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特表2024-541137研磨剤を用いて木製樽の内面を処理する装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-07
(54)【発明の名称】研磨剤を用いて木製樽の内面を処理する装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/04 20060101AFI20241030BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20241030BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20241030BHJP
【FI】
B08B3/04 B
B24B41/06 Z
B24B37/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024527080
(86)(22)【出願日】2022-10-24
(85)【翻訳文提出日】2024-06-26
(86)【国際出願番号】 AU2022051273
(87)【国際公開番号】W WO2023077181
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】2021903510
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524168758
【氏名又は名称】バレル リジュベネーション サービシーズ プロプライエタリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110004303
【氏名又は名称】弁理士法人三協国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン リンゼイ ブレイクマン
(72)【発明者】
【氏名】キンバリー ジョン ビュスト ウォーカー
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド ジョン マクドナルド
【テーマコード(参考)】
3B201
3C034
3C158
【Fターム(参考)】
3B201AA28
3B201AB14
3B201AB33
3B201AB38
3B201AB42
3B201BB01
3B201BB92
3C034AA13
3C034BB72
3C158AA07
3C158AB01
3C158AB04
3C158AB06
3C158CA01
3C158ED05
3C158ED08
3C158ED26
(57)【要約】
木製樽28の内面を研磨剤で洗浄、活性化または処理するための装置10および方法であって、装置10は、樽28を締め付けるための少なくとも1つのクランプ21~24を含む締め付け構造を備える。クランプ21~24は、樽28をその軸線を中心に回転させるように回転可能であり、締め付け構造は、回転中に樽28の軸線を少なくとも約20°、好ましくは25~40%、水平面のいずれかの側に傾けるように動作可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木製樽の内面を研磨剤で洗浄、活性化または処理するための装置であって、前記装置が、前記樽を締め付けるための少なくとも1つのクランプを含む締め付け構造であって、前記クランプが前記樽を前記樽の軸線を中心に回転させるように回転可能であり、前記締め付け構造が、回転中に前記樽の前記軸線を少なくとも約20°、好ましくは25~40%、水平面のいずれかの側に傾けるように動作可能である、締め付け構造を備える、装置。
【請求項2】
前記クランプが、前記樽の対向する端部間で前記樽の外面を締め付けるように動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記締め付け構造が、2つ以上の異なる位置で前記樽の前記外面を締め付ける複数のクランプを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記締め付け構造が、前記樽の各端部を締め付けるための一対のクランプを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記クランプが、前記樽の前記端部に対して締め付けるように動作可能である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記締め付け構造が、前記樽の前記端部と締め付け接触するための締め付け面を有する一対のクランプを含み、前記締め付け面が、前記樽の前記端部に対して押圧され、または押されたときに弾性的に圧縮する弾性ポリマー材料を含む、請求項4または5に記載の装置。
【請求項7】
前記ポリマー材料が、前記クランプの全面にわたって、または前記クランプの一部にわたって塗布されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記クランプが、前記ポリマー材料が付着する裏当て部材または裏板を有する、請求項36または7に記載の装置。
【請求項9】
前記クランプが円形であり、前記クランプの縁部または外周における前記クランプの外径が、前記樽の前記端部のチャイムの直径よりも大きい、請求項4から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記クランプが、各クランプの背後から延在し、少なくとも1つが回転するように駆動されるシャフトを有する、請求項4から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記クランプの一方または両方が自在継手によって駆動装置に取り付けられている、請求項4から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記被駆動クランプが、電動式駆動装置または油圧式駆動装置によって駆動される、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記一対のクランプの他方が、前記樽の回転時に軸受内で自由に回転することができる、請求項10または11に記載の装置。
【請求項14】
前記一対のクランプの一方が、後退位置および伸長位置を有し、前記後退位置では、前記クランプが樽の端部との係合から離間しており、前記伸長位置では、前記クランプが樽の前記端部に係合する、請求項4から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記一対のクランプが、後退位置および伸長位置を有し、前記後退位置では、前記クランプが樽の対向する端部との係合から離間しており、前記伸長位置では、前記クランプが樽の前記端部に係合する、請求項4から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
1つまたは複数の前記クランプの移動が前記樽の前記軸線にほぼ沿ったものである、請求項13または14に記載の装置。
【請求項17】
前記装置が、前記締め付け構造によって締め付けられる前に樽を支持するための樽支持ローラを含み、前記ローラが前記樽の軸方向の移動を許容する、請求項1から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記樽が、前記締め付け構造によって締め付けられる前に樽ラック上に支持されている、請求項1から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
一対の樽が樽ラック上に並んで支持され、前記締め付け構造が、各樽を締め付けるための少なくとも1つのクランプを含み、各クランプが前記樽を前記樽の軸線を中心に回転させるように回転可能であり、前記締め付け構造が、回転中に各樽の前記軸線を少なくとも約20°、好ましくは25~40%、水平面のいずれかの側に傾けるように動作可能である、請求項1から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記装置が、1つまたは複数の前記樽を前記樽ラック内の前記支持位置から持ち上げる持上げ設備を含み、これにより、前記1つまたは複数の樽が、締め付け前に前記樽ラック上の前記支持位置の上方に持ち上げられる、請求項17または18に記載の装置。
【請求項21】
前記持上げ設備が、前記樽の底部または下部に係合するためのローラを含み、前記ローラが、前記樽が軸方向に移動することを許容する、請求項19に記載の装置。
【請求項22】
1つまたは複数の前記クランプが、クランプ支持構造体内に支持されており、前記クランプ支持構造体が、前記1つまたは複数のクランプを樽の上方または下方から前記樽に対して締め付け位置に位置決めするために移動することができるように垂直方向に移動可能である、請求項1から20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記クランプ支持構造体が、正方形または長方形のフレームを含み、一対のクランプが、互いに対向し、前記フレーム内で伸縮するように前記フレームの対向する端部に取り付けられている、請求項21に記載の装置。
【請求項24】
前記クランプ支持構造体が油圧ストラットによって昇降される、請求項21または22に記載の装置。
【請求項25】
前記クランプ支持構造体の前記フレームが、前記構造体内に締め付けられた前記1つまたは複数の樽の前記軸線に対して横方向に、好ましくは直交する方向に延びる軸線を中心として回転可能であり、前記フレームが、前記クランプ支持構造体内に締め付けられた前記1つまたは複数の樽を傾けるように前記回転軸線を中心に駆動可能である、請求項21から23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
樽の栓口を通して前記樽に研磨剤を挿入することができる装填ステーションをさらに含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記装填ステーションが、樽ラック上に取り付けられた樽、または樽ラック上に並べて取り付けられた一対の樽を受けるように構成されている、請求項25に記載の装置。
【請求項28】
前記装填ステーションが、前記樽に液体/研磨剤混合物が供給されるように、前記樽に前記研磨剤が供給される前に前記研磨剤に液体を添加するための液体供給部を含む、請求項26に記載の装置。
【請求項29】
前記樽内からの、前記樽の内部に施された前記研磨剤および液体、ならびに前記樽の前記内面から除去された破片の排出を助けるために前記樽に液体を導入するための排出または洗い流しステーションを形成する洗い流しステーションをさらに含む、請求項1から27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記洗い流しステーションが、前記栓口を覆って、または前記栓口に近接して前記樽に取り付け可能なブラケットまたはマニホールドを含み、前記洗い流しブラケットまたはマニホールドが、低圧および/または高圧フラッシング液の供給源に接続されており、前記フラッシング液を前記樽内に向けることができる、請求項28に記載の装置。
【請求項31】
前記洗い流しステーションが、研磨剤および破片の前記栓口に向かう移動を助長するために、樽が緩やかに揺動または振動されることを許容するように前記樽を支持する支持体を含む、請求項28または29に記載の装置。
【請求項32】
前記支持体が、1つまたは複数の樽を支持することができ、1つまたは複数の前記樽を前後に揺動させるために前後に揺動させることができる足部を含む、請求項30に記載の装置。
【請求項33】
前記足部が、前記栓口を、研磨剤および液体を前記樽の前記内部に施すことができる上向き位置から、前記研磨剤および液体を前記樽の前記内部から排出することができる下向き位置に回転させるように前記樽が回転されることを許容するローラである、請求項31に記載の装置。
【請求項34】
前記装填ステーションと前記洗い流しステーションとが同じ位置にある、請求項28から32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】
前記締め付け構造と前記装填ステーションおよび前記洗い流しステーションとが同じ位置にある、請求項33に記載の装置。
【請求項36】
木製樽の内面を研磨剤で洗浄、活性化または処理する方法であって、前記方法が、
a.木製樽に研磨剤を挿入することと、
b.前記樽の各端部をクランプで締め付けることと、
c.前記クランプを回転させて前記樽を前記樽の軸線を中心に回転させることと、
