(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】環境汚染物質を除去する方法
(51)【国際特許分類】
B01D 15/00 20060101AFI20241029BHJP
B01J 20/24 20060101ALI20241029BHJP
B01J 20/34 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
B01D15/00 Z
B01J20/24 C
B01J20/34 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547801
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(85)【翻訳文提出日】2024-06-19
(86)【国際出願番号】 CA2022051552
(87)【国際公開番号】W WO2023065039
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506121205
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティー オブ ブリティッシュ コロンビア
(71)【出願人】
【識別番号】524153938
【氏名又は名称】ポリバロール,リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディクシット,フーハー
(72)【発明者】
【氏名】バルボー,ブノワ
(72)【発明者】
【氏名】モーセニ,マジード
【テーマコード(参考)】
4D017
4G066
【Fターム(参考)】
4D017AA01
4D017BA04
4D017CA12
4D017CB01
4D017DA07
4D017DB01
4G066AA04C
4G066AA37B
4G066AA47B
4G066AA53B
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4G066AC07B
4G066AC25B
4G066BA09
4G066BA20
4G066BA28
4G066BA36
4G066CA31
4G066CA33
4G066DA01
4G066DA07
4G066GA11
(57)【要約】
本開示は、環境汚染物質を含む媒体から環境汚染物質を除去する方法並びにこのような方法において有用であり得る複合材料を調製するための方法を含む。複合材料を調製する方法は、ポリフェノール含有天然材料及び金属塩からナノ粒子を調製するステップ;並びにナノ粒子と基質を組み合わせるステップを含み得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境汚染物質を含む媒体から環境汚染物質を除去する方法であって:
環境汚染物質を含む媒体とポリフェノール含有天然材料及び金属塩から調製されるナノ粒子とを接触させるステップ
を含む、前記方法。
【請求項2】
ポリフェノール含有天然材料が、ポリフェノール含有植物材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリフェノール含有植物材料が、ポリフェノール含有果実、樹皮、葉、野菜、穀粒又はそれらの組み合わせである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ポリフェノール含有果実が、シアノコッカス(Cyanococcus)、フラガリア属種(Fragaria spp.)、ルブス属種(Rubus spp.)、フィランサス・エンブリカ(Phyllanthus emblica)のポリフェノール含有果実又はそれらの組み合わせである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ポリフェノール含有天然材料が、フィランサス・エンブリカ(Phyllanthus emblica)果実粉末を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ナノ粒子の調製が、天然材料由来のポリフェノール含有抽出物の形態のポリフェノール含有天然材料と金属塩とを組み合わせるステップを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
金属塩が、金属硝酸塩、金属硫酸塩、金属塩化物又はそれらの組み合わせである、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
金属塩の金属が、鉄、銀、金又はそれらの組み合わせである、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
金属塩がFeSO
4を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
ナノ粒子が、ナノ粒子及び基質を含む複合材料中に存在する、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
基質が、砂、砂利、粘土、ハイドロゲル、炭素、採掘材料、堆積物、ポリマー、金属有機フレームワーク、ゼオライト、MXene、バイオマテリアル又はそれらの組み合わせを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
基質が、PFAS特異的樹脂又はPFAS特異的膜を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
基質が、第四級アンモニウム官能基を含むポリスチレン系樹脂を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
基質が、第四級アンモニウム官能基を含むポリアクリル系樹脂を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
ナノ粒子が未加工である、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
環境汚染物質が、PFAS、天然有機物又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
環境汚染物質がPFASを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
環境汚染物質が、アニオン性PFAS、カチオン性PFAS、中性及び双性イオン性PFAS又はそれらの組み合わせを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
環境汚染物質が、長鎖ペルフルオロカルボン酸、短鎖ペルフルオロカルボン酸、長鎖ペルフルオロアルカンスルホン酸、短鎖ペルフルオロアルカンスルホン酸、GenX(商標)、フルオロテロマースルホン酸(ベタイン)又はそれらの組み合わせを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
媒体が、気体、液体、固体、ゲル、スラリー又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
媒体が水を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
接触させるステップの後、前記方法が、媒体からナノ粒子を分離するステップをさらに含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
ナノ粒子が、請求項9~14のいずれか1項に定義されるナノ粒子及び基質を含む複合材料中に存在し、前記方法が、複合材料を再生するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
複合材料を、無機塩、無機酸、無機塩基、有機溶媒又はそれらの組み合わせを含む水溶液により再生して、再生された複合材料と環境汚染物質及び/又はそれらの副生成物を含む再生濃縮物とを得る、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記方法が、環境汚染物質及び/又はそれらの副生成物を分解及び/又は破壊するための再生濃縮物の処理をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
接触させるステップの後、前記方法が、残留環境汚染物質及び/又はそれらの副生成物を分解及び/又は破壊するための接触した媒体の処理をさらに含む、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
処理が、脱フッ素化を含む、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
処理が、紫外線又は電気化学的プロセスによる処理を含む、請求項25~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
環境汚染物質を含む媒体とナノ粒子とを接触させるステップの前に、前記方法が、環境汚染物質を酸化させるステップを含む、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
双性イオン性PFASを含む媒体から双性イオン性PFASを除去する方法であって:
双性イオン性PFASを含む媒体とMXeneを接触させるステップ
を含む、前記方法。
【請求項31】
MXeneが、Ti
3C
2 MXeneを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
媒体が、さらなる環境汚染物質をさらに含み、前記さらなる環境汚染物質が、アニオン性、カチオン性及び/又は中性のPFAS、天然有機物、あるいはそれらの組み合わせを含む、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項33】
媒体が水を含む、請求項30~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
接触させるステップの後、前記方法が、媒体からMXeneを分離するステップをさらに含む、請求項30~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記方法が、MXeneを再生するステップをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
MXeneを、無機塩、無機酸、無機塩基、有機溶媒又はそれらの組み合わせを含む水溶液により再生し、再生されたMXeneと、双性イオン性PFAS、並びに場合によりアニオン性、カチオン性及び/又は中性のPFAS、天然有機物、あるいはそれらの組み合わせ及び/又はそれらの副生成物を含むさらなる環境汚染物質を含む再生濃縮物とを得る、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記方法が、双性イオン性PFAS、並びに場合によりアニオン性、カチオン性及び/又は中性のPFAS、天然有機物、あるいはそれらの組み合わせ及び/又はそれらの副生成物を含むさらなる環境汚染物質を分解及び/又は破壊するための再生濃縮物の処理をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
接触させるステップの後、前記方法が、残留双性イオン性PFAS及び場合によりさらなる環境汚染物質を分解及び/又は破壊するための接触した媒体の処理をさらに含む、請求項30~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
処理が脱フッ素化を含む、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項40】
複合材料の調製方法であって:
ポリフェノール含有天然材料及び金属塩からナノ粒子を調製するステップ;及び
ナノ粒子と基質とを組み合わせるステップ
を含む、前記方法。
【請求項41】
ポリフェノール含有天然材料が、ポリフェノール含有植物材料である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
ポリフェノール含有植物材料が、ポリフェノール含有果実、樹皮、葉、野菜、穀粒又はそれらの組み合わせである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
ポリフェノール含有果実が、シアノコッカス(Cyanococcus)、フラガリア属種(Fragaria spp.)、ルブス属種(Rubus spp.)、フィランサス・エンブリカ(Phyllanthus emblica)のポリフェノール含有果実又はそれらの組み合わせである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
ポリフェノール含有天然材料が、フィランサス・エンブリカ(Phyllanthus emblica)果実粉末を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
ナノ粒子の調製が、天然材料由来のポリフェノール含有抽出物の形態のポリフェノール含有天然材料と金属塩とを組み合わせるステップを含む、請求項40~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
金属塩が、金属硝酸塩、金属硫酸塩、金属塩化物又はそれらの組み合わせである、請求項40~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
金属塩の金属が、鉄、銀、金又はそれらの組み合わせである、請求項40~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
金属塩がFeSO
4を含む、請求項40~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
基質が、砂、砂利、粘土、ハイドロゲル、炭素、採掘材料、堆積物、ポリマー、金属有機フレームワーク、ゼオライト、MXene、バイオマテリアル又はそれらの組み合わせを含む、請求項40~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
基質が、PFAS特異的樹脂又はPFAS特異的膜を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
基質が、第四級アンモニウム官能基を含むポリスチレン系樹脂を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
基質が、第四級アンモニウム官能基を含むポリアクリル系樹脂を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
請求項40~52のいずれか1項に定義される方法により調製される複合材料。
【請求項54】
環境汚染物質を含む媒体からの環境汚染物質の除去のための、請求項53に記載の複合材料の使用。
【請求項55】
環境汚染物質を含む媒体からの環境汚染物質の除去において使用するための、ポリフェノール含有天然材料及び金属塩から調製されるナノ粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本開示は、2021年10月20日に出願された共係属中の米国仮出願第63/257,755号及び2021年10月21日に出願された第63/270,105号の優先権の利益を主張し、これらのそれぞれの内容は、それらの全体が参照により本明細書中に組み込まれる。
【0002】
分野
本開示は、環境汚染物質を含む媒体からペルフルオロアルキル物質及びポリフルオロアルキル物質(PFAS)などの環境汚染物質を除去する方法、さらにこのような方法において使用し得る複合材料、並びにこのような複合材料の調製のための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
ペルフルオロアルキル物質及びポリフルオロアルキル物質(PFAS)は、高い化学的安定性及び熱安定性を有する人為的起源の化合物である(非特許文献1及び2)。これらの人為的起源の化合物は、長い疎水性全フッ素置換炭素鎖(CnF2n+1)と親水性官能基(例えば-SO3)で構成される化合物を含む。この親水性と疎水性の特有の組み合わせは、このようなPFAS化合物が、おびただしい工業的用途を有する優れた表面特性を示すことを可能とする。PFASは、焦げ付かない調理器具、耐水性衣類などの特殊衣服、汚れにくいコーティング、炭化水素火災を消火するための水性皮膜形成泡(AFFF)及びフルオロポリマー製造などの製品及び用途において広く使用されているか、又は広く使用されてきた(非特許文献3及び4)。しかし、PFASは、それらの潜在的な毒性及び環境における偏在的存在により最近かなり注目されている。例えばPFASは、哺乳動物の生殖系及び発生系に対するそれらの潜在的な毒性により、近年ますます注目されている(非特許文献5、6及び7)。近年、いくつかのPFAS化合物は、哺乳動物におけるがん、肝臓/腎臓損傷及び発生効果と関連している。
【0004】
アニオン性ペルフルオロオクタン酸(PFOA)及びペルフルオロオクタンスルホネート(PFOS)などの周知のPFASは、水生環境において広範に検出されている(非特許文献6及び8)。飲料水は、PFASに対するヒト曝露についての潜在的な経路のうちの1つである。その存在は、全世界の水道水中で検出されている。飲料水ガイドラインは、カナダ(ペルフルオロオクタン酸(PFOA):200ng/L)並びに欧州共同体(個別PFASについては100ng/L、及び全PFASについては500ng/L)において設定されている(非特許文献9及び10)。さらに重要なことに、汚染された飲料水の消費を介したPFASに対する曝露は、影響を受けた集団における健康問題の発生率の増加と関連している。米国環境保護庁(USEPA)は、PFOA、PFO及びそれらの合計について70ng/Lの飲料水健康勧告を設定している(非特許文献11)。しかし、米国全土にわたる規制保健機関(regulatory health agencies)からの最近のガイダンスは、比較的低いPFAS濃度(例えば、10~15ng/L)に対する慢性的曝露が、ヒト健康リスクを既に示し得ることを示唆している(非特許文献75、12及び13)。2022年6月に、USPEAは、新たな飲料水健康勧告:PFOAについては0.004ng/L、PFOSについては0.02ng/L、を発表した(非特許文献14)。
【0005】
近年では、新興のクラスの双性イオン性PFASが、地球全域の水生環境において検出されている。6:2フルオロテロマースルホンアミドプロピルベタイン(6:2 FTAB)及び8:2 FTABなどの化学物質は、最近、AFFF製剤のいくつかのブランドにおける重要な成分であることが報告されており、汚染現場において広く検出されている(非特許文献73)。例えば、Boiteuxらは、AFFFの使用を伴う訓練現場からの廃水を受けるフランスの川における約18μg/Lの6:2フルオロテロマーベタイン(6:2 FTAB)について報告した(非特許文献15)。それらの研究において報告された6:2 FTABの濃度は、PFOAなどの規制PFAS化合物の濃度より約350倍高かった(非特許文献15)。D’Agostino及びMaburyは、AFFFにより影響を受けたウェルランド川(Welland River)(オンタリオ州、カナダ)の地表水における高レベルのFTAB及びフルオロテロマーベタイン(FTB)についても報告した(非特許文献87)。それらの濃度の大きさ及び検出頻度の増加は、世界中で処理水におけるそれらの潜在的な存在及び関連する健康リスクについての問題を提起した。双性イオン性PFASの環境挙動は、おそらくアニオン性PFASとは極めて異なる(非特許文献15)。6:2 FTABなどの双性イオン性PFASは、双性イオン性形態又はカチオン性形態のいずれかを示し得、またしたがって、従来のアニオン性PFASとの静電相互作用のみに依存する技術により除去することはできない。これは、汚染水源から双性イオン性PFASを有効に除去するための適切な水処理技術を確定することの正当な理由となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
吸着、高度酸化(促進酸化)、イオン交換(IX)及び逆浸透は、汚染水からの公知のPFAS除去技術の例である。しかし、これらの技術は、全て多数の欠点及び制限を有し、このためそれらの適用範囲を限定する。イオン交換(IX)プロセスなどの処理技術は、天然水からアニオン性PFASを除去するための有望な可能性を示す(非特許文献75、16及び17)。例えば、IXは、特に短鎖PFASに対して、活性化炭素及び高度酸化プロセスなどの他の除去技術を上回る優れた性能を提供することが見出されている。しかし、この方法は、再生可能イオン交換樹脂については、能動的取り込み部位に対するそれらの他の溶存有機種/無機種との競合に起因して極めて遅い。PFASに対するより高い選択性を有する新たなIX樹脂は、地表水/地下水処理及び廃水再利用のために市販されるようにもなっている。近年、産業界は、典型的には消耗まで単一添加及び処理様式(single load-and-dispose mode)で操作されるPFAS特異的樹脂の製造を始めている(非特許文献18、19及び52)。再生及び再利用がなければ、これは、高いコスト及びより大きな環境負荷をもたらす。しかし、特定のPFAS捕捉樹脂は、飲料水源及び再利用廃水源由来のPFAS、溶存有機物(DOM)及び無機イオン(例えば、硫酸イオン、硝酸イオンなど)の同時除去のための複数サイクルで再生及び再利用もされ得る(非特許文献45)。IX樹脂についての過去の研究は、主にアニオン性PFAS捕捉に焦点を合わせているが、最近の研究は、双性イオン性PFASに対するそれらの有効性について調査し始めている(非特許文献76)。例えば、Wangらは、類似の操作条件(C0=10μg PFAS/L及び10mg IX/L)下で>50%のPFOA及びPFOSを捕捉したPFAS特異的樹脂、Purofine PFA694Eによる6:2 FTABの約10%除去について報告した(非特許文献76)。同様に、Purofine PFC 100などの非イオン性交換樹脂は、25%の6:2 FTABのみを捕捉し(C0 = 10μg PFAS/L及び10mg IX/L)(非特許文献76)、双性イオン性PFASを有効に捕捉するための新たな吸着剤媒体の開発に対する必要性を強調している。
