(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】二重特異性抗体及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 19/00 20060101AFI20241029BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20241029BHJP
C07K 14/54 20060101ALI20241029BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20241029BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20241029BHJP
C12N 15/24 20060101ALI20241029BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20241029BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20241029BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20241029BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20241029BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20241029BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20241029BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20241029BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241029BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20241029BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20241029BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20241029BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20241029BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20241029BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20241029BHJP
A61K 35/12 20150101ALI20241029BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20241029BHJP
G01N 33/531 20060101ALI20241029BHJP
C12Q 1/04 20060101ALN20241029BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
C07K16/00
C07K14/54
C07K16/28
C12N15/13
C12N15/24
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N5/0783
A61P35/00
A61P31/12
A61P31/16
A61P31/14
A61K39/395 T
A61K39/395 E
A61K48/00
A61K31/7088
A61K35/12
G01N33/53 D
G01N33/531 A
C12Q1/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524501
(86)(22)【出願日】2022-08-24
(85)【翻訳文提出日】2024-04-23
(86)【国際出願番号】 CN2022114434
(87)【国際公開番号】W WO2023116010
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】202111564703.3
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】524144280
【氏名又は名称】シャンハイ エヌケー セル テック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【氏名又は名称】小野寺 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】シャオ ウェイファ
(72)【発明者】
【氏名】ティアン ジーガン
(72)【発明者】
【氏名】リー ヤンヤン
(72)【発明者】
【氏名】シエ シーチー
(72)【発明者】
【氏名】チェン ミンファ
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
4C084
4C085
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA14
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4H045AA10
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4H045GA15
4H045GA26
(57)【要約】
二重特異性抗体及びその使用を提供し、該二重特異性抗体は、IL-21分子と、CD16a単鎖抗体及びFcを含み、前記FcのN末端は前記単鎖抗体のC末端に接続され、前記CD16a単鎖抗体は重鎖可変領域と軽鎖可変領域を含むCD16a抗体と、を含み、前記FCのC末端は前記IL21分子のN端に接続される。製造される二重特異性抗体はCD16とIL-21受容体を同時に標的にして、NK細胞を活性化することができ、且つ半減期が長く、単一標的抗体よりも強い抗腫瘍、抗ウイルスの能力を示し、同時に、NK細胞の増殖を促進し、体外でNK細胞を培養増幅する応用潜在力があり、増幅後のNK細胞は良好な細胞毒性を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組換え抗体であって、
IL-21分子と、
CD16a単鎖抗体及びFc領域を含み、前記Fc領域のN末端は前記単鎖抗体のC末端に接続され、前記CD16a単鎖抗体は重鎖可変領域と軽鎖可変領域を含むCD16a抗体と、を含み、
前記FCのC末端は前記IL21分子のN端に接続される、組換え抗体。
【請求項2】
連結ペプチド1をさらに含み、前記連結ペプチド1のN端は前記CD16a単鎖抗体の重鎖可変領域のC端に接続され、前記連結ペプチド1のC端は前記CD16a単鎖抗体の軽鎖可変領域のN端に接続され、
任意選択に、前記連結ペプチド1はSEQ ID NO: 1で示されるアミノ酸配列を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の組換え抗体。
【請求項3】
連結ペプチド2をさらに含み、前記連結ペプチド2のN端は前記IL-21分子のC端に接続され、前記連結ペプチド2のC端は前記Fc領域のN端に接続され、
任意選択に、前記連結ペプチド2はSEQ ID NO: 2で示されるアミノ酸配列を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の組換え抗体。
【請求項4】
前記Fc領域の少なくとも一部はマウス源抗体、ヒト源抗体、霊長目源抗体またはその変異体の少なくとも1つから由来する、ことを特徴とする請求項3に記載の組換え抗体。
【請求項5】
前記Fc領域の少なくとも一部はヒト源IgGまたはその変異体から由来する、ことを特徴とする請求項3または4に記載の組換え抗体。
【請求項6】
前記Fc領域の少なくとも一部はヒト源Fcγ4またはその変異体から由来する、ことを特徴とする請求項3~5のいずれか1項に記載の組換え抗体。
【請求項7】
前記Fc領域はSEQ ID NO:3で示されるアミノ酸配列を有する、ことを特徴とする請求項3~6のいずれか1項に記載の組換え抗体。
【請求項8】
SEQ ID NO:4で示されるアミノ酸配列を有する、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の組換え抗体。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の組換え抗体をコードする、ことを特徴とする核酸。
【請求項10】
SEQ ID NO:5で示されるヌクレオチド配列を有する、ことを特徴とする請求項9に記載の核酸。
【請求項11】
請求項9または10に記載の核酸分子を担持する、ことを特徴とする発現ベクター。
【請求項12】
請求項9または10に記載の核酸分子、請求項11に記載の発現ベクターまたは請求項1~8のいずれか1項に記載の組換え抗体を担持する、ことを特徴とする組換え細胞。
【請求項13】
請求項1~8のいずれか1項に記載の組換え抗体、請求項9または10に記載の核酸分子、請求項11に記載の発現ベクターまたは請求項12に記載の組換え細胞を含む、ことを特徴とする組成物。
【請求項14】
請求項1~8のいずれか1項に記載の組換え抗体、請求項9または10に記載の核酸分子、請求項11に記載の発現ベクター、請求項12に記載の組換え細胞または請求項13に記載の組成物の、腫瘍またはウイルス感染を治療または予防するための薬物における製造の使用。
【請求項15】
前記腫瘍は、直腸癌、肺癌、乳癌、肝臓癌、胃癌、皮膚癌、腎癌、膵臓癌及び卵巣癌の中の少なくとも1つを含み、前記ウイルス感染は、HPV、HBV、インフルエンザウイルス及びコロナウイルスの中の少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項14に記載の使用。
【請求項16】
請求項1~8のいずれか1項に記載の組換え抗体、請求項9または10に記載の核酸分子、請求項11に記載の発現ベクター及び請求項12に記載の組換え細胞のNK細胞の培養増幅における使用。
【請求項17】
