(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】電気化学装置及び電気デバイス
(51)【国際特許分類】
H01M 50/531 20210101AFI20241029BHJP
H01M 50/533 20210101ALI20241029BHJP
H01M 50/548 20210101ALI20241029BHJP
H01M 50/559 20210101ALI20241029BHJP
H01M 50/107 20210101ALI20241029BHJP
H01M 50/152 20210101ALI20241029BHJP
H01M 50/188 20210101ALI20241029BHJP
H01M 50/119 20210101ALI20241029BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
H01M50/531
H01M50/533
H01M50/548 201
H01M50/559
H01M50/107
H01M50/152
H01M50/188
H01M50/119
H01M10/04 W
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525559
(86)(22)【出願日】2021-10-29
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 CN2021127692
(87)【国際公開番号】W WO2023070591
(87)【国際公開日】2023-05-04
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】513054978
【氏名又は名称】寧徳新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Ningde Amperex Technology Limited
【住所又は居所原語表記】No.1 Xingang Road, Zhangwan Town, Jiaocheng District, Ningde City, Fujian Province, 352100, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【氏名又は名称】田邊 淳也
(72)【発明者】
【氏名】蘇 士偉
(72)【発明者】
【氏名】▲デン▼ 道林
(72)【発明者】
【氏名】楊 興富
(72)【発明者】
【氏名】陳 文
【テーマコード(参考)】
5H011
5H028
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA02
5H011AA13
5H011CC06
5H011DD07
5H011FF04
5H011GG02
5H028AA07
5H028BB07
5H028CC05
5H028CC08
5H028CC11
5H028EE01
5H028HH00
5H028HH05
5H043AA10
5H043BA11
5H043CA07
5H043CA12
5H043DA07
5H043DA08
5H043EA06
5H043EA22
5H043EA23
5H043JA28D
5H043LA02D
5H043LA02E
5H043LA21D
5H043LA21E
5H043LA23D
5H043LA23E
(57)【要約】
本願はエネルギー貯蔵の技術分野に関し、特に一種の電気化学装置及び電気デバイスを開示する。電気化学装置は、ハウジングと、ハウジング内に収容された電極アセンブリと、第1タブと、第2タブとを含む。ハウジングは、頂壁と、側壁と、底壁とを含み、頂壁に第1電極が設けられている。電極アセンブリは、第1電極シートと第2電極シートとを含む。第1タブは、第1電極シートと第1電極とを接続する。第2タブは、第2電極シートに接続されている。頂壁に垂直な方向から見ると、第1タブの長手方向と第2タブの長手方向との間の角度をθとした場合、0°≦θ≦60°を満たす。電気化学装置が充電/放電の状態にある場合、第1タブにおける電流方向と第2タブにおける電流方向は異なり、第1タブが発生する磁界と第2タブが発生する磁界とは少なくとも部分的に相殺され、電気化学装置による磁界は弱められる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学装置であって、
