IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナルの特許一覧

特表2024-541012外科用デバイスの性能を高めるために多層クランプアームパッドと共に使用される電極及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】外科用デバイスの性能を高めるために多層クランプアームパッドと共に使用される電極及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20241029BHJP
   A61B 18/14 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
A61B17/00 700
A61B18/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524668
(86)(22)【出願日】2022-10-24
(85)【翻訳文提出日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 IB2022060186
(87)【国際公開番号】W WO2023073524
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/271,410
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/963,725
(32)【優先日】2022-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ジー・ジェイコブ・エス
(72)【発明者】
【氏名】キーナン・マイケル・エイ
(72)【発明者】
【氏名】オルソン・ウィリアム・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ブレーム・タイラー・エヌ
(72)【発明者】
【氏名】マクレイン・キャメロン・ディー
(72)【発明者】
【氏名】プライス・ケビン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160JJ43
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK13
4C160KK19
4C160KK20
4C160NN01
(57)【要約】
本明細書では、外科用デバイスが開示される。外科用デバイスは、クランプジョーを含むエンドエフェクタと、クランプジョーを開閉するように構成されたトリガと、トリガの相対位置を検出するように構成されたセンサと、センサ及び発生器に通信可能に結合された制御回路と、を含むことができ、制御回路は、組織に対して実施される外科手術と関連付けられたエネルギーを発生器に施させ、センサから信号を受信し、クランプジョーが外科手術と関連付けられたエネルギーを施すように位置付けられていないと判定し、組織を超音波ブレードから解放するように構成されたエネルギーを発生器に施させるように構成されており、組織をクランプジョーから解放するように構成されたエネルギーは、組織に対して実施される外科手術と関連付けられたエネルギーとは異なる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用デバイスであって、
組織を把持するように構成されたクランプジョーを含むエンドエフェクタと、
前記組織の周りで前記クランプジョーを開閉するように構成されたトリガと、
前記トリガの相対位置を検出し、前記トリガの検出された前記相対位置に関連する第1の信号を生成するように構成されたセンサと、
前記センサに通信可能に結合され、発生器と通信するように構成された制御回路と、を備え、前記制御回路が、
前記発生器に第2の信号を送信して、前記組織に対して実施される外科手術と関連付けられたエネルギーを前記発生器に施させ、
前記センサから前記第1の信号を受信し、
前記第1の信号に少なくとも部分的に基づいて、クランプジョーが前記外科手術と関連付けられた前記エネルギーを施すように位置付けられていないと判定し、
前記クランプジョーが十分に開かれていると判定したことに応答して、前記組織をブレードから解放するように構成されたエネルギーを前記発生器に施させるように構成されており、前記組織を前記ブレードから解放するように構成された前記エネルギーのパラメータが、前記組織に対して実施される外科手術と関連付けられた前記エネルギーのパラメータとは異なる、外科用デバイス。
【請求項2】
前記組織を前記ブレードから解放するように構成された前記エネルギーが、超音波である、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項3】
前記組織を前記ブレードから解放するように構成された前記エネルギーの前記パラメータが、大きさ、周波数、若しくは振幅、又はそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載の外科用デバイス。
【請求項4】
前記組織を解放するように構成された前記エネルギーの前記パラメータが、0.1~1.0秒の範囲で選択される持続時間を有する、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項5】
前記組織を前記ブレードから解放するように構成された前記エネルギーが、電流設定点のある割合で施される、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項6】
前記割合が、最大エネルギー出力の50%~120%の範囲内で選択される、請求項5に記載の外科用デバイス。
【請求項7】
前記制御回路が、
前記第1の信号に少なくとも部分的に基づいて、前記クランプジョーの閉鎖が前記組織の周りで開始したと判定し、
前記クランプジョーの前記閉鎖が開始したと判定したことに応答して、前記発生器が、前記組織を前記ブレードから解放するように構成された前記エネルギーを施すことを防止するように更に構成されている、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項8】
前記制御回路が、
前記第1の信号に少なくとも部分的に基づいて、前記クランプジョーの閉鎖が前記組織の周りで開始したと判定し、
前記組織を前記ブレードから解放するように構成された前記エネルギーの前記パラメータを、前記組織に対して実施される外科手術と関連付けられた前記エネルギーの前記パラメータと同じになるまで調整するように更に構成されている、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項9】
外科用デバイスとともに使用するように構成されたエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタが、
クランプアーム基部と、
第1の幾何学的形状を含むクランプアームパッドと、
第1の硬度を含む超音波ブレードと、
第2の電極であって、
第2の硬度を含む電極材料であって、前記第2の硬度が、前記超音波ブレードの前記第1の硬度よりも小さく、前記電極材料が、第2の幾何学的形状を含む空洞を画定し、前記第2の幾何学的形状は、前記クランプアームパッドの一部分が前記空洞内に位置付けられ得るように、前記第1の幾何学的形状に対応している、電極材料と、
前記電極材料を前記クランプアーム基部に接合するように構成された中間材料と、を含む、第2の電極と、を備える、エンドエフェクタ。
【請求項10】
前記中間材料が、前記クランプアーム基部に溶接されている、請求項9に記載のエンドエフェクタ。
【請求項11】
前記電極材料が、前記中間材料にクラッディングされている、請求項9又は10に記載のエンドエフェクタ。
【請求項12】
前記電極材料が、前記中間材料を収容するように構成されたポケットを更に画定し、前記中間材料が、前記ポケット内に位置付けられている、請求項9に記載のエンドエフェクタ。
【請求項13】
前記電極材料が、アルミニウム系材料、銅系材料、又はチタン系材料のうちの少なくとも1つであり、前記中間材料が、ステンレス鋼である、請求項9に記載のエンドエフェクタ。
【請求項14】
前記クランプアームパッドが、非粘着性PTFE材料から構成されている、請求項9に記載のエンドエフェクタ。
【請求項15】
前記クランプアームパッドが、前記クランプアームパッドの定格寿命に対応する第1の厚さを含む、請求項9に記載のエンドエフェクタ。
【請求項16】
前記電極材料が、第2の厚さを含み、前記中間材料が、前記第2の厚さよりも小さい第3の厚さを含む、請求項15に記載のエンドエフェクタ。
【請求項17】
前記電極材料が、第2の厚さを含み、前記中間材料が、前記第2の厚さよりも大きい第3の厚さを含む、請求項15に記載のエンドエフェクタ。
【請求項18】
外科用デバイスのエンドエフェクタ内で使用するように構成された電極を製造する方法であって、前記方法が、
電極材料を所望の幾何学的構成に形成することと、
前記電極材料内に1つ又は2つ以上のポケットを形成することと、
前記電極内に形成された前記1つ又は2つ以上のポケット内に、溶接に好適である中間材料を適用することと、
前記中間材料を前記電極材料に接合することと、
前記中間材料を前記エンドエフェクタのクランプアーム基部に取り付けて、前記中間材料及び前記電極材料を前記クランプアーム基部に固着させることと、を含む、方法。
【請求項19】
前記中間材料を適用することが、前記中間材料を前記1つ又は2つ以上のポケット内に噴射することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記中間材料を前記1つ又は2つ以上のポケット内に噴射することが、前記中間材料を前記1つ又は2つ以上のポケット内に溶射することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記中間材料を前記クランプアーム基部に取り付けることが、前記中間材料を前記クランプアーム基部に溶接すること、ろう付けすること、接着すること、又ははんだ付けすることのうちの少なくとも1つを含む、請求項18~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記中間材料を前記クランプアーム基部に取り付けることが、前記中間材料を前記クランプアーム基部にレーザ溶接することを含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、2021年10月25日に出願された米国仮特許出願第63/271,410号、発明の名称「ELECTRODES AND METHODS FOR USE WITH A MULTI-LAYER CLAMP ARM PAD TO ENHANCE THE PERFORMANCE OF A SURGICAL DEVICE」の優先権の利益を主張するものであり、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、概して、複数のエネルギーモダリティで動作するように適合及び構成され、複数のエネルギーモダリティを、同時に、独立して、又は順次適用して用いることにより組織を封止及び切断することを可能にするエンドエフェクタに関する。より具体的には、本開示は、例えば単極又は双極ラジオ波(radio frequency、RF)などの超音波及び電気外科用の複合式システムを使用する外科用器具とともに動作して、超音波及び電気外科エネルギーモダリティを、同時に、独立して、又は順次適用して用いることにより、組織を封止及び切断することを可能にするように適合され、構成されたエンドエフェクタに関する。エネルギーモダリティは、組織パラメータ又は他のアルゴリズムに基づいて適用され得る。エンドエフェクタは、手持ち式外科用システム又はロボット外科用システムに結合するように適合及び構成され得る。
【背景技術】
【0003】
超音波エネルギーモダリティを用いる超音波外科用器具は、そのような器具の特殊な性能特性によって、外科手技において、ますます広範囲にわたる用途が見出されている。特定の器具構成及び操作パラメータに応じて、超音波外科用器具は、組織の切断及び凝固による止血を実質的に同時にもたらし、望ましくは、患者の外傷を最小限に抑えることができる。切断行為は、通常、器具の遠位端にあって、エンドエフェクタと接触した組織に超音波エネルギーを伝達するエンドエフェクタ、超音波ブレード、又は超音波ブレードの先端によって実現される。超音波エンドエフェクタは、他の構成要素の中でもとりわけ、超音波ブレード、クランプアーム、及びパッドを備え得る。
【0004】
いくつかの外科用器具は、超音波エネルギーを、正確な切断及び凝固の調節の両方の目的で利用する。超音波エネルギーは、組織と接触しているブレードを振動させることによって切断し凝固させる。超音波ブレードは高周波(例えば、毎秒55,500回)で振動し、組織中のタンパク質を変性させて粘着性の凝塊を形成する。ブレード表面が組織に及ぼす圧力により血管が崩壊され、凝塊が止血封止を形成することを可能にする。切断及び凝固の精度は、外科医の技術、並びに電力レベル、ブレードエッジ、組織のトラクション、及びブレード圧力の調整によって制御される。
【0005】
組織を処置、封止、切断、及び/又は破壊するために、組織に電気エネルギーモダリティを印加するための電気外科用器具もまた、外科手技において、ますます広範な用途が見出されている。電気外科用器具としては、典型的には、1つ又は2つ以上の電極を備えるエンドエフェクタを、遠位部に取り付けられた器具が挙げられる。エンドエフェクタは、電流が組織内に導入されるように、組織に対して位置付けることができる。電気外科用器具は、双極又は単極動作用に構成することができる。双極動作中、電流は、第1の電極(例えば、活性電極)を通して組織内に導入され、第2の電極(例えば、リターン電極)を通して組織から戻される。単極動作中、電流は、エンドエフェクタの活性電極によって組織内に導入され、例えば別途患者の体に連結される接地パッドのようなリターン電極を介して戻される。組織を流れる電流によって生成される熱は、組織内及び/又は組織間の止血封止を形成してもよく、したがって、例えば、血管を封止するために特に有用であってもよい。電気外科用器具のエンドエフェクタは、組織を切除するための、組織及び電極に対して移動可能な切断部材も含み得る。電気外科用エンドエフェクタは、手持ち式器具及びロボット用器具に連結するように、適合及び構成され得る。
【0006】
電気外科用器具によって印加される電気エネルギーは、ハンドピースと連通している発生器によって、器具へと伝達され得る。電気エネルギーは、ラジオ波(RF)エネルギーの形態であってもよい。RFエネルギーは、200キロヘルツ(kHz)~1メガヘルツ(MHz)の周波数範囲であり得る電気エネルギーの一形態である。印加中、電気外科用器具は、組織を通じて低周波数のRFエネルギーを伝達することができ、これはイオン撹拌又は摩擦、即ち抵抗加熱を生じさせ、これによって組織の温度を上昇させることができる。処置により影響を受ける組織と周囲組織との間にはっきりとした境界が作り出されるため、外科医は、隣接する非標的組織を犠牲にすることなく、高レベルの正確性及び制御で手術することができる。RFエネルギーの低動作温度は、軟組織を除去、収縮、又は掘り刻みながら、同時に血管を封止するために有用である。結合組織は、主にコラーゲンから構成されかつ熱に接触した際に収縮するため、結合組織に対してRFエネルギーが、特に良好に作用する。
【0007】
RFエネルギーは、EN 60601-2-2:2009+A11:2011,Definition 201.3.218-HIGH FREQUENCYに記載される周波数範囲であり得る。例えば、単極RF用途における周波数は、典型的には、5MHz未満に制限され得る。しかしながら、双極RFエネルギー用途において、周波数は、ほぼどのような周波数であってもよい。200kHz超の周波数は、低周波数の電流の使用から生じる神経及び筋肉の不必要な刺激を避けるために、典型的には単極用途に使用され得る。神経筋刺激の可能性が許容可能なレベルにまで緩和されたことをリスク分析が示す場合、より低い周波数が双極用途に使用され得る。高周波数漏洩電流に関連する問題を最小限に抑えるために、5MHz超の周波数は、通常使用されない。しかしながら、より高い周波数は、双極用途の場合には使用され得る。一般に、10mAが、組織への熱効果の下側閾値であると認識されている。
【0008】
本明細書に記載の性質の超音波外科用器具及び電気外科用器具は、直視下外科手技、低侵襲外科手技、又は非侵襲的外科手技のために構成することができる。低侵襲外科手技は、関節又は体腔内の状態を視覚化及び治療するために、小さな切開部を通して挿入されたカメラ及び器具の使用を伴う。低侵襲手技は、完全に身体内で実施され得るか、又は状況によっては、より小さい開放アプローチと一緒に使用され得る。これらの組み合わされたアプローチは、例えば、「関節鏡、腹腔鏡、又は胸腔鏡支援手術」として知られる。本明細書に記載の外科用器具はまた、例えば、内視鏡外科手技などの非侵襲手技で使用することができる。器具は、手持ち式器具又はロボットを使用して外科医によって制御され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これらの外科用器具を利用する課題は、治療される組織のタイプに応じて、単一又は複数のエネルギーモダリティを制御及びカスタマイズすることができないことである。現在の外科用器具の欠陥のいくつかを克服し、組織の治療、封止、若しくは切断、又はそれらの組み合わせの品質を改善するエンドエフェクタを提供することが望ましいであろう。本明細書に記載の、エネルギーモダリティ複合式エンドエフェクタは、上記の欠陥を克服し、組織の治療、封止、若しくは切断、又はそれらの組み合わせの品質を改善するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様では、組織を切開し凝固させるための装置が提供される。その装置は、外科用器具を備え、その外科用器具は、複数のエネルギーモダリティを、その遠位端で組織に送達するように適合及び構成されているエンドエフェクタを備える。エネルギーモダリティは、同時に、独立して、又は順次適用され得る。発生器は、外科用器具と電気的に結合され、エンドエフェクタに複数のエネルギーモダリティを供給するように構成されている。一態様では、発生器は、エンドエフェクタが組織と相互作用することを可能にするために、電気外科エネルギー(例えば、単極又は双極ラジオ波(RF)エネルギー)及び超音波エネルギーをエンドエフェクタに供給するように構成される。エネルギーモダリティは、単一の発生器又は複数の発生器によって、エンドエフェクタに供給され得る。
