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特表2024-541121イソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体、製造方法及びその用途
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】イソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体、製造方法及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C07H 15/18 20060101AFI20241029BHJP
   A61K 31/7028 20060101ALI20241029BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20241029BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20241029BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
C07H15/18 CSP
A61K31/7028
A61P25/02
A61P25/04
A61P27/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547816
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-04-24
(86)【国際出願番号】 CN2022127414
(87)【国際公開番号】W WO2023072085
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/271,411
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524158209
【氏名又は名称】陳令儀
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】陳令儀
(72)【発明者】
【氏名】王翊
(72)【発明者】
【氏名】廖▲ぶん▼玲
(72)【発明者】
【氏名】李育棠
(72)【発明者】
【氏名】呂亭萱
(72)【発明者】
【氏名】黄郁文
(72)【発明者】
【氏名】李家維
(72)【発明者】
【氏名】王貞
(72)【発明者】
【氏名】陳方儀
(72)【発明者】
【氏名】焦伝金
【テーマコード(参考)】
4C057
4C086
【Fターム(参考)】
4C057AA17
4C057BB02
4C057DD01
4C057JJ19
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086EA07
4C086GA16
4C086MA59
4C086ZA02
4C086ZA20
4C086ZA33
(57)【要約】
イソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体及びその合成方法に関する。且つ、当該誘導体は、脳神経及び網膜神経の再生と、脳神経及び網膜神経の損傷修復を有効に促進可能とする。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学構造式が化学式(1)の通りであり、
【化1】
R1は、置換又は非置換の化学式(2)又は化学式(3)の構造であり、
【化2】
R2及びR3は、置換又は非置換の化学式(4)又は化学式(5)の構造であり、
【化3】
R4は、水素、デューテリウム、トリチウム、ヒドロキシ基又はハロゲンであり、
R5は、水素、デューテリウム、トリチウム、ヒドロキシ基、カルボニル基又はハロゲンであり、
R6は、水素、デューテリウム、トリチウム、ヒドロキシ基、カルボニル基又はハロゲンであり、
R7は、水素、デューテリウム、トリチウム、ヒドロキシ基、カルボニル基又はハロゲンであり、
R1”は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基であり、
R2”は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基であり、
R3”は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムであり、
R4”は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムであることを特徴とするイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体。
【請求項2】
前記R1が化学式(2)の場合、
【化4】
前記R2及びR3は、置換又は非置換の化学式(4)又は化学式(5)の構造であり、
【化5】
前記R4は、水素、デューテリウム、トリチウム、ヒドロキシ基又はハロゲンであり、
前記R5は、水素、デューテリウム、トリチウム、ヒドロキシ基、カルボニル基又はハロゲンであり、
前記R6は、水素、デューテリウム、トリチウム、ヒドロキシ基、カルボニル基又はハロゲンであり、
前記R7は、水素、デューテリウム、トリチウム、ヒドロキシ基又はハロゲンであり、
前記R1”は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基であり、
前記R2”は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基であり、
前記R3”は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムであり、
前記R4”は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムであることを特徴とする請求項1に記載のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体。
【請求項3】
前記R1が化学式(3)の場合、
【化6】
前記R2及びR3は、置換又は非置換の化学式(4)又は化学式(5)の構造であり、
【化7】
前記R4は、水素、デューテリウム、トリチウム、ヒドロキシ基又はハロゲンであり、
前記R5は、水素、デューテリウム、トリチウム、ヒドロキシ基、カルボニル基又はハロゲンであり、
前記R6は、水素、デューテリウム、トリチウム、ヒドロキシ基、カルボニル基又はハロゲンであり、
前記R7は、水素、デューテリウム、トリチウム、ヒドロキシ基又はハロゲンであり、
前記R1”は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基であり、
前記R2”は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基であり、
前記R3”は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムであり、
前記R4”は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムであることを特徴とする請求項1に記載のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体。
【請求項4】
前記誘導体は、下記化学式の化合物を含み、
【化8】
【化9】
前記R1は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基であり、
前記R2は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基であり、
前記R3は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムであり、
前記R4は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムであり、
前記R5は、水素、デューテリウム、トリチウム、ヒドロキシ基、カルボニル基又はハロゲンであり、
前記R6は、水素、デューテリウム、トリチウム、ヒドロキシ基又はハロゲンであることを特徴とする請求項1に記載のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体。
【請求項5】
化学式(6)で表されるイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体の製造方法であって、
【化10】
(A)ビスアルキル化反応、アシル化反応及びアルキン求核付加反応によって、化学式(7)で表される化合物を化学式(8)で表される化合物に変換し、
【化11】
R1は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基であり、R2は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基であり、R3は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムであり、R4は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムであり、前記ビスアルキル化反応は求電子剤1により行い、前記求電子剤1は、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、MeOTf、EtOTf、PrOTf、臭化プロピル/ヨウ化ナトリウム又は硫酸ジメチルを含み、前記アシル化反応の試薬は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド又はプロピオンアルデヒドを含み、この中間体について、更に、アルキン求核付加反応を行うことで化合物(8)を取得し、当該アルキン求核付加の試薬は、R4の官能基を有するアルキン及び塩基を含み、この塩基は、nブチルリチウム(nBuLi)、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(LHMDS)を含み、当該R4の官能基は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムであり、
(B)オレフィン化反応、還元反応及び脱保護反応によって、化学式(8)で表される化合物を化学式(9)で表される化合物に変換し、
【化12】