【0007】
MXeneは、様々な化学的、環境的及び医学的適用についての牽引力を急速に獲得した新たなタイプの2次元(2D)材料である(非特許文献20及び21)。MXene及びMXene複合材料は、高表面積、最高レベルの熱伝導度、化学的安定性、親水性を示し、環境的に適合性である(非特許文献22、23、24、25及び80)。これらの一般式Mn+1XnTxの化合物は、遷移金属炭化物、窒化物及び炭窒化物のファミリーを表す。ここで、Mは早期遷移金属(例えばTi、Mo、Zr、Wなど)を表し、一方でXは炭素/窒素を表す。Tは、フッ素(F)、ヒドロキシル(OH)、酸素(O)及び塩素(Cl)などの表面末端基を示す。記号xは表面官能基の数を表し、nは1~3の整数である。最も一般的なMXeneのうちの1つは、-F又は-OH末端基を有するTi3C2Txである(非特許文献25、26、27及び28)。MXeneは、静電相互作用及び化学的相互作用を通して金属イオン、有機染料及び他の荷電した汚染物質を吸着し得ることが報告されている(非特許文献81、29、81、30及び31)。しかし、PFAS除去のためのMXeneの適用は、科学文献において未だ報告されていない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
概要
本開示は、環境汚染物質を含む媒体から環境汚染物質を除去する方法であって、以下:
環境汚染物質を含む媒体とポリフェノール含有天然材料及び金属塩から調製されるナノ粒子とを接触させるステップ
を含む、上記方法を包含する。
【0009】
ある実施形態において、ポリフェノール含有天然材料は、ポリフェノール含有植物材料である。別の実施形態において、ポリフェノール含有植物材料は、ポリフェノール含有果実、樹皮、葉、野菜、穀粒又はそれらの組み合わせである。さらなる実施形態において、ポリフェノール含有果実は、シアノコッカス(Cyanococcus)、フラガリア属種(Fragaria spp.)、ルブス属種(Rubus spp.)、フィランサス・エンブリカ(Phyllanthus emblica)のポリフェノール含有果実又はそれらの組み合わせである。別の実施形態において、ポリフェノール含有天然材料は、フィランサス・エンブリカ(Phyllanthus emblica)果実粉末を含む。ある実施形態において、ナノ粒子の調製は、天然材料由来のポリフェノール含有抽出物の形態のポリフェノール含有天然材料と金属塩を組み合わせるステップを含む。
【0010】
ある実施形態において、金属塩は、金属硝酸塩、金属硫酸塩、金属塩化物又はそれらの組み合わせである。別の実施形態において、金属塩の金属は、鉄、銀、金又はそれらの組み合わせである。さらなる実施形態において、金属塩は、FeSO4を含む。
【0011】
ある実施形態において、ナノ粒子は、ナノ粒子及び基質(基体、substrate)を含む複合材料中にある。別の実施形態において、基質は、砂、砂利、クレイ(粘土)、ハイドロゲル、炭素、採掘材料、堆積物、ポリマー、金属有機フレームワーク、ゼオライト、MXene、バイオマテリアル又はそれらの組み合わせを含む。さらなる実施形態において、基質は、PFAS特異的樹脂又はPFAS特異的膜を含む。別の実施形態において、基質は、第四級アンモニウム官能基を含むポリスチレン系樹脂を含む。別の実施形態において、基質は、第四級アンモニウム官能基を含むポリアクリル系樹脂を含む。
【0012】
ある実施形態において、ナノ粒子は未加工(ありのままの状態、raw)である。
【0013】
ある実施形態において、環境汚染物質は、PFAS、天然有機物又はそれらの組み合わせを含む。別の実施形態において、環境汚染物質はPFASを含む。さらなる実施形態において、環境汚染物質は、アニオン性PFAS、カチオン性PFAS、中性及び双性イオン性PFAS又はそれらの組み合わせを含む。別の実施形態において、環境汚染物質は、長鎖ペルフルオロカルボン酸、短鎖ペルフルオロカルボン酸、長鎖ペルフルオロアルカンスルホン酸、短鎖ペルフルオロアルカンスルホン酸、GenX(商標)、フルオロテロマースルホン酸(ベタイン)又はそれらの組み合わせを含む。
【0014】
ある実施形態において、媒体は、気体、液体、固体、ゲル、スラリー又はそれらの組み合わせを含む。別の実施形態において、媒体は水を含む。
【0015】
ある実施形態において、接触させるステップの後、上記方法は、媒体からナノ粒子を分離するステップをさらに含む。
【0016】
ある実施形態において、ナノ粒子は、本明細書中に記載されるようにナノ粒子及び基質を含む複合材料中に存在し、上記方法は、複合材料を再生するステップをさらに含む。別の実施形態では、複合材料は、無機塩、無機酸、無機塩基、有機溶媒又はそれらの組み合わせを含む水溶液により再生され、再生された複合材料と、環境汚染物質及び/又はそれらの副生成物とを含む再生濃縮物が得られる。
【0017】
ある実施形態において、上記方法は、環境汚染物質及び/又はそれらの副生成物を分解及び/又は破壊するための再生濃縮物の処理をさらに含む。
【0018】
ある実施形態において、接触させるステップの後、上記方法は、残留(している)環境汚染物質及び/又はそれらの副生成物を分解及び/又は破壊するための接触した媒体の処理をさらに含む。ある実施形態において、上記処理は脱フッ素化を含む。別の実施形態において、上記処理は、紫外線又は電気化学的プロセスによる処理を含む。
【0019】
ある実施形態において、環境汚染物質を含む媒体とナノ粒子とを接触させるステップの前に、上記方法は、環境汚染物質を酸化させるステップを含む。
【0020】
本開示は、双性イオン性PFASを含む媒体から双性イオン性PFASを除去する方法であって:
双性イオン性PFASを含む媒体とMXeneとを接触させるステップ
を含む、上記方法も包含する。
【0021】
ある実施形態において、MXeneは、Ti3C2 MXeneを含む。
【0022】
ある実施形態において、媒体は、さらなる環境汚染物質をさらに含み、さらなる環境汚染物質は、アニオン性、カチオン性及び/又は中性PFAS、天然有機物、あるいはそれらの組み合わせを含む。
【0023】
ある実施形態において、媒体は水を含む。
【0024】
ある実施形態において、接触させるステップの後、上記方法は、媒体からMXeneを分離するステップをさらに含む。
【0025】
ある実施形態において、上記方法はMXeneを再生するステップをさらに含む。別の実施形態において、MXeneは、無機塩、無機酸、無機塩基、有機溶媒又はそれらの組み合わせを含む水溶液により再生され、再生されたMXeneと、双性イオン性PFAS、並びに場合によりアニオン性、カチオン性及び/又は中性PFAS、天然有機物、あるいはそれらの組み合わせ及び/又はそれらの副生成物を含むさらなる環境汚染物質を含む再生濃縮物とが得られる。
【0026】
ある実施形態において、上記方法は、双性イオン性PFAS、並びに場合によりアニオン性、カチオン性及び/又は中性PFAS、天然有機物、あるいはそれらの組み合わせ及び/又はそれらの副生成物を含むさらなる環境汚染物質を分解及び/又は破壊するための再生濃縮物の処理をさらに含む。
【0027】
ある実施形態において、接触させるステップの後、上記方法は、残留双性イオン性PFAS及び場合によりさらなる環境汚染物質を分解及び/又は破壊するための接触した媒体の処理をさらに含む。ある実施形態において、上記処理は脱フッ素化を含む。
【0028】
本開示は、複合材料の調製方法であって:
ポリフェノール含有天然材料及び金属塩からナノ粒子を調製するステップ;及び
ナノ粒子と基質とを組み合わせるステップ
を含む、上記方法も包含する。
【0029】
ある実施形態において、ポリフェノール含有天然材料は、ポリフェノール含有植物材料である。別の実施形態において、ポリフェノール含有植物材料は、ポリフェノール含有果実、樹皮、葉、野菜、穀粒又はそれらの組み合わせである。さらなる実施形態において、ポリフェノール含有果実は、シアノコッカス(Cyanococcus)、フラガリア属種(Fragaria spp.)、ルブス属種(Rubus spp.)、フィランサス・エンブリカ(Phyllanthus emblica)のポリフェノール含有果実又はそれらの組み合わせである。別の実施形態において、ポリフェノール含有天然材料は、フィランサス・エンブリカ(Phyllanthus emblica)果実粉末を含む。別の実施形態において、ナノ粒子の調製は、天然材料由来のポリフェノール含有抽出物の形態のポリフェノール含有天然材料と金属塩とを組み合わせるステップを含む。
【0030】
ある実施形態において、金属塩は、金属硝酸塩、金属硫酸塩、金属塩化物又はそれらの組み合わせである。別の実施形態において、金属塩の金属は、鉄、銀、金又はそれらの組み合わせである。さらなる実施形態において、金属塩はFeSO4を含む。
【0031】
ある実施形態において、基質は、砂、砂利、粘土、ハイドロゲル、炭素、採掘材料、堆積物、ポリマー、金属有機フレームワーク、ゼオライト、MXene、バイオマテリアル又はそれらの組み合わせを含む。別の実施形態において、基質は、PFAS特異的樹脂又はPFAS特異的膜を含む。さらなる実施形態において、基質は、第四級アンモニウム官能基を含むポリスチレン系樹脂を含む。別の実施形態において、基質は、第四級アンモニウム官能基を含むポリアクリル系樹脂を含む。
【0032】
本開示は、本明細書中に記載される複合材料の調製方法により調製される複合材料も包含する。本開示は、環境汚染物質を含む媒体からの環境汚染物質の除去のためのこのような複合材料の使用も包含する。
【0033】
本開示は、環境汚染物質を含む媒体からの環境汚染物質の除去において使用するための、本明細書中に記載されるポリフェノール含有天然材料及び金属塩から調製されるナノ粒子も包含する。
【0034】
本開示の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかである。しかし、詳細な説明及び特定の実施例は、本開示の実施形態を示しているが、例示のみの目的で示され、特許請求の範囲の範囲は、これらの実施形態により限定されるべきではなく、むしろ記載全体と一致する最も広い解釈が示されるべきであることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、本開示の環境汚染物質を含む媒体から環境汚染物質を除去する方法の実施形態の模式図である。
【
図2】
図2は、本開示の環境汚染物質を含む媒体から環境汚染物質を除去する方法の別の実施形態の模式図である。
【
図3】
図3は、バンクーバーコンベンションセンター(VCC)二次廃水処理プラントにおける工程フローの模式図である。
【
図4】
図4は、Malvern Zetasizer Nano ZS-NIB(英国)を用いたpHの関数としてのMXene(50mg/Lの用量で試験した)のゼータ電位を示す。
【
図5】
図5は、イオン交換(IX)処理前のバンクーバーコンベンションセンターの水についての、液体クロマトグラフィー-有機炭素検出(LCOCD)データを示す。
【
図6A】
図6Aは、例示的な、標的X:2 FTABの、三連四重極タンデム質量分析(Q.T.:定量移行;C.T.:確認移行)を使用するタンデム質量分析を用いる液体クロマトグラフィー(LC-MS/MS)クロマトグラムを示す。上から下へ:6:2 FTAB - Q.T. (571 → 440) 、6:2 FTAB - C.T. (571 → 468) 、8:2 FTAB - Q.T. (671 → 540) 、8:2 FTAB - C.T. (671 → 568) 、10:2 FTAB - Q.T. (771 → 640)、及び10:2 FTAB - C:T (771 → 668)。
【
図6B】
図6Bは、例示的な、Z-PFASの、理論的m/zの±10 ppm精密質量精度以内で抽出された液体クロマトグラフィー高解像度質量分析(LC-HRMS)クロマトグラムを示す。左列、上から下へ:6:2 FTAB、8:2 FTAB及び10:2 FTAB;中央列、上から下へ:5:3 FTB、7:3 FTB及び9:3 FTB;右列、上から下へ:5:1:2 FTB、7:1:2 FTB、9:1:2 FTB及び11:1:2 FTB。
【
図7】
図7は、異なるサンプルタイプ(溶媒ブランク、操作ブランク(procedure blank)、UV/亜硫酸塩反応サンプル、SRNOM、及び再利用廃水)について試験した
13C
4-PFHpA(上のプロット)及び
13C
2-6:2FTSA(下のプロット)代理内部標準の回収率を示す。
【
図8】
図8は、5mg C/LバックグラウンドDOM濃度(SRNOM)を用いた、試験した吸着剤媒体(各化合物について左から右へ:A860、A592、A694、XAD 4、XAD 7及びMXene)上の異なる双性イオン性PFASの除去率を示す。吸着剤用量:pH約7.0且つT=23℃において100mg/L。溶液中の初期濃度(C
0、μg/L)は各化合物の下に示される、左から右へ:6:2 FTAB、8:2 FTAB、10:2 FTAB、5:1:2 FTB、7:1:2 FTB、9:1:2 FTB、11:1:2 FTB、5:3 FTB、7:3 FTB、9:3 FTB及び11:3 FTB。
【
図9】
図9は、5mg C/LバックグラウンドDOM濃度(SRNOM)を用いた、pH(各吸着剤媒体について左から右へ:6、6.5、7及び7.5)が樹脂及びMXene(左から右へ:A860、A592、A694、XAD 4、XAD 7及びMXene)によるZ-PFASの除去に与える影響を示す。吸着剤用量:pH約7且つT=23℃において100mg/L。
【
図10】
図10は、静電相互作用(上の画像)及び水素結合(下の画像)を介したTi
3C
2 MXeneによるZ-PFAS除去の仮説機構の模式図である。
【
図11A】
図11Aは、DI水中の試験した吸着剤(左から右へ:A860、A592、A694、XAD 4、XAD 7及びMXene)上の6:2 FTAB(各吸着剤について左から右へ:2500、1250、500及び100ng/L)取り込みについての推定ビオ(Biot)数のプロットを示す。
【
図11B】
図11Bは、SRNOMを添加した合成水(5mg C/L)中の試験した吸着剤(左から右へ:A860、A592、A694、XAD 4、XAD 7及びMXene)上の6:2 FTAB(各吸着剤について左から右へ:2500、1250、500及び100ng/L)取り込みについての推定Biot数のプロットを示す。
【
図12】
図12は、約5mg C/LバックグラウンドDOMを用いた、合成水(SRNOM;右カラム)及び天然水(再利用廃水;左カラム)中の累積的Z-PFAS除去率(%)を示すプロットである。吸着剤(左から右へ:A860、A592、A694、XAD 4、XAD 7及びMXene)用量:100mg/L、及び全Z-PFASのC
0:10μg/L(pH約7且つT=23℃)。
【
図13】
図13は、4mMの塩(各吸着剤について左から右へ:亜硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウム及び塩化ナトリウム)又は0.1N酸(HCl;各吸着剤について右から2番目)及び0.1N塩基(NaOH;各吸着剤について右端)を用いた全ての吸着剤(左から右へ:A860、A592、A694、XAD 4、XAD 7及びMXene)の再生率を示すプロットである。
【
図14】
図14は、各吸着剤について左から右へ:亜硫酸ナトリウム及び硫酸ナトリウム(4mM)及び0.1N HCl及び0.1N NaOHを用いた、Ti
3C
2 MXeneからの個別Z-PFAS(左から右へ:6:2 FTAB、8:2 FTAB、10:2 FTAB、5:1:2 FTB、7:1:2 FTB、9:1:2 FTB、11:1:2 FTB、5:3 FTB、7:3 FTB、9:3 FTB及び11:3 FTB)の再生率を示すプロットである。
【
図15】
図15は、複数の添加/再生サイクルにわたるTi
3C
2 MXeneからの累積的Z-PFAS回収率を示すプロットである(C
0=10μg Z-PFAS/L、100mg/L吸着剤用量、5mLの4mM mg/L Na
2SO
3により再生)。
【
図16】
図16は、T=23℃で約180 J/cm
2のUV線量による、Na
2SO
3(4mM)再生剤中のZ-PFAS(左から右へ:6:2 FTAB、8:2 FTAB、10:2 FTAB、5:1:2 FTB、7:1:2 FTB、9:1:2 FTB、11:1:2 FTB、5:3 FTB、7:3 FTB、9:3 FTB及び11:3 FTB)の分解率を示すプロットである。
【
図17】
図17は、UV/亜硫酸塩処理中の合計Z-PFAS、6:2 FTAB、及び5:1:2 FTBの分解を、36時間までの時間の関数としての濃度(μg/L)として示すプロットである(左から右へ:T
0、6時間、12時間及び36時間)。
【
図18】
図18は、UV/亜硫酸塩処理中の合計Z-PFAS(上のプロット)、6:2 FTAB(中間のプロット)及び5:1:2 FTB(下のプロット)の分解の、36時間までの時間の関数としての濃度(μg/L)としてのプロット(各プロットにおいて左から右へ:T
0、6時間、12時間及び36時間)を示す。
【
図19】
図19は、6:2 FTABのUV/亜硫酸塩処理中に生成された、6:2 N-脱メチル化フルオロテロマーアミン(スキーム1の変換生成物
B)の液体クロマトグラフィー高解像度質量分析(LC-HRMS)クロマトグラム(上の画像)及び解明された高解像度タンデム質量分析(MS/MS)スペクトル(平行反応モニタリング;PRMモード、35%に設定された正規化衝突エネルギー、下の画像)を示す。
【
図20】
図20は、本開示の複合材料の調製方法の実施形態の模式図である。
【
図21A】
図21Aは、市販のポリアクリル系イオン交換樹脂の250μm解像度の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
【
図21B】
図21Bは、市販のポリアクリル系イオン交換樹脂の50μm解像度のSEM画像を示す。
【
図22A】
図22Aは、PFAS Plusでコーティングされたポリアクリル系イオン交換樹脂の250μm解像度のSEM画像を示す。
【
図22B】
図22Bは、PFAS Plusでコーティングされたポリアクリル系イオン交換樹脂の50μm解像度のSEM画像を示す。
【
図23A】
図23Aは、PFAS Plusでコーティングされたポリアクリル系イオン交換樹脂の5μm解像度のSEM画像を示す。
【
図23B】
図23Bは、動的光散乱画像によるサイズ(nm)の関数としての数(%)のプロットであり、91.3±12.1nmの平均Fe粒子サイズを示す。
【
図24A】
図24Aは、新たな樹脂としてのポリスチレン系イオン交換樹脂の250μm解像度のSEM画像を示す。
【
図24B】
図24Bは、PFAS Plusコーティングを有するポリスチレン系イオン交換樹脂の250μm解像度のSEM画像を示す。
【
図25】
図25は、0.4mL IX樹脂/L(黒、対照)又は0.4mL PFAS PlusでコーティングされたIX樹脂(灰色)による5mg C/L(スワニー川天然有機物標準(Suwannee River Organic Matter Standard))の存在下での、検出限界を下回るPFAS除去(C
0=10μg/Lから<10ng/Lまで)を達成するために必要とされる接触時間を示すプロットである。頭字語、左から右へ:ペルフルオロブタン酸(PFBA)、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)、ペルフルオロブタンスルホネート(PFBS)、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)、ヘプタフルオロプロピレンオキシド-ダイマー酸(GenX)及び6:2フルオロテロマースルホネート。
【
図26】
図26は、10mg C/L(溶存有機物(DOM)と0.4mL IX/L(乾燥樹脂重量100mg/L)の存在下、検出下限値:200pg/L;0.02μg/L~200μg/L(環境関連濃度)の範囲内の初期個別PFAS濃度(C
0)の、異なるイオン交換(IX)樹脂(それぞれについて左から右へ:ポリアクリル系樹脂:未加工、ポリアクリル系樹脂:タンニン酸MPN、ポリアクリル系樹脂:天然MPN、ポリスチレン系樹脂:未加工、ポリスチレン系樹脂:タンニン酸MPN及びポリスチレン系樹脂:天然MPN)によるPFAS除去率を示すプロットである。左から右へ:アニオン性PFAS、双性イオン性PFAS及び中性PFAS、PFCA+PFSA、GenX、長鎖PFCA、長鎖PFSA、短鎖PFCA及び短鎖PFSA。
【
図27】
図27は、10mg C/Lと100mg IX(又はFe)/Lの存在下、0.02μg/L~200μg/Lの範囲内の初期個別PFAS濃度(C
