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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】表示導波路の破損の検出
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20241029BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20241029BHJP
   G02C 11/00 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
H04N5/64 511A
G02C11/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525995
(86)(22)【出願日】2022-09-21
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 US2022044192
(87)【国際公開番号】W WO2023080964
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】63/276,044
(32)【優先日】2021-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポトニス,シェリアス
(72)【発明者】
【氏名】ローガン,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】カルバシ,アリ
(72)【発明者】
【氏名】ボディヤ,ティモシー・ポール
(72)【発明者】
【氏名】ムーア,ジョシュア
【テーマコード(参考)】
2H006
2H199
【Fターム(参考)】
2H006CA00
2H199CA12
2H199CA25
2H199CA27
2H199CA29
2H199CA30
2H199CA32
2H199CA42
2H199CA45
2H199CA50
2H199CA53
2H199CA66
2H199CA67
2H199CA68
2H199CA89
2H199CA91
2H199CA94
(57)【要約】
ヘッドマウント表示部(HMD)デバイスは、表示光を投影するマイクロ表示部または他の画像プロジェクタを収容するフレームと、画像プロジェクタからの表示光を受け取る表示導波路とを含む。検出コントローラが表示導波路の破損状態を判定する。破損状態はフレーム内に収容された監視センサに基づいて判定され得る。例えば、監視されるセンサは、表示導波路の少なくとも一部の周囲に配置された導電性ループを含んでいてもよく、1つまたは複数の電気接触パッドが導電性ループと電気的に接触し、検出コントローラに通信可能に接続された状態で、導電性ループの監視されたループ抵抗に基づいて破損状態を判定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示光を投影するための画像プロジェクタを収容するフレームと、
前記画像プロジェクタからの前記表示光を受け取るための表示導波路と、
前記表示導波路の現在の破損状態を判定するための検出コントローラと
を備える、ヘッドマウント表示部(HMD)デバイス。
【請求項2】
前記表示導波路の少なくとも一部の周囲に配置された導電性ループと、
前記導電性ループと接触し、前記検出コントローラに通信可能に接続された1つまたは複数の電気接触パッドをさらに含み、
前記検出コントローラが前記導電性ループのループ抵抗を監視し、
前記検出コントローラはさらに、前記導電性ループの前記監視されたループ抵抗に基づいて前記表示導波路の前記現在の破損状態を判定する、
請求項1に記載のHMDデバイス。
【請求項3】
前記フレームに前記検出コントローラが収納されており、
前記検出コントローラはさらに、前記監視されたループ抵抗が、前記導電性ループが現在短絡していないことを示しているとの判定に基づいて、前記表示導波路の前記現在の破損状態を検出する、
請求項2に記載のHMDデバイス。
【請求項4】
前記導電性ループは、無線周波数アンテナとして動作するように構成されている、請求項2に記載のHMDデバイス。
【請求項5】
前記検出コントローラはさらに、前記表示導波路が損傷していることを示す前記表示導波路の前記現在の破損状態に応答して、前記画像プロジェクタの非アクティブ化を開始する、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のHMDデバイス。
【請求項6】
前記検出コントローラは、前記表示導波路のアセンブリと前記フレームとの1つまたは複数の接触点上の1つまたは複数の歪みゲージに通信可能に接続され、前記アセンブリ内の応力の変化を検出する、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のHMDデバイス。
【請求項7】
前記検出コントローラは、前記表示導波路の端で内部結合光を監視して前記内部結合光の変化を検出する1つまたは複数の光ダイオードに通信可能に接続されている、請求項1~請求項51のいずれか1項に記載のHMDデバイス。
【請求項8】
前記検出コントローラは、前記表示導波路上に結合された1つまたは複数の表面弾性波(SAW)の振幅の変化を検出する1つまたは複数の検出器に通信可能に接続されている、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のHMDデバイス。
【請求項9】
表示導波路によってプロジェクタからの表示光を受け取ることと、
1つまたは複数のセンサによって生成された情報に基づいて、前記表示導波路の現在の破損状態を判定することと
を含む方法。
【請求項10】
前記1つまたは複数のセンサは、前記表示導波路の少なくとも一部の周囲に配置された導電性ループと接触する1つまたは複数の電気接触パッドを含み、前記電気接触パッドは、前記導電性ループのループ抵抗を監視する回路に通信可能に接続されており、
前記現在の破損状態を判定することは、前記導電性ループの前記監視されたループ抵抗に基づいて前記表示導波路の前記現在の破損状態を判定することを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記現在の破損状態を判定することは、前記監視されたループ抵抗が、前記導電性ループが現在短絡していないことを示しているという判定に基づいて、前記表示導波路の前記現在の破損状態を判定することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記導電性ループは、無線周波数アンテナとしてさらに動作するように構成されている、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記表示導波路が損傷していることを示す前記表示導波路の破損状態の判定に応答して、前記プロジェクタの非アクティブ化を開始することをさらに含む、
