を収容するための容積を提供する。
【0174】
一部の実施形態では、密閉区画は、単一の連続した開放チャンバーを備える。一部の実施形態では、容積は約8μL~約1,000μLである。一部の実施形態では、デバイスは、約0.25cmから約3cmの長さと幅の少なくとも一方を有する。一部の実施形態では、デバイスは、少なくとも約300pmの厚さを有する。
【0175】
一部の実施形態では、複数のチャネルは第1の膜に対して概ね垂直である。一部の実施形態では、複数のチャネルは直線状に配置される。一部の実施形態では、複数のチャネルは極アレイ状に配置される。一部の実施形態では、チャネルは約400pm~約3,000pmの平均直径を有する。一部の実施形態では、直径はチャネルの最狭部で測定される。一部の実施形態では、各チャネルの中心は、別のチャネルの中心から約75pmから約500pmの距離だけ離れている。一部の実施形態では、チャネルは、少なくとも約0.2の高さ対直径の比を有する。一部の実施形態では、デバイスは横断面に沿った面積当たりのチャネル数を有し、一部の例では、その数は約50/cm2より大きい。
【0176】
一部の実施形態では、第1の膜および第2の膜の少なくとも一方は、複数のフィブリルによって相互接続された複数のノードを含む。一部の実施形態では、第1の膜および第2の膜の少なくとも一方は、PVDF、PTFE、ePTFE、PCL、PE/PES、PP、PS、PMMA、PLGA、PLLA、またはそれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、デバイスは、チャネル内の第1の膜および/または第2の膜を貫通する開口部をさらに備える。一部の実施形態では、開口部は、チャネルに対して、最大でもチャネルの直径の約25%の同心度を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるデバイスを受けるように構成されたフレームである。一部の実施形態では、フレームは複数の細胞収容デバイスを受けるように構成される。一部の実施形態では、フレームは、細胞収容デバイスの座屈を防止するように構成された屈曲機構を備える。
【0177】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法は、本明細書に記載される膵島細胞(例えば、本明細書に記載される単離された幹細胞のいずれかから分化した膵島細胞)を、当技術分野における任意の手段を使用して対象に移植するステップを含む。例えば、本方法は、腹腔内、門脈、腎下腔、腎被膜、卵膜、皮下腔を介して、または膵床注入を介して、細胞クラスターを移植するステップを含み得る。例えば、移植は、被膜下移植、筋肉内移植、または門脈内移植、例えば、門脈内注入であり得る。免疫防御性カプセル化は、細胞クラスターに免疫防御性を与えるために実行され得る。一部の例では、本明細書で提供される処置方法は、移植片(例えば、細胞もしくはデバイス)に対する移植拒絶応答または他の免疫応答をモジュレートまたは低減するために、1つまたは複数の免疫応答モジュレーターを投与することを含み得る。この方法において使用することができる免疫応答モジュレーターの例としては、アザチオプリンおよびミコフェノール酸のようなプリン合成阻害剤、レフルノミドおよびテリフルノミドのようなピリミジン合成阻害剤、メトトレキサートのような抗葉酸剤、タクロリムス、シクロスポリン、ピメクロリムス、アベチムス、グスペリムス、レナリドマイド、ポマリドミド、サリドマイド、PDE4阻害剤、アプレミラスト、アナキンラ、シロリムス、エベロリムス、リダフォロリムス、テムシロリムス、ウミロリムス、ゾタロリムス、抗胸腺細胞グロブリン抗体、抗リンパ球グロブリン抗体、CTLA-4、その断片、ならびにアバタセプトおよびベラタセプトのようなその融合タンパク質、エタネルセプトおよびペグスネルセプトのようなTNF阻害剤、アフリベルセプト、アレファセプト、リロナセプト、エクリズマブのような補体成分5に対する抗体、アダリムマブ、アフェリモマブ、セルトリズマブペゴール、ゴリムマブ、インフリキシマブ、およびネレリモマブのような抗TNF抗体、メポリズマブのようなインターロイキン5に対する抗体、オマリズマブのような抗IgE抗体、ファラリモマブのような抗インターフェロン抗体、エルシリモマブのような抗IL-6抗体、レブリキズマブおよびウステキヌマブのようなIL-12およびIL-23に対する抗体、セクキヌマブのような抗IL-17抗体、ムロモナブ-CD3、オテリキシズマブ、テプリズマブ、およびビシリズマブのような抗CD3抗体、クレノリキシマブ、ケリキシマブ、およびザノリムマブのような抗CD4抗体、エファリズマブのような抗CD11a抗体、エルリズマブのような抗CD18抗体、オビヌツズマブ、リツキシマブ、オクレリズマブおよびパスコリズマブのような抗CD20抗体、ゴミリキシマブおよびルミリキシマブのような抗CD23抗体、テネリキシマブおよびトラリズマブのような抗CD40抗体、アセリズマブのようなCD62L/L-セレクチンに対する抗体、ガリキシマブのような抗CD80抗体、ガビリモマブのような抗CD147/ベイシジン抗体、ルプリズマブのような抗CD154抗体、ベリムマブおよびブリシビモドのような抗BLyS抗体、イピリムマブおよびトレメリムマブのような抗CTLA-4抗体、ベルチリムマブ(Bertilimumab)、レルデリムマブ、およびメテリムマブのような抗CAT抗体、ナタリズマブのような抗インテグリン抗体、トシリズマブのようなインターロイキン-6受容体に対する抗体、オデュリモマブ(odulimomab)のような抗LFA-1抗体、バシリキシマブ、ダシリズマブ、およびイノリモマブのようなIL-2受容体/CD25に対する抗体、アトロリムマブ、セデリズマブ、フォントリズマブ、マスリモマブ、モロリムマブ、ペキセリズマブ、レスリズマブ、ロベリズマブ、シプリズマブ、タリズマブ、テリモマブアリトックス、バパリキシマブ、およびベパリモマブのようなTリンパ球(ゾリモマブアリトック)に対する抗体を挙げることができる。
【0178】
本明細書で使用される場合、用語「処置すること(treating)」および「処置(treatment)」は、対象が、疾患の少なくとも1つの症状の低減または疾患の改善、例えば、有益なまたは所望の臨床結果を有するように、有効量の組成物(例えば、細胞クラスターまたはその一部)を対象に投与することを指し得る。この開示の目的として、有益なまたは所望の臨床結果としては、以下に限定されないが、検出可能か検出不可能かに関わらず、1つもしくは複数の症状の緩和、疾患の程度の減弱、疾患状態の安定化(例えば、悪化しない)、疾患進行の遅延または緩慢化、疾患状態の改善または軽減、および寛解(例えば、部分的または全体的)が挙げられる。処置することは、処置を受けていない場合に期待される生存と比較して、生存が延長されることを指し得る。よって、当業者は、処置が、疾患状態を改善することができるが、疾患に対する完全な治癒でなくてもよいことを理解する。本明細書で使用される場合、用語「処置(treatment)」は、予防を含む。
【0179】
例示的な投与方式としては、以下に限定されないが、注射、注入、点眼、吸入、または摂取が挙げられる。「注射」としては、限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、心室内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、脳脊髄内、および胸骨内への注射および注入が挙げられる。好ましい実施形態では、組成物は、静脈内注射または注入によって投与される。
【0180】
疾患または障害の「処置(treatment)」、「予防(prevention)」または「改善(amelioration)」は、このような疾患または障害の開始を遅延または予防すること、このような疾患または障害に関連する状態の進行、深刻化または悪化、進行または重篤度を、反転、緩和、改善、阻害、緩慢化または停止させることを意味する。一実施形態では、疾患または障害の1つまたは複数の症状が、非処置対象者と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%緩和される。
【0181】
糖尿病の処置は、標準的な医学的方法によって決定される。糖尿病処置の目標は、可能な限り安全に、糖レベルを低下させて、正常に近づけることである。共通して設定される目標は、食前に、1デシリットル当たり80~120ミリグラム(mg/dl)であり、就寝時に、100~140mg/dlである。特定の内科医は、他の要因、例えば、多くの場合、患者が低血糖反応をどの程度有するかに応じて、患者に対して異なる標的を設定してもよい。有用な医療的試験としては、血糖レベルを決定するための患者の血液および尿における試験、グリコシル化ヘモグロビンレベル(HbA1c;過去2~3カ月にわたる平均血中グルコースレベルの測定、正常範囲は4~6%である。)についての試験、コレステロールおよび脂肪レベルについての試験、ならびに尿タンパク質レベルについての試験が挙げられる。このような試験は、当業者に公知の標準的な試験である(例えば、American Diabetes Association、1998年を参照されたい)。好効果の処置プログラムは、そのプログラムにおいて、糖尿病に関する合併症、例えば、目の疾患、腎臓疾患、または神経疾患を患者がほとんど患っていないことによっても決定することができる。
【0182】
対象における糖尿病の開始を遅延させることは、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも6カ月、少なくとも1年、少なくとも2年、少なくとも5年、少なくとも10年、少なくとも20年、少なくとも30年、少なくとも40年またはそれより長い期間、対象の寿命全体を含み得る間、糖尿病の少なくとも1つの症状、例えば、高血糖、低インスリン血症、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、失明、記憶喪失、腎不全、心血管疾患(冠動脈疾患、末梢動脈疾患、脳血管疾患、アテローム硬化症、および高血圧を含む)、神経症、自律神経機能不全、高血糖性高浸透圧昏睡、またはこれらの組合せの開始の遅延を指す。
