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特表2024-541025分散型光ファイバセンシングを利用した電気通信リモート端末のフィールド装置の監視
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  • 特表-分散型光ファイバセンシングを利用した電気通信リモート端末のフィールド装置の監視 図1
  • 特表-分散型光ファイバセンシングを利用した電気通信リモート端末のフィールド装置の監視 図2
  • 特表-分散型光ファイバセンシングを利用した電気通信リモート端末のフィールド装置の監視 図3
  • 特表-分散型光ファイバセンシングを利用した電気通信リモート端末のフィールド装置の監視 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】分散型光ファイバセンシングを利用した電気通信リモート端末のフィールド装置の監視
(51)【国際特許分類】
   G01H 9/00 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
G01H9/00 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525240
(86)(22)【出願日】2022-11-02
(85)【翻訳文提出日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 US2022048654
(87)【国際公開番号】W WO2023081179
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】63/276,038
(32)【優先日】2021-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/978,845
(32)【優先日】2022-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504080663
【氏名又は名称】エヌイーシー ラボラトリーズ アメリカ インク
【氏名又は名称原語表記】NEC Laboratories America, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ディン、 ヤンミン
(72)【発明者】
【氏名】オズハラー、 サーパー
(72)【発明者】
【氏名】ティアン、 ユエ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、 ティン
【テーマコード(参考)】
2G064
【Fターム(参考)】
2G064AB21
2G064AB22
2G064BC12
2G064BC33
2G064CC02
2G064CC43
(57)【要約】
分散型光ファイバセンシング(DFOS)を使用したリモート端末フィールド装置監視は、リモート端末におよぶ光センサファイバと、光パルスを生成し、生成された光パルスを光センサファイバに入力し、光センサファイバに形成され、リモート端末に配置された1つまたは複数のファイバループから後方散乱信号を受信するように構成された、光センサファイバと光通信するDFOSインタロゲータと、DFOSインタロゲータで受信されたDFOSデータを解析し、後方散乱信号からリモート端末に配置された1つまたは複数のファイバループで発生する環境アクティビティを特定するように構成されたインテリジェントアナライザと、を有し、リモート端末が、リモート端末に配置される1つまたは複数のフィールド装置を含み、リモート端末に配置される光センサファイバが、光センサファイバに形成された1つまたは複数のファイバループを含み、1つまたは複数のファイバループが、リモート端末に配置された1つまたは複数の前記フィールド装置の近くにそれぞれ配置され、DFOSシステムを稼働し、リモート端末にある1つまたは複数のファイバループで特定された環境アクティビティを収集/解析/報告する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散型光ファイバセンシング(DFOS)を利用したリモート端末のフィールド装置の監視方法であって、
前記リモート端末におよぶ光センサファイバと、
光パルスを生成し、生成された前記光パルスを前記光センサファイバに入力し、前記光センサファイバに形成され、前記リモート端末に配置された1つまたは複数のファイバループから後方散乱信号を受信するように構成された、前記光センサファイバと光通信するDFOSインタロゲータと、
前記DFOSインタロゲータで受信されたDFOSデータを解析し、前記後方散乱信号から前記リモート端末に配置された前記1つまたは複数のファイバループで発生する環境アクティビティを特定するように構成されたインテリジェントアナライザと、
