(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】制御棒遠隔固持機構
(51)【国際特許分類】
G21C 7/14 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
G21C7/14 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525226
(86)(22)【出願日】2022-10-31
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 US2022048423
(87)【国際公開番号】W WO2023076674
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521315799
【氏名又は名称】ビーダブリューエックスティー アドバンスト テクノロジーズ、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャーゴッツ、スコット、ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジーグラー、ライアン、ゼット.
(72)【発明者】
【氏名】フレミング、エミリー、ディー.
(57)【要約】
中央内腔を画定する内面を備えるトルク・チューブと、連結棒から外径方向に延出するカム、及び鍵部スロットを画定するリング状環部を備える連結棒を備える制御棒組立体と、鍵部スロット内に摺動可能に受けられることが可能な細長の鍵部と、トルク・チューブ内に回転不能に配設され係止凹部を画定する固持環部とを有し、連結棒は、細長の鍵部が鍵部スロット内に配設されることによって連結棒がトルク・チューブに対して回転不能である第1の位置と、細長の鍵部が鍵部スロットから抜去され連結棒がトルク・チューブに対して回転可能である第2の位置との間を、トルク・チューブに関して軸方向に可動である、制御棒駆動機構。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央内腔を画定する内面を有するトルク・チューブと、
前記トルク・チューブの前記中央内腔内に配設された連結棒を含む制御棒組立体であって、前記連結棒が前記連結棒の外面から外径方向に延出する少なくとも1つのカムと鍵部スロットを画定するリング状環部とを含む、制御棒組立体と、
前記鍵部スロット内に摺動可能に受けられることが可能であり、前記トルク・チューブの前記内面に回転不能に固定された細長の鍵部と、
前記トルク・チューブ内に回転不能に配設され、中央内腔を画定する内面と前記内面中にある少なくとも1つの係止凹部とを含む固持環部であって、前記係止凹部が前記固持環部の下縁から上方に延在する進入スロットを含む、固持環部と、
を備え、
前記連結棒は、前記細長の鍵部が前記鍵部スロット内に配設されることによって前記連結棒が前記トルク・チューブに対して回転不能である第1の位置と、前記細長の鍵部が前記鍵部スロットから除去され前記連結棒が前記トルク・チューブに対して回転可能である第2の位置との間を、前記トルク・チューブに関して軸方向に可動である、制御棒駆動機構。
【請求項2】
前記連結棒が前記第1の位置にある場合、前記少なくとも1つのカムは前記係止凹部から除去され、前記連結棒が前記第2の位置にある場合、前記少なくとも1つのカムは前記係止凹部内に配設される、請求項1に記載の制御棒駆動機構。
【請求項3】
前記少なくとも1つの係止凹部が、カム面と係止面とを更に備え、前記カム面が、前記進入スロットから前記係止スロットに延在する、請求項2に記載の制御棒駆動機構。
【請求項4】
前記係止面が、前記トルク・チューブの長手方向中央軸を横切る平面内に存在する、請求項3に記載の制御棒駆動機構。
【請求項5】
前記連結棒の前記少なくとも1つのカムは、2つのカムを含み、
前記固持環部の前記少なくとも1つの係止凹部は、2つの係止凹部を含む、
請求項1に記載の制御棒駆動機構。
【請求項6】
前記少なくとも1つのカムが前記少なくとも1つの係止凹部の前記進入スロット内に配設される場合、前記鍵部スロットは、前記細長の鍵部に軸方向で位置合わせされる、請求項1に記載の制御棒駆動機構。
【請求項7】
前記制御棒組立体が、送りねじと、スパイダと、複数の制御棒と、を更に備え、前記スパイダが、前記連結棒と前記複数の制御棒との間に配設され、前記連結棒及び前記複数の制御棒を固定する、請求項1に記載の制御棒駆動機構。