d.回転中に前記樽の前記軸線を少なくとも約20°、好ましくは25~40%、水平面のいずれかの側に傾けることと
を含む、方法。
【請求項37】
前記研磨剤が前記樽の栓口を通して前記木製樽に挿入され、前記樽の各端部を締め付ける前に前記栓口を閉じる、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
研磨剤/液体スラリーを形成するために前記樽に前記研磨剤と共に液体が挿入される、請求項35または36に記載の方法。
【請求項39】
前記樽が、第1の期間にわたって略水平な軸線で回転され、次いで、水平面の一方の側に第1の方向に傾けられ、第2の期間にわたって傾けられた位置で回転され、次いで、水平面の他方または反対の側に第2の方向に傾けられ、第3の期間にわたって傾けられた位置で回転され、次いで、略水平な軸線に戻される、請求項35から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記樽の前記回転が完了すると、前記栓口から前記栓を取り外し、前記栓口を通って前記樽から前記研磨剤および液体が出ることを許容することを含む、請求項35から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記方法が、前記樽にフラッシング液を注入して、前記栓口を通して前記樽内の研磨剤および破片を洗い流すことを含む、請求項35から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記フラッシング液が高温または低温の低圧水または高圧水である、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記方法が、前記研磨剤および液体が前記栓口を通って前記樽から出るときに前記樽を揺動または振動させることを含む、請求項35から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
木製樽の内面を活性化または処理するための方法または装置に使用するための研磨剤であって、前記研磨剤が、一般に約1mm~8mm、より好ましくは2mm~5mmの粒径範囲の粒状ガーネットまたはガーネット砂利を含む、研磨剤。
【請求項45】
前記研磨剤が、ワインのpHに関して不活性であり、硬くて鋭利である、請求項43に記載の研磨剤。
【請求項46】
前記研磨剤が、約2100kg/m3±3%のかさ密度、4.0±3%の比重、亜円形状から亜角形状の粒形を有する粒状ガーネットまたはガーネット砂利を含む、請求項44に記載の研磨剤。
【請求項47】
前記研磨剤が、最小98%のガーネット、最大2%の長石および石英、ならびに最大0.25%の黒雲母その他の鉱物組成を含む、請求項44または45に記載の研磨剤。
【請求項48】
研磨剤が、前記研磨剤が樽内にあり、前記樽が回転しているときにバラストとして作用する追加の材料または媒体を含む、請求項43から46のいずれか一項に記載の研磨剤。
【請求項49】
前記追加の材料が、前記粒状ガーネットまたはガーネット砂利に対してより大きい粒径のものである、請求項47に記載の研磨剤。
【請求項50】
前記追加の材料が、典型的には球形または三角形の、不活性の石または特注のセラミック粒子である、請求項43から48のいずれか一項に記載の研磨剤。
【請求項51】
請求項1から34のいずれか一項に記載の装置または請求項35から42のいずれか一項に記載の方法に使用するための、請求項43から49のいずれか一項に記載の研磨剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年11月3日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2021903510号の優先権を主張し、その内容はこの参照により本明細書に組み込まれると考えられる。
【0002】
本発明は、木製樽の内面を処理または活性化するための方法および装置に関し、本発明は、主に、瓶詰めの前にワインまたは蒸留酒を発酵および熟成させるためにワインおよび蒸留酒産業で使用される木製樽との関連で開発された。本発明をその特定の用途に関連して説明することは好都合であるが、本発明はワイン/蒸留酒樽に限定されず、よって、本発明は、内面の活性化を必要とする任意の木製樽に適用できることが想定されることを理解されるべきである。
【背景技術】
【0003】
以下の本発明の背景の考察は、本発明の理解を容易にすることを意図されている。しかしながら、この考察は、考察の任意の態様が本出願の優先日における共通の一般知識の一部であったことの認知または承認ではないことを理解されたい。
【0004】
木製樽は、アルコール産業において、発酵、熟成、および様々な異なるアルコール飲料の味を変えるために使用される。これらの種類の樽は、キャスクとしても知られているので、本明細書での樽への言及はキャスクも包含する。様々な種類のワインは、一部のウイスキー、ブランデー、ラム、テキーラ、およびその他の様々なものと同様に、木製樽で時間を経過することが非常に一般的である。異なる種類のアルコールに使用される木材の種類は、液体アルコールと樽の内面との間の接触によって、樽内の液体アルコールに付与または付加されることが意図される香味または特性(色を含む)に応じて様々であり得る。アメリカンオークおよびフレンチオークは、一般的な樽材であり、各々アルコール製品に異なる香味または特性を付与または付加する。
【0005】
ワインおよび他の液体アルコールは、付与されるべき香味または特性に応じて樽内で異なる時間を経過することができる。また、再使用されている樽と比較して、新しい樽では、より高いまたはより濃縮された香味および特性が得られる傾向がある。しかしながら、ほとんどの生産者にとって、新しい樽だけを使用することは金銭的に法外に高くつくので、樽は再使用され、通常はより低コストで製品が再使用の樽で時間を経過する。ワイン産業の最高級レベルで使用される典型的な樽は、木材がワイン製品に必要な付与または付加を行わなくなるまで約5年の寿命を有する。この経時的な有用性の低下は、典型的には樽の内面にわたって堆積するワインからの酒石酸塩によって形成される、内張りまたは被覆の蓄積の結果として少なくとも部分的に生じ、これにより、ワインによる樽の内面へのアクセスまたは樽の内面との接触が失われる。内張りまたは被覆の蓄積が漸進的であるため、内張りまたは被覆が樽の内面全体にわたって十分に完了して、アクセスまたは接触がまだ利用可能であってもなお、必要な香味および特性を付与または付加するには不十分になるまで、このアクセスまたは接触の喪失に耐えることができる。その段階で、樽は廃棄される。
【0006】
樽の内面に蓄積した内張りまたは被覆を除去することにより、樽を継続使用のために復元することができる。内張りまたは被覆を除去することにより、後で樽内に貯蔵される液体と接触させるために樽の木材内面を再露出させることができる。よって、樽の耐用寿命を延ばすことができる。ワインまたは蒸留酒の樽の内面を復元するための現在利用可能な技術があり、これらは、内面に適用される蒸気および/または高圧水の組合せの使用を含む。しかしながら、これらの技術は、樽の木材内面を再露出させるのに特に効果的というものではなく、したがって樽の耐用寿命を大幅に延長するものではない。
【0007】
代替技術は、内面を削ることができるように内面にアクセスするために樽を解体することを含み得るが、樽を解体して適切に再組み立てする労力およびコストは、これらの技術が比較的高くつき、樽の完全性に関する問題をもたらす可能性があることを意味する。
【0008】
蒸留酒産業では、樽(より典型的にはキャスクとして知られている)は、ウイスキーなどの蒸留酒の熟成に使用される。これらの樽の内面は通常、ウイスキーに特性を付加する目的で炭化され、炭化された内面は、継続使用のための使用期間後に活性化される必要がある。これらの樽の場合、樽は部分的に分解され(対向する端部または鏡板が取り外され)、キャスクが再炭化および再組み立てされる前に機械的方法を使用して内面の上部木材層が除去される。
【0009】
ワインおよび蒸留酒産業で使用される木製樽が比較的短命であることの結果として、製造業者は一般に、消費者に転嫁されなければならないかなりのコストで毎年新しい樽を購入する。コストに加えて、新しい樽の世界規模の生産にはかなりの木材資源が必要であり、必要な木材量の削減は明らかな環境上の利益につながる。オーストラリアだけでも、ワイン製造業者は、年間平均で樽在庫の10%~20%を廃棄すると推定され、現在、約2600のオーストラリアのワイン製造業者が存在する。
【0010】
本出願人名義のオーストラリア特許第2018274885号明細書は、内張りまたは被覆の蓄積を除去することによってワイン樽の内面を復元する目的で、樽の内面をその場で研削する方法および研削工程を行うための装置を開示している。特許第2018274885号明細書に開示されている方法は、ある量の切削グリットを樽に挿入し、次いで樽を回転および旋回させて、樽のすべての内面が切削グリットによって確実に研削されるようにすることを含む。特許第2018274885号明細書の装置は、装置内の所定の位置に持ち上げられ、研削工程が完了すると装置から持ち上げられる単一の樽を受け入れる。装置は、樽を回転ローラ上に支持することによって樽をその軸線を中心に回転させ、樽の各端部におけるローラ点接触を使用して樽を軸方向に移動しないように締め付ける。点接触締め付けは、樽が任意の傾斜角で回転しているときに樽を所定の位置に保持することができるために必要であるが、この締め付けは樽が回転するのを妨げない。旋回のために、装置は外側フレームおよび内側フレームを有し、内側フレームは外側フレームに対して旋回可能であり、樽は内側フレーム上に支持される。
【0011】
特許第2018274885号明細書の装置および方法は、蓄積された内張りまたは被覆を除去し、内面の木材を再露出させるように内面を研削するために樽の内面を処理することに成功している。しかしながら、特許第2018274885号明細書の装置および方法は、処理される樽の高度な手作業による扱いに限界を有する。さらに、樽上の外部固定具(帯鉄、リベット)の寸法差などの樽の寸法変動を考慮すると、樽がその上で回転される外部ローラの使用は、摩耗および信頼性の問題をもたらす。
【0012】
本発明は、木製樽の内面が復元され、活性化され、または改修されることを可能にする、特に、樽内の液体製品による内面へのアクセスを妨げる内面を覆うあらゆる蓄積、内張りまたは被覆の全部または大部分を除去することを可能にする解決策に利益があるという理解の下に開発された。本発明は、この理解に基づいて改良された方法および装置を提供するために開発された。
【発明の概要】
【0013】
本発明によれば、木製樽の内面を研磨剤で洗浄、活性化または処理する方法が提供され、当該方法は、
1.木製樽に研磨剤を挿入することと、
2.樽をクランプで締め付けることと、
3.クランプを回転させて樽をその軸線を中心に回転させることと、
4.回転中に樽の軸線を少なくとも約20°、好ましくは25~40%、水平面のいずれかの側に傾けることと
を含む。
【0014】
本発明の方法は、有利には、樽を解体することなく動作する。
【0015】
本発明の方法は、樽の「栓」口を通して樽に研磨剤を挿入し、樽を回転させて傾ける前に栓口を閉じることを含むことができる。研磨剤を挿入するための栓口の使用は、研磨剤の通過のために別個の開口部が形成される必要がないことを意味するので有利である。明らかに、樽は水密であることを意図されているので、新しい開口部を作成すると、樽が再使用に利用可能になった後で適切な封止が必要になるが、栓口の使用は、樽の使用中に数年間所定の位置にあり、その水密能力が既に証明されているはずの栓を利用する。
【0016】
本発明によれば、木製樽の内面を研磨剤で洗浄、活性化または処理するための装置も提供され、装置は、樽を締め付けるための少なくとも1つのクランプを含む締め付け構造を備え、クランプは、樽をその軸線を中心に回転させるように回転可能である。締め付け構造は、回転中に樽の軸線を少なくとも約20°、好ましくは25~40%、水平面のいずれかの側に傾けるように動作可能である。
【0017】
樽の平坦な各端部は「鏡板」として知られることが多いが、本明細書全体を通して「端部」という用語が使用される。樽の端部は平坦で円形であり、対向する樽端部の間に延在する側板の端部内に嵌合する。側板は、端部を越えてわずかに延在し、よって、別名「チャイム」として知られる直立した外周リップを形成し、この用語は、本明細書において樽のこの部分を説明するために後で使用される。しかしながら、樽の端部に対してチャイムが近接しているために、本明細書において樽の1つまたは複数の端部を締め付けることに言及される場合、これは、樽の1つもしくは複数の平坦な端部の締め付け、または樽の1つもしくは複数のチャイムの締め付け、または樽の1つもしくは複数の端部と1つもしくは複数のチャイム両方の締め付けを包含することを意図されている。
