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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-07
(54)【発明の名称】イヤホン
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/10 20060101AFI20241030BHJP
   H04R 1/26 20060101ALI20241030BHJP
   H04R 23/02 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
H04R1/10 104Z
H04R1/26
H04R23/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023531122
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-10-22
(85)【翻訳文提出日】2023-05-23
(86)【国際出願番号】 CN2022127379
(87)【国際公開番号】W WO2024077664
(87)【国際公開日】2024-04-18
(31)【優先権主張番号】202222694866.X
(32)【優先日】2022-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522235504
【氏名又は名称】エーエーシー カイタイ テクノロジーズ (ウーハン) カンパニーリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】沈宇
(72)【発明者】
【氏名】周一葦
(72)【発明者】
【氏名】但強
(72)【発明者】
【氏名】李楊
【テーマコード(参考)】
5D005
5D018
5D021
【Fターム(参考)】
5D005BA02
5D005BA06
5D005BA10
5D005BA12
5D018AC02
5D021EE01
(57)【要約】
本発明の実施形態は、イヤホンを提供する。このイヤホンは、空洞を有するハウジングと、前記空洞に収容され、低周波音を発生する第1スピーカーと、中高周波音を発生する第2スピーカーと、音声減衰メッシュ層とを備える。前記ハウジングには、それを貫通する音出口が設けられ、前記空洞は、前記音出口によって外部と連通する。前記第2スピーカーは、前記第1スピーカーと前記音出口との間に配置される。前記音声減衰メッシュ層は、前記第1スピーカーと前記第2スピーカーとの間に配置され、前記第2スピーカーは前記音声減衰メッシュ層に固定される。前記音声減衰メッシュ層は、前記第1スピーカーおよび前記第2スピーカーを完全に分離することで、前記第1スピーカーからの低周波音は前記音声減衰メッシュ層によって前記音出口に伝わるとともに、前記第2スピーカーからの中高周波音はフィルタリングで低減される。本発明を利用するイヤホンの音声性能は、従来技術より良好である。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イヤホンであって、
空洞を有するハウジングと、前記空洞に収容され、低周波音を発生する第1スピーカーと、中高周波音を発生する第2スピーカーと、音声減衰メッシュ層とを備え、
前記ハウジングには、それを貫通する音出口が設けられ、前記空洞は、前記音出口によって外部と連通し、
前記第2スピーカーは、前記第1スピーカーと前記音出口との間に配置され、
前記イヤホンは、音声減衰メッシュ層をさらに備え、
前記音声減衰メッシュ層は、前記第1スピーカーと前記第2スピーカーとの間に配置され、前記第2スピーカーは前記音声減衰メッシュ層に固定され、
前記音声減衰メッシュ層は、前記第1スピーカーおよび前記第2スピーカーを完全に分離することで、前記第1スピーカーからの低周波音は前記音声減衰メッシュ層によって前記音出口に伝わるとともに、前記第2スピーカーからの前記第1スピーカーに伝わる中高周波音はフィルタリングで低減される、
ことを特徴とするイヤホン。
【請求項2】
前記第1スピーカーは、音声発生用の振動板を含み、