【0183】
一部の実施形態では、本明細書で提供される細胞、または組成物もしくはデバイスの移植によって誘導される対象の血中グルコースレベルの低下は、糖尿病閾値よりも低いグルコース量をもたらす。一部の実施形態では、対象は、哺乳動物対象である。一部の実施形態では、哺乳動物対象は、ヒトである。一部の実施形態では、グルコースの量は、移植の1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10日後に、糖尿病の閾値よりも低く低下される。
【0184】
本明細書の方法によって処置することができる対象は、ヒトまたは非ヒト動物であり得る。一部の例では、対象は、哺乳動物であり得る。対象の例としては、以下に限定されないが、霊長類、例えば、サル、チンパンジー、バンブー(bamboo)、またはヒトが挙げられる。一部の例では、対象は、ヒトである。対象は、以下に限定されないが、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギなどを含む非霊長類の動物であってもよい。一部の例では、処置を受けている対象は、それを必要とする対象、例えば、それを必要とするヒトである。
【0185】
用語「患者」および「対象」は、本明細書において交換可能に使用される。好ましくは、対象は、哺乳動物である。哺乳動物は、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、またはウシであり得るが、これらの例に限定されない。ヒト以外の哺乳動物は、1型糖尿病、2型真性糖尿病、または糖尿病前症の動物モデルを表す対象として有利に使用することができる。さらに、本明細書に記載の方法を使用して、家畜および/またはペットを処置することができる。対象は、雄であっても雌であってもよい。対象は、糖尿病(例えば、1型または2型)、糖尿病に関連する1つもしくは複数の合併症、または糖尿病前症を患っているか、または有すると予め診断または特定されている者、および任意選択で、糖尿病、糖尿病に関連する1つもしくは複数の合併症、または糖尿病前症に対する処置を受ける必要がなかった者であり得る。対象は、糖尿病または糖尿病前症を患っていない者であってもよい。対象は、糖尿病、糖尿病に関連する1つもしくは複数の合併症、または糖尿病前症を患っていると診断または特定されているが、糖尿病、糖尿病に関連する1つもしくは複数の合併症、または糖尿病前症についての1つまたは複数の処置を受けた結果として、公知の糖尿病リスク要因における改善を示す者であってもよい。あるいは、対象は、糖尿病、糖尿病に関連する1つもしくは複数の合併症、または糖尿病前症を有すると予め診断されていない者であってもよい。例えば、対象は、糖尿病、糖尿病に関連する合併症、もしくは糖尿病前症についての1つもしくは複数のリスク要因を呈する者、または糖尿病リスク要因を呈さない対象、または糖尿病、1つもしくは複数の糖尿病関連の合併症、もしくは糖尿病前症について無症候である対象であってもよい。対象は、糖尿病もしくは糖尿病前症を患っているかまたは糖尿病もしくは糖尿病前症になるリスクにある者であってもよい。対象は、本明細書で定義されているように、糖尿病に関連する1つもしくは複数の合併症または糖尿病前症を有すると診断または特定された者であってもよく、あるいは、対象は、糖尿病に関連する1つもしくは複数の合併症または糖尿病前症を有すると予め診断または特定されていない者であってもよい。
【0186】
一部の態様では、本開示は、本明細書に記載される免疫細胞(例えば、本明細書に記載される単離された幹細胞から分化した免疫細胞)、または本明細書に記載される遺伝子改変を含むか、もしくは本明細書に記載される方法を使用して遺伝子改変される免疫細胞、またはそのような免疫細胞を含む組成物を対象に投与することによってがんを処置する方法を提供する。一部の実施形態では、免疫細胞は、キメラ抗原受容体または人工T細胞受容体をさらに発現する。特定の実施形態では、対象は哺乳動物、例えば霊長類、例えばヒトである。本開示に従って処置され得るがんの非限定的な例としては、成人および小児急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質がん、AIDS関連がん、肛門がん、虫垂がん、星細胞腫、基底細胞がん、胆管がん、膀胱がん、骨がん、胆道がん、骨肉腫、線維性組織球腫、脳がん、脳幹神経膠腫、小脳星細胞腫、悪性神経膠腫、膠芽腫、上衣腫、髄芽腫、上脳室性原始神経外胚葉腫瘍、視床下部神経膠腫、乳がん、男性乳がん、気管支腺腫、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、原発不明がん、中枢神経系リンパ腫、小脳星細胞腫、悪性神経膠腫、子宮頸がん、小児がん、慢性リンパ性白血病 慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病および骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性疾患、結腸がん、皮膚T細胞リンパ腫、子宮内膜がん、上衣腫、食道がん、ユーイングファミリー腫瘍、頭蓋外胚細胞腫瘍、顎外生殖細胞腫瘍、肝外胆管がん、眼内黒色腫、網膜芽細胞腫、胆嚢がん、胃がん、消化管間質腫瘍、頭蓋外生殖細胞腫瘍、顎外生殖細胞腫瘍、卵巣生殖細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、神経膠腫、毛様細胞白血病、頭頸部がん、肝細胞がん、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、視床下部および視覚路神経膠腫、眼内黒色腫、膵島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎臓がん、腎細胞がん、喉頭がん、口唇・口腔がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、原発性中枢神経系リンパ腫、ワルデンシュトレーム巨細胞腫、悪性線維性組織球腫、髄芽腫、黒色腫、メルケル細胞がん、悪性中皮腫、扁平上皮頸部がん、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫、菌状息肉症、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性疾患、慢性骨髄増殖性疾患、鼻腔・副鼻腔がん、上咽頭がん、神経芽細胞腫、中咽頭がん、卵巣がん、膵臓がん、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、褐色細胞腫、松果体芽細胞腫および前庭部原始神経外胚葉腫瘍、下垂体がん、形質細胞新生物、胸膜肺芽腫、前立腺がん、直腸がん、横紋筋肉腫、唾液腺がん、軟部肉腫、子宮肉腫、セザリー症候群、非黒色腫皮膚がん、小腸がん、扁平上皮がん、扁平上皮頸部がん、上脳室性原発性神経外胚葉腫瘍、精巣がん、咽頭がん、胸腺腫および胸腺がん、甲状腺がん、移行細胞がん、絨毛腫瘍、尿道がん、子宮がん、子宮肉腫、膣がん、外陰がん、絨毛がん、血液新生物、成人T細胞白血病、リンパ腫、リンパ球性リンパ腫、間質腫瘍および生殖細胞腫瘍、またはウィルムス腫瘍が挙げられる。一部の実施形態では、がんは転移性がんである。
【0187】
一部の態様では、本開示は、心筋細胞、骨格筋細胞、平滑筋細胞、および/またはサテライト幹細胞(例えば、本明細書に記載される単離された幹細胞から分化した筋細胞またはサテライト幹細胞)などの本明細書に記載される筋細胞のいずれか、またはそのような筋細胞もしくはサテライト幹細胞を含む組成物を対象に投与することによって、筋障害(例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィーまたは筋強直性ジストロフィー)を処置する方法を提供する。
【0188】
一部の態様では、本開示は、造血前駆細胞(例えば、本明細書に開示される幹細胞のいずれかから分化した造血前駆細胞)、またはそのような造血前駆細胞を含む組成物を対象に投与することによって、血液疾患(例えば、βサラセミアまたは鎌状赤血球症)を処置する方法を提供する。
【0189】
一部の態様では、本開示は、肝細胞または肝星状細胞などの肝細胞(例えば、本明細書に開示される幹細胞のいずれかから分化した肝細胞)、またはそのような肝細胞を含む組成物を対象に投与することによって、肝障害(例えば、α-1アンチトリプシン欠損症)を処置する方法を提供する。
【0190】
一部の態様では、本開示は、ドーパミン作動性ニューロン(例えば、本明細書に開示される幹細胞のいずれかから分化したドーパミン作動性ニューロン)などのニューロン細胞、またはそのようなニューロン細胞を含む組成物を対象に投与することによって、神経疾患(例えば、パーキンソン病)を処置する方法を提供する。
低免疫細胞の産生方法
一部の態様では、本開示は、本明細書に記載される単離された細胞(例えば、単離された幹細胞)を産生する方法を提供する。一部の実施形態では、単離された細胞を産生する方法は、細胞のゲノムを改変して、本明細書に記載される遺伝子改変を導入すること(例えば、免疫抑制因子をコードする対立遺伝子の3’-UTRを破壊すること、1つまたは複数の免疫抑制因子をコードする外因性ポリヌクレオチド配列を挿入すること、抗CRISPRタンパク質をコードする外因性ポリヌクレオチド配列を挿入すること、および/またはMCH-IもしくはMHC-IIの発現を低下させる遺伝子を破壊すること)を含む。本明細書に記載される遺伝子改変は、当業者に利用可能な任意の方法で行うことができる。
【0191】