前記化学式(8)で表される化合物は、前記オレフィン化反応において、まず、求電子剤2及びアミン系試薬を利用して低温条件で反応することで、前記化学式(9)で表される化合物を生成し、前記求電子剤2には、メシルクロリド(mesyl chloride)、トシルクロリド(tosyl chloride)、無水酢酸、無水安息香酸、ヨウ化メチル又は硫酸ジメチルを選択し、前記アミン系試薬には、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ピリジン、ピロリジン(pyrrolidine)、ジイソプロピルエチルアミン(ethyldisiopropyl amine)、2,6-ルチジン(2,6-lutidine)、又は、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(1,4-diazabicyclo[2,2,2]octane)を選択し、前記低温条件は-30~25℃であり、続いて、完了後に、第2の塩基を加えてオレフィン化を完了させ、前記第2の塩基は、カリウムtert-ブトキシド、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、又は、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデク-7-エン(1,8-diazabicyclo[5,4,0]undec-7-ene)であり、続いて、完了後に、還元反応を行い、前記還元反応では、還元剤として還元剤1を用い、前記還元剤1は、水素化リチウムアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(diisobutyl aluminum hydride(DIBAL))、水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(NaB(OAc)H)、水素化トリエチルホウ素リチウム(Lithium triethylborohydride)、又は、水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム(sodium bis(2-methoxyethoxy)aluminiumhydride)であり、前記還元反応の反応温度は-50~25℃であり、続いて、完了後に、脱保護ステップを行い、前記脱保護ステップでは、脱保護試薬1を用いて脱保護反応を行うことで、化学式(9)で表される化合物を取得し、前記脱保護試薬1は、テトラブチルアンモニウムフルオリド(tetrabutyl ammonium fluoride(TBAF))、無水フッ化水素酸-ピリジン(HF-py)、塩酸又はカリウムtert-ブトキシドであり、前記脱保護反応の反応温度は-35~25℃であり、
(C)糖結合反応によって、化学式(9)で表される化合物を化学式(10)で表される化合物に結合することで、化学式(11)で表される化合物を形成し、
【化13】
前記化学式(9)で表される化合物が、糖結合試薬1を利用して前記糖結合反応を行うことで、化学式(11)で表される化合物が得られ、前記糖結合試薬1は、硫化ニッケル/トリフルオロメタンスルホン酸銀(NIS/AgOTf)、ブロモスルホフタレイン/トリ-tert-ブチルフェノール/トリフルオロメタンスルホン酸無水物(BSP/TTBP/Tf2O)、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル/硫化ニッケル(TMSOTf/NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシ(TMSOTf)、トリフルオロメタンスルホン酸銀(AgOTf)又はCuOTfであり、前記糖結合反応の反応温度は-78~0℃であり、
(D)脱ケタール化、異性化、脱ベンゾイル及び1,4-還元反応によって、前記化学式(11)で表される化合物を化学式(6)で表される化合物に変換し、
化学式(11)で表される化合物は、まず、脱ケタール化及び異性化反応を行い、前記脱ケタール化及び異性化反応は試薬1により行い、前記試薬1は、酢酸水溶液、塩酸水溶液、トリフルオロ酢酸水溶液、TsOHとHO、HClを1,4-dioxaneに溶解した混合溶液(HCL in 1,4-dioxane)又は硫酸水溶液であり、続いて、脱ベンゾイルを行い、前記脱ベンゾイルは脱ベンゾイル試薬を用いて行い、前記脱ベンゾイル試薬は、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水酸化カリウム、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、塩化水素-メタノール溶液、塩酸水溶液、トリフルオロ酢酸(TFA)とHO、又は硫酸水溶液であり、続いて、1,4-還元反応を行って、目標とする化学式(6)の化合物を取得し、前記1,4-還元反応は1,4-還元反応試薬により行い、前記1,4-還元反応試薬は、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(NaB(OAc)H)、NaBCNH、L-selectride(リチウムトリ-sec-ブチルボロヒドリド)、[CuH(PPh)]、diisobutyl aluminum hydride(DIBAL,ジイソブチルアルミニウムヒドリド)又はH/Pd/Cであり、前記1,4-還元反応の反応温度は-78~25℃であり、
R1は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基であり、
R2は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基であり、
R3は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムであり、
R4は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムである、
との合成ステップを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項6】
前記ステップ(B)のあと、更に、
【化14】
(B1)化学式(9)で表される化合物について、脱ケタール化、異性化、脱ベンゾイル保護反応を行って、化学式(15)で表される化合物に変換し、
【化15】
前記化学式(9)で表される化合物は、まず、脱ケタール化及び異性化反応を行い、前記脱ケタール化及び前記異性化反応は、脱ケタール化及び異性化反応試薬を用いて行い、前記脱ケタール化及び異性化反応試薬は、酢酸水溶液、塩酸水溶液、トリフルオロ酢酸水溶液、TsOHとHO、HClを1,4-dioxaneに溶解した混合溶液(HCL in 1,4-dioxane)又は硫酸水溶液であり、前記脱ベンゾイル保護反応は脱ベンゾイル保護試薬を用いて行い、前記脱ベンゾイル保護試薬は、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水酸化カリウム、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、塩化水素-メタノール溶液、塩酸水溶液、トリフルオロ酢酸(TFA)とHO、又は塩酸水溶液であり、
R1は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基であり、
R2は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基であり、
R3は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムであり、
R4は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムである、
との合成ステップを含んでもよいことを特徴とする請求項5に記載の化学式(6)で表されるイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体の製造方法。
【請求項7】
前記製造方法のあと、更に、
【化16】
(B2)選択的還元反応により、化学式(15)で表される化合物を化学式(16)で表される化合物及び化学式(17)で表される化合物に変換し、
【化17】
前記化学式(15)で表される化合物が、選択的還元反応試薬を用いて選択的還元反応を行うことで、化学式(16)で表される化合物及び化学式(17)で表される化合物が得られ、前記選択的還元反応試薬は、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(NaB(OAc)H)、NaBCNH、リチウムトリ-sec-ブチルボロヒドリド(L-selectride)、[CuH(PPh)]、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(diisobutyl aluminum hydride(DIBAL))又はH/Pd/Cであり、前記選択的還元反応の反応温度は-78~25℃であり、
R1は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基であり、
R2は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基であり、
R3は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムであり、
R4は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムである、
との合成ステップを含むことを特徴とする請求項6に記載の化学式(6)で表される化合物であるイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体の製造方法。
【請求項8】
化学式(12)で表される化合物であるイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体の製造方法であって、
【化18】
(A)変換反応によって、化学式(11)で表される化合物を化学式(12)で表される化合物に変換し、
【化19】
前記変換反応は、アセタールの脱保護、異性化、立体選択的脱酸化及びベンゾイル基の脱保護反応を含み、前記アセタールの脱保護及び前記異性化は酸性試薬により行い、前記酸性試薬は、酢酸水溶液、塩酸水溶液、トリフルオロ酢酸(TFA)とHO、TsOHとHO、HClを1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)に溶解した混合溶液(HCL in 1,4-dioxane)又は硫酸水溶液であり、その後、第1低温条件で、還元剤2を用いて立体選択的脱酸化反応を行い、前記還元剤2は、NaBH、LiAlH、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(NaB(OAc)H)、NaBCNH、EtSiH/BF-EtO、リチウムトリ-sec-ブチルボロヒドリド(L-selectride)、[CuH(PPh)]又は水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL)であり、前記還元剤2の量は、0.5、1.0、2.0、3.0、4.0又は5.0当量であり、前記立体選択的脱酸化ステップにおける第1低温条件の温度は-78~25℃であり、続いて、脱保護試薬2で中間体のベンゾイル基を除去して、化学式(11)で表される化合物を生成し、前記脱保護試薬2は、NaOH、NaOMe、NaOEt、KOH、KOMe、KOEt、塩化水素-メタノール溶液、HCl水溶液、トリフルオロ酢酸(TFA)とHO、又は、HSO水溶液であり、