前記音声減衰メッシュ層は、上部カバーと、前記上部カバーを貫通する複数の減衰放音孔とを含み、前記上部カバーは、前記振動板を覆い、前記振動板の前記音出口に近い側に固定され、前記上部カバーと前記振動板とは間隔をあけて、共に囲んで前音室を形成し、
前記第2スピーカーは、前記上部カバーの前記音出口に近い側に固定され、
前記音声減衰メッシュ層は、前記前音室と前記音出口とを連通する、
ことを特徴とする請求項1に記載のイヤホン。
【請求項3】
前記第1スピーカーは、音声発生用の振動板を含み、
前記音声減衰メッシュ層は、上部カバーと、インピーダンスメッシュとを含み、前記上部カバーは、前記振動板を覆い、前記振動板の前記音出口に近い側に固定され、前記上部カバーと前記振動板とは間隔をあけて、共に囲んで前音室を形成し、前記上部カバーには、それを貫通する複数の放音孔が設けられ、前記インピーダンスメッシュは、前記放音孔を完全に覆い、前記前音室は、前記放音孔、前記インピーダンスメッシュ、および前記音出口を順次通過して外部と連通し、前記第2スピーカーは、前記インピーダンスメッシュの前記音出口に近い側に固定される、
ことを特徴とする請求項1に記載のイヤホン。
【請求項4】
前記音声減衰メッシュ層は、固定フレームと、前記固定フレームに貼り付けるインピーダンスメッシュとを含み、前記固定フレームは、前記ハウジングに固定され、前記固定フレームには、複数の空気漏れ孔が設けられ、前記インピーダンスメッシュは、前記空気漏れ孔を完全に覆い、
前記第2スピーカーは、前記音声減衰メッシュ層に固定され、前記第2スピーカーは、前記音声減衰メッシュ層と共に前記空洞を前空洞と後空洞とに分け、前記前空洞は、前記音出口によって外部と連通し、前記第2スピーカーは、少なくとも一部が前記前空洞に収容され、前記第1スピーカーは、前記後空洞に収容され、前記第1スピーカーは、前記音声減衰メッシュ層と間隔を開けて設置される、
ことを特徴とする請求項1に記載のイヤホン。
【請求項5】
前記インピーダンスメッシュは、前記固定フレームの前記音出口に近い側に設けられ、または、前記インピーダンスメッシュは、前記固定フレームの前記音出口から離れた側に設けられる、
ことを特徴とする請求項4に記載のイヤホン。
【請求項6】
前記インピーダンスメッシュは、前記固定フレームの前記音出口に近い側に設けられ、前記第2スピーカーは、前記インピーダンスメッシュの前記音出口に近い側に設けられる、
ことを特徴とする請求項5に記載のイヤホン。
【請求項7】
前記音声減衰メッシュ層は、それを貫通する取付孔を含み、前記第2スピーカーは、前記取付孔とマッチングし、前記第2スピーカーは、少なくとも一部が前記取付孔を貫通し、前記音声減衰メッシュ層とが一体成型される、
ことを特徴とする請求項5に記載のイヤホン。
【請求項8】
前記インピーダンスメッシュは、前記フレームの前記音出口に近い側に設けられる、
ことを特徴とする請求項7に記載のイヤホン。
【請求項9】
前記固定フレームは、前記ハウジングとが一体成型される、
ことを特徴とする請求項4に記載のイヤホン。
【請求項10】
前記第2スピーカーはMEMS圧電スピーカーであり、前記第1スピーカーはダイナミックスピーカーである、
ことを特徴とする請求項1に記載のイヤホン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気音声変換分野に関し、特に携帯型モバイル電子製品に使用されるイヤホンに関する。
【背景技術】
【0002】
イヤホンは、携帯電話などの携帯型モバイル電子製品において、オーディオ信号を音声再生に変換することを実現するために広く使用されている。消費者市場の拡大に伴い、イヤホンの品質に対する要求がますます高くなり、特に高周波数帯域(例えば、6kHz~10kHz)および超音波帯域(例えば、20kHz~40kHz)の運用では、周波数が10kHz~20kHzの音波はより豊かな聴覚体験をもたらし、超音波帯域は人間の耳管形状をスキャンし、アルゴリズムにより個人的な聴覚体験をカスタマイズすることができる。したがって、上記周波数に対する高い性能は、イヤホンの音声性能において重要な基準である。
【0003】