【0018】
締め付け構造のクランプは、樽の任意の部分を締め付けることができる。本発明のいくつかの形態では、クランプは、樽の対向する端部間で樽の外面を締め付ける。締め付け構造は、2つ以上の軸方向に離間した位置とすることができる2つ以上の異なる位置で樽の外面を締め付ける複数のクランプを含むことができる。締め付け構造は、例えば、樽の対向する端部の内側に等間隔になど、樽の両端部から等間隔に配置された2つの位置で樽の外面を締め付けることができる。本発明の他の形態では、締め付け構造は、樽の端部または鏡板に対して、または樽の対向するチャイムに対してなど、樽の各端部を締め付ける。
【0019】
締め付け構造は、樽を締め付けるための単一のクランプを有することができる。あるいは、締め付け構造は、樽を締め付けるための2つ以上のクランプを有することもできる。本発明のいくつかの形態では、締め付け構造は、樽の対向する端部に、または樽の対向する端部に隣接して樽に係合するように離間して配置され、樽の外面を締め付けるか、または樽の対向するチャイムもしくは鏡板もしくは端部を締め付ける一対のクランプを含む。
【0020】
本発明のいくつかの形態では、本発明の装置は、
a.樽を受けるための処理ステーションであって、
b.当該ステーションが、1つまたは複数のクランプで樽の外面または樽の各端部など、樽を締め付けるための締め付け構造を有し、
c.当該ステーションが、1つまたは複数のクランプを回転させて、樽をその軸線を中心に回転させ、回転中に樽の軸線を少なくとも約20°、好ましくは25~40%、水平面のいずれかの側に傾けるように動作可能である、処理ステーションを有する。
【0021】
本発明の装置はまた、有利には、樽を解体することなく動作する。
【0022】
本発明の方法および装置は、1つまたは複数のクランプを使用して、洗浄、処理、または活性化される樽を回転させる。1つまたは複数のクランプは、樽の各端部など、樽に係合し、1つまたは複数のクランプは、樽をその軸線を中心に回転させるように回転可能であり、軸線は、対向する樽端部を通って延びる軸線であり、通常は長手方向軸である。1つまたは複数のクランプが樽を締め付けると、樽を他の構成要素と接触することなく回転させることができる。すなわち、樽との唯一の係合は、1つまたは複数のクランプによるものとすることができる。これは、樽が各端部で締め付けられ、回転ローラ上で回転されるため、樽端部だけでなく樽の側面にも接触点が必要とされる、特許第2018274885号明細書の構成とは異なる。特許第2018274885号明細書では、クランプは回転されない。クランプの機能は、樽がローラ上で回転されているときに樽を位置決めすることである。特許第2018274885号明細書の好ましい実施形態では、4つの回転ローラが樽の側面に対して転動するために使用され、2つの締め付けローラが樽の対向する端部を締め付け、よって6つのローラ接触点が生じる。これは、好ましい実施形態において、接触が樽の各端部でのみ行われるので、2つの接触点または線または領域のみが必要とされる本発明とは対照的である。
【0023】
樽は、樽がほぼその長手方向軸を中心に回転するように締め付けられるが、精密な、または正確な軸方向回転は必須ではない。したがって、樽が回転されているときの少量の同心度のずれまたは回転のぐらつきに対応することができる。
【0024】
本発明の装置のプロトタイプにおいて、締め付け構造は、樽端部に係合する一対のクランプを含む。係合は、任意の適切な方法によるものとすることができる。例えば、クランプは、例えばクランプが実質的にすべての樽端部に、または樽端部の中央の一部分のみに係合するように、樽端部の略中央で樽端部に係合することができる。しかしながら、本発明の装置のプロトタイプにおいては、クランプは、各樽端部のチャイムに係合し、チャイムの内側の樽の端部には係合しない。樽端部のチャイムに係合する利点は、側板の湾曲した柱構造および側板の周りに延在する金属の帯鉄支持体、特にチャイムの周りに延在する止め輪を考慮すると、チャイムを形成する側板が、平坦な樽端部よりも締め付け荷重に反応するのにより適していることである。
【0025】
よって、クランプは、チャイムの内面など、チャイムとの係合によって正しい締め付け位置に誘導することができる。実際、典型的なチャイムは、クランプがそれに対して摺動して、クランプを実質的に樽端部の中心に配置するか、または樽端部に対して中心に配置することができる傾斜した、またはテーパ状の内面を有する。やはり、精密な、または正確なセンタリングは必要とされない。
【0026】
クランプは、樽端部、好ましくは前述のようなチャイムとの締め付け接触のための締め付け面を有する。締め付け面は、任意の適切な材料のものとすることができる。適切なポリマー材料で締め付け面を形成することができる。ポリマー材料は、樽端部に対して押圧され、または押されたときに弾性的に圧縮する弾性材料とすることができる。ポリマー材料は、約90デュロ硬度を有するポリウレタンまたは同等物とすることができる。有利には、クランプがチャイムに係合する本発明の構成において、チャイムはポリマー内に圧縮してクランプとチャイムとの間の接続を強化し、圧縮能力を有しないかまたは付与しない硬い締め付け面と比較して必要な圧力負荷を低減することができる。
【0027】
本発明のいくつかの形態では、クランプは円形であり、クランプの縁部または外周におけるクランプの外径は、チャイムの直径よりも大きいということになる。当然ながら、クランプは、正方形または他の形状とすることができ、それでもなおチャイムまたは端部に係合することができる。締め付け面を形成する任意のポリマー材料は、クランプの全面にわたって塗布することもでき、クランプの一部にわたって塗布することもできる。本発明のいくつかの形態では、クランプの面全体がポリマー材料によって形成されるか、またはポリマー材料によって覆われるのに対して、本発明の他の形態では、クランプの面の一部がポリマー材料によって形成されるか、またはポリマー材料によって覆われる。本発明のこの後者の形態では、チャイムに係合するクランプの領域内のクランプに円形リングが施されてもよく、よって、ポリマー材料の使用を、樽との締め付け係合が生じるエリアだけに最小限に抑える。
【0028】
クランプは、ポリマー材料が付着する裏当て部材または裏板を有することができる。裏当て部材または裏板は円形とすることができ、金属板とすることができる。裏当て部材または裏板は、ポリマー材料の周縁を越えて延在することができるので、裏当て部材または裏板は、ポリマー材料よりも大きい直径を有することができる。
【0029】
クランプは、上述した以外の樽端部のチャイムに係合することができる。例えば、クランプは、周縁を越えて延在し、樽端部のチャイムを覆って係合する、例えばクランプの周縁に形成された、突出した当接部を有することができる。当接部は、チャイムと係合するためにクランプから突出するように、クランプの縁部または後部に固定することができる。
【0030】
クランプは、任意の適切な方法で回転させることができる。本発明のいくつかの形態では、クランプの背後からシャフトが延在し、電動式駆動装置や油圧式駆動装置などの適切な駆動装置によって回転するように駆動される。駆動装置は、ベルトもしくはチェーン駆動装置、または歯車もしくはスプロケット駆動装置とすることができる。シャフトは、例えばスタブシャフト、または細長いシャフトとすることができる。必要なのは、クランプを駆動して回転させることだけである。これを達成するクランプの後部構造は重要ではない。
【0031】
樽の対向する端部を締め付ける一対のクランプの一方のクランプのみが駆動されさえすればよい。一対のクランプの他方は、樽の回転時に自由に回転することができる。一対のクランプの他方はまた、クランプの背後から延在するシャフトを有することができるが、そのシャフトは、回転するように駆動されることなく自由に回転するように軸受に捕捉され得る。一対のクランプの一方のクランプのみを駆動することにより、樽の各端部の同期駆動が確立される必要がない。本発明のいくつかの形態では、樽を最初に締め付けるときに、または樽が回転されているときに、クランプまたは各クランプが樽のいかなる位置ずれにも適応することができるように、クランプの一方または両方が自在継手によって駆動装置に取り付けられ得る。自在継手は、クランプと、クランプの背後から延在するシャフトとの間に接続してもよいし、または自在継手は、クランプの背後から延在するシャフトと駆動装置との間に接続してもよい。
【0032】
本発明の他の形態では、樽の各端部の一対のクランプの両方が、樽を回転させるために駆動される。
【0033】
クランプを駆動することにより樽を回転させることができるだけでなく、樽を制動して樽の回転を減速または停止させることもできる。よって、駆動装置は、回転速度を増減させることができる。あるいは、必要に応じて回転速度を減速するために別個のブレーキを設けることもできる。これらは、樽もしくはクランプに、またはクランプから延在するシャフトに作用する摩擦ブレーキとすることができる。
【0034】
クランプは、任意の適切な方法で樽の対向する端部に係合することができる。本発明のいくつかの形態では、一対のクランプの一方または両方が、後退位置および伸長位置を有し、後退位置では、1つまたは複数のクランプは樽の端部との係合から離間しており、伸長位置では、1つまたは複数のクランプは樽の端部に係合する。一対のクランプの一方のみが後退位置と伸長位置との間で移動可能である場合、そのクランプは、樽を押して一対のクランプの他方と締め付け係合させることができる。樽は、締め付け係合中の樽の移動を容易にするために、締め付け前にホイールまたはローラに取り付けることができる。あるいは、一対のクランプの両方のクランプを、後退位置と伸長位置との間で移動可能とすることもでき、樽は、クランプが伸長位置に移動される前に一対のクランプの間に配置することができる。樽は、樽が一対のクランプ間で精密にセンタリングされていない場合、一対のクランプによって係合されるときにわずかに移動され得る。
【0035】
一対のクランプは、クランプ支持構造体内に、クランプを後退位置と伸長位置との間で移動させるために支持することができ、クランプは、クランプ支持構造体に対して移動してもよいし、またはクランプ支持構造体は、一対のクランプと共に移動してもよい。あるいは、クランプ支持構造体は、一対のクランプのうちの第1のクランプを支持するための第1のクランプ支持構造体と、一対のクランプのうちの第2のクランプを支持するための第2のクランプ支持構造体とを備えてもよく、一対のクランプの一方のみが後退位置と伸長位置との間で移動可能である構成では、その移動可能なクランプを支持するクランプ支持構造体のみがそれ自体移動可能である。
【0036】
クランプ支持構造体は、一対のクランプを樽の上方または下方から樽に対して締め付け位置に位置決めするために移動することができるように垂直方向に移動可能であってもよい。本発明のいくつかの形態では、クランプ支持構造体は最初に樽の上方に位置決めされ、樽が締め付け可能な所定の位置にある状態で、クランプ支持構造体は締め付け位置まで下降され、一対のクランプの一方または両方が伸長位置にシフトされて、樽を一対のクランプ間で締め付ける。締め付けられると、クランプ支持構造体は、後で樽を回転させ、傾けるために、締め付けられた樽と共に持ち上げることができる。
【0037】
クランプ支持構造体は、正方形または長方形のフレームを含むことができ、クランプは、互いに対向するように、クランプの一方または両方がフレーム内で伸縮するようにフレームの対向する端部に取り付けられる。
【0038】
クランプは、樽が任意の適切な位置にある状態で樽を締め付けることができる。本発明のいくつかの形態では、樽は、ワイナリーで定期的に使用され、かつ樽の対向する端部間の軸線が略水平である位置で樽を支持する種類の樽ラック上に配置することができる。ラックは、樽の底部または下部を、樽の外周の約20~25%とすることができる円弧の周りで支持する。ラックは、樽の底部または下部を支持するためのクレードルを含むことができる。そのようなラックは、多くの場合、一対の樽を、樽の軸線が略平行な状態で並べて支持する。そのようなラックはまた、積み重ね可能であり、そのため、複数対樽を納屋または倉庫内で樽ラック上に垂直に積み重ねることができる。
【0039】
