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▶ クワンチョウ ダゾウ バイオメディスン リミテッドの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】治療薬の経口送達
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/00 20060101AFI20241029BHJP
   A61K 38/26 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 38/28 20060101ALI20241029BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20241029BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20241029BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
A61K38/00
A61K38/26
A61K45/00
A61K38/28
A61P3/10
A61P3/04
A61K9/20
A61K9/48
A61K47/12
A61K47/18
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547813
(86)(22)【出願日】2022-10-19
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 CN2022126156
(87)【国際公開番号】W WO2023066293
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/125360
(32)【優先日】2021-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】524153927
【氏名又は名称】クワンチョウ ダゾウ バイオメディスン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ディン,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】タン,ファトン
(72)【発明者】
【氏名】リャン,ウェンフェイ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC21
4C076CC29
4C076DD41
4C076DD52
4C076FF34
4C076GG06
4C084BA44
4C084MA34
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA52
4C084NA05
4C084NA11
4C084ZA701
4C084ZC202
4C084ZC351
4C084ZC751
(57)【要約】
本明細書では、治療薬(複数可)と、前記治療薬(複数可)の経口バイオアベイラビリティを高めることができる機能性賦形剤と、を含む、医薬組成物が提供される。また、本明細書では、前記医薬組成物を調製する方法、及び2型糖尿病などの様々な疾患または障害を治療するために前記医薬組成物を使用する方法も提供される。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリペプチド;
(b)式I:RCOOH(式中、Rは脂肪族基を表す)の脂肪酸、またはその薬学的に許容される塩;及び
(c)式IIの化合物:
【化1】
またはその薬学的に許容される塩(式中、nは0、1、2、3または4から選択される整数であり、各出現時におけるGは、独立して、OH、NH、NH(C1~4アルキル)、N(C1~4アルキル)(C1~4アルキル)、ハロゲン(例えば、Cl)、Cアルキル、またはCアルコキシ(例えば、OCH)であり、Lは、置換もしくは非置換のC~C16アルキレン、または置換もしくは非置換のC~C16アルケニレンである)を含む、
医薬組成物。
【請求項2】
経口投与用に製剤化される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
治療有効量のポリペプチドを必要とするヒト対象に経口投与すると、前記治療有効量のポリペプチドが前記ヒト対象に送達する、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
式Iにおいて、Rは1~30個の炭素原子を有するアルキル基を表し、例えば、Rは-(CH1~18CHである、請求項1~3のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項5】
式Iにおいて、Rは3~20個の炭素原子を有するアルキル基を表す、請求項1~3のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項6】
式Iにおいて、Rは5~16個の炭素原子を有するアルキル基を表す、請求項1~3のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項7】
式Iの脂肪酸は、カプリル酸、カプリン酸またはラウリン酸などの2~20個の炭素原子を有する直鎖脂肪酸である。請求項1~3のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項8】
式IIにおいて、nは0である、請求項1~7のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項9】
式IIにおいて、nは1であり、Gはハロゲン、Cアルキル、またはCアルコキシである、請求項1~7のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項10】
式IIにおいて、nは1であり、GはCl、またはOCHである、請求項1~7のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項11】
式IIにおいて、Lは、置換または非置換のC~C16アルキレンである、請求項1~10のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項12】
式IIにおいて、Lは、非置換C~C15アルキレンである、請求項1~10のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項13】
式IIにおいて、Lは、非置換C~C13アルキレンである、請求項1~10のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項14】
式IIにおいて、Lは、非置換直鎖状C~Cアルキレンである、請求項1~10のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項15】
15.式IIの化合物は
【化2】
である、請求項1~7のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項16】
式IIの化合物は、
【化3】
である、請求項1~7のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項17】
式IIの化合物のナトリウム塩を含む、請求項1~16のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項18】
【化4】
のナトリウム塩を含む、請求項1~3のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項19】
式Iの脂肪酸はカプリン酸である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
(b)式Iの脂肪酸またはその薬学的に許容される塩と(c)式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩との重量比、(b)/(c)は、約20:1~約1:20、例えば、5:1~1:5の範囲、例えば、約3:1、約2:1、約1:1、約1:1.5、約1:2、約1:2.5もしくは約1:3、または列挙された値の間の任意の範囲、例えば、約1:2である、請求項1~19のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項21】
式Iの脂肪酸またはその薬学的に許容される塩は、単位用量あたり約50mg~約300mgの量である、請求項1~20のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項22】
式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩は、単位用量あたり約200mg~約400mgの量である、請求項1~21のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記ポリペプチドの経口送達を強化するために、(b)式Iの脂肪酸またはその薬学的に許容される塩と、(c)式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩との相乗的な組み合わせを含む、請求項1~22のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記ポリペプチドは、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体アゴニストである(例えば、米国特許第10960052号)、請求項1~23のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記ポリペプチドは、セマグルチド、リラグルチド、デュラグルチド、リキシセナチド、またはエキセナチドである、請求項1~22のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項26】
更に、エンパグリフロジン、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、またはエルツグリフロジンなどのSGLT-2阻害剤を含む、請求項1~25のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項27】
更に、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サクサグリプチン、リナグリプチン、またはアログリプチンなどのDPP-4阻害剤を含む、請求項1~26のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項28】
更に、インスリンを含む、請求項1~27のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項29】
更に、潤滑剤、結合剤、充填剤、及び/またはキレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA))を含む、請求項1~28のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項30】
カプセル剤または錠剤などの固形経口剤形である、請求項1~29のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項31】
疾患または障害、例えば、2型糖尿病または肥満を治療することを必要とする対象において、前記疾患または前記障害、例えば、2型糖尿病または肥満を治療する方法であって、請求項1~30のいずれか一項に記載の医薬組成物を経口投与して、治療有効量のポリペプチドを対象に送達させることを含む、前記方法。
【請求項32】
(a)ポリペプチドを、式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩、及び式Iの脂肪酸またはその薬学的に許容される塩と混合することと、(b)(a)で形成された混合物を凍結乾燥して、凍結乾燥混合物を形成することと、任意選択で、(c)前記凍結乾燥混合物を薬学的に許容される賦形剤と混合することと、を含む、請求項1~30のいずれかに記載の医薬組成物を調製する方法。
【請求項33】
ポリペプチドを含む組成物を調製する方法であって、前記方法は、
(a)ポリペプチドを式IIの化合物:
【化5】
またはその薬学的に許容される塩(式中、nは0、1、2、3または4から選択される整数であり、各出現時におけるGは、独立して、OH、NH、NH(C1~4アルキル)、N(C1~4アルキル)(C1~4アルキル)、ハロゲン(例えば、Cl)、C1~4アルキル、またはC1~4アルコキシ(例えば、OCH)であり、Lは、置換もしくは非置換のC~C16アルキレン、または置換もしくは非置換のC~C16アルケニレンである)と混合することと、
(b)(a)で形成された混合物を凍結乾燥することと、を含む、前記方法。
【請求項34】
(a)における混合することは、前記ポリペプチドを式IIの化合物のナトリウム塩と混合することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
(a)における混合することは、前記ポリペプチドを
【化6】
のナトリウム塩と混合することを含む、請求項33または34に記載の方法。
【請求項36】
前記ポリペプチドは、セマグルチド、リラグルチド、デュラグルチド、リキシセナチド、またはエキセナチドである、請求項33~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
(a)における混合することは、ポリペプチド、式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩、及び式I:RCOOH(式中、Rは脂肪族基を表す)の脂肪酸またはその薬学的に許容される塩を混合することを更に含む、請求項33~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
式Iの脂肪酸は、カプリル酸、カプリン酸またはラウリン酸などの2~20つの炭素原子を有する直鎖脂肪酸である。請求項37に記載の方法。
【請求項39】
(i)式Iの脂肪酸またはその薬学的に許容される塩と(ii)式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩との重量比、(i)/(ii)は、約20:1~約1:20、例えば、5:1~1:5の範囲、例えば、約3:1、約2:1、約1:1、約1:1.5、約1:2、約1:2.5もしくは約1:3、または列挙された値の間の任意の範囲、例えば、約1:2である、請求項37~38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
式Iの脂肪酸またはその薬学的に許容される塩は、約50mg~約300mgの量である、請求項37~39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩は、約200mg~約400mgの量である、請求項33~40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
請求項33~41のいずれか一項に記載の方法によって調製された組成物。
【請求項43】
請求項42に記載の化合物を薬学的に許容される賦形剤と混合することを含む、医薬組成物を調製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月21日に出願された国際特許出願第PCT/CN2021/125360号の優先権を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
様々な実施形態では、本発明は、概ね、治療薬の経口送達に関する。
【0003】
薬物投与には、経口経路による送達が最も好ましい。経口投与には、患者のコンプライアンスが向上し、投与が容易になり、通常は製造、保管及び流通コストが低いという、いくつかの利点がある。
【0004】
しかし、大きな分子の場合、次の理由:1)胃の酸性度及び消化(GI)管の酵素による全身に浸透する前の分解、2)GI管などの吸収面を覆う上皮細胞を介した吸収の低さ、ならびに3)初回通過代謝などの吸収後の分解により、経口投与できるものはほとんどない。
【発明の概要】
【0005】
様々な実施形態では、本開示は、治療薬、特に、ポリペプチドなどの、高分子量を有する分子、または経口投与によって吸収されにくい分子などの分子の経口送達に関する 。本開示は、部分的には、特定の脂肪酸と経口吸収促進剤の組み合わせが、治療薬の全体的な経口吸収を高める相乗効果を達成できるという予期せぬ発見に基づいている。
【0006】
いくつかの実施形態では、本開示は、疾患を治癒及び軽減するアプローチを変えるための、単剤または併用剤としての生物学的治療薬の消化管吸収を顕著に増強するための製剤化方法と組み合わせた機能性賦形剤の混合物の使用に関する。
【0007】
本明細書で使用する場合、生物学的治療薬は特に限定されず、炭水化物、ペプチド、タンパク質、酵素、抗体、薬物複合体、ワクチン、核酸、及び核酸ベースの遺伝子治療薬が含まれる。例えば、生物学的治療薬には、未分画ヘパリン、低分子量ヘパリン、合成ヘパリン、成長ホルモン、成長因子、インスリン、インスリンイコデク、インターフェロン、インタールキン、卵胞刺激ホルモン、ゴナドトロピン、エリスロポエチン、インクレチン、セマグルチド、リラグルチド、エキセナチド、チルゼパチド、PYY、オキシントモジュリン、GLP-1、GLP-2、カルシトニン、PHT及び類似体、バンコマイシン、ダプトマイシン、ミカファンギン、アニデュラファンギン、カプソファンギン、ロイプロリド、モノクローナル抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【0008】
