(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-07
(54)【発明の名称】パーソナルクレンジング組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/19 20060101AFI20241030BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20241030BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20241030BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20241030BHJP
A61K 8/35 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
A61K8/19
A61Q19/10
A61K8/49
A61K8/46
A61K8/35
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024529164
(86)(22)【出願日】2022-11-08
(85)【翻訳文提出日】2024-07-03
(86)【国際出願番号】 EP2022081069
(87)【国際公開番号】W WO2023088725
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100228980
【氏名又は名称】副島 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ラホルカー,プラフル・グラブ・ラオ
(72)【発明者】
【氏名】ペルマル,ラージクマール
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイディア,アシシュ・アナント
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB031
4C083AB032
4C083AC122
4C083AC182
4C083AC211
4C083AC212
4C083AC442
4C083AC712
4C083AC782
4C083AC791
4C083AC792
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD392
4C083BB04
4C083BB05
4C083BB06
4C083BB07
4C083CC19
4C083CC23
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE17
(57)【要約】
本発明は、改善されたSPFを提供するパーソナルクレンジング組成物に関するものである。特に、当該組成物は、水溶性UVA日焼け止め、水溶性UVB日焼け止め;及びアルカリを含む。本発明はさらに、改善されたSPFを提供するための方法及び使用に関するものでもある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.0.1~10重量%の水溶性UVA日焼け止め、
b.0.1~10重量%の水溶性UVB日焼け止め、
c.0.01~6重量%の水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ベリリウム及びそれらの混合物から選ばれるアルカリ
を含むパーソナルクレンジング組成物であって、
前記UV-A又は前記UV-B日焼け止めの水への溶解度が、25℃で50g/Lより高いパーソナルクレンジング組成物。
【請求項2】
5~40重量%の非イオン性界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記水溶性UVA日焼け止めが、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸ジナトリウム、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、及びそれらの混合物から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記水溶性UVB日焼け止めが、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、ベンジリデンカンファースルホン酸、ベンゾフェノン-4、及びそれらの混合物から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記アルカリが前記日焼け止めと錯体を形成する遊離型である、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記アルカリが水酸化カルシウムである、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