頂壁、側壁及び底壁を含み、前記頂壁に第1電極が設けられているハウジングと、
前記ハウジング内に収容され、且つ第1電極シートと第2電極シートとを含む電極アセンブリと、
前記第1電極シートと前記第1電極とを接続する第1タブと、
前記第2電極シートに接続される第2タブと、を備え、
前記頂壁に垂直な方向から見て、前記第1タブの長手方向と前記第2タブの長手方向との間の角度をθとした場合、且つ0°≦θ≦60°を満たすことを特徴とする電気化学装置。
【請求項2】
0°≦θ≦30°であることを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項3】
前記第1タブは、前記第1電極シートに接続される第1接続領域と、前記第1電極に接続される第3接続領域とを含み、
前記第2タブは、前記第2電極シートに接続される第2接続領域と、前記ハウジングに接続される第4接続領域とを含み、
前記頂壁に垂直な方向から見て、前記第1接続領域の幾何学的中心から前記第3接続領域の幾何学的中心までの距離をL1とし、前記第2接続領域の幾何学的中心から前記第4接続領域の幾何学的中心までの距離をL2とした場合、0.18≦L1/L2≦2.75を満たすことを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項4】
0.45≦L1/L2≦2.2を満たすことを特徴とする請求項3に記載の電気化学装置。
【請求項5】
前記ハウジングの外側に設けられた第1コネクタと第2コネクタとをさらに含み、
前記第1コネクタは、第1電極に接続される第5接続領域を含み、前記第1コネクタの第1電極から離れた一端には、第6接続領域が設けられ、
前記第2コネクタは、前記ハウジングに接続される第7接続領域を含み、前記第2コネクタの前記第7接続領域から離れた一端には、第8接続領域が設けられ、
前記頂壁に垂直な方向から見て、前記第5接続領域の幾何学的中心と前記第6接続領域の幾何学的中心との間の連結線をW1とし、前記第7接続領域の幾何学的中心と前記第8接続領域の幾何学的中心との間の連結線をW2とし、W1とW2との間の角度をβとした場合、0°≦β≦30°を満たすことを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項6】
前記頂壁に垂直な方向から見て、前記第5接続領域の幾何学的中心と前記第6接続領域の幾何学的中心との間の距離をL3とし、前記第7接続領域の幾何学的中心と前記第8接続領域の幾何学的中心との間の距離をL4とした場合、0.45≦L3/L4≦2.2を満たすことを特徴とする請求項5に記載の電気化学装置。
【請求項7】
前記電極アセンブリは巻取構造であり、
前記第1電極シートは第1活物質層を含み、前記第1活物質層は第1端部を含み、前記第1端部は前記巻取構造の巻取り開始端に設けられ、
前記第2電極シートは第2活物質層を含み、前記第2活物質層は第2端部を含み、前記第2端部は前記巻取構造の巻取り開始端に設けられ、
前記第1タブは、前記第1電極シートに接続される第1接続領域を含み、
前記第2タブは、前記第2電極シートに接続される第2接続領域を含み、
前記第1電極シートの長手方向に沿って、前記第1接続領域の幾何学的中心と前記第1端部との間の距離をD1とし、
前記第2電極シートの長手方向に沿って、前記第2接続領域の幾何学的中心と前記第2端部との間の距離をD2とした場合、
0.5≦D1/D2≦2を満たすことを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項8】
0.9≦D1/D2≦1.1を満たすことを特徴とする請求項7に記載の電気化学装置。
【請求項9】
以下の条件の少なくとも一つを満たすことを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
(a)前記第1タブと前記第2タブが互いに前記電極アセンブリの反対側に位置する。
(b)前記頂壁が対向する第1表面と第2表面を有し、前記頂壁には前記第1表面と前記第2表面を貫通する貫通孔が設けられ、前記第1電極が前記貫通孔に設けられる。
(c)前記頂壁と前記第1電極との間には絶縁部材が設けられる。