本明細書で有用な機能性賦形剤には、これらの分子及びその類似体:8-(2-ヒドロキシベンゾイル)オクタン酸ナトリウム(SNAC)、10-((2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)デカン酸ナトリウム(SNAD)、8-(N-2)-ヒドロキシ-5-クロロベンゾイル)-アミノカプリル酸ナトリウム(5CNAC)、N-(4-クロロサリシロイル)-4-アミノ酪酸ナトリウム(4-CNAB)、N-[8-(2-ヒドロキシ-4-メトキシ)ベンゾイル]アミノカプリル酸ナトリウム(4-MOAC)、およびビス-3,6(4-フマリルアミノブチル)-2,5-ジケトピペラジンを含むが、これらに限定されない。更に、本明細書で有用な機能性賦形剤には、例えば、脂肪族鎖の炭素数が2~20の範囲である、直鎖脂肪酸及びその塩が含まれる。
【0009】
特定の例示的な実施形態では、薬物は、GLP-1受容体アゴニスト(GLP-1 RA)などのインクレチン治療薬(「インクレチン」)の活性薬剤、脂肪酸と界面活性剤の混合物などの機能性賦形剤、ならびに錠剤及びカプセルなどの経口剤形に使用される一般的な賦形剤を含有する、経口剤形を使用して投与される。本発明で有用な機能性賦形剤には、N-[8(-2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリル酸ナトリウム(SNAC)、8-(N-2-ヒドロキシ-5-クロロベンゾイル)アミノカプリル酸(5-CNAC)、[ビス-3,6(4-フマリルアミノブチル)-2,5-ジケトピペラジン、直鎖脂肪酸の塩、及びこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。他の実施形態では、経口剤形は、GLP-1 RA及びSGLT-2阻害剤、GLP-1 RA及びDPP4阻害剤、ならびにGLP-1 RA及びインスリンなどの活性薬剤の組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。本明細書の実施形態に有用なインクレチンとしては、GLP-1、GIP、GLP-1/GIPアゴニストが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書の実施形態に有用なインクレチンとしてはまた、GIP、臨床試験におけるGLP-1/GIPアゴニスト、GLP-1 RA、及びこれらに限定されないが、セマグルチド、リラグルチド、デュラグルチド、リキシセナチド、エキセナチドなどを含むGLP-1類似体も挙げられる。本明細書の実施形態に有用なSGLT2阻害剤としては、エンパグリフロジン、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、エルツグリフロジンなどが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書の実施形態に有用なDPP4阻害剤としては、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サクサグリプチン、リナグリプチン、アログリプチンなどが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書の実施形態に有用なインスリン及びインスリン類似体としては、インスリンイコデクが挙げられるが、これに限定されない。更に他の実施形態では、本開示は、錠剤及びカプセルなどの経口剤形の調製方法に関する。更なる実施形態では、本明細書に記載の機能性賦形剤の混合物及び調製方法はまた、他の投与経路にも適用することができる。
【0010】
本開示の例示的な実施形態は、本明細書に記載の請求項1~43にも示されている。
【0011】
上述の発明の概要及び以下の発明を実施するための形態は、どちらも例示的かつ説明的であり、特許請求される本発明を限定しないと理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、(1)10mgのセマグルチドと300mgのSNACのみを含む製剤、または(2)10mgのセマグルチド、300mgのSNAC及び150mgのカプリン酸ナトリウムを含む製剤を経口投与した後の、血漿中セマグルチドの平均薬物動態を線形スケールで比較したものである。エラーバーは、指定された時間におけるセマグルチドの濃度の標準偏差を示す。
図2図2は、(1)10mgのセマグルチドと300mgのSNACを経口投与した後、または(2)10mgのセマグルチド、300mgのSNAC及び150mgのカプリン酸ナトリウムを経口投与した後の、対数線形スケールでの血漿中のセマグルチド濃度の経時的プロファイルを示したグラフを表す。エラーバーは、指定された時間におけるセマグルチドの濃度の標準偏差を示す。
図3図3は、(1)陰性対照、(2)10mgのセマグルチドと300mgのSNACを経口投与した後、または(3)10mgのセマグルチド、300mgのSNACおよび150mgのカプリン酸ナトリウムを経口投与した後の、健康なビーグル犬における経口グルコース試験におけるグルコース濃度の時間プロファイルを示す。
図4図4は、凍結乾燥により300mgのSNAC/150mgのC10中に配合された7mgのセマグルチドの経口投与と、市販の錠剤(リベルサス)の7mgのセマグルチドの経口投与とを比較した、血漿中のセマグルチド濃度の経時的なプロファイルを示すグラフを表す。
図5図5は、凍結乾燥により300mgのSNAC/150mgのC10中に配合された10mgのセマグルチドの経口投与と、単純な混合による経口投与とを比較した、血漿中のセマグルチド濃度の経時的プロファイルを示すグラフを表す。
図6図6は、それぞれ凍結乾燥法により調製した、300mgのSNAC、300mgのC10、または300mgのSNAC/150mgのC10中に配合された10mgのセマグルチドの経口投与と比較した、血漿中のセマグルチド濃度の経時的プロファイルを示すグラフを表す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、概ね、治療薬の経口送達に関する。本明細書で詳述するように、本発明者らは、セマグルチドとSNAC及びカプリン酸ナトリウムの組み合わせが、セマグルチド及びSNACのみを含有する製剤よりも予想外に高い薬物吸収ならびにより効果的なグルコース制御をもたらすことを発見した。セマグルチドの血漿濃度に基づく有効な増強は、約5倍である。個人間の変動も大幅に減少する。更に、経口グルコース負荷試験(oGTT)に基づくセマグルチドの優れた薬理効果は、セマグルチドとSNAC及びカプリン酸ナトリウムの組み合わせでも実証された。更に、ここでのデータは、本明細書での製剤の調製において凍結乾燥法を使用すると、単純なブレンド法を使用して調製された同等の製剤と比較して、セマグルチドのより高い曝露を達成するのに有益であることを示している。更に、ここでのデータは、SNACとカプリン酸ナトリウムの使用がセマグルチドの経口曝露を高める相乗効果を達成したことを証明する。
【0014】
広い態様では、本発明は、治療剤(例えば、本明細書に記載されるもののいずれか)と、1つ以上、特に2つ以上の機能性賦形剤(例えば、本明細書に記載されるもののいずれか)とを含む医薬組成物を提供する。別段文脈に反しない限り、本明細書で使用する場合、機能性賦形剤とは、治療薬の経口バイオアベイラビリティを高めることができる賦形剤を指す。例えば、いくつかの実施形態では、機能性賦形剤は、経口投与後の組成物のGLP-1アゴニストのバイオアベイラビリティを高めることができるものを指す。
【0015】
通常、医薬組成物は、治療薬の経口吸収を相乗的に高めることができる、2つ以上の機能性賦形剤を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の機能性賦形剤には、式I:RCOOH(式中、Rは脂肪族基を表す)の脂肪酸、またはその薬学的に許容される塩が含まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の機能性賦形剤には、式II:
【化1】
の化合物またはその薬学的に許容される塩が含まれる(式中、nは0、1、2、3または4から選択される整数であり、各出現時におけるGは、独立して、OH、NH、NH(C1~4アルキル)、N(C1~4アルキル)(C1~4アルキル)、ハロゲン(例えば、Cl)、C1~4アルキル、またはC1~4アルコキシ(例えば、OCH)であり、Lは、置換もしくは非置換のC~C16アルキレン、または置換もしくは非置換のC~C16アルケニレンである)。通常、医薬組成物は、経口投与用に製剤化される。好ましくは、治療薬の治療上有効な血漿濃度は、本発明の医薬組成物の経口投与後に達成され得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、本開示は、(a)治療薬(例えば、本明細書に記載されるもののいずれか)、(b)式I:RCOOH(式中、Rは脂肪族基を表す)の脂肪酸またはその薬学的に許容される塩、及び(c)式IIの化合物:
【化2】
またはその薬学的に許容される塩(式中、nは0、1、2、3または4から選択される整数であり、各出現時におけるGは、独立して、OH、NH、NH(C1~4アルキル)、N(C1~4アルキル)(C1~4アルキル)、ハロゲン(例えば、Cl)、C1~4アルキル、またはC1~4アルコキシ(例えば、OCH)であり、Lは、置換もしくは非置換のC~C16アルキレン、または置換もしくは非置換のC~C16アルケニレンである)を含む、医薬組成物を提供する。
【0017】
治療薬
本明細書に記載の医薬組成物に有用な治療薬は、特に限定されない。例えば、治療薬としては、炭水化物、ペプチド、タンパク質、抗体、ワクチン、核酸などを挙げられる。いくつかの実施形態では、治療薬は、本明細書に記載の生物学的治療薬であってもよい。いくつかの実施形態では、治療薬は、例えば、2,000ダルトン以上、3,000ダルトン以上、10,000ダルトン以上、または100,000ダルトン以上などの分子量を有する、大きな分子であってもよい。
【0018】
例えば、いくつかの実施形態では、治療薬は、ヘパリン(例えば、未分画ヘパリン、低分子量ヘパリン、フォンダパリヌクスなどの合成ヘパリン)またはグルコサミンなどの炭水化物であってもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、治療薬は、タンパク質及び抗体を含む、ポリペプチド(あるいは、本明細書ではペプチドとも称される)であってもよい。本明細書の実施形態に有用なポリペプチドは特に限定されず、例えば、以下の薬剤が挙げられる:
1.GLP-1とその類似体
a)GLP-1
b)セマグルチド
c)リラグルチド
d)エキセナチド
e)チルゼパチド
f)リキシセナチド
g)エフィノペグデュチド
h)コタドゥチド
2.テドゥグルチド
3.プラムリンチド
4.PYY
5.オキシントモジュリン
6.グルカゴン
7.カルシトニン
8.オクトレオチド
9.PYHとその類似体
a)テリパラチド
10.エテルカルセチド
11.オキシトシン
12.抗生物質
a)バンコマイシン
b)ダプトマイシン
c)ダルババンシン
d)オリタバンシン
e)テラバンシン
13.抗真菌薬
a)ミカファンギン
b)アニデュラファンギン
c)カプソファンギン
14.バソプレシン
15.リュープロリド
16.ネシリチド
17.エンフビルチド
18.成長ホルモンとその類似体
19.ペグビソマント
20.メカセルミン(rhlGF-1)
21.GnRH
a)ヒストレリン
22.ジボテルミン-α
23.パリフェルミン
24.ベカプレルミン2
25.副腎皮質刺激ホルモン
26.ソマトスタチン
27.オキソドトレオチド
28.パシレオチド
29.トリプシン
30.インスリンとその類似体
a)インスリン
b)インスリンイコデク
c)インスリンデテミル
d)インスリングラルギン
e)インスリンリスプロ
f)インスリングルリジン
g)インスリンアスパルト
31.インターフェロン
a)インターフェロンアルファコン1
b)インターフェロン-α2a
c)インターフェロン-α2b
d)インターフェロン-αn3
e)インターフェロン-β1a
f)インターフェロン-β1b
g)インターフェロン-γ1b
32.インタールキン
a)オプレルベキン
h)アルデスロイキン
i)デニロイキン
33.卵胞刺激ホルモン
34.ヒト絨毛性ゴナドトロピン
35.ルトロピン-α
36.エリスロポエチン
37.エポエチン-α
38.ダルベポエチン-α
39.フィルグラスチム
40.ペグフィルグラスチム
41.サルグラモスチム
42.アルテプラーゼ
43.レテプラーゼ
44.テネクテプラーゼ
45.ウロキナーゼ
46.第VIIa因子
47.第VIII因子
48.第IX因子
49.アンチトロンビンIII
50.タンパク質C
51.ドロトレコギン-α
52.β-グルコセレブロシダーゼ
53.アルグルコシダーゼ-α
54.ラロニダーゼ
55.イデュルスルファーゼ
56.ガルスルファーザ
57.アガルシダーゼ-β
58.α-1-プロテアーゼ阻害剤
59.ラクターゼ2
60.膵臓酵素
61.アデノシンデアミナーゼ
62.免疫グロブリン
63.アルブミン
64.レピルジン
65.ビバリルジン
66.ストレプトキナーゼ
67.アニストレプラーゼ
68.クリザンリズマブ
69.エタネルセプト
70.アダリムマブ
71.インフリキシマブ
72.ベバシズマブ
73.トラスツズマブ
74.リツキシマブ
75.コパキソン
76.パチシラン
77.ギボシラン
78.ルマシラン
【0020】
いくつかの実施形態では、治療薬にはまた、ワクチンも含むことができる。いくつかの実施形態では、治療薬にはまた、核酸を含むことができる。
【0021】
いくつかの好ましい実施形態では、治療薬には、インクレチン治療薬を含むことができる。例えば、いくつかの好ましい実施形態では、治療薬には、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体アゴニスト、例えば、本明細書に記載されるもののいずれか、または米国特許第10,960,052号、同第8,129,343号、同第8,536,122号、同第9,278,123号、同第10,086,047号、同第10,278,923号、及び同第10,933,120号に記載されるもののいずれかを含むことができ、これらのそれぞれの全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの好ましい実施形態では、治療薬には、セマグルチド、リラグルチド、デュラグルチド、リキシセナチド、またはエキセナチドを含むことができる。他のインクレチン及びペプチドには、PYY及びPYY類似体;これらに限定されないが、チルゼパチド、CT-388、SCO-094などのGLP-1/GIP受容体によるアゴニスト;これらに限定されないが、エフィノペグデュチド、IB 1362などのGLP-1/GCCR受容体によるアゴニストが含まれるが、これらに限定されない。
【0022】
いくつかの好ましい実施形態では、本明細書の医薬組成物には、GLP-1受容体アゴニストを唯一の治療薬として含むことができる。いくつかの実施形態では、本明細書の医薬組成物には、糖尿病の治療に有用な1つ以上の他の治療剤、例えば、当技術分野で公知の治療薬と組み合わせて、1つの治療薬としてGLP-1受容体アゴニストを含むことができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の他の治療薬には、(1)エンパグリフロジン、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、もしくはエルツグリフロジンなどのSGLT-2阻害剤、(2)シタグリプチン、ビルダグリプチン、サクサグリプチン、リナグリプチン、もしくはアログリプチンなどのDPP-4阻害剤、(3)インスリンもしくはインスリン類似体(例えば、インスリンイコデク)、(4)GIP、グルコース依存性インスリン分泌促進ポリペプチド、及び/または(5)アミリンもしくはアミリン類似体が含まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の他の治療薬にはまた、(1)ビグアナイド、(2)チアゾリジンジオン、(3)DPP-4阻害剤、(4)PYY、及び(5)スルホニル尿素を含むことができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、本明細書の医薬組成物には、アルツハイマー病などの神経疾患の治療に有用な1つ以上の他の治療薬と組み合わせた1つの治療薬としてGLP-1受容体アゴニストを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書の医薬組成物には、(1)コリンエステラーゼ阻害剤(例えば、アリセプト、イクセロン、ラザダイン)、(2)グルタミン酸制御因子(例えば、ナメンダ)及び/または(3)オレキシン受容体アンタゴニスト(例えば、ベルソムラ)と組み合わせて、1つの治療薬としてセマグルチドを含むことができる。
【0024】