記非イオン性界面活性剤がHLB値7~20を有する非イオン性界面活性剤から選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物がさらに0~5重量%のアニオン性界面活性剤を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物がさらに0~5重量%のカチオン性界面活性剤を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物がさらに0~15重量%の両性界面活性剤を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物のpHが6.5~8.5の範囲である、請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が5~90重量%の水を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
i.請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物を表面に塗布する段階、及び
ii.10秒~5分の範囲の期間の後に前記表面から前記組成物を除去する段階
を含む、改善された日焼け防止指数を提供する方法であって、
前記日焼け防止指数が少なくとも5及び最大50である方法。
【請求項14】
改善された日焼け防止指数を提供するための請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物の使用であって、前記日焼け防止指数が少なくとも5及び最大50である使用。
【請求項15】
パーソナルクレンジング組成物の日焼け止め防止指数を改善するための当該パーソナルクレンジング組成物におけるアルカリの使用であって、前記アルカリが水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ベリリウム及びそれらの混合物から選択され、前記パーソナルクレンジング組成物が、0.1~10重量%の水溶性UVA日焼け止め及び0.1~10重量%の水溶性UVB日焼け止めをさらに含み;
前記日焼け防止指数が少なくとも5及び最大50である使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルクレンジング組成物に関する。特に本発明は、向上した日焼け防止指数(SPF)を提供するパーソナルクレンジング組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人々は健康的なライフスタイルを楽しみたいという願いから、多くの場合、自分自身のケアそして例えば皮膚及び毛髪を含む頭皮などの外表面のケアに努める。代表的には、人々は、健康で感染のない皮膚、良好な肌の色合い、十分な保湿及び日光に含まれる紫外線(UV)照射からの保護を望んでいる。
【0003】
太陽光には赤外領域(700nm~1mm)、可視領域(380~780nm)及び紫外領域(100~400nm)が含まれる。UV領域はUVC(100~280nm)、UVB(280~315nm)及びUVA(315~400nm)からなる。人体は十分な量のビタミンDを合成/維持するためにある程度のUV照射を必要とするが、通常は、UVの有害効果が利点を上回る。UVBへの過度の曝露は、DNAに直接的な損傷を与え、日焼けも引き起こし、UVAへの過度の曝露によって、色素が直ちに暗い色となり、遅発性の肌黒化が生じると言われている。さらに、UVAは、活性酸素種が関与する酸化反応を介してDNA損傷を引き起こすとも言われている(Zhang et al., 1997, Free Radical Biology & Medicine, 23, 980-985)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Zhang et al., 1997, Free Radical Biology & Medicine, 23, 980-985
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような理由から、人々は日光への曝露を極力避ける傾向にある。しかしながら、多くの場合、日光への曝露を避けることは非常に困難であり、場合によっては不可能である。このような避けられない理由により、人々は、日光に含まれる紫外線への過度の曝露によって引き起こされる望ましくない影響から少なくともある程度の保護を提供する、活性物質、例えば日焼け止めを含むクリーム、ローション及びジェルを利用する傾向がある。日焼け止めは紫外線を吸収し、それが適用される表面、例えば使用者の皮膚に紫外線が到達するのを防ぐ。UVA放射線を吸収することで保護を提供する日焼け止めの能力は、UVA保護係数(UVAPF)で表され、UVB放射線を吸収することで保護を提供する日焼け止めの能力は、日焼け止め指数(SPF)で表される。
【0006】