R1は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基であり、
R2は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基であり、
R3は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムであり、
R4は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムである、
との合成ステップを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項9】
更に、
【化20】
(B)変換反応によって、化学式(12)で表される化合物を化学式(13)で表される化合物に変換し、
【化21】
前記変換反応は、位置選択的及び立体選択的な1,4-還元/カルボニル還元ステップを含み、前記位置選択的及び前記立体選択的な1,4-還元/カルボニル還元ステップは、還元剤3により第2低温条件で行い、前記還元剤3は、NaBH、LiAlH、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(NaB(OAc)H)、NaBCNH、リチウムトリ-sec-ブチルボロヒドリド(L-selectride)、[CuH(PPh)]、DIBAL又はH/Pd/Cであり、且つ、前記還元剤3の当量は、0.5、1.0、2.0、3.0、4.0又は5.0当量であり、前記位置選択的及び前記立体選択的な1,4-還元/カルボニル還元ステップにおける前記第2低温条件の温度は-78~25℃であり、
R1は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基であり、
R2は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基であり、
R3は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムであり、
R4は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムである、
との合成ステップを含むことを特徴とする請求項8に記載の化学式(12)で表されるイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体の製造方法。
【請求項10】
更に、
【化22】
(A)選択的アルケン還元反応によって、化学式(12)で表される化合物を化学式(14)で表される化合物に変換し、
【化23】
前記選択的アルケン還元反応は還元剤4を用いて行い、前記還元剤4は、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(NaB(OAc)H)、NaBCNH、リチウムトリ-sec-ブチルボロヒドリド(L-selectride)、[CuH(PPh)]、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(diisobutyl aluminum hydride(DIBAL))、H/Pd/C又はRhCl(PPH/Hであり、前記選択的アルケン還元反応の反応温度は-78~25℃であり、
R1は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基であり、
R2は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基であり、
R3は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムであり、
R4は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムである、
との合成ステップを含むことを特徴とする請求項8に記載の化学式(12)で表される化合物であるイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体の製造方法。
【請求項11】
神経損傷を治療する医薬品を製造するための請求項1に記載のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体の用途。
【請求項12】
前記神経損傷は中枢神経又は末梢神経の損傷であることを特徴とする請求項11に記載の神経損傷を治療する医薬品を製造するためのイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体の用途。
【請求項13】
前記神経損傷はニューロンの損傷であることを特徴とする請求項11に記載の神経損傷を治療する医薬品を製造するためのイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体の用途。
【請求項14】
前記神経損傷は、皮質ニューロン(cortical neurons)又は海馬ニューロン(hippocampal neurons)の損傷であることを特徴とする請求項11に記載の神経損傷を治療する医薬品を製造するためのイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体の用途。
【請求項15】
前記治療とは、神経の再生、神経数の増加又は神経の修復であることを特徴とする請求項11に記載の神経損傷を治療する医薬品を製造するためのイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体の用途。
【請求項16】
前記イソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体は、血液脳関門(blood-brain barrier)を通過して大脳に進入することを特徴とする請求項11に記載の神経損傷を治療する医薬品を製造するためのイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体の用途。
【請求項17】
前記イソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体の有効用量は、9.674nM~1342μMであることを特徴とする請求項11に記載の神経損傷を治療する医薬品を製造するためのイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソプロピル-D-グルコピラノシド(Isopropyl-D-glucopyranoside)誘導体及びその合成方法と、神経修復を促進するためのイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体の用途を提供する。
【背景技術】
【0002】
現在、外傷性脳損傷(TBI)のような神経損傷については、世界中で毎年約7千万人がその病症に悩まされている。一般的な治療法は、物理療法、高気圧酸素治療、経頭蓋磁気刺激及び経頭蓋直流電気刺激といった非侵襲的な治療法であり、TBI後の抑うつや認知機能を改善可能である。しかし、現在のところ、脳損傷後の神経再生を促進可能とする有効な薬物は存在しない。
【0003】
外傷性脳損傷は、外力が脳部に衝撃を与えることで生じる損傷であり、世界中で毎年約7000万近くの診断事例がある。外傷性脳損傷は、脳神経を損傷させることで、患者の行動又は認知機能の欠損を招来する。中枢神経系は損傷すると再生や回復が難しいため、現在の医学では、外傷性脳損傷について神経再生を有効に促進する治療法が存在しない。また、脳外傷患者は、一定期間後に脳部に病変が生じたり、将来的に脳神経変性疾患が生じたりすることが多い。そのため、脳損傷後にいち早く脳神経の再生を促進する薬物を使用することが、治療における解決手法となる。
【0004】
上記だけでなく、治療薬の選択においては、大脳は血液脳関門を有しているため、一般的な薬物は自在に血液脳関門を通過して有効用量に達することができない。よって、脳部の疾患を治療する際には、有効薬物の投与が重要な課題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上に鑑みて、現在、神経損傷を治療可能な薬物の開発が極めて必要とされているほか、血液脳関門を通過可能な投薬方式も極めて必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要は、閲覧者が本開示の内容について基本的な理解を持ち得るよう、本開示の内容のあらましを提供することを主旨としている。この発明の概要は、本開示の内容を完全にとりまとめるものではなく、本発明の実施例の重要/主要アセンブリを指摘したり、本発明の範囲を規定したりすることを意図していない。
【0007】
人体の神経系統は中枢神経と末梢神経に分けられるが、これらはいずれもニューロンで構成される。三叉神経は、末梢神経のうちの脳神経であって、橋(中枢神経)につながっている。よって、本発明の化合物は、鼻腔粘膜を通じて嗅上皮細胞を通過し、嗅覚及び三叉神経周辺の経路に入って大脳に進入するのと同時に、末梢神経を通じて全身の神経を修復するとの効果を達成可能である。
【0008】
以上に鑑みて、本発明では、修復が容易でない脳神経を実験対象とする。こうすることで、神経系統内の中枢神経及び末梢神経をいずれも修復可能にするとの効果が達成される。
【0009】
「中枢神経」は脳と脊髄からなる。本発明で言うところの「中枢神経」は、嗅脳、扁桃体、海馬、新皮質、側脳室、視床上部、視床、視床下部、視床腹部、脳下垂体、松果体、第三脳室、中脳蓋、大脳脚、視蓋前野、中脳水道、橋、小脳延髄、脊髄を含むが、これらに限らない。
【0010】
「末梢神経」は、体性神経系及び自律神経系からなる。本発明で言うところの「末梢神経」は、知覚神経、運動神経、脳神経、脊髄神経、交感神経、副交感神経、腸管神経系を含むが、これらに限らない。
【0011】
本発明は、化学式(1)で表される化学構造を有するイソプロピル-D-グルコピラノシド(Isopropyl-D-glucopyranoside)誘導体を提供する。
【0012】
【化1】
【0013】
R1は、置換又は非置換の化学式(2)又は化学式(3)で表される化学構造である。
【0014】
【化2】
【0015】
R2及びR3は、置換又は非置換の化学式(4)又は化学式(5)で表される化学構造である。
【0016】
【化3】
【0017】
R4は、水素、デューテリウム、トリチウム、ヒドロキシ基又はハロゲンである。
【0018】
R5は、水素、デューテリウム、トリチウム、ヒドロキシ基、カルボニル基又はハロゲンである。
【0019】
R6は、水素、デューテリウム、トリチウム、ヒドロキシ基、カルボニル基又はハロゲンである。
【0020】
R7は、水素、デューテリウム、トリチウム、ヒドロキシ基又はハロゲンである。
【0021】
R1”は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基である。
【0022】
R2”は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基である。
【0023】