請求項9~請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記1つまたは複数のセンサは、
表示導波路アセンブリとヘッドセットのフレームとの1つまたは複数の接触点に配置された1つまたは複数の歪みゲージを含み、前記現在の破損状態を判定することは、前記1つまたは複数の歪みゲージから歪みゲージ信号を受信することに基づいて、前記アセンブリ内の応力の変化を検出することをさらに含むか、
前記表示導波路の端で内部結合光を監視する1つまたは複数の光ダイオードを含み、前記現在の破損状態を判定することは、前記内部結合光に対する1つまたは複数の変化を検出することをさらに含むか、または
前記表示導波路に結合された表面弾性波(SAW)を監視する1つまたは複数の検出器を含み、前記現在の破損状態を判定することは、前記表示導波路に結合された前記表面弾性波SAWのうちの1つまたは複数の振幅の変化を検出することをさらに含むか
のうちの少なくとも1つを含む、請求項9~請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記表示導波路の前記現在の破損状態は、前記表示導波路が現在無傷であること、前記表示導波路が現在損傷していること、前記表示導波路に現在1つまたは複数の裂け目があること、または前記表示導波路に現在不連続性があることのうちの1つまたは複数を含む、請求項9~請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
光学の分野では、結合器(combiner)は、2つの光源、例えば、マイクロ表示部から送信され、表示導波路を介して結合器に送られる光と、結合器の外側からの環境光とを組み合わせる光学装置である。光結合器は、ヘッドマウント表示部(HMD:head mounted display)またはニアアイ表示部と呼ばれることもあるヘッドアップ表示部(HUD:heads up display)において使用され、HMDにより、ユーザはコンピュータ生成コンテンツ(例えば、テキスト、画像、またはビデオコンテンツ)を、HMDを通して見られるユーザの環境に重ねて見ることができ、一般に拡張現実(AR:augmented reality)として知られるものを作成できる。いくつかの用途では、HMDは眼鏡フレームの形状因子(form factor)に実装され、光結合器が眼鏡フレーム内のレンズの1つの少なくとも一部を形成する。HMDにより、ユーザは環境光景と実質的に同時にコンピュータ生成コンテンツを閲覧できるようになる。
【0002】
AR眼鏡の表示導波路は、表示光が発生する光源からユーザのアイボックス領域に表示光を導くために、回折、反射、またはホログラフィック結合器(coupler)を有する透明な材料(例えば、ガラス、プラスチック)の薄い基板を使用して形成され得る。したがって、表示導波路は、AR眼鏡のレンズ内に埋め込まれた透明な材料の薄片を含んでいる場合がある。このようなデバイスは、表示導波路内に高強度の光を導くことができる。例えば、高強度の光は眼鏡のアームで生成され得、表示導波路に投影され、内部反射によって表示導波路内を伝播し、ユーザの目に送り出され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の導波路は通常比較的薄いため(例えば、多くの場合0.5mm以下)、亀裂または他の破損が発生しやすく、例えば、完全に破損した場合には導波路が完全に機能しなくなってしまうか、または、表示導波路に割れ目が生じた場合に、重大な画像の歪みおよびゴースト画像が発生することによって、性能に影響を与える可能性がある。さらに、導波路の亀裂または他の破損は、高強度の光が漏れ出す、意図しない経路を生み出す可能性があり、ユーザまたは傍観者に安全上のリスクをもたらす可能性がある。
【0004】
添付の図面を参照することによって、本開示がよりよく理解され得、その多くの特徴および長所が当業者に明らかになる。異なる図面での同じ参照記号の使用は、類似または同一の項目を示す。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】いくつかの実施形態による、表示導波路の破損を検出する表示システムを示す図である。
図2】いくつかの実施形態による、図1の表示システムの横断面を示す図である。
図3】いくつかの実施形態による、導電性ループを有する表示導波路の上面図である。
図4】いくつかの実施形態による、図3の導電性ループを有する表示導波路の目側に面した図である。
図5】いくつかの実施形態による、図1図2の表示システムのフレーム内の、導電性ループを有する表示導波路の目側に面した図である。
図6】いくつかの実施形態による、歪みゲージおよびモニタを有する表示導波路の上面図である。
図7】いくつかの実施形態による、光源および1つまたは複数の光ダイオードを有する表示導波路の上面図である。
図8】いくつかの実施形態による、表面弾性波(SAW:surface acoustic waves)発生器およびSAW検出器を有する表示導波路の上面図である。
図9】いくつかの実施形態による、表示導波路の破損を検出するための導電性ループを作成する方法を示すフローチャートである。
図10】いくつかの実施形態による表示導波路の破損を検出する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
詳細な説明
本明細書での説明は概して、拡張現実システムにおける表示導波路の破損を検出するためのさまざまなシステムおよび技術を対象としている。この説明はさらに、表示導波路の破損に起因する潜在的な悪影響を軽減するためのシステムおよび技術を対象としている。いくつかの実装形態では、AR眼鏡のフレーム内に収容された検出コントローラは、フレーム内に収容された1つまたは複数のセンサを監視することに基づいて、表示導波路の破損を示す破損状態を判定してもよい。検出コントローラは、表示導波路の破損の判定に応じて、マイクロ表示部または他のプロジェクタの非アクティブ化を開始できる。いくつかの実施形態では、表示導波路の破損検出は、ループ抵抗(例えば、短絡対開回路)を監視する回路に動作可能に接続された電気接触パッドを有する表示導波路の周囲に導電性ループを適用することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、破損を検出することに加えて、導電性ループは、無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN:wireless personal area network)アンテナまたは無線ローカルエリアネットワーク(WLAN:wireless local area network)アンテナなどの無線アンテナとして有利に機能し得、システムに物理アンテナ要素を追加する必要をなくす可能性がある。この表示導波路の破損検出は、表示導波路と取り付けフレームの接触点に歪みゲージを追加して、破損によるアセンブリ内の応力の変化を検出することをさらに含んでいてもよい。この表示導波路の破損検出処理は、内部結合光を表示導波路の端に到達する際に監視し、内部結合光の変化を検出する光ダイオードを提供することも含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、表示導波路の破損検出は、表示導波路上で表面弾性波(SAW)を結合することと、SAWの振幅の変化を検出する検出器を提供することとを含む。