(d)前記ハウジングが金属材料を含む。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載の電気化学装置を備える電気デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、エネルギー貯蔵の技術分野に関し、特に電気化学装置及び電気デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ボタン電池は、Bluetoothイヤホンに広く応用されているが、ボタン電池が自身の磁場によって発生するノイズはBluetoothイヤホンの音効果に影響を与え、さらに、ユーザーの使用体験に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような状況に鑑み、電気デバイスへの電磁干渉を低減するための電気化学装置を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願の第1態様は、ハウジングと、ハウジング内に収容された電極アセンブリと、第1タブと、第2タブとを含む電気化学装置を提供する。ハウジングは、頂壁と、側壁と、底壁とを含み、頂壁に第1電極が設けられている。電極アセンブリは、第1電極シートと、第2電極シートとを含む。第1タブは、第1電極シートと第1電極とを接続している。第2タブは、第2電極シートに接続されている。頂壁に垂直な方向から見ると、第1タブの長手方向と第2タブの長手方向との間の角度をθとした場合、0°≦θ≦60°を満たす。電気化学装置が充電/放電の状態にある場合、第1タブの電流方向と第2タブの電流方向は逆になり、第1タブが発生する磁界と第2タブが発生する磁界とは重なることがあり、少なくとも部分的に打ち消すことができ、これにより、電気化学装置による磁界は弱められ、電気デバイスへの電磁干渉は低減される。
【0005】
さらに、本願の幾つかの実施形態では、0°≦θ≦30°を満たす。この場合、第1タブによる磁界と第2タブによる磁界との相殺効果がより良く、しかも、端面各所における磁界強度の差異は小さい。
【0006】
本願の幾つかの実施形態では、第1タブは第1電極シートに接続される第1接続領域と、第1電極に接続される第3接続領域とを含み、第2タブは第2電極シートに接続される第2接続領域と、ハウジングに接続される第4接続領域とを含む。頂壁に垂直な方向から見て、第1接続領域の幾何学的中心から第3接続領域の幾何学的中心までの距離をL1とし、第2接続領域の幾何学的中心から第4接続領域の幾何学的中心までの距離をL2とした場合、0.18≦L1/L2≦2.75を満たす。L1/L2の他の値に比べて、0.18≦L1/L2≦2.75を満たす場合、第1タブによる磁界と第2タブによる磁界との相殺効果がより良く、電気化学装置が発生する磁界を低減するのに有利である。
【0007】
さらに、本願の幾つかの実施形態では、0.45≦L1/L2≦2.2を満たす。この場合、第1タブによる磁界と第2タブによる磁界との相殺効果がより良く、しかも、端面各所における磁界強度の差異が小さい。
【0008】
本願の幾つかの実施形態では、電気化学装置は、ハウジングの外側に設けられた第1コネクタと第2コネクタとをさらに含む。第1コネクタは、第1電極に接続される第5接続領域を含む。第1コネクタの第1電極から離れた一端には、第6接続領域が設けられている。第2コネクタは、ハウジングに接続される第7接続領域を含む。第2コネクタの第7接続領域から離れた一端には、第8接続領域が設けられている。頂壁に垂直な方向から見ると、第5接続領域の幾何学的中心と第6接続領域の幾何学的中心との間の連結線をW1とし、第7接続領域の幾何学的中心と第8接続領域の幾何学的中心との間の連結線をW2とし、W1とW2との間の角度をβとした場合、0°≦β≦30°を満たす。β>30°に比べて、0°≦β≦30°を満たす場合、第1コネクタによる磁界と第2コネクタによる磁界とが相殺される効果はより良い。
【0009】
本願の幾つかの実施形態では、頂壁に垂直な方向から見ると、第5接続領域の幾何学的中心と第6接続領域の幾何学的中心との間の距離をL3とし、第7接続領域の幾何学的中心と第8接続領域の幾何学的中心との間の距離をL4とし、0.45≦L3/L4≦2.2を満たす。L3/L4の他の値に比べて、0.45≦L3/L4≦2.2を満たす場合、第1コネクタによる磁界と第2コネクタによる磁界との相殺効果が理想的であり、電気化学装置の端面の各所における磁界強度の差異を低減するのに有利である。
【0010】