【請求項8】
トルク・チューブを有する制御棒駆動機構とともに用いられる固持機構であって、
連結棒であって、前記連結棒の外面から外径方向に延出する少なくとも1つのカムと、前記連結棒の外面から外径方向に延出し鍵部スロットを画定するリング状環部と、を含む連結棒と、
前記鍵部スロット内に摺動可能に受けられることが可能であり、前記トルク・チューブの内面に回転不能に固定された細長の鍵部と、
前記トルク・チューブ内に回転不能に配設され、中央内腔を画定する内面と前記内面中にある少なくとも1つの係止凹部とを含む固持環部であって、前記係止凹部が前記固持環部の下縁から上方に延在する、固持環部と、
を備え、
前記連結棒は、前記細長の鍵部が前記鍵部スロット内に配設されることによって前記連結棒が前記制御棒駆動機構に対して回転不能である第1の位置と、前記細長の鍵部が前記鍵部スロットから除去され前記連結棒が前記制御棒駆動機構に対して回転可能である第2の位置との間を、前記制御棒駆動機構に関して軸方向に可動である、固持機構。
【請求項9】
前記連結棒が前記第1の位置にある場合、前記少なくとも1つのカムは前記係止凹部から除去され、前記連結棒が前記第2の位置にある場合、前記少なくとも1つのカムは前記係止凹部内に配設される、請求項8に記載の固持機構。
【請求項10】
前記少なくとも1つの係止凹部が、前記固持環部の下縁によって画定された進入スロットを更に備える、請求項9に記載の固持機構。
【請求項11】
前記少なくとも1つの係止凹部が、カム面と係止面とを更に備え、前記カム面が前記進入スロットから前記係止スロットに延在する、請求項9に記載の固持機構。
【請求項12】
前記係止面が、前記トルク・チューブの長手方向中央軸を横切る平面内に存在する、請求項11に記載の固持機構。
【請求項13】
前記連結棒の前記少なくとも1つのカムは、2つのカムを含み、
前記固持環部の前記少なくとも1つの係止凹部は、2つの係止凹部を含む、
請求項8に記載の固持機構。
【請求項14】
前記少なくとも1つのカムが前記少なくとも1つの係止凹部の前記進入スロット内に配設される場合、前記鍵部スロットは、前記細長の鍵部に軸方向で位置合わせされる、請求項8に記載の固持機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、開示内容が参照により本明細書に組み込まれている、2021年10月29日に出願した米国特許仮出願番号63/273,694号の優先権を主張するものである。
【0002】
本明細書にて開示される発明は一般に、原子炉における反応炉出力レベルを制御するシステム及びその使用方法に関し、より詳細には、熱原子炉用制御棒の動作を制御するシステム及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
熱原子力発電所において、原子炉心は、所望の核分裂連鎖反応を支持するように選択されたサイズ及び組成を有する核分裂性物質を備える。炉心は、一次冷却水中に浸漬された圧力容器内に配設される。更に、中性子吸収材を備える「制御棒」を反応炉心を通過する案内管に挿入することで、反応を制御し又は停止させることが知られている。制御棒は挿入されると、連鎖反応を減速又は停止させるように中性子を吸収する。
【0004】
制御棒は、制御棒駆動機構(CRDM:control rod drive mechanism)によって動作される。制御棒を「調整する(regulating)」ことによって、反応速度制御を連続的に調節可能にするように制御棒の挿入を連続的に調節可能である。「停止(shutdown)」用の制御棒については、挿入度合いは全挿入か全引抜かのいずれかである。通常稼働では停止棒は反応炉心から完全に引き抜かれているが、スクラム(SCRAM)時には連鎖反応を迅速に停止させるように停止棒が完全に挿入される。制御棒は調整棒と停止棒との双方の機能を果たすように設計されることもできる。いくつかのそのような二重の機能を持った制御棒では、SCRAM発生時に制御棒がCRDMから取り外し可能となって、外れた制御棒が重力の作用で反応炉心内に落下するように構成されている。艦船のシステム等のいくつかのシステムでは、液圧又は他の(重力以外の)積極的な力も加えて、外れた制御棒を炉心内に駆動する。
【0005】