を含み、前記リモート端末が、前記リモート端末に配置される1つまたは複数の前記フィールド装置を含み、前記リモート端末に配置される前記光センサファイバが、前記光センサファイバに形成された前記1つまたは複数のファイバループを含み、前記1つまたは複数のファイバループが、前記リモート端末に配置された1つまたは複数の前記フィールド装置の近くにそれぞれ配置された、DFOSシステムを備え、
前記DFOSシステムを作動し、前記リモート端末にある前記1つまたは複数のファイバループで特定された環境アクティビティを収集/解析/報告する、方法。
【請求項2】
前記環境アクティビティは、前記リモート端末に配置されたバックアップバッテリの近くに配置されたファイバループからの前記バックアップバッテリの過熱状態に関連するDFOS温度データ(DFOS/DTS)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記環境アクティビティは、前記リモート端末に配置された整流器の近傍に配置されたファイバループで検出される整流器パワーコンディショナと関連する交流(AC)電力状態を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記環境アクティビティは、DFOS分散型振動センシング(DFOS/DVS)を介して120Hz成分及び高調波を含む交流成分を検出することによって前記交流電力状態から特定される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記120Hz成分は高速フーリエ変換(FFT)を用いて特定される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記環境アクティビティは、発電機の近くに配置されたファイバループで検出される、DFOS分散型音響センシング(DFOS/DAS)データを用いた前記発電機のオン/オフ状態を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記環境アクティビティは、発電機の近くに配置されたファイバループで検出される、DFOS分散型振動センシング(DFOS/DVS)データを用いた、前記発電機のオン/オフ状態を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記環境アクティビティは、前記リモート端末内に配置されたエアーコンプレッサの動作の異常パターンを含み、前記異常パターンは、前記エアーコンプレッサの近くに配置されたファイバループで検出され、分類アルゴリズムを用いた前記インテリジェントアナライザによって解析されたDFOS/DVSデータを用いて特定される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的には分散型光ファイバセンシング(DFOS:distributed fiber optic sensing)システム、方法及び構造に関する。より具体的には、分散光ファイバセンシングを利用した電気通信リモート端末のフィールド装置の監視を開示する。
【背景技術】
【0002】
当業者であれば理解及び認識するように、リモート端末は、ネットワークのデジタル及びアナログパラメータを監視し、ネットワークのその後の管理及び制御のためにデータを報告する有益なフィールド装置及び機器をホストするため、通信ネットワークにおいて重要な役割を果たしている。そのような重要性を考慮すると、これらのリモート端末の監視を強化及び/または容易にするシステム、方法及び構造は、この技術に対する歓迎すべきプラスとなるであろう。
【発明の概要】
【0003】
分散型光ファイバセンシングを利用した電気通信リモート端末のフィールド装置の監視を対象とした本開示の態様によれば、本技術における進歩がもたらされる。
【0004】
従来技術とは対照的に、本開示の態様は、分散型光ファイバセンシング(DFOS)を利用したリモート端末のフィールド装置の監視方法であって、前記リモート端末におよぶ光センサファイバと、光パルスを生成し、生成された前記光パルスを前記光センサファイバに入力し、前記光センサファイバに形成され、前記リモート端末に配置された1つまたは複数のファイバループから後方散乱信号を受信するように構成された、前記光センサファイバと光通信するDFOSインタロゲータと、前記DFOSインタロゲータで受信されたDFOSデータを解析し、前記後方散乱信号から前記リモート端末に配置された前記1つまたは複数のファイバループで発生する環境アクティビティを特定するように構成されたインテリジェントアナライザと、を含み、前記リモート端末が、前記リモート端末に配置される1つまたは複数の前記フィールド装置を含み、前記リモート端末に配置される前記光センサファイバが、前記光センサファイバに形成された前記1つまたは複数のファイバループを含み、前記1つまたは複数のファイバループが、前記リモート端末に配置された1つまたは複数の前記フィールド装置の近くにそれぞれ配置された、DFOSシステムを備え、前記DFOSシステムを作動し、前記リモート端末にある前記1つまたは複数のファイバループで特定された環境アクティビティを収集/解析/報告する、方法を記載する。