【0011】
様々な態様では、本開示は、少なくとも2つのエネルギータイプ(例えば、超音波、単極RF、双極RF、マイクロ波、又は不可逆電気穿孔[irreversible electroporation、IRE])を、組織に送達するように構成されている外科用器具を提供する。外科用器具は、エネルギーを起動するための第1の起動ボタンと、起動ボタンのエネルギーモードを選択するための第2のボタンと、を含む。第2のボタンは、少なくとも1つの入力パラメータを使用してエネルギーモードを定義する回路に接続される。入力パラメータは、発生器への接続又はソフトウェア更新を介して、遠隔で修正することができる。
【0012】
一態様では、本開示は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスを提供する。超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスは、エンドエフェクタを備える。エンドエフェクタは、クランプアームと、超音波ブレードとを備える。クランプアームは、可動クランプジョー、形状順応ポリマーパッド、及び少なくとも1つの双極RF電極を備える。少なくとも1つの電極は、RF発生器の正極に結合され、超音波ブレードは、RF発生器の負極に結合される。超音波ブレードは、超音波発生器によって駆動される超音波トランスデューサスタックに音響的に結合されている。一態様では、少なくとも1つの電極は、対向する超音波ブレードに対して偏向可能な支持体としての機能を果たす。少なくとも1つの電極は、超音波ブレードを横切り、クランプアームに対して偏向可能であるように構成され、その少なくとも1つの電極下の組織圧迫部の機械的特性を変化させるための機能を有する。少なくとも1つの電極は、電極と超音波ブレードとの間の意図しない接触を防止するための機能部を含む。
【0013】
別の一態様では、本開示は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスを提供する。超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスは、エンドエフェクタを備える。エンドエフェクタは、クランプアームと、超音波ブレードとを備える。クランプアームは、可動クランプジョー、形状順応ポリマーパッド、及び少なくとも1つの双極RF電極を備える。少なくとも1つの電極は、RF発生器の正極に結合され、超音波ブレードは、RF発生器の負極に結合される。超音波ブレードは、超音波発生器によって駆動される超音波トランスデューサスタックに音響的に結合されている。一態様では、可動クランプジョーは、超音波ブレードとRF電極との間の接触を最小限に抑えるための、少なくとも1つの非付勢型で偏向可能な電極を備える。超音波ブレードパッドは、電極をパッドに固着させるための機能を含む。パッドの高さが摩耗したり、又は切断されたりするので、クランプジョーに対する電極の高さは徐々に調整される。ひとたびクランプジョーが超音波ブレードから離れるように移動すると、電極はその新しい位置に留まる。
【0014】
別の一態様では、本開示は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスを提供する。超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスは、エンドエフェクタを備える。エンドエフェクタは、クランプアームと、超音波ブレードとを備える。クランプアームは、可動クランプジョー、形状順応ポリマーパッド、及び少なくとも1つの双極RF電極を備える。少なくとも1つの電極は、RF発生器の正極に結合され、超音波ブレードは、RF発生器の負極に結合される。超音波ブレードは、超音波発生器によって駆動される超音波トランスデューサスタックに音響的に結合されている。一態様では、少なくとも1つの双極RF電極は、偏向可能であり、近位側よりも遠位側でより大きく付勢されている。双極RF電極は、クランプジョーに対して偏向可能である。エンドエフェクタは、遠位端の近位側の組織圧迫部の機械的特性を変化させて、クランプ単独での圧力パターンと比べて、より均一な又はより異なるパターンの圧力を作り出すように構成されている。
【0015】
別の一態様では、本開示は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスを提供する。超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスは、エンドエフェクタを備える。エンドエフェクタは、クランプアームと、超音波ブレードとを備える。クランプアームは、可動クランプジョー、形状順応ポリマーパッド、及び少なくとも1つの双極RF電極を備える。少なくとも1つの電極は、RF発生器の正極に結合され、超音波ブレードは、RF発生器の負極に結合される。超音波ブレードは、超音波発生器によって駆動される超音波トランスデューサスタックに音響的に結合されている。一態様では、パッドは、双極RF電極は偏向可能であり、エンドエフェクタは偏向可能な電極の長さに沿って可変の圧迫/付勢を提供する。エンドエフェクタは、クランプジョーの閉鎖又はクランプ量に基づいて、電極下の組織圧迫部の機械的特性を変化させるように構成されている。
【0016】
別の一態様では、本開示は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスを提供する。超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスは、エンドエフェクタを備える。エンドエフェクタは、クランプアームと、超音波ブレードとを備える。クランプアームは、可動クランプジョー、形状順応ポリマーパッド、及び少なくとも1つの双極RF電極を備える。少なくとも1つの電極は、RF発生器の正極に結合され、超音波ブレードは、RF発生器の負極に結合される。超音波ブレードは、超音波発生器によって駆動される超音波トランスデューサスタックに音響的に結合されている。一態様は、パッドは、超音波ブレード支持体に対する支持を提供するための非対称セグメントを含み、電極は移動可能である。非対称セグメント化パッドは、可動双極RF電極と協働的に係合するように構成されている。セグメント化された超音波支持パッドは、双極RF電極を少なくとも部分的に通って延在する。少なくとも1つのパッド要素は、第2のパッド要素よりも有意に高くなっている。第1のパッド要素は、双極RF電極を完全に通って延在し、第2のパッド要素は、双極RF電極を部分的に通って延在する。第1のパッド要素及び第2のパッド要素は、非類似材料で作製されている。
【0017】
別の一態様では、本開示は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスを提供する。超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスは、エンドエフェクタを備える。エンドエフェクタは、クランプアームと、超音波ブレードとを備える。クランプアームは、可動クランプジョー、形状順応ポリマーパッド、及び少なくとも1つの双極RF電極を備える。少なくとも1つの電極は、RF発生器の正極に結合され、超音波ブレードは、RF発生器の負極に結合される。超音波ブレードは、超音波発生器によって駆動される超音波トランスデューサスタックに音響的に結合されている。一態様では、偏向可能な電極と組み合わせた電極の物理的パラメータ変動が、組織に送達されるエネルギー密度及び組織の相互作用を変化させるために用いられる。電極の物理面は、その長さに沿って変化し、電極がまた偏向するにつれて、電極の組織に対する接触面積及び/又は電極から組織へのエネルギー密度を変化させる。
【0018】
別の一態様では、本開示は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスを提供する。超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスは、エンドエフェクタを備える。エンドエフェクタは、クランプアームと、超音波ブレードとを備える。クランプアームは、可動クランプジョー、形状順応ポリマーパッド、及び少なくとも1つの双極RF電極を備える。少なくとも1つの電極は、RF発生器の正極に結合され、超音波ブレードは、RF発生器の負極に結合される。超音波ブレードは、超音波発生器によって駆動される超音波トランスデューサスタックに音響的に結合されている。一態様では、超音波トランスデューサ制御アルゴリズムが提供され、超音波ブレードと電極との間の接触の短絡が検出されたときに、超音波発生器又はRF発生器によって送達される電力を減少させて、超音波ブレードへの損傷を防止する。超音波ブレード制御アルゴリズムは、電気的短絡、又は超音波ブレードの電極との接触を監視する。この検出は、電気的最小閾値を超えたときに超音波トランスデューサの電力/振幅レベルを調整するために使用され、超音波ブレード、超音波発生器、双極RF電極、又は双極RF発生器への損傷を引き起こすであろう最小閾値よりも低いレベルまで、トランスデューサ電力/振幅の閾値を調整する。監視される電気的パラメータは、組織のインピーダンス(Z)又は電気的連続性であり得る。電力調整は、外科用デバイスの超音波発生器、双極RF発生器を遮断することであり得るが、あるいはそれは、電気的パラメータ、圧力、若しくは時間又はこれらのパラメータの任意の組み合わせのいずれかに対する比例的応答であり得る。
【0019】
別の一態様では、本開示は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスを提供する。超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスは、エンドエフェクタを備える。エンドエフェクタは、クランプアームと、超音波ブレードとを備える。クランプアームは、可動クランプジョー、形状順応ポリマーパッド、及び少なくとも1つの双極RF電極を備える。少なくとも1つの電極は、RF発生器の正極に結合され、超音波ブレードは、RF発生器の負極に結合される。超音波ブレードは、超音波発生器によって駆動される超音波トランスデューサスタックに音響的に結合されている。一態様では、クランプジョー機能部又は態様が、クランプアームに提供され、組織の付着を最小限に抑え、組織の制御性を改善する。クランプアームの組織経路又はクランプ領域は、組織経路をクランプアーム/超音波ブレードに対して調整し、所定の接触位置を作り出して、組織が粘着すること及び黒焦げになることを低減するように構成された機能部を含む。
【0020】
別の一態様では、本開示は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスを提供する。超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスは、エンドエフェクタを備える。エンドエフェクタは、クランプアームと、超音波ブレードとを備える。クランプアームは、可動クランプジョー、形状順応ポリマーパッド、及び少なくとも1つの双極RF電極を備える。少なくとも1つの電極は、RF発生器の正極に結合され、超音波ブレードは、RF発生器の負極に結合される。超音波ブレードは、超音波発生器によって駆動される超音波トランスデューサスタックに音響的に結合されている。一態様では、部分的に導電性のクランプアームパッドが提供され、電極が完全に摩耗するのを可能にして、超音波ブレードと双極RF電極との間の電気的短絡を最小限に抑える。クランプアームパッドは、導電性部分及び非導電性部分を含み、これにより、クランプアームパッドは、双極RF電極のうちの1つとして機能することができる一方で、超音波ブレードの摩耗可能な支持構造としても機能する。クランプアームパッドの導電性部分は、パッドの周囲に位置付けられており、超音波ブレード接触領域の直下には位置付けられていない。導電性部分は、分解又は摩耗して、超音波ブレードとのいかなる接触も、導電性パッドの残りの部分の導電性を遮断することも起こさないように構成されている。
【0021】
別の態様では、本開示は、組織を把持するように構成されたエンドエフェクタを提供する。エンドエフェクタは、超音波トランスデューサと、クランプアームパッドを含むクランプアームと、に連結されるように構成された超音波ブレードを含む。超音波ブレードは、超音波エネルギーを組織に伝達するように構成されている。クランプアームパッドは、導電性材料と、非導電性材料と、を含む。クランプアームパッドは、高周波エネルギー回路の電極として構成されている。電極は、組織を通して高周波エネルギー回路のリターン電極に高周波エネルギーを伝達するように構成されている。非導電性材料は、クランプアームパッドがエンドエフェクタの使用可能寿命全体にわたって劣化する際に、導電性材料と超音波ブレードとの間の電気的短絡の可能性を低減するように構成されている。
【0022】
別の態様では、本開示は、超音波ブレードとともに組織を把持するように構成されたクランプアームを提供する。クランプアームは、チャネル及び非導電層を画定する導電層を含むクランプアームパッドを含む。非導電層は、非導電性の層の少なくとも一部分がチャネルを通って位置付けられるように、導電層に隣接して位置付けられる。クランプアームパッドは、高周波エネルギー回路の電極として構成されている。非導電性材料は、導電性材料と超音波ブレードとの間の電気的短絡の可能性を低減するように構成されている。
【0023】
別の態様では、本開示は、組織を把持するように構成されたエンドエフェクタを提供する。エンドエフェクタは、超音波ブレードと、クランプアームパッドを含むクランプアームと、を含む。クランプアームパッドは、導電性材料と、非導電性材料と、を含む。非導電性材料は、クランプアームパッドがエンドエフェクタの使用可能寿命全体にわたって劣化する際に、導電性材料が超音波ブレードから所定の距離だけ離れて位置付けられるのを防止するように構成されている。
【0024】
別の態様では、本開示は、外科用デバイスを提供する。外科用デバイスは、クランプジョーを含むエンドエフェクタと、クランプジョーを開閉するように構成されたトリガと、トリガの相対位置を検出するように構成されたセンサと、センサ及び発生器に通信可能に結合された制御回路と、を含むことができ、制御回路は、組織に対して実施される外科手術と関連付けられたエネルギーを発生器に施させ、センサから信号を受信し、信号に基づいて、ユーザが組織をクランプジョーから解放しようとしていると判定し、ユーザが組織をクランプジョーから解放しようとしていると判定したことに応答して、組織をクランプジョーから解放するように構成されたエネルギーを発生器に施させるように構成されており、組織をクランプジョーから解放するように構成されたエネルギーは、組織に対して実施される外科手術と関連付けられたエネルギーとは異なる。
【0025】
別の態様では、本開示は、外科用デバイスとともに使用するように構成されたエンドエフェクタを提供する。エンドエフェクタは、クランプアーム基部と、第1の幾何学的形状を含むクランプアームパッドと、第1の硬度を含む超音波ブレードと、電極と、を含むことができる。電極は、第2の硬度を含む電極材料を含むことができ、第2の硬度は、超音波ブレードの第1の硬度よりも小さく、電極材料は、第2の幾何学的形状を含む空洞を画定する。第2の幾何学的形状は、クランプアームパッドの一部分が空洞内に位置付けられ得るように、第1の幾何学的形状に対応することができ、中間材料は、電極材料をクランプアーム基部に接着させるように構成されている。
【0026】
別の態様では、本開示は、外科用デバイスのエンドエフェクタ内で使用するように構成された電極を製造する方法を提供する。本方法は、電極材料を所望の幾何学的構成に形成することと、電極材料内に1つ又は2つ以上のポケットを形成することと、電極内に形成された1つ又は2つ以上のポケット内に中間材料を適用することとを含むことができ、中間材料は、中間材料を電極材料に溶接、接合するのに好適である。本方法は、中間材料をエンドエフェクタのクランプアーム基部に取り付けて、中間材料及び電極材料をクランプアーム基部に固着させることを更に含むことができる。
【0027】
前述のものに加えて、様々な他の方法、及び/又はシステム、及び/又はプログラム製品の態様が、本開示の文中(例えば、「請求項」及び/又は詳細な説明)及び/又は図面などの教示において記載されかつ説明される。
【0028】
先の記述は概要であり、したがって、詳細の単純化、一般化、包摂、及び/又は省略を含む場合があり得る。それゆえに、当業者であれば、本「発明の概要」が単に例示的なものに過ぎず、いかなる形であれ限定する意図はないことを、理解するであろう。本明細書に記載される装置及び/若しくはプロセス、並びに/又は他の主題の、他の態様、特徴、及び利点は、本明細書に記載される教示において明らかになるであろう。
【0029】
1つ又は2つ以上の様々な態様では、関連するシステムは、限定されるものではないが、本明細書で参照する方法の態様に作用するための回路及び/又はプログラミングを含む。その回路及び/又はプログラミングは、本質的に、システム設計者の設計選択に応じて、本明細書で参照する方法の態様に影響するように構成されたハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアの任意の組み合わせであり得る。前述のものに加えて、様々な他の方法及び/又はシステムの態様が、本開示の文中(例えば、請求項及び/又は詳細な説明)及び/又は図面などの教示に記載及び説明される。