より好ましい実施形態では、本明細書の治療薬には、セマグルチドを含むことができる。本明細書で使用されるセマグルチドは、特定の形態に限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、セマグルチドは、ナトリウム塩などの薬学的に許容される塩の形態であり得る。セマグルチドは、経口用リベルサス(登録商標)錠剤製剤を含む、いくつかの商品名で米国で販売されている。米国食品医薬品局によって承認されたリベルサス処方情報の2021年版を、参照のこと(その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。そこに記載されているように、セマグルチドのペプチド骨格は、酵母発酵によって生成される。セマグルチドの主な持続化作用機序はアルブミン結合であり、26位リジンを親水性スペーサーとC18脂肪二酸で修飾することによって促進される。更に、セマグルチドは8位で修飾され、酵素ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP-4)による分解に対して安定化されている。34位に小さな修飾が加えられ、1つの脂肪二酸のみが結合するようされた。分子式はC187H291N45O59であり、分子量は4113.58g/molである。構造を以下に示す:
【化3】
【0025】
いくつかの好ましい実施形態では、本明細書の医薬組成物には、セマグルチドを唯一の治療薬として含むことができる。いくつかの実施形態では、本明細書の医薬組成物には、糖尿病の治療に有用な1つ以上の他の治療剤、例えば、当技術分野で公知の治療薬と組み合わせて、1つの治療薬としてセマグルチドを含むことができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の他の治療薬には、(1)エンパグリフロジン、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、もしくはエルツグリフロジンなどのSGLT-2阻害剤、(2)シタグリプチン、ビルダグリプチン、サクサグリプチン、リナグリプチン、もしくはアログリプチンなどのDPP-4阻害剤、(3)インスリンもしくはインスリン類似体(例えば、インスリンイコデク)、(4)GIP、グルコース依存性インスリン分泌促進ポリペプチド、及び/または(5)アミリンもしくはアミリン類似体が含まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の他の治療薬にはまた、(1)ビグアナイド、(2)チアゾリジンジオン、(3)DPP-4阻害剤、(4)PYY、及び(5)スルホニル尿素を含むことができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の他の治療薬には、ビグアナイド、スルホニル尿素及びメグリチニド、チアゾリジンジオン、αグルコシダーゼ阻害剤、他のグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体アゴニスト、ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP4)阻害剤、アミリン類似体、ナトリウム-グルコース共輸送体2(SGLT-2)阻害剤、ドーパミンアゴニスト、ならびに胆汁酸捕捉剤から選択される1つ以上を含むことができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の他の治療薬には、以下:メトホルミン、グリピジド、グリクラジド、グリブリド、グリメピリド、ナテグリニド、レパグリニド、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、アカルボース、ミグリトール、ボグリボース、エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、デュラグルチド、アルビグルチド、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サクサグリプチン、リナグリプチン、ゲミグリプチン、アナグリプチン、テネリグリプチン、アログリプチン、トレラグリプチン、オマリグリプチン、エボグリプチン、ゴソグリプチン、プラムリンチド、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、イプラグリフロジンン、ブロモクリプチン、及びコレセベラムから選択される1つ以上を含むことができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、本明細書の医薬組成物には、アルツハイマー病などの神経疾患の治療に有用な1つ以上の他の治療薬と組み合わせた、1つの治療薬としてセマグルチドを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書の医薬組成物には、(1)コリンエステラーゼ阻害剤(例えば、アリセプト、イクセロン、ラザダイン)、(2)グルタミン酸制御因子(例えば、ナメンダ)及び/または(3)オレキシン受容体アンタゴニスト(例えば、ベルソムラ)と組み合わせた、1つの治療薬としてセマグルチドを含むことができる。式Iの脂肪酸。
【0027】
通常、本明細書の医薬組成物は、式I:RCOOH(式中、Rは脂肪族基を表す)の脂肪酸、またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0028】
有用な脂肪酸は、特に限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、脂肪酸は、式I:RCOOHを有し、式中、Rは1~30個の炭素原子を有するアルキル基を表す。アルキル基は、直鎖または分岐鎖のアルキル基であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、式IのRは、-(CH1~18CHであり得る。いくつかの実施形態では、式IのRは、3~20個の炭素原子を有するアルキル基であり得る。いくつかの実施形態では、式IのRは、5~16個の炭素原子を有するアルキル基であり得る。いくつかの実施形態では、式Iの脂肪酸は、カプリル酸、カプリン酸またはラウリン酸などの2~20個の炭素原子を有する直鎖脂肪酸である。本明細書に記載の任意の実施形態では、特に指定がない限り、または文脈に反しない限り、式Iの脂肪酸は、カプリン酸であり得る。
【0029】
式Iの脂肪酸は、本明細書の医薬組成物中に遊離酸またはその任意の薬学的に許容される塩、例えば、そのアルカリもしくはアルカリ塩、例えば、ナトリウムもしくはカリウム塩として存在することができる。いくつかの好ましい実施形態では、本明細書の医薬組成物は、カプリン酸ナトリウムを含む。式IIの化合物。
【0030】
通常、本明細書の医薬組成物は、式IIの化合物:
【化4】
またはその薬学的に許容される塩を含み、変数は、本明細書に定義される。
【0031】
いくつかの実施形態では、式IIの化合物は、フェニル環上にG置換基を有さず、すなわち、nは0である。
【0032】
いくつかの実施形態では、式IIの化合物は、フェニル環上に置換された1つのGを有することができ、すなわち、nは1である。いくつかの実施形態では、式IIにおいて、nは1であり、Gはハロゲン、Cアルキル、またはCアルコキシである。いくつかの実施形態では、式IIにおいて、nは1であり、GはClである。いくつかの実施形態では、式IIにおいて、nは1であり、GはOCHである。
【0033】
式IIのLは、通常、置換または非置換C~C16アルキレンである。例えば、いくつかの実施形態では、Lは、非置換C~C15アルキレンである。いくつかの実施形態では、Lは、非置換C~C13アルキレンである。アルキレンは、直鎖状または分岐状アルキレンであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、Lは、非置換直鎖状C~Cアルキレンである。
【0034】
いくつかの好ましい実施形態では、式IIの化合物は、
【化5】
であってもよく、それは、8-(2-ヒドロキシベンズアミド)オクタン酸の化学名を有する(ChemDraw Software、バージョン20.0)。好ましい実施形態では、本発明の医薬組成物は、8-(2-ヒドロキシベンズアミド)オクタン酸の塩(好ましくは、ナトリウム塩)を含み、それは、例えばWO96/030036、WO00/046182、WO01/092206またはWO2008/028859に記載の方法を使用して調製することができる。8-(2-ヒドロキシベンズアミド)オクタン酸(あるいは、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸としても公知)の塩は、結晶質及び/または非晶質であり得る。いくつかの実施形態では、送達剤は、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩の無水物、一水和物、二水和物、三水和物、溶媒和物、または三分の一水和物、ならびにこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、本明細書の医薬組成物は、WO2007/121318に記載のN-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩を含む。
【0035】
より好ましい実施形態では、医薬組成物は、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸ナトリウム(本明細書では「SNAC」と称する)を含む。
【0036】
いくつかの好ましい実施形態では、式IIの化合物は、
【化6】
であってもよく、それは、8-(5-クロロ-ヒドロキシベンズアミド)オクタン酸の化学名を有する(ChemDraw Software、バージョン20.0)。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、8-(5-クロロ-2-ヒドロキシベンズアミド)オクタン酸の塩を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、式IIの化合物は、
【化7】
であってもよく、それは、化学名10-((2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)デカン酸を有する。いくつかの実施形態では、本明細書の医薬組成物は、10-((2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)デカン酸ナトリウムなどの10-((2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)デカン酸の塩を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、式IIの化合物は、
【化8】
であってもよく、それは、化学名N-(4-クロロサリチロイル)-4-アミノ酪酸を有する。いくつかの実施形態では、本明細書の医薬組成物は、N-(4-クロロサリチロイル)-4-アミノ酪酸ナトリウムなどのN-(4-クロロサリチロイル)-4-アミノ酪酸の塩を含む。
【0039】
いくつかの実施形態において、式IIの化合物は、
【化9】
であってもよく、それは、化学名N-[8-(2-ヒドロキシ-4-メトキシ)ベンゾイル]アミノカプリル酸を有する。いくつかの実施形態では、本明細書の医薬組成物は、N-[8-(2-ヒドロキシ-4-メトキシ)ベンゾイル]アミノカプリル酸ナトリウムなどのN-[8-(2-ヒドロキシ-4-メトキシ)ベンゾイル]アミノカプリル酸の塩を含む。
【0040】
治療剤、式Iの脂肪酸、及び式IIの化合物の組み合わせは、特に限定されない。
【0041】
いくつかの好ましい実施形態では、本明細書の医薬組成物は、(a)ポリペプチド(例えば、セマグルチドなどの本明細書に記載のもののいずれか)、(b)カプリン酸またはその薬学的に許容される塩、及び(c)式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0042】
いくつかの好ましい実施形態では、本明細書の医薬組成物は、(a)ポリペプチド(例えば、セマグルチドなどの本明細書に記載のもののいずれか)、(b)カプリル酸、カプリン酸もしくはラウリン酸などの2~20個の炭素を有する直鎖脂肪酸、またはその薬学的に許容される塩、及び(c)SNACを含む。
【0043】
いくつかの好ましい実施形態では、本明細書の医薬組成物は、(a)ポリペプチド(例えば、セマグルチドなどの本明細書に記載のもののいずれか)、(b)カプリン酸またはその薬学的に許容される塩、及び(c)8-(2-ヒドロキシベンズアミド)オクタン酸またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0044】
いくつかの好ましい実施形態では、本明細書の医薬組成物は、(a)ポリペプチド(例えば、セマグルチドなどの本明細書に記載のもののいずれか)、(b)カプリン酸ナトリウム、及び(c)SNACを含む。
【0045】
いくつかの好ましい実施形態では、本明細書の医薬組成物は、(a)セマグルチド、(b)カプリン酸ナトリウム、及び(c)SNACを含む。
【0046】
通常、本明細書の医薬組成物では、該当する場合、(b)式Iの脂肪酸またはその薬学的に許容される塩と(c)式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩との重量比、(b)/(c)は、約20:1~約1:20、例えば、5:1~1:5の範囲であり、例えば、約3:1、約2:1、約1:1、約1:1.5、約1:2、約1:2.5もしくは約1:3、または列挙された値の間の任意の範囲、例えば、約1:2である。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書の医薬組成物は、(a)セマグルチド、(b)カプリン酸ナトリウム、及び(c)SNACを含み、カプリン酸ナトリウムとSNACとの重量比は、約5:1~約1:5であり、例えば、約3:1、約2:1、約1:1、約1:1.5、約1:2、約1:2.5もしくは約1:3、または列挙された値の間の任意の範囲である。
【0047】
通常、各単位剤形について、(b)式Iの脂肪酸またはその薬学的に許容される塩と(c)式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩との合計量は、約100mg~約900mgの範囲であり、例えば、約300mg、約450mg、約600mg、約750mgもしくは約900mg、または列挙された値の間の任意の範囲もしくは値である。例えば、いくつかの実施形態では、錠剤またはカプセルなどの本明細書の医薬組成物の単位剤形は、(a)ポリペプチド(例えば、セマグルチドなどの本明細書に記載のもののいずれか)、(b)カプリン酸ナトリウム、及び(c)SNACを含有することができ、カプリン酸ナトリウムとSNACの合計量は約300~600mgの範囲、例えば、約450mgである。各単位剤形における治療薬(例えば、セマグルチドなどの本明細書に記載のポリペプチド)の量は特に限定されず、例えば、通常、治療薬は、約1mg~約200mgの量(例えば、約10mg、約50mg、約100mg、または列挙された値の間の任意の範囲)であり得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式Iの脂肪酸またはその薬学的に許容される塩を、単位用量あたり約50mg~約300mg、例えば、単位用量あたり約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約300mg、または列挙された値の間の任意の範囲の量で含む。本明細書で使用する場合、特に指定がない限り、または文脈から明らかに反しない限り、式Iの脂肪酸またはその薬学的に許容される塩の重量は、遊離酸の重量として表される当量重量として理解されるべきである。ただし、カプリン酸ナトリウムの量について具体的に言及する場合、その量はカプリン酸の対応する当量重量ではなく、ナトリウム塩自体の重量として理解されるべきである。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式Iの脂肪酸またはその薬学的に許容される塩を、単位用量あたり少なくとも0.6mmol(ミリモル)、例えば、少なくとも0.65mmol、少なくとも0.7mmol、少なくとも0.75mmol、少なくとも0.8mmol、少なくとも0.8mmol、少なくとも0.9mmol、少なくとも0.95mmol、及び少なくとも1mmolからなる群から選択される量で含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式Iの脂肪酸またはその薬学的に許容される塩を、単位用量あたり0.6mmol~2mmol、例えば、0.8mmol~1.3mmol、0.9mmol~1.1mmol、例えば、0.95mmol、1.0mmolなどの量で含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩を、単位用量あたり約200mg~約400mg、例えば、単位用量あたり約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、または列挙された値の間の任意の範囲の量で含む。本明細書で使用する場合、特に指定がない限り、または文脈から明らかに反しない限り、式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩の重量は、式IIの化合物の重量として表される当量重量として理解されるべきである。ただし、SNACの量について具体的に言及する場合、その量は酸の対応する当量重量ではなく、ナトリウム塩自体の重量として理解されるべきである。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩を、単位用量あたり少なくとも0.6mmol、例えば、少なくとも0.65mmol、少なくとも0.7mmol、少なくとも0.75mmol、少なくとも0.8mmol、少なくとも0.85mmol、少なくとも0.9mmol、少なくとも0.95mmol、及び少なくとも1mmolからなる群から選択される量で含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩を、単位用量あたり0.6mmol~2mmol、例えば、0.8mmol~1.3mmol、0.9mmol~1.1mmol、例えば、1mmolの量で含む。