日焼け止めを含むそのようなリーブオン組成物は、一般に、日光に曝される前に皮膚に塗布される。このようなリーブオン組成物の問題は、それの塗布に時間がかかることである。さらに、リーブオン組成物は、一般に、クリーム、ローション、及びジェルによって送達される。一部の消費者は、そのような製品の感覚特性を嫌う傾向、及び/又はそのようなリーブオン組成物が後に残し得るベタつきや油っぽい感触を嫌う傾向がある。
【0007】
他方、日焼け止めなどの活性物質を、洗顔料やボディウォッシュなどのパーソナルクレンジング又はウォッシュオフ組成物を介して皮膚に送達することは、入浴や皮膚の洗浄の過程でそれが洗い流される傾向があることから、非常に困難な課題である。したがって、パーソナルクレンジング組成物による活性物質、例えば日焼け止めの沈着を強化することは、依然として課題である。
【0008】
したがって、この問題に対処する活性物質、例えば日焼け止めを含むパーソナルクレンジング組成物を提供する必要がある。
【0009】
特定の水溶性UVA日焼け止め、特定の水溶性UVB日焼け止め、及び1以上の特定のアルカリを含むパーソナルクレンジング組成物により、これらの日焼け止めのより高い沈着が生じ、それによって改善されたSPFが提供されることが今回判明した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様において、本発明は、
a.0.1~10重量%の水溶性UVA日焼け止め、
b.0.1~10重量%の水溶性UVB日焼け止め、
c.0.01~6重量%の水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ベリリウム及びそれらの混合物から選ばれるアルカリ
を含むパーソナルクレンジング組成物であって、
前記UV-A又は前記UV-B日焼け止めの水への溶解度が、25℃で50g/Lより高いパーソナルクレンジング組成物に関する。
【0011】
第2の態様において、本発明は、
i.前記第1の態様の組成物を表面に塗布する段階、及び
ii.10秒~5分の範囲の期間の後に前記表面から前記組成物を除去する段階
を含む、改善された日焼け防止指数を提供する方法であって、
前記日焼け防止指数が少なくとも5及び最大50である方法に関するものである。
【0012】
第3の態様において、本発明は、改善された日焼け防止指数を提供するための第1の態様の組成物の使用であって、前記日焼け防止指数が少なくとも5及び最大50である使用に関する。
【0013】
第4の態様において、本発明は、当該組成物の日焼け止め防止指数を改善するためのパーソナルクレンジング組成物におけるアルカリの使用であって、前記アルカリが水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ベリリウム及びそれらの混合物から選択され、前記パーソナルクレンジング組成物が、0.1~10重量%の水溶性UVA日焼け止め及び0.1~10重量%の水溶性UVB日焼け止めをさらに含み;前記日焼け防止指数が少なくとも5及び最大50である使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の1態様の任意の特徴は、本発明の他の任意の態様において利用することができる。表現「含む(comprising)」は、「含んでいる(including)」を意味するが、必ずしも「からなる」(consisting)又は「構成されている」(composed of)を意味するわけではないということが意図される。言い換えれば、記載されている段階又はオプションは、包括的である必要はない。実施例及び比較実施例における場合を除いて、又は、明示的に示されている場合を除いて、本説明において材料の量又は反応の条件、材料の物理的特性及び/若しくは使用について示している全ての数字は、「約」という単語によって修飾されているものとして理解されるべきである。「xからyまで」の形式で表される数値範囲は、xとyを含むものと理解される。特定の特徴について、複数の好ましい範囲が「xからyまで」の形式で記述されている場合、異なるエンドポイントを組み合わせたすべての範囲も考慮されることは理解される。別断の断りがない限り、本明細書で使用される量は、組成物の総重量に基づく重量パーセントで表され、「重量%」と略される。本明細書で提供される「など(such as)」などのあらゆる例又は例示的な言葉の使用は、本発明をより良好に説明することのみを意図しており、別の形で特許請求される本発明の範囲を決して制限するものではない。
【0015】
パーソナルクレンジング組成物