【0005】
本開示のより完全な理解は、添付の図面を参照することで実現される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本技術で知られているDFOSシステムを示す概略図である。
【0007】
図2図2は、本開示の態様による、例示的な電気通信リモート端末のフロアプランの概略図である。
【0008】
図3図3は、本開示の態様による、例示的な通信リモート端末のフロアプラン及び動作フローの概略図である。
【0009】
図4図4は、本開示の態様による、状態監視のための例示的なユースケース及び対応するアルゴリズムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下は、単に本開示の原理を例示するものである。そのため、当業者であれば、本明細書で明示的に説明または図示されていなくても、本開示の主旨及び範囲に含まれる、本開示の原理を具体化する様々な構成を考え出すことができることを理解されたい。
【0011】
さらに、本明細書で挙げる全ての実施例及び条件付き用語は、本開示の原理及び本技術を促進するために本発明者らが提供する概念の理解を助ける教育目的のためだけであることを意味し、具体的に挙げられた実施例及び条件に限定されないと解釈されるべきである。
【0012】
さらに、本開示の原理、態様及び実施形態、並びにその特定の実施例で挙げる本明細書の全ての記載は、その構成及び機能の均等物の両方を含むことを意味する。さらに、そのような均等物には、現在知られている均等物と、将来開発される均等物、すなわち構成に関係なく同じ機能を実現する、開発される要素の両方を含むことを意味する。
【0013】
したがって、例えば、本明細書の任意のブロック図は、本開示の原理を実施する回路の実例を示す概念図であることが当業者には理解されるであろう。
【0014】
本明細書では、特に明記しない限り、図を含む図面は、正確な縮尺率で描かれていない。
【0015】
追加の背景として、分散型光ファイバセンシング(DFOS)は、光ファイバケーブルに沿った任意の場所の環境条件(温度、振動、音響励起振動、伸張レベル等)を検出するための、重要かつ広く使用されている技術であり、光ファイバケーブルはインタロゲータに接続されていることを最初に指摘しておく。周知のように、現代のインタロゲータは、ファイバに対する入力信号を生成し、反射/散乱されてその後受信する信号を検出/解析するシステムである。該信号は解析され、ファイバに沿って発生する環境条件を示す出力が生成される。受信する信号は、ラマン後方散乱、レイリー後方散乱、ブリルアン後方散乱等のファイバ内の反射によって生じる可能性がある。DFOSでは、複数のモードの速度差を利用した順方向の信号も使用できる。一般性を失わないため、以下の説明では反射信号を想定しているが、同じアプローチは順行性信号にも適用できる。
【0016】
図1は、一般化された従来のDFOSシステムの概略図である。理解されているように、現代のDFOSシステムには、定期的に光パルス(または任意のコード化された信号)を生成し、それを光ファイバに入力するインタロゲータが含まれている。入力された光パルス信号は光ファイバに沿って伝送される。
【0017】
ファイバに沿った位置において、信号のごく一部が反射され、インタロゲータに返送される。反射信号は、例えば機械的な振動を示す電力レベルの変化等、インタロゲータが検出のために使用する情報を伝達する。理解及び認識されているように、インタロゲータには、当該技術で知られているコヒーレント受信機の構成を採用した、コード化されたDFOSシステムを含んでいてもよい。
【0018】
反射信号は電気的領域に変換され、インタロゲータで処理される。パルスの入力時間と信号が検出された時間とに基づいて、インタロゲータはファイバのどの位置から信号が来ているかを判断し、ファイバの各位置のアクティビティを感知できる。
【0019】
当業者であれば、インタロゲーション信号に信号コーディングを実施することで、より多くの光パワーをファイバに送信できるようになり、レイリー散乱ベースのシステム(例えば、分散型音響センシング、すなわちDAS)及びブリルアン散乱ベースのシステム(例えば、ブリルアン光時間領域反射測定法、すなわちBOTDR)の信号対雑音比(SNR)を有利に改善できることを理解及び認識するであろう。
【0020】
現在多くの現代的な実施態様で実施されているように、光ファイバケーブルにおけるDFOSシステムは、専用ファイバが割り当てられ、異なるファイバで伝送される既存の光通信信号とは物理的に分離されている。しかしながら、帯域幅の需要が爆発的に増加していることを考えると、DFOSの運用のためだけに光ファイバを経済的に運用及びメンテナンスすることはますます困難になってきている。その結果、より大きなマルチファイバケーブルの一部である共通ファイバに通信システムとセンシングシステムとを統合することへの関心が高まっている。
【0021】