【0050】
通常、医薬組成物は、ポリペプチドなどの治療薬の経口送達を強化するために、(b)式Iの脂肪酸またはその薬学的に許容される塩と、(c)式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩との相乗的な組み合わせを含む。
【0051】
いくつかの特定の実施形態では、医薬組成物は、(a)治療薬(例えば、本明細書に記載されるもののいずれか)、(b)約50mg~約300mg(例えば、約100mg、約150mg、約200mg、または列挙された値の間の任意の範囲)の量のカプリン酸ナトリウム、及び(c)約200mg~約400mg(例えば、約200mg、約300mg、約400mg、または列挙された値の間の任意の範囲)の量のSNACを含む。治療薬の量は特に限定されず、例えば、通常、治療薬は、約1mg~約200mgの量(例えば、約10mg、約50mg、約100mg、または列挙された値の間の任意の範囲)であり得る。
【0052】
いくつかの特定の実施形態では、医薬組成物は、(a)治療薬(例えば、本明細書に記載されるもののいずれか)、(b)約0.6mmol~2mmol(例えば、0.6mmol、0.8mmol、0.9mmol、1mmol、1.1mmol、1.3mmol、2mmol、または列挙された値の間の任意の範囲、例えば、0.9mmol~1.1mmol)の量のカプリン酸ナトリウム、及び(c)0.6mmol~2mmol(例えば、0.6mmol、0.8mmol、0.9mmol、1mmol、1.1mmol、1.3mmol、2mmol、または列挙された値の間の任意の範囲、例えば、0.9mmol~1.3mmol)の量のSNACを含む。治療薬の量は特に限定されず、例えば、通常、治療薬は、約1mg~約200mg(例えば、約10mg、約50mg、約100mg、または列挙された値の間の任意の範囲)または0.1μmol~約2μmolの量であり得る。
【0053】
いくつかの特定の実施形態では、医薬組成物は、(a)ポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるもののいずれか)、(b)約50mg~約300mg(例えば、約100mg、約150mg、約200mg、または列挙された値の間の任意の範囲)の量のカプリン酸ナトリウム、及び(c)約200mg~約400mg(例えば、約200mg、約300mg、約400mg、または列挙された値の間の任意の範囲)の量のSNACを含む。ポリペプチドの量は特に限定されず、例えば、通常、ポリペプチドは、約1mg~約200mgの量(例えば、約10mg、約50mg、約100mg、または列挙された値の間の任意の範囲)であり得る
【0054】
いくつかの特定の実施形態では、医薬組成物は、(a)ポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるもののいずれか)、(b)約0.6mmol~2mmol(例えば、0.6mmol、0.8mmol、0.9mmol、1mmol、1.1mmol、1.3mmol、2mmol、または列挙された値の間の任意の範囲、例えば、0.9mmol~1.1mmol)の量のカプリン酸ナトリウム、及び(c)0.6mmol~2mmol(例えば、0.6mmol、0.8mmol、0.9mmol、1mmol、1.1mmol、1.3mmol、2mmol、または列挙された値の間の任意の範囲、例えば、0.9mmol~1.3mmol)の量のSNACを含む。ポリペプチドの量は特に限定されず、例えば、通常、ポリペプチドは、約1mg~約200mgの量(例えば、約10mg、約50mg、約100mg、または列挙された値の間の任意の範囲)であり得る。
【0055】
いくつかの特定の実施形態では、医薬組成物は、(a)GLP-1アゴニスト(例えば、本明細書に記載されるもののいずれか)、(b)約50mg~約300mg(例えば、約100mg、約150mg、約200mg、または列挙された値の間の任意の範囲)の量のカプリン酸ナトリウム、及び(c)約200mg~約400mg(例えば、約200mg、約300mg、約400mg、または列挙された値の間の任意の範囲)の量のSNACを含む。GLP-1アゴニストの量は特に限定されず、例えば、通常、GLP-1アゴニストは、約1mg~約200mgの量(例えば、約10mg、約50mg、約100mg、または列挙された値の間の任意の範囲)であり得る。
【0056】
いくつかの特定の実施形態では、医薬組成物は、(a)GLP-1アゴニスト(例えば、本明細書に記載されるもののいずれか)、(b)約0.6mmol~2mmol(例えば、0.6mmol、0.8mmol、0.9mmol、1mmol、1.1mmol、1.3mmol、2mmol、または列挙された値の間の任意の範囲、例えば、0.9mmol~1.1mmol)の量のカプリン酸ナトリウム、及び(c)0.6mmol~2mmol(例えば、0.6mmol、0.8mmol、0.9mmol、1mmol、1.1mmol、1.3mmol、2mmol、または列挙された値の間の任意の範囲、例えば、0.9mmol~1.3mmol)の量のSNACを含む。GLP-1アゴニストの量は特に限定されず、例えば、通常、GLP-1アゴニストは、約1mg~約200mgの量(例えば、約10mg、約50mg、約100mg、または列挙された値の間の任意の範囲)であり得る。
【0057】
いくつかの特定の実施形態では、医薬組成物は、(a)セマグルチド、(b)約50mg~約300mg(例えば、約100mg、約150mg、約200mg、または列挙された値の間の任意の範囲)の量のカプリン酸ナトリウム、及び(c)約200mg~約400mg(例えば、約200mg、約300mg、約400mg、または列挙された値の間の任意の範囲)の量のSNACを含む。セマグルチドの量は特に限定されず、例えば、通常、セマグルチドは、約1mg~約200mgの量(例えば、約10mg、約50mg、約100mg、または列挙された値の間の任意の範囲)であり得る。いくつかの実施形態では、セマグルチドは、約0.1μmol~約2.5μmol、例えば、約0.5μmol~約2.5μmolの量であり得る。
【0058】
いくつかの特定の実施形態では、医薬組成物は、(a)セマグルチド、(b)約0.6mmol~2mmol(例えば、0.6mmol、0.8mmol、0.9mmol、1mmol、1.1mmol、1.3mmol、2mmol、または列挙された値の間の任意の範囲、例えば、0.9mmol~1.1mmol)の量のカプリン酸ナトリウム、及び(c)0.6mmol~2mmol(例えば、0.6mmol、0.8mmol、0.9mmol、1mmol、1.1mmol、1.3mmol、2mmol、または列挙された値の間の任意の範囲、例えば、0.9mmol~1.3mmol)の量のSNACを含む。セマグルチドの量は特に限定されず、例えば、通常、セマグルチドは、約1mg~約200mgの量(例えば、約10mg、約50mg、約100mg、または列挙された値の間の任意の範囲)であり得る。いくつかの実施形態では、セマグルチドは、約0.1μmol~約2.5μmol、例えば、約0.5μmol~約2.5μmolの量であり得る。
【0059】
本明細書に記載の任意の実施形態では、特に指定がない限り、または文脈に反しない限り、医薬組成物は、固形経口投与剤形の形態であってもよい。例えば、本明細書の医薬組成物は、通常、カプセルまたは錠剤であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書の医薬組成物は、それぞれ所定量の活性化合物(複数可)を含有する、カプセル、丸剤、カシェ剤、トローチ剤、または錠剤などの個別の単位(本明細書では「単位剤形」または「剤形」と称する)で提供することができる。本明細書に記載の任意の実施形態では、特に指定がない限り、または文脈に反しない限り、医薬組成物は、単位剤形であってもよい。明確にするために、本明細書の医薬組成物は、1つ以上の投与単位を含むことができる。例えば、本明細書の医薬組成物は、通常、カプセルまたは錠剤であり、各カプセルまたは錠剤は、投与単位を構成する。本明細書で使用する場合、医薬組成物の各「単位用量」は、1つ以上の単位剤形または投与単位を含み得る、各投与における医薬組成物の用量を指す。単位用量を満たすために複数の用量単位が使用される場合、用量単位は同じであっても異なっていてもよい。好ましい実施形態では、各単位用量は、単一の用量単位を含む。
【0060】
本明細書の医薬組成物は、任意選択で、経口投与に適したものなどの1つ以上の更なる賦形剤を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む。本明細書で使用する用語、「賦形剤」とは、有効治療成分(複数可)以外のあらゆる成分を広く指す。賦形剤は、不活性物質(inert substance)、不活性物質(inactive substance)、及び/または非医薬活性物質であってもよい。賦形剤は、例えば、担体、ビヒクル、充填剤、結合剤、潤滑剤、流動促進剤、崩壊剤、流動制御剤、結晶化遅延剤、可溶化剤、安定剤、着色剤、香味剤、界面活性剤、酵素阻害剤、塩基性化剤、酸性化剤、乳化剤として、ならびに/または活性物質の投与及び/もしくは吸収を改善するために、GI管内のpHに従って固体剤形の溶解速度を制御するための錠剤コーティング剤として、様々な目的に役立ち得る。当業者であれば、日常的な実験により、過度の負担をかけることなく、固形経口剤形の特定の所望の特性に関して、前述の賦形剤の1つ以上を選択することができる。使用される各賦形剤の量は、当技術分野で通常の範囲内で変化し得る。経口剤形の製剤化に使用できる技術及び賦形剤は、Handbook of Pharmaceutical Excipients, 6th edition, Rowe et al., Eds., American Pharmaceuticals Association and the Pharmaceutical Press, publications department of the Royal Pharmaceutical Society of Great Britain (2009);and Remington: the Science and Practice of Pharmacy, 21th edition, Gennaro, Ed., Lippincott Williams & Wilkins (2005)に記載されている。いくつかの実施形態では、賦形剤は、ポリビニルピロリドン(ポビドン)などの結合剤;セルロース粉末、微結晶セルロース、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシ-プロピルメチルセルロース)、第二リン酸カルシウム、コーンスターチ、アルファ化デンプンなどの充填剤;ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、トリベヘン酸グリセロールなどの潤滑剤及び/または流動促進剤;コロイダルシリカ、タルクなどの流動制御剤;ポビドンなどの結晶化遅延剤;プルロニック、ポビドンなどの可溶化剤;酸化鉄レッドまたはイエロー、二酸化チタン、タルクなどの染料及び顔料を含む着色剤;クエン酸、酒石酸、フマル酸、クエン酸ナトリウム、第二リン酸カルシウム、第二リン酸ナトリウムなどのpH調整剤;プルロニック、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエトキシル化及び硬化ヒマシ油などの界面活性剤ならびに乳化剤;ならびにこれらの賦形剤及び/またはアジュバントの2つ以上の混合物から選択され得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、本明細書の医薬組成物には、潤滑剤、結合剤、充填剤、及び/またはキレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA))を含むことができる。しかし、いくつかの実施形態では、本明細書における医薬組成物はまた、潤滑剤を含まないか、または0.1重量%未満、0.05重量%未満、0.01重量%未満、もしくは検出不可能な量の潤滑剤を有するなど実質的に潤滑剤を含まないことができる。いくつかの実施形態では、本明細書の医薬組成物は、ステアリン酸マグネシウムを含まなくてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書における医薬組成物はまた、結合剤を含まないか、または0.1重量%未満、0.05重量%未満、0.01重量%未満、もしくは検出不可能な量の結合剤を有するなど実質的に結合剤を含まないことができる。いくつかの実施形態では、本明細書における医薬組成物はまた、充填剤を含まないか、または0.1重量%未満、0.05重量%未満、0.01重量%未満、もしくは検出不可能な量の充填剤を有するなど実質的に充填剤を含まないことができる。いくつかの実施形態では、本明細書における医薬組成物はまた、キレート剤を含まないか、または0.1重量%未満、0.05重量%未満、0.01重量%未満、もしくは検出不可能な量のキレート剤を有するなど実質的にキレート剤を含まないことができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、単位剤形の形態である。
【0063】
調製方法
医薬組成物は、本開示を考慮して当業者によって調製することができる。いくつかの好ましい実施形態では、調製方法は、治療薬、本明細書に記載の式Iの脂肪酸またはその薬学的に許容される塩、及び本明細書に記載の式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩を凍結乾燥する工程を含むことができ、これは、実施例のセクションに示すように、これらの成分を単純にブレンドする場合と比較して、優れたPKプロファイルを達成するのに有益であり得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、本開示はまた、治療薬を含む医薬組成物を調製する方法であって、前記方法は、(a)治療薬(例えば、本明細書に記載のポリペプチドなど、本明細書に記載のいずれか)を、本明細書に記載の式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩、及び本明細書に記載の式Iの脂肪酸またはその薬学的に許容される塩と混合して、混合物を形成することと、(b)(a)で形成された混合物を凍結乾燥して、凍結乾燥混合物を形成することと、任意選択で、(c)凍結乾燥混合物を薬学的に許容される賦形剤と混合することと、を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、治療薬を最初に本明細書に記載の式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩と混合し、続いて、本明細書に記載の式Iの脂肪酸またはその薬学的に許容される塩を添加して、混合物を形成する。
【0066】
いくつかの実施形態では、本開示はまた、ポリペプチド(例えば、セマグルチドなどの本明細書に記載のもののいずれか)を含む組成物を調製する方法を提供し、前記方法は、
(a) ポリペプチドを式IIの化合物:
【化10】
またはその薬学的に許容される塩と混合することと(式中、nは0、1、2、3または4から選択される整数であり、各出現時におけるGは、独立して、OH、NH、NH(C1~4アルキル)、N(C1~4アルキル)(C1~4アルキル)、ハロゲン(例えば、Cl)、C1~4アルキル、またはC1~4アルコキシ(例えば、OCH)であり、Lは、置換もしくは非置換のC~C16アルキレン、または置換もしくは非置換のC~C16アルケニレンである)、(b)(a)で形成された混合物を凍結乾燥することと、を含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、(a)における混合することは、ポリペプチド、式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩、及び式I:RCOOH(式中、Rは脂肪族基を表す)の脂肪酸またはその薬学的に許容される塩を混合することを更に含む。いくつかの実施形態では、式Iの脂肪酸は、カプリル酸、カプリン酸またはラウリン酸などの2~20個の炭素原子を有する直鎖脂肪酸である。いくつかの実施形態では、(i)式Iの脂肪酸またはその薬学的に許容される塩と(ii)式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩との重量比、(i)/(ii)は、約20:1~約1:20、例えば、5:1~1:5の範囲、例えば、約3:1、約2:1、約1:1、約1:1.5、約1:2、約1:2.5もしくは約1:3、または列挙された値の間の任意の範囲、例えば、約1:2である。いくつかの実施形態では、式Iの脂肪酸またはその薬学的に許容される塩は、約50mg~約300mgの量である。いくつかの実施形態では、式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩は、約200mg~約400mgの量である。