0)での、異なる未使用吸着剤(それぞれについて左から右へ:ポリアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、天然MPN及びタンニン酸MPN)によるPFAS除去率を示す。左から右へ:アニオン性PFAS、双性イオン性PFAS及び中性PFAS、PFCA+PFSA、GenX、長鎖PFCA、長鎖PFSA、短鎖PFCA及び短鎖PFSA。
【
図28】
図28は、5mg C/Lと100mg IX(又はFe)/L(それぞれについて左から右へ:ポリアクリル系樹脂:未加工、ポリアクリル系樹脂:天然MPN、ポリアクリル系樹脂:タンニン酸MPN、ポリスチレン系樹脂:未加工、ポリスチレン系樹脂:天然MPN、天然MPN(樹脂なし)及びタンニン酸MPN(樹脂なし))の存在下、0.02μg/L~200μg/Lの範囲内の初期個別PFAS濃度(C
0)での、PFASの4-log除去を達成するための接触時間(分)を示すプロットである。左から右へ:PFOA+PFOS(規制)、長鎖PFCA、長鎖PFSA、短鎖PFCA、短鎖PFSA、GenX及び双性イオン性PFAS。
【
図29】
図29は、10ベッド体積(bed volume)の塩化ナトリウム(10重量%;左端及び左から2番目)及び亜硫酸ナトリウム(10重量%;右から2番目及び右端)を用いて2時間の接触時間で再生された飽和ポリアクリル系樹脂(天然MPNでコーティングされた)についてのDOC(左端及び右から2番目)及びPFAS(左から2番目及び右端)のDOM回収率(%)を示すプロットである。
【
図30】
図30は、10ベッド体積の亜硫酸ナトリウム(10重量%)を用いて2時間の接触時間で5回の再生サイクルにわたり再生された飽和ポリアクリル系樹脂(天然MPNでコーティング)についての累積的PFAS回収率(%)を示すプロットである。
【
図31】
図31は、4mMバックグラウンド亜硫酸塩濃度を用いた、紫外線(各プロット中の左カラム)及び電気化学的プロセス(各プロット中の右カラム)によるPFAS(左から右へ:双性イオン性PFAS、アニオン性PFAS及びGenX)の3時間にわたる脱フッ素化(%)のプロットを示す。3時間のUV照射は、約10.4 J/cm
2の線量に相当する。再生濃縮物中、PFAS濃度は0.2mg/L~20mg/Lの範囲内。
【
図32】
図32は、4mM PFAS濃縮物を用いた紫外線(UV)及び電気化学的プロセス(ホウ素ドープダイヤモンド(BDD)電極を用いる)についての、双性イオン性PFASの脱フッ素化の動態を示すプロットである。0.5、1、2及び4時間のUV照射タイミングは、約1.3 J/cm
2、2.6 J/cm
2、5.2 J/cm
2及び10.4 J/cm
2の線量に相当する。
【
図33】
図33は、4mM PFAS濃縮物を用いた紫外線(UV)及び電気化学的プロセス(ホウ素ドープダイヤモンド(BDD)電極を用いる)についての、アニオン性PFASの脱フッ素化の動態を示すプロットである。0.5、1、2及び4時間のUV照射タイミングは、約1.3 J/cm
2、2.6 J/cm
2、5.2 J/cm
2及び10.4 J/cm
2の線量に相当する。
【
図34】
図34は、4mM PFAS濃縮物を用いた紫外線(UV)及び電気化学的プロセス(ホウ素ドープダイヤモンド(BDD)電極を用いる)についての、GenXの脱フッ素化の動態を示すプロットである。0.5、1、2及び4時間のUV照射タイミングは、約1.3 J/cm
2、2.6 J/cm
2、5.2 J/cm
2及び10.4 J/cm
2の線量に相当する。
【
図35】
図35は、50mM過硫酸ナトリウム及びMPN(C
0=10±1mg Fe/L)を用いた、40℃におけるPFCA(総C
0=0.8±0.1mg/L)の脱フッ素化を示すプロット(50%PFCA脱フッ素化についての時間(日))である。左から右へ:MPNなし、タンニン酸MPN及び天然MPN。
【
図36】
図36は、過硫酸イオン(C
0=50mM)を用いる(左の2つのカラム)、及び過硫酸イオンを用いない(右の2つのカラム)、25℃(*)及び40℃におけるMPN溶液(C
0=10±1mg Fe/L)中のPFCA負荷MPNでコーティングされた樹脂からの72時間後のフッ素放出(nmole/L)を示すプロットである。
【
図37】
図37は、過硫酸イオン(C
0=50mM)を用いる(左の2つのカラム)、及び過硫酸イオンを用いない(右の2つのカラム)、25℃(*)及び40℃におけるMPN溶液(C
0=10±1mg Fe/L)中のPFSA負荷MPNでコーティングされた樹脂からの72時間後のフッ素放出(nmole/L)を示すプロットである。
【
図38】
図38は、異なる天然水源についての、ハロゲン化消毒副生成物(DBP)及びハロ酢酸(HAA)(μg/L)の形成の低下を示すプロットである。樹脂用量:100mg IX/L(0.4mL/L);DOM:10mg C/L。各水源について左から右へ:未加工、ポリスチレン系樹脂:未加工、ポリスチレン系樹脂:天然MPN、ポリアクリル系樹脂:未加工、及びポリアクリル系樹脂:天然MPN。
【
図39】
図39は、ポリスチレン系樹脂及びポリアクリル系樹脂による処理後の毒性ニトロソアミン(ng/L)の形成の増加を示すプロットである。左から右へ:水2:未加工、ポリスチレン系樹脂:未加工、ポリスチレン系樹脂:天然MPN、ポリアクリル系樹脂:未加工、及びポリアクリル系樹脂:天然MPN。
【
図40】
図40は、飲料水系及びMPNを用いたそれらの制御において以前に示されていないPFAS吸着剤によるN-ニトロソジブチルアミン(NDBA、ng/L)などのニトロソアミンの形成を示すプロットである。左から右へ:ポリスチレン系樹脂:未加工、ポリスチレン系樹脂:天然MPN、ポリアクリル系樹脂:未加工、及びポリアクリル系樹脂:天然MPN。MPNでコーティングされた樹脂は、HAA及び揮発性DBPの形成/低下に影響を与えない。
【発明を実施するための形態】
【0036】
詳細な説明
I. 定義
別段に示されない限り、本節及び他の節において記載される定義及び実施形態は、本明細書中に記載される開示の全ての実施形態及び態様に適用可能であることが意図され、上記の定義及び実施形態が、本明細書中に記載される開示の全ての実施形態及び態様に適していることは当業者により理解されるであろう。
【0037】
本明細書中で使用される、「含む(comprising)」(並びに「含む(comprising)」の任意の形態、例えば「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」)、「有する(having)」(並びに「有する(having)」の任意の形態、例えば「有する(have)」及び「有する(has)」)、「含む(including)」(並びに「含む(including)」の任意の形態、例えば「含む(include)」及び「含む(includes)」)、又は「含む(containing)」(並びに「含む(containing)」の任意の形態、例えば「含む(contain)」及び「含む(contains)」)という語は、包括的又はオープンエンドであり、付加的な、列挙されていない(unrecited)要素又は工程/方法ステップを除外しない。本明細書中で使用される「からなる(consisting)」という語及びその派生語は、記載される特徴、要素、成分、基、整数及び/又はステップの存在を特定し、また他の記載されていない特徴、要素、成分、基、整数及び/又はステップの存在を除外もするクローズエンドの用語であることが意図される。本明細書中で使用される「本質的に・・・からなる(consisting essentially of)」という用語及びその任意の形態は、記載された特徴、要素、成分、基、整数及び/又はステップの存在、並びにこれらの特徴、要素、成分、基、整数及び/又はステップの基本的な且つ新規な特性(1つ又は複数)に実質的に影響を及ぼさないものの存在を特定することが意図される。
【0038】
本明細書中で使用される「実質的に(substantially)」、「約(about)」及び「約(approximately)」などの程度の用語は、最終結果が著しく変化しないような、修飾された用語の合理的な量の逸脱を意味する。これらの程度の用語は、この逸脱が修飾する語の意味を否定し得ない場合、修飾された用語の少なくとも±5%の逸脱を含むと解釈されるべきである。
【0039】
本開示において使用される単数形「a」、「an」及び「the」は、内容が明らかに別段に指示しない限り、複数指示を含む。
【0040】
本明細書中で使用される「及び/又は」という用語は、列挙された項目が、個別に又は組み合わせて存在するか、又は使用されることを意味する。実際、この用語は、列挙された項目「の少なくとも1つ」又は「1つ以上」が使用されるか又は存在することを意味する。
【0041】
本明細書中で使用される「好適な」という用語は、特定の試薬及び/又は条件の選択が、実施される反応及び所望の結果によって決まるが、それにも関わらず、全ての関連情報が既知であれば、一般的には当業者により行われ得ることを意味する。
【0042】
本開示の方法及び使用における環境汚染物質を含む媒体からの環境汚染物質の除去(removing)/除去(removal)に関して本明細書中で使用される「除去する(removing)」及び「除去(removal)」などの用語は、媒体と本開示のナノ粒子(場合によりナノ粒子を含む複合材料の形態のもの)との接触前の媒体中の環境汚染物質の総量と比較した、媒体中の環境汚染物質の総量の低下を指す。環境汚染物質の総量に関して、「低下」という用語は、本開示の環境汚染物質が負荷された複合材料が媒体中に残留している実施形態(ここで上記環境汚染物質は、媒体中に存在するのではなく複合材料に吸着されている)、このような環境汚染物質が負荷された複合材料が媒体から分離される実施形態、及び環境汚染物質が、より小さな副生成物に分解される及び/又は脱フッ素化される実施形態を包含する。
【0043】
本明細書中で使用される「ポリフェノール」という用語は、芳香族環上に複数のヒドロキシル基を有する天然産物を指す。例えば、ポリフェノールは、1000Da当たり5~7個の芳香族環と共に12個超のフェノール性ヒドロキシル基を有する、約500~約4000Daの分子量を有する水溶性化合物、及び/又は、2個以上のフェノール単位を含み、且つ窒素に基づく機能が取り除かれた、シキミ酸/フェニルプロパノイド経路及び/又はポリケチド経路から誘導される化合物を指し得る。ポリフェノールは、非フラボノイド系ポリフェノール群の植物化学物質である加水分解性タンニンを含み、これはエラジタンニン及びガロタンニンを包含する。ある実施形態において、ポリフェノール含有天然材料由来のポリフェノールの少なくとも一部は、タンニン酸以外である。
【0044】
本明細書中で使用される「MXene」という用語は、一般式Mn+1XnTxの2次元材料を指し、ここでnは1~3の整数であり、Mは早期遷移金属を表し、Xは炭素及び/又は窒素であり、Tは、フッ素(F)、ヒドロキシル(OH)、酸素(O)及び塩素(Cl)などの表面末端基を示し、xは表面官能基の数を表す。ある実施形態において、Mは、Ti、Mo、Zr、又はW、例えば、W、Mo、Cr、Ta、V、Nb、Hf、Zr、Ti、Y、Sc又はそれらの組み合わせを含む。ある実施形態において、MはTiである。別の実施形態において、XはCである。さらなる実施形態において、MXeneはTi3C2 MXeneである。MXeneは、典型的には、前駆体MAX相(Mn+1AXn)由来のA層の選択的エッチングにより調製され、ここでM、X及びnはMXeneについて定義されるとおりであり、Aは、12族~16族の元素(例えばCd、Al、Si、P、S、Ga、Ge、As、In、Sn、Tl又はPb)であり、A層は、一般的には、強いM-X結合と比較的弱いM-A結合により8面体Mn+1Xn内に挟まれている。例えば、Ti3C2 MXeneは、室温でフッ化水素酸を用いて、層状六角三元炭化物であるTi3AlC2からAl原子を選択的にエッチングすることにより調製され得る。あるいはMXeneは、好適な商業的供給源から入手することが可能である。
【0045】
本明細書中で使用される「ナノ粒子」という用語は、平均直径がナノメートルスケール(例えば、1μm未満の平均直径)の粒子を指す。本明細書中で使用される「ナノ粒子」という用語は、全ての粒子がナノメートルスケールの直径を有する材料を包含するが、少量の粒子は非ナノ粒子形態である材料;例えば、粒子が、本質的にナノメートルスケールの直径を有する粒子及びナノメートルスケール外の粒子からなる材料も包含し得る。
【0046】
本明細書中で使用される「アルキル」という用語は、それが単独で使用されるか又は別の基の一部として使用されるかに関わらず、直鎖又は分岐鎖の飽和アルキル基を意味する。
【0047】
本明細書中で使用される「ペルフルオロアルキル物質及びポリフルオロアルキル物質」という用語並びにその略語「PFAS」は、アルキル鎖に結合した複数のフッ素原子を含む化合物を指し、フルオロテロマースルホネート、フルオロテロマーチオエーテル、GenX(商標)有機フッ素化合物、例えばヘキサフルオロプロピレンオキシドダイマー酸(HFPO-DA)のアンモニウム塩、及び関連のフルオロケミカルなどが挙げられる。例えばPFASは、少なくとも1つの全フッ素置換メチル基(-CF3)又は少なくとも1つの全フッ素置換メチレン基(-CF2-)を含むフッ素化物質として定義することができる。PFASは、カチオン性、アニオン性、双性イオン性及び/又は中性であり得る。
【0048】
II. 環境汚染物質を除去する方法
本開示は、環境汚染物質を含む媒体から環境汚染物質を除去する方法であって:
環境汚染物質を含む媒体とポリフェノール含有天然材料及び金属塩から調製されるナノ粒子とを接触させるステップ
を含む、上記方法を包含する。
【0049】
ポリフェノール含有天然材料は、任意の好適なポリフェノール含有天然材料であり得る。ある実施形態において、ポリフェノール含有天然材料は、ポリフェノール含有植物材料、ポリフェノール含有動物材料、ポリフェノール含有藻類材料、ポリフェノール含有菌類材料又はそれらの組み合わせである。別の実施形態において、ポリフェノール含有天然材料は、ポリフェノール含有植物材料である。当業者であれば、植物材料などの天然材料中のポリフェノールの存在は、例えば、ポリフェノール及び/又は天然材料、例えば植物材料の個性(identity)によって決まり得ることを理解するであろう。ある実施形態において、ポリフェノール含有植物材料は、ポリフェノール含有果実、樹皮、葉、野菜、穀粒又はそれらの組み合わせである。ある実施形態において、ポリフェノール含有天然材料は果実である。別の実施形態において、ポリフェノール含有果実は、シアノコッカス(Cyanococcus)、フラガリア属種(Fragaria spp.)、ルブス属種(Rubus spp.)、フィランサス・エンブリカ(Phyllanthus emblica)のポリフェノール含有果実又はそれらの組み合わせである。さらなる実施形態において、ポリフェノール含有果実は、フィランサス・エンブリカ(Phyllanthus emblica)のポリフェノール含有果実である。ある実施形態において、ポリフェノール含有天然材料は、フィランサス・エンブリカ(Phyllanthus emblica)果実粉末を含む。別の実施形態において、ポリフェノール含有植物材料は、ポリフェノール含有木材料、例えば、樹皮、葉又はそれらの組み合わせである。別の実施形態において、ポリフェノール含有木材料は、モリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)、マンギフェラ・インディカ(Mangifera indica)のポリフェノール含有木材料又はそれらの組み合わせである。別の実施形態において、ポリフェノール含有植物材料は、ポリフェノール含有含有野菜材料である。ある実施形態において、ポリフェノール含有野菜材料は、トウガラシのポリフェノール含有野菜材料である。別の実施形態において、ポリフェノール含有植物材料は穀粒である。ポリフェノール含有天然材料は任意の好適な形態であり得、その選択は、当業者により容易になされ得る。ある実施形態において、ポリフェノール含有天然材料は粉末の形態である。ポリフェノール含有天然材料と金属塩からのナノ粒子の調製は、任意の好適な方法を含み得る。ある実施形態において、ナノ粒子の調製は、天然材料由来のポリフェノール含有抽出物の形態のポリフェノール含有天然材料と金属塩とを組み合わせるステップを含む。ポリフェノール含有抽出物は、例えば、特定のポリフェノール含有天然材料及び/又はその形態に依存し得る任意の好適な方法によってポリフェノール含有天然材料から調製することができるが、それにも関わらず、その方法の選択は当業者により容易になされ得る。ある実施形態において、ポリフェノール含有天然材料は、ポリフェノール含有天然材料(例えば、粉末形態の)と水とを、水中へのポリフェノールの抽出が十分な程度に進む(例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95%超又は100%のポリフェノールが水中に抽出される)のに好適なある時間(例えば、約5分間~約12時間、又は約30分間~約2時間、又は約1時間)にわたり、ある温度で(例えば、約4℃~約40℃又は約20℃~約25℃などの周囲温度で)、場合により好適な速度、例えば、約500rpm~約1,500rpm又は約1,000rpmで撹拌(例えば、混合)しながら接触させることにより調製されるポリフェノール含有抽出物の形態である。
【0050】
金属塩は、任意の好適な塩であり得る。例えば、金属塩中の金属と対アニオン(又はそれらの組み合わせ)との組み合わせは、例えば、特定の金属及び対アニオン(又はその組み合わせ)の個性に依存し得ることが当業者により理解され得る。金属塩が任意の好適な水和物形態であり得ることも当業者により理解される。ある実施形態において、金属塩は、金属硝酸塩、金属硫酸塩、金属塩化物又はそれらの組み合わせである。別の実施形態において、金属塩は、金属硫酸塩、金属塩化物又はそれらの組み合わせである。別の実施形態において、金属塩は、金属硫酸塩である。別の実施形態において、金属塩は、金属塩化物である。ある実施形態において、金属塩の金属は、鉄、銀、金又はそれらの組み合わせである。別の実施形態において、金属塩の金属は、鉄である。別の実施形態において、金属塩は、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、塩化第二金又は硝酸銀を含む。別の実施形態において、金属塩は、HAuCl4又はFeCl3を含む。さらなる実施形態において、金属塩はFeCl3を含む。さらなる実施形態において、金属塩は、FeSO4を含む。別の実施形態において、金属塩はFeSO4・7H2Oである。
【0051】
本開示の一部の実施形態において、ナノ粒子は、ナノ粒子及び基質を含む複合材料中に存在する。基質は、任意の好適な基質を含み得る。ある実施形態において、基質は、高表面積無機基質を含む。ある実施形態において、基質は、砂、砂利、粘土、ハイドロゲル、炭素(例えば、活性化炭素)、採掘材料、堆積物、ポリマー、金属有機フレームワーク、ゼオライト、MXene、バイオマテリアル(例えば、キトサン)又はそれらの組み合わせを含む。ある実施形態において、MXeneは、Ti3C2 MXeneである。ある実施形態において、基質は多孔性基質である。ある実施形態において、基質は、イオン交換樹脂又はイオン交換膜を含む。当業者であれば、好適なイオン交換樹脂又はイオン交換膜を容易に選択することができるであろう。ある実施形態において、イオン交換樹脂又はイオン交換膜は、カチオン性官能基を含む。ある実施形態において、基質は、PFAS特異的樹脂又はPFAS特異的膜を含む(例えば、複合アミノ官能基又は代替的な好適な官能基、例えばトリブチルアミン基、を含む)。当業者であれば、好適なPFAS特異的膜又は樹脂を容易に選択することができるであろう。例えばPurofine(商標) A694E及びPurolite(商標) A592は、複合アミノ官能基を有する市販のPFAS特異的樹脂の例であり、AmberLite(商標) PSR2 Plusイオン交換樹脂は、トリ-n-ブチルアミン官能基を有する市販のPFAS特異的樹脂の一例である。ある実施形態において、基質は、第四級アンモニウム官能基若しくはマルチアルキルアミン(例えばトリアルキルアミン(例えば、トリブチルアミン))官能基を含むポリマー樹脂、又は第四級アンモニウム官能基若しくはマルチアルキルアミン(例えばトリアルキルアミン(例えば、トリブチルアミン))官能基を含むポリマー膜を含む。ある実施形態において、基質は、第四級アンモニウム官能基を含むポリマー樹脂を含む。ある実施形態において、樹脂は、ポリスチレン系樹脂又はポリアクリル系樹脂を含む。別の実施形態において、樹脂は、ポリスチレン系樹脂を含む。さらなる実施形態において、樹脂は、ポリアクリル系樹脂を含む。別の実施形態において、基質は、第四級アンモニウム官能基を含むポリマー膜を含む。ある実施形態において、基質は、第四級アンモニウム官能基を含むポリスチレン系樹脂を含む。別の実施形態において、基質は、第四級アンモニウム官能基を含むポリアクリル系樹脂を含む。
【0052】