制御システムを完全にするために、制御棒/CRDM結合が設けられる。既知の結合には、下端にスパイダが固定されている連結棒を含む。連結棒の上部は、CRDMと動作可能に連結する。調整棒では、この連結部は送りねじ又は他の漸進的な調節要素を含む。従来、送りねじは、連結棒、スパイダ及び制御棒とともに、並進する組立体(「制御棒組立体」としても知られる)として緊急脱落する。しかし、いくつかの既知の手法では、送りねじはCRDM内に保持されることができ、制御棒組立体の残りの部分が緊急脱落する。費用とシステム全体の複雑性を軽減するために、典型的には単独のCRDMがスパイダを介して複数の制御棒と連結される。この仕組みでは、全ての制御棒が単独のスパイダと、ともに並進する制御棒組立体(CRA:control rod assembly)として結合する。実際には、多少の冗長性をもたらすように、いくつかのCRDMユニットが設けられ、その各々がスパイダを介して複数の制御棒と結合する。スパイダは、連結棒の下端から横方向に延在して、複数の制御棒の取り付け箇所が設けられる。
【0006】
例えば停止中の炉心除去等のある種の作業の際には、並進するCRAを長期間反応炉心から完全に引き抜くことが必要となる場合がある。従って、並進するCRAは決まった位置で、例えばそのCRAの垂直運動によって遠隔で係合及び係合解除が可能であることが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施の形態は、中央内腔を画定する内面を有するトルク・チューブと、トルク・チューブの中央内腔内に配設された連結棒を含む制御棒組立体であって、連結棒が連結棒の外面から外径方向に延出する少なくとも1つのカムと鍵部スロットを画定するリング状環部とを含む、制御棒組立体と、鍵部スロット内に摺動可能に受けられることが可能であり、トルク・チューブの内面に回転不能に固定された細長の鍵部と、トルク・チューブ内に回転不能に配設され、中央内腔を画定する内面と内面中にある少なくとも1つの係止凹部とを含む固持環部であって、係止凹部が固持環部の下縁から上方に延在する進入スロットを含む、固持環部と、を有し、連結棒は、細長の鍵部が鍵部スロット内に配設されることによって連結棒がトルク・チューブに対して回転不能である第1の位置と、細長の鍵部が鍵部スロットから除去され連結棒がトルク・チューブに対して回転可能である第2の位置との間を、トルク・チューブに関して軸方向に可動である、制御棒駆動機構を提供する。
【0008】
本開示の別の一実施の形態は、トルク・チューブを有する制御棒駆動機構とともに用いられる固持機構であって、連結棒であって、連結棒の外面から外径方向に延出する少なくとも1つのカムと、連結棒の外面から外径方向に延出し鍵部スロットを画定するリング状環部と、を有する連結棒と、鍵部スロット内に摺動可能に受けられることが可能であり、トルク・チューブの内面に回転不能に固定された細長の鍵部と、トルク・チューブ内に回転不能に配設され、中央内腔を画定する内面と内面中にある少なくとも1つの係止凹部とを含む固持環部であって、係止凹部が、固持環部の下縁から上方に延在する、固持環部と、を備え、連結棒は、細長の鍵部が鍵部スロット内に配設されることによって連結棒が制御棒駆動機構に対して回転不能である第1の位置と、細長の鍵部が鍵部スロットから除去され連結棒が制御棒駆動機構に対して回転可能である第2の位置との間を、制御棒駆動機構に関して軸方向に可動である固持機構を提供する。
【0009】
添付の図面は、本明細書に組み込まれその一部を構成しており、本発明の1つ又は複数の実施の形態を図示し、且つその記述とともに本発明の原理を説明する役割を果たす。
【0010】
以下で、添付の図面を参照して本発明の記述をより十全に行うが、図面において本発明の実施の形態をいくつか示すものの、その全ては示さない。実際、本発明は多くの異なった形態で実施することができ、本明細書に記載する実施の形態に限定されると解釈すべきではない。むしろ、本開示が該当する法的要件を満たすようにそれらの実施の形態は提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】例示的な制御棒組立体を含む、原子炉圧力容器の下部の部分斜視図である断面図である。
【
図3】
図2に示す制御棒組立体の制御棒及び連結棒の斜視図である。
【
図4】本開示の一実施の形態による固持機構を含む制御棒駆動機構の部分切取側面図である。
【
図5A】
図4に示す制御棒駆動機構の連結棒の上端の側面図である。