R3”は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムである。
【0024】
R4”は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムである。
【0025】
いくつかの実施例において、本発明のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体は、下記化学式の化合物を含む。
【0026】
【化4】
【0027】
【化5】
【0028】
前記R1は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基である。
【0029】
前記R2は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基である。
【0030】
前記R3は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムである。
【0031】
前記R4は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムである。
【0032】
前記R5は、水素、デューテリウム、トリチウム、ヒドロキシ基、カルボニル基又はハロゲンである。
【0033】
前記R6は、水素、デューテリウム、トリチウム、ヒドロキシ基又はハロゲンである。
【0034】
本発明で使用する「イソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体」は、「神経損傷の治療」に用いられる。出願する本件特許の発明の内容を当業者が理解できるよう、本発明では、「イソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体」における「アンペロプシシオノシド(Ampelopsisionoside)」、「ビザンチオノシドB(Byzantionoside B)」及び「ロセオシド(Roseoside)」を実施例として使用する。
【0035】
いくつかの実施例において、本発明のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体における下記化学式(6)の化合物は、以下の化学合成ステップで得られる
【0036】
【化6】
【0037】
(A)下記のフロー1に示すように、ビスアルキル化反応、アシル化反応及びアルキン求核付加反応によって、化学式(7)の化合物を化学式(8)の化合物に変換する。
【0038】
【化7】
【0039】
化学式(8)で表される化合物の置換基については、それぞれ、R1は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基であり、R2は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基であり、R3は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムであり、R4は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムである可能性がある。
【0040】
前記ビスアルキル化反応は求電子剤1により行う。前記求電子剤1は、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、MeOTf、EtOTf、PrOTf、臭化プロピル/ヨウ化ナトリウム又は硫酸ジメチルである。前記アシル化反応の試薬は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド又はプロピオンアルデヒドである。この中間体について、更に、アルキン求核付加反応を行うことで化合物(8)を取得する。当該アルキン求核付加の試薬は、R4の官能基を有するアルキン及び塩基を含む。この塩基は、nブチルリチウム(nBuLi)、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(LHMDS)を含む。また、当該R4の官能基は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムである。
【0041】
(B)下記のフロー2に示すように、オレフィン化反応、還元反応及び脱保護反応によって、化学式(8)で表される化合物を化学式(9)で表される化合物に変換する。
【0042】
【化8】
【0043】
化学式(8)で表される化合物は、オレフィン化反応において、まず、求電子剤2及びアミン系試薬を利用して低温条件で反応することで、化学式(9)で表される化合物を生成する。前記求電子剤2は、メシルクロリド(mesyl chloride)、トシルクロリド(tosyl chloride)、無水酢酸、無水安息香酸、ヨウ化メチル又は硫酸ジメチルである。前記アミン系試薬は、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ピリジン、ピロリジン(pyrrolidine)、ジイソプロピルエチルアミン(ethyldisiopropyl amine)、2,6-ルチジン(2,6-lutidine)、又は、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(1,4-diazabicyclo[2,2,2]octane)である。また、前記低温条件の温度は-30~25℃である。続いて、完了後に、第2の塩基を加えてオレフィン化を完了させる。前記第2の塩基は、カリウムtert-ブトキシド(Potassium tert-butoxide)、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、又は、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデク-7-エン(1,8-diazabicyclo[5,4,0]undec-7-ene)である。続いて、完了後に、還元反応を行う。前記還元反応では、還元剤として還元剤1を用いる。前記還元剤1は、水素化リチウムアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(diisobutyl aluminum hydride(DIBAL))、水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(NaB(OAc)H)、水素化トリエチルホウ素リチウム(Lithium triethylborohydride)、又は、水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム(sodium bis(2-methoxyethoxy)aluminiumhydride)である。前記還元反応の反応温度は-50~25℃である。続いて、完了後に、脱保護ステップを行う。前記脱保護ステップでは、脱保護試薬1を用いて脱保護反応を行うことで、化学式(9)で表される化合物を取得する。前記脱保護試薬1は、テトラブチルアンモニウムフルオリド(tetrabutyl ammonium fluoride(TBAF))、無水フッ化水素酸-ピリジン(HF-py)、塩酸又はカリウムtert-ブトキシド(Potassium tert-butoxide)である。前記脱保護反応の反応温度は-35~25℃である。
【0044】
(C)下記のフロー3に示すように、糖結合反応によって、化学式(9)で表される化合物を化学式(10)で表される化合物に結合することで、化学式(11)で表される化合物を形成する。
【0045】
【化9】
【0046】
化学式(9)で表される化合物が、前記糖結合反応により、糖結合試薬1を利用して反応することで、化学式(10)で表される化合物が得られる。前記糖結合試薬1は、硫化ニッケル/トリフルオロメタンスルホン酸銀(NIS/AgOTf)、ブロモスルホフタレイン/トリ-tert-ブチルフェノール/トリフルオロメタンスルホン酸無水物(BSP/TTBP/Tf2O)、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル/硫化ニッケル(TMSOTf/NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシ(TMSOTf)、トリフルオロメタンスルホン酸銀(AgOTf)又はCuOTfである。また、前記糖結合反応の反応温度は-78~0℃である。
【0047】
(D)脱ケタール化、異性化、脱ベンゾイル及び1,4-還元によって、化学式(11)で表される化合物を化学式(6)で表される化合物に変換する。
【0048】
化学式(11)で表される化合物は、まず、脱ケタール化及び異性化反応を行う。前記脱ケタール化及び異性化反応は試薬1により行う。前記試薬1は、酢酸水溶液、塩酸水溶液、トリフルオロ酢酸水溶液、TsOHとHO、HClを1,4-dioxaneに溶解した混合溶液(HCL in 1,4-dioxane)又は硫酸水溶液である。続いて、前記脱ベンゾイル反応を行う。前記脱ベンゾイル反応は脱ベンゾイル試薬を用いて行う。前記脱ベンゾイル試薬は、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水酸化カリウム、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、塩化水素-メタノール溶液、塩酸水溶液、トリフルオロ酢酸(TFA)とHO、又は硫酸水溶液である。続いて、前記1,4-還元反応を行って、化学式(6)で表される化合物を取得する。前記1,4-還元反応は1,4-還元反応試薬により行う。前記1,4-還元反応試薬は、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(NaB(OAc)H)、NaBCNH、リチウムトリ-sec-ブチルボロヒドリド(L-selectride)、[CuH(PPh)]、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(diisobutyl aluminum hydride(DIBAL))又はH/Pd/Cである。前記1,4-還元反応の反応温度は-78~25℃である。
【0049】
R1は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基である。
【0050】
R2は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基である。
【0051】
R3は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムである。
【0052】
R4は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムである。
【0053】
いくつかの実施例において、本発明のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体における下記化学式(12)で表される化合物は、以下の化学合成ステップで得られる。