【0007】
図1は、いくつかの実施形態による、1つまたは複数の表示導波路検出技術を実装する例示的な表示システム100を示す。表示システム100は、マイクロ表示部、走査ミラーレーザプロジェクタ、またはユーザの目に向かって画像を投影するように構成された他のプロジェクタ(図1には示されていない)を収容するフレーム106を含む支持構造104を有する光結合器102を使用しており、これにより、ユーザは、投影された画像が結合器102における視野(FOV:field of view)領域108内に表示されているように認識する。支持構造104はまた、支持構造104を使用者の目の前の位置に装着できるようにする部品を含む。このような部品の例としては、ユーザの耳で支持されるアーム110および112(「テンプル」としても知られる)がある。いくつかの実施形態では、支持構造104をユーザの目の前に固定するために、ユーザの頭の周りおよび/または頭の上に着用するように構成された1つまたは複数のストラップ(図示せず)が、1つまたは複数のアームの代わりに使用され得る。いくつかの実施形態では、表示システム100は、レンズ要素114が結合器でもあり、マイクロ表示部がアーム112に近接したフレーム106の部分に収容され、レンズ要素114内のFOV領域に画像を投影するように対称的に構成されている。いくつかの実施形態では、マイクロ表示部は、レンズ要素114内のFOV領域に画像を投影するために、フレーム106の鼻梁部分120内に収容されていてもよい。
【0008】
図示の例では、表示システム100は、支持構造104が、ユーザの頭に装着されるように構成され、眼鏡フレームの一般的な形状および外観(または「形状因子」)を有するHMDの形態のニアアイ表示システムである。支持構造104は、マイクロ表示部およびフィールドレンズなどの、ユーザの目へのそのような画像の投影を容易にするためのさまざまな部品を収容するか、さもなければ含み、これらは図2を参照して以下でより詳細に説明される。いくつかの実施形態では、支持構造104は、1つまたは複数の前面カメラ、背面カメラ、他の光センサ、運動センサ、加速度計などのさまざまなセンサをさらに含む。支持構造104は、1つまたは複数の無線周波数(RF:radio frequency)インターフェース、またはBluetooth(商標)インターフェース、無線フィデリティ(WI-FI)インターフェースなどの他の無線インターフェースをさらに含んでいてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、支持構造104は、表示システム100の電気部品および処理システムの1つまたは複数のプロセッサなどの処理部品に電力を供給するための1つまたは複数のバッテリまたは他のポータブル電源をさらに含む。いくつかの実施形態では、表示システム100のこれらの構成要素の一部またはすべては、アーム110および支持構造104の領域116内のフレーム106の一部内など、支持構造104の内部容積内に完全または部分的に収容されている。いくつかの実施形態では、表示システム100のこれらの部品の一部またはすべては、フレーム106の鼻梁部分120内に完全にまたは部分的に収容されている。例示的な形状因子が示されているが、他の実施形態では、表示システム100は、図1に示されている眼鏡フレームとは異なる形状および外観を有してもよいことが理解されることに留意されたい。
【0009】
図示の実施形態では、結合器102は、表示システム100によって拡張現実(AR)表示を提供するために使用され、レンダリングされたグラフィックコンテンツを、結合器102を介してユーザが知覚する現実世界の光景に重ね合わせるか、さもなければそれと併せて提供することができる。例えば、知覚可能な画像または一連の画像を形成するために使用される光は、以下にさらに説明するように、表示システム100のマイクロ表示部によって、結合器102内に少なくとも部分的に形成された表示導波路、およびマイクロ表示部と表示導波路との間に配置された1つまたは複数のレンズおよび/またはフィルタなど、一連の光学素子を介してユーザの目に投影され得る。光結合器102は、表示導波路の内部結合器によって受け取られた表示光を、表示システム100のユーザの目に向かって表示光を出力する、表示導波路の外部結合器に経路指定する表示導波路の少なくとも一部を含む。さらに、光結合器102は、ユーザが結合器102を通して見ることができ、画像が現実世界環境の少なくとも一部に重ねて見えるようにユーザの現実世界環境の視野を提供できるほど十分に透明である。例えば、上で論じた処理部品は、フレーム内に収容された1つまたは複数のセンサを監視することに基づいて、表示導波路の現在の破損状態を判定する検出コントローラ118を含んでもよい。例えば、検出コントローラは、任意のタイプの単一または分散型回路またはプロセッサ(例えば、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC:application-specific integrated circuit)、中央処理装置(CPU:central processing unit)など)を含んでいてもよい。例えば、現在の破損状態は、表示導波路が無傷であるか、損傷しているか、裂け目があるか、または表示導波路を通過する光に悪影響を与え得るいくつかの他の不連続性があることを示していてもよい。いくつかの実施形態では、検出コントローラ118は、表示導波路の破損、裂け目、またはいくつかの他の不連続性の判定に応答して、マイクロ表示部または他のプロジェクタの非アクティブ化を開始する。
【0010】