【0030】
更に、以下で記述する形態、形態の具現、実施例のうちの任意の1つ又は2つ以上を、以下で記述する他の形態、形態の具現、実施例のうちの任意の1つ又は2つ以上と組み合わせることができるものと理解されたい。
【0031】
上記の「発明の概要」はあくまで例示的なものに過ぎず、いかなる意味においても限定を目的としたものではない。上記に述べた例示的な態様、実施形態、及び特徴に加えて、更なる態様、実施形態、及び特徴が、図面及び以下の詳細な説明を参照することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
記載される形態の新規の特徴を、添付の特許請求項で具体的に説明する。しかしながら、記載される形態は、構成及び操作の方法のいずれに関しても、以下の説明文を添付の図面とともに参照することにより最良に理解され得る。
図1】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用デバイスである。
図2】本開示の少なくとも1つの態様による、図1の外科用デバイスの1つの制御回路構成のブロック図である。
図3】本開示の少なくとも1つの態様による、図1の外科用デバイスの別の制御回路構成のブロック図である。
図4】本開示の少なくとも1つの態様による、図1の外科用デバイスとともに使用するように構成された発生器の回路図である。
図5A】本開示の少なくとも1つの非限定的な態様による、外科手技中に使用する際の別の外科用デバイスである。
図5B】本開示の少なくとも1つの非限定的な態様による、外科手技中に使用する際の別の外科用デバイスである。
図5C】本開示の少なくとも1つの非限定的な態様による、外科手技中に使用する際の別の外科用デバイスである。
図6】本開示の少なくとも1つの非限定的な態様による、外科用デバイスを使用する方法の論理フロー図である。
図7】本開示の少なくとも1つの非限定的な態様による、外科用デバイスとともに使用するように構成されたクランプアームである。
図8A】本開示のいくつかの非限定的な態様による、異なる電極を特徴とするクランプアームの結果である。
図8B】本開示のいくつかの非限定的な態様による、異なる電極を特徴とするクランプアームの結果である。
図9A】本開示のいくつかの非限定的な態様による、様々な電極を特徴とするいくつかのクランプアームの実験結果である。
図9B】本開示のいくつかの非限定的な態様による、様々な電極を特徴とするいくつかのクランプアームの実験結果である。
図9C】本開示のいくつかの非限定的な態様による、様々な電極を特徴とするいくつかのクランプアームの実験結果である。
図9D】本開示のいくつかの非限定的な態様による、様々な電極を特徴とするいくつかのクランプアームの実験結果である。
図9E】本開示のいくつかの非限定的な態様による、様々な電極を特徴とするいくつかのクランプアームの実験結果である。
図10A】本開示の少なくとも1つの非限定的な態様による、軟質金属電極を含むクランプアームである。
図10B】本開示の少なくとも1つの非限定的な態様による、軟質金属電極を含むクランプアームである。
図11】本開示の少なくとも1つの非限定的な態様による、図7のクランプアームの電極と中間材料との間のインターフェースの側面図である。
図12】本開示の少なくとも1つの非限定的な態様による、別のクラッド電極の斜視図である。
図13】本開示の少なくとも1つの非限定的な態様による、別の電極の斜視図である。
図14】本開示の少なくとも1つの非限定的な態様による、図13の電極を製造する方法である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本出願の出願人は、2019年12月30日に出願された以下の米国仮特許出願を所有しており、これらの各々の開示は、それぞれ全体が参照により本明細書に組み込まれる:米国仮特許出願第62/955,294号、発明の名称「USER INTERFACE FOR SURGICAL INSTRUMENT WITH COMBINATION ENERGY MODALITY END-EFFECTOR」、米国仮特許出願第62/955,299号、発明の名称「ELECTROSURGICAL INSTRUMENTS FOR COMBINATION ENERGY DELIVERY」、及び米国仮特許出願第62/955,306号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENTS」。
【0034】
本出願の出願人は、2020年5月28日に出願された以下の米国特許出願を所有しており、これらの各々は、それぞれ全体が参照により本明細書に組み込まれる:米国特許出願第16/887,499号、発明の名称「USER INTERFACE FOR SURGICAL INSTRUMENT WITH COMBINATION ENERGY MODALITY END-EFFECTOR」、米国特許出願第16/887,493号、発明の名称「METHOD OF OPERATING A COMBINATION ULTRASONIC/BIPOLAR RF SURGICAL DEVICE WITH A COMBINATION ENERGY MODALITY END-EFFECTOR」、米国特許出願第16/887,506号、発明の名称、「DEFLECTABLE SUPPORT OF RF ENERGY ELECTRODE WITH RESPECT TO OPPOSING ULTRASONIC BLADE」、米国特許出願第16/887,515号、発明の名称「NON-BIASED DEFLECTABLE ELECTRODE TO MINIMIZE CONTACT BETWEEN ULTRASONIC BLADE AND ELECTRODE」、米国特許出願第16/887,519号、発明の名称「DEFLECTABLE ELECTRODE WITH HIGHER DISTAL BIAS RELATIVE TO PROXIMAL BIAS」、米国特許出願第16/887,532号、発明の名称「DEFLECTABLE ELECTRODE WITH VARIABLE COMPRESSION BIAS ALONG THE LENGTH OF THE DEFLECTABLE ELECTRODE」、米国特許出願第16/887,554号、発明の名称「ASYMMETRIC SEGMENTED ULTRASONIC SUPPORT PAD FOR COOPERATIVE ENGAGEMENT WITH A MOVABLE RF ELECTRODE」、米国特許出願第16/887,561号、発明の名称「VARIATION IN ELECTRODE PARAMETERS AND DEFLECTABLE ELECTRODE TO MODIFY ENERGY DENSITY AND TISSUE INTERACTION」、米国特許出願第16/887,568号、発明の名称「TECHNIQUES FOR DETECTING ULTRASONIC BLADE TO ELECTRODE CONTACT AND REDUCING POWER TO ULTRASONIC BLADE」、米国特許出願第16/887,576号、発明の名称「CLAMP ARM JAW TO MINIMIZE TISSUE STICKING AND IMPROVE TISSUE CONTROL」、米国特許出願第16/887,579号、発明の名称「PARTIALLY CONDUCTIVE CLAMP ARM PAD TO ENABLE ELECTRODE WEAR THROUGH AND MINIMIZE SHORT CIRCUITING」、米国特許出願第10/289,787号、発明の名称「ULTRASONIC CLAMP COAGULATOR APPARATUS HAVING AN IMPROVED CLAMPING END-EFFECTOR」、及び米国特許出願第11/243,585号、発明の名称「ULTRASONIC CLAMP COAGULATOR APPARATUS HAVING A IMPROVED CLAMPING END-EFFECTOR」。
【0035】
本出願の出願人は、2020年5月28日に出願された以下の米国特許出願を所有しており、これらの各々は、それぞれ全体が参照により本明細書に組み込まれる:米国特許出願第16/885,813号、発明の名称「METHOD FOR AN ELECTROSURGICAL PROCEDURE」、米国特許出願第16/885,820号、発明の名称「ARTICULATABLE SURGICAL INSTRUMENT」、米国特許出願第16/885,823号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT WITH JAW ALIGNMENT FEATURES」、米国特許出願第16/885,826号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT WITH ROTATABLE AND ARTICULATABLE SURGICAL END EFFECTOR」、米国特許出願第16/885,838号、発明の名称「ELECTROSURGICAL INSTRUMENT WITH ASYNCHRONOUS ENERGIZING ELECTRODES」、米国特許出願第16/885,851号、発明の名称「ELECTROSURGICAL INSTRUMENT WITH ELECTRODES BIASING SUPPORT」、米国特許出願第16/885,860号、発明の名称「ELECTROSURGICAL INSTRUMENT WITH FLEXIBLE WIRING ASSEMBLIES」、米国特許出願第16/885,866号、発明の名称「ELECTROSURGICAL INSTRUMENT WITH VARIABLE CONTROL MECHANISMS」、米国特許出願第16/885,870号、発明の名称「ELECTROSURGICAL SYSTEMS WITH INTEGRATED AND EXTERNAL POWER SOURCES」、米国特許出願第16/885,873号、発明の名称「ELECTROSURGICAL INSTRUMENTS WITH ELECTRODES HAVING ENERGY FOCUSING FEATURES」、米国特許出願第16/885,879号、発明の名称「ELECTROSURGICAL INSTRUMENTS WITH ELECTRODES HAVING VARIABLE ENERGY DENSITIES」、米国特許出願第16/885,881号、発明の名称「ELECTROSURGICAL INSTRUMENT WITH MONOPOLAR AND BIPOLAR ENERGY CAPABILITIES」、米国特許出願第16/885,888号、発明の名称「ELECTROSURGICAL END EFFECTORS WITH THERMALLY INSULATIVE AND THERMALLY CONDUCTIVE PORTIONS」、米国特許出願第16/885,893号、発明の名称「ELECTROSURGICAL INSTRUMENT WITH ELECTRODES OPERABLE IN BIPOLAR AND MONOPOLAR MODES」、米国特許出願第16/885,900号、発明の名称「ELECTROSURGICAL INSTRUMENT FOR DELIVERING BLENDED ENERGY MODALITIES TO TISSUE」、米国特許出願第16/885,917号、発明の名称「CONTROL PROGRAM ADAPTATION BASED ON DEVICE STATUS AND USER INPUT」、米国特許出願第16/885,923号、発明の名称「CONTROL PROGRAM FOR MODULAR COMBINATION ENERGY DEVICE」、及び米国特許出願第16/885,931号、発明の名称「SURGICAL SYSTEM COMMUNICATION PATHWAYS」。
【0036】
本出願の出願人は、2020年11月18日に出願された関連する米国特許出願第16/951,259号、発明の名称「MULTI-LAYER CLAMP ARM PAD FOR ENHANCED VERSATILITY AND PERFORMANCE OF A SURGICAL DEVICE」を所有しており、その開示は、それぞれ全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0037】
本出願の出願人は、2020年5月29日に出願された関連する米国特許出願第16/887,493号、発明の名称「METHOD OF OPERATING A COMBINATION ULTRASONIC/BIPOLAR RF SURGICAL DEVICE WITH A COMBINATION ENERGY MODALITY END-EFFECTOR」を所有しており、その開示は、それぞれ全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0038】
外科用デバイスの様々な形態を詳細に説明する前に、例示的な形態が、適用又は使用において、添付の図面及び説明で例示される部品の構造及び配置の詳細に限定されないことに留意されたい。例示的な形態は、他の形態、変形、及び修正で実行されるか、又はそれらに組み込まれてもよく、様々な方法で実施又は実行されてもよい。更に、別途示さない限り、本明細書で用いる用語及び表現は、読者の便宜のために例示的な形態を説明する目的で選択されたものであり、それらを限定するためのものではない。本明細書で使用されるとき、「外科用デバイス」という用語は、「外科用器具」という用語と同じ意味で使用される。更に、本明細書で使用されるとき、「超音波ブレード」は、組織サンプルを切断するように構成された周波数でエネルギーを送達するように構成された構成要素を含む。しかしながら、いくつかの態様によれば、超音波ブレードは、所望の実装態様に応じて、RFエネルギーを送達及び/又は受信するための電極として使用するように更に構成することができることを理解されたい。
【0039】
更に、以下で記述する形態、形態の具現、実施例のうちの任意の1つ又は2つ以上を、以下で記述する他の形態、形態の具現、実施例のうちの任意の1つ又は2つ以上と組み合わせることができるものと理解されたい。
【0040】
様々な形態は、外科手技中の組織の治療、切開、切断、及び/又は凝固をもたらすように構成されている、改善された超音波及び/又は電気外科用(RF)器具を対象とする。一形態では、超音波及び電気外科用の組み合わせデバイスが、直視下外科手技における使用のために構成され得るが、手持ち式又は及びロボット支援手技のいずれかにおける低侵襲腹腔鏡手技、オルソスコープ手技、又は胸腔鏡手技などの他のタイプの手術、例えば、非侵襲内視鏡手技における用途も有する。複数のエネルギーモダリティを同時に、独立して、順次、又はそれらの組み合わせで選択的に適用することによって、汎用性が達成される。例えば、汎用性は、超音波及び電気外科エネルギー(例えば、単極又は双極RFエネルギー)を、同時的、独立的、順次、又はそれらを組み合わせた様態のいずれであれ、選択的に使用することによって達成され得る。
【0041】
一態様では、本開示は、超音波ブレード及び偏向可能なRF電極を備える超音波外科用クランプ装置を提供し、超音波ブレード及び偏向可能なRF電極は協働して、RF電極を備える装置のクランプ機構と、関連する超音波ブレードの協働によって、組織の封止、切断、及びクランプを実現する。クランプ機構は、超音波ブレードと協働する枢動式クランプアームを含み、それらの間に組織が把持される。クランプアームには、好ましくは、クランプ組織パッド(「クランプアームパッド」としても知られている)が設けられるが、このパッドは、軸方向に互いに離間した複数の把持歯、セグメント、要素、又は個々のユニットを有する。これらは、外科手技中の組織の把持及び把握を容易にする一方で、エンドエフェクタの超音波ブレードと協働して、組織に対する所望の封止及び切断効果を達成する。
【0042】
一態様では、本明細書に記載のエンドエフェクタは、電極を備える。他の態様では、本明細書に記載のエンドエフェクタは、上記の電極への代替物を備える。これにより組織への、組織の形状に順応するRFエネルギーカップリングを提供し、パッドの摩耗/薄化に適応し、過剰な熱の生成を最小限に抑え(低い摩擦係数、圧力)、火花の生成を最小限に抑え、電気短絡による中断を最小限に抑え、又はそれらの組み合わせを最小限に抑える。電極は、近位端部でクランプジョーに固定され、遠位端部で自由に偏向する。したがって、本開示を通して、電極は、カンチレバービーム電極、又は偏向可能な電極と称され得る。
【0043】
他の態様では、本明細書に記載のエンドエフェクタは、組織を把持及び封止するためにパッドと超音波ブレードとの間に高い圧力を印加して、例えば、薄い組織、横方向の張力がかかっている組織、持ち上がっている/垂直方向の張力がかかっている組織、特にクランプアームから離れるように持ち上がっている組織などの、制約のかかる又は困難なシナリオでもクランプアーム電極が組織に接触する蓋然性を最大化するように構成されているクランプアーム機構を備える。
【0044】
他の態様では、本明細書に記載のエンドエフェクタは、電極間の表面積/電流密度の調和をバランスさせ、組織とのインターフェースからの熱伝導のバランスをとりつつ最小化して、例えば、変性部の形成及び対称性に影響を及ぼし、サイクル時間、残留熱エネルギーなどにも影響を及ぼすように構成されている。
【0045】