【0054】
【化10】
【0055】
(A)下記のフロー4に示すように、化学式(11)で表される化合物を化学式(12)で表される化合物に変換する。
【0056】
【化11】
【0057】
前記変換は、アセタールの脱保護、異性化、立体選択的脱酸化及びベンゾイル基の脱保護反応を含む。前記アセタールの脱保護及び前記異性化は酸性試薬により行う。前記酸性試薬は、酢酸水溶液、塩酸水溶液、トリフルオロ酢酸(TFA)とHO、TsOHとHO、HClを1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)に溶解した混合溶液(HCL in 1,4-dioxane)又は硫酸水溶液である。その後、第1低温条件で、還元剤2を用いて立体選択的脱酸化を行う。前記還元剤2は、NaBH、LiAlH、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(NaB(OAc)H)、NaBCNH、EtSiH/BF-EtO、リチウムトリ-sec-ブチルボロヒドリド(L-selectride)、[CuH(PPh)]又は水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL)である。前記還元剤2の量は、0.5、1.0、2.0、3.0、4.0又は5.0当量である。また、前記立体選択的脱酸化ステップにおける前記第1低温条件の温度は-78~25℃である。続いて、脱保護試薬2で中間体のベンゾイル基を除去して、化学式(11)で表される化合物を生成する。前記脱保護試薬2は、NaOH、NaOMe、NaOEt、KOH、KOMe、KOEt、塩化水素-メタノール溶液、HCl水溶液、トリフルオロ酢酸(TFA)とHO、又はHSO水溶液である。
【0058】
R1は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基である。
【0059】
R2は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基である。
【0060】
R3は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムである。
【0061】
R4は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムである。
【0062】
いくつかの実施例において、本発明のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体における下記化学式(13)で表される化合物は、以下の化学合成ステップで得られる。
【0063】
【化12】
【0064】
(A)下記のフロー5に示すように、変換反応によって、化学式(12)で表される化合物を化学式(13)で表される化合物に変換する。
【0065】
【化13】
【0066】
前記変換は、位置選択的及び立体選択的な1,4-還元/カルボニル還元を含む。前記位置選択的及び立体選択的な1,4-還元は、還元剤3により第2低温条件で行う。前記還元剤3は、NaBH、LiAlH、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(NaB(OAc)H)、NaBCNH、リチウムトリ-sec-ブチルボロヒドリド(L-selectride)、[CuH(PPh)]、DIBAL又はH,Pd/Cである。前記還元剤3の当量は、0.5、1.0、2.0、3.0、4.0又は5.0当量である。前記位置選択的及び前記立体選択的な1,4-還元ステップにおける前記第2低温条件の温度は-78~25℃である。
【0067】
R1は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基である。
【0068】
R2は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基である。
【0069】
R3は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムである。
【0070】
R4は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムである。
【0071】
いくつかの実施例において、本発明のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体における下記化学式(14)で記載される化合物は、以下の化学合成ステップで得られる。
【0072】
【化14】
【0073】
(A)下記のフロー6に示すように、選択的アルケン還元によって、化学式(12)で表される化合物を化学式(14)で表される化合物に変換する。
【0074】
【化15】
【0075】
前記選択的アルケン還元は還元剤4を用いて行う。前記還元剤4は、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(NaB(OAc)H)、NaBCNH、リチウムトリ-sec-ブチルボロヒドリド(L-selectride)、[CuH(PPh)]、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(diisobutyl aluminum hydride(DIBAL))、H/Pd/C又はRhCl(PPH/Hである。前記選択的アルケン還元反応の反応温度は-78~25℃である。
【0076】
R1は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基である。
【0077】
R2は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基である。
【0078】
R3は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムである。
【0079】
R4は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムである。
【0080】
いくつかの実施例において、本発明のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体における下記化学式(15)で表される化合物は、以下の化学合成ステップで得られる。
【0081】
【化16】
【0082】
(A)下記のフロー7に示すように、脱ケタール化、異性化、脱ベンゾイル保護により、化学式(9)で表される化合物を化学式(15)で表される化合物に変換する。
【0083】
【化17】
【0084】
前記化学式(9)で表される化合物は、まず、前記脱ケタール化及び前記異性化反応を行う。前記脱ケタール化及び前記異性化反応は、脱ケタール化及び異性化反応試薬を用いて行う。前記脱ケタール化及び異性化反応試薬は、酢酸水溶液、塩酸水溶液、トリフルオロ酢酸水溶液、TsOHとHO、HClを1,4-dioxaneに溶解した混合溶液(HCL in 1,4-dioxane)又は硫酸水溶液である。また、続く前記脱ベンゾイル保護反応は脱ベンゾイル保護試薬を用いて行う。前記脱ベンゾイル保護試薬は、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水酸化カリウム、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、塩化水素-メタノール溶液、塩酸水溶液、トリフルオロ酢酸(TFA)とHO、又は硫酸水溶液である。
【0085】
R1は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基である。
【0086】
R2は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基である。
【0087】
R3は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムである。
【0088】
R4は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムである。
【0089】
いくつかの実施例において、本発明のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体における下記化学式(16)で表される化合物及び化学式(17)で表される化合物は、以下の化学合成ステップで得られる。
【0090】
下記のフロー8に示すように、選択的還元反応により、化学式(15)で表される化合物を化学式(16)で表される化合物及び化学式(17)で表される化合物に変換する。
【0091】
【化18】
【0092】
化学式(15)で表される化合物が、前記選択的還元反応を行うことで、選択的還元反応試薬により、化学式(16)で表される化合物及び化学式(17)で表される化合物が得られる。前記選択的還元反応試薬は、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(NaB(OAc)H)、NaBCNH、リチウムトリ-sec-ブチルボロヒドリド(L-selectride)、[CuH(PPh)]、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(diisobutyl aluminum hydride(DIBAL))又はH/Pd/Cである。また、前記選択的還元反応の反応温度は-78~25℃である。
【0093】
R1は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基である。
【0094】
R2は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム、トリチウム又はヒドロキシ基である。
【0095】
R3は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムである。
【0096】
R4は、メチル基、エチル基、プロピル基、水素、デューテリウム又はトリチウムである。
【0097】
いくつかの実施例において、本発明のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体は、Neuro2a細胞に対する毒性が非常に低い。
【発明の効果】
【0098】
本発明は、更に、神経修復を促進するためのイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体の用途を提供する。
【0099】
いくつかの実施例において、イソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体を単独で使用した場合、損傷した海馬ニューロン(injured hippocampal neurons)の再生促進及び3次元の脳組織切片の神経再生促進が可能となる。このことは、当該化合物がニューロンの再生を有効に促進可能とし、且つ、神経損傷の修復に使用可能であることを証明している。
【0100】