【
図5B】
図4に示す制御棒駆動機構の連結棒の上端の斜視図である。
【
図6A】
図4に示す制御棒駆動機構の固持環部の斜視図である。
【
図6B】
図4に示す制御棒駆動機構の固持環部の断面図である。
【
図7A】
図4に示す制御棒駆動機構の固持機構の、係合解除状態における部分切取側面図である。
【
図7B】
図4に示す制御棒駆動機構の固持機構の、係合状態における部分切取側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書及び図面では参照符号を反復使用するが、そのことによって本開示に基づく本発明の同一又は類似の特徴又は要素を表すことが意図されている。
【0013】
以下で、本発明の現在の好ましい実施の形態について述べるが、そのうちの1つ又は複数の例を添付の図面に示す。各例は本発明を限定するためではなく、説明するために提供される。実際、本発明においてはその範囲及び精神から逸脱することなく変更及び変形が可能であることが当業者に明らかとなる。例えば、一実施の形態の部分として図示又は記述される特徴は、別の一実施の形態に用いられて、更に別の一実施の形態を生み出すことができる。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲及びそれに相当するものの範囲内に該当するような変更及び変形を含むものとする。
【0014】
本明細書では、「垂直(vertical)」、「水平(horizontal)」、「上(upper)」、「下(lower)」、「上方(above)」又は「下方(below)」等の、しかしこれらに限定されない、遠隔の固持機構を有する制御棒組立体の向きに対する方向又は位置を指す言葉は、本明細書の図に示す、通常の意図する操作における連結解除機構の向きに対する方向及び相対位置を指す。従って、例えば「垂直」及び「上」という語は、図の視点における垂直の方向及び相対的に上の位置を指し、時に反応炉が異なった向きに配置されるとしても、上記の意味合いで理解すべきものである。
【0015】
更に、本開示及び添付の特許請求の範囲で用いる「又は(or)」の語は、排他的な「又は」ではなく、両立的な「又は」を意味することが意図されている。すなわち、別段の指定があるか、文脈から明らかであるのでない限り、「XはA又はBを用いる」という文言は、自然数個取り出す組合せ(natural inclusive permutation)のうちの任意のものを意味することが意図されている。つまり、「XはA又はBを用いる」という文言は、「XはAを用いる」、「XはBを用いる」又は「XはAとBの双方を用いる」という場合のうちの任意のものによって満たされる。加えて、本出願及び添付の特許請求の範囲で用いる冠詞「a」及び「an」は、単数形に関するものであるように別段の指定があるか、文脈から明らかであるのでない限り、一般に「1つ又は複数の」を意味すると解釈されるべきである。本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して、以下の用語は、文脈で別様に定まるのでない限り、ここで明示的に関連付けた意味を少なくとも有する。以下で特定する意味は必ずしも用語を限定せず、単に用語の説明的な例を記載したものである。「a」、「an」及び「the」の意味は複数を指すことを含んでよく、「~に(in)」の意味は「~内に(in)」及び「~上に(on)」を含んでよい。本明細書で用いる「一実施の形態において」という句は、同一の実施の形態を指す場合があるとはいえ、必ずしもそうであるとは限らない。
【0016】
図1を参照すると、例示的な原子炉圧力容器10の関連する部分は、圧力容器10の底に近接して配置される反応炉心12を含む。炉心12は、例として、濃縮酸化ウラン(すなわち、
235U/
238U比を上げるように処理されたUO
2)等の放射性物質を含む、又は含有する。制御棒駆動機構(CRDM)14組立体を概略的に図示する。例示的なCRDM14は、圧力容器10の内に配設された内部型CRDMである。代替の実施の形態では、外部型CRDMを採用することができる。通常、各々複数の制御棒と結合する複数のCRDMユニットが存在するが、
図1においてこれらのCRDMユニットは追加して示さない。圧力容器10は、そのような追加のCRDMユニットのための空間を示して描かれている。
【0017】
CRDM14の下方には制御棒案内フレーム16が存在し、