他の態様では、本明細書に記載のエンドエフェクタは、付着、組織の接着を最小化する(アンカーポイントを最小化する)ように構成され、小さなポリイミドパッドを含み得る。
【0046】
様々な態様では、本開示は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスを提供する。超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスは、エンドエフェクタを備える。エンドエフェクタは、クランプアームと、超音波ブレードとを備える。クランプアームは、可動クランプジョー、形状順応ポリマーパッド、及び少なくとも1つの双極RF電極を備える。少なくとも1つの電極は、RF発生器の正極に結合され、超音波ブレードは、RF発生器の負極に結合される。超音波ブレードは、超音波発生器によって駆動される超音波トランスデューサスタックに音響的に結合されている。様々な態様では、エンドエフェクタは、電極付勢機構を備える。
【0047】
一般的な一態様では、本開示は、エンドエフェクタの少なくとも1つのジョー上での、可動RF電極との超音波及び高度双極RFエネルギーの組み合わせを含む外科用デバイスを使用するための方法を対象とする。可動RF電極は、可動RF電極の近位端から遠位端まで変化する付勢力を有する。可動RF電極は、互いに電気通信可能となり得る又は互いに隔離され得るように、別個の部分に分割されている。可動RF電極は、導電性又は部分的に導電性の材料で作製されている。本開示で説明されるエンドエフェクタの任意のものが、電極付勢機構を用いて構成され得ることが理解されよう。
【0048】
一態様では、本開示は、超音波ブレードが電極を損傷するのを防止するための制限的電極付勢機構を提供する。一般に、様々な態様では、本開示は、超音波/RF複合式デバイスとともに使用するためのエンドエフェクタを提供し、エンドエフェクタは、電極を備える。一態様では、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスは、電極付勢機構を備える。一態様では、制限的電極付勢機構は、超音波ブレードが電極を損傷するのを防止又は最小化するように構成されている。電極は、近位端部でクランプジョーに固定され、遠位端部で自由に偏向する。したがって、本開示を通して、電極は、カンチレバービーム電極、又は偏向可能な電極と称され得る。
【0049】
様々な態様では、本開示は、付勢閾値機構を備える一端のみで固定された、電極カンチレバービームを提供する。一態様では、偏向可能なカンチレバー電極は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスのために構成されている。
【0050】
一態様では、超音波/RFエネルギー複合式外科用デバイスは、超音波ブレード、クランプアーム、及び超音波ブレードを横切る少なくとも1つの電極を備える。一態様では、電極は、クランプアームに対して偏向可能であるように構成され、電極と超音波ブレードとの間で圧迫されている組織の機械的特性を変化させるための機能部を含む。別の一態様では、電極と超音波ブレードとの間の意図しない接触を防止して、超音波ブレードが電極を損傷するのを防止又は最小化するための機能部を含む。
【0051】
様々な態様では、電極は、エンドエフェクタのクランプジョーの近位端に取り付けられた金属ばね要素を含む。金属ばね要素は、開口部を画定し、その開口部を通して1つ又は2つ以上のクランプアームパッド(「組織パッド」又は「クランプ組織パッド」としても知られる)を受容する。また金属ばね要素は、統合された最小ギャップ要素を備える。電極のこの構成は、付勢機構の周りに組織が蓄積すること(電極の性能に影響を及ぼす可能性がある)を防止する方法を提供する。この構成はまた、摩耗パッドと付勢ばねとの間の結合を最小限に抑え、クランプアームへの電極の接続の強度を高め、ポリイミド製のパッドを電極に取り付けることによって、クランプアームパッドの意図しない解放を最小限に抑え、電極間で表面積/電流密度のバランスを調和させる。電極は、近位端部でクランプジョーに固定され、遠位端部で自由に偏向する。したがって、本開示を通して、電極は偏向可能であり、カンチレバービーム電極、又は偏向可能な電極と称され得る。
【0052】
超音波及びラジオ波(「RF」)エネルギー外科用デバイスは、多くの外科的利益を提供するが、クランプ及び/又は封止後のクランプアームパッドへの組織サンプルの望ましくない付着は、問題であり得る。例えば、組織サンプルが、切断及び/又は封止動作後に超音波又はRFブレードに付着した場合、付着した組織サンプルへの所望でない長時間の熱の印加に起因して、その後の黒焦げが生じる可能性がある。2020年11月18日に出願された米国特許出願第16/951,259号、発明の名称「MULTI-LAYER CLAMP ARM PAD FOR ENHANCED VERSATILITY AND PERFORMANCE OF A SURGICAL DEVICE」に開示されているものなど、所望のエネルギー経路を画定し、望ましくない付着の可能性を低減するために、様々なクランプパッド及びクランプパッド構成が企図されており、その開示は、それぞれ全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0053】
しかしながら、エネルギーの所望の送達後の超音波及び/又はRFエネルギーブレードへの組織付着を更に低減するために、ブレードを組織サンプルから本質的に蹴り出すように特別に構成されたエネルギーバーストを施すことが望ましいであろう。したがって、ブレードから組織サンプルを除去し、したがって、望ましくない付着及び黒焦げの可能性を低減するために、外科用デバイスが所望の外科手術(例えば、切断又は封止)を実施した後に、少量の特別に構成された(例えば、量、持続時間、周波数など)エネルギーをブレードに自動的に提供するためのデバイス、システム、及び方法が必要とされている。施されるエネルギーが、外科手術後の特に望ましい瞬間に自動的に送達され得る場合、更に有益である。例えば、特別に構成されたエネルギーバーストは、外科手術が実施された後、外科用デバイスのジョーの開放時に自動的に施され得る。
【0054】
ここで図1を参照すると、本開示の少なくとも1つの態様による、外科用デバイス100が図示されている。図1の非限定的な態様によれば、外科用デバイス100は、ピストルグリップの形態のハンドル104を画定するハウジング102を含むことができる。ハウジング102は、トリガ106を更に含むことができ、このトリガ106は、圧搾されると、ハウジング102、より具体的にはハンドル104によって画定された内部空洞内に受容され得る。トリガ106は、シャフト108を介してハウジング102に結合されたエンドエフェクタ110のクランプアーム111部分を動作させるように構成することができ、シャフト108は、ノブ122を介して回転させることができる。エンドエフェクタ110は、クランプアーム111と、ブレード116と、を含むことができ、クランプアーム111は、クランプジョー112、電極118、及びクランプアームパッド120を含む。クランプジョー112は、枢動点114を中心に枢動可能に可動である。図1の外科用デバイス100は、単に例示的なものであり、本開示は、外科用デバイス100が様々な構造的及び電気的構成を有する他の非限定的な態様を企図することを理解されたい。したがって、図1のハウジング102、トリガ106、クランプアーム111、及び/又はクランプジョー112の構成は、ユーザの好み及び/又は意図される用途に従って変更することができる。
【0055】
非限定的な一態様によれば、クランプアームパッド120は、PTFE又は類似のテトラフルオロエチレンの合成フルオロポリマーなどの非粘着性潤滑性材料で作製することができる。PTFEは、疎水性で、非湿潤性で、高密度であり、しかも高温に耐性があり、多用途の材料であり、非粘着特性を有する。クランプアームパッド120は、非導電性であり得る。対照的に、電極118は、例えば、単極RF、双極RF、マイクロ波、又は不可逆電気穿孔(irreversible electroporation、IRE)などの電気エネルギーを送達するための導電性材料で作製することができる。電極118は、ポリイミド材料で作製された1つ又は2つ以上のギャップ設定パッドを更に含むことができ、一態様では、例えば、DuPont社製で、VESPELという商品名で知られている耐久性の高い高性能ポリイミド系プラスチック、又は他の好適なポリイミド、ポリイミドポリマー合金、若しくはPET(ポリエチレンテレフタレート、Polyethylene Terephthalate)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン、Polyether Ether Ketone)、PEKK(ポリエーテルケトンケトン、Poly Ether Ketone Ketone)ポリマー合金で作製することができる。以下に別途記載のない限り、本明細書で以下に記載されるクランプアームパッド及びギャップパッドは、この段落に記載された材料で作製されている。
【0056】
図1を更に参照すると、電極118及びブレード116は、発生器133に結合することができる。発生器133は、RF、マイクロ波、及び/又はIREエネルギーを電極118に駆動するように構成することができる。発生器133はまた、ブレード116に音響的に結合された超音波トランスデューサを駆動するように構成することができる。ある特定の実装態様では、電極118は、電気回路の一方の極であり得、ブレード116は、電気回路の反対の極であり得る。ハウジング102は、ブレード116を起動するためのスイッチ124を含むことができる。いくつかの非限定的な態様によれば、回路は、ハウジング102内に含めることができる。しかしながら、他の非限定的な態様によれば、回路は、発生器133内に存在することができる。図1の非限定的な態様によれば、外科用デバイス100は、外科用デバイス100の動作のための信号を伝導するケーブル131を介して発生器133に結合することができる。様々な態様では、外科用デバイス100は、クランプアーム111とブレード116との間のエンドエフェクタ110内に位置する組織に、少なくとも2つのエネルギータイプ(例えば、超音波、単極RF、双極RF、マイクロ波、又は不可逆電気穿孔)を送達するように構成することができる。
【0057】
図1の非限定的な態様によれば、外科用デバイス100は、外科用デバイス100の所望のモードを制御及び/又は選択するための1つ又は2つ以上のスイッチ124、126、130を含むことができる。例えば、外科用デバイス100のハウジング102は、エネルギーを起動するための第1の起動ボタンスイッチ126と、上記の起動ボタンスイッチ用のエネルギーモードを選択するための第2の「モード」ボタンスイッチ130と、を含むことができる。第2のボタンスイッチ130は、少なくとも1つの入力パラメータを使用してエネルギーモードを定義する回路に接続することができる。入力パラメータは、発生器への接続及び/又はソフトウェア更新を通じて、遠隔で変更することができる。次いで、エネルギーモードは、外科用デバイス100に通信可能に結合されたユーザインターフェース128上に表示され得る。例えば、「モード」ボタンスイッチ130を押すことによって外科用デバイス100のモードを切り替えることができ、ユーザインターフェース128上の着色光は、ユーザが現在どのモードを選択しているかを示すことができる。他の非限定的な態様によれば、発生器133は、特定のモードが選択されると、適切な発生器トーンを提供することができる。
【0058】
図1の非限定的な態様を更に参照すると、「モード」選択ボタンスイッチ130は、ハウジング102の両側に対称的に配設され得る。これにより、右利き及び左利きの外科医の両方が、反対の手の使用を必要とせずに、外科用デバイス100のモードを切り替えることを可能にすることができる。この非限定的な態様によれば、「モード」選択ボタンスイッチ130は、多くの異なる方向に切り替えることができ、これにより、外科医は、発生器133の場所において調整を行うように巡回者に依頼する必要なく、滅菌野から遠隔で選択肢のリストから選択し、より複雑な選択をナビゲートすることが可能となり得る。発生器133のトーンに加えて、外科用デバイス100のユーザインターフェース128上の点灯インジケータは、ボタンスイッチ130の起動を通じてどのモードが選択されているかについてのフィードバックを外科医に提供することができる。
【0059】
図1を更に参照すると、外科用デバイスは、制御回路150、152に電気的に結合されたセンサ140を更に含むことができる。いくつかの非限定的な態様によれば、制御回路150は、ハウジング102内に位置付けることができる。しかしながら、他の非限定的な態様によれば、制御回路152は、発生器133内に位置付けることができる。センサ140は、クランプジョー112が開いているとき、かつ/又は閉じているときを検出し、クランプジョー112の開いた状態及び/又は閉じた状態に関連付けられた信号を生成するように構成することができる。いくつかの非限定的な態様によれば、センサ140は、トリガ106の相対位置、したがってエンドエフェクタ110のクランプアーム111部分の動作を監視及び検出することができるように位置付けることができる。そのような信号は、制御回路150、152に送信することができる。例えば、センサ140は、制御回路150、152とともに、ジョーが超音波及び/又はRFエネルギーの伝達のために依然として閉じられているかどうか、又はトリガ106若しくは閉鎖スイッチが開かれて、ユーザが組織サンプルをクランプジョー112から解放しようとしていることを示しているかどうかを判定することができる。
【0060】
ここで図2及び図3を参照すると、本開示の少なくとも1つの態様による、図1の外科用デバイス100のいくつかの制御回路150、152の構成を示すブロック図が図示されている。図2の非限定的な態様によれば、制御回路150は、外科用デバイス100のハウジング102内に位置付けることができる。制御回路150は、外科用デバイス100内の1つ又は2つ以上のスイッチ124、126及び/又はトリガ106を検出するように構成された1つ又は2つ以上のセンサ140、142、144に電気的に結合することができ、したがって、スイッチ124、126及び/又はトリガ106を介してユーザから受信した入力に応答して、外科用デバイス100を制御することができる。例えば、制御回路150は、トリガ106の相対位置を監視及び検出するように構成されたセンサ140に電気的に結合することができ、したがって、ジョーがエネルギーの伝達のために閉じているかどうか、又はユーザが組織サンプルを解放するためにクランプジョー112の開放を開始したかどうかを判定する。同様に、センサは、スイッチ124及び/又はスイッチ126を検出及び監視し、これらのスイッチ124、126の相対位置と関連付けられた信号を生成及び送信することができ、その結果、制御回路150は、ユーザがRFエネルギーを起動するか、若しくは停止すること、又はブレード116を起動するか、若しくは停止することを望むかどうかを決定することができる。
【0061】
図3の非限定的な態様によれば、制御回路152は、外科用デバイス100に電気的に結合されたままで、発生器133内に位置付けることができる。それでもなお、センサ140、142、144は、外科用デバイス100のハウジング102内に位置付けられたままであり、外科用デバイス100内の1つ又は2つ以上のスイッチ124、126及び/又はトリガ106を検出するように構成され、したがって、制御回路152は、スイッチ124、126及び/又はトリガ106を介して、ユーザから受信した入力に応答して外科用デバイス100を依然として制御することができる。例えば、制御回路152は、トリガ106の相対位置を監視及び検出するように構成されたセンサ140に再び電気的に結合することができ、したがって、ジョーがエネルギーの伝達のために閉じているかどうか、又はユーザが組織サンプルを解放するためにクランプジョー112の開放を開始したかどうかを判定することができる。同様に、センサは、スイッチ124及び/又はスイッチ126を検出及び監視し、これらのスイッチ124、126の相対位置と関連付けられた信号を生成及び送信することができ、その結果、制御回路152は、ユーザがRFエネルギーを起動するか、若しくは停止すること、又はブレード116を起動するか、若しくは停止することを望むかどうかを決定することができる。
【0062】
ここで図4を参照すると、本開示の少なくとも1つの態様による、図1の外科用デバイス100とともに使用するように構成された発生器3900の回路図が図示されている。図4の非限定的な態様によれば、発生器3900は、超音波、RFエネルギー、及び/又は複数のエネルギーモダリティを外科用デバイス100に駆動するように構成することができる。発生器3900は、ユーザの好み及び/又は意図される用途に従って、独立して、組み合わせて、連続して、かつ/又は同時に、外科用デバイス100にエネルギーを送達するためのRF信号及び超音波信号を提供することができる。
【0063】