一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞(例えば、単離された幹細胞)を作製する方法は、本明細書に記載される汎用改変を行うことが可能な遺伝子編集システムを細胞(例えば、ヒト胚幹細胞、ヒト多能性幹細胞、またはヒト人工多能性幹細胞)に送達するステップを含む。例えば、一部の実施形態では、遺伝子編集システムは、CRISPR-Cas遺伝子編集システムである。このようなシステムは、例えば、1つまたは複数のエンドヌクレアーゼと、目的の遺伝子配列を標的とする1つまたは複数のガイドRNAとを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される低免疫細胞は、CRISPR-Cas遺伝子編集システムを幹細胞に導入し、1つまたは複数の免疫抑制遺伝子の3’-UTRに1つまたは複数の破壊を生じさせることによって産生される。
【0192】
一部の実施形態では、本開示は、免疫抑制因子をコードする対立遺伝子の3’-UTRを標的とするヌクレオチド配列を含む1つまたは複数のガイドRNA(gRNA)、またはgRNAをコードする1つまたは複数の核酸を含む組成物を細胞(例えば、幹細胞)に送達することによって、低免疫細胞が産生される方法を提供する。一部の実施形態では、遺伝子編集システムは、標的ゲノム部位を破壊することができるヌクレアーゼ(例えば、エンドヌクレアーゼ)またはリコンビナーゼ(例えば、部位特異的リコンビナーゼ)を含む。本開示に従って使用され得るヌクレアーゼ(例えば、エンドヌクレアーゼ)の非限定的な例としては、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ、およびRNAガイドエンドヌクレアーゼ(例えば、CRISPR-Cas9またはCRISPR/Cas9;Clustered Regular Interspaced Short Palindromic Repeats Associated 9ヌクレアーゼ)が挙げられる。本開示に従って使用され得るリコンビナーゼ(例えば、部位特異的リコンビナーゼ)の非限定的な例としては、Cre、Bxb1、FLPe、phiC31インテグラーゼ、phiC31エキソシゲナーゼ、R4、PhiBT1、Wβインテグラーゼ、SPBc、およびTP901-1が挙げられる。一部の実施形態では、遺伝子編集システムは、標的ゲノム部位を破壊することができるヌクレアーゼ(例えば、エンドヌクレアーゼ)またはリコンビナーゼ(例えば、部位特異的リコンビナーゼ)をコードする核酸を含む。一部の実施形態では、遺伝子編集システムは、piggyBacトランスポゾンシステムなどのトランスポゾンシステムを含む。
【0193】
一部の実施形態では、遺伝子編集システムは、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)またはZFNをコードする核酸を含む。ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)は、ジンクフィンガーDNA結合ドメイン(ZFBD)に融合したヌクレアーゼを含む標的ヌクレアーゼであり、1つまたは複数のジンクフィンガーを介して配列特異的にDNAに結合するポリペプチドドメインである。ジンクフィンガーは、ジンクフィンガー結合ドメイン内の約30アミノ酸のドメインであり、その構造は亜鉛イオンの配位によって安定化される。ジンクフィンガーの例としては、C2H2ジンクフィンガー、C3Hジンクフィンガー、およびC4ジンクフィンガーが挙げられるが、これらに限定されない。設計されたジンクフィンガードメインとは、自然界に存在しないドメインであり、その設計/構成は、主に合理的な基準、例えば、既存のZFP設計および結合データの情報を格納するデータベース内の情報を処理するための置換規則およびコンピュータ化されたアルゴリズムの適用から生じる。例えば、米国特許第6,140,081号;第6,453,242号;および第6,534,261号を参照されたく;また国際公開第98/53058号;同第98/53059号;同第98/53060号;同第02/016536号および同第03/016496号を参照されたい。選択されたジンクフィンガードメインは、ファージディスプレイ、相互作用トラップまたはハイブリッド選択のような経験的プロセスから主に産生される、自然界に見出されないドメインである。ZFNは、米国特許第7,888,121号および同第7,972,85号にさらに詳しく記載されている。ZFNの最もよく認識されている例は、FokIヌクレアーゼとジンクフィンガーDNA結合ドメインとの融合体である。
【0194】
一部の実施形態では、遺伝子編集システムは、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)またはTALENをコードする核酸を含む。転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)は、転写活性化因子様エフェクターDNA結合ドメインに融合したヌクレアーゼを含む標的ヌクレアーゼである。「転写活性化因子様エフェクターDNA結合ドメイン」、「TALエフェクターDNA結合ドメイン」、または「TALE DNA結合ドメイン」は、DNAへのTALエフェクタータンパク質の結合を担うTALエフェクタータンパク質のポリペプチドドメインである。TALエフェクタータンパク質は、キサントモナス属の植物病原菌によって感染時に分泌される。これらのタンパク質は植物細胞の核に入り、DNA結合ドメインを介してエフェクター特異的DNA配列に結合し、トランス活性化ドメインを介してこれらの配列における遺伝子転写を活性化する。TALエフェクターDNA結合ドメインの特異性は、エフェクター可変数の不完全な34アミノ酸反復に依存し、これは反復可変二残基(RVD)と呼ばれる選択的な反復位置の多型を含む。TALENについては、米国特許出願公開第2011/0145940号にさらに詳しく記載されている。当技術分野で最も認識されているTALENの例は、FokIヌクレアーゼとTALエフェクターDNA結合ドメインとの融合ポリペプチドである。
【0195】
一部の実施形態では、遺伝子編集システムは、RNAガイドヌクレアーゼまたはRNAガイドヌクレアーゼをコードする核酸を含む。RNAガイドエンドヌクレアーゼは、ポリヌクレオチドを標的として切断するためにRNA:DNA塩基対合を利用する酵素である。RNAガイドエンドヌクレアーゼは、一本鎖ポリヌクレオチドまたは二本鎖ポリヌクレオチドの少なくとも一方の鎖を切断することができる。遺伝子編集システムは、1つのRNAガイドエンドヌクレアーゼを含んでいてもよい。あるいは、遺伝子編集システムは、少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10つ、または10つ以上)のRNAガイドエンドヌクレアーゼを含み得る。一部の実施形態では、遺伝子編集システムは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、またはそれ以上)のガイドRNA(gRNA)、または1つまたは複数のgRNAをコードする1つまたは複数の核酸をさらに含む。一部の実施形態では、遺伝子編集システムは、RNAガイドヌクレアーゼおよび1つまたは複数のgRNAの両方をコードするヌクレオチド酸を含む。一部の実施形態では、遺伝子編集システムは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、またはそれ以上)のRNAガイドヌクレアーゼおよびgRNA複合体を含む。
【0196】
一部の実施形態では、遺伝子編集システムは、CRISPR/Casシステムを含み、RNAガイドヌクレアーゼは、Casタンパク質である。一部の実施形態では、Casタンパク質は、Casコアタンパク質を含む。例示的なCasコアタンパク質としては、Cas1、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9、Cas10、Cas11、Cas12、Cas12i、Cas14、Casφ、およびそれらの改変バージョンが挙げられるが、これらに限定されない。遺伝子編集において使用され得るCasタンパク質およびバリアントは、例えば、Xuら, Computational and Structural Biotechnology Journal, Volume 18, 2020年, Pages2401~2415頁、および国際公開第2019178427号に記載されているように、当技術分野において公知であり、これらの各々の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0197】