本願の幾つかの実施形態では、電極アセンブリは巻取構造である。第1電極シートは第1活物質層を含み、第1活物質層は第1端部を含み、第1端部は巻取構造の巻取り開始端に設けられている。第2電極シートは第2活物質層を含み、第2活物質層は第2端部を含み、第2端部は巻取構造の巻取り開始端に設けられている。第1タブは、第1電極シートに接続される第1接続領域を含む。第2タブは、第2電極シートに接続される第2接続領域を含む。第1電極シートの長手方向に沿って、第1接続領域の幾何学的中心と第1端部との間の距離をD1とし。第2電極シートの長手方向に沿って、第2接続領域の幾何学的中心と第2端部との間の距離をD2とした場合、0.5≦D1/D2≦2を満たす。D1/D2の他の値に比べて、0.5≦D1/D2≦2を満たす場合、第1電極シートが発生する磁界と第2電極シートが発生する磁界とは相殺される効果がよく、電気化学装置による磁界を弱めるのに有利である。
【0011】
さらに、本願の幾つかの実施形態では、0.9≦D1/D2≦1.1を満たす。この場合、第1電極シートによる磁界と第2電極シートによる磁界との相殺効果はより好ましく、端面各所における磁界強度の差異が小さい。
【0012】
本願の幾つかの実施形態では、以下の(a)~(d)の少なくとも1つの条件を満たす。
(a)第1タブと第2タブが互いに電極アセンブリの反対側に位置する。
(b)頂壁が対向する第1表面と第2表面を有し、頂壁には第1表面と第2表面を貫通する貫通孔が設けられ、第1電極の少なくとも一部が貫通孔に設けられる。
(c)頂壁と第1電極との間には絶縁部材が設けられる。
(d)ハウジングが金属材料を含む。
【0013】
本願の第2態様は、デバイス本体と、上記のいずれかの実施形態に記載の電気化学装置とを含む電気デバイスを提供する。上記電気化学装置は、自身が発生する磁場を弱め、電気デバイスへの自己磁場の影響を低減し、電気デバイスの性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本願の一実施形態における電気化学装置の第1斜視図である。
【
図2】本願の一実施形態における電気化学装置の第2斜視図である。
【
図3】
図1における電気化学装置の部分断面図である。
【
図4】本願の別の実施形態における電気化学装置の第1斜視図である。
【
図5】本願の別の実施形態における電気化学装置の第2斜視図である。
【
図6】
図4における電気化学装置の部分断面図である。
【
図7】本願の他の実施例に係る第1電極の構造概略図である。
【
図8】本願の他の実施例に係る電極アセンブリ、第1タブ及び第2タブの第1模式図である。
【
図9】本願の他の実施例に係る電極アセンブリ、第1タブ及び第2タブの第2模式図である。
【
図10】本願のさらに他の実施例における電極アセンブリ、第1タブ及び第2タブの第3模式図である。
【
図11】本願のさらに他の実施例における電極アセンブリ、第1タブ及び第2タブの第4模式図である。
【
図12】本願のさらに他の実施例における電極アセンブリ、第1タブ及び第2タブの第5模式図である。
【
図13】本願のさらに他の実施例における電極アセンブリ、第1タブ及び第2タブの第6模式図である。
【
図14】本願のさらに他の実施例における電気化学装置の第3斜視図である。
【
図15】本願の試験1における磁束密度とθの関係を示す曲線図である。
【
図16】本願の一実施形態における電気デバイスの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の具体的な実施形態において、上述の図面に基づいて本願発明を詳細に説明する。
【0016】
以下、本願の実施形態における技術的態様について、本願の実施形態における図面を参照しながら説明するが、明らかに、説明された実施例は本願の一部の実施例にすぎず、すべての実施例ではない。
【0017】
説明する必要があるのは、ある構成部品が別の構成部品に「接続される」と考えられる場合、それは直接に別の構成部品に接続されるかまたは中央に配置された構成部品が同時に存在する可能性がある。また、ある構成部品が別の構成部品に「設置される」と考えられる場合、それは別の構成部品に直接設置されていてもよく、中央に配置された構成部品が同時に存在してもよい。
【0018】
特に定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本願の技術分野に属する技術者が一般に理解するものと同じ意味である。本願の明細書において使用される用語は、具体的な実施例を説明するためだけのものであり、本願を限定することを目的とするものではない。
【0019】