図1の斜視図では制御棒/CRDM結合組立体(すなわちスパイダ32及び連結棒30、両者とも
図3に示す)を視界から遮蔽している。案内フレーム16の下方に延出しているのが、複数の制御棒18である。
図1は、制御棒18が炉心12内に最大限挿入される全挿入の位置における制御棒18を示す。全挿入の位置では、スパイダ32(
図3)は制御棒案内フレーム16内の下部位置20に位置する。
図1の例示的な実施の形態では、CRDM14及び制御棒案内フレーム16は、両端がそれぞれCRDM14及び案内フレーム16と結合し内部を連結棒30(
図3)が通過する中空管を備えるスタンドオフ22によって、離隔される。
【0018】
図1は、例示的な圧力容器10の下部のみを示す。原子炉を稼働させる際には、図示の開いた上端24が1つ又は複数の圧力容器上部と連結され、この上部が圧力容器10の図示した下部とともに、反応炉心12、制御棒18、案内フレーム16及び内部型CRDM14を収容する密閉圧力空間を形成する。代替の一実施の形態では、CRDMは外部型であり、反応炉圧力容器の上方に位置する。このような実施の形態では、外部型CRDMは、連結棒30が圧力容器の上部の門部を通って延出する制御棒/CRDM結合組立体によって、制御棒18と連結される。
図2を参照すると、CRDM14、制御棒案内フレーム16、介在するスタンドオフ22及び制御棒18を含む制御組立体が、反応炉圧力容器から分離されて示されている。
図3を参照すると、制御棒18及び制御棒組立体40の連結棒30が、それらを隠蔽するいかなる構成要素もなしに(例えば、案内フレーム、スタンドオフ又はCRDMなしに)示されている。スパイダ32によって、複数の制御棒18が対応する連結棒30の下端と連結される。
【0019】
ここで
図4を参照すると、本開示による固持組立体50が示されている。固持組立体50は、制御棒駆動機構14のトルク・チューブ26の中央内腔28内に回転不能に固定された固持環部52を備える。更に、トルク・チューブ26は制御棒駆動機構14のモータ・チューブ20の中央内腔22内に回転不能に固定されている。以下でより詳細に検討するように、固持環部52(
図6A及び
図6B)は、制御棒組立体40(
図3)の連結棒30の上端33から外径方向に延出する突起によって形成されるカム38を選択的に受けるように構成された少なくとも1つの係止凹部54を備える。固持組立体50の実施の形態は、僅か1つの係止凹部54及び1つの対応するカム38を含んでもよいものの、固持組立体50は、本実施の形態に示されるように、少なくとも一対の対向した係止凹部54及び一対の対応する対向した係止カム38を含むことが好ましい。
【0020】
ここで
図5A及び
図5Bを参照すると、一対のカム38に加えて、連結棒30の上端33は、自らの内に軸方向に延在する鍵部スロット46を画定するリング状環部44も備える。リング状環部44は、連結棒30の外面から外径方向に延出し、一対の係止カム38の下方に配設される。以下でより詳細に検討するように、リング状環部44の鍵部スロット46は、自らの内に細長の鍵部34を摺動可能に受けるように構成されている。
図4に示すように、細長の鍵部34はトルク・チューブ26の中央内腔28の内面に回転不能に取り付けられている。従って、細長の鍵部34がリング状環部44の鍵部スロット46内に受けられる場合、連結棒30はトルク・チューブ26に回転不能に固定される。しかし、細長の鍵部34が鍵部スロット46内に受けられない場合は、制御棒組立体40が制御棒駆動機構14によって垂直に動かされている際に、連結棒30はトルク・チューブ26に対して自在に回転する。当技術分野で知られていることであるが、制御棒組立体40の送りねじ(図示せず)と制御棒駆動機構14のローラ・ナットとの間の摩擦力によって、連結棒30がトルク・チューブ26に対して回転する。連結棒30のトルク・チューブ26に対する回転方向は、連結棒30のトルク・チューブ26に関する軸方向の行程の向きに依存する。例えば、簡単な事例では、制御棒駆動機構14を上方から見た場合、連結棒30を上方に動かす際に、連結棒30はトルク・チューブ26に対して時計回り方向に回転する。逆に、連結棒30をトルク・チューブ26に対して下方に動かす際には、連結棒30はトルク・チューブ26に対して反時計回り方向に回転する。
【0021】
図6A及び