関連技術のイヤホンについては、図1を参照する。図1は、関連技術のイヤホンの構成を示す概要図である。関連技術のイヤホンは、ハウジングS1と、前記ハウジングS1に収容された第1スピーカーA1および第2スピーカーA2とを備え、前記ハウジングS1には、それを貫通する音出口S10が設けられ、前記第1スピーカーA1からの音声および前記第2スピーカーA2からの音声が前記音出口によって外部に伝わり、前記第1スピーカーA1は低周波数帯域で動作し、前記第2スピーカーA2は中高周波数帯域および超音波周波数帯域で動作し、前記第2スピーカーA2は前記第1スピーカーA1に重畳し、前記第1スピーカーA1と前記音出口S10との間に設けられる。
【0004】
しかし、関連技術のイヤホンにおいて、低周波数帯域で動作する前記第1スピーカーA1は、低周波数性能の向上、低音聴感の改善、および音圧レベル(SPL)の向上を目的として、前記第1スピーカーの寸法が大きく設計されている。また、イヤホンのハウジングS1は、幅の広い一端と狭い一端を有する構造であるため、TWSイヤホンでは、組立後、第1スピーカーA1のサイズが大きいため、ハウジングS1の幅が広い方の端部にしか配置できず、前記音出口S10から離れ、さらに、第2スピーカーA2は前記第1スピーカーA1の上に重畳されるため、第2スピーカーA2と前記音出口S10との距離もそれに応じて大きくなる。また、このようなイヤホンにおける空洞の存在により、本来の耳管腔自身の共振ピークを移動または減少させるため、高周波数帯域の音圧レベルSPLが低下となる。また、図2は、関連技術のイヤホンの動作状態における音声流向を示す概要図である。前記音出口S10の前方付近の第2スピーカーA2からの音声は、第2スピーカーA2の周縁を迂回して後方に流れ、すなわち、第1スピーカーA1の前方に流れ、第1スピーカーA1の反対側に流出し、第2スピーカーA2の真正面の音波と重なり、音波の干渉現象が生じ、音圧レベルSPLが低くなる。イヤホンの低周波数帯域での音声伝達を改善させ、音圧レベル(SPL)を向上させ、音声干渉を回避することは、解決すべき技術課題である。
【0005】
したがって、上記技術的課題を解決するため、新たなイヤホンを提供することが必要である。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、良好な音声性能を有するイヤホンを提供することを目的とする。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の実施形態は、イヤホンを提供。このイヤホンは、空洞を有するハウジングと、前記空洞に収容され、低周波音を発生する第1スピーカーと、中高周波音を発生する第2スピーカーと、音声減衰メッシュ層とを備え、前記ハウジングには、それを貫通する音出口が設けられ、前記空洞は、前記音出口によって外部と連通し、前記第2スピーカーは、前記第1スピーカーと前記音出口との間に配置され、前記イヤホンは、音声減衰メッシュ層をさらに備え、前記音声減衰メッシュ層は、前記第1スピーカーと前記第2スピーカーとの間に配置され、前記第2スピーカーは前記音声減衰メッシュ層に固定され、前記音声減衰メッシュ層は、前記第1スピーカーおよび前記第2スピーカーを完全に分離することで、前記第1スピーカーからの低周波音は前記音声減衰メッシュ層によって前記音出口に伝わるとともに、前記第2スピーカーからの前記第1スピーカーに伝わる中高周波音はフィルタリングで低減されることを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記第1スピーカーは、音声発生用の振動板を含み、前記音声減衰メッシュ層は、上部カバーと、前記上部カバーを貫通する複数の減衰放音孔とを含み、前記上部カバーは、前記振動板を覆い、前記振動板の前記音出口に近い側に固定され、前記上部カバーと前記振動板とは間隔をあけて、共に囲んで前音室を形成し、前記第2スピーカーは、前記上部カバーの前記音出口に近い側に固定され、前記音声減衰メッシュ層は、前記前音室と前記音出口とを連通する。
【0009】