【0068】
いくつかの特定の実施形態では、該当する場合、上記の方法において、(a)治療薬(例えば、本明細書に記載のもののいずれか)は、約1mg~約200mg(例えば、約10mg、約50mg、約100mg、または列挙された値の間の任意の範囲)の量であり、(b)式Iの脂肪酸またはその薬学的に許容される塩は、約50mg~約300mg(例えば、約100mg、約150mg、約200mg、または列挙された値の間の任意の範囲)の量のカプリン酸ナトリウムであり、及び/または(c)式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩は、約200mg~約400mg(例えば、約200mg、約300mg、約400mg、または列挙された値の間の任意の範囲)の量のSNACである。
【0069】
いくつかの特定の実施形態では、該当する場合、上記の方法において、(a)治療薬(例えば、本明細書に記載のもののいずれか)は、約1mg~約200mg(例えば、約10mg、約50mg、約100mg、または列挙された値の間の任意の範囲)の量であり、(b)式Iの脂肪酸またはその薬学的に許容される塩は、約0.6mmol~約2mmol(例えば、0.6mmol、0.8mmol、0.9mmol、1mmol、1.1mmol、1.3mmol、2mmol、または列挙された値の間の任意の範囲)の量のカプリン酸ナトリウムであり、及び/または(c)式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩は、0.6mmol~2mmol(例えば、0.6mmol、0.8mmol、0.9mmol、1mmol、1.1mmol、1.3mmol、2mmol、または列挙された値の間の任意の範囲、例えば、0.9~1.3mmol)の量のSNACである。
【0070】
いくつかの特定の実施形態では、該当する場合、上記の方法において、(a)治療薬(例えば、本明細書に記載のもののいずれか)は、例えば、約1mg~約200mg(例えば、約10mg、約50mg、約100mg、または列挙された値の間の任意の範囲)の量の本明細書に記載のポリペプチドであり、(b)式Iの脂肪酸またはその薬学的に許容される塩は、約50mg~約300mg(例えば、約100mg、約150mg、約200mg、または列挙された値の間の任意の範囲)の量のカプリン酸ナトリウムであり、及び/または(c)式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩は、約200mg~約400mg(例えば、約200mg、約300mg、約400mg、または列挙された値の間の任意の範囲)の量のSNACである。
【0071】
いくつかの特定の実施形態では、該当する場合、上記の方法において、(a)治療薬(例えば、本明細書に記載のもののいずれか)は、例えば、約1mg~約200mg(例えば、約10mg、約50mg、約100mg、または列挙された値の間の任意の範囲)の量の本明細書に記載のポリペプチドであり、(b)式Iの脂肪酸またはその薬学的に許容される塩は、約0.6mmol~約2mmol(例えば、0.6mmol、0.8mmol、0.9mmol、1mmol、1.1mmol、1.3mmol、2mmol、または列挙された値の間の任意の範囲、例えば、0.9~1.1mmol)の量のカプリン酸ナトリウムであり、及び/または(c)式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩は、0.6mmol~2mmol(例えば、0.6mmol、0.8mmol、0.9mmol、1mmol、1.1mmol、1.3mmol、2mmol、または列挙された値の間の任意の範囲、例えば、0.9~1.3mmol)の量のSNACである。
【0072】
いくつかの特定の実施形態では、該当する場合、上記の方法において、(a)治療薬は、例えば、約1mg~約200mg(例えば、約10mg、約50mg、約100mg、または列挙された値の間の任意の範囲)の量のGLP-1アゴニスト(例えば、本明細書に記載のもののいずれか)であり、(b)式Iの脂肪酸またはその薬学的に許容される塩は、約50mg~約300mg(例えば、約100mg、約150mg、約200mg、または列挙された値の間の任意の範囲)の量のカプリン酸ナトリウムであり、及び/または(c)式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩は、約200mg~約400mg(例えば、約200mg、約300mg、約400mg、または列挙された値の間の任意の範囲)の量のSNACである。
【0073】
いくつかの特定の実施形態では、該当する場合、上記の方法において、(a)治療薬は、例えば、約1mg~約200mg(例えば、約10mg、約50mg、約100mg、または列挙された値の間の任意の範囲)の量のGLP-1アゴニスト(例えば、本明細書に記載のもののいずれか)であり、(b)式Iの脂肪酸またはその薬学的に許容される塩は、約0.6mmol~約2mmol(例えば、0.6mmol、0.8mmol、0.9mmol、1mmol、1.1mmol、1.3mmol、2mmol、または列挙された値の間の任意の範囲)の量のカプリン酸ナトリウムであり、及び/または(c)式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩は、0.6mmol~2mmol(例えば、0.6mmol、0.8mmol、0.9mmol、1mmol、1.1mmol、1.3mmol、2mmol、または列挙された値の間の任意の範囲、例えば、0.9~1.3mmol)の量のSNACである。
【0074】
いくつかの特定の実施形態では、該当する場合、上記の方法において、(a)治療薬は、例えば、約1mg~約200mg(例えば、約10mg、約50mg、約100mg、または列挙された値の間の任意の範囲)の量、または約0.1μmol~約2.5μmol、例えば、約0.5μmol~約2.5μmolの量のセマグルチドであり、(b)式Iの脂肪酸またはその薬学的に許容される塩は、約50mg~約300mg(例えば、約100mg、約150mg、約200mg、または列挙された値の間の任意の範囲)の量のカプリン酸ナトリウムであり、及び/または(c)式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩は、約200mg~約400mg(例えば、約200mg、約300mg、約400mg、または列挙された値の間の任意の範囲)の量のSNACである。
【0075】
いくつかの特定の実施形態では、該当する場合、上記の方法において、(a)治療薬は、例えば、約1mg~約200mg(例えば、約10mg、約50mg、約100mg、または列挙された値の間の任意の範囲)の量、または約0.1μmol~約2.5μmol、例えば、約0.5μmol~約2.5μmolの量のセマグルチドであり、であり、(b)式Iの脂肪酸またはその薬学的に許容される塩は、約0.6mmol~約2mmol(例えば、0.6mmol、0.8mmol、0.9mmol、1mmol、1.1mmol、1.3mmol、2mmol、または列挙された値の間の任意の範囲)の量のカプリン酸ナトリウムであり、及び/または(c)式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩は、0.6mmol~2mmol(例えば、0.6mmol、0.8mmol、0.9mmol、1mmol、1.1mmol、1.3mmol、2mmol、または列挙された値の間の任意の範囲、例えば、0.9~1.3mmol)の量のSNACである。
【0076】
本明細書の方法によって調製される治療薬を含む組成物もまた、本開示の新規組成物である。
【0077】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書の方法によって調製された治療薬を含む組成物を薬学的に許容される賦形剤(例えば、本明細書に記載されるもののいずれか)と混合することを含む、医薬組成物の調製方法を更に提供する。
【0078】
治療方法
本明細書に記載の医薬組成物は、疾患または障害の治療を必要とする対象における疾患または障害の治療に有用であり、疾患または障害は、本明細書に開示される治療剤で治療可能であることが公知の疾患または障害のいずれかであり得る。本開示で示されるように治療薬の経口送達を強化することで、これらの治療薬を使用する代替の有利な治療選択肢を提供することができる。
【0079】
例えば、いくつかの実施形態では、本開示は、2型糖尿病または肥満を治療することを必要とする対象における2型糖尿病または肥満を治療する方法を提供し、前記方法は、本明細書に記載の医薬組成物を経口投与して、治療有効量の治療薬(例えば、本明細書に記載のGLP-1アゴニスト)を対象に送達することを含む。
【0080】
2型糖尿病(T2D)は、微小血管疾患及び大血管疾患に起因する合併症に伴う大きな負担を伴う、世界的な公衆衛生上の深刻な問題である。糖尿病の発症には複数の臓器の変化から構成され、通常、血糖値の上昇と血糖コントロールの喪失または低下を伴う。様々な作用機序による2型糖尿病の血糖コントロールは、糖尿病性腎疾患及び糖尿病性網膜症などの微小血管疾患の発生率を低下させることが実証されている(Chatterjee S,Khunti K,Davies MJ.Type 2 diabetes.Lancet.2017;389(10085):2239-2251)
【0081】
インクレチンは、GLP-1、GIP、PYYなどを含む、糖尿病及び肥満の治療に重要な種類の薬剤である。GLP-1受容体アゴニストは、広く処方されている重要かつ必須の薬剤となっている。GLP-1は、主に腸管のL細胞及び脳幹で発現する。GLP-1受容体(GLP-1 R)は、Gタンパク質共役受容体であり、膵島、消化管、肺、心臓血管系、腎臓、迷走神経の節状神経節ニューロン、中枢神経系の視床下部及び脳幹を含む、様々な組織で発現する(Thorens B.Expression cloning of the pancreatic beta cell receptor for the gluco-incretin hormone glucagon-like peptide1.Proc Natl Acad Sci USA.1992;89(18):8641-8645.)。腸管のL細胞から発現したGLP-1は循環して、膵島の古典的受容体に直接結合するか、または門脈内の肝臓迷走神経枝に間接的にシグナルを送り、グルコース誘発性インスリン分泌及び食後インスリン分泌の大部分を増強し得る(Pais R,Gribble FM,Reimann F.Stimulation of incretin secreting cells.Ther Adv Endocrinol Metab.2016;7(1):24-42.)。シグナルは視床下部に送られ、食欲の低下、糖新生の刺激、肝臓のグルコース産生の低下、グルコース依存性インスリン放出の増幅、グルカゴン放出の阻害、心拍出量と心臓保護の増加、及び高血圧の低下をもたらす(Muller TD,Finan B,Bloom SR,et al.Glucagon-like peptide1(GLP-1).Mol Metab.2019;30:72-130.)。T2Dではインクレチン系の機能が損なわれ、GLP-1産生が不十分か、またはGLP-1作用が阻害される。したがって、GLP-1及びGLP-1類似体は、T2Dの治療薬として開発された(Aulinger BA,Vahl TP,Prigeon RL,D’Alessio DA,Elder DA.The incretin effect in obese adolescents with and without type 2 diabetes:impaired or intact?Am J Physiol Endocrinol Metab.2016;310(9):E774-781)。
【0082】
天然のGLP-1は、ジペプチジルペプチダーゼ-IV(DPP-IV)によって急速に分解され、半減期は約2分未満である。したがって、多くのGLP-1受容体アゴニスト類似体(GLP-1 RA)は、半減期の延長を試みて開発された。このようなGLP-1類似体には、エキセンディン-4、リラグルチド、デュラグルチド、リキシセナチド、セマグルチドが挙げられ、これらは、米国食品医薬品局(FDA)によって2型糖尿病の治療薬として承認されている。エキセンディン-4は、アメリカドクトカゲの毒から抽出された53%相同ペプチドである。それは、DPP4による分解に対して耐性がある。特定のアミノ酸の置換及び/または特定の脂肪酸の添加などの構造変更により半減期が延長され、デュラグルチド、アルビグルチド、リラグルチド、リキシセナチド、セマグルチドを含むGLP-1類似体の毎日の投与から週1回の投与が可能になった(Romera I,Cebria’n-Cuenca A,A’lvarez-Guisasola F,Gomez-Peralta F,Reviriego J.A review of practical issues on the use of glucagon-like peptide-1receptor agonists for the management of type 2 diabetes.Diabetes Ther.2019;10(1):5-19.)。
【0083】
T2DにおけるGLP-1 RAのクラスは、A1Cの有意な減少、及び低血糖のリスクを最小限に抑えながら体重管理に好ましい効果を示すことが実証されている(TrujilloJM.Glucagon-like peptide-1 receptor agonists.In:White JR(ed.)Guide to medications for the treatment of diabetes mellitus.Arlington County,VA:American Diabetes Association,2020,pp.190-210.)。更に、GLP-1 RAのうち3つ:デュラグルチド、リラグルチド及びセマグルチドは、心血管への効果を実証している(Matza LS,Boye KS,Sterward DK,et al.Crossover clinical trial assessing patient preference between the dulaglutide pen and the semaglutide pen(PREFER).Diabetes Met Obes2020;22:355-364)。GLP-1 RAの使用は、主にGI AE及び注射部位関連AEの副作用と関連している。GLP-RAの使用は注射投与経路によっても制限される可能性があり、その結果、遵守の問題が生じる可能性があります。ヘッドトゥーヘッド実験を評価すると、長時間作用型薬剤は、短時間作用型薬剤よりも大きなA1C低下をもたらし、セマグルチドが最大のA1C低下をもたらすことが示された。長時間作用型薬剤の中で、エキセナチドXRは、A1Cに対する影響が最も少ないと思われるが、短時間作用型薬剤と比較するとより多くのA1C低下をもたらす。重量に関しては、薬剤間の区別がより曖昧になる。長時間作用型薬剤は、短時間作用型薬剤と比較してより顕著な体重減少を引き起こす傾向があり、セマグルチドが再び最大の体重減少で主導権を握っている(Pratley RE,Aroda VR,Lingvay I,et al.Semaglutide versus dulaglutide once weekly in patients with type 2 diabetes (SUSTAIN7):a randomised,open-label,phase 3b trial.Lancet Diabetes Endocrinol2018;6:275-286.)(Pratley R,Amod A,Hoff ST,et al.Oral semaglutide versus subcutaneous liraglutide and placebo in type2 diabetes(PIONEER4):a randomised, double-blind, phase 3a trial.Lancet2019;394:39-50.)。GIの副作用は、セマグルチド皮下投与と同様に短時間作用型薬剤で最も高く、エキセナチドXRで最も低いようである。注射部位反応は、特に週1回投与のエキセナチドなどの長時間作用型の薬剤ではより一般的になり、注射部位に一時的な小さな結節を引き起こす可能性がある。患者満足度データによれば、週1回の注射の方が、1日2回の注射と比較して患者の満足度が高いことが示されている。有害事象による中止率は薬剤及び実験によって異なるが、全体的には低く、実験の患者のうち有害事象によりGLP-1 RA療法を中止した患者は、10%未満だった(Wilke T,Mueller S,Groth A,et al.Nonpersistence and non-adherence of patients with type2 diabetes mellitus in therapy with GLP-1 receptor agonists: a retrospective analysis.Diabetes Ther2016;7:105-124.)。GLP-1 RAでは低血糖のリスクが低く、その割合はすべてのGLP-1 RA治療群で同様だった。重要なことに、現在のガイドラインでは、ベースラインのA1Cとは無関係に、アテローム性動脈硬化性CV疾患(ASCVD)及びASCVDリスクのある患者において、実証済みの心血管効果を持つGLP-1 RA(デュラグルチド、リラグルチド、セマグルチド)の使用を優先している。