本発明に関して、「パーソナルクレンジング組成物」及び「ウォッシュオフ組成物」、「リンスオフ組成物」という語句は互換的に使用することができ、同じ意味を示す。本明細書で使用される「パーソナルクレンジング組成物」又は「ウォッシュオフ組成物」又は「リンスオフ組成物」は、本明細書で使用される「パーソナルクレンジング組成物」又は「洗い流し組成物」又は「洗い流し組成物」とは、哺乳動物、特にはヒトの局所表面を洗浄するための組成物を含むことを意味する。この組成物は、日光に曝露された身体部分に使用するのに特に有用である。このような組成物は一般にリンスオフ型であり、それは代表的には、当該組成物が、表面を洗浄して油や汚れを除去するのに役立つことが知られている界面活性剤を多く含むことを意味する。その組成物は、通常、皮膚、頭皮、毛髪に塗布する時に水で希釈することで使用され、その後、泡立てて表面の汚れや油分を取り除き、多量の水でリンスして、組成物が塗布された身体表面から除去されるようにする。本発明の組成物は、好ましくは液体、例えばハンドウォッシュ、ボディウォッシュ及びシャンプーの形態である。
【0016】
本明細書で使用される場合、「皮膚」とは、顔及び身体(例えば、首、胸、背中、腕、脇の下、手、脚、臀部及び頭皮)の皮膚、特には身体の太陽にさらされる部分を含むことを意味する。本発明の組成物はまた、皮膚以外の人体の他のケラチン性基質、例えば頭皮及び毛髪への適用にも関連しており、その製品は紫外線からの保護を提供するという特定の目的を持って製剤することができる。
【0017】
本発明によるパーソナルクレンジング組成物(当該組成物)は、水溶性UVA日焼け止め、水溶性UVB日焼け止め、及び水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ベリリウム及びそれらの混合物から選択されるアルカリを含む。
【0018】
水溶性UVA日焼け止め
当該組成物は、水溶性UVA日焼け止めを含む。好ましくは、「水溶性」は、水溶解度が25℃で50g/Lより高いことを意味する。
【0019】
好ましくは、水溶性UVA日焼け止めは、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸ジナトリウム、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、及びそれらの混合物から選択される。
【0020】
当該組成物は、0.1~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.5~6重量%、さらにより好ましくは1~5重量%、さらにより好ましくは1~4重量%、さらにより好ましくは1~3重量%、さらにより好ましくは1~2重量%の水溶性UVA日焼け止めを含む。
【0021】
水溶性UVB日焼け止め
当該組成物は、水溶性UVB日焼け止めを含む。好ましくは、「水溶性」は、水溶解度が25℃で50g/Lより高いことを意味する。
【0022】
好ましくは、水溶性UVB日焼け止めは、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸(PBSA)、ベンジリデンカンファースルホン酸、ベンゾフェノン-4、及びそれらの混合物から選択される。
【0023】
当該組成物は、0.1~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.5~6重量%、さらにより好ましくは1~5重量%、さらにより好ましくは1~4重量%、さらにより好ましくは1~3重量%、さらにより好ましくは1~2重量%の水溶性UVB日焼け止めを含む。
【0024】
アルカリ
当該組成物は、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ベリリウム及びそれらの混合物から選択されるアルカリを含む。好ましくは、そのアルカリは、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及びそれらの混合物から選択される。より好ましくは、そのアルカリは水酸化カルシウムである。
【0025】
好ましくは、アルカリは、例えばフェニルベンゾイミダゾールスルホン酸(本発明による水溶性UVB日焼け止めの一つ)などの酸と錯体を自由に形成する必要がある。とは言うものの、市販の製品、例えばMT100ZやMT100TVのように、他の物質、例えば二酸化チタン及びステアリン酸と錯形成したアルカリ、例えば水酸化アルミニウムは、本発明の目的には適さない。
【0026】
当該組成物は、0.01~6重量%、好ましくは0.05~5重量%、より好ましくは0.1~5重量%、さらに好ましくは0.5~4重量%、さらにより好ましくは1~3重量%、さらにより好ましくは1~2重量%のアルカリを含む。
【0027】
当該組成物中に上記アルカリが2種以上存在する場合、それらの総重量パーセントは上記の範囲内となることが理解されるであろう。
【0028】
非イオン界面活性剤
好ましくは、当該組成物は5~40重量%の非イオン性界面活性剤をさらに含む。好ましくは、非イオン性界面活性剤は、HLB値7~20、より好ましくは9~20、より好ましくは10~19、さらにより好ましくは12~18、さらにより好ましくは13~17、さらにより好ましくは15~17を有する非イオン性界面活性剤から選択される。
【0029】