いくつかの実施例において、本発明のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体は、網膜神経の修復を促進可能とする。
【0101】
いくつかの実施例において、本発明のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体は、鼻腔から投与すると、使用者の血液脳関門(blood-brain barrier)を通過して大脳に進入することで、当該損傷ニューロンの修復を促進可能とする。
【0102】
いくつかの実施例において、本発明のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体は、血液脳関門(blood-brain barrier)を通過して大脳に進入することで、脳神経の修復、再生又は神経数の増加を促進可能とする。
【0103】
いくつかの実施例において、本発明のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体は、脳外傷後の皮質ニューロン(cortical neurons)の再生を促進可能とする。
【0104】
いくつかの実施例において、本発明で使用するイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体の有効用量・濃度は、9.674nM~1342μMである。
【0105】
いくつかの実施例において、本発明のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体は、神経修復について顕著な効果を有する。鼻腔から投与された化合物は、血液脳関門(blood-brain barrier)を通過して大脳に進入すると、損傷したニューロンの修復促進、脳神経の修復、再生又は神経数の増加促進、及び、脳外傷後の皮質ニューロン(cortical neurons)及び海馬ニューロン(hippocampal neurons)の軸索の再生促進を可能とする。
【0106】
以下の実施形態を参照することで、当業者は、本発明の基本的精神及びその他の発明の目的と、本発明で用いる技術手段及び実施形態を容易に理解可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
図1A図1Aは、本発明におけるイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体の細胞毒性実験の結果である。
図1B図1Bは、本発明におけるイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体の細胞毒性実験の結果である。
図1C図1Cは、本発明におけるイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体の細胞毒性実験の結果である。
図2図2は、本発明におけるインビトロ(in vitro)での神経修復試験のフローチャートである。
図3図3は、本発明における相対的な軸索の再生を定量化するための隙間閉塞率(gap closure rate)の計算の概略図である。
図4A図4Aは、本発明のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるアンペロプシシオノシドによるインビトロ(in vitro)での海馬神経細胞の神経修復実験の結果である。
図4B図4Bは、本発明のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるアンペロプシシオノシドによるインビトロ(in vitro)での海馬神経細胞の神経修復実験の結果である。
図5図5は、本発明のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるアンペロプシシオノシドによるインビトロ(in vitro)での皮質神経細胞の神経修復実験の結果である。
図6図6は、本発明のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるビザンチオノシドBによるインビトロ(in vitro)での海馬神経細胞の神経修復実験の結果である。
図7図7は、本発明のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるビザンチオノシドBによるインビトロ(in vitro)での皮質神経細胞の神経修復実験の結果である。
図8図8は、本発明のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるロセオシドによるインビトロ(in vitro)での海馬神経細胞の神経修復実験の結果である。
図9図9は、本発明のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるロセオシドによるインビトロ(in vitro)での皮質神経細胞の神経修復実験の結果である。
図10図10は、本発明におけるエクスビボ(ex vivo)での脳組織切片実験のフローチャートである。
図11図11は、本発明のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるアンペロプシシオノシドによるエクスビボ(ex vivo)での3次元脳組織切片実験の結果である。
図12図12は、本発明のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるビザンチオノシドBによるエクスビボ(ex vivo)での3次元脳組織切片実験の結果である。
図13図13は、本発明のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるロセオシドによるエクスビボ(ex vivo)での3次元脳組織切片実験の結果である。
図14図14は、本発明における制御的皮質衝撃脳外傷モデル実験のフローチャートと、イソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるアンペロプシシオノシドによる脳外傷後のラットの運動能力回復促進実験の結果である。
図15図15は、本発明における制御的皮質衝撃脳外傷モデル実験のフローチャートと、イソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるアンペロプシシオノシドによる脳外傷後のラットの環境探索能力回復促進(圧力測定)実験の結果である。
図16図16は、本発明のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるアンペロプシシオノシドによる制御的皮質衝撃脳外傷モデル実験のフローチャートである。
図17図17は、本発明のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるアンペロプシシオノシドによる制御的皮質衝撃脳外傷モデル実験の水平棒(horizontal bar)テストの結果である。
図18図18は、本発明のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるビザンチオノシドBによるエクスビボ(ex vivo)での網膜神経修復促進のフローチャートである。
図19図19は、本発明のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるビザンチオノシドBによるエクスビボ(ex vivo)での網膜神経修復促進実験の結果である。
図20図20は、本発明のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるロセオシドによるエクスビボ(ex vivo)での網膜神経修復促進のフローチャートである。
図21図21は、本発明のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるロセオシドによるエクスビボ(ex vivo)での網膜神経修復促進実験の結果である。
図22図22は、本発明におけるイソプロピル-D-グルコピラノシドの各誘導体の合成フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0108】
本開示の内容の記載をより詳細且つ十分とするために、以下では、本発明の実施形態及び具体的実施例について説明的に述べる。ただし、これは本発明の具体的実施例を実施又は運用するための唯一の形式ではない。実施形態では複数の具体的実施例の特徴と、それらの具体的実施例を操作するための方法及び用途を網羅しているが、その他の具体的実施例によっても同じ又は均等な効果を達成可能である。理解すべき点として、これらの実施例は本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例1】
【0109】
イソプロピル-D-グルコピラノシド(Isopropyl-D-glucopyranoside)誘導体の細胞毒性実験
【0110】
CellTiter-Glo cell viability assayを用いて、本発明のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるアンペロプシシオノシド(Ampelopsisionoside)、ビザンチオノシドB(Byzantionoside B)及びロセオシド(Roseoside)のNeuro2a細胞に対する毒性を検査した。CellTiter-Glo cell viability assayにより細胞中のATP含有量を測定することで、化合物添加後の細胞の生存率を定量化可能であった。
【0111】
図1A図1Cに示すように、実験結果から明らかなように、Neuro2a細胞に対するアンペロプシシオノシド、ビザンチオノシドB及びロセオシドのIC50は、約4.175mM~32.658mMの範囲であった。これより、イソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体は、細胞に対する毒性が非常に低いことが分かった。
【実施例2】
【0112】
イソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるアンペロプシシオノシドによるインビトロ(in vitro)での海馬神経細胞の神経修復試験
【0113】
図2に示すように、本実験のフローでは、妊娠18日目のラットの胎児を取り出して、胎児の大脳を大脳皮質(cortex)と海馬(hippocampus)に分けた。次に、大脳皮質と海馬を皮質神経細胞(cortical neurons)と海馬神経細胞(hippocampal neurons)に分離し、海馬神経細胞を48ウェルプレートに移した。この日をDay In Vitro 0(DIV0)とし、DIV2時点でシトシンアラビノシド(Cytosine beta-D-arabinoside,AraC)を添加してグリア細胞(glial cell)の増殖を阻害した。そして、DIV8時点で、マイクロピペットチップを用いて神経細胞を傷付け、アンペロプシシオノシド(濃度9.674nM~967.4μM)を添加した。また、0.1%ジメチルスルホキシド(DMSO)をアンペロプシシオノシドの溶媒とした。アンペロプシシオノシドを添加してから72時間後に、免疫蛍光染色法を用い、TUJ1抗体で神経細胞を標識して神経再生の状況を観察した。この実験は、Zeiss Observer Z1 microscopeで撮影した。