図1には示されていないが、図3図5を参照して以下に詳細に説明されるが、いくつかの実施形態では、導電性ループは、検出コントローラ118に通信可能に接続された電気接触パッドを有する表示導波路の少なくとも一部の周囲に配置される。この例では、検出コントローラ118は、導電性ループへの電流の供給を開始し、所定の抵抗閾値に基づいてループ抵抗(すなわち、短絡対開回路)を監視する。いくつかの実施形態では、検出コントローラ118は、監視されたループ抵抗に基づいて表示導波路の破損または他の不連続性を判定する。いくつかの実施形態では、ループはインターロックとして機能してもよく、ユーザがデバイスを改ざんしてコントローラへのリード線をショートさせた(例えば、表示導波路が存在し、無傷であるかのように見せるため)かどうかを識別することが望ましい場合がある。その場合、導電性ループは特定のインピーダンス(例えば、事前に定義された閾値範囲内のインピーダンス)を持つように実装でき、検出コントローラ118は、導電性ループのインピーダンスの変化の識別に基づいて、表示導波路の破損または他の不連続性を判定することができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、導電性ループは、破損の検出での使用に加えて、無線周波数アンテナの機能を有利に実行することができ、システム内に物理的要素を追加する必要がなくなる可能性がある。例えば、無線周波数アンテナは、Bluetooth(商標)またはWI-FIアンテナを含んでいてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、検出コントローラ118は、図1に示すように、支持構造104の領域116に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、ガラスの破損は最初にガラス片の端で発生し、ガラス片の中心まで伝播する可能性があるため、導電性ループ(例えば、図2の導電性ループ214を参照)は、表示導波路を具体化するレンズの端に、または実質的にその近くに配置され、したがって、ガラスの破損の検出は、表示導波路の破損を示している可能性がある。例えば、導電性ループは、導電性金属材料(例えば、アルミニウム、銀、クロム、金など)を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、導電性ループは、厚さが数ミクロン(例えば、厚さ5~50ミクロン)であり、ループは、表示導波路を収容するガラス(またはプラスチック)片の全体の周りに延在する。いくつかの実施形態では、導電性ループは、関心のある表示導波路の特定の部分のみの周囲に配置され得る。例えば、射出瞳拡大器(EPE:exit pupil expander)領域の監視に興味がある場合、導電性ループをEPEの周囲に配置してもよい。このような集中監視により、有利には、より小さな導電性ループ、または多くの異なるレンズ形状に共通に使用できる導電性ループが得られる可能性がある。いくつかの実施形態では、導電性ループは実質的に透明であるため、導電性ループは見えず、導電性ループを収容するレンズは使用者の視点からは透明に見える。
【0013】
いくつかの実施形態では、検出コントローラ118は、監視されたループ抵抗に基づいて、導電性ループが現在短絡していないと判定することに基づいて、表示導波路の破損が発生したと判定する。いくつかの実施形態では、検出コントローラ118は、表示導波路の破損に起因する潜在的な悪影響を軽減するために、表示システム100のプロジェクタ(例えば、マイクロ表示部)の非アクティブ化(例えば、スイッチオフ)を開始してもよい。
【0014】
図2は、少なくとも1つの実施形態による、フレーム106内に取り付けられた結合器102を含むシステム100の横断面を示す。結合器102は、結合器102の目側208の反対側、結合器102の世界側204に位置する表示導波路202を含む。表示導波路202は、表示導波路202内を進行する光に作用して、光の進行方向、光の偏光状態、および光が屈折または反射される角度のうちの少なくとも1つを変化させるように構成されている。これらの変化は、表示導波路202内の光の外部結合器機構210への伝達を促進し、そこで光は表示導波路202からユーザの目212に向けて導かれる。
【0015】
表示導波路202は、フレーム106の上部のハウジング218内に取り付けられたマイクロ表示部216からの表示光を受け取るために、フレーム106内に配置されている。マイクロ表示部216は、コンピュータ生成コンテンツをマイクロ表示部216に提供する役割を担うコンピューティング部品(図示せず)に接続されている。他の実装形態では、MEMSベースのレーザ走査プロジェクタなどの異なる形式の画像プロジェクタが使用されてもよく、よって、マイクロ表示部216への参照は、別段の指示がない限り、他のタイプの画像プロジェクタにも同様に適用されることに留意されたい。いくつかの実施形態では、コンピュータ生成コンテンツには、表示システム100を装着しているユーザによって閲覧されることを意図したビデオコンテンツ、画像、またはテキストが含まれる。いくつかの実施形態では、マイクロ表示部216から放射された光は、フィールドレンズ220を通って伝えられ、フィールドレンズ220は、光が表示導波路202内を伝播するときに光の広がりが最小限になるように、光を平行に整列させるように機能する。歪みなどのフィールド収差を補正するためにフィールドレンズ220を通過した後、光は、内部結合器機構222において表示光224として表示導波路202内に伝送される。
【0016】
いくつかの実施形態では、マイクロ表示部216は、発光ダイオード(LED:light-emitting diode)または有機発光ダイオード(OLED:organic light-emitting diode)表示部などの透過型表示部である。いくつかの実施形態では、マイクロ表示部216は、走査型レーザプロジェクタ、または変調光源と動的反射機構またはデジタル光プロセッサとの組合せなどの反射型表示部である。マイクロ表示部216は、表示システム100のFOV領域108(図1に示す)と指定される可変領域にわたって光を投影する。投影領域サイズはFOV領域108のサイズに対応し、投影領域位置はFOV領域108がユーザに見える光結合器102の領域に対応する。一般に、表示部は、幅広い範囲の角度にわたる光の外部結合に対応するために、広いFOVを持つことが望ましい場合がある。本明細書では、表示部を見ることができるさまざまなユーザの目の位置の範囲を表示部のアイボックスと呼ぶ。
【0017】
表示導波路202は、環境光226が表示導波路202から伝えられる表示光224と組み合わされて、ユーザの環境に重なる画像をユーザに提示するように、環境光226が結合器102を通って伝送されることを可能にする透明な光学材料から形成されている。図1に関して上で説明したように、いくつかの実施形態では、検出コントローラ118は、ループ抵抗(すなわち、短絡対開回路)を監視する回路に通信可能に接続された電気接触パッドを有する表示導波路202の周囲に配置された、導電性材料から形成された図示の導電性ループ214などの導電性ループを使用して少なくとも部分的に実装され得る。