HLBはGriffin法を使用して計算され、HLB=20xMh/Mであり、この式中、Mhは分子の親水性部分の分子量であり、Mは分子全体の分子量であり、0~20の任意のスケールで結果が得られる。各種界面活性剤の代表的な値を以下に示す。
<10の値:脂溶性(水不溶性)、
>10の値:水溶性、
4~8の値は消泡剤を示す。
7~11の値はW/O(油中水型)乳化剤を示す。
12~16の値は水中油型乳化剤を示す。
11~14の値は湿展剤を示す。
12~15の値は洗剤の代表的な値である。
16~20の値は、可溶化剤又はヒドロトロープを示す。
【0030】
好ましくは、7~20の範囲のHLB値を有する非イオン性界面活性剤は、脂肪アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、アルキルポリグルコシド及びそれらの混合物から選択される。好ましくは、その非イオン性界面活性剤は、少なくとも9個のアルキレンオキサイド基、例えば9個のエチレンオキサイド基を有するものである。
【0031】
当該組成物で非イオン性界面活性剤として使用可能な脂肪アルコールエトキシレートの例には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB=16.9;Brij(登録商標)35として市販)、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル(HLB=16;Brij(登録商標)58として市販)、ポリエチレングリコールオクタデシルエーテル(HLB=18.8;Brij(登録商標)700として市販)及びLaureth-9(C12EO9;HLB=14.3;Brij(登録商標)L9として市販)などがある。
【0032】
当該組成物で非イオン性界面活性剤として使用可能なアルキルフェノールエトキシレートの例には、オクチルフェノールエトキシレート(HLB=15.5;Triton(商標名)X165として市販)、オクチルフェノールエトキシレート(HLB=17.6;Triton(商標名)X405として市販)及びオクチルフェノールエトキシレート(HLB=18.4;Triton(商標名)X705として市販)などがある。
【0033】
当該組成物で非イオン性界面活性剤として使用可能なポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステルの例には、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(HLB=13.3;Tween(登録商標)21として市販)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(HLB=16.7;Tween(登録商標)20として市販)、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート(HLB=15.6;Tween(登録商標)40として市販)及びポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(HLB=14.9;Tween(登録商標)60として市販)などがある。
【0034】
当該組成物で非イオン性界面活性剤として使用可能なアルキルポリグルコシドの例には、ラウリルグルコシド(HLB=11.6;PLANTACARE(登録商標)1200UPとして市販)、デシルグルコシド(HLB=12.8;PLANTACARE(登録商標)2000UPとして市販)、カプリリル/カプリルグルコシド(HLB=13.4;PLANTACARE(登録商標)810UPとして市販)、ココ-グルコシド(HLB=13.1;PLANTACARE(登録商標)818UPとして市販)などがある。
【0035】
より好ましくは、当該組成物中に存在し得る9~20の範囲のHLB値を有する非イオン性界面活性剤は、15.5より高いHLBを有する飽和炭素鎖を有する脂肪アルコールエトキシレートである。
【0036】
好ましくは、当該組成物は、5~40重量%、より好ましくは7~35重量%、さらにより好ましくは10~30重量%、さらにより好ましくは12~28重量%、さらにより好ましくは15~25重量%、さらにより好ましくは18~25重量%、さらにより好ましくは20~23重量%の非イオン性界面活性剤を含む。
【0037】
アニオン性界面活性剤
好ましくは、当該組成物はアニオン界面活性剤を含む。アニオン界面活性剤は、一級アルキル硫酸塩、エトキシル化アルキル硫酸塩、及びそれらの組み合わせから選択することができる。好ましいアルキル硫酸塩は、C8-18アルキル硫酸塩、より好ましくはC12-18アルキル硫酸塩であり、好ましくはナトリウム、カリウム、アンモニウム又は置換アンモニウムなどの可溶化カチオンとの塩の形態である。好ましいエトキシル化アルキル硫酸塩は、式:RO(CH2CH2O)nSO3Mを有するものであり、その式中、Rは8~18(好ましくは12~18)個の炭素原子を有するアルキル又はアルケニルであり;nは少なくとも0.5より大きい、好ましくは1~3、より好ましくは2~3の平均値を有する数字であり;Mは、ナトリウム、カリウム、アンモニウム又は置換アンモニウムなどの可溶性カチオンである。1例は、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)である。平均エトキシル化度が0.5~3、好ましくは1~3であるSLESが特に好ましい。