ナノ粒子及び基質を含む複合材料を調製するための方法は、例えば、特定の基質の個性及び/又は形態に依存し得る任意の好適な方法であり得る。ある実施形態において、上記方法は、ナノ粒子が、基質の表面上に堆積(沈着)される及び/又は基質のネットワーク(例えば、多孔性)構造中に組み込まれるようにナノ粒子と所望の基質とを組み合わせるステップを含む。別の実施形態において、添加は、約2~約8、約5~約8又は、約3~約6のpHで実施される。ある実施形態において、上記方法は、ナノ粒子の単離を伴わない複合材料の調製を含む。例えば、ある実施形態において、上記方法は、ポリフェノール含有天然材料(例えば、天然材料由来のポリフェノール含有抽出物の形態の)と金属塩とを好適な時間及び温度で組み合わせ、その後複合材料を添加し、次いでナノ粒子の表面上への堆積及び/又はネットワーク構造中への組み込みを好適な時間及び好適な温度で続行し、複合材料を調製するステップを含む。基質の表面上に堆積された及び/又は基質のネットワーク構造中に組み込まれたナノ粒子の性質は、時間に応じて変動し得る。例えば、より長い時間の選択は、より大きなナノ粒子の形成をもたらし得る。ある実施形態では、ポリフェノール含有天然材料(例えば、天然材料由来のポリフェノール含有抽出物の形態の)と金属塩とを、水性の溶液又は懸濁液中で、周囲温度(例えば、約4℃~約40℃又は約20℃~約25℃)にて約10秒間~約1時間又は約30秒間の時間、組み合わせ、その後複合材料を添加し、次いでナノ粒子の表面上への堆積及び/又はネットワーク構造中への組み込みを、周囲温度(例えば、約4℃~約40℃又は約20℃~約25℃)にて約1時間~約2日間、約16時間~約32時間又は約24時間の時間で、場合により好適な速度で、例えば、約50rpm~約200rpm又は約150rpmで撹拌(例えば、混合)しながら、続行する。ある実施形態において、ナノ粒子は、ナノ粒子を含むフィルムコーティングの形態で表面上に堆積され及び/又はネットワーク構造中に組み込まれる。さらなる実施形態において、堆積及び/又は組み込みの後、上記方法は、任意の好適な手段により(例えば、濾過を介して)過剰な溶媒を除去するステップ、その後好適な溶媒(例えば、水、メタノール又は水及びメタノールの混合物)で洗浄するステップ、及び任意の好適な方法及び/又は手段により(例えば、周囲条件下で、真空濾過を含む方法により又はそれらの組み合わせにより)乾燥させるステップをさらに含む。
【0053】
ある実施形態において、ナノ粒子と基質の比は、1000mgの基質に対して200mg以下のナノ粒子である。別の実施形態において、ナノ粒子と基質の比は、1000mgの基質に対して25mg以下のナノ粒子である。ある実施形態において、ナノ粒子と基質の比は、1000mgの基質に対して10mg以下のナノ粒子である。別の実施形態において、ナノ粒子と基質の比は、1000mgの基質に対して7mg以下のナノ粒子である。
【0054】
ある実施形態において、ナノ粒子は未加工であり;すなわち、複合材料中に存在しない。
【0055】
ある実施形態において、環境汚染物質は、PFAS、天然有機物又はそれらの組み合わせを含む。別の実施形態において、環境汚染物質は、PFASを含む。別の実施形態において、環境汚染物質は、アニオン性PFAS、カチオン性PFAS、中性及び双性イオン性PFAS又はそれらの組み合わせを含む。ある実施形態において、PFASは、少なくとも1つの双性イオン性PFASを含む。ある実施形態において、環境汚染物質は、長鎖ペルフルオロカルボン酸、短鎖ペルフルオロカルボン酸、長鎖ペルフルオロアルカンスルホン酸、短鎖ペルフルオロアルカンスルホン酸、GenX(商標)、フルオロテロマースルホン酸(ベタイン)又はそれらの組み合わせを含む。
【0056】
ある実施形態において、媒体は、気体、液体、固体、ゲル、スラリー又はそれらの組み合わせを含む。別の実施形態において、媒体は水を含む。別の実施形態において、水は飲料水である。別の実施形態において、水は地下水である。別の実施形態において、水は、地下水、廃水(例えば、都市下水、工業用廃水又はそれらの組み合わせ)、逆浸透由来の再生剤濃縮物(regenerant concentrate)、又は海水(brine)である。さらなる実施形態において、媒体は、土壌、吸着剤、消費者製品、バイオソリッド(例えば、廃水バイオソリッド)又はそれらの組み合わせを含む。
【0057】
ある実施形態において、接触させるステップの後、上記方法は、媒体からナノ粒子を分離するステップをさらに含む。当業者であれば、分離が、例えば、環境汚染物質、媒体及び/又はナノ粒子の形態(例えば、未加工であるか又は複合材料中に存在するか)に依存することを容易に理解し、分離のための好適な方法及び/又は手段を容易に選択することができるであろう。例えば、ナノ粒子が、ナノ粒子と膜の形態の基質とを含む複合材料中に存在し、接触させるステップが、媒体(例えば、水)を膜に通過させるステップを含む実施形態、又はナノ粒子が、ナノ粒子と樹脂の形態の基質とを含む複合材料中に存在し、接触させるステップが、媒体(例えば、水)を好適な容器、例えばカラム中に収容された樹脂に通過させるステップを含む実施形態においては、分離のためのさらなる手段は必要とされ得ない。あるいは、接触させるステップが、自由溶液又は自由懸濁液中で実施される実施形態では、濾過などの好適な手段が使用され得る。
【0058】
ある実施形態において、ナノ粒子は、ナノ粒子及び基質を含む複合材料中に存在し、上記方法は、複合材料を再生するステップをさらに含む。複合材料の再生に関して本明細書中で使用される「再生する」などの用語は、複合材料からの環境汚染物質の回収を含む方法、並びに/又は環境汚染物質の少なくとも一部が、再生のために使用される方法を介してより小さな副生成物に分解される及び/若しくは破壊される(例えば、脱フッ素化される)方法を包含する。複合材料を再生するための任意の好適な方法を使用することが可能であり、その選択は当業者によりなされ得る。ある実施形態において、上記方法は、無機塩、無機酸、無機塩基、有機溶媒又はそれらの組み合わせを含む水溶液により複合材料を再生し、再生された複合材料と環境汚染物質及び/又はそれらの副生成物とを含む再生濃縮物とを得るステップを含む。有機溶媒は、任意の好適な有機溶媒又はそれらの組み合わせであり得る。別の実施形態において、複合材料は、無機塩、無機酸、無機塩基又はそれらの組み合わせを含む水溶液により再生され、再生された複合材料と環境汚染物質及び/又はそれらの副生成物を含む再生濃縮物水溶液とが得られる。このような実施形態において、無機塩、無機酸、無機塩基又はそれらの組み合わせは、任意の好適な無機塩、無機酸、無機塩基又はそれらの組み合わせであり得、その選択は当業者によりなされ得る。ある実施形態において、無機塩、無機酸、無機塩基又はそれらの組み合わせは、無機塩化物(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム及び/又は塩化カルシウム)、無機水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び/又は水酸化カルシウム)、無機亜硫酸塩(例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム及び/又は亜硫酸カルシウム)、無機硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム及び/又は硫酸カルシウム)、無機重炭酸塩(例えば、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム及び/又は重炭酸カルシウム)、塩酸、又はそれらの組み合わせを含む。別の実施形態において、無機塩、無機酸、無機塩基又はそれらの組み合わせは、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩酸、又はそれらの組み合わせを含む。別の実施形態において、無機塩、無機酸、無機塩基又はそれらの組み合わせは、塩化ナトリウム又は亜硫酸ナトリウムを含む。別の実施形態において、無機塩、無機酸、無機塩基又はそれらの組み合わせは、亜硫酸ナトリウムを含む。別の実施形態において、無機塩、無機酸、無機塩基又はそれらの組み合わせは、硫酸基源を含む。本明細書中で使用される「硫酸基源」という用語は、限定するものではないが、好適な条件(例えば、光分解、熱分解、電気分解又は他の好適な条件)に供されたときに硫酸基を形成することができる過硫酸ナトリウムなどの化合物を指す。ある実施形態において、無機塩、無機酸、無機塩基又はそれらの組み合わせは、亜硫酸塩、硫酸塩又はそれらの組み合わせを含む。
【0059】
ある実施形態において、上記方法は、環境汚染物質及び/又はそれらの副生成物を分解及び/又は破壊するための再生濃縮物の処理をさらに含む。一部の実施形態において、環境汚染物質及び/又はそれらの副生成物の少なくとも一部は、接触した媒体中に残留する。従って、ある実施形態において、接触させるステップの後、上記方法は、残留環境汚染物質及び/又はそれらの副生成物を分解及び/又は破壊するための接触した媒体の処理をさらに含む。このような処理に関して本明細書中で使用される「分解する」という用語は、環境汚染物質及び/又はそれらの副生成物をより小さな副生成物に崩壊させることを指し、場合によりより小さな副生成物は非毒性である。このような処理に関して本明細書中で使用される「破壊する」という用語は、最終形態がもはや元の構造のより小さな副生成物も含まないPFAS脱フッ素化(例えば、PFASが無機化される)などの処理を指す。上記処理は、任意の好適な処理を含み得、その選択は本開示を参照する当業者によりなされ得る。ある実施形態において、上記処理は、熱的プロセス、電気化学的プロセス及び/又は紫外線プロセスを含み、その選択は当業者により容易になされ得る。ある実施形態において、環境汚染物質は、PFAS及び/又はそれらの副生成物を含み、上記処理は脱フッ素化を含む。ある実施形態において、上記処理は、紫外線又は電気化学的プロセスによる処理を含む。別の実施形態において、上記処理は、紫外線による処理を含む。別の実施形態において、上記処理は、電気化学的プロセスによる処理を含む。別の実施形態において、環境汚染物質はPFAS又はそれらの副生成物を含み、上記処理は、本明細書中に記載されるポリフェノール含有天然材料及び金属塩から調製されるナノ粒子との接触を、単独で、又は場合により熱的プロセス、電気化学的プロセス及び/又は紫外線プロセスなどの別の脱フッ素化の手段と共に含む。
【0060】
ある実施形態において、上記方法は、環境汚染物質を含む媒体のさらなる部分に接触させるステップにおいて使用するために再生された複合材料を再利用するステップをさらに含む。ある実施形態において、上記方法は、複数回の接触及び再生のサイクル、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10回又はそれ以上のサイクルを含む。
【0061】
ある実施形態において、環境汚染物質を含む媒体とナノ粒子とを接触させるステップの前に、上記方法は、環境汚染物質を酸化させるステップを含む。当業者であれば、酸化のための条件が、例えば、環境汚染物質及び/又は媒体の性質に依存し得るが、好適な条件は当業者により容易に選択され得ることを理解する。環境汚染物質が特定のPFAS(例えば、双性イオン性及び/又はカチオン性のPFAS)を含む一部の実施形態において、酸化は、媒体と、本明細書中に記載されるポリフェノール含有天然材料及び金属塩から調製される未加工のナノ粒子とを接触させるステップを含む。これは、場合により、例えば、接触させるステップの前のこのような実施形態において、例えば、本明細書中に記載される複合材料の形態の本明細書中に記載されるポリフェノール含有天然材料及び金属塩から調製されるナノ粒子により実施され得る。
【0062】
当業者であれば、一部の実施形態において、例えば、媒体及び/又は環境汚染物質の性質に応じて、上記方法が、残留環境汚染物質を含む媒体とナノ粒子とを接触させるステップ及び場合により残留環境汚染物質の酸化の前に特定の環境汚染物質の少なくとも一部、場合により全てを除去するための任意選択的なさらなる方法及び/又は手段も含み得ることを理解する。このような方法及び/又は手段は当技術分野で周知であり、例えば、媒体からの特定のサイズを超える(例えば、約5ミクロンを超える)粒子の分離(任意の好適な方法及び/又は手段、例えば濾過による)、及び/又は溶存有機物の少なくとも一部の除去(任意の好適な方法及び/又は手段、例えば、媒体を好適なカラムに通過させるなどの、好適な吸収剤との接触による)を挙げることができる。
【0063】
当業者であれば、環境汚染物質を含む媒体とナノ粒子とを接触させるステップが、例えば、環境汚染物質、媒体及び/又はナノ粒子の形態(例えば、未加工であるか又は複合材料中に存在するか)に依存し得、接触させるステップのための好適な方法及び/又は手段が、当業者により容易に選択され得ることも理解する。ある実施形態において、上記方法は連続的である。例えば、このような連続法としては、限定するものではないが、ナノ粒子が、ナノ粒子と膜の形態の基質とを含む複合材料中に存在し、接触させるステップが、媒体(例えば、水などの液体媒体)を膜に通過させるステップを含む実施形態、又はナノ粒子が、ナノ粒子と樹脂の形態の基質とを含む複合材料中に存在し、接触させるステップが、媒体(例えば、水などの液体媒体)を、樹脂を収容する好適な容器(例えば、カラム)中の樹脂に通過させるステップを含む実施形態を挙げることができる。しかし、上記方法が半連続又はバッチである実施形態もまた、本開示の媒体から環境汚染物質を除去する方法に含めることができる。例えば、ある実施形態において、接触させるステップは、媒体を、ナノ粒子(場合によりナノ粒子及び基質を含む複合材料中に存在する)を含む容器に提供するステップ、又はナノ粒子(場合によりナノ粒子及び基質を含む複合材料中に存在する)を、媒体を含む容器に提供するステップを含む。別の実施形態において(例えば、媒体が、環境汚染物質で飽和した樹脂又は環境汚染物質を含むバイオソリッドを含む特定の実施形態において)、接触させるステップは、媒体をナノ粒子でコーティングするステップを含む。環境汚染物質を含む媒体とナノ粒子(場合によりナノ粒子及び基質を含む複合材料中に存在する)との接触のための時間は、例えば、環境汚染物質の性質、ナノ粒子の性質(例えば、存在する場合、基質の形態など)及び/又は方法の性質(例えば、連続、半連続又はバッチ)に依存し得るが、本開示を考慮している当業者により選択され得る。ある実施形態において、媒体とナノ粒子(場合によりナノ粒子及び基質を含む複合材料中に存在する)との接触の期間は、2時間以下である。別の実施形態において、ナノ粒子(場合によりナノ粒子及び基質を含む複合材料中に存在する)との接触の期間は、30分未満、20分未満、10分未満、5分未満又は3分未満である。
【0064】
図1は、本開示の環境汚染物質を含む媒体から環境汚染物質を除去する方法10の実施形態の模式図を示す。
図1を参照すると、そこに示される方法10において、媒体12は水(例えば、地下水)を含み、これは、溶存有機物の任意選択的な除去16及び環境汚染物質の任意選択的な酸化18の前に特定のサイズを超える粒子を除去するために、任意選択的に(例えば、バッグフィルターを含む方法を介して)濾過14される。
図1に示される方法10の実施形態において、ナノ粒子(ポリフェノール含有天然材料及び金属塩から調製される)は、ナノ粒子と樹脂の形態の基質とを含む複合材料中に存在し、媒体は、上記媒体をカラムなどの樹脂を収容する好適な容器中の樹脂に通過させるステップを含む方法により、ポリフェノール含有天然材料と金属塩から調製されるナノ粒子と接触20する。
図1に示される方法10の実施形態において、媒体は、4つの並列ストリームでナノ粒子と接触20する。しかし、当業者であれば、他の実施形態では、異なる数のストリーム(例えば、単一ストリーム又は他の数の複数のストリーム)を使用することが可能であり、代替的な媒体とナノ粒子とを接触させる方法20が想定されることを理解する。この方法は、例えば、残留環境汚染物質及び/又はそれらの副生成物を分解及び/又は破壊するために、接触20の後且つ排出24の前に、任意選択的に媒体のさらなる処理22を含む。
【0065】
天然水からの選択フルオロテロマーZ-PFASの除去について、アニオン性有機スカベンジャーイオン交換(IX)樹脂(A860)、非イオン性IX樹脂(XAD 4及びXAD 7)、PFAS特異的樹脂(A694及びA592)並びにTi3C2 MXene(2次元金属炭化物)の適用を調査した。pH約7におけるZ-PFASの累積的除去は、以下の順に従う:Ti3C2 MXene > A694 > A592 > A860 > XAD 4~XAD 7。最終的に、4mM Na2SO3再生剤ブライン溶液中での約180 J/cm2 UV線量による処理は、Z-PFAS濃度の>99.9%の低下をもたらし、UV-亜硫酸塩系が、Z-PFAS再生剤の処理について有望な可能性を示すことを示していた。
【0066】
従って、本開示は、双性イオン性PFASを含む媒体から双性イオン性PFASを除去する方法であって:
双性イオン性PFASを含む媒体とMXeneとを接触させるステップ
を含む、上記方法も包含する。
【0067】
ある実施形態において、MXeneは、Ti3C2 MXeneを含む。
【0068】
ある実施形態において、MXeneはMXene及び基質を含む複合材料中に存在する。基質は、任意の好適な基質を含み得る。ある実施形態において、基質は、砂、砂利、粘土、ハイドロゲル、炭素(例えば、活性化炭素)、採掘材料、堆積物、ポリマー、金属有機フレームワーク、ゼオライト、バイオマテリアル(例えば、キトサン)又はそれらの組み合わせを含む。ある実施形態において、基質は多孔性基質である。ある実施形態において、基質は、イオン交換樹脂又はイオン交換膜を含む。当業者であれば、好適なイオン交換樹脂又はイオン交換膜を容易に選択することができるであろう。ある実施形態において、イオン交換樹脂又はイオン交換膜は、カチオン性官能基を含む。ある実施形態において、基質は、PFAS特異的樹脂又はPFAS特異的膜を含む(例えば、複合アミノ官能基、又は代替的な好適な官能基、例えばトリブチルアミン基、を含む)。当業者であれば、好適なPFAS特異的膜又は樹脂を容易に選択することができるであろう。例えば、Purofine(商標) A694E及びPurolite(商標) A592は、複合アミノ官能基を有する市販のPFAS特異的樹脂の例であり、AmberLite(商標) PSR2 Plusイオン交換樹脂は、トリ-n-ブチルアミン官能基を有する市販のPFAS特異的樹脂の一例である。ある実施形態において、基質は、第四級アンモニウム官能基若しくはマルチアルキルアミン(例えばトリアルキルアミン(例えば、トリブチルアミン))官能基を含むポリマー樹脂、又は第四級アンモニウム官能基若しくはマルチアルキルアミン(例えばトリアルキルアミン(例えば、トリブチルアミン))官能基を含むポリマー膜を含む。ある実施形態において、基質は、第四級アンモニウム官能基を含むポリマー樹脂を含む。ある実施形態において、樹脂は、ポリスチレン系樹脂又はポリアクリル系樹脂を含む。別の実施形態において、樹脂は、ポリスチレン系樹脂を含む。さらなる実施形態において、樹脂は、ポリアクリル系樹脂を含む。別の実施形態において、基質は、第四級アンモニウム官能基を含むポリマー膜を含む。ある実施形態において、基質は、第四級アンモニウム官能基を含むポリスチレン系樹脂を含む。別の実施形態において、基質は、第四級アンモニウム官能基を含むポリアクリル系樹脂を含む。
【0069】
ある実施形態において、MXene又はMXeneを含む複合材料は、複数のナノ粒子をさらに含む。ある実施形態において、ナノ粒子は、本明細書中に記載されるポリフェノール含有天然材料及び金属塩から調製されるナノ粒子である。
【0070】
別の実施形態において、MXeneは未加工であり:すなわち、MXeneを含む複合材料の形態ではなく、複数のナノ粒子をさらに含まない。
【0071】
ある実施形態において、媒体は、さらなる環境汚染物質をさらに含む。別の実施形態において、さらなる環境汚染物質は、アニオン性、カチオン性及び/又は中性のPFAS、天然有機物、あるいはそれらの組み合わせを含む。
【0072】
ある実施形態において、媒体は、気体、液体、固体、ゲル、スラリー又はそれらの組み合わせを含む。別の実施形態において、媒体は水を含む。別の実施形態において、水は飲料水である。別の実施形態において、水は地下水である。別の実施形態において、水は、地下水、廃水(例えば、都市下水、工業用廃水又はそれらの組み合わせ)、逆浸透由来の再生剤濃縮物、又は海水である。さらなる実施形態において、媒体は、土壌、吸着剤、消費者製品、バイオソリッド(例えば、廃水バイオソリッド)又はそれらの組み合わせを含む。
【0073】
ある実施形態において、接触させるステップの後、上記方法は、媒体からMXeneを分離するステップをさらに含む。当業者であれば、分離が、例えば、媒体及び/又はMXeneの形態(例えば、未加工であるか又は複合材料中に存在するか)に依存することを容易に理解し、分離のための好適な方法及び/又は手段を容易に選択し得るであろう。例えば、MXeneが、MXeneと膜の形態の基質とを含む複合材料中に存在し、接触させるステップが媒体(例えば、水)を膜に通過させるステップを含む実施形態、又はMXeneが、MXeneと樹脂の形態の基質とを含む複合材料中に存在し、接触させるステップが、媒体(例えば、水)を好適な容器、例えばカラム中に収容された樹脂に通過させるステップを含む実施形態においては、分離のためのさらなる手段は必要とされ得ない。あるいは、接触させるステップが自由溶液又は自由懸濁液中で実施される実施形態においては、濾過などの好適な手段を使用することができる。
【0074】