【0084】
GLP-1及びGLP-1類似体は、高分子量で生体膜透過性が非常に低く、消化管酵素分解を受けやすいペプチドであり、そのため、通常、GLP-1類似体の経口送達では経口バイオアベイラビリティが非常に低くなる。したがって、すべてのGLP RA治療は注射剤であり、その結果、使用が難しく、針に対する恐怖が生じるため、治療の受け入れと遵守が困難になる(Wilke T,Mueller S,Groth A,et al.Nonpersistence and non-adherence of patients with type 2 diabetes mellitus in therapy with GLP-1 receptor agonists:a retrospective analysis.Diabetes Ther2016;7:105-124.)。
【0085】
経口送達による最初のGLP-1類似体はセマグルチドであり、それは、吸収促進剤であるN-(8-[2-ヒドロキシベンゾイル]アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)と共製剤化された(Davies M, Pieber TR, Hartoft-Nielsen ML, Hansen OKH, Jabbour S, Rosenstock J. Effect of oral semaglutide compared with placebo and subcutaneous semaglutide on glycemic control in patients with type 2 diabetes: a randomized clinical trial. JAMA. 2017;318(15):1460-70.290)。SNACがセマグルチドの経口吸収を可能にする機序はまだ不明であるが、暫定的に、次のMOA: 酵素分解の低減、膜輸送のための薬物の物理化学的特性の最適化、及び生体膜の通過流動性の向上の1つ以上が関与している可能性がある。PIONEER試験では、SNACと共製剤化された経口セマグルチドは入院患者に対して有効性及び安全性が示され、製品(リベルサス(登録商標))は2019年9月20日にFDAの承認を取得した(Bucheit J,Pamulapati LG,Carter N,Malloy K,Dixon DL,Sisson EM.Oral semaglutide:a review of the first oral glucagon-like peptide-1 receptor agonist.Diabetes Technol Ther.2020;1:10-8)。しかし、SNACは、セマグルチドの吸収を高めることが示されているが、経口バイオアベイラビリティ(BA%)は依然として非常に低く、ヒトでは約0.5~1%だった(FDA Clinical Pharmacology Review;https:// www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/nda/2019/213051Orig1s000ClinPharmR.pdf)。
【0086】
低いバイオアベイラビリティは、体循環における薬物曝露の大きな変動に寄与する。更に、バイオアベイラビリティが低いと、特に、肥満を制御するためにより高用量の薬剤が必要になるため、費用が大幅に増加し、支払者にとって法外な金額になる可能性がある。セマグルチドの場合の例として、セマグルチドの注射用バージョン(オゼンピック)は、糖尿病制御のために週1回0.5~1mgの投与量を有し、一方で、肥満の制御には週1回2.4mgの投与量が必要である(2021年にFDAによってウゴービとして承認)。セマグルチドの経口バージョン(リベルサス)では、1日の用量は最大14mgである(リベルサス及びウゴービのFDAラベル)。肥満に必要な経口バージョンの用量は、最大で50mgを超え得る。修飾ペプチドとしてのセマグルチドの化学合成または半生合成には費用がかかる。現在、有効製品成分(API)としてのセマグルチドのコストは、1ミリグラム(mg)あたり約0.8米ドルである。従って、糖尿病を適応症とするリベルサス1日14mgの場合、COGS(Cost of Goods)は1ヶ月あたり336米ドル程度となり、市販品のコストにほぼ近づいている(Novo Nodiskの価格では1ヶ月あたり770米ドル)https:// www.goodrx.com/rybelsus。肥満などの潜在的な適応症について、1日あたり50mgの場合、COGSは1ヶ月あたり約1,200米ドルとなり、支払者が許容できる価格を超える。したがって、肥満治療の延長を可能にし、GLP-1治療薬の医学的価値を満たし、T2D及び肥満患者の医療に貢献すると共に、医療システムの財政的負担を軽減するためには、BA%を改善し、変動性を低減し、COGSを制御するセマグルチドの経口製剤を開発することが重要かつ不可欠である。
【0087】
本明細書で論じられるように、式Iの脂肪酸と式IIの化合物、またはこれらのそれぞれの塩の組み合わせ、より具体的には、カプリン酸ナトリウムとSNACの組み合わせは、エンハンサーとしてSNACを使用した場合に比べ、GLP-1アゴニスト(特に、セマグルチド)の経口バイオアベイラビリティを有意に向上させた。したがって、本発明の方法は、本発明の医薬組成物を有利に使用して、2型糖尿病もしくは肥満などのGLP-1アゴニストが有益となり得る様々な疾患または障害の治療のためにGLP-1アゴニストを経口投与することができる。
【0088】
併用療法
本発明の医薬組成物は、単独療法として、または併用療法として使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、医薬組成物は、2つ以上の活性治療薬の固定用量の組み合わせであり得る。企図される非限定的な併用療法には、以下が含まれる。
【0089】
GLP-RA阻害剤とSGLT2阻害剤の組み合わせ:心血管への利点。ナトリウム-グルコース共輸送体(SGLT)タンパク質は、グルコースの制御においてインスリンとは独立して機能する。ナトリウム-グルコース共輸送体1(SGLT1)タンパク質は、グルコースの高親和性低容量輸送体であり、小腸及び腎臓の近位尿細管に発現している。腎臓の近位尿細管のSGLT1タンパク質は、濾過されたグルコースの再吸収の10%未満を担っている。ナトリウム-グルコース共輸送体-2(SGLT2)タンパク質は腎臓の近位尿細管で発現し、濾過されたグルコースの再吸収の約90%を担っている(Scheen AJ. Pharmacodynamics, efficacy and safety of sodium-glucose co-transporter type2(SGLT2) inhibitors for the treatment of type2 diabetes mellitus.Drugs.2015Jan;75(1):33-59.)。FDAによって承認されたSGLT2選択的阻害剤が、いくつかある。カナグリフロジン、ダパグリフロジン、及びエンパグリフロジンを含む。FDAに承認された3つの薬剤のうち、エンパグリフロジンは、SGLT1と比較して、SGLT2に対する選択性が最も高く、カナグリフロジンは選択性が最も低い(Shubrook JH,Bokaie BB,Adkins SE.Empagliflozin in the treatment of type2 diabetes:evidence to date.Drug design,development and therapy.2015;9:5793-803.)。SGLT2阻害剤は、臨床的に体重管理及び降圧効果を実証している。SGLT2阻害剤による低血糖の危険性は、インスリン及びスルホニル尿素剤と比較すると小さい。(Desouza CV,Gupta N,Patel A.Cardiometabolic Effects of a New Class of Antidiabetic Agents.Clin Ther.2015Jun1;37(6):1178-94.)。
【0090】
最近の研究では、ダパグリフロジン及びエンパグリフロジンなどのGLP-RAでは、重大な心血管イベントのリスク増加は見られないことが実証された。更に重要なことに、研究では、心血管疾患イベントのリスクが高いT2D患者において、エンパグリフロジン群とプラセボ群で心血管疾患による死亡の相対リスクが38%減少するなど、SGLT2阻害により顕著なCV効果が実証されたことが示された(Zinman B,Wanner C,Lachin JM,Fitchett D,Bluhmki E,Hantel S,et al.Empagliflozin,Cardiovascular Outcomes,and Mortality in Type2 Diabetes.The New England journal of medicine.2015Nov26;373(22):2117-28.これは、エンパグリフロジンの極めて重要な心血管アウトカム試験である)。
【0091】
GLP-1 RA阻害剤及びSGLT-2阻害剤は、心血管疾患を伴う糖尿病患者の臨床転帰を改善する証拠を示した。新しいT2D薬物療法ガイドラインでは、アテローム性動脈硬化性心血管疾患のリスクがある肥満患者の予防及び治療にGLP-1 RAの使用が推奨されているが、慢性心不全のリスクがある患者には、SGLT-2iが提案されている。しかし、両クラスの薬剤がT2Dと糖尿病の治療において異なるメカニズムを持っていることを考慮すると、CVの利点についてこれら2つのクラスの薬剤の潜在的な相加効果または相乗効果を更に評価するための体系的な研究、特に、臨床試験は存在しない。
【0092】
GLP-RAとSGLT2iの併用に関する強力な臨床研究が行われていない主な理由は、商業的または財務的な理由によるものと考えられ得る。GLP-RAも毎日または毎週注射可能なペプチドである(経口セマグルチドを除く)が、SGLT2iはすべて毎日投与される経口錠剤である。このような注射剤と経口剤の組み合わせは実際には患者に受け入れられない可能性があり、更に重要なことに、市販されている2つの薬剤を直接組み合わせた場合、知的財産を取得できないため、財政的に支援する組み合わせを開発することは現実的ではない。
【0093】
市販されている唯一の経口GLP-RAはリベルサスであるが、それは、BA%が低すぎるため、併用するのは経済的に困難である。技術的には、経口セマグルチドは担体SNACによって胃で吸収されるが、SGLTiはコーティングされたフィルムを備えた錠剤に製剤化されており、これは、吸収面積が広く、内皮細胞の絨毛が豊富な小腸での吸収をターゲットとしているため、胃よりもはるかに高い透過性を可能にする。
【0094】
いくつかの実施形態では、本発明は、GLP-RA及びSGLTiを同じ錠剤に製剤化することを可能にし、これにより、SNAC単独を含む製剤と比較して、GLP-RAの経口バイオアベイラビリティが向上するだけでなく、胃からのSGLTiの吸収も可能になる。このような1錠剤中のGLP-RAとSGLTiの固定用量の組み合わせは、便利な使用と経済的実現可能性を備えた重要な医学的価値をもたらす。
【0095】
定義
本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、明示的に記載されていない限り、または文脈からそれが意図されていないと一義的に明らかでない限り、複数の参照を含む。
【0096】
用語「及び/または」は、本明細書で「A及び/またはB」などの句で使用される場合、A及びBの両方、AまたはB、A(単独)、ならびにB(単独)を含むように、意図されている。同様に、用語「及び/または」は、本明細書で「A、B、及び/またはC」などの句で使用される場合、以下の実施形態の各々を包含するように意図されている:A、B、及びC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)。
【0097】
見出し及び小見出しは、便宜上及び/または形式的なコンプライアンスのためにのみ使用され、主題の技術を制限するものではなく、主題の技術の説明の解釈に関連して参照されることはない。主題の開示の1つの見出しまたは1つの小見出しの下に記載された特徴は、様々な実施形態で、他の見出しまたは小見出しの下に記載された特徴と組み合わせることができる。更に、単一の見出しまたは単一の小見出しのもとにあるすべての特徴が、必ずしも実施形態において一緒に使用されるわけではない。
【0098】
本明細書で使用する場合、本発明に関連する量を変更する用語「約」は、例えば、通常の試験及び取り扱いによって、そのような試験及び取り扱いにおける意図しない誤りによって、本発明で使用される成分の、製造、供給源、または純度における差違などによって起こり得る、数量の変動を指す。本明細書で使用する場合、「約」特定の値は、特定の値を含み、例えば、約10%は、10%を含む。「約」という用語で修飾されているかどうかにかかわらず、請求項は、その列挙された量の等価物を含む。一実施形態では、「約」という用語は、報告された数値の20%以内を意味する。
【0099】
本明細書で使用する場合、「ポリペプチド」及び「ペプチド」という用語は、ペプチド結合によって接続された少なくとも5つの構成アミノ酸から構成される化合物を意味する。構成アミノ酸は、遺伝コードによってコードされたアミノ酸の群からのものであってもよく、それらは、遺伝コードによってコードされていない天然アミノ酸及び合成アミノ酸であってもよい。
【0100】
本明細書で使用する場合、ポリペプチドを指す「類似体」という用語は、ペプチドの1つ以上のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換された、及び/またはペプチドから1つ以上のアミノ酸残基が削除された、及び/またはペプチドから1つ以上のアミノ酸残基が削除された、及び/またはペプチドに1つ以上のアミノ酸残基が追加された、修飾ペプチドを意味する。
【0101】
本明細書で使用する場合、ペプチドに関する「誘導体」という用語は、化学的に修飾されたペプチドまたはその類似体を意味し、少なくとも1つの置換基は、修飾されていないペプチドまたはその類似体、すなわち、共有結合的に修飾されたペプチドには存在しない。典型的な修飾は、アミド、20炭水化物、アルキル基、アシル基、エステルなどである。GLP-1(7-37)の誘導体の一例としては、NE26-((4S)-4-(ヘキサデカノイルアミノ)-カルボキシ-ブタノイル)[Arg34,Lys26]GLP-1-(7-37)が挙げられる。
【0102】
いくつかの実施形態では、本明細書で使用する場合、「GLP-1類似体」という用語は、ヒトグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1(7-37))の変異体であるペプチドまたは化合物を指す。GLP-1(7-37)は、配列HAEGTFTSDVSSYLEGQAAKEFIAWLVKGRG(配列番号1)を有する。いくつかの実施形態では、「変異体」という用語は、1つ以上のアミノ酸の置換、欠失、付加及び/または挿入を含む化合物を指す。
【0103】
いくつかの実施形態では、GLP-1アゴニストは、GLP-1(7-37)の全長にわたって、GLP-1(7-37)に対して少なくとも60%、65%、70%、80%または90%の配列同一性を示す。2つの類似体間の配列同一性を決定するための方法の例として、2つのペプチド[Aib8]GLP-1(7-37)及びGLP-1(7-37)を整列させる。[Aib8]GLP-1(7-37)とGLP-1(7-37)の配列同一性は、整列した同一残基の数から異なる残基の数を引いた値をGLP-1(7-37)の総残基数で割ることで求められる。したがって、前記例では、配列同一性は(31-1)/31である。
【0104】
本明細書で使用する場合、「GLP-1アゴニスト」という用語は、ヒトGLP-1受容体を完全または部分的に活性化する化合物を指す。いくつかの実施形態では、GLP-1アゴニストは、任意選択で、1つの置換基を含むGLP-1類似体である。いくつかの実施形態では、GLP-1アゴニストはエキセンディン-4であり、その配列は、HGEGTFITSDLSKQMEEEAVRLFIEWLKNGGPSSGAPPPS(配列番号2)である。いくつかの実施形態では、GLP-1アゴニストは、ペプチドに共有結合した1つの置換基を含む。いくつかの実施形態では、置換基は、脂肪酸または脂肪酸二酸を含む。いくつかの実施形態では、置換基は、C16、C18またはC20脂肪酸を含む。いくつかの実施形態では、置換基は、C16、C18またはC20脂肪二酸を含む。GLP-1 RAの例としては、セマグルチド、リラグルチド、デュラグルチド、リキシセナチド、エキセナチドなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
いくつかの実施形態では、GLP-1アゴニストは、WO93/19175、WO96/29342、WO98/08871、WO99/43707、WO99/43706、WO99/43341、WO99/43708、WO2005/027978、WO2005/058954、WO2005/058958、WO2006/005667、WO2006/037810、WO2006/037811、WO2006/097537、WO2006/097538、WO2008/023050、WO2009/030738、WO2009/030771、及びWO2009/030774に開示されるGLP-1アゴニストのうちの1つ以上から選択される。