【0038】
好ましくは、当該組成物は、0~5重量%、より好ましくは1~4重量%、さらにより好ましくは2~3重量%のアニオン性界面活性剤を含む。
【0039】
カチオン性界面活性剤
好ましくは、当該組成物はカチオン性界面活性剤を含む。カチオン性アニオン性界面活性剤は、ステアラミドプロピルジメチルアミン、塩化ベヘントリモニウム又は塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ジメチルジオクタデシルアンモニウム、塩化N,N-ジヘキサデシル-N-メチル-1-ヘキサデカナミニウム、塩化ジココジメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化セトリミド又は塩化ドデシルトリメチルアンモニウムから選択され得る。このような界面活性剤は市販されている。
【0040】
好ましくは、当該組成物は、0~5重量%、好ましくは1~4重量%、より好ましくは2~3重量%のカチオン性界面活性剤を含む。
【0041】
両性界面活性剤
好ましくは、当該組成物は、非イオン性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤のいずれかとともに、共界面活性剤として両性界面活性剤を含む。両性界面活性剤は、ココアミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ベタイン類、ココアルキルジメチル、(カルボキシメチル)ジメチロールアンモニウムヒドロキシド又は(カルボキシラトメチル)ジメチル(オクタデシル)アンモニウムから選択され得る。
【0042】
好ましくは、当該組成物は、0~15重量%、より好ましくは1~13重量%、さらにより好ましくは1~10重量%、さらにより好ましくは1~8重量%、さらにより好ましくは1~5重量%、さらにより好ましくは1~3重量%の両性界面活性剤を含む。
【0043】
当該組成物のpH
好ましくは、当該組成物が液体組成物の形態で製剤される場合、組成物のpHは6.5~8.5、より好ましくは7.0~8.5、さらにより好ましくは7.0~7.5の範囲にある。
【0044】
水
好ましくは、当該組成物は5~90重量%の水を含む。当該組成物に含まれる水の量は、最終製品の形式によって決まる。例えば、組成物が液体組成物の形態である場合、好ましくは50~80重量%、より好ましくは55~75重量%、さらにより好ましくは60~70重量%の水が組成物中に存在し得る。
【0045】
シリコーンオイル
好ましくは、当該組成物は0~5重量%、より好ましくは0.1~4重量%、さらにより好ましくは1~3重量%のシリコーンオイルを含む。好ましくは、組成物により良い感覚特性を与えるためにシリコーンオイルを添加することができる。例えば、シャンプー及び洗顔料として製剤される場合には、組成物に1重量%のシリコーンオイルを添加してもよい。シリコーンオイルは、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリエーテルシロキサンコポリマー及びそれらの混合物から選択することができる。別の有用な種類は、ジメチコーン/ビニル/ジメチコーン交差ポリマー(例えば、Dow Corning 9040及び9041)などの架橋シリコーンエラストマーである。組成物がシャンプー組成物として製剤される場合、アミノシリコーンもその中に配合され得る。アミノシリコーンは、少なくとも一つの一級アミン、二級アミン、三級アミン又は四級アンモニウム基を含むシリコーンである。
【0046】
さらに、当該組成物は、好ましくは、多価アルコール(ポリオールとも呼ばれる)又はポリオールの混合物を含み得る。ポリオールは、本明細書において、水溶性の高い複数のヒドロキシル基(少なくとも二つ、好ましくは少なくとも三つ)を有する化合物を指すのに使用される用語である。グリセロールやプロピレングリコールなどの比較的低分子量の短鎖ポリヒドロキシ化合物;ソルビトール、マニトール、ショ糖及びグルコースなどの糖類;加水分解デンプン、デキストリン及びマルトデキストリンなどの変性炭水化物;及びポリアルキレングリコール、例えばポリオキシエチレングリコール(PEG)及びポリオキシプロピレングリコール(PPG)などのポリマー合成ポリオールを含む、多くの種類のポリオールが入手可能である。特に好ましいポリオールは、グリセロール、ソルビトール及びそれらの混合物である。最も好ましいポリオールはグリセロールである。
【0047】