前記NK細胞は、末梢血から由来するか、または幹細胞誘導により得られる、ことを特徴とする請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記NK細胞は、ヒト末梢血単核細胞由来のNK細胞、ヒト臍帯血幹細胞誘導によるNK細胞、ヒト胚胎幹細胞誘導によるNK細胞及びヒトiPSC誘導によるNK細胞の中の少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項16に記載の使用。
【請求項19】
請求項1~8のいずれか1項に記載の組換え抗体、請求項9または10に記載の核酸分子、請求項11に記載の発現ベクター、請求項12に記載の組換え細胞または請求項13に記載の組成物を含み、腫瘍またはウイルス感染を治療または予防するために使用される、ことを特徴とする薬物。
【請求項20】
前記腫瘍は、直腸癌、肺癌、乳癌、肝臓癌、胃癌、皮膚癌、腎癌、膵臓癌及び卵巣癌の中の少なくとも1つを含み、前記ウイルス感染は、HPV、HBV、インフルエンザウイルス及びコロナウイルスの中の少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項19に記載の薬物。
【請求項21】
請求項1~8のいずれか1項に記載の組換え抗体を含む、ことを特徴とする試薬キット。
【請求項22】
前記試薬キットは、CD16a及び/又はIL-21Rを検出するために使用される、ことを特徴とする請求項21に記載の試薬キット。
【請求項23】
請求項1~8のいずれか1項に記載の組換え抗体、請求項9または10に記載の核酸分子、請求項11に記載の発現ベクター、請求項12に記載の組換え細胞、請求項13に記載の組成物または請求項19~20のいずれか1項に記載の薬物の腫瘍またはウイルス感染の治療または予防における使用。
【請求項24】
前記腫瘍は、直腸癌、肺癌、乳癌、肝臓癌、胃癌、皮膚癌、腎癌、膵臓癌及び卵巣癌の中の少なくとも1つを含み、前記ウイルス感染は、HPV、HBV、インフルエンザウイルス及びコロナウイルスの中の少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項23に記載の使用。
【請求項25】
被験者に、
1)請求項1~8のいずれか1項に記載の組換え抗体、
2)請求項9または10に記載の核酸分子、
3)請求項11に記載の発現ベクター、
4)請求項12に記載の組換え細胞、
5)請求項13に記載の組成物、または
6)請求項19~20のいずれか1項に記載の薬物の中の少なくとも1つを投与するステップを含む、ことを特徴とする腫瘍またはウイルス感染の治療または予防方法。
【請求項26】
前記腫瘍は、直腸癌、肺癌、乳癌、肝臓癌、胃癌、皮膚癌、腎癌、膵臓癌及び卵巣癌の中の少なくとも1つを含み、前記ウイルス感染は、HPV、HBV、インフルエンザウイルス及びコロナウイルスの中の少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生物医薬分野に関し、具体的に、二重特異性抗体及びその使用に関し、より具体的に、組換え抗体、免疫細胞、核酸、発現ベクター、組換え細胞、組成物、上記物質の薬物製造における使用、試薬キットに関する。
【背景技術】
【0002】
二重特異性抗体は2つの抗原部位を同時に特異的に結合することができる抗体である。NK細胞は固有免疫系の主要な効果細胞であり、T細胞に比べて、NK細胞は予め刺激を必要とせず、パーフォリンとグラニュール酵素及び関連するメカニズムを使用することで、MHC制限なしに腫瘍細胞とウイルス感染細胞を殺傷することができる。NK細胞は数多くの活性化性受容体を発現し、腫瘍細胞または感染細胞が生成したストレス性リガンドを効果的に識別することで、腫瘍細胞を効果的に殺傷することができるが、同時に腫瘍細胞も多くの免疫抑制性の分子を分泌して生成し、免疫抑制性の腫瘍微小環境を形成し、この環境にあるNK細胞の活性及び抗腫瘍能力の発揮を抑制し、NK細胞を枯渇状態にする。現在、免疫検査点遮断、活性化性抗体、活性化性サイトカインなど、腫瘍微小環境におけるNK細胞の枯渇を回復するための多くの方法もあり、これらの方法はNK細胞に活性化信号を提供したり、腫瘍微小環境における抑制信号を遮断したり、NK細胞を正常な活性化状態に回復させたり、抗腫瘍または抗ウイルスの機能を発揮させたりすることができる。
【0003】
CD16aはNK細胞上で発現される重要な活性化受容体の一種であり、CD16aがそのリガンドまたは抗体結合によって活性化されると、各種のカスケード活性化反応を誘導し、グラニュール酵素、パーフォリン、炎症性サイトカイン及びケモカインを放出し、これは、NK細胞に強力な活性化効果と抗腫瘍能力の増強をもたらす。IL-21R(IL-21受容体)はNK細胞上で構成型発現するサイトカイン受容体であり、対応するリガンドであるIL-21分子によって認識・結合・活性化されると、マウスのNK細胞に対して、この過程は、これらのNK細胞粒子の増加を促し、パーフォリンの発現を高め、IFN-γの分泌を増加し、効果活性を促進し、ヒトのNK細胞に対して、この過程は、IFN-γ分泌を増強し、増殖とNKの細胞毒活性を向上させ、同時に、NK細胞の熟成とNK細胞受容体の発現を加速する。このため、標的性の強い二重特異性抗体を開発することは、腫瘍の予防及び治療に極めて大きな価値がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、発明者が以下の事実と問題に対する発見と認識に基づいて作成されたものである。
【0005】
本発明において、発明者はCD16a抗体とIL-21分子を組み合わせ、組換え二重特異性抗体を設計し、前記組換え二重特異性組換え抗体はCD16aとIL-21受容体(IL-21R)を特異的に結合することができ、さらに標的的にIL-21分子とCD16a抗体をNK細胞の近くに持ち込み、NK細胞上のCD16a及び/又はIL-21Rと結合することによって、各種のカスケード活性化反応を誘導し、NK細胞を活性化させ、腫瘍微小環境におけるNK細胞の枯渇を回復させ、同時に、IFN-γ分泌を増強し、増殖とNKの細胞毒活性を向上させ、同時に、腫瘍細胞またはウイルス感染細胞を殺傷するために、NK細胞の熟成とNK細胞受容体の発現を加速し、前記組換え二重特異性抗体は高いCD16aとIL-21R結合活性を有し、抗腫瘍、抗ウイルス能力が高い。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため、本発明の第1の態様では、本発明は組換え抗体を提供する。本発明の実施例によれば、IL-21分子及びCD16a抗体を含み、前記CD16a抗体はCD16a単鎖抗体及びFc領域、前記Fc領域のN末端は前記単鎖抗体のC末端に接続され、前記CD16a単鎖抗体は重鎖可変領域と軽鎖可変領域を含み、前記FCのC末端は前記IL21分子のN末端に接続される。本発明の実施例による組換え抗体は、CD16a、IL-21Rと効果的に結合でき、強い体内、外結合活性を有し、NK細胞を効果的に活性化することができ、長い体内半減期を有し、抗腫瘍、抗ウイルス効果が顕著である。
【0007】
本発明の第2の態様では、本発明は、核酸を提供する。本発明の実施例によれば、前記核酸は第1の態様に記載の組換え抗体をコードする。本発明の実施例による核酸でコードした組換え抗体はCD16a、IL-21Rと効果的に結合でき、強い体内、外結合活性を有し、NK細胞を効果的に活性化することができ、長い体内半減期を有し、抗腫瘍、抗ウイルス効果が顕著である。
【0008】
本発明の第3の態様では、本発明は、発現ベクターを提供する。本発明の実施例によれば、前記発現ベクターは第2の態様に記載の核酸を担持する。前記発現ベクターは選択可能な制御配列を含んでよく、前記制御配列は前記核酸分子に操作可能に接続される。前記制御配列は宿主における前記核酸分子の発現を指導することができる1つまたは複数の制御配列である。本発明の実施例で提案された発現ベクターは適切な宿主細胞に前記組換え抗体を効率よく発現し、さらに、NK細胞を効果的に活性化することができ、腫瘍またはウイルス感染による疾患の治療または予防に用いられる。
【0009】
本発明の第4の態様では、本発明は、組換え細胞を提供する。本発明の実施例によれば、前記組換え細胞は第2の態様に記載の核酸分子、第3の態様に記載の発現ベクターまたは第1の態様に記載の組換え抗体を担持する。前記組換え細胞は、前記発現ベクターのトランスフェクションまたは形質転換によって得られる。本発明の実施例によれば、前記組換え細胞は適切な条件で上記組換え抗体を効率よく発現することができ、前記組換え細胞は効果的に腫瘍またはウイルス感染による疾患の治療または予防に用いられ、NK細胞を効果的に活性化することができる。
【0010】
本発明の第5の態様では、本発明は、組成物を提供する。本発明の実施例によれば、第1の態様に記載の組換え抗体、第2の態様に記載の核酸分子、第3の態様に記載の発現ベクターまたは第4の態様に記載の組換え細胞を含む。以上のように、本発明の実施例による組換え抗体は、CD16aとIL-21Rタンパク質分子と効果的に結合することができ、さらに、前記IL-21R及び/又はCD16aを高発現するNK細胞を特異的に認識し、NK細胞を効果的に活性化させ、前記組換え抗体を含む組成物は同様に腫瘍またはウイルス感染による疾患の治療または予防に顕著な役割を果たし、その抗腫瘍と抗ウイルス能力は顕著である。
【0011】
本発明の第6の態様では、本発明は、第1の態様に記載の組換え抗体、第2の態様に記載の核酸分子、第3の態様に記載の発現ベクター、第4の態様に記載の組換え細胞または第5の態様に記載の組成物の薬物における製造の使用を提供する。本発明の実施例によれば、前記薬物は腫瘍またはウイルス感染を治療または予防するために使用される。以上のように、本発明の実施例による組換え抗体は、CD16aとIL-21Rタンパク質分子と効果的に結合することができ、さらに、前記IL-21R及び/又はCD16aを高発現するNK細胞を特異的に認識し、前記組換え抗体及びその対応する一連の物質を利用して製造した薬物は同様に腫瘍またはウイルス感染の治療または予防に顕著な役割を果たし、その抗腫瘍と抗ウイルス能力は顕著である。
【0012】
本発明の第7の態様では、本発明は第1の態様に記載の組換え抗体、第2の態様に記載の核酸分子、第3の態様に記載の発現ベクター及び第4の態様に記載の組換え細胞のNK細胞の培養増幅における使用を提供する。本発明の実施例による組換え抗体、核酸分子、発現ベクター及び前記組換え細胞は、体外で前記NK細胞の増殖、増幅を促進するために使用でき、且つ増幅後のNK細胞は良い細胞毒性を有する。
【0013】