【0114】
図3に示すように、隙間閉塞率(gap closure rate)から軸索の再生度合いを定量化した。白色の点線は、マイクロピペットチップで擦って神経細胞を傷付けた際に生じた境界であり、中央の黒色部分はマイクロピペットチップで擦られた領域である。再生した神経突起は、点線の両側から中央に向かって成長した。計算方法としては、損傷領域の50μmごとに、隙間に線を1本引いて隙間の幅を計算し、合計10本の線を引いたあとに、平均値である損傷境界間の隙間長(Length of gap between injured borders,Lg)を求めた。また、一定時間後に、同様の損傷領域の50μmごとに線を1本引き、再生により延伸した軸索を結んでから長さを計算した。そして、10本の線を引いたあとに、平均値である再生神経間の隙間長(Length of gap between regenerated neurons,Ln)を求め、(Lg-Ln)/Lgから隙間閉塞率を計算した。なお、縮尺は100μmとした。この実験は、Zeiss Observer Z1 microscopeで撮影した。
【0115】
図4A図4Bに示すように、隙間閉塞率(gap closure rate)から軸索の再生度合いを定量化した。この実験結果は、アンペロプシシオノシドが海馬の神経突起の増殖を有効に促進可能とすることを示していた。
【実施例3】
【0116】
イソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるアンペロプシシオノシドによるインビトロ(in vitro)での損傷皮質神経細胞の神経再生促進実験
【0117】
本実験では、妊娠18日目のラットの胎児を取り出して、胎児の大脳を大脳皮質と海馬に分けてから、皮質神経細胞及び海馬神経細胞に分離し、皮質神経細胞を48ウェルプレートに移した。この日をDay In Vitro 0(DIV0)とし、DIV2時点でシトシンアラビノシド(AraC)を添加してグリア細胞の増殖を阻害した。そして、DIV8時点で、マイクロピペットチップを用いて神経細胞を傷付け、アンペロプシシオノシド(9.674nM~96.74μM)をそれぞれ添加した。また、0.1%DMSOを溶媒コントロール群とした。図中の結果は、いずれもDMSO群に対し標準化したものである。アンペロプシシオノシドを添加してから72時間後に、免疫蛍光染色法を用い、TUJ1抗体で神経細胞を標識して神経再生の状況を観察した。この実験は、Zeiss Observer Z1 microscopeで撮影した。なお、縮尺は100μmとした。
【0118】
図5に示すように、0.1%DMSOに対する隙間閉塞率(gap closure rate)を計算して、軸索の再生度合いを定量化した。なお、免疫蛍光画像の2本の点線間は損傷領域を表している。この実験結果は、アンペロプシシオノシドが皮質の神経突起の増殖を有効に促進可能とすることを示していた。
【実施例4】
【0119】
イソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるビザンチオノシドBによるインビトロ(in vitro)での海馬神経細胞の神経修復試験
【0120】
本実験では、妊娠18日目のラットの胎児を取り出して、胎児の大脳を大脳皮質と海馬に分けてから、皮質神経細胞及び海馬神経細胞に分離し、海馬神経細胞を48ウェルプレートに移した。この日をDay In Vitro 0(DIV0)とし、DIV2時点でシトシンアラビノシド(AraC)を添加してグリア細胞の増殖を阻害した。そして、DIV8時点で、マイクロピペットチップを用いて神経細胞を傷付け、ビザンチオノシドB(0.13μM~1342μM)をそれぞれ添加した。なお、ddHOを溶媒コントロール群とした。図中の結果は、いずれもddHO群に対し標準化したものである。ビザンチオノシドBを添加してから72時間後に、免疫蛍光染色法を用い、TUJ1抗体で神経細胞を標識して神経再生の状況を観察した。この実験は、Zeiss Observer Z1 microscopeで撮影した。なお、縮尺は100μmとした。
【0121】
図6に示すように、ddHOに対する隙間閉塞率(gap closure rate)を計算して、軸索の再生度合いを定量化した。なお、免疫蛍光画像の2本の点線間は損傷領域を表している。また、下側の図の点線はddHO群を表している。この実験結果は、ビザンチオノシドBが海馬の神経突起の増殖を有効に促進可能とすることを示していた。
【実施例5】
【0122】
イソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるビザンチオノシドBによるインビトロ(in vitro)での皮質神経細胞の神経修復試験
【0123】
本実験では、妊娠18日目のラットの胎児を取り出して、胎児の大脳を大脳皮質(cortex)と海馬(hippocampus)に分けた。次に、大脳皮質と海馬を皮質神経細胞(cortical neurons)と海馬神経細胞(hippocampal neurons)に分離し、皮質神経細胞を48ウェルプレートに移した。この日をDay In Vitro 0(DIV0)とし、DIV2時点でシトシンアラビノシド(AraC)を添加してグリア細胞(glial cell)の増殖を阻害した。そして、DIV8時点で、マイクロピペットチップを用いて神経細胞を傷付け、ビザンチオノシドB(1.34μM~26.84μM)をそれぞれ添加した。なお、二次蒸留水(ddHO)をビザンチオノシドBの溶媒とした。ビザンチオノシドBを添加してから72時間後に、免疫蛍光染色法を用い、TUJ1抗体で神経細胞を標識して神経再生の状況を観察した。この実験は、Zeiss Observer Z1 microscopeで撮影した。なお、2本の点線間は損傷領域を表している。
【0124】
図7に示すように、隙間閉塞率(gap closure rate)から軸索の再生度合いを定量化した。この実験結果は、ビザンチオノシドBが皮質の神経突起の増殖を有効に促進可能とすることを示していた。
【実施例6】
【0125】
イソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるロセオシドによるインビトロ(in vitro)での海馬神経細胞の神経修復試験
【0126】
本実験では、妊娠18日目のラットの胎児を取り出して、胎児の大脳を大脳皮質と海馬に分けてから、皮質神経細胞及び海馬神経細胞に分離し、海馬神経細胞を48ウェルプレートに移した。この日をDay In Vitro 0(DIV0)とし、DIV2時点でシトシンアラビノシド(AraC)を添加してグリア細胞の増殖を阻害した。そして、DIV8時点で、マイクロピペットチップを用いて神経細胞を傷付け、ロセオシド(0.013μM~1294μM)をそれぞれ添加した。なお、ddHOを溶媒コントロール群とした。図中の結果は、いずれもddHO群に対し標準化したものである。ロセオシドを添加してから72時間後に、免疫蛍光染色法を用い、TUJ1抗体で神経細胞を標識して神経再生の状況を観察した。この実験は、Zeiss Observer Z1 microscopeで撮影した。なお、縮尺は100μmとした。
【0127】
図8に示すように、ddHOに対する隙間閉塞率(gap closure rate)を計算して、軸索の再生度合いを定量化した。なお、免疫蛍光画像の2本の点線間は損傷領域を表している。また、下側の図の点線はddHO群を表している。この実験結果は、ロセオシドが海馬の神経突起の増殖を有効に促進可能とすることを示していた。
【実施例7】
【0128】
イソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるロセオシドによるインビトロ(in vitro)での皮質神経細胞の神経修復試験
【0129】
本実験では、妊娠18日目のラットの胎児を取り出して、胎児の大脳を大脳皮質と海馬に分けてから、皮質神経細胞及び海馬神経細胞に分離し、皮質神経細胞を48ウェルプレートに移した。この日をDay In Vitro 0(DIV0)とし、DIV2時点でシトシンアラビノシド(AraC)を添加してグリア細胞の増殖を阻害した。そして、DIV8時点で、マイクロピペットチップを用いて神経細胞を傷付け、ロセオシド(1.29μM~25.88μM)をそれぞれ添加した。なお、ddHOをロセオシドの溶媒とした。ロセオシドを添加してから72時間後に、免疫蛍光染色法を用い、TUJ1抗体で神経細胞を標識して神経再生の状況を観察した。この実験は、Zeiss Observer Z1 microscopeで撮影した。
【0130】
図9に示すように、隙間閉塞率(gap closure rate)から軸索の再生度合いを定量化した。この実験結果は、ロセオシドが皮質の軸索の再生を有効に促進可能とすることを示していた。
【実施例8】
【0131】
イソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるアンペロプシシオノシドによるエクスビボ(ex vivo)での3次元脳組織切片実験
【0132】
図10に示すように、本実験のフローでは、まず、ラットの胎児の脳を取り出して、脳を低融点アガロースゲル内に包埋してから、ライカミクロトーム(Leica microtome)VT100で脳を厚さ350μmの切片組織にスライスした。次に、メスで脳切片を傷付けたあと培養するとともに、ddHO又はアンペロプシシオノシドを毎日添加した。そして、96時間培養したあと、蛍光免疫染色法により、TUJ1抗体で神経細胞を標識し、GFAP抗体でグリア細胞を標識し、DAPI試薬で細胞核を標識した。なお、この実験の縮尺は100μmとした。また、この実験では、Zeiss LSM800 confocal microscopeを用いて撮影した。
【0133】
図11に示すように、白色の点線はメスで傷付けた切り口であり、点線の右側は新生された軸索である。この実験より、アンペロプシシオノシドが神経再生を促進する効果を有することが明らかとなった。
【実施例9】
【0134】
イソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるビザンチオノシドBによるエクスビボ(ex vivo)での脳組織切片実験
【0135】
図10に示すように、本実験のフローでは、まず、ラットの胎児の脳を取り出して、脳を低融点アガロースゲル内に包埋してから、ライカミクロトームVT100で脳を厚さ350μmの切片組織にスライスした。次に、メスで脳切片を傷付けたあと培養するとともに、ddHO又はビザンチオノシドBを毎日添加した。そして、96時間培養したあと、蛍光免疫染色法により、TUJ1抗体で神経細胞を標識し、GFAP抗体でグリア細胞を標識し、DAPI試薬で細胞核を標識した。なお、この実験の縮尺は100μmとした。また、この実験では、Zeiss LSM800 confocal microscopeを用いて撮影した。
【0136】