一部の実施形態では、Casタンパク質は、大腸菌サブタイプのCasタンパク質(CASS2としても知られている)を含む。大腸菌サブタイプの例示的なCasタンパク質としては、Cse1、Cse2、Cse3、Cse4、およびCas5eが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、Casタンパク質は、YpestサブタイプのCasタンパク質(CASS3としても知られている)を含む。Ypestサブタイプの例示的なCasタンパク質としては、Csy1、Csy2、Csy3、およびCsy4が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、Casタンパク質は、Nmeniサブタイプ(CASS4としても知られている)のCasタンパク質を含む。Nmeniサブタイプの例示的なCasタンパク質としては、Csn1およびCsn2が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、Casタンパク質は、Dvulgサブタイプ(CASS1としても知られている)のCasタンパク質を含む。Dvulgサブタイプの例示的なCasタンパク質としては、Csd1、Csd2、およびCas5dが挙げられる。一部の実施形態では、Casタンパク質は、Tneapサブタイプ(CASS7としても知られている)のCasタンパク質を含む。Tneapサブタイプの例示的なCasタンパク質としては、Cst1、Cst2、Cas5tが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、Casタンパク質は、HmariサブタイプのCasタンパク質を含む。Hmariサブタイプの例示的なCasタンパク質としては、Csh1、Csh2、およびCas5hが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、Casタンパク質は、Apernサブタイプ(CASS5としても知られている)のCasタンパク質を含む。Apernサブタイプの例示的なCasタンパク質としては、Csa1、Csa2、Csa3、Csa4、Csa5、およびCas5aが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、Casタンパク質は、Mtubeサブタイプ(CASS6としても知られている)のCasタンパク質を含む。Mtubeサブタイプの例示的なCasタンパク質としては、Csm1、Csm2、Csm3、Csm4、およびCsm5が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、Casタンパク質は、RAMPモジュールCasタンパク質を含む。例示的なRAMPモジュールCasタンパク質としては、Cmr1、Cmr2、Cmr3、Cmr4、Cmr5、およびCmr6が挙げられるが、これらに限定されない。
【0198】
一部の実施形態では、Casタンパク質は、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9タンパク質またはその機能部分である。一部の実施形態では、Casタンパク質は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)Cas9タンパク質またはその機能部分である。一部の実施形態では、Casタンパク質は、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)Cas9タンパク質またはその機能部分である。一部の実施形態では、Casタンパク質は、髄膜炎菌(Neisseria meningitides)Cas9タンパク質またはその機能部分である。一部の実施形態では、Casタンパク質は、トレポネーマ・デンティコラ(Treponema denticola)Cas9タンパク質またはその機能部分である。一部の実施形態では、Casタンパク質は、任意の細菌種由来のCas9タンパク質またはその機能部分である。Cas9タンパク質は、典型的には、トランスコード低分子RNA(tracrRNA)、内因性リボヌクレアーゼ3(rnc)、およびCasタンパク質を含むII型CRISPRシステムのメンバーである。化膿性レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)由来のCas9タンパク質の一例は、1368アミノ酸を含むポリペプチドである(Uniprot受託番号Q99ZW2に記載)。Cas9は、crRNAに相補的でない標的DNAを切断するRuvC様ドメイン(残基7~22、759~766および982~989)、およびcrRNAに相補的な標的DNAを切断するHNHヌクレアーゼドメイン(残基810~872)を含む、2つのエンドヌクレアーゼドメインを含む。一部の実施形態では、HNHまたはRuvC様ドメインの一方または両方は機能しない。
【0199】
一部の実施形態では、Casタンパク質は、例えば、Komorら, Nature、2016年5月19日;533(7603):420~4頁に記載されているように、二本鎖切断を生成することなく変異を導入することができる酵素(例えば、アデノシンデアミナーゼ)に融合した触媒的に不活性なCas(例えば、Cas9)ドメインを含む。
【0200】
一部の実施形態では、Casタンパク質は、逆転写酵素に融合した触媒的に不活性なCas(例えば、Cas9)ドメインを含む。一部の実施形態では、そのようなCasタンパク質は、例えば、Anzaloneら, Nature 576巻,149~157頁(2019年)に記載されるように、標的部位を指定し、かつ所望の編集をコードするプライム編集ガイドRNA(pegRNA)とともに使用され得る。
【0201】
一部の実施形態では、Casタンパク質は、Cpf1タンパク質またはその機能部分である。一部の実施形態では、Casタンパク質は、任意の細菌種由来のCpf1またはその機能部分である。一部の実施形態では、Cpf1は、フランシセラ・ノビシダ(Francisella novicida)U112タンパク質またはその機能部分である。一部の実施形態では、Cpf1は、アシダミノコッカス属BV3L6タンパク質またはその機能部分である。一部の実施形態では、Cpf1は、ラクノスピラ科(Lachnospiraceae)細菌ND2006タンパク質またはその機能部分である。Cpf1タンパク質は、V型CRISPRシステムのメンバーである。Cpf1タンパク質は、約1300アミノ酸を含むポリペプチドである。Cpf1はRuvC様エンドヌクレアーゼドメインを含む。Cpf1は単一のリボヌクレアーゼドメインを用いて、標的DNAを千鳥状に切断する。千鳥状のDNA二本鎖切断は、4または5-ntの5’オーバーハングを生じる。
【0202】
一部の実施形態では、Casタンパク質は、国際公開第2019178427号に記載されているようなCas12iタンパク質、またはその機能部分である。一部の実施形態では、Cas12iタンパク質はV-I型(CLUST.029130)Casタンパク質である。一部の実施形態では、Cas12iタンパク質は、長さが約1100アミノ酸以下である(そして、少なくとも1つのRuvCドメインを含む。
【0203】
一部の実施形態では、Casタンパク質は、CasPhiまたはCas14タンパク質である。
本明細書で使用される場合、「機能部分」は、少なくとも1つのリボ核酸(例えば、ガイドRNA(gRNA))と複合体化し、標的ポリヌクレオチド配列を切断する能力を保持するペプチドの部分を指す。一部の実施形態では、機能部分は、DNA結合ドメイン、少なくとも1つのRNA結合ドメイン、ヘリカーゼドメイン、およびエンドヌクレアーゼドメインからなる群から選択される、作動可能に連結されたCas9タンパク質機能ドメインの組合せを含む。一部の実施形態では、機能部分は、DNA結合ドメイン、少なくとも1つのRNA結合ドメイン、ヘリカーゼドメイン、およびエンドヌクレアーゼドメインからなる群から選択される、作動可能に連結されたCpf1タンパク質機能ドメインの組合せを含む。一部の実施形態では、機能的ドメインは複合体を形成する。一部の実施形態では、Cas9タンパク質の機能部分は、RuvC様ドメインの機能部分を含む。一部の実施形態では、Cas9タンパク質の機能的部分は、HNHヌクレアーゼドメインの機能部分を含む。一部の実施形態では、Cpf1タンパク質の機能部分は、RuvC様ドメインの機能部分を含む。
【0204】
本明細書に記載されるRNAガイドヌクレアーゼ(例えば、Casタンパク質)は、1つまたは複数のgRNAによって標的ゲノム部位に誘導される。当然のことながら、2つの非コードRNA-crisprRNA(crRNA)およびトランス活性化RNA(tracrRNA)は、mRNAガイドヌクレアーゼ(例えば、Casタンパク質)を標的ゲノム部位に誘導する。crRNAは、標的DNA中の20ヌクレオチド(nt)配列との典型的なワトソン-クリック塩基対形成を通じて、CRISPR-Cas9複合体の配列認識および特異性を駆動する。crRNAの5’20ntの塩基配列を変えることで、CRISPR-Cas9複合体を特定の遺伝子座に標的化することができる。CRISPR-Cas9複合体は、標的配列の後にプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)と呼ばれる特定の短いDNAモチーフが続く場合、crRNAの最初の20ntと一致する配列を含むDNA配列にのみ結合する。TracrRNAはcrRNAの3’末端とハイブリダイズしてRNA二重鎖構造を形成し、Cas9エンドヌクレアーゼと結合して触媒活性を持つCRISPR-Cas9複合体を形成し、これは次いで標的DNAを切断することができる。CRISPR-Cas9複合体が標的部位のDNAに結合すると、Cas9酵素内の2つの独立したヌクレアーゼドメインがそれぞれ、PAM部位の上流のDNA鎖の一方を切断し、DNAの両鎖が塩基対で終結する(鈍端)二本鎖切断(DSB)が残る。
【0205】
一部の実施形態では、gRNAはデュアルガイドRNAまたはシングルガイドRNA(sgRNA)である。一部の実施形態では、ガイドRNAは、tracrRNAおよびcrRNAの両方の側面を含むシングルガイドRNA(sgRNA)である。
【0206】
一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された細胞(例えば、単離された幹細胞)を産生する方法において使用される遺伝子編集システムは、1つまたは複数のgRNAまたは1つまたは複数のgRNAをコードする1つまたは複数の核酸を含む。gRNAは、当技術分野の当業者には理解されるように、採用される特定のCRISPR/Casシステム、および標的ポリヌクレオチドの配列に応じて、様々な異なる標的モチーフにハイブリダイズするように選択され得る。
【0207】