本発明の第8の態様では、本発明は薬物を提供する。本発明の実施例によれば、第1の態様に記載の組換え抗体、第2の態様に記載の核酸分子、第3の態様に記載の発現ベクター、第4の態様に記載の組換え細胞または第5の態様に記載の組成物を含み、前記薬物は腫瘍またはウイルス感染を治療または予防するために使用される。以上のように、本発明の実施例による組換え抗体はCD16aとIL-21Rタンパク質と効果的に結合することができ、さらに前記IL-21R及び/又はCD16aを高発現するNK細胞を特異的に認識することができ、前記組換え抗体及びその対応する一連の物質を利用して製造した薬物は同様に腫瘍またはウイルス感染の治療または予防に顕著な役割を果たし、その抗腫瘍と抗ウイルス能力は顕著である。
【0014】
本発明の第9の態様では、本発明は試薬キットを提供する。本発明の実施例によれば、第1の態様に記載の組換え抗体を含む。本発明の実施例による組換え抗体はCD16aとIL-21Rタンパク質分子と効果的に結合することができ、さらに、前記IL-21RまたはCD16aを特異的に高発現するNK細胞を特異的に認識することができる。このため、前記組換え抗体は、CD16a及び/又はIL-21Rを検出する試薬キットを製造するために使用でき、前記試薬キットは、生体サンプル中のCD16a及び/又はIL-21Rタンパク質分子を定性的または定量的に検出し、要求に適合する生体サンプルを得るなどの科学研究に用いることができる。
【0015】
本発明の第10の態様では、本発明は以上に記載の組換え抗体、核酸分子、発現ベクター、組換え細胞、組成物または薬物の腫瘍またはウイルス感染の治療または予防における使用を提供する。以上のように、前記組換え抗体は上記CD16aとIL-21Rタンパク質を特異的に認識することができ、さらに、前記IL-21RまたはCD16aを特異的に高発現するNK細胞を特異的に認識することができ、NK細胞を効果的に活性化させ、IFN-γ分泌を増強し、増殖とNKの細胞毒活性を向上させ、腫瘍細胞を効果的に殺傷し、同時に、NK細胞の熟成とNK細胞受容体の発現を加速し、腫瘍微小環境におけるNK細胞の枯渇を回復させることができ、このため、本発明の実施例による組換え抗体、前記組換え抗体を含む組成物、薬物または適当な条件で発現して前記組換え抗体を得ることができる一連の物質、例えば上記核酸分子、発現ベクター、組換え細胞などはいずれもNK細胞を効果的に活性化し、さらに、腫瘍またはウイルス感染を治療または予防することができる。
【0016】
本発明の第11の態様では、本発明は、腫瘍またはウイルス感染の治療または予防方法を提供する。本発明の幾つかの具体的な実施例によれば、被験者に、1)以上に記載の組換え抗体、2)以上に記載の核酸分子、3)以上に記載の発現ベクター、4)以上に記載の組換え細胞、5)以上に記載の組成物、または6)以上に記載の薬物の中の少なくとも1つを投与するステップを含む。以上のように、前記組換え抗体は上記CD16aとIL-21Rタンパク質を特異的に認識することができ、さらに、前記IL-21RまたはCD16aを特異的に高発現するNK細胞を特異的に認識することができ、NK細胞を効果的に活性化させ、IFN-γ分泌を増強し、増殖とNKの細胞毒活性を向上させ、腫瘍細胞を効果的に殺傷し、同時に、NK細胞の熟成とNK細胞受容体の発現を加速し、腫瘍微小環境におけるNK細胞の枯渇を回復させることができ、このため、本発明の実施例による組換え抗体、前記組換え抗体を含む組成物、薬物または適当な条件で発現して前記組換え抗体を得ることができる一連の物質、例えば上記核酸分子、発現ベクター、組換え細胞などはいずれもNK細胞を効果的に活性化し、さらに、腫瘍またはウイルス感染を治療または予防することができる。
【0017】
本発明の付加的な態様と利点を以下の説明では部分的に示し、部分的に以下の説明から明らかになり、または本発明の実践を通じて了解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の上記および/または付加的な態様と利点は、以下の図面を組み合わせた実施例の説明から明らかになり、理解しやすい。
【
図1】本発明の実施例による二重特異性抗体発現ベクターを示す模式図である。
【
図2】本発明の実施例による組換え二重特異性抗体を示す構造模式図であり、ここで、Linker1は連結ペプチド1を示し、Linker2は連結ペプチド2を示し、Anti-CD16AはCD16A単鎖抗体を示し、Hingeはヒンジ領域を示す。
【
図3】本発明の実施例による組換え二重特異性抗体anti-CD16A-FCγ4-IL21発現クローンスクリーニングの分析結果図であり、ここで、
図A(3-A)はDB、Dot blot、ドットハイブリダイゼーション検出結果図であり、
図B(3-B)はWB:Western blot、イムノブロット(抗human FCγ4抗体)検出結果図である。
【
図4】本発明の実施例による組換え二重特異性抗体anti-CD16A-FCγ4-IL21発酵発現の分析結果図であり、ここで、
図A(4-A)は発酵過程の各パラメータモニタリングの結果図であり、
図B(4-B)は目的タンパク質の蓄積時点の検出結果図である。
【
図5】本発明の実施例による組換え二重特異性抗体 anti-CD16A-FCγ4-IL21の精製及び物理化学的同定の結果図であり、ここで、
図A(5-A)はanti-CD16A-FCγ4-IL21タンパク質純度SDS-PAGEの検出結果図であり、
図B(5-B)はanti-CD16A-FCγ4-IL21の動的光散乱検出結果図であり、ここで、3本の実線は同様の処理の3つの繰り返しを示し、
図C(5-C)はanti-CD16A-FCγ4-IL21のHPLC検出結果図である。
【
図6】本発明の実施例による組換え二重特異性抗体anti-CD16A-FCγ4-IL21の体外活性化NK細胞の活性検出結果図であり、ここで、横座標はanti-CD16A-FCγ4-IL21によって活性化された後のPBMC中のNK細胞表面の発現が変化した分子を示し、縦座標Positive rate of NK surface molecules(%)はNK細胞表面分子の陽性率(発現状況)を示す。
【
図7】本発明の実施例による二重特異性抗体分子anti-CD16a-FCγ4-IL21の体外誘導によるNK細胞の増幅及び増幅効果を示す検出結果図であり、
図A(7-A)は二重特異性抗体分子anti-CD16a-FCγ4-IL21の体外誘導によるNK細胞の増幅であり、横座標Dayは日数を示し、縦座標NK Percentage(%)はNK細胞の割合を示し、
図B(7-B)は二重特異性抗体分子anti-CD16a-FCγ4-IL21の体外誘導によるNK細胞増幅の結果図であり、横座標Dayは日数を示し、縦座標Fold increase of NK cell numberは増幅系におけるNK細胞の増幅倍数を示し、
図C(7-C)は二重特異性抗体分子anti-CD16a-FCγ4-IL21の体外誘導によるNK細胞増幅の結果図であり、横座標Dayは日数を示し、縦座標Fold increase of cell numberは増幅系における総細胞の増幅倍数を示し、
図D(7-D)は二重特異性抗体分子anti-CD16a-FCγ4-IL21体外でPBMCから由来するNK細胞を増幅した後に得られた細胞サブクラス分析の結果図であり、横座標は細胞亜群分類を示し、縦座標Percentage(%)は平均細胞割り合いを示し、
図E(7-E)は二重特異性抗体分子anti-CD16a-FCγ4-IL21の増幅によるNK細胞の細胞毒性検出結果図であり、横座標はCD56陽性細胞とK562細胞の割合を示し、縦座標Specific killing(%)は特定の細胞を殺傷する割合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例を詳細に説明し、前記実施例の例は図面に示される。以下で図面を参照して説明した実施は例示的なものであり、本発明を解釈するためにのみ使用され、本発明に対する制限として理解すべきではない。
【0020】
なお、「第1の」、「第2の」といった用語は目的を説明するためのものにすぎず、相対的に重要性を示す若しくは暗に示す、または技術的特徴を明示する数を暗に示すとみなすことはできない。したがって、「第1の」、「第2の」と限定している特徴は1つまたは複数の該特徴を含むことを明示するまたは暗に示すことができる。本発明の説明では、特に明確かつ具体的に限定している場合を除き、「複数」の概念は少なくとも2つ、例えば2つまたは3つである。
【0021】
組換え抗体
【0022】
本発明の一態様では、本発明は組換え抗体を提供し、IL-21分子及びCD16a抗体を含み、前記CD16a抗体はCD16a単鎖抗体及びFc領域を含み、前記Fc領域のN末端は前記単鎖抗体のC末端に接続され、前記CD16a単鎖抗体は重鎖可変領域と軽鎖可変領域を含み、前記FCのC末端は前記IL21分子のN末端に接続される。本発明の実施例による組換え抗体はCD16a、IL-21Rと効果的に結合でき、強い体内、外結合活性を有し、NK細胞を効果的に活性化することができ、長い体内半減期を有し、抗腫瘍、抗ウイルス効果が顕著である。
【0023】
本発明の幾つかの具体的な実施例によれば、上記組換え抗体は、以下の付加的な技術的特徴のうちの少なくとも1つをさらに含むことができる。
【0024】
本発明の幾つかの具体的な実施例によれば、連結ペプチド1をさらに含み、前記連結ペプチド1のN端は前記CD16a単鎖抗体の重鎖可変領域のC端に接続され、前記連結ペプチド1のC端は前記CD16a単鎖抗体の軽鎖可変領域のN端に接続される。
【0025】
本発明の幾つかの具体的な実施例によれば、前記連結ペプチド1はSEQ ID NO: 1で示されるアミノ酸配列を有する。
GGGGSGGGGSGGGGS(SEQ ID NO: 1)。
【0026】
本発明の幾つかの具体的な実施例によれば、連結ペプチド2をさらに含み、前記連結ペプチド2のN端は前記IL-21分子のC端に接続され、前記連結ペプチド2のC端は前記Fc領域のN端に接続される。
【0027】
本発明の幾つかの具体的な実施例によれば、前記連結ペプチド2はSEQ ID NO: 2で示されるアミノ酸配列を有する。
GGGGSGGGGSGGGGS(SEQ ID NO: 2)。
【0028】
本発明の幾つかの具体的な実施例によれば、前記Fc領域の少なくとも一部はマウス源抗体、ヒト源抗体、霊長目源抗体またはその変異体の少なくとも1つから由来する。
【0029】