図4を更に参照すると、発生器3900の少なくとも1つの出力は、単一ポートを通して、複数のエネルギーモダリティ(例えば、超音波、双極RF、単極RF、不可逆電気穿孔、可逆電気穿孔、及び/又はマイクロ波エネルギーなど)を送達することができる。これらの出力は、処置のために組織に施されるエンドエフェクタへの送達のために構成することができる。発生器3900は、図4の非限定的な態様によれば、波形発生器3904に結合されたプロセッサ3902であり得る制御回路を含むことができる。プロセッサ3902及び波形発生器3904は、プロセッサ3902に結合されたメモリに記憶された情報に基づいて、様々な信号波形を生成するように構成することができる。波形と関連付けられたデジタル情報は、デジタル入力をアナログ出力に変換するように構成され得る1つ又は2つ以上のデジタル-アナログ変換器(digital-to-analog converter、「DAC」)を含むことができる、波形発生器3904に提供され得る。次いで、アナログ出力は、信号調節及び増幅のために、増幅器3906に供給され得る。増幅器3906の、調節され増幅された出力は、電力変圧器3908に結合することができる。信号は、電力変圧器3908を横断して患者絶縁側にあり得る二次側に結合することができる。例えば、第1のエネルギーモダリティの第1の信号は、外科用デバイス100のENERGY及びRETURNとラベルされた端子間に提供することができる。第2のエネルギーモダリティの第2の信号は、コンデンサ3910を横断して結合することができ、外科用デバイス100のENERGY及びRETURNとラベルされた端子間に提供することができる。3つ以上のエネルギーモダリティを出力することができること、及び発生器3900が「n」個の端子にわたって最大でENERGYの出力を生成できるように、下付き文字「n」を出力指定に重ね合わせることができることを理解されたい。ここで、「n」は、1よりも大きい正の整数である。最大で「n」個のリターン経路(RETURN)が、本開示の範囲から逸脱することなく提供され得ることも理解されよう。
【0064】
第1の電圧感知回路3912は、ENERGY及びRETURN経路とラベルされた端子にわたって結合されて、それらの間の出力電圧を測定することができる。第2の電圧感知回路3924は、ENERGY及びRETURN経路とラベルされた端子にわたって結合されて、それらの間の出力電圧を測定することができる。電流感知回路3914は、いずれかのエネルギーモダリティの出力電流を測定するために、図示のような電力変圧器3908の二次側のRETURN区間と直列に配置することができる。異なるリターン経路が各エネルギーモダリティに対して提供される場合、別個の電流感知回路は各リターン区間で提供されねばならない。第1の電圧感知回路3912及び第2の電圧感知回路3924の出力がそれぞれの絶縁変圧器3916、3922に提供され得、電流感知回路3914の出力は、別の絶縁変圧器3918に提供され得る。電力変圧器3908の一次側(非患者絶縁側)における絶縁変圧器3916、3928、3922の出力は、1つ又は2つ以上のADC回路3926に提供することができる。ADC回路3926のデジタル化された出力は、更なる処理及び計算のためにプロセッサ3902に提供することができる。出力電圧及び出力電流のフィードバック情報は、外科用デバイス100に提供される出力電圧及び電流を調整するために、他のパラメータの中から出力インピーダンスを計算するために用いることができる。プロセッサ3902と患者絶縁回路との間の入力/出力通信は、インターフェース回路3920を通じて提供することができる。センサ140、142、144などのセンサも、インターフェース回路3920によってプロセッサ3902と電気通信することができる。
【0065】
一態様では、インピーダンスは、ENERGY/RETURNとラベルされた端子にわたって結合された第1の電圧感知回路3912又はENERGY/RETURNとラベルされた端子にわたって結合された第2の電圧感知回路3924のいずれかの出力を、電力変圧器3908の二次側のRETURN区間と直列に配置された電流感知回路3914の出力で割ることによって、プロセッサ3902によって決定することができる。第1の電圧感知回路3912及び第2の電圧感知回路3924の出力は、別個の絶縁変圧器3916、3922に提供され、電流感知回路3914の出力は、別の絶縁変圧器3916に提供される。ADC回路3926からのデジタル化された電圧及び電流感知測定値は、インピーダンスを計算するためにプロセッサ3902に提供される。一例として、第1のエネルギーモダリティENERGY1は、超音波エネルギーであってもよく、第2のエネルギーモダリティENERGY2は、RFエネルギーであってもよい。それでも、超音波、及び双極若しくは又は単極RFエネルギーモダリティに加えて、他のエネルギーモダリティとしては、とりわけ不可逆及び/若しくは可逆電気穿孔法並びに/又はマイクロ波エネルギーなどが挙げられる。また、図93に図示された例は、単一のリターン経路RETURNが2つ又は3つ以上のエネルギーモダリティに提供されてもよいことを示しているが、他の態様では、複数のリターン経路RETURNnが、各エネルギーモダリティENERGYnに提供されてもよい。したがって、本明細書に記載されるように、超音波トランスデューサのインピーダンスは、第1の電圧感知回路3912の出力を、電流感知回路3914の出力で割ることによって測定されてもよく、組織のインピーダンスは、第2の電圧感知回路3924の出力を電流感知回路3914の出力で割ることによって測定されてもよい。
【0066】
図4に示すように、少なくとも1つの出力ポートを含む発生器3900は、実施されている組織の処置のタイプに応じて、電力を、例えば、とりわけ、超音波、双極若しくは単極RF、不可逆及び/若しくは可逆電気穿孔、並びに/又はマイクロ波エネルギーなどの1つ又は2つ以上のエネルギーモダリティの形態でエンドエフェクタに提供するために、単一の出力部を有し、かつ複数のタップを有する電力変圧器3908を含むことができる。例えば、発生器3900は、超音波トランスデューサを駆動するために高電圧かつ低電流のエネルギーを送達し、RF電極を駆動して組織を封止するために低電圧かつ高電流のエネルギーを送達し、又は単極又は双極RF電気外科用電極のいずれかを使用したスポット凝固のために凝固波形を有するエネルギーを送達することができる。発生器3900からの出力波形は、周波数を外科用デバイス100のエンドエフェクタに提供するために、誘導、切り替え、又はフィルタリングすることができる。超音波トランスデューサの発生器3900の出力部への接続部は、好ましくは、図4に示すようなENERGY1とラベルされた出力部とRETURNとラベルされた出力部との間に位置するであろう。一実施例では、RF双極電極の発生器3900の出力部への接続部は、好ましくは、ENERGY2とラベルされた出力部とRETURNとラベルされた出力部との間に位置するであろう。単極出力の場合、好ましい接続は、活性電極(例えば、ペンシル型又は他のプローブ)のENERGY2出力部への接続と、好適なリターンパッドを、RETURN出力部に接続する接続であろう。
【0067】
図4の発生器3900に関する追加の詳細は、2017年3月30日に公開された米国特許出願公開第2017/0086914号、発明の名称「TECHNIQUES FOR OPERATING GENERATOR FOR DIGITALLY GENERATING ELECTRICAL SIGNAL WAVEFORMS AND SURGICAL INSTRUMENTS」に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0068】
ここで図5A図5Bを参照すると、本開示の少なくとも1つの非限定的な態様による、外科手技中に使用される別の外科用デバイス2700のいくつかの図が図示されている。図5A図5Cの非限定的な態様によれば、外科用デバイス2700は、図1の外科用デバイス100と同様に構成することができ、その結果、外科用デバイス2700は、図1の発生器133などの電気外科エネルギー及び/又はRFエネルギーの供給源によってエネルギーが施された後に、外科用デバイス2700の1つ又は2つ以上のクランプジョー2712に組織サンプル2728(例えば、血管など)が付着するのを低減することができる。例えば、図5A図5Cの非限定的な態様によれば、外科用デバイス2700は、ピストルグリップの形態のハンドルを画定するハウジングを含むことができる。ハウジングは、図1のトリガ106と同様に、圧搾されると、シャフト2708を介してハウジングに結合されたエンドエフェクタ2710上の1つ又は2つ以上のクランプジョー2712を動作させることができるトリガ(図示せず)を更に含むことができる。
【0069】
図5Aの非限定的な態様によれば、所望の外科手術(例えば、切断、封止など)を組織サンプル2728に対して実施することができ、組織サンプル2728は、外科用デバイス2700の1つ又は2つ以上のクランプジョー2712の間に握締することができる。所望の外科手術(例えば、切断、封止など)が実施された後、外科用デバイス2700、より具体的には、外科用デバイス2700内に位置付けられたセンサ(例えば、図2及び図3のセンサ140)は、トリガの相対位置を監視及び検出することができる。したがって、外科手術が完了し、外科用デバイス2700のユーザがトリガを解放して1つ又は2つ以上のクランプジョー2712を開き、組織サンプル2728を解放すると、センサは、トリガの解放を検出し、トリガの解放と関連付けられた信号を制御回路(例えば、図2及び図3の制御回路150、152)に送信することができる。
【0070】
センサから受信した信号に応答して、制御回路は、図5Bに図示するように、組織サンプル2728を外科用デバイス2700の1つ又は2つ以上のクランプジョー2712から解放させるように具体的に構成されたエネルギーバースト2730などの、ある量を発生器に施させることができる。エネルギーバースト2730は、以前の起動中の低温周波数及び/又は測定された超音波周波数に基づく特定の周波数を含むように構成することができる。換言すれば、組織2728に施されたエネルギーバースト2730と関連付けられた持続時間及び/又は他のパラメータ(例えば、大きさ、周波数、振幅など)は、エネルギーバースト2730が組織2728を切断も封止もしないように、外科手術中に使用されるエネルギー自体に対して交互に構成することができる。代わりに、エネルギーバースト2730は、外科手術中に生じた組織サンプル2728と1つ又は2つ以上のクランプジョー2712との間の任意の摩擦及び/又は接着力に打ち勝つことができる。例えば、エネルギーバースト2730は、組織サンプル2728を1つ又は2つ以上のクランプジョー2712から物理的に分離する短い持続時間(例えば、0.5秒未満など)にわたって付与される少量の超音波エネルギーを含むことができる。例えば、0.1秒以上かつ1秒以下の持続時間の超音波パルスを含むことができるエネルギーバースト2730を構成することが好ましいことがある。
【0071】
他の非限定的な態様によれば、エネルギーバースト2730は、特定のトランスデューサ電流設定点及び/又は電流設定点の所望の割合で施すことができる超音波パルスを含むことができる。例えば、電流設定点の50%以上かつ120%以下の超音波パルスを含むようにエネルギーバースト2730を構成することが好ましいことがある。エネルギーバースト2730が、2020年11月18日に出願された米国特許出願第16/951,259号、発明の名称「MULTI-LAYER CLAMP ARM PAD FOR ENHANCED VERSATILITY AND PERFORMANCE OF A SURGICAL DEVICE」に記載されており、その開示は、それぞれ全体が参照により本明細書に組み込まれるものなどの、非粘着性コーティング及び/又はクランプパッドとともに使用される場合には、電流設定点のより低い割合が好ましい可能性がある。
【0072】
換言すれば、エネルギーバースト2730は、特に、外科手術後に、組織2728が付着しないように1つ又は2つ以上のクランプジョー2712から組織を揺り動かすように構成することができ、それによって、組織2728が黒焦げになるリスクを緩和する。図5A図5Cの非限定的な態様は、センサ及び制御回路を介してエネルギーバースト2730を自動的に施すことを企図しているが、他の非限定的な態様によれば、エネルギーバースト2730は、代替的及び/又は追加的に、外科用デバイス2700のハウジング上に位置付けられたボタンのユーザ起動を介して施すことができる。更に他の非限定的な態様では、外科用デバイス2700は、ロックを「見つけるまでの時間」を短縮することができ、したがって、エネルギーバースト2730を施すことを可能にする。更に、RF起動が終了した後に閉鎖スイッチの開放が起きた場合、閉鎖スイッチの開放と超音波パルスの開始との間に時間遅延を加えることができる。そのような遅延は、依然として組織上に部分的にクランプされている間の意図しない起動の可能性を低減することができる。例えば、時間遅延は、0.5秒以下であり得るが、任意の時間は、ユーザの好み及び/又は意図される用途に従って選択することができる。
【0073】
追加的及び/又は代替的に、外科用デバイス2700の制御回路は、エネルギーバースト2730が、様々なシナリオにおいて施されないように、変更されないように、又は短く切られるようにプログラムすることができる。例えば、エネルギーバースト2730は、ユーザが、エネルギーバースト2730を自動的に施す前及び/又は自動的に施している間に手動で発射を開始した場合、施されないか、又は短く切られる。代替的及び/又は追加的に、ユーザがエネルギーバースト2730を自動的に施している間に外科用デバイス2700を起動する場合、制御回路は、エネルギーバースト2730のパラメータを、エネルギーが発射を終了することなく外科手術を実施するのに好適になるまで、発生器に直接調整させることができる。代替的に、他の非限定的な態様による外科用デバイス2700の制御回路は、そのような調整は、ユーザがエネルギーバースト2730を自動的に施す前及び/又は自動的に施している間にジョーを再び閉じる場合に行うことができる。
【0074】
したがって、図5A図5Cの外科用デバイス2700は、図5Cに示すように、1つ又は2つ以上のクランプジョー2712への組織サンプル2728の望ましくない付着及び又は黒焦げによって引き起こされる悪影響又は意図しない影響なしに、手術された組織2728の一部分2732が外科目的に従って切断及び/又は封止されることを確実にするように実装することができる。更に、エネルギーバースト2730(図5B)を施すことは、センサ及び制御回路が、トリガ、したがって、組織2728を1つ又は2つ以上のクランプジョー2712から解放するユーザの意図を集合的に監視することができるので、自動的であり得る。エネルギーバースト2728及びそれに続く1つ又は2つ以上のクランプジョー2712からの組織サンプル2728の解放の後、ユーザは、エンドエフェクタ2710を組織サンプル2728から容易に取り外すことができる。図5A図5Cの非限定的な態様は、具体的に構成された外科用デバイス2700並びに特定のタイプ及び形態の組織2728を図示しているが、他の非限定的な態様によれば、外科用デバイス2700は、代替的に構成することができ、代替的なタイプ及び形態の組織に対して外科手術を実施するために使用することができることを理解されたい。更に、エネルギーバースト2730は、外科手術が実施されている間に1つ又は2つ以上のクランプジョー2712が完全に閉じていない場合、又は開いている場合であっても、自動的に施すことができる。
【0075】
ここで図6を参照すると、本開示の少なくとも1つの非限定的な態様による、外科用デバイスを使用する方法2800の論理フロー図が図示されている。図6の非限定的な態様によれば、方法2800は、外科用デバイスのセンサ(例えば、図2及び図3のセンサ140)を介して、2802で閉鎖トリガ(例えば、図1のトリガ106)の相対位置を検出することを含むことができる。方法2800は、外科用デバイスの制御回路(例えば、図2及び図3の制御回路150、152)を介して、2804でユーザが組織サンプルを解放するためにクランプジョーの開放を開始したと判定することを更に含むことができる。したがって、方法2800は、外科用デバイスの制御回路を介して、2806で組織サンプルをクランプジョーから解放させるように構成されたエネルギーバーストを施すことを更に含むことができる。最後に、方法2800は、2808で外科用デバイスのクランプジョーから組織サンプルを解放することを更に含むことができる。当然ながら、図6の方法2800のステップは、非排他的であり、したがって、方法2800は、追加のステップを含むことができる。例えば、方法2800は、本明細書に開示される他の構成要素の中でもとりわけ、外科用デバイス、発生器、エンドエフェクタ、制御回路、及び/又はセンサによって実施される任意の他の機能を含むように変更することができる。
【0076】
先に考察したように、2020年11月18日に出願された米国特許出願第16/951,259号、発明の名称「MULTI-LAYER CLAMP ARM PAD FOR ENHANCED VERSATILITY AND PERFORMANCE OF A SURGICAL DEVICE」に開示されているものなど、所望のエネルギー経路を画定し、望ましくない付着の可能性を低減するために、様々なクランプパッド及びクランプパッド構成が企図されており、その開示は、それぞれ全体が参照により本明細書に組み込まれる。そのようなクランプアームは、先に考察したエネルギーバーストを施すために使用することができる。しかしながら、クランプアーム及びクランプアームパッドは、実装する外科用デバイスの継続的な使用により劣化し、破損し、摩耗する可能性がある。これは、そのようなパッドが、組織サンプルと接触する非粘着性表面を提供するので、クランプアームパッドが組織の付着及び黒焦げのリスクを低減するために実装されるときに特に重要である。この劣化は、クランプアーム構造が、限定はしないが、テフロン(例えば、PTFEなど)、アルミニウム(例えば、60601 T0など)、及び/又はステンレス鋼(例えば、300シリーズ、17-4、H900など)を含む、異なる材料を利用するときに悪化する可能性がある。したがって、エンドエフェクタ、より具体的には、米国特許出願第16/951,259号に開示されているようなクランプパッドに実装された非類似材料のクランプアームパッド取り付けの故障モードを低減する手段が必要である。
【0077】