当技術分野の当業者には理解されるように、各gRNAはそのゲノム標的配列に相補的なスペーサー配列を含むように設計されている。Jinekら, Science、337, 816~821頁(2012年)およびDeltchevaら, Nature, 471, 602~607頁(2011年)を参照されたい。スペーサー配列は、目的の標的核酸の標的配列(例えば、ゲノム標的配列などのDNA標的配列)を規定する配列(例えば、20塩基配列)である。gRNAは、gRNA配列の5’末端に17~30ヌクレオチドを有する可変長スペーサー配列を含み得る。一部の実施形態では、スペーサー配列は15~30ヌクレオチドである。一部の実施形態では、スペーサー配列は、15、16、17、18、19、29、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30ヌクレオチドである。一部の実施形態では、スペーサー配列は20ヌクレオチドである。
【0208】
「標的配列」は、PAM配列に隣接し、RNAガイドヌクレアーゼ(例えば、Cas9)によって改変される配列である。「標的核酸」は二本鎖分子であり、一方の鎖は標的配列を含み、「PAM鎖」と呼ばれ、他方の相補鎖は「非PAM鎖」と呼ばれる。当技術分野の当業者であれば、gRNAスペーサー配列は、目的の標的核酸の非PAM鎖に位置する標的配列の逆相補体にハイブリダイズすることを認識している。したがって、gRNAスペーサー配列は標的配列のRNA等価物である。gRNAのスペーサーはハイブリダイゼーション(すなわち塩基対形成)を介して配列特異的に標的核酸と相互作用する。したがって、スペーサーの塩基配列は目的の標的核酸の標的配列によって異なる。
【0209】
スペーサー配列は、システムで使用されるCas9酵素のPAMの5’に位置する標的核酸の領域にハイブリダイズするように設計される。スペーサーは標的配列と完全に一致する場合もあれば、ミスマッチがある場合もある。各Casタンパク質は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Xuら, Computational and Structural Biotechnology Journal,18巻, 2020年, 2401~2415頁に記載されているように、標的DNAにおいて認識する特定のPAM配列を有する。例えば、化膿レンサ球菌(S. pyogenes)Cas9は、配列5’-NRG-3’を含むPAMを標的核酸において認識し、ここでRはAまたはGのいずれかを含み、Nは任意のヌクレオチドであり、Nはスペーサー配列によって標的化される標的核酸配列のすぐ3’である。別の例では、Cas12iタンパク質は、標的核酸において、5’-TTN-3’または5’-TTH-3’または5’-TTY-3’または5’-TTC-3’の配列を含むPAMを認識し、ここで、Nは任意のヌクレオチドであり、Hはアデニン、シトシン、またはチミンであり、Yはシトシン、チミン、またはピリミジンである。
【0210】
一部の実施形態では、標的核酸配列は、20ヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、標的核酸は、20ヌクレオチド未満を含む。一部の実施形態では、標的核酸は、20ヌクレオチド超を含む。一部の実施形態では、標的核酸は、少なくとも5、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30またはそれ以上のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、標的核酸は、多くとも5、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30またはそれ以上のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、標的核酸配列は、PAMの最初のヌクレオチドのすぐ5’に20塩基を含む。例えば、5’-NNNNNNNNNNNNNNRG-3’を含む配列において、標的核酸は、Nsに対応する配列を含み、ここでNは任意のヌクレオチドであり、下線のNRG配列は黄色ブドウ球菌(S.aureus)PAMである。
【0211】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるPDL1の3’-UTRを破壊するためのPDL1の3’-UTRを標的とするgRNAは、配列番号1に記載のPDL1配列の990位~1050位、配列番号28に記載のPDL1配列の17368位~17429位、または配列番号2に記載のPDL1配列の648位~708位の間の配列を標的とする。一部の実施形態では、本明細書に記載されるPDL1の3’-UTRを標的とするgRNAは、配列番号1に記載のPDL1配列の1003位~1022位、配列番号28に記載のPDL1配列の17382位~17401位、または配列番号2に記載のPDL1配列の662位~680位の間の配列を標的とする。一部の実施形態では、本明細書に記載されるPDL1の3’-UTRを標的とするgRNAは、配列番号1に記載のPDL1配列の1021位~1040位、配列番号28に記載のPDL1配列の17400位~17419位、または配列番号2に記載のPDL1配列の679位~698位の間の配列を標的とする。一部の実施形態では、本明細書に記載されるPDL1の3’-UTRを標的とするgRNAは、反対鎖上のPDL1の3’-UTRの下流の配列(例えば、少なくとも5ヌクレオチド、少なくとも10ヌクレオチド、少なくとも50ヌクレオチド、少なくとも100ヌクレオチド、少なくとも200ヌクレオチド、少なくとも300ヌクレオチド、少なくとも400ヌクレオチド、少なくとも500ヌクレオチド、少なくとも600ヌクレオチド、少なくとも700ヌクレオチド、少なくとも800ヌクレオチド、少なくとも900ヌクレオチド、少なくとも1000ヌクレオチド、またはそれ以上下流)を標的とする。一部の実施形態では、本明細書に記載されるPDL1の3’-UTRを破壊するためのPDL1の3’-UTRを標的とするgRNAは、AGAGGAAGGAATGGGCCCGT(配列番号13)、TCGGGGCTGAGCGTGACAAG(配列番号14)、またはTCTTCTTGGTATGGTCCTAA(配列番号15)のヌクレオチド配列を含む標的配列を標的とする。一部の実施形態では、Casタンパク質(例えば、Cas9)、配列番号13もしくは配列番号15に記載の標的配列を標的とするgRNA、またはこれらの構成要素をコードする1つもしくは複数の核酸を幹細胞に送達することは、PDL1の3’-UTRの欠失をもたらす。
【0212】
一部の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子編集システムにおいて使用するためのgRNAは、スキャフォールド配列をさらに含む。スカフォールド配列は、最小CRISPRリピート配列、単一分子ガイドリンカー、最小tracrRNA配列、3’tracrRNA配列、および/または任意のtracrRNA伸長配列の配列を含み得る。スキャフォールド配列は、スペーサー配列の5’末端および/または3’末端に連結されていてもよい。一部の実施形態では、スキャフォールド配列はスペーサー配列の3’末端に連結される。他の実施形態では、スキャフォールド配列はスペーサー配列の5’末端に連結される。
【0213】
一部の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子編集システムにおいて使用するためのgRNAは、以下のスキャフォールドヌクレオチド配列のうちの1つからなるか、本質的にこれからなる(例えば、以下の配列の5’末端および/または3’末端に最大20個の余分なヌクレオチドを含む)か、またはこれらからなる:
(i) acccagcctgacaccaaatttaGUUUUAGUACUCUGGAAACAGAAUCUACUAAAACAA
GGCAAAAUGCCGUGUUUAUCUCGUCAACUUGUUGGCGAGAUUUU (配列番号16);
(ii) tactaaaaggcagcctcctagaGUUUUAGUACUCUGGAAACAGAAUCUACUAAAACAA
GGCAAAAUGCCGUGUUUAUCUCGUCAACUUGUUGGCGAGAUUUU (配列番号17);
(iii) attggctaccttggttggatgaGUUUUAGUACUCUGGAAACAGAAUCUACUAAAACAAG
GCAAAAUGCCGUGUUUAUCUCGUCAACUUGUUGGCGAGAUUUU (配列番号18);
(iv) gacagctggctatccaggattcGUUUUAGUACUCUGGAAACAGAAUCUACUAAAACAA
GGCAAAAUGCCGUGUUUAUCUCGUCAACUUGUUGGCGAGAUUUU (配列番号19);
(v) acttgcaggaggtgagggattaGUUUUAGUACUCUGGAAACAGAAUCUACUAAAACAA
GGCAAAAUGCCGUGUUUAUCUCGUCAACUUGUUGGCGAGAUUUU (配列番号20);
(vi) attagggaatgcagactctgggGUUUUAGUACUCUGGAAACAGAAUCUACUAAAACAA
GGCAAAAUGCCGUGUUUAUCUCGUCAACUUGUUGGCGAGAUUUU (配列番号21);
(vii) tgggtgagattagaggccactgGUUUUAGUACUCUGGAAACAGAAUCUACUAAAACA
AGGCAAAAUGCCGUGUUUAUCUCGUCAACUUGUUGGCGAGAUUUU (配列番号22);
(viii) tgcttcctcccttgtctccctaGUUUUAGUACUCUGGAAACAGAAUCUACUAAAACAAG
GCAAAAUGCCGUGUUUAUCUCGUCAACUUGUUGGCGAGAUUUU (配列番号23);
(iv) tggcatatgagaaaagtcacagGUUUUAGUACUCUGGAAACAGAAUCUACUAAAACAA
GGCAAAAUGCCGUGUUUAUCUCGUCAACUUGUUGGCGAGAUUUU (配列番号24);および