【0018】
ユーザが見るための画像を表示するために、マイクロ表示部216は光をフィールドレンズ220に向け、フィールドレンズ220は光を内部結合器機構222に向ける。内部結合器機構222は、表示光224として光を結合器102の表示導波路202内に導き、次いで、表示光224は、全内部反射(TIR:total internal reflection)を介して表示導波路202内および表示導波路202に沿って結合器102の外部結合器機構210に伝えられる。外部結合器機構210は、表示光224が結合器102からユーザの目212に向けて導かれるように、表示光224を臨界角未満の角度で反射するように構成されている。外部結合器機構210から反射された表示光224と、世界側204から結合器102を通って伝送された環境光226との組合せにより、ユーザが見ることのできるARシーンが作成される。画像を表す表示光224と環境光226の両方がユーザの目212に向かって進むと、ユーザは焦点が合った画像と環境シーンの両方を見ることになる。一般に、「内部結合器機構」および「外部結合器機構」という用語は、回折格子、ホログラム、ホログラフィック光学素子(例えば、1つまたは複数のホログラムを使用する光学素子)、体積回折格子、体積ホログラム、表面レリーフ回折格子、フレネル反射器、埋め込みミラー、フレネル反射、または表面レリーフホログラムを含むがこれらに限定されない、任意のタイプの光学構造を指すものと理解される。いくつかの実施形態では、所与の内部結合器または外部結合器は、内部結合器または外部結合器に光を伝送させ、伝送中に設計された光学機能を光に適用させる透過型格子(例えば、透過型回折格子または透過型ホログラフィック格子)として構成されている。いくつかの実施形態では、所与の内部結合器または外部結合器は、内部結合器または外部結合器に光を反射させ、反射中に設計された光学機能を光に適用させる反射型格子(例えば、反射型回折格子または反射型ホログラフィック格子)である。
【0019】
図3図5は、いくつかの実施形態における、導電性ループ304を有する表示導波路302の例示的な導電性ループ集合体300の異なる図を示す。図3は、表示導波路302の例示的な導電性ループ集合体300の一般化した上面図を示す。図4に、より明確に示されるように、いくつかの実施形態では、導電性ループ304は、表示導波路302を具体化するレンズの周囲に位置し、表示導波路302を実質的に取り囲むように配置されている。いくつかの実施形態では、導電性ループ304は、表示導波路302の目側に面した表面に配置される。いくつかの実施形態では、導電性ループ304は、表示導波路302の世界側表面に配置される。電気接触パッド306および308は、導電性ループ304を回路(例えば、検出コントローラ118)に通信可能に結合するために設けられる。例示の目的で、いくつかの実施形態では、導電性ループ304は、それぞれの電気接触パッド306および308と検出コントローラ118との間に配置された電線を介して検出コントローラ118に通信可能に結合されて示されている。いくつかの実施形態では、導電性ループ304は、1つまたは複数の回路(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)、中央処理装置(CPU)など)を介して、または無線接続を介して、検出コントローラ118に結合されていてもよい。図3では、表示導波路302は、レンズ310および312をさらに含むレンズスタックを形成する複数のレンズの一部として示されている。
【0020】
図4は、いくつかの実施形態における、図3の表示導波路302の導電性ループ集合体300の目側に面した図を示す。図4に示すように、導電性ループ304は、表示導波路302を実質的に取り囲むように配置され、表示導波路302を具体化するレンズの周囲に位置する。いくつかの実施形態では、導電性ループ304は、多要素スタックの一部として埋め込まれてもよい。電気接触パッド306および308は、導電性ループ304を検出コントローラ118に通信可能に結合するために設けられる。図5は、表示システム100のフレーム106内の目側に面した図で示される、図3図4の導電性ループ集合体300の例示的な配置を示す図である。
【0021】
表示システム100では、組み立て時にレンズアセンブリ全体(レンズスタックを含む)に応力がかかる。表示導波路302が破損すると応力が解放される。したがって、いくつかの実施形態では、表示導波路302の破損によるアセンブリ内の応力の変化を検出するために、表示導波路アセンブリとフレーム106との1つまたは複数の接触点に歪みゲージが配置される。
【0022】
図6は、歪み検出器618(検出コントローラ118の1つの実施形態)に通信可能に接続された歪みゲージおよびモニタ602を含む歪みゲージ集合体600の一般的な上面図を示す。上で論じたように、レンズスタック全体(例えば、表示導波路302ならびにレンズ310および312)は、組み立て時に応力下にある。表示導波路302が破損すると応力が解放され、歪みゲージからモニタへの信号が変化する。歪みゲージの信号の差が所定の歪み閾値を超えていると判定された場合、歪み検出器618によって破損が判定される。いくつかの実施形態では、歪みゲージ集合体600は、上述した図5に示す導電性ループ集合体300の配置と同様に、表示システム100のフレーム106内に配置される。
【0023】
いくつかの実施形態では、内部結合光が表示導波路302の端に到達するときに内部結合光を監視する1つまたは複数の光ダイオードが提供されてもよく、光ダイオードは内部結合光の変化を検出する。図7は、表示導波路302の端に配置された光源702と、光源702の反対側の、表示導波路302の別の端に配置された光ダイオード704と、光ダイオード704に通信可能に接続された検出コントローラ118とを含む光ダイオード集合体700の一般化した上面図を示す。光源702は、内部結合光を介して表示導波路302内に向けられる光(例えば、赤外光)を提供する。いくつかの実施形態では、マイクロ表示部216は光源702として機能する。光ダイオード704は、光源702の反対側に位置する、表示導波路302の端で光を検出する。表示導波路302の破損、裂け目、または他の異常により、光ダイオード704が受け取る内部結合光に差が生じる。破損は、光ダイオード704の信号の差が所定の内部結合光閾値を超えると判定されたときに、検出コントローラ118によって判定される。いくつかの実施形態では、光ダイオード集合体700は、上述した図5に示す導電性ループ集合体300の配置と同様に、表示システム100のフレーム106内に配置される。
【0024】