ある実施形態において、上記方法は、MXene(場合により複合材料中に存在する)を再生するステップをさらに含む。MXene(場合により複合材料中に存在する)を再生するステップに関して本明細書中で使用される「再生する」などの用語は、MXene/複合材料からの双性イオン性PFAS(及び場合によりさらなる環境汚染物質)の回収を含む方法、及び/又は双性イオン性PFAS(及び場合によりさらなる環境汚染物質)の少なくとも一部が、再生のために使用される方法を介してより小さな副生成物に分解及び/又は破壊される(例えば、脱フッ素化される)方法を包含する。再生のための任意の好適な方法を使用することが可能であり、その選択は当業者によりなされ得る。ある実施形態において、上記方法は、無機塩、無機酸、無機塩基、有機溶媒又はそれらの組み合わせを含む水溶液によりMXene(場合により複合材料中に存在する)を再生し、再生されたMXene(場合により複合材料中に存在する)と、双性イオン性PFAS(及び場合によりさらなる環境汚染物質)及び/又はそれらの副生成物を含む再生濃縮物とを得るステップを含む。有機溶媒は、任意の好適な有機溶媒又はそれらの組み合わせであり得る。別の実施形態において、MXene(場合により複合材料中に存在する)は、無機塩、無機酸、無機塩基又はそれらの組み合わせを含む水溶液により再生され、再生されたMXene(場合により複合材料中に存在する)と、双性イオン性PFAS(及び場合によりさらなる環境汚染物質)及び/又はそれらの副生成物を含む再生濃縮物水溶液とが得られる。このような実施形態において、無機塩、無機酸、無機塩基又はそれらの組み合わせは、任意の好適な無機塩、無機酸、無機塩基又はそれらの組み合わせであり得、その選択は当業者によりなされ得る。ある実施形態において、無機塩、無機酸、無機塩基又はそれらの組み合わせは、無機塩化物(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム及び/又は塩化カルシウム)、無機水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び/又は水酸化カルシウム)、無機亜硫酸塩(例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム及び/又は亜硫酸カルシウム)、無機硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム及び/又は硫酸カルシウム)、無機重炭酸塩(例えば、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム及び/又は重炭酸カルシウム)、塩酸、又はそれらの組み合わせを含む。ある実施形態において、無機塩、無機酸、無機塩基又はそれらの組み合わせは、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩酸、又はそれらの組み合わせを含む。別の実施形態において、無機塩、無機酸、無機塩基又はそれらの組み合わせは、塩化ナトリウム又は亜硫酸ナトリウムを含む。別の実施形態において、無機塩、無機酸、無機塩基又はそれらの組み合わせは、亜硫酸ナトリウムを含む。別の実施形態において、無機塩、無機酸、無機塩基又はそれらの組み合わせは、硫酸基源を含む。本明細書中で使用される「硫酸基源」という用語は、限定するものではないが、好適な条件(例えば、光分解、熱分解、電気分解又は他の好適な条件)に供されたときに硫酸基を形成することができる過硫酸ナトリウムなどの化合物を指す。ある実施形態において、無機塩、無機酸、無機塩基又はそれらの組み合わせは、亜硫酸塩、硫酸塩又はそれらの組み合わせを含む。
【0075】
ある実施形態において、上記方法は、双性イオン性PFAS(及び場合によりさらなる環境汚染物質)及び/又はそれらの副生成物を分解及び/又は破壊するための再生濃縮物の処理をさらに含む。一部の実施形態において、双性イオン性PFAS(及び場合によりさらなる環境汚染物質)及び/又はそれらの副生成物の少なくとも一部は、接触した媒体中に残留する。従って、ある実施形態において、接触させるステップの後、上記方法は、残留双性イオン性PFAS及び場合によりさらなる環境汚染物質(例えば、アニオン性、カチオン性及び/又は中性のPFASを含むさらなる環境汚染物質)を分解及び/又は破壊するための接触した媒体の処理をさらに含む。このような処理に関して本明細書中で使用される「分解する」という用語は、双性イオン性PFAS(及び場合によりさらなる環境汚染物質)及び/又はそれらの副生成物をより小さな副生成物に崩壊させることを指し、場合によりより小さな副生成物は非毒性である。このような処理に関して本明細書中で使用される「破壊する」という用語は、PFAS脱フッ素化などのプロセスを指し、ここでは最終形態は、もはや元の構造のより小さな副生成物を含まず、例えばPFASは無機化される。上記の処理は任意の好適な処理を含み得、その選択は本開示を参照する当業者によりなされ得る。ある実施形態において、上記処理は、熱的プロセス、電気化学的プロセス及び/又は紫外線プロセスを含み、その選択は当業者により容易になされ得る。別の実施形態において、上記処理は脱フッ素化を含む。ある実施形態において、上記処理は、紫外線又は電気化学的プロセスによる処理を含む。別の実施形態において、上記処理は、紫外線による処理を含む。別の実施形態において、上記処理は、電気化学的プロセスによる処理を含む。別の実施形態において、上記処理は、本明細書中に記載されるポリフェノール含有天然材料及び金属塩から調製されるナノ粒子との接触を、単独で、又は場合により熱的プロセス、電気化学的プロセス及び/又は紫外線プロセスなどの別の脱フッ素化の手段と共に含む。
【0076】
ある実施形態において、上記方法は、双性イオン性PFASを含む媒体のさらなる部分に接触させるステップにおける使用のために再生されたMXene(場合により複合材料中に存在する)を再利用するステップをさらに含む。ある実施形態において、上記方法は、複数の接触及び再生のサイクル、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10回又はそれ以上のサイクルを含む。
【0077】
ある実施形態において、双性イオン性PFAS(及び場合によりさらなる環境汚染物質)を含む媒体とMXeneとを接触させるステップの前に、上記方法は、双性イオン性PFAS(及び場合によりさらなる環境汚染物質、例えば、ここで、さらなる環境汚染物質はカチオン性PFASを含む)を酸化させるステップを含む。当業者であれば、酸化のための条件は、例えば、双性イオン性PFAS(及び場合によりさらなる環境汚染物質)及び/又は媒体の性質に依存し得るが、好適な条件は、当業者により容易に選択され得ることを理解する。一部の実施形態において、酸化させるステップは、媒体と、本明細書中に記載されるポリフェノール含有天然材料及び金属塩から調製される未加工のナノ粒子とを接触させるステップを含む。この酸化は、例えば、このような実施形態において、例えば、本明細書中に記載される複合材料の形態のMXeneと接触させる前に、任意選択的に実施され得る。
【0078】
当業者であれば、一部の実施形態において、例えば、媒体の性質及び/又は任意のさらなる環境汚染物質の性質に応じて、上記方法が、媒体とMXeneとを接触させるステップ及び場合により酸化の前に、特定の環境汚染物質の少なくとも一部、場合により全てを除去するための任意選択的なさらなる方法及び/又は手段も含み得るということを理解する。このような方法及び/又は手段は当技術分野で周知であり、例えば、媒体からの特定のサイズを超える(例えば、約5ミクロン超の)粒子の分離(任意の好適な方法及び/又は手段、例えば濾過による)、及び/又は溶存有機物の少なくとも一部の除去(任意の好適な方法及び/又は手段、例えば、媒体を好適なカラムに通過させるなどの好適な吸収剤との接触による)を挙げることができる。
【0079】
当業者であれば、双性イオン性PFASを含む媒体とMXeneとを接触させるステップは、例えば、媒体、任意のさらなる環境汚染物質の性質及び/又はMXeneの形態(例えば、未加工であるか又は複合材料中に存在するか)に依存し得、接触させるステップのための好適な方法及び/又は手段は、当業者により容易に選択され得ることを理解する。ある実施形態において、上記方法は連続的である。例えば、このような連続法としては、限定するものではないが、MXeneが、MXene(及び場合によりナノ粒子)と膜の形態の基質とを含む複合材料中に存在し、接触させるステップが、媒体(例えば、水などの液体媒体)を膜に通過させるステップを含む実施形態、又はMXeneが、MXene(及び場合によりナノ粒子)と樹脂の形態の基質とを含む複合材料中に存在し、接触させるステップが、媒体(例えば、水などの液体媒体)を、樹脂を収容する好適な容器(例えば、カラム)中の樹脂に通過させるステップを含む実施形態を挙げることができる。しかし、方法が半連続的又はバッチである実施形態も、本開示の双性イオン性PFASを含む媒体から双性イオン性PFASを除去する方法に含まれ得る。例えば、ある実施形態において、接触させるステップは、媒体を、MXene(場合により複合材料中に存在する及び/又はナノ粒子を含む)を含む容器に提供するステップ、又はMXene(場合により複合材料中に存在する及び/又はナノ粒子を含む)を、媒体を含む容器に提供するステップを含む。双性イオン性PFASを含む媒体とMXeneとの接触のための時間は、例えば、双性イオン性PFAS(及び存在する場合、場合によりさらなる環境汚染物質)の性質、MXeneの性質(例えば、存在する場合は基質の形態、及び/又はナノ粒子の存在を含む)、及び/又は方法の性質(例えば、連続、半連続又はバッチ)に依存し得るが、本開示を考慮した当業者により選択され得る。ある実施形態において、媒体とMXene(場合により複合材料中に存在する及び/又はナノ粒子を含む)との接触の期間は2時間以下である。別の実施形態において、MXene(場合により複合材料中に存在する及び/又はナノ粒子を含む)との接触の期間は、30分未満、20分未満、10分未満、5分未満又は3分未満である。
【0080】
III. 複合材料を調製する方法、複合材料及び使用
本開示は、複合材料の調製方法であって:
ポリフェノール含有天然材料及び金属塩からナノ粒子を調製するステップ;及び
ナノ粒子と基質とを組み合わせるステップ
を含む、上記方法も包含する。
【0081】
ポリフェノール含有天然材料は、任意の好適なポリフェノール含有天然材料であり得る。ある実施形態において、ポリフェノール含有天然材料は、ポリフェノール含有植物材料、ポリフェノール含有動物材料、ポリフェノール含有藻類材料、ポリフェノール含有菌類材料又はそれらの組み合わせである。別の実施形態において、ポリフェノール含有天然材料は、ポリフェノール含有植物材料である。当業者であれば、植物材料などの天然材料中のポリフェノールの存在が、例えば、ポリフェノール及び/又は天然材料、例えば植物材料の個性に依存し得ることを理解する。ある実施形態において、ポリフェノール含有植物材料は、ポリフェノール含有果実、樹皮、葉、野菜、穀粒又はそれらの組み合わせである。ある実施形態において、ポリフェノール含有天然材料は、果実である。別の実施形態において、ポリフェノール含有果実は、シアノコッカス(Cyanococcus)、フラガリア属種(Fragaria spp.)、ルブス属種(Rubus spp.)、フィランサス・エンブリカ(Phyllanthus emblica)のポリフェノール含有果実又はそれらの組み合わせである。さらなる実施形態において、ポリフェノール含有果実は、フィランサス・エンブリカ(Phyllanthus emblica)のポリフェノール含有果実である。ある実施形態において、ポリフェノール含有天然材料は、フィランサス・エンブリカ(Phyllanthus emblica)果実粉末を含む。別の実施形態において、ポリフェノール含有植物材料は、ポリフェノール含有木材料、例えば樹皮、葉、又はそれらの組み合わせである。別の実施形態において、ポリフェノール含有木材料は、モリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)、マンギフェラ・インディカ(Mangifera indica)のポリフェノール含有木材料又はそれらの組み合わせである。別の実施形態において、ポリフェノール含有植物材料は、ポリフェノール含有含有野菜材料である。ある実施形態において、ポリフェノール含有野菜材料は、トウガラシのポリフェノール含有野菜材料である。別の実施形態において、ポリフェノール含有植物材料は、穀粒である。ポリフェノール含有天然材料は任意の好適な形態であり得、その選択は、当業者により容易になされ得る。ある実施形態において、ポリフェノール含有天然材料は粉末の形態である。ポリフェノール含有天然材料及び金属塩からのナノ粒子の調製は、任意の好適な方法を含み得る。ある実施形態において、ナノ粒子の調製は、天然材料由来のポリフェノール含有抽出物の形態のポリフェノール含有天然材料と金属塩とを組み合わせるステップを含む。ポリフェノール含有抽出物は、例えば、特定のポリフェノール含有天然材料及び/又はその形態に依存し得る任意の好適な方法によりポリフェノール含有天然材料から調製することができるが、それにも関わらず、その選択は当業者により容易になされ得る。ある実施形態において、ポリフェノール含有天然材料は、ポリフェノール含有天然材料(例えば、粉末形態の)と水とを、水中へのポリフェノールの抽出が十分な程度に進む(例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95%超又は100%のポリフェノールが水中に抽出される)のに適したある時間(例えば、約5分間~約12時間又は約30分間~約2時間又は約1時間)にわたり、ある温度で(例えば、約4℃~約40℃又は約20℃~約25℃などの周囲温度で)、場合により好適な速度、例えば、約500rpm~約1,500rpm又は約1,000rpmで撹拌(例えば、混合)しながら接触させることにより調製されるポリフェノール含有抽出物の形態である。
【0082】
金属塩は、任意の好適な塩であり得る。例えば、当業者であれば、金属塩中の金属と対アニオン(又はその組み合わせ)との組み合わせは、例えば、特定の金属及び対アニオン(又はその組み合わせ)の個性に依存し得ることを理解し得る。金属塩が任意の好適な水和物形態であり得ることも当業者により理解される。ある実施形態において、金属塩は、金属硝酸塩、金属硫酸塩、金属塩化物又はそれらの組み合わせである。別の実施形態において、金属塩は、金属硫酸塩、金属塩化物又はそれらの組み合わせである。別の実施形態において、金属塩は、金属硫酸塩である。別の実施形態において、金属塩は、金属塩化物である。ある実施形態において、金属塩の金属は、鉄、銀、金又はそれらの組み合わせである。別の実施形態において、金属塩の金属は鉄である。別の実施形態において、金属塩は、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、塩化第二金又は硝酸銀を含む。別の実施形態において、金属塩は、HAuCl4又はFeCl3を含む。さらなる実施形態において、金属塩は、FeCl3を含む。さらなる実施形態において、金属塩は、FeSO4を含む。別の実施形態において、金属塩は、FeSO4・7H2Oである。
【0083】
基質は、任意の好適な基質を含み得る。ある実施形態において、基質は、高表面積無機基質を含む。別の実施形態において、基質は、砂、砂利、粘土、ハイドロゲル、炭素(例えば、活性化炭素)、採掘材料、堆積物、ポリマー、金属有機フレームワーク、ゼオライト、MXene、バイオマテリアル(例えば、キトサン)又はそれらの組み合わせを含む。ある実施形態において、MXeneは、Ti3C2 MXeneである。ある実施形態において、基質は多孔性基質である。ある実施形態において、基質は、イオン交換樹脂又はイオン交換膜を含む。当業者であれば、好適なイオン交換樹脂又はイオン交換膜を容易に選択することが可能であり得る。ある実施形態において、イオン交換樹脂又はイオン交換膜は、カチオン性官能基を含む。ある実施形態において、基質は、PFAS特異的樹脂又はPFAS特異的膜を含む(例えば、複合アミノ官能基又は代替的な好適な官能基、例えばトリブチルアミン基、を含む)。当業者であれば、好適なPFAS特異的膜又は樹脂を容易に選択することが可能であり得る。例えば、Purofine(商標) A694E及びPurolite(商標) A592は、複合アミノ官能基を有する市販のPFAS特異的樹脂の例であり、AmberLite(商標) PSR2 Plusイオン交換樹脂は、トリ-n-ブチルアミン官能基を有する市販のPFAS特異的樹脂の一例である。ある実施形態において、基質は、第四級アンモニウム官能基若しくはマルチアルキルアミン(例えばトリアルキルアミン(例えば、トリブチルアミン))官能基を含むポリマー樹脂、又は第四級アンモニウム官能基若しくはマルチアルキルアミン(例えばトリアルキルアミン(例えば、トリブチルアミン))官能基を含むポリマー膜を含む。ある実施形態において、基質は、第四級アンモニウム官能基を含むポリマー樹脂を含む。別の実施形態において、基質は、第四級アンモニウム官能基を含むポリマー膜を含む。ある実施形態において、樹脂は、ポリスチレン系樹脂又はポリアクリル系樹脂を含む。別の実施形態において、樹脂は、ポリスチレン系樹脂を含む。さらなる実施形態において、樹脂は、ポリアクリル系樹脂を含む。ある実施形態において、基質は、第四級アンモニウム官能基を含むポリスチレン系樹脂を含む。別の実施形態において、基質は、第四級アンモニウム官能基を含むポリアクリル系樹脂を含む。
【0084】
ナノ粒子と基質とを組み合わせるための条件は、例えば、特定の基質の個性及び/又は形態に依存し得る任意の好適な条件を含み得る。ある実施形態において、上記方法は、ナノ粒子が基質の表面上に堆積される及び/又は基質のネットワーク(例えば、多孔性)構造中に組み込まれるようにナノ粒子と所望の基質とを組み合わせるステップを含む。別の実施形態において、添加は、約2~約8、約5~約8又は約3~約6のpHで実施される。ある実施形態において、上記方法は、ナノ粒子の単離を伴わない複合材料の調製を含む。例えば、ある実施形態において、上記方法は、ポリフェノール含有天然材料(例えば、天然材料由来のポリフェノール含有抽出物の形態)と金属塩とを好適な時間及び温度で組み合わせ、その後複合材料を添加し、次いでナノ粒子の表面上への堆積及び/又はネットワーク構造中への組み込みを、好適な時間及び好適な温度で続行して、複合材料を調製するステップを含む。基質の表面上に堆積された及び/又は基質のネットワーク構造中に組み込まれたナノ粒子の性質は、時間により変動し得る。例えば、より長い時間の選択は、より大きなナノ粒子の形成をもたらし得る。ある実施形態では、ポリフェノール含有天然材料(例えば、天然材料由来のポリフェノール含有抽出物の形態)及び金属塩を、水性の溶液又は懸濁液中で、約10秒~約1時間又は約30秒間の時間で、周囲温度(例えば、約4℃~約40℃又は約20℃~約25℃)で組み合わせ、その後複合材料を添加し、次いでナノ粒子の表面上への堆積及び/又はネットワーク構造中への組み込みを、約1時間~約2日間、約16時間~約32時間又は約24時間の時間にて、周囲温度(例えば、約4℃~約40℃又は約20℃~約25℃)で、場合により好適な速度、例えば約50rpm~約200rpm又は約150rpmで撹拌(例えば、混合)しながら続行する。ある実施形態において、ナノ粒子は、ナノ粒子を含むフィルムコーティングの形態で表面上に堆積され及び/又はネットワーク構造中に組み込まれる。さらなる実施形態において、堆積及び/又は組み込みの後、上記方法は、任意の好適な手段により(例えば、濾過を介して)過剰な溶媒を除去するステップ、その後好適な溶媒(例えば、水、メタノール又は水及びメタノールの混合物)で洗浄するステップ、及び任意の好適な方法及び/又は手段により(例えば、周囲条件下、真空濾過を含む方法又はその組み合わせにより)乾燥させるステップをさらに含む。
【0085】
ある実施形態において、ナノ粒子と基質の比は、1000mgの基質に対して200mg以下のナノ粒子である。別の実施形態において、ナノ粒子と基質の比は、1000mgの基質に対して25mg以下のナノ粒子である。別の実施形態において、ナノ粒子と基質の比は、1000mgの基質に対して10mg以下のナノ粒子である。別の実施形態において、ナノ粒子と基質の比は、1000mgの基質に対して7mg以下のナノ粒子である。
【0086】
本開示は、本明細書中に記載される複合材料の調製方法により調製される複合材料も包含する。当業者であれば、このような複合材料の実施形態は、必要に応じて、本明細書中に記載されるこのような複合材料を調製する方法について本明細書中に記載されるとおりに変化させ得ることを理解する。本開示は、環境汚染物質を含む媒体からの環境汚染物質の除去のためのこのような複合材料の使用も包含する。本開示は、環境汚染物質を含む媒体からの環境汚染物質の除去において使用するための、本明細書中に記載されるポリフェノール含有天然材料及び金属塩から調製されるナノ粒子も包含する。当業者であれば、このような使用の実施形態は、必要に応じて、本明細書中に記載される環境汚染物質を含む媒体から環境汚染物質を除去する方法について本明細書中に記載されるように変化させ得ることを理解する。
【0087】
IV. さらなる実施形態
本開示は、高表面積の基質を含む水からペルフルオロアルキル物質若しくはポリフルオロアルキル物質(PFAS)又は天然有機物(NOM)を除去するための材料も包含する。ある実施形態において、基質は、ゼオライト、MXene、MXene複合材料、ポリマー基質、樹脂又はそれらの組み合わせから選択される。別の実施形態において、基質はTi3C2 MXeneである。さらなる実施形態において、基質は、基質に結合した複数のナノ粒子をさらに含む。ある実施形態において、ナノ粒子は、酸化鉄ナノ粒子である。別の実施形態において、ナノ粒子と基質の比は、重量で1:10以下である。
【0088】