【0106】
いくつかの実施形態では、GLP-1アゴニストは、N-ε37{2-[2-(2-{2-[2-((R)-3-カルボキシ-3-{[1-(19-カルボキシノナデカノイル)ピペリジン-4-カルボニル]アミノ}プロピオニルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチル[デサミノHis7,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP-1(7-37)アミド、N-ε26{2-[2-(2-{2-[2-((R)-3-カルボキシ-3-{[1-(19-カルボキシノナデカノイル)ピペラジン-4-カルボニル]アミノ}プロピオニルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチル[デサミノHis7,Arg34]GLP-1-(7-37)、N-ε37{2-[2-(2-{2-[2-((S)-3-カルボキシ-3-{[1-(19-カルボキシノナデカノイル)ピペラジン-4-カルボニル]アミノ}プロピオニルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチル[Aib8,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP-1-(7-37)アミド、N-ε37-[2-(2-[2-(2-[2-(2-((R)-3-[1-(17-カルボキシヘプタデカノイル)ピペラジン-4-イルカルボニルアミノ]3-カルボキシプロピオニルアミノ)エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ)アセチル][,デサミノHis7,Glu22 Arg26,Arg34,Phe(m-CF3)28]GLP-1-(7-37)アミド、N-ε26-[(S)-4-カルボキシ-4-({トランス-4-[(19-カルボキシノナデカノイルアミノ)メチル]シクロヘキサンカルボニル}アミノ)ブチリル][Aib8,Arg34]GLP-1-(7-37)、N-ε26-{4-[(S)-4-カルボキシ-4-({トランス-4-[(19-カルボキシノナデカノイルアミノ)メチル]シクロヘキサンカルボニル}アミノ)ブチリルアミノ]ブチリル}[Aib8,Arg34]GLP-1-(7-37)、N-ε26-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-({トランス-4-[(19-カルボキシ-ノナデカノイルアミノ)メチル]シクロヘキサンカルボニル}アミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][Aib8,Arg34]GLP-1-(7-37)、N-ε26-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-({トランス-4-[(19-カルボキシ-ノナデカノイルアミノ)メチル]シクロヘキサンカルボニル}アミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][Aib8,Arg34]GLP-1-(7-37)アミド、N-ε37-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-({トランス-4-[(19-カルボキシ-ノナデカノイルアミノ)メチル]シクロヘキサンカルボニル}アミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][Aib8,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP-1-(7-37)アミド、N-ε37-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-({トランス-4-[(19-カルボキシ-ノナデカノイルアミノ)メチル]シクロヘキサンカルボニル}アミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][デサミノHis7,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP-1-(7-37)アミド、N-ε37-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-({4-[(トランス-19-カルボキシ-ノナデカノイルアミノ)メチル]シクロヘキサンカルボニル}アミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][デサミノHis7,Arg26,Arg34,Lys 37]GLP-1-(7-37)アミド、N-ε37-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-({トランス-4-[(19-カルボキシ-ノナデカノイルアミノ)メチル]シクロヘキサンカルボニル}アミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][デサミノHis7,Glu22,Arg26,Arg 34,Lys37]GLP-1-(7-37)、N-ε26[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-({4-[(19-カルボキシ-ノナデカノイルアミノ)メチル]シクロヘキサンカルボニル}アミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル[Aib8,Lys26]GLP-1(7-37)アミド、N-ε26 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Glu22,Arg26,Glu30,Arg34,Lys36]GLP-1-(7-37)-Glu-Lysペプチド、N-ε37-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-({トランス-4-[(19-カルボキシノナデカノイルアミノ)メチル]シクロヘキサンカルボニル}アミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][Aib8,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP-1-(7-37)、N-ε37-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)-ブチリルアミノ]-エトキシ}-エトキシ)-アセチルアミノ]-エトキシ}-エトキシ)-アセチル]-[Aib8,Glu22,Arg26,Arg34,Aib35,Lys37]GLP-1-(7-37)、N-ε37-[(S)-4-カルボキシ-4-(2-{2-[2-(2-{2-[2-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチルアミノ)ブチリル][Aib8,Glu22,Arg26,34,Lys37]GLP-1(7-37)、N-ε37-[2-(2-[2-(2-[2-(2-[4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)-4(S)-カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ)アセチル][ImPr7,Glu22,Arg26,34,Lys37],GLP-1-(7-37)、N-ε26-{2-[2-(2-{2-[2-(2-{(S)-4-カルボキシ-4-[10-(4-カルボキシフェノキシ)デカノイルアミノ]ブチリルアミノ}エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ}エトキシ)エトキシ]アセチル},N-ε37-{2-[2-(2-{2-[2-(2-{(S)-4-カルボキシ-4-[10-(4-カルボキシフェノキシ)デカノイルアミノ]ブチリルアミノ}エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ}エトキシ)エトキシ]アセチル}-[Aib8,Arg34,Lys37]GLP-1(7-37)-OH、N-ε26(17-カルボキシヘプタデカノイル)-[Aib8,Arg34]GLP-1-(7-37)-ペプチド、N-ε26-(19-カルボキシノナデカノイル)-[Aib8,Arg34]GLP-1-(7-37)、N-ε26-(4-{[N-(2-カルボキシエチル)-N-(15-カルボキシペンタデカノイル)アミノ]メチル}ベンゾイル[Arg34]GLP-1-(7-37)、N-ε26-[2-(2-[2-(2-[2-(2-[4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)-4(S)-カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ)アセチル][Aib8,Arg34]GLP-1-(7-37)、N-ε26-[2-(2-[2-(2-[2-(2-[4-(19-カルボキシノナデカノイルアミノ)-4(S)-カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ)アセチル][Aib8,Arg34]GLP-1-(7-37)、N-ε26-[2-(2-[2-(2-[2-(2-[4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)-4(S)-カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ)アセチル][3-(4-イミダゾリル)プロピオニル7,Arg34]GLP-1-(7-37)、N-ε26-[2-(2-[2-(2-[2-(2-[4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)-(カルボキシメチル-アミノ)アセチルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ)アセチル][Aib8,Arg34]GLP-1-(7-37)、N-ε26-[2-(2-[2-(2-[2-(2-[4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)-3(S)-スルホプロピオニルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセ
チルアミノ)エトキシ]エトキシ)アセチル][Aib8,Arg34]GLP-1-(7-37)、N-ε26-[2-(2-[2-(2-[2-(2-[4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)-4(S)-カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ)アセチル][Gly8,Arg34]GLP-1-(7-37)、N-ε26-[2-(2-[2-(2-[2-(2-[4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)-4(S)-カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ)アセチル][Aib8,Arg34]GLP-1-(7-37)-アミド、N-ε26-[2-(2-[2-(2-[2-(2-[4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)-4(S)-カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ)アセチル][Aib8,Arg34,Pro37]GLP-1-(7-37)アミド、Aib8,Lys26(N-ε26-{2-(2-(2-(2-[2-(2-(4-(ペンタデカノイルアミノ)-4-カルボキシブチリルアミノ)エトキシ)エトキシ]アセチル)エトキシ)エトキシ)アセチル)}),Arg34)GLP-1-(7-37)-OH、N-ε26-[2-(2-[2-(2-[2-(2-[4-{[N-(2-カルボキシエチル)-N-(17-カルボキシヘプタデカノイル)アミノ]メチル}ベンゾイル)アミノ]エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ)アセチル][Aib8,Arg34]GLP-1(7-37)、N-α7-ホルミル,N-ε26-[2-(2-[2-(2-[2-(2-[4-(17-カルボキシヘプタデカノイル-アミノ)-4(S)-カルボキシ-ブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ)アセチル][Arg34]GLP-1-(7-37)、N-ε2626-[2-(2-[2-(2-[2-(2-[4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)-4(S)-カルボキシ-ブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ)アセチル][Aib8,Glu22,Arg34]GLP-1-(7-37)、N-ε26{3-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[2-(2-[4-(15-(N-((S)-1,3-ジカルボキシプロピル)カルバモイル)ペンタデカノイルアミノ)-(S)-4-カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]プロピオニル}[Aib8,Arg34]GLP-1-(7-37)、N-ε26-[2-(2-[2-(2-[2-(2-[4-{[N-(2-カルボキシエチル)-N-(17-カルボキシ-ヘプタデカノイル)アミノ]メチル}ベンゾイル)アミノ](4(S)-カルボキシブチリル-アミノ)エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ)アセチル][Aib8,Arg34]GLP-1(7-37)、N-ε26-{(S)-4-カルボキシ-4-((S)-4-カルボキシ-4-((S)-4-カルボキシ-4-((S)-4-カルボキシ-4-(19-カルボキシ-ノナデカノイルアミノ)ブチリルアミノ)ブチリルアミノ)ブチリルアミノ)ブチリルアミノ}[Aib8,Arg34]GLP-1-(7-37)、N-ε26-4-(17-カルボキシヘプタデカノイル-アミノ)-4(S)-カルボキシブチリル-[Aib8,Arg34]GLP-1-(7-37)、N-ε26-{3-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[2-(2-[4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミ)-4(S)-カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]プロピオニル}[Aib8,Arg34]GLP-1-(7-37)、N-ε26-{2-(2-(2-(2-[2-(2-(4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)-4-カルボキシブチリルアミノ)エトキシ)エトキシ]アセチル)エトキシ)エトキシ)アセチル)}-[Aib8,22,27,30,35,Arg34,Pro37,Lys26]GLP-1(7-37)アミド、N-ε26-[2-(2-[2-[4-(21-カルボキシアンエイコサノイルアミノ)-4(S)-カルボキシブチリルアミノ]エトキシ]エトキシ)アセチル][Aib8,Arg34]GLP-1-(7-37)、及びN-ε26-[2-(2-[2-(2-[2-(2-[4-(21-カルボキシアンエイコサノイルアミノ)-4(S)-カルボキシブチリルアミノ] エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ)アセチル][Aib8,Arg34]GLP-1-(7-37)からなる群から選択される。
【0107】
固体剤形という用語は、錠剤、固体が充填されたカプセル、または溶液が充填されたカプセルを指す。
【0108】
本明細書で使用する場合、「治療する(treat)」、「治療する(treating)」、及び「治療」などという用語は、疾患もしくは状態及び/またはそれに関連する症状を排除、低減または寛解することを指す。除外されてはいないものの、疾患または状態を治療することは、疾患、状態、またはそれらに関連する症状が完全に排除されることを必要としないことが理解されるだろう。
【0109】
本明細書で使用する場合、「治療有効量」という用語は、障害もしくは状態(例えば、2型糖尿病)の1つ以上の症状の寛解をもたらす、または障害もしくは状態の出現もしくは進行を予防する、または障害もしくは状態の退行または治癒を引き起こすのに十分な治療薬(例えば、セマグルチド)の量を指す。
【0110】
本明細書で使用する場合、「対象」(あるいは、本明細書では「患者」とも称される)という用語は、治療、観察、または実験の目的となった動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを指す。
【実施例
【0111】
実施例1.