好ましくは、前記第1スピーカーは、音声発生用の振動板を含み、前記音声減衰メッシュ層は、上部カバーと、インピーダンスメッシュとを含み、前記上部カバーは、前記振動板を覆い、前記振動板の前記音出口に近い側に固定され、前記上部カバーと前記振動板とは間隔をあけて、共に囲んで前音室を形成し、前記上部カバーには、それを貫通する複数の放音孔が設けられ、前記インピーダンスメッシュは、前記放音孔を完全に覆い、前記前音室は、前記放音孔、前記インピーダンスメッシュ、および前記音出口を順次通過して外部と連通し、前記第2スピーカーは、前記インピーダンスメッシュの前記音出口に近い側に固定される。
【0010】
好ましくは、前記音声減衰メッシュ層は、固定フレームと、前記固定フレームに貼り付けるインピーダンスメッシュとを含み、前記固定フレームは、前記ハウジングに固定され、前記固定フレームには、複数の空気漏れ孔が設けられ、前記インピーダンスメッシュは、前記空気漏れ孔を完全に覆い、前記第2スピーカーは、前記音声減衰メッシュ層に固定され、前記第2スピーカーは、前記音声減衰メッシュ層と共に前記空洞を前空洞と後空洞とに分け、前記前空洞は、前記音出口によって外部と連通し、前記第2スピーカーは、少なくとも一部が前記前空洞に収容され、前記第1スピーカーは、前記後空洞に収容され、前記第1スピーカーは、前記音声減衰メッシュ層と間隔を開けて設置される。
【0011】
好ましくは、前記インピーダンスメッシュは、前記固定フレームの前記音出口に近い側に設けられ、または、前記インピーダンスメッシュは、前記固定フレームの前記音出口から離れた側に設けられる。
【0012】
好ましくは、前記インピーダンスメッシュは、前記固定フレームの前記音出口に近い側に設けられ、前記第2スピーカーは、前記インピーダンスメッシュの前記音出口に近い側に設けられる。
【0013】
好ましくは、前記音声減衰メッシュ層は、それを貫通する取付孔を含み、前記第2スピーカーは、前記取付孔とマッチングし、前記第2スピーカーは、少なくとも一部が前記取付孔を貫通し、前記音声減衰メッシュ層とが一体成型される。
【0014】
好ましくは、前記インピーダンスメッシュは、前記フレームの前記音出口に近い側に設けられる。
【0015】
好ましくは、前記固定フレームは、前記ハウジングとが一体成型される。
【0016】
好ましくは、前記第2スピーカーはMEMS圧電スピーカーであり、前記第1スピーカーはダイナミックスピーカーである。
【0017】
関連技術と比較すると、本発明は、前記第1スピーカーと前記第2スピーカーとの間に音声減衰メッシュ層を設けることにより、イヤホンを提供する。前記音声減衰メッシュ層は、前記第1スピーカーからの低周波音の通過を許容し、前記第2スピーカーからの中高周波音の通過を阻止するように、前記第1スピーカーと前記第2スピーカーとを完全に分離する。このような構成によれば、前記第2スピーカーから放出される中高周波音が前記第1スピーカーの周縁を迂回して前方に向かって重畳することが防止され、音声干渉現象を回避できるので、音圧レベルが向上させ、音声の純度が高くなり、本発明によって提供されるイヤホンの音声性能が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の実施形態に係る技術的な解決手段をより明確に説明するため、以下、実施形態の説明で使用する必要がある添付図面について簡単に説明する。もちろん、以下の説明に関する添付図面は、本発明の一部の実施形態に過ぎず、該当領域の当業者にとって、創作的な作業を行わずにこれらの添付図面から他の図面を得られることが可能である。
【0019】
図1】関連技術のイヤホンの構成を示す概要図である。
図2】関連技術のイヤホンの動作状態における音声流向を示す概要図である。
図3】本発明に係るイヤホンの構成を示す概要図である。
図4】本発明の第1実施形態に係るイヤホンの第1スピーカー、第2スピーカーおよび音声減衰メッシュ層の構成を示す概要図である。
図5】本発明の第2実施形態に係るイヤホンの第1スピーカー、第2スピーカーおよび音声減衰メッシュ層の構成を示す概要図である。
図6】本発明の第3実施形態に係るイヤホンの構成を示す概要図である。
図7】本発明の第3実施形態に係るイヤホンの第2スピーカーおよび音声減衰メッシュ層の三次元構成を示す概要図である。
図8図7における部分三次元構成分解を示す概要図である。
図9】本発明の第4実施形態に係るイヤホンの構成を示す概要図である。