本願の実施形態は、ハウジングと、ハウジング内に収容された電極アセンブリと、第1タブと、第2タブとを含む電気化学装置を提供する。ハウジングは、頂壁と、側壁と、底壁とを含み、頂壁に第1電極が設けられている。電極アセンブリは、第1電極シートと第2電極シートとを含む。第1タブは、第1電極シートと第1電極とを接続する。第2タブは、第2電極シートに接続されている。頂壁に垂直な方向から見ると、第1タブの長手方向と第2タブの長手方向との間の角度をθとした場合、0°≦θ≦60°を満たす。電気化学装置が充電/放電の状態にある場合、第1タブの電流方向と第2タブの電流方向は逆になり、第1タブによる磁界と第2タブによる磁界とは重なることがあり、少なくとも部分的に打ち消すことができ、これにより、電気化学装置による磁界は弱められる。
【0020】
例示的には、電気化学装置を水平面に配置し、底壁を下にし、頂壁を上にした例をさらに説明する。
【0021】
以下、図面に合わせて、本願の実施例についてさらに説明する。
【0022】
図1、
図2及び
図3に示すように、本願の実施形態による電気化学装置100は、ハウジング1、電極アセンブリ2、第1タブ3及び第2タブ4を含む。電極アセンブリ2、第1タブ3及び第2タブ4は、ハウジング1の内部に設けられ、電極アセンブリ2は、第1タブ3と第2タブ4とを接続している。
【0023】
ハウジング1は、頂壁11、側壁12及び底壁13を含む。頂壁11、側壁12及び底壁13は、取り囲んで収容キャビティ14を形成している。電極アセンブリ2、第1タブ3及び第2タブ4は、収容キャビティ14内に設けられている。
【0024】
頂壁11には、第1電極111が設けられている。第1電極111は、第1タブ3に接続されている。
【0025】
一実施例では、頂壁11には、貫通孔114が設けられる。また、頂壁11は、互いに反対側に位置する第1表面112と第2表面113とを含む。貫通孔114は、第1表面112と第2表面113とを貫通している。第1表面112は、頂壁11の収容キャビティ14に向かう側に位置している。第2表面113は、頂壁11の収容キャビティ14から離反する側に位置している。
【0026】
第1電極111の少なくとも一部は、貫通孔114内に設けられている。一実施例において、電気化学装置100はさらに、頂壁11と第1電極111との間に設けられた絶縁部材7を含む。絶縁部材7は、頂壁11と第1電極111とを接続して、頂壁11と第1電極111とを絶縁させ、電気化学装置100が短絡するリスクを低減している。
【0027】
一実施例では、第1電極111の材質は、アルミニウムまたは銅金属を含むが、これらに限定されない。
【0028】
一実施例では、底壁13は、第2タブ4に接続される導電部131を含む。一実施例では、導電部131は金属材料を含む。
【0029】
図4、
図5及び
図6に示すように、一実施例では、電気化学装置100は、ハウジング1の外に設けられる第1コネクタ5と第2コネクタ6をさらに含む、第1コネクタ5が第1電極111に接続されることによって、第1コネクタ5と第1タブ3は電気的に接続されるようになる。第2コネクタ6が導電部131に接続されることによって、第2コネクタ6と第2タブ4とは電気的に接続されるようになる。第1コネクタ5と第2コネクタ6は、外付けの電気デバイスと接続して、電気化学装置100が電気デバイスに電力を供給するのを容易にする。
【0030】
一実施例では、第1コネクタ材5は、金属材料からなる。一実施例では、第2コネクタ6は、金属材料からなる。
【0031】
なお、他の実施例では、第1電極111は貫通孔114内(図示せず)に設けられ、絶縁部材7は第1電極111と貫通孔114の内壁との間に設けられている。
【0032】
図3及び
図7に示すように、第1電極111は、第1部分1111及び第2部分1112を含む。第1部分1111は第3表面1111aを有し、第2部分1112は第3表面1111aから突き出している。第1部分1111は、収容キャビティ14内に設けられる。第2部分1112は、貫通孔114内に位置する。
【0033】
理解及び説明を容易にするために、以下では、頂壁11に垂直な方向を第3方向Zとする。第3方向Zに沿って観察して、第1タブ3の長手方向を第1方向Xとし、第2タブ4の長手方向を第2方向Yとした例をさらに説明する。
【0034】
一実施例では、絶縁部材7は環状構造であり、第1電極111の第2部分1112は環状構造を通過する。
【0035】
一実施例では、絶縁部材7は、シーラントを含むが、これに限定されるものではない。
【0036】