本発明の幾つかの具体的な実施例によれば、前記Fc領域の少なくとも一部はヒト源IgGまたはその変異体から由来する。
【0030】
本発明の幾つかの具体的な実施例によれば、前記Fc領域の少なくとも一部はFcγ4またはその変異体から由来する。
【0031】
本発明の幾つかの具体的な実施例によれば、前記Fc領域の少なくとも一部はヒト源Fcγ4またはその変異体から由来する。
【0032】
本発明の幾つかの具体的な実施例によれば、前記Fc領域はSEQ ID NO:3で示されるアミノ酸配列を有する。
APEFEGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFQSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(SEQ ID NO: 3)。
【0033】
本発明の幾つかの具体的な実施例によれば、前記組換え抗体はSEQ ID NO:4で示されるアミノ酸配列を有する。
QVQLVQSGAEVKKPGESLKVSCKASGYTFTSYYMHWVRQAPGQGLEWMGIINPSGGSTSYAQKFQGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARGSAYYYDFADYWGQGTLVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSSYVLTQPSSVSVAPGQTATISCGGHNIGSKNVHWYQQRPGQSPVLVIYQDNKRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAMDEADYYCQVWDNYSVLFGGGTKLTVLESKYGPPCPPCPAPEFEGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFQSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGKGGGGSGGGGSGGGGSQDRHMIRMRQLIDIVDQLKNYVNDLVPEFLPAPEDVETNCEWSAFSCFQKAQLKSANTGNNERIINVSIKKLKRKPPSTNAGRRQKHRLTCPSCDSYEKKPPKEFLERFKSLLQKMIHQHLSSRTHGSEDS(SEQ ID NO: 4)。
【0034】
予防または治療組成物
【0035】
本発明の一態様では、本発明は核酸を提供し、前記核酸は、以上に記載の組換え抗体をコードする。本発明の実施例による核酸でコードした組換え抗体はCD16a、IL-21Rと効果的に結合でき、強い体内、外結合活性を有し、NK細胞を効果的に活性化することができ、長い体内半減期を有し、抗腫瘍、抗ウイルス効果が顕著である。
【0036】
本発明の幾つかの具体的な実施例によれば、前記核酸はSEQ ID NO:5で示されるヌクレオチド配列を有する。
CAAGTTCAATTGGTTCAATCTGGTGCTGAGGTTAAGAAACCAGGTGAGTCTTTGAAGGTTTCTTGTAAGGCTTCTGGTTATACTTTCACTTCTTACTATATGCATTGGGTTAGACAAGCTCCAGGTCAAGGTTTGGAGTGGATGGGTATTATTAATCCATCTGGTGGTTCTACTTCTTATGCTCAAAAGTTCCAAGGTAGAGTTACTATGACTAGAGATACTTCTACTTCTACTGTTTATATGGAGTTGTCTTCTTTGAGATCTGAAGATACTGCTGTTTATTATTGTGCTAGAGGTTCTGCTTATTATTATGATTTCGCTGATTATTGGGGTCAAGGTACTTTGGTTACTGTCTCTTCTGGTGGTGGTGGTTCTGGTGGTGGTGGTTCTGGTGGTGGTGGTTCCTCTTACGTCTTGACTCAACCATCTTCTGTCTCTGTTGCTCCAGGTCAAACTGCTACTATTTCTTGTGGTGGTCATAATATTGGTTCTAAGAATGTTCATTGGTATCAACAAAGACCAGGTCAATCTCCAGTCTTGGTCATCTATCAAGATAACAAGAGACCATCTGGTATTCCAGAGAGATTCTCTGGTTCTAATTCTGGTAATACTGCTACTTTGACTATTTCTGGTACTCAAGCTATGGATGAAGCTGATTACTATTGTCAAGTTTGGGATAATTATTCTGTCTTGTTCGGTGGTGGTACTAAGTTGACTGTTTTGGAGTCCAAATATGGTCCCCCATGCCCACCATGCCCAGCACCTGAGTTCGAAGGGGGACCATCAGTCTTCCTGTTTCCCCCAAAACCCAAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGATGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTTCCAAAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCGTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGacCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAGACTAACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGGAATGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCTGGGTAAAGGTGGTGGTGGTTCTggaGGTggcGGTTCTGGTGGTGGTGGTTCTCAAGATCGCCACATGATTAGAATGCGTCAACTTATAGATATTGTTGATCAGCTGAAAAATTATGTGAATGACTTGGTCCCTGAATTTCTGCCAGCTCCAGAAGATGTAGAGACAAACTGTGAGTGGTCAGCTTTTTCCTGTTTTCAGAAGGCCCAACTAAAGTCAGCAAATACAGGAAACAATGAAAGGATAATCAATGTATCAATTAAAAAGCTGAAGAGGAAACCACCTTCCACAAATGCAGGGAGAAGACAGAAACACAGACTAACATGCCCTTCATGTGATTCTTATGAGAAAAAACCACCCAAAGAATTCCTAGAAAGATTCAAATCACTTCTCCAAAAGATGATTCATCAGCATCTGTCCTCTAGAACACACGGAAGTGAAGATTCC(SEQ ID NO: 5)。
【0037】
なお、本発明の明細書と請求の範囲で言及された核酸に対して、当業者は、実際には相補的二重鎖のいずれか、または2つを含むことを理解すべきである。便宜上、本明細書と請求の範囲では、多くの場合、1本の鎖か示されていないが、実際にはそれと相補的なもう1本の鎖も公開されている。また、本願における核酸配列はDNA形式またはRNA形式を含み、一方を公開することは、他方も公開されることを意味する。
【0038】
本発明の他の態様では、本発明は発現ベクターを提供し、前記発現ベクターは、以上に記載の核酸分子を担持する。前記発現ベクターは選択可能な制御配列を含んでよい。前記制御配列は前記核酸分子に操作可能に接続される。前記制御配列は、宿主における前記核酸分子の発現を指導することができる1つまたは複数の制御配列である。本発明の実施例で提案された発現ベクターは適切な宿主細胞に前記組換え抗体を効率よく発現することができ、さらに、NK細胞を効果的に活性化することができ、腫瘍またはウイルス感染による疾患の治療または予防に用いられる。
【0039】
本発明の別の態様では、本発明は組換え細胞を提供し、前記組換え細胞は以上に記載の核酸分子、発現ベクターまたは組換え抗体を担持する。前記組換え細胞は前記発現ベクターのトランスフェクションまたは形質転換によって得られる。本発明の幾つかの具体的な実施例によれば、前記組換え細胞は適切な条件で上記組換え抗体を効率よく発現することができ、前記組換え細胞は腫瘍またはウイルス感染による疾患の治療または予防に効果的に用いられる。
【0040】
なお、本願の明細書に記載の「適切な条件」とは、本願に記載の組換え抗体の発現に適合する条件である。当業者は、組換え抗体発現に適合する条件は、適切な形質転換またはトランスフェクション方式、適切な形質転換またはトランスフェクション条件、健康的な宿主細胞状態、適切な宿主細胞密度、適当な細胞培養環境、適当な細胞培養時間を含むが、これらに制限されないことを容易に理解できる。「適切な条件」は特に制限さらず、当業者は実験室の具体的な環境に応じて、最適な前記組換え抗体発現の条件を最適化する。
【0041】
本発明のさらなる態様では、本発明は組成物を提供し、以上に記載の組換え抗体、核酸分子、発現ベクターまたは組換え細胞を含む。以上のように、本発明の実施例による組換え抗体は効果的にCD16aまたはIL-21Rタンパク質分子と結合でき、さらに前記IL-21R及び/又はCD16aを高発現するNK細胞を特異的に認識することができ、NK細胞を効果的に活性化させ、前記組換え抗体を含む組成物は同様に、腫瘍またはウイルス感染による疾患の治療または予防に顕著な役割を果たし、その抗腫瘍と抗ウイルス能力は顕著である。前記組成物は、特に制限されない、上記のいずれかの物質をその他のいずれかの物質と組み合わせて使用するもの、例えば食品組成物または薬物組成物であれば、本願に記載の組成物範囲内にある。
【0042】
本発明の一態様では、本発明は薬物を提供し、以上に記載の組換え抗体核酸分子、発現ベクター、組換え細胞または組成物を含み、前記薬物は腫瘍またはウイルス感染を治療または予防するために使用される。以上のように、本発明の実施例による組換え抗体はCD16aとIL-21Rタンパク質と効果的に結合することができ、さらに前記IL-21R及び/又はCD16aを高発現するNK細胞を特異的に認識することができ、前記組換え抗体及びその対応する一連の物質を利用して製造した薬物は同様に腫瘍またはウイルス感染の治療または予防に顕著な役割を果たし、その抗腫瘍と抗ウイルス能力は顕著である。
【0043】
本発明の幾つかの具体的な実施例によれば、前記腫瘍は、直腸癌、肺癌、乳癌、肝臓癌、胃癌、皮膚癌、腎癌、膵臓癌及び卵巣癌の少なくとも1つを含む。
【0044】
本発明の幾つかの具体的な実施例によれば、前記ウイルス感染は、HPV、HBV、インフルエンザウイルス及びコロナウイルスの少なくとも1つを含む。