好ましくは、組成物はポリマーを含む。アクリレートクラスのポリマーが特に好ましい。アクリレートポリマーの例には、米国特許第2,798,053号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載の、ポリアリルスクロースで架橋されたアクリル酸のポリマー及びコポリマーなどがある。他の例としては、ポリアクリレート、アクリレートコポリマー又はアルカリ膨潤性乳濁液アクリレートコポリマー、疎水変性アルカリ膨潤性コポリマー、及びアクリル酸の架橋ホモポリマーなどがある。このような市販のポリマーの例は、ACULYN(登録商標)、CARBOPOL(登録商標)、及びCARBOPOL(登録商標)Ultrezグレードシリーズである。[Carbopol(登録商標) Aqua SF-1ポリマー、INCI:Lubrizolによって供給されるアクリレートコポリマー]。
【0048】
液体クレンザー形式での好ましい使用レベルは、0.1~8%、好ましくは1~6%、より好ましくは1.5~4%、さらにより好ましくは2~3%である。
【0049】
任意の成分
当該組成物は、さらに、0~15重量%、より好ましくは0~10重量%、さらに好ましくは0~5重量%の抗酸化剤、香料、キレート剤、着色剤、消臭剤、色素、酵素、泡立て増進剤、殺菌剤、抗菌剤、起泡剤、真珠光沢剤、スキンコンディショナー、安定剤から選択される任意成分を含んでもよい。
【0050】
組成物がシャンプー組成物として製剤される場合、活性物質の沈着をさらに助けるするために、カチオン性ポリマーが一般に含まれる。好ましくは、シャンプー組成物が含む。カチオン性ポリマーは、好ましくはグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドである。グアーポリマーは、主として、ガラクトマンナンポリマー鎖を含む。このポリマーは、グアーがどの程度加水分解されカチオン化されたかに応じて、各種の分子量及びカチオン置換度で入手可能である。好ましくは、当該組成物は、0.01~2.0重量%、より好ましくは0.04~0.5重量%、さらに好ましくは0.08~0.25重量%のカチオン性ポリマーを含む。
【0051】
第2の態様において、本発明は、
i.第1の態様の組成物を表面に適用する段階;及び
ii.10秒~5分の範囲の期間後に前記表面から前記組成物を除去する段階
を含む、改善された日焼け防止係数を提供する方法であって、
前記日焼け防止指数が少なくとも5及び最大50である方法に関するものである。
【0052】
組成物を上記の方法に従って塗布すると、少なくとも5、最大50のSPFが得られる。好ましくは、この方法は性質上非治療的又は美容的のものである。
【0053】
第3の態様において、本発明は、前記日焼け防止指数が少なくとも5及び最大50である、改善された日焼け防止係数を提供するための第1の態様の組成物の使用に関する。好ましくは、この使用は、性質上非治療的又は美容的のものである。
【0054】
好ましくは、SPFは少なくとも10及び最大50であり、より好ましくは少なくとも15及び最大50であり、さらに好ましくは少なくとも20及び最大50である。
【0055】
第4の態様において、本発明は、パーソナルクレンジング組成物の日焼け止め保護係数を改善するための、パーソナルクレンジング組成物におけるアルカリの使用であって、前記アルカリが水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ベリリウム及びそれらの混合物から選択され、前記パーソナルクレンジング組成物がさらに、0.1~10重量%の水溶性UVA日焼け止め及び0.1~10重量%の水溶性UVB日焼け止めを含み;前記日焼け防止指数が少なくとも5及び最大50である使用に関する。好ましくは、前記アルカリは0.01~6重量%、より好ましくは0.05~5重量%、さらにより好ましくは0.1~5重量%、さらにより好ましくは0.5~4重量%、より好ましくは1~3重量%、さらにより好ましくは1~2重量%の量で使用される。
【0056】
以下の非限定的な実施例により、本発明についてさらに説明する。
【実施例】
【0057】
簡単に言うと、下記の表に示す組成物を次のように調製した。
以下の表に示す水溶性UV-A日焼け止め及び水溶性UV-B日焼け止め及びアルカリを水の存在下で合わせて、相Aを調製した。相Aは、40~60℃の範囲の温度、例えば50℃で調製した。他方、他の成分、例えば界面活性剤、増粘剤、ポリマー、ポリオールなどの他の成分を水中で混合することで相Bを調製した。相Bは、約60℃の水中で調製した。その後、相Aと相Bをホモジナイザーを使用して約60℃で混和し、10~15分間混和を行った後、混合物を室温で冷却し、実験にさらに使用した。
【0058】
イン・ビトロSPFの測定