ここで図7を参照すると、本開示の少なくとも1つの非限定的な態様による、外科用デバイスとともに使用するように構成された軟質電極2904を含むクランプアーム2900又はジョーが図示されている。図7の非限定的な態様によれば、クランプアーム2900は、基部2902と、電極2904と、付着を低減するように構成されたクランプアームパッド2906と、電極2904と基部2902との間に位置付けられた中間材料2908と、を含むことができる。基部2902、電極2904、クランプアームパッド2906、及び中間材料2908は、これらの構成要素の意図された機能にとって望ましい、異なる材料で構成することができる。例えば、図7の非限定的な態様によれば、基部2902は、ステンレス鋼(例えば、17-4、H900など)から構成することができ、電極2904は、アルミニウム(例えば、60601 T0など)から構成することができ、クランプアームパッド2906は、非粘着性材料(例えば、PTFEなど)から構成することができ、中間材料2908は、異なるステンレス鋼(例えば、300シリーズなど)から構成することができる。外科用デバイス及びエンドエフェクタが、複数の形態のエネルギー(例えば、超音波、RF高度双極など)を施すように構成されているとき、組織が電極2904に付着する可能性を低減するために、非粘着性パッド2906を保存する必要がある。更に、エンドエフェクタの構成要素(例えば、超音波ブレード)は、金属クランプアームに接触し、熱、火花を引き起こす可能性があり、潜在的にブレードの破損をもたらす可能性がある。
【0078】
図7を更に参照すると、クランプアーム2900は、前述の故障モードを緩和し、クランプアームパッド2906の劣化を緩和しながら、クランプされた組織サンプルにエネルギーを伝達するように構成することができる。図7の非限定的な態様によれば、電極2904は、クランプアーム2900内に組み込むことができ、励起及び劣化を低減するように構成された硬度を有する材料で構成することができる。例えば、電極2904は、超音波ブレードなどの他の構成要素の材料よりも低い硬度を有する材料から構成することができる。したがって、超音波ブレードが電極に接触する場合、より硬いブレードは、ブレードを破壊することなく、より硬度の低い電極を通して摩耗する。換言すれば、図7のクランプアーム2900は、リスク緩和を提供する「軟質」電極を含むことができる。ブレード破損アルゴリズムが展開されている非限定的な態様では、軟質電極は、ブレード破損検出アルゴリズムが故障した場合、ブレードを保存する。ブレード破損アルゴリズムのいくつかの非限定的な例は、米国特許出願第16/144,335号、発明の名称「METHODS FOR CONTROLLING TEMPERATURE IN ULTRASONIC DEVICE」、及び米国特許出願第16/144,383号、発明の名称「METHODS FOR ESTIMATING AND CONTROLLING STATE OF ULTRASONIC END EFFECTOR」に記載されており、これらは両方とも2018年9月27日に出願されており、これらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。ブレード破損アルゴリズムの他の非限定的な例は、米国特許出願第16/115,239号、発明の名称「DETERMINING THE STATE OF AN ULTRASONIC ELECTROMECHANICAL SYSTEM ACCORDING TO FREQUENCY SHIFT」、及び米国特許出願第16/115,247号、発明の名称「DETERMINING THE STATE OF AN ULTRASONIC END EFFECTOR」に記載されており、これらは両方とも2018年8月28日に出願されており、これらの開示もまた、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0079】
図7の非限定的な態様によれば、電極2904は、純チタン(例えば、Tiグレード1など)、銅、及び/又はアニール若しくはT0型アルミニウム(例えば、Al6061 T0、Al1100アニール、1/2硬度など)などの比較的軟質材料から構成することができる。例えば、電極2904は、アルミニウムから構成することができ、アルミニウムは、その熱伝導性及び/又は導電性、生体適合性、及び/又は材料の利用可能性のために好ましい可能性がある。軟質電極2904は、とりわけ、溶接、ろう付け、接着(例えば、導電性、非導電性)、及び/又ははんだ付けなどの任意の望ましい取り付けプロセスを介して取り付けることができる。軟質電極2904は、導電性ポリマー又は導電性PTFE材料と比較して、製造及び組み立てが容易であり得る。図7の軟質金属電極2904はまた、導電性表面処置よりも、反復使用に対してより堅牢であってもよい。
【0080】
ここで図9A図9Dを参照すると、本開示のいくつかの非限定的な態様による、様々な電極を特徴とするいくつかのクランプアームの実験結果が図示されている。図8Aの非限定的な態様によれば、クランプアーム3000は、300シリーズステンレス鋼(例えば、SS304)から構成された電極3004を含むことができる。この電極3004は、超音波ブレードの構造をシミュレートするように意図された表面3001に接触したときに、大量の火花を発生させた。更に、材料が表面3001から除去されたことは、ブレードが電極3004の硬度よりも小さい硬度を有していたために、損傷していたことを示している。これは、電極3004用に試験された他の比較的硬い材料を代表するものである。例えば、図9A図9B、及び図9Cは、それぞれ、グレード2のチタン3120、ステンレス鋼304の電極3130、及びステンレス鋼330の電極3140の結果を示しており、これらはまた、火花を発生させ、ブレードから材料を除去し、ステンレス鋼330の場合、ブレードは、赤色に変わり、次いで青色に変わり、次いで、電極によって生成された熱によって破損した。
【0081】
図8Bの非限定的な態様によれば、クランプアーム3100は、銅(例えば、銅110)から構成された軟質電極3104を含むことができる。軟質電極3104は、超音波ブレードの構造をシミュレートするように意図された表面3101に接触したときに、いくつかの火花を発生させた。しかしながら、材料が表面3001から除去されなかったことは、ブレードが軟質電極3104の硬度よりも大きい硬度を有していたために、損傷していなかったことを示している。これは、軟質電極3104用に試験された他の比較的軟質材料を代表するものである。例えば、図9Dは、銅(例えば、銅110)電極3150の結果を示し、これは、2つの火花を発生させ、ブレードシミュレート表面3101から材料を除去しなかった。例えば、図9Eは、アルミニウム(例えば、Al6061-T0)電極3160の結果を示し、これは、火花を発生させず、ブレードシミュレート表面3101から材料を除去しなかった。
【0082】
ここで図10A及び図10Bを参照すると、本開示の少なくとも1つの非限定的な態様による、軟質金属電極3204を含むクランプアーム3200が図示されている。図10A及び図10Bの非限定的な態様によれば、軟質金属電極3204は、Al6061などのアルミニウムから構成することができ、クランプアーム3200にエポキシ樹脂で接着することができる。いくつかの非限定的な態様によれば、軟質金属電極3204は、アニールされ得る。したがって、軟質金属電極3204は、図9Eに示すような結果をもたらすことができる。換言すれば、軟質金属電極3204は、図9Eの表面3101によってシミュレートされるように、火花を発生させる可能性が低く、ブレードから材料を除去する可能性が低い。図10Bに図示するように、軟質金属電極3204は、基材3202に統合することができ、非粘着性クランプパッド3206は、電極3204内に統合することができる。
【0083】
先に考察したように、2020年11月18日に出願された米国特許出願第16/951,259号、発明の名称「MULTI-LAYER CLAMP ARM PAD FOR ENHANCED VERSATILITY AND PERFORMANCE OF A SURGICAL DEVICE」に開示されているものなど、所望のエネルギー経路を画定し、望ましくない付着の可能性を低減するために、様々なクランプパッド及びクランプパッド構成が企図されており、その開示は、それぞれ全体が参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、そのようなクランプパッドは、テフロン(例えば、PTFEなど)、アルミニウム(例えば、60601 T0など)、及びステンレス鋼(例えば、17-4PH、H900HT、300シリーズ)などの異なる材料を利用することができる。しかしながら、非類似材料を含む複数の構成要素アセンブリは、不安定な取り付けをもたらす可能性があり、これは、本明細書で考察した非粘着性クラムパッドの更なる励起及び劣化につながる可能性がある。したがって、米国特許出願第16/951,259号に開示されているようなエンドエフェクタ、より具体的にはクランプパッドに実装された非類似材料の堅牢で確実な取り付けを提供する手段も必要とされている。
【0084】
ここで図11を参照すると、本開示の少なくとも1つの非限定的な態様による、図7のクランプアーム2900の電極2904と中間材料2908との間のインターフェースの側面図が図示されている。先に考察したように、電極2904は、アルミニウム(例えば、60601 T0など)から構成することができ、中間材料2908は、異なるステンレス鋼(例えば、300シリーズなど)から構成することができる。本質的に、中間材料2908は、電極2904と基部2902との間の機械的インターフェースを強化することができ(図7)、異なるタイプのステンレス鋼(例えば、17-4、H900など)から構成することができる。
【0085】
しかしながら、図11の電極2904及び中間材料2908などの、異なる材料から構成された構成要素は、材料接合を使用して取り付けることが困難であり得る。例えば、アルミニウムから構成された電極2904は、ステンレス鋼から構成された中間材料2908に取り付けることが困難であり得る。したがって、本開示は、電極2904を中間材料2908に接着するためのクラッディングプロセスを企図している。換言すれば、クラッディングは、冶金接合プロセスを使用して、異なる特性を有する2つ又は3つ以上の別個の金属又は合金で構成される電極2904と中間材料2908との接合を形成するために利用することができる。例えば、クラッディングプロセスは、圧延接合及び/又は爆発接合プロセスを利用して、電極2904を中間材料2908に接合することができる。
【0086】
クラッディングされると、接合された電極2904及び中間材料2908は、所望のプロセス(例えば、機械加工、ワイヤ放電加工(electrical discharge machining、「EDM」)、スタンピング、ファインブランキングなど)を介して所望の幾何学的構成に形成することができる。電極2904の幾何学的形状は、クランプアームパッド2906(図7)の周りに所望の嵌合を達成すべきである。例えば、図7の非限定的な態様によれば、電極2904は、蛇行形状のクランプアームパッド2906(図7)を収容するように寸法的に構成された蛇行形状の空洞を画定するように機械加工される。他の非限定的な態様によれば、幾何学的構成は、ユーザの好み及び/又は意図される用途に従って変更することができる。組み立てられると、ステンレス鋼から構成することができる中間材料2908は、確実な取り付けのために、クランプアーム2900(図7)の基部2902(図7)にレーザ溶接することができる。
【0087】
図11の非限定的な態様によれば、クラッド電極2904及び中間材料2908は、所望の厚さTに具体的に寸法決めすることができる。厚さTは、所望の電極特性(例えば、寿命、弾性、硬度など)を達成するように具体的に構成することができる。例えば、厚さTは、0.005インチ~0.08インチの間の任意の範囲であり得、いくつかの非限定的な態様によれば、0.025インチの厚さであり得る。電極2904の特性は、必要に応じて、電極2904材料及び中間材料2908に起因する厚さTを配分することによって更に調整することができる。図11の非限定的な態様によれば、全厚Tは、電極2904材料及び中間材料2908の等しい部分に配分することができる。例えば、電極2904は、およそ0.013インチの厚さを有することができ、中間材料2908は、およそ0.012インチの厚さを有することができる。したがって、クラッドアセンブリの全厚Tは、例えば、±0.001インチなどの公差を有することができる。しかしながら、他の非限定的な態様では、比率は減衰する。そのような寸法及び公差は、本開示の他の非限定的な態様において変化することを理解されたい。例えば、追加の電極2904材料(例えば、アルミニウム)を追加することは、クランプアームパッド2906(図7)の材料の量を増加させ、したがって、クランプアームパッド2906(図7)の寿命を増加させることができる。代替的及び/又は追加的に、中間材料2908(例えば、ステンレス鋼)の量を増加させることにより、溶接部の品質を改善することができ、より高い堅牢性をもたらすことができる。電極2904及び/又は中間材料2908の構成のための他の好適な材料は、とりわけ、亜鉛、304ステンレス鋼(1/2硬度までアニールされる)、60601アルミニウム(1/2硬度までアニールされる)、5052アルミニウム(1/4硬度までアニールされる)、及び/又は1100アルミニウム(1/2硬度までアニールされる)を含むことができる。
【0088】
ここで図12を参照すると、本開示の少なくとも1つの非限定的な態様による、別のクラッド電極3300の斜視図が図示されている。図12の非限定的な態様によれば、クラッド電極3300は、中間材料3308にクラッドされている電極材料3304を含む。この場合も、電極3304は、アルミニウム(例えば、60601 T0など)から構成することができ、中間材料3308は、異なるステンレス鋼(例えば、300シリーズなど)から構成することができる。しかしながら、図7の電極2904及び中間材料2908の細長い蛇行形状の構成とは異なり、図12のクラッド電極3300は、円形構成を画定するように機械加工された。当然ながら、本明細書に開示されるクラッディング技術及び構造は、様々な幾何学的構成の電極の堅牢性を強化するために利用することができることを理解されたい。
【0089】
更に図12を参照すると、クラッド電極3300は、所望の材料特性を達成するように寸法決め及び構成されている。例えば、図12のクラッド電極3300は、高温に対する耐性を含むことができ、ガルバニック腐食がなく、電極3304と中間材料3308との間に強い冶金接合を有し、これにより、クランプアーム(図示せず)への電極3304の確実な取り付けが強化され得る。クラッド電極3300は、中間層を使用することなくそのような特性を達成し、アセンブリプロセスを複雑にし、費用を追加し、締結具を収容することによってクラッド電極3300の幾何学的構成を制約し、あまり確実でない接続をもたらし得る機械的締結具の必要性を排除する。
【0090】
ここで図13を参照すると、本開示の少なくとも1つの非限定的な態様による、別の電極3400の斜視図が図示されている。図7の電極2904と同様に、図13の電極3400は、図7のパッド3906などのクランプアームパッドを収容するように構成された空洞3405を画定するように機械加工することができる。図13の空洞3405は、蛇行形状の構成を有するが、他の非限定的な態様によれば、電極3400は、様々な形状及びサイズのクランプアームパッドを収容するように代替的に構成され得ることを理解されたい。図13の電極材料3404は、アルミニウム(例えば、6061T0アルミニウム)を含むことができるが、本開示は、電極材料3404が様々な好適な材料から選択される他の非限定的な態様を企図している。例えば、亜鉛はまた、電極3400の構成に対して好適な電極材料3404を作製ことができる。
【0091】
しかしながら、図7及び図11の電極2904、3304とは異なり、図13の電極3400は、電極3400のクランプアームパッド(図示せず)への取り付けを強化するためにクラッディングプロセスを利用しない。むしろ、図13の電極3400は、図7及び図11の中間材料2908、3308などの中間材料(図示せず)を収容するように構成された1つ又は2つ以上のポケット3410を画定するように製造することができる。例えば、1つ又は2つ以上のポケット3410内に挿入される中間材料は、レーザ溶接プロセスを介して、電極3400をクランプアームに取り付けるように構成されたステンレス鋼であり得る。しかしながら、他の非限定的な態様によれば、所望の取り付けを達成するために、他の材料及び取り付け手段を実装することができる。図12の非限定的な態様は、楕円タイプの構成の5つのポケット3410を示しているが、ポケット3410の数、サイズ、及び形状は、他の非限定的な態様では異なる。
【0092】
図13の非限定的な態様によれば、中間材料(例えば、ステンレス鋼)は、溶射技術を使用して1つ又は2つ以上のポケット3410の各々内に埋め込むことができるが、本開示は、ポケット3410内に中間材料を埋め込む他の手段を企図している。これにより、外科用デバイスのクランプアームへの電極3400の確実な取り付けを達成するために必要な中間材料の量が低減され、電極材料3404の量が、図7及び図11の非限定的な態様と比較して最適化されることが可能になる。したがって、図13の電極3400は、図7のクランプアームパッド2906などのクランプアームパッド用の材料の量を増加させるのに好適である可能性があり、これが、クランプアームパッドの寿命を延ばすことができる。
【0093】