【0045】
本発明の幾つかの具体的な実施例による薬物は、薬学的に許容できるベクターと有効量の前記組換え抗体活性成分を含む。
【0046】
本明細書で使用するように、「有効量」または「有効投与量」という用語は、人及び/又は動物に機能または活性をもたらすことができ、且つ人及び/又は動物に受け入れられる量を意味する。
【0047】
本明細書で使用するように、「薬学的に許容できる」成分は、過度の副反応(例えば毒性、刺激及びアレルギー反応)なしにヒト及び/又は哺乳動物に適用し、即ち合理的な利益/リスク比を有する物質である。「薬学的に許容できるベクター」という用語は、各種の賦形剤や希釈剤を含む治療剤の投与に用いられるベクターを指す。
【0048】
本発明の薬物は、安全且つ有効量の本発明の活性成分及び薬学的に許容できるベクターを含む。そのようなベクターは、塩水、緩衝液、グルコース、水、グリセリン、エタノール、及びその組み合わせを含む(これらに制限されない)。通常、薬物製剤は投与方式と合わせるべきであり、本発明の薬物の剤形は注射剤、経口製剤(錠剤、カプセル、経口液)、経皮剤、徐放剤である。例えば、生理食塩水やグルコースやその他の補助剤を含む水溶液を用いる常法により製造することができる。上記の薬は無菌条件下で製造することが望ましい。
【0049】
本発明に記載の活性成分の有効量は、投与のパターンや治療対象の疾患の重症度などによって変化する。好ましい有効量の選択は、当業者が様々な要因に基づいて決定することができる(例えば臨床試験)。上記要因は、上記の活性成分の薬物動態パラメータ例えばバイオアベイラビリティ、代謝、半減期など、患者が治療しようとする疾患の重症度、患者の体重、患者の免疫状況、投与の経路等を含むが、これらに制限されない。例えば、治療状況の切迫した要求により、1日に何回か別々の用量を投与したり、用量を割合的に減少させたりすることができる。
【0050】
本発明に記載の薬学的に許容できるベクターは、水、塩水、リポソーム、脂質、タンパク質、タンパク質-抗体複合体、ペプチド系物質、セルロース、ナノゲル、またはその組み合わせを含む(これらに制限されない)。ベクターの選択は投与方式と合わせるべきであり、これらは、当業者に良く知られている。
【0051】
使用
【0052】
本発明の一態様では、本発明は、以上に記載の組換え抗体、核酸分子、発現ベクター及び組換え細胞のNK細胞の培養増幅における使用を提供する。本発明の幾つかの具体的な実施例による組換え抗体、核酸分子、発現ベクター及び前記組換え細胞は、体外で前記NK細胞の増殖、増幅を促進するために使用でき、且つ増幅後のNK細胞は良い細胞毒性を有する。
【0053】
本発明の幾つかの具体的な実施例によれば、前記NK細胞は末梢血から由来するか、または幹細胞の誘導により得られる。NK細胞は主に末梢血に分布し、また、NK細胞は幹細胞を誘導することによって得られてもよい。
【0054】
本発明の幾つかの具体的な実施例によれば、前記NK細胞は、ヒト末梢血単核細胞由来のNK細胞、ヒト臍帯血幹細胞誘導によるNK細胞、ヒト胚胎幹細胞誘導によるNK細胞、ヒトiPSCの誘導によるNK細胞の中の少なくとも1つを含む。NK細胞末梢血単核細胞はリンパ球と単核細胞を含む、本発明の幾つかの具体的な実施例によれば、以上に記載の組換え抗体、核酸分子、発現ベクター及び前記組換え細胞体外は、上記由来のNK細胞の増殖を促進し、増幅効果が良く、且つ増幅後のNK細胞は良い細胞毒性を有する。
【0055】
本発明の第7の態様では、本発明は以上に記載の組換え抗体、核酸分子、発現ベクター、組換え細胞または組成物の薬物における製造の使用を提供し、前記薬物は腫瘍またはウイルス感染を治療または予防するために使用される。以上のように、本発明の実施例による組換え抗体は、CD16aとIL-21Rタンパク質分子と効果的に結合することができ、さらに、前記IL-21R及び/又はCD16aを高発現するNK細胞を特異的に認識し、前記組換え抗体及びその対応する一連の物質を利用して製造した薬物は同様に腫瘍またはウイルス感染の治療または予防に顕著な役割を果たし、その抗腫瘍と抗ウイルス能力は顕著である。
【0056】
本発明の幾つかの具体的な実施例によれば、上記使用は、以下の付加的な技術的特徴の少なくとも1つをさらに含んでよい。
【0057】
本発明の幾つかの具体的な実施例によれば、前記腫瘍は、直腸癌、肺癌、乳癌、肝臓癌、胃癌、皮膚癌、腎癌、膵臓癌及び卵巣癌の中の少なくとも1つを含む。
【0058】
本発明の幾つかの具体的な実施例によれば、前記ウイルス感染は、HPV、HBV、インフルエンザウイルス及びコロナウイルスの中の少なくとも1つを含む。
【0059】
試薬キット
【0060】
本発明の最後の態様では、本発明は試薬キットを提供し、以上に記載の組換え抗体を含む。本発明の実施例による組換え抗体は、CD16aとIL-21Rタンパク質分子と効果的に結合することができ、さらに、前記IL-21RまたはCD16aを特異的に高発現するNK細胞を特異的に認識することができる。このため、前記組換え抗体はCD16aまたはIL-21Rを検出する試薬キットを製造するために使用でき、前記試薬キットは、生体サンプル中のCD16a及び/又はIL-21Rタンパク質分子を定性的または定量的に検出するなどの科学研究に用いられる。
【0061】
本発明の幾つかの具体的な実施例によれば、前記試薬キットはCD16a及び/又はIL-21Rを検出するために使用される。
【0062】
疾患の治療使用及び方法
【0063】
本発明の一態様では、本発明は以上に記載の組換え抗体、核酸分子、発現ベクター、組換え細胞、組成物または薬物の腫瘍またはウイルス感染の治療または予防における使用を提供する。以上のように、前記組換え抗体は上記CD16aとIL-21Rタンパク質を特異的に認識することができ、さらに、前記IL-21RまたはCD16aを特異的に高発現するNK細胞を特異的に認識することができ、NK細胞を効果的に活性化させ、IFN-γ分泌を増強し、増殖とNKの細胞毒活性を向上させ、腫瘍細胞を効果的に殺傷し、同時に、NK細胞の熟成とNK細胞受容体の発現を加速し、腫瘍微小環境におけるNK細胞の枯渇を回復させることができ、このため、本発明の実施例による組換え抗体、前記組換え抗体を含む組成物、薬物または適当な条件で発現して前記組換え抗体を得ることができる一連の物質、例えば上記核酸分子、発現ベクター、組換え細胞などはいずれもNK細胞を効果的に活性化し、さらに、腫瘍またはウイルス感染を治療または予防することができる。
【0064】
本発明の幾つかの具体的な実施例によれば、前記腫瘍は、直腸癌、肺癌、乳癌、肝臓癌、胃癌、皮膚癌、腎癌、膵臓癌及び卵巣癌の中の少なくとも1つを含む。前記ウイルス感染は、HPV、HBV、インフルエンザウイルス及びコロナウイルスの中の少なくとも1つを含む。
【0065】
本発明の他の態様では、本発明は腫瘍またはウイルス感染の治療または予防方法を提供する。本発明の幾つかの具体的な実施例によれば、被験者に、1)以上に記載の組換え抗体、2)以上に記載の核酸分子、3)以上に記載の発現ベクター、4)以上に記載の組換え細胞、5)以上に記載の組成物、または6)以上に記載の薬物の中の少なくとも1つを投与するステップを含む。以上のように、前記組換え抗体は上記CD16aとIL-21Rタンパク質を特異的に認識することができ、さらに、前記IL-21RまたはCD16aを特異的に高発現するNK細胞を特異的に認識することができ、NK細胞を効果的に活性化させ、IFN-γ分泌を増強し、増殖とNKの細胞毒活性を向上させ、腫瘍細胞を効果的に殺傷し、同時に、NK細胞の熟成とNK細胞受容体の発現を加速し、腫瘍微小環境におけるNK細胞の枯渇を回復させることができ、このため、本発明の実施例による組換え抗体、前記組換え抗体を含む組成物、薬物または適当な条件で発現して前記組換え抗体を得ることができる一連の物質、例えば上記核酸分子、発現ベクター、組換え細胞などはいずれもNK細胞を効果的に活性化し、さらに、腫瘍またはウイルス感染を治療または予防することができる。
【0066】
本発明の幾つかの具体的な実施例によれば、前記腫瘍は、直腸癌、肺癌、乳癌、肝臓癌、胃癌、皮膚癌、腎癌、膵臓癌及び卵巣癌の中の少なくとも1つを含む、前記ウイルス感染は、HPV、HBV、インフルエンザウイルス及びコロナウイルスの中の少なくとも1つを含む。
【0067】
以下、実施例を具体的に説明する。実施例に具体的な技術または条件が示されない場合、当該分野の文献に記載されている技術または条件に従って、または製品の明細書に従って実行する必要がある。用いられる試薬または機器にメーカーが示されない場合、市販によって購入できる従来の製品である。
【0068】
実施例1 二重特異性抗体分子anti-CD16a-FCγ4-IL21の設計及び構築
【0069】
本実施例の具体的な実験操作は以下の通りである。
1.1 anti-CD16a-FCγ4-IL21融合遺伝子の取得
(1)Anti-CD16a-FCγ4融合遺伝子の取得
Pgapza-CD16-FC4γ4プラスミドをテンプレートとして、プライマー1とプライマー2を使用してPCRを行い、anti-CD16a-FCγ4融合遺伝子を取得し、それは、SEQ ID NO:6で示されるヌクレオチド配列を有し、PCRプログラム:変性:98℃、20s;サイクル:98℃、10s→54℃、15s→72℃、40s(30サイクル)延長:72℃、2min。