組成物を水で希釈し、次に予め湿らせたビトロ皮膚に塗布した。次に、ビトロ皮膚を、製品塗布後直ちに洗い流し、暗所で乾燥するまで保管した。乾燥後、ビトロ皮膚は紫外線に曝露し、透過率スキャンを記録した。このスキャンは、所与のサンプルの波長(290~400nm)の関数として透過率を与える。単一のビトロ皮膚サンプルについて、四つの異なるスポットをスキャンした。同じことを三つのビトロ皮膚サンプルについて繰り返した。したがって、報告されたデータは12の読み取り値の平均である。基準透過率スキャンを、対照としてグリセリンを塗布したブランクのビトロ皮膚を使用して得た。透過率の値は、UV-2000S紫外線透過率分析装置を使用して記録した。機器に付属のUV-2000Sアプリケーションソフトウェアにより、測定された透過率の値に基づいてイン・ビトロSPFが得られる。
【0059】
表1:本発明による組成物(実施例1)及び対照(実施例A)
【表1】
【0060】
【手続補正書】
【提出日】2023-08-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.0.1~10重量%の水溶性UVA日焼け止め、
b.0.1~10重量%の水溶性UVB日焼け止め、
c.0.01~6重量%の水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、
又はそれらの混合物から選ばれるアルカリ
、および
d.5~40重量%の非イオン性界面活性剤
を含むパーソナルクレンジング組成物であって、
前記UV-A又は前記UV-B日焼け止めの水への溶解度が、25℃で50g/Lより高いパーソナルクレンジング組成物。
【請求項2】
前記水溶性UVA日焼け止めが、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸ジナトリウム、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、及びそれらの混合物から選択される、請求項
1に記載の組成物。
【請求項3】
前記水溶性UVB日焼け止めが、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、ベンジリデンカンファースルホン酸、ベンゾフェノン-4、及びそれらの混合物から選択される、請求項1
又は2のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項4】
前記アルカリが前記日焼け止めと錯体を形成する遊離型である、請求項1
又は2のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記アルカリが水酸化カルシウムである、請求項1
又は2のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記非イオン性界面活性剤がHLB値7~20を有する非イオン性界面活性剤から選択される、請求項1
又は2のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物がさらに0~5重量%のアニオン性界面活性剤を含む、請求項1
又は2のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物がさらに0~5重量%のカチオン性界面活性剤を含む、請求項1
又は2のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物がさらに0~15重量%の両性界面活性剤を含む、請求項1
又は2のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物のpHが6.5~8.5の範囲である、請求項1
又は2のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が5~90重量%の水を含む、請求項1
又は2のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
i.請求項1
又は2のいずれか1項に記載の組成物を表面に塗布する段階、及び
ii.10秒~5分の範囲の期間の後に前記表面から前記組成物を除去する段階
を含む、改善された日焼け防止指数を提供する方法であって、
前記日焼け防止指数が少なくとも5及び最大50である方法。
【請求項13】
改善された日焼け防止指数を提供するための請求項1
又は2のいずれか1項に記載の組成物の使用であって、前記日焼け防止指数が少なくとも5及び最大50である使用。
【請求項14】
パーソナルクレンジング組成物の日焼け止め防止指数を改善するための当該パーソナルクレンジング組成物におけるアルカリの使用であって、前記アルカリが水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、
又はそれらの混合物から選択され、前記パーソナルクレンジング組成物が、0.1~10重量%の水溶性UVA日焼け止め
、0.1~10重量%の水溶性UVB日焼け止め
、及び5~40重量%の非イオン性界面活性剤をさらに含み;
前記日焼け防止指数が少なくとも5及び最大50である使用。
【国際調査報告】