本発明の上記形態では、装置の処理ステーションは、樽ラック上に取り付けられた樽(または複数の樽)を受けるように構成することができ、締め付け構造は、樽が樽ラックに取り付けられている間に樽の各端部を締め付けることができ、次いで、締め付けられた樽を回転させ、傾けるために樽ラックから持ち上げることができる。あるいは、処理ステーションは、締め付け前に樽ラック内の支持位置から樽を持ち上げるための持上げ設備を含むことができ、これにより、樽は、クランプによって係合されて締め付けられるときに必要とされる樽ラックに対する樽の任意の軸方向移動を容易にする持上げ設備を用いて樽ラック上の支持位置の上方に持ち上げられる。持上げ設備は、例えば、樽の底部もしくは下部に係合するための、または樽と持上げ設備との間の界面に、1つまたは複数のローラを含むことができ、これにより、樽が持上げ設備によって支持から持ち上げられると、1つまたは複数のローラは、樽がクランプによって締め付けられるときに樽が樽ラックに対して移動することを許容する。一対のクランプが1つの軸方向に移動可能なクランプと1つの軸方向に固定されたクランプとを備える場合、これは、移動可能なクランプが樽の一端部に係合し、樽を1つまたは複数のローラに沿って押して固定されたクランプと係合させることを許容する。あるいは、両方のクランプが移動可能であり、かつ樽がクランプ間で完全にセンタリングされていない場合、これは、一方のクランプが最初に樽の一端部に係合し、他方のクランプが樽の他方の端部に係合するまで樽を軸方向に移動させることを許容する。ローラの使用は、樽が樽ラック上で軸方向に摩擦摺動することを強いられないことを意味し、むしろ、ローラは、樽の外面を損傷することなく、樽の軸方向移動を比較的容易にする。
【0040】
締め付けられた樽は、後で回転させ、傾けるために持ち上げることができるが、当然ながら、回転および/または傾きは樽が持ち上げられると開始することができる。持上げは、1つまたは複数の油圧ストラットなどの任意の適切な構成によるものとすることができる。油圧ストラットは、締め付け構造の一対のクランプに、または一対のクランプを支持するクランプ支持構造体に直接取り付けることができる。クランプ支持構造体が使用される場合、樽の傾きは、ストラットを伸縮させることによって達成することができる。すなわち、一対のクランプの一方に取り付けられたストラットを、一対のクランプの他方のクランプに取り付けられたストラットよりも大きいかまたは小さい量だけ持ち上げて樽を傾けることができる。これは、樽が傾けられるときにクランプが樽端部と締め付け接触したままであることを許容するために、クランプとストラットとの間の適切な接続を必要とし、例えば、旋回可能な接続を必要とし得る。いくつかの構成では、一対のクランプの一方のみが伸縮可能なストラットに接続される。そのストラットを伸縮させて、伸縮可能なストラットが接続されているクランプを反対側のクランプに対して持ち上げるか、または下げることによって、樽を必要に応じて水平面のいずれかの側に傾けることができる。
【0041】
あるいは、本発明の装置がクランプ支持構造体を使用する場合、その構造体は、構造体を上げ下げし、よって締め付け構造を上げ下げするストラットに接続されてもよい。本発明のこの形態では、クランプ支持構造体のフレームは、構造体内に締め付けられた樽の軸線に対して横方向に、最も高い可能性としては直交する方向に延びる軸線を中心に回転可能であってもよく、ストラット構成または任意の他の適切な構成を使用して、フレームをその軸線を中心に回転させて、構造体内に締め付けられた樽を傾けることができる。例えば、クランプ支持構造体は、前端部および後端部を有していてもよく、端部の一方に1つまたは複数の垂直ストラットが接続してクランプ支持構造体を昇降させてもよい。さらなるストラットが、フレームの回転軸線の反対側でクランプ支持構造体のフレームに接続するように延在してもよい。このさらなるストラットを作動させて、クランプ支持構造体のフレームを軸線を中心に傾け、よってフレーム内に締め付けられた1つまたは複数の樽を傾けることができる。
【0042】
本発明の上記の形態では、装置の処理ステーションは、1つの、またはより高い可能性としては2つの樽が支持される樽ラックを受けるかまたは収容することができることが理解されよう。1つまたは2つの樽を有する樽ラックを処理ステーションに配置または装填することができ、その後、1つまたは複数の樽を持ち上げ、回転させ、傾けるために1つまたは複数の樽の各端部を締め付けるために締め付け構造を作動させることができる。さらに、本発明による装置は、回転および傾き運動を受けた1つまたは複数の樽を処理ステーションから取り外すために樽ラックに戻すことができる。樽ラックの処理ステーションへの装填および処理ステーションからの取り外しは、フォークリフトによるなど、任意の適切な装置によるものとすることができる。この構成は、装置が例えばワイナリー間を駆動することができるトレーラまたは1つもしくは複数の輸送可能なモジュールとして形成される場合など、可動形態の装置に特に適する。しかしながら、樽はまた、手動式台車によるなど、より手動的な構成によって装置に配送または供給することもできるし、またはコンベヤシステムなど、より自動化された構成を使用することもできる。本発明の方法によって樽を定期的に処理する非常に大規模なワイナリーではコンベヤシステムが使用されてもよいし、またはワイナリーが処理されるべき樽を処理工程のために恒久的にセットアップされた中心的な場所に配送するように、処理サービスがワインエリアに集中されてもよい。
【0043】
本発明の装置は、樽が処理ステーション内で回転され、傾けられたときに研削機能を行うために、樽の栓口などを通して、樽に研磨剤を挿入することができる第2のステーションをさらに含んでもよい。第2のステーションは、栓口を通して研磨剤を樽に挿入または添加することができるように、栓口を上向きにして樽を支持することができる研磨剤装填ステーション(以下、「装填ステーション」)とすることができる。あるいは、研磨剤は、樽の一端部に穿孔された開口部など、樽の異なる開口部を通して添加することもできるが、栓口の使用は、有利には、さらなる開口部を設ける必要がないことを意味する。
【0044】
装填ステーションは、樽ラック上に取り付けられた樽、または樽ラック上に並べて取り付けられるかもしくは支持された一対の樽を受けるように構成することができる。よって、有利には、1つの樽または一対の樽を、フォークリフトによって、ワイナリー内の貯蔵位置から、樽ラック内で装填ステーションまで移動させることができ、そこで栓を樽または各樽の栓口から取り外すことができ、1つまたは複数の樽に研磨剤を添加することができる。研磨剤が添加されると、栓を戻すことができ、樽または一対の樽をフォークリフトによって樽ラック内で装填ステーションから処理ステーションに移動させることができる。有利には、樽は樽ラックから取り外される必要がなく、樽の移動がフォークリフトによって樽ラック内で円滑に行われる。当然ながら、樽または一対の樽の移動は、例えばコンベヤによるなど、フォークリフト以外によるものとすることもでき、一方で、栓の取り外し、研磨剤の添加、および栓の戻しを自動化することもできる。
【0045】
装填ステーションは、樽内に供給することができる研磨剤の供給部を含むことができる。研磨剤は、例えば供給管およびノズルを介して樽の上方からホッパ供給することもできる。オーバーヘッドホッパには、研磨剤を手動で定期的に供給することもできるし、またはホッパの下方の研磨剤供給部から、真空リフトによるなど自動的に供給することもできる。樽の上方から研磨剤を供給することにより、研磨剤を重力で供給することが可能になる。
【0046】
研磨剤は、スラリーとしての研磨剤の移動を容易にするために液体、例えば水と混合されてもよい。その混合は、研磨剤だけではなく液体/研磨剤混合物が樽に供給されるように、研磨剤が樽に供給される前に行われてもよい。混合は、ホッパ内で行われてもよい。液体は水とすることができ、水は温水とすることができる。
【0047】
あるいは、研磨剤および液体は、樽内に別々に供給され、樽内に入るとスラリーを形成するなど、樽内で混合されてもよい。
【0048】
よって、装填ステーションは、研磨剤の供給部と、液体、水、通常および好ましくは加熱水の供給源とを含むことができ、これらはどちらも、樽に入る前に組み合わされ、もしくは混合されるか、または樽に別々に挿入もしくは添加された後で組み合わされ、もしくは混合される。混合は、樽が回転されるときに樽内の研磨剤と液体とが互いに混合されるように樽が処理ステーションで処理されるまで適切に行われない場合がある。実際、研磨剤と液体とは、通常スラリーとみなされるものを形成しない場合がある。むしろ、研磨剤と液体とは、樽が静止しているとき、すなわち回転しても傾いてもいないときには液体内の研磨剤沈殿物と単に組み合わさっており、樽が回転されるか、または傾けられているときには液体と共にまたは液体内で移動し得る。液体の使用は、樽の内面に対する研磨剤の研削効果を高めるためだけのものであってもよい。
【0049】
装填ステーションは、樽の内部に施される研磨剤および液体の量を設定するように自動化し、または制御可能とすることができる。装填ステーションを操作する人員は、適切な制御によって施されるべき研磨剤および液体の量を設定することができてもよく、異なる量は、樽の内面が研削される必要がある程度に基づくものであってもよく、これは、研削処理前の樽の耐用年数に、または樽が貯蔵に使用されたワインの種類およびそれによる樽の内面に蓄積したかもしれない可能性が高い酒石酸塩のレベルに基づくものであってもよい。研磨剤および液体の量はまた、研磨剤のグレードおよび樽が回転される時間および回転速度にも依存し得る。さらに、研磨剤および液体の量はまた、樽が形成されている木材の種類またはグレードにも依存し得る。明らかに、樽の内部に施される研磨剤および液体の量に影響を及ぼす様々な要因が存在する可能性があり、時間の経過と共に、特定の種類の樽に対して適切な結果を達成する研磨剤の最適なグレードならびに研磨剤および液体の量に関する専門知識が得られる。
【0050】
本発明の装置は、樽が処理ステーションで回転され、傾けられる前に樽の内部に施された研磨剤および液体を樽からの排出または除去するための、ならびに樽の内面から追い出されるか、または除去された破片、通常は、内面から研削された酒石酸塩および木材の削り屑や粒子を排出または除去する、排出または洗い流しステーションを形成する第3のステーションをさらに含む。第3のステーション(以下、「洗い流しステーション」)は、栓口が取り外されると栓口を通して排出を行うことができるように、栓口を下向きにして樽を支持することができる。洗い流しステーションは、樽からの排出物を収集するための区画または排水だめを有することができ、この区画または排水だめは、研磨剤を液体および他の破片から分離するように動作可能とすることができ、これにより、適切であれば、研磨剤を再使用することができる。
【0051】
洗い流しステーションは、樽の内部に施された研磨剤および液体、ならびに樽の内面から除去された破片の排出を助けるためのフラッシング液を含むことができる。フラッシング液は、例えば、高温または低温の低圧水または高圧水とすることができる。樽は、例えば、低圧水や、高圧水や、低圧と後に続く高圧によって洗い流すことができる。よって、洗い流しステーションは、樽の内部への低圧および/または高圧吐出のための供給源を含むことができる。フラッシング液は、研磨剤および破片が栓口に移動するのを助けることができ、内面の割れ目などで、樽の内面に付着した研磨剤または破片を追い出して除去するのを助けることができる。フラッシング液はまた、樽の内面を洗浄するための洗浄液であってもよいし、または別個の洗浄液を使用することもできる。洗浄液もまた、低圧または高圧下で樽の内部に施すことができる。
【0052】
フラッシング液は、樽の内部に手動で導入、注入、または吐出することができ、操作員は、所定の期間にわたって、例えば、栓口を通して樽から排出されている液体が、すべての研磨剤および破片が除去されたこと、すなわち、樽から排出されている液体が透明または清浄であることが示されるまで、樽の内面全体に液体を向ける。あるいは、洗い流しは、栓口を覆うか、または栓口に近接して樽に取り付けられているブラケットまたはマニホールドを用いて自動化することもでき、洗い流しブラケットまたはマニホールドは、低圧および/または高圧フラッシング液の供給源に接続されており、フラッシング液を樽の内面全体にわたって向けることができる。
【0053】