ここで図14を参照すると、本開示の少なくとも1つの非限定的な態様による、図13の電極3400を製造する方法3500が図示されている。図13の非限定的な態様によれば、方法3500は、3502で所望の幾何学的構成が達成されるまで電極3400(図13)を形成することを含むことができる。電極3400(図13)を機械加工するために、本明細書に開示されるプロセスを含む任意の従来のプロセスを使用することができる。方法3500は、3504で1つ又は2つ以上のポケット3410(図13)を電極3400(図13)内に形成することを更に含むことができる。各ポケットは、所望の幾何学的構成を達成し、したがって、クランプアームへの電極3400の所望の取り付けを容易にするように、寸法決めされ(例えば、0.02インチの深さ)、機械加工されるべきである。3504で形成することは、例えば、各ポケット3410(図13)が所望の基準まで続くように、.010~.020インチの直径のエンドミルを使用して実施することができる。次に、電極3400(図13)を回転させて鋭利なエッジを除去することができる。所望のスタンピング厚さ(例えば、0.025~0.027インチ)を仮定すると、各ポケット3410の長さを決定することができる。例えば、0.06~0.07インチの長さを有する各ポケットを画定することが望ましいことがある。
【0094】
図14の非限定的な態様によれば、方法3500は、3506で電極3400(図13)によって画定された1つ又は2つ以上のポケット3410(図13)の各々内にステンレス鋼などの中間材料を適用することを更に含むことができる。例えば、3506で適用することは、溶射を介して実施することができる。噴射は、中間材料が基準に達するか、又は所望の厚さ(例えば、0.020インチ厚、±0.002インチ)を達成するまで継続してもよい。いくつかの非限定的な態様によれば、各ポケットは、17-4材料で充填され、アルミニウムに接合することができる。方法3500は、3508で電極3400(図13)をクランプアームに固着させるために、中間材料をクランプアームに取り付けることを更に含むことができる。取り付けには、レーザ溶接を含む任意のプロセスを使用することができる。ステンレス鋼(例えば、17-4)のクランプアームへの電極3400(図13)のレーザ溶接は、例えば、好ましいスポット(例えば、直径0.015インチ)及び好ましい溶接溶け込み深さ(例えば、0.002~0.004インチ)を使用して行うことができる。他の非限定的な態様によれば、2つのスポットは、特定の溶接要件に適合するように、各楕円形上に重なり合うことができる(例えば、50%の重なり)。
【0095】
当然ながら、図14の方法3500のステップは、非排他的であり、したがって、方法3500は、他の非限定的な態様において追加のステップを含むことができる。例えば、方法3500は、本明細書に開示される外科用デバイス、発生器、エンドエフェクタ、制御回路、センサ、及び/又は他の構成要素のいずれかの任意の特徴を達成するために、本明細書に開示される任意の他の製造プロセスを含むように変更することができる。
【実施例
【0096】
本開示のエンドエフェクタ及び外科用器具の様々な態様の例を以下に提供する。エンドエフェクタ又は外科用器具の態様は、以下に記載される実施例のうちのいずれか1つ又は2つ以上、及び任意の組み合わせを含み得る。
【0097】
実施例1.外科用デバイスであって、組織を把持するように構成されたクランプジョーを含むエンドエフェクタと、組織の周りでクランプジョーを開閉するように構成されたトリガと、トリガの相対位置を検出し、トリガの検出された相対位置と関連付けられた第1の信号を生成するように構成されたセンサと、センサに通信可能に結合され、発生器と通信するように構成された制御回路と、を備え、制御回路が、第2の信号を発生器に送信して、組織に対して実施される外科手術と関連付けられたエネルギーを発生器に施させ、センサから第1の信号を受信し、第1の信号に少なくとも部分的に基づいて、クランプジョーが外科手術と関連付けられたエネルギーを施すように位置付けられていないと判定し、クランプジョーが十分に開かれていると判定したことに応答して、組織をブレードから解放するように構成されたエネルギーを発生器に施させるように構成されており、組織をブレードから解放するように構成されたエネルギーのパラメータが、組織に対して実施される外科手術と関連付けられたエネルギーのパラメータとは異なる、外科用デバイス。
【0098】
実施例2.組織をブレードから解放するように構成されたエネルギーが、超音波である、実施例1に記載の外科用デバイス。
【0099】
実施例3.組織をブレードから解放するように構成されたエネルギーのパラメータが、大きさ、周波数、若しくは振幅、又はそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、実施例1~2のいずれか1つに記載の外科用デバイス。
【0100】
実施例4.組織を解放するように構成されたエネルギーのパラメータが、0.1~1.0秒の範囲内で選択される持続時間を有する、実施例1~3のいずれか1つに記載の外科用デバイス。
【0101】
実施例5.組織をブレードから解放するように構成されたエネルギーが、電流設定点のある割合で施される、実施例1~4のいずれか1つに記載の外科用デバイス。
【0102】
実施例6.この割合が、最大エネルギー出力の50%~120%の範囲内で選択される、実施例1~5のいずれか1つに記載の外科用デバイス。
【0103】
実施例7.制御回路が、第1の信号に少なくとも部分的に基づいて、クランプジョーの閉鎖が組織の周りで開始したと判定し、クランプジョーの閉鎖が開始したと判定したことに応答して、発生器が、組織をブレードから解放するように構成されたエネルギーを施すことを防止するように更に構成されている、実施例1~6のいずれか1つに記載の外科用デバイス。
【0104】
実施例8.制御回路が、第1の信号に少なくとも部分的に基づいて、クランプジョーの閉鎖が組織の周りで開始したと判定し、組織をブレードから解放するように構成されたエネルギーのパラメータを、組織に対して実施される外科手術と関連付けられたエネルギーのパラメータと同じになるまで調整するように更に構成されている、実施例1~7のいずれか1つに記載の外科用デバイス。
【0105】
実施例9.外科用デバイスとともに使用するように構成されたエンドエフェクタであって、エンドエフェクタが、クランプアーム基部と、第1の幾何学的形状を含むクランプアームパッドと、第1の硬度を含む超音波ブレードと、第2の電極であって、第2の硬度を含む電極材料であって、第2の硬度が、超音波ブレードの第1の硬度よりも小さく、電極材料が、第2の幾何学的形状を含む空洞を画定し、第2の幾何学的形状は、クランプアームパッドの一部分が空洞内に位置付けられ得るように、第1の幾何学的形状に対応している、電極材料と、電極材料をクランプアーム基部に接合するように構成された中間材料と、を含む、第2の電極と、を含む、エンドエフェクタ。
【0106】
実施例10.中間材料が、クランプアーム基部に溶接されている、実施例9に記載のエンドエフェクタ。
【0107】
実施例11.電極材料が、中間材料にクラッディングされている、実施例9~10のいずれか1つに記載のエンドエフェクタ。
【0108】
実施例12.電極材料が、中間材料を収容するように構成されたポケットを更に画定し、中間材料が、ポケット内に位置付けられている、実施例9~11のいずれか1つに記載のエンドエフェクタ。
【0109】
実施例13.電極材料が、アルミニウム系材料、銅系材料、又はチタン系材料のうちの少なくとも1つであり、中間材料が、ステンレス鋼である、実施例9~12のいずれか1つに記載のエンドエフェクタ。
【0110】
実施例14.クランプアームパッドが、非粘着性PTFE材料から構成されている、実施例9~13のいずれか1つに記載のエンドエフェクタ。
【0111】
実施例15.クランプアームパッドが、クランプアームパッドの定格寿命に対応する第1の厚さを含む、実施例9~14のいずれか1つに記載のエンドエフェクタ。
【0112】
実施例16.電極材料が、第2の厚さを含み、中間材料が、第2の厚さよりも小さい第3の厚さを含む、実施例9~15のいずれか1つに記載のエンドエフェクタ。
【0113】
実施例17.電極材料が、第2の厚さを含み、中間材料が、第2の厚さよりも大きい第3の厚さを含む、実施例9~16のいずれか1つに記載のエンドエフェクタ。
【0114】
実施例18.外科用デバイスのエンドエフェクタ内で使用するように構成された電極を製造する方法であって、本方法が、電極材料を所望の幾何学的構成に形成することと、電極材料内に1つ又は2つ以上のポケットを形成することと、
電極内に形成された1つ又は2つ以上のポケット内に、溶接に好適である中間材料を適用することと、中間材料を電極材料に接合することと、中間材料をエンドエフェクタのクランプアーム基部に取り付けて、中間材料及び電極材料をクランプアーム基部に固着させることと、を含む、方法。
【0115】
実施例19.中間材料を適用することが、中間材料を1つ又は2つ以上のポケット内に噴射することを含む、実施例18に記載の方法。
【0116】
実施例20.中間材料を1つ又は2つ以上のポケット内に噴射することが、中間材料を1つ又は2つ以上のポケット内に溶射することを含む、実施例18~19のいずれかに記載の方法。
【0117】
実施例21.中間材料をクランプアーム基部に取り付けることが、中間材料をクランプアーム基部に溶接すること、ろう付けすること、接着すること、又ははんだ付けすることのうちの少なくとも1つを含む、実施例18~20のいずれか1つに記載の方法。
【0118】
実施例22.中間材料をクランプアーム基部に取り付けることが、中間材料をクランプアーム基部にレーザ溶接することを含む、実施例18~21のいずれか1つに記載の方法。
【0119】
いくつかの形態が示され説明されてきたが、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に制限又は限定することは、本出願人が意図するところではない。多くの修正、変形、変更、置換、組み合わせ及びこれらの形態の等価物を実装することができ、本開示の範囲から逸脱することなく当業者により想到されるであろう。更に、記述する形態に関連した各要素の構造は、その要素によって実施される機能を提供するための手段として代替的に説明することができる。また、材料が特定の構成要素に関して開示されているが、他の材料が使用されてもよい。したがって、上記の説明文及び添付の特許請求の範囲は、全てのそのような修正、組み合わせ、及び変形を、開示される形態の範囲に含まれるものとして網羅することを意図としたものである点を理解されたい。添付の特許請求の範囲は、全てのそのような修正、変形、変更、置換、修正、及び等価物を網羅することを意図する。
【0120】
上記の詳細な説明は、ブロック図、フロー図及び/又は実施例を用いて、デバイス及び/又はプロセスの様々な形態について記載してきた。そのようなブロック図、フロー図及び/又は実施例が1つ又は2つ以上の機能及び/又は動作を含む限り、当業者に理解されたいこととして、そのようなブロック図、フロー図及び/又は実施例に含まれる各機能及び/又は動作は、多様なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの事実上の任意の組み合わせによって、個々にかつ/又は集合的に実装することができる。当業者には、本明細書で開示される形態のうちのいくつかの態様の全部又は一部が、1台又は2台以上のコンピュータ上で稼働する1つ又は2つ以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1台又は2台以上のコンピュータシステム上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして)、1つ又は2つ以上のプロセッサ上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして(例えば、1つ又は2つ以上のマイクロプロセッサ上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして)、ファームウェアとして、又はこれらの実質的に任意の組み合わせとして集積回路上で等価に実装することができ、回路を設計すること、並びに/又はソフトウェア及び/若しくはファームウェアのコードを記述することは、本開示を鑑みれば当業者の技能の範囲内に含まれることが理解されよう。加えて、当業者には理解されることとして、本明細書に記載した主題の機構は、多様な形態で1つ又は2つ以上のプログラム製品として配布されることが可能であり、本明細書に記載した主題の具体的な形態は、配布を実際に実行するために使用される信号搬送媒体の特定のタイプにかかわらず適用される。
【0121】
様々な開示された態様を実施するように論理をプログラムするために使用される命令は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、キャッシュ、フラッシュメモリ又は他のストレージなどのシステム内メモリに記憶され得る。更に、命令は、ネットワークを介して、又は他のコンピュータ可読媒体によって配布され得る。したがって、機械可読媒体としては、機械(例えば、コンピュータ)によって読み出し可能な形態で情報を記憶又は送信するための任意の機構が挙げられ得るが、フロッピーディスケット、光ディスク、コンパクトディスク、読み出し専用メモリ(CD-ROM)、並びに磁気光学ディスク、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、磁気若しくは光カード、フラッシュメモリ又は、電気的、光学的、音響的、若しくは他の形態の伝播信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)を介してインターネットを介した情報の送信に使用される有形機械可読ストレージに限定されない。したがって、非一時的コンピュータ可読媒体としては、機械(例えば、コンピュータ)によって読み出し可能な形態で電子命令又は情報を記憶又は送信するのに好適な任意のタイプの有形機械可読媒体が挙げられる。
【0122】
本明細書の任意の態様で使用されるとき、「制御回路」という用語は、例えば、ハードワイヤード回路、プログラマブル回路(例えば、1つ又は2つ以上の個々の命令処理コアを含むコンピュータプロセッサ、処理ユニット、プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコントローラユニット、コントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、プログラマブル論理アレイ(PLA)、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA))、状態機械回路、プログラマブル回路によって実行される命令を記憶するファームウェア、及びこれらの任意の組み合わせを指すことができる。制御回路は、集合的に又は個別に、例えば、集積回路(IC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SoC)、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、サーバ、スマートフォンなどの、より大きなシステムの一部を形成する回路として具現化され得る。したがって、本明細書で使用されるとき、「制御回路」は、少なくとも1つの個別の電気回路を有する電気回路、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路を有する電気回路、コンピュータプログラムによって構成された汎用コンピューティングデバイス(例えば、本明細書で説明したプロセス及び/若しくはデバイスを少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成された汎用コンピュータ、又は本明細書で説明したプロセス及び/若しくはデバイスを少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成されたマイクロプロセッサ)を形成する電気回路、メモリデバイス(例えば、ランダムアクセスメモリの形態)を形成する電気回路及び/又は通信デバイス(例えばモデム、通信スイッチ、又は光-電気設備)を形成する電気回路を含むが、これらに限定されない。当業者は、本明細書で述べた主題が、アナログ形式若しくはデジタル形式、又はこれらのいくつかの組み合わせで実装されてもよいことを認識するであろう。
【0123】
本明細書の任意の態様で使用されるとき、「論理」という用語は、前述の動作のいずれかを実施するように構成されたアプリケーション、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又は回路を指し得る。ソフトウェアは、非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に記録されたソフトウェアパッケージ、コード、命令、命令セット、及び/又はデータとして具現化されてもよい。ファームウェアは、メモリデバイス内のコード、命令、若しくは命令セット、及び/又はハードコードされた(例えば、不揮発性の)データとして具現化されてもよい。
【0124】
本明細書の任意の態様で使用されるとき、「構成要素」、「システム」、「モジュール」などという用語は、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせ、ソフトウェア、又は実行中のソフトウェアのいずれかであるコンピュータ関連エンティティを指すことができる。
【0125】
本明細書の任意の態様で使用されるとき、「アルゴリズム」とは、所望の結果につながるステップの自己無撞着シーケンスを指し、「ステップ」とは、必ずしも必要ではないが、記憶、転送、組み合わせ、比較、及び別様に操作されることが可能な電気信号又は磁気信号の形態をとることができる物理量及び/又は論理状態の操作を指す。これらの信号を、ビット、値、要素、記号、文字、用語、番号などとして言及することが一般的な扱い方である。これらの及び類似の用語は、適切な物理量と関連付けられてもよく、また単に、これらの量及び/又は状態に適用される便利な標識である。
【0126】