本開示は、最初に濾過媒体を含む容器に水を提供し、水を媒体と接触させ、次いで処理水を濾過媒体からフィルターで分離することにより、水からペルフルオロアルキル物質若しくはポリフルオロアルキル物質(PFAS)又は天然有機物(NOM)を除去する方法も包含する。ある実施形態において、濾過媒体は、高表面積無機基質を含む。別の実施形態において、濾過媒体はMXeneを含む。さらなる実施形態において、濾過媒体は、基質に結合した酸化鉄ナノ粒子をさらに含む。別の実施形態において、PFAS及び/又はNOM負荷濾過媒体は、それを、無機塩を含む水溶液と接触させることにより後で再生される。さらなる実施形態において、PFAS及び/又はNOM負荷再生剤は、紫外(UV)光に後で曝露されてPFAS及び/又はNOMを分解する。ある実施形態において、溶液は、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩酸、又はそれらの組み合わせのいずれかを含む。
【0089】
本開示は、水を処理する濾過媒体を有する容器、濾過媒体の再生剤としての塩水溶液、及びPFAS及び/又はNOM負荷再生剤からPFAS及び/又はNOMを分解するために紫外線(UV)照射を放射するデバイスを含む、水中のペルフルオロアルキル物質若しくはポリフルオロアルキル物質(PFAS)又は天然有機物(NOM)を除去するための系(system)も包含する。ある実施形態において、濾過媒体は、高表面積無機基質である。別の実施形態において、高表面積無機基質はMXeneである。さらなる実施形態において、高表面積無機基質はTi3C2 MXeneである。ある実施形態において、基質はナノ粒子で修飾(decorate)されている。別の実施形態において、塩水溶液は、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩酸、又はそれらの組み合わせのいずれかを含む。
【0090】
本開示は、基質に結合した複数のナノ粒子を有する多孔性基質を含む、ペルフルオロアルキル物質若しくはポリフルオロアルキル物質(PFAS)又は天然有機物(NOM)を濾過するために水を処理するための材料も包含する。ある実施形態において、ナノ粒子は、酸化鉄ナノ粒子、金ナノ粒子、銀ナノ粒子、又はそれらの組み合わせを含む。ある実施形態において、ナノ粒子は、少なくとも1つの果実抽出物を用いて調製される。別の実施形態において、果実抽出物は、高い没食子酸当量を含んでいる。さらなる実施形態において、果実抽出物中の没食子酸当量含量は、6mg/gより大きい。ある実施形態において、果実抽出物は、フィランサス・エンブリカ(Phyllanthus emblica)(PE)抽出物を含む。ある実施形態において、基質は、ポリマー樹脂又はポリマーハイドロゲルのいずれかから選択された。本開示は、このような材料を用いて水を処理する方法も包含する。
【0091】
本開示は、基質に結合した複数のナノ粒子を有する高表面積有機基質を含む、水からペルフルオロアルキル物質若しくはポリフルオロアルキル物質(PFAS)又は天然有機物(NOM)を除去するための材料も包含する。ある実施形態において、ナノ粒子は、酸化鉄ナノ粒子である。ある実施形態において、酸化鉄ナノ粒子は、少なくとも1つの果実抽出物を用いて調製される。別の実施形態において、果実抽出物は、高い没食子酸当量を含んでいる。さらなる実施形態において、果実抽出物中の没食子酸当量含量は、6mg/gより大きい。ある実施形態において、果実抽出物は、フィランサス・エンブリカ(Phyllanthus emblica)(PE)抽出物を含む。ある実施形態において、基質はポリマー樹脂である。ある実施形態において、基質はポリマー膜である。ある実施形態において、ナノ粒子と基質の比は、1000mgの樹脂に対して10mg以下のナノ粒子である。別の実施形態において、ナノ粒子と基質の比は、1000mgの樹脂に対して7mg以下のナノ粒子である。本開示は、水とこのような容器中の材料とを接触させることにより水を処理する方法も包含する。
【0092】
以下は、本開示の非限定的な実施例である:
【実施例】
【0093】
実施例1
近年、新興のクラスの双性イオン性ペルフルオロアルキル物質及びポリフルオロアルキル物質(Z-PFAS)が、水生環境中でますます検出されている。それらの濃度の大きさ及び世界的な検出頻度の増加は、飲料水におけるそれらの偶発的な存在及びそれに伴う健康リスクに関する問題を提起する。PFAS除去技術の著しい進歩は、世界中で汚染水に曝露されている何百万人もの個人の生活を直接改善する。汚染水源からこのようなZ-PFASを有効に捕捉するための処理技術の確定についての科学的知識はほとんど不明のままである。本研究は、Ti3C2 MXeneの双性イオン性PFAS除去能力について調査する。フルオロテロマースルホンアミドプロピルベタイン(6:2 / 8:2 / 10:2 FTAB)及びフルオロテロマーベタイン(5:1:2 / 7:1:2 / 9:1:2 / 11:1:2 FTB及び5:3 / 7:3 / 9:3 FTB)などのいくつかのZ-PFASについて試験した。比較研究は、アニオン性IX樹脂(例えばPurolite A860)、非イオン性IX樹脂(例えばXAD 4及びXAD 7)、及びPFAS特異的樹脂(例えばPurofine PFA694E)を用いて実施した。DOM特性の影響は、国際腐植物質学会(International Humic Substance Society)(IHSS)から得た標準スワニー川DOM単離物を使用することにより評価した。その後、取り込みの動態について調査し、双性イオン性PFAS除去の律速段階を分析した。複数サイクルにわたりMXeneを試験することにより、再生及び再利用可能性の研究も実施し、最適化された操作条件を評価した。最後に、本発明者らは、効率的な海水(brine)管理実務への、有害な再生剤中の双性イオン性PFASを分解するための紫外線(UV)ベースの高度な還元プロセス(reduction process)の適用性について調査した。従って、この研究の結果は、世界中の科学的及び工学コミュニティー並びに水及び廃水処理用途にとって高い価値を有すると予想される。
【0094】
図2は、本開示の方法110の実施形態の模式図を示す。
図2を参照すると、多孔性基質112が、汚染水(例えば、PFASを有する)114に添加され得る。汚染水と多孔性基質の接触116の後、飽和した基質(例えば、PFASを有する)118を除去し、第1部分の処理水120を残すことができる。飽和した基質118は、塩溶液(示さず)により再生され122、再生濃縮物(例えば、PFASを有する)124と再生された(新たな)基質126を提供することが可能であり、この再生された(新たな)基質126は、汚染水の接触116において使用するために再利用128することができる。再生濃縮物124の紫外線(UV)処理130は、第2部分の処理水132を提供することができる。
【0095】
I. 材料及び方法
(a) 化学物質及び材料
PFAS。6:2 FTAB(製品参照番号:N-CMAmP-6:2FOSA)、5:1:2 FTB、及び5:3 FTBの高純度認証標準を、Wellington Labs(グエルフ、オンタリオ州、カナダ)から入手した。Ansulite(3%、Ansul Inc.)AFFF濃縮物はカナダの空港の消防緊急局(Fire & Emergency Department)から提供され、一方、Arctic Foam 203A AFFF濃縮物は匿名の供給者により好意で分配された。しかし、Arctic Foam 203A AFFFは商業的供給源から容易に入手可能である。陰イオンモード同位体標識内部標準は、Wellington Labs(グエルフ、オンタリオ州、カナダ)から入手した。特注合成のN-トリメチルアンモニオプロピルペルフルオロオクタンアミド(TAmPr-FOAd、Beijing Surfactant Institute、北京、中国から入手)を、陽イオンモード内部標準として使用した。
【0096】
アニオン性有機スカベンジャー樹脂(Purolite(登録商標) A860、第四級アンモニウム官能基を有するポリアクリル系樹脂、容量:0.8meq/mL、1mL=221mg)及びPFAS特異的樹脂(複合アミノ官能基及び1~1.4eq/Lの容量を有するA694E及びA592)を、Purolite(登録商標)(ベラ・カヌイド、ペンシルベニア州、米国)から入手した。Amberlite XAD 4及びXAD 7などの非イオン性IX樹脂を、Sigma Aldrich(オークヴィル、オンタリオ州、カナダ)から入手した。Ti3C2 MXeneを、Nanochemzone Incorporation(ウォータールー、オンタリオ州、カナダ)から入手し、受け取ったままで(as received)使用した。樹脂特性及びMXene特性についてのさらなる詳細を、表1(吸着特性)に提供する。スワニー川天然有機物(SRNOM)は、国際腐植物質学会(International Humic Substance Society)(セントポール、ミネソタ州、米国)から入手した。
【0097】
【0098】
(b) 合成及び地表水の調製
PFASストック。表2において列挙される全てのZ-PFASは、モントリオール大学(Universite de Montreal)(UdeM)から入手し、ブリティッシュ・コロンビア大学において受け取ったままで使用した。
【0099】
【0100】
FTAB及びFTBの水性ストック混合物を調製し、AFFF源材料中に存在するこれらの優位種(Arctic Foam AFFF及びAnsulite AFFFにおいて、それぞれ6:2 FTAB及び5:1:2 FTB)について、10μg/mLの近似濃度を目標とした。水性ストック混合物は、45mLのHPLCグレード水を、32μLのArctic Foam 203A及び100μLのAnsulite AFFF濃縮物で修正することにより調製した。この溶液を、均質化のために穏やかに回転させたが、起泡は回避し;次いでこれを、3本の15mLポリプロピレンチューブ中に等分割(aliquot)した。この3連の(triplicate)アリコートを、Thermo UHPLC-HRMS Orbitrap Q-Exactive上で、MeOH中1/500の希釈倍率で特性決定した。全てのサンプルを2連で(in duplicates)分析した。6:2 FTAB、5:1:2 FTB、及び5:3 FTBは、Wellington Labs(グエルフ、オンタリオ州、カナダ)から入手した対応する真正高純度標準を用いて定量し、他のFTAB及びFTB類似体は、サスペクトスクリーニングを用いて半定量した。表3は、水性ストック溶液中のFTAB及びFTBの濃度を示す。3つのアリコートのそれぞれを調製し、MeOH中1/500希釈を適用した後、LC-MSにより2連で分析した。11:3 FTBは低濃度でのみ存在し、この研究の残りの部分については標的とされなかった。主要成分6:2 FTAB及び5:1:2 FTBの測定濃度は、名目目標値の±20%以内であった(表3)。
【0101】
【0102】
DOMストック。SRNOMは、ブリティッシュ・コロンビア州(British Columbia)の天然地表水と比較して類似の分子量分布を示し、世界的に合成水研究の代替物として利用されていた(非特許文献40及び41)ため、これを利用した。受けとったSRNOMを約500mg/LのDOMストックへと調製し、その後0.45μmの予洗いした(prerinsed)フィルター(Millex-HVシリンジフィルター、カタログ番号:SLHV033RS、ダルース、ジョージア州、米国)を通して濾過した。以前に記載されたとおり(非特許文献42)、ストックの最終pHを、NaHCO3 (0.5mM)、NaCl (0.02mM)、NaOH (0.1M)及び必要に応じてHCl(0.1M)で緩衝することにより調整した。ストック溶液を、暗中4℃で4週間まで保存した。
【0103】
再利用廃水。廃水を、バンクーバーコンベンションセンターの二次廃水処理施設(膜バイオリアクターから成る)から回収した(処理廃水流出物と呼ばれる)。バンクーバーコンベンションセンター(VCC)プラントにおいて、VCC処理工程は、生物学的栄養分除去工程、その後の膜バイオリアクターによる処理を含む。このプラントは、建物から出る灰色及び黒色の水を、100,000リットル/日の操作容量で処理する。処理水は、手洗所でトイレ洗浄のために、また夏及び比較的暖かい月の屋上灌水のために再利用される。工程210の模式図が
図3に例示されている。
図3に示されるのは、廃水源212、スクリーン214、栄養物除去216、第1の嫌気チャンバー218、第1の好気チャンバー220、さらなる栄養物除去222、第2の嫌気チャンバー224、第2の好気チャンバー226、及びGE-ポリビニリデンフルオリド(PVDF)膜を有する膜バイオリアクター228である。再利用廃水の特徴は、表2にまとめられる。水サンプルを、0.45μmの予洗いした膜フィルター(Millex-HVシリンジフィルター、カタログ番号:SLHV033RS、ダルース、ジョージア州、米国)で予め濾過し、暗中4℃で3週間まで保存した。全ての実験の前に、水を、CF042カスケード上で5~25 psiの操作圧にて15mL/分(又は200 LMH)で操作して、精密濾過膜(0.3μm、GE Osmonics Flat Sheet、JX、PVDF、MF(Sterlitech Corporation、ケント、ワシントン州、米国))及び限外濾過膜(200kDa μm、Synder Flat Sheet、V5、PVDF、UF(Sterlitech Corporation、ケント、ワシントン州、米国)に通過させ、飲用の(potable)再利用シナリオを模倣した(非特許文献43及び44)。注目すべきなのは、MF-UF前処理は廃水流出物についてのみ行われ、SRNOMを加えた脱イオン(DI)水については行われなかったことである。
【0104】
(c) 実験アプローチ
動態研究。以前に記載されたとおり(非特許文献45、46及び47)、Phipps & Bird 9900 Jar tester(リッチモンド、バージニア州、米国)により、2分間~24時間で変動する接触時間の間に150rpmで撹拌される円形のビーカー中で、100mgの樹脂/MXene(乾燥重量)を1Lの水と混合した(0.1~10μg個別PFAS/L)。研究は、希釈NaOHでpH 7.0±0.2に調整されたDI水(添加されたPFAS及びSRNOMを有する)中で行った。
【0105】
等温線研究。10~1000mgの樹脂/MXeneを、0.1~10μg/L個別PFAS及び5mg C/L初期濃度のSRNOMを有する1Lの源水と48時間(平衡)混合した。このDOM濃度を、ブリティッシュ・コロンビア州における天然飲料水源についての有機物濃度の代表的濃度として採用した(非特許文献48、49、50及び51)。
【0106】
多重負荷試験(MLT)。以前に記載されたとおり(非特許文献52、45及び53)、多重負荷試験を介して研究を実施した。150rpmで操作されるPhipps & Bird 9900 Jar tester(リッチモンド、バージニア州、米国)中の円形の1Lビーカー中で、100mgの吸着剤用量を、1Lの水(Z-PFAS及びSRNOMが添加された)と混合した(PFAS、C0=0.1~10μg/L)。樹脂を再生し(本明細書中で詳述する)、その後新たな1Lビーカーに移した(1サイクルの操作と呼ばれる)。全ての実験条件について、実験を2連で実施し、分析したことに留意されたい。樹脂を有さない汚染溶液を含んだ対照サンプルを、全ての試験に含めた。
【0107】
再生実験。100mgの飽和した吸着剤と、塩化ナトリウム(NaCl)、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)及び硫酸ナトリウム(Na2SO4)のいずれかの5mLの4mM溶液とを120分間の接触時間の間穏やかに(conservatively)混合することにより、吸着剤再生を行った。選択的再生条件(100mgと5mLで120分間の接触時間)を調べるために、再生は、酸(0.1N HCl)及び塩基(0.1N NaOH)を用いても実施した。2連実験を実施し、全サンプルを2回分析した。
【0108】
UV触媒還元実験。以前に記載されたとおり(非特許文献54及び55)、UV装置を用いて実験を実施した。密閉した透明なSpectrosil(登録商標)石英セル(Starna Cells Inc, アタスカデロ, カリフォルニア州, 米国)に収容した17mLのサンプル体積(C0,Z-PFAS=100μg/L、CNa2SO3=4mM)に、254nmの光を放射する24W低圧UVランプ(HVA357T5L, Light Source Inc., ニューハドソン、ミシガン州)を照射した。送達された平均フルエンスは185.8J/cm2であり、これはヨウ化物-ヨウ素酸塩光量測定法を用いて決定された(非特許文献56)。ヨウ化物/ヨウ素酸塩光量測定法を実施して254nm照射量を決定し、その後、補正係数(例えば、以前に記載されたペトリ係数(Petri factor)、水係数(water factor)、反射係数(reflection factor)、及び発散係数(divergence factor))(非特許文献55、57及び58)を適用することにより最終UVフルエンスを決定した。
【0109】
MXeneのゼータ電位。
図4は、Malvern Zetasizer Nano ZS-NIB(U.K.)を用いたMXeneのゼータ電位(50mg/Lの用量で試験した)を示す。負の値は、6~8.5の操作pH範囲の間でMXeneが負に荷電することを示す。
【0110】
天然水についてのLCOCDデータ。以前に記載された方法(非特許文献59、46及び60)を用いた源水NOMの分析のため、900 Turbo Portable OC Analyzer(検出範囲:0.2~10mg C/L、GE Sievers、カナダ)を備えたHPLC(Perkin Elmer、カナダ)を用いてLCOCDを実施した。廃水についてのLCOCDグラフは、Waters C-8カラムを用いて得られ、一方、NOM単離物及び地表水についてのLCOCDグラフはWaters C-18カラム上で得られ、対応する分子量について異なる溶出時間を生じたことに留意されたい。
図5は、IX処理前のバンクーバーコンベンションセンターの水についてのLCOCDデータを示す。
【0111】
(d) 等温線及び動態モデリング
等温線モデリング。実験データを、Freundlich等温線モデル(非特許文献61及び62)に適合させた:
【0112】
【数1】
ここで、q
e(μg/mg)は平衡取り込み容量であり、C
e(μg/L)は、平衡におけるZ-PFASの濃度である。K
f(μg/mg/μg/L)
1/n及び1/nという表記は、Freundlich等温線パラメータである。
【0113】
動態モデリング。速度が活性部位の数に正比例すると考える疑二次動態モデルは以下のとおりに示され:(非特許文献61及び63)
【0114】
【数2】
ここでk
2(μg/ng/分)は、疑二次速度定数である。
【0115】
さらなる研究を実施し、以前に記載されたとおり(非特許文献41)、内部物質移動(すなわち、細孔拡散(pore diffusion))と外部物質移動(すなわち、境膜拡散(film diffusion))の抵抗性の比である無次元物質移動Biot数(Bi)を推定することにより、取り込み工程中の関連する境膜拡散及び細孔拡散の程度を評価した。
【0116】
【数3】
ここでRpは吸着剤の半径(m)であり、k
f(cm/秒)は外部物質移動係数(k
f = D
f /δ)であり、D
fは境膜拡散係数(cm
2/秒)であり、D
peは細孔拡散係数(cm
2/秒)であり、δは境膜厚さ(本発明者らの1-リアクター中の混合条件については、10
-3cmとして考えられる)である(非特許文献42)。D
pe及びD
fは、以前に記載されたとおり(非特許文献41)、非線形最適化スキームを実施することによって計算した。
【0117】
疑一次動態モデル。疑一次動態モデルは、以下のとおりに示され(非特許文献63):
【0118】
【数4】
ここでq
e及びq
tは、それぞれ、平衡で、及び時間tでの、IX樹脂上に吸着されたPFASイオンの量である。相関係数(R
2<0.9)は、動態データに対する良好な適合を示さない。
【0119】
疑二次動態モデル。上記のとおり、速度が活性部位の数に正比例すると考える疑二次動態モデルは、以下のとおりに示され(非特許文献63及び64):
【0120】
【数5】
ここでk
2は、疑二次速度定数である。Z-PFASについてのt/qt対tのプロットは、高い相関係数(R2>0.9)を有する直線であり、上記モデルに対する良好な適合を示している。
【0121】
Radj
2(調整)推定。式は:
【0122】
【数6】
であり(非特許文献65)、ここでnはサンプル中のデータ点の数であり、kは、モデル中の変数(定数を除く)の数である。
【0123】
拡散係数及びBiot数の推定:以下の等式は、完全撹拌タンクリアクター中の吸着剤についての粒子内拡散モデル(IDM)の解析解について説明する:
【0124】
【0125】
【0126】
【数9】
ここでU(t)は平衡到達率(fractional attainment of equilibrium)であり、C
o、C
t及びC
eは、それぞれ、時間t=0、t、及び平衡における溶質の濃度(mg/L)である。R
pは吸着剤の半径であり、D
a,1は見かけの拡散率((cm
2/秒)である。
【0127】
粒子内拡散とは反対に、以下の等式は、境膜拡散制御除去の場合のPFAS濃度の変化を表す:
【0128】
【数10】
ここでδは境膜厚さ(10
-3cm)であり(非特許文献66)、C
oは初期溶質濃度(meq/L)であり、Vは溶液体積(L)であり、V’は樹脂体積(L)であり、D