CAAGTTCAATTGGTTCAATCTGGTGCTGAGGTTAAGAAACCAGGTGAGTCTTTGAAGGTTTCTTGTAAGGCTTCTGGTTATACTTTCACTTCTTACTATATGCATTGGGTTAGACAAGCTCCAGGTCAAGGTTTGGAGTGGATGGGTATTATTAATCCATCTGGTGGTTCTACTTCTTATGCTCAAAAGTTCCAAGGTAGAGTTACTATGACTAGAGATACTTCTACTTCTACTGTTTATATGGAGTTGTCTTCTTTGAGATCTGAAGATACTGCTGTTTATTATTGTGCTAGAGGTTCTGCTTATTATTATGATTTCGCTGATTATTGGGGTCAAGGTACTTTGGTTACTGTCTCTTCTGGTGGTGGTGGTTCTGGTGGTGGTGGTTCTGGTGGTGGTGGTTCCTCTTACGTCTTGACTCAACCATCTTCTGTCTCTGTTGCTCCAGGTCAAACTGCTACTATTTCTTGTGGTGGTCATAATATTGGTTCTAAGAATGTTCATTGGTATCAACAAAGACCAGGTCAATCTCCAGTCTTGGTCATCTATCAAGATAACAAGAGACCATCTGGTATTCCAGAGAGATTCTCTGGTTCTAATTCTGGTAATACTGCTACTTTGACTATTTCTGGTACTCAAGCTATGGATGAAGCTGATTACTATTGTCAAGTTTGGGATAATTATTCTGTCTTGTTCGGTGGTGGTACTAAGTTGACTGTTTTGGAGTCCAAATATGGTCCCCCATGCCCACCATGCCCAGCACCTGAGTTCGAAGGGGGACCATCAGTCTTCCTGTTTCCCCCAAAACCCAAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGATGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTTCCAAAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCGTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGacCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAGACTAACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGGAATGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCTGGGTAAA(SEQ ID NO:6)。
【0070】
(2)GS-IL21融合遺伝子の取得
picza-rdna-FC-Y407T-IL21プラスミドをテンプレートとして、プライマー3とプライマー4を使用してPCRを行い、GS-IL21融合遺伝子を取得し、それは、SEQ ID NO:7で示されるヌクレオチド配列を有し、PCRプログラム:変性:98℃、20s;サイクル:98℃、10s→54℃、15s→72℃、30s(30サイクル)延長:72℃、5min。
GGTGGTGGTGGTTCTggaGGTggcGGTTCTGGTGGTGGTGGTTCTCAAGATCGCCACATGATTAGAATGCGTCAACTTATAGATATTGTTGATCAGCTGAAAAATTATGTGAATGACTTGGTCCCTGAATTTCTGCCAGCTCCAGAAGATGTAGAGACAAACTGTGAGTGGTCAGCTTTTTCCTGTTTTCAGAAGGCCCAACTAAAGTCAGCAAATACAGGAAACAATGAAAGGATAATCAATGTATCAATTAAAAAGCTGAAGAGGAAACCACCTTCCACAAATGCAGGGAGAAGACAGAAACACAGACTAACATGCCCTTCATGTGATTCTTATGAGAAAAAACCACCCAAAGAATTCCTAGAAAGATTCAAATCACTTCTCCAAAAGATGATTCATCAGCATCTGTCCTCTAGAACACACGGAAGTGAAGATTCCTAG(SEQ ID NO:7)。
【0071】
前記プライマー1-4の配列は表1に示される。
【0072】
【0073】
上記の2ステップの増幅後の産物にアガロースゲル電気泳動を行い、DNAゲル回収試薬キットの操作ステップに従って、2段の標的遺伝子に対応するストリップを切断して回収し、Anti-CD16a-FCγ4及びGS-IL21融合遺伝子を取得し、即ち1番目の標的遺伝子断片と2番目の標的遺伝子断片を取得する。
【0074】
(3)Anti-CD16a-FCγ4-IL21融合遺伝子の取得
上記ステップで取得したAnti-CD16a-FCγ4及びGS-IL21融合遺伝子をテンプレートとして使用し、プライマー1とプライマー4を使用し、PCRを行い、Anti-CD16a-FCγ4-IL21融合遺伝子を取得し、PCRプログラム:変性:98℃、20s;3サイクル:98℃、10s→54℃、20s→72℃、40s(3サイクル);延長:72℃、2min;その後、プライマーを添加し:変性:98℃、20s;3サイクル:98℃、10s→54℃、20s→72℃、40s(30サイクル);延長:72℃、10min;増幅産物にアガロースゲル電気泳動を行い、DNAゲル回収試薬キットで回収して1セグメントの遺伝子を取得し、この遺伝子の両端にXhoIとNotI酵素切断部位を持ち、Anti-CD16a-FCγ4-IL21と命名する。
上記Pgapza-CD16-FC4γ4及びPpicza-rdna-FC-Y407T-IL21プラスミドはいずれも発明者が通常の発現ベクターの構築方法に従って、独自に構築したものである。
【0075】
1.2 anti-CD16a-FCγ4-IL21融合タンパク質のピキア酵母発現ベクターの構築
ステップ1.1で取得したコードanti-CD16a-FCγ4-IL21融合タンパク質の遺伝子配列(SEQ ID NO:5)と実験室で保存したピキア酵母発現プラスミドPGAPzα-rDNA-NTSに対して制限エンドヌクレアーゼXholとNotIを使用して二重酵素切断を行う。酵素切断anti-CD16a-FCγ4-IL21融合タンパク質遺伝子配列産物遺伝子はPCR産物回収試薬キット(Axygen社)で回収し、酵素切断プラスミドはDNAゲル回収試薬キット(Axygen社)で回収し、操作手順は試薬キットの説明を参照する。回収によって得られた酵素切断後融合タンパク質遺伝子と酵素切断後ベクターはT4 DNA連結酵素で接続し、構築後のプラスミド構造を
図1に示す。酵素連結産物は大腸菌TOP10受容体細胞を形質転換する。形質転換操作手順は、10μLの酵素連結産物を100μLの大腸菌受容体に加え、均一に混合し、氷上で15-30分間静置し、5分おきに均等に弾き、その後、42℃で90秒熱刺激し、氷上で3~5分間静置し、400ulの抗生物質を含まないLB液体培地を加え、37℃でロッキングベッドで45分間蘇生培養し、その後、Zeocin耐性プレートを塗布した。プレートにクローン菌コロニーを成長した後、単一のコロニークローンを選択してLZ液体培地(Zeocin耐性のLB培地)を含む細胞培養チューブ内に入れ、37℃で6-8h培養し、その後、菌液をテンプレートとしてPCR同定を行い、得られた陽性クローンをPGAP-zα-anti-CD16a-FCγ4-IL21と命名し、陽性クローンに対応する菌液をプラスミド小量抽出試薬キットで抽出し、汎用生物に送ってシーケンシングする。シーケンシングした後、シーケンシング結果は理論的に予想される結果と一致し、クローン構築は正しい。
【0076】
実施例2 二重特異性抗体分子anti-CD16a-FCγ4-IL21の発現及び精製
【0077】
2.1 anti-CD16a-FCγ4-IL21二重特異性抗体分子の発現
50mL LZ液体培地を用いて実施例1で構築された陽性クローンを拡大培養し、中量の試薬キット(Axygen社)でプラスミドPGAP-zα-anti-CD16a-FCγ4-IL21を抽出する。前のステップで調製された発現プラスミドPGAP-zα-anti-CD16a-FCγ4-IL21をエンドヌクレアーゼSpeIで線形化し、エタノール沈殿により回収する。エタノール沈殿ステップ:1)酵素切断反応系に2倍体積の無水エタノールと0.1倍体積の3M酢酸ナトリウム、-20℃で2時間以上沈殿させる。2)12000gを10間遠心分離し、上澄みを廃棄する。3)300μL、70%のエタノールで再懸濁して沈殿させ、12000gを10分間遠心分離し、上澄みを廃棄する。4)37℃で乾燥し、脱イオンで再懸濁して濃度を測定し、濃度を0.5-1.0μg/μLに調整する。
【0078】
酵母受容体の製造:作製ステップ:1)凍結保存の良好なバステピキア酵母X33菌株を取り、YPDプレートに線を引き、酵母培養タンクで30℃恒温培養した。2)クローンが直径1mm程度に成長したら、クローンを液体4mLYPD培地に取り出し、酵母をロッキングベッドで30℃で恒温培養する。3)24-48時間培養する。該菌液1mLを50mLの新鮮なYPD培地に接種する。4)OD600値が1-1.5に達すると、菌液を50mLの遠心分離管に移り、4℃で、1500gを5分間遠心分離し、上澄みを廃棄する。5)50mLの氷水で再懸濁し、4℃で、1500gを5分間遠心分離し、上澄みを廃棄し、1回繰り返す。6)50mLの1Mコールドソルビトールで再懸濁し、4℃、1500gで5分間遠心分離し、上澄みを廃棄し、1回繰り返す。7)500μLの1Mコールドソルビトールで再懸濁した。
【0079】
電気形質転換ステップ:上記受容体細胞100μLを無菌予冷電気回転カップに入れ、その内に10μLの線形化プラスミド(5-10μg)を加え、均一に混合する。電気回転計パラメータ:2000V、200Ω、25μFと設定する。電気回転し、電気回転した後に直ちに電気回転カップに1mLの1Mコールドソルビトールを加え、氷上で5~10min静置し、その後、全部の菌液を1mlのYPDを入れた50ml遠心分離管に移り、30℃、225rpmで、2h蘇生する。蘇生が終了した後、100-1000μLの上記菌液を取ってYPDZ(Zeocin耐性を含むプレート)プレートに塗布し、プレートを30℃の恒温酵母培養タンクに置いて培養する。
【0080】
陽性発現クローンスクリーニング:上記YPDZプレートに酵母クローンを成長した後、若干のクローンを2mLのBMGY培地に選択し、酵母をロッキングベッドで28℃で菌液乳白まで恒温培養する。その中の1mLの菌液を凍結保存して種を保存し、残りの1mLの菌液12000gを5分間遠心分離した後、上澄みを取り、抗human FCγ4抗体を用いてDot blot同定の初期スクリーニングを行い、発現量が相対的に高い酵母菌株を選別し、その後、発現量が相対的に高い酵母菌株をzeocinを含むYPD平板に塗布し、クローンを成長した後にその中から複数のクローンを選択し、上記のように菌を振って菌液上澄みを取得し、Anti-human FCγ 抗体を用いてWestern Blot同定分析を行い、高発現菌株(34-3)をスクリーニングし、対応する菌株の残りの1mLの菌液を凍結保存して種を保存し、この高発現菌株はanti-CD16a-FCγ4-IL21複合体タンパク質を発現できるピキア酵母菌株である。
【0081】
具体的な実験結果は、
図3に示すように、YPDZ耐性培養板のスクリーニングを経て、融合タンパク質の酵母発現菌株を取得する。Dot blotを使用して初期のスクリーニングを行い、発現量が相対的に高い一部のクローン(