図10図9における部分三次元構成分解を示す概要図である。
図11図9における線A-Aに沿った断面図である。
図12】本発明の実施形態に係るイヤホンと関連技術のイヤホンとの音圧レベル周波数関係曲線の比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態における技術的解決策を、本発明の実施形態における添付図面と併せて明確かつ詳細に説明するが、説明した実施形態は、本発明の実施形態の一部に過ぎず、これに限定されないことを理解されたい。なお、本発明における実施形態に基づいて、当業者によって創造的な作業を行わずに得られる他のすべての実施形態は、本発明の保護範囲に含まれる。
【0021】
本発明は、イヤホン100を提供する。図3を参照すると、図3は、本発明に係るイヤホン100の構成を示す概要図である。
【0022】
前記イヤホン100は、空洞10を有するハウジング1と、第1スピーカー2と、第2スピーカー3と、音声減衰メッシュ層4とを備える。
【0023】
前記ハウジング1には、それを貫通する音出口11が設けられる。前記空洞10は、前記音出口11によって外部と連通する。
【0024】
前記第1スピーカー2は、低周波音を発生させるために使用される。前記第1スピーカー2は、10Hz~6kHzの低周波数帯域で動作する。前記第1スピーカー2は、前記空洞10に収容される。
【0025】
前記第1スピーカー2は、音発生用の振動板21を含む。前記振動板21は、前記音出口11に対面する。
【0026】
前記第2スピーカー3は、中高周波数帯域および超音波周波数帯域の音を発生させるために使用される。前記第2スピーカー3は、3kHz~40kHzの中高周波数帯域および超音波周波数帯域で動作する。前記第2スピーカー3は、前記空洞10に収容される。前記第2スピーカー3は、前記第1スピーカー2と前記音出口11との間に配置される。
【0027】
本実施形態では、前記第2スピーカーはMEMS圧電スピーカーであり、前記第1スピーカーはダイナミックスピーカーである。MEMS圧電スピーカーの体積が小さいため、前記イヤホン100の小型化応用がより良好である。また、第1スピーカー2はダイナミックスピーカーであるため、低周波数帯域の音声効果が良好である。
【0028】
前記音声減衰メッシュ層4は、前記第1スピーカー2と前記第2スピーカー3との間に配置される。前記第2スピーカー3は前記音声減衰メッシュ層4に固定される。前記音声減衰メッシュ層4は、前記第1スピーカー2および前記第2スピーカー3を完全に分離することで、前記第1スピーカー2からの低周波音は前記音声減衰メッシュ層4によって前記音出口11に伝達される。このような構成によれば、前記第2スピーカー3から放出される中高周波音が前記第1スピーカー2の周縁を迂回して前方に向かって重畳することが防止され、音声干渉現象を回避できるので、音圧レベルが向上させ、音声の純度が高くなり、本発明によって提供されるイヤホン100の音声性能が良好である。
【0029】
以下、実施形態により詳細に説明する。
【0030】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態は、イヤホン100aも提供する。図4を参照すると、図4は、本発明の第1実用新案に係るイヤホン100aの第1スピーカー2a、第2スピーカー3aおよび音声減衰メッシュ層4aの構成を示す概要図である。
【0031】
前記第1スピーカー2aは、音発生用の振動板21aを含む。
【0032】
前記音声減衰メッシュ層4aは、上部カバー41aと、前記上部カバー41aを貫通する複数の減衰放音孔410aとを含む。
【0033】
前記上部カバー41aは、前記振動板21aの前記音出口11に近い側に固定され、前記上部カバー41aは前記振動板21aと間隔をあけ、共に囲んで前音室210aを形成する。
【0034】
前記第2スピーカー3aは、前記上部カバー41aの前記音出口11に近い側に固定される。
【0035】