ネットワークとしては、パケット交換ネットワークが挙げられ得る。通信デバイスは、選択されたパケット交換ネットワーク通信プロトコルを使用して、互いに通信することができる。1つの例示的な通信プロトコルとしては、送信制御プロトコル/インターネットプロトコル(Transmission Control Protocol/Internet Protocol、TCP/IP)を使用して通信を可能にすることができるイーサネット通信プロトコルを挙げることができる。イーサネットプロトコルは、Institute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE)によって発行された2008年12月発行の表題「IEEE802.3 Standard」、及び/又は本規格の後のバージョンのイーサネット規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代替的に又は追加的に、通信デバイスは、X.25通信プロトコルを使用して互いに通信することができる。X.25通信プロトコルは、International Telecommunication Union-Telecommunication Standardization Sector(ITU-T)によって公布された規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代替的に又は追加的に、通信デバイスは、フレームリレー通信プロトコルを使用して互いに通信することができる。フレームリレー通信プロトコルは、Consultative Committee for International Telegraph and Telephone(CCITT)及び/又はthe American National Standards Institute(ANSI)によって公布された規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代替的に又は追加的に、送受信機は、非同期転送モード(ATM)通信プロトコルを使用して互いに通信することが可能であり得る。ATM通信プロトコルは、ATM Forumによって「ATM-MPLS Network Interworking 2.0」という題で2001年8月に公開されたATM規格及び/又は本規格の後のバージョンに準拠するか、又は互換性があり得る。当然のことながら、異なる及び/又は後に開発されたコネクション型ネットワーク通信プロトコルは、本明細書で等しく企図される。
【0127】
別段の明確な定めがない限り、前述の開示から明らかなように、前述の開示全体を通じて、「処理すること(processing)」、「計算すること(computing)」、「算出すること(calculating)」、「判定すること(determining)」、「表示すること(displaying)」などの用語を使用する考察は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内で物理(電子的)量として表現されるデータを、コンピュータシステムのメモリ若しくはレジスタ又は他のそのような情報記憶、送信、若しくは表示デバイス内で物理量として同様に表現される他のデータへと操作し変換する、コンピュータシステム又は類似の電子計算デバイスのアクション及び処理を指していることが理解されよう。
【0128】
1つ又は2つ以上の構成要素が、本明細書中で、「ように構成される(configured to)」、「ように構成可能である(configurable to)」、「動作可能である/ように動作する(operable/operative to)」、「適合される/適合可能である(adapted/adaptable)」、「ことが可能である(able to)」、「準拠可能である/準拠する(conformable/conformed to)」などと言及され得る。当業者は、「ように構成される」は、一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、アクティブ状態の構成要素及び/又は非アクティブ状態の構成要素及び/又はスタンバイ状態の構成要素を包含し得ることを理解するであろう。
【0129】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、外科用器具のハンドル部分を操作する臨床医を基準として使用される。「近位」という用語は、臨床医に最も近い部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医から離れた位置にある部分を指す。便宜上及び明確性のために、「垂直」、「水平」、「上」、及び「下」などの空間的用語が、本明細書において図面に対して使用され得ることが更に理解されよう。しかしながら、外科用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は限定的及び/又は絶対的であることを意図したものではない。
【0130】
当業者は、一般に、本明細書で使用され、かつ特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、概して「オープンな」用語として意図されるものである(例えば、「含む(including)」という用語は、「~を含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、「有する(having)」という用語は「~を少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は「~を含むが、それらに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきであるなど)ことを理解するであろう。更に、導入された請求項記載(introduced claim recitation)において特定の数が意図される場合、かかる意図は当該請求項中に明確に記載され、またかかる記載がない場合は、かかる意図は存在しないことが、当業者には理解されるであろう。例えば、理解を助けるものとして、後続の添付の特許請求の範囲は、「少なくとも1つの(at least one)」及び「1つ又は2つ以上の(one or more)」という導入句を、請求項記載を導入するために含むことがある。しかしながら、かかる句の使用は、「a」又は「an」という不定冠詞によって請求項記載を導入した場合に、たとえ同一の請求項内に「1つ又は2つ以上の」又は「少なくとも1つの」といった導入句及び「a」又は「an」という不定冠詞が含まれる場合であっても、かかる導入された請求項記載を含むいかなる特定の請求項も、かかる記載事項を1つのみ含む請求項に限定されると示唆されるものと解釈されるべきではない(例えば、「a」及び/又は「an」は通常、「少なくとも1つの」又は「1つ又は2つ以上の」を意味するものと解釈されるべきである)。定冠詞を使用して請求項記載を導入する場合にも、同様のことが当てはまる。
【0131】
加えて、導入された請求項記載において特定の数が明示されている場合であっても、かかる記載は、典型的には、少なくとも記載された数を意味するものと解釈されるべきであることが、当業者には認識されるであろう(例えば、他に修飾語のない、単なる「2つの記載事項」という記載がある場合、一般的に、少なくとも2つの記載事項、若しくは2つ又はそれ以上の記載事項を意味する)。更に、「A、B及びCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が使用される場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。「A、B又はCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が用いられる場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。更に、典型的には、2つ又はそれ以上の選択的な用語を表すあらゆる選言的な語及び/又は句は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、明細書内であろうと、請求の範囲内であろうと、あるいは図面内であろうと、それら用語のうちの1つ、それらの用語のうちのいずれか、又はそれらの用語の両方を含む可能性を意図すると理解されるべきであることが、当業者には理解されよう。例えば、「A又はB」という句は、典型的には、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むものと理解されよう。
【0132】
添付の特許請求の範囲に関して、当業者は、本明細書における引用した動作は一般に、任意の順序で実施され得ることを理解するであろう。また、様々な動作のフロー図がシーケンス(複数可)で示されているが、様々な動作は、示されたもの以外の順序で実施されてもよく、又は同時に実施されてもよいことが理解されるべきである。かかる代替の順序付けの例は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、重複、交互配置、割り込み、再順序付け、増加的、予備的、追加的、同時、逆又は他の異なる順序付けを含んでもよい。更に、「~に応答する(responsive to)」、「~に関連する(related to)」といった用語、又は他の過去時制の形容詞は、一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、かかる変化形を除外することが意図されるものではない。
【0133】
「一態様」、「態様」、「例示」、「一例示」などへの任意の参照は、その態様に関連して記載される特定の特徴部、構造又は特性が少なくとも1つの態様に含まれると意味することは特記に値する。したがって、本明細書の全体を通じて様々な場所に見られる語句「一態様では」、「態様では」、「例示では」及び「一例示では」は、必ずしも全てが同じ態様を指すものではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ又は2つ以上の態様において任意の好適な様態で組み合わせることができる。
【0134】
本明細書で参照され、かつ/又は任意の出願データシートに列挙される任意の特許出願、特許、非特許刊行物、又は他の開示資料は、組み込まれる資料が本明細書と矛盾しない範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載の他の開示内容と矛盾するあらゆる内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0135】
要約すると、本明細書に記載した構想を用いる結果として得られる多くの利益が記載されてきた。1つ又は2つ以上の形態の上述の記載は、例示及び説明を目的として提示されているものである。包括的であることも、開示された厳密な形態に限定することも意図されていない。上記の教示を鑑みて、修正又は変形が可能である。1つ又は2つ以上の形態は、原理及び実際の応用について例示し、それによって、様々な形態を様々な修正例とともに、想到される特定の用途に適するものとして当業者が利用することを可能にするようにするために、選択及び記載されたものである。本明細書とともに提示される特許請求の範囲が全体的な範囲を定義することが意図される。
【0136】
〔実施の態様〕
(1) 外科用デバイスであって、
組織を把持するように構成されたクランプジョーを含むエンドエフェクタと、
前記組織の周りで前記クランプジョーを開閉するように構成されたトリガと、
前記トリガの相対位置を検出し、前記トリガの検出された前記相対位置に関連する第1の信号を生成するように構成されたセンサと、
前記センサに通信可能に結合され、発生器と通信するように構成された制御回路と、を備え、前記制御回路が、
前記発生器に第2の信号を送信して、前記組織に対して実施される外科手術と関連付けられたエネルギーを前記発生器に施させ、
前記センサから前記第1の信号を受信し、
前記第1の信号に少なくとも部分的に基づいて、クランプジョーが前記外科手術と関連付けられた前記エネルギーを施すように位置付けられていないと判定し、
前記クランプジョーが十分に開かれていると判定したことに応答して、前記組織をブレードから解放するように構成されたエネルギーを前記発生器に施させるように構成されており、前記組織を前記ブレードから解放するように構成された前記エネルギーのパラメータが、前記組織に対して実施される外科手術と関連付けられた前記エネルギーのパラメータとは異なる、外科用デバイス。
(2) 前記組織を前記ブレードから解放するように構成された前記エネルギーが、超音波である、実施態様1に記載の外科用デバイス。
(3) 前記組織を前記ブレードから解放するように構成された前記エネルギーの前記パラメータが、大きさ、周波数、若しくは振幅、又はそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、実施態様1又は2に記載の外科用デバイス。
(4) 前記組織を解放するように構成された前記エネルギーの前記パラメータが、0.1~1.0秒の範囲で選択される持続時間を有する、実施態様1に記載の外科用デバイス。
(5) 前記組織を前記ブレードから解放するように構成された前記エネルギーが、電流設定点のある割合で施される、実施態様1に記載の外科用デバイス。
【0137】
(6) 前記割合が、最大エネルギー出力の50%~120%の範囲内で選択される、実施態様5に記載の外科用デバイス。
(7) 前記制御回路が、
前記第1の信号に少なくとも部分的に基づいて、前記クランプジョーの閉鎖が前記組織の周りで開始したと判定し、
前記クランプジョーの前記閉鎖が開始したと判定したことに応答して、前記発生器が、前記組織を前記ブレードから解放するように構成された前記エネルギーを施すことを防止するように更に構成されている、実施態様1に記載の外科用デバイス。
(8) 前記制御回路が、
前記第1の信号に少なくとも部分的に基づいて、前記クランプジョーの閉鎖が前記組織の周りで開始したと判定し、
前記組織を前記ブレードから解放するように構成された前記エネルギーの前記パラメータを、前記組織に対して実施される外科手術と関連付けられた前記エネルギーの前記パラメータと同じになるまで調整するように更に構成されている、実施態様1に記載の外科用デバイス。
(9) 外科用デバイスとともに使用するように構成されたエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタが、
クランプアーム基部と、
第1の幾何学的形状を含むクランプアームパッドと、
第1の硬度を含む超音波ブレードと、
第2の電極であって、
第2の硬度を含む電極材料であって、前記第2の硬度が、前記超音波ブレードの前記第1の硬度よりも小さく、前記電極材料が、第2の幾何学的形状を含む空洞を画定し、前記第2の幾何学的形状は、前記クランプアームパッドの一部分が前記空洞内に位置付けられ得るように、前記第1の幾何学的形状に対応している、電極材料と、
前記電極材料を前記クランプアーム基部に接合するように構成された中間材料と、を含む、第2の電極と、を備える、エンドエフェクタ。
(10) 前記中間材料が、前記クランプアーム基部に溶接されている、実施態様9に記載のエンドエフェクタ。
【0138】
(11) 前記電極材料が、前記中間材料にクラッディングされている、実施態様9又は10に記載のエンドエフェクタ。
(12) 前記電極材料が、前記中間材料を収容するように構成されたポケットを更に画定し、前記中間材料が、前記ポケット内に位置付けられている、実施態様9に記載のエンドエフェクタ。
(13) 前記電極材料が、アルミニウム系材料、銅系材料、又はチタン系材料のうちの少なくとも1つであり、前記中間材料が、ステンレス鋼である、実施態様9に記載のエンドエフェクタ。
(14) 前記クランプアームパッドが、非粘着性PTFE材料から構成されている、実施態様9に記載のエンドエフェクタ。
(15) 前記クランプアームパッドが、前記クランプアームパッドの定格寿命に対応する第1の厚さを含む、実施態様9に記載のエンドエフェクタ。
【0139】
(16) 前記電極材料が、第2の厚さを含み、前記中間材料が、前記第2の厚さよりも小さい第3の厚さを含む、実施態様15に記載のエンドエフェクタ。
(17) 前記電極材料が、第2の厚さを含み、前記中間材料が、前記第2の厚さよりも大きい第3の厚さを含む、実施態様15に記載のエンドエフェクタ。
(18) 外科用デバイスのエンドエフェクタ内で使用するように構成された電極を製造する方法であって、前記方法が、
電極材料を所望の幾何学的構成に形成することと、
前記電極材料内に1つ又は2つ以上のポケットを形成することと、
前記電極内に形成された前記1つ又は2つ以上のポケット内に、溶接に好適である中間材料を適用することと、
前記中間材料を前記電極材料に接合することと、
前記中間材料を前記エンドエフェクタのクランプアーム基部に取り付けて、前記中間材料及び前記電極材料を前記クランプアーム基部に固着させることと、を含む、方法。
(19) 前記中間材料を適用することが、前記中間材料を前記1つ又は2つ以上のポケット内に噴射することを含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記中間材料を前記1つ又は2つ以上のポケット内に噴射することが、前記中間材料を前記1つ又は2つ以上のポケット内に溶射することを含む、実施態様19に記載の方法。
【0140】
(21) 前記中間材料を前記クランプアーム基部に取り付けることが、前記中間材料を前記クランプアーム基部に溶接すること、ろう付けすること、接着すること、又ははんだ付けすることのうちの少なくとも1つを含む、実施態様18~20のいずれかに記載の方法。
(22) 前記中間材料を前記クランプアーム基部に取り付けることが、前記中間材料を前記クランプアーム基部にレーザ溶接することを含む、実施態様18に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】