fは境膜拡散係数(cm
2/秒)である。
【0129】
IPDモデルと境膜拡散モデルの両方について、Df又はDa,1は一定であると考えられ、非線形最適化スキームに基づいて推定される。
【0130】
Dfに適合した曲線は、実験データ(0.95 < R2 < 0.98)と十分に一致しており、一方、他の箇所に記載されるとおり(非特許文献66)、細孔拡散モデルの適合品質(0.96 < R2 < 0.99)は、希薄条件の仮定下で十分に適合した。
【0131】
内部物質移動(すなわち、細孔拡散)抵抗性と外部物質移動(すなわち、境膜拡散)抵抗性の比である、無次元Biot数(Bi)を用いて、律速段階についてさらに調べた(非特許文献67)。
【0132】
【数11】
ここでk
f(cm/秒)は外部物質移動係数(k
f = D
f/δ)であり、D
f(cm
2/秒)は境膜拡散係数であり、D
pe(cm
2/秒)は、有効細孔拡散係数(δは、境膜厚さ約10
-3cmである)である(非特許文献68)。Bi<<1は律速段階としての境膜拡散を示し、ここでBi>>1は、律速段階となる細孔拡散を示す。
【0133】
以下のとおり、Daは、自由液体拡散(Dl)と、樹脂に対する収着抵抗性及び樹脂内を通るねじれた拡散経路について説明し、有効細孔拡散率(Dp,e)と相関する(非特許文献69及び49):
【0134】
【数12】
ここでK
Dは線形平衡分配係数であり、εは吸着剤空隙率(全ての吸着剤について約0.46と仮定される)であり(非特許文献42)、τは樹脂のねじれであって約3であると推定され(非特許文献42、70及び71)、ρ
sは固相密度(製造者が特定した)であり、D
p,eは有効細孔拡散係数(cm
2/秒)である。ε/τは拡散経路のねじれによるD
lの低下について説明し、[(1-ε) ρ
s K
D + ε]という表記は、遅延係数と呼ばれ、これにより液体拡散率が局所的微小分配に起因して低下する。低濃度の溶質(すなわち、約0.1~100μg 6:2 FTAB/L)により、固相と液相間のPFASの線形分布は妥当性が高いと仮定する。線形相関について得られたR
2値は0.92~0.98であった(非特許文献72及び66)。
【0135】
(e) 分析方法
PFAS。サンプル分析は、C18カラム(Waters XTerra MS C18又はThermo Hypersil Gold C18)と酢酸アンモニウム又はギ酸系のHPLC移動相とを使用する、液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC-MS/MS Thermo TSQ Quantiva又はWaters Micromass ZQ)及び液体クロマトグラフィー高解像度質量分析(LC-HRMS Thermo Orbitrap Q-Exactive)を含んでいた(非特許文献73、47及び49)。Z-PFASの代表的なLC-MS/MS及びLC-HRMSのクロマトグラムは、それぞれ
図6A及び
図6Bに提供される。
【0136】
固相抽出は、Oasis WAX 3cc、60mg吸着剤カートリッジ(Waters Corporation, ミルフォード、マサチューセッツ州、米国)を用いて実施した。SRNOM溶液及び再利用廃水マトリクスに対するAFFFスパイクを用いてSPE法の絶対回収率を決定した。分析法性能:Z-PFASのSPE回収率は、LC-MS/MS又はLC-HRMSのいずれを用いても好適な又は許容可能な範囲内であった(それぞれ表4及び表5)。
【0137】
【0138】
【0139】
HPLC水、SRNOM、及び再利用廃水と共に走らせた装置注入ブランク及びSPEブランクは、Z-PFASを含まないままであった。認証Z-PFAS(6:2 FTAB、5:3 FTB、及び5:1:2 FTB)を用いて0.02~100 ng/mLの範囲内の内部較正曲線を作成し、好適な決定係数を示した(表6)。連続較正確認(CCV)標準は、USEPA法により設定された70~130%の許容基準に準拠した、75.8~113.5%の範囲内の精度を有していた(表6)。異なるサンプルタイプにわたり十分な内部標準回収率も得られた(
図7)。
【0140】
【0141】
水質パラメータ。以前に記載されたとおり(非特許文献45)、総有機炭素(TOC)及び溶存有機炭素(DOC)を、TOC分析計(GE Sievers M5310 C、ボールダー、コロラド州、米国)を用いて測定した。塩化物、硫酸塩、硝酸塩及びリン酸塩を、USEPA 300.0参照法により、イオンクロマトグラフ(Dionex ICS-1100、米国)を用いて測定した。
【0142】
II. 結果及び考察
(a) 吸着剤媒体の影響
11の異なるZ-PFASの除去について、pH約7.0に調整し且つ100mg/L吸着剤用量(表1の吸着剤密度についての詳細を参照)で処理したDOMリッチ水(C0 = 5mg C/L;再利用廃水のDOM濃度と同様)において調べた。2つのPFAS特異的IX樹脂(A592E及びA694E)、1つのアニオン性有機スカベンジャーIX樹脂(A860)、2つの非イオン性IX樹脂(XAD 4及びXAD 7)、及びMXene (Ti3C2)吸着剤を、吸着実験に採用した。これらの材料は、飲料水源からのアニオン性PFAS並びに他の溶解した有機部分及び無機部分の除去に対するそれらの効力を考慮して採用された(非特許文献75及び76)。A694E(6:2 FTABについて以前に研究された)(非特許文献76)を除いて、選択された吸着材はいずれもZ-PFASの除去について調査されていないことに留意すべきである。
【0143】
図8は、選択された吸着剤媒体を用いた、1時間の接触時間によるZ-PFASの除去を表す。示されるとおり、A592(PFAS特異的樹脂)は、非イオン性IX樹脂(XAD 4及びXAD 7)及び有機スカベンジャー樹脂(A860)と比較してより高い割合のZ-PFASを除去することができた。例えば、A592は、1時間の接触時間中に約40%の6:2 FTAB(C
0 = 2.4μg/L)を除去し、一方で、A860、XAD 4及びXAD 7は、<10%の6:2 FTABを除去した。同様に、A592は約30%の7:3 FTB(C
0 = 0.5μg/L)を除去し、一方でA860、XAD 4及びXAD 7は、<12%の7:3 FTBを捕捉することができた。しかし、他のPFAS特異的A694はより優れた性能を示し、約62%の6:2 FTAB及び約45%の7:3 FTBを捕捉した(A592 PFAS特異的樹脂と比較して1.5倍高い除去)。同様の初期濃度の化合物について、PFAS特異的樹脂は、FTB構造(A694による11:1:2 FTB(C
0 = 0.2μg/L)の約50%除去及び7:1:2 FTB(C
0 = 2.3μg/L)の約40%除去)と比較して、より高い割合のFTAB構造を有するZ-PFASを捕捉した(A694による8:2 FTAB(C
0=0.2μg/L)の約70%除去及び6:2 FTAB(C
0 = 2.4μg/L)の約60%除去を示す)。同様に、A592は、7:1:2 FTB(C
0 = 2.3μg/L)の約25%除去と比較して、約40%の6:2 FTAB(C
0 = 2.4μg/L)を除去し、FTB構造を上回る、FTAB構造を有するZ-PFASの優先的な除去を示していた。さらに、Ti
3C
2 MXeneは、類似の試験条件下で>80%の全Z-PFAS種を捕捉する、ずば抜けて優れた吸着剤媒体であった。このため、pH約7におけるZ-PFASの累積的除去は、以下の順に従う:Ti
3C
2 MXene > A694 > A592 > A860 > XAD 4~XAD 7(詳細は
図8を参照)。MXeneの密度は、樹脂の密度より高いことに留意すべきである(表1を参照)。これは、充填ベッド系における体積基準の性能がさらに高くなり得ることを意味する(本研究は、懸濁操作様式で行われた)。さらなる研究を実施して除去機構を調査し、選択された吸着剤媒体を用いてZ-PFAS除去の律速段階を同定した。
【0144】
(b) pHの影響
図9は、6~7.5のpH範囲内(飲料水源の特徴)の様々な吸着剤上における、全ての試験したZ-PFASの累積的除去を表す(非特許文献49及び77)。FTABの予測pKa
1は約2.3であり、pKa
2は約11であるが(非特許文献78及び79)、一方でFTBのpKaは約2.3であり、環境中で(及び試験したpHの範囲内で)化合物が完全に双性イオン性化合物として存在することを示していた。累積的Z-PFAS除去は、5mg C/LのバックグラウンドSRNOMを用いた6.0~7.5のpH範囲内の個別吸着剤について一貫したままであった。例えば、A694は、このpH範囲内で約45(±5)%の流入Z-PFASを捕捉した。同様に、A860は、類似の操作条件下で約10(±5)%のZ-PFASを捕捉した。A860によるZ-PFASの除去は、正に荷電した樹脂官能基(第四級アンモニウム(A860))とZ-PFAS上の負に荷電したカルボキシル基/スルホン酸基との間の相互作用に起因し得る。先の研究では、高濃度でのアニオン性PFASの取り込みの支配においてイオン交換機構が極めて重要な役割を果たすことが示され、ここではPFAS荷電等価物及び塩化物イオンの等価放出が観察された(非特許文献52)。しかし、その研究におけるZ-PFASの試験濃度は、結果として得られる処理水中の塩化物濃度がイオンクロマトグラフのCl
-検出限界(検出限界約100μg/L)を下回るように低く設定されていた(C
0<10μg/L)。さらに、A860は全Z-PFASの<10%を捕捉し、イオン交換機構が、試験した条件下でZ-PFASの除去に影響を与えないことを示していた。A592などのPFAS特異的樹脂は、イオン交換と化学吸着の組み合わせによりPFASを捕捉することが予想される(非特許文献75及び52)。化学吸着、吸着及び疎水性相互作用などのプロセスは、イオン交換樹脂によるPFASの除去において重要な役割を果たすことに留意すべきである(非特許文献75)。しかし、試験したZ-PFASの大半の疎水性特性は未だ確立されておらず且つ文献において報告されていないため、本発明者らは、この研究中これらの現象について詳細には調査しなかった。非イオン性XAD 4樹脂及びXAD 7 IX樹脂が、pH 6.0~7.5の全操作範囲にわたり、Z-PFASの<5%を除去したことに留意すべきである。Ti
3C
2 MXeneは、非イオン性、アニオン性及びPFAS特異的IX樹脂より性能が優れており、6.0~7.5の操作pH範囲にわたり全Z-PFASの約80(±5)%を捕捉することができた。このため、Ti
3C
2 MXeneの性能は、現実世界での適用中に一貫したままであることが予想される。MXene上の汚染物質取り込みについての文献において、静電相互作用、イオン交換、ファンデルワールス力及び水素結合などのいくつかの吸着機構が研究されている。理論により限定されるものではないが、
図10は、仮定された、静電相互作用及び水素結合による7:3 FTBの除去機構を表す。理論により限定されるものではないが、これは、Z-PFASの疎水性特性の理解の進歩により実証され得る。
【0145】
(c) 等温線及び動態研究
表7は、5mg C/L SRNOM濃度(pH約7且つT=23℃)において、6つの異なる吸着剤媒体(A860、A692、A694、XAD 4、XAD 7及びMXene)の存在下で一般的に検出されるZ-PFAS(すなわち、6:2 FTAB)の取り込みについての等温線パラメータを提供する。4つの等温線は全て、フロイントリッヒ(Freundlich)型挙動に従う(qe=Kf.Ce
1/n;(非特許文献62) R2>0.90、パラメータは表7に提供される)。1/n値は、Ti3C2 MXene (pH7)についての0.8から、A694(PFAS特異的樹脂)については0.7、A860(有機スカベンジャー樹脂)については0.6、XAD 4及びXAD 7(非イオン性IX樹脂)については0.5へと減少した。最も重要な効果はKfの値で観察され、この値は、Ti3C2 MXeneについての約3.5(μg/mg/μg/L)1/nから、A592についての約1.7(μg/mg/μg/L)1/nへと低下し(PFAS特異的樹脂については2倍減少)、XAD 4及びXAD 7についてはわずか約0.2(μg/mg/μg/L)1/nに低下した(非イオン性IX樹脂については約20倍減少)。
【0146】
【0147】
Z-PFAS取り込みの動態を実施し、取り込み工程中の関連する境膜拡散及び細孔拡散の程度を評価した。この実験データに、以前に記載されたとおりに(非特許文献61及び82)、粒子内拡散モデル(IPD、R2 < 0.7、データ示さず)、疑一次動態(PFO、R2 < 0.8、データ示さず)、及び疑二次動態(PSO、R2 > 0.9)を適合させた。試験したモデルのうち、PSOモデルが最も優れた適合を示し、結果は、表7に詳細に記載される(Ti3C2 MXene及びA694については、上記の結果に基づく2つの最も有効なZ-PFAS吸着剤媒体)。Ti3C2 MXeneについてのk2値は、A694についてのk2値よりも約2倍高かったことに留意すべきである。例えば、Ti3C2 MXeneについて6:2 FTAB除去中のk2値は約75(μg/ng/分)であり、A694を用いて報告されたk2値(約30(μg/ng/分))よりほぼ2.3倍高かった。同様に、Ti3C2 MXeneによる9:1:2 FTBの除去中のk2値は約40(μg/ng/分)、A694で約20(μg/ng/分)であり、他の市販のPFAS特異的樹脂を上回るTi3C2 MXeneの優れた性能を示していた。
【0148】
境膜拡散モデル(FDM)及び細孔拡散モデル(PDM)を用いて、動態データをさらに分析した。これは、以前に記載されたとおり(非特許文献42及び72)、律速段階を分析し、無次元物質移動Biot数(Bi)を調査することにより行われた。Biot数は内部物質移動(すなわち、細孔拡散)抵抗性と外部物質移動(すなわち、境膜拡散)抵抗性の比であり、多くの場合、イオン交換樹脂についての律速段階を調べるために採用されることに留意すべきである。低いBiot数(Bi < 1)については、外部物質移動が取り込み速度を制御し、Bi > 30については、取り込みは表面拡散により支配される。1 < Bi < 30については、取り込みは細孔拡散により支配される。初期Z-PFAS濃度は、約10μg/L~0.4μg/L(2.5μg/L~0.1μg/Lの初期6:2 FTAB濃度を生じる)で変動したことに留意すべきである。
図11Aに示されるとおり、6:2 FTABについてのBiは、全ての吸着剤について1未満であり、DI水中では境膜拡散により取り込みが制御されることを示していた。この結果は、本発明者らのリアクターにおいて優位な混合条件が境膜拡散に影響を与えることが予想されることを考慮すると、この研究において報告された除去性能が、その混合条件のために有効であることを意味する。有機成分(例えば、バックグラウンドDOM)の存在下では、取り込みは、細孔拡散により制御される(例えば、吸着剤用量:pH:7且つT=23℃において、バックグラウンドDOMとして5mg C/L SRNOMを有する100mg/Lにおいて;
図11B)。これは、細孔拡散が、バックグラウンド溶存有機物を用いたイオン交換樹脂(例えば、A860及びA592)上でのアニオン性微量汚染物質の取り込み中の律速段階として同定される、本発明者らの過去の研究と一致する(非特許文献52及び72)。この研究は、撹拌されたタンクバッチリアクター(フィルム層:10~3cm)中で実施され、このための条件では、系は十分に混合されると考えられることに留意すべきである。従って、充填ベッド又はカラム試験における動態は、操作条件に応じて変動し得、これが外部物質移動に影響を与える。
【0149】
(d) 天然水中の研究
DOMに加えて、天然水中のZ-PFASは、広範囲の無機イオン(例えば、硫酸イオン、硝酸イオンなど)と共存する。有機スカベンジャー樹脂、及びA592などのPFAS特異的樹脂は、DOMに加えて無機イオンを除去することができる(非特許文献41)。しかし、A694などのPFAS特異的樹脂及びTi
3C
2 MXeneの無機イオン除去能力は知られていない。さらに、研究のこの部分は、天然の再利用廃水を用いてA860、A592、A694、XAD 4、XAD 7及びTi
3C
2 MXeneの性能を比較するためにも行われる。
図12に示されるとおり、有機スカベンジャーA860及びPFAS特異的樹脂についてのZ-PFAS除去効果は、再利用廃水においては、同様のバックグラウンドDOM濃度(5mg C/L)を有するスパイクされた合成SRNOMより低かった。例えば、A694については、Z-PFASの除去は、約50%(SRNOM中)から<40%(再利用廃水中)に低下した。同様に、A592のZ-PFAS除去効果は、類似の条件下で約38%から<18%に低下した(約2倍低下)。この性能の低下は、硫酸イオン(約30mg/L)、硝酸イオン(約26mg/L)及びリン酸イオン(約10mg/L)などの再利用廃水中の他の無機種との競合的相互作用に起因し得、これらは全て、A860、A592及びA694による処理後に<7.5mg/Lに低下した(表8)。Ti
3C
2 MXeneは、再利用廃水から>5%の無機イオン又はDOMを除去せず(表8)、Z-PFASに対する除去効果は、両方の水マトリクスにおいて一貫しており(約80%除去)、バックグラウンド水マトリクスからの干渉が比較的低いことによるそれらの実用化の可能性を示していたことに留意すべきである。
【0150】
【0151】
(e) 再生
PFAS吸着剤の回収及び再生は、作業コストを有意に低下させ、吸着要件を低減し、その結果、吸着材の製造及び廃棄に伴う環境負荷を軽減し得る(非特許文献45、83及び84)。本研究では、A860、A592、A694、XAD 4、XAD 7及びTi
3C
2 MXene上のZ-PFAS溶出研究を、塩(4mMのNaCl、Na
2SO
3及びNa
2SO
4)、酸(0.1N HCl)及び塩基(0.1N NaOH)を用いて飽和樹脂上で実施した。再生のため、100mgの飽和した吸着剤を、5mLの再生剤溶液と、2時間の接触時間にわたって混合した(T=23℃、150rpmで混合)。この再生条件は、一般的に試験された再生剤についての先行文献研究に基づいて採用され、イオン交換樹脂上でのアニオン性PFAS回収プロトコルを最適化した(非特許文献75及び45)。さらに、Na
2SO
3及びNa
2SO
4などの塩は、紫外線(UV)処理中に水性マトリクス中のPFASの分解を補助することが以前に報告されているため(非特許文献85)、これらを選択した。試験したイオン交換樹脂の中でも、A860(有機スカベンジャー)は、試験した再生剤媒体を用いてZ-PFASの30~60%回収率である最も高い再生効果を示した(
図13を参照)。全ての他のIX樹脂(PFAS特異的及び非イオン性)の再生効果は、全ての試験条件下で20%未満のままであった。最も有効なZ-PFAS捕捉媒体(すなわち、Ti
3C
2 MXene)の再生効果は、再生剤により変動したことに留意すべきである。Na
2SO
3は、約90%のZ-PFAS回収率を有する最も有効な再生剤として同定され、その後にNa
2SO
4(約70%回収率)、HCl(30%)、NaOH(25%)及びNaCl(約10%)が続いた。
図14は、4つの最も有効な再生剤(Na
2SO
3、Na
2SO
4、HCl及びNaOH)を用いた個別Z-PFAS回収率について報告する。Na
2SO
4が、6:2 FTABなどの一般的に研究されたZ-PFASについて>70%の回収率を示したことに留意すべきである。しかし、HCl及びNaOHなどの再生剤は、<10%の6:2 FTABしか捕捉することができなかった。HClによる最も高い回収率は11:1:2 FTB(約60%)について報告され、一方で、NaOHによる最も高い回収率は、11:3 FTB(約45%)について記録された。それにも関わらず、10% Na
2SO
3による再生は、全ての試験したZ-PFASの>85%回収率を確実にした。さらに重要なことに、Na
2SO
3による再生性能は、再利用廃水における5回の再生/再利用操作のサイクルについて一貫したままであり、Ti
3C
2 MXeneが、実際の水処理操作中のZ-PFAS除去についての潜在能力を示すことを示していた(
図15を参照)。
【0152】
(f) 再生剤溶液におけるZ-PFAS分解
Na
2SO
3再生剤におけるZ-PFASの分解は、
図16に示される。この分解は、Na
2SO
3(4mM)及び500μg/Lの総Z-PFAS濃度を有するDI水中で、約180 J/cm
2のUV線量で研究された。これらの条件は、Na
2SO
3の存在下でのZ-PFAS分解の実現可能性を調べるために選択された。UV-亜硫酸塩を用いたPFAS分解についての既存の研究は、アニオン性PFASのみに限定されている(非特許文献85)。Z-PFASに対するこの処理の効果は、文献中で報告されていない。この実験による主要な目的は、UV-亜硫酸塩系を、再生剤溶液中のZ-PFAS光還元分解に採用することができるか否かを同定することであった。選択された約180 J/cm
2の線量は、バックグラウンドNa
2SO
3(4mM)を有するZ-PFASの>3 log低下を達成し、UV-亜硫酸塩系が、再生剤の処理のための有望な可能性を示すことを確認していた。本発明者らは、後続のUV-亜硫酸塩実験において結果として生じる副生成物形成について調査した。合計Z-PFASは、6時間までに約65%(約30 J/cm
2)、12時間までに約95%(約60 J/cm
2)、及び36時間までに>99.9%(約180 J/cm
2、
図17及び
図18を参照)低下し、本発明者らの前の知見を裏付けていた。ペルフルオロアルキルカルボキシレートは検出されなかったが、本発明者らは、主要なZ-PFAS(スキーム1~4;