本発明のいくつかの形態では、ブラケットまたはマニホールドは、栓口を覆うか、または栓口に近接して樽に取り付けられるが、栓口を少なくとも部分的に開いたままにして、栓口を通って研磨剤、液体、および破片を樽から逃がすか、または排出することを許容する。この点において、典型的なワイン樽の栓口は、約40mm(一部は50mmであるが)の直径を有し、本発明のいくつかの形態では、洗い流しブラケットまたはマニホールドは、樽の内部にフラッシング液を送るために栓口を通って延在する中空シャフトまたは管を含み、中空シャフトまたは管は、約20mmの外径を有し、これにより、栓口の内縁部とシャフトまたは管の対向する外面との間に、栓口を通して研磨剤、液体、および破片を樽から逃がすか、または排出するための深さ約10mmの間隙またはリングが残る。
【0054】
洗い流しステーションで使用されるフラッシング液に関連して上記で栓口に言及したのは、現時点において、樽内へのフラッシング液の導入のための栓口の使用が、フラッシング液の最も適切な進入場所であると共に、研磨剤、液体、および破片のための樽内からの最も適切な排出場所であると考えられるからであることを理解されたい。しかしながら、将来的には、フラッシング液の導入と研磨剤、液体および破片の排出とのために代替の開口部が使用されること、およびこれらの活動に異なる開口部が使用されることも考えられることを理解されたい。または、これらの活動のうちの1つに栓口が使用され得ること、およびこれらの活動のうちの他方に異なる開口部が使用され得ることも考えられる。
【0055】
樽からの排出、特に研磨剤および破片の排出を助けるために、洗い流しステーションはまた、研磨剤および破片の栓口に向かう移動を助長するために、樽が緩やかに揺動または振動されることを許容するように樽を支持することもできる。本発明のいくつかの形態では、洗い流しステーションは、樽を前後に同様に揺動させるために前後に揺動させることができる足部上に樽を支持することができる。本発明のいくつかの形態では、足部は、ローラとすることができる。当該ローラは、樽が洗い流しステーション内に配置されたときに、樽をローラ上に支持し、ローラ上で回転させて、栓口を、研磨剤および液体を樽の内部に施すことができる上向き位置から、研磨剤および液体を樽の内部から排出することができる下向き位置に回転させることができる。ローラは、樽がその軸線に沿ってではなく、その軸線を中心に回転することを許容することができる。
【0056】
足部は、樽が洗い流しステーションに装填されると、上昇されて樽の下面と係合してもよいし、または樽を洗い流しステーションに装填することにより、樽の下面が足部と係合してもよい。本発明の装置の処理ステーション、装填ステーションおよび洗い流しステーションにおいて樽が樽ラック内で支持される本発明の実施形態では、樽ラックは洗い流しステーション内に配置され、樽ラックが洗い流しステーション内に配置されるとともに足部が樽の下面に係合して支持するときに、足部が樽を樽ラックとの係合から持ち上げて外すことができる。足部がローラである場合、樽がローラ上に支持されると、栓を取り外すことができ、樽を手動または自動で約180°回転させて、栓口を下向きの排出位置に位置決めすることができる。その排出位置になり、かつ栓が取り外されると、液体、およびおそらくは一部の研磨剤および破片が、栓口から流出し始める。しかしながら、上記考察から明らかなように、すべての研磨剤、液体、および破片が必ずしも樽から流出することにはならないので、樽の緩やかな揺動または振動により、栓口に向かい栓口から出る研磨剤および破片の移動を助長することができる。樽の内部への低圧および/または高圧のフラッシング液体の施用を、樽を揺動または振動させて行うこともできる。
【0057】
第2のステーションまたは装填ステーションは、第3のステーションまたは洗い流しステーションとは別個であるとして上述されているが、研磨剤、液体および破片が樽から除去されるのと同じステーションで研磨剤および液体を樽の内部に施すことができるように、装填ステーションと洗い流しステーションとを同じステーションとすることができることを理解されたい。ゆえに、装填ステーションおよび洗い流しステーションは、結合された装填および洗い流しステーションを形成することができる。上記の考察から明らかなように、そのような結合された装填および洗い流しステーションは、樽への研磨剤の装填のために栓口を上向きにし、後で樽から研磨剤、液体および破片を排出するために栓口を下向きにするために樽を回転させることができるように、樽をローラ上に支持することができる。
【0058】
また、処理ステーションも、樽が回転され傾けられるのと同じステーションで、かつ研磨剤、液体および破片が樽から除去されるのと同じステーションで、研磨剤および液体を樽の内部に施すことができるように、装填ステーションおよび洗い流しステーションと結合することができる。簡単に言えば、ステーションのうちの1つまたは複数を結合することができる。
【0059】
したがって、本発明の方法は、樽を装填ステーションに配置することと、樽の栓口などの樽の開口部を通して木製樽に研磨剤を挿入することと、開口部を閉じることと、樽を処理ステーションに移動させることと、そのステーションにおいて、
・樽の各端部をクランプで締め付けることと、
・クランプを回転させて樽をその軸線を中心に回転させることと、
・回転中に樽の軸線を少なくとも約20°、好ましくは25~40%、水平面のいずれかの側に傾けることと
を含むことができる。
【0060】
したがって、本発明の方法は、樽が回転され、傾けられた後に、樽を洗い流しステーションに移動させ、そのステーションにおいて、
・フラッシング液が樽の内面全体にわたって流れるように樽の内部にフラッシング液を導入することと、
・樽の栓口などの樽の吐出開口部が下を向くように樽を向けることと、
・フラッシング液の吐出開口部からの流出を許容することと
をさらに含むことができる。
【0061】
したがって、本発明の方法は、フラッシング液が樽の内部にあるとき、および/またはフラッシング液が樽から排出されている間に、樽を揺動または振動させることをさらに含むことができる。
【0062】
上述した本発明の多くの特徴は装置の特徴として説明されているが、これらの特徴は同様に方法の特徴とすることもできるので、前述の考察は、本発明の装置または本発明の方法のいずれにも等しく適用されると理解されるべきであることが理解されよう。
【0063】
本発明はまた、木製樽の内面を活性化または処理するための方法または装置に使用するための研磨剤であって、一般に約1mm~8mm、より好ましくは2mm~5mmの粒径範囲の粒状ガーネットまたはガーネット砂利の形態の切削媒体を含む、研磨剤も提供する。この粒状ガーネットは、本明細書で記載され特許請求される方法または装置において使用することができる。
【0064】
研磨剤は、研磨剤が樽内にあり、樽が回転しているときにバラストとして作用する追加の材料または媒体を含んでもよい。本発明のいくつかの形態では、この追加の材料は、上述の切削媒体に対してより大きな粒径のものとすることができ、樽の内面を処理/研削する工程を強化または加速するために切断媒体に下向きの力を与える。この追加の材料は、典型的には球形または三角形の別の不活性の石または特注のセラミック粒子であってもよい。
【0065】
粒状ガーネットは、ワインのpHに対して不活性であるべきであり、好ましくは硬くて鋭利であるべきである。適切な品質には、約2100kg/m3±3%のかさ密度、4.0±3%の比重、亜円形状から亜角形状の粒形が含まれる。鉱物組成は、最小98%のガーネット、最大2%の長石および石英、ならびに最大0.25%の黒雲母その他とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
本発明をより完全に理解され得るように、図を参照して次にいくつかの実施形態を説明する。
【0067】
図1】木製ワイン樽の内面を洗浄、活性化、または処理するための本発明の一実施形態によるトレーラの側面図である。
【0068】
図2図1のトレーラの装填および洗い流しステーションの側面図である。
【0069】
図3図1のトレーラの装填および洗い流しステーションの端面図である。
【0070】
図4図1のトレーラの処理ステーション内の1つの樽を示す側面図である。
【0071】
図5図1のトレーラの平面図である。
【0072】
図6図1のトレーラの処理ステーションに装填され、その後持ち上げられ、回転され、傾けられた樽を示す。
図7図1のトレーラの処理ステーションに装填され、その後持ち上げられ、回転され、傾けられた樽を示す。
図8図1のトレーラの処理ステーションに装填され、その後持ち上げられ、回転され、傾けられた樽を示す。
図9図1のトレーラの処理ステーションに装填され、その後持ち上げられ、回転され、傾けられた樽を示す。
図10図1のトレーラの処理ステーションに装填され、その後持ち上げられ、回転され、傾けられた樽を示す。
【0073】
図11】揺動されている図1のトレーラの装填および洗い流しステーションの樽を示す。
【0074】
図12】木製ワイン樽の内面を活性化または処理するための本発明の代替の実施形態による処理設備の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図1は、木製ワイン樽の内面を洗浄、活性化、または処理するための本発明による装置を含むように組み立てられたトレーラの側面図である。トレーラ10はシャーシ11を含み、シャーシ11は、前端部にあるジョッキーホイール12と、シャーシ11に沿った途中にあるホイール13と、予備ホイール14と、ガスシリンダ15とを有する。走行目的のためにトレーラ10は開閉可能なヒンジ付きドアまたはローラドアで完全に囲まれるけれども、トレーラ10は開いた状態で示されている。そのため、トレーラが静止しているときにトレーラ内に取り付けられた装置にアクセスできる。
【0076】
トレーラ10は、内部に締め付け構造が配置された第1のエリアまたは処理ステーション20を含む。図1では、締め付け構造は、4つの個別の樽クランプ21~24を備え、各樽クランプは、樽の鏡板または端部でチャイムに係合するように構成されている。後でこの説明において分かるように(例えば図5を参照)、樽クランプ21~24は、個々の樽の対向する鏡板または端部に係合するために互いに対向して位置決めされた一対のクランプの一方である。図5は、クランプが複数対のクランプ21、21’、22、22’、23、23’および24、24’を備えることを示している。よって、トレーラ10の処理ステーション20は、一度に4つの樽の対向する端部を受けて締め付ける能力を有する。
【0077】
トレーラ10は、処理ステーション20で処理されるべき一対の樽に研磨剤を装填することができる第2のステーション25をさらに含む。よって、第2のステーション25は、代替的に「装填ステーション」と呼ばれる。装填ステーション25はまた、処理ステーション20で処理された樽から研磨剤および樽の内面から除去されて洗浄された破片を出すことができる「洗い流し」ステーションを構成することもできる。洗い流しステーションは、本発明の別個の第3のステーションとすることができるが、トレーラ10では、装填ステーションと洗い流しステーションとはどちらも第2のステーション25に設けられている。図12については後述するが、洗い流しステーションが装填ステーションとは別個のステーションである異なる構成を示している。
【0078】
木製樽は、最初に樽内に研磨剤を挿入することによって、樽の内面上に形成された、または蓄積された不要な内張りまたは被覆を除去するためにトレーラ10内で処理することができ、トレーラ10に関して、これは装填ステーション25内で行われる。装填ステーション25は、図2および図3にそれぞれ側面図および端面図で示されている。図2および図3では、一対のホッパ27が一対の樽28の上方に持ち上げられており、ホッパ27は、ホッパ27内に収容された研磨剤を、送出管30を通して樽28内に供給できるように、送出弁32を含む供給管30を各々含む。好都合には、樽28内への供給は、すべてのワイン樽が有する穴である樽の栓口を通して行うことができる。栓口は通常、栓によって閉じられているが、樽28内に研磨剤を導入する目的で、栓が取り外される。
【0079】
ホッパ27に供給するために、さらなる供給管34が上方に延在してホッパ27の上端部に接続しており、供給管34は随時ホッパ27を補充するために研磨剤の供給部(図示せず)から供給する。
【0080】
樽28には研磨剤と混合するために液体も供給され、図3は、樽28への供給が研磨剤/水混合物またはスラリーであるようにホッパ27に供給する水の容器35を示している。この供給は、同量の研磨剤/水混合物が各樽に導入されるように自動化することもできるし、または手動でオペレータによって決定された量とすることもできる。
【0081】