運用上、DFOSシステムは、コーディングの実装を備えたレイリー散乱ベースのシステム(例、分散型音響センシングまたはDAS)とブリルアン散乱ベースのシステム(例、ブリルアン光時間領域反射測定法またはBOTDR)であると想定される。このようなコーディング設計により、これらのシステムは、低電力で動作するため、ファイバ通信システムと統合される可能性が高く、光増幅器の応答時間の影響も大きくなる。
【0022】
当業者であれば理解及び認識するように、リモート端末は、有益なフィールド装置/機器をホストし、フィールドのデジタル及びアナログパラメータを監視し、効果的な管理及び制御決定のためにイベントが表示されるSCADA(supervisory control and data acquisition)マスターステーションにデータを送信するため、通信サービスにおいて重要な役割を果たしている。
【0023】
当業者は、SCADAが、機械及びプロセスの高レベルの監視のためのコンピュータ、ネットワーク化されたデータ通信及びグラフィカルユーザインタフェースシステムを含む制御システムアーキテクチャであることを認識する。
【0024】
図2は、本開示の態様による、例示的な電気通信リモート端末のフロアプランの概略図である。この図で概略的に示されているように、リモート端末には、電気で動作するバックアップバッテリや暖房、換気、空調設備と共に、通信設備を備え得る多数の機器収納部(bay)が含まれる。さらに、本開示の焦点の1つであるファイバセンシングの配置が示されている。
【0025】
この図を引き続き参照すると、リモート端末にある多くの電気通信機器は、ファインゲージツイストペアでの干渉を避けるために、フィルタ付きアースを備えた直流の-48Vで動作する銅線のツイストペアに接続されていることに注意する。AC-DC整流器は、ステーションのバッテリシステムに基づいて動作する場合、交流(AC)を単方向の直流(DC)に変換する。バックアップバッテリ及び充電回路は、AC電源の障害時における非常時用の継続的な動作を提供する。正の空気圧により銅線とケーブルとを乾燥した状態で保つために、エアーコンプレッサは空芯銅線ケーブル内を正の空気圧で維持する。
【0026】
概略的に示されているように、リモート端末のもう一つの重要な特徴は、ポータブル交流発電機へのエントリを提供するアクセスエントランスホールである。交流(商用)電源で障害が発生した場合、停電の時刻、期間、場所を直ちに通信サービスプロバイダに通知する必要がある。そうでなければ、交流発電機のためのリクエストを迅速に実現できない。障害がタイムリーに修正されない場合、通信サービスが中断してしまう。
【0027】
効率を維持し、ダウンタイムを軽減するシステムの問題を伝達するために、SCADAシステムにはリモート端末が装備されている。例えば、SCADAシステムは、チャネルがエラーを表示していることをオペレータに通知できる。オペレータは、操作を一時停止し、SCADAシステムのデータを表示して問題の原因を特定する。但し、SCADAシステムはハードウェアユニット及び依存モジュールの点で複雑であり、メンテナンスには熟練したオペレータが必要になることがよくある。さらに、指定されたセンサが装備されていない場合、SCADAは整流器やエアーコンプレッサの動作状態を監視することができない。SCADAシステムには外部電源も必要であるため、バックアップバッテリの電力が無くなると、SCADAシステムが切断される。
【0028】
以下で示し説明するように、本開示の態様によるシステム、方法及び構造は、リモート端末にあるフィールド装置の状態や交流電力の状態等、リモート端末の動作状態を、全てDFOSを用いて有利に監視する。これにより、通信動作状態/特性について監視デバイスのSCADAデータをポーリングする必要が無くなるという利点がある。
【0029】
DFOSインタロゲイティブ技術を利用することで、本開示の態様によるシステム、方法及び構造は、光ファイバケーブルが配備されているリモート端末に配置されたフィールド装置のリアルタイムな応答を取得する。これらの物理的な外乱には、温度、振動、音響等が含まれるが、これらに限定されない。ファイバケーブルに沿って伝わる光パルスの後方散乱を調べることで物理量の変化を測定できる。この技術を利用することで、既存の1キロメートルに及ぶ通信用光ファイバは、追加のセンサ、外部電源及びデータ転送用の通信チャネルを必要とせずに、数千個の独立したセンサとして動作できる。
【0030】
さらに、リモート端末におけるファイバケーブルが接続されている全てのフィールド装置の動作状態を、ファイバの一端から極めて高精度かつ高感度で監視できる。同じケーブルルートが複数のリモート端末を横断する場合、この技術を拡張してファイバケーブルルートに沿った全ての端末を監視することが可能であり、運用及び保守コストを大幅に削減し、監視効率を向上させ、プロジェクトリスクを軽減する。
【0031】