図12に示すように、白色の点線はメスで傷付けた切り口であり、点線の右側は新生された神経突起である。この実験より、ビザンチオノシドBが神経再生を促進する効果を有することが明らかとなった。
【実施例10】
【0137】
イソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるロセオシドによるエクスビボ(ex vivo)での脳組織切片実験
【0138】
図10に示すように、本実験のフローでは、まず、ラットの胎児の脳を取り出して、脳を低融点アガロースゲル内に包埋してから、ライカミクロトームVT100で脳を厚さ350μmの切片組織にスライスした。次に、メスで脳切片を傷付けたあと培養するとともに、ddHO又はロセオシドを毎日添加した。そして、96時間培養したあと、蛍光免疫染色法により、TUJ1抗体で神経細胞を標識し、GFAP抗体でグリア細胞を標識し、DAPI試薬で細胞核を標識した。なお、この実験の縮尺は100μmとした。また、この実験では、Zeiss LSM800 confocal microscopeを用いて撮影した。
【0139】
図13に示すように、白色の点線はメスで傷付けた切り口であり、点線の右側は新生された神経突起である。この実験より、ロセオシドが神経再生を促進する効果を有することが明らかとなった。
【実施例11】
【0140】
イソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるアンペロプシシオノシドによる脳外傷後のラットの運動能力回復促進試験
【0141】
本実験では、マウスを開頭したが脳損傷させなかった場合と、脳損傷させた場合、及び、脳損傷後に14μg/kgのアンペロプシシオノシドを毎日投与した場合についてオープンフィールド試験を用いて測定し、1日後又は5日後(1day post injury:1dpi、5day post injury:5dpi)の運動能力を比較した。本実験の実験モデルは図14に示す通りであった。0dpi時点で、制御的皮質衝撃脳外傷モデル(controlled cortical impact model)を用いてマウスを脳損傷させ、0、2、4、6、8、10、12dpi(day post injury)時点で、鼻腔から投与する方式で14μg/kgのアンペロプシシオノシドを投与した。
【0142】
図14に示すように、A部分は、本テストにおいて、4等分した白色の大きなアクリルボックスにマウスを入れて5分間自由に行動させたものである。また、5分間、Microsoft LifeCam Cinemaカメラでマウスの運動状況を記録するともに、Anubis track追跡ソフトで分析した。
【0143】
図14に示すように、B部分は、この実験により、アンペロプシシオノシド群と未損傷群の動作経路長はほぼ同じであったが、未投与の脳損傷群は半分の経路長しか有さなかったことを示すものである。これにより、本発明のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるアンペロプシシオノシドが脳外傷後のラットの運動能力回復を促進する効果を有することが明らかとなった。
【実施例12】
【0144】
イソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるアンペロプシシオノシドによる脳外傷後のラットの探索能力回復促進
【0145】
本実験では、マウスを開頭したが脳損傷させなかった場合と、脳損傷させた場合、及び、脳損傷後に14μg/kgのアンペロプシシオノシドを投与した場合について、5日後(5day post injury:5dpi)の領域に対する探索能力と、中央開放領域での滞在時間をオープンフィールド試験により測定した。本実験の実験モデルは図17に示す通りであった。0dpi時点で、制御的皮質衝撃脳外傷モデル(controlled cortical impact model)を用いてマウスを脳損傷させ、0、2、4、6、8、10、12dpi(day post injury)時点で、鼻腔から投与する方式で14μg/kgのアンペロプシシオノシドを投与した。
【0146】
図15に示すように、A部分は、本テストにおいて、4等分した白色の大きなアクリルボックスにマウスを入れて5分間自由に行動させたものである。また、5分間、Microsoft LifeCam Cinemaカメラでマウスの運動状況を記録するともに、Anubis track追跡ソフトで分析した。
【0147】
図15に示すように、B部分は、この実験により、アンペロプシシオノシド群と未損傷群は中央領域にいる時間が長かったが、未投与の脳損傷群はほとんど中央で行動しなかったことを示すものである。図15を組み合わせることで、本発明のイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるアンペロプシシオノシドが脳外傷後のラットの探索能力回復を促進する効果を有することが明らかとなった。
【実施例13】
【0148】
イソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるアンペロプシシオノシドによる脳外傷後のラットの運動協調性回復促進
【0149】
水平棒実験によって、地上から49cmに位置する長さ38cm、直径2mm、4mm、6mmの黄銅棒上にマウスを置いて、前足で黄銅棒を掴ませた。そして、黄銅棒上でのマウスの滞在時間を計算するとともに、黄銅棒末端の台上に到達したか否かより、マウスの運動協調性能力を評価した。評価基準は、1~5秒を1点、5~10秒を2点、10~20秒を3点、20~30秒を4点、30秒以上又は台上への到達を5点とした。
【0150】
図16に示すように、本実験の実験モデルについては、それぞれ、-5、-3、-1dpi(day post injury)(脳損傷の5日前、3日前、1日前)に予備訓練(pre-training)を行った。且つ、0dpi時点で、制御的皮質衝撃脳外傷モデル(controlled cortical impact model)を用いてマウスを脳損傷させ、0、2、4、6、8、10、12dpi時点で、鼻腔から投与する方式で14μg/kg又は140μg/kgのアンペロプシシオノシドを投与した。また、1、3、6、10、13dpi時点で水平棒実験を行った。
【0151】
図17に示すように、脳損傷後に水(ddHO)のみを投与した群では運動協調性の喪失が見られたが、アンペロプシシオノシドを投与した群では、運動協調性がSham群と類似しており、運動協調性の回復が明らかに促進されることが分かった。
【実施例14】
【0152】
イソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるビザンチオノシドBによるエクスビボ(ex vivo)での網膜神経修復促進
【0153】
実験のデザイン及びフローは図18に示す通りであった。網膜組織(retinal explants)は生後8日目のC57BL/6系統マウスから取り出した。殺処理後に目を取り出して、ピンセット及びマイクロ剪刀で眼球と網膜を分離するとともに、硝子体を除去した。最後に、分離した網膜を4片に分け、マイクロ剪刀で組織の辺縁を整えて傷付けた。各片は、18mmの円形ガラス上で培養してから12ウェルプレートに投入し、インキュベーターに入れて、5%CO及び35℃条件で5日間培養した。各網膜組織については、新鮮な培養液に毎日交換するとともに、13.5μM又は135μMのビザンチオノシドBを添加するものとした。そして、網膜組織を5日目まで培養した時点で、0.1%グルタルアルデヒド溶液(Glutaraldehyde solution)及び4%パラホルムアルデヒド(paraformaldehyde)混合溶液を用い、室温で1時間固定(Fix)した。且つ、一次抗体であるaxonal marker beta-III-tubulin(TUJ1)及びDAPIを用いて染色し、神経細胞と細胞核を標識してから、超解像正立型共焦点顕微鏡(LSM-800,カール・ツァイス)で撮影した。そして、画像解析プログラムImageJを用い、組織境界を選択して周長及び組織外の神経繊維面積を計算した。これにより、神経繊維面積を組織境界の周長で割って、周長あたりの神経繊維長を求めた。
【0154】
図19に示すように、網膜組織の損傷後に、ビザンチオノシドBを投与した群は、水(ddHO)のみを投与した群に比べて明らかな損傷後回復効果を有していた。
【実施例15】
【0155】
イソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体であるロセオシドによるエクスビボ(ex vivo)での網膜神経修復促進
【0156】
実験のデザイン及びフローは図20に示す通りであった。網膜組織(retinal explants)は生後8日目のC57BL/6系統マウスから取り出した。殺処理後に目を取り出して、ピンセット及びマイクロ剪刀で眼球と網膜を分離するとともに、硝子体を除去した。最後に、分離した網膜を4片に分け、マイクロ剪刀で組織の辺縁を整えて傷付けた。各片は、18mmの円形ガラス上で培養してから12ウェルプレートに投入し、インキュベーターに入れて、5%CO及び35℃条件で5日間培養した。各網膜組織については、新鮮な培養液に毎日交換するとともに、13μM又は130μMのロセオシドを添加するものとした。そして、網膜組織を5日目まで培養した時点で、0.1%グルタルアルデヒド溶液及び4%パラホルムアルデヒド混合溶液を用い、室温で1時間固定した。且つ、一次抗体であるaxonal marker beta-III-tubulin(TUJ1)及びDAPIを用いて染色し、神経細胞と細胞核を標識してから、超解像正立型共焦点顕微鏡(LSM-800,カール・ツァイス)で撮影した。そして、画像解析プログラムImageJを用い、組織境界を選択して周長及び組織外の神経繊維面積を計算した。これにより、神経繊維面積を組織境界の周長で割って、周長あたりの神経繊維長を求めた。
【0157】
図21に示すように、網膜組織の損傷後に、ロセオシドを投与した群は、水(ddHO)のみを投与した群に比べて明らかな損傷後回復効果を有していた。
【実施例16】
【0158】
イソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体の連続合成ステップ
【0159】
本発明におけるイソプロピル-D-グルコピラノシド誘導体の連続合成ステップは、以下の通りであった。
【0160】
【化19】
【0161】
上記の実験データは、特定条件で取得した初歩的な実験結果であって、本発明の技術内容の理解又は参照を容易とするためのものにすぎず、更にその他の関連実験を行う必要がある。当該実験データ及び結果は本発明の権利範囲を制限するためのものではない。
【0162】
上記の好ましい実施例は、本発明とその技術的特徴を例示的に説明したものにすぎず、当該実施例の技術は、各種の実質的な等価の改変及び/又は置き換えを適切に行って実施してもよい。従って、本発明の権利範囲は、請求項で規定される範囲に準じる。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【国際調査報告】