図3B中の番号66;91;98;34)を初めに取得し、その後、Western Blotによってさらに確認して比較し、発現量が高い酵母発現クローンをスクリーニングすることができ、続いたタンパク質の発現と精製に用いられる。
【0082】
2.2 anti-CD16a-FCγ4-IL21二重特異性抗体分子の発酵、精製及び同定
(1)発酵
発現菌株培養:組換え菌株の発酵はInvitrogen社の発酵指導マニュアルに従って行う。スクリーニングした高発現菌株を4mLのYPD培地を含む細胞培養チューブに接種し、OD600が2-6にするまで、30℃でロッキングベッドで24-48時間培養し、即ち発酵一級種子液である。1mLの該種子液を取って200mLのBMGY培地を含むコーンボトルに移し入れ、30℃でロッキングベッドで12-24時間培養し、即ち発酵二級種子液である。200mLの二級種子液を全部6LのBMGY培地を含む発酵タンクに接種する。パラメータの設定:培養温度30℃、pH7.0、溶存酸素、回転速度などを監視し、発酵培養を開始する。菌体成長段階ではBMGY培地を採用し、溶存酸素が急速上昇した場合、培地中の基礎グリセリンが消費され尽くし、グリセリンの添加を開始し、グリセリンの添加速度は90mL/hであり、発酵温度を25℃に調整し、発酵の終了まで続く。
【0083】
培養液清澄:発酵が終了した後、10000gを30分間遠心分離し、上澄みを収集し、0.22μmと500kDaマイクロフィルターで濾過清澄した後、その後PHを7.4に調整する。
【0084】
発酵過程の各パラメータモニタリングを
図4に示し、発酵過程全体が50時間続き、発酵過程が安定して繰り返しやすい。
図4Bから分かるように、基礎グリセリン培養段階の終了からグリセリンの添加制限的な培養誘導によるタンパク質発現(20h)を開始し、全過程のタンパク質が蓄積し続き、43~50hのタンパク質の蓄積量に大きな差がなく、発酵終点を判定する。
【0085】
(2)精製
タンパク質捕獲:アフィニティーカラムMabselectを使用して組換え融合タンパク質を捕獲する。具体的なステップは、1)脱イオンでカラムを5カラムの体積洗い流す。2)PBSでカラムを3カラムの体積洗い流す。3)サンプルを添加する。4)サンプル添加が終了した後、PBSでカラムを3カラムの体積洗い流す。5)不純物洗浄:PH5.5のクエン酸緩衝液で5カラムの体積を洗い流す。6)標的タンパク質を溶出し、溶出液はPH3.0のクエン酸緩衝液であり、収集した溶出液が濃縮した後に後続の精製に用いられる。
【0086】
細い精製:AKTA PURE 25を使用し、PBS緩衝液でSuperdex200分子篩を平衡化させ、平衡化した後、中性溶出液にサンプルを添加し、PBS緩衝液で洗い流した後に溶出サンプルを収集し、anti-CD16a-FCγ4-IL21組換えタンパク質を取得する。
遠心ろ過と2段階の精製を経て、SDS-PAGE、HPLC同定により、タンパク質純度は95%以上(
図5A、C)に達することができる。
【0087】
(3)同定
組換えタンパク質同定:精製されたタンパク質にSDS-PAGE、HPLC、動的光散乱同定を行う。具体的な実験結果を
図4Bに示し、anti-CD16a-FCγ4-IL21タンパク質分子量は約135kDa程度であり、予想の通りであり、動的光散乱同定により、anti-CD16a-FCγ4-IL21分子直径は約10nm程度であり、分子間の均一性が良い。
【0088】
実施例3 二重特異性抗体anti-CD16a-FCγ4-IL21体外誘導NK細胞活性化機能検証
【0089】
Ficoll密度勾配遠心分離法を用いてヒトPBMCを分離する。分離したPBMCを10%FBSを含むRPMI 1640を用いて1.0×106個/mLに希釈する。T25培養ボトルに10mLの希釈後の細胞を添加する。12時間培養した後、20nMの最終濃度で培養ボトルにanti-CD16a-FCγ4-IL21融合タンパク質を添加する。24時間培養した後、フローサイトメータでNK細胞の表現型変化を検出し、主にNK細胞表面の主な活性化性分子CD69、NKp44及び殺傷性分子4-1BB、TRAIL、Granzyme Bの発現状況を検出する。
【0090】
具体的な実験結果を
図6に示し、対照群PBS(Control群と比べて)、anti-CD16a-FCγ4-IL21融合タンパク質を添加した実験群では、NK細胞表面の主な活性化性分子CD69、NKp44及び殺傷性分子4-1BB、TRAIL、Granzyme Bの発現レベルはいずれも顕著に上昇し、これによってNK細胞がanti-CD16a-FCγ4-IL21融合タンパク質によって効果的に活性化されると判断する。
【0091】
実施例4 二重特異性抗体分子anti-CD16a-FCγ4-IL21体外誘導NK細胞増幅及び増幅効果の評価
【0092】
4.1 anti-CD16a-FCγ4-IL21増幅NK細胞の純度及び数の検出
24h前に融合タンパク質でT75培養ボトルを被覆し、ボトル当たり7.5ml被覆液を取り、ボトル体の底部を覆う。4℃の冷蔵庫で一晩被覆した。
【0093】
血液試料からPBMC細胞を分離した後、計数(マイレー計数器)し、PBMC細胞中の各細胞亜群の百分率を記録する。1.5*10^6/ml密度(20ml培養体積)に従って接種する。細胞総数は30*10^6である。これは、0日目である。同時に、anti-CD16a-FCγ4-IL21を含まないKBM581培地に1%のIL2(1000IU/ml)と5%の対応するPBMCの自己血漿を加える。
3日目、対応する培養体積1%のIL2因子を補充する。
5日目、培地の色及びT75ボトル体の底部細胞の壁貼り状態を観察し、必要に応じてanti-CD16a-FCγ4-IL21を含む5~10mLのKBM581培地を補充して補液体積1%のIL2(1000IU/ml)因子を添加する。
6日目、サンプリングして計数し、細胞継代拡大培養(1.3*10^6/mL)を行う。それに染色標識(CD16a/CD45/CD56)を行い、フローサイトメータでそのNK細胞亜群の百分率、CD56+細胞亜群百分率を検出し、総細胞数を計算し、及びフロー純度検出結果からNK細胞数を計算する。5日目以後、細胞継代拡大培養を行い、anti-CD16a-FCγ4-IL21を含むKBM581培地を使用し、1%のIL2と2%の自己血漿を添加する。
7日目、培地の色及びボトル体の細胞の壁貼り成長状態を観察し、必要に応じて(補液体積1%のIL2因子を添加する)補液する。
8日目、サンプリングして計数する。必要に応じて細胞継代拡大(T75またはT175ボルト、1.4*10^6/ml)を行って培地の1%のIL2因子、2%の自己血漿を添加する。
9日目、培地の色及びボトル体の細胞の壁貼り成長状態を観察し、必要に応じて補液(補液体積1%のIL2因子を添加する)する。
10日目、サンプリングして計数し、細胞継代拡大培養(1.5*10^6/ml)を行う。それに染色標識(CD16a/CD45/CD56)を行い、フローサイトメータでそのNK細胞亜群の百分率、CD56+細胞亜群の百分率を検出し、総細胞数を計算し、及びフロー純度検出結果からNK細胞数を計算する。
12日目、培地の色及びボトル体の細胞の壁貼り成長状態を観察し、必要に応じて補液(補液体積1%のIL2因子を添加する)する。
13日目、サンプリングして計数し、細胞継代拡大培養(1.5*10^6/mL)を行う。それに染色標識(CD16a/CD45/CD56)を行い、フローサイトメータでそのNK細胞亜群の百分率、CD56+細胞亜群の百分率を検出し、総細胞数を計算し、及びフロー純度検出結果からNK細胞数を計算する。
15日目、サンプリングして計数する。必要に応じて細胞継代拡大(T175ボルトまたは培養バッグ、1.5*10^6/mL)を行い、培地の1%のIL2因子を添加する。
17日目、サンプリングして計数し、それに染色標識(CD16a/CD45/CD56)を行い、フローサイトメータでそのNK細胞亜群の百分率、CD56+細胞亜群の百分率を検出し、総細胞数を計算し、及びフロー純度検出結果からNK細胞数を計算する。0、6、10、13、17日目のNK純度及び細胞数に従ってNK細胞の割合及び数の経時変化のグラフを作成する。
【0094】
具体的な実験結果を
図7中のA~Cに示し、anti-CD16a-FCγ4-IL21を使用してPBMCから由来するNK細胞を増幅することによって、NK細胞を増幅し、NK細胞の純度及び増幅倍数を向上させることができ、培養過程全体に最も高くNK細胞の割合を65%程度に達することができる。
【0095】
4.2 二重特異性抗体分子増幅PBMC由来のNK細胞の亜群分析
【0096】
(1)細胞内分子標識細胞モネンシン誘導:培養した細胞4×106個(2ml)を6ウェルプレートに入れ、モネンシン(0.5μg/μl)10μl、37℃で、5%CO2の恒温培養タンク内で4時間誘導する。
(2)単細胞懸濁液の製造:表面分子標識細胞から培養した細胞9.0×106個を取って15mlの遠心分離管に入れ、400gを8分間遠心分離して細胞を収集し、10mlの1×PBSで2回洗浄し、最後に0.81mlの1×PBSで単細胞懸濁液に再懸濁した。細胞内分子標識細胞モネンシンの誘導が終了した後、5mlの1×PBSで2回洗浄し、最後に180μlの1×PBSで単細胞懸濁液に再懸濁した。
(3)閉鎖:表面分子標識細胞に90μlのマウス血清を入れ、均一に混合し、細胞内分子標識細胞に20μlのマウス血清を入れ、均一に混合し、室温で15~30分間静置した。
(4)抗体標識:閉鎖後の表面分子標識細胞を0.09ml/チューブごとに9つのフローチューブに分注し、複数のバッチの細胞を同時に検出した場合、1-8チューブの細胞を複数のバッチの細胞と等量で混合して標識することができ、各チューブの細胞使用量は、0.8-1×106個であり、サンプル管1は表面分子標識であり、細胞使用量は0.8-1×106個である。サンプル管2は細胞内分子標識であり、細胞使用量は3-4×106個であり、対応する蛍光標識抗体を添加し、均一に混合した後に4℃の遮光下に30分間(途中に15分ごとに1回混合する)静置する。具体的な実験グループ分けを表2に示す。
【0097】
【表2】
(5)洗浄:表面分子標識細胞の各チューブに1mlの1×PBSを添加し、4℃で、400gで8分間遠心分離して細胞を収集する。1mlの1×PBSで2回繰り返して洗浄する。最後に、各チューブに200ulのPBSを添加して標識後の細胞を再懸濁し、実験群にDAPI(50μg/ml,40×)5μlを添加し、チューブに移して上機で検出する。