特に有利なのは、既存の、先に配備された光ファイバケーブルをリモート端末のセンシング及び通信に使用すると、フィールド装置の物理的な外乱を高感度でリアルタイムに監視可能であり、追加のセンサ及びその関連装置が無い非常に長い距離のセンシング範囲を実現できることである。つまり、新たなセンシング及び通信ネットワークを構築する必要がないということである。したがって、SCADAネットワークを介してデータを取得するプロセス全体が不要になる。
【0032】
本開示の他の特徴は、フィールド装置の動作状態をどのように監視し、診断するかということである。本開示の態様によれば、我々の独創的なシステム及び方法は、物理的な外乱(温度/音響/振動)に起因するフィールド装置の振動及び温度を測定するためのセンシングポイントとして、ファイバコイルを使用する。例えば、エアーコンプレッサの運転状態を監視するため、該エアーコンプレッサにファイバコイルを設置する。これにより、DFOS信号強度が向上し、エアーコンプレッサの位置をより簡単に特定できるようになる。有利なことに、このようなファイバコイルは入手が容易であり、取り付けも容易である。フィールド装置の動作状態を診断するため、時間領域及び周波数領域で解析を実行し、異常分類のための機械学習モデルを開発する。
【0033】
動作上、我々の独創的なシステム及び方法は、一般的に、以下の手順の概要に従って動作する。
【0034】
図3は、本発明の態様による、例示的な通信リモート端末のフロアプラン及び動作フローの概略図である。
【0035】
ファイバコイルの位置及び長さの決定
【0036】
監視シナリオとユーザ入力の空間分解能に基づいて、ファイバコイルの位置及び長さが決定される。例えば、エアーコンプレッサの動作状態を監視するには、ファイバコイルを該コンプレッサの上部に配置し、ファイバコイルの長さは少なくとも空間分解能をカバーする必要がある。
【0037】
データ収集
【0038】
次に、フィールド装置監視用のケーブル経路にDASインタロゲータを接続する。収集されたリアルタイムな振動データは前処理ユニットで処理され、フィルタリング、正規化、しきい値処理が行われてロウ(raw)信号のノイズが除去される。
【0039】
データ解析
【0040】
DFOSの動作から収集された前処理済みデータは、状態監視のための様々なアルゴリズムによって解析される。いくつかのユースケースにおいて、高速フーリエ変換(FFT)等の基本的な周波数領域解析は異常な動作状態を検出するのに十分である。エアーコンプレッサの状態等の他のアプリケーションシナリオでは、機械学習分類等のより高度なアルゴリズムを適用してもよい。
【0041】
図4は、本開示の態様による、状態監視のための例示的なユースケース及び対応するアルゴリズムを示す概略図である。この図で示されているように、監視可能なフィールド装置/資産は多数あり、ユースケースの対象には、バックアップバッテリ(過熱、DTS温度)、整流器(交流電力状態、120HzのFFT解析)、発電機(オン/オフ状態、時間領域のDAS/DVS振動データ)及びエアーコンプレッサ(異常な振動パターン、分類アルゴリズム)等がある。したがって、以下の例示的なユースケースでは、次のように処理を進める。
【0042】
ユースケースの例
【0043】
交流電源の状態監視
【0044】
整流器は交流を直流に変換するため、整流器の分散型ファイバセンシングコイルから交流成分(120Hz及びその高調波)を検出することで、正常な交流状態を監視できる。
【0045】
当業者であれば理解できるように、交流電源がオンの場合には、整流器が交流電源で動作するため、ファイバセンシングによりFFTを用いて整流器から120Hzの交流成分を検出できるが、停電が発生すると120Hzは消失する。発電機が接続されるか、電源が再び確立すると、120Hzが検出される。
【0046】
120Hz成分が消失したことを検知することで、停電の時刻を特定でき、通信事業者は直ちに発電機のリクエストを送信できる。
【0047】
発電機が現場に送られて電源がオンになると、発電機のファイバコイルが振動を検出し、発電機が作動していることを知らせる。
【0048】
停電が発生すると、バックアップバッテリが作動し、バッテリを節約するためにエアーコンプレッサの動作を停止する。そうしないと、バッテリ容量を急速に消耗してしまう。エアーコンプレッサの振動信号を監視することで、バッテリが作動しているか、発電機が作動しているかを知ることができる。
【0049】
発電機の状態監視
【0050】
発電機のファイバコイルから時間領域/周波数領域における振動パターンを検出することで発電機の状態を監視できる。理解できるように、時間領域の振動データは強い振幅を示し、エネルギーは均等に分散されているが、周波数領域の結果は、発電機が適切に動作している間は低周波成分が優勢であることを示している。
【0051】
ここでは、いくつかの具体的な例を用いて本開示を示したが、当業者であれば本教示がそれらに限定されないことを認識するであろう。したがって、本開示は本明細書に添付される特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】