(x) ccttattcttttgatatactccGUUUUAGUACUCUGGAAACAGAAUCUACUAAAACAAGG
CAAAAUGCCGUGUUUAUCUCGUCAACUUGUUGGCGAGAUUUU (配列番号25)。
【0214】
一部の実施形態では、Cas12iタンパク質に対するgRNAは、3’末端の近位(スペーサー配列にすぐ隣接する)にステムループ構造を含む直接リピート配列を含む。一部の実施形態では、Cas12iタンパク質に対するgRNAは、3’末端の近位にステムループを含み、ステムは5~8ヌクレオチドの長さである。一部の実施形態ではV-I型RNAガイドは、3’末端の近位に配列5’-CCGUCNNNNNNUGACGG-3’(配列番号26)または5’-GUGCCNNNNNNUGGCAC-3’(配列番号27)を含む直接リピート配列を含み、ここでNは任意の核酸塩基を指す。一部の実施形態ではV-I型RNAガイドダイレクトリピートは、3’末端に近接した配列を含み、ここで、Nは任意の核酸塩基を指す。
【0215】
上記のgRNA配列はRNA配列であるため、gRNAを指す配列中の任意のT(チミン)は、RNA分子の文脈ではU(またはウラシル)を指すであろうことは理解される。本明細書においてT(チミン)を含む配列は、DNA分子とRNA分子の両方を包含する(ここで、TはUを指す)。
【0216】
さらに、1分子gRNAは、gRNA配列の3’末端にウラシルを含まないことができる。gRNAは、gRNA配列の3’末端に1つまたは複数のウラシルを含むことができる。例えば、gRNAはgRNA配列の3’末端に1つのウラシル(U)を含むことができる。gRNAは、gRNA配列の3’末端に2つのウラシル(UU)を含むことができる。gRNAはgRNA配列の3’末端に3つのウラシル(UUU)を含むことができる。gRNAはgRNA配列の3’末端に4つのウラシル(UUUU)を含むことができる。gRNAは、gRNA配列の3’末端に5つのウラシル(UUUUU)を含むことができる。gRNAは、gRNA配列の3’末端に6つのウラシル(UUUUUU)を含むことができる。gRNAは、gRNA配列の3’末端に7つのウラシル(UUUUUUU)を含むことができる。gRNAは、gRNA配列の3’末端に8ウラシル(UUUUUUUU)を含むことができる。
【0217】
一部の実施形態では、本明細書に開示される遺伝子編集システムは、遺伝子編集システム構成要素をコードする核酸(例えば、ベクター)またはそれを含むウイルス粒子を含み得る。一部の実施形態では、遺伝子編集システムは、ヌクレアーゼおよび1つまたは複数のgRNAを含む、遺伝子編集システムの全ての構成要素を産生することができる1つの核酸を含む。他の例では、遺伝子編集系は2つ以上の核酸を含む。
【0218】
核酸(または核酸のセット中の少なくとも1つの核酸)は、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、および単純ヘルペスウイルス(HSV)ベクターなどのウイルスベクターなどのベクターであってもよい。
【0219】
一部の例では、遺伝子編集系は、本明細書に開示されるような遺伝子編集システムの構成要素を産生するための遺伝物質を運ぶ1つまたは複数のウイルス粒子を含み得る。ウイルス粒子(例えば、AAV粒子)は、遺伝子編集システム(例えば、本明細書に記載)の1つまたは複数の構成要素(または1つまたは複数の構成要素を産生するための薬剤)を含み得る。ウイルス粒子(またはビリオン)は、ウイルスゲノムをコードする核酸と、タンパク質の外殻(すなわちカプシド)を含む。一部の例では、ウイルス粒子は、タンパク質の外殻を取り囲む脂質のエンベロープをさらに含む。
【0220】
一部の例では、ウイルス粒子は、ヌクレアーゼおよび1つまたは複数のgRNAを含む遺伝子編集システムの全ての構成要素を産生することができる核酸を含む。他の例では、ウイルス粒子は、遺伝子編集システムの1つまたは複数の構成要素を産生することができる核酸を含む。例えば、ウイルス粒子は、ヌクレアーゼおよびgRNAを産生することができる核酸を含んでいてもよい。あるいは、ウイルス粒子は、1つまたは複数のgRNAを産生することができる核酸を含んでいてもよい。別の例では、ウイルス粒子は、ヌクレアーゼのいずれか1つまたはgRNAのいずれか1つのみを産生することができる核酸を含んでいてもよい。
【0221】
本明細書に記載されるウイルス粒子は、レトロウイルス粒子、アデノウイルス粒子、アデノ随伴ウイルス(AAV)粒子、または単純ヘルペスウイルス(HSV)粒子を含むがこれらに限定されない、当技術分野で公知の任意のウイルス粒子に由来し得る。一部の実施形態では、ウイルス粒子はAAV粒子である。一部の実施形態では、AAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAVrhlO(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,790,472号を参照)、AAVrh74(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2015/0111955号を参照)、またはAAV9ベクターであり、AAVに続く数字はAAV血清型を示す。自己相補性AAV(sc AAV)ベクターのようなAAVベクターまたはその血清型の任意の変形は、一般的な用語AAVベクターである、AAV1ベクターなどに包含される。例えば、McCartyら, Gene Ther. 2001年;8:1248~54頁、Nasoら, BioDrugs 2017年;31:317~334頁、およびそこで引用されている参考文献を、様々なAAVベクターの詳細な議論について参照されたい。
【0222】
一部の実施形態では、ウイルス粒子のセットは、2つ以上の遺伝子編集システムを含む。一部の実施形態では、ウイルス粒子のセット中の各ウイルス粒子は、AAV粒子である。他の実施形態では、ウイルス粒子のセットは、2つ以上のタイプのウイルス粒子(例えば、レトロウイルス粒子、アデノウイルス粒子、アデノ随伴ウイルス(AAV)粒子、または単純ヘルペスウイルス(HSV)粒子)を含む。
【0223】
一部の実施形態では、本開示に従って使用されるgRNAは、合成および/または化学修飾されており、当技術分野で公知の方法(例えば、トランスフェクションまたは脂質ナノ粒子を介して)を介して幹細胞に送達され得る。脂質ナノ粒子(LNP)は、ヌクレオチドおよびタンパク質カーゴの送達のための公知の手段であり、本明細書に開示されるガイドRNA、組成物、または医薬製剤の送達のために使用され得る。一部の実施形態では、LNPは、核酸、タンパク質、またはタンパク質とともに核酸を送達する。一部の実施形態では、遺伝子編集システムは、Casタンパク質(例えば、Cas9タンパク質またはCas12i2タンパク質)およびガイドRNAを含む1つまたは複数のリボ核タンパク質を含む。一部の実施形態では、リボ核タンパク質は、脂質ナノ粒子によって、本明細書に開示される細胞のいずれか(例えば、本明細書に開示される幹細胞のいずれか)に投与される。一部の実施形態では、本開示は、エンドヌクレアーゼ(例えば、Cas9またはCas12i2タンパク質)をコードする核酸、および1つまたは複数のgRNAをコードする核酸を提供し、これらは、脂質ナノ粒子によって、本明細書に開示される細胞のいずれか(例えば、本明細書に開示される幹細胞のいずれか)に任意選択で投与される。
【0224】
一部の実施形態では、gRNAは化学的に修飾される。1つまたは複数の修飾ヌクレオシドまたはヌクレオチドを含むgRNAは、「修飾」gRNAまたは「化学修飾」gRNAと呼ばれ、正規のA、G、C、およびU残基の代わりに、またはそれに加えて使用される1つまたは複数の非天然および/または天然に存在する成分または構成の存在を表す。一部の実施形態では、修飾gRNAは非正規ヌクレオシドまたはヌクレオチドで合成され、ここでは「修飾」と呼ばれる。修飾ヌクレオシドおよびヌクレオチドは、以下のうちの1つまたは複数を含み得る:(i)ホスホジエステル骨格連結における非連結リン酸酸素および/または連結リン酸酸素の1つまたは複数の一方または両方の改変、例えば、置換(例示的な骨格修飾);(ii)リボース糖の構成成分、例えばリボース糖上の2’ヒドロキシルの改変、例えば、置換(例示的な糖修飾);(iii)「脱ホスホ」リンカーによるリン酸部分のホールセール置換(例示的な骨格修飾);(iv)非正規核酸塩基を含む、天然に存在する核酸塩基の修飾または置換(例示的な塩基修飾);(v)リボース-リン酸骨格の置換または修飾(例示的な骨格修飾);(vi)オリゴヌクレオチドの3’末端または5’末端の修飾、例えば、末端リン酸基の除去、修飾もしくは置換、または部位、キャップもしくはリンカーのコンジュゲーション(このような3’または5’キャップの修飾は、糖および/または骨格の修飾を含み得る);ならびに(vii)糖の修飾もしくは置換(例示的な糖の修飾)。
【0225】
上記のような化学修飾を組み合わせて、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の修飾を有するヌクレオシドおよびヌクレオチド(総称して「残基」)を含む修飾gRNAを提供することができる。例えば、修飾残基は、修飾糖と修飾核酸塩基、または修飾糖と修飾ホスホジエステルを有することができる。一部の実施形態では、gRNAの全ての塩基が修飾され、例えば、全ての塩基がホスホロチオエート基などの修飾されたリン酸基を有する。特定の実施形態では、gRNA分子のリン酸基の全て、または実質的に全てが、ホスホロチオエート基で置換される。一部の実施形態では、修飾gRNAは、RNAの5’末端またはその近傍に少なくとも1つの修飾残基を含む。一部の実施形態では、修飾gRNAは、RNAの3’末端またはその近傍に少なくとも1つの修飾残基を含む。
【0226】