(6)検出:フローサイトメータは計器の明細書に従って校正と調整を行う。空白対照チューブサンプルは、前方散乱および横方向散乱の電圧を調整するために使用される。単標対照サンプルは各チャンネルの蛍光補償を調整するために使用される。検出時に細胞ゲートを描写した後、各サンプルゲート内で1×10
4個の細胞を収集する。
【0098】
具体的な実験結果を
図7-Dに示し、増幅後の細胞に亜群分析を行い、anti-CD16a-FCγ4-IL21による培養増幅後のPBMC細胞は、NK細胞の割合が61%に達することができ、NKTの割合が約10%程度であり、合計のCD56陽性細胞が約71%程度であり、残りの細胞亜群の増幅後のPBMC細胞における割合は低い。
【0099】
4.3 二重特異性抗体分子増幅NK細胞の殺傷活性検出
(1)標的細胞(K562)懸濁液の製造
細胞計数:細胞を0.5%のFBSを含む1640培地(標的細胞に用いた培地)で再懸濁し、計数し、細胞密度を1×106/mLに調整し、
CFSE染色:細胞懸濁液にCFSE(作動濃度が5μM)を添加し、直ちに1mLのピペットで吹き付けて混合し、渦を十分に混ぜ合わせ、37℃の培養タンクで遮光下で15minインキュベートし、5minごとに渦を取り出して1回混ぜ合わせ、
染色終止:5倍体積の4℃で予冷した完全培地(標的細胞に用いた培地)を添加し、染色を終止し、5分間氷浴する。140g、4℃、5min遠心分離し、
細胞洗浄:4℃で予冷した完全培地(標的細胞に用いた培地)で再懸濁し、細胞を140g、4℃、5min遠心分離し、繰り返して2回洗浄し、
計数:細胞を再懸濁、計数し、細胞密度を2×105/mLに調整し、
敷板:96ウェルの円底板に各ウェルに100μlのK562懸濁液を添加し、ウェル当たりの最終細胞数は20000個/ウェルである。
(2)NK細胞の準備と添加
適切なNK細胞密度に調製し、
E-Plate 16を取り出し、超清浄テーブルに置き、
100μlのNK細胞懸濁液を異なる効果標的比(CD56+:K562)(1:1、2:1、4:1、8:1)で培養板内に添加し、なお、3組の対照が更に設置され、即ち、CFSE染色のみの標的細胞(標的細胞の自然死亡率を検出する)、効果細胞のみ(効果細胞がCFSE非特異的染色を含まないことを証明する)、標的細胞+Tween-20(標的細胞アポトーシスの陽性対照として)であり、
共インキュベートし、予め設計された順序で各ウェルにNK細胞を添加する。120g、室温で、2min遠心分離し、有効標的細胞を十分に接触させる。37℃の培養タンクに戻して4時間インキュベートした。
【0100】
インキュベートが終了した後、5μlのPIを加え、均一に混合し、遮光下で5minインキュベートし、機器で検出する。
結果分析:殺傷百分率=[(実験群標の細胞死亡率(%)-標的細胞の死亡率(%))/(100%-標的細胞の自然死亡率(%))]×100%)。
【0101】
具体的な実験結果を
図7中のE図(7-E)に示し、増幅後の細胞の細胞毒性を評価し、増幅後の細胞はK562細胞を効果的に殺傷することができる。
【0102】
以上のように、本実施例の実験結果から、anti-CD16a-FCγ4-IL21は体外で活性化してNK細胞の活性を増幅し、且つ増幅後のNK細胞は比較的に良い細胞毒性を持っていることを証明する。
【0103】
本明細書の説明では、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体例」、または「いくつかの例」という参考用語などの説明は、該実施例または例を組み合わせて説明する具体的な特徴、構造、材料または特点は本発明の少なくとも1つの実施例または例に含まれる。本明細書では、上記用語の例示的な叙述は必ずしも同じ実施例または例を対象とする必要がない。また、説明する具体的な特徴、構造、材料または特点はいずれかまたは複数の実施例または例では適切な方式で結合することができる。なお、互いに衝突しない場合、当業者は本明細書に説明される異なる実施例または例以及び異なる実施例または例の特徴を結合と組み合わせることができる。
【0104】
本発明の実施例を提示し記述したが、上記実施例は例示的なものであり、本発明を制限するためのものとして理解することができなく、当業者であれば、本発明の範囲で上記実施例について様々な変化、修正、置換および変形が可能であることが理解できる。
【関連出願の相互参照】
【0105】
本願は、2021年12月20日に中国特許局に提案された、出願番号が202111564703.3の中国特許出願の優先権を主張し、その全部内容は援用により本願に組み込まれる。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-04-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組換え抗体であって、
IL-21分子と、
CD16a単鎖抗体及びFc領域を含み、前記Fc領域のN末端は前記単鎖抗体のC末端に接続され、前記CD16a単鎖抗体は重鎖可変領域と軽鎖可変領域を含むCD16a抗体と、を含み、
前記FCのC末端は前記IL21分子のN端に接続される、組換え抗体。
【請求項2】
連結ペプチド1をさらに含み、前記連結ペプチド1のN端は前記CD16a単鎖抗体の重鎖可変領域のC端に接続され、前記連結ペプチド1のC端は前記CD16a単鎖抗体の軽鎖可変領域のN端に接続され、
任意選択に、前記連結ペプチド1はSEQ ID NO: 1で示されるアミノ酸配列を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の組換え抗体。
【請求項3】
連結ペプチド2をさらに含み、前記連結ペプチド2のN端は前記IL-21分子のC端に接続され、前記連結ペプチド2のC端は前記Fc領域のN端に接続され、
任意選択に、前記連結ペプチド2はSEQ ID NO: 2で示されるアミノ酸配列を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の組換え抗体。
【請求項4】
前記Fc領域の少なくとも一部はマウス源抗体、ヒト源抗体、霊長目源抗体またはその変異体の少なくとも1つから由来する、ことを特徴とする請求項3に記載の組換え抗体。
【請求項5】
前記Fc領域の少なくとも一部はヒト源IgGまたはその変異体から由来する、ことを特徴とする請求項
3に記載の組換え抗体。
【請求項6】
前記Fc領域の少なくとも一部はヒト源Fcγ4またはその変異体から由来する、ことを特徴とする請求項
3に記載の組換え抗体。
【請求項7】
前記Fc領域はSEQ ID NO:3で示されるアミノ酸配列を有する、ことを特徴とする請求項
3に記載の組換え抗体。
【請求項8】
SEQ ID NO:4で示されるアミノ酸配列を有する、ことを特徴とする請求項
1に記載の組換え抗体。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の組換え抗体をコードする、ことを特徴とする核酸。
【請求項10】
SEQ ID NO:5で示されるヌクレオチド配列を有する、ことを特徴とする請求項9に記載の核酸。
【請求項11】
請求項
9に記載の核酸分子を担持する、ことを特徴とする発現ベクター。
【請求項12】
請求項11に記載の発現ベクタ
ーを担持する、ことを特徴とする組換え細胞。
【請求項13】
請求項1~8のいずれか1項に記載の組換え抗
体を含む、ことを特徴とする組成物。
【請求項14】
請求項1~8のいずれか1項に記載の組換え抗
体の、腫瘍またはウイルス感染を治療または予防するための薬物における製造の使用。
【請求項15】
前記腫瘍は、直腸癌、肺癌、乳癌、肝臓癌、胃癌、皮膚癌、腎癌、膵臓癌及び卵巣癌の中の少なくとも1つを含み、前記ウイルス感染は、HPV、HBV、インフルエンザウイルス及びコロナウイルスの中の少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項14に記載の使用。
【請求項16】
請求項1~8のいずれか1項に記載の組換え抗
体のNK細胞の培養増幅における使用。
【請求項17】
前記NK細胞は、末梢血から由来するか、または幹細胞誘導により得られる、ことを特徴とする請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記NK細胞は、ヒト末梢血単核細胞由来のNK細胞、ヒト臍帯血幹細胞誘導によるNK細胞、ヒト胚胎幹細胞誘導によるNK細胞及びヒトiPSC誘導によるNK細胞の中の少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項16に記載の使用。
【請求項19】
請求項1~8のいずれか1項に記載の組換え抗
体を含み、腫瘍またはウイルス感染を治療または予防するために使用される、ことを特徴とする薬物。
【請求項20】
前記腫瘍は、直腸癌、肺癌、乳癌、肝臓癌、胃癌、皮膚癌、腎癌、膵臓癌及び卵巣癌の中の少なくとも1つを含み、前記ウイルス感染は、HPV、HBV、インフルエンザウイルス及びコロナウイルスの中の少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項19に記載の薬物。
【請求項21】
請求項1~8のいずれか1項に記載の組換え抗体を含む、ことを特徴とする試薬キット。
【請求項22】
前記試薬キットは、CD16a及び/又はIL-21Rを検出するために使用される、ことを特徴とする請求項21に記載の試薬キット。
【請求項23】
請求項1~8のいずれか1項に記載の組換え抗
体の腫瘍またはウイルス感染の治療または予防における使用。
【請求項24】
前記腫瘍は、直腸癌、肺癌、乳癌、肝臓癌、胃癌、皮膚癌、腎癌、膵臓癌及び卵巣癌の中の少なくとも1つを含み、前記ウイルス感染は、HPV、HBV、インフルエンザウイルス及びコロナウイルスの中の少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項23に記載の使用。
【請求項25】
被験者に、
請求項1~8のいずれか1項に記載の組換え抗
体を投与するステップを含む、ことを特徴とする腫瘍またはウイルス感染の治療または予防方法。
【請求項26】
前記腫瘍は、直腸癌、肺癌、乳癌、肝臓癌、胃癌、皮膚癌、腎癌、膵臓癌及び卵巣癌の中の少なくとも1つを含み、前記ウイルス感染は、HPV、HBV、インフルエンザウイルス及びコロナウイルスの中の少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【国際調査報告】