表示導波路302の破損、裂け目、およびその他の不連続性は、表面弾性波(SAW)の伝播を妨げる。したがって、少なくとも1つの実施形態では、表示システム100は、SAW発生器およびSAW検出器の形態で破損検出を実装する。図8は、いくつかの実施形態において、検出コントローラ118に通信可能に接続されたSAW発生器802、SAW804、およびSAW検出器806を含むSAW集合体800の一般化した上面図を示す。例えば、SAW発生器802は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:lead zirconium titanate)変換器(transducer)を含んでいてもよく、SAW検出器806は、表示導波路302の横端、または表示導波路302の上端および下端など、表示導波路302を使用するレンズの両側に取り付けられたPZT検出器を含んでいてもよい。図8に示す例では、SAW検出器806は検出コントローラ118に通信可能に接続されている。ただし、いくつかの実施形態(図示せず)では、SAW検出器は、検出コントローラとして機能するプロセッサを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、SAW発生器802は、表示導波路302の表面にわたって伝達され、SAW検出器806によって検出される音波を放射するように動作するスピーカ、圧電発生器、または他の振動部品を含む。少なくとも1つの実施形態では、そのような音波は、ユーザが検出できないように、人間の可聴範囲を超える1つまたは複数の周波数で生成される。次いで、検出コントローラ118(または、いくつかの実施形態では、SAW検出器706)は、実際に受信したSAWの振幅とSAWの予想される振幅とを比較して、表示導波路302に1つまたは複数の破損があるかどうかを判定する。例えば、実際の振幅と予想される振幅とが互いに指定された閾値内にある場合、検出コントローラ118(またはSAW検出器806)は、表示導波路302が無傷であると判定し(すなわち、表示導波路が損傷していないことを示す破損状態を判定する)、一方、実際の振幅と予想される振幅との間の振幅差の大きさが指定された閾値を超える場合、検出コントローラ118(またはSAW検出器806)は、表示導波路302に破損または他の不連続性があると判定する。いくつかの実施形態では、SAW集合体800は、上述した図5に示す導電性ループ集合体300の配置と同様に、表示システム100のフレーム106内に配置される。
【0025】
図9は、いくつかの実施形態による、表示導波路の破損を検出するための導電性ループを生成する方法を示すフローチャートである。ブロック902において、レンズとして形成されたガラスまたはプラスチック片が取得される。例えば、レンズは表示導波路(例えば、図3図4の表示導波路302)を具体化し得る。
【0026】
ブロック904において、ガラスまたはプラスチック上に導電性コーティングが塗布される。例えば、導電性コーティングは、レンズの表面上、またはレンズの少なくとも一部の周囲に塗布されてもよい。いくつかの実施形態では、導電性コーティングを周囲に塗布して、実質的に周囲に導電性ループ(例えば、図4の導電性ループ304)を形成することができる。いくつかの実施形態では、導電性ループは、関心のあり得る表示導波路の特定の部分のみの周囲に配置され得る。例えば、ユーザが射出瞳拡大器(EPE)領域の監視に興味がある場合、導電性ループは実質的にEPEの周囲に配置され得る。表示導波路の一部のみの周りに配置されたそのような導電性ループは、有利には、より小さな導電性ループ、または多くの異なるレンズ形状に共通に使用され得る導電性ループをもたらし得る。いくつかの実施形態では、導電性ループは実質的に透明であるため、導電性ループは見えず、導電性ループを収容するレンズは使用者の視点からは透明に見える。
【0027】
例えば、レンズの少なくとも一部の周囲の、ガラスまたはプラスチック上に金属の薄膜を堆積させて、レンズの少なくとも一部の周囲に導電性ループを形成することができる。例えば、堆積された金属は、導電性金属材料(例えば、アルミニウム、銀、クロム、金など)、または合金、またはそのような導電性材料の他の組合せを含んでもよい。いくつかの実施形態では、導電性ループは数ミクロンの厚さ(例えば、約5~50ミクロンの厚さ)であり、ループはガラス(またはプラスチック)片の全体の周りに延在する。いくつかの実施形態では、導電性ループは実質的に透明であるため、導電性ループは見えず、レンズは使用者の視点からは透明に見える。ブロック906において、レンズにフォトレジストが塗布される。ブロック908において、フォトレジストは露光され、現像される。ブロック910において、導電性ループ以外の金属残留物はレンズから除去される。ブロック912において、電気接触パッドは導電性ループに動作可能に接続される。いくつかの実施形態では、電気接触パッドは、ループ抵抗を監視する回路に通信可能に接続される。いくつかの実施形態では、電気接触パッドは、図3図5の接触パッド306または308を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、回路は検出コントローラ118を含む。いくつかの実施形態では、表示導波路はレンズ内に具体化される。例えば、表示導波路202はレンズ内に具体化される。
【0028】
いくつかの実施形態では、従来の半導体製造処理を利用して導電性ループを製造することができる。いくつかの実施形態では、3次元(3D)プリンタは、レンズの端、レンズの周囲に導電性金属材料を印刷することができる。いくつかの実施形態では、レンズに導電性インクを塗布してもよいし、または抵抗を監視できる金属粒子を具体化したエポキシを塗布してもよい。
【0029】
図10は、いくつかの実施形態による表示導波路の破損を検出する方法を示すフローチャートである。ブロック1002において、表示導波路がプロジェクタから表示光を受け取る。例えば、図2の表示導波路202は、マイクロ表示部216からの光を受け取ることができる。ブロック1002において、1つまたは複数のセンサによって生成された情報に基づいて表示導波路の現在の破損状態が判定される。
【0030】
いくつかの実施形態では、センサは、表示導波路302の少なくとも一部の周囲に配置された導電性ループ(例えば、導電性ループ304)と接触する1つまたは複数の電気接触パッド(例えば、電気接触パッド306、308)を含み、電気接触パッドは、導電性ループのループ抵抗を監視する回路(例えば、検出コントローラ118)に通信可能に接続される。例えば、現在の破損状態を判定することは、導電性ループの監視されたループ抵抗に基づいて表示導波路の現在の破損状態を判定することを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、現在の破損状態は、監視されたループ抵抗が、導電性ループが現在短絡していないことを示しているという判定に基づいて判定される。いくつかの実施形態では、導電性ループは、無線周波数アンテナの機能を実行するように構成される。いくつかの実施形態では、表示導波路が損傷していることを示す表示導波路の破損状態の判定に応答して、プロジェクタの非アクティブ化が開始される。