一部の実施形態では、gRNAは、1つ、2つ、3つまたはそれ以上の修飾残基を含む。一部の実施形態では、修飾gRNA中の位置の少なくとも5%(例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%)は、修飾ヌクレオシドまたはヌクレオチドである。
【0227】
非修飾核酸は、例えば細胞内ヌクレアーゼまたは血清中に存在するヌクレアーゼによって分解されやすい。例えば、ヌクレアーゼは核酸のホスホジエステル結合を加水分解する。したがって、一態様では、本明細書に記載されるgRNAは、例えば、細胞内ヌクレアーゼまたは血清ベースのヌクレアーゼに対する安定性を導入するために、1つまたは複数の修飾ヌクレオシドまたはヌクレオチドを含むことができる。一部の実施形態では、本明細書に記載される修飾gRNA分子は、in vivoおよびex vivoの両方で、細胞集団に導入された場合に減少した自然免疫応答を示すことができる。「自然免疫応答」という用語は、一本鎖核酸を含む外因性核酸に対する細胞応答を含み、サイトカインの発現および放出、特にインターフェロンの誘導、ならびに細胞死を伴う。
【0228】
骨格修飾の一部の実施形態では、修飾残基のリン酸基は、1つまたは複数の酸素を異なる置換基で置換することによって修飾され得る。さらに、修飾残基、例えば、修飾核酸中に存在する修飾残基は、本明細書に記載されるように、非修飾リン酸部分を修飾リン酸基でホールセール置換することを含み得る。一部の実施形態では、リン酸骨格の修飾は、非荷電リンカーまたは非対称電荷分布を有する荷電リンカーのいずれかをもたらす改変を含み得る。
【0229】
修飾されたリン酸基の例としては、ホスホロチオエート、ホスホロセレネート、ボラノホスフェート、ボラノホスフェートエステル、水素ホスホネート、ホスホロアミデート、アルキルまたはアリールホスホネートおよびホスホトリエステルが挙げられる。非修飾リン酸基のリン原子はアキラルである。しかしながら、非架橋酸素の1つを上記の原子または原子群の1つと置換すると、リン原子をキラルにすることができる。立体異性リン原子は、「R」配置(本明細書中、Rp)または「S」配置(本明細書中、Sp)のいずれかを有し得る。骨格はまた、架橋酸素(すなわち、リン酸をヌクレオシドに連結する酸素)を窒素(架橋ホスホロアミデート)、硫黄(架橋ホスホロチオエート)および炭素(架橋メチレンホスホネート)で置換することによって修飾することができる。置換は、連結酸素のいずれか、または両方の連結酸素で起こり得る。
【0230】
リン酸基は、特定の骨格修飾において、非リン含有コネクターで置換され得る。一部の実施形態では、荷電リン酸基は、中性部分で置換され得る。リン酸基を置換し得る部分の例としては、限定されないが、例えば、メチルホスホネート、ヒドロキシラミノ、シロキサン、カーボネート、カルボキシメチル、カルバメート、アミド、チオエーテル、エチレンオキシドリンカー、スルホネート、スルホンアミド、チオホルマセタール、ホルマセタール、オキシム、メチレンイミノ、メチレンメチルイミノ、メチレンヒドラゾ、メチレンジメチルヒドラゾおよびメチレンオキシメチルイミノが挙げられる。
【0231】
核酸を模倣するスキャフォールドは、リン酸リンカーとリボース糖がヌクレアーゼ耐性ヌクレオシドまたはヌクレオチドサロゲートで置換されたものでも構築できる。このような修飾は、骨格および糖の修飾を含み得る。一部の実施形態では、核酸塩基は、サロゲート骨格によって繋留され得る。例としては、限定されないが、モルホリノ、シクロブチル、ピロリジンおよびペプチド核酸(PNA)ヌクレオシドサロゲートが挙げられる。
【0232】
修飾ヌクレオシドおよび修飾ヌクレオチドは、糖基に対する1つまたは複数の修飾、すなわち糖修飾を含み得る。例えば、2’ヒドロキシル基(OH)は修飾され得、例えば、多数の異なる「オキシ」または「デオキシ」置換基で置換され得る。一部の実施形態では、2’ヒドロキシル基の修飾は、核酸の安定性を増強することができ、これはヒドロキシルがもはや脱プロトン化されて2’-アルコキシドイオンを形成することができないためである。
【0233】
2’ヒドロキシル基の修飾の例としては、アルコキシまたはアリールオキシ(OR、ここで「R」は、例えば、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールまたは糖であり得る);ポリエチレングリコール(PEG)、0(CH2CH20)nCH2CH20R(式中、Rは、例えばHまたは任意選択で置換されたアルキルであり得、そしてnは、0~20の整数(例えば、0~4、0~8、0~10、0~16、1~4、1~8、1~10、1~16、1~20、2~4、2~8、2~10、2~16、2~20、4~8、4~10、4~16、および4~20))であり得る。一部の実施形態では、2’ヒドロキシル基修飾は、2’-0-Meであり得る。一部の実施形態では、2’ヒドロキシル基修飾は、2’ヒドロキシル基をフッ化物で置換する2’-フッ素修飾であり得る。一部の実施形態では、2’ヒドロキシル基修飾は、2’ヒドロキシルが、例えば、Ci-eアルキレンまたはCi-eヘテロアルキレン橋によって、同じリボース糖の4’炭素に連結され得る「ロックされた」核酸(LNA)を含み得、ここで、例示的な架橋としては、メチレン、プロピレン、エーテル、またはアミノ架橋;O-アミノ(ここで、アミノは、例えば、N3/4;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、またはジヘテロアリールアミノ、エチレンジアミン、またはポリアミノ)、およびアミノアルコキシ、0(CH2)n-アミノ、(ここで、アミノは、例えばN3/4;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、またはジヘテロアリールアミノ、エチレンジアミン、またはポリアミノ)である。一部の実施形態では、2’ヒドロキシル基修飾は、リボース環がC2’-C3’結合を欠く「アンロック」核酸(UNA)を含み得る。一部の実施形態では、2’ヒドロキシル基修飾は、メトキシエチル基(MOE)、(OCH2CH2OCH3、例えば、PEG誘導体)を含み得る。
【0234】
「デオキシ」2’修飾としては、水素(すなわち、デオキシリボース糖、例えば、部分的dsRNAのオーバーハング部分);ハロ(例えば、ブロモ、クロロ、フルオロ、またはヨード);アミノ(ここで、アミノは、例えば、NH2;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、またはアミノ酸);NH(CH2CH2NH)nCH2CH2-アミノ(ここで、アミノは、例えば、本明細書中に記載される通りである)、-NHC(0)R(式中、Rは、例えば、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールまたは糖であり得る)、シアノ;メルカプト;アルキルチオアルキル;チオアルコキシ;およびアルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニルおよびアルキニルであり得、これらは、例えば本明細書中に記載されるようにアミノで任意選択で置換され得る。糖修飾は、リボース中の対応する炭素の立体化学的配置とは反対の立体化学的配置を有する1つまたは複数の炭素を含む糖基を含むことができる。したがって、修飾核酸は、糖として例えばアラビノースを含むヌクレオチドを含み得る。修飾核酸はまた、脱塩基糖を含むことができる。これらの脱塩基糖は、構成糖原子の1つまたは複数でさらに修飾することもできる。修飾核酸はまた、L型である1つまたは複数の糖、例えばL-ヌクレオシドを含み得る。
【0235】
修飾核酸に組み込むことができる本明細書に記載される修飾ヌクレオシドおよび修飾ヌクレオチドは、核酸塩基とも呼ばれる修飾塩基を含むことができる。核酸塩基の例としては、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、およびウラシル(U)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの核酸塩基は、修飾核酸に組み込むことができる修飾残基を提供するために、修飾または完全に置換することができる。ヌクレオチドの核酸塩基は、プリン、ピリミジン、プリンアナログ、またはピリミジンアナログから独立して選択され得る。一部の実施形態では、核酸塩基は、例えば、塩基の天然および合成誘導体を含み得る。
【0236】
デュアルガイドRNAを採用する実施形態では、crRNAおよびtracr RNAの各々は、修飾を含むことができる。このような修飾は、crRNAおよび/またはtracr RNAの一方または両方の末端に存在し得る。sgRNAを含む実施形態では、sgRNAの一方の末端または両方の末端の1つまたは複数の残基が化学修飾され、および/または内部ヌクレオシドが修飾され、および/またはsgRNA全体が化学修飾され得る。特定の実施形態は、5’末端の修飾を含む。特定の実施形態は、3’末端修飾を含む。一部の実施形態では、修飾は2’-O-メチル修飾を含む。
【0237】
ヌクレオチド糖環に影響を及ぼすことが示されている別の化学修飾は、ハロゲン置換である。例えば、ヌクレオチド糖環上の2’-フルオロ(2’-F)置換は、オリゴヌクレオチド結合親和性およびヌクレアーゼ安定性を増加させることができる。2’-フルオロ(2’-F)の修飾が包含される。ホスホロチオエート(PS)連結または結合は、例えばヌクレオチド塩基間の結合において、ホスホジエステル結合の1つの非架橋リン酸酸素の代わりに硫黄が置換された結合を指す。ホスホロチオエートがオリゴヌクレオチドの生成に使用される場合、修飾オリゴヌクレオチドはS-オリゴとも呼ばれる。
【0238】
脱塩基ヌクレオチドは、窒素塩基を欠くヌクレオチドを指す。
逆塩基とは、通常の5’-3’結合とは逆の結合(すなわち、5’-5’結合または3’-3’結合のいずれか)を有するものを指す。