図19;表9~11)のUV/亜硫酸塩処理から生じた9つのフルオロテロマー分解生成物を見出した。
【0153】
【0154】
スキーム1. Z-PFASのUV/亜硫酸塩分解生成物:UV/亜硫酸塩処理中に検出された6:2 FTABの変換生成物の構造。未反応のZ-PFAS参照では、6:2 FTA (A)及び6:2 FTSA (D)も低レベルで検出されたことに留意すべきである。
【0155】
【0156】
スキーム2. Z-PFASのUV/亜硫酸塩分解生成物:UV/亜硫酸塩処理中に検出された8:2 FTABの変換生成物の構造。
【0157】
【0158】
スキーム3. Z-PFASのUV/亜硫酸塩分解生成物:UV/亜硫酸塩処理中に検出された5:1:2 FTBの変換生成物の構造。
【0159】
【0160】
スキーム4. Z-PFASのUV/亜硫酸塩分解生成物:UV/亜硫酸塩処理中に検出された5:3 FTBの変換生成物の構造。
【0161】
【0162】
【0163】
【0164】
5:3 FTB及び5:1:2 FTBのN-脱アセチル化生成物、N-脱メチル化生成物が低濃度(0.06~1.2 mol%)で観察され、処理時間の増加と共に低下した。6:2 FTABの分解生成物は、前の光分解研究(非特許文献86)において同定されたものと類似していた。特に、6:2フルオロテロマースルホンアミド(6:2 FTSA-PrA)及び6:2フルオロテロマースルホネート(6:2 FTSA)は、経時実験全体にわたって濃度の漸増を示し、36時間までにそれぞれ親Z-PFASの3.9 mol%及び7.3 mol%に達した。
【0165】
(g) 環境的意味
フルオロテロマー双性イオン性PFASは、現在使用されているAFFFを含む様々な製剤中に存在し、このため、監視調査において、歴史的なアニオン性PFASの報告を上回るレベルで報告され始めている(非特許文献73、87、88及び89)。ベタイン及びアンモニウムの頭部基を有するフルオロ界面活性剤は、それらの環境的持続性に起因して、大きな懸念である(非特許文献90)。6:2 FTAB、5:3 FTB、及び5:1:2 FTBなどの短鎖優位Z-PFASは、それらが水生成源に到達する可能性が長鎖ホモログより高いため、水処理の観点から非常に関連性が高い(非特許文献87)。アニオン性PFASの除去において設計された吸着処理技術は、Z-PFASの除去においては同等には適し得ないため(非特許文献76及び91)、様々なフルオロテロマーZ-PFASに焦点を合わせた特異的な研究が必要とされていた。本研究は、人工水及び真水からのZ-PFASの除去における、様々な吸着剤の除去の潜在力について探索した。本発明者らの知見は、6:2 FTABの取り込みが、DI水中では全ての試験した吸着剤媒体上で境膜拡散により制御され、溶存有機物の存在下では細孔拡散により制御されることを示す。2D MXene金属炭化物は、最も優れたZ-PFASの除去性能を示し、効果は、化合物特異的鎖長、水pH、及び水マトリクスによってはほとんど影響を受けなかった。
【0166】
他の試験した吸着剤の中でも、2つのPFAS特異的樹脂(A694及びA592)は、フルオロテロマーZ-PFASの除去においてかなり良好に機能したが、一方でイオン交換樹脂は良好に機能せず、電気化学的フッ素化双性イオン性PFASについての観察結果と一致していた(非特許文献76及び92)。イオン交換樹脂は依然として、Z-PFASにより汚染された水の現場外での(ex-situ)水処理についての実行可能な選択肢であるかもしれないが、例えば、熱活性化過硫酸塩を使用して、アニオン性PFASを形成するためのZ-PFASの予防的な(pre-emptive)現場での(in-situ)化学的酸化を必要とし得る(非特許文献93)。Na2SO3及びNa2SO4は最も有効な吸着剤再生剤であり、Ti3C2 MXeneは、再利用廃水における5回のサイクルにわたり一貫した再生/再利用操作を示し、実際の水処理適用中のZ-PFAS除去についての潜在力を示していた。本発明者らは、Na2SO3ブライン再生剤のUV処理が、Z-PFASの>3 log低下を達成し得ただけでなく、6:2 FTSA及び6:2 FTSA-PrAなどの光分解の分解中間体の有意な蓄積ももたらしたことを見出した。このことは、UV/亜硫酸塩機構が、ペルフルオロアルキル鎖の還元的脱フッ素化には効率的であるが、フルオロテロマー鎖についてはそれほど効率的ではない水和電子を生成するため、予想外というわけではない(非特許文献94及び95)。このため、フルオロテロマー分解副生成物のより大きな低減を達成するために、ヒドロキシル基の後酸化又は他の処理ステップを実施することが必要とされ得る。
【0167】
実施例2
水から毒性のペルフルオロアルキル物質及びポリフルオロアルキル物質(PFAS)並びに/又は天然有機物(NOM)を除去するための方法は、液体からPFASを捕捉するために基質上にコーティングを追加するステップを含む。基質としては、水処理操作において一般的に採用される任意の既存の吸着剤媒体、イオン交換樹脂又は低/高圧膜を挙げることができる。このコーティングは、PFAS Plusと称され得る。液体からPFASを除去するためのこの方法は、PFAS除去動態を高めるための任意の基質媒体上へのPFAS Plusの表面堆積を含む。基質媒体は、水処理操作において一般的に採用されるイオン交換樹脂又は低/高圧膜を含み得る。PFAS Plusは、確立されたプロトコル:WO2013104976A1を用いて、フィランサス・エンブリカ(Phyllanthus emblica)抽出物を、硫酸第二鉄又は塩化第二鉄、塩化第二金溶液又は硝酸銀と共に使用して合成することができる。PFAS Plusは、選択された基質に添加される。これにより、PFAS Plusは基質の表面上に堆積され得るか、又は基質のネットワーク構造中に組み込まれ得る。この処理は、基質に応じて5~8のpH範囲内で起こり得る。過剰な溶媒は濾過を介して除去され、基質は大量の溶媒で少なくとも1回洗浄される。例えば、基質を100ベッド体積(1ベッド体積=1mL水で処理した1mL基質)の水/メタノールで10回洗浄し、空気で乾燥させて、PFAS Plusでコーティングされた基質を得る。
図20は、PFAS Plusでコーティングされた基質を調製するための例示的な方法フロー図を示す。
図20に示される模式図は、PFAS plus合成及びその市販の水処理基質上への適用の模式図である。
図20を参照すると、その中で示される方法310において、金属ストック溶液(例えば、FeCl
3 + HAuCl
4)312とフィランサス・エンブリカ(Phyllanthus emblica)粉末(示さず)とを組み合わせ314、PFAS Plus 316を得ることができる。次いで、PFAS Plus 316を水処理のための基質(例えば、ポリアクリル系イオン交換樹脂)318に添加して、増強された基質320を得ることができる。PFAS Plusでコーティングされた基質媒体は、非修飾基質と比較して類似の再生プロトコルを示す。例えば、PFAS Plusでコーティングされた基質は、塩(例えば、塩化ナトリウム)を含む再生剤溶液を用いて再生することができる。
【0168】
図21Aは、市販のポリアクリル系イオン交換樹脂の250μm解像度のSEM画像であり、
図21Bは、50μm解像度のSEM画像である。
図22Aは、PFAS Plusでコーティングされたポリアクリル系イオン交換樹脂の250μm解像度のSEM画像であり、
図22Bは、50μm解像度のSEM画像である。
図23Aは、PFAS Plusでコーティングされたポリアクリル系イオン交換樹脂の5μm解像度のSEM画像である。例示的な動的光散乱画像は、91.3±12.1nmの平均Fe粒子サイズを示す(
図23B)。
図24Aは、新たな樹脂としてのポリスチレン系イオン交換樹脂の250μm解像度のSEM画像であり、
図24Bは、PFAS Plusコーティングを有するポリスチレン系イオン交換樹脂の250μm解像度のSEM画像である。
図25は、0.4mLのIX樹脂/L(黒、対照)又は0.4mLのPFAS PlusでコーティングされたIX樹脂(灰色)による、5mg C/L(スワニー川天然有機物標準)の存在下での、検出限界を下回るPFAS除去(C
0=10μg/Lから<10ng/Lまで)を達成するために必要とされる接触時間を示す。
【0169】
本明細書中で提供される方法及び材料は、いくつかの利点を有する。例えば、本明細書は、PFASを捕捉するために既存の市販製品を容易に改良し得る方法を提供する。合成されたPFAS Plusコーティングを、既存の基礎構造及び操作プロトコルの変更を伴わずに任意の既存の水処理系に適用し、PFAS除去能力を高めることができる。同様に、PFAS Plusコーティングは、PFAS除去速度を10倍まで高めることができる。例示的基質としてのIX樹脂についてのPFAS除去速度の比較は、
図25に示されている。
【0170】
実施例3
I. 材料及び方法
材料:フィランサス・エンブリカ(Phyllanthus emblica)(PE)粉末は、Rootalive(ホイットビー、オンタリオ州)から購入した。硫酸鉄(II)七水和物(FeSO4・7H2O)は、VWR(エドモントン、アルバータ州;CAS番号:7782-63-0)から購入した。アニオン性有機スカベンジャー樹脂(Purolite(登録商標) A860、第四級アンモニウム官能基を有するポリアクリル系、容量:0.8meq/mL、1mL=221mg)と、PFAS特異的樹脂(複合アミノ官能基及び容量1~1.4 eq/Lを有するA694E及びA592)は、Purolite(登録商標)(ベラ・カヌイド、ペンシルベニア州、米国)から入手した。全ての材料は受け取ったままで使用した。
【0171】
合成:400 ± 10mg PE粉末を、1L脱イオン(DI)水中、1000rpmで1時間混合し、フェノール性化合物を抽出した。その後、水溶液を、0.45μmの予洗いしたフィルター(Millex-HVシリンジフィルター、カタログ番号:SLHV033RS、ダルース、ジョージア州、米国)を通して濾過し、溶解されない微粒子を除去した。次いで、2000 ± 10mgのFeSO4・7H2Oを濾過された溶液に加え、Phipps & Bird 9900 Jar tester(リッチモンド、バージニア州、米国)を用いて150rpmで30秒間撹拌した。この後、25g(乾燥重量)のA860/A592、A694Eを添加した。この系を、150rpmで24時間連続的に撹拌し、樹脂上のMPNコーティング形成を開始し、拡げ(propagate)、完了した。24時間後、水性混合物を0.45μmの予洗いしたフィルターで濾過し、コーティングされた樹脂(A860/A694E)を回収した。コーティングされた樹脂をDI水(約4L)で徹底的に洗浄し、有機物(溶存有機炭素<0.2mg C/L)、遊離塩化物イオン(<0.5mg Cl/L)及び金属(<0.2 mg Fe/L)の漏出の可能性を予防した。その後、材料を0.45μmフィルターで真空濾過し、その材料をその洗浄溶液から分離し、同時に任意の過剰な湿気を除去した。コーティングされた材料を、適用前に10週間まで暗中4℃で保存した。タンニン酸(TA)粒子については、100±10mg TA(Sigma Aldrich(オークヴィル、オンタリオ州)から入手;用量は、生成されたMPNの570nmのUV吸光度をPEと一致させるように選択された)を使用し、天然MPNについて上記に記載されているのと同様に合成を実施した。
【0172】
II. 結果及び考察
ポリフェノール含有材料:フィランサス・エンブリカ(Phyllanthus emblica)(PE)は、最も高いタンニン含有量(約600mg/g)を示すベリー類の1種である(非特許文献96)。タンニン含有量は、生体重果実(約4%)と比較して、乾燥果実粉末(35%)においてより高い(非特許文献97)。予備試験中に複数種の果実(乾燥)粉末(シアノコッカス(Cyanococcus)、フラガリア属種(Fragaria spp.)、ルブス属種(Rubus spp.))が試験され、これらを使用してMPNを調製することができた。しかし、PEが最高の性能を発揮した。
【0173】
PFAS除去効率:
図26は、10mg C/L(溶存有機物(DOM))と0.4mL IX/L(100mg/L乾燥樹脂重量)の存在下での、異なるイオン交換(IX)樹脂によるPFAS除去(検出下限値:200pg/L;0.02μg/L~200μg/Lの範囲内の初期個別PFAS濃度(C
0)(環境関連濃度))の比較の結果を示す。標的PFAS:は、77種の異なるPFAS化合物(異なる頭部基電荷(アニオン性、双性イオン性など)を有する規制化合物及び非規制化合物を含む)であった。頭字語:PFCA:全フッ素置換カルボン酸、PFSA:全フッ素置換スルホン酸、MPN:金属フェノールネットワーク、GenX:ヘキサフルオロプロピレンオキシドダイマー酸(HFPO-DA)、長鎖PFSA(C≧6)及び長鎖PFCA(C≧7)。製造業者から入手した新たな樹脂である未加工樹脂を、タンニン酸MPN;すなわち、上記のとおり天然乾燥果実粉末を用いて合成されたMPNでコーティングされた樹脂である、抽出物(タンニン酸)と天然MPNとを用いて合成されたMPN(すなわち、PFAS Plus、又はポリフェノール含有天然材料と金属塩とから調製されるナノ粒子の例)と比較した。
【0174】
図27は、10mg C/Lと100mg IX(又はFe)/Lの存在下、0.02μg/L~200μg/Lの範囲内の初期個別PFAS濃度(C
0)での、異なる未使用吸着剤によるPFAS除去を示す。標的PFASは、77種の異なるPFAS化合物(異なる頭部基電荷(アニオン性、双性イオン性など)を有する規制化合物及び非規制化合物を含む)であった。注記:これらの研究において、天然MPN及びタンニン酸MPNは樹脂上にコーティングされなかった。
【0175】
研究は、市販のポリアクリル系樹脂及びポリスチレン系樹脂(PFAS捕捉イオン交換樹脂を作製するために使用した2つの主なタイプの媒体)に関して実施した。PFAS除去は以下の順番に従った:未加工樹脂 < タンニン酸MPNでコーティングされた樹脂 < 天然MPNでコーティングされた樹脂。ポリスチレン系樹脂上への天然MPNの添加は、未加工樹脂又はタンニン酸抽出物でコーティングされた樹脂によっては達成されなかった双性イオン性PFASの除去を顕著に増強した。天然MPNによるポリアクリル系樹脂及びポリスチレン系樹脂の両方のコーティングは、アニオン性PFAS並びに規制されている長鎖及び短鎖のPFCA及びPFSAの4-log(99.99)除去を可能とし得る。天然MPNでコーティングされた樹脂は、現在までに他のいずれの吸着剤も達成することができていない、GenX(規制PFAS代替物)の>6-log(99.9999%)除去、並びに同時にカチオン性PFAS及び双性イオン性PFASの>80%除去も達成することができる。この節における結果は、天然水(有機物が10mg C/Lで共存する)における結果であるが、文献中の結果は、多くの場合、競合アニオンを有さない脱イオン水において示されている。本発明のデータは、現実的条件下の領域(通常、PFAS汚染された飲料水は、3mg/L以下の溶存有機物濃度を有する)において、樹脂がどのように性能を発揮するかに直接関わる。脱イオン水中で、本発明者らは、全ての化合物の>4-log(99.99%)除去を観察した。
【0176】
接触時間:
図28は、5mg C/Lと100mg IX(又はFe)/Lの存在下、0.02μg/L~200μg/Lの範囲内の初期個別PFAS濃度(C
0)でのPFASの4-log除去を達成するための接触時間の研究を示す。標的PFASは、77種の異なるPFAS化合物(規制化合物及び非規制化合物を含む)であった。タンニン酸MPNでコーティングされたポリアクリル系樹脂は、規制PFAS(PFOA+PFOS)の4-log除去を達成するために必要とされる接触時間の4倍の低下を有していた。対照的に、天然MPNでコーティングされたポリアクリル系樹脂は、規制PFAS(PFOA+PFOS)の4-log除去を達成するために必要とされる接触時間の12倍の低下を有していた。この接触時間の低下は、例えば、操作コスト及び/又は資本コスト(OPEX及びCAPES)から極めて重要である。
【0177】
再生及び再利用:実際の適用中、樹脂は、多くの場合、通常はmg/Lである溶存有機物(DOM)により飽和されており、PFAS(通常はng/L)と比較して約10
6倍高い。再生及び再利用される樹脂については、効率的なDOM回収が保証される。飽和したポリアクリル系樹脂(天然MPNでコーティングされた)を10ベッド体積の塩化ナトリウム(10重量%)又は亜硫酸ナトリウム(10重量%)で再生した。塩化物イオンは、DOM及びPFASの>90%再生率を示した(
図29)。亜硫酸イオンは、PFASの>85%回収率を示した(
図29)。再生剤中の亜硫酸イオンの存在は、UVプロセス又は電気化学的プロセスによるPFASの効率的な脱フッ素化(完全破壊)を可能とする。
図30は、5回のサイクルにわたる亜硫酸ナトリウムによる累積的再生を示す。
【0178】
PFAS濃縮物/ブラインの処理:4mM 亜硫酸塩濃度の存在下でのPFASの電気化学ベースの脱フッ素化は、4時間での完全PFAS脱フッ素化を可能とし得る。しかし、類似の操作条件(約26J/cm
2、極めてエネルギー集約的)下で同程度の脱フッ素化を達成するためのUVベースのプロトコルには、約10時間を要し得る(
図31~34)。低エネルギー脱フッ素化では、PFCAは、50mM過硫酸ナトリウムにより40℃で無機化され得る。しかし、この低エネルギープロセスは時間がかかる。天然MPNの添加は、1.5倍速い速度でのPFCA脱フッ素化を可能とする(
図35)。
図36は、PFCAが負荷された吸着剤を、過硫酸イオンで処理することができることを示す(フッ素イオンの検出による脱フッ素化の明確な指標)。
図37は、PFSAが、MPNにより脱フッ素化され得(PFCAと比較して約40倍低い濃度のフッ素イオンが放出されるが)、過硫酸イオンの添加は脱フッ素化プロセスを増強しないことを示す。この知見は、PFASが負荷された媒体の処理のために意味を有する:例えば、飽和した吸着剤、土壌、PFASが負荷された消費者製品又は廃水バイオソリッドを天然MPN(万能接着剤)でコーティングし、その後、過硫酸ナトリウム含有溶液中で40℃(又はそれ未満)にて保持し、PFCAを脱フッ素化させることができる。PFSAは、電気化学的プロセス又はUV-亜硫酸塩ベースの(エネルギー集約型の)プロセスにより脱フッ素化され得、MPNでコーティングされた表面上で多少の脱フッ素化が達成され得る。これにより、実現可能な条件下(例えば、室温(例えば25℃))でのPFASの破壊に有利に対処し得る。文献研究は、低エネルギー過硫酸塩酸化は、PFCA及びそれらの前駆体双性イオン性化合物に対してのみ適していると報告している。現在まで、いずれの研究も過硫酸イオンによるPFSAの脱フッ素化については開示していない。(MPNのみが脱フッ素化の原因である
図37において明らかであるとおり)。脱フッ素化は、PFASのC、F及びOへの破壊を指し、これは、PFASのより小さな(まだ潜在的に毒性の)副生成物への崩壊に関連する場合が多い分解とは対照的である。
【0179】
毒性低下:消毒副生成物(DBP):
図38は、異なる天然水源についてのハロゲン化消毒副生成物(DBP)及びハロ酢酸(HAA)(μg/L)の形成の低下を示すプロットである。MPNによるコーティングは、PFAS吸着剤媒体のニトロソアミン(極めて毒性のNDMAを含む規制DBP)形成の可能性を顕著に低下させる(
図39)。新たなPFAS吸着剤は、飲料水系においては以前に実証されていないNDBAの形成ももたらす。NDBAの形成は、MPNコーティングと共に低下する(
図40)。従って、このようなコーティングの添加は、現在市場で入手可能なPFAS吸着剤媒体の毒性を著しく低下させ得る。
【0180】
本開示は実施例に関連して記載されているが、請求項の範囲は、実施例に示される実施形態により限定されるべきではなく、記載全体と一致する最も広い解釈が与えられるべきであることが理解されるべきである。
【0181】
全ての出版物、特許及び特許出願は、あたかも各個別の出版物、特許又は特許出願が具体的に且つ個別に示されてその全体が参照により組み込まれるかのように同程度に、参照によりそれらの全体が本明細書中に組み込まれる。本出願中の用語が参照により本明細書中に組み込まれる文書中の用語と異なって定義されていることが見出される場合、本明細書中で提供される定義がその用語の定義としての役割を果たすものとする。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0182】
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【非特許文献96】Poltanov, E.A., Shikov, A.N., Dorman, H.J.D., Pozharitskaya, O.N., Makarov, V.G., Tikhonov, V.P. and Hiltunen, R. Chemical and antioxidant evaluation of Indian gooseberry (emblica officinalis gaertn., syn. phyllanthus emblica L.) supplements. Phytother. Res., 2009, 23, 1309-1315. https://doi.org/10.1002/ptr.2775.
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【国際調査報告】