前記減衰放音孔410aは、前記前音室210aと前記音出口11とを連通することで、前記第1スピーカー2aからの低周波音が前記減衰放音孔410aによって前記音出口11に伝達されるとともに、前記第2スピーカー3aからの中高周波音はフィルタリングされて低減される。本第1実施形態では、前記減衰放音孔410aを利用し、前記音声減衰メッシュ層4aが前記第2スピーカー3aからの中高周波音の通過を防ぐことを実現する。このような構成によれば、前記第2スピーカー3aから放出される中高周波音が前記第1スピーカー2aの周縁を迂回して前方に向かって重畳することが防止され、音声干渉現象を回避できるので、音圧レベルが向上させ、音声の純度が高くなり、本発明によって提供されるイヤホン100aの音声性能が良好である。
【0036】
前記減衰放音孔410aは、その面積および高さによって、音声減衰作用を有するように設計されることができる。前記減衰放音孔410aの動作原理は以下のとおりである。
【0037】
前記前音室210aは前記振動板21aに垂直な振動方向に沿った断面積がS1であり、前記減衰放音孔410aは前記振動方向に垂直な方向に沿った断面積がS2であり、前記減衰放音孔410aは前記振動板21aに垂直な振動方向に沿った長さがιであり、前記第1スピーカー2aの音声強度透過係数がtiであり、Ptは透過音圧であり、Piは入射波の音圧である。下記式(1)を満たす場合ため、
【0038】
【数1】
【0039】
ここで、kは音声強度透過係数定数である。
【0040】
本発明の第1実施形態に係るイヤホン100aは、ダイナミックコイルの上部カバー41aを巧みに利用して減衰放音孔410aを設定し、シンプルな構造で組み立てが容易であり、本発明によって提供されるイヤホン100aの音声性能が良好である。
【0041】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態は、イヤホン100bも提供する。図5を参照すると、図5は、本発明の第2実用新案に係るイヤホン100bの第1スピーカー2b、第2スピーカー3bおよび音声減衰メッシュ層4bの構成を示す概要図である。
【0042】
本第2実施形態に係るイヤホン100bは、第1実施形態のイヤホン100aと基本的な構成は同じであるが、両者の相違点は以下のとおりである。
【0043】
前記第1スピーカー2bは、音発生用の振動板21bを含む。
【0044】
前記音声減衰メッシュ層4bは、上部カバー41bと、インピーダンスメッシュ42bとを含む。
【0045】
前記上部カバー41bは、前記振動板21bを覆い、前記振動板21bの前記音出口11に近い側に固定される。前記上部カバー41bは、前記振動板21bと間隔をあけ、共に囲んで前音室210bを形成する。
【0046】
前記上部カバー41bには、それを貫通する複数の放音孔410bが設けられる。本第2実施形態では、前記放音孔410bは通常の貫通孔であり、前記前音室210bと前記音出口11と連通する。もちろん、これに限らず、イヤホン100bの音圧レベルをより高く、より純度の高い音声を実現するため、前記音声減衰メッシュ層4bの前記放音孔410bは第1実施形態の減衰放音孔410aの構成に設けられてもよい。
【0047】
前記第2スピーカー3bは、前記インピーダンスメッシュ42bの前記音出口11に近い側に固定される。前記インピーダンスメッシュ42bは、前記放音孔410bを完全に覆い、前記前音室210bは、前記放音孔410b、前記インピーダンスメッシュ42bおよび前記音出口11を順次通過して外部と連通する。
【0048】
前記インピーダンスメッシュ(Acoustic mesh)42bは、低音を司る第1スピーカー2bからの10Hz~3kHzの音声をスムーズに通過させることができるため、イヤホン100bの音圧レベルSPL損失が最小限に抑えられる。一方、低音を司る第2スピーカー3bからの3kHz~40kHzの音声伝達について、前記インピーダンスメッシュ42bの作用によって、上部カバー41bおよび放音孔410bを介して前音室210bに到達するその範囲の音波の音圧レベルが低減され、さらに放音孔410bおよびインピーダンスメッシュ42bの反対側から出るとき、音圧レベルが非常に小さいく低減されるため、同じ周波数の重畳干渉現象の発生を効果的に抑えることができる。
【0049】