図6Bに示すように、固持環部52は同心の外面64及び内面66によって形成されている。ここに示す実施の形態では、各々の係止凹部54は、固持環部52の内面66中に画定され、進入スロット56と、係止面60と、これら両者の間に延在するカム面58と、を含む。図に示すように、進入スロット56は固持環部52の下縁68から上方に延在し、自らの内に対応する係止カム38を摺動可能に受けるように構成されている。固持環部52は、
図4に示すように、トルク・チューブ26の中央内腔28の上端に回転不能に固定されている。
【0022】
ここで
図4、
図7A及び
図7Bを参照して、固持組立体50の動作を検討する。
図7Aに示すように、反応炉の通常稼働時には、固持組立体50の係止カム38は、固持環部52が制御棒組立体40の連結棒30と係合しないように、固持環部52の下方に配設されている。加えて
図4を参照すると、係止カム38が固持環部52の下方に配設されている場合、細長の鍵部34は連結棒30の鍵部スロット46内に配設されて、係止カム38が対応する係止凹部54の進入スロット56に位置合わせされるようになる。操作者が制御棒組立体40(
図3)を固持組立体50と係合させることを望む場合、制御棒組立体40をトルク・チューブ26内で移動させるために制御棒駆動機構14が用いられる。先述の通り、細長の鍵部34が鍵部スロット46と相互作用することにより、係止カム38は係止凹部54の対応する進入スロット56に位置合わせされた状態で保たれる。
図4に示すように、係止カム38が一たび対応する進入スロット56に入ると、連結棒30の上方向の動きにより、リング状環部44が細長の鍵部34の上端36を過ぎて上方に移動し、このことは、細長の鍵部34と鍵部スロット46との相互作用の故に最早連結棒30が制御棒駆動機構14のトルク・チューブ26に対して回転不能な状態ではないことを意味する。しかし、
図4に示すように、連結棒30のトルク・チューブ26に対する回転は、係止カム38が係止凹部54の対応する進入スロット56の側壁と相互作用することによって依然として妨げられていることに留意されたい。
【0023】
連結棒30がトルク・チューブ26に対して上方に移動し続けると、係止カム38が進入スロット56の上端から脱出し、それにより連結棒30がトルク・チューブ26、ひいては固持環部52に対して回転可能となる。従って、係止カム38は係止凹部54の対応するカム面58に沿って進んでその上端に到達し、この際に係止カム38は係止面60に沿って進んで係止凹部54の止め面61に接触する。係止カム37が対応するカム面58の上端に到達するより前に、連結棒30の上端は末端キャップ69内に設置されているコイルばね67と接触することに留意されたい。コイルばね67は圧縮されている際に、連結棒40に対して下向きの力を維持する。係止カム38が係止面60上に乗ると、制御棒組立体40の重量が
図7Bに示すように固持環部52の係止面60上に乗っている係止カム38によって支持されて、制御棒駆動機構14を非作動にすることができる。
【0024】
通常稼働に復帰するために、制御棒駆動機構14を作動させ、制御棒組立体40の送りねじを、この組立体を下方向に動かすように係合させる。先述の通り、制御棒駆動機構14のローラ・ナット(図示せず)と制御棒組立体40の送りねじ(図示せず)との間の摩擦によって、連結棒30が上方から見て反時計回り方向に回転するようになる。従って、係止カム38は係止面60に沿って摺動し、次いでカム面58に沿って下方に摺動して、
図4に示すように係止カム38が係止凹部の対応する進入スロット56に入る。係止カム38が進入スロット56内に配設されると、連結棒環部44の鍵部スロット46は細長の鍵部34に軸方向に位置合わせされて、制御棒組立体が更に下方に移動することで細長の鍵部34が鍵部スロット内に摺動可能に受けられるようになる。従って、連結棒30が制御棒駆動機構のトルク・チューブ26に対して回転することが妨げられる。この時操作者は制御棒組立体40を望ましい反応炉条件により要請される通りに自在に操作することができる。
【0025】
本発明の1つ又は複数の好ましい実施の形態を上記で記述しているが、本発明においてはその範囲及び精神から逸脱することなく種々の変更及び変形が可能であると当業者は認識すべきである。本発明は、添付の特許請求の範囲及びそれに相当するものの範囲及び精神内に該当するような変更及び変形を含むものとする。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】