図8及び
図9に示すように、電極アセンブリ2は、第1電極シート21と、第2電極シート22と、セパレートフィルム23とを含む。セパレートフィルム23は、第1電極シート21と第2電極シート22との間に設けられている。一実施例では、第1電極シート21、セパレートフィルム23及び第2電極シート22は、巻回されて配置されている。
【0037】
第1電極シート21と第2電極シート22のうちの一方は正極シートであり、第1電極シート21と第2電極シート22のうちの他方は負極シートである。
【0038】
第1タブ3と第2タブ4のうちの一方は正極タブであり、第1タブ3と第2タブ4のうちの他方は負極タブである。
【0039】
第1電極シート21は、第1活物質層211を含む。第1タブ3は、第1接続領域31を有する。第1タブ3は、第1接続領域31において第1電極シート21に接続されている。
【0040】
第2電極シート22は、第2活物質層221を含む。第2タブ4は、第2接続領域41を有する。第2タブ4は、第2接続領域41において第2電極シート22に接続されている。
【0041】
一実施形態では、第1タブ3は電極アセンブリ2の一方側に位置し、第2タブ4は電極アセンブリ2の他方側に位置する。他の実施例では、第1タブ3と第2タブ4は、電極アセンブリ2の同じ側に位置していてもよい(図示せず)。
【0042】
図3、
図8及び
図9を併せて参照する。第1タブ3は、第3接続領域32を有する。第1タブ3は、第3接続領域32において第1電極111に接続されている。第2タブ4は、第4接続領域42を有する。第2タブ4は、第4接続領域42において底壁13に接続されている。
【0043】
図8、
図9及び
図10に示すように、一実施例では、第3方向Zに沿って見ると、第1方向Xと第2方向Yとの間の角度はθであり、0°≦θ≦60°である。
【0044】
本願において、第1方向X(即ち、第1タブ3の長手方向)とは、第3方向Zに沿って見る場合、第3接続領域32の幾何学的中心と第1接続領域31の幾何学的中心との接続方向である。第2方向Y(即ち、第2タブ4の長手方向)とは、第3方向Zに沿って見る場合、第4接続領域42の幾何学的中心と第2接続領域41の幾何学的中心との接続方向である。θとは、第3方向Zに沿って観察する場合、第1方向Xと第2方向Yとの間の交点から第1接続領域31の幾何学的中心までの放射線と、当該交点から第2接続領域41の幾何学的中心までの放射線との間の角度である。
【0045】
電気化学装置100が充電/放電の状態にある場合、第1タブ3が発生する磁界と第2タブ4が発生する磁界とは少なくとも部分的に相殺され、これにより、電気化学装置100が発生する磁界は弱められ、さらに、電気化学装置100が発生する磁界の電気デバイスに与える影響は低減される。
【0046】
θ>60°に比べて、0°≦θ≦60°のときに、第1タブ3が発生する磁界と第2タブ4が発生する磁界とが相殺する効果はより好ましく、電気化学装置100による磁界が電気デバイスに与える影響はより小さい。
【0047】
図11に示すように、0°≦θ≦30°であってもよい。30°<θ≦60°に比べて、0°≦θ≦30°の場合、第1タブ3が発生する磁界と第2タブ4が発生する磁界とが相殺する効果はより好ましく、且つ、電気化学装置100の端面各所における磁界強度の差異はより小さい。
【0048】
図12及び
図13に示すように、第3方向Zに沿って見ると、第1接続領域31の幾何学的中心から第3接続領域32の幾何学的中心までの距離をL1とし、第2接続領域41の幾何学的中心から第4接続領域42の幾何学的中心までの距離をL2とする。
【0049】
オプションとして、0.18≦L1/L2≦2.75を満たしてもよい。L1/L2の他の値に比べて、0.18≦L1/L2≦2.75を満たす場合、第1タブ3が発生する磁界と第2タブ4が発生する磁界とが相殺する効果はより好ましく、電気化学装置100による磁界が電気デバイスに与える影響はより小さい。
【0050】
さらにオプションとして、0.45≦L1/L2≦2.2を満たしてもよい。この場合、第1タブ3が発生する磁界と第2タブ4が発生する磁界との相殺効果はより好ましく、しかも、電気化学装置100の端面各所における磁界強度の差異は小さい。
【0051】
図8、
図9、
図12及び
図13に示すように、電極アセンブリ2は巻取構造である。一実施例では、第1活物質層211は、巻取構造の巻取り開始端に設けられた第1端部2111を含む。第2活物質層221は、巻取構造の巻取り開始端に設けられた第2端部2211を含む。