より好ましくは、本第2実施形態に係るイヤホン100bは、前記第2スピーカー3bの後室を閉じる必要がない。これは、第2スピーカー3bからの10kHz~40kHzの音波もインピーダンスメッシュ42bで数回フィルタリングされ、音圧レベルが弱まり、前方から出る音波にはほとんど影響せず、空気の流れを逃がすことができるため、後室の剛性への影響はほとんどないため、デバイスの共振周波数にはほとんど影響しない。
【0050】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態は、イヤホン100cを提供する。図6ないし図8を参照すると、図6は、本発明の第3実施形態に係るイヤホン100cの構成を示す概要図である。図7は、本発明の第3実施形態に係るイヤホン100cの第2スピーカー3cおよび音声減衰メッシュ層4cの三次元構成を示す概要図である。図8は、図7における部分三次元構成分解を示す概要図である。
【0051】
本第3実施形態に係るイヤホン100cは、第1実施形態に係るイヤホン100aと基本的な構造は同じであるが、両者の相違点は以下のとおりである。
【0052】
前記音声減衰メッシュ層4cは、固定フレーム41cと、前記固定フレーム41cに貼り付けるインピーダンスメッシュ42cとを含む。
【0053】
前記固定フレーム41cは、前記第2スピーカー3cを固定するために使用される。ここで、前記固定フレーム41cは、前記ハウジング1cに固定される。本第3実施形態では、前記固定フレーム41cは、前記ハウジング1cとが一体成型される。すなわち、前記固定フレーム41cは、前記ハウジング1cとが一体構成であり、このような構成によれば、生産組立が容易で生産効率を向上させることができる。もちろん、これに限定されることなく、前記固定フレーム41cと前記ハウジング1cとがそれぞれ独立した構成であってもよい。
【0054】
前記固定フレーム41cには、複数の空気漏れ孔410cが設けられる。前記インピーダンスメッシュ42cは、前記空気漏れ孔410cを完全に覆う。前記固定フレーム41cの形状は、イヤホンのハウジング1cに貼り付ける楕円形、円形、異形などであり、図7および図8に示される外郭は円形で対称設計である。また、本第3実施形態において、前記固定フレーム41cは、中央に前記第2スピーカー3cを固定する実体の部分を有し、縁部に音波を通しやすくするための空気漏れ孔410cを有する。他の実施形態では、実体の部分は偏心設計であってもよい。
【0055】
前記インピーダンスメッシュ42cは、前記固定フレーム41cの前記音出口11cに近い側に設けられ、または、前記インピーダンスメッシュ42cは、前記固定フレーム41cの前記音出口11cから離れた側に設けられる。本第3実施形態では、前記インピーダンスメッシュ42cは、前記固定フレーム41cの前記音出口11cに近い側に設けられる。
【0056】
前記第2スピーカー3cは、前記音声減衰メッシュ層4cに固定される。本第3実施形態では、前記第2スピーカー3cは、前記インピーダンスメッシュ42cの前記音出口11cに近い側に固定される。
【0057】
前記第2スピーカー3cは、前記音声減衰メッシュ層4cとともに前記空洞10を前空洞101と後空洞102とに分ける。前記前空洞101は、前記音出口11cによって外部と連通する。
【0058】
前記第2スピーカー3cは、少なくとも一部が前記前空洞101に収容される。すなわち、前記第2スピーカー3cは、前記音出口11cに近接して配置される。
【0059】
前記第1スピーカー2cは、前記後空洞102に収容される。前記第1スピーカー2cは、前記音声減衰メッシュ層4cと間隔を開けて設置される。このような構成によれば、前記第1スピーカー2cと前記音声減衰メッシュ層4cとの間に距離を置くことができる。
【0060】
本第3実施形態に係るイヤホン100cの上記構成によれば、前記第2スピーカー3cが前記音出口11cに近い、すなわち、イヤホン100cが鼓板に近いので、音圧レベルSPLが高くなるとともに、イヤホン100cの空洞を通る音声も耳管の空洞に適合し、イヤホン空洞をほとんど通らないので、耳管の特定の自身共鳴空洞で共鳴する音圧レベルのSPLピークが失われない。また、イヤホン100cの音出口11cの一端の小さな空洞もヘルムホルツ共振空洞を形成する可能性があり、高周波数における一部周波数の音圧レベルSPLを向上させることができる。