【0239】
脱塩基ヌクレオチドは逆結合で結合することができる。例えば、脱塩基ヌクレオチドは、5’から5’への連結を介して末端5’ヌクレオチドに結合することができ、またはアベーシックヌクレオチドは、3’から3’への連結を介して末端3’ヌクレオチドに結合することができる。末端5’または3’ヌクレオチドのいずれかにおける逆脱塩基ヌクレオチドは、逆脱塩基エンドキャップとも呼ばれ得る。
【0240】
一部の実施形態では、5’末端の最初の3、4、または5つのヌクレオチドの1つまたは複数、および3’末端の最後の3、4、または5つのヌクレオチドの1つまたは複数が修飾される。一部の実施形態では、修飾は、2’-0-Me、2’-F、逆脱塩基ヌクレオチド、PS結合、または安定性および/もしくは性能を増加させるために当技術分野で周知の他のヌクレオチド修飾である。
【0241】
一部の実施形態では、5’末端の最初の4つのヌクレオチド、および3’末端の最後の4つのヌクレオチドは、ホスホロチオエート(PS)結合で連結される。
一部の実施形態では、5’末端の最初の3つのヌクレオチド、および3’末端の最後の3つのヌクレオチドは、2’-O-メチル(2’-O-Me)修飾ヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、5’末端の最初の3つのヌクレオチド、および3’末端の最後の3つのヌクレオチドは、2’-フルオロ(2’-F)修飾ヌクレオチドを含む。
【0242】
一部の実施形態では、本明細書に記載される低免疫細胞を産生する方法は、標的ポリヌクレオチド配列またはその一部のノックアウト(例えば、免疫抑制因子、B2M、および/またはCIITA遺伝子の3’-UTRのノックアウト)をもたらす。一部の実施形態では、本明細書に記載される低免疫細胞を産生する方法は、標的ポリヌクレオチド配列またはその一部のノックイン(例えば、免疫抑制因子または抗CRISPRタンパク質のノックイン)をもたらす。一部の実施形態では、本方法は、処置目的および研究目的の両方のために、in vitro、in vivoまたはex vivoで実施することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載される任意の遺伝子改変は、ホモ接合体改変である。一部の実施形態では、本明細書に記載される任意の遺伝子改変は、ヘテロ接合体改変である。
【0243】
一部の実施形態では、本明細書に記載される低免疫細胞を産生する方法は、CRISPR/Casシステムを使用して実施される。一部の実施形態では、CRISPR/Casシステムは、高効率で標的ポリヌクレオチドを改変することができる。特定の実施形態では、改変効率は少なくとも約5%である。特定の実施形態では、改変効率は少なくとも約10%である。特定の実施形態では、改変効率は約10%~約80%である。特定の実施形態では、改変の効率は約30%~約80%である。特定の実施形態では、改変効率は約50%~約80%である。一部の実施形態では、改変効率は約80%以上である。一部の実施形態では、改変効率は約85%以上である。一部の実施形態では、改変効率は、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%以上である。一部の実施形態では、改変効率は約100%に等しい。
【実施例】
【0244】
これらの実施例は、例示の目的のみのために提供され、本発明において与えられる請求項の範囲を限定するものではない。
実施例1. PDL1 3’ UTR標的CRISPR/Cas9ノックアウト構築物の設計および検証
PDL1は、適応免疫系の抑制に大きな役割を果たしていることが示されている。PDL1の正常な活性は、免疫細胞(CD8+/CD4+ T細胞など)の過剰な刺激を抑制する役割を担っている。したがって、PDL1は幹細胞研究における処置標的である:PDL1の過剰発現またはPDL1の発現制限の低減は、有害な免疫応答を阻害することにより、効果的な幹細胞移植を促進する可能性がある。本開示は、部分的には、内因性PDL1 3’-UTRを操作して、PDL1遺伝子の過剰発現を、構成的に、または特定の合図(例えば、インターフェロン-γのようなサイトカイン)に応答して促進する方法に関する。
【0245】
内因性PDL1遺伝子座を操作することは、従来の導入遺伝子ノックインパラダイムで遭遇したいくつかの問題に対する潜在的な解決策を提供する。特に、従来の導入遺伝子ノックインアプローチは、ノックイン導入遺伝子のエピジェネティックサイレンシングの影響を受けやすい。本開示は、代表的な遺伝子編集システム、すなわちCRISPR/Cas9システムを用いて、内因性PDL1遺伝子の内因性3’UTRの大部分を切除することにより、この特定の問題に対処する。PDL1 3’ UTRは、PDL1 mRNAのその後の翻訳を調節する公知の転写後調節機能を有する(例えば、Kataokaら, Nature,534巻, 401~418巻, 2016年に記載されている)。CRISPR/Cas9システムによる内因性PDL1遺伝子の3’UTRの特異的破壊は、目的の細胞型(例えば、幹細胞および幹細胞誘導体)におけるPDL1遺伝子の発現の増加を可能にする。
【0246】
内因性PDL1遺伝子の3’UTRを切除するのに有効なCRISPR/Cas9ノックアウト構築物を同定するために、ヒト胚性細胞(hESC)をPDL1 3’ UTRまたはNLRC5を標的とするCRISPRガイドRNAとCas9エンドヌクレアーゼでヌクレオフェクションした(3μLのガイドRNA(300pmol)を2μLのCas9(40pmol)と7.5:1の比率になるように混合した)。細胞を2日間培養した後、IFNγで3日間刺激した。IFNγ刺激後のPDL1発現レベルの解析から、PDL1遺伝子発現の微妙な上方制御が示された。PDL1 3’-UTRのガイドRNA標的配列を表1に示す。
【0247】
【0248】
前の実験から得られたクローンを、次いでさらなる解析のために選択した。96ウェルプレートから12個のクローンを選び、DNAを抽出した(Lucigen DNA Quick Extract)。12個のクローンそれぞれのDNAを、内因性PDL1遺伝子の3’UTRの存在について分析し、クローンのいずれかで3’UTRが切除されているかどうかを決定した。PDL1遺伝子の3’UTRにまたがるプライマーを、抽出したDNAを用いたPCRアッセイに用いた。作成されたクローンのうち、3つのクローン(#12、#19、#25)は内因性PDL1遺伝子の3’UTRが破壊されていることが見出された。
【0249】
この3つのクローンについて、INFγ刺激なしでPDL1遺伝子の総体的調節異常について幹細胞の状態で再度試験した。驚くべきことに、PDL1遺伝子の発現は3つのクローン全てで上方制御されていた。
【0250】
実施例2. PDL1過剰発現効果の確認
CRISPR/Cas9構築物を含む3つのクローンが3’UTRを切除し、内因性PDL1遺伝子の発現を増加させる効果を確認するため、野生型細胞、B2M/CIITAダブルノックアウト(DKO)細胞、および3つのPDL1 3’UTR欠失クローン(#12、#19、#25)を内皮細胞に分化させ、ヒトCD8+ T細胞と混合してCD69表面発現をアッセイした(
図1A)。培地単独(陰性対照)ではCD69表面発現は活性化されなかったが、CD3/CD28活性化ビーズを含む培地(陽性対照)ではCD69表面発現が活性化された。野生型細胞はCD69の表面発現を活性化するように思われたが、DKO細胞は活性化しなかった。驚くべきことに、PDL1 3’-UTRの破壊は、CD69表面発現の活性化の減少によって測定されるように、3つのクローン全てにおいてT細胞の活性化を減少させた。
図1Aで用いた細胞の構成をさらに確認するために、未刺激野生型細胞、B2M/CIITA DKO細胞、および3つのPDL1 3’ UTR欠失クローンについて、HLA-I発現のプローブを行った(
図1B)。3つのPDL1 3’ UTR欠失クローンはHLA-Iを発現したが、B2M/CIITA DKO細胞は発現しなかった。
【0251】
PDL1過剰発現効果をさらに確認するために、精製ヒトCD8+ T細胞を、B2M/CIITA DKOクローン(DKO #18、DKO #46、およびDKO #64)または3つのPDL1 3’ UTR欠失クローン(#12、#19、および#25)のいずれかと共培養し、CD69表面発現をアッセイすることによってT細胞活性化を評価した(
図2)。3つのPDL1 3’ UTR欠失クローンは、この実験においてDKOクローンと同様に効果的にT細胞活性化を減少させたと考えられる。
【0252】
3’UTR切除後のPDL1発現の増加が刺激を必要とするかどうかを決定するために、野生型細胞およびPDL1 3’UTR欠失クローンを内皮細胞に分化させ、IFN-γのようなサイトカインによる刺激の有無において、PDL1表面発現についてプローブ(フローサイトメトリーによる平均蛍光強度(MFI)の測定)を行った(
図3)。刺激がない場合、PDL1表面発現は野生型細胞とPDL1 3’ UTR欠失クローンの間で同様であった。CD8+ T細胞と共培養すると、PDL1 3’ UTR欠失クローンはPDL1表面発現の適度な上方制御を示した。INFγ刺激にさらされると、PDL1 3’ UTR欠失クローンは野生型細胞と比較してPDL1表面発現の大きな誘導を示した。
【0253】
PDL1 3’ UTR欠失がT細胞を介した細胞死から細胞を保護するかどうかを調べるために、精製ヒトCD8+ T細胞を野生型細胞、B2M/CIITA DKOクローン、PDL1 3’ UTR欠失クローンと共培養した(
図4)。野生型細胞はT細胞を介した細胞死に感受性があり、ほぼ全ての細胞が細胞死を起こした。4つのDKOクローンのうち3つはT細胞を介した細胞死に耐性であった。驚くべきことに、PDL1 3’ UTR欠失クローンはいずれもT細胞媒介細胞死に対して耐性であった。
【配列表】
【国際調査報告】