【0052】
第1タブ21の長手方向に沿って、第1接続領域31の幾何学的中心から第1端部2111までの距離をDとし。第2電極シート22の長手方向に沿って、第2接続領域41の幾何学的中心から第2端部2211までの距離をD2とする。
【0053】
オプションとして、0.5≦D1/D2≦2を満たしてもよい。D1/D2の他の値に比べて、0.5≦D1/D2≦2を満たす場合、第1電極シート21による磁界と第2電極シート22による磁界とが相殺される効果はより好ましく、電気化学装置100による磁界の電気デバイスへの影響は小さい。
【0054】
さらにオプションとして、0.9≦D1/D2≦1.1を満たしてもよい。この場合、第1電極シート21が発生する磁界と第2電極シート22が発生する磁界とが相殺される効果はより好ましく、且つ、電気化学装置100の端面各所における磁界強度の差異は小さい。
【0055】
図4、
図5及び
図14を参照して分かるように、第1コネクタ5は、第5接続領域51と、第6接続領域52とを含む。第5接続領域51は第1電極111に接続され、第6接続領域52は第1コネクタ5の第1電極111から離れた一端に位置する。第2コネクタ6は、第7接続領域61と、第8接続領域62とを含む。第7接続領域61は底壁13に接続され、第8接続領域62は第2コネクタ6の第7接続領域61から離れた一端に位置する。
【0056】
第3方向Zに沿って見ると、第5接続領域51の幾何学的中心と第6接続領域52の幾何学的中心との間の連結線をW1とし、第7接続領域61の幾何学的中心と第8接続領域62の幾何学的中心との間の連結線をW2とし、W1とW2との間の角度をβとする。本願では、βとは、第3方向Zに沿って観察する場合、W1とW2の間の交点から第6接続領域52の幾何学的中心までの放射線と、当該交点から第8接続領域62の幾何学的中心までの放射線との間の角度である。
【0057】
オプションとして、0°≦β≦30°を満たしてもよい。β>30°に比べて、0°≦β≦30°を満たす場合、第1コネクタ5が発生する磁界と第2コネクタ6が発生する磁界とが相殺される効果はより好ましく、電気化学装置100による磁界が電気デバイスに与える影響はより小さい。
【0058】
第3方向Zに沿って見ると、第5接続領域51の幾何学的中心と第6接続領域52の幾何学的中心との距離をL3とし、第7接続領域61の幾何学的中心と第8接続領域62の幾何学的中心との距離をL4とする。
【0059】
オプションとして、0.45≦L3/L4≦2.2を満たしてもよい。L3/L4の他の値に比べて、第1コネクタ5が発生する磁界と第2コネクタ6が発生する磁界とが相殺される効果は好ましく、電気化学装置100による磁界が電気デバイスに与える影響は小さい。
【0060】
さらにオプションとして、0.9≦L3/L4≦1.1を満たしてもよい。この場合、第1コネクタ5が発生する磁界と第2コネクタ6が発生する磁界との相殺効果はより好ましく、また、電気化学装置100の端面各所における磁界強度の差異は小さい。
【0061】
電気化学装置100が発生する磁場への本願発明による減弱効果を検証するために、以下の複数の比較試験を行った。
【0062】
<試験1>
第1タブを正極タブとし、第2タブを負極タブとし、L1/L2の値を0.9335として、角度θの大きさを変化させ、頂壁11側の磁束密度B1及び底壁13側の磁束密度B2を記録する。
【0063】
本願において、磁束密度は磁気誘導強度とも呼ばれ、磁場の強弱を表すことができる。磁束密度の数値が大きいほど、磁場が強く、電気化学装置100が発生する磁場に対する減弱効果は小さくなることを示す。磁束密度の数値が小さいほど、磁場が弱く、電気化学装置100が発生する磁場に対する減弱効果は大きくなることを示す。
【0064】
【0065】
図12に示されるように、上記テーブルのデータを曲線図に描く。
【0066】
図15及び表1から、θが0°のとき、磁束密度B1は4.56×10
-6Tであり、磁束密度B2は3.39×10
-6Tであることが分かる。θが30°のとき、磁束密度B1は5.1×10
-6T(約θが0°のときの1.12倍)であり、磁束密度B2は4.12×10
-6T(約θが0°のときの1.22倍)である。θが60°のとき、磁束密度B1は6.21×10
-6T(約θが0°のときの1.36倍)であり、磁束密度B2は4.85×10
-6T(約θが0°のときの1.43倍)である。
【0067】