【0061】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態は、イヤホン100dを提供する。図9ないし図11を参照すると、図9は、本発明の第4実施形態に係るイヤホン100dの構成を示す概要図である。図10は、図9における部分三次元構成分解を示す概要図である。図11は、図9における線A-Aに沿った断面図である。
【0062】
本第4実施形態のイヤホン100dは、第3実施形態に係るイヤホン100cと基本的な構造は同じであるが、両者の相違点は以下のとおりである。
【0063】
前記音声減衰メッシュ層4dには、それを貫通する取付孔40dが設けられる。前記第2スピーカー3dは、前記取付孔40dとマッチングする。前記第2スピーカー3dは、少なくとも一部が前記取付孔40dを貫通し、前記音声減衰メッシュ層4dとが一体成型される。
【0064】
前記インピーダンスメッシュ42dは、前記固定フレーム41dの前記音出口11dに近い側に設けられる。
【0065】
第4実施形態の前記音声減衰メッシュ層4dと前記第2スピーカー3dとの組立構成は、合理的に空間を利用して組立を小型化するため、イヤホン100dの小型化応用に有利である。
【0066】
上記のイヤホン100および実施形態のイヤホン100a、イヤホン100b、イヤホン100c、イヤホン100dの構成によれば、前記音声減衰メッシュ層4は、イヤホンにおける中高周波数帯域を司る前記第2スピーカー3の前後方の中高周波(>3000Hz)の音波の相互干渉を低減させ、前方発声の音圧レベルSPLへの影響が減少できるため、本発明によって提供されるイヤホンの音声性能が良好である。
【0067】
以下、実施形態
2のイヤホン100aの第2スピーカー3b、第3実施形態のイヤホン100cの第2スピーカー3c、および関連技術のイヤホンを実測し、実測曲線によって比較説明する。
【0068】
図12を参照すると、図12は、本発明の実施形態に係るイヤホンと関連技術のイヤホンとの音圧レベル周波数関係曲線の比較を示す図である。
【0069】
図12において、W1は第2実施形態の第2スピーカー3bの音圧レベルの周波数関係曲線であり、W2は第3実施形態の第2スピーカー3cの音圧レベルの周波数関係曲線であり、W3は関連技術のヘッドホンの第2スピーカーの音圧レベルの周波数関係曲線である。図12によれば、第2実施形態の第2スピーカー3bは、周波数帯域3kHz~10kHzにおいて高いSPLを実現し、全体として曲線が平坦になっていることが分かる。また、第3実施形態の第2スピーカー3cの周波数範囲3kHz~40kHにおける音圧レベルSPLは、関連技術のイヤホンの音圧レベルSPLよりも高い。
【0070】
以上述べたところをまとめると、本発明が提供するイヤホンによれば、音声干渉現象を回避でき、音圧レベルが向上させ、音声の純度が高くなるため、本発明が提供するイヤホンの音声性能が良好である。
【0071】
関連技術と比較すると、本発明は、前記第1スピーカーと前記第2スピーカーとの間に音声減衰メッシュ層を設けることにより、イヤホンを提供する。前記音声減衰メッシュ層は、前記第1スピーカーからの低周波音の通過を許容し、前記第2スピーカーからの中高周波音の通過を阻止するように、前記第1スピーカーと前記第2スピーカーとを完全に分離する。このような構成によれば、前記第2スピーカーから放出される中高周波音が前記第1スピーカーの周縁を迂回して前方に向かって重畳することが防止され、音声干渉現象を回避できるので、音圧レベルが向上させ、音声の純度が高くなり、本発明によって提供されるイヤホンの音声性能が良好である。
【0072】
なお、上記は本発明の実施形態に過ぎず、該当領域の当業者にとって、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の改良などを行うことが可能であるが、これらは本発明の保護範囲に含まれる。
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図7
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【国際調査報告】