【0031】
いくつかの実施形態では、センサは、表示導波路とヘッドセットのフレームとのアセンブリの1つまたは複数の接触点に配置された1つまたは複数の歪みゲージ(例えば、歪みゲージおよびモニタ602)を含む。例えば、現在の破損状態は、1つまたは複数の歪みゲージから歪みゲージ信号を受信することに基づいて、アセンブリ内の応力の変化を検出することによって判定されてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、センサは、表示導波路の端で内部結合光を監視する1つまたは複数の光ダイオード(例えば、光ダイオード704)を含む。例えば、現在の破損状態は、内部結合光に対する1つまたは複数の変化を検出することによって判定されてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、センサは、表示導波路上に結合された表面弾性波(SAW)(例えば、SAW804)を監視する1つまたは複数の検出器(例えば、SAW検出器806)を含む。例えば、現在の破損状態は、表示導波路に結合された表面弾性波SAWのうちの1つまたは複数の、振幅の変化を検出することによって判定されてもよい。
【0034】
例えば、表示導波路の現在の破損状態には、表示導波路が現在無傷であるか、表示導波路が現在損傷しているか、表示導波路に現在1つまたは複数の裂け目があるか、または表示導波路に現在不連続性があるかのうちの1つまたは複数が含まれ得る。
【0035】
本明細書において、「通信可能な経路」、「通信可能な結合」、および「通信可能に接続された」または「通信可能に結合された」などの変形における「通信」という用語は、一般に、情報を転送または交換するための任意の工学的取り決めを指すのに使用される。通信可能な経路の例には、導電性経路(例えば、導電性ワイヤ、導電性トレース)、無線経路、磁気経路(例えば、磁気媒体)、または光経路(例えば、光ファイバ)が含まれるが、これらに限定されず、例示的な通信可能な結合または通信可能な接続には、電気的結合、磁気的結合、光的結合、または無線接続が含まれるが、これらに限定されない。本明細書および添付の特許請求の範囲全体を通じて、不定詞の動詞形が頻繁に使用される。例には、「検出する」、「提供する」、「送信する」、「通信する」、「処理する」、「経路指定する」などが含まれるが、これらに限定されない。特定の文脈で別途必要な場合を除き、このような不定詞動詞の形式は、「少なくとも、検出する」、「少なくとも、提供する」、「少なくとも、送信する」など、オープンで包括的な意味で使用される。
【0036】
いくつかの実施形態では、上述の技術の特定の態様は、ソフトウェアを実行する処理システムの1つまたは複数のプロセッサによって実装され得る。ソフトウェアは、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に保存されるか、そうでなければ有形に具体化される、1つまたは複数の実行可能命令セットを含む。ソフトウェアは、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、1つまたは複数のプロセッサを操作して上記の技術の1つまたは複数の態様を実行する命令および特定のデータを含むことができる。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体には、例えば、磁気ディスク記憶デバイスまたは光ディスク記憶デバイス、フラッシュメモリ、キャッシュ、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)、または他の1つもしくは複数の不揮発性メモリデバイスなどのソリッドステートストレージデバイスなどが含まれ得る。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に記憶された実行可能命令は、ソースコード、アセンブリ言語コード、オブジェクトコード、または1つまたは複数のプロセッサによって解釈されるか、さもなければ実行可能な他の命令形式であってもよい。
【0037】
コンピュータ可読記憶媒体には、コンピュータシステムに命令および/またはデータを提供するために使用中にコンピュータシステムによってアクセス可能な任意の記憶媒体、または記憶媒体の組合せが含まれ得る。このような記憶媒体には、光媒体(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイディスク)、磁気媒体(例えば、フロッピーディスク、磁気テープ、もしくは磁気ハードドライブ)、揮発性メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)もしくはキャッシュ)、不揮発性メモリ(例えば、読み取り専用メモリ(ROM)もしくはフラッシュメモリ)、または微小電気機械システム(例えば、MEMS:microelectromechanical system)ベースの記憶媒体が含まれ得るが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピューティングシステムに埋め込まれる(例えば、システムRAMもしくはROM)か、コンピューティングシステムに固定的に取り付けられる(例えば、磁気ハードドライブ)か、コンピューティングシステムに取り外し可能に取り付けられる(例えば、光ディスクもしくはユニバーサルシリアルバス(USB:Universal Serial Bus)ベースのフラッシュメモリ)か、または、有線もしくは無線ネットワーク(例えば、ネットワークアクセス可能ストレージ(NAS:network accessible storage))を介してコンピュータシステムに結合されてもよい。
【0038】
一般的な説明で前述したアクティビティまたは要素のすべてが必要なわけではなく、特定のアクティビティまたはデバイスの一部が必要ではない場合があること、および、記載されているものに加えて、1つまたは複数のさらなるアクティビティが実行されるか、または要素が含まれてもよいことに留意されたい。さらに、アクティビティがリストされている順序は、必ずしも実行される順序ではない。また、概念は特定の実施形態を参照して説明されている。ただし、当業者は、添付の特許請求の範囲に記載される本開示の範囲から逸脱することなく、さまざまな修正および変更を行うことができることを理解するであろう。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味でみなされるべきであり、そのような修正はすべて、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【0039】