樽は、樽ラック上で装填ステーション25に装填され、これは図2および図3では見えていない。樽ラックは、図1において、参照符号36で処理ステーション20内に示されている。図1に示す樽ラック36は、単一の樽を各々支持する一対の並んだクレードルを含むラックである。樽ラック36は、世界中のワイナリーで使用されている標準的な形態をとることができる。
【0082】
図2および図3において、一対の樽28は、フォークリフトによって矢印Aで示す方向に装填ステーション25に装填されている。一対の樽28は、樽ラック36上に支持されて装填ステーション25に装填されており、樽ラック36は、装填ステーション25に装填されるときに下降される。そのため、樽ラック36上に支持された樽28は、4つの脚部39を有する支持構造体38との係合によって樽ラック36のクレードル上の支持から持ち上げられる。脚部39の各々は、その上側自由端または遠位端にローラ40を含む。したがって、装填ステーション25内で、各樽28は、樽28がその軸線を中心に転動することを許容する一対のローラ40によってその軸線の両側で支持される。これはローラの向きによって可能になり、そのためローラ40は、方向Aの樽の直線的な軸方向移動を許容せず、むしろ樽の軸線を中心とした回転移動のみを許容する。樽28が装填ステーション25内でそれらの軸線を中心に回転するためのこの能力は、各樽の栓口をホッパ供給管30と接続するために上向き位置に回転させることができ、その後下向き位置に回転させることができ、これにより、樽28の処理後に、樽28内の研磨剤ならびに任意の液体および破片を下向きの栓口を通して除去することができ、樽の内側を、栓口を通して注入された液体で洗い流すことができるようにするために、重要である。
【0083】
装填ステーション25内の樽28の対がホッパ27から研磨剤混合物の充填を受け取ると、樽28から供給管30を取り外すことができる。液体は、上述のようにスラリー中の研磨剤と共に樽28の内部に導入することができるが、代替の構成では、水などの液体を別個に導入することもできる。
【0084】
研磨剤/水混合物が樽28に導入されると、栓を栓口に再挿入することができ、樽28がその上で装填ステーション25に送り込まれた樽ラックを、フォークリフトによって再び25に持ち上げることができる。自動化された構成では、樽への研磨剤/水混合物の導入と同様に、栓の取り外しおよび栓口への再挿入を自動化することができる。次いで樽を、自動化された構成である自律車両やコンベヤなどによって、装填ステーションから取り外すことができる。
【0085】
樽28および樽28が取り付けられている樽ラック36は、次に処理ステーション20内に配置することができ、この配置を許容するために、クランプ21、21’~24、24’は上方に外れて持ち上げられる。図4は、一対の樽28を樽ラック36上で処理ステーション20に送り込んだフォークリフト42を概略的に示しており、クランプ23、23’は樽28の上方に持ち上げられて示されている。クランプ21、21’~24、24’は、本明細書でより詳細に後述する締め付けアセンブリ46の一部であり、締め付けアセンブリ46は、クランプ(クランプ23、23’を含む)が取り付けられ、昇降させることができるフレーム48を含む。図4では、フォークリフトは、樽28を処理ステーション20に送り込んだトレーラ10から離れて後退している。
【0086】
図4はまた、クランプ21、21’~24、24’が、クランプ21、21’~24、24’を駆動して回転させるために使用される駆動装置と共に上昇する油圧機構も示している。図4に示す構成はクランプ23、23’のみを示しているが、この構成はクランプ21、21’~24、24’の各々に適用される。図1および図5に示すように、クランプ21、21’および22、22’はフレーム48の一方に接続されており、クランプ23、23’および24、24’はフレーム48の他方に接続されている。別個の油圧機構が別個のフレーム48に取り付けられているが、それらの動作は同じである。
【0087】
昇降装置は、クランプ23、23’を含むフレーム48を昇降させる油圧ストラット44(図4)を含む。フレーム48は、正方形または長方形であり(図1および図5も参照)、一対のサイドレール50および一対のエンドレール52を有する。クランプ23、23’はエンドレール52に接続されており、クランプ23’に接続するエンドレール52はストラット44に接続されており、ストラット44によって昇降される。ストラット44によるエンドレール52の昇降は、フレーム48全体を昇降させる。図1および図4は、それぞれ下降位置および上昇位置にある締め付けアセンブリ46のフレーム48を示している。図4の位置では、フレームは、樽ラック36および樽28を処理ステーション20に装填するために上昇しており、装填されると、フォークリフト42はトレーラ10から離れて後進することができる。次いで、フレーム48を図1の位置まで下降させることができ、その後、クランプ23、23’を、続いて樽端部を締め付けるために、対向する樽端部53および54に隣接する位置に持って行くことができる。
【0088】
締め付けアセンブリ46のフレーム48が図4の位置から下降するときに、樽28は処理ステーション20内で樽ラック36上に支持されたままであるが、締め付けアセンブリ46は、支持体58を持ち上げて樽28の下面と係合させて、樽28を樽ラック36からわずかに持ち上げるために、フレーム48が下降するときに樽支持体58(図1)に係合する作動フレーム56(図4)を含む。樽支持体58は、作動フレーム56によって軸線の一方の側で係合されるときに、反対側が持ち上げられて樽28と持上げ係合するように、軸線を中心に旋回する。その持ち上げられた位置において、樽ラック36はもはや樽28を支持せず、または樽28に接触せず、その結果、樽は樽支持体58によってのみ支持される。樽支持体58は、ローラ60を含む。ローラ60は、樽端部53および54がクランプ23、23’によって係合されるときに、樽28がクランプ23、23’間で完全にセンタリングされていない場合(通常は不完全なセンタリングになる)に、樽28は、樽28が依然として樽ラック36上に支持されていた場合に生じるはずの引き摺り抵抗なしにわずかに軸方向に移動することができるように、樽28が軸方向に前後に移動することを許容する。
【0089】
本明細書で前述したように、クランプ21、21’~24、24’は円形であり(図1参照)、樽28のチャイムの直径よりも大きい直径のものであり、そのため、クランプ21、21’~24、24’の周縁は、チャイムに対して締め付ける。クランプの締め付け面は、任意の適切な材料のものとすることができ、適切なポリマー材料が、チャイムがポリマー内に圧縮することを許容してクランプとチャイムとの間の接続を強化する締め付け面を形成することができる。
【0090】
図6および図7は、図4の構成を示しているが、締め付けアセンブリ46が下降されている。そのため、図6では、クランプ23、23’は樽端部53および54に近接しているが、それらの端部に対して締め付けられている。図7では、クランプ23、23’は移動されて、樽端部53および54と締め付け係合している。図6および図7はまた、樽ラック36と樽支持体58のローラ60との間の樽28の支持の変化を明確に示している。図6の破線の挿入図では、樽28の下面は樽ラック36の支柱62の上端部に支持されており、ローラ60は樽28の下面から離間している。対照的に、図7では、破線の挿入図は、ローラ60が今や樽28の下面と係合しており、支柱62はもはや樽28と接触していないことを示している。図7の構成では、樽28はここでは、クランプ23、23’が樽28の対向する端部に係合してクランプ23、23’間の樽28のセンタリング位置ずれに対応するときに、軸方向にわずかに自由に動くことができる。
【0091】
図7の構成では、樽28は締め付けられており、それによって回転させ、傾けるために持ち上げることができる。図示の実施形態では、傾きが生じるように持ち上げる必要がある。図8は、樽28が樽支持体58から離れて持ち上げられるように上方に持ち上げられた締め付けアセンブリ46および締め付けられた樽28を示している。上昇位置では、任意選択的に上昇されているときに、樽28を回転させることができる。油圧モータ64がクランプ23’を駆動し、クランプ23’は、クランプ23、23’と樽28との締め付け接続によって、図8および図9に示す回転矢印で示されるように樽28をその軸線を中心に回転させる。対向するクランプ23は軸受装置66内で自由に回転し、そのため、樽28の回転はクランプ23’の駆動のみによるものである。
【0092】
樽28が樽28の内部の研磨剤および液体と一緒に回転することにより、樽28の内面に堆積した酒石酸塩層などの内張りまたは被覆が除去されるように、樽28の内面に対して研削効果が施される。しかしながら、樽28を単にその軸線を中心に回転させるだけでは、樽端部53および54の内面上に、または内面を覆って層を形成している内張りまたは被覆を必ずしも除去することにはならない。したがって、本発明は、樽28が回転されるときに樽28を傾けることを提供し、図9および図10はそれぞれ、第1の方向に傾けることと、続いて第2の反対の方向に傾けることとを示している。図9および図10から、傾き運動は中心旋回点Pを中心に行われ、中心旋回点Pは、締め付けアセンブリ46のフレーム48が点Pで作動フレーム56に旋回可能に接続される点であることが分かる。フレーム48は、図9および図10には示されていないが、図8で見ることができる。油圧ストラット44上で昇降されるのは作動フレーム56であり、作動フレーム56に対して傾けられるのはフレーム48である。傾きは、ロッドRと接続点70との間を接続し(図5および図6から図10を参照)、作動フレーム56に対してフレーム48を傾ける油圧ストラット68の伸縮によるものである。傾きの角度は、図9および図10から理解することができ、図示の例では、水平から約40°程度である。図9および図10に示すように、樽28の傾きが生じるときに、樽28はその軸線を中心に回転され続ける。
【0093】
これまでに行われた試験では、樽を各方向に一度だけ傾けさえすればよく、そのため、例えば、図8の水平軸位置から、樽28を図9に示す第1の方向に一度傾けることができ、所定の時間後、樽を図10の位置とは逆方向に傾けることができ、所定の時間後、樽を図8の水平位置に戻すことができる。その位置で、樽を下降させて図7の位置に戻すことができ、樽が下降するときに、作動フレーム56は、樽支持体58が持ち上げられ、樽28がローラ60上に下降するように支持体58に係合する。次いで、樽クランプ23、23’を樽28の両端部から解放することができ、次いで、締め付けアセンブリ46を再び持ち上げることができ、これにより、樽支持体58は下方に、または樽28の下面から離れて移動し、樽28を下降させて樽ラック36上に戻す。次いで、フォークリフト42を使用して、樽ラック36および樽28を処理ステーション20から持ち上げることができる。樽ラック36および樽28を装填ステーション25に戻すことができ、樽ラック36が下降されて装填ステーション25内に入るときに、樽28は、図3に示すように支持構造体38のローラ40上に支持される。
【0094】
樽ラック36および樽28が装填ステーション25に戻され、樽28がローラ40上に支持された状態で、栓口が上向きになり、栓を取り外すことができるように、樽28を、樽28が装填ステーション25に送り込まれる樽の軸線を中心として任意の向きから回転させることができる。栓が取り外された後、栓口が下向きになり、液体および研磨剤、ならびに樽28の内面から除去された破片が、直ちに、栓口から流出し始めるように、樽を回転させることができる。しかしながら、単に栓口を下に向けるだけですべての研磨剤および破片が流出することになるとは予期されないので、支持構造体38は、樽28を前後に揺動させるように構成され、揺動の一方向が図11に示されている。樽を前後に揺動させることにより、研磨剤および破片は、樽の中央に向かって、よって栓口を通って外に移動されまたは揺動される傾向になる。栓口は、通常、栓口が、液体、研磨剤、および破片が自然に流れる、またはそこに向かって移動する排水穴になるように、樽が水平であるときに樽の低い点に位置する。支持構造体38は、トラック72に沿って前後に振動するように構成され、その振動運動によって、樽は端部から端部まで上下に揺動し、特に研磨剤および破片の栓口への移動を促進する。
【0095】