0°≦θ≦30°を満たす場合、第1タブ3における電流方向と第2タブ4における電流方向とは逆になる傾向があり、第1タブ3が発生する磁界と第2タブ4が発生する磁界とが相殺する効果はより好ましく、電気化学装置100の電磁特性はよい。また、
図15から分かるように、角度θが0°から30°の範囲内で変化するときに、磁束密度B1、B2の傾斜率はともに小さい。即ち、この範囲で、第1タブ3と第2タブ4との間の磁界が相殺する効果の差異は小さい。
【0068】
<試験2>
第1タブを正極タブとし、第2タブを負極タブとし、角度θを0°とし、D1/D2の値を0.9418として、L1/L2の値を変更して、頂壁11側の磁束密度B1、底壁13側の磁束密度B2を記録する。
【0069】
【0070】
表2から分かるように、L1/L2が1である場合、磁束密度B1は約4.56×10-6Tであり、磁束密度B2は約3.43×10-6Tである。
【0071】
L1/L2が0.45である場合、磁束密度B1は約7.76×10-6T(約L1/L2が1の場合の1.70倍)、磁束密度B2は約5.70×10-6T(約L1/L2が1の場合の1.66倍)である。
【0072】
L1/L2が1.57である場合、磁束密度B1は約5.60×10-6T(約L1/L2が1の場合の1.23倍)、磁束密度B2は約6.32×10-6T(約L1/L2が1の場合の1.84倍)である。
【0073】
L1/L2が1.83である場合、磁束密度B1は約5.90×10-6T(約L1/L2が1の場合の1.29倍)、磁束密度B2は約7.03×10-6T(約L1/L2が1の場合の2.05倍)である。
【0074】
L1/L2が2.20である場合、磁束密度B1は約6.61×10-6T(約L1/L2が1の場合の1.45倍)、磁束密度B2は約7.80×10-6T(約L1/L2が1の場合の2.27倍)である。
【0075】
そのため、0.45≦L1/L2≦2.2を満たす場合、第1タブ3が発生する磁界と第2タブ4が発生する磁界との相殺効果は好ましく、頂壁11側と底壁13側の磁束密度はいずれも8×10-6T未満であり、電気化学装置100の電磁特性は良い。また、第1タブ3が発生する磁界と第2タブ4が発生する磁界とはより均一な相殺されるので、電気化学装置の端面各所における磁界強度の差異を低減することができる。さらに、0.45≦L1/L2≦1.57を満たす場合、L1/L2が1である場合の磁束密度に比べて、頂壁11側と底壁13側の磁束密度の変化幅は小さく、電気化学装置全体が良好な電磁特性を有することを確保できる。
【0076】
図16に示すように、本願の実施形態は、電気デバイス200をさらに提供する。電気デバイス200は、デバイス本体210と、上記何れかの実施例に記載の電気化学装置100を備える。電気化学装置100は、デバイス本体210に設けられている。電気化学装置100は、自身が発生した磁場を弱め、より良い電磁特性を持ち、自身の磁場が電気デバイス200に与える影響を弱めることができる。
【0077】
また、当業者は本願の精神内で他の変更を行っても良い。もちろん、これらの本願の精神に基づいて行われた変更例は、いずれも本願に開示された範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0078】
100 電気化学装置
1 シェル
11 天井壁
111 第1電極
1111 第1部分
1111a 第3表面
1112 第2部分
112 第1表面
113 第2表面
114 貫通孔
12 側壁
13 底壁
131 導電部
14 収容キャビティ
2 電極アセンブリ
21 第1電極シート
211 第1活物質層
2111 第1端部
22 第2電極シート
221 第2活物質層
2211 第2端部
23 セパレートフィルム
3 第1タブ
31 第1接続領域
32 第3接続領域
4 第2タブ
41 第2接続領域
42 第4接続領域
5 第1コネクタ
51 第5接続領域
52 第6接続領域
6 第2コネクタ
61 第7接続領域
62 第8接続領域
7 絶縁体
200 電気デバイス
210 デバイス本体
L1 第1接続領域の幾何学的中心から第3接続領域の幾何学的中心までの距離
L2 第2接続領域の幾何学的中心から第4接続領域の幾何学的中心までの距離
L3 第5接続領域の幾何学的中心から第6接続領域の幾何学的中心までの距離
L4 第7接続領域の幾何学的中心から第8接続領域の幾何学的中心までの距離
X 第1方向
Y 第2方向
Z 第3方向
【国際調査報告】