利点、他の長所、および問題の解決策は、特定の実施形態に関して上で説明されている。ただし、利点、長所、問題の解決策、および利点、長所、解決策が発生するか、またはより顕著になる可能性がある任意の機能は、特許請求の範囲の一部またはすべての重要な、必要な、または必須の特徴として解釈されるべきではない。さらに、上で開示された特定の実施形態は、例示にすぎず、開示された主題は、本明細書の教示の恩恵を受ける当業者には明らかな、異なるが同等の方法で修正および実施され得る。添付の特許請求の範囲に記載されているものを除き、本明細書に示される構造または設計の詳細への制限を意図するものではない。したがって、上で開示された特定の実施形態が変更または修正され得ることは明らかであり、そのような変形はすべて、開示された主題の範囲内にあるとみなされる。したがって、本明細書で求められる保護は、添付の特許請求の範囲に記載されているとおりである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-07-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示光を投影するための画像プロジェクタを収容するフレームと、
前記画像プロジェクタからの前記表示光を受け取るための表示導波路と、
前記表示導波路の現在の破損状態を判定するための検出コントローラと
を備える、ヘッドマウント表示部(HMD)デバイス。
【請求項2】
前記表示導波路の少なくとも一部の周囲に配置された導電性ループと、
前記導電性ループと接触し、前記検出コントローラに通信可能に接続された1つまたは複数の電気接触パッドをさらに含み、
前記検出コントローラが前記導電性ループのループ抵抗を監視し、
前記検出コントローラはさらに、前記導電性ループの前記監視されたループ抵抗に基づいて前記表示導波路の前記現在の破損状態を判定する、
請求項1に記載のHMDデバイス。
【請求項3】
前記フレームに前記検出コントローラが収納されており、
前記検出コントローラはさらに、前記監視されたループ抵抗が、前記導電性ループが現在短絡していないことを示しているとの判定に基づいて、前記表示導波路の前記現在の破損状態を検出する、
請求項2に記載のHMDデバイス。
【請求項4】
前記導電性ループは、無線周波数アンテナとして動作するように構成されている、請求項2に記載のHMDデバイス。
【請求項5】
前記検出コントローラはさらに、前記表示導波路が損傷していることを示す前記表示導波路の前記現在の破損状態に応答して、前記画像プロジェクタの非アクティブ化を開始する、請求項1に記載のHMDデバイス。
【請求項6】
前記検出コントローラは、前記表示導波路のアセンブリと前記フレームとの1つまたは複数の接触点上の1つまたは複数の歪みゲージに通信可能に接続され、前記アセンブリ内の応力の変化を検出する、請求項1に記載のHMDデバイス。
【請求項7】
前記検出コントローラは、前記表示導波路の端で内部結合光を監視して前記内部結合光の変化を検出する1つまたは複数の光ダイオードに通信可能に接続されている、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のHMDデバイス。
【請求項8】
前記検出コントローラは、前記表示導波路上に結合された1つまたは複数の表面弾性波(SAW)の振幅の変化を検出する1つまたは複数の検出器に通信可能に接続されている、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のHMDデバイス。
【請求項9】
表示導波路によってプロジェクタからの表示光を受け取ることと、
1つまたは複数のセンサによって生成された情報に基づいて、前記表示導波路の現在の破損状態を判定することと
を含む方法。
【請求項10】
前記1つまたは複数のセンサは、前記表示導波路の少なくとも一部の周囲に配置された導電性ループと接触する1つまたは複数の電気接触パッドを含み、前記電気接触パッドは、前記導電性ループのループ抵抗を監視する回路に通信可能に接続されており、
前記現在の破損状態を判定することは、前記導電性ループの前記監視されたループ抵抗に基づいて前記表示導波路の前記現在の破損状態を判定することを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記現在の破損状態を判定することは、前記監視されたループ抵抗が、前記導電性ループが現在短絡していないことを示しているという判定に基づいて、前記表示導波路の前記現在の破損状態を判定することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記導電性ループは、無線周波数アンテナとしてさらに動作するように構成されている、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記表示導波路が損傷していることを示す前記表示導波路の破損状態の判定に応答して、前記プロジェクタの非アクティブ化を開始することをさらに含む、
請求項9~請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記1つまたは複数のセンサは、
表示導波路アセンブリとヘッドセットのフレームとの1つまたは複数の接触点に配置された1つまたは複数の歪みゲージを含み、前記現在の破損状態を判定することは、前記1つまたは複数の歪みゲージから歪みゲージ信号を受信することに基づいて、前記アセンブリ内の応力の変化を検出することをさらに含むか、
前記表示導波路の端で内部結合光を監視する1つまたは複数の光ダイオードを含み、前記現在の破損状態を判定することは、前記内部結合光に対する1つまたは複数の変化を検出することをさらに含むか、または
前記表示導波路に結合された表面弾性波(SAW)を監視する1つまたは複数の検出器を含み、前記現在の破損状態を判定することは、前記表示導波路に結合された前記表面弾性波SAWのうちの1つまたは複数の振幅の変化を検出することをさらに含むかのうちの少なくとも1つを含む、請求項9~請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記表示導波路の前記現在の破損状態は、前記表示導波路が現在無傷であること、前記表示導波路が現在損傷していること、前記表示導波路に現在1つまたは複数の裂け目があること、または前記表示導波路に現在不連続性があることのうちの1つまたは複数を含む、請求項9~請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【国際調査報告】