この実施例は、セマグルチドとSNAC及びカプリン酸ナトリウムの組み合わせが、SNAC単独よりも予想外に高い薬物吸収及びより効果的なグルコース制御をもたらすことを示している。セマグルチドの血漿濃度に基づく有効な増強は、約5倍である。更に、経口グルコース負荷試験(oGTT)に基づくセマグルチドの優れた薬理効果は、セマグルチドとSNAC及びカプリン酸ナトリウムの組み合わせでも実証された。
【0112】
製剤の調製
適切な量の薬物(例えば、セマグルチドナトリウム)及び賦形剤、例えば、SNACまたはSNAC及びカプリン酸ナトリウム(「C10」)、ならびに存在する場合には他の任意の賦形剤を、水中で混合して、溶液を形成した。その後、溶液を凍結乾燥させて製剤を得た。
【0113】
セマグルチド、SNAC及びC10を含有する製剤を調製するための代表的な手順:セマグルチドナトリウムを量り、ガラスバイアルに入れる。約15mlの水を加えて、各65mgのセマグルチドナトリウムを溶解させる。次にSNACを量り、上記のセマグルチド水溶液に加える。撹拌には撹拌子を使用する。次に、カプリン酸ナトリウム (及び、必要に応じて、他の賦形剤)を溶液に加え、溶液を撹拌してすべての賦形剤を溶解させる。次いで、溶液を凍結乾燥した。
【0114】
この手順に従って調製された製剤1には、10mgのセマグルチドと300mgのSNACが含まれている。この手順に従って調製された製剤2には、10mgのセマグルチド、300mgのSNAC、及び150mgのカプリン酸ナトリウムが含まれている。
【0115】
次いで、凍結乾燥粉末を錠剤の形に加工し、本明細書の実施例に使用した。錠剤の成形は、手動コンプレッサー、直径12mmの円形の錠剤成形型、及び成形型表面の円弧を使用して行われた。
【0116】
実施例2A.薬物動態研究と経口グルコース負荷試験
この実施例では、経口セマグルチド製剤の薬物動態(「PK」)実験について説明する。各PK実験では、oGGT実験も実験初日に実施される。
【0117】
イヌは別々のケージで飼育された。実験前には、毎日午後3時頃と午前7時頃の2回の食事がイヌに与えられた。餌は、ボウルに水と一緒に入れて与えた。実験前日、午後3時にイヌに餌を与えた後、イヌは一晩中約18時間絶食した。イヌは夜間に水を飲むことができるが、投与の1時間前に水は除去された。投与前に、イヌをスリングに入れ、次に、滅菌した使い捨て注射器を使用して各イヌの脚の静脈から0.8mlの血液を採取した。
【0118】
錠剤の経口投与:ケージを開け、イヌに前脚でケージに登らせる。口を掴んで、手で口を開ける。作業員はイヌの口を開けたまま、指を使って錠剤をイヌの喉に挿入する。次にイヌの口を閉じ、約10秒口を閉じたままにする。イヌは、水なしで錠剤を自然に飲み込む。
【0119】
投与後、イヌの前脚静脈から以下の時点:15分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、24時間、48時間、72時間、96時間、120時間及び168時間で、0.8mlの血液試料をEDTA抗凝固チューブに採取した。数回上下を逆にして混合した後、血液試料を3500rpmで10分間遠心分離した。上清血漿試料はチューブを洗浄するために取り除かれ、測定前に冷凍庫で-60℃で保存された。8時間時点の試料を採取した後、イヌを解放し、直ちに餌と水を与えた。
【0120】
セマグルチドの血漿濃度を測定するために、MRMモードを備えたLC-MS法が使用される。内部標準を含むアセトニトリル150μlを血漿50μlに加え、タンパク質を沈殿させた。30秒間ボルテックスした後、試料を2分間超音波処理した。試料を、15400Gで10分間遠心分離した。その後、上清を分析のために除去した。質量スペクトルは、AB(Triple Quad6400+)、SHIMADZUであった。Sepax Bio-C18(4.6*150mm、5mm)を使用した。LC-MSのパラメータを以下にまとめる:
移動相:A:H2O(0.1%ギ酸及び5mM酢酸アンモニウム;B:ACN(0.2%ギ酸)
流速:1ml/分
カラム温度:40℃
CAD(psi):12
ガス1(psi):60
IS(V):5500
CUR(psi):40
ガス2(psi):55
TEM(℃):600
モード:ESI/+
セマグルチドイオン対:1029.2m/z~136.1m/z、衝突エネルギーは100V。
【0121】
上で説明したように、各PK実験では、実験の初日にoGTT実験も行われた。セマグルチドを投与してから3.5時間後に、グルコースレベル測定のために-30分のサンプリングを開始する。グルコース測定のために、時間t=-15分及び0分の血液試料を収集した。バックグラウンドグルコースレベルを測定した後、針のない使い捨て注射器を使用して、1.5gグルコース/kgの用量に基づいて、グルコース溶液(0.3mg/ml)をイヌの口に注入した。次に、イヌが溶液を飲み込むことを確実するためにイヌの口を閉じた。一度にイヌに投与できる溶液は10ml程度しかないため、この操作は5~6回繰り返す必要があり得る。グルコース投与の完了後、以下の時点:t=15分、30分、45分、1時間、2時間及び3時間でグルコース濃度をグルコメーターを使用して、血液試料から測定した。
【0122】
グルコメーターはYuyue Medicals(https://www.yuwell.com/index_en.php/Group/read/id/3)から購入した。全身グルコースは、イヌの前脚の静脈から約0.05mlの血液試料を採取することによって測定した。次に、血液を一滴針に押し出し、針の先端に数秒間留まらせる。事前にグルコメーターに挿入されたグルコース試験片を使用し、針の先端から上記の血液滴を吸い出した。その後、グルコメーターは自動的に測定を開始し、約8秒後に結果が得られた。測定されたグルコースレベルは直ちに記録され、試験片は取り外された。
【0123】
実験結果:
セマグルチドの薬物動態及びoGGT測定からの対応する薬力学について、ビーグル犬における実験結果をまとめる。
【0124】
セマグルチドの終末相半減期は、終末対数線形相に基づいて決定された。セマグルチドの濃度時間下面積(AUC)は、線形台形法を使用して計算した。個体間の変動は、標準偏差を平均値で割って算出した変動係数(CV)で評価した。
【0125】
セマグルチド+SNAC この試験では、セマグルチドとSNACをそれぞれ10mgと300mg含有する経口製剤を、上記のようにイヌに投与した。セマグルチドの濃度-時間プロファイルを図1及び図2に示す。平均薬物動態パラメータ(N=6匹のイヌ)を表1にまとめる。平均Tmaxは約1時間であり、担体としてのSNACによって促進される急速な吸収を示唆する。イヌにおける終末相半減期は、約43時間だった。平均C_maxとAUC_infinityは、それぞれ約16 nMと647h.nMだった。対応する個体間変動(IIV)は、変動係数によって測定された。
【0126】
セマグルチド+SNAC+カプリン酸ナトリウム この試験では、セマグルチド、SNAC及びカプリン酸ナトリウムをそれぞれ10mg、300mg及び150mg含有する経口製剤を、上記のようにイヌに投与した。セマグルチドの濃度-時間プロファイルを図1及び図2に示す。平均薬物動態パラメータを表1にまとめる。平均Tmaxは約1時間であり、担体としてのSNAC及びカプリン酸ナトリウムによって促進される急速な吸収を示唆する。イヌにおける終末相半減期は、約43時間だった。平均C_maxとAUC_infinityは、それぞれ約90nMと3125nMだった。
【0127】
SNACのみを含有する製剤と比較して、SNACとカプリン酸ナトリウムを含有する製剤は、それぞれ約4.8倍及び5.9倍高いAUCならびにCmaxの実質的な改善を示した。また、CmaxとAUCのCVも大幅に減少し、これは臨床的に重要である。なぜなら、個体間差が小さいほど、患者への投薬がより安全で(不必要に高い曝露を受ける患者の割合が少ない)、より有効で(治療効果を下回る曝露を受ける患者の割合が少ない)あることを意味するからである。
【0128】
経口グルコース負荷試験(oGTT):この実験研究で使用されるグルコースの経口用量は、1.5gグルコース/kgである。セマグルチド10mgとSNAC300mgのみを含む製剤、ならびにセマグルチド10mgとSNAC300mg及びカプリン酸ナトリウム150mgを含む製剤からのグルコースの濃度時間プロファイルを、図3に示す。oGTTは、GLP-1受容体アゴニストによるグルコースの吸収及び廃棄の薬力学的調節を反映する(Courtney Moore,et al.,Am J Physiol Endocrinol Metab.2013Dec15;305(12):E1473-E1482)。セマグルチド10mgとSNACのみでは、対照群(セマグルチドなし)と比較して、グルコース制御がわずかに改善した(特に、0.25時間での初期の改善)。対照的に、セマグルチド10mgとSNAC及びカプリン酸ナトリウムの併用では、セマグルチド10mgとSNACのみの場合よりも顕著なグルコース制御を示し、測定されたセマグルチド濃度が薬力学的に有効であることを示しており、SNACとカプリン酸ナトリウムの配合による血漿薬物動態の改善とも一致している。
【0129】
実施例3.
この実施例では、(1)セマグルチドのバイオアベイラビリティに対するSNAC単独、C10単独、またはSNACとC10の組み合わせの使用の効果、(2)セマグルチドのバイオアベイラビリティに対する凍結乾燥と単純な混合の使用の効果、及び(3)市販の錠剤(リベルサス7mg)を使用して本出願の代表的な製剤を比較する。
【0130】
製剤の調製
凍結乾燥をブレンドプロセスとして使用する試料の場合、調製プロセスは以下のとおりである。適切な量の薬物(例えば、セマグルチドナトリウム)及び賦形剤、例えば、SNAC単独、またはカプリン酸ナトリウム(「C10」)単独、またはSNACとC10の併用、ならびに存在する場合には他の任意の賦形剤を、水中で混合して、溶液を形成した。その後、溶液を凍結乾燥させて製剤を得た。
【0131】
セマグルチド、SNAC及びC10を含有する製剤を調製するための代表的な手順:セマグルチドナトリウムを量り、ガラスバイアルに入れる。約15mlの水を加えて、各65mgのセマグルチドナトリウムを溶解させる。次にC10を量り、上記のセマグルチド水溶液に加える。撹拌には撹拌子を使用する。次に、SNAC(及び、必要に応じて、他の賦形剤)を溶液に加え、溶液を撹拌してすべての賦形剤を溶解させる。次に、溶液を凍結乾燥し、乾燥した混合物を得た。
【0132】
単純なブレンドをブレンドプロセスとして使用する試料の場合、調製プロセスは以下のとおりである。適切な量の薬物(例えば、セマグルチドナトリウム)及び賦形剤(例えば、SNAC及びカプリン酸ナトリウム(「C10」))、ならびに存在する場合には他の任意の賦形剤を乳鉢中で混合するか、またはビニール袋中で少なくとも10分間上下に振盪して混合した。そして、単純なブレンドによる混合物を得た。
【0133】
凍結乾燥または単純なブレンドによって製造された粉末は、その後、錠剤の形に加工され、本明細書の実施例に使用された。錠剤の成形は、直径10mmの円形の錠剤成形型、及び成形型表面の円弧を備えた手動コンプレッサーを使用して行われた。
【0134】
薬物動態実験とLC/MSアッセイ
この実施例では、経口セマグルチド製剤の薬物動態(「PK」)実験について説明する。
【0135】
イヌは別々のケージで飼育された。実験前には、毎日午後3時頃と午前7時頃の2回の食事がイヌに与えられた。餌は、ボウルに水と一緒に入れて与えた。実験前日、午後3時にイヌに餌を与えた後、イヌは一晩中約18時間絶食した。イヌは夜間に水を飲むことができるが、投与の1時間前に水は除去された。投与前に、イヌをスリングに入れ、次に、滅菌した使い捨て注射器を使用して各イヌの脚の静脈から0.8mlの血液を採取した。
【0136】
錠剤の経口投与:ケージを開け、イヌに前脚でケージに登らせる。口を掴んで、手で口を開ける。作業員はイヌの口を開けたまま、指を使って錠剤をイヌの喉に挿入する。次にイヌの口を閉じ、約10秒口を閉じたままにする。イヌは、水なしで錠剤を自然に飲み込む。
【0137】
投与後、イヌの前脚静脈から以下の時点:投与前、15分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間、24時間及び48時間で、0.6mlの血液試料をEDTA抗凝固チューブに採取した。数回上下を逆にして混合した後、血液試料を3500rpmで10分間遠心分離した。上清血漿試料はチューブを洗浄するために取り除かれ、測定前に冷凍庫で-60℃で保存された。6時間時点の試料を採取した後、イヌを解放し、直ちに餌と水を与えた。
【0138】
セマグルチドの血漿濃度を測定するために、MRMモードを備えたLC-MS法が使用される。内部標準を含むアセトニトリル150μlを血漿50μlに加え、タンパク質を沈殿させた。30秒間ボルテックスした後、試料を2分間超音波処理した。試料を、15400Gで10分間遠心分離した。その後、上清を分析のために除去した。質量スペクトルは、AB(Triple Quad6400+)、SHIMADZUであった。Sepax Bio-C18(4.6*150mm、5mm)を使用した。LC-MSのパラメータを以下にまとめる:
移動相:A:HO(0.1%ギ酸及び5mM酢酸アンモニウム;B:ACN(0.2%ギ酸)
流速:1ml/分
カラム温度:40℃
モード:ESI/+
セマグルチドイオン対:1029.2m/z~136.1m/z。
【0139】
結果:
図4に示すように、SNAC(300mg)/C10(150mg)の組み合わせを使用すると、市販の錠剤リベルサスと比較して、セマグルチドのバイオアベイラビリティが大幅に向上し、PKプロファイルが向上した。PKパラメータの詳細は以下の表2にも示されており、AUCは約10倍、Cmaxは14倍近く向上している。
【0140】
図5に示すように、凍結乾燥を使用して製剤を調製すると、セマグルチドのバイオアベイラビリティを高めるのに有益であり、単純なブレンドによって調製された製剤と比較して、はるかに優れたPKプロファイルが得られる。詳細なPKパラメータは以下の表3にも示されており、AUCは約4倍、Cmaxも約4倍向上している。
【0141】
図6に示すように、SNACとC10を組み合わせて使用すると、SNAC単独またはC10単独の使用と比較して、相乗効果が達成され、はるかに優れたPKプロファイルが達成された。PKパラメータの詳細は、以下の表4にも示されている。表4に示すように、300mgのSNAC及び300mgのC10の相加効果は、AUC及びCmaxの両方において、(より低い量のC10であっても)SNAC/C10の組み合わせで観察された効果よりも小さい。
【0142】
特許請求の範囲を解釈するうえで、発明の概要及び要約のセクションではなく、発明を実施するための形態のセクションを用いることが意図されている点は、認識されるべきである。発明の概要及び要約のセクションは、本発明者(複数可)によって企図されるものとして、本発明の1つ以上ではあるがすべてではない、例示的な実施形態を示してもよく、本発明及び添付の特許請求の範囲を、如何様にも限定することを意図するものではない。
【0143】
本発明は、特定の機能の実現及びその関係を示す、機能的構成要素を用いて、上記に記述されている。これらの機能的構成要素の境界は、説明の便宜上、本明細書では任意に定義されている。特定の機能及びその関係が適切に実施されている限り、代替的な境界を定義することもできる。
【0144】
属として記載される本発明の態様に関して、すべての個々の種は個々に検討される本発明の別々の態様である。本発明の態様が、ある要素を「含む」ものとして記載されている場合、その要素「からなる」または「本質的になる」実施形態も想到される。
【0145】
具体的な実施形態の上記の具体的な説明は本発明の一般的な性質を余すところなく示しているため、他者は、当業者の技能の範囲内の知識を適用することで、不要な実験を行うことなく、本発明の一般的概念から逸脱せずに、かかる具体的な実施形態を容易に改変し、及び/または様々な用途に適合させることができる。したがって、そのような適合及び改変は、本明細書に示される教示及び助言に基づき、開示される実施形態の均等物の意味及び範囲内にあることが意図される。本明細書における語句または用語は、説明を目的としたものであって、限定を目的とするものではなく、本明細書における語句または用語は、本明細書の教示及び助言を照らし合わせて、当業者によって理解されるはずである。
【0146】
本発明の広さ及び範囲は、上記に記載した例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきでなく、下記の請求項及びそれらの均等物のみに従って定義されるべきものである。
【0147】
本明細書に記載される様々な態様、実施形態、及び選択肢のいずれも、いずれかの及びすべての変例として組み合わせることができる。
【0148】
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許、及び特許出願は、個々の刊行物、特許、及び特許出願が、詳細かつ個別に、参照により組み込まれていることが示されているのと同じ程度まで、参照により本明細書に組み込まれるものとする。本文書におけるある用語のいずれかの意味または定義が、参照によって組み込まれる文書における同じ用語のいずれかの意味または定義と矛盾する場合には、本文書におけるその用語の意味または定義が優先するものとする。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】