揺動運動だけでは、樽内からすべての研磨剤および破片を完全に除去することは期待されない。したがって、樽が支持構造体38(図3)によって支持されている間に、栓口にホースを挿入することができ、これにより、洗浄液、典型的には温水を樽に注入して、樽の内面全体に噴霧し、すべての研磨剤および破片を栓口に移動させて樽28から出すことができる。これは、オペレータがホースを樽に挿入し、樽の内部のすべての表面に液体を噴霧して研磨剤および破片を洗い流すようにホースのノズルを向ける手作業の工程とすることができる。あるいは、ホースを、それ自体が栓口を覆って接続されたブラケットに取り付けることもでき、噴霧が樽のすべての内面にわたって向けられることを確実にするようにブラケットを配置することもできる。いずれの場合も、その意図は、樽内に延びるノズルまたはホース端部が栓口の断面積の一部分のみを占め、そのため、ホースおよび/またはノズルが栓口を通して樽内に挿入されても、研磨剤および破片が樽から洗い流される余地があることである。栓口は、典型的には、40mmまたは50mmの直径を有し得るので、直径20mmのホースは、ホースがフラッシング液を樽内に送り込んでいる間に研磨剤および破片が栓口から流出するために、ホースの周りに平均10mmの間隙を残す。
【0096】
樽からの流出物は、液体、研磨剤、および破片が樽28から洗い流された後に集まる排水ます74(図2図3、および図11を参照)に流入することができる。これにより、研磨剤を後で再使用するために収集することが可能になる。排水ます74は、固体のみがフィルタまたはスクリーンの上に収集されるように、液体を通すフィルタまたはスクリーンを有することができる。
【0097】
すべての研磨剤および破片が樽から除去されたとみなされる程度まで樽28が完全に洗い流されると、フォークリフト42は、ワイナリー内での再使用に戻すために、戻って樽ラック36および2つの樽28をピックアップすることができる。2つの新しい樽を樽ラック36上で装填ステーション25に装填することができ、上記で説明した処理の工程を繰り返すことができる。
【0098】
トレーラ10の処理ステーション20は、2つの樽ラック、よって4つの樽を収容することができ、一方、装填ステーション25は、ただ1つの樽ラック、よって2つの樽を収容することができることが理解されよう。当然ながら、さらなる装填ステーションを追加することもできるし、または、より多数の樽に研磨剤を装填し、続いてトレーラ10においてよりも洗い流すことができるように、装填ステーションの容量を増加させることもできる。しかしながら、図示のトレーラ10は、道路走行に必要な規則を満たしており、よって、装填ステーション25においてより大容量が提供される場合には、トレーラの再設計が必要になる。
【0099】
トレーラ10は、トレーラ10のオペレータが必要に応じてワイナリー間を移動することができるように、本発明を移動可能にする手段として開発された。しかしながら、本発明は移動式の動作形態に限定されず、代替の実施形態では、トレーラ10で利用されるのと同じ発明を利用して固定設備を作り出すことができる。図12は、ワイン樽28が設備の一端部からコンベヤによって反対側の端部まで供給されるそのような固定設備の1つの基本的な形態を示している。設備は、直線状の設備とすることも、または円形状の設備とすることもでき、円形状の設備では、樽28は、ほぼ同じ場所で設備に追加され、設備から除去されるが、直線状の設備では、樽28は、一方の側または端部から追加され、反対の側または端部から除去される。
【0100】
よって、図12は、そこで樽28に研磨剤および水が装填される装填ステーション76と、そこで、樽が、締め付けて持ち上げ、次いで回転させて傾けるための締め付けアセンブリ80に供給される回転および傾きステーション78とを有する処理設備75を示している。締め付けアセンブリ80は、トレーラ10の締め付けアセンブリ46に関連して説明したのと同じ方法で動作することができる。十分な回転および傾きの期間の後、締め付けアセンブリ80内に締め付けられた樽28を下降させて洗い流しステーション82に供給することができ、その後、樽28を取り外して樽ラックに戻すことができる。
【0101】
図12の構成では、樽28は、樽ラック上に支持されて設備75全体を搬送され、必要に応じて樽ラックから持ち上げることもできるが、設備75の図示の形態では、樽28は、ステーション76、80および82を通って移動するために樽ラックから取り外され、コンベヤ上に配置されている。
【0102】
「comprise(備える)」、「comprises」、「comprised」または「comprising」という用語のいずれかまたはすべてが本明細書(特許請求の範囲を含む)で使用される場合、それらは、記載された特徴、整数、ステップまたは構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップまたは構成要素の存在を排除するものではないと解釈されるべきである。
【0103】
当業者は、本明細書に記載された本発明に、具体的に記載されたもの以外の変形および修正の余地があることを理解するであろう。本発明は、本発明の精神および範囲内に入るすべてのそのような変形および修正を含むことが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-09-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワインまたは蒸留酒の木製樽の内面を研磨剤で洗浄、活性化または処理するための装置であって、前記装置が、前記樽の各端部を締め付けるための一対のクランプを含む締め付け構造であって、前記クランプが前記樽を前記樽の軸線を中心に回転させるように回転可能であり、前記締め付け構造が、回転中に前記樽の前記軸線を少なくとも約20°、好ましくは25~40%、水平面のいずれかの側に傾けるように動作可能である、締め付け構造を備える、装置であって、
前記装置は、前記樽の栓口を通して前記樽に研磨剤を挿入することができる装填ステーションをさらに含み、
前記装填ステーションは、前記樽の前記栓口を上向きにして前記樽を支持するように動作可能であり、そのため、前記栓口を通して前記研磨剤を前記樽に挿入または添加することができる、装置。
【請求項2】
前記締め付け構造が、前記樽の前記端部と締め付け接触するための締め付け面を有する一対のクランプを含み、前記締め付け面が、前記樽の前記端部に対して押圧され、または押されたときに弾性的に圧縮する弾性ポリマー材料を含む、請求項に記載の装置。
【請求項3】
前記ポリマー材料が、前記クランプの全面にわたって、または前記クランプの一部にわたって塗布されている、請求項に記載の装置。
【請求項4】
前記クランプが、前記ポリマー材料が付着する裏当て部材または裏板を有する、請求項またはに記載の装置。
【請求項5】
前記クランプが円形であり、前記クランプの縁部または外周における前記クランプの外径が、前記樽の前記端部のチャイムの直径よりも大きい、請求項からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記クランプが、各クランプの背後から延在し、少なくとも1つが回転するように駆動されるシャフトを有する、請求項からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記クランプの一方または両方が自在継手によって駆動装置に取り付けられている、請求項からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記被駆動クランプが、電動式駆動装置または油圧式駆動装置によって駆動される、請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記一対のクランプの他方が、前記樽の回転時に軸受内で自由に回転することができる、請求項またはに記載の装置。
【請求項10】
前記一対のクランプの一方が、後退位置および伸長位置を有し、前記後退位置では、前記クランプが樽の端部との係合から離間しており、前記伸長位置では、前記クランプが樽の前記端部に係合する、請求項からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記一対のクランプが、後退位置および伸長位置を有し、前記後退位置では、前記クランプが樽の対向する端部との係合から離間しており、前記伸長位置では、前記クランプが樽の前記端部に係合する、請求項からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
1つまたは複数の前記クランプの移動が前記樽の前記軸線にほぼ沿ったものである、請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
前記装置が、前記締め付け構造によって締め付けられる前に樽を支持するための樽支持ローラを含み、前記ローラが前記樽の軸方向の移動を許容する、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記樽が、前記締め付け構造によって締め付けられる前に樽ラック上に支持されている、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
一対の樽が樽ラック上に並んで支持され、前記締め付け構造が、各樽を締め付けるための少なくとも1つのクランプを含み、各クランプが前記樽を前記樽の軸線を中心に回転させるように回転可能であり、前記締め付け構造が、回転中に各樽の前記軸線を少なくとも約20°、好ましくは25~40%、水平面のいずれかの側に傾けるように動作可能である、請求項1から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記装置が、1つまたは複数の前記樽を前記樽ラック内の前記支持位置から持ち上げる持上げ設備を含み、これにより、前記1つまたは複数の樽が、締め付け前に前記樽ラック上の前記支持位置の上方に持ち上げられる、請求項14または15に記載の装置。
【請求項17】
前記持上げ設備が、前記樽の底部または下部に係合するためのローラを含み、前記ローラが、前記樽が軸方向に移動することを許容する、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
1つまたは複数の前記クランプが、クランプ支持構造体内に支持されており、前記クランプ支持構造体が、前記1つまたは複数のクランプを樽の上方または下方から前記樽に対して締め付け位置に位置決めするために移動することができるように垂直方向に移動可能である、請求項1から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記クランプ支持構造体が、正方形または長方形のフレームを含み、一対のクランプが、互いに対向し、前記フレーム内で伸縮するように前記フレームの対向する端部に取り付けられている、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記クランプ支持構造体が油圧ストラットによって昇降される、請求項17から19に記載の装置。
【請求項21】
前記クランプ支持構造体の前記フレームが、前記構造体内に締め付けられた前記1つまたは複数の樽の前記軸線に対して横方向に、好ましくは直交する方向に延びる軸線を中心として回転可能であり、前記フレームが、前記クランプ支持構造体内に締め付けられた前記1つまたは複数の樽を傾けるように前記回転軸線を中心に駆動可能である、請求項19または20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
樽の栓口を通して前記樽に研磨剤を挿入することができる装填ステーションをさらに含む、請求項1から21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記装填ステーションが、樽ラック上に取り付けられた樽、または樽ラック上に並べて取り付けられた一対の樽を受けるように構成されている、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記装填ステーションが、前記樽に液体/研磨剤混合物が供給されるように、前記樽に前記研磨剤が供給される前に前記研磨剤に液体を添加するための液体供給部を含む、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記樽内からの、前記樽の内部に施された前記研磨剤および液体、ならびに前記樽の前記内面から除去された破片の排出を助けるために前記樽に液体を導入するための排出または洗い流しステーションを形成する洗い流しステーションをさらに含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記洗い流しステーションが、前記栓口を覆って、または前記栓口に近接して前記樽に取り付け可能なブラケットまたはマニホールドを含み、前記洗い流しブラケットまたはマニホールドが、低圧および/または高圧フラッシング液の供給源に接続されており、前記フラッシング液を前記樽内に向けることができる、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記洗い流しステーションが、研磨剤および破片の前記栓口に向かう移動を助長するために、樽が緩やかに揺動または振動されることを許容するように前記樽を支持する支持体を含む、請求項25または26に記載の装置。
【請求項28】
前記支持体が、1つまたは複数の樽を支持することができ、1つまたは複数の前記樽を前後に揺動させるために前後に揺動させることができる足部を含む、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記足部が、前記栓口を、研磨剤および液体を前記樽の前記内部に施すことができる上向き位置から、前記研磨剤および液体を前記樽の前記内部から排出することができる下向き位置に回転させるように前記樽が回転されることを許容するローラである、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記装填ステーションと前記洗い流しステーションとが同じ位置にある、請求項25から29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
前記締め付け構造と前記装填ステーションおよび前記洗い流しステーションとが同じ位置にある、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
ワインまたは蒸留酒の木製樽の内面を研磨剤で洗浄、活性化または処理する方法であって、前記方法が、
a.木製樽に研磨剤混合物を挿入し、前記研磨剤水混合物が一般に約1mm~8mmの粒径範囲の粒状ガーネットまたはガーネット砂利を含む研磨剤を含むことと、
b.前記樽の各端部をクランプで締め付けることと、
c.前記クランプを回転させて前記樽を前記樽の軸線を中心に回転させることと、
d.回転中に前記樽の前記軸線を少なくとも約20°、好ましくは25~40%、水平面のいずれかの側に傾けることと
を含む、方法。
【請求項33】
前記研磨剤が前記樽の栓口を通して前記木製樽に挿入され、前記樽の各端部を締め付ける前に前記栓口を閉じる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
研磨剤/液体スラリーを形成するために前記樽に前記研磨剤と共に液体が挿入される、請求項32または33に記載の方法。
【請求項35】
前記樽が、第1の期間にわたって略水平な軸線で回転され、次いで、水平面の一方の側に第1の方向に傾けられ、第2の期間にわたって傾けられた位置で回転され、次いで、水平面の他方または反対の側に第2の方向に傾けられ、第3の期間にわたって傾けられた位置で回転され、次いで、略水平な軸線に戻される、請求項32から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記樽の前記回転が完了すると、前記栓口から前記栓を取り外し、前記栓口を通って前記樽から前記研磨剤および液体が出ることを許容することを含む、請求項33に従属する請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記方法が、前記樽にフラッシング液を注入して、前記栓口を通して前記樽内の研磨剤および破片を洗い流すことを含む、請求項32から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記フラッシング液が高温または低温の低圧水または高圧水である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記方法が、前記研磨剤および液体が前記栓口を通って前記樽から出るときに前記樽を揺動または振動させることを含む、請求項32から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
木製樽の内面を活性化または処理するための方法または装置に使用するための研磨剤であって、前記研磨剤が、一般に約1mm~8mm、より好ましくは2mm~5mmの粒径範囲の粒状ガーネットまたはガーネット砂利を含む、研磨剤。
【請求項41】
前記研磨剤が、ワインのpHに関して不活性であり、硬くて鋭利である、請求項40に記載の研磨剤。
【請求項42】
前記研磨剤が、約2100kg/m3±3%のかさ密度、4.0±3%の比重、亜円形状から亜角形状の粒形を有する粒状ガーネットまたはガーネット砂利を含む、請求項41に記載の研磨剤。
【請求項43】
前記研磨剤が、最小98%のガーネット、最大2%の長石および石英、ならびに最大0.25%の黒雲母その他の鉱物組成を含む、請求項40または41に記載の研磨剤。
【請求項44】
研磨剤が、前記研磨剤が樽内にあり、前記樽が回転しているときにバラストとして作用する追加の材料または媒体を含む、請求項40から43のいずれか一項に記載の研磨剤。
【請求項45】
前記追加の材料が、前記粒状ガーネットまたはガーネット砂利に対してより大きい粒径のものである、請求項44に記載の研磨剤。
【請求項46】
前記追加の材料が、典型的には球形または三角形の、不活性の石または特注のセラミック粒子である、請求項40から45のいずれか一項に記載の研磨剤。
【請求項47】
請求項1から34のいずれか一項に記載の装置または請求項32から39のいずれか一項に記載の方法に使用するための、請求項40から46のいずれか一項に記載の研磨剤。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワインまたは蒸留酒の木製樽の内面を研磨剤で洗浄、活性化または処理するための装置であって、前記装置が、前記樽の各端部を締め付けるための一対のクランプを含む締め付け構造であって、前記クランプが前記樽を前記樽の軸線を中心に回転させるように回転可能であり、前記締め付け構造が、回転中に前記樽の前記軸線を少なくとも約20°、好ましくは25~40%、水平面のいずれかの側に傾けるように動作可能である、締め付け構造を備える、装置であって、
前記装置は、前記樽の栓口を通して前記樽に研磨剤を挿入することができる装填ステーションをさらに含み、
前記装填ステーションは、前記樽の前記栓口を上向きにして前記樽を支持するように動作可能であり、そのため、前記栓口を通して前記研磨剤を前記樽に挿入または添加することができる、装置。
【請求項2】
前記締め付け構造が、前記樽の前記端部と締め付け接触するための締め付け面を有する一対のクランプを含み、前記締め付け面が、前記樽の前記端部に対して押圧され、または押されたときに弾性的に圧縮する弾性ポリマー材料を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記クランプが円形であり、前記クランプの縁部または外周における前記クランプの外径が、前記樽の前記端部のチャイムの直径よりも大きい、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記クランプが、各クランプの背後から延在し、少なくとも1つが回転するように駆動されるシャフトを有する、請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記クランプの一方または両方が自在継手によって駆動装置に取り付けられている、請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記一対のクランプの一方が、前記樽の回転時に軸受内で自由に回転することができる、請求項またはに記載の装置。
【請求項7】
前記一対のクランプの一方または両方が、後退位置および伸長位置を有し、前記後退位置では、前記クランプが樽の端部との係合から離間しており、前記伸長位置では、前記クランプが樽の前記端部に係合する、請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
1つの樽または一対の樽が樽ラック上に並んで支持され、前記締め付け構造が、各樽を締め付けるための少なくとも1つのクランプを含み、各クランプが前記樽を前記樽の軸線を中心に回転させるように回転可能であり、前記締め付け構造が、回転中に各樽の前記軸線を少なくとも約20°、好ましくは25~40%、水平面のいずれかの側に傾けるように動作可能である、請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記装置が、1つまたは複数の前記樽を前記樽ラック内の前記支持位置から持ち上げる持上げ設備を含み、これにより、前記1つまたは複数の樽が、締め付け前に前記樽ラック上の前記支持位置の上方に持ち上げられる、請求項に記載の装置。
【請求項10】
前記持上げ設備が、前記樽の底部または下部に係合するためのローラを含み、前記ローラが、前記樽が軸方向に移動することを許容する、請求項に記載の装置。
【請求項11】
1つまたは複数の前記クランプが、クランプ支持構造体内に支持されており、前記クランプ支持構造体が、前記1つまたは複数のクランプを樽の上方または下方から前記樽に対して締め付け位置に位置決めするために移動することができるように垂直方向に移動可能である、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記クランプ支持構造体が、正方形または長方形のフレームを含み、一対のクランプが、互いに対向し、前記フレーム内で伸縮するように前記フレームの対向する端部に取り付けられている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記クランプ支持構造体の前記フレームが、前記構造体内に締め付けられた前記1つまたは複数の樽の前記軸線に対して横方向に、好ましくは直交する方向に延びる軸線を中心として回転可能であり、前記フレームが、前記クランプ支持構造体内に締め付けられた前記1つまたは複数の樽を傾けるように前記回転軸線を中心に駆動可能である、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記樽内からの、前記樽の内部に施された前記研磨剤および液体、ならびに前記樽の前記内面から除去された破片の排出を助けるために前記樽に液体を導入するための排出または洗い流しステーションを形成する洗い流しステーションをさらに含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記洗い流しステーションが、研磨剤および破片の前記栓口に向かう移動を助長するために、樽が緩やかに揺動または振動されることを許容するように前記樽を支持する支持体を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
ワインまたは蒸留酒の木製樽の内面を研磨剤で洗浄、活性化または処理する方法であって、前記方法が、
a.木製樽に研磨剤混合物を挿入し、前記研磨剤水混合物が一般に約1mm~8mmの粒径範囲の粒状ガーネットまたはガーネット砂利を含む研磨剤を含むことと、
b.前記樽の各端部をクランプで締め付けることと、
c.前記クランプを回転させて前記樽を前記樽の軸線を中心に回転させることと、
d.回転中に前記樽の前記軸線を少なくとも約20°、好ましくは25~40%、水平面のいずれかの側に傾けることと
を含む、方法。
【請求項17】
前記樽が、第1の期間にわたって略水平な軸線で回転され、次いで、水平面の一方の側に第1の方向に傾けられ、第2の期間にわたって傾けられた位置で回転され、次いで、水平面の他方または反対の側に第2の方向に傾けられ、第3の期間にわたって傾けられた位置で回転され、次いで、略水平な軸線に戻される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
木製樽の内面を活性化または処理するための方法または装置に使用するための研磨剤であって、前記研磨剤が、一般に約1mm~8mm、より好ましくは2mm~5mmの粒径範囲の粒状ガーネットまたはガーネット砂利を含む、研磨剤。
【請求項19】
前記研磨剤が、約2100kg/m3±3%のかさ密度、4.0±3%の比重、亜円形状から亜角形状の粒形を有する粒状ガーネットまたはガーネット砂利を含む、請求項18に記載の研磨剤。
【請求項20】
前記研磨剤が、最小98%のガーネット、最大2%の長石および石英、ならびに最大0.25%の黒雲母その他の鉱物組成を含む、請求項18または19に記載の研磨剤。
【国際調査報告】